平成12年9月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇14番(田村誠君) 政和会の田村誠でございます。9月定例会に当たり一般質問の機会を賜り、各位に感謝を申し上げながら、通告に従い順次質問いたしますので、増田知事初め、当局の積極的かつ誠意ある答弁を期待申し上げます。
 さて、私は、権威ある歴史と伝統に築かれました岩手県議会に参加をさせていただき、早いもので1年と4カ月が過ぎ去りました。先輩、同僚議員初め、増田知事、関係部局長の皆さんの温かい御理解と御指導をいただき、農林水産常任委員会に所属し、特にも当県の基幹産業である水産振興と均衡ある県土の発展に取り組んでまいりました。この間、本庁職員はもちろんのこと、地方振興局や出先機関職員の方々の各般にわたる諸課題に積極的に県民のために取り組もうとする姿勢に触れ、感激をいたしてまいりました。今後におかれましても、厳しい社会環境が予想され、県政に寄せられる期待にこたえる指導力が問われてくるものと思いますが、なお一層の活躍をお願いしながら質問に入ります。
 まず、地方振興局の強化についてお伺いをいたします。
 地方分権が進む中、知事は、就任当初から地方振興局への権限委譲を積極的に進め、地方振興局の強化に取り組んでこられました。就任以来、これまで地方振興局への権限委譲は500件を上回り、年々地方振興局で処理する事務が拡大をしてきておりますが、一方で地方振興局を舞台とした不祥事や不適正な事務処理が相次いで明らかになっており、県民にとっても職員にとっても不幸な出来事であります。その原因としては、県民サービスの担い手としての職員の公務意識や遵法意識の不足等、職員個々の問題や事務処理システムの問題などが指摘されているところであり、今後これらの点についてはしかるべく対策を講じていただく必要がありますが、これに加えて、体制の整備も重要な要素と考えます。権限委譲を積極的に進めることは、住民サービスの面からも歓迎すべきことではありますが、そのためには、権限委譲に見合った人員配置等の体制整備の裏づけがなされることが必要と考えます。そういった面も含めて、知事は地方振興局の強化について今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。
 また、地方振興局は、県の行政施策を地域において実践し具現化していく拠点であり、地域の要望を身近に受けとめ、市町村や各種団体、住民との連携のもとに地域活性化を図っていくべき役割を担っており、今後ますますそうした機能を充実強化していくことが求められるものと考えます。そうした意味で、地域との連携がうまくいっているなと感じた事例を申し上げますと、鷹生・綾里川ダム建設事務所では、ダム建設と並行してダム周辺の環境整備を地元市町村等に呼びかけ、地域一体となった環境整備に取り組んでおります。地方振興局に求められるのはまさにこうした地域の関係機関、各種団体、住民との連携を推進し、コーディネートしながら地域の自立に向けたエネルギーを地域活性化に結びつけていく機能ではないでしょうか。最終的な分権の受け皿である市町村にあっても、財政基盤や人員体制が総じて脆弱であり、分権への対応に苦慮しているところが多いのではないかと思います。このような観点からも地方振興局の役割が大事になってくるものと考えますが、知事は、今後の地方振興局の果たすべき役割についてどのようにお考えでしょうか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、津波防災対策についてお伺いをいたします。
 本県は、古くは明治29年と昭和8年の三陸地震津波や、昭和35年のチリ地震津波など、多くの人命や財産を一瞬にして奪われた歴史を有する、いわば津波常襲地帯であります。このため、沿岸市町村では毎年津波防災訓練を実施しておりますが、懸念されるのは、年々訓練への参加者が減少していることであります。住民の訓練参加率、これは訓練実施市町村の対象地区の人口に対する参加者数の割合でありますが、平成4年、5年の20%台をピークに年々減少し、平成11年には11%台まで減少しております。その理由としては、津波の恐ろしさを知っている津波体験者が年々少なくなっていることのほか、ここ数十年来大きな被害を伴う津波の襲来がなく、津波警報が発令されても、津波の高さが数十センチ程度にすぎず、津波の恐ろしさを実感する機会がなかったことなどが挙げられます。津波防災意識の風化が懸念されるところでありますが、こうしたことは、一刻を争う津波の際に避難のおくれを招くなど致命傷になりかねません。県は、津波に関する危機管理の現状をどのように認識しておられるのでしょうか。
 また、危機にはさまざまなものがありますが、自然災害はある程度想定し備えることが可能な危機であります。その意味では、過去の津波災害の経験を生かし、被害想定や被害発生後の応急、復旧対策ガイドラインの研究などが必要と考えますがいかがでしょうか、あわせて御所見をお伺いいたします。
 次に、痴呆性高齢者の福祉についてお伺いをいたします。
 我が国の健康寿命は平均寿命とともに男女とも世界一とのことであり、年老いても健康で暮らすことができる人が多いということであり、大変喜ばしいことでありますが、高齢化の進行により、介護を必要とする高齢者の絶対数もまた増加している現実もあります。万が一、介護が必要になった場合、すべてを家庭内で抱えることは、核家族化の進行や高齢者世帯の増加、さらには家庭内での介護負担が女性に重くのしかかっているとの指摘もあり、困難となってきております。中でも大変なのは痴呆性高齢者の増加であり、今後もますます増加すると予想されておりますが、その介護に当たる家族等の負担は大きく、深刻な社会問題ともなってまいります。知事は、こうした痴呆性高齢者の現状をどのように認識し、今後の痴呆性高齢者福祉の基本的方向をどのように考えておられるでしょうか、あわせて御所見をお伺いいたします。
 また、今日の痴呆性高齢者の介護の現状を見ると、いまだシステム的にも手法的にも十分確立されていないのが実態であります。痴呆性高齢者は、多くの場合生活の介助なくして日常生活を営むことができないことから、その介護は、学際的な研究に基づいた専門技術の提供を主眼に、人間の生活、健康、幸福にかかわる学問として体系化をしようと各方面で努力をしているようであります。高齢者が痴呆になっても安心して生活できる環境を提供するには、医学、心理学、福祉学、介護福祉学、社会学、建築学、電子工学等あらゆる分野の学際的な研究を基盤とした質の高い介護技術の発展が欠かせないと言われており、このため平成12年度末には、東京、愛知、仙台の3カ所に高齢者痴呆介護研究センターが開設される予定であり、中核機関としての役割が期待をされております。しかし、全国レベルで展開されようとしているこの研究センターは、専門職のリーダーの養成が目的でありますので、在宅で介護を受けている痴呆性高齢者が今後増加の一途をたどると予想されている今日、これと並行して家庭での介護者の質を高めることも急務であると言われております。
 こうした観点から、県立大学の学生や家庭での介護者を含めた痴呆性高齢者の介護の充実を図るため、岩手県の気質、気候、風土、文化に根差した痴呆性高齢者介護を構築し、専門分野の関係者はもちろんのこと、一般県民の方々をも対象にした介護技術の教育、社会啓発活動、学際的な研究の積極的な推進を図ることが必要と考えます。こうした取り組みにより質の高い介護を実現し、痴呆性高齢者及び介護者等の生活の質を高め、もって豊かな高齢社会の創造に資するとともに、岩手ブランドの高齢者福祉として全国に情報発信する必要があると考えます。例えば、仮称でありますが、痴呆性高齢者介護研究・研修センターIWATEを県立大学の隣接地に創設するというようなことを考えてみてはいかがかと思うのですが、保健福祉部長の率直な御所見を賜りたいと思います。
 次に、雇用問題についてお伺いをいたします。
 最近になってようやく景気の回復の兆しが見え始めたとされる我が国経済でありますが、最近の雇用失業情勢を見ますと、完全失業率は依然高水準で推移をしており、本県でも11年度の有効求人倍率が前年度を下回るなど極めて厳しい状況にありますが、県は、現在の県内雇用情勢をどのように把握されているのでしょうか。
 また、11年度の新規学卒者の就職率は、労働省と文部省共同の調査結果として、高卒、大卒とも過去最低であったと報じられておりますが、本県ではどのような状況だったのでしょうか、あわせてお伺いをいたします。
 また、本年4月に都道府県単位に労働局が設置をされて5カ月が経過をいたしましたが、県としてどのように岩手労働局と連携を図って雇用対策に取り組んでいるのでしょうか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、企業誘致についてお伺いをいたします。
 私は、地域社会が活性化するための重要な要素として、若者が地域に定着をすること、すなわち新規学卒者が安心して地元に就職できるような雇用の場の創出が極めて重要と認識をしているところであり、そのための有力な方策が企業誘致であろうと思っております。県では、企業を取り巻く経済環境が依然厳しい中で積極的に企業誘致に取り組まれておりますが、本県の誘致企業の分布を見ますと、圧倒的に内陸部の工業団地が多く、それ以外の地域、特にも県北・沿岸地域への誘致が進んでいないのが実情であります。こればかりは企業の経営上の都合もあり、誘導する側も思いどおりにはいかない部分もあるわけですが、県として今後、県北・沿岸地域をどう売り込み、どのような戦略で企業誘致に取り組んでいこうとしているのかお伺いをいたします。
 次に、さんりく・リアス・リゾート構想の推進と三陸沿岸地域の観光振興についてお伺いをいたします。
 本県三陸沿岸地域は、ほぼ全域が陸中海岸国立公園に指定されている我が国有数の自然景観に恵まれた地域でありますが、基幹産業である農林水産業が厳しい状況にあり、企業誘致もなかなか進まない中で、観光振興はやりようによっては即効性も期待できる分野であり、沿岸地域では、県の観光振興への取り組みに期待を寄せているのであります。そうした折、過日、さんりく・リアス・リゾート本年度で事業打ち切りとの報道がなされました。それによりますと、さんりく・リアス・リゾート推進協議会が主要事業を本年度で打ち切り、来年度以降連絡調整機関となって事実上活動を休止するというものであります。このリゾート構想では、平成元年3月に国の承認を受けて以来、各種施設の整備やイベントの展開を図ってきておりますが、県の調査では、構想に位置づけられた施設についての完成、着工ベースでの進捗率は30.9%にすぎません。こうした中での協議会の活動中止が事実とすれば、県は、さんりく・リアス・リゾートの推進をあきらめたのでしょうか。そうでないとすれば、今後どのように取り組んでいこうとしているのでしょうか、お伺いをいたします。
 また、観光振興はリゾート構想だけではないと考えますが、県では、さんりく・リアス・リゾート地域を含む三陸沿岸地域の観光振興に今後どのように取り組んでいくお考えでしょうか、お伺いをいたします。
 次に、水産基本法の制定についてお伺いをいたします。
 我が国の漁業生産量はかつて1、300万トンを超え、世界一の漁獲量を誇っていたのでありますが、近年、200海里体制のもと、沿岸漁業に大きくシフトするとともに、近海の水産資源の悪化により漁獲量は650万トンと半減するに至っております。また、漁業経営の悪化や担い手の減少、高齢化が進行し、漁村地域の活力の低下等厳しい状況に直面しているところであり、本県においても同様の状況にあると承知しております。このような厳しい状況の中、国においては、内外の諸情勢に的確に対応し、将来にわたる水産業の持続的な発展を図ることを目的として水産基本法の制定を検討中と伺っておりますが、現時点での国の法制定に向けた取り組みはどのような状況になっているのでしょうか。
 また、国の動向を踏まえた県の対応はどのようになっているのでしょうか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、ハセップについてお伺いをいたします。
 昨年、山田町の水産加工業者が県内資本の加工業者としては初めてハセップの認定を取得いたしました。また、県では、産地魚市場の衛生管理対策についても本県独自の衛生管理指針を策定し、関連補助事業により着々と進んでいると聞いております。こうした関係者一体となった衛生管理対策が進んだため、昨年夏に生ウニを原因として多発した食中毒もことしは発生をいたしておりません。ハセップ方式等による衛生管理の普及は、今後における本県水産物の消費市場での評価を高めるものであり、関係者は大いに期待をいたしております。加えて、本年7月には、改正JAS法により生鮮魚介類についても原産地表示の義務づけがなされました。これを追い風として、より新鮮で安全な水産物を消費者に提供し、産地間における競争力を強化していくためには、ハセップ方式による衛生管理のさらなる推進が不可欠と考えるものであります。今後は、水産物の生産から加工・流通に至る一貫したハセップ管理が必要と考えますが、県では、その各段階における目標をどのように設定し、今後どのように取り組んでいかれるのか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、イワガキについてお伺いをいたします。
 県では、つくり育てる漁業の振興策として関係者一体となって魚類栽培事業を推進しておられます。近海の水産資源が悪化している今日、こうしたつくり育てる漁業は、本県水産業の振興を図る上で今後とも一層推進していかなければならないと思うわけであります。このつくり育てる漁業の新たな素材として漁業関係者の期待を集めているものにイワガキがあります。昨年、広田湾で発見され、その後、県の調査で主産地が日本海沿岸であるこのイワガキが本県沿岸に広く生息していることが確認されました。このイワガキは、単価もマガキの4倍から5倍で、冬が旬のマガキに対しイワガキは夏場が旬ということで、その養殖が可能となれば、周年安定操業を目指す沿岸漁業にとって極めて有望な栽培品目となるものであります。今後は、その養殖技術を早急に確立し、普及を図る必要があると考えますが、県は、今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
 次に、漁業系廃棄物の処理対策についてお伺いをいたします。
 養殖漁業の生産過程においては、カキ殻、ワカメ、昆布の残滓等が一般廃棄物として季節的に大量に発生しており、漁港周辺に野積みされている状況も散見されますが、その処理は地域の環境対策の面からも急務と考えます。県では、漁業系廃棄物を再資源化するための事業を平成10年度から3カ年計画で実施しており、廃棄物の処理構想、実証試験、処理マニュアルの作成に取り組んでいると聞いております。この事業は12年度で終わることになるわけですが、今後はこの事業の成果を生かした現地での具体的な取り組みが重要になると考えますが、県の今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、漁業集落排水処理施設整備についてお伺いをいたします。
 漁村は、漁業生産活動の基地であると同時に、地域住民の生活の場でありますが、集落の形態は、その背後に山が迫り、平地が少ないという地形的な制約などから社会資本の整備がおくれており、特にも下水道整備は内陸都市部に比べて大幅におくれている現状にあります。清潔で快適な生活環境の整備は、今、県内共通の課題でありますが、沿岸地域においては、生活環境の改善の面からはもちろんのこと、河川を通じて流入する生活雑俳水やごみなどにより沿岸海域、特に湾内の水質汚濁が徐々に進行し、本県のつくり育てる漁業への影響が懸念される状況になってきており、豊かで生産力の高い本県の海の環境を保全するという観点からも、漁村の下水道の整備は喫緊の課題であると考えます。前回、漁業集落環境整備事業による排水処理施設の整備状況についての私の質問に対し、林業水産部長の答弁は、平成10年度末の漁村の整備率は7%と県全体の42%と比較して極めて低い状況であり、整備率の向上のため種々の方策をとっているとのお話でありました。また、昨年の11月に策定されました第四次水産業基本計画では、具体的な整備目標として平成17年度に46%、平成22年には63%と掲げられております。本県の漁村は集落数も多く、形態も多様であり、また、事業主体である市町村の財政事情等、整備率の向上には多くの課題があることも理解しておりますが、漁業後継者が減少している状況の中で若者にも魅力のある清潔で快適な生活環境を形成していくため、これらの整備目標を可能な限り早期に達成できるよう、今後とも強力に事業を促進していく必要があると考えます。県は、今後、水産業基本計画に掲げる漁業集落排水施設の整備目標達成に向けてどのようなお取り組みを行っているのか、お示しをお願いいたします。
 次に、漁業者の高齢化対策についてお伺いをいたします。
 本県の漁業就業者は全国と同様年々減少し、しかも高齢化が確実に進行している状況にあります。漁業は、海という厳しい環境と重労働を伴う仕事でありますが、例えば漁港の岸壁は干潮時になると漁船との段差が大きくなり、船の乗りおりや漁獲物の荷揚げが容易でなく、またワカメなどの養殖作業も波で揺れ動く船上での手作業が多いことから、高齢化に伴う体力の衰えは漁業現場の第一線からの撤退に直結をいたします。新たな担い手の確保が困難な今日、高齢者も漁業の一翼を担っていくためには、作業の省力化や安全対策などの生産環境づくりが必要と考えますが、県は、今後どのような対策を講じようとしているのかお伺いをいたします。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 田村誠議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、地方振興局について二つお尋ねございましたが、そのうちの地方振興局の強化の方から申し上げたいと思います。
 そもそも県行政におきまして地域の視点に立って、地域住民や市町村とともに地域づくりを考え、そしてまた具体の施策を推進していくというためには、県の中では地方振興局における自主的、自立的な政策立案機能、そして予算、人事なども含めた総合調整機能というものを強化するなど、その地方振興局としての総合性とそれから自己完結性を一層高めていくことが必要であると、このように考えております。地方振興局については、こうした観点に立って、これまでにもその中に保健所や土木事務所を統合してまいりましたし、地域における行政サービスのいわば総合センターとしての組織体制の整備を進めてきたわけでございます。またさらに、自己決定権限を拡大して、住民に身近な行政についても、その地方振興局で迅速に決めてもらおうと、そしてきめの細かいサービスを提供しようということで、現在まで、今お話しございましたとおり多くの権限の委譲を進めてきているという状況でございます。今後におきましても、地方振興局のこうした役割というものをさらに推し進めていきたいということで、やはりそれに合った事務量に応じた職員の適正配置など、円滑な業務執行体制の確保にも配意をしながら、適切に権限委譲の推進に努めると、このような方針でおります。その際には、もう既に地方振興局に権限委譲された事務も含めまして、事務事業のあり方について、地域の実情がいろいろございますので、そういう実情に即した不断の見直しを行う必要があると思っておりますし、業務研修の充実や情報機器の整備をするといったような事務能率の向上に努めますほか、局内横断的に統括、管理する体制もあわせてこれを整備して、事務の適正かつ効率的な執行が図られるように充実強化をしてまいりたいと考えております。
 それからもう一つ、地方振興局の果たすべき役割についてお尋ねがございましたけれども、地方分権の時代にございまして、市町村と県とがそれぞれの役割を相互に分担し、そして、補完し合いながら住民本位の総合行政を推進していくことがますます重要になってきているものと、このように認識しております。
 そうした中で、地方振興局の役割としては、地域住民や市町村とともに、地方振興局がみずから活力ある地域づくりを推進するためにさまざまな分野の施策を推進する、そして、先ほど申し上げましたように、地域における総合センターとして具体のきめ細かな県民サービスを提供するということ、そのほかに、特に市町村との関係における役割としては、二つあると思っておりまして、一つは、市町村間の連携を推進するいわばコーディネーター役としての調整機能というもの、そしてもう一つは、それぞれの市町村が自主的・自立的な地域経営を展開していくための支援機能というもの、この二つの機能が重要になってくるものと考えております。
 そして、今後、地方分権がさらに進んで、市町村の事務処理能力が高まってまいりますと、例えば環境ですとか、防災ですとか、あるいは福祉などの分野における課題のように、個々の市町村では解決できない、より高度の調整機能の必要性がそうした際には高まってくるものと考えられるわけですが、当面は、地方振興局の持っております調整機能と支援機能という、この二つの機能、この両面を重視していかなければならないものと、このように考えております。
 このため、このような地方振興局が果たすべき役割を踏まえて、出先機関の統合などによって、組織体制の強化や地方振興局の中の企画振興部門の充実、それから、事業間の調整を行うスタッフの配置などに加えまして、昨年度は、県・市町村相互の人事交流制度というものをスタートさせましたし、本年度は市町村総合補助金制度を創設したところでございます。
 今後におきましても、各地域において活力ある地域づくりが行われ、また、それぞれの市町村が分権時代において期待される役割を果たすことができるように、地方振興局の政策立案機能や、先ほど言いました調整機能、そして支援機能、こうしたものの一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
 次に、痴呆性高齢者の現状についてでありますが、本県では平成10年度に実施した調査がございまして、それによれば、在宅で痴呆の状態にある方が県内全体で約6、000人ということになっております。これは、その6年前の平成4年に行った調査がございますけれども、その平成4年の数値に比べ3倍以上に増加していると、こういう状況になっておりまして、これからの高齢者福祉施策において、こうした痴呆性高齢者に配慮した対策がとても重要になるものと、このように考えております。
 御指摘のように、痴呆性高齢者の精神症状や、いわゆる行動異常などによりまして、介護に当たっておられます御家族の方々の負担は本当に、およそ言葉では言い尽くせないものがあると、このように推察しております。
 こうしたことから、今後の痴呆性高齢者福祉につきましては、痴呆性高齢者の個人の尊厳を保ち、でき得ることなら住みなれた地域でその人にふさわしい生活ができ、あわせて、実際に介護に当たっている人、介護者の負担軽減が図られるよう、相談・治療・ケアというそれぞれ三つの段階がございますが、相談・治療・ケアの充実に加えて、それ以前の発生予防対策も強化をする必要があるということで、保健・医療・福祉の総合的な、そして一体的な取り組みが必要であると考えております。
 このため、平成11年度から痴呆性高齢者などの権利擁護のため、地域福祉権利擁護センターというものを県内に設置したわけでございます。これは、ふれあいランド岩手の中に平成11年度に設置したものでございます。そのほか、在宅介護支援センター、これは県内に数多くございまして、現在164カ所ほど設置されておりますけれども、こうした在宅介護支援センターなどでの相談機能の強化を図るということ、さらには、老人性痴呆疾患センターの充実、これは県内に今2カ所ほどございます。このセンターの機能も充実する。それからあと、今、家庭的な雰囲気のもとに穏やかな生活が送れるようにということで、痴呆性高齢者のグループホームの整備を行っています。現在、県内7カ所でございますが、こうしたグループホームの整備を今後も積極的に推進するといったようなことで、ちょうど今年度から介護保険制度が施行されたわけでございますが、これを契機に、今申し上げましたようなことも含めた総合的な取り組み、諸施策の一層の推進を図っていく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承お願いします。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) まず、津波に関する危機管理の現状認識についてでございます。
 津波災害につきましては、本県におきまして過去に幾度となく大きな被害を受けていることから、特に防災対策に万全を期し、いつ、いかなる場合に津波災害が発生いたしましても、常に適切に初動体制等が行えるよう体制を整備するとともに、高い危機管理意識を持つべきものと考えております。
 津波防災における危機管理体制として最も重要なことは、いかに地域住民や観光客等を迅速かつ安全に避難させるかであり、そのためのシステムづくりと各地域や集落ごとの自主防災組織の確立、そして、市町村から住民等に対する迅速、正確な情報伝達体制の整備などが必要不可欠と考えております。
 県といたしましては、このような観点から、沿岸市町村との津波対策連絡会議等におきまして、御指摘のございました津波防災意識の風化も含め、市町村の抱える問題点や検討課題についてともに検討し、同報系防災行政無線や避難路、避難所の整備、資機材の備蓄や自主防災組織の育成などの施策につきまして、引き続き協力支援を行ってまいりたいと考えております。
 次に、津波災害の応急・復旧対策ガイドラインの研究についてでありますが、津波などの自然災害の防災対策につきましては、災害対策基本法に基づき、国、県、市町村等がそれぞれ防災基本計画、地域防災計画等を策定し、対応しているものであります。
 県の地域防災計画は、津波災害の予防計画、応急対策、復旧対策など津波災害に関する総合的、基本的な対策を定めておりますが、本県が過去に津波により幾多の被害を受けていることから、それらの被害状況や被害発生後の応急・復旧対策の経験や具体的なデータをもとに、過去最大規模の津波に対応した内容となっているものであります。
 また、沿岸市町村の地域防災計画につきましても、それぞれ過去の津波災害の経験を踏まえ、修正を加えながら県計画との整合を図り、市町村における応急・復旧対策などを定めておりますが、津波防災対策により適切に対応させるためには、地域防災計画に基づきましたさらに具体的な行動計画が必要と考えられますことから、県といたしましては、市町村津波防災活動マニュアル等の参考となる災害発生後の応急・復旧対策を含む津波対策ガイドラインの策定につきまして、関係市町村とともに研究してまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) 痴呆性高齢者の介護の充実についてでありますが、県におきましては、痴呆性高齢者の介護の充実を図る観点から、痴呆性高齢者の介護技術の向上に積極的に取り組んでいる社会福祉法人岩手和敬会を拠点として、福祉施設職員等を対象として、約1カ月間に及ぶ痴呆介護研修を実施するとともに、県介護実習・普及センター等を拠点として、一般県民向けに介護研修等を行ってきたところであります。
 今後におきましては、開設される高齢者痴呆介護研究センターへ研修生を積極的に派遣し、より介護技術の高い指導者を養成するとともに、県内の介護研修拠点機関等とのネットワーク化を図りながら、介護者の確保と介護サービスの質の向上を目指していくこととしております。
 さらに、県民の方々が岩手においてふさわしい介護サービスを利用できるよう、ケアプランの作成技法等介護技術の研究を進めるため、今年度から県・県立大学・遠野市との連携による県独自の先駆的取り組みを行うこととしております。
 なお、県立大学にあっては、今後の介護研究の拠点的な役割を期待しているところであります。
 御提言のありました痴呆性高齢者に関する研究・研修センターの創設についてでありますが、貴重な御意見として承り、今後、この御提言の趣旨にも留意しつつ、痴呆性高齢者対策の充実に努めてまいりたいと考えています。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕
〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) まず、雇用問題についてでありますが、本県の雇用情勢は、岩手労働局の発表によりますと、企業の倒産や合理化などに伴う事業主都合による離職者数は、本年3月以降減少傾向にあるものの、有効求人倍率は本年5月以降0.6倍程度で推移しており、依然として厳しい状況にあります。
 また、平成11年度の新規学卒者の就職状況につきましては、同じく岩手労働局の調査によりますと、ことしの春、県内の学校を卒業した就職希望者の就職率は、大学生が83%、短期大学生が76%、高校生が99%となっておりまして、中でも短期大学生の就職が最も厳しいものとなっております。
 また、岩手労働局との連携による雇用対策の取り組みにつきましては、本年4月の地方分権一括法の施行によりまして地方事務官制度が廃止されたことに伴い、雇用対策においては、国が行う職業指導及び職業紹介の事業と地方公共団体が講ずる雇用施策とが密接な関連のもとに効果的に実施されるよう、国と地方公共団体が相互に連絡し、協力するよう求められているところであります。
 県といたしましては、国と県とがそれぞれ果たすべき役割と義務を明確にし、地域の実情に即した具現性のある施策を講ずる必要があるものと考えております。
 このようなことから、国、県双方の施策の効果的な推進を図るため、この10月に岩手労働関係連絡調整会議を発足させることとし、この会議には岩手労働局と県のほかにも、テーマに応じて有識者や障害者の代表者の方々などにも加わっていただき、各方面のさまざまな意見を伺って、雇用施策について協議していくこととしております。
 これまで県が指導してきた大学や短期大学などの卒業予定者を対象とするいわて就職面接会や、本県へのUターン・Iターンを促進する岩手県U・Iターンフェアの開催などの事業に加えまして、今後におきましては、岩手労働局との連携とそれぞれの役割分担のもとに、本県の地域の実情やニーズに応じた新しい施策の企画、推進に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、企業誘致についてでありますが、これまでに本県に誘致した企業は約630社であり、その立地はおおむね内陸部が7割、県北・沿岸地域が3割となっております。このことから、県北・沿岸地域の企業誘致の推進が重要であると認識いたしまして、これら地域に立地した企業に対する優遇制度の創設や関係機関等で構成する企業誘致推進委員会に県北・沿岸両部会を設置するなど、関係機関一体となった誘致活動に積極的に取り組んでいるところであります。
 その結果、昨年度は沿岸地域に3社の立地があり、本年度も県北地域にIT産業の東京電波株式会社の進出が内定するなど、これまでの取り組みが徐々に実を結びつつあるものと認識しております。
 県北・沿岸地域には、それぞれ固有の産業資源がありまして、また、現在、三陸縦貫自動車道、東北横断自動車道釜石-花巻間などの道路網、港湾、新幹線盛岡以北などのインフラ整備が着実に進められており、企業立地環境も次第に高まりつつありますことから、今後とも、在京岩手産業人会などの人的ネットワークを活用した情報の受発信や業界動向を把握しながらの企業訪問の実施など、あらゆる機会をとらえまして県北・沿岸地域への積極的な企業誘致に努めてまいりたいと考えております。
 次に、三陸沿岸地域の観光振興についてでありますが、地域提案型・体験型観光を推進する観点から、黄金王国や魚彩王国の旅行商品企画を支援して、イベント列車の運行、サケの一本釣り、ホヤむき、網おこしや炭焼き体験など、三陸ならではの旅行商品販売に取り組んでいるところであります。
 このような地域の主体的な取り組みのほか、三陸沿岸全体を視野に入れながら、漁業体験などを活用した県外からの修学旅行の誘致に取り組んでおりますし、また、三陸鉄道の仙台-八戸間直通列車リアス・シーライナーを活用いたしました仙台、八戸方面からの観光客の誘致、それから、盛岡、宮古、釜石、花巻間を運行いたしますJRのぐるっとさんりくトレインの運転期間の拡大などに努めているところであります。
 また、昨年春に開設しました陸前高田オートキャンプ場も、家族型旅行を中心に順調な利用が続いております。
 さらに、この秋には仙台空港や花巻空港を利用した台湾からのチャーター便が運行され、三陸地域にも台湾からの観光客が訪れることとなっておりまして、宮城県など隣県と連携した広域的な視点に立った三陸観光をも考えながら、外国人観光客の誘致にも、今後積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇企画振興部長(佐藤徳兵衛君) さんりく・リアス・リゾート構想の推進についてでありますけれども、これまで地元資本を中心とした地域主体の手づくり方式を基本といたしまして、国の各種補助事業の導入や県単の補助事業等により施設の整備を促進してきたところであり、供用済みの43施設の平成11年度にお ける利用状況は、利用者数約261万人──これには、先ほど商工労働観光部長がお答えいたしましたオートキャンプ場は入ってございません──それから、地場産品の仕入れ等の利用額は約9億円などと、地域経済の活性化に大きく寄与しているところであります。
 一方、リゾート推進協議会を構成している団体等においては、黄金王国、魚彩王国、あるいはグリーンツーリズム等々の広域的な観光振興や地域づくりの取り組みが活発化してきております。
 このようなことから、協議会がこれまで実施してまいりました広報宣伝やイベント育成などのソフト事業につきましては、今後はそれぞれで発展的に展開することとし、協議会としては、構成団体等との連絡調整を図りながら、長期的な展望のもとで引き続き構想の実現に努力していくこととされたところであります。
 したがいまして、経済情勢等々を勘案いたしますと、今後におきましても県、関係市町村、団体が一体となり、長期的な視点からさんりく・リアス・リゾート構想が着実に進展するように取り組んでまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長本山芳裕君登壇〕
〇林業水産部長(本山芳裕君) まず、水産基本法の制定についてでございますが、国では、水産政策を国民全体の視点から抜本的に見直し、再構築するため、昨年12月、水産基本法の制定を視野に入れた水産基本政策大綱を公表したところであります。この大綱では、水産資源の適正な管理と持続的利用や漁業管理制度の見直し、漁業の担い手の確保、水産加工業の体質強化、漁業地域の活性化、水産基盤の一体的整備、漁協合併の促進などを施策の展開方向としております。
 水産基本法は、これらに関する政策の理念や基本的なあり方・方針を定めるもので、13年の通常国会での上程が見込まれております。
 県におきましては、本県水産業の積極的な振興に資するよう、国に対し、水産関係団体からの意見要望を伝えるとともに、各市町村を単位として、漁港・漁場・漁村の水産基盤の一体的整備に向けた地域懇談会の開催などに取り組んでおり、今後とも国の動向に的確に対応し、本県の水産業基本計画の一層の推進が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、水産物のハセップ対策についてでありますが、新鮮な本県水産物の市場性を高めていく上で、改正JAS法による原産地表示の義務づけは有効と考えられ、この仕組みを生かすためにも、生産から加工、流通に至る各段階で、ハセップ方式による衛生管理を行うことが極めて重要であります。
 こうした観点から、まず、漁業生産段階では、サケ及びウニについて、衛生管理や低温での鮮度管理のための体制整備を行ってきたところでありますが、今後、カキなどを対象としてマニュアルを策定し、普及を図ることとしております。
 また、産地流通段階では、昨年度、魚市場を対象として衛生管理の指針を策定するとともに、県単独事業により、海水殺菌装置の整備やトイレの改修などを進めてきたところであり、今年度、大船渡など主要4市場、来年度に残り9市場をハセップの基本となる一般的衛生管理レベルに到達させることを目指しております。
 さらに、加工段階では、冷凍食品製造など高次水産加工場94工場について、平成10年度までにその3分の1のハセップ認定を目指し、引き続き専門家による衛生診断や水産技術センターによる個別指導を行うほか、施設の改善に必要な制度資金等の活用を促進することとしており、これら対策の総合的な推進により、水産業基本計画に定められた目標を達成するよう努めてまいります。
 次にイワガキの養殖についてでありますが、イワガキは本県の新たな有用水産資源として注目され、漁業者から、大量に生産が可能な養殖技術の早期確立が求められております。これまで試験的なレベルでは、平成8年度から宮古漁協において、種苗生産・養殖・出荷に取り組んでおり、さらに平成11年度からは、岩手県栽培漁業協会が大量採苗に成功し、現在、これらの種苗を使用して県下21の漁協において養殖試験が行われております。
 今後、このような成果を基礎にして養殖事業を広範に展開するには、さらに安定した種苗生産や養殖管理に必要な技術の確立とともに、イワガキの流通体制などを整備する必要があります。
 このため、県におきましては、水産技術センターにおいて、これら技術の早期確立に向けて調査研究を推進するとともに、水産関係団体とも連携を密にしながら、生産者における市場アクセス、衛生管理などのあり方について鋭意検討してまいりたいと考えております。
 次に、漁業系廃棄物の処理対策でありますが、県におきましては、平成10年度から3カ年で漁業系廃棄物再資源化システム開発促進事業を実施し、農協、畜産公社及びセメント会社と連携して、再資源化のための実証試験を行ってきたところであります。
 その結果、試験の対象とした海草残滓──茎や根の残り物でございます──カキ殻、ウニ殻及び貝の付着物のいずれについても、堆肥原料として活用することに技術的な問題がないこと、さらに、カキ殻については、セメント原料として活用できることが明らかにされており、廃棄物の運搬・収集経費について漁業者が負担するなど、一定の条件下で事業的な再資源化が可能と考えられる状況にあります。
 しかしながら、その具体化に当たっては、それぞれの廃棄物が漁獲時期に集中して発生すること、特に、カキ殻は量の多さとともに塩分が障害となり、セメント原料に活用していく場合、処理量に制約があることなどから、受け入れ側との合意をもとに条件を整備することが必要であります。
 こうしたことから、今後、県といたしましては、水産関係団体、市町村等との連携を密にしつつ、受け入れ側業者との仲介をするなどにより、再資源化事業のための体制整備について積極的に支援してまいりたいと考えております。
 次に、漁業集落排水処理施設整備についてでありますが、その整備率は、本年8月末において昨年度末より4ポイント高まり11%となったものの、いまだ低い水準にあります。このため、引き続き漁業集落環境整備事業などを積極的に推進していくこととしており、現在の着工地区数等に基づく見通しでは、2年後の平成14年度末には23%程度に、3年後の平成15年度末には32%程度に高まる見込みであります。さらに、第四次岩手県水産業基本計画では、平成17年度までに46%に引き上げることとしております。この目標を達成するためには、事業主体である市町村の財政負担の軽減を図ることが何よりも肝要であることから、これまでも県では市町村の起債償還額に対し助成してきておりますが、これとあわせ現在、事業の県代行制度の創設について国に強く要望しているところであります。今後とも、市町村が事業を導入しやすい環境づくりに努め、積極的に整備を促進してまいる考えであります。
 次に、漁業者の高齢化対策についてでありますが、漁業従事者の高齢化、減少が進む中で、本県漁業の振興を図るためには、高齢な漁業者が漁業生産活動に従事しつつ、その培った技術と経験を後継者に伝承していくことも重要であると考えております。このため、これまでも漁港内における漁船の巻き上げ機や荷揚げクレーンの設置、浮き桟橋の整備、さらには養殖ワカメの自動刈り取り機の開発などにより、労働強度の軽減を図るとともに防風施設や休憩所などを整備し、就労環境の改善を推進してきているところであります。また、これら施設の整備は、高齢者を対象とした生産環境の改善のみならず、後継者の確保のためにも重要な意義を持つと考えられることから、今後とも、地域の意向を踏まえつつ、関係諸事業の導入により、積極的に推進してまいる考えであります。
〇議長(山内隆文君) 次に、佐藤力男君。
   〔11番佐藤力男君登壇〕(拍手)

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