平成16年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成16年3月16日(火)
   

1開会  午前10時5分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
  事務局長 武田牧雄
  議事課長 平澤石郎
  議事課長補佐 八重樫 典彦
  主任議事管理主査 千田利之
  議事管理主査 近藤光宏
  議事管理主査 多田 繁
  議事管理主査 田丸 裕佳子
  議事管理主査 嵯峨俊幸
  議事管理主査 安藤知行

1説明員
  農林水産部長 佐々木 正勝
  農林水産部水産局長 武井 篤
  農林水産部次長兼農林水産企画室長 和嶋憲男
  農林水産部次長 千田 勉
  農林水産部次長 佐々木 忠正
  参事兼漁港漁村課長 千葉信明
  農林水産企画監 高前田 寿幸
  団体指導課長 和佐健介
  組合指導監 藤沼豊頼
  流通課長 佐々木 和博
  農業振興課長 河村茂幹
  中山間対策監 村上芳子
  農業普及技術課長 小岩 寛
  農村計画課長 川邊賢治
  農村建設課長 佐藤具揮
  農産園芸課長 中正保治
  水田農業推進監 小原利勝
  畜産課長 菅原好秋
  家畜衛生対策監 千葉 厚
  林業振興課長 千田壽光
  緑化推進課長 照井 昇
  松くい虫対策監 菊池信一
  森林保全課長 黒澤 茂
  水産振興課長 宮澤公明
  漁業調整監 伊藤正明
  参事兼予算調製課長 藤尾善一
   

〇吉田昭彦委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第1号から議案第21号まで、議案第23号、議案第29号から議案第31号まで、議案第33号から議案第36号まで、議案第39号、議案第41号、議案第43号、議案第47号及び議案第48号の以上34件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部関係を終わるように進行いたしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 また、質疑につきましては、世話人会の申し合わせにより、質疑項目が複数ある場合、関連する項目については、できるだけまとめて質疑されるとともに、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑及び答弁は簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
 なお、関連質疑については、冒頭に質疑を表明している委員より優先して発言を認めているものでありますので、その性格上、関連性の強いもののみ、短時間、簡潔に発言されるよう、また、要望のみで終わることのないよう御協力をお願いいたします。
 農林水産部長から農林水産部関係の説明を求めます。

〇佐々木農林水産部長 農林水産部関係の平成16年度の予算関係議案について御説明申し上げます。
 まず、議案第1号平成16年度岩手県一般会計予算でありますが、議案その1の7ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算の歳出の表中、農林水産部が所管する予算は、6款農林水産業費の877億2、748万円、9ページの11款災害復旧費のうち、1項農林水産施設災害復旧費の26億2、175万円及び12款公債費のうち、特定資金公共投資事業債、いわゆるNTT債の償還金7億2、966万6、000円をあわせまして910億7、889万6、000円であります。これを前年度の6月現計予算額と比較いたしますと、金額で182億5、670万3、000円、率にして16.7%の減となるものであり、一般会計の予算総額に占める割合は11.7%となるものであります。
 予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、新規事業を中心に主な事業を簡潔に御説明申し上げますので、御了承願います。
 予算に関する説明書の154ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費であります。農業総務費は、農政関係職員の人件費や国土調査に要する経費等であります。次に、155ページの農業金融対策費の主なものは、農業近代化資金等の貸し付けを行う農協などの融資機関に対し利子補給等を行うものであります。次に、農業構造改善対策費の主なものでありますが、経営構造対策事業費は、地域の実情に即した経営体を育成するため、農業近代化施設の整備に対し助成するものであります。次に、156ページをお開き願います。農業改良普及費の主なものは、農業改良普及センターの管理運営に要する経費のほか、新規就農者の育成確保のための相談窓口の整備や技術研修等に要する経費であります。次に、157ページの農業振興費の主なものでありますが、説明欄の五つ目のいわて農林水産知的財産立県確立事業費は、本県の農林水産業及び農山漁村に内在する知的財産の重要性を啓発しながら、特産品目の種苗登録や新技術の実用新案特許の取得を進めるなど、オリジナル性の高い農林水産業の振興を図ろうとするものであります。次に、いわてバイオマス循環型システム創生事業費は、地域内に豊富にあります畜産廃棄物や水産廃棄物などのバイオマス資源を活用し、環境に配慮した循環サイクルを形成するとともに、農林水産廃棄物等の減量化と産地イメージの向上を図ろうとするものであります。次に、少し飛びまして、いわての農林水産物まるごと展開事業費は、県産農林水産物の需要拡大を図るため、全国に向けて総合的なPRを実施するとともに、生産者、流通・加工・外食関係者、消費者等が一体となって、地産地消運動を積極的に推進しようとするものであります。次に、158ページの説明欄でございますが、三つ目の、いわて食育首都圏交流事業費は、消費地の首都圏と生産地岩手との顔の見える関係を構築するため、首都圏のモデル校において、いわて食材学校給食や岩手の食文化の紹介などの食育を実践しようとするものであります。下段の、いわて農業担い手支援総合対策事業費は、意欲ある担い手を育成・確保し、地域ぐるみ農業を推進するため、生産から流通に至る各種機械や施設整備に対し助成するものであります。次に、159ページの農作物対策費の主なものでありますが、説明欄下段のトレーサビリティシステム導入対策事業費は、安全・安心なフードシステムを構築するため、牛肉のトレーサビリティーシステムを運用するとともに、生産者団体等が取り組む牛肉以外の食品のトレーサビリティーシステムの構築に対し支援するものであります。次に、160ページの説明欄最初の水田農業構造改革支援事業費補助は、地域の立地特性を生かした適地適作による作目再編を進めるため、米の生産目標数量の市町村間調整や畑地化及び園芸作物の拡大を促進するなど、水田農業の構造改革を加速化する経費に対し助成するものであります。次に、畑作振興費の主なものでありますが、説明欄下段の雑穀資源活用体制整備事業費は、県産雑穀の需要と生産の拡大を図るため、優良遺伝資源を収集し、長期保存をしながらオリジナル品種の育成に活用するほか、加工用途の広いもち性ヒエや、機械収穫に適した短稈のアワ、キビを育成するとともに、あわせて種子の供給体制を整備するものであります。次に、161ページの北上奥羽山系開発費の主なものは、緑資源機構が北上・奥羽山系地域で実施した広域農業開発事業における地元負担金の償還金であります。次に、植物防疫費は、病害虫の防除指導のほか、農作物生産者及び農薬販売者に対する農薬の適正使用、適正販売の取り締まり等に要する経費であります。次に、農業協同組合指導費は、農業協同組合の指導監督に要する経費であります。次に、162ページをお開き願います。農業共済団体指導費は、岩手県農業共済組合連合会及び農業共済組合の運営費に対する助成等であります。次に、農業研究センター費は、同センターの管理運営及び試験研究に要する経費であります。163ページの農業大学校費は、同校の管理運営及び教育環境の充実を図るための施設整備に要する経費であります。次に、蚕業費は、中核的養蚕農家の育成・確保のため、養蚕団体を中心とした普及指導体制の整備等に要する経費であります。
 次に、165ページをお開き願います。2項畜産業費であります。畜産総務費は、畜産関係職員の人件費及び岩手県肉牛生産公社の経営改善を図るための無利子の貸付金等であります。次に、畜産振興費の主なものでありますが、畜産振興総合対策事業費は、生産性の高い経営体の育成を図るため、生産から流通・消費に至る総合的な地域畜産振興対策に要する経費であります。次に、166ページの説明欄下段の地域有機物資源活用促進事業費補助は、資源循環に配慮した家畜ふん尿の堆肥化の促進及び活用を図るため、簡易堆肥舎の整備等に対し助成するものであります。次に、167ページの説明欄中、中ほどでございますけれども、バイオマス利活用エネルギー産業創出モデル支援事業費補助は、県内の豊富なバイオマス資源を活用したエネルギー利用の普及・定着を推進するため、家畜排せつ物や、食物残渣を資源として活用する発電施設等に係るプラントの整備に対して助成するものであります。次に、草地対策費の主なものでありますが、168ページの説明欄最初でございますが、県営畜産経営環境整備事業費は、環境汚染の防止と畜産経営の安定を図るため、家畜排せつ物処理施設等を整備するものであります。次に、家畜保健衛生費の主なものでありますが、牛海綿状脳症防疫対策事業費は、24カ月齢以上の死亡牛のBSE検査等に要する経費であります。次に、169ページの農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営及び試験研究に要する経費であります。
 次に、171ページをお開き願います。3項農地費であります。農地総務費は、農地関係職員の人件費等であります。次に、土地改良費は、農地等の区画形質の改善、農道・用排水路などの整備、農業集落排水施設の整備など、農村の生活環境や生活基盤の総合的な整備に要する経費であります。次に、173ページをお開き願います。農地防災事業費は、農地・農業用施設に対する洪水被害等を防止するための防災ダムや水門等の海岸保全施設の整備及び老朽化した水利施設の整備に要する経費であります。次に、174ページをお開き願います。開墾建設事業費は、農業経営の規模拡大等を図るための農地造成及び用排水施設等の整備に要する経費であります。次に、175ページの農地調整費の主なものでありますが、農地保有合理化促進費は、農業経営の規模拡大、農地の集団化等を促進するため、岩手県農業公社が行う農用地等の売買、賃貸借等の業務に要する経費に対して助成するものであります。
 次に、176ページをお開き願います。4項林業費であります。林業総務費は、林政関係職員の人件費及び県有林事業特別会計への繰出金等であります。次に、177ページの林業構造改善対策費は、担い手の育成と競争力のある地域林業を確立するための、木材加工施設の整備に対する助成等であります。次に、林業振興指導費の主なものでありますが、説明欄四つ目でございますが、森林組合育成強化対策事業費は、森林組合の経営体質の強化と広域合併を促進するため、財務改善に要する資金の貸し付け等を行うものであります。次に、178ページの説明欄の中段でございますが、木の香る環境共生住宅促進事業費補助は、県産木材の需要拡大を図るため、一定量以上の県産木材を使用した住宅の建設に要する経費に対し助成するものであります。次に、一つ飛びまして、木質バイオマス資源活用促進事業費は、林内に放置されている間伐材や、製材工場で発生する端材などの木質バイオマス資源のエネルギー利用を促進するため、資源調査や低コスト運搬システムの開発を行うとともに、ペレットストーブ等の整備に対し助成するものであります。次に、180ページをお開き願います。森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大の防止のほか、五葉山周辺のシカ被害の防止に要する経費であります。次に、181ページの造林費でございますが、森林の公益的機能の維持増進と森林資源の充実を図るため、森林の育成管理や広葉樹林の整備に対し助成等を行うものであります。次に、林道費は、山村地域の生活環境の改善と林業生産基盤の整備を図るため、県営41路線、市町村営10路線の林道整備等に要する経費であります。次に、182ページをお開き願います。治山費は、山地災害を未然に防止し県土の保全を図るため、治山事業101カ所、地すべり防止事業4カ所の実施等に要する経費であります。次に、183ページの林業技術センター費は、同センターの管理運営及び試験研究などに要する経費であります。
 次に、185ページをお開き願います。5項水産業費であります。水産業総務費は、水産関係職員の人件費及び水産科学館の管理運営に要する経費等であります。次に、漁業構造改善対策費は、効率的かつ安定的な漁業経営を育成し、流通の衛生管理向上を図るため、ワカメ・昆布などの養殖施設や海水殺菌装置などの整備に対する助成等であります。次に、186ページをお開き願います。水産業振興費の主なものでありますが、説明欄下段のワカメブランド推進事業費は、県産ワカメの国際競争力を強化するため、優良種苗や省力化機器の開発、販売基本戦略の策定など、生産から販売に至る一連の構造改革に要する経費であります。次に、187ページ、説明欄下段でありますが、さけ、ます種卵管理緊急対策事業費は、種苗生産の過程において、水カビなどの防除目的に使用されておりました薬品が、平成17年8月以降使用できなくなりますことから、薬品に頼らない種卵管理技術を早急に開発しようとするものであります。次に、188ページの説明欄中段でありますが、いわて養殖漁業ステップアップ事業費は、本県養殖漁業の構造改革を推進するため、施設再編や規模拡大など、地域ぐるみのステップアッププランの策定や実行に対し助成するとともに、津波などの災害に強い漁場・施設の整備に必要な調査を行うものであります。次に、水産業協同組合指導費の主なものでありますが、説明欄下段の漁業協同組合信用事業統合促進資金貸付金は、漁業系統団体の信用事業の統合を促進するため、低利の長期資金の融資を行う岩手県信用漁業協同組合連合会に対し、無利子資金の貸し付けを行うものであります。次に、189ページの漁業調整委員会費及び漁業調整費は、海区漁業調整委員会等の開催並びに漁業調整などに要する経費であります。次に、190ページをお開き願います。漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営や漁業取締船の運航などに要する経費であります。次に、水産技術センター費及び191ページの内水面水産技術センター費は、両センターの管理運営及び試験研究に要する経費であります。次に、192ページをお開き願います。漁港管理費は、県管理漁港の施設の維持管理等に要する経費であります。次に、漁港漁場整備費は、県管理27港、市町村管理23港の漁港整備、大型漁礁4カ所、増殖場8カ所の漁場整備、海岸保全9港、漁業集落16地区の整備のほか、193ページの説明欄の三つ目でございますが、津波緊急避難誘導対策事業費は、県管理の漁港地域において、津波時に地域住民が安全かつ迅速に高台に避難するための避難路などの施設、設備を緊急に整備するものであります。
 次に、大きく飛びまして251ページをお開き願います。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費であります。農地及び農業用施設災害復旧費及び林道災害復旧費、252ページの治山災害復旧費及び漁業用施設災害復旧費、253ページの漁港災害復旧費は、いずれも過年災害と現年災害の災害復旧事業に要する経費であります。
 次に、債務負担行為について御説明を申し上げます。
 恐れ入りますが議案その1に戻っていただきまして12ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、8市中金融機関が社団法人岩手県農業公社に融通した資金について元利金の償還がない場合の不足額の損失補償から、14ページの37漁港関連道整備事業までの30件が農林水産部の所管であります。内容は、社団法人岩手県農業公社、社団法人岩手県林業公社の事業資金の借り入れに係る損失補償が3件、農林水産業関係の各種資金の融通に伴う利子補給が8件、平成16年度から翌年度以降にわたって施行される工事に係るものが19件でありまして、いずれも、それぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
 次に、特別会計予算について御説明を申し上げます。
 22ページをお開き願います。議案第3号平成16年度岩手県農業改良資金特別会計予算についてでありますが、この予算の総額を歳入歳出それぞれ3億1、119万1、000円とするものであります。
 次に、23ページの第1表歳入歳出予算の歳入の主なものでありますが、1款繰入金は、一般会計からの繰入金であり、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等であります。
 次に、24ページに参りまして歳出の主なものでありますが、1款農業改良資金貸付費は、新たな農畜産物の生産や加工を開始、または、販売方法を改善するなど、農業経営の改善を図ろうとする農業者等に対し、無利子資金を貸し付けするものであります。
 次に、25ページの議案第4号平成16年度岩手県県有林事業特別会計予算についてでありますが、予算の総額を歳入歳出それぞれ189億3、414万円とするものであります。
 次に、26ページに参りまして、第1表歳入歳出予算の歳入の主なものでありますが、2款財産収入は、県有林造成基金の運用収入、3款繰入金は、一般会計及び県有林造成基金からの繰入金、5款諸収入は、立木処分に係る売り払い収入等であります。6款県債は、県有林事業の施業の一部を長伐期に転換することに伴う施業転換資金等であります。
 次に、27ページの歳出の主なものでありますが、1款県有林事業費は、県行造林造成事業等の下刈り、除伐、素材生産及び県債の償還等に要する経費であります。
 次に、第2表地方債でありますが、地方債の償還利息の軽減を図るための施業転換資金への借りかえが149億4、100万円、県有林事業充当資金が3億2、400万円であります。
 次に、28ページに参りまして、議案第5号平成16年度岩手県林業改善資金特別会計予算についてでありますが、予算の総額を歳入歳出それぞれ8億7、836万円とするものであります。
 次に、29ページの第1表歳入歳出予算の歳入の主なものでありますが、4款諸収入は、貸付金に係る償還金等であります。
 次に、30ページに参りまして、歳出の主なものについてでありますが、1款林業改善資金貸付費は、林業経営の改善を図るため、林業従事者等に対し林業生産高度化資金、林業労働福祉施設資金等を無利子で貸し付けするものであります。
 2款木材産業等高度化推進資金貸付費は、森林組合等に低利の運転資金を融通するため、その原資を金融機関に預託するものであります。
 次に、31ページの議案第6号平成16年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算についてでありますが、予算の総額を歳入歳出それぞれ3億383万4、000円とするものであります。
 次に、32ページに参りまして、第1表歳入歳出予算の歳入の主なものでありますが、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等であります。
 次に、歳出の1款沿岸漁業改善資金貸付費は、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従事者等に対し経営改善資金等を無利子で貸し付けするものであります。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げます。
 まず、負担金徴収に関する議案でありますが、60ページをお開き願います。議案第17号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、これは、かんがい排水事業等の農業関係の建設事業に要する経費の一部を、受益市町村に負担させようとするものであります。
 次に、70ページをお開き願います。議案第18号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、これは、林道事業及び県単独治山事業に要する経費の一部を、受益市町村に負担させようとするものであります。
 次に、71ページの議案第19号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、これは、地域水産物供給基盤整備事業等の水産関係の建設事業に要する経費の一部を、受益市町村に負担させようとするものであります。
 次に、歳入を伴う条例議案について御説明申し上げます。
 議案その2の23ページをお開き願います。議案第34号は、岩手県手数料条例の一部を改正する条例についてでありますが、当部の所管は、24ページの下段の別表第5の関係であります。まず、8の項から10の項は、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の改正に伴い、米の卸売業及び小売業の登録申請等の手数料を廃止しようとするものであります。
 次に、24の項は、家畜検査証明書等の交付手数料の額を改正しようとするものであります。
 次に、53の2項の遊漁船業務主任者講習手数料は、遊漁船業の適正化に関する法律施行規則に定める遊漁船業務主任者養成講習の実施に伴い、手数料を徴収しようとするものであります。
 次に、29ページをお開き願います。議案第36号岩手県牛馬寄託手数料条例の一部を改正する条例についてでありますが、これは、牛馬の寄託手数料の額を増額しようとするものであります。
 次に、55ページをお開き願います。議案第43号は、森林公園条例の一部を改正する条例についてでありますが、これは、県民の森に森林ふれあい学習館が整備されることに伴い、多目的ホール等の使用料の徴収及び所要の整備をしようとするものでございます。
 以上で予算関係の議案について御説明を終わります。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。

〇吉田昭彦委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。

〇伊藤勢至委員 187ページのさけ、ます増殖費等に関しましてお伺いをいたしたいと思います。
 まず、その前に委員長にお願いを申し上げますけれども、今回の質問をするにつきまして一つの資料といたしまして、本年の1月9日の地元の新聞のコピーを用意してきましたので、ぜひこれは議論をする上で必要と思いますので、委員長のお認めをいただきましたら、他の委員の先生方もお目通しかとは思いますが、いま一度配付をお願いできればありがたいと思いますが、いかがでございますか。

〇吉田昭彦委員長 ただいまの伊藤勢至委員の申し入れを許可いたします。どうぞ配付してください。
〔参照〕
   

〇伊藤勢至委員 それでは、配付の前にまず一つお伺いをしていきたいと思いますけれども、本県の沿岸漁業の主力魚種でありますサケにつきましてお伺いをいたしたいと思います。
 本年もトータルとして3万トンぐらいの漁獲量に推移したのかなと思ってございますが、これは平成8年に7万3、000トン、大きな収穫量がありましてから以後ずっと下降の線をたどってきております。7万3、000トン、5万8、000トン、4万7、000トン、3万6、000トンとずっときて、ことしも3万トンぐらいでありまして、ピークのときから約半分以下に減っているわけであります。しかも、岩手県といたしましては、ずっと約10億円に近いいろんな施策を展開してきましたから、その効果がもう3分の1以下に落ちている。だけれども最前線では一生懸命増養殖に取り組んでいるんだと思っておりまして、これは長年の岩手県の蓄積した技術であると思っております。そういう中で減っていることにつきまして、やはり外的要因があるのではないか、こういうことから私は再三提言をしてまいりまして、農林水産部の方で学問的な調査をするということで、一昨年まで3カ年継続して調査をしていただいたと思っておりますが、3年ぐらいの調査では結果が出ないということから、これを継続してやっていただきたいとお願いをしてきたところであります。
 過去のこの10数年の間に大きく変わってきたことは、国連海洋法等の問題の中で、あるいはIWC国際捕鯨委員会等のことで、今から十七、八年前に商業捕鯨が禁止になりましてクジラをとられなくなりました。そのころからがくんと減ってきたのではないか。一説には、クジラがふえて、そのふえたクジラがふ化養殖して放したサケをどこかの時点で相当数捕食しているのではないか。こういうことも実はあるわけでありまして、私は食物連鎖の中の大きなネックになっているのではないか、こんなふうに思ってきております。
 そこで、お伺いをいたしますが、県がやっております学問的な調査、現在どのような形でどういう手段、手法で進めておられるのか、まずお伺いをいたします。

〇武井水産局長 サケにつきましては、委員御指摘のとおり7万トンの水準が現在、若干回復いたしましたが3万トンでございます。それで、サケは御存じのとおり、三陸沖で放流されたものがオホーツク海、それから北太平洋、それからベーリング海、このあたりを回遊いたしまして大体3年から5年かかって戻ってくるということでございまして、この資源が何で減少しているのかということにつきましては、沿岸から、さらには沖合まで非常に幅広い調査が必要でございます。ただ、県といたしましては、なかなか沖合の調査をやるわけにはいきませんので、県としては特に放流直後の海の関係、温度の関係とか、えさの関係につきまして焦点を当てて調査を行っておるということでございます。特にここ二、三年、耳石温度標識という、これは飼育しているときに温度の刺激を与えましてサケの耳石という、特殊な器官がございますが、これにバーコードのような特殊な模様をつけまして、どこで放流したサケかをわかるようにするという技術がございますが、こういうようなものを岩手県でも導入いたしまして、特にサケが放流直後にどういったような移動をするのか、このあたりの調査を行ってございます。問題は、その先の調査につきましては、なかなか県だけではできませんので、国のさけ・ます資源管理センターあるいは国際機関もございます。これはカナダ、アメリカ、ロシア等で組織してございます国際機関、こんなものに国が協力して現在、調査を行っておるという段階でございます。

〇伊藤勢至委員 けさの新聞にもサケと人間のかかわり合いが載ってございまして、縄文人の主食はサケだったのではないかという新聞記事が載ってございました。我が宮古市の崎山の貝塚にも、これは4、500年前の縄文時代の遺跡だと言われておりますけれども、ここから出土しておりますのはサケとかマグロとかカツオとかタイ、そういった大型の魚の骨が出土しておりまして、また、同時に釣り針等の加工したものもいっぱい出ています。この三陸沿岸の、特に宮古市の崎山貝塚から出る釣り針等は、当時の、4、500年前規模の世界の漁具漁法の中では最先端のものだということを言われておるようでありまして、相当古くから日本人のルーツであります縄文人、あるいは本県の人たちがこのサケにいかにかかわってきたかをあらわすものでありまして、これは今後も重要な部分だと思っております。そういう中で、とれたサケをいかにおいしく食べて流通していくか、これもまた一つ大事なことなわけでありまして、先般、宮古市のあるホテルを会場に沿岸のサケに関係する人たちが200人ぐらいでしょうか、集まって勉強会を開いたわけですよね。そういう中で、おいしく食べるためには新巻の技術を見直すべきだという提言があったわけでありますが、これは、塩気を抜いて少し重石をかけて水分を抜いて、つるしておくことによってたんぱく質がアミノ酸に変わっていく、熟成する、そこでおいしいということなわけですが、ただ、それもいいんですけれども、根本的にその主題でありますサケがとれないことには、そういう技術開発を、おいしく流通させていこうという部分も立ち行かなくなるのではないか。そういうふうにも懸念されますので、ぜひ今後も放流した後のサケがどのようなルートでどのくらいに大きくなって3年、4年で帰ってくるのか、こういう部分をぜひとも継続して、1回、1年や2年では結果が出ないと思いますが、でもやっぱり放流した後は、あとは神頼みで手を合わせて待っているだけでもこれもおかしな話でありますので、継続をしてこういう学問的な調査をしていただきたい。お願いをしておきたいと思います。
 そこで、重ねてお伺いをいたしますが、今、実は委員の先生方を初め、お手元に配らせていただきましたこの記事でございますが、これが本年1月9日の地元紙の記事でありました。養殖サケに有害物質が高濃度で蓄積をされておる。北米、欧州産の部分でありますが、ダイオキシンが天然の4倍もある。これは養殖時に与えたえさから始まって、それが蓄積をされていったのだと思います。そういう中で我が本県のこの養殖サケというのは、まさに育つフィールドを天然の海に頼っていますから、これに比べますとこういうことはほとんどないのではないか、こう思います。そうしますと、今は食の安全・安心という観点からいきますと、本県のサケをアピールしていく格好のチャンスなのではないか、こんなふうに実は思ったわけでありまして、ただ、これが1回新聞に載っただけで次の日からどこの新聞にも載りませんで、何かあってこれはとまってしまったのかなと思うのですが、それはそれといたしまして、やはり本県のサケをおいしいですよ、安心ですよということをとらまえてやっていくには絶好の機会ではないか、このように思っておりまして、このことに対する当局の考え方、どのように思っておられるかお伺いをします。

〇武井水産局長 委員が御指摘されました報道、これはアメリカのサイエンスという雑誌のたしか1月9日号に連載されたものでございます。それで、この中では、特にヨーロッパ、北米産の養殖のサケと、主としてこれはアメリカ等の天然サケのダイオキシンあるいはPCB等の濃度を比べて、この新聞記事にも載ってございますが、例えば、天然サケの方が汚染物質の濃度が高いというものでございます。それで、これの中では本県のサケとそれから養殖サケとの濃度の比較というのは実はなされておらないわけでございますが、実は水産庁が過去、日本周辺あるいはいろんな輸入された魚介類につきましてダイオキシンの濃度を調べている調査がございます。この調査結果を見ますと、東北沖太平洋の秋サケ、これは主として放流されたサケであると考えてございますが、これのダイオキシンの濃度が、ノルウェーで養殖されたサケのダイオキシンの濃度の約35分の1という非常に極めて低濃度でございます。それで、通常の魚介類全体の平均値と比べましても、本県の放流サケ、いわゆる東北沖の天然サケのダイオキシンの濃度というのは10分の1以下ということでございます。こういうことから、この新聞記事でも示されておりますが、それからまた、水産庁の記事から考えましても、本県のシロザケは放流された後、先ほどちょっと御説明いたしましたけれども、天然の海で自然のえさを食べて育つわけでございますので、極めてクリーンな魚種であるということがはっきりしていると考えてございます。
 こういう本県サケのクリーンな特性をやはり消費者の皆様に正確に知っていただくということは非常に重要なことだと考えてございます。それで、現在、秋サケにつきましては、サケの漁業者あるいは加工業者、あるいは市場関係者で岩手県秋サケ消費拡大推進協議会、こういう協議会を組織いたしまして各種のPRを行っておりますが、今後このPRの中で、先ほど委員御指摘のあったような本県サケのクリーンさ、これをアピールしていくということもやっていくべきではないのか、こういう提案を私どもの方としてやっていきたいと考えてございます。

〇伊藤勢至委員 この回遊してくるサケがそういうことであるということは、本県沿岸の養殖漁業の海藻類、魚介類まで含めてやはり同じようにクリーンなんだと、こういうのが本県のある意味のアピールになっていくのではないか。実名まで挙げて他国と比較するのもいかがかと思いますが、他の国よりは10数倍、数十倍クリーンですよという、これが本県の魚介類の売り込みのアピールの大きな点になっていくのではないかと期待をされるところであります。したがって、そういうことをやりながら、同時に、この岩手県の三陸沿岸の恵まれた自然を後世に残すためにも、今まで以上に海の環境を守っていくことが同時に必要である、このように思っているところであります。
 そこで、本年度に、旧宮古の魚市場の前の海底に随分ヘドロが堆積をしたというようなことから、しゅんせつの予算をつけていただいて調査もしていただいたところであります。これは調査でありますので、どのくらいの量が蓄積をしているのか、そのものはどういうものなのか、あるいはしゅんせつした場合にはどこでこの処分をするのか、そういったことの調査だと思っておりますが、これは一つ宮古だけではなくて本県沿岸の、ほとんどないとは思いたいのですが、ないとも言えないでしょうから、そういう調査を全県の沿岸で広げていただいて、こういう岩手の海はきれいだというアピールのさらなる裏づけにしていただきたい。それが大きく言って三陸の魚介類をクリーンで、安心で、おいしくてということのアピールにつながるものだと思いますので、それを継続してやっていただきたいと思うのでありますがいかがでしょうか。

〇武井水産局長 本県の水質あるいは底質――これは海の底の土でございますが――こういうものの環境調査というものにつきましては、水産技術センターでかなり定期的にやってございます。ただ、この調査、やはり長年の蓄積がなければ、例えば他の海域との比較等もできないわけでございまして、そういう意味では非常に地道な調査でございますが、確かに岩手県の水産物をきちっとアピールしていくためにも、地道ではありますが必要な調査であると考えてございますので、今後とも継続的に調査を行ってまいりたいと考えてございます。

〇佐藤正春委員 私は1点だけお伺いいたします。
 農林水産部では、久慈・森のトレー問題のようなむだ遣いをして、その責任のなすり合いをして、やるべきことはさっぱりやらない。今までの論議を聞いていると農林水産部ではそんなことばかりやっている。私の調査によれば、平成15年度公共事業評価の結果、実施することが必要とされた事業箇所で今回提案されている平成16年度当初予算案に盛られなかった事業、この中に入っていない事業箇所は、ふるさと農道緊急整備事業、ふるさと林道緊急整備事業、復旧治山事業、予防治山事業、地域防災対策総合治山事業など50カ所29億6、000万円に上った。これは私の調査です。これは御案内のとおり、議会でも協会の請願も採択しているわけでございまして、この年にはいわゆる宮城県沖地震対策の発議、岩手県建設産業団体連合会の陳情を決議いたしております。これらの事業は、本県の農林業を足腰の強いものとし、また、県民生活の安全を確保するための基盤整備として最低限必要でございます。かつ緊急性のある事業ではないでしょうか。そこで、まずこれらの事業が見送りになった事業の必要性について、部長はどう認識しておられるのかお伺いをいたしたい。また、なぜこれらが予算措置をされなかったのか、あわせてお伺いをいたします。

〇佐々木農林水産部長 当部関係の公共事業について、特に見送ったその事業の必要性ということでございますけれども、ふるさと農道緊急整備事業につきましては、農業・農村の振興あるいは定住条件の改善に重要な役割を担っているということでございますし、治山事業につきましては、山地に起因する大雨等の災害から人家、公共施設等を守る重要な県土保全の施策であると受けとめているところでございます。さらに、ふるさと林道緊急整備事業につきましては、森林整備や山村集落の生活環境整備のための必要な事業であると認識しているところでございます。
 こうした中で、かなりの地区について平成16年度において見送らざるを得なかったわけでございますけれども、これにつきましては、厳しい財政状況の中で、県財政の健全化を図るということで、今、行財政構造改革プログラムに基づきまして、一切の聖域を設けることなく、徹底した事務事業の見直しを行い、歳出規模の適正化を図ることとして、今、鋭意取り組んでいるところでございます。こうした行財政構造改革の全体の枠組みの中で、投資効果が最大限発揮できるよう、事業の早期完成を図ることとして、事業効果の早期発現に向けまして継続地区を優先的に整備することといたしましたし、加えて、事業間の緊急性、必要性を考慮いたしまして、継続地区6カ所を一時休止するとともに、新規地区につきましては、44カ所の採択を見送らざるを得なかったということでございます。

〇佐藤正春委員 部長、あなた無責任で、今の答弁だけでおやめになるんですか。そうはいきませんよ。あなた今おっしゃったでしょう。これらの事業、私は箇所をちゃんと調べたんだから、調べてそれをあなたの方に出しておりますからね。この箇所、いわゆる緊急のこれらの事業というものを認識しているとおっしゃったでしょう、今の答弁。認識してなぜやらないんですか。そして、片方では、久慈の森のトレー問題のように、全く意味のわからないことを言って、今回もこれらについて県でもって県費で払うなどということ、やっていることが言っていることと全然これは違うじゃないですか。あなた責任あるんですよ。知事はこう言っているんですよ。今、極力やるというようなことを言っているんですが、知事は某雑誌の対談の中で、自治体の公共事業が縮小されていく現状の中で、雇用対策について聞かれた中で次のように述べておりますね。岩手のような過疎県で頭を悩ますのは、おくれている社会資本の整備をどの水準まで引き上げるのか、それと雇用をどうやって確保するのか、その2点です。特に雇用の問題は深刻です。公共事業の雇用効果は大きいのです。それにかわるようなものが見当たらないわけですと、知事はこうおっしゃっているんですよ、ある雑誌でね。後でお持ちしますからよく読んでくださいね。こうおっしゃっている。知事の言っていることと農林水産部のやっていることは全く正反対、相反しているんですね。建設業界の現状というものはどうですか、御存じでしょう。この建設業界の現状と雇用について農林水産部はどのような見解を持っておられますか、重ねてお伺いします。

〇佐々木農林水産部長 公共事業についての認識でございますけれども、これらの事業につきましては、県民生活の向上だけではなくて、雇用面でも重要な役割を担っていると認識しているところでございますが、他方、厳しい財政状況の中で、県財政の健全化を図ることが最重要課題ということでございまして、こうしたことから現在、行財政構造改革プログラムに基づきまして、徹底した事務事業の見直しを行い、歳出規模の適正を図ることとしておりまして、その一環として、公共事業などの投資的経費についても見直しをし、重点化を図ることとしているところでございます。
 建設業の状況についてでございますが、長引く不況あるいは公共事業の減少等によりまして、県内の建設業は非常に厳しい状況にあるものと認識しているところでございます。このため、当部といたしましても、県営建設工事の請負契約につきましては、県内建設業者への発注を優先するという考え方で取り組んでおります。それから、建設業の農業参入等による雇用を促進するために、昨年の5月でございますけれども、関係者で構成する岩手県農林水産業雇用促進連絡協議会を立ち上げますとともに、いろいろ各地に出前説明会を実施しながら、この雇用の促進に努めているところでございます。それから、来年度からは新たに農業参入企業相談センターというものを設置いたしまして、農業参入を希望する建設業者等に対しまして情報提供と相談活動等に取り組むこととしておりますし、今後におきましても関係団体と連携を図りながら、建設業の雇用促進に一層取り組んでまいる考えであります。

〇佐藤正春委員 部長、あなた、認識している、認識していると言うけれども、認識しているがこういう状況だからやれないということなんですか。これは今、私から申し上げたことは、あなたが認識していると同じことで、非常に県民の生命、財産にかかわることなんですよ、全部これは。こういう問題を放置して、本来は、先ほど申し上げましたとおり、公共事業の評価委員会でやりなさいと言っているんです。平成15年度にやらなければいけない。それを先延ばしして平成16年度に来ている。しかも、その平成16年度の中にも入っていない。そういう状態なんですよ。そして、今おっしゃるように知事は平成15年度、平成16年度でもって30%――30%超えているんだけれども、公共事業を減額して、そして4、000人の首を切りますよと言うんですよ。公共事業は主として農林と土木でございますから、あなた今、雇用対策ということを言っておられるようですが、農林として具体的に何人引き受けて、どうするんですか、建設業のこの首になった人を。どうするんですか。私は、そんなお話だけで聞いているわけにいかない。場合によっては今年度の予算というものを丸々承認するわけにいかない。だから、場合によっては修正案、いわば組み替え案の動議でも出さざるを得ない、こうなってくると。そこをはっきりおっしゃってください。最後にやめるときぐらいはきれいなことをやっていったらいかがですか。ちゃんとおっしゃってください。

〇佐々木農林水産部長 公共事業によります社会資本の整備につきましては、本県まだまだおくれておりますので、県民生活の安定向上を図る上でも極めて重要だと思っておりまして、今後とも積極的に取り組んでまいらなければならないと思っております。しかし、現在、厳しい財政環境の中で県財政の健全化を図ることが最優先課題だと認識をしておりまして、県としてのそういう考え方のもとに事業を後年度に見送らざるを得なくなったものでございますが、今後とも再度これらの事業の内容を精査し事業評価をしながら、緊急度、重要性の高い事業からできるだけ早い時期に整備ができるよう鋭意取り組んでまいる考えであります。

〇佐藤正春委員 今の最後のところのさわりのところはよかったね。本人も納得しているようだから。最後、緊急性の高いところはやると、いつやるのかということだ、問題は。平成15年度、平成16年度に入っていないんだから。そこで、あなたはもうおやめになっていないんだから、残っている佐々木忠正次長、あなた担当だから、あなたが引き受けてどうするの、これは、補正でやるの、それともこれから考えて――予算特別委員会はあしたで終わりですからね――何とかこれを入れると言うのかね。私としては、これは黙っていられないからね、組み替え案なり何なりを出さざるを得ないですよ。次長、責任持ってお答えしなさい。

〇佐々木農林水産部次長 先ほど部長から申し上げているとおり、現在の段階ではなかなか取り組めるような予算の状況にはございませんが、部長が申し上げましたとおり、緊急性の高いものから、経費節減等も考慮しながら、可能な限りできるものから順に取り組んでまいりたいと考えておるところであります。

〇田村誠委員 私は、畜産振興に関連をいたしまして、現在大変話題になっております鳥インフルエンザについてお伺いをさせていただきたいと思います。
 当県の重要産業の一翼を担っておりますブロイラー産業が抱える最大の課題でもあります鳥インフルエンザに対しては、県もいち早くお取り組みをいただいておるところでございますが、我が国で79年ぶりに山口県で発生以来、大分県あるいは京都府と拡大をし、移動制限区域の養鶏業者はまさに経営の存続の危機に至る深刻な影響を受けており、これに鳥肉、卵の買い控えによる鳥肉相場の大暴落あるいは卵の価格の低迷など、いわゆる風評被害までこれについてまいりまして、2月よりの売上減少が目立ち、現状では対前年比で30%の落ち込みと言われておりまして、県内業界も国、県の指導をいただきながら感染防止に全力を挙げておりますけれども、もし万が一、発生をしたということになりますと、京都府にも見られる、あるいは大阪府にも見られるように、その被害はかなり甚大なものになると思うわけでございますけれども、岩手県のブロイラー産業に壊滅的な打撃を受けないための対策ということで、最大漏らさずのその対策が早急に求められていると思います。そこで、まず県としてのこれに対する取組姿勢についてお答えをいただきたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 鳥インフルエンザウイルスについてのお尋ねでございますが、正式には高病原性鳥インフルエンザということでございますけれども、鳥インフルエンザと私も言わせていただきたいと思いますが、いずれ海外だけではなくて我が国にもこの鳥インフルエンザが発生いたしまして、本県としても大変危機感を持っているところでございます。養鶏というのは採卵鶏とそれから肉のブロイラーと両方あわせて養鶏でございますけれども、養鶏産業が大変盛んでございまして、本県は羽数で全国3番目、それから産出額で第2の県でございまして、そうしたことからいたしましても、一たん発生いたしますと大変な事態になりますことから、県としても大変危機感を持ってこの問題に対処しなければならないと思っているところでございます。
 基本認識ということでございますが、大きくは飼養者への対策とそれから県民への対応ということだと思っておりますが、一つには、感染防止対策を徹底的に講じるということでございますし、あわせて、万が一のことは申し上げたくないわけでございますけれども、しかし、万が一に備えて早期発見、それから初動防疫ということが大変大事になりますので、その体制をきちっととっておくというような考え方で今進めているところでございます。
 それからもう一つは、養鶏農家だけではなくて、少羽数飼っている方もおられますし、それから愛玩鶏を飼っているというところもございますので、そういう生産者の対策と、こういった少羽数なりそれから愛玩鶏などを飼っている方々へのこの問題への対応ももう一つ大きな課題だと思っておりまして、今こういった方々に対して、県内に衛生指導協会というのが各地にありますけれども、そこが中心になって、そして消毒薬でもって消毒するところまで徹底したいというようなことで、今その体制といいますか、準備に取り組んでいるところでございます。それが飼養者への対策だと思っております。
 それからもう一つは、先ほど委員から話がありましたように、風評被害と申し上げていいかと思いますけれども、非常に採卵鶏が低迷している、それから鶏肉の価格も低落の一途だということで、養鶏産業、大変苦戦をしております。これは、とりもなおさず、消費が減退しているということでございますので、ここの対策を消費者に正しく理解をいただくということが一番の基本になると思いますので、こうした消費者に対する正しい知識の普及、理解を深めていただくというような取り組みも、大きな柱に掲げてやっていかなければならないと思っているところでございます。

〇田村誠委員 基本的認識につきましては理解できましたので、関連して幾つかお伺いいたしますが、先ほど部長も高病原性鳥インフルエンザというお話をいたしました。このことについて、私は風評被害のみならず、正しい知識といいますか、この鳥インフルエンザで即、死ぬというとらえ方をしている方も数いるようでございますし、けさの新聞などを見てみますと、給食センターで鶏肉の料理を自粛する。これは県内でも出ていますし、あるいは特に京都とかそちらの方ではかなりの割合で学校給食などから取り外してみたり、あるいはまた買う方々の意識調査をしてみましても、約半分に近い方々は大変危険なもの、だから控えるんだという状況に至っているようでございまして、この鳥インフルエンザは、国でも加熱処理をすれば安全だということをきちっと認めていますし、人間にそれは移らないだろうとはっきり言っているわけですから、これを正しく理解をしていただくことがまず一つ私は大事だと思いますので、その対策を今後どのようにやっていくのかお願いをいたしたいと思います。
 それから、感染防止のための対策として、今、農家のブロイラーの経営者の方々は、従来にも増した消毒といいますか、防疫対策に力を入れていただいているようでございまして、それが結果的にはコストを押し上げる、そういうことにもつながってみたり、逆に買い控えということで、かなり農家の経営状況というものが厳しくなってきております。これに対する支援策というものを県としてどのように考えていらっしゃるのか、お伺いをいたしたいと思います。
 それからもう一点、先ほども部長の方からもございました。ブロイラー農家の飼育のみならず、一般家庭での飼育、あるいは学校、あるいはペット、こうしたものもあるわけでありますけれども、その実態というものをどの程度把握をされて、今後こうした方々への防疫対策の周知あるいは指導というものをどうなさっていくのか、お伺いをいたしたいと思います。

〇佐々木流通課長 風評被害の防止対策についてでございますが、鶏肉やその鶏卵を食べることによって人間に感染しないということはマスコミ等でも報道されておるわけですけれども、必ずしも一般の方々まで伝わっていないというのは事実だろうと思います。ですから、県といたしましては、県のホームページ各種を使って、いろんなページにそのことを張りつけてございますし、さらには、業界団体と連携いたしまして、小売屋さんの店頭に、食べても安全ですというポスターあるいはチラシを配布するという取り組みをやってございます。
 それから、学校給食の件でございますが、これは県の教育委員会が市町村の教育委員会に対して高病原性鳥インフルエンザについて正しく理解し、冷静な対応をするようにということで、学校給食関係あるいは県立病院関係につきましても、それぞれ呼びかけておるところでございます。引き続き、繰り返し鶏肉、鶏卵が安全であるということを情報提供してまいりたいと考えております。

〇千葉家畜衛生対策監 ペットなどの実態把握をしているかというお尋ねがございましたが、現在、家畜保健衛生所を通じまして調査をしているところでございます。現在のところ把握できている部分については、二千数百戸というように聞いてございますが、これらの調査をした上で、先ほど部長から申し上げましたけれども、消毒薬でもって消毒してまいりたいと考えてございます。
 それから、農家支援対策ということでお尋ねがあったわけですが、国では既に発生農家の経営再開や、移動制限により影響を受けた農家の経営を支援するための低利融資など措置してございます。ほかに損失しました金額につきまして、2分の1を補てんするような高病原性鳥インフルエンザ蔓延防止緊急対策事業などが行われてございます。本日でございますけれども、政府では、これまでの対策とあわせ、鳥インフルエンザの被害拡大を受けた家畜伝染病予防法改正や移動制限に協力した養鶏農家に対する救済措置などを盛り込んだ緊急総合対策を決定するというようなことを伺ってございます。

〇田村誠委員 まだ他山の石ということで、京都とか向こうの方にあれはいるわけでありますけれども、こちらの方に絶対来ないということはないわけでございまして、事前の対策というものがまず大事だろうし、そして今農家そのものが大変な経営状況が厳しいとき、県の支援姿勢あるいは指導というものは大変大きな農家の励みにつながるものと思います。
 そこで最後にお伺いをいたしますが、そうした施策とは別に、例えば牛肉のBSEみたいなものが発生してみたり、あるいはO-157の風評被害、こうしたものによって、それでなくても今までも大きな被害を受けている農家の方々の風評被害対策を強化すると同時に、消費拡大というものがまさに大事だろうと思います。このようなすばらしいチラシを配ったりして、そういうものに取り組んでいただいているようでございますけれども、今後のこうした消費拡大についてぜひお取り組みいただきたいと思いますが、その点をもう一つお願いをいたします。
 それから、農家、経営者のみならず、鳥インフルエンザに対する不安というのは県民の中にも広がっているわけでございますから、こうしたものに対する相談窓口といいますか、あるいはこの鳥の病気を担当する家畜防疫員の配置だとか、そうしたものはどのような状況になっているのか、最後にお伺いをいたしたいと思います。

〇佐々木流通課長 消費拡大ということでございますが、消費拡大していくために、消費を回復していただくためには、何よりも消費者の皆さんが抱いている不安を取り払ってあげるということが大前提でございまして、そういう意味で、先ほどお話し申し上げましたように関係機関・団体と連携し、とにかく消費者の不安を取り払っていただくための情報提供に相努めてまいりたいと考えております。

〇千葉家畜衛生対策監 県では、家畜防疫ということで伝染病予防法53条というのがございまして、県内の臨床獣医師あるいは獣医師を地区家畜防疫員に任命いたしまして、本県の家畜防疫事業の円滑あるいは的確な推進を図るため、現在、県内に93人を配置してございます。高病原性鳥インフルエンザの発生を受けまして、家禽等の飼養者に対する本病の周知や消毒の徹底、あるいは地域で行う自衛防疫活動への協力、異常等の情報があった場合には、速やかに家畜保健衛生所に報告するよう、改めて依頼したところでございます。

〇佐々木順一委員 田村委員の質問に関連させて2点伺いますが、国の方では飼養羽数1、000羽以上の1週間ごとの死亡数の報告義務を課しているわけでありますけれども、御案内のとおり本県は屈指の養鶏業であります。国の指導で岩手県の農政部としてある程度十分であると、こういうとらえ方をしているのか、あるいはもう少しきめ細かくやった方がいいという考えがあるのか、その辺の判断をお聞かせいただきたいと思います。
 それから、一般的に見ても異常な死に方をした鶏とか家禽類、これが通報のプロセスは恐らくだれかが発見して、そして通報してそして家畜保健衛生所で外見判断、また、疑いがあれば科学的調査に入って、最終的には陽性、陰性の確定と、こうなると思いますが、それに至るまでの所要時間、大体どのぐらいかかっているのかということと、それから、今たくさんの多分持ち込みとか問い合わせがあると思うんですが、最近の持ち込み件数、どういった状況になっているのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。

〇千葉家畜衛生対策監 今お尋ねになりました1、000羽以上の飼養者に対して3月7日から、伝染病予防法がございまして52条の規定で報告を求めているところですが、これらよりも飼養羽数の少ないものに対して、このような同じようなことを行っているかということでございますけれども、先ほど申し上げましたが、現在市町村を通じていろいろ調査してございまして、異常を発見した際には、家畜保健衛生所に届け出るよう指導してございます。これで十分とは言えないわけですが、いずれ地域の家畜衛生協議会を通じまして、消毒等を行うことで取り進めてございます。
 それから、診断までの所要時間ということと、これまでどれくらい検査されておるかというようなお話でございますが、異常家禽等の通報につきましては、市町村を初め警察署、あるいは地方振興局に寄せられるわけなんですが、この高病原性鳥インフルエンザを疑う場合には家畜保健衛生所に通報されまして立入検査が行われますが、その際、異常があった症状があったり、死亡率が10%以上も超えたというような場合には簡易検査を行います。この場合、陽性になった場合には、即その飼養者に対しまして出荷の自粛要請や鶏舎の消毒、立入制限などを要請します。
 このような診断のための所要時間と申しますと、家畜保健衛生所の立入検査とそれから最終診断までですが、おおむね7日間ぐらいで本病のウイルスであるかどうか確認されます。
 それから、これまで寄せられた野鳥あるいは庭先で死んだ家禽の件数でございますが、3月12日現在で94件ということでございます。実際に検査された件数でございますが38件ということで、いずれも検査した結果、高病原性鳥インフルエンザを疑う事例ではありませんでした。

〇佐々木順一委員 部長にお聞きしますが、今お話しのとおり大体1週間かかると。それから、調査の精度が細かければ細かいほどいいわけであります。いつ来るかわからないようなこの状況下にあります。しかしながら、先ほどの田村委員との質疑の応答の中でも、今回の鳥インフルエンザは家畜伝染病の関係でありますから、人に移らないわけでありまして、法律の考え方とすれば。BSEとは全く違うわけでありますが、いろいろ新聞報道では豚が仲介して人のインフルエンザと鳥のインフルエンザが異常分裂といいますか、発生をして、それがうつるのではないかという一応の説もありますが、いずれにしろ、食の危機管理でありますので、検査の時間を短縮すること、それから調査の精度を高めること、それはきめ細かくやるということになると思うんですが、本県の養鶏の置かれた実情にかんがみまして、県の方でそういった独自の取り組みをやる用意があるのかどうか、その1点を確認して質問を終わりたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 この病気につきましては、何としても本県への侵入は避けなければならないというような基本認識のもとに、取り組める対策はすべて行うというような気持ちで取り組んでいきたいと思っているところでございます。
 今度、3月12日付で厚生労働省から通達をいただきましたが、食鳥処理場に搬入された鳥が食鳥検査員による臨床検査において、おおむね3%以上がこういう病気を疑う症状を呈していると判断される場合にはいろんな検査が行われるということで、そこでまた一つ網が張られるというような新しい取り組みがなされることになっておりまして、本病のチェック体制は一段と厳しくなっていると認識しているところでございます。
 いずれ、養鶏で生計を営んでいる方々と、それからもう一つは、チャボなどの家禽を飼っているところをどうするかという話になるわけでございますけれども、生計を営んでいるところについては、最終的にはただいま申し上げましたように食鳥処理場に搬入されるわけでございまして、そこで十分チェックされるということになりますが、少羽数庭先で飼っているとか愛玩用で飼っているというところをどうするかというのが大きな課題だと思っておりまして、そういう意味で、新たに家畜衛生指導協会と市町村あるいは県も含めてチームをつくりまして、こういう農家に逐一巡回をしながら消毒までやっている。その機会に、全部基本的な問題について周知を図るというようなことを、個別具体的に徹底して取り組んでいくという考え方で今進めておりまして、今後さらに取り組むべき必要な対策が出てくれば、それらについても徹底して実施してまいりたいと思っております。

〇千葉伝委員 ただいまの高病原性鳥インフルエンザの田村委員、佐々木委員に関連いたしまして、私も一つだけは確認したいと思います。
 これについては先ほど来、食の安全・安心という観点からの対策をしっかりやらなければならないということであります。これまで万が一出た場合ということを想定したさまざまな対策を進めていただいている関係の県あるいは団体、そういったところで取り組んでいただいている部分には敬意を表するところであります。
 ただ、先ほど来の話で、風評被害という観点から考えた場合に、BSEという日本での大きな被害、あるいは風評被害があったわけであります。それが私は一つの考え方、あるいは進め方の中に似たところがあるのではないかと。もちろん病原体そのものは言わずもがなですが、BSEは異常たんぱく、プリオンということが言われておりますし、今回の鳥インフルエンザ、いわゆるウイルスという部分での、これが発生した場合の被害というのは御案内のとおりなわけであります。
 申し上げたいのは、きちっと今の風評被害をどうするかというのは県だけでということは申しません。当然、国から関係のところが、きちっとした新しい知識を国民、県民に理解していただくと、これが第一だと思います。先ほど部長の答弁等々、それから家畜衛生対策監の答弁等でありますとおり、正しい知識、これをしっかりと進める必要があろうと思っています。
 そういった中で、鳥から鳥へ、タイプがこれはインフルエンザたくさんあるわけであります。そういった知識の部分が、例えば先ほど佐々木順一委員の方から豚の話も出ました。当然、濃厚に感染した場合に、鳥から人への部分というのは例があるわけであります。ただ、今のところは……(「質問を」と呼ぶ者あり)はい、失礼。簡単に、関連であります。鳥から人間というのはまれにあると、こういうこと。そしてまた、卵、鶏を食べての感染というのはこれまで世界的に報告されていないと、ここの部分が私は強調すべきだろうと思っています。
 それで、こういったことをきちっとやっていくためには、対応、対策の中で、先ほど連携の話が出ました。もちろん農林水産部だけで進めるということではないと思います。先ほど教育の話も出ました、そういったあたりの対応。この間も新聞等では自衛隊とか県警とかも入って話をされたということでありますが、そこの状況と、それから今後の対策を進めていく上で、飼っている鶏、ペットもありますが、野鳥の話が今出ております。野鳥の関係については、このことを家畜保健衛生所というだけではなくて、環境、保健サイドの、そういったところの協力というものも私は必要ではないかなと思っていますが、そういったあたりの協力体制等はどうなっているでしょうか、2点です。

〇千葉家畜衛生対策監 県といたしまして、3月9日でございましたが、感染防止対策の万一の発生等を踏まえまして、陸上自衛隊、県警本部、養鶏団体を含めた関係機関等で、高病原性鳥インフルエンザ緊急防疫対策連絡会議を開催いたしまして、早期発見、初動防疫等を含めた体制整備について協議いたしました。その際には、野鳥の取り扱い等もございますので、それなりの部署等も出席いただきまして取り進めてございます。先日、内輪ではございますが、関係するところとこの野鳥の取り扱いについて、どこが窓口にしてどのようにするかということにつきまして検討いたしまして、また各地方振興局と各家畜保健衛生所等に通知することとしてございます。

〇千葉伝委員 いろいろ大変でしょうが、万全な対策を進めていただくようにお願いしまして、関連質問を終わります。

〇佐々木大和委員 私は林業の問題で質問させていただきます。
 今、木材の価格も低迷しておりますけれども、一定の需要のある中で外材が8割にもなりまして、なかなか大変な状況があるわけですけれども、実際は岩手県の場合でも、この木材資源を充実させて国産化時代に向けて対応していくということで、これまでも長い間森林造成に取り組んできているわけでありまして、今、そういう中で岩手県の場合も、その需要というのは言うなれば大きく分ければ製材品と合板とチップという部分に分かれますけれども、製材品、合板に関しては特に針葉樹が要求されるわけでございますけれども、そういう意味で人工林化を進めてきていますが、現在の岩手県の人工林の状況は面積ではどんな割合になってきているか、そしてまた、全国に比べてどういう状況なのか。そこにまた、機関造林として県行造林、公社造林、国の方では公団造林、今は独立法人ですけれども、そういう形で進めてきておりますけれども、岩手県の県行、公社の機関造林の割合はどうなっているのか、まずお伺いしたいと思います。
 そしてあわせまして、今回林業公社が県に移管するということが決まりまして、その方向が示されまして、いよいよもって進んでいくわけですけれども、先般、総括質問でも小野寺研一議員が質問しておりますが、これらの移管に伴って、これからの事業の取り組みはどんな内容になっていくのか。そしてまた、この事業費の削減方向が見えるわけですけれども、その点についてこれからの公社を引き受けてからの機関造林の動き方、動向についてお伺いをしたいと思います。

〇照井緑化推進課長 二つのお尋ねでございますけれども、一つは、県の人工林の現況と機関造林の割合ということでございますが、平成14年度末現在におきます本県の森林面積は118万1、000ヘクタールでございますけれども、このうち民有林は78万3、000ヘクタールということで、そのうち34万2、000ヘクタールが人工林ということになってございます。この人工林のうち、県有林は5万4、000ヘクタール、林業公社有林は2万4、000ヘクタールということで、あわせて7万8、000ヘクタールでございまして、機関造林の割合は23%となっております。
 それから、人工林率の全国的なものとの比較でございますけれども、岩手県が現在43%ちょっとでございますし、それから全国的には46%ぐらいということで、大体同程度の率と思っております。
 それから、公社造林の県有林への移管に伴う契約変更等の内容に関してでございますけれども、今の県の考え方といたしまして、林業公社事業と県有林事業を一元化しまして、正規の見込まれる森林につきましては長伐期化に移行するということにしてございます。この際には、土地所有者に十分内容等を御説明した上で、現在の分収林の契約期間、大体55年になっておりますけれども、これを80年とするための契約期間の変更というものが必要になってこようかと思っております。また、分収造林契約では、公社理事長と土地所有者との契約ということになってございますので、造林者を公社理事長から県知事ということで変更しながら、県が管理をしていくということで考えているところでございます。

〇佐々木大和委員 民有林、岩手県の場合も大体3分の2ですけれども、その中で今言った4分の1がこの機関造林ということで、まさに中核となる森林管理をしているのは県の県有林と林業公社だろうと思うわけであります。これらでいよいよ大変なのは、これからしばらくの間まだ間伐で、主伐の時期までの間があるということなんですけれども、そこでいろんな事業が果たして継続していけるのかなという不安を持っているわけですけれども、これまで県有林それから公社事業、県行造林、公社造林は、各地域においてまさに後継者育成といいますか、事業者を育成するのに相当な貢献度があったと思っております。
 私も現実に見てまいりまして、今までの中では公社造林をやっている地域において、私どものところでも数世帯、4軒か5軒ですけれども、ここ10年ぐらいの間に世帯をはぐくんでまさに後継者として育っていると。そういう環境が現実にあります。そういう中で、これからの事業方向が不安を与えては非常にまずいのではないかと、だめではないかという感じがいたしまして、造林事業の特徴は、結局50年で契約して事業計画をつくっても、最初の5年、下刈りのある時期で8割方の事業費が出てしまうと。その後ぐんと仕事が落ちるということで、新植がなくなったことが本来問題なんですけれども、後継者をここまで育ててきたのに、この事業を続けるために何か事業をふやしていって山村の生活者、林業者を継続していかなければ、本当の主伐の時期を迎えたときの林業労働者を確保できなくなると、そういう不安があると思います。
 今、これまではこの公社の場合にまさに経済林としてやってきていますが、国の方の公団、今独立行政法人の緑資源機構は、要するに保安林、水源涵養を中心に保安林で持っていくということになっているわけでして、そういう意味においては山の目的がちょっと違うんですけれども、今、そういう評価も高まっていますが、山の担い手を実際どうやって継続させてこれから新植の終わった時期に事業費を出す工夫ができるのか。その辺について県が、言うなれば一番の林業者としてのモデルになっていくわけですので、民間は今の木材価格ですと簡単には投資はしないでしょうが、そういう公益性も含めた森林管理という意味で、これから先をこれまで育成してきたこの山をどうやって育てていくか、そしてそのことによって事業費を減らさないことが後継者の育成につながっていくというわけですけれども、そこに対する取り組みは今どうなっているのかお伺いしたいと思います。

〇照井緑化推進課長 今、後継者との絡みでのこれからの管理のあり方でございますけれども、公社にかわりまして今度は県が責任を持って管理をしていくということでございます。その中で、今事業としてございますのが間伐、保育、これが中心となって続けてございますし、新たな拡大造林という形になりますと、そういった意味では事業的にはなくなるわけでございますけれども、そういった間伐を通じながら、地域の後継者の意欲を失わないような形で一つは持っていきたいと思っておりますし、それから、伐採した後でございますけれども、当然、今まで植えてきたものは長伐期であってもいずれ伐期が来るわけでございまして、伐採した後に、これは個人の方に今度は山が戻されるわけでございますけれども、今、平成15年からも森林山村対策という形で、市町村とそれから所有者が協定を結びながら森林を管理していくという場合に、交付金の対象になるというような制度も出てきてございます。
 また、一方では、今保安林というお話が出ましたけれども保安林改良、いわゆる治山事業を活用した保安林改良でもって造林を推進するという手もございます。
 それからもう一つは、人によりましては自分で山を管理したいという方もございますので、その場合には高率な補助金が適用できるような、いろいろな仕組みといいますか推進する上での仕組みを御提示しながら、極力その後の管理そしてまた担い手の確保につながるような形で考えていきたいと思っております。ただ、今後、公社それから県有林、これにつきまして長伐期施業という形になってまいりますと、本格的に伐採が始まってくるということになりますと、これから大体35年から40年ぐらいかかって本格的な伐採になってくるということになりますものですから、国に対しましても跡地の整理等についての施策といいますか、そういった適切な施策というものについても国に対しても要請をしながら、地域の方々と一緒に考えながら進めていきたいと思っております。

〇佐々木大和委員 長伐期になっていくということなんですけれども、そういう中での対応はなかなか大変だと思います。本来は、50年契約でスタートしていれば、例えば公社の場合でも、結局経済林として対応していくのであれば、本来50年ごとに損益計算書が出るんですけれども、山の会計は、どちらかと言えばそれまでの間は貸借対照表だけで実際進むと。普通、事業会計というのは両面見なければならないんですけれども、損益が出る前に方向変換したというのは非常に不満があると思います。そういう意味では、このフローとストックを見分ける損益計算書と貸借対照表の使い分けから言っても、本当は途中の変更というのは非常にまずいことなんですが、今まで以上の成果を上げて林業振興に役立ててもらわなければならないと、そう思っております。
 先ほど出ましたけれども、間伐それから保育にこれからの事業が移ると。さっき佐藤正春委員からも出ましたけれども、まさにそれを進めるためには林道とか作業道をもっともっと徹底してやってやらないと、山は森林事業は進まないのではないかと。そういう意味で、公共事業との連動も含めながらやってもらいたいと思います。
 それから、25年の長伐期にする、25年プラスして80年にしていった場合に――30年プラスですか、そういうことで80年の長伐期に持っていったときに、残っていく山が相当出るでしょう。実際には経済林の対象にならない場所が見えてくるんだと。そこに保安林というものの出番があるのではないかという感じがするんですけれども、そういう方向性もぜひ検討してもらいたいと思います。
 それから質問ですけれども、これはもう一つの50数%、60%近くが広葉樹林になりますね。天然林になりますけれども、これまでも天然林改良ということで育成天然林事業等々進めてきているわけですが、この広葉樹林対策のそこでの、どちらかと言えばほだ木だとかそんな形での単層育成林ですが、こういう事業が進むときに、どうしても補助金プラス自己負担分の事業費が必要なんです。これが今までは森林担保資金等々というのがありましていろんな形で来たんですが、林業金融というのは、実際は収入が上がるのに先ほど言いましたように50年あるいは80年に1回しか上がってきませんから、その間、成果を受けて償還できるような制度が必要だと思うんです。それらを含めて育天事業をふやしていくことがこれからの後継者対策になるわけですけれども、そういう意味におきまして育天事業のこれからの方向と、それから林業金融に関しての考え方、できればこれは部長からお願いしたいと思いますけれども、よろしくお願いします。

〇佐々木農林水産部長 広葉樹を主体とした天然林の話でございましたけれども、本県の民有林の天然広葉樹林の面積、約36万5、000ヘクタールございます。民有林の46.6%ということで、約過半を占めているわけでございますが、水資源の確保あるいは県土の保全、さらには地球温暖化防止といった観点からも非常に大事な役割を果たしていると思っているところでございます。こういうことで、県におきましても、ケヤキなどの有用広葉樹につきましては将来の建築資材用として、また、コナラなどにつきましては主としてシイタケ用の原木用として、国庫補助事業を活用いたしまして不用木の除去などの天然林への施業を推進しているところでございまして、大体年間で約1、000ヘクタールぐらいの実績ということで取り組んでいるところでございます。
 今後とも、そういう多様な森林の整備を図るという観点から、天然広葉樹の育成整備に努めてまいりたいと思っております。
 それから、お尋ねの資金制度につきましても、こういう観点からどういう仕組みであればいいのか、さらにその内容をどうすればいいかというようなことについても、こうした重要性とあわせて検討していく必要があると、そのように思っております。

〇佐々木大和委員 分収造林をするときに地上権を設定するわけですので、地上権を設定して私有地を貸借すると。そのことによりまして、その山は長伐期に持っていけば80年間、実質の所有権は消えると、地上権がついてきますから、そういう内容であります。それをやってこれまで7万8、000ヘクタールをやったわけですが、これだけのものが実は私有地からの借り上げで実際は財産価値をなくしていると。ここに見合う制度というのは、実は私も最初にこの仕事に入るときに、条件的に出したことがあるんですが、実現しないできております、30年ぐらいたちますけれども。やはりこの地上権を設定したという責任は、この事業にはついて回ると思います。ここは重要な課題として検討してもらいたいと思いますし、山村でここまで持ってきましたが、国産材時代が到来することを信じて山の仕事をしてきた2代、3代にわたって実際には手入れをしてきております。結局、先ほど申し上げました公社造林でも、今2代目が山に入ってきた時代になっているんですが、そういうところの重要性を考えながら、ぜひこの事業費の増加というのには削減が起きないように積極的な林業振興をしていって、本当にまだ先かもしれません、10年先、もっと先になるかもしれませんけれども、国産材時代が必ず来るでしょうから、そういう意味で取り組みをしていただきたいと思いますが、改めて部長からお願いします。

〇佐々木農林水産部長 機関造林事業、これまで長きにわたって整備を進めてきたわけでございまして、実績として林業公社、県有林事業をあわせて8万2、000ヘクタールの森林を造成してきたと。この8万2、000ヘクタールの面積の大きさを――本県も米生産県なわけですけれども、水田面積の畦畔を除いた面積が約8万数ヘクタールでございまして、言うなれば、本県の水田の面積とほぼ同じ造林がなされてきたのだということでございまして、そういう森林資源を蓄積したと同時に、雇用対策にも大変な役割を果たしてきたものだと思っているところでございます。しかし、残念ながらこういう材価の低迷の中で、一方では多額の借入金を抱えるというような、そういう経営状況にあって、将来を考えたときに、林業公社なりのあり方というものはどうあればいいかというようなことを、今の時点で真剣に方向づけをする必要があるというような考え方で、今関係の市町村と一緒になって検討を進めているところでございますが、いずれ、今、材価が低迷して苦戦をしておりますけれども、東南アジアの方ではもう既に伐採する木がなくなってきたというような話もちらほら聞かれておりまして、国産材時代というのはやがて来ると、そのときのためにもきちっと保育管理をしておく必要があるという基本認識に立っておりまして、そういう意味でも、今後におきましても、この機関造林事業も含めまして、森林事業全般にわたってそういう機能なり役割が十分果たされるような県としての取り組みをしていく必要があると思っているところでございます。

〇佐々木俊夫委員 ただいま国産材をめぐってなかなかすばらしい質問でもあったし、いい答弁でございました。その中で、日本国内には一定の木材需要はあると。あるけれども、8割方外材が入ってきているので、その圧迫によって今の林業というのは困っているという、簡単に言えばこういうこと。しかしながら、環境問題に絡んで外材の伐採が各国で制限されてきているから、やがては国産材時代が来るんだと、こういう夢を持ったお話なわけであります。ところが、それは一つの守り的なんですが、私の聞いている範囲では、実は宮崎県では木材輸出を始めたと。相手国は中国。昨年杉丸太40万本ぐらい輸出したと。そしてことしもまた段取りが進んでいる。そしてまた、なおかつ、島根県でも計画中であると。さらに、私どもの隣県の秋田県でも今盛んに中国に売り込みに入っていると。非常に日本材が中国で評判が高いと。あそこの国では大体北洋材、ソビエト材というんでしょうか、それが主たるものなんだそうですけれども、それに比較しまして日本材というのが中国の風土にも合うし、非常に好まれている傾向が出てきていると。しかも、中国は御承知のように経済発展が著しくて、今、家電時代から自動車時代になって、やがて住宅時代に入るだろうと。そういう目標のもとに、逆に攻めの林業対策というものが各県で進みつつあると、こう聞くんですが、我が県でそういう発想といいますか、そういうことを考えられたことがあるのか。特にも、盛んに知事は北東北3県云々と言って、ソウルにも事務所をつくるだとかシンガポールがどうだとかやっていますけれども、そしてまた知事の発言の中に、やがて中国は最大の市場であるということも極めて抽象的な発言なんですが、具体的に、では、岩手県の林業振興に絡んで、そういうことを考えられたことがあるのか、それとも何かあるのかないのか、いかがでしょう。

〇佐々木農林水産部長 今、農林水産業、さまざまな課題を抱えて大変苦戦をしているわけでございます。特にまた、WTO等の合意交渉が始まるというような状況になっている中で、本県あるいは我が国としてこれからの農林水産業の振興を図るためには、守りだけではなくて攻めの姿勢に転じることが、今まさに求められていると思っているところでございます。そういうことで、委員からお話がありましたように、各県でそういった形で海外輸出というような取り組みをしているところでございますが、本県といたしましても、先進県からはちょっとおくれたわけでございますが、16年度から新たに農林水産物の輸出可能性について調査をするという、新しい事業を実は創設をさせていただきたいと思っておりまして予算提案をしているわけでございますが、そういう形で、具体的に本県としてどこのところから手をつけられるのかということで、おくればせながら、来年度から具体的に取り組んでいくことにしておりますし、それから、東南アジアの方に、台湾なり中国の方に市場調査に参りますけれども、一方では向こうの方からもそれぞの中心となる方々を招聘いたしまして、そして輸出化の可能性についてのアドバイスをいただくというような取り組みを新年度から実施させていただきたいと思っておりまして、いずれにいたしましても、守りだけではなくて、攻めの姿勢でこれからの農林水産業に取り組んでまいらなければならないと、そのように思っているところでございます。

〇佐々木俊夫委員 いいお話を聞きました。やっぱり攻めの時代にも入っているんだろうと。特にも秋田県は既にもうセールスに行っているんだそうです。私どもは今状況調査というお話ですけれども、既にもう行動開始をしていますので、今度の当初予算でその程度であれば、次の6月の補正でもつくってそして攻め込んでいくと、売り込んでいくと。知事も結構外国に行きますから、トップセールスを中国に行って、これだけの本県の県産材を売ってきましたよと、契約はこうなりますよというぐらい、夢のあるような外遊をされたら結構だなと、こう思いますし、部長はことしで終わりなようですけれども、しかし、恐らく関連のお仕事もされるでしょうから、ひとつ外側から協力をしていただいて、問題は木が売れないということなんですね。これさえ売れれば、ローン問題でも何でも解決します。そういうことですので、ひとつ外国対策を積極的に進めるように申し上げておきます。答えがあればいただきますし、なければ……。

〇吉田昭彦委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時58分 休 憩
   午後1時6分 再 開

〇照井昭二副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。

〇佐々木順一委員 端的に米に関係して2点伺いますが、まず一つは、食味ランキング9年連続の特Aのひとめぼれ、評価が高いにもかかわらず、一部独創性、オリジナリティーがないのではという指摘もありますが、評価も全国的に上位の方にあるかもしれませんが、新潟県とか福島県等々と比較するとそれなりの評価に甘んじております。この現状を農林水産部としてどう分析されているのかということが一つ。
 それから、もう一つは、米改革大綱、本年度、集落ビジョン策定、全県で今、進められていると思いますが、資料によりますと設定目標数2、227、そして原案が策定された集落数638と伺っております。これが目標が進まない原因につきまして。あわせて2点お伺いいたします。

〇佐々木流通課長 県産米の評価でございますが、県内ひとめぼれにつきましては、新潟魚沼コシヒカリとあるいは山形内陸はえぬきとともに、最高級の米という食味ランキングでは評価をいただいておりますけれども、残念ながら価格差があるというのも事実でございますが、本県産ひとめぼれは大手卸から最近一定の評価をいただいているところでございまして、しかしながら、卸さんの評価はいただいておりますけれども、さらにその先の消費者の評価ということになると、もう少し頑張らなければいけないのかなと考えてございます。やっぱり本県が将来とも米主産地として勝ち残っていくためには、これまで以上にオリジナリティーと申しますか、特別栽培の生産拡大あるいはその生産履歴の全戸記帳などに重点的に取り組みまして、安全・安心な産地であることを前面に打ち出して、大手米卸なりあるいは最近需要が安定してきてございます外食産業なり中食産業者に対する売り込みを強化してまいらなければならないと考えておりますし、あわせて品質・食味のすぐれたひとめぼれを中心といたしまして、県産米を消費者に直接消費宣伝していくようなそういう取り組みを強化してまいらなければならないと考えてございます。

〇小原水田農業推進監 それでは、集落ビジョンのお尋ねにつきましてお答え申し上げます。
 この集落ビジョンにつきましては、お話しのとおり、これまで約2、200の目標で県下全域でビジョンづくりがなされているわけでございますけれども、委員の方からお話しされました637でございますけれども、これは1月末現在のビジョンの策定状況でございまして、その後、県下では集落座談会等が急速に進められておりまして、2月末で申し上げますと、目標の約半数を超える1、300ほどのビジョンが現在つくられてございます。中身を見ましても非常にそれぞれの地域の特性なり、あるいはその話し合いを一生懸命なされまして、非常に中身の濃いビジョンが策定されておる状態になってございます。

〇佐々木順一委員 まず、米の販売の件ですが、新しい米改革大綱で各地域の特性を生かした銘柄が県内でもいろんな地区から今後出てくると思います。したがって、ある意味では県南とか県北とか、そういったくくりの中での米の売り方、販売戦略がこれからは農協さん等地域も含めまして、きめ細かなそういった戦略方針を立てなければならないのではないかと思っております。ついては、今後のどういった販売戦略、行動計画ですか、それをつくらなければならないと思うのですが、そういったお考えがあるのかどうかお伺いいたしますし、もう一つは、集落水田農業ビジョンの関係ですが、これをつくらなければ交付金の受け皿、最終的に難しくなると思います。結果的に地域の特性で個々の農家が自分のまさに独創性で、こういうビジョンなくてもいいよという人もいるかもしれませんが、ある意味では今回の制度の是非はともかくも、つくることによってある程度の交付金も来るわけでありますので、これがもし計画達成を著しく下回るような状況になりますと、本県の米の産業振興にも大きな影響を及ぼすものと思います。ついては、年度がもう移り変わるわけでありますが、このできない分につきまして今後農林水産部としてどう指導といいますか、やっていくのかということ。2点お伺いいたします。

〇小原水田農業推進監 それでは、集落ビジョンについてのお尋ねにお答え申し上げます。
 まず、集落ビジョンと産地づくり交付金の関係でございますけれども、これにつきましては、国の方では産地づくり対策の交付金については、市町村あるいは農協単位の地域水田農業ビジョンを策定していただければ産地づくり推進交付金の交付がなされるということになってございまして、したがいまして、集落ビジョンにつきましては、これは直接的には産地づくり交付金の交付対象になるものではございません。あくまでこれは県独自にそれぞれの今回の米改革で、やはり集落の方々が目標と戦略を持って取り組んでいただくということでつくっているものでございます。ただ、お話しのとおり、まだ全体の2、200のうち1、300ということで、およそ800ほどまだできておらないわけでございますけれども、いずれ今回の米改革を機にやっぱり未策定の集落でも、ぜひ話し合いをさらに努めていただきまして、ぜひつくっていただきたいと思ってございまして、その意味でも私ども県の方の、これは地方振興局ごとに支援チームをつくってございますので、これらの市町村と農協と一緒になって、さらに最後の最後までつくるように御指導申し上げていきたいと思ってございます。

〇佐々木流通課長 新たな米の販売戦略ということでございます。県では岩手県水田農業改革大綱にもお示しいたしましたが、消費者・市場のニーズを重視した売れる米づくりが何よりも重要だということで、現在そちらの方、産地づくりの中で取り組んでいるわけでございますが、これらの販売に当たりましては、やはり実需者ないしは消費者ニーズをどうとらえるかということに尽きるんだろうと思います。今回の米政策改革の中では米の流通制度も大きく変わることになってございまして、計画流通制度の中で行われております入札制度につきましても、生産者の創意工夫が発揮できるような販売を促進するという意味の入札制度に変わってまいります。このようなことも含めまして、それぞれの産地の特色のあるお米が有利に販売できるように、きめ細かな流通対策を講じてまいる考えであります。

〇佐々木順一委員 この食味ランキングというのはどの程度の権威があるわけでしょうか。それだけ聞いて終わります。

〇佐々木流通課長 食味ランキングにつきましては、各産地ともそれを販売戦略、アピールポイントの一つとして使ってございますので、それ相当の評価は受けているものと思います。ちなみに、連続特A、本県ひとめぼれ、それから山形内陸はえぬき、あるわけでございますけれども、これは新潟魚沼コシヒカリが断トツでございますが、他のはえぬき等々はそれほど遜色ない形で評価されていることも現実でございますので、それ相当に評価されているものとは思いますが、さらに消費者にそれをてこにPRしていくようなことも、なお一層取り組んでまいらなければならないと考えております。

〇渡辺幸貫委員 今、大変元気よくマーケティングなどもやっていらっしゃると、例えば純情米は766万円でありますし、純情米需要拡大は1、714万円と予算額は書いてあります。ただ、農業振興費という大きなものの見方、例えば43億円あって国から補助が来るから県が出しているのは36億円ぐらいですか、そのうち生物工学研究所に果たして幾ら金を使っているかとか、それは億単位なわけですね。そういう億単位のところに、片方は何百万円かの話だと、これは予算の中で非常に、農家の人が、農業振興費というのは、大半はみんな私たちのお金に使っているものだと思っている。今のお答えが来るとほとんどそういう方にお金が行っているのだと思っている。ところが、現実はそうではないというこのギャップを、予算の配分の基本にやはり素朴な農民は疑問を抱くのではないかと思うのですね。こういうことに関して部長の見解をお述べください。

〇佐々木農林水産部長 予算の全体の考え方でございますが、その中で研究費の話も出されたわけでございますけれども、いずれ今日の農業、WTOあるいはFTAというようなことで非常に外圧が高まっておりますし、それから国内の産地間競争も熾烈化してきているというようなことで、本県として産業の競争力を高めるためには、やっぱりその技術力を高めていくことだと思っておりまして、生物工学研究所では基礎的研究、それから研究センターではそれを受けた応用研究をして、相応の成果を上げながら生産者に活用していただく技術として普及を図っているところだと思っているところでございます。それはそれとして、県として引き続き経費を投じて取り組んでまいらなければならないものだと思っているところでございます。
 一方で、全体の予算の考え方になるわけでございますが、いずれ厳しい財政事情を踏まえながらも、部全体としてめり張りといいますか、配分の重点化を図りながら予算を措置させていただいていると思っておりまして、いずれにいたしましても、時代の要請課題に的確に対応できるような予算の重点化なり配分をしながら、全体として予算の効果を上げていくというような観点から、これからも取り組んでまいらなければならないと思っているところでございます。

〇渡辺幸貫委員 いずれ、今、農業振興費だけを言いましたけれども、例えば農業研究センター、今、部長がお話しになった。例えば、それの管理費だけでも12億円もある。そういう膨大な予算と、片方は100万円単位の話ですね。そして、今、米の政策改革大綱そのものは、要するに売れる、消費があればこそ生産ができるのだということですね。そうすると、消費を開拓しない以上は、私たちは米をつくれないんですよ。それがのんびり品種開発だって10億円以上もどんどん使っているとか、片方でもいろんなものをやっていて、片方の、お答えで例えば大豆とか麦とかというのは533万円しか予算がないと、丸が二つぐらい違うのではないかという、二つも三つも違う農業のあり方というのが大変私は疑問に思うのですね。担当課もさまざまあると思いますけれども、やはり予算の配分を今後補正なりさまざまなところで、今、元気よく流通課長がお答えになりました。それを生かしていただかないと米の政策大綱の中で岩手県は生き残れないということを強く申し上げて、意見とさせてもらいます。

〇工藤勝子委員 いわて食材首都圏交流事業についてお伺いをいたします。
 岩手の安全・安心の食材を首都圏のモデル校に送って、学校給食や食材の生産者との交流、岩手の食文化の紹介等を図るということでございます。今後この事業はやはり継続することによって効果があらわれると思うのですけれども、顔の見える関係をどう構築していく考えなのかお聞きしたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 今、本県といたしましても、今日的な時代要請課題だと思っておりますけれども、地産地消あるいは食育といった観点からも、これまで以上に取り組んでまいらなければならないと思っております。それで、県内ではそういう形で取り組ませていただきまして、広く浸透してきているものと思っておりますが、いずれ食料供給県としての役割を果たすという観点から、首都圏において出前の食育事業をやってはどうかということで、今議会に平成16年度予算提案をさせていただいているところでございますが、いずれこの交流事業におきましては、本県から一方的に食材を供給する、あるいはその人材を派遣するという形の食育の出前だけではなくて、逆に首都圏の学校の子供たち、児童生徒あるいは父兄の皆さんにも本県においでをいただいて、具体的に農林漁業体験をするということが非常に大事だと思っておりまして、いずれこの事業につきましては一方通行にならない、双方向の交流に発展させたいと、そういうことによって首都圏から岩手の顔が見える関係を構築していくと、いずれにいたしましても、今一番求められている安全・安心、いろんな意味で求められておりますのは、消費者と生産者の距離を縮める、それから生産者と消費者の顔の見える関係を構築するということが極めて大事な課題だと思っておりまして、そういう観点からこの食育事業につきましても一方通行ではなくて双方向、顔の見える関係を構築するという観点を大事にして取り組んでまいりたいと思っております。

〇工藤勝子委員 今、部長がおっしゃいましたように一方通行にならないように、ぜひ交流を深めながらやってほしいと思うのですけれども、給食ということに関して、例えば限られた調理師さんたちの人数で、限られた時間に、限られた大量のものを、そして栄養価を考えて給食にするわけです。よく給食のメニューを見ますと、いろんな食材をいっぱい突っ込んで一つのものに仕上げるということが多いんですね。遠野弁で言うとごった煮と言うんですけれども、そういうことで、例えばせっかく岩手のいい食材を送っていながら、その調理の仕方というんでしょうかね、例えばキュウリを送って、岩手のキュウリでもいい、どこのキュウリでも別に味がわからないような調理の仕方をしてほしくないわけです。ある給食センターで、地産地消でフキを出したと、ところがフキの一番おいしいつくり方を調理の方がわからないものですから複雑なつくり方をしてしまったために、それが全部子供たちに受けないで残ってしまったという例があるわけです。そういうことから、結局本物の味を伝える、そういうものを大事にしていかなければならないのではないかと思うのです。キュウリを送ったときは、せめて岩手のみそでキュウリを丸かじりしてもらうようなそういうこと、トマトも別な、余りつくらないでトマトの味を本当に味わってもらうようなそういうことができないだろうかという、農家としての希望でもございますので、そういう何か送ったときにはレシピみたいなものも送るというような案がありますでしょうか。

〇佐々木流通課長 食材の提供とあわせてノウハウを提供すること、これは極めて重要なことと思っております。幸い本県ではこれまで地産地消の学校給食を通じまして、各学校の栄養士さん、調理師さんたち、ノウハウを蓄積してございますし、あるいは食の匠のわざなどもあるわけでございまして、これらの方々の御協力をいただきながら、食材のよさを生かす調理方法などについての情報提供をし、岩手物のおいしさ、それから新鮮さ、すばらしさがつながるような工夫をしてまいりたいと考えております。

〇工藤勝子委員 次に参ります。農作業事故についてお尋ねしたいと思います。
 2001年度の農作業事故発生件数、全国で396件、毎年400件前後があるとあります。ということは、1日に1件どこかでこういう事故で命を落とす方があるという状況になっているわけです。特にも高齢化になりまして70歳以上が半数を超えているという実態でございます。昭和40年代は40代の方が一番多かった。10年ごとに10年ずつ年が上がっていくというようなことで、今は70代の方が一番事故を起こしているという現状になっております。農業にいそしんできた人たちが人生を今もうすぐで全うしようとするときに、こういう事故で亡くなるということは余りにも悲しくて残念でならないわけです。そういうことから、ちょっとしたミスで、個人的なことになるのかもしれませんけれども、専門家の話を聞きますと、後継者がいないために孤独感や農地管理の不安から来るストレスとか、心の不安定からちょっとしたミスで事故になっているのではないかという指摘がございます。そういう中で、これからの集落ビジョンができているわけですけれども、農地に対する不安、それから家族の関係、体力の限界、そういうものが心の不安定の要素となって事故に結びついているわけです。事故にならないように願っていると、それだけでは行政として手落ちではないかと思うのです。ヘリコプターで広報活動をしていることもありましたし、チラシも配布になっております。そういうことで予算措置なり安全行政を徹底させてほしいと思うのですけれども、その辺の御所見をお伺いしたいと思います。

〇中正農産園芸課長 農作業事故の件についてのお尋ねでございますけれども、まさに委員おっしゃるように最近の農作業事故につきましては、お年寄りの方々の事故の内容といったようなことが多うございまして、60歳あるいは70歳以上の方々の事故が本県の場合でも9割程度を占めるという状況になっておるところでございます。その事故の内容、原因を、問題を見てみますと、トラクターあるいは運搬車での作業中、道路からの転落という懸案が半分以上を占めておりまして、このトラクターについては安全フレームが装着されていなかったという事案が多いようでございます。そういう意味で今後と申しますか、これまでもやってきているわけでございますけれども、この安全フレームの装着の徹底、特にまた、委員おっしゃいますように、農作業機械を扱う場合の心のゆとりいったようなことが非常に大事だろうと思ってございまして、そういう意味で、焦りや疲れが原因とならないよう、地域や家庭内において作業前に一声みんなでかけてもらおうというふうなことを心がける運動をどんどん進めてまいりたいと考えているところでございます。

〇工藤勝子委員 結局、今年度として何かPRすることがありますでしょうか。一声かけるというようなことというのも、行政としてちょっと不足の部分があるのではないかと思いますし、県内における人数と、それから女性がもしおりましたら人数をお聞かせいただきたいと思います。

〇中正農産園芸課長 県内における事故の件数でございますけれども、平成15年の件数でございますが、これは農作業事故の場合は1月から12月、暦年で調査してございますのでそういう意味で申し上げたいと思いますけれども、平成15年は14件の件数がございました。男女の内訳でございますけれども、14件中女性は1件でございます。
 それから、今年度、言うなれば平成16年度の話でございます。何か新しいことをやるのかというお話でございますけれども、これらにつきましては、岩手県農作業安全対策協議会というのを組織してございまして、ここの中で十分検討しながら進めてまいりたいと思っております。

〇工藤勝子委員 次に移ります。佐々木順一委員の方からも水田農業集落ビジョンについてお話がございました。一般質問いたしましたし、そこの中で課題というようなことを言いましたが、ある10ヘクタールを耕作している農家のお母さんの声が聞こえてまいりました。ということは、10ヘクタールもやっている大型農家の方で後継者もきちんと育っているわけです。その方が集落ビジョンに入れない。なぜ入れないのかと言いましたら、10ヘクタールもやっているわけですから個人の方がいいという指導を受けたと、ああ、そうですかと自分は納得したんだそうです。ところが、すごく集落から阻害されているような気持ちになる。というのは、集落の人たちがせっかく何回も集まっていろいろ話し合う中に入れないということで、後継者自体が非常に、その集落に何人もいればいいんですけれども、そういう方というのは少ないわけですね。そういう中で非常に孤独感に後継者が陥っているし、家族内で、いや、入れないんだけれどもどうしようかというようなこと、さらに、ビジョン、その集落が今後どういう相談のもとにどう進むのかというようなことも、自分には伝わってこないという悩みの声が聞こえてまいりました。こういうことを把握している部分がありますでしょうか。

〇小原水田農業推進監 ただいま、集落ビジョンの参画の仕方についてお尋ねがあったわけですけれども、お話を聞いてみますと、今度の新しい対策では担い手の経営安定対策というものが新たに講じられることになってございます。その担い手経営安定対策の対象になるパターンといたしまして、個別経営体であれば4ヘクタール以上の認定農業者、これは水田の方でございます。それから、もう一つが集落営農ということで、基本の形とすれば20ヘクタール以上の集落営農組織ということで、恐らくこの集落営農組織に加わるというのは、県内の事例ではほとんどが中山間地域で水田面積が小さいといったような方々が、個人ではなかなか担い手経営安定対策の対象になり得ないということで、集落1農場なりあるいはその集落の過半の農家で構成する集落営農組織をつくるという話がなされているわけですけれども、恐らく10ヘクタール以上の農家でございますので、個別経営体でも経営安定対策の対象になり得るということで、そのような話がなされたのではないのかという気がしてございますけれども、いずれ、そういう大きな農家でもあるいは小さな農家でも、これは話し合いの中で今度の経営安定対策の集落営農の組織を形づくるということは可能となってございますので、その辺ちょっと、もし行き違い等があれば私の方から出先の方を通じて御指導申し上げたいと思ってございます。それから、大変恐縮ですが、そのような事例は私どもではまだ聞いてはございません。

〇工藤勝子委員 そういう後継者がもっとやっぱりその集落において、個人経営体であっても認定農業者になっているわけですし、元気になって取り組める、集落の人たちのビジョンには入らなくても、その中で一緒に行動を起こすなりやるなり連携をとれる方向というようなものを、相談に行ったときに、いっぱいやっているからおまえたちは抜けた方がいいんだとかというような指導であっては、私はならないのではないかという考えをいたしました。やはりこういう集落水田農業ビジョンをつくるときには集落の、家族同士でもおやじだ、息子だとばらばらになっている家庭も多い中で、また、境を争っている人たちが中にいる中で、非常に難しい部分があるだろうと思います。ですから、私は集落水田農業ビジョンはまず最終的に集落の人間の連帯、共同、協調、支え合う、こういう人間としてのデザインが先にまず必要になってくるのではないかという考えをするわけです。ですから、やはりこれからは水田に限ってだけのそのビジョンをつくるのではなくて、そこに、集落に住んでいる人たちの年齢層なども含めながら、そういう人間同士のデザインというものを考える指導というものを考えてほしいと願うのですけれども、そういうところはいかが考えていらっしゃるのか、最後に聞いて終わりたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 これからの地域農業を考えた場合に、いろいろ地域、地域によって課題があるわけでございますが、その中で、今回特に集落のビジョンをつくっていただきたいと思いましたのは、委員からお話しがありましたようなそういう個別具体的な課題を、何とかして集落全体の中で解決して前向きな方向に方向づけをしていただいて、それを実践していただくというようなことを基本にして考えたものでございます。1人でできないことでも地域全体で合意形成することによって取り組める課題がいっぱいあると私は思っておりまして、それをみんなで合意形成しながら一つ一つ実践に結びつけていくことが大切だと思っております。そのためには、集落というのは生産の場でもございますけれども、同時に生活共同体の場でもあるという認識でございまして、私ども集落ビジョンの策定に当たりましては、単に生産だけのことではなくて、まず生活を豊かにするためには地域の中でどういうことに取り組まなければならないかというような、生産と生活の両面から取り組んでいただきたいというような思いでいろいろ御指導申し上げているわけでございますけれども、限られた時間の中でのビジョンづくりであったがために、ややもすると一方に偏っている実態にあるところが多いのではないかと思いますが、いずれこのビジョンにつきましては、つくって終わりということではなくて、それをさらに内容の濃いものにしていくということが大事だと思っておりますが、私どもの今後の指導といたしましても、そういう足りない部分についてはさらに補っていただいて、さらに内容のあるものにして、そして一つ一つ実践に結びつけ、全体、そして地域農業の発展に結びつけていくというような、そういう手順が踏めるような指導をこれからも引き続きやってまいりたいと思っております。

〇新居田弘文委員 私は牛と馬の2点についてお伺いします。
 牛の方ですが、いわゆる畜産振興についてお尋ねいたします。
 平成11年に岩手県農業・農村基本計画を策定しておりまして、その中で肉用牛の振興目標といいますか、平成22年に17万6、200頭という目標を掲げていろいろ政策を展開してきたものと思いますが、まず今その現況がどのような形で推移しているか。あわせて、県内から出荷しておりますその出荷頭数、その内容、特にも品質を格付しますA4とかB4以上の上物率はどの程度になっているのか。三つ目としては、県にいわて牛普及推進協議会がありますが、その事業内容についてお尋ねをまずしたいと思います。

〇菅原畜産課長 それでは、本県の肉用牛の飼養状況についてお答えを申し上げます。
 本県の肉用牛の飼養頭数は、岩手県農業・農村基本計画が作成されました平成11年度、これは平成11年2月1日、農林統計の数字でございますが、13万1、900頭でありました。その後、BSEの影響あるいは飼養頭数が10頭以下の比較的小規模の農家の減少によりまして、現在におきましては、これも農林水産統計の数字でございますが、11万1、000頭となってございます。

〇佐々木流通課長 黒毛和種肥育牛の出荷頭数についてでございますが、平成15年は、速報値でございますが1万8、317頭、これは前年の82.5%となってございます。それから、枝肉の格付割合についてでございますが、本県から最も出荷されているのは芝浦の東京都中央卸売市場食肉市場でございまして、ここの扱いを見ますと、上物、最高級と言われておるA4・B4以上のものが全体の55%になってございます。これは芝浦市場の全国平均を約10ポイント上回っておりまして、本県黒毛和種は高く評価されていることのあらわれかと思っております。
 それから、いわて牛普及推進協議会の取り組みについてでございますが、協議会を設立いたしましたのは平成2年でございまして、そのときから生産者や農業団体の関係者が、先ほどお話ししました芝浦の食肉市場なりに直接出向きまして、いわて牛の枝肉共励会等を開催して、その技術向上のための研さんを積んでございますし、さらには、実需者に対していわて牛のすばらしさをPRする活動を展開してきてございます。また、県内外のイベントにおきまして、最近は安全・安心で高品質ないわて牛ということで普及宣伝活動を実施しておるところでございます。さらには、量販店とかあるいはレストランにおいて、いわて牛の取り扱いをふやしていただこうということで、いわて牛の取扱店を登録し、その中でも取り扱いの多いところは、さらにいわて牛取扱推奨店ということで、いわて牛の看板を交付する等の取り組みを実施してございます。

〇新居田弘文委員 先ほど計画に対してその進捗率といいますか、飼養頭数はむしろ計画策定時点よりもかなり減っているというような状況だと思います。いろんな要因があるかと思いますが、一方ではいわて牛の普及宣伝もやっておりますが、やっぱりその宣伝の効果を果たすためには、もちろん品質の向上もそうですけれども、絶対量をある程度確保するなり、そういう先が見えないとどうも力が入らないのかなというような感じがしていますが、その伸びない要因とその対策についてお伺いしたいと思いますし、それから、いわて牛協会も、いや、いわて牛というのは黒毛和種から多分短角も入っていると思うのですけれども、ちょっと焦点がぼやけているのではないかという私、感じがするわけです。むしろいわて短角とかいわて黒毛和種ということで、対象を絞った形で運動展開した方がむしろ効果が大きいのではないかと思いますが、その2点についてまずお聞きします。

〇菅原畜産課長 肉用牛の増頭対策並びに品質向上といいますか、肉質向上といいますか、対策ということでございました。
 まず、増頭対策についてでございますけれども、今後、肉用牛を経営の柱に据えた自立できる農家の育成というのを非常に大きな柱としてとらえてございます。そのためには、やはり体質の強い農家ということで、1戸当たりの規模拡大をするということで、増頭対策が最重点課題だろうとは認識をしてございます。このため、県といたしましては、意欲ある担い手あるいは増頭に向けた低コストの牛舎の整備、これはもとよりでございますけれども、当初予算に御審議をお願いしております受精卵移植を活用しました、乳用牛から優秀な黒毛和種の繁殖素牛あるいは肥育素牛を生産・保留する取り組みに支援するということで、今後、肉用牛の産地として着実な増頭を図ってまいりたいと考えてございます。
 それから、肉質そのものということで、短角と黒毛和種ということでございますけれども、黒毛和種につきましては、いわゆる能力の高いといいますか、霜降りの度合いを示す脂肪交雑、これが重要だということで、本県が取り組んでおります種雄牛づくりで、今年度全国第6位という、非常に脂肪交雑のよい糸安菊――これは前沢町産でございますけれども――これが誕生しましたし、その後も優良な種雄牛が順調に誕生してきてございます。この産子も恐らくこの肉質向上という意味では非常に期待されるということで、これらの種雄牛の積極的な活用、これによって本県の黒毛和種のアピールをしていきたいと考えてございますし、引き続き種雄牛造成にも取り組んでまいりたいと考えてございます。

〇佐々木流通課長 いわて牛普及推進協議会の取り組みが、焦点がぼけているのではないかということでございますが、いわて牛ということで黒毛和種、それから日本短角種、それから乳雄、それぞれすべていわて牛の冠のもとで全体的な牛肉の消費宣伝なり評価向上なりに取り組んでございますが、それぞれ種類によりまして固有な流通ルートを持っているというのも確かでございます。黒毛和種の高級なものにつきましては首都圏の高級なレストランなりステーキハウス、あるいは乳雄につきましてはそれぞれ値ごろ感を持った量販店、それから日本短角種につきましては岩手畜産流通センターで屠殺し産直という形で供給するもの、さらには、県内の店舗に回るもの、それぞれ特徴的な流通ルートがございますので、それら実需者というか、流通ルートに携わる方々にターゲットを絞った取り組みというのは、これは当然のこととしてやらなければならないことだと考えてございます。さらには、大手の量販店なりあるいは肉の専門店ということになりますと、黒毛和種から短角から乳雄まで品ぞろえをしたいという実需者もございますので、それぞれ働きかける対象によりましてその内容をきっちり整理して、最も効果の上がるような消費宣伝活動に取り組んでまいりたいと思っております。

〇新居田弘文委員 その決意のほどはわかりましたけれども、いずれ数字的に絶対量が減っているという現状をもう少し受けとめていただきまして、さらにこれが増頭するようにひとつ施策をとっていただきたいと思います。
 次に、馬、岩手競馬についてお聞きします。この件につきましては一般質問でも基本的な部分についてはお聞きしておりますので、若干細部にわたってお聞きします。
 まず、最初に、平成12年に川勝平太教授を座長とした岩手競馬運営改善委員会から、岩手競馬組合の運営改善についての報告や、いろいろ指摘があったと伺っておりますが、どのような内容が指摘されて、その後どのように改善に取り組んできたのか、その辺を1点まずお聞きします。
 それから、平成8年に盛岡にオーロパーク、新しい競馬場が開設されてオープンしましたが、その後、今日まで、平成15年度までの盛岡競馬場あるいは水沢競馬場の入場者と売上状況の推移をどのようにとらえているか。
 それから、平成7年度以降、いわゆるオーロパークができる前から今日までのGⅠ、GⅢクラスの開催場所はどういう変化、どういう経緯をたどっているか。
 それから、もう一つは、この間の本会議で知事の答弁にもありましたけれども、いわゆるレースの充実という観点から見た場合、最近いわゆる馬主に対する賞金とか出走手当が大分下がったというようなことで報道もされておりますし、その実態についてまずお聞きしたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 私から平成12年度の委員会からの報告の内容等について、それ以外は畜産課長に答弁をさせます。
 まず、経営改善のために平成12年に川勝平太氏を座長といたしまして委員会を設置していろいろ御検討いただいて報告を受けたところでございますが、その報告の大きな点は、一つに、大きく一言で申し上げますとスリーEプラン、三つのEプランが盛り込まれたということでございます。一つには、エンタープライズ、これは民間企業の経営感覚を導入しろということでございました。それから、エレクトロニクス、電気通信技術を利用した経営的な戦略でなければだめだ。それから、エンターテインメント、これは娯楽に徹底した競馬場づくりだということで、スリーEプランが盛り込まれたところでございます。これを受けまして、組合におきましては、一つには、エンタープライズに対応することになるわけでございますけれども、人員の削減ですとか企業会計方式による財務分析ということに取り組んだということでございます。エレクトロニクスという観点ではITを活用した県外へのテレトラックの新設ということで、三本木と十和田、それから上山、九州の佐賀・荒尾両競馬等との連携による広域受委託販売の実施ということでございます。エンターテインメントという観点からは、平成14年度に第2回のジャパン・ブリーディングファームズ・カップ、JBC競争というものでございますけれども、これを誘致したというようなことでいろいろ改善策に取り組んできたわけでございます。経費の削減、それから売り上げの増収ということに取り組んできたところでございます。こうした取り組みの結果、平成14年度はこれまでの最高の入場者数を記録したということで、一定の成果を上げたものと思っておりますけれども、長期にわたる売り上げの減少に歯どめをかける状況にはなっていないということで、非常に経営的には厳しい状況になっているということでございます。

〇菅原畜産課長 いわゆるオーロパーク、盛岡新競馬場のオープン前後の盛岡、水沢の入場者数及び売り上げの推移というお尋ねでございます。
 大体開催地別に5年間刻みでお答えを申し上げたいと思ってございます。平成5年度、平成10年度、それから現在、本年度――平成15年度の数字で申し上げます。入場者数でございますが、水沢につきましては、平成5年度が98万人、平成10年度が105万人、平成15年度が119万人となってございます。それから、盛岡競馬場につきましては、平成5年度54万人、平成10年度95万人、平成15年度では111万人という形になってございます。それから、発売金額でございますが、これも同じく平成5年度で申しますと、水沢が414億円、平成10年度で286億円、平成15年度は189億円、減少傾向でございます。それから、盛岡競馬場につきましては、平成5年度が229億円、それからオーロパークができました平成10年度につきましては239億円とやや増加した。しかし、平成15年度では178億円と減少したということでございます。総体的に見ますと、入場者数につきましては年々増加の傾向にございますが、発売金額につきましては減少傾向にあるというところでございます。
 それから、次にグレードレース、いわゆるGⅠ、GⅢの開催地の内容でございますが、岩手競馬のグレードレースということで重賞のうち特に格の高い競争ということでございますが、平成7年度までには2レースほどございました。これはマイルチャンピオンシップ南部杯、それからダービーグランプリ、これはいずれもGⅠでございます。これが水沢競馬場で開催されてございました。新盛岡競馬場がオープンした平成8年度以降につきましては、さらに2レースほどふえてございまして、これはマーキュリーカップ、それからクラスターカップ、これはいずれもGⅢでございます。これが加わりまして年間4レースとなったところでございます。現在は、これはいずれも盛岡競馬場で開催されているということになってございます。
 それから、三つ目の御質問で、出走手当あるいは賞金の実態についてということでございます。組合としましては、経営収支の均衡を図るということで、経費削減方策としましていろいろ見直しをする中で出走手当の単価あるいはクラス別の最低賞金等の引き下げもやってきているところでございます。今後の岩手競馬の検討するに当たりましては、やっぱり魅力あるレース、ファンサービスという意味でこうしたことも検証しながら、この手当等の検討の必要があろうと考えてございます。

〇新居田弘文委員 その実態はわかりました。それで、今の収支を見ますと非常に厳しいということは皆さん御存じのとおりなんですけれども、できるだけ単年度収支が黒字になるようにいろんな工夫が必要だと思うのですけれども、それで、今、説明があったのですが、平成8年から盛岡に新しい競馬場ができまして、今お話しありましたようにGⅠ、GⅢクラスは全部今では盛岡に移っております。競馬場は確かに立派ですからいいレースをやりたいというのはわかるんですけれども、先ほど話がありましたように、入場者についても売り上げについても、平成8年に盛岡にオープンした時点では盛岡が一たんふえましたけれども、あと毎年水沢の方が売り上げも入場者も、もちろん利益もだと思うのですけれども、水沢の方が実際は上がっているんです。確かに盛岡、立派なんですけれども、非常に交通アクセスが悪かったり、あるいは過去には大雪で中止したり、もやで画像が映らないということで中止した事例も実はあります。そういうことですから、どうしても足が向かないというのが実態だと思うのです。それで、売り上げをふやすためには、今、水沢ではGⅢクラス以上のレースは1レースもやっていないんですが、それでもこういうような売り上げなり入場者も多いわけですから、やっぱりこのパイを大きくするためには、その開催場所についても一工夫必要ではないかというような感じがするわけです。その辺が1点ですね。
 それから、先ほどレースの充実も図りたいというようなお話ですが、この間、岩手競馬振興議員クラブがありまして、その際にも馬主の会長からもいろいろ指摘されたんですが、この状態が続きますと、それこそ、ただの馬ももらってもえさ代は稼げないというような実態だということをいろいろお話しされていますが、そのようにお客さんに魅力を持たせるためにはレースの内容を充実しないとこれはだめだと思う。そういう意味では、ただ経費を詰めるために賞金を下げるのではなくて、逆にいい賞金を出して、いい馬を集めてもらって、それにお客さんがたくさん来るというような前向きの姿勢がないと、だんだんジリ貧してマイナスが加速度的に進んでいるわけですから、その辺についていろいろいわゆる県の立場として、そういう指導をしていったらいかがでしょうかということをまずお話ししたいと思います。
 それから、今度は経費の面ですけれども、競馬組合の決算を拝見してみました。平成14年度分ですが、そのうちの競馬開催事務費の中に委託料が46億4、400万円計上されておりますが、そのうちの約78%、36億5、400万円が競馬振興公社、東北映像、アール・ナックの3社に全部丸投げと言えば失礼ですけれども、そのノウハウを持っている会社ですからやっているわけですけれど、それでさらに内容を詰めてみますと、競馬振興公社は公営事業として13億7、400万円の事業をやっていますが、競馬組合から委託を受けているのがそのうちの81%、それからアール・ナックは24億円余りの全事業のうち78%が全部競馬組合からの受託によるということで、ほとんど競馬組合と実際の受託してやる会社が一体的な状態になっているのではないかというような感じがするわけです。しかも、役員の名簿を見ますと、ほとんどの方がお互い出入りしていますので、それぞれの機関の意思決定機関が同一人物で発注したり受注する側になっているというようなことで、受委託の関係も契約の関係も競争原理が働かないような構図になっているのではないかということがいろいろ言われておりますが、その辺についての御見解をお聞きしたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 幾つかお尋ねがございました。出走手当、賞金の実態の中で毎年減額されていることについての件でございますけれども、いずれ今の競馬組合の経営状態からして、やむなくこういう手だてを講じなければならないということでやられていると思いますが、ただ、翻って考えてみますと、この入場者の問題あるいは売上金の問題にしましても、魅力のあるレースになっているかということを、いま一度改めて考え直さなければならないと思っております。そのことによって魅力がないために悪循環になっていやしないかということを、改めて全体的に検証されるべきだと思っておりまして、そのことについては競馬組合の方で十分検討していただかなければならないと思っているところでございます。
 それから、組合事務の委託の話がございましたが、総額で46億円になってございます。競馬振興公社に12億円、東北映像に6億円、アール・ナックに19億円ということで、主なものでございますが、こうしたことはある意味では組合として運営の合理化とファンサービスのためにやっているということでございます。競馬場の走路の保全管理あるいは大型映像の放映、それから電算機等のネットワークの運用管理というようなことで、ある意味では競馬開催に係る専門性の高い業務について外部委託を行っているというようなことでございますけれども、しかし、今日の競馬組合の経営状況を考えれば、こうした委託の現状についても改めて十分検証される必要があると思っているところでございます。

〇新居田弘文委員 いずれ、その辺十分御検討いただきたいと思います。
 今のあり方懇談会で、ここ二、三日ぐらいで何か結論が、報告書をまとめられるというようなお話がちょっと伝わってきておりますが、そういう中で地域の競馬関係者が非常に心配しているんですけれども、実は2月20日にある新聞にこういう記事が載っておりました。昨年11月廃止した上山競馬場に場外売り場を設定しまして、岩手とか大井とか各地方競馬の場外発売をする。それで利益が上がった分については上山市とか、あるいは振興公社、その他に配分するというような記事だったのですが、それで振興公社がその運用をするという新聞報道でありました。何を言いたいかと言いますと、今、あり方懇談会の結果を受けて今度その競馬組合なり、あるいは管理者である知事が決めるんだと思いますけれども、これはあくまでも仮定の話ですが、競馬組合がなくなっても振興公社、アール・ナック、東北映像が存在する限りはほかの地区の競馬も場外発売して一定の利益を確保できるというような、そこまでちょっとオーバーなんですが、そういう話が心配している方がいるんです。実際、上山はそういう実態で今、進んでおります。今後いろいろ検討されて方向性は出すんだと思いますけれども、県としてもそういう関係者あるいはその地域の皆さんに心配を与えないような、早くシグナルなりメッセージを送る段階にもう来ているのではないかと思うのですよ。もちろん懇談会、その辺の結果を待っていたと思いますけれども、そういうことで皆さんに不安を与えないような、あるいはこれらがいろんな改善しながら引き続き運営できるような、そういうものをひとつ努力を望みたいと思います。

〇及川幸子委員 ただいま部長の答弁の中でスリーEプラン、エンタープライズ、エレクトロニクス、エンターテインメント、こう三つ続けておっしゃいましたんですが、この中の何が一番部長は達成できたと、この平成12年に委員会が発足してなされて。私から見ればこの三つのうちの真ん中、エレクトロニクスの部分しかどんどん進まれなかったのではないかと思うのですよ。知れば知るほど競馬組合のあり方がとても疑問がどんどん出てきて、えっ、なぜこんなにという部分が大変多いんです。売上状況を見ましても、減っている、減っている、減っている、平成15年まで大変減りましたが、入場はどんどん減っている状態ではないんですよね。この景気の低迷に向けての社会情勢の中からの結果だと私はいつも思っておりますが、部長としてはこのエンタープライズ、経営の改善については本当になされたと思っているんでしょうか。

〇佐々木農林水産部長 いわゆるスリーEプランということで、競馬組合等では鋭意取り組まれたものと思っておりますが、結果的に今日の事態を招いているということについては、いろんな意味で反省を含め、また、検証しながら今後のあり方について十分検討しなければならないと思っております。いずれ十分取り組まれた結果だと思っておりますが、いかんせん、それ以上に売り上げが落ちたということもあって、今日のこうした事態を招いているものと思っておりまして、19日に最終的な報告をいただくことになっておりますが、いずれにいたしましても、本当にこれからの将来に誤りのない岩手競馬をどうするかということを考えるときに、経営改善という観点から今まで以上に、ある意味では本当に骨だけ残して血を流して肉も削るというようなことを考えていかないと、経営の改善というのがなかなか難しいのではないかと思っております。

〇及川幸子委員 部長も退職をなされる前の大変心残りの案件だと思っております。魅力あるレースになっているかもう一度考えるべき、そして、改めて検証ということを2回も繰り返していらっしゃいます。この検証がはっきりしないうちに、3月19日に決定の方向づけがなされるのはとても間違ったやり方だと思っております。役員人事についても、いまだ全く変わらない同じメンバーでやっていること自体が改善されていない事実であると思います。いずれ、存続に向けての願いを込めて質問を終わります。

〇佐々木博委員 新居田委員に関連しまして岩手競馬について何点か御質問します。
 最初に、先日の地元紙に旧緑が丘の競馬場、それから競馬会館の入札が不調に終わって、累積の赤字が100億円を超しそうだという新聞の記事が載りました。累積赤字が100億円を超すということになりますと、バランスシート上も債務超過になる可能性があるのではないかと心配するわけですが、まずその点についてお伺いをしたいと思います。

〇菅原畜産課長 委員御指摘のとおり、平成15年におきまして85億円の歳入不足額を出すということでございましたけれども、結果的には財産処分ができないということで、100億円を超える状況になってございます。いずれにしましても、ただいま部長からも申し上げましたように、経営の収支、競馬収支で黒字を出すということが本当に必要だろうということで、その基本的な対策、経営改善計画を充実するというのが当面、最大の課題だろうと認識してございます。

〇佐々木博委員 先日の入札にかかった物件ですが、緑が丘の旧盛岡競馬場というのは一部高松風致地区にかかっております。ですから、建ぺい率が30%しかない。非常にあの辺は周りも含めてですが、昔から努めて建ぺい率を40%に上げてくれという、ずっと要望が出ているような地域でありまして、建ぺい率が30%ということになりますと、なかなか使いづらいですから、応札する方も非常に少ないだろうと。
 それから、競馬会館も御承知のとおり、何となく大きい建物に見えますけれども、有効面積、使える面積が少ない建物ですから、そういった点で多分応札する方もいなかったのではないかと思われるんです。ですから、簡単に売れるという見通し自体がちょっと間違っているのではないかというような気がします。
 もし、競馬組合を廃止するということになりますと、当然清算しなければいけないわけですが、時価評価をする場合に、継続するか清算するかによって時価評価額が全く変わってまいります。例えばオーロパーク、競馬場として継続するのであればそれなりの資産価値がありますが、廃止するということになれば資産価値は恐らくゼロです。要するに、債務が出た場合、その債務の負担というのは、県と盛岡市と水沢市が負うことになるんだろうと思いますが、具体的にどのように債務を負担することになるんですか、そのことについてお伺いしたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 先ほども申し上げましたが、そういう厳しい経営環境の中で、競馬の今後の方向性というものについての判断が今求められているわけでございまして、その結果を踏まえながら、将来に誤りのないような方向性を早急に打ち出していくというような県の認識でございますので、そういう観点でこれから取り組ませていただきたいと思います。

〇佐々木博委員 ぜひそうなればいいなと願っている者の一人でございます。
 それで、先ほど新居田委員からも指摘がありましたけれども、いわゆる役員が重複している関連会社に対する委託業務が非常に多いわけであります。これは商法でいいますと自己取引といいまして、代表者が一緒に兼ねているような場合、取引をしてはいけないというのが原則であります。ここの場合は、当然片方は一部事務組合でありますし、厳密に言えば自己取引には該当しないかもしれませんが、本来であればむしろ控えなければいけない。もっともっといろんなところと競争原理を働かせながら、競争原理を働かせる分野については取り組んでいかなければいけない、そういった分野だっただろうと思うのでありますが、競馬組合の場合、管理者も知事であります、常勤の副管理者も代々県のOBが行っているわけでありますが、また、昨年は県の現職も競馬組合に出向いたりしておりますけれども、指導という点で若干不足しておったのではないかと私は感じているんですが、そのことにつきましてどういった御所見をお持ちでしょうか。

〇佐々木農林水産部長 組合業務の委託業務について委員からお話がありましたような、いろんな声があることは十分承知をしております。そういうことで、今後、競馬のあり方というものを早急に検討してまいらなければならないわけですけれども、そういう意味では競馬の体制もそうでございますが、県の指導監督という観点からも、その指導体制を強化しなければならないと思っておりまして、先般、組織の内示をいただきましたが、畜産課の中に特命課題を処理する、あるいは競馬組合と連携して業務に取り組む専担部署を設置させていただきましたので、そこを中心として、さらに連携を強めながらこの問題に取り組んでまいりたいと思っております。

〇佐々木博委員 19日ですか、答申が出るという、いわゆる岩手競馬のあり方懇談会ですが、新聞とかマスコミの論調を見ますと、そのあり方懇談会の答申がいわゆる継続するのか廃止するのか、非常に結論を左右するかのような書き方をしておるわけでありますけれども、この競馬組合のあり方懇談会というのは、そもそもそういった役割を担うべき懇談会なのでしょうか。まず、そのことについてお伺いをいたしたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 競馬のあり方懇談会、昨年の5月に設置をさせていただきましたが、競馬組合のこうした経営状況を何とか早期に改善しなければならないというような観点で設置させていただいたものでございまして、この報告につきましては重く受けとめなければならないと考えておりますが、しかし、最終的に結論を出すのは構成団体として結論を出すということでございます。

〇佐々木博委員 実は、このあり方懇談会の委員の選考の経過がちょっとわかりにくいという御指摘がいろんな方面から出ております。確かに私も畜産課のホームページで議事録をずっと読ませていただきましたが、競馬のあり方を懇談するのに、こんなにも競馬のことが全然無知な方が、あの議事録を見ていますと、一度も競馬場に行ったことがないから見せてほしいという発言をしている。どう見ても、競馬を今まで見たことがない方が2名はおるようでありました。中には、競馬に理解がある人がなると競馬を擁護するから、そういう人を選んだのではないかとおっしゃる方もおりましたけれども、少なくとも競馬のあり方を懇談するわけですから、そういった方は私は向いていないのではないかと思うんですが、どういった基準でこの委員を選任されたのか、そのことについてちょっとお伺いをしたいと思います。

〇佐々木農林水産部長 特にこの委員の選任に当たっては、偏見を持って選任したということは決してないということをあらかじめ申し上げさせていただきますが、いずれ、幅広く検討していただくということで法制度の関係、あるいは経営再建の観点、それから馬事振興、県民の視点など幅広く人選をしたつもりでございます。また、審議の過程では、当然、岩手競馬組合に常に同席していただきましたし、それから遠野馬の里の園長をされた千葉幹夫氏等の御出席もいただいて意見をいただいたところでございますが、先ほど申し上げましたように、懇談会からの報告をいただいて最終的に構成団体としての結論を出すことになっておりますが、その際には直接競馬関係者からの意見も十分聴取させていただきたいと思います。

〇佐々木博委員 最後にしますけれども、県内で競馬関係に従事している方が3、700名ぐらいいると伺っております。今、大変雇用も厳しい状況でありまして、なかなかそういった方々、もし廃止するということになれば、非常に大変な社会的な混乱も生じるだろうと思われます。それから、国会で競馬法の改正、3月に国会の方に提案されると聞いておりましたが、もう既に提案されているかどうかわかりませんが、いずれ改正の方向性も見えておるわけであります。
 それで、先ほど明快な御答弁がありませんでしたが、もし廃止すればその債務はどういった形になるにしろ、県民で負担しなければいけないということは明快な事実であります。ですから、そういった点を考えますと、一遍廃止してしまえば、二度と岩手競馬を復活させるということは大変難しい問題だと思いますので、どうか、これから本当に多方面のいろいろな方々の御意見も聞きながら、廃止ではない方向でぜひとも検討していただきたいということを強く要望申し上げて終わります。

〇高橋雪文委員 159ページの農作物対策費について、その中のトレーサビリティシステム導入対策事業費についてお伺いさせていただきたいと思います。
 食の安全・安心が求められている今日において、このトレーサビリティーシステムの導入は、非常に県民の期待を担っていると思っております。そうした中にあって、牛肉が主なトレーサビリティーシステム導入の内容物でありますけれども、今回の説明におきましても、作物についても導入をするということでお話をしております。
 まず最初に、この作物について、どういう作物についてこのトレーサビリティーシステムを導入しようとするのか、お知らせいただきたいと思います。
 また、トレーサビリティーシステムについては、非常に広範囲に及ぶシステムを構築することができるのではないかと私自身思っているわけですけれども、どの範囲のレベルでこのトレーサビリティーシステムを構築しようとするのかをお知らせいただきたいと思います。
 また、民間の小売との連携をどのようにするのか、その対応についてもお聞かせいただきたいと思います。そして、消費者の食に対する安心感、これが一つこのトレーサビリティーシステムの一番の重要点だと思うわけでありますけれども、こういう消費者に対しての影響もしくは告知、そういうもので安心感がどういうふうに影響していくと考えているのか、それについてお聞かせいただきたいと思います。

〇佐々木流通課長 まず、牛肉以外の農作物へのトレーサビリティーシステムの導入でございますが、農作物、農林水産物全般に広めていくという考え方で取り組んでまいっておりまして、現在、牛肉を初めといたしまして米、ネギ、レタス、それからリンゴ、生シイタケ、干しシイタケ、さらには養殖ワカメ、鶏肉、牛乳ということで10品目で取り組んでございます。今後とも、可能な限り多くのところで取り組みをしたいということで、平成18年度までにはこれを16までふやしていきたいということで取り組みを進めてきてございます。
 それから、その次の非常に広範なシステムでどのレベルかということでございますが、農林水産物は品目によりまして生産方法あるいは流通経路がそれぞれ異なりますので、トレースのシステム、トレースできるロットの大きさとか、あるいはそれに乗せる情報の種類とかによってシステムのレベルというのはいろいろ異なるわけでございますが、何にも増して重要なのは、消費者から見て安全性がきちっと確認できるような、そういう信頼感のある仕組みをつくり上げることであると思ってございます。
 それから、当然のこととして最終的な消費者に情報を提供するわけですから、消費者との接点となるところの民間の小売事業者あるいは量販店、牛肉みたいに、あるいはレストランみたいなところまできっちりいくようなシステムが必要でございまして、牛肉につきましては既に県内で300を超える小売店舗で生産履歴を開示してございます。牛肉以外の品目につきましても同様な考え方で、できるだけ多くの民間小売業者が参加していただけるような、そういうシステムを構築する必要があると考えてございます。
 それから、消費者の期待というか、消費者に対する効果の部分でございますが、消費者の期待が大きいというのはそのとおりでございまして、これに的確にこたえていくためには、食品がいつ、どこで、だれによって、どのようにしてつくられたかということを、消費者に適時適切に提供できるような仕組みにつくり上げると。
 このシステムを適切に運用することによって、食卓から産地の顔が見え、消費者がその食に対する信頼を得ることができる、そういう効果というか、そういう働きをするものにしてまいりたいと考えております。

〇高橋雪文委員 牛肉の場合をちょっと例に挙げてみたいんですけれども、生産者から消費者に渡るルート、これを示していくわけですけれども、BSEのもともとの感染の原因が肉骨粉であったというのは記憶に新しいことでありますけれども、今も外国から入ってくる飼料、こういうものが使われていると。こういうものにもトレーサビリティーのシステムというわけではないんですが、いわゆる牛から見た安全みたいなものがどうしても問われると思うんです。その点はどう考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

〇佐々木流通課長 具体的に牛肉のトレーサビリティーで、えさの情報をどう考えるかということでございますが、現在、牛肉につきましては、法律で全国的に基本情報を流すシステムをつくってございまして、平成16年の12月1日から全国的に走るわけですけれども、本県が独自に運用しておりますいわて牛のシステムにつきましては、既にえさの情報も開示できるような仕組みということにしてございます。これは、生産者あるいは消費者が何を期待するかということで、消費者が期待するものについては、可能な限り提供する方向ということが全国的な大きな流れになってございます。

〇小原宣良委員 4点について伺います。
 昨年の冷害の影響で種もみの確保が心配されました。この種もみの確保は十分なされたでしょうか。また、品種別に特徴的な傾向があればお知らせをいただきたいと思います。
 それから、遺伝子組換え作物の栽培に関するガイドラインの策定についてであります。この点についてはさきの総括質疑で伺いました。副知事から、策定に着手するとの答弁があったところであります。これは、遺伝子組換え作物の花粉の飛散による一般作物との交雑や混入による環境への影響を防止するとともに、食品に対する消費者の安全・安心志向にこたえていくためにも、大変大事な取り組みでございます。本県農作物に対する信頼の確保、そして優位性の発揮、こういう面からも重要な課題と思っておりますが、早期に策定をするということについて求めていきたいと思います。策定のめどを含め、どのように現在お考えかお伺いをしたいと思います。
 3点目は、耕作放棄農地の本県の現状はどうなっているでしょうか、その対策を含めてお伺いをしたいと思います。

〇中正農産園芸課長 まず、冷害の影響で種もみの確保がどうかという話でございます。
 御案内のとおり、昨年の冷害によりまして県内産種子の確保が心配されたということでございます。この対応といたしまして、県内採種圃産のほかに、一般農家の御協力もいただいたということ。そしてまた、一部の品種でございますがあきたこまちなどでございますけれども、県外へもお願いしたということで、種苗センターが中心になりまして、確保の努力をしていただいたということでございます。
 その結果、全体といたしまして、需要見込み2、396トンに対しまして2、566トンを確保したということでございまして、既に農家に配布されてございまして、育苗準備が始まっているという状況でございます。
 それから、品種別に何か特徴があるかということでございますけれども、いずれ、それぞれの品種も確保されたということでございますので、御安心いただきたいと思っております。

〇小岩農業普及技術課長 遺伝子組換えのガイドラインの策定についてでございますが、遺伝子組換え食用作物の一般農家圃場での栽培を規制することを考えておりまして、遺伝子組換え作物等の栽培に係る国の法律等、それとの整合性を図りながら、県民のいろいろな方々の御意見もお聞きした上で、できるだけ平成16年度の早い時期、今のところ6月ごろまでにと考えておりますが、策定してまいりたいと考えております。

〇河村農業振興課長 耕作放棄地の現状と対策についてということでございますが、2000年の農業センサスでございますが、耕作放棄地面積は8、093ヘクタールということで、これはその5年前に比べまして約5、000ヘクタール余り、前は5、000ヘクタールでございましたので、60%余り増加しているという状況でございます。特に、そのうち田んぼが約40%、2、800ヘクタール耕作放棄地があるということですし、農業地帯別で見ますと中山間地域が全体の78%を占めるということでございます。
 対策についてでございますが、平成12年度から中山間地の直接支払制度、これを実施してございますが、この集落協定、これによりまして中山間地に集中している耕作放棄地の解消あるいは発生の防止に取り組んでいるところでございます。それから、あわせまして現在市町村農業委員会を中心に、遊休農地の解消事業というものを実施してございます。これは遊休農地を把握し、パトロールし、活用の方向づけをして診断カルテをつくると。まとまって条件のよいところについては、例えば農地保有合理化事業を活用して担い手への利用集積を進めるということをやってございます。それから、条件の悪いところにつきまして、再整備をして活用できるというところにつきましては、土地改良等の各種補助事業の導入を進めてまいるということにしてございます。

〇小原宣良委員 種もみの確保については本当に御苦労さまでございました。
 遺伝子の組換え作物の栽培に関するガイドラインの策定、ことし6月をめどにということの説明がございました。ぜひ関係者との意見等の聴取をしながら、早期の策定に御努力をいただきたい。とりわけ、農家の皆さんを初め、県民の皆さんの理解というのは、消費者の皆さんは当然でありますけれども、生産者の皆さんの理解もしっかりと得ていかなければならない、そこのところが一番大事だと思います。そうした消費者の皆さんの安全・安心志向ということと、環境保全という部分を含めた岩手県のまさに優位性、ひいてはブランドの形成と、こういうことになろうかと思いますので、ぜひ御努力をいただきたいと思います。
 それから、耕作放棄農地の現状をお知らせいただきました。中山間地域における放棄地というのは、78%ということで大変多いわけですね。先ほどから議論がありましたように水田農業集落ビジョン、これらの議論が今行われておりますし、半数程度でそれら計画が策定をされていると、こういう説明でもありました。そういう中で、この中山間地域にあって、こうした耕作放棄農地、これは望むところではないと思うんですが、さまざまな事情の中でこうした現象が発生をしている、これはもう地域の活力といいましょうか、あるいは生活力の低下、こういったものまで地域全体に及ぼす、生産という場面だけではないものがそこには存在をしているのではないかと、このように思えてならないわけであります。そういう意味で、先ほど工藤勝子委員からもお話がありました。地域ぐるみの中で人との助け合いという点を基本に置いた、まさに岩手らしい農業集落ビジョンというものが求められているのではないか、こんな思いでございます。
 岩手の農政は、今まで家族農業を大切にしていくんだと、こういう基本でした。これは今でも変わりないと思うんです。そうした中で、一方では米政策改革に基づいて大規模農業、10ヘクタールだ、20ヘクタールだと、こういう感じのものが出てきている。中山間地においては個人ではなかなか対応し切れない、こういった状況が加えて環境下の中にある。したがって、ぜひここは部長さんにお伺いしたいんですが、家族農業を大切にしていくんだと、これが本県農政の基本であったはずでありますが、この点について認識を伺いたいと、このように思います。

〇佐々木農林水産部長 本県の農業、長い歴史の中で今日の基礎が築かれてまいったと思っておりますが、歴史的に見ても、それから今日的に考えましても、本県の農業は家族経営が基本であり、基本でなければならないと思っているところでございます。この家族農業を基本にしながら、よりよい効率的なあるいは合理的な営農をどうするかというようなところを、今水田農業ビジョンの中で議論をいただいているものだと思っておりますし、それから、家族農業と申しましても、以前のような経営にとどまっていいということではなくて、経営の高度化なり合理化というのは当然求めていかなければならないと。その中には、経営の多角化なりあるいは規模を拡大するというような観点での取り組みが求められているものだと思っておりまして、現在の水田農業のビジョンの策定に当たりましても、そういう観点での指導を行っているところでございますし、そういう内容の濃いものに策定していただきまして、それが積み上げられて、そして結果として岩手県の農業の新しい道筋が構築されることを期待しているものでございます。

〇小原宣良委員 最後になりますが、水産業の振興に関連してお伺いをしたいと思います。
 直接の振興策ではございませんが、漁村の生活環境の整備は生活の場、就業の場の両面から大切な課題だと思っております。漁業集落排水施設整備は海域の水質保全に直結をいたしますので、農林水産部としてこの事業をどのように位置づけて施策展開に当たっていこうとしているのか、現状を含めお伺いをしたいと思います。

〇千葉参事兼漁港漁村課長 漁村の生活環境の整備についてのお尋ねでありますけれども、お話しのように、漁村は漁業水産の場でありますとともに、住職一緒でございまして、生活の場でもありますし、あわせて、また都市との交流の窓口でもあるということでございますけれども、お話のありましたように、排水施設の整備あるいは集落道内の道路、それから上水道等、社会資本の整備全体が地形的な影響で町場の中心から離れていることもありますが、沿岸市町村は内陸に比べておくれているというところも、また、沿岸市町村の中でも辺地の方に位置している関係で、非常に整備がおくれている現状でございます。これら生活環境の整備については、水産業の振興と漁村地域の健全な発展を図るためにも重要な施設でありますけれども、特にもお話にありました漁業集落排水施設のおくれの方で言いますと、ただ単にトイレが水洗化されないというだけにとどまらず、ふろからの水あるいは洗濯水、台所から出る生活雑排水等が、そのまま漁場に希釈されることなく流入するといいますか垂れ流しになるというようなことで、今お話にありましたように、漁場の水質保全に直結するという、まさにそのとおりの実態でございます。
 下水道の処理につきましては、日本全体もそうですが、岩手の方もかなりおくれて着手して、ただいまは全県域汚水処理構想でもってかけ足に追いつこうとしておるわけでございますが、漁村の整備につきましても、漁場の水質を保全するということから考えれば、安全・安心な水産物の供給をするためにも、何にも増して最初に、都市部より先に漁村の方は整備しなければいけないのではないかと私も考えておりまして、これまでもおくればせながら予算の重点化を図りながら進めてきておりますし、今後とも、そのような姿勢で市町村と一体になりながら整備に努めてまいりたいと、このように考えております。

〇小原宣良委員 決意を込めてお話をいただきました。この漁業集落排水施設整備、この部分は農林水産部が所管で行うということでしょうが、あすの審査にもありますけれども、県土整備部の下水道関連等公共下水道を含めた、こういった部分では十分連携をとっていかなければならないでしょう。地形的な問題も当然そこには存在をするわけですが、そこで、これは漁業集落排水施設整備という部分では農林水産部で予算を確保して、当部で、ここで実施まですべて行うと、こういう事業だと理解してよろしいんですか。他部との連携という部分で、何かネックになっている部分があるとすればお教えをいただきたい。

〇千葉参事兼漁港漁村課長 下水道処理につきましては、お話にありましたように、県土整備部の方の公共下水道あるいは当部の農排事業等ありますけれども、この漁業集落の排水整備事業というか、市町村の排水事業は主に市町村の事務といいますか、ごみ処理とかし尿等のような市町村の事業と位置づけられておりますので、私どものところで予算計上してあれしておりますが、実態は国庫補助金の受け入れと市町村についてかさ上げをして、市町村に流して、市町村自体がそれぞれの地域で、町場の中心は公共下水道とかあるいは農業地域は農業あるいは漁村地域は漁村、それぞれのところで実施しておりますが、一本の全県域汚水処理構想で、一つの市町村であれば一つの市町村で、一本の計画の中ですみ分けを実施して、それの実施に当たっては連絡協議会等を設置してうまくといいますか、きちっとそういった体制はとれているものと考えております。

〇小原宣良委員 これで終わりにしますが、ぜひ部長、今のような状況の中で、とりわけ地方財政、市町村の財政も厳しいと、こういう状況の中ではありますけれども、ぜひこうした生活環境の整備とあわせ、あるいは本県の漁業振興、水質保全、こうした重要な役割を持っている当事業でありますから、市町村と連携をしながら十分可能な限りの対応をお願いしたいと、こう思いますが、いかがでしょうか。

〇佐々木農林水産部長 お尋ねのこうした施設の整備につきましては、まさに生活にかかわる問題でございますし、それから環境保全を図るという観点からも極めて重要だと思っております。そうした中で、私どもの予算の考え方としては、そういった観点に重点化を図りながら、特にも本県は全体としておくれておりますし、それから特に漁村地域はおくれているわけでございますので、今後とも限られた予算ではございますけれども、こうした対策に予算の重点化を図りながら、できるだけ目標が早期に達成されるように取り組んでまいる考えでございます。

〇伊沢昌弘委員 農林水産部ということで、第1次産業すべてを掌握しながら、第1次産業で働いている人のみならず、消費者、流通の関係の皆さんも、県の農林水産部の活躍といいますか、活動を注視していると思います。こういった中で、BSEの発生や鳥インフルエンザ、先ほど来お話のあった岩手競馬の問題、県行造林の問題、さらには森のトレーの課題など、農林水産部の皆さんにとって、この間大変厳しいいろんな課題が肩にのしかかっているのではないかという思いがしています。こういった中でありますけれども、ぜひ頑張って県勢発展のためにまず御努力をお願いしたいと思うわけであります。そういった観点で簡単――簡単でもありませんけれども、私の方からお伺いしたい部分がございます。
 家畜排せつ物の適正処理に向けて、この間畜産農家の皆さんが厳しい経営状況の中で苦労してこられていると思っています。県も堆肥舎の建設補助を初め、国の補助等々活用しながら、この間整備状況についていろいろ進めてこられたと思っています。本年10月、法律施行があるわけでありますけれども、十分間に合うのではないかということも含めて過日お話があったように思うわけでありますが、いろいろな補助金があるわけですけれども、地域有機物資源活用促進事業費補助金など、これまで県内でこういった補助金を使いながら堆肥舎等の設備をしてきたと思うんですが、その状況についてお知らせをいただきたいと思っています。
 また、堆肥舎を整備するということは、有機肥料として土地に還元することだと思います。それと、資源循環の観点、農地の地力保持に対して、この有機肥料は使っていくことが必要だと思います。それから、今いろいろと御説明をいただいた中には、バイオマス燃料としての活用を含めた新たな施策の展開なり、これまでも取り組んできた事例があろうかと思っています。こういったところが、これまでバイオマス燃料としていろいろやってきた施設もあるわけですが、稼動状況等を含めてお知らせをいただきたいのと、これまで不十分と言えばしかられますが、家畜排せつ物等堆肥を使っていろいろ農地還元もしてきたと思います。その使われ方がどの程度なのか、余っているのか足りないのか、そういったことも含めてお知らせをいただきたいと思います。
 なぜこれを聞くかというと、堆肥舎が完備をされるということは、言ってみれば不法投棄という形で、知らないうちに沢に流れるとか、捨てられたというものがなくなるという前提だと思いますので、これまで以上に有機肥料としての活用が求めれるという視点がありますものですから、お伺いをしたいと思います。

〇菅原畜産課長 地域有機物の活用事業についてでございます。いわゆる家畜排せつ物法に定められました堆肥舎等の処理施設、期限が迫ってございます。本年の10月ということになってございます。現在、各種補助事業などを活用いたしまして、今整備を進めているところでございます。
 御指摘の県単独の補助事業であります地域有機物資源活用促進事業、これが現在最も農家から使いやすい事業ということで好評なわけでございますけれども、法律施行の11年以降今年度まで453カ所、整備戸数でいいますと524戸ということで、全体の整備に占める割合は約16%となってございます。ここの施設の整備がされてございまして、いろいろの地域の営農集団等によって、有効に活用されているというのが実態でございます。
 次に、家畜排せつ物の利用状況でございます。県内におきまして家畜排せつ物の排出量といいますと、これは平成15年の2月1日現在の家畜飼養頭羽数から推定するわけでございますが、約390万トンと推定されます。このうち、これは地方振興局等の調査に基づくわけでございますが、約8割が堆肥化されまして、農地に還元されているということで、残りにつきましては十分な活用がまだされていないという状況でございます。
 次に、環境にやさしい資源循環型社会に向けたリサイクルエネルギーの資源としての排せつ物の有効利用という観点でございます。メタン発酵によるバイオガス発電につきましては、現在鋭意取り組んでいるところでございまして、現在のところ2カ所において、これは藤沢町と葛巻町でございますが、稼動をしてございます。新たに来年度に雫石町におきましてバイオマスの施設が着工するという運びになってございます。
 それから、供給される排せつ物の地域循環といいますか、利用の姿でございますが、堆肥の窒素量を、いわゆる土づくりに必要な窒素量を換算をしてみますと、県全体で見ますと、供給量が必要量を上回っているということでございまして、地域的に見ますと県北とか県南、いわゆる中小家畜が集中しているところにおきましては、供給量が必要量を上回っているという状況にございます。このため、この排せつ物の炭化処理あるいは地域外への販売ということで循環に取り組んでおるわけでございますけれども、地域としましては土づくりあるいは減化学肥料栽培ということで、化学肥料代替としての堆肥の利用等についても促進しながら、十分な活用を図ってまいりたいと考えてございます。

〇伊沢昌弘委員 かなり整備が進んだということで、これはふん尿以外のバークとかいろんなものを混ぜる形で堆肥化をしながら袋詰めで出すということもかなり以前にはやっていた部分がありまして、頑張っていながら供給先がないということで、一部野積みの状態で流出をして問題になったという事例もあったわけですが、今行われている事業の中で、大きなものも多分あると思うんですが、そういった中で先ほど最後に課長がおっしゃった地域以外への搬出というのは、言ってみれば堆肥化でそのまま持っていくのではなくて、袋詰めをしながらやっていかなければならない。これの肥料の調整もしながらやるということになると思うんですが、そういった施設というのは県内、今どのようになっていますか、稼動状況を含めて、もしおわかりでしたらお知らせいただきたいと思います。

〇菅原畜産課長 いわゆるたい肥センターということで、大型の施設でもって堆肥化して非常にハンドリング性を高めるといいますか、販売にも活用されるという形で使われている、処理されている施設になると思いますが、県内に現在20カ所ほどございます。かなり有効に活用はされてございますが、依然としてまだ在庫を抱えている部分もあるということで課題を抱えているわけでございますけれども、いずれ、このことにつきましても利用促進という形で今後力を強めていきたいと考えてございます。

〇伊沢昌弘委員 いずれ、出口がないと循環型社会というのは成り立ちませんので、これは畜産のセクションと農地をつくっていくいわゆる野菜づくりも含めた、米づくりも含めたセクションが、ともになって努力をしていただきたいと思っています。
 あと1点お伺いしたいんですが、先ほど関連で質問すればよかったんですが、鳥インフルエンザの関係で、今までにない組織を立ち上げたということで敬意を表するわけですが、実は今年山口で発生して以来、本当の意味でこれがどこから来たのかというのが、今わかっていないのではないかという思いがしているわけです。とんとんと飛びはねている。京都では知らないうちにほっかむりをした業者の方がいて、広がったという形になっています。カラスに蔓延をしたとかという形の中で、実は私単純に考えているのは、今、春先を迎えています。岩手というのは北に帰る渡り鳥の休息地に途中なるところもあるのではないかと。どこから来るかわかりませんが、そういった関西地方からいるような渡り鳥がもし岩手で羽を休める、その時点で感染をしていたものが、カラスを含めてこの辺に常住をしている野鳥に感染をし飛びはねながら、言ってみれば先ほどお話のあった多頭飼育をしている県内に蔓延するというのは大変だなという思いがしているわけですが、先ほどの野鳥対策については千葉委員の方からもお話があって対策をしていると、こう言われましたけれども、野鳥の捕獲も含めて、この状況等というのはどうなっているんでしょうか。
 対策の資料を見ますと、それぞれのところでウイルス検査もしながら定期的にやっているというのはあるわけですが、国としてもそういった分野も含めて、野鳥をとらえたりしている状況もテレビで見ているわけですが、岩手県としてもそういった状況をきちっとやる必要はあるのではないかという思いがしています。それから、ブロイラーなり採卵鶏のところで鶏舎にいわばほかの鳥が入らない、野鳥が入らないというのも最大の防御の一つではないかなと思うんですけれども、そういった対策についてのお考えをちょっと教えていただきたいと思います。

〇千葉家畜衛生対策監 野鳥の対策ということでございますが、現在のところ、環境省の方で、もし異常なものがあれば検査等をしなさいということで通知が出ておるわけなんですが、農林水産部の方の野鳥については所管となってございませんので、自然保護課と協議をしながら、野鳥が死んでいた場合には家畜保健衛生所の方で検査したりしてございます。

〇伊沢昌弘委員 それではだめだと思って今聞いたんです。異常があったやつを調べてウイルスがありましたというのであれば、どこまで行っているかわからないでしょうと、こう意味で私は聞いたわけで、逆に言えば畜産サイドで鳥の飼っているところ、野鳥対策はどうなっているんですかと。例えば、大変広い場所ですから、全部くくるというのは大変でしょう。しかし、鶏舎の中に鶏なりカラスが入っているという状況があるとすれば、これはとどめるべきでしょうと、そういうことも含めていかがでしょうかという思いで聞きました。
 それと、渡り鳥について全部調べろというのは大変なことなわけですが、これは異常がなければだめなのか、ひょっとして捕獲をして採血をすることによって、殺さずにウイルス検査もできるのではないかという素人考えだったものですから、そういうことも県内的にやったらどうなんでしょうねと、こういうことですので、所管が違うからそっちだではなくて、対策本部の部分でいけば畜産の対応が求められていると思いますので、検討されてはいかがかなと、こう思いますので、御見解を賜りたいと思います。

〇千葉家畜衛生対策監 捕獲をもってまで調査ということは現段階では畜産の方では考えてございません。
 それから、鶏舎内にカラスやいろんな野鳥が入ったりするというようなことはございますが、いずれ生産者に対しましては周囲の消毒をきちんとすること、あるいはできるならば防鳥ネットを張るといったようなことを、私どもの方ではこれまで指導してまいりました。

〇照井昭二副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時56分 休 憩
   午後3時19分 再 開

〇吉田昭彦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。

〇斉藤信委員 それでは、最初に鳥インフルエンザ対策について、幾つか議論もありましたが、私は第1に、鳥インフルエンザ対策の予防対策についてお聞きしたいと思います。
 きょう政府の方が総合的な対策を出したようです。夕刊に若干出ていました。そこではどういう予防対策が示されているのか。また、実は去年、オランダでこの鳥インフルエンザは4カ月間大発生しまして450人に、これは人に感染をしたということでありました。ですから、これは世界的にはかなり鳥インフルエンザが流行していると。こうした世界の教訓からも学んで、発生させないということが一番の大事なポイントですから、今そういう点でどういう予防対策を県として講じられようとしているか。これが第1点です。
 第2点は、京都の例でも、発生した場合の初期対応が徹底的に重要だということで、これは県も連絡体制もとって対応しているようですが、私はあの体制を見て、あれはあれでいいんですけれども、やっぱり市町村も含めてこれは対策をとらないと不十分だと思うのですね。初期対応について、特に関係市町村、ブロイラーが大きな比重を占める特に県北ですね、こういうところの市町村との連携、市町村への支援、これはどうなっているか。
 三つ目は、発生したときの補償対策であります。これも総合対策で若干出ているようですが、30キロメートル以内移動禁止になりますので、これは全面的な補償をするというふうにしてこそ私は機敏な対応ができるのではないかと思います。この点では既に風評被害といいますか、鳥肉の価格が大幅に下落していると、これは深刻な問題です。岩手県は羽数で第3位ですか、産出額で1位か2位ですか、2位ですね。まさに全国有数のブロイラー県で、私はもう既に大きな打撃を受けていると思うのです。その点で、こうした影響を受けている業界に対して、また、業者に対してどういう対応をとるおつもりか示していただきたい。
 それで、田村誠委員も取り上げましたが、北上市の学校給食センターが鳥肉を使わないという、ブロイラー県としてはこれは極めて残念なことで、こういうのが広がることは大変なことなので、やっぱり岩手県の鳥肉が安全だというので、逆にここでシェアを拡大するぐらいの構えで私は取り組まなければだめだと思うのです。BSEのときは学校給食で積極的に県産牛を使いました。私はそういう攻勢的な対応もぜひ考えていただきたいと思いますがいかがでしょうか。

〇千葉家畜衛生対策監 最初に、予防対策ということで、本日、政府の関係閣僚会議の会合でございますが、その中でいろいろな緊急総合対策が出てございます。主として発生防止のための措置あるいは早期発見、早期通報のための措置、発生した場合の防疫措置、感染経路の解明等、それから国民の食に対する不安を払拭するための措置といったような、いろいろな措置が緊急に出されるということでございます。私ども本県では、これまで山口県の発生以来、家畜保健衛生所を通じまして、鳥あるいは飼育鳥の異常調査をいたしましたし、あるいは県民等への情報提供ということでチラシ等を配布してまいりました。それから、蔓延防止ということで、山口県で発生した際には山口県からいろいろな家畜、あるいはその製品類について本県への移入する禁止措置ということで告示行為等を行ってまいりました。それから、通常、私どもはこの鳥インフルエンザのことにつきまして、平成9年からでございますが、いろんなモニタリング検査等をやってございまして、これまで異常等は見つかってございません。そういった対策を打ってきてございます。
 それから、2点目ですが、初期対応についてというお話でございまして、市町村を含めて対応すべきだというようなお話でございました。去る3月9日には、市町村は構成員としては入ってはございませんが、町村会、それから市長会等を加えました高病原性鳥インフルエンザ緊急防疫対策連絡会議を開催いたしまして、早期発見と初動防疫の体制に向けた取り組みをしていくんだということで会議をいたしました。家畜保健衛生所単位には家畜防疫委員会議等を開催しまして、市町村等を交えていろんな対策について検討してございます。
 それから、発生したときの支援というお話であったかと思いますが、これにつきましても、今般、先ほどの政府閣僚会議で高病原性鳥インフルエンザ蔓延防止緊急対策事業というような格好で、一定期間出荷ができないというような状況になった場合の移動制限区域内の経営に著しい影響を受けた養鶏農家等に対しまして、必要となる経費につきまして助成措置がきちんと出されたようでございます。いずれ卵などが減少して価格価値が減少した場合の補てんとして、政府では減少した額の2分の1というような格好で助成する。それから、肉用鶏の出荷遅延については2分の1の助成をするといったような措置が講じられたところでございます。

〇佐々木流通課長 学校給食への利用のことについてでございますが、私ども農林水産部はもとよりでございますが、県教育委員会におきましても、各市町村の教育委員会を通じまして各給食現場に、鶏肉、鶏卵は安心して食べていただきたいということを徹底して――徹底してというか、正しい情報としておつなぎし、使っていただくように努めてまいりたいと思っております。

〇斉藤信委員 あっさりやりますけれども、補償の対策については今2分の1という話で、これでは養鶏業者倒れてしまうんですよ。2分の1補助ではね。だから、山口県ではほかの2分の1を、大分県でもそうですけれども県が補てんをしているわけで、そういうことをやっぱり県も構えてやっておかないと、実際に発生したときには対応できませんからね。既に先進的なというか、発生したところではそういう損害補償をしていますから、そういうところも踏まえてやっていただきたい。
 それと、学校給食、正しい知識をというのは文部科学省もやっているんですよ。私はその程度のことを言ったのではなくて、BSEでもあれは地方振興局単位でやったではないですか。県産牛の牛肉の学校給食をあの当時かなりやったんですよ。だから、私は鳥肉も、全国有数のブロイラーの県なんだから、県内のそういう鳥肉を活用して、おいしい学校給食をやるぐらいの攻勢的な取り組みをやっていただきたいということを質問したんですよ。正しい知識ではなくて。それを後からもう一言ずつ。
 それで、二つ目に、来年度予算と米対策について項目的にお聞きをします。
 今、国の米政策、そして水田農業集落ビジョンを県が進めていますが、この最新の到達点、どうなっているでしょうか。私は、この集落ビジョンを考えるときに、日本の農業というのは一貫して家族経営なんですよ。だから、家族経営を大切にしながら集落営農ビジョンを考えるというふうにすべきだと思うのです。大規模経営一本やりというのは今まで破綻してきたんです。だから、集落ビジョンで私は家族経営を大切にして、そしてそういう経営に参加する意思のある農家は、すべてこれは参加できるような集落ビジョンにすべきだと思いますがいかがでしょうか。
 二つ目は、このような集落ビジョンをやっても、今、国は結局、価格補償、所得補償をどんどん減らすために米改革大綱を進めているんですよ。これでは絶対農業の振興にはならないです。それで、県独自にでも米や転作作物の生産を補償する具体的な対策が必要だと、4割減反やっているんですから、幾ら集落のビジョンを立てても4割の田んぼで何をつくるのか、そして、そのために県はこういう対策を、助成をしますよということがないと私はうまくいかないと思うのですよ。一言紹介しますと、日本の穀物自給率というのは、世界175カ国中128番目ですよ。北朝鮮は106番目で54%、日本は28%、あの北朝鮮の半分しかないんですよ。だから、そういう点でいけばもう危機的な状況なんですよ。こういうときに生産を守る対策をとらないでどうするのかということが問われているので、日本の食料基地と標榜しているわけですから、そういう積極的な対策が必要ではないか。
 三つ目、私は農林水産予算のゆがみを正すべきだと思います。全体の900億円前後の予算額ですが、公共事業費の額と比率はどうなっているでしょうか。価格補償の額と比率はその中でどうなっているでしょうか。ヨーロッパ、アメリカは5割から7割価格補償、所得補償です。いわば価格補償、所得補償が農業予算の主役というのが世界の流れです。岩手県がどうなっているかを示していただきたい。
 予算の関係で最後ですが、馬淵川沿岸水利事業、私、何度か取り上げてきました。この計画に対して今、現状はどうなっているか。この事業の進捗状況、そして参加の農家の負担の状況、これからの見通し、このことを示していただきたい。

〇佐々木流通課長 学校給食についてでございますが、確かにBSEの際はそのような取り組みもしたわけでございますけれども、今般の高病原性鳥インフルエンザの関係につきましては、現在、私ども把握しておる学校給食での利用状況につきましては、異例の対応をしたのは1カ所だけでございまして、今後、学校給食関係者等の御意見なり、あるいは実態をも踏まえまして、さらに検討してまいりたいと思っております。

〇千葉家畜衛生対策監 先ほどの農家支援のお話でございますが、県としての対応でございますけれども、万が一というような事態が発生した場合につきましては、いずれ事態の状況を見きわめながらですが、被害の状況に応じた中で十分検討してまいりたいと考えます。

〇河村農業振興課長 家族経営の位置づけということでございますが、いずれ先ほど農林水産部長も申し上げましたが、本県の農業の担い手というのは基本的に家族経営が基本だと考えてございます。
 それから、県の農業・農村基本計画の中でも、これらの家族経営がそれぞれ経営志向あるいはそれぞれの能力に応じて、地域農業の中で一定の役割を果たしていくものということにしてございます。今回のビジョンの策定に当たりましては、そういう地域の話し合いと合意をもとにしまして、集落の特性だとかあるいは立地条件に応じて、家族経営としての規模拡大あるいは集落型経営体やその法人化など、言ってみれば多様な担い手の育成に取り組んでいくということにしてございます。
 それから、二つ目の米転作物の生産を補償する対策についてでございます。いずれ来年度からすぐ新たな米政策へ移行されるということで、国においては、地域の実情に応じて活用できる産地づくり交付金、これは例えば農家等が転作物生産に使えると、これは自分で選べるということでございますし、それから米価下落に伴う稲作収入の減少を補てんする担い手経営安定対策、こういうものを創設することとしてございます。
 これらの国の対策に加えまして、県としては、特に水稲の減収分をカバーできるような収益性の高い園芸作物の導入、拡大に向けまして、新しい技術の導入だとか、それから先進農家での新しい新規栽培者の技術習得、こういう取り組みを支援する新たな県単事業を創設することとしてございます。県としてはこうした対策が有効に活用されますよう、関係機関・団体と連携して支援してまいりたいと考えてございます。

〇高前田農林水産企画監 平成16年度当初予算における農林水産業関係公共事業の比率についてでございますが、まず農業関係が53%、それから林業関係が55%、水産業関係が64%でございまして、農林水産業全体では55%となってございます。
 次に、価格・所得補償関係の比率でございますが、青果物の価格安定対策及び家畜畜産物の価格安定対策の予算が当部の予算に占める比率は0.5%となっております。
 次に、公共事業偏重のゆがみが生じているのではないかという御指摘でございますが、農林水産関係の公共事業につきましては、生産性の向上等を図るための生産基盤の整備や、農山漁村の生活環境の整備を目的として実施しているところでございます。本県におきましては、こうした基盤整備がおくれておりますことから、限られた財源の中で、今後とも公共事業の重点化を図りながら、農林水産業の生産性の向上に努めていくことが重要であると考えております。

〇川邊農村計画課長 馬淵川沿岸農業水利事業の進捗状況についてでございますが、新規水源であります大志田ダムが平成15年11月に完成したほか、主要な幹線用水路、それから支線用水路についても計画どおりに進められております。平成15年度末の進捗率が76%と見込まれております。
 それから、農家負担の話でございます。この事業費でございますが、地元が5%の負担になっております。その内訳なんですが、これは二戸市と一戸町で市・町が全額負担するということになっておりますので、農家の負担はございません。

〇斉藤信委員 ちょっと雑駁な答弁でしたね。馬淵川は、私は計画に対して参加農家の状況を聞いたので、実際に畑かんで引けば農家負担が出てくるではないですか。農家の負担ないなどというのはあり得ないので、地元負担は、それは一戸町と二戸市が持つというのは私も知っています。そのことをちょっと補足してください。
 それと、高前田企画監は確信を持って55%の公共事業大事だと言っていましたが、私が紹介したように、世界の流れは価格・所得補償が農業予算の主役なんです。これは国もゆがんでいますが、国は価格・所得補償3割ですよ。県になると0.5%なんですよ。これがゆがみでなくて何なのかと、今、本当に農家が求めているのは安心してものがつくれることですよ。だから、私はそういう点では、すべての公共事業むだだとはもちろん言いません。しかし、今一番求めているのは、農家が安心してつくれる作目は何か。そこに価格補償することなんです。農業共済新聞、私のところにきのう届いた最新号を見ましたら、いわば今のWTO協定のもとでも4兆円の価格・所得補償できるんですよ。ところが、この17%しか日本はやっていないんですよ。世界一価格・所得補償を切り捨ててきた。いわばやれるものまでやらないで2割程度しかやっていない。私は本当にここに、さっき言ったような深刻な実態があるので、そういうことを正すことが必要ではないかと、これは部長に聞きましょう。少し大局的な話だから。
 続いて、県産材の積極的な活用と循環型木材振興についてお聞きをします。
 実は、昨年、増田知事がマニフェスト、選挙公約の中でこういう公約をしたんですね。人間と自然との共生を森林とのかかわりの中から見つめ直し、「森(しん)イーハトーブ緑の王国」の創出を目指し、次の施策を実行します。みどりの学舎(まなびや)推進宣言。今後、建設する学校について、県産材を活用し、木造化率を向上する。そして、みどりのエネルギー利用推進宣言。これは木質バイオマスエネルギーを活用する。みどりの公共事業推進宣言。県営の公共事業の実施に当たっては、県産間伐材等の自然素材を活用する。私は、なかなかこれはいい政策だなと、やれば。それで、私は、これは積極的にやっていただきたい。やっぱり森林県、北海道に次ぐ森林県なわけですから。
 それで、具体的に聞きます。県産材を活用する事業と予算は来年度どうなっているでしょうか。木材の循環型振興、今、紫波町が町産材を活用して地元の製材業者が力を合わせて、そして地元の大工さんが一緒になって立派な木造校舎をつくって保育園を今つくっています。そして、個人住宅に対して利子補給とか固定資産税の減免をやっています。公共施設を次々につくっていますね。ですから、町が発注する事業費の8割は地元の業者なんですよ。そして、山も守られる、業者も守られる、経済も循環する。私は、一つの全国的な典型がつくられていると思っています。私は、県レベルでこのような木材の循環的な振興策が必要ではないかと思いますがいかがでしょうか。

〇川邊農村計画課長 国営の附帯の県営かん排の負担のことでお答えいたします。
 今現在やっています、例えば舌崎地区という二戸市でやっている地区がございます。そこで今、畑かんをやっておりますが、これでいきますと10アール当たり4万円という金額になります。それから、これを例えば10アール当たりの年償還額に直しますと、1年間に3、000円という金額でございます。これは各施設とかいろいろによって値段がかなり変わってくるという状況でございますので、代表的な例ということにさせていただきます。それから、参加している農家数ということでございます。今、この舌崎につきましては98戸ございます。それから、今、一戸町の方で奥中山地区というのがございまして、これが113戸ございますし、南奥中山地区というのが今度の4月から採択になる予定でございまして、それが54戸ということで、現在こういう3地区について末端では動いている状況でございます。

〇佐々木農林水産部長 予算の配分の話でございますが、公共事業ではなくて価格安定対策等にシフトさせるべきだというお尋ねでございましたが、午前中は公共事業を削減したというおしかりを受けまして大変苦慮しているところでございますが、いずれ部といたしましては全体のバランスを考えながら、優先度あるいは重点性というものを考慮しながら、全体的な予算の編成に取り組ませていただいているところでございます。

〇千田林業振興課長 県産材の活用の関係でございますが、まず、県産材を活用するための事業と予算ということでございました。県産材の活用策に関する事業、主なものを掲げますと、まず木質バイオマス資源活用促進事業、あるいは県産材流通対策事業、この県産材流通対策事業と申しますのは、平成16年度の政策形成プロジェクト予算で新たに実施したいとしているものでございますが、これは県産材を証明する制度の普及定着、あるいは県産材を具体的に活用したいという方のために、アドバイスをしていただく県産材利用コーディネーターの方を養成する。このようなものでございます。それから、実際に住宅を建てる方のために、木の香る環境共生住宅促進事業費の補助などがございまして、全体の予算枠は約2億5、000万円ほどでございます。
 それから、紫波町が資源循環型の前進的な取り組みをやられているということで、まさに県がこのような取り組みをするべきではないかという御質問でございましたが、本県の県土の8割は森林が占めてございます。再生可能で環境に優しいということで、木材を活用することが資源の循環の利用につながると考えておりまして、そのことが自然環境の機能の維持増進にも貢献できるものではないのかと思っております。そういう意味で、先ほど申し上げました県産材の証明制度でございますが、この証明制度につきましては、林業団体が中心になって取り組むわけでございますが、これにつきましては素材生産業者から製材工場、それから建築・土木業者、それから消費者に至る一連の流れをつくっていこうと、こういう中で、地産地消でもって進めようというものでございます。
 県といたしましても、昨年6月に岩手県公共施設・公共工事木材利用推進本部を設置いたしまして、12月には具体的な行動計画を策定いたしました。このような取り組みを通しまして、県といたしましても木材の循環型の資源の活用、林業の振興を図れるようにこのような取り組みを進めてまいりたいと考えております。

〇斉藤信委員 川邊課長、馬淵川沿岸水利事業は総事業費幾らで、今までどのぐらいかかって、この対象農家は幾らで、今、実際にその受益農家は幾らになっているか、これを教えてください。かなり深刻だということを私は聞いているので。
 あと、今の、木材振興課長、知事が、森と書いて、しんと読むんですよ。森イーハトーブ緑の王国ですよ。私はこの知事の公約から見たら、残念ながら本当に小規模な取り込みで、本当に木材振興、残念ながら林業公社とか負の遺産が多いんだけれども、やっぱり今まで育てた財産あるわけだから、この財産を本当に県が積極的に活用すると。紫波町の実際のものを見ますと、木造の立派な校舎、小学校はアカマツの大はり100年物ですよ。保育園は200年のアカマツの大はりを使っているんですよ。ところが、決して高くないんです。小学校で7億5、000万円ですからコンクリートと比べても全然高くない。全国から視察が殺到しているという状況ですね。それで、山も守られる、製材業者活気づく、大工さんはベテランと若手が技術交流して大変すばらしい変化が今、生まれているので、私はそういうことをひとつ、知事も公約していることだから、緑の王国を目指してやっていただきたい。これは指摘だけにとどめておきます。
 それで、最後ですが、森のトレーの問題についてお聞きをしたいと思います。
 森のトレー問題は、連合審査で参考人質疑も含めて積極的な審査が、この間、県議会でもやられてきました。私もその記録を読ませていただきました。読めば読むほどこんがらがると、というのはなぜかというと、証言がみんな食い違っているからですよ。食い違うだけではない、皆さんがやってきた国や県、市町村、組合とのやりとりが、全部日付が違うなどという、だからその真相がどこにあるのか全然わからないというのが、記録を見た私の感想です。それで、改めて問題を整理してお聞きしたい。
 第1の問題は、森のトレー事業の申請に係る経過です。ここであるべきはずの公文書がない。申請した公文書は実はさかのぼって、40日も50日もさかのぼっていたということが指摘をされていますが、この事業の申請に当たって、実際になぜこういうさかのぼり、偽り、文書の改ざんが行われたのか、これを具体的に示していただきたい。そして、それは公文書のいわゆる偽造にならないのか。まず、ここからお聞きします。

〇川邊農村計画課長 国営馬淵川の前半の話でございますが、まず事業費でございます。国営の事業費、総事業費なんですが520億円でございます。受益面積が約2、600ヘクタールございます。参加人員でございますが、受益農家が2、039戸ございます。そのうち同意取得が1、919戸ございまして、同意が約94%で事業を着工しております。いずれ、先ほど申しましたように、県営事業につきましてはこれに附随して今、動いているという状況でございまして、今のところ4月を含めて3地区ということで265戸ということでございますので、トータルからいきますと約13%ぐらいという受益者ということでございます。

〇千田林業振興課長 森のトレー事業の申請に係る経過とその公文書のさかのぼりのことでございますが、この事業は景気対策に係る補正予算ということで、極めて限られた時間の中で実施されたものでございまして、事実、一部の書類にさかのぼりが見られております。具体的にということでございましたのでお答え申し上げますけれども、まず、計画認定協議書の提出でございますが、これは平成10年12月11日付で国に対して県から提出しておりますけれども、文書の発送が平成11年1月22日になっているということで、さかのぼったのではないかというふうに思っております。また、計画を策定した後の計画策定通知でございますが、これは平成11年1月5日付で県の本庁から地方振興局と久慈市の方に通知をしておりますけれども、実際にこの文書が発送されたのは平成11年2月25日ということでございますので、これについてもさかのぼりがあったのではないかと思っております。

〇斉藤信委員 では、この最初の経過についてお聞きしますが、最初に1月14日の連合審査で出された資料を見ますと、9月から10月にかけて組合から久慈市、久慈市から地方振興局、地方振興局から県、県から林野庁、県から林野庁は10月8日付ですよ。林業構造改善事業実施要望。しかし、連合審査では久慈市の担当課長、当時の課長さんは、私たちがこの事業を知ったのは11月4日です。いいですか、11月4日に知ったのに10月8日には事業実施要望が出されているということになりますね。これは本当でしょうか。うそでしょうか。そして、今さかのぼったということは、県と国の関係で言いましたが、全部そういう形でさかのぼったということでしょう、結局は。それは公文書の改ざんにならないんですか。これは国も含めて。問題ないんですか、こういうのは。いつもやられているんですか。

〇千田林業振興課長 まず、事業実施要望の10月8日付の、これはファクスを林野庁に送ったものでございますが、連合審査をやりました後で再度当時の関係者に聞いたわけでございますが、これについてはさかのぼってはいないというふうな回答でございました。それから、日付をさかのぼったことに対することでございますが、やはり適切な事務処理ではなかったと、このように考えております。

〇斉藤信委員 10月8日付に県から林野庁にファクスが送られたと、それは事実だと言いました。だったらこの事業実施要望には久慈市は参加していないということになりますよ。久慈市は11月4日に打合会議でこの問題を初めて知って、翌日のヒアリングに呼ばれたと言っているんですよ、担当課長は。10月4日の事業実施要望は久慈市が知らない間にやったということでいいんですか。

〇千田林業振興課長 今の斉藤委員の御質問は、前の参考人招致の際の久慈市の当時の担当課長の証言に基づいた御質問だと思いますけれども、その際に当時の地方振興局の課長の証言、参考人招致されました課長の証言では、7、8月ごろに久慈市の方にこの事業の説明に行ったと。ただ、市の方は体制が整わないので県の方でやってほしいと、そういうふうに言われたと言ってございます。これにつきましては、斉藤委員が言われましたように、当時の関係者の証言にそごがございまして、私どもとすればどちらが正しいというふうなことまでは、現在の時点ではちょっとわかりかねます。

〇斉藤信委員 最初の事業実施要望する段階でこういう大変ずさんなことになっているわけです。しかし、久慈市の復命書は11月4日、11月5日なんですよ。市長に出している復命書は。いいですか。久慈市は正式な手続やっていないということですよ。それは事実ですよ、あなた。県の課長は係長に言ったかもしれないと、こういう話ですよ、参考人のときの話は。少なくともここに書いている事業実施要望が組合から久慈市に行って、久慈市から地方振興局に行ったのは9月29日付、あり得ないではないですか。違いますか。それと、国を先頭にして40日も50日もさかのぼって文書が来ている、送っている、来ているという問題は、少し問題あったという程度でこれは済むんですか。27億円の事業ですよ。そんなことでいいんですか。部長、こんなことでいいんですか。

〇佐々木農林水産部長 この事業は景気対策ということで、限られた時間の中で実施せざるを得なかったというようなことでございます。現に、国からの通達でございますけれども、平成10年12月11日付の国の通達が、本県で受け取ったのが平成11年1月22日だというようなことでございまして、こういう限られた時間の中で実施せざるを得なかったということもあるわけでございますが、いずれこうした処理は決してあってはならないものだと思っております。

〇斉藤信委員 ですから、一つは、事業実施要望をやる過程で、久慈市が入らないで、10月8日付に林野庁にファクスやっていると言うのであれば、そういうことになります。これは極めて重大な問題だから。食い違っている程度ではこれは済まないんですよ。県の責任が厳しく問われる問題ですからね。これはみずから解明してください。それで、知事がこれは総括審査の中でこう言っているわけですよ。内部調査結果資料については、農林水産部の方で事故報告書の形で取りまとめている。この事故報告書については、速やかに提出したいと答弁しましたね。私は、てっきりきょうの予算委員会に提出されると思っていた。何でこれ出さないんですか。予算委員会の総括審査で知事がこう言っていた。事故報告書があるのだから。速やかに提出すると言って、いつ出すんですか。本当はきょう出してこの予算委員会で、農林水産部のところでこそ議論すべきではないですか。違いますか、部長。

〇佐々木農林水産部長 ただいまの資料の徴求につきましては、連合審査で佐々木一榮委員からの求めがあったわけでございますけれども、そのことについて、また、さきの総括の審査のときに御回答申し上げたところでございますが、いずれ今度開催されます18日の連合審査において提出をさせていただくということで準備を進めているところでございます。

〇斉藤信委員 本当は本日の予算委員会に出していただければ全体で議論できたと私は思うのですがね。予算委員会で議論されたことですからね。これは残念ですが、ここでやりとりしても仕方ありませんので、第2の問題。
 第2の問題は、トリニティ工業への事業主体の変更の経過と問題点であります。この事業変更の経過を見ますと、コンサルタントの報告を受けてこの事業計画が変更されたということになっています。もう一つは、その前段として、今まで一緒にやってきた庄内鉄工とけんか別れしたという、絵にかいたようなシナリオみたいな話ですけれども、そういう形でトリニティ工業が出てくるんですよね。それで、コンサルタントの関係で、コンサルタントは、これは私がもらった資料では、平成11年2月21日に組合からコンサルタントに、いわば全国林業構造改善協会に申し込みをして、平成11年4月6日、組合はコンサルタント診断実施契約、契約は4月6日です。平成11年4月15日、コンサルタントの中間報告、恐らくこれは現地調査でしょう。そして、平成11年6日7日、コンサルタントの中間報告、そして平成11年7月7日に報告書が出るんですよ。ところが、新聞報道を見ますと、このコンサルタントの報告書が3月の日付になって作成されているとなっていますが本当ですか。

〇千田林業振興課長 そのことは事実でございます。

〇斉藤信委員 国、県、市町村、組合だけでなくコンサルタントまで、7月につくられた報告書が3月の日付、何なんですか、これは。いわばそれを受けて事業計画の変更をしたというつじつまを合わせるためですね。結局、事業計画の変更は報告を待たずに変更届をやっているんですよ。私は、これは大変異常なことだと思いますね。事業計画の中身に対しても、全部庄内鉄工の森のトレーの試作品ですよ。そして、そういう事業費の算定は全部それになっているんですね。ところが、突然コンサルタントがかかわって、日付も改ざんして、トリニティ工業に平成11年7月にもう仮契約しているんですよ。トリニティでやりますと。余りにも出来レースではないでしょうか。もう最初からこの組合はコンサルタントと癒着したのだか何かしたかわかりませんけれども、そこまで事態が180度変わって進んでいく。そこに今度の事業失敗の大きな転換点があると思いますが、事業主体が変更した、事業計画が変更した、その理由は何ですか。

〇千田林業振興課長 事業計画を変更したというその内容でございますが、当初の庄内鉄工の方式でございますけれども、これにつきましては単板を製造する工程、それから乾燥の工程、それからトレーの成型の工程、これがそれぞれ独立した工程で行うということで計画されておったわけでございますが、その後、人件費を節減するためには、自動化するべきであるとのコンサルタントの指導もございまして、また、組合からの強い要望もありまして、自動化された生産方式であるトリニティの生産方式に変更したものでございます。

〇斉藤信委員 これは連合審査でもたくさんの委員から指摘をされた問題ですが、こうした事業計画がコンサルタントとかかわって変更して事業主体が変わっていく。しかし、そのトリニティ工業というのは木材には全く無知な企業だった。自動車の関連企業としては優秀だけれども、木材の関係では全く無知だった。これは認めていますね。連合審査でも認めていました。木材については経験もないし知識もなかったと、森のトレーの技術はいわば組合から教えてもらう約束だったと、ベンチャーというこういう性格を持った27億円の事業をやるときに、どたばたで、全く経験のないこういう企業に変えたということに問題感じませんでしたか。

〇千田林業振興課長 当時の関係者ともいろいろお話をさせていただいたわけですけれども、まず一つは、トリニティ工業の会社の経営、確かに木材には素人だったということではございましたけれども、そういう乾燥あるいは産業用プラントでは一流の企業であったということ、それからトリニティ工業が組合の方といろいろお話しした際に、組合からサンプルを提示されて、こういうものはできるとトリニティ工業が言ったと、そういうこと、それらのことから県としても、トリニティ工業がこのプラントを設置することが可能であるというふうに判断したということでございます。

〇斉藤信委員 私は、その判断が間違ったと思いますよ。鉄工と、そして木材を使う業者というのは全く性格違うんですから、歴史と伝統もあるんですから、技術の蓄積があるんですからね。だから、実際に事業の中身、設計図は庄内鉄工の設計図使ったと言うんでしょう、けんか別れしたね。こんな泥棒みたいなことをやっているんですよ。そして、木材については全く知識がなかった。研究した努力も見られませんでしたよ、連合審査の中では。木材について研究したなどということはないですよ。そういうノウハウは全部組合から教えてもらう約束だった。驚くべきずさんな、私は組合もずさんだと思うけれども、それを認めた、重大な事業計画の変更に対してそれを追認した県の責任というのは極めて重大だと思いますね。
 次に、三つ目の問題、三つ目の問題は完成検査の問題であります。
 完成検査の問題については、会計検査院の実地検査の結果についてという文書でこう言っています。10年度の緊急整備事業及び11年度の確立型林構事業により整備された3ラインについて、組合では、各装置が新たに開発されたものであるにもかかわらず、各装置を試運転するなどして機能を確認することなく、これを受領して完了届を提出していた。この完了届を受けて、貴県及び久慈市においても12年3月27日及び31日に完了確認調査を実施した際に、各装置が新たに開発されたものであることを知っていたにもかかわらずこれを看過していた。いわば各装置が新たに開発されたものであるにもかかわらず、試運転もしないで完了届を出した。それを県が追認したことは問題である。これは平成12年も平成13年についても会計検査院はこう指摘しています。これ完了検査、間違ったのではないですか。

〇千田林業振興課長 完了確認調査、まず事業主体が実際に機械を動かさないで完了と認めたということは問題だと思います。それから、県の完了確認調査でございますが、完了確認調査の要領では特に性能まで確認しなければならないということにはなっていなかったわけでございますので、そういう意味では通常どおりの検査を行ったものであると思っております。ただ、やはり今、委員の御指摘のように、全く新たに開発された機械でございますので、もっと慎重に検査をするべきであったと考えております。

〇斉藤信委員 これも連合審査の証言なんですが、これは組合の専務さんなんですが、こう言っています。3月の時点で修正の部分の機械が導入されておりませんでしたので、トリニティ工業さんが導入した機械の全工程の機械が導入されていなかったために、きっちりとした材料をその時点で供給することができなかった。実際に動かして確認をしなかった、できなかった。結局は納入検査だけにとどまった。これが完成検査の実態ではないんですか。これで3月まで納入すべき機械は全部本当に入っていたんですか。

〇千田林業振興課長 これは平成10年度、平成11年度、平成12年度の3カ年事業、実質的には平成10年度繰り越ししましたので、平成11年度、平成12年度の事業だったわけでございますが、その全体プラントの設置する手順として、最後の成型ラインを先に設置いたしまして、その前処理段階であるいわゆる製材集成部分を平成12年度に設置したということで、平成12年3月の時点では一連のラインとしては検査はできなかったと見ています。ただ、平成13年3月の検査ではすべてのラインがそろったわけでございますので、その時点では一連の流れで検査ができるはずだったと考えております。

〇斉藤信委員 だったら平成13年3月の完了検査は何でおおむね良好となったんですか。

〇千田林業振興課長 これも当時の関係者に聞き取ったことでございますが、平成10年、平成11年に入れたその3ラインでございますが、実はこの部分も機械にふぐあいが生じていろいろ調整をしておったわけでございますが、平成13年3月時点でおおむねその調整も終わり、ラインとして動かせるだろうと、そういう見通しであったということで、平成13年3月の検査の時点では、平成12年3月に入れた機械と同じものでございましたので、こちらの方も大丈夫だと思って動作確認、いわゆる機械は動かさなかったということでございます。

〇吉田昭彦委員長 斉藤委員に申し上げます。端的に質問を続けられるようお願いいたします。

〇斉藤信委員 端的に聞いているんじゃないですか。みんな端的に聞いているんですよ、私は、長々と言わないで。
 それで、今、平成13年3月の完了検査は、私は二重の意味で間違いだったと思うのですよ。というのは、平成12年に納入されて確かにそれは納入検査でとどまりました。これもミスですが、5月、6月ころから運転しているんですよ。運転した途端にふぐあいが発生しているんですよ。それにもかかわらず、なぜ平成13年3月におおむね良好などという完了検査になるんですか。ふぐあいが発生して問題になっていたんですよ。そういうふぐあいが発生してその改良に取り組んでいるのに、二度目の完了検査まで見過ごしたというのは、これは決定的ミスではないですか。

〇千田林業振興課長 委員御指摘のとおり、もっと慎重に検査するべきであったと考えております。

〇斉藤信委員 最後、4番目の問題があります。これは担保設定の問題であります。
 この担保設定の問題について、これは会計検査院からも指摘されたんですが、私は経過を見ると大変これは複雑、奇々怪々な経過になっていると思っています。というのは、平成10年12月ごろ、これは岩手銀行久慈中央支店芳賀支店長から木材振興課に組合に対する融資の件で問い合わせがあり、これに対して担当者は、農林漁業金融公庫からの補助残融資が基本であり、公庫との協調融資以外は担保設定ができないと言ったと、だから担保設定できないとこのときに答えているんです。そして、地方振興局の担当課長も、私個人としてはできないと思っていたと。それがどういうわけだか林野庁と協議したらそれができるようだと、やっちゃったと。ここが一つは奇々怪々だと。
 そして、もう一つは、これはかなりリアルな証言があったんですが、会計検査院に呼ばれて、これは県、市、組合の人たちが会計検査院に呼ばれて、そこでこういう話だったと、会計検査員の前で、林野庁は担保に入れるという相談は受けたと、こう答えたんですね。一応了解したということになっているんですよ。会計検査院に呼ばれたときに、何でそうなったんだと。県自身が無理ではないかと思っていたのに、林野庁もこういう形でミスして認めてしまったと。私は、これはどちらにも責任があると。それで、実はこの専務さんも地方振興局の担当課長も、この担保が認められなかったらこの事業はやらなかったと言っているんですよ。10億円の融資ですからね。この担保設定に対して県が一貫した指導をしなかったと、また、林野庁にわざわざ行ってこれがいいなどという回答をいただいてきた。これは国の責任、重大だと思いますがいかがですか。

〇千田林業振興課長 まず、公庫との協調融資でなければ担保に入れることができないということでございますが、これは裏を返せば公庫との協調融資であれば担保に入れることができるというふうにも解釈できるわけでございます。金融機関はそのように解釈をしてしまった。会検の席で林野庁の担当者が担保に入れる相談を受けたという今のお話は、恐らく参考人招致の際の岡野参考人の証言だったと思うのですけれども、これは事実とは若干違いまして、岡野参考人はちょっと思い違いしていると思います。ここまで林野庁の職員は言いませんでした。と申しますのは、私もこの場におりましたので、そういうふうにはっきり担保の相談を受けろとは、このときは林野庁の担当者は言いませんでした。ただ、担保に関しましては、当県の職員が林野庁の方に行きまして担保についての相談をしたところ、補助の目的に反していない限り国の方ではこれまで協議を受けたことはないというふうなお話もございまして、担保に入れることができるんだというふうな確認をしたわけでございますが、これに関しましても国の方では当時の担当者の聞き取りをしたところ、そのような相談を受けていないと言っておりまして、これはお互いに復命書とか書き物とかございませんので、全くこのところについては国の方と対立しているところでございますが、私どもといたしましては、この前の参考人招致でも当時の係長が証言いたしましたように、やはり国の方に相談したというふうに受けとめておりまして、これまでもそのように国の方に対しては主張してきております。

〇斉藤信委員 県が林野庁まで行って相談してきたと言うんだから、県職員の復命書はあるんでしょう。そこには結果はどうだったんだと、相談に行ったんですからね、その相談の結果について復命書に書いているんではないですか。

〇千田林業振興課長 このことにつきましては、先ほども申し上げましたが、国にも県の方にも復命書はございません。あくまでも当時の関係者に聞き取りした結果、そのような証言を得られたということでございます。

〇斉藤信委員 こういうシビアな問題で林野庁まで相談に行って復命書がないと、私は本当に極めてこれは重大な問題だと思いますよ。そして、本当にこの融資が認められなかったらあの事業ができなかったという性格の問題ですからね。本当にこういう点でも重大なミスを三つも四つも重ねていると私は思います。そういう点で、県がみずから、みずからの責任を明らかにし国の関与も示してやらないと、4億2、600万円の税金の支出というのは、私は絶対に県民の理解を得られないと思いますので、責任あるあなた方の対応をしなければ、金だけ出してくれということでは通用しない。このことを指摘して終わります。

〇吉田昭彦委員長 ほかに質疑はありませんか。

〇田村正彦委員 手短に4点お尋ねいたします。
 平成16年度予算編成から部局にその予算編成権がゆだねられたわけなんですが、この16年度予算編成に当たって、部長はどこに力点を置いてこの予算編成に当たられたのか。先ほど来いろんな委員の御意見もあったようなんですけれども、部長として、どこにこの農林水産部の予算編成に当たっては力点を置かれたのかということをまずお尋ねいたします。
 次に、これは昨年の冷害、我々農家にとっては大変共済金という一つの大きな恩典を受けたんですが、その水稲共済金の実際の支払い額はいかほどになったのか。そしてまた、この水稲共済金の支払い額の算定の基礎になっている損害評価、それぞれの農家の人が当たるんですけれども、延べ人数でどのくらいの人数が損害評価に当たられたのかをお尋ねいたします。
 そして、もう一点が林業公社の問題なんですが、今度の改革案が示されました。その中で1点だけ、市町村林業公社貸付金を放棄させるという内容になっております。この改革案に対して、今現在の負担している、貸付金をしている市町村の反応はどうなのか、それをお尋ねいたします。
 森のトレー問題、最後なんですが、これは経過については先ほど斉藤委員の方から詳しく質問があったわけですが、私、今後の見通しというのをちょっとお尋ねしたいんですが、今回3分の1ですか、4億円の返還の案が示されております。この3分の1という根拠はどこにあるのか。そしてまた、延滞金はいつの時点でどういう事態があった場合に延滞金が生まれてくるのか、その支払いが生じてくるのか、それをまずお尋ねいたします。

〇佐々木農林水産部長 私から、16年度当初予算の関係と森のトレーについてお答えをいたしますし、その他につきましては担当課長からお答えをさせます。
 まず、平成16年度当初予算の編成につきましては、米政策改革など、時代の要請課題に対応することといたしまして、厳しい財政環境にあるわけでございますが、こういったこととあわせまして、行財政構造改革プログラムにも留意し、予算編成をしたということでございます。
 具体的に申し上げますと、40の政策を中心に部の重点課題であります体質の強い農林水産業の構築ということが大きな柱でございます。それから安全で安心な食の提供と、それから環境に配慮した農林水産業の振興、こういう観点を重点として予算編成に当たったところでございます。
 また、公共事業につきましては、県民の安全と安心を支える分野に係る農地防災関係、治山関係、津波対策関係事業の各予算の確保に努めましたほか、優先課題であります水田農業改革に向けた圃場整備事業の推進、広域漁港整備事業の重点化、さらには継続地区の事業内容の厳選、予算の重点配分によりましてより早期完成を図り、事業効果を発現するというようなことに努めることとしたところでございます。
 それから、森のトレーの件でございましたけれども、これは3分の1、4億円にした根拠は何かということでございますが、3分の1の額につきましては、会計検査院の県と市への指摘を踏まえまして、県と市が取り得る最大限度のものとして判断をしたということでございまして、これは県民の負担を最小限にするためのぎりぎりの判断であると思っております。
 こういう措置が結果的にどういうことになるのかということでございますが、いずれにしても、今、既に延滞金が発生しているわけでございまして、県民の負担を軽減する、負担を最小限にするという意味からも、何とか延滞金の発生だけは避けなければならないというような状況の中で、知事が林野庁長官と協議した結果を踏まえまして、林野庁長官の方から、県として、訴訟によって組合からの回収に最大限の努力をするのであれば、林野庁としてもこの延滞金が発生しないように最大限の対応を行うというような考えが示されたところでございまして、そういうことで、今現在訴訟を行っているところでございますが、こうした回収努力を県としてとり得る最大の対応を行うことによって、最終的にはこの延滞金は免除されるものと、林野庁として十分評価されるものと考えておりまして、現在、返還額の3分の1についてお認めをいただきたく、予算提案をしているものでございます。

〇和佐団体指導課長 水稲共済の共済金の額でございますが、本県全体で約126億円弱ということとなっております。その共済金の算定の前提に当たる損害評価に当たっていただきました評価員の方の延べ人数でございますが、1万6、000人弱と承っております。

〇照井緑化推進課長 県有林事業と林業公社事業の一元化の際の、債権放棄も含む市町村の反応というお話でございますけれども、この一元化を内容とする県としての経営改善方針案を取りまとめたところでございますが、この方針案では、債権放棄も含めて検討するということとしておりますけれども、市町村からは分収林を引き取りたいという、そういった希望も聞かれてございます。いずれ、債権処理等に当たりましては、今後林業公社、さらに関係市町村、細部にわたりまして手順を踏んで協議をしながら、合意を得た中で進めていきたいと考えております。

〇田村正彦委員 予算編成に当たっての考え方はわかったんですが、先ほど中山間対策で農業振興課長も話されておったんですけれども、いろんな意味でこれからの岩手の農業を守るというんですか、発展させていくためには、どうしても基盤整備というのは必要なんだというようなお話を課長もなされておりました。確かに財政の問題で、継続に力点を置いて新規はひとつ抑制していくんだという考え方もわかりますけれども、ただ、今まさに冷害を受けて基盤整備した圃場での収量の少なさというのが実証されたわけですから、こういったものについては、少なくても芽出しだけでも、調査費だけでもこれはつけておくべきではないのかと考えるんですが、部長、どうか次の後任の部長に、ぜひそういった面を引き継いでいただきたいと私は思っておりますが、いかがなものでしょうか。
 次に、水稲の共済金の支払いについては、これは公的な場所での発言ですのであえて取り上げさせていただくんですが、先ほど120億円と言いましたね。
 ある国会議員の先生が、実は80億円の額なんだけれども、おれが農林省と交渉して120億円にしてやったんだというような、私から考えればとんでもない発言を公的な場所でなさっているんですが、そういうことってあり得るんですか、この制度上。作況指数なんかひとつも変わっていないわけですから、10月15日現在と。そういうことが制度上あり得るのか確認したいと思います。
 次に、森のトレーの問題です。最小限の負担で苦渋の選択だろうとは理解しますけれども、ただ、この回収努力を果たして訴訟という、相手が林野庁でしょう、農林水産省……(「トリニティ」と呼ぶ者あり)トリニティですか。トリニティに訴訟を起こして、その訴訟を起こしたことを果たして回収努力と認めるというのが確実視されているのか。これが認められないのであれば、もう延滞金は発生しているわけですから、ますます県民負担をふやすことになるのではないのか。総括質疑で瀬川委員の発言にもありましたが、一つの方法としては、一括で一たんもう返還して、延滞金が発生しないような状態にしてこの訴訟に全力を挙げるという方法も一つの方法としては考えられるのではないのかと思うんですが、そういう選択肢というのはお考えになっていないのか。
 あともう一点の林業公社の問題ですけれども、これからの町村との話し合いの経緯を見てみなければわからないんですが、貸付金を債権放棄してもらうということにしたとして、当然材は、木は残っているわけですから、いずれ30年後、40年後売るわけでしょう。工事費を負担していただいているはずですけれども、約束事として6、4で分けて、県の6の中から貸付金は市町村にお返ししますよと、売れたら。そういう約束でこの事業は成り立っていると思うんですが、ここで放棄させて、そしてあと30年後、40年後に県がそれを売った場合、丸々県に入るわけですよね、6割分が。そういう事態が起きかねないので、その辺のところを町村はどう考えているのか、県もその辺のところをどうお考えになっているのか、これからの話し合いだと思うんですけれども確認したいと思います。

〇佐々木農林水産部長 最初に予算の関係でございますが、今、来年度から新たな米政策に移行される中で、構造改革ということが最重要課題になっておりまして、そのためには何としても生産基盤の整備が重要になっているわけでございますが、しかし、一方で、聖域なき行財政構造改革に取り組まなければならないというような両面の課題を抱えているわけでございますが、いずれにいたしましても、基盤の整備は本県としてこれからますます進めなければならない事業でございますので、いろいろ事業の内容、地域の熟度、いろんなことを精査いたしまして調査に取り組むべきもの、あるいは新規に取り組むもの、そこのところを十分精査させていただいて、この基盤整備に取り組んでまいりたいと思っております。
 それから、森のトレーの関係でございますが、3分の1額の返還ということにつきましては、これまで知事にも出向いていただきまして、林野庁長官と協議をした結果として、私どもとしては、訴訟に最大限の努力をすれば延滞金の免除の道があるというような受けとめをした中で、県民の負担を最小限にしなければならないというぎりぎりの選択のもとに、この3分の1額の予算措置をさせていただいているということでございます。

〇和佐団体指導課長 水稲共済金の算定でございますが、先ほど申し上げました、あのような評価員の方の損害評価をもとに各段階、各組合で算定し評価して、それをまた連合会段階で調査して、それでさらに国段階で認定するというような手続で確定するものでございます。

〇照井緑化推進課長 これを一元化した場合に、県がいわゆる公社の森林を全部県にといいますか、丸もうけをするのではないかというような、変な話、そういったお話でございましたけれども、どういった選択をとるかにつきましては、先ほど申し上げましたようにいずれ市町村の方と連携をとりながら協議をしていかなければなりませんが、ただ、県として管理をするということになりますと、これからの事業費についても県が全部一切負担しなければならんということがございます。
 それから、農林漁業金融公庫から当然借入金ということで借りているわけで、これについても県が継承しながら払っていかなければならない。ですから、丸々ただただ県がもうけるという、そういったものではなくて、そういったものも含めまして、それから関係市町村等とその辺を協議をしながら、よりよい方向での合意を得ていきたいという考え方でございます。

〇田村正彦委員 最後に1点だけ、さっきの共済金の話なんですが、先ほど言いましたとおり、作況指数そのものが全然変わりないわけですよね。10月15日現在の作況と12月15日現在の作況と作況指数が変わらないのに、共済金を途中で上げたりなんかするということはできない、それは今課長が言ったとおりなんです。ということは、あり得ないことをおっしゃっているという理解でいいんですか。

〇和佐団体指導課長 さる代議士の方がどのようにおっしゃっていたか、どういう趣旨でおっしゃっていたかは承知しておりませんので、それについては何とも申し上げられませんが、作況指数も参考の数値にすることはそうなんですが、基本的には損害評価を各組合、評価員の方々、連合会でやった、基本的でなくて、これがすべてなんですが、損害評価の結果で損害共済金の額が確定するというものでございます。

〇田村正彦委員 特定の者の恣意によって変わるものではないというふうに理解していいですね。

〇和佐団体指導課長 特定の人の恣意というもので決まるものではないというふうに認識しております。

〇吉田昭彦委員長 ほかに質疑はありませんか。

〇阿部敏雄委員 佐々木農林水産部長には、この3月をもって勇退されると伺っております。この機会をお借りして一言お礼を申し上げます。
 佐々木部長は、昭和42年に畜産試験場に勤務されて以来、37年間の長きにわたり、幅広い識見と卓越した先見性、行動力と指導力を持って県勢の発展に多大な貢献をなされました。
 佐々木部長は、県に奉職された当時から、その並々ならぬ行政手腕を発揮され、特に昭和47年には、本県の畜産物流通と加工の拠点となっております株式会社岩手畜産流通センターの設立に御尽力されるとともに、3度にわたり農業基本計画の策定に携わってこられました。また、現在の集落営農の基本となる地域ぐるみ農業や活力ある我がむらづくり運動など、斬新的かつ独創的な施策を企画、立案し、体質の強い地域農業の確立と、明るく住みよい農村社会の構築に積極的に取り組まれてきたところであります。
 本県は、昭和55年の大冷害を初めとし、たび重なる冷災害に見舞われたところでありますが、佐々木部長は、被災農家の総合的な救済対策と冷害を未然に防止するための恒久対策などにも御尽力されるとともに、これとあわせて、適地適作を基本とした作目再編を本格化させ、現在の米、園芸、畜産を組み合わせた体質の強い本県農業の基盤を築かれたところであります。
 平成12年には、花巻地方振興局長に抜てきされるとともに、みずからが先頭に立って地域を回り、地域密着型の行政を積極的に推進し、イーハトーブ学校給食や精神障害者の園芸等のふれあい活動など、縦割り行政の壁を打ち破る独創的な取り組みを進めてまいられました。
 平成14年には、衆望を担って農林水産部長に就任されましたが、この2年間は、国の米政策の大転換、国内初の牛海綿状脳症の発生等による消費者の食に対する不安感の高まりなど、数多くの政策課題が一気に噴出した時期でありました。
 佐々木部長は、こうした荒波を越えるべく、農業、林業、水産業、それぞれの改革に渾身の力を込めて取り組んでこられました。特に、水田農業改革については、地域みずからが将来像を描き、目標と戦略を持って取り組む集落水田農業ビジョンづくりを本県独自に提唱され、部長みずからが集落に入り込むとともに、部の組織を挙げてビジョンの策定指導に取り組まれ、この改革の動きは、現在大きなうねりとなって県下全域に及んでいるところであります。
 また、消費者の信頼にこたえるため、トレーサビリティーシステム導入や、全国に先駆けた地産地消推進運動の展開などにも積極的に取り組まれ、まさに食の先進県いわての構築に向け、農林水産業全般にわたり、その発展の礎を築かれてきました。
 さらには、林業公社や県肉牛生産公社、県競馬組合の経営改善など、長年の懸案とされた事項に対しましても誠心誠意取り組んでいただき、解決の道筋をつけていただきました。
 佐々木農林水産部長の37年間にわたる御功績に対し改めて敬意を表するとともに、深く感謝を申し上げる次第であります。
 最後になりますが、退任後にも健康には十分御留意され、今後とも県勢発展のために御指導、御助言を賜りますようお願い申し上げまして、お礼の言葉とさせていただきます。
 この際、佐々木部長から、退任に当たっての御所感をお聞かせいただければ幸いです。

〇佐々木農林水産部長 ただいま阿部委員から、身に余る過分なお言葉をいただきまして、大変恐縮しておりますが、また、ありがたく思っているところでございます。
 私は、お話がありましたように、昭和42年の入庁でございまして、今年度まで37年間にわたって勤務をさせていただきました。
 入庁いたしました昭和42年を振り返ってみますと、本県が産米50万トン達成運動を立ち上げた年でございますが、やがて米の過剰によりまして、昭和45年には生産調整が試験的に実施されることとなり、運動を始めてからわずか2年間で、増産運動ではなくて産米改良運動に転換することになったところでございます。そして、生産調整は今日まで33年間継続されてきたわけでございますが、来年から新たな米政策に移行される大きな節目になっておりまして、私の在任中は、まさに米の生産調整で揺れに揺れてきたとの感がありまして、極めて隔世の感があるところでございます。
 また、今日を迎えるまで、オイルショックへの対応、農林水産物の輸入自由化、頻発する冷害など、多くの課題に取り組ませていただいたと考えております。
 さらに、部長をさせていただいたこの2年間におきましても、BSE問題、昨年の農業、林業、水産、それぞれの災害への対応、そしてことし1月になってからは鳥インフルエンザの国内発生に伴う本県での対策など、次から次へと新たな課題への対応が求められたというのが偽らざる実感でございます。
 私は、農家の出身でございまして、県庁に入ったころは、農家の方々は、まさに星をいただき出で、夕べに月を仰いで帰るという時代でございました。1次産業全体がそうであったと思います。今では、作業の機械化などにより当時のような労働の厳しさではなくなりましたが、輸入農林水産物の増大による価格の低迷などにより、別な意味で大変苦戦をしており、一方では構造改革への取り組み、WTO、FTAの対応など、新たな課題を抱えているところでございます。
 また、当部にはきょうもいろいろ御指摘をいただきましたが、森のトレーの事案を初めといたしまして、林業公社の経営改善、競馬組合の今後の方向性をどうするのか、肉牛生産公社の解散整理、森林組合、漁業協同組合等の合併など、長年の大きな課題が山積しておりまして、これらの解決を見ることなく退職することは、大変心残りに思っております。しかしながら、本県の農林水産業は、これまでさまざまな困難に遭遇しながらも、先人の英知と努力によって、今日の礎を築いてまいったものと思っております。
 今日におきましても、さまざまな課題を抱え大きな変革のときにありますが、生産者を初め関係者が一体となって取り組むならば、必ずや将来に明るい展望が開けるものと確信をいたしております。
 農林水産業は、生きとし生けるもの、国民の命をはぐくむ重要な役割を担っており、特に本県におきましては地域経済の基盤となる産業であります。
 委員の皆様には、引き続き農林水産業に対する御理解と御支援をお願い申し上げます。
 最後に、委員の皆様から賜りました御指導、御支援に対しまして、心からお礼を申し上げますとともに、先生方の一層の御活躍と御健勝を御祈念いたしまして、粗辞でございますがお礼の言葉に変えさせていただきます。
 本当にありがとうございました。(拍手)

〇吉田昭彦委員長 佐々木農林水産部長におかれましては、長い間御苦労さまでございました。
 これで、農林水産部関係の質疑を終わります。
 農林水産部の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時46分 散 会


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