平成13年6月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇42番(佐藤正春君) 佐藤正春でございます。
 今、国会が大変おもしろい、なぜか。自分の言葉で語り、本音をぶつけ合うからでございます。我が県議会も負けてはいられません。本音で質問いたしますから、本音でひとつお答え願いたい。
 去る4月1日、新年度を期して、21世紀岩手県政を担う組織改革と人事異動が行われました。もとより、組織改革も人事異動も知事執行部の専権事項でございますが、私たち議員には県民を代弁しての批判権がございます。私の最も尊敬する政治家増田盛先生の親友でもあり、硬骨の政治家でございました故伊東正義さんは、行き詰まった自民党政権の立て直しに総理に推されたとき、表紙だけ変えてもだめですよと、中身を変えなければだめであると断った一言一句は有名な話でございます。今回も自民党出身の小泉総理が同じことを言っているようでございますが、私もかつて県人事を批判した上で、ところてん式に上がってきて回転寿司のようにぐるぐる回っていると、こう申し上げたところ、執行部には渋い顔をされましたが県民からはやんやの拍手をいただいた次第でございます。相変わらずの天下りを含めて、賞味期限が1年と言われる企画振興部長が総合政策室長、生活と環境がひっくり返って環境生活部長とは、県民にとってわかりにくい組織と人事でございます。本県の基幹産業である農林水産部の責任者は、本当に21世紀の牽引車になり得るのでございましょうか。岩波新書の中で、知事はインタビューに答えて自画自賛をしておられます。今、県庁は総務部をトップにして組織があり、大元締めは財政課ですが、これからは総合政策室を県庁の頭脳にいたします。そして、総務部は今までと逆に一番下になりますと力説をしておられました。ところが、中身を調べてみると、政策室の職員95名中、トップの総合政策室長を初め54名は総務部の経験者ではございませんか。これでは伊東正義さんの言われた、表紙は変えても中身は同じということになりませんか。知事、先般盛岡にあらわれたシロクマと同じでございます。知事、今回の組織再編と人事異動について、どこが違うのかひとつお示し願いたい。
 知事は、新年度のテレビ訓示で問題を提起し、県民の大いなる議論を起こして、今後本県がどういう方向にいくべきか、県民とともに考えていくことが必要であると、こう述べておられます。圧倒的な県民の支持を受け、2期目の半分が過ぎましたが、いまだに増田県政の目玉政策が見えてきません。工藤前知事は教育立県、教育の向上と県立大学の建設に情熱を傾けられました。中村元知事は、医療と福祉、特に日本一の県立病院をつくり、県民に病気への不安の解消と健康長寿をお約束いたしました。その前の千田元知事は、大県岩手の米と畜産に力を入れ、農業県岩手を全国にアピールしましたが、増田知事がさすがと思われることは、新しい感覚のもと、議会の論議の結果に対する対応の速さでございます。私自身も質疑の中で指摘した県出資法人の整理合理化、公共建築設計監理協会とのなれ合い中止、県立病院のカルテの開示、国籍条項の撤廃等県民の身近な問題に対する速い決断を私は高く評価するものでございます。そこで、知事の県民にこたえる県政の目玉は何なのか、知事のおっしゃるような県民に対する目玉政策とは何なのか、お示しを願いたい。
 私は、今回の組織改革、人事異動の最大のヒット、知事の英断は副知事人事であると思います。県政に精通し、人材を把握している高橋洋介副知事の手腕に期待するところは大でございます。特に、知事との二人三脚は、必ずや大きな成果を生むものと期待してやみません。高橋副知事は、就任あいさつで知事のアイデアを職員が消化できるよう間を取り持ち、財政運営についても構造改革に取り組みたいと述べておられます。県政の方向性について知事とどのように話し合ったのかお伺いしたい。
 行政は継続でございます。毎年行われる人事異動が県民にとって納得がいく、県勢発展の原動力になることを期待し、その幹部が今までに十分な職務と責任を果たしてきたかどうか、さらに新しいポストに対し、意欲があるかどうかにかかっていると思うのでございます。
 そこで各部長に伺いますが、20世紀に積み残してきた中で、私が昨年12月決算特別委員会で指摘した分、幾つかについてお尋ねをいたします。
 まず、佐藤徳兵衛総合政策室長に伺います。
 あなたは県内紙のインタビューに答え、税源移譲など国に提案するのは当然。しかし、県に何かあればすぐに国にお願いするお願い民主主義を廃さないとだめだと、こう答えていますね、あなた。私は異議なしでございます、異議なし。私ども議会も第9回定例会において、抜本的な税源の移譲についても全会一致で発議をしております。あなたは身内に国会議員もいると聞いております。今まで率先して国に陳情をお願いしてきたようでございますが、今後はやめるとおっしゃっている。どのような方法でやられますか。その成果が上がる方法を具体的にお示し願いたい。
 また、財政についてはさきの予算議会でも指摘されたように、増田県政で県債残高が5、704億円ふえ、13年度末には1兆2、733億円、県民1人当たり90万円に達する厳しい状況にございます。新任の高橋副知事は財政運営について、県総合計画を進める中で全体として歳出削減につながるような構造改革に取り組みたいと、こう副知事は言っている。あなたは総合政策室の長として、総合計画207の数値目標の中で具体的に何がむだで、何を削減するのか伺いたい。
 私は、まずむだな金を使わない、いわゆる費用対効果の中で効果のないものはやらないということでございます、効果のないものはやらない。一例を挙げますと、昨年12月5日決算特別委員会で、私は花巻―新潟コミューター便は当初から効果がないからやめなさいと、こう申し上げてきた。あなたは、スタート直前の需要予測が言うなれば甘かった、そのとおりだと思います、県議会にお知らせもせず申しわけないと、こうおわびしているでしょう、あなた。室長、いわばあなたはむだ遣いを隠し、認めてきた前歴がありますが、それらを踏まえて室長としての決意はいかがですか。
 さらに、構造改革については、小泉新首相は地方交付税、公共事業、社会保障の三つの改革を進めないと小さな政府ができないと、こう発言している。また、経済財政諮問会議でも平成14年度予算で交付税・補助金など、見直し削減の議論の方向でございます。自主財源の乏しい本県にとって、あなたの腕の見せどころでございます。本県の構造改革との整合性と厳しい財政環境下での行政運営について、具体的にお示し願いたい。室長、わかりましたか。
 組織が変わったので、飛澤部長に聞きます。
 12月の決算特別委員会で指摘した岩手バリ友好事業の議事録を読んでもらえばおわかりになりますが、当時の部長の答弁では、まだ今年度、全体を総括していないわけでございましてすぐに成果を説明するのには困難とのことでございますが、改めてその成果について伺いたい。
 また、切符の押し売りまでして決行した山城組に4、500万円払っているが、これはそれだけの効果があったんですか。ちなみに、村上前部長は答弁の中で、バリよりも地元の伝統芸能がすばらしいという評価をいただいたところもございます。こういうことは日本語では語るに落ちたと言うんです、こういうのは。
 次に、環境生活部長と商工労働観光部長に伺います。
 時澤部長は、宮崎県、岐阜県等と着実に実績を上げて本県に赴任したと聞いております。何をやってこられたんですか。また、本県では何をおやりになる決意かお伺いいたします。
 あなたはきれいな山、美しい自然を守るため、知事が環境に力を入れ、それを担いたいと、こう述べておられます。岩手の山々には緑のジャングルの中で、親子代々貧乏に歯を食いしばって生活して、農林業に携わる人たちがいることは忘れてはなりません。1年に3日ぐらい岩手に来て、岩手の山に入って、岩手の自然がすばらしいと帰って行く人たち、こういう人たちと同じレベルの生活がしたいんですよ。大学にも行きたい。この人たちの就職と所得の向上、そして生活の利便性と環境を守ることが一致するには、いかなる方法でどのように実現されるのか、名案があったらぜひお示し願いたい。
 商工労働観光部長は、指摘しました伝統工芸館問題、岩手県産の清算事務は平成13年3月終了なわけでございますが、その損失額と責任所在を明らかにしてもらいたい。
 次に、農林水産部長に伺います。
 去る3月の予算議会では、地域農業の活性化について発議し、農林水産大臣に意見書を提出いたしました。お読みになったと思います。この意見書を見て何を感じ、岩手の農業のために何をなすべきか、改めて決意と政策をお伺いする次第でございます。
 また、決算で取り上げた肉牛生産公社の12億円の赤字垂れ流し、本年2月の補正では、経営改善対策費補助金1億3、900万円を計上いたしました。今後、毎年親方日の丸から支援を受けるんですか。それとも、独自の経営で赤字を解消するのでしょうか。農林水産部長の手腕にかかっていると思いますが、どうするのか確認をいたしておきます。
 次に、県土整備部長に伺います。
 本県の基幹産業は、農業、土木であると、私はそのように選挙で公約してまいりました。そして、そのように位置づけをいたしております。さきの予算議会でも、一致して発議として地域農業の活性化とともに、公共事業の県内発注を上げております。私は、本県の開発は、関東、関西の7割、8割に比べ、3割程度かなというふうに見ております。まだまだ節度のある開発と社会資本の充実は必要であり、そのことが県民所得の向上につながるものと、このように確信をいたしております。しかるに、新規事業を見ても、12年度に比べて26億2、224万2、000円、102地区の減となっております。これは必要なしということでございますか、必要なしということですか。学者だけが集まった公共事業評価委員会の判断でしょうか。地元の意見としてのパブリックコメントは機能しているのでしょうか。どうなっているんですか、地元の人たちの意見は。県土整備部としてはどうですか、ひとつお答え願いたい。
 知事は岩波新書の、公共事業なしに地方はやってゆけるかの中を見ますと、奥産道の中止は、土建王国岩手の知事が小沢党首に担がれて当選したというイメージを払拭するために中止を決断したんではないかと憶測させられる内容になっています。お読みになったと思います、皆さんも。部長、土建王国と言われてなぜ嫌なのですか。土建王国がなぜ嫌なんですか。どこが悪いんですか。悪いところ言ってください。30年の歳月と国の補助金29億円をも含む46億円の投資がむだになるとともに、長年の県北の振興、格差是正の決め手である奥産道の完成がとんざすることがいかに大きいか。その後の企業誘致の失敗や、オールシーズン観光客の減少を見ても明らかでございます。当時、工事を再開、完成のために原生林保護のトンネルが必要で、そのための工事費67億円が見込まれたわけでございます。総工費113億のうち、46億円が執行済みでございます。これは土木部でオーケーと言ってたじゃないですか。知事は、自然保護と財政難で中止──これは正確には中止じゃないんです、今休止ということになっているんですがね──中止と決断しましたが、自然保護についてトンネルをつくることで合意がなされ、何ら問題がなかったわけでございます。財政難については決算でも見られるとおり、今までむだと思われる支出が多い中で、67億円は県北振興にとって岩手県にとっても安いのではないのですか。高いですか、これは。費用対効果は最も大きいものと判断されるわけでございます。地元のパブリックコメントの状況をお示し願いたい。
 さらに、知事が力説するところの政策評価についてもこの際伺っておきたい。知事は、その結果を次の重要政策の中に反映させると語っております。これは大変重要なことでございます。奥産道の再開見通しについてどうなっているでしょうか、お伺いいたしたい。
 次に、新医療局長に伺います。
 あなたは県庁の期待の星だが、医療事故による県民の県病への信頼度が戻るだろうと期待してやみません。県の総合防災室では、6月12日災害を想定した職員の非常招集訓練を実施、その結果、さきに公表いたした招集から30分以内に県庁に駆けつけた職員は72.8%、前回を上回ったが、医療局は57.2%、最も低い招集状況。30分以内に到着というのは、災害発生時の一つの目安となっております。県立病院における災害時は、それぞれの病院ごとのマニュアルがあると思いますが、多くの患者を抱える県病ではパニックに陥ることが想定されるわけです。おらが職場の危機意識が薄いのではないでしょうか。少したるんでいるんではないでしょうか。それとも、他の部局よりも過重な労働を強いられているため、このことと医療ミスとの関連性はありますか、ありませんか、この点について伺いたい。
 次に、道州制について伺います。
 知事は、さきの公共事業はとまるかのインタビューの中で、公共事業費の抑制のためには、各自治体間の機能分担をこれからはもっと進めなきゃいけない。空港、港湾、道路等の交通システムを例に引き、広域的な分担として自治体間の連携を進めれば、いわゆるフルセット主義でなく行政サービスは維持できると、こう述べております、知事。具体的に、他県の港湾だろうが他県の空港だろうが利便性の高さを考えれば、そこまでのアクセスをよくすることによって相互に利用できるはずである、明言されております。ここが重要なんです、ここが。また、先般東北6県知事サミットにおいても、浅野宮城県知事は同様に、港湾や空港は6県が一体となった整備が必要であり、各県に国際空港はいらないと、隣宮城の浅野知事はそう言って、いらないと。私もその考え方については従来から賛成でございまして、賛意を示すものでございます。私は、このことについてかねてから指摘してまいりました花巻空港の整備のあり方については、これまでの知事の発言と具体的な取り組み姿勢の間には大きな矛盾がある、乖離があるとしか思えないのでございます。今年度は予算額で53億2、100万円を投入して整備するわけでございますが、花巻空港整備については、最近はやりのB/Cが1を超えるのは、平成10年度の算定時点では供用開始が40年後であり、また平成12年度の算定時点では多少早まりました。供用開始が26年という県の答弁でございます。私は、不定期のチャーター便しか期待できない状況下で、過大な財政負担となる空港整備は不要であり、中継ぎ空港でよいのではないかということは、私はこの議員の先生方51人で私だけです、これ言っているのは。たびたび申し上げてきた。(「そうじゃないぞ」と呼ぶ者あり)あんたとは意見がちょっと違う。
 昨年2月の予算特別委員会でも伺いましたが、2、500メートルの滑走路延長が、知事の言う一県フルセット主義無用論とどのように論理的に整合するのか、知事御自身からこの点について重ねて伺っておきます。
 次に、港湾整備についてお尋ねをいたします。
 知事は、さらにはこの地域で秋田港や八戸港にコンテナが入り、我が県内にも重要港湾があるが、それぞれの機能分担をきちんとできるように計画中であると、こう述べておられます。しかしながら、現実には貨物はほとんどすべて仙台港が利用されており、県内誘致企業は不便を囲っております。県内港湾が利用されるためには、ばらまきでない重点的な事業費の配分による整備が不可欠でございます。機能分担がきちんとできますか。言いかえますと、地元市町村がその役割分担に納得しなければ、計画は絵にかいたもちとなるわけでございます。県土整備部長、あなたは知事の意を体して説得する自信がありますか、確認しておきます。
 また、県内の港湾が活用されるためには、県内陸部とのアクセス道路の整備が不可欠でございます。その整備はどうなっていますか、整備状況。また、先ほどの港湾の機能分担計画とあわせた、関係道路を重点整備するための計画も策定する必要があるのではないでしょうか、県当局の見解をお示し願いたい。
 また、著者は知事インタビュー後の所感として、胆沢ダム──私は、過去も胆沢ダムについては申し上げておりましたが、ただいま申しました花巻空港の拡張あるいは盛岡駅西口の再開発に伴う複合ビル建設計画、これにつきましても、県民の利便性を考え、このビルに図書館等を含めて県庁を移すべきではないかという持論を私は持っております。これらの事業については、需要予測などについて疑問符がついております。こうした事業は県議会でも論議されましたが、県側は国の予測を盾にのれんに腕押しだった、こういうふうにまとめているわけでございます。昨年度まで企画振興部長として、これら県政の重要プロジェクトに深く関与してきた佐藤総合政策室長は、この論評をどういうふうに見ますか、どう評価してますか。また、反論すべき内容がありましたらどの点ですか、どう対応いたしますか、御答弁を願いたい。
 次に、県政の今日的課題について二、三お伺いいたします。
 去る6月8日、大阪府池田市で起きた触法精神障害者による児童らの殺傷事件は、精神障害者施設に携わる私は1人として極めて悲しい事件であり、相手がいたいけな児童だけに本当にやり切れない気持ちでいっぱいでございます。ただ、この事件が障害者に対する偏見から特別視されることは避けねばなりません。やっと措置入院が緩和されつつあるときに、強制的に隔離するような論議には私は疑問が残ります。問題は、犯罪を起こした障害者に対する触法対策は当然でございますが、ただ、精神障害者全般に対する偏見、差別による社会復帰の温かい受け皿が少なく、このことが被害者、加害者双方の悲劇のもととなっているわけでございます。それは障害者の家族はもとより、一般の方々にももっともっと真剣になって偏見をなくすることから始めなきゃならないと、こう思っているわけでございます。エイズ、ハンセン病と続いて、さあ、精神障害者も勇気を持って立ち上がれというときに、まことに私は残念でなりません。
 関山部長は、触法精神障害者対策と一般精神障害者対策とに分けてどのような見解をお持ちでしょうか。さらに、今回の事件にかんがみ、学校対策についてどのような指導と対策を考えておりますか、それを伺いたいと思います。
 次に、たばこ大好き。健康21プランにおける喫煙率の削減目標の数値化については生産農家や販売業者の間で激しい議論があったようでございますが、そもそも人間の健康の保持は本人自身が注意するべきものであって、医者が専門的にアドバイスすることは当然でございますが、役人がしゃしゃり出てきてとやかく言うべきものではございません、これは。役人が言うべき問題ではない。こういうのを八っつぁん熊さんに言わせるとちゃんちゃらおかしいというんです。八っつぁんに言わせると、こんなことはちゃんちゃらおかしいと、こう言うと思うんですよ。
 ちなみに、私の祖父は朝から晩まできせるを離したことはない。90代まで生きました。私の友人で、肺がんで50代で亡くなった人もおります。また、先日亡くなられました作曲家の團伊玖磨さんは、パイプのけむりの中で名曲をつくり、エッセーを出しておられます。仮にたばこがなかったら、この人から芸術は生まれなかったのではないでしょうか。ちなみに、死因は心不全、77歳でございました。
 そうしますと、健康プランでございますから、お上の方から今後は酒の量から、甘いものは1日何個食べろとか、私たちの健康に対して御指示をいただけるんですか、御親切なことに、教えてください。わかりやすく御答弁を願いたいと思います。
 次に、並行在来線についてお尋ねいたします。
 県民の願いであった新幹線盛岡-八戸間の開業に伴い経営分離される並行在来線を運営する第三セクター、いわゆるいわて銀河鉄道がいよいよスタートいたします。これも我々議会では県北の議員を中心といたしまして猛運動を続け、また、沿線の市町村とも団結して在来線を残したことは住民の立場として当然のことでございます。しかしながら、行政側のあり方として本当に大丈夫だったんでしょうか。ほかに方法はなかったんでしょうかという危惧が残るところでございます。
 御存じのとおり、全国的に宮崎のシーガイアを初め多くの三セクが破綻し、本県においても、昨年の決算、本年の予算をただして、三セクのあり方、統廃合が論じられたところでございます。そうした中で、厳しい財政事情を目の前にして思い出しますことは、中村前知事が三陸鉄道の第三セクターはやむにやまれぬ苦悩の選択であったとし、現在、7年間の赤字、今期決算では約4、500万円の赤字で、沿線市町村の負担も約2、000万円となっております。また、民間出資の大口である銀行が出資金でなく寄附金で協力したいということは、三鉄の状況を見るにつけ、金融機関の本音が見えるわけでございます。
 知事は、一定収入の確保のめどがついたとして、当初予測より早めて黒字転換を開業16年目と修正したと伝えられております。まず、三鉄の二の舞いにならないように、先手先手と打つべきであると思います。将来、沿線市町村の負担はありませんか。ないんですか、本当に。
 現行運賃からできるだけ上げないでほしいというのが県民の感情でございます。厳しい県財政の勘定を一致させる方法はあるのかないのか。また、青森県の三セクでは運賃水準を現行の1.49倍としたと承知しております。いわて銀河鉄道は現行の1.59倍を案としているようでございますが、両県で運賃格差が出た場合、乗客が迷惑をするのではないですか。どうですか、この点、この際、十分にお考えをいただきたいと思います。
 以上をもって私の第1回目の質問を終わります。あとは第2回、第3回とやりますので、よろしくお願いいたします。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 佐藤正春議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、初めに、今回の組織再編と人事異動の考え方についてお尋ねがございました。従前とどこが違うのかを示すようにと、こういうことでございましたが、まず、組織再編の方でございますけれども、これは、生活者や地域の視点に立って、県民満足度の高い施策を展開するために、総合政策室を初め、地域振興部、農林水産部などを充実強化するというのが一つの柱でございますし、それから、今お話しの総務部につきましては、全庁的、総合的に各部を後方から支援調整する部門、こういう形で位置づけをしております。この点の考え方が変わっておりまして、そういう位置づけにしまして、施策の成果や質をこれまで以上に重視した、一言で言うと目的遂行型の行政体制の整備、こういうことで再編したものでございます。
 それから、人事異動について考え方のお尋ねがございましたが、この人事異動については、やはり従来どおり、これまでも適材適所ということで行ってまいりましたが、今回もこの適材適所の配置というものを全体としては基本としております。その中で、本庁と出先機関の交流も含め、できるだけ多くの分野を幅広く経験させるよう配意したところでございます。
 特に、今、御指摘の総合政策室についてでございますが、これは、先ほど申し上げました組織再編の理念を踏まえまして、幅広い多様な視点からの政策形成を推進するために、特に事務系の職員だけでなくて各分野の技術系職員をその中に積極的に登用するなど、これも全庁的な観点から、政策の立案能力、分析能力に着目して適材適所ということで人事配置を行ったところでございます。
 今日、自立した国と地方の関係が強く求められておりますので、また、そのことによって地方自治のあり方も大きく変わろうというときでございます。日ごろから職員に対しましては、これまで培った経験を十分に生かしながら、また、新しいことにも積極的に挑戦するよう求めているところでございまして、新しい組織体制のもと、職員と私も一丸となってこうした新しい地方分権時代にふさわしい行政運営に取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、2点目のお尋ねですが、県政における目玉の政策、増田県政にまだこの目玉の政策が見えない、こういうお尋ねがございました。私が力点を特に置いておりますのは、岩手県総合計画の中で位置づけております、あの中に三本柱というものがございますが、環境、ひと、情報、こういうものを三つの視点ということで、21世紀の岩手の可能性の扉を開くかぎということで位置づけております。この三つにかかわるものに特に力を入れているところでございます。
 情報ということについて言いますと、かつて中村元知事は、先ほど議員御指摘のように、高速交通体系、特に高速道路の整備に大変力を入れたわけでありますが、この情報というのは、まさしく今の時代、ちょうどその当時の高速道路と同じような意味合いでございまして、本県の発展を阻むいろいろな壁、距離の制約とか時間の制約ということがあるわけでございますが、新しい世紀の経済活性化や福祉の向上などいろいろな分野でそうしたものを取り除くというときに、やはりこの情報ということに力を入れるべきであろうと。情報の森構想を策定し、その具現化に向けて、いわばこれまでの道路に匹敵するようないわて情報ハイウェイを活用した高度情報化というものを促進する。また、その上で、それを利用したさまざまなソフト技術を展開していく。モバイル通信技術を積極的に活用したモバイル立県という考え方もその一つでございますし、そういうところに力点を置いているところでございます。
 それから、環境ということもございますが、これは、環境という一つの価値観をあらわしているわけですけれども、これまで20世紀は特に資源多消費型社会ということが言われていたわけですが、これに決別して、次の世代に負荷を残さない、持続的な発展が可能な、いわゆる循環型の社会を構築していきたい。したがって、物の生産から最後の廃棄物の処理、さらには再資源化に至る生産システムといったものや環境産業の育成などいろいろなものが入ってまいりますが、こういうものに力点を置いていきたいと、こういうことでございます。
 それから、ひとということを言っておりますが、これは、生涯学習のようなすべての年代にわたる要素もございますが、特にその中では、次代を担うたくましい人材の育成、これは、農業の場合には農業の担い手の育成であったり、あるいは産業であればベンチャーの旗手をつくり上げていくといったようなことがございますし、やはりいろいろな要素があっても、最後に大事なことはひとに帰着するのではないか、このように考えておりますので、そのような中で、県民一人一人が地域に対してその人ならではの貢献ができるような、そのような岩手のひとを育てるために全力を挙げていきたい。岩手は幸いにして多様な自然や歴史、そして文化などいろいろな特色を持っておりますので、こうした中で個性と創造性にあふれる自立心に富んだ人間を育てていく環境もあると思っておりますし、そのような教育に取り組んでいくということを考えております。
 こうした三つのことに特に力を入れているわけでございますが、それを具体的に実現するためには、やはり今までの中央集権のシステムとか、それから、経済至上主義の価値観というものから脱却する必要があるだろうと考えておりまして、地方が自立して、自分たちの、我々自身の価値観に基づきながら、地方みずからが率先して既成の枠組みを大胆に改革をしていくということが大事だと思っております。その上で県民本位の真の豊かさを見出せる分権型地域社会の構築をしてまいりたいと、このように考えております。
 それから、3点目は、花巻空港滑走路の2、500メートル化でございますが、このことが1県フルセット主義とどのように整合がとれるのか、こういうお話がございました。現在行っております滑走路の延長など一連の拡張整備事業がございますが、これは、昭和58年に花巻空港はジェット化をいたしましたけれども、それ以来、市町村初め、経済界、多くの県民の要請でございまして、私自身は、花巻空港にとって必要最小限のものと、こういうふうに判断しております。
 滑走路の長さについては2、000メートルとか2、500メートルとか3、000メートルとかいろいろ規格があるわけでございますが、2、500メートル化を図ることによって就航率の向上や大型機──大型機については近距離でございますが──の就航が可能になります。これは、現在アジアの一部に限定されている直行便の運航可能範囲が途中給油なしでアメリカのぎりぎり西海岸とかアジア全域、オセアニアなどにも広がる可能性がございますし、それから、特に大型機を使った団体旅行、提供座席数等の制限がございまして、今、修学旅行には非常に使いづらいということがございますが、そういった制限が解消されるということがございます。これからの21世紀の時代を考えると、東南アジアとか、そのあたりへの便というのは、厳密に言えば確かに国際便でございますが、しかし、これはある意味では自分の庭先のような、まさしく国内に行くのと同じような形で乗り得るものと考えておりますし、真の国際便というのは、例えばアメリカの東海岸とかヨーロッパのかなり遠くまで行くようなものであろうと思いますし、2、500メートルというのは、国内の、特に花巻空港にとってやはり私は必要最小限のものと、こんなふうに考えているところでございます。
 東北の各空港というのはそれぞれ特徴がございまして、立地環境とか国内外への就航先とかダイヤ等いろいろ特徴がございます。したがって、相互に補完的な役割をその特徴を組み合わせることによって果たすことが可能なわけでございますが、特にも国際線については、その後背圏の経済力の規模とか就航先、運航便数等から、私は、やはり3、000メートル滑走路を有する仙台空港が本来の意味での本格的な国際定期便の拠点的な役割を担うべきもの、担っているものと、こんなふうに考えております。
 そうした中で、花巻空港というのは、そのわきに東北縦貫自動車道や東北横断自動車道などが通って、その結節点にございますし、隣県、特に秋田などからの本県寄りの方からのアクセスも大変すぐれているといった特徴を有していますので、今後、現在の整備を進めることによってその特徴をさらに生かして、もちろん本県の経済発展のポテンシャルも高めますけれども、地域間交流の活性化や、本格的ないわゆるグローバリゼーションの進展にも対応していけるものと、このように考えているところでございます。
 その他のお尋ねがございましたが、その点につきましては高橋副知事及び関係部局長から答弁をさせますので、御了承お願いいたします。
   〔副知事高橋洋介君登壇〕
〇副知事(高橋洋介君) 県政の方向性について知事とどのように話し合ったのかというお尋ねでございますが、これまでも三役の一人として県政の一翼を担わせていただいておりましたので、副知事就任に当たりましては、特段県政の方向性について話し合いはいたしませんでした。
 三役が県政全般について話し合うような機会を持つことはなかなか難しいのではございますが、三役間では定例的なミーティングの場を設けておりますので、それらを通じまして、今後より一層意思疎通を図ってまいりたい、そのように考えております。
   〔総合政策室長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇総合政策室長(佐藤徳兵衛君) まず、国に対する提案のあり方についてでありますが、地方分権が進展する中、国と地方はそれぞれ対等の立場に立ち、国においては、地方の実情が十分に反映された柔軟な行政運営を行い、地方においては、分権時代にふさわしい政策形成能力を高めながら、みずからの責任と判断において県民の立場に立った地域づくりに取り組んでいくことが一層強く求められております。
 そのため、これまでの国に対する要望型の行動から地域主体の提案型に切りかえることとしており、道路特定財源や地方交付税のあり方について、こうした考え方のもとに共同アピールや提言を行っているところであります。
 今後におきましても、経済財政諮問会議の基本方針を踏まえた国の構造改革の動向に留意しながら、地域主権の観点に立った政策提案を行う一方、本県で今年度から本格稼働する政策評価システムなどを活用して、施策の客観性、透明性をさらに高め、しっかりとした理論づけのもとに新たな制度の創設や制度の改善等を提案していくよう努めてまいる考えであります。
 次に、総合計画の数値目標についてでありますが、総合計画に掲げる主要な指標は、施策の成果を重視する行政を推進することにより総合計画を着実に進めていくため、県民の生活や地域の視点に立ちながら、施策の効果が県民生活の中でわかるような成果指標として設定したものであります。
 一方、厳しい財政環境を踏まえ、行財政運営の一層の健全化、効率化を進めるためには、事業の効果や必要性を見定め、重点的に取り組むべき施策の明確化に努める必要があります。
 そのため、従来から実施してきた事務事業評価や公共事業評価及び昨年度試行した政策評価を統合し、総合的、体系的な評価を行うこととしており、一連の評価作業の結果を重点化方針や予算編成などに反映させることにより、限られた財源を有効に活用しながら総合計画の着実な推進を図ってまいる考えであります。
 次に、本県の構造改革との整合性と厳しい財政環境下での行政運営についてでありますが、議員御指摘のとおり、国、地方を通じて借入金依存の財政構造が限界を迎え、本県の行財政を取り巻く環境もさらに厳しい状況にあると認識しております。したがいまして、特に本年度から本格実施している政策評価について、外部からのチェックも加えながら厳正に評価を行い、その結果を政策立案及び施策の重点化に的確に反映させるなど、成果重視の行政、県民満足度の高い県政の確立に向けて、効率性、実効性の高い行政運営に努めてまいる考えであります。
 議員からは具体的に述べよとのお尋ねでございました。目下、政策評価システムに基づいて具体的な作業中でございますので、現時点におきましては今後の方向性についてお答え申し上げることにとどまることに御理解をお願いする次第でございます。
 次に、公共事業はとまるかの論評に対する評価についてでありますが、胆沢ダム、花巻空港及び盛岡駅西口複合施設に係る過大とする論評部分は、一つの考え方と受けとめております。
 県営の公共事業につきましては、政策評価システムを通じ、費用便益比を基本とした適正な評価を実施しながら、重点化を図りつつ推進しているところであります。また、国直轄事業につきましても、国の公共事業評価制度等により適正な執行が図られてきていると承知いたしております。
 今後とも、公共事業の実施に際しては、必要性、効率性等を十分評価し、その内容を広く開示して、県民の皆様の御理解を得ながら進めるよう努めてまいる所存であります。
   〔地域振興部長飛澤重嘉君登壇〕
〇地域振興部長(飛澤重嘉君) まず、岩手バリ友好事業についてでありますが、農業技術協力としてバリ州の農業指導職員を受け入れ、研修を行いまして、州政府からは、農業技術だけでなく、農業経営や農家指導方法についても研修の成果が現地で生かされているという評価をいただいております。
 芸術文化におきましては、本県伝統芸能団体のバリでの公演のほか、本県でのバリ絵画展の開催や音楽舞踊団の公演を行い、県民の方々にバリの伝統文化に直接触れていただくとともに、地元芸能団体の出演を通じて県民の異文化理解が促進され、本県伝統芸能をも再認識することができたと考えております。
 また、バリ財団に対しては、絵画展開催費、舞踊団員の渡航費、舞台の設営費等として、平成9年と平成12年にあわせて4、403万7、000円を支払っておりますが、絵画展と舞台公演において約1万6、500人の県民の方々に鑑賞していただいたところであります。
 このような交流は、本県とバリ州との相互理解と友好親善関係の増進につながっているものと考えておりまして、民間レベルでもバリの音楽舞踊団との文化交流活動などが見られるようになっておりますので、こうした交流の芽を将来的に育てていくべきものと認識いたしております。
 次に、並行在来線についてでありますが、厳しい経営が見込まれる中で、議員おっしゃるとおり、先手先手の対策を講じることが重要であると認識しております。したがいまして、将来の健全経営を維持するための対策として、県と沿線市町村が密接に連携し、十分な需要の見込まれる箇所への新駅の設置や経営安定化のための基金の設置などについて検討を進めているところであります。
 また、運賃の抑制を図りながら収支の改善を図るための方法につきましては、会社の独立採算を基本とし、社員の効率的な配置や業務の外注化などによりまして経費の節減を図るとともに、JR貨物からの使用料や寝台特急の運賃・料金収入などの運賃以外の収入の確保に努めていく必要があるものと認識しております。
 また、青森県側との運賃格差についてでありますが、鉄道運賃は、利用者の負担と会社の経営収支のバランスなどを考慮しながら、利用者の理解のもとに会社の経営判断で決定すべきものでありますが、それぞれの地域の実情に応じて運賃水準が異なることもあり得るものと考えております。
 本県の並行在来線の運賃水準については、三陸鉄道並みを上限とし、今後、会社の経営努力により極力引き下げに努めることとしているところでありますが、特に定期運賃につきましては、現行JR運賃の2倍を超え、通学定期利用者の家庭に大きな負担となりますことから、その緩和策を検討しているところでございます。
 なお、市町村負担のお話がございましたけれども、現在の経営計画では赤字になることは想定しておりませんで、仮に、万が一将来赤字になった場合におきましても、その対応は、経営主体とともに、県と並行在来線の沿線6市町村が主体となって対応すべきものと考えております。
   〔環境生活部長時澤忠君登壇〕
〇環境生活部長(時澤忠君) 私が宮崎県、岐阜県でやってきたこと、岩手県で何をするのかというお尋ねでございますが、まず、宮崎県では、地方行財政運営全般につきまして勉強させていただきました。また、岐阜県では、県の国際化の推進、先端技術と伝統技術の両面からの地域づくりを目指しました第5次総合計画の策定、予算の編成等に携わってまいりました。
 このたび、縁ありまして岩手県に奉職することになりましたが、これまでの国や地方での経験を生かしまして、岩手県民、岩手県のために誠心誠意頑張りたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、県民生活の向上と環境の保全との調和についてでありますが、県民所得の全国との格差等を克服するとともに、最近の低迷する景気に対処するなどのため、必要な社会資本の整備を着実に進めていく必要があると考えております。
 一方、地球環境や資源の有限性にかんがみ、地球温暖化、オゾン層の破壊など地球規模での環境問題に対処するため、社会経済のシステムのあり方そのものを、環境を重視したものに転換していくことも必要であります。したがいまして、環境保全と開発を相対立したものとしてとらえるのではなく、環境を価値観の中心に据えまして、持続的発展が可能な循環型社会を構築するため、環境負荷のより少ない施策を推進していくことが重要であると考えております。
 なお、昨日閣議決定されました循環型社会白書によりますと、新技術などによる環境対策を講ずることにより、GDPの伸びが見込めるとの試算も紹介されているところでありまして、県としてもリサイクル技術の開発など、経済水準の向上につながる環境施策にも積極的に取り組んでいくことが必要と考えております。
   〔商工労働観光部長鈴木清紀君登壇〕
〇商工労働観光部長(鈴木清紀君) 株式会社伝統工芸館の解散によります岩手県産株式会社の損失額と責任の所在についてお答えいたします。
 伝統工芸館の解散に伴うその損失額は2、400万円余となり、その損失は平成12年度の決算において、経常利益の中から特別損失として処理され、さきの定時株主総会で承認されたところであります。その取締役責任につきましては、経営上の判断や意思決定過程におきまして法に照らし、特に不合理、不適切なところはなく、商法上の取締役責任には当たらないものと考えております。しかしながら、損失が生じましたことはまことに遺憾なことであり、さきの株主総会において、取締役を代表して社長である知事から株主の皆様に対して深くおわびを申し上げたところでございます。今後は、県としても筆頭株主として会社の一層の経営の安定に向けて指導してまいります。
   〔農林水産部長佐藤勝君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤勝君) まず、地域農業の活性化のための決意と政策についてでありますが、本県の農業は、林業、水産業とともに地域経済の基盤をなし、食品関連産業など2次・3次産業と強く結びつく波及性の高い本県経済を支えている基幹産業であり、県民の暮らしと命を支える極めて重要な役割を担っております。一方、本県農業の現状は、本年3月の意見書にも触れられてありますように、国際化の影響などによる農産物価格の低迷など、大変厳しい状況にあると認識いたしております。こうした状況に対処し、本県農業の一層の発展を担っていくためには、直面する多くの課題解決に向け、工夫を凝らしたさまざまな施策の展開が必要となってまいりますが、特にも広大な農地と変化に富んだ立地条件を積極的に生かし、米、園芸、畜産を巧みに組み合わせた総合産地を形成するとともに、持続的な農業を推進していくことが重要であります。
 このため、とりわけ、まず第1には、それぞれの地域において中心的役割を担う経営能力にすぐれた担い手の育成が肝要であります。そこでこうした担い手に対する施策の集中化、重点化を図ってまいりたいと考えております。
 第2に、生産性の高い農業の展開と快適で潤いのある生活空間形成のために、その基礎となる農業生産基盤と生活環境基盤の整備を推進してまいりたいと考えております。
 さらに、第3といたしまして、販売・流通面では、本県のすぐれた自然や生産環境など本県の優位性を積極的に消費者の方々に示しながら、農産物のみならず、シイタケ、魚介類なども含めた本県の農林水産物の一体的な販売促進に取り組んでまいりたいと考えております。こうした取り組みを基本といたしまして、農業者が意欲を持って農業にいそしめるよう県民の理解と支持を得ながら、林業や水産業とも一体となって総合的な総合食料供給基地の形成を目指し、本県第1次産業の充実強化に努力をしてまいる決意であります。
 次に、岩手県肉牛生産公社の経営改善についてでありますが、公社はこれまで本県肉用牛の産地形成に大きく貢献してまいりました。しかしながら、牛肉の輸入自由化の影響などにより、平成12年度の決算におきましては13億700万円の累積欠損金を計上したところであります。この累積欠損金を事業別に区分いたしますと、種雄牛造成などの家畜改良事業は約8割に相当する10億600万円、肥育牛生産などの一般事業は3億100万円となっております。この累積欠損金の解消についてでありますが、一般事業につきましては、既に公社みずから牧場の集約や人員の削減などにより合理化に努めてきているところでありますが、今後もなお一層の経営努力により改善を図るべきものと考えており、県といたしましてはその推移を注視しながら、必要に応じて適切な指導・助言を行ってまいりたいと考えております。
 他方、家畜改良事業につきましては、この事業の性格上、本来県が取り組むべき業務の一翼を公社が担ってきたこと、また、さきの包括外部監査人からの報告に示された公社の公的使命などをも勘案すれば、県としての支援策について検討する必要があるものと考えられるところであります。このような状況を踏まえまして、現在、外部有識者による岩手県肉用牛改良事業推進検討委員会を設置いたしまして、累積欠損金の取り扱い、この事業に係る県と公社のあり方、さらには公社の運営などをも含めて広く検討いただいているところであります。この結果を踏まえまして、県としての方向づけをいたしてまいりたいと、こう考えております。
   〔県土整備部長竹内重徳君登壇〕
〇県土整備部長(竹内重徳君) まず、新規事業箇所の減少に関するお尋ねについてでありますが、平成13年度予算編成に当たりましては、全事業箇所について評価を行っておりますが、この評価に際しましては、個別の事業箇所ごとに公共事業評価委員会の意見を聞いたものではなく、県が費用対効果を基本として判断したものでありまして、整備効果の早期の発現を目指して継続事業の一層の進捗を図る一方で、新規事業箇所につきましては、緊急度・優先度を踏まえ厳選を行ったところでございます。この結果、新規事業箇所は減少しておりますが、採択に至らなかったものにつきましても、地域振興プロジェクトと連動して事業効果が増大するような箇所などにつきましては、今後の社会情勢の変化に対応して適切に評価していく考えであります。今後とも立ちおくれている社会資本の充実を図るため、地域の実情なども勘案しながら、評価制度の適切な運用のもとでその重点化に努めてまいりたいと考えております。
 次に、一般県道雫石東八幡平線の網張-松川間、通称奥産道についてでございますが、工事再開の可否の判断に際して地域の方々の声をお聞きするために、平成10年11月、盛岡市、雫石町、松尾村において、県民の意見を聞く会を開催いたしております。三つの会場において公募による12名の意見発表者の方から、自然環境を重視して中止するべきであるという御意見や観光振興のためにも再開すべきである、あるいは山岳鉄道をつくるべきであるなど、さまざまな御意見をいただいております。また、出席者の約半数に当たる114名の方からアンケートをいただいておりますが、その結果は、環境を破壊しないようにという条件つきの回答を含めまして、整備を促進した方がいいという回答が74%になっておりました。
 県といたしましては、これらの結果も含めましてさらに慎重に検討を行った結果、現在の自然環境を保全しながら工事を継続するためには、莫大な経費が必要なこと、波及効果が明確にならないこと、さらには自然と共生する新しい暮らし方や、21世紀に通じる新たな価値観を創出するためなどの理由から工事の再開を断念したものでございます。
 また、奥産道の再開見通しについてでありますが、工事再開を断念したことは県としての方針でございますので、今後は既に完成した部分を有効に活用することといたしまして、現在その活用方策を検討しているところでございます。
 次に、港湾整備についてでありますが、今後さらに効率的、重点的に港湾の整備を進めるためには、御指摘のありましたように、それぞれの港湾の担うべき役割を明確にすることが必要であると認識いたしております。そのため、今年度地域の代表者や各界の有識者等で構成する委員会を設置いたしまして提言をいただきながら、県内港湾の役割分担や適切な連携方策など本県港湾整備の基本方向を示すビジョンを策定することといたしております。
 この策定に当たりましては、荷主や海運関係企業へのヒアリングやアンケート調査を行いますとともに、ビジョンの策定過程や委員会での検討内容を公表いたしまして、県民の皆様の御意見を聞きながら作業を進める予定でありまして、あわせて関係市町村の意見も踏まえながら、その策定に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、港湾と県内陸部とのアクセス道路の整備状況についてでありますが、大船渡港、釜石港に関連いたしましては、それぞれ平成18年度に予定されております公共埠頭や湾口防波堤の完成にあわせて、国道397号の伊手地区を初めといたしまして国道283号の仙人峠道路の整備など、相互に連携した物流機能の強化に取り組んでいるところであります。
 また、宮古港に関する地域高規格道路の宮古西道路などにも事業着手しておりまして、これらのアクセス道路については、早期に効果を発現するため、より重点的投資が必要であると考えております。今後とも道路の整備に関するプログラム、これの見直しなどに際しまして、各港湾の役割分担に沿ってその優先順位などを十分検討し、より重点的、効果的な整備を行うよう努めてまいりたいと考えております。
   〔医療局長長山洋君登壇〕
〇医療局長(長山洋君) 医療局職員の危機意識についてでありますが、先般の非常招集訓練においては、医療局本庁の訓練対象者7名のうち4名が30分以内に参集し、その率は57.2%であり、その他3名は遠距離に居住しておりますので、徒歩、自転車という条件のもとでは、結果的に30分以内に集まることができませんでした。もとより、各県立病院におきましても、地震等の非常災害時には県立病院防災マニュアル等に基づき、ライフラインの確保や院内患者、罹災患者への対応等に万全を期すこととしております。
 また、救急等緊急時に備え、病院職員は日常的にオンコール体制のもとで勤務しているところでありますが、今後におきましても医療安全対策マニュアル等の遵守を行うことにより、一層気を引き締め、医療事故の防止対策の徹底に努めてまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) まず、触法精神障害者対策及び一般精神障害者対策についてでありますが、今回、大阪府池田市で悲惨な事件が発生し、多くの児童のとうとい命が奪われたことに大きな悲しみを感じております。重大犯罪を犯した精神患者、いわゆる触法精神障害者については、我が国の刑法において精神障害により心神喪失状態にある者が犯罪を犯しても刑罰を受けることなく、通常、精神保健福祉法により医療上の措置として措置入院の対象となりますが、医学的に自傷他害の症状が消失したと判断されれば措置入院が解除され、その後その一部の精神障害者が犯罪行為を繰り返していることが社会問題となっております。また、このことが精神障害者に対する偏見を助長し、地域的なケア推進の障害であるとの指摘を生む状況となっております。このため、触法精神障害者に対しより適切な措置が講じられるよう、司法的、医療的な観点から十分かつ適切な検討が必要と考えられ、法務省、厚生労働省による合同検討会が開催されていることから、国における検討を見守ってまいりたいと考えております。
 一方、一般精神障害者といいますか、基本的に精神障害者については、精神障害者の方が住みなれた地域において自立し就労しながら、みずからの力で生活していけることが大切であると考えており、本年3月に策定した岩手県障害者プランに基づき推進してまいりたいと考えております。
 次に、健康いわて21プランについてでありますが、このプランは健康的な生活習慣を確立することにより、疾病や障害の発生を予防する1次予防に重点を置き、県民一人一人がその人にふさわしい健康づくりに取り組むための行動指針であるとともに、企業、学校、行政等がこの健康づくりを支援するための行動指針となるよう広く県民の方々の意見を反映するため、パブリックコメント等の実施を行うとともに、健康いわて21プランデザイン委員会の意見を踏まえて本年6月に策定したものであります。本プランでは、壮年期の死亡を減少させ、また要介護状態とならないで生活できる期間──これは、健康寿命と言っておりますが、この健康寿命の延伸を図る上で重要かつ優先的に取り組むべき分野として、がん、不慮の事故等や栄養、喫煙、アルコール等の生活習慣などの11領域を選定したところであります。また、これらの領域において、個々人が自分の健康目標を定め、健康づくりに取り組むことができるように、各領域ごとに健康づくり自己評価項目等を設けているところであります。
 なお、疾病等に影響を及ぼす因子として規約的に認められている食塩やアルコールなどといった主要な摂取物については、その摂取限度などを記載しているところであります。
   〔教育長合田武君登壇〕
〇教育長(合田武君) 大阪児童殺傷事件にかかわる学校対策の指導等についてでありますが、県教育委員会といたしましては、各学校等に対し学校の安全管理に関する再点検を緊急に実施するとともに、保護者、地域の関係者、警察等の関係機関との連携を強化しつつ、各学校の状況に応じた適切な対応を図るよう指導したところであります。各学校におきましては、緊急再点検を踏まえ、教職員による校舎周辺の巡回の徹底や保護者等の理解と協力のもとに、外来者のチェック体制の強化などに取り組んでいるところであります。
 さらに、県教育委員会といたしましても、学校における危機管理マニュアルを策定するなどの当面の対策を講ずるとともに、今後における学校の警備体制や施設整備の安全対策等に関する国の検討状況を見きわめながら、各学校が家庭、地域と一体となった安全確保ができるよう万全を期してまいりたいと考えております。
〇42番(佐藤正春君) 御答弁ありがとうございました。ただ、冒頭に申し上げたとおり、私は自分の言葉でしゃべっているんだから自分の言葉で御答弁願いたいって言ってるんだけど、肝心なところはこう逃げたりでね、どうもこれじゃ国会以上おもしろくならないですよ。もっとおもしろくしようと思っているんだから。
 さて、忘れないうちにちょっと二、三申し上げておきます。
 竹内部長、奥産道、パブリックコメントは74%ですよ。いいですか、知事は、こういう問題は次の政策に組み入れたいと言ってるんですからね。これは、知事が一回中止だの休止すると言ったって、知事おっしゃってるんだから。重要なことはパブリックコメント政策評価委員会を経て、次の政策……これは、後で土木委員会の新しい委員会でやるから。
 それから飛澤部長、忘れないうちに言っておく。在来線の赤字については、県と沿線市町村と将来検討しながらやりたいと言ってんですが、三鉄のように赤字になった場合どうするの。沿線の市町村が負担するのかしないのか、これだけだ。はっきり言ってください、あいまいじゃなく。必ず赤字になるんだから。
 それから関山部長、たばこは悪いけれども酒っこや甘いものはいいのすか食って、今までどおり。おれもほんじゃ酒も今までどおり飲むし、お菓子もばがばが食うから。どうですか、その点についてね。
 それから副知事、あなたはこう言っているんですよ、就任にね。財政運営についての構造改革に取り組みたいと、こう述べている。どうも知事室と副知事室はそんな遠いのすか、まだ相談していないと言うけれども。何か近いように──おれしばらく行ったことないからわからない。部屋変えたのすか。副知事、せめてこの財政運営について構造改革に取り組みたいと言ってるんですから、この1点だけお答え願いたい。
 それから人事異動に関連して、知事は不祥事件によって自分の給与をカットされました。副知事、出納長はなんで責任とったの、これは。何か腹に覚えがあるのすか。副知事、出納長、あなた、私ども考えるところでは余りこれ関係ないんですがね。出納長、下向かないで、ね。何でカットしたの、あなた。県民は不思議に思っているんだ。何か悪いことしたの。ひとつその点についてお答え願いたい。
 次に、知事に構造改革に関連して伺いたい。
 知事、目玉政策は環境、ひと、情報、三つじゃわかりにくい。一つに絞ってくださいや。あなたは今の御答弁だと、ひとということを強調されておったが、ひとならひと、ね。私は、県民に説明するとき、三つ説明するの楽でない。一つ、決めていかがですか。
 知事は、さきの記者会見で関連して、小泉内閣の道路特定財源の使途見直し、地方交付税の見直しに反対表明をされたと聞いております。なぜですか。
 世論調査で小泉内閣の改革路線に期待するが88%を超え、かつての政府税調会長で本県出身の加藤寛氏も見直しは当然であると、こう言っている。知事の構造改革は、私は小泉総理よりも先だったと思っているんです。総論賛成・各論反対は、あなたの日ごろの言動と相反するものと思いますが、どうですか。
 自民党山崎幹事長は去る5月、地方交付税が圧縮された場合には、自主財源となる制度をつくると発言しております。また、先般経済・財政運営の基本方針に税源の地方移譲が明記されることになりました。元来、知事の言われている地方分権は、自分の懐は自分で稼ぐというのが地方自治の基本ではありませんか。自主財源の強化に向けて、みずからのブレーンである総合政策室にどのような政策検討を命じ、またみずから取り組まれておられるおつもりか、御見解をお示し願いたい。
 また、総合政策室長の答弁によりますと、本県の構造改革は政策評価システムを本格稼働させて、政策の重点化などを図っていくものと、こう理解しております、先ほどね。余り室長の答弁もはっきりしないんだな。やっぱりやりにくいのか。
 三重県の北川知事は、構造改革を進めれば企業倒産や失業がふえ地方も影響を受けるが、今やった方がコストが少なく痛みも少なくて済むと言い、発想の切りかえが必要であると、こう述べている。これは知事の親友だ、三重県の知事は。こう言ってんだ、はっきり。地方交付税、補助金の改革、削減が行われますと、国の財源に大きく依存している本県においても、当然基本的政策の大きな転換を迫られるものと思います。具体的には、県総合計画の推進に大きな支障を生ずるのではないでしょうか。特に、現在本県施策の聖域となっている環境、ひと、情報──今、知事がおっしゃった知事の目玉政策、関連の施策・事業については、見直しを行わなくても大丈夫ですか、本当に。それとも他の分野を切り捨てても死守をするんですか、この問題三つについては。これらの点についてどのように考えておられますか。知事がどう言われてましたか。来年の14年度からもうはっきりしているんですよ。地方交付税、特定財源、公共事業をみんなもう見直すと言っているんだから。どうなんですか、あなた責任者ですよ。
 また、政策評価で活用される207の数値目標の中で、数値化できない事業の効果についてはどのように判断するんですか。先ほどの答弁では一部事業の数値化については検討中だというが、検討中と言ったってもう内部的にはわかっているんだろうけれども、検討中と言っているうちに、あなたはもう1年で終わりなんだからね、検討しているうちに。どのように判断するんですか。走りながら考え、ゴールの時点で決定するのでしょうか。それともおやめになった後の人がやれということですか。そうすると、このシステムは、スタートから余りに信頼性、客観性がないのではないでしょうか、あわせてお答えください。
 次に、空港問題について申し上げます。
 総務省では、98年までの10年間、滑走路を延長、新設した15空港のうち9空港は旅客の予測値が下回っており、内閣府と国土交通省に需要予測の方法を改善するように勧告しました。この間そう言っていましたね。お米の縁でもって結ばれた自慢の花巻沖縄線も、マガダが合わなくなって廃止の方向と聞いております。また一つ予測が崩れていますよ。マガダってわかりますか。私の方では、これはとても採算がとれないということなんです。あなたの方はどうなっているの。盛岡-八戸間の新幹線開通によってさらに利用者の減少は避けられませんが、花巻空港の利用予測は間違いありませんね。ありませんか、本当に。私はあと2年任期があるから、来年も再来年もやるからね。しつこくやるから、どこまでも。
 次に、精神障害者対策について伺います。
 社会一般の人々には、触法精神障害者と一般精神障害者との区別も知識もありません。今回の事件で障害者に対する偏見が助長されることを私は本当に深く心配しているとともに、せっかく関山部長が進めておられましたグループホームなどの運営が難しくなるのではないかと心配しているんです。あの事件があって、私はグループホームをずっと回ってきたんです。障害者自身は新聞も何も──障害者は割合レベル高いですからね──見て、興奮しているんですよ。近隣の人たちもやっぱり何となく雰囲気が違うんです。これは現場を見ないとおわかりにならないと思うんです。我々は現場を見てわかっているんだから。
 県内に社会復帰の可能な精神障害者と触法精神障害者の人たちは何人ぐらいおられるんですか、お知らせください。
 また、政府で検討している法的措置──きのう、きょうも新聞で見た──も加味した専門病院をつくる場合には、私は、やはり県立の南光病院に併設することが望ましいと、このように思っているわけでございます。全国で10カ所ぐらいというようなことを言っておったようですが、どのような見解をお持ちでしょうか。
 最後に、楽しみの県立磐井病院についてお伺いいたします。いいですか、局長、腹をきちっとして聞いていてくださいよ。
 老朽化に伴い、医療器械の故障もあり、先般も医療事故が生じた県立磐井病院は、とにかく早くつくることが県民、市民の願いでございます。さきの医療事故の示談は成立しましたか。100万円ぽっきりだとかって、何を言っているんだ。スーパーじゃないんだから、相手は命にかかわることなんですよ。5月には8カ月の幼児に対する日本脳炎の予防接種で、0.25のところを0.5を注射される医療ミスがございました。聞いているでしょう。幼児を持つ母親の間では不安が広がっております。こういう問題はどうなんでしょうか。医学的にわからないんだけれども、後遺症というのは残るんでしょうか。精神的な後遺症は残っていますよ。
 それから、前堀地区ですと本年完成でございます。今ごろはそろそろ病院のオープンの式典に入っているところでございますが、全然皆目わからない。大平地区については、平成12年度は用地測量、用地取得の計画でしたが、一関市の地権者との用地交渉はどこまで進みましたか。価格の提示はしたのですか。幾らなんですか。この価格の提示もしないで測量ができるのですか、本当に。この前、岩渕管理課長は、4月か5月までに用地取得をしたいし、できれば17年度に開院と言明しておりますが、どうなりましたか。うそばっかりじゃないんですか、ずっと。医療局長はあなたで6人目ですよ。
 また、前予定地であった前堀地区の地権者には一関市長から12年度内に回答があり、地権者の意に沿うような事後対策が示されたと聞いております。これに対して県は、12年3月の予算特別委員会での医療局長答弁の中で、関係部局と連携をとりながら可能な限り支援をしていきたいと、こう言っておりますが、その後どこまで一関市と話し合っておりますか。
 また、この前堀地区の磐井病院、南光病院の予定の地権者にどのようにこたえていくのかお示し願いたい。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 今、私の方に三つの点についてお尋ねがございました。一つは、私の目玉の政策ということで環境、ひと、情報ということを申し上げたんですが、さらにもっと力点を入れて一つに絞ったらどうかというお話がございましたが、いろいろこれからの我が県土のあり方を踏まえた上で、やはりこの三つの要素が大変大事であると、このように総合計画に位置づけておりまして、これに重点を置いてやっていくということでございます。予算、財政状況が非常に環境が厳しいものですから、こうした三つの要素の中で、年度年度において議会でまたいろいろ御審議をいただいて、その中で重点をいろいろ考えていかなければならないとは思っておりますが、総合計画で位置づけておりますこうした三つの柱に特に力を入れてやっていくというふうに考えてございます。
 それから、道路特定財源、それから地方交付税、今いろいろと見直しの話があるわけでございます。今の動きの中で私が大変懸念いたしておりますのは、やはり一方の当事者である地方が国と対等の立場で議論を重ねていく必要があるのであって、ただ単に国の、さまざまな赤字を抱えてございますが、それをなくすという形で、一方的に地方にそういった赤字を押しつけるという形で議論が進むことに対して極めて問題があると、このように認識しております。
 この両方の制度というのは、それぞれ制度創設の趣旨等がございますので、その制度の創設等の趣旨も踏まえて、やはり両者が対等の立場で、この国土構造をどうつくり上げるかという立場から議論をしていくべきであろうと。その上で、もちろんむだを排すということも大事でございますので、大きなそういう問題についてメスが当てられたということ自体は聖域なき構造改革という上では必要なことかと思うんですが、それをどのように国全体としてプラスに変えていくかということについては、私どもも地方の立場から積極的に提言していく必要があるものと、このように考えております。
 それから、自主財源の強化ということでございますが、これは昨日閣議決定もされたようでございますが、例の骨太の方針の中で税源の移譲についても触れられております。地方への税源の移譲ということがその中に盛り込まれないのではないかと、こういった心配もございましたが、そういった文字も入っているわけですが、これは議員も御案内のとおり、ただ単に税源が国税から地方税に来るというだけでは税源自体の偏在がまた同時に生じてございますので、地方交付税のような、地方の自治体間の財政調整機能というものがあわせて確実に機能していくということが必要であると思いますし、両者がやはりセットであるということが大事かと思います。したがいまして、そういった考え方をあらゆる機会をとらえて私も発言していきたいと思いますし、それから、国の関係のいろいろこういったことを議論するところにも働きかけていきたいと思っております。
 地方の方でいろいろと努力が必要なわけでございますし、それから制度も新しく創設されましたので、自主財源の強化ということを地方の自助努力で行うことも大変重要でございますが、県では、そうした意味で、法定外の普通税や法定外の目的税など新たな課税税目、それから政策税制のあり方全般について、今、研究を行わせているところでございます。引き続き、税源自体の涵養を図るということも大変重要でございますので、そのことについての努力も行ってまいりますけれども、そうした新しい取り組みについても検討させておりますので、そうしたことも踏まえ、それから、前段で申し上げました国における制度改革の方向というものも注視しながら、これからの時代にふさわしい地方税財政のあり方について検討してまいりたいと、このように考えております。
 以上でございます。
   〔副知事高橋洋介君登壇〕
〇副知事(高橋洋介君) 知事室が遠くなったというお話がございましたが、距離は変わりございません。また、必要に応じて十分なコミュニケーションを図っているつもりでございます。
 財政構造改革のお話がございました。確かに議員御指摘のとおり、国、地方を通じまして財政環境が今後ますます厳しくなっていくものと、そのように考えられるわけでございまして、まだ岩手県の体力が残っているうちに、この時期に本県としてもしっかりとした財政基盤を構築しなければならない、こういうような考え方で記者会見のときに財政構造改革に取り組みたいと申し上げたわけでございます。
 具体的な話は、今、知事からもお話がありましたように、歳入面では自主税源の問題もございます。その中心はやはり歳出面になろうかと思いますが、単なる歳出の削減ではなく、国、地方を通じた事務の再配分等も背景に置きながら、政策評価の実効性を確保するとともに、やはり予算の要求査定システム等、そういう一連のシステム的なもの、仕組みの改善等も含めまして総合的な検討を加えていかなければならないのではないか、そのように考えております。今後とも、そういうものに積極的に取り組んでまいりたい、そのように考えております。
 それから、三役の給与のカットのお話がございました。この給与のカットにつきましては、ちょうど4月に組織、人事の体制が一新するわけでございまして、その機に臨みまして、三役が一体となって職員の先頭に立って、職員の皆さんと気持ちを一つにして、お互いに士気、意欲の高揚を図りながら、心を新たにして新しい岩手づくりに取り組んでいこう、そういう決意をあらわしたものでございます。
   〔出納長橋田純一君登壇〕
〇出納長(橋田純一君) 三役の給与のカットについてでございますけれども、今般の給与カットの意義につきましてはただいま高橋副知事が申し上げたとおりでございまして、職員の皆さんと心を一つにして県勢の発展に努める、これが私の職責であると、このように考えております。
   〔地域振興部長飛澤重嘉君登壇〕
〇地域振興部長(飛澤重嘉君) 並行在来線についてのお尋ねでございますけれども、現在の経営計画では赤字になることは想定しておりませんし、また、経営安定のために、新駅の設置でありますとか基金の設置などについて検討を進めているところでございます。
 また、将来、仮に赤字になった場合におきましては、経営主体の努力とともに、県と並行在来線の沿線6市町村が主体となって対応すべきものと考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) まず、たばこと酒はよいのかということでございますが、健康プランに記載しております11重要領域において──これはがんとか不慮の事故といったものでありますが──、その領域での疾患等に影響を及ぼすことが疫学的に認められている摂取物等として、たばこはもとより、飲酒量、それから食塩摂取量等々挙げられるわけであります。これらについては具体的に目標値を設定してプランに記載させていただいたということでございまして、県民の方々には、このプランを参考にしていただきまして、その人にふさわしい健康づくりを積極的に推進していただきたいと考えております。
 次に、社会復帰可能な精神障害者及び触法精神障害者の人数についてでありますが、これらについて県としては十分把握しておりませんが、社会復帰可能な精神障害者の人数について、平成8年3月時点でありますが、県が実施した調査では、精神分裂病で入院中の患者さん2、907名中、グループホーム等の社会的条件の整備により退院可能な患者の方々は約15%程度、460人となっております。
 一方、触法精神障害者の人数については、法を犯した精神障害者がすべて重大な罪を犯したというわけではありませんが、数字がございませんでしたので、法を犯した精神障害者及び精神障害の疑いのある者について状況を見ますと、犯罪白書によれば、平成11年の交通関係業務上過失を除く刑法犯検挙人数は全国で約31万5、000人であり、そのうち精神障害者及びその疑いのある者の割合は約0.6%となっております。本県の同年における交通関係業務上過失を除く刑法犯検挙人数は2、453人であり、先ほどの0.6%の割合を活用しますと、法を犯した精神障害者及び精神障害の疑いのある者は約15人程度と推測されております。これは必ずしも──繰り返すわけでありますが──法を犯したからといってすべてが重大な罪を犯したというわけではないということでありますが、数字上そのように推計されるということであります。
 また、触法精神障害者の専門病院の取り扱いについては、まだ国において具体的な議論がなされておらないという状況であり、まず、国における制度上の検討結果を待ちたいと考えております。
   〔総合政策室長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇総合政策室長(佐藤徳兵衛君) 環境、ひと、情報の関係でございますけれども、これらの3分野について聖域扱いしているものではございませんで、政策評価の対象となっております。今後、真に効率的、効果的な施策あるいは事業の選択に努めてまいりたいと考えております。
 それから、数値化できないものの取り扱いでございますけれども、人材育成の関係でありますとか治安関係でありますとか、あるいは火山対策とか、こういった一部のものについてはどうも数値による評価がなかなか難しい、あるいはなじまないというものも現実にございます。こういった事業につきましては、評価調書において、指標にかわるもの、その効果がどうかというようなことを具体的に記載してもらう、こういうことでその効果を説明したいと思っておりますし、また、県民意識調査結果の分析でありますとか、社会経済情勢、全国から見た本県の位置づけなど総合的な見地から適切な評価が行われるようにしてまいりたいと考えているところでございます。
   〔県土整備部長竹内重徳君登壇〕
〇県土整備部長(竹内重徳君) 花巻空港の需要予測についてでございますが、この予測に当たりましては、国と協議しながら、東北新幹線盛岡以北の開業も視野に入れたもので行っております。しかしながら、航空旅客は、経済動向や運航便数、運航時間などさまざまな要因によって変動いたしますことから、結果として利用実績が需要予測値と乖離する場合も想定されるものであります。
 花巻空港の拡張整備計画を策定するに際しましては将来の本県航空需要を予測いたしておりますが、その時点では、2、500メートル滑走路の供用開始時の利用者数は約82万8、000人と予測いたしております。
 一方、総務省が行った調査によりますと、全国の多くの空港において旅客の需要予測値と実績値が大きく乖離しておりましたことから、本年5月、総務省が国土交通省に対して、需要予測方法に係る基本的事項や、その信頼性を検証するために必要な事項を事業主体に示すよう勧告を行ったところでございます。
 こういったことから、本県花巻空港におきましても、今後、国からどのような指導がなされるかなど、その動向を見きわめながら適切に対応をしてまいりたいと考えております。
   〔医療局長長山洋君登壇〕
〇医療局長(長山洋君) まず、磐井病院の医療事故につきましては、2月定例会で御質問のありました内視鏡検査時に起こった件と存じます。これまでに10数回の話し合いを持ちました。しかし、まだ御理解を得る段階には至っておりません。今後におきましても、さらに誠意を持って話し合いを続けてまいります。
 次に、予防接種の件につきましては、子供さんの家族の方々に不安を与え、あるいは御心配をおかけいたしましたことに対し、大変申しわけなく、深くおわびを申し上げます。
 病院では、その場で御家族に御説明を申し上げ、対応に最善を尽くすとともに、副反応等の症状があらわれないか経過を観察し続けてきました。発熱等の副反応があらわれる期間は接種後2週間以内と言われておりまして、これまで1カ月半を経過し、異常が見られないことから、将来的にもないと判断される旨の報告を受けております。
 しかしながら、このような間違いは絶対にあってはならないことでありまして、病院に対しましては、再発防止に取り組むよう強く指示をしております。
 次に、磐井病院及び南光病院の用地取得交渉の状況についてであります。
 本年3月までに37名の地権者のうち35名から用地譲渡の確約書をいただいており、了解をいただいていない地権者とはその後も鋭意交渉を行っていると一関市から報告を受けております。もとより、両病院の早期完成はだれもが望んでいるところであり、平成17年度までの開院のためにはタイムリミットとなっていると認識しております。したがいまして、基本実施設計の発注の準備を事務的に先行して進めるとともに、用地につきましては、譲渡の確約書をいただいた地権者とは本年9月までには売買の手続に着手したいと考えております。また、用地の価格につきましては、地権者との交渉の結果、おおむね理解を得ていると考えております。測量調査につきましても、今後とも一関市を通じ、地権者の皆様の御了解を得ながら取り進めてまいりたいと考えております。
 次に、前堀地区の事後対策についてでありますが、一関市が一括して用地買収し、屋内温水プールや保健サービス施設など公共の施設整備を進めることになったと伺っております。医療局としましては、まだ一関市から具体的な相談はございませんけれども、具体的な相談をいただいた場合には、関係部局と連携をとり、現行制度上許容される範囲内で可能な限り支援してまいりたいと思っております。
 大平地区の地権者に対してでございますけれども、地権者会からは早く買ってほしいというような強い御要望もございます。つきましては、会議の中で用地買収等の考え方あるいは今後の進め方等を御説明申し上げ、おおむね御理解をいただいているものと認識しております。
〇42番(佐藤正春君) 知事、話を伺いました。やはり地方と国が対等の立場になってやるのは当然でございます。私は、それは非常に評価したい。しかし、議論しているうちに現実の問題をかぶるのは県民ですから、議論している間に腹が減って餓死していくのは県民ですよ、このことを十分承知の上でやってほしいと思うわけでございます。
 それから、総合政策室長、今、知事は自主財源についても研究中であると、こうおっしゃった。そのことに対してどのように具体的にやっていかれるんですか、このことについて伺います。
 それから、医療局長、わかりました。大平地区の地権者からは同意を得ているし、非常に好意を持っておられると、こういうことでございますが、用地価格は幾らですかと聞いているんですよ。幾らを提示したんですかと、これをお答えください。
   〔総務部長小原富彦君登壇〕
〇総務部長(小原富彦君) ただいまのどういう形で自主財源等そういうものを考えるかということですが、いろいろな方法があると思いますけれども、先ほど知事が申し上げましたとおり、法定外普通税ですとか法定外目的税──これも神奈川とか三重とかで議論されているわけですが、あるいは具体的に言えば地方税の増税についてどういうふうに考えるか、あるいは私どもの立場として国税から地方税への具体的な税源振替についてどう考えるのか。そういったものについて、国の方ではただいまからこれから制度設計が始まると思うんですけれども、そういった仕組みを注視しながらも私たち地方といたしましても、例えば本県の立場として同じような各県等と協調するなどして、具体の仕組みや抱負について具体的な検討をしていくという形でございます。したがいまして、まずもって私どもが取り得るいろんな具体の税等につきまして、具体の検討をこれからただいま研究をしているというところでございます。
   〔医療局長長山洋君登壇〕
〇医療局長(長山洋君) 詳しくはここで手持ちありませんけれども、おおむね坪2万1、000から2万2、000というふうに記憶をしております。
〇議長(谷藤裕明君) 次に、折居明広君。
   〔44番折居明広君登壇〕(拍手)

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