平成15年9月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇29番(佐々木博君) 自由・県民会議の佐々木博でございます。
 当面する県政課題を中心に順次質問いたしますので、明快で簡潔な御答弁をよろしくお願い申し上げます。
 なお、前壇者と一部重複する部分については、あらかじめ御了承賜りたいと存じます。
 それでは、第1に、いわゆる三位一体の改革についてお伺いします。
 6月27日、政府の骨太の方針第3弾が閣議決定されました。しかしながら、注目の三位一体の改革については、平成18年度までに国庫補助負担金をおおむね4兆円程度削減し、そのうちの義務的経費については全額、それ以外については8割を税源移譲すること、地方交付税については総額を抑制するとの方針が明記されたにとどまり、数値目標は明記されたものの、どの補助金を削減するのか、どの国税を地方に移譲するのかについては不明のままで、具体論は年末の平成16年度予算編成と税制改革に持ち越されました。また、削減対象となったものはほとんどが人件費等の義務的経費であり、これでは金の出どころが国から地方に変わるだけで、自由に使える予算がふえるわけでもなく、地方から見てメリットのある話とはとても思えません。私は、今回の閣議決定を見て、政府が言う三位一体の改革とは、真に分権改革を推進しようとするものではなく、国の財政再建のために地方をリストラすることに主眼があるのではないかとの思いを強くしました。今度の三位一体の改革に対する知事の率直な御所見をお伺いします。
 また、国庫補助金の削減や地方交付税の見直しに対する地方の抵抗は強く、年末の予算編成でどのような議論がなされるのか注目されるところではありますが、非常に難航することが予想されます。
 ところで、8月27日、増田知事を初め、21世紀臨調に参加する6県の知事は、共同で国庫補助負担金の見直しに関する緊急提言を行っております。8月は来年度予算案概算要求基準のタイムリミットの時期でもありますが、それを意識しての提言であったのかお伺いします。
 次に、提言内容についてお伺いします。
 中央公論10月号によると、国から地方への国庫補助負担金総額約20兆円のうち、今回見直しの対象としたのは、検討作業に参加した6県の平成15年度予算に計上された国庫補助負担金464件、11兆4、269億円で、検討の結果、廃止して地方が実施すべきものが390件、8兆9、214億円あり、その税源移譲額は、義務的経費10割、その他8割で試算すると8兆1、886億円となるとされております。すなわち、国庫補助負担金のうち、廃止して地方で実施すべきとされるものが金額ベースで78%となっており、約8割の国庫補助事業については廃止して財源を地方に移譲し、地方の判断で自主的に実施すべきとするものであります。
 そこでお伺いしますが、補助を廃止して地方が自主的に実施すべきとした事業とは何を指すのでしょうか、金額の大きい主要なものをお示しください。また、義務的なものを除いて8割の財源移譲で考えておられますが、それで財政的に十分間に合うのか御所見をお伺いします。
 あわせて、今回、検討対象にしなかった国庫補助負担金9兆円についても、やはり同様に約8割は廃止して地方が自主的に実施すべきものと考えられるのか御所見をお伺いします。
 次に、先日、民主党が発表したマニフェスト草案につきお伺いします。
 その内容は、平成18年度までに国庫補助負担金約20兆円のうち18兆円を廃止し、かわりに5.5兆円分を所得税から地方住民税に税源移譲するほか、12兆円を一括交付金として地方が自主的に使えるようにするとするものでありますが、この民主党案に対する知事の御所見をお伺いします。
 次に、地方交付税についてお尋ねします。
 所得税や消費税などのいわゆる基幹税の税源移譲が実現しても、本県を初め、地方交付税を必要とする自治体は相当数残ると思われます。しかし、一方では交付税が不要の自治体も増加するわけで、今まで地方分権の推進の旗のもと、結束してきた全国の自治体が財源を持つ自治体と持たざる自治体とで利害が衝突する事態になりはしないかと懸念されるのですが、この点につき知事はどのように考え、どう調整される御所見かお聞かせください。
 また、地方交付税にかわる財源調整機能を果たす財源につき御所見があればお伺いします。
 第2に、行財政改革プログラムについて質問いたします。
 本年6月、行財政プログラムの骨子が公表されましたが、その骨子の方針に基づいて、10月に行財政構造改革プログラムが策定・公表されることとなっており、今は策定作業の最終段階にあると思われます。申すまでもなく県の財政状況は大変厳しく、週刊ダイヤモンドの8月23日号でも、都道府県の財政破綻ランキングで本県はワースト8位にランクされております。しかしながら、さきの6月議会でも議論のあったところですが、平成18年度までに約1、750億円の財源不足が見込まれ、このままでは平成17年度には財政赤字が200億円を超え、財政再建団体に転落してしまうとの発表は余りにも唐突との印象を禁じ得ませんでした。
 県財政が厳しくなるとの見通しは今に始まったことではありません。県は、平成11年10月に、平成12年度から岩手県総合計画の前期実施計画の終了年度である平成17年度までの6年間の中期財政見通しを作成しておりますが、それによりますと、6年間で歳入歳出ギャップが2、438億円生じるとの見通しを立て、基金取り崩し等による財源調整により1、307億円を埋め、なお不足する1、131億円については、徹底した財政健全化の努力で解消する目標を立てていたのであります。国の構造改革や不景気の影響を受け、地方交付税や国庫負担金あるいは県税収入がこの見通しをも大幅に下回り、一層財政状況が厳しさを増していることは事実でありますが、これも小泉内閣が誕生した時点で予測可能であったと思うのであります。この中期財政見通しを作成した際、なお、この見通しは現行制度を前提とした概括的な試算であることから、今後の経済情勢や国の財政構造改革への取組動向あるいは地方財政対策の動向等を見きわめながら適時見直しを図っていく必要があるものと考えていると記されていながら、財政再建に重きをなす構造改革路線に国が方針転換したのに迅速な見直しをしなかったことがこのような財政危機を招いた大きな要因であると考えるものですが、知事の御所見をお伺いします。
 次に、この行財政プログラムが総合計画に与える影響についてお尋ねします。
 公共事業費の3割削減を初め、財政規模が縮小することから、当然総合計画にも多大な影響を与えることが想定されます。私は、総合計画の見直しは避けて通れないと考えますが、計画の見直しはどのように行われるのでしょうか。また、行うとすれば、見直しに着手する時期はいつごろと考えておられるのか御所見をお伺いします。
 次に、具体的な取り組みについて総務部長に何点かお伺いします。
 第1に、財源の確保についてでありますが、この点に対しましては、先ほどの佐々木一榮議員並びに工藤篤議員の質問に対する答弁で了解しましたので割愛させていただき、県が所有する売却可能な株式等の有価証券は時価にしてどの程度あるのか、そして、それらの売却も検討されているのかにつきお伺いします。
 最近、若干の持ち直しは見られるものの、我が国の株式市場は長期低迷を続けており、その原因の一つは、企業の持ち合い解消にあると言われております。なぜ企業が株式の持ち合いを解消するかといえば、株式を資産として所有することは効率が悪く経済合理性がないからであり、このことは、そのまま県にも当てはまることだと思うのであります。もちろん県が株式を所有する企業はいずれも公共的な役割を担っていることから、県が出資し、産業の振興に寄与してきたものと存じますが、現時点では既に出資の役割を達成したものも相当数あると思われます。この点御所見をお伺いします。
 また、岩手銀行のような上場株式の場合、市場で一度に売却しますと価格形成に悪影響を与えることから、売却の方法についても一考を要すると考えるものですが、検討されたことがおありなのかお伺いします。
 次に、総人件費の抑制についてお伺いします。
 一般職を含めて平均4%の給与削減を打ち出されたわけですが、職員定数の見直しについてはどのように検討されているのでしょうか。
 また、県出資法人等への天下り批判を考慮して、部長、次長級の退職勧奨年齢を1年引き上げたとの報道がされておりましたが、リストラに逆行するのではないでしょうか。いわゆる天下りや出向についての県の基本的な考え方についてお伺いします。
 また、情報通信の分野はまさに日進月歩で、工夫次第では大幅なコストカットも可能とされております。電話と比べ格段に通信費が安いと言われるIP電話の導入なども検討すべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 第3に、道州制と北東北3県の合併構想についてお伺いします。
 第7回北海道・北東北知事サミットで、道州制を視野に入れた都道府県のあり方について意見交換する北からの分権改革検討委員会を設置し、地方からの分権改革を国に向けて発信する土台を築くことが合意された旨報道されております。また、それとは別に、青森、秋田と北東北3県で新たな連携などの検討組織を新設することも合意されたとのことであります。将来の国のあり方、地方自治のあり方として道州制や県の合併が有力な選択肢であることは間違いなく、私も望むべき方向だと認識しております。しかしながら、そこに至る過程において諸問題があるのも事実であり、知事の基本的な見解につきお尋ねいたします。
 その第1は、都道府県の再編成や道州制の導入を検討するに当たり、全国一律の統一的な制度とするか、あるいはさまざまな制度が並存することを認めるか、また、そのプロセスについても、全国一斉に行うべきか、できるところから行うこととしてよいかという点であります。知事の今までの御発言などから、知事は、地域の選択によってさまざまな制度が並存してもよいし、また、できるところから行うこととしてよいとの御見解ではないかと推察いたしますが、もしそうであるなら、一国2制度あるいは一国多制度を認めるということとなり、混乱が生じるのではないかと危惧するものですが、知事の御所見をお伺いします。
 第2は、県民にどのように説明し、理解を求めていくかという点についてであります。少なくとも現時点では、ほとんどの県民は、道州制や北東北3県合併について現実の問題としてとらえていないというのが実態であります。加えて、道州制にしろ北東北3県合併にしろ、その前提として市町村が今以上に自立できる能力を高めることが必要で、そのためには市町村合併は避けて通ることはできないのに、本県においては市町村合併の進捗状況を見ても全国と比較して大変おくれており、法定協議会もまだ一つもできていない状況にあります。このような状況で知事や県当局が2010年をめどになどと言っても、県民の意識と離れたところで行政が突っ走っているという印象しか持てません。知事は、市町村合併についても、住民の理解、住民の合意を最大限尊重すべきとおっしゃっていますが、道州制や北東北3県合併についても同様に何よりも県民の理解と合意が尊重されるべきであります。道州制、そして、その前提となる市町村合併について、県民の理解を得るためどのように対応されるお考えなのか御所見をお伺いします。
 第4に、当面する県政課題で最も緊急を要する雇用対策についてお伺いします。
 この16日から来春卒業予定の高校生の就職試験が解禁となりましたが、求人状況は依然として厳しく、製造業や卸小売業など一部の業種では改善が見られるものの、県内就職を希望する高校生の求人倍率は、8月末現在で0.33倍と低迷しております。また、本県の有効求人倍率も7月で0.55と、前年同月あるいは前月と比較し若干の向上は見られるものの、依然として厳しい状況に変わりはありません。県は、部局横断的に総合雇用対策に取り組むため、知事直轄の総合雇用対策局を設置し、雇用創出に全力を挙げ取り組む体制で臨んでおり、9月補正でも、若年者雇用対策として、若年者就職支援センター設置事業や高等学校新規卒業者就職支援事業の予算措置が講じられております。
   〔副議長退席、議長着席〕
 しかしながら、県の総合雇用対策を子細に見ると、本年度の目標人員7、938人のうち、国基金、県基金による雇用の創出が3、749人と約半数を占めますが、これは60人換算の人数であること、また、国の雇用創出関係助成金による雇用創出を1、800人と見ていますが、この助成金制度の対象はそのほとんどが中高年齢者であることから、計画どおりの雇用創出ができたとしても、常用雇用、若年者雇用にはなお厳しいものがあり、抜本的対策にはなり得ないと言わざるを得ません。本県における雇用創出の課題は、誘致企業の閉鎖による製造業や公共事業の縮減による建設業からの離職者をいかに別業種にシフトできるかということと、首都圏の大学を卒業しても、職がないため戻れない、あるいは県内の高校、大学を卒業しても都会にしか就職できないという若者の職場をいかに確保するかということにあり、雇用創出の数にこだわるよりも、このことを一層重視した対策を講じていくべきと考えるものですが、総合雇用対策局長の御所見をお伺いします。
 また、雇用対策を中長期的視点でとらえるなら、本県の産業振興が大きな課題であります。製造業の中国を初めとする海外シフトが進み、大量の雇用を創出する企業誘致は大変困難になっております。コールセンターなど、これから有望と見られる業種もありますが、青森や宮城を初め、全国各地で誘致競争が行われており、なお一層競争が厳しくなるものと思われます。したがって、本県としては、地場産業の強化やベンチャー企業を初めとする新産業の育成、コミュニティ・ビジネスの育成に今後一層の重点を置いた取り組みをしていくべきと考えるものであり、この観点から商工労働観光部長に御質問いたします。
 第1は、株式公開の準備段階にある企業に対し補助金を出す仕組みをつくれないかということであります。いわてインキュベーションファンドは既に6社に投資をしており、株式の公開を目指しているわけですが、御承知のとおり、株式の公開には事前に会計監査法人の監査が必要とされるなど、多額の費用がかかります。公開企業の県内経済や雇用に与える影響などを考慮すると、株式公開を支援するためにこの費用の一部を助成する意義は十分あるものと考えますが、御所見をお伺いします。
 第2は、大学発のベンチャー企業についてであります。国立大学の教員の役員兼業を解禁するなどの規制緩和が進んだことから、大学発のベンチャーは年々増加し、現在は全国で500社を超えると見込まれております。本県においても、岩手大学を初め、県立大学や岩手医大など、企業化できる研究成果は多数あると言われていますが、それを企業として創業、事業化するには、経営スタッフや金融、証券に明るい人材が必要とされます。県として、大学に対し、このような人材派遣を含め、創業支援のために積極的に対処していくべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 第5に、PFIについて伺います。
 PFIは、1980年代後半のイギリスにおいて、民間の資金やノウハウ等を活用して公共施設を整備したり公共サービスを提供するために導入された手法で、我が国では平成11年9月のPFI推進法施行を機に本格的に導入されました。本年7月までに事業数が105件に達したほか、現在検討中の事業が約200件あると言われております。
 PFIについては、財政が逼迫している状況下、初期投資が少ない予算で公共事業に着手できることや、民間のノウハウで事業全体のコスト削減の効果が期待できることがメリットとされていますが、一方では、安易な公共事業につながる懸念があることや、地元の企業が参入しづらいこと、住民の意向が反映しにくいことなどの欠点もまた指摘されております。また、自治体の動向を見ますと、一般に大規模自治体は積極的な姿勢を打ち出しているところが多いようです。県でも検討されていることと思いますが、PFIについての知事の御所見をお伺いします。
 また、県では、PFIの担当部署が県土整備部となっていますが、PFIを進めるにはコンソーシアムの結成、SPCの立ち上げ、プロジェクトファイナンスの導入など、ものづくりに先立ってシステムづくりの検討が優先されるべきであり、窓口が県土整備部で適当なのか疑問を持つところであります。この点についてもあわせて御所見をお伺いします。
 第6に、ゆとり教育の評価についてお伺いします。
 昨年4月から導入された学校完全週5日制につき、日本PTA全国協議会の調査によると、よいと思うと肯定的に受けとめている父母は約29%にとどまり、よいとは思えないと否定的な父母の約36%を下回っていたとのことであります。また、どちらとも言えないといまだに判断しかねている父母も32%あり、導入して1年余りが過ぎても評価が分かれている状況を示す結果となっております。
 学校週5日制は、土曜休業によって、子供たちにゆとりの時間、さらに豊かな体験を与え、従来の学校中心主義では不十分であった、みずから考え判断し行動して心豊かにたくましく生きる人間を育成することがこの制度の目的であります。そして、その実現のためには、家庭教育と並んで地域の教育力の活用が不可欠であり、文化、スポーツ、奉仕などさまざまな活動を活発にして、地域の人たちと子供たちとの触れ合いを深めることが大切と考えております。この観点から見て、子供たちはゆとりを感じているのか、家庭や地域の受け入れに問題はないのか、教育長の御所見をお伺いします。
 また、教員のゆとり確保にもつながっているのかあわせてお伺いします。
 次に、学習定着度調査についてお伺いします。
 新学習指導要領については、学力の低下を招くとの懸念から、その導入に反対の声が強くありました。そして、今もその懸念は消えていないのであります。県教委においては、昨年10月に小学校5年生と中学校2年生の全児童生徒を対象に学習定着度状況調査を実施しておりますが、新学習指導要領が影響したかどうかはともかく、その定着状況は必ずしも満足できるものではありませんでした。このような状況を踏まえて、本年度は小学校3年生から中学3年生までの全児童生徒を対象に拡大して学習定着度状況調査を実施し、児童生徒の学力向上に向けての指導の資料とし、さらには、経年比較できるようにするとのことであります。
 学力の向上は教育の原点であり、児童生徒の基礎学力の定着に向けて大いに努力していただきたく賛意を表するものでありますが、この調査の実施につき、岩教組は反対の申し入れをしていると伺っております。岩教組が学習定着度状況調査に反対する理由につきお聞かせください。
 また、私は、予定どおり実施すべきと考えますが、教育長の御所見をお伺いします。
 第7に、一連の教員の不祥事に関連してお伺いします。
 飲酒運転、体罰、セクハラ、わいせつ等々教員による不祥事が連続して続き、県民もあきれ返っているというのが本音であります。事件が一つや二つであれば個人の問題として済ますこともできるかもしれませんが、こうも事件が続くと教員全体の問題としてとらえざるを得ないと思うのですが、一連の不祥事に対する教育長の御所見をお伺いします。
 次に、不祥事防止対策の一環としての教員の研修についてお伺いします。
 教員という職業は、大学を卒業して教員として採用されると、ふだん接するのは教え子とその父母、さらには職場の教員仲間という狭い範囲の人たちであり、世間一般との接触が少ない職業であります。したがって、世間一般との意識のずれを生じさせないためにも、頻繁に他の職業の人たちと交流する研修が必要なのではないかと考えますが、教員研修の現状と今後の取り組み並びに不祥事の防止対策につき教育長の御所見をお伺いします。
 次に、飲酒運転等の厳罰化についてお伺いします。
 今回の一連の不祥事を受け、県教委は、飲酒運転に係る懲戒処分の基準、体罰等に係る懲戒処分等の基準、わいせつ・セクシャルハラスメント行為等に係る懲戒処分等の基準をそれぞれ公表しております。そのうち、飲酒運転については基準を厳しくしたとのことですが、納得できません。飲酒運転は故意犯であり、酒を飲んだら車を運転してはいけないことはだれでも熟知していることであり、酒気帯び運転を停職で済ますなど言語道断であります。酒酔い、酒気帯びにかかわらず、すべて懲戒免職とすべきであり、教育長の御所見をお伺いします。
 最後に、指導力不足教員についてお伺いします。
 さきの報道によると、昨年度に指導力不足と認定された公立の小・中・高の教員は全国で289名となり、前年度の149名からほぼ倍増したとのことですが、その理由は、各教委で指導力を判定する人事管理システムを導入したからとのことであります。本県では、本年度からこのシステムが導入され、小学校教員1名、中学校教員2名が指導力不足と認定されておりますが、もし以前からこのシステムが導入されておれば、もっと早く指導力不足教員が認定され、素早く対処できたのではないでしょうか。
 本県で人事管理システムの導入がおくれた理由と、本年度認定を受けた3名のどういうところが指導力不足と認定されたのか、具体的にお聞かせください。
 また、この3名の教員が研修を受けても改善が認められない場合、どのような処遇になるのか、あわせてお伺いします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

〇議長(藤原良信君) 本日の会議時間は、議事の都合によりましてあらかじめ延長いたします。
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 佐々木博議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、三位一体の改革について、6県知事で緊急提言を行いましたが、その背景についてお尋ねがございました。
 まず、この三位一体改革の閣議決定についてでございますけれども、あの中で税源移譲ということが初めてうたわれた。しかも、基幹税を中心として税源移譲を行うということで、これは今までの数十年間の流れの中から見れば、やっぱり画期的であった。ただ、これは改革の第一歩にすぎないわけで、平成18年度までの3年間にわたって4兆円ということが言われておりますが、実に微妙な額でございまして、義務教育費国庫負担金に、あとほかのものを少し足すだけでもすぐに4兆円になってしまうということで、それだけで終えようとしてしまえば、もうそれだけで終わってしまうということであるわけであります。これをもっとほかに広がるようにぜひしていかなければならないという思いがあって、6県で共同作業をして、地方自治体の考え方を世の中に発信していきたい。
 今、その時期についてもお話がございましたが、議員からのお話のとおりでございまして、政府がということですが、各省庁が従来と全く同じような作業ペースでこの補助金について概算要求の作業を行っている。そのことに対して地方自治体側からは、補助金をもらういわば弱い立場なものですから、そうしたことに対して全く提言がなされていないということがあって、そういうことに対して、まず8月中に何らかの意見を上げていくべきだ、そういう思いがあって、8月27日に提言を行ったということでございます。
 内容については、先ほどお話があったとおりでございますが、8割以上のものをもう廃止して、地方に税源移譲し、我々が責任を持って対応すべきということにしたわけです。この流れに沿って、全国知事会の方でも近々に知事会全体として意見をまとめることになっておりますが、そういう同じような内容になると予想されます。そういういろいろな各自治体の作業の流れをつくった、6県知事の作業がその先鞭をつけたのではないかと考えております。
 それから、その廃止をすべきものの具体的な主要な対象事業ということですが、まず一番大きいのは、やはり義務教育費国庫負担金でございまして、これについては、教育を地方で、地方の主体的な考え方で行うということからも、当然こういうものは、税源移譲で地方が対応すべきと考えております。
 それから、そのほか、児童保護措置費負担金というのがあって、これも結構な額になりますが、これについては、申請の業務量が非常に多くて、また交付決定まで非常に長い時間がかかる、8カ月ぐらいかかるようです。こういったものも財源に応じた弾力的な運用ができないと考えております。
 それから、これは農林水産関係ですが、経営体育成基盤整備事業費補助、それから、社会資本関係では都市公園事業費補助といったようなものがありますが、これも事業の細かな執行基準等がきちんと決まっておりまして、地域の実情に応じた弾力的な運用が難しい。
 こういったようなものは本当にごく一部の代表例でございますが、こうした地方の一律な基準で縛るようなことではなくて、地方の実情に合った事業執行が可能となるように、大胆に制度を変えていくべきと思っております。
 それから、我々の6県知事の提言の中では、義務的な事業は税源移譲する場合に10割、それ以外のものは8割でということで試算をしたんですが、これは今、議員から十分かというお尋ねがございましたけれども、仮に閣議決定の骨太の方針の中で示された数字を使って試算したものであって、必ずしも義務的な事業以外のものが税源移譲額8割で十分だと思っているわけでもございません。ものによっては当然、もうやらないという選択肢でゼロになるものもあると思いますが、8割では不十分で、地方でいろいろ知恵を絞ったとしても、やはり必要額を税源移譲しないとできないものも出てくると思います。
 ただ、一方で、こうした地方に税源移譲するという大きな目的に、国の財政再建に寄与するという視点がなくてはだめだろうと。やはり地方であれば、もっともっと効率的に額も少なくできる、それだけの努力を我々もする、こういう姿勢を示す必要があるだろうということで、あの数字を仮に使ったわけでございます。
 これから一つ一つの事業についてより精査をしていかなければならないと思いますけれども、そういう背景がございますので、我々もコスト削減という観点にも十分意を尽くしていきたいと思います。
 それから、対象とならなかった補助金として、市町村の方に直接行く約9兆円ほどのものがございます。これについても市町村の方で今作業が始まっておりますけれども、恐らく県レベルでの提言と同じような内容になるのではないかと思っております。そうすると、20兆円全体についての地方公共団体側からの初めての意思表示というものが全部まとまるということになりますので、できるだけ早くその作業を急いで、そして地方公共団体、県、市町村すべて挙げた考え方を国の方に提示をしていきたいと考えております。
 それから、こうした関係で、三位一体改革も含めてでございますが、民主党の方で先般マニフェスト(政権公約)というものを公表したわけでございます。その内容について私も拝見をさせていただきましたが、個々の政策について数値や期限、金額等が具体的に明らかになっておりますので、今までこうした詳細なものが政党の方から余り出てこなかったということがございますので、そういうことをあえて公表したということは、評価すべきと考えております。
 あのマニフェストには、まだ議論の途中であって、一番肝心なところの総論的な部分がこれから記載されるということでありますので、できるだけ早く、そうしたいわば国家像に当たるようなところをしっかりと書き込んでいただければということを期待しております。あと、地方分権の三位一体改革の方については、あれは暫定的な措置ということのようですが、一括交付金にとりあえずしておくということですが、本来的には、やはり税源移譲して、地方税の中で対応すべきと思っておりますので、ぜひそういう流れに進むようにしていただきたいと思っております。
 それから、地方交付税についてでありますが、ドイツの制度ですとか、諸外国には、やはり自治体の財政調整を行う制度がいろいろございますけれども、制度的にはどうもどれも一長一短あるようでございまして、日本の今の仕組みの中では、現行の地方交付税制度にかわる他の財政調整制度というのはなかなか難しいのではないかと。地方交付税制度を抜本的に見直していく中でいい方向を探っていくのが、一番いいのではないかという気がしております。
 現在の地方交付税制度が、東京都を除いて、都道府県レベルでも、あの大阪府でさえ3、000億円ぐらい交付されているということは、やっぱり制度自体が本来の趣旨からかなり外れたものになっているということは間違いないと思いますので、やはり財政的に非常に疲弊しているところに対して税源を保障する、あるいはばらつきを調整するという本来の制度の趣旨に立ち返った形で制度をつくり直す。それで不交付団体をふやす、今は46の自治体間の調整をするということで、何か非常にわかりにくい制度になっていますが、不交付団体をふやせば、もっとその調整のやり方も透明性が高く、明らかになってくると思いますから、そういう形に変えて、それでやっていかなければならないのではないかと思います。
 また、自治体間で、大都市、地方都市、やはりそうした中で限られた財源をうまく配分しなければいけないという問題が生じますが、これは、まさしく地方自治体間の能力が問われている話でありますので、これは我々地方自治体がそうした問題を乗り越えるようにしていかなければならない。やっぱり大局的にいい制度を構築して、それに従って国がさじ加減するようなことでない形での運用を、我々自身の努力でしていかなければならないと考えているところでございます。
 次に、行財政構造改革プログラムの方についてでございまして、これはやはり、何人かの議員からもお話がありますように、出方として余りにも唐突ではないかと。県の方できちんとこうしたことの見通しを立てて行ってきたのかどうかということでのお尋ねでございますが、この財政構造改革を行う前の中期財政見通しが、先ほど議員からお話があったように、平成11年10月につくったものでございまして、その線に沿って、12年、13年度と当初予算を編成してきた。
 平成14年度の当初予算、それからことしの当初プラス6月補正のこの2カ年については、小泉内閣が成立した後でありますので、その骨太の方針の内容、すなわち公共投資関係費を大幅に削減するですとか、国債発行額を30兆円以下にするだとか、そういったことの地方財政の影響等も十分踏まえて、我々自身も公共事業費を大幅に削減したり、予算規模全体を2年連続で前年度を下回るようなということで努力をしてきたつもりでございます。
 小泉内閣がどういう方向に行くのかということで、平成13年4月に成立した後、6月にその骨太の方針が出て、行方をいろいろ見定めておりましたが、それを平成14年度、15年度当初予算に反映させてまいりました。しかし、その範囲をはるかに超えるだけの歳入と歳出のギャップが生じてしまった。これは私を初め、この見通しをつけるに大変甘かったということで、深く反省をしなければならないと思っているところでございます。
 結果として、これが数年後の財政再建団体への転落になることだけは絶対に避ける、それから、これからの将来の見通しとして、こうした経済構造が大幅に変わるわけではない、その時代に合った行財政の体制というものを築き上げていかなければならないという二重の意味がありますので、今、鋭意行財政構造改革プログラムをつくっているということでございます。その中で、本当に将来を見通した、厳しい見通しも入れた中期財政見通しをつくって、それに沿って健全財政化に向けて財政の立て直しをしていきたいと考えております。
 それから、総合計画についてでありますが、この考え方について私は、先ほどの御質問に申し上げましたとおり、維持すべきだ、考え方は妥当であると思っておりますが、その実施については、実施計画をそのとおり進めていくのは、今の財政状況からいくと困難でございますので、見直しをしなければならない。当面は、選挙のときに示した私のマニフェストに掲げる重点施策に重点を置いて進めていくということが、この実施計画のさらに選択と集中につながっていくと考えておりますので、その作業を行った上で、実施計画全体については、総合計画の前期終了時点、これは平成17年度までですけれども、その前までに、実施計画全体をこれからどういうふうにしていくかということを考えたいと思っております。
 それから、道州制についてお尋ねがございましたけれども、今、議員の方から御心配があったように、やはりこうした統治制度というのは、県民の理解がきちんとなされていないといけませんし、それから、理解だけではなくて、やはり支持されるようなものでないといけませんので、そういう意味で、まだまだ本格的な議論はこれからしっかりと行っていかなければならないと思っております。
 いずれにしても、こういった統治制度を、私は、国でやるべきものは一律にやらなければいけませんけれども、地方自治の分野に属するものについては、それぞれの地域の特色が大いに盛り込まれるということが地方自治の制度そのものであって、それぞれの地域で異なるということ、これは一つもおかしなことではなくて、地域が自立するというのは、まさしくそういうことではないかと思っております。したがって、一国多制度ということも地方自治の中ではあってしかるべきでありますし、それから、ある時期から全部、全国一律に同時期から新たな制度に移行するというのではなくて、むしろ地域で主体的に選択をして、まだら模様で順番に制度を選択していくということが、これからの本当の自立した地方自治の中ではあってしかるべきではないか。一国多制度、あるいは時期についても、そういう条件が整ったところから、主体的な選択によって制度選択をしていくという考え方が、私は本来の地方自治の制度ではないかと思っております。
 この道州制や3県合併、あるいは合体なんていう言葉も使われたりすることがありますが、こういうことについて県民の意識がどうなっているかということでありますが、これはまだまだ十分ではないと私も思っておりますし、これから本当にこういうことを抽象論でなく議論していかなければならない。やはり生活レベルに根差したような形で議論が必要だということで、地域住民やNPO、民間企業、学識経験者の皆さんに入っていただいたような検討組織を設置して、そこで地道な議論をしていく必要があるのではないかと思って、今そのことを検討しているところでございます。
 ことしの6月にあるマスコミの方でこの道州制とか3県合体――そこでは3県合体という言葉を使っているようですが、それについて県民を対象にしたアンケート調査というものがございまして、岩手県の人1、400人を対象として実施をした6月のアンケート調査があります。それによると、道州制については41.7%の方が何らかの形で知っていて、知らないという方が45.6%、それから、3県合体、これは3県合併のことだと思いますが、こちらについては、何らかの形で知っている、聞いたことがあるというのが64.5%、知らないというのが26.9%。特に、北東北3県についての事業をいろいろ行ってきたことも影響されると思いますが、そういう数字が出ています。
 認知度が高いと見るのか低いと見るのか、経年比較とか、これは岩手県だけの調査ということで、他県との比較ができないので何とも言えませんが、やはり、かなりの人が何らかの形でそういうことを知っている。ただ、具体的に、実際に生活がどうなるかというところまでの意識は、まだまだこれからということだろうと思っておりますので、先ほど申し上げましたような検討の組織を設置して、そこで、本当にこれからのあるべき姿というものについて、幅広く議論していきたいと考えております。
 それから、PFIについて最後にお尋ねございましたが、本県での取り組みでございますけれども、このPFIについては、今後も県民への行政サービスを向上させるという観点からも、一方で逼迫する財政状況の中でこれから事業を進めていくという観点からも、やはり積極的な取り組みが必要だと思っておりまして、その際には、VFM(バリュー・フォー・マネー)、県事業と民間事業者が行う場合のコスト比較といったものや、それぞれにリスク分担なども十分に検討がなされた上で、具体的な事業に導入するかどうかは決めていくべきだと思っています。
 今まで、西口の複合施設や自然エネルギーでの発電施設、それから公営住宅などについて検討した経緯はあるんですが、どうもいま一つ、これについて導入する上でのメリットが見出せなかったので、今までは県レベルでは導入しておりません。
 今後は、廃棄物処理施設など、さらに幅広く検討を行って、こうしたPFI事業の導入を図っていきたい、こんなことを思っております。
 ついては、その担当部署についても御提言があったわけでございますが、現在は、公共事業を所管しているところでの検討が多かったので、県土整備部が総括的に所管をしているということでございましたが、これからは、廃棄物処理施設や文教関連施設、それからコミュニティー施設、ケア施設など、考えられるものが非常に多岐にわたるということもありますので、県土整備部よりも、むしろ全庁的に取り組めるような部署、さまざまな事業分野をより総合的かつ専門的に検討できるような部署がどこかということを考えて、こうした実施体制の見直しについても、今後検討していきたいと考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承願います。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) まず、有価証券の売却等のお尋ねでございます。
 県では、地域振興や民間事業の育成等の観点から、県内の19の株式会社に対しまして約40億9、000万円余の出資を行っております。また、そのほかに県外に主たる事務所を有する株式会社9社に対しまして約2億円余を出資しているところでございます。
 県が保有する株式で、証券取引所に上場されているものは、岩手銀行、東北銀行、みずほフィナンシャルグループの3社でございまして、出資額は3社合わせまして3億3、900万円余となってございます。
 現在、官民の役割分担あるいは県の関与のあり方など多様な観点から、県出資等法人の抜本的な見直しに取り組むことといたし、第三者委員会を設置いたしまして、県出資等法人の整理合理化の検討を進めております。
 この第三者委員会では、政策推進上の使命を終えたものなどにつきましては、解散またはその出資の引き上げを推進するというような方向で検討を進めているところでございます。株式の売却につきましては、その結果を踏まえて対応していきたいと考えているところでございます。
 続きまして、職員定数の見直しの関係でございます。
 行財政構造改革プログラムの検討に当たりましては、まず、県のすべての事務事業を官、民の役割分担、国、県、市町村の役割分担、優先度を重視した事務事業の厳選、こういった視点でゼロベースの見直しを行う。そして、それに伴いまして、組織、職員体制はよりスリムで効率的なものへ再編成をいたしまして、職員数は必要最小限の体制となるよう、計画的に管理をしていきたいと考えているところでございます。
 このプログラムに職員数の削減目標を数値化いたしまして、その目標達成に向け職員数を削減していくというような方向で現在調整をしているところでございます。
 それから、天下り、出向につきましてお尋ねがございました。
 いわゆる国家公務員等で言われております天下りという問題につきまして、これは、権限を背景とした省庁の押しつけ的あっせんによる国家公務員の再就職というようなことが言われております。天下り先での高額な報酬、高額な退職金、そして、70歳近くまでの高齢雇用、こういったことが批判されていると考えているところでございます。
 県の場合、これまで定年前に退職勧奨により関連団体へ再就職する場合、在職時に比べまして相当低い報酬となっておりますし、また、関連団体での退職金は、平成14年4月以降廃止されているところでございまして、どちらかといいますと、民間で言うところの関連企業への出向に近いというようなものではないかと考えております。
 先般の退職勧奨年齢の引き上げでございますが、これは、年金の支給開始年齢の段階的引き上げへの対応、あるいは高齢者の能力活用といった官民共通の課題への対応、さらには、関連団体への再就職のあり方の見直しの議論、こういったものを踏まえて行ったものでございます。
 しかしながら、議員御指摘のとおり、民間では血のにじむようなリストラ等に取り組んでいる現状がございます。本県におきましても、組織の活性化といったことを考えた場合には、退職勧奨制度の運用のあり方、仕方などを含めまして、県民から批判を招くことのないよう、新しい視点からの取り組みといったものを検討してまいりたいと考えております。
 続きまして、IP電話の活用ということでございます。
 現在、県におきましては、使用頻度の高い県庁と地区合同庁舎の間、あるいは地区合同庁舎間の通話につきましては、いわて情報ハイウェイを利用した音声ネットワークというものを構築しておりまして、この間における通話料金というのはかかっておりません。
 IP電話の導入というものを図るといたしますれば、県庁、合同庁舎間以外の通話の場合が考えられるわけでありますが、IP電話には、国内どこへ電話をかけても3分8円、あるいはIP電話同士では無料というような長所がございますが、現状では、現在使用している電話交換設備の大規模な改修が必要となるということで、仮に当該設備を改修してIP電話にした場合には、削減効果が出るのが80年後となるような試算がございます。また、導入条件として、回線事業者、プロバイダー、IP網提供事業者、こういったものとの契約が必要となりますので、請求書が複数発生するというような料金管理面というものでも混乱性が生じてございますので、現時点においてIP電話の導入というのは多くの問題があり、必要性というのは現在の時点では低いのではないかと考えております。
 ただ、この分野の技術革新というのは目覚ましいものがございまして、また参入事業者の拡大が急速に進んでいるという状況がございます。提供されるサービスの拡大というものも、今後大幅に期待されるということもございますので、今後、その動向を注意深く見守りながら、効率的な通信体制の整備に努めてまいりたいと考えているところでございます。
   〔総合雇用対策局長上村俊一君登壇〕

〇総合雇用対策局長(上村俊一君) 雇用対策に関しまして、数字にとらわれず、常用雇用をいかにふやすべきかに力点を置くべきとの考えでありますけれども、まさにそのとおりでありまして、産業構造が変化する中で、常用雇用をふやすためには、地域の特性を生かした幅広い分野で雇用創出が期待できるサービス関連産業の振興が重要であると考えております。県の雇用対策におけるサービス関連産業での1万5、000人の雇用創出は、常用雇用を前提としたものであり、このため、人材の育成を図りながら、成長可能性の高いベンチャー企業の重点的な支援、コールセンターあるいは物流センターなどの情報・流通関連産業の重点的な誘致、コミュニティ・ビジネスの育成、介護・福祉施設の整備、子育て支援、少人数指導など、教育の充実により、市町村、関係団体とも連携しながら、地域、地域の強みを生かしたサービス関連産業を振興し、県民が実感を持てるような雇用の場の創出に努めてまいりたいと考えております。
 なお、国の雇用基金についてでありますけれども、地域の実情に応じて弾力的にこれを使うことができれば、常用雇用につながることも多々あると考えられますことから、先般、国に対して要望してまいったところでありますけれども、今後も機会あるごとに、基金の弾力的運用ができるよう国に働きかけてまいります。
   〔商工労働観光部長小原富彦君登壇〕

〇商工労働観光部長(小原富彦君) まず、株式公開に対する補助制度の創設についてでありますが、県内の株式公開企業は、岩手銀行、北日本銀行、東北銀行、東日本ハウス、ジョイスの5社のみと極めて少ない現状にあります。
 この要因としては、販路開拓や経営体制が脆弱なため、株式公開までに至らない企業が多いこと、堅実・安全な企業経営を目指す余り、あえて株式公開といったリスクを避ける企業が多いことなどが挙げられるかと考えます。
 したがって、株式公開企業の創出のためには、議員お話の、株式公開に要する直接費用の支援検討の前に、まずもって、これらの課題を解決するための支援を行っていくことが重要だと考えております。
 平成14年4月にいわてインキュベーションファンドを形成して、直接金融による株式公開に向けた成長資金などを提供しております。
 さらに、今年度からは、専門チームが経営支援やマーケティング支援などを密着して重点的に行い、成長力のある企業を育成していくこととしております。
 こうした施策を通じまして、平成18年度までに株式公開企業を現在の5社からさらに5社プラスすることを目標にして、株式公開企業の創出を図ってまいりたいと考えております。
 次に、大学発ベンチャー企業の創出についてでありますが、大学発ベンチャー企業の創出に当たっては、これまでの一般のベンチャー企業の支援と同様に、その立ち上がりから事業化までを支援しているところであります。これまで県内において立ち上がった大学発ベンチャー企業は、大学の教員が所有する特許をもとに起業した例、それから、大学の教員がベンチャー企業の設立に際して出資者とか、あるいは役員になるなど、その設立に深く関与した例など、6社となっております。
 平成16年4月には岩手大学地域共同研究センターにインキュベート施設が設置される予定になっておりまして、大学発ベンチャー企業創出の環境が一層促進されるものと期待しているところであり、今後とも、基礎研究に裏打ちされた、新規性の高いすぐれた技術を有する大学からのベンチャー企業化を積極的に支援して雇用の創出にもつなげてまいりたいと考えております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 学校完全週5日制の評価についてでありますが、この完全学校週5日制につきましては、文科省を初め、PTA全国協議会などにおきましてアンケート調査が実施されております。その結果を見ますと、新しい制度に対する戸惑いとか、あるいは不安というものが見受けられます。それから、その解消に向けまして、行政に対する期待というものも大変大きいと受けとめております。
 県教育委員会におきましても、昨年でございますが、アンケートを実施いたしました。これは、小・中学生とその保護者等を対象に行ったわけでございますが、その結果では、ゆとりの面で家族との会話がふえた、あるいは、全体としていろいろよくなったケース等が挙げられ、おおむね順調に定着しつつあると感じておりますが、本県におきましても、生活がだらけてしまうこと、あるいは学力が低下することなどを懸念する声もありました。学校における教育課程、指導の充実、工夫を図るとともに、地域や家庭での土日の受け皿づくりを引き続き推進していく必要があるものと認識いたしております。
 次に、学習定着度状況調査についてでありますが、この調査の実施に当たりまして、岩手県教職員組合――岩教組から、採点処理等に時間を要することから教師の負担が増大するのではないか、それから、本調査の結果が学校・学級間の比較に使われて競争をあおるのではないかというような理由を挙げまして実施の撤回を申し入れるということがございました。しかしながら、本調査は、今後の各教科の指導に生かすものであること、それから、学級担任や教科担任が行うべき教員の本来業務であること、また、本調査の目的は、児童生徒の学習定着状況を的確に把握しましてその後の指導の改善につなげることであり、単に競争をあおったり、あるいは比較したりするためのものではないということを同教職員組合に対し十分に説明してきたところであります。
 県教育委員会といたしましては、学力向上、特にも基礎・基本を確実に身につけさせる指導を実現する上で、この調査の実施はぜひ必要であると考えております。
 次に、教職員の不祥事についてでありますが、まず、その原因についてであります。不祥事を起こした教職員に倫理観と人権意識あるいは自覚と責任などが欠けていたこと、各学校等におきましては、教職員への日常の指導や、教職員が相互に牽制し合うなどの一体となった取り組みが不十分であったこと、それから、組織自体が連携、連絡の体制が十分機能していない、風通しがよくないということにあると考えております。
 そこで、こうしたことから、不祥事の未然防止を図る観点から、研修につきましては、初任者研修や教育経験者研修において、教職員の服務について、あるいは教員に期待することなどの講座で教職員としての倫理観と人権意識の高揚を図る。特にも、採用後10年を経過した教員に対するいわゆる教職経験10年研修では、社会体験研修の実施、これらを行うなど研修の充実・強化に今後もまた一層努めてまいりたいと考えております。
 それから、その不祥事にかかわっての処分の厳罰化についてでありますが、酒酔い運転につきましては懲戒免職、それから酒気帯び運転については停職以上としているところであります。酒気帯び運転の処分におきましても、人身事故を伴う場合や悪質なものにつきましては懲戒免職といたしておりまして、今後とも、飲酒運転の処分に当たりましては厳正に対応する考えであります。
 次に、指導力不足等教員についてでありますが、指導力不足等教員に対する人事管理システムにつきましては、平成13年度から調査研究を進めまして本15年度から実施しているわけでございますが、この導入の時期につきましては、東北6県と比べますと、宮城県に次いで2番目という状況になっております。
 また、現在研修中の3名でございますが、教科指導等の専門性や人間関係等の社会性に問題が認められたことから指導力不足等教員と判定したものであります。これらの教員は、指導力や資質の向上を目的として現在研修を行っております。その成果のいかんによりましては、通常勤務に戻る、あるいは、御指摘の、仮に研修によって改善が認められない場合には職種の変更あるいは退職勧奨、分限処分の措置を講ずることにいたしております。

〇29番(佐々木博君) 御丁寧な答弁をいただきましてありがとうございました。
 2点についてだけ再質問させていただきたいと思います。
 第1点は、いわゆる財政構造改革に関してですが、先ほど知事からは、総合計画のビジョンはいいんだ、ただ、財政的に実施計画がおくれてくるものが出てくるんだというお話がありました。実際そうだと思うんですが、今の御答弁ですと、前期の計画が終わる17年ぐらいをめどに見直しをしたいという御答弁だったと思うんですが、ビジョンについてはともかく、どうしても実施計画自体はおくれていくわけですね、財政上の問題がありますから。それで、それを県民にきちんと示すためにも、実施計画がこうなりますということをやはり早目にアナウンスすることが私は必要なのではないかと思うんです。
 その点についての御所見と、それからもう一点、いわゆる中期財政見通し、あれは平成11年10月作成ですから、多分一遍締めたやつを、景気浮揚策に国がまた方針を変えてアクセルを踏んでいたころにつくった中期財政見通しだったと記憶しております。ですから、若干でありますが右肩上がりの計画になっていたんですね。それが小泉内閣ができて、平成14年度に構造改革、財政再建路線で厳しくなったわけですが、私はやっぱりあの時点で、14年の時点で見通しをつけるべきではなかったかと考えているんですけれども、そのことについてもう一度御所見を伺いたいと思います。
 それから、教育長ですけれども、悪質な酒気帯び運転は免職だというお話でしたけれども、大体飲酒運転というのは悪質なんですよ。過失犯ならともかく故意犯なんですから、ある面では破廉恥罪以上に私は悪質だと思っているんです。どうもその辺の認識が私はちょっと食い違うんじゃないかと思います。そういう事件を起こした教師が学校に戻って子供たちをうまく指導できるんでしょうか。子供たちはどう思うんでしょうか。それは、例えば今度の指導力不足と認定された教員についてもそうなんですけれども、例えば改善されたとしても、その学校では元にすっかりそのまま戻るというのはなかなか抵抗あるんじゃないかと思うんですね。そういった難しさが私は非常に出てくるんじゃないかと思うんですが、そのことについて若干御意見を伺いたいと思います。
 以上の2点です。終わります。

〇知事(増田寛也君) 2点についてお答え申し上げます。
 実施計画の関係ですけれども、これは、影響が出てくるものについてはできるだけ早目にお知らせしたい。これは、県の方で今つくっております、いわゆる私のマニフェスト、県の政策として実施計画をいわば重点化するような作業をやっていますので、それができ上がりましたら実施計画として掲げておりますものにどういう影響が出てくるかということが明らかになりますので、個別にまた関係の皆さん方あるいは県民の皆さん方に明らかにしていきたいと思います。
 それからもう一つは、小泉構造改革、2年少し前の平成13年に成立して、まさしくちょうどその時点でいろいろ見直しをすべきだったんではないかということですが、これは、確かに結果として見れば、小泉構造改革、今回再選もされましてずっと続いておりますからそういうことになるわけでありますが、その当時は構造改革の内容がなかなか明確になっておりませんでした。地方交付税制度などについてどういう見直しが行われるかというのは、14年の地財計画などによってその片りんがやっと出てきたということになりますので、まさか小泉内閣が長く続くとは思わなかったということを言うつもりはありませんけれども、要は、具体的なそういう個々の影響がどこまで地方の財政に出てくるのかという見通しがなかなかつけづらかったのも事実でございます。一方で景気の低迷が非常に大きくて、県税収入の減も我々のはるかに想像を超えるほど大きかった。これも総じて言えばすべて私どもの見通しの甘さであり、予測の能力の欠如ということになってしまうわけでありますが、そういうこともあったので、14年、15年の2カ年、予算編成のときにできるだけ可能なものは絞り込んだつもりではあります。そのことについてまたいろいろ御批判もございましたけれども、絞り込んだつもりではございましたけれども、そういう毎年毎年の予算コントロールだけではどうしても立ち行かなくなってしまって、県職員の給料ですとか内部の痛み、自助努力の最たるところまで手をつけざるを得なかったという背景がございますので、そういったことも明らかにしつつ、今回の財政構造改革のプログラムを策定して、それで本当に健全財政に向かう筋道をつけていきたい、こういうことでございます。

〇教育長(佐藤勝君) ただいまお話ありましたように、飲酒運転、これは許すことができない行為であります。これは酒酔い運転と酒気帯び運転、こういうふうに区分されておりますが、まさに気持ちとしてはそのとおりでありまして、これはやってはならないことでありますから、いかなる理由があろうともこれは許すわけにはいかないわけであります。ただ、酒気帯び運転をつぶさに見ますと、一つには呼気1リットル当たりの中のアルコール量の問題であるとか、あるいは一方では、自分の体の反応が鈍いとか、あるいは過敏だとか、例えば自分が酒を飲んで、その日は運転代行で帰って、次の日たまたま運転したら出た。あるいは十分に時間をとって睡眠をとって休んだつもりだったけれどもという、そういうこともないわけではないようだということで、これを一律にやること自体はもちろん可能なわけですが、そういう状況からすれば、逆にいろいろなケースが想定される以上、基準といたしましてはこの辺に幅を設けざるを得なかった背景がございます。
 それから、指導力不足につきましては、もちろん判定の過程で強弱がありますし、このシステムの導入のそもそもの目的は、そういう指導力が欠けている者に指導力を改善させることによって通常の学校に戻す、これがまず大原則で、どうしても改善が認められない場合には職種を変えるとか、あるいはその組織からそろそろおやめいただくとか、あるいは法律に基づく分限処分とか、そういう道をつくっているものでございます。

〇29番(佐々木博君) 最後にもう一点、総務部長にお伺いしたいんですが、県債残高がすごくある。確かにあるわけですけれども、結局、臨時財政対策債が多いんですよね。要するに将来交付税で返ってくると言われているやつですが、本当に返ってくればいいんですが、どうも今の国の状況を見ていまして、100%本当に保証できるのかどうか、総務部長の御所見をお伺いして私の再質問を終わらせていただきたいと思います。

〇総務部長(時澤忠君) 臨時財政対策債につきましては、とりあえず地方の方に借金をしていただいて後で交付税措置をするということでございます。これは、交付税法におきまして、後年度基準財政需要額に算入するとなっております。申し上げますと、本来的に地方財政計画策定時にはその分の所要額をきちんと見て、それで地方財政運営に支障がないようにということで所要額を確保して、そしてその中で配分されていくということでございますので、適切な地方財政計画ができる限りはそれが確保されるということでございますので、私ども地方としましても、地方財政計画がきちんと策定される、むちゃくちゃにされないように監視をしていく必要があるのではないか。そのために必要なことは申し上げていく必要があるのではないかと考えております。

〇議長(藤原良信君) 以上をもちまして本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時45分 散 会


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