平成12年6月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録

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〇4番(照井昭二君) 自由民主クラブの照井です。議長のお許しをいただき、通告に従い、順次質問させていただきます。
 最初に、地方自治の現状評価と今後のあり方についてお伺いいたします。
 地方自治は民主主義の最良の学校であり、それが成功するための最大の保障であると言われております。地方自治法が制定されてから50余年が経過した本年4月、さきの国会で成立した地方分権一括法が施行されました。これにより、機関委任事務の整理や地方事務官制度の廃止などがなされ、同時に県庁の中から雇用保険課などが移転し、曲がりなりにも制度的な整備が図られ、地方自治の前進の第一歩を踏み出したということができると思います。
 一方、増田知事は、今後の地方のあり方について、これまで三重県の北川知事や高知県の橋本知事など、他県の知事と勉強会を開催し交流を重ねておられます。先月も秋田県で、こうした7県の知事が出席して開催した白神シンポジウムに参加されたと伺っております。知事は、地方自治の現状に満足することなく、新たな世紀に向けてその方向を模索されているものと存じます。地方分権一括法の施行から3カ月が経過しておりますが、知事は、地方自治の現状をどのように評価しておられるでしょうか。また、今後の地方自治のあり方についてどのような構想を描いておられるのでしょうか、御所見を伺いたいと存じます。
 次に、北東北知事サミットについてお伺いいたします。
 21世紀を目前にした今、時代の潮流や社会経済情勢の変化、さらには高速交通網の整備などを背景に、北東北におけ交流は民間や県、市町村など、さまざまなレベルでより活発化し、その内容も多様化しつつあります。また、県内の各地域においては、その地域の特性に応じた役割を担いながらも、県、市町村の行政の枠を超えてさまざまな地域連携を推進し、総体として地域の発展を図る取り組みが行われてきているものと考えております。特に、岩手と青森、秋田3県との共通の歴史的、文化的背景や地理的条件を考えるとき、共通の課題に対する取り組みなどについて、北東北3県の連携をより一層進めることが、3県の県民福祉の向上や産業の振興を図るためにも、極めて重要であると考えております。
 こうした中で、北東北3県では、各県に共通する政策課題について意見交換を行うため、平成9年から青森において観光、岩手は環境、そして去年は秋田県で情報と産業をテーマに3回の知事サミットを開催し、一応3県での開催が一巡したところであります。
 そこで知事にお伺いいたしますが、去年で一巡した北東北知事サミットのこれまでの成果と、今後どのように展開されていくのかをお伺いいたします。
 次に、こうした県境を越えた取り組みに関連して、いわゆる道州制の導入についてお伺いいたします。
 本県では、広域行政推進指針が策定され、県内市町村においても、今後の行政体制のあり方や広域行政の推進についての議論が活発化しつつあります。私は、地方分権を本格的に推進するためには、こうした市町村の広域行政の推進とあわせて、都道府県のあり方についても検討されるべき時期にあると考えております。すなわち、現在の都道府県は、まだ鉄道も通信網も整備されていなかった明治初期に国家統治の単位として定められたものであり、現在のように交通や情報通信網が飛躍的に発達し、あらゆる分野の交流がより広域化している今日においては、地方分権の推進のためにも広域自治の単位も再編成し、道州制を導入すべきではないかといった考え方があります。これは、特に民主党が提案しております。知事は、この道州制の導入についてどのようにお考えなのか、御所見を賜りたいと存じます。
 次に、県行政の今後の方向についてお伺いいたします。
 昨年8月に、知事みずから発表された新しい総合計画、新しい岩手・21世紀へのシナリオという副題がついておりますが、これは今後の本県の進むべき道を示したものであり、多くの県民の参加を得て策定されたまさに県民の英知を結集した大変な力作であると、多くの県民が評価しております。今後の県政の最重要課題は、21世紀に向けて本県をどのように導いていくか、すなわち、この計画をいかにして実行していくかということに尽きるわけです。その計画的かつ効果的な実行のためには、これからの県の行政システムをどのように時代の要請にこたえられるものにしていくかということが大きな課題ではないかと考えております。私は、現在の社会経済情勢の中で、新しい総合計画の推進を初め山積する県政課題に的確に対応するためには、昨年策定された岩手県行政システム改革大綱に基づき、今後、行政改革を積極的に推進していく必要があるものと存じます。
 この大綱においては、生活者や地域から始まる新しい行政システムの確立を基本理念として、具体的な行政システムの改革内容が取りまとめられておりますが、その具体的な方策の一つとして本庁機構の再編整備が盛り込まれており、現在、来年度からの改革を目指し具体的な検討が進められていると伺っております。知事は、ことし5月に開催された会議において、国の各省庁の再編整備について触れられて、県の本庁機構についても来年度は組織を改編し、例えば土木部については、県土整備部などへの名称の変更を検討している旨話されたと伺っております。本庁組織は、昭和61年の機構改革から既に14年余りが経過し、この間、平成9年に生活環境部と保健福祉部の再編が行われるなど、行政機構の一部の手直しはありましたが、抜本的な改革は行われておりません。その一方で、国では来年1月から大幅な機構改革が実施されます。自治省や総務庁が合体した総務省、運輸省、建設省が統合された国土交通省の創設、さらには国の出先機関も再編が行われ、少なくとも組織的には国の行政機構は一変いたします。
 私は、必ずしも国の機構改革に合わせる必要はないと考えますが、国と県とのパートナーシップを強化し、国政と県政のパイプを太くするためには、少なくとも整合性がある組織とするとともに、地方分権の進展や行政を取り巻く環境の大きな変化に、機動的かつ効果的に対応できる組織に再編する必要があると考えます。県は、本庁機構改革をどのような理念に基づいて行おうとしておられるのか、お示し願います。また、具体的な機構改革について、現時点での検討の状況をお示しいただきたいと存じます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、地方振興局の役割についてお伺いいたします。
 行政改革を推進していく上で私が大きな課題と認識しているのは、県と市町村の行政のあり方、特に総合出先機関としての地方振興局と市町村行政のかかわりについてであります。
 本県では、昭和61年の機構改革により、それまで縦割りであった県税事務所、福祉事務所、農林事務所などが統合され、地方振興局として生まれ変わりました。その後、平成9年度からは土木事務所なども統合され、地方振興局は文字どおり、県内各地域の振興を図るための県の総合的な出先機関となったところであります。また、最近は、地方振興局の予算要求権等も充実強化されつつあり、その機能が一段と強化されております。こうした地方振興局の機能強化により、県行政の県内各地域における自己完結性は大いに高まりつつあると評価されています。しかし、地方振興局が独自性、地域性を高めれば高めるほど、市町村行政との境が不明確になってくるように思えるのであります。
 知事は講演などで、縦割り・階層型の社会から水平・パートナーシップ型社会への移行が必要であると話しておられますが、現在の国、県、市町村の行政の三重構造の中において、地方振興局への権限委譲や機能強化が図られれば図られるほど、国、県、地方振興局、市町村という、いわば四重構造になることも危惧されるところであります。総合事務所としての地方振興局が今後どのような役割を果たしていくべきなのか、その理念を明確にする必要があると考えます。国と県、市町村の将来のあり方を含め、知事の御所見をお伺いいたします。
 また、知事はかつて県内で行われた講演の中で、県内を北上川流域、盛岡周辺地域、沿岸地域、それに県北地域の四つのエリアに分けて、その振興の方向を話しておられました。現在の12の地方振興局が、将来、この四つのエリアに必ずしも集約されるとは思いませんが、いずれにしろ、地方振興局の機能強化を考えた場合、現在の12地方振興局の体制がいいのかというと、私は必ずしもそうとは思いません。地方振興局の統合により、ある地域から県の機関がなくなるようでは、地域住民の感情から言っても問題があると存じます。しかし、介護保険に象徴されるように、より広域的な視点からの行政が要求される今日、地方振興局の少なくとも管理部門であるとかあるいは企画部門については統合し、土木部や農政部のような事業部門についても、より一体的な事業実施が行える体制整備が必要ではないでしょうか。
 昨年の4月から、本庁と地方振興局土木部の建築部門の再編整備が実施され、例えば花巻、北上、遠野の3地方振興局は、広域的な兼務体制となりました。再編後1年が経過しましたが、一定の成果を上げていると私は評価いたします。
 これはほんの一例ですが、さまざまな工夫を行うことにより、地方振興局の機能のより一層の充実強化を図ることができると考えます。地方振興局の所管区域の見直しを含め、地方振興局の将来の方向性について御所見を伺いたいと存じます。
 次に、地域課題に移らせていただきますが、花巻、北上地区の県の合同庁舎の整備の見通しについてお伺いいたします。
 現在、花巻、北上には、それぞれ地方振興局が設置されており、両市の合同庁舎で業務を遂行しております。ところが、この合同庁舎はいずれも老朽化が進むとともに、非常に手狭になっております。駐車スペースも少なく、また、訪れた県民が廊下で順番を待つ姿を見ることも珍しくありません。昨年、久慈の庁舎が新築され、現在、二戸の庁舎が次の順番を待っていると伺っております。地元では、各地域の合同庁舎の整備が進む中で、花巻・北上地区の庁舎整備が後回しにされているのは、将来の統合に向けて検討が進められているからとか、あるいは逆に、検討が進まないからそのまま放置されているのではないかとか、うがった見方をする者もいます。私は、花巻、北上の両市を中核とするこの地域がその力を結集したときには、盛岡地域に匹敵するあるいはそれ以上の力を発揮できる可能性を秘めた地域であると考えており、こうした地域の振興や県民サービスの拠点とも言うべき、県の合同庁舎の整備を急ぐべきであると考えております。花巻・北上地区の合同庁舎整備の考え方とその見通しについてお伺いいたします。
 次に、国際チャーター便の運航についてお伺いいたします。
 ことしの4月から6月にかけて、台湾からの国際チャーター便が初めて花巻空港に運航いたしました。近年、本県を訪れる国内旅行客の入り込みは4、000万人を前後して、頭打ちの状態になってきております。一方、外国からの観光客の来県は、今後、ますます増加するものと見込まれております。大きな可能性を秘めた市場が世界各地に広がっていることは、間違いないところであります。花巻市では、従来からアメリカのホットスプリング市との姉妹都市の交流など、さまざまな国際交流活動が行われてきております。ここに来て、2002年ワールドカップサッカーのキャンプ地の誘致に官民挙げて動き出すなど、国際観光の振興の機運も高まってきております。また、地元の宿泊業者も、東アジアからの観光客の誘致や受け入れ体制の整備に力を入れてきております。このような時期に、花巻空港に海外からの国際チャーター便が運航し、台湾から多くの観光客を迎えられたことは、大変意義のあることと存じております。また、外国人観光客の来県は、地元の宿泊や土産品など地元産業への波及効果も大きいことから、私はこれを契機として、一層、外国人観光客の誘致に取り組むべきであると考えております。
 そこでお伺いいたしますが、今回の台湾からの国際チャーター便の受け入れはどのような状況だったのでしょうか。また、今後、外国人観光客の誘致に向けてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
 次に、野菜の生産振興についてお伺いいたします。 最近の農業をめぐる情勢を見ますと、引き続く米の生産抑制と米価の低迷という状況は、本県の稲作農家はもちろんのこと、農業者全体の営農意欲の喚起に、少なからず影響を及ぼしているものと考えるものであります。こうした中にありまして、目減りする稲作部門での所得をカバーしていくためには、それぞれの地域の立地条件を生かした収益性の高い野菜や果樹、花卉への作目再編を進めることが極めて重要であると考えるものであります。県では、これまでも米、畜産に並ぶ農業部門として園芸を育成するため、全国銘柄としてのキュウリやホウレンソウなどの野菜や市場評価の高いリンゴ、全国一の生産を誇るリンドウなどの生産拡大に向けて各種の振興策に取り組んできたことは承知しております。しかしながら、特に園芸部門の主力となるべき野菜につきましては、残念ながら作付面積が平成3年をピークに、以降、長期にわたり減少してきているのが現状であります。私は、こうした現状を打開し野菜の振興を図るためには、何としても地域の実情に即した振興策の展開が重要であると考えております。最近の野菜振興施策は、どういった点で具体的な成果を上げているのか、また、産地間競争が激化する中で、県としては今後いかなる視点で野菜を振興していこうとしているのか、お示し願いたいと存じます。
 次に、本県のかけがえのないアカマツ資源に甚大な被害を及ぼす松くい虫被害対策についてお伺いいたします。
 現在、松くい虫の被害に直面している県南部の市町村を初め被害の発生している地域では、市町村が策定した自主防除計画に基づき、国、県の補助事業により松くい虫の防除を行っているところであります。また、県では、平成8年度から松くい虫被害防除監視帯設置事業を実施し、松くい虫の防除に取り組んでいると伺っております。この事業により設置されている松くい虫防除監視帯は被害の最先端地域に設置されておりますが、私の地元におきましても、花巻市では延長25キロメートル、東和町でも20キロメートルに及ぶ監視帯を設置し、監視歩道の設置や松くい虫を媒介するマツノマダラカミキリの生息調査等が行われております。しかしながら、こうした取り組みにもかかわらず、松くい虫の被害量は平年に比べ著しく増加し、去年には何と2万立米を超え、過去最悪の事態となっております。私は、本県の貴重なアカマツ資源を守るためには、この問題を全県的な問題としてとらえ、早急に全県的な防除体制を整備することが重要であると考えております。このような観点から、この監視帯設置事業の充実を初めとする被害対策を一層強化する必要があると考えますが、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。
 次に、鉄道駅のバリアフリー化についてお伺いいたします。
 国では、ことし5月10日に、高齢者・身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律、いわゆる交通バリアフリー法が制定されました。この法律は、高齢者や身体障害者など、いわゆる交通弱者が公共交通機関を利用する際の移動の利便性や安全性の向上を促進することを目的として国が基本方針を策定すること、公共交通事業者に対して鉄道駅の新設などを行う際にエレベーターの設置などを義務づけたこと、市町村が基本方針に基づいて一定規模の旅客施設を中心とした地区のバリアフリー化を重点的かつ一体的に推進するための基本構想を作成することなどが盛り込まれており、本年11月ごろの施行が予定されていると聞いております。鉄道駅のバリアフリー化については、国において、平成10年度の第3次補正予算による緊急経済対策として補助制度が創設され、バリアフリー化設備を整備した鉄道事業者に対して、国と地方公共団体が助成することとされたところであります。
 県内の鉄道駅のバリアフリー化の現状を見ますと、新幹線駅については完全とは言えないまでも、ある程度整備が行われつつあります。しかし、在来線駅で整備されているのはJRの一ノ関駅のみとなっており、まだまだ十分ではないと考えられます。岩手県総合計画では、夢県土いわてに向けた五つの社会の実現の一つとして、快適に安心して暮らせる社会を掲げておりますが、鉄道駅のバリアフリー化は、高齢者や身体障害者などが快適に安心して暮らせる社会、まちづくりに欠かせない施策と考えますが、今後、これをどのように進めていくのか御所見を伺います。
 以上でございますが、国政と県政の政治的勢力のねじれの中で、知事におかれましては、みずからの政治的信念を確固たるものとし、140万岩手県民の大きな期待にこたえるべく、あらゆる力を結集して県勢の発展に御尽力いただきますようお願い申し上げ、私の質問を終了させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 照井昭二議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、地方自治の現状と今後の自治のあり方についてでございますが、本年の4月に地方分権一括法が施行されまして、その後、現在まででおよそ3カ月が経過をしたわけでございます。率直な感想といたしまして、中央と地方との上下関係の意識のように、短期間ではなかなか抜け切れない部分もある一方で、目に見える形で変化があらわれ始めた部分もあるように、そんな感じがいたしております。
 その後者の一例としては、先般、東京都が外形標準課税の導入を決めまして銀行に課税をするということになったわけでございますが、こうしたこの問題を契機として、地方においても真剣にこの課税自主権の問題が議論をされクローズアップされてきているわけでございます。そうしたこと、その件以降、全国知事会でも積極的に国に政策提言を行ったり、それから国と地方の税制を考える会、これは私も参加しておりますが、12の県の知事でそうした会の発足につながっていくなど、地方の側がみずからの判断と責任で国の施策や制度に対して自分たちの考えや立場を主張していこう、こういう動きが従来以上に見られるようになってきたところでございます。このような各方面におけるさまざまな動きはまだいずれも小さなうねりと言えようかと思いますが、これらが積み重なって、また相互に増幅し合っていくことで、中央、今、霞が関を頂点とする官僚の機構がございますが、こうした中央を中心にしてつくられてきましたさまざまなルール、仕組みというものを地方を中心とした住民本位のシステムに変革していくことができる、そういうことにつながる、このように考えているところでございます。
 私は、こうした地方分権の先にあるものが生活者主権や地域主権の社会でございまして、みずからの判断と責任のもとで物事を決めていく、いわゆる自治そのものであると、このように考えておりまして、県内各地で日々努力されている県民の皆さんが大勢おられるわけでございますが、こうした皆様とともに、こうした社会の実現に向けて全力を傾注していきたいと考えております。
 次に、北東北知事サミットの成果と今後の取り組み方向についてでございますが、このサミットの主な成果を申し上げますと、まず、昨年2月に、九州における青森、秋田、そして我が岩手の3県合同の情報発信拠点として、福岡市にみちのく夢プラザというものを開設いたしました。これは、九州地区の皆さん方の大変大きな反響を得ることができたと、このように考えております。また、北東北文化観光振興アクションプランというものを策定いたしまして、「透明な日本、見に行こう。」というキャッチフレーズをつくって、北東北観光キャンペーンを、今、展開しているところでございます。大分数多くのエージェントの皆さん、旅館など宿泊関係の皆様方にも御参画いただいて、大々的に、今、キャンペーンを展開しているところでございます。
 また、ことしの9月には、本県で子ども環境サミットというものを開催する予定にしております。昨年、白神山地で第1回目をやりましたが、ことしは安比で第2回目を開催するという予定でございますし、ゼロ・エミッション型社会の構築に向け、環境に配慮した施設整備や物品の購入に当たってのグリーン購入などを内容とする3県共通のいわゆる率先行動を指針として定めるなど、北東北の豊かな環境づくりに3県一体となって、今、取り組んでいるところでございます。
 さらに、平成13年度になりますが、インターネットのホームページを活用して情報発信を行うみちのくバーチャル・エキスポ、これは今のところは仮称でございますが、みちのくバーチャル・エキスポというものを開催することを予定しておりまして、現在、その具体化に向けて作業を進めているところでございます。
 今年度は、この北東北知事サミットを10月に第4回目を予定しておりまして、テーマは子供、いろいろ今、子供をめぐる問題が起きてございますので、子供ということと、それから食料、この二つをテーマとして青森県の黒石市で開催することとしてございます。
 今後におきましては、本年2月に設立した北東北広域連携構想推進協議会を中心として、3県はもとより、市町村、民間、NPOなど広範な地域の皆さん方に参加していただくことを考えておりまして、多様な交流・連携活動の推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、道州制の導入についてお尋ねがございましたが、この道州制の問題は、古くは昭和28年の第1次地方制度調査会において初めて取り上げられたということがございまして、歴史的にも大変古くから議論されているものでございます。以来、これまでも時代時代の節目で道州制論あるいは連邦制論等さまざまな形で議論されてきたものでございます。中央に集中している事務や権限を地方に移して、どのような制度を確立すべきかという手法の違いはあるものの、いずれもそこの議論で共通しておりますのは、私たちの目指す地方自治の理想に少しでも近づけるため何をなすべきかということがこうした議論の原点にあったと理解しております。
 今、もう一度このような原点に立ち返って考えてみますと、地方自治の本来の姿に少しでも近づけていくためには、やり方が二つあると思うんですが、一つには、道や州などの課税自主権を有する自治体をとにかくまず立ち上げて、このような行政体を推進力として理想の姿に近づけていくというやり方。しかし、これは今の制度を抜本的に変えるものですから、大変、力の要る作業だと思いますが、こういう一つのやり方と、それからもう一つのやり方としては、今、都道府県という姿がございますが、そういったことを前提に、今般の分権改革を手始めに、中身としての地方分権を強力に推進していく中で、例えば行政分野でも環境問題ですとか交通問題だとかエネルギー問題だとか、いろいろな分野がございます。そうした中で、特に広域行政になじむようなもの、そうした分野において、従来以上に広域的な調整を要求される課題に対しては都道府県の枠を越えて行政を展開していく。手始めにそういうことから行っていって、そして、このような動きが一つの潮流となっていったときに、都道府県の単位というものをもう少し大きいくくりにして、財政面も含めて自立的な行政運営を行うようにすべきである、この二つのアプローチがあるのではないか、このように考えております。
 この道州制の問題は将来的にも大変大きなテーマになってくるものと私自身は考えておりまして、まずは、4月から第一歩を踏み出しました地方分権を着実に推進していくと。自己決定、自己責任ということを踏まえた地方分権を着実に推進していって、その過程において、今、言ったような二つのアプローチも含めた新しい地方の形というものに思いをめぐらせていきたいと、このように考えております。
 次に、地方振興局の果たすべき役割についてでございますが、本県のような広大な県土の中で、生活者や地域の視点に立った住民本位の地域経営というものを展開していくためには、市町村行政のみならず、県行政の分野においても、地域や住民が身近なところで必要なサービスを受けることができたり、地域や住民に身近なところで物事を決めることのできる仕組み、システムがますます重要になってくると。これは市町村だけではなくて、県行政の分野においてもそういうシステムがますます重要になってくるものと、このように考えております。
 このため、地方振興局につきましては、行政サービスの総合センターとしての機能を持たせるとともに、それを地域経営の先端的な戦略拠点として位置づけ、出先機関の統合化を推進しますとともに、権限を大幅にここに委譲するなどによってその自立性を今まで高めてきたところでございます。
 私は、これからの時代においては、市町村と県とが地域の中で果たすべきそれぞれの役割というものがあるわけですので、それを十分認識しながら、県と市町村で相互に分担、補完し合うということ、そして、ともに地域づくりを進めていくことが一層求められてくるものと考えておりまして、地方振興局につきましても、その果たすべき役割というものをしっかりと一人一人の職員が認識して、本庁と地方振興局との間における組織間の有機的な連携や行政の一貫性を、事務や権限の一層の見直し、それから、情報ネットワークの整備などをこれからより進めていく、より高次なものに変えていく、そういうことによって地域や住民の立場に立った行政サービスの向上が図られるように努めていく考えでございます。
 なお、地方振興局の所管区域の見直しということも当然その中で議論としてあるわけでございますが、これについては、来年度実施を予定しております本庁の組織再編の定着状況というものを踏まえまして、本庁と地方振興局のそれぞれが果たすべき役割、それから、それに伴い必要となってくる機能というものを検討していく中で重要な検討課題の一つとして取り上げて鋭意検討していきたい、このように考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承お願いします。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) まず、本庁の機構改革についてでありますが、昨年2月に策定いたしました岩手県行政システム改革大綱におきまして、生活者や地域の視点に立った新たな仕組みや、より機動的で効率的な仕組みへの再構築を目指しまして行政システムの改革に取り組むこととしたところでありまして、本庁機構の再編整備に当たりましては、このような基本的な考え方のもとに、岩手県総合計画の推進に留意しながら、機動性と柔軟性を重視した県政の推進ができる体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
 これをイメージ的に申し上げますと、総合的な政策形成機能と政策評価機能を有する総合政策部門、地域との連携を深めながら地域主体の振興を促進する地域振興部門、この二つの全庁的・横断的役割を担う部門と、総合計画に掲げます五つの社会の実現に向けて、環境の保全と創造、保健福祉の充実、地域産業の振興など各種施策を効果的に展開、実施する基幹業務部門との協調、連携が十分に図られ、さらに、これらの部門の業務が効率的かつ円滑に進むよう、総務、出納の支援業務部門がサポートする、このような政策重視の行政運営や総合的な政策を効果的に展開できるよう、これからの分権時代にふさわしい行政機構を目指してまいりたいと考えております。
 これらの機構整備につきましては、現在、庁内で意見調整しながら検討を進めている段階ではありますが、今後、行政改革推進懇談会の御意見も伺うとともに、中央省庁再編の動向にも留意しながら再編案を調整し、平成13年度からの実施に向けまして、関係する条例案を12月県議会定例会に提案できるよう準備を進めてまいりたいと考えております。
 次に、花巻及び北上地区合同庁舎整備の考え方とその見通しについてでありますが、厳しい財政環境の中で、県総合計画に基づき県政各般にわたる施策を着実に推進するという観点から、地区合同庁舎の整備に当たりましては、各地区とも、行政財産である現庁舎を可能な限り将来にわたって資産・ストックとして活用していくことを原則としているものであります。その上で、老朽度が高く、建てかえを行わざるを得ない施設につきましては建てかえることとし、その他の施設につきましては改修等により施設の維持保全をすることを基本として計画的に整備してきたところであります。
 このようなことから、いずれも昭和40年前後に建設されました花巻及び北上地区合同庁舎につきましては、これまでも必要に応じて増築や改修を行ってきており、現在、北上地区合同庁舎の附属棟増築に着手しているところであります。また、両地区合同庁舎も含め、各地区合同庁舎の冷房機器設置工事を行うなど、当面は必要な改修措置を講じながら使用していきたいと考えております。
 今後につきましては、県財政の状況を踏まえながら、各般の施策との優先度をどのようにとっていくかといった点も考慮しつつ、地方振興局の役割や将来の方向性を見きわめながら、地域における総合的な県行政の拠点施設としての役割を十分発揮できるよう、地区合同庁舎の機能の充実を図ってまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕
〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) 国際チャーター便の運航についてでありますが、このたびの台湾から花巻空港への初の国際チャーター便は、北東北3県の官民共同による地道な誘致活動の積み重ねが実を結んだものと認識しており、青森空港の利用を含め、計12便、約2、400人が小岩井農場、中尊寺、猊鼻渓といった県内の主要観光地のほか、東北各地を訪れたところでございます。
 花巻空港での出入国手続に当たりましては、函館税関、仙台入国管理局、仙台検疫所の全面的な協力も得られましたし、また、地元の自治体や観光協会、民間観光施設、そして県が一体となりまして、毎回20人以上が参加して歓迎行事や案内、駐車場の整理を行うなど、おおむね順調に受け入れることができたものと考えております。
 今回、来県いただきました観光客の皆さんからお聞きしたところでは、残雪と桜、新緑の豊かな季節感、露天ぶろなど特色のある温泉などが好評を得ており、また、対応が親切という声もありました。
 ことしの秋にも再び台湾からのチャーター便の計画があると聞いているところであり、今後とも、引き続き北東北3県共同で台湾や韓国などに重点を置いて誘客活動を進めてまいりたいと考えております。
 具体的には、台湾や韓国の現地のマスコミ関係者の招待、台湾での国際観光展への出展や北東北を特集した旅行紙の発行など、北東北の魅力を紹介し、知名度の向上を図ることとしております。
 また、今回、来県いただいた観光客の方々から案内表示や言葉に不便を感じた旨の意見もありましたので、外国語表示の促進や観光施設関係者の外国語研修といった受け入れ態勢の整備にも一層力を入れて取り組んでまいりたいと考えております。
   〔農政部長佐藤克郎君登壇〕
〇農政部長(佐藤克郎君) 野菜の生産振興についてでありますが、これまで簡易ビニールハウスや集出荷施設の整備など産地強化のための施策を展開してきており、平成9年度からはキャベツを本県野菜の牽引役として位置づけ、日本一の野菜産地づくりに取り組んできたところであります。
 この結果、作付面積においては、国全体が昭和60年以降減少している中、本県は平成11年の実績で10年ぶりに増加に転じる見込みであり、殊にもキャベツは本県独自ブランドとしてのいわて春みどりの作付が大幅にふえ、品質も市場で高い評価を得ているところであります。また、最近では、水田作を中心とした花巻地域のネギや一関地域のナスの作付面積が拡大し、国の産地指定を受けるまでになってきております。
 今後におきましては、これまでの成果をもとに、市場における取引の大型化や予約相対取引の拡大に対応したロットの確保による長期安定出荷体制の確立に取り組むとともに、消費者の安全、安心、新鮮志向などに対応した野菜づくりを一層推進する必要があると認識いたしております。
 こうした観点に立ちまして、今後は、県北、高標高地域におけるキャベツ、レタス、大根等の土地利用型野菜の生産拡大、県中、県南地域での水田を活用したキュウリ、ピーマンなどの果菜類の導入拡大、沿岸地域では簡易ビニールハウスを利用したホウレンソウの生産振興など、地域の立地条件を生かした振興策を強力に推進してまいる考えであります。
   〔林業水産部長本山芳裕君登壇〕
〇林業水産部長(本山芳裕君) 松くい虫被害対策についてでありますが、本県の人工林資源の約4割を占めるアカマツを松くい虫被害から守ることは極めて重要であり、森林病害虫等防除法に基づき、県が立てる被害対策事業推進計画や被害市町村が立てる自主防除計画などのもと、県及び市町村が一体となって防除対策を講じているところであります。
 その中で、議員御指摘のとおり、平成11年度は夏の高温少雨により被害量が著しく増加したことから、被害木の早期抜倒駆除と被害拡大の防止が極めて重要となっております。このため、本年度の春の抜倒駆除事業については、被害のあった19の市町村と密接に連携し、懸命に実施したところでありますが、これから秋にかけて発生が見込まれる被害木の対策については、県と関係市町村により構成している岩手県松くい虫防除対策連絡会議において、作業員の広域的な連携や適期における集中的な実施などの方策を検討するとともに、その推進について、国を初め、関係機関に要請することとしております。
 また、被害の北上を阻止するための被害防除監視帯設置事業につきましては、地上からの薬剤散布の効果を高めるよう、新たにマツノマダラカミキリの誘引捕殺器の濃密な配置をあわせて行うなど、その実施方法の改善を進めてまいります。
 さらに、隣接県との情報交換や関係市町村との連携による被害材の移動監視はもとより、森林所有者の防除意識の啓発などの諸対策を積極的に推進し、被害の抑止に向けて今後とも万全を期してまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇企画振興部長(佐藤徳兵衛君) 鉄道駅のバリアフリー化についてでありますが、本格的な高齢社会の到来に対応するとともに、障害者の自立と社会参加の要請の高まりにこたえていくためには、高齢者や障害者等のいわゆる移動制約者が安全かつ身体的負担の少ない方法で公共交通機関を利用できるようにすることが必要と考えており、鉄道駅におけるエレベーター及びエスカレーターの整備など、公共交通機関のバリアフリー化は大変重要な課題であると認識しております。
 県といたしましては、岩手県総合計画において、すべての人にとって安全で利用しやすい公共交通システムの構築に向けて交通施設のバリアフリー化を促進することとしておりますけれども、これまでも平成7年に制定したひとにやさしいまちづくり条例に基づく低利融資制度の活用に努めてきたところでございますが、さらに、いわゆる交通バリアフリー法の趣旨を踏まえ、特に乗降客数の多い主要駅、5、000人以上の乗降客とかでありますけれども、そういった主要な駅、さらには、駅周辺に病院とか福祉施設等が立地する駅から順次、鉄道事業者及び地元市町村と連携しつつ、国の補助制度を活用しながら鉄道駅のバリアフリー化を積極的に促進してまいりたいと考えております。
   
〇副議長(吉田洋治君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時1分 休 憩
   
出席議員(49名)
1  番     及 川   敦 君
2  番     飯 沢   匡 君
3  番     樋 下 正 信 君
4  番     照 井 昭 二 君
5  番     柳 村 岩 見 君
6  番     小野寺 研 一 君
7  番     吉 田 昭 彦 君
8  番     工 藤 大 輔 君
9  番     川 村 農 夫 君
10  番     佐々木 順 一 君
11  番     佐 藤 力 男 君
12  番     阿 部 静 子 君
13  番     阿 部 富 雄 君
14  番     田 村   誠 君
15  番     岩 城   明 君
16  番     中屋敷   十 君
17  番     千 葉   伝 君
18  番     佐々木 大 和 君
19  番     及 川 幸 子 君
20  番     阿 部 敏 雄 君
21  番     川 口 民 一 君
22  番     小野寺   好 君
23  番     斉 藤   信 君
24  番     伊 沢 昌 弘 君
25  番     田 村 正 彦 君
26  番     上 澤 義 主 君
27  番     瀬 川   滋 君
28  番     水 上 信 宏 君
29  番     藤 原 泰次郎 君
30  番     船 越 賢太郎 君
31  番     谷 藤 裕 明 君
32  番     菊 池   勲 君
33  番     佐々木 一 榮 君
34  番     伊 藤 勢 至 君
35  番     高 橋 賢 輔 君
36  番     小 原 宣 良 君
37  番     長谷川 忠 久 君
38  番     千 葉   浩 君
39  番     吉 田 洋 治 君
40  番     工 藤   篤 君
41  番     菅 原 温 士 君
42  番     佐 藤 正 春 君
43  番     山 内 隆 文 君
44  番     折 居 明 広 君
45  番     村 上 惠 三 君
46  番     藤 原 良 信 君
47  番     及 川 幸 郎 君
48  番     菊 池 雄 光 君
51  番     吉 田   秀 君
欠席議員(2名)
49  番     佐々木 俊 夫 君
50  番     那須川 健 一 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後3時20分 再 開
〇副議長(吉田洋治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。阿部静子さん。
   〔12番阿部静子君登壇〕(拍手)

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