平成13年2月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇42番(佐藤正春君) きょうは大変な質問者でございまして、ただいまは我が党のエースの中屋敷議員、次は思いやりの及川議員と、3番目がベテランの菊池議員でございまして、きょうは最後まで気を許せない質問でございますから、特にただいまは中屋敷議員は非常に時宜を得た質問でございまして、私も感心して聞いております。こういう議員が出てまいりますともう岩手県政を任せることができる。特にこういう議員を出された選挙区の皆さんに非常に敬意を表したいと私は思うわけでございます。私はそうかといってやめるわけではございません。当局ではもうそろそろやめるのではないかというようなことを言っているそうですが、私はやめません、今後とも。
 私は、本定例会に上程される職員の倫理条例に関連してお手伝いをしたいと、こう思っております。知事、ただいま中屋敷議員は、御存じのとおりこの人はかつては知事の部下だ、しかも県のエリート職員でございまして、その中屋敷議員が物言わぬ全職員を代表して、物言いたいけれども職員は物言えない、県職員は。この物言わぬ職員を代表して何と言ったかというと、言い知れぬむなしさを覚えたと、こう言っているんです。言い知れぬむなしさを覚えたと、これでも遠慮がちで言っているんだな、これは。知事、あなたもかつて国の役人の御経験があるわけですが、みずからの手足を縛らなくてはならないこの条例のむなしさ、いかなる御感想があるか、率直にそのお気持ちをお尋ねしたい。
 日本の国では刑法があって、KSDに見られるように何ぼ偉い政治家でも外務省の役人でも必ず罰せられるのでございます。地方公務員は公務員法により懲戒処分になるのでございます。にもかかわらず岩手県職員はさらに条例でもって縛らなくては倫理の保持ができないのでしょうか。それほど岩手の職員は誘惑に弱いのですか。同じ県民としてこれほど情けない屈辱的なことはございません。知事は、森内閣の支持率1けたに関して2月22日の記者会見で、国民のレベル以上の政治家は出てこないという言葉を引用されてコメントされておられました。名言ですね、これはね。私は日ごろ、岩手県は県民のレベル以上の知事を出し、県職員を持っていることに誇りを持っています。国と違ってね。にもかかわらず条例をもって監視しなければならない県職員なのでしょうか。知事から見れば職員同様、県民も低いレベルにあるということになりませんか。知事も総務部長も心配するほど岩手県職員はしだらなくありませんよ。がつっとしているから、これは。知事、このことについてもつけ加えることがございましたらお示しを願います。
 そこで、総務部長に伺います。この条例はあなたがつくったわけでございますね。恐らく企画振興部長あたりと相談したのか、人事課と相談してつくったわけでございますが、飛ぶ鳥跡を濁さずという言葉がございます。あなたもそろそろ東京にお帰りになるようなわけですね。せっかく一生懸命頑張って岩手県で実績を上げてきました。その岩手県に飛ぶ鳥が悪条例を残すとはいかがなものでしょうか。後味が悪くございませんか。知事はこの条例には反対ですよ。知事は常に県民一人一人の立場に立っての開かれた県政が増田県政であると、こう言っているんです。先般の菊池勲議員の代表質問に答えて、私は、現場重視の県政を推進する上からも、県職員には地域のニーズに応じたきめ細かな業務運営や市町村はもとより、地域のさまざまな団体との一体的な活動や交流が、今後とも一層必要であると考えております。こう答弁しているんです。知事、いいですか、知事は県勢発展のために大いに現場重視、職員は地域の要望、ニーズに満足度を与えるために自治体や関係団体に大いに交流しなさいと、こう言っているんですね。総務部長、あなたのつくった条例はこの知事の思いと正反対に、職員と地域住民との交流が大幅に阻害されることになりませんか。そうなるでしょう。知事と全然反対のことを言っている。この制度の懇談会においても、職員が地域住民との触れ合いに後ろ向きになるような条例であってはならないと、こうくぎを刺していますね。いかがですか。
 次に、本年7月ごろをめどに具体的禁止事項を取りまとめたい、こう言っているわけでございますが、先ほど知事の答弁では、これから議員や皆さんの意見を聞いてそしてやりたいと、こう答弁しているんです。議員は皆反対なんですよ、知事同様これね、この条例には。伝え聞くところによると、まさにお役人的発想でございまして、立って食べるのはいいんだが座って食べるのはだめだ。これじゃ駅そばじゃないでしょうか。利害関係者からの贈り物、飲食、ゴルフは禁止、ここで言う利害関係者とはいかなる規定によるものでしょうか。日本の村社会、文化で成り立っている地域社会すべてが利害関係者でございます。だからこそ県行政も地域における土地買収を初め、いろいろな問題解決がスムーズにいっているんじゃないでしょうか。関係団体とは土木、農林、福祉、各組合団体、全部関係団体です、これ利害の。市町村による利害関係にある補助金を受けていることは全部関係でございます。贈り物が5、000円とする場合どう判定するんですか。ダイエーの大売り出しで9割引き、定価1万円のものを買った場合、1、000円で買ってきて贈り物にした場合にこれは1万円になるんですか、1、000円になるんでしょうか。飲食店やゴルフ場で県職員と利害のある業者がたまたま一緒になったときは、職員は半分飲んで慌てて帰るわけでしょうか。他人に見られて誤解を受けませんか。街頭で立ち話もできないんじゃないですか。こんなばかばかしい条例、規則によるあいまいなものは必ずトラブルになります。もとより基準を定めるより職員のやる気を出させ、県勢発展に倍の力を出すにはこの条例を撤回して、そして私は代案として、知事からも答弁のあった職員の士気高揚のため、みずから職員の先に立つと、知事そうおっしゃっているんです。いいですか、でありますから、代案として知事は、県民とともに明るく頑張る職員条例を御提言申し上げる次第でございます。総務部長、職員倫理条例の撤回をするつもりはございませんか。
 私は、以上をもってこの関連質問を終わります。
 さらに申し上げるなら、あと1分ございますが、奥産道問題に対しては、ただいま地元議員から悲痛な叫びでございます。道路というものは貫通することが道路であり、県北の振興はこの道路一本にある、土木部長、そうでしょう。このことを申し上げて終わります。以上。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) ただいま佐藤正春議員からいろいろ御質問がございましたのですが、順次、私に関する部分についてお答え申し上げたいと思いますが、今回のこの職員倫理条例でございますが、御承知のとおり、昨年大船渡地方振興局でいろいろな不祥事がございました。それから、やはり今、我々に対しては、県民あるいは国民から、税金を扱う職員だということで、非常に高いその透明性ということが求められております。昨年の大船渡での事件以降いろいろと現場の方を歩いておりますけれども、かなりやはり現実的な問題として、職員の間でも迷いが生じているのは事実でございます。これ以上やはりどういう形で現場の中でいろいろとつき合っていけばいいのか、これ以上もっともっと入っていっていいものなのかどうかといったようなところ、現場では非常にやっぱり迷いが生じていると。しかも、一方では、今申し上げましたとおり、国民あるいは県民の皆さん方のこうした県職員の行動に対しての、また目というものが大変厳しいものがありますので、できるだけ職員の行動というのはオープンな中でやはり行動していく必要があるのだろうというふうに思います。
 今までの我々が行っておりました仕事のやり方ですとか守備範囲の中であれば、それでもまだ一定のルールがなし得たかというふうにも思うんですけれども、やはりこれからは資源も限られていますし、より私は現場にどんどん職員が入っていって、そして現場の人たちとの深い相互理解の中で仕事をしていっていただきたいというふうに思っておりますので、こうした中では、やはり一つの岩手県としての岩手県らしい、あるいは岩手県の実情に合ったそういう社会的ルールというものを我々だけが決めるのではなくて、県民の皆さんにも県職員の公務の性質というものを御理解いただきながら、やはりそういうものを議論して一定のルールを決めていくことが必要ではないかと、それがこれからの新しい、そしてより県民と深い連携のとれた行政を進めていく上で、必要ではないかというふうに思っております。
 今、いろいろ話を聞きますが、例えばある会合のときに県職員の人たちが全部そういった会合に出なくなったとか、いろいろな話を聞いております。やはり私は仕事として出るべきものはどんどん出るべきだというふうに思いますし、それが飲食を伴うようなものであったときに、基本的には当然割り勘ということになるわけですけれども、しかし、それがもし本当に公務の仕事であるということであれば、それは個人の負担としての形でいいのかどうか。より積極的にそうしたものを予算措置もして、そして残業手当も払いながらちゃんとやっていくべき公務なのか、あるいはそうではなくて、個人のポケットマネーの範囲の中で、しかし仕事としてそういうものとつき合っていったらいいのか、これは現場のいろいろな状況に応じて非常に多種多様だと思いますが、であるがゆえに、やっぱりそれをオープンな形で議論して、そして一つ一つどういうルールがそのときに妥当なのかということを議論し、そして最低限の守るべきルールは決めていくべきだと。そのことによってより相互理解が深まって、お互いに胸襟を開いた議論ができるのではないかというふうにも思います。
 国の基準がもう既に昨年の4月から施行されていますので、それをいろいろ見ておりますけれども、やはりこういったものは我々より現場に近い地方公共団体ですから、画一的な基準はやっぱり難しいと思っておりますが、しかし、岩手県で県民の皆さんあるいは議員の方々そして我々で英知を集めれば、必ず実態に即したいいルールができるものだというふうに思います。そういったルールが必要かどうかということがあいまいなまま作業を進められませんので、私はやっぱりそういうルールをこれからみんなでつくっていくということについて、ぜひ議会の各議員さん方にも御理解をいただいた上で、そして実際に細かな行動基準を決めるというときには、これはやはり今申し上げましたような議会あるいは各団体の人たちが入った中で、やっぱり相互理解のもとに決めていくということがいいのではないかと、このように考えているところでございます。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) 職員倫理条例に関しまして幾つかのお尋ねがございました。
 まず、利害関係その他の関係のお尋ねがございましたが、まず、基本的には職員の職務遂行に当たっての利害関係を有する者との禁止なり制限される事項につきましては、今後、規則により定めることとしているわけでございますけれども、県議会議員の皆様でございますとか、あるいは職員倫理条例等の制定懇談会というものを現在設けているわけですけれども、こういった方々から多くの意見を今後伺いまして、内容を整備してまいりたいというふうに考えてございます。
 そういったことではございますが、現時点で、これから事務局が検討を加え、そういったそれぞれの関係筋と相談しながら御意見をいただきながら決めていくわけでございまして、現時点での大まかな考え方を国の例等も参考にしながらお答えしたいというふうに考えてございますが、まず、先ほど金額の基準等のお話がございました。これは管理職員が贈与等の報告書を提出する際の基準にもなるわけでございますけれども、先ほど議員が例示に引きました5、000円というものについてどんなふうに判断するのだというお尋ねがございましたけれども、贈与等の価格につきましては、もらった職員が商品またはサービスをみずから購入した場合に支払う額というものになるわけでございまして、本来は贈与等が行われた時点における商品またはサービスの時価によるべきものだというふうな考え方を持っております。したがいまして、そういった時価を確認できる場合にはそれを確認し、時価を確認できない場合には一般市場価格等を参考にするなどして算定した価格、これに消費税等が加わるわけでございますけれども、こういったものを贈与等の報告書に記入すると、こういった形になろうかというふうに思います。
 それから、ゴルフ場とか飲み屋さんでのたまたま偶然にとかそういう話もございました。これにつきましては、個々具体のケースに応じて、また、判断に迷いが生じないように、職員にもそういったものが生じないようにまた内部で検討していきたいというふうに考えておりますけれども、国の基準では詳細なここら辺についての明確な取り扱い基準が示されてございません。しかし、例えば我々結婚披露宴に出席した場合に、たまたま相手方の出席者に利害関係者がいた場合どうなるのかというようなものについては、これは該当しないというような形の取り扱いにもなっていますし、あと、これは国は参考にしていますけれども、先ほど知事の答弁もございましたように、分権時代の条例規則の制定でございますので、本県は本県なりのそういった実情を踏まえた条例を制定したいというふうに考えているところでございますけれども、例えばこういった禁止行為が事前にはなかなか把握できなくて、たまたまそういった場になってしまった場合には、事後的に報告等で変える制度はとれないのかとか、そういった弾力的な運用もこれから検討していかなくてはならないのではないかというふうに考えているところでございます。
 いずれ、関係団体との懇談につきましても、利害関係者が多いという形になるケースも多々あるわけなんですけれども、これにつきましても倫理監督官が許可した割り勘による飲食は認めているところでございまして、議員御指摘のような懸念が生じないように、一方で疑惑とか不審を招くおそれがないように、そういったルールづくりを進めてまいりたいというふうに考えてございます。
 いずれ、先ほど悪条例とかいろいろ撤回して新条例とかそういう話がございました。条例をつくることにつきましてはやはりいろいろな背景がございまして、職員の行動規範となる明確なルールづくりをしたいということでございますけれども、精いっぱい職員が地域づくりで頑張っていけるような条例にしたいというふうに考えてございまして、実は、私どもも職員、特に地方振興局における現在の実情につきまして調査をかけてございまして、実際、現場でどういった事例について困っているのかという把握もしているところでございます。これからは当然のことながら、県議会の議員の方々あるいは先ほどの懇話会の有識者の皆さん方、さまざまな方から御意見を伺うわけでございますけれども、職員間でも十分に話し合いを持ちまして、一体として皆さんが同じような気持ちでこれからの時代に向けて頑張っていけるように、そういったすばらしい条例にしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
   〔「議事進行について」と呼ぶ者あり〕
〇42番(佐藤正春君) 総務部長の答弁は、私の肝心な質問に対して答弁していない、答弁漏れあり。特に撤回。ただいまの説明を聞いていると、これから相談するとか職員とどうするとか、議員と相談をするとか。一たん撤回して相談するのか、このまま通して、そして7月になって相談をするのか明確でない。その点について、再度、御答弁を願う。
〇議長(山内隆文君) 佐藤正春君に申し上げます。
 残時間がございますので、質問をなさるならば正規の質問で行っていただきたいと思います。
〔42番佐藤正春君「1分じゃ語られないから。答弁、今の分で。」と呼ぶ〕
〇議長(山内隆文君) 質問をなさいますか。
〇42番(佐藤正春君) ただいまの総務部長の答弁では、私の質問に対して満足な答弁でない。例えば撤回について、一たん撤回して、それから職員あるいは議員等に諮って、これは総務委員会もあるわけでございますが、諮って、そしてさらに進むのか。あるいは、このままずるずる行って一たん通して、そして7月以降に職員その他について相談するのか明確でない、この点についてひとつ御答弁を願いたい。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) 失礼いたしました。先ほどの質問に対しまして、若干、不明確な答弁になりましたことをおわび申し上げます。
 撤回に関しました御質問でございましたけれども、先ほど申しましたようなことで、本条例につきましては、条例として今回の議会に提案させていただくということで、その後の規則等の取り扱いにつきましては、また関係方面と十分に協議させていただく中で定めてまいるということで、御理解いただきたいというふうに思います。
〇議長(山内隆文君) 次に、及川幸子さん。
   〔19番及川幸子君登壇〕(拍手)

前へ 次へ