平成15年12月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇9番(嵯峨壱朗君) 自由民主クラブの嵯峨壱朗であります。
 前段質問者の先輩議員諸兄の質問と重複する点もありますが、知事、当局と議会との緊張感ある関係に配慮しながら、以下、通告に従い割愛せずに質問させていただきます。
 初めに、二元代表制について質問をさせていただきます。
 ここで言う二元代表制についてですが、我が国では憲法93条の規定に従い、自治体の代表機関は首長と議会とされ、両者は別個に住民の直接選挙によって選出される。これを二元的な代表制と呼ぶことができる。首長と議会は住民の代表機関として対等な関係に立ちながら、相手の代表制の特徴を認め合い、それを生かし、あたかも車の両輪のように自治体運営を行い、その活動に対して責任をとる立場にあるということを指しております。
 今議会の初日以来の知事の答弁でも、住民自治実現のためにできるだけ住民に近づくこと、情報公開することを旨としながら、県民の皆さん、NPOの皆さんの意見を聞き、などと述べております。県民から直接選挙によって選ばれている知事の言としては当然なのでしょうが、私が当選以来気になる点がそこにあります。知事の言葉、答弁には、余り議会の声とか議員の皆さんの話を聞き、とかといった言葉がないような気がしておりました。気のせいであればいいのですが、一度知事に問うてみたいと考えておりました。
 そこで、知事も県議会議員も、いずれも県民の直接投票によって選出される地方自治体の二元代表制の意義について、知事の基本的な考えをお聞かせください。また、同様に、知事、議会、県民は県政運営上どのような関係、位置づけにあるのか、知事の基本的な認識をお伺いします。
 2点目に、知事のマニフェストについてですが、知事はみずから統一地方選に向けてのローカル・マニフェスト、私の政策を打ち出しました。増田知事のマニフェストに関してさまざまな評価があります。知事選が事実上の信任投票と見られていた点――失礼します――また、過去の増田県政の検証がない点など、幾つかの不十分さを指摘されながらも、私は増田知事が日本で初めてそれまでの日本的公約であるウィッシュリストではない公約集であるマニフェストを出したこと、そのことが、このたびの衆議院総選挙を曲がりなりにもマニフェスト選挙と言わしめるまでに一般化したきっかけとなったことなど、高く評価するものであります。しかしながら、議会答弁にもありましたが、このマニフェストは、県庁職員や何のシンクタンクの力も借りずに、一般的に公開された指標に基づいて知事自身の手で作成したということでありました。
 また、本年2月27日の県庁での記者会見の席上で、私のマニフェスト第一弾として進化させてほしいと訴え、自分は手探り状態でマニフェストをつくったが、今のままでは不十分だということを認めた上で、後進の候補者たちにより完成度の高いマニフェストをつくってもらいたいと、そう言われたと言われております。私には、やはり知事のマニフェストは過渡的なものに思え、それを金科玉条のごとき大前提に据えて県政運営すべてを推し進めるのは、多少不安を感じるものもあります。
 そうした前提に立って、以下質問いたします。
 その中で、当選後の4年間について自立を進める4年間と位置づけておりますが、その内容について、知事が言うところの岩手の経済的、精神的自立について、さらにわかりやすい説明をお願いいたします。
 次に、経済構造、経済基盤の脆弱な岩手県で、経済的自立が本当に実現できるのでしょうか。また、財政規模を縮小する自立はサービス低下を招くものとして考えられますが、そうした自立は県民が望むものと知事はお考えでしょうか。
 また、基本的なことですが、今衆議院選を前にして公職選挙法の改正があり、初めて政党のつくるマニフェストに限り、一定の場所で有権者に配布が可能になりました。4月の統一地方選の段階では、政党もまして個人の候補者も、選挙戦中の配布は禁止されておりました。正直に申しますが、私も知事に1票を投じた1人であります。みずからの選挙で気にかけるいとまもなかったのですが、知事の実績と手腕に期待しての投票であり、決してその時点でマニフェストを見て判断して1票を投じたわけではありません。
 そこで、知事は、マニフェストをいつ、どのような方法で県民に示したのかお尋ねいたします。
 次に、6月議会における我が会派の高橋雪文県議の一般質問で、どれくらいの方々がこのマニフェストの内容を理解して増田知事に投票したのかお聞かせ願いたいという再質問をしているわけですが、これに対して知事は、すべてを県民に十分御理解いただいたかどうか、私も調査する、興味もございませんしわかりませんけれどもと答弁しておりますが、その真意のほどをお聞かせ願います。
 また、知事は11月19日の読売新聞のインタビューの記事の中で、マニフェストに関する質問に答え、よい面は改革のスピードが早くなったこと、議会や県民に多少の反対があっても、選挙でマニフェストを掲げて支持されたことがお墨つきになると述べておりますが、4月の知事選はマニフェストの優劣を競う選挙であったと考えているのか。また、選挙によってマニフェストのすべてが県民の理解を得たと本当に認識しているのか、お尋ねいたします。
 3点目に、いわゆる40の政策と行財政構造改革プログラムについて質問いたします。
 平成22年を目標年度とした夢県土いわての実現を目指して、平成18年までの4年間に解決すべき二課題、七つの重点対策を踏まえた40の政策を推進していくことを述べ、そのための下支えとして、行財政構造改革プログラムを推進することで財政改革を実施し、その上で40の政策推進のための財源を確保するという壮大な計画であります。しかしながら、私はそうした計画を前にして、幾つかの素朴な疑問を抱かざるを得ません。
 知事は、従来、県南県央、沿岸県北との格差という表現をして、その是正が重要な県政課題の一つであると認識を示されてまいりました。私もそう思ってまいりました。しかしながら、昨今の人口の増減、若年労働者の数、第2次、3次産業の集積度、高齢化率、所得などと、どの指標を見ても、格差ではなく深刻な二極化といった方が適切ではないかと考えますが、知事はこの二極化の状況をどう考えているのでしょうか。また、この二極化を是正するために、今般の40の政策の内容は有効なものになっていると考えているか、お聞かせください。
 また、40の政策の中で、県北地域に公共関与による第2クリーンセンターの平成21年度稼動、今年度中の用地選定を掲げていますが、具体的にはどこを想定しているのか。その運営形態はどのようになるのか御説明ください。
 次に、行財政構造改革プログラムについて。
 行財政構造改革プログラムは二つの緊急課題、七つの重点施策推進を下支えするという説明ですが、私が素朴に感じるのは、実は最も緊急かつ重要な県政課題は、財政問題なのではなかろうかと思っております。知事の所見をお伺いいたします。
 次に、財政見通しについて質問いたします。
 現在のままで推移すれば、4年後に想定される1、723億円の財源不足を人件費の圧縮、事務の効率化、補助金・負担金の削減、公共事業の見直しなど、種々の改革を通じて、その財源不足を150億円程度までに圧縮するということですが、今回の改革プログラムのままで仮に財源不足の圧縮は可能だとしても、40の政策を推進するための200億円という財源をどのように捻出するつもりなのか、その方途を示していただきたい。
 次に、プログラム実施後の財政見通しで、歳入の中の県税等は平成15年6月の推計より10月の推計の方で増加を見込んでいるようですが、その内容と要因を説明してください。また、県税等の等とは何が含まれるのでしょうか。さらに、平成16年度以降の県税の主な増減要因をどう見込んでおられるのか、お伺いします。
 また、その中には法人事業税の外形標準課税実施後の税収が見込まれているのか、また、本県ではそれによる税収をどの程度見込んでいるのでしょうか。
 最後に、特別職給与、一般職給与の引き下げに伴う地方交付税等の減額はどの程度見込んでいるのか説明してください。
 さて、改革プログラムの中で地方振興局の業務完結性の向上を図るために、広域生活圏の見直し、地方振興局の再編を検討するとしていますが、その内容を説明願います。その中には、例えば市町村との補助金の協議を各地方振興局限りで完結させるとか、管内発注工事の入札は各地方振興局で行うといったことなども対象になるのでしょうか。いずれ、知事の言う市町村の自立を促すためには、将来的には地方振興局と市町村の一体化を含め、地域それぞれの特性を生かした地方振興局業務のあり方が重要になってくると思うが、どうでしょうか。
 次に、県が提案した補助金・負担金削減についてでございます。
 知事は、市町村への説明会で、見直しは現時点での方向性を示したもので、最終的には各年度の予算編成で決めると述べておりますが、実際に実行されるのでしょうか。市町村では、プログラムの影響を深刻に受けとめながらも、度合いをはかりかねているようでございます。説明会などでどのような意見が出されたのか、また、県としてはどのような対処をするのか、お知らせください。
 さらには、市町村の新年度予算編成の影響をどのように考えているのかお聞かせください。特に、市町村総合補助金については、平成17年度限りで期限到来により廃止が予定されておりますが、この補助金は地方分権時代に対応した市町村の自主的な地域づくりを支援するといった知事の地方自治のスタンスからすれば、重要な意味を持つ補助金だと解釈しますが、期限到来後はどのような対応を予定しているのか、お聞かせください。
 次に、出資法人の見直しについてですが、本年12月中に抜本的見直しのスケジュールを決定するとされておりますが、特に住宅供給公社については、初日以来議論がされているところでございます。私もその役割、使命は終えたものと考えますが、具体的な内容について少しお尋ねいたします。
 公社の供給する宅地はなぜ売れないのでしょうか。原因はどのように分析しているのでしょうか。また、公社が宅地を分譲し、購入者が家を建てるまでの一連の手続はどのようなもので、民間の宅地分譲、建築とはどのような違いがあるのか御説明ください。
 最後に、公共事業の大幅な削減は、低迷する県内の景気、雇用に及ぼす影響が懸念されるところであるが、地元業者への発注割合をふやすことにより、景気への影響を最小限に食いとめ、さらに雇用拡大にもつながる効果が期待されますが、どうでしょうか。
 4点目に、三位一体の改革についてお尋ねいたします。
 政府は3省庁で1兆円の補助金削減を支持し、同様に政府税調に一定の税源移譲の検討を促したといいます。三位一体改革の中で、補助金削減のみが先行し、税源移譲は進展しないのではないかと懸念されるところでありますが、一連の政府の動きについて知事の所見を求めます。
 また、平成13年度から地方交付税が段階的に見直されている一方で、交付税の減額に伴う財源補てん策として臨時財政対策債の発行が認められております。新聞報道等によれば、国は地方自治体の地方債の財政投融資による引き受けを段階的に削減する方針とのことですが、このことによって県はどのような影響を受けるのでしょうか。また、市町村財政の影響はどう見込まれるのでしょうか。
   〔副議長退席、議長着席〕
 ところで、税源移譲と言いながらも、直近の数字で、県内では平成13年度、国税で2、611億円、県税で1、369億円、単純に合計で3、980億円の税収があるようでございます。全額岩手に税源移譲されても、現在の8、000億円余の財政規模にはほど遠く、地方交付税のような財政調整機能を伴う財源が必要となるものと考えますが、とすれば、これまでの地方財政の状況とさほど変わらないような気がしております。知事の所見をお伺いいたします。
 また、財源調整機能を持つ財源の配分は何らかの、例えば知事会とかいった地方団体に任せればよいというような答弁もございましたが、利害調査が困難なため国が関与してきたのではないのでしょうか、所見をお伺いいたします。
 5番目に、道州制と北東北3県連携について端的にお伺いいたします。
 県によると、北東北3県は2010年に東北特別県として合体し、その後5年から10年後に道州制に移行する構想で3県は一致したということであります。
 まず初めに、道州制とは一体どのようなものなのか。それは、岩手県及び岩手県民にとってどのようなメリットがあるのか。
 次に、北東北3県のさまざまな連携事業は、岩手県及び岩手県民にとってどのようなメリットがあるのか。また、現在行われている20以上にもわたる事業は、すべてうまくいっているのか。
 次に、3県及び北海道、福岡県と進めている海外事務所などの設置は、岩手県及び岩手県民にどのようなメリットがあるのか。
 最後に、3県連携事業のうち、来年5月には大阪にもアンテナショップを開設すると聞いておりますが、その運営はどのように行われるのか。平成11年に開設された福岡のみちのく夢プラザの成果を踏まえての所見をお尋ねいたします。
 6番目に、知事の目指す自立を実現するためにも、基幹産業であり将来にわたって雇用の受け皿としての可能性を持つ1次産業の振興についてお尋ねします。
 初めに、農業振興についてでありますが、特に県北沿岸部で栽培されております雨よけホウレンソウに続く冷害に強い作物の振興についてです。
 ことしは6月後半以降の低温により、水稲を初めとした農作物に大きな被害を受けました。このような中、昭和55年の大冷害を契機に、久慈地方に導入された雨よけホウレンソウは販売額で10億円を突破し、本年度も10月末現在、前年比で販売量の97%、販売額で98%と、ほぼ前年並みを確保していると伺っております。県北地方は過去幾度も冷害による大きな被害を受けており、冷害に強い作物の振興が地域農業の発展に重要であると考えるところであります。今後、県北地方で安定した農業生産を実現するために、どのような振興策が考えられるか。また、雨よけホウレンソウに続く県北沿岸部の基幹作目の研究の取組状況はどうなっているのか。また、農業研究センター県北農業研究所にやませ利用研究室が設置されておりますが、ここではどのような研究がされているのかお知らせください。
 次に、同様に基幹産業である漁業振興についてお伺いいたします。
 エチゼンクラゲの漁業被害の現状と対策についてであります。大きいもので直径2メートル、重さ200キロに達する日本近海最大のクラゲが、昨年度に引き続き今年度も津軽海峡を経て本県定置網にも大量に入網しております。このため、秋サケ漁の最盛期を迎えている本県の定置網漁業に大きな被害を与え、漁業者は大きな痛手を受けていると聞いておりますが、その被害の現状はどのようなものか。また、県は2年にわたる被害のこうした現状に対してどのような対策をとっているのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、漁場整備に対する考え方と取り組みについてお尋ねいたします。
 本県水産業は新鮮で安全な水産物を供給する役割とともに、地域経済を支える重要な産業であることは言うまでもありません。これまで、アワビ、ウニなどの栽培漁業やワカメ、昆布、カキ、ホタテなどの養殖等、いわゆるつくり育てる漁業は、漁場整備などの積極的な推進により、生産額では沿岸漁業の大半を占めるに至っており、ますますその重要性が増しているものであります。中でも、県北沿岸地域のアワビ、ウニのえさ場となるほか、魚類の産卵場所や小魚の隠れ場ともなる藻場の造成にも役立っており、沿岸海域の環境保全にも寄与しているものであると認識しております。私はこの漁場施設を効率的に整備するためには、漁場整備と深い関連のある漁港整備工事と一体的に行うことが得策ではないかと考えております。
 そこで農林水産部長にお尋ねいたしますが、こうした視点を踏まえた漁場整備など、いわゆる海の畑づくりに対する県の基本的な考え方についてお尋ねいたします。
 また、あわせて、今後さらに公共事業予算が厳しくなるといった状況の中、どのように漁場整備に取り組んでいくのか、お伺いいたします。
 次に、いわて森のトレーにかかわる補助金返還問題についてお尋ねいたします。
 いわて森のトレー事案にかかわる国庫補助金返還命令、金額12億7、900万円余に対する3分の1相当額、4億2、600万円余が補正予算として昨日追加提案されたところであります。本事案は、平成10年度から12年にかけて林業構造改善事業として実施されたもので、景気対策に向けた積極的な取り組みとして林野庁から強い要請もあって事業化されたものと聞いております。しかしながら、こうした事態に至ったことについては、林野庁にも当然ながら相当程度の責任があるのではないかと考えるところであります。
 そこで以下、3分の1相当額の返還金を計上するに至った経緯、今後の県の対応についてお尋ねします。
 また、今回の国庫補助金返還金はなぜ3分の1相当額となったのでしょうか。そして今回の3分の1相当額には久慈市負担分も含むものとされておりますが、今後、久慈市とどのように調整を図っていくのでしょうか。さらに、残り3分の2相当額の返還はどのように対処していくのでしょうか。以上、お聞かせ願います。
 次に、少人数教育についてお尋ねいたします。
 文部科学省では、来年度から公立小・中学校の1学級の人数を、国の標準である40人より少なくして編制する少人数学級を認める方針と聞いております。本県では、実態として1クラスが30人以上となっているのは全体の3分の1ぐらいしかないとのことではありますが、我が久慈地域でも学校運営上課題を抱えているのは、比較的規模の大きい1クラス30人以上の児童生徒がいる学校に多いと聞いており、やはり少人数学級の指導効果があるのだと考えられるのであります。本県の少人数教育は、従来から少人数学級を制度上は行っておらず、いわゆる加配の教員を活用しチームティーチング等による少人数指導を中心に実施されてきました。
 そこで、お伺いしますが、今回の文部科学省の方針変更を受けて、県ではどのような対応をするお考えなのでしょうか、という質問を想定しておりました。これについては、初日の佐々木俊夫議員への知事の答弁、教育委員会の新聞紙上でのコメント、きのうの30人学級を実現する岩手の会の要望に対する知事の考えなど、マスコミ報道を通じてその大筋は理解できましたが、改めて教育長に本県の少人数教育の今後の進め方、考え方を整理して御説明願いたいと思います。
 最後に、県立病院への高規格救急車両の配備についてお伺いいたします。
 現在、県立病院の一部にはいわゆる患者輸送車が配備されており、特別な場合の患者の他の病院への搬送に使われております。ところが、特に重篤な患者の場合は、消防署の高規格救急車を使用する例があると聞いております。例えば、久慈地区でもたびたび出動することがあると聞いております。久慈地区のみならず県内各地区でも同様の例が想定されるわけですが、例えば重篤な患者を盛岡まで搬送する必要が生じたとして、その往復時間を考えると、地元での救急車の出動要請に対応できない場合も想定されます。久慈市には、ちなみに1台しかございません。地域の救急医療体制上も問題あると思われます。もちろん人の命に軽重はなく、搬送のためであれ救急のためであれ、地域、県立病院双方それぞれの場合に応じて利用されるべきは当然としても、もし病院所有の現行の患者輸送車では不十分な点があるとすれば、少なくとも広域中核病院ぐらいには、高規格救急車並みの機能を備えた救急用の車両を配備すべきではないかと考えますがいかがでしょうか。
 以上をもちまして、私の一般質問を終わります。御清聴大変ありがとうございます。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 嵯峨壱朗議員の御質問にお答え申し上げます。
 初めに、二元代表制についてであります。
 知事とそれから議会は、それぞれ有権者の民意を代表する機関として対等な関係にあって、県民に対しては共同して責任を果たしていくというふうに考えております。そして、この知事と議会の対等な関係でございますが、よく県政推進の車の両輪というふうに例えられるわけでございますが、やはり今、議員お話しあったように、両者の間には競い合った緊張関係、適度な距離間というものがなければならない。余り離れてばらばらになってしまいますと前に進みませんし、また、両者べったり一緒になれば両輪ではなくて一輪車になってそのまま倒れてしまうということで、適度な距離間がなければいけない。そのことが、よく牽制と協力と言われますが、チェック・アンド・バランスということにつながりますし、そういう態度でお互いに切磋琢磨し、活発な政策論議をしていくことが県民から期待されていると思います。
 次に、マニフェストでございます。
 マニフェストについて何点かお尋ねがありましたが、経済的自立、それから精神的自立ということをうたいましたが、その経済的な自立ということは、地域の経済力を高めて、国からの補助金や交付税などに過度に依存しない。全部なくすというわけにはなかなか私もいかないとは思っておりますが、国からの補助金などに過度に頼らないで、自前の安定的な税源を確保して、そこでいろいろな行政や事業を行っていくということ。それから、精神的な自立というのは、みずからの判断と責任で、それこそ自立的に、この自立というのは、みずから立つということと同時に、みずからを律するという意味があると思いますが、そういう自立的に物事に取り組む姿勢あるいは発想を指しております。
 そして、この経済的自立の実現は本当に可能かどうかということでございますが、1次産業のみならず、今までも岩手はものづくりとして特色ある産業技術を有しておりましたし、これから新しい産業を創造していくといった、1次から3次までの多様で厚みのある産業構造を構築していくことで、私は経済的な自立を極力達成させていきたい、実現していきたいと思います。
 今、財政規模を縮小することがそのサービスの低下を招くのではないかということでございまして、私は、サービスのこのとらえ方も必ずしも財政規模によって左右されるということではなくて、むしろ今地域の皆様方が一番期待しているのはサービスの質ではないかと思います。量と質が、両者はもちろんリンクしている部分あると思いますが、今まで余りにも量あるいは財政規模に傾きがちであったと思っていまして、もっとそのサービスの質という面からもう一度考え直すことが、その財政規模の縮小の中にあってもサービスを維持あるいは向上させていくそのかぎになると考えております。
 それから、マニフェストの県民への示し方でございますが、これは2月27日に、記者発表という形で県民の方々にお示しした。それから、冊子という形でも配付したいと思いましたが、これは公職選挙法の制限で、正確にはできなかったということです。いろいろあちこちから言われましたのでお渡しした方もおりますけれども、しかし基本的にはこれはできなかった。ただ、マニフェストの内容で公共事業30%削減しますとか、幾つかポイントとした重点事項がございまして、これについては、私は前回の選挙――4年前の選挙に比べまして、相手の候補者の政策との対比という形で随分マスコミの皆さん方がその内容について報道していただいた。報道量は4年前に比べて大変今回は政策の内容について多かったと思っております。
 それから、このマニフェストに対する県民の理解度、これは高橋雪文議員から6月定例会で、再質問でお尋ねがあったときについての、私の答弁の真意を聞かれているわけですが、マニフェストをこちらが示す、そこが候補者にとっての一番、最大の責務である。その示されたマニフェスト、それは直接の候補者からのものか、あるいはマスコミを通じてのものなのか。私も街頭演説で、200何十カ所でやりましたから、全部それぞれのところでできるだけしゃべったつもりではございますが、あとマスコミの皆様方からも広く言っていただいたわけでございますけれども、それでも限度はあったわけですが、しかしマニフェストを示して、できるだけそれを県民の皆さんにお示しをするというところは、これは候補者側が全責任を持ってやらなければいけない。それを受けて、そのマニフェストについてどこまでそれが浸透されたのか、あるいはどこまで有権者の支持を得たものか、それは、今度は候補者側の問題ではなくて、有権者側であったりマスコミであったり、学識者の側が調査する話であろう。それは候補者側の私に問われる話というよりも、むしろそれは受け手側の話だろうと思って、今、この間の総選挙のときの各政党のマニフェストがどこまで浸透したかということが、マスコミなどにもいろいろ調査が出てきていますけれども、それは、今度は受けた側でいろいろと考えるべき話だと思って、そのことを申し上げたものでございます。
 それから、議員の方から、マニフェストのすべてが県民の理解を得たという認識でいるのかということでございますが、この点についてでございますけれども、相手候補の方、この方も相手候補の立場で公約をきちっと掲げて、私は私で公約を掲げて戦ったわけでございますので、有権者の皆さんはその公約を見て、あるいはその候補者を、今までよりははるかに具体的に何をするかということが、その候補者から語られているわけですから、そのことを見て、その全部について必ずしも賛意を示したかどうか、これは個々の有権者のとり方だと思いますが、あの候補者が当選をして、それで知事なら知事になったときに恐らくこういうことを全部実行するだろうということを考えながら、しかしどちらがいいかという――今回、私の場合は2人でしたが――ことですが、それで判断をして選んだ、あるいは我々から言えば選ばれたということだと思います。ですから、私はやはり選ばれた以上は、有権者の皆さんがマニフェストのどの部分に賛成したかどうかということではなくて、いずれにしてもそのマニフェストに掲げられていることを、誠実に全部を実行していくということが私の立場であって、そのことが有権者から期待をされていることだと思っています。その個々の政策については、もちろん途中で議会のチェックなどもあると思いますけれども、当選した人間はやはりそこを誠実に実行していく人間なのかどうか、そこが有権者から私は問われていると思っていますので、その掲げたものを私は誠実に、私の能力の及ぶ範囲で実現をしていきたいと思っています。
 それから、行財政構造改革プログラムで県南県央部と、それから沿岸県北部の二極化というお話がございました。これについては、今まで御質問の中でも議会の中で格差ということのお話しがあって、私もこうした県北沿岸部と内陸、特に南部の方との格差という言葉を用いておりました。この格差という言葉の使い方というのは、確かに慎重に考えなければいけない部分を私は持っていると思います――持っていると思いながら、今、議員の方から二極化というお話がございましたが、二極化ということでの私の考え方は、やはり一方の極があって、それに対立するもう一方の極が、求心力を持ったやっぱり極があって、そこがそれぞれで求心力が高まるようなものが二極化ということを言っているのではないかと思っていまして、今の県南県央部とそれから沿岸県北部とを表現するときに、この二極化という表現でいいのかどうか、私自身ももう少し考えてみたいと思っています。必ずしもそこが今の状況をしっかりとあらわしている言葉でないような気もしますし、議員の方からの御提言がございまして、私自身この各種の指標を見ながら、これから問題提起としてよく考えておきたいと思います。
 現実には、沿岸県北部とそれから県南と比べますと、今お話しございましたように1人当たりの所得水準を初め、県道の改良率や水洗化率、それから人口当たりの医師数などいろいろな指標で依然として開きがある。格差ということをあえて言わなければ、その数値には開きがあると思っておりますし、人口減少率や高齢化率が県平均よりもこうした沿岸県北部は高くなっているという紛れもない事実がございます。一方で、交通ネットワークが大分整備が進んできたり下水道の整備が進む。それから、物理的な距離を埋めていく上での情報ネットワークの構築なども進んできましたので、県民生活にかかわる水洗化率や県道・市町村道の改良率も、着実にこうした県北部などでも向上してきていまして、その違いというのはかなり薄まってきている部分もございます。
 これからの考え方でありますが、私は、生活あるいは生産の基盤、その根幹にかかわるような基盤の両者の違い、ここの部分はまさに格差ととらえるべきだと思いますから、こうした部分についての格差は県政の重要課題として、格差の解消に向けてやっぱり最大限努力をしていくべきものだろう。それ以外の部分で両者にいろいろ違いがありますけれども、そこは逆にむしろ沿岸県北部の持っている特色、よさとして、雄大な自然空間、豊かな農林水産資源に恵まれている。それからまた、県北沿岸部の特色ある歴史、文化を有する地域といったものは、まさしく地域特性として、これから大いに伸ばしていく特色として考えて、そのようなものを大いに伸ばしていく、こういう考え方に立つべきと考えております。
 40の政策がそのことに果たして役立つかどうかということでございますが、あの中で、例えば具体的に四つほどこれから申し上げますが、一つは、地域の実情に即した社会資本整備、特に情報化などがこうした沿岸県北部の地域特性を伸ばしていく上で役立つだろう。これを40の政策の中に入れてあります。それから、コミュニティ・ビジネスの振興ですとか、あとグリーン・ツーリズムなどの観光振興、こういったものがまた有効である。それから、全県で地産地消運動を展開しておりますが、その中で木質バイオマスですとか、農林水産業担い手の育成、流通改革、それから都市と農山漁村の交流促進ということをうたっていますが、そうしたことは大いに特色を伸ばす方向でありますし、それから高齢者が元気で、生きがいを持ちながら暮らせる地域社会の実現、これはそれぞれの地域での介護力を高めるということなどがさらに具体化されれば、よりそうした地域の特色が伸びていくだろう。私は40の政策というのは、こうした県北・沿岸地域の個性、長所といったものを大いに伸ばす方向で、その実現に努力していきたいと考えているものでございます。
 それから、行財政構造改革プログラムで、この財政問題の位置づけで、これこそが緊急、また、最大の課題ではないかというお尋ねでございまして、これは大変大きな問題であると思いますし、それからまた、緊急の課題であると私も思うわけでございます。大事なことは、裸で財政問題を解消しますという形で掲げることは、要するに何を目指すための財政改革かというこの視点がすっぽりと抜けてしまうということで、ここを恐れておりまして、やはり財政改革をする、あるいは行財政構造改革プログラムで目指すところがどういうものなのかということを、はっきりと視点を明確にした上でやっていかなければ、とりようによってはこの財政改革を単なる縮小均衡ととらえて、ただただ補助金を減らしたり、いろいろな数字合わせをしていくということに走っては困る。
 やっぱり大事なことは、二つの緊急課題、あそこでは雇用問題とそれから県境の産廃問題を挙げていますが、そのほか七つの重点施策の推進ということを言っていますが、そうした緊急課題や重点施策を具体的に実現することが岩手の自立につながる。そういうものをまさしく支えるのが今の大変逼迫した行財政構造あるいは財政問題なので、いわば言葉で言えば下支えをしているそこの部分をよくしていきましょうと。ですから、今言ったような、はっきりと視点を持った上でこの財政改革にも取り組みたい。このように考えて申し上げているものでございまして、議員が今まさしく御指摘したように、そうした上で大変大きな緊急課題がこの財政問題であるということが言えようかと思います。
 それから、広域生活圏の考え方でございますが、これは昭和44年に今の広域生活圏を設定したわけで、半径15キロメートルないし30キロメートル、人口10万人程度の一日生活圏ということで九つのくくりをつくったわけでございますが、今30年以上経過して、例えば住民の時間当たりの移動範囲も飛躍的に拡大をしている。それから、県民の日常生活の利便性が向上しているといった大きな違いがございますので、こういった広域生活圏の見直しということは、やはり着手をすべき時期かと思ったところでございます。
 それから、地方振興局の再編でございますけれども、今まで本庁から地方振興局に権限を大幅に委譲してきたわけでございますが、私は今後も地方振興局に本庁の権限を大幅に委譲したいと思っていますが、それを地方振興局どまりにするのではなくて、やはりできる限り市町村にやっぱり移譲していくべきだ。今までも随分やってきましたけれども、これからもできる限りやっていくべきで、今、地方振興局が担っている地域での行政サービスの総合センター的な機能というのを持っているのですが、それはもう市町村の方に移すと、これは市町村に一律に押しつけるという意味ではなくて、両者でよく話をしながら、場合によっては市町村によってはまだらになって結構ですが、そういう形でやっていきたい。地方振興局の仕事というのは、もっと広域の市町村支援機能を担う方向に内容を転換していきたい。地方振興局自身も自立性を高める、その機能強化を図るという上で見直しをしていきたい。こんなふうに思っているところでございまして、そういった観点から地方振興局の再編について考えていくということでございます。
 それから、三位一体の改革についてのお尋ねでございますが、三位一体改革について補助金の廃止だけが先行することの危惧をおっしゃっておりましたが、そこは私、全く同感でございます。例えて言えば、税源移譲なくして補助金廃止なしと、こういう考え方でぜひ小泉総理にもリーダーシップを発揮して確実に実施をしていただきたい。また、私どももそのことを強く申し上げたい。ちょうど来週の月曜日に全国知事会議がございます。総理にそのことを申し上げる場がございますので、強くお話を申し上げたいと思っております。
 それから、地方への税源移譲、それから地方財政のあり方について、財政規模を埋めるだけの税源移譲が本当にできるのかどうかということで、これは当議会でもその点の御懸念についてのお尋ねもございましたが、今やっぱり大事なことは、できるだけ税源移譲をするということが、やはり地方での受益と負担の関係が明らかになりますと有効な税金の使われ方につながってくる。補助金の縦割りの弊害が随分いろいろ言われていますので、まずそれをなくして、一方で地方の方でも汗をかいて徴税の努力をする。そのことが地域の人にとっても受益と負担の関係をより明確化することだということで、数字的にはもちろんその差を埋める部分の財源調整の仕組みが必要だと思うのですけれども、一般財源化がされて、そして我々が自分たちの判断とそれから責任で使えるということは、今の地方自治にとって大変内容を飛躍的に向上させると考えております。
 もちろん財源調整機能、その財源配分については、これはやり方、今まで大変難しくて、結局今、議員がお話しになったように利害調整が困難なため、国が関与してきたという側面もあったことは否めないわけでありますが、しかし、やはりそのことが結局は全部国にゆだねるという、自立できない種をみずからまいてしまったと思っておりまして、ここは地方側の能力もまさしく問われているところだと思いますが、やはりそういった配分するその機能は全部我々の方に任せてもらって、それは我々の知恵と工夫によってその配分をしていくという、そういう立場に立っていかなければならない。当面そのために、今の交付税のような考え方に立った配分でも結構でございますが、とにかく今の交付税自体は国が全部配分を決めているわけでございますので、結局補助金的に使われても我々はそれに飛びついてしまったという苦い反省がございますので、配分のところもやっぱり我々がやるということをはっきりと申し上げることが大事だと思っています。
 次に、道州制についてのことでございますが、何点かお尋ねがございます。
 まず、道州制というのはどういうものなのかというお話でございますけれども、この道州制については実に多様な考え方がございます。決まったものはないわけでございますが、まず基本的な道州制の一番の基本形というのは、先般終わりました第27次の地方制度調査会、あの中間報告が春に出ていますけれども、あそこの中に書いてある道州制の形というのが一番基本形ではないか。それは全国を幾つかのブロックに分け、そのブロック単位に、国の出先機関の性格を有しない、公選の首長と議会を擁する地方公共団体を設ける制度、こういうふうにあそこでは位置づけていますが、これが一番の基本形ではないかと思っております。
 その道州制の導入の意味というのは、やはりその中にも書かれておりますが、国の機能を住民により身近な地域政府に移譲するという、できるだけ住民に近い距離に持ってくるというこの考え方と、それから今後さらに加速されると見込まれる経済活動の広域化に対応したインフラの高度化や、産業の活性化をより効果的に行っていくというその意義、この二つになっているわけでございますが、これは私が憲法調査会などで呼ばれたときにも大体そういった考え方に沿って申し上げておりますが、やはりここが基本形である。中央集権をより強めるような道州制の考え方も過去にあったようでございますけれども、そうではないもの。ただ、これは道州制をどういうふうに形づくるかというのは、むしろこれから国民あるいは我々自身が考えていくべきものでございますし、こうしたことが本当に地域にメリットがあるかどうかは、やはり広く議論して一つ一つ積み上げていかなければならないと思います。そのことが学者の皆様方の神学的な議論だけになってもいけないわけでございますので、ある程度の環境が整ってきたところで広く議論を積み重ねながらやっていくということが大事であろう。3県の広域連携事業を着実に積み重ねながら、成果を具体的に示していく中でこうした議論を広く行って、そして考え方をまとめて、本当にそういうものがいいものかどうかを岩手にとっても判断していく必要があると思います。
 北東北3県の連携事業でございますが、これは意味合いとしては、一つはスケールメリットの発揮、それからもう一つは機能連携によるお互いの役割分担で、より機能を効果的に発揮していく、こういう二つの考え方を含んでの連携事業でございまして、これは今まで行われていた事業について大きなメリットがあったと思っているわけでございます。先ほど具体的な例として本当に大丈夫かというお話がございましたが、スケールメリットの発揮の方の例で言えば、例えば福岡・博多のみちのく夢プラザ、それからソウル事務所、それから北東北全体での観光キャンペーンですとか、3県共同の産業廃棄物税条例、これは首都圏に対して地域全体としては大きな威嚇効果があると思いますが、こういったもの、少ない経費で効果的な事業展開が図られた例だと思います。
 それから、機能連携によるものとしては、例えば地球環境問題についての3県の共同研究、酸性雨やフロン回収システム、それから環境ホルモン等の化学物質に関する調査、食料についての各種共同研究等がございますが、こういったものはお互いの得意分野をよく考えながら3県で行ったもので、この3県連携事業というのは、むしろ我々でも多くのメリットが発揮できそうな分野をねらって今までやってきておりますので、うまく進んできたと思います。
 今後は、民間レベルでの連携のあり方も含め議論していくことが大事でございますので、北東北パートナーシップ岩手フォーラムということで、民間人の皆さん方も入って、今月中にそのフォーラムを設置する予定にしてございますが、行政のみならず、さらに民間の皆さん方も入れて、幅広くこの連携の事業の可能性を議論して実施をしていきたいと考えております。
 それから、今ソウル事務所のことをちょっと申し上げましたが、そもそも海外事務所のメリットについてお尋ねがございましたけれども、この海外事務所についてのメリットとしては、これは北東北3県と北海道も含めてのものでございますが、地域の経済力がやはり国際経済交流の上では重要な要素となってきますので、北海道と北東北3県、エリア全体が一体として取り組むことが、こうした海外においては大変効果的である。そのことによって、いわばスケールメリットを生かした事業展開ができることと、経費のかなりの削減が実現できたということでございます。
 それから、こうした海外事務所の設置はどういう分野に役立つのかというそこの部分でございますが、これは県内企業の海外におけるビジネスチャンスの発掘、それから海外企業とのビジネスマッチングのサポート、また、外国人観光客の誘致、さらには県産品の販路拡大といったような分野で特に大きな効果が期待できると考えておりまして、今、海外としてはソウルとシンガポール、さらにはビジネスコーディネーターということで上海に置いておりますが、やはりこれから大事なのは、そうした本県と中国、それから東南アジア、そことの具体的な経済交流をビジネスレベルにおいても拡大をしていくということでございますので、そちらに向けて、これからその事務所を足がかりにして、大いに可能性を追求していきたいと考えております。
 それから、いわて森のトレーについての補助金返還問題でございます。
 これにつきましては、議会の方で申し上げるのは初めてでございますので、経緯から申し上げたいと思いますが、この事業は、いわて森のトレー生産協同組合が事業主体となって、平成10年度から12年度にかけて実施をしたものでございますが、整備した機械にふぐあいが生じて生産量が計画を大幅に下回った。結果として、販売不振に至ったことなどから、昨年の8月に中断をしたということでございまして、そのことを踏まえて、会計検査院の実地検査を受けた後、11月に、国庫補助金――これは12億7、900万円余をいただいております――が不当と認められるというふうに指摘を受けたわけでございます。
 その後、この国庫補助金の返還について、これは、法律は補助金適正化法でございますが、その補助金適正化法に基づいての返還協議を林野庁と県で行ってきたわけですが、林野庁の方では、県が全額一括返還する必要があるということを主張し、県としては、返還金の全額は、本来、組合が負担すべきものである。この返還方法について両者協議が調わず、再三にわたって協議をしてきたということでございます。
 一方、補助金適正化法の適用を受けておりますので、当然国から県に対して補助金の返還命令、これは一度ことしの前半に出されるところまで来たのですが、それの補助金の返還命令を後にしてくれということで申請をして、それで補助金返還命令、そのときには――7月の時点では出なかったのですが、10月16日付で補助金返還命令が出て、11月4日までに支払えということで、国に対して私ども異議を申し立てて返還期限の延長申請を行っていると、まだそのままになっているところでございます。この関係については林野庁と再三協議し、私も林野庁長官にも会っていろいろと話をしているわけでございますが、まず、林野庁の方から返還命令の返還期日がもう来ておりますけれども、延滞金の免除については林野庁としてもできる限りの対応をするということで、これはあわせて補助金適正化法ですから財務省との協議も必要ですが、財務省にもその考え方を通してもらっておりますので、延滞金の免除については、まず県がきちっとした回収努力を行えば大丈夫だろうと、このように判断をしておりまして、私としてはそういうぎりぎりの判断として、今回返還額の3分の1の予算を追加提案したわけでございます。これは、本来組合からの回収を待って、その上でそれを国にお返しをするのが本来の筋でございますが、組合からの回収を待たずに立てかえて返還をするということで、これは本県のこの事業にかかわってきたその経過を考えて、最終的に延滞金の負担が生じないようにしようとするための県としての返還努力の一つとして行うものでございます。
 この3分の1の額ということでございますが、これは会計検査院の県と市への指摘が現実にございましたので、その指摘も踏まえて林野庁とも協議をして、県、市がとり得る最大限度のものということで判断をしたわけでございます。
 久慈市と負担割合についてこれはまだ調っておりません。現在も協議中でございますけれども、これにつては補助事業における今度は県と市との責務や事業へのかかわりなどの観点から、できるだけ早くお話し合いを進めて合意をするように努めていきたいと考えております。
 それから、残りの3分の2の相当額がどうなるかということでございますが、これは組合とも話をして、組合は機械納入業者、ふぐあいがいろいろ生じましたので、そちらに損害賠償請求の訴訟を提起するということになっておりまして、間もなくそこのところに移っていくわけでございますが、その訴訟を県としても最大限支援をしていくということでございます。そこで返還金全額を回収する考え方でございまして、これは3分の2相当額ということではなくて、返還金全額をそこで回収する考えでございますので、そこで県としてもこの訴訟に久慈市とも連携して最大限の努力を行って対応していきたいと考えております。
 この本事業がこういういろいろな経緯をたどって今日来ているわけでございますけれども、これについては大変重大に県としても受けとめております。事業のやり方について、執行過程でどういうことがあったのかということも詳細に今検証して責任を明確化しなければいけないと考えているところでございますが、いずれにしても、今後こうしたことが再び起こらないように、事業の執行について適正を期していく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔環境生活部長中村世紀君登壇〕

〇環境生活部長(中村世紀君) 公共関与によります廃棄物処理モデル施設、いわゆる第2クリーンセンターの用地についてでございますけれども、この施設は一般廃棄物と産業廃棄物とを一体的に処理するモデル施設でございますので、これまで久慈・二戸地域の11市町村と協議を行ってきたところでございます。現在、この11市町村に対しまして、立地の意向があるのかという照会を行っているところでございます。複数の市町村から建設可能地の推薦があるものと見込んでございます。今後、推薦がありました土地につきまして、学識経験者の方々に専門的な立場から適正な評価をしていただきまして、その上で関係市町村とも協議の上、今年度末までに用地を選定してまいりたいと考えてございます。
 それから、運営の形態についてでございますけれども、これにつきましては民間資金を活用しましたいわゆるPFI方式をも含めまして、いろいろ検討しているところでございまして、これもまた関係市町村とも協議の上、これは平成16年度には方針を決定したいと考えているところでございます。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) まず40の政策推進のための財源捻出でございますが、この施策につきましては優先的に財源配分をすることといたしておりまして、一般財源ベースで50億円をあらかじめ確保することとしているものであります。
 次に、県税等収入の見込みについてでございます。県税等というこの中には、県税のほか地方消費税清算金、地方譲与税、この三つが県税等ということでございます。
 この6月推計時点での経済情勢でございますが、景気はおおむね横ばいでありますが、先行きに不透明感が見られるということ、また、5月末の県税の調定状況も前年度比5.9%の税収の落ち込みが懸念されていたため、そのため15年度の当初予算編成時の税収見込みをベースといたしまして、これは1、330億円でございますが、これから16年度以降さらに減収すると見込んでいたものでございます。それに対しまして、10月推計時点での経済情勢は、設備投資の増加、企業収益の改善が続きまして景気が持ち直すということが見込まれておりまして、10月末の県税の調定状況も法人二税、不動産取得税の増によりまして、前年同期の額にまで回復したところでございます。そのため、平成15年度の税収を8月見直しベースで1、367億円と推計をいたしまして、これを踏まえて徴税努力を加味いたしまして、16年度以降ほぼ横ばいに推移すると見込んだものでございます。この結果、徴税努力と税収の伸びによりまして210億円程度の財源確保を見込んだところでありますが、その要因としましては、先ほど申し上げました法人二税、不動産取得税の増というものになるものでございます。
 それから、平成16年度以降の県税の増減についてでございますが、16年度以降、3カ年の県税の増減につきましては、10月の推計時点の見直しを踏まえまして、各税目とも大幅な増減もなくほぼ横ばいで推移すると見込んでいるところでございます。
 次に、外形標準課税についてお尋ねがございました。法人事業税の外形標準課税につきましては、平成16年4月1日以降に開始する事業年度から適用されるものでありまして、対象法人が外形標準課税によります申告納税を行いますのは17年度からとなります。17年度、18年度の2カ年の外形基準分によります税収でございますが、これにつきましては、他県に本店が存在する法人につきましてはこの動向把握は非常に困難でございますので、本県に本店が存在する法人そして本県法人約150社について試算をしてございます。13億9、000万円程度と見込んでおりますが、制度導入に伴います従前からの所得基準分の税率引き下げの減収分がありますので、全体では外形導入前と比べまして1億3、000万円程度の増と試算をしたところでございます。この額につきましては、法人事業税全体に与える影響というのは極めて小さいと考えまして、法人事業税の全体といたしましてはマクロ推計を行ったところでございます。
 次に、給与の引き下げに伴います交付税の減額でございます。今回の給与費の引き下げによります財政収支における交付税への影響につきましては、交付税上は国家公務員の給与水準を用いて算定しておりますので、本年度の人事院勧告によります国家公務員給与の1.07%引き下げの都道府県全体のマクロ影響額が国の方で2、290億円と見込んでおります。これを本県シェアで推計をいたしますと、約40億円と見込んだところでございます。
 なお、今年度地方交付税の減額再算定というのは見込まれておりませんので、臨時財政対策債の減額再配分が予想されるところでございます。14年度の例をとって考えますと、減額分につきまして国と地方が折半をするという例がございますので、これによりまして実影響額は半分の20億円程度と見込んでいるものでございます。
 なお、県が独自に行います給料月額の減額措置分につきましては、交付税算定上の影響というのは生じないものでございます。
 次に、補助金の見直しにつきまして市町村等からの意見でございます。今回発表いたしました補助金・負担金の見直しの内容につきましては、現時点における見直しの方向性を取りまとめたものでありまして、現段階で個々の補助金について、その廃止・縮減というものを決定したというものではありません。最終的には、平成18年度までの各年度の予算編成において検討し決定するということでございます。その検討に当たりましては、市町村、団体等に対しまして、改革の必要性、方向性を十分に説明した上で、その意向なども踏まえながら調整をしていく考えでございます。
 市町村に対しましては、11月11日に助役、財政担当課長を対象といたしました県の行財政構造改革に関する説明会を開催いたしまして、11月20日には市町村長への説明会を実施しております。また、11月26日に町村会から知事に対しまして、プログラムに対する提言をいただいたところであります。この中で、補助金・負担金の削減につきましては、個々の補助金の廃止・縮減の検討に当たりまして、市町村等への十分な説明、議論を行うとともに、その決定に当たりましては、市町村の予算編成前に具体的な内容を示すこと、県民や各種団体に対しまして県において十分な説明を行い同意を得ること、継続事業については事業が完了するまで補助を存続すること、市町村総合補助金の拡充を検討すること、このような意見をいただいたところでありまして、今後の検討に反映させていくことといたしております。
 次に、県内建設業者への発注についてでございます。県営建設工事の発注に当たりましては、これまでも県内建設業者への発注を基本としてきたところでございます。昨年8月には、最近の県内建設業者の技術力の向上を踏まえまして、条件付一般競争入札の入札参加資格要件を緩和いたしまして、これまで参入できなかった規模の工事にも、より多くの県内建設業者が参入できることとしたところでございます。今年度は、下請に県内企業を優先的に活用することや、工事材料に県内資材を活用することにつきまして、請負契約書の付記事項としてこれを明記いたしまして8月から適用したところでありまして、今後、その趣旨の徹底に努めてまいりたいと考えております。
 さらに、現在、県内受注率が他に比較して低い舗装工事につきまして、発注金額の引き上げなど、県内建設業者の入札参加機会への拡大策を検討しているところでございます。引き続き公正性、透明性、競争性を確保しながら、県内企業の技術力を適正に評価し、県内建設業者への受注機会の拡大に最大限努めてまいりたいと考えております。
 それから、財政投融資によります地方債引き受けの段階的な縮小でございます。これは新聞報道によりまして赤字地方債の引き受けを段階的に縮小するということが言われておりますが、これは地方分権の進展あるいは財政投融資改革によりまして、民間資金のより有利で安定した資金調達を求める流れの延長線上にあると考えておりまして、所要の地方債資金につきましては、国の地方債計画により、その確保が具体的には図られることになるわけでございます。本県におきましては、これまで財政融資資金を含みます政府資金等の公的資金以外につきましては、すべて銀行等引受債で対応しております。今後、政府資金の引き受けシェアは低下することとなりましても、直接的な影響はないと考えております。しかしながら、県といたしましても、今後、資金調達の多様化に対応していく必要があると考えておりまして、今般、地域住民の行政参加の観点も踏まえましてミニ公募債を発行するなど、新たな取り組みも行っているところでございます。
 なお、市町村財政への影響でありますが、市町村が発行する地方債につきましては、財政状況を勘案しまして、これまで優先的に政府資金が配分されてきております。仮に政府資金から民間等資金に振りかえられたといたしましても、これまで金融機関での引き受けが円滑に行われているところでありますので、大きな影響はないと考えておりますけれども、県としても必要に応じて助言等を行ってまいりたいと考えております。
   〔地域振興部長大沼勝君登壇〕

〇地域振興部長(大沼勝君) 行革プログラムに関連いたしまして、市町村予算への影響についてでありますが、今回の補助金の見直しに当たりましては、交付先の自立性を高める観点から、一定の目的を達成したと思われるもの、あるいはその政策誘導効果が薄れているもの等を廃止の方向で見直すこととしております。
 なお、個々具体の補助金の廃止・縮減に当たりましては、まずその趣旨を十分に理解していただきながら、予算編成を通じて調整をしていくこととなります。
 また、現行の市町村総合補助金でありますが、これは今年度、平成15年度からの3カ年の運用として再出発したものであります。したがいまして、17年度に事業の終期が到来するという趣旨で、行財政構造改革プログラムにおいて廃止として掲げているものであります。
 この市町村総合補助金につきましては、市町村の自立に資する総合的な助成制度の創設をも含めまして、新たな仕組みづくりを検討してまいりたいと考えているところであります。
   〔県土整備部長猪股純君登壇〕

〇県土整備部長(猪股純君) 住宅供給公社の宅地分譲の手続についてでありますが、公社の宅地を購入する場合、一般的には購入予定の方が公社に申し込み、契約手続を行い、その後、購入者が建物を発注して工事完成後に入居するということになっておりまして、基本的な流れとしては、民間の分譲とは違いはないと認識しております。
 住宅供給公社が保有している宅地の販売不振の原因といたしましては、まず、景気の低迷や先行きの不透明さなどから、住宅投資を手控える傾向が見られるということ、また、少子・高齢化が計画時の推計以上に急速に進展して、世帯数の増加が鈍化していることといった社会経済情勢の変化に加えまして、公社自身の営業努力の不足ということが考えられます。このため、本年度から営業体制の強化や分譲価格の見直しを行ったほかに、宅地建物取引業協会との連携などのさまざまな工夫を行って、販売促進を図っているところであります。
   〔商工労働観光部長小原富彦君登壇〕

〇商工労働観光部長(小原富彦君) 大阪へのアンテナショップの設置についてでありますが、関西地域の産業経済の中心である大阪市に、北東北3県合同のアンテナショップを設置することとして、現在16年5月のオープンに向けまして、市内でもにぎやかなミナミの中心地である心斎橋、御堂筋近辺に開設すべく、諸準備を進めているところでございます。
 3県合同のアンテナショップは、11年2月に福岡市に設置したみちのく夢プラザが最初でございますが、ここでは3県合同で一等地に開設しまして、品ぞろえの豊富さあるいは多彩なイベント、積極的な宣伝が功を奏しまして、九州地区における物産・観光両面における北東北、そして岩手の認知度が着実に高まってきているところであります。この福岡の成果を踏まえまして、大阪のアンテナショップについては関西地区の経済事情に精通し、専門的な経営ノウハウを有する地元企業に運営を委託しながら、3県の新鮮で豊富な食材を初め、自然、伝統文化などの魅力を食の都大阪にアピールしていくこととしております。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) 第1次産業に関連いたしまして、まず県北沿岸部の農業振興と基幹作目の研究についてでありますが、当地域の農業振興に当たりましては、やませによる夏期冷涼や沿岸特有の冬期に比較的日照が多いなどの気象条件、さらには平場から山間地に広がる農地などの多彩な立地条件をまさに特性あるいは資源としてとらえ、これを生かしながら適地適作を基本に、安定的で収益性の高い農業を確立するため、今後一層、野菜や花卉などの生産振興を図っていく必要があると、そのように考えております。こうした観点から、農業研究センター県北農業研究所におきましては、ホウレンソウの産地拡大を図るため、寒締めホウレンソウの高品質、安定生産に向けた温度管理技術などの研究に取り組んでおりますほか、ホウレンソウに次ぐ産地品目として県北沿岸地域において、お盆や彼岸などの需要期に出荷可能なリンドウや小菊のオリジナル品種の選定、冷涼な気象条件に適した宿根草や花木などの新たな品目の導入についても試験を行っているところであります。また、やませ利用研究室におきましては、北部沿岸の農地開発地域の大規模野菜作経営における加工ニンジンや馬鈴薯などの輪作体系の実証や、地域に適用したヒエやアワなどの優良系統の選抜などにも取り組んでいるところであります。
 次に、エチゼンクラゲの漁業被害の現状と対策についてでありますが、まず被害の現状でございますが、エチゼンクラゲは東シナ海などで発生し主に日本海に出現するクラゲで、本県海域への大量出現は昭和33年以降、昨年とことしを含めて4回記録されております。ことしのエチゼンクラゲは10月上旬に出現し始め、10月下旬には大量に本県全域に広がっております。このため、外洋に面した定置網を中心にしたクラゲが大量に網に入り、漁獲量の減少、漁獲物の品質低下、網の破損、クラゲを取り除くための作業時間の増大などの被害が生じているところであります。
 この対策についてでありますが、エチゼンクラゲの出現を阻止する抜本的な対策は今のところございませんが、水産技術センターと漁業者が共同して、まずはクラゲを定置網に入れない手法、それから一方、定置網に入った漁獲物とクラゲを効率よく分離する手法ということで、今取り組んでいるところでございます。
 今後は、さらに日本海側の各県、それから独立行政法人日本海区水産研究所と連携して、クラゲの出現状況や有効な手段などについて情報交換を行い、漁業者に提供することによりまして、本県漁業への影響を可能な限り低減するよう努めてまいります。
 次に、漁場整備についてでありますが、本県の水産業の発展と沿岸地域の振興を図る上で、とる漁業とあわせてつくり育てる漁業の推進は極めて重要であると認識しており、今後とも、その基盤となる漁場整備を計画的に着実に実施してまいることとしております。
 また、平成14年に施行されました漁港漁場整備法では、漁港・漁場を一体的、総合的な計画のもとに整備しようとするものでありまして、本県におきましても、既に野田漁港でございますけれども、漁港を守るために整備する沖防波堤の内側にアワビ、ウニなどの増殖場を整備することにより、本来漁場整備で設置する必要のある消波工が沖防波堤と兼用できるというようなやり方もやっております。それからもう一つ、これは逆のケースでございますが、大船渡の野野前漁港におきましては、漁港の防波堤の前面に消波機能をあわせ持つアワビ、ウニ等の増殖場を整備することによりまして、荒天時、しけ時の漁港への波も防止できるといったように、効率的な漁場整備に努めているところであります。
 今後の漁場整備に当たりましては、こうした漁港・漁場の一体的、総合的な整備はもとよりでございますが、現在継続中の地区につきましては、早期の効果発現を図るための予算の重点化ということに取り組むということでございます。新規地区につきましては、優先度、重要度を考慮しながら、厳選の上事業に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔医療局長千葉弘君登壇〕

〇医療局長(千葉弘君) 県立病院への高規格救急用車両の配備についてでありますが、現在、県立病院には、県立病院間あるいは他の医療機関との診断、治療、検査等のために患者を輸送するため、専用の患者輸送車を約9病院にそれぞれ1台ずつ配備いたしております。
 この利用状況でございますが、1病院当たりの平均で年間90件。したがいまして、1カ月当たり7.5件となっております。最も多い病院は、県南の磐井病院でございまして、年間217件、1カ月当たり18件となっております。
 また、消防署への患者輸送の依頼状況でございます。この県立病院の患者輸送車を使わないで、例えば岩手医大あるいは高次救急センター、東北大学などのような機関に緊急の手術、より高度な治療を要する場合で、消防署の協力をお願いして高規格救急車で輸送した依頼の件数でございますが、久慈病院の場合で申し上げますと、平成14年度、年間で19件、1カ月当たりに直しますと1.6件でございます。久慈病院を含む中核的病院の全体の件数でございますが、この場合、高規格車のみならず一般の救急車を含めた数でございますが、年間で588件、1病院1カ月当たりの平均は4件となっております。最も多い病院はやはり県南の磐井病院で、年間で104件、1カ月当たり8.7件、これが消防署に依頼した件数でございます。
 このような状況にありますので、当面は県立病院の患者輸送車を優先的に使用しながら、患者さんの状態によりましては、地元消防署の協力をいただくことで対応できるものと考えております。したがいまして、今後ともそれぞれの地域の消防機関の御協力をいただきながら、地域の救急医療の確保に努めてまいりたいと考えております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 少人数教育についてでありますが、まだ文部科学省からの正式な連絡は受けてはいないわけでございますが、国におきましては、義務教育費国庫負担制度の運用弾力化の一環として、都道府県の教育委員会の定める研究指定校に対する定数加配により、少人数学級を研究的に実施する場合は、そのための加配措置を講じることについて検討を始めたと聞いております。したがいまして、その詳細はまだ把握いたしかねているわけでございますが、国の新たな財源による措置ではなくて、現行の少人数指導加配の一部活用を認める方向で検討している模様でございます。
 本県といたしましては、指導目的に応じて柔軟に使い分けるこれまでの少人数指導に本県独自の改善を加え、一層の充実を図ることを基本に据えながら、今般の措置に呼応して、少人数学級についてもその効果などにつきまして調査を行い、これからの本県のよりきめ細かな少人数教育の推進に努めてまいりたいと、このように考えております。このため、例えば40人に近い多人数学級を同一学年に複数有する学校を対象といたしまして、教育事務所ごとに2校、小学校、中学校それぞれ1校、そしてあわせて24校程度、これは既に明年度をにらんで学級編制など、実際に市町村教育委員会、動いているところもありますので、なかなかこのようにいくかどうか、いずれ市町村教育委員会や学校の意向を十分に聞きながら、実践的な研究に取り組む学校を指定する方向で、現在、検討を始めたところであります。
   

〇副議長(菊池勲君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時36分 休 憩
   

出席議員(50名)
1  番 亀卦川 富 夫 君
2  番 中 平   均 君
3  番 ザ・グレート・サスケ 君
4  番 木戸口 英 司 君
5  番 関 根 敏 伸 君
6  番 野 田 武 則 君
7  番 平 野 ユキ子 君
8  番 高 橋 雪 文 君
9  番 嵯 峨 壱 朗 君
10  番 工 藤 勝 子 君
11  番 平 沼   健 君
12  番 平   澄 芳 君
13  番 柳 村 典 秀 君
14  番 飯 澤   匡 君
15  番 田 村   誠 君
16  番 大 宮 惇 幸 君
17  番 千 葉 康一郎 君
18  番 新居田 弘 文 君
19  番 工 藤 大 輔 君
20  番 川 村 農 夫 君
21  番 樋 下 正 信 君
22  番 照 井 昭 二 君
23  番 柳 村 岩 見 君
24  番 阿 部 静 子 君
25  番 阿 部 富 雄 君
26  番 斉 藤   信 君
27  番 田 村 正 彦 君
28  番 佐々木 順 一 君
29  番 佐々木   博 君
30  番 及 川 幸 子 君
31  番 阿 部 敏 雄 君
32  番 吉 田 昭 彦 君
33  番 小野寺 研 一 君
34  番 千 葉   伝 君
35  番 小野寺   好 君
36  番 伊 沢 昌 弘 君
37  番 瀬 川   滋 君
38  番 吉 田 洋 治 君
39  番 佐々木 一 榮 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 渡 辺 幸 貫 君
42  番 高 橋 賢 輔 君
43  番 藤 原 良 信 君
44  番 佐々木 大 和 君
45  番 藤 原 泰次郎 君
46  番 菊 池   勲 君
47  番 工 藤   篤 君
48  番 小 原 宣 良 君
49  番 及 川 幸 郎 君
51  番 佐々木 俊 夫 君

欠席議員(1名)
50  番 佐 藤 正 春 君
   

説明のため出席した者
休憩前に同じ
   

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   

午後3時54分 再 開

〇副議長(菊池勲君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。野田武則君。
   〔6番野田武則君登壇〕(拍手)


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