平成15年9月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(亀卦川富夫君) 政和会の亀卦川富夫でございます。初めての質問でございますので、よろしくお願い申し上げます。
 また、昨日までの質問と一部重複する部分もありますが、御了承くださるようお願い申し上げます。
 それでは、通告に従い質問いたします。
 増田知事は、新しい日本を創る国民会議、21世紀臨調の一員として、知事、市長連合会議の座長を務めるなど奮闘されております。その中で、地方分権は中央から与えられるものではなく、各地域が自己決定、自己責任で推進すべきとの行政の理念を高らかにうたい上げ、また道州制への展望や国庫補助金の見直しなどの政権公約導入を提言するなど、新しい時代を切り開こうとしている姿勢は高く評価されております。
 詰めて言えば、地方分権とは地方主権の確立であります。国に依存しない岩手の自立であります。その意味で、増田知事が現状を見据え、国と地方での三位一体改革を加速・促進させ、地方分権の将来像を示すのは当然であります。
 しかし、周知のように、現実には最も大切な財源の問題が解決しておりません。早急に国からの財源移譲、権限移譲の実行を求めていくことは必要不可欠でありますが、現段階では、地方分権の明確なビジョンは示されておりません。岩手の地方主権確立に向けどのような手段を講ずるのか、基本的な考えとその実現性をお伺いいたします。
 財源確保は、換言すれば税源の確保であり、市町村合併一つとっても絶対的条件になっております。本県のように大規模な企業が少ない場合、このまま合併しても税収減少が否定できないとも言われております。岩手の自立、夢県土の実現のためには、少子・高齢化社会を見つめながら、各地域社会の経済人口集積を図るため、地場産業の強力な育成・拡大と新産業の掘り起こしの推進と育成を加速度的に促進させなければなりません。
 そこで、経済基盤の確立についてお尋ねいたします。
 平成11年8月に策定された岩手県総合計画の中で、県は次の5本の柱から成る独創的産業創出プロジェクトを推進することとしました。1、創造型自然活用産業の形成、2、コア産業、コア技術の育成、3、交流産業の創造、4、世界に通じる質の高いブランドづくり、5、意欲ある起業家や技術者が育ち、だれでも労働技術を習得できる環境づくりでございます。これらの成果及び今後の経済基盤充実の方法をまずお伺いしたいと思います。
 また、平成11年12月には、いわて産業振興ビジョンにおいて、岩手の産業振興のために15の重点プロジェクトも打ち出されたところであります。そこで、どのような形の新産業が生まれてきたか、あるいはこれから生まれるのか、雇用創出にどのような効果があったのか、実例を挙げて具体的にお示しいただきたいと存じます。
 私見でありますが、コア産業と同技術がそれほど育っているとは思えないのが残念ながら現状ではないでしょうか。基盤技術の維持発展についても一部地域に限定されているように思われます。企業が育成されていない以上、地方分権、地方主権の確立の問題解決にはほど遠いと思われますが、いかがでしょうか。
 地場産業への県独自の技術・金融支援、新市場の紹介など、視野を拡大した多様な施策の展開によって可能性が出てくると思いますが、経営環境整備がどうなっているのかお伺いいたします。
 以上申し上げました地方主権確立のため、岩手の産業経済基盤の確立、雇用の場の確保、あるいは地域活性化に資する施策の観点から、以下の項目についてお伺いしたいと思います。
 まず、産学官民連携による地域振興についてお尋ねいたします。
 先ほど触れました県の独創的産業創出の5項目を見れば、すばらしい考え方でありますが、課題として、教育や研究機関との連携があると思います。あらゆる分野で連携した共同施策が、地域や産業の振興に対し明確な方向性を示すための必要かつ十分な条件でもあります。このようなとき、来年より国立大学や国立研究機関が、国立大学法人、独立行政法人として新たなスタートを切ります。大学や研究所は今までになく、より地域社会と密着した経営が必要となってまいります。
 県内には岩手大学、国立天文台水沢観測センターなどがあります。今後、進め方次第では、県と大学及び天文台などの研究機関との強力なネットワークを持ち、コア技術の創造とグローバルな市場開拓についての新産業が可能となると存じますが、いかがでしょうか。つまり、産学官民連携の望ましい形態を先導することで、地域産業の育成・振興につながり、起業家の誕生、育成促進が可能となり、また、新分野の産業の多様化、世界的視野での展望も開けるものと存じます。
 さらに、教育の面においても、基礎学問の習得、学力向上や子供から大人までの生涯総合学習などに大きな効果が期待できます。
 そこで、今日までの産学官民連携による成果をお知らせいただくとともに、岩手大学あるいは水沢観測センターの独立法人化と県とのかかわり合いをどう考え推進するのか、お伺いいたします。
 ここで、本県の環境を生かした国立天文台水沢観測センターの独立法人化後の産学官民連携と国際研究などの基礎を担い、将来的には海外との連携も図り、宇宙科学研究基地としての岩手の方向性を期待する意味で、仮称でございますが、天文台実践センターというものを提案し、知事の御見解をお伺いいたします。
 この施設は、天文台、そのOB、民間、地方自治体などで構成し、世界的な天文台の知的財産の活用を図るものであります。主な事業として、科学学習の充実、自然、環境教育活動の推進、公益活動の推進、国際研究業務活動や自然観光などが挙げられます。
 周知のように、宮沢賢治は宇宙的な視野で作品をあらわしております。また、高野長英は星学略記という著作で宇宙の概略を述べるなど、まさに岩手の象徴的センターとして位置づけることができ、宇宙をキーワードに置くことで、総合的な産学官民の連携が図られます。企業の面から見れば、発明・発見、実用新案特許のビジネス化、研究から得られた新事業の創出、地域振興の人的活用、宇宙研究活動の世界的拠点化も可能となると考えられます。
 一般的には、総合教育の実践、天文台が開発した最新鋭のプラネタリウム、共同研究ネットワーク機関、企業との情報交換による新事業の展開も考えられますが、いかがでしょうか。
 加えて、天文台の先生方は総合研究大学院大学数物科学研究科の教授を併任されている方も多く、将来、その施設の中に大学院大学を設立することも期待されるのではと思います。
 緯度観測の世界の中央局であった水沢観測センターは、既に始まっている銀河系の観測調査、2005年から始まる月面探査に全面的に参画します。世界が宇宙に目を向けている今日、本県が宇宙研究基地としての位置を占めることは、多様な可能性を生み出す夢県土いわてにふさわしいものと存じます。知事には、ぜひ御検討の上、関係者などと懇談の機会を持ち、推進していただきたいと存じますが、御所見をお伺いいたします。
 さらに、本県の課題には、法科大学院、すなわちロースクールの設置促進があります。全国的に見ても、本県は法律家が少なく、各都市間でもおくれをとっております。北東北3県を視野に、各県の大学と協力し、ロースクールの設立を具体化する必要があると思われますが、いかがでしょうか。
 都市部だけにロースクールが必要なのではありません。地方分権一つをとっても、地方行政の現場あるいは経済産業から教育、さらには基礎研究保護と育成、海外との折衝まで、多数の法律家の存在の必要がありましょう。設立には奨学金や国に対する働きかけなど県の支援策が必要でありますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、食料供給県岩手と食の安全についてお伺いいたします。
 岩手県食の安全安心委員会に諮問していた基本方針が7月に知事に答申されました。これに基づき、具体的な事業、目標数値などを明らかにする行動計画を策定し、全体の行程表を早急に示していただきたい。これは、消費者にとっては重大な関心事であるばかりではなく、多様な生産者、事業者にとっても死活問題になる要素を持っているからであります。また、具体的な揺るぎない体制の整備確立があって初めて、安全・安心の実現が成立いたしますが、その進捗状況はいかがでしょうか。
 行動計画は、安全安心推進本部で検討されることになっているようですが、行政サイドにおいて部局などの横軸、縦軸のそごはあり得ませんか。セクト主義や縦割り行政、前例主義の危惧はありませんか。県民の地産地消の拡大や市場の拡大には、何よりも食品の安全・安心がなければなりません。各部局の連帯強化は言うまでもありませんが、県民が期待するのは、透明性とどこからも圧力を加えられない推進本部の独立性であります。行動計画に係る推進本部の取り組みについてお伺いいたします。
 基本方針では、消費者・協働・環境の三つの視点が強調されていますが、そこには本当の安全性への配慮と哲学があるのでしょうか。感染症や微生物汚染、残留農薬や添加物、さらには化学物質品質表示など、危険は多種多様であります。その一つに遺伝子組換え食品があります。農林水産省の調査によっても、消費者の6割が安全性に不安を感じているという結果が発表されました。消費者が不安に思い、安全性に疑問を持っている遺伝子組換え食品は評価されていないのが現段階です。
 しかし、岩手生物工学研究センターは、日本人にとっての主食であり文化でもある稲について、遺伝子組換えの屋外栽培試験を行っております。県消費者団体連絡協議会、いわて生協などの消費者団体がその試験の中止を要請しておりますし、生活クラブ生協岩手も知事あてに公開質問状を提出している状況です。
 なぜこれほど反対表明が多いのでしょうか。つまり、明らかな安全証明が県民になされていないという事実そのものではありませんか。我が国の食料自給率の現状、消費者の考え方に立った場合、農業県、食料供給県岩手とすれば、日本の自給率を高める農業生産の自然的工夫こそ求められます。
 ちなみに、生物工学研究所関係予算は合計で5億円を超しております。食の安全・安心との整合性はあるのでしょうか。
 県は、8月28日、生活クラブ生協岩手が遺伝子組換え技術を使った稲の栽培実験の中止などを求める申し入れ書と公開質問状に、科学的に安全とされた作物でも、一般圃場で栽培されることは好ましくないと回答しております。一方、研究成果が着実に得られているとし、花粉飛散についても、交雑はないとして理解を求めていますが、いわば両論併記のような回答でどうにも納得いきませんが、いかがでしょうか。広く正しい県民サイドに立脚した情報公開と反対意見を集約しながら、安全・安心の確実性のために、将来的な裏づけの国際的な、本質的なデータも必要と思われます。
 食の安全を求めている消費者が大部分の状態で、是非が不明のまま進められているのでは、極めて問題が大きいと思われます。遺伝子組換え食品の開発は当面潔くあきらめていただき、自然交配の重要性を認識し、研究開発はそちらの方向性を目指していただきたいと思います。将来の子供たちのためにも、もっと安全・安心な食料を供給することこそ、我々の責務と存じます。岩手の米やあらゆる食品は自然そのものというキャッチフレーズこそが、日本じゅうに販路を拡大する手だてと思いますが、いかがでしょうか、知事の御所見を伺います。
 次に、岩手競馬存続と経営主体の改革についてお尋ねいたします。
 馬産地岩手の競馬は、戦後、公営競馬として、アイオン・カスリン台風の被害からの立ち直り資金を初め、地方財政に大きく貢献し、また、庶民の健全娯楽として定着、現在、競馬開催時に二千数百名が仕事に従事、その家族や競馬関係企業などを含め、すそ野の広い岩手の産業として、地域に定着した雇用の場として、また、経済波及効果の大きな事業として社会的役割を果たしております。
 しかし、長引く我が国の経済不況は、全国的に地方競馬に大きなダメージを与え、岩手競馬も平成3年をピークに年々衰退、厳しい状況にあります。
 水沢市においては、この間、健全な経営を願い活動を続けてまいりました。特に、経営が好調な時代にも、新盛岡競馬場建設に関しては、場所の問題や多額の財政調整基金を崩す膨大な建設資金などに対し、市議会においてはその凍結を求める決議を上げるなど、慎重な進め方を求めてまいりました。
 一方、近年、馬を愛する人々が、歴史ある馬事文化と競馬の振興を願い、愛馬の会という会を組織、現在、会員2、500名を超える市民団体として競馬場を中心に多様な事業を行っております。
 この水沢市において、現在、県競馬組合経営対策会議や存続を考える会などを競馬関係者、市、市議会、商工会議所など関係団体が相次いで設置し、岩手競馬及び水沢競馬場の存続を願って運動を開始、今後、団結して事に当たろうとしております。
 この危機感は、県がさきに設置した岩手競馬のあり方懇談会の進め方によって生じたものであります。あり方懇談会は、拡大存続、現状存続、縮小存続、段階的廃止、完全廃止のいずれかの結論に至る流れを示して議論し、結論を得るということでありますが、伝えられる懇談会の行方は、方向は、競馬の今日的意義の否定、財政競馬の行き詰まり、ギャンブル性の強調など、当初から後退性が感じられるのであります。どうすれば、多くの雇用の場としての産業、多くの人々が愛する岩手の馬事文化として、歴史ある岩手の文化装置の一つとして競馬の活性化が図られるのか、そのあり方を考えるのではなく、あり方懇談会の意識は、まず廃止ありきのような気がするのですが、いかがでしょうか。
 では、なぜ廃止とか組合解散のようなことになるのでしょうか。それは、競馬事業が赤字であるという1点に尽きます。ここで存続運動の論陣を張っている胆江地区の地元紙の、岩手競馬の火を消すなという主張の一部を御紹介いたします。
 競馬組合はなぜ赤字なのか。大きな理由は、当然ながら売り上げが伸び悩んでいることにある。とはいっても、年間400億円を超える売り上げの25%が粗利なのである。今どきそんな優良企業はない。それなら、経費がかかり過ぎるのだろうか。確かにその面もないではない。賞金、馬の出走にかかわる経費、人件費や委託料などもばかにならない。けれども、問題の本質ではない。赤字の最大要因は、日本でもトップクラスの設備を誇る盛岡競馬場の元利償還が重くのしかかっていることだ。
 ここで、民間経営をわかっている人なら、待てよと思われるに違いない。競馬にとって競馬場は資産である。資本と資産が利益を生む。本来経費で考えるべきは金利なのであって、元利償還できるに越したことはないにしても、できないことを問題にすることそのものがおかしいのではないか。ポイントは損益なのだ。
 この論説は廃止議論の理由である赤字の本質について述べております。このように、盛岡競馬場建設費償還がいわゆる赤字の大きな原因でありますが、知事は、このことについての認識はお持ちでしょうか。
 また、財政競馬も目的であると思いますが、産業や文化における位置づけも大切なことであると存じますが、いかがでしょうか。
 この際知事には、岩手競馬及び水沢競馬場の存続を明確に示し、関係者の不安を一掃し、競馬従事者のモチベーションを高め、競馬愛好者に明るい気持ちを与えることが肝要と存じます。これらの点についての御所見をお伺いいたします。
 競馬を歴史的な経緯で見ますと、本来民営の競馬が、戦後、時限立法的な競馬法によって公営化され、復興期における地方財政への寄与を第一目的にとどまったまま今日に至っております。そこに地方競馬と中央競馬の施策展開の差があります。岩手競馬は、一部事務組合設立以来、構成団体からの資金援助を受けず、今日までさまざまな企画を立て大変な努力をしてまいりました。大きな実績も上げてまいりました。全国的に優秀な競馬組合であります。
 しかし、根本的な構造の面ではいかがでしょうか。平成12年、大きな危機感を持った岩手県競馬組合は、管理者は増田知事でありますが、岩手競馬運営改善委員会を立ち上げました。座長は、文部省総合大学院大学国際日本文化研究センター教授の川勝平太氏であります。この報告書は、21世紀における岩手競馬のあるべき姿を模索し、もって、競馬事業の安定的発展に資することを目的とし、地方競馬の現状と構造的欠陥、競馬を取り巻く社会環境、事業の方向性などの内容から成るものであり、岩手競馬の経営上の問題点が指摘されております。
 知事は、指摘された点についてどう認識されているのか、また、今後のビジョンについてお伺いいたします。
 第1点は、戦後競馬の成り立ちから今日まで、その業務内容の変遷と事業の成果など、創業期から成長期、そして成熟から今日の大転換期をどのようにとらえておられるのかお尋ねいたします。
 第2点は、川勝座長の報告書で指摘された地方競馬の構造的欠陥についてであります。その一つは、経営組織、すなわち財政競馬と言われる財政寄与を重視した地方自治体経営についてであります。その二つは、経営感覚及び環境適応力であります。民間企業に比べ、独創的な企画や環境変化に対する迅速な対応などの経営感覚が不十分と指摘された点であります。その三つは、いわゆる官庁会計方式が企業的経営に不適であるとされた点であります。これらについての認識と今日までの対応についてお尋ねいたします。
 さらに、第3点は、競馬のあり方で何が問われているかであります。私は、根本原因として指摘されている経営主体のあり方がまず論議されるべきと考えますが、知事の御所見をお尋ねいたします。
 第4点は、再生のための明確なビジョンであります。究極的には民営化であろうと思いますが、法律改正や国の構造改革など、先の見えないことでもあります。現実的には、独立行政法人化や財団法人化なども考えられます。また、競馬運営は法人化、施設管理は分離、民営化など、競馬先進国の例もあります。経営主体の改革を柱とした再生の道が肝要かと思いますが、いかがでしょうか。
 知事は、報告書に寄せたごあいさつの中で次のように述べております。長引く景気の低迷の中にあって、競馬事業をめぐる環境は一層厳しさを増すものと認識しております。競馬事業の有する目的達成のため、また、これまで幾多の先人が守り、はぐくみ、馬を愛するよき伝統と歴史に支えられてきた岩手の競馬を後世にしっかりと引き継いでいくため、精いっぱいの努力をしてまいらなければならないと存じております。
 これは、岩手県競馬組合管理者、岩手県知事としての増田知事の率直なお考えであり、また志であろうと思います。知事、どうかこの志に立ち返り、岩手競馬の健全な発展、地域住民が強く望んでいる水沢競馬場の存続を明確にした上で、思い切った経営主体の改革を直ちに指示され、推進されるよう、御答弁をお願いいたします。知事の強いリーダーシップに期待して、競馬の質問といたします。
 次に、県南地域管轄の自動車検査場、検査登録事務所の意義と実現についてお伺いいたします。
 これは以前から国に要望しているもので、平成8年には胆江及び両磐地域の誘致運動の組織を一本化し、行政、民間が一体となって誘致促進期成同盟会を組織し、鋭意その運動を推進しております。周知のように、この事務所は東北では青森、福島、山形の各県には2カ所設置されております。四国4県に匹敵する広大な本県では、矢巾町の岩手運輸支局1カ所設置で、新車登録や検査手続の経済的コスト面の負担、さらに、長距離、長時間走行による交通事故や排ガス減少に努めた環境配慮などの面から、複数の設置が必要であります。
 さらに、県南24市町村の自動車保有台数は約36万台で、県内の約39%を占めておりますが、近年、北上地方拠点都市地域の指定以来、大規模工業団地への産業の集積などにより、今後、自動車保有台数は増加されるものと思います。
 知事は、自動車産業を岩手の産業の柱の一つに位置づけておられます。このような観点からも設置の意義があると思いますが、いかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 最後に、県南地方へのリハビリテーション施設の設置についてお伺いいたします。
 交通事故、脳血管障害などによる多くの機能障害や機能低下には、早期の対応が効果的であり、このためリハビリテーションが不可欠であります。同施設は、現在この広大な県内において雫石町1カ所のみ開設されております。需要に対して現状はいかがですか。また、遠方からの通所の困難さ、経費負担などを考えますと、県内に適切に配置することは大事な施策であります。また、医療・福祉の雇用の場確保の面からも必要であろうと思います。先日、知事に対して水沢地方振興局管内の市町村から胆江地区への設置要望が強かったところでありますが、現状認識、その必要性と設置の見通しをお尋ねいたします。
 以上をもって私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 亀卦川富夫議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、地方分権と三位一体の改革も含めた財源の確保についてのお尋ねでございます。
 今、議員からお話しございましたとおり、この三位一体の改革については、場合によっては進め方を下手すると補助金削減だけが先行してしまう、そこだけを政府につまみ食いされてしまうというおそれがございまして、私も今大変危惧をしているところでございます。さかのぼって考えますと、住民に最も近いところで行政が行われる、地方みずからの判断と責任で物事が行われるということが、この国づくりの中で一番いい姿だと、こういうのがすべての原点でありますので、そういうような権限も、それから財源も、そしてその財源もひもつきでない財源を地方の住民に一番近いところに持っておくと、移していくということが今一番求められている。そういうような基本的な考え方、そしてビジョンというものをはっきり持った上でこの問題に政府に取り組んでいただきたい。こういうことを再三申し上げているところであります。
 この三位一体改革の具体的な実現方策、財源の確保に向けてでありますが、まず来年度の予算、ことしの暮れの予算折衝で決まるその中で、そうした税源移譲の方向をはっきりと予算の中で裏打ちをさせるということが大事だと思います。政府の今の考え方ですと、3年間にわたって約4兆円の税源移譲ということになっておりますが、これはもしそういう額が決まったものであれば、それは単に第一歩にすぎない。もっと多くのものが移されなければいけないということをはっきりと予算の中に組み入れることが必要でありまして、私どもの考え方は、国庫補助金、全体で補助金約20兆円あると言われておりますが、20兆円のうち、少なくとも都道府県分11兆円のうち9兆円ぐらいは補助金という形では廃止をして地方に税源移譲すべきという提言をしてありますが、都道府県分についてでもそういうアウトラインに沿って実現に向けて動いていただきたいということ。それから、その際の税としては基幹税である所得税や消費税を中心とした税源移譲にして、そしてあと交付税を本来の姿である財源保障、財政調整的なものに限定する。こういうことを三つ同時にセットで行っていただきたいということでございます。このことの実現には各省庁の激しい抵抗が予想されますけれども、全国知事会でも間もなく知事会として、今申し上げましたようなことを趣旨とする提言を取りまとめることができると思いますので、そうした力も得ながら、こうした三位一体改革の実現を強く政府に求めていきたいと考えております。
 次に、産学官連携の成果についてお尋ねがございましたが、この産学官連携、本県の場合には岩手ネットワークシステム――INSがそのモデルとなって今まで進めてまいりました。平成4年に結成されて10年以上たっておりますが、会員数が1、000名に届こうかという大変立派な組織になりまして、こうしたINSの活動を背景に、岩手大学での共同研究件数が133件と――これは平成14年度でございますが――地方国立大学ではトップクラスでございますし、具体的な成果としても、岩手大学固有の技術でございますトリアジンチオールでございますが、これがホンダの燃料電池自動車の部品の接着技術に採用されたり、あるいは高機能鋳鉄についてピストンリングメーカーなどで自動車部品として実用化されたりということで成果が随分出てきていると思っております。また、岩手大学のこうした研究シーズをもとに設立をされた大学初ベンチャー企業も5社となっておりますので、これからさらにこうした具体的な成果が数多く出るように、これは県の方でも大学とさまざまな形で協力関係にあるわけでございますが、私どもも力を入れてこうした産学官連携の後押しをしていきたいと考えております。
 それで、この岩手大学が近々に独立法人化をされるわけでございますけれども、そうした独立法人化をにらんで、県では大学とともに地域連携推進協議会というものがございますが、そこに参画をして、そして大学が推進する地域貢献事業に協調して取り組んでおります。また、大学の地域共同センターのリエゾン担当助教授――共同研究担当助教授として県職員を1名派遣しておりまして、向こうの助教授ということで今働いております。さらに、今年度からは夢県土いわて戦略的研究推進事業を創設して、大学の研究開発に対して大幅に支援を強化してございますので、今後もこうした法人化をにらんで、今まで打ってきた手をさらに充実させて大学との信頼関係を一層強化する、そして具体的な産学官共同研究の成果を多く出していきたいと考えております。
 あわせまして、国立天文台水沢観測センターのお話がございました。こちらも法人化後においても、天文学分野の世界的な研究開発拠点としてその機能強化を図っていくものと伺っているわけでございますが、同時に、そうした研究ということのみならず青少年、県民を対象とした施設の公開や教官の講師派遣など地域貢献の活動を重視していくという話を向こうからもお伺いをしております。今、県では観測センターとの関係で言いますと、銀河系の観測計画であるベラ計画というのがあるのですが、この実現のために国への要望活動、働きかけを行いましたり、大型の月探査計画、これはセレーネ計画というものですが、そのセレーネ計画で使用する観測機器の開発支援に関係団体と連携しながら取り組んでいるということで、向こうの水沢観測センターとの関係、つながりも従来から持ってきたわけでありますが、先ほど議員の方からお話しございました天文台実践センターの構想がございました。今天文台は水沢観測センターということになっておりますが、恐らく名称からしても天文台実践センターということですから、より地域に即した活動を展開するそういう内容、御趣旨のお話かと今お聞きをしていたわけでございますので、こうした水沢観測センター、独立法人化した後のその観測センターとのさまざまな連携のあり方については、ただいまの議員の御提案の御趣旨も十分踏まえて、地域の関係者も含めた相手方との情報交換を行っていきたいと考えております。
 それから次に、今現在、県の生物工学研究センターで行っております遺伝子組換え技術の関係について幾つか御懸念のお話がございました。この関係について申し上げておきますと、岩手県として遺伝子組換え食品の開発を進める考え方はございません。生物工学研究センターは、基礎的な研究ということで設置をして、遺伝子の組換え技術、それから機能解析技術を初めとするバイオテクノロジーの基礎的研究を今推進しているわけでございます。今後もこの生物工学研究センターの活動は、この基礎的な研究の範囲内で有意な研究ということで推進をしていくという考え方でございます。生物工学研究センターは、商品開発を目的としてそういう商品開発を行っている機関でもございませんし、県としても今こうした食に係る安全の問題ということをかんがみれば、こうした遺伝子組換え食品を開発するということは県として適切でないと思っておりますので、こうした遺伝子組換え食品、これは稲に限らずいろいろこれからも可能性としては考えられるかと思いますが、そういった食品開発は行わないということで、今あそこで行っております稲も別の学術的な研究という範囲で行っておりますが、その範囲を出ないようにしていきたいと考えております。
 それから、岩手競馬のあり方について、これは前回の議会の中でもお話しございましたが、競馬のあり方懇談会というのが今開催をされておりますし、大変大きな問題でございますので、今幾つかの点について御質問がございましたが、私もこの岩手競馬については、岩手競馬を愛する気持ちはだれにも負けないつもりでございますし、それであるからこそ、ここで小手先でない大胆なメスを入れて、そしてこの問題の解決に当たらなければいけないと考えておりまして、まずそのことを第一に申し上げておきたいと思います。
 本年の5月から岩手競馬のあり方懇談会を設置して幅広く議論いただいております。私も再三、予見を持たずに、幅広く議論していただきたいと申し上げておりますが、やはりこの問題の原因が非常に奥深いものがあって大変難しい問題を抱えていると、こういうことであるからこそできるだけ制約のない、本当に冷静な議論をしていただいて、そして多くの知恵を出していただきたいという気持ちからでございます。来月末を目途に今意見の取りまとめということでございますが、それまであと2回程度懇談を予定しているようでございますが、果たしてその2回程度で本当に議論がおさまるかどうかという、それだけの大きな問題を抱えているわけでございますが、とにかくいろいろな英知を集めてこの問題を考えていく必要があるということでおります。
 今この経営の圧迫について議員の方からは、盛岡競馬場を新しく建設をしたその償還の関係がございまして、これは大変高い金利のお金を借りて、そして今、随分金利の支払いだけでも四苦八苦をしている状況でございます。そういう問題も当時の管理者の経営判断として、その当否が問われる部分もあったのだろうと思いますが、いずれにしてもやはり一番大きな問題は端的に言えば、売り上げが余りにも大幅に減少し過ぎたと、最盛期の3分の2以下に今なっているわけでございます。すべてはここに尽きると言っても過言ではないかと思っております。組合の方でも、先ほど議員からお話しございましたとおり、川勝平太先生に委員長をお願いして、川勝委員会の中でこうした問題の解決に取り組んでまいりましたけれども、先ほどそうした業務内容の変遷ですとか、川勝委員会のその指摘についての受けとめ方ということが御質問でございましたけれども、確かにこの岩手競馬、初めのころは大変すばらしい成績を上げていたところでございまして、順調に構成団体にも配分金を配分してございました。水沢競馬場を昭和48年に全面的に改築をし、それからテレトラックを昭和61年からつくり出し、また、オーロパーク、それが平成8年にでき上がるということで、中央競馬との連携も進めてファン層の拡大にも取り組んできましたし、地方競馬としては本当に模範的ないい姿、平成3年には690億円まで売り上げを伸ばしましたが、大変いい姿だったと思います。
 このことが単に健全娯楽ということだけでなくて、雇用の拡大など地域経済にも非常にいい影響を与えてきた、寄与してきたということもあろうかと思いますが、昨年の発売金額がピーク時の64%まで落ち込んでいる。これは今の景気動向のみならずレジャーのあり方にもかなり影響されているということもあるかと思いますので、そこで川勝委員会の方では3点、地方自治体経営であるということ、これは法律で決められているのですけれども、そのこと、地方自治体経営ということがどういうことなのか。それから、やはり柔軟な変化に対応できるようなそういう経営感覚を持っていたのかどうか。それから、官庁会計というのは企業的経営に不適ではないか。こういう大きく言うと3点の御指摘をいただいたことがございますので、その中でいずれも運営改善にその三つのことについて取り組む必要があるということで、3E構想というものをつくって、そして民間企業の再建に学ぶ地方競馬の企業的感覚による経営、こういう方向に経営を切りかえてきた、そういう努力を行ってきたところでございます。
 そういう経緯をたどってきたわけでございますが、今、議員の方から、特にやはり経営主体のあり方がまず論議されるべきだろう。これはお話のとおりここのところが大変重要なポイントでございまして、これは法律で今決められているわけですが、ここはこれからも本当にこういうことがいいことかどうか、ずっと議論していかなければならないと思います。そのときに、この議論というのは大変時間もかかるし、それから最終的な決定権は国の方の法律ということになるわけでございますので、それだけにかかずらっていてもいけませんので、その間、その問題も含め、それ以外にも今行っていくべき手、今打つべき手も含めて幅広く議論していただいて、なおかつ、それを実行に移し、また、今度設置をした懇談会でもそのことも含めて、さまざまな角度から今議論をしていただいているということでございます。
 農水省の方で昨年11月に大臣の諮問機関で、国は国でやはり有識者懇談会というのもつくってございます。そちらの方で今言ったような、地方競馬が地方公共団体のみに許されているという、そのことが本当にふさわしいかどうかを議論する一番ふさわしい場だろうと思っているわけでございまして、そちらの方の動きも注視をしているわけでございますが、いずれにしても、この岩手競馬というのは冒頭申し上げましたように、伝統の中ではぐくまれてきた歴史というのは大変大きな意味を持っておりますので、そのことも十分に念頭に置いて、これから懇談会の中でのさまざまな議論を幅広く我々もとらえて、そして大胆なメスを入れていくということでこの問題の解決に当たっていきたいと考えております。
 それから最後に、県南地方のリハビリテーション施設の設置についてでございます。
 このリハビリテーションに対する需要は今後ますます増加をしていくであろうと予測をされますので、この関係については県の医師会、それから岩手医科大学、それから理学療法士会、作業療法士会など専門家での地域リハビリテーション施策を検討していただきまして、そこの場で平成13年3月にその推進に当たっての指針というのを取りまとめていただきまして、県内では二次医療圏、これは県内9カ所でございますが、9医療圏ごとに中核となる病院を指定して、そこを広域支援センターとしてリハビリ体制の向上に当たるという考え方でございます。県南地域では2カ所ございますが、胆江地区が水沢の岩手クリニック水沢、それから両磐地区は県立大東病院を広域支援センターとして、ここで地域のリハビリテーション体制の充実を図る。こういう考え方で今その事業に取り組んでおります。雫石のリハビリテーションセンターが県全体のものとしてはあるのでございますが、あれは県全体としてこうした9カ所ございます広域支援センターへの人的支援や技術的指導、助言という、一つそこよりもさらに後方支援、そして一段高い高次の機能を備えた機能というそういう考え方でおりますので、具体的な実践的なものについては、こうした9二次医療圏ごとに今申し上げましたようなそれぞれの医療機関を指定して、そこを中心の体制づくりということで、これから冒頭申し上げましたリハビリテーション需要がさらに増大をいたしますので、そうしたことにきめ細かく応じていきたいと考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔総合政策室長照井崇君登壇〕

〇総合政策室長(照井崇君) 独創的産業創出プロジェクトは、産業の高付加価値化や独自の技術の創造、高度な技術者の育成、さらには高い品質の商品づくりを進めることによって、本県の産業の成長を妨げている技術開発力やマーケティング力などの産業の壁を乗り越え、岩手初の独創的な産業の創出を図ろうとするものです。これまでに情報・通信技術を軸にした研究開発を推進するための拠点として岩手県地域連携研究センターを設置し、IT分野のセキュリティー技術の開発等を進めているほか、いわてインキュベーションファンドを組成し、十分な事業資金の調達が困難なベンチャー企業6社に対して投資を行っております。
 また、成長が期待される技術分野の研究開発や中小企業者と大学との共同研究を支援するなど、各種の施策を展開してきた結果、産学官による共同の研究開発が平成14年度までに39件、創造的技術開発計画の事業化件数が平成13年度までで31件となっています。
 さらに、県産酒造好適米吟ぎんがを使った県産オリジナル清酒の首都圏などにおける販路開拓や、鋳物技術を活用したペレットストーブなどの商品開発も行ってきております。今年度においても、高品質の鋳鉄製造技術の開発や高度な技術者への起業化支援、自動車関連産業を初め、ものづくり産業の高度化と集積などに取り組んでいるところです。今後も、こうした取り組みを進めながら、地場産業やベンチャー企業の育成強化を図り、競争力の高い地域産業を形成してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長小原富彦君登壇〕

〇商工労働観光部長(小原富彦君) 新産業の創出についてでありますが、いわて産業振興ビジョンでは、戦略的な視点で効果的に産業振興を進めるため、15項目の重点プロジェクトを設定しております。独創的な産業創出につながるものとしては、いわて新事業創出プラットフォーム構築プロジェクトや、いわてスタンダード技術育成推進プロジェクトなどがありますが、これらの推進に当たっては、研究シーズの発掘から研究開発、そして事業化までの一貫した支援を提供することを基本としているところであります。これらのプロジェクトの推進によりまして、例えば情報技術のコンサルタントや独創的な技術、アイデアをもとにした医療動画像データベース診断支援システムを開発・販売する企業、あるいは介護施設向けの情報システムを開発・販売する企業など、情報・サービス業、ソフトウエア業などのベンチャー企業が生まれ、200名の雇用創出に寄与してきたところであります。
 今年度からは、市場性が見込まれる新材料を利用いたしまして、工業技術センターを中心に、岩手大学、地元企業とともに、独創的な技術開発と企業への技術移転に取り組み始めておりまして、今後とも情報あるいはソフトウエア関連産業、新素材産業など独創的な新産業育成を図り、雇用創出につなげてまいりたいと考えております。
 次に、地場産業への経営環境整備についてでありますが、これまで本県のすぐれた技術や人材など地域資源を有効に活用しながら、地域企業を育成するため、技術開発支援あるいは金融面での支援、そして市場開拓への支援を実施してまいりました。まず、技術開発への支援については、工業技術センターにおいて、地域企業への技術指導に取り組むとともに、産学官による共同研究の推進や企業の独創的な研究開発への助成を行っているところであります。
 また、金融支援につきましては、運転、設備、それから研究開発など、地域企業のさまざまな資金需要に対しまして、県単融資・出資制度を設けるとともに、中小企業者のニーズに対応して、利用しやすい制度に拡充、整備してきたところであります。
 さらに、市場開拓につきましては、企業の有する技術や商品のマーケット調査、セールスの展開に係るアドバイスなどを行うほか、首都圏における販路拡大、そして業務提携企業とのマッチングなどを図るため、商談会、交流会を開催しているところであります。
 今後とも、多様な支援施策を展開しながら、本県地場産業の経営環境の整備を図ってまいりたいと考えております。
   〔地域振興部長大沼勝君登壇〕

〇地域振興部長(大沼勝君) ロースクールの設置と県の支援策についてでございます。
 現在、岩手大学におきましては、北東北国立3大学の連合による法科大学院の平成17年度の設置を目指して、専任教員数を含めた教員組織や教育内容等のあり方について検討を進めております。県といたしましては、司法過疎地域の解消あるいは今後の法律相談の増大といった観点から、岩手大学におきます法科大学院の設置を支援していきたいと考えております。大学の設置計画に関する検討状況について情報交換を密にしながら、国への働きかけを検討してまいります。
 また、奨学金制度の創設についてでありますが、現在国では、法科大学院の学生を対象とした奨学金制度につきまして平成16年度の概算要求に盛り込んでおりますので、その動向を見きわめながら検討していきたいと考えております。
 次に、県南地域管轄の自動車検査登録事務所についてでございます。
 まず、国の考え方でありますが、東北運輸局におきましては、本県の保有車両台数、登録検査事務量等を勘案いたしますと、現在の岩手運輸支局の業務量が飽和状態にはなく、また、国土交通省においても行政のスリム化等を進めているところでありまして、本県への自動車検査登録事務所の設置の実現は厳しいとの見解であります。
 一方、現在、国土交通省が中心となりまして、平成17年度のシステム稼働を目指して、自動車保有関係手続のワンストップサービスシステムの構築に取り組んでおります。このシステムが稼働いたしますと、指定整備工場におきましては、運輸支局に出向くことなく、インターネットによって検査の登録手続が可能となるものであります。したがいまして、県といたしましては、こうした状況から自動車検査登録事務所の設置の実現は、なかなか困難ではないかと考えているところでございます。
   〔環境生活部長中村世紀君登壇〕

〇環境生活部長(中村世紀君) 食の安全・安心に関する基本方針の推進についてでございますけれども、現在基本方針に沿って具体的内容を定める行動計画の策定作業を進めております。行動計画は本年度から平成18年度までの計画期間と考えておりまして、条例設置の委員会でございます岩手県食の安全安心委員会の御意見をも踏まえまして、取組項目ごとに数値目標を掲げることを検討しておりますほか、消費者啓発などに新しい事業も取り入れて、年度内に策定をしたいと考えてございます。
 それから、庁内に知事を本部長とし各部局が参画いたします食の安全安心推進本部というものを設置しておりまして、総合的な取り組みを行うこととしておるところでございます。具体的には、本年4月に食の安全安心推進監に、食品に関する相談窓口として食品表示専門員を2名配置いたしましたほか、今月の19日には、消費者の立場に立った食品表示業務の推進を図るために、JAS法の食品表示に関する調査・指導等の権限を当環境生活部に移管したところでございます。
 県の体制整備につきましては、県全体の業務機能の充実を図るために、来年度に向けまして引き続き検討を進めてまいりますけれども、食の生産から消費までの各段階のすべてで県として総合的に施策を展開していくこととしておりまして、今後とも、関係部局間の連携を強化して取り組んでまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) 遺伝子組換え試験と食の安全・安心との整合性についてでありますが、生物工学研究センターで行っております遺伝子組換え稲の屋外栽培試験は、稲がもともと持っている耐冷性に有用と考えられる遺伝子が、屋外においても正常に機能し、耐冷性を発揮するかどうか、また、組換え前の稲の品種と同一の形質を発現するかどうかなどを確認するために行っているものであります。
 この有用性が確認できれば、従来の交配育種においてこの耐冷性遺伝子の働きに着目した系統選抜が可能となり、冷害に強い品種の育成期間を短縮するなど、その効率化に貢献できるものと期待しているところであります。
 いずれ、今回の遺伝子組換え稲については、導入遺伝子の機能を確認するために屋外栽培試験を行っているものであります。
 次に、試験中止要請に対する県の回答についてでありますが、この中で、科学的に安全とされた作物でも一般圃場で栽培されることは好ましくないと回答いたしましたのは、アメリカで開発された除草剤耐性大豆や害虫抵抗性トウモロコシなど、国内で栽培可能となっている遺伝子組換え作物であっても、消費者の方々から受け入れられないまま、県内の一般の圃場で栽培されることにつきましては好ましくない、仮にそのような動きがある場合には、生産者に慎重に対処していただく必要があり、このことは、既に出回っております遺伝子組換え作物についての考え方を申し上げたものであります。
 一方、研究成果につきましては、生物工学研究センターにおいて、耐冷性に有用と考えられる遺伝子を稲から見出したことや、植物における遺伝子の働きを解析する手法を開発したことなど、成果が着実に得られているところでありますが、いずれにいたしましても、知事が申し上げましたが、こうした技術を用い、遺伝子組換え作物を作出して実用化はしないということであります。

〇1番(亀卦川富夫君) 一定の御答弁をいただき大変ありがとうございました。
 まず、この地方分権と岩手の経済基盤の確立についての中で、財源の確保を知事はひとつ大いに所信のとおり頑張っていただきたいとエールを送ります。頑張っていただきます。
 この産業基盤の整備ということは非常に大切なわけでありますが、ここでちょっとお伺いいたしますが、県は、本当に一生懸命頑張っております。また、各市町村もそれぞれの地域で頑張っていると思いますが、この県と市町村の連携、ここの点について、これは本当に今真剣に進めていると思いますが、なお十分な連携をとってもらいたいと思いますが、その考え方をまずお伺いしたい。
 その中で、各地区に地方振興局がございます。この地方振興局がどのような権限で各市町村と対応しているのか。一生懸命ここで県と市町村が頑張るという姿が地方振興局にあれば、私はいいと思うんですが、その部分について、ややもすると財源というものが大きな壁になりまして、お話はわかるけれども、なかなか進まないというようなことが往々にしてあるのではないかと懸念されます。ぜひこの辺は、予算との兼ね合いもございますのでなかなか進めにくい、立場立場があろうかと思いますが、ぜひ市町村と県の連携、その中における地方振興局の役割というものを十分発揮していただくように、ひとつお願いしたいと思いますが、お考えをお聞きしたいと思います。
 それから、この産学官民でございますが、ちょうど独立法人化というようなことで、今までも相当成績を上げられておりますが、よりここで密接に関係を構築していただきまして、頑張っていただきたいと思います。
 その中に、御提案申し上げました、仮称でございますが天文台実践センター、知事も、ひとつ前向きな御答弁をいただきましたが、ぜひ、この関係者の方々、特に天文台あるいは天文台のOBの方々と十分お話いただきますと、かなりこの実現についての大きなステップになるのではないかと思います。知事におかれましては、この前向きな姿勢を実現できますように、早い機会にぜひ天文台あるいは天文台のOBの方々と懇談の機会を設けていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それから、食の安全でございますが、わかりました。わかりましたが、消費者団体の方々は果たして理解しているかどうか、これは私はよくわかりません。そこで、今後の対応として、この食の安全については非常に敏感なわけでございます。したがって、消費者の方々に十分御理解を得られるような対応をしていただきたいと思います。風評というのが一番怖いわけでありまして、岩手県が一生懸命食の安全というものを求めながら、特に、食料供給県として頑張っているわけでございますので、こういう風評が流れないように十分なる対応をお願いしたいと思います。いま一度、その辺の決意をお聞きしたいと思います。
 岩手競馬でございます。知事の思いは、私もこの御答弁をいただきましたので、一定の理解は示しますが、しかし、いろいろな県内紙などの報道等におかれましても、何か廃止ありきのようなものが何とも不安要素として残っているんです。したがって私は、このあり方懇談会、知事のおっしゃるように、いろいろな法規制、あるいは国の構造改革などにおける動向など、長い目での部分もありますが、今この不安というものを抱えておりますと、こういう報道が、実はこの売り上げ減というのも、ファンの気持ちというものは、やはり、あそこに行ったらおもしろいとか、あそこは健全なところだというか、だめだ、だめだというような場所に、どうも落ち込んでいるというようなことばかりが広がりますと逆宣伝になりまして、ファンはついてこないのではないか。やはりファンをもっと呼び込むためにも、何か明るい一つの思いといいますか、明るい面をこの競馬に対しては与えていく必要があるのではないかと思います。
 今、何か暗い方面、暗い方面と行っているような気がしてならないのでありますが、この辺、ひとつ関係者あるいは競馬愛好者が本当に希望を持って進めるような、そういうあり方懇談会にぜひ進むように、予見は持っていないといいますが、ぜひひとつそういう方向性だけは発揮していただきたいと思います。所見があればお伺いしたいと思います。

〇知事(増田寛也君) まず、水沢の天文台実践センター構想の御提言がございましたので、いずれにしても、向こうの観測センターの方と、市も入れた方がいいかと思いますが、早速そうした情報交換の場をつくって、それで向こうの方と接触をとってみたいと思います。
 あと、競馬の関係ですけれども、これは問題が大変大きいので、一筋縄ではなかなかいかないと思います。確かにああいうものは、ある種わくわくするような魅力がないといけないんですが、そういう中で、一方で冷静な議論がどうしても必要であるということで、多くの関係者、これは、あえてそういうものについても批判的に見る人たちの意見にも真剣に耳を傾けないといけないということもあります。そういうこともあって、さまざまな意見があの中で出てきているようです。
 その人選についてはかなり予断も持たずやったんですが、それでもいろいろな意見が出てきているというのは、やはり県民の見方も、馬事文化についての思いとは別に、競馬の経営としての見方は多様にあるんだろうなということがあります。今、副知事が入って懇談会の議論をしておりますけれども、私も懇談会の議論は折に触れて報告を受けていますが、それをよく見るのと、それから問題は、そうした懇談会での議論が出た後、県、組合としてそれをどういうふうに受けとめるかというところが大事でございます。まだどういうふうに扱うかをこの場で言うのは時期が早過ぎるので、きょうは差し控えておきますけれども、とにかく今は、そこでの議論をしっかりしていただくということで、県も、それを受けてのこれからの勉強をよくしていきたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。

〇商工労働観光部長(小原富彦君) 産業振興施策の推進に当たりましては、市町村や地元の商工会議所、あるいは商工会と連携を図り、また、地方振興局からも具体の施策に関する意見ですとか企画提案をもらいながら対応しているところです。
 市町村との関係では、例えば、商店街の活性化の問題、あるいは誘致企業に対するフォローアップの問題、さらには、商工会議所等への指導助言の問題等につきまして、私どもの担当課あるいは担当係の職員が直接市町村の職員の方たちと一緒に考え、行動しながらやるように努めております。
 地方振興局につきましては、やっぱり地方振興局が主体性を持っていろいろやっていくという意味からすれば、例えば、地域密着型のコミュニティービジネス育成等について、その事業の発掘あるいは事業化に対する支援を地方振興局が中心になってやることが非常に有効ではないかということで、基本的には、地方振興局にコミュニティービジネスの育成についてお願いしているということであります。
 中心市街地活性化につきましても、地元の状況を一番よく知っている地方振興局が、場合によってはみずからの市町村補助金等を活用しながら行いまして、その際に、私どもの方でも地方振興局の方の考え方と整合性をとるような支援をしていくという形で行っております。
 今後とも、市町村そして地域と密着してやっていく地方振興局の主体性が生かせるよう連携を図りながら、一層産業振興に努めてまいりたいと思っております。

〇農林水産部長(佐々木正勝君) 遺伝子組換えの研究の件でございますけれども、食の先進県を目指す本県といたしまして、食の安全の確保は何にも増して優先されるべきものだと考えております。答弁でも申し上げましたが、生工研で行っております研究が基礎的研究の範囲を超えるものではないということを改めて県民に申し上げ、広く理解をいただく必要があると思っておりまして、すぐにでも、改めてそういう説明をしっかりとやりたいと思っております。

〇1番(亀卦川富夫君) ありがとうございました。
 産業基盤の関係でもう少しお伺いいたしますが、地方振興局というのは、確かに地方振興局にも各部がありますが、県庁本庁の各部局の連携というものが十分になっておりませんと、地方振興局でもなかなか進めにくい部分があるのではないかと。したがって、産業基盤については、従来以上に庁内の部局横断的に取り組むという姿勢が必要と思います。
 そういう中で、せっかく施策があっても、今の財源が非常に不足している時代ですから、財源不足というのがあきらめの気持ちにつながるという部分が往々にしてあります。
 先ほど商店街に触れられました。私も中心市街地の活性化というものに非常に関心を持っているというよりも、一生懸命やらなければならない立場でやっておりますが、この中心市街地の空洞化の問題なんていうのは、一つの部局では今はなかなかできませんね。かつては商店街という一言で片づいたわけですが、今は、むしろ医療とか福祉の分野、あるいは教育の分野まで、この中心市街地という課題解決には必要なわけであります。したがって、この産業基盤整備という観点からも、ぜひこういった中心市街地などの例の場合、地方振興局はよく実情をわかっておりますが、これが本庁に参りますと、もう予算の関係だけで、一つの部局の、県土整備部なら県土整備部で、先が見えないということで、これがあきらめの気持ちになりますと、せっかくの芽を摘んでしまうことにもなりかねない。この辺をひとつ十分把握して、事に当たっていただきたいと思います。
 それから、競馬でございます。ひとつ知事にあっては、思いはわかりましたので、ぜひ今後、今のその志を持続できるようにお願いしたいと申し上げまして、終わりたいと思います。

〇議長(藤原良信君) 御要望ですか。

〇1番(亀卦川富夫君) 要望。終わります。

〇議長(藤原良信君) 進行いたします。
 次に、木戸口英司君。
   〔4番木戸口英司君登壇〕(拍手)


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