平成12年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成12年3月22日(水)
   

1開会    午前10時4分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長      和 美 宏 幸
議事課長      藤 沢 重 一
議事課長補佐    千 田 正 和
主任議事管理主査  浅 田 和 夫
議事管理主査    筒 井 則 裕
議事管理主査    森   達 也
議事管理主査    熊 谷 正 則
議事管理主査    下 山 義 彦

1説明員
林業水産部長    佐 藤 克 郎
林業水産部次長   本 山 芳 裕
林業水産部次長   木實谷 浩 史
林政課長      小田島   栄
木材振興課長    溝 上   優
緑化推進課長    近 藤 勝 人
松くい虫対策監   黒 澤   茂
森林土木課長    菊 池 知 一
漁政課長      武 市 正 明
水産振興課長    上 村 俊 一
漁港漁村課長    船 越   穣
 
農政部長      佐 藤 徳兵衛
農政部次長     佐々木 正 勝
農政部次長     千 葉 和 男
農政部次長     高 橋 民 和
農政企画課長    河 村 直 樹
地域農業振興課長  澤 田 行 一
農業普及技術課長  石 川 格 司
農村計画課長    永 嶋 善 隆
総合国営対策監   伊 藤 日出輝
農村建設課長    佐々木 忠 正
農業経済課長    深 水 秀 介
農協指導検査監   伊 藤 正 俊
農産園芸課長    千 田   勉
生産調整対策監   河 村 茂 幹
畜産課長      山 下   進
農産物流通課長   菅 原 誠 郎
 
財政課長      池 田 克 典
   

〇工藤篤委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第1号から議案第21号まで、議案第29号から議案第37号まで、議案第39号、議案第41号から議案第46号まで、議案第48号から議案第51号まで、議案第54号、議案第55号、議案第57号、議案第58号、議案第60号、議案第62号、議案第65号及び議案第100号、以上、49件を一括議題といたします。
 本日は、林業水産部及び農政部関係を終わるように進行いたしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 また、世話人会の申し合わせにより、質疑項目が複数ある場合、関連する事項についてはできるだけまとめて質疑されたいこと、また、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
 なお、関連質疑については、冒頭に質疑を表明している委員より優先して発言を認めているものでありますので、その性格上、関連性の強いもののみ短時間、簡潔に発言されるよう、また、要望のみで終わることのないよう御協力をお願いいたします。
 最初に、林業水産部長から林業水産部関係の説明を求めます。

〇佐藤林業水産部長 それでは平成12年度の林業水産部関係の予算について御説明申し上げます。
 予算の説明に入る前に、まず、平成12年度の林業・水産業施策の推進に当たっての基本的な考え方について御説明申し上げます。
 初めに、林業についてでありますが、近年、災害の未然防止や地球温暖化対策等の面から森林の多面的な機能に対する県民の期待が高まってきており、いわゆる持続可能な森林経営を推進、定着していくことが重要となっております。また、戦後植栽された人工林が伐採時期を迎えようとしており、県産材の需要拡大の取り組みを強化するとともに、足腰の強い木材産業を確立していくことが必要となっております。
 こうした状況に適切に対応し、本県森林・林業、木材産業の振興を図るため、昨年11月に、新しい林業基本計画を策定したところであります。平成12年度は、この計画を推進する実質的な初年度として、特に間伐の強化、林内路網の整備等による適切な森林整備の推進、岩手型木造住宅の開発、普及等による県産材の需要拡大、そして治山の推進による県土の保全に重点的に取り組むほか、各般の施策を総合的に展開してまいる考えであります。
 次に、水産業についてでありますが、近年の水産業は、水産資源の減少や魚価の低迷など厳しい情勢下にあり、一方で、消費者ニーズは、健康、安全、本物志向などへと、多様化、高度化してきているところであります。こうした状況に適切に対応し、本県水産業の一層の振興を図るため、昨年11月に新しい水産業基本計画を策定したところでありますが、平成12年度はこれまでに培ってきた成果を踏まえながら、ヒラメ種苗生産施設の整備等によるつくり育てる漁業の推進、新たな食品衛生管理方式であるハセップ方式の普及啓発、海づくり少年団の育成など漁業後継者対策の拡充等による活力ある漁村づくりの推進、そして漁業集落排水施設の整備等による快適な漁村環境の整備に重点的に取り組むほか、各般の施策を総合的に展開してまいる考えであります。
 それでは、林業水産部関係の議案について御説明申し上げます。
 まず、議案第1号の平成12年度岩手県一般会計予算についてでありますが、お手元の議案その1の7ページをお開き願います。6款農林水産業費のうち、4項林業費、5項水産業費と9ページをお開き願いまして、11款災害復旧費のうち、1項農林水産施設災害復旧費の一部を合わせた、総額473億6、486万7、000円が林業水産部の所管する一般会計予算であります。これは、前年度当初予算対比で3.2%の増、前年度の実質的な当初予算ともいえる6月現計予算との対比では2.5%の減となっており、また、県の一般会計予算全体に占める割合は5.3%となるものであります。
 予算の内容につきましては、平成12年度の予算に関する説明書により御説明を申し上げます。なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
 それでは、予算に関する説明書の178ページをお開き願います。6款農林水産業費4項林業費のうち、1目林業総務費の主なものは、人件費など管理運営に要する経費と、県有林事業特別会計に対する繰出金であります。次に、179ページに参りまして、2目林業構造改善対策費の主なものは、林業構造改善事業費でありますが、これは、林業の振興と山村地域の活性化を図るため、11地域において実施される木材加工施設等の整備に対する助成などを行おうとするものであります。次に、3目林業振興指導費の主なものでありますが、180ページをお開き願いまして、説明欄の三つ目の森林計画樹立事業費は、森林法に基づき、北上川上流森林計画区の地域森林計画を樹立しようとするものであります。次に、二つ飛びまして、木材産業振興対策事業費は、製材業者、木材チップ製造業者等の素材の共同購入等に要する運転資金の貸し付けなどを行おうとするものであります。次に、一つ飛びまして、県産材需要拡大対策事業費は、県産材を使用した木造住宅の建設、公共的施設の整備や学校机、木製食器等の導入に対する助成などを行おうとするものであります。次に、二つ飛びまして、県産材活用住宅開発促進事業費は、新たに岩手型木造住宅の開発、供給に向け、地域材利用促進計画の検討や、地域材活用住宅の普及宣伝などを行い、県産ブランド材の需要拡大を図ろうとするものであります。次に、181ページに参りまして、説明欄の一つ目の特用林産振興対策事業費は、シイタケ生産施設等の導入に対し、助成するとともに、シイタケの系統集荷と、森林組合の原木生産事業に要する資金の貸し付けなどを行おうとするものであります。次に、一つ飛びまして、林業普及指導事業費は、普及指導職員の人件費や活動費など、林業技術の普及指導に要する経費であります。次に、五つ飛びまして、森林組合育成強化対策事業費は、森林組合の経営体質の強化を図るため、広域合併の普及啓発活動に対し、助成するとともに、森林組合の財務改善等に要する資金の貸し付けなどを行おうとするものであります。次に、182ページをお開き願います。説明欄の二つ目の林業振興資金貸付金は、森林組合の経営の安定を図るため、林産加工事業等に要する資金を貸し付けようとするものであります。次に、四つ飛びまして、水土保全森林緊急間伐対策事業費は、公益的機能の高い森林を中心に間伐を推進するため、間伐の実施、作業路の開設等に対する助成などを行おうとするものであります。次に、高齢級間伐促進事業費補助は、新たに国庫補助事業の対象とならない高齢級の林分において間伐を推進するため、間伐の実施等に対し、助成しようとするものであります。次に、二つ飛びまして、岩手県林業公社事業資金貸付金は、同公社に対し、分収造林事業に要する資金を貸し付け、森林資源の整備を図ろうとするものであります。次に、183ページに参りまして、4目森林病害虫等防除費は、森林資源の保護・育成を図るため、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大の防止のほか、五葉山周辺のシカ被害の防止に要する経費であります。次に、5目造林費の主なものは、造林事業費でありますが、これは、森林資源の充実と森林の公益的機能の維持増進を図るため、人工造林、保育等に対する助成などを行おうとするものであります。次に、184ページをお開き願います。6目林道費は、林業生産基盤の整備と山村地域の生活環境の改善を図るため、県営78路線、市町村営31路線で行う林道整備などに要する経費であります。次に、185ページに参りまして、7目治山費は、山地災害等から県土を保全するため、治山事業152カ所、地すべり防止事業5カ所の実施などに要する経費であります。次に、186ページをお開き願います。8目林業技術センター費は、林業技術センターの管理運営、各種試験研究などに要する経費であります。
 次に、水産業費について御説明申し上げます。
 187ページに参りまして、5項水産業費のうち、1目水産業総務費の主なものは、人件費などの管理運営費と、水産科学館の管理運営の委託に要する経費であります。次に、2目漁業構造改善対策費の主なものでありますが、説明欄の一つ目の沿岸漁場整備開発事業費は、水産資源の維持・増大を図るため、増殖場5カ所の造成と、大型魚礁9カ所の設置を行おうとするものであります。次に、188ページをお開き願います。説明欄の三つ目の沿岸漁業漁村振興構造改善事業費は、新鮮で安全な水産物を提供するための荷さばき施設、増養殖用施設等の整備に対し、助成しようとするものであります。次に、3目水産業振興費の主なものでありますが、説明欄の一番下の海洋法対策事業費は、漁獲可能量制度、いわゆるTAC制度に基づく資源管理を推進するため、対象となる魚種の資源保存管理計画の策定、同計画に基づく漁業管理、指導などを行おうとするものであります。次に、189ページに参りまして、説明欄の六つ目の海づくり大会(仮称)開催費負担金は、次代を担う青少年の育成と、つくり育てる漁業の推進を図るため、新たに海づくり少年団と他分野の少年団との交流会やヒラメ、マツカワ等の稚魚の放流祭の開催に対し、経費の一部を負担しようとするものであります。次の水産物流通加工振興対策費は、水産加工業の経営の近代化を図るため、(仮称)財団法人いわて産業振興センターに対し、水産加工機械類貸与譲渡事業に要する資金を貸し付けようとするものであります。次の秋さけ等流通機能強化対策事業費は、アキサケ等の消費拡大を図るため、学校給食、病院給食への利用定着化、県内外での販路開拓等の取り組みに対する助成などを行おうとするものであります。次に、一つ飛びまして、水産食品品質管理推進事業費は、産地市場、水産加工場に、新しい食品品質管理手法であるハセップ方式を導入するため、新たに研修会の開催、巡回指導、衛生管理マニュアルの作成などを行おうとするものであります。次に、190ページをお開き願います。説明欄の四つ目のさけ、ます増殖費は、サケ、マス資源の維持安定を図るため、調査研究や稚魚の買い上げ、河川への放流などを行うとともに、増殖効率化施設の整備に対し、助成しようとするものであります。次に、三つ飛びまして、魚類栽培推進事業費は、ヒラメ、マツカワの魚類栽培の事業化を推進するため、大槌漁港と水産技術センター大船渡研究室に種苗生産施設を整備しようとするものであります。次に、四つ飛びまして、社団法人岩手県栽培漁業協会育成事業費は、同協会に対し、アワビ、ウニの種苗生産事業に要する運転資金の貸し付けや、マツカワ、アユの種苗生産業務の委託などを行おうとするものであります。次に、4目水産業協同組合指導費の主なものでありますが、191ページに参りまして、説明欄の四つ目の漁業協同組合信用事業統合促進資金貸付金は、岩手県信用漁業協同組合連合会に対し、信用事業の統合に要する資金を無利子で貸し付けようとするものであります。次の漁業近代化資金金融対策費は、漁業者に長期・低利の漁業近代化資金を融資する岩手県信用漁業協同組合連合会等の系統金融機関に対し、利子補給を行おうとするものであります。次に、5目漁業調整委員会費と、6目漁業調整費は、海区漁業調整委員会の開催、漁業調整などに要する経費であります。次に、192ページをお開き願います。7目漁業取締費の主なものは、漁業取締事務所の人件費、漁業取締船の運航経費など、管理運営に要する経費であります。次に、193ページに参りまして、8目水産技術センター費と、9目内水面水産技術センター費は、各センターの管理運営と試験研究に要する経費であります。次に、194ページをお開き願います。10目漁港管理費は、県管理漁港施設等の維持管理に要する経費であります。次に、11目漁港建設費は、漁港、海岸関係事業費に係る、県管理漁港29港、市町村管理漁港38港、漁業集落12地区の整備などに要する経費であります。
 次に、災害復旧費について御説明申し上げます。少し飛びまして256ページをお開き願います。11款災害復旧費、1項農林水産施設災害復旧費のうち、2目林道災害復旧費、257ページに参りまして、3目治山災害復旧費、4目漁業用施設災害復旧費、258ページをお開き願いまして、5目漁港災害復旧費は、過年災と現年災の災害復旧事業に要する経費を見込んだものであります。
 以上で一般会計歳出予算の説明を終わります。
 次に、債務負担行為について御説明を申し上げます。恐れ入りますが、再び議案その1の13ページをお開き願います。
 林業水産部関係は、事項欄の35から、14ページをお開き願いまして、41までの7件でありますが、これらは、農林漁業金融公庫が社団法人岩手県林業公社に融通した、造林事業資金の元利償還に係る損失補償と、県産材利用木造住宅建設資金ほか五つの資金の融通に伴う利子補給等について、それぞれ期間と限度額を定め、債務を負担しようとするものであります。
 次に、特別会計予算について御説明を申し上げます。25ページをお開き願います。議案第4号平成12年度岩手県県有林事業特別会計予算についてでありますが、予算総額は、歳入歳出それぞれ44億6、846万4、000円であります。
 次に、26ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算の歳入の主なものは、2款繰入金と5款県債でありますが、このうち繰入金は、一般会計と県有林造成基金から繰り入れようとするものであります。
 次に、27ページに参りまして、歳出の主なものは、1款県有林事業費でありますが、これは、県行造林造成事業等の新植、下刈り、素材生産などに要する経費であります。
 次に、第2表地方債についてでありますが、これは、県有林事業に充当しようとするものであります。
 次に、28ページをお開き願います。議案第5号平成12年度岩手県林業改善資金特別会計予算についてでありますが、予算総額は、歳入歳出それぞれ14億3、474万1、000円であります。
 次に、29ページに参りまして、第1表歳入歳出予算の歳入の主なものは、2款繰入金と、4款諸収入のうちの1項貸付金元利収入であります。
 次に、30ページをお開き願います。歳出でありますが、1款林業改善資金貸付費は、林業経営の改善を図るため、林業従事者等に対し、林業生産高度化資金、林業労働福祉施設資金などを無利子で貸し付けようとするものであります。
 次に、2款木材産業等高度化推進資金貸付費は、森林組合等に対し、木材の生産・流通の合理化に要する運転資金を低利で貸し付けるため、その原資を金融機関に預託しようとするものであります。
 次に、3款林業就業促進資金貸付費は、新規林業就業者等に対し、住居移転などに要する就業準備資金を、無利子で貸し付けようとするものであります。
 次に、31ページに参りまして、議案第6号平成12年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算についてでありますが、予算総額は、歳入歳出それぞれ3億507万8、000円であります。
 次に、32ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算の歳入の主なものは、1款繰入金と、3款諸収入のうちの1項貸付金収入であります。
 次に、歳出の1款沿岸漁業改善資金貸付費は、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従事者等に対し、経営等改善資金などを無利子で貸し付けようとするものであります。
 次に、予算以外の議案について御説明を申し上げます。
 少し飛びまして、76ページをお開き願います。議案第18号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、これは、平成12年度に実施する林業関係の建設事業に要する経費の一部を、受益市町村である大船渡市ほか12市町村に負担を願おうとするものであります。
 次に、78ページをお開き願います。議案第19号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、これは、平成12年度に実施する水産関係の建設事業に要する経費の一部を、受益市町村である大槌町ほか11市町村に負担を願おうとするものであります。
 次に、条例関係の議案について御説明申し上げます。
 お手元の議案その2の243ページをお開き願います。議案第54号緑化センター条例の一部を改正する条例についてでありますが、これは、諸経費の増加などを勘案して、緑化センターの緑化木流通施設の使用料の額を増額しようとするものであります。
 以上で林業水産部関係の議案の説明を終わります。よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。

〇工藤篤委員長 ただいまの説明に対し質疑ありませんか。

〇佐々木俊夫委員 早速の御指名ありがとうございます。大分質問者も多いようですので簡潔にいたします。言葉足らずの点が出ると思います。
 まず第1でありますが、昨今では好むと好まざるにかかわらず、生鮮食品産業はハセップをクリアしなければならないという時代に入ってまいりまして、したがいまして、生鮮食品産業である水産業は、まさにその中核というか中心的な事業になっていると。また、これをやらなければもはや漁業が存在し得ない、あるいはまた漁村も衰退するということになろうと思うわけであります。こういうことから、県では平成10年度からこの事業に取り組んでいただいておるわけでありますけれども、10年、11年と経過しまして、ことしはもう12年、今盛んにこの対策が講じられなければならないときに来ていると思います。しかるに、予算書を見ましたところ、このハセップ対策費として800万円計上されていると。その他の予算も恐らくいろんな事業費の中に含まれているとは思うのでありますけれども、どうも対策の必要性からいきますと極めて消極的な感じがするわけでありますが、11年度までにどの程度の計画に対してどの程度の達成がなされ、12年度はどこまでいって、13年度は間違いなく県下水産業関係がこのハセップ対策をクリアできるのかという点が第1であります。
 それから第2点としましては、やっぱり今御説明いただきました予算書の中に、漁業協同組合の信用事業統合のために必要な対策資金として23億6、800万円余りの無利子資金を信漁連に貸し付けるという予算が計上されております。もう大変な金額でございまして、水産業費の中でこれほどまとまった資金というのは、ほとんど過去にないぐらいの資金量であります。それほど事の重要性が指摘されるわけでありますが、当局の計画によりますと、県下の37の漁協をことし平成12年の2月までに事業統合しますという計画で昨年も予算化されておりますし、ことしもまた、ただいま申し上げましたように23億円余りの資金が投入されている。しかしながら、私の聞いているところでは、まだ統合が終わっていない。七つか八つの組合が依然として統合をしていないという実態にあるようでありますけれども、それはなぜなのか、なぜそういうことになっているのかということ。
 もう一つ、それに関連をしますけれども、かねてから非常に大きく掲げられ、あるいはまた叫ばれておりました漁業協同組合の岩手県1漁協化という問題があったはずでありますが、その件はもう漁協が自主的にやることだから行政は介入しませんと言えばそれまでですけれども、しかし指導機関でございますから、これの進行具合はどんな具合になって何がネックなのか、あるいは可能なのか不可能なのか、どんな見通しを持っておられるかという点が第2点であります。
 もう一つ、最後でありますが、遊漁、つまりいそ釣りですね。昨今は非常に内陸の方々が沿岸に参りまして、船で沖合へ行って釣ったり、あるいはまた、いそで釣りをする方が非常に多くなってきております。恐らく五、六万人の方が延べで来ているのではないかとそんなうわさがあるわけでありますが、やっぱり魚を釣る場所は専業である漁師の方々と競合しているわけであります。したがいまして、そこにはおのずから共存共栄というものがなければならないし、また資源保護のための対策というものもおのずからなされなければならない。そこで、これらの実態についてどのように把握しておられるのかという点であります。

〇佐藤林業水産部長 3点ほどのお尋ねでありますが、遊漁の実態等につきましては漁政課長の方から答弁させます。
 まず最初に、水産物のハセップ対策の関係でございますが、本県では新鮮で安全な水産物を消費者に提供するという観点から、水産物の流通のまさに出発点であります産地魚市場からハセップ対策に取り組んでおるわけでございます。特に、産地市場にはそのハセップ基準がないということで、平成11年度岩手スタンダードハセップということで、いわゆる独自の対応指針を作成し、来年度以降、県内すべての魚市場がこの指針に基づいて適合するように取り組むという考え方を持っております。そのために、11年度から13年度までの3年間の計画でございますが、県単独の産地市場衛生管理緊急対策事業というこの事業によりまして、例えば鮮度保持タンクあるいは海水殺菌装置、トイレの改修など、そういった市場施設の衛生管理の基本となる部分から改修・改善を進めるということにしておるわけでございます。
 またさらに、漁業者個々が直接取り扱う生ウニの安全性というものもあるわけです。このため、11年度はウニのむき身製造マニュアルの作成、あるいは衛生的取り扱いの普及・指導に当たってきたわけでございますが、ハード面におきましても、沿岸漁業構造改善事業等を導入いたしまして海水殺菌装置の導入に支援しているところであり、12年度も引き続きこういった取り組みをしてまいりたいと考えております。
 また、水産加工場の関係でございますが、これにつきましては、平成11年度にハセップ認定機関などによる衛生診断や、あるいはハセップ専門研修に積極的に助成したところでございまして、昨年の10月には本県の地元資本の2工場が初めてハセップ認定を取得いたしたわけでございます。平成12年の4月には、またさらに三つ目の認定取得の見込みがある状況でございます。今後とも、さらに昨年開設いたしました水産技術センターのハセップアドバイザールームといったものを活用しながら、高次加工場のハセップ認定取得について取り組んでまいりたいと思っております。
 また、ただいま予算の関係のお話もございましたが、ハセップ関係の予算につきましては、10年度はソフト面を中心といたしまして250万円程度の予算だったわけですけれども、本年度は委員の方から800万円とお話ございましたが、それ以外の関連の予算を含めて大体1億3、200万円といった予算になっております。
 それから、信用事業の統合のお尋ねでございますが、この問題につきましては、平成10年度から11年度までの間に漁協の信用事業を県の信漁連に順次統合していくと。そして、1県1信用事業体を構築するという計画であるわけでございますが、現在対象となる37漁協中の28漁協が統合を終わっております。1漁協につきましては事業を廃止しておりますので、未統合漁協は8漁協ということになっておりますけれども、このうち1漁協はこの4月1日に統合するという予定になっております。したがいまして、残るは7漁協が未統合という状況になるわけでございますが、この信用事業の統合に当たりましては、先ほど委員からもお話ございましたように、信用事業促進資金の貸付金制度といったものを創設いたしまして、県としてもこの統合に向けまして支援・指導してまいったわけでございます。未統合漁協の状況なんですけれども、これまでの努力によりまして経営が健全であるといった認識から、組合員の理解がなかなか得られにくいといった状況もございまして、現在統合に至っていないという状況にあると認識いたしております。
 いずれ信用事業の信頼性の向上、あるいはまた経営基盤の強化を図るという観点からすれば、この信用漁協の統合というものは極めて大事なことでございますので、いずれ関係の組合の役員さんたちも一生懸命今努力しているところでございますので、県といたしましても早期に統合が実現するよう、引き続き粘り強く指導・支援してまいりたいと考えているところでございます。
 さらに、漁協の合併の御質問でございますが、これにつきましては、昨年の10月、県下の漁協組合長会議におきまして、これまでの取組経過の報告とあわせまして、今後の進め方といたしまして1県1漁協を将来の目標に掲げながらも、段階的に地区合併に取り組んでいくといった趣旨の説明がされまして、現在県漁連では、漁協合併促進法に基づきまして漁協の合併基本計画の策定を今進めていると聞いております。現在、最終的な段階にあると伺っておるわけでございますが、いずれ漁協の合併につきましても早期に計画が樹立されまして、その計画に基づいて円滑に合併が進められるよう、県としても引き続き指導してまいりたいと考えているところでございます。

〇武市漁政課長 遊漁の実態についてどう把握しているかということでございますが、平成10年の遊漁者の数は、漁業センサスによりますと県内38万6、000人となっておりまして、平成5年に比べると1.2倍に増加している状況にございます。内訳を申しますと、船釣りが4万4、000人、おかから釣るおか釣り等が32万9、000人、そのほか潮干狩り等が1万3、000人となってございます。それからまた、船釣りの遊漁者を案内する遊漁船業の届出数でございますが、平成12年1月末日現在で684件となっておりまして、緩やかでありますけれども年々増加している状況にございます。あといろいろ増加して、漁師と競合という問題もございますが、船釣りに関しましては、現在まで事故は発生しておりません。おか釣りに関しては、昨年4件ばかり転落事故がございます。そういう状況でございます。

〇佐々木俊夫委員 ありがとうございます。
 再度質問しますが、このハセップ関係で魚市場関係については順調に進んでいると。それから加工部門の冷蔵庫関係は、ことしの4月までで3件はハセップ対応が可能だとおっしゃってますけれども、冷蔵庫の数はこんなものでございませんで、そうしますとほとんどがハセップ対応していないと、こう逆には言えるんじゃないか。三つぐらいではとても対応しているなんていうものではないんじゃないかという疑問を持ったことが一つ。
 それから、ハセップは今の説明にありましたように、魚市場から消費市場までのことについてのお話なんですが、問題は海での生産から魚市場までの間についてはどうなんだろうか。これは、当初県の方でこのハセップ対策に取り組みますよというときはその話があったはずなんです。つまり、漁船の構造とか魚市場に運ぶまでの間の対策というものが大事なんだと。そうじゃないと、幾ら魚市場に揚がった以降、鮮度だとかあるいはまた殺菌対策等をしても手おくれなんだから、生産分野にまで踏み込まなければいかんという説明がありまして、そうなるとこれは大変なことになると私質問した──これは、議場外の話でそういうことがあったんですが、それについて全く手つかずになっているんですが、これはいかがしたものでしょうか。
 それからもう一つ、信用事業はいろんな事情があって未合併が8漁協あるとおっしゃるんですが、今聞きますと経営が健全な組合は合併していない。ということは、裏から言えば不健全なところだけが合併したととれるわけでして、これは非常に問題だと思うんですがそうなんですか、もう1回。
 それから、漁協の合併問題は段階的に今やっていると言ってますが、段階的というのはどういう意味なんですか。何か最初は全県一本化というすごいリーダーシップがあったように聞いたんですが、段階的ということは何年か計画的に、ことしはここまで、来年はここまでというように段階的なものなんでしょうか。
 それから、信用事業を合併しますと、現実に出てきているように私聞いているんですけれども、今まで漁協でやっておりました信用事業は順調にいっている貸し付けもあれば、いわば不良化して固定化したものもあると。ところが、信用事業の中のいい部分だけが信連に統合されて、いわゆる不良貸付化したものはそのまま地元の漁協に残されてしまって大変だと。漁協がもうこれでつぶれるんじゃないかという話が聞かれるんですけれども、その辺の実態については把握しておりますか。つまり、病気を治したらその人が死んでいたということになるとこれは大変なことなんで、残された不良債権対策はどのようになっているか。
 それから、私先ほど聞き落としたかどうかわかりませんけれども、遊漁者の数は38万人だと。そのうち船釣りが4万4、000人、おかが3万2、000人、潮干狩りが1万3、000人とおっしゃいましたけれども、数字が合わないんですけれども、これはどういうわけでこうなったのか。私は、何で今遊漁の問題を取り上げたかといいますと、今いみじくも課長が触れましたいそ釣りで昨年4人の事故があったという、私はそこを実は一つの問題点として意識しております。これは、たまたま4人のうち3人が山田での事故でした。しかも、1人の方はそのまま転落して行方不明となって、幾ら捜索しても見つかりません。それからあとの方はちょうど12月31日の大みそかの日でございまして、滝沢の方でどうも漁師が見たところリュックサックか何かがあって人がいないと。これは危ないぞというので緊急に捜索体制──たまたま私は地元の消防団長ですから、消防団を動員しまして、暮れの日に捜索をさせました。ところが、夕方になって波が荒くなってきましたし、年とりですから夕方暗くなったのできょうはもうやめようと。翌日からまた、元日だけれども御苦労だが頼むよということですが、翌日は海が荒れまして、とても出動、捜索できる状態じゃない。そうしましたところ、正月の2日の日にまた新しい転落がありました。そのときはたまたま2人で行っておって、1人が転落するのを見ておったから通報がありまして、今転落したから頼むということで、いささか波の具合はよくなかったんですが再度緊急手配をして、潜ってようやくその方を遺体で収容しました。それから、暮れの方もあるいはどうなっているかわからないが時間を延長でやろうじゃないかとやったら、たまたま余り遠くないところで遺体で発見しました。そういうことから考えまして、海釣りでも船で行く方は船に救命施設が整備されておりまして、海上保安部もその辺はうるさく指導してますが、いそ釣りの方はほとんどこのライフジャケットを着ていないんですね。そして転落をして、家族から捜索願いが出るとか現場の状況から我々が判断してやると。しかも、暮れから正月にかけたああいうときでも、そういうことがあったら現地では対応せざるを得ないということから、私はできるものであればこれはどこでどう指導したらいいのか、あるいはマスコミの方々にお願いしたらいいのか、ぜひいそ釣りをする方はライフジャケットを着てくれと。そうしますと、転落をしても命は何とかなるんじゃないか。その証拠に11月ですけれども、地元の漁師の80歳の方がアワビとりをしまして、だれも見ないところで船が転覆して転落して、たまたま転覆した船を発見したところ、そこにライフジャケットを着たその80歳の漁師の方が浮かんでいたのでそれを救助しまして、転落してから約1時間、水温は相当低いんですけれども何とか一命を取りとめたという実績もございます。これは昨年の11月だったと思います。そういうこともあるので、ぜひ安全対策を進めてほしいということを感じます。

〇佐藤林業水産部長 ハセップの関係につきましては水産振興課長、それから信用事業にかかわる不良債権対策、遊漁につきましては漁政課長の方から答弁させます。
 まず、信用事業の統合に当たって、未統合は現在8漁協あるわけですけれども、経営状態が健全であるというのが統合が進まない一つの要因になっていると御説明したわけですけれども、実態は確かに不健全な組合がさきに統合しているということではなくて、事業として経営がうまくいっているという漁協にあっては、事業統合によって今以上のどういったメリットがあるのかといった議論を、やはりまだまだ組合員の中で議論をしていく必要があるといった認識が組合長さんとかあるいは役員の方々にあるということでございます。いずれこの信用事業の統合につきましては、漁協を含めた金融機関におきまして、自由競争化のもとでさまざまな経営基盤の整備といったものが必要になってきておるわけでございますので、そういうことを一つ一つ粘り強く説明し御理解をいただきながら、やっぱり事業統合は進めていかなければならないと。4月1日には一つが統合して残り7漁協でございますが、信漁連とも十分連携をとりながらこの事業統合に取り組んでまいりたいと考えております。
 それから漁協合併につきまして、段階的ということはどういう意味かといった御質問がございました。この漁協の合併につきましては、平成10年に県下の漁協組合長会議が開催されまして、その際に平成14年度を目途に1県1漁協を構築するための具体案を作成するといったことが承認されたわけでございますが、先ほども御説明したとおり、これにこだわらないで将来的には1県1漁協というのを目指すということだと思いますけれども、いずれ逐次条件が整ったところから、地区ごとあるいは市町村単位で段階的に合併を進めていくということではないかと考えているところでございます。

〇武市内漁政課長 信用事業統合に関係しまして、いい部分だけ譲渡されて悪い部分が残るということで漁協が大変じゃないかということでございますけれども、信用事業譲渡に絡みまして欠損金を大きく抱えている漁協につきましては、県内に8漁協あるわけでございますけれども、これらの漁協については国の補助事業であります漁協経営強化総合対策事業を導入いたしまして特定改善漁協という形に指定いたしまして、そこに対し融資機関を通じて利子補給を行っていると。それから関係の市町村や県漁連等系統団体と連携しまして現地指導を行う、あるいは改善の状況を、呼んで報告させてその状況を把握しているということでございます。改善状況につきましては、一つの漁協は平成6年から既にやっているところがあるわけでございますが、これについては順調にいっておりまして、平成11年度末で大体欠損金の35%が補てんされる見通しになっている。ただ、平成10年度に信用事業統合とあわせまして、7漁協についてその改善に取り組んでおるわけでございますけれども、それらにつきましては本年サケ、アワビ等が不漁であったということから、単年度の欠損金の補てん計画というのがあるわけでございますが、それへの達成は45%にとどまっているということでございます。
 しかしながら、いずれ平成12年度におきましても、これらの8漁協につきましてはいろいろ財務改善計画書というのをつくらせておるわけでございますが、その中にあります不要の土地などの売却とか事業管理費の削減などで着実に改善に取り組むように、その成果が上げられるように指導してまいりたいと考えてございます。
 それから遊漁の関係でございますが、38万6、000人中おか釣り等は32万9、000人の数ということでございます。そして、ふえているという状況でございます。それでぜひ安全対策をということでございますが、この安全対策につきましては、遊漁者の増加に伴いまして安全確保が重要であるという観点から、県ではこれまで漁業関係者、遊漁関係者、それから海洋レクリエーション関係者、海上取締関係者等で構成しております海面利用協議会というのがあるわけでございますが、そこでの検討を踏まえまして関係機関とも協力いたしまして、安全講習会の開催とか釣り団体への救命胴衣着用等の徹底、それから遊漁標識──注意事項を書いた標識の設置とか、それからまた、毎年海釣り手帳──遊漁での注意、救命胴衣をつけましょうとか書いた手帳を3、000部作成しております。それらを遊漁者に配布して、安全で秩序ある遊漁の啓発に努めてきておるわけでございます。残念ながら、11年度には4件ばかり事故が発生しているわけでございますが、今後も引き続きさまざまな機会をとらえまして啓発に努めてまいりたいと考えております。

〇上村水産振興課長 まず、魚市場のハセップになぜ力を入れて取り組むかと申し上げますと、魚市場には漁業者のみならず、加工業者、流通業者あるいは消費者が集まってまいります。したがって、ここをしっかりすることが漁業者、加工業者、消費者に対してハセップというものを理解していただいて、めいめいの事業所でもハセップ対応をすることができるということで、魚市場も力を入れてやっているところであります。そういったことから、魚市場についてハセップ基準はないわけですけれども、岩手県の独自のハセップ基準がこの3月にできますけれども、それでもって進めてまいりたいと考えております。岩手県には水産加工場260程度あるんですけれども、その中で高次加工場、いわゆる缶・瓶詰め、それから練り製品等94工場あります。これにつきましては、いずれハセップ対応をしていかないとやっていけない業種でありますから、まずこれを先行させなければならないということで、94工場を平成22年までには何とか66%までハセップ対応を持っていきたいという目標でありまして、そのはしりとしまして本年度、来年度3工場程度ハセップ認定ができるということであります。そのほかの一般の加工場でありますけれども、ハセップの認定基準につきましては多くの加工種類ごとにあるわけです。例えば、煮魚とか干物にしたとかあるいは焼いたといった業種ごとに、水産加工品というのは相当の数がありますので、先般取った2工場につきましても寿司種用のエビの冷凍食品といったものでありまして、業種ごとにありますからなかなか一概にはハセップ基準とはいえないんですけれども、いずれそういった小規模のところにつきましても、一般的な衛生管理を徹底させることによって、当面、対応をしていきたいと考えております。
 それから、魚をとるところからハセップが始まるという話で、まさにそのとおりであります。したがって、漁船につきましても、これは考えてみますと一つの加工場と同じようなものですから、水産庁におきましてどういった漁船構造がいいのか今検討しておりまして、県としてもそれを踏まえながら指導してまいりたいと思います。それから同時に、本県はつくり育てる漁業が本県沿岸漁業の8割を占めております。養殖場の養殖生産物も新鮮で安全でなければなりませんので、環境保全、漁場の維持保全とともに、ホタテ貝等につきましては貝毒等がありますので、安全の観点から関係機関と連携しまして安全指導に努めているところであります。

〇佐々木俊夫委員 わかりました。いろいろ御努力ありがとうございます。いずれハセップ、これをクリアしなければもう漁業が存在し得なくなるわけですので、大変なことだと思いますので、よろしくお願いします。
 一つだけ確認したいんですけれども、部長から漁協の1県1漁協合併というのを当初は掲げて、あすにでもできそうな雰囲気だったんですが、要するに現実的には段階的に地区あるいはまた町村ごとに積み重ねながら、将来の目標は1漁協なんだと、1県1漁協というような理解でいいんだと、そういうように私受け取ったんですが、その方が私も現実的だと思うんですけれども、そういうように理解していいんですか。

〇佐藤林業水産部長 現在、漁連の方ではこの合併の基本計画の策定作業を進めておるわけで、いずれ早ければ年度内にもこの計画を策定したいというような話も聞いておりますけれども、いずれその計画の中でそういった段階的にその合併を進めていくというふうな形になるんじゃないかなと私どもは考えているところでございます。

〇瀬川滋委員 簡潔に2点お伺いいたします。
 まず初めに、杉などの樹皮を利用した環境保全型緑化資材についてお伺いいたします。
 杉等の樹皮を利用した緑化資材については、透水性や抗菌性等を有するため、すぐれた環境保全型緑化資材として静岡県等で利用が進んでいると伺っておりますが、資源の有効利用の観点からも意義があると考えます。そこで、お伺いしますが、岩手県ではこのような取組事例はあるか、またこのような緑化資材の普及定着にはその原料となる樹皮の安定確保が必要と考えられますが、供給面では対応が可能なのか、あわせてお伺いいたします。
 2点目が、間伐材など県産中小径材の利用促進についてお伺いいたします。
 木材産業の振興や山村地域の活性化はもとより、健全で活力ある森林を維持・造成するためには、適切な間伐の実施や間伐材の利用促進が重要であると考えております。そこで、お伺いします。公共土木事業などにおける間伐材等の積極的な利用や新たな利用技術の開発等が必要と考えられますが、今までの取組状況はどうなっておりますか。また、関係団体との連携方策も含めてお伺いいたします。

〇佐藤林業水産部長 まず、杉などの樹皮を利用した環境保全型の緑化資材につきましては、溝上木材振興課長の方から答弁させたいと思います。私の方から間伐材など県産中小径材の利用の促進についてお答え申し上げたいと思います。
 間伐材等の利用促進についてでございますが、まずその推進体制といたしましては、庁内関係課やあるいは各地方振興局、さらには県の森林組合連合会等を構成員といたします県産中小径材安定供給推進会議というものをつくりまして、公共土木工事等への利用促進と円滑な供給を図るということ、さらには森林組合等を中心といたしました供給者側のネットワーク機能の強化を図りながら、計画的かつ安定的な間伐材の供給体制の整備に努めているところでございます。公共土木事業等における利用につきましては、間伐材等を利用しやすいようにということで、資材価格表でありますとか、あるいは工事歩掛かりの整備、普及に努めているところでございますし、また土木工事等における間伐材利用技術研修会、そういったものも開催するなど、利用促進に取り組んでいるところでございます。
 さらに、新たな利用技術の開発ということも大変重要なことでございますので、林業技術センター等におきまして民間との共同研究によりまして、林道の側溝のふた、あるいは間伐材を利用したネットフェンスなどの開発、実用化、そういったものが進んでおりますほか、治山ダムの型枠などにも利用されるようになってきているところでございます。こうした取り組みの結果、平成11年度の公共土木事業における間伐材の利用は、前年度のおおむね1.2倍に当たる約7、500立方メートルが見込まれております。そういうことで着実にその成果を上げているのではないかというふうに考えております。今後とも、公共土木事業等における間伐材利用事例集の作成配布、あるいは利用事例の現地検討会、そういったものを行うほか、公共施設や公共土木事業への一層の木材利用を呼びかけるため、市町村や建築関係団体等を対象とする木材の利用推進キャラバン、そういったものも実施しながら、普及啓発活動を一層強化し、間伐材など県産中小径材の利用促進に努めてまいりたいと考えております。

〇溝上木材振興課長 杉などの樹皮を利用しました緑化資材についてお答え申し上げたいと思います。
 杉の樹皮を特殊加工した資材につきましては、現在、のり面緑化やサッカー場などの競技用の芝生などに利用されているようでございます。特に水はけもよく、それから腐朽菌や病害虫などを寄せつけない、そういう効果があるようでございます。こういう多様な効果を持っていることから、本県におきましても民間の企業においてこれの製品開発が行われているという状況にございます。原料となります杉の樹皮の供給についてでございますが、製材工場で発生いたします杉などの樹皮については、現在、主に家畜の敷わらとかバーク堆肥などに利用されております。これが最近需要が若干減少傾向ということで、その処理に苦慮している製材工場もあるというふうに聞いております。したがいまして、緑化資材の原料としてこの樹皮が需要と価格等が安定的なものであれば、供給体制を整備するということは可能じゃないかというふうに考えておりますし、資源の循環利用という観点からも大変大きい効果があるものと考えております。

〇瀬川滋委員 2点追加してお伺いいたします。
 まだ樹皮の利用、スポーツ施設、芝が主だと思いますけれども、利用のその可能性は非常にあると思うんです。しかし、実際には使われている量はほとんどないのに等しいと思うんです。そういうところでほとんどが廃棄物として処理されているような気がするんです。それが環境面で焼却したりすることでダイオキシンとかいろんな問題が出てくると思うんですけれども、今、実際、樹皮がどういうふうに処理されているのか、そして使われている部分というのはどの程度なものなのか、それ1点。
 そしてもう一つだけ。間伐材のあれで前年比120%、7、500立方メートルという数字が示されましたけれども、これはどのくらいの利用率なのか、あわせてお伺いいたします。

〇溝上木材振興課長 樹皮の利用の可能性の件についてでございますが、県内で使用している例を調べてみますと、昨年オープンいたしました陸前高田市のオートキャンプ場モビリアでございますが、ここのキャンプサイトに利用されているようでございます。それから、花巻のスポーツキャンプ村というのがあるようですが、ここのラグビー場の芝の基盤としても利用されているというふうに聞いております。そういう意味でこういう芝生広場とかサッカー場等の施工には適性があるものじゃないかというふうに考えております。
 それから、廃棄物というより樹皮の処理についてでございますが、先ほど申し上げましたように、製材工場で出てまいります樹皮につきましては、畜産用の敷わらとして主に利用されているのが現状でございます。従来であれば多少の価格がついて供給されていたというのが実態かと思いますが、それが現在無料とか、おが粉とセットで提供されるとか、そういう状況になっていて、廃棄物として焼却処理している例はかなり少ない量というふうに考えております。そういう視点から12年度、この樹皮も含めましたこういう資源の有効利用について、大船渡管内になりますが、この管内でこういうものの利用の方法について、森林組合になりますが、調査検討するということにしている状況にございます。

〇佐藤林業水産部長 間伐材の利用の割合という話でしたけれども、間伐材の利用につきましては、最近の5カ年の平均で生産量が約16万立方メートルで、利用量が約9万立方メートルということになっております。ですから、平均利用率では大体56%の間伐材が利用されている。その中で公共土木事業につきましては、先ほどお答え申し上げたわけですけれども7、500立方メートル程度ですか、そういった状況になっているということですから、8%弱ぐらいというふうな数字になるかと思います。

〇田村正彦委員 瀬川委員の質問に関連してお尋ねしますが、間伐材の利用促進あるいは県産材の利用促進、いろいろな施策が講じられておるわけなんですけれども、これもひとえに外材の潤沢な日本への供給と、こういったことが背景にあると思うんですね。そこで、昭和40年代は南洋材、そして今現在は外洋材、これが非常に潤沢に供給されているわけなんですが、将来の林業を考えた場合、外材の日本への供給が今後どういうふうな推移をたどるんであろうかというのが非常に重要な課題だと私は思うんですね。そこで、広い見識をお持ちの次長の方にその辺のところをお尋ね申し上げたい。
 そして、間伐材のことですが、県産材の間伐利用、非常に努力されておるわけなんですが、具体的に私1点だけぜひお願いしたいことがございます。これは大分技術力も向上して、コンクリート側溝のふた、これが今盛んに生産されて利用されております。非常に自然環境にもいいし、そしてまた、自然環境に優しいというんですか、人にも優しいということで好評を得ておるんですね。それと同時に、利用容積というんですか、非常に高いものもあるということなんで、これはぜひ、今8%の公共事業に対する利用率だという話があったので、ぜひ公園とかあるいは公共施設の側溝のふたというのもこの間伐材を積極的に導入してみたらどうだというふうに思うんですが、この辺の御見解はいかがなものですか。

〇本山林業水産部次長 御指名でございますので、外材の供給見込みにつきまして御説明申し上げたいと存じます。
 委員御指摘のとおり、南洋材、今はアフリカまた南米等々から我が国は木材を輸入いたしておりまして、国全体で見た場合の自給率は2割ということで、8割が外材となっております。しかしながら、我が岩手県はこのような豊富な森林資源に恵まれておりまして、製材の県産材自給率で見ますとおよそ6割ぐらいが県産材で賄われているのではないかということで、自前でまだまだ頑張っている状況ではないかと思っております。
 今後の将来の見込みでございますけれども、外材価格がそれだけ安いということは、一部には再生産コストが外国において十分償われていないのではないかと、そういうようなことも指摘されておりますし、また特に東南アジアでは山火事ですとか、また開拓による伐採の進展というようなことが、るる指摘されておりまして、今のようなペースではいつまでも続くものではないのではないかというようなことが言われておる状況にあります。しかしながら、今のWTOの協議で見ましても、当面の自国の木材の輸出によりまして外貨収入を得たいという要求が途上国にはございますので、当面の間は今のような、ある意味では、ペースが続くのではないかというふうなことも言われております。ただ、いずれにいたしましても木材資源は有限な資源でございますので、持続的に管理していくということが極めて重要だと考えております。

〇菊池森林土木課長 道路の木製側溝のふたの利用はどうかという質問でございますけれども、木材は軽量で、それから運搬あるいは据えつけが容易であるということです。それから、コンクリートと比べましても比重が大変小さい割には強度が大きく、それから環境になじみやすいということ。それから、コンクリート製のふたに比べまして軽いということから、据えつけの経費の方でかなり安いということで、メートル当たりの単価としますと安価ということになってございます。そういった有効なことから、利用方法をいろいろ考えておりますけれども、まだ比較的新しいアイデア工法なわけでございますけれども、私どもの林道事業で利用実績を申しますと、平成10年度に145立方メートル、それから平成11年度に246立方メートル、約1.7倍となってございます。今後の普及見込みにつきましては、林業技術センターにおきまして側溝ふたの木材利用のいろいろな研究課題に取り組んでおりますので、技術的な改良を加えながら、さらに他の公共事業への利用PRに努めて、一層の利用拡大を図っていきたいと、こう思っております。

〇田村正彦委員 今御答弁にありましたとおり、持ち運びが非常に軽いもので、これが安価にも当たるということですし、そしてまた、特に自然公園というんですか、スポーツ施設とかあるいは公民館、あるいは公共施設、そういったところの側溝には私はぜひ土木と協議いただいて、これをぜひ普及させていくべきだと。今お話にもありましたとおり、強度もコンクリート以上の強度がある、耐用年数も、もうデータで出ているわけですから、ぜひこれを進めていただきたい。要望して終わります。

〇谷藤裕明委員 1点についてお伺いをいたします。特用林産物の生産振興にかかわる部分で、特にもシイタケにかかわる部分についてお伺いをいたしたいと思います。
 林業の基本計画、見直しをした部分があるようですが、干しシイタケが12年度の目標が1、600トンと、それから生が4、000トンというところからスタートしたようですが、その後17年に干しシイタケが1、200トン、それから22年が1、300トンということで、何か目標を下方修正したというか、何か元気のない方向に進んでいるんじゃないか。生の方は増産体制ですけれども、乾燥の部分のものが非常に、全国的にも岩手県のモッコリくんと言いますか、岩手健康しいたけモッコリくんと言うんですか、こういうのも含めた非常に岩手のシイタケというのは評価が高いわけですね。そこの中で今の目標数字、だんだん下方修正したという理由というか、この辺はどういうところに今あるのか。
 それから、振興していく上での課題というのは今どのようにとらえられているか。
 それから、12年度のいろんな事業がございますけれども、これらの関連する事業の内容についてもお聞かせいただければと思います。
 それから、一番大切というか、生産もそうですけれども、流通の部分、かなり強化していかなければならないだろうとは思っています。知事もこのシイタケの振興という部分にはかなり力を入れた表現もされておるわけですけれども、その割にはちょっと元気のない方向に向いてきているのかなあと思って、その辺の理由をお聞かせいただきたいと思います。いずれ我が県は森林県でありますから原木は豊富にあるわけですので、その辺の生産体制、それから流通体制等を含めてかなり前向きに取り組んでいける環境はあるんじゃないのかなあと思っています。以前は日本一を目指すとか何とか言っても、これは大分県の方に原木をどんどん岩手県から流出、最大の流出県だったのかもしれませんが、そういう形でどんどん大分県の方なんかにも原木をかなり出しながら日本一を助けてきた経緯がありますけれども、自前でやはり日本一を目指すぐらいの意気込みで取り組んでいく必要があるんじゃないかなと思いますので、その辺についてお聞かせをいただきたいと思います。

〇溝上木材振興課長 4点ほどあるかと思いますが、お答え申し上げたいと思います。
 まず、第6次の林業基本計画におきまして目標数字を設定して、下方修正したのじゃないかということでございますが、第5次の林業基本計画策定時、平成3年に策定したわけですが、基準年次は昭和63年度でございます。このときの現状の生産量が900トン前後の生産量です。植菌量も1、000万本近い植菌量であったわけでございます。この数字をもとにさらに増産するということで第5次の林業基本計画を策定しまして、順次生産拡大に取り組んだわけでございますが、940トンばかりを最高に、その後シイタケの生産量は減少傾向に転じておる。平成4年以降ですね。その減少に転じた理由が、平成2年か3年ころから外国産のシイタケ──中国産のシイタケでございますが──の輸入量が増加いたしまして、それに伴いまして国内産のシイタケの平均価格がかなり急激に下落した傾向がございます。そういうことから生産者の生産意欲に陰りが若干見られまして、原木の植菌量が年々少しずつ減少してきたというのがその平成4年以降の状況でございます。それで、第6次の林業基本計画の策定に当たりまして、このシイタケの増産を大きい柱としていろいろ取り組んだわけでございます。この中で特に生産者、それから関係団体いろいろありますが、かなり綿密に座談会とか話し合いを繰り返しながら、増産に向けた話し合いをしてきたわけでございます。その中から今回の第6次の計画の目標数値を設定しております。現在の持っているほだ木の量もありますが、これを増産に向けた体制づくりをすること。それから、生産技術の向上を図りながら収量、いわゆるとる量を上げていく、収量のアップと品質の向上を図りながら、価格のアップを図りながら経営の安定化に結びつけたような取り組みをすると、こういう取り組みをすることによりまして、平成17年に1、200トン、それから平成22年には1、300トンという目標数値を設定したところでございます。
 今その推進上の課題という委員のお話でございますが、特に本県のシイタケの場合、まず植菌量を現状より伸ばす必要がございます。この植菌量を伸ばすための方策、支援体制をつくること。それから、1本当たりのほだ木の収量というのが南の気候に比べれば不利な気候条件でございますので、本県の場合不利な条件にあるということで、1本当たりの収量は若干少ない、こういう課題があるわけでございます。これらの課題を解決するために、現在12年度も含めて施策を講じているわけですが、特に植菌量の拡大については県単の事業を導入しながら植菌量の拡大に向けた取り組みをしておりますし、それから品質の安定した収量を増大するためにはある程度の施設が必要でございます。この施設に対する支援を国庫補助事業──県単事業もありますが──も含めて施設整備を働きかけていく。それから、最も大きいのは技術の改善が大きいわけでございます。その施設整備とともに技術の向上を図るために、地方振興局の林業改良指導員等を通しながら生産技術の普及を図っていきますし、それから県内には菌メーカーも大きいメーカーがあります。こういう方々の技術指導も踏まえて総合的な技術指導を展開しながら指導の徹底を図ってまいりたい。こういう中から高品質で低コストのシイタケ生産に取り組んでいきたいと考えております。
 それから、流通の強化でございますが、本県の場合、全農系統、日本椎茸農業協同組合連合会というのがございます。この二つの系統で干しシイタケが全体の大体8割が取引されているわけでございます。2割が庭先とか個人というようなことでございますが、生産量の拡大と技術の向上を図るためにも、この系統出荷、系統の力をやはり強めていかなければ技術改善等も図られづらい面もありますので、そういう意味では県内にありますそれぞれの系統と連携を保ちながら、これまでも干しシイタケ品評会等とか、それから技術研修会等は、この団体との協議の中で進めてまいりましたが、さらに連携を深めながら第6次の基本計画の目標達成のために努力してまいりたいと考えております。特に干しシイタケ、現在全国第3位ですが、同じ600トン台に宮崎もあるものでございますので、そういう意味では技術改善と原木の植菌量をふやすことによって、間近に追い越せるような努力をして、2位を目指すような取り組みをしてまいりたいと思っております。
 それから、事業でございますが、先ほど申し上げましたように国庫補助事業といたしまして特用林産振興対策事業というのがございます。これは主に人工ほだ場とかそういうハード面の施設整備を行います。それから、県単事業では岩手健康しいたけ生産振興対策事業というのがございまして、これは原木を造成するための資金に対する助成とか、それからハウス、散水施設、運搬機具、いわゆる国庫補助で対象にならないような小規模のものの施設整備についてはこの県単で助成してまいる。それから、流通に対する取り扱い、前渡金の資金等が必要なわけですが、特別入札会を静岡県において開催しておる。これの前渡金等の貸付金の措置なども講じている状況にございます。

〇谷藤裕明委員 いずれいろいろな経済状況、また中国からの輸入物がかなり出回っていろいろ状況が変わったということもあるようですけれども、いずれ岩手のブランドというか、これはなかなか高い評価を受けている。これを徹底的にやっぱり全国に知らしめていくことが必要だろうと思うわけですね。やはり岩手の、特にもどんこのいいものというのは高く評価されていますから、これらを徹底的に市場にもアピールして、そこの中で価格がやっぱり相当、生産量もそうでしょうけれども、価格がかなりいい値段がついていけば、それを上回るだけの生産額にはつながっていくだろうと思いますので、良質なものを今後ともいろんな手を加えながら、そしてまた生産者がその意欲を持って今後取り組めるような環境づくりもぜひお願いをいたしたいなと、こう思っております。要望して終わります。

〇岩城明委員 それでは、1点質問させていただきます。アワビ等を対象といたしました漁場の造成についてお伺いをいたします。
 本県沿岸は岩礁が広く分布し、アワビなど磯資源の生息状況にも大変恵まれております。また、その結果、大きな漁場造成も行われましてかなりの大きな成果を上げている現状であると聞いております。しかしながら、本県のアワビは、一時、生産量が100トン台まで落ちて低迷をした時期もありましたが、こうした漁場造成と種苗の大量放流によりまして、近年では500トンまで生産量を伸ばし、質、量ともに日本一の高い評価を受け、沿岸漁業の貴重な資源となっております。しかしながら、昨年のアワビ漁におきましては、えさ不足等が原因と思われるやせたアワビが全県的に多数漁獲されております。アワビのえさは昆布等の海藻類でありますが、昨年はアワビ漁が始まる11月にはほとんど残っていなかったということで、私の住む久慈地区においてもやせアワビは例年よりも1割から2割ほど多く、特に多いところでは漁獲物の40%を超える地区もあったやには聞いております。やせアワビは市場価値も極めて低く安く買いたたかれております。アワビの資源量は関係者の努力によりまして着実にふえてきていることから、岩手ブランドとしての高い評価に恥じない品質のよいアワビを生産することが大切であり、このためにはしっかりしたえさ対策を急いで行う必要があります。そこで、お伺いをいたしますが、えさ海藻の増産とあわせて、すみ場づくりを目的としている増殖場の造成はますます重要になってきていると考えております。県は今後どのように漁場づくりを進めていこうとしておられるのかお伺いをいたします。よろしくお願いいたします。

〇船越漁港漁村課長 アワビを対象とした漁場造成ということでお答えをしたいと思います。
 県では、これまでにアワビ、ウニの資源増大を図りますために、今、委員御指摘のとおり種苗の放流を行うとともに、アワビ、ウニのすみ場やえさ場となる増殖場を、昭和51年度以降、112カ所で583ヘクタール整備いたしまして、本県のつくり育てる漁業を強力に推進してきたところでございます。本県の重要な磯資源でございますアワビの漁獲量は、ただいま御指摘のとおり一時100トン台まで落ち込んだときもございましたけれども、こういった努力によりまして平成9年以降増加傾向にございまして、資源の回復が図られてきたのではないかというふうに認識しておったところでございます。しかし、平成11年は、海況条件の悪化等によりまして、対前年比85%の389トンということで、残念ながら若干前年度を下回った状況になっております。こういったことから水産技術センターが平成12年2月に県内各地を調査いたしましたところ、漁業者からアワビ漁場における餌料海藻──昆布等でございますけれども──不足、そしてまた、近年の漁獲時のやせアワビの増加というふうなことが指摘をされております。餌料海藻の確保につきましては大変重要な課題でございまして、これまでも海中林の造成など関係者一丸となって努めてきたところでございますけれども、水産技術センターにおきましては、平成10年度から餌料不足対策に資するために、人為的な昆布群落造成手法の開発調査をやっておりまして、さらに平成12年度からはワカメ、昆布の流れ藻やあるいは養殖残滓を餌料として一層有効に活用するために、流れ藻の流失防止施設の開発を行うこととしております。いずれにしましても増殖場はアワビ等のすみ場はもちろんでございますが、えさ場として大変重要な役割を果たしておりますことから、このような試験結果を参考にいたしまして、今後より一層効果的な増殖場の造成に努めてまいりたいと考えております。

〇阿部静子委員 林業にかかわって2点お伺いをいたします。
 第1点は、県の県木でございますナンブアカマツの活用状況についてお伺いをいたします。
 アカマツにつきましては、松くい虫等の被害対策などが課題になっておりますけれども、本県の風土、景観にマッチした大事な樹木であると、私も岩手生まれ、岩手育ちでございますので、ナンブアカマツにつきましては大変な愛着を持っているところでございます。そこで、お伺いをいたしますが、まず県内の資源状況及び生産量はどれくらいでございましょうか。この用途はどうなっているのかお伺いをいたします。
 次に、ナンブアカマツの需要拡大を図るためには、付加価値をつけた活用を促進していくことが大切であると考えますが、製品開発の状況についてお伺いをいたします。
 さらに、環境に優しい資材としてアカマツ等の木材を利用した食器等の利用、これは私、決算特別委員会でお伺いをいたしたところでございますが、この食器等の利用について望む声が大きくなっておりますが、県内の使用状況はどうなっておりましょうか。
 また、コスト、耐用年数、さまざまな問題があると思いますが、利用拡大を図る上で何がネックになっているのか。これを定着していくためにどのような方策をお考えなのかお伺いをいたします。
 次に、林業事故が急速にふえていると伺っております。昨年度は死亡事故がゼロなのに今回6件もあるやに伺っておりますが、この事故の現状、原因を何だと分析なさっていらっしゃるのか。そして、今後の事故防止対策についてお伺いをいたします。

〇佐藤林業水産部長 ナンブアカマツの活用につきましては溝上木材振興課長の方から答弁させます。私から林業労働災害といいますか、林業事故につきましてお答え申し上げます。
 林業の労働災害事故につきましては、最近減少傾向にあったわけでございますが、平成11年度は81件ということで、その中で特に死亡災害につきましては、9年度が1件、それから10年度がゼロであったわけですが、これが11年度には残念なことに5件ということで、近年になく多発している状況にあります。その5件の事故の原因を見ますと、伐採した木が隣接する木にもたれかかった際に、その処理を誤って倒れてきた木のその下敷きになったという死亡事故が3件ほどございます。それから、集材作業中に運搬機械の転落によりましてその下敷きになって死亡した事故が1件と、さらに下刈り作業中に熱射病で死亡したという事故が1件となっておりまして、伐採やあるいは集材作業中の事故が多い傾向ということになっております。平成11年度にこういうことで死亡事故が多発したことから、通常、林業労働災害防止団体等が実施している作業現場の巡回指導でありますとか安全研修、そういったものに加えまして昨年10月に、林業関係者が一堂に会しまして緊急安全会議を開催して、平成11年10月から13年3月31日まで、これを岩手県林業労働災害防止運動の実施期間と定めまして、作業現場での安全旗やあるいは安全啓発ののぼりの掲揚、さらに安全作業への誓いへの署名活動、そういったことを進めまして、いずれ安全意識の高揚を図っているところでございます。今後とも、そういうことで巡回指導の強化でありますとか、チェーンソーや刈り払い機の安全研修の受講の徹底、そういったものなど、林業関係者と一体となって、県としてもそういった運動を展開してまいりたいと考えているところでございます。

〇溝上木材振興課長 ナンブアカマツの利用状況についてお答え申し上げたいと思います。
 本県の民有林の場合、アカマツの資源は大体78万ヘクタールの5分の1、16万5、000ヘクタールがアカマツ林でございます。蓄積が3、700万立方メートル余りで全体の4分の1を占めております。そういう意味では本県の主要な樹種でございまして、その資源も年々成熟している状況にありまして、これの利用促進が大きな課題となっております。特に木材生産量について見ますと、ここ数年、本県の木材生産量120万立方メートルほどで推移しておりますが、アカマツはそのうち16%で20万立方メートルがアカマツの生産量でございます。主な用途は、製材に半分、50%は製材用の利用でございますし、40%がパルプ原木として丸太のままパルプに利用されているというような状況にございます。
 次に、需要拡大を図るための製品開発についてのお尋ねでございますが、林業技術センターにおきまして、特にアカマツを内装材として利用するということで特別に研究しておりまして、アカマツの内装材への利用ということで難燃材──燃えない材の研究開発、それから木材の表面にかたい塗装を施しました、いわゆる表面硬化材ということでフローリング等に使えるようなことということで、その難燃材と表面硬化材の開発に現在取り組んでおりまして、ある一定の成果も出ておりまして、一部実用化のめども今回立ったところでございます。アカマツにつきましては第6次の林業基本計画の重点プロジェクトにおきまして、岩手型住宅というものを提案しておりますが、これは木材業界だけでなく建築業界、それから設計業界含めてこの密接な連携のもとに岩手型住宅を提案してまいりたいと考えているわけですが、この中で岩手県の場合、杉、アカマツ、カラマツ、広葉樹、多様な樹種を備えておりますので、こういう中でアカマツの利用技術開発も含めた利用拡大について取り組んでいくということにしております。
 次に、木製食器の使用状況とその利用方策でございますが、10年度末で県内の小・中学校で木製食器を使用している状況について調べた結果を申し上げますと、大野村等を含めて小・中学校10校で木製食器、アカマツを木地とした食器が導入されておりまして、その数も大体700組ぐらいというのが10年度末での利用状況でございます。木製食器については委員御指摘のとおり、導入価格が現在導入されているPC食器に比べて比較的高価、高いという課題もありますし、あと収納する場合かさばる、それから洗うスペース、それから機械に入りづらいとか、そういう課題が多くあるようでございます。ただ、耐用年数の面について調べてみますと、PC食器は大体3年ぐらいというふうに言われているようでございます。木製食器の場合、塗装をし直すなどメンテナンスを考えれば、値段の割合には耐用年数も比較的もつんじゃないかというような御意見もございます。有利な面もあるんじゃないかという御意見もございます。そういう意味で平成12年度に向けまして、木製食器の導入に向けた支援制度の創設を現在、今回の議会に提案させていただいております。この中ではモデル的に食器の導入を進めながら木のよさとか、木のぬくもり、それから伝統工芸品的な価値もあるかと思いますが、そういうものを含めた普及促進に結びつけるということで、小・中学校における木製食器の導入について予算措置をしながら、この取り組みを推進してまいりたいと考えております。

〇阿部静子委員 まず、アカマツの方ですが、内装材にその活路を見つけるという、私ここの部屋を見回しまして、みんな同じ模様ですよ、これ。木材で、外材だと思いますけれども、これがアカマツであったらどんなにかやわらかい雰囲気の中で会議ができるんだろうかと、その辺への、県庁のお役人さんたちはやはり販路拡大に向けて御努力をなさっていただきとうございますし、その辺は連携プレーでございましょうがね。
 それから、食器でございますが、今耐用年数を伺って、いやあ、木製というのはいいものだ、塗りかえることができる。私、学校給食のセンターの職員の方とお話をしたことございますけれども、重い食器、かごに入れて持つんですね。手がこうなってますよ。職業病ですよね。木製が軽いということ、その技術的な研究を、すばらしい技術を岩手県の専門家たちは持っておでるのですから、そこをどうか生かしてほしいと思いますし、また学校給食の食器が茶わんであるとか、おわんであるとか、お皿であるとか、4種類ぐらいございますよね。前に出ていたように1枚に境目っこをつけて、3本で食べるのではなくなったのですから、その四つなら四つの、一つでもいいんですよ、おわん、(「全部、全部。」と呼ぶ者あり)まず、急がないで、まず一つでもいいからその木製の優しさを子供たちに味わわせるような、そういう手だてをおとりになるおつもりはございませんか。
 また、林業労災事故でございます。何ともせつない、やはり専門家が少なくなったのではないか。専門の労働者があるいは高齢化してきたのではないかというふうに想像いたしますが、その育成について、ここで私チェーンソー、白ろう病というのを昔聞いたことがございますが、現在はどのような状況なのですか、お伺いをいたします。

〇溝上木材振興課長 まず最初に、木製食器の導入の手だての件でございますが、今、委員御提案のように、食器の場合、数いろいろあるようでございます。今回の採択の段階では数──数というのはセットとかそういうあれでなく、それに応じたような、おわん1個であればおわん1個でもいいというふうな、そういう対応で検討するということでこれまでの検討は進めてきております。
 それから次に、白ろう病の関係でございますが、白ろう病の認定は平成9年に1人ございまして、現在継続中の療養者は12名という状況になっております。ここ近年は労働安全衛生の面でいろいろ指導している関係で、発生件数というのは今申し上げたように低い状況にございますが、ただ、やっぱり2年に1回、3年に1回でもそういう人が発生するという状況にございますので、林業労働災害防止協会等も含めまして、一人親方を主体に労働安全衛生、特にチェーンソーを持っている方々に対する指導を毎年実施しているところでございます。

〇工藤篤委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時57分 休 憩
   午後1時4分 再 開

〇伊藤勢至副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 午前中の説明に対する質疑を続行いたします。

〇斉藤信委員 最初に、大規模林道川井住田線横沢-荒川区間について質問をいたします。
 最近、岩手大学の井上先生がこの大規模林道川井住田線横沢-荒川区間について、費用対効果分析、費用便益分析を行い、その調査結果を公表しました。これに関してお聞きをします。
 これまでの事業の進捗状況はどうなっているでしょうか。総事業費、計画延長を含めて示していただきたい。事業費の負担割合、負担額は、それぞれ国、県、市町村、受益者、どうなっているか示していただきたい。岩手県が行った大規模林業圏開発林道総合利用調査の目的とその内容はどうなっているか。この区間の直接受益森林のこの間の造林・育林の状況はどうなっているでしょうか。直接受益森林齢級別森林整備計画によると、平成9年は5年生以下が58ヘクタール、5年後の平成14年は408ヘクタールという計画ですが、実際はどうなっているでしょうか。公表された費用便益分析の結果によると、理想的な造林・育林・天然林伐採がされた場合、費用便益はマイナス144億5、900万円と示されています。便益が13億4、200万円で費用が158億200万円ということであります。圧倒的にこれは費用対効果が見られない。理想的な造林・育林が行われ、天然林伐採なしの場合は、費用便益はマイナス146億8、600万円、現状の造林・育林──今、理想的な造林・育林やられてませんから、現状のまま推移をして天然林が伐採されない場合は、費用便益はマイナス153億7、100万円、このような分析結果となっています。私は、この科学的な分析から見ると、この大規模林道川井住田線、この間、私はクマタカなどの自然環境の問題からこの計画の見直しを求めてきましたが、今回このような科学的な費用対効果、費用便益分析から見れば、環境問題だけではなくて経済的にも効果が全く見られないということにならないか、まず示していただきたい。

〇佐藤林業水産部長 数点御質問ございましたけれども、私からはこのたび岩大の井上先生が行った大規模林道川井住田線の横沢-荒川区間についての費用効果分析につきましてお答え申し上げたいと思います。その他につきましては、菊池森林土木課長から答弁させます。
 先般公表されました本路線に係る費用対効果につきましては、一般的に公共事業に係る費用対効果につきましては、現段階ではそれぞれの事業ごとに定められた方法で行われておりまして、必ずしもその手法というものが一般的なものとして確立されていないと。そういった中で、今回提示されたものは井上先生が独自に行った分析でございまして、この分析について見解をお示しするということは困難ではないかと思っておるわけでございます。

〇菊池森林土木課長 それでは、私の方からお答え申し上げます。
 まず一つは、川井住田線の進捗状況並びに事業費の負担割合とか負担額はどうかということでございますけれども、大規模林道川井住田線の横沢-荒川区間の進捗状況でございますけれども、同区間の計画延長は41.4キロメートルでございます。それから事業費は108億8、000万円で計画されておりまして、平成10年度末のその進捗は延長の累計では34.4キロメートル、それから事業費の累計では90億5、800万円となってございます。これを進捗率で申し上げますと、延長では83.1%、それから事業費では83.3%となってございます。また、事業費の負担割合は、基本的には国の公団に対する補助金として3分の2、受益者が賦課金として5%、それから残る部分を県が負担するということになってございますけれども、さらに国の補助金3分の2のほかに、年度ごとに県に定められております後進地域の負担率、それから区間ごとに定められる区間調整率といったもので加算されております。それで平成10年度時点の横沢-荒川区間の全体計画に対する負担の関係は、国が87億600万円で、率で申しますと80.0%、県が16億1、500万円で14.9%、それから受益者が5億5、900万円で、率では5.1%となってございます。
 それから二つ目ですけれども、総合利用調査の目的と内容はどうかということですが、平成8年と平成9年度に実施しております大規模林業圏開発林道事業の総合利用調査、これは、林野庁が大規模林業圏開発林道の推進方策について検討することを目的としまして、県が具体的な事業効果を事例的に把握したものでありまして、林野庁の定める方法により県が調査したものであります。その内容は、森林資源状況、それから人工林・天然林ごとの立木・素材価格等でございます。
 それから3点目でございますけれども、横沢-荒川区間の造林・育林の状況はどうかということでございますけれども、横沢-荒川区間における直接の受益面積は7、256ヘクタールでありまして、このうち民有林が1、729ヘクタール、率では24%を占めてございます。ちょっと時間的な制約もあって国有林までは調査できませんでしたけれども、民有林について申し上げますと、平成9年度から平成11年度の間で造林が3ヘクタール、それから下刈り等の保育が84ヘクタール実施されたと承知しておりますし、いわゆる拡大造林等は減少傾向にあると考えられます。なお、林業の収益性が低下傾向にあることや、それから森林の公益的機能の発揮に対する社会的な要請が高まる中で、森林施業全体を通じて皆伐後に、一斉に造林を行う施業から人工林の間伐や天然林の質的向上を重視する方向が強まっておりますので、これら森林の施業や管理を行う上で、今後とも林道は必要不可欠な基盤であると考えているところでございます。

〇斉藤信委員 大変科学的な調査に対してまともに検討しようとしない。私は、この姿勢は大問題だと思います。それで少し詳しく聞きます。
 事業費の負担割合で受益者が5.1%と言いました。負担割合は5%のはずなんだけれども、これは5.1%になってふえるのはなぜか。受益者というのはどういう方々でしょうか。これは国有林が76%を占めているんですよ。国が76%分払っているんでしょうか。そして、実際に地元の林業事業者、これは今24%と言いましたね。地元の林業事業者は24%負担なんでしょうか。そのことを示していただきたい。
 それと総合利用調査をやったと。これは事業効果を把握するためだと言いました。しかし、基礎的な調査をしたけれども、岩手県は──林野庁もそうですけれども、まともな費用対効果を出そうとしなかったんです。基礎的調査だけで終わった。井上先生はこのデータを使ってやったんですよ。あなた方がやった基礎的調査を使って費用対効果を出したんです。だから、一般的な方法が確立されてないなんていうんじゃない。あなた方の資料をもとにしてやっているんです。本来ならあなた方が費用対効果を出すべきだ。
 それで私は、今、造林・育林の話を聞きました。いいですか。このあなた方の調査でこの区間の森林整備計画、平成9年が58ヘクタールで5年生以下です。5年後には480ヘクタールにするという計画なんです。今聞いたら、造林はたった3ヘクタールじゃないですか。まじめに林業やってないんじゃないですか、これ。それでどうして林道だけが必要だっていうことになるんですか。まず、さきにここの答えを示していただきたい。

〇佐藤林業水産部長 まず、林野庁が行った大規模林業圏開発林道事業の総合利用調査の関係でございますが、事業の実施主体は林野庁でございまして、県の方では林野庁の調査の要領に従いましてデータを提供したという形になっておるわけですけれども、今御指摘いただいた費用対効果の点につきましては、この調査ではそういった費用対効果を算定するためのそれを目的とした調査ということではなくて、先ほども担当の課長からお答え申し上げたとおり、この事業の効果というものを事例的あるいは具体的な把握をしたもので、先ほど申し上げたようにきちんとした費用対効果を実施するために行った調査ではないわけで、そういう面では仮に本格的な費用対効果分析をするということになりますと、データ的にも不足する面もあるんじゃないのかといった感じをいたしておるわけでございます。申し上げますと、現在林野庁では、一般林道については費用対効果分析をやっております。その中、そういった一般林道に係る費用対効果を参考にしてみますと、今回の井上先生の行った分析結果と照らしてみますと、私どもは詳しい先生の算定の考え方なり方法といったものを承知しているわけじゃないわけですけれども、例えば先生が分析の対象とした項目のほかにも、森林整備による公益的機能の増進でありますとか、山村振興あるいは災害時の迂回路確保といったものの効果などについても別途考慮すべき余地もあるのではなかろうかと。
 いずれ先ほども申し上げたんですけれども、いろんな公共事業それぞれによって費用対効果のやり方があって、まだ確立されていないという状況の中で、今回の先生の分析されたことにつきまして判断するということについては、やっぱり今の段階では差し控えるべきではないのかという感じでおるわけでございます。

〇菊池森林土木課長 受益者の負担の件でございますけれども、その5%、5.1%の中には受益者として国有林の方、それから民有林の方もそれぞれ受益者が負担しているとお聞きしております。

〇斉藤信委員 井上先生のこの費用対効果分析にはいろんな前提がありまして、それも全部書いているんですよ。例えば環境に対する影響というのもあるけれども、それは定性的なもので指摘にだけとどめておくと、そういうマイナスのものも入ってないんです。だから、そういう点では100%これを認める、認めないということを私は求めているんじゃないんです。いいですか。いろんな条件を設定した上で三つのシナリオでやってみたら、どんなシナリオでも140億円から150億円のマイナス効果だと。誤差の範囲はいろいろあったとしても、本当にこういう公共事業を進めていいんだろうかと総論として私は聞いているんですよ。そして今、造林の問題ではこの3年間でたった3ヘクタールしかしていない。ところが、皆さんが出した整備計画では、5年生林が5年後には408ヘクタールになる計画になってたんです。まともにそういう森林の整備してないじゃないかと。森林の整備してないで、これが林業のためになるんですかと私は聞いているんです。ところが林道は必要だと。もう少し立ち入って言いますと、どういう費用対効果になっているかというと、まともな造林してませんから現状の造林・育林状況が継続した場合、この試算でいきますと民有林の事業者が得る便益は2、900万円です。この方々の建設事業費の負担は1億3、600万円です。そうすると、差し引き1億700万円のマイナスなんです。民有林の事業者が費用負担の方が大きいと、こうなっているんです。これが皆さん本当に総体としてのマイナスだけじゃない。民有林の事業者自身も負担の方が大きい。だれが一番利益を得るかというと、道路ができた場合にそこを通行する利用者です。それは2億6、300万円と試算をされています。広域的な効果ということもあるけれども、せいぜい2億6、300万円です。そこに100億円以上のお金が投入されるんです。そういう点で、林業にとってもこれはプラスにならない。いいですか。一般道路としての活用があるんだといったら、100億円かける意味があるのか。市町村道を整備するんだったら、市町村道整備の優先度があるはずなんです。あそこになぜ道路を通さないかということにはならないんです。私は、こういう問題が今度の費用対効果分析では示されていると思うんです。これを真剣に県は受けとめて、むだな公共事業をこれからも続けるのか、それともここで本当に見直すのか。これは考えるべきじゃないでしょうか。
 もう一つあわせて、聞きます。
 私は、本会議で自然環境の問題を取り上げてお聞きしました。そのときの答弁はこういうことでした。今、緑資源公団はルート見直し・トンネル化の検討をしていると。見直しのときには必要な環境調査、猛禽類の調査がされるべきと考えていると、こういう趣旨でした。私は、本当にこれは廃止も含めて、この林道というのは今見直すべきだと思います。実際に緑資源公団がルート見直し・トンネル化と言ってます。だったら、この結論が出るまで工事は凍結すべきではないでしょうか。これは一昨年です、このルートの見直し・トンネル化を言い出したのは。この1年半の間、どういう検討がされたのか、そのことも示していただきたい。

〇佐藤林業水産部長 今回の岩大の井上先生の費用対効果分析に関連いたしまして、この大規模林道の見直しあるいは再検討というお話でございます。
 費用対効果のことにつきましては、先ほどお答え申し上げたとおりでございますが、いずれこの横沢-荒川区間につきましては、国におきましては平成13年度の再評価の該当区間ということになるわけでございます。国におきましては、林野庁でございますが、平成10年度から大規模林道の再評価制度を進めておりまして、再評価は原則といたしまして新規着工の翌年度から5の倍数年目に当たる区間を対象にして行われておるわけでございます。この横沢-荒川区間につきましては、昭和51年度に事業が実施されておるということで、13年度がちょうど25年目に当たるということで、いずれ再評価の該当区間になるということになるわけでございます。したがいまして、この再評価の際に総合的な見地から検討がされるものと考えておりますけれども、いずれ県といたしましては、この13年度の国の再評価に向けまして、その大規模林道が地域に果たす役割を総合的な見地から検討していただくよう、緑資源公団とも密接な連携をとりながら再評価に必要な資料の収集等といったものに取り組んでいきたいと考えております。

〇斉藤信委員 わかりました。平成13年に再評価にかかると。だとするなら、ここまで工事ストップすべきです。そして、今回の費用便益分析も皆さん自身が検討して、そうしないと私が言ったように民有林事業者も負担増になるような事業をやったら地元のためになりませんよ、これは。そして、私が本会議で言ったように、3つがいのクマタカの生息地だと。こういう点でも本当に今、増田知事が公共事業の効率化、重点化というなら、そういう立場できちっと対応すべきだと。そのことは求めておきますから。次に進みます。
 次に、漁業振興策についてお聞きをします。
 一つは、水産基本法制定の動きと内容についてであります。私は、水産業を国民食料の安定供給を担う国の基幹産業として位置づけること、二つ目に食料自給率の抜本的向上が明記されること、三つ目に資源管理型漁業の確立と漁業者に対する保障、減収への補償、こういう中身が盛り込まれるべきと思いますけれども、水産基本政策検討会報告、水産基本政策大綱の内容はどうなっているか。そして、県はこの水産基本法の制定に当たって、どういう意見・要望を上げているのか示していただきたい。
 次に、当面する漁民の具体的要求、課題についてお聞きをいたします。
 私ども日本共産党は、2月19日に山田町で党主催の三陸沿岸漁業の振興を考えるシンポジウムを開催いたしました。さまざまな方々から御支援をいただいて、漁協の組合長、養殖漁家、栽培漁業協会の専務さんなど、そうそうたるメンバーで大変成果の多いシンポジウムでありましたが、その際出された要望などについて私は県の対応をお聞きしたい。
 殻つきカキなどの殺菌のための沖合の海水を活用する給水事業、この実現の可能性、この点について示していただきたい。
 二つ目は、カキ、ホタテの使用済み貝殻の処理と活用策の研究と現状、全国的な実績というものがあれば示していただきたい。
 三つ目に、マイクロバブル装置の活用──広島県ではやられて効果が上がっていると聞いておりますけれども──このマイクロバブル装置の活用の見通しはどうか。
 4番目に、アワビ稚貝への助成が削減されると聞いておりましたけれども、これはどのようになるのか。削減の理由は何か。
 以上を含めて、私は、県水産技術センターの機能強化が求められていると思います。漁民の切実な要望にこたえるような水産研究、技術開発、こういう点で大いに水産技術センターが機能を発揮すべきだと思いますけれども、この県水産技術センターの来年度の、また今後の長期の計画も立てたようですから、そういう対応を示していただきたい。

〇武市漁政課長 まず、水産基本法制定の関係でございますけれども、国におきましては水産基本政策検討会報告を踏まえまして、平成11年12月に水産基本政策大綱を策定したところでございますが、これによりますと、水産業は重要なたんぱく食料である水産物を国民に提供するという重要な産業であると位置づけており、食料自給率につきましては水産物の自給率の低下を指摘するとともに、食料・農業・農村基本法に基づく食料自給率目標を策定することとなっていると認識しているところでございます。
 また、資源管理型漁業の確立等につきましては、我が国周辺水域におきまして資源状態が著しく悪化し、緊急に資源の回復を図る必要がある魚種について、資源回復のための計画を策定し、資源の適正な管理と持続的利用を図ることとしております。県がこの基本法制定に向けまして意見・要望を上げているかということでございますが、この点に関しましては水産庁の方で各種そういった説明会がございますし、意見・要望を聴取してございますので、その中で大綱の内容を吟味しながら意見・要望を水産庁の方に出しているというところでございます。
 それから今後におきましても、また漁家その他水産業関係者を初めとする幅広い意見が十分反映されるように努力してまいりたいと考えております。

〇上村水産振興課長 5点ほど御質問あったと思いますので、順次お答え申し上げます。
 まず、殻つきカキなどの殺菌のための沖合の海水使用でありますけれども、このためだけに沖合から海水を引いて使用することは、施設の整備費あるいはメンテナンス等でコスト面から難しいと考えております。ただ、今後、漁港漁村活性化対策事業等を導入しまして、漁港・漁村地域において、種苗生産あるいは陸上養殖、蓄養、加工などの水産関連施設全体に使用する海水を沖合から引くことの中で考えていくのであれば可能だと考えております。
 2点目のカキ、ホタテの使用済みの貝殻の処理と活用策の研究と現状、全国の参考事例ですけれども、県におきましては、県漁連が平成10年度から漁業系廃棄物再資源化システム開発促進事業を行ってますけれども、これに支援してきているところであります。それで10年度は県漁連において漁業系廃棄物再資源化システム開発基本構想を策定しまして、本年度はこの構想に基づきまして、例えばカキ殻等につきましては、堆肥化やセメント原料として再資源化が可能かどうか、目下、実証試験・研究を行っているところであります。平成12年度は、さらにこの事業によりまして廃棄物の具体的な処理マニュアルを作成する予定となってまして、引き続き県は県漁連に対して支援を行い、処理体制等の構築について指導していく考えでございます。なお、全国の参考事例としましては、貝殻の再資源化を目的とした活用策としましては、水質の浄化材あるいは土壌改良材、あるいは土木資材──タイル等がありますけれども、利用量は少量であると聞いております。
 3点目の広島県で使われていると言われますマイクロバブル装置の活用ですけれども、この装置につきましては、10から20ミクロンの極小の気泡を発生させて、漁場に酸素を供給する装置でありますけれども、これが広島県のカキ養殖場において水質浄化の技術として試験されて、養殖カキの成長促進に効果があると聞いております。ただ、装置そのものは開発段階であり、製品化されていないと聞いてますから、カキの成長を促す技術の一つとして、情報知見等を集めてまいりたいと考えています。
 それから4点目のアワビの種苗経費の助成についてでありますけれども、これは引き続き12年度からも助成を継続することとしております。なお、削減という話がありましたけれども、確かに前年度よりわずかに減ってますけれども、これは国の全体的な予算のマイナスシーリングの関係で出てますけれども、11年度に比べて内示段階ではそれほど減っておりません。
 それから最後になりますけれども、水産技術センターの機能強化についてでありますが、これまでも水産技術センターの試験研究課題の決定に当たりましては、漁協とか市町村を通じて水産業関係者の意見・要望等幅広く取り入れてきたところであります。先般、平成11年12月に策定しました岩手県水産業試験研究中長期的計画につきましても、同様の視点で関係者の意見を伺ったところであります。今後ともこういった姿勢で進めてまいりたいと思っております。さらに、機能強化につきましても、研究者の資質向上等を図りながら進めてまいりたいと考えております。

〇斉藤信委員 これで終わりますけれども、水産基本計画の策定というのは、今後長期に考えた場合に水産業の振興にやっぱり重要な影響を与えるんです。私がなぜ聞いたかというと、実はその政策検討会報告書というのがあるんです。この水産大綱を作成する上で、その報告書にはこうあったんです。我が国水産業は、食料の安定供給という国民生活にとって不可欠の役割を果たす基幹的産業である。いわば政策検討会報告は基幹的産業という位置づけをしていたんだけれども、大綱になったらこの記述が抜けているんです。それで私は、冒頭にきちんと国の基幹的産業の位置づけをやっぱり明記すべきだと、このことを求めたので、県としてもこういう点の位置づけを低下させないで、きちんとした位置づけを明記させるようにしていただきたい。これは要望にしておきますから。
 最後に、私は、林業・漁業の予算に占める公共事業の割合をお聞きしたい。
 水産業も林業も本当に今、生産を支える対策こそ、私は予算の中心になるべきだと思います。これまで私が聞いた範囲では、7割方土木公共事業です。やっぱりこの中身をかえて、本当に水産業にしても林業にしても生産に役立つ価格補償やそういう予算を中心にすべきだと思いますので、その予算の実態を聞いて終わります。

〇小田島林政課長 林業関係は12年度当初予算では279億1、800万円のうち、公共事業予算が196億1、000万円で70.2%であります。水産関係は合計で194億4、700万円でございますが、公共事業予算は126億9、100万円、65.3%ということでございます。

〇菊池雄光委員 私、当該委員でございますから、一番最後に。
 例の大迫町の補助金の不正事務執行についてお伺いしますけれども、詳しくは24日の常任委員会で質問いたします。きょう質問いたしますのは、この間、10日の本会議でこれにかかわるいわゆる補助金返還の予算が可決をされておると。ただ、農林水産常任委員会には歳出の農林水産業費は出ておりますけれども、この返還は歳入の諸収入で取り扱われていると。そこで今、財政課長もおられますし監査委員もおられますのでお伺いしておきますが、岩手県補助金交付規則の解釈について、この際お聞きをしておきたいと思います。
 今回の返還の決定は、この補助金交付規則の第16条の知事の命令による返還なのかどうかということが第1点です。この場合、この16条を知事が行う場合には、前条の15条の各項目が十分確認される必要があると。その各項の中に第11条及び第14条というのが含まれているんですけれども、ちょっと難しいんですが簡単に言いますと、11条というのは補助の条件に従っていない場合には知事は従うように指示をすると。それから14条は補助金交付の決定に適合しない場合には、知事は適合するように指示をするということなんです。それで、本当は私も調べてみたんですけれども、今まで岩手県には県単補助金の返還をさせた例は1回もなかったんです。なぜこういうことになったのか。要するに、今の16条の諸規定が適正に行われるのであれば、補助金が適正に執行されているのか。補助金を決める前にいろんな事前協議が行われ、補助金が決定されたと。それから、いろんな県が市町村と協議をしながらその仕事が行われていくということですから、そういうことはないんですよね。そういうことは絶対に起こり得ることがないと思うんですけれども。
 それで最後に、補助金の支出に際しては所属長は契約の履行を確認するために検査員を任命し、検査員の完了調査をもとに支出命令を発し、これを受けて出納長あるいは出納員は支出をするようになっていると。今言ったように、きちんと調べた上で補助金というのは出されている。そういう手続がとられないで出されておったということは、一体何の理由があったのかということは、はっきり言って県のかかわりがずさんであったということじゃないか。私もかつて村とか市役所の職員をやってきたわけでございますけれども、いずれそういう弱いところにしわ寄せがいくということでは困るので、岩手県補助金交付規則が正しく行われておったかどうかということについて、財政課なり監査委員の方でもし調査をしているのであればお知らせを願いたいと思います。

〇佐藤林業水産部長 大迫町に対する県単の補助事業に係る御質問でございましたが、この補助事業につきましては補助金交付契約を町と締結いたしまして、今回の事例につきましては町側に、例えば平成9年度に事業が完了する予定のものが9年度内に完成しなかったと。それが明らかであったにもかかわらず、振興局の方に何ら報告・説明がなかったこととか、あるいはまた実体のない架空の申請により不当に補助金を取得したとか、さらには実質的に1年余の工事の未着手といった期間があった。さらには、事実を隠ぺいするための手段もとられたという全体を総合的に見て、今回のこの補助事業につきましては補助金の契約を解除して、補助金730万円──これにプラスして利息等入るわけですけれども、その返還を求めたわけでございますが、その前提といたしまして、町の方からこの県単の補助事業に対する補助金の返還をしたいといった意思表示がその前段としてあったわけでございます。そういうことも踏まえながら、県といたしましては補助金交付契約──これは第何に当たるのか、ちょっと今手元に契約書ございませんので申し上げられませんが、いずれ不正に補助金の交付を受けたということで、交付契約を解除して返還を求めたというのが経過でございます。

〇菊池雄光委員 補助金を不正に受けたということだけを県の方は主張してますけれども、要するに補助金の支出を決定した後に、補助金を出すというヒアリングがあって補助金を出すということを決定した後に、事業が補助の条件どおり行われているかどうかという確認行為を県が行ってないと、行ってこなかったと、これがまず第1点にあるわけです。それから確認するために、さっきも言ったように、検査員を任命して検査員の完了調査書に基づいて支出命令を出して補助金を出すという行為がとられてなかったからわからなかったでしょう、県の方では。県の言い分で、私はそうではないと思うんです、その裏は。そうではないと思うんですけれども、あなた方の説明ですと、要するに我々は知らなかった間にそういうことが行われたということは、この補助金交付規則とか出納局の支出の手続というものから見ますと、絶対にそんなことが行われるわけがないんです。ですから、今まで1回だって県の県単補助金の返還なんていうことは行われたことはなかったんです。それが今度行われた。大した問題じゃないと、大した金額じゃない。三役がかぶるんだからと、こういうことでは済まされないように私は問題があると思うんです。例えば繰越明許の手続をとればよかったのに繰越明許の手続をとらないで、早い話があと2カ月か3カ月でできるからと。県も大迫町も認め合ってやってきた、そこに新しい事業が出てきて、そのために遅延したというのが私は原因じゃないかと思うんです。そういったようなことだろうと思うんですが、私はそれを農林水産常任委員会で聞きますがどうですか、監査委員とか。

〇池田財政課長 大迫町の関係の具体的な事例につきましては、ただいま林業水産部長がお答えしたとおりでございます。あれは契約ということで契約の解除条項を使って解除したという手続になっています。
 そこで委員お話ありました補助金交付規則、あるいはその予算規則は当方で所管をしているわけでございますが、この問題が出た当時に、やはり御指摘がありましたように繰越明許手続の問題とか、それから完了確認の問題とか、いろいろ規則を適正に当てはめていなかったと。そのとおりに事務が執行されていなかったという点も確かに見受けられましたので、その点は各部を呼びまして、私どもから予算規則なりあるいは補助金交付規則金にのっとった適正な事務執行を行うようにという示達をしております。それから出納の方も、これも出納長の方から通知を発しまして、やはり同じように出納関係も諸規程に基づく手続をとるようにと、これも厳正に示達をしているところでございます。

〇船越賢太郎委員 私は当該委員でございますけれども、何分委員長でございますので持論を展開する時間がないということでございますけれども、開かれた県政でございますのでこの場で少ししゃべらせていただきます。
 予算に関する説明書の191ページの漁業協同組合組織強化対策について。これは二つばかりだけれども、佐々木俊夫委員と重複しますけれども、漁政課の上の方でちょっとごまかしたから、少し深く区切って申し上げます。
 去る15日、花巻で県下漁協専務参事会議が開かれまして、その提案された問題は今漁業関係の最大の事案である漁協統合問題が審議されたわけでございますが、これは皆さん御承知のとおり、鈴木前漁連会長が1県1漁協という方針を打ち立てておったということでございますけれども、ところが実務者である専務、参事たちの意見というのは一挙にはとてもそういう1県1漁協は無理なんだと。実務者ですよ、組合長たちじゃないんだ、調子のいい連中じゃないんだ。いわゆる市町村単位の自立漁協で進む方がベターだということが100%に近い結論であったと聞いております。それに対して、先ほど佐々木委員に対していろいろ言ってたけれども、県当局はこういう現実をどのように考えるかというのが第1点。
 それから第2点目。漁協信用事業統合促進事業貸付金、先ほどの佐々木委員も言った23億6、000万円余の支援をいただいておりますが、本当に県議会の議員の方々にもこの場を借りて御礼を申し上げるわけでございます。水産物の輸入の激増等によって県下の漁協は非常に回転が焼きつけを起こしている。行き場を失って本当に選択肢を失っていると、38単協ですね。そこでどうしようもないところに、金融再編によるバブルの崩壊等といったことで早期是正措置というのが発動になった、水産庁の方から。だから、これは緊急通達でやむを得ずこのままバタバタとひっくり返ってならないということから、こういう無利子の6億円最初出しているうちに20億円、それで今回23億6、000万円といったような干天に慈雨のごとき救援措置がなされたので、一応息をついたということでございます。ところが、これ、くれる金でないんです、もちろん。救済する一時の一時金であるわけです。だから、これの体制を立て直していかなければならないにもかかわらず安堵をして、これから何をやったらいいかといったようなのが、先ほど県漁連ではということを言っているけれども、私にはそういうのがどうも緊急性が感じられないんですが、この2点について指導を行うべき皆さんからの御意見をお伺いいたします。まず最初に、この2点について。

〇佐藤林業水産部長 まず、漁協の合併の問題についてでございますが、ただいま委員の方からお話ございましたように、昨年の10月の県下の組合長会議におきまして、今後の進め方として1県1漁協を将来の目指すべき方向として掲げながら、段階的に地区の合併に取り組んでいくといった趣旨の説明がなされまして、県漁連ではそういう基本的な考え方のもとに、現在、合併基本計画の策定を進めておると聞いておるわけでございます。いずれその合併につきましては、系統団体が自主的にこれについては取り組んでいくということが基本になるわけでございますので、今後とも漁協系統組織におきまして十分に議論されまして、理解とその合意のもとに合併の基本計画が策定されるべきものではないかと考えております。
 また、県といたしましても、この計画が早期に樹立され、この計画に基づいて漁協の合併が進められるよう、これまでと同様にその支援、指導してまいりたいと考えておるところでございます。
 また、信用事業の統合の問題についてでございますが、これにつきましても現在のところ37の漁協の中で28漁協が統合を完了しているということで、未統合の漁協が8漁協ということになっております。来年度4月早々にはまた1漁協が統合ということで、最終的に来年度になりますと7漁協が残るということでございます。いずれこの事業統合につきましても、信用事業の安定的な経営なり信頼性を確保していくということからして、やはりぜひ早期に進めていかなければならないということでございますので、現在実施しております信用事業統合促進資金の貸付金といったものを運用しながら、信用事業の早期の統合に向けて県としても努力していきたいと思います。
 また、先ほどもございましたけれども融資を受けた漁協につきましては、統合後の事業年度の決算終了後3カ月以内には経営改善の計画書に対する実績報告書を求めるなど、いずれにいたしましても統合した漁協につきましても、そういった指導等を加えながら、この信用事業の統合に向けましてこれからも引き続き努力してまいりたいと考えているところでございます。

〇船越賢太郎委員 今のお答えは佐々木委員へのお答えとみんな同じコピーみたいな答弁でございますが、なぜ七つ、八つの自立してきた組合たちが統合にならないかということでございまして、これは水産会館の中でも統合したものが非常に積極的でさかしくて、統合しない連中は非協力だといったような空気に大方とらえられるような傾向があるんですが、皆さんこれは逆なんでございまして、漁業権の開放とかあるいは合併といったような努力を怠って今まできたからこういう実態になった。それで選択肢がないと、どうしようもないところに助成措置がきて、これで漁協がなくなるということで基金ができて、そうして選択肢がなくてここに一つになったんです。ところが、今まで七つ、八つ残っている連中は、それぞれ自分でもって自立するための要件、勇気を奮って漁業権を開放したり、あるいは宮古あたりだったら宮古湾が30年も前に5漁協が合併を果たしているんです、30年も前にやっているんです。そして現在があるわけです。殊に、漁協というのは信用事業がくっついて初めて漁協でしょう。信用事業をとった漁協がどうして成り立つかということで、この七つ、八つの連中は二の足を踏んでいる。例えば、宮古の組合はこうです。市場の長期資金を借りた場合に、信連あたりは中金がそうだからということで利子が5.何%だと。今ようやく私にごねられて、この間まで信連の会長だったんですが、それで私はうまくないからやめたんだけれども、今ようやく安くして4.65%だ。高利貸でもなければ、こういう高い利子ではとても大変だということから、信用事業をしっかりしている宮古単協の方が湾連の方に2.5%で貸して、中金よりもそれから信連より安い資金で経営させているんだ。そういったようなことで単協と信用事業等は不離一体のものなんだ。それで何もかにもできなくなった連中、さあこれを持っていって貸してくれということが、大なり小なり七つの組合は自分たちで自立してきた連中だから今後とも大変だ。そこのところをしっかり把握しなければ指導ができませんよと私は言いたい。そういうことでございますから、はいそうしますとすぐは答えができないでしょうが。あと一つ、ついでにこの県議会の皆さんから本当に理解ある23億円の資金をいただいているんですが、困った単協はどうしようもないからということで23億6、000万円ぐらい出すわけだが、そのほかに産地魚市場というのは、先ほど皆さんから漁業の基本法云々ということで国民のたんぱく質を確保する云々とあるでしょう。これを確保するためには、やはりそれぞれ努力して各市場は頑張っているわけだ。漁師たちの魚は高く買ってあげなければならない。それから、加工屋たちには原料を供給しなければならないと、そういう地域の活性化のために苦労しておるということで、これらも非常に資金難等で苦しんでいるから、これにももう一歩手を伸ばして県当局が利子補給などで応援する気はないのかどうかといったようなことを聞きたいと思います。

〇武市漁政課長 確かに、今、県内の産地魚市場の取扱高は漁獲量の減少や魚価安等によりまして、平成11年は292億円と10年前の70%まで低下してございます。このようなことから委員のおっしゃるとおり、産地魚市場においては多額の欠損金を抱えるところも見受けられるわけでございます。しかし、基本的にはまずもってみずからが事業の効率化に取り組むとともに、系統団体も含めまして十分な論議を重ねながら経営改善策を講じていくべきものと考えるわけでございます。
 県といたしましては、県として取り得る方策等にどのような方策があるか、さまざまな角度から研究してまいりたいと考えているところでございます。

〇伊藤勢至副委員長 ほかに質疑ありませんか。
 質疑がないようでありますので、これで林業水産部関係の質疑を終わります。
 次に、農政部長から農政部関係の説明を求めます。

〇佐藤農政部長 農政部関係の平成12年度当初予算の内容等につきまして御説明申し上げます。
 予算の説明に入ります前に、本年度の農業概要と平成12年度における農業施策の推進に当たっての基本的な考え方について御説明申し上げます。
 まず、平成11年度の作柄につきましては、7月の大雨や7月下旬から8月中旬にかけての高温乾燥、さらには10月の県北を中心とした大雨によって農業被害が発生したものの、米については、県全体の作況指数が105のやや良となり、特にも東南部あるいは下閉伊、そして北部地帯にあっては、作況指数が109から121の良となったところであります。品質の面では、夏場の異常高温の影響やカメムシによる被害などによりまして一等米比率が全国的に著しく落ち込む中にあって、本県は77.5%、これは2月末時点でありますが、平成6年以降では最も低い値となったものの、全国6位となっており、また日本穀物検定協会の食味ランキングにおいて、県南のひとめぼれが6年連続で最高ランクの特Aに認められております。また、園芸や畜産においても、本県の立地特性を生かした生産が進められており、産地力の向上が図られていると認識しております。
 御案内のとおり、国におきましては旧農業基本法に基づく農政を38年ぶりに抜本的に見直し、新たな理念のもとに政策体系を再構築するため、昨年7月、食料・農業・農村基本法を制定したところであり、この理念の具体化を図るための基本計画、目標自給率を45%とすることなどを盛り込んだ基本計画を策定し、国会へ報告されることとなっております。
 農政部といたしましては、21世紀初頭の本県農業・農村の進むべき方向と、その実現のための基本方策を明らかにした、岩手県農業・農村基本計画を昨年9月に策定したところであります。平成12年度は、この計画の実質初年度であり、主業型農家や新規就農者へ重点的な支援を行うなど、意欲ある農業者の確保、育成を図りながら、効率の高い地域ぐるみ農業の形成を促進してまいります。
 また、水田を有効に活用した麦、大豆などの本格的生産の定着、拡大や園芸作物の導入、拡大による水田農業の活性化などにより、新たな農業への再編や県産農産物の総合的な販売戦略の展開、中山間地域の活性化などに重点的に取り組んでまいりたいと考えております。
 さらに、家畜排せつ物の適正な管理と堆肥化を促進し、耕種と畜産との連携による有効活用を積極的に進め、環境に配慮した持続的な農業の展開を図ってまいりたいと考えております。
 それでは、農政部関係の各議案について御説明申し上げます。
 まず、議案第1号平成12年度岩手県一般会計予算についてでありますが、議案その1の7ページをお開き願います。農政部の関係の予算は、6款農林水産業費のうち1項農業費、2項畜産業費、3項農地費及び9ページの11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費の一部を合わせた総額943億4、715万円余であります。これは、前年度当初予算と比較し4億9、651万円余、0.5%の増、6月現計予算と比較すると44億7、001万円余、4.5%の減となっており、県の一般会計当初予算に占める割合は10.5%となっております。
 その内容については、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げます。なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
 予算に関する説明書の154ページをお開き願います。6款1項1目農業総務費のうち管理運営費は、人件費など農政部の管理運営に要する経費であり、国土調査事業費は、地籍調査等に要する経費について助成しようとするものであります。次に、2目農業金融対策費の主なものでありますが、農業近代化資金融通対策費は、農業者等の資本装備の高度化による農業経営の近代化等を図るための資金を貸し付けた農協などに利子補給をしようとするものであります。畜産環境保全特別支援資金利子補給補助は、家畜排せつ物の適正管理を行うために必要な施設、機械等の導入に要する資金に利子補給を行う市町村に対し助成しようとするものであります。次に、156ページに参りまして、3目農業構造改善対策費の主なものでありますが、地域農業基盤確立農業構造改善対策事業費は、経営感覚にすぐれた、効率的かつ安定的な経営体を早期に育成するため、土地基盤、農業近代化施設等の整備に対し助成しようとするものであります。北東北グリーン・ツーリズム推進協議会、仮称でありますが、この負担金は、北東北3県が一体となって当地域のグリーン・ツーリズムを推進するため、組織体制を整備しようとするものであります。次に、4目農業改良普及費の主なものでありますが、女性農業者経営能力確立支援事業費は、女性農業者の経営管理及び情報収集能力の向上を図るため、各農業改良普及センターに研修用の機器を整備しようとするものであります。一学校一農園運動推進事業費は、子供たちの豊かな人間性をはぐくむとともに、農業への理解を深めるため、小・中学校における農業体験学習を推進しようとするものであります。次に、157ページから158ページにかけての5目農業振興費の主なものでありますが、新いわて農業再編総合対策事業費は、生産から流通に至る各種の条件整備に対し助成しようとするものでありますが、12年度は特に、水田を有効に活用した麦、大豆等の本格的生産の定着拡大を図るため、小規模簡易な排水改良等に要する経費について拡充しようとするものであります。中山間地域等直接支払事業費は、特定農山村法や山村振興法等の地域振興立法の指定地域等において、急傾斜地等の生産条件の不利な一定の基準を満たす農地を対象として、集落協定に基づいて継続的に農業生産活動を行う農業者等に、市町村が交付金を交付する場合に助成しようとするものであります。次に、6目農作物対策費の主なものでありますが、いわて純情米生産体制強化総合推進対策事業費は、ライスセンター等共同利用施設の整備等を促進しようとするものであります。水田農業確立促進事業費補助は、麦、大豆等土地利用型作物の団地化規模要件のステップアップに対応し、国の基準に満たない規模の新規団地や規模拡大団地に対して助成しようとするものであります。次に、159ページから160ページにかけての7目畑作振興費の主なものでありますが、いわて花と野菜の郷づくり推進事業費補助は、野菜、花卉の主業型農家を育成するため、栽培施設等の整備に要する経費に対し助成しようとするものであります。次に、8目北上奥羽山系開発費の主なものでありますが、広域農業開発事業償還金は、農用地整備公団が事業主体となって実施した、北上山系8区域、奥羽山系2区域の償還金であります。次に、9目植物防疫費は、病害虫防除指導、発生予察及び農薬安全使用指導等の防疫事業に要する経費であります。次に、162ページに参りまして、10目農業協同組合指導費の主なものでありますが、農業協同組合経営改善特別対策資金貸付金は、債務超過農協に対する支援事業を実施する岩手県農業協同組合中央会に対し、支援原資の積み立てに要する資金を貸し付けしようとするものであります。次に、11目農業共済団体指導費の主なものでありますが、農業共済団体等事務費補助は、岩手県農業共済組合連合会及び農業共済組合の運営費に対し助成しようとするものであります。次に、12目食糧管理費の主なものでありますが、純情米学校給食安定供給事業費補助は、学校給食に本県産の自主流通米を供給し、主食である米の大切さ等を啓発しようとするものであります。次に、13目農業研究センター費は、同センターの管理運営及び研究活動に要する経費のほか、南部園芸研究室の施設整備に要する経費であります。次に、164ページに参りまして、14目農業大学校費でありますが、農業大学校の管理運営及び教育環境の充実を図るための施設整備に要する経費であります。次に、15目蚕業費でありますが、養蚕ブランド産地活性化対策事業費は、ブランド産地の育成と養蚕資源を総合的に活用した複合経営を支援しようとするものであります。
 次に、166ページをお開き願います。2項1目畜産総務費の主なものでありますが、畜産団体育成対策費のうち、岩手県肉牛生産公社経営改善資金貸付金は、同公社の運営の円滑化を図るため、無利子資金を貸し付けしようとするものであります。次に、2目畜産振興費の主なものでありますが、畜産振興総合対策事業費のうち自給飼料増産総合対策事業費補助は、飼料自給率の向上を図るため、市町村等が土地利用の高度化や飼料増産について営農実証等を行う場合に必要な経費について助成しようとするものであります。肉用牛生産振興対策事業費補助は、生産コストの低減と高品質牛の生産による経営の安定、高度化を図りながら、子牛や肥育牛の生産拡大に要する経費に対し助成しようとするものであります。次に、168ページに参りまして、3目草地対策費の主なものでありますが、環境保全型畜産エネルギー利用推進事業費は、環境に優しい資源循環型農業の推進のため、家畜排せつ物のメタンガス発酵処理施設及びメタンガスを利用した発電等の関連施設の整備に要する経費に対し助成しようとするものであります。次に、4目家畜保健衛生費の主なものでありますが、家畜保健衛生所施設整備費は、盛岡家畜保健衛生所の本館等施設建築工事等に要する経費であります。次に、170ページに参りまして、5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営、試験研究費等に要する経費であります。次に、6目牧野費は、種山牧野事務所の管理運営に要する経費であります。
 次に、172ページをお開き願います。3項1目農地総務費は、農地関係職員の人件費など管理運営に要する経費であります。次に、2目土地改良費の主なものでありますが、ほ場整備事業費は、農地等の区画形質の改善を中心に農道、用排水路等を総合的に整備するとともに、農地の利用集積による農作業の効率化等を図るため、55地区の整備に要する経費であります。次に、175ページに参りまして、3目農地防災事業費の主なものでありますが、ため池等整備事業費は、老朽化した施設の改修等10地区、用排水施設整備12地区、土砂崩壊防止8地区の整備に要する経費であります。次に、4目開墾建設事業費の主なものでありますが、農地開発事業費は、農業経営の規模拡大等により自立経営を図るため、農地造成、農道、用排水施設等の整備に要する経費であります。次に、176ページに参りまして、5目農地調整費の主なものでありますが、農地保有合理化促進費は、農業経営の規模拡大、農地の集団化など農地保有の合理化を促進するため、岩手県農地管理開発公社が行う農地の売買、貸借等に要する経費に助成しようとするものであります。
 次に、大きく飛んで256ページをお開き願います。11款災害復旧費1項農林施設災害復旧費1目農地及び農業用施設災害復旧費は、過年災及び現年災の災害復旧工事に要する経費を見込んだものであります。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 議案その1に戻っていただきまして、11ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、12ページの10から34までの25件が農政部の所管にかかわるものであります。まず、10は、市中金融機関が社団法人岩手県農地管理開発公社に融通した農地の借り入れ資金等について、元利金の償還がない場合の不足額の損失補償であります。11から19土地改良負担金償還平準化事業による資金の融通に伴う利子補給補助までは、各種資金の融通に伴う利子補給等であります。20から34農地開発事業までは、平成12年度から翌年度以降にわたって施行される工事等であり、いずれもそれぞれ期間及び限度を定めて債務を負担しようとするものであります。
 次に、22ページをお開き願います。議案第3号平成12年度岩手県農業改良資金特別会計予算についてでありますが、歳入歳出それぞれ9億5、914万円余であります。
 23ページに参りまして、歳入の主なものでありますが、1款繰入金は一般会計からの繰入金であり、3款諸収入は、貸付金に係る償還金が主なものであります。
 次に、24ページをお開き願います。歳出でありますが、1款農業改良資金貸付費は、農業経営の安定や生産力の増強を図るため、一般資金、畜産振興資金、経営規模拡大資金、特定地域新部門導入資金について、無利子で貸し付けしようとするものであります。
 次に、62ページをお開き願います。議案第17号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、これは、県営等で実施するかんがい排水事業、圃場整備事業など、農業関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものであります。
 次に、議案その2の18ページをお開き願います。議案第32号家畜保健衛生所使用料等条例の一部を改正する条例についてであります。これは、家畜保健衛生所の手数料の額を増額しようとするものであります。
 次に、280ページをお開き願います。議案第65号地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例についてであります。当部の所管するものは、287ページの第11条改良普及員資格試験条例の一部改正、及び294ページ、附則第2条第5号の岩手県生乳取引調停審議会設置条例であります。これは、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行に伴い、関係条例について整備をしようとするものであります。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

〇伊藤勢至副委員長 ただいまの説明に対し質疑ありませんか。

〇藤原良信委員 それでは、質問をさせていただきます。6款1項5目の農業振興費、これは158ページでございます。その中の農業関連産業振興対策事業費、いわて純情ブランド確立対策事業費でございます。それから、159ページの6目の農作物対策費の中の有機農産物等認証事業費に関係をいたしまして、お伺いをさせていただきます。
 いわゆる県産の農産物の生産流通対策についてでございますけれども、農政部長はこのたびの一般質問、川口民一議員の3月6日の質問におきまして、県内で生産された農産物は県内で消費する、いわゆる地産地消のための生産技術体制の確立をする必要があると、そういう答弁をされてございます。私はこのことは大変大事なことだと思いますが、さらに消費者の心をつかむための流通対策が重要であろうと思うものでございます。ところで、農政部長、ドリーミングファーマーズクラブというのを御存じだと思います。正式には岩手県高品質農畜水産物生産流通協議会、略称DFCと申しますけれども、県内の農業者と流通販売企業とのグループが本物の農産物づくりとその販売に取り組んでおられます。これは当初、県内企業25社、それから生産者、農業、畜産合わせまして150名ぐらいの生産者が一緒になって協議会を発足されておりますが、これは相当今大きくなってございます。DFCのブランドとして差別化をされまして消費者から高い評価を得てございます。このDFCにしろ、近年、消費者の高い関心を呼んでおります有機農産物でございますけれども、いわゆる消費者の期待にこたえようとする農家の努力のあらわれだろうと思いまして、大変なものがあると思います。そこで、まず有機栽培や減農薬栽培等にチャレンジする農家に対する資金援助や技術指導、技術の導入支援はどうなっておられるかお伺いをいたします。
 特に有機栽培等につきましては、土壌診断に基づく適切な土壌づくり──土づくりといいますか──が重要であると思いますけれども、そのための土壌診断機械等の整備に対する支援はあるのかどうか、その点についてお伺いをしたいと思います。

〇佐藤農政部長 減農薬栽培等の技術を導入するために必要な機械あるいは資材等の購入経費に対しましては、農業改良資金、この中の環境保全型農業導入資金という資金がございます。この融資制度がございます。また、平成11年7月に制定されました持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律というのがあります。この法律による償還期間の延長や農業機械購入の際の課税特例等の優遇措置も講じられることとなっております。
 それから、土壌診断体制の整備についても、この法律に基づいて、技術実習や土壌分析機器の整備等を行う国庫補助事業、自然循環機能増進総合対策事業という事業でありますが、この支援制度が創設されたところであります。なお、より広域的な見地から考えまして、東北農政局に対して、ブロック単位の土壌分析センターを設置されるように提言してまいりたいと思っております。

〇藤原良信委員 重ねてお伺いいたしますけれども、農家が丹念に精を込めて生産しました農産物を、鮮度を保ち畑で収穫したときのままの新鮮な農産物を消費者に届けるためには、生産から集出荷、小売店に至るまでのいわゆるコールドチェーンでつながる必要があると思います。そこで、お伺いいたしますけれども、予冷設備や集出荷施設の整備に対する支援は今どうなっているんでありましょうか。
 まとめてお伺いいたしますけれども、最後になりますけれども、いわゆる有機農産物等の認証制度の普及啓発についてでございます。私は平成10年2月の予算特別委員会でもこれを取り上げてございますけれども、DFCでは独自の基準によってDFCブランドを認証しておりますが、県内でも昨年2月に岩手県有機農産物等認証制度を創設いたしました。農産物の信頼性の向上と流通の円滑化に努めておりますけれども、今度は国の有機食品検査認証制度が創設をされるとともに、原産地表示や遺伝子組換え食品表示等も義務づけられると伺っております。認証制度や各種の食品表示によって消費者への情報提供の充実が図られることは歓迎すべきことであると思いますが、どのような制度であれ生産者や消費者、さらには流通関係者が制度のねらいや仕組みを正しく認識をして、制度の信頼性を高めていくことが重要であると思うものであります。そこで、お伺いをいたしますけれども、岩手県はこれら制度の普及啓発活動にどういうふうに取り組まれていこうとしておられるのか、お伺いをしたいと思います。

〇千田農産園芸課長 農産物の予冷施設や集出荷施設の整備につきましては、国の農業生産総合対策事業でメニュー化されております。また、農家段階のミニ予冷庫につきましては、県単独の新いわて農業再編総合対策事業により助成措置を講じているところでございます。ちなみに、青果物の真空予冷施設につきましては、平成11年度現在で県内に42カ所整備されております。全国でも長野に次いで2番目の状況となっております。また、ミニ予冷庫につきましては1、054基が導入されているところでございます。委員御指摘のように、消費者に対する新鮮な農産物の供給、これは産地としての評価を高める上で重要な課題であります。今後ともこれらの施設の整備につきましては、十分に支援してまいりたいと考えております。

〇菅原農産物流通課長 有機農産物の認証制度の普及啓発活動への取り組みということでございますけれども、近年、消費者の食料に対します安全、安心志向が高まってきておりまして、生産地や生産方法など、食品の選択に資するための表示の充実が求められてきております。こうした消費者の視点に立ちました食品表示の適正化を図るため、県では有機農産物等について独自の認証制度を創設したところでございまして、国におきましても、昨年7月、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律、いわゆるJAS法と言われておりますけれども、これを改正いたしまして、統一的な基準による有機食品の検査、認証や原産地表示等を義務づけることとしたところでございます。今後におきましては、無農薬、無化学肥料栽培によります有機農産物については国の制度によりまして、それから減農薬栽培農産物等につきましては県の制度に基づきまして認証が行われることとなるわけでございますけれども、県といたしましては、生産者や流通関係者、あるいは認証業務を行う機関、団体等を対象とした生産管理技術や検査、認証、表示などについての研修会の開催、あるいは指導アドバイザーの派遣などを行いますほか、消費者の方々に対しましてもポスターあるいはリーフレットの配布や制度説明会の開催などによりまして、普及啓発に努めてまいりたいと考えております。

〇藤原良信委員 私は10年2月の予算特別委員会でこれを取り上げたところ、中村農政部長──そのときの農政部長──、大変評価をいたしまして、大いにこれは進めていきたいという答弁をされております。いずれ岩手県の生産者あるいは流通一体となって消費者の健康に寄与するというブランド化をして高めていこうという姿勢は高くこれは評価してよろしいと思います。こういうことを常に関心を持って今後とも取り組んでいただきますことを切に希望しておきたいと思います。
 以上で終わります。

〇佐藤正春委員 私は6点ございましたが、余りにも質問が多いので1点に絞ります。斉藤信委員、私は1点に絞って。
 私は、今、部長からも説明があった肉牛生産公社について1点だけ聞くわけですが、部長の説明を聞いていると、さすが気になるんだか何だか生産公社の説明のときは汗だらだらとかいて、ハンカチこうしてやっていた。やはりよほど気になるんですね。だれも汗かく人いないんだけれども、部長だけだ。そこで、肉牛生産公社は平成3年度に累積赤字が一掃されましたが、その後また赤字に転落し、平成10年度末ではとうとう10億円を超す、県の出資法人では断トツの累積欠損を抱えているんですよ。今回私は、出資法人、大分聞いたんですが、あなたのところのこれは断トツだ、この公社。平成3年度以降の牛肉輸入の自由化、これはやむを得ない事情もあったと思うんですが、このような経営悪化の原因をどうあなたは分析しているんですか。
 今年度もこれは予算化するようだけれども、今の説明のとおりだと。責任はだれがとるんですか。牛はもうたくさんだと、モーたくさんだと。競馬のときは馬もばかばかしいと。農政部じゃ牛はもうたくさんだと、こう言っている。たびたび経営健全化計画を策定してきたんです。私も農政部を信用して、今度はいいだろう、今度はいいだろうと思っていた。取り組んできていると私も感じていたわけでございますが、12年度の当初予算では経営改善対策補助金1、000万円余のほか、9億5、900万円もの貸し付けをも計上しております。県は回収できる見込みがあるんですか。
 また、累積欠損の解消は見込めるのか、明らかにしていただきたいと思います。既にその役割が終わったとするならば、もう役割はこれは終わったんだということならば思い切って解散したらどうでしょうか。これは法人がここではうんと問題になっていることですね。あなたは今度栄転するわけだから、農政部やめるんだから、このまま引き継いでいったらしようがないですよ。思い切って解散したらどうか、私はこういうことを提案したいと思うんです。
 それから、もう一つは、これは簡単なことでございますが、例のいわて藤沢についてはさきに市町村課長から聞いたわけですね。農政部の管轄するのはいわゆる農業開発公社の定款変更ですね。これは公益法人を管轄しているわけでございますが、いわて藤沢について農政部としてはどのような対応を考えているのか、この点について。以上です。

〇佐藤農政部長 肉牛生産公社につきまして何点かお尋ねありました。まず、経営悪化の原因、要因でありますけれども、先ほど委員御指摘の平成3年の牛肉の輸入自由化、これのちょっと前からそれの動向を織り込んで子牛価格、枝肉価格が影響を受けたわけですけれども、肉牛生産公社の主たる任務に二つございます。一つは短角牛の周年出荷をバックアップすることが一つであります。周年出荷するためには夏山冬里方式の短角の特性上、春子が多いということで、秋子生産をやらないと周年出荷ができない。この秋子生産は割高な、購入飼料が余計かかるとか、そういう割高な面がありまして、なおかつ赤身肉で輸入牛肉と外見上バッティングするということで、産直を中心に今まで出荷してきておりましたけれども、大口取引先から取引停止になる。その取引停止が突然なったものですから、結局売り先処分に困って、えさばかり食わせて安くしか売れないというような出来事がございましたし、それからまた、産直先でも経営がなかなか厳しいということで、買い取り値段もできるだけ下げるようにという要請があったり、この中山間地域の中でも黒毛転換できない地域にありましては、どうしてもこの短角を維持しなければならないということで、産地のバックアップに肉牛生産公社というのはどうしても欠かせない現状にあります。それから、もう一つの役割といたしましては、種雄牛──種牛づくりの間接検定でございます。おかげさまでこの間2頭、福利桜、これは一関市厳美町の佐々木利夫さんのところでおつくりになった牛なんですけれども、この牛が大変にいい種牛だということの検定結果が出ました。そういったような間接検定というのが一般農家ではリスクが大き過ぎてなかなか引き受け手がない。そういう種雄牛造成のリスク部門を公社に担わせているというようなこともございます。そのほかに個別に申し上げますとさまざま理由があるんですけれども、大きくはこの短角牛で大変苦戦しておると。その責任につきましては、43年からこの公社が始まっておりまして、歴代の役職員の取り組み、一生懸命やっておりますけれども、そういう委員御指摘のような大変憂慮すべき事態にありまして大変責任を感じております。私も副理事長という立場で、本当に先ほど来汗をかいているわけでありますけれども、本当に大変な状況になっていると思います。
 平成12年度、9億5、900万円の単年度貸し付けをやるわけですけれども、これの回収につきましては、できるだけ貸付規模をこれから圧縮できるようにしたいとは思っておりますけれども、環境がなかなか厳しいということで、約10億円弱の貸し付けをお願いしているところであります。これは単年度資金なものですから必ず毎年返しております。
 それから、累積欠損金の解消の見通しにつきましては、大変厳しゅうございまして、今回もその経営改善計画、先ほど、何回もつくってさっぱり進展しないじゃないかという御指摘ございましたけれども、専務理事初め体制を一新いたします。それから、経営規模も取り扱いというか、牧場数も飼養頭数も大幅にリストラをかけて、再建にもう一度チャレンジさせていただきたいと思っております。
 藤沢町の農業開発公社の定款変更の件ですけれども、当公社から既存の第三セクター、株式会社いわて藤沢の業務を継承したいとして定款変更の申請が農政企画課に出されております。現在、農政企画課におきましては、定款を変更した場合の変更後の公社の事業計画、収支見通しなどについて説明を求めているところでありますけれども、公益法人として適正な事業運営が図られるように十分検討してまいりたいと考えております。

〇佐藤正春委員 部長、あなたね、厳しい厳しいと言いわけばかりなんだよね。だから、これは各部局ずっとやってきているんですが、部長の説明、答弁が言いわけであっちゃだめなんだよ。言いわけじゃだめなんだ。自分はこうして努力したが見通しが立たない、しかしこれは絶対確信を持ってやるということじゃなきゃ答弁にならないんだ。あなた、今聞いていると、10億円を超す累積については難しい、9億5、000万円のこの貸付金は回収はできないということでしょう。できるというの一つもないじゃないですか、聞いていると。しかも、その予算は計上していると。あなた、おやめになったらどうですかと言うと、やめるとも言わない。じゃこのままずるずるやるんですか、あなた。あなた就任したとき私、何と言った。部長、あなたは大変立派な御経歴を持っておられるが、農政は荷が重いんじゃないですかと、こう申し上げたでしょう、失礼だけれども。そうしたら、あなたはそう言ったじゃない、荷が重いんですと。重過ぎてつぶれてしまったじゃない。そうおっしゃったでしょう、あなた。しかも、短期間で、今説明のとおり、本県の農業というのは御存じのとおりでしょう。私はいつも申し上げている。本県は農業県、本県の基幹産業、基本というのは農業、岩手の農業というのは日本の農業を引っ張っていくんだと、その引っ張っていく中心になっているのは農政部長なんだと、その農政部長が就任早々、荷が重いです。今また、きょうあす転勤になって、聞いてみるとどれとったって一つも、言いわけばかりで、厳しい厳しいと。厳しいならはっきり、やはり肉牛についてはとにかく10億円ももう超えているんですから、この際やっぱり見直してこれはやめて別な方で考えるとかと言うなら、どうなんですか。全然そんなことは一つもないじゃないですか。このままあなた、今度どこへ行くかわからぬけれども、栄転になるのかそれとも左遷になるのか、わかりませんがね、これじゃ左遷でしょう、あなた。あなた、農政部長の実績はどこにあるんですか。胸を張っておっしゃってみなさい、あなた。
 それから、いわて藤沢についてでございますが、今これ担当者は農政企画課長かな。私の手元に定款変更の新旧対照表というのが来て見たんですが、いわゆるどうですか、定款変更は赤字法人を引き継ぐための定款変更というのはどんなものだ、いかがなものでしょうか。可能なんですか、実際にね。これひとつ、今検討中ということでございますが、私はちょっと無理じゃないかと思うんだね。そういう意味においてもう一度この点について担当課長の方からひとつ。部長はいいから、この赤字の方は。あなたの方は自分のみずからの職責を考えながら、きちんと答弁してくださいよ。

〇河村農政企画課長 ただいま、いわて藤沢から継承いたします資産、負債についてのお尋ねがございました。いわて藤沢から公社の方に継承いたします資産及び負債に関しましては、現状、売掛金、買掛金のほか長期借入金があるというふうに認識しておるところであります。定款の変更の審査に当たりましては、これらの資産並びに負債が継承する事業を実施するために真に必要なものなのか、まさにその公益法人としての事業を実施するのに必要なものであるかどうかを吟味しながら、慎重に審査を行ってまいりたいと考えております。

〇佐藤農政部長 私の荷が重いことは正直申し上げましてそのとおりであります。ただ、最初から心がけておりますのは、御満足いただけなくても納得していただけるだけのベストを尽くしてまいりたいと、4月までまだあります。肉牛生産公社の経営改善計画はきっちりと再検討して引き継いでいきたいと思っております。

〇佐藤正春委員 そう言うんだからね、あなた4月までまだあるから再検討したいと言うんですが、もう一回言うよ。この肉牛生産公社、平成10年度末で10億円超しているということね。この点についてあなたはどういう答弁したかというと、私は、責任はだれがとるんだと、経営悪化の原因は何かと、経営悪化の原因は先ほど聞きましたよ、みんな聞いているわけだから。言いわけだけでしょう、あれでは。ああとかこうとか、言いわけです。そうじゃなくて、一生懸命この点やったがこうだと言うならいいけれども、経営悪化の原因、何だと言うと、言いわけだけ。責任はだれがとるんだ。とるというのは全然言っていない。経営の健全化計画についても何回やってもこれも何ともならない。9億5、900万円の貸付金は回収の見込みがない。こうおっしゃっている。それならばこの累積欠損の回収はどうか。これも見込みない。おやめになったらどうですかと、こう言っているんですよ。その答えをあなた任期中出すと言うんですね。それだけは答えてもらえませんか。

〇佐藤農政部長 今考えております経営改善計画の骨子を申し上げます。8牧場を半分の4牧場に減らしたいと思っております。それから、肥育牧場は今、住田第2でやっておりますけれども、都南牧場に変更し効率化を図っていきたいと思っております。都南を使いますのは、耕種部門との連携の堆肥供給が十分行い得るという見地からであります。それから、肥育、飼養頭数も短角、黒毛とも全体で347頭減らしてまいりたい。それから、職員数、現在26名おりますけれども、見直しして20名体制でやっていきたいということで、もう一度チャレンジさせていただきたいと申し上げたんですけれども、この計画が順調にいきますと14年には何とか単年度が黒字転換にできるようにということで取り組みさせていただきたいと思っております。

〇田村正彦委員 何点かお尋ねします。まず、冒頭に胆沢ダムの基本計画変更に伴いましてダムの大幅な完成おくれが出ております。ダムの建設の大きな一つの目的であります農業用水の安定的確保というのが大きな一つの目的なわけでございますが、ただ、御案内のとおりあの一帯、胆沢地区、水沢地区、圃場整備の基盤整備事業が進行しつつあるわけでございますけれども、そのダムの基本計画変更に伴って基盤整備事業は影響を受けるのかどうか、まずこれをお尋ねしたいと思います。
 そして次に、これは農政部に尋ねるのは非常に気の毒な感じもしますが、中山間の直接払い、非常に面倒くさい課題が与えられたわけでございますけれども、部長の一般質問の答弁にもありましたが、実際やった場合に検証する組織というんですか、検証する第三者機関というんですか、こういったものを整えていくんだというような答弁があったわけでございますけれども、その第三者機関というのはどういった組織になるのか、お尋ね申し上げたいと思います。
 次に、これは大変私は県としてはすばらしい事業をつくっていただいたというふうに思っているんですが、生産調整が進みまして、進んだというか、定着してしまいましてその生産調整、いわゆる減反している田んぼからいかに生産を上げるのか、これが本県農業に与えられた最大の課題だと私は思っております。そういった意味で今回の新いわての事業に組み入れられた簡易排水事業ですか、そういった水田を畑地に速やかに利用できる事業、こういったものを導入されたというのは、我々農業を営む者にとっては本当に助かる事業なわけでございますが、こういった事業を取り入れることによって麦、大豆の生産というのは多分上がってくるものだと思っております。その生産が上がる麦、大豆の販売ルート、価格の面も量の面も、そういったものが今後どうなるのか、それをまずお尋ね申し上げます。
 そして、新聞紙上をにぎわしているんですが、これは土地改良事業に絡んでのことなんですが、農林漁業体験協会なるものがあるそうで、こういったものにコンサルを、これは全国レベルの話ですよ。岩手県はどうかわからないですけれども、こういった協会に丸投げ方式でコンサルの委託なんかをしている事業が非常に多いというような指摘がなされているんですが、岩手県の場合はどうなのかということをお尋ねします。
 次に、牛の話で続くわけですが、これも部長が一般質問の答弁で、公共牧場の拡充強化という答弁がなされております。確かにこういった高齢化が進みますと和牛の──繁殖和牛です──、これの生産というんですか、これが非常に落ちてきている現状もあります。
これを打開するにはどうしても私も公共牧場の充実強化というのは欠くべからざることだと思うんですが、来年度予算に具体的にはどういった措置を盛り込んでいるのかお尋ねします。
 次に、豚の、牛から豚にいって恐縮なんですが、この豚の生産者にとって一番怖い伝染病は豚コレラなわけですが、その豚コレラのワクチンの接種がことしの4月からこれは中止ということですね。そういったことなんですが、これに関して国の動きあるいは本県の対応、そういったものをまずお尋ねいたします。

〇伊藤勢至副委員長 田村正彦委員の質疑中でありますが、この際、世話人会の申し合わせにより10分間程度休憩をいたします。
   午後2時57分 休 憩
 
   午後3時18分 再 開

〇工藤篤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

〇佐藤農政部長 私の方からは豚コレラのお尋ねにお答え申し上げます。
 委員御案内のとおり、豚コレラは岩手県では昭和46年が最終発生、国内的には平成4年12月に熊本で発生後、豚コレラは発生していないという状況で、国におきましてはワクチン接種助成はもうやめても大丈夫だと。ただし、万が一発生した場合の対策として、全国の生産者とそれから農畜産振興事業団が金を出しあって基金をつくって、仮に発生した場合にはその周辺農場とか関連農場の淘汰をするという対策を国は考えているわけです。私どもの県といたしましては、この防除のために県独自の支援制度を考えたわけでありますけれども、万が一出たときには、ワクチン接種の費用を助成するという考え方でありますけれども、全国の基金制度は、仮に発生しますとその発生県の豚の淘汰のために全部費やされてしまって費消されまして、結果として岩手の養豚農家にとってのメリットはいかがなものかという考え方のもとに、国の制度とは別な独自制度の方がベターだという判断で踏み切ったものであります。

〇永嶋農村計画課長 次に、胆沢ダムの基本計画の変更に伴います胆沢地区の基盤整備事業についてでございますが、胆沢ダムの基本計画が今回変更になるわけでございますが、利用計画上の変更は今回ございません。このため基盤整備事業については、当初の予定どおりの内容で進めているところでございます。具体的には、関連いたします基幹用排水路の改修につきましては、既に国営かんがい排水事業が平成10年に完了しております。また、これに附帯いたします県営かんがい排水事業につきましても、現在82%の進捗を見ておりまして、平成13年に完了する見込みとなっております。
 また、受益地9、600ヘクタールのほ場整備事業についてでございますが、既に整備済みのものと実施中のものを含めますと4、100ヘクタールとなっておりまして、平成12年度にはさらに3地区、400ヘクタールの新規採択をする見込みでございます。また、残りの地区につきましても、地元の合意形成がまとまり次第、随時具体化していく予定にしているところでございます。胆沢ダムが完成していないために用水の全体量ふえておりませんが、基幹水路の改修や圃場整備の実施によりまして、水路からの漏水防止や水の反復利用など、効率的利用に努めているところでございます。しかしながら、恒常的な水不足は変わりなく、ダムの早期完成が求められているという実態でございます。

〇澤田地域農業振興課長 次に、中山間地域等直接支払制度におきます第三者機関の設置についてでございますけれども、本制度におきましては明確かつ客観的な基準のもとに、透明性を確保しながら実施する観点から第三者機関を設置するとなっております。構成員は、中山間地域の振興についての知見を有する中立的で利害関係を有しない学識経験者あるいは消費者代表、マスコミ関係者等となっております。現在、構成員の検討を行っているところでございますけれども、年明け早々には設置したいと考えているところでございます。
 失礼しました。新年度早々には設置したいと思っております。

〇菅原農産物流通課長 麦・大豆の販売先の確保についてでございますけれども、ナンブコムギを中心といたしました県産小麦は、国産小麦の中でも北海道に次いでたんぱく含量が高くて、そしてクリーミーな色合いで評価されておりまして、こだわりを持った製めん・製パン用として実需者から高く評価されているところでございます。また、大豆につきましては、豆腐あるいは納豆業界を中心とした県内外の実需者の県産大豆に対する関心が高まってきておりまして、安定供給のための体制づくりが必要であると考えております。このため、明年度早々、仮称ではございますけれども、農業団体と実需者等で麦・大豆産地体制確立推進協議会を組織するとともに、産地農協と県内外の実需者が一堂に会しての商談会など、安定取引のための取り組みを支援してまいりたいと考えております。さらに、県内各地域で生協や農協等が取り組んでおりますみそや、あるいは豆腐加工などの活動を支援するとともに、いわゆる地産地消の取り組みも促進して、県内消費の拡大に努めてまいりたいと考えております。なお、麦・大豆が農業経営の中に定着するためには、価格の安定が不可欠であるという考え方で、新たに講じられた経営安定対策の堅持を国に要望してまいりたいと考えております。

〇佐々木農政部次長 農林業の体験協会への本県での発注実績でございますけれども、この財団法人農林漁業体験協会は、交流施設を整備するときのコンサルタントあるいは実際の設計業務、あるいは運営指導を行っている団体でございます。本県でも同協会の発注実績がございまして、平成6年度からでございますけれども、10年度までに10市町村で13地区の実績になっているところでございます。

〇山下畜産課長 公共牧場の施設強化についてでございますが、県内には158の公共牧場を再編整備強化するために、平成10年度に策定した岩手県公共牧場再編整備計画に基づきまして、機能強化のための計画的な整備を実施しているところであります。平成12年度におきましては、畜産基盤再編総合整備事業等4事業を活用いたしまして、西根町、葛巻町、雫石町、滝沢村、玉山村など県内10地区13牧場について、草地造成整備や道路整備並びに看視舎等施設の整備を図ることとしておりまして、総額4億3、200万円余でございます。

〇田村正彦委員 盛りだくさんで大変恐縮しておりますが、中山間の直接払いで、去る昨年の10月に、農水省の経済局の課長補佐の講演がありまして、その講演の中でいわゆる傾斜度が一つの条件になるということで、この傾斜度を図るためには市町村ではとても無理だと。したがって、航空写真を利用してこの傾斜度を測定するというお話を承ったことがあるわけですが、この航空写真を実際やられるのか。やるとしたらいつごろになるのか。そしてまた、この傾斜度の問題ですけれども、──15度ですか、田んぼの場合、採草地でもそうなんですけれども。私、余談なんですが、スキーやっていて30度の傾斜というと、もう目が回るくらいの急勾配の傾斜なんですけれども、その半分の傾斜ということになりますと、ちょっとどの程度の傾斜か予想つかないんですけれども、かなりな傾斜だと思うんです。そういった傾斜地が、果たして岩手県に何カ所存在するのか。そしてまた、この中山間の直接払方式に対して、これを実施する上で、もう既に動き出していると思うんですけれども、市町村の反応はどうなのか。それをまずお尋ねいたしたいと思います。
 農林漁業体験協会13カ所の発注があるということですが、私も新聞紙上でしかわからないのでこの席でとやかくは言えないんですけれども、非常に実際コンサルしないで下請けにただ丸投げだという報道もされてますけれども、県の発注した状況というか、実際そこの協会でちゃんとしたコンサルをやっているものかどうか、改めてお尋ねいたしたいと思います。
 あとこれは、先ほど佐藤委員のお話にもありましたけれども、種雄牛──種牛のお話が出たんですけれども、市場に行きますと確かに種牛も一番の基本の重要なことなんですけれども、それの畑の部分というか、雌牛によって価格がものすごく違うんです。したがって、種牛も確かに基本的に大事なんですけれども、雌牛の品種といったものをどうこれから価格安定、上昇のためにも県として対応なさっていくつもりなのかお尋ね申し上げたいと思います。
 次に、豚コレラの問題で部長から御答弁いただきましたが、答弁の中で防除のためのワクチン接種ということでしたが、これは防除じゃなくて発生後のワクチン接種ですよね。それと同時に、よその県で起きれば岩手県の掛け金がみんな持っていかれるから、したがって国の制度には入らない方がいいという趣旨の発言があったわけでございますけれども、これはちょっと互助制度あるいは保険制度という認識が欠けているんじゃないか。あくまでも互助とか保険というのは、発生した県に発生しないところが保険料を負担するというのが保険あるいは互助の精神なんですけれども、岩手県は絶対発生しないんだ、よそが発生するから岩手県のものがいくからこれには入れないんだという発想は、私は保険、互助という認識からはちょっと逸脱しているんじゃないのかと思っております。
 それで、課長は酪農学園第1期生で非常に御苦労なさって、すべての面でもう先頭になって中心的に今までお仕事をなさってきた方ですけれども、豚コレラの県独自の基金制度の創設というのは、ちょっと私は疑問があるんじゃないかと思うんです。今までの養豚協会、その他とのいろんな経緯の中で、これはもうできたことですからしようがないとして、ただこれから畜産全般に言えることなんですけれども、非常な転換期を迎えている。養豚部門もそうです。そういったことで何とかこの価格低迷にあえぐ、あるいは環境問題から設備投資もこれからどんどんしていかなければならない。そういった現状におかれている畜産、あるいは養豚に対する県の行政のあり方というのをもう1回見直す必要があるんじゃないかと思うんですが、その辺のところをお聞かせいただければと思います。

〇佐々木農村建設課長 中山間地域の直接払いに係る地図の作成の件でございますけれども、平成11年、平成12年の2カ年間にわたりまして、要望のありました17町村で2、500分の1の地形図を作成することとしております。

〇山下畜産課長 まず1点目の黒毛和種の雌側の能力向上対策についての件でございますけれども、御指摘のとおり、種雄牛の造成のポイントは、特に雌側の育種価──つまり、これは肉質や肉量の遺伝素質を活用する改良技術でありますけれども──こういった育種価の高いものを県内に保留していって、そして能力の高い種牛をつくると、これはそのとおりでございます。今まさにこれを今回の予算計上もしているところではございますが、そういった高能力牛を県内に保留するということで、現在まで家畜改良事業で100頭やっていたものを200頭に倍増して、そして生産者にその活力を与えて進めていきたいということで、今まさに雌側の改良に取り組んでいるところでございまして、その成果は着々と出てきております。せんだって、全体として3頭種雄牛が造成されたわけですが、そのうちの2頭が県内で生産されたもので、そういったことが成果としてあらわれつつあるということでございまして、今後ともこれに力を入れてやっていきたいと思います。
 それから豚コレラの件でございますが、結果として説明責任が不十分だったか、あるいはそういうことで皆さんの意見を十分集約しないで予算化したのではないかという御指摘に対して、説明責任の不足についてやっぱりそういう見方をされたということについては私自身も責任を負っております。それから生産者に今、昨年の10月以降ことしの2月初めまで大変な未曾有の豚価の低迷があって大変な事態になったということで、そういうときにこそ支援が必要というときに、この豚コレラ対策についてもなかなか理解を得られなかったということに対しても、これは今後家畜防疫というものは生産者と行政とが一体にならないと成果が上がるものでもございませんし、それから産地を守るということもできないという意味から、今後とも生産者の意向を十分体して行政をやってまいりたいと存じております。

〇佐々木農政部次長 中山間の関係でお答えをしたいと思います。
 実施市町村を今取りまとめているところでございますけれども、この実施の判断は市町村長にゆだねられているところでありますが、現在のところ、法指定地域で実施する意向を示している市町村が50ございます。それから、法指定のない地域で知事特認として実施しようとしている市町村が3市町村でございます。現時点ではっきりやらないと方針を打ち出しているところが2町ございまして、あと四つにつきましては、なお今検討中と伺っております。いずれ近々中に結論が出されるものと思っているところでございます。
 かなり急傾斜地という話もございましたけれども、対象面積につきましてはこれから具体的に精査されることになるわけでございますけれども、現在のところ、1万ヘクタールと取りまとめているところでございます。

〇田村正彦委員 いずれ画期的な政策なんです。私は、この画期的な緑の政策という名のもとに打ち出された中山間の直接支払方式というのは、非常に中山間にとっては大事な政策だと認識しております。ただ、その実施に当たって私も拝見してますけれども、集落協定やら今の角度の問題からもいろんな矛盾点というか、実施に困難を伴うようなことが非常に多い。
 そしてまた、チェック体制のことでもお尋ねしたいんですが、チェックのあり方、例えば今、有識者あるいはその他第三者的な組織をつくってそこでチェックをしていくというお話でしたけれども、透明性ということを考えた場合、それが例えば同じ町村で町村内の有識者がやるのか、その有識者が他町村を審査するのか。私は、他町村を審査するようなやり方は、よく共済制度ではそうやっているんですけれども、あくまでも自分の町をチェックするんじゃなくて、他町村をお互いにチェックしあうといったものがなければ、また大迫みたいな問題も起きかねないし、やはり透明性を客観的に見てもらうためにはそういう措置も必要ではないのかと思っているんですが、どのようにお考えでしょうか。これは最後です。

〇佐々木農政部次長 制度の中身についてはいろいろ議論のあるところだとは思っておりますけれども、いずれ我が国で初めて導入される制度でございまして、当面5年間事業を実施してその成果を検証しながら、また制度を見直すということにされているところでございます。第三者機関の有識者につきましては、今のところ県全体、県段階の第三者機関として設置することにしておりまして、県段階の第三者機関で全市町村を検証するという考え方です。

〇千葉伝委員 田村委員の質問に関連して質問したいと思います。
 豚コレラの防疫体制の強化緊急対策事業についてであります。
 この豚コレラのワクチンは、実は私も実施している1人でありまして、中身についてはさまざまな分でお聞きしたりしております。そういった中で、先ほど国の方でやっている互助制度、そしてまた県の方が今度緊急対策で進めるということであります。私自身、確かに疑問に思っている分は、一つは国の方の互助制度そのものが国内において全国的にこの豚コレラの防疫体制をつくるということで、それぞれ地域地域、各県がその防疫体制が整ったところから順次やめていくと。本県の場合は、今度の4月1日からやめるという現状なわけです。私は、国の制度そのものを否定するものではありません。ただ、全国的な段階で聞いておりますことは、参加率がかなり低いということだと認識しております。20%前後でしょうか。そういった中で国内で豚コレラが発生した場合に云々と、先ほどほかの県で発生した分に岩手県で出したものが使われるとか、さまざまなそういった言い方もありますけれども、もっと根本的なところで問題を抱えている分があるんじゃないか。それは一つは、先ほど言った豚価の低迷というものがなかなか乗り切れないという分があろうと思います。もう一つは、実際上どこに出るかとか、みんないろいろと勝手に思う分もあると思います。先ほど部長にお答えいただいているんですが、国内では平成4年12月熊本県で発生しておりますし、県内では約30年前、昭和46年に紫波郡内が最後の発生ということであります。そういった中でこの事業そのものを考えた場合に、国の方で改善すべき点が幾つかあるんじゃないかといったことと、県がそれに乗り切れないとか、そういったあたりが少し問題あるんじゃないか。その辺のことをひとつお聞きしたいと思います。
 それから、万一発生した場合に実際岩手県でどうするんだと。これは、発生した場合の今の豚コレラのワクチンというものは、世界的に一番効くワクチンであります。したがって、発生した場合にこのワクチンをすぐに注射しますと、もう1日2日で免疫をとって、そのあとの分は病気にかからないというか免疫を持つということで、それに準じた防疫対策を進められるというワクチンだと私は認識しております。そういった意味において、岩手県では発生した場合の緊急対策としてのワクチン注射といった事業というものはぜひ必要なものだと感じております。そういった意味で今後のいろんなことがあるんですが、実際に農家の方ではまだ豚価の低迷もあるということで、この事業ともう一つ何か養豚農家に対しても、先ほどの課長のお答えではいろんなPRというかさまざまなことをこれからやらなければならないと御答弁ありましたけれども、プラスして養豚農家の方に何か対応というか、その辺ちょっとお聞きしたいと思います。

〇山下畜産課長 確かに現在国の動向でございますが、全国の参加率が戸数で26%で県内では10%という状況でございまして、この互助制度というのはそもそも国が、発足した当時は、ワクチンを使わないで淘汰方式で防疫を進めると、一切使わないで進めるということでスタートしたものです。したがいまして、周辺農場は淘汰──発生農場を起点として、3キロ以内の豚はすべて淘汰するという前提で、そのかわり国と生産者が積み立てた、要するに互助制度をやって、そこから補てんするという考え方でございました。その後、2回3回と変更になってきまして、現在では国は予防注射、ワクチンを応用した防疫に切りかえております。要するに、発生農場は家畜伝染病予防法の適用でもって法令殺でやった場合に国の手当金で手当すると。それから周辺農場については当然ワクチンを打つわけですから、委員が御指摘のとおり、このワクチンは世界に冠たるワクチンであると。そういうことになりますと、当初想定した互助制度とは大きく変化してきているということで、私どもはその御指摘のとおり、ワクチンはやっぱり公益性を守るという観点から、いち早くもう議論なくその周辺農場にワクチンを接種するということは行政の役割であるという観点で、国の制度とは重複、バッティングしない制度を実は創設して、危機管理体制を整えておこうという趣旨の考え方で取り組んだところでございます。

〇千葉伝委員 ありがとうございます。いずれ万一発生した場合のことを考えて、防疫体制の万全の処置をよろしくお願いしまして、終わります。

〇黄川田徹委員 議事進行に協力いたしまして、私からはまとめて3点質問いたします。
 まず第1に、特別会計の農業改良資金の貸付状況についてお伺いします。
 平成12年度予算書によりますと、農業改良資金貸付費が総額で9億5、800万円ほどになっております。農業改良資金は国と県で資金を造成し、経営規模を拡大したり新しい農業技術を導入して経営改善を図ろうとする場合などに、無利子で農業者に貸し付けるまことに有益な資金であると思っております。特にも、自主的・主体的に取り組む意欲のある農業者の方々には必要な資金と思われますが、農業改良資金の貸し付けについて、過去5年間本県の状況はどのようになっているのでしょうか。また、東北の他県の状況についてもあわせてお尋ねいたします。
 第2に、認定農業者の現状についてお伺いします。
 本県農業の発展を図るためには、地域農業の中心的な役割を担う主業型農家の育成が大事であると私は思っております。中でも平成6年の農業経営基盤強化法の制定に基づき発足し、市町村が経営改善計画を認定し支援する認定農業者制度がありますが、これについて全国及び東北における認定農業者の認定状況はどうなっており、その中にあって本県はどのような位置にあるのか。さらに、県内の市町村別ではどうなっているか、その現状についてお伺いします。
 また、そのうち女性の方々は何人ぐらい認定されているのか、法人はどのぐらいあるのか。さらには、本県の認定農業者の増加傾向はどのようになっているか、あわせてお尋ねいたします。
 第3に、債務超過農協の問題についてお尋ねいたします。
 この問題については、総括質疑においても水上委員、瀬川委員から質問があったところでありますが、具体的に再度お尋ねいたします。
 農業協同組合経営改善特別対策資金貸付金として、52億6、000万円の予算措置がなされておりますが、債務超過農協に対する行政支援については、まずもって経営改善計画の達成と合併の実現がその条件となっているものと承知しております。先日の総括質疑において、経営改善計画の進捗状況については、おおむね計画どおり進捗していると認識している。合併については、二戸地区については北部と南部に分かれて、それぞれ合併に向けた協議を進めている。気仙地区については、住田町農協と隣接農協との間で合併に向けた話し合いが始められたとの御答弁がありました。しかしながら、私の地元気仙地区にあります債務超過農協である住田町農協については、合併に向けた話し合いが始まったばかりであるなど、経営改善計画の達成及び合併の実現に向けてまだまだ課題が残されていると聞いております。債務超過農協の経営改善のために残された期間はあと1年しかありませんが、予定どおり経営改善計画を達成し、合併を実現して債務超過を解消することができるでしょうか。その見通しについてお尋ねいたします。

〇石川農業普及技術課長 農業改良資金の貸付状況についてでございますが、本県における改良資金の貸付金につきましては年々減少してきておりまして、平成11年度の貸付見込み額が約2億5、000万円程度でございまして、5年前の平成7年に比べますと2割程度となっております。東北6県につきましても、本県と同様貸し付けが減少してきておりまして、平成11年度の貸付見込み額が5年前の15%程度になっているといった状況になっております。特に、減収額の大きいのが稲作や畜産に係る資金でございまして、中でも稲作用の機械の貸し付けが減少しているという状況になっております。一方、新たな作物の導入のための資金がございますが、特定地域新部門導入資金というのがございますが、これは横ばいないしはやや伸びてきているという状況になってきております。

〇澤田地域農業振興課長 認定農業者の現状につきましてお答え申し上げます。
 認定農業者の数は、12年の1月末現在で、全国では14万4、732人になっております。東北管内では2万8、341人となっておりまして、本県では5、526人でございます。これは全国で第9位となっております。なお、市町村別に見ますと、花巻市の434人を最高に、北上、江刺、雫石、遠野の順になっております。また、本県におきます女性の認定農業者は191人でございまして、全国で女性の認定農業者が一番多い県は、平成10年9月末現在でございますけれども、大分県が207人、次いで岩手、北海道、長野の順になっております。法人につきましては、本県では157が認定されておりまして、北海道が590、次いで鹿児島、千葉、宮崎、岩手の順でございます。毎年、認定の数は最近減少しておりますけれども、市町村経営改善支援センターあるいは農業改良普及センター等によります経営改善計画の策定指導を強化してまいりまして、未認定の方々を認定農業者に誘導してまいりたいと思っております。

〇伊藤農協指導検査監 債務超過農協の経営改善と合併の見通しについてでございますが、経営改善計画につきましては、総体としてはおおむね計画どおり進んでおりますし、そのうち自己努力分につきましては前倒しで達成するくらいのつもりで取り組んでいただくよう、各農協に要請をしているところでございます。
 また、合併につきましては、それぞれの地区で鋭意協議等が進められておりますけれども、農協が出資している関係団体で合併までに整理を要するものがあることや、あるいは合併しようとする農協間の財務格差の問題など各農協ともそれぞれさまざまな課題がございます。これらの課題の解決はなかなか容易でないとは考えておりますけれども、農協中央会等との連携のもとに、これまでも地方振興局と一緒になりまして現地農協に出向きまして、それらの取り組みにつきましての助言なり指導なりを行ってきているところでございますし、各農協とも残された1年間で何としてでも計画達成をしたいということで、役職員挙げて懸命の努力を続けているところでございますので、今後とも私どもとしましては関係団体あるいは関係機関との連携を密にしながら、こうした取り組みについて積極的に支援をしてまいりたいと考えております。

〇黄川田徹委員 再質問いたします。まず、農業改良資金について。
 農業改良資金の貸し付けは東北6県とも年々減少傾向にあるようですが、その要因を農政部はどのようにとらえておられるのか、改めてお伺いします。
 また、岩手県は全国に向かって総合食料供給基地を宣言しているわけであり、さきに述べたとおり、本県農業の相当部分を担う主業型農家の育成が最も基本的な課題と思いますが、資金の活用が低下している中にあって、農業改良資金特別会計の将来をどのように認識されておられるのか、あわせてお尋ねいたします。
 次に、認定農業者について。
 ただいま認定農業者の増加数は鈍化しているなど現状をうかがいましたが、今後認定農業者に対するさまざまな支援策を生かして、認定農業者をどのように育成されようとしているのかお伺いいたします。また、市町村独自の支援策があるならば紹介していただきたいと思います。
 最後、債務超過農協の問題について。
 債務超過に該当する農協はまさに中山間地域に位置するものでありますので、農政部にはその活性化のためにも経営改善指導に全力を尽くしていただきたいと思います。この部分は要望でございます。

〇石川農業普及技術課長 貸し付けの減少の要因というお話でございました。この貸し付けの減少の要因といたしましては、一つは、利用資格者が一通り借りつくしたのではないかということがございますし、さらにこの資金制度の要件の中に同一性能の農業機械の更新は認められていないということ、あるいは大型高性能機械の導入が進みまして、導入台数そのものが減少してきているといったようなことに、この減少の要因があるのではないかというとらえ方をしております。
 今後どうしていくのかというお話でございますが、近年は関心の非常に高い養液土耕栽培だとか、あるいは先ほど申し上げましたような新規に作目を導入したり、あるいは技術を導入するといったようなこと、あるいは環境保全型の農業の新技術導入等の資金もございます。そういったものについては需要が見込まれておりますので、農業改良普及センターの活動とあわせまして、この資金制度の周知を図りながら活用を図ってまいりたいと思っております。
 さらに、12年度から開始されます水田農業確立対策につきましての主業型農家を積極的に育成するという観点から、麦・大豆等の生産に係る施設・機械導入についての改良資金の活用を一層推進してまいりたいと考えております。

〇澤田地域農業振興課長 認定農業者の育成対策についての再質問でございますけれども、本県の農業・農村基本計画におきましては、農業専業を志向します主業型農家1万1、000戸を育成しまして、認定農業者へ誘導することとしております。このため県におきましては、農業改良普及センターが中心になりまして、今後育成すべき農業者も含めた主業型農家のデータベースを整備しまして、経営管理能力向上のための戸別濃密指導を実施するとともに、農地の利用集積によります経営基盤の強化など、各種施策を集中的かつ重点的に講じまして目標達成を図ってまいりたいと考えております。
 なお、市町村独自対策についてのお尋ねでございますけれども、現在県内28市町村におきまして、認定農業者の組織活動あるいは経営活動規模の拡大に対します助成などの支援策が講じられているところでございます。

〇谷藤裕明委員 給食の支援体制といいますか、学校給食の取り組みについて。
 米飯給食は子供たちのいわば日本型食生活の定着というか、健康づくり、日本の伝統文化という振興にもつながっていきますし、それから消費の拡大にもつながっていくということになろうと思います。12年は新しく純情米学校給食安定供給事業というのが実施されるようでございますけれども、これまでの給食支援をしてきた課題、それから今回新しい事業として取り組まれるようですけれども、特色としてどういうものになっているのかお伺いします。
 それからもう1点、学校給食用の牛乳供給対策ですけれども、これもまた子供たちの健康増進のほかにも消費拡大につながっていくだろうと思っております。これは、現在の供給状況と今後の取り組みについてお知らせいただきたい。

〇菅原農産物流通課長 給食支援のことにつきましてでございますけれども、まず米飯学校給食についてでございますけれども、委員ただいまお話ございましたように、子供のころから御飯食を中心とする、いわゆる日本型食生活の習慣を定着させまして、さらに将来にわたりまして米の消費拡大を図る上で重要な役割を担っていると考えております。また、こうした御飯食を通じての、児童生徒に対して稲作やあるいは地域農業への理解の醸成が課題となっているのではないかと考えておりまして、このため、明年度から新たに純情米学校給食安定供給事業を創設させていただきまして、できるだけそれぞれの地域の主力銘柄を利用していただくということで、この事業はこの点に特色を打ち出したのではないかと考えているところでございます。
 なお、この事業とあわせまして、一学校一農園運動推進事業あるいは新規就農総合対策事業など、こういう事業を総合的に実施することによりまして、子供たちに御飯を食べるたびに、本県の稲作あるいは地域農業へのより一層の理解が深まるのではないかと考えております。
 次に、学校給食についてでございますけれども、本県における学校給食用の牛乳供給事業でございますけれども、平成10年度で申し上げますと、県内の全小・中学校あるいは養護学校等において、児童生徒約16万人を対象にいたしまして、平均178日間、県産牛乳約2、800万本が供給されておりまして、これは本県の牛乳消費量の9.8%に当たるものでございます。本県の酪農振興はもとより、児童生徒の体位、体力向上や飲用習慣の定着化に大きく寄与してきているところでございます。国では、平成11年3月に、新たな酪農・乳業対策大綱を公表したところでございますけれども、その中で学校給食用の牛乳供給事業について、平成12年度から競争原理の導入など制度の見直しを行うこととしておりますけれども、酪農の健全な発展あるいは児童生徒への牛乳飲用の習慣の形成を図る上で極めて重要であると考えておりますので、引き続き学乳事業の維持拡大に努めてまいりたいと考えております。

〇谷藤裕明委員 主力銘柄といいますか、その地域ごとの米をそれぞれ地域の学校の生徒たちに食していただくと。そしてまた、この一農園というのは、学校の中に田んぼとか農園というのをつくっていこうという発想は非常に結構なことだと思います。
 それから牛乳ですけれども、これは県産の牛乳を全校に全部入れているということで理解していいわけですね。それで教育委員会と連携していかなければならない部分というのがたくさんあるんだろうと思いますけれども、本県の生産品というか──農産ですね。肉とか野菜とか米、それから水産関係であればサケだとか、いろいろ水産関係のものがあるでしょう。それから、さっき言った牛乳関係も含めて岩手丸ごとというか、すべて岩手県産のもので学校給食をする日、そういうもので岩手の農林水産といいますか、キノコも入るから特用林産も入るでしょうけれども、岩手の中で生活していて感謝をする日という意識づけをやはり持ってもらうことも含めて、丸々岩手県産品というものを食する日を、オール県産デーでもいいですけれども、そんな形の何かあってもいいんじゃないのかなと思うんですね。これは、教育委員会関係といろいろ連携していかなければならない部分がたくさんあると思いますけれども、そんな中で子供たちに岩手というものを認識してもらうことが必要ですし、また生産されている方々への感謝の気持ちというものを持ってもらういい機会になる日を、やはり農政部としてもぜひ教育委員会と協議しながら、そういう日を設けていただくように私は希望をいたしております。何か御所見があれば。

〇菅原農産物流通課長 いろいろと学校給食費等の関係もございますけれども、今、私たちの農政部といたしましても、やはり学校でいろいろな地域でとれた農産物とか、それぞれの特産品を使いながら学校給食にも工夫をして献立をつくってやっていっていただきたいという気持ちを持ちまして、いろいろな機会をとらえながら学校給食の調理の方々とかの研修会を持ちながらやっているところでございます。なお、今、委員お話ございましたように、いろいろと県産品を使いながら、いわゆる地産地消と申しますか、それぞれのところでいいものを使いながらやっていく方向につきまして、今後いろいろと研究させていただきたいと思います。

〇小野寺好委員 あとでやるつもりだったんですけれども、今出ましたので、一学校一農園運動ということでお聞きしたいと思います。
 実は、16日の当予算特別委員会で教育委員会の方に対しまして農政部の予算でこういうのがあるが、教育委員会としてどのように取り組んでいきますかと聞きましたらば、来年度のことなのでこれから年2回程連携をとっていくと、何かちょっと軽いお答えだったんですが、そこできょう農政部なのでどのように教育委員会と連携してやっていくのか、ちょっとお聞きしたいと思います。

〇石川農業普及技術課長 一学校一農園運動の推進でございますが、これにつきましては教育委員会と連携しながら取り組もうということでございます。来年度からの新しい事業で一学校一農園運動を展開しようということで、これは具体的には各普及センター単位に農園を設置しまして、来年は16カ所ぐらいかと思っておりますが、そこに学校で小・中学校の生徒が実際に体験学習しながら農業を理解してもらう、あるいは人格の形成に役立ててもらうといった機会の提供をするということを考えております。
 さらに、それに加えまして、地域に農業士等がおられますので、そういった篤農家の方々をインストラクターに登録していただきながら、その人たちが行って実際に指導するとか、あるいは学校の先生たちにもそういった農業についての技術的な指導を普及センターが行うということで連携をしていきたいと考えておりまして、具体的には県教委とも相談しながら、さらに具体的に詰めてまいりたいと思っております。

〇小野寺好委員 おとといの新聞報道によりますと、将来的には全部の小・中学校にと、あとまた農家の協力を得て進めていきたいという報道がありますけれども、実際にやるとなると、恐らく農家の田畑借りるかと思うんですが、学校からの移動とか道具にいろいろお金かかったり、移動の途中にけがしたり、あと作業の途中にけがしたりとかいろんなことがあって、なかなか今まで踏み込めなかったんじゃないかと思いますが、そういったところにあえて農政部の方で踏み込んでいくということで非常に感服するわけでありますけれども、そういったことを御期待して終わります。

〇川村農夫委員 一学校一農園に関連いたしまして質問させていただきます。
 実は、私、地元の方で一学校一農園実際にやってきたわけですけれども、例えば10アール水田を借りると、やっぱり地権者に6万円とか7万円というお金が必要になってまいります。教育委員会を通しまして、その地代に対する補助はできないか、あるいは転作の時代でありましたので、転作面積の中で一学校一農園分の面積を県の方で前もって吸い上げておいて、実質転作の配分面積から控除してもらえないか。そして、あるいは借りた農園に対して転作補助金ですが、奨励金を出してもらえば、非常に安く子供たちが農園体験できるということでお話申し上げてきたわけですが、なかなか実現できなかったわけです。そういったことに関して御所見をお伺いしたいと思います。

〇佐藤農政部長 これからいろいろ地域地域の事情をお聞きしながら取り組まなければなりませんけれども、とりあえず12年度花巻地域は全学校実施すると。JAの自主的な取り組みでございます。JAの自主事業として全学校に学校田を設ける。そのための費用はJAが全部出すということをやるそうでございます。そういった実際の運営に当たっては、やっぱりJAの御協力をいただきながらやる必要があろうかなと思っております。そういった意味で、花巻地域の取り組みというのは大変先進的な話でありまして、農家の理解──田んぼの提供とか、それから農作業のお世話だとかいろいろ手間暇ある。それにJAが費用負担するという形なわけであります。そういったことをモデルにしながら、それぞれの地域地域でどういうふうにしていったら普及拡大できるか、研究してまいりたいと思ってます。

〇川村農夫委員 実は、私のところもJAの協力をいただいて続けてきたところでございます。やはりさっきも言いましたように、転作の面積から優遇的な処理をしてもらえないかということについて、もう一度お願いします。

〇佐藤農政部長 答弁漏れ失礼いたしました。
 私も東北農政局長にその話を申し上げたところ、今の生産調整の世界では消費拡大に確実につながるのであれば考えてもいいということでしたが、13年からネガからポジに移行するものですから、その話も来年度限りでございまして、国としては確実に消費拡大に効果があるとすれば少し検討の余地があるということでございましたので、御提言の趣旨を踏まえてまた国とも話し合ってみたいと思います。

〇飯沢匡委員 簡単に質問します。家畜排せつ物処理適正化について質問します。
 今定例会の一般質問において、千葉伝先輩議員が質問なされたその答弁を踏まえて質問いたします。
 今回、県独自の支援措置として、農家に畜産環境保全特別支援資金利子補給補助72万円余が計上されております。これはこれで大変結構なことなんですが、他県においては、秋田県において国の補助事業を活用しにくい中小規模の畜産農家を中心に低コストのふん尿、保管施設の整備を行うという補助事業を決定しております。それで本県においても、こういう中小規模の畜産農家を対象にした独自の支援策は考えているかどうかと、それがまず1点。
 それから、このたび畜産環境リース事業において60億円予算が上積みされ、合計210億円程度で同事業を含め畜産対策には240億円を確保したというニュースがありましたが、これの本県に対する影響度はどうでしょうか。
 それからあと、この間の部長の答弁の中で、家畜排せつ物の適正処理と利用の促進を図るため、農協、営農集団、市町村、地方振興局などで構築する堆肥生産利用促進協議会を早急に結成しとありますが、このタイムテーブルはいかがになっておりますか。

〇佐藤農政部長 まず、簡易な堆肥舎の関係、秋田の事例でお話ございました。実は、この簡易堆肥舎あるいは処理機械系統は、本県におきましては10年度から実施しておりまして、県単で県3分の1、市町村6分の1で仕上がり2分の1補助ということで、12年度は簡易堆肥舎49棟、それから処理機械21台を予定しておりまして、予算の事業名でいいますと、地域有機物資源活用促進事業という事業名で予算額は5、280万円計上させていただいております。
 それから、いわゆるリサイクルネットワークシステムの現地での立ち上げでございますけれども、御案内のように、16年の10月までにふん尿の適正処理という期限が付されておりますので、可及的に早く新年度早々に立ち上げをするように指導していきたいと思っております。

〇山下畜産課長 リース事業の上積みにつきましては、国が2分の1と3分の1がございまして、これは堆肥舎棟45カ所について、事業費として3億3、686万9、000円の予算計上をしているところでございまして、これは本県の環境整備にとりまして非常に重要な事業になっております。鋭意要望にこたえられるように働きかけてまいりたいと考えております。

〇飯沢匡委員 ちょっと勉強不足で申しわけありませんでした。地元の畜産、そして酪農家に聞きますと、今回の適正化の法律の施行については非常に危機感を覚えてまして、要するに中小規模の酪農家においては、離農する確率が非常に高いような声が聞こえております。ですから、その事業についてもどうか周知徹底をせられて、逆な方向にいかないようによろしくお願いします。
 それでもう1点、ちょっとお聞きします。別のことなんですが。
 県が3億円を投じて豚の排せつ物を原料にしてメタンガスを発酵させ、発電や温水に活用する環境保全型エネルギー利用促進事業について伺います。
 これはちょっと雑駁な質問で恐縮なんですが、事業の対象地になったその経緯と今後の見通しについて簡単にお知らせください。

〇山下畜産課長 これは我が国において具体的に今回導入しようとするものについては日本で初めての事例でございまして、京都にもそれに類似した施設があるんでございますけれども、一つは施設型畜産の大規模経営体における家畜ふん尿処理、それから有機物資源の有効活用というそういう観点から、今回は藤沢町の大規模養豚施設、繁殖で言えば1、500頭の一貫経営農場でございまして、ここにおいて実証的に導入していろんなデータを取り上げてやっていこうという考え方でございます。これは将来に向かってどういう方向になるか非常に、本県にとっても、我が国にとっても重要な注目される事業でございまして、ぜひ成功に向けて頑張って努力していきたいということで、導入しようとする生産者も大変意欲的であって、外国に何回もその研修に行くなどして精力的に取り組もうと、そういうことで一体的に進めてまいりたいと存じております。

〇佐々木大和委員 私もその部分の質問をしようと思っていましたので、ここでやらせていただきます。
 今の新しい取り組みで、まさに環境に優しい自然エネルギーということでいろいろ県の方でも取り組んでこられて、企業局は風力ですけれども、バイオマス発電も考慮に入れるということなようでございます。今の説明の中で特にこの事業に対しての内容をもう少し詳しく、事業実施主体はどういうところか、あるいは対象の、今1、500頭と言いましたけれども、どれぐらいの規模で、単年度事業でこれは設立させるようでございますけれども、そういうことでこの発電の利用方法、コージェネレーションなようですから熱の方もありますね。それらの利用はどういう計画なのか、そこまで教えていただきたいと思います。

〇山下畜産課長 この事業につきましては平成12年度に実施しようとする環境保全型畜産エネルギー利用推進事業でございまして、具体的にはデンマークバイオスキャン社が開発した施設でございます。今回は養豚施設から排せつされる家畜排せつ物を原料として、メタン菌、これは嫌気性菌、微生物には好気性菌と嫌気性菌とがあって、全くの無酸素の状態で発生する、メタン菌によって発酵処理する過程で発生するメタンガスを利用して発電を行うことによって電力と温水を得るものでございます。これらの電力や温水は、本施設を導入することによってほぼ100%自給が可能となります。また、本施設の特徴の一つとして発酵処理後の消化液を特殊な設備を附帯することによって、豚舎内の洗浄水等に還元利用できるシステムを備えておって、液肥の還元用地に制限のある大規模な経営体には有効なシステムとなっております。この点が京都の八木町で導入したシステムとの違いでございます。
 さらに、畜産経営における排せつ物の適正処理は必須の条件でありまして、環境に優しい畜産経営の安定的な発展を図る上からも、バイオマスエネルギーの利用は画期的な取り組みであって、今後、引き続いて実施を含めて総合的な検討を進めてまいりたいということでございまして、具体的にはメタンガスの発生量は1、917立方メートル/日でございます。発電量は1日当たり4、000キロワットアワー、それから廃熱量は6、007キロワットアワー、事業費として4億6、400万円を計上しているところでございます。補助率につきましては、国が100分の50、それから県が100分の20で、計100分の70、これは基盤整備の方でございまして、施設の方は国が100分の50、県が100分の10、全体として100分の60でございます。これは藤沢町の橋本ファームというそういう施設がございまして、繁殖、肥育一貫経営で母豚1、500頭規模ですから飼養頭数で2万頭ぐらいの規模になります。事業主体は農地管理開発公社を予定しておりまして、現在その調整をしているところでございます。

〇佐々木大和委員 画期的な事業の取り組みですので大変期待が大きいわけですけれども、農地管理開発公社が事業主体になって、普通考えると1万5、000頭、2万頭の養豚農家であれば3億円、補助金だと3億円でしたけれども4億円ぐらいの施設で、これが附帯施設となれば今言ったように単純にその部分に補助事業なんでしょうけれども、新しい取り組みとして試行的な分野が相当含まれている。そういうことで国、県の補助事業でしょうけれども、さきの運営計画でこれはどの程度の期間で正常な運営になっていって、運営費が不足してくる事態は起きないのだろうかと。そういうところは経営計画の中ではどういうように入っているんでしょうか。農地管理開発公社がやっていくということになって、今デンマークのノウハウなそうですけれども、普通、日本ではまだ民間企業も何もないわけですね。そうなりますと新たな、農地管理開発公社で果たしてそこのノウハウの蓄積がないままでどういう方式で経営管理に取り入れていくのか。新たなことであれば、今、商工労働観光部はベンチャー企業等々やっていますが、独自の事業なのか、養豚の関連事業として処理したのか、その辺の整理をしながら、どういう事業主体になるのか、ちょっとわかりにくいものですから、その辺をもう一度説明いただきたいと思います。

〇山下畜産課長 農地管理開発公社をその事業主体にして展開しようとするその背景は、やっぱり実績があることと、それから新しいプラントなものですから、その過程で出てくるデータをきちっと把握しなくてはならない。把握したデータは常にオープンにして公表していくということをやっていかなくてはいけない。そういう観点からは施設を導入して設置するだけでは到底成り立たないということで、今具体的に進めているところなんでございますけれども、この事業をやるためには協議会を設置するということで、専門家をそこに配置して、具体的に今、予定しておりますのは、国の畜産試験場の場長を去年おやめになった山下さんという方がいらっしゃるわけですが、この方はバイオエネルギーの懇談会、4回ほど県として開催しているわけですが、その座長を務めていただきました。いろんな国内外の情報もきちっと整理できるということで、農地管理開発公社にお願いをしてそういう方を中心にしてこの事業を展開していくということで、その時々にデータを整理して公表してまいりたい、そのように考えております。
 現地法人は日揮というところでございますが、これは専門に本県で導入するあれにかかわると、最後まで責任を持ってやると、こういう約束のもとで進めてまいるということにしております。

〇佐々木大和委員 そうすると施設をつくった後はお任せでいいわけですね、現地法人の方に。結局これの不足額は、経営上の責任はそちらの方に移るという形にとらえていいわけなんですか。非常に大きな、こういうスタートでいって、養豚の次は当然考えられるのは牛の方も出てまいりますし、バイオ発電というのが出ますし、木材の方だとスウェーデンの方から来ますが、ただ、4、000キロワットを本当に1カ所で使いこなすものでしょうか。これだけの、4億円で4、000キロワットが発電できるとなると、風力でいったらば6億円で2、000キロワットですよね。だから、全然投資額が違うんですけれども、非常に効率のいい発電に変わっていくと、これで本当に全部変圧器か何かついてすぐ使える電気が4、000キロワットできるんであれば、多分相当なものになっていって、今、岩手県でほかの分野で取り組んでいる自然エネルギーに比べたら抜群の効率になっていくんですよ。木質だと2、000キロワットつくるのを、単純に燃やすところですと2、000キロワットで10億円ぐらいかかっているんですよ。そういう意味でなかなか難しいんですが、その辺で、簡単に今回こういう形ですばらしいのが出てくれば、これは大きなモデル事業となると思いますけれども、非常に成果というか、実績がまだない段階ですが、これから先の運び方としてどういうシステムでこの経営を管理していくのが正解なのか、その辺について、まだちょっと、現地法人はそうですが、農地管理開発公社に今の山下先生という方はどういう形で入られて、経営責任はどこがとっていくのかというところをもう一度お伺いいたしておきます。

〇山下畜産課長 基本的には日揮がメンテナンスをきちっとやると、つくりっ放しということはないという約束のもとで今やっているところでございます。それから、そのデータについてはデンマークバイオスキャン社のデータをとりながら、それを国内の専門家に見ていただきながら、そこから排せつされる量等についても具体的に検証していただいて、今盛んにその計画の内容について詰めているところでございまして、それを日揮がちゃんと管理、メンテナンスしていくということで、そこで終わりということにはならないと。それから、この運営協議会を関係機関、県も入りますけれども、協議会で逐一その計画の進行管理をやっていくという、そういうシステムを現在考えておりまして、最後までこの推移を見守っていくと。
 それから、発電してオーバーになった部分はどうするのかということでございますが、今売れない状況なんです。橋本ファームで、今々構想にあるわけじゃございませんが、近い将来構想として野菜栽培とか、そっちの方にも広げて使っていきたいと、拡大してまいりたいという考えも現在持っております。

〇佐々木大和委員 4、000キロワットの電気は橋本ファームには売るわけですね。そこからの収入が上がってきて、この農地管理開発公社は維持していくという意味ですか。そこのところ。

〇山下畜産課長 説明が不十分で申しわけございません。実際は橋本ファームのものになりまして、事業を実施するその主体が農地管理開発公社ということで、農地管理開発公社の施設そのものではないということでございます。いわゆる建て売りみたいな格好になります。

〇佐々木大和委員 そうすると、これは農地管理開発公社は立ち上がりまで、その後の施設は橋本ファームに譲渡すると、そういうことですか。

〇山下畜産課長 譲渡というかそういうことじゃなしに、本来は橋本ファームが事業主体になり得ることです。みずからが事業主体になり得ることでございますが、このシステムは非常に特殊なものでございます関係上、これは農地管理開発公社が窓口になっていただいて整備するということでございます。

〇佐々木大和委員 そうでしたら最初からそっちでいいんでしょうけれども、農地管理開発公社がつくれば、設備してつくった電気は売電して橋本ファームが買わなければおかしい、売った電気の電気料金をいただかなければならないというのが普通に考えるんですけれども、そこがわからないですね。

〇山下畜産課長 再度申し上げますが、これはいわゆる建て売りの方式で進める事業でございます。

〇佐々木大和委員 なかなか難しいようですけれども、非常に自然エネルギー、今こうやって養豚で始まり、さっき申し上げましたように今度は当然ながら牛の方にも来ると思います。そしてまた、その他の自然環境に合った環境に優しいエネルギーということで新しいのが出ますが、その受け入れ方法が非常に難しくてみんな悩んでおりますので、適正な、わかりやすく適切な運用をしていい成果を上げてモデルにしていただきたいと思います。これから次から次と出てきますので、いいモデルになってもらわないと次の事業をする人が大変になってきますので、そういう意味でわかりやすく、すっきりした形で運営していただくように要望しておきます。

〇佐藤農政部長 初めてのケースなものでちょっと御理解が得られにくいような答弁をして大変失礼申し上げましたが、県営の畜産環境整備事業、昔からやっているわけですけれども、これの事業主体として農地管理開発公社がいわゆる建て売り農場という、一言で言うとそういうシステムで、最終的に受益者負担を徴して、そして補助金の残は受益者負担、それで完成後はお譲りするという形になるわけですけれども、中小家畜、大家畜含めてこれから事業展開する上で設備投資にどのぐらいのコストが必要なのか、それからランニングコストとしてはどのぐらいがプラマイになるのか、この辺、北国のデンマークで既に稼働しているシステムなものですから、先ほど来御心配いただいている発生電力量とかについてはデンマークの稼働実績で、緯度から言ってもデンマークよりもずっと岩手の方がむしろ条件がいいということなものですから、その辺が技術実証をしっかりと展示していただくと。それから、その運営のあり方についても他地区へのモデルとなるためには、どういうふうなやり方がいいのかといったことのすべてについて実験モデルにして研究していきたいと思っております。

〇佐々木一榮委員 この後畜産の勉強会もありますのであとは立ちませんので、まとめて質問させていただきます。
 まず、第1点目でありますが、いわて純情米レベルアップ運動についてお尋ねいたします。
 総括質疑でも質問させていただきましたが、平成12年度から新たに5年間展開されようとしているこの運動は、一等米比率を95%程度とする目標を初め、具体的に六つの目標を掲げておりますが、目標に対する現状についてまずお尋ねします。
 また、総括の副知事の答弁では、県産米の現状について全国比較すると、本県の主力品種である県南ひとめぼれが食味ランキングにおいて5年連続特A評価されるなど上位にあるが、品質については一等米比率で見ると年次によって変動があるとお答えいただきましたが、本県は非常に広大な県土を持っているわけでありまして、県北、そしてまた県南、また沿岸部ということで環境が大きく違っているわけでありますが、このレベルアップ運動を展開するに当たり、この地域ごとの具体的施策について実行が必要と考えますが、今後の進め方についてお尋ねします。
 あわせて、県では新いわて農業農村整備計画の中で、中間年の平成17年度までに水田整備率を10年度末53%を63%まで整備するとしておりますが、県内の現状の地区別整備率を見ますと、整備率の最も高い紫波地区の87%から、最も低い釜石の4%までばらつきが非常に大きく見られるわけであります。そこで、この前段お伺いしました純情米レベルアップ運動と今後の水田整備との関係はどのように展開されていかれるんでしょうか。
 また、公共事業評価システムとの関係はどのように位置づけされていくのでしょうか、お尋ねします。
 2番目として、平成12年度の新規事業についてお尋ねしますが、まず最初に、農業就業人口の現状と傾向についてお尋ねをします。
 また、新たな12年度新規就農総合対策事業を計上されましたが、この具体についてお尋ねします。特に教育委員会と関係いたしますが、県立の農業高校との関連施策についてはいかがでしょうか。
 また、県立農業大学校の卒業進路分析と農業高校と農業大学校との連携については新規就農者確保対策の観点から、どのような施策の展開が重要とお考えでしょうかお尋ねいたします。
 最後に、北東北グリーン・ツーリズム推進事業をこれは新規に掲げられました。これは商工労働観光部でも私この北東北3県取り上げたんでありますが、これは商工労働関係でも非常に連携が大きなかかわりがあると思います。農政部としてなぜ新規にこういうことをされるのか。また、展開の方向性についてお尋ねします。
 あわせて、逆に県内のいわてグリーン・ツーリズム促進事業は前年度に比べ50%以上の予算が減額となっておりますが、これは効果が見えないからなのか、あるいは事業を進めようとする市町村が少なくなってきているのか、その減額理由についてお尋ねいたします。

〇佐藤農政部長 私からグリーン・ツーリズムの関係お答えしたいと思います。
 この事業が平成9年度に開催されました北東北3県の知事サミットで提唱されまして、それを受けて広域観光のテーマの一つとして12年度から立ち上げようとするものでございまして、一応仮称でありますが北東北グリーン・ツーリズム推進協議会の活動としては、大都市圏に対する情報発信あるいは広域的な体験コースの設定といったようなことをとりあえず取り組み、テーマから始めようかなと思っていますが、先ほど委員御指摘のように、商工労働観光部とも連携をとりながら進めてまいりたいと思っております。
 それから、予算が前年度よりも少なくなっているのは、お見通しのとおり補助対象事業の実施市町村が大幅に、今のところ2地区しかちょっと見込めないということで減ったものでございます。

〇千田農産園芸課長 いわて純情米レベルアップ運動の目標と現状についてでありますけれども、一等米比率では、これは最近の平均値でありますけれども、現状89%を目標95%に、そして米の整粒歩合については67%を80%まで、堆肥の投入量は10アール当たりでございますが1、092キログラムを1、200キログラムに、種子の更新率、これは88%を100%までそれぞれ高めようとするものでございます。このほか新たに米の白さの程度をあらわす白度、これは米ぬかの厚さが影響するようでございますけれども、この白度と食味値につきましては目標値を新たに設定したということでございます。
 また、委員御指摘のとおり、地域によって生産条件が異なります。このため地方振興局ごとに協議会を設置しまして、その中でそれぞれの地域の実情に即した目標を設定して、その達成に向けた取り組みを展開すると、こういうことにしております。

〇永嶋農村計画課長 水田整備といわて純情米レベルアップ運動との関係についてでございますが、圃場整備を契機といたしまして、農地の利用集積による地域の担い手の育成や生産性の向上を促しまして、効率的な農業生産方式を形成すると、そして米の品質向上に結びつく水管理や収穫等、適期作業が可能になるというふうに考えているところでございます。このため純情米レベルアップ運動と水田整備との直接的な連動は特にはございませんが、売れる米づくりというそういった運動の趣旨から、平場地域におきましては大区画を中心とした低コスト生産に対応したほ場整備事業を進めるとともに、中山間地域などにおきましては、地形条件に見合った区画を採用するなど、それぞれの立地条件に対応したきめの細かな水田整備を進めることにしているところでございます。
 また次に、公共事業評価システムの関係でございますが、公共事業の評価につきましては、事業の効率性、必要性、重要性、緊急性、熟度の視点から総合的に評価しているところでございますが、その評価に当たりましては、例えば効率性の項目では中山間地域等の配点が高くなるようにするなど、地域特性についても配慮した評価基準を採用しているところでございます。

〇石川農業普及技術課長 平成12年度の新規事業についての数点の御質問がございました。まず、農業就業人口の現状でございますが、平成10年度の農業就業人口12万6、300人余りになっておりまして、今後においても高齢化等の進行でもって減少していくのではないかというふうに予測をいたしております。
 それから、新規就農総合対策事業の具体の内容のお尋ねでございますが、この新規就農総合対策事業でございますが、新規就農者確保のための情報発信あるいは技術研修、さらには市町村等での受け入れ条件の整備等についての総合的な支援をするというふうな内容の事業でございます。
 それから、農業大学校卒業生の進路の状況でございますが、農業短期大学校、新生の統合されました昭和56年以降の卒業生を見ますと、農業関連の産業に従事しながら農業を手伝っているといったような方々を含めますと、約7割の方々が何らかの形で就農しているというふうな状況になっております。
 それから、高校教育と農業大学校との連携でございますが、現在、農業大学校で農業高校生を対象にした圃場での栽培体験あるいは学生との交流など、大学校生活を実際に体験していただく緑の学園というものを開催しておって連携をしておるわけでございますが、特にも教育の連携といったことが非常に重要になるだろうと思っておりまして、来年度から新たに農業高校と農業大学校とで体系的なカリキュラムを組むような研究活動、これを実際に事業として実施する予定になっております。

〇佐々木一榮委員 1点だけお尋ねします。答弁の中で、いわて純情米レベルアップ運動についてでありますが、12年度、地方振興局内に施策の展開について協議会をつくるということでありますが、その現状把握、当然この六つの目標に対する現状というのがそれぞれの地域で違ってくると思いますし、これは恐らく全県レベルの目標値を掲げたと思うんですが、実際には協議会というのはいつごろ、12年度をめどに発足されて、また現状とそれから施策展開というのは逆に1年間かかるものなのかどうなのか、その辺についてお尋ねします。

〇千田農産園芸課長 今お話しありました協議会につきましては、年度早々にはつくってまいりたいと考えております。そうした中で地域地域における現状、例えば一等米比率とかそういった直ちに把握できるものもございますけれども、またその中で調査をしながらやっていくということになろうかと思います。

〇藤原泰次郎委員 第1項の農業費の5目、6目に関連してお伺いいたします。
 まず、先ほど同僚の田村委員から麦、大豆の関係についての質問があったわけでございまして、私からはその点の生産の方の拡大というかかわりの部分でお伺いしたいと思います。まず、いろいろの情勢は省略いたしますが、この新しい水田土地利用型農業活性化対策というものがスタートしたわけでございますが、いずれ米依存から、本作から麦、大豆にシフトするというふうなものがこの平成12年度における方針なわけでございますが、その中で特にもこの大豆、麦の生産そのとおりでございますが、私は一番心配しますのは、第2の米の生産調整になりはしないかと。いわゆる今は確かに5年の区切りでもって計画を立てておるわけでございますけれども、これがその予定どおり、あるいは計画以上にこの面積が拡大されたという場合には、また第2の生産調整になりはしないかという心配もあるわけでございます。やはり5カ年と言いましてもそれぞれ麦、大豆のシフトの関係では、機械とかさまざまな設備をしておるわけでございます。これがまた5年後に大幅に変わって麦、大豆については減反ということになったのでは、せっかくの投資もむだになりはしないかというふうな危惧もあるわけでございまして、そうした今後の見通しについてお伺いしたいと思います。
 第2点は、稲の栽培についてお伺いします。非常にこれは突飛なお話で失笑を買う面もあるかもしれません。というのは、実はあえて稲の栽培というのは、稲には水稲、陸稲あるわけでございます。やはり水稲については品質の向上なり、あるいは省力化なりということで、極限に近いまでの努力と成果がなされておるわけでございまして、これは農政部、それから試験研究機関にも敬意を表するわけでございます。ただ、そうした中で今この水田作業で一番何が重労働かと言いますというと、平場地帯でありますというと畦畔の面積が少ないというふうなことで、これは比較的いいわけですが、中山間地域に行きますというと畦畔の面積が非常に大きいわけでございます。そこで、今そういう畦畔に対する問題としては草丈の短い草を播種するとか、あるいは人工のプラスチック製の畦畔をつくるとか、いろいろ業者含めてこの研究がなされておるようでございます。それらの研究がなされておるわけでございますけれども、しかし人工のプラスチック製の畦畔も非常に工事費あるいはその設置の場合には金がかかると、経費がかかるということで、これもなかなか至難のわざではないのかというふうに感じておるわけでございます。
 そこで、私なりに一部のグループで若いとき検討したことがあったんですが、やはり陸稲の研究をしてみてはいかがということでございます。それはなぜかといいますというと、水稲の種子もかつては県の、今ではOBあるいは故人になったかもしれませんが、その方から水稲の種子で、マルチ栽培の指導と言えば大げさでございますけれども、そういうことを試してはということでマルチ栽培をやった経験がございます。その際に、やはり水稲の種子とは言いましても、何せ畑地に植えるものですから結果的には陸稲の品質と変わりはない。そこで、これを克服するには幾らかでも水稲の品種に近いものはできないかということで、1日置きとか毎日ということでグループで散水をして試したことがございます。試験と言えば大げさでございますので、試してみた。そうしたところが、やはり散水を毎日やったところは比較的粘り気のある陸稲ができた。それから、従来のとおり陸稲そのものでいった場合には今までと変わりはない品質だということで、これについては、今圃場整備、大変な投資がされていると。公共事業費偏重だとか何とかと言われておりますけれども、一面はそういう散水の関係を含めて、岩手生物工学研究センター、そしてまた農業研究センター、それぞれの分野で試験研究さまざまなことをやっておるわけでございます。そうした中でそうした研究はできないものか。これがもし仮にある程度の品質が改善されるとするならば、非常に麦、大豆、稲、この輪換の作物が非常にやりやすいし、もう一つには農機具の投資金額も大幅に少ないのではないかというふうに夢を持って常におるわけでございます。そのようなことで今後その問題の提起ということで申し上げるわけでございますし、そうした研究について検討される考えがあるかどうかということを第2点としてお伺いします。
 次に、第3点でございますが、いろいろと試験研究機関で農政部長を初め、それぞれの職員の方々にも大変御苦労をおかけいたしまして、オリジナル品種酒米の好適米が出たわけでございまして、非常にこの点については今後の栽培に大きく期待するわけでございます。その中でお伺いしたいのは、いろいろと需要がこれから伸びると思われるわけでございますし、また現在5、000俵と、約60ヘクタールの要望あったんだけれどもそのようにはとても種子の関係でできないということで、非常に人気があるというふうに私も見受けておるわけでございます。ただ、その中でいろいろとこの内容を見ますというと、将来の、いわゆる平成15年度を目標にしておるわけでございますが、その中で目標を達成しない場合には美山錦でも対応するというふうなこともちょっと記載されたのを拝見したことがあるんですが、いずれはそういたしますというと、せっかく酒造好適米として吟ぎんがが開発されて、我々も、非常に将来性があるというふうなことでございますが、そうした達成しない場合はということからしますというと、何かこれは一抹の不安があるのかなというふうな危惧の念を持っておるわけです。これは私だけかもしれません。いずれそうしたことでこれから大いにこの面積を拡大していただき、さらにはこの販売につきましては、南部杜氏と言いまして全国一の杜氏さん方が出ておるわけでございますが、そうした杜氏さん方の手を経て販売拡大をしていただきたいと思うわけでございますが、その辺の見解をお伺いしたいと思います。

〇佐藤農政部長 麦、大豆の生産拡大のことでありますけれども、まだ閣議決定には至っていないようでありますけれども、新しい基本法に基づく基本計画におきまして、まず小麦につきましては平成10年度57万トン、これを平成22年度には80万トンまで伸ばしたい。それから、大豆につきましては16万トンを25万トンまで拡大したい。大豆のうち食用については今の15万トンから24万トンにしたいということが決定される見込みになっているわけですけれども、農政改革大綱以来というか、基本法の検討で実需者とのかなりの突っ込んだ意見交換がなされております。そのときに一番国産で問題になったのが実需者とのミスマッチ、品質がふぞろいである。値段の問題は別でございます。品質的に数量、それから品質がふぞろいだ。きっちりしたものをそろえてもらうと大変助かる、使いたいと。県内におきましてもそういう需要が高いということでありまして、また第2の生産調整みたいになるのではないかという不安が、私もそういう気持ちが今までの経過から言って、そういう心配がないのかという御心配は当然だと思います。県といたしましては、そういうことで国に対して農家が安心して生産に取り組んでいけるように経営安定対策、それから水田農業経営確立対策の堅持を強く要請してまいりたいと思っております。それから、前々申し上げておりますけれども、昨年11月に水田の麦、大豆振興方針を定めまして、今申し上げました実需者も交えた協議会を立ち上げ、連携を強めることによって契約栽培などの安定した生産なり取引に努めてまいりたい、進めてまいりたいと思っております。

〇石川農業普及技術課長 水田の畑地化に対応できるような稲の品種開発というお話でございますが、稲を畑に作付する場合に幾らかいろんな課題がございます。現段階では水田に比べまして干ばつだとか、あるいは低温による不稔といったようなものの発生が出てくるとか、そういったことに伴いまして収量が低いというふうな問題がございますし、さらに3年程度連作してまいりますとどうしても連作障害が出るといったような問題点もあるわけでございます。ただ、委員御指摘のとおり、こういった農業労働力が減少してきて高齢化してきている中で、やっぱり省力化というのは大変大事なことでございます。そういった品種なりあるいは技術の開発といったことは大変重要だというふうに思っておりまして、御提言の内容につきましては今後の検討課題とさせていただきたいと思います。

〇千田農産園芸課長 オリジナル酒造好適米吟ぎんがの12年度の作付面積、先ほど委員からお話ありましたように、種子の関係上、石鳥谷町で45ヘクタール、紫波町で5ヘクタールということで予定しております。将来的にはおおむね5年ごとを考えておりますけれども、約200ヘクタールの作付を計画しているところでございます。この吟ぎんがの評判でございますけれども、幸い──幸いといいますか、昨年の天候でございましたんですが、美山錦に比べまして一等米、たしか15%ぐらいだったと思いますけれども、この吟ぎんがにつきましてはあの天候で90%近くの一等米を確保したところでございまして、酒造組合さんからも評判のよいお米と受けとめられているところでございます。いずれ栽培した吟ぎんが、それからことし奨励品種といたしました岩手酒52号、これも含めまして全国に冠たる南部杜氏さんの力強いバックアップをいただきながら、着実な販路拡大を図っていきたいと、このように考えております。

〇藤原泰次郎委員 麦、大豆の関係でございますが、陸稲について、特に陸稲と申し上げますけれども、そうした場合に連作障害があるというふうなことで、それはそのとおりわかるわけでございますが、ただ、やはり動物の繁殖には連作障害はないと、植物にはあると。特にもその植物の中には桃なんかは忌地現象で非常にこれは激しいものでございます。しかし、その桃といえどもやはり忌地現象を克服するような手だても今やられているということでございまして、今お答えのように確かに連作障害あるとかというお話もあったんですが、これもやりようによっては研究することによって不可能ではないと私は思うわけでございます。というのは、先ほども申し上げましたように、やはり麦、大豆、稲と、その中で年数をある程度置いてやるとするならば余りそういう問題はないのではないかと思います。それから、品質におきましても、先ほど申し上げましたように、水田は田植え後、約2カ月ほどざんぶり水がつかっている。そういうことからしますというと、陸地の場合は毎日乾燥してはおりますけれども、散水の量によって不可能ではない。ある程度は克服できるということもあるので、特にも強くお願いしたいのは、岩手生物工学研究センターという立派なスタッフもおります。それから、農業研究センターもございます。そういう二つのセンターが協力して研究するならば、試験するならば私は相当の部分までこの研究の成果が出てくるのではないかと思うわけでございますので、その辺、再度また御所見をお伺いしたいと思います。

〇石川農業普及技術課長 お話のように大変難しい課題はありますが、これまでもそういう難しい課題をそれぞれ解決しながら、研究しながらクリアしてきたということもございますので、また今世界的には、例えば本当に低温でも育つような植物、あるいは干ばつでも育つような植物も遺伝子の組み換えなんかの技術を使いまして出てきておりますので、そういったものの情報なんかも入れながら、さらに委員お話しのようなことも検討の課題にさせていただきたいと思っております。

〇工藤篤委員長 審査終了の目途としております5時を過ぎましたが、あと5名の委員の予定があります。この際、進行に御協力を願うため、質疑、答弁は簡潔にするように御協力をお願いします。進行いたします。

〇佐々木順一委員 まとめて三つコンパクトにお聞きいたします。
 まず、男女共同参画社会の形成についてでありますけれども、国の方では農村社会において女性の進出のおくれが指摘されているこの現状にかんがみまして、女性の地位の向上を促進させるため、補助事業の採択の判断材料に女性の位置づけを条件とする内容を盛り込んだ農山漁村男女共同参画指針を策定、市町村に対し参画目標を設定するよう提起しているとお聞きいたしておりますけれども、ついてはこの動きに対する県の対応と市町村への指導、助言のあり方についてお伺いいたします。
 次は米の対策についてでありますが、先日、県では市町村の主産地度評価をまとめられたと聞いております。ついては次の点についてお聞きいたします。この主産地度評価のまとめに当たっての考え方と、盛り込まれた要素は何であるのかということと、また新しい配分基準のたたき台的性格を持つものなのか。また、この新しい配分基準、明年度からですが、どのような要素が加わるのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
 それから、最後もう一つは、国では食品メーカーやスーパーなどから出る食品廃棄物を肥料や飼料にリサイクルすることを義務づける、いわゆる食品廃棄物再商品化法案の制定を急いでいると聞いております。このようなことから県内では一部家畜の排せつ物の再資源化と、食品廃棄物の再資源化を融合させた施設の建設の検討に着手しているところもあると聞いておりますけれども、いずれこの法案の制定によってさらに堆肥過剰の時期を迎えるおそれもあることから、広域輸送のあり方や販売面での支援など施設整備の次の段階の、いわば堆肥活用のバージョンアップを考えていかなければならないと思うんでありますが、このことが考慮の対象になっているのか、その辺まとめてお聞かせいただきたいと思います。
 再質問いたしませんので、御答弁のほどよろしくお願いいたします。

〇石川農業普及技術課長 農山漁村男女共同参画推進指針についてでございますが、国が制定いたしました農山漁村男女共同参画推進指針を踏まえまして、県で今、いわて農山漁村女性ビジョン策定懇談会を開催しながら、幅広い御意見をいただきながら今ビジョンづくりの策定を進めております。そのビジョンに基づきましてさまざまな活動を通じて女性の意識啓発をしてまいりたいと思っておりますし、さらに県内にJAの女性部などの8団体ほどの女性の組織がございます。これは昨年岩手県農山漁村女性組織連絡会議というようなもので統合いたしまして、こういった組織の活動の支援を通じながらこのビジョンを推進してまいりたいというように思っております。また、ビジョンの実効性が上がるためにはどうしても、何といっても各市町村での取り組みが重要でございますので、全市町村に女性の参画目標を定めた実践プランの策定を指導、支援することとしておりまして、その目標達成に向けて関係機関、団体と一緒になりながら地域レベルでの取り組みを促進してまいりたいと思っております。

〇河村生産調整対策監 米の主産地度でございますが、今回取りまとめた主産地度は、基本的には生産者や関係者に市町村ごとに生産の安定度だとか、あるいは品質だとか実態について率直に認識していただきたいということで、それをばねにしてそれぞれの地域で一層売れる米づくりに取り組んでいただきたいということで策定したものでございまして、先ほど来出てございますいわて純情米レベルアップ運動、こういうものとも通じながら生かしていきたいと考えてございます。
 それから、配分方式との関係ということでございましたが、いずれ13年産からそういうふうな方式になるということで、都道府県、産地ごとの販売価格の動向等を踏まえて国は都道府県別に配分するというふうに変えるということですが、この目途が全国農協中央会が中心になりまして、6月末を目途にガイドラインのあり方についてJAグループとしての意向を取りまとめると、それを受けて国があり方等を決めるというふうなことになってございます。したがいまして、その結果を踏まえましてこの主産地度等も含めて、改めて農業団体等と具体的な協議を進めてまいりたいと考えてございます。

〇山下畜産課長 家庭生ごみ等食品廃棄物の一括処理についてでございますが、本県では平成11年度に畜産基盤再編総合整備事業で整備した大迫町の堆肥製造施設が既に稼働中であります。そして、平成12年度以降、引き続き水沢市、これは平成13年度計画、金ヶ崎町で平成12年度計画、それから紫波町でもこういう計画があるということで策定中であります。なお、食品メーカーやスーパーマーケット等から排出される食品廃棄物を堆肥の原料として家畜排せつ物と一体処理する取り組みにつきましては、今後法制化等、国の動向を見きわめながら関係部局と連携して検討してまいりたいと考えております。

〇阿部静子委員 質問を、単独質問をやめまして関連をいたします。男女共同の農業農村の共同参画推進の部分でございますが、県の策定中のビジョンに何を、どういうことを盛り込もうとなさっているのですか、お伺いをいたします。

〇石川農業普及技術課長 先ほど答弁させていただきましたこのビジョンに、どういうふうな内容の指標を盛り込むのかというお話でございますが、ビジョンの中にその達成目標として25項目ばかりの指標を掲げております。その主なものといたしましては、農村生活アドバイザーだとか、あるいは女性農業士の認定者数、あるいは家族経営協定の締結戸数、さらには女性の力を生かした魅力ある地域づくりのための食の匠の認定者数等々、今現在検討中でございます。さらに、これを踏まえまして各市町村段階においてもそういったプランを策定していただくように支援、指導してまいりたいと思っております。

〇阿部静子委員 その20何項目というのは全国同じなわけですか。岩手らしさというのはどのようにお考えでございましょうか。

〇石川農業普及技術課長 懇談会を開きましていろいろ御意見をいただいた中にも、やっぱり岩手らしさ、何で訴えるのかというふうなお話がございまして、特にもそのビジョン策定についてはその辺、大変私どもも苦労した部分でございます。全国的に同じ視点というのは当然あるわけでございますけれども、できるだけ農林漁業、漁業の部分も入りますし、林の部分も入ります。それから、本県では特にも農業の場合、女性の就業率が6割にも達していますので、そういったところをできるだけ出すような形で今策定しているつもりでございます。

〇樋下正信委員 時間も大分過ぎておりますので、私からは農業集落排水について2点お伺いします。
 9月議会でも質問しておりますが、あえてお伺いしたいと思いますが、1点目は、岩手県の総合計画によりますと、2010年までに下水道普及について80%まで普及させる計画ということでございますが、現在は40%弱の進行率であると認識しております。環境首都も目指しておりますし、ぜひ目標を高く掲げていただき、普及率については年次計画を立てておられると思いますが、それなりに普及してきているわけでございますが、2010年までの年次ごとの普及率をお知らせ願いたいと思います。
 次に、事業決定する場合の線引きなどの見通しなどでありますが、都市計画審議会で見直し、線引きをするわけでありますが、都市計画下水区域、要するに農業集落排水事業のはざまにあっては、なかなかいつの時点に下水の整備がなされるのかわからないというような現状でございます。いずれ地元の人たちからもいろんなそういうふうな話があるわけでございますけれども、そこで農村地域の中での都市計画で事業をする場所もあるわけでございますが、農村地域は農業集落排水での整備の考え方、または見直しをした方がいいのではないかと思うわけでございます。そういうふうな見通しについてのお伺いをしたいと思います。幸いでございますけれども、農林水産大臣は本県から輩出しております玉澤徳一郎衆議院議員でありますので、ぜひ農業集落排水事業の普及率を高める絶好のチャンスであるものだというふうに考えております。
 その2点についてお願いしたいと思います。

〇佐々木農村建設課長 まず、農業集落排水整備事業の目標についてでありますけれども、本事業におきまして本県の21%に当たる30万人を対象として整備することとしております。このうち平成22年までの整備目標につきましては19万人ということになってございまして、目標整備率につきましては64%ということにしてあるわけでございます。
 次に、農業集落排水事業区域の見直しについてでございますけれども、整備計画の細部について一部の見直しの要望もありますことから、事業の実施計画樹立の際などに受益農家や市町村の意向を踏まえ、庁内関係課及び地元市町村と綿密な連携のもと、適切に対応してまいりたいと考えております。

〇伊沢昌弘委員 たくさんあったんですが1点だけお伺いをしたいと思います。159ページの農業用廃プラスチック適正処理緊急対策事業費補助、これに関連をしてお伺いしたいと思います。
 本県農業、寒冷地の農業ということで今ビニールハウスとか、それから苗床などの地温上昇助材、さらには水分保持に使用されているマルチというシートがあるわけですが、さらには牧草を刈った後のサイロのかわりに、よく見られるようになりましたビニールでぐるぐる巻きにしたようなそういうものなど、稲作とか畑作、畜産を問わずプラスチック類の使用量が増加をしてきているというふうに思っています。一方で、ダイオキシン対策を含めて環境への負荷軽減が求められている。そういうところの中で使用後の処理処分、その費用が農業経営にとって大きくのしかかってきているのではないかなというふうに思われるわけであります。不適正処理をすればお金はかからないわけですが、適正に処理をしようというと膨大なお金がかかるということになろうかと思います。こういった中で一つには、今申し上げたような廃プラスチック類、全県でどのくらい使われているのか、もし把握していればお知らせをいただきたい。
 それから、前にテレビ等で見たんですが、農協さんだったと思うんですが、塩ビのフィルムに限ると思うんですけれども、中間処理をしてペレット状にかみ砕いて切って、これを再利用に回すということでやっているものを見たことがあるわけです。これらがどのくらい普及をしてきているのか、今後どのような形になると思われるのか、もしおわかりであればこれも教えていただきたいなと思います。
 3点目ですが、ポリエチレン等が多いと思うんですが、先ほど申し上げたマルチの部分ですが、土にそのままつけているものですので、最近は、紫外線だと思うんですが光によって分解をするような、容易に分解をする易分解性マルチが開発をされて市販もされているというふうに聞いているわけです。試験場等でもこれの性能といいますか、どの程度で分解をしてどうなるのか、実験もされているというふうにお聞きをしているし、このシートそのものも、もし開発しているとすれば大変すばらしいことだと思うんですが、そういった分野についてどのようになっているか、お知らせをいただきたいと思います。

〇千田農産園芸課長 まず、プラスチック類の状況でございますけれども、全体で2、500トンぐらいと見ております。内容的には塩ビが1、000トン、それからポリが1、500トンぐらいと見ております。それから、お話ありました塩ビのペレット化の普及状況、これは今ちょっと把握しかねておりましたんですけれども、ただ、私ども塩化ビニール、これは移動式破砕洗浄機といったものを使いまして、これを使って再利用するための原料をつくるといったような取り組みをしております。また、ポリエチレンにつきましてはセメント製造の燃料に利用するといったようなこと、こういったことで試験的に取り組んでいるところでございます。来年度以降につきましてもこういったような農業者への分別回収の意識啓発をやっていきたいと思いますし、それからポリ、燃やすだけでも何だということで肥料袋などの再生品、これの試作にも取り組んでいきたいなというふうに今考えております。そういったことで引き続き全体としてリサイクル利用を促進する見地から取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、もう一つ、分解性フィルムの試験研究についてでございます。農業研究センターにおきまして生育に与える影響、あるいは土壌中の分解特性などについて試験しております。葉たばこ耕作については、環境に優しい資材としての実用性が確認されておりますけれども、なかなか価格面での若干難点があるのかなというふうに考えております。また、キャベツやスイートコーンなどにつきましても、生育促進効果あるいは後作への影響、これについて引き続き研究することとしているところでございます。

〇伊沢昌弘委員 いずれ先ほど来お話が出ていました畜産のふん尿の処理も含めて、今までにないような取り組みをしてきているなというふうに思っています。最終的にはこの今申し上げた易分解性のマルチの部分などというのは、ほかの県では大変多く普及をされているようなところもある。ただ、価格の問題で高過ぎると、買ったときの価格が高いのか、処理するときの部分も含めてそこまでのトータルでどういうようになるのか、これはやっぱり県としても検討されながら、零細農家といいますか、農業を頑張っている皆さんが全くこのシートがなければ今つくれないというふうな状況になっていると思うんですね。そういった意味での助成策も含めて今後、助成を豊富にしていただきたいなと、こう思うわけですけれども、御所見をお伺いしまして終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。

〇千田農産園芸課長 ただいま御意見いただきまして、今後さらに勉強してまいりたいと思います。

〇工藤篤委員長 斉藤委員に申し上げます。進行に御協力をお願いします。

〇斉藤信委員 では進行に協力して2回に分けてだけ聞かせてください。幾つか割愛をします。
 一つは、農業・農村基本計画にかかわってお聞きをします。この5年間を見ますと農業粗生産額は約600億円減少をしています。この減少した理由は何でしょうか。同時に、農業・農村基本計画では10年後の目標として3、600億円と設定をしていますが、この間の減少の推移から見て3、600億円に引き上げる根拠、今までの何を解決して何を改善し目標を達成するのか、そのことを示していただきたい。
 米の生産調整のやり方が変わりますけれでも、県は売れる米づくりを推進するというふうにしています。その場合、県北地方の農業の米の位置づけはどうなるのか、農業振興の中身について示されたい。麦、大豆は本作にするとしていますけれども、国の食料自給率の目標最近発表されましたが、大豆は平成10年と平成22年で作付面積は変わりません。平成12年から10年間の目標で。本当にこれは本作にする気があるのか、大変私疑問でありますが、この間、価格も低下をしています。どうやったらこれ本作が可能なのか、このことをお聞きします。

〇河村農政企画課長 農業粗生産額の減少の要因についてでございますが、米の生産調整の強化や農畜産物価格の低迷によるものと認識しております。
 次に、農業・農村計画に示してございます農業粗生産額の目標設定の根拠についてでございますが、将来の農地面積や農業就業人口の見通しに立ちまして、生産の団地化や担い手への農地利用集積などによる効率の高い営農システムの導入や、各地域の立地特性を生かしました高収益作目の導入、拡大に努めるなど、今後の本県農業のあり方、あるいは関係者の取り組みを視野に入れたところで、地域ごと、作目ごとに積み上げて設定したものでございます。
 次に、県北におきます米の位置づけと農業振興についてでございますが、適地適品種の配置、売れる米づくりを基本としながら、生産者や関係団体の理解のもとに、平場地域との米の作付面積の市町村間調整制度を活用しますとともに、雨よけホウレンソウなどの園芸など、米以外の作目の導入と産地づくりを進めることによりまして、農家所得の確保を図ってまいる考えであります。

〇河村生産調整対策監 麦、大豆の本作は可能かというお話でございますが、いずれ本県の麦、大豆の水田における実態は、一つは規模が小さいというふうなこと、それから基本技術あるいは排水対策が必ずしも徹底されていないというふうなことで、概して収量等は低い状況にございます。ただ、排水対策あるいは基本技術を徹底して団地化を進めるということによりまして、本作として高い成果を上げている事例も各所に出てきております。例えば、今年度国が新たに行っております水田営農の優秀経営体の表彰というのがございますが、この麦、大豆分野で、麦では紫波町の丹後麦生産組合が農林水産大臣賞、それから大豆では玉山の武道豆転作組合が農産園芸局長賞というふうなものを受賞することになってございます。このような優良事例の取り組みを指導し支援を集中しながら、県内各地に普及していきたいというふうに考えてございます。また、大豆が余り変わらないのでないかというお話ございましたが、これは実は畑作大豆が少しずつ減ってきてございます。逆に水田の大豆が物すごい勢いでふえているということで、それを合算した計画で、大してふえていないというふうに見えますが、中身で見れば水田の大豆はかなりふえるというふうな計画になってございます。

〇斉藤信委員 農業粗生産額の減少というのはそんな机上の作文で答えられたら、農家の苦しみ全然伝わりませんよ。部長に聞きますよ、いいですか、県は何回もこういう農業基本計画を立ててきたんですよ。そのたびに目標を下回ってきたんですよ。今回また3、600億円、3、000億円今割っているんですよ。それぞれのものを見ると、米も麦類も園芸も畜産も全部この間マイナスですよ。生産調整一言でこの農業粗生産額の減少を答えられるものじゃないでしょう、これ。そういう点では、ただ目標を掲げていつも達成しないと、達成しないどころか、どんどんこれは粗生産額はマイナスになってきているんです。そういう点では本当に農家が納得できるものにしなくてはならぬ。そして、大豆の本作だって、本作やっているところが減って水田の転作がふえていると言うんでしょう。これは今助成金があるからそういう流れになっているけれども、本作になったら立ち行かないということでしょう。大体大豆の価格がどんどん下がっているんじゃないですか。私はそういう点では本当に価格補償、こういうものを県としてもやる。そして、商品として成り立つというところまで本当にシステムを確立しないと、助成金が出るときだけはやるけれども、あとは本当に商品化されないまま終わってしまうんじゃないか。その点で部長、この間の本当に深刻な農業粗生産額の減少をこれを打開して3、600億円本当にいくのか、もう少し丁寧な話をしてください。
 最後の質問ですが、私は農業土木事業について最後お聞きをします。馬淵川の沿岸水利事業、これは私数年前にも取り上げました。これは国の事業と県の関連事業を含めて総事業費は幾らになるか、今進捗状況はどうなっているか。平成9年のときの調査によると、農家の用水確保の希望というのは37.4%でした。受益農家対象のアンケートで。いわば受益農家の37.4%しか用水を必要としていないのに、約500億円、県の事業を含めれば恐らく700億円近い事業になると思うけれども、これが進められているのではないか。その後どういうふうに事態が変わっているのか示していただきたい。
 それと、最後、胆沢ダムの用水の問題だけ聞きますけれども、胆沢ダムの農業用水の必要量、これは私は本義会でも聞いたんですが、時間がなくて再質問できませんでしたけれども、今までの必要水量というのは9、000万立方メートルですね。ところが、水田の必要水量は1億5、830万立方メートル、1.7倍に設定をされています。大体農業用水の必要量というのはそんなにこの間変動していない。だとするならこれから農業用水確保するのに2、440億円のダムが本当に必要なのか。私は代替案の検討が必要だと思うんですよ。そもそも胆沢ダムというのは農業用水の必要性から出発したんですね。ところがその後、飲料水だ、洪水調整だということになって巨大ダムに化けてしまった。私はまた原点に立ち返って、本当に農業用水の必要性ということから考えたら、2、440億円のダムではなくて別な用水確保の代替案の検討こそ必要ではないか、そういう検討はしたんだろうか、代替案はないんだろうか、そのことをお聞きしたい。

〇佐藤農政部長 農業粗生産額の目標についてでございますけれども、これからの農業は、例えて申し上げますと、雨よけホウレンソウのように産地づくりのリーダーを養成しながらそれでいろんな方々がリレー出荷に参画していくとか、個別農家中心ではなかなか限界があるということを、地域ぐるみ農業を推進することによって産地づくりを進めていく。そういうような地域が非常に活発に生産活動も行い、あるいは地域活性化にもつながってきているということでございまして、そういう主業型農家の1万1、000戸の育成を重点的に支援しながら、産地づくりというものを兼業農家も含めて取り組んでいくと、そういう産地づくりをやればできるはずだということですが、前提がございます。これはこれまでの何年間か景気の低迷によりましてそれから輸入農産物の急増に伴いまして国内価格が影響を受ける。そういったことでありますとか、それから代表的に、先ほど農政企画課長答弁いたしましたけれども、いわゆる米の大幅な需給アンバランスが、いわゆる米余りが続いてそれで米価がどんどん下がってきているということとか、そういう経済社会情勢の変化というか、そういうものがいろいろな形で影響はあろうかと思います。ただ、その辺の外的要因については予測しかねますので、ここ最近の平均価格で推計するとかということになっていますので、当然ぶれはあろうかと思いますけれども、ただ、新しい基本計画におきましては国民の理解を得ながら地産地消、身土不二、こういった国内農産物をみんなで守り育てていくという、その国民運動としての農業、農村の再構築が言われておるわけでして、私どもも総合食料供給基地を標榜する限り、一生懸命やらせていただきたいと思っております。

〇永嶋農村計画課長 国営馬淵川沿岸地区の農業水利事業についてでございますが、第1点目の御質問の県の関連事業を含め、総事業費と進渉状況はどのようになっているかということでございますが、県の関連事業を含めまして、総事業費は委員御指摘のとおり701億円ということになっております。進捗状況につきましては国営事業の進捗率が34%でございまして、県営事業につきましては、二戸市の舌崎地区が県営畑地帯総合整備事業といたしまして平成12年度に着工を予定しているところでございます。
 次に、農家の意向調査の結果から用水が使われない事業になるのではないかという御質問でございますけれども、この事業につきましては作物の適期播種、定植などのかんがい用水や防除用水として計画されたものでございますけれども、このほかにも実際の営農に当たりましては表土の飛散防止、それから霜害防止、それから機械や収穫物の洗浄用水など多様な利用法によりまして、有効に利用されるのではないかというふうに考えております。
 次に、今までどういう対策、対応が取られてきたのかという御質問でございますが、平成11年度までに6カ所の展示圃場を設置しているほか、農家の方々によります先進地視察を行い、これらの成果を促進協議会の広報紙等で関係の課にPRしております。また、受益農家、関係農家を対象としましたセミナーや受益農家との意見交換会の開催によりまして、畑地かんがい営農の普及と地域要望の把握に努めております。このような中で平成12年度から附帯県営事業に着手するわけでございますが、順次、地元の合意形成の図られたところから事業化を図りまして、用地の活用を図っていきたいと考えているところでございます。
 また、胆沢ダムの件でございますけれども、胆沢ダムの受益でございますが、9、600ヘクタールに水田の必要水量といたしましては年間1億5、800万トンが必要であるというこういう計算になっておりまして、現況の利用可能水量、これは干ばつ時でございますけれども7、990万トン、約800万トンしかとれないという状況でございまして、この不足分7、840万トンを胆沢ダムに依存しようというこういう計画でございます。先ほど9、000万トンという数字が委員言われましたけれども、これは恐らく平成11年に取水できた水量ではないかというように考えておりますけれども、実際9、000万トンでも、必要水量の1億5、800万トンにはさらに相当少ないという状況でございましてこの分をダムに依存する必要があるというふうに考えております。
 また、9、000万トンで水が足りているのかということでございますけれども、これにつきましては毎年のように番水だとか、それから反復利用の強化、それから取水制限といったことを農家の方で余儀なくされておりまして、干ばつの際には毎朝のように関係農家が集まりまして節水の対策の協議を行っているという、異常な水管理を行っているという状況でございまして、このような異常な管理を正常化するためにも、このダムは必要不可欠なのではないかと考えている次第でございます。

〇斉藤信委員 農政部長、やっぱり国の政策が変われば土台が変わってしまうと、条件が変わってしまうと、結局ここが大きな問題なんですよ。だから、どんどん農業の縮小再生産になってきた。これから3、600億円やろうとすればこういう国追随型ではなくて、やっぱり価格補償、所得補償、生産を守る対策が中心にならなければだめだと、だから農政の約6割が公共事業という体質を変えなければだめだし、それを私は指摘したい。
 それで、馬淵川沿岸水利事業、いわば公共事業中心の事業がどうなっているかということを、私はこのことを取り上げたんですよ。700億円の事業で、いわば事業先にありきで、これからいろんなセールスをして用水を使ってもらいますと、話違うんだと思うんですよ。費用対効果を検討したら本当にこれが農民のためになるのか、もっと別な対策が、水が必要な農家がいたとしても私は700億円の事業は全く必要なかったんじゃないかと思いますよ。そういう点で事業先にありきというやり方、これはやっぱり見直さなければだめだと思います。そして、私が胆沢ダムを聞いたのは、今、農家が水を必要としているのは事実です。しかし、それが巨大ダムに化けてしまったと、必要な水量を確保するのになぜ2、400億円のダムでなければだめなのかという、このことをやっぱり見直すべきではないのか。代替案を検討すべきじゃないのかと。洪水調整だって今ダムの時代じゃないですよ。飲料水だってあそこは飲料用の水は確保されているんですよ。農業用水は若干足りない。しかし、この若干足りないために何で1、000億円も事業費をかさ上げになって2、440億円のダムになるのかと。そういう点ではこういうことを本当に見直さなかったらむだ遣いなくならないじゃないですか。そういう点でひとつ、私はそういうことを提起したんです。そういう代替案。むだのない対策が本来必要なんではないか。何かあればお聞きしたい。

〇工藤篤委員長 ないようであります。
 ほかに質疑ありませんか。
〔「なし」と叫ぶ者あり〕

〇工藤篤委員長 質疑がないようでありますので、これで農政部関係の質疑を終わります。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
  午後5時37分 散 会


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