平成15年12月定例会 決算特別委員会会議録

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平成15年12月3日(水曜日)
   

1開会 午前10時4分

1出席委員 別紙出席簿のとおり

1事務局職員
 事務局長 武 田 牧 雄
 議事課長 平 澤 石 郎
 議事課長補佐 八重樫 典 彦
 主任議事管理主査 千 田 利 之
 議事管理主査 近 藤 光 宏
 議事管理主査 多 田   繁
 議事管理主査 田 丸 裕佳子
 議事管理主査 嵯 峨 俊 幸
 議事管理主査 安 藤 知 行

1説明員
 環境生活部長 中 村 世 紀
 環境生活部次長兼環境生活企画室長 簗田 幸
 環境生活部次長兼産業廃棄物不法投棄緊急特別対策室長 長葭常紀
 環境生活企画監 稲 田   収
 交通安全対策監 露 木 公 雄
 食の安全安心推進監 下屋敷 正 樹
 環境保全課長 野 本 祐 二
 資源循環推進課長兼産業廃棄物不法投棄緊急特別対策監 滝 川 義 明
 自然保護課長 鈴 木 健 夫
 資源エネルギー課長 高 橋 敏 美
 青少年・男女共同参画課長 藤 原 健 一
 
 保健福祉部長 長山 洋
 保健福祉部次長兼保健福祉企画室長 佐 藤 敏 信
 参事兼保健福祉企画監 藤 沢 重 一
 少子・高齢化対策監 水野和彦
 医療国保課長 六本木 義 光
 保健衛生課長 工 藤 竹 昭
 地域福祉課長 福 島 寛 志
 長寿社会課長 赤 羽 卓 朗
 障害保健福祉課長 高 橋 裕 好
 児童家庭課長 細 川 敦 子
 
 商工労働観光部長 小 原 富 彦
 商工労働観光部次長兼商工企画室長 種田 勝
 商工企画監 久 保 協 一
 新産業推進監 菅 原 和 彦
 産業振興課長 江 口 純 一
 岩手ブランド推進課長 熊田 淳
 企業立地推進課長 菅 原 研 一
 労政能力開発課長 東大野 潤 一
 技能五輪推進監 大 矢 正 昭
 観光課長 田 中 正 武
 総合雇用対策局長 上 村 俊 一
 総合雇用対策監 勝部 修
 
 地方労働委員会事務局長 山 瀬 宗 光
 総務課長 白 木 健 志
 審査調整課長 岩渕 清
 
 出納長 橋 田 純 一
 副出納長兼出納局長 水 本 紘 一
 出納課長 坂 林 則 夫
 
 監査委員 一 戸 克 夫
 監査委員 谷 地 信 子
 監査委員事務局長 久 保 隆 男
 総務課長 八 重 樫良
 監査課長 渡 邉 和 男
 
 参事兼予算調製課長 藤 尾 善 一
   

〇阿部敏雄委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第12号まで、決算12件を一括議題といたします。
 本日は、環境生活部、保健福祉部、商工労働観光部、総合雇用対策局、地方労働委員会関係を終わるように進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 また、質疑につきましては、世話人会の申し合わせにより、平成14年度決算の審査であるので、当該年度の決算に関する質疑とし、質疑項目が複数ある場合、関連する事項はできるだけまとめて質疑されるとともに、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑及び答弁は簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 なお、関連質疑については、冒頭に質疑を表明している委員よりも優先して発言を認めているものでありますので、その性格上、関連性のあるもののみについて、短時間かつ簡潔に行い、要望のみで終わることのないよう御協力をお願いいたします。
 最初に、環境生活部長に環境生活部関係の説明を求めます。

〇中村環境生活部長 それでは、平成14年度の環境生活部関係の決算について御説明を申し上げます。
 平成14年度岩手県歳入歳出決算書の12ページと13ページをお開き願います。環境生活部の決算は、3款民生費2項県民生活費、4款衛生費2項環境衛生費の一部、それから次の14ページと15ページに参りまして、6款農林水産業費1項農業費の一部、さらに次の16ページと17ページでございますが、13款諸支出金2項公営企業出資金の一部及び3項公営企業負担金の一部であり、これらの支出済額の総額は61億4、778万円余でございます。また、平成14年度から平成15年度への繰越額は、4款衛生費2項環境衛生費の3億1、269万円であります。
 以下、個々の内容につきましては、便宜、平成14年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明を申し上げます。歳入歳出決算事項別明細書の138ページと139ページをお開きいただきたいと思います。
 なお、事業ごとの金額の読み上げは省略をさせていただき、主な事業の内容を中心に御説明申し上げますので、御了承をお願いいたします。
 138ページでございます。3款民生費2項県民生活費1目県民生活総務費の主なものでございますけれども、次の140ページと141ページでございます。141ページの右側に備考欄がございまして事業費を書いております。管理運営費は、生活部門の職員人件費など、管理運営に要した経費であります。消費生活協同組合等育成事業費は、消費生活協同組合の育成・支援に要した経費であります。次に、2目交通安全対策費の主なものでありますが、交通安全指導費は、市町村交通指導員設置費補助などに要した経費であり、交通安全キャンペーン推進費は、県民の交通安全意識の高揚を図るためのテレビを活用した交通安全キャンペーンに要した経費であります。次に、3目青少年女性対策費の主なものでございますが、次の142ページと143ページに参りまして、青少年育成県民会議運営費補助は、青少年の健全な育成を図るため、社団法人岩手県青少年育成県民会議の事業運営補助に要した経費であります。いわて男女共同参画プラン推進事業費は、いわて男女共同参画プランを推進するため、男女共同参画サポーターの養成やフェスティバルの開催などに要した経費であります。いわて女性洋上セミナー事業費及びいわて少年洋上セミナー事業費は、女性リーダー及び少年リーダーの育成を図るため、洋上研修と寄港地研修の実施に要した経費であります。
 ちょっと飛んでいただきまして、154ページと155ページをお開きいただきたいと思います。4款衛生費2項環境衛生費1目環境衛生総務費の主なものでありますが、管理運営費は、環境部門の職員人件費など管理運営に要した経費であります。環境首都創造ネットワーク形成促進費は、環境パートナーシップいわての設立や環境フォーラムの開催及び子どもエコクラブの活動支援に要した経費であります。エネルギー確保対策費は、エネルギーの安定的確保を図るための諸調査や連絡調整及び水力発電施設周辺地域交付金の交付に要した経費であります。地熱熱水有効利用促進費は、地熱熱水供給施設の運転管理などに要した経費であります。
 なお、事故繰越6、213万9、000円がございますが、これは石油貯蔵施設立地対策費に係るものでありまして、納入予定車両の事故により納入が遅延したため、翌年度に繰り越したものであります。
 次の156ページと157ページに参りまして、3目環境衛生指導費の主なものでありますが、産業廃棄物処理モデル事業推進費は、財団法人クリーンいわて事業団に対する運営資金の貸し付けなどに要した経費であります。廃棄物適正処理監視等推進費は、産廃Gメンの配置やスカイパトロールの実施及び青森県境に不法投棄された廃棄物について、現場の原状回復を図るための調査等に要した経費であります。次に、158ページと159ページでございますが、合併処理浄化槽整備費補助は、50市町村、1、653基の合併処理浄化槽の設置補助に要した経費であります。
 なお、繰越明許費2、269万6、000円は、合併処理浄化槽整備費補助及び下水道事業債償還基金費補助に係るもので、計画調整に不測の日数を要したため、翌年度に繰り越したものであります。
 次に、4目環境保全費の主なものでありますが、環境創造資金貸付金は、中小事業者が行う環境の保全及び創造に関する事業に対する資金の貸し付けに要した経費であります。大気汚染防止対策費及び水質保全対策費は、県内の大気及び水質の保全を図るため、工場や事業場の立入検査及び各種の調査・測定に要した経費であります。化学物質環境対策費は、ダイオキシン類のモニタリング調査及び環境ホルモンの実態調査などに要した経費であります。休廃止鉱山鉱害防止事業費は、旧松尾鉱山の鉱害発生源対策工事及び坑廃水処理などに要した経費であります。次に、5目自然保護費の主なものでございますけれども、自然公園等保護管理費は、自然公園保護管理員の設置などに要した経費であります。次に、160ページと161ページに参りまして、シーサイドウォーキングロード整備事業費、ふれあいトレッキングロード整備事業費及び自然公園山岳施設リフレッシュ整備事業費は、陸中海岸国立公園及び十和田八幡平国立公園等の自然公園における自然歩道、登山道及び避難小屋などの整備に要した経費であります。
 なお、恐れ入りますが前のページに戻っていただきまして、自然保護費の下のところに繰越明許費2億1、208万3、000円がございますけれども、これはふれあいトレッキングロード整備事業費及び自然公園山岳施設リフレッシュ整備事業費に係るもので、計画調整に不測の日数を要したため、翌年度に繰り越したものであります。
 また、その右隣に事故繰越1、577万2、000円がございますけれども、これは自然公園山岳施設リフレッシュ整備事業費に係るもので、設計及び工法の検討に不測の日数を要したため、翌年度に繰り越したものでございます。
 次に、また1ページめくっていただきまして160ページでございますけれども、6目鳥獣保護費の主なものでございますけれども、鳥獣行政運営費は、鳥獣保護員の設置など鳥獣の保護及び狩猟の適正化に要した経費であります。シカ特別対策費は、五葉山地域に生息するホンシュウジカの保護管理対策に要した経費であります。
 次に、ちょっと飛んでいただきまして178ページでございます。178ページと179ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費6目農作物対策費のうち、当部に関係しておりますのは、その農作物対策費の真ん中ごろにございます備考欄のところですが、食品表示適正化指導事業費でございまして、これは本年度、農林水産部から移管された事業でございます。これは、食品表示の適正化を図るため、食品表示制度の普及啓発や食品表示点検指導の実施などに要した経費でございます。
 次に、また飛んでいただきまして、恐れ入りますが290ページと291ページの見開きをごらんいただきたいと思います。13款諸支出金2項公営企業出資金1目公営企業出資金でございます。内訳は次の292ページと293ページでございますが、工業用水道事業会計出資金は、工業用水道事業の経営の健全化を図るため、工業用水道事業会計に対して出資したものでございます。
 次に、3項公営企業負担金1目公営企業負担金でありますが、電気事業会計負担金及び工業用水道事業負担金は、地方公営企業職員に係る児童手当の一部についてそれぞれの会計に対し一般会計から負担したものであります。
 以上で環境生活部関係の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

〇阿部敏雄委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。

〇伊藤勢至委員 1点お伺いをしたいと思います。岩手県は、その主な政策の中に環境を取り上げているわけでありまして、まさにいい着眼点だと思っていますが、環境首都を標榜する岩手県にありまして、若干視点が届いていない点があるのではないかと思うことから、海底といいますか、海の環境保全ということについてお伺いをいたしたいと思います。
 平成10年が国際海洋年であるということから、岩手県が主催をいたしまして、人間と海という国際会議を、本県を中心として開いていただきました。そして、世界の海洋学者からいろんな海に関する指摘があったところであります。日本の海洋学者からは、日本近海のイワシ等についてもPCBが相当蓄積をしてきておるという発表がありましたし、あるいはロシアの海洋学者からは、ロシア近海の海には放射能汚染が存在をするという大変ショッキングな報告もありました。また、クジラがふえているために食物連鎖の頂点にあるクジラが大分いたずらをして、食物連鎖、生態系が崩れてきているのではないか、そういう報告もあったところでありまして、それらを受けた形で岩手県が今度は主体となりまして、食物連鎖、生態系、そして海洋汚染ということをテーマに海洋研究に取り組んでいただいてまいりました。平成11年、平成12年、平成13年の3カ年でやっていただきまして、1回に結論が出ないということから、これをまた3カ年継続をしてやってもらっているところでありまして、大変この点についてはありがたいと思っております。
 そういう中で、本県には重要港湾が四つあるいは地方港湾が二つありまして、その中には漁業水域もありまして、海はつまり県庁の担当部局で言いますと県土整備部あるいは環境生活部、あるいはまた、農林水産部等にわたっておりますけれども、本当に環境を守っていこうとする観点は当部でないのかということから御質問をしたいわけでありますけれども、例えば、本県にあります重要港湾、各漁港、この海域の中に底質、ヘドロ、そういったものが随分たまってきているのではないかという声があるわけであります。本部では山・川・海のつながりを守っていこうということから条例も制定をされたわけでありますが、山が薄くなってちょっと雨が降ると川が濁って、その結果、ヘドロ類はどうしてもこれは海に最終的に蓄積をしてしまう。こういうこともあるわけであります。あるいはまた、どことは言いませんけれども、ある湾におきましてはカキとかあるいはホタテの棚をつるしましても、底から2メートルぐらいのところはどうも成長が著しく劣っておる。それは恐らく酸素が不足をしておるためではないか。いろんな説があるようでありますが、それらはすべて底にいろんなものが堆積をしてきた結果ではないかと言われているわけであります。
 そうしますと、これは岩手県といたしまして、遠洋漁業がこのごろ全く元気がないということから、耕す漁業ということで沿岸の、しかも養殖漁業の方に目が向いてきているわけでありますが、その条件をそろえるためにも当部におきまして、今の海の底の状況がどうなっているのか、ヘドロ等が堆積あるいはいろんな蓄積があるようであれば、そういうものを除去してきれいな環境を取り戻すということが、岩手県の沿岸に大きな活力を与えていく基本にもなろうかと思いますので、そういう点につきまして今後どのようなお取り組みを考えておられるのかお伺いをしたいと思います。

〇野本環境保全課長 お尋ねのございました宮古湾の底質について御説明いたします。
 宮古湾の底質、毎年度、湾央において、カドミウムですとか鉛など有害物質7項目につきまして調査を行っているところでございますが、県内の他の水域と比べても特に高い値など検出されていないところでございます。

〇伊藤勢至委員 木で鼻をくくった答弁というのは、まさにこれではないかと思うわけであります。ティッシュか何かお上げしましょうか。あなた、そういうことを私は聞いているのでないんですよ。底質、カドミウム、水銀、そんなものは……、もちろん重要かもしれませんが、例えば長い間、養殖・加工、いろんなことをやってきた、あるいは市場から、思ってもいないけれども、うろこだとか魚の内臓とかが流れ出してそういったものが堆積をして、それがヘドロになってそれが海の底の酸素供給を妨げているようなことがあるのではないか。現実に現地の漁業者の方々から聞きますと、そういう答えが多いんですよ。したがいまして、そういうものにつきましてこれから対処していくべきではないか、こういうふうに伺ったところでありまして、カドミウムのカの字も、水銀のスの字も私は言っていませんよ。それはそれであなた方がやっていらっしゃるのはそれでいいんですけれど、そういうことではなくて、私が聞いているのをもう一度ひとつお答えをいただきたいと思います。

〇野本環境保全課長 お尋ねのございましたヘドロに関しましては、環境監視項目などにも入っていないところもございまして、当課――環境保全課、それから環境生活部、こちらでは実施はしてございません。今後ヘドロの調査につきましては、農林水産部、県土整備部など関係部と連絡をとりまして、調査の実施の必要性も含めて検討してまいりたいと考えてございます。

〇伊藤勢至委員 課長、しゃべればできるんじゃないですか。実は今年度、宮古湾の旧魚市場の前の海底水域に随分ヘドロがたまっているということで、宮古漁協さんの首脳さんから言われまして、何とかこれを除去する部分の取り組みをお願いするということで県にお願いをして、実は新年度1、500万円の調査費をつけていただきました。大変ありがたかったと思っております。その中の大きな部分は、どうもヘドロが堆積をしているために、入ってきて係留する漁船がアンカー――いかりをおろすんですが、それが岩面まで届かないものだからヘドロの中でひっかかるので、なかなかききが悪くて固定がならない。まず、それを調査しよう。その方向は、200メートルぐらい沖に2メートルの1メートルぐらいの溝を掘ってもらいまして、そこにいかりがひっかかるようにしてみようかということで、今動いてもらっているようであります。それが1、200万円、あとの300万円がいわゆる海底にたまっている長い間の、今言いましたうろこだとか、魚の内臓だとか魚のしっぽ、そういったものが多分堆積をしているのだと思うのですが、その量が――量といいますか、ものがどういうものなのか、そしてどのくらいの量があるのか、それをとった場合にどこで処分をしたらいいのか。こういうことの実は調査をしてもらう。それが300万円と聞いております。今やってもらっているんだと思うのです。
 この前、県土整備部の方にその進捗状況をお伺いしましたら、これまた木で鼻をくくったような答弁なんですね。県土整備部が管理している港湾は、例えば何々港湾、何級港湾でありますと、5メートルバースとしますと海面から5メートルのところまでが県土整備部の港湾の管轄でありまして、5メートルから下は私たちには関係ないと言うのです。ところが、5メートル下に1メートルぐらいヘドロがたまっているのだとしたら、せっかくその調査の予算を県土整備部につけてもらったんだけれども、5メートルから下はおれたちのものではない、これは農林水産部だ、あるいは環境生活部だと、こうなると果たして、同じお金をたらい回しにして目的が違うのではないかと思うところがありまして、そうなりますと大きな意味で環境という部分からいくと、やはり当部にお願いをして、当部が農林水産部なりあるいは県土整備部なりと情報交換をして対処していただくのがいいのかなと思ったところでありまして、おっしゃるとおりだと思うのですよ。5メートルまでが自分たちのもので、ところが5メートルの深さの4メートル80センチ下がったところからあった20センチのヘドロしかうちは関係ありませんというのは、それはまさにセクト主義といいますか、そういうものになるんだと思うのですが、そういうことではなくて、やはりあるもの、自分たちのまさに環境という中では全部含むわけでありますから、そういう観点で仕事をしていただきたい、県民の期待にこたえていただきたいと思うわけであります。ひとつ部長、課長のスタイルはわかりましたから部長の言葉をいただきたいと思います。

〇中村環境生活部長 御指摘ございましたように、港湾――港湾といいますか、湾内いろいろな活用をされておるわけでございまして、法律的にもいろいろなその区分けがされておるわけでございます。関係部もいっぱいあります。前に大船渡湾でヘドロの調査を実施したことがあるわけでございますけれども、そのときは地元の保健所――これは環境担当なんですが――だけでなくて、例えば地方振興局の水産部あるいは土木部港湾管理担当、あるいは地元の市にも入ってもらって、関係者で連絡協議会みたいな組織をつくって、そこでどこをどういう形で調査したらいいだろうというような相談をした上で調査をしたこともございました。今、宮古湾、重要港湾の中でも宮古湾について特にお話しをいただいておると認識しておるわけでございますけれども、この調査につきまして、御指摘がありましたように縦割りの弊害を廃止しまして、そういう関係者と、大船渡の例もございますので、関係者間相互に連絡調整を図った上で、まず調査をすべきか否か、調査をする場合にどこをどういう形でやったらいいのかというようなことを相談、検討した上で対応してまいりたいと考えております。

〇伊藤勢至委員 最後でありますけれども、今大変いい御答弁をちょうだいできたと思っております。皆さんはどこそこの港の海の底には何々はありませんと、こういうところから入られるようでありますけれども、それは自分たちの仕事をふやしたくない、予算がないのに仕事だけが来てほしくないというのもあるのかもしれませんが、ただ、現実を見ていただきますと、現地の声を聞いていただきますと、これは宮古湾に限らず、あるいは今回調査費をつけてもらってやっております旧魚市場の前に限らず、宮古湾内に広くやはり長い間のいろんな意味のヘドロが、堆積が進んでおるようであります。昔は宮古弁でヘラガニと言いますけれども、ワタリガニというのがほとんど今はとれなくなりました。あるいはホタテも前は直径20センチぐらいのホタテもおったのでありますが、今それはもうほとんど天然のものが見えなくなってきております。あるいは湾央におきましては、ホッキガイと言いまして、端午の節句のあたりにこれをみんなで回して食べるという麗しき風習もあったんですけれども、それも今ほとんどいなくなっておりまして、それはやはりヘドロが堆積をしてきているのが原因であろう。こういうふうに漁師たちが言っているわけであります。したがいまして、あるものだろうという観点から、宮古に限らず県内各地区の港湾、港、そういったものを調べていただきまして、全体に三陸沿岸の海をきれいにしていただいて、次の世代にいいものが残せるように頑張っていただきたい。要望しておきます。お願いします。

〇樋下正信委員 私からは、明細書の159ページの3目環境衛生指導費の合併処理浄化槽整備費補助2億3、827万6、000円ですか、この件で先ほど部長の方から、平成14年は50市町村の1、630基の補助をしたということでございましたが、これが全部実施されたかどうか一つお聞きしたいと思いますし、また、過去に私、一般質問で下水関係3回ほど質問しているんですけれども、皆さん御承知のとおり、2010年度までに80%までの目標達成ということで掲げて今やっているわけでございます。そういった中で本年度は半分ちょっと超えたということでございますけれども、その中で、三つの下水の種類があると思います。合併浄化槽とか、集落排水とか、都市下水とかあると思うのですけれども、一つは、全部これがまず1、653カ所やられたかどうかということと、その三つの種類の区割りというか、そういうものがどういうふうになっているのかお聞かせ願いたいと思います。

〇滝川資源循環推進課長 まず、平成14年度の補助実績による施工状況でございますが、これは予定どおり――予定どおりといいますか、この説明申し上げた1、653基については実施しております。ただ、一部国の方からの内示が遅くてどうしても翌年度に繰り越したものがある。これは平成15年度事業ということで実施してございます。
 それから、汚水処理人口の普及率80%を目指して、それぞれの役割分担といいますか、下水道、それから浄化槽の役割分担ということでございますが、現在のところは56.6%という普及率になってございまして、そのうち浄化槽が占める割合は8.7%となってございます。そのほかほとんどが公共下水道事業でございまして、一部農業排水等の集落排水事業もあるという状況でございまして、現在の計画では一応平成22年度には浄化槽は11.8%ぐらいを占めると、それから下水道が54.9%、その他のものをあわせまして大体80%を目指そうということで、県土整備部あるいは我々と一生懸命頑張っているわけでございますが、御承知のとおりこの厳しい状況の中で、現在、シェアの占める割合、これを効率的な浄化槽について、私どもとしてはより拡大していく方がいいのではないかという観点で、このシェアの見直しを、今、県土整備部が中心になって進めているというところであります。

〇樋下正信委員 ちょっと話が前に戻りますけれども、その80%という根拠はどういう根拠で、私は、環境首都を目指している岩手県でございますので、100%を目標にするべきではないかと思うのですけれども、その辺についてちょっとお伺いしたいと思います。

〇滝川資源循環推進課長 この直接の総括的な主管が県土整備部でございまして、私どもも当然メンバーになっておりますが、80%の根拠は、何しろスタートした、今私どもの手元にあるのでは平成11年の数字で、見直し前が、下水道が32%程度しかなかった。それから、ほかのものをあわせても四十五、六%の普及率しかない。これを一応総合計画の目標年である22年まで達成できる、100%はとても困難だということで、一生懸命頑張って80%程度ではないかということで、これをもとに市町村の計画との協議をした結果、何とか頑張ればいけるのではないかという数字で80%を設定したと伺っております。

〇菊池勲委員 課長の答弁は大変立派なんだけれども、部署が、今聞いたら農集排は農林水産部とか県土整備部と、場所は分かれているんだけれども、環境の部署は部長のところだと思う。100%という数字は、これは年度を限っての100%だからその時期は80%しかできないと、だけど今の状態からすると恐らくその年度までの80%も難しいだろうと。一番心配なのが、財政が厳しくなったからどんどんおくれていく、だけど環境汚染はどんどん進んでいくんだよ、これは、部長。そこなんだよ、問題は。施行する方が県土整備部とか農林水産部かもしれないけれども、環境を監督する部長のところではこれでは困るわけだ。特に公共下水道、北上市なども都市計画区域は公共下水道でやることになっていて、本管はかなりいい方向に展開しているんだよね。残念ながらそこに一般の住んでいる人たちが加入をしていないんだよ。何百億と金は、本管は進んでいるんだけれども、一般の家庭は恐らく加入率は20%か30%しかいっていないと思う、せっかく金をかけたのに。うちらは農集排を今盛んにやっているから、そのうちに来るだろうと思って期待しているんだけれども、残念なのはそこだと思う。それはくみ取りでやっているから二重に金をかけている。財政が悪くなるのは、これは当たり前だ。そういうチェックをしないから遅々として前に進まない。財政の悪いのは認める。だけど政策の転換によっては問題があるのではないか。部長、どうですか。

〇中村環境生活部長 今、公共下水道のお話が出たわけでございますけれども、いずれ公共下水道を初め、集落排水、それから合併浄化槽、この3点セットで、シェア割は今見直しますけれども、三つの事業を総合的に推進していくことによって、この目標達成にいきたいと思っております。それが一つでございます。もう一つ、せっかく本管ができたのに末端の各戸家庭のところまで枝管が延びていかない、時間がかかるという御指摘でございます。これにつきましては、ある程度受け入れる施設とか、本管も延びたら全部ではなくてある程度のところで区切りがつくところまでまとめて枝を入れなければならないとか、いろいろな技術的な問題はあるとは思いますけれども、できるだけそういう部分供用というんですか、全部が全部できるまで待ってということではなくて、技術的にやれるところはできるだけ早く一般家庭も利用できるように、そういう形でいろいろ工夫をしてまいりたい。これは関係部とも協議をしながら進めてまいる必要があると考えております。

〇菊池勲委員 部長のところは監督の方なんだけれども、実行する方は県土整備部か農林水産部か知らないけれども、私も調べた範囲においては、まちの真ん中なんですよ。道路と道路を挟んだときに家が、数えてもいないけれども5軒か10軒、多いところは10軒ぐらい、少なくとも五、六軒はされている。これはおかしいもので、実態はそうなんだから、これを処理する方法はやっぱり行政の責任において指導しなければ私は処理できないと思う。一番の表の人は簡単に加入するんだよ。もちろん水洗を使っているんだよ。その奥の人、隣同士の、早く言えば険悪な状態のところはいっぱいあるわけだ。間がないものだから縁の下を掘らなければならないそうだ。許可しなければ入れないと言うんだよ。こういう、早く言えば財政も厳しいんだけれども、景気の悪いときだ。立派に何百億という本管が入っているのだから使えるはずなのに、景気の回復にも私はつながると思って見ているんだけれども、これはその地域の方々に任せたら一切進まぬ。あなたの力でやらなければだめだ。環境を前提とした形のものであなたの方で指導しなければ、これは遅々として進まぬと思うよ。恐らく組織の中で、行政の組織でなくて各区単位の中でやらなければならないんだけれども、行政指導が入らなければ私は絶対できないと見ているの。北上などいつもみんなで言っているんだよ。業界は本当に困っているの。仕事がないんだけれども、そこに仕事が見えるんだ。後ろでは金を持っているけれども残念ながら前の人の許可がないから、自分らが使う管を入れられない。ですから、区を区切って指導しながら全部入れる方法をとらなければ、環境首都いわてなどという話は、これは夢の夢なんだよ、部長、その心構えをひとつ。

〇中村環境生活部長 下水道整備促進の関係なんですけれども、最終的には一般の例えばくみ取り施設は使ってはいけないと、全部下水道に切りかえなさいと、そういうことを半強制的にやれる方法も制度としてはございます――制度としてはございますが、やはり地域のための下水道であるわけで、地域の皆さんの生活の利便の向上も図るということもあるわけです。環境の浄化もありますけれども、そういうときに隣同士がそういう強制的にということではなくて、まず、第一義的には皆さんの御理解をいただいて、円滑な導入が図られるというのがまず一番いいことだろうとは思っております。しかし、いろいろな、そうではない手法もあることはありますけれども、どこでどういう形をとっていくのかということはやっぱり、県の担当は県土整備部ですが、実際にそういう地域の方でどういう形で取り進めていくかというのは、地元市町村の意向も当然十分勘案されるべきことだとも思いますので、その辺のところを今後とも関係部とも連携をとりながら、気をつけていきたいと思っております。

〇及川幸子委員 環境保全の取り組みの一環としてISO14001という言葉がしばらく前から私たちの耳に入ってきますが、このISO取得の取組状況をお知らせいただきたいと思います。

〇稲田環境生活企画監 ISO14001の取得状況でございますけれども、県では循環型地域社会の位置づけにおきまして、率先してISO14001の認証を取得するということとともに、県内の事業者あるいは市町村等を対象に取得の啓発を実施しているところでございまして、今年9月末現在の県内の事業所の認証登録件数は189件となってございます。

〇及川幸子委員 189件というのは、何件に対する189件なのか。
 それから、特にも県立病院とか学校等の取得状況はどうなっているのでしょうか。

〇稲田環境生活企画監 189件というのは県内の事業所あるいは行政、市町村も含めてISO14001を認証取得した件数でございます。
 県におきましては、県庁舎とか各地域の合同庁舎、警察本部庁舎で取得しておりまして、県立病院でも取得を開始して、徐々に今後取得する予定となっております。あと学校についてはこれからという状況にございます。

〇及川幸子委員 そうしますと、県庁舎でも5%という排出量削減、CO2の削減を目指したことが述べられておりましたけれども、このままの状況でいきますと2004年度までには98年度比で8%の減少を目的としていたが、達成は難しいということが述べられていた状況でございますが、ちょっと取組状況が余りにものろいのではないかと――この環境保全を求める中で――感じるのですが、実は県内企業の一部では、県では環境保護への取り組みをうるさく言うが、ISO14001を取得してしまうと何もあとは言ってこない、一体どうなっているのだという指摘もあるわけですが、いかがでしょうか。

〇稲田環境生活企画監 県の組織のISOの取得の成果でございますけれども、平成10年度に比べまして平成14年度の実績は、例えば重油・灯油では10.7%の減、都市ガス・LPGでは16.7%の減、自動車の燃料は1.8%の減、用水では19.3%の減、コピー用紙31.9%の減となってございまして、これは環境への負荷の低減ということばかりではなく、経費的に見ても約1億5、000万円の節減となってございます。こういうことでISO14001を取得して取り組むことによって、さまざまな成果が得られるという認識をしてございまして、その取得について啓発を行っております。ただ、このISO14001というのは、あくまでも取得した事業所みずからの方針によって進めるものでございまして、そのISOの認証取得そのものが目的ではなくて、いかに使いこなすかが重要でございます。そういう意味でこのISO14001の基本でございます、継続的に改善を重ねていくと、この取り組みが積極的に行われることが重要でございまして、取得後一定の成果が出ますけれども、その後、継続的な改善をしなければマンネリに陥る可能性もあると指摘されてございます。したがいまして、私どもといたしましては、取得についても啓発いたしますけれども、取得した後も継続的な改善を行うように、今後啓発に努めてまいりたいと考えてございます。

〇及川幸子委員 10月24日の報道ですが、一関市の自動車部品メーカーさんが、ISOを取得したにもかかわらず、会社で出た産業廃棄物を自社内に埋めていたという大変なことが載っていたんですけれども、こういうふうにISOを取得してもなかなか自覚をしていない業者さんがいるということで驚いたわけですが、私きのううちに帰りましたら水沢地方振興局から封書が届いておりましたけれども、その封筒、1回使ったものを裏返しして、ちゃんとのりづけしてきているのでびっくりしましたけれども、水沢地方振興局では、かなり暑いときでも窓をあけて汗だらけで物すごく頑張っておりますが、県内の地方振興局を見てみんなそのように省エネなさっているんでしょうか。

〇稲田環境生活企画監 一関市の事業者については遺憾なことでございまして、ISO14001を取得したということは、やはり環境に対する配慮をきちっとやっていただくという姿勢を社員ともども徹底してほしいと考えておりまして、その辺についても啓発に努めていきたいと思っております。
 また、地方振興局での取り組み、まさにISO14001を県職員がみずから認識し自覚して、組織を挙げて取り組んでいるということで、これは県庁舎等各地域でもそのような取り組みをしておるところでございます。

〇及川幸子委員 県内企業さんの取得された後の指導を強化されることと、また、県庁すべて皆様方、私どももですが、徹底した省エネに努められるように望んで終わります。

〇工藤勝子委員 1点についてお聞きしたいと思います。来年度から行われる野焼きの全面禁止についてお伺いしたいと思います。
 これは家庭から出される一般的なごみの焼却禁止とは聞いておりますけれども、農業・農村においてはいろんな部分のごみがあるわけでして、その分についてどこまで条例で規制しているのかお聞きしたいと思います。

〇野本環境保全課長 来年度から実施されます生活環境保全条例のいわゆる野焼きの全面禁止について御説明をいたします。
 来年4月1日から、生活環境保全条例でいわゆる野焼き禁止を実施されるところなんですけれども、そこでは農林漁業のためのやむを得ない焼却は、こちら例外として認められているところでございます。参考までに、既に産業廃棄物処理法が改正されておりまして、平成13年4月1日から廃棄物の野焼き焼却、原則として禁止されておりますけれども、そちらの例外にも当たっておりますので、今も大丈夫ですし、来年の4月1日以降も大丈夫でございます。具体的には草ですとか木の葉、枝ですとかもみ殻、わらなどの焼却については来年4月1日以降もやむを得ない焼却であれば、こちらの方を認められるところでございます。ただ、来年4月1日以降条例が施行されますと、廃プラスチック類、それからゴムくず――不用タイヤみたいなものだと思いますが――などですが、それから廃油、皮革、こういったものは燃やしますとダイオキシンが大量に発生してしまいますので、来年4月1日以降は条例でこちらの方の焼却を禁止させていただいているところでございます。
 それから、委員御指摘のありました可燃ごみの方も来年4月1日から禁止になってございますので、そちらのところ御理解いただきたいと思ってございます。

〇工藤勝子委員 そうすると、例えば農家の人たちは春になると病害虫とか害虫の防除のために土手焼きをするわけですけれども、この件については許可されるわけですね。規制がないわけですか。

〇野本環境保全課長 委員御指摘の病害虫の発生を防止するためのあぜの土手の草焼きなどは、やむを得ないものだと考えられますので、そちらの方は今も例外として認められておりますし、来年4月1日以降条例が施行されましても、こちらの方、例外として禁止の対象にはなりません。

〇小原宣良委員 3点についてお伺いをいたします。
 1点は、自然環境保全指針の活用状況です。これは県の方で苦労して策定をされた経緯がございますし、開発行為等についてもかなり有効に活用されているんだと思います。そういう点でこの自然環境保全指針の活用状況、あるいはこれの見直し等について計画がありましたら、お知らせをいただきたいと思います。
 それから、2点目は早池峰山頂のトイレの整備でありますが、これは自然保護団体とも話し合いがなされているようでありますけれども、先ほどの決算説明の中にも触れておったかと思いますけれども、現状どうなっておりますか、あるいは今後の見通しについてお伺いをしたいと思います。
 それから、3点目は河川の水質浄化でございます。先ほど伊藤委員からも海水あるいは港湾といった御指摘がございました。私は、河川の水質浄化ということでお伺いをしたいわけですが、休廃止鉱山の鉱害防止、これらについてもそれぞれ措置がされてきております。それと、先ほどもお話しありましたが、下水道の整備あるいは浄化槽の普及、農業集落排水、これらでもって河川の水質浄化というものを図っていくということになると思います。実は北上市は上水、飲料水の取水は和賀川と北上川から取水をしております。我が家は北上川水系でございまして、北上川の水を使わせてもらっているというわけです。そこで、ぜひこれは、河川の水質浄化という課題は今日の生活環境の複雑な展開の中で、大変重要な課題だと身にしみているわけでありまして、そこをぜひ行政のセクション、縦割りというところから横の連携をしっかり保ってやっていただきたいというのは私も同感でございます。そして、それぞれこの休廃止鉱山の鉱害防止、これは大変大きな課題でありますし、国策によって対応してもらわなければならない大きな課題ではありますが、それらの見通し、あるいは先ほどの下水道整備、浄化槽、農業集落排水の普及、そうしたものを含めて、これはそれぞれ各部にまたがるわけですけれども、ぜひお話しあったように環境生活部長――中村部長のところがやはりリーダーシップをとる、あるいは権限的といいましょうか、横並びではなくて、あなたのところがしっかりとリードするという立場ではないか。これはあっち、これはこっちということではなくて、そこをしっかりつないでいく役割はあなたにあるのでないかという感じがございます。その辺、内部機構上どういう対応、検討がなされているのかも含めてお伺いをしたいと思います。

〇中村環境生活部長 水質の保全あるいは水質環境の浄化等々につきまして、庁内の体制につきまして私お答えをさせていただきます。それから、自然環境保全指針の実行の状況、それから早池峰山のトイレの関係、これにつきまして担当の自然保護課長からお答えを申し上げたいと思います。
 岩手県環境保全計画というものを平成11年に策定をしたわけでございまして、このときについて水環境の保全の施策ということで5項目に整理、体系をしておりまして、一つは健全な水循環の確保、もう一つは水環境の監視測定体制の整備、それから水道水の水質保全対策の強化、それから下水道等汚水処理施設の整備、さらには、北上川清流化対策の推進ということで、これは非常に大きな課題なんですが、最も緊急かつ恒常的に意図しなければならないというのが松尾鉱山の鉱毒水、これの中和処理ということを最大の眼目にしておったわけですけれども、こういう目標を立てておりまして、それぞれ各部で関係部がそれぞれの部門について事業を実施してきておるという状況でございます。
 それで、現在、河川・湖沼等におきましてBOD等の環境基準の達成率というのを、定期的ないろいろなところでモニタリングの調査をしてきておるわけでございまして、その結果、申し上げましたような松尾鉱山の坑廃水処理の推進とか、それから全県域の汚水適正処理構想等々、言うなれば下水道の普及でありますとか合併処理浄化槽の普及等々、いろいろなそういう施策の積み重ねによりまして、BOD等の環境基準の達成率、今90%台にまで上がってきてございます。90%ですからまだ完璧ではないわけでございますので、今後とも私どもそういう意味で水環境の保全、水質の保全というような点、環境計画の基本ということで私どもが取りまとめをしております。それに合わせまして関係部においてそれぞれの事業を連携して県全体、あるいは市町村等も含めまして取り組んでいくということによりまして、今後とも良好な水質の確保、健全な水循環の確保をしていきたいと考えております。

〇鈴木自然保護課長 まず、自然環境保全指針の活用状況ということでございますけれども、これにつきましては平成11年3月に策定いたしまして、例えば環境アセスメントを実施する際の事前指導、あるいは例えば道路整備ですとか林地開発といったような事業を行う際の希少野生動植物の生息状況について問い合わせがございますので、それなどに活用してございます。そのほか森林施業ですとか河川整備などの計画策定の際にも利用されているという状況でございます。さらに、この指針に二つございまして、貴重な生物的環境などのすぐれた自然というもののほかに、水辺ですとか緑などの身近な自然の情報もございまして、それを容易に入手できますようにホームページで紹介してございます。そのアクセス件数でございますけれども、現時点で4、055件、平成14年度末に比べますと900件ぐらいふえておりまして、各方面で活用されているのではないかと考えてございます。
 それから、見直しのお話がございましたけれども、身近な自然の保護につきましては、ことし市町村に照会を行いまして現在データの整理を行ってございます。現在のところ115件ほど追加情報があるということでございますので、年度内には追加の作業を終了いたしまして、ホームページにより周知を図っていきたいと考えてございます。
 それから、早池峰山頂のトイレの問題がございました。これにつきましては、平成14年度に関係者と協議いたしましてまとめました早池峰地域の保全対策というものがございますが、これにおきまして今後10年程度は――10年程度というのは山頂の避難小屋の耐用年数の関係でございますが――担ぎおろしで対応しよう。そのためになるべく山頂トイレの使用を控えていただくという趣旨で携帯トイレの普及促進を図っております。携帯トイレ、例えば下の方の登山口でボランティアの御協力を得ながら携帯トイレを買っていただく。そのために施設整備もいたしまして、現在あります山頂の避難小屋のトイレの一つを携帯トイレ用のブースに改修いたしました。そのようにしてなるべく山頂トイレの使用を減らしていただくというふうにしておりますが、当然御利用になる方もいらっしゃるわけですから、その分につきましてはボランティアの御協力を得まして担ぎおろしをしておるところでございます。

〇小原宣良委員 自然環境保全指針につきましては、ぜひ活用方お願いをしたいし、あるいは市町村とも連携をとってほしいと思います。冊子としてできているものがあるとすれば、これらの普及版といったようなものも、ホームページ等ではあると思うのですが、ぜひ議員の皆さんを初め、もしおありでしたら配っていただいてもいいのではないかと思っております。
 それから、早池峰山頂のトイレの整備ですが、担ぎおろしということですが大変御苦労いただくことだと思います。あそこの山頂には避難小屋があるわけでして、あそこに泊まると、泊まる人がいる限りはどうしても出るものは出るんですよ。したがって、それらも携帯ということになるのか、あるいはあそこの避難小屋に、文字どおり避難という部分であれば別にしても、泊まるという部分が規制できないとは思うのですけれども、その辺、泊まる人がいるとすればどうしても絶対なくすわけにはいかないという部分がある。日帰りで登山する方については、これは極力、私も経験していますが携帯用トイレ、これらを持って登山をして持ち帰るということは可能です。私も経験しました。そういうことですから、山頂トイレのあり方について、なくすならなくすと。避難小屋もなくしてしまうことはなかなか面倒かもしれません。そこのところはこれからの検討課題かと思います。
 担ぎおろしで、ボランティアといいましょうか、そういう協力をする方々もあるということを前提にしてのことかと思うんですけれども、その辺のところは今後の課題ですが、さらに協力の度合いについて、おれたち頑張るからということになるのか、その辺の話し合いの中身をもうちょっとお聞かせいただきたいと思います。
 それから、河川の水質浄化という部分でお話がございましたけれども、大変重要な課題ですし、飲料水にもそれぞれ河川を利用されているわけです。特に北上川では、それぞれ支川といいましょうか、川が集まってきてのことですから、これらの下水道整備などももちろん重要です。そしてまた、水源地の森林の整備、こういった部分までかかわってくると思うんです。そういう点で、環境生活部の方でそこまでの対応、こういう部分もやらなければいけないと思うんです。山のことだから関係部だということではない対応をこれからは特にも求められてくると思いますが、その点の考え方を最後にお聞きしておきたいと思います。

〇中村環境生活部長 早池峰の自然環境保全指針の冊子の普及等々につきましては担当課長からお答えします。
 今、河川の水質浄化につきまして、例えば水源地の森林の整備等も含めまして、一体的、総合的な対策をという御趣旨のことだったと思います。これまで以上にきめ細かな取り組みを総合的に取り進めていく必要があると考えておるわけでございます。特にも、9月議会で御審議をいただきまして、健全な水循環の確保に寄与するということでふるさとの森と川と海の保全及び創造に関する条例を制定させていただきました。水の循環の単位となる流域に着目して、流域ごとに基本計画を策定して総合的な取り組みを進めることを基本として考えてございます。この条例の運用も含めまして、これからより一層この水循環あるいは水質の保全についても取り組んでいきたいと考えております。

〇鈴木自然保護課長 自然環境保全指針の普及版の話でございますが、確かに皆様にお配りすれば非常にいいとは感じております。ただし、実際予算措置を伴うということもございますので、これは検討させていただきたいと考えております。
 それから、早池峰山頂のトイレでございますが、現在、関係者で協議会をつくっておりまして、トイレ問題に限らないわけですけれども、いろいろな課題を話し合う場ができております。そういう場でいろいろ意見交換しておるわけでございますけれども、人によってトイレはない方がいいと言う方もいらっしゃれば、エコトイレみたいな自然環境への影響の少ないものならいいのではないかといった御意見もございます。そういった意見もございますので、担ぎおろしをすると決めた10年のうちに議論を詰めていきまして、10年後にはこういった形にするということをその協議会の場を使いまして検討してまいりたいと思っております。

〇伊藤勢至委員 早池峰山に関連して1点お伺いしたいと思います。
 今般、早池峰山は世界遺産の登録から残念ながら外れたわけであります。国定公園の中を道路が通っているのがどうもそぐわないのではないかということも外された原因の一つと聞いているような気がするんですが、今のトイレの問題に関しまして、世界遺産に登録をするためには、トイレはない方がいいんでしょうか、あった方がいいんでしょうか、それは関係ないんでしょうか、お伺いしたいと思います。

〇鈴木自然保護課長 世界自然遺産につきましては、環境省で検討委員会のような学者先生方の集まりでいろいろ御検討なされたと聞いておりまして、その場では、早池峰に特有の固有種、ハヤチネウスユキソウとかそういったもの、あるいは余りどこにでもあるというものではない、希産種を含む数多くの高山植物が生育している。そういった植物分類、分布地理学上の重要性が評価されて検討候補となったと聞いてございます。
 したがいまして、トイレがあるからだめだとかいいとか、直接そういうことにはならないと思いますが、例えばトイレによって生態系が破壊されるといった事態になればある程度は影響あるかもしれませんが、直接的な理由にはならないと思います。

〇伊藤勢至委員 いずれ将来的には、世界に誇れる岩手の早池峰は世界遺産に登録をされるべきだと思っておりますので、これからの早池峰の議論、いろいろな部分があろうかと思いますが、そこまで含んだ大きな議論の中からお詰めいただきますようにお願いして終わります。

〇佐々木順一委員 ただいまの小原委員、伊藤委員の早池峰山保全対策に関連しまして一言だけお尋ねいたします。
 早池峰山の国定公園は、指定が21年前であります。その後、国の関係機関から早池峰山の自然保護の強化などが指摘されてきております。一方、先ほど伊藤委員のお話にもありましたが、主要地方道紫波川井線があそこを通っております。こういった道路の取り扱いを含めて、世界自然遺産の候補地にもなったことから保護の強化は当然求められるわけでありますが、国定公園の見直しというのは5年に1回やるべきという義務規定なのか、その辺はちょっとわからないのでありますが、やるのが望ましいという記憶は持っております。いずれにしろ、状況が変わってきたものでありますので、今後、個別具体の保全対策も当然必要でありますが、包括的に国定公園の見直しを含めた取り組みが求められるのではないか、こう思っておりますが、担当部の今後の取組方針あるいはそういった認識を持って取り組まれるのか、この点を確認したいと思います。

〇鈴木自然保護課長 委員おっしゃる見直しの話でございますが、国の要綱といったもので、国立公園に準じて見直すのが望ましいということで、特段義務規定ではございませんが、いろいろな状況の変化に応じて見直すのは当然であると思ってございます。
 早池峰についてでございますけれども、見直すに当たりましては精細な調査が必要だと思っておりますが、総合的な調査を実は平成12年度に行ってございます。その調査では、特段破壊が進んでいるといった話は聞いてございませんが、確かにおっしゃるようにいろいろな声があることも事実でございますので、先ほど申し上げました早池峰地域の保全対策を進めていく、あるいは協議会の中で話し合っていく中で見直す必要があるということになればそれなりの対応を考えなければいけないのかと思っておるところでございます。

〇阿部静子委員 明細書の143ページの岩手男女共同参画推進についてお尋ねいたします。
 男女共同参画の岩手県の条例が昨年10月に制定されました。大変うれしいことでございまして、その成果が着々と上がっていることは承知いたしておりますが、参画条例制定以後の推進事業等の中身、そして成果、それによる課題、今後の取り組みについてまずお伺いいたします。

〇藤原青少年・男女共同参画課長 条例制定後の取り組みにつきましては、まず、男女共同参画プランの着実な推進を図るということでございますし、また、県職員に対する研修の実施ということで、昨年は本庁課長以上を実施しております。今年度は、全職員を対象に研修をすることになっております。また、今年4月から男女共同参画の調整委員を設置いたしまして、共同参画に係る県施策への苦情とか人権侵害に係る相談処理体制を整備しているところでございます。
 成果につきましては、プランの進捗は、まださまざまな問題がございますけれども、おおむね順調に推移していると考えております。特にこの1年、女性の議員の数とか農業委員、各種審議会における女性委員の増加など、政策とか方針決定過程への参画が着実に進んでいると考えてございます。
 また、課題につきましては、市町村の男女共同参画の計画の策定状況が9市町にとどまっておりまして、県民にとって身近な存在である市町村における取り組みが重要でございますので、市町村計画の策定を促進する必要があるということで、今年度、トップセミナーの開催等をやっているところでございます。
 なお、現在、策定に着手しているところが10数カ所ございますので、来年以降はふえていくものと考えております。
 それから、県民の要望が強い分野として、仕事と子育て、介護を両立できる環境づくりといったものがございますので、こういうものについても取り組んでいく必要があるのではないかと思っております。
 また、今後の方向としましては、最近、次世代育成対策支援法等による新たな取り組みとか、あるいは子育て等の両立支援の充実あるいはDV法等もプラン策定ができておりますので、今年度からプランの見直しに着手しまして、17年度を待たずに早目にプランの見直しを図ることにしているところでございます。

〇阿部静子委員 主要な指標の動きについて見ていきますと、改善はされていますけれども、まだまだだと。中間年、17年に向けての取り組みが問われるところでございますが、アンケートの結果を見ますと、岩手県の女性の社会参画の意識というのは全国的に見て低いんです。その部分への取り組みといいますか、意識改革の部分も必要であろうと思いますが、私、「・」にこだわったことがあるんです、「青少年・」というのに。担当課の名称が変わりました。その私のこだわったことがここに出てきたのかなと思いますのは、143ページの海外派遣事業費でございます。青少年海外派遣事業費と女性海外派遣事業費を比べてみますと、青少年は経費が5倍なんです。ここの部分の内容について御説明をいただきとうございます。
 それから条例に、ことしの4月から発効という、苦情処理という全国的にも価値のある、大変岩手の条例はいいよと言われた内容の部分があるわけでございますが、その苦情処理の部分で実際にどのような事項が要求されているのでしょうか、お知らせいただきます。

〇藤原青少年・男女共同参画課長 女性海外派遣事業と青年海外派遣事業の額の違いでございますけれども、派遣の人数のぐあいがございまして、女性の方は上級課程ということにしておりまして10名の参加でありまして、青少年の方は40名を4カ国に10名ずつ派遣した都合で額が変わっているものでございます。
 次に、15年4月1日から男女共同参画に関する苦情相談の受け付けをやってございます。文書により申し出のあった事案につきましては、11月現在で3件でございます。内訳は、施策についての苦情が1件と人権侵害についての相談が2件でございました。
 苦情の内容と、それに対する方策の関係でございますけれども、県民から申し出のございました苦情につきましては、岩手県男女共同参画調整委員3名の合同で調査を重ねまして審査をした結果、10月に岩手県教育委員会教育長あて、委員から指導をしてございます。この指導内容については、是正、その他の措置について委員に報告するように教育委員会委員長(後刻訂正)に求めているところでございまして、その申し出のあった苦情の趣旨と申しますのは、岩手県教育委員会として、みずからの組織に対する男女共同参画のプランを策定すべきではありませんかというものでございます。
 調整委員が行いました指導の概要につきましては、岩手県教育委員会の男女共同参画の取り組みにつきまして、岩手県教育委員会の男女共同参画プランに基づく男女共同参画の推進施策の状況を見ると、生涯学習などの分野については具体的な計画指標に基づいて施策が着実に進んでいるが、学校教育の分野については具体的な指標が定められていないので、取り組みと評価が県民にわかりにくいものになっているのではないか。今後、本県においても、早急に学校教育の分野について県民にわかりやすい具体的な施策と教育計画指標を定めるなどして、より具体的、計画的に施策の推進に取り組んでいただきたいといった指導でございました。
 また、人権侵害事案の相談につきましては、件数のみ公表されておりまして、申出人や関係者への助言、是正の要望については、個人の人権にかかわる内容でございますので、公表されていないところでございます。
 先ほど、報告するように求めたのを私、教育委員長と申し上げたようですが、訂正させていただきます。教育委員会の教育長に求めているものでございます。

〇阿部静子委員 確かに県に対する苦情の部分、大変大事な部分でございまして、今、課長がおっしゃった個人の人権の部分についてはここで明らかにすることはできないというのもわかります。
 一番進んでいると言われている埼玉県の条例の苦情の部分では、男女共学が出たんです。埼玉は別学が多いんです。それを共学にしたらどうか、そういう案件があったようでございますが、その結果は、その学校の卒業生等の歴史的なものもあってチャラになったんです。そういう男女平等にかかわるいろいろな考えの方々があるわけでございますが、何とかともにパートナーとして活動ができるような社会になってほしいという思いを込めながら、岩手の場合は共同参画のサポーター講座というのをやっていらっしゃるわけでございますが、昨年質問いたしましたときに、県内における偏在がある、そういう意識の偏りがあるというお話でございましたが、ここまで来てその傾向はどのようになっていますか。

〇藤原青少年・男女共同参画課長 男女共同参画サポーターの状況でございますけれども、13年度までの状況を見ますと、県北とか沿岸の圏域におきましてサポーターのいない地域がございましたので、昨年は資格研修等の場所を県北に移して実施するなどしまして、現在は各圏域におきましてサポーターが存在するという状況になっております。また、昨年からそれを踏まえまして、サポーターの会の各地区の組織体制もでき上がったところでございます。

〇阿部静子委員 先日もここに知事がおいでになったらというお話もございましたけれども、岩手の場合は特にそうですが、管理職、学校における女性の校長、教頭は率にすると東北6県でも多いんです。しかし、県庁、市役所等の課長以上の女性の数は本当にこれですものね。これと言っても言葉にしないとだめですが、いわゆる五指に入っているか入っていないかでしょう。選挙の後で、何百人の課長級の人たちの御紹介が本会議場であるわけです。数えます。本当に5本の指に入っていないですよ。そして、ただいま課長は男性でございまして、大変詳しい、女性参画の部分にたけていらっしゃる方でうれしいんですけれども、答えていただくときに、女性課長がばーんと立って答える場面があっていいのではないかと。それで知事が欲しいと。(「差別だ」と呼ぶ者あり)いえ、差別じゃないですよ。そういう思いがいたしますので、管理職登用の部分への知事の考え方を聞きたかったのです。

〇中村環境生活部長 管理職への女性の登用でございますけれども、そもそも最終的に目指すところは、男性であるとか女性であるとか、そういうことを超越して適材が適任のポストにつくことが最も望ましい姿であると考えてございます。いろいろ歴史的なあれがございまして、県職員の場合、そもそも新採用のときから男性の採用が圧倒的に多いという状況になってございます。それがたまたま、言うなれば平社員といいますか、私らの場合は主事から始まったわけですけれども、それが今積み重なってきた段階で、どうしても新採用即管理職というわけにもいかない、いろいろな積み重ねになってなる段階で絶対的に女性の職員が数として少なかったという歴史がありまして、岩手県の場合は、御指摘のように現時点では女性の管理職の絶対数が少ないということになっているのだろうと思います。近年、新採用職員に占める女性の割合がかなり高くなってきております。ここ数年特に高くなってきておりますので、いずれ若手の方々が経験を積んで管理職になるときには当然女性の管理職の比率も上がってくるだろうと思いますし、男性、女性ということを意識しなくても適材適所の人事ができることになるだろう、こういうことを私自身期待しているものでございます。

〇斉藤信委員 最初に、サラ金、やみ金などの多重債務問題についてお聞きします。
 昨年度の相談件数、そしてこの間の推移、その解決の方策と実績はどうなっているでしょうか。
 二つ目に、岩手県消費者信用生活協同組合の消費者救済資金貸付制度は、全国的には最も先駆的な大きな成果を上げているものであります。県としてどのようにこの実績を評価されているのか。
 3番目に、この消費者救済資金貸付制度には既に53市町村が預託をしていますが、岩手県はやっていません。私は、こうした全国に誇る制度は、今、青森でも京都でも学んで広げたいという運動が広がっているときに、岩手県も応分の預託をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

〇稲田環境生活企画監 県民生活センターと地方振興局で受け付けた、サラ金ややみ金など複数の借入先からの債務が多額となって返済が困難になっております、いわゆる多重債務者に係る相談件数の推移でございますけれども、過去3年間について見ますと、平成12年度が1、273件、平成13年度は1、657件、平成14年度は1、686件、このような状況となってございます。
 このような多重債務に関する相談に対しまして次のようなことで対応しておりますが、まず、多重債務者は、借入先や借入額を把握していないケースが多いということでございまして、債務額等や返済の見通し等をまず整理させております。その結果を踏まえまして、債務の整理方法、これには任意の整理とか、あるいは調停あるいは個人再生あるいは自己破産、このような整理の方法がございますが、このようなことについて説明し、そして助言をしております。相談者が希望する場合には、弁護士会あるいは裁判所等の関係機関を紹介する、このようにしております。相談の過程におきまして違法な取り立て等の話が出された場合には、それを監督しております財務事務所とか、県であれば産業振興課、そして警察の方に申し出るように助言してございます。このようにしているほか、岩手県消費者信用生協の消費者救済資金貸付制度の紹介もしております。
 これらの相談対応の結果については特に把握してございませんけれども、相談に来られた方々から、後日お礼の電話とかお手紙をちょうだいすることもございます。
 次に、消費者救済資金貸付制度についてでございますけれども、これは、消費者が多重債務に陥った場合の貸付制度でございまして、県内53の市町村が東北労働金庫ほか五つの金融機関に原資11億円を預託いたしまして、それを岩手県消費者信用生活協同組合が4倍協調で借り受けて多重債務者に貸し付けている制度でございます。平成15年10月末日現在の貸付状況は2、182件、貸付残高は40億47万円となってございまして、債務整理に当たりまして家族等の協力を得ることができるなど一定の条件に当てはまる人については生活の再建に向けて役に立っているものと認識してございます。
 この消費者救済貸付制度に県として応分の負担をすべきではないかということについてでございますけれども、この消費者救済資金貸付制度と申しますのは、市町村と消費者信用生協が連携しまして主体的に取り組んでおり、有効に機能している状況にございますから、県では、市町村の対応が十分にとられていない個別相談や、あるいは未然防止のための啓発に取り組むことが重要だと考えてございます。先ほど申しましたが、多重債務に陥らないようにすることが何よりも大切であると考えておりまして、センター主催の各種講座や派遣講座等を通じまして、過剰な貸し付けややみ金融などの被害に遭わないような未然防止を初め、多重債務の未然防止の啓発に努めることとしております。また、ヤミ金融110番やサラ金、クレジット問題連絡会議等、弁護士や関係機関と連携しまして、被害防止あるいは救済に努めることとしております。また、多重債務に陥った方々に対しましては、任意整理の方法の助言や裁判所に提出しなければならない書類や手続等について助言を行うことにしてございます。

〇斉藤信委員 大体わかりましたが、消費者信用生協貸付制度というのは、最初に盛岡市とやったんですよ。私は、盛岡市のこの先駆的な役割というのは極めて大きかったと思います。全市町村と一緒にやったんじゃないんですよ。盛岡市と信用生協が一緒になって立ち上げて、そこに市町村が加わるようになった。そのとき県が加わらなかっただけの話なんですよ。本当はこういうのを県がいち早くやるべきなんですよ。そして、今もお話あったように、今、2、182件、40億円でしょう。いわば普通の銀行では借りられない、サラ金で本当に困ってどうしようもない、そういう方々の生活の最後のとりでになっているんです。命を守るとりでと言ってもいいですよ。今、この取り組みが全国から注目されているんです。私は、そういう点では、市町村がやっているから大丈夫だというのではなく、予防対策と言っているけれども、やみ金、サラ金業者の被害者は急増しているというのが実態です。私は、信用生協さんにも聞いたけれども、もっとこの取り組みは広げざるを得ない、拡大しなければだめだという認識です。私は、そういう点で、こんなに役立って、全国的に先駆的な取り組みをやっているときに、何で岩手県は加わらないんだと。今、青森県は、県が主導でそういう取り組みをやろうとしていますよ。今まで制度がないので、岩手県の経験を学んで、県が主導でやろうとしているんですよ。いつまでもやらないでいいんですか。

〇稲田環境生活企画監 やはり借りるよりは、借りないで被害に遭わないことが何よりも重要でございますので、状況に応じていろいろな救済方法があると思いますけれども、やはり過剰な貸し付けとかやみ金融の被害に遭わないように、まずもって啓発していくことが当面重要だと認識しております。
 信用生協については、先ほど申しましたように有効に機能している状況にございますので、当面そちらの方で対応していただけることがよろしいかと認識してございます。

〇斉藤信委員 被害に遭う人を減らすというのは当然です。しかし、現実は深刻な不況、倒産、リストラで、広がっているんですよ。ギャンブルの人たちは少ないんですよ、今。生活苦ですよ。それでやむにやまれずサラ金から借りて多重債務に陥ったというのが一番多いんです。善良な市民がそうなっているんです。だから、あなたの言い分は全く事実に反する。今、深刻な経済状況の中で、こういう被害者が、困っている方が急増している。そういうときに全国に誇れるそういう制度が大きな役割を発揮しているわけだから、弁解ばかりしないで、言いわけばかりしないで、ぜひ前向きに考えていただきたい。これは指摘で終わります。
 二つ目、県境産業廃棄物不法投棄問題、第2クリーンセンター問題についてお聞きいたしますが、撤去すべき廃棄物の処理は、具体的にどこでどれだけ処分する計画になっているでしょうか。
 県内での処分の可能性、これはどのように検討されているでしょうか。聞くところによれば、溶融炉などでの処分を検討しているようで、新たに溶融炉を整備した市町村にも打診をしているようであります。県内ではどこが対象になるのか。しかし、市町村の施設ということになりますと、これは一般廃棄物処理が原則ですね。ですから私は、岩手県が委託をする場合には、住民に対する情報公開、そして住民の合意が大前提になると思いますが、この点についてはどのように取り組んでいるか示していただきたい。
 そして、一般廃棄物の焼却炉、溶融炉で処理しても大丈夫という科学的なデータ、科学的な根拠があるのかどうか。
 最後に、第2クリーンセンターのあり方についてですが、私は、この第2クリーンセンターについては、必要な側面もあるけれども、一般廃棄物と産業廃棄物を一緒に処理するという点では慎重な対応がもう一つ必要だと思います。特に、久慈、二戸地区は、二戸では10年前に焼却施設が整備されました。久慈地区では平成9年から10年にかけて大規模改造が行われて、このとき21億円かかっていますが、まだまだ耐用年数があるのではないか。そういう中で、この第2クリーンセンターを急ぐ必要はないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

〇滝川資源循環推進課長 まず、県境の産業廃棄物不法投棄対策の件でございますけれども、どこにどのような計画で処理するのかということでございますけれども、まず、受け入れていただくための条件というのが基本的に三つあるのではないかと考えていまして、一つは、確実に適正に処理ができる能力があるということ。もう一つは、廃棄物の受け入れ先として、御指摘ありましたように、地元の住民の方々の理解が得られているということ。さらに、コスト面で折り合えることが必要であると考えておりまして、私どもとしましては、今のところ、これらの条件に適合する施設であれば、できるだけ広く、基本的には県内での処理をお願いしたいと考えてございます。
 具体的な処理先あるいは処理先別にどれぐらいやるのかにつきましては、今、こういった条件をもとに、さまざまな施設の能力等を調査させていただいたり、いろいろ御意見を伺っているところでございまして、今後、撤去あるいは分別の方法、それから、各施設の受け入れ条件によって左右されることでございまして、現在のところまだ具体的なところまでは固まっていないところでございます。
 また、市町村で処理を受け入れる場合は、基本的に一般廃棄物の処理施設であるので技術的にどうかというお話もありまして、先ほども申し上げましたように、仮に市町村に処理をお願いする場合は、まず、地域の方々に十分説明して情報公開して、御理解が得られるということが前提であると考えてございます。また、一般廃棄物の処理施設なので産廃も大丈夫かということですが、燃焼工学的に、産業廃棄物であっても極端なカロリーの違いがなければ技術的に十分処理が可能だと考えてございます。また、御指摘ありましたように、一般廃棄物の基本的な施設ということで制度的な問題もあるわけでして、これにつきましては、法的にも制度的にも受け入れ市町村の御理解が得られれば可能になってございます。そういうことでございまして、住民の合意とあわせまして、これらをクリアした上で具体的な処理先を今後検討していきたいと考えてございます。
 次に、第2クリーンセンターのあり方ということでございまして、順調にいけば、できるだけ早く進めば21年度を稼動目標としたいということで取り組んでおります。一廃、産廃一緒に処理する施設ということで、久慈あるいは二戸地区のそれぞれの焼却施設の耐用年数の話が出ましたけれども、久慈地区は、9年、10年で大幅改修したといっても、もともとが60年に整備された施設でございまして、大分耐用年数が近づいてきているのではないかと考えています。それから、二戸地区については御指摘のとおりということで、最短で私どもがうまくいった場合、21年稼動の第2クリーンセンター、この時期前後に、ちょうどたまたまでございますけれども、更新時期に合致するのではないかと考えてございます。また、共同で一本化するということで別のメリットもございまして、もちろんダイオキシン対策もそうでございますけれども、大きくすることによって発電等も可能と考えてございまして、熱エネルギーの有効利用が図れるということも一つの効果ではないかと考えてございます。

〇斉藤信委員 私は、県境産廃の処理問題で、滝沢、矢巾からは、県から打診をされている、こういう話を聞いております。県内どれだけの施設に打診をしているか、これを示していただきたい。私が把握しているのは、新しい溶融炉の施設です。その他の焼却施設についても打診の対象にしているのかどうか、これを示していただきたい。
 それと、県内処理というのは一つの原則ですけれども、市町村の施設というのは一般廃棄物の処理で、結局ここで受け入れるということは、やっぱり過大な施設をつくったという逆の証明にもなるわけです。私は、そういう点では大変矛盾に満ちた問題ではないかと思います。住民の合意というのは今課長が言われたけれども、情報公開というのは触れられなかった。打診の段階から情報公開すべきですよ。そして、さまざまな住民の疑問に答えてやっていかないと、もう決めましたということではだめなので、きちっと協議をして、安全性や技術の問題なども明らかにして対応すべきではないかと思います。それについて改めて。
 第2クリーンセンターの問題について、これは、日量200トンの溶融炉の施設を考えているようですが、日量200トンということになると、その内訳、一般廃棄物、産業廃棄物、どのぐらい見込んでいるのか。聞くところによれば、このぐらいの施設をつくれば、ごみを集めなければだめだと。溶融炉の施設というのはごみを集めないと稼動しないんですよ。大体今、久慈、二戸地域は、どの程度の施設で間に合っているのか。実際どのぐらい処理されているのか。それと、第2クリーンセンターというどでかいものをつくってごみを集めるような施設になったら、私は、これはごみの減量にも逆行するのではないかと思いますが、その点いかがでしょうか。

〇滝川資源循環推進課長 打診している具体的な施設名といいますか、市町村というお話でございましたけれども、御指摘ありましたように、実は、処理能力に特にすぐれている溶融炉を持っている市町村等を中心に、可能なのかどうか、どんな条件であれば可能なのかどうか。もちろん、基本的には、産業廃棄物処理施設は県内にございますし、大きなセメント工場でも受け入れ可能ということは承知しておりまして、あくまでもそちらが基本でございますけれども、できるだけ広く早期に処理をしようということで、もし御協力、御理解いただけるのであれば市町村の施設もということで考えて、候補として調査なり御意見を伺っているところでございます。
 それから、技術的に本当に大丈夫なのか、受け入れるということは過大ではないのかということでございますが、一応市町村の一般廃棄物の焼却施設をつくる際は、すべてと言っていいんですけれども国の方で厳しいチェックがされていまして、将来の量を見込んだ形での処理施設の設計がされています。それと、一応余裕分も若干見るようにというルールがございまして、その範囲内でもし受け入れが可能であればということでございます。
 それから、第2クリーンセンターでございますけれども、200トンという話があったんですが、現在、具体的にどれぐらいの規模が適正なのかということについて、基本計画を検討しながらさらに詰めているところでございまして、今の段階ですと、一般廃棄物ですと現在100トン程度でございます。産業廃棄物は、なかなかこれは把握が難しいところもございますが、75トンから110トンぐらい受け入れる可能性があるということで、おおむね大体200トンぐらいと考えてございます。いずれこの辺につきましても、今後、具体的に計画を詰めながら、またまとまりましたならば情報公開してまいりたいと考えてございます。

〇斉藤信委員 溶融炉ということになると、滝沢、矢巾、釜石、あと、盛岡にも打診しているでしょう。固有名詞を今の段階で出せないなら、箇所数だけ言ってください。
 それと、旧日本軍による毒ガス隠匿問題について、これは先日明らかになりました。滝沢村にある岩手大学演習林内に旧陸軍が毒ガスを隠匿したという情報が防衛庁にあったということで先日明らかにされました。ニュース報道があった翌日に私のところにも関係者から電話がありました。実は、終戦前後に旧陸軍がいろいろなものをあそこに持ち運んだんだと。だから空襲も受けているんだよ、こういう話でした。私は、毒ガスだけでなくて、さまざまなものが一時的には、まあ、国の用地ですから、そういうことがあったのかなと思いますが、これは徹底的に国の責任で調査すべきではないかと思いますが、これに対する県の対応はどうでしょうか。

〇滝川資源循環推進課長 いろいろ調査を行っている対象の市町村の数ですが、3カ所でございます。

〇野本環境保全課長 旧日本軍の毒ガスの問題についてですけれども、委員から国の責任で調査すべきという御指摘がございましたが、私どもも、旧日本軍の毒ガス弾に関する調査につきましては、基本的に国の責任において実施されるべきものと考えてございます。実際今回の調査ですが、昭和48年の旧軍毒ガス弾等の全国調査のフォローアップという形で行われておりますけれども、国が行う調査に地方公共団体が協力する形で実施されたところでございます。
 滝沢の事案につきまして、国はどういう対応をするかと申しますと、現在のところ、毒ガス弾等が現在も存在する疑いを示す情報がなかったことから、現段階では特段の対応は必要なく、今後とも継続して関連情報の提供を受け付けることにしているところである、そういう対応となっているところでございます。
 今回の事実の報を受けまして、県としましては、引き続き県民や関係者に関連情報の提供をお願いいたしまして、できるだけ正確な事実の把握に努めておるところでございます。
 ただ、国、地方の責任云々申しましても、まずは健康に対する県民の不安を払拭することが重要であると考えてございますので、本県独自に、一時保管されていたと見られております岩手大学農学部滝沢演習林の周辺における住宅地の井戸水の水質調査、それから、保管場所と思われる地点の周辺の土壌調査を速やかに行いたいと考えてございます。このような水質、土壌調査の結果を踏まえながら、滝沢村、岩手大学と連携して適切に対処をしていきたいと考えてございます。
 また、岩手大学の演習林につきましては、大学により演習林への立ち入りを禁止する措置が講じられたところでございますし、滝沢村も演習林周辺の住民にお知らせを行ったところでございます。

〇斉藤信委員 国の責任で調査すべきだという回答でしたが、そういうふうにきちんと申し入れているんですか。新聞報道では今は保管されていないのではないかとあるけれども、今まで国自身が調査したのかどうか。今、保管されていないという根拠が示されているのかどうか、ここをきっちりやっていただきたいと思いますが、いかがですか。

〇野本環境保全課長 国の方では一時保管されていたと発表してございまして、それ以上に、今も保管されているかいないかといったことは今のところわかっておりません。そういった面も含めまして、県の方としましては、一時保管されていたと見られております場所の水質調査、土壌調査を行いまして、県民の不安の払拭に努めたいと考えてございます。
 それから、国への要請につきましては、この状況などを見ながら、必要があれば国の方への要請も検討してまいりたいと考えてございます。

〇斉藤信委員 弱腰ですね、国に対して。部長、こういうのは緊急にばっと国に申し入れなければだめですよ。責任を持って調査して、ないならない、あるなら徹底して撤去させるとか、大問題ですよ、これは。被害が起きてからでは遅いんだから。こういう情報が明らかになったら直ちに国の責任でやっていただく、そういう緊急の申し入れに、部長、あなた行かなくちゃだめなんじゃないの。

〇中村環境生活部長 いわゆる旧日本軍毒ガス保管に関連する調査でございます。
 国は、今回、発表しまして、A、B、C、Dという四つのランク付けをいたしまして、Aが一番緊急に調査対策をしなければいけないという緊急性の高いというか、明らかに危ないと。Dというのは、そういう旧陸軍の情報はあるけれども、現実に特に被害が起きているとか、そういうことが明らかではない。これからも情報収集に努めるのだということで、国自体は、そういう旧軍の記録はあったけれども、今までの状況からいったらそんなに心配する度合いは少なかろうということで、国は、Dまでの調査は今すぐ必要がないというランク付けをしております。今、お話のあった滝沢村はそういうことなわけでございます。毒ガスが一時保管されていたという情報でして、今もあるということではないという前提で物を考えているわけでございます。したがって、すぐの調査は要らないというのが国の対応です。ですから、Dというランクになった。
 ところが、そうはいいましても、現実問題として、演習林は演習林ですけれども、その周辺には住宅もありますし、井戸水を使っていらっしゃる方もいるということで、先ほど担当課長から申し上げましたように、わかったなら速やかに国で調査をすべきだというのはそのとおりですけれども、さあ、国で調査しろ、いや、そんな必要はないと国とかけ合うのに数カ月とか、そういう日数がかかる。かかるまで何もしないで放置しておくことの方がやっぱり大変なわけでして、まず、今、県が――(斉藤信委員「そんなことは聞いてない」と呼ぶ)いやいや、そういうことで、県は、やっぱり住民の安全のために調査をしたわけです。ですから、弱腰だとかそういうことではなくて、調査の結論を見て、それによってやはり危ないというのであればもっと徹底的な調査をしてくれと、これは国にも要望するということなわけでございます。その点、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

〇阿部敏雄委員長 斉藤信委員の質疑の途中でありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時57分 休 憩
   午後1時6分 再 開

〇柳村典秀副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

〇斉藤信委員 これは最後の質問ですから。決算書の159ページに岩手中部圏域広域的水道整備計画調査費と、これは北本内ダムが中止になって、その必要な水源を入畑ダムから確保するということで、その必要性について県が調査をしたこの予算だと思いますが、その結果、結局は必要なかったと、不足ではなくて余るという結果が出ました。私は、これは大変重大な問題だと思うのですよ。なぜそういうふうに、以前は水が必要だと言って400億円のダムを計画して、その次は入畑ダムからの転用を考えて、いよいよの段階でやってみたら、不足どころか余るというふうになったのか、その理由とこの教訓を示していただきたい。
 それにかかわってもう一つ、胆沢ダムに係る胆江ブロックの水需給計画があるんですが、この胆江ブロックの水需給計画も、私は中部圏域と同じような試算をしたら、不足ではなくてここも十分対応できるということになると思うのですよ。なぜかといえば、人口推計が現状よりも平成35年が人口がふえるような推計になっています。もう一つは、自己水源が3分の1に減るという試算をしているんですよ。わざわざダムから水を引くために、あり得ない推定をしている。そのためにどういうことになるかというと、ダム負担金が53億円で、浄水場の建設が247億円、そうすると301億円かかると、私は中部圏域のこういう教訓を生かして、胆江の場合もむだなダムからの水の確保をしなくてもいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 最後ですが、先日、イヌワシの繁殖率が急激に低下しているという記事がありましたので、イヌワシの繁殖と保護の状況、繁殖率が後退している原因について示していただきたい。

〇野本環境保全課長 水需給計画につきまして2点ほど御質問を受けましたので、お答えいたします。
 まず、先に北本内ダムにつきまして、北本内ダムにつきましては岩手中部広域水道企業団が平成12年の北本内ダム建設中止に伴う代替水源としまして入畑ダムの工業用水を転用することにしまして、同年、県の利水調整委員会で確認されたところでございますが、同企業団構成4市町から中部ブロック広域的水道整備計画改正の要請を受けまして、平成14年度に県におきまして契約の見直しの必要性を検討しましたところ、圏域内で企業団からの受水水量を融通する等で賄うことが可能であるとされたことから、工業用水の転用は不要とされたところでございます。
 それで、なぜ需給計画、差が、不要となったかというその理由でございますが、平成11年の企業団の推計と平成14年度におきました県の調査で、推計基準年の違い、それから人口積み上げ方法の違いによる生活配水の減少、それから基準年の違いによります業務営業用、工業用及びその他需要水量の減少と考えられるところでございます。
 それから、胆沢ダムにつきましても同じような試算をしたらということでございますが、基本的に県の方で試算を行いますのは、水道法5条の2に基づきまして各構成市町村の方から要請があった場合に行うこととされておりますので、このような要請がありましたら、県としましてもこちらの調査をしたいとは考えております。
 それから、こちらの方の推計の中で自主水源をわざわざ減らしているというような御指摘がございましたが、平成元年10月に胆江圏域広域的水道整備計画を策定した際に、水源についての基本的な考え方というのがありまして、それによりますと、まず水利権のあります表流水、伏流水の水源は将来的に使用が可能な範囲で利用することとして、地下水につきましては使用可能な範囲で有効に利用することとし、これらの水源で賄えない需要水量を企業団から受水することとされておりました。この考え方に基づきまして、企業団の構成5市町が各自の自己水源につきまして、水量の低下の不安ですとか、管理上の効率化を考慮した上で、恒久的に使用する水源、それから廃止する水源を選定した結果、地下水を利用した水源が廃止対象とされたことから、結果的に水道等の自己水源が減少したものでございます。

〇鈴木自然保護課長 イヌワシについてのお尋ねでございますが、まず繁殖の状況でございますけれども、全国に生息するイヌワシは、これは全国的に広く分布しておるわけでございますが、日本イヌワシ研究会の調査によりますと134つがい、約300羽ということでございます。そのうち本県には北上高地等の山岳地帯を中心に約29つがい、60羽という繁殖の状況になってございます。
 それから、保護についてでございますが、イヌワシは国の天然記念物でございますが、さらに絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律、いわゆる種の保存法と言われるものでございますが、これにおいて国内希少野生動植物種として指定されてございます。したがいまして、法律で捕獲や譲渡が厳しく規制されておるものでございます。
 保護策でございますが、国におきましては、環境省の方でイヌワシ保護増殖事業計画というものをつくりまして、生息・繁殖状況の把握ですとか、繁殖地の環境の維持、改善に努めておるところでございますし、林野庁がえさ場の確保ということで、間伐を列状にいたしまして、そういたしますと例えばえさであるノウサギの生息環境がよくなるとか、イヌワシから見えやすくなるといった効果が期待できるということで、列状間伐というものを全国複数箇所で実施してございまして、本県におきましても遠野、宮古、久慈地方において実施しているということでございます。また、県におきましても、これまでイヌワシの生息地の買い取り事業への補助ですとか、それから学識経験者からなります検討委員会による繁殖行動調査の実施ですとか、あるいは環境保健研究センターでの繁殖状況のモニタリング、さらには鳥獣保護区の設置等によりまして生息環境の確保に努めてまいりました。
 それから、繁殖率が低下しているのではないかというお話でございますが、この原因につきましては、一般的にはえさ場の不足ですとか、あるいは人為的な攪乱、大型開発等いろいろ取りざたされるわけでございますけれども、国の方の専門調査機関、山形県に猛禽類保護センターというのがございますが、そこの研究におきましても、その原因については明確にされていないという現状でございまして、国、県一緒になりまして長期的に継続した調査が必要ではないかと考えてございます。

〇斉藤信委員 胆江ブロックの水需給計画について、岩手の水需給計画、県全体の北上川下流、あるわけですよね。私は、もちろん正式に要請されなければ精密な調査は県としてできないと思いますよ。ただ、これは300億円かかる話ですから、やっぱり実際人口推計が20年後ふえるという推計自身は今どこでもとっていないと思いますよ。そして、自己水源というのはダムの場合よくやるんですよ。ダムから水を確保するときには自己水源を減らすんですね。これは話が逆なんです。私はそういう点で、やっぱり打診なり助言なりして、県も市町村も厳しい財政状況のもとで、もっと精密な対応をすべきではないか、そういうことはできないのか。最後にお聞きして終わります。

〇野本環境保全課長 委員の御指摘の件でございますけれども、私どもとしましては、先ほど御答弁しましたように、水道法5条の2に基づきまして、関係市町村から要請がございましたら、こちらの方を調査いたしたいと考えてございます。

〇小野寺好委員 3点お伺いいたします。
 まず一つは、新幹線の関係ですけれども、盛岡以北、丸々1年経過したわけですけれども、1年たってみて騒音とか振動、こういった被害の申し出があったかどうか、盛岡市内でちょっとそういった声を聞きますけれども、どういった対処をしているかお伺いします。
 二つ目は、以前ブラックバスとかブルーギル、いわゆる外来魚についてここで問題が取り上げられましたけれども、その後、現在に至るまで何か影響等が出ているか。全国的には一部熱烈なマニアがいて放っているといったことも報じられていますけれども、岩手県はいかがでしょうか。
 三つ目ですけれども、現在、環境体験学習が重要視されてきておりますけれども、本県でのこれまでの取り組みはいかがでしょうか。特に来年度以降、指導者確保などどのような見通しになるか。
 あわせて、子どもエコクラブ、こういったものの状況はどうなっているかお尋ねいたします。

〇野本環境保全課長 新幹線盛岡以北の騒音に関しまして御質問がございましたので、お答えいたします。
 まず、県内の状況でございますが、昨年の開業以後、環境省の委託を受けまして、昨年度、県内14地点で調査を実施しましたが、これによりますと県内13地点で環境基準は達成しておりまして、達成率としては93%でございました。この結果を受けまして環境省の方からも、こちらの改善を関係機関の方に要請しているところでございます。また、今年度も県が関係市町村と協議しながら、騒音測定を実施しているところでございます。
 それから、1年たってみて苦情の申し出等というお話でございましたが、こちら騒音に関しまして意見、お話をいただいているところでございます。内容につきましては、新幹線騒音につきましては、環境省の方の告示で、開業後直ちに環境基準を達成するように目標としておりまして、騒音防止策を総合的に講じても目標期間内に基準達成が困難と考えられる区域においては、家屋の防音工事等を行うことにより基準達成値と同等の屋内環境が保持されるようにするとされているところでございますが、これに基づきまして新幹線の建設者でございます昔の鉄建公団、今ですと独立行政法人鉄道建設運輸施設整備支援機構、簡単に鉄道運輸機構と申しますが、こちら鉄道運輸機構が行っておりまして、鉄道運輸機構が行っております住宅防音工事につきまして、この内容なら納得できないという点があるといったお話を私どもも受けているところでございます。こちらにつきましては、環境省の方からも先ほど申しました盛岡以北の騒音状況の調査の際に、建設主体で実施します住宅防音工事の促進のため、建設主体との連絡調整を図るように環境省から県も要請されていることもございましたので、住宅防音工事につきまして十分に説明をして理解に努めるよう、鉄道運輸機構の方に要請しているところでございます。その後、鉄道運輸機構の方でも当該地域住民等に工事に関しまして説明会などを実施していると聞いているところでございます。
 県としましては、鉄道運輸機構の方に、引き続き地域住民の方に十分に説明するよう要請しますとともに、県内26市町村で岩手県高速交通公害対策連絡協議会を構成してございますので、こちらを通じまして県南の新幹線の騒音基準が超過している地点も含めまして、関係機関に改善を要請してまいりたいと考えてございます。

〇鈴木自然保護課長 ブラックバス問題でございますけれども、このブラックバス等の問題につきましては、農林水産部の水産振興課が中心となって対策協議会を設置して対策を講じておるところでございます。ということで詳しくは農林水産部の方にお尋ねいただきたいと思っておりますが、当課として聞いております範囲内でお答えいたしますと、確かにこういったブラックバスとかブルーギルといったものによる、アユですとかヤマメなどが捕食されているといった被害が生じている。したがいまして、その対策といたしまして、密放流ですとかリリース、生体での持ち出し禁止などの対策を講じているということでございます。被害状況といいますか、生息地の状況でございますが、最近の調査によりますと、かつては北上川水系を中心に生息していたということでございますが、最近は沿岸地方にまで広がりつつあるということで、現在は33の市町村において生息が確認されていると聞いております。

〇稲田環境生活企画監 環境体験学習についてのことでございますが、環境学習の第一歩は、身近な自然に目を向けることが重要でございまして、岩手の場合はその素材が間近にたくさんあるということで、これを有効に活用していきたいというようなことで取り組んでおります。14年度におきまして、例えば水生生物調査というのを、これは主に小学生を対象にやっておりますが、参加者は236団体の6、323人に上ってございます。また、子供や一般を含めて広く対象にしております身近な環境調査というものがございます。これは自分の周りにいる小さな動物とか植物を発見して登録するというものですが、それにつきましては146の学校、それから46の団体、それから371人の方が参加してございます。それから、月1回、滝沢村にあります野鳥観察の森ネーチャーセンターにおきまして定例自然観察会というものを実施してございます。これは1回当たり20人という定員がございますので200人ぐらいの参加となっております。
 子どもエコクラブというものを環境省で支援してございまして、岩手県におきましても各学校や地域に呼びかけて設立しております。小・中学生数人から20人程度の構成でそこにリーダーがいるクラブでございますけれども、現時点で県内には51のクラブ、720人が参加してございます。そのほか学校や地域の要請に応じまして出かけていっていろいろ指導する環境アドバイザーが34人、それから温暖化の、これは防止の実際の活動を支援するんですけれども、温暖化防止活動推進員が46人おります。こういうことで、地域で体験学習等を推進してございます。リーダー養成ということで、例えば子どもエコクラブのリーダー研修会をやりましたり、それから自然観察のリーダー養成研修を実施したりしております。来年も環境アドバイザーとか温暖化推進員の登録を受け付けて、研修会を開いて指導者の養成を強化していきたいと思っておりますし、また、環境団体や先生方の意見も聞きながら、実践的な環境学習プログラムを検討するなどしまして、地域あるいは学校におきます環境学習の支援に努めてまいりたいと考えております。

〇工藤篤委員 それでは、最後の質問者のようでありますので、2点伺います。一発回答、満額回答でひとつお願いしたいと思います。
 まず、第1点は、県境の不法投棄事件についてであります。1日の総括質疑で総務部長は、廃棄物を排出した都県の責任を問うのだというようなことを答弁されております。一方、中村部長は、行政代執行に着手したら許可業者の監督指導を怠っていた青森県及び埼玉県の行政責任を問うと答弁しております。そして、去る11月28日、長葭室長が二戸の不法投棄現場で行政代執行に着手すると宣言しました。約束どおりいよいよ青森県や埼玉県への責任追及を開始すべき時期が来たと思いますが、県として、いつ、どういう追及をしていくのか。いつまでも余り答弁をあいまいにしないで、はっきりした答弁をお願いしたいと思います。
 それから、第2点は、県北に整備予定の、先ほどもお話がありましたが第2クリーンセンターについて、私は早く整備するべきだということから伺いたいと思いますが、11月の末で候補予定地がある市町村から県に報告があったと思うのでありますが、どんな状況になっているのか、今後また候補地を決定するスケジュールはどうなっているのかについて伺います。

〇中村環境生活部長 他都県に対する責任の追及の点について私からお答えさせていただきます。第2クリーンセンターの関係につきましては、長葭対策室長からお答えをいたさせますので、御了承願います。
 県境産廃不法投棄事件でございます。このような事件が発生いたしました第一義的な責任は、不法投棄あるいは不適正処理等を行いました処分場を運営する青森県の三栄化学という業者、それからそこに首都圏から大量に不法な投棄の目的で廃棄物を持ち込んだ懸南衛生という埼玉県の収集運搬業者、この人たちが直接的な責任を負うべきものだと思っております。しかしながら、それのみではなくて長期にわたってそういう事業者に対して何らの措置の命令等を講じないまま、いわば放置をしておった行政主体にもそれなりの責任があるのではないかとも考えております。
 さらには、ここの部分につきましては、不法投棄されたものが、大部分が首都圏から運搬された廃棄物であるということもございます。首都圏で言うなれば余ったごみを過疎地である岩手県、青森県、あるいは関西の方の事例で言えば大阪、兵庫、関西のそういう県で余ったものが香川県の島に投棄されていたという事例もございます。そういう大都市圏の廃棄物を過疎地に放置するような行政、そういうやり方が果たしていいのかという問題もあるわけでございまして、そういう面でどこがどのような形で責任をとるということもあります。そういう排出元の都県の責任を問いたいという思いは大変強いものがあるわけでございます。思いは非常に強いのでございますけれども、例えば行政的な責任、法律的な責任、いろいろな責任のとり方というか、責任の追及の仕方があると思うのですが、法律的な責任を追及するといった場合に、実際に行動を起こした事業者は、これは当然あなたが持ってきたでしょうと、違法行為をしたでしょうということで撤去しなさいと言えるわけですが、それを見過ごした――見過ごしたということは、ある意味では何もしなかったという、何もしなかった人に対して、あなたは何もしないのが悪いのだと、本来こうやるべきだという、そういう言うなれば不作為に対しての責任を追及するというのは、法律的な技術からいきまして、作為、何かしたことに対する責任を追及するということに比べて、不作為に対する責任を追及するというのは、法律的にはなかなか難しい部分もございます。
 したがいまして、だからやめたということではなくて、どのような形でこの私どもが考えている思いを、何で首都圏で大量に排出されたごみが岩手、青森、そういう私どもの、いわば岩手県は一方的に捨てられた県で、国庫補助はありといえども県費も投入して処理をしなければならないのか。そういうことに対してどういう責任の追及といいますか、とらせ方と言うんですか、責任の求め方があるのか、今いろいろと勉強しております。いつまでも放置しておくつもりはございませんけれども、不作為責任を追及するというのが非常に法律技術的には難しい面もございます。どのような形でやったらいいのか、いろいろ研究しているところでございます。方向性が見定まり次第、具体的な行動に移していきたいものだと考えてございます。

〇長葭環境生活部次長 第2クリーンセンターでございますけれども、この適地につきましては、これまで二戸、久慈地域の市町村の助役さん、あるいは地方振興局などと規模、内容、予定地の適性などにつきましていろいろ協議をしてまいりましたが、11月13日に正式に県北の久慈、二戸管内の全市町村に対しまして、適地の条件を示しながら、例えば用地につきましては最終処分場も含めまして7ヘクタール以上あるとか、あるいは地すべりなどの災害が発生しないような地域であるとか、そのような条件をお示ししながら、立地の意向があるかどうか照会をしておりました。その結果、3町村から建設可能地の推薦がありました。軽米町、山形村、九戸村の3町村から建設可能地の推薦があったところでございます。
 今後でございますけれども、学識経験者をメンバーといたします用地選考に係る委員会を設置いたしまして、推薦がありました土地について評価をしていただく予定にしております。これは12月5日――明後日でございますけれども、第1回の委員会を開催しまして、推薦のあった3用地について調べる、それから候補地の視察などもしていただく、そういう予定を12月5日にセットしております。この委員会の評価を踏まえまして、関係市町村と協議をしながら、立地場所につきましては今年度末までに用地を選定していきたいと考えております。

〇工藤篤委員 部長に最後に伺って終わりますが、埼玉県あるいは東京都もごみを持ってきているわけですから、そのとおりだと思うのでありますし、それから青森県、御承知のように許可業者なわけですね。被害者はやっぱり率直に申し上げて二戸市なわけですよ。私はいつかも委員会でも申し上げているのですが、やっぱり岩手県は少し青森県などに対しても非常に弱腰ではないか。気持ちはわかるんだけれども、一歩踏み込めないと言うんですかね、そういうふうな印象を受けるわけですよ。一生懸命やっていただいているのも私は評価もしているし、そのとおりだと思うし、青森県に比べれば非常によく県は対応して地元でも感謝しております。それは事実であります。ただ、やっぱりもう少し相手に対する責任を問うという姿勢は、もう少し強く出てもいいのではないかと私は思っているのでありますし、それから私らの地元の人もそういうふうに言っているわけであります。例えば、この間2日にある新聞に載りましたが、また青森県が汚染拡散対策について本県に再度照会したというような報道もあったわけでありますが、これなども率直に申し上げて実になめたようなことなんですよ。ですから、私は、部長は今までも一生懸命やっているわけですから、なかなか強気なところもあるし、しっかりやってもらいたいというので、もう一回ひとつその取組姿勢について伺って終わります。

〇中村環境生活部長 対首都圏、対言うなれば北東北という面では、岩手県と青森県は共同歩調をとって対抗しなければならない立場にありますこの不法投棄産廃の件に関しては、一方で青森県は青森県、岩手県は岩手県でございますので、一緒になって首都圏に立ち向かうということと、それから岩手県は岩手県、青森県は青森県、両県のやってきたことできちんとけじめをつけるということは、またそれはきちんとしなければならないということだと思いますので、ただいまの委員のお話の趣旨も踏まえまして、今後適切に対応してまいりたいと思います。

〇柳村典秀副委員長 ほかに質疑はありませんか。

〇野田武則委員 3点ほどお伺いをしたいと思いますが、159ページに化学物質の環境対策費ということで先ほど説明があったわけでございますが、環境ホルモンだとかダイオキシンの調査というふうにお伺いをしたわけでございますけれども、岩手県下のダイオキシンあるいは環境ホルモン等の調査につきまして、例えば、いつ、どこで、だれが、どのような形でなされているのか、そしてまた、その結果どのような状況なのか、ぜひお伺いをしたいと思います。通告をしていなかったので資料はないと思います。わかる範囲で結構でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 二つ目は、合成洗剤についてでございますが、この件については多分何年間も他の委員あるいは多くの方々から要望等もあったかと思うのですが、例えば、先ほど伊藤勢至委員の方からもお話があったとおり、三陸の海という大きな財産を抱えている岩手県にとって、海の環境汚染を守ると、これは本当に大事なことだと思うわけでございます。浜の漁協の婦人部等の団体においては、合成洗剤の追放運動あるいは合成洗剤にかわる普通の洗剤を使うとか、そういった運動を展開しているわけでございますが、そういうことで、できれば県立の大学あるいは高校、あるいは県立病院等、要するに公立の機関における給食の洗浄器は多分まだ合成洗剤を使われているんだろうと思うのですが、これをぜひ普通の洗剤を使えるようなものに順次取りかえていく対応をぜひとっていただきたいと思うわけですが、そういった取り組みについてちょっとお伺いをしたいと思います。
 それから、3点目に、レッドデータブックというのがあるそうでございまして、釜石地域におきまして、県の工事をするたびに、しょっちゅういわゆる希少植物の問題がたびたび出てくるわけでございまして、どうも、地方振興局の皆さんもそうだと思うのですが、なかなかどこに何があるかというものが実際わかりかねるのが実態ではないかと思いますし、もちろん我々市民あるいは県民もどこに何があるかは全然そういう情報がないということだと思うのですが、そのいわゆるレッドデータブックの一般の県民に対する周知、これはどのようにしておられるのかお伺いをしたいと思います。

〇野本環境保全課長 まず、ダイオキシンと環境ホルモンの調査主体とその結果について御説明いたします。
 まず、ダイオキシンの調査につきましては、ダイオキシン類対策特別措置法第26条に基づきまして、県が大気環境、公共用水域、地下水及び土壌におけるダイオキシン類の汚染状況につきまして調査しております。それによりますと、平成14年度に関しましては、大気環境につきましては、すべての地点で大気の環境基準値を下回っているということでございます。こちらは一般環境地域4地点、沿道地域1地点、発生源周辺地域4地点の計9地点で調査してございます。それから、公共用水域につきましては、河川50地点、湖沼1地点、海域5地点の計56地点の公共用水域で調査してございまして、こちらもすべての地点で水質の環境基準値を下回ってございます。また、底質につきましても、すべての地点で底質の環境基準値を下回っているところでございます。それから、地下水につきましては、28市町村30地点で調査しましたところ、すべての地点で地下水の環境基準値を下回っているところでございます。それから、土壌につきましては、一般環境としまして6市町村25地点、発生源周辺として6地区54地点で調査しましたところ、すべての地点で土壌の環境基準値を下回っているところでございます。
 続きまして、環境ホルモンについて御説明いたします。環境ホルモンにつきましては義務づけられておりませんので、県の独自の調査となるわけでございますが、平成14年度につきましては、水質調査としまして公共用水域15地点、河川12地点、湖沼1地点、海域2地点でございまして、底質調査としまして、公共用水域13地点、内訳としまして河川10地点、湖沼1地点、海域2地点でございます。こちらの結果としましては、水質の方としまして15物質中――15物質と申しますのは、環境省の環境ホルモン戦略計画SPEED'98というのがございまして、こちらの方で内分泌攪乱作用を有すると疑われる物質としてリストアップした物質のうち、優先してその危険性、リスクの評価に取り組む物質として選定した物質、それからこれまでの県内検出状況等を勘案して出した物質なんでございますが、こちらの物質中5物質、内訳としまして、ノニルフェノール、4-オクチルフェノール、ビスフェノールA、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル、トリブチルスズが検出されているところでございます。検出された物質につきましては、環境省が平成10年から12年度に行った全国調査に比べて低濃度でございました。それから、ノニルフェノール、4-オクチルフェノールにつきましては、平成13年度及び平成14年度に環境省が魚類への影響の指標として示した無影響濃度というのがございまして、こちらを下回ってございますので、生態系への影響は低いと推察されてございます。また、これらの物質は人への環境ホルモン作用は認められてございません。それから、底質につきましては、これも5物質、内訳としてビスフェノールA、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル、フタル酸ジブチルベンジル、フタル酸ジ-n-ブチル、トリブチルスズが検出されてございまして、検出された物質につきましては、環境省が平成10年から平成12年度に行った全国調査に比べて低濃度でございました。
 それから、合成洗剤の適正使用につきましては、水質汚濁防止法第14条6に国民の責務としまして規定しているところでございまして、県におきましても平成13年に全面改正しました生活環境保全条例中に、県民の努力義務規定として盛り込んでいるところでございますので、そういった努力義務に基づいてそれぞれの機関で頑張っていただくことになるかと思います。

〇鈴木自然保護課長 レッドデータブックに掲げる希少種等の一般市民等への周知というお尋ねでございますが、御指摘いただいたとおり、ことしは釜石、それから宮古とか久慈とかでレッドデータブックに記載されております希少種にかかわりまして、県の関係事業等によってちょっと配慮不足であったといったような事例が見受けられまして、その対応のあり方が課題とされておることは承知してございます。そういうことでございまして、その課題への対応につきまして、県はもちろんですけれども、市町村、事業者、県民の協力、連携が不可欠だということでございまして、レッドデータブックの普及版ですとかパンフレットの作成により周知を図っているところでございますけれども、具体的にどこに何があるといったことは正直申し上げて公表はしておりません。当方としても、1キロ四方の中にこういったものがあるという情報は持っておるのでございますけれども、具体的にこの場所、この場所といったような情報ではございません。この情報につきましては地方振興局の保健福祉環境部の方でそのデータ、自然保護課でも見られますが地方振興局の方でも見られるということで、実際に事業をするに際してはその保健福祉環境部のデータに照会してやるといったような形になってございます。
 公表についてでございますけれども、希少野生動植物の生息地につきましては、その情報を公開することによりまして盗掘されますとか、違法に捕獲されますとか、そういったおそれのあるのも多いと、保護に支障を及ぼす可能性があるという専門家の御意見がございまして、それを受けまして、原則としては公開しないという形にしてございます。ただし、地域住民の協力を得て生息地の保全ですとか監視をする方が効果的だというような場合には、その必要な限度におきまして地域住民の方々に生息地の情報を公開しまして、その希少種を守っていこうということにしてございますので、そういったことで、ケース・バス・ケースで対応していきたいと考えてございます。

〇柳村典秀副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇柳村典秀副委員長 質疑がないようでありますので、環境生活部関係の質疑をこれで終わります。
 次に、保健福祉部長に保健福祉部関係の説明を求めます。

〇長山保健福祉部長 平成14年度の保健福祉部関係の決算について御説明申し上げます。
 お手元の平成14年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開き願います。当部関係の一般会計歳出決算は、第3款の民生費のうち、2項県民生活費を除くものと、第4款の衛生費のうち、1項公衆衛生費、3項保健所費、4項医薬費と2項環境衛生費の一部、16ページに参りまして、第13款の諸支出金のうち、1項公営企業貸付金及び2項公営企業出資金と3項公営企業負担金の一部であり、予算総額は983億5、621万円余、支出済額で975億9、159万円余となるものであります。
 13ページに戻りまして、平成15年度への繰越額は3事業で、2億984万円余となっております。
 以下、順次各項目ごとにその主なものにつきまして、便宜、お手元の歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、事業ごとの金額の読み上げは省略をさせていただき、主な事業の内容を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
 お手元の事項別明細書の132ページをお開き願います。第3款民生費1項1目社会福祉総務費は、人件費等の管理運営費のほか、民間社会福祉施設職員の待遇改善等を図るための民間社会福祉施設整備等助成費がその主なものであります。2目身体障害者福祉費は、135ページに参りまして、上段、市町村が実施する重度心身障害者医療費助成事業に要した経費の補助がその主なものであります。3目知的障害者福祉費は、知的障害者援護施設への入所、援護委託等を行うための知的障害者更生援護費がその主なものであります。4目老人福祉費は、135ページの下段になりますけれども、市町村等に対する介護保険法による介護給付費等負担金がその主なものであります。
 137ページに参りまして、翌年度繰越額の繰越明許費の2億435万円余は、老人福祉施設整備費補助と介護予防拠点施設整備事業費補助において、関係機関との計画調整に不測の日数を要したため繰り越したものであります。
 次に、5目遺家族等援護費は、戦傷病者戦没者の遺族及び家族等への援護費がその主なものであります。6目国民健康保険指導費は、市町村の国保財政基盤の安定確保等に要した経費に対する補助がその主なものであります。138ページに参りまして、7目婦人保護費は、婦人保護施設への入所保護委託費がその主なものであります。8目社会福祉施設費は、県立の社会福祉施設の管理運営に要した経費がその主なものであります。9目老人福祉施設費は、県立の養護老人ホームの管理運営に要した経費であります。
 次に、ページを少し飛びまして、142ページをお開き願います。3項1目児童福祉総務費は、中段、保育需要の多様化に対応した特別保育事業及びことし5月5日にオープンしたいわて子どもの森の整備に要した経費がその主なものであります。
 なお、143ページの翌年度繰越額の事故繰越548万円余は、いわて子どもの森整備事業費において、備品の納品に不測の日数を要したため繰り越したものであります。
 2目児童措置費は、145ページに参りまして、上段、児童福祉施設への児童の措置に要した経費がその主なものであります。3目母子福祉費は、児童扶養手当支給事業費がその主なものであります。4目児童福祉施設費は、県立施設の管理運営等に要した経費であります。
 146ページに参りまして、4項1目生活保護総務費は、保護指導費と事務費がその主なものであります。2目扶助費は、生活保護世帯に対する扶助等に要した経費がその主なものであります。148ページに参りまして、3目生活保護施設費は、県立施設の管理運営等に要した経費であります。
 5項1目救助費は、台風6号による大雨洪水災害の救助及び見舞金がその主なものであります。
 次に、4款衛生費1項1目公衆衛生総務費は、人件費等の管理運営費と、次の小児慢性特定疾患治療研究事業費負担を内容とした母子保健対策費がその主なものであります。150ページに参りまして、2目結核対策費は、結核予防対策に要した経費がその主なものであります。3目予防費は、パーキンソン病等の特定疾患に係る医療費給付等に要した経費がその主なものであります。4目精神保健費は、153ページに参りまして、精神障害者への医療費給付等に要した経費がその主なものであります。5目老人保健費は、市町村に対する老人保健法による医療給付及びその他保健事業に係る負担等をする経費が主なものであります。6目環境保健研究センター費は、施設の管理運営と試験研究に要する経費であります。
 154ページに参りまして、2項環境衛生費のうち、当部が所管するものは156ページの2目食品衛生指導費で、人件費の管理運営費のほか、牛海面状脳症(BSE)の検査に要した経費がその主なものであります。
 次に、少し飛びまして160ページをお開き願います。3項1目保健所費は、保健所の人件費等管理運営費のほか、二戸保健所新築移転工事に伴う施設整備費がその主なものであります。
 162ページに参りまして、4項1目医薬総務費は、人件費等の管理運営費がその主なものであります。2目医務費は、165ページに参りまして、救急医療の確保充実を図るための救急医療対策費がその主なものであります。3目保健師等指導管理費は、民間立看護師等養成所の運営費に対して補助する保健師等指導費及び県立一戸高等看護学院移転新築等の看護師養成所施設整備費がその主なものであります。4目薬務費は、167ページに参りまして、県赤十字血液センターへ献血推進専門員の設置に要する経費に対して補助する献血推進専門員設置費補助がその主なものであります。
 次に、ページを飛んでいただきます。290ページをお開き願います。第13款諸支出金の1項1目公営企業貸付金は、県立病院等事業会計運営資金への貸付金であります。
 次に、2項1目公営企業出資金のうち、当部の所管は、293ページに参りまして、県立病院等事業会計への出資金であります。
 同じく、3項1目公営企業負担金のうち、当部の所管は、県立病院等事業会計への負担金であります。
 以上で一般会計の説明を終わり、引き続きまして特別会計について御説明申し上げます。
 310ページをお開き願います。313ページにかけましての母子寡婦福祉資金特別会計の決算状況でありますが、歳入の収入済合計額は4億8、721万円余であり、その主なものは、一般会計からの繰入金、前年度からの繰越金及び諸収入の貸付金元利収入等であります。
 次に、歳出の支出済額の3億7、421万円余は、母子世帯及び寡婦に対する修学資金、修業資金及び住宅資金等、あわせて859件の貸し付けに要した経費等であります。
 以上で保健福祉部関係の説明を終わります。よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。

〇柳村典秀副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。

〇佐々木博委員 3款1項4目老人福祉費に関してちょっとお伺いをいたしたいと思います。
 今、正式には介護老人福祉施設と言うのでしょうか、いわゆる特別養護老人ホームですけれども、待機者の問題が非常に大きな問題になっておりますけれども、まず今、本県においてどういう状況になっているか、そのことについてお伺いしたいと思います。

〇赤羽長寿社会課長 特別養護老人ホームへの入所希望者のデータでございますけれども、本年9月末現在の調査では1、893人となっております。3月末の調査とほぼ横ばいでございますが、89人の減少ということになっております。

〇佐々木博委員 若干、89人ですか、減になっているとはいえ非常に大変な数だと思います。私らの周りにも実際なかなか受け入れ先がなくて困っているという人がたくさんありまして、よく相談も受けるわけですけれども、そういった中にあって、一つは介護保険が始まって、要するに今までですと介護保険になってから被保険者としてということで、直接の契約でもって入所できるということになっていますから、いわば早い者勝ちという傾向が、あるいはあるのかなと。それから、もう一つは、もともと介護保険が始まったときには、在宅介護をもう少し重視するというはずだったのでありますが、実際運営してみますと、施設に入所する方が非常に多い。そういったことも入所希望者といいますか、待機者が多い原因になっているのではないかと考えるわけでありますが、そういった中にあって本県では2月ですか、岩手県特別養護老人ホーム入所に関する指針というものをつくられたわけですけれども、この指針、これはできたことによって各施設での対応というものに少しは変化があるのかどうか、あるいはまた、89名ですけれども若干減になったというのはその影響があると考えられるのか、ちょっとお伺いをしたいと思います。

〇赤羽長寿社会課長 2月に指針をつくりました後、各施設において入所に関する規定を設けていただいておりまして、必要性の高い方から入所するといったことになってきております。以前のような申込順から必要性の高い方を優先するということに変わっておりまして、全体として見ますと要介護度では4、5の方の入所割合が増加する傾向にございます。入所希望の方が89名減少したということでございますけれども、今申し上げましたとおり、これまでの申込順を重視する方法から、指針の策定により必要性の高さで判断するといった方向に変更されてまいりましたので、いわゆる予約的な申し込みが幾分減少したのではないかと考えてございます。また、新たな施設の開設もあったところでありまして、これまで入所を希望して施設に入られないでいた方が施設に入ったということもあろうかと思っております。また、グループホームの利用も含めまして在宅のサービスの利用も急速に伸びているといったような状況にもございます。

〇佐々木博委員 特別養護老人ホーム入所に関する指針ですけれども、これは各施設に対して強制力があるものなのでしょうか、どうなのでしょうか。
 それから、今、要介護4、5の方の入所が多いというお話でしたけれども、実際そのようでございます。それは一つには、介護保険からの入る収入が多いということが私は非常に大きな原因の一つではないかと思っているんですね。要介護1から3の方でも家庭環境等によってどうしても、本当は入所させなければいけないんだけれども、なかなか入れないで困っているという方が実際あります。ですから、要介護のその度合いの問題だけで入所基準を決めるということになると、これまたちょっと不合理なところが出てくるのではないかと思うんですけれども、その辺のところについてはどうなんでしょうか。

〇赤羽長寿社会課長 施設の運営の基準は厚生省令で定められているわけですけれども、その中で、必要度の高い方から入所していただくように施設の方で対応していかなければならないとなっておりまして、それに対応するために規定をつくっていただいているところでございます。この指針につきましても、施設の集まりであります岩手県高齢者福祉協会が県と連携しながらつくったものでございまして、強制力云々といったものではございません。やはり、必要性の高い方から入っていただくという施設の基本的な運営の指針にかんがみ、策定されているものでございます。
 それから、この指針の内容につきまして先ほどもう少し御説明すればよかったわけですけれども、入所の順位につきまして、要介護度、介護者の状況、居宅サービスの利用の状況、医学的処置の必要性等の特記事項、そういったことを総合的に勘案して点数化して判断することにしておりまして、要介護度というのは非常に重要なファクターにはなっておりますけれども、そういったことだけで判断しているということではございません。緊急に必要となった方にも対応できるように、要介護度だけで決定しているものではございません。
 私どもといたしましては、引き続き、必要度の高い方が適切に入所できるように支援してまいりたいと思っておりまして、実際、本年度上期におきまして施設に入所した方の中で要介護度1から3の方は大体36%ぐらいとなっておりまして、1から3の方を除外しているといったようなことではございません。
 それから、最近、痴呆性高齢者のグループホームが急増しておりまして、1から3の方につきましては、要介護の方が痴呆を伴っている場合が非常に多いということもございまして、グループホームに入っていらっしゃる方も相当出てきているといった状況にございます。

〇佐々木博委員 いずれ、特別養護老人ホームは基本的にはまだまだ数が足りないと思います。岩手県の40の政策にも介護老人福祉施設は増設ということになっておりますが、一方では、行財政構造改革プログラムの見直しの中に、ちょっとびっくりしたんですけれども、県単の老人福祉施設整備費補助が目的達成で廃止という案が出ているんですね。どうもこの県の政策と整合性がないのではないかと思うんですが、まず、そのことについて第1点伺いたいと思います。
 それからもう一点、今もお話がありましたけれども、痴呆性高齢者のグループホーム、これは盛岡市内にも今4カ所ぐらいになりましたでしょうか、結構ふえてきておりまして、実際入っている方からはなかなかいいというお話も聞いています。ただ、国のゴールドプラン21では全国に3、200カ所つくるということになっていたはずですけれども、今現在、県内に何ヵ所ぐらいあるのか。あわせまして、そういった大きな施設と同時に、小規模な多機能施設をこれから展開していこうという厚生労働省の試案といいますか、政策の方向づけもあると伺っておりますけれども、それに対して県としてどういった対応をしていくお考えなのか、あわせてお伺いしたいと思います。

〇赤羽長寿社会課長 施設整備につきましては、これまで県単の継ぎ足しの補助金といったものを行ってきたわけですけれども、介護保険の導入に伴いまして、措置施設でなくなったこととか、あるいは3年間の介護保険導入時の緊急的な整備も一段落したこと、あるいは、介護保険の設定に当たりまして、施設整備に係る法人の負担分が基準額の4分の1相当あるわけですけれども、そういったものが報酬の中に反映されていることもありまして、一定の目的を達成したのではないかということで見直しの対象となっているものでございます。
 なお、この県単継ぎ足し分については見直しの対象となっているわけでございますが、施設整備につきましては、いきいきプラン2008に掲げている目標値に向かって着実に推進してまいりたいと考えております。
 それから、痴呆性高齢者のグループホームについてですが、12月1日現在では、県内に46事業所で利用定員は477人になっております。介護保険発足時には8事業所、利用定員が69人でございましたので、非常に急速な伸びを示しているということでございます。委員からお話がありましたように、なじみの人間関係の中で家庭的な雰囲気で住みなれた地域で生活できるということで、非常に好評だということでございます。これにつきましては、先ほど申し上げましたいわていきいきプラン2008において、19年度の目標数として992人分を確保してまいりたいと考えており、着実な整備に努めてまいりたいと思います。
 それから、厚生労働省の老健局長の私的研究機関であります高齢者介護研究会が2015年の介護に向けた将来像を示す中で、委員がお話しされました小規模・多機能といった、地域で包括的なケアをするような拠点を提案しているわけでございます。私どもといたしましては、そういった情報を的確につかみながら県としても対応してまいりたいと思いますし、厚生労働省が小規模・多機能のモデルとした施設に私どもも出向いて勉強させていただいたり、そこの施設長さんに県内にいらしていただいて、この12月20日と年明け2月ごろにも講演会、シンポジウムを開催することにしております。そういった中で十分議論を尽くしていただきながら、地域で包括的なケアを進めるための拠点づくりを本県としてどう進めていくかをきちんと議論してまいりたいと考えております。

〇藤原泰次郎委員 137ページの6目国民健康保険指導費に関連してお伺いいたします。
 最近の医療というのは大変複雑でございまして、さらにはまた、その対応というのは厳しい環境にあるわけでございます。特にも医療費の高騰等あるわけでございますが、県内各市町村の国保会計の状況はどうなっているのか、まず最初にその辺をお伺いいたします。

〇六本木医療国保課長 平成14年度の市町村国保の決算状況でございますが、形式的な収支、これは、国庫支出金の清算を行わない額でございまして、その場合には全保険者で黒字になりますが、国庫支出金の清算を行った後の額で申し上げますと、県全体で約52億6、000万円の黒字となります。これは市町村合計の額でございます。
 市町村別の数で申し上げますと、51市町村が黒字、7市町が赤字になります。これは、単年度ごとの収支で全体的な傾向がなかなかわかりにくいのですけれども、市町村によっては単年度で残った額を次の年度に繰り越しておりますし、あるいは財政状況が厳しくなったときには、市町村が積んでおります財政調整基金を取り崩して運営するといったことを行っております。県内市町村を見ますと、財政調整基金の額が非常に少なくなっているところもふえておりまして、財政状況は厳しい状況に向かっていると見ております。

〇藤原泰次郎委員 7団体が赤字で大変厳しいということでございます。これは確認になるわけでございますけれども、この赤字市町村においては、まあ、市はないだろうと思いますが、その団体においては、いろいろな財調等の繰り入れ等で対応できると思いますが、その辺は心配はない、赤字であっても心配ないと理解してよろしゅうございますか。

〇六本木医療国保課長 7市町が昨年度は実質収支で赤字でございますが、他の市町村も含めまして財政状況が全体的に厳しくなっております。その原因の一つは、収納率が年々低下している傾向が続いていること、それから、経済情勢が非常に厳しいために、税収が上がらないといったことが背景にあると思います。
 県といたしましては、各市町村保険者の制度運営を安定的に確保していただくため、保険税の額を適切に設定していただきますとか、あるいは収納について、収納率が下がらないような対策をさらに強化していただくといった指導をしているところでございます。

〇藤原泰次郎委員 やはりいつの場合でも問題になりますのは未納者への対応ということで、各市町村ともこれには苦慮しているわけでございます。と申しますのは、例えば農家でありますと、この牛は国保税の分といって非常にきめ細かな農家経営をやっている方もあるわけでございます。ただ、そうはいいましても苦しいのに変わりはないわけでございまして、国保税のみならず、こうした方々は他の税において未納の方も多分あるだろうと想定しております。そうした段階で、国保の未納に対する市町村の対応の状況、あるいはまた、県として未納者に対する指導はどのようになされているのか、その辺をお伺いいたします。

〇六本木医療国保課長 まず、平成14年度末の滞納世帯の状況でございますが、滞納世帯数は、全世帯数25万2、689のうち3万6、572世帯、率にして14.47%となっておりまして、滞納額は102億3、400万円といった状況になっております。収納率につきましては年々低下してきておりますが、14年度は、速報値の段階ではありますが、92.35%となっております。全国に比べますと2%ほど高い状況にはありますけれども、県全体としても低下が続いている状況でございます。
 県では、平成12年度の国保法の改正によりまして、滞納者に対する資格証明書の交付等の措置が義務化されたことを受けまして、滞納者対策の実施について、適正に各市町村が実施していくように指導してまいったところでございます。
 現在、資格証明書を出す前の段階の短期被保険者証というものを使って納税を促す取り組みがあるわけですけれども、そこの段階については58市町村すべてが取り組んでおりますけれども、資格証明書の交付、これは滞納者がいない市町村もございますので全体の数ということではございませんが、現在実施しているところは29市町村にとどまっておりまして、今後も県としては適切な滞納対策の実施について指導してまいりたいと考えております。

〇藤原泰次郎委員 14.47%、そしてまた102億円という大変な金額でございます。これは一朝一夕には改善できないわけでございますが、財政の基盤がある程度は確立されているとは申しますものの、流感、いわゆる流行性の病気が発生した場合には3億や5億の金は一回に吹っ飛んでしまうという非常に厳しい状況の会計の分野でございますので、これからもなお一層そうした面では指導していただかなければならないし、また、さらには、今すぐ納付できない部分の短期被保険者証の関係があるわけでございますが、そうした対応等で積極的に指導していかなければなかなか大変ではないか。さらにはまた、せっかく苦労して納めておっても未納者がそのままになっては大変だという一面もあるわけでございますので、その辺の決意のほどをお聞かせいただいて終わります。

〇六本木医療国保課長 滞納者対策につきましては、県としても法改正を受けて市町村に指導を行っておりますけれども、まだ十分な対策がとれていないところもございます。これらについて引き続き指導してまいりたいと思います。
 また、必要以上の医療費がかからないようにするという意味で、保健事業の実施でありますとか、あるいは医療費の適正化という意味で、レセプト点検の取り組みについてもあわせて市町村に対して実施を進めているところでございます。

〇飯澤匡委員 災害救助費についてお伺いいたします。
 平成14年度におきまして、7月11日、東山町、川崎村を中心に台風6号に伴う大雨の洪水災害がございました。その地域は、周辺地域も含めて甚大な被害をこうむったわけでございます。東山町におきましては災害救助法の適用を受けまして、いろいろな救助の種類、程度、方法及び期間という部分において適用になったわけでございますが、適用になったという新聞の活字、もしくはまた、現場でも救助法の適用になったということは報告になるわけですけれども、実際、現場等で実感が余り感じられないというのが、私も東山町の現場に着いて、首長さんからも、どういうことなんだ、どういうふうになるんだという状況でございました。災害というものは想定してやるわけにはいきませんけれども、このような救助法の適用について、その周知について市町村にどのような形でなさっているのか、それをまず第1点お伺いしたいと思います。

〇福島地域福祉課長 災害救助法の周知についてでございます。
 災害が発生した場合は応急的な救助に向けて迅速に対応する必要があるわけでございますけれども、何年に1度あるかどうかといった事務という特性もございまして、関係職員にもともすればそのノウハウが蓄積されない傾向もあることは事実でございます。しかしながら、昨年の台風6号によります東山町の水害の場合は、飲料水供給費、被服等の給与費、それから、特に障害物の除去費など、あわせて約1、500万円ほどの救助費用を県と国が負担するなどいたしまして、そのようなことから、災害に際しては重要な制度と考えております。
 したがいまして、毎年度、市町村の担当職員、地方振興局の担当職員を対象といたしまして、救助法の実務に係る研修会を実施いたしております。その中では、実際に救助法を適用した市町村の体験談を発表していただくなど、その事務を実感できるような工夫もして実施いたしております。
 今後とも、適宜に研修を実施いたしますほか、今後におきまして、特にホームページの活用などによりまして制度の一層の周知を図ってまいりたいと考えております。

〇飯澤匡委員 周知については了解いたしますけれども、実際、その現場に着いて見ますと、やはり完全にマンパワーが不足するわけでございます。頭ではわかっていても、やはり現場現場に対応しなければならない。これはやはり役場の職員の方々が中心になってやらなければならないわけでございます。
 そこで、軽米町の災害の教訓、たくさんのボランティアに来ていただいて、その教訓を得て、特にボランティアのさばき方については社協が中心となって非常に手際よく効率的にやって、地元の方々も大変喜んでおりました。今後、この体制を前回の反省点も含めてどのように構築していこうとするのか、それを1点お聞きしたいと思います。

〇福島地域福祉課長 災害時におきますボランティア活動についてでございます。
 東山町の水害の際には、相当規模の水害が発生したということで、7月11日に当課から県社協のボランティア活動振興センターに対しましてボランティア受付窓口の設置を依頼いたしました。翌日、県社協のボランティア活動振興センターにおきまして、東山町役場内に窓口を設置し、ボランティアの受け付けを開始したところであります。その後、窓口を東山町の保健福祉センターに移動しまして、7月28日まで開設、ボランティア活動に延べ1、570名の御参加をいただいたところであります。
 活動の中心となりました県社協のボランティア活動振興センターによりますと、多数のボランティアが参集した当初の段階では、派遣先の割り振りに時間を要したこととか、地理に不案内のため、被災者宅まで到着するのに時間を要したといった反省点と申しますか、課題があったということであります。
 今後、こうしたことを踏まえ、さらには、先ほどお話のありました軽米の経験なども踏まえまして、県社協ボランティアセンターと協議しながら、必要な支援を行いまして円滑なボランティア活動が展開されるように努めてまいりたいと考えております。

〇飯澤匡委員 最後に、繰り返しになりますけれども、現場はやはりマンパワーが不足しているわけでございます。当時、県の方からも、当該部の方々、そしてまた地方振興局の方々も来ていろいろとお手伝いをいただいたわけですが、やはり本質的な部分まではなかなか到達できない。例えば、災害救助法の適用があったと地域の福祉部の方が来ますけれども、まず、なりました、こういうことでありますという報告だけで、日々のいろいろな情報の会議などには参加していなかったのではないか。
 これは一つ提案ですけれども、その災害救助法が適用になった場合、やはり県としても、マンパワーを注入するような、救助法に準拠した形で県独自でなさるようなシステムづくりも必要ではないか。気持ちばかりが先行して、実際行ってみるとやはり混乱の中にあってどうしていいか自分の立場がわからないという状況が見受けられましたので、その点についてどのようにお考えか、部長からお願いします。

〇長山保健福祉部長 特に災害救助法の場合には、非常に混乱しますし、先ほど課長から説明しましたとおり、何年に一遍あるかわからないということで、会議を開いてもなかなか身に入らないというケースがございます。そうしたことを前提にしながら、地方振興局あるいは本庁、そういったところと市町村と確実に混乱のないように指導できるような仕組みづくりを今までもやってきたわけでございますけれども、なお一層そういった仕組みづくりについても徹底を図っていくように検討したいと思っております。
 ボランティアにつきましても、昨晩のNHKのプロジェクトXの中で、福井県の重油事故のときに大変いろいろな教訓があったということがございました。ああした教訓を私どもは軽米災害の場合にも十分に参考にしながら、できるだけのことは一緒になってやってきたというケースがございます。そうしたことを踏まえまして、災害ボランティアの手引も既に発行してございますし、いろいろな角度からこういった対応について万全を期していきたいと考えております。

〇千葉伝委員 動物愛護の県の取り組みについてお伺いしたいと思います。
 動物の愛護及び管理に関する法律――以下、動愛法と略します――は、昭和48年制定、平成11年に最終改正されておりますが、その目的として、この法律は、動物の虐待の防止、動物の適正な取り扱いその他動物の愛護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止することを目的とする、こうあるわけであります。
 そこで最初にお伺いしたいわけですが、この動物による人に対しての危害という部分では、ここ数年の動向はどうなっているんでしょうか。あわせて、逆に人が動物を虐待する、こういった場合の動向もお知らせいただきたいと思います。

〇工藤保健衛生課長 まず最初に、動物が人間に危害を及ぼしている数ですけれども、この数年の状況を見ますと、まず、昨年度は80頭、被害を受けた方は89人となっております。それから、13年度が83頭で、被害者が86人。12年度が66頭の被害者が75人となっております。
 それから、反対に虐待の事例ですけれども、これは、法律施行後ということで12年度以降を参考までに御紹介いたしますと、12年度はゼロということです。13年度が4件ほど、疑いも含めてですけれども、14年度が3件、15年度が10件になっております。

〇千葉伝委員 通常の場合は動物が人間をかむ方が多いということになるわけですけれども、今、お聞きすると、平成12年から14年の間では66頭から80頭ぐらいということです。ここの部分については実際に届けられた数字ということだと思いますけれども、軽度だからこのぐらいはという場合もあるかもしれません。ただ、一般の場合は、犬にかまれたというと、やっぱりすぐ発想するのは狂犬病の関係が大丈夫か、こういうことだろうと思います。それの部分は一つあると思います。
 一方、こういった社会情勢の中で、よく新聞、テレビでもあるわけですが、さまざまな人間社会のはけ口を動物に求めるというか、そういう関係からちょっと考えられないような事件が報道されている。それが虐待という中身かと思います。この部分についても12年は除いて毎年3件、4件、10件ということでありますけれども、虐待という部分については県の保健関係の方に来ている数字でしょうか。

〇工藤保健衛生課長 ひどいのは警察の方にも届け出があると思いますけれども、先ほど御説明した数字は保健所の方に届け出があった数字ということです。

〇千葉伝委員 わかりました。警察の方の数字は御存じですか。

〇工藤保健衛生課長 承知している範囲内では6件ほどあります。

〇千葉伝委員 私も調べてみたんですが、動物虐待で事件の届け出というのは、これは県警の方の話でありますが、平成14年に1件。これは、猫を空気銃で撃ったと。これは検挙しているということで、事件性は15年の現在まではなし、こういうことであります。ただ、そのほかに相談件数として、ことしの1月から10月までに11件ほどある。中身は、猫の虐待、舌とか耳が切られているとか、犬、猫の置き去りとか、犬の虐待ということで、これは恐らくけったり殴ったりの話かもしれません。毒物を飲まされた疑いがある、変死ということ。それから、生きている猫を川に捨てたとか、こういった相談も県警の方には上がっている、こういうことであります。
 こういった社会不安から虐待というのが動物に対して出てくるということで、保健福祉部だけの話ではなくて、こういった部分に対応するには、やっぱり家庭とか学校とか地域社会とか、もちろん事件性ということになると警察ということもあると思います。その未然の防止等も含めて、これらに対応する取り組みが一番大事かと思っているんですが、そこで、本法の動物愛護の精神を推進するために地方公共団体の果たす役割というのがあろうかと思うんですが、そこの部分について、今、取り組んでいる中身をお知らせ願いたいと思います。

〇工藤保健衛生課長 今、取り組んでいる内容ですけれども、犬対策については狂犬病予防法もあります。それから、愛護の関係で、動物愛護及び管理に関する法律があるということで、これらについては、法律に基づいて、それらの業務を行う職員に対して知事名で立ち入りの証的なものを発行しております。動物愛護関連については、例えば、飼育とか管理とか展示も問題になりますので、これらの営業施設に対する立ち入りについても県職員を指名して業務に当たらせている。それから、一般的な家庭での適正飼育については、狂犬病予防員が兼務するような形になりますけれども、動物愛護法の業務を行えるということでやはり証を発行しておりまして、そういう両にらみの形で正しい動物の飼い方の指導をしている現状であります。

〇千葉伝委員 実際、この動愛法の関係で、第14条に動物の健康及び安全を保持するため、県が必要であると認めるときは条例を定めることができるという条文があるわけですが、この部分について制定するお考えはあるのかないのかというのが一つです。
 それから、同法の第17条には、先ほど課長がおっしゃった立入調査とか動愛法の事務を行わせるための動物愛護担当職員を置くことができる、こう明記されているわけですが、実際に動物愛護担当職員として置いているのか、別な職の人をそれにかわってやらせているのか、そこの確認です。

〇工藤保健衛生課長 まず、条例の制定の可否というか、将来的なあれですけれども、現在のところは、動愛法の中で、いろいろな家庭動物の飼育基準とか展示動物の基準とかが明示されております。今の岩手県の現状を見ますと、特に重大な事件も出ておりません。ただ、将来どうなるかはわかりませんけれども、そういう現状もありますし、基準を遵守させるような形で徹底していけば正しい飼い方の普及ができるのではないかと思います。
 条例を制定することによって、罰則の強化というものがあります。確かに、悪質な場合には罰則の強化ということですけれども、こういう愛護動物の飼育については、できるだけ罰則を適用しない形で、指導する形でやっていった方が望ましいのではないかと思っております。
 それから、動物愛護担当職員の関係ですけれども、これは、できる規定でありまして、愛護担当職員がいなければ動物愛護関係の業務ができないというものではないんです。ですから、先ほど御説明したように、立ち入りの証なんか、要するに同じような業務を行うものを知事名で発令しておりますので実効性は担保できているのではないかと思っております。

〇千葉伝委員 条例については、必要と認めるとき、その考えの部分が、私からすれば早目にそういった対応をしていくのが県の姿勢ではないか、こういう思いをしております。
 それで、愛護担当職員についても、やはりきちっとそういった位置づけをして動愛法に基づいた取り組みをする、これが私は筋ではないかと思います。そこの部分はこれからの対応の仕方でお考えいただきたいと思います。
 あわせて、これから取り組みをしていくときに、先ほど課長がおっしゃった取り組みをしていくのに、21条には動物愛護推進員を委嘱することができる、こういうことであります。22条には、協議会を組織してこの取り組みをしていく、こういうことがあるわけです。ここの部分について、全国の状況と本県の取組状況をお伺いしたいと思います。

〇工藤保健衛生課長 まず、全国の取組状況を御紹介したいと思います。
 まず、動物愛護推進員については、全国47都道府県のうち16都道府県が設置しております。それから、協議会については13都道府県となっております。東北ではまだいずれも設置しておりません。
 本県の取り組みですけれども、9月4日に獣医師会と動物愛護団体の方々においでいただいて、私どもといろいろ意見交換しております。その中では、動物愛護推進員の委嘱、さらに協議会の設置等についてもざっくばらんに御意見を伺っております。これについては、必ずしも条例を設置して委嘱とか設置ということではありません。動物愛護団体も結構ふえてきております。協力したいという意欲もありますので、この辺は、民間の活力を何とか導入というか、協力を得ながらやっていった方が行政も助かると考えておりますので、今後もこの意見交換会をさらに継続的に開催しながら、具体的に設置のあり方を検討していきたいと思っております。

〇千葉伝委員 できるだけ早い取り組みをお願いしたいと思います。
 最後の質問ですけれども、動愛法にも関係する部分かと思います。何年か前にも御質問したことがあるんですが、動物管理センターの最近の状況はいかがでしょうか。老朽化して、動物愛護団体からも不評というか、いろいろな相談もあるということもお聞きするわけですが、その部分についてお願いいたします。

〇工藤保健衛生課長 動物愛護センターもしくは管理センターについての定義的なものはございません。現在、犬の管理所がありますけれども、確かに委員御指摘のとおり、大分老朽化が進んできている。これについては、順次更新をしていかなければならないと思っております。ただ、いわゆる動物愛護センターは、啓発施設とか、あるいは研修の場所とか、触れ合いコーナーとか、いろいろな機能を盛り込んだ施設と一般的に言われております。確かに、これを設置することによって、いろいろな動物愛護に係る施策なり業務を集中的に――ただし人も集中的に集めなければならないということになりますけれども――やれるというメリットはあると思います。ただ、岩手県の今までの取り組みとして、保健所単位あるいは地方振興局単位、要するに地域単位で獣医師会さんの協力とか、あるいは動物愛護団体等の協力を得ながら、その地域の特徴に合った企画に基づいていろいろな活動をしている。これが結構定着してきております。ですから、岩手県については、せっかく定着してきておりますので、これをもうちょっと続けたい。センターを必ずしも否定するものではないんですけれども、長らくそういう関係ができておりますので、内容面を充実するような形でやっていきたいと思っております。

〇千葉伝委員 私がお伺いした一連のことは、動物の愛護についての県の取り組みということで、ほかの県の状況等もお聞きしましたし、県内の状況もお聞きしたわけであります。人間だけの話ということではなくて、この部分は、県の中でも小さい子供から大人まで、動物を愛する心、そしてまた、それが生命の尊重につながる、こういうことだろうと思っております。この動物の愛護という部分で、最後に部長に取り組みの姿勢をお伺いして終わります。

〇長山保健福祉部長 おっしゃるように、動物愛護、特にペットとか、あるいはパートナーという形で、非常に重要性を増してきているものと思います。保健所等でも獣医師会の皆さんと一緒になって、しつけ教室とか、あるいは触れ合い事業というもので時によっては保育園に行ったり、あるいは老人ホームに行ったり、そういう活動もあちこちで見られるようになってきました。そうした活動を通じながら、人間と動物の触れ合いなり愛護という思想が展開できるような形で推進していきたいと思っております。

〇樋下正信委員 私は、165ページの2目の医務費のところで、いわてリハビリテーションセンターの管理運営費のところをお聞きしたいと思います。平成14年度は3億5、110万3、000円余という管理運営費が出ているわけでございますけれども、この岩手県行財政構造改革プログラムにおいて見直しすることとした県単独補助金及び負担金のナンバー59を見ますと、15年度が2億9、706万4、000円ということで何か減っていくような感じがするんですけれども、この辺はどういうふうに見ればいいのか教えてほしいんですけれども。

〇六本木医療国保課長 いわてリハビリテーションセンターの管理運営につきましては財団法人いわてリハビリテーションセンターに委託しておるわけですけれども、その運営費につきましては、診療行為に対しての医業収入に当たる部分を基本としております。ただし、リハビリテーションセンターについては、医業だけではなく、公益事業としてのリハビリ医療に関する調査研究でありますとか医師や理学療法士等の教育研修でありますとか市町村に対するリハビリの支援等を行っておりまして、年間の費用につきましては約10億円ということで、その差額分について管理運営費として補助している。それが年間約3億円という状況になっております。
 このような状況でございますけれども、毎年3億円につきましてはもう少し効率的な運営が求められておりまして、これに対して、リハビリテーションセンターの運営の中で、一つは、今年度から取り組んでいることですけれども、回復期リハビリテーション病棟への移行などによりまして医業収入を上げることによりまして先ほどの差額が減少することを見込んで、14年に比べると今後の方が管理運営費は減少できるのではないかと見込んでいるものでございます。ただ、これは、先ほど申し上げました公益事業の部分、研究でありますとか研修教育、市町村に対する支援等を少なくするといった内容ではなくて、医業収益の中の効率を高めることによって管理運営費の方は現状よりもやや少なくできるのではないかと見込んでいるものでございます。

〇樋下正信委員 実は、4年前に私の父親も世話になりまして、今は別なところでお世話になっているんですけれども、この4年間の間に4カ所ほど転々としまして、最初にお世話になったここのリハビリテーションが一番よかったという付き添いの母親の話であります。今の話のとおり、質は変わらないということであれば、それはそれで私は、そこにお世話になる患者さんなりリハビリを受ける方々はいいと思いますけれども、この金額を見ると下がっているものですから、サービスの質が低下するんじゃないかということを――(「手抜きするんじゃないか」と呼ぶ者あり)、手抜きかどうかあれだけれども、そういうことはないと思いますけれども、いずれそういうところを数字的に見てどうなのかということで質問させていただいたわけでございまして、サービスが低下しなければ私は問題はないと思いますけれども、その辺、再度御所見があればお伺いしたいと思います。

〇長山保健福祉部長 今、課長の方から答弁申し上げましたけれども、いわてリハビリテーションセンターの10年間の取り組みがかなりあちこちから評価されてきているということでございます。ただ、昨今の状況でございますので、その中身を充実しながらも、いろいろな創意工夫していかなければならないということで、一応検討の事業として挙げられたということでございます。またこれから検証しながら、必要なものについては場合によってはふやさなければならないこともあると思いますし、あるいは効率的な部分で努力をお願いしなければならないこともあるということでございます。

〇柳村典秀副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後2時56分 休 憩
   午後3時15分 再 開

〇阿部敏雄委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。

〇工藤勝子委員 質問に入ります前に、県立遠野病院に小児科の先生が12月から赴任いたしまして診療を始められました。長山部長を初め、御努力していただきましたことに対しまして感謝を申し上げます。
 3点聞きたいと思っております。
 まず1点は、少子化対策についてお聞きしたいと思っております。少子化対策については、いろいろ県の方といたしましても、143ページにありますように、のびのび子育て支援事業とか少子化対策推進事業等で行われているようでございますので、この内容についてもお聞きしてみたいと思います。
 それから、この少子化対策について今後の推進なり方針を、県としてどのように考えているかお聞きしたいと思っております。
 2点目、県内における自殺者についてお聞きしたいと思っております。非常に多いと聞いておりまして、資料をいただきましたところ、平成14年で530人の方が亡くなられております。いろいろな要因があるでしょうけれども、その中で高齢者といたしまして65歳以上の方は192人ということになっております。70歳代以上の人が143人と多いわけでございまして、また、ことしだったと思っていますけれども、おしゅうとめさんを抱えたお嫁さんが一緒に自殺したということもございまして、なぜこのような現象になっているのか、県としてこの現状をどう把握して考えていらっしゃるのかということを聞いてみたいと思います。
 それから、3点目は、特別養護老人ホーム、今のこととも関連するわけですけれども、こういう施設がもっと充実していれば、こういう悲劇が少なくなるのではないかという気もしております。佐々木博委員の方からも御質問ありましたので特別聞きませんけれども、今後の建設計画についてもお聞きしたいと思います。

〇水野少子・高齢化対策監 少子化対策についての県の基本姿勢についてということでございますが、本県におきましては、少子化対策を総合的あるいは計画的に推進するために、地域社会全体で子育てを支えていくということを基本的視点といたしまして、平成13年1月にいわて子どもプランを策定したところでございます。このプランでは、子育てに関するさまざまな負担や障害を軽減するため、男女が家事や子育てに共同で参加いたしますとともに、地域社会全体で子育てを支援する体制づくりを推進するという内容でございます。
 今後の方向性あるいは展開でございますけれども、本年7月、国の方におきまして夫婦の出生力の低下という新たな現象、あるいは急速な少子化の進行を踏まえまして、少子化対策のさらなる取り組みを推進するために次世代育成支援対策推進法という法律が成立いたしました。同法におきましては、地方公共団体あるいは従業員が300人以上のある程度の企業に対しまして、子育て支援の目標と、それを具体化いたします行動計画の策定を義務づけいたしまして、一層の取り組みを求めているという内容になってございます。
 その具体的な対策の枠組みといたしましては、保育サービスなど従来の子育てと仕事の両立支援という内容に加えまして四つの柱を掲げてございます。一つ目は、育児休暇取得率の向上など男性を含めました働き方の見直しという内容でございまして、さらにまた、二つ目といたしまして、親の集いの場づくりということなどの地域における子育て支援、この点につきましてはある程度本県においても従来から取りかかってございますが、三つ目といたしましては、年金額の計算など育児期間への配慮をするという中身などの社会保障における次世代支援という中身になってございます。最後、四つ目といたしまして、通常よく言われておりますが、中・高生と乳幼児の触れ合い体験などをやっていただくということで、子供の社会性の向上や自立の促進ということで四つの視点を掲げておりまして、そういう総合的な取り組みを効率的あるいは計画的に推進していくという内容になってございます。
 このような動向を踏まえまして、県といたしましても、地域の実情に応じまして県のプランの見直しを検討するということ、あるいは企業を含めました地域社会全体で次代を担う子供を育てる、すべての家庭を支援する仕組みづくりを一層推進してまいりたいと考えてございます。
 それから、少子化対策の内容でございますが、平成14年度につきましては、子育て支援体制の整備ということがございますので、連絡協議会の設置などをいたしまして、地方振興局を含めましてそういうコミュニティーづくりを図ってまいったということが一つございます。それから、そういう活動をバックアップする意味を含めまして、地域の子育て支援活動の活性化ということで、ボランティア養成講座やら、あるいはその方々のフォローアップを検証するというふうな中身を実施してございます。
 それから、子育ての情報の提供が必要だろうということでございまして、パンフレット、支援情報誌を3、000部ほど作成いたしまして、医療機関などの関係機関に配付いたしてございます。あるいはマスコミ等を通じましていろんな機会にそういう情報を聞いていただこうということで、ラジオ広報番組を作成いたしまして、そういう中で子育てサークルやら、あるいはボランティア活動の紹介をいたしております。そういう中でいろんな情報を得て、ふだんお悩みのお母さん方だとか、そういう方々に情報提供をいたしまして不安を和らげていただくということで、各種施策を展開してきたということでございます。
 また、のびのび子育て支援事業につきましては、延長保育の軽減支援事業、あるいは軽度障害児の保育事業ということで実施いたしておりまして、大体半数弱の市町村を対象として実施してまいったところでございます。

〇高橋障害保健福祉課長 本県の自殺者の現状についてでありますが、平成14年の人口動態統計によりますと、本県における自殺者は500人、死亡率では35.6%であり、全国3位の高率となっております。また、近年、全国的な比較においても常に高い状況で推移してきております。
 次に、岩手県における自殺の傾向についてでありますが、県警の資料によりますと、原因、動機別では病苦等が最も多く188人、35.5%、次に生活、経済問題が140人で26.4%、家族問題が63人で11.9%となっています。年齢別では、委員御指摘のとおり、70歳代が145人で27.6%、60歳代が92人で17.5%となっており、高齢者の自殺が目立っております。また、昭和50年代は県内の自殺者が約400人弱で推移していたものが、平成10年以降500人台まで急激に増大してきております。今後さらに高齢化が進行する中で自殺の問題は、健康問題や生活、経済問題など多くの要因が絡むものであり、極めて重要な問題であると認識しております。
 今後の対応についてでありますが、自殺の防止をどう進めるかということは非常に難しい問題ではございますが、自殺率が全国的に上位という共通課題の克服を目指して現在取り組んでいる北海道、北東北3県による北の国健康づくり推進会議自殺予防対策検討部会での検討結果等を踏まえまして、共同して対応することとしております。また、今般、久慈保健所が取り組みました久慈地域の自殺予防に関する研究では、今後の取り組みといたしまして自殺予防に向けての啓発活動の重要性あるいは相談、カウンセリング等の体制整備の重要性、さらには、精神科以外の医療機関におけるうつ病等の対応の推進など示唆に富んだ研究報告がなされてございます。こういった成果を十分生かしながら、今後十分に対応してまいりたいと考えております。

〇赤羽長寿社会課長 先ほどの繰り返しになりますけれども、特別養護老人ホームの整備につきましては、保険者であります市町村等が定めております介護保険事業計画の入所定員目標数をもとに整備することとしておりまして、現在、平成19年度までにいわていきいきプラン2008において約850床の増床を行うという計画にしておりまして、その着実な推進に努めてまいりたいと考えております。

〇工藤勝子委員 少子化対策について、やっぱり母親たちが安心して子供を産み育てられるそういう環境づくりということが非常に大事ではないかと思うわけです。ですから、遠野病院に小児科の先生が入ってきたということ自体、これでお母さんたちは安心して子供を産むことができるというそういう現状もあるのではないかと思っております。そういう関係からもやはり県立病院に小児科なり産婦人科の先生がきちっと配属になるような御努力を今後もお願いしたいと思いますし、母親から、どうして子供を1人でやめるのですかということを聞きますと、やはり子供にお金がかかるからということが一番の原因なようです。大学まで卒業するまでには多額のお金がかかるということで、その辺のところで社会現象を見て、雇用の問題もありまして、どうも子供を育てられないということから、そういう少子化にますます拍車がかかる状況ではないかと思っております。遠野市においては、保育園、幼稚園の3人以上の子供に対して無料をやっております。非常に厳しい財政の中でそういうことをやっていることもありますので、県として少しでもいろいろな支援対策のほかに、保育園の料金に対してとか幼稚園に対しての支援ということは考えていないでしょうかということをお聞きしたいと思います。
 それから、自殺者の方ですけれども、北3県が非常に多いということで、なぜ新潟県を含めて雪国、また、寒い地域に多いのかと、常に調査の中でワーストテンに入ってきているということを踏まえまして、その原因であるとか、北3県ですばらしいことをやろうとしている中で、こういうところにまでメスを入れて考えていることがあるでしょうかということを、もう一度聞いてみたいと思います。

〇細川児童家庭課長 保育料の軽減のことでございますけれども、これは国で保育所の徴収金の基準額が定められておりまして、それに基づきまして所得に応じてその額が決定いたしておりますので、その中で保育料の軽減は行われているわけでございます。市町村におきましては、単独でそういった軽減事業に取り組んでいるところも県内の市町村では結構多うございますので、そちらの方も御活用いただきながら、なかなか県単でというのは今の段階では難しい状況でございますけれども、以上のような状況になっております。

〇高橋障害保健福祉課長 自殺の関係でございますが、実は多少古いデータになりますけれども、昭和63年から平成2年にかけまして岩手県独自に調査研究したレポートがございまして、その中に自殺に至る経過としまして幾つかの類似性が見られるということが言われているところでございます。その一つが、高齢者が自殺に至るまでには性格や価値観の傾向もあるが、病気や家族の死などの出来事を契機として抑うつ的な状態に陥り、自殺を意図するという共通の経過をたどる場合が多いと言われてございます。現在検討しております北海道、北東北3県での検討の中におきましても、うつ的状態を経過しながらそういう自殺に至ることに着目いたしまして、特にもそういった点でのPRを重点的に進めていくと聞いております。

〇長山保健福祉部長 ちょっと二、三補足をさせていただきたいと思います。
 子育ての環境づくりという部分で、これまでもさまざまな施策がとられてきました。県単でもさまざまあります。医療費の問題あるいはその他の手当の問題あります。さまざまな手当を施しながら進めてきた結果でありますけれども、特に出生率に関しまして言いますと、なかなか思った結果が出ていないということで、国の方でも次のもう一つの一歩踏み込んだ対策が必要ではないかという段階まで来たということでございます。それがやはりもっともっと経済界もいろんな部分に取り組まないと、将来的にこの社会制度を維持していくということが非常に難しくなったのではないかということから、こうした新しい法律ができてきたと認識しております。我々もそうした推移を見ながら、来年度になると思いますけれども、各企業の方々ともいろいろ御協議、御相談申し上げながら、子育てに関して今まで男親が本当にどの程度携わってきたのかというようなことも含めまして、ぜひ御検討いただきたいと思っております。
 それから、自殺の問題でございます。昭和63年ごろにもやはり同じような議論がございました。それで、専門家のチームと県と一緒になりまして、いろいろ原因究明等について取り組んできた経緯があります。その中で、はっきりとした原因というものはなかなかつかみにくかった。と言いますのは、遺書を書いている方が非常に少ない。それで、経済的な要因がどうだとか、健康状態がどうだとかさまざまな角度から分析をしたんですが、なかなかこれといった結論は出てきませんでした。いわゆるわかってきたことは、大体アバウトな話ですけれども、ひとり暮らしの高齢者の方の自殺率は少ない。大家族の中での、あるいは比較的経済的にゆとりのあるところが多いとか、そういう状況が見えました。それから、精神科の方にかかっている方が比較的少ない。そういったようなことが地域的に産業なり何なりと結びついているのではないかということも出ましたけれども、はっきりとした結論は出ていません。
 その中で、自殺のそのシグナルといいますか、どういう傾向にあるんだろうかということが少しはわかる。これは家族の中で自分のやるべきこと、役割がなくなったときが非常に危険だよと。特に第1次産業などで集約的に人手がいっぱい必要になる中で高齢者の役割というものがもっともっとあれば、そういう注意すべき点についてもいろいろ相談員なり、あるいは民生委員さんなり保健師さんなりが訪れながら対応した方が、対応ができるのではないかということがありました。それと、やはり制度的にもそういったパンフレットあるいは高齢者の集まりの中でも、高齢者の方から役割を奪うなとか、そういったような健康づくりなり何なりというものを、あわせてやるということが必要ではないかということがその中で提言されてきていまして、一部の保健所あるいは市町村の方でもそういった研修なり何なりが行われてきていると思います。また、今度久慈の方でも新たな視点でいろいろ調査研究を進めてきたということでございますので、そうした手がかりを得ながら、だれが、どういう形でそういういわゆる自殺の可能性の高いような方々をカバーしていくかというようなことを研究していかなければならないと思います。いずれにしろプライバシーのところに踏み込む内容なものですから非常に入りにくいということも事実です。そういったことを今後検討させていただきたいと思います。

〇工藤勝子委員 いろいろ原因があるということはわかりましたし、この北3県で、やはり第1次産業で大家族で――我が家も8人ですけれども――生活している部分での人間関係の関係が多いのかなということを今感じましたけれども、データとしてやはり出てきておりますので、ぜひこのワーストテンの中から岩手県がなくなるような方向というものを考えていってほしいと思いますし、保育の方に関しても、市町村だって非常に厳しい中でこの部分に関して努力しているところがあるわけですので、その辺のところを県でもお考えをいただきたいと思います。

〇阿部静子委員 144ページの児童措置費及び母子福祉費にかかわって質問をいたします。
 まず、児童手当支給対象の拡大についてでございますが、これまでの児童手当の支給状況はどうなっておりますでしょうか。また、児童手当の支給対象を小学校3年生まで拡大するという新聞報道がなされたのでございますが、その件について今後どのように対応なさるのかお伺いをいたします。

〇細川児童家庭課長 児童手当の支給対象の拡大等につきましてですけれども、まず、最初に児童手当の支給状況についてお答えいたします。
 平成14年度の受給者数は5万8、913人ということで、平成13年度に比較いたしまして674人多くなってございます。それから、手当支給額につきましてですけれども44億5、725万5、000円となっております。これは対象となる子供の大体85%ぐらいが受けられているということでございます。
 それから、今後の対応につきましてでございますけれども、国におきましては来年度に向けて支給対象年齢の見直しなどを、具体的にその内容について検討を行っているとお聞きしておりまして、県といたしましても、今後の動向を見ながら必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

〇阿部静子委員 対象世帯数というのが、昨年度と今年度、その前の平成12年度と比べますと、平成13年、平成14年が随分とふえているんですよね。その理由等についてはどのようにお考えでございますか。

〇細川児童家庭課長 これにつきましては、平成12年6月に支給対象年齢が、これまで3歳未満ということでございましたけれども、これが6歳到達後の最初の年度末までということで、支給対象年齢が変わったということが第1点でございます。それから、平成13年6月に所得制限の緩和がございまして、そういう形でそのためにまずふえたということでございます。

〇阿部静子委員 所得制限の緩和とおっしゃいましたけれども、いわゆる所得の対象金額のところまで収入が落ちてきたのではないかと思いますが、その点はどうでございましょうか。
 そして、この支給額についてですが、第1子、第2子が月5、000円、第3子以降が月1万円ということになっているようでございますが、この点の変更はないのでございますか。

〇細川児童家庭課長 背景の詳細についてはなかなか分析も難しいところでございますけれども、このように厳しい経済情勢でもございますので、そういった所得の減が多少なりとも影響しているのではないかと考えております。また、額につきましては、今の時点で今後の変更等については私ども承知いたしておりません。

〇阿部静子委員 聞くところによりますと、その支給対象の年齢、3歳から就学前まで来た、それから今度は3年生まで行くのでないか。大変喜ばしいことなんですけれども、その裏側に何かがあるのではないかと――そんなにいいことって、このごろないんですもの――勘ぐるのですが、勘ぐる中身はございましょうか。

〇細川児童家庭課長 的確なお答えになるかどうかはわかりませんけれども、制度の充実が着実に図られてきたのではないかと思っております。

〇阿部静子委員 課長がそうおっしゃるなら、そう信じます。
 では次に、母子家庭の現状と就労の支援についてお伺いをいたします。
 私、昨年ですか、この件についても御質問いたしましたが、昨年、児童扶養手当の改正が行われました。母子家庭から言えば改悪なわけでございますが、それが行われて、その改悪に伴って国においては母子家庭の自立を支援するのだという言い方でございましたが、その就労支援で自立を促進すると伺っていますけれども、母子家庭の増加の状況と県の就労支援策の取り組みについてお伺いをいたします。

〇細川児童家庭課長 まず、最初に母子家庭の状況でございますけれども、母子家庭の数は、ちょっとデータが古くて大変恐縮でございますけれども、平成10年度の岩手県社会福祉総合動態調査によりますと、県内に8、695世帯おります。これは離婚件数の増加とか、それから児童扶養手当の受給者の増加等を考えますと、現在ではもっとふえているのではないかと考えております。したがいまして、今年度中にその生活実態、そういったものを含めて実態調査をして迅速にその状況を把握したいと考えております。
 それから次に、就労支援についてでございますけれども、就労支援につきましては今年度本県におきまして10月に岩手県母子寡婦福祉協会の中に、母子家庭等就業・自立支援センターを設置いたしてございます。そのセンターには就業相談員を2名配置いたしておりまして、公共職業安定所とか地方振興局の母子自立支援員、そういった方々等と連携いたしまして求人情報の提供や就労希望者への生活指導、なかなか母子家庭の方で就職が初めてだとか、いろんな悩みを持っていらっしゃる方もおいででございますので、そういったきめ細かな生活支援、それから職業選択のアドバイスとかいったものについて生活指導を行っていこうということでございます。今後におきましても、現在は無料職業紹介所の許可までまだ受けておりませんので、今後は求人開拓とかそれから職業紹介等の業務を通じまして、母子家庭の経済的な自立に向けて一層取り組んでまいりたいと考えております。

〇阿部静子委員 離婚の率が高くなりまして、いわゆるこの対象世帯がふえていると、まさに右肩上がりがさっぱりない中で、この部分が右肩上がりが顕著であるということでございますが、今のこの就業難時代の中で母子家庭の母親が就労するということは大変なことでございましょう。そして、子供を抱えての生活でございますから、この点への十分な支援体制を整えていただきたい。このことを今後の活動の中に生かしてほしいと思います。
 では次に、保育所の入所、待機児童の現状とその解消策についてお伺いいたします。

〇細川児童家庭課長 保育所の待機児童の状況でございますけれども、ことしの10月時点で待機児童は12市町村に107名おります。4月時点と比較いたしますと、市町村で言えば4市町村増加しておりますし、ただ、人数の方は67人減少しております。
 それから、待機児童の解消への取り組みについてでございますけれども、これにつきましては、これまで待機児童の調査というのは年に2回ほどやっておりましたが、これをきめ細かに年4回ということで適時適切に把握するということに努めておりますけれども、待機児童のいる市町村から待機児童の解消計画を具体的な形で出していただきまして、地域の実情に応じた取り組みを促進するようにしております。また、現行の保育所の定員の見直しを行ったり、定員の弾力的な運営というのもできますので、それらも導入していただくようにいたしておりますし、また、建物、増改築をして定員をふやしていただくとか、新たな保育施設を整備していただくといったような形で取り組むように、市町村の取り組みを支援してまいりたいと考えております。

〇阿部静子委員 保育所は確実に増加をし、保育園に入りたいという子供たちもふえているわけです。これはやっぱり女性の就労という部分とかかわりがあるだろうと思ってございます。それで、このことに関連しながら、保育園というのはいわゆる保育に欠ける家庭というそういう入所条件があるわけでございますが、育児休業が広がってまいりまして、それで現場に復帰をして子供を預けたいと、そうしますと年度の途中である場合もあるんですが、その辺の取り扱いはどうなっておりますか。

〇細川児童家庭課長 確かに年度始めよりは年度途中の方が、定員が埋まっていてなかなか保育所に入りがたいというケースは、間々見受けられるわけでございますけれども、その対応といたしまして保育所の定員の弾力的な運用というのがございまして、例えば年度当初ですと定員の15%までは定員を超えてもいいということでございますし、それから年度中途の場合9月までは定員の25%まで、それから10月以降になりますと25%を超えて受け入れ可能ということに指導でなっておりますので、それらを活用していただきまして、育児休業等含めて対応していただければと考えております。

〇阿部静子委員 最後でございますが、本当に少子化対策でいろいろと子育て支援、あるいは結婚奨励みたいな、そういう運動とか活動事業をやっているわけでございますが、なかなか合計特殊出生率というのは上がらないわけでございますが、それでは課長、全国的な傾向と合計特殊出生率の岩手の様子をお知らせください。

〇水野少子・高齢化対策監 合計特殊出生率の状況でございますが、平成14年度で申しますと、岩手県の場合は1.50、それから全国の状況は1.32という状況になってございます。御存じのとおり、全国的にもあるいは県内におきましても下降傾向には当然ございまして、なかなか日本の中では上向きにはならないという状況が続いている状況でございます。本県におきましても、都市部と町村部といいますか、そういうところでは若干の違いはございますけれども、全体としてはそのような状況ということでございます。

〇斉藤信委員 それでは最初に、介護保険の状況と改善についてお聞きをします。
 在宅サービスの利用率が全国最低、正確に言いますと46位にとどまっていますが、その要因についてどのような調査と分析がされているでしょうか。
 要介護認定者の2割以上が介護サービスを利用しておりませんが、その要因は何でしょうか。
 3番目に、保険料・利用料の市町村の軽減対策はどうなっているでしょうか。
 4番目に、ショートステイの利用実態はどうでしょうか。今、介護保険ですべて前の月に予約をするというので、緊急のときに入れないという状況が出ていますが、必要なベッド数を特別に確保する対策、ある自治体でこれをやっていますけれども、そういう対策が必要ではないでしょうか。
 特養ホームの待機者の状況について。先ほど1、893人と、これは9月末ですね。こういう回答がありました。私は、待機者を解消する計画と対策についてお聞きをしたい。また、新型特養ホーム、この低所得者への軽減策はどうなっているでしょうか。軽減策がどういう中身になっているか。それから、新型特養できっちり入所希望者に伝わっているのか示していただきたい。平成14年度までの介護給付費準備基金、これは幾らになったでしょうか。

〇赤羽長寿社会課長 まず、在宅サービスの利用率が低位となっている要因の調査あるいは分析についてでございますけれども、在宅サービスは確かに全国で利用限度額に対する割合が46位という状況になっておりますけれども、全体として本県も非常に在宅サービスは進んできております。ちなみに、平成12年度から平成14年度までのサービスの利用率を見ますと、訪問介護サービスでは1.9倍ぐらいに伸びてきているという状況にあります。全国がさらに伸びているといったこともありまして、なかなか岩手県の順位が上がらないといったような状況にあります。
 なぜ、それではこういった在宅サービスの利用が全国よりも伸びないのかといったことにつきましては、市町村と一緒になっていろいろな調査を行っておりますが、その一つの調査といたしまして、本年10月に実施した調査でございますが、市町村を通して3月中のサービス未利用の方に対して行った調査でございますけれども、なぜサービスを利用しなかったかという理由を二つまで挙げていただいておりますが、多い順に、家族で何とかやっていけるという方が全体の45%、あるいは本人が自分で何とかできるという方が43%、病院に入院しているという方が22%という結果になっております。この結果から在宅サービスの利用が低調な要因について、簡単にこれだということを言うことは難しいのかもしれないんですが、本人または家族で何とかやっていきたいとか、あるいは、これも一種の推測でございますけれども、他人を自宅に入れたくないといったような思いが背景にあるのではないかといったようなことなど、さまざまな要因が複合的に関連しているのではないかと考えております。
 それから、要介護認定者の2割以上が介護サービスを利用していない理由でございますけれども、要介護認定者のサービス受給の割合は全国とほぼ同じような形で、全国も未利用の方は2割程度ということになっております。未利用の方の中には病院など介護施設以外の施設に入所されていて要介護認定は受けているという方もいらっしゃいます。そのほか、先ほども申し上げましたように、本人または家族が何とかやっていきたいというお考えの方もいらっしゃるのではないかと思っております。そういった要因が複合的に関係しているのではないかと考えております。
 次に、利用料の軽減策についてでございますけれども、保険料につきましては、保険料区分を5段階から6段階へ細分化するということができるわけですけれども、平成15年からの第2期の事業期間におきまして、新たに4市町村が保険料の6段階設定というものを行っております。そのほかに市町村における独自の軽減というものがあるわけですけれども、平成14年度は23市町村で行っておりましたけれども、15年度からの第2期事業期間におきましては31市町村、広域の保険者につきましては構成市町村数をカウントしております。31市町村まで拡大はしてきております。
 次に、利用料の軽減策でございますけれども、国による軽減制度と市町村における独自の利用料の軽減策があるわけでございますけれども、国による利用料軽減策のうち、社会福祉法人等による生計困難者に対する減免措置につきましては、平成14年度は47市町村で2、178人を対象として実施されております。この社会福祉法人等による生計困難者に対する減免措置につきましては、これまでも国に対しまして市町村の意見も伺いながら、いろいろ要望してきたところでございますけれども、平成14年度までは1号被保険者の中で最も生計が困難な方から10%程度の方までが対象であったものが、平成15年度から15%まで対象が拡大されたところでございます。こういった形で利用料の軽減策が充実されてきていると考えてございます。それから、市町村における独自の軽減の状況でございますけれども、平成14年度は26市町村で行っておりましたが、平成15年度には27市町村で実施しているといった状況になってございます。
 次に、特別養護老人ホームの入所希望者の状況でございますが、これにつきましては先ほども佐々木博委員の御質問にお答えしたとおり、平成15年9月末現在で1、893人となっております。こういった待機者を解消する計画と対策でございますけれども、先ほど来お話がありましたいわゆる入所指針を参考にした入所規定を各施設につくっていただいて、入所の必要性の高い方が円滑に入所できるように支援してまいりたいと考えております。施設の整備につきましては、いわていきいきプラン2008において平成19年度までに県全体で介護老人福祉施設、介護老人保健施設及び痴呆性高齢者グループホーム、あわせまして2、000床程度の増床を行う計画となっておりまして、その着実な推進に努めていきたいと考えております。
 なお、在宅で生活している方々の介護を支えるため、ホームヘルパーを初めとするマンパワーの養成と資質の向上についても努力してまいりたいと考えております。
 それから、ちょっと順序が飛びましたけれども、ショートステイの利用状況につきましては、1月に大体2、600人程度の方が利用されていらっしゃいます。1人当たりの利用日数は1カ月にしますと、おおむね10日から11日ぐらいの平均になっているのではないかと理解しておりまして、地域においてはショートステイが満床のため緊急時に利用できないという実態にはあるというふうなことを伺っております。この対応でございますけれども、やはり特別養護老人ホームの整備を進めていく上で市町村とも、その地域の実情を伺いながら、ショートステイの専用居室の整備を進めることなども含めて検討してまいりたいと考えております。
 次に、新型特養の関係でございますが、新型特養ホームの入所者への費用の軽減策についてでございますけれども、私どもが要介護度4の方をモデルにして試算したところ、いろいろな制度を使ってどうなるかということを試算いたしました。要介護度4の方につきましては標準的な負担は1割の利用者負担でありますとか、食費負担とかホテルコストをあわせまして月額約9万円程度になるのではないかと試算しております。低所得者として保険料第1段階、市町村民税非課税で老齢福祉年金受給者等の方々の場合ですけれども、そういった方々について試算いたしましたところ、食費負担の軽減とか、ホテルコストのうち月額1万円が本年4月から新たに介護報酬として施設に支払われることになっていること、さらに、社会福祉法人等による減免措置が適用されれば月額約3万円程度の負担ということになります。
 この社会福祉法人等による減免措置は実際に行っていない社会福祉法人もございますので、そういった減免措置が適用されない場合には食費負担の軽減とか、先ほどの介護報酬によるホテルコスト、あるいは高額介護サービス費の提供といったことにより、月額約4万5、000円の負担となっております。なお、こういった介護報酬にホテルコストの部分が加算されるということでありますとか、社会福祉法人等による減免措置が適用されることとか、あるいは高額サービス費の適用等につきましては、これまでも再三にわたり各市町村なり社会福祉法人にも通知してきているところでございます。各対象施設におきましても、入所申込時に利用料に関しましてこういったことについては家族等への個別の説明を行っていただいているところでございます。また、県が毎年1回程度実地に立入調査も行っておりますけれども、そういった中で施設内へのそういった情報の掲示でありますとか、パンフレットの掲載などが行われているかも含めて確認をしてまいりたいと思います。なお、社会福祉法人の軽減策がなされていない社会福祉法人等につきましては、市町村とも連携して軽減措置の実施に向けた協力要請を引き続き行ってまいりたいと考えております。
 最後に、介護給付費の準備金でございますけれども、各市町村で約29億円の準備金があるといったような状況になっております。

〇斉藤信委員 10年間、委員会でこの問題をずっとやってきて、今の答弁は本当に一般論にとどまっていますよ。例えば、在宅サービスが何で全国46位なのか、1.9倍にふえたなどというのはごまかしの答弁で、利用者がふえただけなんですよ。私が比較しているのは限度額に対する利用割合ですよ。限度額に対して岩手県は38.8%、全国平均は44.4%なんです。この順位が下から2番目なんですよ。高齢者がふえれば総量ふえるのは当たり前の話、しかし実際の在宅サービスの利用というのは限度額に対して38.8%、その下の秋田県が37.1%で最下位なんです。私はそのことを聞いたのであって、これは、私は一貫してこの問題を深く解明すべきだと、介護保険制度が在宅サービスが基本と言うなら、在宅サービスが使われやすいような制度に改善しなくてはならないというのは第一義的な問題ですよ。今のような一般的な話で改善されませんよ。もう一回お聞きしたい。
 それで、特養ホームの待機者は1、893人ということなんですが、これはあくまでも在宅の待機者です。私、盛岡市に聞いてみました。盛岡市はどういう調査をしているかと言うと、在宅は181人、施設に入って待っている人が351人、病院等で待っている人が228人、全体で待機者は760人ですよ。だから、岩手県がつかんでいる1、893人というのは、本当に限定された数です。だから、盛岡市と比べると待機者4.2倍違うんですよ。本当にそういう点では深刻なんです。それで、これは1、893人と言ったって、あなた今言わなかったけれども、特養ホームの整備は平成19年まで850床でしょう。これから待機者どんどんふえますよ。850床整備したって1、000人以上入れないではないですか。これが保険料を払ったら介護サービスを選択できる介護保険制度なのか。入所の指針というのは入所の抑制にしかならないんですよ。入る順番決めるだけで待機者の解消にはならないんですから、そういう点で本当にこういう待機者を解消するそういう気持ちで対応しているのかどうか。あなた方の計画では待機者がふえるばかりでないですか。また、盛岡市のような実態をなぜつかまないのか。ここをお聞きしたい。
 私、新型特養をお聞きしましたが、今新型特養は何カ所あるのか、そしてそのすべての新型特養で低所得者に対する軽減策はありますよと通知されているかどうか。パンフレットに書き込まれているかどうか、このことを私は具体的に聞いているんですよ。私が以前に聞いた段階では、そういう情報は残念ながらなされていないんですよ。特にことしオープンしたところは大体月10万円かかります。だから、最初からそこに申請できない人たちが今出ているんです。だから、具体的に今開設している新型特養何カ所で、そこはすべてで低所得者対策、具体的な基準額が明示されているかを示していただきたい。それと、社会福祉法人の減免がされていない法人は幾らあるのでしょうか。

〇赤羽長寿社会課長 在宅のサービスの利用率の割合でございますけれども、岩手県は委員御指摘のとおり全国よりも非常に低いわけでございます。平成12年4月には在宅サービス費の介護給付費に占める割合が23.5%でございました。それが現在は35%といったような状況になってきております。それから、1人当たりの給付費でございますと、これは第1号被保険者1人当たりに換算したものでございますけれども、平成12年度の月額の平均ですと3、587円、これは介護サービスの在宅の給付費を第1号被保険者で割った数でございますが、それが平成14年の月額平均ですと5、442円ということになってきております。利用限度額に対する割合については今ちょっと調べておりますので、お待ちいただきたいと思います。
 それから、新型特養の関係でございますけれども、新型特養は現在7カ所開設されております。そのうち、いわゆるホテルコストを徴収していない施設が2カ所ございます。それから、社会福祉法人の減免を行っている施設は2カ所ということになっております。それから、委員御指摘のとおり、施設の開設時点で必ずしも利用者に対するその説明が十分でなかった場合もあったのかもしれないと考えておりますが、こういった点につきましては利用者にきちんと説明していただいて、ある制度を有効に活用していただくように、私どもとしても努力してまいりたいと考えております。
 それから、施設の整備につきましては、これはこれまでも2008の策定の過程において、いろいろと御議論をいただいたところでございます。私どもがことし調査したところによりますと、高齢者で施設を利用している方のうちの6割程度は利用すること自体を本人は希望していなかったという実態もあります。施設をつくるということがある程度必要だということは、これは間違いないことだと考えておりまして、一定の必要量を整備しなければならないと考えておりますけれども、在宅で本当は暮らしたかったんだという高齢者の方々の御要望も非常に高いわけでございます。施設を整備するとどうしても施設中心になって、在宅のサービスが伸びないといったような実態にもあるわけでございまして、施設をつくることと、在宅を整備してできるだけお年寄りが地域で生活したいという、その願いをかなえることと両方相まって進めていきたいと考えております。

〇斉藤信委員 答弁すればするほど私は矛盾に陥ると思いますよ。私は、第1にあなたに聞いたのは、在宅サービスが使われるように改善すべきだと言っているんですよ。それが全国最低にとどまっているから問題だと指摘している。そして、一方で、特養ホームの待機者が高どまりで急増している。これの解消の計画は全くないということを指摘した。何の打開する方向も示されなかったというのは今の答弁でしたね。極めて残念な限りです。言いますけれども、私の家族にも介護度5の親がいますよ。限度額いっぱい使ったって本当に家族の犠牲で支えられているというのが今の介護の実態ですよ。支える家族がいればいいけれども、支える家族がいなかったら在宅の生活というのはできないんですよ。そこに深刻さがあるんです。しかし、在宅サービスを利用する手だてが、限度額という条件もある、利用料という制約もあるから使われていないんですよ。私は、そういう点でもう少し現場の実態をよく見て、本人の気持ちも家族の思いもよくつかんでやっていただきたい。これは指摘だけにとどめます。
 次に、国民健康保険証の取り上げ問題についてお聞きをします。
 資格証明書、短期保険証の発行状況はどうなっているでしょうか。市町村数、発行数を示していただきたい。資格証明書というのは窓口現金払いであります。金の切れ目が命の切れ目になってしまう。いわばお金がなければ医療にかかれないという深刻な事態が今引き起こされているわけで、こうした資格証明書の発行は悪質な場合、払える能力があるんだけれども払っていないという場合に限るべきではないか。国保の滞納者の実態、滞納額、1年以上の滞納者の実態を含めて答えていただきたい。
 国保税の減免について。国保法第44条に基づく減免はどうなっているか。減免規定を具体的に規則や実施要綱で定めている市町村はあるのか。秋田県では各市町村に対して取扱要領を定めるよう通知していますが、岩手でもそれを実施すべきではないでしょうか。

〇六本木医療国保課長 まず、資格証明書でございますが、11月1日現在で発行数が1、923となっております。29市町村です。短期被保険者証については1万4、005件となっております。58市町村が実施しております。
 国保税の1年以上の滞納者につきましては、その正確な数は把握することは困難ですので、御了承いただきたいと思いますけれども、14年度末における滞納世帯数は3万6、572世帯、14年度の現年分の滞納額は30億2、300万円となっております。資格証明書の交付につきましては、滞納者の生活状況等を十分に把握し、特別の事情の有無を確認の上、特別の事情がない場合には納付計画の作成や分納誓約などにより納付を促し、一向に納付相談に応じないなど、納付に誠意がないと認められる場合について資格証明書の交付を行うよう市町村に対して指導しているものでございます。
 県としては、被保険者の負担の公平、国保財政の安定的な運営確保の観点から、これらの滞納者対策を適切に実施することが必要であると認識しております。
 次に、国保法第44条に基づく一部負担金の減免でございます。これは、医療機関に受診した際の窓口負担の減免についてでございます。平成11年度に軽米町が豪雨災害による被災者等に対し減免を実施して以来、ここ数年実施した例はございません。また、これ以外の市町村において具体的な減免規定を定めている市町村はございません。
 一部負担金の減額、免除あるいは猶予ということが国保法に規定されておりますが、この規定はできる規定でございまして、県といたしましては、各市町村が法令等の趣旨を踏まえ、地域の実情、被保険者個々の生活実態を考慮しながら判断した上で実施すべきものと認識しております。

〇斉藤信委員 今、全体で資格証明書の発行が1、923世帯、大変これは深刻な数です。お金がなければ家族が病院にかかれないという事態に陥っている。私は、特にその中で盛岡市が1、256世帯を占めているというので盛岡の問題が大変深刻だと思いますけれども、聞きますと、窓口に相談に来ないからだと。1度来ても、2度、3度は来なくなると。滞納者というのは敷居が高いんですよ、やっぱり痛みを感じていますから。そういう点で私は、相談に来ないからという形で一方的に資格証明書を発行するようなことをしてはならない、あくまでも特別な事情の有無を確認すべきだと思います。改めてお聞きしたいと思います。
 44条の問題ですけれども、これも特別な事情がある場合、首長の判断でできる規定なんですね。だから、法律で認められた減免なんですよ。ただ、市町村がこういう場合に適用できますという基準を決めていないから実際には使われていない。私は、極めてこれは残念な事態だと思います。これだけ滞納者がいて資格証明書を発行するような深刻な事態になっているときに、救済できる減免規定はきちっと市町村の判断で決めるようにすべきではないか。秋田県はそういう立場で、法律にあるからきちんと定めなさいという通知を全市町村に出しているんですよ。そうやって岩手県がいいことで旗を振ることが必要なのではないでしょうか。補助金を削るばかりでなく、いいことはやりなさいと。そういうやる気があるのかどうか。ぜひやっていただきたいけれども、その点についてお聞きしたい。

〇六本木医療国保課長 まず、資格証明書の発行の際の手続としての特別の事情の有無の確認については、各市町村に対して、今後とも確実に実施するように指導してまいりたいと思います。
 国保法第44条の規定につきましては、例えば、県が取扱要領等を具体的に定めるというのは、むしろ市町村の裁量で実施できる部分についての取り組みの内容を一律に実施するよう促す可能性がございますので、そういったやり方は適当ではないと考えております。

〇斉藤信委員 44条でできる規定があるんだから、そして、深刻な事態があるからこそそういう減免規定をきちっとつくって、減免ができる人は減免を拡大する手だてをとる、行政として当たり前のことではないですか。私は、それをやっていないというのは怠慢だと思います。例えば、京都市の場合は、生活保護基準の130%まで生活困窮者として減免の対象にする。だから、そういう基準が具体的にあれば、だれが対象になるかわかるんです。その具体的基準がないから申請減免がされていないんですよ。私は、そういう点で、秋田県の例をぜひ研究して、やっていただきたい。
 次に、行財政構造改革プログラムによる補助金カットについてお聞きしたいと思います。
 本当に今までの補助事業、決算書にあるわけですが、次々と廃止される。私は見て、本当に驚きました。こんなに切っていいんだろうかと思うぐらい福祉分野の補助事業は廃止ですよ。老人福祉施設整備費補助は指摘もされましたが、精神障害者の社会復帰施設整備費補助、在宅重度障害者介護手当支給事業補助金、障害者作業所設置運営費補助事業、のびのび子育て支援事業、在宅緩和ケアモデル事業、挙げたら切りがないぐらい補助事業が廃止。私は、この行革プログラムは福祉切り捨て、一番の特徴がここにあるんじゃないかと思いますが、こんなに切っていいんですか、これは部長に聞きたい。
 それと、私、きのう財源問題でお聞きしたら、切る中で73件は継続方針だと。それは17億6、000万円になる。保健福祉の場合、継続方針というのは73件のうち何件、額では幾らあるでしょうか。

〇長山保健福祉部長 行革プログラムの中の補助金等の削減についてでございます。
 これは、一定の見直し方向に基づきまして、県単独の補助金なり負担金について、現時点での見直しの方向性を取りまとめたということでありまして、個別具体の見直しの内容を決定したものではないということは前の委員会等でもお話があったと思っております。
 いずれ、さまざまな事業のケースがございまして、激変緩和的なもの、あるいは代替措置が必要なもの、あるいは調査事業的なもの、あるいは国の制度化が進んで今までの県単の部分がカバーされてきたものなど、見直しの内容もさまざま異なるということでございます。今後とも、市町村や関係団体等の意見等も踏まえながら、最終的には平成18年度までの各年度の予算編成において検討、決定すると理解しております。
 具体的な個別の廃止云々ということにつきましては、今、私の手元にありませんので、お答えいたしかねます。

〇阿部敏雄委員長 この際、進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いします。

〇斉藤信委員 わかりました。
 私は、今年度で切られるという補助事業について、その対応についてお聞きしたい。
 例えば、精神障害者社会復帰施設整備費補助は今年度で廃止です。しかし、これについてはこう言っています。主な整備主体である社会福祉法人は財政基盤が脆弱であり、単独施設整備を行うことは厳しい現状にある、改革プランでは、現状のまま継続。しかし、見直しでは廃止。これは、ことしで切られるんです。こういうものを来年からどうするんですか。ことしで切られるのはたくさんあるんですよ。障害者社会参加事業費、これは、改革プランで継続になっているけれども、ことしで切られる。事業の代替、継続の必要性について検討する。ことしで切られるものでも、新しい事業を考えなければだめだというのがたくさんかかっているでしょう。73件のうち何件あるか、わかる課長がいたら答えてください。

〇高橋障害保健福祉課長 ただいまお話ございました精神障害者社会復帰施設整備費補助の考え方についてでございますが、実は、この整備につきましては、今お話しされましたように、精神障害者社会復帰施設の整備の立ちおくれといったことがございまして、平成元年から国庫補助基準面積の1.1倍という形で、上積みする形で県単として助成してきたものでございます。これらにつきましては、他の社会福祉施設等と同じ状況でございまして、かなり地域的には普及定着が図られてきたと考えております。その中で、今後のあり方として見直しを検討していきたいということで整理させていただいたものでございます。

〇藤澤参事兼保健福祉企画監 行財政構造改革プログラムに保健福祉部関係の補助金の対象になった件数でございますが、トータルで72件ございます。そのうち、廃止の方向で検討中のものが35件、継続するのが29件、見直し方向で調整中のものが8件、こういう分類になります。したがって、先ほど申し上げましたように、廃止の方向のものにつきましても毎年度の予算編成の段階で検討してまいる、こういうことであります。

〇斉藤信委員 私は、この中で、特に今後調整すると言っている乳児、妊産婦、重度心身障害者などの県単医療費助成制度、これは、これがあってこそ岩手県だという制度ですよ。これも調整見直しの対象になっていますが、これはしっかり守るべきではないでしょうか。どういう考えで調整と言っているのか指摘していただきたい。
 岩手医大の移転問題の現状と対応について最後に聞いて終わります。

〇長山保健福祉部長 県単独の医療費助成制度のことでございます。
 この事業につきましては、障害者あるいは乳幼児等の受診の機会の確保あるいは生活の安定ということから非常に喜ばれてきたものだと私も理解しております。しかし、高齢化の進展等で助成対象者がかなりふえています。それから、医療制度改革の影響等によりまして、やはり県単独の一般財源がかなり伸びてきているということで、ちなみに、昨年度に比べ今年度は一般財源が3億円ほど急激にふえた。これも、今後続くのではないかと思っております。今後もこの制度を安定的に持続させるためには、この助成事業についても、本県の障害者対策あるいは少子化対策等の全体の中で財源あるいは対象の範囲などを見直す必要があるのではないかということで調整中としたものであります。中身を充実するものもあろうと思いますし、いろいろな財源の問題での組み立て、そういったものは今後詰めていくという内容になっております。
 それから、岩手医科大学の移転問題につきましては、現在、大学の方で検討委員会等を通じて鋭意検討されていると聞いております。ただ、私どもの方に具体的な御相談なり何なり正式なものについてはございません。

〇阿部敏雄委員長 ほかに質疑はありませんか。

〇赤羽長寿社会課長 先ほどは大変失礼いたしました。答弁漏れがあった利用限度額に対する利用割合の状況でございます。
 平成13年10月と15年5月を比較した数値でございますが、岩手県は13年10月に35.9%でございました。それが、ことしの5月には38.8%になっております。順位はどちらも46位でございます。全国は、13年10月には42.6%、15年5月には44.4%となっております。岩手県はこの間約3%伸びておりますが、全国は1.8%伸びているといった状況でございます。

〇阿部敏雄委員長 ほかに質疑はありませんか。

〇平野ユキ子委員 簡単なことでございます。ただいま老人介護施設のハード面についてお聞きしておりましたが、ソフトの面についてお伺いしたいと思います。
 入所老人への職員の虐待の報道がここのところなされておりますけれども、例えば青森県では、10月の報道によりますと、11カ所で16件の虐待の報道がありました。岩手県ではこのような実態の報告がされているでしょうかお伺いします。

〇赤羽長寿社会課長 県内の介護施設における虐待の状況でございますけれども、介護施設において事故とか事件が発生した場合には、市町村等を通じて県に報告する取り扱いとなっているわけですけれども、これまで施設職員による入所者への虐待の事例についての報告は受けておりません。
 介護保険制度の場合には、苦情処理機関として国保連の中にそういった機関を置いているわけですけれども、そこにも、家族あるいは施設の職員あるいは利用者からの相談あるいは苦情の申し立てといったものはないところでございます。
 ただ、施設の中での状況というのは建物の中でのことでございまして、閉じられた空間でございますので、報告はないということでございますけれども、青森県の状況も参考にしていかなければならないと思っております。

〇平野ユキ子委員 私も介護の経験がありまして、いわてリハビリテーションセンターでも非常にいい介護をしていただきまして感謝しているんですけれども、もし万が一虐待された場合、本人は言えませんし、家族はわかっても、やっぱり言いづらいような状況が生じるものでございます。そしてまた、県立大の福祉とか専門学校の福祉専門学校と、雇用に関して若い人たちがどんどん介護の場に出てくる状況でもあります。岩手の場合はないのかなと思っておりましたけれども、今後は、現場での指導が大切になってくるのではないかと思います。これは教育にも関することですけれども、資質の向上ですとか人間としての尊厳を保つ対応をするように現場への御指導をお願いしたいと思います。具体的には何か取り組んでいらっしゃるでしょうか。

〇赤羽長寿社会課長 社会福祉研修所等において相談援助とか苦情解決とか、介護全般に対する施設職員の研修はこれまでも行ってきているところでございますけれども、やはり虐待を防止する、発生しないようにするためには、介護のサービスの質全体を上げていく必要があるのではないかと思っております。対症療法的に虐待はだめだと言っても、その場ではわかっても、いろいろな形で潜在化して起こってくる可能性もあると思いますので、やはりお年寄りを介護するんだ、それから、人権を守る第一線の場所だという意識を施設の方たちにもより一層持っていただかなければならないと思います。そういった意味で、施設の介護のサービスの質の向上についてのモデル的な取り組みを国が行う計画も出されてきておりますので、そういったことを見ながら介護施設におけるサービスの質の向上に努めてまいりたいと考えております。

〇平野ユキ子委員 先ほども赤羽長寿社会課長より資質の向上に努めていきたいという答弁がございまして、心強く思っております。やはり現場での指導が大切だと思いますので、そのようによろしく御指導をお願いいたします。

〇阿部敏雄委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇阿部敏雄委員長 質疑がないようでありますので、保健福祉部関係の質疑をこれで終わります。
 次に、商工労働観光部長に商工労働観光部関係の説明を求め、引き続き総合雇用対策局長に総合雇用対策局関係の説明を求めます。

〇小原商工労働観光部長 それでは、平成14年度の商工労働観光部関係の決算について御説明申し上げます。
 平成14年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開き願います。商工労働観光部の決算は、5款労働費のうち、1項労政費及び2項職業訓練費並びに14ページに参りまして、7款商工費でございますが、これらの支出済額の合計は665億8、191万円余となっております。また、14年度から15年度への繰越額につきましては、7款商工費2項観光費の2億6、690万4、000円であります。
 以下、個々の内容につきましては、便宜、お手元の平成14年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。事業ごとの金額の読み上げは省略させていただきまして、主な事業の内容を中心に説明申し上げますので、御了承お願いいたします。
 なお、本年6月に総合雇用対策局が設置されたことに伴い、同局に移管いたしました事務事業につきましては同局から説明申し上げることとしておりますので、あらかじめ御了承願います。
 それでは、歳入歳出決算事項別明細書の166ページをお開き願います。5款労働費1項労政費1目労政総務費は、労働相談等の中小企業集団福祉事業や労使関係の安定促進などに要した経費であります。2目労働教育費は、各種労働講座の開設などに要した経費であります。168ページをお開き願います。3目労働福祉費は、離職者対策資金等の貸付金や仕事と家庭両立支援促進費など労働福祉の促進に要した経費であります。4目雇用促進費は、チャレンジド就業支援事業など障害者の雇用対策や人材確保対策事業など雇用の促進に要した経費であります。
 なお、1行目のいわて緊急雇用対策事業費補助から5行目の地域雇用対策強化事業費までは総合雇用対策局に移管しております。
 次に、2項職業訓練費1目職業訓練総務費は、技能労働者の技術水準の向上を図るための認定職業訓練や職業能力開発推進などに要した経費であります。170ページをお開き願います。2目職業訓練校費は、県立産業技術短期大学校を初めとする公共職業能力開発校等の管理運営や施設の整備及び離転職者に対する職業訓練などに要した経費であります。
 次に、飛びまして、218ページをお開き願います。7款商工費1項商工業費1目商工業総務費は、管理運営及び北東北三県・北海道ソウル事務所の設置並びに中小企業者等に対し研究開発から事業化までの各種支援事業を行ういわて新事業創造プラットフォーム推進事業やベンチャー企業成長支援のためのいわてインキュベーションファンド組成事業貸付金などに要した経費であります。
 なお、4行目の緊急雇用対策施設等整備奨励費補助は、総合雇用対策局に移管しております。
 次に、218ページから221ページに記載しておりますが、2目中小企業振興費は、商工団体等に対する助成や商工観光振興資金などの貸付金及び商店街振興や工業振興、地場産業振興など商工業の振興に要した経費であります。222ページをお開き願います。3目企業立地対策費は、企業立地の促進及び企業誘致活動などに要した経費であります。4目中小企業経営指導費は、中小企業に対する診断指導や研修及び情報提供など各種支援事業に要した経費であります。5目貿易振興費は、海外見本市への参加や貿易振興団体に対する助成など貿易振興に要した経費であります。6目計量検定所費は、計量検定所の管理運営に要した経費であります。224ページをお開き願います。7目工業技術センター費は、工業技術センターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。
 次に、224ページから227ページに記載の2項観光費1目観光総務費は、観光客受け入れ態勢の推進や東北新幹線盛岡以北開業に伴う観光宣伝事業などに要した経費であります。2目観光施設費は、観光客総合誘導施設の整備など観光地の基盤整備に要した経費であります。
 なお、ここで翌年度繰越額が2億6、690万4、000円計上されておりますが、これは、八幡平山頂展望休憩等施設整備事業の実施に当たり、事業計画の調整等に相当の日数を要したため、事業費を平成15年度に繰り越したものであります。
 以上で一般会計の説明を終わり、次に、大きく飛びまして、同じく事項別明細書の338ページをお開き願います。中小企業振興資金特別会計の決算について御説明申し上げます。
 この特別会計の予算総額は、歳入は340ページの中段、歳出は342ページに記載しておりますが、歳入歳出それぞれ57億1、843万8、000円であります。
 まず、歳入につきましては、戻っていただきまして、338ページから341ページに記載しておりますが、収入済額が総額57億3、636万円余であり、その主なものは、一般会計からの繰入金、繰越金及び貸付先企業からの償還金等の諸収入であります。また、不納欠損額825万円余につきましては、中小企業設備近代化資金貸付金に係る債権の回収が不可能になったことにより、当該権利を放棄したものであります。
 次に、歳出につきましては、340ページから343ページに記載しておりますが、支出済額の総額は38億6、415万円余であります。
 1款小規模企業者等設備導入資金貸付費1項貸付費は、財団法人いわて産業振興センター貸付金、高度化資金貸付金など貸し付けに要した経費であります。
 342ページの2項貸付事務費は、ただいまの貸付金の貸し付け及び回収事務に要した経費であります。
 以上で商工労働観光部関係の決算についての説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

〇上村総合雇用対策局長 総合雇用対策局関係の決算について御説明申し上げます。
 当対策局からは、本年6月の設置に伴い商工労働観光部から移管を受けた事務事業につきまして、平成14年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 168ページをお開き願います。5款労働費1項労政費4目雇用促進費の記載事業のうち、1行目のいわて緊急雇用対策事業費補助から5行目の地域雇用対策強化事業費までが当対策局が移管を受けた事業でありますが、これらは、緊急地域雇用特別基金及び緊急地域雇用創出特別基金を活用し、市町村が行う雇用・就業機会創出のための事業に対する補助や、その財源に充てるための基金への積立金及び各地方振興局への就職支援センターの設置等に要した経費であります。
 次に、飛びまして、218ページをお開き願います。7款商工費1項商工業費1目商工業総務費の記載事業のうち、4行目の緊急雇用対策施設等整備奨励費補助が当対策局が移管を受けた事業でありますが、これは、県内中小企業が施設等を整備し、失業者を含む新規常用雇用者を雇用した場合に、施設等の整備に要した経費に対する補助に要した経費であります。
 以上で総合雇用対策局関係の決算についての説明を終わります。よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

〇阿部敏雄委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。

〇高橋賢輔委員 私から3点ほどお伺いしたいと思います。
 まず、北東北三県・北海道合同事務所が御案内のとおり昨年11月にソウルに開所いたしたわけでございますけれども、その際、私もこの開所式に参加いたしました。そのため、大変このことについては感想を持っているわけです。そこで、開所してからまだ日も浅いわけですけれども、当局は、この4カ月の間の成果をどう見ておるのか、それをお聞きしたいと思います。
 2点目は、総事業費は幾らなのか、これは、他の2県と北海道を含めての事務所ですから、その点をお知らせ願いたいと思います。
 それから、せっかくこういう事務所を設けたのですから、本県への誘客をどう見ておるのか。そして、誘客のPRをどのような形でおやりになっているのか、その辺のこともお伺いしたいと思います。
 それから、誘客ばかりではなく、特にも岩手県の物産の販路拡大、開拓等々にも力を入れておるわけですが、特にソウルについてはどのような動向なのか、その辺のことをお伺いしたいと思います。
 それから、ソウルの行政と経済界とのかかわりと申しますか、そこら辺の実績があればお伺いしたいと思います。

〇久保商工企画監 私の方から、北東北三県・北海道ソウル事務所の関係の事務所の経費等についてお答え申し上げます。
 先ほどお話ございましたとおり、平成14年11月にソウルに観光を中心とした交流機関として開設したわけでございますけれども、14年度決算で見ますと、事務所の直接的な経費は3、480万円となってございます。これは4道県で均等に負担いたしますので、1県当たり870万円となっております。ただ、これは年度途中からの開設でございましたので、平年ベースで大体4、200万円程度、1県当たり1、100万円程度になるのではないかと見込んでございます。
 それから、人員体制をお話し申し上げますと、4道県からの派遣職員、これは持ち回りで派遣いたしますけれども、1名ということでございまして、このほかに現地スタッフが3名おりますので、計4人体制で現在運営してございます。

〇田中観光課長 私の方からは、ソウル事務所の成果なり観光客の誘客の関係について答弁申し上げます。
 まず、ソウル事務所が昨年11月にできまして、昨年度は4カ月間という短い期間でございましたけれども、観光説明会を1回だけ開催させていただいております。本年度になりましてからは、本県の観光関係者も参加いたしまして、ソウルで韓国の旅行エージェントの方々を対象に春と秋に観光説明会を開催し、本県のさまざまな観光資源を紹介したところでございます。その結果、ことしの6月から北東北3県一周旅行等の旅行商品が具体的につくられまして、私どもで把握しているものでは、これまで9回、人数にいたしますと165人、岩手県内にツアーに来ていただいております。さらには、ゴルフツアーもございまして、これも大体6月から8月ごろでございますが、人数はまだ多くないんですが、4回で延べ78人という実績を持っているものでございます。
 今後とも、ソウル事務所を中心に、韓国に対しまして本県のすぐれた観光資源を紹介しながら、具体の韓国からの誘客に努めてまいりたいと考えているところでございます。

〇高橋賢輔委員 事務所を開所してまだ日は浅いですけれども、観光PRにしても、どうも積極的ではないのではないかと思うわけです。シンガポールの事務所が開所されたのはことしですよね。今のソウルの事務所の成果なり判断の上にシンガポールの事務所も開所されたのではなかろうかと思ったわけですけれども、今の説明によりますと、どうも……。4カ月とは申しますけれども、本県としては初めての海外の事務所でもあるわけですから、もう少し積極的に取り組むべきではないかと思いますが、今後、そういう面におきましても積極的に取り組んでいただきたい。殊に、今、景気も低迷あるいは経済もこのとおりなものですから、むしろ海外の方からどんどん呼ぶような、しかも本県からソウルに行っているのはかなり多いと思うんです。出ていくぐらいは呼んでこられるような、そういうことをやらなければならないと思いますし、それから、先ほどお聞きしたソウルの行政とのかかわり、あるいは経済界とのかかわりというのは全然なかったんですか、どうなんですか。

〇久保商工企画監 観光面におきまして向こうの観光関係といろいろ接触していると思いますし、それから、行政ベースでも、韓国の政府の方々との連絡協議会、そういったものがあったと思うんですが、具体的なものは、今、手元に持ち合わせてございません。

〇熊田岩手ブランド推進課長 ソウル事務所における物産販売の拡大についてでございますけれども、第3回の日韓交流祭のときに特産品の展示、試食を行いました。その結果を見ますと、日本酒とかようかん、そば、だんごが非常に好評だったと。ただ、いかんせん日本の希望価格より二、三割安い価格を希望しているということが一つ明らかになりました。それから、工芸品関係でいきますと、南部鉄器とこはくが非常に人気があったと。漆器はいまいちのようでございました。そういったことで、今後、南部鉄器とかこはくについては販路拡大に期待が持てるかと思います。ただ、国が違いますものですから、どうしても安定した流通ルートの確保が一番大きな課題になると認識しております。

〇小原商工労働観光部長 今、ソウルとシンガポールを比較して御質問があったんですが、基本的に、ソウルはどちらかというと委員御指摘のとおり観光誘致の方に当面主力を置いてやろうということで、今、もう少ししっかり取り組めという御指摘がありましたけれども、合同事務所でもありますので、北東北という観点と我が県の固有のものと、その辺をうまく秋田、青森のルートを通じてうちの方に引っ張ってくるようなことで頑張りたいと思います。シンガポールの方は、どちらかというと東南アジア初め、経済交流の方を主力に今後展開していきたいということで、観光、物産振興、それから経済交流、海外についてはすべからくそういう形で取り組んでいきますが、あえて区別すれば、ソウルはそういう形、シンガポールは、岩手県の企業とあちらの企業を何とか結びつけたいということに主眼を置いて取り組んでまいりたいと思っております。

〇高橋賢輔委員 随分台湾には力を入れてチャーター便まで出しておられるようですけれども、ソウルとの空の旅ですけれども、青森はあるんですよね。それから、秋田県にもあります。残念ながら岩手県は交流もやっていないようです。秋田、青森はやっているんです、ソウルとのいろいろな団体の交流ですか。残念ながら岩手県はないようです。そういうことを考えた場合、やはりチャーター便まで出すぐらいの気持ちを持って努力すべきだと思います。せっかくの事務所ですから、そうなると花巻空港だってもっと活力が出てくるだろうと思いますし、期待できる面が出てくるのではないかと思いますが、いずれ要望にさせていただきます。よろしくお願いします。

〇樋下正信委員 私は、27日の一般質問でも新幹線が開業して1年ということで質問させていただいたんですけれども、三、四点質問させていただきます。
 前回もお話ししていますけれども、一つは、例えば盛岡駅に荷物預かり所の設置とか、あとはサイクリングできるような――無料か有料かは別として――、そういう盛岡駅との話し合いみたいなものがあるのかないのか、それを聞きたいと思います。また、これも前回話しておりますけれども、谷藤盛岡市長は、盛岡のまちを花いっぱいにしたいと選挙のときの公約でもお話ししておりますので、その辺の市との連携がどうなっているのかお聞きしたいと思います。また、ここの隣の石割桜の季節になりますとバスとか観光の自動車がたくさん道路にとまっているんですけれども、それらの駐車場の整備はどうなっているのか、その辺をお聞きしたいと思います。

〇田中観光課長 まず、盛岡駅周辺の荷物預かり所なりレンタサイクルの関係でございます。
 規模は若干小そうございますが、構内にも荷物の一時預かりがございますし、コインロッカー等もございます。ただ、それが需要に対して十分かどうか、まだ承知していないところでございます。
 レンタサイクルも、実は盛岡駅前の自転車屋さんが10台ほど持ってやっておりまして、時期になりますと全部出払ってしまうということで、特別PRしていなくても、口コミですとかインターネットとかいろいろな形で来て時期にはいっぱいになっているというのが実態でございます。あと、市内には本町通の方にもう1カ所レンタサイクルをやっているところがございます。そういう需要もございまして、本年10月から盛岡市の観光コンベンション協会では、プラザおでってに10台ほどレンタサイクルを準備したと伺っております。
 それから、花いっぱい運動なり市との連携の関係でございます。
 今回の決算の中でも快適観光空間整備事業というものがございます。これは11年度から取り組んでいる事業でございまして、事業主体が盛岡市で、国、県の補助が入りまして総額3億円の事業費でございます。国、県、市が各3分の1を負担いたしまして、中津川を中心とした散策ルートの整備ですとか啄木新婚の家の改修、さらには、御案内のもりおか啄木・賢治青春館、これらの整備を進めてきたものでございます。こういう形で県と市が国の補助も導入しながら連携してそういう整備にも取り組んでいるところでございますし、今後とも市と連携しながら、県内の重要な観光拠点でもございますので、基本的には盛岡市の主体的な取り組みを基本としながら、県もそれを支援してまいりたいと考えております。
 石割桜の駐車場の関係でございます。市の方から伺いますと、御案内かと思いますが、盛岡の岩手公園下に団体バスの駐車場を数台分確保してございます。あと上の橋のわきのところにも市の駐車場がございまして、その中にバスの駐車場もございます。ただし、そちらの方は、基本的には一般の方は有料にしているところでございます。ただ、全部足しましても10数台でございますので、ピーク時には御案内のとおり非常に混雑しているということでございます。市でも、周辺部、中心部の駐車場用地が全体的に少ないということで苦労しながらも、公共空地が出てきたときにはそういったものの活用に努めていると伺っております。

〇樋下正信委員 さっきの花をたくさん盛岡市内にやらせるという話のあれから、将来的に簗川ダムができるわけですけれども、あそこに鬼ヶ瀬山という山があるんです。根田茂があって、砂子沢という観光の一つの連携としてあの地域があるわけですけれども、その延長線上には宮古、三陸の方にも行くという話になってくると思います。奥入瀬川に負けないようなすばらしい簗川という川があるんですけれども、その辺もかなりの予算をとっているようですので、ぜひそちらの方まで拡大して、観光誘致を、先ほどの高橋委員じゃないんですけれども、たくさんよその県からも、外国からもそうですけれども、来ていただけるような施策をしていただきたいと思います。
 何か所感があれば……、なければいいですけれども。

〇菊池勲委員 樋下委員に関連するけれども、先般会議か何かあったとき、会議が終わって、たまたま石割桜のところに立っているお客さんにどちらからですかと聞いたら、京都からと言っていました。バスがすぐそこにとまっているものだから、たった30分間でバスに乗らなければならないという話をして、悔しそうな顔をして行った団体客があった。そして、どこに泊まりますかと言ったら、十和田湖と。30分だから十和田まで行けるけれども、あそこにもしバスの駐車場があって1時間なら1時間見たときには、当然泊まりはつなぎ温泉あたりですよね。30分だから十和田に行けるけれども、1時間か2時間とめたとすれば、少なくともつなぎ温泉か鶯宿あたりだと思うんです。
 今、聞いたら、11台か何ぼとまる。あっちに2台、こっちに3台という議論だものね。石割桜が満開に咲く時期は2週間でしょう、それ以上長くないんですよ。そのときに来るバス、京都から来たお客さんをわざわざ十和田まで1人としてやる必要はないと思うんです。これは策のない観光制度なんだよ。ですから、これは盛岡市民にかわって、ぜひとも部長、その時期に2週間、県庁の前だっていい。私ら会議のときは駐車禁止にしてバスをとめるから、ああいうところを使っても構わないと思うんです。そのぐらいの配慮があっても私は不思議ではないと思う。そのお客さんは名残惜しそうにして、ガイドさんに笛を鳴らされるものだから行かなければならないからいやあという話をしていたんだが、私はその姿だけ目の中に浮いているんです。今、樋下委員が質問したから、私も応援したい。ぜひとも1回だけ試して、その辺の駐車場を2週間借りることだってあり得ると思う。そして、1時間、2時間とめてください、つなぎ温泉が満杯だよ、あなた。お願いしますよ。部長、所感をお願いします。

〇小原商工労働観光部長 まさに桜の時期に我が方の観光客が満開になるように、私どもの方で御支援できる部分は支援しながら、来春に向けて早速盛岡市と協議したいと思います。

〇亀卦川富夫委員 私は、中心市街地の活性化、むしろ再生と言った方がいいのかもしれませんが、お尋ねいたします。
 第1点は、平成14年度総合計画実施状況報告書で示されておりますように、施策の目的に基づき実施したところだと思いますが、これで所期の目的が達成されたと受けとめておられるかどうか、まずお伺いしたいと思います。
 第2点は、中心市街地の現状認識であります。中心市街地の衰退はかなり以前から問題視され、これまでその再生や活性化に向けさまざまな取り組みがなされてまいりましたが、なかなかこれは成果が上がったとは思えません。むしろここ数年、長引く景気の低迷、郊外型の大型ショッピングセンターの開業などにより、商店街はもとより、市街地の人口の著しい減少など、中小都市の空洞化はますます深刻化していると思います。その県内の現状と問題についての認識をお尋ねいたします。
 第3点は、施策の内容として、ハード、ソフト面などいろいろあると思います。このたび示された誇れるいわて40の政策項目でも取り上げられておりますが、私は、中心市街地イコール商店街というとらえ方では、問題解決に向かうにはなかなか難しいだろう、このように思います。空洞化した中心市街地再生には、単に商業機能だけではなく、さまざまな産業、業務はもちろんでありますが、福祉、医療、教育、文化など多くの機能、特に住むという機能の集積がなければ、中心市街地はもちろん、市街地の衰退はとめることができないと思います。この点どのような考えをお持ちでしょうかお伺いいたします。

〇江口産業振興課長 中心市街地の活性化についての質問でございます。
 まず、所期の目的は達成できているかどうかということでございます。これまで県といたしまして、中心市街地の活性化ということで、市町村ですとか商工会、商店街振興組合等々が行う事業に対しましてさまざまな支援などをしてきたところでございます。このような中で、特に中心市街地の活性化につきましては、地域の住民の方々が一体となって計画づくりをしながら、その計画に向かって突き進んでいくことが必要だということでいろいろ指導等を行ってきたところでございまして、そのような結果といたしまして、東北では最も多い17の市町でまちづくり機関がTMO構想を策定するという結果が出てきておるところでございます。このようなことから、中心市街地の活性化に向けた地域での取り組みが活発に行われているという意味では効果が上がってきているのではないかと見ておるところでございます。
 2点目の現状認識ということでございますが、今申し上げましたとおり、取り組みは活発に行われているという実態はあるわけでございますけれども、大型店の進出問題、逆に大型店が撤退をしてしまうという問題もあるわけでございます。さらに申し上げますと、この景気の状況でございます。物価、消費の低迷というさまざまな問題が重なり合いまして、商店につきましてはなかなか厳しい状況にあるのが現状ではないかと思っております。ただ、これらの問題としましては、地域でどのようなニーズがあるのかどうか、特に交通弱者対策等が指摘されるわけでございますけれども、そのような中で、自分の地域、商店街なりがどのような機能を果たしていくかということをみずから考え、さらには住民と一体となってこのような取り組みを積極的に進めていただくことが解決の方策の一つではないかと思っておるところでございます。
 3点目の御質問にも絡んでくるわけでございますが、特に住環境としての機能も含めて中心市街地は活性化をしていかなければならないのではないかという御趣旨だと理解しておりますけれども、まさしく委員の御指摘のとおりでございまして、そのような観点からも、地域でどのような機能を求めるのかについて、必要な機能をその場で求めていく必要があるのではないかと思っております。
 そのような観点から、我々といたしましても、単なる商店街の活性化ということではなくて、県でもこの中心市街地の活性化という問題に対しましては関係部局との連絡会議等々を設ける活動をこれまでもしてきておるわけでございますし、さらには、TMO――タウンマネジメント機関で実際に計画をつくっている機関でございますが――の問題点の把握につきましても、関係部局、さらには地方振興局一体となって取組状況を確認したり、さらには意見交換も行っているところでございます。
 いずれにいたしましても、そのような関係部局とも連携をしながら取り組んでいくということでこれからも取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

〇亀卦川富夫委員 今の答弁のとおり、非常にこの問題については幅の広い問題だろうと思います。これまで試行錯誤でいろいろなことをやってきたような感じがいたしますが、その中で、成功例あるいは失敗例というのがあると思います。失敗例というのは、まあ、商業だけに特化したといいますか、商業のみの機能を追求した計画を実施していったところはなかなか芽が出なかった。成功例としては、やはり人の住まいというものを十分取り入れたり、その他コミュニティーの形成に必要な観点からの集積、そういったところは成功例ということで、余り数は多くないと思いますが、非常に出てきているという気がします。今はやりの言葉ではコンパクトシティーというまちづくりの思想、こういうことの進む可能性も十分あるわけであります。幸い、現在、岩手県の都市計画マスタープランを策定中ですが、この中で目指すまちというものをコンパクトシティーという構想で示されております。これは、今、策定中であります。そこで、今後、この中心市街地を初め、市街地の整備のあり方として、商工労働観光部と、今もお話がありましたが、県土整備部はもちろんでありますが、市街地の機能としてはまだまだいろいろな部局にわたるものがあると思います。そういった意味で、部局横断での取り組み、縦割り組織から目標別横断組織という言葉をきょう聞いたんですが、このような取り組み、事業推進、あるいは事業推進というよりも、計画策定から各地域と本当に一体化して進める必要があるのではないか。そういう意味で、商工労働観光部が率先してこのような組織をつくっていこうという取り組み方、こういうものをどんどん提案して今後の予算等に向かって進めてほしい、このように思いますが、部長の決意といいますか、考えをお聞きしたいと思います。

〇小原商工労働観光部長 ただいま、居住も含めたさまざまな形の中で私どもの担当している商店街の活性化も図っていくべきだというお話があり、国のコンパクトシティーのお話もございました。私どもは、先ほど課長の方から話があった17のTMO構想をつくった市町村をいかにその構想の実現に向けて御支援できるかということに主力を置いているわけですが、委員もおわかりのとおり、例えば委員の御出身の水沢でも市が立てたZプランに基づいてTMO構想があって、その中を読ませていただけば、今、委員お話しのすべてのいろいろなものが入っているということでございます。現実を申しますと、成功事例がどうこうという話もあったんですけれども、例えば本県でいえば、江刺なんかはまさに都市計画と区画整理事業とああいう蔵のあれがまさに同時期にできた。ですから、そういう都市計画だとか区画整理事業と商業活性化の事業が一体で同じ時期に動ければ一番理想なんですが、現実、御案内のとおりの経済情勢あるいは市町村、県の財政状況から、かなりそこら辺が、特にそういう大規模な区画整理等の事業がうまく進んでいない。したがって、なかなか商業の方もうまくいかないというのが正直言って現在の状況です。そういったところでそういう大規模なベースになるハード事業がこれからもできるかということになりますと、一つは先ほど言った財政状況の問題、それからもう一つの観点は中心市街地の活性化の観点から、こうした大規模なハード事業が活性化の絶対的条件なのかという問題があると思うのです。そういう意味では委員御指摘のいろんな手法を、いわばそういう区画整理だけではなくていろんな手法を入れてやるという意味では、そういう形でやらざるを得ないと、そうすると環境も含めて県でもいろんな各部でまちづくりに関連するようなメニューがございますので、まさにその辺を調整してあわせてやっていくという考え方をとらないと、やっぱり進まないのかなと。そういう意味で私どもがやっぱり商店街なりまちづくりの所管をしているということで、県土整備部あるいは環境生活部、場合によっては福祉等々と、先ほど課長の方からそういう運営協議会をつくっていると言いましたけれども、そういう部分をもっと強めて連携して、市町村のお考えあるいは取り組みを御支援申し上げていきたいと思っています。よろしくお願いします。

〇亀卦川富夫委員 今の部長のお話に尽きると思うのですが、非常に大型のハードなものが進むという中で一緒にやれればこれはいいと思うのですが、ただいまのお話のとおりなかなかこれも難しい。しかし、例えば老健施設のようなもの、これは今までは郊外とか、言ってみれば山とかそういう後背地の方に、これは土地が安いということもあったわけですが整備されてきた。そういったものを市街地に設置していくというのも今非常に必要だというようなことが言われておるわけですね。こういったものを大いに取り入れることによって進め得るという部分が可能性としては出てくるのではないか。それがさっき言ったコンパクトシティーというようなことにつながるんだろうと思います。そういった意味で、本当に目標別横断組織という言葉が、私は非常に今この県庁内で必要な進め方として取り組むといいますか、皆さんで考えていくべきことだろうと思います。この辺を指摘して終わりたいと思います。ありがとうございました。

〇佐々木博委員 それでは、私は中小企業に対する金融支援についてお伺いをしたいと思います。
 大変不景気という言葉、聞き飽きるぐらい長く景気が低迷しておるわけですけれども、特に地方の場合は、例えばこれからもそれこそ公務員の皆さんもまた給与も下がります。岩手県内に限って言いますと、ことしの12月の賞与もトータルで民間の支給額は昨年より少ないという統計も出ているようでありますし、また、県も公共事業のカットもしておりまして、全然上向く傾向というのは一つもなくて、政府が、景気が上方修正というようなことを言っているようですけれども、何かほかの国の話のように聞こえるような県内景気ではないかと思うのですが、そういった中にありまして、やはり企業の倒産がふえているのではないかと思う。それで、昨年と一昨年の倒産件数と負債金額、まず、最初にそのことについてちょっと教えていただきたいと思うのです。

〇江口産業振興課長 県内の企業の倒産件数及び負債総額についてでございます。
 平成13年の倒産件数は121件、負債総額につきましては440億4、700万円という数字でございます。これは件数ベースにいたしまして、対前年比2.5%の増、さらには負債総額につきましては15.6%の増という数字になってございます。
 また、平成14年度――昨年でございますが、この倒産件数は126件、これは前年比4.1%増、さらには、負債総額は573億3、900万円ということで、対前年比30.2%となっております。負債総額につきましては、これは過去最大ということでございまして、これは高弥建設がこれに含まれるということになりますので、過去最大というデータになっております。

〇佐々木博委員 倒産したところも大変でしょうけれども、一番大変なのは連鎖倒産を防ぐことですよね。そうなりますと必ずセーフティネット、これをまず県でもあるいは商工会議所でもセーフティネット保証を紹介します。ところが、実際にそのセーフティネットがスムーズに利用できるかと言いますと、いろんな話を聞きますと、一般の融資以上になかなか厳しくて、制度はあるけれどもなかなか利用できない、いわば形があっても魂が入っていないごとしだというような話をよく聞くんですが、例えば、昨年セーフティネットの実績というのはどのぐらいあるんでしょうか。

〇江口産業振興課長 セーフティネット保証の実績でございます。これは平成14年度の数字でございますけれども、64件、9億1、700万円の利用がございました。これは平成13年度の数字が9件、1億4、500万円ということでございますので、平成14年度につきましては大幅に増加をしたということとなっておるところでございます。

〇佐々木博委員 昨年は大幅に増加したと、確かに実績、今伺いましてそのような数字だと思います。ただ、恐らく申し込みをした件数もかなり多かったんではないかと思うのですね。やはりセーフティネットといいますか、その連鎖を防ぐためには何よりもスピードが求められるんですね。時間がかかっていたのではいけないんですよ。そういった点で周りの方々のいろいろなお話を聞きますと、このセーフティネットのあり方、やはり改善してほしい、もっともっと時間的にも、それから対応ももっともっと緩くしてほしいという話が随分あるんですね。それとあわせまして、平成10年から3年間ぐらいだったでしょうか。いわゆる特別保証という制度がございまして、かなり全国の保証協会、保証をして融資額も膨らんでいると思うのですが、いわば債務不履行といいますか、事故も多くて、岩手県は割といい方だと聞いているんですが、全国的には例えば東京など随分高かったと実はお聞きしております。そういったことが原因で、いわば信用保険も財政的にも大変になっているという話も聞いているんですが、こういったことがやはり信用協会の保証にも影響を与えているものなのかどうか。あるいはまた、セーフティネットの今の借換保証、これもなかなか非常に厳しいという話を聞いているんですが、借換保証の現状というのはどのようになっているのか。そのことについてちょっとお伺いしたい。

〇江口産業振興課長 セーフティネット保証を利用しにくいというような御指摘があるということでお伺いをしたところでございますが、この保証の利用に当たりましては、中小企業者がこれを使う場合に、例えば市町村の認定が必要となってきて、その認定手続が煩わしいというような、ある手続上に非常に問題があるということで、時間を要するというのもそのようなことが一つ要因として考えられると思っております。このような観点から、認定を行う市町村につきましては、可能な限り素早く認定をするようにということとともに、事業者の方の負担を減らすように我々の方から市町村に対してもお願いをしておるところでございます。改善をしている部分と、し切れていない部分いろいろあると思いますけれども、そのような中でできる限りの対応をお願いしたいと思っておりますし、意見については真摯に引き続き耳を傾けてまいりたいと考えておるところでございます。
 あと保険収支の悪化に伴いまして保証に至らないケースというのも多くあるのではないかというような御指摘だと思います。特別保証につきまして、本件につきましては事故になっているものもあるわけでございますけれども、現時点におきましてはこの部分が保証業務に対する影響を与えるほど悪化をしておるものではないと認識をしております。そのような状況でございますが、いずれにいたしましても保証協会につきましては、基本的にはこれまでも保証については可能な限り対応するように、また、保証できないものにつきましては保証できないということの理由を説明し、改善についてのアドバイスをする、さらには商工団体等々とも連携を図るということで対応しておるところでございます。そのようなことを引き続き継続をするとともに、いずれにいたしましても中小企業者の方々、必要な資金が流れるような体制づくりというのは引き続ききちんと行っていくべきだと考えておりますので、引き続き行ってまいりたいと考えております。
 あと借換保証の実績でございます。借換保証制度につきましては、平成14年2月から開始をいたしたところでございまして、これまで14年度2カ月間の実績でございますが、169件、30億5、200万円、さらに今年度に入りましてからは増加傾向にございまして、10月末現在の数字でございますが、1、130件、174億5、500万円という状況になっておるところでございます。

〇佐々木博委員 借換保証制度についてはわかりましたけれども、特別保証の借りかえですね。特別保証でかなり基準が甘く、要するに融資を受けて、今回もう特別保証はなくなっているわけですから、それで基準が厳しくなっていると思うのですね。それで借りられないで困っているというお話が県内各地でございます。その辺のところにも特段の配慮をぜひしていただきたいと思います。結局、金融機関も不良債権問題等を抱えていて、県内金融機関も非常にリスクをとりづらくなっていると思うのですね。特にも岩手県の場合、何しろ全国一預貸率の低い銀行、いわば貸し渋り銀行もありまして、そういった点では非常に預貸率が低くて、他県と比べてもお金を借りるという点では苦労しているところが、私はあるのではないかと思うのです。
 それで、県でもことしの9月に中小企業再生支援保証制度ですか、これを創設していただいて、これはかなりありがたい制度だと思っていますけれども、ただ、私はもう一歩踏み込んで、実は宮城県だとか、あるいは北海道、要するに企業再生ファンドを、それこそ道とか県が出資をしてつくっているんですね。この企業再生ファンドというのは基本的に、金融機関が持っている貸付債権を買い取ってそれで再生するという制度で、やはり企業を再生させていく、県内の企業をもっともっと再生させて元気をつけるというためには大変有効で、これから大いに考えなければいけない方法ではないかと思うのです。実は先ほどこれの審査の前の保健福祉部の審査でも、自殺者が本県は大変多いと、その中でも生活苦で自殺している人が昨年は140名と言いましたか、いずれそういった状況で、何とかこういった状況を打破するためにも、そういったことにも積極的に取り組んでもらいたいと思うのですが、この企業再生ファンドに対する考え方、部長にお聞きして終わりたいと思います。

〇小原商工労働観光部長 今お話しのとおり、国の方でも国全体で考えるものと、各都道府県がそういうファンド、基金をつくってというので動き始めて、来年1月ですか、大分県が第1号になるというふうな話。私どもは今年度、再生協議会、そこの機能を生かすということで、先ほどお話しになった新しい制度をつくって、今そこの実際活用の状況、要するにそこまで行く企業、相談件数は結構80何件とあるんですが、そのうちそこまで行けそうだという協議会のそういうのが3件ほどあります。そういった実態を見ながら、確かに御指摘のように宮城県はもう少し高いレベルでやっていますけれども、そういったもの、それからファンドについては、これはやっぱり先ほどお話しあったものでも、国の方のあれでは半分は民間が基金を出すという話で、本県に照らしたときにその辺がどうかということがあります。いずれにいたしましても私ども県と、それから先ほど冒頭出た信用保証協会、そして地元金融機関、この三者が協議会とかいろんな形でお話し合いをする機会を持っていますが、そういった中でそれぞれの役割をきちんと果たして、まさに中小企業の皆様に使いやすい、そしてできるだけ負担にならないものを今後も、先ほどお話しになったファンドの検討も含めてやっていきたいと思いますので、御了承願います。

〇ザ・グレート・サスケ委員 私は、中小企業振興費のコミュニティ・ビジネス育成支援事業について伺います。
 コミュニティ・ビジネスの育成は、地域の資源や人材を生かし地域の課題やニーズに沿って、まさに身の丈のビジネスを育成しようという取り組みとして大変共感するものでございます。今年度はこのコミュニティ・ビジネス育成支援事業費を拡大したということで、現在の状況はどうなっているのかということをお尋ねいたします。

〇菅原新産業推進監 コミュニティ・ビジネスの育成支援についてお答えいたします。
 平成14年度のコミュニティ・ビジネスの支援の取り組みにつきましては294万3、000円、これはコミュニティ・ビジネスの補助金など、それからいわてコミュニティ・ビジネス協議会が開催しましたコミュニティ・ビジネス普及拡大のフォーラムや講演会の経費でございますが、平成15年度――今年度のコミュニティ・ビジネスの育成支援事業の実施状況につきましては、今年度は委員御指摘のとおり、いわてコミュニティ・ビジネス・センターを盛岡市内の空き店舗に設置しまして、起業経験のあるコーディネーターを配置するなど支援体制を整備しております。また、コミュニティ・ビジネス・モデル支援事業費補助金につきましては、今年度は1、200万円に増額するなどの拡充を図っております。それから、今年度から商店街の空き店舗を活用しまして、地域の活性化と雇用創出が期待できるサービス産業の育成ということから、地域貢献サービス産業創出支援事業というものも創設しまして、事業の立ち上げや拡大に要する経費を助成しております。
 このコミュニティ・ビジネス・モデル支援事業費補助金と地域貢献サービス産業創出支援事業費補助金、この二つの補助金の交付状況を見ますと、8月と10月末の2回の募集を行っておりますが、あわせて24件申請がありまして13件が採択になっておりまして、1、431万円が助成済み、または今後助成する予定となっております。これら採択された13件の内容を見ますと、高齢者介護などの福祉関係が3件、それから地場産品の活用関係が5件、それから地域の観光振興関係が2件などとなっております。

〇ザ・グレート・サスケ委員 先ほど県立大学の船生教授のお話で、ベンチャービジネスの成功確率は3、000分の1という夢のないお話もあったんですが、どうか小原部長初め、当局の皆さんには夢のある温かい視点で、積極的に育成支援をされていただくようお願い申し上げて終わりとしたいと思います。

〇小原宣良委員 2点伺います。
 初めに、高等職業訓練校の整備状況についてでございます。これは、職業訓練協会が運営に当たっているものでありますが、厳しい経済、雇用環境の中にありまして、地域では期待の大きい施設となっております。もちろん事業主の協力、これは不可欠でございます。そこで、3点伺いますが、最近の整備状況と今後の整備の見通しについてお伺いをいたします。2点目は、訓練生の入校状況でございますが、県全体の傾向としてどのように見ているでしょうか。それから、3点目は、入校生は働いている方でありますから、事業主に対する支援というものも必要でございます。この点はどうなっているかお伺いをいたします。
 次に、関連することと思いますが、全国技能五輪大会の本県開催が近づいております。この大会に向けた準備、そして選手の養成など、これらの状況はどうなっているでしょうか。

〇東大野労政能力開発課長 高等職業訓練校、民間の方の認定訓練の状況で申し上げます。
 それで、まず第1点目の整備状況でございますけれども、整備に当たりましては、訓練校の設置主体であります市町村等でございますとか、実際に訓練を行っている訓練協会から毎年度要望等をお聞きしまして、その設備の老朽化の状況等を考え合わせまして、国と協議しながら実現に努めてございますけれども、平成13年度には花巻の高等職業訓練校、そして平成14年度には一関の高等職業訓校を建設いたしましたし、今年度は北上の高等職業訓練校を建設中でございます。
 見通しということでございますけれども、平成16年度以降につきましては、今トイレ改修の一部施設改修ということでは要望ございますけれども、建物そのものについての要望は現在のところございません。
 それから、入校生の状況でございます。認定職業訓練校の1年以上にわたる長期訓練課程の訓練生の数ですけれども、平成12年度は564人、平成13年度は485人、そして平成14年度は339人、これはいずれも補助対象となった訓練生の実績数でございますけれども、そのような状況で減少傾向にございましたけれども、平成15年度は353人ということで、これは補助申請数ではございますけれども、そのような状況で、全体としては減少傾向にございます。昨今の厳しい経済情勢、そういったことを反映して訓練対象がどうしても主として就労間もない方ということになりますので、事業主の方の新規採用を抑制しているということが反映して、このような動向になっているのではないかと考えてございました。
 あともう一つでございますけれども、事業主さんに対する助成制度でございます。これにつきましては、現在は県の方では直接関連してございませんけれども、雇用・能力開発機構がございます。こちらの方でキャリア形成促進助成金ということで事業主さんに対する助成を行ってございます。

〇大矢技能五輪推進監 全国技能五輪岩手大会についての御質問でございます。
 取組状況、準備状況、それから選手の養成についてということでございましたけれども、平成16年10月22日から25日までということで、技能五輪全国大会が岩手県で開催されます。三つの方向から準備を進めたいと考えており進めております。一つは、会場の確保あるいは機材の調達ということでございます。二つ目は、本県選手の確保・育成強化でございます。三つ目が、大会の周知ということに力を入れて進めております。
 まず一つ目の会場の確保、それから機材調達についてでございますけれども、実は新潟大会での参加選手数が大幅に増加したことによりまして、本県でも当初830人程度の参加選手数ということで計画しておりましたけれども、新潟大会が974人という実績になりましたことから、現在さらなる会場の確保、それから競技職種の再配置調整を行っております。具体的には、当初830人程度で想定したときには、滝沢村の岩手産業文化センターアピオを中心に、それからもう一つ、矢巾町でございますけれども、県立産業技術短期大学校、ここを考えておりましたけれども、とてもそれでは間に合わなくなりまして、会場といたしまして矢巾町の総合体育館、それから花巻まで会場を広げましてポリテクセンター岩手を中心といたします花巻エリアということで三つのエリアを会場に考えていきたいと考えておりまして、現在その競技職種の再配置調整を行っているところでございます。
 それから、二つ目の本県選手の確保・育成強化ということでございますけれども、選手の確保につきましては、岩手大会では100人を超える選手の参加を目標に職種の拡大、それから選手の確保に取り組んできたところでございます。平成13年度の福島大会では10職種20人、それから熊本大会では13職種30人ということで拡大を図ってきました。そして、ことし新潟大会においては20職種57名の参加を見たところでございます。岩手大会では100人を超える選手が参加するように、今後とも選手確保に努めていきたいと思っております。
 それから、選手の育成強化の方ですけれども、育成強化につきましては平成13年度から県の職業能力開発協会に対しまして育成強化費の助成をしてまいりました。その結果、平成13年度、福島大会では銅賞2名、敢闘賞3名の5名の入賞、それから平成14年度、熊本大会では、銀賞1名、銅賞2名、敢闘賞7名、計10名が入賞しております。そして、新潟大会、今年度ですけれども、銀賞1名、銅賞3名、敢闘賞10名、合計14名が入賞するということで、着実に成果を上げてきたと考えております。
 それから、大会の周知についてでございますが、これまでも大会のスローガンの募集、それからシンボルキャラクターの募集、リーフレット、ポスターの配布等も行ってまいりました。ことし9月21日には1年前ということで、プレ大会をアピオで開催いたしまして3、500人の入場者を見たところでございます。これによりまして関係者の間では周知が図られたかと思っておりますけれども、まだまだ一般の方にはこれからですので、本番に向けてさらに盛り上がりの機運を醸成してまいりたいと考えております。

〇小原宣良委員 わかりました。職業訓練校の入校生が減少傾向にあるというのは、今の地域経済の実態をあらわしているという考えも示されたのでありますが、そこで、それぞれ訓練教科、コースと言うのでしょうか、こういうのがあるわけですけれども、一番希望の多い訓練教科というのは何でしょうか。そしてまた、これから各訓練校によっては、あるいは地域の状況によっては異なるかもしれませんが、強化をしていった方がいいと、強めていった方がいいと思われるような訓練教科などについては、どのようにお考えでしょうか。
 それから、全国技能五輪については、これは本県の技能者の技術・技能の向上ということに大きく貢献をするものと思われますので、なお一層、大会に向けた御努力をお願い申し上げたいということでとどめておきたいと思います。前段の件をお願いいたします。

〇東大野労政能力開発課長 まず、第1点目の訓練教科の設定の傾向でございますけれども、その訓練教科の9割以上が木造建築科、あるいは建築設計科、配管科といった建築・建設関係の訓練科の設定になってございます。
 それから、2点目の、これから強化していった方がいいのではないかと思われるものについてでございますけれども、ほとんどの訓練校につきましては今申し上げた建設系の教科の設定になっているんですけれども、北上の高等職業訓練校ではホテル関係の学科が設置されてあったり、あと名称のつけ方にもよるかもしれませんが、花泉ではインテリアサービスといったことで、一部性格を特化させるような傾向もございますので、それぞれ地域の実情を反映させた中身というものが、それぞれの協会に求められているのかと考えてございました。

〇阿部敏雄委員長 ほかに質疑ありませんか。

〇千葉康一郎委員 私は、商工労働観光部といいますか、ばかりではなくて共通する点について若干委員としてこの委員会に意見を申し述べたいと思います。
 まず、一つは、決算審査に当たって歳入歳出、この内容をいわゆる部長が数字並びに内容について一瀉千里、べらべら述べるわけですね。本当は、私はこう思うのであります。部長は、当該年度の仕事をしてきた内容についてその総括をまず部長がすべきではないか。そして、さらに、その数字的な内容については、これは次長なりどなたか担当の方にさせて、それから質疑に入るということが必要ではないかと思うのですが、まず部長、この辺についてどうですか。ひとつ考えをお伺いしたいと思います。

〇小原商工労働観光部長 一瀉千里で大変申しわけありませんけれども、具体の事業の中身、実績を総括的にお話しするということについては、これは当部だけではなくて各部、多分今までもほとんど同じ形でやっていますので、全体で調整するという必要もあると思うのですが、基本的にはその後の審議でいろいろやっぱり今まさにやっていただいているような形で、具体の事業の実績について、あるいは反省点、あるいは課題等々について、まさにお話しさせていただいているわけですので、総括的な部分をもう少し数字の前に入れるという点で工夫して、合理的な形の中でできるだけ事業の中身が委員の皆様方にわかるように、もう少し数字の前に入れるというような工夫をして、御理解いただけるように次から工夫したいと思いますので、よろしくお願いします。

〇千葉康一郎委員 それでは、具体的なことについてちょっとお伺いいたしますが、実はこれは221ページになりますか、真ん中よりちょっと下の方ですけれども、中小企業創造技術研究開発事業の補助がございます。これは恐らく国庫補助事業だと思うのですけれども、これは意欲的に取り組む中小企業者、この方のいわゆるみずからの研究課題に対して助成をしていくということの事業だと思うのですが、これについて、私は非常にいい事業だと思っております。こういうのがもっと取り組みやすいような形で多くの企業の方々に普及をしていけば、かなりいろんな新たな仕事が――仕事といいますか、新しい産業が生まれてくるのではないかと思うわけです。いずれこの内容について、それから平成14年度に取り組んだ内容、それからあと件数、成果、この辺をお伺いしたいと思います。

〇江口産業振興課長 中小企業創造技術研究開発費補助の件でございます。これは委員御指摘のとおり、県内の企業者、中小企業の方々が新しい製品の開発ですとか、新しい製法の開発などといったことに取り組むといった場合につきまして、研究開発に対しまして3分の2の補助を行うというものでございます。これは国庫と県の方で3分の1ずつを負担するという事業でございます。研究開発費の平成14年度の実績ということでございますけれども、23の企業に対しまして研究費の補助というものを行ったところでございます。14年度の事業ということですから、すぐに売り上げにつながっているというような報告はまだないというところではございますけれども、研究開発につきましては順調に行われ、一定の成果を得ているという状況でございます。

〇千葉康一郎委員 何年からこれは事業が始まったのでしょうか。そして、特許を取ったとか、そういう企業が今まで何社ぐらいあるんでしょうか。

〇江口産業振興課長 この事業自体につきましては平成7年度からの実施でございます。特許に至っている件数につきましては、今のところデータを押さえておりませんが、このうち事業化に至った例ということで、何らかの形で製品を販売したとかいうものの例といたしまして、30件ぐらいのところにつきましては事業化なり製品化に至っているという報告を受けているところでございます。

〇千葉康一郎委員 いずれこういう事業は非常に企業の活性化にも相当な貢献をすると思いますので、これはもっともっと普及をすべきではないかと思いますので、その辺をお願い申し上げて終わります。

〇阿部敏雄委員長 ほかに質疑ありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇阿部敏雄委員長 質疑がないようでありますので、商工労働観光部関係及び総合雇用対策局関係の質疑をこれで終わります。
 次に、地方労働委員会事務局長に地方労働委員会関係の説明を求めます。

〇山瀬地方労働委員会事務局長 地方労働委員会関係の決算につきまして御説明申し上げます。
 便宜、お手元の歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げますので、172ページをお開き願います。第5款労働費のうち第3項労働委員会費が、当委員会が所管するものでございます。予算総額1億5、708万4、000円に対し、支出済額は1億5、564万2、000円余となっております。支出の内訳といたしましては、第1目委員会費3、395万円余は、委員15名に対する報酬及び委員会の運営に要した経費でございます。次に、第2目の事務局費1億2、169万2、000円余は、事務局職員12名の人件費と事務局の管理運営に要した経費でございます。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議くださるようお願い申し上げます。

〇阿部敏雄委員長 ただいまの説明に対し質疑ありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇阿部敏雄委員長 質疑がないようでありますので、地方労働委員会関係の質疑をこれで終わります。
 以上で本日の日程は全部終了しました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時55分 散 会


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