平成13年6月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇34番(伊藤勢至君) 自由党の伊藤勢至でございます。
 平成13年6月定例会に当たり、増田県政が推進している諸般の課題について、提言を含めて質問してまいりますので、積極的な御答弁をいただけるよう期待いたします。
 まず初めに、市町村における義勇消防団、すなわち非常備消防団の充実強化について伺います。
 義勇消防団は、県内に59消防団が設置され、地域住民の民生の安定に寄与しているところでありますが、消防団員は平成12年4月1日現在2万5、223名で、前年に比して57名の減となっており、さらには高齢化も進んでいるものと思われます。
 本年3月25日の昼ごろに発生した宮古市金浜地区の林野火災では、鎮圧するまでに6時間40分を要し、出動消防団員は延べ250名でありました。また、5月19日午後7時ごろに発生した大槌町の林野火災は、鎮圧するまでに何と7日間を要し、出動消防団員は釜石からの応援37名を含めて、実に延べ877名であったと伺いました。
 両火災とも県の防災ヘリひめかみや自衛隊ヘリの支援があり、その威力を大いに発揮してもらいましたが、まさに義勇消防団の献身的な活動であったと思います。そして、これは基本的に無償の活動であります。義を見てせざるは勇なきなりという犠牲的精神と侠気で事に当たっている消防団とはいえ、7日間連続しての出動となると、ある面では義勇の域を越えているのかもしれませんが、このことにつきましては指摘にとどめたいと思います。
 このように、大規模災害になればなるほど消防団に対する期待は高いのでありまして、政令都市の指定を受けての常備消防の拡充が期待できない本県の各市町村にあっては、常備消防と義勇消防が協力し合って県民の期待にこたえることが肝要であります。そして、そのためには双方の機能、装備等についてもある程度の平準化を図る必要があると思います。
 近年の建物火災は、新建材等による煙への対応が重要でありますが、消防団には防毒マスク、酸素ボンベ等の装備はほとんどないのが現状だと思います。地震発生後に水樋門閉鎖に駆けつける際や水防活動に出動する際、ライフジャケットを装着していないのが現状であります。大規模な林野火災の場合、火勢や風向きの変化によって部隊の展開にも進出や退避があって当然であります。林野火災の怖さは特に風下に位置した場合であり、熱風が来たと思った瞬間、自分の周りが火の海になったと、これは33年前の三陸フェーン火災に出動した先輩から聞いた話でありますが、このような危険な状況を脱するためには、現地指揮命令本部と最前線のポンプ自動車及び団員との間での双方向無線などの装備が必要でありますが、59消防団の中での装備はどうなっているのでしょうか。
 この広い県土を災害から守るために、県として状況を把握し、指導し、場合によっては支援をしていくべきと考えますがいかがでしょうか。
 本年は長崎県雲仙普賢岳の噴火から10年たちましたが、あのときにはポンプ自動車に乗って最前線の警戒に出動した赤ばんてん12人の消防団員が、突然発生した火砕流になすすべもないままにのみ込まれ、殉職したという悲劇を繰り返さないために、そして、県民の期待にこたえるべく懸命の活動をしている消防団員を守るためにも、県当局の役割は大きいと思いますので、誠意ある答弁を期待いたします。
 次に、平成16年に本県で開催される第42回技能五輪全国大会について伺います。
 このことは平成7年9月20日、技能尊重機運醸成促進協議会から県議会に技能五輪全国大会の本県招致について請願があり、同年10月、本会議において採択されたことを受け、岩手県総合計画に開催計画を盛り込み、以来、県当局と関係者が一丸となっての招致活動を展開してきたことの成果であり、その労を多とするものであります。
 大会の概要案を見ますと、国内の青年技能者(21歳以下)の技能レベル日本一を競うことにより、青年技能者に努力目標を与えるとともに、一般県民及び多くの若年技能者に対し、すぐれた技能に身近に触れる機会を提供し、技能の重要性、必要性をアピールし、技能尊重機運の醸成を図り、もって技能の振興及び産業の発展に資することを目的とし、本年度から諸般の準備を進め、開催年には33程度の競技種目に100名の選手団を参加させたい、また、岩手県大会は、翌年行われる技能五輪世界大会フィンランド・ヘルシンキ大会の予選を兼ねるとしております。そして、このイベント推進の費用として348万1、000円の予算措置がなされております。開催3年前の取り組みとしては、まあこんなところかなとは思いつつも、一方では県の意気込みが少々弱いのではないかなとも思うところであります。
 旧西ドイツのようにマイスター制度が確立し、技能士の社会的地位も高く、したがって評価待遇の確立している国ならいざ知らず、我が国や本県にあっては、社会生活を支えるために不可欠の技能職種でありながらも、社会的には正しい評価を得ているとは言えない現状であると思います。だからこそ、このような大会を本県に招致し、技能の重要性、必要性をアピールし、技能尊重機運の醸成を図り、もって技能の振興及び産業の発展に寄与し、技能士の社会的地位の向上を目指すことこそが究極の目的でなければなりません。額に汗して働くことの尊さ、大切さを21世紀の岩手を担う若者にしっかりと継承してもらえる大会にしなければなりません。
 そこで伺いますが、開催県として全競技種目で何個の金、銀、銅メダルを目指そうとしているのでしょうか。ある程度の優勝者を出すことを目標に掲げるとするなら、オリンピックや国体と同じように、強化選手を早目に選定し、県、中央職業能力開発協会、各事業所と候補選手が一体となって取り組まなければ成果は期待できないと思います。開催年までの技能向上の具体のスケジュールと今後の支援策についてお示しいただきたいと思います。
 次に、港湾の活用策について伺います。
 本県には四つの重要港湾があり、それぞれが地域の特色を出した活用法を競い合っておりますが、外貿、内貿とも的確な施策を見出せずに逡巡している状況であります。そこで、世界に開かれた海の玄関という観点から、より大きな視点からの活用策を検討していくべきだと思います。
 そこで提案いたします。現在の地球上の農業技術で生産できる穀物は60億人分と言われておりますが、昨年地球上の人口はこの60億人を超えたようであります。また、食糧庁の資料によりますと、現在約8億人の人口が栄養不足や飢餓に苦しんでおり、特にアジアでその6割以上、5億人の栄養不足人口が存在している、加えて、災害や経済危機等により大量の食料援助需要が発生しており、食料安全保障は世界的な課題となっているとありました。
 さらに、インド、インドネシア、タイ、ベトナムなどでは、ここ数年の間に、もうけは米とは比べ物にならないを合い言葉に、エビ御殿を目指して水田をエビの養殖池に転換する農家が物すごい数でふえているようであります。世界のエビを食べまくる日本人と言われましたが、今やエビの消費国トップは98年からは日本から米国に変わったというのも驚きであります。また、中国も昨年から食料輸入国となりました。
 このように世界の食料事情が著しく変化している中で、各種会合や宴会などで3割以上の料理を食べ残し、ごみとして処理し、また減反や青刈りなどを政策として推し進め、さらにはODA(政府開発援助)として13年度には1兆152億円余の国民の税金を世界にばらまいている日本の政策は必ず見直しを課されるでしょう。また、見直さなければ世界からひんしゅくを買うことになります。産出できるものを抑制することは、世界の食料自給という観点からは反人類的行為と言われかねません。
 また、日本で生産する米はジャポニカ米であり、かつてタイから緊急輸入したインディカ米より食味においても特段にすぐれており、インディカ米生産国でも喜んで食してくれるものと思われます。本県では食料供給基地を標榜し、食料自給率向上に寄与すると高らかに宣言しており、その視点を広げ、ODAが食料について現金から現物へ政策転換したときに備えて、食料備蓄について真剣に検討すべきと思いますがいかがでしょうか。
 高知県では、開発途上国向けの食料援助のための食料備蓄基地構想などを、北海道苫小牧市などは大規模食料備蓄基地構想を港湾やその背後地の利用を念頭に研究、提言をしています。また、海外への食料援助となれば当然海上輸送であり、黒潮に反航して九州沖を通るのと潮に巡航して津軽海峡を経て日本海を通ってアジアを目指すのは時間的に変わらないとも言われております。現在、本県の海運業が振るわないのは帰り荷がない片荷のためだと言われており、この解決にもつながると思いますがいかがでしょうか、あわせてお伺いいたします。
 次に、菜の花プロジェクトについてお伺いいたします。
 聞きなれない言葉ですが、これは滋賀県が琵琶湖の赤潮が深刻化した86年に、琵琶湖を汚す原因になっている廃食油を回収して石けんをつくるという廃食油のリサイクル運動を開始したことに始まるようであります。県下各地に廃油の回収拠点が広がり、廃油の新しいリサイクルの仕組みをつくり上げる必要に迫られていたときに、ドイツでの菜種油プログラムに出会ったそうであります。ドイツでは70年代に世界を襲った石油危機を教訓に、資源枯渇も考えられる化石燃料に頼らない、しかも温室効果の高いCO・を抑える化石代替エネルギーとして菜種油の燃料化計画を進めており、98年に国松知事がドイツを訪問したときには、菜種の作付面積は100万ヘクタールにも及び、菜種油から精製した燃料を置くスタンドが全国に800カ所も設置されていたそうであります。
 滋賀県では早速これを取り入れて、菜の花をシンボルに農業振興と地球温暖化や大気汚染の防止を目指した資源循環型、湖国菜の花エコ・プロジェクトと名づけての研究実験をスタートさせました。これを要約しますと、菜の花を作付し、菜の花を食材とし、養蜂を行い、菜種油を採取し販売することで農業振興を図る。てんぷらなど食用に利用した菜種油を回収し、石けんや粉石けんなどをつくることで環境保全、リサイクル運動とする。さらに、回収したこの油にメタノールを反応させてバイオ・フューエル(軽油代替燃料)をつくり、自動車、農耕用機械燃料、建設機械燃料、漁船、クルーザーなどの船の燃料として幅広く利用する。しかも、軽油に加えてSOx(硫黄酸化物)や排煙の排出等が極端に少ないところから、温暖化防止などにも効果があり、資源とエネルギーの両面からも大変有効であるということであります。
 また、国松知事がドイツを訪問した際に、このバイオディーゼル燃料100%の自動車でアウトバーンを時速140キロメートルで走るという体験をしたそうでありまして、夢県土いわての骨子政策に環境を掲げる本県にとりまして、大変に参考になる施策と思いますがいかがでしょうか。増田知事の所感を伺いたいと存じます。
 次に、シイタケの優良品種の開発について伺います。
 本年4月、常任委員会の調査で北上市の財団法人岩手生物工学研究センターを訪問し、江井所長以下、スタッフのさまざまの真摯な研究活動に感激してまいりました。その中で特にすばらしいと思いましたのは、褐変(褐色に変化すること)しにくい保存性の高いシイタケを育種することにほぼ成功していたことであります。しかも、これは遺伝子組換えではなく、遺伝育種学的手法、つまりは掛け合わせによってできたということであります。在来の市販品H-600は3日目から褐変が始まり5日目で完全に褐変したのに対し、開発されたSR-1は8日目ごろから褐変が認められ、10から11日で完全に褐変した。つまり保存性がいいわけであります。現在、このSR-1は県の林業技術センターで菌床栽培及びほだ木栽培により栽培特性を評価中とのことであります。
 また、さらにすばらしいことと言いますと、シイタケはがんの抑止効果があると言われるレンチナンを多量に含んでいることと、ビタミンDの王様としても知られていますが、このレンチナンの保存中の減少を抑制する研究にも取り組んでいると聞いております。つまり、褐変しにくい保存性のよいシイタケなどは、本県の優秀なる品質にさらに特性を加味することでよりランクの高いブランドを確立することにつながり、国内産はもとより、外国産の量的シェアを押し戻せる、特産品になると期待できるものであります。
 産学官と言いますが、岩手生物工学研究センターが開発したこの成果をもとに、特許や実用新案などを取得することで優位性を確保し、栽培生産者に広く浸透させることは、まさに県の役目と考えます。当局ではどのように考えているかお示しいただきたいと存じます。
 次に、サケの不漁対策について伺います。
 我が国、そして本県の漁業、水産業は、200海里(排他的経済水域)、TAC(マイワシ、サバ、サンマ、アジ、ズワイ、スケトウ、そしてスルメイカの漁獲量の総量規制)、ハセップ(安全衛生管理基準)等によって営業条件が年々厳しくなってきております。本県特産の肉厚で滋養に富んだ三陸ワカメも、韓国産や中国産の安価な輸入ワカメによって生産価格が下落するなど、これまた大変な状況であります。
 また、本県の主要魚種であるサケも、平成8年の7万3、000トンを頭に、9年5万3、000トン、10年3万7、000トン、11、12年がいずれも2万4、000トンと激減しておりまして、これまた関係者の心配の種であります。
 このような閉塞感が漂う中で少しでも明るい話題をと思い、昨年12月24日に田老町摂待川の定置網に入った体長1メートル7センチ、体重12.5キロのジャンボサケの魚拓を、有志の協力を得て額におさめて、増田知事、県漁連会長、東京大学大槌海洋研究所、そして釜石の県水産技術センターに寄贈し、三陸のきれいな海をアピールしたところであります。そして、この額を贈る際に、巷間言われておりますいろいろなことを提言いたしました。
 私たちは、サケは4年間かけて成長して母なる川に戻ると習ってまいりましたが、このごろでは2年ぐらいで四、五十センチぐらいの魚体で戻る、言ってみればフルマラソンではなく、ハーフマラソンで戻るサケが見られるようになったのはなぜなのか。一生に一度の神聖なる、しかも強いものが生き残るという自然界の厳しいおきてを、人間が取り上げて、たまたま上がってきた雌ザケと雄ザケを人間の手によって生殖させるということを長年繰り返してきたことの劣性遺伝ということは考えられないのか。人間がすべてを知っているとは言えない海の食物連鎖の中に、1魚種だけを多量に放流することの影響はないのか。
 また、漁業者の間で言われている、このごろ北洋で鯨がふえていて、調査捕鯨で捕獲したヒゲクジラの胃袋の中からサケの骨が大量に出てきたということも伝えたところであります。
 この中で特に気になるのが鯨の問題であります。日本はIWC(国際捕鯨委員会)の1986年からのモラトリアム(一時停止)に従い、1987年に南極捕鯨から撤退し、1988年からは沿岸のミンククジラ、マッコウクジラ捕獲を停止しております。現在、IWCの中で商業捕鯨を求める国はアイスランド、ノルウェー、ロシア、ブラジル、韓国、ペルー、スペイン、そして日本の8カ国だけでありまして、捕鯨にかかわりを持たない国の方が多数を占めております。鯨はふえる条件の中にあり、海の食物連鎖の頂点にあることから、この情報が正確なものであるとしたら、本県が長年続けてきたサケのふ化放流事業は壮大なる鯨の養殖ということになりかねません。本県では平成11年から3カ年計画で、国連大学、東京大学大槌海洋研究所と合同で生態系、食物連鎖、海洋汚染をテーマに研究に取り組んでおりますが、ぜひこの中に鯨との関係や劣性遺伝のことも含めて研究することが、サケの資源回復に必須であると考えますがいかがでしょうか。当局の考えを示していただきたいと存じます。
 次に、いわて大環境祭21の開催について伺います。
 このことは本年6月11日、当局からの当面する県政課題について説明を受けた際に初めて知りました。それによりますと、目的を、21世紀の幕開けとなる2001年に環境首都いわてづくりを目指し、県民、企業、行政が一体となっていわて大環境祭21を開催し、循環型社会の形成に向けた県民理解の浸透と意識の高揚を図るということでありましたが、私はこれを一読して、大環境祭と言うなら当然、山、川、海、空が含まれるべきなのに、海がどこにも出てこない小環境祭であると思ったところであります。
 平成10年度の岩手県委託事業である国際会議人間と海の報告書によりますと、増田知事は主催者としてのあいさつの中で、本県の三陸域の海域には東京大学海洋研究所の臨海研究センターが立地し、暖流と寒流が混合し、生物の多様性に富んでいるこの貴重な研究フィールドを活用して、海洋環境や海洋生態系に関する最先端の研究が行われています。今後、さらにこの海域の持つ特性を生かしながら、海洋についての新たな取り組みを展開していくことが求められておりますと話されております。
 さらに、閉会のあいさつでは、当時の棚橋宮古短大学長が、海はこれまでずっと、そしてこの100年余りは特に、限りない人間の欲望とその結果をのみ込んで人間の生活環境を守ってくれました。しかし、この会議で報告された最近の海洋汚染の多くの事例は、海が今や我々に助けを求めて悲痛な叫び声を上げているように聞こえます。このような状況の中で、人間がその欲望とその結果を全人類の規模の中で制御できなければ、海という最後のとりでは崩れ、我々の未来はないかもしれませんと話されております。大変謹聴するべき発言であります。
 今ここから海が見えないからといっても、陸地で生活する人間の生活の痕跡を雨水が洗い流し、川に注ぎ海に流れ込みますが、しかし、それで終わりではありません。海を汚せば海産物も汚れます。また、地球温暖化が進めば、南北両極の氷が解け出し、海水面の上昇、気候、海流の変化による食料減産など、必ず人間はしっぺ返しを受けることになります。したがいまして、少なくとも環境を語る際には海が当然含まれるべきと思います。海洋深層水など、県内企業が積極的に取り組んでいる事例もありますので、それらの紹介も含めながら、大環境祭21に海も加えるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、本年の県から国に対する統一要望について伺います。
 本県でもこのごろようやく海洋深層水が注目され、宮古の民間業者2社がおのおの積極的に取り組みをしております。しかし、海にはまだまだ未知、未開発の資源が眠っております。私は、県民の目が海に向かってきた今こそ、海洋資源の研究、実証機関の誘致を全国に先駆けて国に働きかけ、そのことによって、21世紀は三陸海岸からルネッサンスの風を起こせると考え、会派として当局に申し入れをいたしました。海水や海底地層に存在するメタンハイドレートを初めとする天然ガス、リチウム及びマグネシウムなどの海洋資源が脚光を浴びている。中でもメタノールから抽出した水素と酸素の化学反応を動力とする燃料電池自動車は、有害排出物をほとんど出さないことから、ガソリン自動車にかわる次世代自動車としてメーカーにおいては既に実用段階に入り、大いに注目されている。以上のことから、地球温暖化現象の防止と21世紀にふさわしい環境負荷の少ないクリーンエネルギーの研究開発に積極的に取り組むとともに、波力発電、温度差発電、海洋バイオマス発電及び揚水発電などの実用化を図るための研究開発に一層取り組まれたい。
 また、海洋資源をフルに活用するための研究、実証機関(施設)を黒潮(暖流)と親潮(寒流)のぶつかり合う三陸海岸に設置するよう要望するという内容のものであります。
 これを受けて県では、まず国の情報を集めてからとの姿勢でしたが、結果として時期尚早ということで、今回の国への要望は見送るということでありました。残念であります。しかし、こんなことで本当に地方分権に対処できるのでしょうか。海の未開の可能性を探る研究機関(施設)を本県の沿岸のフィールドに設置し、研究を進めることは、21世紀を背負って立つ若者に夢と希望を与えることであり、それが世界に貢献することであるならば、国がやるのを待つのではなく、国を説得してでもやらせるように働きかけるべきではないでしょうか。今ようやく脚光を浴びている海洋深層水の研究は、18年も前から高知県が通産省の支援を受けてこつこつとやってきた努力がようやく結実したものであります。国がやるならとか、他県の様子を見てなどという考えがあるとしたら、本県は何においてもトップに立てないと思いますが、いかがでしょうか。岩手の環境の保全を図りながら、クリーンエネルギー等の活用に積極的に取り組んでおられる増田知事に所感を伺いたいと存じます。
 最後に、小泉総理の改革について伺います。
 小泉純一郎氏は自民党の総裁選に、自民党的なところをぶっ壊して改革すると訴えて大勝利を勝ち取り、総理大臣に任命され、小泉内閣を組閣されました。大変な人気であります。しかし、ここに来て、小泉内閣の改革とは地方の切り捨てにあることがはっきりしてきました。道路特定財源の見直し、地方交付税の見直し、そして公共事業の見直し(公共事業を10年で半減する)などがそれであります。そして、具体の数値を問いかけられれば、まだ就任1カ月ですよ、まだ就任2カ月ですよと言うだけで、どうやら参議院の選挙前は明らかにしない作戦のようでありますが、これはフェアとは言えないものであります。
 20世紀は戦争の世紀と言われ、日清、日露、第一次、第二次世界大戦などがありましたが、このいずれの戦争でも多数の兵隊を送り出したのは我が東北を初め地方でありました。戦後の復興期を支えたのは、金の卵と言われた地方出身の子供たちでありました。また、現在は都会の食料を生産し供給しているのは地方であります。一極集中を進めてきたからこそ首都移転構想も議論されてきたのであります。このような歴史を見ぬふりをして、都会の無党派の票が欲しいから、これからは大都会向けの政策を重視していくと言われたら、地方は踏んだりけったりであり、このまま黙ってはいられません。
 竹中経済担当大臣は、構造改革を進めることで20から30万人の失業者が出ると簡単に言っておりますが、民間の調査によると110から120万人の失業者になるという説もあります。しかも、この場合、大半は体力のない中小企業が先に倒れてしまいます。ゴルフにハンディキャップ制があるのは、うまい人も下手な人も公平に公正にプレーしようということであり、都会と地方にも当てはまることであります。強きをくじき弱きを助けるのが政治であります。自民党県連の方々が上京し、山崎幹事長に小泉首相の来県応援を要請した際に、小泉内閣の掲げる構造改革は理解するが、地方にも十分な配慮をお願いしたいと、社会基盤整備のおくれている本県の事情を訴えたと新聞に載っておりました。まさにそのとおりと思います。全国の知事や市町村長からも多くの反対の声が上がっているようでありますが、増田知事はどう考えておられるかお伺いをいたします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 伊藤勢至議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、滋賀県で取り組んでおります菜の花プロジェクト、この件についてでございますが、私まず、大変興味ある取り組みだと、このように思っております。菜種や大豆などの植物油を原料とする、いわゆるバイオ・ディーゼル燃料でございますが、これは欧米においては既に一部で実用化もされているわけでございますし、CO・の増加を招かない再生産可能な循環型のエネルギーとして注目もされているところでございます。こうしたものの中で菜種油の廃食油に着目したこの菜の花プロジェクトは、国内におけるこうした取り組みの極めて先駆的なものと、このように考えております。
 早速、本県での菜の花の栽培状況を調べたわけでございますが、水田転作作物として昨年の作付が約1.6ヘクタールということで、全国的にも非常に今、少ないわけでございます。菜種油の採取販売を目的とした栽培は行われておりませんし、また大豆につきましても、大豆油採取を目的とした栽培は今現在、県内で行われておりませんので、これらの植物油を利用したプロジェクトの今すぐへの導入は大変難しいわけでございますが、しかし、こうした植物油や間伐材などの生物体を利用したバイオマスエネルギー、この大きなバイオマスエネルギーの中に先ほどのようなものが全部入ってまいりますので、こうしたものの活用は今後ますます重要になっていくと、このように考えられますので、今現在取り組んでいる木質系のバイオマス資源の開発、これは県の方で今、研究会などもつくって調査に取り組んでいるわけでございますが、これに今お話しございましたバイオ・ディーゼル燃料についても加えて、実用化の可能性について、今後調査研究していきたい、このように考えております。
 次に、海洋資源の研究・実証機関の誘致ということでございますが、親潮と黒潮が交わります本県の三陸海岸、ここはそもそも海洋生物が大変多く生息しているところでございます。また、多様性に富んでおりまして、既にそういったところに目をつけて東京大学海洋研究所大槌臨海研究センターなどの研究機関がございますし、私どもの認識としても海洋研究開発の適地であると、このようにとらえております。このような観点に立って、これまで県で御承知のとおり幾つかの研究機関の誘致活動を進めてきたわけですが、実現したものとしては、株式会社海洋バイオテクノロジー研究所というものがございます。そのほかに今、議員お話しございましたが、国連大学との協定によって、現在、国際共同研究を行っておりますし、地球構造の解明を行う国際的プロジェクトである深海地球ドリリング計画の関連研究施設の設置といったことは要望してきておりました。昨年の11月に策定をした新しい岩手県科学技術振興指針というものがございまして、ここでいろいろと今後の研究の分野をどうしようかと、いろいろ専門家の人たちに集まってもらって議論をしてもらったんですが、そこで海水や海底資源などの海洋開発関連研究施設等の誘致を進めるということを盛り込んだところでございまして、やはりこの三陸海岸のこの地域に海洋開発研究フィールドの形成を目指したいと、これが県の考え方でございます。
 したがいまして、今後、国内外の先端的な大学や研究機関とのネットワークづくりをとにかく進めていくことが必要だろう。また、来月に新しくオープンする環境保健センターなどもございますが、ここの所長さんも大変そうした分野の権威の方でございますし、そういったいろいろな機関とのネットワークづくりをさらに一層充実させていくということ。そして、何といってもやはりどういうものがこれから突っ込んだ研究にふさわしいのかという、オリジナルな研究シーズを発掘するということが大変大事でございます。この本県のすぐれた海洋フィールドを十分生かせる、そうしたオリジナルな研究シーズを発掘して、そしてそれを提案型の要望に結びつけられるように、本県独自のプロジェクトの検討を進めていきたい、このように考えております。
 最後に、小泉内閣の構造改革についてのとらえ方ということで御質問ございました。そもそも今、地方自治を預かる者にとって必要なことは、地方分権をやはり進めていくと、そして分権型の社会ということを確立していくために、何といっても自己決定、自己責任の原理を地方財政の領域まで広げて、そして地方自治体が財政運営の自由度を高める。国の財政運営の枠内で縛られるということではなくて、自治体が財政運営の自由度を高めて、地域住民から見て、その住民の受益と負担の関係がわかりやすい、そのような税財政構造に改めていくということが極めて重要である。これはもう小泉内閣が成立した、どうということでなくて、本来的にやはりそういう体制に一刻も早く近づけると、こういうことが必要だろうというふうに思います。
 今回、小泉内閣が成立した後、例の骨太の方針が決定をされたということで、いろいろなことが問題提起をされているわけですが、大事なことは、そうしたことが国だけで検討が進められるということではなくて、国と地方がこの問題については対等な立場で、これからの望ましい国と地方のあり方について、率直に議論を重ねていくということが必要であろうというふうに思います。新聞報道などでもぽつぽつと特定の事柄について、例えば道路特定財源について、やはり制度の成り立ちなどが根本的な議論がされないまま、その使途の拡大といったようなことが報道され検討されているといった話があったり、あるいは国の財源不足から、単に地方交付税が1兆円ぐらい削減されるといったようなことなどもございました。こういったことがそのことだけで進められるというのはやはり大変問題があると、税源移譲などとセットでやはり考えるべき問題でありまして、そういうことであろうというふうに思いますし、どうも改革ののろしが上がったときに、いわゆる役人あるいは官僚あたりがそういったことをいろいろ進めようとした形跡もございますし、いずれにしても地方の自治にかかわる問題については私どもの方でも十分目を光らせておく必要があるだろうと、こういうふうに思っています。
 今後、一昨日、いわゆる骨太の方針というものが決定をされたわけでございますので、地方行財政制度の抜本改革に向けて、具体的に検討がさらに進んでいくというふうに思われます。その中でいろいろな社会的な痛みということが想定されるわけですが、そうしたものの全体像が徐々に明らかになってくるだろうと思いますが、そうしたものの全体像を早くやはり政府としても明らかにしていただいて、それで議論を進めていく必要があると思いますし、また、地方もみずからこうした分権型社会の確立に向けて、地方のあるべき姿を我々サイドからやはり積極的に提言をしていく必要があるだろうと。そのことが一方的に国からボールを投げかけられて、それに反対反対ということを言うだけではなくて、やはりこちらからのあるべき姿の提言がなければならないだろうと、このように思います。地方の声がそうした上でお互いに対等の立場に立った上で十分に反映された、そういう結果になれば大変いいわけでございまして、引き続き私もさまざまな機会をとらえて積極的に提言をしていきたい、働きかけていきたいと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔総務部長小原富彦君登壇〕
〇総務部長(小原富彦君) 消防団の充実強化についてでありますが、県内各地域の消防団員の皆様は、火災を初めとする各種災害から地域住民を守るという重要な業務に日夜従事されており、本年4月から5月にかけて県内各地で多発いたしました林野火災におきましても、各地域で消火活動の中核として延焼防止や鎮火に御活躍いただいたところであります。消防団員が安全かつ効果的に多様な活動をする上で、また、消防団員の士気の高揚を図るためにも、各種の消防用装備の充実を図ることは極めて重要であります。
 お尋ねの消防団用の双方向無線機の整備の状況についてでありますが、消防活動における無線通信の基本となります車載用の双方向無線機は、平成12年1月に調査したところでは、県内59消防団が保有する消防ポンプ自動車などの消防車両1、553台のうち、59%に当たる917台に装備されております。また、携帯用の双方向無線機については、常備消防である消防本部保有分と合わせて、平成12年4月段階で約300台が装備されており、これらの無線機が火災などの災害現場において情報の収集や伝達に使用され、安全かつ効果的な消防活動に役立っているところであります。双方向無線機の整備につきましては、市町村において、消防庁補助の消防団活性化総合整備事業などを活用して、順次、整備を進めてきているところでありますが、県といたしましては、今後とも補助事業などの導入を促進し、これら装備の充実を図るなど、市町村消防力の強化に努めてまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕
〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) 技能五輪全国大会の本県開催についてでありますが、本大会の招致につきましては、技能尊重機運醸成促進協議会や関係者の熱意が実り、昨年10月に平成16年度の本県招致が決定したところであります。県といたしましても、本大会の開催によりまして、産業の根幹を支える、物づくりのわざ、技能のすばらしさを県民の皆さんに認識していただく絶好の機会であるととらえておりまして、関係者一丸となって開催準備を全県的な取り組みとして進めてまいりたいと考えております。
 まず、お尋ねのメダルの獲得目標につきましては、その目安の一つとして過去の大会の入賞率を参考として見ますと、本県の過去5回の大会参加者数は延べ54人で、そのうち11人が3位以上と敢闘賞に入賞を果たしておりまして、入賞率は20%となっております。昨年までの開催県の開催年次における入賞率が40%程度となっておりますので、本県といたしましても開催年次にはこれを上回る成績を目標として取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、選手の参加資格は、開催年次において21歳以下という年齢制限が設けられておりまして、この要件を満たすのは、ことしの高等学校3年生に相当する人の年齢が上限となっておりますことから、県工業高等学校校長会に対しまして、大会の趣旨の説明や本年開催の福島大会の見学等を要請いたしましたほか、今後、岩手県職業能力開発協会と一体となりまして、県内企業等の訪問や各種会合におきまして、この大会の紹介や協力をお願いすることとしております。
 技能向上の具体策につきましては、平成16年の開催に向けまして、各職域にわたった参加選手の発掘・選考、それから企業等における指導者の資質向上のための研修会の開催、それから参加選手の強化訓練などを年次を追って段階的に進めることとしております。したがいまして、今年度は中央職業能力開発協会や過去の開催県からの情報収集、分析を進めておりまして、その結果をもとに、平成14年度以降、まず全県的推進母体を組織いたしまして、大会開催に向けた競技種目や会場、祭典に関する実施計画につきまして、岩手県職業能力開発協会、岩手県技能士会など関係団体と連携を図りながら取りまとめ、万全の準備を進めつつ、その支援を講じてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長佐藤勝君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤勝君) まず、港湾活用による食料備蓄についてでありますが、食料は国民の生命の維持に不可欠なものであり、健康な生活の基礎として安定的に供給されなければならないものと認識いたしております。一方、食料の生産は、気象変動などの自然条件に左右され、供給量が大きく変動するものでありますことから、食料・農業・農村基本法におきましては、国民への食料の安定供給のための方策として、備蓄が不可欠なものの一つと位置づけられております。その確保につきましては国の責務とされております。また、基本法におきましては、開発途上国に対する食料援助や国際協力の推進に係る国の責務についても規定いたしておりまして、現在、備蓄食料を活用した国際支援を検討中とも伺っております。
 県といたしましては、こうした備蓄をも含めた安定的な食料の供給確保という国の考え方に即し、我が国有数の総合食料供給基地として、品質のすぐれた食料を安定的に供給し、食料自給率向上の一翼を担うことを県の役割と認識しているところであります。こうしたことから、御提案のありました、本県港湾を我が国の食料備蓄に活用することにつきましては、本県の港湾利用を高めることにもなりますし、また、ひいては地域の振興にもつながることから、国が具体的に検討する段階に至った場合には、本県港湾の情報につきましても積極的に提供してまいりたいと、こう考えております。
 次に、シイタケの優良品種の開発についてでありますが、国内の他産地や外国産のシイタケに打ち勝ち、本県産のシイタケの銘柄化を図るためには、消費者が求める品質の高いシイタケの品種の開発が望まれております。このため、岩手県生物工学研究センターにおきましては、褐変しにくい、褐色化しにくい保存性のすぐれた品種SR-1──これは便宜付した符号でございますが──を選抜したところであります。また、シイタケに含まれる抗がん物質が減少しにくい品種の開発にも着手したところであります。林業技術センターにおきましては、平成10年度から、新たに選抜したこのSR-1について、栽培特性や収量の評価を行うため栽培試験に着手し、これまでに菌床栽培において、生育が早く保存性が高いなどの特性を確認いたしております。
 今後、県といたしましては、原木栽培につきまして、菌床栽培と同じようにこの品種の特性と、他品種との特性の違いを明らかにした上で、平成15年度を目標に、シイタケとしての本県初のオリジナル品種として、農林水産省へ品種登録の申請を行う予定といたしております。
 また、品種登録手続と並行いたしまして、種菌──たねきんでございますが──につきましては、関係機関等との連絡を図り、生産者に安定的に供給できる体制を整備する、その検討を始めたいと、このオリジナル品種SR-1の特性情報、これを市場関係者等にも積極的に提供いたしまして、本品種の優位性をPRしてまいりたいと、こう考えております。
 次に、サケの不漁対策についてでありますが、サケを本県におきましては基幹魚種といたしておりますが、サケ不漁の原因解明が極めて重要であるということで、県といたしましても、これまでの間、国、大学等の代表的なサケ・マス研究者とともに原因の解明に努めてまいりました。またさらには、その研究結果を参考にし、岩手県水産技術センターにおきまして、放流直後の沿岸域の環境と不漁の関係に焦点を当てた調査研究を行っております。
 今回、提言のありました鯨類──クジラ類──による捕食に関しましては、我が国が実施する捕獲調査の結果、北太平洋で年間7、000万トンから1億トンの海洋生物が鯨類によって捕食されていると推定されておりますが、このうちサケがどの程度捕食されているのかは不明でありまして、サケ不漁との関係など詳細な調査が待たれるところであります。
 また、劣勢遺伝の問題につきましては、放流事業による遺伝的影響の可能性があるとする意見もあります。今後の調査研究の必要性が指摘されておりますが、全国的に見ましても十分な取り組みは今のところなされていない状況にあります。これらの課題に関しましては、北洋全体の生態系など幅広い調査研究が必要となるため、国、大学等の取り組みが不可欠であると、こう考えております。
 本県にとりましては、サケの不漁は漁業のみならず沿岸地域の経済全体に与える影響が大きいことから、国に対しまして、生態系や遺伝等の幅広い観点からの原因解明について調査研究の実施を要望していくとともに、県といたしましても引き続き沿岸域での調査研究やこれに関する学術情報等の収集を図ってまいりたいと考えております。
 なお、提言のありました、本県が国際連合大学等と実施している海洋にかかわる環境についての国際共同研究に関しましては、平成13年度までで終了いたします。平成14年度には国際シンポジウムを開催してサケの回帰機能に関する研究を含めまして、その成果を発表されることになっております。
   〔県土整備部長竹内重徳君登壇〕
〇県土整備部長(竹内重徳君) 港湾の活用策についてでありますが、平成11年の本県港湾における貨物量は、総取扱量735万トンとなっておりますが、このうち輸入量約146万トンに対して、輸出が約3万トンにとどまっておりまして、輸出入に関しては著しい片荷の状況となっております。したがいまして、議員御提言の備蓄食料の海上輸送の可能性につきましても、情報収集を行ってまいります一方、今後とも片荷の状況を改善し、取扱貨物の総量の増大を図るため、港湾間の連携方策につきましてさらに検討を進めますとともに、港湾関連用地や工業用地への企業誘致も含めまして、地元と一体となって県内外の企業や海運会社などへのポートセールスに、より積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長時澤忠君登壇〕
〇環境生活部長(時澤忠君) いわて大環境祭21の開催についてでありますが、このイベントは、大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済システムに支えられましたこれまでのライフスタイルを見直しまして、山や川、海などの自然環境の保全を初め、廃棄物対策、地球環境問題など、私たちを取り巻くさまざまな環境問題を考える契機としたいというふうに考えまして、環境首都いわての実現に向けてということをテーマとして開催することとしたものであります。
 御指摘のありました海に関してでございますが、海が環境面において果たす役割を踏まえまして、海洋汚染の問題、地球温暖化による海水面の上昇、気候の変動などを啓発する内容を盛り込むことも予定しておりますし、森林と海とのかかわり合いや、海洋資源の活用などについても紹介する内容としてまいりたいと考えております。
 環境祭の具体的な内容につきましては、現在、実行委員会において検討しているところでありますが、岩手の自然環境や地球環境の現状をわかりやすく紹介し、県民一人一人に環境問題の大切さや環境に優しい暮らしのあり方などを考えていただくためのテーマ展示や、環境NPOによる展示、環境に関する製品などの紹介を行います企業出展などのほか、親子で参加できる体験型のイベントなども企画しております。また、地球温暖化の防止に関するフォーラムや、子供たちを中心としたシンポジウムの開催など、身近な環境問題から地球環境問題まで話し合う場を設定することとしておりますが、お話のありました海に関しましても十分工夫をいたしまして、環境に関するあらゆる要素を盛り込んだ総合的なイベントとしてまいりたいと考えております。
〇34番(伊藤勢至君) ただいまは種々答弁をいただきましてありがとうございました。4点について再質問をしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 まず最初に、42回の技能オリンピックについてでありますけれども、これは33の職種という部分でありますが、機械組み立て、抜き型、精密機械組み立て、メカトロニクス、機械製図、旋盤、フライス盤、構造物鉄工、電気溶接、木型、タイル張り、自動車板金、曲げ板金、配管、電子機器組み立て、電工、工場電気設備、石工、広告美術、左官、家具、建具、建築大工、貴金属装身具、フラワー装飾、美容、理容、洋裁、自動車工、西洋料理、日本料理、造園、そして洋菓子製造等であります。しかし、これはいずれも岩手県の技能の部分を背負って立つ大事な職種だと思っております。
 そういう中で、今回予算措置をされました金額を見ますと、技能五輪選手派遣費が86万9、000円、そして技能五輪選手育成費が150万円という計算でありますが、100人の選手をこれから養成していこうというには150万円では足りないのではないか。つまり1人当たりに換算しますと1万5、000円にしかなっておりませんから、これでは材料費にもならない、こう思うわけであります。
 しかも、先ほど答弁があったように、現在の18歳の子供たちといいますか、青年が対象でありますが、現在高校に入っている人たちが、今後3年の間に日本一の技能優秀賞をとるような、金メダルをとるような勉強というのは大変厳しい状況にあるんだろうと思っております。といいますのは、今言いました33の項目のいずれをとりましても、決して大企業とは言えない事業所に所属するということになりますから、この経済状況の中では、とてもとてもこれだけのために時間外をとって、あるいは時間外手当を親方が払って勉強させるような状況にはないんだ、このように思いますと、まさに県当局の物心両面、特に物の方の支援が重大だと思うわけであります。そこにつきまして、今後の部分についてもう少し詳しく、積極的な答弁をいただきたいと思います。
 それから、シイタケについてでありますけれども、本県は数量的には他県にかなわない部分もあるかもしれませんが、品質的には大変いいものをつくっていると思っております。本年も総理大臣賞、農林水産大臣賞等を受賞した方がいるようでありますけれども、本年の2月に県議会のしいたけ産業推進クラブで沿岸の2カ所のシイタケ栽培農家というんでしょうか、視察をしてまいりました。その際に、そのシイタケ栽培家から聞きましたところ、自分たちは品質については誇りを持っておる。したがって、品質で県外のものと勝負をしようと思うと、いいものをたくさんの仲間につくっていただきたいのだ、こういうことであります。ボリュームが足りないと、こういうことです。
 そこで、宮古近辺以外の、あるいは県内の人たちが現場調査に来ますか、視察に来ますか、こう伺いましたところ、大分県や群馬県や栃木県からは、県の農政関係あるいは市町村の農政関係の人たちが、栽培家を連れてマイクロバスあるいは大型バスで視察にどんどん参ります。しかし、県内の人が来たことは一度もありませんと、こういうことだったわけであります。せっかくブランド名の高い、いいものをつくれる技術を持っていながら、この広い岩手県の中にそういう技術を普及していこうという部分は、これはまさに県の取り組みに係るのではないか、このように思うわけであります。
 そういう中で、今回開発されつつある褐変しにくいというシイタケは、いわゆるがんの抑止効果があると言われるレンチナンを含んでいるんだそうでありますが、褐変をすると、つまり色が変わってしまうとレンチナンも減少する、したがって、褐変しないということは、がん抑止効果があるレンチナンをそのまま残す、まさにこれは画期的な商品だと思います。こういう部分を早く県内の栽培家に普及していって、ボリュームでも品質でも、国内にも、あるいは国外にも勝っていける栽培家に育成していくべきだ、このように思うわけであります。
 今県内の、特にも中山間地域が大変元気がないというのはずうっと言われてきていることであります。今、ワカメと、あるいはサケもとれませんから大変でありますけれども、宮古地区にあっては、外洋に面した重茂半島などでは、年収3、000万円を上げている漁家がいっぱいいると言われております。そういうところは、もう洗濯物を見ると一目でわかります。4世代の洗濯物がカラフルにそれぞれはためいて干してあるわけであります。また、自動車は4台ぐらいあります。
 一方、中山間地域に参りますと、洗濯物を見たらすぐわかる。色のさめた腰巻きとラクダ色のもも引きしか干されていない、こういう状況であります。つまり若手がいないのであります。したがいまして、そういう中山間地域に希望のある新しい産業としてのシイタケの部分をぜひ取り入れることによって、年収が確保できる、そうすれば若手も戻ってくる、こういうことになるんだろうと思いまして、ぜひこの部分を強力に進めていただきたいと思うわけであります。
 それからもう1点、実は名称問題があります。このジャンボシイタケをモッコリくんという名前で呼んでいるそうでありますが、この生産家にこのネーミングについてどう思いますかと聞きましたところ、どうもいただけないです、余り喜ばしいとは思っておりません、こういう部分であります。私が想像がたくましいのかどうかわかりませんが、どうも下世話の方に私は結びついてしまいまして、そういうものを大衆に売り出そうという部分はちょっとジョークがきついのではないか、このように思うわけであります。
 そこで、私は委員会で提案いたしました。シイタケはビタミンDの、つまりカルシウムを体内に取り入れる最大のビタミンとして有名なわけでありますし、また、今回のこのレンチナンの問題もそうでありますから、ビタミンDの王様ということで、私はミスターDにしたらどうだと提案いたしました。そうしましたところ、それはオロナミンCやリポビタンDのまね事じゃないかとやじが飛びましたが、しかし、そういうことではありませんで、この特性をネーミングにしていくということは重要なことだと思っております。
 ある地域では、実はカリントウを製作いたしました。そこのカリントウになにくそクンという名前をつけたのだそうでありまして、ジョークが過ぎたのでありましょうか、これも余り売り高がいいとは言えない状況にあろうと思っております。
 ですから、例えば、やせなくっ茶とか今出ておりますが、ああいう新しい前向きのネーミングならいいと思うのでありますけれども、そういう部分も大事だろうと思っておりますので、そういう部分も含んで、しかも特性のある岩手県のものでありますので、そういう部分を販売できるということから、ひとつ所感をお聞かせいただきながら、この2年間農林水産委員長としてやり合ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それから、いわて大環境祭21についてでありますが、環境生活部長は、今回赴任してこられたばかりで何ですけれども、これが国際会議人間と海という報告書でありますが、この報告書はまだお読みになっていらっしゃらないと思いますが、これはぜひお読みいただきたいと思います。中でも、特に海洋汚染について重要だと思いますのは、実はロシアの学者が、ロシアの海域には幾つかの放射能汚染が存在すると言っております。潜在的に最も危険な状況は、核廃棄物投棄と沈没潜水艦にあるようだ。1959年からカラ海、北海、北極海で潜水艦の原子炉が13、砕氷船の原子炉が三つ、防具材一つ、そして1万1、000を超える軍からの固形核廃棄物のコンテナが投棄された。大変重要な部分が載っておりますので、少なくとも環境生活部長初め、現在こっちを向いている皆さんは、一般教養としてもぜひこういうものをお読みいただきたい、このように思うわけであります。ぜひ、これについてもひとつお聞かせいただきたいと思います。
 最後に、小泉内閣の改革についてでありますが、先般、地方振興局を訪ねてまいりました。当然、これは地域の要望をお願いしたいということから、主に土木関係だったわけでありますが、押しなべて土木関係の皆さんが元気がない。肩を崩して、いや伊藤さん、そうおっしゃられますけれども、やりたいことはいっぱいあるのですが、予算が来年から厳しくなります、削られます、これではとても要望におこたえができなくて、大変頭を抱えております、こういう状況であります。つまり、県職員の皆さんは敏感なんですね。もうこのお盆が明けるとすぐ来年の予算の作成に入るんだと思いますが、既成の事実として当然削られるだろうと皆さんは思っていらっしゃる。
 だけれども、そういう中で、一昨日の閣議の中で財源移譲について触れられた、だから安心だと、こういう議論もあるようでありますが、それはただ触れただけであって具体の部分が見えていない。どこをどう減らすのか、どこはどうそのまま残すのか、そういった議論がない、ただ触れられただけで、これはおかしい、このように思うわけであります。
 その中で、さて東京都議会では自民党が大躍進をいたしました。立派なものだと思います。しかし、今度は東京都議会の中から、恐らく地方はもういいから、東京周辺の大都市の政策をやれという声が上がってくると思います。それを受けた石原知事は当然、そうだ、そうだ、こういうことになるんだろうと思います。
 そういう中で、石原知事が言っております一つの部分でありますけれども、東京都内にディーゼルの大型自動車を入れないということを発言しておりまして、さて、これはどうなのかなと思って、実は運輸関係の社長さんにお伺いいたしました。そうしましたら、困るだろうなと思ったところ、その社長さんは、いやいや私たちはその方がいいんです。東京都内を通さないんだったら、埼玉か、あるいは神奈川県に荷物を置いてくればいいんです。あとは東京が10トン車の荷物を4トン車2台と2トン車1台、あるいは2トン車5台で運べばいいんですから。そうした方が排ガスがいっぱい出る、あるいは自動車が混雑をする。私たちは、交通事故の発生頻度の高い都内を走るよりは楽ですと、こういうことなのであります。
 したがいまして、こういう声に私たちは地方として対抗していかなければならない、このまま看過しては、来年から予算を削られることになってしまう、このように思うわけであります。
 我が岩手県の沿岸地方には、今から150年前に三閉伊一揆という一揆がございました。小さい旗に小丸をかいて一揆を仕立てて、仙台に行っちゃったために、どうもその後の岩手県政は沿岸に冷たいのかな──まあ、こんなことは余計でありますが、そういう中で、今東北6県と言われますけれども、福島、宮城、山形は、既にこれは関東圏に入っているんだと私は思っております。つまり日帰り通勤が可能な地域でありまして、そうすると東北は今3県、北東北3県、青森、秋田、岩手、こういう部分が切り捨てされるということについて、この際、北東北3県の3県一揆ぐらいを起こして反対していかないと均衡ある発展につながらない、このように私は思っております。ひとつこの辺につきまして、青森、秋田の県知事と密な連絡をとっておられる増田知事のお考えを伺って、終わります。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 今、議員の方から小泉改革についていろいろお話がございました。いろいろ論点がございましたので、全部を網羅できるかどうかでございますけれども、いずれにしても、自分たちの地域は自分たちの責任において自分たちの姿を決めていく、このような形にこの問題提起をきっかけに変えていく、ぜひそういう契機にしていきたい、こういうふうにとらえております。
 地方に税源が移譲されるということは、これも確実なものではございませんが、そういうことの一つのきっかけにもなり得ると思いますが、これは、これだけで油断していてはだめなわけで、当然、税源の偏在がございます。黙っていれば地方に確かに税源は移るということでもなく、東京がひとり勝ちをする。ほとんど東京あるいはその周辺の四つか五つの府県だけが税収がふえるということになりかねないので、自己責任、自己決定という体制を進めていく上で、この税源の問題も大変重要でございますが、多くのことをセットで考えていかなければならない、このように思っております。
 今度この新しい内閣で、道路財源ですとか、国、地方の税財源のあり方というところに光が当たったということは大変いいことであるとも思いますけれども、これをただ単に抽象論に終わらせたり、あるいは国が地方に借金を押しつけるような契機になってはいけませんし、東京ひとり勝ちになってはいけません。いずれ現在、国、地方が660兆円を超えるような大借金を抱えているわけですから、それを処理することは必ず必要なことになってきますので、ただ単に、都市対地方の最終的な闘いといったことに終わらせるのではなくて、国全体がプラスに進んでいけるような方向にしていきたいと思います。
 今、北東北3県の話がありましたけれども、各県いろいろ共通の問題意識もあると思いますし、それから、若干東京との近さ、遠さによってそれぞれまた温度差もあると思いますが、基本は私は、やはり東北6県が一体として行動できればいいなと思っております。しかし、今までも北東北3県でさまざまな事業を緊密に進めてきたということもございますので、特にその中では、北東北3県としても一致して、こうした新しい地方の姿をつくることにお互いに知事が胸襟を開いて話し合いをして、国に言うべきことははっきりと言うという姿勢で進んでいきたいと思います。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕
〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) 技能五輪全国大会に係る参加選手の強化育成についてですけれども、福島県で開催されます本年度は、例年の全国大会参加人数の1.5倍に当たる15人分につきまして、選手の派遣費、それから強化訓練費として助成することとしております。これは、派遣費用と将来の指導者になることを見込んでの助成でございます。
 これまでの全国大会で岩手県が参加した選手の職域は、先ほどの33種目のうち、どちらかというと、タイル張りとか建築関係、メカトロニクスと非常に偏っておりまして、これからはこの職域を拡大していくことが大きな課題であろうと認識しております。
 平成16年に岩手県で開催される全国大会への本県からの参加選手の数ですけれども、現時点では確たることは申し上げられませんが、過去の開催県の例を参考にいたしますと、何とか100名程度はと考えております。今後、育成協会に対する助成につきましては、県職業能力開発協会などと協議をいたしまして、段階的に職種、人数をふやしながら取り組んでまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長佐藤勝君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤勝君) 岩手シイタケの御質問にお答え申し上げます。
 お話がありましたとおり、本県岩手シイタケにつきましては、質量ともに、まさに我が国有数の主産地であります。県内各地で生産された干しシイタケあるいは生シイタケは品質も大変すばらしく、これは岩手の誇る特産物ということになっております。
 これらの生産されたシイタケをどのように販売促進するかということが大変重要なものになるわけでありますが、そこで、ただいまお話ありましたブランド名でございますが、モッコリくんについてお話がございました。この名称、これはフルネームで岩手健康しいたけモッコリくんでありますが、みんなにモッコリくんということでかわいがられております。この名称は、平成4年に本県で開催されました全国しいたけ振興大会で実行委員会がございましたが、実行委員会が岩手シイタケの販売力強化のために、県産シイタケの特徴を生かして、広く全国の消費者に親しまれる愛称を県内から公募して、多くの公募点数の中から最もふさわしいものとして決定されたものであります。
 県といたしましても、このように実行委員会が選んだものでございますが、県内外の販売促進活動の中で、県産シイタケの品質の高さ、あるいはこういう特徴等から、愛らしい名称であるモッコリくんについて、関係団体と協調しながら、これまでその普及定着に努めてきたところであります。その結果、愛称モッコリくんの県産シイタケは、県内外の多くの消費者の支持を得ているということで、定着を見てきているのではないかと感じております。
 このような経過を踏まえまして、県産シイタケの有利販売のためには、品質の高さに裏づけられた継続した販売促進活動を粘り強く行うことが重要であるかと思います。印象の強さもまた大きなファクターであるかと考えておりまして、モッコリくんの名称を大事にしながら、その活躍ぶりを見守っていきたい、このように考えております。
   〔環境生活部長時澤忠君登壇〕
〇環境生活部長(時澤忠君) 人間と海の報告書につきましてまだ読んでおりませんが、早速読んで、参考にさせていただきたいと考えております。
 私自身、海辺で生まれ育った者といたしまして、海の大切さ、海の恵みの尊さというものは認識しているつもりでございますが、環境行政を行っていく点でも、今後十分に配慮してまいりたいと考えております。
〇議長(谷藤裕明君) 佐々木大和君。
   〔28番佐々木大和君登壇〕(拍手)

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