平成14年9月定例会 決算特別委員会(企業会計)会議録

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平成14年10月1日(火曜日)
1開会  午前10時4分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
 事務局長 大  沼     勝
 議事課長 平  澤  石  郎
 議事課長補佐 浅  田  和  夫
 主任議事管理主査 八重樫  典  彦
 議事管理主査 浅  沼     聡
 議事管理主査 田  丸  裕佳子
 議事管理主査 嵯  峨  俊  幸
1説明員
 企業局長 相  原  正  明
 企業局次長 齊  藤  静  夫
 企業局技師長 武  蔵  繁  明
 総務課長 渡  邊  主  喜
 風力発電開発室長 池  内     達
 財務管理課長 昆  野  三千信
 業務課長 杉  下  安  弘
 監査委員 一  戸  克  夫
 監査委員 谷  地  信  子
 監査委員事務局長 久  保  隆  男
 総務課長 三  上  佑  子
 監査課長 八重樫  賢  一
 参事兼財政課長 菊  池  秀  一
   
〇水上信宏委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第3号までの3件を一括議題といたします。
 認定第2号平成13年度岩手県電気事業会計決算及び認定第3号平成13年度岩手県工業用水道事業会計決算の2件について、企業局長から説明を求めます。
〇相原企業局長 企業局が所管しております認定第2号平成13年度岩手県電気事業会計決算及び認定第3号平成13年度岩手県工業用水道事業会計決算について御説明申し上げます。
 決算書の説明に入ります前に、電気事業と工業用水道事業の平成13年度における経営の概況について御説明申し上げます。
 最初に電気事業についてでございますが、まず、水力発電につきましては、昭和32年に胆沢第二発電所の運転を開始して以来、県内の適地に発電施設の整備を進めておりまして、12カ所の発電所を運転してきているところであり、その最大出力は合わせて14万450キロワットと、公営電気事業としては全国でも4番目の規模となっているところでございます。
 また、風力発電につきましては、県営として最初の風力発電所でございます稲庭高原風力発電所が昨年9月から営業運転を開始したところでございます。この水力及び風力発電につきましては、環境に優しいクリーンで再生可能なエネルギーでございまして、地球温暖化対策やエネルギーの安定供給の観点から、国では積極的に開発を促進することとしております。このことから、企業局といたしましても、こうした国の施策に沿いながら、また、豊富な資源活用の観点からも、引き続き開発を進めることとしております。
 平成13年度におきましては、柏台発電所の建設工事を取り進めたところでございまして、各工区の導水路工事を継続するとともに発電所建屋新築工事等を実施し、本日午前零時から営業運転を開始しているところでございます。
 また、新規開発に向けまして水力発電の電源開発地点の調査といたしまして、一関市の槻木平地点の基本設計を実施するとともに、風力開発の基礎調査といたしまして県内2カ所で風況観測等を実施いたしております。
 次に、発電状況について申し上げますと、平成13年度における県営12水力発電所の総供給電力量は5億3、500万キロワットアワー余となりまして、目標に対して95.3%の達成率となっております。また、稲庭高原風力発電所の総供給電力量は170万キロワットアワー余でございまして、計画に対して51.3%の達成率となってございます。
 事業収支で申しますと、水力発電におきます出水率の低下、発電所の工事実施に伴う取水の停止等による発電量の減少、これに伴う電力料金収入の減少などによりまして、当年度純利益は昨年度を若干下回る7億6、800万円余となってございます。
 次に、工業用水道事業の経営の概況についてでございますけれども、昭和53年度に北上中部工業用水道の給水を開始して以来、その後、第二及び第三の北上中部工業用水道並びに2カ所のろ過施設を整備いたしまして、平成13年度は誘致企業19社に給水をしたところでございます。
 また、平成13年度におけます年間総給水量でございますが1、541万立方メートル余でございまして、受水企業の使用水量が減少したことによりまして、前年度を0.3%下回ったところでございます。
 事業収支につきましては、給水料金等の減少によりまして営業収益が減少いたしますとともに、企業債に係る支払い利息の増加によりまして費用が増加したことなどから、当期純利益は昨年度を下回る1億100万円余となったところでございます。
 なお、この工業用水道事業につきましては、国の経営健全化対策等に基づく一般会計からの支援を得て高利率の企業債の繰り上げ償還を行ったことなどによりまして、平成9年度から収益収支で黒字となっており、5年連続の黒字となったところでございます。
 しかしながら、累積欠損金が平成13年度末におきましても7億6、600万円余ありますことから、今後におきましても、一層、関係部局との連携を密にしながら水需要の拡大を図るとともに、経費の節減などに努めまして、安定した経営の確立に努力してまいる考えでございます。
 以上、電気事業及び工業用水道事業の経営概況について御説明いたしましたが、企業局といたしましては、今後とも引き続き地方公営企業の運営の原則であります公共性あるいは経済性を確保しながら、事業の効率的、合理的な経営に取り組んでまいりたいと考えておりますので、県議会並びに関係の皆様方の一層の御指導をお願い申し上げます。
 それでは、お手元の決算書に基づきまして概要を御説明申し上げます。
 決算書のうち決算報告書は、予算に対する決算という性格上、消費税及び地方消費税を含めた金額でございますが、損益計算書その他の財務諸表は、これらの消費税等抜きの金額で作成することとなっておりまして、金額に相違がございますので、あらかじめ御了承お願い申し上げます。
 まず、認定第2号平成13年度岩手県電気事業会計決算でございますが、この決算書の1ページをお開きいただきたいと存じます。
 1ページの収益的収支及び支出でございますが、収入の決算総額は52億1、700万円余、支出の決算総額は43億8、400万円余でございます。
 その収入の内訳でございますが、第1項営業収益48億7、900万円余は、水力発電に係る電力料が主なものであり、第2項財務収益2億400万円余は、株式配当金、貸付金利息及び預金利息でございます。また、第3項附帯事業収益2、100万円余は、風力発電に係る電力料でございまして、第4項事業外収益1億1、200万円余は、主に松川及び早池峰発電所の建設に係る利子補給金でございます。
 次に、支出の内訳でございます。第1項営業費用37億6、100万円余は、水力発電所の運転及び管理運営に要した費用でございまして、第2項財務費用は4億7、200万円余でございますが、企業債に係る支払い利息でございます。また、第3項附帯事業費用2、500万円余は、稲庭高原風力発電所の運転等に要した費用でございますが、第4項事業外費用1億2、400万円余は、主に納付消費税及び地方消費税でございます。
 次に、2ページをお開きいただきたいと思います。2ページの資本的収入及び支出でございますが、収入の決算総額は6億2、200万円余で、支出の決算総額は24億3、800万円余でございます。
 収入の内訳でございますけれども、第1項企業債1億2、200万円は、柏台の発電所の建設事業に係る起債でございます。第2項補助金4億7、000万円余は、柏台発電所、稲庭高原風力発電所等の建設事業に係る国庫補助金でございます。また、第3項負担金1、000万円余は、仙人発電所の共有施設に係る改良工事負担金及び岩洞ダム河川維持放流設備基本設計等業務委託に係る負担金であり、第4項の長期貸付金償還金2、000万円は、工業用水道事業会計に対する長期貸付金の償還金でございます。
 次に、支出の内訳でございますが、第1項建設費14億2、900万円余は、柏台発電所及び稲庭高原風力発電所の建設費であり、第2項改良費3億9、900万円余は、各水力発電所の施設の改良や更新に要した経費であります。また、第3項電源開発費5、700万円余は、新規の水力及び風力発電開発のための調査等に要した経費であり、第4項企業債償還金5億1、200万円余は、発電所の建設のために借り入れた企業債の償還金で、第5項長期貸付金3、800万円余は、工業用水道事業会計に対し企業債償還元金の原資として貸し付けをしたものでございます。
 なお、資本的収入額が資本的支出額に不足する額18億1、500万円余は、2ページの下段欄外に記載してありますとおり、当年度消費税及び地方消費税資本的収支調整額、減債積立金などをもって補てんしております。
 次に、3ページの損益計算書でございますが、営業利益は9億3、700万円余となっており、この営業利益から財務収支、附帯事業収支及び事業外収支の合計の損失1億6、900万円余を差し引いた7億6、800万円余が当年度純利益となっております。
 次に、4ページをお開きいただきたいと思います。4ページの剰余金計算書の利益剰余金の部でございますが、減債積立金から5ページの中小水力発電開発改良積立金までの年度末の積立金合計額は53億7、800万円余となっておりまして、また、当年度の未処分利益剰余金は7億6、800万円余となっております。
 次に、6ページをお開きいただきたいと思います。6ページの資本剰余金の部でございますが、国庫補助金以下3科目の合計額は16億5、800万円余となっております。
 次に、7ページの剰余金処分計算書(案)でございますが、当年度の未処分利益剰余金7億6、800万円余のうち、企業債償還金に充てるための減債積立金として4億4、300万円、中小水力発電開発改良積立金として3億2、500万円をそれぞれ積み立て、残額の53万円余を翌年度に繰り越ししようとするものであります。
 次に、8ページをお開きいただきたいと思います。8ページから11ページまでは貸借対照表でございますが、資産合計と負債・資本合計はそれぞれ382億9、800万円余となっております。
 以上で電気事業会計の説明を終わらせていただきます。
 次に、認定第3号平成13年度岩手県工業用水道事業会計決算について御説明いたします。
 決算書の1ページをお開きいただきたいと思います。1ページの収益的収入及び支出でございますが、収入の決算総額は11億8、600万円余、支出の決算総額は10億7、800万円余でございます。
 その収入の内訳でございますが、第1項営業収益11億8、600万円余は、一般水及びろ過水の給水料金が主なものでございます。
 次に、支出の内訳でございますが、第1項営業費用7億3、500万円余は、各工業用水施設の給水業務及び管理運営に要した経費であり、第2項財務費用3億1、300万円余は、企業債と電気事業会計からの借入金に係る支払い利息で、第3項事業外費用2、900万円余は、納付消費税及び地方消費税がその主なものでございます。
 次に、2ページをお開きいただきたいと思います。2ページの資本的収入及び支出でございますが、収入の決算総額は2億円余、支出の決算総額は6億200万円余でございます。
 その収入の内訳でございますが、第1項企業債1億400万円は、第二及び第三北上中部工業用水道の建設事業並びに第二北上中部工業用水道及びろ過施設の改良工事に係る起債であり、第2項の出資金4、300万円余は、経営健全化支援等に係る一般会計からの出資金であります。また、第3項補助金1、100万円余は、第三北上中部工業用水道建設事業に対する国庫補助金であり、第4項他会計からの長期借入金3、800万円余は、電気事業会計から企業債償還元金の原資として借り入れたものでございます。
 次に、支出の内訳でございますが、第1項建設費6、500万円余は、第二及び第三北上中部工業用水道の建設事業に要した経費であり、第2項改良費8、300万円余は、各工業用水道施設の設備の改良や更新に要した経費であります。また、第3項企業債償還金3億2、800万円余は、工業用水道施設の建設のために借り入れした企業債の償還金であり、第4項他会計からの長期借入金償還金1億2、000万円余は、一般会計及び電気事業会計からの借入金の償還金でございます。
 なお、資本的収入額が資本的支出額に不足する額4億800万円余につきましては、2ページの下段欄外に記載してありますとおり、消費税及び地方消費税資本的収支調整額、繰越工事資金、損益勘定留保資金で補てんしております。
 次に、3ページの損益計算書でございますが、営業利益は4億1、400万円余となっておりまして、この営業利益から財務収支及び事業外収支の合計額の損失3億1、300万円余を差し引いた1億100万円余が当年度の純利益となっております。
 次に、4ページをお開き願います。4ページの剰余金計算書でございますが、当年度の未処理欠損金は、前年度の未処理欠損金8億6、700万円余から当年度純利益1億100万円余を差し引いた7億6、600万円余となっております。また、翌年度への繰越資本剰余金41億1、400万円余は、国庫補助金がその主なものでございます。
 次に、5ページの欠損金処理計算書でございますが、当年度の未処理欠損金7億6、600万円余は、翌年度へ繰り越しをするものでございます。
 次に、6ページをお開きいただきたいと思います。6ページから8ページまでは貸借対照表でございますが、資産合計と負債・資本合計はそれぞれ143億3、800万円余となっております。
 以上で、企業局関係2会計の平成13年度決算の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇水上信宏委員長 これより質疑に入るわけでありますが、世話人会の申し合わせにより、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、また、質疑に当たっては、項目が複数ある場合は関連する事項についてはできるだけまとめて質疑を行うよう、議事進行に御協力をお願いします。
 また、関連質疑につきましては、質疑冒頭に質疑を表明している委員よりも優先して発言を認めているものでありますので、その性格上、関連性のあるもののみ短時間、簡潔に発言されるよう御協力をお願いします。
 なお、過去の特別委員会において、関連質疑ということで発言し、要望のみで終わる例があったので、そういうことがないよう御協力をお願いします。
 ただいまの相原企業局長の説明に対し質疑はありませんか。
〇柳村岩見委員 自由民主クラブの柳村岩見でございます。何点かお尋ねいたしますので、よろしくお願い申し上げます。
 まず初めに、電気事業会計についてお尋ねいたします。
 ただいま相原企業局長より平成13年度の経営収支を御説明いただきましたが、損益計算書によりますと、総収益49億8、480万円余、前年度比1.6%の減、総費用が42億1、633万円余であります。前年度比1.5%の減で、差し引き7億6、846万9、000円の黒字ということであります。
 収支は平成9年度をピークに年々黒字幅が減少し、平成12年度会計決算では前年度比15.7%、1億4、541万円減少し、その決算に対して1.7%の減少であります。こういう流れの中で、企業局として平成13年度決算をどのように評価されておられますか、まず先にお尋ねいたします。
〇相原企業局長 平成13年度決算におきましては、収益では、水力発電におきます出水率の低下や工事の実施に伴う取水の停止等から、供給電力量及び電力料収入がともに減少したところでございます。
 また、費用は、稲庭高原風力発電所の稼働に伴う費用が新たに増加いたしましたものの、企業債償還利息の減などから減少しております。この結果、純利益は7億6、800万円余とほぼ前年並みの利益を確保することができたと考えております。
 新規の開発につきましては、平成11年度から建設に着手しておりました柏台発電所が、順調に工事が進展いたしまして、本日運転を開始したところでございます。
 また、新規電源開発地点の調査等も実施しているところでございまして、電気事業におきます経営内容、これら各事業の進捗状況を勘案した結果、おおむね順調ではないかと考えているところでございます。
 しかし、風力発電につきまして、昨年9月に運転開始いたしましたものの、機器故障のために計画どおりの発電ができなかったということがございますので、本年設置いたしました検討委員会で抜本対策を講じておりますし、さらに総括的なまとめもする予定でございますので、こういったことを踏まえて、さらに開発に生かしていきたいと考えております。
〇柳村岩見委員 次に、平成13年度の供給電力量では、水力発電では12発電所目標電力量5億6、262万2、000キロワット時に対し、実績は5億3、596万3、566キロワット時であります。前年度に比較いたしますと3、116万2、784キロワット時減少いたしております。
 また、風力発電では、昨年9月から運転開始した稲庭高原風力発電所に係る供給電力量は、計画では349万1、129キロワット時で、実績は179万430キロワット時となっております。供給電力量の計画に対する実績の減少原因について順次お尋ねいたします。
 水力発電の方でありますが、先ほども出水率が98.9%ということで、平成12年度に比較いたしますと10.3%の低下ということであります。供給電力量と決算に及ぼした影響度と近年の傾向についてお尋ねいたします。
 岩洞発電所の設備補修点検を行ったようでありますが、当初からの計画であったか、その経緯と供給電力への影響度についてお尋ねいたします。
〇杉下業務課長 平成13年度の出水率は御指摘のとおり前年度と比較しまして10.3%低下していますが、この影響が一因となりまして、供給電力量で5.5%、電力料金で0.8%、収益合計で1.6%減少したものであります。
 ここで出水率をちょっと説明させていただきますと、出水率は、平年に対する河川の水の出ぐあいを示すもので、一般的には出水率が高ければ供給電力量が高くなり、出水率が低くなれば電力量の達成率も低いというような関係であります。
 なお、近年の傾向については、ここ10カ年の出水率と供給電力量達成率を比較してみますと、出水率が100%以上であった平成5年度、7年度、10年度、12年度の4カ年については供給電力量も100%を超えておりまして、基本的には比例的な相関を示しております。しかし、例えば大雨が降った場合、発電可能な水量が超えた場合には水は流失してしまうことになりまして、出水率は高くなりますが、供給電力量は必ずしも同じ分だけ増加するというわけではございません。
 次に、岩洞発電所の設備改修についてでございますが、昨年度は補修工事としまして軽松沢水管橋の鉄管内面塗装工事を実施しております。この施設は、岩洞ダムに集水する最下流部に位置する導水施設でありまして、岩洞ダムに貯水される水の約8割はこの施設を通っております。
 本施設の鉄管内面塗装工事は、年間計画に基づきまして、平成13年10月1日から12月7日までの間の約2カ月間で実施したものでございます。この期間中は取水を停止したことから、供給電力量への影響が出たものでありまして、岩洞発電所の供給電力量達成率は年間を通しまして82.2%となり、先ほどの出水率の低下と合わせまして、全体の供給電力量が減少する一因となったものであります。
〇柳村岩見委員 次に、風力発電の方のことでありますが、稲庭高原風力発電所では本年1月に1号機が、3月には2号機が風車の出力制御する逆変換装置の不調で長期間停止したことや、風車内の制御データの通信エラーなどの異常が続き、いずれかの風車が故障し、3基が稼働しなかった日数は昨年9月から今年5月までで136日に上ったようであります。この状況に対する対応策について整理した形で御説明をお願いいたしたいと思います。
 実績の大幅な減少による供給電力量と決算数字に及ぼした影響についてもお尋ねをいたします。
 この稲庭高原風力発電所の売電損失額1億500万円から2、000万円と言われておりますが、発電機器を受注した日本鋼管に補償請求をしたと思いますが、その後の推移についてお尋ねいたします。
〇池内風力発電開発室長 稲庭高原風力発電所につきましては、故障が発生した際に、直ちに部品交換や修理を行うなどの緊急対策を実施してきましたが、制御装置等の電子機器の動作不良が多く発生したため、抜本的な対策について請負業者である日本鋼管と協議を行いまして、その結果、同社の責任において電気系統の機器を国産製に取りかえ、機器の信頼性を高め、保守体制を強化し、稼働率を向上させることとしております。
 また、 機器故障を防止し本来の機能を十分に発揮させ、早期に風力発電所の運営を軌道に乗せるため、本年5月29日に運営対策検討委員会を設置し、故障原因の分析を含めた今後の運営対策を検討してまいりました。
 これまで、学識経験者等3名の外部委員の出席を得た委員会を6月21日と7月30日に開催しまして、故障原因を詳細に分析するとともに、請負業者の責任で国産製に取りかえることにした一部機器の仕様について審議を行ってきております。
 この運営対策検討委員会における検討を踏まえまして、一部機器の国産製への取りかえ及び売電収入の減少分の補てんについて、請負業者である日本鋼管と協議を行い、8月23日に確認書を取り交わしております。
 国産製への取りかえ工事は8月29日に開始されまして、11月上旬に完了の予定であります。現在、1号、2号の取りかえが終わりまして、試験・調整を行っているところです。3号は、現在取りかえ工事中であります。
 今後におきましては、現地の試験調整を十二分に行い、機器取りかえ工事が終了後、運営対策検討委員会におきまして運転状況の検証をさらに行うとともに、稲庭高原風力発電所の計画段階から営業運転までの業務全般について反省し、改善すべきことがなかったかどうか検証を行いまして、稲庭高原風力発電所の経験を教訓として、今後の新規開発に生かしてまいりたいと考えております。
 故障請求に係る推移についてでございますが、稲庭高原風力発電所が運転を開始した昨年9月11日から3月末までの電力量は、計画値349万キロワットアワーに対して実績値が179万キロワットアワー、電力料金では計画値の4、014万8、000円に対し実績値が2、059万円、減収分は1、955万8、000円であり、達成率は51.3%であります。
 このまま機器の故障が続き電力料金の大幅な減少が続いた場合には、平成13年度の決算だけでなく、事業そのものの収支見通しの大幅な変更を迫られるものでありまして、大きな問題であると認識したところであります。
 このため、相原局長が本年4月10日に日本鋼管の副社長を訪問し、電力料金の減少分の補てんについて協議を行ったところ、日本鋼管からは、応分の補償を行い誠意ある対応をしたいとの回答を得ております。
 これを受けまして、日本鋼管と一部機器の国産製への取りかえ及び営業損失の補償について詳細に協議を行いまして、平成13年度の補償額を1、723万1、000円などとする確認書を8月23日に取り交わしております。
 この確認書に基づきまして、平成13年度の補償金が9月9日に支払われたところでありますが、売電収入の実績額との合計額は計画値の94.2%となっております。平成13年度の決算におきましては、附帯事業収支は約500万円の赤字となりましたが、その減収分は平成14年度に補てんされるものであります。
 なお、本年4月1日から一部機器の取りかえ工事が完了するまでの期間につきましても、同様の補償がなされることになっております。
〇柳村岩見委員 質問の趣旨によりまして区切りたいのでありますが、ちょっと続けて項目を質問したいと思いますので、順次お答えをお願いしたいと思います。
 わかりにくい話でありますけれども――私にとってでありますが、企業局が保有している株式の受取配当金が決算全体の構成比3.3%となっております。この中身についてお尋ねをしておきたいと思います。
 利益剰余金を提案のとおり積み立ていたしますと、減債積立金や中小水力発電開発改良積立金がどのようになるのかということについて、先ほども相原局長から説明をいただいたのでありますが、改めてお尋ねいたします。
 岩手県の公営電気事業のうち、水力発電は平成14年4月1日現在で、最大出力14万450キロワットであります。これは全国4番目の規模となっております。その矢先に、昨今電力の自由化や現在の風力の電力料金が電力購入メニューによってキロワットアワー11円50銭となっておりますが、電力会社が平成12年10月より2、000キロワット以上の風力発電に対し入札制を導入したことや、平成15年4月1日以降の電力購入メニューが未公開であることなど厳しい環境が予想されます。どのように認識をされておりますかお尋ねいたします。そして、その対策についても、どのようなお考えであるかをお尋ねしておきます。
 これらのこととも関係していると思いますが、簗川ダムにかかわることですが、水力発電を目的に事業参加している県企業局の売電計画で、売電先に見込む東北電力は、経営環境が先行き不透明なことから判断を保留しておられるようであります。売電に必要な開発同意が得られないとダム事業にも影響を及ぼすと考えますが、その状況と見通しについてお尋ねいたしておきます。
 少し先のことでありますが、県企業局の12発電所の売電契約は平成21年度までの契約はあるものの、平成22年度からは1年更新となることから、将来は売電力が大きな課題となってくると思いますが、所感をお尋ねしておきます。
〇相原企業局長 それでは、私の方からは風力発電を取り巻く環境、簗川ダム関係、平成21年度までの売電契約が終了した後の課題につきまして御答弁申し上げまして、その他のお尋ねについては関係課長から申し上げます。
 まず、風力発電を取り巻く環境でございますが、風力発電は二酸化炭素を排出せず環境負荷の極めて少ないエネルギーでございまして、他の新エネルギーに比べますと非常に高い実用段階にございます。平成13年度に2010年までの国におきます目標が示されましたが、これが30万キロワットから10倍の300万キロワットに変更されておりまして、その期待が一層高まっているところでございます。
 一方では、風力発電は自然条件の影響を強く受けまして安定性に欠ける、それから水力発電や火力発電に比べて単価が高い、電力自由化や電力需要の伸び悩みにより電力会社の受け入れが困難になってきている、それから、現実の問題としまして、送配電線の容量の制約を受けるといったことなどから、非常に厳しい環境にございます。
 ただ、環境首都を目指す本県でございますので、より多くのこういった風力発電を県内に導入するということが、地球温暖化対策など環境保全の面で大きな意義を有するものと考えております。企業局といたしましても積極的に取り組んでまいりたい。
 その風力発電の立地の件でございますけれども、こうした環境に優しいエネルギーとして開発するものでございまして、希少野生動植物あるいは景観といった環境に対しても大きな影響を与えないということが大前提であると考えてございます。
 また、電力会社の購入単価あるいは売電するための送配電線の容量、さらには電気事業者による新エネルギー等利用に関する特別措置法、こういったことがあらわれたのですけれども、まだはっきり内容が公表されていないという課題もございます。
 こうした中で、私どもといたしましては、現時点で直ちに着手できる視点はございませんけれども、今後こういった情勢を注視しながら、直ちに建設に着手できるようにするための県内の有望と思われる地点を探索・調査いたしまして、できるだけ多くのこういった箇所を確保して開発に備えていきたいと考えております。
 次に、簗川ダム関連の御質問でございます。
 私ども水力発電を目的にダム事業参加しているというダムにつきましては、今後においては、胆沢第三発電所、簗川発電所の二つでございますが、胆沢第三発電所は東北電力の開発同意が得られておりますけれども、簗川発電所についてはまだ得られていないという状況にございます。
 現在、東北電力は、電力小売自由化の進展、電力需要の低迷等によりまして長期的な経営環境の見通しがつかない、それから、簗川発電所の開発計画が長期にわたるというようなことを理由に挙げまして、現時点で同意について判断することは極めて困難であるというような回答を示しております。しかしながら、これまで協議を続けてまいりました経緯がございますので、今申し上げたように厳しい状況でございますけれども、東北電力自体の対応が、何年か前、本時点、それから先を見たときに、なお流動的ではないかという考えもございまして、引き続き粘り強く交渉したいと基本的に考えております。
 また、ダム事業への影響でございますけれども、簗川発電所はもっぱら河川維持流量を利用する方式でございますので、ダムの高さとか形に影響するものではございません。しかし、ダム事業が5者による共同事業となっておりまして、それぞれ負担金を払っておりますので、こうした負担割合に影響を与えると考えております。
 水力発電事業はクリーンエネルギー、無尽蔵な国産エネルギーでございますので、今後、必要に応じて関係部局と協議をいたしまして、発電の促進に努めてまいりたいと思います。
 それからもう1点、平成21年度までの売電契約が終了した場合の将来の課題に対する所感でございます。
 御指摘のように、平成22年度以降は、私どもにとって非常に厳しい状態が予想されます。現在の電力自由化がどのように展開していくか不透明でございますが、今後とも卸供給事業者として東北電力に電力を安定供給することが基本であると現在考えております。
 一方では、電力自由化の進展を踏まえまして、電力の小売につきましても研究の視野に入れていく必要があるのではないかと考えております。ただし、現時点で考えてみますと、水力発電単独で小売ということになりますと、需要に応じた発電が難しい。電力需要というのは時間ごとに常に変化してございますので、ピークが来たときに間に合わない、水力だけでは足りないということが出てこようかと思います。こうした問題とか、結局のところ、電力の不足に対して電力会社からバックアップしていただく必要があって、そのために経費がかさんで採算面で難が生ずるということがございますので、今後、慎重に検討してまいりたい。
 いずれにいたしましても、これまで以上に経営の効率化に努めまして、将来的に競争に耐え得る電気料金になれるように努力をしてまいりたいと考えております。
〇渡邊総務課長 株式の受取配当金についてお答え申し上げます。
 企業局では、安全で確実な資金の有効的活用を図るため、昭和35年度の東北電力株取得以来、適時株式を取得してきております。
 平成13年度末現在の株式保有の内訳でございますけれども、東北電力株式会社等6法人合わせまして275万9、686株で、取得価格は10億3、184万円余となっております。
 平成13年度の受取配当金でございますけれども、東北電力株式会社からの1億2、978万円余、岩手銀行株式会社からの3、059万円余、東北銀行株式会社からの203万円余が主なものでございます。そのほか合わせまして1億6、299万円余というふうな形になってございます。
〇昆野財務管理課長 未処分利益剰余金についてお答えいたします。
 剰余金処分案が承認されますと、減債積立金については4億4、300万円を積み立てることになりますので、残高は7億6、300万円余になります。これは平成14年度からの企業債の償還元金に充てるものでございます。
 水力発電開発改良積立金につきましては、3億2、500万円を積み立てることになりますので、残高は25億6、800万円余となります。これは今後の水力発電所の建設に充てるものでございます。
〇柳村岩見委員 新エネルギー、クリーンエネルギーに対する期待は大きいものがあります。風力発電や木質、畜産バイオマス発電、太陽光発電、小水力発電などに対する考え方、他部局との連携の状況についてお尋ねしておきます。
 知事は市町村要望の中で、ある町にお邪魔したときの話でありますけれども、当町に来たら新エネルギーがみんな見られるようにと、その取り組みに期待した発言をするのであります。県庁内あるいはまた企業局内でどの程度の議論になっておられますか、お尋ねいたします。
〇相原企業局長 企業局におきましては、発足以来、クリーンエネルギーでございます水力発電に事業者として取り組んでまいったところでございますが、新エネルギーにつきましても、さまざまなエネルギーにつきまして調査、検討した経緯がございまして、これまでのところ風力発電が実現を見ているところでございます。
 新エネルギーは、一般的にまだ経済的な課題あるいは技術的な課題が多くございまして、特に発電事業という場合は採算性を確保しながら実施するということで、これは政策面の優遇策といったものを拡充、あるいは技術面での一層の進展が必要であると思っております。
 しかしながら、こうした新エネルギーは地球温暖化対策、あるいは本県が目指す環境首都の創造にとって重要な手段でございますので、私ども企業局といたしまして、政策部局との連携を図りながら積極的に役割を担いたいと考えております。
 具体的な取り組みについて申し上げますと、木質バイオマスエネルギーに関しまして、ペレットによる小規模なコージェネレーション、熱と電力の併給でございますが、こういったシステムの実証の可能性、あるいは将来的な課題ではございますけれども、発電事業を行う可能性について調査、検討を進めているところでございます。
 その他の新エネルギーにつきましても調査、研究を進めながら、関係部局あるいは市町村の取り組みに対する技術支援などを積極的に行ってまいりたいと思っております。
 特に、他部局との連携のお話がございましたけれども、この新エネルギーにつきましては、やはり部局横断的にそれぞれ取り組んでいくことが大事だということで、木質バイオマスエネルギーにつきまして、今一生懸命取り組んでいるところでございます。
 全庁的に見ますと、ペレットストーブの試作、あるいはペレットボイラーの試験導入などに取り組んでおりますし、企業局といたしましても、その一翼を担う形で小規模な家庭用のコージェネレーションシステムの実証可能性について、具体的な取り組みを進めているという状況でございます。
〇柳村岩見委員 次に、工業用水道事業会計についてお尋ねいたします。
 平成13年度の同会計は、総収益11億3、018万円余、前年度比1.7%の減少、総費用は10億2、914万円余、前年度比0.4%増で、差し引き前年度比18.7%の減少となっております。黒字の額は1億104万円余でございます。
 平成9年度以降5年連続の黒字決算ということでありますが、その黒字幅は平成11年度をピークにして減少を続けております。このことと平成13年度決算に対しての評価についてまずお尋ねいたします。
 北上工業団地など誘致企業19社への給水量は約1、541万立方メートルで、前年度並みということでふえておりません。特にも、基本使用水量の伸び悩み、超過水量の減少は、最近のIT産業の状況、半導体産業を初めとする産業構造が変化してきているということとの関係があると思いますが、その認識についてもお尋ねいたします。
〇相原企業局長 私の方からは、工業用水道事業会計の決算の評価について申し上げまして、他のお尋ねにつきましては、関係課長から申し上げます。
 工業用水道事業会計決算におきましては、企業を取り巻く経営環境が厳しい状況の中で、工業用水を安定的に供給できたこと及び経営健全化対策等によりまして、平成9年度以降単年度収支で黒字を計上してきておりますが、そういった状況を踏まえまして事業運営は順調であったと考えております。
 しかし、御指摘のように黒字幅が平成11年度は1億5、700万円余ございましたものが、翌年の12年度では1億2、400万円余、13年度になりますと1億100万円余と減少してきております。
 その要因といたしましては、営業収益においては大幅な増減はございませんけれども、費用において、財務費用である企業債償還利息が、早池峰ダムの完成によって平成12年度においては3、400万円余、13年度においては4、000万円余増加しているといったことが挙げられるかと思います。
 このように、5年連続の黒字ではございますが、その黒字幅が年々減少してきているとともに、7億6、600万円余の累積欠損金や多額の企業債、借入金を有してございますことから、経営環境は依然として厳しい状況であると認識しておりまして、既存企業の水需要の拡大、それから関係機関との連携を密にしての用水型企業の誘致活動、これはことし特別に連絡会議を立ち上げたわけですけれども、こういったものを展開しますとともに、この施設の維持管理に十分注意を払いながら行い、経費の節減に努めて事業を運営してまいりたいと考えております。
〇杉下業務課長 工業用水の基本使用水量等の使用状況でございますが、本県の工業用水道事業は、基本使用水量のうちの約3分の2が半導体を製造する2社で占められるという特徴がありまして、これらの企業の生産活動状況の影響を受けやすいという傾向にございます。
 企業の生産活動を取り巻く環境は、長引く景気の低迷で厳しい状況にありますが、その中でIT産業は好況を保ってきましたが、米国の景気の減速等に伴いまして、IT産業がかつてない厳しい状況で推移しております。
 このような中で、今まで工業用水を多量に使用して生産していた半導体製品の一部の生産停止や、今まで多量に水を使っていました製造業の企業の生産拠点の海外移転などがありまして、本県の工業用水の使用にも影響を及ぼしたものと認識しております。
〇柳村岩見委員 ありがとうございました。
 企業局は平成13年6月12日に金ケ崎町の岩手中部工業団地への工業用水の給水を一時停止いたしております。これは、金ケ崎町西根の町道付近で送水管から水が漏れているという町からの連絡があり、企業局県南施設管理所が工業用水からの漏水であると判断して、岩手中部工業団地への給水を一時停止したものであります。
 その後の調査で漏水はすぐ上の農業用水管の破損によるものとわかり、一時停止から3時間後に送水を再開したということでありますが、送水先の6社の工場では事前に連絡を受けたということで、最も水を多く使用する富士通の半導体工場では、上水道に切りかえをするなどして操業を調整したという報道がなされております。一時停止による料金の免除はそう大きい額ではないようでありますが、操業に対する影響が甚大な場合の損害賠償等のことを考えますと重大なことであります。その経緯と教訓、そしてとられた対策、あるいはまた今後のことも含めた対策の全容についてお尋ねいたします。
〇杉下業務課長 漏水事故の経緯でございますが、平成13年6月12日の午後4時55分ごろに、金ケ崎町西根の町道で多量の水が噴出しているとの通報がありまして、企業局、町、千貫石土地改良区、警察署、消防署の関係者が参集し、協議を行って漏水箇所の特定をしましたが、当地点は以前に工業用水の送水管の漏水事故があったこと、それから出水の量の多さから、その原因が工業用水の送水管からの漏水だと判断したものでございます。
 当時の状況は、送水管の破損被害が拡大して付近の民家に被害が及ぶおそれがあったことや、早急に復旧しユーザーへの給水停止を最小限に食いとめる必要があったことなどから、あらかじめ関係ユーザーに受水停止を要請した上で、一時給水停止を行わざるを得なかったものでございます。一時給水停止時間は午後6時から9時15分までの3時間でございました。
 その後の調査で、漏水の原因が工業用水管でなくて、隣接する農業用水管の破損によるものと判明したので、同日の午後9時15分に給水を再開いたしました。
 なお、早速関係ユーザー6社に訪問いたしまして、おわびをするとともに、給水停止に至った経緯や今後の対応策について説明し、理解をしていただいた上で、工業用水料金の免除を行ったところでございます。
 教訓と対策でありますが、現場において漏水箇所を迅速に特定できずに、結果として工業用水の給水停止を招いたことを教訓といたしまして、今後、このような事故を発生させないために、一つとしまして、埋設している複数の管の位置や深さを正確に探知できる鉄管・ケーブル探知器を配備。二つ目としては、延長7キロメートルの送水管の布設ルートに埋設している水道管や農業用水管の位置の把握でございます。三つ目としまして、埋設管を管理する関係機関との緊密な連絡体制の確保という措置を速やかに講じたところでございます。
〇柳村岩見委員 何点かの企業局決算への御質問をさせていただきました。整理をした形で御答弁を賜ったことについて感謝申し上げたいと思いますし、今後とも企業局会計という観点からも、企業局の皆さんの一層の御努力をお願い申し上げたいと思います。
 相原企業局長におかれては、滝沢村の助役の時代から御指導いただいて、あるいはまた、県庁に私も来るようになりましてからは、知事部局あるいは企業局ということで御指導いただいたところであります。出身地からの指導者への待望論もあるようでありますが、いずれにいたしましても御健勝で、どの場でも頑張っていただきますようにお願い申し上げて、質問を終わります。
〇川村農夫委員 自由党の川村農夫でございます。業務経過の中から数点質問させていただきます。
 まず、電気事業についてでありますが、平成12年3月から電力市場の自由化がスタートして、さまざまな新規参入者による顧客獲得など、電気事業を取り巻く競争が激化している今日、7億6、800万円余の黒字益を上げたことに心から御苦労さまでしたと申し上げたいと思います。
 それでは、順次内容について質問させていただきますが、柳村委員の質問にもありましたが、稲庭高原風力発電の機器トラブルによる稼働停止や機器の取りかえについてでありますが、発注に当たり、日本鋼管の指名選定に問題はなかったのか、実績や技術力を審査・選定する過程にどのような対応をしたのか、その経過、内容について説明をいただきたいと思います。
 また、故障時の補償条項は契約ではどのように示し、故障から機器交換に至った際の交渉にトラブルはなかったのか、その経緯と結果について説明を求めます。
 同時に、選定指名業者名と設計予定価格、そして落札額についてもお示しいただきたいと思います。
〇池内風力発電開発室長 稲庭高原風力発電所の業者指名選定についてでございますが、風車発電機は機種ごとに性能や特性が異なるため、立地地点の風況などの諸条件に合った機種をあらかじめ選定する必要があります。
 そのため、風力発電所の建設に当たりましては、平成11年9月に風力発電設備機種選定要領を策定し、機種選定の手続を規定するとともに、その事務処理を行うため機種選定委員会を設置しております。
 機種選定委員会では、風車発電機の一般的な仕様や諸条件を整理の上、メーカー14社に提案と見積もりを依頼したところ、10社から提案がなされております。
 機種選定委員会では、評価基準として、性能・能力については発電を開始する風速の最低値、風車が耐えることができる風速の最大値など10項目、保守性については保証の期間及び内容、運転実績など5項目を、採算性については建設コスト、年間発電電力量など4項目を、導入実績については国内及び国外の2項目を、合計21項目の評価項目とその採点基準をあらかじめ定めております。
 この評価基準に従いまして、平成11年9月から4回にわたる審議を重ね、候補となった機種を既に導入済みの国内4地点について先進地調査を行い、その結果を加味した上で、国内実績や採算性で評価が高かったオランダのラガウェイ社の機種を平成11年12月に導入機種として選定しております。
 その後、補助事業の申請手続を経まして実施設計を行い、平成12年度の発注段階では、機種選定から半年以上が経過していたため、メーカーから最新情報を収集し直して再評価を行い、機種選定の評価順位に変更がないことを確認の上、平成12年6月に導入機種を最終的に決定したものであります。
 機種選定は、このように選定体制を整備した上で、既設の設置箇所の調査も実施し、所定の調査、慎重な審査を重ねて決定したものであります。
 次に、故障時の補償条項に関してでございますが、工事請負契約書に瑕疵担保として、工事目的物に瑕疵、いわゆる傷があるときは、請負業者に対して相当の期間を定めてその修理を請求し、あるいは修理とともに損害の賠償を請求することができる、そういった旨を規定しております。また、発注仕様書に、3年以内に設計、材料、製作または据えつけの不備のため事故を発生したとき、または発電所の運転が円滑に行われぬふぐあいを生じたときは、請負業者の責任において無償で修理調整あるいは取りかえを行うことを規定しております。
 これらの補償条項に基づき、日本鋼管に対して抜本的な対策と営業損失の補償を要請したところでありまして、同社からは、電気系統の機器を国産製に取りかえる工事を本年の10月ごろ実施したい、営業損失についても応分の補償を行い、誠意ある対応をしたいという申し出がなされております。これを受けまして、外部の学識経験者等を含めた運営対策委員会において故障原因の詳細な分析、取りかえ機器の仕様の慎重な審査を行い、本年8月23日に確認書を取り交わしております。この確認事項に基づき、8月29日から機器の取りかえ工事が開始されておりまして、また、平成13年度分の営業損失の補償金が9月9日に支払われております。
 選定指名業者は、風力発電設備機種選定委員会が14社を選定しまして、この14社のうち回答のあった10社というのは、荏原製作所、日本風力開発、日本電気精器、大旺建設、石川島播磨重工業、日立製作所、岩谷産業、日本鋼管、三菱重工業、三菱電機の10社であります。
 設計額と予定価格は3億8、776万9、000円、落札額は3億8、700万円であります。
〇川村農夫委員 内容についてはよくわかりました。いずれ早く復旧されて、発電を順調に目標どおり進めていただきたいと思います。
 次に、東北各県の中でも、特に風力発電に先進的に取り組んできましたことには、売電量でも新潟県にも迫る勢いで、大変誇らしく思うところであります。しかし、本県の電力自給率は26.4%と、工業立県ではない環境首都本県としての特色を象徴するようではありますが、余りにも心細い感じが否めないのであります。
 昭和30年代以降の事業用の水力発電は、12カ所すべて企業局が開発してきたことは、諸先輩の先進的施策のたまものとして敬意を表するところであります。
 そこで、水力発電施設の耐用年数はどれくらいか、また、寿命が来た発電所の更新計画はあるのか等についてお尋ねいたします。
 次に、山岳地帯を多く占める本県におきまして、水力発電や地熱発電、風力発電の可能性を秘めた適地が多く想像されますが、現在の調査状況からの将来像はどのように描かれているのか。電力の自由化を見込んだときの企業局としてのスタンスはどうなのかお聞かせいただきたいと思います。
 そしてまた、長野県の田中知事の脱ダム宣言が出ておりますが、この発言について、水力発電を推進する立場からはどのようにお考えなのかお尋ねいたします。
〇相原企業局長 電気事業の今後にかかわるというのは私の方から、他の点は業務課長の方から御答弁申し上げます。
 まず、水力発電、風力、地熱と順次申し上げますが、水力発電につきましては、これまで13の水力発電所を建設いたしまして、クリーンな地域エネルギーを供給することによりまして、環境保全、電力の安定供給に貢献してきたと認識しております。
 今後の水力発電所の建設でございますけれども、開発地点が山間奥地に求められますために経済的に有利な地点が少なくなってきておりまして、新技術開発導入等による一層のコストダウンを図る必要があると考えております。現在、北本内、槻木平ほか合計5地点で継続調査をしておりますが、今後さらに十分調査を行って、経済性のよい地点から順次取りかかりたいと考えております。
 風力でございますけれども、平成6年度から風況観測を実施して、ようやく昨年、稲庭高原風力発電所を運転開始したところでございます。今後におきましては、これまでの観測地点のうち、有望な寺沢高原、室根高原、そして高森高原につきましてさらに詰めを行っておりますけれども、寺沢、室根につきましては、猛禽類調査の結果、近隣にイヌワシの営巣地があって、あるいは計画地点が高利用域となっているということで、今後の対応についてさらに検討してまいりたいと思いますし、高森高原につきましては猛禽類調査を実施してまいりたい。さらに、新しく県内の2地点で風況観測を行いたいと考えておりまして、これらの結果が得られた段階で、さらに事業化の可能性を検討してまいりたいと思っております。
 地熱でございますが、地熱発電は、御案内のとおり民間事業者によって全国有数規模の発電が行われておりまして、企業局といたしましては、開発リスクが大きいという判断もありまして、これまで行っていないという経緯がございます。
 それから、自由化とのかかわりでございますけれども、電力自由化が急展開する中で電力会社は経営の効率化に取り組んでおりまして、単価の高い新規開発に慎重な姿勢をとっている状態でございますけれども、本県のこうした環境首都を目指す立場からも、今後ともこういったクリーンエネルギーの導入を積極的に進めて、東北電力等の販売先もきちっと確保する努力を続けたいと思っております。
 長野県知事の脱ダム宣言に関連するお話でございますが、田中知事の脱ダム宣言につきましては、巨費を投じて建設されるダムは、看過し得ぬ負荷を地球環境に与えてしまうという趣旨を述べたものと理解しております。
 企業局といたしましては、これまで13カ所の水力発電のうち9カ所がダム式になってございますが、その他水路式発電にも積極的に取り組んでいる状況でございますけれども、今後におきましても、ダムが建設される場合におきましては、クリーンエネルギーである水力を積極的に開発するという観点から利水参加について取り組んでまいりたいと考えております。
〇杉下業務課長 水力発電設備の耐用年数についてでございますが、主なもので、電気機械設備が22年、土木設備が57年と定められております。
 企業局では、昭和32年に営業運転を開始しました胆沢第二発電所が一番古く、現在に至るまで46年経過しております。電気機械設備のうち、耐用年数を経過したものについては、定期点検時の診断により更新の必要があると判断された機器ごとに計画的に更新しております。また、土木施設については、まだ耐用年数を経過した発電所はなく、修繕により設備の維持が可能であることから、今のところ発電所自体の更新計画はございません。
〇川村農夫委員 次に、エネルギー需要の減少化と環境重視の施策の中で、クリーンエネルギーへの切りかえが局長お話しのとおり大いに推進されるべきであると思いますが、火力・原子力発電の効率性には及ばないと言われております。例えば、原子力発電所1基に対して、太陽光発電では260万軒の家に取りつけなければならない、あるいは風力発電では4、400基つくらなければならないといった試算もありますし、設備の利用率では、原子力発電所は80%に対して太陽光発電は12%、風力発電は25%、必要投資額としましても、原子力発電所では3、600億円に対して太陽光発電は8兆円とか風力発電は1兆1、000億円とか、こういった試算があります。また、事業評価システムや政策評価システムなど、各種事業の導入選択について、点数化した評価をもとに施策決定がなされている今日、風力発電や太陽光発電が原子力発電に比べて3倍から25倍の投資額を必要とし、設備利用率の低さなど、投資効率からいっても明らかに不利な点が予想されるわけです。
 政策判断の手法横並びでいきますと、政策評価システムというはかりに乗せるときに、環境やエネルギーのクリーンさなどをどう評価していくのか、その評価手法への取り組みをこれからやっていくのか、あるいは収益性だけで事業化していくのか、今後の事業推進の取り組み方についてのお考えをお聞きしたいと思います。
 また、こうした中におきまして、リサイクル燃料を原料とした発電などへの実用化にはどのような取り組みをなされてきたのかもあわせてお伺いいたします。
 それから、簗川ダムの水力発電についても、電力を買ってくれるところが定まらないなど、環境首都エネルギー施策は非常に具体化が険しい道となっておりますが、例えば、公共施設、学校給食設備あるいは公共住宅、福祉施設など、オール電化の住環境設備を推進してクリーンエネルギーの需要電力の増加を進めながら、火力発電からの切りかえなどで岩手で生まれた企業局発の岩手エネルギーを供給していただきたいと願うものでありますが、その展望はいかがお考えかお伺いします。
〇相原企業局長 木質バイオマス関係から申し上げたいと思いますけれども、木質バイオマスにつきまして、企業局といたしまして、従前から関係部局と連携しながら、売電事業として行うことの可能性について調査・検討をしてまいりました。これまでの検討では、採算性に課題があるということが明らかになっておりますが、この木質バイオマスエネルギーは、本県にとって非常に期待が大きい新エネルギーということで強く認識しておりますので、引き続き検討したいということでございます。
 13年度におきましては、事業化のために必要となる制度に関する調査を行ってございますけれども、その結果わかってまいりましたことは、ある程度規模の大きい発電事業を行うためには、一つには、間伐や集材に対する助成制度の充実などによって燃料価格を低減させる必要がある、発電だけでなく熱需要の創出などによって経済性を高める必要がある、あるいは新エネルギーによる電力が容易に売電できるような支援制度が整う必要があるというような課題が明らかになっております。
 しかしながら、このバイオマス発電を事業化することが可能となりますと、地球温暖化防止はもとより、間伐の促進による森林の保全、ひいては林業の振興にも大きく貢献するものと考えられますことから、将来の実現に向けて、望ましい制度のあり方やコスト削減の手法などについて、部局横断的に積極的に検討してまいりたいと思っております。
 リサイクル発電の関係でございますけれども、リサイクル燃料発電、いわゆる廃棄物発電につきましては、一般廃棄物を対象といたしまして、平成5年度から10年度にかけてスーパーごみ発電あるいはRDF――ごみ固形燃料でございますが――の事業化の可能性について検討した経緯がございます。検討の結果、企業局の事業としては採算を確保することが困難であるという結果になっているものでございます。
 風力発電の政策評価にかかわるお話でございますけれども、現在、評価システムをなお充実させる要素があろうかと思いますけれども、収益性だけで評価を行っている形ではないと理解しておりまして、クリーンエネルギーにつきましては、二酸化炭素を排出せずに、環境負荷が極めて少ない点が評価に加味されていると考えております。
 具体的に若干申し上げますと、風力発電既設建設事業は政策評価におきます主要事業評価の対象となっておりますけれども、こうした事業評価と申しますのは、総合計画の施策や分野における主要な指標を達成するために有効な事業を選択することを目的としているものでございます。そこで、風力発電に関する主要な指標ということになりますと、新エネルギーで賄う世帯数ということになってございますが、風力発電は、指標に対する貢献度が高い事業と評価しております。
 クリーンエネルギーについてでございますけれども、今後、地球環境問題への対応から、クリーンエネルギーへの関心もますます高まってまいります。その一方で、電力の自由化の急進展に伴って、御指摘のように、電源を開発しようとしても売電先が見つからないという厳しい状況も出てまいっております。こうした中で、企業局としましては、将来のクリーンエネルギーである水力開発を続けるために経営の効率化に努力いたしますとともに、先ほど申し上げましたバイオマス等の新たなエネルギーの開発についても模索をしてまいりたいと思います。そして、企業局単独という形ではなくて、部局横断的に、クリーンエネルギーの政策を実現するという観点から積極的に参加し、推進してまいりたいと考えております。
〇川村農夫委員 次に、工業用水について3点ほど質問いたします。
 まず第1点、第二北上中部の施設において給水能力にまだ40%近い余裕があるように思われますが、この需要見込みについてはどうお考えでしょうか。
 第2点ですが、料金単価立米当たり45円は、他県と比べて高いように思われますが、それはどうしてなのか。その単価の構成内訳あるいは料金単価の将来見通しはどのようになっているのか、値上げ計画等はあるのか、その点についてお伺いします。
 3点目は、送水管の電気防食対策に要する時間と経費はどれぐらいなのかお尋ねいたします。
〇杉下業務課長 初めに、第二北上中部工業用水道における需要見込みについてでございますが、今、給水能力は1日当たり2万9、760立方メートルであるのに対しまして契約水量は1万6、162立方メートルとなっており、1万3、598立方メートルの未売水が生じてございます。その理由として、景気の低迷等により、現在分譲中の北上南部工業団地等に当初予測していました用水型の企業が立地していないということ、それから、岩手中部工業団地に既に立地している企業の工場の増設が計画どおりに進んでいないこと、さらには、平成9年度の関東自動車工業の立地以来、新規企業の立地がないことなどによりまして、計画給水能力と契約水量に乖離が生じているものでございます。
 このため、これまでも用水型の企業の誘致活動に努めてまいりましたが、その取り組みをさらに強化するため、今年6月に企業立地推進課、北上市、金ケ崎町等で構成する工業用水利用促進等関係機関連絡会議を設置しまして、より一層の水需要の拡大を図ることとしています。
 なお、新規の需要の見込みの一つとしましては、北本内ダムの建設中止に伴いまして、入畑ダムに確保している工業用水の一部を上水として転用する方向で、現在、岩手中部広域水道企業団と協議を行っているところでございます。
 次に、料金単価でございますけれども、現在、料金単価は45円でございますが、平成4年度に改定したものでございまして、平成14年4月1日現在における経済産業省の調べによりますと、全国平均が23円57銭となっており、本県は高くなってございます。
 工業用水の料金は、経済産業省の工業用水道料金算定要領等に基づき、事業ごとに原価計算を行い、適正な料金を定めるものでございますが、本県の場合には、一つとしまして、事業開始時期が全国の中では後発でございまして、建設コストが割高であること、第二及び第三北上中部工業用水道施設の水源地がダムであり、ダム負担金があるということなどからコストはやや高くなっております。
 単価の内訳でございますが、その主な内訳としましては、企業債等の支払利息が約46%、維持管理費が約33%、減価償却費が約19%の割合となっています。
 料金単価の将来の見通しについてでありますが、工業用水道の料金は、ダム負担金や給水施設の建設費の支払い等に要した企業債の支払利息、給水に当たっての人件費、動力費、薬品等の維持管理費及び給水施設の建設費用の減価償却費などから構成されます給水原価を年間契約水量で除して算定しているものであります。長期の経営見通しによれば、平成15年度から再び欠損金が生じる見込みであることや、老朽施設の改修による費用の増加等、経営を取り巻く環境が厳しくなってきている現状もありまして給水原価が高くなる見込みであることから、今後、水需要や景気の動向を見きわめながら総合的に料金改定を検討していく考えでございます。
 電気防食についてでありますが、第二北上中部工業水道の送水管として設置してあります約7キロメートルの鋼管、これは径が600から800の厚さ7ミリの鋼管でございますが、その一部が老朽化により腐食を生じて漏水が起きたことから電気防食工事を実施しているところでございます。電気防食工事は、電気を通して腐食進行の防止を図るものでございます。平成13年度は、平成14年の1月から3月までの3カ月間で2、467万5、000円の工事費用で施工いたしました。平成14年度は、平成14年9月から5カ月間で3、570万円の工事費用で現在実施中でございまして、平成15年の1月末に完成する予定でございます。
〇川村農夫委員 料金の件については、全国平均23円50銭に比べますと倍近い単価であるということでありますが、これが企業側にどう評価されるか非常に心配な面でもありますけれども、できるだけ理解を求めながら、収益の部分は守っていきながら進めていくというのは大変だと思いますが、頑張っていただきたいと思います。
 最後に、企業局全体のことについて質問して終わりますが、みずからの事業施設の稼働によりまして電力供給や工業用給水を行っているわけですが、その稼働に係る危険、故障、事故、こういったものと常に一緒にいるわけでございます。しかも一故障、一事故が周辺の住民や社会機能へも影響するなど多重な要素を抱えているわけですから、その危機管理体制が業務そのものだと言っても過言ではないように思います。
 そこで、さきの大雨洪水災害についての防災対策は十分であったのか。それから、昨年の送水管の破損事故――誤認――も含めて、安全対策と緊急時対応策はどのようになっているのか。危機管理体制の充足度と職員意識の充実度について所見をお伺いしまして質問を終わります。
〇齊藤企業局次長 まず、さきの台風6号に伴います大雨洪水時の対応でございますが、企業局では災害応急対策マニュアルを策定しておりまして、これに基づきまして、災害情報の収集あるいは災害発生時には迅速な対応ができるように施設等の監視を強化するとか、連絡体制の万全を期してきたところでございます。
 また、企業局が管理しております岩洞ダムにおきましては、ダム操作規程に基づきまして洪水警戒体制に入りまして、監視を強化し、対応してきたところでございます。
 しかし、かつてない異常な降雨によりまして、御所発電所におきまして圧油系統への混水が発生しましたほか、第三工業用水道――北上中部工業用水道ですが――の取水口付近の流量計というのがございますけれども、そこが冠水いたしまして流水ができない、ほかのところで流水しまして供給等には支障はなかったわけですが、そういう事故が初めて発生したわけでございまして、その復旧に努めまして、再び事故、被害にならないように施設の総点検を行いまして、施設の安全対策、保全対策の徹底を図ったところでございます。
 次に、工業用水道の緊急時対応策でございますが、平成13年6月に発生しました農業用水管の破損による一時給水事故――工業用水の破損と勘違いしたわけでございますが――の教訓のもとに、埋設管の漏水箇所の速やかな探知、復旧できる対策を講じるとともに、企業局では工業用水道事故対策マニュアルというのをつくっておりまして、それを迅速に対応できるように見直しを行いまして、漏水のほか、油流出などの事故発生時に迅速かつ適切に対応がとれるように改善を図ったところでございます。
 また、危機管理体制と職員意識の充実ということでございますが、大規模災害の発生におきましては、迅速・的確な対応がとれるように、先ほどの災害応急対策マニュアル、また、岩手山の近くにも私どもの事業所がございます。そういうことで、岩手山火山活動に伴います防災行動計画、あるいはテロ等がございまして、発電所等の緊急点検、そういったことをやっておりまして、職員一人一人に周知徹底しているほか、非常連絡あるいは召集訓練を実施しておりまして、さらに、企業局独自に職員研修を充実・強化しておりますけれども、その場で職員の教育・指導を行いまして職員の危機意識の醸成に努めているところでございます。
 このように、企業局の業務の円滑な推進を図るためには、産業インフラ、生活インフラを担っているという意識を高く持ちまして、常日ごろより安全管理、危機管理について適切に対処していくことが極めて重要と、そのように考えて対処しているところでございます。
〇飯沢匡委員 少々質問内容がダブる箇所がございまして、また新たに視点を変えて質問する場合もありますので、御容赦を願いたいと思います。
 まず最初に、電気事業について質問いたします。財務内容に関連して3点お伺いいたします。
 まず、収入でありますが、電気事業収益は約49億8、000万円、その9割が電力料で占められ、約46億円の収入であります。その内容を見ますと、販売電力量が約5億3、000万キロワット時で前年比5.5%の減、また、電力料金は、前年より約3、800万円の減で前年比0.8%の減であります。販売電力量の低下にかかわらず、電力料金の低下がその低下幅を低く抑えられた要因は何であったか、まず、お知らせ願います。
 また、将来的には、販売電力量と電力料金のバランスは、主に電力自由化の影響によりさらにその開きが大きくなることが予想されますが、その見通しについてもお知らせ願いたいと思います。
 次に、支出でありますが、電気事業費用は、13年度で約42億1、000万円となっております。最近3カ年の推移を見ますと大体横ばいの状況であります。その中で、12年度決算でポイントを下げた職員給与費が13年度では2.5%上昇、修繕費は、13年度決算においてはポイントを下げておりますが、施設の老朽化により今後は上昇することが予想されます。
 そこでお伺いいたしますが、企業局として、事業に従事する職員や発電施設にどのような方針により管理するのかお知らせ願います。
 次に、収益性でありますが、経常利益を電力料収入で割った経常利益率は全国の中でどれぐらいに位置しておるのか、また、その中で本県の収支状況をどのように見ているのかお伺いいたします。
〇杉下業務課長 電気料金については、売電収入が気象変動の影響を受けることなく安定的な経営ができるように、基本料金が8割、従量料金が2割の二部料金制度になっております。したがいまして、販売電力量の実績が目標に対して大幅に増減したとしても、電気料金収入にはその2割しか影響があらわれない仕組みになっており、御質問の対前年度との比較におきましてもその仕組みの効果があらわれ、販売電力量の低下にかかわらず電力料金の低下幅が低くなったものであります。
 販売電力量については、各発電所ごとに長期間にわたる実績を加味しているため、特別なことがない限り将来的に大きく変わることはございません。
 一方、電力自由化の影響で電力会社の経営環境が厳しくなることを背景としまして事業報酬が減少していくことが予想され、結果として電力料金収入についても同様に減少する見込みとなり、販売電力量と電気料金の開きは大きくなるものと予想しております。
〇渡邊総務課長 職員給与費の関係についてお答え申し上げます。
 職員給与費ということでございますので、職員数と連動するということで、まず、職員数の管理についてお答えしたいと思いますが、職員配置の適正化を推進するということで、行政需要の動向に的確に対応するために平成11年度から平成14年度にかけまして計画的に職員数の縮減に努めているところでございまして、平成11年度の職員数は154人であったわけでございますが、その後、組織の見直しなどによりまして順次縮減してまいりまして、平成14年度には147人という形で縮減の方向で進めておるところでございます。
 これからも業務の効率化と組織の見直しに取り組んで、適正な職員配置に努めてまいりたいと考えております。
〇杉下業務課長 発電施設の管理についてお答えいたします。
 運転開始後30年を経過した発電所が多くなるに従いまして維持修繕費が増加・上昇することが予想されるため、維持修繕工事が特定年度に集中して経営を圧迫することがないよう、年度別事業実施計画を策定いたしまして、それを毎年見直ししながら計画的に実施しております。今後も、発電施設についてさらにコスト縮減に努めながら、計画的に管理していきたいと思います。
〇昆野財務管理課長 経常利益と本県の収支状況についてお答えいたします。
 電気事業を営む地方公共団体は34団体ございます。平成12年度の決算数値で比較いたしますと、電力料対比での経常利益率では、全国平均が14.5%、これに対して本県では15.2%でございまして、全国12番目の数値となっております。
 本県における電力料収入及び経常利益とも全国的に上位に位置しておりますし、また、経常利益率でも全国平均を上回っていることから、収益率、利益率ともに高く、収支状況はおおむね良好と言えると思っております。
〇飯沢匡委員 全国で12番目ということで、非常にその努力に対して評価いたしたいと思います。
 次の質問に移ります。
 水力発電には、再生可能なクリーンエネルギーを供給できる利点があり、本県事業として今日的な行政課題に対応した展開ができることと理解しております。しかしながら、事業の展開に伴うコスト負担の問題が存在しておりまして、現在の電気事業は企業債や国庫補助金に大きく依存しておりますが、それが今後とも見込めるかどうか問題がございます。
 また、電気の卸売価格は、建設費などの費用をもとに決める総括原価主義がとられております。電力自由化が進み、競争が激しくなれば、電気料金に安易に転嫁できなくなる可能性が大と考えますが、こういう電気事業をめぐる状況を企業局はどのように認識し、今後の計画の策定に当たろうとしているのか局長の見解をお伺いいたします。
 次に、本県電気事業においては、法改正を受けて東北電力と電力供給契約を結び、この期間が切れる平成22年3月までみなし卸電気事業者として扱われることになりました。このため、平成22年度以降、卸供給事業者として電気事業を継続していくかどうか検討しなければならない事情があると伺っております。先ほど、厳しい環境の中、事業の継続をという答弁がございましたが、果たしてこの既存の設備で継続性が期待できるかどうか、その点も含めて御答弁をお願いいたします。
 関連して、今後の事業計画の策定についてお伺いいたします。
 13年度決算の審査意見に、今後の経営に当たっては、新エネルギーを含む新規電源の開発になお一層努めるとの意見が付されておりますが、風力発電の長期計画とあわせて、事業計画の策定にどのような考えを基本として考えているか企業局長にお伺いいたします。
〇相原企業局長 コスト負担等の問題について申し上げますが、電気事業をめぐる環境につきましては、御指摘のとおり非常に厳しいものがございまして、電力会社も、新規参入者や、あるいは他の電力会社との競争を意識いたしまして5%から7%程度の料金引き下げを行ったところでございまして、こういったものが卸の方にも響いてくると思っております。
 企業債とか国庫補助金あるいは総括原価主義につきましては、制度の趣旨が変わらない限り今後も存続すると考えてございますが、御指摘の懸念も実際あると思いますので、今後その辺を十分注意してまいりたいと思っております。
 こうした中で、企業局といたしましては、水力開発、施設の維持管理に係るアクションプランを定めておりますが、こういったものにのっとり、また、修繕・改良工事の10カ年計画を立てて中期的な経営を見通しながらコスト削減に努めておりまして、こういう中で、既存の設備の老朽化の問題もありますけれども、計画的に乗り切ってまいりたいと思っております。
 次に、電気事業の今後のことにかかわる御質問でございますけれども、平成22年度以降は電力会社と改めて供給契約を結ばなければならない、その時点における自由化の状況が一体どうなっているのか、ひいては契約の内容がどこに落ち着くのか、現段階では不透明でございます。こういうことで、電気事業に対する影響が非常に懸念されるところでございます。
 企業局といたしましては、これを鋭意注目、研究をしながら、さらに経営の効率化の推進と健全経営に努めるということで進めてまいりますし、将来も東北電力への卸供給をやはり基本と現段階では考えておりまして、これを思いながら、据えながら、自由化時代に沿った新たな事業展開の可能性を模索してまいりたいと考えております。
 それから、新規電源開発、そして風力発電の長期計画という御質問についてでございますが、まず、水力について申し上げますと、これまで13の水力発電所を建設しており、総出力で全国第4位を誇っておりますけれども、電力自由化によりまして競争原理が導入されたこともあって、売電先の電力会社は非常に受け入れに慎重な姿勢をとっているということがございます。これは非常に大きな問題でございますけれども、今後十分電力会社と協議をして、理解をいただきながら本県のクリーンエネルギーの開発に進んでまいりたいと思っております。
 それから、風力の関係を申し上げますと、平成6年度からの観測の積み重ねで昨年度稲庭をオープンしたところでございますが、今後におきましては、寺沢、室根、そして高森――先ほど申し上げましたけれども――、これにつきましてさらに検討を進めまして、このほかに新しく県内2カ所を予定してございますけれども、これをさらに県内に、とにかく適地を確保するという姿勢で臨んでまいりたいと思っております。
 それから、バイオマスについてでございますけれども、これは、知事部局との連携で、今、具体的に進めてございまして、企業局は小規模なコージェネシステムの実証に取り組んでいるということでございます。
〇飯沢匡委員 今、風力発電について御答弁がありましたので、それに関連してお伺いいたします。
 クリーンエネルギーの新機軸として脚光を浴びた風力発電でありますが、最近は逆風が吹いている傾向にあるのは否めない状況であります。本県の場合においても、売電先との配電線の系統連系や売電単価の問題、そして、自然環境との調和の問題があります。また、報道によりますと、風力発電事業者に対する発電設備の設備補助金について、おおむね3年をめどに補助金制度を廃止する方向を示し、また加えて、来年度から電気事業者による新エネルギーの利用に関する特別措置法――RPS法――が施行される予定でございますが、本県の風力発電新規建設の計画にどのような影響を与えるかお知らせ願いたいと思います。
〇池内風力発電開発室長 風力発電の設備に対する現在の国の補助金は、地方公共団体に対しては約2分の1、民間事業者に対しては約4分の1の補助が実施されておりまして、風力発電の促進に重要な役割を果たしております。この補助金の廃止については、現在、国も予算の要求中の段階にあると思いますので、正式には今後決められると思いますが、もし廃止されることになれば採算性を確保することが非常に困難になり、風力発電の促進に大きな影響が生じると考えております。
 それから、電気事業者による新エネルギーの利用に関する特別措置法、いわゆる新エネ特措法では、電力会社などに対して、販売電力量に応じ一定割合以上の新エネルギーの利用を義務づけることにしております。電気事業者は、この義務の履行のために、一つは、みずから発電する、二つ目は、他から購入する、あるいは三つ目として、他の電気事業者に義務を肩代わりさせる、これらの三つから選択して実施することになっております。この制度のことをRPS制度と言っておりますけれども、現在、政府で政令の検討を進めているところでありまして、制度の詳細が未公表であり、影響について明確に述べる段階にはなっておりませんが、制度の内容によっては、本県の風力発電所で発電した電力を他の管内の電力会社に供給することも可能になってくると考えられます。補助金の廃止あるいは新エネ特措法の施行は風力開発に大きな影響があると考えられますので、電力自由化の動向を含めまして、国や電力会社の動向を注視し、その対応について総合的に検討してまいりたいと考えております。
〇飯沢匡委員 このRPS制度についてはいろいろな評価がなされておりまして、今、ヨーロッパでは盛んにやっているようでございますが、国としてどのような格好になるかわかりませんけれども、その動向を踏まえてやっていただきたいと思います。
 次に、工業用水道事業の考え方についてお伺いいたします。
 現在、企業局で所管しております工業用水道事業は、地方公営法による法適用事業でありますので、この法律の精神に沿った経営を行う必要があるとされております。また、地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならないとされておりますが、この企業の経済性と公共の福祉とは、ある面では両立が困難な問題であると考えます。
 局長は、この点で、どのような考え方で工業用水道事業を経営されようとしているのかお伺いいたします。
 工業用水道事業を取り巻く環境は厳しいものがございますが、経済成長の鈍化、経済構造の変化、また、受水企業においては、人員の削減や使用水の再利用などの状況を事業者として確実に認識をしていかなければならないと考えます。
 そこでお伺いいたしますが、料金制度の取り扱いを含めた受水企業側との意見交換等の実施状況はどうなっていますでしょうか、お知らせ願います。
〇相原企業局長 受水企業との打ち合わせ、協議につきましては課長の方から申し上げますが、基本的に私の方から御答弁申し上げます。
 工業用水道事業の経営でございますけれども、その経営の基本原則は、地方公営企業法において、経済性の発揮と公共の福祉の増進という二つになっておりまして、本県の条例もこれを基本としてございますが、委員御指摘のとおり、この両立を図ることは大変難しいと常々思っているところでございます。
 本県の工業用水道事業は、顧みますと、昭和48年9月に策定いたしました県勢発展計画におきまして、工業振興による雇用機会の拡大、県民所得の向上を図るため、内陸工業地帯を形成することによって、その受け皿として整備された北上工業団地、岩手中部工業団地及び北上南部工業団地、こうしたところに工業用水を供給することを目的として建設したものでございます。まず、このことを基本として、忘れないようにしたいと思っております。
 工業用水道事業の経営は、昭和53年5月に北上中部が開始いたしまして24年が経過しておりますけれども、事業を始めた当初から計画どおりに水需要の拡大が図られなかった。その後の景気の低迷もございまして厳しい状況が続いておりますが、経営の健全化を一層図らなければいけないということでございます。
 しかしながら、一方よく見ますと、この事業の運営につきまして、誘致企業19社が張りついておりまして、それが必要とする良質な工業用水を供給できておりますし、その企業の従業員数は7、000人余りでございまして、これに関連する企業の従業員も含めますと相当数の雇用を創出している。このように、県民の雇用の拡大あるいは所得の向上など県勢の発展に大きく寄与してきたと思っておりまして、公共の福祉の増進という目的を十分に果たしてきたのかなと考えているところでございます。
 今後とも、工業用水道事業は、こうした地域の振興を図る上で重要な役割を担っていることから、水需要の拡大、経費の節減に努めながら、経営の一層の健全化を推進し、関係ユーザーに満足していただけるように、工業用水を安定的に供給してまいりたいと考えております。
〇杉下業務課長 料金制度の取り扱いを含めた受水企業との意見交換等の実施状況についてでありますが、工業用水道事業の将来の経営計画や建設計画の基礎資料とするために、立地している受水ユーザーについて毎年水需要調査を実施しておりまして、それを今後の計画の資料としております。
 また、ユーザーに工業用水道事業の経営状況を説明するとともに、ユーザーから工業用水の供給に当たっての水質の問題などのさまざまな要望を聞いて今後の事業運営の参考とするため、毎年ユーザー懇談会を実施して意見交換をしております。昨年度は8月と11月の2回にわたって、全ユーザーに対しまして局長以下担当職員がユーザーに出向いて懇談会を開催したところでございます。
 これら水需要調査やユーザー懇談会の場を通じまして、工業用水の安定供給を確保するため、事故発生時の対応についての説明のほかに、工業用水料金の算定方法などの料金制度を含めまして、経営の厳しい状況についても説明しながら、事業経営についてユーザーの理解を得るように努めているところであります。
〇飯沢匡委員 最後になりますが、県民の福祉の向上を果たすために、これは企業会計でございますから収支のバランスは大変大事でございます。費用と効果のうち、効果にウエートを置くのが私は重要であると考えます。企業局で行っている事業は、累積であるものを除いて単年度の収支バランスはとれておりますが、今までの質疑の中でも、企業局は絶対量をふやすという計画ではなく、収支のバランスをいかにとるかということに重点があるようにうかがい取れなくもありません。もちろん公営企業でありますから、その原則から逸脱するような行為はできないのでありますが、新エネルギーの技術を確立するような方向性を示す試みが必要であると考えます。一般企業においても研究開発費という会計上の費目がございますが、現在、風力発電がそれに当たるのかもしれませんが、しっかりとした方向性を示しながら実験を試みるのは決して悪い評価に値しないのではないかと考えます。
 公営企業のメリットは短期決算に縛られず長期的にその事業を展開することにあり、アメリカのエンロン社が粉飾決算で破綻したような状況には決してなってはならないと思うのであります。新聞報道によれば、福岡県において、福岡市下水道局が商社と提携して下水汚泥から発生するメタンガスを燃料とする燃料電池の実用化に取り組むとの記事がございました。このような環境汚染排出物が極めて微量なクリーンエネルギーへの取り組みが、これからそれに取り組むことが、私は、企業局がその方向性を示すことが大事と考えますので、御意見を申し上げて質問は終わらせていただきます。
〇水上信宏委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時59分 休 憩
 
   午後1時4分 再 開
〇水上信宏委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 企業局関係の説明に対する質疑を続行いたします。
〇村上惠三委員 局長にお伺いしたいと思いますが、二つほど御質問を申し上げます。
 一つ目の発電やエネルギーについては、柳村委員、川村委員と重複しますけれども、改めて見解を賜りたいと思います。
 まず第1点は、増田知事は環境首都いわての実現を目指し、北東北3県知事サミットで3県共同の産廃税制度の創設を発表し精力的に取り組んでおられるようであります。県の組織である企業局も公営企業として環境を視野に入れた事業展開を図っていくことが必要であり、かつまた求められていると思います。具体的な試みとしては、浄法寺町の稲庭地区における風力発電も開始しているが、今後はより一層資源循環型社会の構築を推進するために、廃棄物発電、バイオマス発電などの新エネルギーによる分野に取り組んでいくべきだと思っております。関連する質問でありますけれども、重複すると思いますが、相原局長の御所見をお伺いいたします。
 二つ目は、私は県内産業の育成を図るためには、現時点で民間ではリスクが大きくてすぐには乗り出すことが、手がけるというようなことがなかなか困難な分野に公営企業的な視点から先導的に取り組んでいくことが必要であろうと思います。公営企業であれば、結局は受益者負担の原則に基づいてやるわけでありますから、現下の厳しい財政環境、具体的には税収等の財源の制約を受けることなく、新たな行政サービスを提供することは可能であろうと思います。これまでも国等の報告書等で、高齢化社会に対応するためにシルバーサービスなどについて公営企業での展開の可能性に言及しているようであります。私は、電気事業にこだわらない環境分野での新たな事業展開を大いに期待したいと思います。
 本年度において、環境生活部では資源循環型廃棄物処理構想を具体化するために、公的関与施設の可能性調査を実施しているようであります。例えば、当該施設の周辺地区に関連プラント工場群を整備いたしまして、関連する企業にリースを行うというようなことで、新産業の育成、集積を推進するような構想を描くぐらいの意気込みが企業局にあっていいのではないかと思うわけであります。したがいまして、相原局長の今後のこうした新たな事業展開についての御見解があればお伺いしたいと思います。
〇相原企業局長 まず、新エネルギーの分野にどう取り組んでいくかという点でございますけれども、新エネルギーの導入拡大ということは、資源循環型社会の構築を通じまして本県が目指している環境首都いわての実現にとって重要な手段であると認識しておりまして、企業局といたしましても、知事部局との連携を図りながら積極的に役割を担いたいと考えております。
 そのため、これまでも風力発電だけではなくて、さまざまな新エネルギーによる発電に関する調査、検討を行ってきております。
 特に、木質バイオマス発電、そして廃棄物発電につきましては、これまで調査、研究を重ねたところでございますけれども、発電事業としては採算性に課題はなおございますが、今後とも部局横断的な協議を行って検討を深めてまいりたいと思います。
 中でも木質バイオマス発電につきましては、現在、発電事業としての可能性の検討、あわせて家庭用の小規模なコージェネレーションシステムの実証に向けて調査、研究を深めておりますので、今後この方向で積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 それから、2点目の今後の新たな事業展開の可能性についてでございます。これは、本当に私どもも常日ごろ御指導、御指摘も賜り、考えの中心に常にある命題でございます。
 これまでの企業局の取り組みを振り返ってみますと、特に平成9年度に新規事業検討委員会を設置しまして、129本というかなりの数の事業をまずは上げてみた。
 そして、9件を選んで検討を進めました。その中では、RDFとか風力、あるいは駐車場とか、有料老人ホームとかさまざまその9件の中にも入ってございます。その中で採算性のハードルをクリアできた風力発電が昨年度完成、実現をしたという経過がございます。
 今後とも、やはり県政の課題という方向性の中で、それと連動する形で、そして公営企業でありますから経済性の確保にも配慮しながら取り組んでいきたい。顧みますと、工業用水もまさにそういう展開であったなと思っております。
 現在、水力発電については北本内など5カ所、あるいは風力発電は新たに2カ所追加して調査することにしておりますし、また、木質バイオマス、ただいま申し上げましたように取り組みに具体性を持たせてやっております。
 今後とも、今御指摘ございましたことを常に念頭に置きながら、努力をしたいと考えております。
〇伊沢昌弘委員 社民党の伊沢でございます。
 企業局関係の決算に当たりまして質問したいと思うのですが、前に御質問されている方々の御答弁、かなり詳しくあったものですから、ほとんどダブるんですけれども、視点を変える形も含めて御質問させていただきたいと思います。
 まず、電気事業会計についてお伺いしたいと思います。
 平成13年度の経常収支は、水力発電における供給電力量の実績が目標発電量の95.3%、風力発電が51.3%と低かったものの、7億6、846万円余の純利益を生じているわけであります。このことについては企業局職員の経営努力の成果であると思うわけでありますけれども、平成9年の純利益が実は13億4、700万円余あったわけであります。その後年々利益幅が小さくなってきているということに、私は若干気になる点があるのかなと考えています。東北電力との電気料金その他の受給契約の内容が経常収支に大きく影響するものと承知しているわけでありますけれども、平成13年度の決算と今後の電力自由化の動向を踏まえて、将来の経営見通しをどのようにとらえているのかお示しいただきたいと思います。
 まず一つお願いします。
〇相原企業局長 平成13年度の決算値をベースに、今後10年程度の中期的な経営を見通してみますと、平成14年度分の電気料金から卸供給料金算定規則というものが適用されることになりまして、事業報酬額が減少する、それから、企業債の償還に伴い支払い利息が減少するというようなことなどによりまして、売電単価が緩やかに下がっていくと見ておりますが、今後も黒字経営は続くとはじいております。
 しかしながら、平成14年度以降適用される料金算定規則によりまして、事業報酬が市場金利を反映する変動方式となったことから、現在の低金利がこのまま続いた場合におきましては、利益が大幅に減少する可能性がある。そして、電力自由化の進展に伴いまして、今後、卸料金の低減がさらに求められていくであろうと見ておりまして、一層の経営効率化に努めていかなければならないと考えているところでございます。
〇伊沢昌弘委員 相手のある話といろいろな意味での動向だと思いますので、経営努力を含めて、これをまずお願いしておきたいと思います。
 次に、新たな電源開発についてお伺いしたいと思います。
 平成13年度、初めて水力発電以外の新エネルギーであります稲庭高原の風力発電所が完成したわけであります。自然エネルギーの新たな活用であって私は大きな期待を持っていたわけであります。装置のトラブルということで供給電力量が計画電力量の51.3%にとどまっていることを残念に思っているところであります。これまで、前の委員の皆さんにこの原因等について御説明があったのですが、改めてお伺いしたいと思います。
 風力発電、オランダ製のものがついたということで、最終的に日本製のものにかえてきたという御答弁があったわけであります。具体的に、この発電が正常に行われなかった原因について私は理解が不足だと思いますので、どういう点がだめであったのか改めて御答弁をお願いしたいと思います。
 また、あわせて、先ほど入札に参加した企業名についての御答弁がございました。その中に、最終的にはいろいろな検討委員会の中でオランダ製のものがついたという形になっていると思うんですが、何社か入札をする中に日本製のものもあったのかどうか、すべてが外国製であったのかどうかも含めて、その辺の御検討状況がどうなったのかあわせてお伺いしたいと思います。
 1年経過するわけでありますけれども、風力発電の実績はまだ1年で少ないわけですが、これまでの事故を含めた、修繕を含めたいろいろな経過の中から、風力発電に対する企業局としての評価と課題についてどのような所見をお持ちなのかお伺いしたいと思います。
 また、新たな風力発電所の建設計画、風況調査も含めて実際やっているとお伺いしているわけですけれども、今後の見通しについてお伺いしたいと思います。
〇相原企業局長 それでは、私の方からは評価の部分と今後の計画につきまして申し上げまして、他の部分は室長の方から御答弁申し上げたいと思います。
 この評価と課題でございますが、県営では初めての風力発電所を建設できたということで、このクリーンで環境にやさしいエネルギーの開発を一歩前進させたということで大変大きな意義を有すると考えております。
 そこで、この風力発電システムでございますけれども、実績の多いヨーロッパ製が、何と申しましても価格も安く性能もすぐれていると思いますが、本県の山岳地帯のように風速・風向が激しく変動するような場所に設置した場合には、故障が発生する確率が比較的高いと考えられますし、その場合の迅速な復旧体制、メンテナンスを整備することが課題であると思っている次第でございます。
 今後、国内の風況に合った技術開発を望むものでございますし、さらには迅速なメンテナンスが充実されることを期待するものでございます。企業局といたしましても、今後の新規開発に当たりましては、このような観点から適切に対応したいと考えております。
 次に、新たな建設計画の点でございますけれども、これまで県内の11カ所の風況観測を実施しまして、毎秒6メートルを満たすといういわゆる採算ライン、これを超えるものが寺沢高原、室根高原、高森高原の3地点と把握してございますが、寺沢高原、室根高原については、猛禽類調査の結果、近隣にイヌワシの営巣地があるなどの状況下にあって、今後の対応をさらに検討する必要がある。
 それで、本年度は高森高原について猛禽類調査を実施して進めてまいりたいと思いますし、さらに新たに県内2地点を考えてございますが、風況観測を実施して、これらの調査結果が得られた段階で、事業化の可能性を具体的に検討してまいりたいと考えております。
〇池内風力発電開発室長 稲庭高原風力発電所の故障の具体的な原因についてでございますが、昨年9月に運転を開始してから、運転当初は初期故障が多くて達成率は低かったんですけれども、10月、11月と初期故障対応をした結果、11月には77%ぐらいの達成率で運転したということで比較的順調に推移しておったわけですが、12月に入りまして北西の季節風が強く吹くようになりまして、最大出力付近で長時間連続して運転できるようになった。そうしたところ、発電した電気を安定した電気に変換する逆変換装置の主要部品が焼けたりといったような故障が起きてきたということで、その原因は、出力を制御する制御装置が十分に機能していなかったため、風が強く吹いたときに、そういった主要部品に大きな負担がかかって壊れてきたというようなことであります。
 それから、先ほどの10社のうちで日本製があったのかというようなことについてですけれども、10社のうちで、三菱重工業、それから三菱電機が日本製になっております。
〇伊沢昌弘委員 ありがとうございます。
 強い風が吹いてだめになるということでちょっと理解ができなかった部分があって、強ければ強いだけ発電ができるのかなという部分があるわけですけれども、今後改善をして、ぜひ風力発電について万全を期していただきたいと思います。
 次に、県営簗川ダムの関係でいろいろ御答弁がございました。水力発電に乗っかるということで進んでいるわけでありますけれども、現時点において東北電力からの電力の開発同意が得られていないということが表明されているわけであります。発電所の建設計画は、言ってみれば電力会社との契約を最優先に進めてきているものと私は考えていたわけでありまして、これまで大変苦労されているようでありますが、開発同意に向けた交渉の経過と見通しについて重ねてお伺いしたいと思います。
 あわせて、その他の電源開発も行っていることを御説明いただいているわけでありますけれども、事業調査を継続しているという新たな電源開発の部分があるわけでありますが、東北電力との開発同意交渉はどのように行われているのかということで大変不安に思うわけであります。監査意見でもありますように、新たな電源開発、それから、風力発電も含めて電源開発をして、開発どおり得られないと大変になるのではないかと思うわけであります。局長さんは淡々と、将来に向かって交渉しながらやるという御答弁はあったのですが、本当にそのような形でこれが進むのかどうか、私自身としても大変不安があるところなんですが、改めて交渉の経過、御答弁いただける範囲内で御答弁を賜りたいと思います。
〇武蔵技師長 簗川ダムにつきましては、企業局は2、000キロワットで発電参加するということで、平成4年度に基本協定を締結しております。この時点では東北電力の開発同意はまだ得られておりませんでしたが、その当時は公営電気事業者が水力開発をする場合には、電力会社から開発同意を得るということについては特に支障がないものと、前例なんかも見てそういう認識でおりました。
 ただ、開発同意を得るためにはダムの全体計画が認可される必要があるということで、その全体認可が平成9年度に認可になりまして、それ以降、鋭意東北電力と交渉を重ねておりましたが、平成11年度には大体開発同意をいただけるような心証を得て、平成12年度にも交渉を行ってまいりました。しかし、残念ながら依然として同意が得られないという現状にございます。
 電力会社としては、最近、電力自由化が急速に進展しておりまして、将来どうなるのかわからないとか、あるいは電力需要も低迷しておりまして、長期的な経営環境の見通しがつかない、あるいは、簗川発電所につきましてはまだ10年程度先の話というようなことでございまして、現時点で同意できるかできないか判断することが非常に難しいというようなお話でございます。
 我々としては、クリーンエネルギーをぜひ開発したいということで繰り返しお話をしているわけですが、なかなかそういう厳しい状況にあるのが現状でございます。
 ただ、電力会社としても流動的な時代だということでございますので、引き続き開発同意を得るように努力をしてまいりたいと思っております。
 それから、新たな電源開発に向けた調査事業ということでございますが、現在、5地点ほど調査しておりまして、その中で北上市の北本内地点、これはダムとは違った水路式の計画でございますが、これについて平成12年から、やはり開発同意をいただきたいということで協議をしておりますが、簗川と同じように、今の流動的な状況ではなかなか判断ができないというようなことでとどまっております。
 しかしながら、クリーンエネルギーが大事だということについては一定の御理解をいただいておりますので、これからもそういったことを重点にして、開発同意が得られるように頑張っていきたいと考えております。
〇伊沢昌弘委員 わかりました。
 クリーンエネルギーの開発というのはこれからもやっていくと思うので、ぜひ――電力さんも企業でございますので、言ってみれば国の施策の中で法律関係を含めて整備されて変わってきているという状況だと大変難しい問題があると思います。
 重ねてちょっとお伺いしたいんですが、本県以外にも、東北電力以外の、東京電力その他含めていろいろな形で企業局としてやっている他県の電力開発事業があると思うのですが、横並びでこういった問題について政策として、言ってみればエネルギー政策に対するいろいろな要望等を国に対してやっていくべきではないのかなという感覚があるんですが、そういった動きというのはないのでしょうか。
〇相原企業局長 東北電力管内と申しますか、新潟を含む7県でほぼ同じように開発同意が得られないという動きで苦慮しておりまして、先般も公営企業管理者の会議で、みんなで相談をして、これからは一致して東北電力さんに、どうしても東北の特色と申しますか、こういう水力の豊富な、そしてクリーンエネルギー地帯ということで、卸供給側も経費の節減に努力するので、何とか買ってもらうように、各個撃破ではなくて協力してやろうと話し合ったところでございます。これは全国の公営企業管理者の協議会もございますが、そちらの方でもあわせて、政府に対することも含めて行動したいと思っているところであります。
〇伊沢昌弘委員 ぜひそういった分野も含めて、これは1県だけでは無理だなという気がしているものですから、取り組みの強化をしていただきたいと思います。
 次に、工業用水道会計についてお伺いいたします。
 平成13年度の経常収支1億104万円余の純利益となっているわけであります。これは国の経営健全化対策によって黒字に転換した平成9年度以降、5年連続の単年度黒字ということで、累積欠損も7億6、600万円余と減ってきているわけでありまして、評価をしたいと思います。
 ただ、工業用水の契約水量が減少していること、御説明にもありましたけれども、企業債利息がふえてきていること、修繕費が平成13年度大幅にふえているということ等々を含めて、このまま推移いたしますと今後の経営見通しが大変厳しいものではないかと予想されます。
 そこでお伺いしたいわけでありますけれども、企業債利息の支払いがピークを迎えるのは何年度になるのでしょうか。また、修繕費の平成13年度にかかった内容は、修繕費が1億7、000万円余と前年を1億円以上上回っているわけであります。老朽化施設の修繕費の今後の対応についてお伺いしたいと思います。
 これらの状況とあわせて、今後の経営見通しと日量4万5、238立米に及ぶ未売水の利用促進に向けた対応策についてお示しいただきたいと思います。
〇渡邊総務課長 企業債利息につきましては、これまで工業用水道の建設・改良工事の実施に際しまして企業債を発行してその財源に充ててまいりました関係から、平成13年度の3億1、374万円余がそのピークとなっております。
 その後は、第三北上中部工業用水道の建設が本年度で終了することなどから、企業債利息は年々減少していく見通しでございます。
〇杉下業務課長 修繕費についてでございますが、工業用水道の修繕費は、取水施設や浄水施設等の修繕費用でございます。平成13年度は第二北上中部工業用水道の取水ポンプの補修工事など大きな修繕工事があったため、1億7、000万9、000円となっており、例年になく費用を要したものでございます。
 工業用水道の施設設備は老朽化の時期に入ってきておりますが、建設工事及び修繕工事については10カ年計画を立て、毎年定期的に点検を実施し、その結果をもとに見直しをして計画的に実施していますことから、修繕費の大幅な増額は発生しないと考えています。さらに、修繕費のコスト縮減を図りながら、効率的な執行に努めてまいりたいと考えております。
 それから、未売水の利用促進でございますが、昨今の厳しい経営環境の中で水需要の拡大が期待できなくて、水需要が伸びないということがありますが、工業用水利用促進等関係機関の連絡会議をことし6月に設置して、それを通じまして用水型企業の誘致の一層の促進を図りながら、水需要の拡大に努めてまいりたいと考えております。
 また、未売水の利用促進策の一つとして、北本内ダムの建設中止に伴いまして、入畑ダムに確保しております工業用水の一部を上水として転用する方向で、現在、岩手中部広域水道企業団と協議しているところでございます。
〇伊沢昌弘委員 修繕費がふえないという形で、平成12年度以前は五、六千万円でこれが推移していたわけですけれども、10年間の見通しというものはそういう形で推移するものなのでしょうか、重ねてちょっとお伺いしたいと思います。
〇杉下業務課長 平成13年度の修繕費が、先ほど申し上げましたポンプの修繕工事で特に大きく動いたということで、平年の修繕費は10カ年計画の中で均等を図りながらやっておりますので、大きな動きは今後はないと考えております。
〇伊沢昌弘委員 そこはわかったんですが、平成12年度以前のベースに戻るということですか、そこだけ教えてください。
〇杉下業務課長 10カ年計画の中で、今、修繕費の方は大体1億円以内に、通常平成12年度ベースと考えてございます。
〇伊沢昌弘委員 わかりました。
 御答弁が先ほどもあって、工業用水のこの関係は、その他の未売水の状況については、工場誘致を含めていろいろなパターンを考えているということで、ぜひその辺を強化しながら努力されるようにお願いしたいと思います。
 電気事業の部分で最後に申し上げますけれども、先ほどの風力発電、実は私どもの大先輩であります北山愛郎さんという方がいたわけでありますが、20数年前、もっと前から、風力発電をやることによって岩手県の電力が大方賄えるのではないかとずうっと主張していたわけであります。ここに来て、平成13年度から風力発電が始まったということで、そういった意味で私も大変期待するわけであります。
 また、風力発電だけではうまくいかない、東北電力さんとのいわば競合の中で安定した電力、電圧といったものが供給されなければならないという形があろうと思いますので、ぜひとも先ほど申し上げた開発同意も含めて、東北電力との協議を進める中で、新たな電源開発に努めていただきたいと御要望申し上げて終わります。
 ありがとうございました。
〇斉藤信委員 第1点に、簗川発電所建設事業について私からも質問します。
 企業局は簗川ダムに最大出力2、000キロワットで発電参加していますけれども、東北電力との協議はかなり困難を極めていると。私は、今後の見通し、いつまでにこれを判断するのか、そのことをお聞きしたい。いつごろをめどにするのか。
 簗川ダムの負担金、これは決算では760万円になるのでしょうか。これまでの負担金の総額、そして建設した場合の建設事業費、合わせて合計額は幾らになるのか。
 そして、このダム発電参加を見直した場合は、これまでの負担金はどうなるのか、このことを示していただきたい。
〇相原企業局長 それでは、いつまでに判断するのかという部分につきまして私から、他の部分は課長の方から御答弁申し上げます。
 これまで御答弁申し上げましたように、非常に厳しい中にさらに努力をいたすという基本でございますが、時期的なことを申し上げますと、ダム事業の実施設計のスケジュールということを県土整備部の方から伺っておりまして、ことしいっぱいには何らかの対応方針を決めなければいけないだろうと考えております。
〇杉下業務課長 簗川ダムの現在までの負担金の総額でございますが、平成13年度末までに払った負担金は3、851万7、000円でございます。
 次に、ダム参加見直しをした場合の負担金の取り扱いでございますが、その時点で県土整備部と協議して適切に判断していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 いつも最後はよく見えない答弁で終わるんだけれども、私はそこでお聞きしたいんですが、北本内ダムの対応の場合は2、036万円の負担金を払っていましたね。そして、これは中止するまでさまざまな設計、地質調査などで合わせると5、700万円かけているんですね。北本内ダムはもう中止されてからしばらくたつけれども、この負担金はどうなったのか、このことをお聞きしたい。
 それで、水力発電の可能性というのも先ほどありましたが、これも東北電力と協議が難航しているということですね。これは80億円の事業費ですか、そのこともちょっと示してほしいんだけれども、今の段階で、本当にそういう見通しなしでこういうことを続けていいのかどうか。今、簗川ダムについてはことしいっぱいで決断するということですから、これは見えたわけですけれども、北本内ダムの、いわば中止以後の負担金の話し合いはどうなっているのか、水力発電の協議はいつまでにどうするのか、このことをお聞きしたい。
〇杉下業務課長 北本内ダムの支払った負担金でございますが2、036万円でございまして、現在、北本内ダムの中止に伴う清算の業務が行われておりまして、それが確定するのを待っているところでございます。
〇斉藤信委員 答弁漏れだよ。だめだよ、答弁させなきゃ。
〇杉下業務課長 済みません。簗川の事業費でございますが、総額で17億円でございます。簗川発電所の総事業費が17億円。それから、先ほどちょっと答弁漏れしました負担金の総額は2億100万円でございます。
〇水上信宏委員長 まだもう一つ。
〇斉藤信委員 水力発電の協議をどうするんですかというそれは。延々とやるのかな。
〇相原企業局長 大変失礼申し上げました。
 年内にはと申し上げて、どういうことを検討するのかということがあると思いますけれども、これは、その時点で電力開発の同意の見通しというのをさらにきちんと検証することが一つ、もう一つは、ダム全体として発電事業を継続できないかという検討もしてみたいなと。これは企業局の発電にこだわらない発電、自家発電の検討ですね。
 もう一つは、電力の小売自由化が非常に急展開しておりまして、5年後には全面各家庭までの自由化が実現するのではないかという論も出ております。こういう中で、それでは企業局として簗川でつくった電気を小売することはできないのか、この検討も実は今、いろいろ計算も始めていますけれども、そういう検討も必要だ。
 あとは、実は私どもの発電設備というのは、実際の工事に係る設計段階というのは平成十八、九年度になろうかと思いますが、その辺の時期も見ながら総合的に検討して、とるべき道を県土整備部と協議をしたいと思っております。
〇斉藤信委員 今、北本内の答えはなかったですね。今のは簗川のね。北本内の回答も教えてください。北本内の場合は、水力発電は期日を決めないで粘り強くやるということでよろしいのか。協議ね、これを聞いているだけだから。
 それで委員長、次に、稲庭の風力発電についてお聞きします。
 この間の実績、そして故障の原因、補償、これは既に回答がありました。それで、回答の中で計画段階から業務全般について検証して今後に生かすという回答がありましたね。私は、これはこの1年間の経過が極めて重大だから、機種選定から今の対応も含めて全面的に検証するということだと思うんですよ。ですから、この検証をする場合、どういうメンバーでやるのかということが大事なんですね。内部だけでやるのか、外部の専門家を入れてやるのか、外部だけでやるのか、このことをひとつ示していただきたい。
 私は率直に言って、去年も取り上げましたけれども、やっぱり機種選定そのものに甘さがあったと思うんですよ。大体さっきの答弁で、日本の風況はヨーロッパと違うなんていう話は、やる前からわかっているんですよ。日本全国でやっているんだから。そういうことをもっと克明に調査したら風況の違いなんていうことは事前に掌握できたはずなんですね。そういう点で、やっぱりこの検証はすごく大事です。この検証をどういうレベルでやって今後に生かすのか、このことをお答えいただきたい。
 二つ目に、今後の風況調査ということもありましたが、風速毎秒6メートル以上のところが3カ所あって、いわば2カ所、寺沢高原と室根高原については猛禽類の関係で難しい、断念せざるを得ない、こういうふうに受けとめてよろしいですね。そして、高森高原については猛禽類の調査をやる、今後さらに2カ所風況調査をする、こういうふうに理解してよろしいのか。
 三つ目、私はこの風力発電をぜひ積極的にやっていただきたいという立場です。しかし、猛禽類の問題もあるし電力自由化の問題もある。それで私は、電力自由化の問題というのは極めて重要だと思うんですよ。国が新エネルギーを30万から300万キロワットに伸ばすという計画を立てながら、それを進める具体的な施策、対策がない。はしごを外すような電力自由化や補助の廃止をやったらこれは進まないわけです。そういう点で、この電力自由化や国の動向について局長はどういうふうに受けとめているのか。私は、国の計画と施策とが矛盾しているのではないかと。これを根本的に変えてもらわないと、新エネルギーの開発はできないと思います。そのことをお聞きしたい。
〇相原企業局長 先ほどの北本内に関係しましては大変失礼申し上げましたが、特段の期限をつけないで粘り強く交渉していくということでございますので、よろしくお願いいたします。
 それから、風力発電にかかわっての幾つかの項目については、後ほど室長から御答弁申し上げますが、国の自由化、それからさまざまな制度の動向をどういうふうにとらえて対応していくかということにつきまして申し上げます。
 やはりこういった地球環境問題が非常に重要な課題になっておりますときに、特にこういう国産でクリーンな風力というもの、国の計画でも10倍の達成目標を最近定めたということがございますが、これはぜひ、電気事業者による新エネルギー特措法という法律の中身がこれから政令ではっきりしてくるようでございますが、この中でそういったエネルギーをきっちり確保していただくように、これは私ども働きかけをして努力をしなければいけないと思います。
 それから、前後いたしましたが、電力自由化問題で電気事業者側の経営環境が非常に厳しい。したがって、火力なんかと比べて非常に単価の高い風力とか、あるいは水力もそうですが、これがなかなか買い取りにくい状況になっている。こういうことに対しましても、先ほど各県が共同してというお話を申し上げましたが、これももっと高い理念に従って積極的に買い取るように、またそういう義務づけが一層進展するようになってほしいと思いますし、その要請のための必要な措置に努力したいと思っております。
〇池内風力発電開発室長 業務全般の研修のメンバーについてでございますけれども、委員長を局長、副委員長が次長、技師長、それから、委員として各課長、施設総合管理所、県南施設管理所のほかに、外部の委員といたしまして、学識経験者として岩手大学の教授1名、それから、電力会社に勤めておって風力発電の実務経験の長かった方を1名、コンサルタント関係で風力の方を専門とされている方を1名、外部の委員を3名加えておりまして、そういった方々で、そういった機種の選定が本当によかったかどうか、反省すべき点がなかったかどうかといったようなことについて検証を行いたいと考えているところです。
 それから、寺沢高原、室根高原についてでございますけれども、確かに現在非常に厳しいところでありますが、今後、地元の期待も大きいものですから、そういった地元に対して、関係者に対して説明して、合意を得た上で対応について検討してまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 わかりました。
 最後に私は監査委員に質問したいと思います。
 監査委員の審査意見では、電気事業会計について、稲庭高原風力発電所の問題には触れていないんですね。風力発電というのは、いわば企業局が新エネルギー開発で初めて取り組んだという大変重要なことだったと思うんです。そして、今議論があったように、これは1年目十分機能しなかった、いろいろな問題が起きたということなので、私は電力自由化の動きの中で、今後の経営に当たっては新エネルギーを含む新規電源の開発になお一層努めるとともに、引き続き経営の健全化に努力されたいと、これが審査意見なんですが、電力自由化の動きも含めて、監査委員としてはなぜ触れなかったか、この電力自由化の動きを含めてどういう監査をしたのかを示していただきたい。
〇一戸監査委員 稲庭高原風力発電所の平成13年度の運転実績は、機器故障が多発し、計画電力量に対して51.3%の達成率にとどまったことから、監査委員といたしましても、企業局の定期監査等において、機種選定や損失補償などについて意見を述べ、注意を促したところであります。
 また、企業局におきましても、風力発電所の運営を軌道に乗せるため、外部の識見委員3名を加えた運営対策検討委員会を設置し、具体的な対策の検討に取り組んできたところであります。その結果、請負業者であります日本鋼管株式会社が、安定的に稼働する信頼性の高い機器等にみずからの責任において無償で取りかえることになったことや、風力発電機システムが本来の性能を発揮していれば売電できた電力量についても損失補償金が支払われることになったことから、特に触れなかったものであります。
 次に、電力自由化の動きについてでありますが、その範囲がさらに拡大された場合、電力会社及び他の事業者との競争が一層激しくなることが予想されます。これに伴い、公営電気の料金水準は今後も下がる方向に思われることから、原価算定に当たっては一層のコスト削減が必要であると認識しております。
 また、新エネルギーを含む新規電源の開発につきましては、きょうの委員会質疑にもございましたように、電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法が平成14年5月に成立し、太陽光、風力、水力、バイオマスなどの新エネルギーの利用が義務づけられたこともあり、環境首都を目指す本県にふさわしいクリーンで循環可能な自然エネルギーである水力発電や風力発電などの開発を今後とも推進し、県内の電源確保と安定供給の一翼を担う必要があるものと考えております。
〇水上信宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 お疲れのところ済みませんが1点だけお伺いいたします。
 この赤い色の議会資料のナンバー4の14ページと48ページに関して1点だけ伺います。
 14ページの方には、これは電気の方でありますけれども、職員1人当たりの月平均支給額は59万4、230円であったと挙がっております。同じく、43ページの方には、水道の方に関しては53万234円であったという報告になっておりますが、この金額の差はどこから来るのか、端的に、素朴にお伺いします。
〇渡邊総務課長 年齢構成の差によるものと思います。
〇伊藤勢至委員 多分そう来ると思いました。電気の方が40.7歳で水道の方が34.0歳という平均年齢という部分でしょう。そうすると、これは民間的考え方からいきますと大変重要なポイントではないかと思っております。つまり、平均年齢を電気の方でも10歳ぐらい下げれば、恐らく1人頭6万円としまして七、八百万のお金が年間で節減できるということになるわけですね。
 岩手県の中で企業としてやっているのは企業局と医療局、それぞれでありますが、その企業の一番のベースは、民間的に言いますと固定費をいかに下げるかということにあるのだと思うんです。そういう中で、組織論上、それぞれの年代別にまさに均等な配置にはなっておりますけれども、企業としていかに節減をしながら利益を確保していくかという場合には、組織論を超えた企業議論があってもいいと思うのですが、そういうお考え、例えば年代構成を、今まで平均であったものを思い切って見直して固定費を削減する、そういう感覚があっていいと思うんですが、いかがでございますか。
〇渡邊総務課長 今、電気と工業用水の平均年齢の構成比をだんだん下げるといいますか、そういった関係のお話があったのでございますが、全国の公営企業の年鑑というのがありまして、全体の平均を出している資料がございます。これはちょっと時間がかかるものですから、平成10年度のものが出ているんですが、それによりますと、電気の場合の全国の平均年齢が42歳と出てございます。私どもは平成13年度決算で40.7歳ということなので、ちょっと時間的な差はあるんですが、いずれそういうような状況になってございます。
 それから、工業用水の場合は、これもやはり平成10年度のデータですと、全国の工業用水をやっているところの職員の平均年齢が44歳ということで、岩手の場合ですと34.0歳ということで、若干低いのかなと考えております。
 工業用水道の職員構成を少し下げたらというようなお話ではないかと思うのでございますが、工業用水道につきましては……(伊藤勢至委員「わかった、わかった」と呼ぶ)失礼いたしました。
〇水上信宏委員長 わかったそうですからいいです。もういいです。
 いいですか。
〇伊藤勢至委員 聞いていることに答えてもらえばいいんですが、聞いていないことに返事をされても、わかったと言うしかない。
 私が言っているのは、組織論上、年齢構成で配置したものをそのまま踏襲していくことはいかがなものか、こう言っているんです。つまり、構成を見ますと年代別にバランスよく配置がなっていますが、それはそれとしまして、今後、企業として営利を目的とするのであれば、この構成比を見直して、固定費をいかに削減するかというところに重きを置く考え方があってもいいのではないかと聞いたわけであります。局長からお伺いいたしたいと思いますのと同時に、これは県の財政にもかかわることと思いますので、財政課長も出席されていますから、あわせてお伺いしたい。
〇相原企業局長 ただいまのお話を踏まえまして検討してまいりたいと思います。
〇菊池参事兼財政課長 企業局に対します繰り出しの観点でのお答えとさせていただきますれば、電気の方は累積の剰余金を生じているということで繰り出しは一切しておらない。それから、工業用水につきましては、今、自主的な経営健全計画をつくってやっているという中で、一部繰り出しをしているという状況にあります。
 したがいまして、いずれにしろコストを縮減していくことは当然必要なことだと思いますので、それは一般会計の繰り出しも少なくできるというメリットもございますので、そういった観点でまた検討していただければと思います。
〇伊藤勢至委員 最後に要望ですけれども、やはり原価主義といいますか、県庁全職員がそういう思いを持っていることが、いろいろな固定費を削減することに必ずつながるんだと思っております。そういう全庁的な考えで言うならば、本当にお金を扱って、原価を厳しく問い直していく環境にある例えば企業局と医療局に、高卒あるいは大卒の新人を2年間ぐらい徹底して配置するような、そしてそのことによって総額の固定費も下がっていくという原価管理を植えつけるという観点から、これは全庁的な検討が必要ではないかということで、要望して終わります。
〇水上信宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇水上信宏委員長 質疑がないようでありますので、企業局関係の質疑をこれで終わります。
 お諮りいたします。認定第1号平成13年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第3号平成13年度岩手県工業用水道事業会計決算まで、以上3件についての意見の取りまとめの方法でありますが、午後2時5分から議会運営委員会室において各会派の代表の方々で御協議を願い、その結果を待って、午後2時50分をめどに委員会を開き結論を出すことにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇水上信宏委員長 めどですので、もう少し早くなったときにはよろしくお願いします。
 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 この際、意見の取りまとめのため、午後ちょうどいいころまで休憩いたします。
   午後2時2分 休 憩
 
   午後2時38分 再 開
〇水上信宏委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 決算3件に対する各会派の意見の取りまとめについて協議した結果について、御報告申し上げます。
 認定第1号平成13年度岩手県立病院等事業会計決算については、厳しい医療環境にありながらも、医療の近代化、高度化を積極的に推進し、公的病院及び地域医療の中核医療機関として、その使命を果たしてきた努力は評価するところである。
 しかしながら、県立病院の経営は、施設の整備充実などによる諸経費の増加が見込まれるとともに、国においては、少子・高齢化や経済の低迷など医療を取り巻く環境の変化に対応するため、医療制度改革大綱に基づく抜本的な医療制度の改革が進められていることから、厳しい経営環境に置かれているところである。
 今後の経営に当たっては、引き続き国に対し、財政措置の強化などを積極的に要望するほか、効率化・合理化により、経営の健全化に努めるとともに、医療安全対策の取り組みや医師の確保を初め、高度医療設備の整備充実等、県立病院等長期経営計画の着実な推進を図り、もって県民医療サービスの充実、向上に努力をせられたい。
 認定第2号平成13年度岩手県電気事業会計決算については、今後とも引き続き経営の推進に努めるとともに、新規電源の開発についても、なお一層の努力をせられたい。
 認定第3号平成13年度岩手県工業用水道事業会計決算については、関係機関と密接な連携をとり、積極的に需要の拡大に努めるとともに、経営の健全化にさらに一層の努力をせられたいとの意見を付し、それぞれ認定することにいたした次第であります。
 これより採決いたします。
 認定第1号平成13年度岩手県立病院等事業会計決算について、ただいまの意見を付し、認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇水上信宏委員長 起立多数であります。よって、認定第1号平成13年度岩手県立病院等事業会計決算については、ただいまの意見を付し、認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号平成13年度岩手県電気事業会計決算及び認定第3号平成13年度岩手県工業用水道事業会計決算の2件について、ただいまの意見を付し、認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇水上信宏委員長 起立全員であります。よって、認定第2号平成13年度岩手県電気事業会計決算及び認定第3号平成13年度岩手県工業用水道事業会計決算の2件については、ただいまの意見を付し、認定することに決定いたしました。
 以上をもって当特別委員会に付託されました案件の審査は全部終了いたしました。委員各位の御協力に対し、深く感謝を申し上げます。
 これをもって決算特別委員会を閉会いたします。
   午後2時43分 閉 会

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