平成13年2月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇10番(佐々木順一君) 自由党の佐々木順一でございます。
 21世紀のスタートの年を迎え、記念すべき最初の定例県議会において貴重な一般質問の機会に恵まれ、まことに感慨深いものがあります。この上は、新世紀の出発点の年でもあることから、初心に立ち返りながら住民を代表し、また、自由党の立場から県政の基本問題を中心にお伺いいたしますので、どうぞ、知事初め執行部の皆さんの魂のこもった骨太の御答弁を賜りますよう、心からお願いを申し上げる次第であります。
 初めに、知事演述についてお伺いいたします。
 人間にとりまして来し方を振り返り、その反省の中から生まれる教訓に学びながら行く末を見据え、未来を着実に切り開く思考に基づく行動をとることが、最も大事な事柄であると思います。一つの時代が終わりを告げ、新しい時代が動き始めた中にあって、ましてや、全県民の生殺与奪の権を握っているとも言える政治家としての知事におかれましては、ある意味ではなおさらのことであります。
 一方、現実の日本社会は、新世紀の出発当初から、政治、行政、経済、社会全般はもとより、国民の最後のよりどころでもある司法界においてさえ、慄然とする不祥事が続発するなど、心もとない状況にあります。まさに、前世紀の負の遺産を何一つ清算できないまま迎えた21世紀の幕あけとの感がありますが、このような不正常なときにこそ、私は各界すべてが一度基本に立ち返り考えを構築し直すこと、すなわち、基本回帰を混迷状況打開の共通点にすべきものと考えるものであります。
 知事は、演述の冒頭で鮮やかに21世紀を総括されるとともに、過般の一般質問の御答弁でも明確な現状認識を示されるなど、共感を覚えるものでありますが、それでは一連の認識を踏まえ、新世紀のスタート台に立たれている知事は、海図なき大航海時代とも言われる今世紀初頭の岩手の航路をどのように描いておられるのか、その方向性とかじの取り方について御所見を賜りたいと思います。あわせて、掲げる志の一端を御披瀝いただきたいと思います。
 また、演述の結びで、原敬の高邁な見識を引用されましたが、その強調の範囲がまさに見識にとどまっておりましたので、この上は御自身の政治家原敬観についてお伺いをいたします。
 同時に演述中、私自身リスクを恐れず、また、既成概念にとらわれることなくとの決意表明がさりげなく盛り込まれておりました。ついては、どのようなお考えに基づきこのような言葉を採用されたのか、その真意をお伺いいたします。
 関連しお伺いいたしますが、いかなるときでも県政運営の推進力は、一人一人の県民の力であることは論を待たないところであります。また、その旗頭は、言うまでもなく、県民の信託を受けた知事であります。ついては、県民を代表する知事は、全県民の力を結集せしめる旗印もしくは結集軸に何を据えようとされておられるのか、お伺いいたします。
 それから、企画振興部長にお尋ねいたしますが、新世紀の発進の年でもありますので、前世紀分の総合計画の取り組みを一たん総括していただき、どのような教訓が得られたのかお伺いいたします。
 次に、地方自治の本旨に基づく分権社会のあるべき姿を念頭に置きながら、幾つかの問題についてお伺いいたします。
 前回は選挙の根幹にかかわる問題の中から、選ばれし者、いわゆる首長の多選問題についてお伺いいたしましたが、今回は選ぶ者、とりわけ外国人の地方参政権付与問題に限定しお伺いいたします。
 外国人の地方選挙権付与問題につきましては、平成7年の最高裁判決、すなわち憲法上禁止されていないが、そのような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄である旨の判断が示されたことから、地方議会での法制化を求める意見書採択も活発化し、こうした動きを踏まえ、国会でも本格的な審議が開始されております。現在、約62万人に上る永住外国人の9割が、いわゆる在日韓国人・朝鮮人、在日台湾人やその子孫であり、本県では特別永住者と一般永住者を含め1、180人程度でありますが、戦前の一時期、日本国の国籍を有したこの方々に参政権が付与された時期もありましたけれども、時代状況が変わった今日、国籍の見方や住民の概念のとらえ方の違いから、地方参政権のあり方につきましては大きな意見の隔たりが表面化してきております。すなわち、その対象を国交のある永住者に限定する方法を初め、単なる永住者に限定する方法、あるいは自治体に付与の当否をゆだねる方法などの修正案が浮上するとともに、最近に至っては意見書採択の再考を求める考え方も表面化するなど、議論が一層混乱してきております。国際化や少子化に伴い、多様な国籍を持つ外国人が働き手として我々の身近に住む時代となってきている今日、地方選挙権の付与問題は地方政治といえども、永住外国人を政治的意思決定の過程から排除していくのかあるいは共生していくのか、自治の理念の基本が問われる問題であり、ひいては国のあり方そのものにかかわってくる問題でもありますので、選挙の洗礼を受けられる知事の踏み込んだ御見解をいただきたいと思います。
 関連し、分権型選挙のあるべき姿についてお伺いをいたします。
 地方分権一括法の成立により、地方分権は一定の前進を見せましたが、公職選挙法が国政選挙から地方選挙まで全国一律に規定されていることから、分権本来のあるべき姿を考えれば、私は地方選挙に自治体や住民の自由な発想や工夫が生かされて当然のことと考えるものであります。かつて、現在の公職選挙法の立法過程の中で、自治体選挙の規定が地方自治法から分離され、国政選挙と一体化されたものであることに着目していただければ、これをもとに戻すこと、すなわち、自治体選挙関連法規を切り離し地方自治法に新たな規定を設けることこそ、まさに自治体選挙の原点であると考えるものでありますが、知事の御見解をいただきたいと思います。
 次に、究極の自治のあり方についてお伺いいたします。
 昨年末の知事の道州制構想への言及を契機に、この問題は本定例会でもその真意をめぐってさまざまな質疑が交わされてまいりました。結果的に多くの人々の関心を引きつけることになりましたが、一連の知事の政治的御発言をトレースしてみますと、私の理解不足もあるかもしれませんが、全体的にトーンダウンの感は否めないところであり、遠大な構想とは逆に、大方の県民は水平線のはるかかなたの問題ではないかと受けとめているようであります。さまざまなケースの道州制があるとは思いますが、この上は、机上的、予測的あるいは希望的構想ではなく、激変する県内外の諸情勢を勘案の上、21世紀が科学的進歩に伴い大きく変化するであろう人間性、精神性の変化をどう見定めるかとの視点から、実質的道州制に到達する論理的道筋とその手順及び知事御自身が念頭に置かれている道州制の仕組みについて、確信に満ちた御説明をいただきたいと思います。
 引き続き関連しお伺いいたします。
 議会の答弁を含め、伺うところによりますと、知事は実質的道州制へのアプローチを、県境を越えた広域行政実践に伴う実績主義に置きながらも、制度改正には踏み込む考えはないとお聞きいたしております。憲法論議の性格を持つ連邦制を想定した道州制はともかく、実質的道州制到達への道づくりが、結果として地方自治の本旨に基づく究極の目標であるとするならば、また、北東北3県知事会議がその壮大な実験場であるとするならば、まさに知事が御指摘されるように、地方分権一括法の施行は到達目標に向けてのスタート台そのものであると私も思いますが、制度の改正まで視野に入れなければ、この構想は百年河清を待つようなものではないでしょうか。ついては、なぜ制度改正を横に置かれるのか、その理由を御披瀝いただきたいと思います。
 また、過般、知事は、地方分権一括法の内容に不足を訴えられたとお聞きいたしておりますが、どの点が不足なのか御見解をいただきたいと思います。同時に、一括法施行そのものが県民の皆さんにとって影響のない、関心のない事項であったとの問題点を指摘されるとともに、県民生活に影響が出てくるところまで歩みを進め、努力しなければならないとの認識を示されたと仄聞しております。ついては、思い描く影響と傾ける努力の姿について、その一端を御披瀝いただきたいと思います。
 それから、企画振興部長にお伺いいたしますが、実質的道州制構想到達への入り口は市町村の合併にあると考えるものですが、いかがでしょうか。千里の道も一歩からと、いにしえの賢人がとうとい言葉を私たちに教えておりますが、私は市町村合併の扉を正しくあけ放ち、障壁を克服しながらも地域住民が勝ち取るべきものは、例えば各種補助金の廃止や地方交付税制度の簡素化に伴う地方財源の充実、強化という果実であり、そしてその延長線上にある課税自主権の有効かつ適切な行使によって、初めて道州制の道が開かれてくるものと考えるものであります。ついては、企画振興部長は、実質的道州制というものをどの程度念頭に置かれて市町村合併の事務を処理されておられるのか、御所見をお伺いいたします。
 次に、税財源のあるべき姿についてお伺いいたします。
 国、地方の財政問題の核心は、地方の税収が4割であるにもかかわらず、国庫支出金と地方交付税などを通じ、全体の6割を地方に支出させている国の財政コントロールにあることは周知のとおりであります。財政問題は、さまざまな角度から本定例会でも質疑が交わされたところでありますが、中でも地方交付税は地方の一般財源であるとの建前から、地方の側から問題点を指摘しづらい側面がありますし、その実態は国庫補助金の裏負担あるいは地方債の元利償還費の一定割合の負担などに見られるように、財政調整機能という本来の趣旨からはみ出し、実態は景気対策と政策誘導への機能に変質しております。したがいまして、このような国のコントロールは、自治体の過度の中央依存と住民の行政依存を招いており、結果として地方分権推進上の大きな阻害要因になっております。
 また最近、独自課税の導入の問題がかまびすしい状況下にありますが、こうした個別の政策誘導型の課税論議は本質の問題ではないと思います。したがいまして、今後、自治体が地域の意思と責任に基づき、地域住民の受益と負担の関係を明らかにする中で、個別需要に確実にこたえていくためには、将来の税と財源の全体像をみんなで真剣に協議する仕組みを整える必要があると考えるものであります。
 知事演述では、国からの税財源の移譲に努力する旨の姿勢を鮮明にされましたが、地方税財政制度の改革が地方分権を定着させ、実質化させる最後のかぎであるとするならば、制度の現状にどのような問題があり、いかなる方向で改革されるべきかを含め、県民に将来像を示すことも大事ではないでしょうか。ややもすると、税財政の問題は難しい、複雑との先入観があり、これまで専門家に任せてきた嫌いがありますが、この上は体制内での検討にとどまることなく、未来志向で本県の税財源全体のあるべき姿を探るため、例えばでありますが、知事の諮問機関として県民各界、各層から有識者を募り、専門に調査研究を任務とする組織を立ち上げる必要があるものと考えますが、御見解をいただきたいと思います。
 関連し、税の収入未済額の圧縮問題についてお伺いいたします。
 税の収入未済額につきましては、法的手段の行使など課税当局の相当の御努力により収納率は全国最高水準にありますが、それでも実態は年々増加の傾向にあります。本県における県税の収入未済額は、11年度実績で20億円強となっており、市町村税に至っては77億円を超えております。特にも、個人県民税の徴収権限が市町村にゆだねられていることから、市町村が住民税を適切に徴収しない限り、個人県民税の未済額は圧縮しないことになりますが、市町村長が住民密着の立場にあるため、思い切った滞納策はとりづらい状況にもあると思います。しかしながら、この状態を放置したまま国税の地方税への委譲、あるいは県民の新たな負担などを幾ら唱えても、足元を固めない限り説得力に欠けることになり、結果として、県政の円滑な運営に支障を及ぼすことになるものと心配するものであります。ついては、社会正義の実現を追求する努力を今まで以上に示すためにも、抜本的かつ効果的な徴収体制を整備すべきものと考えるものでありますが、御見解をいただきたいと思います。
 さらに、関連しお伺いいたします。
 去る1月22日、総務省は全国都道府県総務部長会議を開催し、徹底した行政改革による財政健全化や情報通信基盤などの基盤整備など、景気の自立的回復につながる投資の積極的取り組みあるいは全庁的な合併問題への取り組みなどを説明したとお聞きいたしております。その説明を受けた項目について、県はどのように対処されるのか、方針について御見解をいただきたいと思います。
 また、総務省は、地方の財源不足を補うため、地方交付税特別会計で借金をする従来の手法を、各地方自治体が赤字地方債を発行して資金調達をする仕組みに切りかえたことについて、国、地方を通じた財政構造改革につなげる道としてやむを得ない選択と強調されたようですが、総務部長はこの方針を踏まえ、本県の財政構造改革にどう取り組まれるお考えなのか、御見解をいただきたいと思います。
 次に、総合計画の三本柱、すなわち、ひと、情報、環境に関連しお伺いいたします。
 まず、知事の教育観についてお伺いいたします。
 他県における荒れ模様の成人式の報道は御記憶に新しいところと思いますが、この主な原因はどこにあるとお考えなのか、御見解をいただきたいと思います。
 引き続きお伺いいたします。
 その国の将来を予測する一番のバロメーターは、子供の現状を見ることであると言われておりますが、この尺度で今日の日本社会を測定してみると、その答えは、病める青少年の世界という病理現象におおむね凝縮されるものと思います。したがいまして、大部分の方々は、将来に対しやり場のないもどかしさを感じているものと推察するものであります。このようなことから、教育改革国民会議の最終報告など、これまで多くの有識者の御提言が行われてまいりましたが、残念ながら、国民の留飲を下げるような決定的な有効策はいまだ道半ばとの感を抱くものであります。ややもすると、教師が悪い、生徒、児童に問題がある、あるいは家庭教育に問題があるなど、近視眼的な指名手配型の議論になりがちになりますけれども、この原因の本質は、すなわち人としてのあり方や社会生活の基本的ルールを学ぶための場所や機会が極端に失われてきていることに起因しており、いわば私を含め、日本社会の精神の荒廃、退廃にすべての原因があるものと考えるものであります。折しも、2002年からはゆとり重視の教育改革の集大成として学校の完全週5日制がスタートし、本格的に総合的な学習の時間が始まります。まさに社会を構成するものすべてが、いわば教師と言っても差し支えのない状況に直面することから、社会全体が子供たちの感性を麻痺させないような範を示しながらも、特に責任ある者は道徳の確立に一層取り組むべきものと考えるものであります。
 ついては、知事は、出前授業など教壇に立たれているとお聞きしておりますけれども、その趣旨並びに貴重な体験を踏まえ、これから児童、生徒、教師そして御家庭、さらには社会のそれぞれに何を期待されるのか、みずからの教育観も含めて御披瀝賜りたいと思います。
 次に、教育長にお伺いいたします。
 一昔前の教育は、読み、書き、そろばんであったと思いますが、今やグローバル時代を反映し、外国語、コンピューター教育に象徴されるように、質、量ともに以前とは比較にならないくらい濃厚になってきております。しかも、学校週5日制導入に合わせ学習指導要領も改訂され、今その移行期間にありますが、2002年からは小中学校の教育内容は、例えば算数、数学、理科などは現行と比べ3割程度減少することが明らかになっております。しかしながら、一方において、現在の小学校の3割、中学校の5割が、学校の授業を半分以上理解できていないとの指摘もあることから、基礎学力の低下を心配されている御父兄も少なくないものと拝察いたしております。
 ついては、教育長は、この御懸念をどう払拭されるお考えなのか御所見をいただきたいと思いますし、あわせて、いわゆる土曜日の児童生徒の望ましい過ごし方と社会全体の対応について御教示をいただきたいと思います。
 次に、情報関連施策についてお伺いいたします。
 国においては、IT基礎技能の早期普及を図る観点から、地方公共団体が行うIT基礎技能講習において、国民の約550万人程度の者、すなわち全有権者の5.5%が受講できるようにすることを目的に、情報通信技術講習推進特例交付金を創設、これを受け、県では来年度当初予算に8億5、200万円を計上しておりますが、果たしてもくろみどおりに成果を上げることができるのか、疑問に思うものであります。
 第1の疑問は、体制の問題であります。
 すなわち、県はこのIT講習会の講師をボランティアで対応される方針とお聞きしておりますが、果たして適正な要員を十分確保できるのかどうかであります。
 第2の疑問は、会場の確保の問題であります。
 国は講習会の実施会場として、学校及び公共施設で行うよう指導しているとお聞きしておりますが、学校に十分なパソコンを備えても、インターネットを使用するためには回線接続が必要となりますけれども、すべての会場施設において対応可能かどうかという疑問であります。
 第3の疑問は、県内にはパソコン教育をビジネスとする方々がおられるわけでありますが、各自治体が無料で講習を行うことになることから、関連業界の経営を圧迫することにはならないかということであります。今回のIT講習会なるものは、当初のIT受講券の配布構想が変形し創設されたものと理解しておりますが、企画振興部長はこの施策をどう評価されているのかお伺いいたします。
 また、ボランティア講師と会場確保の見通し及び事業推進上、結果として、地域格差が生じないのかどうかお尋ねいたします。
 次に、環境政策の中心の一つである公害防止条例の改正についてお伺いいたします。
 知事は、このたびの環境を基本とする経済社会システムへの変革の必要性を強調されるとともに、施策の重点化方針等、主要施策の概要の中でも環境首都の実現を最高位に位置づけ、その実効性を確保するため、条例の制定、環境家計簿の全世帯への配布、さらにはいわて資源循環型廃棄物処理構想の推進など、きめ細かな体系的な施策の展開に取り組むことを表明されるなど、環境政策の重要性を今まで以上に鮮明にされたところであります。このことは、思うに、地球環境の破壊イコール人類の破滅、もしくは地球環境の保全あっての生命の営みとの根本的認識に基づくものと拝察するものであります。
 ついては、知事のこうした思いを踏まえ生活環境部長にお伺いいたしますが、公害防止条例の改正の目的さらにはその性格、内容、改正の時期及び環境基本条例との違いについて御所見をいただきたいと思います。
 また、環境家計簿の全世帯への配布のねらいと、全世帯の御協力をいただき記帳された家計簿を、今後、環境政策にどう反映されようとしているのか、お考えをお示しいただきたいと思います。
 次に、県産オリジナル吟醸酒・吟ぎんがについてお伺いいたします。
 岩手づくしの清酒・吟ぎんがは、去る2月5日一斉発売され、全国展開の端緒が開かれたところであります。特にも、知事におかれましては、昨年末には新酒の初仕込みに一役買っていただくとともに、一斉発売の記念事業の一環として、首都圏を中心に先頭に立ち、PRキャンペーンや酒販関係者との懇談会などに精力的に臨んでいただいたところであり、酒米吟ぎんがと南部杜氏発祥の地にゆかりある者の一人として、心から敬意と感謝を申し上げる次第であります。
 つきましては、商工労働観光部長にお伺いいたしますが、知事の一連のトップセールスと貴重なPRイベントなどを踏まえ、得られた評価はどのようなものがあったのかお聞かせいただきたいと思いますし、今後、本格的な全国展開に向けて、留意しなければならない事柄はどのようなものが挙げられるのか、さらには、吟ぎんがと吟おとめの二つの酒米を活用した清酒のこれからの販売戦略についてお伺いいたします。
 最後に、最近、公務員の人事制度の改革が注目を集めておりますが、県行政職への政治任用などについてお伺いいたします。
 民間経験のある者を専門知識を必要とする分野などに採用し、行政運営の活性化を図ることについては、県の行政改革推進懇談会でも指摘されております。
 一方、本庁機構再編整備の一環として、明年度から総合政策室が始動することになりますが、総合政策室の設置の趣旨並びに業務の性格に、本来あるべき自治の統治機構のイメージを重ね合わせますと、いわゆる首長に付与されている権限を有効に行使すること、すなわち、このような部署にこそ政治任用による人材登用を含め、権限を最大限に活用し適任者を採用することにも意を用いるべきと考えるものでありますが、御見解をいただきたいと思います。
 新世紀の出発の年にふさわしい実りある御答弁を賜りますよう心からお願いを申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 佐々木順一議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、今世紀初頭の岩手の進むべき方向性などについて何点かお尋ねがございましたが、私は21世紀という新しい時代においては、物事の大枠は、従来は何事もまず中央が決定をすると、こういうことで来ておりまして、今までの中央集権システムや経済至上主義のこうした価値観から脱却をして、地方みずからが率先して既成の枠組みを大胆に改革をしながら、県民本位の真の地方分権型システムを構築していくということ。そのために、まず我々ができることから立ち上がるということが重要であると考えております。そのことは、生活者主権、地域主権に基づく地域社会の実現でございまして、環境、ひと、情報を視点とした新しい岩手づくりにつながることであると、このように考えております。また、このような新しいうねりを岩手から、時には同じ志を持つ他の自治体とともに全国に広げていくことが、やがて日本全体を変えるようになっていくものと、このように確信をしているところでございます。
 知事演述の中で申し上げましたリスクを恐れずとか既成概念にとらわれることなくという言葉の意味について今お問い合わせがあったわけでございますが、温故知新という言葉がございます。私は、21世紀というこの世紀は、温故知新というそのことのみではだめであって、20世紀までは温故知新ということが通じた世紀、大量生産そして規格に合うということがいいということ、重要だということであったと思いますが、21世紀はこの温故知新ということプラス、リスクをとりながらも新しいことに挑戦をするということがなければならない、そういう世紀だと思っておりまして、こうしたことを言葉に託したわけであります。
 もちろん、先ほど申し上げましたような既成の枠組みの変革を行っていく場合には、当然、痛みや苦しみを伴うものでございますが、まず、私が県民の先頭に立って、こうしたことに果敢に挑戦をしていきたいという決意をあらわしたものでございます。
 次に、全県民の力を結集せしめる旗印についてということでございましたが、総合計画においては、自立、参画、創造による持続的な地域づくりということを新しい岩手づくりを進める上での理念として掲げてございますが、この中で私は何よりも私たち一人一人が、そして地域が、さらには日本という国が、真の意味で自立をするということが大事だと思っておりまして、この理念のもとに、また、お互いの価値観の多様性を認め合い、相互に自立しながらもそれぞれの夢にチャレンジをしていくと、先ほど言いましたようにリスクを恐れずにチャレンジをしていくということ、この自立と、そして多様性ということが大変大事だと思っておりますし、そうしたことを行った上でそれぞれの夢にチャレンジし、実現していく、そういうたくましい地域社会、県土づくりに取り組んでいく考えでございます。
 それから、重ねてあわせて私の原敬観についてお尋ねございましたが、原敬は、大正デモクラシーの風潮が高まる中、藩閥政治にかわる政党政治の基礎を築いて、初の平民宰相ということで民衆の歓迎のもとに政権を担当したと、こういう姿が一般に広く知られているわけでございますが、私は、さらに歴史感覚に富んだ政治家だというふうに思っております。藩閥政治、軍閥政治と言われるものがやがて限界となって、その後に政党政治の時代が必ずや来るということを予見して、時には利益誘導も辞さず、パワー・ポリティックスをみずから具現化をしていったそのリーダーシップにおいて、時代に抜きん出ていたのではないかというふうに見ておりまして、私は特に注目いたしますのは、この原敬の時代を予見する目、そして歴史感覚でございます。
 次に、外国人の地方参政権付与問題についてでございますけれども、現在御案内のとおり、永住外国人に対する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権等の付与に関する法律(案)というものが国会に提出をされているところでございます。世界に開かれたいわてづくりを進めるためには、県内に住む外国人の方々に暮らしやすい環境を整備するとともに、地域社会を構成する一員としてともに協力しあいながら、地域活動やまちづくりなどを行っていくことが大切であると考えておりますが、この問題は、国民はもとより永住外国人の間でも大きく今意見が分かれている状況にございます。また、何より国のあり方に係る基本的問題を含んでおりますので、県の立場では永住外国人の方々の歴史的な経緯や諸外国における状況なども踏まえ、まず国政の場で十分に議論が尽くされるべきものと考えております。また、私自身としては、この永住外国人はそれぞれ納税義務を果たして地域住民として暮らしておりまして、自治への責任も享有してもらうべく、こうした皆さんに対して地方参政権が付与されるべきと考えております。
 ただし、御案内のとおり、一昨年成立をいたしました周辺事態安全確保法という法律がございまして、この中で地方公共団体の長に対しての協力条項がこの中に入っております。したがって、この点についての法律の内容の変化などによっては、今申し上げましたこの私の考え方を変えなくてはならない場合もあり得るものと、このように考えております。
 次に、分権型選挙のあるべき姿についてでありますが、地方自治体の選挙というのは、地方自治の担い手である地方自治体の意思決定機関、そして執行機関それぞれの最高責任者を選ぶための方法でございまして、地方自治のあり方、地方自治体の自治権の内容に応じた、それにふさわしい形があるものというふうに考えております。地方分権の推進の大きな流れの中で、広域連携などさまざまな取り組みの成果が今後積み重ねられていくことにより、新しい自治の形が見えてくると、それについての国民的合意ができ上がった段階で、この新しい自治の形にふさわしい地方自治体の選挙のあり方を検討すべきではないかというふうに考えております。
 例えばアメリカの州の権限というのは極めて強く、内容もまたそれぞれ州ごとに異なっているわけですが、それであるがゆえに、知事や議員の選び方についてもそれぞれの州においてそれぞれにふさわしい特徴というものがあるわけでございます。したがいまして、地方が担うべき役割の議論を今進めるべきではないかというふうに思っております。
 次に、道州制についてでございますが、地方分権が大きな潮流となる以前の道州制についての論議というのは、一般に概して、生活者のより身近なところで物事を決めていくことのできる生活者の視点に立った地方自治をどのような道筋で実現していくかというそのことよりも、むしろ都道府県間の行財政格差の是正や都道府県と市町村との二重行政の解消などという観点から、都道府県にかわる制度の枠組みをどうするかという制度論としての地方自治のあり方に関心が向けられていたように思っております。また、そこが今までの議論の欠点であったんではないかというふうに私はとらえております。地方分権が実行段階を迎えた今日、地方分権の進展と連動して、国と地方の果たすべき役割がお互いに強く意識されていくことになるわけでございますが、その際には、やはり実態論としての生活者の視点に立った地方自治の姿をしっかりと踏まえた上で地方行政を行っていかなければならないと、このように考えております。すなわち、これを県レベルで見た場合、県単独で解決できることは当然その県で解決をすると、県単独では解決し得ない、あるいは周辺の県と共同して取り組むことでより効率的で、また高い効果を期待できるものは連携して取り組む。そして、こうした連携がさらに広域化していったとき、おのずと広域的な連携の枠組みやその調整の仕組みができ上がってくることとなって、この結果、これを維持し、機能させるための組織や財源、権限というものをどのようにすればいいのか、どうするかというように、実態論からのさまざまな課題が浮かび上がってくるということを考えております。そして、これらの課題を解決していくための方法を制度論として見た場合、もちろん幾つかあるわけで、現在の都道府県を維持しつつ、広域連携や広域連合の形をとるもの、あるいは府県合併の形をとるというもの、さらには、これを一歩進めて都道府県を廃止して──もちろん、そのためには法改正や憲法改正という議論も必要になるわけですがそういうことも行って──都道府県を廃止して道州制にするのかなど、さまざまな形としてはあり得ると思います。
 このように実態論及び制度論については、いずれも県行政の枠を越えた広域的な連携の枠組みをどうしていくかにつながるものでございますが、私は、今後の道筋としては、まず広域連携という大きな枠組みの中で具体的な実のある行動をまず起こして、自分たちでお互いに協力して解決できることは解決をし、自分たちで解決できない問題に対処していくためには、新しい地方自治の形への制度改正を求めていくという実態論からのプロセス、実態論から制度論へという過程を大事にしたいと──そして制度改正という場合には、当然、法律改正や場合によっては憲法論議ということも含まれるわけですが──まず、実態論から制度論へという過程を大事にしたいとこのように考えておりますし、そこに至るためにもまずは県民一人一人の関心を呼び起こして、そして地方分権の一層の推進と広域連携への取り組みに全力を傾注していく考えでございます。
 次に、地方分権一括法についてでございますけれども、この法律は、地域や住民本位を基本とする分権型社会の実現に向けてその出発点になったものというふうに考えております。しかしながら、県民生活への影響に関して申し上げますと、今般の分権改革は、国と地方の上下関係を象徴する機関委任事務の廃止や国から地方への権限移譲など、一定の成果は上がったものと考えておりますけれども、これらの見直しは主として国・地方の行政内部で処理されるものであったために、県民から見て非常にわかりにくいと、行政内部同士での権限のやりとり、キャッチボールをしているに過ぎないと、そのようにしか見られなかったんではないかと。それがゆえに、また実感も伴わなかったのではないかと私自身感じているわけです。
 さらに、国・地方の税財源配分の見直しや国庫補助負担金の整理合理化など、この分権の残された課題との関連で申し上げますと、それぞれが歳出に見合った税財源配分の見直しが行われていないわけですので、税負担とそれから行政サービスをどのような水準にしていくのかという問題が県民に対して提起をされていないと。言葉をかえて言いかえますと、受益と負担の関係が相変わらず見えにくいままで残されていってしまっているということ、また、国庫補助事業が整理されず、地方が自由に使える一般財源がふえなかったため、これにかえて県民や地域の要望に基づく新たな事業を大胆に提案することができなかったことなどが、県民の皆さんの方から見て分権改革のインパクトを弱いものにしているように感じております。このようなことを踏まえますと、県民一人一人が自分たちの暮らしがよくなったと実感することができる分権型社会を実現していくためには、これまでのように単に国にあれしてください、これしてくださいという国に要望するだけではなくて、県として、また同じ目的意識を持つ各県と連携をしながら、地域にかかわる諸課題に取り組む中でつくり上げられる政策を積極的に国に提言していくなどにより、残された課題を含め分権改革の一層の推進に努力をしてまいりたいと、このように考えております。
 次に、成人式における問題行動がいろいろございましたんですが、成人式というのは本来、大人になったということを自覚して社会人として生きていこうとする青年を祝い、励ますためのものであるわけですが、そうした場において一部の青年に分別をわきまえない未熟な行動が見受けられたわけで、これが将来の日本の姿を暗示しているとすればまことに憂慮にたえないというふうに思うわけであります。このような問題行動が発生した主な要因としては、青年自身の自覚の欠如ということはもちろんですけれども、少子化・核家族化の進行や地域の連帯感の希薄化などによって、社会生活を送る上での基本的なモラルやマナーを身につけさせる役割を怠ってきた家庭や地域社会の教育力の低下ということがその背景にあるんではないかと。さらに、またその背景には、今日の大人社会と日本の社会の抱えている病理というものが存在をしておって、私自身も含めた大人社会のあり方が問われておりますし、子供は親や社会の姿を見て育つものという言葉をまた改めて思うわけであります。私は、青少年が他人への思いやりや自制心に富んだ人間として成長していくためには、まずもって家庭において、親がその責務を自覚して基本的なしつけを行うことが必要であって、その上に立って家庭、学校、地域社会がそれぞれの役割を再認識し、一体となって地域社会の教育力を高めていくことが重要だというふうに考えております。県内での青少年の健全育成に向けて活動を推進している青少年健全育成市町村民会議とか教育振興運動など、こうしたさまざまな運動がございますのでこうした運動を支援するなど、次代を担う青少年を社会全体ではぐくみ、支え、そして励ましていく環境の整備に努めていきたいと考えております。
 次に、児童生徒、教師などへの期待についてでございますが、私は、今年度、衣川中学校など四つの中学校で県の総合計画を説明する、いわゆる出前授業というものを行ったわけでありますが、次代を担う中学生が自分たちの夢などについて目を輝かせて私に話す姿を見て、非常に頼もしく感じたところでございます。また、私は先ほど述べましたように、子供は親や社会の姿を見て育つものと考えておりまして、そのため私自身、また私たち一人一人がきちんとした模範を示すことが一番大切だと思っております。その上で、児童生徒が自分自身を律し、他人を思いやり、自然や地域を愛する人間に成長していくためには、家庭においてまず親がその責任を自覚して、しっかりとしたしつけを身につけさせることが重要であると考えております。また、教師の資質として大切なものは、子供たちの有しております潜在能力を精いっぱい引き出して、豊かな人間性や思いやりを持った子供を育てる実践的指導力であると考えておりまして、そのような教師の力量に大きな期待を寄せているものでございます。さらに、地域の人々に対しては、学校における教育活動に積極的に参画する、いわゆるコミュニティ・スクール運動の展開を期待しておりまして、結の心を生かしながら地域一丸となって地域社会の教育力を高めていくことが重要であると考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承お願いします。
   〔企画振興部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇企画振興部長(佐藤徳兵衛君) まず、これまでの総合計画の総括についてでありますが、県では、昭和37年度を初年度とする岩手県経済計画から始まりまして、現在の岩手県総合計画まで九つの総合計画を策定してまいりました。計画の目標は、時々の時代環境を踏まえた県土づくりの理念に基づいて設定され、幾つかの変遷がございましたけれども、いずれの計画におきましても、県民所得をいかにして向上させ、本県の振興を図るのかという観点から論議を重ね、練り上げられたものと考えております。この間、一貫して共通しておりますことは、県勢発展の根幹となる交通基盤の整備、地域資源を最大限に活用した産業の振興や次代を担うひとづくりなど、まさに先人の方々の御労苦を礎としながら岩手の進むべき道筋を求めてきたところであります。私は、今般の知事演述において知事が申し述べましたことがお尋ねの点についてすべて総括し、我々がこれから取り組むべき方向を明らかにできたものと認識しております。
 次に、実質的道州制と市町村合併についてでありますが、私は、地方分権一括法が施行され、分権改革が新たな一歩を踏み出した今こそ、市町村及び都道府県のあり方について生活者の視点に立ち、徹底的に議論すべきであると考えております。多様化、高度化する住民ニーズに的確にこたえ、住民が真に豊かさを実感できる地域社会を築いていくためには、まずもって市町村が住民に最も身近な自治体として、地域における総合的な行政を担っていくことが求められており、他方、都道府県についても、いずれは広域行政の進展に伴い、県という枠を越えた連携により、効率的で質の高い行政サービスを提供していくことが求められてくるものと考えております。市町村及び都道府県は、それぞれに求められる新たな役割に対応し、それぞれに努力していく必要があると考えておりますが、市町村においては、少子・高齢化の進展、国・地方を通ずる厳しい財政状況といった環境の大きな変化に対応し、みずからの判断と責任のもとに、生活者の視点に立った望ましい行政を展開していくためには、それにふさわしい効率的な行政体制の整備・確立が求められており、それぞれの地域において、市町村合併を含め議論していただくことが必要であると認識し、県として助言、情報提供等の支援を行っているところであります。
 次に、全庁的な合併問題への取り組みについてでありますが、県といたしましては、これまでも現場重視の視点から地方振興局の体制強化と本庁における部局横断的な取り組み体制の強化に努めてきたところでありますが、昨年5月に策定した広域行政推進指針は、これまでも申し述べましたとおり、地域の住民がこれからの市町村のあり方について徹底的に議論していただくことを期待してお示ししたものであります。
 今後におきましては、広域行政推進指針で示したもの以外の組み合わせも含め、市町村の自主的な取り組みを柔軟かつ積極的に支援してまいるとともに、その取り組みが具体化した場合には、本庁と地方振興局に合併推進本部を設置し、関係市町村の合併が円滑に行われるよう部局横断的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、情報関連施策についてでありますが、今回のIT講習会は、県民がインターネットなどIT基礎技能を習得することを目的にしております。インターネットは県民の生活、経済活動等あらゆる分野で今後欠くことのできないものと考えており、その普及率が全国的に見て低い水準にある本県にとって、この講習会は多くの県民がインターネット技術を身につける絶好の機会であり、本県情報化の進展に有意義なものと認識しております。
 したがいまして、議員御指摘の講師や会場の確保対策につきましては、民間企業や各種団体など幅広い分野をメンバーとする岩手県情報通信技術講習推進連絡協議会の協力を得て、講師や会場の確保に努めているところであり、講師の謝礼や会場使用料など必要な予算措置を講じているところであります。
 さらに、地域間格差についてのお尋ねでありますが、市町村ごとに均等な受講者目標を設定するとともに、各地方振興局単位の地域連絡協議会による広域的な調整を行うなど、地域間格差が生じないように努力してまいります。
 なお、関連業界の経営圧迫についてでありますが、本講習は──IT講習は1人1回、12時間と限定された内容でございますので、関連業界の経営を圧迫するようなものとはならないと考えておりますが、本事業の推進や受講者のさらなる技術向上には関連業界の協力が不可欠であり、今回のIT講習会を契機としてITのデジタルデバイド、地域間格差の解消に向けて、今後とも関連業界との連携を図ってまいりたいと考えております。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) まず、税財源のあるべき姿を調査研究する諮問機関についてでございますが、税財源の充実強化につきましては、国と地方公共団体の役割分担を踏まえまして国と地方の税源配分の見直しを行い、税源の国から地方への移譲によりまして、地方税源を充実強化していくことが必要ではないかと考えております。
 この場合、本県のような財政基盤の脆弱な地方も含めまして移譲可能な税目を仮に挙げますと、税源の偏在が比較的少ない所得税の基礎部分、それからもう一つは、消費税ではないかというふうに考えております。また、この場合、留意しなければならないことは、これらの税目は地方交付税の原資というふうになっておりまして、一方で、地方交付税総額が減少すると。それから、この場合に地方という形で申し上げた場合に、これは約3、300の地方団体があるわけですけれども、こういった交付税総額が減少しますと、それが個々の地方公共団体にどのような影響を与えてくるかと、こういったことの検討も必要になってくるわけでございます。このように一例を申し上げましたけれども、国・地方をめぐる税財政の全体像を念頭に置いて考えた場合、地方税財源のあり方については、どうしても全国規模での検討ということが必要になり、それを踏まえて本県や県内市町村への影響がどのようになるのかというプロセスが必要になってくるんではないかというふうに考えております。
 平成13年度には、本県を含めまして全国の都道府県及び政令指定都市で構成する全国地方税務協議会におきまして、今後の地方税制のあり方についての検討を行うことを予定しているところでございまして、これらの場で積極的により望ましい地方税制のあり方を検討していきたいというふうに考えておりますし、ここで得られました検討の成果を踏まえまして、これを県レベルに置きかえた場合の影響につきましても検証してまいりたいと考えております。
 次に、税の収入未済額についてでありますが、滞納者や税目ごとの個々の滞納事案に応じてこれは対策が異なるわけでございまして、いわば私どもよく申し上げる言葉で、税の徴収に王道なしというふうに言うわけでございますけれども、現場における日々の地道な徴収努力と、それから県民の皆様の御理解、御協力を得ることが基本になるものと考えております。このため、滞納整理特別対策要綱を定めまして、強化期間を設けるなどにより収入未済額の縮減を図ってきたところでございますが、徴収事務の執行には何よりも税務職員の資質の向上が大切でございますことから、税務経験豊富なベテラン職員の再任用でございますとか、専門研修の充実などにより税務の執行体制の強化、全体のレベルの向上を図るとともに、特に御指摘のございました住民税につきましては、これは県民税、市町村民税という形になるわけでございまして、地方振興局と市町村が密接な連携を図りながら、徴収職員の人事交流、住民税の徴収引受、共同催告、共同臨戸などの徴収支援策をこれまで以上に充実強化してまいりたいと考えております。
 次に、全国総務部長会議における説明項目への対処方針についてでありますが、これらの項目は地方にとりましていずれも重要な課題であり、県といたしましてもこれまで積極的に取り組んできているところでございます。
 御質問にもございました何点かのうち、まず第1に徹底した行政改革による財政健全化につきましては、これまでも岩手県行政システム改革大綱及び岩手県中期財政見通しに基づき、歳出の抑制、財源対策債等を除く県債依存度の縮減など、設定した目標を達成しながら財政の健全化に努めてきたところでございますが、今後におきましても一層重点的かつ効率的な財政運営に努め、安定した財政構造の確立を目指してまいりたいと考えております。
 また、情報通信基盤などの基盤整備など、景気の自律的回復につながる投資の積極的取り組みについてでありますが、これにつきましては情報の森構想などの県計画に基づき、平成12年度におきましてはIT革命、環境問題への対応等に重点を置く、国の日本新生のための新発展政策などに呼応して、補正予算において事業を厳選しながら総合計画事業の前倒しを図り、景気回復の自律的な回復に向け積極的に取り組んだところでありますが、今後におきましても総合計画の着実な推進を図り、本県の21世紀の新たな発展基盤を構築してまいりたいと考えております。
 次に、財政構造改革への取り組みについてでありますが、今般の臨時財政対策債の発行は、従来の財源不足への対処方策である地方交付税特別会計による借入金方式から、個々の地方団体の借り入れ方式に改めることで、地方団体における実質的な借入金の状況を住民に明らかにすることにより、適切な財政運営に資することができ、将来に向けて地方財政収支の改善への努力を促すこととしたものであり、国、地方の財政構造改革推進のための道筋をつけたものであると、このように承知しているところでございます。しかしながら、地方債の増発による財源補てんについては、当面の財政運営上やむを得ない面があるものの、財政指標を悪化させる要因ともなることから、十分注意を払っていくべきものと考えております。したがいまして、こうした面から、借入金依存の地方財政対策を回避することが大変極めて重要になってくるわけでございますけれども、そのためには、まずもって地方分権を一層推進し、自己決定、自己責任のもと、県民の身近なところで施策が決定されるような仕組みとすることが肝要であると考えておりますし、また、そうした分権時代にふさわしい税財政制度の実施を引き続き国に強く要望していくことが必要と考えております。
 県といたしましては、このような取り組みとともに、政策評価による施策の重点化の推進や歳出規模の抑制、県債発行の抑制と財源対策債等を除く県債依存度の縮減、財政調整基金等、主要三基金の適正規模の確保などに引き続き取り組んでいくとともに、バランスシートなど発生主義会計方式による分析成果を取り入れ、資産と負債の関係を県民に明らかにしながら、一層の財政運営の健全化に努めていくこととしております。
 次に、県職員への人材登用についてでありますが、県政の重要課題への適切な対応や特定プロジェクトの効率的な推進などのため、県職員が十分に持ち合わせていない専門的な知識、技能、経験等が必要とされる場合には、一定期間を区切ってそうした方を任用することが考えられますけれども、一般職の職員として一定の任期を定めて任用することが現行法制度上困難なことから、これまでも特別職の職員として任用し、その識見等を県政に生かしていただいているところでございます。
 お尋ねのありました総合政策室などにこういった専門的な知識、技能、経験を持った職員を任用することについてでございますけれども、この点につきましては、その時々に県政課題の状況やそれにふさわしい庁内の人材の登用の可能性などを考慮し、その必要性などとあわせて判断していくべきものというふうに考えているところでございます。
 なお、このような人材を一般職の職員として任用することにつきましては、国におきまして昨年11月に関係法律が施行され、一般職の任期付任用に関する制度が整備されたところでございますけれども、地方公務員につきましては総務省に検討会が設置され、今後の任用制度のあり方の一環としての検討がなされるというふうに聞いているところでございます。
 この任期付任用制度は、幅広く人材を確保し、効率的な行財政運営や施策の推進、新たな行政課題への対応等に機動的に活用できるという観点から、有意義な側面があると考えられますけれども、県といたしましては、今後、その法制化の動向を見きわめながら、県政への活用の方策や処遇のあり方などについて研究してまいりたいと考えております。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) まず、公害防止条例の改正についてでございますが、今般の条例改正は、環境基本条例及び環境基本計画の趣旨を受けまして、従来の産業型公害に加え、都市・生活型公害や地球温暖化など新たな環境問題に適切に対応できるよう、名称も含め、大幅な見直しを行うものであります。この条例は、公害の防止のための規制のほか、県民、事業者の皆様に対して、環境に配慮した行動を求めるような性格のものになるものと考えております。
 現在、環境審議会の中の委員会におきまして、パブリックコメントも行いながら検討を続けているところでございますが、主な内容としましては、駐車場での自動車のアイドリングストップ、廃プラスチックやゴムくずの野外焼却の禁止、家庭用を含む小型焼却炉の規制など、10数項目になってございます。
 改正の時期でございますが、本年5月ころに環境審議会から基本的な方向について答申を受けまして、9月議会をめどに条例案を提案したいというふうに考えてございまして、そのように努めてまいります。
 次に、環境家計簿についてでございますが、地球温暖化などの環境問題は、その多くが我々の日常生活や通常の事業活動に起因しているため、県民、皆様一人一人が省エネルギーやリサイクルなど、環境に負荷の少ない生活、エコライフの実践に取り組んでいくことが極めて重要となっております。そのため、本年6月の環境月間に合わせまして、県民のエコライフ活動の取り組みのきっかけとなるよう、環境家計簿を全世帯に配布することといたしております。
 また、配布した環境家計簿につきましては、モニターの委嘱やアンケート調査などにより、その活用状況等を調査分析し、有識者の意見もいただきながら、より取り組みやすいエコライフのあり方などについて検討を進め、その結果をインターネット等を通じて広く情報提供をしていくほか、地域での環境学習や地域の特性に合った独自の環境家計簿の作成など、市町村の取り組みにつながっていくよう努めてまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕
〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) 県産オリジナル吟醸酒・吟ぎんがについてですが、まず、一連のトップセールス等による評価につきましては、さきに東京で開催した岩手県産酒販売促進意見交換会におきまして、流通関係者やマスコミ関係者から、蔵元に特色のある質の高い酒と高い評価を得ているところであり、また、アンテナショップいわて銀河プラザにおいて消費者を対象とした試飲でも、香りが高くコクがあるなど好評を得ており、一斉発売以来、販売も順調であります。
 全国展開に当たっての留意すべきことといたしましては、県産オリジナル清酒はまだ全国的な知名度が低く、生産量も少ない状況ですので、南部杜氏が岩手の大地でつくった酒米と酵母でつくり上げたという地域性や希少性、これを前面に出しまして、地域、蔵ごとのこだわりの逸品として、消費者の購買意欲を喚起することが必要と考えております。
 さらに、これからの県産オリジナル清酒の販売戦略としては、全国各地での物産展あるいはアンテナショップを活用したPR、首都圏のモニターと連携した販売促進、それから都内のホテルや飲食店との提携、消費者、流通関係者を集めての試飲など、こういったものを活用いたしまして、消費者ニーズに即応した販売戦略に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔教育長合田武君登壇〕
〇教育長(合田武君) まず、児童生徒の学力についてでありますが、新しい学習指導要領は、知識を一方的に教え込むことになりがちであった教育を改め、教育内容を厳選し時間をかけて指導することにより、児童生徒に基礎的、基本的な内容を確実に定着させることを基本的なねらいとしております。この趣旨を達成させるため、厳選された教育内容を繰り返し指導するとともに、個別指導やグループ別指導、チーム・ティーチングなど個々に応じたきめ細かな指導を行うことにより、わかる授業を展開し、みずから学ぶ意欲をはぐくみ、学力の維持、向上に努めてまいりたいと考えております。
 次に、学校週5日制の実施に伴う児童生徒の望ましい休日の過ごし方等についてでありますが、学校週5日制の趣旨は、学校、家庭、地域社会が一体となって、子供たちが自然体験や社会体験などを行う機会をふやし、豊かな心やたくましさを育てようとするものであり、平成14年度からの完全実施に向け、地域全体で子供を育てる環境を整備することが重要であると考えております。
 このような認識のもと、県教育委員会では、国の全国子どもプランと呼応し、本県独自の教育振興運動との連動を図りながら、市町村と一体となって、子供たちが地域の中で遊びやスポーツ、文化活動などに主体的に参加できるような場や機会の拡充に努めるとともに、それらの情報を県内各地に設置している子どもセンターにおいて提供するなど、さまざまな施策を積極的に展開しているところであります。
 今後とも、子供たちが有意義に休日を過ごせるような環境の整備に、万全を期してまいりたいと考えております。
〇10番(佐々木順一君) 御答弁ありがとうございました。
 ただいまの貴重な御答弁につきましては子細に検討させていただきまして、来週から始まる予算特別委員会あるいは常任委員会等々で再度それぞれにお伺いしたいと思っておりますけれども、本会議の一般質問はいわば政治的な議論の側面もありますので、諸課題の処理に向けまして一歩でも前進させたいという一念で、この上は今後の政策的政治行動というテーマ1点に絞りまして、知事に再質問をさせていただきたいと思います。
 本質問でもお伺いいたしましたが、道州制問題を初め、将来の自治体の選挙のあり方あるいは地方税財源のあり方を含めまして、分権の実効性を着実に確保しながら地域主権社会を実現するためには、本質的にはさまざまな制度改正に踏み込んでいくべきものと考えるものであります。
 一般論でありますが、地方分権推進上の問題やあるいは障害などはおおむね出尽くしておりまして、残るは国が速やかに制度改正等々に着手するかどうかにあると思いますけれども、現下の政治情勢にかんがみますと、スピードを伴う着手は期待薄の印象を深めるものであります。しかしながら、唯一残された手段は、国に対し、議会も含めまして地方政治家が正攻法でもって克服すべき事柄を要請し続けていくことにあると思いますし、現実に、住民はこういうことを求めているのではないかなと、このように感じているところであります。
 ついては、現在、知事は全国知事会を筆頭に、国と地方の税制を考える会、地方分権時代における地方税財政基本問題懇談会、地域から変わる日本推進会議のメンバーにそれぞれ就任されておりますが、これまでの闘いぶり、すなわち、それぞれの成果と克服すべき問題点、さらには問題処理を阻む一番の障害は何か、お伺いをいたします。同時に、今後、どのような目的を持ってこれらの機関に参画をされるのか、基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 もう一点、全国知事会は、組織された地方政治家の集団であることから、私は、今日の政治状況にかんがみまして、今後の知事会は、これまでの要求型の活動から、例えば現在の地方制度を取り巻く、地方自治を取り巻くさまざまな諸課題などの解決に向けまして、あるべき方向性をストレートに提言するような、本質的な政策提案型の活動にシフトしていくべきものと考えるものであります。このことは、北海道東北地方知事会議等でも検討対象に上ったとお聞きしておりますけれども、この上は、都市圏の知事とあるいは地方の知事との間にある立場や見解の相違などもあると思いますが、こういったものを超越し、いわば闘う知事会として政治主導の姿勢を鮮明にされながらも、迅速かつ速効性のあるこの政策的政治行動を一層強めていくべきものと考えます。
 知事もみずからに言い聞かせるかのように、所信表明では、未来に挑戦する勇気の必要性をたびたび呼びかけておりましたが、これからの知事会に臨まれる抱負について御所見を賜りたいと思います。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 私が全国知事会に臨む抱負やこれまでのさまざまな組織での成果、問題点等についてでございますけれども、私は、今後、我が国がさらに発展していくためには、何度か申し上げておりますが、地方分権の強力な推進による分権型国家の創造が不可欠でございまして、そのためには、まず地方みずからが具体的な取り組みを行いながら、自分たち自身で実績を積み重ねるとともに、一方で国に対しても必要な改革を粘り強く求めていくことが重要であると考えております。
 このような考え方のもとで、私は、全国知事会などに参画をしてきたところでございます。従来の全国知事会といいますのは、国への要望事項を取りまとめるということが主の活動でございまして、議決機関というよりは、また意見交換の場という性格が強かったと思います。そのような場も大事だと思うわけですが、もっと小回りのきく組織があってよいというふうに思いまして、同じ目的意識を持つ知事たちとの会も、また別途持っているわけでございます。その一環として、12県の知事で構成する国と地方の税制を考える会というものがございますが、ここではNPO法人に対する寄附金の優遇税制をこの会として国に働きかけをして、その趣旨は来年度の税制改正案に盛り込まれる成果を生んだところでございます。
 今後において、国、地方を通じた改革を進めていく上での大きな課題は、自立、参画、創造をキーワードとした自己決定、自己責任の原則に立った分権型社会の構築を目指す私たち一人一人の意識の変革とそして実践の積み重ね、そしてこれを支えるいわば制度としての行財政システムの確立であると思っております。
 今回の地方分権改革において、国と地方が、表面的とはいえ対等・協力の関係に立ったということは、まさに我が国の命運に対する責任を地方と国がともに分かち担うということでございますので、今後とも、こうした考え方を基本としながら、全国知事会などに参画をしていきたいと考えております。
〇議長(山内隆文君) 次に、小野寺好君。
   〔22番小野寺好君登壇〕(拍手)

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