平成15年12月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 認定第1号2002年度岩手県一般会計歳入歳出決算に反対の討論を行います。
 反対する第1の理由は、増田県政の2期8年間の結果として、昨年度末の県債残高1兆3、818億円に見られるように、県財政が危機的状況に陥っているからであります。この借金は県民1人当たりで98万円、4人家族なら392万円となるものであります。その原因は、県の行財政構造改革プログラムでも指摘しているように、身の丈を越えた社会資本整備、財政見通しの甘さやコスト意識の欠如にあります。ところが、増田知事は財政破綻を招いたむだと浪費の大型開発にメスを入れるどころか、花巻空港整備事業や簗川ダム、津付ダム、港湾整備事業など、むだと浪費の県政を推進し財政破綻をさらに深刻化するとともに、そのしわ寄せを県職員の賃金削減に、市町村と県民への補助金削減に転嫁しようとしているのであります。行財政構造改革プログラムの中身も、最初から1、723億円の財源不足に対し150億円も財源不足のままの計画であり、350件、60億円の補助金・負担金の廃止の計画も県民に犠牲を押しつけるもので、実際には実行できない事業も少なくない状況であります。半分以上の850億円は返済すべき県債の借りかえであり、借金を棚上げ、先延ばしするものでしかありません。財政破綻を招いた増田知事の責任は重大であります。私は、議案に対する質疑でも指摘しましたが、知事は報酬の削減だけではなく県民の改革とはかけ離れた退職金、4年間で5、000万円、2期8年間では1億円となる退職金の大幅な削減を行うべきであります。
 反対する第2の理由は、財政破綻をもたらした大型開発の破綻が明瞭になっていることであります。花巻空港整備事業は突然に事業費が40億円も増大しました。318億円の事業費の中で最大のものは132億円の平行誘導路の整備事業であります。これは大型機の恒常的就航のために整備するものでありますが、大型機の恒常的就航は全く根拠も見通しもないものであります。だからこそ、国補助事業とならず県単独事業として進められてきました。最近、今後5年間この工事の休止を決めましたが、昨年、ことしで54億円ものむだ遣いがされたのであります。ターミナル地域、ターミナルビルの建設については、聖域なく見直す、調整するとの答弁がありました。遅きに失した感がありますが、これ以上のむだ遣いはやめるべきであります。津付ダムは治水だけのダムとなり、河川改修の代替案を含めて国と見直しの協議中との答弁がありました。これまでの計画もずさんであり、ダム計画は見直すべきであります。簗川ダムについても盛岡市との利水の協議が行われていますが、利水計画が見直されるなら津付ダムと同様、河川改修の代替案を検討して抜本的に見直すべきであります。大船渡港湾整備事業なども需要予測から大きくかけ離れており見直すべきであります。23億円のエコパーク平庭高原整備事業も事業の延期ではなく見直すべきであります。こうしたむだと浪費の大型開発を見直してこそ、財政再建にとっても本当の改革となるものであります。
 反対する第3の理由は、県民の命と福祉、暮らしに冷たい県政となっているからであります。介護保険事業は3年が経過しました。しかし、岩手県の在宅介護サービスの利用は限度額に対し38.8%で全国第46位と、全国最低となっています。特養ホームの待機者は在宅で9月末現在1、893人となっており、100人から200人が待機している特養ホームが少なくありません。この要因は、保険料、利用料が高く介護サービスが使われにくいこと、特養ホームの整備が立ちおくれていることにあります。31の市町村が保険料の軽減に、27の市町村が利用料の軽減に取り組んでいますが、県としても改善のための抜本的対策を講じるべきであります。国保税の滞納者から保険証を取り上げる深刻な事態が11月末現在で1、923世帯に及んでいます。金の切れ目が命の切れ目となるような事態は即刻改善すべきであります。県民の命と健康を守るべき自治体が保険証を取り上げることは、自治体の変質と言うべき問題であります。在宅酸素療法の患者が、医療費が10倍以上に引き上がり、命の綱とも言うべき治療が受けられなくなっています。全国では20道県が内部障害を含め障害者手帳3級までの医療費助成を行っています。県内でも12市町村が既に実施しています。岩手県としても実施すべきではないでしょうか。こうしたこともやらずに障害者の作業所への補助金を廃止するなどという福祉の切り捨ては、絶対にやってはならないことであります。
 反対する第4の理由は、深刻な不況と雇用危機のもとで中小企業対策、雇用対策が不十分なことであります。県内経済を支えている中小企業は、事業所数で98.7%、従業員数でも85.4%を占めますが、中小企業対策費の支出は573億円であり、決算総額の6.4%であります。このうち金融対策が515億円であり、これを除けばわずか58億円、0.65%にすぎません。中小企業対策を抜本的に強化すべきであります。雇用問題も取り組まれていますが不十分であります。特に若年者の失業率は10%を超え、無業者を加えると15%を超える深刻さであります。この要因には大企業の採用の減少があります。34歳以下の採用で見ると、1、362人の採用に対し、100人未満の企業が1、093人採用しているのに対し、100人から500人未満では223人、500人以上ではわずか46人となっています。大企業に対して若年者の採用を強く求めるべきであります。また、サービス残業の根絶、長時間残業の解消でも2万数千人の雇用を拡大することが可能です。若年者の雇用拡大、就職難の打開に本格的に取り組むべきであります。
 反対する第5の理由は、農林水産部の決算の55%が公共土木事業に占められていることであります。昨年度の農業粗生産額は2、726億円で、昨年に比べ61億円、2.2%減少しました。生産農業所得は932億円で、前年比57億円減少しています。今一番求められていることは、安心して生産できる価格補償であり所得補償の充実であります。ところが、決算額ではわずか2億2、000万円で0.2%にすぎません。一方では、馬淵川沿岸水利事業のように国営で520億8、000万円、県営では奥中山地区だけで63億5、000万円にもなる事業ですが、対象農家の10%しか参加しない状況であります。大規模林道やふるさと林道などの事業も抜本的に見直すべきであります。土木業者のための行政から、生産を支える行政に根本的に転換を図るべきであります。また、米問題では、一部の大規模農家の育成、家族経営を否定する集落経営ではなく、多くの農家が参加する集落営農を目指すべきであります。減反の傾斜配分は慎重に行うべきであります。森のトレー事業が破綻し12億円余の返還命令が出されましたが、不明朗な経過とともに県の責任は極めて重大であります。
 最後に、教育の問題であります。この間、教員の不祥事が続出したことは、学校と教育委員会への信頼を掘り崩す重大な問題でありました。この背景には、県民の声に十分耳を貸そうとしない閉鎖的な組織の体制があると言わなければなりません。ことし3月県議会で、30人学級・少人数学級の実現を求める請願が全会一致で採択されましたが、増田知事も教育委員会もその願いにこたえようとはしてきませんでした。今県議会でやっと来年度から研究指定校方式で各教育事務所ごとに、小・中24校程度で少人数学級に取り組むという方向が示されました。これは一歩前進であります。30人学級の実現を求める県民の署名は10万4、000人を超えて広がっています。父母、教職員、何よりも子供たちの切実な願いである30人学級、少人数学級に一刻も早く取り組まれるよう求めるものであります。
 小泉内閣は、昨日、戦争状態のイラクに自衛隊を派遣することを決めました。これは憲法にもイラク特措法にも反するものでありますが、県内から自衛隊の入隊者は昨年度221名となっています。高校卒業者からは218名であります。教え子を再び戦場に送らないという教訓は、今まさに問われているのではないでしょうか。
 認定第11号は、2002年度岩手県港湾整備事業特別会計であります。これはむだと浪費の港湾整備事業がその内容であり、事業の必要性を精査し、むだと浪費の事業の見直しを求めるものであります。
 認定第12号は、2002年度岩手県県民ゴルフ場事業会計決算であります。使用料手数料が3、382万円に対し、県民ゴルフ場管理費は7、555万円で、一般会計から4、155万円の繰り入れとなっています。深刻な赤字体質であり根本的な見直しを求めるものであります。
 以上、申し上げ、私の討論といたします。御清聴ありがとうございました。

〇議長(藤原良信君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、認定第1号、認定第11号及び認定第12号を一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立多数であります。よって、認定第1号、認定第11号及び認定第12号は、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号から認定第10号までを一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立全員であります。よって、認定第2号から認定第10号までは、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
   
   日程第29 議案第29号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについて

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第29、議案第29号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。高橋副知事。
   〔副知事高橋洋介君登壇〕

〇副知事(高橋洋介君) 本日提案いたしました人事案件について御説明いたします。
 議案第29号は、収用委員会の委員であります野村弘氏及び八木橋伸之氏の任期が、12月24日で満了となりますので、両氏を再任するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださるようお願いいたします。

〇議長(藤原良信君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は、人事案件でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第29号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第29号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立全員であります。よって、議案第29号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
   
   日程第30 発議案第1号特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例から日程第38 発議案第9号公共工事の県内建設業者への優先的発注による県内建設産業の振興を求める決議まで

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第30、発議案第1号から日程第38、発議案第9号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各会派共同提案及び委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第1号から発議案第9号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立全員であります。よって、発議案第1号から発議案第9号までは、原案のとおり可決されました。
   
   日程第39 発議案第10号イラク特別措置法に基づくイラクへの自衛隊派遣に反対する意見書

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第39、発議案第10号イラク特別措置法に基づくイラクへの自衛隊派遣に反対する意見書を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。木戸口英司君。
   〔4番木戸口英司君登壇〕


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