令和5年9月定例会 決算特別委員会会議記録

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令和5年10月31日(火)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 昆 野 岳 晴
議事管理担当課長 藤 平 貴 一
主任主査 佐 藤 博 晃
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 及 川 雄 也
主査 阿 部 真 人
主査 堀 合 俊 彦
主査 三 浦 訓 史
1説明員
農林水産部長 藤 代 克 彦
副部長兼
農林水産企画室長 佐 藤 法 之
農政担当技監 照 井 富 也
林務担当技監兼
全国植樹祭
推進室長 工 藤   亘
参事兼
林業振興課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
競馬改革推進室長 大 坊 哲 央
農村整備担当技監心得兼農村計画課総括課長 今 泉 元 伸
水産担当技監
心得兼水産振興課
総括課長 森 山 拓 也
農林水産企画室
企画課長 高 橋 真 博
農林水産企画室
管理課長 臼 井   宏
団体指導課
総括課長 金 野 賢 治
特命参事兼
指導検査課長 小野寺   修
流通課総括課長 似 内 憲 一
流通企画・
県産米課長 和 泉 光一郎
農業振興課
総括課長 佐々木 誠 二
担い手対策課長 伊 藤 一 成
農業普及技術課
総括課長 竹 澤 利 和
農業革新支援課長 長谷川   聡
農村建設課
総括課長 東 梅 克 美
農産園芸課
総括課長 中 村 英 明
水田農業課長 吉 田 正 博
畜産課総括課長 村 上 勝 郎
振興・衛生課長 高 橋 真 紀
森林整備課
総括課長 砂子田   博
整備課長 小 川 健 雄
森林保全課
総括課長 田 村   聡
漁業調整課長 太 田 克 彦
漁港漁村課
総括課長 佐々木 雅 章
漁港課長 佐 藤 一 彰

会計管理者 木 村   久
会計課総括課長兼
会計指導監 今 雪 博 貴

監査委員 五 味 克 仁
監査委員 中 野 玲 子
監査委員事務局長 藤 澤 良 志
監査第一課
総括課長 及 川 博 英
監査第二課
総括課長 佐々木 良 生

財政課総括課長 佐 藤 直 樹
〇柳村一委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、議案第22号及び議案第23号の以上17件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部関係について、延べ18人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしました。
 また、関連質疑の取り扱い、換気のための休憩につきましては、これまでと同様でありますので、御協力をお願いいたします。
 なお、委員各位御承知のとおり、本日の農林水産部の審査につきましては、議会運営委員会の決定に基づき、第1部、第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について審査することとなっていますので、御了承願います。
 初めに、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇藤代農林水産部長 令和4年度の農林水産部関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、事務事業に係る取り組みなどについて御説明申し上げます。
 当部では、いわて県民計画(2019〜2028)の基本目標である東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわての実現を目指し、計画に掲げる施策の推進に取り組んできたところです。
 まず、復興推進については、水産業リボーン宣言に基づき、サケやアワビ等の主要魚種の資源回復や、マイワシ等の増加している資源の有効利用、サケ、マス類の海面養殖などの新たな漁業、養殖業の導入の取り組み支援のほか、漁港施設の機能強化等に取り組みました。
 次に、政策推進関係について、意欲と能力のある経営体の育成、収益力の高い食料・木材供給基地づくりなど四つの政策項目に基づき、農林水産業の核となる経営体の育成や新規就業者の確保、金色の風、銀河のしずくを核とした県産米の評価向上、森林クラウドシステムの整備等によるスマート林業の推進、ウニ資源の有効活用に向けた蓄養と出荷モデルの構築、国内外でのトップセールス等による農林水産物の販路の開拓、拡大、就農や農村での暮らしに関する情報発信などに取り組みました。
 さらに、生産資材等の価格高騰を踏まえ、農林漁業者に対する省エネルギー化設備の導入や肥料、飼料、漁業用生産資材への支援など影響緩和対策に取り組みました。
 今後とも、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策の着実な推進を図るとともに、資材価格等の動向を注視しながら、影響緩和対策や経営体質の強化に取り組んでまいります。
 続きまして、当部関係の令和4年度の決算について御説明申し上げます。
 令和4年度岩手県歳入歳出決算書の20ページをごらんください。一般会計歳出決算の農林水産部関係は、6款農林水産業費のうち県土整備部が所管するものを除いたもの、及び22ページに参りまして、11款災害復旧費2項農林水産施設災害復旧費、12款公債費の一部であります。
 特別会計の決算につきましては、40ページが県有林事業特別会計、42ページが林業・木材産業資金特別会計、44ページが沿岸漁業改善資金特別会計となっております。
 一般会計及び特別会計を合わせた当部全体の予算現額は975億7、826万円余、これに対する支出済額は692億8、372万円余であります。また、翌年度繰越額の合計は254億4、461万円余、不用額の合計は28億4、992万円余であります。
 以上で農林水産部関係の説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇柳村一委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事の進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇佐藤ケイ子委員 大変いいお天気で、すがすがしい朝となりました。収穫の秋ということで、農家の皆さんも収穫作業がほとんど終わって、秋じまいの作業に入っているようであります。
 ことしは本当に暑い夏が続きまして、猛暑ということで米の品質がどうなるのか大変心配しておりましたけれども、作況指数もまずまずということで、少し安堵したところであります。
 問題は米価ですけれども、米農家の所得がどうなるのかお聞きいたします。全農岩手県本部は、9月11日の運営委員会で、2023年産米のJA概算金を、1等米1俵、主力品種ひとめぼれは前年比で1、400円高い1万2、400円となり2年連続のアップ、銀河のしずくは1万2、900円、あきたこまちが1万1、900円で、ともに前年比1、400円高いと報道されました。
 でも、肥料、燃料、資材等全て高騰する中で、実質所得は本当に伸びるのだろうか。伸びないのではないか、厳しいのではないかという状況ですけれども、米農家の所得も作付規模に応じて段階的に何ヘクタール、何ヘクタールと推計していると思うのですが、その所得見込みをお伺いいたします。
〇吉田水田農業課長 米農家の所得についてでありますけれども、令和5年産のひとめぼれの9月の相対取引価格をもとに、9月25日現在の国の作柄概況で示されました本県の10アール当たりの予想収量であります552キログラムを用いて10アール当たりの収入額を試算いたしますと、13万1、492円となっております。
 また、最新の値であります令和3年産の東北の米生産の自作地地代等を含む全算入生産費は、県の平均作付規模に当たる1ヘクタールから3ヘクタールの作付規模では、10アール当たり13万3、393円、3ヘクタールから5ヘクタールの作付規模で10アール当たり11万7、837円、5ヘクタールから10ヘクタールの作付規模で10アール当たり10万4、476円となっており、3ヘクタール以上の規模で収入額が生産費を上回る状況となっております。
〇佐藤ケイ子委員 3ヘクタール以上で何とか生産費を上回るというような試算をしているということでございますけれども、本当にそうなのか、実質は本当に大変な状況なのかと思っております。
 日本農業新聞の中でも書かれておりましたけれども、相対取引価格で1俵1万4、000円以上の米価にならなければ赤字なのだということであります。本当に、ことしは概算金も出る時期が遅かったりして大変なのでありますけれども、資材高騰で求める対策は、生産コストが高くなっているので、資材高騰に対しての補填であるという農家の声があります。
 生産コストの高騰分を農家手取りの米価に転嫁すると幾らが適当かというと、一番多いのが、1万6、000円から1万8、000円くらいでないとその高騰分を転嫁できないのだということでありますけれども、この相対取引価格は幾らで試算したところですか。
〇吉田水田農業課長 相対取引価格でございますが、本県ひとめぼれの令和5年産米の9月時点の価格ということで、60キログラム当たり1万5、436円で試算したものでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。本当に米価が上がってくれないと地域産業も後継者も育たないということで、ぜひ高く売ってほしいと思っております。
 次に、米の作付の中で、銀河のしずくの作付についてお伺いいたします。
 作付面積の推移はどうだったのか、それから、作付拡大することについての課題はどうなのかということですけれども、県の取り組みの評価の資料を見ますと、水稲オリジナル品種の作付面積、平成29年の現状値は5、000ヘクタール、計画目標は、令和4年は6、200ヘクタール、実績、令和4年、6、550ヘクタールということで、達成度Aとなっているのです。
 この作付拡大についての考え方ですが、知事選挙の中で言われておりましたのは、県が銀河のしずくの作付を制限しているのだと。そして、農家の方々の誇りを回復するには、全県で銀河のしずくを作付させるべきだと。それによって農家の方々は元気が出るのだということを訴えていた候補者がおりまして、いや、本当にそうなのかと。米価自体の問題もありますけれども、銀河のしずくを全県でつくれば本当に所得が上がるのか。そして、作付面積が本当に拡大できるものなのか。拡大したことによって課題も多いと私は思っているのですけれども、どのように考えておられるのかお伺いいたします。
〇吉田水田農業課長 銀河のしずくの作付についてでありますけれども、県では、あきたこまち等からの転換を促進しております。令和5年産の作付面積は約4、650ヘクタールと、前年に比べて約2倍となっております。
 この面積の拡大に伴い、新規栽培者が増加しておりまして、令和5年産の作付経営体数は約2、100経営体で、前年に比べ約3倍になっているということで、高品質、良食味米の安定生産に向けて、栽培技術向上を図ることが重要と考えております。
 栽培マニュアルに沿った管理の徹底を初めとしまして、銀河のしずく栽培研究会の活動、それから、個別巡回等により栽培者の技術向上を図ってきたところでございます。
 今後におきましても、高品質、良食味米の安定生産を重点に作付拡大を進めていきたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。この高品質を保つために指導とか品質管理が非常に大事だと思っているのですけれども、これは全県に拡大できるようなものなのでしょうか。
〇吉田水田農業課長 銀河のしずくでございますが、全国トップクラスの品質と食味を維持していくために、栽培適地、作付経営体の要件を設けております。それから、品質目標も定めておりまして、これらの品質目標の達成に向けまして、生産者と関係団体が一体となって、銀河のしずくの生産の取り組みを進めているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 これからも、高品質のお米をつくるように御指導をお願いいたします。
 次の質問に移ります。多面的機能支払交付金についてでございます。
 この多面的機能支払交付金が始まってから10年くらいになるわけですけれども、農地、水管理のために、水路、農道、ため池、のり面など、共同作業で皆さんに環境保全の活動をしていただいております。
 農地維持支払交付金は、決算でいうと16億1、415万円余の支出、それから、資源向上支払交付金は18億2、770万円余の支出ということであります。
 この制度が大変期待されたりがっかりされたり、また、この制度が充実されたりというので、これからもしっかりと安定して運営されればいいと思うわけですけれども、この対象組織、面積などの状況、成果と課題はどのように捉えているかお伺いいたします。
〇東梅農村建設課総括課長 多面的機能支払交付金の令和4年度の取り組み状況についてでありますが、三つの事業メニューがあり、それぞれの取り組み組織数と取り組み面積は、草刈りや水路の泥上げ等を行う農地維持支払交付金が1、035組織、約7万7、000ヘクタール、資源向上支払交付金のうち、水路の軽微な補修や景観形成等を行う共同活動が882組織、約7万2、000ヘクタール、同じく資源向上支払交付金のうち、水路等の長寿命化を行う長寿命化活動が748組織、約5万7、000ヘクタールとなっています。
 取り組み面積は、第2期対策が開始された令和元年度に比べ、三つの事業メニューで約700ヘクタールから2、100ヘクタールの増となっております。
 取り組みの維持、拡大に向けて、活動組織の事務の負担軽減と活動を担う人材の確保が課題であるため、県では、事務の簡素化を国へ要望しているほか、土地改良区等による活動組織への事務支援を働きかけており、令和4年度においては、県内43土地改良区のうち25土地改良区で事務支援が行われたところです。
 また、事務の効率化とともに活動を担う人材確保に向けて活動組織の広域化を支援しており、令和4年度までに全国5位の55組織が広域組織化されたところです。
〇佐藤ケイ子委員 地域では、多面的機能支払交付金に対して大変期待しております。ただ、やはり今作業している方々の声は、現在、これから5年くらいはいいのだけれども、その後、これをしっかりと引き継いでくれる方々がいるのだろうか。農家の高齢化ということで本当に将来を心配しております。また、事務も非常に複雑、しっかりとした事務職員がいなければ、なかなか手続が難しいという状況が続いておりました。今度、事務が簡素化されるということで少しは期待するところですけれども、事業計画提出とか、本当に課題だと思っております。
 また、広域化を進めるということでありますけれども、広域化しても根本的な課題は同じなのだろうと思っています。
 そういうことで、交付金の支払い時期が非常に遅かった年があって、農家の皆さんからかなり苦情が出た時期があったのですけれども、今は支払い時期はいつごろになっているのでしょうか。事業が終わってもなかなか交付金が出ない年があったのですけれども、今はどうでしょうか。
〇東梅農村建設課総括課長 交付金の交付決定時期が、以前は8月、9月となっておりましたが、今年度から6月と、約3カ月前倒しして実施しているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。ありがとうございます。
 それでは、次の質問に移ります。中山間地域の課題であります。中山間地域の条件不利地ということで、急傾斜地が基準になって交付金が出されておりますけれども、条件不利地の中に豪雪地帯の条件不利地も入れてほしいという要望がずっと出ていたわけですが、その状況についてはいかがでしょうか。
〇佐々木農業振興課総括課長 中山間地域等直接支払交付金についてでございます。中山間地域等直接支払交付金制度につきましては、傾斜がきついでありますとか、小区画、不整形であるなど、農業生産条件の不利な中山間地域等の農用地に対しまして、平地とのコストの格差を是正するために一定額を交付する制度でございます。
 豪雪地帯は、積雪期間が長く耕作期間が短くなるなどの条件不利性はありますけれども、対象用地の見直しに当たりましては、傾斜地等と同等に生産コストがかかること、それから、他の農用地に比べまして耕作放棄率が高いことを示すデータを国に提出しまして、国の第三者機関で妥当と認められる必要がございます。
 現時点で北陸など国内の豪雪地帯でも設定されていない状況でございまして、制度の対象とすることは難しいと捉えているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 中山間地域の中でも特に西和賀町は豪雪地帯ということで、町内のほとんどが中山間地域としての交付金をもらっているのですけれども、本当に残っている一部の平地のところがこの対象にならないということで、町民の皆さんから不公平感が出ているということなのです。
 それぞれの事情もあると思いますし、豪雪地帯ということだけでは条件不利地にはならないということもお聞きしておりますけれども、さまざまなコストがかかるということ、それから、耕作放棄地がふえることを証明していかなければならないということでありますね。
 それでは、そのことも対象地域の方々にお知らせいただくようにお願いしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
〇臼澤勉委員 私からも、農家、生産者の所得向上対策等についてお伺いいたします。
 農林水産部は、それぞれ政策を講じながら農家の所得向上対策を一丁目一番地に取り組んできていると理解しております。今、佐藤ケイ子委員からも、冒頭、所得対策の話もありましたので、簡潔に聞いていきますけれども、まず、農業産出額と農業所得のこれまでの推移と評価、それから、特にもお米に関して、全国、東北比較でどう評価しているのかお伺いいたします。
〇伊藤担い手対策課長 農業産出額と生産農業所得についてでございますけれども、本県の農業産出額は、平成以降、減少傾向にございましたが、平成22年から増加傾向になりまして、最新の値となります令和3年につきましては、平成22年と比べ約2割増の2、651億円で、全国で10位、東北で2位となっております。
 また、生産農業所得につきましては、平成以降、減少傾向にございましたけれども、平成21年から増加傾向にありまして、令和3年は平成21年と比べ約5割増の969億円、全国で11位、東北で2位となっております。
 それから、米の産出額につきましては、平成22年以降、微増傾向にございましたが、令和3年は米価下落の影響によりまして、平成22年とほぼ同額の460億円、全国で9位、東北で5位となっております。
 なお、米の生産農業所得につきましては、品目別の統計データが公表されておりませんが、令和2年に国のデータ等をもとに県で試算したものがありまして、それによりますと、本県の米の10アール当たりの所得は約2万円、全国や東北平均と比べて低くなっている状況にございます。
〇臼澤勉委員 農業産出額の中には畜産も入っているから、それを分解してみていかないとなかなか難しいかと思います。あとは、今お話がありましたとおり、東北地域と比較した場合の10アール当たりの米の所得が、0.6ということで、本県の米農家の所得はなかなか厳しい状況と捉えております。
 一方で、農業所得の数字をまた別の統計で見ますと、全国における個人経営体の年間平均農業所得が令和3年は115万2、000円で、農業粗収益との比率で見ると15.9%ということで、本県の場合も、これは年々下がってきているということで、厳しい今の実態と捉えております。
 あえて聞きますけれども、この農業所得は、多分兼業農家も含まれている数値かと思うのですが、専業農家、あるいは認定農業者の所得の水準を県として把握されているのか、あるいは、このくらいの所得があればやっていけるという額を県としてどう捉えているのかお伺いします。
〇伊藤担い手対策課長 専業農家農業者の農業所得についてでございますけれども、農林水産省の統計によりますと、農業経営体1経営体当たりのデータがございまして、これは都道府県ごとに公表されていませんが、東北管内のデータを見ますと、まず、事業収入でございますが、個人経営体で約560万円、法人経営体で1億5、000万円、全体を見ますと約830万円となっております。
 家族労賃を含まない農業所得を見ますと、個人経営体が80万円、法人経営体が約790万円、全体で約90万円というデータになっております。
 それから、県では、認定農業者の制度がございますけれども、その中で、他産業並みの所得を確保することを目標に掲げてございまして、主たる従事者1人当たり420万円、従たる従事者の所得を加えた全体では、農業経営の所得として570万円程度に設定しているところでございます。
〇臼澤勉委員 560万円、570万円に設定しているということですが、これまでの本県の基幹的な農業生産者の所得は、昨今の価格高騰であったり、そういった部分においてしっかり確保できているのか、県として問題認識を持っているのかお伺いいたします。
〇伊藤担い手対策課長 昨今の価格の動向につきまして、それを踏まえたデータはございません。
〇臼澤勉委員 いろいろな県の政策を進めていく上に、私は、兼業と専業を分けて、あるいは米とか畜産を分けながら、丁寧にデータをとりながら、把握しながら対策を講じていく必要があろうかと思っております。
 農業生産資材価格指数は、令和3年比で見ると121%とふえている。ただ一方で、農産物価格指数は、全国調査であっても、令和3年比108%ということで、決して農産物価格への転嫁がしっかりと進んでいない状況にある中で、県内の価格転嫁の状況はどのように進んでいるのか、また、課題認識を持っているのかお伺いします。
〇佐々木農業振興課総括課長 生産コストの高騰分に係る価格転嫁の状況と課題でございますけれども、県内におきましては、今般、全農岩手県本部が決定しました令和5年産の米の概算金につきましては、前年産に比べまして60キログラム当たり1、400円上昇しておるほか、生乳の取引価格が昨年11月に引き続き、本年8月からさらに引き上げされているものでございますが、農業生産資材価格の高騰は継続している状況でございます。
 適正な価格形成に向けまして消費者理解を醸成していくことが重要と考えておりまして、県としましては、関係機関、団体と連携しながら、消費者の皆さんに適正価格への理解の醸成を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
〇臼澤勉委員 お米についても、消費者が実際に買う、例えば10キログラム当たり3、500円という場合においては、流通コストとか中間流通マージンがかかってくるわけですけれども、実際の農家の方々が販売する価格は、大体68%とか7割ぐらいを切るようなところ。そこの中で、農業者の手取りは3割を切るぐらいの実態なのかと捉えております。
 そういう中で、例えば10キログラム当たり2、400円、先ほどの米の60キログラム当たりで1万2、400円とか1万2、900円何がしという部分がありましたけれども、生産コストが7割ぐらいを占めているわけです。地代、あるいは資材費、肥料、農薬。そういう部分にこうやってコストがかかってくれば、当然、手取りの部分も圧縮されてきてしまう。
 先ほどの佐藤ケイ子委員の質問にも重複するのですけれども、その辺の実態をしっかりデータとして把握しながら、対策、そして財政当局にも、そのデータに基づいた現状をしっかりと訴えながら、現場の生産者、次の農業をやろうという担い手が、夢を持ってできるような対策を今やっておかないと、きのうの商工労働観光部の審査でも最低賃金の話とかいろいろ議論になりましたけれども、やはり実際の農家の方々の所得確保のためにも、しっかりと対策を、未来に向けた投資をしていく。今は耐え忍ぶ時期に来ているかと思いますので、しっかりとその辺の対策を講じていただきたいとお願いしたいと思っております。
 それから、この前、農業の現状把握のために、全酪農経営体を訪問活動したということで聞いておりましたけれども、巡回した現状の具体的な内容と成果をどのように捉えているのか、お伺いしたいと思います。
〇長谷川農業革新支援課長 酪農経営体の訪問活動についてでありますけれども、県では、飼料等の資材価格の高騰などにより大きな影響を受けている酪農経営体の経営課題に応じた支援を強化していくため、農業改良普及センターにおいて、関係機関、団体と連携しながら、酪農経営体への訪問を行ってきたところです。
 酪農経営体からは、飼料や肥料の価格高騰の影響が大きいとの声や、自給飼料の増産、乳量の増加、乳質向上のための飼養管理改善への要望が多く寄せられたところです。
 そういうことで、自給飼料の増産技術とか乳量の増加等を図るための飼養管理技術について情報提供するほか、継続的な指導を希望する約80戸に対しましては、経営体の課題に応じた指導を実施しているところでございます。
 引き続き、関係機関、団体と連携しながら、酪農経営体の経営安定が図られるように取り組んでいきます。
〇臼澤勉委員 資材価格高騰の影響の聞き取りとか必要な対策の御要望を聞いて回ったということで、本当にその辺は敬意を表したいと思います。
 ただ一方で、農業改良普及センターや関係機関の皆様と一緒に連携しながら取り組んだと思いますけれども、具体的な酪農家の巡回指導の結果をどう生かしていくのか。具体的な対策が現場サイドから求められております。
 今後、農業普及員の活動をどう具体的に取り組んで、今の窮状を打破するような取り組みをするお考えか、お伺いいたします。
〇長谷川農業革新支援課長 全戸訪問は現在進行中でございますけれども、今後の活動に向けましては、直ちに成果の出ない技術指導の内容もございますので、農家のニーズに応じて要望を聞きながら、次年度の対策につなげていくような活動を継続していきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 何となく具体的なものが見えないと思うのです。そして、今、本当に厳しい中において、農林水産部が所管している各機関が結集して、今の対策に取り組んでいただきたいと思っております。
 そういう意味では試験研究機関の役割も非常に重要と考えているところでありますが、私の記憶では、県農業研究センター等、今回の生産資材価格高騰あるいは農業経営への影響などを分析、研究している機関がたしかあったと思うのですけれども、農業経営安定に役立てる具体的な取り組み、成果は、どのように取り組んで、お考えになっているのかお伺いしたいと思います。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 生産資材高騰等に対応する県農業研究センター等の取り組みについてでございますが、今、臼澤勉委員から経営分析といったお話もございましたけれども、まずもって、基本的には技術対策ということで取り組んでいるところでございます。
 具体的には、県農業研究センターでは、これまで、生産者が土壌分析を簡易に行うことができる手法ですとか、発酵豚ぷんによる化学肥料代替技術など、化学肥料の使用量を低減する技術を開発しているほか、畜産研究所では、飼料用米を活用した乳牛への飼料給与技術やライ麦と飼料用トウモロコシの二毛作など、自給飼料の増産技術の開発に取り組んできたところでございます。
 こうした研究成果につきましては、肥料コスト低減技術マニュアルですとか飼料等高騰対策に活用できる研究成果集として取りまとめ、農業改良普及センター等が生産資材高騰対策として技術指導等に活用しているところでございます。
 今後とも、生産者の所得が安定的に確保されますよう、農業改良普及センター等と密接に連携しながら、現場ニーズに対応した研究開発を進めてまいります。
〇照井農政担当技監 先ほど臼澤勉委員から御質問ありました農業改良普及センターの巡回をどのように生かしているかにつきましては、農業改良普及センターや県庁の関係課、それから農業団体にも入っていただきまして、月1回か2回、酪農経営体の支援会議を開催しております。そういう中で、それぞれ訪問した内容や課題等を共有しまして、次の対策に生かしていくということでございます。
 これから農家の決算期を迎えてきますが、農業普及センターで重点指導している農家がございます。そういう方々の決算状況も踏まえながら、現状と今後の課題について共有して、対策を検討していきたいと思っております。
〇臼澤勉委員 生産者、現場の今の窮状の声をしっかりと聞きながら対応していただきたいと思います。
 最後に農業大学校の学習環境改善への認識等を聞きたいと思います。
 人口減少の中で、本県は次の担い手対策にしっかりと取り組んでいく必要があろうと思っております。私が聞いている中では、エアコン等の設備が不十分で授業になかなか集中できないというような声も届いております。しっかりとその辺の環境整備に取り組んでいただきたいと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 農業大学校における環境整備でございますけれども、学習環境につきましては、これまでも、スマート農業などの先端技術を習得できる施設等の整備を行ってきたところでございますが、臼澤勉委員御指摘のとおり、一部校舎では、もう築後50年以上たっているということで、教室にもエアコンがない状況にございます。
 一方で、ことし特に猛暑であったわけでございますけれども、例えば現場の研修施設等、エアコンが設置されている施設で授業を行うという対応をしてきたところでございます。
 とはいえ、教室へのエアコン整備とか、そうした環境を改善していくためには、計画的に整備していくことが必要だと認識しておりますので、必要な財源の確保に努めながら、学習環境のより一層の改善に努めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひ、岩手県における就農率を向上させる上でもしっかり取り組んでいただきたいと思いますし、就農支援リスキリングのための対策、取り組みも農業大学校の果たす役割が大きいと思います。最後にその辺の御所見を聞いて、終わりたいと思います。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 農業大学校におけるリスキリング等の取り組みについてでございますけれども、これまでも、学生を対象とした教育のほか、農業に関心を持つ幅広い年代の方々を対象に、さまざまな研修等をしてきたところでございます。
 引き続き、今後とも、例えばスマート農業、6次産業化、GAP等、現役農業者が新たな知識や技術を学び直すことができるような公開セミナーですとか研修を開催しながら、農業に関心を持つ方々が、農業の知識や技術などを幅広く学び習得できるように、研修内容の充実に努めてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 質問に入る前に、いわての食財サポーターに私も登録させていただいていて、毎週金曜日にメールをいただいているのですけれども、今月は各市町村で農業祭りや産業祭りがあって、それもメーリングリストでいただいている中で、私も、近場が多かったのですが、紫波町、矢巾町、そして遠くは一関市の産業まつりと、先週末は盛岡市に伺ってまいりました。
 本当に、市町村それぞれですごく工夫を凝らして、あとは、子供たちのためにどうしたら楽しいイベントになるかということを市町村独自ですごく工夫されているということを感じました。例えば、タマネギの詰め放題やリンゴの詰め放題など、おもしろい取り組みもされていると思って、あと、沿岸市町村のものを内陸部で食べられるということもあって、そういう取り組みが市町村でされていることは、すごくありがたいと思っています。
 それを、例えば県でスタンプラリー形式などがあると、またおもしろいと思います。これまでも流通課の取り組みの中で、市町村独自では研修をやっていたり、あとはツアーをやっているけれども、県独自の取り組みもぜひどうですかというお話をさせていただいたのです。そういう市町村を回るスタンプラリーがあってもおもしろいかと思ったので、これは特に答弁は必要ないのですけれども、自分自身感じて、今月いろいろ回らせていただいたので、ぜひ参考にしていただければと思います。
 給食施設における県産農林水産物の利用状況について、お伺いしたいと思います。
 県では、2年ごとに給食施設の県産農林水産物の利用状況について調査をしていまして、直近だと令和2年度になってしまうのですけれども、今年度は今調査中で、11月に調査結果が出るということで、データとしては少し古いものになってしまうのですが、令和2年度の利用割合について、これまでも、取り組みについて強化してほしいということで質疑させていただいております。
 令和2年度の利用割合は59.4%ですけれども、この施設としては、学校、保育所、県立病院、公立病院、社会福祉施設等で施設区分がありますし、品目ごとの状況もばらばらであります。
 それについて、県として捉えていること、そして、特に県立病院でも大分低い状況なので、県の施設であるからこその取り組みもぜひしていただきたいということで、環境福祉委員会で取り上げておりますが、具体的に取り組んだものについてお伺いしたいと思います。
〇似内流通課総括課長 吉田敬子委員から御紹介いただきました、県が2年に1回実施しております給食事業における県産農林水産物の利用実態調査の関係でございます。
 委員から御紹介いただいたとおり、施設区分は学校、保育所、県立病院、公立病院、社会福祉施設、給食実施事業所の六つに分けて集計しております。
 施設ごとの利用割合は、学校と比較しますと、保育所や県立病院、社会福祉施設が低い結果となっております。その要因とすれば、給食業務を外部委託している施設が多いこと、価格面などから県産食材が優先的に納品されていないことなどが挙げられると思っております。
 また、同調査では、品目を主食である米のほか、野菜、畜産物、水産物、加工品、冷凍食品、牛乳などに分けて集計しております。品目ごとの利用割合は、野菜、畜産物、水産物、加工品などが全体平均よりも低くなっておりまして、その要因とすれば、冬季間の野菜の安定供給が困難であること、県産食材の価格が外国産あるいは他県産と比べて高いこと、県産食材や納入業者の情報不足などが挙げられると思っております。
 このため県では、これまで給食事業者や県学校栄養士協議会との定期的な意見交換を実施してきたほか、令和4年度から、野菜及び果実の生産者と納入事業者を対象とした交流会の開催による商談機会の提供、県内水産加工事業者等との協力による小学校での地産地消の給食と食育授業の実施などに取り組んできたところであります。
 さらに、今年度は新たに、交流会の対象品目を水産物、畜産物に拡大いたしまして、県産食材の利用拡大に向け取り組んできているところであります。
 県立病院のお話もございました。県立病院の関係では、医療局とも定期的に意見交換しております。現在、県立病院の中で給食業務を実施している病院が20あると聞いております。うち半分が外部委託しているところでございます。直営より外部委託しているほうが、食材の利用割合が低い状況でございます。
 今後、例えば、産地直売所が県産食材を県立病院に供給できるよう、産地直売所と県立病院の、例えば給食業務受託業者を対象にした商談であったり情報交換の機会をつくるように検討したいと考えております。
〇吉田敬子委員 県立病院についても具体的にいろいろ取り組んでいただいていて、本当にありがとうございます。今年度に入って交流会、商談の機会をやっていただいているということですけれども、今年度やっているので、つながっているところがもしあればお伺いできればと―まだないですかね。今年度に入って、こういう機会を通じてぜひ高めていっていただきたいと思っております。
 給食の中でも、例えば学校だと県産食材の割合が高く、66.5%です。その中でも、例えば主食は高いけれども、野菜は34%、加工品は27.6%ということで、そこの部分についても、先ほどの御答弁でも冬の期間の野菜がなかなかということもあってそこは十分承知しているのですが、何とかそこを高めていけるような取り組みをぜひ行っていただきたいと思っております。
 これは兵庫県の取り組みですけれども、県産で加工品を先につくって、それを利用向上のための支援として、市町村にその価格差を補填する事業をやっていたりします。
 流通課では、6次産業化の支援として、飲食店に提供するための6次産業化はやっているかと思うのですけれども、学校給食など給食施設で使えるものの加工品の開発についても連携していただきつつ、プラス、結局は価格差の部分が大きいかもしれないので、例えば兵庫県のような価格差を県が補填してもっと高める取り組みも、今後さらにぜひやっていっていただきたいと思っておりますが、御所見についてお伺いしたいと思います。
〇似内流通課総括課長 まず、加工食品の開発の部分について少し御説明させていただきます。
 加工食品の開発に向けては、県が委嘱しております食のプロフェッショナルアドバイザーによる商品開発、また、加工食品を対象としたコンクールによる県産食材を使った加工食品の優良事例の紹介及び表彰、あと、給食事業者、水産加工事業者、農業団体と連携した県内小中学校の給食におきまして、水産加工品や畜産加工品のメニュー提供という取り組みもしております。
 また、先ほど交流会のお話をさせていただきましたけれども、今年度の交流会では、冷凍野菜や粉末、ペースト状にした野菜加工品の生産者と給食事業者との商談会や意見交換も実施してきたところであります。
 吉田敬子委員から兵庫県のお話がございました。県の教育委員会の調査で、いわゆる県産食材の学校給食への利用で補助を行っているのが全国で7県あると聞いております。加工食品のかかり増し経費の部分の助成ということでありますけれども、市町村におきまして県産食材の調達に必要な量あるいは規格、回数など、提供の状況はさまざまであります。現時点では、それぞれの地域の実情に応じた取り組みへの支援ということで、事例紹介ということもありますけれども、引き続き、給食事業者と生産者であったり、先ほど答弁申し上げました産直とのマッチングのような取り組みをしっかり進めていきたいと思っております。
〇柳村一委員長 質疑、答弁とも簡潔に願います。
〇吉田敬子委員 兵庫県以外7県あるということで、ありがとうございます。それぞれ地域の実情に応じてということもあるでしょうから、これについてもう少し調査もしていきつつ、今、商談会、交流会等もしていただいているということで、今後、さらにこの数値が高まっていくことを期待して、終わりにしたいと思います。
〇柳村一委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午前10時56分 休憩
午前11時11分再開
〇柳村一委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇佐々木努委員 私は肉用牛生産振興について、1点のみお伺いいたします。
 今、全国的に子牛価格が非常に下落していて、私も非常に心配しているわけでありますけれども、県として、この下落の要因をどのように分析しているのか、また、今後の価格動向をどのように見通しているのかお聞きいたします。
〇村上畜産課総括課長 子牛価格の低下と今後の価格動向についてでございますけれども、本年度の和牛子牛の平均取引価格は、令和2年に比べまして約2割低下しております。
 その要因としましては、牛肉の消費について、外食需要の減少が長期化していることや、物価高騰により家計が緊縮していることなどがあると思います。
 生産については、牛肉の枝肉価格が横ばいで推移する中にありまして、配合飼料価格は高い水準で推移するなど、肥育農家においては、生産コストが大幅に増加し、子牛の購入費用を抑えざるを得ない状況となっていることがあり、消費、生産の双方の影響が重なっていると考えております。
 今後の子牛価格につきましては、これらが解消される時期などの予測は困難であり、価格の見通しは難しいところでありますけれども、例年、和牛子牛価格は12月に高くなっている傾向がありまして、上昇が期待されるところでございます。
〇佐々木努委員 私も同じ見立てであります。一般的にそのような要因があると言われているわけでありますが、国もどんどん頭数をふやせということで、クラスター事業を初めとして全国各地で増頭が進んできたわけであります。この間増頭してきた方々も、非常に先行き不安な思いを持っている方々がいらっしゃって、いろいろ物価高もある中で、国もそうでありますけれども、県も含めてしっかりとこの難局を乗り越えるための支援を進めていかなければならないと私は思うわけであります。
 非常に厳しい状況にある中で、県としては子牛生産農家をどのように支援されていくのか伺います。あわせて、国の経済対策はこれから打ち出されてくると思いますが、それも踏まえた対策を県はどのように考えているのかもお伺いいたします。
〇村上畜産課総括課長 子牛生産者への支援についてでございますけれども、県ではこれまで、肉用牛繁殖農家の経営安定に向けまして、飼料等の価格上昇分を補填する国事業の活用を積極的に進めるとともに、県独自に、累次の補正予算によりまして飼料や肥料の購入費への支援を実施してきたところでございます。
 また、今般、国のセーフティネットであります肉用子牛生産者補給金制度や、臨時的に措置されました和子牛生産者臨時経営支援事業によりまして、本県では、本年7月から9月に和牛子牛市場で取引された子牛について、1頭当たり6万7、400円が交付されることとなったところでございます。
 加えまして、現在、国の経済対策におきまして、子牛価格の下落対策等が検討されておりますことから、県としましても、肉用牛の経営安定に向けまして、国の動向を踏まえながら機動的に対応していきたいと考えております。
〇佐々木努委員 これから国のメニュー等も出てくると思うのですが、現段階で、県としてこのようなところに力を入れたいというものがあるのかどうか、その辺のお考えを、現段階で構いませんので、教えていただければと思います。
〇村上畜産課総括課長 国の経済対策のメニューについてはまだ示されていないので、それについてはしっかりと対応していきたいと思っております。子牛価格の現状につきましては、2カ年の子牛価格の市場の状況を見ますと、市場上場目標が、大体9カ月齢で300キログラムを目標に出荷するような形で定められております。この目標の9カ月、300キログラムを満たしていない子牛が半分ぐらいあるということでございます。
 県としましては、この子牛の発育向上が非常に重要と思っております。それには、分娩してから3カ月齢までの初期発育がかなり重要な部分でございますので、この部分については生産者や指導者を対象としました研修会などを開催するとともに、サポートチームによって、しっかり技術指導をしていくということで進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 技術的な指導、それも重要な施策の一つだと思いますが、やはり県内の消費拡大等も進めてほしいと思いますし、それから、優良繁殖素牛、雌牛の確保対策も、ぜひ経済対策あるいは来年度の施策に組み入れていただくことをお願いしたいと思います。
 そして、全国的に子牛価格は下落、低迷しているわけでありますけれども、そういう中にあっても、他県あるいは他の市場に負けない優秀な子牛の生産は、ますます重要になってくると思っているわけであります。その部分、県にはしっかりと取り組んでほしいと思いますが、優良子牛生産に対する県の取り組みの方向性について、改めて伺いたいと思います。
〇村上畜産課総括課長 先ほど申し上げましたとおり、肉用牛の繁殖農家の経営安定に向けましては、収益の主体となる子牛の生産効率を高めること、あとは子牛が高い価格で販売されるよう良好な発育を確保することなどが重要と考えております。
 このため県では、肉用牛サポートチームにおいて、分娩間隔の短縮や子牛の発育改善指導を行うほか、生産者や若手指導者のスキルアップを目的とした研修会を開催するなど、生産者、指導者が一体となった子牛の生産性向上に取り組んでいるところでございます。
 また、産肉能力の高い子牛生産に向けまして、産肉能力の早期把握に有効なゲノム解析技術を活用しました県有種雄牛の造成に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、優良子牛の生産性向上とともに、これまで以上に産肉能力にすぐれた種雄牛の早期造成に向けて取り組んでいきたいと考えております。
〇佐々木努委員 今、県有種雄牛のお話がありました。私も何度もこの場で、あるいは本会議場でも種雄牛のあり方については議論させていただいてきていますが、私の考えは一貫して変わっておりません。今の県有種雄牛造成のあり方が、本当に農家のためになっているのかということは疑問であります。
 他県も同じように子牛価格が低迷している中にあっても、やはりいい子牛が生産できるかできないかによって価格の下落幅に大きな差が出てくる中で、残念ながら、岩手県は県有種雄牛の全国的な評価が非常に低いという中で、子牛価格も他県よりも非常に厳しい状況になっていることをしっかりと認識しなければならないと思います。
 私も県有種雄牛にはずっと期待してきたわけでありますが、ここ20年ぐらいは全国に通用するような種雄牛は出ていません。その結果、何が起きているかというと、県内の生産者が県有種雄牛を使わないという状況がずっと続いています。
 いただいた資料では、県有種雄牛の凍結精液の利用本数が、令和3年度は5、000本ということで、これはシェアが8%弱ぐらい、令和4年度はさらに1、000本減ってしまって4、000本しかない、これはシェアも6%ぐらいになっているということです。誰も使わないものを今、県は頑張ってつくっているということで、一体これは何のため、誰のためになるのかと私は疑問に思っています。
 過去は過去として、いい種牛がいたという事実は確かにあって、それをもう一度という思いが一部の方々にはあるのだと思います。それは理解しないわけではありませんけれども、結局それをずっと続けていくことはただではありませんので、人件費を含めれば、この種雄牛造成には数億円というお金がかかっていることを考えると、もう見直す時期に来ているのではないかと私は思います。
 はっきり、もうこの種雄牛造成事業から手を引いたほうがいいのではないかと私は言いたいところまで来ているわけでありますけれども、今、もうそのような状況にあるということに対する県の認識をお伺いしたいと思います。
〇村上畜産課総括課長 まず、本県が和牛産地として産地間競争を勝ち抜くためには、特色ある和牛を生産して、他県産地との差別化を図っていくことが重要です。このため、県内各地の和牛系統を活用して本県特有の種雄牛を造成していくのが、本県の種雄牛造成の目的となっております。
 今、種雄牛の選抜については、各地域の育種組合からの推薦や生産したものについて、県で一括して検討して選抜しているということがあります。この中で、我々も農家、農協あるいは育種組合の皆さんといろいろとお話しする機会がありますけれども、その中で、しっかりと方向性とか、種雄牛がなぜ必要なのかというところも含めて、生産者あるいは生産者団体、行政も含めて方向性の統一性が必要なのかと考えております。
 それについては、去年あたりから生産者を回ったり意見を聞きながら、生産者も種雄牛についてどう考えるか、あるいはどうしていきたいのかについて話し合いなどをしながら、今後の方向性について、いろいろと検討していきたいと思っております。
〇佐々木努委員 本当に、今まさに岐路に立っていると私は思っています。種雄牛造成をしていない県もある中で、どこまで続けていけばいいのか。岩手県には家畜改良事業団もありますし、いろいろなところから優秀な種を入手できる。今はどこからでも入手できる時代になって、なお種雄牛をつくっていくことがいいのかどうかという議論が一番大事だと思いますので、ぜひそういう議論も進めていただきたいと思います。
 あわせて、どこからでも優秀な種を入手できるということであれば、やはり一番大事なのは、優秀な繁殖雌牛をどれだけそろえられるかだと思います。そういう優秀な雌牛がいれば、購買者も魅力を持って、岩手県の市場は種雄牛がいなくても、岩手県の市場に来ていただいて高く買ってもらえることにつながっていくと思うので、ぜひ根本的なところを見直していただければと思います。
 それから、繁殖農家は、最近の子牛価格の下落で大分モチベーションが下がっています。私の地元でもかなり下がっているわけでありますが、なかなか子牛価格が上昇しない中にあっても、やはりモチベーションは維持してもらわなければならないと思っているわけであります。
 県には前にも提案しているわけでありますが、さまざまな枝肉共進会において優秀な成績をおさめた牛の生産者に対しても、表彰とか、何かしらの制度を考えていただけないか。
 この間も、県有種雄牛の産子に特定した共進会が行われ、19頭が出品されました。私の地元の奥州市前沢の方が最優秀で、その子牛生産も奥州市前沢の繁殖農家でしたが、この奥州市前沢の繁殖農家は、自分の牛がチャンピオンになったことすらしばらくは知らなかったということがありました。周りから、あなたの牛ではないかと言われて初めて気づいたということです。せっかく自分が育てた牛が優秀な賞に入っても、何の恩恵もない、そのまま知らないうちに肉にされ消えてしまうということ。そういうことをなくす、繁殖農家も、自分の牛がすばらしい成績だったことを知って、そして、それをたたえられるような制度を岩手県でつくれないか。
 産子限定もそうですが、いわて牛の枝肉共励会もあります。生産者を特定するのはそんなに難しいことではないはずです。そんなにお金もかからないと私は思うのですが、そういうことを岩手県が全国に先駆けて率先してやることが、繁殖農家のモチベーション向上に少しでもつながるのではないかと思うわけです。
 前は検討するという話をいただきましたが、もう一回聞きます。本当に検討されたのか、やるおつもりはないのか、もう一度お伺いいたします。
〇村上畜産課総括課長 枝肉共励会における肉用牛繁殖農家の表彰についてでございますけれども、繁殖農家の育成管理が枝肉に対してどのぐらい影響しているのかの確認がすごく難しい面があります。例えば、肥育農家の好む子牛は、健康で、発育がよくて、体型で過度の体脂肪がない子牛であるため、このような子牛を育成する繁殖農家の技術はすごく重要なのですけれども、肥育牛におきまして、筋肉が発達する月例の期間とか脂肪交雑が増加する月例の期間がおおむね決まっており、肥育成績の良否に影響する期間が、子牛が肥育農家に移動した後ということになります。
 技術的にはそういう形になっております。そこで繁殖農家も表彰したらいいという御提案でございますが、他県においても、繁殖農家を表彰している事例がないこともありまして、今後、肉用牛の繁殖農家のモチベーションの向上策については、別の方策も含めて、引き続き情報収集しながら検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 積極的にそういうものに取り組むことが、本当に繁殖農家の資質の向上、それから、いい子牛生産にもつながっていくと思うのです。やはりほかがやっていないからやらないということではなく、私は、岩手県からそういう流れをつくってほしいということを改めてお願い申し上げまして、質問を終わります。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇千葉伝委員 ただいま佐々木努委員から和牛の関係の質疑がなされたところであります。聞いていて、私自身も、畜産岩手はどこへ行ったのだということまで言いたいくらい、かなり心配しております。
 おかげさまで、昔から中小の豚、鶏については、全国有数の岩手県ということで頑張ってはいただいております。午前中には臼澤勉委員からも酪農の関係の話が出た。今は黒毛和種の話でありますが、事牛に関しては、現状を考えたときに、私は本当にもっともっと頑張らなければならないだろうと。それは、もちろん県職員の皆さんが頑張る、それから、もちろん民間団体も含めてやっていかなければならないということから考えれば、今、決算の委員会ですから、これまで使ってきた予算がどの程度貢献してきているか、こういったものの評価もきちっとやっていく必要があると考えます。
 先ほど種雄牛の造成のお話も出ました。昨年の10月に、鹿児島県の全国和牛能力共進会に、岩手県畜産議員クラブを代表し私を含めて3人で行ってきました。行ってみて、びっくりしたのは、上位のほとんどを開催地の鹿児島県の牛に持っていかれている。全国の優秀な牛が並んだときに、鹿児島県の牛を見たら、あんなに立派な牛だとすごいという感じを受けました。
 岩手県も、各分野においてはそれなりの入賞も出たのですが、聞きたいのは、岩手県の畜産全体を考えて、そして牛、黒毛和種も含め、酪農分の乳牛も含めて、もっともっとしっかりとした対策、予算も含めたやり方を考えるべきだと思うのですが、これは農林水産部長に聞きたいと思います。
〇藤代農林水産部長 本県の畜産振興についてでございますけれども、本県の畜産は、農業産出額の6割を占めております。過半が中小家畜の鶏、豚が伸びているという中で、残念ながら大家畜酪農、肉用牛については、生産者の高齢化、減少もありましてなかなか伸び悩んでいる状況にあります。
 そういう中で、酪農については、生乳生産量は将来的に維持しようという形で、トレンドとしては、戸数は残念ながら若干減るところがありますけれども、規模拡大し生乳生産量を維持するという形で、県でも技術指導あるいはそれに応じた支援を行って、今時点で、生乳生産量は大体横ばいという状況です。今般の物価高といったところについて、引き続き、酪農家の皆さんとどういう支援が必要かを議論しながら取り組んでいきたいと思っております。
 肉用牛につきましては、先ほど佐々木努委員からお話がありましたとおり、皆さんが一番元気だったのは、大体10年前の菊福秀という牛がいたころで、全国からも非常に評価が高く、家畜市場の価格についても高かったという状況でございました。今時点で、県有種雄牛は、その当時の牛に比べれば成績的には格段のものを輩出しております。
 こういったものが、ただ全国の牛に比べればまだまだ劣るという形で、生産者の皆さんの利用が低くなっているというところもあります。あり方自体がどうなのだという御指摘もございました。これにつきましては、昭和62年から県が県有種雄牛造成を行っておりますが、それぞれの農協で行っていたものを、全県で集約して行ってきたところでございますので、生産者団体、生産者の皆さんとしっかり議論して、県有種雄牛が本当に必要かどうかというところから議論していきたいと思っております。
 また、繁殖農家の皆さんのモチベーションアップという御提案がありました。そのことについても一つの方策だろうと思いますので、どういう形ができるか、表彰制度にさまざま取り組んできて、肥育農家の方の表彰制度あるいは県有種雄牛を輩出した繁殖農家の方の表彰制度を行ってきましたので、改めて、さらにどういう表彰制度を設けてモチベーションアップにつなげることができるかも考えながら、取り組んでいきたいと思います。
〇千葉伝委員 いずれ、今お聞きしました岩手県の畜産をもっともっと他県に負けないくらいに頑張ってもらうということからすれば、今、藤代農林水産部長がおっしゃったように、これからの岩手県の畜産を考えていく必要があろうと思います。
 もう一つ、今は決算の話ですが、そういったことを進めるには、今、種牛の種まで造成しているということで、それなりの優秀な牛ができてはいる。ただ、それの精子が使われる本数が少ない。このあたりは生産農家、それから団体も含めてしっかりと、岩手県にこういう立派な牛がいるということのPRも含めたやり方をもっともっと進めるべきであろうと思います。
 それから、種牛をつくるには、当然1年、2年ではできない。そして、頭数もかなりの検定をしていかなければならない。そういうことからすれば予算がかなりかかることになろうと思います。したがって、種牛の造成にもっと金を使って、他県に負けない、九州地域に負けないくらいの牛づくりをぜひ進めていただきたいので、来年度予算は頑張ってもらいたいと、議会から応援します。
 それから、もう一つ、酪農の話も出ました。今回、酪農の大変なところを調査した結果、80戸余りを継続して支援するという話は聞きました。その継続してやるということになれば、1回、2回ではその農家はよくならない。
 調査したのは農業改良普及センターですが、やはり農家をこれからよくしていく、困っているところでいうと、土から始まって、餌、その次は家畜衛生分野、そして、それからできた肉や牛乳、製品をどうするのかと、ここまで行くわけであります。それを指導していくには、農業改良普及センターを中心にしてこれから調査、分析していくということですが、昔は、畜産指導所があって三位一体で取り組んでいました。今回この畜産の危機的状態を打破するには、ぜひ、そういう分析をするため、そして指導するためのチームをしっかりとつくって進めるべきだと私は思います。
 そのためには人もかかります。それから、農家のほうもしっかりとそれに対応していくには、当然金もかかってくる。今の岩手県の畜産をよくしていく、そして現状をよくしていく、そのためには、岩手県がこれぐらい頑張っているのだということで、そういう予算の措置も必要だろうと思いますし、来年度に向けて、畜産の指導をしていく、あるいは家畜衛生も含めてしっかりと岩手県が頑張っていくということであれば、もっと来年度予算を大幅にふやすぐらいのやり方でやらないと、ほかに負けない……
〇柳村一委員長 簡潔にお願いします。
〇千葉伝委員(続) はい。ということで、これは農林水産部長、最後にそういったあたりも頑張りますという一言を聞きたいので、よろしくお願いします。
〇藤代農林水産部長 畜産振興に当たっては、今、予算の話がございました。財源は限られるところもありますので、農林水産部の中で、必要な優先順位も加味しながら、予算確保を図りながら取り組んでいきたいと思います。
 また、農業者の指導に当たっては、酪農については酪農サポートチーム、それから肉用牛については肉用牛サポートチームということで、県のみならず、農協あるいは市町村と連携したチームをつくって指導に当たっております。こういう形で継続した指導が行われるよう、引き続き取り組んでいきたいと思います。
〇千葉秀幸委員 私からも、先ほど来議論になっております畜産について、重複しないようにお伺いしていきたいと思っております。
 まずは、先ほどの答弁の中でも、12月には和牛子牛価格が一定程度上がるという認識ですが、本当にこのような厳しい状況で果たして12月は期待できるのか。私は、なかなか一筋縄ではいかないのではないかと危惧している中にあって、まずは、この窮地をどう乗り越えるか、どう支えていくかということが大事だと思っております。
 そんな中、補給金の発動状況、それから、牛マルキンの発動状況について伺いたいと思います。
〇村上畜産課総括課長 まず初めに、肉用子牛生産者補給金制度についてでございますけれども、この制度は、肉用子牛生産の安定を図るために、肉用子牛の平均売買価格が保証基準価格を下回った場合、生産者補給金として交付される制度でございます。黒毛和種では、本年度の第2・四半期が21年ぶりに発動となりまして、3万4、400円が交付されます。
 また、肉用牛肥育安定交付金、いわゆる牛マルキンでございますけれども、肉用牛肥育経営の安定を図るために、肥育牛1頭当たりの標準的販売価格が標準的生産費を下回った場合に、その差額の9割を交付金として交付される制度でございます。
 肉専用種につきまして、本年度におきましては、5月に約3万8、000円、6月に約4万5、000円、7月に約6万2、000円、8月に約13万7、000円が交付されているところでございます。
〇千葉秀幸委員 肥育に対する牛マルキンの支援は、一定程度助かっているという話は聞いておりますが、生産現場からは、子牛の補給金の補助が弱いのではないかというお話が聞こえております。
 収入保険とかもあるのですが、物価高騰に伴う所得の減少は対象外ということ等もありますから、この補給金が大事な役割なのだろうと思っております。
 加えて、国から、単年度の事業として支援策が出てきたと思っておりますが、先ほど説明がありました和子牛生産者臨時経営支援事業費に対しての活用状況、そして、補給金に加えてこの支援がプラスされたことによる現場の声についても、把握されているのであれば伺いたいと思います。
〇村上畜産課総括課長 先ほど肉用子牛の生産者補給金制度で、21年ぶりに発動となって3万4、400円が交付されたことは御答弁申し上げましたけれども、国では緊急的、臨時的な対策としまして、和子牛生産者臨時経営支援事業を創設しておりまして、これにつきましては、令和5年1月から12月までの限定した期間において、臨時的に措置されたセーフティネットでございます。
 黒毛和種では、子牛の平均売買価格が、生産されている地域のブロック別あるいは四半期別に、基準価格60万円を下回った場合、その差額の4分の3を支援するという内容になっております。
 東北ブロックでは、4月から9月に販売された子牛に対して交付金が交付されまして、4月から6月までは2万6、000円が既に交付されております。7月から9月には3万3、000円が交付されることとなっておりまして、先ほど申し上げました生産者補給金の3万4、400円とこの3万3、000円をプラスしますと6万7、400円が交付される見込みとなっております。
〇千葉秀幸委員 補給金の不足分に加えて、こちらの和子牛生産者臨時経営支援の補助も非常に助かっているのだろうと思っております。
 ただ、単年度的な取り組みだと伺っておりますから、一方では、まだまだ下落、そして、餌代の高騰が続くという見通しから、この事業を継続いただきたいと思っております。繰り返しになりますが、仮にこの事業がなくなるようであれば、この補給金に加えた上乗せ補助、餌代も補正予算等でも組まれており、ここに対する支援をいただきたいという声があります。改めて、その御認識について伺いたいと思います。
〇村上畜産課総括課長 この子牛関係の価格に関しての国の制度でございますけれども、県としましても、国に対して、肉用子牛生産者補給金制度の平均売買価格の見直し、これは全国平均価格がベースになりますが、これを和子牛生産者臨時経営支援事業のようにブロック別にするようにということで要望しているほか、先ほど申し上げました、期間限定でやっております和子牛生産者臨時経営支援事業についても、継続するよう国に対して要望しているところでございます。
〇千葉秀幸委員 ぜひ、生産基盤の安定を図るために、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 次に、菅野ひろのり委員が一般質問でも行っておりました、畑地化促進事業について伺いたいと思います。
 これに関しては、令和4年度の補正予算で措置された事業について、新たにスキームが変わったと理解しております。例えば、畑作物に関しては、これまで10万5、000円だったものが、10アール当たり14万円になったというようにスキームが変わってきたと考えておりますが、これは何を目的に変更されたと考えるか、県の認識を伺いたいと思います。
〇吉田水田農業課長 水田の畑地化促進事業でございますけれども、畑地化支援につきましては、食用米の需要が年々減少している中、平成30年度から水田活用の直接支払交付金の支援メニューとして措置されてきたものでございます。
 国では、水田活用の直接支払交付金の見直しによる課題を調査する中で、現場からは、畑地化支援の充実、畑地化に伴う土地改良区の地区除外決済金等の費用負担への支援を望む声があったことを受けまして、令和4年度の補正予算において、畑地化促進事業を措置し、国産需要のある麦、大豆等の畑作物の本作化をこれまで以上に強力に推進することとされたところでございます。
〇千葉秀幸委員 申請面積については、答弁されたところでございます。そんな中、本県の採択状況は10%程度だったということでございました。
 申請作物は、要望として何が多かったのかについても、伺いたいと思います。
〇吉田水田農業課長 要望面積約2、300ヘクタールの品目別の内訳でございますけれども、6割以上が牧草などの飼料作物、2割強が麦、大豆、約1割が野菜などの高収益作物という状況になっております。
〇千葉秀幸委員 6割以上が牧草だと。本県は中山間地域だという実態から、こういう割合になっているのだろうと思います。
 その中で、ポイント制について伺いたいと思います。このポイント制は本県にとって大きく不利益なものと考えておりますが、県の認識について伺いたいと思います。
〇吉田水田農業課長 ポイントの関係でございますけれども、今、千葉秀幸委員からお話がありましたように、国の配分基準に基づくポイントがございまして、これが上位のものから決定される仕組みということで、今回の本県の採択におきましては、配点の高い高収益作物が優先的に採択されまして、本県の要望の約8割を占めております飼料作物や麦、大豆などの畑作物単独での取り組みについては、採択の対象にならなかった状況となっております。
〇千葉秀幸委員 水田活用交付金の見直しの影響もある中で、農業者の方は、この事業を使いたいということで希望を出されたと思っております。しっかりと予算を確保すること、飼料作物が本県では大きなウエートを占めているということでございますので、ぜひ、この辺についてしっかりと国に要望していくことが必要だと思いますが、現在の取り組み状況について伺いたいと思います。
〇吉田水田農業課長 県では、要望の約8割を占めております飼料作物や麦、大豆につきまして重要な品目と考えておりまして、国に対しまして、事業採択に必要な予算を十分に措置するよう要望するとともに、畑作物への配分基準を高めるよう要望しているところでございます。
 引き続き、追加の採択など国の動向を注視しながら、生産者が希望する畑地化の取り組みが円滑に進むよう支援してまいりたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 最後になりますが、先ほどの予算の確保もそうです、配分基準を高めることについて、本県の実態はこうなのだということ、水田活用交付金の話もそうですし、畑地化事業にとってもそうです。地方あるいは本県の実態には大きくそぐわないような政策が出てきており、生産者のほうでは大きな波紋というか不安の声が広がっておりますので、この声も引き続き届けていっていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。
〇高橋穏至委員 私からも、通告しておりました燃料、飼料、原材料高騰対策についてお伺いします。
 先ほど来、現在の取り組みについてたくさん質疑が交わされたのですが、令和4年度において取り組んだ燃料、資材、原材料高騰対策の内容について、ほとんどが国の臨時補正でやっています。当初予算の審査では出てこない部分でしたので、その内容についてお聞きいたします。
〇高橋農林水産企画室企画課長 令和4年度の資材等の高騰対策事業の取り組みでございます。
 生産資材等の価格高騰によりまして農業経営に及ぼす影響を緩和するため、先ほど高橋穏至委員からもお話がありました、累次の補正予算によりまして、飼料や肥料の購入費や農業水利施設の電気料金の上昇分に対する支援など、計6事業に取り組みまして、予算額11億4、500万円に対しまして、決算額は4億2、200万円余、残りの7億2、000万円余につきましては、本年4月以降に支払い手続等が生じるため、令和5年度に繰り越しをしているものでございます。
〇高橋穏至委員 全体はわかりましたけれども、事業として対象になった、さまざまな業種があるわけですが、例えば経営体はどれくらいの規模で、全体のどれくらいをカバーできたのかをお聞きしたいと思います。
〇高橋農林水産企画室企画課長 例えば、先ほど答弁申し上げました飼料購入費への支援におきましては、県内の生産者が購入した配合飼料のほぼ全ての数量を対象といたしました。また、肥料の購入費への支援につきましては、市町村農業再生協議会や肥料販売店等を通じまして、約4、300戸の農業者を対象としております。また、農業水利施設の電気料金上昇分への支援につきましては、43土地改良区のうち36土地改良区を対象に、それぞれ補助金を交付したところでございます。
〇高橋穏至委員 県では、ほぼ全てをカバーできるような形で制度設計をして、取り組んだということです。市町村でも同様な事業の取り組みをしているわけですが、市町村によってやっているところとやっていないところがあって、私のほうに、何でうちの市町村はやらないのだとか、いろいろ話が来るわけですけれども、市町村の取り組み状況について、どのように把握しているかをお伺いします。
〇高橋農林水産企画室企画課長 県内市町村での取り組み状況でございますが、令和4年度におきましては、県内31市町村におきまして各地域の農業生産の状況に応じた取り組みが行われており、このうち燃料の価格高騰対策では17市町村で、飼料の価格高騰対策は23市町村で、肥料の価格高騰対策は21市町村で実施されたと承知しております。
〇高橋穏至委員 ほとんどは国の対策に呼応して、市町村によって、同じ農業でも形態がいろいろ違いますので、それに合ったことをやっているかと思います。あと、大きく要望されるのは、県において、国の部分はわかるけれども、県独自の足りない部分を補填するような制度はないのかということをよく聞かれるのですが、そういった県独自の取り組みというのはできていましたでしょうか。
〇高橋農林水産企画室企画課長 先ほど御答弁で申し上げました、例えば飼料の価格高騰の部分につきましても、国事業のメニューで予算的にカバーでき、足りないところを県独自で先ほどの交付金を使ったり、あるいは肥料の部分につきましても、国の7割の補補填あったわけですけれども、さらに、その足りないところを県独自の交付金を使っているという状況でございます。
 国のさまざまな事業を活用することを基本にしつつ、足りないところを、県独自の交付金を活用しながら事業を実施している状況でございます。
〇高橋穏至委員 国の足りない部分を県が独自といっても、結局それも交付金ですので、やはり国の事業ということです。
 限られた財政ですので、県単独でやるのはなかなか難しいかと思うのですが、昨日来、商工労働観光部の審査でも出ましたけれども、やはりこういう緊急事態には、県独自でも上乗せする必要があるのではないかという指摘がございました。ぜひ、その辺は臨機に、この厳しい状況を救えるように対応していただきたいと思います。
 もう一項目だけ通告しておりました、鳥獣被害対策防止の事業費ですけれども……
〇柳村一委員長 高橋穏至委員、次の項目に入りますか。
〇高橋穏至委員(続) 次の項目。
〇柳村一委員長 それでは、この際、高橋穏至委員の質疑の途中ではありますが、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
 高橋穏至委員、御了承願います。
午前11時58分 休憩
午後1時1分再開
〇佐々木宣和副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇高橋穏至委員 それでは、鳥獣被害防止対策の事業費について伺います。
 きのう環境生活部の審査で出ましたが、改めて、被害額ということで、農業に対する被害額と実際の事業の内容、どれくらい駆除したかといった状況についてお知らせください。
〇伊藤担い手対策課長 鳥獣被害の状況でございますけれども、本県の野生鳥獣による農作物被害額は、令和4年度で約4億6、000万円となっておりまして、被害が最も多かった平成24年度に比べ約5、000万円減少しておりますが、令和3年度と比べますと約6、000万円の増となってございます。その約6割が鹿の被害になっているところでございます。
 それから、事業の概要でございますけれども、県では、国の鳥獣被害防止対策交付金を活用しまして市町村協議会等が行う有害鳥獣の捕獲や侵入防止柵の設置、里山周辺の除間伐など、地域ぐるみの被害防止活動を支援しているところでございます。
〇高橋穏至委員 毎年のように市町村からの要望でもこの被害対策を要望されますし、また、その対策費として、猟友会などから、しっかり予算を確保してほしいという要望も受けております。
 予算審査のときにも、今の鹿、イノシシの繁殖状況からして、しっかりと予算をふやさなければならないのではないかということで、当初予算で確保していただいているわけですが、令和4年の当初予算は3億2、430万円余ということだったのですが、実は決算が2億6、000万円で、決算の前に補正で2億9、000万円に減っているのです。この減っている原因と、その経緯等をお知らせください。
〇伊藤担い手対策課長 令和4年度の補正減額につきましては、国からの配分額が要望額の9割にとどまったことによるものでございまして、それを受けまして、県では、本年6月と9月に、国に対し、十分な予算を早期に配分するよう要望したところでございます。
〇高橋穏至委員 実際、要望はしたけれども、9割だったと。もしわかればですけれども、これは、例えば全国一律そういう形で減っているのかどうか、他県の状況等、おわかりでしょうか。
〇伊藤担い手対策課長 国のホームページによりますと、全国の配分額につきましては公表されているところでございますが、要望額に対する充足率については公表されておりませんので、お答えするのが難しい状況でございます。
〇高橋穏至委員 これは、今回は取り上げていないのですけれども、農村整備の土地改良事業ですとか国の交付金が絡む事業については、まず当初予算で置かないと、それから減らされることはあっても、ふやされることはないという状況から、しっかりと確保する必要があるのではないかと思います。
 きのうも環境生活部の審査で、もっともっと力を入れないと今後、維持すらできない、どんどんふえる一方だという状況は、かなり多くの委員が取り上げて議論いたしました。そこに向けて環境生活部との連携もあろうかと思いますけれども、その見通しについて、今後に向けての考えをお伺いして、終わりたいと思います。
〇伊藤担い手対策課長 環境生活部との連携についてでございますけれども、県で設置しております岩手県鳥獣被害防止対策会議において、野生鳥獣による農作物被害を含め、人身被害などの状況ですとか、市町村の対策の取り組みなどの情報を共有しておりますほか、鹿やイノシシの管理検討委員会など、さまざまな機会を通じまして、野生鳥獣の捕獲目標の達成に向けて、両部が所管する事業で捕獲を進めるなど連携を進めているところでございます。
〇畠山茂委員 私も、昨日から話題となっている鳥獣被害対策を6点ほど通告しておりましたので、重複しないように、農林水産部の視点でお伺いしたいと思います。
 まず、1点目が被害の状況と推移ということで、先ほど御説明があったのですが、ここで改めてお聞きしたいのは、きのうの環境生活部の質疑の中でも被害状況の説明があって、その中では、農業被害額は、きのうの説明だと2億7、400万円で、前年比で6、000万円増だと。今のお話だと4億6、000万円で、6、000万円増と。ふえたところは同じなのですが、被害状況の認識がどうして違うのか疑問に思いましたので、認識をお聞きしたいと思います。
〇伊藤担い手対策課長 数字の違いでございますけれども、農作物被害額全体で約4億7、000万円となっておりまして、このうちの2億7、000万円が鹿による被害となっております。
〇畠山茂委員 きのうの環境生活部の説明は、鹿の被害に特化して説明したのだという認識を今持ちました。
 それで、今、鳥獣被害の関係は、国でいうと、農林水産省と環境省があって、県でいうと環境生活部と農林水産部があってと。ただ、現場の市町村は多分一つの部署が担ってやっていると思っていまして、後でも触れますけれども、その連携はきちんとやっていただきたいと思います。
 私が聞く限りの現場では、鹿の被害はもちろんのことですけれども、イノシシ、それから猿の被害もどんどんふえています、早急に対策をやってくださいというような声は聞いております。
 そこで、次にお聞きしたいところが、鳥獣被害防止総合支援事業についてです。この事業で特に聞きたいのは、電気柵等の防止施策の成果と課題をお聞きしたいと思います。
〇伊藤担い手対策課長 電気柵等の防止施策の成果と課題でございますけれども、本県におきましては、鳥獣被害防止総合支援事業によりまして、平成16年度から令和4年度までに、20市町村において電気柵等の侵入防止柵が、累計で1、249キロメートル設置されたところでございます。
 令和5年度につきましては、10市町村で115キロメートルの侵入防止柵の設置が計画されております。
 それから、侵入防止柵の設置につきましては、設置作業や下草刈りなど維持管理のための省力化が課題になっておりまして、県では、効果的な設置に向けたアドバイザーの派遣や、現地支援チームによる管理作業が容易な侵入防止柵の実証などを行っており、引き続き、野生鳥獣による被害が低減するよう取り組んでまいります。
〇畠山茂委員 今の説明だと、20市町村が取り組んでいるという説明を受けました。そうしますと、この取り組みは県が率先して一律ということではなくて、各市町村がその計画を立てて、対象施設の補助の条件や上限額は、各市町村でやっているのだという認識でよろしいでしょうか。
〇伊藤担い手対策課長 畠山茂委員の御発言のとおり、市町村において被害防止計画を立てまして、それに基づいて事業を実施しているところでございます。
〇畠山茂委員 次は、実働部隊であります猟友会等を初めとする有害駆除の実施隊員確保に向けた取り組みについてです。
 各市町村では資格取得などの支援事業等に取り組んでおられると思うのですが、取り組みの状況と、あわせて駆除隊の登録者の推移をお伺いしたいと思います。
〇伊藤担い手対策課長 実施隊員の確保に向けた取り組み状況、人数の推移についてでございますけれども、県では、有害鳥獣の捕獲等を行う実施隊員の確保に向けまして、国事業を活用し、市町村の被害対策協議会が行う野生鳥獣の生態に基づく効果的な捕獲方法に関する研修会や、猟銃の取得経費助成などの取り組みを支援しているところでございます。
 実施隊の人数につきましては、令和5年4月現在で、県全体で1、600人程度となっておりまして、近年増加傾向になっております。
〇畠山茂委員 きのうの環境生活部の審査では1、900人ぐらいという説明を受けていたのですけれども、今、1、600人ぐらいの資格者がいるという説明を受けました。
 今の研修や猟銃の取得経費助成は、これももちろん市町村でそれぞれがやっていると思うのですが、幾らぐらいの市町村でやっているのでしょうか。
〇伊藤担い手対策課長 市町村数につきましては、申しわけありません、今手元にございません。
 研修会につきましても、鳥獣被害対策実施隊につきましては市町村で任命される制度になっておりまして、市町村でさまざま取り組んでいるものと承知しております。
〇佐々木農業振興課総括課長 今、市町村数については手元にないという説明をしたところでございますけれども、鳥獣被害対策実施隊につきましては33市町村のうち32市町村で設置しているところでございます。
 助成の部分についてはわからないということでございます。
〇畠山茂委員 32自治体では鳥獣被害対策実施隊がある、その助成の状況はまだわからないという説明でした。
 4点目にお聞きしたかったのは、この鳥獣駆除の報奨金についてです。これも各市町村で違うだろうと思っておりまして、ここを把握しているのであれば、各市町村の、大体この金額からこの金額ぐらいというところをお示しいただければと思います。
〇伊藤担い手対策課長 市町村の報奨金についてでございますけれども、県内では、一部の市町村におきまして、国の交付金に加えまして市町村独自の報奨金が支払われていると承知しております。
 例えば、成獣の鹿につきましては、国の交付金8、000円に加えまして、1頭当たり2、000円から8、000円が支払われております。また、成獣のイノシシにつきましては、国の交付金7、000円に加えまして、1頭当たり2、000円から8、000円が市町村の報奨金として支払われております。
 なお、捕獲経費の市町村負担につきましては、8割が特別地方交付税により措置されているところでございます。
〇畠山茂委員 今そういった説明を受けまして、私が住んでいる宮古市でも、鹿の場合、国の助成金が8、000円で、隣の岩泉町は1万6、000円と、同じ鹿をしとめてもそれぐらい違うという状況であります。
 それと、きのうの環境生活部の説明でもあったのですが、県としても、鹿とイノシシの補助金は出しているけれども、熊は出していない。そういう状況で、市町村でもさまざま取り組みの差があるというのを、今いろいろな取り組みで私は感じていました。
 5点目は、有害駆除の活動期間について、1年間通じてできているのか、あるいは市町村によって半年だったり1年だったりアンバランスがあるのか、その点もお聞きしたいと思います。
〇伊藤担い手対策課長 有害駆除の活動期間についてでございますけれども、本県においては、野生鳥獣の捕獲について、有害捕獲駆除に加えまして、11月から2月までの指定管理鳥獣捕獲、11月から3月までの狩猟の三つにより実施されているところでございます。
 有害駆除の実施期間につきましては、各市町村において捕獲従事者の意見を踏まえ設定されておりまして、年間を通じて実施している市町村がある一方で、11月から3月の狩猟期間は、有害駆除を実施していない市町村もあると承知しております。
〇畠山茂委員 そういうとおり、市町村で取り組みに差があるのだろうと認識していました。
 最後にお聞きしたいところは、県内の各市町村でも被害防止計画をつくって取り組んでおられると思うのですが、その目標に対しまして、達成状況はどういう状況なのかお聞きしたいと思います。
〇伊藤担い手対策課長 被害防止計画の達成状況についてでございますけれども、被害防止計画は、各市町村で計画策定年度が異なるものでございますが、計画策定の3年後に目標達成状況を評価することとされております。
 令和4年度におきましては、10市町村が評価の対象になっておりまして、その目標達成状況については、計画目標として掲げている被害金額、被害面積の二つの目標について評価されるものでございますけれども、被害金額のみを達成したのが4市町、金額、面積とも達成したのが2市町となっております。
 県では、国事業を活用しまして、市町村が実施する有害鳥獣の捕獲や電気柵などの侵入防止柵の設置等を支援しており、引き続き、市町村の被害防止計画の目標が達成できるよう支援してまいります。
〇畠山茂委員 今の説明で、令和4年度でいうと10市町村で、完全に達成したのは2市町村だという説明だったと思います。
 きのうの環境生活部審査でも、毎年、鹿も頭数の目標をふやしていく、あるいは熊も頭数をふやしていくという説明がありました。ただ、今までのやりとりを聞いていると、市町村で取り組みにかなり差があるという実感を持っています。ここの市が一生懸命取り組んでも、隣の市町村が取り組まなければ、山はつながっているので、動物は移動してなかなか成果が出ないというのが、多分今の岩手県内の実態だと、きのうから議論を聞いていて思いました。
 そういう意味で、今までの報酬やさまざまな取り組みのところで市町村によってかなり差があるので、改めて県と市町村と実働部隊の猟友会などの連携の具体的なところを練っていかないと、これは毎年出る課題だと思います。その点、これからの具体的な施策があれば、お聞きしたいと思います。
〇伊藤担い手対策課長 市町村等との連携についてでございますけれども、県で設置しております鳥獣被害対策の対策会議がございます。その中に県の関係機関はもちろん、市町村も構成員となっていただいており、各地域の取り組み状況、関連支援施策を共有できる場ということで設置しております。
 引き続き、そういう場面を通じまして、県と市町村が一体となって取り組んでいけるよう進めてまいります。
〇畠山茂委員 ぜひよろしくお願いしたい。きのうの環境生活部審査で出ましたけれども、今、世の中はITやドローンなどさまざま活用しているところもありますし、都会に行くと、鳥獣駆除がビジネスになって、事業を興してそれで食べている方々もいるという現実もありますので、ぜひ、これからも幅広い知見で取り組んでもらいたいと思います。
〇村上秀紀委員 私からは、6次産業化と新規就農支援について伺ってまいります。
 農業生産関連事業において高付加価値化と販路の開拓、拡大のため6次産業化に取り組んでおりますが、まず、6次産業化による農業関係の販売額の推移はどうなっているか。生産、加工、販売までつなげるパターンか、または生産から直売か、その辺の形態別にお伺いします。
〇似内流通課総括課長 6次産業化の販売額についてでありますが、国が毎年度実施しております6次産業化総合調査によりますと、本県の6次産業化による販売額は、平成28年度の303億円から、直近の令和3年度は357億円に増加しているところであります。
 このうち、農業生産関連事業の6次産業化による販売額は、平成28年度の282億円から、直近の令和3年度は330億円に増加しております。
 村上秀紀委員からお話がございました形態別になりますけれども、本調査では、6次産業化の販売額の大半を農産物の加工と農産物の直売所が占めております。農産物の加工は、平成28年度の76億円から令和3年度は118億円、農産物直売所は、平成28年度の193億円から令和3年度は198億円となっております。
〇村上秀紀委員 今、加工というお話がありましたが、これは消費者に対する製品までのものか、それに加えて1次加工の業務用向けも含みなのかを伺いまして、それを含めて、加工が伸びていて、直売は横ばいというところですけれども、それぞれの要因を伺いたいと思います。
〇似内流通課総括課長 まず1点目の加工の部分、消費者向けなのか1次向けかというところでございますけれども、これは両方含めたものと捉えていただければと思います。
 加工が伸びた部分と直売が伸びていないという部分のお話でございますけれども、まず、加工の部分に関していいますと、県で6次産業化に取り組む事業体数が、平成28年度は1、350ございましたが、令和3年度は1、550と増加していることがあります。これは定量的ではなく定性的な話になりますけれども、県内でジュース、ジャムなどの受託加工に取り組む事業者が出てきていること、また、農産物を使用した加工、販売を行っていた生産者等が、例えばカフェの経営や観光農園などに取り組むというように、新業態に進出していることが考えられます。
 直売の関係ですけれども、県で調査したときは、令和2年、令和3年の売り上げが3割減というような直売所が多く、新型コロナウイルス感染症の影響によるものと捉えております。
〇村上秀紀委員 まず、それぞれの要因はわかりました。すると、加工が伸びているのは、かかわる事業者がふえたこともあるし、直売所はこれから、コロナ禍が明けまして、今後の動きをどのように見通しているものですか。
〇似内流通課総括課長 直売所の関係でいいますと、コロナ禍後の状況をお聞きしますと、コロナ禍前に比べると売り上げがほぼ戻ってきている直売所も出ていると聞いております。これから売り上げは少しずつ伸びていくのではないかと捉えております。
〇村上秀紀委員 では、きっと今後、直売所も伸びていって、6次産業化から受ける恩恵はふえてくるかと思います。現在の計画目標値に対する達成度はAとなっておりますが、かかわる生産者の皆さんが、今、所得向上を実感できるまでに至っているかというところを定量的に示されればありがたいですが、もし難しければ、定性的なところでも構いませんので、お願いします。
〇似内流通課総括課長 村上秀紀委員からお話がございました所得の関係でございます。定量的なところの数字は持ち合わせておりませんけれども、定性的なお話をさせていただきますと、例えば、雫石町の生産者でいいますと、自社で生産した生乳を使ってジェラートの加工、販売に取り組んでいる方もいらっしゃいます。また、遠野市の農事組合法人におかれましては、自社で生産した野菜や果実をジュースに加工、販売することに加えまして、新たにジュース加工の受託製造なども手がけていると聞いております。
 これらの方々にお聞きしますと、やはり収益向上、雇用の創出につながったというお声を聞いているところであります。
〇村上秀紀委員 それでは、6次産業化については1回置いておいて、新規就農支援のほうに進みたいと思います。
 新規就農支援事業における実績と、その後の定着率をあわせて伺います。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 新規就農総合対策事業等による実績についてでございますが、県では、新規就農者を確保、育成し、定着を図るため、国事業を活用し、就農希望者に対して、県内外での就農相談会を開催するほか、生産技術を習得できる研修受け入れ先のあっせん、年間最大150万円を交付する経営開始資金等の情報提供、経営発展に必要な機械、施設の導入支援などの取り組みを行っており、令和4年度の新規就農者数は、年間目標であります260人を上回る291人となっております。
 また、定着状況につきましては、国の経営開始資金等の交付者を対象に調査を行っておりまして、令和4年度の調査結果では、9割以上が定着しているところでございます。
〇村上秀紀委員 定着率を考えるときに、給付した方々というお話でしたが、準備型2年が終わって、それから開始型が始まりますが、そこから数えてというところですか、それとも5年支給が終わってからですか。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 定着率のカウントの仕方ですが、実際に調査をした平成24年度から平成27年度に就農した方々につきましては、給付金を給付後3年間、3年後の定着率として調査しております。その結果、平成24年度就農者は95%、平成27年度就農者が92%など、押しなべて90%を超えている状況であります。
 一方で、4年目以降につきましては、申しわけございませんが、調査をしていない状況です。
〇村上秀紀委員 5年たってから、およそ3割の人が離農しているというのは、情報を調べますと公開されているわけですけれども、これについてはどのようにお考えですか。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 全国的にはそうした報道があるところかもしれませんけれども、本県では、こうした交付金の受給者につきましては、定着率は高いものと認識しております。
 一方で、雇用就農者を含めた就農者の定着率といった観点でございますと、確かに、3年目には雇用就農者は3割ほど離農しているという実態はございます。
〇村上秀紀委員 ここまでの話を伺うと、3年たつまでは9割ほどは定着しているけれども、その後は調べていないというお話でした。その後、また5年後、10年後までしっかり、そこまではある程度把握しておいたほうがいい事業ではないかと思います。私が住み暮らす紫波町でも、給付をいただいて、この事業に取り組んだ若い方がたくさんいますけれども、やはり5年、10年たって、今、実際に続けている人は、5割には全く満たないです。これで農業にかかわっている人は3割か2割ぐらいと、本当に少なくなっているのですが、実際、4年目以降の定着率を追っていない理由は、どういうところなのでしょうか。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 4年目以降の定着率を追っていない理由でございますが、こちらにつきましては、国の給付金の要綱、要領に基づいた調査を行っているところでございます。
 一方で、就農6年目以降の方々につきましては、円滑な認定農業者への移行に向けまして、県と関係機関、団体が連携しながら、経営規模の拡大、経営の多角化、販路拡大等も踏まえまして、農業経営改善計画の作成について支援しているところでございます。
〇村上秀紀委員 そのぐらい取り組んではいただいているけれども、実際の現場を見ると定着していないという現実がございます。
 私は、この事業に限らないのですけれども、事業を終えたら要綱に基づいて調査を終えるということではなくて、やはり独自に追っていかなければならないかもしれませんし、また、それが行政でなければ、関係機関や団体がありますから、その方々と情報を共有していかなければならないところかと思うのです。
 その数字をもとに、例えば、行政では新規就農者数の目標を立てて、何人就農させたとか、あるいは6次産業化の件数であっても、もとの関係機関、団体の数字をもとに計画を立てていくべきではないかと思うのですが、その点はどうでしょうか。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 こうした新規就農者の方々が十分な所得を上げて定着していくためには、村上秀紀委員御指摘のとおり、県だけではなく、市町村ですとかJA等の関係機関、団体と連携しながら、特に、このままですと経営が危ないというような方々を重点支援対象者などと位置づけまして、計画達成が難しい者に対して、面談等を通じながら、個々の課題の把握ですとか解決策の検討、さらには、面会しながら、どういうことに取り組んでいけばいいか、きめ細かくフォローしながら、計画達成に向けて支援しているところでございます。
 ただ、なかなか全ての新規就農者に手が回っていないのも、実態としてはございます。
〇村上秀紀委員 6次産業化のほうに戻りますけれども、先ほど、所得向上の恩恵を受けているでしょうかという話で、定量的には今押さえていないという話でしたが、今の流れでいくと、所得とか売り上げとか、そういうものを押さえているのは、きっと関係機関、団体であると思うのです。その方々ときちんと情報を共有して、それをもとにしっかり計画を立てていくべきだと思うのです。
 今後、これは6次産業化に限りませんが、そうした外部の団体等からしっかり情報を得て、具体的に数字を押さえた中で、目標件数あるいは人数で成果指標をつくっていくのが本来の姿ではないかと考えるのですが、その点はいかがでしょうか。
〇似内流通課総括課長 村上秀紀委員からお話がございました6次産業化を進めるというところでは、まさに、県だけではなく、市町村、関係機関、団体と連携した取り組みが必要だと受けとめております。
 生産者が6次産業化を進めるに当たっては、さまざまな課題がございます。県では、そういう課題に取り組む生産者に対しまして、商品開発でありますとか販路開拓、拡大などに向けた専門家の派遣など、さまざまな取り組みをしております。ここは、県だけではなく、市町村、関係機関一体となって取り組みを進めていきたいと思っております。
〇村上秀紀委員 県では、農業経営基盤の強化の促進に関する基本方針を定めて、おおよその所得のモデル、生産のモデルをつくられていますけれども、例えば、今こうやって6次産業化に取り組む方もふえている。今後、コロナ禍が明ければ、また直売所の売り上げもきっと上方に向かうだろうという中であれば、生産のモデルに対しても、あらかじめ6次産業化を加えた一定のモデルをつくって、新規就農者に示していくのが、専業でなかなか売り上げを確保できなくても、加工あるいは販売のほうで賄って、このぐらいのモデルでも今後進めていけますというものをつくっていくことも可能ではないかと思うのですが、その辺、いかがでしょうか。
〇佐々木農業振興課総括課長 県では、今、村上秀紀委員からお話のありましたとおり、農業経営基盤強化促進法に基づく基本方針で、午前中に御答弁申し上げましたけれども、営農類型ごとに、420万円という他産業並みの所得が確保できるモデルということで示しているところでございます。
 現行、この方針につきましては、基本的には国の計画に基づく方針ということで立てているところでございます。6次産業化を含んだ形での営農モデルの部分については、現行では入れていないところでございます。
 今後、基本方針の中に入れ込んだ中で整理するかどうか、その辺も含めて検討してまいりたいと思います。
〇村上秀紀委員 ここまで6次産業化あるいは新規就農支援とか、一例として取り上げてきました。ここで一つ伺いたいのですが、日ごろの議論の中でも人口減少が問題であるということはよく耳にしますが、人口減少というのは事実であって、問題は、財政が成り立たない、そちらが問題であるということは共通の理解でいいのかどうか。人口減少は事実です。どんなに人口が減っても、財政が成り立っていれば問題でも何でもありません。人口減少は問題ではなく、ただの事実であるというところに基づいてものを考えていかないと、それぞれの成果指標もしっかりと立てられないのではないかと思うのです。
 件数とか人数で、例えば、新規就農者数が今回90人だ、100人だとふえましたとなっても、そこに対する売り上げがしっかり成り立っていなければ、財政に何のプラスにもならないと私は考えます。人口減少は問題ではなく事実であるというところに関して、どうお考えですか。
〇藤代農林水産部長 人口減少と農業振興なりの関連ということでお答えさせていただきますけれども、人口減少が招く影響というところで、一つは、国内のマーケットが縮小するのではないか。今まで必要であった農産物の量が、一定額買っていただけないのではないかということで、売上高が減るのではないかということが一つ。それから、地域のほうで考えてみますと、農村部からいきますと、人口減少、高齢化という形で人が少なくなる。そうすると、今まで維持されていた農地、農村の活動が維持できなくなるのではないか。それをどうカバーしていくのかという観点でいろいろな施策を考えるというところで、人口減少という問題を農林水産部では捉えているところでございます。
〇村上秀紀委員 今、農林水産部長がおっしゃったとおりなのです。これは人口減少が問題なのではなくて、その事実があって財政が成り立たない、こちらが問題であると思うのです。
 ですから、その問題から追っていってそれぞれの計画の指標を立てていかないと、ここは部門が別になる例で申しわけないですが、例えば商店街のにぎわいの創出として、たくさんの商店街がイベントを行って、そこに1、000人来ましたといっても、いつもの売り上げと変わらなければ、そこににぎわいが創出したかどうかは、人数はにぎわっているかもしれないけれども、売り上げには全くかかわっていないということにもなります。
 ですから、人口減少だから全て人数をふやさなければならないという考えに行きがちな計画だてを、どこかで一度整理していかなければならないのではないかと私は思っております。
 そこで、先ほど伺ったときにも、人数、件数で指標は示されていますが、それぞれの関係機関からの数字をもとに立てていくべきではないかと私は考えております。
〇斉藤信委員 それでは、最初に物価高騰による農業への影響と対策についてお聞きいたします。
 昨年度以来の肥料、飼料、燃油その他の農業資材の物価高騰の実態と農家への影響額はどうなっているでしょうか。
〇佐々木農業振興課総括課長 農業資材の物価高騰の実態と農家への影響についてでございます。
 国が実施しております農業物価統計調査におきましては、令和2年を基準年とした場合に、本年8月時点の農業物価指数を見ますと、総合物価指数が121.1、肥料が141.3、飼料が144.9となっております。
 また、原油価格につきましては、国の調査によりますと、本年8月時点の東北地方におけるA重油の価格は1リットル当たり109.1円と、昨年同時期と比べて14%の上昇となっております。
 影響額につきましては、生産する作物や経営規模などによりまして、経営体によって生産資材の使用状況が大きく異なること、また、個々の経営努力も加味しますと、影響額を把握することは難しいということでございまして、試算は困難であります。
〇斉藤信委員 A重油の価格は前年度と比べてもだめなのです。昨年度から上がっているわけだから、令和2年度と比べないとデータになりません。
 それで、私は、最も打撃を受けているのが酪農だと思います。酪農農家の減収の実態と対策はどうなっているでしょうか。酪農家戸数はどう推移しているでしょうか。
〇高橋振興・衛生課長 酪農家の減収の実態と対策についてでありますが、飲用向けの生乳乳価が、昨年11月に1キログラム当たり10円引き上げられ、本年8月にさらに10円引き上げられたものの、配合飼料価格は高い水準で推移するなど、生産コストが大幅に増加していることから、酪農家は依然として厳しい経営環境にあると認識しております。
 県ではこれまで、酪農家の経営安定に向け、飼料等の価格上昇分を補填する国事業の活用を積極的に進めるとともに、県独自に、累次の補正予算により、飼料や肥料の購入費、酪農経営への影響を緩和するための支援を実施してまいりました。
 また、県内の酪農家戸数についてでありますが、国の統計によりますと、令和5年2月1日時点で728戸と、前年に比べ、戸数で37戸、割合で5%の減少となっております。また、直近5年間で毎年40戸から30戸の減少となっておりまして、資材高騰前の令和2年と比較いたしますと、およそ100戸の減少となっております。
〇斉藤信委員 予算特別委員会のときにも酪農家の具体的な実態を示しました。今回もまた別な酪農家の実態を紹介したいと思いますけれども、これは、成牛100頭、子牛約20頭、畜産クラスターで規模拡大した農家です。令和4年度は月150万円の赤字だったと。12カ月で1、800万円の赤字です。国からの補助が200万円、町からの補助が100万円、飼料価格安定基金から約200万円助成があって、最終的には1、200万円の赤字になったと。単純に言いますと月100万円の赤字であります。
 そして、ことしから新畜舎施設の償還が始まった。償還は月150万円です。月150万円の赤字。まさに、返すべきお金が物価高騰で消えてしまっている状況で、規模拡大した借金を抱えている酪農家は、今、本当に大変な状況になっております。
 そこで、岩手県は令和5年度一般会計補正予算(第1号)で、昨年度末の補正よりも拡充したことは評価をしたい。しかし、それでもこういう状況です。最近聞きましたら、県から1頭1万円の補助が10月1日に届いた。このときは、どういうわけか95万円と言っていましたけれども、これは1カ月の赤字分にすぎない。
 私は、酪農家はもとより、畜産農家も含めて、さらなる支援の継続、拡充が必要だと思いますけれども、いかがですか。
〇高橋振興・衛生課長 ただいま斉藤信委員から御指摘のありました本年度第1号補正予算で県独自に措置した事業の進捗状況について、まず御説明いたしたいと思います。
 配合飼料の価格上昇分の一部を補助する配合飼料価格安定緊急対策費補助につきましては、4月から6月までの第1・四半期分につきまして、約2、700経営体に対し約6億8、000万円を交付しており、7月から9月までの第2・四半期分につきましては、今後、国の配合飼料価格安定制度の補填金の金額の確定を待ちまして、11月下旬ごろに県の交付金を確定し、12月中に交付決定をしたいと考えているところであります。
 また、酪農家の粗飼料価格の上昇分の一部を補助する酪農経営支援緊急対策費補助につきましては、約550戸、約2万2、000頭を対象に、約2億1、500万円を交付しているところであります。
 今後の対策についてでありますが、県はこれまで、先ほど答弁申し上げましたとおり、飼料の価格上昇分を補填する県独自の配合飼料購入費への支援のほか、酪農家への支援策について行ってきたところです。
 一方、飲用向けの生乳価格につきましては、昨年11月から段階的に引き上げられまして、昨年11月に10円、本年8月に10円、1キログラム当たり合計で20円の値上げとなったところであります。
 昨年、乳牛の子牛価格が下落したところですが、昨年の最低価格から徐々に上昇してきている状況となっております。一方で、飼料価格は今、高どまりという状況です。
 このような価格動向も注視しながら、さらに必要となる対策につきましては、現在検討が進められております国の経済対策の動向も踏まえながら、機動的に対応してまいります。
〇斉藤信委員 先ほども聞きましたけれども、令和2年から令和5年にかけて、正確に言うと107戸、12.8%の酪農家が減少しているのです。これは本当に大変な事態です。毎年40戸、50戸の酪農家がなくなるということは存亡の危機です。ぜひ継続して、さらに拡充する対策を間髪入れずにしっかりやっていただきたい。
 次に、米の問題であります。先ほど佐藤ケイ子委員も取り上げました。大事なことは、10月24日の農業新聞が、集落営農、法人調査を行った。集落営農、法人調査ですから、これは大規模な農家ですよ。コスト高騰に見合う農家手取りの米価は、約7割が60キログラム当たり1万4、000円以上としている。農家手取りの米価が1万4、000円以上じゃないと成り立たない。
 この農業新聞の調査をどう受けとめていますか。岩手県内の農家をどう見ていますか。
〇吉田水田農業課長 先ほど、佐藤ケイ子委員の御質問にも答弁させていただきましたけれども、現状の令和5年産のひとめぼれの相対取引価格で試算した場合ですと、3ヘクタール以上の規模の生産者の方であれば、収入額が生産費を上回る状況とお答えいたしました。
 令和5年産米の相対取引価格は前年に比べて上昇してございますけれども、活用する肥料等、資材の価格も上昇している状況でございますので、米農家は厳しい経営状況であると認識しているところでございます。
〇斉藤信委員 あなたは全然実態をわかっていない。私は予算特別委員会のときにも言ったのです。あのときは、日本農業新聞の調査で15ヘクタール以上の農家が赤字だった。相対取引価格で今の農家の現状など全然わからないのです。今、物価高騰を議論しているときに、そんなことは何もお構いなしに、3ヘクタール未満が赤字だと。そんな甘い話じゃないでしょう。私が今紹介したじゃないですか。集落営農、法人の調査ですよ。手取りで60キログラム当たり1万4、000円以上じゃないと成り立たないと。私は岩手県の農家も全くそのとおりだと思うけれども、農政担当技監に聞きましょう。
〇照井農政担当技監 先ほど吉田水田農業課長が答弁したのは、令和5年産のひとめぼれでございますが、相対取引価格60キログラム当たり1万5、436円を作況指数で割りまして10アール当たりの収入額を試算しますと、13万1、492円という形でございます。
 一方、コストは、令和3年産の東北地域の平均をベースにしております。最初の値としてそれは与えておりまして、先ほどのような規模の答弁になりますが、令和3年に比べましてコストが上がっておりますので、この部分のコストが上昇していると見込みますと、経費と収入の関係は、もう少し影響が大きくなっていると認識しております。
〇斉藤信委員 これは予算特別委員会でも指摘したのです。実際の農家を調査すれば、令和4年度産米でも15ヘクタール規模で赤字だというのが、日本農業新聞の調査でした。私はそのことを指摘しているではないですか。そして、10月24日に日本農業新聞が集落営農、法人の調査をやって、これは大規模農家の調査です。手取り価格で1万4、000円以上ないと元を取れない。
 このことをリアルに見ないと、表面上の相対取引価格と昔の生産費を比較しても何の意味もない。これは、ことし3月に私が指摘した話です。そんな説得力のない答弁をすべきじゃない。
 農政担当技監、少しばかりじゃないですよ。この実態は少しばかりという話じゃないでしょう。もう一回、聞きましょう。この日本農業新聞の調査結果をあなたはどう受けとめていますか。
〇照井農政担当技監 失礼しました。価格上昇前に比べますと、肥料で大体4割高になっていますので、その部分についてはコストが上がっていると思っております。
 これまで県におきましても、資材高騰対策は、緊急的な対策に加えまして、コスト低減を図っていく取り組みを進めております。加えまして、全農では今回、概算金を上げておりますので、そういうものを踏まえながら、どのような経営状況になっているか、全体を把握しながら必要な対策について検討していきたいと思います。
〇斉藤信委員 そこで、日本の対応は欧米と比べると全く違っているのです。アメリカもEUも、まさに生産費を補償しているのです。所得を補償しているのです。その上で物価高騰分を手当てしているのです。
 アメリカの農業予算は年間1、000億ドル、約13兆円。このうち、実にその64%は低所得者向けの食料購入支援制度に使われている。農家から買い上げて、こういうところに提供している。EUもそうです。
 ところが、日本の場合には基本的に自己責任です。世界一農業を保護していない国が日本なのです。あなた方を批判する必要は全くありません。自由民主党政治が本当に世界一保護しない、こういうことになってしまった。
 もう一つだけ紹介しておくと、農業所得に占める政府の補助金は、スイスで93.5%、ドイツ77%、フランス64%、日本は30.2%です。もう3分の1、2分の1なのです。
 そこで、今、食料・農業・農村基本法について議論されていますけれども、食料自給率の目標が曖昧にされようとしている。目標を掲げないということです。財政制度審議会の提言はこうでした。食料安全保障の議論が、自給率の向上や備蓄強化に主眼が置かれることには疑問だ。国際分業・国際貿易のメリットや経済合理性を無視してまで国内生産を増大する必要があるのか。これが財政制度審議会の建議です。こんな方向で、食料自給率の目標も投げ捨てて、食料、農業、農村を守ることができるのか。
 このことについて農林水産部長にお聞きしましょう。今の農業、食料、農村の基本計画、こういうことでいいのか。食料自給率の目標を掲げて、それをやり切らなかったら、国内生産を拡大しなかったら、私は日本の農業も岩手県の農業も成り立たないと思いますけれども、いかがですか。
〇藤代農林水産部長 食料自給率についてでございます。国が公表しています我が国の食料自給率は、カロリーベースですけれども、令和4年で38%となっております。本県は令和3年の数字ですと108%という状況になっております。
 こういった中で、今時点での国の食料自給率の目標値については、令和12年で45%と承知しておりますが、今、見直しが行われている食料・農業・農村基本法の中間取りまとめにおきましては、新たな基本計画で整理される課題に適した数値目標を設定するとされたところでございます。
 食料の安定供給の確保は国の基本的な責務でありまして、食料供給の現場である地方と国が一体となって、食料自給率を高めていくよう努めていくことが重要と考えております。
 県では、令和6年度政府予算案に対する要望におきまして、食料の安定供給の確保に向け、食料安全保障の強化が図られるよう要望したところであり、引き続き、国に対し、基本法の見直しの動向を注視しながら、さらなる提言、要望を検討していくこととしております。
〇斉藤信委員 本当にこれは大変なことです。食料自給率の目標を投げ捨てたら国内の生産拡大はできませんから。
 銀河のしずくの問題が議論になりました。知事選挙のさなかに、第1声で、銀河のしずくの栽培条件を緩和して全県で栽培できるようにする。私はこれを聞いてびっくりしました。農業をわかっているのかと。
 銀河のしずくの栽培条件を正確に言ってください。全県で栽培するということは、ブランドも守れないし、私は、これは大問題だ、暴論だと思うけれども、正確に答えてください。
〇吉田水田農業課長 銀河のしずくの栽培条件でございますけれども、栽培適地、それから作付経営体の要件を設けているところでございます。
 栽培適地につきましては、田植えから収穫までの生育に必要な気温である出穂後の積算気温840度を確保でき、高温障害のリスクが少ない地域ということで、奥州市以南の標高120メートル未満の地域は除くという条件がございます。
 作付経営体の要件でございますが、面積的な要件としまして、作付面積がおおむね30アール以上、一等米比率の過去2年間の平均が95%以上、栽培マニュアルを遵守して、品質目標の達成に取り組むことなどを要件としております。
〇斉藤信委員 銀河のしずくが、幸い特Aを続けてブランドを維持していることに敬意を表したい。
 先ほどの答弁にもありましたけれども、令和5年度は4、650ヘクタール、令和4年度のほぼ倍近くに伸ばした、これはすばらしいことです。しかし、全県どこでもできるものではない。栽培適地、そして、経営体の技術、本当にこういうことを大事にしてきたから、着実に銀河のしずくの生産拡大をしてきたのではないか。
 引き続き、岩手県のブランドをしっかり磨いて、農家の所得に貢献できるように頑張っていただきたい。
〇佐々木宣和副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇佐々木農業振興課総括課長 先ほど、畠山茂委員から鳥獣被害防止総合支援事業の研修の実施状況という御質問がございました。令和4年度の実績でございますが、自治体のみを対象とした研修会については、今手元にございませんけれども、研修会を含んだ推進事業につきましては、22市町村で取り組んでおります。
 それから、緊急捕獲については20市町村、電気柵の整備については13市町村で取り組んでいるという実態でございます。
〇小林正信委員 私からは、畜産振興についてお伺いします。
 私も子牛の繁殖農家、また酪農家から、大変な状況をさまざまお伺いいたしましたので、これまで各委員からも御質問がございましたけれども、お伺いさせていただければと思います。
 まず、いわてモーモープロジェクト推進事業について、これはたしか、令和3年が丑年ということで、産地力強化、消費拡大、ブランド化のため、特に力を入れて取り組んだものと思いますけれども、丑年の令和3年のみならず、令和4年度もプロジェクトを継続し、取り組みを進めたという理解でよろしかったでしょうか。
 また、令和4年度の事業の概要と、取引に対する評価についてお伺いしたいと思います。
〇村上畜産課総括課長 いわてモーモープロジェクト推進事業でございますけれども、本事業は、丑年の令和3年度から4年度まで、牛をキーワードとして、いわて牛の産地力、ブランド力の強化に向けまして、県有種雄牛の評価向上やいわて牛の認知度向上の取り組みを行ったものでございます。
 令和4年度におきましては、県有種雄牛の評価向上に向けまして、県有種雄牛の産子に限定した枝肉共励会を開催いたしましたこととか、和牛専門誌への広告掲載を通じまして若い県有種雄牛の枝肉成績をPRしたほか、いわて牛の認知度向上に向けましては、鹿児島県で開催されました全国和牛能力共進会の会場にて、いわて牛ブースにおけるノベルティー等の配布によるPR活動や、SNSを活用しました情報発信を行ったところでございます。
 令和4年度の岩手県有種雄牛産子限定枝肉共励会では、出品牛24頭中23頭が、牛肉の格付で4等級、5等級の上物となり、高い産肉能力が示されたところでございまして、また、SNSでいわて牛の広告が表示された回数が38万回を超え、いわて牛の認知度向上につながったものと捉えているところでございます。
〇小林正信委員 そうしたすばらしい外部に対する発信。しかしながら、モーモープロジェクトに関しては、そういう外向けのアピールも重要だとは思うのですけれども、畜産農家を元気づけ、希望を持っていただけるプロジェクトであるべきなのだろうと思います。
 先ほど佐々木努委員からも御質問がございましたけれども、岩手県農業研究センター畜産研究所では、県有種雄牛の造成に取り組んでおられます。令和4年度の取り組みの状況についてお伺いします。
〇村上畜産課総括課長 県有種雄牛の造成についてでございますけれども、県では、昭和62年から種雄牛の造成に取り組んでおりまして、これまで、全国的に高い評価を得ました菊福秀を初め、73頭の種雄牛の造成をしてきたところでございます。
 本年度造成いたしました美津貴号の産肉能力は、牛肉の霜降り度合いを示す脂肪交雑で9.3となっておりまして、これは最高値が12でありますが、全国から高い評価を得た菊福秀の7.7に比べて1.6ポイント向上したということでございます。
〇小林正信委員 さまざま研究所でも御努力されているものと思いますけれども、子牛の平均価格、令和4年度のものをいただいたのですが、全国では約58万3、000円、岩手県では、下がって約56万5、000円。そのうち県有種雄牛は51万1、000円ということで、県の中でも5万円程度低い状況であります。
 県内の繁殖農家でどれくらいの方が県有種雄牛の種を使用しているのか。先ほど佐々木努委員からも少しお話がありましたけれども、ここ数年の推移についてお伺いします。
 あわせて、種山畜産研究所の歳入の状況、畜産農家に対してどれぐらいの凍結精液の売り上げがあったのか。これもここ数年の状況についてお伺いしたいと思います。
〇村上畜産課総括課長 県有種雄牛の利用状況についてでございますけれども、県内での県有種雄牛の凍結精液の利用率は、平成23年度の44%をピークに低下傾向にございます。令和3年度以降は10%を下回っているような状況になっているところでございます。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 種山畜産研究所の歳入状況につきまして、令和4年度の決算額は約5、300万円となっておりまして、その内訳といたしましては、肥育試験を終えた牛の販売ですとか凍結精液の販売などとなっております。
〇村上畜産課総括課長 今、歳入の内訳の話がありましたけれども、県有種雄牛の凍結精液の売り上げにつきましては、直近の5カ年の販売額を見ますと年々減少しておりまして、令和4年度の販売額は約1、200万円と、令和3年度と比べまして約3割減少しているような状況になっております。
〇小林正信委員 たしか種をつくるための予算が4、000万円程度だと思うのですけれども、売り上げが1、200万円ということで、なかなか厳しい部分もあるのかと思います。先ほど、誰も使わないものをつくっているのではという厳しい御意見もありましたけれども、残念ながら、農家の間でも県有種雄牛の評価が余り高くない。これは少し厳しい意見ですけれども、県の種はつけないほうがいいという厳しい声も伺っております。
 畜産研究所の皆様も頑張っていただいていると思うのですけれども、畜産農家も生き残りをかけて大変厳しい状況を頑張っていらっしゃる。そうした畜産農家また繁殖農家の声を畜産研究所の皆さんもしっかり伺っていただいて、また、他県の取り組み、これは、既にゲノム解析とか先進事例は押さえていらっしゃると思うのですけれども、例えば、他県の種雄牛センターでは、畳を敷いて牛を休ませているという、本当に種雄牛を大切に扱っているとも伺いました。
 岩手県で牛を大切に扱っていないということではないですけれども、牛に対する細かい点、そういうところに気を配っていただくところも、県有種雄牛の評価につながるのではないかと思いますので、そのあたり、よろしくお願いいたします。
 続いて、畜産農家の後継者の育成について、県の取り組みをお伺いします。
〇村上畜産課総括課長 畜産農家の後継者育成についてでございますけれども、本県の乳牛及び肉用牛の飼養規模の構造は、乳牛で50頭未満の戸数が全体の約8割、肉用牛で20頭未満の戸数が全体の約8割と、中小規模の家族経営体が大部分を占めているところでございます。
 畜産農家の減少や高齢化が進行する中で、こうした経営体が収益性の高い経営の実現により所得を確保しまして、経営規模を維持、拡大させていくことが重要だと考えております。
 県におきましては、補助事業等の活用による牛舎の整備や機械導入の支援のほか、サポートチームによるICTを活用した牛群管理や繁殖管理の省力化に向けた指導、専門家派遣による経営分析や労務管理等の指導など、経営規模の拡大や生産性向上、経営力の向上を支援しているところでございます。
 今後とも、生産者や次世代を担う後継者が、意欲と希望を持って畜産経営を行っていくことができますよう、畜産経営の体質強化に取り組んでいきたいと考えております。
〇小林正信委員 ぜひともよろしくお願いいたします。
 続いて、酪農家への支援については、先ほど斉藤信委員から詳しい質疑もございましたので、割愛したいと思います。
 そして、先ほど千葉秀幸委員から、直接的な酪農家の皆さんへの支援のお話がございました。先ほど質疑がありましたとおり、酪農家の皆さんは、餌代、そして電気代も大変な状況です。また、ホルスタインと和牛のかけ合わせのF1、これが、かつては1頭十二、三万円ぐらいしたものが、今は1頭1、000円になってしまったということで、これが非常に大切な副収入だったわけですけれども、この副収入さえも激減している。
 そこで、中小企業のゼロゼロ融資のようなものが農家にもないのかという問い合わせをいただきまして、調べていただいたら、農林漁業セーフティネット資金という融資制度がございました。金利も低くて、償還期限も、据え置き3年、15年以内、特例もあって、資金繰りに有利な制度なのだろうと思います。
 こうした制度の周知の取り組み、また、活用状況についてお伺いします。
〇金野団体指導課総括課長 農林漁業セーフティネット資金の周知と活用の状況でございますが、ただいま小林正信委員から御紹介ありましたとおり、農林漁業セーフティネット資金は、自然災害や社会的、経済的環境変化等の影響を受けた農林漁業者の方々の経営の維持、安定のため、日本政策金融公庫が融資する長期低利の資金でございます。
 県では、この資金を含めまして、酪農家等へのさまざまな支援策につきまして、広域振興局や農協、金融機関等の方々を対象とした会議において、さまざまな制度を周知しつつ、生産者の方々へ情報提供を行っております。
 当該資金の活用状況でございますが、日本政策金融公庫盛岡支店によりますと、令和4年度は全体で116件、20億2、800万円余の融資実績があり、このうち酪農家向けが52件、7億7、400万円余、畜産農家向けが38件、10億7、400万円余となっております。
〇小林正信委員 全体から見たらまだ少ないのでしょうか。この利用状況が、畜産農家、酪農家全体から見た状況というのはわかりますか。何%ぐらいの方が使っていらっしゃるとか。
〇金野団体指導課総括課長 酪農家の件数、経営体の数は、手元に数字がございませんので、その利用割合はつぶさにはわからないところでありますが、日本政策金融公庫の話によりますと、最近の燃料ですとか飼料価格高騰の影響を受けまして、酪農家、畜産家の利用はかなりふえていると伺っているところでございます。
〇小林正信委員 わかりました。これは、県としても周知にぜひ力を入れていただきながら、経営を支援していただければと思います。
 最後に、鳥獣被害についてですけれども、先ほど高橋穏至委員、畠山茂委員から詳しく質疑がございましたので割愛いたしますが、やはり鹿がすごく出ていて、牧草をせっかく育てても、鹿が新芽のほうから食べていくというのです。牛の餌を育てているのに牛の餌を買わなければならない状況があり、非常に大変だということで、鳥獣被害についても、お話を聞いていただいて、丁寧に支援をしていただければと思います。
 最後に、酪農家もそうですし、和牛農家も、続けられない、自分1代限りだという方も多いようです。これは、後継者がいないということもありますし、後継者がいたとしても、これを自分の息子とか後継者にバトンタッチするのはかわいそうだという意見が多くて、モーモープロジェクトで大変盛り上げていただいているところですけれども、岩手県の和牛生産がもうなくなってしまうのは目に見えているという意見が、結構蔓延している状況も伺っています。
 厳しい状況を十分に把握いただいて取り組みを進めていただくようお願いして、終わりたいと思います。
〇佐々木宣和副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木宣和副委員長 質疑がないようでありますので、この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時16分 休憩
午後2時37分再開
〇佐々木宣和副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、第2部林業水産業関係について質疑はありませんか。
〇上原康樹委員 私は、魚の病気に対しての取り組みを質問させていただきます。
 令和4年3月、新たな水産基本計画が閣議決定されました。この中では、養殖業の成長産業化、輸出拡大のテーマが前面に押し出されています。
 新たな水産基本計画を岩手県はどう受けとめ、行動に転換しようとしているのか、お尋ねします。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 水産基本計画については、国の今後10年間の水産施策を対象とした基本的な方針でございまして、おおむね10年先を見越した水産施策をおおむね5年ごとに策定しているものでございます。
 令和4年3月に策定されました水産基本計画の基本的な柱としましては、海洋環境の変化も踏まえた水産資源管理の着実な実施、また、増大するリスクも踏まえた水産業の成長産業化の実現、地域を支える漁村の活性化の推進、これらについて取り組むものとされているものでございます。
〇上原康樹委員 県も多くの取り組みを進めているのはよくわかっております。今の水産基本計画の中で、魚病関連についての記載もございます。令和2年の魚病被害額は全国で約111億円、養殖生産額に占める魚病被害の割合は3.5%と報告されております。これは看過できないテーマを抱えているということでございます。
 岩手県における魚病の現状、症例、原因など、わかることがありましたらお伝えください。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 本県の魚病の症例と原因についてでございますが、魚病は、ウイルス、細菌などを原因といたしまして魚類が感染する疾病でございまして、主な症例といたしまして、養殖魚の食欲不振による成長停滞、皮膚のすれ、へい死などが挙げられます。
 発症する主な原因といたしましては、河川水や海水に常在する病原体によりまして発症する場合や、外部から魚病に感染した種苗を移入し、養殖場内で感染が拡大することが考えられますが、現在のところ、県内での大量へい死につながる大規模な魚病の発生はございません。
〇上原康樹委員 養殖といいますと、全国でもこの岩手県でも、ギンザケの養殖が盛んに取り組まれ、進められております。この養殖といいますと、効率を優先することになります。一定のスペースの中で効率を優先すると魚自体にしわ寄せがあると聞いておりますけれども、こうした業者の取り組みと、その業者を指導する立場の農林水産部の皆さんの指導状況、そして、その中でわかった課題などありましたら、お伝えください。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 魚類養殖は、少ない経費で短期間に魚を大きくするという生産効率が重要でございますけれども、県では、養殖業の発展と水産物の安定供給に資するため、持続的養殖生産確保法に基づきまして、漁協等による養殖漁場の改善や養殖水産動植物の伝染性疾病の蔓延防止に努めております。
 また、サケ、マス類の海面養殖を実施する県内6漁協におきましては、同法第4条に基づく漁場改善計画を策定し、生産効率を優先した過密養殖とならないように、養殖数量の制限や養殖漁場の水質や底質についてモニタリング調査等を実施し、漁場環境の保全に努めているところでございます。
 県では、漁場改善計画の適切な履行の確認を行うとともに、水産業普及指導員や県水産技術センターの研究員が、現地で魚病の蔓延防止に向け、養殖管理技術の普及や予防対策に関する助言、指導等を行っておりまして、引き続き、養殖漁場環境が良好に保たれるよう取り組んでまいります。
〇上原康樹委員 魚の健康維持、管理ということになるわけですけれども、病を予防するために、人間は、新型コロナウイルス感染症の発生でワクチンを接種しましたが、一方、魚も、これは薬が必要なのです。これは水産用医薬品ということで、かなりの量が使われていると聞いております。
 この水産用医薬品の副作用のようなものはないですか。安全に使われているのでしょうか。水産用医薬品の使用状況を御説明ください。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 水産用医薬品の効果と安全性についてでございますけれども、養殖魚に感染する病原体は、ウイルス、細菌、寄生虫と大きく三つに分類されておりまして、これらの予防や治療には、ワクチン、抗生物質、抗菌剤などが使用されます。
 サケ、マス類の海面養殖用種苗の生産時には、これらの水産用医薬品を適切に使用することによりまして、現在まで、本県では魚病の蔓延や大量へい死などは発生しておらず、効果を発揮しているものと認識しております。
 この水産用医薬品の使用については、関係法令に基づきまして、品質、有効性、安全性が確保されるよう、県水産技術センター等が、使用者への指導を徹底しているところでございます。
〇上原康樹委員 いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの自然環境の政策分野がありますが、その中の水と緑を守る取り組みの推進にも、農林水産部は予算をつけ、取り組んでおります。
 水と緑を守る取り組みの推進は、大切な理念と行動だと思います。魚の病気にも環境というのは直接かかわる問題でございます。魚は、海や川にすんでおります。その中で命を育んでいます。したがいまして、この海や川、さらには、さかのぼって森林の環境、土にも直接かかわってくるものですから、ただ単に魚がたくさんとれればいいというだけではなくて、全ての自然環境を保全することが、水産業の保全、振興につながるものと思います。この点について農林水産部長の所見を伺います。
〇藤代農林水産部長 本県は、世界有数の漁場である三陸の海と、全国第2位の森林面積を有する森林県であります。先ほど上原康樹委員から御指摘もありましたとおり、森林は、水源の涵養や土砂流出を防止するとともに、河川を通じてさまざまな養分を海へ供給していることから、森から川を経て海に至る健全な水循環が図られるよう、水と緑を守る取り組みを推進していくことが重要と考えています。
 県では、健全な森林の保全に向け、いわての森林づくり県民税の活用による県民総参加による森林づくりを進めるとともに、河川や海岸等の保全に向け、漁業者や地域住民等で構成する活動組織による内水面や藻場等の保全活動を支援しています。
 現在、県内の海面養殖においては、病気を要因として魚が大量に死亡するなどの被害は確認されていませんが、今後とも、関係機関、団体と連携しながら、魚病の蔓延防止とともに、森や川、海等の環境保全など、水と緑を守る取り組みを推進していくこととしております。
〇上原康樹委員 水産資源と、そして自然環境との密接な関連というものを強く意識されているということをお話しいただきました。
 そこで、これは最後の質問になりますけれども、水産資源と自然環境とのかかわりで今最も注目されていることは、この夏始まりましたALPS処理水の海洋放出です。空前の事態でございます。もう政治的に賛成、反対と言っている場合ではなくて、事実としてこれは行われております。新たなものが海に流れ込んでいるわけです。
 海には水産資源が生きております。この魚という生命体に異変は起きないのだろうか。海は、眺めたときに、一見何の変化もないように見えます。きょうも青空のもと白波が立っていると思います。そうした状況の中で、海の中で今何かが始まろうとしているかもしれない。このまま何事もなければいい、みんな祈るような思いで海を見るわけでございます。
 けれども、確実に、これから30年、ALPS処理水の放水は続くというこの厳然たる事実の前で、私たちは、未来に向かって深く深くものを考えなければいけない。さらには、命を守るための構えをつくらなければならない。それが杞憂に終わればまことにありがたいことですけれども、もしそうでない場合のことも考えなければいけない。これは、県も、国にとっても大きな課題でございます。
 このALPS処理水の海洋放出と、そして、三陸の魚の命と、さらには、そこに連関していく人の命、県民の命、健康というものについて、農林水産部長はどのようにお考えでしょうか。
〇藤代農林水産部長 ALPS処理水についてでございますが、ALPS処理水の処分は、東日本大震災津波からの復興の取り組み、本県の自然環境や漁業を初めとする産業に影響を及ぼすものであってはならないというのが一貫した県の基本的な考え方でございます。
 本県においては、国と連携し、水産物を対象にトリチウムのモニタリング検査を昨年度から実施しており、本年9月末現在、これまでの検査全てで検出限界値未満、いわゆる不検出となっているところです。
 また、東京電力等において、海洋放出時と同濃度のトリチウムを含む処理水でヒラメやアワビの飼育試験が行われており、現時点で飼育されている水産物への影響は確認されていないところです。
 県としては、国が責任を持って科学的根拠に基づく丁寧かつ十分な説明はもとより、安全に関する客観的で信頼性の高い情報の発信や安全性をさらに高める処理技術の研究開発の継続などを行うよう繰り返し求めてきたところであり、今後とも、さまざまな機会を捉え、国にこうした要望をしていくこととしております。
〇上原康樹委員 魚というのは、海や川の状態を示してくる、サインを送ってくる生命体だと思います。したがいまして、総合的な意味で、ただ単に収穫物としてのお魚というだけではなくて、私たちの暮らしや健康に直接かかわるものの予兆、サインを送ってくるものとして意識して、これからも厳しく、そして厳密に観察を重ね、そして、手を緩めることなく対策を施していくことをお願いして、質問を終わります。
〇城内愛彦委員 主要魚種の水揚げの状況についてお伺いしたいと思います。
 令和4年のサケ、サンマ、イカの漁獲の状況はどのように推移したのかお伺いします。
〇太田漁業調整課長 令和4年度のサケ、サンマ、スルメイカの漁獲の状況についてでございますが、サケは446トンで、前年の108%、震災前の2%、サンマは3、485トンで、前年の121%、震災前の7%、スルメイカは2、010トンで、前年の182%、震災前の11%となっております。
〇城内愛彦委員 なかなか大変な状況であります。本当に水産業は裾野の広い産業でありまして、過日、宮古市の有名だった水産加工業者が、大変な状況になりました。これは押しなべて沿岸地域の産業に影響を与えています。
 そこで、今シーズン、何とかいい方向であればと思っていたのですが、今シーズンの見通しはどのように、上向きになっているかどうか、期待感を持ってお伺いしたいと思います。
〇太田漁業調整課長 今シーズンのサケ、サンマ、スルメイカの漁獲の見通しについてでございます。
 まず、サケにつきましては、県水産技術センターの予報では、12月上旬を中心に漁期のピークを迎え、漁獲量は298トンと、過去2番目に低かった昨年度の7割程度になると予想されております。
 サンマにつきましては、昨年の漁獲量は3、485トンと過去2番目に低かったところでございますが、国の研究機関の予報では、三陸海域では10月下旬ごろから漁場が形成されるものの、来遊量は低水準で推移するとされているところでございます。
 スルメイカにつきましては、昨年の漁獲量は2、010トンと過去2番目に低かったところでございますが、こちらも国の研究機関の予報によりますと、三陸海域で漁場は形成されるものの、来遊量は昨年を下回るとされておりまして、いずれの魚種も厳しい状況が予想されているところでございます。
〇城内愛彦委員 まさに大変な状況であります。先ほど農林水産部長が、上原康樹委員の質問に対して、世界に誇る漁場だという話でありましたが、温暖化によって、我々の目の前にある前浜が、もうそういう悠長なことを言っている状況ではない。ぜひそこは、少し真剣に、今後のことも踏まえて、みんなで一緒に汗をかいて考えていかなければならない状況であると思っています。
 温暖化は待ったなしで、南のほうのいろいろな魚がとれ出してはいますが、まだそれも絶対数がとれているわけではない状況です。そういったところで、課題としてどういうものをお持ちか、どのようにしていこうと思っているのか、その辺、お伺いしたいと思います。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 近年、海洋の温暖化によりまして、今までとれていた冷水性の主要な魚種、サケやサンマなどがとれなくなってきております。それとあわせて、今までとれなかったブリですとか、南方系の魚がふえてきている実態がございます。
 県では、主要魚種の資源回復とあわせて、現在、漁獲がふえている魚種に対しても積極的に利用していくことが必要であると考えておりまして、新たな加工原料としての活用あるいは新たな物流のビジネスモデルに取り組んでいるところでございます。
〇城内愛彦委員 南方系の魚は、これまでとれた地域が産地形成はしていますし、我々の地域では後発になってしまう。そういう商品開発をしても、まさにお店の棚に並ぶことは難しいと私は思っています。これは東日本大震災津波で経験したことであります。一度我々の商品、産地の品物がスーパーの棚から消えてしまうと、そこにもう一度入るのはなかなか難しい状況があります。そういうことがこれからも言える。
 では、どうしたらいいかということを本当に真剣になって考えなければならないと思っています。サケだって4年たたなければ帰ってこない。そのものも帰ってきていない。ここ三、四年ずっと数量が減ってきて、たまたま去年は、北海道から融通してもらったことでサケの卵をある程度確保できましたけれども、それとて、次の4年後に本当に帰ってくるのか、帰ってこられるような環境がこの沿岸部にあるのかということも不安になっています。
 ことしの種卵の確保は見通しとしてあるのか、どういう状況なのかお伺いしたいと思います。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 サケの種卵の確保状況についてでございますが、県では、サケ稚魚の生産に必要な種卵の確保に向け、河川遡上した親魚のほか、定置網で漁獲されたサケの活用や県外からの種卵の移入に努めております。
 県内での種卵確保数量は、10月20日現在、約100万粒で、北海道から移入予定の約440万粒と合わせて約540万粒と、現時点の採卵計画の約4割となっております。
 今後、河川遡上に加えまして定置での漁獲や県外からの移入卵によりまして、必要な種卵の確保に努めてまいりたいと考えています。
〇城内愛彦委員 そこで、これまでのやり方だと4年後も期待ができないと考えるのですけれども、県の皆さんは、傾向と対策も含めて、何か特段の取り組みをされているのかどうかお伺いしたいと思います。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 県では、これまでに引き続きまして、サケ種卵の確保とあわせまして、生残率が高いとされる大型で強靱な稚魚の生産に向けまして、餌の改良あるいは飼育環境の改善等の試験研究を続けており、得られた結果については、現場に実装する形で取り組みを進めております。
 効果が発現するには時間がかかるわけではございますが、引き続きそういった努力を続けながら、サケ資源の回復に向けて努めてまいりたいと考えています。
〇城内愛彦委員 ぜひ、そういった地道な取り組みを続けてほしいと思っています。これまでは、温暖の地域になかなか上がってこないということで、例えば中津川に上がってくるサケを研究するという話もされていましたけれども、北上川を遡上してくる、1回南まで下がって暖かい海域から上ってくることを調査するという話もしていましたが、そういう継続性等を含めて、その研究結果はまだ出る要素はないのですか。その辺はどうでしょうか。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 高温耐性に対する試験研究については、数年前から県水産技術センターを中心に実施してきておりまして、高温耐性を持つ遺伝子があることがある程度わかってきております。
 今後は、そういう遺伝形質を持つ種苗の生産ができないかということで、現在取り組んでいるところでございます。
〇城内愛彦委員 ぜひそれも続けてほしいし、これから我々の地域にもう一度魚が戻ってくる環境をつくっていく―環境をつくっていくという言い方も変ですけれども、そういう魚ができればいいと考えています。ぜひそこは、大変でしょうけれども、引き続きお願いしたいと思っています。
 サケの種卵についても、令和5年3月の予算特別委員会の場で話をさせていただきましたけれども、どんどん確保の数が減ってきている。次の4年後も期待がなかなか薄くなってしまう、今そういう負のスパイラルに入っているわけでありまして、しっかりと先を見据えて、ぜひお願いしたいところであります。
 そこで、起死回生を狙ったいわて水産業リボーン宣言についてお伺いしたいと思いますが、その宣言の実績と成果はどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 水産業リボーン宣言の実績と成果についてでございます。
 サケ資源の回復につきまして、昨年度は、北海道からの種卵の確保に努めるとともに、大型で遊泳力の強い強靱な稚魚を生産しまして、放流実績は、目標を上回る約9、300万尾となっております。
 ウニ資源の有効利用について、蓄養、出荷の取り組みが12漁協に拡大するほか、サケ、マス類の海面養殖について、今年度は6地区で約1、800トンと前年度に比べまして約1.5倍の生産実績となっております。
 来年度は、8地区で約1、900トンの生産が計画されるとともに、さらに養殖試験の実施に向けた調整を行っている地区もございます。また、自動給餌システムや飼育している養殖魚の体重を推定するシステムなど、ICTの活用も行われております。
 貝類につきましては、ホタテガイに比べ貝毒の影響が少ないとされるアサリの養殖試験を3漁協で開始しておりまして、県といたしましては、今後とも、関係機関、団体と連携しながら、このような取り組みを通じ、本県の水産業が持続的に発展していくよう取り組んでまいります。
〇城内愛彦委員 水産業リボーン宣言も、前浜で働いている方々に言わせると、よくわからないという実態であるわけであります。まさに、今のところ頼みの綱は養殖のサーモンかというところでありますけれども、それとて、なかなか一気に拡大するわけではないし、これまでも私がこの場で話をしたとおり、県全体でできる仕組みとして、内水面との協力や県で格安で安心・安全な餌を確保できるような開発をすることが必要になってくると思っています。
 その辺の取り組みはされているのか、お伺いしたいと思います。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 サーモン養殖等の内水面との連携ということでございますけれども、今後、サーモン養殖が拡大していくと、種苗を十分に確保するという問題が出てきます。そのため県では、内水面養殖業者と連携しまして、ギンザケの種苗を安定的に供給する体制の構築に取り組んでおります。
 また、餌の関係につきましては、それぞれの地区でオリジナルといいますかブランド化に向けた独自の餌を考えて実施しているところもございます。そういう取り組みが、今後も広がるように支援してまいりたいと考えます。
〇城内愛彦委員 本当にしっかりと取り組んでもらわないといけないというのが、現場の声であります。温暖化というのは、もう待ったなしで来ていますし、それに対する対応は、既に皆さん考えていると思うのですけれども、我々の県でも独自の基本計画、まさに温暖化に対するようなことを含めて、今やっているような小手先―小手先ではない、訂正をしますけれども、そう見えざるを得ないことではなくて、しっかりと10年先も安心して漁業ができるようなものを目指す姿勢を示してほしいと思うのですが、そういう考え方は、農林水産部長どうでしょうか。
〇藤代農林水産部長 中長期を見据えた水産振興のあり方という御指摘でございます。それは当然、持ってしかるべきな考え方と捉えています。まずは、喫緊の課題である不漁について、何ができるかを、海面養殖あるいは増加している資源ということで、とれる魚をどう加工して、さらに高く付加価値をつけて売っていくか、あるいは新たに養殖できるものは何かということをトライ・アンド・エラーという形で繰り返しながら、今、実績を積み上げているところです。
 そういった中で、城内愛彦委員御指摘の中長期の、海洋環境が今後も今のような状態が続く、あるいは、残念だけれども、なかなかサケの回帰が難しいかもしれないことを想定して、積み上げてきた実績が一定程度伸びる素地をつくりながら、中長期を見据えたところまで持っていけるように、引き続き努力していきたいと考えております。
〇城内愛彦委員 不連続の連続ではなくて、さっき見た形での計画は必要だと思うのです。もう宮古沖でもタイがとれるわけですから、そういうことを考えると、大変な状況だというのは皆さん多分わかっていると思うのです。だから、どのようにして漁家の方々のなりわいをつくっていくかということです。
 漁業関係者は、最近は毎年、漁業収入安定対策事業―積立プラスで生計を立てているようなものです。そういうことも含めてしっかりと考えてほしいと思います。とれないものはとれないと、それなりに考えていかないといけないわけです。どうやってなりわいとしてやっていけるかをしっかりと10年先のことを考えてお願いしたいと思うのですが、農林水産部長、まだしばらくいてもらわないと困るのですけれども、どうですか。
〇藤代農林水産部長 先ほど申し上げましたとおり、中長期の取り組みで、本県の漁業の特徴とすれば、やはり自営定置という定置を中心とした漁業、他県ですと漁船漁業のウエートが高いところもあるのですが、岩手県は、どちらかというと定置のウエートが高い。そこで、サケを中心にというところだったのですが、やはりとれる魚種が異なってきているところで、定置の編み目を少し変えて、これはかなり費用負担がかかるのですが、こういうところに国の事業も導入しながら動き出している漁協もあります。
 自営定置であれば自営定置を最大限活用して、とれる魚をもっととれるような形、それから、ことし実施している事業の中では、南方系の魚のサワラとかをどうにか商品開発して、岩手県らしく実需者に届けるようなことに取り組む事業者も出てきています。産地とすれば後発地になりますが、届ける時期が岩手県と先発産地とは異なるから、岩手県には時期の優位性がある。あるいは加工して届けることで別の優位性も出てくるということで、そういうことに取り組む事業者もあります。
 先ほど申し上げましたとおり、そういうことをいろいろ繰り返しながら、実績を積み上げて、しっかり漁業者の皆さんに収益が還元できるような仕組みをつくっていきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 森林づくりにかかわる多様な人材の育成についてお伺いいたします。
 いわての森林づくり県民税を活用していわて森林づくりコーディネーターの育成に取り組んでいます。これまでの実績をどのように評価しているか、また、認定後の活動状況についてもお伺いしたいと思いますが、認定後の活動状況の中で、児童生徒にかかわることについても認識があれば、お伺いできればと思います。
〇砂子田森林整備課総括課長 県では、地域における環境重視の森づくりなど森林整備活動を推進するために、いわての森林づくり県民税を活用して、令和3年度から、いわて森林づくりコーディネーターの育成に取り組んでおり、令和5年9月末現在、19名を認定、登録したところでございます。
 認定後のコーディネーターの活動状況につきましては、管理不十分な森林の情報収集や森林整備に向けた合意形成など、地域における森林整備活動を促す取り組みを通じまして、いわての森林づくり県民税を活用して手入れのおくれた人工林の間伐などが進められているところでございます。
 もう一つお尋ねのありました児童生徒に対しての指導につきましては、コーディネーターの活動につきましては、地域における環境重視の森づくりなどの森林整備活動を推進するために地域の合意形成を図っているところでございまして、現在のところ、そういう取り組みは行われていないと認識しております。
〇吉田敬子委員 森林整備のハードのための人材育成ということで認識しております。
 森林セラピーとかエコツーリズムなどの森林サービス産業など、国でも森林に関係するサービス産業に力を入れていくことも重要だということを掲げていますけれども、観光、健康、環境との連携、また、子供たちの自然教育、野外活動など、多様な森林体験を促進する人材の育成の必要性について、どう捉えているか、本県の取り組みの状況や実績についてもお伺いしたいと思います。
〇砂子田森林整備課総括課長 県では、県民が森林への関心を高め、理解を深めていく取り組みは重要であると考えております。これまで、いわての森林づくり県民税を活用いたしまして、児童生徒を対象とした森林環境学習会を334回、指導者を対象とした研修会を24回開催いたしました。
 こうした取り組みによりまして、県民を対象とした森林、林業の理解醸成イベントや自然体験会のほか、岩手町の森林セラピーの取り組み、あるいは久慈市のエコツアーなど、森林をフィールドとしたさまざまな活動に県内各地で取り組まれております。
〇吉田敬子委員 決算特別委員会の総括質疑でも取り上げさせていただきまして、そういう人材育成の中でも、特に教育の視点での人材育成について取り上げさせていただきました。総括質疑で、森林への関心や保全意識を高めるとともに、主体性や協調性を育む教育的効果が期待される一方で、子供たちの野外での安全な活動を確保するためには、サポートする引率者のスキルやリスクマネジメント力を高めていくことも課題となっているという御答弁をいただいて、人材について課題になっているという認識であるということを思っております。
 そこで、いわて森林づくりコーディネーターの育成には取り組んでいただいているのですけれども、ハードの部分のものであって、児童生徒にかかわる、もちろん小学校での取り組みは進んでいるのですが、いわて森のゼミナール推進事業の対象に、小学校だけでなく保育園の、未就学時から幼児教育の中でやっていくことが重要だということで、県でもその認識を持っていただいた上で、令和3年度から、保育関係団体にも対象拡大していただきましたけれども、実績について、どのようになっているのか、お伺いいたします。
 また、幼児期における自然環境の中での直接体験の有無、森林環境教育の教育的効果を当部としてどのように認識しているのか、お伺いします。
〇砂子田森林整備課総括課長 いわて森のゼミナール推進事業に係る実績についてでございますが、令和3年度から保育関係団体もこの事業の対象となるよう拡充したところでございますが、これまで幼児を含む保育関係団体等の申し込みはなかったところでございます。
 しかしながら、幼児を含む幅広い年齢層を対象に取り組みを進めてきたことから、近年では、本事業の樹木観察会に加え、県民参加の森林づくり促進事業により行われた森林環境学習イベント等におきまして、保護者が幼児とともに森林体験へ参加するといった姿が見られるようになってきております。
 また、幼児期の森林環境教育への効果をどのように認識しているかでございますが、森林等を活用した自然体験活動につきましては、幼児を初めとする子供たちの森林への関心や保全意識を高めるとともに、主体性や協調性を育む教育的効果が期待されるものと考えているところでございます。
〇吉田敬子委員 いわて森のゼミナール推進事業の中での活用がなかったということで、残念であるのですけれども、御答弁いただいたように、親子で参加しているものはもちろんそのとおりですが、せっかく保育関係団体にも対象を拡大したので、今は小学校、中学校での活用だけになっているところを、何とか幼稚園、保育園等でも利活用していっていただけるような取り組みをしていっていただきたいと思っています。
 これまで木製遊具とか遊歩道の整備などで、森林環境教育の拠点としての機能を持つ森林公園でも、いわての森林づくり県民税を活用して、ハードとしてすごくたくさん整備していただいております。
 そういう木育施設がどんどんふえていっているのは大変評価しているのですけれども、さらに、そこにまた足を運んでもらえる、木育施設の中だけでなくて、外の環境で、子供たちが、特に幼少期から活動してもらえる自然体験をやれるような人材育成。総括質疑でも、その部分についての人材が少ないから、保育関係の団体がなかなか活用できないのかという認識で私はおりました。
 他県だと、県民税を活用して、教育委員会との連携で人材育成を図ってきておりますので、それについて、今後もう少し踏み込んで検討していっていただきたいと思っておりますが、御所見をお伺いしたいと思います。
〇砂子田森林整備課総括課長 教育委員会等との連携等もあるわけですけれども、今後、幼児等を含む幅広い年齢層の県民を対象といたしまして、こういう活動が広がるように、いわて幼児教育センターなどとも連携の上、それぞれが持つネットワークを活用して、いわての森林づくり県民税を活用した事業の周知を図ってまいりますとともに、森林との触れ合いや森林の役割等を学ぶフィールドを積極的に提供してまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 いわて幼児教育センターとも連携を図っていっていただけるということで、ぜひ、そことの連携をまず図りつつ、今後の取り組みに期待したいと思います。
 最後、農林水産部長にお伺いしたいのですけれども、農林水産部における少子化対策についてということで、いわてで生み育てる支援本部で決定する取り組み方針に基づいて、当部が所管している少子化対策に関連する事業は何か、どのように取り組んできているのか、お伺いしたいと思います。
 いわてで生み育てる支援本部は、令和4年度から設置されておりまして、今年度になって少子化対策監が各部局に配置されたのですけれども、農林水産部と県土整備部だけは少子化対策監が配置されておらず、私は、それについて、アンコンシャスバイアスがかかっているのではないかと。全庁的にやるのであれば、農林水産部も県土整備部であっても、同じように少子化の部分に対応していただく職員をと感じているのですけれども、農林水産部長がこの本部には参加されておりますので、農林水産部長にお伺いしたいと思います。
〇藤代農林水産部長 農林水産部における少子化に係る取り組み事業という御質問でございますけれども、農林水産部においては、いわてで生み育てる支援本部の取り組み方針に基づきまして、昨年度は、乳幼児期や就学後の子育て支援ということで、県の森林公園に幼児等が親子で楽しめる木育スペースを設置しましたほか、女性の方、お子さん、家庭を支える基盤の支援ということで、住宅購入の検討機会が多い子育て世代を対象とする県産木材を使用した住宅新築等への支援、いわて木づかい住宅普及促進事業などを行うほか、農林水産業を牽引する女性農林漁業者の育成に向けて、女性が活躍しやすい環境づくりやネットワークづくり等を支援する、幸せ創る女性農林漁業者育成事業に取り組んでいるところでございます。
 農林水産部とすれば、直接的に少子化という部分について施策的に関与するのはなかなか薄いところで、女性が働きやすい、あるいは先ほど砂子田森林整備課総括課長が答弁しましたとおり、農林漁業体験を通じて、お子さんにも、いろいろな主体性ですとか自然に関心を高めていただくとか、農林水産部としてできる事業かとも思っていますので、そういうところで、引き続き積極的に子育て支援あるいは少子化対策についても取り組んでいきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 先ほど部長は、農林水産部としては少子化対策の部分は薄いとおっしゃったのですけれども、私はそうは思っていなくて、農林水産業にだって、子育て世代がたくさんいらっしゃいますし、後継者不足と言われている中で、どうしたら子育てしながら農林水産業を続けていけるかという視点もあります。
 先ほどの教育的視点もそのとおりです。施設整備をする際に、森林公園も、最近は子育て世代の目線も含めて木育施設を一生懸命やっていただいていて、だからといって少子化対策監あるなしでということではもちろんないのですけれども、私としては、全庁的にというときに、農林水産部と県土整備部だけが少子化対策監を配置していないことについては、少し違和感がありました。ただ、農林水産部長が、そこは責任を持ってこの本部に御参加されて、出席されていると今は思っておりますので、今後、薄いというわけでは全くないと思いますので、ぜひ、同じように他部局と一緒に連携を図って少子化対策にも努めていただきたいと思います。
〇畠山茂委員 私も、水産業の現状について4点ほど通告をしておりましたので、質問したいと思います。
 まず1点目の、秋サケの漁獲量と稚魚の確保、これは先ほど城内愛彦委員が触れていましたので、ここはもう理解しましたので、割愛したいと思います。
 2点目の温暖化の影響についてという部分も、先ほど来、触れられていたとおり、サンマ、サケ、イカの主要魚種の不漁が続いていて、一方で、水揚げの魚種が変わってきているということで、ブリやサワラなど新しく温暖の魚が揚がってきて、新たなビジネスモデルも後押ししていきたいというような答弁がございました。
 今、日本あるいは世界を見ると、漁獲の半分はもう養殖で、半分が天然物となってきています。そして、将来のことを文献で見ると、2030年には養殖が漁獲量の3分の2を占めるということで、これから本当に養殖業が大きなビジネスになってくるのだろうと思っています。
 そこで、本来は温暖化の影響の分析を聞きたかったのですが、先ほどの答弁で聞きましたので、ここでは、それを受けて、先ほど来のビジネスモデルの後押しをするという部分でいいますと、魚種が変わって、新しい魚種への転換のための設備投資や、あるいは業者が新規事業をやろうと思ったときに、支援策はあるのかどうか。そしてまた、もしあるのであれば、利用状況をお聞かせいただきたいと思います。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 今年度の新規事業でございます新たな水産資源利活用モデル開発事業は、本県で増加している魚種を対象に、新たな流通や物流のビジネスモデルを構築しようとするものでございまして、企画提案の募集を行いまして、4事業者を採択し、現在事業が行われているところでございます。
 また、加工の振興につきましては、漁協、加工業者、協同組合が活用できる施設整備等の国庫事業である浜の活力再生・成長促進交付金がございますので、そういった事業の活用を促していきたいと考えております。
〇畠山茂委員 事業者が事業転換して頑張ろうと思えば、新しい支援策もあるということで、今4事業者が取り組んでいるという説明を受けましたので、理解いたしました。
 3点目は今後の水産振興ということだったのですけれども、これも先ほど来、触れられております。私から重ねてお願いしたいのは、魚種の確保が難しいこと、それから、燃料等、光熱費も含めた物価高騰があって、そしてまた、東日本大震災津波におけるグループ補助金の返済の問題があり、そして新型コロナウイルス感染症のゼロゼロ融資の返済など、先ほども紹介があったとおり、水産関係の倒産もふえてきていると思っています。
 そういう中で、沿岸地域の水産業は、漁師から仲買から小売、流通、加工等さまざま、本当に裾野の広い業種でございますので、ぜひ、これからも目を向けて頑張っていただきたいと思います。先ほどの農林水産部長の答弁で私も理解したいと思い、何度も聞きませんので、ぜひ、まずは実行あるのみで、よろしくお願いしたいと思います。
 4点目は、担い手育成の関係です。
 年々漁業就業者が減ってきておりますし高齢化も進んでいる。こういう中で、いわて水産アカデミーへの期待が大きいところだと思います。いわて水産アカデミー修了生の推移を見ますと、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの目標値には達しないものの、年々増加傾向にあると見ていました。
 そこで、卒業後の進路の状況とフォローはどのように取り組んでいるのかをお伺いしたいと思います。
〇太田漁業調整課長 いわて水産アカデミー修了後のフォローについてでありますが、令和元年度から開校している水産アカデミーにおきましては、これまで29名が修了し、全員が本県の漁業に就業しているほか、本年度は6名が修了を予定しておりまして、全員が本県での漁業就業に取り組んでいるところでございます。
 また、アカデミーでは、修了後5年程度、定期的に修了生を訪問しまして、就業状況の確認や独立等に向けた支援などを漁業関係団体や市町村と連携して行っているところでございます。
 また、修了生の中には、漁協の組合員資格を取得しまして、養殖業でひとり立ちするような事例なども出始めておりまして、引き続き、修了生が本県漁業をリードする人材として活躍できるよう、きめ細やかな支援をしているところでございます。
〇畠山茂委員 きちんとフォローしていることも理解いたしました。
 最後に、お願いがございます。岩手県では、水産高校は宮古市に1校ございます。水産業の担い手づくりということはほかの高校でもあるのですが、その一つを担っているわけであります。昨今の市町村要望を見ますと、宮古市として、水産高校に養殖科の新設の要望を一生懸命しているようであります。そしてまた、宮古市では、生徒拡大のために、家賃補助金なども使いながら担い手づくりに頑張っているのですが、そういう中で、その管轄は県教育委員会で、なかなか壁が厚いようです。
 担い手育成という意味では、これから本当に養殖業が水産業の一つの大きなビジネスになっていく中で、農林水産部でも、ぜひ県教育委員会と連携しながら、私は担い手を育成することは大事だと思いますので、もし何か御所見があれば、よろしくお願いしたいと思います。
〇藤代農林水産部長 新規の漁業就業者を確保していくのは、農業、林業でもそのとおりなのですが、非常に大事な取り組みと認識しております。
 いわて水産アカデミーについても、先ほど答弁申し上げましたとおり、これまで29名の卒業生を出しているのですが、これまでは、どちらかというと県外から来て、高校を終わったばかりではなくて、社会人を一定程度経験された方が、この学校に入って、漁業に出られるケースが多かったのですが、今年度にあっては、主に県内の高校等を終わった方がこのアカデミーに入って、漁業を学んでということで取り組んでいます。
 また、アカデミーの入校生についても、林業もそうですが、県内の高校を回りまして、こういうアカデミーがあるので、将来的に漁業をやってみたい方についてはどうですかというお声がけを、それぞれ高校の進路担当の先生方にもさせていただいております。
 今、お話のあった宮古市での養殖科の要望については、県教育委員会にも申し伝えますし、また、農林水産部にとっても、こういう科ができれば、漁業の担い手として、それなりに本県の養殖業に目を向けていただく機会がふえるのではないかと期待するところでございます。
〇神崎浩之委員 私は、一関工業高等専門学校と陸上養殖について通告を出しておりまして、今、畠山茂委員からいい感じでバトンタッチを受けて、力が湧いているところであります。
 農林水産業は自然との戦い、特にも水産業は非常に厳しい戦いを強いられている。ただ、やはり人類はさまざまな英知を結集して、さまざまな困難を乗り越えてきたということで、DXとうたわれておりますけれども、我々の時代はそういうことなのか、そういうことで克服していかなければならないのかと感じております。
 そういうことで、先ほど答弁もありましたが、海面養殖、内水面養殖、陸上養殖について、現状と課題についてお伺いしたいと思います。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 養殖業の現状と課題についてでございますが、現状につきましては、これまで、本県の海面養殖では、ワカメ、昆布、ホタテガイ、カキなどが対象になっておりますけれども、生産者の減少や海洋環境の変化等により生産量が減少しております。
 一方、新たな養殖の導入といたしまして、アサリの養殖試験に取り組んでいるほか、サケ、マス類の海面養殖について、今年度の水揚げが前年度の約1.5倍になるなど、生産の拡大に向けた取り組みが進められております。
 また、陸上養殖では、本年9月現在、宮古市でのホシガレイ、大船渡市でのアワビ、陸前高田市でのスジアオノリなど7件が届け出されております。
 課題につきましては、海面養殖では、海洋環境の変化等に対応した生産量の回復や、サケ、マス類の養殖規模の拡大に向けた種苗の安定供給、また、陸上養殖では、高額となる施設整備費や電気料等の維持管理費の確保、病気の蔓延等のリスクへの対応などが課題と認識しております。
〇神崎浩之委員 先ほど支援策の話があって、そうだと思ったのですが、これら陸上養殖も含めた養殖への県の支援策はどういうものがあるのでしょうか。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 支援策につきましては、2分の1補助でございますが、国の補助事業の活用が可能でございますので、そういうことを促していきたいと考えます。
〇神崎浩之委員 内陸の一関市で陸上養殖の研究を進めているわけですけれども、決して沿岸地域の方のなりわいと敵対するわけではなくて、内陸からも応援できないかということですが、三陸天然物が売りの岩手県の水産業であります。そういうことに対して、沿岸地域の皆さん、漁家の皆さん、水産団体の皆さんは、陸上養殖に対する抵抗感は大丈夫かという気持ちがあるのですが、そのあたりはどうなのでしょうか。お伺いしたいと思います。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 陸上養殖に対する抵抗感というお話ですけれども、陸上養殖は、人為的に飼育環境を管理することが可能なので、気象等の影響を受けずに安定した生産や品質の向上が期待されるとともに、海面利用をめぐる利害関係もないことから、新たな養殖漁業の形態として注目されていると認識しております。
 県内で7件の養殖の届け出がございますが、一部、漁協が届け出しているものもございますので、新たな養殖の形態として皆さん期待していると捉えております。
〇神崎浩之委員 次に、岩手県成長ものづくり・農林水産食品加工・第4次産業革命分野連携支援計画についてお聞きいたします。
 所管は商工労働観光部でありますが、水産食品加工、第4次産業革命ということでありますので、農林水産部としてのかかわり、内容と成果、今後の展開についてお伺いしたいと思います。
〇高橋農林水産企画室企画課長 この支援計画の話でございます。例えば、先ほど神崎浩之委員からも御紹介ありました成長ものづくり分野でありますとか、農林水産食品加工分野等、その分野におきまして、事業者が取り組む課題解決について、岩手県工業技術センターが中心となりながら、産学官金15の支援機関が連携して、技術支援、研究開発支援などを行っております。
 農林水産部関係では、この支援計画に、岩手生物工学研究センター、岩手県農業研究センター、岩手県林業技術センター、岩手県水産技術センターが参画し、さまざまな支援を行っているところでございます。
 そしてまた、この支援の内容、成果でございますが、これまで各支援機関相互にいろいろと連携しながら、例えば技術支援であれば、水産加工用機械の製造、農林水産物を活用した新商品開発、また、これは農産物の話になりますけれども、未利用部の活用に関する情報の提供、また、研究開発支援ということでありますと、食品の製造に用いる原材料、これは農産物になりますが、この歩どまりを高めるような共同の研究を行っております。
 農林水産食品加工分野におきましては、この支援計画に基づきまして、例えば林産物であれば、木炭の海外輸出が始まった、あるいは自社で生産した原料を使用いたしました新商品の開発に取り組んでいるところの成果が見えているということでございます。
 また、今後の展開につきましても、引き続き、各支援機関が有する高度な専門知識でありますとかすぐれたノウハウが、15の連携する支援機関それぞれにございますので、こういう支援機関相互に連携を図っていくことが重要と考えております。
 農林水産部といたしましても、支援機関の中心となる県の工業技術センター、あるいは商工労働観光部、また、ここに産業支援機関でありますとか大学、一関工業高等専門学校もこちらに入っておりますけれども、そういったところと連携しながら、引き続き、県内の事業者の技術開発支援などに取り組んでいきたいと考えております。
〇神崎浩之委員 県の立派な資料がありますが、果たして成果はどうなのか。どちらかというと、相談が来れば対応しますといった支援機関ではないかと非常に心配に思っているのです。所管も商工労働観光部なので、農林水産部は、先ほどお話ししたように、人類の英知を結集して岩手県の水産業を応援していかなければならないということでありますので、ぜひとも、待ちの姿勢ではなくて、どんどん出向いていって、何に困っているのか、こういうものをこうくっつけてはどうなのか。例えば、一関工業高等専門学校はどうなのか、そういうことを積極的に、待ちの相談機関ではなくて、皆さん方が先頭に立って、現場の声を聞きながら、こういうものにつなぎながら克服していただきたいと思います。
 最後に、一関工業高等専門学校の関係ですが、私も一関工業高等専門学校の生徒に何とか地場で就職してほしい。一関工業高等専門学校の生徒は860人です。そういったことでいろいろ出入りしているのですけれども、その中に、先日、地元紙でもNHKの朝、夕方のニュースでも放送がありました陸上養殖システムのウニがあります。一関工業高等専門学校が、オゾンを活用して水質を浄化する陸上養殖システムを開発したということで、水を頻繁にかえなくてもいいということと、品質、生産性の向上が期待できるということで、企業と連携してウニの養殖試験に乗り出すということであります。
 それに当たっては、例えば水温を保つために、冬場、温泉水を利用したり、地下水であったり、夏は井戸水を活用するというようなことで、地球温暖化や漁業者の高齢化などで水揚げが伸びない中、海外では養殖の生産量がふえているのだけれども、日本はまだまだ低いということもあって、こういう取り組みを始めたところであります。
 これについて、農林水産部としては、こういう情報をキャッチしていたのか、それから、こういうことに対して触手を伸ばして取り組もうとしていたのか、お伺いしたいと思います。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 一関工業高等専門学校の情報をキャッチしていたのかという問いでございますが、今まで県水産技術センター等の研究機関と一関工業高等専門学校とのつながりはなかったものでございまして、正直に言いまして、新聞の報道でその取り組みを知ったという実態でございます。
 ただ、一関工業高等専門学校によりますと、県内でウニを対象としてオゾン水での浄化システムをつくったということでございます。県内では、ウニを漁獲している漁業関係者がおり、市場での競合を避けたかったということがあり、県外の事業所から共同研究の希望があったことから、今般の実証試験を県外でやる運びとなったと伺っております。
 県では、その後、一関工業高等専門学校と県内での同技術の活用に向けて意見交換を行ったところであり、今後、一関工業高等専門学校と県水産技術センターとの情報交換の場を設けるなど、連携を強化していきたいと考えております。
 県内で開発された技術の活用について、研究していきたいと考えているところです。
〇神崎浩之委員 農林水産部長、私はアンテナが低いのではないかと思っているのです。新聞でわかったということですね。一関工業高等専門学校の先生に聞いたら、私たちはどこにも売り込みはしていないということなのです。ただ、全国から我々の論文とか研究発表を、勝手にではないですけれども、探り出して、うちのほうでやらせてくださいということなのです。
 こういうシステムもあるし、それから、温泉利用ということで、まさに県内にもってこいのシステムではないかと思っております。この辺について、アンテナが低いのではないか。今、これだけ水産業が大変な時期に、DXとかいいながら、もう去年、おととしの話。これはそもそも2012年から着手しているということですけれども、農林水産部長いかがでしょうか。
〇藤代農林水産部長 一関工業高等専門学校の取り組みにつきまして、新聞等でそれを認識したということについてアンテナが低いのではないかという御指摘ですが、そこについては、そのとおりと受けとめざるを得ないと考えております。
 試験研究機関である、例えば県水産技術センターでは、いろいろな水産技術の開発あるいは、例えば今、海では貝毒の出荷規制のようなものがありまして、こういうものについて、どういう研究が行われているかについて、海外の論文も含めてリサーチしながら、それが岩手県の水産で適用できないかというところを、情報をキャッチしながら取り組んでいるとは聞いております。そういう中で、これについて目が行かなかったことについては、やはり反省すべき点かと思います。
 今回、こういう形で一関工業高等専門学校と情報交換の場を設定させていただくとしておりますので、新たなオゾンを活用した養殖システムのようなものについては、県でもいろいろ勉強させていただきながら、技術的なところも学んで、県内で、より低コストで実用化できるような、そして、水産業にとってメリットがある形で活用できるように、いろいろな形の取り組みができればと考えております。
〇神崎浩之委員 やはり陸上養殖はコストがかかるということです。水の浄化システムもありますし、電気代も設備もかかるということです。それを克服してということで、なぜ一関工業高等専門学校かということだったのですけれども、オゾンの浄化技術、それから、ほかの高等専門学校の技術を活用したAIによる自動給餌システム、それから、どのぐらい食べているかというセンサーとかカメラの技術、それから、ウニのふんを藻場の肥料にするとか餌にするといったアクアポニックス、あとは、ウニのふんから血圧を下げるサプリ、カルシウム、そこまでつなげていくということで、用途が非常にあるのです。
 一関工業高等専門学校はそういう技術を集約していることと、全国の高等専門学校と連携しながら、おのおのの高等専門学校のいいところをこれに集めて実証にこぎ着けているということであります。
 それから、何よりもこれはウニ生産者への支援ということで、身入りが悪いウニを、高い金額で購入して、餌を研究して大きくして売るということなのです。ただ単にウニを陸上養殖するのではなくて、沿岸地域の身入りの悪いウニを高く買ってきて、それを一関工業高等専門学校のシステムで研究した餌を与えて、大きくして売るということで、これもやはり沿岸地域の水産業の支援から来ているのだそうです。
 しかも温泉ということで、何でこういう仕組みをつくっているのに、埼玉県久喜市でやらなければならないのかということ。それから、青森県の企業と連携してやらなければならなかったのかということが、非常に残念に思うわけですけれども、もう一度、農林水産部長、いかがでしょうか。
 それで、先日貝毒が発生して、オゾンの浄化システムを使って、例えば貝毒をそのまま何日間かオゾンに浸しておけば毒がなくなる、そういう可能性もあるので、ぜひ、こういうことに対する研究費も農林水産部として考えていただいて、一関工業高等専門学校のためではなく、疲弊している岩手県の水産業の支援に役立てていただきたいと思います。コメントをお願いいたします。
〇藤代農林水産部長 まだ、一関工業高等専門学校でどのような技術をお持ちかというところについては十分把握していないところがありますので、積極的に情報交換させていただきながら、その技術について、水産の現場でどういう活用が可能か、いろいろ研究してまいりたいと考えます。
〇神崎浩之委員 本年11月に農林水産省のアグリビジネス創出フェアがあります。これは、県内の団体もかつて参加したことがあるのですけれども、ことしは東京ビッグサイトのブースに、一関工業高等専門学校も展示しておりますし、まさに2日目に、一関工業高等専門学校の陸上養殖システムについてプレゼンするということでもあります。初日は農林水産省の幹部の方が一関工業高等専門学校のブースに寄るという話もしておりますので、一緒に勉強しましょう。
〇佐々木朋和委員 私から、原木シイタケについてお伺いしたいと思います。
 令和4年度の具体的な推進方策指標の乾シイタケ植菌本数は、まだデータが出ていないということでしたけれども、原木購入支援本数が目標34万本のところ26万本と、大変厳しい状況だということはうかがい知れます。
 震災から長い時間がたって、現場の生産者の方に今の困り事等を聞くと、初期のうちはさまざまな支援策という話だったのですが、最近は、市況について、価格がなかなか上がってこないところが最大の悩みだとお聞きいたします。
 令和4年度の市況、本県産の乾シイタケの取引価格、量の状況について、まずお示しいただきたいと思います。
〇嵯峨参事兼林業振興課総括課長 令和4年度の市況についてでございますけれども、本県の令和4年の原木シイタケの生産量は、干しシイタケが63トン、生シイタケが127トン、合計で190トンとなっております。
 これを令和3年と比較いたしますと、干しシイタケが2トンの増、生シイタケが5トンの減で、合計で3トンの減となっております。
 また、本県の価格についてでございますけれども、本県の令和4年の集出荷団体における原木干しシイタケの平均価格は1キログラム当たり約3、600円となっております。令和3年を113円ほど上回った状況ではございますが、全国平均が4、200円でございますので、全国平均を下回っている状況でございます。
〇佐々木朋和委員 令和3年度よりは幾らかいいというところですけれども、まだなかなか厳しい状況が続いている。
 また、生産者の方からお話を聞きますと、店頭価格ではそれほど差がないのに、やはり放射線の影響もあって、仲買の部分でなかなか伸びてこないという課題をお聞きするところで、本県では系統出荷が多いということでしたけれども、生産者の中には、みずから販売にも力を入れている。そういう部分に対して、県でも、広域振興局単位でも、さまざまな売り先について一緒になって取り組んでいただいているところは、評価させていただきたいと思います。
 そういう大変な状況の中で、令和4年度は目標を上回る7名が新規生産者としてスタートしているのは、大変頑張っているという感じを受けておりますけれども、この地域別の分布について教えていただきたいと思います。
〇嵯峨参事兼林業振興課総括課長 令和4年度の原木シイタケの新規生産者7名の地域別の分布でございますけれども、令和4年度の新規生産者7名の市町村別の内訳は、盛岡市が2名、釜石市が2名、宮古市が1名、奥州市が1名、滝沢市が1名となっております。
〇佐々木朋和委員 県南地域はなかなか厳しい状況でありますけれども、このように県内で厳しい状況の中でも生産者が出てきているということで、なかなか賠償ができなかったり大変な状況にあるのですが、ぜひ支援を継続していただきたいと思います。
 そういった中で、この販売先について、平成20年ごろには、農林水産省で原木シイタケ、乾シイタケの台湾、シンガポールを売り先としての輸出についての検討がされているという資料を見せていただきました。現在は大分県が中心となって台湾等へ輸出しているということで、本県はなかなか取り組めていない。震災の影響もあったのでしょう。
 そういう中にありまして、今、本県の花巻空港では台湾との便もありますし、また、インバウンドで多くのお客様が本県に来ている中にあって、輸出あるいはインバウンド客への売り込みも大変チャンスのあるところではないかと思っております。
 そういう中で、台湾等への輸出やインバウンド客への売り込みについて、県としてはどのようにお考えになっているのか、伺いたいと思います。
〇嵯峨参事兼林業振興課総括課長 台湾等への輸出やインバウンド客への売り込みということでございますけれども、県ではこれまで、品質の高い干しシイタケの販路拡大に向けた取り組みといたしまして、台湾での物産展への出品を行っているほか、首都圏の飲食店における干しシイタケの販売促進活動、あるいは県内ですと盛岡駅に隣接した飲食店等で、干しシイタケを使用したメニューを期間限定で提供するフェアなどを行ってきたところでございます。
 これらの取り組みでは、品質の高い肉厚な干しシイタケに対するとても高い評価をいただいておりますので、台湾のスーパーや首都圏の飲食店等の実需者、高品質な干しシイタケ生産者等の意見を聞きながら、引き続き、関係団体と連携しながら、販路の拡大に向けた取り組みを進めていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 ぜひ、今、コロナ禍も明けて、観光客も戻ってきております。ニューヨークタイムズの部分もありますけれども、やはり中心的には、台湾のお客様が岩手県も多いわけで、大変縁もゆかりもあるということです。
 この部分について、生産量の問題もありますけれども、ぜひ本気になって商工労働観光部とともに進めていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 あとは、やはり最後まで残っている課題は、原木林の除染、いかにして県南地域の原木林を使える状態に戻していくかというところだと思います。現在の県南地域の原木林の放射線量の調査の状況、また、萌芽更新もある程度進んでいると思いますけれども、その部分についての現状もお知らせいただきたいと思います。
〇嵯峨参事兼林業振興課総括課長 県南地域の原木林の放射線量調査の状況でございますけれども、県ではこれまで、南部に限らず県内全域でございますが、1、700カ所のシイタケ原木林の放射性物質濃度検査を実施しております。また、出荷制限地域におきましては、既に利用が開始されている分も含め、約500カ所で放射性物質濃度が低いことを確認しております。
 また、この検査の結果、出荷制限地域において新たに活用が見込まれる森林が、令和4年度で約30カ所となっております。
 次に、萌芽更新の関係でございますけれども、放射性物質の影響を受けた広葉樹林の伐採、萌芽更新による原木林の再生を目的に、広葉樹林再生実証事業により、平成26年度から令和4年度までに広葉樹林を436ヘクタール伐採するとともに、伐採箇所の放射性物質濃度の経年変化を調べております。
 なお、伐採後に発生した萌芽につきましては、3年間、放射性物質濃度を調査することとしております。調査結果におきましては、放射性物質濃度が低下している箇所も見られますけれども、萌芽更新された広葉樹を原木として使用するために、おおよそ今後15年から20年かかるということでございますので、利用の適否を判断するには、まだ長期間を要するものと考えております。
〇佐々木朋和委員 最後の15年は余り聞きたくなかったところでありましたけれども、これまでの御努力によって使える部分もふえてきたところもあります。萌芽更新は3年間調査をしていただいております。前に県議会でも、県政調査会で国の専門家に来ていただいて、まずは萌芽更新をしてみる。それでもだめな場合はカリウム等を散布してみてはどうか。いろいろな知見も披露いただいた経緯もございます。ぜひ、調査結果を見ながら、15年待つのではなくて、いろいろ早目に判断をして、そのような取り組みもしていただければありがたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、自伐型林業についてお伺いしたいと思います。
 一関市では、今、2名、3名の方が自伐型林業を行うということで、地域おこし協力隊で来ていただいておりますし、また、シンポジウムのようなものをやったら、地域から多くの方々がいらっしゃって予想以上の集まりであったと聞いております。
 そういった中で、一関市では、自伐型林業を始めるに当たっての、基本的な機材の使い方などの講習会も行って、盛況だと聞いておりました。
 一方で、自伐型林業は、森林の担い手がなかなかいないところで、維持、管理のために担い手確保は大きな力になると思うのですけれども、これをなりわいとして成立させていくためには、市のみならず県の支援もあった中でないと、なかなか厳しいというお話もいただいております。
 そういう中で、岩手県の中での自伐型林業についての位置づけ、今後の支援の方向性についてお知らせいただきたいと思います。
〇砂子田森林整備課総括課長 林業事業者の減少、高齢化が進む中で、森林整備や木材生産などを小規模で行う林業事業者につきまして、県では、森林組合や林業事業体とともに、地域林業を支える多様な担い手として重要であると考えているところでございます。
 このため県では、小規模な林業事業者を対象といたしまして、森林整備に係る技術力の向上や労働災害の防止などの安全技術の習得に向けた伐採技術研修のほか、労働安全の知識や安全作業に係る研修などを実施しております。
 また、関係団体等と組織いたしますいわて里山再生地域協議会と連携いたしまして、小規模な林業事業者等が行う里山等の森林整備活動等の支援も行っております。
 今後は、これまでの支援に加えまして、国の森林整備に係る補助事業などを活用できるよう、事業に関する情報提供や必要な申請手続の指導など、支援を行ってまいります。
〇佐々木朋和委員 ぜひ、市町村と連携しながら進めていただきたいと思います。また、支援の拡大というところで言及もありましたので、期待したいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
〇佐々木宣和副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後4時2分 休憩
午後4時22分再開
〇柳村一委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇臼澤勉委員 それでは、私から大きく2点についてお伺いいたします。まず、いわての森林づくり県民税の活用についてお伺いしたいと思います。
 令和5年は4期目の3年目を迎えることになっておりますけれども、まず、いわての森林づくり県民税の活用と基金残高の見込み、令和4年度の実績等をお伺いしたいと思います。
〇嵯峨参事兼林業振興課総括課長 いわての森林づくり県民税の活用につきましては、令和4年度は、ハード事業である公益的機能の高い森林へ誘導する間伐や公益上重要な伐採跡地に植栽などを行ういわて環境の森整備事業で7億4、300万円余、ソフト事業である地域住民が主体となって里山での間伐等を行う県民参加の森林づくり促進事業で1、500万円余など、11の事業で合計11億9、900万円余を執行したところでございます。
 また、いわての森林づくり基金の令和4年度末残高は19億6、785万6、000円となっております。
〇臼澤勉委員 毎年、県民の皆様から7億円ほどの浄財をお預かりしているわけでございます。ただ、今も御答弁いただいておりますが、19億6、780万円をまた繰り越すという執行残があるわけです。
 監査委員にお伺いしたいのですけれども、毎年、県民からいただいている税金を、いろいろな理由があったということでは理解しております。ただ、この状態について、監査委員としてどのように受けとめているのかお伺いしたいと思います。
〇五味監査委員 不用額でございますが、基金ということで事業として蓄えがあって、年度計画を立てて予算を立てているわけでございますので、不用額に関しては、どういう理由であるかはわかりませんが、その予算が使えなかったということでございます。
 そういう意味では、一般論として、不用額に対してどういう評価をするかというのは、まさしく個々の金額が、どういう計画に基づいて立てられて、それがどういう経緯で使われなくなったのかを一つ一つ精査していかないと、一般論としてはなかなか評価できないものとは思っております。
 ただ、基金そのものの目的からすれば、やはりそれは有効に活用すべき資金でありますので、予算を立てるとき、それから、その活用段階において、丁寧に考えながら執行していくべきものだとは考えております。
〇臼澤勉委員 本当に、まさしくそのとおりだと思います。ただ、そういう中でも、県当局の皆様もいろいろと御努力されているというところは、私も認識しております。令和4年度も、たしか4回ほど事業評価委員会を開催しながら、使途拡大の検討も進められていると聞いておりますが、令和4年度の検討状況等をお示しいただきたいと思います。
〇嵯峨参事兼林業振興課総括課長 使途拡大の関係でございますが、令和3年度からの第4期におきましては、ハード事業では、公益上重要な伐採跡地への植栽や枯死木除去、ソフト事業では、木育の推進等につながる県産木材の活用や森林公園の機能強化などの使途拡大を行ったところでございます。
 これらの使途拡大した取り組みの令和4年度の実績は、伐採跡地への植栽が242ヘクタールの施工地を確保して整備を進めているほか、枯死木除去では、倒木のおそれのある松くい虫被害等による枯死木を15カ所で除去したところでございます。
 また、木育の推進等につながる県産木材の活用では、いわて子どもの森や保育所など18の施設に木製玩具や木製遊具など県産木材製品を導入したほか、森林公園の機能強化では、八幡平市の県民の森など3カ所の森林公園に木育スペースを設置するなど、事業を着実に進めているところでございます。
〇臼澤勉委員 本当にさまざま有効に活用していただくように、当初のころとはまた状況が変わってきていると思いますし、先ほども吉田敬子委員の質疑の中で、農林水産部長は、子育てという部分への当部のかかわりのコメントを答弁されておりました。私も、農林水産部こそ、まさに地域の文化を担う所管部局であると思っていますし、そこが子育てしやすい環境であったり、今の森を活用した環境を整備していくのは、本当に直接的にかかわってくる重要な役割を担っていると思いますので、そこの認識はしっかり持っていただきたいと思って先ほどの答弁を聞いておりました。
 一方で、市町村の森林環境譲与税も動いておりますが、ここら辺の取り組みの成果についてお伺いしたいと思います。
〇嵯峨参事兼林業振興課総括課長 森林環境譲与税の取り組みについてでございますが、市町村では、森林環境譲与税を活用し、所有者にかわって森林を適切に経営管理するため、航空レーザー等を活用した森林の現況調査や森林所有者への経営意向調査のほか、林業行政を担当する地域林政アドバイザーの配置などを行っているところでございます。
 これらの取り組みにより、これまでに26市町村が経営意向調査を実施しており、その調査結果をもとに、4市町が森林整備に係る計画づくりを行うなど、市町村による適切な森林管理に向けた取り組みが着実に進められています。
 また、県では、市町村の取り組みを支援するため、技術的な助言を行う専門職員の広域振興局への配置や市町村等が森林情報を効率的に利用できる森林クラウドシステムの整備のほか、いわて林業アカデミーにおける現場技術者の養成などを行っているところでございます。
 これらの県の取り組みは、市町村における適切な森林管理に向けた取り組みの円滑化や、地域の森林整備の担い手確保につながっているものと考えております。
〇臼澤勉委員 本当にこれから県、そして現場の市町村としっかりと連携を図りながら森林整備を進めていかなければいけないと思っているのですが、その前提となる今の森林所有者の状況であったり、あるいは筆界等のなかなか確定しないような土地が多くあるかと思っております。東日本大震災津波のころも、現場にいざ公共事業を何か施行しようといったときに、山林の所有者がどうなっているのか、あるいは不明になっている、境界がまだ確定していないところがあると、いざというときになかなか進まない、対策が後手後手に回ってしまうという問題意識を持っております。
 そういう中で、そこの基本的なデータ整備を今やっていかなければ、今後、これから10年あるいは100年先を見据えながらも、岩手県の森、森林を有効に整備できないと思っております。
 そこで、現在の地籍調査の進捗状況、特に林地の部分について、どのような状況になっているのかお伺いいたします。
〇砂子田森林整備課総括課長 本年における令和4年度末時点での地籍調査の林地における進捗状況でございます。調査対象面積7、883平方キロメートルのうち、実施済みが6、813平方キロメートル、進捗率は86.4%となっております。
〇臼澤勉委員 林地で86.4%の進捗ということでございました。宅地、農地も含めた合計についても86.3%の進捗ということで、林地については、おおむね全体と同じぐらいの進捗なのかと思って受けとめますが、逆にいうと、残りの13.6%の部分、約10万ヘクタールの林地については、まだ地籍調査が進んでいないという状況になっております。これは、地籍調査が行われていない全体の農地が宅地を含めると15万ヘクタールですから、約3分の2は林地が占めているということでございます。
 農林水産部の農地計画を所管する部署になるのかもしれませんけれども、そこら辺の連携はどのように進めていくお考えか、お伺いいたします。
〇砂子田森林整備課総括課長 地籍調査の所管は違う部署になるわけですけれども、当課といたしましては、所有者不明土地の解消に向けまして、相続未処理などにより所有者の移転登記が行われていない山林につきましては、先ほどお話のありました森林経営管理制度におきましての意向調査の取り組みを通じて、市町村が森林所有者把握の取り組みを行いつつ、森林所有者が明らかになるように取り組んでまいりたいと思っております。
〇臼澤勉委員 森林の所有者不明の状況について、具体的にお伺いしたいのですけれども、全国で約20%、2割の土地が所有者不明だということで、いろいろと把握しております。そのうち山林は25.6%ということでございますが、本県の地籍調査における所有者不明の土地の状況はどの程度あるのか、お伺いしたいと思います。
〇砂子田森林整備課総括課長 本県における地籍調査上での所有者不明森林の割合は、把握していないところでございます。
〇臼澤勉委員 私がいただいている資料では、所有者不明の土地は、筆数でいきますと、岩手県は全体7、128筆に対して1、130筆、15.9%が所有者不明の土地、そのうち山林の所有者不明は2、664筆に対して703筆、26.4%となっております。
 今後、令和6年4月1日から相続登記の申請の義務化が動き出します。所有権を知った日から3年以内に相続登記の申請を進めなければいけないということで、具体的にまた制度も動き出すわけでございます。こういった所有者不明の土地の状況については、しっかりと当部としても把握していただきながら、具体的に対策を進めていく必要があろうかと思います。
 そういった中で、令和2年4月でしたか、林地台帳制度がスタートしておりまして、平成31年4月から具体的な制度運用が開始されていると理解しております。この林地台帳の整備の現状と課題についてお伺いしたいと思います。
〇砂子田森林整備課総括課長 林地台帳につきましては、平成28年の森林法の改正によりまして、市町村が森林土地所有者や林地の境界に関する情報を一元的に取りまとめた林地台帳を作成する仕組みが創設されまして、平成31年4月から、全ての市町村で林地台帳の本格運用が開始されているところでございます。
 運用開始に当たりまして、県では、登記情報をもとにした林地台帳の原案データを作成いたしまして市町村に提供しておりましたが、運用開始後、市町村からは、台帳の情報が精度不足であるとの指摘があったところでございます。
 林地台帳の情報につきましては、更新を市町村において行っていただくものでございますけれども、今後は、森林経営管理制度の意向調査が進むにつれて、市町村に森林所有者の情報が集積されていくことから、これらの情報が林地台帳に確実に登載され、精度が向上し、森林経営管理制度の円滑な運営が図られますよう、県では、林業普及指導員等現地機関の職員によりまして、市町村に対し技術的な助言などの支援を行ってまいります。
〇臼澤勉委員 本当に林地台帳は大変重要な役割を持っていると捉えております。各種政策というか事業を進める上でも、ここの山の所有者がどうなっているのか、昔の登記簿に登記の所有者のままになっている場合もあるわけでございます。
 それで、国から、令和2年にも林地台帳制度の運用についてということで県に通知されていると思いますし、各市町村にも通知されていると思いますが、この中で、林地台帳の更新について、やはり台帳情報の精度の向上を図っていくことと、定期的に台帳更新をすることが記載されております。
 もっと具体的にいうと、定期的な台帳情報の更新ということで、年に1回程度は次の方法によって行いなさいということで、登記情報に基づく更新あるいは固定資産税課税台帳情報に基づく更新。これに基づいて、林地台帳の、例えば登記簿上の所有者あるいは現所有者の記載事項を定期的に更新していきましょうということで通知されておりますが、実際、現場でこれはどの程度運用されているのか、県の認識、そして今後の指導のお考えについてお伺いいたします。
〇砂子田森林整備課総括課長 林地台帳に係る市町村における更新の状況についてでございますが、各市町村におきましては、令和2年度の森林法の改正により通達がありました固定資産課税台帳情報の内部利用等を図っていただきつつ、各市町村の状況に応じまして、市町村の林地台帳の更新が図られているものと認識しております。
 また、これに加えまして、令和5年には、住民基本台帳ネットワークの利用についても、森林所有者情報について活用が可能となりましたので、こういうものも加えつつ、各市町村においては、林地台帳の情報を更新していただきたいと考えているところでございます。
〇臼澤勉委員 所有者がなかなか情報を更新していかないと、多大なる時間とコストがかかるのはそのとおりだと思います。そして、本当に経済的な損失といいますか、林業生産上の損失も生じてくると私は受けとめております。
 今後、ドローンを飛ばすなどデジタル化も含めてさまざまな取り組みを行うとはいうものの、もとのデータがしっかりしていないと物事が動かないのです。そういう意味でも、多分膨大な労力、人的コストがかかる作業だとは思いますけれども、先ほどの例えばいわての森林づくり県民税や森林環境譲与税なども有効に活用しながら、もとの基本となる情報管理をしっかり行っていただきたい。これが、多分その原点というかベースになると思います。
 森林資源デジタル管理の今後の対応についても、どのように取り組んでいくお考えかを聞いて、終わりたいと思います。
〇砂子田森林整備課総括課長 森林経営管理制度や森林経営計画制度による施業の集約化の取り組みによりまして、適切な森林整備を進めていくためには、臼澤勉委員おっしゃるとおり、その基盤となる高精度な森林情報の整備が必要と考えているところでございます。
 県ではこれまで、地域森林計画の編成時等におきまして、森林資源情報等の見直し、あるいは地籍調査の成果を森林計画図に反映するなど、精度の向上に努めているところでございます。
 市町村におきましても、森林の所有者情報を記載する林地台帳の精度向上や、森林環境譲与税を活用した航空レーザー計測等による精度の高い森林情報が整備されてきているところでございます。
 県では、こうした森林情報を市町村や林業経営体等の関係者間で相互に共有して利活用するために、森林クラウドシステムを構築いたしまして、本年4月から運用開始したところでございます。
 引き続き、市町村と連携を図りながら、森林情報の精度の向上に努めるとともに、システムの効果的な活用が図られるよう取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 それでは、水産業再生の取り組みについて、お聞きいたします。
 主要魚種については、先ほどの答弁で、サケは震災前比で2%、サンマは7%、スルメイカは11%の水揚げ量ということでありました。
 魚市場ごとの水揚げ量、水揚げ金額はどうなったか、震災前との比較を示してください。
〇太田漁業調整課長 県内魚市場の総水揚げ量につきましては7万9、000トンでございまして、これは震災前の45%となっております。
 また、総水揚げ金額につきましては137億円で、こちらは震災前の58%となっております。
〇斉藤信委員 主要魚種だけでなく大変な状況だと思います。細かいことをお聞きしますけれども、震災前と比べて普代村と野田村の漁港がプラスになっています。これはどういう要因、内容なのでしょうか。
〇太田漁業調整課長 市場の水揚げ量の増加でございますが、県内でいきますと、定置網の中では、ブリ、マイワシ等の水揚げ量が震災前よりもふえておりまして、こちらが市場の水揚げ量の増加に影響していると考えております。
〇斉藤信委員 次に、県内漁協の決算状況をお聞きしますが、私が令和5年3月の予算特別委員会で聞いたときには、令和3年度は24漁協のうち16漁協が赤字でしたが、令和4年度はどうでしょうか。
〇小野寺特命参事兼指導検査課長 県内漁協の決算状況でございますが、当期損失金を計上した漁協は、令和3年度決算では、委員おっしゃるとおり、24漁協中16漁協でございました。
 令和4年度決算でございますが、22漁協中5漁協となっております。
〇斉藤信委員 令和4年度はかなり大幅に改善されて、県内の漁協全体でも、令和3年度は8億3、300万円の赤字から、令和4年度は3億4、300万円の黒字になっています。大幅に改善された理由は何ですか。
〇小野寺特命参事兼指導検査課長 令和4年度でございますが、漁業自営事業の中でもサバやイワシが好調であったこと、それから、ウニやアワビの水揚げが増加したことなどから、当期損失金を計上した漁協は減少したものの、主要魚種である秋サケ等が依然として不漁でありますことから、引き続き厳しい状況であると認識しております。
〇斉藤信委員 わかりました。厳しい中でも漁協の経営が改善されているということは、私は評価をしておきたいと思います。
 そこで、岩手県水産業リボーン宣言に基づく取り組みの成果を示してください。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 リボーン宣言の取り組み状況と成果についてでこざいますが、サケ資源の回復について、昨年度は、北海道からの種卵の確保に努めるとともに、大型で遊泳力の高い強靭な稚魚を生産し、放流実績は目標を上回る約9、300万尾となっております。
 ウニ資源の有効利用について、蓄養、出荷の取り組みが12漁協に拡大するほか、サケ、マス類の海面養殖について、今年度は6地区で約1、800トンと、前年度に比べ約1.5倍の生産実績となっております。
 来年度は、8地区で約1、900トンの生産が計画されるとともに、さらに養殖試験の実施に向けた調整を行っている地区もございます。また、自動給餌システムなどICTの活用も行われております。
 貝類につきましては、ホタテガイに比べ貝毒の影響が少ないとされるアサリの養殖試験を3漁協で開始しており、県といたしましては、今後とも、関係機関、団体と連携しながら、このような取り組みを通じまして、本県の水産業が持続的に発展していくように取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 厳しい中で、実は定置網にクロマグロがどんどん入ってくる。しかし、割り当てがあって漁獲の5倍以上を放流しているというのが、令和5年3月の予算特別委員会で聞いたときの実態でありました。
 令和4年度は、小型魚は84.7トン、大型魚は63.3トン、そして、入ったけれども放流したのが約739トン。これは令和5年2月28日現在でしたから、令和4年度の実績です。令和5年4月にクロマグロがかなり入りましたが、令和5年度のクロマグロの漁獲状況、放流状況を示してください。
〇太田漁業調整課長 令和5年度における本県クロマグロの漁獲量でございますが、9月30日現在で、30キログラム未満の小型魚が82.5トンでございます。また、大型魚は51.7トンとなっておりまして、前年同期比で、小型魚が115%、大型魚は200%の漁獲量となっております。
 令和4年度の実績としましては、小型魚の漁獲量が84.7トン、大型魚が63.3トンとなっております。
 定置網に入ったクロマグロの放流量の実績でございますが、令和4年度は約739トン、令和5年度には、現在、まだ定置網の漁業権者のほうで集計ができておりませんので、数字的には把握できていないところでございます。
〇斉藤信委員 令和4年度を既に超えているということですから、漁獲割り当ては全部消化したということですか。ことしの漁獲割り当ては増加したのですか。そこの対比を示してください。
 実は、12月というのがクロマグロの価格が一番上がるときなのです。漁民にしてみれば、この時期に出荷したいということになるのだけれども、その割り当てと今の漁獲高の関係を示してください。
〇太田漁業調整課長 今年度のクロマグロの漁獲可能量、割り当てでございますが、小型魚につきましては96.8トン、大型魚につきましては64.9トンになっておりまして、先ほど話しました漁獲量でいきますと、小型魚につきましては漁獲可能量の85%、大型魚が漁獲可能量の80%になっているところでございます。
〇斉藤信委員 定置というのは待ちの漁業で、そこにどんどん高級魚が入ってくる。しかし、割り当てが少ないために漁獲の5倍以上を放流する。放流というのもまた大変な作業なのです。網に入ったものを全部流さなくてはならないぐらいのことになるわけです。
 この間の推移を見れば、クロマグロは資源がかなり回復しているということなのではないか。これは国の責任ですけれども、国全体の漁獲割り当てを拡大することと、もう一つ、実は岩手県の割り当ては、大型魚より小型魚のほうが多いわけです。資源を守るというのだったら、大型魚をとって、小型魚を流すのが本来の姿。この点でも国内における割り当てがいびつではないか。この是正も求められていると思いますけれども、この取り組みはいかがでしょうか。
〇太田漁業調整課長 クロマグロの漁獲量につきましては、県では国に対しまして、クロマグロの資源量の増加に合わせ、漁獲可能量を速やかに増加させるよう要望しているところでございまして、今後も国に対して積極的に働きかけていきたいと考えているところでございます。
 また、大型魚に対して小型魚の漁獲割り当て、可能量が多いところにつきましては、中西部太平洋マグロ類委員会が、クロマグロの資源管理につきましては小型魚を保護することを目的にしておりまして、本来でありましたら、国内に配分されている漁獲可能量でいきますと、小型魚が4、194.8トン、大型魚が6、776.8トンと、大型魚のほうが実際には多い状況でございます。
 ただ、本県の定置網漁業では、従来、小型魚の漁獲実績が多かったことから現状の配分になっております。近年は、大型魚が非常に来遊しているというところもありますので、小型魚と大型魚の振りかえ制度や融通制度を利用するとともに、漁獲の実態に合わせました漁獲可能量となるように、国に対して要望しているところでございます。
〇斉藤信委員 実はもう一つ理由をいいますと、日本は大型船による大型魚の漁獲高を優先している。これは国会でも取り上げられたのですけれども、諸外国は違うのです。地元の漁民にたくさん割り当てをして、大型船については少なくしている。これは日本の場合、逆なのです。恐らく倍ぐらいは大型船への割り当てになっている。ここの是正も強く求めていただきたいと思います。
 水産の最後に、本年10月26日にアワビの事前入札会があって、前年同期比26%の下落だった。これは、汚染水海洋放出による中国などの輸入禁止の影響ではないかと思います。岩手県の場合、他県と比べて量は少ないといっても、ナマコやホタテもですが、北海道は暴落しているのです。価格下落の状況について、わかる範囲で示していただきたい。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 アワビの入札会については、11月に漁獲する分の入札会を10月下旬に開催いたします。
 先日行われました11月分の入札会では、単価が4万円ほど下落、率にして3割程度下落という実態でございまして、県漁連といたしましては、ALPS処理水による影響であろうというコメントでございます。
〇斉藤信委員 私は、この点も本当に看過できない問題だということも指摘しておきたいと思います。
 最後に、林業の関係でお聞きいたします。
 いわて木づかい住宅普及促進事業の目標と、これまでの実績はどうなっているでしょうか。
〇嵯峨参事兼林業振興課総括課長 いわて木づかい住宅普及促進事業の目標でございますけれども、まず、令和3年度は、新築130件、リフォーム20件、合わせて150件の想定件数に対して、新築116件、リフォーム10件、合わせて126件の実績となっております。
 令和4年度は、新築130件、リフォーム10件、合わせて140件の想定件数に対し、新築126件、リフォーム16件、合わせて142件の実績となっております。
 令和5年度は、10月20日時点でございますけれども、目標が、新築140件、リフォーム20件、合わせて160件の想定件数に対し、申請は、新築112件、リフォーム9件、合わせて121件となっております。
〇斉藤信委員 いわて木づかい住宅は、目標、実績も令和3年度、令和4年度とずっと前進してきて、令和5年度は、ホームページを見ると申請が終了となっていましたね。なっていませんか。―まだ受け付けている。では、令和5年度はまだ伸びるということですか。
〇嵯峨参事兼林業振興課総括課長 今年度の状況でございますけれども、前に資料提供したのは10月20日時点でございましたが、先ほど聞いてきましたところ、今、新築が123件、リフォーム9件で、計132件ということで、あともう少しだけ申請の枠があるという状況です。間もなく終了になるかと思いますが、そういった状況でございます。
〇斉藤信委員 これは環境生活部でも県土整備部でも取り上げるのだけれども、今、気候危機打開、地球温暖化防止対策で、家庭部門のCO2削減の一つのポイントが住宅なのです。高気密、高断熱の住宅、太陽光発電などを設置したZEH基準を上回る住宅の整備が、これからの大事な課題になっていると。
 しかし、農林水産部は農林水産部で、県土整備部は県土整備部でリフォーム助成をやっていて、どうも一本化にならない。国もさまざまな住宅リフォームへの助成の事業があるのです。国の事業も県の事業も、できれば市町村も含めて一つの窓口にして、そして、高気密、高断熱、太陽光発電などを設置した住宅の普及を統一して進める必要があるのではないか。この点について、どのような各部間の協議がなされているのか、そのことを示してください。
〇嵯峨参事兼林業振興課総括課長 住宅関係の申請窓口の一本化というお話でございますけれども、先ほどお答えした、当部で所管している、いわて木づかい住宅普及促進事業と県土整備部が所管しております住みたい岩手の家づくり促進事業というリフォームとバリアフリーの加算のものがあるのですが、こちらにつきましては、窓口を一本化いたしまして、岩手県木材産業協同組合で一括して申請をお受けしている状況でございます。
 さらに、建築住宅課では、ZEH基準のほか、さらに高性能のリフォームとか構造の補強なども所管しているのですが、そちらについては、専門的な部分もございまして、県土整備部で受け付けをしているということでございます。
 そういうところで、申請の確認に専門的な知識が必要になるなど、全ての事務を一つの窓口で対応する上での課題があるということで、できるものは県土整備部とも連携して一本化しておりますけれども、今そういう状況でございます。
 これにつきましては、まず、県民が一元的に情報を得ることができるよう、今まで関係部局とも連携して、わかりやすい情報提供に努めてきておりますので、引き続き、取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 確かに、いわて木づかい住宅普及促進事業のチラシには、一番下に、住みたい岩手の家づくり促進事業が少し入っています。それは、こちらのほうの予算が大きいからこういうことになるのでしょう。
 私が提起したのは、そのバージョンアップなのです。今、私たちが目指すべき住宅とはどういうことなのか。高気密、高断熱、太陽光発電を設置した、気候危機打開、温暖化防止に貢献できる住宅に一体で取り組む必要があるのではないか。既に長野県などはそういう形で一本化して、住宅の性能のレベルも決めて、補助額も決めている。鳥取県もそうです。
 そういうことで、私は何回も取り上げているのだけれども、ぜひ、各部局でしっかり協議をして、バージョンアップした住宅整備に貢献できるような取り組みにしていただきたい。
〇柳村一委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇柳村一委員長 質疑がないようでありますので、これで農林水産部関係の質疑を終わります。
 農林水産部の皆様はお疲れさまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時2分 散会

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