平成15年9月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇11番(平沼健君) 自由民主クラブの平沼健でございます。
 初めての一般質問でございます。精いっぱい質問してまいりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 きのうそして本日と、先輩議員の質問と一部重複する箇所があるかと思いますが、できるだけ角度を変えて質問いたしますので御容赦願います。
 それでは、通告に従い順次質問してまいります。
 最初に、県民が今大変関心のある市町村合併についてお伺いします。
 2000年4月に地方分権一括法が成立し、平成の大合併が進められております。県は、国、県、市町村はお互いに対等との立場から、市町村合併の可否は市町村の自主性にゆだねるという姿勢をとってきたわけでありますが、合併特例法があと余すところ2年を切っており、本当に重要な時期に差しかかってまいりました。地方分権時代の自治体はみずからの選択と責任のもとで、多様化する住民ニーズや新しい行政課題に的確に対応し、自立した地域をつくらなければなりません。そのために、市町村は行財政能力をしっかり高めていくことが不可欠であり、市町村合併は避けては通れないと私は判断しております。増田知事の推奨している将来の道州制につなげていくためにも、まずは足元の市町村合併をしっかり推し進める必要があります。合併が避けられないことが明らかになりつつある現在、知事は岩手県のトップとして、責任を持って合併を推進すべきではないかと考えます。市町村合併は、地域の住民がそれぞれの将来を考え、自分たちで判断すべきだとの考えのようでありますが、将来の岩手県、各市町村のまちづくりを考えるとき、知事はこのあたりで強力なリーダーシップを発揮すべきではないかと思いますが、御所見を伺います。
 次に、中小企業の金融対策について伺います。
 あえて申し上げるまでもなく、我が国の経済はデフレ状態が5年以上も続き、中小企業を中心に企業収益が一段と悪化しております。加えて、失業率や企業倒産は高水準で推移しており、将来に向けての明るい展望が開けないままに模索を続けております。県内経済についても、昨年の企業倒産は126件、負債総額は574億円にも上り、その原因も不況型倒産が79%を占めるなど、全国に比してもデフレ不況の影響はより深刻なものがあります。政府が推進している構造改革は、我が国が持続的な成長を遂げていくためには不可欠な課題でありますが、このままでは不良債権処理の加速ばかりが先行し、その結果、景気の低迷と貸し渋りが助長され、金融余力が限界に来ている中小企業の倒産や失業がさらに増加するのではないでしょうか。県内の中小企業の方々は、国内外の厳しい競争にさらされる中で、経営の効率化、技術製品の高度化、新分野への展開など、みずから生き残りをかけた懸命の努力を重ねておりますが、今では意欲や能力のある企業までもが倒産、廃業に追い込まれているのが実態であります。
 増田知事は、私の政策の中で、小さな大企業をふやすことを重要施策として盛り込んでいますが、この政策にも関連して、まず、中小企業に対する金融セーフティネットの拡大についてお尋ねします。
 1点目は、金融機関の中小企業向け貸し出しについてであります。
 マスコミ等で都市銀行の中小企業向け貸し出しの減少が大きく取り上げられ、その経営姿勢が厳しい批判を受けております。県内中小企業の方々からも、最近とみに金融機関の貸し出し姿勢が厳しくなり、これまで反復利用してきた融資を断られたり、減額されたという話が多く聞こえてまいります。県内金融機関の中小企業向け貸し出しの実態はどのようなってきているのか、また、それに対し県はどのような対応を行っているのか伺います。
 2点目は、中小企業の事業再生及び再起支援についてであります。
 先ほど申し上げましたように、昨年の県内の企業倒産は126件という大きな数字でありましたし、このほかに統計上にはあらわれない、負債額1、000万円以下の倒産や廃業が数多く発生しております。もちろん、景気だけがその要因のすべてとは言えないものの、だれしも好んで倒産、廃業するはずもありません。倒産、廃業の瀬戸際に立たされている企業や、過去に破綻履歴を有する経営者の資金調達はなかなか困難であり、その再生にはさまざまな障害が立ちはだかっています。県として意欲ある経営者に対する事業再生や再起のための支援措置が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 私は、ぜひ利用者にとって使いやすい制度にしていただきたいと思っていますが、そのためにどのような取り組みを考えているのか、あわせて伺います。
 次に、新たに事業を起こそうとする意欲を持つ方々に対する支援について伺います。
 県では、平成7年度からいわて起業家大学を手始めに、新たな商品開発の支援や事業資金の融資、ベンチャーファンドによる有望な起業家への投資など、さまざまな起業家支援に取り組んでおります。長引く不況のレールを走るごとく、失業率も回復の兆しはなく、就労の夢はかない今、新規起業家に対する支援制度は頼みの綱ともなっておりますが、これまでの支援実績と支援を受けた方々のその後の動向についてお伺いいたします。
 次に、県内工業団地の活用策と企業誘致について伺います。
 本県の経済活性化のために、企業誘致が果たしてきた役割は今さら申すまでもありません。県は、こうした企業誘致の推進施策の一環として、これまで内陸部、沿岸部に工業団地の整備を進めてまいりました。しかしながら、県内への誘致企業数は平成元年度の63社をピークに減少しており、バブル崩壊後の平成4年度以降は10社前後で推移してきております。各地域に広大な工業団地を整備してきたわけですが、工場が建たない未分譲地を見るにつけ、多くの企業立地を願わずにはいられません。
 また、当然のことでありますが、未分譲地については草刈りなどの維持管理に経費をかけることになり、その経費は分譲価格に織り込まれることになり、ますます条件が厳しくなっているのではないかと危惧しております。
 そこで、まず、現在、未分譲地のまま残っている県内の工業団地の面積とその処分の見通しはどうなのかお伺いします。
 企業誘致については、本県のみならず、他の県も同様の状況にあるものと推測され、長引く不況の中で、その競争は今後ますます激化するものと思われます。企業誘致のためには、県と市町村などで構成する企業誘致推進協議会の誘致活動や企業訪問活動の強化なども必要でありますが、激化する誘致競争に勝ち抜くためにも、やはり進出企業への優遇制度の充実が重要ではないかと考えます。県内工業団地の分譲促進のため、これまでどのような優遇政策に取り組まれ、今後どのように充実する方針かお伺いします。
 また、この広大な空き地を目の当たりにすると、そのまま放置しておくよりは、地元や公共のために一時的な使い道も考えたらよいのではないかとの思いを強くするのでありますが、県の考えをお聞かせ願います。
 県の企業誘致、工業振興を目的にことしも企業ネットワークいわて2003が帝国ホテルで開催されました。毎回このような催しが超一流ホテルを利用して開催されておりますが、昨今の県財政そして各市町村の負担を考えますに、もっと有効な手段もあるのではと思いますが、その効果あるいは手ごたえはどうだったのかお尋ねいたします。
 次に、農業振興についてお伺いします。
 農作物の異常気象災害については、同僚議員から質問があり答弁がなされましたので、この件についての質問はいたしませんが、いずれにしても、大変な被害になることは間違いのないところだろうと思いますので、被害農家に対する迅速かつ十分な対策をお願いいたしまして、私からは米政策改革大綱について知事の考えを伺います。
 米政策改革大綱は、米の需給に対し自由主義経済の市場原理を導入するという大改革でありますが、私は食糧安全保障の根幹とも言うべき米から国が手を引く今回の改革には抵抗を感じています。確かに、米の消費量を考えるときこれまでどおりでよいのか、立ちどまって考えざるを得ないことも事実です。しかし、平成20年には、米の生産調整が、国の責任から個々の農家と農業団体に移り国の関与をなくすということでは、県内でも地域間に大きな較差が出てくることは明らかであります。進出競争、コスト競争に勝ち抜くためには、その土地、地域に適した生産品目に変えなければならないと頭では理解できますが、実際は大変困難なことであり、最終的には農地が荒れ大きな環境問題にもなっていくのではないのかと危惧するものでございます。本県では、北上川流域と沿岸・県北部との格差がますます拡大していくようにも思えますが、この問題について知事の所見を伺います。
 次に、森林整備と県産材の活用について伺います。
 我が国は国土の3分の2が森林に覆われ、あらゆるところで森林と身近に接することができる環境の中で、古くから森林と多面的に共生しながらかかわりを持ってきました。森林は木材の生産のみならず、県土の保全や水資源の涵養等多くの機能を持っております。しかしながら、森林・林業の現状は低コスト輸入材との競合による需要の低迷と価格の低落、それに伴う林業労働力の減少、高齢化の進行等により、手入れ不足のまま放置されている森林が多く見受けられるなど、このままでは森林の機能の確保が懸念される状況となっております。一方では、森林の持つ多面的機能に対する県民の要請は一段と高まり、植林や間伐などへのボランティアの参加も進んでおります。
 そこで伺いますが、まず、森林整備のためにいわゆる植林、間伐、枝打ち等に県民が年に1回でも参加するような、もちろん強制することは不可能ですが、より広範囲な県民参加による森林整備に、県としてももっと積極的に取り組むべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 2点目は、間伐材等の需要拡大に向けて生産サイドと流通サイドが連携する仕組みを早急に立ち上げる必要がありますが、もっと大事なことは、その県産材を公共工事や公共施設、木質バイオマスエネルギーなどへ積極的に利用していくことであります。その利活用をいかに先行させるかが、森林整備や林業の活性化にとって重要であると確信するものでありますが、今後、県産材の需要拡大のためにどのように取り組もうとしているのか、具体的にお示しいただきたいと思います。
 次に、水産振興についてお尋ねします。
 まず、秋サケの資源回復についてでありますが、御案内のとおり、本県水産業の基幹魚種である秋サケの漁獲量は、平成11年度以降4年連続で3万トンを下回る大不漁となっております。漁獲金額も魚価の低迷を受けて2年連続で100億円を下回るなど、漁協経営はもとより、沿岸の地域経済に極めて深刻な影響を与えております。ことしも、9月に入り秋サケが定置網で漁獲され初め、例年になく魚体が大きいことから、浜では関係者が、今後の動向を期待を持って注視しているところであります。秋サケ資源の回復は、一朝一夕になし遂げられるものではなく、3年先、4年先を見越し、関係者が一体となって取り組むことが何よりも大事であります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 これまで、県では秋サケ資源の回復を目指し、不漁原因の究明やふ化放流技術の改善等に取り組んでこられたところでありますが、サケの一生の中で人間が直接かかわることができるのは、稚魚を放流するまでの期間に限られております。このため、ふ化場において健康な稚魚の生産と放流を効率的、安定的に行える体制を整備することが、資源回復のために重要と考えます。
 そこでお伺いしますが、秋サケ資源の回復に向けて今後ふ化放流事業をどのよう展開していくのか、また、そのための体制整備をどのように進めていくのか、県のお考えをお尋ねします。
 次に、漁業権の免許についてお伺いします。
 本年度は共同漁業権、区画漁業権及び定置漁業権の切りかえ時期に当たっておりまして、沿岸漁業者の関心を集めております。本県の沿岸漁業は、サケ、ワカメなど主要魚種の生産量の低迷と長引く不況と輸入の増加等による価格の下落で、その経営は厳しさを増しております。
 私の地元、宮古湾の養殖漁業者も御多分に漏れず、厳しい経営状況にありますが、他地区に先駆けて岩ガキの養殖技術の開発に取り組んだり、また、ヒラメ栽培にも県内各地に先駆けて放流事業を展開するなど、新たな取り組みに果敢にチャレンジしております。沿岸漁業の発展を図るためには、こうした漁業者の意欲的な取り組みを積極的に推進することが大事だと考えております。漁業権の諸設定に当たりましても、沿岸漁業の将来を見通して行うことが重要であると思いますが、県の漁業権切りかえに対する方針はどうなっているのか、また、現在の進捗状況もあわせてお示し願います。
 次に、雇用対策について伺います。
 長期化する景気低迷などによる厳しい雇用情勢を反映して、本県の有効求人倍率は、平成12年度から3年連続して全国平均を下回る状態が続き、求職者数も増加傾向にあります。平成14年度の政策評価結果を見ましても雇用関係指標は伸び悩んでおり、施策の達成状況にもおくれが見られます。また、県民意識調査では、雇用対策の重要度が高く、満足度が最も低い状況にあり、この施策に対する県民のニーズは極めて高くなっております。このような雇用問題に対応するため、本年6月に総合雇用対策局を設置し、予想される産業構造の転換や公共事業の縮小に伴う離職者の増大に対し、平成14年度からの5年間で3万600人の雇用を創出するとしております。このため、新たな産業やサービス関連産業での雇用の拡大や林業を中心とした緑の雇用などを提唱しておりますが、常用雇用対策を具体的にどのような手順で進めようとしているのか伺います。
 また、岩手労働局の調査によると、7月末現在の県内高校生の求人倍率は0.6倍で、昨年同期を0.07ポイント上回っているものの、過去2番目の低さで依然として厳しい状況にあります。まことに憂うべきものがありますが、来春卒業予定の高校生の雇用対策をどのように進めようとしているのか伺います。
 関連して、教育長に伺います。
 平成14年度から各県立高校に設置している就職支援相談員は、求人開拓や生徒の就職指導などに成果を上げてきています。ただ、任期が最長で1年で、なれたところでやめてしまうということで、学校でも企業側からもやりにくいという話が聞こえてまいります。せっかくのすばらしい制度なのですから、継続的に雇用して有効に活用できるようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、民間人の県立高校長任用について伺います。
 この件につきましては、先ほど関根議員の質問がありましたが、あえて私も伺います。
 民間人校長の任用が大反響を呈し、44倍の倍率だったことが新聞紙上をにぎわせております。民間人校長登用の趣旨は、民間で培われた発想や技法を新しい風、新しい血として入れることによる特色と魅力がある学校づくり、地域に開かれた学校づくり、さらには教育界全体への刺激を求める社会的要請にあるとしております。過去には、教員を民間企業に派遣し研修させたりしていますが、私には学校現場の実態とかけ離れた何か場当たり的な発想、パフォーマンス的な発想としか思えません。私は、教育に民間感覚を導入することは非常に大切なことと考えていますが、何千人という教職員がいる中で、わずか数人の校長や教員だけで、趣旨どおりの学校づくりができるとはとても思えません。この際、教育委員会がもっと真剣に腰を据えて取り組まなければならない課題だと思いますが、教育長の所見を伺います。
 次に、少年犯罪の実態と県警の取り組みについて伺います。
 近年の事件報道などを見ますと、少年犯罪が非常に多いという印象をぬぐえません。県警察がまとめた平成14年度中の統計によりますと、本県の全刑法犯認知件数は1万5、011件、これに対する検挙件数は4、265件で、人員としては2、923人が検挙されておりますが、驚くべきは、この人員のうち少年が1、277人、全体の約44%を占めているという事実です。少年事件が多いというのは大方のイメージとしては持っていたものの、具体的な数字を確認すると改めて驚かされるとともに、将来に大きな不安を抱くのは私だけではないはずです。この少年犯罪の増加が治安低下の一因であることは言うまでもありませんが、私たちの夢県土いわての将来を担う少年たちが病んでいる現状を見過ごすことはできません。これまで、この問題については、家庭、学校、地域など、それぞれが手を携えて取り組んできておられるのですが、残念ながら目覚ましい効果が得られるまでに至っていないのが現状かと思います。
 そこで警察本部長にお伺いいたしますが、本県における少年犯罪の実態と、その実態を踏まえた県警察の取り組みをお聞かせ願います。
 次に、道路整備について伺います。
 知事は、平成16年度までに公共投資を14年度比で30%削減する政策を掲げ、実施しているところでございます。確かにこの厳しい県の財政状況から考えて、公共投資に予算を回すことは避けたいところでありましょう。民間が設備投資を抑え、銀行は貸すことを渋り、県民は将来に不安を抱えて消費を抑えて小さくなっております。企業が借入金を返すことも県民が節約に努めることも、選択としては正しいことでありましょう。しかし、みんなで投資を抑え、節約することだけに努力していたらどうなるのでありましょうか。まちはますます活気がなくなり、失業者がさらに増加するのは明らかであります。景気回復のためには、行政が率先して公共投資を行っていくことも不可欠であり、将来を考え、今やるべき公共事業、社会資本の整備は何かを真剣に考え、選別し、必要な事業は積極的に推進しなければなりません。緊急性、地域の生活や経済活動への影響など、さまざまな観点から十分な検討が必要であります。
 県民意識調査によると、沿岸部では交通アクセスの改善を求める意見が多く出されていますが、新幹線や高速道路等の高速交通ネットワークの整備効果を全県に波及させるために、高速交通諸点へのアクセス向上が沿岸住民共通の願いであります。県央部と沿岸部との地域間格差を是正し均衡ある県土の発展を目指すためには、まず、沿岸部の交通ネットワークの整備を急ぐ必要があると思いますが、知事の御所見を伺います。
 また、沿岸部と内陸部との横軸連携道路の早期整備は、沿岸地域のまちづくり、港湾の有効活用のみならず、人の命を守るためにも重要であります。宮古地区で言えば、重茂半島線の整備そして県立宮古病院へのアクセス道路になる北部環状道路、さらには、国道106号の国土交通省直轄管理指定について県としてどのように進めるのか、県土整備部長に伺います。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 平沼健議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、市町村合併についての御質問でございまして、これからの将来を考えて、知事ももっと強力なリーダーシップを発揮すべきではないかと、こういう御質問の御趣旨かと理解をいたしております。今、ちょうど議員のおられる宮古を中心にして、田老、新里と先般任意の協議会が発足をしたわけで、私はこういう特例法の期限内に合併を目指すということで、住民の皆さん方と議論を尽くした上で枠組みを決めたところは、これはもう県として全力を挙げて応援をしていかなければならない。その中で、県の果たす役割も大変大きいと思っております。やはりこの問題というのは、特に小規模な町村がこれから本当にさまざまな行政ニーズをこなしてやっていけるのかどうかということでございますので、今申し上げましたような枠組みが決まったものについては県としても、私も先頭になって全庁挙げて全力で支援をしていきたい。
 それから、今枠組みを構築中のものがあるわけでございまして、これには県としても適切なアドバイスをしていきたい。今51の県内の市町村がこうした何らかの形の研究会に入っているわけですが、今回の平成の合併というのは、一番大きな特色はやはり自主合併、自主的な合併ということでございますので、これを踏まえる必要があると思いますが、適切なアドバイスを県としてもしっかり行っていきたい。まだ議論が進んでいないものもございます。こうしたところは本当にこれから市町村、特に町村としてひとり立ちしていけるかどうか、住民の皆さんと真摯な議論をやって、そして早く態度を明確化していただきたい。これも県としてそういうことをより強力に促しをしていきたいと思っているところでございます。
 合併協議会、これは任意と法定のものとございますけれども、かなり法定のものと任意のものを同じように理解をして、任意の協議会であっても真剣に議論していくというのが本県の大きな特色であろうかと思うので、期限があと少しとなってきておりますけれども、やはり合併の目的というのはあくまでもこれは手段で、本当のまちづくりをどうするかという志を持って将来像を描いていくのが合併の目的でありますから、そこをよく見失わないようにしっかりとした議論が行われるように県としても取り組んでいきたい。特に県としての、知事としてのリーダーシップも発揮をしていきたいと思っております。
 それから、米政策改革大綱についてでございますが、これは内容を大きく言うと三つと理解しておりまして、需要を先取りした売れる米づくり、それから他作物の振興による個性ある産地づくり、それから担い手を中心とした生産の仕組みづくり、こういう三つを盛り込んだ国の政策と思っております。従来に比べると国から大分生産者あるいは生産者団体の方に手が離れたような形にもなっておりますが、先般、話は途中で決裂したようですけれども、WTOで行われたような議論や、今後一層激化が予想される国際競争の中では、いずれにしてもそれぞれの地域で可能な限り自助的な努力も含めて、本当に生産基盤をさらに強いものになるようにいろいろ努力をしていく必要があるだろう。当然適切な県の政策誘導ということがその中に入っていかなければなりませんが、可能な限り生産者もみずからの努力で競争に備えていくような工夫が必要だろうと思うわけであります。
 その中で、県北・沿岸の大半、中山間地域という、これはまた水田基盤が狭隘でやませの影響を受けるなどの条件下にあって、これは生産者の努力を超えるだけのやっぱり条件不利ということがありますので、例の中山間地域の直接支払いというような制度的なものがありますが、県の政策誘導を図る際もそういったことは十分に頭に置いて、そして競争条件を平地とは別の観点からやっぱり整えていく必要があると、これはそのとおりだろうと思います。
 その中で、今集落ごとに集落水田農業ビジョンというものを策定していただいているわけでございますので、そこで、やはり生産者の皆さん方にも皆さんで話し合いを進めて知恵を出していただきたいということで、今このことに取り組んでおります。確かにやませなどの影響を受けるわけですけれども、やっぱりそこの農業を絶やすわけにいきませんので、そうした自然条件というのは変更不可能でございますから、本当にその目標と戦略を持って農業に取り組む必要があるので、米づくりをどうするのか、あるいは転作にどういうふうに取り組んでいくのか、それから集落営農などの体制づくりをどうするか。こういったことを今その水田農業ビジョンの中で議論していただいてビジョンを策定していただいておりますけれども、この話し合いを本当に皆さんで知恵を出してしっかりとやっていただきたい。
 県では、こういった県北・沿岸地域が、新たな米政策によってそこの農業が後退するということはいけないと思いますので、そういうことがないように、本県農業の一翼を担う個性と特色のある産地として発展できるように、今申し上げましたこの集落ビジョンの実践に向けた地域のさまざまな取り組み、特に主体的な取り組みに対して積極的に支援をしていきたいと考えております。
 それから最後に、道路整備についてお尋ねがございましたけれども、これは、県土が大変広いので戦略的にこういう道路整備を進めていく必要があるということで、まず県内の中でも残っているところで大変重要な整備箇所はやはり横断軸、これは例の高速道路になってきますけれども、釜石-花巻間のこの太い横断軸、それから宮古盛岡、これは地域高規格ということになってございますけれども、この宮古盛岡横断道路など、こういう横軸の何本かの線をしっかりとこれからもやっていかなければいけない。それにちょうど交わるような形の沿岸の縦軸路線、三陸縦貫、それから北側の方の三陸北縦貫、八戸久慈自動車道、こうしたところをネットワークとして組み合わせるということが、先ほど議員からお話しあったような生活、産業すべてにわたって大事なこの基盤になってくるだろうと思っております。
 したがって、そういうことで国にも働きかけをし、県としてもそういう道路がより促進されるように整備に努めてきたわけですが、本年度、三陸縦貫自動車道の宮古道路、それから宮古盛岡横断道路の宮古西道路の事業化が決定をしたわけでありますけれども、これもこういう厳しい環境下の中であえて事業化ということを行政として選択をしていったわけでありますので、これも何としてもやはり早く整備に向けて取り組んでいかなければならない。こういう認識でおります。
 そういうことでございますので、これから財政が厳しい中でやるべき工夫がさまざまあると思っておりますが、これまでにも増して一層事業の峻別はやはりして、戦略的に一番優先されるべきところに事業費を集中していく。それから、あとコスト縮減の努力も大変必要になってくると思います。工法などを工夫したり、企画をもう一度見直したりするようなそういうことも必要だろうと思いますし、それからあと用地買収などもできるだけ早くやることによって事業費をうまく運用することにつながりますので、地元の市町村などにもよくお願いをして地権者の協力がすぐに得られるように、これはまた地元の方での努力もお願いしたいと思います。こうしたコスト縮減などによって一層の事業の重点化、効率化に努め、特に今、議員御指摘ございましたような沿岸部の道路ネットワークの整備促進に向けて、今後も積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 その他のお尋ねは、関係する部局長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔商工労働観光部長小原富彦君登壇〕

〇商工労働観光部長(小原富彦君) まず、金融機関の中小企業向け貸し出しの状況についてであります。
 県内に本店を有する地方銀行、信用金庫の中小企業向け貸出残高は、平成13年3月期以降減少しておりまして、平成15年3月末で2兆1、100億円余となっております。これは、長引く不況による中小企業者の資金需要減少によるものと考えられるところであります。中小企業金融の円滑化のため、県はこれまでも県内金融機関あるいは商工団体などで構成する中小企業金融連絡会議において、資金供給の円滑化についての意見・情報交換を行い、特に金融機関に対しては中小企業者に対する適切な融資について要請してきたところであります。10月中旬に本年度2回目のこの連絡会議が開催予定であり、その場でも要請してまいります。
 本年度の県単の融資制度におきましては、融資枠を529億円とし、平成14年度融資実績297億円ですが、これの約2倍と十分な枠を確保したほか、中小企業経営安定資金貸付対象者の拡大や、国が信用保証料を引き上げた中、15年度は県単融資制度信用保証料の据え置きを行うなど、中小企業者にとって利用しやすい制度として整備してきたところであります。この結果、15年度の中小企業向け融資制度の実績は、8月末現在で3、000件余、167億2、200万円、前年同月比で123.1%と増加している状況にございます。
 次に、中小企業の事業再生支援についてでありますが、財務上困難を来している経営者に対する破綻前の企業再生対策が最も重要なことから、中小企業の破綻防止のため、セーフティネット保証、中小企業経営安定資金などによる金融支援を初め、商工会議所等に設置した倒産防止特別相談室における金融、経営上の相談対応、さらには、中小企業の経営革新計画策定、計画実践の支援などを実施してきたところであります。さらに、本年5月、中小企業再生支援協議会が設置されたところであり、県としても、再生支援協議会を通じて企業再生に取り組む企業を、県独自の支援策として今議会に提案しております中小企業再生支援損失補償の活用などにより支援していきたいと考えております。
 次に、中小企業が利用しやすい制度の取り組みについてでありますが、県の中小企業向け融資制度では、貸付対象者の拡大や15年度の信用保証料の据え置き、それから一定の要件のもとで中小企業経営安定資金の借りかえを認めるなど、利用しやすい制度にすべく努めているところであります。また、中小企業支援センターの支援体制も強化し、中小企業の経営革新計画策定から実践まで一貫した支援を行っているところであります。さらに、中小企業支援再生損失補償によりまして、再生に必要な資金が供給されやすい環境が整備されることにより、再生を目指す中小企業にとりましては、再生に必要な新規融資や負担軽減のための条件変更を伴う借りかえ融資を、無担保、第三者保証人不要で受けられることになり、既存制度の利用が困難な中小企業へも再生に必要な資金が供給され、企業再生の実効性が確保、向上するものと期待しているところであります。
 次に、起業家に対する支援実績と支援を受けた後の動向についてでありますが、いわて起業家大学を平成7年度から全国に先駆けて開催しておりますが、平成14年度まで356名の修了生を出しまして、そこから65名の創業者を輩出しておりますが、創業した方々にあっては、順調に業績を伸ばし、中には10数名の社員を雇用する企業に成長しているところもあります。また、いわて起業家育成資金を平成9年度に創設し、15年8月までに509件、金額にして51億3、000万円余の利用があったところであり、これまで医療サービスや食品製造業など多様な事業が立ち上がってきておりまして、その多くが順調に推移してきているものと承知しております。
 次に、県内工業団地の活用と企業誘致についてでありますが、まず県内工業団地の未分譲地の面積についてであります。県内工業用地の総面積は152工業団地で2、160ヘクタールございまして、うち未分譲の面積は731ヘクタール、33.9%となっております。今後の処分の見通しでありますが、企業の国内での工場新増設は全国的に依然として低調に推移しておりまして、本県においても全国と同様に厳しい状況にあると考えております。
 次に、工業団地の分譲促進のための優遇策についてでありますが、助成や融資などの拡充強化、工業用地のリース制度など他県との差別化した魅力ある優遇策の展開、それから既立地企業の満足度向上のためにきめ細かなフォローアップの実施、それから既立地企業が共同研究あるいは技術開発をする際の支援強化などに取り組んでおり、具体的には、本年度、企業立地促進奨励事業費補助につきまして、県北・沿岸・東磐井地域への補助率の拡充など優遇措置を図るとともに、県北・沿岸・東磐井地域を対象としてきたこの制度を全県に対象を拡大したところであります。また、工業立地促進資金貸付利率につきましても引き下げるなどの対応を行っております。
それから、未分譲地の一時的な利用についてでありますが、現在、未分譲地を自治体の防災訓練などに一時的に使用するほか、企業ニーズの多様化に対応し工業団地のリース制度を導入するなどの事例が県内でもあらわれてきておりまして、今後におきましては、優良企業を誘致して工業団地を売却するということを基本としながらも、一時的利用についても進めたいと考えております。
 次に、企業ネットワークいわて2003の効果、手ごたえについてでありますが、毎年東京、大阪、名古屋の3会場で開催しており、知事が直接プレゼンテーションを行うことから毎年多数の新規企業が出席しており、本県の誘致折衝先企業の有力な新規開拓の場となっております。今年度、先月実施した東京会場においては、188社・団体から256人の出席を得ております。企業ネットワークいわては、事前のアンケート調査によりまして把握した投資計画を持つ企業を中心としまして、多くの中央の産業人に対しまして本県の産業施策などの情報発信を通じまして、人的ネットワークを広げる重要な場となっております。直接出席した企業ばかりでなく、出席者からの情報をもとに立地につながる例や新たな誘致折衝先企業の紹介など、開催によって形成される人的ネットワークが大いに役立っていることから、今後も継続してまいりたいと考えております。
 次に、来春の卒業予定の高校生の雇用対策についてでありますが、当部では6月以降、各地方振興局及び公共職業安定所、市町村等関係機関と連携いたしまして、約400事業所の企業訪問による求人開拓を実施しており、引き続き取り組みを継続してまいります。また、教育委員会においては、県庁、地方振興局など県の機関でのインターンシップを夏休みに実施しております。現在、ビジネスマナーの習得と職業観、勤労観の育成をねらいとしたキャリアアップ講座を実施しております。また、岩手労働局におきましては、各職業安定所単位で、就職への動機づけ、あるいは適職選択の援助を行うための職業ガイダンスを実施中であります。
 今後は、企業とのマッチングの機会を増大するための就職面接会を公共職業安定所等と連携して実施し、この就職面接会にあわせまして、就職のための意識啓発を行う職業講習を実施する予定であります。今後とも、私どもと教育委員会、そして岩手労働局三者で連携を密にしながら、就職希望の高校生が円滑に就職に至るよう取り組みを進めてまいります。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) まず、県民参加による森林整備についてでありますが、森林が持つ多面的機能を維持、向上させていくためには、生産者のみならず、森林・林業に対する幅広い県民の理解を得ることが重要であると考えております。このため、県におきましては、植樹祭や森林体験学習、シンポジウムの開催などを通じて啓発に努めているところでありますが、近年、緑の少年団や地域住民、ボランティアによる植林や保育活動も活発になってきております。先般開催いたしました北上高地グリーナリーシンポジウムにおきましても、現地で実施した間伐作業に多くの小・中学生の参加をいただいたところでありますが、こうした多種多様な機会を通じて、森林づくりに参加する人々の輪が年々広がってきているところであります。
 今後におきましても、本県の森林を適切に守り育てていくという観点から、市町村や関係団体等と連携しながら、御提言のありました子供から大人まで幅広い参加による森づくり運動を一層推進してまいります。
 次に、県産材の需要拡大についてでありますが、公共施設や公共工事におきましては、県が率先して利用に取り組むため、本年の6月に設置いたしました岩手県公共施設・公共工事木材利用推進本部におきまして、具体的な数値目標などを定めた行動計画を今策定しているところでありまして、県内の森林から産出されました木材を確実に利用するため、県産材の産地証明制度の創設にも取り組んでいるところであります。また、県産材の大口需要者であります合板工場や集成材工場への安定供給を図るため、森林所有者や森林組合から木材加工事業体に至るまでのネットワークの構築を進めているところであります。
 木質バイオマスにつきましては、環境への負荷の少ないクリーンエネルギーとして積極的に活用するため、関係部局と一体となって、今年度中に利用促進計画を策定し、低コスト安定供給システムの確立や、ペレットストーブなど燃焼機器の導入促進に取り組んでまいります。
 これら川上から川下に至る一連の取り組みを進めながら、市町村や林業関係団体と連携して、県産材の需要拡大に積極的に取り組んでまいる考えであります。
 次に、秋サケの資源回復についてでありますが、秋サケの資源の回復のためには、健康な稚魚を放流後の生存率が高い3月中旬から5月上旬までの適期に放流することが重要であると考えております。このため、独立行政法人さけ・ます資源管理センターと連携いたしまして、ふ化場の技術の向上を図りますとともに、ふ化場の飼育水温に合わせた適期放流となるよう採卵・種苗生産計画を作成し、平成14年度からこの計画に基づいて放流を行っているところであります。さらに、秋サケ水揚げ金額が低迷する中では、サケ漁業者からのふ化場運営経費の安定確保や効率的なふ化放流事業の実施が課題となっているところであります。こうした課題にこたえるため、現在、さけ・ます増殖協会と定置漁業協会が主体となってプロジェクトを組織いたしまして、ふ化場の経費負担、集約化、運営主体のあり方などについて検討しており、県といたしましてはこの結果を踏まえまして、安定したふ化放流体制の整備を促進してまいりたいと考えております。
 次に、漁業権の免許についてでありますが、漁業権の免許に当たりましては、沿岸漁業を取り巻く厳しい環境を踏まえ、一層の振興を図る観点から、共同漁業権につきましては、大規模放流が行われているヒラメの漁獲と資源管理の推進、区画漁業権につきましては、ワカメ養殖漁業等の構造改革やイワガキ、マツカワの新魚種養殖の推進、定置漁業権につきましては、経営の安定及び健全化のための漁場統合の推進などを方針としているところであります。共同及び区画漁業権につきましては、方針に基づき既に本年9月1日付で免許を行ったところであります。平成16年2月末で免許期限が満了いたします定置漁業権につきましては、現在、関係者からの要望内容を方針に照らして精査しているところでありまして、今後は海区漁業調整委員会の意見を聞いて、来年3月1日に定置漁業権の免許を行う考えであります。

〇議長(藤原良信君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔総合雇用対策局長上村俊一君登壇〕

〇総合雇用対策局長(上村俊一君) 雇用対策についてでありますけれども、常用雇用対策につきましては、県民の皆様により身近なものとして、高齢者介護・子育てなどの福祉サービス、産直施設、農家レストランなど地域、地域の特徴を生かした地域密着型ビジネスの創出、これらを担う人材をNPOで育成する仕組みづくり。また、自動車関連産業を中心とした製造業のほか、コールセンターなどの情報関連業あるいは流通関連業、環境関連業などに重点を置いた企業誘致、さらには、新しい事業分野に進出する中小企業への支援や、いわて起業家大学等による創業・ベンチャー支援などの関連プロジェクトを推進しているところであります。
 これらプロジェクト等を組み込んだ岩手県の総合雇用対策では、各年度ごとに、雇用創出分野ごとに、あるいは関連事業ごとに雇用創出目標を設定しているところであります。現在、全庁挙げて雇用対策に取り組んでいるところでありますけれども、その進捗管理をきちんと行うとともに、雇用創出効果の高いプロジェクトを随時立ち上げながら、目標の達成に全力を挙げてまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長猪股純君登壇〕

〇県土整備部長(猪股純君) まず、主要地方道重茂半島線の整備についてですが、重茂半島線は、地域の産業、経済活動、また日常生活を支える重要な路線でありますことから、交通の隘路区間の解消に向けた整備を進めてきたところであります。本年度も、宮古市堀内地区の現道拡幅工事や、宮古市千鶏から山田町浜川目間の待避所設置工事などを行っており、また、宮古市堀内から重茂間のルートの切りかえについては、現在その進め方について市と協議を行っているところであります。厳しい財政状況にありますが、県としては、引き続き事業箇所を峻別しながら、重点的な道路整備に努めてまいりたいと考えております。
 次に、北部環状道路についてでありますが、北部環状道路は、県立宮古病院へのアクセス機能の強化、宮古市中心街における交通混雑の緩和などに重要な役割を担う路線と考えております。その整備につきましては、県の支援方策を総合的に検討しながら、その早期整備に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、国道106号の直轄管理区間の指定についてでございますが、106号は沿岸部と内陸部を結ぶ主要な横断道路でありまして、現在、簗川道路や宮古西道路など、その整備促進に努めているところでございます。また、本路線は国道46号と一体となって岩手、秋田両県を結ぶ地域連携軸としても極めて重要な路線でありますことから、これまで直轄管理区間への編入について国に働きかけてきたところであり、引き続きその実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 就職支援相談員の活用についてでありますが、就職支援相談員、これはただいまお話しありましたように、現行の制度におきまして、その雇用期間が最長1年間ということで、御指摘ありましたとおり1年で終了するということで、就職支援相談員がそれまでに蓄積してまいりました経験であるとか企業との関係が断続的になったり、また、地域によっては新たな人材の確保が困難になるなどの事例もございます。現在、基金による雇用の期間につきましては、所管部局であります総合雇用対策局から国に対して、より弾力的な運用ができないかどうか意見提言を行っているところであります。県教育委員会といたしましては、この雇用期間が1年間として限定されることによって生ずる支障といいますかデメリット、これを補うために、雇用期間を限定されない県の基金を活用いたしまして、県内8地域にエリアマネージャーを配置する事業を予定いたしております。このエリアマネージャーは、高等学校における就職支援相談員、または県及び国の機関における雇用相談員など、求人開拓業務や雇用関連業務の経験を有する人材を採用いたしまして、就職支援相談員が開拓した求人情報の全県的な共有を図り、その情報の有機的な活用を図ることで、就職支援相談員が蓄積したノウハウ等を有効に利用することをねらいとするものであります。就職支援相談員の活動をより効果的にできるものと、このように考えております。
 いずれにいたしましても、高卒の求人倍率が低水準にあることを踏まえまして、今後とも、就職支援相談員の活動が高校生の就職支援に有効に活用されるように検討してまいりたいと、このように考えております。
 次に、民間人校長の登用についてでありますが、学校の運営に当たりましては、その地域に開かれた学校づくりということで、まず透明性を図る、また、児童生徒の保護者のニーズに対応した魅力のある学校づくり、これを推進することが肝要であると考えております。そのために、現在、学校評議員の設置であるとか学校評価の導入など、開かれた学校づくりに向けたさまざまな施策を展開しているわけでございますが、議員から御指摘のあったとおり、学校教育にもまさに民間の経営的感覚を取り入れることが大変大事であると、このように認識をいたしております。そこで、そういうことから、これまでも県教育委員会におきましては、教員を民間企業に派遣する長期社会体験研修であるとか、校長、教頭などを対象といたしまして、経営品質向上の手法を活用したマネジメント研修の実施など、学校現場に民間的な経営感覚を積極的に導入したいということでさまざま行っておりますし、さらにこれを色濃く施策を打ち出してやっていきたいと、このように考えております。こういう中で、その一環として、現在民間からの校長登用を検討しているわけでございまして、民間人校長、本県では2名ということで今検討しているわけでございますが、配置された学校では、企業等で培ってきた柔軟な発想であるとか、企画力などの新しい風を取り入れた組織的、機動的な学校運営が期待できるものと考えております。さらに、このことが本県の学校現場、教育界全体へ刺激となり、その教職員の意識改革にもつながっていくものということで、特色と魅力ある学校づくり、地域に開かれた学校づくりの一層の推進が図られるものと考えております。
   〔警察本部長山内正和君登壇〕

〇警察本部長(山内正和君) 少年犯罪の実態と警察の取り組みについてお尋ねがございました。
 平成15年8月末現在におきます本県の少年犯罪につきましては、深夜徘回など犯罪の前兆となる不良行為少年の補導活動を強化し、犯罪少年の未然防止に努めた結果、刑法犯で検挙した少年は718人で、前年と比較して77人、9.7%減少しており、刑法犯検挙人員に占める少年の割合も約40%と、前年と比較して約4%減少しております。しかし、本年は少年の逮捕者が大幅に増加し、8月末現在で57件、81人となっており、昨年1年間の数を4件、7人超えて、質的悪化とともに集団化の傾向が一段と強まっているところでございます。
 また、インターネット掲示板に殺人を予告する書き込みを行い、地域社会を不安に陥れた事案や、出会い系サイトを利用した犯罪など、新たな形態での補導や被害の届け出も見られ、本県の少年非行については依然として深刻な状況にあるものと認識しております。県警察といたしましては、悪質な少年犯罪に対しては事案の解明と反省を促す観点から、厳正に対処することとしております。
 また、少年非行の背景として、家庭や地域社会の無関心、規範意識の低下などが指摘されておりますことから、自治体、学校、地域住民などと連携して、有害環境の浄化や社会参加運動にも取り組んでいるほか、本年3月に県南に少年サポートセンターを開設し、家族を含めた立ち直り支援活動を行っているところであり、今後とも、これらの活動を強化してまいりたいと考えております。
 さらに、新たな取り組みといたしましては、学術機関による非行要因の科学的分析と有識者による検討・提言を一体化させた本県の特性に適合した総合的な非行防止対策を今後、検討・推進することといたしております。

〇11番(平沼健君) 御答弁、本当にありがとうございます。せっかくの機会ですので、1点だけ増田知事のお考えを伺いたいと思います。
 先ほど私、市町村合併についての質問をさせていただきました。この市町村合併の中で、合併特例債について伺いたいと思います。
 この合併特例債、合併する規模によって特例債を使えるということでございまして、その規模によって額は違うんでしょうが、端的に言いますと、この合併特例債を利用してそこの合併された地域の将来、10年あるいは15年後のまちづくりのために使うんだと、こういうふうに私は判断をしておりますが、この合併特例債が、例えば事業費でその地域が300億円使えますよと、使いたいというようなことになりますと、95%のうちの70%とかそういうことがあるようですが、大ざっぱに言って3分の2ですから200億円ですか、これは国からいただけると。残りの3分の1、100億円が合併された地域でもって借金をして事業費に充てなさいと、こういうことなんですね。
 再三話に出てきておりますが、今、各自治体、県もそうなんですが、従来の霞が関スタンダードの安易な受け入れによって、えらい財源不足といいましょうか、大変な借金を背負っている。これは県内に限らず、全国の各自治体が全く同じような状況だと思います。そういうような中にあって、私、合併特例債のその数字を、決まったことですから何だかんだ言うようなことではないんですが、将来の考え方として、知事がどういうふうに思っているのか聞きたいんですが、国が親とすれば、今、子である各自治体が大変な借金で苦しんでいるんだと。それにまた上乗せして借金をしてまちづくりをしなさいというふうにもとれないわけではないんですね。やっぱり合併を促進するというからには、あらかじめ3分の2は国の方で補てんしますよと、これは決まっているわけですから、これでとどめ置いて、300億円のところには200億円であんたたちが勝手に使い道を考えて将来のまちづくりを考えなさいと、そしてできるだけ借金はしてはいけませんよというか、それを避けてまちづくりをするべきだというような指導というか、そういう考え方があっても不思議ではないと思うんですが、知事は、全国の知事会とかいろんなところにたくさん出席されていますが、私のような考え方というのはどうなんでしょうか、知事の考え方を一つだけ伺いたいと思います。

〇知事(増田寛也君) 今、合併特例債についてお話があって、これは心配な面は私もあると思います、借金ですから。これは使い方もよく考えなければいけないもので、恐らく国側の考え方とすれば、平成のこの大合併の一番大きな特色は、あくまでも自主的な合併ということになっていますから、そういうことからすると国が100%面倒を見るのではなくて、こういった交付税だの特例措置がかさ上げであるということがせいぜいだと、多分こういう言い方なんだろうと思うんですが、確かに自主的合併で市町村がみずから望んで選択をしたということになっていますので、それもあながち退けるわけにいきませんし、現実に今の国の財政状況を見ますと、国が全部何かで手当てをするとなると、必ず一方でしわ寄せを食らうところがあって、ですから、そういうことから考えると、今のこの制度はこの制度として、やはり使い方を市町村の方でよく考えて、今までの積み残しでどうしても解決できないものを、この際に合併特例債を上手に活用して解決しようと、これはいい使い方につながる可能性もあると思うんですが、ただただ箱物をあちこちにばらまくような使い方をすると、余計、借金を背負う大変危険な状況になってきますので、私どもも、建設計画というのは市町村の方でいろいろお考えになって、住民との間であるいは合併する市町村同士の中で真摯な議論の中で決まってくるものでありますが、安易に合併特例債を多用して将来に借金を多く残すようなことがないように、ここは市町村の皆さん方にもよく活用方法についてアドバイスをして、使うのであれば有効に、本当に将来、地域の役に立つような形で使うようにしていきたいと、こういうふうに考えております。

〇議長(藤原良信君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時14分 散 会


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