平成13年12月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇25番(田村正彦君) 政和会の田村正彦です。
 多少風邪ぎみのため、お聞き苦しい点があろうかと思いますけれども、御容赦をお願いいたします。
 今日、我々地方に住みそして生活を営む者にとって、地方分権の進展に伴う地方自治のあり方、特に本県にとっては大きなウエートを占める公共事業、そして景気、雇用、環境、福祉、教育、あらゆる面で、今まで経験したことのない課題が山積していると言っても過言ではない状況でございます。
 こういった厳しい環境の中、県民生活の向上のため、鋭意御努力をされておられる増田知事初め、県当局の取り組みに敬意を表しつつ、質問をいたしてまいります。簡潔明快、適切な御答弁をお願い申し上げるものでございます。
 数年前からになりますが、政治の世界で、失われた10年と、よく聞く言葉であります。確かにこの10年、長期にわたって政権を担ってきた自民党の分裂による新政党の出現、そして政党、派閥の離合集散による混乱、バブルの崩壊による経済金融危機。その間、この10年で、宮沢、細川、羽田、村山、橋本、小渕、森、そして現在の小泉内閣と、総理大臣が8人、内閣が15回もかわりました。これでは一貫した政策は望むべくもなく、当然のごとく、株価とともに日本経済も落ち込む一方で現在に至っております。
 景気回復のためと称し、今回の雇用対策を重点とした国における補正予算を含めたここ3年だけでも60兆円を超え、全体で優に100兆円を超える巨費が投入されております。その間、国会における質疑においては、政府は一貫して、予算が通れば景気はよくなるんだと、金融危機は回避できるという答弁であったことは、皆様御承知のとおりでございます。
 何年前でしたか、予算審議の過程で、桜の花の咲くころには株価は1万8、000円になると、コスモスの咲くころには景気も回復すると、そう胸を張っていた方を思い出します。
 現実はどうでしょうか。桜の花もコスモスも、もう何回となく咲きましたが、株価は1万円を境に一進一退、金融不安は一向に解消しない。景気の低落による深刻な雇用不安まで起きております。
 そのような状況の中、構造改革、行財政改革を強く訴え、それに対する期待から小泉内閣が誕生したわけでございます。私も期待した一人であります。昨今は、その期待感も薄れてきているのが本音であります。
 小泉内閣発足以来、政策決定に重要な役割を占める経済財政諮問会議を初めとする各種会議においての議論からは、我々が住むいわゆる地方の視点に立った議論があったとは思えません。また、地方の活性化につながるような施策も見えないのが現実であります。社会的・経済的弱者に対する配慮もなく、出されてくるのは公共事業の一律削減、高速道の建設見直しといった地方の活性化に不可欠な生活基盤整備を否定するがごときの政策。加えて、地域総合整備事業債の廃止を含めた地方交付税制度の見直し検討など、県を含めた地方自治体にとって、今後の行財政運営はまことに厳しいものと思われます。
 このような国の一連の動きに対し、知事はどのような所感、認識をお持ちなのか、まずお伺いいたします。
 さきに述べました国の長期にわたる景気・経済対策に対し、県においても積極的に対応してきたと認識しております。反面、そのことが県債発行額を増加させ、県財政を圧迫していることも事実としてあります。県の中期財政見通し最終年度に当たる平成17年度で、元利償還額は1、564億円、公債費比率で24.7%、年度末県債残高1兆3、464億円と見込んでおり、ピーク時である平成20年度、あと7年後ですが、1、730億円の元利償還額であり、私の試算でありますが、12年度決算ベースで見ますと28.5%の公債費比率となり、まさに危機的状況に陥ることが懸念されております。
 大幅な税収増が見込めない中で、さきに述べた地域総合整備事業債の廃止等、地方交付税制度が伝えられているような見直しが行われた場合、本県財政に与える影響をどのように想定しているのか。場合によっては、平成11年10月策定した中期財政見通し、あわせて岩手県総合計画の見直しも必要と思われるわけですが、当局の御見解をお伺いいたします。
 次に、来年度、平成14年度の予算編成に向けての知事の考え方をお伺いいたします。
 去る9月に行われた記者会見において、知事は8項目にわたる来年度重点施策を発表されました。その中から、雇用、環境、教育について、まず雇用の問題からお尋ね申し上げます。
 雇用の問題については、重要施策の最初に挙げられているように、特に求人倍率が全国で下から4番目という、本県にとって最重要課題であるという認識は、私も知事と同じであります。今定例会に提案されている補正予算14億円弱のうち、9割が雇用対策関連であり、県単での緊急地域雇用特別基金積立金として10億円が計上されております。額の適否はともかくとして、厳しい財政事情の中、知事の姿勢を高く評価するものであります。高校、大学、各種学校等、新卒者が働く場所がないということは制度的に何ら救済措置がないわけで、まさに深刻かつ憂慮すべき事態と言わざるを得ません。
 県内の雇用状況に対し、景気経済状況とあわせ、どのような認識をお持ちなのか。そして先ほど申し上げました緊急地域雇用特別基金の運用計画と、平成14年3月までの期限で実施されている緊急地域雇用特別交付金、そして聞くところによりますと、今回の国の補正により緊急地域雇用創出特別交付金53億円余が国から交付されるということですが、それらとの整合をどう図っていかれるのかお尋ねします。また、来年度予算編成に当たって、雇用対策にどう臨もうとしていのか、あわせてお伺いいたします。
 最近、地産地消ということで、地域で生産したものは地域で消費していこうという運動が、本県を初め他県においても実施されておるようです。私が承知している範囲では、主に農産物がその対象と認識しております。大変結構なことだと思うわけですが、この地産地消という考え方の幅を広げるというか、対象を広げるというか、うまい言葉が見当たりませんが、県内で生産されたものは、農産物に限らず、すべて県内で消費していくんだと。そして公的機関の物品調達、工事発注においても可能な限り県内で処理していこうと、そういう取り組みこそが、前段で取り上げた雇用対策、税収確保、地域振興にやがてつながるものだと思うわけですが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、環境問題についてお伺いいたします。
 たった10キロ程度の薄い大気によって守られ、世界じゅうの人々が戦乱そして飢餓等不幸な地域があるにしましても、暮らしを営んでいるこの地球においては、温暖化やオゾン層の破壊、酸性雨等、地球規模での環境、大気の汚染が進展しております。環境問題が国際的にも大きな課題として取り上げられております。
 地球温暖化問題については、平成9年、京都において開催されたいわゆる地球温暖化防止京都会議において具体的な数値目標を定め、二酸化炭素などの温室効果ガスの削減が合意されたことは画期的なことであり、京都での合意、いわゆる京都議定書の運用規則を定めた合意文書が4年の歳月と幾多の交渉を経て、去る11月10日、モロッコにおいて170カ国の出席のもと採決されました。CO最大の排出国であるアメリカの離脱はまことに残念なことですが、2002年の発効が確実になったことは、今後、我が国経済に一時的には負担を強いることとはいえ、地球環境を守るという意味では大きな前進が図られたものと思います。
 さて、本県の環境に対する取り組みは、昭和46年制定された岩手県公害防止条例がその始まりであり、条例制定の背景には、昭和40年代、全国各地で問題化した大気、そして海水を含めた水質汚染であったと承知いたしておりますが、その後、産業、消費形態の大きな変化と同時に、我が県においてもさまざまな環境破壊が進展してまいりました。
 増田知事は、知事就任以来、環境問題に積極的な取り組みをされ、平成10年には、岩手県環境の保全及び創造に関する基本条例を定め、その条例に基づいた岩手県環境基本計画の策定、平成12年11月には環境首都創造いわて県民宣言、そして昭和46年制定された公害防止条例を今回全面的に改定し、ちょっと長たらしくて戸惑うんですが、県民の健康で快適な生活を確保するための環境保全に関する条例(案)が今議会に提案されており、まさに矢継ぎ早の各種施策であり、知事の環境問題に対する並々ならぬ意気込みを感じるものであり、敬意を表するものであります。改めて、知事の本県における環境問題に対する認識と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 同時に、今議会に提案されております条例ですが、当初案にあった環境保全協定の締結等を定めた項について、本県を取り巻く経済、雇用そして地域振興を考えた場合、果たして妥当なものかどうか、私は疑問を持っておりました。今回提案された条例案では、修正がなされております。私はそうは思いませんが、一部報道では、後退ではないかとの指摘もあるわけですが、修正された経緯についてあわせてお伺いいたします。
 環境を語るときに、廃棄物処理問題は避けて通れない重要な課題であり、一般廃棄物処理は地方自治体行政にとって、財政負担とあわせて大きな問題となっております。
 一方、産業廃棄物についても、平成10年12月に発覚した青森県境での大量不法投棄事件を初め、県内においても不適正処理事件が相次いで発見されるという状況にあります。
 こういった課題解決のため、県では本年3月、いわて資源循環型廃棄物処理構想をまとめられ、それと並行して構想の具現化に向け、循環型地域社会の形成に向けた制度的整備に関する研究会が設置され、鋭意検討された結果、その報告書が去る8月に提出されております。
 その内容を拝見いたしますと、本県が直面する不法投棄対策に重点が置かれており、不法投棄防止のためのさまざまな試案が具体的に提示されており、県の積極的な取り組みが望まれているわけですが、この報告を受け、県として、今後どのように取り組みをしていこうとしているのかお伺いいたします。
 環境問題の最後に、去る11月6日開催された県議会県政調査会において、当研究会の座長を務められた県立大学の南教授の講演を拝聴いたしました。
 最後に先生は、自然は遺産ではなく預かり物であり、食いつぶすのではなく、保存・保護していかなければならないと述べられております。まことにそのとおりであり、私も同感であります。ただ、一言申し上げたいことは、自然は大事だ、自然を守っていかなければならないとよく聞く言葉ですが、一般的に皆さんが言う自然とはどういうものなのでしょうか。
 私が考えるところでは、美しい川が流れ、楽しそうに働いている田園風景があって、軽装で散策できる林があって、山には山菜、キノコがふんだんにある、そういう自然を思い描いているのではないでしょうか。もしそうだとしたら、自然を守り、自然を維持するというのは莫大な経費がかかり、継続的な投資が必要であり、国はもちろんのこと、社会全体でそういう認識を持ってもらう必要があると思うわけですが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、知事は、教育を含めた人づくりも重要施策と位置づけられております。私も子育てを通じながら、地域にあってPTA活動に参加し、子育ての難しさ、学校、家庭、地域の連携、よく聞く言葉ですが、その難しさを痛切に感じている一人ですし、教育行政にも大いに関心を持っているものであります。
 本県においても、少子化の進行、科学技術や情報化の急速な発展、さらには家庭や地域社会の教育力の低下など、現在の教育を取り巻く環境は、急速かつ大きく変化しております。
 このような中、私が日ごろ感じておりますのは、これまでの教育システムが、時代や社会の進展に対応しているのかどうかというところであります。今どき、修身学習を説く時代錯誤も甚だしい評論家を初めとして、教育現場から遊離した評論も時々耳にし目にするわけですが、学校現場に足を運んでみますと、校長先生方のリーダーシップのもと、各学校の実情に応じて、また、教育という特性に応じたさまざまな努力をされていることは、私も承知いたしております。しかし、行政における情報公開、政策評価などの流れと比較しますと、これまで以上の取り組みが必要ではないかと感じております。昨年12月に出された教育改革国民会議報告においても、学校、特に公立学校では、努力しても努力しなくても同じという雰囲気があり、内からの改革がしにくいと述べられております。
 私自身、今後、各学校が急激な環境変化、来年4月からは学校5日制も開始されます、この学校5日制のとらえ方に、休みが2日間にふえたというような誤解があるように思いますが、学校5日制はあくまでも学校で学ぶのが5日であり、子供には本来休みはなく、学校以外の週2日をどう学ぶかということが今後の大きな課題であり、今後、学校がこのような変化に的確に対応していくためには、言葉だけではない、学校、家庭、地域社会との連携協力が不可欠であり、そのためにも開かれた学校づくりを進め、家庭や地域の方々の信頼にこたえ得る教職員も含めた学校づくりを進めていくことが大切であると考えるものであります。
 開かれた学校づくりにつきましては、これまでも、学校の施設開放や地域との連携のもとでの特色ある学校づくりなどに取り組んでいる学校も多数あることを承知しております。今後、さらなる取り組み強化が必要ではないでしょうか。
 そこで教育長にお伺いいたしますが、県教育委員会として、各公立学校における開かれた学校づくりの推進に関して、今後、どのように取り組んでいかれるつもりかお伺いいたします。
 次に、農林業に係る諸課題について、まず、稲作生産調整についてお伺いいたします。
 米の生産調整については、昭和46年の本格実施から幾度となく制度の見直しがされ、そのたびに現場の農家はもちろんのこと、県、市町村、農協と、大変な労力と時間をかけ対応してまいったわけです。昨年から新たに麦、大豆等の本格的作付を柱とする水田農業経営確立対策事業が平成16年まで、5年間をその期間として実施されております。ことし2年目を迎えております。この制度は、転作地への助成基準そのものは従前より条件が厳しく、転作田の集約化を図ることで麦、大豆の生産性、品質の向上を目指したものであります。条件を満たした転作田に高額の助成をしようとするものであり、厳しいながらも地域ぐるみ営農への誘導策としては魅力のあるものであり、県、市町村、農協とも積極的に取り組んできたものと理解をしております。
 私どもの集落においても、地元、町、農協、そして農家の人たちが何回となく話し合いを持ち、この制度に参加しようということでまとまった経緯があり、恐らく、他の市町村集落においても同じような話し合いがあったものと思います。まさにその矢先、小泉内閣誕生とともに、農林水産省において、助成制度も含めた生産調整政策の抜本的な見直しが俎上に上り、去る9月には、平成14年度、来年度実施に向けて検討素案なるものが示されております。
 前に述べましたが、昨年同じ農林水産省が策定した水田農業経営確立対策事業に基づき、今後の稲作経営に臨んでいこうとしている我々生産者にとって、ましてやその指導、誘導に当たって、県を初め市町村、農協の今までの努力を無にする突然の、しかも政策の継続性という観点からも疑問を持たざるを得ない政策転換であり、怒りを通り越してあきれたというのが私の実感であります。当然のごとく、生産者、農業団体、そして県を中心とした地方自治体から猛反発が起き、どうやら来年度実施は見送られる方向と聞いております。この問題についての県当局の御努力に対し、敬意を表するものであります。
 そこで、今回の農林水産省素案なるものはどのような内容なのか、また、今後の見通しについて、素案どおり実施された場合、本県稲作農家にどのような影響があるのかお伺いいたします。
 関連して、本県においても、主たる転作作物として小麦、大豆が定着しつつありますが、今回の素案では、転作の対象となるのは俗に言う買い手のつく麦、大豆の生産に限りますよととれるような表現があるわけですが、本年産の県内産麦、大豆の販売状況はどうなのか、品質の状況とあわせてお伺いいたします。
 次に、県では、今年度生産調整の緊急拡大に対応し、県単事業として地域ぐるみ生産調整緊急支援事業を実施されましたが、この事業に対する地域の期待は大きいものであり、当局の取り組みに感謝申し上げるものでございます。年度半ばではありますが、この事業の進捗状況、そして担い手、認定農家の育成強化のため、この事業の予算、内容の両面において充実強化、そして継続がぜひとも必要と私は考えますが、県当局の御見解をお伺いいたします。
 次に、農業協同組合の経営に関する課題についてお尋ねいたします。
 本県においても、農協の広域合併が進み現在は20農協ということですが、私は最近広域合併した七つの農協の決算状況を拝見いたしました。平成12年度、昨年度末決算において前期からの繰越剰余金のある組合は1組合、それも100万円に満たない額、繰越剰余金ゼロが5組合、4億7、000万円の赤字繰り越しが1組合、そして12年度1年間の業務の結果として、今年度への繰越剰余金を確保した組合は3組合、その額はあわせて1、700万円、赤字繰り越しが4組合で、その額は14億円を超えております。さらに心配されることは、農協本来の業務、事業利益において7組合すべてが赤字であり、その合計額は37億円に達しているということであります。確かに、最近の金融経済状況による評価額見直しによる不良債権の増加、それに対する引当措置等があったにしても、今後の農協運営、経営に不安を持たざるを得ない状況と認識いたしております。当然、各農協においても人員削減を含めた経費節減合理化を進め、対応を図っていることも承知いたしておりますが、人員削減合理化は一方で組合員との距離を広め、サービスの低下を招き、そのことが組合による農協利用を減少させるという、憂えるべき方向に向かうのではないかと心配している者の一人であります。
 県においては、農協合併は経営の健全化、組合員サービスの向上、そして市場展開を有利にする上からも、ぜひとも必要という立場から予算措置までして臨んできたと承知いたしておりますが、現下の状況をどう認識され、今後どのような指導をしていくつもりなのか、まずお伺いいたします。
 次に、適否はともかくとして、現実に農協経営にとって大きなウエートを占める農協金融についてお伺いいたします。
 農協金融については、広域合併以前においては、それぞれの農協の独自の経営判断により運営され、広域合併を機に、統一的かつ適正な方向に向かってきていると承知いたしておるわけですが、農協系金融機関に対する公的資金投入を機に、農協金融に対する国の指導も変化し、平成11年には、農水省による一般金融機関と同じ金融庁による金融検査マニュアルに従った検査指導がなされ、農協中央会、県においても、昨年度からそのマニュアルに従った検査が行われていると承知いたしております。
 以前に行われていた農協金融と検査マニュアルとのギャップが余りにも大きく、前にも延べましたが、今後、莫大な額の引当が必要となることが予測されます。引当ができない農協は、損失を覚悟で取り立てに走り、引当ができたとしても、それが自己資本比率を低下させ農協経営をますます圧迫し、ペイオフの本格的実施と合あわせ、信用不安を起こしかねない事態も想定されます。
 私はかねてから、農協は地域農業・農家にとって不可欠な組織であり、その組織を守り発展させることが、生産者はもちろん、消費者にとっても大事なことだと主張してまいりました。農協組織発足の理念、経緯、そして経過の中で、一般金融機関と同じ尺度で判断されていくことに、一生産者として強い疑念を持つものでありますが、このことについての御見解をお伺いいたします。
 最後に、林業振興にとって欠かすことができない森林組合の経営・合併問題についてお伺いいたします。
 県下26森林組合の平成12年度決算状況を見ますと、12組合が赤字繰越で、その額8億円余、黒字繰越が13組合で1、700万円余、このような状態で果たして林業を取り巻く厳しい環境を乗り越えていけるのか、私は甚だ疑問を感じております。県においては、森林組合の厳しい経営状況等から、従来から広域合併の推進を図ってこられたと承知しております。しかしながら、順調に進んでいるとは言えない状況であり、その間、赤字幅がどんどんふえている現実もあります。なぜ合併が進まないのか、私なりに組合経営に頭を悩ませておられる組合長さん、そして職員の皆さん、現場で汗を流して働いている作業員の方々、関係者の皆様とお話をする機会があるわけですが、押しなべて言えることは、赤字組合を含めた振興局単位では意味がないと、問題の先送りだと。本気で再生を考えるのであれば、県一本の組合結成を図るべきだということで、既に広域合併をされている組合からもそういう意見が出されております。
 私も、かねてから森林組合は県一つに統合すべきであると訴えてまいりましたが、県当局におかれましては、組合経営、そして合併問題について、どのような認識を持ち指導をしていこうとしているのかお伺いいたしまして、演壇からの質問とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 田村正彦議員の御質問にお答えいたします。
 まず、国の一連の動きに対しての所感を求められたわけでございますが、国では、6月に閣議決定をいたしましたいわゆる骨太の方針というものがございまして、それに基づいて今、構造改革に向けた検討そしてその実施というものを行っているわけであります。その中で、自立した国と地方の関係の確立ということがうたわれておりまして、小泉総理が官から民へと、民でできるものは官から民に移すと、それから国から地方へと、こういう二つのことを言われたわけですが、官から民へということについては現実にさまざまなことが目に見えて今行われつつあろうとしているわけですけれども、今、私が言いました自立した国と地方の関係の確立というのは国から地方へというもう一つのことでございますけれども、こちらの方については、そういった項目が入って検討も行われることになってはいるわけですが、具体的な姿が見えていない、そこが、今、問題であると、このように思っております。
 具体的には、税源移譲を含めた地方財政制度の抜本的な見直し、それから、社会資本整備のあり方など、分権型社会を確立していくための道筋がいまだはっきりと明らかにされていない状況の中で、この間、一律に公共事業を削減する、例えば下水道関係については一律20%削減を考えているといった報道もあったり、そんな形での検討や、それから、本来、国と地方の役割分担を議論する必要があって、国が地方公共団体に行っております義務づけなどについて見直しをしていかなければならないわけですが、そういったことがない中で地方交付税制度の見直しが行われるといったことはやはり問題でございます。国の構造改革そのものは、私は、やっぱり避けて通れない、不可避であると思うんですけれども、結果として、単に国の一方的な都合によりましてそのツケを地方に全部回すようなことはないようにしなければいけないわけでありますので、やはり国と地方が同一のテーブルに着いて、対等の立場で十分論議を重ねながら進めていくことが必要であると考えております。
 また、一方で、こうした国の構造改革が進められる今こそ我々地方の方においてもみずから改革を進め、また、国に対して分権型社会に対応した地方自治のあるべき姿の構築を目指した具体的な提案を行っていく必要がある。各論で文句ばかりを言っておりましても単なる抵抗勢力と誤解されるわけでありますので、そうした具体的な我々からの努力と提案がやはりなければならないと思います。今こそ、生活者主権、地域主権の立場に立った行政を一層我々みずからが進めていく、そして、一つ一つ着実にその成果を積み重ねていくことが重要である、このように考えております。
 それから、雇用問題についてお答え申し上げます。
 県内の雇用状況についてですが、県内の状況は引き続き停滞して厳しい状況にあり、また、誘致企業の工場閉鎖や撤退などによりまして9月の有効求人倍率は県内で0.40倍ということでございまして、雇用情勢も一段と厳しさを増してきている、ここは議員と共通の認識に立っております。
 次に、県単独の緊急地域雇用特別基金事業──これは今議会に提案したわけでありますが──と、先日出てまいりました国の新しい交付金事業の整合性についてでございますけれども、県単独の基金事業というのは、現在ございます緊急地域雇用特別交付金が本年度末で3年間の期限を終えて終了することになっており、また、国の補正予算編成の方向が──先般第1次補正で成立したわけですけれども──まだ定まらない段階でこの12月議会に私ども作業をしてございましたので、そういった中で、先ほど言いましたような雇用情勢に積極的に対応する必要があると判断したものですから、その対策として県単の基金事業を打ち出したものでございます。その事業の趣旨は、県内各地域の雇用状況に即応した弾力的かつ実効性の高い事業を実施して、地域での雇用の創出を図っていこうということでございました。こうした中、先般、国の第1次補正予算において緊急地域雇用創出特別交付金というのが創設され、本県に内示を受けておりました53億5、000万円が交付されるということになってございます。ただ、その事業の要件などについては今週中に国から通知されるというぎりぎりの段階なんですが、まだ現在のところ私どもの方に要件などについて届いてございません。したがいまして、今週来るということでございますので、今後は、その内容を見た上で、速やかに新たな53億5、000万円の交付金の受け入れを行いたい。また、さきに提案してございます県単独の基金との内容の機能分担を図って、それぞれの仕分けの中で両事業の効果的な実施に努めていきたいと考えております。
 それから、来年度の予算編成につきましては、地域の雇用創出のために真に必要とされる事業を見きわめながら、こうした国の新たな交付金事業などを積極的に活用して実効性の高い施策を展開したいということで、今、検討しております。10月30日に岩手県総合雇用対策をまとめましたので、これを基本として産業振興施策を推進する、そして、来年度予算については、中期的視点に立った雇用の場の確保を図っていきたい、こういうことで、今、作業を進めております。
 次に、地産地消の考え方を活用した地域振興についてでございますが、農林水産物に限らず、地域で生産された物産品や製品、そして地元中小企業の技術といった広い意味での地域資源が、地域の人々に理解され、愛されて広く利用され、また、消費されるということは、地域産業の活性化にとっても非常に大きな意義を持つものととらえております。さらに、我が県庁を初めとした公的機関の物品調達や工事発注については、一方でやはり技術やコストを競い合う部分も必要でございますのでこうした部分を考える必要がありますが、他方で、地域みずからの産物や製品を可能な限り活用していくことが地域の行政としても重要な視点でございます。
 今後も、こうしたより広い意味での地産地消の精神を、県民の皆さんや私ども行政、そして産業界全体とも共有しながら、本県地場産業の持続的な成長、発展を図りまして、地域に根差した幅広い就業の場の確保に努めていきたいと考えております。
 次に、本県の環境問題に対する認識と今後の取り組みについてのお尋ねでございます。
 本県は、緑豊かな奥羽山脈や北上高地、そして海岸に参りますれば、きらめくような三陸海岸など大自然の恵みをふんだんに受けております。また、先人のたゆまぬ努力によりまして、風土に根差した我々と自然との共生の文化が築かれてきたところでございます。しかし近年、本県でも、首都圏などからの産業廃棄物の不法投棄、ダイオキシン類の化学物質汚染、多くの希少動植物の絶滅のおそれなど、さまざまな環境問題が顕在化してございます。
 こうした問題に対応していくためには、環境を重視するという価値観を持って、資源の循環利用や環境への負荷の少ない生活様式を定着させ、環境と共生した持続的な発展が可能な地域社会を築いて、そしてそれを将来の世代に継承していく必要があると考えております。
 今後は、県民の皆様、そして事業者、行政が対等なパートナーシップを築いて、環境問題の解決に取り組んでいくための仕組みづくりを進めていく必要があると思います。
 それから、今議会に提案してございます県民の健康で快適な生活を確保するための環境の保全に関する条例を初め、希少野生動植物の保護や廃棄物対策などに関するものについては、条例化を視野に、今、検討を行っております。そうした検討を進めて、県民一人一人の積極的な参加と協力による取り組みを推進していきたいと考えております。
 また、森林や里山、水辺など、地域の特性に応じた良好な自然環境を守り育てるためこれまでもさまざまな施策を推進してきてございますが、今後もこうした自然環境の保全に対するきめ細かな投資が必要であると考えております。本県では、県民にとって母なる北上川の清流化対策にこれまで累積で300億円を超える費用を投入してまいりましたし、今後も毎年約6億円をかけてあの清流を維持していかなければならないということでございます。このことは、自然が一度破壊されると、その修復や回復に気の遠くなるほどの長い年月と多くの労力や費用を要するという教訓を残しているわけでございます。こうした例からも、環境の保全には多くの投資が必要であると県民の皆様方には認識していただいているものと考えておりますが、私は、特に、東京を初め、首都圏、都市部の住民の方々にも、我々が地元でこうした点について大変な努力を払っているという点についてぜひ深く認識していただきたい、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承お願いいたします。
   〔総務部長小原富彦君登壇〕

〇総務部長(小原富彦君) 地方交付税等の見直しによる本県財政への影響についてでありますが、国、地方を通じて多額の公債残高を抱える厳しい財政状況にあって、本県の財政も県税等の自主財源の伸びに期待し得ない一方で、公債費等の義務的経費の増嵩が見込まれるなど、財政の硬直化が懸念される厳しい状況にあります。したがいまして、地方交付税の依存度が高い本県にとりましては、国における制度改正の内容いかんによっては大きな影響を受けることが懸念されるところであります。
 改正の内容とその影響につきましては、正式な協議や説明がないため具体的に把握することが困難な状況にありますが、報道などの現時点での情報によりますと、公共事業等に係る事業費補正の算入率の引き下げや地域総合整備事業債の廃止、段階補正の見直しなどが検討されているものと聞いております。
 このうち、地方負担に係る地方債の償還費を後年度に交付税措置する事業費補正の算入率が引き下げられた場合、事業規模に見合った交付税が算入されないことから、社会資本整備に力を入れている本県のような団体にとっては不利に働くことが想定されるところでございます。また、最も優良な起債とされる地域総合整備事業債が廃止された場合、本年度から着手している盛岡駅西口地区複合施設の整備のように引き続き現行制度のまま継続事業として取り扱われるものもありますが、来年度以降の新規事業につきましては、新しい制度の内容を見きわめながら検討していく必要があるものと考えております。
 いずれにいたしましても、本県の財政運営に支障を及ぼすような改正が行われないようにしていく必要がありますことから、県といたしましては、今後とも情報収集に努めるとともに、全国知事会や事情を同じくする多くの地方公共団体と一体となって、地方交付税を初めとする地方税財源の充実・確保が図られるよう、あらゆる機会をとらえて国に要望していく考えであります。
 また、中期財政見通しの見直しについてでありますが、現時点では制度改正に伴う影響を具体的に把握することが厳しい状況にありますことから、今後の国の動向等を見きわめながら判断していく必要があるものと考えております。
   〔総合政策室長佐藤徳兵衛君登壇〕

〇総合政策室長(佐藤徳兵衛君) 厳しい財政環境の中での総合計画の見直しについてでありますが、いわゆる骨太の方針に基づく構造改革に伴い地方財政への影響が懸念されるところではありますが、総合計画は、多くの県民の参画を得て、国際化や地球環境保全、地方分権や規制緩和など世界や我が国における21世紀初頭に向けた時代の潮流を踏まえ、あらゆる角度から議論を重ねた上で21世紀の新しい岩手の姿を示したものでありますので、計画に掲げる指標の見直しとか新たな設定は別といたしまして、計画の基本的な考え方や方向性については引き続き堅持すべきものと考えております。
 なお、計画の推進に当たりましては、現下の厳しい財政状況を考慮しつつ、限られた財源の有効活用を図る観点から、政策評価の徹底により、成果重視の行政運営の視点に立って、優先度を見きわめながら、施策や事業の重点化、効率化を図ってまいる必要があると考えております。
   〔環境生活部長時澤忠君登壇〕

〇環境生活部長(時澤忠君) まず、公害防止条例の改正についてでありますが、地域社会における環境の保全は、事業者と住民の対等なパートナーシップによる相互連携が基本になって推進されていくものと考えておりまして、改正案におきましては、事業者が直接住民との連携を深め、合意形成を図ることによりそれぞれの地域社会のニーズに応じた取り組みがなされるよう、相互連携等による環境保全の推進に関する規定を設けることとしたものであります。
 この規定に関しまして、当初産業界にお示ししました案では、相互連携を実現するための具体的な手段といたしまして環境保全協定の締結を唯一の例示としておりましたけれども、事業者と住民との間で相互連携を推進していくためには協定の締結以外にも多くの手段があり、その選択は、地域社会における主体的、自主的な判断にゆだねるべきであるとの意見が寄せられまして、私どもといたしましても、さまざまな角度から検討しました結果、当初の趣旨に改変を加えることなく、多様な選択肢が存在し得ることを包括的に表現するため、地域住民と合意形成を図ること、これを例示とするよう案文を変更することとしたところでございます。
 次に、廃棄物の不適正処理の防止に向けた今後の取り組みについてでありますが、制度的整備に関する研究会の報告書におきましては、不法投棄等を抑制するため、事業者保証金制度、県外廃棄物の搬入抑止を図るための搬入事前協議の義務化など、制度化に向けての具体的な試案のほか、今後の課題といたしまして、不法投棄対策を中心とする条例の制定や北東北3県の連携による制度化など多くの提言をいただいたところであります。この報告書を受けまして、10月に、広く学会や産業界などから委員をお願いいたしまして循環型地域社会の形成に関する条例整備懇談会を設置いたしまして、不法投棄防止対策等の制度化に向けての検討を諮問したところであります。懇談会におきましては──11月20日からでありますが──、検討の基本的方向についてのパブリックコメントの募集を開始しましたほか、県内9ブロックで開催いたします地域公聴会や関係団体との意見聴取などを実施いたしまして、本年度中に答申を取りまとめることといたしております。
 県といたしましては、懇談会からの答申を得まして、青森、秋田両県との連携を図りながら、廃棄物に関する新たな条例の制定など、環境首都いわての形成を目指し、制度的な整備に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長佐藤勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐藤勝君) まず、米の生産調整についてでありますが、9月に公表された国の米政策見直しの検討素案におきましては、転作による面積管理から米の生産数量管理への移行、稲作生産を担い手へ集中する仕組みの確立、担い手に焦点を当てた稲作経営安定対策の改善、計画流通制度の改善など、総合的、抜本的な見直しを来年度から実施する方向で検討されていたところであります。しかしながら、今般、国が決定した米政策の見直しにおきましては、米の生産数量管理への移行や計画流通制度の改革などの骨格部分は来年度からの実施を見送ることとし、平成15年度からの実施に向けて、生産者団体、行政、関係機関などで構成する研究会においてなお深く検討を進めることで決着を見たところであります。
 県といたしましては、この新たな対策によって米の生産、流通の枠組みが大きく変化していくものと強く認識いたしまして、こうした事態に的確に対処していくために、稲作生産を担い手に集約させるなどの水田農業の構造改革に対する取り組みを一層促進していく必要があると考えております。特にも、米の生産数量管理への移行が本格実施された場合には、米の生産数量が産地ごとの価格・販売動向などに応じまして国から配分されることが予想されますことから、生産現場におきましては、これまで以上に高品質・良食味米の安定生産や減農薬栽培米の導入、拡大、消費者ニーズに対応した売れる米づくりの意識をさらに高めていくことが強く求められているところであります。
 なお、国に対しましては、今後におきましても、米の生産数量の配分に当たっては、産地それぞれの努力を正当に評価するなど地域地域の実態を十分に反映されるよう県としての政策提案を積極的に行ってまいりたいと考えております。
 次に、本年度の県内産の麦、大豆の販売と品質の状況についてでありますが、全国的に麦、大豆の生産拡大が進み、需給が緩和している中で、県内の集荷団体においては、製粉・加工業者等の実需者に対して強力な販売活動を展開してきたところであります。その結果、小麦については県内外の実需者に対する追加契約などによりまして集荷した5、550トンすべてをほぼ前年並みの単価で販売することができ、また、大豆につきましてはおよそ3、100トンの集荷が見込まれておりますが、この集荷がまだ始まって間もないこともありまして、先ごろ実施されました第1回の入札におきましてはほぼ前年並みの約10トンが取引され、その単価は前年比約2割安となっております。
 なお、品質についてでありますが、麦につきましては、県北部で収穫最盛期の7月の中・下旬が長雨であったことなどによりまして県全体の一等比率は前年の88%を下回る61%となりましたが、ほぼ全国平均並みの品質となっております。大豆につきましては、現在、等級検査が行われておりまして、今後、検査結果が随時公表されますが、産地の状況を見ますと、秋の長雨によって大幅に品質が低下した前年に比べまして一等比率は高まるものと見込んでおります。
 次に、地域ぐるみ生産調整緊急支援事業についてでありますが、この事業は、生産調整面積の緊急拡大に対応し、地域ぐるみの話し合いを通じて、稲作の担い手と転作の担い手の役割を明確にしながら生産調整目標を達成することを目的として実施しているものであり、水田地帯を中心に16の市町村で実施されております。こうした中で、国は今般、来年度の生産調整目標面積を本年度と同面積に据え置き、また、緊急拡大につきましても引き続き継続することとしたところであります。
 したがいまして、県といたしましては、生産調整への取り組みを通じた地域の話し合いのもとに、稲作担い手農家の経営基盤の充実や、こうした担い手を核とした地域ぐるみの営農活動をこれまで以上に促進することが水田農業の構造を強化していく上で極めて重要であるとの観点から、今後におきましても、こうした取り組みに対し支援することについては十分に検討してまいりたいと、こう考えております。
 次に、単位農協の経営状況についてでありますが、農協系統を含めて多くの金融機関は現下の低金利時代におきまして十分な利ざやが確保できない状況から、従来のように信用事業や共済事業の利益に依存した農協経営はますます困難になりつつあります。このような厳しい経営環境に対処し、将来にわたり着実に組合員に質の高いサービスを継続して提供できるよう、農協系統におきましては広域的な合併を推進しているところであります。
 この広域の合併をなし得たいわゆる広域合併農協のここ数年の経営が困難になっている主な原因といたしましては、平成14年4月のペイオフ解禁を控え、貯金を預かるという高い公共性から、ルールにのっとった資産査定、その結果に基づく適正な償却、引当を行ったこと、また、収益に見合った事業管理費の削減が行われていないこと、さらには、農産物価格の低迷による購買・販売事業の不振などが挙げられます。
 こうした農協の経営状況に対処するため、県におきましては、まず、喫緊の課題でありますペイオフ解禁に備え、自己資本比率の低い農協に対しまして、農協中央会、県信連と連携しながら、毎月開催している経営検討会等を通じまして経営改善に向けての濃密な指導を実施しているところであります。このほか、経営上重要な課題を抱える農協を特別指導農協に指定し、その農協が抱える課題に応じて策定した指導方策に基づき個別具体に助言を行っているところであります。また、広域合併がまだ実現されていない地域につきましては、農協の経営基盤を強化するという観点から、農協中央会とともに合併実現に向け鋭意取り組んでいるところであります。
 今後におきましても、このような経営問題を抱える農協に対する個別指導を継続して実施しますとともに、経営改善、広域合併といった取り組みの結果、協同組合としての特性が失われ組合員サービスが低下することがないよう、常例検査等を通じて日々農協の実情に応じた指導を行い、さらに、来年1月に施行される改正農協法におきまして営農指導事業が農協の第一の事業であるという位置づけが明確にされましたことから、農協の営農指導体制につきましても、その充実・強化に向け、あわせて取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、農協金融についてでありますが、農協金融は、農業が季節性や地域性の影響を受ける度合いが強いなどの他産業と異なる特殊性を持っているということにかんがみまして、農家組合員の相互扶助を柱に、長期資金やあるいは運転資金など、農業者のニーズに対応した資金を低金利で供給していることから、地域農業の振興あるいは農業経営の維持、発展に不可欠なものと認識いたしております。
 しかしながら、一方では、農協金融は地域の金融機関として大変重要な位置にあるとともに、貯金を預かるという公共性を有するため、もし破綻に至ったとした場合に、貯金者である組合員はもとより、地域経済や農林水産業の振興に大変な影響を及ぼすことが懸念されます。このため、農協に対しましても、地銀などの他産業のいわゆる一般金融機関と同様に、平成11年7月に、当時の金融監督庁から示された預金等、受け入れ金融機関に係る検査マニュアルが適用されたところでありますが、農協が経営の透明性、健全性、信頼性を確保し、今後、事業を永続して行っていくためには、他の金融機関と同様の基準、尺度で資産の健全性を判断していくことは、今日の金融情勢の変化に的確に対応していくためにも、ぜひ必要なことと考えております。
 次に、森林組合の経営・合併問題についてでありますが、まず、森林組合の経営状況は、現在の林業・木材産業の低迷などから総じて悪化しており、その中でも製材それから加工事業等に取り組んでいる組合においては、木材産業不況の直接的な影響を受け、さらに加えて、合理化や販路拡大等が思うように進まない状況で、大変厳しい経営状況となっております。
 このような状況の中で、まずもって、森林組合自体が抜本的な経営改善を図るためには、組合役職員が一体となって販売の促進、あるいは事業コスト管理の徹底などにより一層の収益性を高めることや、不採算部門の厳しい見直しなど、これらについて十二分に行うことが必要であります。
 県といたしましても、経営不振組合の経営改善を図るため、これまでも低利資金の融資を行っており、今後におきましては、経営の改善に向けて計画策定の支援を一層強化し、さらにはその実効性を確保するため、森林組合、県、市町村、県森林組合連合会等が一体となった組織等をそれぞれの組合ごとに新たに設置し、多角的な見地に立った総合的な経営の改善が図られるよう、努めてまいりたいと考えております。
 次に、森林組合の合併についてでありますが、広大な県土を有する本県におきまして、森林組合が地域の森林整備と保全を担う主体としての役割を果たすためには、県内河川流域に着目した効率的な事業展開を図る必要があることから、県においては、現在、森林組合合併基本構想に基づき、平成22年度までに川上・川下一体となった五つの流域圏を単位とした広域合併を進めることといたしております。一部の流域圏においては、当面、地方振興局を範囲とする合併を前提に協議を進めているところでありますが、しかしながら、個々の組合の累積欠損金の解消がなかなか進まないことや、サービス低下への組合員の懸念などにより、現状は必ずしも進展している状況にはないことから、県といたしましては、関係機関と一体となって当該組合の経営改善を図るとともに、組合員に対する合併の必要性の普及啓発について、支援、指導を行うことなどによりまして、広域合併を推進してまいることといたしております。
   〔教育長合田武君登壇〕

〇教育長(合田武君) 開かれた学校づくりについてでありますが、心豊かでたくましい子供たちをはぐくんでいくためには、学校、家庭、地域社会が一体となって取り組んでいくことが必要であり、そのためには、学校が家庭や地域社会に積極的に働きかけを行い、保護者や地域の方々の協力を得るとともに、保護者等に学校の教育目標や活動状況を説明し、その意見を聞いて学校運営に生かすなど、開かれた学校づくりを推進していくことが重要であると考えております。
 このため、県教育委員会におきましては、社会奉仕活動や郷土芸能の伝承活動などによる学校と地域との交流の推進、地域の方々を講師とする授業の実施のほか、学校開放講座や学校施設の開放などにも積極的に取り組んでいるところであります。さらに、保護者や地域の方々の意向を十分に把握しこれを反映するとともに、その協力を得るために、学校評議員の設置を推進しているほか、有識者による開かれた学校づくり研究協力者会議を設置し、保護者や地域の方々の学校運営の参画のあり方等について調査研究を進めているところであります。
 来年度におきましては、完全学校週5日制が実施され、家庭、学校、地域社会の連携がこれまで以上に重要となってくることから、総合的な学習の時間における地域の特色を生かした教育の充実や、学校評議員のさらなる設置を進めるとともに、新たに外部評価を含めた学校評価に関する調査研究や、管理職を対象とする学校経営能力の向上を目指した研修を実施するなどし、開かれた学校づくりを一層推進してまいりたいと考えております。

〇議長(谷藤裕明君) 次に、佐々木俊夫君。
   〔49番佐々木俊夫君登壇〕(拍手)


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