平成13年6月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇16番(岩城明君) 政和会の岩城明でございます。
 3月議会に引き続き、本議会においても質問の機会を与えていただいた同僚議員に感謝を申し上げるとともに、以下順次質問をしてまいりますので、当局の誠意ある御答弁をお願いいたします。
 まず、県土の均衡ある発展についてお伺いをいたします。
 戦後長らく国土政策のテーマとなってきた国土の均衡ある発展というテーマは、社会経済の右肩上がりの成長の終焉とともに変容し、21世紀の新たな国土政策として示された21世紀の国土のグランドデザインにおいては、都市と自然のネットワークが共存し、人や情報の活発な交流から四つの新しい国土軸からなる多軸型の国土構造の創造を掲げ、地域の選択と責任による地域づくりが新しい国土の基本政策となっております。このことは、右肩上がりの成長とともに歩んできた成長経済によって獲得をした果実を各地域に移転する、いわゆる国土の均衡ある発展を主体とした政策を転換し、各地域がみずからの創意工夫で、地域開発をみずからの責任のもとに行う施策を新しい基軸とすることではないでしょうか。
 また、経済財政諮問会議での議論においても、均衡ある発展から地域間競争による活性化が論議されるなど、国民が等しく享受し得るナショナルミニマムから市場原理の名のもとに、均衡ある発展の命題が転換をされようとしております。国土政策がこのように転換をしていく状況の中で、本県においても地方振興局の権限を強化し分社化するとともに、それぞれの地域の特色を生かした地域づくりを進めることとされておりますが、私は、この地域の個性を生かした地域づくりそのものは、これからの岩手にとって必要な政策であると考えております。その基本としては、やはり県土の均衡ある発展を念頭に置きながら進めるべきものと考えております。
 一般質問の機会があるたびに申し上げておりますが、増田知事の指揮のもとに各地域のハーモニーを奏でるためにも、それぞれのパートが等しい力量で音楽を奏でる必要があり、力量の劣るパートがあっては美しく調和されたオーケストラにはなり得ないのであります。県北・沿岸地域の社会生活基盤整備は、まだまだ内陸のそれとは大きな格差があり、産業の集積は進まず、雇用の確保ができないことにより、いまだ出稼ぎ地帯となっているなどその課題を克服し、さらなる振興を図っていくことが必要であると考えます。等しくオーケストラの一員として調和をされたメロディーを奏でるためにも、ぜひ県北・沿岸地域の振興をさらに進めていく必要があると考えております。国土の基本政策が転換をしていく中で、県土の均衡ある発展をどのようにとらえていくお考えなのか、知事にお伺いをいたします。
 次に、県北・沿岸振興に関連して幾つか質問をいたします。
 新幹線盛岡以北の開業がいよいよ平成14年12月に迫ってまいりました。この新幹線の開通は県北住民の悲願であり、この開通を契機として大いなる発展を遂げる絶好の機会を迎えていることは論をまたないところであります。観光、交流・連携の促進、産業育成に伴う雇用の促進など、さまざまな面でのその起爆剤として新幹線の開通が大きな役割を果たすのではないでしょうか。特にも、新幹線の効果として時間の壁を克服する効果が大きく、観光、交流・連携の促進が大いに期待できるものと考えております。
 新幹線の開業に向け5月16日付の河北新報の報道によれば、隣県青森県においては、八戸市までの開業だが青森県開業を強調し全県的な盛り上げを図りたいとし、十和田観光へのアクセス拠点を八戸駅と位置づけ、首都圏でのテレビ放映、観光キャラバンの派遣、十和田湖で2月に開催をされる十和田湖冬物語のPRなどの大型のキャンペーンを実施するため、県内全市町村など約130団体で組織する県大規模観光推進協議会を設置し、積極的に観光宣伝を行うことと報道されております。
 一方、本県の取り組み状況はどうなっているのでしょうか。二戸・久慈地方振興局が連携し、南部展の実施や伝統芸能などの文化の祭典を実施する久慈・二戸の祭典などの久慈・二戸・八戸トライアングルネットワーク事業、二戸広域センター整備事業などが上げられますが、青森県のような全県挙げてのキャンペーンを実施するお考えはないのでしょうか。県北・沿岸振興の絶好の機会を逃すことなく、新幹線の開業や東京乗り入れ時と同様に、旅行客への観光商品の情報提供や八戸地域と一体となった大型キャンペーンを全県挙げて取り組む必要があると考えております。県は、新幹線が県北・沿岸の観光に及ぼす経済効果をどうとらえて、どのように生かしていくお考えなのか、また、観光宣伝をどのように進めていくお考えなのかお伺いをいたします。
 また、新幹線の盛岡以北開通により、人の流れが二戸・八戸を中心に動くことが予測され、高速交通網の波及効果をあまねく沿岸部にも及ぼすために、その基盤となる新幹線駅との道路ネットワークの整備が必要と考えております。県においては、新幹線関連道路整備事業として、宮沢トンネル、折爪トンネルを中心とした道路の整備を進めているところであり、北上山地の横断のため、交通の隘路を克服する事業でもあり、その効果が大なるものと評価をしております。しかしながら、二戸駅へのアクセス道は一応整備されているとしても、八戸駅とのアクセスについてはいまだ不十分の感がぬぐえないと考えております。八戸久慈自動車道は八戸市内の整備は進んでいるものの、岩手県側では久慈市夏井町でとどまり、夏井町からは階上町までの区間は手つかずの状況にあります。平庭高原へのアクセス道もまだまだ整備が必要なのではないでしょうか。県においては、新幹線駅との道路ネットワークをどのようにとらえ整備を進めていくお考えなのでしょうか。公共事業の見直し論が国会で議論をされ、道路特定財源の見直しも必至の状況にある中で、八戸久慈自動車道の整備はどのように進められるお見通しなのかお伺いをいたします。
 次に、少子・高齢化対策についてお伺いをいたします。
 少子・高齢化社会が到来し、その対策が急務となっております。特に、生まれてくる子供たちが健やかにはぐくまれる社会の構築が求められております。国においてもエンゼルプランを策定し、子育てに優しい社会の実現を図るとしており、また本県においてもいわて子どもプランを策定し、少子化対策を進めていると認識をしております。私は、21世紀を担う子供たちが健やかに育つための環境整備として、夜間や休日の医療体制の整備が重要と考えております。子供が病気やけがをしたら、専門医である小児科医が待機する小児救急病院で診療を受ける体制の整備が必要でありますが、全国各地では小児救急病院が少なく、やむなく一般の救急病院で診療しているのが実態ではないでしょうか。
 厚生労働省は、平成11年度から始めた新エンゼルプランによれば、平成13年度までの3年間で全国360地域に少なくとも1カ所、夜間や休日でも小児が受診できる小児救急医療体制を整備する事業計画を盛り込んだものの、現在その実施地域は51カ所にとどまり、12年度も目標数240地域を大きく下回り、最終年度の目標数値を下方修正せざるを得ない状況にあるとされております。この課題の解決には小児科医の確保が進まないという背景があるものの、子育て環境を充実させるためにもぜひ体制を整備していくことが急務であると考えております。本県の小児救急医療体制の現状はどうなっているのでしょうか。また、体制整備をどのように進めていくお考えなのかお伺いをいたします。少なくとも二次医療圏ごとに整備していく必要があるのではないでしょうか。特に、山間部の多い久慈地域ではどのような状況になっているのかお伺いをいたします。
 一方、久慈地域では地域活性化事業を活用し、地方振興局の特色ある事業として、妊婦診断に情報技術を活用し、久慈病院と市町村を結び、胎児の心音等を遠隔診断する妊婦診療支援システム事業を県立病院の医師が中心となって進めていると聞いております。健やかな子供が生まれてくる環境整備として、まことに先駆的な事業であると考えておりますが、その事業の実施状況や効果はどのようになっているのでしょうか。また、今後その評価を踏まえてどのように活用していくお考えなのかお伺いをいたします。
 久慈地域は、6町村からなる県内でも管内面積が大きく、道路整備に係る要望はまだまだ多くあります。特に、県立久慈病院に救命救急センターが設置され、医療の分野において大きく前進したものと考えておりますが、久慈病院への患者の搬送に際し道路ネットワークが整備されなければ、せっかくの高度医療を受けられる機会を逸することになるのではないでしょうか。久慈病院の整備が進み、盛岡管内である葛巻町からの患者の搬送も増加していると聞いておりますが、山間部から久慈病院へのアクセス道の整備について、どのような基本的な考えのもと整備を進めていくお考えなのかお示しを願います。
 次に、林業振興についてお伺いをいたします。
 木の文化を築き上げてきた日本の林業が停滞し、活性化の対策が種々とられたものの、その実効が上がっていないのが現状なのではないでしょうか。住宅建築様式の変化や外材の大量輸入などで木材価格が低迷し、また現場の意欲もそがれ、森林の維持に差し支えるほど状況は深刻さを増してきております。本県における素材生産量は年々減少の一途をたどり、林業粗生産額で見ると、平成10年度は245億4、400万円で、平成6年度に比較して30億5、800万円の減となり、また生産林業所得も平成10年度185億1、700万円、平成6年度に比較して21億7、700万円の減となっております。このような状況のもと、従来のように木材生産の効率化を追い求めてきているだけでは、林業の衰退に歯どめをかけることは難しく、抜本的な林業振興対策を講じる必要があるのではないでしょうか。
 1980年に行われた森林・林業に関する世論調査と1999年に実施をされた森林と生活に関する世論調査の状況を見ると、森林に期待するものとして1980年に上位にあった木材生産、林産物生産が1999年の調査では下位になり、かわって温暖化防止、野生動植物の保護、野外教育の場が上位になっております。木材生産の盛んなアメリカも森林政策の柱はエコシステムマネジメントであり、木材生産の生産性向上よりも優先させ、またカナダにおいても地域ぐるみで森林を管理するモデルフォレストを設け、周辺の環境住民が森林経営に参加するシステムを構築しております。森林は、単に木材生産の場としてとらえることなく、環境の世紀をはぐくむ場としても重要な役割を担うものと思います。国においては、林業政策を大きく転換すべく、森林を多様な機能を発揮する場として位置づけ、林業基本法改正に向けた手続が進んでいるところでありますが、このような林業政策の転換に当たり、林業振興の課題をどのようにとらえ振興を図っていかれるのか、基本的な考えをお伺いいたします。
 次に、水産振興に関連してワカメの生産についてお伺いをいたします。
 この価格が続けば、いつかワカメ養殖をやめることを考えるかもしれない。品質を誇りにワカメの生産を続けてきた三陸の漁民は嘆きとも言える声を発しております。年々ふえ続ける中国産ワカメの輸入と、その価格が低廉であることなどを背景にして、キロ当たりの単価は平成11年に183円であったものが、平成12年には137円まで急落し、生産コストを考えると価格の下落は経営を圧迫し、長年漁家の経済を支えてきたワカメ養殖が存続の危機にさえ迎えている状況にあります。このような状況にかんがみ、本議会においても輸入ワカメの増加への対処措置の実施についてを発議し、国に意見書を提出しているところであり、また県漁連から全漁連、宮城県漁連と合同で、農林水産省、財務省、経済産業省に対してワカメのセーフガードの発動も要請をしているところでもあります。しかしながら、去る5月22日に岩手県漁連が開催をしたわかめ・さけの増養殖に関する懇談会に出席をした水産庁の課長は、ワカメのセーフガードについて、セーフガードの発動は輸入量の増大に伴い、価格が低下するなどデータに基づいた明確な証明が必要である。ワカメの場合には、平成十、十一年に輸入が増大したときも、価格が上昇するなどセーフガードの協定上の因果関係の立証が難しい問題があるとし、しかし水産庁としては、データを整理して引き続き努力していくと発言がなされ、現時点でのセーフガードの発動は困難であるとも思われる状況にあります。また、最近ワカメに関して、岩手県漁連会長が日本側の団長となって日中民間レベルでの協議が行われ、中国側と一定の合意が得られたとの報道もありました。三陸ワカメを生産する漁家の生産意欲を失わせないためにも、セーフガードの発動措置を講ずることが必要と考えますが、県は現在の状況をどのように認識し、今後どのように対応していくお考えなのかお示しを願います。
 また、たとえセーフガードが発動されたとしてもその効果は短期的効果しかなく、やはり市場競争力のあるワカメ生産を進めるための抜本的対策を講じる必要があります。中国産ワカメの最大の武器は生産コストの安さであり、また日本の養殖技術の移転による品質の向上もしていることでもあります。家族単位での養殖や加工が中心の本県の生産に対し、中国での生産は、一つの企業で養殖から加工、販売までを行い、さらには製造工程において分業化が進むなど、生産コストは日本の10分の1程度とも言われております。本県においても輸入制限に頼ることなく、経営基盤の強化を図るとともに市場競争力を視野に入れ、販路の拡大対策を講じていく必要があると考えます。県は、ワカメの生産の経営基盤の強化や市場対策をどのように進めていくお考えなのかお伺いをいたします。
 次に、海岸浸食対策についてお伺いをいたします。
 北部陸中海岸は海岸段丘が連なり、沿岸南部のリアス式海岸とは異なり、波の穏やかな内湾域が少なく、雄大な自然景観をあわせて見せております。この中にあって、野田村の海岸線は珍しく砂浜が多く、十府ケ浦では毎年野田砂祭りが開催をされ、県内外から多くの観光客が訪れるなど久慈地域の活性化の一翼を担っております。しかしながら、海岸線12.4キロメートルのうち、約半分の5.8キロメートルは海岸保全区域に指定をされ、逐次施設の整備が進んでいるものの、近年、野田玉川地区の海岸の浸食度合いが激しく、海岸に隣接をする三陸鉄道北リアス線、県営玉川野営場では崩落の恐れが出てきており、住民の安全な生活を確保する観点からも危惧をしております。このような状況から、海岸浸食対策を早期に実施する必要があると考えますが、県としてはどのような対応策を講じるお考えなのかお伺いをいたします。
 また、米田海岸の人工リーフ設置事業は、現在1基が完成をしておりますが、高潮などによる浸食対策の全体的な効果を発揮するため、3基の設置が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 次に、高等学校新整備計画についてお伺いをいたします。
 県教育委員会は、さきに全国に先駆けてこれからの本県高等学校教育のあり方について示し、その具体的な方向を前期計画として策定をしたところであります。自来この推進のため、さまざまな努力をされてきたことは承知をしているところでありますが、報道によれば、なお一部には十分な理解を得られていない地域もあると聞き及んでいるところでもあります。これからの急激な少子化傾向にあって、子供たちの健全な成長を促し、地域の高等教育の充実と活性化を図るためには、県教育委員会と保護者、地域社会など関係方面が十分な相互理解と協力体制のもと、よりよい高等学校づくりを推進していくことが肝要であると考えます。
 そこでお伺いをいたしますが、新整備計画の進捗状況はどのようになっているのでしょうか。特に、久慈地区では、久慈農林高等学校、久慈水産高等学校、久慈商業高等学校の3校を統合して総合学科高校に再編する計画が示されているところでもありますが、地域の産業の活性化に結びつく職業教育の充実はどのように図っていかれるのかお伺いをいたします。
 最後に、最近の景気状況を見ると、有効求人倍率が低下傾向を示し、景気は停滞傾向にあり、その回復を1日も早く望むものであります。県内経済は相次ぐ誘致企業の撤退や大型の倒産が続き、雇用情勢は厳しく、現在の景気状況を考えるとき、さらに厳しい状況が続くものと考えられます。国は、緊急雇用創出計画を策定し、雇用の確保を図ることとしておりますが、平成11年度から実施をされている緊急地域雇用特別交付金の効果をどのように把握されているのでしょうか。地域に住み、安心して生活をしていくためには、地域での雇用の確保が果たされる必要があり、特色ある地域づくりも定住する人々によってつくり上げられるものと考えております。厳しい雇用環境のもとで、県はどのようにして雇用の確保を図っていかれるのかお伺いをいたします。
 地域の均衡ある発展のもとで、人々が働く場が確保され、地域が元気が出ることを願って質問を終わります。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〇議長(谷藤裕明君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 岩城明議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、県土の均衡ある発展についてお尋ねございましたが、21世紀の国土のグランドデザインというものは、引き続き国土の均衡ある発展を図ると、こういう基本方針であると、このように私は理解しております。多様な地域特性を有する複数の国土軸が相互に連携することにより、形成される多軸型の国土づくりを目指しているものと、このように考えているわけでございます。昨日閣議決定された例の経済財政諮問会議の、いわゆる骨太の方針というものがございますが、この中でも国土の均衡ある発展は、本来は地域の個性を生かした考え方であるのに、ややもすれば全国どこに行っても同じような特色のない地域が形成されがちであったと、こう述べながら、今後は均衡ある発展の本来の考え方を生かすためにも、個性ある地域の発展、知恵と工夫の競争による活性化を重視する方向へと転換していくことが求められていると、このように述べているわけでございます。したがって、こうしたこの国土の均衡ある発展ということがこの中でうたわれていると、このように理解されているわけです。
 私は、それで県土の均衡ある発展を図っていくことは、今後も県政の重要課題であると、このように考えておりまして、このため、県内それぞれの地域特性ございますが、固有の資源や特性というものを十分に認識をして、その可能性を最大限に引き出しながら魅力的な地域づくりを進められるように、さまざまな取り組みに対して県として積極的な支援・誘導を行いますとともに、やはり地域の自立的な発展を可能とする基礎的な条件というものが必要でありますので、そのような基礎的条件としての交流・連携基盤の整備に努めていくと、このような考え方でおります。
 次に、小児救急医療体制についてでございますけれども、本県では病院群の輪番制による小児救急医療支援事業の普及を図ると、このようなことで、平成11年度から盛岡ですが、盛岡保健医療圏においてモデル的にこの事業を実施しています。この事業によって御案内のように、盛岡では休日及び夜間のすべての時間帯において小児科医による救急医療体制の整備が図られております。こうした小児救急医療支援事業というものを盛岡以外の保健医療圏においてもぜひ普及したいと、このように考えているわけですが、現実にはなかなか事業の実施が図られないと──これは、休日及び夜間の日当直がどうしても必要となってくるので、そもそも絶対数として小児科医が少ないという保健医療圏においては、やはり一人一人の小児科医の先生方の負担が非常に大きくなるといったようなことからまだ十分な理解が得られておりませんで、一般の救急医療体制の中でこうした小児救急医療に対応なさる、このような状況でございます。
 久慈保健医療圏においては、やはり主として県立久慈病院の救命救急センターと、それから県立の軽米病院が小児救急医療への対応を行っている、このような今の状況でございます。
 県で安心して子供を産み育てられる環境づくりをこれからも進めていくと、このように今考えておりますので、個々の保健医療圏単位を基本とした、冒頭申し上げました小児科医による救急医療体制の整備ということをやはり現実には県内で進めていきたいと、このように考えておりまして、各圏域ごとに地域特性というのがさまざまございます。県立病院の体制ですとか、それから、民間の小児科医の先生方がどのように展開しているかといったような地域特性がいろいろございますので、それを個別に踏まえた実施方策というのを圏域ごとに具体的に検討しようということで、来月──7月──から検討委員会を設置することにしてございます。ここで幅広く医療関係者を入れて、体制の整備が進むように協議を進めたい、このように考えております。
 次に、林業振興の基本的な考え方について御質問がございましたが、林業を取り巻く状況というのは、御承知のとおり、木材価格が低迷して木材需要が減退している、このような状況にございますし、生産活動が停滞して担い手の確保が困難になるといったようなことで、非常にいろいろな部分で厳しいものとなっています。他方、これまで林業は、木材の生産や供給活動を通じて森林の持つ多面的な機能を高度に発揮してきたと、このように認識しています。木材産業というその産業面だけではなくて、もっと大きな多面的な機能というものを発揮してきたと、このようにとらえておりますので、その果たしている役割というのは近年特に重要になってきているし、また、国民においても強く認識されていると、このように考えております。こうしたことから、国の方で、現在、森林の多面的な機能の発揮に向けた森林整備をさらに推進しよう、そして林業の健全な振興を図っていく、こうした考え方を基本理念として、これに即した森林・林業政策を展開しようと、このようにしているわけでございます。
 県でも、今年度、議会でいろいろ御審議をいただきましてお認めいただきましたが、例の広域保全林の造成というものを行ってまいりますし、それから、岩手県林業基本計画を着実に推進するということで、間伐を一層促進する、それから治山事業を推進する、そして、林道網──路網──の整備など多様な森林の整備に今努めているところでございますが、さらに幅広い県産材の活用として岩手型住宅の推進、そしてそこに県産材をできるだけ使っていく。それから、従来から行っています公共材への利用、また、新しい問題としては木質バイオマス資源の活用に向けた取り組みなど、こういったものをさらに進めて全体として需要をさらに拡大していく。さらに、そうした部分だけではなくて、川下の方へも目を向けて、上流、下流一体となった流通対策を推進していくといったようなこと、こうしたことを行って総合的な林産物の供給体制の確立に向けて取り組んでいるところでございます。
 今後においては、こうした今申し上げたさまざまな施策がございますが、これを広く県民の理解を得ながら積極的に展開し、そして、本県の豊かな森林が有する多面的機能の一層の充実強化を図ってまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕
〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) まず、東北新幹線盛岡以北の開業に伴う観光振興についてですが、盛岡以北の開業による県北・沿岸の観光に及ぼす経済効果につきましては、JRや大手旅行代理店による商品の造成、それから、各種の報道や観光事業者等のPRによるアナウンス効果とも相まって、県内観光地への入り込み客の増加が期待されるなど、首都圏等との交流人口の拡大によって経済効果が高まるものと考えております。東北新幹線の盛岡以北開業は本県の観光振興を図る上で絶好の機会でありますことから、観光客の受け入れ態勢の整備に努めまして、新幹線の盛岡以北の開業に伴う経済効果を最大限に引き出してまいりたいと考えております。
 このため、JR東日本や隣接する青森、秋田両県などとの連携のもとに、北東北大型観光キャンペーンの実施に向けて検討中でございます。具体的には、各種誘客イベントの実施や2次交通アクセスの整備、地域の特性を生かした新たな観光メニューの掘り起こしや広域的な周遊コースの設定、それから、旅行代理店における旅行商品化の促進、各種宣伝媒体を活用した効果的なPR方法等について鋭意検討をしているところでございます。
 さらに、本県独自の盛岡以北の開業を契機とした全県的かつ重点的な観光宣伝の実施について、県観光協会など観光関係機関との連携を図りながら今後取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、緊急地域雇用特別交付金による事業効果についてでありますが、県と市町村において実施されました雇用創出のための事業の主な内容は、美化・清掃業務、それから不法投棄廃棄物除去などの環境・リサイクル事業、公有林間伐等の農林水産事業、ホームヘルパーの養成や情報教育の臨時講師などの福祉・教育事業などとなっております。
 これらの事業による新規の雇用人員は、平成11年度1、751人、平成12年度1、063人の実績となっており、平成13年度は531人と見込まれております。また、1人当たりの平均雇用日数は、平成11年度21日、平成12年度40日の実績となっており、平成13年度は69日の見込みであり、年々雇用期間が長くなってきております。このように、3カ年にわたる事業で3、300人余の新規雇用が見込まれていることから、一定の成果があったものと考えております。
 次に、雇用の確保についてでありますが、雇用の確保に当たりましては、岩手労働局や社団法人岩手県雇用開発協会、財団法人21世紀職業財団岩手事務所などの外郭団体など労働関係機関と県とが十分に連携して取り組んでいくことが大切であると考えております。
 このため、県におきましては、ことし4月から各地方振興局に地域雇用相談員を配置いたしまして、労働に関するあらゆる相談への対応、事業主への各種助成金制度の紹介、案内、さらには国の労働関係機関への相談の取り次ぎなどを行っているところでございます。
 さらに、今年度から、地域の実情に即した雇用開発の促進に資するため、地域雇用開発等促進法の改正の趣旨にのっとりまして、県と労働局とが連携し合って地域の求職活動を援助する計画を策定し、共同事業を実施することとしております。この計画の中では、雇用環境の整備、職業能力の向上に資する地域雇用対策と、これに関連する産業振興策との整合性を図ることとされておりますことから、地域の資源や技術、技能を生かした産業の育成や新しい事業の創出による雇用機会の拡大を図る視点、このような視点を盛り込みながら、労働局とともにこの計画の策定を進めてまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長竹内重徳君登壇〕
〇県土整備部長(竹内重徳君) まず、新幹線駅との道路ネットワークの整備についてでありますが、新幹線盛岡以北の延伸に伴う効果を二戸地区や久慈地区に波及させるため、平成6年度から新幹線関連道路整備事業によって四つのルートで峠部や未改良区間などの整備を進めてきております。また、平庭高原へは新幹線沼宮内駅へのアクセス強化として国道281号の大坊峠の整備を進めておりまして、平庭峠につきましても、現在、抜本改良に向けて環境アセスメントの手続の準備を進めているところであります。このうち、新幹線関連道路の宮沢工区、折爪工区につきましては、新幹線盛岡-八戸間の開通に合わせて整備を完了し、アクセスの強化を図っていく考えであります。
 次に、八戸・久慈自動車道の整備についてでありますが、現在、八戸南環状道路及び八戸南道路が整備区間として事業化されておりまして、当面、八戸市側から県境に向かって重点的な整備が進められると見込まれております。
 本県におきましては、久慈市において、平成5年、延長3.2キロメートルが整備供用されておりますが、残る27キロは、平成9年2月に基本計画区間となって以来、国においてルート検討と基礎的な環境調査が進められておりますことから、極力早い時期に整備計画区間となるよう、地元市町村と連携しながら引き続き国への働きかけを強めてまいりたいと考えております。
 次に、山間部から県立久慈病院へのアクセス道の整備についてでありますが、快適に安心して暮らせる社会の実現のため、県立久慈病院救命救急センターへのアクセス道路の確保は大変重要であると認識しているところであります。特にも、山間部から久慈市の中心部までのアクセスは県道が重要な役割を担っておりまして、このため、久慈地方振興局におきましては、快適で安全な地域づくり事業の中で、救命救急センターへの緊急搬送道路であるいのちの道、この整備を進めることといたしております。このいのちの道の整備事業といたしましては、現在、県道侍浜夏井線、野田山形線など4地区において事業を進めておりまして、今後とも、国道281号や主要な市道の整備とあわせまして救急医療機関へのアクセス道の整備促進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、海岸浸食対策についてでありますが、まず、野田玉川地区は、がけ状を呈した隆起海岸になっております。比較的やわらかい岩質のために、がけが波に削られて海岸線の浸食が進む傾向が見られております。この地区のがけの上部には御指摘のように村道がございまして、そのさらに西側に三陸鉄道が走っておりますことから、今後どのような対策が必要になるのかについて、今年度、概略の調査を実施いたしまして検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、米田海岸の浸食対策についてでありますが、昭和49年度から平成10年度までに海岸局部改良事業として6基の離岸堤と人工リーフ1基を設置いたしたところでございます。この米田海岸の海岸線につきましては継続観測を実施しておりますが、平成10年に人工リーフ1基を設置いたしました結果、既設の離岸堤とあわせて浸食防止の効果があらわれまして、現在は浸食がとまっている状況になっておりますことから、今後とも海岸線の変化につきましてさらに観測を続けてまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) 久慈地域における妊婦診療支援システム事業についてでありますが、この事業は、遠隔地に住む妊婦の通院負担等の軽減を図るため、県立久慈病院と久慈管内の市町村保健センターとを結び、テレビ電話等により医師が問診や胎児の心拍数などを確認しながら妊婦の健康管理を支援しようとするものであります。このシステムは、平成11年度に久慈地方振興局の事業として地域活性化事業調整費を活用して機器を整備し、平成12年7月から運用されているものであり、久慈地域でモデル的に行われているところであります。
 これまでの事業の実施状況を見ますと、昨年度は18人の妊婦を対象に健診を実施しているところでありますが、実際の対面による──フェース・ツー・フェースでありますが──健診時間が通常10分程度で済むものが、この事業による健診では平均して1時間近く時間を要することや、実施できる検査項目が限定されていることなど、さまざまな課題があります。
 このため、県といたしましては、まず、事業の実施主体である久慈地方振興局において、このモデル的事業の実用化ができるかどうかを含めて今後の事業の成果等について十分評価、検討することとしており、この事業の活用等については、この一連の評価結果を待って判断してまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長佐藤勝君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤勝君) まず、ワカメのセーフガードの発動についての現状認識と今後の対応についてでありますが、輸入ワカメの増大などによりワカメの価格が低迷し、ワカメ養殖経営が深刻な状況にあります。国におきましては、ワカメを監視対象品目として輸入動向等を注意深く監視するとともに、セーフガードの政府調査を開始するために必要な因果関係の証明について検討を続けているところであります。
 一方、民間レベルにおいても、去る6月11日、12日に第3回日中ワカメ民間協議が北京で開催されまして、日中ワカメ養殖業の持続的発展と安定供給の確保の重要性について双方の認識が一致し、今後はその実行に向けて努力をするとともに、定期的な協議を開催すると聞いております。
 県といたしましては、今後、このような国及び民間の動向を注視しながら、国のセーフガードの検討に対し必要な資料の提供など、引き続き積極的に対応してまいりたいと考えております。
 次に、ワカメ生産の経営基盤の強化及び市場対策についてでありますが、県におきましては、本年1月にワカメ養殖の振興方針を作成し、これに基づき種々振興策を講じているところであります。
 まず、経営基盤の強化につきましては、経営規模の拡大と生産コストの削減が必要であり、このため、刈り取り機等の省力化機器の開発導入、そして、共同作業船の導入などによる漁業者の協業化促進を図っているところであります。
 次に、市場対策につきましては、消費者ニーズに合致した加工品の開発や、肉厚で風味豊かな本県ワカメの特性を生かした差別化販売とJAS法による原産地表示による岩手県産ワカメの積極的なアピールが重要であることから、機会あるごとに本県ワカメのPR、例えばこの7月6日にも、広く一般消費者にも呼びかけまして、県漁連と共催のワカメフォーラムを開催するなどPRに努めております。さらに、本県ワカメ養殖を取り巻く厳しい情勢を踏まえまして、本年5月から、県、県漁連、漁協などによりワカメ養殖振興対策検討会を開催し、これらの対策の拡充強化について検討を行っているところであります。
 今後におきましては、検討会の結果も踏まえながら、関係者と一体となった対策を一層積極的に進めてまいりたいと、こう考えております。
   〔教育長合田武君登壇〕
〇教育長(合田武君) まず、県立高等学校新整備計画の進捗状況についてでありますが、12の計画地区のうち、御理解をいただいている千厩地区や久慈地区の8地域につきましては、現在、PTA、同窓会、地域の代表や学校長などから成る整備検討委員会において、教育課程、施設・設備、校名など魅力ある高校づくりについて具体的な検討を進めているところであり、その結果を踏まえ、実施年次を見据えながら逐次整備を進めてまいりたいと考えているところであります。
 これまで理解が得られていなかった4地域のうち紫波高校につきましては、このほど御理解を得たことから早急に整備検討委員会を組織し、新たな学校づくりの具体的なあり方について検討を進め、今後の施設・設備の整備など諸条件が整い次第、総合学科高校への改編を進めてまいりたいと考えております。
 なお、その他の地域につきましては、引き続き説明会等を実施するなど、理解が深められるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、久慈地域における職業教育の充実についてでありますが、現在、整備検討委員会において総合学科高校の整備に向けた具体的な話し合いが進められているところであり、教育内容につきましては、普通科目を中心とする人文科学系列や自然科学系列のほか、これまで久慈地区の三つの専門高校で培ってきた職業教育の伝統を踏まえ、農作物の栽培や園芸、林業、木炭などに関する知識や技術の修得を目指す環境緑化系列、海洋・水産について幅広く学ぶことができる海洋科学系列、商品の流通や進展する情報化などに対応する情報ビジネス系列など、地域産業との関連にも十分配慮した教科、科目を設定することが検討されているところであります。
 総合学科高校への改編に伴って必要となる校舎やグラウンド等につきましても、現有の施設・設備の有効活用をも考慮しながら、教育内容に応じた適切な整備に努めてまいることとしているものであります。
 県教育委員会といたしましては、これからの高等学校教育を推進するに当たり、生徒の進路希望を大切にしながら、大学等上級学校への進学も十分に達成させられるとともに、望ましい職業観の醸成を図り、地域産業の活性化にも貢献できる教育内容と、それにふさわしい施設・設備等の整備を進め、職業教育の充実にも努めてまいりたいと考えているところであります。
日程第4 議案第28号監査委員の選任に関し同意を求めることについて
〇議長(谷藤裕明君) 次に、日程第4、議案第28号監査委員の選任に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。高橋副知事。
   〔副知事高橋洋介君登壇〕
〇副知事(高橋洋介君) 本日提案いたしました人事案件について御説明いたします。
 議案第28号は、監査委員のうち、議員のうちから選任されていた藤原泰次郎氏から辞職の申し出がありましたので、その後任として、菅原温士氏を選任するため議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださいますようお願い申し上げます。
〇議長(谷藤裕明君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は人事案件でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(谷藤裕明君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第28号監査委員の選任に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第28号監査委員の選任に関し同意を求めることについては、これに同意することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(谷藤裕明君) 御異議なしと認めます。よって、議案第28号監査委員の選任に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
〇議長(谷藤裕明君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時25分 散 会

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