平成14年6月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(飯沢匡君) 政和会の飯沢匡でございます。
 今定例会より栄光の議席番号1番となり、気持ちを新たにしているところでございます。今回の質問もその心意気でまいりますので、当局の建設的な御答弁をよろしくお願いいたします。
 日本の競争力低下を示す指標が着実にふえていると報道されております。国際収支、財政、教育、企業家精神、労使関係など、314項目で点数をつけるスイスのビジネススクール、IMDが発表する国際競争力の順位は、ことし我が国は30位。世界経済フォーラムのランキングでも成長競争力で21位、現在競争力でも15位で、前年に比べ1位ずつ順位を落としているのであります。
 97年のアジア通貨危機でIMF管理に陥ったことが国民に強いショックを与え、財閥解体、起業ブームなど経済システムを根本から変えた韓国と対照的に、戦後、日本が発展途上国というレッテルをぬぐい去るため、先進国に追いつき追い越せのキャッチアップの行政体制、経済体制、政治体制からいまだ抜け出せず、我が国が現行体制の維持に必死だけの姿勢が、このような指標に如実にあらわれているものと思います。小泉首相にこの低迷する危機突破を国民は期待したのでありましたが、日に日に期待感は薄れ落胆の色が濃くなってきております。
 このように、従来の経済が右肩上がりで成長する時代には、税収の増分により、生活者の要求に政治・行政がこたえていくことも可能でありましたが、その結果、負債が平成13年度末で675兆円にも膨れ上がった現実を見れば、地方自治体にとって、国への何でもかんでもお頼み要求型行政手法は、もはやあり得ない状況は明白であります。
 国を動かすには、まず地方がみずから姿を変え実績を上げる、それが結果的に国の役割を限定させることになる。増田知事のコメントであります。それがまさに第一弾として具現化したのが、4月から実施されております、県から市町村に事業とセットで財源や人を移譲・派遣している制度であります。このような地方みずからが改革・発信を試みる積極的な姿勢には、私は大いに評価をするものでございます。一方で、県が従前果たしてきた機能――広域機能、連絡調整機能、補完機能は、このような改革により、みずから変容を余儀なくされてまいります。
 そこでお伺いいたしますが、地方分権の推進は、地方が主役となって生活者を起点とした、みずからが自己決定、自己責任をとる、自立することを念頭に置いた国との議論、行動がますます重要になると考えますが、改めて本県の目指す方向を知事に示していただきたいと存じます。
 また、このたび片山総務大臣から、経済財政諮問会議の提言を受けて、国から地方への税源移譲案が示されました。内容を見ますと、移譲分の財源として補助金制度削減を優先する内容は歓迎すべき点があります。しかしながら、本県のような財政基盤を国に依存している地方自治体は、税源移譲と財源調整機能を維持するアンチテーゼを包括しながら考えていかなければならないジレンマがございます。場合によっては、自主財源に大きな格差のある大都市と地方との間で、財源調整をめぐって対立する可能性もあります。
 知事は、地方分権時代にふさわしい税財政基盤の確立はどのようにお考えか、あわせて、課税自主権に基づく自主財源確保策についてどのように考察しておられるか、お聞きいたします。
 次に、地方債についてお伺いいたします。
 99年7月の地方自治法と地方財政法の改正によって、地方債は2006年度から、国が発行を許可する許可制から国と地方自治体が協議して決める協議制に移行することになり、これから一層、自治体の自己責任が問われることとなります。
 そこでまずお聞きいたしますが、この法改正が本県の起債並びに適債事業にどのような影響を及ぼすのか示していただきたいと存じます。
 総務省では、地方自治体の運営の自立性を高めるという観点から、民間金融市場の方から自主的に資金調達をしようとする方向にあり、いわゆる市場公募債が注目されております。現在は、地方債全体に占める公募債の割合は1割強に過ぎませんが、時価会計の導入で、特定の金融機関が引き受ける縁故債はふやしづらくなってきた状況下にあり、その結果、投資家に幅広く購入してもらう公募債の重要性が一層高まるとされております。群馬県では、県民参加型ミニ公募債――愛県債10億円分を発行したところ、国債利回りより高くしたことに加えて、ペイオフ解禁による不安などがあって18分で完売。鳥取県、岐阜県でも、県民公募債による資金調達を実行もしくは検討しております。
 以前、総務部長は、資金調達の選択肢を多くするとの観点から、市場公募債の導入について検討していく必要があるとの答弁がございましたが、その後の検討状況はどうでしょうか。その際、県民が広く利用する施設整備の財源に充当するような目的別の公募は県民にも理解が得られやすいと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
 また、静岡県では、県財政の説明責任を果たして円滑に資金調達をする信頼を得るため、市場関係者などに、真の経営計画を知事が直接説明するインベスター・リレーションズ――IR活動を始めたと報道されております。グローバルな金融改革が進む中で、地方債市場でも自由化の波が押し寄せており、財政状況が悪い自治体は、より高い金利を払わないと地方債は出せなくなる可能性は十分にあります。
 本県におきましては、政策評価を初め企業会計方式も導入し、コスト意識の高揚には力を入れているところでございますが、さらに財務内容が市場に求められるような財務状況なのかどうかを明確にする必要が市場公募債の採用、不採用にかかわらず迫られてくると思いますが、これらの状況を踏まえた取り組みはどのようにお考えか、お示しください。
 次に、経済財政諮問会議で示された構造改革特区についてお伺いをいたします。
 将来の分権社会を踏まえた地域発展の一つの起爆剤となる可能性を秘めているという観点からお聞きするものであります。
 構造改革特区は、地域的に規制を緩和して産業集積を高め、地域や経済の活性化に役立てるのが目的であり、産業競争力戦略会議においても、規制改革特区構想の早期実現を図るべきとの提言もございました。既に沖縄県において、金融関係を中心に現実のものとなっておりますし、他地域でも、岐阜県では企業誘致とそれを核にした産業クラスターの形成を施策の中心に据えたIT特区を数カ所設置するように要望として上げており、最近の例といたしましては、青森県が六ヶ所村のむつ小川原地域の環境・エネルギー産業創造特区の実現に向けて、来年度の予算要望に盛り込んでおります。
 知事は、さきの定例記者会見で、本県においては、グリーンツーリズムや新エネルギーの切り口での可能性を示唆しておりましたが、本県における特区構想に関する知事の基本的な考え方並びに実現に向けての取り組みをお聞かせ願いたいと存じます。
 次に、港湾ビジョンについてお伺いいたします。
 県は先般、岩手県港湾ビジョン素案を発表いたしました。ただし、策定・公表までにはパブリックコメントを実施したものについて整理し、国の東北港湾ビジョンとの整合性を図るため、しばし時間を要すると伺っております。私は、平成12年の12月定例会において、物流の観点から、21世紀に向けての港湾構築に関する質問及び提言をいたしましたが、当時の答弁を踏まえて、物流拠点の形成についての項目を中心にお伺いをいたします。
 私は、ことし1月に神戸港にて、港湾関係者と神戸港の実情について懇談する機会を得ました。震災後、外資系の船会社は、海外に移転するか、大阪港へ籍を移すかなど大変な状況であるようであります。そのような背景から、神戸市では、埠頭公社と嘱託として採用した民間船会社などの社員を交え、ポートセールスの混成営業チームを結成したそうであります。神戸港ですら、涙ぐましい努力が必要な現況の海運をめぐる状況であります。
 私は、港の活力は、いかに貨物を集積させ効率よく動かすかということにかかっていると思うのであります。残念ながら、物流体系の構築に、隣県よりおくれをとってしまった本県の残された考え方は、隣県港湾へ流れている貨物を集約させるのはもちろんのこと、隣県港で扱われる貨物をも引き寄せる戦略性を持ったビジョンが根底になければならないと考えます。
 前回の一般質問で例を示しましたように、横浜港が東京港にアドバンテージをとられたのは、歴史的国際港として安住していた横浜港が、消費地に近い等のメリットを掲げた東京港の猛烈なポートセールスに対し、対抗措置として具体策が打ち出せず巻き返しもできなかったのが原因であり、結果として戦略にしてやられたのであります。確かに、貨物統計資料を目を皿のようにして見ても、素案に想定された20年後に、港湾の規模、立地条件を十分に満たすメーンカーゴ、ベースカーゴたる完全確固たるものを見出すのは困難であります。困難がゆえに、貨物量を一極集中する、港湾施設を機能的にするなどの具体的戦略性が必要と思われます。
 今回の素案を一見いたしますと、物流拠点の位置づけがまだあいまいな印象を受けます。物流拠点としての重要4港湾の配置は、現時点での貨物フローの延長上でサマライズされた位置づけの印象であり、乱暴な言い回しですが、近県の石巻港や八戸港から貨物を奪い取るだけの迫力の乏しさを感じます。実際のポートセールスは、港湾を所有する地元自治体が主体となって行うものです。しかし、本県の意欲あるビジョンなくして、その効果なしと考えます。
 以上、愚説を申し上げましたが、まず戦略性についてお考えをお願いいたします。
 次に、具体的にお聞きいたします。
 第1に、パブリックコメントを付した根拠について。
 今回の事案は県の意向を県民に示すもので、パブリックコメントにはなじまないのではないかと思いますが、どうでしょうか。
 第2に、国の拠点港湾整備は、産業競争力強化に直結する国際海上コンテナターミナルと多目的国際ターミナルを拠点的・重点的に経済再生を図るのがねらいと認識しておりますが、今回の素案と整合性が保たれているかどうかお示しください。
 第3に、静脈物流に関してお尋ねいたします。
 資源循環型社会の実現に向けて、静脈物流拠点としての港湾の活用は不可欠なことから、国の15年度予算提言にも明確に盛り込んでいるところであります。
 沿岸南部エコタウン事業は、釜石市において、使用済自動車リサイクル事業や、一般廃棄物と産業廃棄物の共同処理事業を進めるプロジェクトの運営方法についての調査を、大船渡市においては、FRP廃船、カキ殼などのリサイクル事業の可能性について調査を実施しているとお聞きしておりますが、このエコタウン事業と静脈物流の拠点づくりは、密接に関係部局が連携して施策展開しなければならないと思いますが、今後どのように取り組まれるのかお知らせ願います。
 次に、情報施策についてお伺いいたします。
 いわて情報ハイウェイが本格運用され、順次、整備拡充されているものと認識しております。おのおのの分野で有効活用され、コストパフォーマンスが目に見える形で県民に認識されるよう、これからもモデル事業等を通じて管理運用されることが、本県の目指すデジタルコミュニティーズの実現に近づくものと確信するものであります。さらに、行政情報の提供だけでなく、行政と住民があるいは住民同士がやりとりでき、コミュニケーションできるような情報環境の構築、行政の情報化と地域の情報化の密接な関連性が極めて重要であると考えます。
 さて、本県に限らず、全国各県においても県単位での情報インフラ整備は花盛りでありますが、危機管理の面と情報インフラの活用の二面性を確保するため、岐阜県では三重県や民間通信業者と協力してIX――インターネットエクスチェンジ会社を設立し、近隣の府県を中心とした広域IX化や三重県志摩地方の海外ケーブルと直結し、大手町国際IXセンターのバックアップ機能を持たせるとともに、世界を対象としたネットワークビジネスの展開を図っていくと報じられております。
 また、岡山県が岡山IT戦略プログラムということで、アイトピア岡山を打ち出しております。情報ハイウェイを整備した後、顕在化したさまざまな課題に対してどのように対応していくかというアクションプランを示したものでありますが、この中で具体的に目指すものは、高品質の映像コンテンツ産業といったブロードバンドに対応した情報関連企業を経済特別区に誘致し、情報ハイウェイを核としたバックボーンの提供と税制優遇措置、低金利の融資制度をもとに岡山の地場産業の振興を図るというものであります。
 このように、ブロードバンドインターネットの展開に伴い、必然的に発生したインターネットエクスチェンジと情報ハイウェイの連結を図る試みや、情報ハイウェイを軸とした地域おこしの試みが他県でなされております。本県においても、経済の活性化や人材育成を図っていく総合的な情報ハイウェイを機軸とした情報ハイウェイ第2次構想的なものの検討が必要と考えますが、御所見をお伺いいたします。
 関連して、岩手ソフトウェアセンターについてお伺いいたします。
 岩手ソフトウェアセンターは、システムエンジニア養成研修などに加えて、情報処理技術者としての国家資格や県内企業が求めるIT資格研修などを行い、特に高度処理技術者の研修事業を充実強化していくのが運営の方向であると伺っております。センターの研修事業の実施状況がどうなっているのか、また、今後センターの経営をどう進めようとしているのか、お聞かせ願います。
 また、県がソフトウェアセンターに運営を委託しているいわてマルチメディアセンターについてでありますが、当センターは、本県におけるマルチメディア産業の育成・集積を図るための研究開発拠点施設として平成10年6月に開設されたものであり、施設整備にはかなりの投資がされたものと認識しておりますが、投資に見合った成果が上がっているのか気になるところでございます。
 そこでお伺いいたしますが、マルチメディアセンターの利用状況はどうなっているのか、また、今後のセンターの運営の方向性をどう考えているのか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、地産地消についてであります。
 最初に、BSE問題について触れたいと思います。
 酪農家にとって喫緊の課題であった廃用牛の処理は、岩手畜産流通センターにおいての処理に加え、東北油化が所有している旧江刺食肉処理場での処理が可能となり、処理については一定のめどが立ったことに対し、県当局の国や関係団体等への粘り強い働きかけが実ったものと評価をするものでございます。しかしながら、肉骨粉の処理や、ことしは何とか生産活動のマインドが一気に下がることは回避されたと思いますが、来年以降もこの余波は続くことは必至でありますから、本県部局には迅速な対応姿勢でお願いしたいと存じます。
 BSE問題は、食と農を根本から見直す絶好の機会として、私はポジティブに考えたいと思います。BSE問題で痛切に感じたことは、消費者と生産者の距離が従来いかに遠かったかということであります。その問題解決には、地産地消運動が最も有効な方策であると考えます。ファストフードに見られる食材や味の画一化に対抗し、郷土の特色ある食材や料理を守っていこうという、北イタリアで始まったスローフード運動が世界じゅうに広がってまいりました。スローフード運動は、安さ、手軽さを求めがちな消費者の意識を変え、行き過ぎた大量生産、大量消費に歯どめをかけるねらいもあるとされております。本県での地産地消運動は、岩手食財の日の設定や産直販売など、おのおのの現場でさまざまな展開をしておりますが、今後さらに生産者と消費者が多角的・有機的に連携して、お互いの距離の壁を縮めながら、スローフード運動精神を手本とした岩手型指針を定め、学校教育の場や各地域で啓発活動をすべきと考えますがいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 以下、各論から質問いたします。
 地産地消運動の展開は、具体的に地産地消を志向する生産・流通・消費の各段階に携わる人をいわて地産地消サポーターとして登録し、ネットワーク実践活動を促進することになっておりますが、その実践効果はどのように評価なされておりますでしょうか、お伺いをいたします。
 保健福祉部では、健康いわて21プランが策定されております。生活習慣病の発症や進行には、食生活や運動習慣などの生活習慣が深くかかわっております。プランの推進方法には、栄養関連業務にかかわる人の役割や食品関連の団体の役割が明記されております。領域別実施計画の重要領域、栄養の摂取と地産地消運動は連携して事業を進めるべきと考えますが、保健福祉部長の見解を伺います。
 また、廃棄物・リサイクル事業の推進にも地産地消は有効と考えます。地域で生産された農産物を地域で消費する運動が根づけば、生ごみの処理のあり方にも関心が集まりごみ減量化につながると考えます。地産地消と廃棄物・リサイクル事業の推進について、環境生活部長の見解をお尋ねいたします。
 次に、県立大東病院についてお伺いいたします。
 御案内のとおり、県立大東病院は地域病院としての機能に加え、県南地域におけるリハビリテーションの中核施設として位置づけられており、リハビリ入院患者数も、県南地域の患者を主に年々増加傾向にあります。また、昨年度には地域リハビリテーションの広域支援センターに指定され、ますますリハビリ機能の重要性は高まってまいりました。しかしながら、今年度からリハビリを所管する神経内科の医師が1名減になるなど、公的ニーズと専門スタッフの物理的なアンバランスが生じております。医師確保の問題は、医療局全体の恒常的な課題として認識しておりますが、このまま医師の確保がままならない状況が進行すれば、地域病院の合併まで進展する可能性も否めずと感じております。予防医学的見地からも、地域に根差したリハビリテーションの必要性はますます高まる中、大東病院の将来に係る期待は県南地域において大なるものがございます。ついては、大東病院の将来像をどのようにお考えか、後期県立病院の整備計画とあわせてお伺いいたします。
 最後に、教育の地方分権についてお伺いいたします。
 私は、教育分野での地方分権が最も必要急務と考えております。ゆとり教育については、さまざまな議論が交わされておりますが、本旨であるゆとりとは逸脱した、競争をさせない、評価もしない、教育現場での混乱が問題となっております。これは、画一化した中央施策の弊害の最たるものと思っております。分権という意味合いからすれば、そもそも廃藩置県以前には藩校という形で、地域の歴史・文化・思想を背景にした教育基盤が確立しており、精神文化の醸成に大きな効果が上がったと考察するものであります。
 さて、首相の諮問機関である地方分権推進会議が、地方に義務づけている事務事業の見直し案を盛り込んだ中間報告において、義務教育費においては現在の国庫負担制度を見直し、地方自治体の裁量による支出を可能にするように求め、また、現在、文部科学省が実質的に決めている教職員の配置や学級編制でも地方の裁量を広げる必要があると提言がなされました。この提言が実現すれば、岩手スタンダードづくりの土台となる特色ある教育が現実味を帯びるものと期待を寄せるものであります。この提言を受けて、教育の地方分権と岩手の特色ある教育をどのようにお考えか、教育長にお伺いいたします。
 また、私は、県立高等学校にも独自色を出す必要があると考えます。特色ある高校づくりに、埼玉県において、県立高校155校から、魅力ある授業や学力向上のため、主にソフト面に関する事業企画を募ってコンペ方式で競わせ、すぐれた企画の事業経費を来年度予算に盛り込む方針を決定しております。独自色を出すために、本県においても斬新かつ積極的な取り組みが必要と考えますが、現状をどのように把握しどのように取り組んでいるのか、お聞きをいたします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 飯沢匡議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、地方分権の推進についてでございますが、国の方では、第27次の地方制度調査会におきまして、基礎的自治体としての市町村や都道府県のあり方などについて、第2次の分権改革に向けて具体的な検討が今行われているところでございます。こうした中にありまして、私ども地方も、地域住民による自己決定、自己責任の原則による分権型社会の確立を目指して、受け身ではなくて、主体的にみずからの意見を述べていく必要があるものと考えております。
 私は、地方分権を推進するに当たりましては、受益と負担の関係が極めてわかりやすくて、住民に最も身近な存在である市町村が行政の中心になっていくべきものであると考えておりまして、県の権限は可能な限り市町村へ移管して、市町村を越えた広域的な業務や市町村間の調整機能を県が補完する、そして一方で、国の権限や関与を最小限にとどめて多くの権能を地方の方に移す、こういう国と地方、そして地方の中での県と市町村の新しい関係を構築していくことが重要であると考えております。
 こうしたことから、今年度、先ほど議員から御指摘ございましたとおり、県の事務の一部について、権限に加えまして財源と職員を一括して市町村へ移譲・派遣したところでございまして、あわせて、地域の課題は可能な限りその地域で解決できるように、地方振興局の機能強化にも努めているところでございます。こうした取り組みを今後一層強化するとともに、現在、北東北3県で取り組んでおります広域連携の具体的な実績を積み重ねながら、地域主権の確立に向けた国、地方を通じての幅広い議論が行われるように積極的に情報発信をしていきたい、必要な場合には国にさまざまな提言をしていきたい、このように考えております。
 次に、地方分権時代にふさわしい税財政基盤の確立に向けてでございますが、あるべき分権型の行財政システムは、先ほども申し上げましたように、受益と負担の関係が明確であるということ、それから、自己決定、自己責任の原則に基づいて、県民の意思を反映した自立的な行財政運営ができるものでなければならない、このように考えております。
 このため、地方歳出に対する国の関与の廃止、縮減を行った上で、国庫補助負担金については真にやむを得ない必要最小限のものに限定して整理合理化を進め、消費税や所得税の一部を地方税に振りかえることによって地方税源の充実を図って、現在、地方歳出の規模と地方税収との乖離が著しく大きいわけでございますが、この乖離を縮小していく必要があると考えております。
 また、課税自主権に基づいて、地方公共団体みずからの責任と判断によりまして、既存の税目の超過課税や法定外税の創設などの地方税の充実を図ること、すなわち歳入面における地方自治を確立していくこともあわせて重要だと考えております。
 しかし、税財源の移譲を進めた場合でも、税源の偏在という問題がございまして、財政力の地域格差が拡大する懸念も一方ではございます。しかも本県のように、例えば核燃料関係税のような大規模な税源を見出すことが困難だということで課税自主権を十分に活用できない地方公共団体も多く見込まれるわけであります。こんなこともございますので、地域間の税源の偏在を調整する財政調整の機能というのは依然として必要でございまして、将来的には、より自立性の高い財政調整システムのあり方についても模索していく必要があると考えております。
 今月25日に閣議決定された経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002、俗に骨太の方針第2弾と言われていますが、この第2弾の中で、国、地方の税源配分のあり方について、今後1年以内を目途に改革案を取りまとめる、こういう言い方がされています。これから政府部内でもさまざまな動きがあると思いますので、そういったことを念頭に置いて、今申し上げましたような本県の考え方をさまざまな機会を通じて積極的に国に主張していきたいと考えております。
 次に、構造改革特区についてのお尋ねですけれども、この構想は、先ほど申し上げましたいわゆる骨太の方針第2弾におきまして経済活性化戦略の中の重要な柱の一つとして位置づけられておりまして、地域活性化の起爆剤として早急に導入を図ることとされているわけでございます。
 県では、この構想を本県における地域経済の一層の進展に資するものととらえまして、今、その導入に向けて、その可能性を鋭意検討しているところでございます。これを具体化するに当たりましては、特区というその性格上、ほかにはない、そこ独自の特色を最大限に発揮することがこの成功のかぎを握っているわけでございまして、本県の持つ恵まれた自然環境や地域資源、さらには産業の特性などを十分に生かして、地域の活性化を図るという観点から、岩手ならではのものにしたいと考えております。
 その具体的方向としては、例えば特色あるグリーンツーリズムの推進や都市と農山漁村との共生、農地の再生などにより地域の振興を目指す、いわばふるさと再生特区というようなもの、それから、小規模な自然エネルギー発電による電力の小売自由化などを進めて環境首都実現に資する、いわば新エネルギー推進特区といったようなものが考えられるところであります。今申し上げましたのはほんの一例でございまして、さらにさまざまな観点から幅広く検討や工夫を私どもの方で重ねまして、国の方からまたいずれ導入の手順などが示されるわけでございますので、そうした段階で速やかに提案できるように、中での準備を進めていく考えでございます。
 次に、岩手県港湾ビジョンの戦略性についてのお尋ねですけれども、現在、本県を発着地とする海上コンテナ貨物などは、そのほぼ全量が仙台塩釜港、それから八戸港、そして東京港、そして横浜港、この四つの港を利用しておりまして、その四つの港から本県との間は自動車輸送――トラック輸送――、こういうことでございます。
 今回のビジョンの素案では、今後20年間で、今申し上げました四つの港を利用しているそういったものの約50%を県内港湾利用に転換させることによりまして外貿及び内貿の定期航路を開設する、これを一番大きな目標としております。さらに、CGC船、すなわち混載自動車専用船の定期航路をより拡充するといったこと、それから、静脈物流拠点の形成やIPP事業――すなわち独立系の発電事業ですけれども――で使用する石炭などのバラ貨物取扱港としての機能拡充も目標に掲げているところでございます。
 その実現のための戦略として、県内にある四つの重要港湾それぞれの特性とポテンシャルを生かした整備や利用の方向性を明らかにすることと、ハード、ソフト両面からの施策の展開を図ることを考えておりまして、ハード面では、企業が集積している内陸部と港湾とを結ぶ道路、大きなところでは仙人峠道路と国道397号ですが、この二つの道路などの幹線道路の整備や、それから水深10メートル以上の大水深岸壁、それから埠頭用地の整備など、いわば物流の基盤づくりをかなり重点的に進めることとしております。それからソフト面では、本県港湾を利用することによっていわゆる物流コストが縮減され、県内企業の競争力強化が図られるといったメリットを訴えて、県、関係市町村、地域や産業界それぞれが積極的にポートセールスに取り組むとともに、インランド・デポの設置――これも今準備を進めておりますが――や港湾利用者が容易に海運情報にアクセスできる情報システムの整備の促進、こういったソフト面での対策を進めて、広域的に貨物を集約して港湾利用を促進することとしております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承お願いします。
   〔総務部長小原富彦君登壇〕

〇総務部長(小原富彦君) 地方債についてでありますが、まず、地方債発行の協議制移行に伴う本県への影響につきましては、協議制度のもとでは、総務大臣との協議の手続を経れば、その同意がなくても議会への報告を行った上で、法令に定める適債事業に地方債を起こすことができるなど県の意思決定がより尊重されるとともに、財源の円滑な確保や起債手続の簡素化が図られる利点があります。一方、県には、自己責任のもとに、これまで以上に将来の財政負担を見据え、財政の健全化に配意した財政運営を行っていくことが求められるものと考えております。
 次に、市場公募債の導入についてでありますが、地方債を取り巻く情勢は、市場原理の導入による流通性の向上等が求められている中にあって、国におきましても、市場公募化の推進や発行時期の平準化と償還期間の多様化などを進めることとしており、また、住民の行政への参加意識の高揚と地方債の調達手段の多様化を図るため、御指摘の施設整備等の財源に充当する住民参加型の公募地方債についてもその発行を推進することとしております。
 市場公募債は、大量の資金を安定的に確保できることや市場流通性が高いなどのメリットがある一方で、発行に手数がかかるため、例えば応募者利回りを市場公募債と同率に設定して発行しております本県の縁故債を市場公募債に振りかえたとした場合、発行額100億円当たりにつき4、300万円程度の発行手数料がかかり増しになるなどといったコスト面でのデメリットがあります。また、目的別の住民参加型の市場公募地方債にありましては、発行単位が小さくなり、投資家の数も増加するということから、一層のコスト増が見込まれるところであります。
 本県では、これまで地元金融機関と相対で交渉を重ねる縁故債方式によって極力経費を抑制しながら財源を確保してきたところでありますが、この方式と、この方式を超える発行コストを要する市場公募債を導入した場合の優劣を比較しながら、引き続き検討を行っていく必要があるものと考えております。
 次に、財務状況の投資家向けの広報につきましては、現時点では市場公募債を発行している一部の団体で行われておりますが、本県におきましても、今後、資金調達の選択肢を多くし、かつ円滑化を図っていくという観点からは、投資家の求める情報を適切に提供していくことが必要であります。また、県民に対し、県の行財政運営の現状や将来の見通しを財務諸表などの充実を通じて提示し、透明性を向上させていく必要性もありますことから、そのあり方について検討してまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長猪股純君登壇〕

〇県土整備部長(猪股純君) 岩手県港湾ビジョンについてでありますが、まず、パブリックコメントを実施した理由は、岩手県港湾ビジョンは、おおむね20年後を視野に入れ、本県港湾の整備と港湾を利活用した地域活性化などの方向性を示すものであります。これは、パブリックコメント制度において、その対象とされております県の施策に関する基本的な計画に該当するものであり、物流関係者や県内に立地している企業を含む一般県民の皆様から広く意見を聞くことが必要であると判断してパブリックコメントを実施したものであります。
 次に、国の拠点港湾整備に関する施策との整合性についてでありますが、ビジョン素案では、四つの重要港湾それぞれの特性やポテンシャルに十分留意しながら、コンテナを中心とした外貿及び内貿の定期航路の新設・拡充を目指すとともに、静脈物流拠点の形成やIPP事業などの産業を支援するための多目的国際ターミナルの重点的な整備、さらには、個性的で自由な発想による地域づくりと一体となった観光・交流拠点を整備することとしております。これは、産業の国際競争力を高めるとともに、地方の個性ある活性化やまちづくりを促進するため拠点的にターミナルなどを整備する、こういう国の港湾整備の方針と整合が図られているものと考えております。
 次に、静脈物流への取り組みについてでございますが、去る5月30日に、国による総合静脈物流拠点港、いわゆるリサイクルポートの第1次指定がありまして、特定重要港湾である室蘭港、苫小牧港、東京港、神戸港及び北九州港が指定されたところでございます。
 本県におきましては、リサイクルポートの2次以降の指定に向けて、エコタウンプランと連携を図りながら、具体的な事業内容の明確化など計画の熟度を高めていくよう地元とともに取り組んでいく考えであります。
   〔地域振興部長飛澤重嘉君登壇〕

〇地域振興部長(飛澤重嘉君) 情報施策についてでありますが、いわて情報ハイウェイは、行政の効率化のみならず、医療、教育、防災などの公的なサービスの向上や地域を越えたコミュニケーションの活発化、さらには、産業の振興などを通じて、豊かな県民生活が実現される情報の森づくりを進めていくための基幹ネットワークとして整備したところであります。
 県といたしましては、昨年3月、情報ハイウェイの活用等による情報の森づくりを推進するためのアクションプログラムといたしまして岩手県高度情報化戦略を策定し、平成13年度には、この戦略等に基づき、高速ネットワークを活用した新たな民間事業の展開を検討するため、いわて情報ハイウェイ民間活用公募事業を実施したところであります。
 今年度は、県立大学の公開講座の県民への配信、あるいは地域のインターネットサービスプロバイダーとの相互接続によります県内地域情報へのアクセス環境の整備など、県民や民間によるいわて情報ハイウェイの利用を促進することとしているところであります。
 今後におきましては、各県連携による広域的なインターネットエクスチェンジの構築の可能性について検討を行うとともに、平成13年度に設置いたしました学識経験者や民間の方々で構成するいわて情報ハイウェイ活用検討委員会の御提言などもいただきながら、豊かな県民生活の実現や地域産業の振興に向けていわて情報ハイウェイの高度利用を促進してまいりたいと考えております。
   〔商工観光労働部長照井崇君登壇〕

〇商工労働観光部長(照井崇君) 岩手ソフトウェアセンターの研修事業の実施状況についてでありますが、平成13年度におきましては、システムエンジニアを対象とした短期の技術習得研修を重点的に実施した結果、地方公共団体や情報関連企業の技術者などを対象とした一般情報化研修とあわせますと受講者数は1、183名となり、対前年比22%増となるなど、受講者数は年々増加しております。
 また、今後のソフトウェアセンターの経営につきましては、IT人材の育成に対するさらなる需要が見込まれることから、研修事業においては、企業ニーズに即したIT資格研修の拡充や技術革新に対応した研修をカリキュラムに新たに加えるなど一層の充実・強化に努めるとともに、民間企業と競合する事業はできるだけ民間にゆだねてまいりたいと考えております。
 次に、マルチメディアセンターの利用状況についてでありますが、同センターは、これまでさまざまなマルチメディア関連企業、大学等の研究開発に活用されておりますが、平成13年度の利用件数は2、028件と前年度より若干増加しているものの、利用料収入は、これまでセンターの機器を利用していた大規模な研究開発事業が減少したこと、さらに、利用企業みずからの機器保有が進んだことなどから減少しております。
 また、今後のセンターの運営に当たりましては、今年度から既に起業家を目指すIT技術者のインストラクターとしての採用やベンチャー企業等を支援するスタートアップブースの確保など、起業家を目指す人々の日常的な産学交流の場としての環境づくりを行ったところでありますが、引き続き、多くの企業や大学の研究者等に活用されるように努めてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) 北イタリアで始まったスローフードの理念を取り入れた地産地消運動についてでありますが、本県の地産地消運動は、消費者と生産者の相互理解を深め、県産農林水産物ならではの恵みを享受することにより、岩手に暮らすすばらしさを実感することを基本的な考え方としているところであります。
 御提案のありましたスローフード運動は、北イタリアで15年ほど前から取り組まれており、その理念は、伝統的な食材や料理の提供と、こうした素材の生産者を守ること、さらに、子供たちへの食の教育を進めることにより、食事を楽しみ、生活全体を見直していこうとするものであり、言うならばスローライフを実現しようとするものであると承知しております。
 こうしたことから、本県の地産地消運動とこのスローフード運動のもととなる考え方は相通ずるものがありますので、今後とも、このスローフード運動にも学びながら、地産地消の運動の趣旨をさらに周知し、県民の十分な理解のもとに定着するよう努めてまいりたいと考えております。
 また、地産地消サポーターにつきましては既に1、100名の方が登録されておりまして、その取り組みといたしましては、例えば、地域の食材、食文化の紹介あるいは学校給食への地元食材の供給支援などの活動を実施していただいているところでありますが、まだ発足して間もないところでありますので、今後とも地産地消運動の核となって活躍されることを大いに期待しているところであります。
 県といたしましては、サポーターへの情報提供や意見交換、交流の場を設定しまして、存分に活動できる環境づくりに努めてまいりたいと考えているところであります。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕

〇保健福祉部長(関山昌人君) 健康いわて21プランの推進と地産地消運動の連携についてでありますが、健康づくりにおいては新鮮で安全な食材を摂取することが大切であることから、健康いわて21プランに定める食生活習慣改善指針等において、食文化や地域の食材及び生産物を生かすことを項目の一つとして掲げ、取り組んでいるところであります。
 この具体的な主な取り組みとして、県民の健康づくりを支援する主要な団体である食生活改善推進員協議会では、地場産物を活用したバランス食の調理実習を実施しているところであります。また、岩手県調理師会においても、岩手県産の食材を活用し、健康に配慮したヘルシーメニューの開発等の実施に取り組んできているところであります。
 今後とも、地産地消運動をより一層普及・定着させるためには、県民生活にとって身近な運動としてとらえられるよう普及・啓発がなされていくことが必要であり、このような取り組みのもとで、関係団体等と連携しながら、健康いわて21プランを通じて地産地消運動の推進に寄与してまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長時澤忠君登壇〕

〇環境生活部長(時澤忠君) 地産地消と廃棄物・リサイクルの推進についてでありますが、県では、地域内で発生した廃棄物はできる限り地域で再生して利用するという原則に基づき、資源循環型地域社会づくりに努めているところであります。
 御指摘がありましたように、地産地消運動によりまして、県内で生産された新鮮で安心な農林水産物が生産者の顔の見える身近な地域で販売され、愛着を持って消費されることにより、規格外品や生ごみの有効利用への関心が高まり、ごみの減量化につながるものと考えられますほか、長距離輸送を必要としないということもあり、包装資材の削減や二酸化炭素の排出抑制にも貢献することから、資源循環の面はもとより、地球環境の保全の立場からも大変有意義な取り組みになるものと考えておりまして、環境首都いわてづくりに向けた意識の高まりにつながるものと期待しているものでございます。
   〔医療局長長山洋君登壇〕

〇医療局長(長山洋君) 大東病院の将来像についてでありますが、当病院は、一般の医療とあわせ、県南地域におけるリハビリテーションの中核的施設として、紹介患者も、両磐地域のみならず、大船渡市や水沢市あるいは盛岡市に及ぶなど、その役割を果たしてきているところであります。
 また、昨年、両磐圏域における地域リハビリテーション広域支援センターの指定を受けまして、市町村等との連携の中で、地域のリハビリテーション従事者に対する研修や地域の皆さんからの相談への対応などに取り組んできているところであります。
 リハビリテーションは、疾病構造の変化や高齢化、さらには介護保険事業の浸透に伴い、その需要が増大しているところから、今後におきましても、拠点施設としての機能の充実を図るため、医師の確保など厳しい状況にありますけれども、引き続き専門スタッフの充実強化に努めるとともに、いわてリハビリテーションセンターなど他の医療機関との連携を推進し、回復期・維持期のリハビリテーション医療を提供してまいりたいと考えております。
 また、病院の施設整備につきましては、現在進められております国の医療制度改革の動向や建物の老朽化・狭隘化の進行状況、あるいは地域の医療ニーズの動向などを踏まえながら、県立病院の長期経営計画の後期の整備計画の策定の際に、総合的に検討してまいりたいと考えております。
   〔教育長五十嵐正君登壇〕

〇教育長(五十嵐正君) 教育の地方分権についてでありますが、議員御指摘のとおり、教育分野において地方分権を推進し、国と都道府県、市町村がそれぞれの責任と役割を果たしながら、お互いに連携協力して地域の特性を生かした教育を展開していくことが重要であると考えております。
 これまで、本県におきましては、国の定数改善計画のもとで、地域の実情に応じて複式学級編制基準の引き下げ、市町村教育委員会の申請による学級編制の弾力化など、必要な措置を講じてきたところであります。また、地域の人材や豊かな自然を生かした体験学習、少人数での指導やチームティーチングを取り入れたきめ細かな教育の推進など、学校教育におけるさまざまな取り組みを行ってきたところであり、今後におきましても、地方における教育力向上のため、地方分権の趣旨を踏まえつつ、本県の特色ある教育の推進に努めてまいりたいと考えております。
 なお、御指摘のありました地方分権改革推進会議で提言されている義務教育費国庫負担制度の見直し等は義務教育制度の根幹にかかわる事項であり、今後の国の動向を注視しながら適切に対応してまいりたいと考えております。
 また、特色ある高校づくりについてでありますが、各学校が生徒の個性を最大限に伸長させる上で、特色ある学校づくりを推進することは極めて重要であるとの考えから、県教育委員会では、これまでも各学校における社会人講師の招聘事業や地域との連携事業の支援を積極的に行ってきたところであります。今年度からはこれをさらに充実・発展させるために、個性輝く学校づくり推進事業を実施しておりますが、この事業は実施内容及び予算の使途について学校の裁量を大幅に認め、その推進に当たっては、各学校が学校評議員等の地域の方々を含む事業推進委員会を設置し、事業の計画や評価を行い、それを公表するなどして、次年度以降の取り組みへ反映させるようにしたものであります。
 本年度の取り組みを見ますと、例えば遠野学講座の開設や大学との連携による高度な技術講習や専門的な講義、韓国やオーストリアの高校との交流など、さまざまな特色ある活動が行われております。
 今後とも、各学校がみずからの創意工夫による特色ある学校づくりを展開できるよう、積極的に支援してまいりたいと考えております。

〇1番(飯沢匡君) 御答弁ありがとうございました。港湾ビジョンについて1点だけお伺いしたいと思います。
 知事の方から、戦略性について御答弁をいただきありがとうございました。非常に今の港湾をめぐる状況、これから特にコンテナ船をいかに定期航路に乗せるかというのは、非常に難しい状態であるなと私も認識をしております。これはやはりビジョンの策定をもうちょっと早目にしなければ、今の状態で貨物を他港から寄せるということは並大抵の努力ではないと思います。知事の御答弁でもありましたように、非常に4港のポテンシャルを生かしながら、各港の特性を図りながら港湾の整備を図るというのは非常に大事なことではございますが、既に他県との、隣港とのおくれ、これを取り戻すのは大変な努力が必要でございますし、それで1点だけお伺いしたいのは、知事は道州制でありますとかそれから北東北3県の連携でありますとか、また、宮城県の知事ともいろんな意味でこれから地方財政が厳しくなる中で補完すべきところは補完すべきと、そしてお互いの機能を発揮できるところは発揮していこうという考えを示されておりました。港湾においては、これは非常に大変なことなんですが、今の現状ではほかの港から荷物をとってこなければならないと。補完するということはなかなか難しい面があると思うんですが、そこら辺のところの考え方といいますか、そこを知事みずからどのようなイメージ、隣県でありますと大きな港は八戸港、それから塩釜、仙台港でございますが、他県との連携の中で、岩手の港というものは先ほど申し上げましたように荷物をとってこなければ話にならないのでございますから、そこら辺の考え方を示していただきたいと思います。

〇知事(増田寛也君) 今、港湾ビジョンについての懸念といいましょうか、これからの本県の戦略性についてお尋ねがあったんですが、東北の各港が共同して首都圏でポートセールスをする東北の首都圏セミナーというものがございますけれども、あれなどを見ておりましても、八戸、秋田、それから仙台、こういったところはもうそれぞれの港の特色を出していろいろ各企業に売り込みを図っているわけですけれども、どうしても岩手県の港は四つがそれぞれでやるものですから、いまひとつ、なかなか相手企業に対して優位性が発揮できないと、こんなことがありまして、今までそれぞれ重要港湾として機能してきたわけでございますが、これからの物流、これは動脈面も静脈面も双方見ての上ですけれども、それの今後の動向等を考えますと、やはり隣県の港、八戸なりそれから仙台、塩釜といったようなところも含めて、隣県の港のことも十分意識をして機能分担を図る、それから連携するところは連携をすると、こういうことを考えないと、本県の港としての機能は十分発揮できないと、こういうふうに思っております。
 そこで、今、北米航路などはもうこれはかなり確立して、手元の資料を見ましても、北米等の貨物などはもう既に隣県の港湾で定期便が就航しているものもございますので、こういったものは恐らくこれからも非常にそれを持ってくるというのは難しいわけでございますけれども、当面この港湾ビジョンの中で50%、今後20年間で50%こちらの方に持ってこようというふうに考えておりますが、これは港湾の機能だけではなくて、県内の道路網の整備とか、そういったことでの輸送コストの縮減を徹底的に図るという観点での港湾と道路とのネットワーク構想の中から今それを考えておりますが、そういったことで海上コンテナなどをもっと集約化させるだとか、我々の方でもそれぞれの港の今持っております機能というのを十分に特化をすると、そして選択と集中ということですけれども、その上で隣県の港湾も当然視野に入れてそことの機能分担を図って、もう非常に難しいものは隣県に任せるといったような大胆な考え方を取り入れて今後の県内の港湾の利活用を図っていくと、こんな考え方が必要であろうと思います。
 今、地域の港湾の所在の市町村からも、我々の港湾ビジョンの素案についていろいろ御意見をいただいておりまして、大分懸念をする御意見などもいただいておりますが、やはり我々の方としては大局的な、少なくとも東北全体の状況を見ながらやっていかないと、どれもが沈んでしまうような危険性がございますので、いろいろ地域の御意見は尊重する構えでございますが、やはり隣県の港湾のことも十分意識して、それで機能分担をするという考え方で港湾ビジョンを最終的にまとめたいと、こういうふうに考えております。

〇議長(谷藤裕明君) 次に、樋下正信君。
   〔3番樋下正信君登壇〕(拍手)


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