平成15年9月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇44番(佐々木大和君) 自由民主クラブの佐々木大和でございます。
 通告に従い順次質問をしてまいりますので、誠意ある答弁をお願いいたします。
 まず最初に、環境首都を目指す岩手県の21世紀の方向性についてでありますが、21世紀に入り社会の変化は一段と加速されており、日本もグローバル化の波に飲まれることなく、独立国家としてしっかりした体制の構築が求められております。私たちが受けた教育では、世界の歴史は次のようなものと解釈されていました。
 まず初めに家族があり、やがて家族が集まって部族ができ、次いで数多くの部族から国が成立し、さらに国が集まって連邦や合衆国がつくられる。そして最終的には、単一の世界政府の成立が期待されることとなると。一見、筋の通った見方でありますが、現実の社会の展開はこの逆、つまり、民族国家の分裂であると認めざるを得ません。
 国際連合が発足したとき加盟国は約60カ国でしたが、現在は180カ国余りで、その数は3倍以上に達しており、しかも年々ふえつつあります。このような現象は国家の分裂、バルカン化と呼ばれ、よくないことと教えられてきたと思うのですが、現実の歴史は私どもが習った見方とは全く正反対であり、これを認めるかどうかは別として、少なくとも見逃してはならないものであります。
 また、私が教わったことで、国の繁栄には領土が大きくなければならない、大きければ大きいほどよいという思想がありました。これも至極正しそうに見えたのですが、今日、経済的に豊かな国を挙げると大半は小国であり、一部を除き世界の大国の多くが極めて貧しいことがわかります。これも考えるべき問題であります。
 さらに、規模の経済という理論を見てみますと、それは国家と同様、産業と企業も現代技術の影響で、ますます巨大化していくという考え方であります。昔と比べ大企業がふえ、規模も大きくなっていることは間違いありませんが、小企業、小さな組織もふえております。そして、こういう小企業の多くが業績を上げ、社会の本当の進歩に役立っているのも事実であります。ここでも、さきの理論と現実を統一させることは難しいことです。つまり、規模の問題の現実は、今挙げた三つの考え方で育った人間にとっては、なぞなのであります。
 規模の問題をもう一つの観点で見て、何が本当に必要なのかを考えてみますと、実社会では一見、矛盾、排斥し合う二つのことが同時に必要なことがあります。例えば、自由と秩序がそれであります。無数の小規模な自治組織の持っている自由が必要であると同時に、大規模な、時には全世界にまたがる組織など、統一と整合というものの秩序も必要であります。目的によっては、小規模なものと大規模なもの、排他的なものと開放的なものというふうにさまざまな組織、構造が必要になり、建設的に物事をなし遂げるには、常にある種のバランスが必要と思います。
 今日、人々は巨大信仰という病にかかっているのではないでしょうか。必要に応じて、小さいことのすばらしさを強調しなければならないと考えております。
 シューマッハーの著書、「スモール イズ ビューティフル」、日本では人間中心の経済学と訳されておりますが、そこで提案されている中間技術が、現状を変革する方途であるとの考え方に私は共鳴するものであります。大量生産ではなく、大衆による生産体制を目指す中間技術の確立によって、生命系技術のサイクル、人間と自然界との和解を図り、循環型経済を構築していくときであると考えております。
 知事は、環境を一つの大きなテーマとしてとらえ行政を推進しておられますが、環境首都を目指す岩手県の21世紀の方向性を改めてお示しいただきたいと存じます。特にも、自立できる地域を考えるとき、行政が中間技術の確立を推進することは、今日の雇用問題解決にも直結する課題であると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、森林環境税についてお伺いします。
 今般、高知県において森林環境税が導入され、平成15年から5年間、県民税に上乗せして、個人、法人ともに年額500円を徴収し、5年後に制度を点検し、その後について検討するとのことです。その使途は、県民参加の森づくり事業とのことで、基金をつくって経理を区分することによって、実質的には目的税の性格を持つものであります。税額は1億4、000万円ほどですが、橋本知事は、林野庁の補助金を1億円持ってきたりすることは陳情すればできると思うが、それと、実際に御家庭に500円ずつ出してもらった1億円とでは、その重みが全く違う。県民にも、少しでも自分も負担したんだからどう使われているのか見てみようか、そういう関心を持っていただけるのではと、新聞報道でコメントしておられます。
 これまで、この種の税については、さきの地方分権一括法で認められた法定外目的税として始まった議論で、水源税や炭素税などいろいろと検討されてきております。今回、高知県は県民税均等割の超過課税方式で実施されております。県民総ぐるみで、森林を育て守っていこうとの意識啓蒙の意義は大きいと思われます。岩手県も77%の森林を抱え、北海道に次ぐ森林県であります。全国各県でいろいろな角度から検討されているようですが、本県の検討状況はいかがでしょうか、知事にお伺いいたします。
 次に、日本の田舎は21世紀に繁栄するだろうか、若い人が住める地方として岩手県は発展するだろうかと考えるとき、避けて通れない人口問題についてお伺いいたします。
 高齢化社会の動きがさらに進む状況にあり、特に県内でも町村部の高齢化率が上昇すると思いますが、その見通しはいかがでしょうか。就業者人口は1997年をピークに既に下降傾向を示していると言われておりますが、本県の状況はどうなっているでしょうか。また、新幹線や高速道、空港が近代化の大きな特徴的基盤整備でありますが、基盤整備のできた地域への人口移動が大きかったと考えておりますが、その状況はどうでしょうか。
 このような状況のもとで、これからの岩手県は、日本において何の分野で期待され、そして可能性を持つのでしょうか。日本が停滞しているのは、すべての分野が平等、均等に発展することを目指す余り、結果的にばらまき行政になったことにあるとの見方があります。岩手県はどの点に力を入れた施策を推進していくのか、日本のふるさとを目指すのか、人づくりか、産業振興か、食料基地か、新しい分野での活路はあるのかお伺いをいたします。
 また、県内で、高齢化・少子化の進んだ郡部、町村部での産業振興には、県はどう取り組み、どう指導していくのかお示しを願います。
 商店街の空洞化はますます進んでおり、その大きな要因の一つとして、自立できる環境が崩壊したことが挙げられると思います。後継者が町や村に戻ってこられるような、若者が自立できるような環境づくり、支援策はどのように考えているのか、後継者対策についてお伺いをいたします。
 次に、高速通信回線及び移動通信施設の整備促進についてお伺いいたします。
 近年、高速通信回線及び移動通信施設の基盤施設は目覚ましく、インターネット通信や携帯電話に代表されるように、情報伝達の時間・距離が短縮される高度情報化の進展は著しいものがあります。しかしながら、その面で地域間格差が現実のものとなっております。条件不利地域においては、民間事業者による基盤整備が進展せず、インターネット普及率も伸びず、行政サイドの整備を進めても地域住民への普及が図れない原因となっております。昨日の質問と重なりますが、現状と今後の整備促進についてお伺いいたします。
 特に、私は移動通信・携帯電話については、ルートごとの整備に取り組む段階に来ていると考えております。例えば、国道455号では、盛岡と岩泉のみが通話可能で、山間部は全く利用できません。しかし、そこには外山早坂高原県立自然公園があります。御案内のとおり、最近のアウトドアブームは着実に進展してきており、環境教育の場として、また、県民の大きな財産として、県立自然公園は評価を得ているものと考えております。春のミズバショウやカタクリの花、ツツジなどの観賞や山菜とり、秋のキノコとり、そして冬には岩洞湖のワカサギ釣りと、たくさんの県民や観光客でにぎわっていますが、その安全のため、携帯電話は重要な通信機器として位置づけられると思います。市町村の役場付近から、次への展開が必要な時期を迎えた移動通信施設の整備促進方針をお伺いいたします。
 次に、汚水処理施設の整備促進についてお伺いいたします。
 県は、平成15年度岩手県県民生活指標を公表されましたが、それによると、生シイタケ生産量や中高年者の就職率などは全国2位と高く、一方で、汚水処理施設整備率や市町村道舗装率は全国下位にあると報じております。県民が快適な生活をする基本的条件の早期実現が求められているものと考えます。特にも、汚水処理施設整備率の向上に向けては、国土交通省の公共下水道事業、農林水産省の農村集落排水や漁村集落排水事業、さらに環境省の合併浄化槽等があるわけですが、3省が進めるこれらの事業計画で広い岩手県を行うには、時間がかかり過ぎるのではないかと思います。地域の実情に応じた見直しを進め、もっとスピードアップした方策の検討が必要ではないかと考えます。岩手県方式をつくり上げるのもよいのではないでしょうか。都市との交流、国際化された社会の文化交流、自立した地域づくり、地方からの発信の基礎となる生活基盤の整備に大切なものとして、汚水処理施設整備率の飛躍的向上を期待するものでありますが、改めて岩手県の現状とこれからの取り組み方、そして目標をお示しいただきたいと思います。
 次に、平成28年に本県で開催が想定される2巡目の国体についてお伺いいたします。
 スポーツは大変不思議な魅力を持っております。汗を流して運動をした後の爽快感、心地よい疲れといったことはもちろんですが、競技スポーツにおいて個人の目標を設定し、あるいはチームメートとの友情をはぐくみながら勝利に向かってみずからを鍛え、そして大会において持てる力を存分に発揮したときの達成感は、挑戦者のみが味わう喜びであります。息子や娘が、同級生や先輩、後輩が、あるいは近所の人が同じ空気を吸い、同じふるさとの山河を仰ぎ水平線を見詰めた岩手県人が、ふるさと岩手を代表する選手として国体に出場する、そして全国のつわものと伍して戦う姿を見るとき、我々は言いようのない感動に包まれます。そこには、夢県土いわて、郷土岩手の期待を担って挑戦する姿があります。岩手で生まれてよかった、岩手で育ってよかったという郷土愛、郷土への誇りが自然に醸成され、自信に満ちた潤いのある生活をもたらすものであり、スポーツにはすばらしい効果があるものと確信いたしております。
 昭和45年の岩手国体では、国体を契機にさまざまな社会資本の整備が促進されました。競技施設はもちろん、選手の移動を円滑にするため道路網も着実に整備が進み、温かい県民性は来県した選手たちを親切に、時には熱烈に歓迎し、岩手国体の成功は岩手県のその後の飛躍的発展に大きく貢献したものであります。
 4年前の岩手インターハイにおいても、少年たちは暑い夏の日差しのもと、大会運営の担い手として駐車場の整理や会場のさまざまな役割を的確に行い、ひたむきな姿は、来県した選手、役員から高い評価をいただいたものです。国体の開催は県内各地で県勢の活躍を目の当たりにする絶好の機会であり、また、地域の活性化が図れる大きなチャンスではないでしょうか。日本体育協会は、国体改革のプランとして、大会の簡素化とともに、大会を魅力あるものとするためのさまざまな取り組みを検討していると伺っております。
 本県での2巡目の国体は、新生国体として岩手を全国に情報発信する広報機能、県民意識の高揚を図る機会、さらには経済的波及効果など、スポーツの祭典にとどまらない幅広い効果をもたらす県勢発展の好機として位置づけるべきではないかと思います。
 知事は、6月議会において、柳村岩見議員の質問に対し、国体の開催に当たってはさまざまな角度から幅広く検討を重ね、県民とともに議論を深めていくことが大切であり、本県の開催誘致については県民意向調査や国体改革の推進状況、さらには、今後開催予定の他県の取組状況などを総合的に勘案し、できるだけ早期に判断するとの答弁をしておりますが、早い対応を求める意味から、その後の県民意識調査の内容及び進捗状況等について御説明をお願いいたします。
 次に、街頭犯罪等抑止対策についてお伺いいたします。
 日本は世界の中で最も安全な国と言われておりました。その日本で、今日、治安水準の低下が叫ばれており、新聞各社の論説などもこぞってこれを論じております。治安水準の低下にはさまざまな要因がありますが、その中でも、路上強盗、ひったくり等の街頭犯罪や侵入、窃盗、いわば国民・県民の身近なところで発生する犯罪でありますが、これが急激な増加傾向を示しております。新聞の論説などでは、体感治安という言葉がよく使われておりますが、身近で発生する街頭犯罪等は、一層治安水準の低下を肌で感じることとなり、また、だれでも犯罪の被害を受ける可能性を持っているわけですから、恐怖を感じざるを得ません。そんな中、警察では街頭犯罪等の増勢に歯どめをかけ、その総量の抑制を図ることを目的に、街頭犯罪等総合抑制対策を展開しておられると聞いておりますが、具体的な活動内容を御紹介いただき、その推進状況と成果をお示し願います。
 また、山内警察本部長はこの8月に本県に着任されましたが、この岩手の地において、岩手の治安をいかに維持しそして向上させていこうとしているのか、その所信の一端をお聞かせ願えれば幸いです。
 次に、東北新幹線八戸開業に伴う観光振興策等についてお伺いします。
 東北新幹線八戸開業以来、初めての夏を迎え、陸中海岸エリアも青森県十和田エリアと同様、観光客増加が期待された夏が冷夏に終わり、特にも海水浴などは全くできない状況でしたが、新幹線北上がどのような成果をもたらすのか注目された年でありました。オープンイベントや三鉄開業20周年記念事業などが実施されて、どんな成果があったのかお伺いをいたします。
 新幹線という大動脈が青森、秋田に向かったことがどんな変化を生むのか注目しなければなりません。3県交流による取り組みもいろいろ生まれているように聞いておりますが、どんな状況でしょうか。不況下にあって観光需要低迷が言われておりますが、北3県の動きと本県の観光の動きはどうだったのでしょうか、お伺いをいたします。
 三陸海岸は夏がメーンの観光地であり、今夏は大変な被害に遭っていると思われますが、その状況はいかがでしょうか。海水浴はどの程度の実績があったのかについてもお伺いをいたします。異常気象対策は農林業のみでなく、観光にも、特に海の観光にも必要ですが、これからの取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、冷害対策についてお伺いします。
 ことしの低温・日照不足による農作物への影響は大変大きいものがあります。仙台管区気象台では、8月11日に東北北部の梅雨明けの発表は行わないことにしたと報道されております。平成5年以降、10年、13年、そしてことしと、4回も梅雨明けが特定されなかったとのことであります。沿岸北部のやませは平成5年を上回り、さらに厳しい気象条件であったようであります。稲作、野菜・園芸、さらに酪農・畜産地帯での牧草など、その対策が必要であります。私どもが調査に回った際にも、農家の方が、一生に自分が主体的に生産に携わるのは30年間ぐらい、米では30回ぐらいの生産だが、平成5年と今回、2度もこのようなことになると、全く意欲がそがれる思いだと話しておられました。その思いは大変なものがあろうと拝察いたしました。経済的な支援しかできないのかもしれませんけれども、適時・適切な対応こそ、農家の方々への励ましになると考えております。農林水産部長の冷害対策への取り組む決意を重ねてお伺いいたしたいと思います。
 豊作と冷害などによる不作との供給量の差を埋めることが継続的課題であり、供給県として消費地、消費者とのつながりを大切にしなければならないとの話もされております。JA等が取り組む課題かと思いますが、県としてもしっかりと支援され、生産地としての地位を守っていくよう強く望むものであります。その取り組みについてもお伺いいたします。
 最後に、県北・沿岸の基盤整備と産業振興についてお尋ねします。
 県北・沿岸の産業振興には、道路網の整備等基盤整備が重要な要素であります。国道455号早坂トンネルは平成13年着工以来順調に工事が進行し、来春の貫通に向け日々努力がされております。このことに対し、地元住民としても心から感謝を申し上げるものであります。地元民にとりましては長年の悲願でありましたが、増田知事の大きな決断をいただき、国庫補助事業としてスタートをいたしました。間もなく2、500メートルに達するトンネルは、北上山地に風穴をあける大動脈として現実のものになろうとしております。私も先般見学をさせていただきましたが、かかる大工事を見るに、安全性を保ちながら計画どおりに進めてこられた現場にも敬意を表したいと思います。すばらしい最新の技術で、一歩一歩進むトンネル工事に感銘を受けたところであります。待望のトンネルの完成までのスケジュールについてお伺いをいたします。
 あわせて、岩泉、田野畑、普代の3地区で行われております下閉伊北区域農用地総合整備事業についてお伺いいたします。
 この事業も先般着工式が行われたところであり、下閉伊北部の開発に大きな貢献をすることが期待される大事業であり、3町村は一体となってこの事業の推進に努力してまいりました。農林水産業の振興に向けても、また、県都盛岡との時間短縮も期待され、内陸と沿岸の基盤格差是正のためにも意義のある、大きな大きな事業であります。地域の期待にこたえ、早期に完成されるよう願っているものであります。この事業の完成のめどと、県としての取組状況についてお伺いをいたします。
 さて、このほど小泉第2次改造内閣がスタートいたしました。小泉総理は、この内閣を改革推進内閣とみずから表現されております。国と地方の税財源の三位一体改革の具体化にどう取り組むか、特に注目されるところであります。知事もその点を強く求めたコメントを出されております。
 地方の時代と言われて久しい感がありますが、グローバル化、貿易の自由化が進む中で、21世紀を迎え、国と地方の役割に大きな変化が見えているのも現実のものとして認めなければなりません。特に地域特性を生かした通商関係が必要な時代に入ったと思われる現在、権限と規模の問題を考えながら、地方が生き残るために、地方みずからの提案も必要なときだと思います。巨大志向、大きいことはいいことだの時代から、循環型社会、スモール・イズ・ビューティフルの社会における人間の存在感が、生活者一人一人の役割を伴って生き生きとした時代をつくり上げるため、増田知事のリーダーシップを御期待申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 佐々木大和議員の御質問にお答え申し上げます。
 今、議員の方からシューマッハーの著書について引用がございまして、特にその中間技術の確立についていろいろ御示唆に富んだ御意見がございました。私もこのシューマッハーの「スモール イズ ビューティフル」、大分以前でございますけれども読んで、その中でうたわれておりますいわゆる物質至上主義ですとか、経済成長万能主義の経済思想を彼は痛烈に批判をしているわけですが、非常に多くの示唆をその中から感じたことがございます。
 この中間技術でございますけれども、恐らくこれは、特に最近、世の中で最新技術と言われているものは、資本がありながら一方で労働力が乏しい、あるいは労働力があってもその労働コストを極力低減をさせたいという大企業向けの技術であって、そういったものがむしろ失業を増大させると。彼は、今議員の方からお話があったように、地域で循環する経済というものを大変重視しておりますので、その中で環境も悪化させない持続可能な発展につながるような、そういう中間技術を大事にしようということで、これは岩手県の方で環境首都ということを訴えて、これは環境分野での日本のセンターになろうということであるわけですが、その中で例えばエネルギー開発について、従来は大規模集中型電源立地というものが中心で、日本各地域に原子力発電所などがつくられているわけですけれども、そうではなくてもっと、それを全部なくすというところまで恐らく我が国の立地状況からいけばいかないと思いますが、小規模分散型自然エネルギーの利用可能性を追求すると、住宅各戸にそういうものを配置して、少しでもそういう負荷を軽減させていくというようなことを目指すということは、彼の言う中間技術の開発ということにつながっていくのではないかと、こんなことを考えておりまして、今、岩手県で行っております例えばペレットストーブの開発がございます。これは間伐材からペレットを製造するという、熱効率の非常にいいペレットをつくり出すという技術、それから本県の伝統技術である鋳物の利用にもつながっていくということで、まさしく彼の言う中間技術に立脚した新しい技術開発の可能性につながっていくと理解をしているわけでございます。今申し上げましたようなこの中間技術が、議員の方から、雇用問題の解決にも直結すると思うがどうかというお尋ねがございましたけれども、これはそのとおり、そうした新しい技術開発がまさしく雇用問題の解決にもつながっていくものだと思っておりますので、その観点から、さらに県内の試験研究機関などもございますが、より地域に根差した、シューマッハーの言うような、人間の身の丈に合った技術開発に努力をしていきたいと考えているところでございます。
 例えば、衣料などについては特に中国との競争が大変激しいものですから、ほとんど我が国で今敗退を続けて中国の方に移転ということになっていますが、県内で見ますと東和町にホームスパンというのがございまして、あれも大変高級品でございますけれども、あの織物の技術というのは、これからも長く地域で確立していくものだろうと思いますし、それから工業センターの方でめんづくりの技術開発向上のためにいろいろな研究をしてございました。岩手が冷めんを初めとしてそうしたものに大変特色のある地域ですから、そういったものを製造開発する新しい技術を開発するということは、恐らくシューマッハーの言う中間技術という範疇に属するのだと思いますが、これはそのことがさらに労働集約型産業においても雇用の問題の解決につながっていくのではないか、そういう可能性を指し示していると思っています。もちろん彼の言うものすべてが日本の経済問題をすべて解決するかどうかということ、いろいろ議論あると思いますけれども、そこに示されているすぐれた洞察力、あるいは非常に多くの示唆に富んでいると思っておりますので、そういうことも十分に頭に入れながら、本県独自の技術開発というものに取り組んでいきたいと考えております。
 それから次に、森林環境税についてでございますが、これは今、議員の方からお話しございましたが、高知県でことし4月から創設した森林環境税というのは、非常に評価すべき内容を含んでいると思っております。その森林環境税の使い道の面においても、ハード事業については新しい森林整備手法を打ち出していますし、ソフト事業においてはなおさら県民参加の視点を踏まえた施策が展開されておりまして、本県の森林整備ということについても、非常にいい先進事例となるととらえております。
 現在県の方で、行財政構造改革プログラムで新しい税の検討を行っておりますけれども、この関係については、まず税制ありきということではなくて、森林をどういうふうにこれから守り、また、新たな施策を展開していくかという観点で、まず具体的な森林整備の施策の検討を優先させる。その結果として、そのことに理解を得ながら、それにふさわしい財源の確保ということで新たな税制度の創設を検討する。こういう順番を経てその財源のあり方について勉強していこうということで、今関係する職員で構成するワーキンググループを設置して、その調査研究を行っているところでございます。
 やはり受益と負担の関係を明確化するということが大変大事でございますので、この点について県民の理解が得られる制度ということが、この制度設計のときに一番大事なポイントだと思っておりまして、先ほど言いました高知県で導入をした森林環境税が大変そういう意味ではすぐれた制度だと思いますが、そのほかに水道料金に上乗せを行ういわゆる水源税方式、これも方式としてはあり得ると思いますし、それから水道料金の上乗せでも、今言ったような水源税という法定外目的税ではなくて、水道料金そのものとして徴収するようなもの、これは愛知県の中部水道事業団においての先行事例もございます。こちらの方向の検討も必要だろうということでございますので、こうした手法を参考に森林整備のあり方のところをよく議論していきたい。そして、できるだけ早くその結論を得ていきたいと考えているところでございます。
 それから、本県の持つ可能性について先ほど議員の方からお尋ねがございました。産業振興という面なのか食料基地という面なのか、どの点において本県がすぐれた可能性を持っているかという御質問でございまして、これはシューマッハーの冒頭の話にもかかわってくる問題でございますけれども、やはり本県で一番本県らしさということは、人間の尊厳ですとか、それから人間の創造性というのを十分に重視した人間回復と自己実現の場、そういうものがこの岩手で実現していくそういう県土づくりでありたいし、そういう県土であってほしいと、それが郷土岩手の誇りということにつながってくるのだろうと思っております。
 そういう観点で、これからさまざまな産業政策、もう一度いろいろ考え直していかなければならないと思いますが、いずれにしても大変優位な地位を占めているのは環境分野ですとか、それから温かい人間性にはぐくまれていくそういった人づくりの分野ですとか、それから心の豊かさ、それから安全・安心、これは今、議員がお話しになったような食料という分野で特に大きいと思いますが、こういう分野においては間違いなく非常に優位な地位を占めていると思います。本当に人間にとって価値あるものの尺度ということがこれから大変大事であるわけで、こうしたことを産業政策として立案していく上で、シューマッハーも言っているように貨幣コストだけではなくて、環境ですとか再生不能資源のコストといったようなところも考慮に入れた総合的な判断を経た上で、こうした産業政策につなげていかなければならないと思っておりますが、いずれにしても今申し上げましたような食料ですとか、あるいは観光なども大きな可能性を秘めておりますが、そうしたものを我が県の持つ大いなる優位性と考えて、そしてこれからその可能性をさらに追求していきたいと思います。
 それから、高速通信回線、移動通信施設の整備の関係について幾つかお尋ねがございました。情報通信インフラについては、地形上の理由もございますけれども、それから民間通信事業者の採算性の確保ということからも、いまだ多くの地域で整備が行われていない状況にございます。県の基本方針は、こうした情報通信インフラの地域間格差を一刻も早く解消していこうということで、目標としてインターネット人口普及率を70%、その中で特にブロードバンドの世帯普及率を40%以上にしていこうと、これが県の当面の目標になっておりまして、ことしも6月補正で議会の方にお願いいたしましたけれども、平成17年度までの3カ年事業ということで、情報の森基盤整備事業と、それから携帯電話エリア拡大推進事業ということで、いずれも市町村を支援する事業でございますが、そうしたインフラ整備の進まない地域について早急に基盤整備を進めていく、そういうことを事業として今進めているところでございます。
 その中で、特に移動通信用施設の問題、携帯電話が通じないと、不感地帯であるということを随分いろいろ旅行者の方々も含めてお話をお聞きするわけで、そのためにまず県内全市町村の役場周辺地域をつぶしていこう、そこをまずサービスエリア化していこうということで、これは県内全部整備が終わってございます。次にその次のところと、どういうふうにねらっていくのかというお話でございまして、これについては県内大変多くのところがまだ不感地帯で残っているわけですが、やはり主要道路沿いの地域、それから観光地などがそういったことで目立っているわけでございます。やはりこうしたことについては、一定の居住人口を有する地域でないとその後の維持経費の捻出が不十分ですと、通信事業者がその部分については全部負担ということになるわけでございますが、そちらの通信事業者側の方で難色を示すということがございますので、当面、整備が全部終わりました役場周辺地域の次にまず優先度が高くやっていくべきところは、一定以上の居住人口を有する地域であって、なおかつ、主要道路沿いの地域あるいは公共施設のある地域、こういったところを次の目標として今県内の整備に取り組んでいるところでございます。
 当然こうしたことについては、非常にまだ多くの希望が殺到してございます。国庫補助でやる手立てと、それから県単補助で行います、先ほど申し上げました新しい事業を認めていただきましたので、県単補助でやる方法と、それから事業者独自がやる方法とこの3種類あるわけでございますが、いずれの場合でも市町村の要望が大変大事でございますので、どういう順番で域内の地域をつぶしていくのかという、市町村の要望を最大限に尊重してそれを重視しながら、今申し上げましたような一定の居住人口を有する地域で、なおかつ、主要道路沿い、それから公共施設のある地域、こういったところを次の優先目標として、この携帯電話の不感地帯の解消に努めていきたいと考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係の部長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔総合政策室長照井崇君登壇〕

〇総合政策室長(照井崇君) まず、今後の町村部の高齢化の見通しですが、総務省の外郭団体の統計情報研究開発センターが推計した市町村の将来人口によりますと、県全体の65歳以上の人口の割合は、平成12年は21.5%でしたが、平成27年には27.8%と6.3ポイント上昇するものと見込まれております。町村部においては、平成12年は24.0%でしたが、平成27年には29.2%と5.2ポイント上昇するものと見込まれております。一方、市部では、19.9%から26.9%と7.0ポイント上昇するものと見込まれます。このように町村部の方が市部に比べ高齢化の割合が高く進行するものと見込まれますが、高齢化のスピードは市部の方が早く進むものと見込まれております。
 次に、本県の就業者人口の状況ですが、国勢調査によりますと、本県の就業者人口は、平成7年まで順調に増加してきましたが、平成12年には平成7年に比べ1万5、000人減の73万3、000人となっております。これを産業別に見ますと、第3次産業で1万1、000人増加しているものの、第1次産業では2万1、000人、第2次産業では5、000人それぞれ減少しております。その要因としては、高学歴化や高齢化の進行により、労働力人口が減少していること、県内の雇用環境が悪化し、失業者数が増加していることが挙げられます。
 次に、本県の高速交通の基盤整備が進められた昭和50年代からの広域生活圏別の人口の推移を見ますと、昭和55年から平成12年の間に人口が増加している地域は、盛岡、岩手中部、胆江の3広域生活圏です。これらの地域では、サービス業や製造業などの産業集積が図られたことから、県内の人口移動等により人口が増加いたしてございます。
   〔商工労働観光部長小原富彦君登壇〕

〇商工労働観光部長(小原富彦君) まず、高齢化・少子化の進んだ郡部、町村部における産業振興についてでありますが、高齢化・少子化の進行に伴う労働力人口の減少等による経済の活力低下は、国、地方を問わず、これまで経験したことのない大きな課題であると考えます。このような中、特にも高齢化・少子化の著しい郡部、町村部においては、地域に住む人々を中心に据え、生活に密接不可分な地域に根差した産業を創出していくことが必要であると考えております。
 こうしたことから、県といたしましては、空き店舗を活用した高齢者向け買い物利便センターの整備助成など、少子・高齢化社会のニーズに対応した商店街づくりへの支援、地域の食材を活用した農家レストランの開業など、高齢者を初めとする住民による地域密着型のいわゆるコミュニティ・ビジネスの創出支援、さらには、地域の創意工夫による森林資源の多面的活用によるビジネスの創出支援など、それぞれの地域におけるニーズを踏まえ、地域資源や地域の優位性を有効に活用した事業や産業興しへの取り組みを支援することにより、地域ごとに個性のある産業振興を図ってまいりたいと考えております。
 次に、町村部商店街などの後継者対策についてでありますが、郡部の中心市街地あるいは中心商店街の再活性化のためには、その地域の住民、商業者、中でも次代を担う若手商業者の新たな発想を生かした取り組みを進めることが重要であり、後継者を中心とした若者の生き生きとした活動が目に見える形になることが、外に出ている若者のふるさと回帰を誘導することにもつながるものと考えるところであります。県といたしましては、TMO構想の実現を基本としつつ、若者にとって魅力のある商店、商店街づくり実現のため、商業基盤整備やイベント開催等を一層支援してまいります。特に若者の視点を生かした新規創業や転業を支援するため、高校生や若者に対するチャレンジショップでの商業体験や地域商業の活性化の担い手となる意欲あるリーダーの養成などの取り組みを、地元商工会や市町村等と連携しながら進め、まちづくりの核となる若い後継者の活動を支援してまいりたいと考えております。
 次に、東北新幹線八戸開業に伴う観光振興策等についてでありますが、まず、新幹線開業イベント等の成果としては、二戸駅での広域観光物産フェアなどにより、開業後約1カ月間の新幹線二戸駅の1日当たりの利用客は、予測の900人を上回り1、000人を超える数となりました。また、4月に八戸-久慈間を運行いたしましたイベント列車SLうみねこ号は連日満席で、約2、000人の利用があったところであります。一方、開業20周年を迎えた三陸鉄道では、さまざまな企画列車を運行しており、そのうち7月から8月に仙台-八戸間で運行したリアスシーライナーの利用者は前年を上回り、また、4月から7月の三陸鉄道の団体客数も前年を30%上回ったところであります。
 次に、3県交流による取り組みの状況についてでありますが、新幹線八戸開業を契機といたしまして、本年4月から6月まで、JRグループ6社の協力を得て、全国に向けまして北東北3県を重点的に紹介、宣伝する北東北大型観光キャンペーンを展開するとともに、3県中心の広域旅行商品の開発促進など、3県それぞれの観光資源の相乗効果による北東北の魅力発信に努めてきたところであります。
 このような中で、北3県と本県観光の動きについてでありますが、新幹線八戸開業後の北3県の観光客入込データはまだまとまってはおりませんけれども、エージェントなど関係者の話によれば、全国的に本年の観光需要が低迷する中で、青森県は八戸を中心に大幅に増加し、秋田県は横ばい、本県もまた横ばいの状況であり、総じて北東北は全国に比べて好調に推移していると聞いているところであります。
 次に、沿岸地域の観光客入込状況と海水浴客の実績についてでありますが、昨年12月からこの7月までの沿岸地域における観光客入込状況は、前年に比べて約10%、55万人回減少しており、特に7月は冷夏などの影響から前年より約28%、41万人回減少しております。また、県内の主な海水浴場のことしの入込数は全体で約33万人回であり、前年に比べて約50%と大幅に減少しております。
 次に、異常気象と海の観光についてでありますが、三陸地域は海を中心に観光資源に恵まれた本県の重要な観光エリアであることから、冷夏であっても、例えば漁業体験や海岸トレッキング、マリンスポーツ、海にちなんだものづくり体験など、豊富な海の観光資源を生かした観光メニューの充実を図ることにより、天候や気象に左右されない観光地づくりを目指すことが必要であり、今後こうした取り組みを地元観光関係団体と連携して進めてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) まず、少子・高齢化の進んだ地域での産業振興についてでありますが、従事者の減少や高齢化の進行によりまして、地域経済の基盤をなす農林水産業の活力の低下が懸念されております。このため、県といたしましては、農林水産業の意欲ある個別の経営体の育成はもとより、農業におきましては、地域ぐるみによる営農組織や集落型経営体、農業法人の育成、特にも労働力の不足している地域におきましては、地域の農地を一括して引き受ける特定農業法人の設立を推進しておりますほか、林業におきましては、地域の森林施業の主体であります森林組合の役割や機能の強化、水産業におきましては、作業の共同化や経営の協業化を進めるなど、さまざまな観点から多様な担い手の育成確保を図っているところであり、今後とも重点的に取り組んでまいります。
 また、こうした取り組みとあわせまして、他の地域や他産業からの新規就業の受け皿づくりを促進しますとともに、農山漁村の女性や高齢者が、生産・加工活動などに積極的に参画できる環境の整備も進めてまいります。
 次に、冷害対策に取り組む考え方についてでありますが、ことしの異常気象災害対策についてでありますが、今農業・農村は、国際化の進展や従事者の高齢化などさまざまな課題を抱えているところであります。特にも、国の米政策改革大綱によって、来年度からは新たな米政策に移行されることとなっており、本県におきましても、今まさに水田農業の改革に取り組んでいるところであります。こうした矢先に被害が発生したところでありますが、このことによって被災農業者が営農意欲を損なうことのないよう、また、この改革の取り組みに水を差すことにならないよう対応していかなければならないと考えております。
 さらに、長引く不況、雇用不安といった厳しい経済情勢のもとで、今回の異常気象による農作物被害の影響は、ただ単に農業分野にとどまらず、本県経済全体にも影響を及ぼすことが懸念されますことから、市町村、農業団体とも十分連携しながら、時期を失することなく、対策に万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、冷害の発生に伴い米産地としての地位をどう守るかについてでありますが、本県産米につきましては、これまで県を挙げて、高品質、良食味米の安定生産や減農薬栽培米の生産拡大、最近におきましては、消費者の食の安全・安心ニーズにこたえるため、栽培履歴の全戸記帳などに取り組んでいるところであり、こうしたことによって、いわて純情米として実需者との信頼関係が築かれてきたものと考えております。こうした矢先に、今年産米の減収が避けられない状況となっておりますが、県産米の取引をいただいております卸売業者から産地への激励をいただいているところであり、また、全農岩手県本部を初め、各農業協同組合では、卸売業者等実需者に対し、作柄の実態について御理解をいただけるよう御説明に回っているところであります。いずれにいたしましても、安定取引のためには、実需者と産地との信頼を確保することが何よりも重要でありますので、県といたしましては、実需者との懇談会等を通じて、本年産米の実情はもとより、今後の取引についても理解が得られるよう、農業団体と一緒になって取り組んでまいる考えであります。
 次に、下閉伊北区域農用地総合整備事業についてでありますが、農用地総合整備事業下閉伊北区域は、平成14年度は基幹農道に、本年度からは農地の区画整理に着手したところであり、本格的に事業がスタートしたところであります。事業主体であります緑資源公団では、計画どおり事業を進め、平成21年度の事業完了を予定していると伺っているところであります。県におきましては、公団の事業実施と並行いたしまして、担い手への農地の利用集積に向けた各集落における話し合いを促進しますとともに、基幹農道を活用した農作物の流通合理化を目指し、関係町村やJAが進める集出荷施設等の関連施設の計画的な整備を図るための調整などを支援してまいる考えであります。さらには、ピーマンやリンドウなどの既存作物に加え、新たな特産作物の産地化を推進するため、園芸品目の生産技術実証を行うなどの取り組みも進めているところであります。県といたしましては、引き続き関係町村と一体となって、計画的な事業推進について国や公団に要望してまいる考えであります。
   〔県土整備部長猪股純君登壇〕

〇県土整備部長(猪股純君) まず、汚水処理施設整備の取り組みについてでありますが、下水道等の汚水処理施設は平成12年度に、市町村が策定し県が取りまとめた全県域汚水処理実施計画に沿ってその整備促進に努めているところであり、平成14年度末における汚水処理施設整備率、これは今年度から汚水処理人口普及率ということで名称変更になっておりますが、これは前年度に比べて3.4ポイント伸び56.6%になっております。これは実施計画の目標値に対して1.1ポイントほど上回っておりますが、全国の整備率75.8%に比べまだまだ低い状況にございます。整備目標につきましては、平成22年度末における整備率、これを80%ということで掲げて、この目標に向けて整備促進に取り組んでいるところでありますが、財政環境の厳しい中、下水道などの汚水処理施設整備を進めていくためには、一層の建設コスト、また、維持管理費の縮減を図るなど、市町村の財政負担軽減のための努力をしていくことが極めて重要であると考えております。
 このため県としては、今年度から2カ年で公共下水道、集落排水、浄化槽などの役割分担の再点検を行いまして、全県域汚水処理実施計画を見直し、より一層の経済的かつ効率的な整備を進めることとしております。また、過疎市町村に対する県代行制度の活用による支援を行うとともに、地域の実情に応じて、公共下水道と集落排水施設との接続による処理場の共同化を行うなどコストの縮減を図り、市町村や関係部局と連携しながら目標達成に向けて取り組んでまいる考えであります。
 次に、早坂トンネルについてでありますが、一般国道455号早坂道路は、平成10年に事業着手し、このうち早坂トンネルは平成12年12月にトンネル本体工事に着手しております。トンネルの計画延長は3、115メートルありますが、掘削工事は9月22日現在で延長約2、500メートルまで進んでおり、今後予定どおり工事が進捗すれば17年の春にはトンネル本体工事が完成し、引き続き平成17年度からはトンネル内の舗装工事、また、照明設備等の工事にも着手し、あわせて岩泉側の道路部分の改良工事にも着手する予定にしております。今後は、財政状況が非常に厳しい中にはありますが、できるだけ早期に供用が図られますよう、その整備に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 2巡目国体の開催に向けた県民意向調査の内容と進捗状況についてでございますが、国民体育大会は、国内最大のスポーツの祭典として地域のスポーツ振興に大きく貢献してきたところであり、また、郷土出身選手の活躍により県民に夢と感動を与えるなど、幅広い効果をもたらすイベントとして認識いたしております。しかしながら、華美な開会式や行き過ぎた選手強化など、国民の間にも国体見直しの機運が高まり、日本体育協会でも、大会参加者数の縮減やいわゆるジプシー選手の参加制限など、国体改革の方針を打ち出したところであります。このことから、2巡目国体の本県開催に当たりましては、開催経費の負担を初め各競技団体、開催地市町村の協力はもとより、多くの県民にさまざまな形で御協力いただくことになりますことから、開催に当たりましては、広く県民の意向を把握しようとするものであります。この調査は、平成28年に本県で国体を開催するとした場合、例えば単独開催あるいは隣県との共同開催、開催に必要なスポーツ施設の整備などについて無作為に抽出した県民4、000人を対象に実施し、10月中には調査票を回収することといたしております。
 開催誘致につきましては、調査結果に加えまして、先催県の取組状況やあるいは日本体育協会が現在進めております国体改革の進捗状況などを勘案しながら検討してまいりたいと考えております。
   〔警察本部長山内正和君登壇〕

〇警察本部長(山内正和君) まず、街頭犯罪等抑止総合対策の推進状況などについてであります。
 全国におきます平成14年中の刑法犯認知総数が285万件を超え、7年連続して増加しましたことから、警察庁では、本年、平成15年を治安回復元年と位置づけ、全国警察が一体となって国民の不安感払拭のため、街頭犯罪や侵入犯罪の抑止に取り組んでいるところでございます。岩手県警察におきましても、警察本部と各警察署に街頭犯罪等抑止対策本部を設置し、総合的な対策を講じているところでございます。この結果、全国におきます8月末の刑法犯認知件数は182万件余で、昨年の同期と比較しますと1.2%減少し、本県におきましては8、700件余の認知で10.6%、約1割の減となっております。これは、主として窃盗犯の減少によるものでございますが、これまでに発生した犯罪の分析結果に基づく効果的なパトロールや広報活動の実施、警察署と地元の民間の人で構成されております警察署協議会の開催等を通じた地域住民の意見を踏まえた警察活動の実施、小さな違法行為であっても見過ごすことのない事案の内容に応じた適切な指導取り締まり、さらには、市町村各種防犯団体による地域安全活動の実施など、官民一体となった活動の成果と考えているところであります。
 次に、本県の治安維持に関する所信についてでありますが、私は先ほど申し上げましたような現下の治安情勢を厳しく受けとめ、犯罪の発生を抑止して県民の不安感を払拭するため、第一線の捜査力・執行力の総合的な充実・強化に努めてまいるほか、県民一人一人や関係機関・団体による防犯行動の促進、さらには、これらが一体となって犯罪に強い社会の構築に向けまして、微力ではございますが全力を尽くして県民の期待と信頼にこたえる警察を確立するよう、努力する所存でございます。今後とも御指導、御協力を賜るようお願い申し上げます。

〇44番(佐々木大和君) それぞれ御答弁をいただきましてありがとうございました。
 環境首都を目指す岩手県で、ぜひこの下水道の普及率、全国平均を早く上回るように財源確保に努力して実現を目指していただきたいと思います。
 ただいま環境首都を目指す岩手県の21世紀の方向性について御答弁をいただきましたけれども、その中間技術に関係しまして再質問をさせていただきます。
 今まで原材料の50%が廃棄物となると言われております製造業の分野で、21世紀の課題としては環境問題と、循環型の経済の確立と生産工程の確立というのが問われるのだろうと思います。先ほどの知事の答弁をいただいた中で、まさに小規模分散型エネルギーの確立、あるいはホームスパン、さらに工業技術センターのめん類の開発等々、今、必要な中間技術の開発に努力されていることに敬意を表したいと思います。
 そういう中で、技術開発と生産者、製造業者とを結ぶ役割として広く技術開発を考えた場合に、その役割を今日まで事業者の加入する団体が担っていた面がたくさんあると思います。技術の範囲を広げていけばそういうところになるんだと思いますが、特に農協、森林組合、漁協、商工会議所、商工会など法制化団体、そしてまた社団法人、財団法人、さらに事業協同組合など、その活動が見られるところであります。1次産業を担う団体は生産者にスタンスを置き、商工団体は地域の規模別に商工会議所、商工会に分けて指導・支援をして、民間である生産者、商工業者の活性化に努めたところであります。流通革命に始まって問屋機能がカットされ、消費者に安く届けることが主眼となり、結果として予想されたとおりでありますが、現在、食の安全の問題が改めて浮上しております。行政においては、これまでの縦割り行政が問題となり、大きな批判を浴びてきました。確かに協調性に欠けた行政の運営は、住民の民間活性化にマイナスの面も出てきたことは否めないと思います。しかしながら、今日の専門家を否定するようなばらばらの行政は、一見よさそうに見える生産から販売までのようなスリム化と一貫体制づくりは、経済の活性化とは逆の方向を向いているのではないかと思われる節があります。90年代には、民間から官にいろんなものが移った時代だとある知事が表現されたことがあります。行司が相撲をとるようなことがあってはならないと考えるものであります。地域経済活性化に向けて一つのヒントを与える中間技術、この確立に関して行政の役割、そして民間の役割についてお伺いをいたします。
 そこをつなぐ手だてをどう考えて推進するのか今日的課題であり、国では独立行政法人等いろんなものが誕生してきておりますけれども、県の取り組みについてお伺いをさせていただきます。

〇知事(増田寛也君) 今、中間技術の確立について、官民の役割分担などについてお尋ねがあったんですが、確かに岩手に根づいた技術を開発していくと、これは従来の組織、農協ですとか森林組合だとか漁協ですとか、特に1次産業の事業主も入ったような団体がそういった役割を果たしてきた部分もあると思いますし、民間がやってきた部分もありますが、これからの時代を考えますと、そういう事業者個人にとっても技術力というのはなかなかないわけですし、それから、企業形態をとっていても研究開発に向ける今余力が大変少ないということがございます。そういうところをしっかりとサポートしていくのは、やはり県の試験研究機関なりそういう公的なところが先導的な技術の、特に基礎的な部分では手がけていかなければならないと思いますし、そういうものを速やかに民間の方に移転していくような、そういう仕掛けが大事ではないか。一方で、それが地域のニーズに余りにもかけ離れていってしまっても困りますし、そうすると、普及させそれで民間の方でその技術をうまく応用させるのはこれは民間の役割でありますが、今言ったような、行政あるいは官の方とうまくそこをつないでいくような、そういう仕掛けというのが大変大事になる。これはこれからの時代を考えると、官と民という二分法ではなくて、その間に中間団体、最近はNPOとよく言われておりますが、そういう団体が数多く各地域に出てきていますので、そういったところの柔軟性を最大限活用していくということが大事ではないか。一方で、試験研究機関も今独立行政法人化の動きがありますので、そういうことになると、さらに一層自分たちが責任を持って地域貢献ということで柔軟に対応していく、そういう方向に当然動いていくことにならざるを得ませんので、国の方では独立行政法人ということで動いていくわけですが、地方公共団体のそういう試験研究機関を初めとした各機関も、柔軟性を兼ね備えた独立性のあるものに組織を移転していくということを真剣に考えながら、一方で間をつないでいくNPOの育成に意を用いて、そして民間の方にスムーズな技術移転がなされていく、そしてそうした技術によって民間の、先ほど議員がお話しになった地域雇用に1人でも多く結びつくような、そういう産業が発展していく姿がこれから大変望ましい姿ではないか。そういう意味で、NPOの活動もこれからうんと支援をしていきたいと思いますし、何よりもまず、そうしたアイデアをつなぐところのパイプをよくして、そして行政が一層柔軟性を持つという方向にこれからも努力していきたいというふうに思っております。

〇議長(藤原良信君) 次に、関根敏伸君。
   〔5番関根敏伸君登壇〕(拍手)


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