平成14年12月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇45番(村上惠三君) 自由党の村上惠三であります。
 発言の機会を与えていただいた同僚議員各位に感謝しつつ、以下、当面する県政課題や知事の政治姿勢などについて質問してまいります。
 まず、県北地域の振興についてお尋ねいたします。
 県では、所得を初め、生活基盤施設や保健医療施設の整備状況などに見られる地域間の格差の是正を目指して、これまで特定地域振興室を設置するなど、組織的な取り組みを行ってきたところであります。しかしながら、この専担組織はさきの本庁組織の再編によって廃止され、その業務は地域振興課に引き継がれ、現在に至っているわけであります。地域間の格差是正は県議会でも毎回のように論議され、県政の最大課題であったはずでありますが、新しい総合計画においては、あるいは計画自体が是正を前提として策定されているというのかもしれませんが、その是正方策について明確に掲げられていないような印象を受けるのであります。この新しい総合計画に基づく施策の立案・実施に当たる県職員にも、地域間格差の是正という意識が希薄になってきているのではないかとさえ思われるのであります。
 この際、知事は、県内の地域間の格差の存在についてどのように基本的認識をお持ちか、また、格差解消に向けた取り組みの方策についてどのようなお考えがありますか、お示しを願いたいと思います。
 さらに、地域振興部長にお伺いしますが、専担組織の廃止が、職員の格差是正が県政のいまだ解決しない重要な課題だという、職員の意識の希薄化につながっていないか、また、新しい総合計画のもとでどのような施策を実施したとお考えか、お答えを願います。
 県は、さきの組織再編において政策評価課を置き、全庁的に施策の評価や事業の評価に取り組み始めました。もちろん、施策や事業の効果を常に点検し、次の施策や事業に反映させていくためにも、また、より一層効果的、効率的な行政の運営のためにも、こうした評価は必要なことであります。しかしながら、これらの評価は、主として費用対便益を測定する手法によるものと伺っており、この手法が中心となっている限り、県北・沿岸地域の格差の是正は解消されないのではないかと思うのであります。すなわち、これらの地域は内陸部に比較して人口密度が低く、産業構造も異なり、さらには高齢化率が高いことなど、どうしても評価が低くなる要素を内在しているからであります。特に、産業基盤や生活基盤を整備する公共事業は当然に優先度が低くなり、これでは格差がますます拡大していくのではないかと思うのであります。
 総合政策室長に伺います。施策や事業の評価について、地域間格差の是正という観点からはどのようにお考えか、また、このような地域での評価に当たっては、ハンディーのようなものを付して行うべきものと考えますがいかがでしょうか、御所見をお聞かせください。
 さて、盛岡以北、北いわての住民が待望していた東北新幹線の八戸駅までの開業が、いよいよ間近に迫ってまいりました。これにより、北いわては東北自動車道とあわせて高速交通網が整い、また、県による新幹線関連道路整備事業により、地域内の道路も整備されるなど、交通アクセスが飛躍的に向上するのであります。こうしたチャンスに北いわてを全国に発信し、地域振興を図るべきものと考えるのであります。
 以下、具体的な提案を申し上げたいと存じます。
 新幹線の開業時には、新駅設置市町を中心として多彩なイベントが開催されるわけでありますが、北いわてをさらにアピールするために、この開業イベントに連続して、県北地域が一体となったイベントを開催するのであります。北いわてには、奥中山、高森、折爪、稲庭、安比、葛巻など数多くの高原があります。そしてこれらの場所やその周辺には、数多くの体験交流施設や宿泊施設などが整備されております。また、風力発電施設や環境教育施設もあり、来年にはいわて子どもの森も開設されます。加えて、自然と一体となった農山村生活に根差した、先人の知恵と技術を継承した雑穀料理などの食文化も存在いたします。北いわては、まさに大自然を体感できるフィールドそのものであり、施設も整備されております。北いわての高原を舞台に、これらの施設をネットワーク化したイベントを企画するのであります。テーマは、環境の世紀とも言われる21世紀初頭の開催であること、本県は環境首都を目指していることなどからも環境がふさわしいと思うのであります。自然環境、自然食、クリーンエネルギー、環境教育、資源循環などにこだわったイベントに仕立て上げてはいかがでしょうか。さらに、青森県境の産業廃棄物不法投棄事件もあえて取り組むなど、全国民が生活と環境を改めて考える機会にもするのであります。
 愛知県では、「自然の叡智」をテーマとして、循環型社会などをサブテーマとする愛知万博が2005年に開催されると聞いておりますが、環境首都を目指す岩手県でこそ、これに先駆けてこうしたイベントを開催し、北いわてをアピールしてはいかがでしょうか、知事の所感をお聞かせください。
 次に、市町村合併についてお尋ねいたします。
 国の財政支援などを内容とした合併特例法の期限があと2年4カ月後に迫り、全国はもとより、本県においても合併に向けて動き始めた団体、自立を模索する団体など、市町村は今その選択を迫られているのであります。しかしながら、この選択は、合併に対する財政支援、残る団体に対しては交付税の削減という、いわばあめとむちによって迫られているのが実情であります。地域で時間をかけて課題を論じ、望ましい将来像を構築するといった地域主導の合併論議とは、大きくかけ離れたものと言わざるを得ないのであります。
 不肖私は、旧都南村議時代、合併を促進する藤村村長と二人三脚で盛岡市との合併に取り組んだ経験があり、また、そのために、そして合併の行く末を見守るために、地域の方々から県議会に送り込まれたと言っても過言ではないと思います。
 旧都南村の合併には、盛岡市に対し業務用地や住宅用地を提供するなど、広域的に秩序ある土地利用を進め一体的に発展していこう、あるいは村単独では解決できない水利用を一体となって解決し、村内の生活や産業を豊かにしていこうといった大義があり、こうした論議の高まりが合併を選択させたのでありました。しかし、今の合併論議は、まさに国が与えるあめをどうするか、むちに耐えるのかということが出発点となっているのではないでしょうか。さらに、国の地方制度調査会では、合併しない町村の権限を県に吸い上げたり、町村を廃止して市の組織にしてはどうかといった議論さえなされているのであります。これでは、これまで県北の小さな農村で、広大な北上山地の山村で歯を食いしばって、何とか地域を守り育てていこうとしてきた町村の努力は無に帰してまいります。先月行われた町村議長会の知事を囲む懇談会において、こうした国のやり方に憤慨の声が上がり、抵抗感さえ示されたと伝えられておりますが、当然のことであります。
 私は、もとより、合併を否定するものではありませんが、地域での大義なき合併には、真に地域を考えたまちづくりができるのか、一つの団体としてまとまることができるのかなど、多くの疑問が残ることから賛成できないのであります。私は、県内には地理的条件などで合併が困難な町村もあるし、時間的な制約から十分な大義を示せぬ町村もあろうと思います。
 この際、知事に伺いますが、国のこのようなやり方に対してどのような所感をお持ちでしょうか。また、合併ができない町村の今後に対してはどのように対応していこうと考えているのでしょうか、お答えを願います。
 次に、介護保険制度についてお尋ねいたします。
 平成12年度から、事業主体の市町村では介護保険事業計画を、県では介護保険事業支援計画を策定して、新たにスタートした介護保険制度も3年目を迎え、来年度から第2次計画期間に入ることとなっております。このため、市町村、県それぞれが計画の見直し作業を行っており、この過程で保険料が平均7.1%アップすることや介護財政が赤字となる団体があること、サービス受給の見通しが甘かったことなどが判明いたしました。
 また、施設サービスについては、本県の施設整備水準は制度開始以前から全国的に高いところにありましたが、制度開始後は、これまでにも増して待機者が増加している現状にあると聞いております。もちろん、在宅サービスで完結することが望ましいのでありますが、寝たきりや痴呆性のお年寄りの在宅での介護には、筆舌にはあらわしがたいほどの家族の苦労を伴うものであります。私は、介護保険制度ができてから、保険料の増額につながることを恐れ、施設整備を事実上、抑制してきたのではないかとの疑念をどうしても払拭できないのであります。
 保健福祉部長に伺いますが、第2期計画期間を迎えるに当たり、これまでの制度の実態を振り返って、どのような課題を把握したのでしょうか。また、この課題を踏まえて、今後どのように対応するお考えでしょうか。さらに、施設の入所希望者の実態をどう把握しているのか、入所希望の要請にどのようにこたえていくのかお聞かせ願います。
 長山保健福祉部長は、本県福祉の現場に詳しい久々の生え抜きの部長であります。国の顔色を気にすることなく、本県の実態に立脚した保健福祉の充実に、大いに手腕を発揮されんことを期待するものであります。
 次に、雇用問題についてお尋ねいたします。
 県内経済は依然として回復の兆しが見えない厳しい状況が続いており、雇用情勢も、これまでにない低い有効求人倍率の指数が示すように低迷いたしております。県では、本年2月、雇用対策本部会議を開き、今後3年間で、2万1、000人の雇用創出を目指す総合雇用対策を取りまとめました。私はこの対策の内容を拝見して、大きな期待を寄せているところであります。と申しますのは、雇用創出目標の中に、基金事業による雇用創出人数のみならず、産業支援などによる雇用創出人数も明記されていることなどから、この問題に対する知事を先頭にした県の強い意欲を感じたからであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 本年度も、はや8カ月が経過しようとしております。盛岡へのコールセンターの誘致など、一部承知しているものでありますが、本年度の雇用創出目標に対する現時点での実績、特に産業支援等による実績については、具体的分野ごとにお知らせを願います。あわせて、この実績をどのように評価しているのかもお聞かせください。
 また、来年春の高校卒業予定者の就職内定率は、10月末日現在で45.0%と、前年同期を4.9ポイント下回っており、特に県内就職希望者にあっては36.7%と、極めて厳しい状況にあることが伝えられておりますが、県内に定住し、あすの岩手を担おうとする若者にとって、まことに残念なことであります。
 県は、これまでも新規学卒者の県内定着についてさまざまな施策を講じてきたことは承知しておりますが、これまでになく雇用情勢が悪化している中で、さらにどう取り組んでいるのかお知らせ願います。また、今後の見通しについてもお聞かせください。
 関連して、盲・聾・養護学校に通う生徒については、就職はもとより、短期の現場実習でさえ、その受け入れ先を探すことが困難な現状だと報じられております。こうしたハンディを持つ子供たちの就職は、産業界の理解と配慮を得ることが肝要であり、教育委員会と知事部局が連携して取り組む必要があろうと思いますが、その現状と取り組みについて、教育長と商工労働観光部長からお答えを願います。
 次に、第3セクター赤字問題についてお尋ねいたします。
 先般、平成12年度の県内第3セクター173企業、法人の決算において、約45%の78団体が経常赤字であり、債務超過団体も18団体あるという調査機関の報告が報じられました。同調査機関では、第3セクターは、民間が手をつけない不採算な部門を行っているという言いわけを、にしきの御旗にしていると意識が低くなる、時代に合わなくなった組織の淘汰がふえるのではないかと指摘しておりますが、私は不況の影響に加えて、事業計画にも甘さがあるのではないか、より一層の経営努力が必要ではないかと考えております。また、現在の景気動向が急速に回復することが期待できない現在、こうした経営が続くと、最終的には県や市町村の一般会計による、いわば公的資金の注入という事態も想定され、厳しさを増している財政に追い打ちをかけることになるのではないかと憂慮されるものであります。
 そこでまず、県関係の第3セクターについて伺います。
 経常赤字ワーストテンに名を連ねている法人のうち、昨年以降、BSE問題によって苦戦していると思われる岩手畜産流通センターと肉牛生産公社の経営状況についてお聞かせください。
 市町村関係の第3セクターについては、観光関係、産業振興関係など多様なものがありますが、地域振興部長から総括的に、現状についての認識と今後の対応についてお答え願います。
 また、市町村合併を推進する際、こうした赤字第3セクターの存在がその阻害要因になることも考えられますが、そうした場合、県は何らかの支援策を用意するのかどうかについてもあわせて答弁願います。
 次に、いわて森のトレー生産協同組合についてお尋ねいたします。
 国、県の補助事業を導入して、間伐材を活用し木製トレーを製造していたいわて森のトレー生産協同組合が、事業を中断してから3カ月が経過いたしました。同組合は、久慈地方の森林組合、林業関係者などが設立し、平成10年から12年度までの3年間に、およそ26億9、000万円にも上る林業構造改善事業によって久慈地区拠点工業団地に工場を整備し、森林資源の循環を前面に打ち出し操業を開始いたしました。私は、県北・沿岸の産業活性化の起爆剤となるものと大きな期待を寄せていたところであります。しかしながら、本格操業が1年ずれ込んで昨年の4月となったことなどから、取引を見込んでいた大手商社の顧客離れが進み、売り上げが伸びず、2年経ずして事業中断のやむなきに至り、再開のめども立っていないと聞いております。
 また、先日の報道によりますと、会計監査院が補助金の返還について指摘しているところであります。佐々木農林水産部長は、指摘は極めて重大と受けとめている、組合事業中断の原因を調査するとともに、国の判断を待ちたいとコメントを出しておりますが、まさにこの原因を追求してこれを明らかにすべきものと思います。
 売り上げ低迷の理由の一つに、容器包装リサイクル法の施行によって、販売単価が上がると見込まれていた発スチロール製トレーの単価が上がらず、対抗できなかったとされております。しかし、私の経験からすれば、単価を抑制するためには、原料の調達から製造ライン、製品の包装、発送までのさまざまな過程で、コストダウンを目指した十分な努力が不足していたのではないか、競合商品に対する優位性の確保を図るための戦略が欠けていたのではないかなどと想像するものであります。また、補助事業で支援した県についても、事業計画について十分に審査の上、支援に踏み切ったのだろうか。環境保護と森林保全というプラスイメージに呪縛されて、経営診断に甘さがあったのではないかという疑念を持つものであります。
 知事は、最近、職員に対して失敗学のすすめを提唱しておられるようでありますが、このような失敗は、許容限度をはるかに超えているのではないでしょうか。
 農林水産部長に伺いますが、事業中断の原因をどのように把握しているのか、また、組合では事業再開を目指しているとのことでありますが、その見通しはいかがでしょうか。さらに、県の責任についてはどうお考えでしょうか。国庫補助金の返還への対応はどうするのでしょうか。
 また、県では、最近リサイクル製品の認定に取り組んでおりますが、この木製トレー製品の製造開始のめどが立つとあれば、これを岩手県再生資源利用製品として認定し、かつ、条例などで、県内では発スチロール製トレーの使用を規制するなど積極的に奨励し、支援を行うべきものと考えますが、環境生活部長の御所見をお伺いいたします。
 次に、青少年問題についてお尋ねいたします。
 本年の9月に報道されたデータによりますと、平成13年中に学校内外で暴行や傷害などの暴力事件を起こして警察に逮捕されたり補導されたりした中高生は、全国で1万329人、前年に比べて8.4%減少したものの、依然高い水準で推移していることが明らかとなりました。また、本県では平成13年中に逮捕された少年は109人で、前年の1.36倍と過去5年間で最悪となり、内容も集団化、悪質化していることが明らかとなり、私は暗たんたる思いにとらわれているのであります。今年に入りましても、県内では孫を含む集団による祖父母暴行事件や携帯電話の出会い系サイトを利用した事件に未成年者が巻き込まれる事件などが報じられ、とどまることのない現状に、私はますます憂慮の念を強くいたしております。
 暴行事件については、警察に通報するケースがふえたという文部科学省の分析の一方で、学校が安易に警察に頼る傾向が強まったという弁護士のコメントも紹介されております。また、出会い系サイトについては、サイトに関係した未成年者の性被害が増加しており、携帯電話の利用のあり方や性道徳の再教育に、学校や家庭が真剣に取り組まないと大変なことになると、県医師会関係者は警鐘を鳴らしております。私は、あすの郷土を担う青少年を健全な環境のもとで育成していくことが、県政が最優先すべき課題の一つであると認識いたしており、県が総力を挙げて取り組むことを切望するものであります。
 そこで伺いますが、このような最近の実態について教育長と警察本部長はどのように把握し、どう対処しようとしているのでありましょうか。また、学校生徒の行為であっても、れっきとした犯罪行為であることは申すまでもなく、このような事案については教育現場のみでの解決は困難であり、警察との緊密な連携による対応が必要であると考えますが、この点についてもそれぞれのお立場からお答えを願います。
 最後に、知事にお尋ねいたします。
 増田知事はかねてから、知事が長くその職にあること、すなわち、知事の多選については否定的な意見を述べております。確かに、権力の座に長く居座ることによる弊害は、古今を問わず広く見られるところであり、知事のお考えも政治家として御立派な見識であります。しかしながら、この弊害は権力者みずからが持ち合わせる倫理観のいかんによるものであり、いわば個人の資質によるところが大きいものと私は考えます。私は、知事という職は、県民がひとしく幸せになるために、県政が抱える多岐にわたる課題を解決するリーダーとしてふさわしいかどうか、まず問われるべきものであり、その職が3度目か4度目かなどの論議は枝葉末節のことであると、声を大にして御指摘申し上げたいのであります。
 知事の言動を見聞するにつれ、私は県職員を初めとする行政関係者が県民と一体となって新しい時代の要請を柔軟に受けとめ、これまでなれ親しんできた制度や慣行と決別し、新たな時代を切り開こうとする知事の並々ならぬ意欲を頼もしく感じるものであります。私のただいまの指摘について、知事のぜひとも所感をお聞かせください。
 今を去ること7年前、私の地元を歩き、地域住民と熱いまなざしで岩手の行く末を論じた知事の姿を思い起こしながら、そしてまた知事御自身が、御尊父を初めとするふるさと岩手の発展に献身的な努力をされた先人たちに思いをはせつつ、地域経済、保健福祉、環境など深刻かつ多様な現下の課題に、引き続き雄々しく立ち向かっていくことを心底より期待しながら、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 村上惠三議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県内の地域間格差についてお尋ねございましたが、この岩手県内においては、1人当たりの所得水準、県道の改良率や水洗化率、人口当たりの医師数など、県内陸部と県北・沿岸地域で開きがあるほか、携帯電話の不感地域が存在しておりまして、こうした地域間の格差の解消は、今日におきましても県政の重要課題であると認識しております。
 私は、21世紀において地域の資源や心の豊かさに着目して、それぞれの地域が知恵と工夫を重視した活動を広げ、その発展可能性を最大限に生かしつつ魅力的な地域づくりを進めるとともに、各地域間の交流と連携を促進することによりまして、それぞれの個性とか特性がさらに磨かれて自立的に発展していくことが必要であると考えております。
 今後におきましても、各地域の自立的な発展を可能とするよう、交流・連携基盤の整備を引き続き推進するとともに、こうした地域のさまざまな取り組みを支援してまいりたいと考えております。
 次に、北いわてをアピールするイベントの開催についてお尋ねがありますが、地域特性を生かしたイベントの開催は、地域のイメージの向上や誘客の増大など地域の活性化につながっていくものと考えております。
 県北地域は、久慈平庭県立自然公園、折爪馬仙峡県立自然公園など、風光明媚で雄大な自然空間や高原野菜、花卉、木炭などの豊かな農林資源に恵まれておりまして、また、御所野遺跡や雑穀文化など、特色ある歴史文化を有しておりまして、実に大変魅力にあふれた地域でございます。また、風力発電などの新エネルギーの導入やグリーンツーリズムなどの体験型観光の振興など、地域資源を活用したさまざまな活動が展開されておりますので、東北新幹線盛岡以北の開業によりまして発展可能性が一層高まっております。そこで私は、北東北3県の連携も視野に入れながら、こうした地域の活動をさらに活発化して、地域全体の魅力を県内外に広くアピールすることが重要であると考えております。
 そこで、三陸博覧会級の大規模なイベントというのは、今なかなか開催する環境にはないわけですけれども、地域の方々が多く参加して、地域に根差して、そしてなお一過性に終わることなく継続的に効果が発揮されるようなさまざまなイベントの開催や、地域の主体的な取り組みを県として積極的に支援していきたいと考えております。
 次に、市町村合併についてでございますが、分権型社会の形成を進めて住民自治の充実を図るためには、住民に最も身近な基礎的自治体でございます市町村中心の行政に転換していくことが重要でありまして、多様化・高度化する行政ニーズに的確に対応していくため、市町村合併の自主的選択によりまして、その行財政基盤の強化を図って、真に自立できる市町村を目指すことが望ましいと考えております。
 現在、第27次地方制度調査会において、合併に至らなかった人口一定規模未満の基礎的自治体について、窓口サービスなどに事務を縮小する、そして他の事務処理は都道府県に義務づける、あるいは他の基礎的自治体に編入してその内部団体に移行するなど、こうした議論が行われていると聞いているわけです。しかもその人口規模が、どうも1万人とか、そんなような数字も言われております。こうした一定の人口規模で線引きをして、それに満たない自治体の権限を一方的かつ大幅に縮小するようなことは、私は地方自治の本旨に反するのではないかと思っておりますし、市町村合併についても、一律に合併を進めることは適当でなく、あくまで自主的な判断のもとで行われるべきものと考えております。
 県では、合併特例法の期限内に多くの市町村で合併が実現できるように積極的に支援していくこととしているわけでありますが、合併の意思がありながらも、地理的条件などから小規模町村としての存続を余儀なくされて、住民に必要な行政サービスが担えなくなる場合については、何らかの補完措置が必要になると考えております。
 次に、知事の多選あるいは首長の多選についての所感についてでございますが、知事という職は、県政が抱える多岐にわたる課題を解決するリーダーとしてふさわしいかといういわば個人の資質によるところが大きい、3期、4期にとらわれることなくという議員のお話がございました。これは大変重いものと思うわけであります。逆に、このリーダーとしての資質に欠ければ1期でも去るべきということでもございまして、すべてにおいて全力を挙げてやりなさいと政界の大先輩から励ましをいただいた、このように受けとめたところでございます。
 県政の運営に当たりましては、ただいまのお話と、そして知事職の重みというものを十分にかみしめながら、一日一日を大切にその職を果たしていきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので、御了承お願いします。
   〔地域振興部長飛澤重嘉君登壇〕
〇地域振興部長(飛澤重嘉君) まず、県内の地域間格差是正についてでありますが、昨年度、部局横断的な取り組みを強化するとともに、地域づくりを総合的に支援するため地域振興部を設置いたしまして、特定地域の振興の観点から、県北・沿岸地域等の振興を所管する地域振興課を置いたところでございます。
 また、地方振興局におきましては、毎年度、地域振興方針を作成し、地方振興局及び本庁が連携いたしまして地域課題の解決に向けた取り組みを進めているところでございます。
 岩手県総合計画のもとにおける県北・沿岸地域の振興につきましては、例えば、時間距離の短縮プロジェクトとして、これまで東北新幹線盛岡以北の整備や東北横断自動車道釜石秋田線、三陸縦貫自動車道など高速交通ネットワークの形成に努めてきたほか、遠隔医療などの情報ネットワークの構築、あるいは生活基盤である下水道の整備などを進めるとともに、地域資源を活用した観光、グリーンツーリズムの推進などによる産業の振興、あるいは地元学の手法や地域活性化事業調整費の活用などによりまして、地域が主体となった個性豊かで活力に満ちた地域づくりを支援してきたところでございます。
 次に、市町村が出資しております第三セクターの現状認識等についてでありますが、平成14年1月1日現在で市町村出資の第三セクターは173法人で、平成13年度決算では約6割に当たる106法人が黒字、67法人が赤字となっております。また、累積収支の状況を見ますと、平成12年度に比べて黒字が増加するなど収支が改善した法人が97、赤字が増加して収支が悪化した法人が66と、経営が好転している法人の方が多くなっておりますけれども、累積の収支額は赤字額が全体で約13億円増加しておりまして、市町村出資の第三セクターの経営状況は一層厳しいものと認識いたしております。
 第三セクターの経営は、一義的には法人みずからの判断と責任において行われるべきものでございますけれども、その経営状況のいかんによっては、市町村の財政運営に重大な影響を及ぼすことが懸念され、特にも深刻な経営難にある第三セクターにつきましては、市町村合併の検討に影響する場合もあり得ると考えております。
 県といたしましては、行財政事務調査などの機会を通じまして、第三セクターのあり方について常に点検を行いまして、業務内容の見直し等による経営の効率化を推進し、市町村の財政運営に支障を来すことのないように、必要な情報提供でありますとか助言に努めてまいりたいと考えております。
   〔総合政策室長佐藤勝君登壇〕
〇総合政策室長(佐藤勝君) 政策評価における地域格差の是正についてでありますが、政策や事業の評価において、効率性も重要な基準の一つとしておりますが、この効率性の基準のみに基づいて評価を行うことは、過疎地域等の条件不利地域の事業が相対的に不利になるおそれがあるため、政策評価におきましては、全県及び広域生活圏などに分析した県民意識調査の結果も反映して、総合的・体系的な評価を行っております。
 また、事務事業評価におきましては、個々の事業の必要性評価において地域格差の項目を設け、過疎地域等の条件不利地域に対し配点を加算する配慮を行いながら評価を行っております。
 さらに、公共事業評価においては、費用便益比を基本に、事業箇所ごとにその必要性、緊急性、熟度などを加味し総合評価を行っておりますが、過疎地域等における地域の生活・産業支援に資する事業については、必要性の評価の中で配点を加算する地域修正を行うとともに、過疎地域における道路改築事業等におきましては、費用便益比の算定に際し、地域修正係数により割り増し補正を行っております。
 県といたしましては、今後とも効率性の観点に加え、地域の実情に勘案した評価を行うことに努め、過疎地域等の振興についても十分に配慮してまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長長山洋君登壇〕
〇保健福祉部長(長山洋君) 介護保険制度についてでありますが、制度施行後2年半の状況を見ますと、施設サービスについては、介護老人福祉施設及び介護老人保健施設が全国に比べて高い水準で整備されるなど、充実が図られてきております。一方、在宅サービスについては、県のアンケート調査によれば、実際に利用している人はおおむね満足されておりますが、しかし、全体的にその利用状況は全国に比べて低調なものとなっており、在宅サービスの利用の拡大が一つの課題となっております。
 また、当初の見込みを上回るサービス利用により保険財政が赤字となった市町村もあり、介護保険の安定的運営の確保も第2期計画期間における課題と認識しております。
 今後においては、まず、在宅サービスの利用の拡大を促進するため、介護を支えるマンパワーの養成と資質の向上、また、住宅改修など在宅での療養環境の整備など、介護サービス基盤の充実を図っていく必要があると考えております。
 また、施設の入所希望者についてでありますが、介護老人福祉施設への入所を希望している在宅の要介護者は平成14年9月末現在で1、745人、このうち要介護度3以上の方が50.5%となっております。
 こうした状況を踏まえ、第2期介護保険事業計画の策定に当たりましては、市町村が主体的に住民の合意形成に努め、適切な負担と給付に留意しながら施設サービスと在宅サービスのバランスのとれた基盤整備が図られますよう必要な助言を行ってきたところであります。その結果、本年10月時点では、今後5年間に県全体で介護老人福祉施設800床、介護老人保健施設550床のほか、痴呆性高齢者グループホームについても600床程度増床整備する計画となっております。
 さらに、今般介護保険施設の運営に関する基準が改正され、入所者の決定に当たって、介護の必要度や家族等の状況を勘案し、入所の必要性が高い方を優先的に入所させるよう求められておりますので、県といたしましても、関係機関と連携を図りながら、入所者の決定が適切に行われるよう支援してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長照井崇君登壇〕
〇商工労働観光部長(照井崇君) まず、総合雇用対策の雇用創出目標に対する実績及び評価についてでありますが、本年10月31日現在の実績は、今年度の目標数6、400人に対し3、000人、到達度47%となっております。その内訳ですが、まず、緊急地域雇用創出特別基金事業等による雇用の創出については、目標数2、600人に対し1、720人、到達度66%となっており、おおむね順調に推移しております。また、産業支援等による雇用創出については、目標数1、500人に対し464人、到達度31%となっており、これを分野ごとに見ると、コールセンター関係で120人、福祉関係で132人、農林水産関係で99人、その他113人となっております。これは、新規創業などの支援を通じた雇用の創出という事業の性格上、その効果が実際の雇用に結びつくまでにタイムラグがあることなどによるものと考えております。
 さらに、国の雇用創出関係助成金制度等の活用による雇用創出については、目標数2、300人に対し816人、到達度35%となっておりますが、これは、国の制度改正により事業主に対する助成率の引き下げ等、支給要件が見直されたことなどが影響しているものと考えられます。
 県といたしましては、今後とも雇用情勢の変化を踏まえ、県民や地域のニーズを的確にとらえながら、総合雇用対策の着実な推進を図り、雇用創出目標の達成に努めてまいりたいと考えております。
 次に、盲、聾、養護学校の生徒の就職に対する取り組みについてでありますが、社団法人岩手県障害者雇用促進協会が行う啓発事業に対する支援や、公共職業安定所等との共催による企業との集団面接会の開催などにより事業主に対する理解の促進に努めているほか、胆江障害者就業・生活支援センターや、今年度設置しました宮古地区チャレンジド就業支援センターにおいて、関係機関と連携しながら、養護学校の生徒や卒業生の就職相談に応じているところであります。
 今後におきましても、教育委員会とより一層連携を密にし、地方振興局の地域雇用相談員による事業所訪問などを通じて、事業主への積極的な働きかけを行い、盲、聾、養護学校の生徒が一人でも多く就職できるよう努めてまいります。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕
〇農林水産部長(佐々木正勝君) 岩手畜産流通センター及び岩手県肉牛生産公社の経営状況についてでありますが、まず、流通センターにつきましては、ハセップに対応するための施設整備やBSEの発生等に伴う牛肉需要の大幅減少などにより、平成13年度決算におきまして経常損失が5億4、000万円、繰越損失が3億4、000万円となったところであります。
 流通センターにおきましては、BSE発生の影響などに対処するため、昨年12月に平成15年度までの中期計画を見直し、組織体制の合理化や売れ筋商品への絞り込み、新たな販路の拡大など、経営改善に取り組んでいるところであります。
 県といたしましては、流通センターが本県唯一の産地食肉センターとして畜産物流通の中心的な役割を担っておりますので、その健全な経営に向けて今後とも指導してまいります。
 また、肉牛生産公社につきましても、BSEの発生に伴う子牛や枝肉価格の急落などにより、平成13年度決算では当期欠損金が7、000万円、累積欠損金が13億7、000万円となったところであります。現在、公社におきましては、肉用牛改良事業推進検討委員会の報告を踏まえ、県からの改良事業の受託、増殖事業の段階的な廃止と牧場の統合整理など、業務内容や組織体制を抜本的に見直しているところであり、県といたしましては、こうしたことにより早期に経営改善が図られますよう、技術、経営両面から指導、支援しているところであります。
 次に、いわて森のトレー生産協同組合についてでありますが、この事業による施設は、間伐材を利用した環境に優しい木製トレーの生産・供給を通じまして、県産材の利用と間伐の促進を図ることを目的として、平成10年度から12年度において、事業費26億9、200万円余、うち国庫補助金12億7、900万円余、県補助金2億5、500万円余で整備されたものであり、平成13年4月から本格操業を開始したところでありますが、本年8月25日をもって従業員22名全員を解雇し、事業を中断しているところであります。
 事業中断に至った直接的な原因といたしましては、発スチロール製トレーに比べて単価が高かったこと、新たに開発・導入した機械にふぐあいが生じ、生産量が計画を大幅に下回り生産原価のさらなる増嵩を招いたこと、また、こうしたことにより、販路の確保ができず極度の販売不振に陥ったことなどによるものと考えております。
 次に、事業再開の見通しについてでありますが、県といたしましても事業が再開されることが最善の道と考えますが、そのためには、機械のふぐあいを解消するとともに、新たな販路や運転資金の確保など多くの課題を抱えているものと考えております。
 次に、県の責任についてでありますが、県といたしましては、多額の国費及び県費を導入した補助事業による施設が、操業間もなく事業を中断したことについて極めて重大に受けとめているところであります。現在、事業計画、施設の整備、さらには完了確認等、事業全般にわたって調査を実施しているところであり、こうした事態に至った原因と県の責任について明らかにしてまいりたいと考えております。
 また、国庫補助金の返還についてでありますが、この事案について今週中にも会計検査院から公表されると聞いておりますが、その後の補助事業を所管する農林水産省からの指示を待って、県として対処してまいりたいと考えております。
    〔環境生活部長時澤忠君登壇〕
〇環境生活部長(時澤忠君) いわて森のトレー生産協同組合が製造する木製トレーの奨励、支援についてでありますが、県では、廃棄物等の再生資源を利用した製品で一定の基準に適合すると認められますものを岩手県再生資源利用認定製品として認定いたし、使用が促進されるよう周知に努めるほか、県でも優先利用に努めることなどによりまして利用の促進を図る制度をことしの11月に立ち上げておりまして、年内を期限に第1回目の募集を行っているところであります。
 御質問の組合が製造いたします間伐材を利用した木製トレーにつきましても、製造再開のめどが立ちまして、原材料が主として県内で生じたものであるという要件や品質及び安全性に関する基準、こういった要件、基準がございますので、それを満たしている場合には認定の対象となり得るものでございます。
 なお、発スチロール製トレーにつきましては、いわゆる容器包装リサイクル法の施行によりましてリサイクルが進められてきているものでありますので、その使用を規制するということは困難でありますけれども、より環境に優しい製品でありますれば、この制度により認定いたしまして、使用の奨励を図ってまいりたいと考えております。
   〔教育長五十嵐正君登壇〕
〇教育長(五十嵐正君) まず、高卒者等の雇用問題についてでありますが、議員御指摘のとおり、生徒の就職状況については非常に厳しい状況にあると認識しております。このため、県教育委員会では、本年度、就職支援相談員を県立高校63校に67名を配置し、県内を重点とした求人開拓を積極的に行っているところであります。
 また、就職支援に係る研究校を4校指定し、地域の効果的な就職支援のあり方やインターンシップの推進などの研究を進めております。その結果、現時点において、新たに537事業所の求人を開拓し、249名の生徒が内定を得ております。
 今後とも、就職支援相談員による積極的な求人開拓を推進するとともに、公共職業安定所と各学校との連携を一層密にするなど、生徒一人一人に応じたきめ細かな対応を行ってまいりたいと考えております。
 また、盲・聾・養護学校の生徒の就職についてはさらに厳しい状況にありますが、就職のためには、職場実習などによる職業適性の把握が必要なことから、県教育委員会では、本年度、高等部のある11校すべてに就職支援補助指導員を配置して、生徒の能力や適性に応じた実習等の充実を図っております。本年度は、11月末までに、延べ182人の生徒が食品製造業やサービス業など、108事業所で実習に取り組んでおります。さらに、各学校では、岩手障害者職業センター等の協力を得て、生徒が学校生活から職業生活に円滑に移行できるよう、一人一人に応じた支援計画を作成しているほか、各校の進路指導担当者による合同会議や広域生活圏支援ネットワーク会議等を開催して、岩手労働局や地方振興局、商工労働観光部、保健福祉部などと、就職支援のための情報交換と協議を重ねております。
 今後とも、関係部局等との連携を密にし、障害のある生徒への就職支援を積極的に進めてまいりたいと考えております。
 次に、青少年問題についてでありますが、今年度、県教育委員会に報告された学校事故報告書によりますと、中高生の暴力行為等により逮捕に至った事件や携帯電話で連絡を取り合っての家出、さらには中学生がかかわる事件がふえております。こうした状況を踏まえ、スクールカウンセラーの拡充や教員のカウンセリング能力の向上など、教育相談体制の一層の充実を図ってきており、また、各学校においては、児童生徒一人一人への個別指導の徹底や、教師間の連携・協力による指導体制の確立に取り組んでいるところであります。特に、携帯電話による犯罪の危険性と使用マナーにつきましては、これまでも県内高校生の全保護者にリーフレットを配布するなどし、家庭への啓発を行ってきましたが、さらに本年12月には、中学生を対象に携帯電話に関するアンケート調査を実施し、その結果を踏まえ、中学校段階からのきめ細かな指導を徹底してまいりたいと考えております。
 また、警察との連携についてでありますが、各市町村ごとに設置されている学校警察連絡協議会などを通じ、各学校と警察との間で各地域の課題に関する情報交換や事故、非行等の防止策の協議、さらには合同での街頭補導等に取り組んでいるところであります。さらに、今年度からは県内2地域において問題行動等を起こす児童生徒に適切に対応するため、学校、警察、教育委員会、児童相談所、民生・児童委員等の関係者が連携してチームを組織し、当該児童生徒の事例分析や処遇の検討、保護者及び学校への支援などの活動に取り組んでいるところであります。
 今後におきましても、家庭、学校、警察、地域の関係機関等の連携を一層密にして、児童生徒の非行防止と健全育成に努めてまいりたいと考えております。
   〔警察本部長熊崎義純君登壇〕
〇警察本部長(熊崎義純君) 本県における少年非行等の現状でありますけれども、補導総数が本年10月末現在で1万591人になりまして、前年同期に比べ14.7%増加をしております。4年ぶりの増加に転じております。また、刑法犯少年でありますが1、163人で、前年同期に比べ13.4%増加をし、2年連続の増加となっております。
 内訳を見ますと、窃盗犯が大幅に増加し、殺人、強盗などの凶悪犯も増加をしております。また、平成13年中の14歳から19歳までの少年人口1、000人当たりの犯罪少年の割合でありますが、10.2人ということで、本年はこれを上回る情勢ということであります。
 このように、100人に1人を上回る少年が犯罪で補導されており、しかも数がふえているという実態、大変憂慮すべきものと認識をいたしております。
 また、出会い系サイト利用に係る犯罪被害でありますが、平成13年中の犯罪被害は20件で、うち性犯罪被害が14件、その被害者はすべて少年でありまして、これも憂慮すべき状況にあります。
 次に、少年非行等に対する警察の対応でありますが、事件の検挙と非行予防の両面から、総合的な対策を推進しているところであります。
 具体的には、警察官や少年補導職員等、いわゆるたまり場などに派遣をして非行少年の早期発見に努めるとともに、悪質な事件には厳正に対処して規範意識の向上を図る少年補導活動、それから県、市町村、学校などの関係機関・団体や少年警察ボランティアと連携しての少年相談、それから非行少年を立ち直らせ、あるいは犯罪被害に遭った少年を保護するなどの少年サポート活動などを推進しておりますが、何といいましても、地域からできるだけ非行少年を出さないということが最も重要でありますことから、非行の原因、背景を明らかにし、認識を共有しながら、家庭、学校、行政、警察などがそれぞれの役割に応じて、また、地域社会が一体となって少年の健全育成、非行防止のための取り組みを、より活発に進めていく必要があるのではないかというふうに考えております。
 これらの取り組みを推進するに当たりまして、学校と警察との緊密な連携ということは不可欠であり、現在、学校・警察連絡協議会と生徒指導連絡協議会を中心に、協議、事例研究、合同補導などの連携活動を行っております。
 今後とも、学校等との連携を一層深め、少年の健全育成、非行防止のための各種活動を推進してまいる所存であります。
〇45番(村上惠三君) ただいまは、知事には北いわてのイベントの提案に対しまして、前向きの御答弁をいただきまして大変ありがとうございました。今後とも、県あるいは高原を持つ市町村長等と会議を開くといいますか、意見交換をして、実りあるものにしていただきたいというふうに要望をいたします。
 また、関係部長には御丁寧な御答弁、ありがとうございました。
 それでは再質問をいたしますが、私は雇用問題に関しましては、失業者対策のような後ろ向きのものも当然重要であると思いますけれども、それにも増して、これ以上失業者を増加させないようにする、前向きの対策こそが肝心であると思います。そのためには、今、活力を保持している企業、懸命に努力している企業にこそ、県の力強い支援が必要ではないかというふうに思うのであります。この意味で、本年4月に岩手県中小企業経営革新推進計画を策定しましたことは、まことに時宜を得たものと高く評価をする次第であります。
 この計画によれば、経営革新計画を策定する企業の目標数を、県内中小企業の1%――1%と言っても500社と設定しております。これらの企業に対しましては、計画の知事承認を経て各種優遇措置が講じられるようになっておりますが、こうした支援は当然でありますけれども、このことによって企業自身の経営革新に向けた意識も高まるであろうと存じ、大変期待をいたしております。
 しかしながら、仄聞しますと、企業への働きかけが必ずしも十分でないということ、それから企業へそうしたこの制度が浸透していないのではないかというような声があるようであります。現在の県の取組状況と今後の対応についてお考えをお聞かせいただきたいと、こう思います。
 次に、雇用問題に関連しまして、公共事業の県内発注についてお尋ねをいたします。
 現在、国、県ともに来年度の予算編成作業が始まっております。この中で、公共事業費については国が本年度マイナス3%、県ではマイナス15%と、総事業費に厳しい総枠をつけたようであります。
 県内の就業構造を見ますと、人口140万人の県民に対して建設業に就業する人口が約9万人。仮に4人家族といたしますと、これに関係する人口というものは36万人に達するわけでありまして、まさに県民4人に1人が関係しているということになります。このようなことになりますと、この方々に大変な影響を及ぼすわけでありまして、県民生活上極めて大きな事態が生じるのではないかと、このように予想されるわけでありますが、新幹線の整備あるいはこれに関連した事業も終わっておりまして、今後さらに、県の予算が削減というふうな追い打ちがかかるようなことになりますと、大量の失業者といいますか離職者が出るのではないかというふうに危惧するものであります。この場合、県議会としてもこうした原点に立って、9月議会では公共工事の県内建設業者への優先的な発注について決議をしたところでありますが、県としてはこのような状況をどのように認識をして、その後どのような具体策をとろうとしているのかお伺いをいたします。
 また、このような厳しい状況のもとですから、建設業界の再編も避けられない課題だろうと、こう思います。もとより、これは業界みずからが取り組むものであろうと思いますけれども、県としても、支援、指導すべき責任があるのではないかと、こう思うわけでありますが、この点についての御所見があればお答えをいただきたいと、このように思います。よろしくお願いします。
〇商工労働観光部長(照井崇君) 中小企業の経営革新についてでありますが、県内の中小企業者が厳しい経営環境に的確に対応し活発な事業活動を展開できるよう、岩手県中小企業経営革新推進計画により、各種の支援策を講じているところでございます。
 具体的には、商工会・商工会議所の経営指導員が企業を訪問し、経営革新に向けた取り組みを促すとともに、経営革新に取り組もうとする中小企業の方々に対し、経営革新計画を作成するためのセミナーを県内17カ所で開催いたしております。また、県内7カ所の地域中小企業支援センターにおいては、企業が経営革新を図る上での具体的な問題を解決できるよう、コーディネーターが集中的に指導するとともに、必要に応じて専門家を派遣するなど、経営革新に向けたきめ細かな支援を行っております。この結果、10月末現在において、計画の年間目標167社の約60%に当たる103社が、経営革新計画の策定に取り組んでいるところであります。
 今後におきましても、商工団体と連携し、説明会の開催や企業訪問などを通じて、より一層企業への働きかけを行うとともに、移動相談会の開催やセミナー参加者に対するフォローアップを強化するなど、中小企業の経営革新の支援に努めてまいりたいと考えております。
〇県土整備部長(猪股純君) 建設業界への支援、指導についてでありますが、厳しい経済社会状況の中で、建設業を取り巻く環境は建設投資が低迷しておりまして、非常に厳しい企業経営が求められておりまして、さらには、高度情報化や循環型社会などへの対応が急務とされているなど、かつてないほど大きく変化してきております。特に、建設業が直接の担い手となる県内の建設投資額は、景気の低迷などにより平成8年度をピークに減少傾向にありますが、一方において、建設業許可業者数は平成8年度以降も増加傾向にあるということなど、投資額と業者数のバランスが崩れてきており、新たな競争の時代を迎えていると認識しているところであります。
 これら建設業を取り巻く厳しい環境の変化への対応は、これまで以上に強い危機意識を持ってそれぞれの企業が取り組むべきものでありますが、県としても、平成12年度から官民協働の新いわて建設業振興指針フォローアップ委員会というものを開催いたしまして、企業連携等再編のあり方、情報化への対応、請負資格審査における企業評価のあり方の検討を行うなど、技術と経営にすぐれた企業が伸びることのできる環境づくりを進めてきたところであります。
 今後は、国においても、地方建設業のあり方について今年度から検討を始めたところでありまして、県としてもその動向を注視するとともに、建設業界との意見交換も行いまして、建設業がこのような時代の変化、時代の要請に的確に対応できるように支援してまいりたいと考えております。
〇総務部長(小原富彦君) 優先発注に関する議会決議への具体的な対応についてでありますが、県営建設工事の発注に当たりましては、これまでも県内建設業者への発注を基本としてきたところであり、入札参加資格要件について競争性を確保しつつ、県内建設業者が可能な限り参入できるよう要件緩和を行うなど、県内建設業者への受注機会の拡大に努めてきているところであります。
 県内建設業者の技術力のレベルが近年向上してきているという観点から、今般、1億円以上の工事に採用している条件付一般競争入札の入札参加資格要件について改めて見直しをいたしまして、5億円以上の場合、施工実績要件を発注工事数量の8割という従来の基準だったわけですけれども、これを6割に引き下げるなど、これまで参入できなかった規模の工事にもより多くの県内建設業者が参入できるよう、要件の緩和を実施したところであります。今後、この要件緩和によって、より多くの県内の建設業者の皆さんがそれぞれの施工実績を積み上げることにより、これまで以上に大規模な工事に参入可能となるなど受注機会が拡大されるとともに、技術力の向上も図られるものと期待されるところであります。
 県といたしましては、決議の趣旨に沿って今後とも公正性、透明性、そして競争性を確保しながら、県内建設業者への受注機会の拡大に最大限、努力してまいりたいと考えております。
   
〇議長(谷藤裕明君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時53分 散 会

前へ 次へ