平成15年9月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 認定第1号2002年度岩手県立病院等事業会計決算に対し反対の討論を行います。
 言うまでもなく、県立病院は、県民の医療と健康を守る上で重要な役割を果たしています。しかしながら、国の医療改悪と医療費の負担増、診療報酬の改悪などによって県立病院の経営が危機的状況に陥るとともに、患者が病院にかからなくなるなどの問題も生じています。真に県民の医療と健康に寄与する県立病院への改善を求める立場から、反対の討論を行うものであります。
 第1に、入院患者が7万9、000人、4.2%減少し、病床利用率は80.3%となりました。外来患者は38万人、8.4%と大幅に減少しました。この主な要因は、入院では在院日数の減少、外来では薬剤の長期投与による規制緩和があります。昨年10月からの老人医療費の1割負担も大きな要因であります。
 こうした中で、昨年度は18億円の赤字を記録しました。国の医療政策にその根本的問題があるにしても、厳しい状況の中でも患者をふやしているところもあります。黒字を続けている病院もあります。大事なことは、地域住民と患者の要求にこたえた病院ごとの対応と改革を進めることであります。
 第2に、県立病院のむだと浪費の構造にメスを入れることであります。
 昨年は沼宮内病院が建設され、ことしは福岡病院が建設されています。今後、磐井・南光病院の建設も予定されていますが、これらは数十億円、100億円を超える規模であります。しかし、民間病院と比べてかなり割高であり、さらに予定価格と接近しており、ゼネコンによる談合が疑われるものであります。また、医療機器、医療材料の入札購入についても改善すべき課題が残されています。この改善を図るだけでも、10億円を超える節約が可能となるのではないでしょうか。薬品については、後発医薬品の活用を進め、医療費と患者負担の軽減を図るべきであります。
 今回、医師確保対策として大学研究費助成金が3大学に5、150万円、中元・歳暮に912万円、医局運営協力費が424万円など、総額7、638万円の内容が明らかになりました。医局運営費は既に4月から廃止されているようですが、中元・歳暮も廃止すべきであります。大学研究助成金もその性格と目的を明確にして、各県、市町村とも連携して見直すべきであります。
 第3に、医療事故の根絶と2人夜勤の解消の問題であります。
 医療事故の背景には、医師の技量の問題もありますが、欧米と比べて半分の看護師の配置状況に大きな問題があります。医療の高度化と重症患者の増加、入退院の増加など、看護をめぐる状況は深刻なものがあります。多くの看護師は、いつ医療事故が起きてもおかしくない状況の中で不安を高めています。特に、センター病院として急性期高機能病院を目指している中央病院での2人夜勤の解消は、急務の課題であります。
 看護師の年次休暇取得状況は年間11.5日で約半分にとどまり、生理休暇に至っては14病院でしか取得されておらず、その平均も年間わずか3.3日であります。こうした問題の改善を強く求めるものであります。
 第4に、18億円の赤字を契機に、今、県立病院のあり方が厳しく問われています。
 医療局は、県立病院経営懇話会を設置して、第三者を含めた検討を行っていますが、医療局内部ではサテライトシステムを導入して、患者の減少で空床となっているベッド数の削減を、病院ごとに5年間で12病棟、720床も削減、廃止しようとしています。こうしたやり方では、今現在利用されているベッドも削減されてしまいます。多くの地域病院が病床なしの診療所に転換が図られます。地域総合病院もベッド数の大幅な縮小が求められます。病棟の廃止、先にありきでいいのでしょうか。規模が小さい病院でも、積極的な取り組みで成果を上げているところがあります。
 例えば、東和病院では、宮城県涌谷町の取り組みに学び、地元東和町との協力を強め、医療・保健・福祉の連携を強めることによって地域住民の要求にこたえ、病床利用率を高め、大きな成果を上げています。昨年には日本医療機能評価機構の審査を受け、高い評価で認定をされています。千厩病院では、患者を大事にする取り組みとコスト意識を高め、5年連続の黒字を記録して全国自治体病院協議会の表彰を受けています。軽米病院も、療養病棟への一部転換によって病床利用率を高め、赤字から黒字への転換の展望を切り開いています。
 共通していることは、患者の要求と地域の要求にこたえて、コスト意識を持って努力をしていることであります。ベッド数の削減も否定しませんが、県立病院の創立の原点に立って、どの地域でも必要な医療が受けられるよう、病院間の連携、関係市町村との連携を強めながら、それぞれの病院の改革を進めることが必要ではないでしょうか。
 最後に、病院経営の赤字の要因の一つには、消費税の転嫁できない負担があります。昨年度で、消費税負担額は22億円、実質転嫁できない負担額が7億円であります。この間の累積負担額は96億円にもなっています。これは、県立病院の累積赤字にほぼ匹敵するものであります。国の悪政が県立病院の経営危機の重要な要因となっており、その改善を強く求めるべきであります。
 以上申し上げ、私の反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。

〇議長(藤原良信君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、認定第1号平成14年度岩手県立病院等事業会計決算を採決いたします。
 本決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立多数であります。よって、認定第1号平成14年度岩手県立病院等事業会計決算は、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号及び認定第3号を一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立全員であります。よって、認定第2号及び認定第3号は、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
   日程第38 議案第32号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについて及び日程第39 議案第33号公安委員会の委員の任命に関し同意を求めることについて

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第38、議案第32号及び日程第39、議案第33号を一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。高橋副知事。
   〔副知事高橋洋介君登壇〕

〇副知事(高橋洋介君) 本日提案いたしました人事案件について御説明いたします。
 議案第32号は、教育委員会の委員であります安藤厚氏の任期が10月10日で満了となりますので、同氏を再任するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 議案第33号は、公安委員会の委員であります昆司氏の任期が10月10日で満了となりますので、その後任として新たに元持勝利氏を任命するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に同意くださるようお願いいたします。

〇議長(藤原良信君) お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、人事案件でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第32号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第32号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立多数であります。よって、議案第32号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
 次に、議案第33号公安委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第33号公安委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立全員であります。よって、
議案第33号公安委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
日程第40 発議案第2号高速道路網の整備推進と道路特定財源の確保に関する意見書から日程第46 発議案第8号私立学校への国庫補助制度の継続及び助成の大幅拡充を求める意見書まで

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第40、発議案第2号から日程第46、発議案第8号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各会派共同提案及び委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第4号逮捕・勾留された議員に対する歳費の支給の停止に関する意見書を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立多数であります。よって、発議案第4号逮捕・勾留された議員に対する歳費の支給の停止に関する意見書は、原案のとおり可決されました。
 次に、発議案第2号高速道路網の整備推進と道路特定財源の確保に関する意見書を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立多数であります。よって、発議案第2号高速道路網の整備推進と道路特定財源の確保に関する意見書は、原案のとおり可決されました。
 次に、発議案第3号及び発議案第5号から発議案第8号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立全員であります。よって、発議案第3号及び発議案第5号から発議案第8号までは、原案のとおり可決されました。
   日程第47 議員派遣の件

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第47、議員派遣の件を議題といたします。
〔参照〕
 議事日程第5号中 日程第47 議員派遣の件の議員派遣一覧
"
派遣の目的派遣場所期 間派遣議員
第58回国民体育大会秋季大会岩手県選手団本部役員(顧問)静岡県
袋井市
平成15年10月24日から平成15年10月26日まで新居田弘文 議員
嵯峨 壱朗 議員
柳村 典秀 議員
第122回全国都道府県議会議長会定例総会沖縄県
那覇市
平成15年10月27日から平成15年10月29日まで菊池  勲 議員
第3回都道府県議会議員研究交流大会東京都平成15年11月12日から平成15年11月13日まで阿部 敏雄 議員
及川 幸子 議員
佐々木 博 議員
川村 農夫 議員
佐々木大和 議員
照井 昭二 議員
嵯峨 壱朗 議員
飯澤  匡 議員
阿部 静子 議員
平  澄芳 議員
"

〇議長(藤原良信君) お諮りいたします。本件は、お手元に配付いたしました3件についてでありますが、会議規則第114条の2第1項の規定により議員を派遣いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
   閉 会

〇議長(藤原良信君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第4回県議会定例会を閉会いたします。(拍手)
   午後4時36分 閉 会

前へ 次へ