令和5年12月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇40番(郷右近浩君) 希望いわての郷右近浩です。改選後登壇の機会をいただきましたことに、先輩、同僚議員に感謝を申し上げます。
 それでは、通告に従い質問させていただきますので、知事、そして執行部には明快な御答弁をお願いいたします。
 最初に、県民生活を守るために急務となっている物価高騰対策についてお伺いいたします。
 国は令和5年11月2日にデフレ完全脱却のための対策を閣議決定し、11月20日に13.1兆円の補正予算案を国会に提出、11月29日に成立いたしました。
 足元に目を転じれば、県内では、新型コロナウイルス感染症関連の企業倒産が今年度上半期で14件と集計開始後最多を記録したほか、原料価格の高騰による倒産も含め、前年を5件上回る計29件の倒産が報じられるなど、一日も早い経済対策の実施が待たれる中、国の動きは鈍いと言わざるを得ません。
 しかも、その内容は、物価高への対応に約2.7兆円、持続的賃上げや地方の成長に1.3兆円が投じられるのみであり、その一方で、公共事業には4.3兆円の予算が投じられるなど、いわば従来型の補正予算となっており、生活者の問題意識に対する経済対策としてはちぐはぐな印象がぬぐえません。
 しかしながら、本県のような自主財源に乏しい地方自治体としては、この経済対策を活用して県内の状況を見極めつつ、時宜を得た対策を講じていかなくてはならないのも現実であります。
 本定例会にも生活困窮者に対する支援策として、生活困窮者原油価格・物価高騰等特別対策事業、3.4億円の予算が提案されておりますが、令和5年9月定例会までに全国に先駆けて編成した原油価格・物価高騰対策63億円余の財源は、交付金を含む国庫支出金が大宗を占めております。
 今回の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金のうち、地方の裁量によって活用できる部分は5,000億円と前回の7,000億円から縮小しており、本県への配分も減少しておりますが、まずは今定例会中にも提案するとされている県としての物価高騰対策の規模、財源の想定についてお伺いいたします。
 また、規模、財源以上に重要なのが県の物価高騰対策の中身であります。生活者支援、事業者支援という枠組みのもと、今年度、既に63億円余の対策を実施してきたわけでありますが、例えば、多くの県民が利用するLPガスの価格高騰対策は、上半期分までの予算措置にとどまることを初め、バス、タクシー、トラックなどの燃油高騰対策、医療、福祉関連施設の光熱水費高騰対策なども同様に上半期分の支援となっております。
 国は今回の経済対策において、いわゆるガソリン補助金の来年4月末までの延長を決めている中で、県がこれまで計上してきた上半期分の対策について、延長を期待する声が届いております。先日の報道によると、一部継続する方針とのことですが、県として上半期に実施してきた対策についての今後の方針をお伺いいたします。
 次に、私から今回の物価高騰対策についての提案をさせていただきます。
 今年度の物価高騰対策63億円余の内訳を見れば、生活者支援として14億円、事業者支援として49億円と、県としてはこれまで事業者を重視した対策を展開してきたと認識しております。確かに、原材料価格の高騰に加え、中小企業の価格転嫁の困難性、さらに、ゼロゼロ融資の返済が始まるなど、県内事業者の苦境を鑑みれば、県が優先して事業者支援を実施してきたことも理解できます。また、評価をしております。
 しかし、盛岡市の令和5年9月の消費者物価指数は12カ月連続で3%以上の上昇を記録し、特に、食料品については前年比10.9%の大幅な上昇を見せるなど、より多くの県民の生活を支援する対策が求められるステージにあるのではないかと私は考えます。
 最終的には、これら物価高騰に見合った賃金の上昇が待たれるわけですが、中小企業の多い本県において、これら物価高騰に見合う賃上げを実現するには相当にハードルが高いのが実態ではないでしょうか。
 私はこれまで、事業者支援に偏ってきた県の物価高騰対策について、多くの県民が恩恵を受けられる生活者重視の視点に転換すべきではないかと考えるものですが、今回の追加の物価高騰対策にこのような視点を盛り込むつもりはないか、知事のお考えをお伺いいたします。
 次に、令和6年度当初予算編成についてお伺いする前に、今後の建設投資の方針についてお伺いいたします。
 本来ならば、再選後5期目の最初となる当初予算編成にかける知事の思いについてお伺いしたいところですが、まずは、その前に、さきの議会でも議論となった知事のマニフェストをめぐる財源確保の問題についてお伺いいたします。
 さきの9月定例会の一般質問の中で、知事はマニフェストの実現に向けて全庁的に検討を開始した旨を説明し、県有資産や各種基金の有効活用、ふるさと納税や使用料の見直しなど、これまでの取り組みを一層強化しつつ、環境債の発行など全国をリードする新たな財源確保手法についても積極的に導入を進め、必要となる財源を確保していくと答弁されておられました。
 これに対して、それほど多くの財源は生み出せない、最終的には借金に頼る、次世代に負担を強いるなど、その実現性について疑問視する発言があったことを強く記憶しておりますが、自治体の財政運営について、余りにも理解を欠いたものであると私は考えます。
 まず、多くの財源は生み出せないとの発言ですが、令和5年度のさまざまな手法による財源確保額は、公表資料によれば20億円、これが少ない額だとはとても思えません。そして、最終的には借金に頼る、次世代に負担を強いるとの指摘についてですが、税や地方交付税を主な財源とする自治体運営は、業績の好不調に左右される会社経営と異なり、歳入の硬直性が高くなっております。これは一方で、歳入が安定的であるということでもあり、自治体が担うサービスは安定的に長期的に提供される必要があることの帰結として、地方財政制度が設計されているからにほかなりません。
 したがって、一時に大きな支出を伴う建設投資については、地方債の発行、借金によって財源を確保し、将来的に受益する住民との負担を公平にするため、耐用年数の範囲内で償還していくことが法で認められており、その前提のもとで地方財政制度は設計されているものと思います。
 借金が少なければ少ないほどいいというのは一般的な家計の話であり、適切な投資規模で必要な投資を継続的に実施することの必要性は、会社経営でも自治体経営でも同じであります。
 そうはいっても、私は何も野放図に借金をふやして公共事業をふやしていくべきだと主張しているわけではありません。かつて、公共事業を初めとする建設事業をふやし、起債許可団体になった記憶も新しい本県において、事業効果と投資額を見極め、必要な投資を精選し、できるだけ低利で資金調達をしつつ、国の有利な財政措置を活用するなどの努力を怠ってはならないのは当然のことであります。
 そこでまず、たっそ拓也マニフェストプラス39も含め、いわて県民計画(2019〜2028)に盛り込まれている今後の建設事業を進めていくに当たり、知事が重視する点についてお伺いいたします。
 次に、再選後5期目の最初の予算編成となる令和6年度当初予算における重点施策について伺います。
 日本を代表する地方財政の有識者からなる研究会の提言、持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書の内容を受けて編成した令和5年度当初予算は、全国トップレベルの子供子育て支援施策を初め、先ほど申し上げた20億円に上る財源確保、全国初となるグリーン/ブルーボンドの発行による低利での資金調達など、これまで類を見ないほど充実した内容であると評価しております。
 また、令和5年12月7日には関係人口の拡大を目的とした個人向け地方債、わんこ債を募集開始するなど、政策とあわせさらなる財源確保に取り組んでいることを高く評価いたします。
 令和6年度当初予算編成の資料を確認いたしましたが、令和5年度と同様に、人口減少対策の強化、GXの推進、DXの推進、安全・安心な地域づくりの四つの重点事項に予算資源を重点投下する方針が示されております。
 それぞれの重点項目において、令和5年度予算の継続にとどまらない拡充が必要だと考えますが、現時点で、これら重点項目の予算編成において、知事がどのような点に力を入れて編成していくつもりなのか、考えをお伺いいたします。
 続いて、財源確保の方策について伺います。
 公表されている令和6年度当初予算の編成方針では、重点事項等の施策推進の方向性に加えて、人口減少を背景とした実質的な一般財源の減少に対応するため、限られた財源の重点的かつ効果的な活用や、持続可能な行財政基盤の構築、財政健全化の着実な推進についても重視する旨が記載されております。施策の推進と持続可能な行財政基盤の構築の両立は自治体運営のかなめであり、また、実現することが難しい課題でもあります。
 令和5年9月に公表された令和9年度までの岩手県中期財政見通しによれば、人口減少の影響を受け、県税や地方交付税などは4年間で79億円減少することが見込まれており、緩やかに実質的な一般財源が縮小していくことが避けられない見通しであることが示されております。
 人口減少局面の打開は容易でなく、重点事項として人口減少対策の強化を掲げつつも、目の前の財政運営という現実的な問題に対処していかなくてはならず、少なくともこの減少分について財源確保をしつつ、財政運営を行うことは急務であります。
 この点でも、令和5年度当初予算では持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の報告書を受けて新たに作成した四つの財政目標である、令和10年度当初予算までの収支均衡、プライマリーバランスの黒字を維持、公共施設に係る県民1人当たり負担額1万2,000円以下、財政調整基金残高177億円の水準維持のいずれも達成している点は評価に値するものと考えます。
 一般財源の縮小が1年分進行する中で、どのような方策によりこの四つの財政目標を達成し、令和6年度当初予算が施策の推進と財政の健全化という両面で充実した予算となるよう編成していくつもりなのか、特に財政の健全化、財源の確保という点からお伺いいたします。
 財源確保という点で、最後に1点、いわての森林づくり県民税のあり方について、提案を含めて伺います。
 この件については、国の森林環境税の創設が決定したころから私自身、県議会で取り上げており、昨年度も12月定例会、予算特別委員会において、特にその使途拡大という部分で質問、提案をしてきたところであります。
 いよいよ令和6年度からは県民の皆様への課税が開始され、県民は森林環境税で1,000円、いわての森林づくり県民税で1,000円と、森林に関連する項目で国税、地方税がそれぞれ課税されることになります。そのことを鑑みれば、一層その使途についての説明責任を明確に果たしていかなければならないと考えます。
 また、国の森林環境税については、地方への配分に当たって、より森林面積を反映した譲与基準に改正するとの情報もあり、令和4年度、県、市町村合わせて15億2,000万円譲与された本県への配分額はふえることが想定されます。
 令和5年度は20億円の財源確保により充実した施策と財政健全化という目標を達成したわけですが、先ほどから述べてきましたとおり、年々、実質的な一般財源が減少することが見込まれる中、毎年度、行政事務の効率化を進めるとともに、目減りする分の財源確保に着実に努めていくことが県の行財政運営に必要な姿勢であり、我が国の地方財政制度から考えても、それ以外の現実的な選択肢はないというのが現実であると思います。
 そこで、改めてお聞きしますが、人口減少に伴う財政規模の縮小が見込まれる中、医療提供体制の確保、地域公共交通の確保等、今後、継続的に財源が必要となる課題に対し、超過課税のあり方について、どのように検討を進めていくのか、これまで私が提案してきた、いわての森林づくり県民税の使途拡大や、令和8年度以降のあり方を含め、知事の考えをお伺いいたします。
 次に、地域医療について伺います。
 地域医療については、これまでの一般質問や予算、決算特別委員会においても継続的に取り上げてきたところであり、昨年度の12月定例会の一般質問においても、地域医療の今後の方向性や令和6年度からの次期岩手県保健医療計画に向けた検討の方向性について質問をしてまいりました。
 知事は、令和6年度から6年間の次期岩手県保健医療計画の策定に向け、必要な調査、分析や医療関係者との意見交換を行い、次の感染症危機に備えた対応や保健所機能強化なども踏まえ、広域的な医療提供体制や二次保健医療圏のあり方など総合的な検討を行っていくとし、医療の高度、専門化に対応するため、がんや循環器疾患、その他の疾病等についての広域的な医療圏のあり方についても検討すると答弁されております。
 この方向性は、昨年9月にまとめられた持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の報告書にも示されていたものでもあり、また、さきの9月定例会での一般質問や決算特別委員会での質疑においても同様の方向性が示されておりました。
 そうした中で、令和6年度から11年度までの6年間の岩手県保健医療計画の素案が11月24日に公表されましたが、人口減少、医師の働き方改革、医療の高度化、そして、新型コロナウイルス感染症など、保健医療を取り巻く環境が大きく変化している状況の中で策定される次期岩手県保健医療計画は、県の今後6年間における保健医療提供体制を構築するための重要な計画であり、身近な医療と高度専門医療を県がどのように提供していくつもりなのか、県民にとっても注目すべき計画であります。
 知事は次期岩手県保健医療計画の策定に向け、どのような考えで取り組まれたのかお伺いいたします。
 また、次期岩手県保健医療計画では、まず、二次保健医療圏については、設定の考え方の見直しを行う案となっております。また、疾病別、事業別の医療圏については、がん、脳卒中、そして心血管疾患が新たに設定される案となっております。
 本年3月の予算特別委員会において、疾病別、事業別の医療圏について、脳疾患や心疾患といった疾病は発症時における対処時間の制約や治療、手術においても大きく違いがあり、疾病の特性を踏まえた丁寧な議論と対応が必要であるとの私の指摘に対し、例えば、がん医療のように、一定程度専門治療の時間に猶予のある疾患、それから、脳卒中、心疾患といった循環器疾患のように、救急医療と密接に関連のある医療では広域化できる範囲も異なるとの意見もいただいているところであり、引き続き、専門家や地域医療関係者と丁寧に議論を行いながら検討を進めてまいりますとの答弁をいただいておりましたが、二次保健医療圏の考え方の見直しと、新たな医療圏の設定をすることに至った経緯とその考え方、また、救急医療との関連について、どのような整理になったのかお伺いいたします。
 周産期医療圏は、県内に四つの医療圏が設定されており、胆江地区が含まれる医療圏は、岩手中部医療圏・胆江医療圏・両磐医療圏であり、次期岩手県保健医療計画においても継続される案となっております。人口動態統計の階級別を見れば、奥州市、金ケ崎町の0歳から39歳までの人口は、盛岡に次いで多い状況にある中で、現在、奥州市と金ケ崎町では出産可能な医療機関がない状況にあります。
 過去、平成19年に県立胆沢病院での分娩を取りやめた際は、民間の産科医が比較的充実しているからとの理由でありましたが、民間が産科を取りやめた今、令和3年には胆江地区の妊産婦は県立中部病院で175名、北上済生会病院で133名、県立磐井病院で95名が出産しており、いわゆる出産難民のようになっているのが現状であります。
 出産は現在、計画出産が主ではありますが、精神的にも肉体的にも大変な中にあって、家族の支えも距離や不安を乗り越えられないものであると聞きます。また、ハイリスク妊産婦等はなおさらであります。
 出産に当たっては、もっと身近な場所での医療提供体制を構築する必要があり、安心して子供を産み育てる環境を整備していくことが重要だと考えますが、奥州市、金ケ崎町における周産期医療の提供体制について、県の考えをお伺いいたします。
 次に、県立病院について伺います。
 言うまでもなく、目下の岩手県、そして、我が国全体を取り巻く最大の課題は、歯どめがかからない人口減少であり、人口減少をどのように食いとめていくかという対策と、減少する需要や労働人口の減少にどう向き合っていくかという現実的な対応の両面からの政策を強力に推進していくことが重要と考えます。
 また、医療を取り巻く環境についても、人口減少は大きな影を落とし、医療需要が減少するとともに、担い手となる医療従事者の確保は、今後一層大きな問題になっていくことが明らかであり、県民医療の最も重要な担い手である県立病院が今後も安定して医療を提供し続けていくためには、先々を読み、今のうちから思い切った手を打っていく必要があると考えます。
 私はこれまでも、県立胆沢病院と県立磐井病院の機能を集約、拡充した県南中央病院たる500床以上の新たな基幹病院を建設し、既存の二つの病院を後方支援病院とすることを提案してまいりました。ダイナミックな再編によって医療需要の変化への対応と医療従事者の集約を進め、周産期を初めとした診療科の偏在解消や高度急性期医療の提供、住みなれた地域でがんなどの高度治療を受けられるようにするとともに、さらなる医師確保につなげていくことも重要と考えております。
 知事はマニフェストプラス39において、持続可能で希望ある医療提供体制を構築するため、周産期医療やがん、脳血管疾患など重要な疾病対策を初め、全県的な医療提供体制と県立病院の体制等の一層の充実を図るとし、県立病院の計画的な更新とあわせて、症例数や手術数が多い病院、ハイボリュームセンターの整備を進めるとしております。
 令和5年9月定例会においても、県立病院におけるハイボリュームセンターの整備について多くの議員から質問がなされ、まずは中核的な病院に対し、高度、専門的な医療機能を集約していく方針が示されましたが、県立病院の計画的な更新とあわせてなどと言っていたら、いつまでたっても先に進むことはできないのではないでしょうか。
 人口減少、高齢化、そして医療の高度、専門化に対応するため、中長期的な戦略として、今後10年、20年の県立病院の医療提供体制のあり方を見据え、早急な検討と対応が必要と考えますが、知事はどのように考えているのかお伺いいたします。
 次に、産業人材の育成について伺ってまいります。
 県では、北上川バレープロジェクトを掲げ、北上川流域において自動車関連産業や半導体関連産業を中心にものづくり産業の集積が進んでいます。特に県南広域振興圏では、県内で最も工業集積が進んでおり、本県のものづくり産業を牽引する地域となっており、他の圏域への関連企業の進出など、集積の効果が出現しております。
 一方で、少子化による高校卒業者の減少や大学等への進学希望者の増加により、新規高卒就業者が減少し、人材の供給が大きな課題となっています。
 私は、企業が求めるすぐれた人材を供給できたことが、本県に自動車関連産業や半導体関連産業を中心としたものづくり産業の集積が進んだ大きな要因の一つだと思っており、人手不足は今後の本県ものづくり産業や地域企業の発展に対する懸念材料だと考えております。
 県ではこのような状況を踏まえ、ものづくり人材の育成、確保について、今後、どのようなところに重点を置いて取り組みを進めていくのかお伺いいたします。
 次に、県立産業技術短期大学校についてお伺いいたします。
 産業人材の育成機関として、県立産業技術短期大学校水沢校が平成16年4月に開校し、生産技術、電気技術、建築設備の3科が設置され、本県の産業を担う人材の育成に寄与されております。
 また、知事はマニフェストプラス39において県北地域への新設も示され、岩手県の産業を担う人材の育成を進めるとされております。
 しかし、県立産業技術短期大学校水沢校への入学者数を見れば、近年、減少傾向にあり、本年度も定員割れをしている状況にあります。
 北上川バレーエリアにおける産業人材の育成については、県立である産業技術短期大学校水沢校に求められる役割も大きく、産業集積が進む中、ものづくり企業への人材供給と学校の魅力化の両方を視野に入れ、学科やカリキュラムの柔軟な見直しなど、地域の特色に対応していくことも重要であると考えますが、県では県立産業技術大学校をもっと活用し、将来の地域産業を担う人材をしっかりと育成できるよう、機能や体制の充実を図るべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 高等学校における産業人材の育成について、県教育委員会では、新たな県立高等学校再編計画後期計画において、令和7年度以降に県立水沢工業高校と県立一関工業高校を統合し、県南地域に新たに大規模な工業高校を整備することとしております。
 この新たな工業高校の整備においては、昨年度、立地候補地の抽出を行い、現在は外部有識者により構成される検討会議において、立地候補地についての意見を聴取しているところと承知しております。
 工業高校の立地については、広域での統合となることから、生徒の通学の利便性はもちろんのこと、ブロック間の生徒の進学状況にも配慮することが重要な視点と考えます。北上川流域におけるものづくり産業の集積が進む県南地区において、企業に求められる人材の輩出に寄与する工業高校の設置は、地域住民や産業界から大きな期待と注目を集めており、早期の整備が望まれております。
 将来の産業動向も見通し、特色ある学びを提供することにより、地域の子供達のニーズだけでなく、県南地域の産業人材輩出の拠点校として、全県から生徒が集まってくる魅力ある学校としていくことが必要と考えますが、今後、どのような学校を整備していくお考えなのか、立地場所の選定の考え方も含めてお伺いさせていただきます。
 以上、登壇しての質問を終わります。御答弁によっては再質問させていただきたいと思います。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 郷右近浩議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、今後の物価高騰対策の規模及び財源についてでありますが、本県では今年度、類似の補正予算を編成し、生活者支援、事業者支援として総額63億円余の対策を講じてきたところです。
 今般の国の経済対策を受け、追加の物価高騰対策を本定例会に提案する方針ですが、これまでの対策の拡充に加え、現下の情勢を踏まえた喫緊の課題に新たに対応することで、その規模はこれまでの対策を上回る見込みです。
 これら対策に活用できる国からの交付金は45億円程度の配分であることから、必要な物価高騰対策を確実に実行するため、国からの交付金に加えて県の一般財源も活用することで、物価高の影響を受けている生活者、事業者を支えてまいります。
 次に、県の物価高騰対策の内容についてでありますが、これまで県が対策を講じてきた生活者、事業者支援の多くは、対象期間を上半期分として措置しておりますが、これは国が直接実施する物価高騰対策の事業期間や他県の動向、活用できる交付金の規模などを勘案したものであります。
 一方、エネルギー価格や生産費等の高騰により、依然として県民生活が圧迫されている状況でありますことから、現行の対策について必要なものを延長するための予算案を本定例会に提案する方針としております。
 次に、生活者支援の拡充についてでありますが、郷右近浩議員御指摘のとおり、社会生活統計指標からも物価上昇の動きは明らかであり、これに対応した早急な賃金水準の引き上げが必要であると認識しております。
 県では、これまでも価格転嫁や賃上げに取り組む中小企業者等に対して、設備投資や人材育成等に係る経費の一部を補助するなどの対策を講じてきたところですが、これに加え、生活者重視の視点から、物価高騰に負けない県民の安定した暮らしの実現に向けて、県内の賃金水準上昇の契機となり得る新たな支援策の検討を進めております。
 次に、建設事業を進めていくに当たって重視する点についてでありますが、県の建設事業は、県民の安全、安心な暮らしや地域の産業、経済を支える上で重要なインフラ整備に加え、県民サービスの提供や人材育成の拠点となる個別の施設整備など多岐にわたります。
 このため、いわて県民計画(2019〜2028)に基づく10の政策分野では、社会基盤に各種インフラ整備の方向性を盛り込み、厳しい財政環境の中、限られた財源の重点的かつ効果的な活用を図りながら、必要な整備を着実に進めているところです。
 また、個別の施設等については、活用を含む施設の方向性を健康・余暇などの関連するそれぞれの政策分野に盛り込んでいるところであり、マニフェストプラス39の各項目もこれらの方向性を踏まえたものとなっています。
 今後、建設事業を進めるに当たっては、岩手県公共施設等総合管理計画における2040年度、令和22年度までの延べ床面積の見直し目標などに加え、老朽化の問題や将来の人口減少、財源など、さまざまな観点の検討が必要でありますことから、必要性や重要性、緊急性等については、公共事業や大規模事業に係る評価専門委員会など外部有識者の意見、機能面や体制については関係団体の声、立地場所や整備箇所については地元自治体の要望などを丁寧に聞きながら、整備に向けた道筋を明らかにしてまいります。
 次に、令和6年度の重点施策についてでありますが、令和6年度当初予算編成に当たっては、昨年度に引き続き、人口減少問題に立ち向かうため、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプラン期間中に取り組む四つの重点事項に特に留意することとしており、シーリングにより捻出した財源の3倍まで予算要求を認めることとしております。
 こうした方針を踏まえ、四つの重点事項については、部局横断的なワーキンググループや関係部局のもとで施策を拡充する方向性を取りまとめており、自然減・社会減対策では、有配偶率、有配偶出生率の向上、女性の社会減対策、県内定着、U・Iターンの推進、交流人口、関係人口の拡大、GXの推進では、事業者の脱炭素化シフトへの支援の強化、新たな県有林Jクレジットの発行等による吸収源対策の推進、DXの推進では、デジタルの力を活用した県民の暮らしの向上と産業振興の展開、DX人材の育成、そして、安全・安心な地域づくりでは、今後起こり得る最大クラスの地震、津波や大規模災害や新興感染症への対応などの事業に力を入れていくこととしております。
 次に、超過課税のあり方についてでありますが、財政規模が縮小する中、医療提供体制の確保、地域公共交通の維持など、今後継続的に財源を必要とする課題に対しては、超過課税を初めとする所要の財源を確保するための議論は避けて通れないものと認識しております。
 一方で、地方税は、地方自治の根幹にかかわる部分であり、新たな超過課税の検討に当たっては、住民サービスの受益と負担の対応関係の明確性などの観点から、丁寧な議論が必要であります。
 郷右近浩議員御指摘のいわての森林づくり県民税については、国の森林環境税の課税が開始され、配分額も拡充される令和6年度が双方の役割分担を改めて整理し、その使途の拡大についても検討していく適切なタイミングであると考え、今後の超過課税や県民税のあり方について、検討に着手しているところであります。
 次に、次期岩手県保健医療計画についてでありますが、少子高齢化や人口減少を伴う患者数の減少などの環境の変化を踏まえ、急性期医療から在宅医療に至るまで、切れ目のない持続可能な医療提供体制を構築するため、身近な医療については、引き続き、地域密着で安定して医療を受けられる体制を確保するとともに、県民により質の高い高度、専門的な医療を提供できるよう、今回素案としてお示ししたところです。
 疾病・事業別医療圏の設定については、専門人材や高度医療機器の配置の重点化などにより、高度、専門的な医療のさらなる質の向上を図るとともに、症例数や手術数の確保により専門教育機能が充実した研修体制の整備を行い、医師の確保や定着につなげることとしています。
 今後、地域ごとに開催している地域医療構想調整会議などの場において丁寧な説明を行うとともに、市町村や医師会などの関係団体やパブリックコメントを通じた県民からの意見を伺いながら、最終案の作成に向けた検討を進めてまいります。
 次に、ハイボリュームセンターについてありますが、人口減少や医療の高度、専門化等、県立病院を取り巻く環境は大きく変化しており、限られた医療資源を効率的に活用し、将来においても県内で高度、専門的な医療を安定的に提供できる体制を確保していくことが重要であり、私個人としては、こうした観点から、県立病院の計画的な更新とあわせて症例数や手術数が多い病院、ハイボリュームセンターの整備を進めることが望ましいと考え、選挙の際にもそのように述べてきたところです。
 医療局では、次期岩手県保健医療計画における疾病・事業別医療圏に対応し、まずは、がんや脳卒中などの疾病ごとに既存の中核的な病院に高度、専門的な手術機能等を集約し、症例数の確保を図りながら、ハイボリュームセンターとしての役割を果たしていくことを検討するところであり、その方向性は、持続可能で希望ある医療体制の構築を掲げた私のマニフェストプラス39に沿うものと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事兼保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) まず、今般お示しをしました次期岩手県保健医療計画の素案における圏域の考え方についてでありますが、二次保健医療圏については、治療開始までの時間が重要であるという考えから、交通外傷などの救急医療を迅速かつ円滑に提供するとともに、一般外来や在宅医療、糖尿病のほか、がんにおける検診や緩和ケアなどの地域に密着した身近な医療を提供する範囲として、新たな保健医療計画開始時には現行の9圏域とし、新型コロナウイルス感染症流行後の最新の受療動向などのデータを踏まえて、次期計画期間内に検討することとしております。
 疾病・事業別医療圏については、二次保健医療圏とは別に、高度、専門的な医療を提供する広域的な医療圏として、新たにがんを5圏域、脳卒中を7圏域、心血管疾患を8圏域として設定をしたところであります。
 また、救急医療については、基本的には、これまでどおり二次保健医療圏で対応し、専門的な病院での治療が必要な場合には、疾病別の医療圏で対応していくこととしております。
 特に、脳卒中や心血管疾患については、治療開始が早いほど良好な治療効果が期待できることから、消防機関と救急医療機関及び保健所が連携した、迅速かつ円滑な救急搬送に向けた基準の見直しや、デジタル技術を活用した専門的治療を開始するまでの時間短縮に向けた取り組みを進めていくこととしております。
 次に、周産期医療についてでありますが、県ではこれまで、限られた医療資源のもとで、質の高い周産期医療を提供するため、県内四つの周産期医療圏を設定し、岩手医科大学附属病院が担っている総合周産期母子医療センターと地域周産期母子医療センターなどの機能分担と連携のもと、分娩リスクに応じた医療提供体制の整備を進めてまいりました。
 次期岩手県保健医療計画における周産期医療圏の検討に当たっては、産科医の確保が重要な要素であり、奨学金による医師養成の取り組みなどにより産科医は着実に増加しているものの、引き続き、四つの周産期医療圏のもとでの体制を維持することが適当であるという県小児・周産期医療協議会における取りまとめを踏まえまして、岩手県保健医療計画の素案を作成したところであります。
 奥州金ケ崎地域については、県南圏域の中に配置された複数の地域周産期母子医療センター等による分娩リスクに応じた機能分担と連携のもとで対応していくこととしたところであります。
 県では、引き続き、奨学金制度を活用して産科医や小児科医の確保に取り組むとともに、周産期医療情報ネットワーク、いーはとーぶを活用した情報連携による妊娠から産後までの切れ目のない支援や、健診や分娩に係る通院、宿泊費の助成や、また産後ケアなど、市町村と連携しながら、安心して妊娠、出産ができる周産期医療の充実に努めてまいります。
   〔総務部長千葉幸也君登壇〕
〇総務部長(千葉幸也君) 令和6年度の財源確保に向けた取り組みについてでありますが、デジタル田園都市国家構想交付金や脱炭素化推進事業債を初めとする有利な地方債などの地方財政措置を最大限活用しながら、県有資産や各種基金の有効活用、ふるさと納税や使用料の見直し、グリーン/ブルーボンド、今般の個人向け地方債の発行など、全国をリードする先進的な手法について充実、深化させ、引き続き財源確保に努めてまいります。
 これらの財源確保策を講じることで、令和6年度も四つの財政目標を達成し、人口減少対策を初めとしたいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランに掲げる施策の推進と財政健全化の両立を図ってまいります。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、ものづくり産業人材の育成、確保についてでありますが、郷右近浩議員御指摘のとおり、本県のものづくり産業人材の質の高さは県内に立地している企業から高い評価を得ており、また、こうした人材を有していることが大きな要素の一つとなって、北上川流域における自動車半導体関連産業の集積が進んでいると認識しております。
 こうした強みをさらに高めていくため、小中学生を対象とした工場見学や出前授業、また、高校生を対象とした実技講習会等による高度技能者、技術者の育成など、小中学生から企業人まで、段階に応じた人材育成を展開しているところです。
 一方、全国的な人口減少の進展などにより、本県においても多くの企業が人材の確保に苦労しており、若年層、特に女性の県外流出が課題となっております。
 このため、若者や女性が働きやすい職場環境づくりを進める企業をふやしていくとともに、工業高校や理工系大学への進学者をふやし、将来のものづくり企業への就職につながる進路選択の支援を強化していきたいと考えております。
 また、首都圏で開催する就職マッチングフェアなどを通じてU・Iターンの促進にも取り組み、将来のものづくり産業を担う人材の育成、確保に取り組んでまいります。
 次に、県立産業技術短期大学校の活用についてでありますが、北上川流域では自動車半導体関連産業を中心としたものづくり産業の集積が大きく進む一方で、全国的な人口減少の進展を背景に、人材不足が顕著となっており、ものづくり人材を将来にわたって継続的に確保していくことが課題となっております。
 このため、県内の企業が必要とするスキルを有した人材を県内で育成、確保、定着させる体制を構築し、若者の地元定着、進学等で首都圏に出ていった者のUターン、さらには、関係人口を中心とした移住の促進に結びつけていくことが重要であると考えております。
 こうした状況におきまして、県立産業技術短期大学校の果たすべき役割はますます重要になってくるものと考えており、県内企業と連携して、それらの企業への就職につなげるといった機能のさらなる強化などが必要ではないかと考えているところでございます。
 こうした考え方のもと、県立産業技術短期大学校を含めた県立職業能力開発施設のあり方について、現在、策定を進めている県立職業能力開発施設再編整備計画の中で、市町村や地域の方々の意見を丁寧に聞きながら検討を進めてまいります。
   〔教育長佐藤一男君登壇〕
〇教育長(佐藤一男君) 県南地域に新たに設置する工業高校についてでありますが、県南地域においては、ものづくり産業等を担う人材育成に対する高校教育の役割への期待が高まっている一方で、中学校卒業予定者数の減少が見込まれることを踏まえ、新たな県立高等学校再編計画後期計画において、両校を統合し、校舎や産業教育施設などを新たに整備した上で、1学年6学科6学級の大規模な工業高校を設置することとしており、令和7年度までの県立高等学校再編計画後期計画期間中に設置場所や統合時期、教育内容の検討を進めるとしております。
 このうち設置場所の選定につきましては、現在、外部有識者を構成員とする検討会議において御意見を伺っているところであり、この検討会議における意見を参考に、地域の産業振興の動向や通学する生徒の利便性等、多角的、客観的な観点から慎重に検討を進めていく考えです。
 また、設置場所の選定にあわせ、学びの内容についても検討に着手することとしており、産業関係者や学識経験者、地域等の意見を伺いながら、これからの技術革新に合わせた教育課程の編成やIT、AI、IoTに関する新たな学科の設置、企業等との連携による学びの充実など、統合新設校が県南地域における産業人材の輩出に資する魅力ある学校となるよう、検討を進めてまいりたいと考えております。
〇40番(郷右近浩君) それでは、何点か再質問させていただきたいと思います。
 先ほど御答弁いただいた物価高騰対策の生活者支援の拡充についてでありますけれども、上期に行ってきた事業者支援などは必要であるということは、私自身、論を待ちませんし、内容はまだはっきりわからないのですが、今回賃金水準上昇の新たな事業を行おうとされているということで、知事から御答弁がありました。ここをもう少し詳しくお伝えいただきたい。もしかしたら、賃上げ実施企業への補などを県としてもこれからやろうとしているのかと思いますが、内容についてお知らせいただきたいと思います。
 また、そうした上で、私自身、提案的なものになるのですが、現在の物価高騰に大変な思いをしている県民生活を早期に幅広く支えるとするならば、先ほど知事から御答弁いただいた部分だけではなく、これまで本県においても経済対策の消費喚起等で行ってきたペイペイなどのキャッシュレス決済によるポイント還元事業を、今度は県内の物価上昇率等を目安にした還元率等で実施するなどしながら、県民生活を支える物価高騰対策として使うことなども効果的ではないかと考えるものであります。
 今回の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金については、国の対応も遅かった中で、令和5年11月29日に国の補正予算が成立したにもかかわらず、早期の執行を求めるなど制約が多いようにも見受けられております。もちろん、ペイペイなどのキャッシュレス決済事業の場合、制度設計上、手続に三、四カ月近くかかることを考えれば、早期の執行と言われるとなかなか難しいということが現状だと思いますが、灯油もガソリンも、そして、食料品も買うことができるペイペイなどのキャッシュレス決済によるポイント還元事業は直接的に生活者支援につながっていく、そうしたことに対しては効果的だと思いますが、県の考えをお伺いしたいとと思います。
 また、先ほど千葉総務部長から御答弁いただいた、財源確保に向けた取り組みについても質問させていただきたいと思います。
 先ほど、わんこ債やグリーン/ブルーボンド、こうしたものを活用しながらという話がありましたが、これはまた来年度もやるということなのでしょうか。結局、恒常的にこうしたものを発行していくといったことが今の答弁だったのか、わんこ債だけにおかわりみたいな形ではないですけれども、そうしたものなのか、その点について確認をしたいと思います。
 いわての森林づくり県民税について、先ほど知事から検討に着手しているということでお話がありました。これは市町村分と県分といったような形の割り振りになっておりますけれども、その中で、市町村のほうが配分額が大きいわけでありますけれども、県分のみならず、市町村においても、それぞれの地域で行っている。それこそ私有林であったり、また、民間であったり、そして路網整備など、さまざまなそうした森林関係事業も使えるとなると、これまで県が主体となって行ってきた事業と重複してきて、県の中での森林税の使い方、そしてまた、これまで県民の皆様方からいただいてきた県民税の使い道など、本当にさまざまなものに使える。押し出し方式ではないですけれども、いろいろなことも可能性としては考えていくことができるのではないかと思います。
 わかりやすく、例えば、これまでのいわての森林づくり県民税を子育て税だとか、そうしたことも一つのやり方とは思いますし、また、そうではなかったとしても、今の森林関係予算を県単費の部分を新しい国の森林環境税でしっかりと補っていく中で、いわての森林づくり県民税でさらに補うことで、通常の一般財源の部分での森林関係予算がほかに充てられると考えられると思います。そうした部分の考え方について、どのような御所見を持つかお伺いできればと思います。
〇知事(達増拓也君) 県の物価高騰対策の内容、生活者支援の拡充については、昨今の物価高騰により物価の上昇に実際の賃金の上昇が追いついていないことを踏まえて、賃上げ加速化のための経費を中小企業に対し支援することを検討しております。
 コロナ禍における地域経済を支えるための消費喚起策として、キャッシュレスポイント還元事業は大変効果的であったと認識しておりますが、企業の業績回復や人手不足、物価高騰等を背景とした賃金水準の上昇が今、全国的な流れとなりつつあり、しかし、本県は全国よりも賃上げを実施する企業の割合が低いということもあり、こうした情勢も踏まえて、今回の追加対策としては、県内の賃上げを促進する施策の実施を検討しているものであります。
 そして、超過課税のあり方についてでありますが、これは、いわての森林づくり県民税について、使途の拡大についても検討していく適切なタイミングということで、検討に着手したところでございまして、再質問の中で郷右近浩議員が述べられたような御意見も参考にしながら検討していきたいと思います。
〇総務部長(千葉幸也君) 先ほどの財源確保に向けた取り組みについてでございますけれども、グリーン/ブルーボンド、それから、今回の個人向け地方債、わんこ債ということで郷右近浩議員から御紹介いただきましたけれども、こういった先進的な手法につきましては、これからもやっていく。それから、また新たな手法があるのかもしれませんけれども、御指摘いただいたとおり、これは継続してまいるということでございます。
〇40番(郷右近浩君) ありがとうございます。わかりましたし、余りわからないところもありました。
 ただ、私は先ほどの知事の答弁の中では、賃金水準上昇の新たな事業という話でありましたので、それがもしかしたら賃上げ実施企業への補助などを考えておられるのかと思います。
 また、さらには直接的に今、物価高騰で大変な思いをしている。食料品に関しては消費者物価が10.9%上がっているということを考えると、今回、キャッシュレス決済事業関係でも、前のように20%の還元でなくても10%の還元、そうした手法もとれる。さまざまな手を使いながら、県民生活をしっかりと助けていく姿勢をさらに出していただきたいと思います。
 今回提案されております灯油代の支援などについても、去年までは6,000円だったものが今回は7,000円ということで、思い切ってつけたと大変評価しているものであります。単純に灯油だけにとどまらず、今、生活全体が厳しい中で、それを1,000円上乗せであったり、そうしたような姿勢が県民をしっかりと守っていくというあらわれであると私自身は感じているものでありますので、そうした姿勢で、ぜひともさらにしっかりと県民を守る政策をつくっていっていただきたいと思います。
 さて、そこで、周産期医療、二次保健医療圏についてお伺いしてまいります。
 先ほど野原保健福祉部長からも御答弁をいただきましたけれども、例えば、脳疾患であったりとか循環器関係、こうしたものはどこまで搬送に時間をかけていいのか。確かに、それぞれの専門医が少なくなっている。特に重篤な、大変な、命にかかわるような医療を提供する医師が少ないというのも現実であろうかと思います。時間との戦いをしっかりと埋めていく。そうしたものをしっかりとつくり上げること、もう少し知恵を絞ってではないですけれども、さらに意を用いていただきたいと思うわけであります。
 次期岩手県保健医療計画について拝見させていただきましたけれども、新しい疾病別の医療圏はどこにどのようにするのか、そうした具体的なものがまだ書かれていない。例えば、私の住んでいる奥州、胆江地域であれば、脳疾患等については両磐医療圏で一つの医療圏とする。これは簡単に見るだけで、どちらかに寄せるのだろうと。寄せられたときに片方はどうなるのだと。そのような形をもって拝見させていただくわけであります。
 先ほどは答弁していただきましたけれども、しかしながら、そうした部分について、さらにこのような形でしっかりと安心、安全を守るために手を尽くして、その上での今回のこういう進め方をしていく。もちろん、次期岩手県保健医療計画が4月1日から動き出すという話ではないにしても、しっかりとした説明と理解をいただくようなものが必要であると思っているものであります。
 周産期医療についても、現在の形になってから数年たちます。先ほど0歳から39歳とあえて言った数字ですけれども、この世代がこれからそれぞれ結婚して子供を持ち、もしかしたら里帰り出産なのか、その居住地で出産なのか、そこで暮らしていく方々の可能性もしっかりとあると思うので、私は、安心して出産できる環境を整えていくことをさらにしっかりと考えていっていただきたいと思うわけであります。
 最近は当たり前になって、医療圏がこうだからこれで決定ですと、これは、市に行ってもどこに行ってもそういう話になります。もう産婦人科医がいないのだから仕方がないといったような話です。だからこそ、いーはとーぶやさまざまな補助、そうしたもので運ぶからいいではないか。そうではなくて、もっと何とかならないかということをさらに考えていただきたいと思います。
 そうした中でのこれから脳神経や周産期など、県内の医療を守っていく形をさらにしっかりと考えていかなければいけないと思うわけでありますので、その点について、もう一回御所見をいただければと思います。
 また、産業人材の育成については、当初、県立農業大学校についても質問に入れようかと思いました。どうしようかと思いながら、今回はこの二つということで絞らせていただきました。地域でしっかりと人が育って、その地域で暮らし続け、働いていただく、そうしたような環境をしっかりとつくっていく、環境整備をしっかりとやっていただきたいと思いますし、時代に合った学科やカリキュラムなど、例えば私の地元の県立産業技術大学校水沢校であれば、鋳物の鋳造であったり、さらには、今回、県北地域に設置するというのであれば、例えば、漆であったりとか、その基礎の部分を教えるだけでも次の産業人材を育成していく部分の時間を短縮できるメリットもあります。みんなに関心を持ってもらう意味も含めて、私は今回取り上げさせていただいたわけでありますが、その点について御所見をいただければと思います。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 郷右近浩議員から医療圏の考え方、また、周産期医療圏についての御質問をいただきました。
 まず、脳血管疾患や心疾患といった医療圏について、今回、7圏域もしくは8圏域という形で見直しをさせていただきました。先ほど答弁の中でも触れさせていただきましたが、これまで搬送時間についてはもちろん考えていましたが、それに加えて、医師が治療を開始するまでの時間もやはり重要だろうということで、例えば、脳血管疾患ですとJoinという仕組みがあるのですが、最初にCTを撮影いたしまして、それから必要だという形で医師が集まるのではなくて、発生した段階で専門医が画像を共有して、速やかに適切な医療機関に搬送して、その間に医師がスタンバイしていて、病院に到着と同時に治療を開始できるような仕組みの導入をあわせてしていきたい。
 また、心血管疾患につきましては、急性心筋梗塞に代表されるようなものについては、やはり時間との勝負が重要なのですが、救急隊が患者を最初に措置する際に、心筋梗塞が疑われる場合は心電図を撮っていただいて、それを専門医に伝送する。専門医がそれを見て、これは心筋梗塞なので速やかな治療が必要だといった場合は、医師があらかじめ病院にすぐスタンバイしていただいて、搬入と同時に治療を開始するという視点での取り組みもあわせて進めていきたいと考えておりまして、そういったこともあわせて医療圏の見直しを進めたところでございます。
 また、周産期医療に関しましては、私どもも人口減少対策を進めていて、地域で安心して出産ができる、また、子育てができる環境にあっては、周産期医療体制、小児医療体制の充実というのは、医療政策とは本当に必要な部分だと理解、認識しております。
 今回、周産期医療圏の再設定の議論に当たりましては、産科医は少しずつふえてきているものの、出産年齢が高年齢化していることに伴いまして、ハイリスク妊婦の割合はどうしても高くなってくる。妊婦にとりましては、安全な分娩、出産が大前提だという中、また、医師の働き方改革が来年度からも施行されるという中、そうした視点もあわせて、現行の4医療圏の継続がやむなしという形の御判断、結論になったと認識しております。
 我々もこの圏域でずっといくということを前提で議論しているわけではないですが、まずは、今後の人材の確保、また、アクセスの改善なども見据えながら、この圏域については不断に検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 県立産業技術短期大学校についてでございますけれども、現在の県立産業技術短期大学校が設立、あるいは、現在の学科になったときは、県内に働く場が少なくい状況の中できちんと技術を身につけて、安定した就職に結びつけていくという役割が非常に高かった時代でございます。
 一方で、現在は人手不足が非常に進んでおりまして、地元でもものづくり人材がたくさん必要だという声がございます。それが鋳物、鋳造、漆などを含めて、そのようになっていると思います。ここのところの環境変化をきちんと踏まえた上で、今からの県立産業技術短期大学校の役割は、地元にどう産業人材を輩出していくかということが重要なミッションになってくると思います。そこを踏まえた形で、再編整備計画の検討を進めてまいりたいと考えております。
〇40番(郷右近浩君) 御答弁、るるありがとうございました。なかなか専門医がいないという中で、大変なのはわかります。ただ、先ほども話しましたとおり、県内に住んでいて安心して出産できる環境であったり、また、もし脳疾患等で倒れたときに、救急車に乗って運ばれる間、家族が同乗していても、5分でも10分でも長いわけです。それが30分だ、40分だ、着いたらすぐ対応ができるからと。その後、後遺症等がなく過ごせるのかどうか、そうしたことも含めて、その間のさまざまな不安をしっかりと乗り越えられるような形をつくらないといけないと思います。
 これは奥州・一関地域だけではなくて、久慈地域でもそのとおりですし、今回それぞれの医療圏等が示されておりますけれども、岩手県の医療を守ってきた県立病院を県がしっかりと担ってきた中にあって、来年度はそれこそ県立病院の再編計画になってくると思いますが、そうした中でしっかりとしたものをさらにつくり上げていっていただきたいと思います。
 御答弁がありましたら、いただいて終わりたいと思います。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 今回、医療計画の中で疾病・事業別の医療をどうするかという方向性を示させていただきました。この後、例えば、県立病院におきましては、医療局の経営計画の中で、個々の病院でどのようにしていくのかという議論が多分進められる。また、民間の医療機関につきましても、そのとおりです。公的医療機関についても、総務省が示す公的病院ガイドラインがありますので、日赤病院でありますとか済生会病院なども今回の医療計画を踏まえて、各病院がどのような機能を担うべきかという議論が来年度以降、進むものと理解しているところでございます。
〇議長(工藤大輔君) 以上をもって郷右近浩君の一般質問を終わります。
   
〇議長(工藤大輔君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時15分 休 憩
   
出席議員(48名)
1  番 田 中 辰 也 君
2  番 畠 山   茂 君
3  番 大久保 隆 規 君
4  番 千 葉 秀 幸 君
5  番 菅 原 亮 太 君
6  番 村 上 秀 紀 君
7  番 松 本 雄 士 君
8  番 鈴 木 あきこ 君
9  番 はぎの 幸 弘 君
10  番 高橋 こうすけ 君
11  番 村 上 貢 一 君
12  番 工 藤   剛 君
13  番 小 林 正 信 君
14  番 千 葉   盛 君
15  番 上 原 康 樹 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 高 橋 穏 至 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 高 田 一 郎 君
26  番 木 村 幸 弘 君
27  番 佐々木 朋 和 君
28  番 吉 田 敬 子 君
29  番 高 橋 但 馬 君
30  番 岩 渕   誠 君
31  番 名須川   晋 君
32  番 軽 石 義 則 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城 内 愛 彦 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 郷右近   浩 君
41  番 小 西 和 子 君
42  番 高 橋 はじめ 君
43  番 五日市   王 君
44  番 関 根 敏 伸 君
45  番 佐々木 順 一 君
46  番 岩 崎 友 一 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後2時37分 再開
〇議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。岩崎友一君。
   〔46番岩崎友一登壇〕(拍手)

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