平成15年9月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第1号、8号から12号、25号、29号、31号に反対の討論を行います。
 議案第1号は、2003年度岩手県一般会計補正予算(第2号)であります。この中には、若年者就職支援センターなどの雇用対策事業や中心市街地商店街施設整備費補助、新規の難病支援センター運営費、三陸南地震による災害対策復旧費など県民の要求にこたえるものが少なからず盛られていることは評価するものであります。しかし、補正予算額71億円余のうち63%が土木費の44億8、000万円余となっています。県財政の危機的状況をもたらした公共事業優先の補正予算となっていることは、県財政の再建と改革にとっても逆行するものであります。
 特に重大なことは、簗川ダム建設事業費7、000万円が盛り込まれていることであります。簗川ダムに係る請負契約案件も提案されています。簗川ダム建設事業は、総額670億円の県政最大の大型開発であります。多目的ダムとして建設されようとしていますが、利水問題では、盛岡市の谷藤市長が選挙公報で明確に簗川ダムは将来予測、水需要を見直しますと公約したものであり、増田知事自身も私の質問に対し見直しの意向を改めて表明したものであります。
 企業局の決算審査では、簗川発電所事業の断念が表明されました。こうなりますと、簗川ダムは治水だけのダムとなってしまいます。だとするなら、津付ダムと同様に全般的見直しが求められるものであります。治水問題についても、第三者による河川改修案が検討されるなら、大幅な見直しも必要となるものであります。
 議案第25号では、簗川ダム建設トンネル築造工事の請負契約案件も提出されています。これは、ダムによって水没する130億円余の県道の工事であります。もしダム建設が見直されるなら必要がなくなる工事であります。簗川ダムは、新たな政策評価、大規模事業評価にかかる予定でありますから、この際、再評価を待って検討されるべき課題であります。ダムの専門家からは、既に簗川の治水対策は河川改修で十分対応が可能だとの科学的な意見、提案も出されています。ダムを見直すなら200億円以上の事業費の削減と節約が可能となるものであります。
 花巻空港整備事業も債務負担行為として提起されています。花巻空港整備事業は、6月18日に突然総事業費が278億円から318億円に40億円も増加するとされたものであります。特に、その中で132億円の事業費で整備している平行誘導路整備事業はそもそも大型機の恒常的就航を目的とするものであり、花巻空港には最初から必要のなかったものであります。県のあいまいな費用対効果分析でも、費用132億円余に対し便益はわずか19億円で、費用対効果は0.1とされているものであります。既に108億円が投資されており、今後の事業を休止するといっても焼け石に水と言うべきものであります。
 花巻空港は、現在も利用客は50万人前後で、2、000メートルの滑走路でも就航できる約300人乗りのA300機は飛行していないのであります。それどころか、60人乗りのコミューター機が飛んでいるのが実態であります。こうしたむだと浪費の大型開発にメスを入れてこそ本当の行財政改革を進めることができるのではないでしょうか。
 また、三陸南地震に対する災害対策事業費が17億円余盛り込まれています。この地震の最大の被害の一つが368カ所に及ぶ学校施設の被害でした。県立学校40校の災害復旧事業費が計上されていますが、極めて少額で不十分なものであります。市町村でも、小・中学校の耐震診断も計画の65%しか予算化されていない状況であります。老朽校舎の耐震診断と改築・改修を県政の最重要課題に位置づけて取り組むべきであります。これは、子供たちの安全と防災にとってはもちろんのこと、地元業者に仕事をふやし、不況対策にとっても大きな役割と力を発揮するものであります。
 議案第8号から12号は、県営建設事業費の経費の一部を関係市町村に負担させるものであり、反対するものであります。
 議案第29号は、財産の取得に関するものであります。これは、県立大学に365台のパソコンと273台のモノクロプリンターを一般競争入札によって購入しようとするものであります。ところが、入札に参加した業者はアイシーエスただ1社であり、購入価格は、予定価格の98%となる8、610万円であります。結局は、仕様書などで他の業者が入札に参加できない仕組みとなっているとしか考えられません。極めて不明瞭な入札と言わなければなりません。この改善を強く求めるものであります。
 議案第31号は、県職員の退職手当を引き下げようとするものであります。これは、平均150万円、年額では全体で10億円余の削減となるものであります。既に県職員は、人事委員会の勧告によって4年連続で105億円に及ぶ削減、1人当たりでは約38万円の削減を強いられているのであります。さらに増田知事は、人事委員会勧告とは別に、平均4%、約40億円の賃金の引き下げを提案しています。退職金も賃金の一部であります。県職員の賃金や退職金は県民の理解を得られることが大前提ですが、こうした賃金の引き下げの連続でいいのでしょうか。賃金引き下げの悪循環となることなく、不況のときこそ地域経済の防波堤の役割を果たすことが求められているのではないでしょうか。
 次に、請願陳情受理番号6号教育基本法の改正に反対する意見書採択のための請願の不採択に反対するものであります。
 現在の教育基本法は、戦前の侵略戦争の反省から、民主的で文化的な国家を建設して世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した憲法の理想の実現は根本において教育の力をまつべきものとして打ち立てられたものであります。その内容は、教育の目的に人格の完成を置き、平和的な国家及び社会の形成者の育成を掲げ、子供の成長と発達を何よりも大事にする教育の実現を目指したものであります。
 ところが、中央教育審議会は、今日の教育の困難と荒廃をもたらしたみずからの責任には口をつぐみ、一つ、国を愛する心――愛国心教育の推進、二つ、個性に応じた能力を伸ばすという名目で能力別教育への転換、三つ、教育振興基本計画によって国による地方や学校現場への統制の一層の強化を図るため教育基本法の改正を提案したのであります。今求められていることは、学校や家庭、地域など社会全体が協力して教育の困難を解決することであります。そのためにも、教育基本法の理念と原則を生かすことこそ必要であります。この立場からこの請願の不採択に反対するものであります。
 請願受理番号第7号は、建設産業の振興による県民生活の安定向上に関する請願です。その内容は、県営公共工事の大幅な拡大を求めるものであります。しかし、1兆3、600億円の県債残高に見られる県財政の危機的状況は、財政の枠を大幅に超えた公共事業の推進によってもたらされたものであります。今必要なことは、むだと浪費の大型開発事業を抜本的に見直すこと、そして、老朽校舎の改築・改修など真に県民が求める必要な仕事に重点を移し、地元業者への仕事をふやすことであります。この立場からこの請願の採択に反対するものであります。
 以上で私の反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。

〇議長(藤原良信君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、請願陳情中、受理番号第6号教育基本法改正に反対する意見書採択のための請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第6号教育基本法改正に反対する意見書採択のための請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第29号財産の取得に関し議決を求めることについてを採決いたします。
 本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立多数であります。よって、議案第29号財産の取得に関し議決を求めることについては、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第1号、議案第8号から議案第12号まで、議案第25号、議案第31号及び請願陳情中、受理番号第7号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立多数であります。よって、議案第1号、議案第8号から議案第12号まで、議案第25号、議案第31号及び請願陳情中、受理番号第7号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第2号から議案第7号まで、議案第13号から議案第24号まで、議案第26号から議案第28号まで、議案第30号、発議案第1号及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立全員であります。よって、議案第2号から議案第7号まで、議案第13号から議案第24号まで、議案第26号から議案第28号まで、議案第30号、発議案第1号及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   日程第34 委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第34、委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件を議題といたします。
〔参照〕
総務委員会
 公的個人認証サービスの提供について
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受理番号件名
3国道281号久慈市川貫地内の横断歩道帯への歩行者用信号機設置に関する請願
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環境福祉委員会
 食の安全安心の確保について
商工文教委員会
 盛岡スコーレ高等学校の総合学科の取り組みについて
農林水産委員会
 木質バイオマスエネルギーの利用促進ついて
県土整備委員会
"
受理番号件名
10主要地方道紫波川井線の一部ルートを変更し整備促進して公共性を高めることを求める請願
"

〇議長(藤原良信君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件につきましては、先ほど各委員長から報告のとおり申し出がありましたが、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長から申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに決定いたしました。
   日程第35 認定第1号平成14年度岩手県立病院等事業会計決算から日程第37 認定第3号平成14年度岩手県工業用水道事業会計決算まで

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第35、認定第1号から日程第37、認定第3号までを一括議題といたします。
 各案件に関し委員長の報告を求めます。及川決算特別委員長。
   〔決算特別委員長及川幸子君登壇〕


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