平成15年9月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇5番(関根敏伸君) 自由・県民会議の関根敏伸でございます。
 初めての一般質問であります。一部の議員と重複する部分もあろうかと思いますが、精いっぱい質問をさせていただきますのでよろしくお願いをいたします。
 さて、県内外ともに大変多難な時代に平成15年度3期目の増田県政がスタートを切りましてから半年が経過しようとしております。私は、今後4年間の県政運営を開始するに当たり、知事の目指します県政の方向性を伺うことから質問を開始したいと思います。
 知事は、6月議会で次のように述べておられます。
 私は、これまで8年間取り組んできた政策につきましても、全く新しい視点でこれを見詰め直し、その結果、改めるものは大胆にこれを改めるなど、これからの岩手を、経済的にも精神的にも自立する非常に強固な自治体としていくため、全身全霊でこれに取り組む決意であります。
 これは今までの2期8年間の県政運営の方向性から大きくかじを切りかえた発言と理解いたしますが、全く新しい視点で県政運営を開始するに至る過去の検証はできていないのではないかと思われます。3期目のスタートに当たり、140万人県民のトップリーダーとして、是が非とも今までの県政の検証、それに対する真摯な評価、新しい視点による県政の方向性とこれからの岩手の未来像を、いわゆるPDCAサイクルに基づき明確に県民並びに実務を担う職員に示す義務があると思うのですが、いかがでしょうか。
 また、全く新しい視点とはどういう視点なのか、精神的自立とは何を示しているのか 、今年度の政策で具体的な形でどのようにあらわれているのかを改めてお示しください。さらに、経済的自立がどのような裏づけに基づくものなのか、我が県の財政状況の中で経済的自立への見解と見通しについてお尋ねをいたします。
 さて、8月18日新聞発表の7、000人による県民意識調査によりますと、3年前の調査と比較し、生活に満足している人の割合が12ポイント低下、逆に不満を感じている人の割合が大きく増加し、約4割の人々が現在の生活に不満を感じていることがわかります。満足度の低い項目は、労働並び雇用関連のものが列挙され、同時に、農林漁業や医療、福祉、健康分野における人材づくり、及び安全・安心の分野に対する重点的な県民要望の傾向があらわれております。県では、今回のこの結果を踏まえ、今年度に推進予定の41の政策プロジェクトの妥当性を含めた、再度の見直しをするお考えはございませんでしょうか。採択にならなかった企画の復活の可能性、緊急性等の見地から、見直すべきプロジェクトについてはいかがでしょうか。また、200億円捻出のため、従来事業の30%をスクラップする根拠はどこから来ているのか、この変化の激しい社会情勢の中で今後変化し得るものなのか、金額の絶対額は妥当であるのか、あわせてお聞かせください。
 そして最後になりますが、再三指摘されておりますように、なぜこの時期に唐突に財政悪化を叫び出したのか。危機的な県の財政状況を改善するための大きな手術が、県民及び経済に与える影響をどの程度に試算しているのか、何らかのケアを準備されているのか、お聞きをいたします。
 さらに、事前にわかっていながら発表の時期をずらしたのは、知事の極めて個人的かつ政治的な理由によるものではないのか。それにより、しかるべき処置を先延ばしし、岩手県株式会社に大きな打撃を与えたのは未必の故意であり、県並びに県民に対する背任行為には当たらないのか。そして病的で不健全な財政体質を招きながら、逆に顧客である岩手県民の顧客満足度を大きく落としてしまったという紛れもない事実に対し、最高責任者としての知事の経営責任論についてはどうお考えなのか、明確な御答弁をお願いいたします。
 では、引き続き部門別、政策別の質問に移らせていただきます。
 7月の県内の有効求人倍率は、関係部局の御努力もあり、好転の兆しを見せております。しかしながら、3万4、000人の求職者に対し約半数の供給しかできていない状況では、1万6、000人の人々が毎日の暮らしに大きな不安を抱えたまま生活していることになります。また、1年以上の長期完全失業者の増大、570万人とも言われる半ばあきらめもあって、積極的な活動をしていない潜在的な求職者の存在などを考えますと、現況は大変厳しいものと言えます。私は何としても、知事公約の4年間で3万600人、今年度7、800人の具体的雇用目標を達成していただきたく、具体的項目ごとに質問をさせていただくものであります。
 まず、新産業、新事業分野で目標に掲げます2、400人の雇用実現への取り組みについてお伺いをいたします。
 地域に新しい産業が生まれ、雇用と経済が好循環のサイクルを描いていくことにこしたことはありませんが、現状を考えるとき、かなり厳しい視点のもとでの取り組みが必要かと考えます。労働経済白書によると、国内の自営業者は昨年度540万人、10年間に20%減っており、かつ、起業の希望者及び実現率も減る傾向にあります。一方、期待される起業による雇用の創出率は数年前より減り続け、現在1.6%に下がっているのが現実であります。
 今の日本の産業界の低迷が、人件費を代表とする高コスト化による国際競争力の低下であることは、御承知のとおりであります。この現実を考えたとき、果たして起業が成功したとして、これが雇用に即結びつくというのは若干甘い認識とは言えないでしょうか。県では、ベンチャー企業、コミュニティービジネス関連、自動車関連などのものづくり産業で今年度600名の雇用目標を立てておられますが、この厳しい時代に、大きなリスクをおかして事業の立ち上げに手を挙げる勇気ある人材を輩出するためには、どのようにすればよいとお考えなのでしょうか。600名の雇用実現には、どの程度の企業を見込んでいるのでしょうか。また、会社を立ち上げた後の人材の採用にまで至るメニューは準備しているのでしょうか。現在、県の企画している補助金等でそれが実現でき得るとお考えでしょうか。
 以上、実現に向けた具体策と見通しについてお聞かせください。
 次に、産業の再生策に移ります。
 県内には、約6万8、000カ所の民間事業所がありますが、その大半は中小零細企業であり、かつ、そこに多くの雇用が存在しております。我が国は言うまでもありませんが、資本主義に基づく自由競争社会であります。この変革の激しい時代、かつ、消費者の多様な嗜好が極めて短期間に移り変わっていく熾烈な時代に、市場に支持をされず、消費者からその価値を認められなくなった企業や産業は、市場から撤退せざるを得ないのはいたし方ないところであります。しかしながら、伝統に基づく確かな技術を持った産業や人材、将来地域に大きな貢献をもたらすであろう産業や、経営者が今の急激な変革の時期を乗り越えることができず市場から消え去るのを黙って見過ごすことが、行政の正しい姿でありましょうか。今の国の経済政策は、アメリカ型の超市場主義経済を目指すものであり、秩序ある競争に基づく日本型資本主義とは異質なものと私は考えますが、いかがでしょうか。
 地方の時代とは言いながら、実体は一部超大手企業による寡占の状態、経済における中央集権の状況になることは間違いなく、中小零細中心の我が県の産業は壊滅的な影響を受けるに違いありません。
 以上の認識のもとに立ち、県の良識ある御判断のもと、産業再生、伝統的地場産業の育成による今年度400名の雇用実現に向けた具体的かつ実効性のある取り組み、中小企業再生協議会を用いた金融支援策等の具体的取り組みについてお聞かせください。
 また、さきの県税条例改正に伴う外形標準課税の導入で県内企業に与える影響をどうお考えか、また、将来対象となる資本金額の変更などで、地方により一層の混乱をもたらす可能性がないのかどうか、お考えをお聞かせください。
 引き続き、誘致企業関連に移ります。
 我が県における誘致企業は、事業数では12%にすぎませんが、雇用者数で4万9、000人、工業出荷高では1兆4、800億円、全体の60%を占めるまことに大きな存在であります。しかし、平成13年度、誘致実績は10社で、逆に撤退する企業が24社を数えるなど、かつての実績と比較したとき大変厳しい状態が続いております。この環境の中で、460名の誘致企業での雇用数実現のための具体策についてお聞きいたします。
 三重県では、各自治体と熾烈な誘致合戦を繰り広げながら、最終的に90億円の予算を使い優良企業の招致に成功、さらに関連する多くの企業誘致が期待できる好例をつくり上げておりますが、県では、この三重県の事例をどのように評価しておられますでしょうか。当局は当時、この企業に関する情報はつかんでおられたのでしょうか。また、具体的な働きかけはされなかったのでしょうか。さらに、県の今年度の誘致企業招致に向けた予算はいかほどでしょうか。仮に、今後このような例が実現性を帯びた際には、大がかりな補正を組んで誘致に積極的に乗り出すお気持ちはおありでしょうか。まず、以上の点をお聞きいたします。
 また、誘致企業の地元企業への取引割合は現在約40%、取引高で約720億円と推測しておりますが、仮にこの取引割合を10%高めることができれば、地域経済への影響は80億円以上となり、まことに大きなものと言えます。誘致における思い切った優遇措置と県内企業への取引関係の強化をワンセットでパッケージした地元企業育成の視点に立った商品化が必要と考えますが、いかがでしょうか。具体的なお考えと現状の取組状況をお示しください。
 最後に、県知事部局の超過勤務手当の実績が、ここ二、三年、22億円から23億円の間で推移し、減る気配は見せておりませんが、この大きな金額を財源としたワークシェアリングについてはどのようなお考えを持っておられますでしょうか。年収400万円の人材であれば、600名の新しい雇用が生まれると試算できますが、一部部署の業務のアウトソーシング、人材派遣の受け入れなどの具体的な可能性につきお聞かせください。
 超過勤務手当は、人件費の中でもよりコストの高い人件費であります。行政のコストダウンと民間雇用の創出が両立できると考えます。積極的なお取り組みをお願いいたします。
 雇用を一時的に税金で支えていくことには限界があります。根本的には、現在の地方の経済状況並びに中小零細事業者の体力の十分な調査と把握、歴然と存在する官民の賃金格差の実態とその正確な認識、そしてこれらの実情と現在の労働行政との整合性、以上を十二分に認識し得なければ解決し得ないものと強く訴え、雇用関連の質問を終わらせていただきます。
 続きまして、教育問題の分野につき質問をいたします。
 私は、岩手が全国に誇り得る資源の最も大きなものに、県民性を挙げたいと考えるものであります。実直で素直な人間性、努力を継続する勤勉性、他人や公共の立場を思いやることのできる倫理観や道徳性など、これらはかつて多くの日本人が持っていた国民性であり、かつ、今多くの日本人が失いつつある重要な個性であると思います。私は、これらの観点に立った岩手独自の教育行政を推進し、岩手から多くの人材を全国に向けて輸出してほしいと強く思うものでありますが、この教育上の観点についてはどのようにお考えでしょうか。県の考える人材づくりはどのような方向を目指しているのか、まずお聞きをいたします。
 次に、教育の現状に対する県の認識についてお尋ねいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 最近の国の教育行政の方向性が大きな振幅の中で揺れ動いていることは御承知のとおりであります。殊に、学校週5日制の実施後の動きにつきましては、それが顕著であります。私も、昨日佐々木博議員が御指摘されましたように、学習面を初めとするいろいろな分野で、至急ゆとり学習の検証が必要と考えるものであります。あわせて、検証後のデータを公表することにより、県民全体で制度の是非を考えていくことが何よりも大事であろうと思います。教育制度は、子供たちの可能性をいかにして引き出すかを前提に考えるべきであります。5日制の実施が仮に子供たちの可能性を狭める結果になったり、また、その検証を怠り有効な対応策がおくれ、結果として岩手が教育の後進県とならないことを強く望むものであります。
 関連して、子供たちの勤労観、就業意識について質問をいたします。
 私は、生きる力とは、端的に、社会に出て仕事を通じ、人間形成を図りながら経済的に自立でき得る力と理解しておりますが、若者たちの勤労観が欠如しているとすれば、現在の教育制度では生きる力を身につけてやることができていない、機能不全に陥っているとは言えませんでしょうか。
 平成12年、高校卒業後、1年間のうちに離職した若者の割合は全国で26.3%であります。現在の雇用環境、就業形態の変化などから、約3人に1人が1年以内に離職しているわけですが、残念なことに、岩手平均はこれを上回り28.4%となっております。前年の調べでも、全国平均を3.2ポイントも上回る現実が示されております。粘り強さが特徴とされる岩手県人の特性は、どこに行ってしまったのでありましょうか。産業界における岩手の人材に対する評価にどのような影響が出てくるとお考えでしょうか。この結果を教育界だけの責任と考えるものではありませんが、率直な感想をお聞かせください。そして、現実を改善するため関係部局とも連携した施策につきまして、具体的にお示しをいただきたくお願いいたします。
 引き続き、民間校長の登用についてお伺いをいたします。
 民間校長には全国から多数の応募があり、予想以上の反響と聞いておりますが、ぜひとも成功していただきたくお願いをするものであります。まず、採用基準をどこに置かれるのか。民間校長に何を期待し、具体的にどのような権限を付与されるのか。赴任する学校はどのような基準で決定するのか。小・中ではなく高校で試みる理由は何なのか。順次お聞かせください。
 また、数名の犠牲者を出した広島県での事例につきましては、十二分に御承知のこととは思いますが、やはり広島県での事例の背景を無視するわけにはいかないと思います。県の原因に対する認識と、それを踏まえての対応策をお聞きいたします。
 引き続き伺います。県内の私立高校では、このたび全国に先駆けてISOを取得、明確な進路指導方針、目標進学者数、生活指導方針などを具体的に数値化することにより、大幅な受験者数アップに結びつけたようでありますが、公立校として見習う点は大いにあるのではないでしょうか。来年度から普通高校の学区が変更される予定と聞いております。これは生徒や保護者にとって選べる学校の範囲が広がったことであり、学校側からすれば、今までの横並び傾向から選択される立場になることを意味するものと言えます。小・中の義務教育課程はともかく、高校にあっては、公立校といえども生徒や保護者を顧客としてとらえた視点が強く求められると思いますが、この例に倣った公立校での指導方針の明確化、数値化につき当局の見解をお聞かせください。
 また、生徒にとって、先生という人材、教科書、テキストといった商品、そして授業方法といったサービス、これらの分野に大胆な競争原理を導入し、磨き高め合うことは決して悪いことではないと考えますが、株式会社の教育参入、教育バウチャー制など民間活力導入の是非を踏まえた当局のお考えをお聞きいたします。
 最後になりますが、教師の不祥事問題に関して1点だけお伺いいたします。
 基本的人間性の欠落した教師には、教育界として県民が納得し得る断固とした強い姿勢を打ち出すことはもちろんですが、一方、熱意ある教師たちのやる気を萎縮させるようなことがあっては逆効果であると思うのですが、これを両立させる観点から当局の取り組みの基本方針をお示しください。
 公共事業関連の質問に移ります。
 財政改善化の流れの中での事業費30%削減は再三言われているとおりでありますが、単なる事業費カットだけでは県及び知事の行政責任は果たせないものと考えます。少ない投資額でいかに早く必要な社会資本を整備するか、そのための具体策と目標数値をあわせて示す必要があろうかと思います。全国の都道府県別落札状況調べによりますと、岩手県の平均落札率は93.77%で、全国平均の95.28%を下回る数字となっております。決して高い数字ではありませんが、全国1位である宮城県の86.77%並みの落札率であった場合、財源の節約可能額は29億円と試算されており、新たに必要とされる事業への大きな財源が確保できることになります。県では受注希望型指名競争入札を導入する予定であると聞いておりますが、この制度改革によりどの程度の落札率を目標としているのでしょうか。また、その際予想し得る財源の節約可能額についてもお示しください。
 次に、県で掲げる事業の選択と集中についてお伺いいたします。
 限られた予算の効果的な運用を考えたとき、資源の集中投資による目的とする事業の一日でも早い実現化は当然のことであります。そこで、お聞きいたしますが、事業選択の際の新規事業採択か継続事業採択かの基準はどこに置かれているのか。継続事業に予算を集中し、一つずつ社会資本を押し上げ期待される住民ニーズをかなえる方が地域に与える影響、住民満足が大きいのではないでしょうか。事業の集中化、スピード化実現のための県の明確な判断基準と方策をぜひお示しください。
 治安対策に対する質問に移ります。
 戦後最高の刑法犯罪発生と世界最低レベルの検挙率を受けて、国では犯罪対策閣僚会議を開き具体的な治安回復に向けた準備を進めております。比較的治安の良好な我が県におきましては、検挙率が28.4%と高いものの、刑法犯罪数は1万5、000件を超え年々増加傾向を見せ、決してこのことが一部の大都市圏の問題とは言えなくなっております。今年度、県の当初予算の警察関連予算は304億円、総支出に占める割合は3.7%であります。その割合が十四、五%を占める東京や神奈川とは単純に比較はできないものの、総予算額で380億円、支出に占める割合が4.8%の東北6県の平均と比較してみても少ない予算と言わざるを得ません。治安にはコストがかかるのが現在の常識でありますが、いかがでしょうか。
 また、現状では警察官1人当たりへの負担がかなり大きくならざるを得ないと考えるものであります。警察官1人当たりの住民数との全国比較などを絡め、県の予算総額、予算割合への認識をお聞かせください。
 次に、雇用対策とも絡め人員増への具体的な方向性につきお伺いをいたします。
 県内の一部地域の住民調査によりますと、自分の住んでいる地域の安全に不安を覚える人の割合が6割以上にも及び、警察、ボランティアなどによる定期的な巡回の実施、少年補導活動の強化などが具体的要望事項として掲げられております。犯罪に対する検挙活動もさることながら、犯罪を未然に防ぐことが、最終的なコストの面からもより有効な方策かと考えます。現在の県の緊急雇用対策を受けて、地域パトロール等への臨時雇用の実現、民間委託の実現などにつきまして早急に検討を加えるべきと考えますがいかがでしょうか。
 さらに、刑事事件と民事事件が複雑に交錯し合う事案が多発し、警察窓口への住民依存が高まっている実態を踏まえ、警察OBの臨時配置などによる窓口相談の拡充なども必要と考えますが、現状はどうなっているでしょうか。
 さらに、警察庁が打ち出した地方警察官1万人増員計画に対応した県の具体的な動きは出ているのでしょうか。
 以上につきお聞かせください。
 次に、少年犯罪の未然防止と青少年健全育成の見地から、警察行政と教育行政との連携について伺います。
 プライバシーの保護など慎重に配慮すべき点もあろうかと思いますが、子供たちの補導情報を警察が学校に通知する動きを制度化する自治体が出ております。通知情報がいたずらにほかに漏れないような施策など検討を加える必要は当然でありますが、何よりも犯罪による被害者をなくす、学校と警察の情報の共有によって犯罪予備軍の芽を摘むという見地から、大いに検討していく余地があろうと考えますがいかがでしょうか。教育行政と警察行政の情報及び人事面での密接な連携の方向性と可能性につき県の所見をお伺いいたします。
 あわせて、学校の地域への開放の動きの中で、学校の安全対策を同時に検討していく必要もあろうかと思います。開かれた学校とあわせて、学校の安全性確保の方向性に対する県のお考えと取組状況をお聞かせください。
 ニューヨークや札幌では地下鉄の落書き、駐車違反、信号無視などの軽微な違反を徹底して取り締まるという割れ窓理論を実践し、現実に重大犯罪を約半分に減少させております。教育による大人を含めた規範意識の向上策とともに、小さな犯罪の芽を地域一体となって摘んでいくための体制づくりが、県警の掲げる治安日本一の実現に結びつくものと考えます。前向きな対応をお願いするものであります。
 最後になりますが、県職員の採用、人事及び組織のあり方について質問をいたします。
 現在の世の中はドッグイヤーと言われるように変化のスピードが目まぐるしい時代になっております。県民の行政に対するニーズが短期間の間にどんどん変化してくる可能性がありますし、現在の組織間に複雑にまたがる事案や、今までは考えられなかった分野に住民要望が集中してくることも十分考えられるわけであります。140万県民のために2万7、000人のスタッフを適材適所に、かつ最もニーズの高いところにタイムリーに配置でき得るかどうかは非常に大きな行政手腕だと考えます。このような傾向がますます加速する中にあって、組織が迅速かつ柔軟に対応でき得るために組織に縛られない横断的な採用形態、人事形態が必要と考えますがいかがでしょうか。知事部局、教育委員会、警察本部、医療局、企業局、これらの組織や専門性を超えた総合的な採用枠の必要性と実現可能性についてお聞かせください。
 さらに、社会経験を積み、広い見聞を備えた優秀な人材を中途採用していくことは、殊に人間を育てていく教育などの分野でその必要性が増してくると考えますがどうでしょう。県では今年度9名ほどの民間職務経験者の採用を予定しておりますが、その配置計画と今後の増員の方向性についてお伺いをいたします。
 最後に、長野県で実施している予算ゼロプロジェクトを参考にお伺いをいたします。
 これは本来の職務とは別に、職員がみずからプラスアルファの仕事を見つけ、労働生産性を高めていこうという財源ゼロの極めて有効な事業であります。県外出張時の観光PR事業、研修を兼ねた有害植物駆除事業、道路愛護活動の一環として行う歩道除雪事業など50以上に及び、職員の知恵と汗により実現でき得るものばかりであります。県としてこのような事例の取組状況についてはいかがなっているのでしょうか。積極的な取り組みが必要と考えますがいかがでしょうか。お考えをお聞かせください。
 組織が仕事とは無縁に自己増殖をしたり、あるいはお金は入っただけ出ていくといった一部の行政組織特有の法則が、我が岩手県では無縁でありますことを心から祈り、質問を終えるものであります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 関根敏伸議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、私が目指す県政運営の方向性と、それから2期8年の検証ということでございまして、これは昨日来、何人かの議員からも御質問ございましたので多少重複するところがございますけれども、私の方でもかいつまんで申し上げたいと思います。
 まず、この2期8年ですけれども、一番主眼を置いておりましたのは、情報公開ですとか地方振興局の権限強化、あるいは市町村への大幅な権限移譲、それから統合補助金の創設ということで、いわばすべて住民に身近な現場や市町村で、できるだけ住民の意向に沿ったような形で、しかもなおかつ、その場での責任において行政が展開できるようにしていくという体制づくり、仕組みづくりと、それから県立大学や試験研究機関などさまざまな、いわゆる広い意味での社会資本の整備を行ってきたわけですが、そうしたものをこの2期8年間で特に進めてまいりまして、そのことによって全体的に県としての地域の自立力を高めていくということに努めてきたわけであります。
 一方で、10年間国が公共事業を中心とした景気対策を行ってきた。そのことに本県もずっとつき合ってまいりました。そういうことが財政の疲弊を招いたと。あと一方で、県税収入、これは広く言うと国税収入ですが、それや地方交付税の交付額が大変大きく落ち込んでいるといったようなこともあって、県財政が非常に疲弊をしてきていると。しかし、その中でやるべきこと、将来これからやっていくべきこと、今疲弊している産業を立て直していくということや、あるいは先ほども御質問ありましたが、環境首都づくりにこれからもなお力を入れていくということがあるので、そういうことにも大きな財政投資もやはり伴う、行っていく必要があるということがございます。
 そうしたことがあって例の行財政構造改革プログラムの策定ということにつながっていくわけでありますが、そういうためにも今申し上げましたようなこの2期8年の検証と、それから今後の県政運営の方向性についてはっきりと県民や職員に対して説明をすべしと、理解と納得が得られるようにしていくと、これは御指摘のとおりでございますので、これからもそうした今までのやってきたことの検証と、それから今後の方向性、特にその中ではどういったところが痛みとして生ずる可能性があるのか、それをどういうふうにケアをしていくのかということは、十分に皆様方の御理解を得るように努めていきたいと考えております。
 こうしたことをことしの6月の議会の知事演述でいろいろ述べたわけでありますが、その中で全く新しい視点ということを言っております。この点についてお尋ねがございましたが、これはいわゆるお役所の発想と言われたり、あるいは県庁ルールとか言われておりますが、そうしたものにとらわれない、そういった枠からはみ出たことも含めて、全く新しい視点を我々は持つべきだということでこの言葉を使っております。それから、精神的自立ということをその中で言っておりますが、これは今まで10年間、特に公共事業などをやってきた際に、やはり金を持っている中央省庁に財布を握られていることもあって、中央依存、中央志向という傾向が一層強まった気がいたします。そういうことではなくて、みずからの判断と責任において物事に取り組むということが大変大事であって、そういう意味で精神的にも我々自身がしっかりと強くなっていく必要があるということで、これを申し上げているところでございます。
 それを具体的な例というのはどういうことがあるかということですが、全く新しい視点ということは、一切の聖域を設けずにゼロベースでこれまでの事務事業を徹底的に洗い直すということであり、また、多くのことについて、例えばNPOの皆さん方が事業を実施することがより適切であるというものについては、そういったところに事業をしていただくですとか、従来とは違った考え方をより持ち込んでいきたいと思います。
 それから、精神的自立ということですが、これは中央省庁向けの姿勢を改めて県民重視ということで、そうすると県民から施策の充実が今一番求められている分野に重点的に取り組むということで、産業の活性化や雇用対策といったようなところに、より重点を移していくという政策転換が必要になってくるものと考えているところでございます。
 それから、経済的自立を達成するための裏づけになるのは、これは何といいましても産業基盤を確立していくということであって、緊急の課題としてはやはり雇用の場を確保するということでありますが、これは短期的なもの、それから中長期的に考えるもの、戦略的には二つございますので、緊急の雇用対策、これは直接官が雇用をしていくという部分も含めた対策をとることは当然でありますが、やはり経済的な自立を高めるためには、より長期を見通した産業基盤を確立していくということが大事でございますので、そのことに今後も努めていきたいと考えております。
 それから、ことしの8月に県民意識調査結果を発表いたしたわけでありますが、それと平成12年のいわゆる3年前のものとの違いにお尋ねがございました。これは、今回のものについては、地域産業の振興や労働環境に関する項目で、より満足度が低くなっているという結果があらわれております。それから、就職難、リストラ、老後の生活など将来への不安の声も多く届けられております。したがって、この両者の調査結果を比較して言えることは、経済、雇用情勢がより厳しい状況で実施されていますので、長引く不況のもとで地域経済の停滞や雇用環境の悪化、さらには、医療、年金問題など、県民の皆さん方の将来の不安がこうした結果に反映されたものと受けとめているところでございまして、ここの部分を行政として最重点課題で取り組んでいく必要があると考えております。
 そのために、予算的にも今年度政策形成プロジェクトを6月の補正予算のときに多く採用したわけですが、それについて今後見直しなど、あるいは復活の可能性があるのかということでございますが、特に雇用、それから産業振興を中心に多くの政策課題をプロジェクト化して6月の補正予算に盛り込んだものでございます。その後、今回の9月の段階で見直しを行ったものもその中にはございます。
 例えば、緊急性によりまして三陸南地震でNTT回線に通信規制がかかったものですから、災害に強い安全安心の県土づくりプロジェクトで、可搬型の衛星電話を早急に配備する必要があるということで、プロジェクトの内容を見直ししてその方向に切りかえていったというものもございます。それから、採用したプロジェクトで内容の充実を図っているもの、若年者就業支援総合プロジェクトでは、いわゆるジョブカフェのような若年者就職支援センターの設置を今議会でお願いしていますが、そういうようにさらに内容を充実させる必要が感じられまして、今議会でその内容を補ったものがございます。
 それから、新たに新規で追加したものもございまして、これも中小企業再生支援プロジェクトということで、既存の中小企業者に対して必要な資金の供給のための保証を行うということで、これは中小企業再生支援協議会の支援を受けて再生しようとする中小企業者というそういう範疇でございますが、そうしたことで新規に追加したものもございます。これからも日々経済情勢等が変わっておりますので、そういう情勢に的確に対応していけるように、プロジェクトの見直しですとか新規の追加等については柔軟に対応していきたいと考えております。
 こういった政策形成プロジェクトを行っていくために200億円ほど4年間で捻出をして、そしてそのためには既存の事業を30%スクラップするということで財源を調達しているわけでございますが、その根拠を問われているわけですけれども、まずこの計算式は主要経費の一般財源ベースから投資的経費や基礎的経費を除いた額を対象として30%スクラップということにしてあります。これは一言で言うと各部局での実現可能性というのを、今までの経験則も踏まえて総合的に見た結果30%という数字を割り出したところで、従来はこうした場合に最大15%までのスクラップで何とか財源を捻出するということを行ってまいりましたが、今回はそういったことの中でより選択と集中を徹底すると、思い切って官がやるべきでないものはスクラップをするという姿勢で臨んでおりますので、全く実現不可能な数値を掲げるのも現実的ではございませんので、従来、最大では15%のスクラップまで行ってございますが、その倍までは何とかして努力をしたいということで、30%のスクラップとしたところでございます。
 その結果として、おおむね毎年度50億円、4年間で200億円ほどの財源が生み出されるというような見通しでございますけれども、それを財源として、今年度15年度50億円の政策形成プロジェクトに取り組んだものでございまして、これで当面財源手当てとして行われるものは、もうぎりぎりその程度だと思っていますので、あとは内容の充実を図って、200億円という貴重な金でございますので、よりそれが有効に使えるようにその内容の精査をして、そして大事に、また効果的に使っていきたいと考えておるところでございます。
 いずれにしても、こうしたことについては県民への影響が多々予想されますし、それについてのケアも当然必要になるだろう。これは国全体としても今大きな構造改革に取り組んでおりますので、そうしたこととふくそうしてさまざまな分野で県民の生活に影響が出てくるので、年金改革などについては、これはもう国ベースの話でございますから県レベルでどうのこうのというよりも、むしろそうしたことを国民的議論の中で解決していくとか、そういった努力が必要だろうと思いますが、特に県レベルでは一番大きな影響が懸念されるのは公共事業費を30%ほど削って、そして過熱した、景気対策で非常に急速に事業を進めていった事業量を一たん落として、それ以前の段階の、通常岩手県が取り組んでいた事業量に今戻すということをやっているわけでありますので、この影響が懸念をされるわけでございます。そのことを申し上げますと、我々の方で試算した資料で、公共事業費の30%削減で本県経済の影響が大体投資削減額が500億円ちょっとでございますので、それを産業連関表で計算をすると約1.66倍の波及効果が見込まれて、全体として県内生産額の減少は838億円ほどになる。これは6月の議会でも申し上げましたが、県民経済計算の中では平成12年度の県内産出額のおおよそ1%弱、0.95%ですが、そこの額に相当すると、こういう影響が生ずるのではないかと見込まれるわけでございます。
 こうしたこともあって、公共事業というのがやはり景気対策の一番の大きな道具であるということ、この事実自体は否めませんので、このことについて早急なケアが必要であるということで、特に建設業、雇用吸収力も大変大きい業界でありますが、そこの構造改革を促進するために入札制度の改善ですとか、不良適格業者の排除をしたり、あるいは環境、情報化へ対応するといったようなことで、この額の削減のみならず、今申し上げましたような三つのことも含めた建設業振興緊急アクションプログラムをつくってこれを実施していく。それから、建設業協会の方で経営支援センターを設置してありますので、ここに助成を行って、そして新分野、新市場開拓などに取り組む企業への支援を積極的に行うといったようなことで、少しでもそこの影響を減少させたいということで考えております。また、今議会で建設業の農林業への参入を構造改革特区との関係で支援するような事業を議会に予算計上してございますが、こうしたこともこれからこの可能性を探っていくことも重要だと思っております。
 なお、市町村でもさまざまな自主的な事業を行っていますので、そうした事業への影響もやはり極力影響を排除する必要がございますので、市町村への総合的な助成制度、今現在、平成17年度までのということで市町村総合補助金制度がございますが、そうした支援方策をさらに講ずることによって、こうした県民や県経済への影響が極力少なくなるように努めていきたいと考えております。
 それから最後に、こうした財政悪化の発表の時期ですとか経営責任ということについて幾つかお尋ねがあったわけでございますが、この県財政の状況についてはこれまでも、そのとき、そのときでわかる内容について県議会の方に幾度となく御説明を申し上げてきたわけでございますが、例えば昨年の12月議会では、本県の財政状況、歳入確保が大変厳しいということが見込まれておりましたので、県税収入の大幅な落ち込みが予想される、それから多額の県債残高を抱えてきて全体的に硬直化をしてきているということを申し上げ、そして本年2月ではそのことをさらに具体的に、県税収入が2年連続で前年度を下回る、これは地方税法施行以来、初めての異常事態でございますので、そうしたことや、地方交付税、それから国庫支出金が大幅な減収となる。これは国の構造改革ということで国政からの影響ということになるわけですが、そうしたことで我々のつくっておりました中期財政見通しの想定を超える事態となったということを申し上げたわけでございます。
 そこで、新たな改革プログラムとそれに基づく中期財政見通し、こういうものをつくらなければいけないということを申し上げたわけで、それに沿って6月補正予算の編成過程でそうしたプログラムの見通しを明らかにした上で、6月の行財政構造改革プログラムの骨子の策定、公表というところに至ったものでございます。このプログラム、まだ骨子でございまして肉づけがなされていませんので、これから来月の策定に向けて今鋭意作業をしているわけでございますが、その過程で、あるいはその公表した後こういった内容について十分また理解を得るべく努めていきたいと考えているわけでございます。2年後には下手をすると財政再建団体に行き着くということで、これは今全国多くの都道府県すべてが同じような悩みに直面しているわけでございますが、ただ単にそうした財政のつじつまを合わせて、それを健全財政に向かわせるということだけではなくて、これからの時代の経済の育成ですとか、社会経済の動向に合ったような形で新しい行政ニーズが次々出てきていますので、そういったものを確実にこなせるような体質の強い行政体につくり変えていく。それは行政体だけではなくて、県自体もそういうことにつくり上げていくということ、これが喫緊の一番重要な課題でございまして、そのためには、多少国から交付税なり何なりが来なくても、今多くの自治体が右往左往しているわけですが、こんなことでもびくともしないような、やはり自前の産業をしっかりとつくり上げて、そしてそこからのもので行政がきちっとしたサービスを提供できるように、そこまでも目指した、そういう構造というものを築いていくことが大事でございます。経済的にも、そしてなお、そうすることになれば精神的にも自立した社会ということにつながるわけで、今、私に課せられた最大の使命というのは、健全財政に向かう道筋をつけると同時に、そこまでの自治体にこの4年間でこの岩手県をつくり変える、そして県自体を誇りある自治体にしていくことだと考えておりますので、そのために全力を尽くす、そのことが私の今最大の責任のとり方だと考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔商工労働観光部長小原富彦君登壇〕

〇商工労働観光部長(小原富彦君) まず、起業家の育成支援についてでありますが、独創的な技術やアイデアを持って新たな事業に果敢に挑戦する起業家を育成していくためには、起業に積極的に挑戦するいわゆる起業家マインドを醸成するとともに、大きなリスクを伴うことから、そのリスク軽減のために事業を立ち上げ面、あるいは資金面での支援などが必要であります。このため、起業家精神の涵養と創業ノウハウの習得を目的としたいわて起業家大学や大学院の開催、会社設立に当たって必要な知識の習得を目的とした創業講座の県内各地での開催、さらには、本年度から新たな取り組みといたしまして県内で起業を目指す優秀な技術人材を県内外から公募し、工業技術センターや関連機関が連携しながら起業化をフォローし、有望な技術系の起業家人材の創出を図るなどの取り組みを進めております。
 会社立ち上げに際しての支援については、新たに事業を開始しようとする場合に、いわて起業家育成資金など県単融資制度により資金面での支援を実施しており、また、事業の円滑な立ち上げを支援するため、安価な事業スペースの提供と個別相談に応じるいわゆるインキュベート支援を行っております。また、財団法人いわて産業振興センターにおいては、専門家派遣による個別指導も実施しております。これらの取り組みによりまして、平成15年度においては160社、300名の雇用創出を目指しているところであり、これに加えましてコミュニティービジネスの育成を通じて150名、ベンチャー企業の育成等を通じて150名、あわせて600名程度の雇用を見込んでいるところであります。
 今後とも、起業者のニーズを的確に把握し、必要に応じて現行の支援メニューの拡充を図りながら、新たな事業を起こそうとする意欲を持つ方々への支援を積極的に行い、県内経済の活性化と雇用の創出に努めてまいります。
 次に、産業再生、地場産業等の育成に向けた取り組みと雇用見込みについてでありますが、企業の新たな事業展開に際しましては、企業がみずからの強み、弱みを認識し、経営計画を策定した上で事業に取り組むことが効果的であります。このため、県においては、昨年度から県内7カ所の地域中小企業支援センターに配置したコーディネーターによりまして、企業の経営革新計画づくりや経営革新に向けた取り組みを強力にサポートしております。こうした企業の経営革新への一貫した支援を行うことにより、新たな事業展開を図り、これにより150人程度の雇用を見込んでいるところであります。
 また、商店街活性化への支援といたしまして、中心市街地から撤退した大型店を地元商業者が共同で取得し再整備を行う事業に支援し、具体的には宮古市の事例でございますが、これによりまして140人程度の雇用を見込んでおります。このほか、地場産業や観光産業の活性化の支援として、森林を活用した新ビジネスの創出や映画、ドラマ等のロケーション誘致などに取り組み、全体として400人の雇用を見込んでいるところであります。
 次に、中小企業再生支援協議会を通じた再生への取り組みについてでありますが、再生可能性があり、再生意欲を持ちながらも財務上の問題を抱えている中小企業者のため、岩手県中小企業再生支援協議会を設置し、再生計画の策定支援、相談等、きめ細かな中小企業再生の取り組みを支援しているところであります。
 5月7日設置以来、これまでの活動状況といたしまして、9月19日現在、先週末まで29事業、51件の相談受け付け実績となっておりまして、経営へのアドバイスを行う経営相談案件のほか、協議会が商工団体との連携、あるいは取引金融機関との調整を開始した案件も出始めているところであります。県といたしましても、独自の支援策として企業再生しようとする中小企業者のうち、中小企業再生支援協議会が支援する中小企業者の再生への実効性を確保するため、当該中小企業者への金融機関融資に係る信用保証に対しまして、県が一定の損失補償を行う中小企業再生支援損失補償を今議会に提案させていただいているところであります。
 次に、企業誘致に関して、まず、三重県の誘致事例についての評価でありますが、三重県の誘致事例はシャープ液晶工場の誘致に当たり、三重県が15年間で最大90億円を補助するというものであります。三重県経済の活性化に大きく寄与するということが期待されておりますが、この大きな優遇策のもたらす真の効果につきましては、将来にわたり長期的に見ていくことが必要と考えております。三重県では、従来から液晶関係部品や素材企業の集積が進んでおりまして、今回のシャープ液晶工場の誘致を支える産業基盤の素地が既にあったということから、国内競争においては圧倒的に有利な立場にあったというふうに聞いております。
 なお、当時、本県ではこれら液晶事業に関する情報を得ておりませんでしたけれども、シャープ、同社の半導体事業の関連で、具体的な折衝を行った経緯があったところであります。
 三重県と同様の事例への対応につきましては、地域経済への波及効果さらには本県財政の状況等、十分に検証しながら対応することが必要かというふうに考えます。
 今年度の企業誘致関係予算は、企業立地促進資金貸付金29億7、000万円余を含めまして、対前年度比13.7%減の約31億5、000万円となっておりますが、本県におきましては、国内で大規模立地が厳しい中、発光ダイオード基板の革命と言われます東京電波株式会社が開発した新しい技術、酸化亜鉛、ZnO単結晶製造、これを核といたしまして、産学官共同による実用化を目指した関連研究の推進や、さらに地元企業への技術移転を促進するプロジェクトを今年度からスタートさせまして、新たな産業創出と関連産業の集積を図ることとしております。こうした波及効果の大きい事業に誘致企業が取り組む場合には、これをフォローアップする施策も整えながら、今後とも優良企業の誘致を推進してまいりたいと考えております。
 それから、誘致企業への優遇策と地元企業への取引拡大についての御提言がございましたが、誘致企業の優遇策につきましては、投資に対する助成制度あるいは融資制度の充実強化、それから用地のリース制度の導入や割賦分譲など、今後とも企業ニーズに応じた魅力のある優遇策を講じていきたいというふうに考えております。
 また、誘致企業と地元企業との取引拡大につきましては、これまで受発注情報の紹介・あっせんや誘致企業と連結する地元企業の技術向上に努めておりますけれども、今年度から始めた自動車関連誘致企業と地元企業をつなぐ自動車関連産業創出推進事業、これなどによりまして御提言のありました誘致企業との結びつきによる地場企業の育成に努めてまいりたいと考えております。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) まず、外形標準課税の影響でございます。
 外形標準課税の対象となります資本金1億円超の県内本店法人及び県内法人、これは150社ございまして、税収の増減につきまして過去10年の実績をもとに試算をいたしましたところ、確定税額の過去10年の平均額は25億2、400万円余、外形標準課税導入後の推計税額は所得基準分が18億9、300万円余、新たな外形基準分が6億9、600万円余ということで、合計しますと25億8、900万円余、結果といたしまして6、400万円余、2.6%の増ということで、大きな影響はないものと見込んでいるところでございますが、円滑な施行に向けて努力をしているところでございます。
 この外形標準課税の導入につきましては、すべての法人が事業活動規模に応じて、薄く、広くかつ公平に地方公共団体の幅広い行政サービスの対価を負担するというものでありまして、応益課税としての事業税の性格を明確にいたしまして、地方分権を支える安定的な地方税源を保障するものとして、望ましい方向の改正と認識しているところでございます。
 今回の改正は、現下の景気の状況等を勘案いたしまして、資本金1億円超の法人を対象といたしまして、平成16年度から適用することといたしたものであります。適用前の現時点におきましては、国において対象となる資本金額の変更等、将来の方向性についての論議・検討は行われていないところでございますが、県といたしましては、今後の実施状況等を十分に見きわめることが何よりも重要と考えているところでございます。
 次に、超過勤務手当を財源としました雇用確保についてでございます。
 知事部局では、厳しい雇用情勢を踏まえまして、昨年度から未就労の若年者が県の業務遂行に参画することによりましてキャリアアップを図り、民間企業等への就職の促進に寄与するということを目的といたしました若年者就労支援事業というものを実施しております。14年度は1億2、000万円余の事業費で、延べ85人を任用いたしたところでございまして、その主な財源には超過勤務手当を充てたところでございます。15年度も現在85人を任用中でございます。この事業は、雇用対策の一環として実施しているものでありますが、結果的に職員の業務がシェアされているというふうに考えております。
 一方、行政の雇用自体をふやしていくことにつきましては、退職金、年金、全体では行政コストの増大につながりまして、ひいては住民の負担を増大させることとなると考えておりまして、現在検討を進めております行財政構造改革プログラムにおきましては、官民の役割分担を見直しまして、民間ができるものの廃止、そして民間への業務の委託、さらには官民協働化の推進によります施設運営の効率化、こういったものにも取り組むといたしておりまして、これら事務事業の抜本的な見直しによりまして民間の雇用機会の創出を図っていきたいというふうに考えております。
 次に、受注希望型指名競争入札制度についてであります。
 現在、導入を検討しております受注希望型指名競争入札、これは入札参加者の受注意欲を反映できる、より広域の入札案件に参加が可能となる、あるいは入札手続の透明化が高まるというような利点を有しておりまして、競争性、透明性及び公正性の観点から、現行の指名競争入札の改善を図ろうというものでございます。もとより、入札制度の改善の目的、これは社会経済情勢や建設市場の実態の変化に応じた競争環境の整備による県民への説明責任の向上というふうに考えておりまして、経費の節減の観点から導入するというものではございません。したがいまして、落札率低下に伴います財源の節減効果は、あくまでも企業間の競争の結果ととらえるべきでありまして、発注者があらかじめ目標値を設定することは適当ではないというふうに考えております。
 この入札制度につきましては、透明性を確保し、公正な競争の確保に努めるということが大原則でございます。また、県内業者でできる事業は県内業者へ発注するという地元優先発注ということも原則といたしておりまして、落札率の低下に伴い懸念をされます低入札の増加、あるいは採算性を度外視したような過度な安価受注、こういったものを的確に排除しながら、不断の改善に努めていきたいというふうに考えております。
 なお、受注希望型指名競争入札につきましては、現在建設業協会と低入札への対応、あるいは入札制度の今後のあり方等について詰めている段階でございまして、実施時期も含めて現在調整を行っておるところでございます。
 続きまして、総合的な職員採用についてでございます。
 職員の採用と配置に特定の資格を有します医療関係職員、学校教員そして特殊性の強い警察官等を、その他の一般行政職等と採用・異動形態を全く同様とするということは、現実的には困難ではないかというふうに考えております。しかしながら、これは特定の職を除きます一般行政職、その他の職種につきましては、これまでも岩手県といたしまして統一的に採用試験を行ってきておりまして、今年度からは従前の試験重視の採用方法に加えまして、ボランティアでありますとかNPO活動等の経験を有しているチャレンジ精神にあふれた意欲的な職員を採用するための新たな採用方法を実施するなどいたしまして、より優秀な人材を採用するための改善を行っているところでございます。
 採用時の配置先につきましても、一般行政職等の場合には任命権者ごとに行うのではなく、県として総合的に判断を行いまして、本人の意欲、適性及び能力などに基づき配置先を決定しているところでありまして、また、異動に当たりましても、組織横断的あるいは職種横断的な人事異動も積極的に行ってきたところでございますが、さらに今後、予算部門あるいは企画部門への技術職の起用など、これまで以上に事務職あるいは技術職にとらわれないような積極的な活用を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
 次に、民間経験者の採用でございます。
 民間経験者の採用につきましては、さまざまな経験、広い見識、高度な専門能力等を有しておりまして、即戦力となる優秀な人材を採用するという効果的な方法というふうに考えております。平成13年度から民間企業等の経験者のみを対象とした採用試験を行ってきておりまして、平成14年度は1人、15年度は3人というふうにそれぞれ採用を行っております。こうした職員につきましては、例えば金融機関出身者を融資あるいは資金管理部門に、民間の調査研究機関出身者を調査分析部門に配置するなど、民間企業経験で培った経験と能力を最も発揮でき、効果的に職務に反映させるような観点からの配置部署を決定してきているところでございます。
 民間企業経験者等の採用につきましては増員をしてきているところでありますし、また、職種についても今年度から、これまでの行政職に加えまして技術職の採用も予定をしておりまして、来年度以降についてもこれらの成果を踏まえながら対応してまいりたいというふうに考えております。
 それから次に、予算ゼロプロジェクトについてのお話がございました。県では、行政品質向上運動というものを通じまして日本経営品質賞の考え方を導入しておりまして、地域や社会から尊敬される存在となるための社会貢献への取り組みや県民への高い価値提供を行うため、あらゆるプロセスについて見直しを行いまして改善に取り組んでいるところでございます。県の場合、適正に定数管理を行ってきているわけでございまして、行政需要が拡大する中で職員の超過勤務も増大してきた経緯がございます。そのため、いかに業務プロセスを改善し、短時間・低コストで業務を処理するかということが重要であると考えまして、昨年、全課長級職員から、予算業務の効率化、組織運営の効率化に関する事項、さらには具体的な業務についての職員の創意工夫について業務プロセス革新提案というような形で192の提案をいただき、その実施に取り組んでいるところでございます。
 県としましては、知識や経験を持った職員につきまして、そのコストに見合った本来の業務をいかに合理的かつ効率的に行い、その結果として、全体のコスト削減を図ることが適切であるというような考え方で取り組んできたわけでございますが、厳しい財政状況の中で、いかにして行政の質を高め、効果を最大限にしていくかが重要な課題であるというふうに考えておりまして、本来の職務に合わせましてさまざまな創意工夫を行い、可能な限り、コストをかけずに行政効果を拡大していくことにも、今後取り組んでまいりたいというふうに考えております。
   〔県土整備部長猪股純君登壇〕

〇県土整備部長(猪股純君) 公共事業の事業採択の際の選択の基準についてでありますが、公共事業の実施に当たりましては、今後、限られた予算の中で投資効果を早期に発揮できるよう、継続箇所を重点的に整備し、住民が求める良質な社会資本を着実に提供していきたいというふうに考えております。
 また、新規地区の採択については、公共事業評価によって透明性、客観性の確保を図りながら、真に必要な箇所を厳選することとしております。このため、継続事業も含めまして事業の必要性、重要性、緊急性、効率性、熟度、この五つの客観的な基準に基づいて総合的に評価し、事業の重点化や厳選した採択を図っているところであり、その結果や基準そのものにつきましても、インターネットのホームページなどで公表しているところであります。
 今後とも、最小限の経費で最大限の効果が得られるよう、事業の一層の選択と集中を図ってまいりたいと考えております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 県の考える人材づくりの方向についてでありますが、これは、本県の持つ特性を生かした人づくりということかと存じます。本県は、これまでも学術、文化、芸術など、多彩な分野で全国や世界を先導する幾多の人材をはぐくんでまいりました。このことは県民の大きな誇りでもありますし、また、本県にとっての貴重な財産であると考えております。また、本県は、多様で豊かな、時には厳しい自然でありますが、このような豊かな自然、先人が築いてきた歴史の中で培われてきた進取の気性や粘り強く温かい県民性とともに、人づくりを大切にしてきた土壌を持っております。
 こうしたことから、本県の今後の教育行政の推進に当たりましても、こうした財産や特性を最大限に生かしながら、子供たち一人一人が学びの世界を開き、心豊かでたくましい人に育つように、日ごろの学校における教育活動や地域における自然体験の積み重ねを通じまして、確かな学力はもとより、他者への思いやりや豊かな心をはぐくみ、さらには情報化や国際化にも対応できるような、そういう能力を備えた人材を引き続き育ててまいりたいと考えております。
 学校週5日制についてでありますが、県教育委員会はもとより、教育関係団体も含め、この完全学校週5日制実施後の児童生徒の生活実態や保護者の意識等について調査を行ってきております。これらの結果によりますと、家族との会話や趣味の時間の増大など、家庭や地域における生活面でのゆとりを評価する一方で、学力低下や生活の乱れなどを心配する声もあります。新しい制度に対する戸惑いでありますとか、不安が見受けられます。このため、学校における教育課程、それから指導の充実工夫等を図るとともに、市町村等の協力を得ながら、地域あるいは家庭における体験活動の場の拡充やきめ細かな活動情報の提供に努めているところであります。また、学習面につきましても、今年度、学習定着度状況調査を拡大して実施することにいたしております。
 こういう状況下がありますので、今後におきましても、こうした調査を通じまして実態を把握し、検証しながら学校週5日制の理念が早期に、かつ、着実に定着するように努力していくことにしております。
 次に、学習定着度状況調査につきましてでございますが、各学校において児童生徒の学習定着状況を的確に把握し、その後の指導の改善につなげることにより、児童生徒一人一人に基礎・基本を確実に身につけさせること、また、児童生徒の学習状況について、県民に説明することをねらいとして実施するものであります。調査実施後は、県教育委員会におきまして、その結果を踏まえて効果的な指導例を紹介した事後指導の手引きを配布するとともに、各学校に対しては個々の児童生徒の状況を的確に把握してもらい、定着が不十分な点については繰り返し指導を行うなど、本調査の一層の活用について指導をしていきたいと考えております。また、県民に対しましては、広く調査結果について、例えば各教科、領域ごとの平均正答率や傾向分析等の成果を公表する予定にいたしております。
 次に、高校卒業後1年間の離職者についてでありますが、早期離職の原因としては、少子化の影響などによりまして地元への就職希望、いわゆる地元志向が強まる一方で、県内の高卒者に対する有効求人倍率が著しく低調に推移しております。このため、雇用のミスマッチが増加しているのではないかと考えております。また、ミスマッチを生む要因には、高等学校卒業者の職業観であるとか勤労観の未熟さも指摘されております。生徒に対するキャリア教育推進が求められているところであります。こうした状況を受けて、種々対策を講じているわけでありますが、今後とも関係機関との連携を強化しまして、県内企業に対して高校生の雇用の場の確保、拡大を要請していくとともに、インターンシップや社会人を招いた講座等を実施することにより、望ましい職業観・勤労観を育成し、進路指導の一層の充実を図っていきたいと考えております。
 次に、民間人校長についてでありますが、まず採用基準、教育に対する理念、識見等、あるいは学校経営者としての必要な企画力、経営能力等を総合的に判断することにしております。
 民間人校長に期待することといたしまして、民間でのことを生かした組織的、機動的な学校運営と学校職員の意識改革により、特色のある開かれた学校づくりを一層推進することなどを期待しているものであります。
 なお、権限につきましては、他の校長と同様に学校運営に当たっていただくということになります。
 それから、赴任する学校についてでありますが、採用者の経歴、それから適性等を総合的に見まして配置を考えたいと、こう考えております。
 なぜ高校かについてでありますが、民間企業で培った経営感覚や柔軟な発想、顧客ニーズの把握や渉外能力などは、現在の生徒の能力、適性、興味あるいは進路希望など大変多様化しておりますこういう高等学校の状況に、より生かされるものと期待しております。
 広島県の事例と対応策につきましては、広島県の報告によりますと、校長の思いと学校の現実の間にずれがあったことなどが要因ということで挙げられております。本県におきましては、このようなずれを未然に防止するために、事前の十分な研修体制であるとかあるいはサポート体制の整備などの環境づくりを検討していきたいと考えております。
 次に、公立高校における指導方針の明確化についてでありますが、多様化する児童生徒や保護者等のニーズに即応した教育が展開できるようにするため、各学校がその実態に応じて教育指導を含む経営方針を明確にし、その実現に向けた取り組みを実施するとともに不断に検証を行い、改善につなげていくという仕組みを構築していくことが大変重要であると考えております。
 県教育委員会におきましては、開かれた学校づくり等緊急対応方策、これに基づきまして平成16年度までにすべての県立学校で学校評価制度を導入いたしまして、いわゆるPDCAサイクルに基づく学校経営の確立を進めているところであります。また、平成16年度までに学校評議員をすべての県立学校に導入いたしまして、保護者、地域住民の意向を把握する仕組みを整えたいと考えております。また、学校運営の透明性を一層高めていきたいと、こう考えております。あわせて、昨年度から、管理職を対象にマネジメント研修を実施するなど、顧客本位に基づく経営革新を目指す経営品質向上運動の考え方、これを各学校に浸透させ、教職員の意識改革を図ってまいりたいということでこれまでやってまいりましたが、さらに一層これを進めていきたいと考えております。
 今後とも、開かれた学校づくりを推進いたしまして、各学校において指導方針の明確化が図られ、自律性の高い学校経営がなされるように指導してまいりたいと考えております。
 民間活力導入についてでありますが、教育への民間活力の導入につきましては、今後の教育が向かう多様化の一つの方向であろうと考えております。しかしながら、お話しのあった株式会社の教育への参入、学校の公設民営化、教育のバウチャー制などにつきましては、実際に導入する上では、その内容や方式、これが必ずしも明らかではない、また、制度や財政負担の問題など検討すべき課題も多いと考えております。いずれ、公教育としての水準の確保やあるいは質の保障といった教育的な観点から、十分な検討が必要であろうと考えております。
 次に、教員の不祥事についてでありますが、教員の不祥事は、児童生徒への影響が大きく、保護者や県民の教育に対する期待や信頼を大きく裏切る行為であります。特にも、教員と児童生徒との関係で生じる体罰等の不祥事は、児童生徒に対して身体的、精神的にも大きな影響を与えるものであります。教育委員会では、教員に対して厳しく指導してきたところであります。一方では、このことが生徒を教員が指導する上で混乱したり、あるいはやる気をそがれるといったことのないようにすることが大事であります。教育委員会といたしましては、研修等を通じて教育者としての使命感を高め、指導方法の改善、向上を図っているところであり、今後とも、これらの取り組みを通じて、教育に対する意欲、向上心にあふれる教員の育成に努めてまいりたいと考えております。
 次に、学校の安全対策についてであります。
 学校の安全対策につきましては、平成13年に発生いたしました池田小学校での事件、これを契機にいたしまして、本県におきましても、すべての学校において安全管理の一斉点検を実施いたしました。学校における不測の災害、事件等に教職員が適切に対応できるように、不審者対策の手引、あるいは危機管理マニュアル、これらを作成し配付いたしました。県立学校や市町村教育委員会に対し、安全管理の一層の徹底を図るようにこれからも指導してまいりたいと考えております。
 次に、社会経験を積んだ人材の教員への中途採用についてであります。
 豊富な社会経験を持つとともに、広い教養と実践的指導力、高度の専門的な知識、技能、資格などをあわせ持った優秀な人材を確保するため、本県の教員採用試験におきましては、受験年齢制限の緩和、それから社会人特別選考の導入など、さまざま工夫、改善を加えてまいったところであります。県教育委員会といたしましては、今後とも、これらの取り組みを通して、社会経験を積んだ優秀な人材を積極的に採用してまいりたいと考えております。
   〔警察本部長山内正和君登壇〕

〇警察本部長(山内正和君) 警察行政、治安対策についてお答えいたします。
 まず、本県の警察予算についてでございますが、予算の数値といたしましては議員御指摘のとおりであり、また、お尋ねがありました本県の警察官1人当たりの負担率について申し上げますと686.53人となっておりまして、全国平均が528.58人、東北平均は671.61人でありまして、これを上回っており、全国的に見ますと本県は4番目に高い負担率を示しております。
 県警察といたしましては、これまで厳しい財政事情の中、できる限りの予算確保に努め、さまざまな施策を実施してまいったところでございまして、今後とも、議員の質問の中にもございましたが、治安の実態を的確に把握し、積極的な施策を展開するため、その遂行に必要な予算について、関係当局の御理解をいただきながら、その確保に努めてまいりたいと考えておりますので、御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げたいと思います。
 次に、増員についてでありますが、県警察におきましては、平成14年度20名の増員をお認めいただいたところでありますが、先ほど申し上げました警察官の負担率あるいは本県の治安実態等を勘案いたしまして、今後とも警察庁初め、関係省庁には粘り強く増員要求をいたしておるところでございます。
 続いて、警察OBや民間雇用についてお答えいたします。
 現在、当県では、治安対策として警察OB29名を採用しており、県民の方から寄せられる多種多様な警察安全相談への対応を図るため、本部県民課の相談窓口に2名、8警察署の相談窓口に9名、合計11名を配置しております。また、空き交番の解消と住民サービス向上を図るために18名を、8警察署18交番に配置しているところでございます。
 次に、民間雇用や民間委託に関しましては、現在緊急雇用対策の一環として、交通安全指導員20名を採用し、高齢者在宅家庭訪問などを行っていただいているところであります。なお、御質問にありました地域パトロールにつきましては、現在一部の県で行われていると承知しておりますが、当県といたしましては、その成果等について現在注視している状況でございます。
 次に、警察行政と教育行政の連携についてお答えいたします。
 本県においては、警察と教育は密接な連携を確保すべく努めているところであり、犯罪少年につきましては、特に保護者、学校と一体となって事後対策などを講じる必要もあることから、保護者を交え情報の共有を図るよう努めておるところでございます。また、それ以外の青少年の健全育成に必要なさまざまな情報の共有につきましても、学校と警察の間で構成しております学校・警察連絡協議会等の場を通じまして行うよう努めているところでございます。今後とも、人事面も含めまして、より密接な連携を図るよう努めてまいりたいと考えておる次第でございます。

〇副議長(菊池勲君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時42分 休 憩

出席議員(50名)
1  番 亀卦川 富 夫 君
2  番 中 平   均 君
3  番 ザ・グレート・サスケ 君
4  番 木戸口 英 司 君
5  番 関 根 敏 伸 君
6  番 野 田 武 則 君
7  番 平 野 ユキ子 君
8  番 高 橋 雪 文 君
9  番 嵯 峨 壱 朗 君
10  番 工 藤 勝 子 君
11  番 平 沼   健 君
12  番 平   澄 芳 君
13  番 柳 村 典 秀 君
14  番 飯 澤   匡 君
15  番 田 村   誠 君
16  番 大 宮 惇 幸 君
17  番 千 葉 康一郎 君
18  番 新居田 弘 文 君
19  番 工 藤 大 輔 君
20  番 川 村 農 夫 君
21  番 樋 下 正 信 君
22  番 照 井 昭 二 君
23  番 柳 村 岩 見 君
24  番 阿 部 静 子 君
25  番 阿 部 富 雄 君
26  番 斉 藤   信 君
27  番 田 村 正 彦 君
28  番 佐々木 順 一 君
29  番 佐々木   博 君
30  番 及 川 幸 子 君
31  番 阿 部 敏 雄 君
32  番 吉 田 昭 彦 君
33  番 小野寺 研 一 君
34  番 千 葉   伝 君
35  番 小野寺   好 君
36  番 伊 沢 昌 弘 君
37  番 瀬 川   滋 君
38  番 吉 田 洋 治 君
39  番 佐々木 一 榮 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 渡 辺 幸 貫 君
42  番 高 橋 賢 輔 君
43  番 藤 原 良 信 君
44  番 佐々木 大 和 君
45  番 藤 原 泰次郎 君
46  番 菊 池   勲 君
47  番 工 藤   篤 君
48  番 小 原 宣 良 君
49  番 及 川 幸 郎 君
51  番 佐々木 俊 夫 君

欠席議員(1名)
50  番 佐藤正春 君

説明のため出席した者
休憩前に同じ

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ

午後4時2分 再 開

〇副議長(菊池勲君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。平沼健君。
   〔11番平沼健君登壇〕(拍手)


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