平成14年2月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(及川敦君) 政和会の及川敦でございます。
 ただいまから、2月21日、本会議で行われました知事演述並びに平成14年度予算案、そして今後の県政課題等につきまして、昨年の12月定例会に引き続きまして、ただいまから粛々と御質問申し上げますので、知事演述で述べられました、失敗を恐れず、新たな可能性にチャレンジする意気込みで各執行部の皆さんには御答弁をよろしくお願い申し上げます。
 それでは最初に、県庁組織のあり方について2点、地方振興局の再編につきまして、そしてFF型行政組織の件につきましてお伺いいたします。
 まず、地方振興局の再編についてでありますが、地方振興局は、昭和61年に設置されて以来、地域における県の総合出先機関としてその機能を発揮してまいりました。しかし、この16年間に、社会経済情勢の変化や県民ニーズの多様化、さらには地方分権の進展等、地方振興局をめぐる情勢が大きく変化しております。その環境変化に対応し、十分にその機能を発揮できるよう今後取り組むことが必要でございます。
 そのためには、市町村への支援機能、広域的な調整機能のさらなる充実を図り、スケールメリットを生かしたダイナミックな地域施策を展開できるよう、地方振興局の内部組織や地方振興局全体の再編をも検討するべき時期に来ているものと考えております。
 今年度、本庁組織の再編も終えたことでありますし、次は地方振興局の見直しであると私は理解しておりましたが、去る2月22日、本年度最後の地方振興局長会議において増田知事は、1年後には地方振興局の組織のあり方を時代に合ったものに直したいと述べられたようでありますが、その基本的な考え方とスケジュールについて伺います。
 次に、FF型行政組織の導入についてであります。
 FF型とは、まずフラット──水平でフレキシブル──柔軟な形の略称でありますが、近年、地方自治体の組織のあり方として、目まぐるしく変化する社会経済情勢に迅速かつ的確に対応し、職員の企画立案や業務遂行の能力向上を目指してFF型行政組織は導入が進みつつあります。
 本県におきましても、平成13年度における組織再編から、水平な職制の導入として、各部の企画室における企画業務などについて、統一的に中間職を廃したフラットな職制を導入しております。弾力的な業務の遂行のためには、係とは別に設置しております主査制について、また、県民ニーズに対応した新規業務についても、所属長の判断による弾力的な業務の執行が可能となるよう、業務内容に応じて従来以上に大くくりな職制を導入いたしました。また、フレキシブルな組織の例では、プロジェクトチームのもりおか・BSE緊急対策プロジェクトチームなど、部分的にFF型行政組織を導入してきているものと承知しております。
 他県の動向で注目されますのは、また三重県でありますが、新年度から県庁の全組織から課を廃止し、市町村を含めても全国にも例がないというチーム制に移行し、課長補佐や課長、次長の中間階層をなくし、チームを統括するマネジャーに権限と責任を与えることとしておるようでございます。
 増田知事のFF型行政組織導入に関する県庁組織のあり方の中での体系的なビジョンをこれまで伺っておりませんので、この場におきまして今年度の運用状況も踏まえましてお伺いするものでございます。
 次に、昨日の佐々木順一議員も若干触れておりますが、角度を変えまして、競馬振興策について伺います。
 地方競馬は、長引く景気の低迷等の影響を受けまして、全国的にその売り上げは急激に落ち込み、平成12年度においては全国地方競馬主催者23団体のすべてが赤字決算で、今年度に入り、中津競馬、新潟競馬、宇都宮市営競馬が相次いで廃止、撤退を表明するなど、その深刻の度合いは一層増しております。
 このような中、平成13年度みちのくレース岩手競馬は、売上金額、入場人員ともに前年を上回るなど好調に推移したものと報道されておりますが、本県競馬は、不況の影響を強く受けている地域であることに加えて、多額の起債の償還を抱えているなど固有の事情もあることから、その経営はむしろ極めて厳しいのではないかと考えております。
 そこで伺いますが、平成13年度の開催成績をどのように評価し、また、平成13年度の岩手県競馬組合の収支見通しはどのように見込まれているのでしょうか。あわせて、岩手県競馬組合は、経営の改善に向けどのように対応しようとしているのかお尋ねいたします。
 さて、本年11月4日には、盛岡競馬場におきまして、全国地方競馬主催者が一丸となって発売等に取り組む我が国ダート競馬の最高峰、第2回JBC競争がいよいよ開催されます。このレースを成功に導くことにより、岩手県競馬組合の経営改善に大きく資することが期待され、このレースには全国から大勢のファンが来場することが予想され、本県の地域振興の点からも大変効果的なものと考えられます。このJBC競争を盛り上げていくために、県におきましても何らかの支援が必要と考えますが、御所見を伺います。
 次に、都市交通対策と並行在来線対策について伺います。
 平成14年は、東北新幹線の八戸までの延伸と、新たに出発するいわて銀河鉄道の開業と、交通施策上、大きな歴史的転換の年となります。そのような中、多くの県費を投入しスタートするいわて銀河鉄道の円滑かつ安定した経営には万全を期する必要がございますが、この路線には都市交通対策上も大きな期待が持て、そのためには周辺の環境整備も重要でございます。
 その一つの対策が、連結する他の鉄道網の利用活性化対策といわて銀河鉄道との接続性の改善などでございます。私は、現在、盛岡市内を通過しますJR山田線の利用促進等については、新駅の設置、ダイヤの見直し、オムニバスタウン計画との連結等必要と認識しておりますが、このことは、結果として都市交通対策上の渋滞対策やいわて銀河鉄道の利用促進にもつながるものと存じます。そのほかにも、田沢湖線についても大釜駅-盛岡駅間への新駅設置等が考えられるわけでございますが、公共交通機関の利用促進による都市交通対策といわて銀河鉄道の利用促進策について積極的に関係機関に働きかけることや連携した施策展開をすべきと考えますが、御所見を伺います。
 次に、いわて資源循環型廃棄物処理構想に定められました自県(圏)内処理原則について伺います。産業廃棄物の件でございます。
 岩手県循環型地域社会の形成に向けた制度的整備に関する研究会の報告書によれば、指導要綱により、他の都道府県からの廃棄物の搬入については事前協議制がとられているにもかかわらず、大規模な不適正処理事件が発生している。廃棄物の自県(圏)内処理原則を進める観点からも、搬入事前協議について条例による義務づけを検討する必要があるとございます。また、時澤環境生活部長は、昨年10月3日の環境福祉委員会で私が自県(圏)内処理に関して質問をいたしましたが、その際、廃棄物処理能力に限りがある現状から、本県で利用できないものを受け入れることによって発生する不適切な処理を未然に防止するという趣旨であり、廃棄物を再生利用するための施設整備とか、再生利用を促進する環境保全型産業を排除する趣旨ではなく、むしろ支援、育成するという考え方が根底にある旨、御答弁されております。現行で運用されております廃棄物処理に関する指導要綱の中では事前協議を求めてはおりますが、他県からの産業廃棄物搬入の際の受け入れ基準が明らかではありません。また、いわて資源循環型廃棄物処理構想においてもその基準がいまだに明らかではなく、適正処理を進め、環境保全型産業を県内で育成するためには、どのような県外からの廃棄物を認めていくのかといった明確な基準づくりがぜひ今後必要と存じます。
 御案内のとおり、香川県は昨年8月に、要綱により原則受け入れを禁止している県外産業廃棄物について、処理を認める場合の5項目の基準を明確に示しました。その基準は、環境汚染を起こさない、適切なリサイクル、積極的な情報公開、地元の理解が得られる、県内廃棄物の循環的な利用を促進するの5点であります。また、昨年11月には、香川県議会は、議員提案により県外産業廃棄物の取り扱いに関する条例を可決いたしました。県外産業廃棄物に関して罰金を盛り込んだ条例が成立したのは全国初で、1年以内に施行される見通しであります。
 本県では、現在、負担金を課すことなども検討されていることなどから、今後、私は同様に明確な基準をつくるべきと考えておりますが、御所見を伺います。
 次に、環境保全型産業の支援、育成のためのリサイクル製品認定制度の導入について伺います。
 改めて申し上げるべくもなく、資源循環型社会の実現のためには、資源を廃棄物化せずに再利用や再生利用をしていく環境保全型産業を民生部門の動脈産業として育てていくことが重要な課題でございます。リサイクル製品の開発、試作は全国で進んでおりますが、現在の法律体系の中では再生製品の製造にコストメリットがなく、バージン原料を使用したものより割高となるものが多く、また、品質に対する信頼度も低いことから商品化が足踏みしている難しい状況にもございます。この法律体系のすき間を埋めるべく、全国の11府県では、府県の認定によりいわばお墨つきを与えることで付加価値を高め、廃棄物の減量化やリサイクルの促進につなげるねらいでリサイクル製品認定制度を導入しておりますし、リサイクル製品の優先購入を条例で定めた三重県の施策などもございます。
 本県内でもさまざまな再生資源利用製品が開発、販売されつつありますが、県内で製造される再生製品により商品価値を高めることなどを進める施策が必要と考えますが、本県における今後の取り組みについて伺います。
 次に、エネルギー政策に関して伺います。
 知事演述では、環境首都実現に向けた平成14年度の取り組みの決意を改めて伺ったところでありますが、私は、新エネルギーの利活用を進めるとした施策の具体について、国などの動向を踏まえ、以下伺います。
 現在、国会においては、与党3党がエネルギー政策基本法案を国会に提出し、現在審議されております。同法案は、エネルギー安定供給の確保と地球環境保全を今後の施策の基本に位置づけるとともに、電力などエネルギー自由化にも前向きに対応する方針を打ち出しております。政府にはエネルギー基本計画の策定とエネルギー白書の発行を義務づけ、地方公共団体の責務として、政府の基本方針に沿って政策を進めるよう定め、環境への負荷が少ない物品を優先的に購入するグリーン購入も促しております。また、新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法施行令の一部改正が本年1月25日に施行され、バイオマスと雪または氷を熱源とするものが新エネルギーとして新たに加わり、バイオマスと雪氷をエネルギーとして利活用する際には、今後さまざまな支援措置を受けられることにようやくなりました。
 本県は、これまで平成10年に策定された岩手県新エネルギービジョンを2010年まで展望し、新エネルギー導入の指針としておりますが、国の動向などさまざまな環境変化に対応すべく、岩手県新エネルギービジョンの一部見直しなど、本県として新エネルギーの導入促進のための基本姿勢をいま一度再構築していくことも肝要と思いますが、基本的な考え方と今後の具体的取り組みについてまず伺います。
 具体の施策について伺いますのは、木質バイオマスと夜間電力の活用策であります
 まず、木質バイオマスについてでありますが、政和会としまして、昨年の予算特別委員会の総括質疑で私が、また、5月にはスウェーデンのベクショー市に4人の議員による現地の調査、そして、昨年6月定例会では飯沢匡議員が質問するなど、当局に対しまして岩手型木質バイオマス利用の積極的な提言を行ってきたところであり、また、佐々木大和議員等もこれまでさまざまな角度から御提言をされてきておりますが、これまでの議会におきます質疑の経緯も踏まえてお尋ねいたします。
 昨年6月定例会で飯沢議員は、1点目に、県立施設での木質バイオマスの導入プランの有無について、2点目は、地域暖房計画をモデル設置して行うことについて質問しましたが、本県を木質バイオ基地の建設という大きな夢を持って施策展開をしていただきたい旨、提言があったところでございます。その際、佐藤農林水産部長は、基本方針を策定するための検討委員会を発足したこと、林業技術センターで地域別の資源供給可能量の調査や木質燃料としての仕様基準に関する調査に着手していること、12月を目途に基本方針を定めること、木質バイオマス活用計画を策定し、県の施設でモデル的に実証を検討することなど御答弁されております。
 そこで伺いますが、木質バイオマス資源活用検討委員会で行ってきた検討の概要、12月を目途に策定するとしていた基本方針並びに林業技術センターが行った地域別資源供給可能量の調査等の結果について、これまでの取り組みと今後の計画についてお知らせ願います。
 次に、夜間電力の活用策についてであります。
 発電ピークをカットすることでの効率化などの観点から、蓄熱式などの空調システムの導入の動きが全国で広がっております。このシステムは、夜間電力で蓄えた熱エネルギーや電力を昼間の空調用エネルギーとして活用するもので、そのメリットは、環境施策の面でも省エネやCO削減の効果があり、利用側にも電力料金の低減などさまざまな点から大きなメリットがございます。本県でも県立総合教育センターに導入をするなど、その動きが広がっております。また、東京都では、蓄熱式ではなく、次世代の大容量電池のNAS──ナトリウム硫黄──電池を下水道局の葛西処理場で昨年末から全国で初めて稼働させ、試算によれば年間2、500万円の電力コスト低減が期待されております。また、新年度から都立高校で稼働する動きもあるようでございます。
 夜間電力の活用策については、本県エネルギー施策の中において位置づけがいまだないところでありますが、新エネルギーの導入とあわせ、夜間電力活用策について位置づけを明確にするべきと考えますが、御所見を伺います。
 次に、県立大学の今後のあり方についてお伺いいたします。
 大学を取り巻く環境は、平成10年4月の県立大学開学以来大きく変わりつつあることは御承知のとおりであります。特にも、国立大学の法人化や統合再編の動きに対しては、岩手県立大学も開学後間もないものの、社会情勢に迅速かつ的確に対応していく必要があります。
 公立大学協会は、昨年11月に公立大学の法人化を可能とする法律の整備を求めると発表しております。公立大学協会としては、国立、私立との競争での生き残りをねらいとしており、この動きの中で、東京都立大学が法人化の方針を固め、大阪府立大学は検討を進めております。
 本県においては、極めて厳しい財政状況の中にあっても人材育成は非常に重要な県政課題であり、県としてもある程度人材育成に貴重な財源を投資していくことは必要と存じますが、長期的視点に立った場合には、聖域をなくし、県立大学の法人化など、県の投資額の縮減についても検討を進める必要があると考えておりますが、県立大学の今後のあり方についてどのように考えていらっしゃるのか、法人化と国立大学の統合の動向を踏まえてお伺いいたします。
 次に、今定例会でもたびたび取り上げられておりますが、教育問題について伺います。
 国民の政策課題への関心事の上位には必ずと言っていいほど教育問題が挙げられます。日本人の教育に対する情熱の強さがこの国の強さであり、基盤であると私は認識しており、今回の一般質問では、改革真っただ中のこの教育問題について、以下、伺います。
 1点目は、学校週5日制に伴う諸課題についてであります。
 ことしの4月からの新制度は、これまでの学校のあり方を大転換するものでございます。しかし、円周率は3と教えることの是非を象徴といたしまして、授業時間数や教育内容の削減によって児童生徒の学力が低下するのではないかという懸念がまことに国民の間には根強く、そのためか文部科学省は、その措置策として、1月17日に確かな学力の向上のための2002アピール「学びのすすめ」を発表し、子供の理解度に応じた授業展開などを徹底するように求めております。この中で文部科学省は、指導に当たっての重点等を明らかにした五つの方策を示しました。一部からは、この対応について、ゆとり路線から学力重視への事実上の変更方針として、従来の知識量重視の教育の弊害からゆとり教育へ変更し、ゆとり教育への変更の弊害が懸念されることからまた今回学力重視へと変更、全く腰の定まらぬ改革との批判の声もございますが、その論評の是非はともかくも、新制度は4月に始まるわけでありまして、スタートは待ったなしでございます。
 対応策として、本県がとられる予定である学習到達度調査、習熟度別学習などの個々具体の対応については別途予算特別委員会等において詳細にお伺いすることとしますが、まず、県教育委員会には、このような状況のもと、理解が進んでいるとは言いがたい教育現場や家庭に混乱が起きないように毅然として万全の対応をしていただきたいと強く要望を申し上げる次第でございます。学校週5日制等の実施に関しましては、何よりも新制度に対する家庭等の理解が必要でございますが、これまでどのような広報をとられてきたのか、これまでの対応と今後の取り組みについて伺います。
 2点目は、開かれた学校づくりと学校の特色化に関して、学校長などへの民間人登用についてでございます。
 これまで、教師とは聖職であると認識されてまいりました。それは、次世代の人材育成を教育現場において一手に担うという重要な使命があるからであり、それゆえに深い敬意を持って先生と呼ばれてきたのであります。しかし、近年たびたび指摘されるいわゆる問題教師の存在が、まことに残念ながら学校教諭に対する信頼感を失わせ、教師の改革の必要性が長年にわたり議論されてきたのであります。
 本県ではこれまで、教員採用に当たって集団面接や模擬授業を実施、面接員に民間人を起用、スポーツ特別選考、芸術特別選考、特別な資格を有する社会人に対する特別選考試験、また、社会経験豊富な人材を確保するために受験年齢制限を45歳未満に緩和するなど、さまざまな工夫改善を行い、多面的な選考を行い、実践的指導力を持つ教員の採用に努められてきたものと理解しており、その取り組みを多とするものでございます。今後も引き続き、聖職である教師には、ぜひとも真に先生と呼ばれるにふさわしい人材の登用に努めていただきたいと切に願うものでありますが、まず、これまで取り組んでこられた教員採用での多面的選考の率直な評価と今後の取り組みについてお知らせ願います。
 また、関連しまして、学校経営を担う県立高校長等への民間人の登用についてはどのようにお考えでしょうか。御承知のとおり、学校教育法施行規則の改正により、教員免許、教職経験がなくても校長、教頭に幅広く人材を確保できるようになり、これまで東京都や大阪府など1都1府2県で公立学校長を民間から登用しております。これらは経済団体の推薦を受けた人材であるようでありますが、奈良県では、組織経営などのすぐれたリーダーシップ、柔軟な発想と企画力、教育に関する識見と情熱をあわせ持った人材を求め、県立高校長を一般公募するとして全国初の取り組みを始めたようであります。
 教育改革の中で求められるのは、開かれた学校づくりや学校の特色化であります。学校長への民間からの人材登用は現況への刺激剤になり、実社会のノウハウを進路指導、人事管理に生かせるという期待もでき、学校の活性化にもつながるのではないでしょうか。しかし、導入に当たっては課題も多いものと存じますが、教育委員会の御所見を伺います。
 以上をもって私の壇上からの一般質問は終わりますが、なお教育問題について再質問する予定でございますし、答弁次第によっては他の項目についても再び伺いますので、よろしく御答弁を願います。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 及川敦議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、地方振興局の再編についてでございますが、私は、地域や生活者の視点に立った住民本位の地域経営を展開していくためには、県民の皆さん方が身近なところで必要なサービスを受けることができて、また、地域の実情をより把握している現地において課題に対応できるように、地方振興局の自己完結性を高めることが重要であると考えております。こうした考え方に基づきまして、これまでも地方振興局の体制整備を図ってきたところでございますが、今年度、本庁組織を再編いたしましたことから、その効果検証も踏まえて現場主義の立場に立って、改めて本庁と地方振興局、それぞれの役割分担を明確にして、時代の変化に適切に対応し得るよう、内部組織全般にわたる見直しを平成15年度の実施に向けて進めてまいりたいと考えております。
 この見直しに当たりましては、地域経営の戦略的拠点としての機能や、県民サービスの総合センターとしての機能の充実を図るとともに、市町村の地域経営の展開を支援・調整する機能などを一層高めていきたいと考えております。その場合、最も重要なことは、各地方振興局が、地域における課題解決や個性を生かした地域づくりに十分貢献することができる体制を整備することでございまして、必ずしも全地方振興局を画一的な体制にする必要はなくて、それぞれの地域の特性に応じて、特定の分野に重点を置いた特色ある組織体制を構築するという観点も含めて見直しを進めてまいります。
 また、所管区域なども含めた地方振興局全体の再編につきましては、生活圏域の拡大や、市町村合併などの行政の広域化に向けた市町村や地域の動向を十分に踏まえることが必要でございまして、住民や市町村の意見も把握しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、FF型行政組織──フラット・アンド・フレキシブル型行政組織の導入についてでございますが、時代や環境の変化に即応して、さまざまな行政ニーズにこたえた行政運営を図るためには、その推進基盤である組織体制を不断に見直し、その機動性や弾力性を確保していくことが極めて重要であると考えております。本県では、これまで、スタッフ組織である主査制の拡大を初めとして、プロジェクトチームや臨時暫定的な組織の設置、それから業務支援体制制度の活用によりまして、柔軟で迅速な行政運営に努めてきたところでございます。
 今年度の本庁組織の再編に当たりましても、施策の成果や質をこれまで以上に重視した目的遂行型の行政体制を整備したところでございますが、政策・企画部門を中心に、組織の階層を少なくするフラットな職制を導入することによって、政策や個々の施策の意思決定の迅速化が図られつつあるものと考えております。
 また、一方で、社会貢献活動の促進、新産業の推進などの重点的な課題を処理するための専任ポストを設置するなど、明確な目的と責任のもとで、柔軟に対応できる組織づくりに積極的に取り組んだところでございます。
 激変する社会経済情勢に機敏に対処していくためには、現状や前例に固執することなく、その時々で最適と考えられる組織編成や人員配置を図って、よりスピードや機動性を高めていくことが必要でございますので、例えば、新たな試みとして緊急かつ優先的な対応が求められる課題が発生した場合におきまして、従来の組織の枠組みの外に、責任と権限を明確にした課題解決のための専担組織を設置することなども検討しながら、引き続きフラットでフレキシブルな組織の拡大を図って、組織全体の活力やパフォーマンスの向上に努めていきたいと考えております。
 次に、都市交通対策と並行在来線対策についてでございますけれども、この都市交通においては、マイカー利用の増加による交通渋滞、そして環境問題や交通安全の確保など解決すべき課題がございまして、こうした課題の解決のためには、公共交通機関の一層の利便性の向上や活用などが大切であると考えております。県では、県内各市町村からの要望を踏まえて、JR東日本に対し、東北新幹線や在来線のダイヤ改善などについて要望を行っているところでございまして、さらに盛岡市のオムニバスタウン計画に対して必要な支援を行っておりますほか、バス事業者によるスロープ付低床バスの導入を奨励するなど、公共交通機関の利便性や快適性の向上に努めているところでございます。
 また、いわて銀河鉄道におきましては、列車の増発、新幹線やJR在来線との接続を考慮したダイヤ設定を検討していると聞いているわけでございますが、県でも沿線市町村と連携をして、住民の利便性の向上を図るために、このいわて銀河鉄道における新駅の設置や路線バスとの接続改善を促進するなどによりまして、利用拡大に結びつけていきたいと考えております。
 今後も、鉄道やバスなどの公共交通機関相互の利用が促進をされるように、関係機関が連携を図りながら、都市交通の抱える諸課題の解決に努めてまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔農林水産部長佐藤勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐藤勝君) まず、岩手県競馬組合についてでありますが、岩手競馬は1月14日をもって平成13年度126日間の全日程を終了したところでありますが、宮城県では初めての場外発売施設テレトラック三本木の開設、九州の佐賀競馬、それから熊本県の荒尾競馬との姉妹提携による連携相互発売などの振興策の効果もありまして、入場者数は岩手競馬発足以来最高の230万人を記録いたしました。発売額におきましても、前年度対比106%の457億円と、4年ぶりに前年度を上回る成績となったと伺っております。
 中央競馬を初め、他県の地方競馬の多くが景気低迷の厳しい環境のもとで売り上げ不振に悩んでいるわけでございますが、岩手競馬は全国的にも健闘を見せたのではないかと考えております。しかしながら、不況の影響と大衆化によりまして、1人当たりの購買単価が前年対比で83%と大きく落ち込んだことや資産売却のおくれなどもありまして、平成13年度の競馬組合の収支は大変厳しい状況にあると聞いております。現時点での収支見通しでは、単年度で30億円前後の赤字が見込まれると伺っております。
 競馬組合におきましては、事態を大変厳しく受けとめておりまして、現在、収支改善に向けて新年度事業計画の策定等に鋭意検討を加えているところでありますし、また、一層の経費の縮減を図るとともに、他の地方競馬とも連携しながら、実効性のある増収策を図る考えと聞いております。
 特にも、平成14年度におきましては、ジャパン・ブリーディングファームズ・カップ、いわゆるJBC競争が昨年の大井競馬場での開催に次いで本年11月4日、盛岡競馬場において開催されることが決定されております。競馬組合におきましては、このJBC競争を岩手競馬のさらなる振興への足がかりにしたいということに期待しておるところであります。
 県といたしましても、全国各地から来県する多くの方々が、岩手のすばらしい風土や自然、岩手の味覚などを十分に堪能していただく絶好の機会だと考えておりますので、競馬組合や構成団体である水沢市、盛岡市などとも連携しながら支援してまいりたいと考えております。
 次に、木質バイオマスの活用策についてでありますが、平成13年の6月に木質バイオマス資源活用検討委員会を設置いたしまして、ここで本県における利用可能な資源量や生産・供給システムなどについて検討していただきまして、その結果を受けて、地域で得られる資源を地域の中で用いる地産地消のエネルギー利用、熱、電気などの多様なエネルギーへの利用、木質燃料の生産・供給インフラの地域内整備、エネルギー利用の需要開拓、木質燃料の流通確保、木質燃料をエネルギー変換させるシステム等のエネルギー関連事業の地域内創出などの項目からなる基本方針を定めたところでありますす。
 また、林業技術センターが行った木質バイオマス資源供給可能量等の調査におきましては、間伐時に発生する林地内の未利用資源は、その3分の1以上が低コストで利用可能な土場残材となっていること、あるいは輸入ペレットストーブを使用して行った木質燃料の仕様基準に関する調査では、樹皮ペレットを使用した場合には、木質ペレットに比べて残灰量が5倍から10倍程度になる。それからクリンカ──これはガラス状の物質ですが──クリンカーの発生によって、十分な燃焼ができないことなどについて明らかになったところでありますが、県といたしましては、これらの調査結果をも踏まえまして、今後、林業技術センターにチップボイラーを導入し、重油ボイラーとの経済比較や自動供給可能なチップの形状、含水率の違いによる発熱量の調査などを進めるとともに、関係部局が連携いたしまして鋳物を活用した岩手型のペレットストーブの研究開発、小規模コージェネレーションシステムの調査を行うなど、総合的な木質バイオマスの活用対策に積極的に取り組むことといたしまして、あわせて市町村が進めております木質バイオマスエネルギーの利活用に対しても強く支援していくなど、その利用の推進に努めてまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長時澤忠君登壇〕

〇環境生活部長(時澤忠君) まず、廃棄物の自県(圏)内処理の原則についてでありますが、本県では要綱を定め、県外からの搬入については、資源化、再利用の場合以外は、原則としてすべて自粛するよう協力を求める、という指導をしておりまして、セメントの原燃料としてのばいじんや廃プラスチック類などに限り、搬入を認めているところであります。しかしながら、全国的な産業廃棄物最終処分場の逼迫を背景としまして、本県でも、県外からの産業廃棄物による不適正処理事件が発生しておりまして、要綱による事前協議だけでは限界がありますことから、事前協議の義務化や搬入負担金の制度化について、昨年10月に設置した循環型地域社会の形成に関する条例整備懇談会において検討をお願いしているところであります。
 県といたしましては、今月中に予定されております答申を得た上で、従来からの観点ばかりでなく、循環型地域社会の形成という観点も視野に入れまして、搬入の際の基準づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
 具体的には、廃棄物を発電や熱回収のための燃料として活用するいわゆるサーマルリサイクルを進める必要があるなどとの認識から、現行の取り扱いを原則としつつ、環境保全型産業の育成・支援のために適当と認められること、不適正処理のおそれのないこと、廃棄物処理に関する信頼性、透明性が確保されていることなど、一定の範囲内で県外廃棄物の搬入を認めることも検討する必要があると考えております。
 次に、環境保全型産業の支援・育成のためのリサイクル製品認定制度の導入についてでありますが、循環型地域社会を実現していくためには、廃棄物の発生抑制やリサイクルを通じた途切れのない物質循環の環を構築する必要があります。しかしながら、リサイクルに目を向けた場合、廃棄物を再生利用したリサイクル製品は、価格及び品質への信頼性の面で、市場での評価がなかなか得られにくい状況にありますことから、製品の信用を高め、市場で流通しやすい仕組みをつくることが重要であると認識をしております。このため、廃棄物を再生資源として県内で生産された建設資材、間伐材を利用した木製品などのリサイクル製品を一定の基準のもとに、県において認定する制度を平成14年度に創設することといたしております。この制度により認定されました製品につきましては、県が優先的に購入または使用するよう努めるほか、県民、事業者、市町村等にも広く推奨してまいりたいと考えております。このことにより、リサイクルなどの静脈部分と生産、流通、消費という動脈部分との環をつなぐ産業システムの構築が図られ、本県の環境保全型産業の育成に資するものと考えております。
 次に、エネルギー政策についてでありますが、自然エネルギーなど、クリーンで再生可能なエネルギーの導入促進とエネルギー使用の効率化、高度化を図る取り組みを、行政と県民のパートナーシップのもとに推進することが、本県のエネルギー政策の基本であると考えております。こうした認識のもと、これまで県立美術館などへの太陽光発電、県環境保健研究センターへの地中熱利用ヒートポンプシステムの導入、浄法寺町稲庭岳への県営風力発電所の建設を行ったところでありますし、さらに、来年度は林業技術センターにチップボイラーを設置し実証調査を予定するなど、県施設への率先した導入に努めているほか、大型風力発電所やバイオマス資源活用の計画など、市町村や民間事業者による新エネルギー導入に向けた準備や取り組みも着実に進んでいるところであります。
 県といたしましては、ビジョン策定後の新エネルギーをめぐる法制度や技術開発等の環境変化、これまでの取り組みの成果や課題等を踏まえまして、本県の新エネルギー導入の新たな基本政策を構築してまいりたいと考えております。
 この政策の検討に当たりましては、県民の皆様や関係者の御意見を十分に伺いながら、新エネルギーの導入促進に向けて、より実効性の高いものとなるよう配慮してまいりたいと考えております。
 次に、夜間電力の活用策についてでありますが、夜間電力を蓄熱等に活用する電力負荷平準化対策は、国が平成10年度に決定をいたしました地球温暖化対策推進大綱において、今後、推進を図る対策の一つとして盛り込まれているものであります。県におきましても、平成11年度に策定をいたしました環境基本計画において、促進を図るべきものとして夜間電力使用を掲げたところであります。今年度策定する地球温暖化防止県民行動計画におきましても、取り組むべき対策の一つとする予定であります。
 なお、この間の県内の導入状況を見てみますと、公共施設やオフィスビルなど民生部門を中心に導入されておりまして、平成13年度末見込みで39件で導入予定というふうになっております。
 今後、先ほど申し上げましたエネルギーの基本政策の検討におきましても、導入を図るべきエネルギー使用方針として位置づけるとともに、来年度策定予定の省エネルギービジョンに具体的に盛り込みまして、その着実な推進を通じ、一層の普及に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔総務部長小原富彦君登壇〕

〇総務部長(小原富彦君) 県立大学の今後のあり方についてでありますが、県立大学は地域社会の諸課題に対応できる優秀な人材の確保・育成を目的として、学際的領域重視の教育研究、実学実践重視の教育研究、地域社会への貢献などを基本方向に掲げて、学長の指導性の確立、教学部門と管理運営部門の意思決定機関の分離により効率的な運営を図るなど、従来の大学のあり方を変える特色ある試みを取り入れながら、大学運営を進めてきたところであります。
 こうした中、国においては、大学の自主性の拡大や教育研究基盤の整備による足腰の強化などのため、国立大学の法人化や再編・統合などの大学改革の方向を打ち出したところであり、法人化については国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議、この最終報告が近く公表される見込みであり、公立大学協会において法人化問題特別委員会を設置するなどの動きが出ているところであります。
 県といたしましては、国立大学と県立大学とでは教員の身分関係や財務制度が基本的には同じであるというふうな共通点がある一方、地域とのかかわりなどにおいて異なる点もありまして、このような国の改革の動向やあるいは他の公立大学の状況を注意深く見守っていく必要があるものというふうに考えております。
 現在、県立大学は、厳しい就職状況のもとにあって、第1期卒業生の卒業予定者に係る2月末現在の就職内定率が89.7%となるなど、高い評価を得ているところでありますが、今後とも、財政的な効率性に十分配慮しながら、より高度な教育研究の実現、産学連携の強化、岩手大学を初めとする県内5大学の連携など一層の取り組みを進め、建学の理念に基づき、地域社会に貢献できる大学を目指してまいりたいと考えております。
   〔教育長合田武君登壇〕

〇教育長(合田武君) まず、完全学校週5日制についてでありますが、完全学校週5日制は、学校、家庭、地域社会がそれぞれの教育機能を十分発揮しながら、一体となって子供たちがみずから学び、みずから考える力等の生きる力をはぐくむことを目指し実施するものであります。また、新学習指導要領は、完全学校週5日制のもとで教育内容を厳選し、すべての子供たちに基礎・基本を確実に身につけさせることをねらいとするものであり、これらの改革を円滑に進めていくためには、教育関係者はもとより、保護者や地域の方々の理解と協力が必要であると考えております。
 このため、県教育委員会といたしましては、教育関係者に対しては、すべての学校を対象に、完全学校週5日制や新学習指導要領についての説明会を平成11年度から計画的に開催してきているほか、全教職員に毎月配付する広報紙教育情報いわてを通じ、その趣旨・内容の徹底を図ってきたところであります。また、保護者に対しては、各学校が、学校だよりや懇談会等を通じ、完全学校週5日制の趣旨等について十分説明するよう指導してきたほか、今年度新たに発行した教育広報紙はばたけいわてっこを、県内すべての幼児児童生徒の保護者に約20万部配付し、現在行われている教育改革のねらいや内容等について広く周知を図ってきたところであります。
 今後につきましては、完全学校週5日制等の円滑な実施に向け、年度内に再度、各学校等に対して全教職員への趣旨の徹底を図るとともに、保護者向け教育広報紙を発行することとしており、さらに来年度以降も引き続き各市町村教育委員会及び各学校を指導するほか、各種広報媒体を活用し、保護者や地域の方々の理解と協力が得られるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、教員採用についてでありますが、議員御指摘のとおり、本県においては教育に対する情熱と使命感、豊かな人間性と思いやりなどを基盤とした実践的指導力を持った人物を採用するため、人物重視の観点から多面的な選考を行ってきたところであります。その中で、例えばスポーツ・芸術特別選考で採用した教員は、生徒の競技力の向上や創作意欲の高揚に貢献してきており、また、年齢制限を緩和することにより、受験層の拡大を図った結果、すぐれた能力を持った人材や豊かな社会経験を有する人物を採用することができ、児童生徒に好影響を与えるのみならず教職員間にも刺激をもたらし、学校・地域間の活性化に大きな役割を果たしているものと考えております。
 また、今年度、新たに社会人特別選考試験を実施いたしましたが、採用予定者の高い専門性と実践的指導力は、生徒の社会性や職業観の育成に役立つものと期待しております。この社会人特別選考につきましては導入したばかりでありますので、実際、学校に配置した後の指導状況や学校活性化に果たす役割等を多面的に検証しながら、今後は、中学校への導入や高等学校における募集教科の範囲等についても検討してまいりたいと考えております。
 なお、スポーツ・芸術特別選考につきましても、特定の教科種目や芸術科目等の指定について検討するとともに、一般選考につきましても面接等について工夫・改善を加え、なお一層、人物重視の選考に努めてまいりたいと考えております。
 次に、県立高校長等への民間人の登用についてでありますが、特色ある教育活動の展開や開かれた学校づくりのためには校長がリーダーシップを発揮し、地域や学校の状況、課題等を的確に把握しながら教職員の意欲を引き出し、組織的・機動的な学校運営を行うことが求められております。したがって、組織運営に関する経験、能力に着目した場合、民間人を登用することは、その民間で培った知識や経験、マネジメント能力などが学校運営に生かされることから、人材確保の有効な方策の一つと考えられます。しかしながら、導入に当たっては、本県の教育の実情、地域の学校の状況等を踏まえてどのような選考方法が適切か、あるいはどのような学校が適しているかなど、さまざまな課題があると考えられることから、実際に登用している県や登用を予定している他県の状況等を参考にしながら、今後、調査・研究してまいりたいと考えております。

〇1番(及川敦君) それでは再質問します。
 それぞれまず御答弁ありがとうございました。答弁に対していろいろ伺いたいわけでありますが、時間もございますので絞って再度質問したいと思います。
 再質問の内容は、教育問題に関連してであります。今、御答弁で、教育長さんからさまざまございましたが、特に開かれた特色ある学校づくりについては引き続き御検討賜りたいと。今、場内からは、県議会議員から校長を出せというような話もありましたけれども、幅広く課題もあると思いますので、検討していただければと思います。
 きょう、私、再質問でぜひとも取り上げて皆さんに注意というか関心を持っていただきたい意味もあって1点取り上げますのは、ADHDという子供です。注意欠陥多動性障害と言われる子供に対する対応であります。これは私も最近まで実は知らなかったんですが、単に落ち着きのない子供というような見方をしておったんですが、そうではなくて、原因は未解明のようでありますけれども、脳に障害が少し出て、神経伝達物質がきちっと伝達しないということで、その結果、自己中心的な振る舞いをしたり、自閉症になったような形での多動があり、症状としてなかなか判別が難しいようですが、一応ADHDという病状のような形で認定されているようであります。その数は、いろいろ私も調べさせていただいたんですが、全国の児童の3%から5%いるということで、私も幼稚園とか学校の現場を回りまして先生にいろいろ聞きますと、やっぱり実感としてふえているのではないかと、そのようなコメントをされる方が多うございました。3%から5%ですから、この議場がもし学校のクラスであれば、3人ぐらいADHDと言われる子供さんが実際にいるようであります。
 では、一体何なのだということで、何が問題かということでありますが、リンカーンとかエジソンもADHDだったのではないかということで、褒め言葉だから余り気にするなと言う人もいるようですけれども、実は問題は非常に深刻でありまして、わかりやすく事例を一つ紹介しますが、あるお母さんのところに娘さんがいたようであります。その娘さんがADHDと診断されるまでには実に3年間かかったようであります。最初、この子供は、ひとり言や夜泣きをする行動が目立ったのが2歳のときから。幼稚園ではそういう状況でありましたので、いじめに遭って不登園になって、お母さんが保健婦さんとか児童相談所、小児科医等に相談したようでありますが、子供は元気なものですよという激励をされて、また逆にそのお母さんは育児方法をいろいろ責められたり虐待を疑われたりもしたようであります。そして、5歳のときに初めてやっと専門家の指摘でADHDと診断をされて、投薬治療というのが今あるようでして、薬を飲むと落ち着きが出てくるというようなこともあって、その子供さんは今小学校6年生で、普通に学校で無事勉学にいそしんでいるようであります。
 また、ADHDの生徒さんがいる学校の話を聞いてきたんですが、学校の教室での勉強に対して著しく嫌がると。教室の中にいたくないということで、常に外に出て動物とかと遊びたがるということで、教員以外の職員の方がつきっきりで何年間もその子供さんの面倒を見たという実例もあるようでございます。
 こういった児童が3%から5%と。本当にそれぐらいいるのかなとちょっと私は疑問なんですが、日本の対策は欧米なんかに比べると20年ぐらいおくれているという文献も私は読ませていただきました。アメリカは1970年から取り組んでいるようでありますが、それに比べて20年以上日本はおくれていると。きちっとした指導方法もまだ確立していないと。そのような状況の中で、例えば文部科学省の資料の中にもありましたけれども、例えば学校の教育現場で、先生がADHDだという子供の認識が足りないものですから、その子供さんのしつけが足りないのではないかとかやる気がないという誤解をして指導しているケースもあったと、文部科学省の報告にもこのように出ておりました。厚生労働省も昨年9月からようやく全国調査をやられているようでありますし、文部科学省もようやく全国的な調査に取りかかっていると。特殊教育のあり方に関する調査研究協力者会議の中でも、こういった問題については、学校の先生の専門性を高めることとか、国民一般に理解を求めること、ADHDだという子供さんの判断基準を明らかにする、また、指導方法等についてもきちっと検討するというようなさまざまな検討課題についても報告があるようであります。
 私も依頼調査しまして本県の対応について伺いましたが、県立総合教育センターで研修講座をやられているようでありますし、教育相談でも対応しているようでありますが、いま一度、私も不勉強だったかもしれませんけれども、ADHDの子供さんが非常に多くいるしふえてきている、こういった問題について教育委員会の認識を、できれば関山部長にも聞きたかったんですけれども、きょうは教育委員会にまずお聞きしたいと思います。詳細については、委員会もございますので、そちらで伺います。
 今年度の事業の中で、少人数支援のために臨時教職員を約500人配置するという事業がこの議会に提案されております。その中で、例えば1年生のすこやかサポート事業については118人配置されるようでありますけれども、この配置基準、報道を見る限りでは、配置される学校は、例えば1学級が30人を超える多人数の学級を有して少人数指導等の充実を推進する小学校が対象となっているようでありますが、今、私がるる申し上げましたこういうADHDの児童さんを初め、今、特殊学級在籍数が非常に多くなってきているとか、通級指導対象児が多くなっている、高機能自閉症児、また、学習障害児──これはLDと言うようでありますけれども──、こういった子供さんが非常に多くなってきている。学校の現場は非常に大変なようなんですね。そういった点もございますので、今年度予定しているこの事業について、特別な教育的ニーズを要する児童生徒への対応という意味で、増員加配する場合に十分理解を示した上で、先生を配置する場合にこういった問題も含めて検討していただきたいと強く念願しておるわけでございますが、御所見を伺いたいと思います。

〇教育長(合田武君) 今の議員からの御質問、大きく分けて二つあったかと思いますけれども、一つは、いわゆるADHDに関する県教育委員会の対応と、それから、それに対する教員の配置──増員ということだと思います。
 今、議員御指摘のとおり、近年、学校や医療機関におきましてはそれぞれ注目されてきておりますけれども、まだADHD、いわゆる注意欠陥多動性障害児の定義あるいは判断基準、そして指導方法については日本の国では明らかにされておりませんので、現在、文部科学省におきましても検討中であります。
 しかしながら、現実的には学校などから、著しく落ち着きがない、あるいはわずかな時間でもじっとしていられない、そういう相談が多数あります。本県におきましても、ADHD傾向の児童生徒の対応については新たな教育課題であると認識しております。
 こうした課題に適切に対応するため、今年度、ADHD児などの児童生徒の教育を充実させるために、県庁の教育委員会の事務局の組織体制を変えております。従来、県立学校課の特殊学校班というのがありましたけれども、今までの特殊学校という定義より、先ほどお話ありましたけれども、学習障害とか、このADHDも入れて特別支援教育班という形で組織体制を変えました。もちろん県立総合教育センターにおきましても、従来、養護学校、盲聾学校という特殊学校だけを中心としていましたけれども、概念を少し広げまして、学習障害児とか、あるいは今お話しのADHD児を対象にするために特別支援教育相談室と変えて、対象をやや広くしております。そういう取り組みを現在やっておりますけれども、では、まだ定義も何もわからないうちにどうやっているんだと疑問を持たれるかもしれませんけれども、それは、先行的に研究が行われている欧米の事例を今のところは参考にしております。参考にしながら教員の研修をレベルアップしようと、今、現実的にはそういう対応です。
 また、学校に対していえば、ADHDは、先ほどの欧米の事例の研究からいうと、気が散りやすい、そういうふうに一般的な現象面が見られると。そういう関係から、授業においては座席を中央に置く、そういう対応。あるいは、ADHD児は、聴覚よりも視覚の方に集中力があると。そういう意味で、授業をやるときには目で見てわかりやすい材料を使用する、そういう工夫を、実は欧米の事例に基づいて現在応用しながら研修等現場で対応していると、こういう状況であります。
 今後の取り組みは、今までやったようなちょっと先取りの形で、まだ的確な判断やなんかありませんから、具体的にどうやるかと言うことはできません。試行錯誤しながら研修と教員のレベルアップをやっておるんですが、今後は、今までのそういった研修を引き続きながら、今までのような特殊支援というよりも、概念を縮めてADHDの傾向の指導に焦点を当てた研修を来年度から始めたいと考えております。
 ADHDを早期に発見するのにやっぱり一番いいことは、幼稚園から小学校に来るときの連携ですね。学習指導要領を、小学校にあってその連携を密にすることが早期発見の一つのポイントだと思います。そういうわけで、市町村教育委員会と幼児期から連携いたしまして教育相談の充実を図りたいと、こう考えております。
 次に、教員の充実でございますけれども、今年度──14年の1月からですか──、既に緊急地域雇用創出特別基金を活用して、非常勤職員を小・中学校76校に配置しております。そのうち40校においてはADHD傾向児童を初めとする特別の指導を要する児童生徒に対する支援の取り組みのための配置であります。来年度はこの非常勤職員の配置を大幅に拡充いたしまして、県の直接的な事業といたしまして、253校のうち70校にこのような児童生徒のために職員を配置しまして、きめ細かな指導を行いたいと考えております。このほかに、市町村が独自で補助対策をやる事業がございまして、20校、市町村単独で行ってこの問題に対応したいと思っております。
 お尋ねのありました来年度実施予定のすこやかサポートの推進事業におきましては、小学校1年生に対しまして非常勤講師を配置したいと考えておりますが、この中では、チームティーチングや個別の指導によって、特に配慮の必要な児童にきめ細かな指導を行うことを目的の一つとしておりますので、この中でもそれぞれ対応いたしまして、児童生徒一人一人に精神的な安定と学習意欲の向上を図ってまいりたいと、そう考えております。

〇議長(谷藤裕明君) 次に、吉田昭彦君。
   〔7番吉田昭彦君登壇〕(拍手)


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