平成13年6月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇28番(佐々木大和君) 自由民主クラブの佐々木大和でございます。
 通告に従い順次質問いたしますので、知事並びに県当局の誠意ある答弁をお願いいたします。
 初めに、県政の基本方向と総合政策室の任務についてお尋ねいたします。
 新しい世紀を迎えましたが、我が国は長引く不況の中からいまだ抜け切れず低迷の真っただ中にあります。その中にあって、国においては小泉内閣が本格的に行財政の見直しに取り組んでおります。先般、いわゆる骨太の方針を決定いたしました。国、地方を通じた大変革の時代に突入しているのであります。こうした時代である今こそ、民主主義の基本に返り、原点を見つめる中で、21世紀の政治・経済のあり方を論ずるべきであると考えます。
 20世紀は画一性、均一性、そして官主導の世紀でありました。ある意味では、民から官へのアウトソーシングが起こった、何でも官に頼る、そういう時代が20世紀であったと思うのでありますが、21世紀はこれを反転させなければならない、多様性、多軸性、そして民間主導の世紀をつくり上げていかなければなりません。そして、官民がイコールパートナーとして新しい社会を築いていかなければならないのが21世紀だと思います。
 私は、本来政治はチープガバメントを目指すべきであり、小さな政府が、自由社会、自由経済体制をつくり、活力ある国民生活を生み出すものだと考えます。行政、財政におけるむだの廃絶はぜひ進めて、納税者である国民、住民の信頼を得なければなりません。
 本来、行政は納税によって成り立っているのでありますが、社会、経済の進展に伴って税の仕組みや財政の仕組みが複雑になって、納税者にとってわかりにくいものになってきております。これ自体を制度疲労と言うのでありましょうか。どんなよい法律、制度であっても、長い年月がたつうちに改革を迫られる例は過去にもたくさんあります。
 太田大阪府知事は、1990年代、特にもバブル期は民業から官業に移った時代である、すなわち、公営事業が民業の範囲に入り込んだ時代であると言われております。小泉内閣が示す民間でできることは民間でやるべきだの論に共通するものを感じるものであります。
 20世紀後半、本来、民業にあるべき業種に官が入り込んだとの識者の批判的見方がある中で、本県においても見直すべきものがあるのではないでしょうか。それは県版行革の目的の一つとして果敢に取り組んでいくべき課題でもあると思います。本来民間が行う分野において官が行う場合には、たとえ地域振興という公的目的に沿う施策であったとしても、アメリカなどの例のように、一定期間を明記して、その事業が軌道に乗るまで民の手助けをすることに限るべきであります。その事業が軌道に乗ったならば、官は直ちに手を引き民間に任せる。民間はそれを引き継ぎ、さらに事業を発展させていく。このことが経済全体の活性化を促進していくものであると思います。また、それによって民間には雇用需要が起きてまいります。このように景気対策は官民一体で行うべきであり、官の施策と呼応して民が活性化することで景気浮揚が起きてくるのであります。県は、基本的にこのような方向に向けて施策を推進していくべきであると思います。
 国においては、経済財政諮問会議が総理の諮問機関として設置され、これまでの既得権的考え方を排除し、新しい時代に向けた国の方向を定め、方針を示し、新たな価値軸を据えて諸般の改革を推進しようとしております。その影響は直ちに地方へも及んでくるものと思います。加えて、国際化の時代にあって、地方にもグローバリゼーションの波が押し寄せる中、県政の推進は一段と難しくなっていくものと思います。
 知事は、今年度県組織を抜本的に改編され、筆頭に総合政策室を置き、総合政策室長のもとに首席政策監と2名の政策推進監を登用され、政策部門を充実されました。これまでの県政の推進方法を見ますと、諸般の対策を講ずるに当たり、それぞれの部署が取り組んでいるわずかな事例を取り上げ、あたかも課題の全体に取り組んでいるかのように説明したことが多かったのではないかと思われます。山積する県政の課題に効率的、効果的に対応していくためには、総合的に取り組んでいくべきであり、これまでの県の取り組み姿勢には反省しなければならない点が多々あると思います。
 新たな時代に向けた県政課題に適切に対処していくためには、これまでのような積み上げ方式、単発・部分対処方式では解決できません。一段と高い観点から県政のあるべき姿を描き、新しい世紀にふさわしい新たな発想のもとに諸般の施策を打ち出し、その施策を有機的に結合し、総合的に展開していくことによってのみ解決できることであると考えます。
 私はこのような役割、すなわち県版経済財政諮問会議の役割を総合政策室に期待するものでありますが、知事は、総合政策室をどのように機能させるお考えかお伺いいたします。
 次に、中小企業振興策についてお尋ねいたします。
 高い水準で推移する失業率の裏には、雇用のミスマッチがあると言われております。この雇用問題対策には、継続的に積み上げてきた行政のノウハウと、新たな発想が必要であると思います。第1に、自由経済の原点に返り、民間の事業の創造、創出をすることであります。第2に、行政はその指導に当たるため、これまで積み上げてきた調査研究の成果を示すことであります。産学官一体となり、21世紀の経済システムをスタートさせるべきときと考えます。一方、県内企業の大半を占めるのは中小企業でありますから、現下の厳しい雇用環境に対処するためにも、中小企業対策は喫緊の課題であります。県は、どのような中小企業振興策を展開されようとしているのかお伺いいたします。
 次に、道路網の整備についてお尋ねいたします。
 日本の自動車の歴史を見ますと、約100年前、1898年──明治31年ですが、フランス人デフレ氏が持ってきたパナール・ルヴァッソールというガソリン車が、日本に初めて渡来した自動車と言われております。オートバイは、1896年──明治29年ですが、このときに衆議院議員の十文字信介氏が購入した石油発動機自転車が、初渡来したエンジン付二輪車と見られております。国産第1号自動車の製作は、1907年──明治40年に国産吉田式自動車タクリー号でありました。その当時、自動車の効用に特に関心を持ったのは、時の政府でありました。1912年──大正元年に、大正天皇即位のパレードに自動車を用いております。
 日本に自動車が急増するきっかけとなるのは、関東大震災、大正12年でありますが、この関東大震災でありました。市電、鉄道、市内バス等が壊滅したためであります。東京では、急遽、フォードのシャシー1、000台を輸入し、これに架装して市バスとして運行したとあります。これが日本におけるモータリゼーションの始まりでした。1933年──昭和8年、豊田自動織機製作所が自動車部を設置、今日のトヨタ自動車であります。そして、日産、いすゞがこの時期にスタートしております。
 戦後になり、現行の自動車登録制度は、昭和26年に制定され、現在の車社会を迎えたのであります。現在、全国の自動車保有台数は、平成11年──1999年で7、458万台となっております。昭和35年、340万台であったものが、現在7、500万台になろうとしております。この40年間で20倍以上の急激な伸びを示していることがわかるわけですが、果たして自動車道はこの伸びに対応して整備されてきているのでしょうか。
   〔議長退席、副議長着席〕
 岩手県においても、昭和26年、4、676台から始まり、平成11年には93万2、778台となり、間もなく100万台に手が届くところまで来ております。全国に比べ地方の伸びが高いのは、電車やバスなどの公共交通機関の充実した都市部に比べ、地方の交通手段が自家用車に移行していることのあらわれであると思います。このような現状を見るならば道路整備はまだまだ必要と考えるのが当然であり、現計画にも増してテンポを速めて推進する必要があります。
 道路特定財源の見直しにもかかわる問題になりますが、現在の地方の課題は道路にありとの認識から、もっともっとその重要性を地方から示すときではないかと考えます。制度の見直しが直ちに地方の切り捨てにならないように、地方の現実を踏まえ、たとえ制度が変わろうとも、道路整備は今後とも必要であるという提案をし続けていくことが大切と考えるのでありますが、知事はいかがお考えかお伺いをいたします。
 また、本県における国道、県道、市町村道の道路改良率の現状はどうなっておりますか、今後の見通しとあわせてお伺いをいたします。
 次に、早坂トンネルについてお尋ねいたします。
 このたび、県央、沿岸を結ぶルートの一つとして整備されております早坂ルートの早坂トンネルの着工がなされ、先般起工式が行われました。3、000メートル級のトンネルにより、交通の難所が解消され、地域の活性化が期待できる環境づくりに大きく貢献することは論をまたないところであります。早坂トンネルの改築工事に寄せる地域住民の期待は、先日の起工式を機にますます高まっております。増田知事におかれましては、この地域住民の熱い思いをしっかりと受けとめていただき、早期完成に向けて強力な指導力を発揮していただくことを要望し、あわせて、早期完成を目指す県の今後の方針をお伺いいたします。
 また、自然エネルギー活用によるトンネル管理の計画も検討中とのことでありますが、その実現可能性についてもお伺いいたします。
 次に、林業政策と環境政策の関係についてお尋ねいたします。
 地球温暖化傾向は年々進んでおり、環境が21世紀の大きなテーマになっております。県におかれましても、夢県土いわての重要なテーマの一つに環境を掲げております。森林は地球に酸素を供給し、恵みの雨を蓄える天然のダムであります。そして、多くのミネラルを含んだ水を生み出し、その豊かな水は、川を伝い、大地を潤し、やがては大海に注ぐのであります。広大な県土を誇る本県の多くを占めるのは、山であり、山林であります。この現実を見るならば、山を守ること、つまり森林を育成することが、すなわち県土を保全することであり、そのことが環境保全につながるものであるということができるのであります。私は、森林の育成こそが環境首都をうたう本県の主要施策の一つであり、なお一層強力な森林育成施策を講じていかなければならないと考えるのでありますが、知事はどのようにお考えでしょうかお伺いをいたします。
 次に、再造林についてお尋ねいたします。
 最近、環境に関心を寄せる人々が、森林保全のために植林に参加したり、森林ボランティアとして下刈りなどを行っているとの報道が見受けられます。長年、林業問題に携わってきた私は、このように森林に関心を持つ人々がふえてきていることに、ある種の心強さを感じるのでありますが、その一方において、今、大きな問題を抱えている林業が、一方的に環境問題へと凝縮化されていきつつあるのではないかと、大きな懸念を持つのであります。なぜならば、マスコミが取り上げるボランティアの人々の活動は、森林の育成にとってある程度の効果はありましょうが、あくまでも入り口段階のことであり、点としての活動であります。荒廃の危機に瀕している120万ヘクタールに及ぶ本県森林の適正な育成、管理を環境管理型やボランティアの社会貢献によってやろうとするのは、到底無理なことであります。山林は面としてとらえ、適時、適切に人間が手を加えていかなければなりません。広大な面積の山林全体をカバーしていくためには、山林業に実体経済の中で評価される手法、事業方法を取り入れていくこと、すなわち企業として成り立つ林業を完成させることがぜひとも必要であります。企業は、みんなが欲しがっているものを継続的に供給することで社会的責任を果たしていくのがそのあり方であり、消費者の要求にこたえていくために、事業の継続のコストとしていただくのが利潤であり、そのサイクル全体が自由経済であります。
 そのような視点に立って林業を見るとき、岩手県の人工林は43.8%となり、保育に全力を挙げ、岩手の大切な資産、後世への遺産を残すため大変な努力がなされております。広葉樹林は、その特性から、伐後も自然発生する萌芽更新により、20年、30年程度でパルプ材、製炭材に成長してきますので、大きな問題はないのでありますが、針葉樹林にあっては、伐採後に再造林をしなければ山が荒廃すると言われております。山を荒廃させないために再造林を行わなければなりません。しかし、現在の木材市況等から見ると、それは大変厳しいのではないかと思われます。今日の針葉樹林の伐採跡地に再造林はどの程度行われているのでしょうか、実態をお知らせいただきたいと思います。
 次に、公社造林事業の推進についてお尋ねいたします。
 今般、公益森林保全整備総合対策事業を立ち上げられたことは、時宜を得た的確な対応と高く評価するものであります。ここでの課題は、60年以上山を提供してくれる山林所有者がいるかどうかにかかっております。現状を見るとき、今の木材市況から、山を貸すより売りたい、買ってほしいと言われる方々も多数出てきました。公社造林の推進のためには、分収造林の制度とあわせて、前段となる山の確保が絶対条件であり、肝心の山の確保ができなければ造林事業は伸展しないのであります。そのために、県はみずからが率先して実行できる制度であることを示さなければ、山を提供する山林地主はあらわれてこないと思うのであります。そこで、お伺いしますが、県は、将来にわたって森林を適正に造成管理し、分収造林事業等の森林整備の円滑な推進を図っていくため、どのような方策を考えているのかお知らせを願います。
 次に、松くい虫対策についてお尋ねいたします。
 県の木・アカマツを侵食する松くい虫の被害は、平成11年度、12年度と連続して増大しております。被害市町村数は、平成7年度に15であったものが、12年度では23市町村に及んでおります。松くい虫被害防除監視帯を設けて北上を阻止しようとして取り組んだ強力な対策も、松くい虫の猛威をとめることができずにどんどん侵略してきております。被害木の量で見ても、平成7年度1万5、000立方メートルと過去最大量の被害になったことで心配したわけですが、8年、9年、10年度の3カ年は、防除の努力によりまして減少しておりました。11年度には2万1、000立方メートル、12年度にはついに3万を超えまして3万6、000立方メートルになってしまいました。ここ数年、高温少雨の夏が続いているため被害が拡散増加しているのであります。全国に蔓延した松くい虫の被害拡大を食いとめ、日本最後の健全なアカマツ林を残すことは、マツタケ生産日本一につなぐことはもちろんですが、本県が人が住む最良の自然環境の地であるとの証明にもなるものだと思います。また、中国では松くい虫対策について、日本の指導、共同研究を希望しているとの情報もありますが、国際協力に貢献する意味からも、何とか防除対策を確立していただくことを期待しております。松くい虫対策事業の現状と、今年度の事業進捗状況はどのようになっているのでしょうかお伺いをいたします。
 次に、木質バイオマスエネルギー資源利用についてお尋ねいたします。
 森林バイオマスは再生可能であり、環境への負荷が小さい等、地球に優しく、しかもそのエネルギー素材を、十全に効果的に活用できるすぐれた燃料資源であります。しかしながら、我が国における利用は極めて限られたものとなっております。ちなみに、欧米では、森林バイオマスエネルギー資源のすぐれた点、特に効率的に余すところなく利用できる点に着目して、エネルギー利用が広く行われていることは御承知のとおりであります。本県においては、1997年の温暖化防止京都会議以来、関係部局がいろいろな機会をとらえ熱心に研究し、取り組まれていることに敬意を表し、これからの展開に大いなる期待を寄せているものであります。
 森林バイオマスエネルギーの利用促進には、第1に、安定的に森林バイオマス資源を供給するシステムを確立すること、それに加えて、燃焼効率を向上させ、機能性の高いエネルギーとすることが必須条件であります。私は、木質エネルギー活用の原点となる課題は、原料加工とともに、飛躍的に効率のよいボイラーなど、利用技術の開発が必要であると考えております。この中で、工業技術センターの果たす役割も大きいものと思いますが、県はどのような取り組みを進められようとしているのか、商工労働観光部長にお伺いいたします。
 最後に、教育問題についてお尋ねいたします。
 昨年10月、海外自主研究でアメリカ合衆国を視察した際、ボストンにあるチャータースクールを訪れる機会がありました。日本にはない制度で、1991年にミネソタ州でチャータースクール法が成立し、翌年セントポールのまちに全米初のチャータースクール、シティ・アカデミーが誕生してから、今日まで短期間のうちに1、700校に広がっていることは、注目に値するものであります。チャータースクールは、学校区や州が特別の許可、チャーターを与え、地域を越えてだれでも入学できる手づくり公立学校であり、一定の基準を満たせば運営主体やカリキュラム、教師の雇用など自由にでき、競争原理の導入された新しい試みの学校システムであります。
 私どもが見学したボストンルネッサンス校は民間企業と教育者が共同で州の許可を得て運営されている学校で、1995年に幼稚園から5年生までの650人でスタートしたが、現在はジュニアハイスクールまでの1、500人となっており、将来的には高校まで含めて運営したいと考えているとのことでありました。特徴的な事業としては、ジョーンズホプキンス大学で考案されたリーディングと、シカゴ大学で考案された算数を導入して、中学2年生の学力テストでは州で第3位の成績を誇っているとのことでありました。また、チャータースクールの評価体制は、毎年10ないし12人の州の評価委員が学校の実地調査を厳しく行い、5年ごとに公約等を更新するシステムとなっており、もし結果が出なければ閉校ということもあり、教育責任という面で気苦労は多いということでありました。しかしながら、特色ある教育、指導、そしてその成果が第三者から評価される、そのようないい意味での緊張感のある教育現場で、大変張り切って指導に取り組む若い先生を見て鮮烈な印象を受けてきたのであります。
 一方、本県の教育現場を見ますと、少子化の影響が如実にあらわれ、児童生徒が減少し、そのため小・中学校の統廃合が続いております。もはや過疎地の学校は維持できない状況に立ち至っているのであります。こうした現状を見るとき、私は、現在の制度のままの公立、私立の学校だけではなく、新たな学校システムを考えなければならないときを迎えていると思うのであります。アメリカにおいて大いなる成果を上げているチャータースクールを参考に、本県独自の学校システムを考案し、その実現のために教育諸制度の改正を国に対して積極的に働きかけていってはどうかと考えるものでありますが、教育長の御所見をお伺いいたします。
 以上で私の一般質問を終わりますが、答弁によって再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 佐々木大和議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、総合政策室の機能についてお尋ねございました。県版の経済財政諮問会議の役割を期待されるということでございますが、この経済財政諮問会議、今議会でもいろいろなところで出てきますけれども、これは政府の中で言いますと内閣府に置かれているものでございまして、内閣府あるいはこの経済財政諮問会議が内閣総理大臣、そして内閣官房全体の総合戦略機能を助け、行政を分担管理するそれぞれの各省より一段高い立場から企画立案、総合調整等の機能を担うと、このような位置づけになっているわけでございまして、この県の総合政策室は、あのような経済財政諮問会議、民間人も入った諮問会議のあのような組織ではなくて、もちろん私の下にある行政機構の一部ではございますけれども、その全庁的な政策立案の質的な向上をねらっているというところでは同じようなところを目指しているものと、こんなふうに思っております。たびたびこれも出てきますが、一昨日決定された骨太の基本方針というものがございますけれども、その中で、ごらんになればおわかりのとおり、国と地方の関係が今後大きく変化する可能性があるわけでございまして、まさしく今、地方のあり方そのものが問われているというふうに思います。これを受け身でとらえるのではなくて、むしろこの機会を好機というふうにとらえて、絶好のチャンスととらえて、自己決定、自己責任を果たし得る地方主権の確立を目指していくと、このように地方のあり方を先導的にやはり県から示していく必要があるのではないかと、このように思っております。限りある資源を有効かつ効率的に利用して成果を上げていくためには、どうしてもやはり縦割りではなくて県においても総合的な観点での施策の展開と、そしてそれを進めていく強い推進力というものが必要になりますので、この4月に総合政策室の設置など、大幅な組織再編を行いましたけれども、そういった効果をねらっているものでございます。
 総合政策室は、その中で特徴的なものは、やはり県民満足度の高い施策に総合的に資源を投入できるようにということで、そのためにはやはり適切な評価ということが必要でございますので、政策評価では新たに外部評価ということもその中で導入しながら進めていくこととしておりますし、県民意識調査や県民生活基本調査など、生活者視点での施策の重点化の徹底と、そんなこともねらっております。そのほかやはり政策を立案する上では必要となる調査統計機能や行政の透明性を高める情報公開機能、それから広聴広報機能、これは県民との情報の共有化という上では非常に必要になってきますので、そんなことも総合政策室の中に入れてあります。全体として全庁的な政策立案の質的な向上がこうしたことによって図られるものと、このように思っているところでございます。先ほど申し上げました外部評価など、外部の有識者からの意見を取り入れる、その仕組みも先日整備をいたしましたので、こうした政策立案機能を高めるこの総合政策室をうまく活用し、新しい岩手づくり、新世紀の岩手づくりを進めてまいりたい、このように考えております。
 次に、道路網の整備についてでございますけれども、この経済財政運営の基本方針、いわゆる骨太の方針の文章を見ますと、このような文章がその中に出てまいります。公共投資関係予算を縮減する。道路等の特定財源のあり方を見直す。公共事業の計画の見直しを進める。こんなところがこの方針の中に盛り込まれておりますので、これが具体的に実行されると、間違いなく地方の道路整備に大きな影響が出てくる可能性があると、このように考えております。
 特に、今の文章の中でございました道路等の特定財源のあり方を見直すというふうに書いてございますが、この道路特定財源につきましては、いろいろな制度の見直しというのはこれは随時やっていかなければならないわけでありますので、そのこと自体は常に必要かというふうに思いますけれども、やはり問題はその方向性ということであって、この制度の沿革を考えますと、これは受益と負担の原則がはっきりとしている道路利用者の負担によってそれに受益をもたらす道路などを整備していくと、こういう構造になっているわけでありますので、やはり見直す場合には私は道路に起因する騒音や振動、CO・の削減などの環境対策に使途を拡大することは理解をするわけでございますが、やはり道路利用者の理解が得られる範囲の中においての見直しということが原則であろうというふうに思います。今、一部には制度そのものを広く一般財源化しようと、そこまで使途の範囲を広げようと、こういうことも言われております。そういうふうになるかどうかはまたこれからの議論だと思いますけれども、もしそうなりますと制度の骨格を全く崩してしまう。それで、特に制度創設の趣旨や、今現在、暫定税率で特に法律で決められた税率よりも緊急にさらに道路整備が必要だということで高い負担を道路利用者に課しておりますので、そことの関係が非常に出てくるだろうというふうに思います。したがって、この見直しについてはやはりそうした場合にはまず財源を一般化するということではなくて、そうした緊急に高い税率を課しているものを本則の税率に戻すといったことが本来の筋であろうというふうにも思いますし、やはり道路利用者の十分な理解と議論ということが必要になると思います。徹底的な議論と、そうした税を負担している人たちの広く理解を得るべきと、まずそこが一番初めにあってしかるべきだろうというふうに思います。
 私も道路整備が地域に与える影響は非常に大きいと、効果が非常に大きいと、このように考えているものでございますが、一方で地方においても事業評価というものを厳正に行って、事業の重点化への努力を惜しまずに、真にその地域に必要な社会資本の整備を行うと、このことについてやはり国民的な理解が得られるように、率先して行動していくということが必要であろうというふうに思います。これは特に都市住民に対しての理解ということがやはり十分に必要だろうというふうに思っておりまして、そのような理解を得る努力を行い、今回のこの構造改革が国全体としてプラスになるように、地方の立場から積極的に提言していくことが必要であると、このようにとらえております。
 今後は、地方と大都市がそれぞれの役割をしっかりと果たしながら、こうした国土の構造をつくり上げていく、そのために必要な道路財源の確保を国に求めていきたいと考えております。
 次に、林業政策と環境政策の関係についてでございますけれども、今議員の方でお話ございましたが、本県の持っておりますこの豊かな森林というものは、木材を初めとする林産物の供給ということが一義的な意義でございますが、それのみならず、自然災害の防止や水資源の涵養、そして保健休養の場の提供など、実にさまざまな多面的な機能を発揮しておりまして、そうしたことが県民生活の安定と向上に大きく寄与してきたところでございます。
 このような今申し上げましたさまざまな機能を持っているわけですが、これはもう、大前提として、森林が健全に保たれてこそ発揮されるということでございますので、特にこの21世紀、環境の世紀と言われるこの世紀には、良好な地球環境の保全という、その地球規模での見方や資源循環型社会の構築という面からも、この森林の保全・整備を一層推進していくことは極めて重要なことである、このように認識しております。それは、一方で生産から加工・流通・消費に至る、いわば上流・下流一体となった流通体制の強化などによって木材の需要拡大を図ることも相まってそういうことが実現される、このように考えております。
 まず、そうした問題意識を持ち、今お尋ねの森林の保全・整備を一層推進していく上で、本県としてこれまで行ってきたことは、森林の保育や間伐ということに力を注いでまいりましたし、必要に応じて複層林や長伐期林への誘導を図るということも行ってまいりました。また、広葉樹林の適切な管理などを通じて、健全で多様な森林の整備に努めてきたところでございます。
 また、このような対策に加えて、林業公社による公益保全森林の整備や──これは今年度始めたわけでございますが──北上高地の荒廃した森林を復旧するための北上高地グリーナリープロジェクトや、身近な里山の整備を行う美しい里山づくりプロジェクトなどの推進、さらには、青森・秋田両県と共同して、森林の連続性の確保と生態系の保全を目的とした緑のグランドデザイン基本構想の策定を進めるなど、さまざまな施策を今行っているところでございます。
 こうしたことをこれからも引き続き確実に行っていくわけでございますが、さらに、森林の整備による豊かな海づくりを目指した森は海の恋人のような運動、宮城県の唐桑町と本県の室根山でお互いに行われておりますような運動、取り組みに見られるようなものを通じて、広くこの森林整備に対する県民理解の醸成ということが並行的に必要だろうと思いますし、森林は県民の貴重な財産であるという共通認識のもと、森林・林業、そして木材産業の振興に努めて、本県の豊かな自然環境の保全を図ってまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕
〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) まず、中小企業振興策についてでありますが、中小企業の経営の安定による雇用の確保を図るため、これまで経営改善指導や各種の融資制度の拡充などの支援策を実施してきたところでありますが、同時に、雇用の創出に向けては既存企業の経営革新と新規創業を促進することが重要であると考えております。
 このため、経営革新の支援につきましては、中小企業創造活動促進法、それから中小企業経営革新支援法に基づく新技術の研究開発や新商品・新サービスの開発、新たな生産方式の導入などに対する助成、融資などの支援を行いますとともに、近年の経営環境の変化や技術革新に対応するため、中小企業診断士など専門家の企業への派遣、それから、工業技術センターの研究成果の普及や技術支援などに取り組んでいるところでございます。
 また、新規創業の支援につきましては、起業家を発掘するためにいわて起業家大学の開催や新事業の創出につながる経営資源の発掘、さらには、起業家を支援するためのインキュベート施設の運営など、ベンチャー企業等の立ち上がり段階から事業化段階までの一貫した支援を行っているところでございます。
 さらに、今後は環境・福祉分野などの地域貢献型ビジネスの立ち上げなど、例えばコミュニティ・ビジネスに対する支援により、女性や高齢者を含めた地域の方々の新たな就労の機会の創出に取り組みますとともに、国の産業構造改革・雇用対策本部の雇用創出に向けた対策の動向にも注目しながら、雇用の確保・創出につながる中小企業施策の展開に努めてまいりたいと考えております。
 次に、木質バイオマスエネルギー資源利用についてでありますが、本県の豊富な森林資源を活用した新しい産業を育成する上で、木質バイオマスエネルギーの利用技術は重要な研究分野と考えております。こうしたことから、本年5月に、県工業技術センターに研究開発プロジェクトチームを設置いたしまして、鋳物業界など、県内企業への技術移転が可能な木質ペレットストーブの研究開発に向けまして、特許関連情報の収集や自動制御装置などの技術調査、木質ペレット焼却灰の特性分析など、基礎的な調査・研究に着手したところであります。
 今後、これらの調査・研究を踏まえまして、具体的な研究開発計画を策定した上で、実用化に向けた研究開発に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、チップ材などを活用したバイオマスエネルギーの利用につきましては、現在、我が国は欧米に比べその取り組みは進んでいない状況にありますが、今後、地域資源を活用した新エネルギーとして、公共施設等の給湯や暖房、発電など、多様な分野での利用が期待されているところでございます。
 工業技術センターにおきましては、本県への技術導入が図られるよう、ボイラー燃焼技術や制御技術、圧力容器などに関する技術などのノウハウの蓄積にまず努めるとともに、国内メーカーや大学、県林業技術センターなどと連携しながら、利用技術の研究、技術支援などに取り組んでまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長竹内重徳君登壇〕
〇県土整備部長(竹内重徳君) まず、道路の改良率についてでありますが、本県の平成11年4月1日現在の国道、県道、市町村道のそれぞれの道路改良率は96.3%、68.9%、50.9%となっておりまして、全国平均の改良率と比較いたしまして、それを若干上回る整備状況になっております。
 そのような中で、経済、社会情勢の変化に対応しながら、今後は高速交通ネットワークの整備促進とこれを有効に活用した広域交流や地域連携の促進、効率的な物流を支える道路整備などを重点的に進めますとともに、冬期の安全対策や渋滞対策、バリアフリー化、電線地中化や道路緑化による良好な景観の形成など、道路の質的な改善を進めていくことも重要な課題となっております。
 このため、事業を計画するに当たりましては、地域の皆様方の御意見を十分にお聞きいたしますとともに、公共事業評価などによって事業の重点化を図り、それぞれの地域が目指す将来像の実現と総合計画に掲げる指標の達成に向けて、国、県、市町村が連携して一体的な取り組みを行いながら、より一層の道路の改良率の向上に努めてまいりたいと考えております。
 次に、早坂トンネルについてでございます。
 国道455号は小本街道・牛追いの道と呼ばれた時代から、その後、県道そして国道へ、時とともにその機能を高めてきた広域的な重要路線でありますが、北上高地を越える早坂峠は大変厳しい地形の中にありまして、地域間交流や観光、あるいは産業の振興上、大きな隘路となっておりました。
 こうしたことから、県におきましては平成10年に、急カーブ、急勾配が連続する延長約10キロメートルの区間の改良を早坂道路として事業化いたしまして、この区間に3.1キロメートルの長大トンネルを通すことによって、道路をほぼ直線に改良いたしまして、通過時間も15分間の短縮を図ることとしたものでございます。
 現在工事中のトンネル本体工事につきましては、平成17年3月までに完成いたしまして、引き続き5橋の橋梁を含む前後の道路の改良につきましてもなるべく早い時期の開通を目指して整備を進めてまいりたいと考えております。
 次に、自然エネルギーの活用についてでありますが、早坂トンネルは長大トンネルでありますことから、電力使用料など、維持管理経費のコスト削減が課題になっております。このため、地球環境への負荷の少ない自然エネルギーを活用した電力供給施設設置の可能性につきまして検討いたしているところであります。また、これとあわせましてトンネル坑口部の融雪施設の設置などにつきましても、調査検討を進めてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長佐藤勝君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤勝君) まず、人工林である針葉樹の伐採跡地への再造林の実施状況についてでありますが、平成7年度から11年度までの最近5カ年間の年平均再造林面積は約570ヘクタールで、人工林の年平均伐採面積約860ヘクタールに対し、約7割の面積が植栽されている状況となっております。
 残りの3割の面積につきましては、アカマツの天然下種更新や広葉樹の萌芽更新などにより、将来的には優良木だけを育てる育成天然林施業を導入いたしまして、森林整備を促進してまいりたいと考えております。
 次に、公社造林を含む分収造林事業等における森林整備の推進についてでありますが、近年の森林・林業を取り巻く情勢は、林業従事者の高齢化や木材価格の低迷などにより、依然として厳しい状況にあります。森林所有者による森林整備が進まないことから、水資源の涵養や山地災害の防止など、森林の持つ公益的機能の高度発揮を図ることが大変難しい状況となってきております。
 このことから、県といたしましては、県土と県民を守る緑豊かな森林づくりを進めるため、今年度から、公益的機能の高い森林を公的機関である県林業公社が事業主体となって推進いたしております、公益保全森林整備総合対策事業を創設したところであります。
 今後、本事業につきましては、森林所有者や関係市町村等に対して、当事業による森林造成の必要性について理解と協力を求めるとともに、この推進を図るための担い手の育成強化を図りながら、強力に推進していく考えであります。
 さらに、公益的機能の発揮が求められる荒廃地等については、保安林指定の拡大、あるいは治山事業による森林整備を推進することにより、森林に対する公的関与を強化しつつ、より一層森林の整備に努めてまいることといたしております。
 これらを推進することによりまして、自力による造林が困難な森林所有者の森林整備や、あるいは不在村森林所有者の森林の適正な管理、山村地域における就労機会の拡大、森林の公益的機能の高度発揮を積極的に推進してまいりたいと考えております。
 次に、松くい虫対策についてでありますが、平成12年度の松くい虫被害量は、平成11年度に続いて、12年度夏の気象が平年に比べまして著しく高温、少雨となったことから、マツノマダラカミキリの活動が活発化したことなどもありまして、3万5、800立方メートルと過去最高となっております。発生市町村も23市町村に及び、その北端が紫波町まで北上してきております。
 このため、平成13年度におきましては、関係市町村等との連携を強化いたしまして、これまでの早期発見、早期防除に加えて、新技術による既に感染している潜在被害木の調査事業やマツノマダラカミキリの誘引捕殺事業を今年度から新たに導入し、先端被害地域の被害木の完全駆除、恒常被害地域内の発生区域の拡大防止を図り、被害の防止に努めているところであります。
 今後は、被害量の増加している現状を踏まえ、市町村等と一層連携を密にいたしまして、被害地域の拡大防止を重点的に実施し、被害木のチップ化や熱処理による駆除方法の導入及び被害木の移動禁止及びマツノマダラカミキリの活動期の伐採禁止措置の徹底を図るとともに、新たな松くい虫被害対策大綱を策定し、被害の拡散、増加の防止に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
   〔教育長合田武君登壇〕
〇教育長(合田武君) 過疎地の現状を踏まえた本県独自の学校システムについてでありますが、過疎地の学校につきましては、市町村教育委員会において、豊かな自然環境や地域の人々との深いつながりがあるなどの良好な環境の中で、小規模校ならではの個性を重視した教育を推進するなど、地域の特性を生かした魅力ある学校づくりを進めているところであります。
 県教育委員会といたしましても、その活動を支援するため、複式指導の改善を図るための研修や免許外教科担任の縮減に取り組むなど、児童生徒一人一人の個に応じたきめ細かな指導の実現に努めているところであります。
 また、お尋ねのありましたチャータースクールは、アメリカにおいて子供たちの学力向上を目指して学校の積極的な創意工夫を引き出そうとする教育改革の中から生まれた新しいタイプの公立学校であります。多様な教育機会を提供する新しいタイプの学校の設置につきましては、本年1月に文部科学省が示した21世紀教育新生プランにおきましても、地域独自のニーズに基づき、地域が運営に参加するコミュニティ・スクールの可能性などについて検討を進めることとされているところであります。
 県教育委員会といたしましても、これら国の教育改革の動向も注視しながら、今後とも本県の実態にあわせた新しい教育のあり方について引き続き調査・研究してまいりたいと考えております。
〇28番(佐々木大和君) 知事初め、県当局の御答弁ありがとうございました。特にも、ほとんどの分野におきまして積極的に、前向きに事業展開されていることに敬意を表したいと思います。
 とりわけ、地域の最大課題の道路網の整備につきまして、全国を上回って国道、県道、市町村道ともに改良率が進行していることには敬意を表したいと思います。しかしながら、県道が68.9%、市町村道50.9%、そういう段階でございますので、地方の道路の必要性は、先ほどの答弁のとおり、引き続き国に対しても提言し、頑張っていただきたいと思います。
 林業政策に関して再質問をいたします。
 先ほど私は、企業として成り立つ林業を完成することの必要性について言及いたしました。また、森林を育成することが、すなわち県土を保全することでもあると申し上げました。しかしながら、森林を育成する林業が社会的にいかに重要な役割を果たしている産業であるか、広大な県土の保全を行い、また、地球温暖化防止等に寄与し、人類の生存に貢献しているという極めて大きな魅力ある産業であるということを何万回繰り返したとしても、林業が企業として成り立っていくものでなければ、新たに林業に従事しようとする人は出てきませんし、林業は衰退していく一方であると思うのであります。
 林業は岩手県総合計画の三つのキーワードの一つ、環境に大きな貢献をする産業であります。この産業を立派な企業に育成していくためには、林業によって生み出される木材、それも国産材に対する需要の喚起が必要であります。国産材に対する需要増加が林業の活性化、ひいては成長する林業、魅力ある林業につながります。この観点に立てば、県内の林業を育成していく方策は、県産木材の需要拡大を図っていかなければならないという1点に帰結すると思うのであります。私はこの点につき、県がなお一層強力な施策を展開していくことを期待するものでありますが、知事並びに農林水産部長は、県産材需要拡大策にどのように取り組んでいくお考えか、その決意のほどをお尋ねし、質問を終わります。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 今、議員の方から県産材の需要拡大についてお尋ねがございましたけれども、本県は県土全体の約8割が杉、アカマツ、カラマツ、そして広葉樹などの実に多様な機能を有するさまざまな樹種から成り立っておりまして、全国でも有数の森林県でございます。したがって、このようなすぐれた特性を持つ森林から木材を繰り返し生産して、その木材を利用する、いわゆる資源循環型社会の形成をしていくことは、県土や県民の安全と豊かさを確保する上で大変重要なことであると思いますし、このためには、今議員の方から御指摘がございましたが、広く県産材の需要拡大を図っていくことが必要であると考えております。
 したがって、これまで以上に幅広い県産材の活用方策を進めていかなければならないわけでありますが、まず県産材のブランド化、そして岩手型住宅の推進、間伐によって発生した中小径材の多様な利活用、そして、先ほどもお話ございましたいわゆる木質バイオマス資源の活用に向けた取り組み、こういったことを今後もさらに進めてまいります。
 さらには、川上、川下一体となった流通体制の整備などに取り組んでいく考えでございます。
 取り組み始めたばかりのものも今申し上げたものの中にはございますし、少しずつではありますが成果がもう出てきたものもございます。こうしたものをさらに充実させてまいりまして、着実に推進することにより、県産材のさらなる需要拡大を図ってまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長佐藤勝君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤勝君) 県産材の需要拡大に向けての決意についてでありますが、本県は全国屈指の森林県であります。この豊かな森林資源を最大限に活用し、本県の森林・林業、木材産業を健全に育成していくためには、県産材の需要拡大を図っていくことがぜひ必要であると強く考えております。
 このため、現在県におきましては、もっと・WOOD・県産材を、これをスローガンとする岩手県木材利用推進方針のもとに、県民一体の運動として、関係機関等の協力も得ながら県産材の需要拡大に取り組んできております。これまでに、学校を初めとする公共施設の木造化や河川などの公共土木工事での木材利用に、着実に成果があらわれてきているところであります。
 また、今後におきましては、これまでの施策に加えて、乾燥材の安定供給体制の整備に向けたアクションプログラムや木質バイオマス活用計画を策定するとともに、いわて夢住宅の具体化に向けた取り組みの促進、農業や水産分野での新たな用途の検討など、さらには、現在推進している地産地消の運動と相まって、県産材の需要拡大に向けた諸施策を鋭意展開してまいりたいと考えております。
〇副議長(瀬川滋君) この際、暫時休憩いたします。
午後3時34分 休 憩
出席議員(47名)
1  番  及川 敦 君
2  番  飯沢 匡 君
3  番  樋下正信 君
4  番  照井昭二 君
5  番  柳村岩見 君
6  番  小野寺 研 一 君
7  番  吉田昭彦 君
8  番  工藤大輔 君
9  番  川村農夫 君
10  番  佐々木 順 一 君
11  番  佐藤力男 君
12  番  阿部静子 君
13  番  阿部富雄 君
14  番  水上信宏 君
15  番  田村 誠 君
16  番  岩城 明 君
17  番  中屋敷十 君
18  番  千葉 伝 君
19  番  及川幸子 君
20  番  阿部敏雄 君
21  番  川口民一 君
22  番  小野寺   好 君
23  番  斉藤 信 君
24  番  伊沢昌弘 君
25  番  田村正彦 君
26  番  上澤義主 君
27  番  瀬川 滋 君
28  番  佐々木 大 和 君
29  番  藤 原 泰次郎 君
31  番  谷藤裕明 君
32  番  菊池 勲 君
33  番  佐々木 一 榮 君
34  番  伊藤勢至 君
35  番  高橋賢輔 君
36  番  小原宣良 君
37  番  長谷川 忠 久 君
38  番  千葉 浩 君
39  番  吉田洋治 君
40  番  工藤 篤 君
41  番  菅原温士 君
43  番  山内隆文 君
44  番  折居明広 君
46  番  藤原良信 君
47  番  及川幸郎 君
48  番  菊池雄光 君
49  番  佐々木 俊 夫 君
51  番  吉田 秀 君
欠席議員(3名)
30  番  船 越 賢太郎 君
42  番  佐藤正春 君
45  番  村上惠三 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時50分 再 開
〇副議長(瀬川滋君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。川村農夫君。
   〔9番川村農夫君登壇〕(拍手)

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