平成15年9月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇24番(阿部静子君) 社会民主党の阿部静子でございます。
 県政の諸課題について、通告に従い順次質問をいたします。よろしくお願いいたします。
 最初に、財政問題についてお伺いいたします。
 本県財政構造の悪化の要因についてでありますが、県がさきに発表したいわゆる行財政構造改革プログラム骨子によりますと、平成4年度以降続いた国の経済対策に関し、特に公共事業による景気対策に応じ、社会資本整備を集中的に実施した結果、多額の公債残高を抱え大変厳しい財政状況に陥った。このままの財政運営を続けた場合には、平成17年度には財政再建団体に転落するとの厳しい認識が示されております。確かに、公債費比率は平成4年度の12.3%から平成13年度では21.0%となっているなど、危険水域を実感するものでございます。
 県は、このような結果をもたらした公共事業中心の景気対策を地方に誘導したという国の責任は大きなものがあるが、地方においても、身の丈を超えた規模で社会資本の整備を続けたという点については、率直に反省しなければならないとしております。ならば、この間、どの事業が身の丈を超えたものであったとお考えでしょうか。また、東北6県における平成4年度以降の財政構造の変化を、本県との比較においてどう見ているのかについても、あわせてお伺いいたします。
 次に、県男女共同参画推進条例制定後の実効ある取組状況と課題及び今後の取り組みについてお伺いいたします。
 男女がともに輝く心豊かな社会の実現を目指した共同参画推進条例が、慎重審議の上、議員の皆さんの御理解と協働によって制定できましたことは、大変うれしいことでございます。この条例の制定により、増田知事を本部長とする推進本部が立ち上げられ、新しい共同参画審議会も設置されました。
 そこでお伺いいたします。条例制定後の県の実効ある取組状況とその成果についてお知らせください。
 また、どのような課題が挙げられるでしょうか。今後の取組方針とあわせてお伺いいたします。
 全国に女性議員をふやそうとの運動が盛んになっております。全国においても、岩手においても、女性議員は確実にふえてきております。県内では、この春の選挙によって、県議会議員が5月末日現在で2人から4人、市議会議員が19人から22人、町村議会議員が24人から25人に増加いたしております。その占める割合はまだ1けたにすぎません。着実にその数をふやすその中で、特にも女性県議会議員が2倍に増加したのです。(「立派だ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
 しかし、画期的なうれしい出来事にもかかわらず、なぜか4年前に比して余りニュースに取り上げられないのは一体何でありましょうか。
 私は過日、本県の共同参画推進条例や情報誌Joinを持って全国の女性議員の集まりに参加し、我が岩手の条例制定への取り組みについて、その経緯や誇れる内容を紹介してまいりました。有楽町のマリオン前での街頭演説におきましても、男女共同参画を推進することこそが、平和で民主的な生活をつくり出すことにつながるということを強調してまいったのでございます。
 集会において、他県で起きている男女平等へのバックラッシュの状況が報告されました。男女共同参画社会基本法の廃案を求める会の動き、ジェンダーフリー思想に基づく書籍・ビデオ等資料の撤去及び講演・セミナーの中止や是正を求める動きなどが挙げられておりました。
 そこでお伺いいたします。散見されるこうしたバックラッシュの動きや最近相次ぐ国会議員による女性蔑視の発言について、共同参画推進に対して高邁な見識をお持ちの増田知事はどのようにお考えか、御所見をお聞かせください。
 次に、女性への健康支援についてお尋ねいたします。
 これまでの医療は、男女区別されず、一般の医療体制の中で扱われてまいりました。しかし、思春期の性、妊娠、特にも望まない妊娠、女性特有のがんの早期発見及び治療、更年期障害、いろいろな症候群などなど、多くの女性特有の健康の問題に悩み苦しんでいる多くの女性が存在するにもかかわらず、この問題に正面から対応する機関はほとんどありませんでした。
 女性の健康問題に取り組んでこられた堂本千葉県知事は、男女でそれぞれの医療のあり方があるのだという視点の重要さに気づくことの大切さを訴え、知事就任直後、女性専用外来を県立病院に設置し、女性医長を配置したそうです。あっという間に受診者がふえ、二、三カ月先まで予約でいっぱいになるなど、いかに多くの女性が待ち望んでいたかがわかる状況だったようです。
 その後、2カ所の県立病院、民間病院4カ所も女性外来を始め、県内15すべての保健所で女性医師が月1回から4回、健康相談を行うなど、女性の健康支援が進められております。天の半分を支えている女性の総合的な健康支援は社会問題です。折しも今月は、あなたの健康、未来の活力を統一標語にした健康増進普及月間と伺いました。岩手の女性の健康は、女性のみならず、家庭、職場、社会を明るくいたします。
 そこでお伺いいたします。総合的な女性への健康支援について、増田知事はどのような認識をお持ちでしょうか。女性専用外来の設置や相談機関への女性医師配置によるその充実についても、前向きの御見解をよろしくお願いいたします。
 次に、本県における難病と言われる方々の実態とその支援策及び臓器移植についてお伺いいたします。
 難病は、厚生労働省が指定している難治性疾患克服研究事業の特定疾患分野の対象だけでも118、そのうち特定疾患治療研究事業の対象として45疾患が指定されております。正確な罹患率は不明なようですが、県内各地で多くの方々が原因不明、治療未確立の病気と闘っておられるものと思います。
 医学が日進月歩の目まぐるしい進歩を遂げている今日にあっても、人類に挑戦するかのように新たな病気が次から次へと生まれ、罹患された御本人、そして御家族の苦しみは大変なことと推察をいたします。
 岩手県難病連が発足して3年が経過したということです。そこでまず、本県の難病患者の実態及び難病を障害者プランに位置づけている本県として、どのような支援を行っておられるのか、また、難病110番が設置されていると聞いておりますが、相談件数とその相談内容についてお伺いいたします。
 厚生労働省は3年計画で全国に難病支援センターを整備する国庫補助創設、当初予算として4億円を計上しているようです。本県は広大な県土であり、医療の中枢が集まる盛岡市には、県内各地から患者や家族が訪れます。その方々の切実な願いとして、相談や休憩、宿泊などの施設が整備されている難病支援センターの設置を要望されているとお聞きいたしております。
 そこでお伺いいたします。厚生労働省が考える難病支援センターとは、一体どのような施設を言うのでしょうか。そして、患者や家族の皆さんの願いをかなえるべく、本県としてもセンターの早期整備に向けて厚生労働省に対する国庫補助申請は行われているのでしょうか、お答えください。
 また、難病ゆえに苦悩する多くの患者さんの人権を守り、生きていくことができるようにするための県としての今後の取り組みについて、知事の御見解をお願いいたします。
 続いて、最近久慈市においては高校生、北上市においては中学生が、いずれも臓器移植を待ちながら相次いで亡くなってしまったと伺っております。生きたいのに生きていけない若い命、悲しいです。本県にはこのように臓器移植を待っている子供たちが何人いるのでしょうか。そして、医療の分野では臓器移植に関してどのような配慮がなされているのでしょうか、お知らせください。
 次に、農業政策に関し、まず冷夏対策について質問をいたします。
 県は俊敏に対策本部を設置し、災害の影響を最低限度に抑えようと努力され、8月22日から29日の調査結果を、ことしは7-8月期の日照時間不足と低温により、県内の稲の作柄は著しく不良として発表されました。そして、9月16日には県の災害対策に関する要望書を国に提出されております。本当に敬意を表します。
 私たちの会派は先日、矢巾、都南、二戸地区を視察、調査いたしました。ある地域においては、大都市業者との契約数量を確保するために、農家では、自分たちは米を買って食べてでも、自己保有米を供出して信用を確保しなければならないという声もありました。店頭では既に米の値上がりが始まり、新米はもちろん、古米も高値で販売されております。さらには、新米の盗難、にせ米も市場に出回っていると聞いております。
 そこで伺います。県対策本部は、県内水稲被害について調査時点以降の状況をどのように把握されておられますか。また、国内での被害状況から、米の減収量の把握と米の流通及び消費者対策への取り組みはどのようになっているのでしょうか。政府の減反政策をこのまま続けていいのでしょうか、知事はどのようにお考えか、御所見をお聞かせください。
 来年の種もみの確保はどのような状況でしょうか。これまで県は、かけはしやいわてっこの品種改良を進めてこられましたが、今回の被害の状況を分析しながら、さらに県土に適した品種が必要と思われますが、どのように取り組まれていらっしゃるのかお知らせください。
 また、農業共済団体は被害実態を把握し、共済による補償を行うために、例年の数倍の調査費を捻出して個々の農家の補償に努力されているようですが、県としては農家への支援をどのようにお考えなのか伺います。
 あわせて、稲作以外の農作物への冷夏の影響、実態をどのように把握され、どう対応されるのかですが、お尋ねをいたします。
 続いて、花卉生産のリンドウにかかわって質問をいたします。
 リンドウは安代町を筆頭に、全国一の生産量を誇るものであり、米の減反による転作作物として農家の大きな収入源となっております。加えて、この栽培に当たっては、米のように大型機械は必要なく、農家の女性の間でも取り組みやすい作物になっております。
 最近、栽培農家の方からお聞きしたところでは、現在の県奨励品種のリンドウは、開発されてかなりの時間がたっているものもあり、新たな奨励品種の開発を求める意見が大変多いようでありますが、品種の開発状況とその後の見通しはどのようになっているのかお伺いいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 さらに、リンドウの草丈が伸びない、いわゆるこぶ症についてであります。これが発生すると、毎年毎年、圃場内に広がり、収穫できる株が徐々に少なくなっていくというものなそうです。このこぶ症に対しては、今のところ何らの対策も見つかっていないようですが、その早期解決を望む多くの声が寄せられております。そこで、この対策についてどのように取り組まれておられるのか、前向きの御答弁をお願いいたします。
 次に、防除基準の記載ミスについてお伺いいたします。
 平成15年度県農作物病害虫・雑草防除基準の記載ミスにより、一部農作物が出荷停止となった問題で、県は、農家12戸と生花卸業者2社に対し計2、000万円余の損害賠償を行うことを決定し、補正予算に計上しております。この問題についてでありますが、第三者機関である有機農産物の登録認定機関から、昨年における無登録農薬のダイホルタン事件当時、本県の防除基準を参考にして作成されている水稲の減農薬栽培暦に記載ミスがないかどうか問い合わせがあったと聞いております。こうした中でこのような問題が起きたわけでありますから、農家に賠償するのは当然のことでありますが、二度とこのような事態を招かないようにするために、防除基準を作成する上での具体的なチェック体制等をどのようになさるのか、県当局のお考えをお尋ねいたします。
 次に、災害に対して弱い立場の人たち、特にも聴覚障害者への緊急時の対策について質問いたします。
 過日発生いたしました宮城県北部地震において、地震発生時や避難所での生活の際に、聴覚障害者に対する情報が伝わらず取り残されるケースが出ていたことが、宮城県ろうあ協会の調査で判明し、同協会は、聴覚障害者全員にテレビ電話を配備するなど、行政から素早く災害情報が伝わるようにしてほしいと訴えがあったといいます。
 また、避難所においてはマイク放送が中心であり、掲示板や要約筆記ボランティアなどの準備が少なく、テレビも字幕が少ないため、地震情報が入りにくく、給水車の案内も音声アナウンスだけで気づかず、困った人もいたようでございます。5月の三陸南地震に比べて通信網への影響が少なく、ファクスでの連絡や現地への会員派遣で、被災した聴覚障害者の安否を確認することができたということですが、市町村の福祉担当者からの安否確認はほとんどなかったといいます。
 けさも地震があったわけでございますが、本県における情報をいち早く文書によってお知らせくださったことに感謝を申し上げます。
 そこでお伺いいたします。本県の場合、過日の一連の地震における対応はどうだったのでしょうか。また、日ごろの備えはどうなっているのですか、具体的な施策についてお知らせください。
 また、学校等公共施設の耐震診断の状況及び改修状況は、本県の場合どうなっているのでしょうか。県としての耐震化政策についてお尋ねいたします。
 次に、教育の諸課題について質問いたします。まず、少人数学級の実現促進についてであります。
 本年度、全国の都道府県で少人数学級に取り組む動きが加速いたしております。時事通信社の聞き取り調査によりますと、本年度少人数学級を編制するのは、昨年度より9県ふえて、北海道から沖縄まで30道府県に達したということです。多くの自治体が少人数学級を実現し成果を上げていると公表しているのに対して、岩手県と東京都は、少人数指導重視を強調しておりますが、その根拠となる考え方と今後の方針についてお尋ねいたします。
 次に、専任司書教諭の学校図書館への配置状況はどうなっておりましょうか、伺います。
 次に、10月2日に予定されております学習定着度状況調査についてお尋ねいたします。
 本年度、本県においては小学校3年生から中学校3年生までについて悉皆で全員を調査すること、調査教科が国算(数)英から国社算(数)理英に拡大すること、このことは他県に比べて際立っております。東北各県の状況はどのようになっているのですか。本県が各県より著しく突出して実施することの根拠はどのようなことでしょうか。この調査は、学力の一部分だけを取り上げて、過度の点数競争に陥る危険性が懸念されます。この懸念払拭の手だてについて県はどのようになさるのでしょうか、お伺いいたします。
 また、県立高等学校への2人以内の民間校長採用に88人応募、44倍の競争率という見出しの記事が、先日私の目の中に飛び込んでまいりました。競争率の高さは長引く不況という社会背景のあらわれでしょうか。しかし、私は、なぜ今民間校長なのか納得がまいりません。民間校長を配することの教育的効果について御説明ください。
 次に、本県における交通事故に関してお聞きいたします。
 折しも9月21日から30日までの10日間、平成15年秋の全国交通安全運動が展開されている最中であります。国民、県民を挙げて、より一層交通安全への意識高揚を図らなければならないと思っております。
 私は、毎日のように報道される痛ましい交通事故を見聞きするたびに、胸が締めつけられる思いでございます。数日前にも、高速道路で大型バスが中央分離帯に衝突をし、多くの方がけがをされた事故が大きく報道されておりました。この事故は、幸いにも亡くなられた方がなく、ほっと胸をなでおろす思いでございましたが、一歩間違えば大惨事につながりかねないことを考えますと、ぞっといたします。普通に生活を送る中で、突如として起こる交通事故は、一瞬にして人の幸せを奪い取ってしまいます。車社会の現代において、交通事故の犠牲になられる方々の多くが高齢者となっている状態が依然として続いております。
 そこでお伺いいたします。県警本部では、高齢者への事故防止対策をどのように推進されておられるのでしょうか。その具体的な施策についてお示しください。
 また、交通事故の原因の多くはどこにあるのか、そして、どのような場所で多く起こるのかなど、警鐘の意味も込めて、本県における交通事故の現況、そして、さきに触れましたとおり、今、秋の全国交通安全運動の実施期間中にあるわけでございますので、この期間に展開されている具体的な活動内容について、新たな取り組みも含めお聞かせいただきとうございます。
 最後に、本県におけるオレ、オレ・私、私詐欺の実態について質問いたします。
 さきに交通事故で多くの高齢者の方が犠牲になられている事実に触れましたが、最近の犯罪にあっても、社会的に弱い立場にある人をねらう傾向がますます強まっております。このような状況下において、やはり多くの高齢者の方が被害を受けておられるようです。ひったくり、強盗、やみ金融など、極めて許しがたい犯罪が横行する中にあっても、最近、高齢者そのものをターゲットにした犯罪、いわゆるオレ、オレ・私、私詐欺が横行しているようです。これは、御承知のとおり、電話により孫あるいはおい・めいを装って高齢者を欺き、金銭をだまし取るといった新手の詐欺手口でございます。
 さきの報道によりますと、警視庁の調べでは、東京都内においてはことし3月以降で585件の被害の届け出があり、金額にして3億6、600万円余の被害に上っており、これまでに18人を逮捕しているが、まだまだ鎮静化する気配はないと報じておりました。
 そこでお伺いいたしますが、本県における被害の実態はいかがでしょうか。また、県警本部においてはどのような対応をとられていらっしゃるのか、お示しいただきとうございます。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 阿部静子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず初めに、財政問題で再三にわたりまして私、身の丈を超えた規模の社会資本の整備を行ってきたと申し上げておりますが、これがどういう内容なのかということでお話がございました。これは個々の事業ということではなくて、全体のいわゆる事業量、全体の事業規模として大変過大であって、そのことが財政に大変なマイナスの影響を与えたということで、身の丈を超えているということで申し上げているものでございます。今後こうしたことのないように県税等の歳入に見合った適正規模の財政支出に努めていきたいということでお話を申し上げております。
 それから、東北6県の平成4年度以降の財政構造の変化、本県との比較ではどういうふうに見ているかということですが、これは大体東北6県どこも本県と同様の推移を示しております。財政力指数、経常収支比率、公債費比率、いずれもほぼ本県と同じようなことでございまして、したがいまして、今申し上げましたような中で岩手県の位置というのは微妙にそれぞれ違っておりますが、全体的な傾向として言えば、税収の減少の一方で公債費が増加をしていることに伴いまして、この財政の弾力性あるいは安定性が低くなってきておりまして、東北各県いずれも本県と同様、財政の硬直化が進んできていると認識をしているところでございます。
 それから、男女共同参画推進条例制定後の幾つかの問題でございますが、まず県の取組状況でございますが、この男女共同参画プランの着実な推進を今図っているということで、県職員に対しても研修を行っております。それから、ことしの4月に岩手県男女共同参画調整委員という、これは3名の方ですが、この方をお願いして、そしてこの苦情ですとか、それから人権侵害についての相談処理体制を整備して今運営をしているところでございます。9月現在で受け付け処理件数は3件ということになっております。また、これを周知徹底を図るともう少しこれが件数がふえてくるのかもしれませんが、今後確実に運営をしていきたいと思います。
 それから、成果についてですが、これはプランの進捗状況についてさまざまな課題がございますが、おおむね順調に進捗しているととらえているのですが、特に今お話しございましたように、この1年間、女性議員の数が増加をしておりますし、農業委員会、それから県の各種審議会などでも女性委員の数がふえているということで、いわば県なり、それから各市町村、各公共団体の政策、それから方針決定過程への参画が着実に進んできているととらえております。
 今後の課題でありますが、何といいましてもこの男女共同参画計画、これは市町村計画をつくるということがまた地道な展開にとっては必要なのですが、その部分が九つの市町にとどまっておりまして、市町村計画の策定をこれから何としても市町村の方にお願いをしていかなければならないという問題がございます。それから、県民の要望が強い分野としては、仕事と子育て、介護を両立できる環境づくり、これはいろいろ課題がございますけれども、そういったことを一層充実させていく必要があるだろうと思っております。
 今後の取組方針ですが、市町村あるいは企業の皆さん方のトップセミナーを開催する、私も行って話をしたいと思っていますが、そういうトップセミナーの開催など多様な市町村支援の実施、それから次世代育成支援対策推進法、これはいわゆる少子化対策を主眼とした法律でございますけれども、こうした新法によります新たな取り組みもあわせた仕事と子育ての両立支援策の充実、それから県としては審議会委員などへ一層女性の皆さん方の登用を進めるといったようなことがございますし、それから今の男女共同参画プランがDV防止法や県の条例の制定などその後諸状況が変わってきておりますので、現プランの早期の見直し作業に着手をして、そしてこれから一層この男女共同参画の取り組みが進むようにしていきたいと考えております。
 それから、この関係で男女平等へのいわゆるバックラッシュの動きというお話がございました。これは、実は確かな動向を私も十分に把握しておりません。全国の動きなどはまた担当部の方からよく把握をしておきたいと思いますが、国会議員の女性べっ視発言についてどう思うかということで、恐らくことしの6月にございました鹿児島県での衆議院議員の太田誠一議員の御発言などをとらえてのお話ではないかと思うので、これはやはり男女共同参画推進に理解のない不当な発言であると私も思うところでございます。
 いずれにしても、本県での男女共同参画社会の形成については、例の条例を随分パブリックコメントを重ねて時間をかけて制定をしてまいりましたので、あの条例の理念に基づいて、男女がともに、人権を尊重して、対等な立場で相互に協力しながら暮らしていける、その社会の実現ということでございまして、そうしたことに全力で取り組んでいく所存でございます。
 女性の健康支援についてお尋ねがございましたが、やはり女性の健康については、妊娠、出産、それから更年期などの女性特有の症状ですとか悩みに配慮しながら、その保持増進を図ることが重要だと思っております。
 それで、女性専用外来の設置について今御提言があったわけでございますが、この女性専用外来の設置については県民からの要望も大変多いわけでございまして、今後積極的に検討していくべきものと思っております。そこで、県の方では先行的に県立病院への女性専用外来の設置の検討を今進めているところでございまして、また来るべき時期に議会の御理解を得て実現させたいと思っておりますが、当面、県立中央病院に平成16年度内に設置をするということで、今内部で作業を進めているところでございます。なお、今現在そういう女性専用外来というそうしたところがございませんので、当面、保健所に設置している女性健康支援センターで保健師さんがさまざまな相談に今応じるようなそういう体制を整備しているところでございます。また、岩手県医師会の方でも女性医療相談室というのを設けてございますので、そちらの方も活用していただきながら、それまでの間対応していくということで考えているところでございます。
 それから、難病患者のその実態と支援策等についてのお話でございますが、特に厚生労働省が考えております難病相談支援センターについてお尋ねがございました。これは、目的としては日常生活での相談支援、それから地域交流活動の促進、それから就労支援などを行うために都道府県が実施主体となって設置をする、そういう厚生労働省の考え方のものでございまして、具体的には難病相談支援員というものを配置して、そして電話や面談などで日常の相談に応じたり生活情報を提供したり、あるいは地域交流会等の活動支援、就労支援、講演、研修会の開催といったものを行っていくものでございます。
 本県では、実は今、国庫補助の申請の手続を行いまして、ことし11月からこれのセンターを開設すべく協議を進めておりまして、このためにこの議会にも補正予算として県の負担分も提案をしているところでございます。今の我々が考えているとおりこの構想が進めば、ことしの11月にふれあいランド岩手内に本県としての難病相談支援センターを開設したい。そして、難病連の方にこの実施を委託いたしまして、難病相談支援員2名を配置して具体の事業に取り組んでいきたいと考えております。今後はこの難病相談支援センター事業を通じて難病患者に対して総合的な相談支援、それから入院受け入れ施設の確保など必要な対策を引き続き実施していきたいと考えております。
 それから最後に、冷夏でございますので米の関係についてお尋ねがございましたが、一番最新の数字の作況指数でございますが、全国が92、東北が全体で86、そして本県が77と著しい不良ということになるわけでございます。こうした状況を受けまして、県としても生産者の皆さん方に万般の対策をとっていかなければいけないと考えて今動き始めているところでございますが、全国の状況を見ましても、自主流通米の卸売価格が上昇しておりまして、国や全農などにおきましても、政府備蓄米と、それから調整保管しております自主流通米を放出したところでございますが、価格の推移を見ておりますと依然として高値で推移をしているようでございます。ただ、なお国の方から得ている状況でございますが、政府備蓄米と民間在庫を含めて十分な量は確保されておりますので、仮に15年産米が今のような形で最終的に不作ということで確定をいたしましても、国民に対する米の安定供給に支障はないという話を聞いてございますので、県でも、消費者の米流通に対する不安が少しでも払拭されますように、農林水産省岩手事務所、それから関係機関、農業団体などと連携をして米の需給、それから作柄に関する情報の提供や、今申し上げました政府備蓄米、これを消費するということになっていくわけでございますので、政府備蓄米などを原料とするブレンド米の試食会の開催などに取り組んでいるところでございます。
 こうしたことがございますので、国のいわゆる減反政策に対してどういう行動をとるかということでございますが、8月11日に国の方で策定、公表した米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針を見ますと、来年度の生産調整をさらに拡大するということがその中でうたわれているわけでございますので、聞きますと今年度106万ヘクタールだったのですが、110万ヘクタールまで拡大をするという考え方を持っているようでございますので、本県では、本年の作柄の影響によって需給が逼迫することが懸念をされますので、国民に主食である米を安定的に供給するという観点から、先般、国に対して、来年度の生産調整規模を見直すように提案をしたところでございます。今後、国の方で判断されると思いますけれども、今後ともこのようなことを国の方に申し入れをしていきたいと考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。

〇議長(藤原良信君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔保健福祉部長長山洋君登壇〕

〇保健福祉部長(長山洋君) まず、難病患者の実態についてであります。
 いわゆる難病患者のうち、特定疾患治療研究事業の45の疾患の対象者は、平成14年度末では6、113人、うち重症認定は562人と、年々増加の傾向にございます。そのうちパーキンソン病とか、あるいは潰瘍性大腸炎等の患者さんが多くなっております。
 難病患者への支援策について主なものを申し上げますと、医療費の自己負担の軽減を図るということで、先ほど申し上げました特定疾患治療研究事業というのを行っております。14年度実績では、先ほど申し上げた6、000余の方々に対して年間7億3、000万円ほどの給付というものがなされております。
 それから、重症患者への療養支援体制の充実を図るということで、重症難病患者入院施設確保事業というものを岩手医科大学の方に委託をして実施しておりまして、例えば在宅療養中の方の筋萎縮性側索硬化症等の患者さんについて入院の確保等をあっせんする、あるいは医療相談など延べ210数件ございます。
 3番目に、在宅の患者さんの療養の安定のために、関係機関によって難病患者地域支援ネットワーク事業というものを各保健所で実施しておりまして、療養の支援計画ですとか、訪問相談ですとか、医療相談というものをそれぞれ200回ぐらい行われているところでございます。
 それから、在宅の難病患者の療養生活の支援ということで、ホームヘルプサービス等の難病患者の居宅生活支援というものも実施しております。これは延べ4人ぐらいしかございませんけれども、そういった方々を支えるための難病患者等のホームヘルパー養成事業というものも実施しておりまして、100数十人の方々が養成されているということでございます。
 それから、難病相談110番の相談件数の内容でございます。平成13年度は628件、それから平成14年度が1、068件と年々増加の傾向にございます。相談の内容は主なものは、日常生活に関するものが400件ほど、それから難病団体の加入とか紹介というものが300件ほど、医療に関する相談が170件ほどという内容になっております。
 それから次に、臓器移植を待つ子供たちの状況ということでございます。
 岩手県では、腎臓移植を希望している20歳以下の方は、平成15年9月1日現在で4人ほどおられます。ただ、そのほかの臓器移植の希望者数と言いますのは、全体の数も少ないということもあり個人が特定されるということで、都道府県単位での数値というものは公表されていないということでございます。
 臓器移植に対しまして、医療分野でどういう配慮がなされているかということでございます。いわゆる臓器移植法というものがございまして、腎臓移植希望者選択基準というものが先般改正されまして、新たに小児待機患者――16歳未満の患者――が選択基準というものに盛り込まれまして、結果として小児の待機患者が優先されるということになったわけでございます。
 それから3番目に、三陸南地震時の聴覚障害者等への対応についてでございます。
 去る5月26日に起きました地震の際に、46の市町村においては電話、訪問による安否確認を行ったほか、6市町村ではファクス等によって情報提供というものも実施されているところでございます。特に大きな被害を受けた大船渡地方振興局の中では、聴覚障害者も含めまして在宅の障害者について、市町村の職員、民生委員、消防団員が電話あるいはファクス、家庭訪問によって安否確認をしたということが報告されております。
 日ごろの備えについてでありますが、県においては、平成10年に、障害者関係団体から意見をお聞きしながら、障害のある方々の災害対応マニュアルというものを作成し配付してございます。これは障害者みずから災害への事前の対策、あるいは障害特性に応じた対応についていろいろ周知を図ってきたということでございます。また、災害情報の獲得が困難な聴覚障害者にとりましては、日常生活用具給付というものがございましてファクスなどが配付されているということでございます。さらに、聴覚障害者の団体でございます岩手県ろうあ協会では、みずから独自に災害対策委員会というものも設置しまして地区別に責任者を決める、あるいは避難場所を特定して決めるということを申し合わせまして、災害情報の提供あるいは相談支援体制というものを整えているということでございます。
 今後の対応でございますけれども、情報伝達あるいは安否確認、避難誘導というものは、地域単位の的確な対応というものが不可欠でございまして、防災関係者、民生委員あるいは身体障害者相談員、地方振興局におりますろうあ者相談員等の防災支援ネットワークというものを促進したいと考えております。関係機関と連携しながら、聴覚障害者への確実な情報の伝達というものに努めてまいりたいと思っております。
 また、御指摘のように避難所等では、音声のほかに文字による情報伝達というものは絶対必要だと思っておりまして、張り紙あるいは伝言板というようなものはやっぱり常設する必要があるのではないかと思っております。手話通訳者ももちろんそういった場所に派遣する場合もあります。あるいは保健師を派遣しまして、メンタルケアというものの実施というものを含めまして、きめ細かな対応に取り組んでまいりたいと思っております。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) まず、水稲の被害状況についてでありますが、ことしは稲の穂がつくられる幼穂形成期から、花粉がつくられます減数分裂期にかけての大事な時期に低温で経過したため、8月下旬以降に一時的に天候は回復したものの、作柄の大幅な向上には結びつかず、結果的に全県的に大きな被害となったところであります。水稲以外の農作物の状況でございますが、野菜につきましては、特に果菜類のキュウリ、ピーマンが生育不良や病害の発生により出荷量が減少しておりますほか、大豆は開花期のおくれや湿害などにより、さやの数が平年の6割程度になっております。また、牧草は長雨による品質の低下、飼料用トウモロコシは、特に県北・沿岸部におきまして生育が10日程度おくれておりまして、減収が見込まれているところであります。
 被災農業者の支援対策等についてでありますが、県といたしましては、このような農作物被害の実態を踏まえまして、農業共済金の早期支払いや資金融通対策、借入金の償還条件の緩和など、被災農業者の支援対策の検討を進めているところであります。また、水稲以外の農作物につきましても、ホウレンソウなどの冬から春にかけての冬春期野菜の代作、さらには、越冬用飼料の確保対策等についても検討しているところでございます。
 次に、来年度の種もみの確保についてでありますが、県内6カ所の指定採種圃場も一般圃場と同じように減収が確実となっておりまして、大幅な不足が見込まれるところであります。このため、不足分につきましては、厳重に審査した一般圃場産の種子を確保することとしておりますほか、あきたこまちにつきましては県内での全量確保が難しいということでございますので、主産県であります秋田県に供給を要請しているところであり、現在のところ需要量を確保できる見通しにあります。なお、不足が見込まれます大豆の種子につきましても、一般圃場から確保することで今準備を進めているところでございます。
 また、水稲の品種の配置と開発につきましては、ことしの作付状況と被害の実態を改めて検証いたしまして、次年度以降の品種配置、それから栽培管理の徹底を図りますほか、今後における県産米の安定生産を図るため、幾つか有望な品種も出てきておりますが、耐冷性が強く、良食味の品種開発にさらに力を入れてまいりたいと考えております。
 次に、リンドウについてでありますが、日本一の産地として、わせからおくてまで長期的に安定した出荷が求められておりまして、これまで12のオリジナル品種を開発しておりますが、さらに産地力を強化するため、現在、市場から要望の強い7月盆用の出荷をねらった青色系の品種、それから9月中旬に出荷が集中している既存品種よりも開花時期が早いピンク系品種の開発を進めているところでありまして、青色系品種につきましては、この一、二年のうちに奨励品種に採用できるのではないかと考えているところでございます。
 それから、リンドウのいわゆるこぶ症についてでありますが、県の農業研究センターにおきまして、病害虫分野を中心に、ウイルスや細菌等が原因でないかというようなことで、これまで調査、研究に取り組んできたところでありますけれども、さらに、昨年度14年度から東北農業研究センターの指導助言を得ながら、栽培管理あるいは土壌肥料の面なども含めた総合的な観点から原因究明のための研究に取り組んでおり、現在県内6カ所に生産者の協力を得て、観察圃場を設置して調査を行っているところでございます。また、今年度から岩手大学や弘前大学などにも協力要請をいたしまして、あらゆる角度から原因究明を進めており、早急に解決を図ってまいりたいと考えております。
 次に、防除基準の記載ミスについてでありますが、平成15年度版の防除基準に誤った記載があり、農薬の適正使用の指導的立場にある県が、多大な御迷惑をおかけし、大変申しわけなく思っております。心からおわびを申し上げます。
 今後の防除基準の作成に当たりましては、安全な食を確保する上でも防除基準の重要性を十分認識いたしまして、危機感を持って、二重、三重の点検体制をとり、記載内容のチェックを確実に行ってまいります。さらに、国から新たに入手するすべての農薬の登録情報がおさめられた電子ファイルと県の防除基準を突き合わせて、作物ごとに農薬名、使用濃度、使用時期等それぞれをチェックできるシステムの導入についても検討してまいりたいと考えております。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 公共施設の耐震化政策についてであります。
 4月1日現在、県、市町村の公共施設の数でございますが7、833棟ございます。このうち建築基準法の改正前に建てられました施設4、049、51.7%、約半分となっております。この4、049棟のうち、11.5%に当たります466棟について耐震化診断が実施されております。耐震診断の結果、改修の必要がない144棟、改修を行った202棟をあわせまして346棟が耐震化済み、8.5%という数字になっております。これに建築基準法改正後の基準で建設されました施設、これをあわせますと耐震化基準に適合する施設となるわけでございますが、平成15年度末で52.7%となる見込みであります。
 県における耐震化に対する取り組みでありますが、地域防災計画におきまして防災上重要な施設の耐震性の確保に努めることとしておりまして、具体的には、耐震診断につきましては、県庁舎、各合同庁舎は既に実施済みでございます。教育委員会では、公立学校の校舎、体育館は平成15年度から平成17年度で耐震化診断を実施する予定でございまして、それぞれの施設の設置所管部局で取り組んでいるところでございますが、耐震診断並びにその後の耐震改修には多額の費用を要するということで、進んでいないというのが実態でございます。
 5月の三陸南地震、あるいは7月の宮城県北部連続地震など最近地震が頻発しておりますし、次の宮城県沖地震の発生する確率が極めて高いとされておりますので、県といたしましても耐震化に積極的に取り組まなければならないと考えているところでございます。今年度、津波浸水予測図の作成にあわせまして、宮城県沖地震を想定いたしました強震動被害調査も行うことといたしておりますので、その結果をもとに、例えばその学校の体育館に置かれます避難所あるいは災害対策本部を置く庁舎、こういった耐震化が特に必要と考えられます施設の耐震化、これに重点的に取り組んでいく必要があると考えているところでございます。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 少人数指導重視の根拠となる考え方と今後の方針についてでございますが、少人数教育につきましては、御指摘のとおり、各都道府県におきまして、それぞれの教育課題等を踏まえまして、少人数学級あるいは少人数指導の取り組みが行われている実態にあります。いずれによりましても、それぞれその効果が認められているものと認識いたしております。
 本県におきましては、この少人数指導にかかわって、その状況調査を実施いたしておりますが、その結果によりますと、すこやかサポートでございますが、登校を渋る傾向にあった児童のうちの98%が2学期には元気に学校に通うようになったり、また、入学当初、落ち着きがなく立ち歩いていた児童のうち95%がよく授業に集中するようになるなどの改善が見られたという結果が出ております。
 また、少人数指導加配については、チームティーチングのほかに、課題別や習熟度別に集団分けを行う指導などによりまして、理解や技能及び学習意欲が高められ、また、学力検査を実施した小・中学校120校のうち82%に上る98校において、基礎学力が向上したとされております。
 このように、本県といたしましては、複数の教員によるチームティーチングや必要に応じて集団を習熟度別に分類して指導するなど、指導目的に応じて適切に形態を使い分ける少人数指導により、一層学校実態や創意を生かすことが可能となり、大きな教育効果を上げているものと考えております。
 今後におきましては、この取り組みの効果や課題を十分に検証する必要がある、さらに、個に応じたきめ細かな指導ができるように、県単措置による今現在のすこやかサポートでございますが、年次的に他の学年にも拡大するなどの本県独自の改善を加えますとともに、国の少人数指導加配等を効果的に活用しながら、少人数指導の一層の充実を図る考えであります。
 次に、専任司書教諭の配置状況についてでありますが、学校図書館法の一部改正に伴いまして、本年度から、12学級以上の学校には司書教諭を配置しなければならないとされ、本県におきましても、12学級以上のすべての学校、小・中・高・盲聾養すべてでありますが、司書教諭を配置しているところであります。
 しかしながら、司書教諭の配置につきましては、国のいわゆる標準法に基づく定数措置が講じられていないというようなことなどから、専任の司書教諭の配置が困難となっております。授業を持ちながら、校務分掌の一つとして発令しているものであります。このことにつきましては、文部科学省に対しましても、専任の司書教諭等の必要な教職員の定数措置を意見提言として行っているところであります。
 学習定着度状況調査についてでありますが、まず、東北各県の実施状況についてであります。
 学力に関する調査につきましては、対象学年や実施教科はそれぞれ異なるものの、すべの県で実施いたしております。特に、秋田県におきましては、小学校第4学年から中学校第3学年までを対象として悉皆調査を実施いたしておりまして、本県とほぼ同様の規模となっております。
 本県では学力向上を最重要課題としております。昨年の正答率が、小学校第5学年では75%であったものが、中学校第2学年では65%になっているという結果を踏まえまして、児童生徒のつまずきをそれぞれの学年で早期にきめ細かく把握し、指導の改善を不断に行うことが必要であるということから、今年度は小学校第3学年から中学校第3学年まで拡充して行うことにしたものであります。
 今、御懸念の向きがあります件でございますが、本調査の趣旨でございます、各学校におきまして児童生徒の学習定着の状況を的確に把握しまして、その後の指導の改善につなげたい、そうすることによって、児童生徒一人一人に基礎・基本を確実に身につけさせることをねらいとしているものであります。
 この調査の趣旨につきましては、県内各地の校長研修講座などにおきましても十分に説明してきたところでありまして、今懸念されております学校間、あるいは学級間の比較を行うことを目的としているのではないかというようなことが、そうじゃないことを逆に市町村教育委員会を通して、さらにその趣旨の徹底を図ってまいりたいと考えております。
 次に、民間校長の教育的効果についてでありますが、今日、校長には経営感覚を持って、地域や学校の状況・課題を的確に把握しながら、リーダーシップを発揮するとともに、教職員の意欲を引き出し、組織的・機動的な学校運営を行うことが求められております。
 このため、この施策の一つとして、民間企業等で培った経営手腕、リーダーシップ、調整能力など、すぐれたマネジメント能力を持つ人材を校長に登用しまして、柔軟な発想と企画力を学校経営に生かして、他の施策と相まって、今日求められている特色ある開かれた学校づくりの一層の推進を図ろうとするものであります。
 民間人校長を任用することによりまして期待される効果は何かということでございます。まず、教職員の意識改革が図られるとともに、生徒の職業観の育成、あるいは社会性の向上等が図られるのではないか。顧客を意識した学校経営や説明責任の徹底が図られ、開かれた学校づくりが一層推進されること。それから、現職校長と民間人校長とがお互いに学び合い、切磋琢磨する、そして、ただいま申し上げたような上二つのことが相まって、教育界全体の活性化が図られるという期待を持って臨んでおります。
   〔警察本部長山内正和君登壇〕

〇警察本部長(山内正和君) 最初に、高齢者の交通事故防止対策についてお答えします。
 議員御指摘のとおり、交通事故の死者数に占める高齢者の比率は全国的に増加傾向を示しており、特に本県におきましては、全国及び東北各県よりも高い水準で推移しておりまして、昨日現在、交通事故の死者81名中、高齢者の死者は37名、45.7%を占めている状況にございます。
 このような状況を踏まえまして、県警察といたしましては、歩行者対策として、シミュレーションにより道路横断の危険を認識できる高齢歩行者教育システムを活用した講習会や、関係団体を中心とする高齢者在宅家庭訪問活動などを行っているところでございます。
 一方、運転者に対する対策としましては、高齢者自身に自己の身体機能を自覚していただくための運転適正検査の実施や参加・体験型の運転実技講習会など、交通安全教育の推進に努めております。
 次に、交通死亡事故の原因及び現況についてお答えいたします。
 本県の交通死亡事故の状況を見ますと、全人身事故に占める死亡事故の比率及び人口10万人当たりの死者数が、全国平均を大きく上回っているところでございます。その主な原因としましては、昨年の悪質違反の罰則強化以降も飲酒運転による事故が後を絶たないことや、運転者のわき見や漫然運転等による事故が多いことなどが挙げられます。
 本年の交通死亡事故の特徴を見ますと、発生場所では、依然として国道等主要幹線道路での発生が多く、また、形態別では、車両同士の正面衝突と道路横断中の歩行者の死亡事故が高い比率を示しております。
 また、現在実施しております秋の全国交通安全運動期間中の活動についてでございますが、本年推進しております抑止対策が浸透し、より成果が上がるよう、幅広く県民の方々の参加を得ながら、高齢者在宅家庭訪問活動や街頭におけるシートベルト、チャイルドシートの着用指導及びライトの早目点灯の呼びかけなどを行っているところでございます。
 今後とも、関係機関・団体と連携を強化しながら、交通死亡事故減少の定着化を図るため、組織を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、本県におけるいわゆるオレ、オレ・私、私詐欺の被害の実態等についてお答えいたします。
 県内におきましては、本年7月4日、二戸署管内で発生以来、9月22日現在、既遂26件、未遂17件、合わせて43件を認知しております。
 犯行手口は議員の御指摘のとおり、高齢者の孫等に成り済まして、交通事故の示談金や中絶費用名下に現金を東京近郊の金融機関の口座に振り込ませ、現金をだまし取るというものでございます。既遂事件の欺罔内容で一番多いのが中絶費用名下で12件、次いで交通事故示談金名下が9件となっております。
 被害者は50歳代から80歳代までの県内在住の方ですが、主に60歳代後半から80歳代の方が多く被害に遭われており、1件当たりの被害金額は20万円から100万円で、県内の被害総額は1、236万円となっております。
 現在、県警察では犯人割り出しのため所要の捜査を実施するとともに、交番・駐在所で発行しておりますミニ広報紙による情報提供を実施し、さらには、各種会合、新聞・テレビ等のマスコミを通じて、このような電話があった場合には、相手の言葉をうのみにしてすぐに送金することなく、必ず息子さんやお孫さんに確認することなどを呼びかけて、被害の拡大防止を図っているところでございます。

〇議長(藤原良信君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   日程第2、認定第1号平成14年度岩手県立病院等事業会計決算から日程第35、議案第31号職員の退職手当に関する条例等の一部を改正する条例まで 

〇議長(藤原良信君) この際、日程第2、認定第1号から日程第35、議案第31号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。


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