平成12年6月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録

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〇12番(阿部静子君) 社会民主党の阿部静子でございます。通告順に従い質問いたしますので、誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。
 まず最初に、国際連合関連事業への取り組みと具体的な計画について質問いたします。
 昨年は国際高齢者年の記念行事である財団法人日本国際連合協会等が主催する、第32回国連運動全国大会が盛岡市のホテルで開催され、大きな成果を上げました。そしてことし2000年は、平和の文化国際年でございます。国連総会は、20世紀最後の年を平和の文化国際年とし、平和の文化に関する宣言を採択して、21世紀への確かな平和の意志を宣言いたしました。
 宣言では、平和の文化とは、自由、正義、民主主義、寛容と連帯、人権尊重の原則に基づいた文化であり、暴力を拒絶し、対話と交渉によって問題を解決しようとする文化であり、対立の原因を根本から探り、平和的に争いを防ぐ文化であると定義し、政府、自治体、教育、文化の諸機関、民間団体、市民社会全体がそれぞれの活動の中で、常にこの宣言に基づいて行動することを願っております。
 そこでお伺いいたします。
 このような崇高な理念のもとに決定された平和の文化国際年に当たり、本年はこれに関連する事業にどのように取り組まれておられるのでしょうか。また、現在、世界じゅうの多くの人々が、自国内、国外を問わず、福祉、教育、環境、開発、人権擁護等の社会の各分野においてボランティアとして活躍しており、ボランティアは社会を支える不可欠な存在として認められているところでございます。このボランティア活動に対する関心と理解を一層高めるため、1997年の国連総会において、我が国の提案に基づき、来年をボランティア国際年とすることが決められたところでございますが、本県における取り組みとしてはどのようなことを計画されておられるのか、お尋ねいたします。
 ここで、増田知事にお伺いをいたします。
 日本国憲法の平和理念と共通する平和の文化国際年の理念についてどのように認識され、歴史的な南北朝鮮両首脳の会談についてどのような御見解をお持ちなのか、お聞きいたしとうございます。
 次に、女性施策のうち、まず、男女共同参画プランについて質問いたします。
 1995年に第4回世界女性会議が北京で開催されてから5年目のことし、国連特別総会女性2000年会議が6月5日から10日まで、ニューヨークの国連本部で開催されました。5年前の北京会議では、女性への暴力や性と生殖に関する健康と権利に広く関心が集まり、女性の人権の普遍性や能力向上、いわゆるエンパワーメントの重要性が合意されました。北京会議以降、我が国でも国際的な流れに呼応する形で男女共同参画2000年プランが策定され、労働基準法や男女雇用機会均等法、優生保護法が改正されました。待ちに待った児童買春・児童ポルノ禁止法や男女共同参画社会基本法も施行されました。岩手県におきましても、いわて男女共同参画プランの策定に当たっては、県民意識調査や素案段階から県のホームページへの公表、市町村や女性団体、女性リーダーなどから広く意見を聞くなど、関係当局や多くの関係する皆様方の御努力によって、いわて男女共同参画プランが策定されました。婦人対策懇談会委員の1人として、1978年の岩手県婦人行動計画の策定にかかわった私といたしましては、このプラン策定に携わった方々への敬意と感謝の思いでいっぱいでございます。
 そこで、感謝の思いを胸に刻みながらお伺いをいたします。
 労作である我がいわて男女共同参画プランが他に比べて誇れる特色として、どのような点を挙げられますでしょうか。さらに、このいわてのプランを県民の皆様方に周知し実効あるものにするために、どのような手だてをおとりになるのか、お示しいただきとうございます。
 また、埼玉県、東京都がいち早く条例を制定いたしましたが、岩手県の場合、条例ではなくプランであり、今後、条例を制定するお考えがおありなのか、知事の御見解をお聞かせください。
 昨年の統一地方選挙において、女性議員が躍進し、ことしは大阪府と熊本県に女性知事が誕生いたしました。さらに、今回の衆議院総選挙において、女性議員は前回より12人ふえ、35人が当選いたしました。しかし、国連開発計画が去る6月29日に発表いたしました1999年版人間開発報告書によりますと、社会の発展の度合いを示す人間開発指数では前年の世界第4位から第9位に下がり、国会議員や管理職に占める女性比率など、女性の社会進出の度合いをはかるジェンダー・エンパワーメント測定では前年の第38位から第41位に後退し、我が国の平等達成への歩みは諸外国に比べておそく、残念でなりません。
 そこで、お伺いいたします。
 愛してやまない岩手県は、47都道府県の中で、女性の社会進出の分野別のうち、地方議員に占める女性議員の割合、地方公務員の管理職に占める女性の割合、県の審議会等の委員に占める女性の割合はどうなっているのでしょうか、お示しください。また、現状をより推進するために、今後どのような手だてをおとりになるのか、御見解を伺いとうございます。
 次に、仮称いわて男女共同参画推進センターの整備について質問いたします。
 去る6月1日、もりおか女性センターが中の橋際、旧岩手銀行本店向かいに建設されましたプラザおでっての5階にオープンいたしました。市議会、特にも女性市議会議員が連携してのしつこいまでのたび重なる建設要請質問と、1984年に設置されました盛岡市女性懇談会の諮問と相まって、20余の市内の女性団体がもりおか女性の会を1992年に結成し、男女で活用できる女性センター施設の設置に向け、しなやかでしたたかな活動が続けられました。まさに官民が一体となって活動し練り上げてきた念願の施設であり、今後の運営に大きな期待が寄せられているところでございます。
 プラザおでってが女性センターを中心にそれぞれの施設の機能を発揮し、地域発展・活性化の拠点として大いにその存在感を示してほしいものです。
 そこでお伺いいたします。
 県は、JR盛岡駅西口地区に開設予定の仮称いわて男女共同参画推進センターを、女性施策推進の拠点施設として整備することを打ち出しました。遅きに失した感はありますが、これで県内の女性も男性も男女共同参画への意識を高め、活動が実感できるものと信じます。
 県は、施策の方向として、情報、学習、相談、活動の四つの基本的な機能をセンターに持たせ、市町村、関係団体との総合的なネットワークの構築を図るとしております。これらの機能が十分に発揮できるために、利用する側の意見を踏まえた施設とすることが必要であると思います。今後の施設の具体的な設計をするに当たって、利用しやすい施設とするためにどのような手だてをおとりになるのでしょうか、お伺いいたします。
 次に、農村女性起業家集団の活動の実態と県の支援策について質問いたします。
 20世紀後半は石油消費に明け暮れ、経済効率優先で、物の豊かさや便利さだけを追求してきた嫌いがございます。その風潮は食の分野にまで及び、食料増産に向けた農薬や化学肥料の大量の消費、加えて食料素材の輸入自由化政策により、生産者と消費者はともに顔の見えない遠い存在となりました。これにより、自然環境も人間の命を脅かす危険を招いております。地元でとれた農産物や水産物を新鮮なうちに地元で消費する地産地消。かつては土産土法と私は記憶しておりますが、この実現こそが食の安全に通じる第一歩になると消費者側も実感し、新鮮な地場産品を買い、食べるのが楽しみという消費者が急激にふえています。女性農業従事者の約3割が65歳を超えていると言われている中で、とっても元気な農村女性たちの起業家や団体の活躍がございます。そして、その女性起業家や集団が活躍する地域は女性たちだけではなくて、地域全体が生き生きとし、彼女たちは地域活性化にとって欠かせない存在となっていると評されております。事実、産直施設の人気は、観光客入込増へのにぎわいに通じていると報じられております。
 そこでお伺いいたします。
 県は、産直などに意欲的に取り組んでいる女性起業家の実態をどうとらえておられますか。岩手の大地にきらめく個性ある農村の創造の一環として、どのような構想のもとに、どのような支援策をおとりになるのですか、具体的にお示しください。
   〔副議長退席、議長着席〕
 次に、教育課題について質問いたします。
 まず、少人数学級の推進についてお伺いいたします。
 過日、文部省は、次の教職員配置改善計画を念頭に置いて検討を重ねてきた、教職員配置のあり方等に関する調査研究協力者会議の報告を受け、今後の教職員定数の改善に関する基本的考え方について発表しました。これによりますと、国の学級編制の標準は現行どおり、上限を40人とすること。各都道府県が、国庫負担教職員定数を活用して、地域や学校における実態等に応じた学級編制を行うことができるよう、弾力化するとの方針が示されたところでございます。確かに、都道府県が弾力的な運用ができるようにと支援策はいろいろ提唱しているものの、そこには子供たちの姿も教師たちの願いも映し出されてはいないと私は思っております。
 主要8カ国教育サミットに出席のため来日したアメリカのライリー教育長官は、日本では、学級規模縮小より補助教員導入などの方に効果があるという声もあるようだが、クリントン政権が進めている小学校の低学年18人学級は、調査により成績向上、子供と教師のきずな、子供同士の友情、学校と親とのつながりが親密になった。アメリカでも補助教員政策は随分やったが、今は専任教諭をふやした少人数学級に政策の重点を移し、教員10万人を新たに雇用するなどの計画を積極的に推進する決意を表明したと報じられています。
 子供たちは、声をかけられることを待っています。名前で呼ばれることを待っています。次の人とか、番号で呼ばれたくないと思っています。その子供たちの思いに教師たちはこたえようと努力し、悩み、少人数学級の実現を訴えています。
 2002年度からの学校週5日制を控え、学校がゆとりある教育を実現するとともに、不登校、いじめ、学級崩壊等、学校が抱える困難な問題に緊急に対応する必要があると考えます。教育行政は、教育現場の声に耳を傾け、その実態をとらえ、県財政が厳しい中にあっても、教育にこそお金をかけるべきであると、毅然とした態度をとっていただきたいものです。
 そこでお伺いいたします。
 せめて小学校の1年生の定数、配置基準を、当面、35人を1学級の上限として、2001年度より実施するお考えはございませんか。現在、来年度の小学校1年生の入学見込みから35人を上限とした場合、どれだけ教員の増員が見込まれ、その予算増はどれほどになるのかを含めて、合田教育長の決意を込めた御答弁をよろしくお願いいたします。
 次に、高校再編について質問いたします。
 昨年度の県議会で増田知事は、高校再編はよりよい学習環境を構築することに意味があると答弁されていらっしゃいます。よりよい学習環境とは、どのようなものを言うのでしょうか。私が教師のころは、黒板に触れるチョークの音、子供たちのチョークのあとを追う瞳の輝きに喜びを感じたのも、今では遠い思い出となりました。
 今、私は、21世紀を展望したよりよい学習環境とは、ゆとりある快適空間、情報活動に対応する学校図書館、少人数の授業に対応する教室、また、情報ハイウェイ構想に対応したコンピューターシステム等々、多面的な施設設備が必要だと考えております。後期計画を含めて、今後の高校再編計画は夢県土いわてを構築する重点課題だと、多くの県民が考えていると思います。
 そこでお尋ねいたします。
 学校再編の動向を注視している県民が、安心して高校改革、高校再編を進めようとする気持ちや雰囲気をつくるために、教育長の高校改革にかける意気込みと高校再編にかかわる施設設備の整備についての基本的なお考えを、財政面を含めてお示しいただきとうございます。
 また、いまだ住民の納得が得られていない地域について、どのような方策をおとりになるのかお尋ねいたします。
 次に、学校図書館の問題について質問いたします。
 今、全国の学校は、学校週5日制の完全実施に合わせて大きく変わろうといたしております。生徒みずからが調べたり体験したりする主体的な学習が重視され、インターネットや図書館の検索システムを生かした総合的な学習や選択学習、さらには情報科目の導入が予定されております。2003年度から、12学級以上のすべての学校に司書教諭を置かなければならないことに、学校図書館法が一部改正されました。
 岩手県高等学校教職員組合が行った図書館の実態調査によりますと、生徒1人当たりの図書貸出数は昨年度1.05冊です。多感な高校生が、1年間に1冊しか本を借りないというのは、余りにも少な過ぎるのではないかと思います。何よりも驚くことは、図書検索カードが機能していないということで、署名目録カードが完備しているのが88校中7校、何とか利用できるのが19校、不完全で利用できないのが27校、設置されていないのが35校ということです。著者目録や件名目録にあってはさらにひどく、目を覆うばかりとか。生徒がテーマを持って調べようにも、資料の検索ができないという状況です。このような学校図書館の機能不全のまま、総合的な学習などを導入することに対して、学校現場からは大きな不安の声が上がっております。
 また、学校図書館は、単なる蔵書の置き場所ではないはずです。教科指導、進路指導、生活指導、部活指導で手いっぱいの教職員に任せきりの現在の兼任のやり方は、もう限界でありましょう。図書館に専任司書を配置したら、貸出数が年間数百冊だったものが、数千冊から1万冊を超える図書館になったという実例は、他県の図書館では普通のことだということです。
 そこで、教育長にお伺いいたします。
 このような岩手の県立高校の図書館教育の立ちおくれを、どのようにお考えでございましょうか。また、図書館専任担当者の加配が他県ではできても、なぜ岩手ではできないのでしょうか。せめて、各地域の重点的な学校から専任の図書館担当者を加配していくことはできないものでしょうか、お伺いをいたします。
 最後に、盛岡市のオムニバスタウン事業について質問いたします。
 この事業は、渋滞緩和、交通弱者の足の確保、環境保全を目的といたしております。具体的には、ゾーンバスシステムを中心に、運行体系の改善として、基幹バス、支線バス、都心循環バスの整備、走行環境の改善としてバス専用レーン、PTPS──公共車両優先走行システム、利用条件の改善としてミニバスターミナル、乗り継ぎ割引料金などの施策を行うものです。この事業を成功させるために、ハイグレードバス停、バスロケーションシステム、低床バス、小型バスの導入等の支援施策を行うとなっております。そして、国では運輸省、建設省、警察庁が支援し、市と事業者が取り組むことになっております。既に浜松、金沢、松江の3市でスタートしており、盛岡市もことし2月1日に全国4番目に指定を受けた事業です。事業期間は1999年度から2004年度までで、20億円を要して実施するとのことです。既に昨年度はハイグレードバス停整備、スロープ付低床バスの導入、啓発事業としてキャンペーンやバスフェスティバルin盛岡の開催、好評の都心循環バスでんでんむしの実験運行などが行われております。そして、今年度は松園地区のゾーンバスシステムの構築のため実験運行の事前調査、運行計画の作成、システムの検討会等を初めとする事業が計画されております。しかし、盛岡市のオムニバスタウン事業は全国でも初めてのものも多く、国や県の積極的な支援がなければ、事業の円滑な推進は不可能であろうと考えます。その支援策として、さきに述べました公共車両優先システムの導入の検討やバス専用レーン延長の検討など、警察本部が対応しなければならない事業もあります。
 そこでお伺いいたします。
 岩手県として、財源補助についてどのように考えておられるのか、お尋ねいたします。また、県警察本部としてどのように支援されるのか、あわせてお伺いをいたします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 阿部静子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、平和の文化国際年の理念についてお尋ねがございましたが、国連の特別行事でございます国際年の制定、これは、国際社会が1年間を通じて一つの共通した問題に取り組むこととして国連総会の場で決定される、こういう手続を経て決定されるものでございまして、ことし、すなわち西暦2000年は、今、議員からお話ございましたとおり、平和の文化国際年ということで定められております。
 この平和の文化というもの、その中心となります内容は、私は、個人や国家が積極的にお互いに理解し合い、そして協力し合って、対話と交渉によって、さまざまな現実問題として起きております紛争や対立を平和的に、平和裏にこれを解決していく、そのような文化のことであると、このようにとらえているわけでございまして、そのためには、積極的な異文化理解や国際協力の促進などが不可欠であると、このように考えておりますし、またさらに、こうしたことは、国の行うべき役割ももちろん大きいんですが、それのみならず、地方公共団体でございます岩手県もその中で果たすべき役割は大きいものと、このように考えております。
 次に、さきに行われました南北の首脳会談、大韓民国の金大中大統領と朝鮮民主主義人民共和国の金正日総書記との間で行われました歴史的な会談についてでございますが、歴史が生んでまいりました民族分断の悲劇を乗り越えて、また、異なる国家制度を歩んできた両国が互いに手を携えて、民族同胞の崇高な意思によりまして祖国の平和的統一への第一歩を踏み出したことに私自身も深い感銘を受けましたし、歴史の大きな胎動を感ぜずにはおられないわけでございます。今、議員御指摘のとおり、20世紀最後のこの年が平和の文化国際年と定められましたことは、戦争の世紀から平和を希求する時代への歴史的な転換点としてまことに意義深いものと、このように考えております。
 次に、いわて男女共同参画プラン、これは平成22年までの計画ということになってございますが、この男女共同参画プランについてお尋ねがございましたが、昨年6月に制定されました男女共同参画社会基本法というものがございます。この基本法の理念にのっとりまして、このプランの方は本年3月に多くの県民の皆さん方の参加をいただきながら、全国に先駆けていち早く総合的な計画を策定したところでございます。
 このプランは、岩手らしさの視点から施策の体系化を図ろうということででき上がっているわけでございますが、県民の意識調査によりますと、岩手県というのは、全国に比べて県民の男女の地位に関する平等感が低いと、こういう結果が出ております。ですから、まず第1に、意識改革ということを重要な柱としてこのプランの中では掲げております。
 また、第2に、本県の第1次産業、農山漁村におきます第1次産業に従事している女性の割合が全国で一番高い、全国第1位と、こういう数値になっておりますので、農山漁村におけるパートナーシップの推進というものを掲げて、これに重点的に取り組むということとしてございます。
 それから、プランの第3の特色として、数値目標を多く掲げてございます。数値目標として、この前のはいわてさわやか女性プランというのがございました。そちらでは数値目標はわずか1項目だけ記載してございましたが、今回の新しいプランでは、広範囲な分野にわたる52項目を数値目標として設定いたしました。中でも、こうしたプランを実行に移していくためには市町村の取り組みが大変重要だと思っておりますので、県内の全市町村で、今度は具体に地域に即した男女共同参画計画を策定していただくとしてございますし、それから、審議会などにおける女性委員の割合でございますが、この割合の数値目標については全国で一番高い目標値、すなわち50%ということになってございますけれども、全国で一番高い目標値を掲げたところでございまして、これらの達成に向けて施策を総合的に推進することとしてございます。
 このプランを広く普及し、計画の実効性を確保するということが何よりも大事なわけでございますが、そのためには、何よりも県民一人一人の意識と取り組みが重要であると考えられますので、今年度から新たに6月──先月でございますが──を推進月間と定めまして、その中で集中的に各地域において意識啓発のためのさまざまな取り組みを重点的に実施しました。各地域において、男女共同参画に関するさまざまな取り組みを核となって実践していただく男女共同参画サポーターの養成ということも行っております。これは2010年までに550名という目標を立ててございますが、初年度は、ことし50名ということで考えてございましたが、非常に応募が多かったので70名の方々にこれを実施したわけでございますが、2010年までには県全体として550名養成しようと、こんなことを考えてございますし、それから、今月からですが、県内に出かけていって男女共同参画プランの出前講座というのを実施したい。県内で今、6地区を予定してございますが、この7月から県内各地域で実施していきたい、こんなことをして市町村計画の策定を支援することと、このように考えているところでございます。
 それから、条例の制定についてお尋ねございましたけれども、昨年国の方でつくりました基本法が男女共同参画社会の実現に向けた基本理念というものをその中で明らかにしておりまして、国、地方公共団体、それから国民の責務というものをこの基本法の条文の中で明確に規定いたしておりますので、県としては、まずもって県でつくりました新しいプランの理念を県内の隅々にまで普及啓発をするということ、それから、県民の皆さんとともに本県の地域特性を反映した数値目標の達成に取り組むこと、このことに全力を挙げたいと思っておりまして、当面は、この基本法と、そしてつくりました新しいプラン、これはまだ条例ではなくてプランなわけですが、この基本法と新しいプランとの両輪で男女共同参画社会の実現を図っていきたい。それから、プランを条例化するかどうかというのは、そうした中で今後の検討課題にしていきたい、このように考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承お願いいたします。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) まず、平和の文化国際年に当たっての取り組みについてでありますが、県におきましては、県民一人一人が国際間の相互理解を深め、さまざまな国際協力活動に積極的に参加することのできる環境づくりとともに、海外との人的交流を推進するなど、国際協力を支援することといたしております。
 今年度における主な事業としましては、高校生世界のかけ橋推進事業として、21世紀を担う若者の異文化に対する理解を促進し、将来広く国際人として羽ばたく芽を育てることといたしており、また、海外技術研修員受入事業として、開発途上国の研修員を受け入れ、技術協力のための指導者の養成に寄与することとしているほか、海外自治体職員研修受入事業としまして、海外の自治体の職員を本県に受け入れ、本県行政のノウハウを習得させるなど、人材育成を基本とした取り組みを行っているところであります。
 また、平和の文化国際年の意義の普及を目的として、日本国際連合協会岩手県本部と岩手県ユネスコ協会連盟では、国際理解と国際協力のための高校生の主張コンクール、ポスターコンクールなどの普及啓発事業を行う計画と伺っております。
 県といたしましては、今後とも活動民間団体と連携を図りながら、女性と男性の平等と機会均等の促進など、幅広い視点から平和の文化の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、ボランティア国際年の取り組みについてでありますが、ボランティア活動等が地域社会において果たす役割の重要性にかんがみ、平成10年に社会貢献活動の支援に関する条例を制定し、これまでボランティア活動等の相談体制の充実、ボランティアフェスティバルの開催、情報システムの整備、支援拠点機能の充実など活動環境づくりの支援に取り組んできたところであります。
 議員御指摘のとおり、来年はボランティア国際年であり、国が全国10カ所で開催するボランティア国際年記念シンポジウムの本県開催を要望し、北海道・東北地区で唯一の開催地に内定したところであります。このシンポジウムは、来年2月、盛岡市を会場に、基調講演やパネルディスカッション、写真展を内容として開催しますが、これを契機として、ボランティア活動、NPO活動に対する県民の関心をさらに高めるとともに、県内における活動を一層活性化してまいりたいと考えております。
 次に、地方議員に占める女性議員の割合についてでありますが、平成11年3月31日現在の総理府調査によりますと、本県の県議会及び市町村議会議員、これは一本になった資料しかございませんのでそれで申し上げますが、県と市町村の議会議員でいきますと、1、272人の議員中、女性議員は31人、2.4%で全国第40位、地方公務員に占める女性管理職の割合は、県職員について見ますと、本庁の課長以上196人中4人、2.0%で全国第18位、また、県の審議会等委員に占める女性の割合は71審議会、1、477人の委員中、女性委員は359人、24.3%で全国第5位となっております。
 今後、男女共同参画社会を実現していくためには、政策・方針決定過程への女性の参画拡大が重要な課題でありますことから、県といたしましては、女性洋上セミナーや海外研修等の実施により地域のリーダーとなる人材育成に努めるとともに、県、市町村、公的機関や各種団体、企業等における政策・方針決定過程への女性の参画を積極的に進めていくことといたしております。
 また、その成果として、いわて男女共同参画プランに指標として掲げております県の審議会等における女性委員の割合を高めていくとともに、県職員の管理監督者に占める女性の割合につきましても、目標値の達成に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 また、仮称いわて男女共同参画推進センターにつきましては、盛岡駅西口複合施設に整備する県民活動支援総合センターの施設の一つとして計画いたしておりますが、この推進センターは、本県における男女共同参画を推進する拠点としまして、情報ネットワークの構築やリーダー養成や市町村支援等により、遠隔地を含めた幅広い県民や女性団体、関係機関等の相互情報交流、連携を促進することを目的といたしております。
 施設の整備に当たりましては、女性団体や市町村を初め、県民の方々から延べで約120件の御意見をいただいたところでございます。例えば、働いている方々も利用できるような開館時間や開館日の設定、子育て中の女性が気軽に利用できるような保育室の設置等、県民の皆様から寄せられました貴重な御意見を可能な限り反映した施設となるよう、現在、検討を進めているところであります。
 今後は、県民活動支援総合センターに導入が計画されている他の四つのセンターとの調整を図りながら、県民のニーズに合った、利用しやすい施設となるよう整備に努めてまいりたいと考えております。
   〔農政部長佐藤克郎君登壇〕
〇農政部長(佐藤克郎君) 農村女性起業家の実態と支援策についてでございますが、県内には、現在、地域農産物を活用した225カ所の有人の産直施設や164カ所の加工施設があり、そのうち、産直施設の約6割、加工施設の約8割が女性によって運営されております。また、岩手ならではの食文化を伝承し発信する食の匠は、個人で認定されている87人のうち82人が女性で、この中には、それぞれのわざを生かし、郷土料理や加工食品として起業化につなげている事例も多く出ております。さらに、女性の感性を生かした農家民宿や農村レストランなどグリーン・ツーリズムの取り組みも活発になってきております。このような女性の起業活動は、女性の社会参画を促進する上で、また、農業・農村の活性化にとりましても重要な意義を有していると認識しております。
 県といたしましては、女性起業家育成のため、アグリビジネス女性講座の開催やネットワークづくり、また、農業改良普及センターを中心として、加工ジュースや経営能力向上のための相談、指導などのほか、産直施設や加工施設の整備のための助成措置なども講じているところでありますが、農山漁村の男女共同参画社会の形成を目指し、本年4月に策定いたしましたむら・もり・うみ女性ビジョンを踏まえまして、引き続き農村女性の産直や食品加工などの起業活動に対しまして積極的に支援してまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇企画振興部長(佐藤徳兵衛君) 盛岡市のオムニバスタウン事業についてであります。
 この事業は、人、まち、環境に優しい交通というバスの社会的意義を最大限に発揮したまちづくりを総合的に進めるものであり、今日的な課題である公共交通機関の利用促進、道路混雑の緩和、地球環境の改善、さらには、中心市街地の活性化にも資するものとして大変意義の大きいものと考えております。
 このような認識のもとに、県といたしましては、盛岡市のオムニバスタウン計画に盛られております個々の事業について、広域性でありますとか県内への波及効果などを総合的に勘案しながら、必要な財政支援を行うことといたしております。
 平成11年度におきましては、盛岡バスセンターを初めとする市内10カ所におけるハイグレードバス停の整備及び都心循環バスでんでんむしの運行に使用するスロープ付低床バス2両の導入に対しまして補助を行ったほか、でんでんむしの実験運行に当たっては、地域活性化事業調整費により支援を行ったところであり、本年度におきましても、スロープ付低床バスの導入に対して同様の補助を行うこととしております。
 また、平成13年度以降につきましても、市の具体的な事業計画に基づいて、先ほど申し上げました広域性や県内への波及効果などを総合的に勘案しながら対応してまいりたいと考えております。
   〔教育長合田武君登壇〕
〇教育長(合田武君) まず、35人学級など少人数学級の推進についてでありますが、義務教育費国庫負担制度は、義務教育について、国民すべてに対しその妥当な規模と内容を保障するため国が必要な経費を負担することがその根幹とされており、教育の機会均等とその水準の維持向上等を図るためには、今後とも国の負担において教職員定数の適正確保が図られるべきものと考えております。したがいまして、教育環境を整備する上で、学級編制及び教職員配置のあり方は極めて重要なことと考えておりますことから、次期教職員配置改善計画が早期に策定され、速やかに実施されるよう、引き続き国に要望してまいりたいと考えております。
 なお、仮に来年度の小学校新1年生を35人以下学級で編制した場合でありますが、約50人の教員増が見込まれ、4億円程度が必要となると試算されるところであります。
 県教育委員会といたしましては、さきの教職員配置のあり方等に関する調査研究協力者会議の報告を受けて、今後、国が教職員配置改善計画を示した場合には、個に応じた多様な教育の一層の充実と、地域や学校の実態に対応した弾力的、機動的な教員配置のあり方等の検討を行うなど、適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、高校再編についてでありますが、本年1月に策定いたしました県立高等学校新整備計画は、社会が大きく変化する中で、生徒一人一人が豊かな人間関係に恵まれた活力ある環境のもとで、それぞれの興味、関心に応じ主体的な学習を行い、個性や創造性を十分に伸ばすことができるよう、総合学科高校などの新しいタイプの高等学校の設置や、多様で柔軟な教育課程の編成、全県的な視野に立った望ましい本県高等学校教育の推進などを内容としたものであります。
 現在、各学校ごとに、地域の方々や学校関係者から成る検討委員会において具体的な検討を開始したところでありますが、今後も新しい学校づくりについて、関係各方面の御意見や御協力をいただきながら、計画を着実に推進し、生徒たちにとって最善の教育環境が整備されるよう最大限の努力を払ってまいりたいと考えているところであります。
 本整備に係る校舎等の整備の基本的な考えについてでありますが、実施に伴い必要となる施設設備は、国の施設整備基準等を踏まえながら、国庫補助・負担事業の積極的な導入を図り、これからの時代にふさわしいものとなるよう、その充実に努めてまいりたいと考えております。
 また、いまだ十分理解が得られていない地域につきましては、何よりもこれからの生徒たちのためによりよい学習環境を構築する観点から、引き続き話し合いを行い、御理解が得られるよう努力してまいりたいと考えております。
 次に、学校図書館の問題についてでありますが、生徒の知的活動の増進、豊かな人間形成や情操を培う上で読書指導は重要であり、学校図書館も大きな役割を担っていると認識しております。本県の県立高校においては、それぞれの学校で図書委員会が中心となり、図書館通信の発行や読書会、読書感想文コンクールなどを行い、読書に関する興味、関心を高めるなど、読書指導の充実に努めているところであります。
 しかし、若者の読書離れが進んでいるとの指摘もあることから、学校図書館を、生徒が読書を楽しむ場としての読書センターの役割に加え、必要な情報を収集、選択、活用できる学習情報センターとしての機能を充実させていくことも重要であると考えております。
 今後におきましては、議員から御指摘のありました学校図書館の現状等を踏まえながら、学校図書館の重要性について教職員の共通理解を深め、校内の協力体制を促進するとともに、コンピューター等の活用を念頭に入れ、学校図書の活性化に努めてまいりたいと考えております。
 また、専任の図書館担当者の配置についてでありますが、県教育委員会といたしましては、学校図書館の機能の充実を図るためには、有資格者の配置が重要であると考えております。そこで、平成15年度からの12学級以上の学校に対する司書教諭の配置を緊急の課題としてとらえ、現在、有資格者の養成を進めてきているところであり、今後とも、計画的な配置に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。
   〔警察本部長出原健三君登壇〕
〇警察本部長(出原健三君) オムニバスタウン事業への支援方策についてお答えいたします。
 盛岡市が本年指定を受けたオムニバスタウン事業につきましては、県警察も盛岡市総合交通施策懇話会の構成員となっており、積極的な支援活動に努めているところであります。
 交通を管理する警察の立場といたしましては、全国的に展開されつつある新交通管理システムの一つである公共車両優先システム等の導入や、バス専用・優先レーンの延長等の諸対策を検討しております。
 具体的には、交通規制や信号周期の見直しなど、オムニバスタウン事業を支援するために必要な施策について、県警本部交通規制課内にプロジェクトチームを編成し、鋭意検討を進めているところであります。
 今後とも、計画の具体的な進捗状況を踏まえつつ、盛岡市やバス事業者と協議を重ねながら、実証実験等を含めて必要な対策を検討してまいりたいと考えております。
〇議長(山内隆文君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
日程第2 議案第1号平成11年度岩手県一般会計補正予算(第6号)の専決処分に関し承認を求めることについてから日程第30 議案第29号盛岡市の特例市指定に係る申出の同意に関し議決を求めることについてまで
〇議長(山内隆文君) この際、日程第2、議案第1号から日程第30、議案第29号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
 次に、ただいま議題となっております議案第1号から議案第29号までは、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれの所管の常任委員会に付託いたします。
   
〔参照〕
委員会付託区分表
 (第6回県議会定例会平成12年7月3日)
総務委員会
1 議案第1号
2 議案第2号
3 議案第4号
4 議案第5号
5 議案第6号
6 議案第7号
7 議案第8号
8 議案第9号中
   別表第2の改正関係及び他の
   委員会付託分以外
9 議案第20号
10 議案第21号
11 議案第22号
12 議案第28号
13 議案第29号
環境福祉委員会
1 議案第3号
2 議案第10号
3 議案第11号
4 議案第13号
5 議案第15号
6 議案第16号
商工文教委員会
1 議案第12号
2 議案第23号
3 議案第24号
農林水産委員会
1 議案第9号中
   別表第6の改正関係
2 議案第26号
土木委員会
1 議案第14号
2 議案第17号
3 議案第18号
4 議案第19号
5 議案第25号
6 議案第27号
   
〇議長(山内隆文君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時20分 散 会

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