平成14年6月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

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〇3番(樋下正信君) 自由民主クラブの樋下正信であります。
 質問に先立ちまして、去る5月16日に御去されました故船越賢太郎議員の御功績をたたえ、謹んで哀悼の意を表しますとともに、心からみたまの御冥福をお祈り申し上げます。
 それでは、通告に従い質問に入らせていただきます。
 初めに、東北新幹線八戸延伸と県都盛岡の拠点機能の強化についてお伺いします。
 東北新幹線盛岡-八戸間につきましては、去る5月14日に、JR東日本から、12月1日開業ということが正式に発表されました。これにより、東京-八戸間は、現在よりも約40分短い2時間50分台で結ばれることになりました。大変喜ばしいことであり、関係各位のこれまでの御努力に改めて敬意を表するものであります。しかしながら、一方では、私は今回の八戸延伸が盛岡圏域に及ぼす影響について若干の危惧を抱いているところであります。確かに、東北新幹線の大宮暫定開業以来、20年間にわたり首都圏と直結する北のターミナルとして県都盛岡は、人的交流、経済、観光などさまざまな面で重要な位置を占めるようになり、秋田・青森両県を含む北東北の文字どおり拠点として発展してまいりました。
 今回、東北新幹線が八戸まで延伸することにつきましては、新幹線が北に延びても、盛岡がこれまで培ってきた拠点としての各種機能にいかほどの変容もないとか、延伸が新たな発展の起爆剤になるなど、北東北3県の中で、盛岡の拠点性は失われないとの論も一部にはあるようでありますが、私は、山陽新幹線が博多まで延伸された際の岡山の例などを聞くにつけ、東北新幹線が延伸されることにより、盛岡も拠点としてやっていけなくなるのではないか、単なる新幹線の通過駅になってしまうのではないかという危惧を持つものであります。
 これまでは、新幹線の北の玄関口としてその利便性を一手に享受し、全国的な会議やイベント、観光客などを順調に誘致してまいりました。しかし、これからは北の玄関口は八戸に移ります。盛岡は、新幹線という強力なPR手段抜きでも人々が注目し、集う、魅力あふれるまちづくり、地域づくりをしなければ、その拠点性はやがて失われるものではないかと懸念するものであります。学術・文化、歴史、経済、観光、交通、暮らしなど、さまざまな面からの総合的な魅力づくりが求められると思われますが、一方で、それぞれの分野では、例えば観光では馬産地岩手にかんがみ、本物の馬事景観をまちに配置するなどの発想の斬新さも必要と考えます。
 そこで知事にお伺いしますが、今回の東北新幹線八戸延伸を迎えて、県都盛岡の魅力をますます高め、拠点機能を一層強化していくために、県は今後どのように取り組まれようとしているのか、基本的なお考えをお伺いします。
 あわせて、県都盛岡の拠点機能強化の一つであります盛岡南新都市開発整備事業、いわゆる盛南開発の整備状況についてお伺いします。
 地域振興整備公団が平成6年度から進めている盛南開発は、面積も約313ヘクタールと大規模で、これまで北側地区を中心に整備が行われ、関連事業である都市計画道路明治橋猪去線や国道46号盛岡西バイパスの整備などに合わせ、沿線には一部商業機能の集積が図られるとともに、県の大型施設が昨年相次いでオープンしたことで街区形成も進み、まちの骨格が見え始めてきております。この盛南開発は、北東北の拠点都市を目指す盛岡市にとって、自然や歴史、観光、にぎわいといったコンセプトでその振興を図ろうとしている既存市街地の存在とともに、新しい産業振興の可能性を開く新都市開発としてその完成には大きな期待が寄せられております。
 そこでお伺いしますが、盛岡南新都市開発整備事業の現在の整備状況と、県としては事業計画期間内の整備は困難な状況にあるとの認識でありますが、今後の見通しはどのようになっているのでしょうか、お示し願います。
 次に、市町村合併についてお伺いします。
 平成17年3月の合併特例法の期限まで既に残り3年を切っており、全国各地において、市町村合併に向けた動きが加速してきていると認識しております。
 去る5月2日付の新聞によりますと、全国3、218市町村の66%に当たる2、120自治体が合併に向けた検討組織に参加しており、平成17年3月までに、約540もの自治体が減少する見込みという実態調査の結果が報じられており、政府が目標とする合併後の自治体数1、000には及ばないものの、全国的に大きな動きが見られるようになってきております。
 こうした中で、本県におきましても、各地で合併に関するさまざまな動きが報じられるようになってきておりますが、盛岡地区の取り組みにつきましては、この4月に、増田知事を講師とする市町村合併について考える・地域主催フォーラムが盛岡青年会議所主催で開催されるなど、民間レベルでは活発化してきておりますが、残念ながら、盛岡市と周辺市町村の間で、具体的な合併に向けた協議が一向に進む兆しが見えないところであります。
 このような情勢から、民間サイドからは、合併特例法に基づく住民発議制度を活用して、各市町村に合併協議会の設置を求める署名運動を展開しようとする動きも出ております。合併特例法による平成17年3月までの期限内での合併の実現が懸念されるところでありますが、現在把握されている取組状況についてお示し願います。
 3月に総務省から出された市町村合併の協議の進展を踏まえた今後の取組指針によりますと、平成14年度は正念場であり、大事な1年と位置づけられるとされております。聞くところによりますと、既に秋田県では、知事が69市町村を回って市町村合併について話し合う市町村合併トークを実施し、この6月いっぱいで終えると聞きます。今後、一層の県によるリーダーシップの発揮が大いに期待されるところでありますが、市町村合併の推進、特にも盛岡地域の合併推進に向けてどのような促進策をとろうとしておられるのか、知事のお考えをお聞かせ願います。
 次に、公共性の高い郵便物を対象とした割引料金制度についてお伺いします。
 本年4月に、郵政事業への民間参入を解禁する信書便法案などの郵政関連四法案が、現在国会で審議されているところであります。この関連法案は、小泉純一郎総理が、その成立にかねてから並々ならぬ熱意を持って臨んできたところでありますが、この法案が今国会に提出されるまでの間にさまざまな議論がなされてまいりました。
 郵政事業庁が2003年春に、公共性の高い郵便物を対象とした割引料金制度を原則廃止する方針を固めたという、昨年12月の報道に始まる議論もその一つであり、この制度を利用している障害者団体などに大きな衝撃を与えました。
廃止の対象になったのは第3種郵便物と第4種郵便物でありますが、第3種郵便物は、新聞や雑誌、障害者団体などが発行する機関紙といった定期刊行物、第4種郵便物は、通信教育テキスト、点字など視覚障害者向け冊子、学術刊行物などであり、通常の封書や葉書に比べて郵便料金が大幅に安くなっております。廃止は、郵便事業が民間業者に開放されることが背景にあり、郵政公社の採算性を優先させるのがねらいと言われております。しかし、3種・4種郵便物制度は、我が国の文化、福祉、学術活動を支える制度として、昭和23年以来極めて大きな役割を果たしてきたことから、この制度の廃止については種々議論が重ねられ、ぎりぎりのところで改正郵便法案に明記され存続したのでありますが、点字等郵便物の無料化は廃止され、料金は、1種郵便物よりも低い料金であるとされたものの、法律でなく、郵政公社が料金を定める仕組みとされ提案されたところであります。このため、料金につきましては、法案成立後郵政公社が決めることになるわけですが、料金の設定次第では、特にも自主財源の乏しい障害者の方々や団体にとっては、その啓発・普及活動、コミュニケーション、各種情報の伝達・入手などのなくてはならない手段が奪われるという、極めて深刻な状況に陥る可能性が出てきているのであります。
 そこでお伺いしますが、直接県民の福祉の向上に携わる県としてもこの問題は看過できない問題と考えますが、今後の対応も含め御所見をお聞かせ願います。
 次に、工業技術センターにおけるペレットストーブの研究開発についてお伺いします。
 岩手県は、本州最大の森林資源ストックを有しておりますが、有効活用されず廃棄されている木質バイオマス資源は、非常に膨大であると言われております。林内に放置されている間伐材などの林地残材や製材工場で発生する端材などの未利用資源をエネルギーとして有効活用することは、地域林業の振興や中山間地域振興に資するのみならず、二酸化炭素削減に向けた化石燃料の使用縮減や地域における新たな新エネルギーの創出という点からも重要であります。このように、木質バイオマス資源利用の取り組みは、地球温暖化防止の観点からも大変意義のあるものと考えております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 こうしたことから、本県では、民間団体の岩手・木質バイオマス研究会がジェトロの補助を受けて、木質バイオマス資源利用の先進国であるスウェーデンとの交流を展開しているほか、市町村レベルでも、住田町における町立保育園へのペレットボイラーの設置、また、沢内村の雪国文化研究所へのチップボイラーの設置や、紫波町の紫波中央駅におけるペレットストーブの設置など、多くの団体、市町村において、木質バイオマス資源利用の取り組みが始まっております。しかしながら、このような木質バイオマス資源利用の取り組みを進める上で、燃焼機器のペレットストーブについては高価な輸入外国製品しかないことから、そのことが今後の木質バイオマスエネルギーの普及に向けての大きなネックとなってきたところであります。現在、こうした状況を打開し木質バイオマス資源の有効利用を促進するため、県では、ペレットストーブの実用化と普及を目指して研究開発を進めてきているとお聞きしております。
 そこでお伺いしますが、工業技術センターにおいて研究を進めているペレットストーブについて、現在の進捗状況と見通しについてお示し願います。
 次に、下水道整備の促進についてお伺いします。
 下水道は、本県の河川や海域などの公共用水域の水質保全を図るとともに、水洗化による快適で衛生的な暮らしを支え、さらには活力ある地域づくりや若者の定住促進を進める上で極めて重要な社会資本であり、その整備に対する県民の要請はますます強くなっていると感じております。このため、県の総合計画の中でも、下水道を初めとする汚水処理施設の平成22年度末における整備率を80%まで向上させることを目標としており、市町村においては、その目標達成に向け、施設整備に大変な努力をされているところでありますが、現在の下水道など汚水処理施設の整備状況はどのようになっているのでしょうか、お伺いします。
 また、公共事業への批判が高まる中で、今年度の国における予算の状況を見ますと、近年にない極めて厳しい予算の縮減が講じられ、下水道事業においては10%を上回る削減がなされ、加えて、市町村における財政も一段と厳しさを増しているなど、下水道整備のおくれが危惧されるところであります。
 このような中で、県内市町村においては、公共下水道と農業集落排水の接続による経費の節減など、効率的な整備を進めようとしているところもあるようですが、限られた財源の中では、このようなコスト縮減への取り組みは県内市町村の共通の課題であり、市町村の整備計画の適切な見直しを促すなど、県の指導性を発揮した積極的な支援が強く望まれるところであります。
 そこでお伺いします。全国の下水道普及率の平均と比較すればまだまだ低率であり、下水道の整備が急がれるわけでありますが、下水道を着実かつ早期に整備を進めるための取り組みと今後の見通しについてお示し願います。
 次に、風力発電についてお伺いします。
 現在、地球温暖化や酸性雨など、国境を越えた地球規模での環境問題がますます顕在化しつつありますが、このような中で、風力発電は、環境に優しいクリーンなエネルギー源として大きな期待が寄せられております。風力発電が盛んな欧米では、オイルショック後の1970年代末より風力の再開発が始まり、アメリカやデンマーク、ドイツを中心に大きく進展いたしました。2020年までには、ヨーロッパでは風力で電力需要の10%、アメリカでも5%の電力供給が提唱されているなど、風力発電への期待は極めて大きいものがあります。
 私が以前視察をいたしましたアメリカのパームスプリングスでは3、200基もの風車が稼働し、発電量は年間9億キロワットアワー、送電は最大18万6、000キロワット、6社が入ってエディソン社に売電しておりました。1ユニットで1、500戸の電力を賄える能力の高い機種も導入されており、その光景は圧巻で、観光資源としても極めて有望なものでありました。
 我が国においても、本年3月に政府が決定した地球温暖化対策推進大綱において、2010年の風力発電の導入目標が従来の30万キロワットから300万キロワットに拡大変更されております。現時点での導入状況は、ここ数年で急速にふえてはきているものの、2000年度で約14万キロワットと、まだまだその目標達成率は低位でありますが、今国会で電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法が成立するなど、今後、相当量の導入が期待されております。
 本県においても、新エネルギー導入行動計画を策定され、風力の導入目標を5万キロワットとされました。現時点での導入規模は約4、000キロワットにとどまっておりますが、今後、民間企業による大規模なウインドファームが県内の2カ所で合計6万4、000キロワット程度開発される見込みとなっております。このような状況の中で、企業局が昨年、浄法寺町の稲庭高原風力発電所を完成させたことは先導的な取り組みとしての意義を有するものでありますが、先日の新聞報道によりますと幾つかの故障も発生しているようであります。
 そこで、現在の運転状況はどうなっているのか、また、今後の見通しはどのようにお考えなのかお伺いします。さらに、私は、積極的に本県に風力発電を導入すべきと考えますが、県内のほかの地域での風力発電の導入についてどのように考えておられるのかあわせてお伺いします。
 次に、岩手大学教育学部の存続問題についてお尋ねいたします。
 既に報道などにおいても御案内のとおり、全国的な国立大学再編の動きの中で、岩手、秋田、弘前の北東北国立3大学による再編・統合の協議が行われており、その協議の中で、教員養成を担う担当校をめぐり、本県の岩手大学教育学部と弘前大学教育学部との間で事実上の綱引きが行われているとのことであります。この再編・統合の協議につきましては、平成13年8月に打ち出された国立大学の構造改革の方針、いわゆる遠山プランを契機として、北東北国立3大学におきましても、平成14年2月に北東北国立3大学連携推進会議が3大学の再編・統合問題に関する懇談会を設置し、当該懇談会が5月に中間報告を同推進会議に提出したところと伺っております。
 報道によりますと、再編・統合問題の中でも、この教員養成系学部の再編は他の学部の再編・統合に先んじて結論が出されるとのことであり、早ければ両大学との間で7月中にも決着の見通しとの記事もあります。これは極めて切迫した問題であり、結論次第では本県に教育学部がなくなるのではないかという、県民にとっては非常に大きな関心事であります。こうしたことから、我が県議会の教育振興議員懇話会においても急遽一昨日26日に臨時会を開催、岩手大学教育学部長を講師として招き、この問題について意見交換を行ったところであります。
 岩手大学教育学部は、明治9年8月、盛岡師範学校として発足以来、名称の変遷や新制国立大学への移行などの経緯はありましたが、今日までの120年余に及ぶこの間、まさに本県教育の源泉として幾多の人材を教育界に輩出するとともに、本県の教育、文化、地域の振興に多大の貢献をしてきたことは周知の事実であります。もとより人間は、教育によってよき個人、よき社会人、よき職業人となるのでありまして、すぐれた教師の養成がいかに重要であるか、また、本県がこれまで我が国各界に多くの逸材を送り出してきたのも本県の教育と風土のたまものであります。
 確かに少子化の進行には著しいものがあります。しかしながら、本県において教育学部はその約6割が本県出身者であり、卒業生の約7割が県内に就職するという事実が示しておりますように、県民に高等教育を受ける機会を提供し、地域に貴重な人材を送り出しているのであります。地域づくりは人づくりであります。すぐれた教育を受けた県人が郷土に残って初めて岩手の未来も開ける、その人づくりの大きな拠点を失うことは、岩手の将来に大きな禍根を残すものと考えます。
 そこでお伺いいたしますが、私は、岩手大学教育学部の存続を切に願うものですが、この北東北国立3大学の再編・統合、とりわけ岩手大学教育学部の存続についてどのように対応するお考えなのか、本県教育の人材確保の観点から知事の御所見をお聞かせ願います。
 次に、県立博物館の今後の運営の方向についてお伺いします。
 県立博物館は、県制100年を記念し昭和55年10月に開館して以来、県内外に散在する文化財を収集し、保存し、展示することによって広く県民の利用に供し、もって県民の教育、学術及び文化の発展と新しい郷土を築く県民の意欲の高揚に寄与してきたところであります。
 こうした中、昨年10月に、すぐれた美術品の鑑賞と学習機会を提供する県民待望の県立美術館が開館したところであり、モネ展などの企画展も好評を博し、入館者数は開館から半年間で12万人余になったと聞いております。一方、県立美術館に近代美術部門を移管した県立博物館の入館者数は年々減少していると聞いておりますが、最近の利用状況はどのようになっているのでしょうかお伺いします。
 また、平成11年度に策定された岩手県総合計画には、岩手の歴史、文化、自然、風土、産業などについて総合的、継続的な調査研究や情報発信を行い、県民が学習できるいわて地元学の拠点機能を整備するいわて地元学センター整備事業が盛り込まれており、この拠点機能を県立博物館に持たせる計画があると聞いておりますが、どのような内容で、整備時期はいつごろとなるかあわせてお伺いします。
 さらに、本県4月から本格実施された完全学校週5日制や総合的な学習の時間への対応、近年の自然環境、歴史、文化、風土に対する関心の高まりを背景として県立博物館の果たす役割はますます重要となっており、県民が寄せる期待も高まっております。今後、県立博物館が多くの県民に学習の場として利用されるためには、四十四田ダム周辺の自然環境やほかの施設、観光資源との一体的な活用を図るなど、ソフト面の充実が必要であると考えますが、今後の県立博物館の運営の方向について御所見をお伺いします。
 次に、生涯スポーツの振興についてでありますが、高齢化社会の到来に伴い、健康で生きがいのある豊かな暮らしを送るため、県民の健康の維持・増進に対する関心が高まってきております。また、科学技術の高度化や情報化などの進展は、生活を豊かにし、自由時間の増大など私たちの生活に恩恵をもたらす反面、人間関係の希薄化や精神的なストレスの増大などを生み出しているとも言われております。
 私は、このような社会情勢の中では、汗を流して仲間とともに楽しむことのできるスポーツの実践こそが、明るく豊かで活力に満ちた社会の形成や個人の心身の健全な発達に必要不可欠であると考えているところであります。みずからの個性やライフスタイルに応じて、多様なスポーツを楽しみながら仲間との交流を深めていく喜びは何にもかえがたいものであります。
 そこでお伺いしますが、県教育委員会では、岩手県スポーツ振興計画において、県民が気軽にスポーツに親しみ、健康づくりを行うために生涯スポーツの振興を図るとしておりますが、どのような取り組みをしているのかお尋ねいたします。
 さらに私は、だれもが、いつでも、どこでもスポーツを楽しめる環境の整備も大切であると考えております。こうした観点から見ますと、本県は積雪・寒冷の地であり、冬場の屋外スポーツ活動に大きな制約があります。お隣の秋田県には既に秋田スカイドームと大館樹海ドームが、青森県には青森市営サンドームが、そして、ことし3月には、県が建設を進めておりました開閉式全天候型多目的ドーム・つがる克雪ドームが竣工したと聞き及んでおります。岩手に住んでよかったという県土づくりが私の願いであります。本県にもスポーツ・レクリエーションの楽しさに通年触れることができるよう多目的ドームの整備が必要と考えますが、あわせて御所見をお聞かせ願います。
 以上で私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 樋下正信議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、東北新幹線八戸延伸と県都盛岡の拠点機能強化についてのお尋ねでございますが、盛岡都市圏は北東北の主要交通網の結節点に位置しておりまして、東北新幹線開業以来、人、物、情報の交流拠点としての都市機能の集積が進んでまいりまして、秋田新幹線開業後におきましても、北東北における拠点としての役割がますます高まってきているものと認識しております。
 この12月の盛岡-八戸間の開業後は、青森、秋田を含む三つの県を圏域とした経済活動や人、物の交流が一層活発化するものと期待されるところでございまして、盛岡都市圏が今後とも北東北の拠点都市としての優位性を保つためには、それにふさわしい都市機能の充実を図り、その魅力をさらに高めていくことが重要であると考えております。
 このため、県では、盛岡南新都市開発――今、促進しているわけでございますが――とともに国道106号の簗川道路や国道46号の盛岡西バイパスなどの交通ネットワークの整備に努めておりまして、こうしたネットワーク機能が完成いたしますと、周辺からの交通、物流、人流の集積度合いが非常に高まってくると思っております。また、これまでに整備してきました県立大学や県立美術館などに加えまして、現在、盛岡駅西口地区の複合施設の整備を図るべく準備を進めているわけでございます。さらに、岩手山周辺地域の観光振興事業や盛岡市の快適観光空間整備事業など、この地域が持っております豊かな自然環境や特色ある歴史、文化などのすぐれた個性を大切にした圏域市町村などの主体的な取り組みを支援しているところでございます。
 今後におきましても、こうした今申し上げましたような取り組み、まあ、そのほかにもいろいろございますが、そうしたものを組み合わせることによりまして盛岡都市圏の機能を高めていくとともに、その効果をできるだけ全県に波及させるように努めていきたいと考えております。
 次に、市町村合併についてのお尋ねですが、これは、分権型社会の形成に伴いまして、住民自治を確立するために、住民に最も身近な基礎的自治体である市町村が行政の中心となる、こういうような体制を整備していこうと。その市町村が、厳しい財政状況などの環境の変化を踏まえて、多様化、高度化する行政課題に的確に対応していくためには、やはりその行財政基盤を強化して、より自立性を高めていく方策が必要であって、その非常に有効な選択肢として市町村合併があると考えております。
 県では、今申し上げましたような考え方に立って、以前、広域行政推進指針というものをつくりましたが、これを手始めに、県内各戸への啓発資料の配布や、それから、先ほど議員からもお話がございましたシンポジウム、これは県で開催したものもございますし、また、JCなど民間団体が開催したものに私も出たりして、住民意識の醸成に向けた取り組みを実施してきているわけでございます。
 県内の取り組みを見てみますと、ことしに入りましてから両磐地区における一関地方広域合併研究会が発足いたしましたし、宮古地区における検討会設置に向けた動きというものもございます。さらに、6月の市町村議会の審議状況、それから、市町村が合併をテーマにして、今、首長さん方が地域懇談会を積極的に開催している地域がふえてまいりました。こんな状況などを見ますと、各地で具体的な動きが活発になってきていると、このように感じております。
 盛岡地区については、これまで盛岡市、矢巾町、滝沢村の合併に向けた3人の首長さんの会談が実施されておりますほか、盛岡市の方が今申し上げました3市町村に紫波町、雫石町、玉山村を加えた6市町村を範囲とする広域ビジョンを8月末までに策定して公表する予定となっております。また、民間団体の動きとして、盛岡青年会議所が商工・経済団体と連携して、盛岡市、矢巾町、滝沢村の合併論議推進のため、3市町村に対して住民発議による法定協議会の設置を求める組織を7月にも立ち上げるために署名活動を実施すると、このようなことを先日発表したわけでございまして、今、具体的な動きに向けて準備を進めていると、このような状況になっております。
 県では、こうした動きに対して、やはりそれぞれの市町村においてこの問題に早期に結論を見出していただきたいと考えておりまして、こうした議論や、それから署名活動を初めとする地域での動きをも今後十分把握して、盛岡地方振興局を中心に、こうした地域の実情に合った支援をしていきたいと考えております。
 次に、岩手大学の教育学部の存続問題についてでございますが、現在、北東北の国立3大学が、国立大学の構造改革の方針を踏まえて、研究・教育機能を充実・強化して、国際競争力のある大学を目指して、全学部を対象とした再編・統合についての検討を開始しているところでございます。これらの大学は、地域社会において人材の育成や産業の振興などにこれまでも大きな役割を果たしてきているわけでございますが、県では、この北東北の三つの大学がそれぞれの研究・教育機能をさらに充実・強化して、その上で地域社会に対してこれまで以上に貢献をするような形での再編・統合について、各大学内、それから三つの大学間において十分な検討が行われることが望ましいと考えているわけであります。
 教員養成系学部の再編・統合につきましても、教育・研究機能の充実・強化や地域社会への貢献などの総合的な見地から三つの大学の間で検討が行われ、多様な教育課題に対応できる優秀な教員の養成、それから現職教員の再教育など、教育分野の人材確保が円滑に行われるような体制が確保されることが重要であると考えておりまして、県は、今申し上げましたような認識に立った上で、今後、適切な対応を図ってまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承願います。
   〔県土整備部長猪股純君登壇〕

〇県土整備部長(猪股純君) まず、盛岡南新都市開発整備事業の整備状況と今後の見通しについてでありますが、本事業は、北東北の拠点都市としての機能強化を図るためには欠かすことのできない極めて重要な事業でありまして、本年4月には、本宮方面から盛南大橋を経由して開運橋たもとに至る開運橋飯岡線が供用開始され、また、地区内を南北に縦貫する基幹道路が国道46号盛岡西バイパスの延伸区間として国の直轄事業化が本年度決定されるなど、本事業に関連する都市基盤施設の整備に進展が見られたところでございます。
 しかしながら、事業全体を見ますと、平成13年度末における進捗率は、事業費ベースで約38%、家屋移転については、対象戸数920戸のうち約310戸の移転補償が完了するにとどまっております。事業主体である地域振興整備公団からは、現時点で5カ年程度のおくれが生じているとの認識であるものの、今後とも事業費の確保に努め、できる限り早く整備を進めるよう努力すると伺っております。国、地方とも大変厳しい財政状況下ではございますが、県といたしましても、今後とも国や地域振興整備公団、盛岡市と密接に連携をとりながら、盛岡南新都市開発整備事業の促進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、汚水処理施設の整備状況についてでありますが、平成12年度末における公共下水道、農業集落排水、漁業集落排水及び合併処理浄化槽などを含めた汚水処理施設全体の整備率は49.3%と、全県域汚水処理実施計画の目標でございます48.7%に対して0.6ポイントほど上回っております。しかしながら、全国平均の71%に比べるとまだまだ低い状況にあります。
 次に、下水道整備の取り組みと今後の見通しについてでありますが、財政環境の厳しい中、下水道などの汚水処理施設整備を進めていくためには、一層の建設コストや維持管理費の縮減を図るなど、財政負担軽減のための努力をしていくことが極めて重要であると考えております。
 このようなことから、県においては、これまで過疎市町村に対する県代行制度の活用や下水道事業債償還基金費補助などの支援を行ってきております。また、平成13年度には、汚水処理施設をより効率的かつ一体的に整備を行うための汚水処理施設連携モデル調査を実施したほか、各地方振興局ごとに地域汚水適正処理推進協議会を設置して、県と市町村が緊密な連携を図り、汚水処理施設の整備を推進しているところでございます。
 今年度は、モデル調査の結果を踏まえ、汚水処理施設ごとの適正な整備区域の分担、公共下水道と農業集落排水などとの処理場の共有化、さらには、市町村界を越えたより広域的な連携などを内容といたします汚水処理施設連携計画の策定に取り組むこととしております。
 今後とも、県の総合計画における平成22年度末の目標であります整備率80%の達成に向けまして、市町村と一体になって汚水処理施設の整備促進に最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕

〇保健福祉部長(関山昌人君) 公共性の高い郵便物を対象とした割引料金制度についてでありますが、現在、郵便法に基づき、視覚障害者用点字郵便物については第4種郵便物の取り扱いにより無料化の措置が講じられておりますが、今回の法改正で、当該事項の取り扱いについては法案通過後の日本郵政公社の判断にゆだねられることとなっております。
 所管官庁である総務省は、本年6月4日の衆議院総務委員会において、日本郵政公社においても第3種及び第4種郵便物に係る割引制度を継続したい旨の発言を行っております。しかしながら、県といたしましては、この割引料金制度の重要性にかんがみ、国会審議の動向等を見守りながら、必要な機会をとらえて日本郵政公社等において適切な対応がなされるよう強く要望してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長照井崇君登壇〕

〇商工労働観光部長(照井崇君) ペレットストーブの研究開発についてでありますが、昨年10月から工業技術センターにおいて、木質バイオマス資源のエネルギー活用を図るため、岩手オリジナル木質バイオマスストーブの製品化に取り組んでいるところであります。このストーブの開発に当たっては、外国製ペレットストーブでは燃料として想定されていない樹皮を含んだペレットに十分対応できること、完全燃焼し、煙がほとんど出ないこと、自動燃焼制御方式であること、外観に本県特産の鋳物を活用した重厚感のあるデザインであることなど、これらの開発コンセプトのもとに取り組んでおります。
 現在の進捗状況は、公募により選定した県内企業との共同研究により、ストーブの燃焼部分の設計・試作、燃焼試験などに取り組んでいるところであり、これら燃焼技術の確立と並行してデザイン設計や自動制御システム開発を行い、本年の12月ごろには試作品を製作する予定としております。
 この試作品につきましては、公民館など県内の複数の公共施設等に実際に設置して、使い勝手やデザイン、燃費効率などについてモニタリング調査を行い、その結果を踏まえながらさらに改良を加え、平成15年度中の実用化を目指してまいりたいと考えております。
   〔企業局長相原正明君登壇〕

〇企業局長(相原正明君) 稲庭高原風力発電所の運転状況についてでありますが、昨年9月の運転開始から本年5月までの売電計画に対する達成率は47.1%となっております。達成率が低くとどまった主な理由は、ヨーロッパ製の発電システムが稲庭の風に十分適合せず、重要な機器に故障が多発したことによるものでございます。
 今後の見通しについてでありますが、機器故障の抜本的な対策を講じて一刻も早く軌道に乗せるために、外部の識見委員を加えた稲庭高原風力発電所運営対策検討委員会を設置したところであり、この委員会での検討結果を踏まえて、本年11月ごろを目途に請負業者の責任で一部の機器を国産製に取りかえさせ、安定性を向上させ、メンテナンスをより容易にすることなどにより、計画どおりの達成率の確保を図ることとしております。
 さらに、故障が原因で生じた売電収入の減少分につきましても、請負業者が応分の補てんをする方向で協議を行っております。
 次に、他の地域での風力発電の導入についてでありますが、室根高原や一戸町の高森高原などの有望箇所が幾つかありますものの、イヌワシなどの希少猛禽類への影響や電力会社の購入単価が明らかでなく収支見通しが立てにくいことなど、今後、解決すべき課題が幾つかございます。このため、希少猛禽類の専門家の意見を踏まえ、電力会社との協議を重ねながら事業化に向けた取り組みについて鋭意検討するとともに、新たに風況のよい地点を探索するなど、風力エネルギーの開発に一層努めてまいります。
   〔教育長五十嵐正君登壇〕

〇教育長(五十嵐正君) まず、県立博物館の今後の運営の方向についてでありますが、県立博物館の最近の利用状況をここ3年間の入館者数で見ますと、平成11年度4万1、000人、12年度4万人、13年度3万9、000人となっており、減少傾向にあります。
 また、いわて地元学センターの内容等についてでありますが、岩手の歴史、文化、自然等に関する情報を提供することにより、岩手について学ぼうとする県民の学習活動等を支援する機能を県立博物館に整備するため、昨年度、いわて地元学情報センター(仮称)整備基本計画を策定し、県立博物館の展示のリニューアルや自然史部門の研究体制の充実等を図るとともに、博物館の機能を生かしながら、岩手に関する内外への情報発信、県民からの学習相談、調査研究活動への支援等を行うこととし、岩手県総合計画の前期実施計画期間であります平成17年度までの整備着手を目指して、現在、調査、検討を進めているところであります。
 なお、県立博物館の今後の運営の方向についてでありますが、本年度から毎週土曜日に児童生徒を対象とした楽しい土曜博物館事業を実施するなど学習機会の提供を拡充するとともに、博物館周辺を含めた岩手の自然を生かした観察会の開催、さらに、本年4月からの盛岡市内めぐり定期観光バスによる観光施設との一体的な活用等を行っており、今後につきましても、完全学校週5日制の実施や自然環境に対する県民の関心の高まりに対応した魅力ある事業を展開するなど、児童生徒はもとより、広く県民に親しまれる施設となるよう運営してまいりたいと考えております。
 次に、生涯スポーツの振興についてでありますが、県民があらゆる地域や職域においてスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会の実現に向けて、指導者の養成・確保及び活用を目的とした指導者養成活用システム整備事業を行うとともに、県内各地で開催している県民スポーツ・レクリエーション祭や身近な地域社会の活動の場として学校体育施設開放事業を実施しているところであります。
 さらに、地域の子供から高齢者までの世代を越えて参加できる総合型地域スポーツクラブ育成モデル事業を五つの市で展開しているところであり、今後、一層の普及・推進を図ってまいりたいと考えております。
 なお、平成17年度に本県で開催される第18回全国スポーツ・レクリエーション祭に向けて各種講習会や研修会を実施するなど、生涯にわたるスポーツ・レクリエーション活動の活発化に努めてまいりたいと考えております。
 また、多目的ドームの整備についてでありますが、県教育委員会では、第8次岩手県教育振興基本計画において、総合的スポーツ施設整備事業として、全国的規模の各種大会等の開催が可能で、県全域にわたる多様なスポーツ活動を総合的に支援する中核的なスポーツ施設の整備推進を図ることとしております。
 お尋ねのありました多目的ドームにつきましては、総合的スポーツ施設整備事業の中で一体的に検討することとしており、これまで各方面の有識者からなるスポーツ施設のあり方に関する懇談会において、どのようなスポーツ施設をどのように整備するのが適当かなどについて議論をしていただき、ドームについても整備が必要な県営体育施設として御提言をいただいたところであり、今後、この御提言をもとにさらに検討を続けてまいりたいと考えております。
   

〇副議長(瀬川滋君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時13分 休 憩
   

出席議員(46名)
1  番 飯沢匡 君
2  番 及川敦 君
3  番 樋下正信 君
4  番 照井昭二 君
5  番 柳村岩見 君
6  番 小野寺研一 君
7  番 吉田昭彦 君
8  番 工藤大輔 君
9  番 川村農夫 君
10  番 佐々木順一 君
11  番 佐藤力男 君
13  番 阿部富雄 君
14  番 田村誠 君
15  番 岩城明 君
16  番 中 屋 敷十 君
17  番 千葉伝 君
18  番 佐々木大和 君
19  番 及川幸子 君
20  番 阿部敏雄 君
21  番 川口民一 君
22  番 小 野 寺好 君
23  番 斉藤信 君
24  番 伊沢昌弘 君
25  番 田村正彦 君
26  番 上澤義主 君
27  番 瀬川滋 君
28  番 水上信宏 君
29  番 藤原泰次郎 君
31  番 谷藤裕明 君
32  番 菊池勲 君
33  番 佐々木一榮 君
34  番 伊藤勢至 君
35  番 高橋賢輔 君
36  番 小原宣良 君
37  番 長谷川忠久 君
38  番 千葉浩 君
39  番 吉田洋治 君
40  番 工藤篤 君
41  番 菅原温士 君
43  番 山内隆文 君
44  番 折居明広 君
45  番 村上惠三 君
46  番 藤原良信 君
47  番 及川幸郎 君
48  番 菊池雄光 君
49  番 佐々木俊夫 君

欠席議員(2名)
12  番 阿部静子 君
42  番 佐藤正春 君
   

説明のため出席した者
知事 増田寛也 君
副知事 高橋洋介 君
出納長 橋田純一 君
総合政策室長 佐藤 勝 君
地域振興部長 飛澤重嘉 君
環境生活部長 時澤忠 君
保健福祉部長 関山昌人 君
商工労働観光部長 照井崇 君
農林水産部長 佐々木正勝 君
県土整備部長 猪股純 君
総務部長 小原富彦 君
医療局長 長山洋 君
企業局長 相原正明 君
総務部次長 千葉弘 君
参事兼財政課長 菊池秀一 君
教育長 五十嵐正 君
警察本部長 熊崎義純 君

職務のため議場に出席した事務局職員
事務局長 大沼勝
議事課長 平澤石郎
議事課長補佐 浅田和夫
主任議事管理主査 八重樫典彦
議事管理主査 近藤光宏
議事管理主査 浅沼聡
議事管理主査 田丸裕佳子
議事管理主査 嵯峨俊幸

午後3時36分 再 開

〇副議長(瀬川滋君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。小原宣良君。
   〔36番小原宣良君登壇〕(拍手)


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