令和5年9月定例会 決算特別委員会会議記録

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令和5年10月30日(月)
1開会 午前10時1分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 昆 野 岳 晴
議事管理担当課長 藤 平 貴 一
主任主査 佐 藤 博 晃
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 及 川 雄 也
主査 阿 部 真 人
主査 堀 合 俊 彦
主査 三 浦 訓 史
1説明員
環境生活部長 福 田   直
副部長兼
環境生活企画室長 小 國 大 作
環境担当技監 佐々木 秀 幸
若者女性協働
推進室長 阿 部 美登利
環境生活企画室
企画課長 中 村 公 一
環境生活企画室
管理課長 藤 川 耕 平
グリーン社会
推進課長 高 橋 政 喜
ジオパーク
推進課長 土 澤   智
環境保全課
総括課長 加 藤 研 史
資源循環推進課
総括課長 古 澤   勉
自然保護課
総括課長 酒 井   淳
県民くらしの
安全課総括課長 佐 藤 義 房
廃棄物施設
整備課長 石手洗   慎
食の安全安心課長 千 葉   正
消費生活課長 大 坊 真紀子
青少年・男女
共同参画課長 藤 井 茂 樹
連携協働課長 大 内 玲 子

労働委員会
事務局長 宮   昌 隆
審査調整課
総括課長 四 戸 克 枝

商工労働観光部長 岩 渕 伸 也
副部長兼
商工企画室長 高 橋 孝 政
定住推進・雇用
労働室長 三 河 孝 司
ものづくり自動車
産業振興室長 十良澤 福 志
観光・プロ
モーション室長 高 橋 利 明
商工企画室
企画課長 齋 藤 深 雪
商工企画室
管理課長 藤 枝   修
経営支援課
総括課長 小野寺 重 男
産業経済交流課
総括課長 畠 山 英 司
特命参事兼
地域産業課長 金 野 拓 美
特命参事兼
雇用推進課長 駒 木 豊 広
労働課長 菅 原 俊 樹
特命参事兼
ものづくり産業
振興課長 小 野 和 紀
特命参事兼
自動車産業
振興課長 小笠原   徳
特命参事兼
産業集積推進課長 松 本   哲
特命参事兼
プロモーション
課長 大 越 治 仁

会計管理者 木 村   久
会計課総括課長兼
会計指導監 今 雪 博 貴

監査委員 五 味 克 仁
監査委員 中 野 玲 子
監査委員事務局長 藤 澤 良 志
監査第一課
総括課長 及 川 博 英
監査第二課
総括課長 佐々木 良 生

財政課総括課長 佐 藤 直 樹
〇柳村一委員長 これより本日の会議を開きます。
 この際、去る10月25日のふるさと振興部の審査において、臼澤勉委員から執行部に対し提出要求のあった、岩手県立大学における理事長の報酬決定の際の会議録等の取り扱いについて、本日開催した世話人会の協議の結果を報告いたします。
 臼澤勉委員から提出要求のあった資料については、執行部から提出する旨の報告がありましたので、各委員に配付するとの結論に至ったところであります。つきましては、本日お手元に配付いたしておりますので、御了承を願います。
〔参照〕
配布資料
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、議案第22号及び議案第23号の以上17件を一括議題といたします。
 本日は、環境生活部、労働委員会及び商工労働観光部関係について延べ25人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしました。
 また、関連質問の取り扱い、換気のための休憩につきましては、これまでと同様でありますので、御協力をお願いいたします。
 初めに、環境生活部長に環境生活部関係の説明を求めます。
〇福田環境生活部長 令和4年度の環境生活部の決算について御説明申し上げます。
 初めに、当部所管の事務事業に係る取り組みと成果及び今後の取り組み方針について、総括的に御説明いたします。
 当部では、東日本大震災津波からの復興を着実に進めるとともに、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期しながら、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策の着実な推進を図るほか、重点テーマであるグリーン社会の実現に向けた取り組みの積極的な推進に取り組んでまいりました。
 まず、復興推進関係についてですが、災害に強く安全で安心な暮らしを支える防災都市・地域づくりに向け、災害にも対応できる自立、分散型のエネルギー供給体制の構築などに取り組みました。
 続きまして、政策推進関係でありますが、自然環境の分野では、多様ですぐれた環境を守り、次世代に引き継ぐため、鹿等の野生動物による被害防止対策の推進や、自然公園施設の整備を進めました。
 また、循環型地域社会の形成に向け、廃棄物の発生抑制や循環的な利用、適正処理を推進するとともに、脱炭素社会の形成に向け、温室効果ガスの排出削減対策の推進や再生可能エネルギーの導入促進に取り組みました。
 参画の分野では、性別や年齢、障がいの有無にかかわらず活躍できる社会をつくるため、岩手県男女共同参画センターを拠点とした学習機会の提供や、若者や女性が活躍できる環境づくりに取り組みました。
 今後におきましても、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策の着実な推進を図ってまいります。
 続きまして、令和4年度の当部関係の決算の概要について御説明申し上げます。令和4年度岩手県歳入歳出決算書の18ページをご覧ください。
 環境生活部関係の決算は、3款民生費2項県民生活費の一部と4款衛生費2項環境衛生費、22ページに参りまして、12款公債費1項公債費の一部と13款諸支出金2項公営企業負担金の一部であり、予算現額の総額は129億1、465万円余、これに対する支出済額の総額は113億7、804万円余であります。
 18ページにお戻りいただきまして、令和5年度への繰越額は11億3、693万円余であります。
 決算の内容につきましては、令和4年度歳入歳出決算事項別明細書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので御了承願います。
 以上で環境生活部関係の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇柳村一委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事の進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇高橋はじめ委員 私からは、再生可能エネルギーに関して何点か伺いたいと思います。
 (仮称)盛岡薮川風力発電事業に係る知事の意見というものが令和5年2月27日付で株式会社レノバ宛てに提出されておりますが、この内容について、まず伺いたい。その後の推移についても、あわせて伺いたいと思います。
〇加藤環境保全課総括課長 (仮称)盛岡薮川風力発電事業についてでありますが、本事業は、株式会社レノバが盛岡市薮川地区において、単機出力が最大6、100キロワットの風力発電機を最大40基設置するものであり、令和4年12月に環境影響評価法に基づく環境アセスメント手続の第1段階である配慮書が提出されたものでございます。
 配慮書に対する知事意見においては、岩手県環境影響評価技術審査会から、事業区域がイヌワシの生息地と重複するなどの課題が指摘されたことを踏まえ、令和5年2月にイヌワシへの影響を回避することなどを求める意見を事業者宛て送付したところでございます。その後、令和5年3月に経済産業大臣から同様の意見が出されております。
 今後、環境アセスメントの第2段階である方法書手続が予定されておりますが、現段階で具体的な相談はございません。
 配慮書意見、追加の調査を踏まえまして、次のステップに向けての検討がなされているものと思慮されます。
〇高橋はじめ委員 私も見させていただきましたけれども、この意見書の中身で、総括的事項6項目に加えて個別的事項8項目が記載されております。こうしたさまざまな観点から計画全般を見ているということでは、私は大変すばらしいと思ったのですが、これまで認可されて、今、稼働しているものにつきましては、同じような審査をしっかりとやられてきたのかどうか、その辺についてお尋ねしたいと思います。
〇加藤環境保全課総括課長 知事意見における項目についてでございます。総括的事項として、関係者への十分な説明や定量的な手法による評価、他事業との累積的影響の評価など6項目、個別的事項として、水環境、動物、植物など8項目を記載しております。
 知事意見で指摘する項目につきましては、風力発電事業の事業特性、それから、事業区域の地域特性を踏まえて選定しておりますことから、他の事業と一概には比較できませんが、重大な環境影響を懸念される事業については、同様の項目を指摘しているところでございます。
〇高橋はじめ委員 ぜひこういう項目について、これからもそれぞれの計画が出てくるのでしょうけれども、しっかりと審査していただければと思っております。
 次に、再生可能エネルギー導入に関する条例を制定できないかということであります。再生可能エネルギー導入に当たっては、事業者が計画を立てて立地市町村に申請し、その後、関係法令に基づく許認可を県に申請という流れと私は思っているのですけれども、県の関与が法令チェックという状況であります。社有地という中にあって、容易に認可後の発電施設への立ち入りができないという問題などがあり、事業認可条件の遵守、施設の稼働状況や安全管理などの立入検査等を実施するためには条例を制定すべきではないかと私は考えるところであります。
 東北地方や北海道に多くのメガソーラー、風力発電施設建設計画を多くの民間事業者が計画しております。山間地とはいえ大規模太陽光発電設備の整備が相次いでおり、森林伐採や用地造成によって景観の悪化や、近年の記録的な集中豪雨など自然災害の懸念もあります。このような中で、全国の自治体が景観や災害防止などから動き出しているというのが現状かと思います。
 山口県岩国市では、条例の制定に動き出しているということでした。国が自然エネルギーを推進している状況にあっても、それぞれの自治体がいかに自然環境を守るかをあわせて考えていかなければならない。法の縛りでは制御できない部分も出ているのが現状であり、条例の制定を検討しているということでありました。
 東北各県でも動きがありまして、福島市が山地への大規模太陽光発電施設の設置をこれ以上望んでいません。用地造成に伴う森林伐採で景観は悪化し、豪雨による土砂流出で災害が起きかねないとして、ノーモアメガソーラーを宣言したということであります。
 これらを含めて、県がさまざまな面で関与していく必要があり、そのためには条例が必要だとも思うわけですが、そのような考えがあるか、あるいは検討はされているのかどうかお尋ねいたします。
〇加藤環境保全課総括課長 再生可能エネルギー導入に関する条例の制定についてでございます。再生可能エネルギーの導入と自然環境の保全の両立が課題になっている中、現行の環境アセスメントは計画段階で環境影響評価を行うものですが、それより前の計画の立案段階、それから、整備後の運用段階における関与についても、条例による規制に限らず、さまざまな方策を検討する余地があると考えております。
 計画の立案段階においては、あらかじめ再生可能エネルギー施設の立地が望ましくない区域をネガティブゾーンとして県が示しておくことが考えられまして、この点については、県、市町村GX推進会議の枠組みで議論を始めておりますので、今後、具体化に向けて検討を進めてまいります。
 また、整備後の運用段階における関与についてです。先ほど立ち入り権限のお話がございましたが、現行では個別法で対応しているところです。その他、公害苦情、それから、環境保全協定での対応などもしているところでございますが、課題の有無を含めて、今後、どのようなことができるか、どのような対応をとる必要があるのか、研究してまいりたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 国と市町村と事業者というラインのような気がしており、今後の検討ということなので、ぜひ直接、県がどこでどのように関与していくかというところが非常にテーマだと私は思いますので、ぜひそのようなことを考えていただければと思っております。
 今、例えば、大船渡市でも元市長が訴訟を起こされている事例もあるので、いろいろな面で事前の対応をとるべきではないかと思っております。
 乱開発防止への県の関与強化、あるいは、発電施設の立ち入りを容認できること、それから、外国資本による用地買収や関与の監視等を含めて、私は条例の検討をすべきと思っています。
 特に、全国で今、心配されていることは、発電施設をつくって、経営的にもおかしいというところで発電施設を転売していく。それが外国資本にもわたっているのではないかという話も出てきておりますので、その辺も監視をしていく必要があるのではないかと思っております。この辺、環境生活部長、条例制定について何か所感がありましたら、お尋ねしたいと思います。
〇福田環境生活部長 御指摘いただきましたとおり、さまざま課題があるところだと感じております。個別法における対応も行われておりますけれども、例えば、電気事業法上の立入検査、これは地方経済産業局が行っておりますが、その中で、例えば、ほかの個別法である、森林法ですとか盛土規制法、もろもろございますけれども、そういう関連法令についても、あわせて立入検査でチェックするであるとか、さまざまな議論が今、国の検討会で行われておりますので、そういう状況も注視しながら、我々としてできる対応について考えてまいりたいと思っております。
〇高橋はじめ委員 ありがとうございます。今、青森県青森市で八甲田山麓の風力発電の計画見直しということになってきているようであります。加えて、報道で宮下新知事が再生可能エネルギー事業者への新税を検討するということがありました。私もこれはいい考えだと思っておりますけれども、この新税導入ができるかどうかもわかりませんが、今後の検討事項として考えられるのかどうかをお尋ねしたいと思います。
〇高橋グリーン社会推進課長 再生可能エネルギー税の導入についてでございます。青森県における検討は、再生可能エネルギーの普及と自然保護の両立を図ろうとするものであると認識しております。再生可能エネルギーの立地に当たりましては、地元市町村が事業者と協定を結んで、売電収入の一部を協力金などの名目で市町村の財源とするという動きもございますので、市町村重視の観点で考えますと、一律に県税として課税するよりも、どのような形で事業者の方に負担を求めるのか適当なのか、今年度創設した県市町村GX推進会議などを通じて、今後議論していくこととしております。
〇高橋はじめ委員 市町村の関係というところも理解はできますが、市町村との癒着ではないですけれども、事業者から寄附金を受けることによって、いろいろな面で甘くならないかと私は心配しているのです。市町村の財政が少し豊かになるということについては、私は必要かと思いつつも、問題点が起きたときに業者との癒着がそこで生まれなければいいという心配もありますので、ぜひそのあたりも含めて、さまざまな検討をしていただければと思っております。
 次に、発電設備の処分についてであります。
 まず初めに、県内の風力発電及び太陽光発電の稼働状況、それから、今後の設置計画の状況についてお伺いしたいと思います。
〇高橋グリーン社会推進課長 県内の再生可能エネルギー、風力と太陽光についての状況についてでございますが、国が公表しております固定価格買取制度の認定を受けた発電設備につきまして、最大出力が1メガワット以上のもので稼働中のものは、ことし8月時点になりますが、風力が8カ所、太陽光が158カ所でございます。
 また、計画中のものは、同じ条件になりますが、風力が8カ所、太陽光が4カ所となっております。
〇高橋はじめ委員 太陽光発電設備158カ所というのは、非常に多いなと思っておりました。高速道路を走りますと、県北地域ではメガソーラーが目に入ってきますけれども、大きなメガソーラーが県内各地に展開されていると思っております。
 そうした中で、発電設備の耐用年数経過後の処理、あるいは、事業所が倒産した場合の発電停止時の設備の処理とか処分だとか、そういうものへの対応はどのようになっているか、お尋ねしたいと思います。
〇古澤資源循環推進課総括課長 発電設備の耐用年数経過後の事業所倒産後における発電設備の処理についてでございますが、発電設備の処理につきましては、一般的に、解体後、金属、ガラスくず、コンクリート殻は再資源化され、その他は廃棄処分されております。
 その中で、太陽光発電設備につきましては、2022年7月から太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度によりまして、10キロワット以上の事業用太陽光発電設備について、廃棄物処理の費用を担保しているところでございます。
 一方、事業所倒産等により適正な処理が行われないことが懸念されておりまして、このことから、国におきまして、再生可能エネルギー発電設備の廃棄、リサイクルのあり方に関する検討会を本年4月に立ち上げまして、事業終了後の使用済み太陽光パネルの安全な引き渡しやリサイクルを促進するための制度的支援等について検討が進められていると承知しております。
 県としましても、耐用年数経過後の発電設備が適正に処理される仕組みを構築するよう国に対し要望しているところでございます。
 万が一、今後、発電設備が放置される事案が発生した場合には、関係法令に基づき適正に処理されるように対応してまいります。
〇高橋はじめ委員 環境省によると、2030年代後半には耐用年数を過ぎるなどした発電設備の廃棄費用、これはどのくらいかというと、1万キロワットのメガソーラーでは約1億3、000万円程度の資金が必要だということで、今、それらを含めて積立金義務化というお話もありました。この義務化は、さかのぼって積み立てしていないところはきちんと積み立てしているのかどうか、あるいは、積み立てをまだしていないところは早急にやってもらうとか、その辺のチェックなどはどうなっていますか。
〇古澤資源循環推進課総括課長 国の制度でありますので、積み立ての状況につきましては、現在、県ではチェックはしていないという状況であります。
〇高橋はじめ委員 国の制度でありますけれども、立地場所は岩手県内ということになりますので、国とどういう協議ができるのかわかりませんけれども、そのところはしっかりとチェックをしながら、事業者にはしっかりと積立金を担保してもらう。そしてまた、その積立金が内部なのか、外部の機構のほうの積み立てなのか、そこもしっかり区分しておかなければならない。内部だと、企業が倒産した場合、多分、債権者に積立金を流用されてしまったら元も子もないわけです。
 そのあたりも含めてきちんとチェックをする必要があるし、資源エネルギー庁が出した資料も見ているのですけれども、新しい制度も積み立て開始が耐用年数の10年前から積み立てのような感じにしか見受けられないので、私は稼働し始めてから積み立てをしっかりとやっていくということが必要ではないかなと思います。
 その辺を含めて先ほど条例の話をしたのですけれども、今後どういう取り組みができるのでしょうか。そのあたりをお尋ねします。
〇古澤資源循環推進課総括課長 今、高橋はじめ委員から御指摘ありましたとおり、国の制度ではありますが、県としまして情報収集できるところは収集し、事業者に対してもどこまで指導等で、かかわれるかというのはあるのですけれども、そこら辺は検討してまいりたいと思います。
〇城内愛彦委員 それでは、お伺いしてまいります。ニホンジカの状況についてでありますが、被害の状況はどのようになっているのか。あわせて、駆除はどれぐらいしたのか、頭数についてお伺いしたいと思います。
〇酒井自然保護課総括課長 ニホンジカにおける被害の状況及び駆除の頭数ということでございますが、令和4年度の農業被害額につきましては、速報値で、前年度比約6、000万円増の約2億7、400万円となっておりまして、農業被害額の全体の約6割を占めるという状況になっております。
 また、令和4年度の捕獲頭数でございますけれども、過去最多であった令和3年度に並ぶ2万6、000頭余りとなっているところであります。
〇城内愛彦委員 これまでの農業被害については、しっかりと調べてくれという話をしました。被害を届ける手続が結構面倒なので、泣き寝入りをしている方々がまだいらっしゃるようであります。しっかりとその点については調査をしていただいて、どういう対応をとるべきかという根拠にしてほしいと思っています。
 駆除頭数についても、2万6、000頭捕獲してもまだまだたくさんいるのです。それを考えると、根拠になる数字、目標値が明確ではないのではないかと感じざるを得ません。しっかりとそういうベースになる根拠を調査するというのが必要だと思うのですが、その調査については行っているのか、お伺いしたいと思います。
〇酒井自然保護課総括課長 ニホンジカの推定生息数の調査の関係でございますけれども、現在、令和4年度の鹿管理計画が動いているところでありますが、こちらの計画を策定するに当たって、鹿につきましては、ふんの塊の調査をやっておりますけれども、こちらの調査によって鹿の生息数を推定しておりまして、現在、直近の考え方でいきますと、約10万頭ということで、これを計画期間内に減らしていくという考え方のもとで、現在、鹿管理計画の中では年間2万5、000頭以上という形での目標を掲げさせていただいているところでございます。
〇城内愛彦委員 その数字ではなかなか減っていかないと言わざるを得ません。例えば、夜間の空中ドローン等でしっかりとした数を捉えて、それでしっかりと計画を立てるべきだと思うのです。人海戦術だと限界があります。その辺も含めて前向きに検討してほしいと思うのですが、そういうことも含めて事業に盛り込む余地というのはあるのですか。
〇酒井自然保護課総括課長 調査の方法というところでございますけれども、今後、有識者が集まる協議会の中で、推計の方法などを検討させていただくことになりますけれども、御意見のあったような、ICTを使ったような手法などにつきましても、これまでのふん塊調査以外の方法ということで御意見があって、採用できる部分があるのであれば、そういう御意見も伺いながら、可能な限り精度の高い生息地調査ができるように進めていければと考えております。
〇城内愛彦委員 これは農業被害だけではなく、自動車事故等も多数発生しています。保険業者に言わせると、鹿とぶつかったというのは結構ある。また、JR山田線も含めてですけれども、鉄路も鹿によってとまる。そういうことが多々あるわけでありますので、もともとは五葉山の一角にしかいなかった鹿が一気にふえてしまった。それはまさに、皆さんが鹿管理計画も含めて政策的に間違っていたと、私はそう言わざるを得ない。その結果が他県まで、青森県にも行っているし、秋田県にも行っている。そういう状況に来ているわけですから、しっかりとこの際、お金をかけて調査をして、対策を立ててほしいと思うのです。
 そこで、今後の見通しをお伺いするのですが、今の数字ではまだまだふえていくということを私は今、申していますので、それ以上の見通しも含めて示してください。
〇酒井自然保護課総括課長 今後の捕獲の頭数の見込みということでございますけれども、まず、今年度に関していきますと、計画上は2万5、000頭以上ということでさせていただいているところでございますが、こちらを上回る実績なども踏まえまして、今年度につきましては、2万7、000頭の目標で捕獲を進めさせていただきたいと考えておりますし、今後、生息数の推定に当たりましては、令和9年度からの次の計画をつくる際の調査がございますので、その際にまた検討させていただければと考えております。
〇城内愛彦委員 次の計画と簡単に言いますけれども、そういう状況ではないということを認識してもらいたいのです。まさに喫緊の課題だということですよ。そういう悠長なことを言っていると、どんどん鹿はふえていくわけです。駆除する猟友会の方々も皆さん年をとって、私はよく猟友会の総会に呼ばれるのですけれども、鹿はとっても年とるなと皆さんしゃべっているのですが、それぐらい大変な状況なのです。そこはうまく関係する方々に協力を求めながら、ぜひ取り組んでほしいと思いますが、環境生活部長、いかがですか。
〇福田環境生活部長 御指摘のとおり、かなり厳しい状況だと思っておりまして、鹿管理計画については、専門家の方にも参画いただいてつくっているものでございまして、その中で2万5、000頭というのが出ておりますが、被害状況からすると、それ以上とらないといけないという危機意識を我々も持っております。その中で、2万5、000頭とされている中でも今年度は2万7、000頭と目標を引き上げて対応させていただいておりますので、今後も機動的に、危機感を持って対応してまいりたいと考えております。
〇城内愛彦委員 これまで猟友会の方々とも意見交換する際に、これまで経験したことがない地域に対しても情報を共有しながら、連携をしていかなければならないのではないかという話をしていましたので、そういうことについても、皆さんのほうで協力してやってほしいと思います。
 次に、熊の被害状況についてお伺いします。ことしはドングリが大変凶作で、熊が里にたくさんおりてきているということで、そういう被害が出てきている。町場まで来ているという状況ですので、被害状況とあわせて対策についてお伺いします。
〇酒井自然保護課総括課長 ツキノワグマに関する被害の状況と対策というところでございます。
 まず、ツキノワグマによります人身被害でございますが、昨日も人身被害が発生いたしておりまして、直近の時点で38件41名となっておりまして、こちらは既に過去最多となっております。
 また、あわせまして農業被害のほうでございますけれども、令和4年度の速報値ということでいきますと、前年度と比べ約780万円減ということで3、300万円ということにはなっておりますけれども、こちらは年度間で若干浮き沈みがございますので、大体、年間3、000万円から4、000万円台で近年推移しているところでございます。
 対策につきましては、熊につきましては、捕獲上限数を定めておりまして、令和3年度は546頭でしたが、令和4年度は626頭、さらに令和5年度、今年度は686頭と段階的に引き上げておりまして、来年度はさらに796頭に引き上げるという形で捕獲枠を積み上げているところでございます。
 また、実際捕獲に当たります市町村に対しましては、あらかじめ捕獲の枠を事前に配分することで機動的な対応を可能とする特例許可という制度を運用しておりますが、こちらにつきましても、今年度は非常に熊が多く出没しているということで、このほど市町村からの要望を踏まえまして、枠の追加配分というのをさせていただいたところでございます。
〇城内愛彦委員 これは被害が出てからでは遅いということを言わざるを得ません。観光地でもたくさん被害が出ています。私の住んでいる宮古市の浄土ヶ浜にも熊がいたという話ですし、私は、それが県全体の観光資源に対する影響もあるものだと思っています。そういうことを考えると、ここでしっかりと対策を打ってほしいと思っています。他県で、熊被害があり、熊を保護して山の中で離したということがあり、駆除すると、それはそれで苦情が来るという今の世の中ですので、そこはしっかりと自信を持って対応してほしいと思います。
 これも今お話ししたとおり、鹿もそうですけれども、熊のほうは人的被害が出ると大変重篤なことになりかねないということですので、保護も大事ですけれども、熊より人を保護してほしいと思うのです。その辺どうですか、酒井自然保護課総括課長。
〇酒井自然保護課総括課長 捕獲した後の熊の対応というところでありますけれども、今年度はまだ途中なので、8月の時点までのものしか細かいところがまとまっておりませんけれども、今年度8月末の時点ですと、274頭の熊を捕獲していますが、そのうち城内愛彦委員からお話があったとおり、山に再度放す、いわゆる放獣につきましては3頭のみで、割合とすると1.1%です。通常の場合ですと、有害性があるということで捕殺処分をしているのが本県の場合の実態になっております。
〇城内愛彦委員 一回来たものは、放してもまた来るのだそうですので、殺処分といいますか、処分はきちんとしてほしいと思います。
 最後ですけれども、イノシシの状況であります。イノシシの被害も大変な状況であるというのは皆さんわかっているところなのですが、イノシシの被害の状況と、駆除の頭数についてお伺いしたいと思います。
〇酒井自然保護課総括課長 イノシシの被害状況と捕獲の状況でありますけれども、令和4年度の被害額は、前年度比ですと970万円減の約4、200万円ということになっておりましたが、たまたま令和4年度は低かったのですけれども、ここ数年増加傾向となっております。
 令和4年度の捕獲頭数のほうでございますけれども、平成28年度ごろまでは100頭弱でしたけれども、令和4年度につきましては979頭まで捕獲頭数を伸ばしているという状況になっております。
〇城内愛彦委員 これもまた、イノシシはたくさん子供を生んで、それがすぐ大きくなって大変な状況になるということです。これもまたしっかりと駆除してもらわなければならないものだと思っています。特に、イノシシは豚熱を媒介するという可能性もあるわけでありまして、それも実例としてあるわけです。
 ぜひしっかりと対応してほしいのですが、これとてここ10年で、私も議会にお世話になってから取り上げ始めた案件ではありますが、こんなにふえるとは正直思っていませんでした。もっと早く打つ手があったのではないかと思うのです。自然保護課だけの対応ではいけない問題だと思うのですが、横展開というのですか、被害を受ける農林水産部関係やいろいろな方々と連携が必要だと思うのですが、その辺はタッグを組んでやっているのか、お伺いします。
〇酒井自然保護課総括課長 野生鳥獣の被害に関する農林水産部との連携ということでございますけれども、農林水産部に関しましては、野生鳥獣の管理の関係につきましては、御指摘のとおり、連携しているところでございまして、我々のほうで管理しております有識者が入っております会議には当然、事務局として農林水産部が入っておりますし、さらに、今年度、農林水産部で岩手県鳥獣被害防止対策会という形に岩手県鳥獣被害防止対策連絡会を衣がえしたところでありますが、我々はこちらにも参画しています。
 農林水産部のほうでは、さらに現地対策チームということで、農林振興センター単位で効率的な防除であったりとか駆除に当たってのアドバイザーの派遣といったような取り組みを行っておりますので、こちらもあわせて、農業被害の防止、あと、捕獲頭数を伸ばしていくところに関しまして、連携して取り組んでまいりたいと考えております。
〇城内愛彦委員 イノシシも人に対しては大変な危険性があると猟友会の方々が話をしていました。なかなか捕獲についても、わな等が有効ではないかという話はしていたのですが、今後、先ほど示された970頭を超える頭数の駆除というのは必要になってくると思うのですが、今後の見通しをお伺いしたいと思います。
〇酒井自然保護課総括課長 今後の見通しというところでございますけれども、イノシシにつきましては、鹿と違いまして、かつて県内で絶滅した経緯がございまして、今の調査方法ですと、なかなか正確な推定生息数が把握できていないという状況にはありますけれども、現在、県といたしましては、イノシシにつきましては、可能な限り捕獲するということで、定めなく捕獲を進め、見つけ次第とるという方針で今後も取り組んでいきたいと考えております。
〇城内愛彦委員 ぜひそのことをしっかりと関係機関、捕獲する方々に対してもそうですし、県民の皆さんに危険を喚起するような考え方も持って対応してほしいと思います。そのことによって、以前、決算特別委員会で言って笑われたのですけれども、そのうち人がおりの中で生活するような時代が来るのだと言ったら、まさに今、そういう時代になってきた。電気牧柵の中で人が暮らすような時代ですよ。そういうことがないように、安心、安全な岩手県であるようにお願いをして、終わります。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇千葉伝委員 今、城内愛彦委員から野生鳥獣の関係の質問があって、お答えをいただいたところであります。鹿、イノシシ、熊、この被害については、先ほどそれぞれお聞きしたところであります。
 私も、鹿は本当にしっかりとした対策をやらないと、どんどんふえていくという状況になっていると感じております。今、10万頭ぐらいの推定ということでありますが、来年度捕獲をふやして2万7、000頭までやるということでありますが、それでもまだ減らず横ばいです。横ばいということは、被害がそのまま続いていくということになるので、私は減らす対策をしっかりやらないといけないと思っています。
 鹿の分については、捕獲ということではなくて、一般の人たちは鹿を殺すのはかわいそうだという話もあります。でも、牛や豚などは人間の口に入っていく動物としてやっているわけです。鹿についてもジビエというやり方がある。この部分について、今、大槌町ではしっかりとした対策をやっているのですが、ほかの市町村の状況はどうなっているでしょうかというのが一つ。
 次は熊ですが、とりあえず今、鹿についてお聞きします。
〇酒井自然保護課総括課長 ジビエ肉の利用の状況ということでございますが、県内におきまして、現在、野生鳥獣を使った食肉の出荷という取り組みにつきましては、大槌町のみということになっておりますけれども、そのほかの市町村においても、例えば、地域おこし協力隊の方が今、勉強して、自分のところでできないかというような動きがあるところまでは把握はしておりますが、まだ具体的な事業化までは至っていないという状況でございます。
〇千葉伝委員 ジビエについては、かなり前ですが、国のほうでジビエをどんどん進めるということで全国的な展開をして、岩手県でもどうだという話があったときには、鹿が放射能の関係があって進まなかったという経緯があります。過去はそうだということで、今は鹿を調べて、100頭に1頭が持っていても基準以下だという状況ですので、私はどんどん進めていいのではないかと思っていますが、このジビエに対して、国の補助は何か今あるのでしょうか。
〇酒井自然保護課総括課長 一般的な補助制度ということになりますと、農林水産省の有害捕獲の制度と制度が一緒でございますが、こちらのほうの中で、ジビエの施設整備の関係の補助金といったものなどは、今、メニューとしては運用されています。
〇千葉伝委員 ありがとうございました。いずれ、ジビエも県民にどんどん広めて、おいしい鹿肉を食べるということも私は必要な部分ではないかと思います。捕獲なや殺すということの次の対策の一つだと思っておりますので、よろしくお願いします。
 それから、次は熊です。城内愛彦委員からも熊の被害等々についてありましたが、既に岩手県では2名の死者も出ているという状況で、大変な被害だと私も感じております。
 熊を捕獲する場合はいろいろな捕獲の方法があり、それも猟友会のほうで銃、あるいは、わな、岩手県では、鹿は1頭幾らということで農林水産省側、それから、厚生労働省側のほうからもハンターに対して補助が出ているのですが、熊はあるのでしょうか。
〇酒井自然保護課総括課長 現行、ツキノワグマにつきましては、有害捕獲の制度によって捕獲を進めておりますので、こちらは市町村のほうで有害捕獲をした際に、捕獲隊のほうに報奨金という形で支払われる仕組みになっております。
 県が取り組んでおりますのは、指定管理鳥獣事業ということで、こちらはイノシシと鹿だけが対象になってごおりましたので、県として熊の捕獲事業というのは現状は行ってはおりません。
〇千葉伝委員 市町村のほうで独自に対応しているという部分で、どの程度出ているか、もしわかれば教えていただきたいです。
 それから、熊については、岩手県は補助が出ていないのですが、お隣の秋田県のほうでも被害がたくさん出ているということで、つい最近の新聞にも出ていましたが、1頭5、000円の補助を出す。それから、銃弾に対しても補助を出すと報道されていましたが、岩手県ではそういうことを今後考えるところがあるのか、ないのか。
〇酒井自然保護課総括課長 まず、有害捕獲の熊につきましては、上限単価、現在8、000円ということになっております。
 あわせまして、秋田県の状況についても御質問がございましたけれども、秋田県と本県で若干事情が違っておりまして、秋田県の場合ですと、ニホンジカやイノシシがほとんど捕獲実績がなくて、秋田県の場合は、熊に重点化した取り組みをされていらっしゃるという御事情があります。本県の場合ですと、熊だけではなくてニホンジカ、イノシシにつきましても捕獲を強化していくという兼ね合いもございまして、まず、熊に関しましては、我々のほうとしますと、お金という制度ではなくて、市町村がより捕獲しやすくするための枠配分に伴う特例許可という制度でもって捕獲を強化するという形で取り組みを進めているところです。
〇千葉伝委員 秋田県は鹿やイノシシが余りいないから、熊に対してはお金を出せるような話もあるやのことですが、そのようなことではなくて、熊の被害を防止するという観点からすれば、本県もかなりの被害が出ている状況ですので、私は秋田県に限らず、本県でもそういったことを十分考えていいのではないかと思います。
 それと、今後の対策の部分をよろしくお願いします。
〇酒井自然保護課総括課長 今後の対策の部分でございますけれども、先ほど城内愛彦委員にも御説明させていただいたところでございますが、特例配分につきましては、今年度、年度当初に一度配分をさせていただいたところなのですが、やはり市町村で捕獲実績が進んで、枠を既に使い切ったというところもございましたので、こちらにつきましては、改めて市町村から希望を募りまして、市町村の希望頭数のまま、さらに追加配分をしているところです。こちらに基づきまして、さらに今年度、捕獲を進めていきたいと思っております。
 それから、11月に入りますと狩猟の期間にも入りますので、狩猟につきましては、一般のハンターの取り組みの中でも、捕獲につきましては積極的に進めていければと考えております。
〇千葉伝委員 関連で話をさせていただいたので、鹿、熊の話までお聞きしました。
 もう一つはイノシシとの話で、イノシシは人間に対する被害もそうかもしれませんが、豚を飼養しているところに対して全国の中でも豚熱が結構出ているという状況であり、イノシシが豚熱を感染させる動物ということでありますので、そこの対策も農林水産省サイドと一緒に頑張っていただきたいと思います。
〇柳村一委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午前10時54分 休憩
午前11時6分再開
〇柳村一委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇高橋但馬委員 先ほど城内愛彦委員と関連質問で大分重複する部分がございましたので、簡潔に聞いていきたいと思います。
 岩手県において、今までの熊の出没件数の最高は、令和2年、3、316件でありますけれども、令和5年9月末時点で3、368件という数値をいただいております。これに10月、11月の速報値と予測値を入れると、実際、何件になるのか。また、この増加の原因をどう分析しているのか、お知らせください。
〇酒井自然保護課総括課長 まず、出没の見込みでございますけれども、こちらは、高橋但馬委員御指摘のとおり、9月末の数値が最新ということになっておりますけれども、仮に、近年一番出没の多かった令和2年度と同じペースで10月、11月に出没したと仮定いたしますと、令和2年度の10月、11月で大体400件ぐらい発生しておりますので、こちらを合計いたしますと、約3、800件と推計できるかと考えております。
 また、出没数の増加要因のところについてでございますけれども、こちらは有識者から聞いたお話なども含めまして、今のところでわかる分といたしますと、まず、春先につきましては、例年より雪解けが早くて、熊の活動が早まったのではないかというところ、さらに、今年度につきましては、熊の主要な餌になるブナの実が大凶作になっているというのが要因ではないかと考えているところでございます。
〇高橋但馬委員 大分件数のほうがふえているということです。
 あとは、人身被害の件は先ほど御答弁いただきましたので、ここは飛ばさせていただきます。
 ツキノワグマの生息数の適正管理の観点から、県が定めるツキノワグマの管理計画において、捕獲上限数を毎年上げているということで、個体数の増の要因をどう捉えているか、お知らせください。
〇酒井自然保護課総括課長 個体数の増の要因でございますが、個体数そのものは、管理計画を定める際に推定生息数を調査しておりますので、これもなかなかはっきりしたことは現時点では申し上げづらいところではございますけれども、考えられる要因といたしましては、先ほど申し上げたブナの実に関しまして、昨年度につきましては並作ということで、平年並みのブナの実が結実し、その点、熊が餌に困らなかった関係で、熊の自然死が減少したこととか、栄養条件がいいということで子熊が多く生まれたのではないかといったところが考えられるところでございます。
〇高橋但馬委員 県では、ホームページでツキノワグマによる人身被害状況、出没状況についてマップを掲載して、令和3年から令和5年において、各年で色分けをして人身被害の傾向を示しておりますけれども、過去3年の分析の結果をどう捉えているかお知らせください。
〇酒井自然保護課総括課長 ホームページに掲載しております被害の状況の傾向についてでございますが、人身被害そのものにつきましては、県内各地で発生しているところでございますけれども、場所によっては3年連続で発生しているようなところも散見される状況でございます。
 また、被害の場所につきましても、山間部だけではなく人里などでも最近は多く発生しておりまして、特に本県におきましては、どこにいても熊に遭遇する可能性があると考えております。このため、10月から熊被害の防止のキャンペーンを行っているところでございますけれども、先ほど申し上げました被害の傾向を簡単な名刺大のカードにまとめまして、農業者の方やキノコとりなどで山に入る方々向けに配布して注意を呼びかけているところでございます。
〇高橋但馬委員 今、東北地方でいうと秋田県と岩手県が突出して多いということで、今月24日に環境省が相次ぐ熊被害を受けて、捕獲費用の補助等緊急支援を行うと発表しましたけれども、県としてこの事業への要望状況というのはどうなっていますか。
〇酒井自然保護課総括課長 環境省に対しましては、特にも市街地に出没した熊の関係の体制構築に向けた事業などを要望させていただいていたところでございますけれども、今回、国のほうでも緊急支援を行っていただくと表明していただいたということで、大変ありがたいと考えております。こちらの緊急支援そのものにつきましては、内容がはっきりわからないところもございますので、積極的に情報収集をさせていただきまして、本県でも活用できるように取り組んでいきたいと考えております。
〇高橋但馬委員 私も報道の部分でしか内容を把握していないのですけれども、個体数の管理とか、熊の移動に関しても補助が出るという感じの報道ベースで見ています。けれども、人身被害の状況によって熊の行動範囲を把握するというのは、私的には、どちらかというと前向きではないというか、もっと事前に調べることがあって、被害があったからここが危険だよというのではなく、行動状況を把握するべきで、他県ではGPSを使って、首につけて熊の行動を把握するというのもやっている模様なので、ぜひ国の補助でそれが使えるのであれば、そういう形で前向きな捉え方をするべきだと思うのですけれども、どうでしょうか。
〇酒井自然保護課総括課長 野生鳥獣の関係でいきますと、イノシシ、鹿であれば、今、環境省の補助がある関係もあって、ICTを活用した、イノシシであればGPSを装着して行動圏の調査をするとか、鹿であればくくりわなにセンサーをつけて、かかった時点でお知らせしていただくような捕獲効率を上げるためのICTを活用しておりますが、今回、これまで熊に関しては国庫補助がなかった関係もございまして、GPS調査のようなものはやっておりませんでした。けれども、他県でもいろいろ、GPSやドローンのようなものを使った取り組みなども情報としては把握しておりますので、そういう部分につきましては、高橋但馬委員御指摘のとおり、もし活用するとなった場合につきましては、方策の一つとして検討させていただきたいと考えております。
〇工藤剛委員 私も熊の、特に人身被害ということについてお伺いしたいと思います。重複する部分もありますが、過去5年間の状況を見まして、御答弁ありましたとおり、私も資料をもらっております。それについて質問させていただきます。
 出没数、目撃数でいいますと、令和2年度と本年度が3、000件を超えている。本年度に関しては、大体3、800件ぐらいになっている見込みだというお話もございました。ただ、それ以外の年でも2、000件を超えているという事実はございます。その中で、出没件数と人身被害のベース、人数ベースで考えますと、令和元年度が0.6%、令和2年度は0.9%、令和3年度は0.5%、令和4年度は1%で、今年度は9月末の時点で既に1%を超えている率があるということで、人身被害がふえているという事実はございます。
 また、山か里かで被害に遭われたという状況を見ましても、今年度は特に里のほうに出没しているケースがふえていると考えます。
 そういう状況を踏まえてですが、まずは、県民の皆さんに注意をしてもらうという啓発活動についてお聞きするのですけれども、過去5年間に被害に遭った方で、鈴をつける等により自分自身で注意して山に入ったという方は、不明な方というのもいらっしゃいますけれども、令和元年度では25%、令和2年度では13.8%、令和3年度は7.1%、令和4年度が8.3%、ことしが10月22日時点で15.3%ということで、これだけ被害が出てニュースにもなって、鈴をつけましょう、ラジオを持っていきましょう、情報を入手しましょう、いろいろ注意喚起はしていると思うのですが、依然として自分自身で注意をするという方が少ないと見られます。
 年代別で見ましても、過去5年間で見ますと、70代が圧倒的に多くて38.5%、80代、60代は約21%、それ以外の年代は10%未満という形で、60代、70代、80代で見ますと約82%も占めております。高齢者が多いということでございますが、そういう状況を踏まえまして、啓発活動をどうしていくかお伺いします。
〇酒井自然保護課総括課長 被害の傾向を踏まえた対策ですけれども、まず、全般的な対策といたしましては、今年度、既に熊が多く発生することが予想された関係もございまして、4月に熊の出没に関する注意報を発表させていただいているところでございます。その後、やはり出没が多かったということで、5月に警報という形で、県民の皆様方にトータルの形で注意喚起をさせていただいたところでございます。
 あわせまして、先ほどもお話しさせていただきました10月からは、さらに熊被害防止キャンペーンということで、岩手大学の学生と連携をさせていただいて、熊の生態などにつきまして、県民の皆様方にお知らせをさせていただくイベントを開催させていただいたり、注意喚起カードに関しましては、我々の関係でいいますと、ふだんから山に入られている鳥獣保護巡視員がいらっしゃいますので、こちらの方々にカードを配っていただいておりますし、農業者の方に関しましては、県の農業改良普及センターの農業普及員の方々が日々、営農指導で農家の方々に入られておりますので、そういう方々にカードを携行していただいて、農作業中の方とかにお一人お一人注意喚起をさせていただくという形で取り組みをさせていただいているところでございます。
〇工藤剛委員 さまざまそういう取り組みはされてきているのでございますが、依然として人身被害が少なくならないということと、それから、高齢者がキノコとりとかで山に入る場合は、大概、自分の知った場所に毎年行くというケースが多いようですので、割と危機感が薄いといいますか、勝手知ったるという部分があると思うのですが、さまざま注意喚起はしていても、本気になっていないという部分が見られるのではないかと思っております。ですから、もう少し市町村と連携をとって、例えば、老人クラブの集まりですとか、サロンでグラウンドゴルフとかやっている集まりなどのときにもっと真剣に注意してくださいというような活動も必要ではないかと思うのですが、市町村との連携のとり方を再度深めるといいますか、考えていく必要があると思いますが、いかがですか。
〇酒井自然保護課総括課長 市町村との連携でございますが、工藤剛委員御指摘のとおり、県だけで旗振りをしても、なかなか県民お一人お一人の方々に声が届かないという部分がございます。これまでも市町村に関しましては、まず、一般的な話からしますと、市町村広報であったりとか、出没した場合などですと防災無線みたいなものを使って住民の方々に注意喚起をさせていただいているところもございますし、特に、ことしなどでは出没、被害ともに多くなってきているということで、市町村によっては全戸配布のチラシを配って注意喚起をしたりといったような形で取り組みも強化しているところがございます。
 いずれにせよ、熊被害の防止に関しましては、市町村と密に連携をとりながら、被害防止を最優先で取り組みを進めていきたいと考えております。
〇工藤剛委員 特に私の地元の市でもそうですが、ことしに関しては、学校とか保育所とか住宅街とかに頻繁に出てきているニュースが目撃情報でもあります。今、熊の出没状況をリアルタイムで共有できるようなアプリとかもあるわけですが、学校の先生方、保育所の先生方、一般の県民、市民の方でもそうですけれども、そういうものを活用するように広めていく考えはございませんか。
〇酒井自然保護課総括課長 今のところ、県で運用させていただいておりますのは、人身被害の状況につきましては、被害の都度、マップ化させていただいたものを提供させていただいているところでございますが、出没のほうにつきましては、年間2、000件から3、000件あるということで、いわゆる出没マップのようなものはまだ対応させていただいてはいないところでございます。
 実際、他県で運用されているところもございますので、初期に係る経費や実際どのような運用をしているのかというようなところを研究させていただきながら、本県で運用する場合、どういう形が一番コストパフォーマンスがいいのかなど、研究をさせていただければと考えております。
〇工藤剛委員 いずれ、熊対策、熊のほうもそうですけれども、人のほうも自分自身で気をつけるということをもう少し広めて、そういう空気をつくっていかなければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、熊の個体数が多くなったから人身被害がふえてきているのだという考え方からしますと、先ほど来お話に出ていましたように、個体数を減らしていかなければという話もあるわけですが、国の指針では、推定個体数の12%の捕獲が望ましいとはっきりうたっているわけです。現在の岩手県の推定個体数と、言い方はおかしいかもしれませんが、県が望んでいる個体数はどのようになりますか。もう一度お願いします。
〇酒井自然保護課総括課長 まず、推定個体数の関係でございますけれども、現在、県の第5次ツキノワグマ管理計画の中で推定しております個体数につきましては、直近で3、700頭と推計をさせていただいているところでございますけれども、この計画の中で、個体数を3、700頭から3、400頭まで300頭減らすという方針のもとで取り組みを進めさせていただいているところでございます。
 さらに、12%という捕獲割合の話もございましたけれども、現在、3、700頭に対しまして、今年度の捕獲上限数686頭ということで、比率からいきますと、既に12%を超えたような形で、県のほうで捕獲上限数を定めさせていただいているところでございまして、被害状況ですとか、昨年度は捕獲実績も余り多くなかった関係もあって、現在、捕獲圧を強めるという方針のもとで熊の捕獲を進めているところでございます。
〇工藤剛委員 捕獲頭数ですが、同じ会派の佐々木努委員も環境福祉委員会のときに質問されて、お話を聞かせていただきました。令和4年度ですと、上限数が626頭に対して実際に捕獲した頭数は419頭、令和5年度は686頭の上限数に対して、8月末現在の資料でしたが274頭。上限数は定めているのですが、例年、上限数はとれていないというのが現実のようなのですが、その理由を教えてください。
〇酒井自然保護課総括課長 結果ということになりますので、昨年度も捕獲頭数が少なかったのですが、昨年度の事情を考えると、昨年度は出没数が少ない状況の中で人身被害が比較的多かったという状況だったのですけれども、出没数が少ないと、どうしても熊を見つける機会も少ないということで、それが実際の捕獲頭数に反映されてしまったのではないかというところでございます。
 今年度につきましては、積極的な捕獲を進めているところもございまして、市町村に対しましては、先ほども申し上げましたとおり、特例許可という制度の積極的な活用も進めるようお願いしているところでございまして、現在、686頭の捕獲上限数でございますが、特例許可の配分をするに当たって実績を再精査させていただいたところ、直近で591頭まで捕獲が伸びております。さらに特例許可の配分をさせていただきましたし、今後、11月から狩猟も入ってきて、狩猟による捕獲も進んでまいりますので、今年度につきましては、捕獲上限数を超えるように進むものと今のところ考えているところでございます。
〇工藤剛委員 猟友会の方々が中心にとられるわけですけれども、例えば、各市町村の猟友会の方々が、高齢化してきたとか、狩猟免許を取る若い人が少なくなっているとか、そういう形で実質捕獲できる状況が難しくなってきているということはあるかどうか、お聞かせください。
〇酒井自然保護課総括課長 狩猟にかかわるハンターの方々の状況でございますけれども、本県の状況ということでいきますと、少子高齢化の中ではございますけれども、狩猟免許試験は、毎年かなり多くの方に受験いただいておりまして、確かに高齢者の方が多いことは多いのですけれども、その中でも40歳未満の割合がかつて6.4%くらいということで1桁台だったのですが、直近の令和4年度ですと16.7%くらいまで上がってきておりますので、若手ハンターも本県の場合、徐々に育成されてきているところでございます。
 一番肝心な猟銃の免許を持っていらっしゃる方につきましても、本県の場合でいきますと、令和4年度時点で1、921人ということで、近年、少しずつではございますけれども、大体1、800人くらいだったところが1、900人くらいまでということで、横ばい、または微増ということで、何とか猟銃を持っていらっしゃる方の数も維持できていると考えております。
〇工藤剛委員 私の地元の市でも、新しく免許を取る方には補助金を出して、できるだけ免許を取りやすい環境をつくるということもしていますが、実際に新しく取られた方の話を聞きますと、猟銃に限ってみますと、免許は取りました。ただ、実際撃てるようになるまでは相当の期間がかかる。何とか撃てるようになったとしても、今度は当たらないという状況が割と続いている。正直、免許を取ってからもある程度年数がかかるというのも現実でございますので、できるだけその辺も考慮しながら、早め早めに市町村と連携して猟友会の人たちの人数をもっとふやすように頑張っていただきたいと思います。
 例えば、令和6年度では796頭という目標を掲げられているということですが、現状でこの796頭、とれますか。
〇酒井自然保護課総括課長 捕獲の状況につきましては、各年度の状況で若干変わってくるところはございますけれども、今年度につきましては、先ほど申し上げました、市町村がより獲りやすいような制度とすることによって捕獲を進めているところでございまして、今年度の686頭は何とか、上限数ぐらいまでいきそうなところもございますし、来年度につきましても、こちらは上限数でございまして目標ではないですけれども、この796頭までは捕獲しても個体数に影響がないということで推計されている数字でございますので、可能な限りこの数字に近づけるような形で市町村と連携をとりながら捕獲を進めていきたいと考えております。
〇工藤剛委員 よろしくお願いいたします。
 最後に、今月24日に環境省で駆除や捕獲生息調査といった対策を実施している自治体の経費を補助する緊急支援を行うという発表がございましたが、今の時点で、それに関してわかっていることがありましたら教えてください。
〇酒井自然保護課総括課長 報道等にあります環境省の熊に関する支援の事業に関しましては、問い合わせをさせていただいたところはありますけれども、報道にある以上の内容が実はこちらもまだ把握できていないところがございまして、具体的にどういう取り組みに対してどういう支援があるのかというところにつきましては、引き続き情報収集をさせていただきまして、もし使える制度があるのであれば採択いただいて、県としても活用してまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 私からは2点です。
 いわて女性のスペース・ミモザの活動について、まずお伺いいたします。昨年度のいわて女性のスペース・ミモザの活動実績についてお伺いします。
 あわせて、生理の貧困に係る取り組み、今年度、直近の活動実績についてもお伺いします。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 いわて女性のスペース・ミモザの活動実績でございますが、いわて女性のスペース・ミモザは、新型コロナウイルス感染症の影響により困難を抱える女性を支援するため、国の交付金を活用しまして、令和3年7月から開設したものでございまして、コロナ禍で困難を抱える女性の相談対応や居場所づくり、女性用品の提供等に取り組んでいるものでございます。
 昨年度は電話や対面、メール等で延べ937件の相談が寄せられたほか、市町村や大学、全県立学校等に延べ5、100人分の女性用品を提供したところでございます。
 また、昨年度の生理の貧困に係る市町村の取り組みについては、9市町村が予算措置等により調達し提供したほか、これら市町村を一部含む提供希望のあった26市町村に対してミモザから女性用品を提供したところでございます。
 また、直近の令和5年9月末時点の状況でございますが、電話や対面、メール等で延べ816件の相談が寄せられたほか、市町村や大学、全県立学校等に延べ4、650人分の女性用品を提供したところでございます。
 また、市町村につきましては、7市町村が予算措置等により調達し提供しているほか、これら市町村を一部含む提供希望のあった28市町村に対してミモザから女性用品を提供したところでございます。
〇小西和子委員 ふえているということですね。直近の件数が、半年分としてもおよそ倍になっていると、この数値から見てとれると思いました。
 それでは続けます。いわて女性のスペース・ミモザの活動の評価についてお伺いいたします。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 ミモザでございますが、コロナ禍を契機に設置して3年目を迎えております令和5年9月末時点の相談件数は、先ほど御説明したとおり、前年度同期の実績と比較して倍増しておりまして、ミモザの認知が定着してきたものと認識しております。
 ミモザへの相談内容につきましては、コロナ関連の相談は減少している一方で、家庭内環境の悪化ですとか女性に偏りがちな家事、介護等の負担に対する悩みといったもの、家族に関する悩みの相談がふえております。例えば、話したことで気持ちが楽になった、親の介護のことを専門の資格を持つ相談員に相談できて明るい気持ちになった等の意見が寄せられております。
 また、女性用品を提供した学生などからは、生理用品の無償提供を知って安心した。これからも生理用品の無償提供を継続してほしいといった声が数多く寄せられているところでございます。
 女性が抱えるさまざまな困難を受けとめ、寄り添った支援を行うミモザの取り組みは、女性一人一人の安心感の醸成や課題の解決に向けた糸口に結びついているものと認識しております。
〇小西和子委員 本当に生きにくさを生きやすさに変える、これも人口減少対策の重要な取り組みと私も捉えておりますので、今後の取り組みについて要望いたします。
 二つ目でございます。女性活躍と人口減少対策についてでございます。
 昨年度のえるぼし認定の実績と評価について伺います。あわせて、今年度、直近のえるぼし認定の実績について伺います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 えるぼし認定の実績と評価についてでございますが、国では、女性活躍推進法に基づき、女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況が優良である等の一定の要件を満たした企業をえるぼし企業として認定しているところでございます。
 本県における令和4年度末のえるぼし認定企業数は27社となっております。また、直近の令和5年9月末現在では30社と、徐々にふえているところでございます。この件数は東北1位となっておりまして、厚生労働省の担当者からも、県の施策の寄与が評価される等、女性活躍に向けた取り組みの成果があらわれているものと考えております。
 なお、県では、えるぼし認定につながるよう、平成29年からいわて女性活躍企業等認定制度に取り組んできた結果、直近の9月末現在の認定企業数は474社と順調に伸びてきておりまして、今後も女性が活躍できる環境づくりに向けて取り組んでいきたいと考えております。
〇小西和子委員 順調に伸びてきている、東北1位ということです。
 私のところに相談に来られた方がおりまして、その方が勤務している企業は、えるぼし認定企業なのです。ハラスメントが横行している。パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、マタニティハラスメント、あなたのようにつわりのひどい人を見たことがない、そんなことまで言う上司がいる。相談窓口があるでしょうと言ったら、相談窓口の方に訴えても、体を触ったりする上司もいるらしいのです。そのときに、いやぁ、コミュニケーションをとろうとしているのではないのと真剣に受けとめてくれない。怒っていました。ハラスメント研修があるでしょうと言いましたら、そのハラスメントをしている上司が講師なのだそうです。どうしようもない。その人は何年後に退職ですかと言ったら、何年後ですと。でも、その方の言動を見て、その下の管理職たちは学ぶのだそうです。あしき風土。そういうことがありますので、20代、30代の女性の方々は次々と退職していくのだそうです。
 そこの企業だけかもしれません。えるぼし認定というのは国の事業ではありますけれども、毎年データベースの公表はしているのですけれども、財政でいうと監査のように、抜き打ちで認定基準の確認とか、そういうことをしなければいけないのではないかと思います。
 それから、外部講師を招いてのハラスメント研修を行うべきではないか。ハラスメントは何だかわけがわからない人たちが上司になっている可能性が大でありますので、国の事業ではありますけれども、要望したいのですがいかがでしょうか。所感を伺います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 国のえるぼし認定でございますが、小西和子委員御指摘のとおり、毎年の取り組み内容をホームページ等で公表することが認定を継続するための要件とされていると承知しておりまして、このことは当該企業での女性活躍の取り組みの推進につながるとともに、同社の社会的な信頼の向上等に資するものと認識しております。
 また、ハラスメント防止についてでございますが、えるぼし認定の要件とはなっていないものの、労働施策総合推進法ですとか男女雇用機会均等法などで事業主に雇用管理上の措置が義務づけられておりまして、県におきましても、ワーク・ライフ・バランス出前講座の研修プログラムに取り入れるなどで連携して国と取り組んできたところでございます。
 女性が活躍できる職場環境づくりは、安定的な人材の確保等、企業経営に直結する課題でございますから、認定を取得して終わりではなく、認定後も継続的な取り組みを進めていただくことが重要であると考えております。
〇小西和子委員 よろしくお願いいたします。
 それでは次です。女性の県外流出の解決策の一つとして、働く女性の活躍の見える化に取り組んでいるということでありましたが、実績と課題についてお伺いいたします。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 働く女性の活躍の見える化についてでございますが、県では昨年度、若者女性の県内定着等を図ることを目的に、女性活躍認定企業における取り組みや、働きがいのある職場の雰囲気を伝える動画を作成しまして、高校生や大学生に発信する取り組みを行ったところでございます。
 この動画は、認定企業で生き生きと働く女性社員へのインタビューを盛り込む等、県内で活躍する女性の姿を発信しております。
 また、官民連携組織である、いわて女性の活躍促進連携会議の就業促進部会では、企業経営者や起業家等として活躍している女性委員がラジオやSNSを活用しまして、女性活躍に関する取り組みについて情報発信を行ったところでございます。
 課題といたしましては、若者女性が県内で働きたいと思うためには、本県で生き生きと女性が活躍している姿を継続的に発信していくことが重要であると考えておりますから、今後も、いわて女性の活躍応援サイト等の充実ですとか連携会議の部会とも協力しながら、情報発信に取り組んでいく考えでございます。
〇小西和子委員 特に大卒の女性が生き生きと働けるような企業というのが重要になってくるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次です。ジェンダーギャップ解消に向けた昨年度までの取り組み、あわせて、今年度の取り組みについてもお伺いいたします。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 ジェンダーギャップ解消に向けた取り組みでございます。
 昨年度、県では女性活躍企業認定の普及拡大や企業の経営トップ層の意識改革のための経営セミナー等により、働く場でのジェンダーギャップの解消を図ってきたところでございます。
 また、家庭や地域、学校等のさまざまな場において、ジェンダーギャップが解消されるよう、いわて男女共同参画センターを拠点に、男女共同参画を推進する人材の育成やセミナー等による意識改革に取り組んできたところでございます。
 また、今年度につきましては、これまでの取り組みに加えまして、外部専門人材をいわて女性活躍エグゼクティブアドバイザーとして委嘱し、女性活躍推進のメリットを経営者層に普及浸透させるための講演をキャンペーン的に展開するとともに、モデル企業に社会保険労務士等の専門家を派遣するハンズオン支援や、成長が見込まれるデジタル分野での女性のための就業促進セミナー等に新たに取り組んでおりまして、セミナー受講者からは、デジタルへの理解が進み、挑戦したい気持ちになった等の好評の声が寄せられているところでございます。
〇小西和子委員 アドバイザーを委嘱したということでございますね。それはとてもいいことだと思います。
 それでは、これは商工労働観光部の取り組みというように前回答弁していただきましたけれども、部局横断的な取り組みとして、若者や女性が働きやすく、働きがいのある職場づくりを支援する補助制度とか、若者、女性のスタートアップへの資金繰り支援制度の創設については、商工労働観光部の所管なのでお答えはいただけないでしょうか、どうでしょうか。答えていただけるかと思って聞いたところなので、もし答えられるのであればお願いします。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 商工労働観光部との連携につきましては、先ほど申し上げました、女性の活躍促進連携会議等で一緒になって取り組んできたところでございます。小西和子委員から御紹介のありました、例えば、無利子、無保証料の若者・女性創業支援資金ですとか、若者や女性に魅力ある職場づくりの補助金等、今年度、商工労働観光部においても新しい制度を創設していただいて、連携して取り組んでいるところでございます。
〇小西和子委員 ありがとうございます。大きく前進したという感想を持ちました。
 では最後、岩手県の課題である人口減少対策に率先して取り組むためにも、あらゆる分野でのジェンダーギャップ解消の取り組みが必要と考えますけれども、環境生活部長の決意をお伺いいたします。
〇福田環境生活部長 例えば、デジタル分野で女性活躍が進まないことが男女の賃金格差の一因となっていることから、今月4日に女性デジタル人材育成セミナーを開いたところであり、おかげさまで、定員を満たす参加をいただいたところでありますが、その上で、企業等が女性活躍をどれだけ掲げても、家事や育児などに縛られている限り、与えられた機会を十分に生かせないという懸念もあり、そのことがあらゆる分野でのジェンダーギャップの根本的な原因となっておりますので、家庭内無償労働の負担軽減や遍在是正、これらの点について、さらに取り組んでいけるように今後の施策を検討してまいります。
〇小西和子委員 では、取り組みの強化をお願いして終わります。
〇臼澤勉委員 私からも熊被害の関係で、重複しないように簡潔に聞いてまいります。
 先ほど工藤剛委員の御質問の中で、捕獲上限数に対しての捕獲のギャップのようなお話がありました。私もそこの問題認識を持っていたものですから、確認いたします。
 今回、捕獲上限数796という大きな目標を立てたというのは評価いたします。ただ、これまでの3年間を見ていくと、例えば、令和元年、捕獲上限数375に対して捕獲数が426、114%、令和2年、508に対して555、109%だったのが、令和3年で捕獲上限数546に対して461、84%、令和4年度、626に対して419頭、67%ということで、ここ数年、捕獲上限数に対して8割、あるいは7割を切るぐらいの捕獲実績になってきている。この現状、評価をどのように捉えているのか、改めてお伺いいたします。
〇酒井自然保護課総括課長 捕獲上限数に対して実績との違いという部分でございますけれども、我々のほうとしても捕獲上限数、目標ではないものの、この頭数までは獲っても大丈夫だということで管理をさせていただいている数字でございまして、市町村のほうにはこの範囲内での捕獲をお願いしているところでございます。お話を聞きますと、許可の際に、通常、振興局のほうに申請をいただいて許可をしているのですけれども、許可の部分をもう少し簡便化できないかといったような御意見なども伺っているところでございまして、現在、岩手県の場合ですと、通常許可とは別に、あらかじめ市町村に枠配分する特例許可という制度で運用させていただいているところでございます。
 こちらの特例許可につきましては、発生の都度、市町村が速やかに捕獲できる制度となっておりましたので、これまでの捕獲が少ないという状況も考えまして、今年度につきましては、特例配分を追加で配分させていただいているところでございます。
 あわせまして、配分する際にも、配分させていただいた枠については積極的に使ってほしいとか、本当に緊急な場合、今まさに熊が出没して、捕獲しなければいけない場合などにつきましては、既に市町村に権限移譲しているところでございますので、こういう場合については、市町村の権限で速やかに捕獲していただけますというような制度を改めて周知させていただきまして、捕獲を可能な限り進めていくように取り組んでいきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ここ最近、毎日のように全国各地での熊被害、あるいは人身事故、あるいはお亡くなりになるような本当に痛ましい事故がふえているという状況にあります。今の答弁で確認いたしますが、このギャップが生まれている中で、そもそも申請がないからギャップが生まれているのか、あるいは、あったけれどもとれなかったからギャップが生まれているのか、どっちなのかと思って問題意識を持って今、聞いていたのですけれども、今の答弁ですと、行政の許可のあり方や手続いかんによっては、このギャップは縮小するという御認識でよろしいでしょうか。お伺いします。
〇酒井自然保護課総括課長 まず、許可の制度面の関係につきましては、市町村の御要望なども踏まえまして、可能な限り柔軟化できるように対応させていただいているところでございます。あわせまして、捕獲効率というところになりますと、通常の場合ですと、例えば、農業被害が出た後にわなを設置するということで、その場に熊がいない状況で後からわなを設置するという形が通常になってまいりますので、当然、空振りというケースも出てまいります。実際の現場での捕獲効率のようなものに関しましては、有識者で組織している協議会の中でも課題とされているところでございますので、いかに効率よく捕獲できるか、あわせて研究を進めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 現場をいろいろ歩くと、捕獲効率、実効性を高める対策に対するニーズを非常に強く感じております。各委員からも市町村との連携の話、あるいは、現場、地域ぐるみの対策というようなお話もありましたし、国への新たな、環境省も支援策を準備していくというようなお話でありますので、ぜひその辺の実効性のある取り組みを進めていただきたいということで御要望しておきます。
 それで、前提の中で、捕獲するに当たっても、今、どのくらい熊がいるのかという状況、北奥羽で1、700頭、北上山地で2、000頭というようなことで、3、700頭ということで、岩手県では把握していると伺っております。その調査方法がヘアトラップ生息調査手法ということでずっとやってきておりますけれども、この手法の評価と課題認識についてお伺いいたします。
〇酒井自然保護課総括課長 ヘアトラップ調査の評価と課題認識でございますけれども、ヘアトラップ調査といいますのは、熊の体毛を採取させていただきまして、そちらでDNAを調査するという形で生息数を推計する手法でございます。DNAを調査するという関係もございまして、個体識別の精度は高いとされているところでございますけれども、課題面といたしますと、どうしても分析コストが高くなってしまうというようなところが課題と考えているところでございます。
〇臼澤勉委員 今回の被害の状況においても、全国の中でも秋田県と岩手県が突出して被害が多いという中で、隣の秋田県の第二種特定鳥獣管理計画(第4次ツキノワグマ)の中で、平成29年度から今までやっていたヘアトラップ方式をカメラトラップ調査に手法を変えたことによって、御存じだと思いますけれども、これまで秋田県内の生息数は、1、000頭だったというものが、手法を変えた途端に約4倍にふえて、中間の値とすれば4、400頭ということで、ふえたわけです。
 秋田県は手法の評価においても、この計画書を読み上げると、従来の推定が過小評価だったということをしっかりと明記しながら、これまでの手法を素直にというか、いろいろと見直しをして取り組みをしているというようなところであります。岩手県として、ここら辺の手法の見直しというのをする御予定はあるのでしょうか、お伺いします。
〇酒井自然保護課総括課長 今、秋田県のお話がございましたけれども、カメラトラップ調査のほうにつきましては、ツキノワグマの特徴でもあります胸の白い模様をカメラで撮影することによって生息数を推計する方法でございまして、ヘアトラップよりは費用的には安いとされているところなのですが、一方で、胸の模様がはっきり映らないと、なかなか推計に用いづらいというお話なども聞いているところでございます。
 本県におきましては、ヘアトラップ調査につきましては、実績ですとか有識者の知見等もございます。一方、カメラトラップと地形の条件や調査手法などについても違い等がございますので、有識者の意見も聞きまして、どういうことができそうなのか、応用とかができそうなのか、そういうところは意見を聞いて考えていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 全国の中でもヘアトラップ方式を取り上げている自治体というのは、岩手県のほかにも数県、第12次鳥獣保護管理事業計画でいけば6県ぐらいありますけれども、カメラトラップ方式を採用している自治体も急激にふえております。秋田県、福島県、富山県、長野県、山口県など7県です。調査手法の見直しを検討していく、コスト比較も考えてやっていく必要があろうと思いますし、さらに、階層ベイズ方式というのを取り入れている県も7県ということで、北海道を初めそういうモニタリング手法を取り入れております。
 私は、今の被害の状況、あるいは目撃件数がふえているという状況において、客観的なデータを今まで以上に、見直すか見直さないかも含め、専門家の御意見もいただきながらやっていく必要があるだろうなという問題認識を持っておりますし、ぜひ従来のやり方にとらわれず、全国でも階層ベイズ方式も、以前は兵庫県のみだったのが7県にふえて、さまざまなモニタリングの複数の調査を取り入れながら、因果関係を分析しながらやっているということでございますので、そこら辺の取り組みについてのお考えをお聞きします。
〇酒井自然保護課総括課長 いわゆる階層ベイズ方式というのは、推計していくに当たっての計算方法の手法ということでございますので、兵庫県ですとか北海道などにつきましても、調査のベース自体はヘアトラップ方式で行っているところでございます。
 その方式につきましては、本県も参考とさせていただいているところでございます。推計方法につきましても、今後もさまざまな手法についても研究は進んでいるところでございますので、できる限り、最新の手法で精度の高い推計ができるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇柳村一委員長 この際、臼澤勉委員の質疑の途中ではありますが、昼食のため午後1時まで休憩いたします。臼澤勉委員、御了承願います。
午後0時1分 休憩
午後1時1分再開
〇佐々木宣和副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇臼澤勉委員 それでは、午前中に引き続き、通告していた2番目のほうに入っていきたいと思います。
 午前中も熊対策、あるいは、イノシシも含めて鳥獣被害の対策の一方で、科学的、計画的な保護の観点から、しっかりと対策をとっていくのがまさに環境生活部であり、自然保護課の役割だと理解しておりますが、そういう意味から、鳥獣の保護、管理、総合的な拠点として、岩手県鳥獣保護センターの整備基本構想が平成30年、今から5年前につくられております。これの今の整備検討状況についてお伺いいたします。
〇酒井自然保護課総括課長 鳥獣保護センターの整備検討状況についてでございますけれども、平成30年度に策定いたしました基本構想におきましては、動物という共通項を持ちます動物愛護センターとの一体的整備を検討する方針とさせていただいたところでございます。
 ただ、その後の検討の中で、感染症対策への懸念を理由として、一体的な整備というのは困難ではないかという有識者からの意見が示されてきておりまして、検討を続けてきておりましたけれども、現時点では、この感染症対策への懸念というのを払拭できていない状況でございます。
 一方、現状の施設につきましては、小規模ではございますけれども、設備改修を進めながら施設の長寿命化を図っておりますし、また、現在の場所が野生鳥獣の保護飼養に関しては保護管理に適している場所でございますことから、現状でいきますと、機能維持を図りながら、当面は運営をしていきたいと考えているところでございます。
〇臼澤勉委員 専門家からいろいろ感染症の問題の指摘を受けたという御説明でありましたけれども、しからば、この整備基本構想というのはそもそも何だったのか、基本構想を取りまとめる上では、県民からのさまざまな意見、あるいは専門家の意見なども取り聞きながら、通常であれば進められていくものと私は認識しております。
 平成30年8月には、今、御説明のありましたとおり、動物愛護センターとの一体的な整備計画に合わせて2021年ごろをめどに整備することを目指すということで取りまとめられたというものでございます。
 そこで、お伺いいたしますが、動物愛護センターのほうにも移るのですけれども、まず、今の県内の犬猫の保護、あるいは譲渡の実績を踏まえて、課題認識をどのように捉えているのか、改めてお伺いします。
〇千葉食の安全安心課長 動物愛護管理実績の傾向と課題認識についてでございます。
 令和4年度の実績でございますが、奥州市の緊急保護事案も含めまして、犬の場合は、保護した数が253頭であり、このうち、元の飼い主へ返還できたのが107頭、新しい飼い主へ譲渡したのが137頭、自然死が5頭、譲渡適性がないなどの理由により、やむを得ず殺処分した数が12頭でございました。
 猫の場合は、保護した数は808頭、このうち、元の飼い主へ返還できたのが5頭、新しい飼い主へ譲渡したのが563頭、自然死が138頭、犬と同様に、やむを得ず殺処分した数が81頭となっております。
 過去5年間の実績を見ますと、犬猫ともに保護数と殺処分数は下げどまり、譲渡数は頭打ちの傾向にあると考えております。
 現在、譲渡適性がある犬猫はほぼ全て譲渡できておりますが、これまで譲渡適性がないと判断していた犬猫の譲渡適性を高めたり、幼弱などの理由による自然死を減らす必要があり、ここが課題だと認識しているところでございます。
〇臼澤勉委員 この動物愛護センターについても、平成30年4月に基本構想をまとめて、これについては4月に策定しております。平成33年ごろをめどにということで頑張ると言っておりましたが、もう既に基本構想ができてから6年以上たっております。こちらについては、盛岡市との一体的な整備を進めるということですが、今の検討状況、設置場所の設置状況、検討状況も含めてお伺いいたします。
〇千葉食の安全安心課長 動物愛護センターの設置場所の検討状況でございます。今年度においても、県と市の打ち合わせを継続的に開催し、候補地のほか、施設の運営方法などについて検討を進めております。候補地につきましては、盛岡市内の県及び市の未利用地を中心に絞り込み、現在、最終調整を行っている段階であり、可能な限り早期に候補地を決定し、今年度内には基本計画の策定作業に着手したいと考えているところでございます。
〇臼澤勉委員 常任委員会のほうでもいろいろ議論されましたけれども、環境生活部長も昨年度の答弁で、年度内をめどに候補地選定にこぎつけるということで意気込みを語られておりました。まさに盛岡市、あるいは県の公有地の中で絞り込むということだと思っておりますが、本当にこれは決断をすべき時期だと思うのですけれども、改めて今の候補地選定の状況について、いつまでに、今年度中に決着をつけ、そして、基本構想、基本計画に移るのか、改めてお伺いいたします。
〇福田環境生活部長 御指摘のとおり、昨年、可能であれば年度内を目途に候補地の選定にこぎつけられるよう努力したいと発言させていただいたところでございます。現在、盛岡市とも直接協議させていただくなどしておりますが、現時点で候補地の選定までこぎつけることができていないというのが現状でございます。
〇臼澤勉委員 既にこの構想についても、平成30年4月に動物愛護センターの基本構想、8月に鳥獣保護センターの基本構想をつくっております。知事は了解している事案だと思うのですけれども、知事決裁はとっているのか、そして、これについての構想についても、知事は今の状況を了としているのかお伺いいたします。
〇佐々木宣和副委員長 質疑時間を超過しておりますので、簡潔にお願いいたします。
〇千葉食の安全安心課長 機会を捉えまして、知事等まで御説明して進めているところでございます。
〇佐々木朋和委員 私も動物愛護センターの設置について、お伺いしたいと思います。
 重複しないところでお聞きしたいと思うのですけれども、この基本構想の検討部分として、設置場所のほかに運営方法、施設の性格というのも入っておりました。その部分も含めて、まず、検討状況、先ほど少し設置場所以外にも答弁がありましたけれども、改めてお聞きしたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 検討状況でございますが、運営方法につきましては、公共施設として効率的な運営となるよう、業務委託の可能性について検討しているほか、関係団体として獣医師会、あるいは動物愛護団体との連携のあり方について、丁寧に検討を行っているところでございます。
〇佐々木朋和委員 もう一つ、施設の性格というのも施設整備の基本構想に入っておりました。費用負担の割合等という話もそこには記載されてありますけれども、施設の性格についてはどうなっていますでしょうか。
〇千葉食の安全安心課長 施設の性格でございますが、行政事務を行う公共施設という前提がございます。それに沿って、基本構想の中でうたっている目指すべき姿として、誰でも利用できる開かれた施設であり、多様な主体、あるいはボランティアと協働するような施設ということを実現できるよう検討を進めているところでございます。
〇佐々木朋和委員 盛岡市との協働でということですけれども、費用負担の割合などはお話としては進んでいるのでしょうか。
〇千葉食の安全安心課長 詳しい協議内容につきましては、相手方もあるところですので御説明することは控えたいと考えておりますが、そのような協議も進めているところでございます。
〇佐々木朋和委員 言えないところもあるのでしょうけれども、場所以外にも業務委託の形、あるいは費用負担の割合ということで、先ほど今年度中に場所については出したいという話もありましたけれども、そうすると、全体として、令和3年度をめどとして基本構想では整備時期とされていたわけですけれども、現在の検討状況からすると、いつごろに整備時期となっていくのか、今後の検討の見通しも含めてお示しいただきたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 他県の類似施設の整備状況を見ますと、整備地の決定からおおむね3年から5年程度の期間を要しており、本県におきましても、同程度の期間が必要と想定しているところでございます。
〇佐々木朋和委員 わかりました。それでは、検討状況が確定をされたとしても、また3年、5年かかるということでありまして、なかなか厳しいというところで、次の話に進みたいと思います。
 既存施設の活用についてであります。基本構想では、県北、県南、沿岸地域で捕獲や保護された犬、猫は、地域で返還、譲渡を行うことを原則として、譲渡適性があるものの当該地域で譲渡できなかったものについては動物愛護センターへ移送する体制にするとしております。
 一方で、基本構想の中でも現在の収容施設の課題についても触れられておりまして、今の施設が狂犬病予防法に基づく犬抑留所でありまして、譲渡や触れ合い、あるいは、避妊、去勢手術や負傷の治療を行う施設にもなっていないということが指摘をされております。
 改めて、各施設の統廃合と改修の方向性と、動物愛護センターと各施設の役割分担について、現状考えている部分をお示しいただきたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 既存施設と動物愛護センターの役割分担、そして、既存施設の改修の方向性についてでございます。
 動物愛護センターにおきましては、触れ合い体験等の普及啓発の拠点、あるいは、災害発生時の動物の救護の拠点となるほか、県内各地の動物管理施設から治療等が必要な動物を受け入れることを想定しております。
 また、県の業務のうち、盛岡広域振興局管内におけます動物の捕獲、保護及び愛護関係業務につきましては、動物愛護センターに移管することを想定しているところでございます。
 一方、盛岡以外の広域振興局におきましては、引き続き動物愛護関係業務を所管することから、動物愛護センターの開所後におきましても、各地の動物管理施設を活用することとなりますが、動物愛護センターとの役割分担を勘案しまして、そのあり方についても検討した上で、保護動物の飼養管理に必要となる改修について、計画的に進めていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今の御説明ですと、動物愛護センターの設置の方向性が決まり、その役割分担が決まってから各地域の収容施設というのは改修をしていくというようなイメージでよろしかったでしょうか。
〇千葉食の安全安心課長 改修の時期でございますが、現在、必要な部分、あるいは今後を見据えたところを考えながら、決して動物愛護センターが決まってからということではなく、必要なところから進めていきたいと考えているところでございます。
〇佐々木朋和委員 それを聞いて少し安心をいたしました。先日、吉田敬子委員とともに一関市内の施設を訪れたのですけれども、動物愛護団体から、犬のおりの間の柵を取り払って広い部屋をつくってほしいとか、また、冬季のペット用のカーペットや夏季のポータブルエアコンの使用を許可してほしい。我々で用意するので許可してほしい。電気代や電源の確保をしてほしいという要望もあって、そのような予算もないのかと愕然としたところでありました。犬の収容所ということでしたから、猫の収容のところは事務室を改造して、そこでお世話をしているという状態でありました。動物愛護センターの整備のおくれにあわせて既存施設の改修もおくれるというのは、できる範囲で改修を急ぐ必要があるのではないかと思っております。
 また、団体からはガバメントクラウドファンディングの提案もありました。発信については団体やボランティアで協力をいただきながら、そういう取り組みをして、できる限りの改修をしてはどうかと思いますけれども、今出させていただいた例の対応も含めて、御回答をいただければと思います。
〇千葉食の安全安心課長 既存施設の改修とクラウドファンディングの活用についてでございますが、施設につきましては、これまでに、おりや床、換気扇の修繕等を実施しているところではありますが、温度管理や動物の体格に応じた広さの確保が課題であると認識しておりまして、短期的には、犬のおりの部分的な改修や暖房器具の購入などを行い、長期的には動物愛護センターとの役割分担を勘案しながら、大規模な改修を計画的に行うことなどを検討しているところでございます。
 改修に当たっては予算の確保が重要であると考えておりますので、環境省の補助金を活用するほか、佐々木朋和委員御提案のとおり、クラウドファンディングについても検討していきたいと考えております。クラウドファンディング活用の際には、動物愛護団体等を含め、広く協力を呼びかけることについても、あわせて検討していきたいと考えてございます。
〇佐々木朋和委員 前向きな答弁をいただいて、ありがとうございます。今、ふるさと納税でも動物愛護関係をやっているのですけれども、これは全体予算の中に組み込まれているものということで、そこで金額がアップしたからといって全体の事業の予算がふえるというわけではない仕組みになっていると思っておりました。ガバメントクラウドファンディング等の利用というのは重要であると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 さきの質疑の中で、動物の譲渡適性を高めるのが課題とお話をされておりました。動物愛護団体の印象をお聞きしたら、各地の収容所の中にいては、なかなか人と接する機会もなくて、その場にいても譲渡適性を高めるということにはならないということでありました。これから動物愛護センターができて役割分担のときには、譲渡は飼い主が見つかるまでということはあるのでしょうけれども、その場で収容所にこだわることなく、譲渡適性を高めるという意味も動物愛護センターに犬、猫を集約させるということも一つかなと思いますので、ぜひこの役割分担については、その分も配慮いただきながら進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、指定管理鳥獣捕獲等の事業費について伺いたいと思います。午前中からさまざま議論が重ねられているところでありますけれども、まず、ニホンジカについてです。最初の捕獲数が2万5、000に対して、目標を上回る形で推移しているということは議論の中で明らかにされました。一方で、個体数を目標の半減まで持っていくためには、年間3万頭が必要だとされておりまして、なかなかそこに届かない目標値を設定している、頑張っていただいていますけれども、2万7、000頭台だというところで、この部分で、なかなか頭数の目標を上げていけない理由をまずお示しいただきたいと思います。
 もう一つ、イノシシについて、捕獲頭数計画を令和4年度は1、000頭としておりますけれども、その根拠と令和5年度以降の計画をお示しいただきたいと思います。
〇酒井自然保護課総括課長 まず、イノシシの捕獲目標の関係でございますけれども、現在の鹿管理計画の中におきましても、長期的に見た個体数の適正管理の観点から、3万頭以上の捕獲を必要としているところではございますけれども、3万頭ということになりますと、必要な担い手の確保や捕獲体制の整備が課題ということで、現状といたしましては、基本目標を2万5、000頭以上にさせていただきまして、あとは可能な限り捕獲を進める体制にさせていただいているところでございます。
 次に、イノシシの関係でございます。こちらに掲げております1、000頭でございますが、まず、イノシシ自体につきましては、現在の管理計画におきましても、全体的な捕獲数が少なくて生息地域には偏りがあり、全県的な個体数の推定は困難ということで、管理計画上の目標は設定せずに、可能な限り生息域の縮小や生息数の低減を図ることを目標とさせていただいているところでございます。
 一方、指定管理鳥獣保護事業を進めていく観点では、こちらの事業上の目標という形で、過去の捕獲実績などを踏まえまして、令和4年度につきましては、イノシシの捕獲頭数を1、000頭と設定させていただいているところでございます。
 こちらにつきましては、実績に基づいて設定をさせていただいておりますので、目標につきましては、引き続き1、000頭とさせていただきますが、取り組みといたしましては、いずれ1、000頭に限らず可能な限り捕獲するという方針で対策を進めていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 確認ですけれども、今のニホンジカの目標値の設定、なかなか3万頭に届かないということは、予算的なところというよりも担い手不足が大きいということだったのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 また、イノシシについて、全体像が見えないという話がありましたけれども、説明書の中で、活動内容指標にイノシシ生息状況調査実施市町村数というのが入っているのですが、計画実施、達成度ともに未記入になっています。その理由と今後の取り組みの方向性についてお示しをいただければと思います。
〇酒井自然保護課総括課長 まず、鹿のほうの体制でございますけれども、現在の計画の中では、2万5、000頭という設定をする際にも、実は、実際に現場にかかわる猟友会からは、もう無理ではないかというお話を受けたところが正直なところでございました。一方、半減目標にできるだけ近づけるためには、できるだけ多くとらなければならないということで御理解をいただいて、2万5、000頭と設定させていただきました。
 実績につきましても、これを上回る2万6、000頭余という実績高を踏まえまして、猟友会も御理解をいただいているところで、さらに上積みという形で捕獲頭数を伸ばすことで進めさせていただいているところでございます。
 もう一つの生息状況調査のほうでございますけれども、イノシシの出没状況や被害の状況などにつきまして、農業集落単位でアンケート形式で令和元年度から3年間調査をさせていただいたものでございます。その結果、イノシシの生息分布、どこにどのように出てきているか、農業被害を確認することを目的としておりまして、こちらによって、まず、県内全域にイノシシの分布が広がっていることが確認できたことから、調査そのものにつきましては、令和3年度で一旦終了ということで、令和4年度の評価としては空欄になっております。
〇佐々木朋和委員 猟友会もなかなか大変な状況の中、御協力をいただいているということがわかりました。各委員からもお話がありましたけれども、さまざまな技術を使いながら進めていただきたいと思いますし、イノシシのアンケート調査は終わったということでしたけれども、イノシシが鹿のようにふえてしまってからでは、今の猟友会の状況を見てもなかなか対応し切れないということだと思いますので、早めの対応をしていただいておりますが、さらに全体像をつかめるような、さまざまなICTも使いながら進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 最後に、道路の側溝汚泥について伺いたいと思います。頻発するゲリラ豪雨等の異常気象によって水害の心配が市街地の中でも見受けられます。一関市、奥州市においては、放射線の影響の関係で、道路側溝汚泥については、住民の手で撤去することができない状況が続いております。国の指針がなかなか出されないということが原因であります。
 今は道路側溝汚泥がたまった場合には道路管理者が対応しているということをお聞きしておりますけれども、これは市や県土整備部の管轄かもしれませんが、環境生活部として、これまでの市、県の対応状況を把握しているのか、また、状況の改善に向けて、令和4年度は国との協議等をしていただいているのかどうか、お示しいただきたいと思います。
〇古澤資源循環推進課総括課長 道路側溝汚泥の取り扱いに関しての御質問でございます。一関市や奥州市では、現在、道路管理者たる市が必要に応じて道路側溝汚泥を撤去し、放射線濃度を確認の上、廃棄物処理していると聞いておりますし、県の管理道路につきましても、必要に応じて、撤去した道路側溝汚泥を廃棄物処理、または県管理用地に仮置きするなどして対応しているところで承知しております。
 次に、国との協議状況でございますが、現在、一関市には一時保管されている放射性物質に汚染された道路側溝汚泥がございまして、国から除染土壌の処理基準が示されれば市が処分方法を検討するということで聞いております。
 県としましては、国に対して、早急に処理基準を策定することや、一時保管施設の設備等のかかり増し経費について財政措置を講じるように要望しているところでございます。
〇佐々木朋和委員 今、一時保管されている部分について、あるいは、道路側溝を上げるためにかかった費用について請求をしていくことが重要なのですけれども、やはりやりきれない部分がありますので、住民の皆さんに一刻も早く、自分たちの手でやれるようにして、異常気象の中でも安心を与えられるようにしなければいけないと思います。その部分をしっかりと国のほうに要望しながら、一刻も早く処理条件も出していただくように、厳しく話をしていただきたいと思います。
〇軽石義則委員 EV等導入脱炭素化推進モデル事業費補助についてお伺いいたします。大事な取り組みだと思っておりますし、これからさらに必要な事業だと思いますけれども、このモデル事業の内訳と実績、そして、これまでも取り組んできた事業だと思うのですけれども、EV充電器やEVの販売がどのようにつながってきているのか、現状どのように認識しているのかお伺いいたします。
〇高橋グリーン社会推進課長 モデル事業の実績とEVなどの導入の現状認識でございます。
 本モデル事業は、事業者が太陽光発電、蓄電池、EV、充電器を一体的に整備する際の経費を補助したものであり、令和4年度補助実績は、3事業者、計約653万円となっております。
 次に、県内のEVの登録台数ですが、こちらは軽自動車を除く数字になりますが、本年9月末現在で1、410台であり、年々増加傾向にあります。
 続いて、県内の公共充電スタンドの設置数でございますが、本年10月25日現在、424基となっております。
 最後に、県内での令和4年度のEVの販売台数ですが、国のEV補助金の活用実績によりますと、軽自動車も含め392台となっております。
〇軽石義則委員 事業がまさに広がりつつあるということだと思いますけれども、一般社団法人次世代自動車振興センター、自動車の部分でありますけれども、そういう団体もいろいろな補助事業や、県民の皆さんにもPRもしているようですけれども、加えて、まさにEVの販売事業者の皆さんがどういう課題を持って取り組んでいるのかというのも把握をした上で進める事業ではないかと思っているのですが、そのような関係団体や各事業者の皆さんとどのような連携をとられてきたのでしょうか。
〇高橋グリーン社会推進課長 モデル事業の実施に当たりましては、太陽光とEVなどのセットの補助が県としては初めてでございましたので、温暖化防止いわて県民会議の構成団体を通じて事業者に周知いたしたほか、県の脱炭素化経営企業認定制度の認定事業者などには直接御案内するなど、活用を働きかけてきたところでございます。
 参考までに、温暖化防止いわて県民会議の構成団体の中には、自動車販売連合会様も加入いただいております。今後、もっと効果的な取り組みになりますように関係団体の皆様ともしっかり連携していきたいと考えております。
〇軽石義則委員 関係団体ともしっかり、販売の事業者の皆さんもそこに入っているということであれば、先ほど実績をお聞きしましたけれども、充電器そのものは400台ということは、この広い岩手県で1充電でどのくらいの距離を移動するかというのはわかっていると思うのですけれども、車を販売する皆さんの声として、充電設備が充実されないために、車を売りたくても売れない。買うほうも、買いたくても十分走れるのだろうかという不安があるということもあって、そういうインフラの整備をしっかりとしていかないと、EVの販売台数をふやすとしてもなかなか伸びないという現場の声もお聞きしているのですが、今後、普及するためにはそれらの整備もしっかりしなければならないのですけれども、まず、そういう実態をどのように把握をされているのでしょうか。
〇高橋グリーン社会推進課長 EVの充電インフラの課題でございます。全国的なお話になって恐縮なのですけれども、スタンドの更新時期を迎えた場合、採算難などで撤去する事例も少なくないという実態はお聞きしております。EV等の普及に合わせて、こちらも国の補助もございますので、そういう補助の活用も促しながら、EVと充電スタンド両方の普及が同時に進むように取り組んでいくのが大切だと考えております。
〇軽石義則委員 同時に進められれば一番いいのでしょうけれども、インフラがしっかりしているから、ガソリンから電気に変えようかという決断ができるのではないかと思うのです。車を電気自動車にしたら充電器もふえてくるだろうでは、なかなか県民の皆さんの理解にはつながらないと思うのです。
 国での目標も2030年までに15万基、急速は3万基拡大したいという計画もあるようですが、冬場を超えなければならない北国岩手、そして移動距離の長い県内の地理的条件、山越えもありますし、そういう中で、県として民間の皆さんにも協力いただくのは当然なのですけれども、行政としてさらに拡充していった上で、民間と連携してふやしていくという方策が私は大事ではないかと思うのですが、その部分については、どのようにお考えでしょうか。
〇高橋グリーン社会推進課長 今、お話にございました冬場の話、あるいは、移動距離が長い場合ということについてでございますけれども、EVに関しましては、もちろんCО2を排出しないということで脱炭素社会の実現に向けた非常に重要な車だという認識はございますが、一方で、特に冬場、エアコンをつけますと航続距離にやや影響が出るといったような課題もあると認識はしております。
 県としては、現在の四百二十数基のスタンドの数が多いのか少ないのかというのは、なかなか簡単な問題ではございませんけれども、EVの普及のためにはスタンドが適所にあることは非常に重要だと思っております。例えば、内陸部から沿岸部に移動する際ですとか、沿岸部の間を移動する際には、特に一定程度の距離の間にスタンドがきちんとある、そういうインフラがあるのが大切だと考えております。
 県としては、EVに関しましては、航続距離ですとか、あるいは、実際の導入と投資回収のコスト、そういったことを県民の皆様にしっかりとお伝えするということが大事だと思っておりますし、充電スタンドに関しましては、今年度もですが、来年度につきましても、国の補助の予算が非常に充実して拡充されております。そういう情報も関係者、特に販売店の方が中心になるかもしれませんが、しっかりとお伝えをすることで導入を促してまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 民間の力も必要だというのは当然わかっていますし、やっていただくのは大事だと思います。その424基、行政としてそれを設置したのは何カ所で、民間がそのうち何カ所なのかというのは一つ教えていただきたいと思いますし、行政として、市町村も含めて、EV車というのは大体どのぐらいあって、それをどのぐらいの計画でふやしていこうとしているのか。もっと言えば、県の施策として、例えば、県土整備部とか商工労働観光部と連携して、設備もしっかり、建物をつくるとき、道路を改修するとき、あるいは、商店街なり町並みをつくるときにそういうものが必要である。公園と同じくらいとは言いませんけれども、それに近いぐらいの力を入れないと拡大というのはなかなか難しいのではないかと思います。他の部局との連携も必要だと思うのですが、その部分はどうなのでしょうか。
〇高橋グリーン社会推進課長 まず、行政施設等への設置状況でございますが、こちらは今、手元に資料がございませんので、箇所数については後ほどお伝えいたします。
 続きまして、行政機関としての役割といたしまして、今般、県有施設の脱炭素化方針といったものも新しく定めさせていただきました。その中で、県としても公用車の更新に当たっては、原則EVということで新しく定めたところでございます。現在の状況としましては、県の公用車、知事部局に限りますけれども、900台を超える車がある中で、現在はEVに関しては5台という状況でございますので、今後、方針に沿って更新をしていきながら、まずは県が率先して、EVに関しましては導入を進めていくということを考えております。
 また、他部局との連携というお話でございますけれども、軽石義則委員がおっしゃるとおり、例えば集合住宅や商業施設などの更新ですとか新設の場合には、できるだけEVのスタンドを設置していただくような取り組みは非常に効果があると考えております。そういうところについては、関係部局ともしっかりと情報交換をしながら進めてまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 具体的な今後の計画、充電器は県としてこれから何年間で幾らふやすとか、車も何台にしていきたいと。今、5台しかないのが5年後には500台になるということはないと思うのですけれども、示していかないと進まないと思うのです。そういう計画はお持ちですか。
〇高橋グリーン社会推進課長 公用車につきましては、早ければ年度内に工程表を作成いたしまして、実際にどのくらいの台数をEV等に更新できるのか、していくのか、そういうことを決めてまいりたいと考えております。そういうものもしっかりと県民の皆様にお示しをして、県民の皆様も導入していただけるように情報提供をしてまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 車をふやすということはインフラもふやすということでないと、公用車が途中でとまって帰ってこられないということもないようにしないといけないと思うのです。インフラの整備のほうはどうなのですか。
〇高橋グリーン社会推進課長 公用車のEV化を進めるに当たりましては、充電設備につきましても、県としても計画的に導入を進めていかなければならないと考えております。どういう場所にどういう車を何台導入するのかということにあわせて、この場所に、急速とか普通とか充電器もいろいろなタイプがございますので、どういうものを設置していくのかということも工程表の中で織り込んでいければと考えております。
〇軽石義則委員 県の優秀な職員だけで計画をすることも大事だと思いますが、実際、現場で販売や修理を含めて、活用している皆さんの声をしっかり、営業で使っている皆さんが一番、どういう経路でどういうところに充電器があれば車を電気に切りかえられるという現場の声こそが計画に反映されていくことが大事だと思いますし、そういう場面もしっかり今後つくっていくことが大事ではないかと思うのです。販売側の声を聞くと、先ほど言ったようなお話が出てきますし、それを拡大するのは、まさに温暖化をみんなで防止していくための大事な事業だと思うので、そういう声が出てくると思っています。そういう方々ともいろいろな情報を共有できるような場面もつくった上で進めていただけるのでしょうか。
〇高橋グリーン社会推進課長 関係団体との連携についてでございます。自動車販売店の皆様との関係構築というのは非常に大事だと思っておりますので、来年度に向けてと言わずに、できるものはしっかりと意見交換をしたいと思っております。
 ちなみに、県としてのさまざまな補助制度につきましては、昨年度になりますけれども、一度、自動車のディーラーの一部の方から御意見とかお話を聞きながら、説明もしながら取り組んできた経緯もございますので、今後はより強固に意見交換をしながら進めていきたいと考えております。
〇軽石義則委員 販売側も大事だし、物流にかかわっている輸送、運輸関係の皆さんの声も非常に生きてくる、大事だと思いますので、その方々からの意見もしっかり受けとめた上で進めていただければと思いますし、年度内にということですので、限られた時間の中で、しっかり示していただくように期待をしておりますが、最後、環境生活部長に聞いて終わりたいと思います。
〇福田環境生活部長 電動車と充電器、鶏と卵といいますか、セットということになろうかと思いますが、政府も2035年までに全ての新車販売を電動車にするということで重要な課題であると認識をしております。
 これまで県として必ずしも率先的な取り組みや姿勢を見せることができていなかったという面もあろうかと思いますが、先日公表しました県有施設等の脱炭素化方針、その中でも県有施設等ということで公用車の方針も盛り込ませていただいたところでございます。
 今後、さまざまな皆様の声をお伺いする中で、県内市町村、それから企業、こういうところにどんどん普及していくように頑張って取り組んでまいります。
〇村上秀紀委員 では、私からは、再生可能エネルギーによる電力の自給率について伺ってまいります。きょう午前中に再生可能エネルギーにおきましては、一つ質問がありましたが、私は自給率に対してお話をしてまいります。
 地球温暖化防止に向け、低炭素社会の形成を進めるために再生可能エネルギー導入を促進しておりますが、まず、自給率の推進がどうなっているか、エネルギーの内訳や目標に対して具体的にお尋ねいたします。
〇高橋グリーン社会推進課長 自給率の目標と推移についてでございます。第2次岩手県地球温暖化対策実行計画におきまして、2030年度の再生可能エネルギーによる電力自給率は66%を目標としているところです。基準年である2013年度は18.6%でございましたが、直近の2022年度には41%となっておりまして、順調に上昇しておるものと考えております。
〇村上秀紀委員 そうすると、2030年度の66%に向けて、課題と対策についてはどのようなお考えでいらっしゃるか。10月25日に小林正信委員が質問した洋上風力発電についても、報道機関に取り上げられており、きっとたくさんの関心が寄せられているのではないかと思いますので、その辺も踏まえてお願いします。
〇高橋グリーン社会推進課長 今後の目標達成に向けた課題と対策でございますが、自給率の向上のためには、まずは省エネなどの需要側の取り組みとともに、本県の再エネポテンシャルを最大限に活用した再エネの導入の促進が必要であり、そのためには、送配電網の増強や再エネ導入に伴う地域の環境等への配慮も必要であると認識しております。
 そのため、送配電網の充実、強化につきましては、引き続き国に要望していくほか、大規模施設の場合のアセスメントの適切な運用、市町村の再エネ促進区域の設定支援による再エネの適地への誘導などにより、地域と共生する再エネの導入促進を図ってまいります。
 なお、御質問にございました洋上風力発電についてでございますが、現時点では、まだ調整が続いているというような状況だとは聞いておりますけれども、風況というポテンシャルが非常に高いですし、あとは、規模に関しましても大きくなっております。自給率の向上という観点から見ると、非常に大きな効果が見込まれる設備だと考えておりますので、我々としましても、庁内の検討チームの一員にもなっておりますので、ふるさと振興部を初め関係する部局と連携して取り組んでまいりたいと思っております。
〇村上秀紀委員 今、お話のありました送電網の整備について、10月29日、ある新聞でも論説においてお話がありましたけれども、確かにこのところ、化石燃料と再生可能エネルギーの供給バランス、そしてまた、消費のバランスが崩れて電気を融通する仕組みが整っていないということが問題になっているということがございます。こういった環境が整っていくことがあれば、先ほど洋上風力発電は2030年度以降ということで、まずは環境が整えば2030年度までには66%という目標は達成される見込みということでよろしいですか。
〇高橋グリーン社会推進課長 目標達成に向けてというところでございますけれども、環境が整えば自給率66%という目標の達成は不可能ではないと考えております。先ほど村上秀紀委員がおっしゃったとおり、送配電網だけではなくて、需給のバランスをいかにとっていくかといった課題も含めまして、課題はいろいろとございますけれども、一つ一つクリアしながら、自給率の目標は決して低くはないですけれども、目標達成に向けてしっかり取り組んでいきたいと考えております。
〇村上秀紀委員 今、66%というところでしたが、この目標を達成されることによって、どのぐらいの数字的なインパクトがあるのかというのは、私はとても関心があります。エネルギーの自給率を高めていくということは、環境にやさしいだけではなくて、なるべく地域でお金を回して、外から買わずに外から買ってもらう。そして、地域内の収支を改善していくことが地域の財政状況にもよい影響をもたらすものですし、食料の自給率とあわせて地域をつくっていく根本だと考えています。
 そういう観点から、さまざまな計算方法の違いはあれども、今、岩手県はこのぐらい取り組んではいますが、まだまだきっとベスト10には入っていないあたりなのかと感じていますし、ほかの計算方法では、例えば、全国では東北地域で秋田県が、そしてまた、九州地域も複数の県が上位に位置していると思いますけれども、こういうところと比べていくと、本県にはどういうところが足りないと感じていらっしゃるか伺います。
〇高橋グリーン社会推進課長 まず、後段のほかの地域との比較についてでございますけれども、自給率に関しましてはエネルギーの需要と供給の割合でございますので、例えば、需要が著しく高ければ、どんなに再生可能エネルギーの側で電力の供給をしても自給率としてはより低く出てしまう。そういう諸事情がございますけれども、今、御紹介いただきました、例えば秋田県、あるいは九州地域といったところは、需要はともかくといたしまして、風力発電や地熱発電など、地域のポテンシャルをしっかりと生かした再生可能エネルギーの導入が進んでいることが要因にあるのではないかと考えております。
 次に、目標達成に伴う経済的なインパクトでございますけれども、環境省の試算によりますと、2018年度におきまして、本県では地域内総生産の5.7%に当たる約2、644億円のエネルギー代金が県外に流出していると言われております。経済的なインパクトについて、具体的な数字をお示しするのは現時点では困難ではございますけれども、再生可能エネルギー自給率の上昇に伴う経済への好影響の例としましては、自家消費型の再生可能エネルギーが増加することに伴いまして、エネルギーの地域内の巡回、あるいは、災害などに対するレジリエンスの向上、または、脱炭素経営が求められている中で、再エネ電力の供給増に伴う産業競争力の強化、あるいは企業誘致のインセンティブになるということが考えられております。県内の自動車工場の電力に企業局の水力発電所の再生可能エネルギーを活用する動きも典型的な例であると考えております。
 さらに、大規模な再エネ施設の立地につきましては、市町村と事業者の間で協定を締結いたしまして、再生可能エネルギーの収益を地域にとどめようとする取り組みなど、再生可能エネルギーの導入拡大にはさまざまな利益が考えられますので、県としては自給率目標の達成と地域経済の活性化の両立に向けて取り組んでいきたいと考えております。
〇村上秀紀委員 初めのほうの答弁にもありましたけれども、このポテンシャルを最大限に活用していくというところをぜひ県で取り組んでいただきたいですし、秋田県、そして九州地域と、環境、人口密度、周りに海があるなしとか、さまざまな面で共通点もすごくあるのではないかと感じていますので、岩手県としてはエネルギーの自給率の向上に、目標にとらわれることなく、ぜひトップの水準に向けて取り組んでいただきたいと思います。改めて申し上げますけれども、エネルギーと食料の自給率の向上というのは、地域をつくるための根本であると考えておりますので、ぜひともその点をよろしくお願いいたしたいと思います。
〇大久保隆規委員 それでは、私からも、EV等導入脱炭素化推進モデル事業費に関連いたしまして質問をさせていただきたいと思います。先ほどの軽石義則委員の内容と重複する部分は割愛して、さらにこの議論を多少深めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 まず、先ほどお示しがございました県内のEV充電施設の現在の設置状況ということで、現在、県内424カ所だという御報告がございましたけれども、このEV充電器、急速充電と普通充電と二つのタイプがあると思うのです。そのタイプ別のおのおのの数値をまずはお示しください。
〇高橋グリーン社会推進課長 EVスタンドのタイプ別の基数、台数でございます。本県の424のうち、急速充電器が151基、普通充電器が273基となっております。
〇大久保隆規委員 そこで、単純に比較してみたいと思いますので、県内のガソリンスタンドの数、あるいは基数といいますか、その辺の総数は大体どのぐらいになっているか、お調べであれば教えていただきたいと思います。
〇高橋グリーン社会推進課長 県内の給油所ということで、資源エネルギー庁の資料で見ますと、令和4年度末の時点で484カ所となっております。施設数でございますので、一つの施設に給油口が何カ所かあるということは考慮せずに、施設の数ということで御報告いたします。
〇大久保隆規委員 ということは、今の数に掛ける4ないし6ないしというところが実際のスタンドの基数という形になってくると思うのですよ。そうすると、単純に今のEVの充電施設の数でいうと、その6分の1なのか8分の1なのか、おおよそですけれども、その辺の数になってくるということだと思うのです。
 私は過日、EV車に乗りかえた知人から話を聞く機会がございました。そのときに、所有したユーザーとしてどうだという話を教えていただいたのですけれども、夜に自宅で普通充電すると、大体半分ぐらいの量が充電できる。急速充電で30分間充電すると、そこから大体60キロメートルから70キロメートルぐらい走れる。これは車種によって多少の幅はあるのでしょうけれども、そういうことでございました。
 そうすると、一般的にガソリン車の場合ですと、満タンにするのに約5分です。EV車の場合、急速だと30分で60キロメートル、70キロメートルという形になりますから、その辺、さらに掛ける6ぐらいの設置数が必要になってくるというのが、おおよそ見えてくる数字で、いかに少ないかということなのだと思います。
 その方も、日常生活で市内で運用する分には本当にすばらしい、非常に快適だ。ただ、遠距離で行った場合に不安がある。現状ではなかなかあそこに充電器があるということもまだまだわからないということで、遠くに出かけるときは奥さんのガソリン車を使っているのが実態なのだという声でございました。先ほどの軽石義則委員のお話にもございましたとおり、まだまだ数は少ないし、これをしっかりふやしていかないといけないということだと思うのです。
 そこで、県のほうも新しい公用車を全てEV車にということなのですけれども、今後の県としての設置計画をより具体的に来年度以降検討していくというお話でございましたので、そういう中で、県の公用車という意味でも、駐車場もそんなに広くないのですけれども、県庁にも急速充電器がないのです。県庁もこれからそういう公用車をふやしていく以上は、あるいは広域振興局とか、少なくともそういったところで急速充電器の設置を具体的に検討していく時期に入っているのではないかと思いますけれども、その辺、いかがでしょうか。
〇高橋グリーン社会推進課長 今回、公用車の原則EV化という方針を定めたところでございまして、来年度予算要求に向けて、今まさにどういう車両をEV車に更新できるのか、あるいは、それに応じて充電器、どういうタイプをどこの場所に、どういう補助等を使って設置するのかというところについて、検討しておる最中でございます。
 今、大久保隆規委員から、先ほど軽石義則委員からもお話がございましたけれども、EV車はもちろん率先して導入するわけですけれども、実際に使い勝手がそれによって悪くなっては元も子もございませんので、そういったところもしっかりと含めて、来年度に向けて検討してまいりたいと考えております。
〇大久保隆規委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
 それで、さらに、県内の脱炭素化を進めていく意味では、いわて水素モビリティ実証事業費がございまして、これの結果の内容、その辺のところを御報告お願いいたします。
〇高橋グリーン社会推進課長 水素ステーションの整備等についてでございます。水素の利活用全般について簡単にお話ししますけれども、将来的な脱炭素社会には欠かせないものであると考えておりまして、いわて県民計画(2019〜2028)の中にも水素利活用推進プロジェクトというものを掲げまして、水素の利活用に関する理解促進等を図ってきたところでございます。
 また、現在、水素ステーションや燃料電池自動車の導入に関する補助制度を設けております。その中で、複数の問い合わせはいただいておりますが、初期投資を回収するためのまとまった需要をいかに確保するかということが課題になるという声もいただいており、現時点では補助への応募はない状況でございます。
〇大久保隆規委員 そういうことで、今のところ、県内には水素ステーションがゼロ。ただ、取り組みの中では3回ほど打ち合わせも開催され、そして、問い合わせもあった。全く動いていないわけではないのだということです。それで、結果的に、水素ステーションがないがゆえに岩手県は水素自動車の販売禁止区域になっているのです。
 そういう意味では、北上川バレーにおける新しい取り組みということで、トヨタの高級新型SUVが早池峰発電所で水力発電されたクリーンエネルギーを使って生産されるという非常に画期的な、これからの日本社会のあるべき事業がいよいよ控えているわけです。
 そういう流れの中で、全企業的に今、さまざまな社会の要請があるわけですから、水素自動車を社用車として導入したいと本社サイドでは思っている企業も幾つもあるのではないかと思うのです。
 電気自動車の実際の急速充電の60キロメートル、70キロメートルという話がありましたけれども、世界中の自動車が全てEV車になるとは考えられないです。一つのソリューションだけで世界が幸せになるとは思えないです。幾つかの組み合わせが、今後、合理的にされていくのだろうと思うのです。
 水素自動車は非常に走行距離が長い車ですから、例えば2024年問題、長距離輸送のトラックなどにしても非常に有効であると予想されているわけです。例えばですけれども、北海道からの荷物の長距離トラックが将来、水素自動車になるかもしれない。
 そういう見通しの中で、私は今後、水素ステーションの県内での導入というのも図れるように、しっかりと今後とも関係機関と協議いただきながら進めていただきたいということを要望して、終わりたいと思います。
〇斉藤信委員 第2次地球温暖化対策実行計画の改定で、2013年度比で57%の温室効果ガスの排出量の削減と画期的な方針を決めました。これを推進する方針の骨格を示してください。
〇高橋グリーン社会推進課長 削減目標達成に向けた取り組みでございます。基本的な考え方といたしましては、県民、事業者、我々行政も含めて、さまざまな主体がそれぞれの立場でしっかりと一体的に取り組んでいくということが大事だと思っております。
 少し具体的な例を申し上げますと、県民向けとしましては、省エネ性能にすぐれた住宅の普及、事業者向けには脱炭素経営へのシフトということが重要なキーワードになると思っております。ほかには、公共交通機関へのEV等の導入、あるいは、市町村の実行計画の策定、こういう取り組みが重要になってきていると思っております。
 現状、2020年度の数字ですが、57%に対しまして30.3%削減ということで、過去最大の減少幅というところまで来たところでございます。
 今後につきましては、排出削減だけではなくて、取り組みが地域の経済の活性化ですとか生活の快適さ、便利さの向上にもつながるといった側面も示しながら、県民、事業者と一体となって取り組んでいく必要があると考えております。
〇斉藤信委員 それで、岩手県も県有施設における脱炭素化の基本方針、四つの方針を示しました。この具体化はどうなっているのでしょうか。
〇高橋グリーン社会推進課長 脱炭素化基本方針の具体的な取り組みということでございますけれども、今般、10月中旬に方針を策定し、公表したところでございます。当面、来年度当初予算要求に向けまして、この方針に沿って、まずできることをやっていくというのが最初の取り組みになってくると考えております。
 あわせまして、早ければ年度内にそれぞれの四つの分野につきまして、工程表のようなものを作成いたしまして、これを関係部局としっかりと共有しまして、その工程表にある程度従って、今後整備を進めていくような体制をつくっていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 その中で、新築建築物についてはZEB Ready相当以上ということであります。私が決算特別委員会の総括質疑で、県福祉総合相談センターと県民生活センターの合築は、モデル施設としてZEB Readyではない、ZEB基準でやるべきだ、太陽光発電を設置すべきだと質問したところ、知事は前向きに太陽光発電の設置を検討したいということでありました。岩手県の新築の建築物というのは、ある意味、モデル施設になりますから、そういう方向を目指すべきではないのか。
 もう一つ、県有施設に太陽光発電を積極的に設置する。設置可能な県有施設の50%以上、この50%以上というのはどういう規模なのか。これまで40施設の可能性調査をやって、その具体的な整備計画を今年度中につくるとなっていましたから、そのことを示してください。
〇高橋グリーン社会推進課長 太陽光発電設備に関してでございます。対象となる施設につきましては、今後精査をさせていただきたいと考えております。基本的に、10キロワット以上の太陽光発電設備を置きたいと考えておりますので、比較的規模の大きな施設を抽出いたしまして対象施設にしたいと考えておりますが、現在作業中でございます。
 考え方の2点目として、令和4年度の40カ所の調査のお話がございました。現在、既に太陽光発電が設置されている施設もございますが、それに加えまして、調査をした40カ所については、できるだけ優先して設置ができないだろうかということを考えておりまして、その順序等につきましても、工程表の中でしっかりと位置づけたいと考えているところです。
〇斉藤信委員 40カ所については可能性調査をやって、その導入計画を今年度中につくる。実は、教育の分野で、40カ所のうち19カ所は高校なのです。教育施設です。ただ、今、現実の課題として、宮古商業高校と宮古水産高校を合築で一体的に整備する。ところが、議案で出たときには、太陽光発電の設置の計画はなかったのです。それは検討するというところまでいったのですが、新築でやるときに設置するのが一番合理的なのです。そういう方向で太陽光発電も新築には積極的に設置するという方向で考えるべきではないでしょうか。
〇高橋グリーン社会推進課長 具体的には、工程表を作成する過程でしっかり考えていかなければならないことではございますけれども、いずれにいたしましても、関係する部局としっかりとやり取りをした上で決定したい、考えていきたいと思っております。今回の方針の策定は前向きに県としての脱炭素化を進めていくというのが基本的な考え方でございますので、できる限り方針に沿った形で整備が進むように関係部局と話をしていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 それで、先ほども議論になったのですけれども、EV化です。今年度当初予算ではEVのバス、EVのタクシー、そして、EVスタンドの導入に対する補助事業が予算化されました。どういう申請状況、交付状況でしょうか。
〇高橋グリーン社会推進課長 今年度のEVバス、タクシー等の導入に対する補助事業の現時点での実績でございますが、EVバス2台につきまして、交付決定まで手続が終わったところでございます。
〇斉藤信委員 そうすると、EVタクシーとEVスタンドというのはまだ申請がない。なぜなのかということをよく検討して、現場からの意見を聞いて、私は本来、積極的な取り組みなのだと思うのだけれども、補助率が低いのか、EVの活用が、先ほども議論になったEVスタンドの関係でどうなのか、EVスタンドの申請もないですから、ぜひその実態をよく聞いて対応していただきたい。
 公用車も全車EV化となっているのですけれども、括弧してハイブリッドを含むと書いてあるのです。こんな曖昧なことはやめたほうがいい。ハイブリッドというのは世界的にはEVに入らないのです。こういうごまかしはしないで、EVでいくならEVでいくとしないと、率直に言うと、脱炭素化にもなりません。その辺は厳密にお聞きしたい。括弧はやはりつくのですか。
〇高橋グリーン社会推進課長 括弧はつきますが、原則としてEVと書かせていただいておりますのは、基本的に、使用形態ですとかさまざまな特性、事情によって、どうしてもEVだと難しいケースがこれから出てこないとも限りませんので、そういう意味で、原則EVとして、括弧ハイブリッドと残させていただいているところでございます。
〇斉藤信委員 私はプラグインハイブリッドまでは許容できる範囲なのではないかと思います。
 先ほどの骨格の方針の中でも、市町村の対応が求められていました。県内市町村で地球温暖化防止対策、計画を立てているところ、削減目標を決めているところ、どのぐらいありますか。
〇高橋グリーン社会推進課長 市町村が実行計画、削減目標をつくるのは区域施策編と申しますけれども、実行計画を現在策定している市町村は七つの市町でございます。七つの市と町は全て削減目標を定めているところでございます。
〇斉藤信委員 削減目標を定めている県内市町村は少ないのです。岩手県はかなり積極的に目標も改定して57%削減。しかし、この課題こそ市町村と一体で進めるべき課題、県民、事業者と一体として進めるべき課題ですから、これもぜひ市町村との協議の場があると思うのですけれども、県政の中心課題と位置づけてやってほしいし、削減目標も、聞きましたら、久慈市が62%削減で一番高いのだけれども、岩手県の目標を上回っている市町はないのです。あと、国の積極的な計画になっている3自治体も、宮古市がまだないとか。そういう意味で、ぜひ全市町村を挙げて地球温暖化防止対策に取り組むということを重視してやっていただきたい。
 住宅の新築整備、リフォームへの助成も、国の制度も県の制度も、できれば市町村の制度も一体で、窓口を一本化して対応できるようにすべきだと言いましたが、どこまで協議が進んでいるでしょうか。
〇高橋グリーン社会推進課長 住宅部門の窓口一本化の件でございます。現時点では、県土整備部のほうで個人向け住宅の県の補助事業ですとか国の説明資料、そういうものを一元的にまとめているページがございます。ただ、斉藤信委員から市町村の補助までできればというお話がございましたけれども、そこまでは行っていないという状況でございますので、我々も脱炭素化の主導役といたしまして、引き続き、県土整備部と連携して、わかりやすい情報提供というものをしっかりと実現していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 これは私、何度か言っているけれども進まないのですね。県土整備部がやっているのは住宅リフォーム助成に対する補助です。林業、水産でやっているのは県産木材、それぞれ別々なのです。一体にならないのです。そして、今一番大事な、皆さんのところがイニシアチブをとるべき高気密、高断熱の断熱性能、こういう基準がないのです。だから、私は長野県、鳥取県の取り組みを紹介していますけれども、等級別に高いレベルの住宅には補助率も高くする、そういうような取り組みをすべきだと提言をしてきましたので、ぜひそのことを検討していただきたい。
 次に入ります。県央ブロックごみ処理広域化計画について、盛岡広域環境組合と県央ブロックごみ処理体制検討協議会を設置されました。それぞれの目的と協議事項はどうなっているでしょうか。
〇古澤資源循環推進課総括課長 盛岡広域環境組合と県央ブロックごみ処理体制検討協議会の設置目的等についてでございます。
 盛岡広域環境組合は、構成8市町の一般廃棄物を共同で処理するために設置され、ごみ処理施設の設置、管理及び運営を行うということとされております。
 一方で、県央ブロックごみ処理体制検討協議会は、盛岡広域環境組合で共同処理する焼却以外の中間処理と最終処分、3Rの推進等に係る協議を行うために設置されたものでして、不燃、粗大ごみ、資源ごみ等の処理体制や最終処分体制などの協議を行うとされております。
〇斉藤信委員 実は、この8市町はごみの減量リサイクル、この調整をやって環境組合をつくるという話だったのです。ところが、結局、ごみの減量もリサイクルの計画も方針も決めずに、環境組合は焼却だけ、焼却処分。そして、具体的なごみの減量、リサイクル、あとはプラスチックのリサイクルというのが新しく義務づけられました。これは別の協議会。話がまとまらずに、1日当たり500トンというとんでもない大型焼却施設をつくる計画になっているのです。
 そもそも、どういう大型焼却施設をつくるかというのは、ごみの減量、リサイクル、プラスチック、国の法律に基づいたリサイクルの計画があって規模が決まるのです。そういうことは全然議論が進まない。こういう片手落ちのものになったのではないか。
 根本に、ごみは集めて燃やすという焼却主義、これは世界的にいったら完全に時代おくれなのです。ごみをどれだけ減量するのか、燃やさないでどう処理するのか、ここを大前提にしたごみ処理計画を岩手県はしっかり指導すべきではないですか。プラスチック資源循環促進法ができたけれども、これは本気になってやったら、ごみの量を2割、3割減らせますよ。そういう盛岡市、県央地域のごみ処理計画に見直すべきではないですか。
〇古澤資源循環推進課総括課長 盛岡広域組合及び構成8市町村で検討するということになるかと思うのですが、プラスチックごみの再資源化や生ごみの削減など、ごみの減量、リサイクルに取り組むということにしておりまして、焼却に伴うエネルギー回収など、脱炭素にも寄与する取り組みを進めることとしております。
 国では、ごみ処理施設の整備に当たり、プラスチックの再資源化への対応や温室効果ガスの削減を求めておりまして、県としましても、引き続き、盛岡広域環境組合の取り組みに対して技術的助言を行ってまいります。
〇斉藤信委員 20年前の岩手県の広域化計画は、私はもう見直す時期に来ているということを率直に指摘しておきます。今の答弁どおり、しっかり8市町を援助してやってください。
 最後の質問です。県内で風力発電の計画について、イヌワシの生息域に係る大規模風力発電計画、これはどのぐらいあって、知事の意見書としてこの見直しを求めている件数はどのぐらいあるでしょうか。大船渡市吉浜地区における太陽光発電計画の県の環境アセス対応はどうなっているでしょうか。
〇加藤環境保全課総括課長 まず、イヌワシの関係、風力発電計画でございます。
 県内を事業区域とする風力発電事業につきましては、現在進行中のものでトータル29件ほどございますけれども、進捗が見られない計画もありますことから、最近の状況で申し上げますと、令和4年度に風力発電事業は8件、令和5年度には1件、届出がございました。そのうち3件でイヌワシに対する重大な影響が懸念されているということでございます。
 これらの事業につきましては、岩手県環境影響評価技術審査会から、事業区域の大部分が主要な行動圏になっている、それから、営巣地に隣接していることから、隣接していることが明らかで事業を実施した場合、消失する可能性が高いなどの厳しい意見をいただいておりまして、事業区域の再検討など計画の抜本的な見直しを求めているところでございます。
 また、吉浜地区の太陽光発電計画の県の環境アセスメントの対応でございます。本事業につきましては、岩手県環境影響評価条例の第2種事業に該当するというところで、これまで事業者に対して、判定手続の開始について指導してきました。
 また、本事業は、地域住民から濁水ですとか土砂流出の発生を懸念する声が非常にあることから、環境アセスを通じて住民の懸念を丁寧に聞き取り、可能な限り事業計画に反映させることが重要であると伝えてきたところです。
 その結果、本年8月に事業者から、要否判定手続を経ることなく環境アセスを実施するという旨の通知がありまして、環境影響評価方法書が提出されております。
 今後、技術審査会の意見を踏まえて、知事意見を提出する予定としております。
〇佐々木宣和副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時27分 休憩
午後2時46分再開
〇佐々木宣和副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇高橋グリーン社会推進課長 先ほど軽石義則委員から御質問いただきまして答弁できなかった部分でございます。
 EVスタンドにつきまして、市町村の庁舎に設置されている数が確認できましたので御報告いたします。市町村役場のうち7カ所に計10基、現状では設置されております。
〇佐々木宣和副委員長 質疑を続行いたします。
〇小林正信委員 本年6月、政府は2017年に制定した水素基本戦略を6年ぶりに改定し、水素の普及に向けた取り組みの強化を図る方針です。私も水素の利活用について質問させていただきます。
 県のいわて水素モビリティ実証事業の概要については、大久保隆規委員から御質問がありましたので割愛します。ただ、2基を設置する目標ということだったのですけれども、水素ステーションは設置が難しいという気がします。めどがあって目標を2基としたのか、できそうだというのがあったので目標を2基としたのか、お伺いしたい。
 また、今、福島県は国の大きな後押しもありますけれども、国内でも最大規模の水素製造拠点、福島水素エネルギー研究フィールドが形成されております。東北地方において水素活用が進むものと考えられます。ただし、製造コストや製造の過程でCО2が排出される等、課題も多く、官民が連携した取り組みが重要と思います。
 今後、県として国の基本戦略をもとに水素活用を進めるものと思いますけれども、今後の県の取り組みについて、お考えをお伺いします。
〇高橋グリーン社会推進課長 まず1点目の水素ステーションの補助の件でございますけれども、ステーションに関しましては、複数の事業者の方から内々にお問い合わせをいただいていた状況もございましたので、県としましては、初めての取り組みではございましたけれども、昨年度の新規事業として予算を計上させていただいたという経緯でございます。
 2点目でございます。福島県の先進的な動き、あるいは、水素の戦略の改定を受けてということでございます。水素の利活用は、やはり脱炭素社会に向けては非常に有効な選択肢の一つと思っております。一方で、小林正信委員から先ほど御紹介いただきましたけれども、コストの面、あるいは、どこから原料となるものを持ってきて、どこで製造して、その過程でCО2がどの程度発生するのか、しないのかという課題もあることも承知しております。
 ただ、国としましては、戦略を改定いたしまして、今後15兆円を超える投資を行うということで、取り組みを加速させるとしております。本県としましては、これまで水素モビリティの補助ということで取り組みをしてきたわけですが、それ以外にも理解促進ですとか県民の意識醸成にも取り組んできたところでございます。
 今後につきましては、引き続き、そういうことにも取り組みつつ、例えば、福島県で製造されている水素の使い道がないのか、あるいは、先ほどほかの委員からもお話がありましたけれども、出力抑制ということで再生可能エネルギーの電力を抑制せざるを得ない事態も出てきております。そのときは需要が想定より落ち込んでいて、太陽光などが天気がよくて供給がはね上がった場合に出力を抑制しているということなのですけれども、そういう場合の余剰電力というものの活用先としましても、そのまま蓄電するというやり方もありますが、水素に変換をしてためておくということも考えられますので、国の動きにも注目しながら、今後、利活用に向けてどういう取り組みが有効なのか検討してまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 ぜひ福島県の取り組み、非常に大きい取り組みかと思いますので、そことの連携というところも、同じ東北地方ということで、ぜひ行っていただければと思います。
 次に、10月ももう終わりますけれども、今月10月は食品ロス削減月間です。そして、本日10月30日は食品ロス削減の日です。政府の統計では、2021年度の国内の食品ロスは523万トン、過去最も多かった2015年の646万トンと比較すると約2割の減少となっていますけれども、国連が昨年、食糧難の地域に提供した食糧支援の480万トンを上回る膨大な量の食品が廃棄されている。県における令和4年度の食品ロス削減の取り組み状況についてお伺いします。
〇古澤資源循環推進課総括課長 食品ロスに係る岩手県の現状と令和4年度の取り組み状況でございます。
 まず、食品ロス発生量の現状としまして、令和2年度の推計値で、家庭系が年間2万2、400トン、事業系が2万9、000トン、合わせて5万1、400トン発生していると推計しております。これは平成30年度の推計値よりも約600トン減少しているという状況でございます。
 次に、令和4年度の取り組みの実績といたしましては、岩手県食品ロス削減推進計画に基づく普及啓発活動としまして、SNSや新聞広告等、あらゆる媒体を活用して家庭でできる食品ロス削減の取り組みを一般に呼びかけたほか、飲食店で食べきることができなかった料理を持ち帰るためのドギーバッグのネーミングとデザインを募集するアイデアコンテストを実施しまして、制作した持ち帰り容器を、エコレストランいわて認定店など85店舗に約1万8、500枚配布するなど普及啓発を行ったところでございます。
〇小林正信委員 わかりました。普及啓発の具体的な取り組みを進めていただいているということもわかりましたけれども、全国において、食品ロス削減の先進的な取り組みとして、食品販売事業者と消費者をネット等でマッチングするような制度、サービスを導入している自治体も幾つかある。そういうことが広がっている。また、賞味期限が近い商品を扱う食品ロス削減無人販売機、フーボというそうですけれども、これは新潟県や茨城県では県庁内に設置して、県民の機運を高めるきっかけとしていると伺っております。今後の県における具体的な削減の取り組み、県民への食品ロスへの意識啓発について、お考えをお伺いしたいと思います。
〇古澤資源循環推進課総括課長 今後の取り組みでございますが、先ほどもお話しさせていただきましたドギーバッグの取り組みの効果もありまして、エコレストランいわて認定店及びエコホテルいわて認定店につきましては、認定数が増加しております。今後もこれらの店舗と連携して普及啓発の取り組みを進めるとともに、食品ロス削減に取り組む事業者がさらに増加するように働きかけていきたいと考えております。
 また、市町村とも連携した、もったいない・いわて☆食べきりキャンペーンに取り組んでおりまして、普及啓発物品の配布、それから、当課で3R推進キャラクターエコロルというものがあるのですが、それによる保育施設等の訪問を行って、食べ残しの防止を呼びかけたりしておりますので、今後もこういう取り組みを継続して意識啓発を図っていきたいと考えております。
 加えて、令和4年度末で5市町村が食品ロス削減推進計画を策定していると承知しておりまして、これらの市町村計画とも連携した取り組みの展開を図るとともに、今後新たに食品ロス削減推進計画を策定する市町村には必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 事業者の削減の取り組み、認定店が広がっていると思うのですけれども、やはり半分が家庭から出ているというところが大きいと思います。市町村の取り組みも重要だと思うのですけれども、家庭の食品ロスをどうしていくかという部分にももう少し県としても目くばせをしていただいて、取り組みを進めていただければと思います。よろしくお願いします。
 女性の活躍支援について。いわて女性活躍支援強化事業費の取り組み内容については、先ほど小西和子委員から質疑がございましたので割愛しますけれども、この支援強化事業、平成30年から毎年の評価を見ていますと、コロナ禍の影響があった令和2年度を除いてほとんどがA評価、令和3年度は全ての指標でAとなっております。
 しかし、先ほどの小西和子委員のお話を伺うに、現状の把握が本当にできているのか。女性の社会減、また、県外流出が厳しい状況にある中で、女性の活躍支援強化が本当になされてきたのか、平成30年から評価Aで本当に大丈夫だったのかという疑問が残るところであります。
 令和4年度も本事業はA評価が多くなっておりますけれども、指標をもう少しシビアに厳しく見直し、現状を十分に把握した上での評価となるようお願いしたいと思います。
 またもう一点、女性のためのつながりサポート事業、いわて女性のスペース・ミモザについても小西和子委員が詳しく質疑されたので、割愛したいと思います。
 そして、県は人口問題対策本部に設置されている人口減少対策検討ワーキンググループにおいて、今後、女性の生きやすさに十分配慮した対策パッケージをまとめるとしておりますけれども、私はやはり、女性の活躍支援に特化した部局横断の仕組みは必要なのだろうと考えております。今後の女性活躍のための部局連携について、お伺いします。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 女性活躍に向けた部局連携についてでございますが、女性活躍推進に向けましては、これまでも女性活躍推進本部会議ですとかいわて女性の活躍促進連携会議を通じまして、防災、子育て支援、就業促進、農林水産、建設など多様な分野での関係部局や関係団体が連携しまして、全庁的な取り組みを進めてきたところでございます。
 今年度におきましては、先ほど御紹介しましたとおり、商工労働観光部において、若者・女性創業支援資金の創設ですとか、若者や女性に魅力ある職場づくりのための補助制度の創設など、新たな取り組みを進めていただいたところでございますし、さらに、地元金融機関と県が連携した支援といたしまして、女性活躍認定企業等が金利優遇を受けられる制度が創設されるなど、公民連携による取り組みも進めているところでございます。
 今後は、女性活躍企業認定におきまして、さらに優遇措置が加わるよう、県の補助事業との連携の可能性について関係部局と協議を進めるとともに、女性デジタル人材の育成に向けた事業においては、出産、子育てによる未就業女性や非正規雇用者への周知等、保健福祉部とも連携しまして、引き続き取り組んでいきたいと考えております。
〇小林正信委員 これは多岐にわたる課題かと思いますので、ぜひ部局間の連携を強化していただきながら、取り組みの充実、女性活躍の支援強化を図っていただければと思います。
 女性と並んで若者の活躍支援も人口減少対策については重要な政策です。いわて若者活躍支援事業費、令和4年度も計上されておりますけれども、取り組み内容と取り組みの評価についてお伺いします。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 若者活躍支援強化事業の取り組み内容と評価についてでございますが、若者の参画、交流、発表機会の創出やネットワークづくりを促進するため、いわて若者カフェの運営ですとか、いわてネクストジェネレーションフォーラムを開催したほか、若者の豊かな発想力や想像力を生かし、地域の課題解決や活性化に結びつくような自発的で積極的な活動を行う若者グループ等に対しまして、補助事業による支援を行ってきたところでございます。
 加えまして、ポータルサイト、コネクサスによりまして、ウェブ上で県内の若者の情報発信、交流の場を創出し、本県の若者が活躍できる環境づくりに取り組んできたところでございます。
 令和4年度の取り組みといたしましては、若者の活動を支援するカフェマスター等が講師となったイベントを17回開催しておりまして、参加者の中からは、カフェマスターの助言のもとでクラウドファンディングを行い、空き店舗を改修して飲食店オープンの夢を実現するといった事例も出ているところでございます。
 また、県内の若者の主体的な活動について、9団体に補助をするなど積極的かつ多面的な形で支援をしているところでございまして、若者の自己実現に寄与しているものと考えております。
〇小林正信委員 さまざま取り組みを行っていただいている中で、若者の声を政治に反映させるような取り組み、自己実現をしっかりやっていただいているということだったのですけれども、例えば、以前も話題に上ったかと思いますが、愛知県新城市の若者議会は、1、000万円の提案権を持つプラットホームになっている。また、滋賀県では、これは年齢が下がりますけれども、小学校4年生から中学校3年生までの子ども県議会が、半年間勉強して知事に政策提言を行っている。今後、県としても若者の意見を具体的に政策に反映させるような取り組みも必要なのではないかと考えておりますけれども、そのあたりの御所見をお伺いしたいと思います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 若者の意見の県の政策への取り入れでございますけれども、先ほど御紹介しました、いわて若者カフェですとかネクストジェネレーションフォーラムのほか、中学生を対象とした弁論大会である、わたしの主張ですとか、岩手県の将来を担う人材の育成に向けた体験交流活動である、いわて希望塾など、さまざまな機会を捉えて、若者の生の声を聞き、課題意識等の把握に努めてきたところでございます。
 なお、来月開催するネクストジェネレーションフォーラムにおきましては、現在の若者はこれまでの世代とは異なる価値観を持っておりまして、そのような若者に選ばれる地域社会とはどのようなものかということをテーマに据えて議論を行いまして、最後に若者から大人や社会に向けた提言を発表することとしております。
〇小林正信委員 この提言、しっかりと県は受けとめていただいて、多分、知事もかかわられると思うので、そのあたりはしっかり意見が反映されていると感じられるような取り組みをしていただきたい。
 続いて、青少年なやみ相談室、実績値が1、136件とかなり多いものとなっていますけれども、この事業の評価については、相談件数よりも相談をどれくらい解決してあげたのかというところが重要なのかと思います。令和4年度の取り組み状況、また、これだけ多くの相談があって課題も多いのかと思いますけれども、課題を踏まえた今後の取り組みについてお伺いします。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 青少年なやみ相談室でございますが、子ども・若者総合相談センターといたしまして、青少年活動交流センター内に相談窓口を設置しているものでございます。
 昨年度の相談件数は1、136件ということで、主にひきこもりですとか不登校といった相談が寄せられているところで、関係機関と連携して問題解決を図っているところでございます。
 なお、相談件数が近年増加傾向にありまして、その要因を分析したところ、人間関係ですとかSNS等の問題が増加しているというところでございます。内容におきましても、安心できる居場所や話し相手がいないですとか、地域社会やしきたりによる抑圧、男らしさ女らしさを求められるなど、多様になってきているところでございます。
 若者の生きにくさは県内定着等にも影響することから、人口減少対策本部のワーキンググループを通じて庁内で情報共有を図っているところでございます。
 先ほどのネクストジェネレーションフォーラムでの提言発表のほかにも、岩手県子ども・若者自立支援ネットワーク会議を通じまして、関係機関が連携した相談体制を充実させるなど、引き続き、若者が生きやすい環境づくりに努めていきたいと考えております。
〇小林正信委員 ぜひこの取り組みの充実はお願いしたいというところと、いわて若者ステップアップ支援事業についても、若者の生きにくさを生きやすさに変える取り組みとして重要なのかと思いますけれども、県単独で412万円、もう少しこの予算の部分も広げていただいて、若者を応援していただけないかとも感じているわけです。令和4年度の取り組みと今後の充実について、お伺いしたいと思います。
〇藤井青少年・男女共同参画課長 いわて若者ステップアップ支援事業でございますが、当該事業は、若年無業者等の困難を抱える青少年を支援するために、活動交流機会の提供ですとか訪問支援、相談対応、就業に向けたジョブトレーニング等を行っているもので、国の地域若者サポートステーション事業と一体で取り組んでいるものでございます。
 なお、県内の若年無業者の数は、令和4年度就業構造基本調査によると5、600人となっておりまして、5年前の5、800人と比べて減少しているものの、若者総数に占める割合は増加しているという状況でございます。今後もこれらの取り組みをしっかりと継続していくことが重要であると考えております。
〇佐々木宣和副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木宣和副委員長 質疑がないようでありますので、これで環境生活部関係の質疑を終わります。
 環境生活部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、労働委員会事務局長に、労働委員会関係の説明を求めます。
〇宮労働委員会事務局長 労働委員会関係の決算につきまして、歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げますので、256ページをごらん願います。
 第5款労働費のうち3項労働委員会費が当委員会で所管するものでございます。
 予算現計の計、1億2、280万円余に対しまして、支出済額は1億2、183万円余でございます。
 内訳でございますが、初めに、1目委員会費の支出済額2、831万円余は、委員15名分の報酬や旅費など、労使紛争の解決を図るため委員会の運営に要した経費でございます。
 次に、2目事務局費の支出済額9、351万円余は、職員の人件費や旅費など事務局の管理運営に要した経費でございます。
 以上で労働委員会関係の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇佐々木宣和副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇佐藤ケイ子委員 今、労働委員会の決算の説明がありましたけれども、ほとんどが事務局職員、それから、労働委員の方々の報酬ということでございますが、事業内容についてお伺いいたします。
 労働相談が過去最大となったという情報ですけれども、労働相談の件数、相談手段、フリーダイヤルとかメールとかいろいろあるようですけれども、その手段別、それから、相談者の別、正規、非正規とか、使用者の方も相談できるわけですけれども、そういうのはどうだったか。それから内容、パワーハラスメントとか時間外労働の問題とか、さまざまあるのだろうと思いますけれども、その相談件数はどうだったかお伺いいたします。
〇四戸審査調整課総括課長 労働相談件数のお尋ねについてでございますけれども、佐藤ケイ子委員御指摘のとおり、令和4年度に受け付けました労働相談件数は673件で、前年度の447件に比べますと226件の増、率にして50.6%の増と過去最多となっております。
 相談の状況ですが、相談手段につきましては、フリーダイヤルなどの電話相談が598件と全体の88.9%と最も多く、ほか、メールによる相談が33件、委員による月例相談会や出前相談会が31件、来庁等による相談が11件となっているところです。
 相談者別の状況についてでございますが、労使別につきましては、労働者からの相談が646件と全体の96%を占めておりまして、使用者からは27件、4%となっているところです。
 以下、割合で申し上げますと、雇用形態別につきましては、正規雇用者からの相談が42.3%、非正規雇用者が35.1%となっておりまして、正規雇用者からの相談が若干多くなっております。
 年代別につきましては、多い順に、40代、50代、30代となっておりまして、30代から50代の相談が全体の約半数を占めております。
 男女別につきましては、ほぼ同じ割合となっております。
 相談の内容別につきましては、パワーハラスメント、嫌がらせに関するものが最も多く、相談内容別件数全体の16.8%を占めておりまして、次いで、賃金、手当に関するものが13.5%、次いで退職に関するものが12.6%となっているところです。
〇佐藤ケイ子委員 今、詳しく報告がございましたけれども、昨年よりも50%増ということですね。すごく多くなっている。多くなった理由は、例えば、さまざまな形で相談しやすいような体制をとってきたということなのか、それとも労働環境が厳しいという状況なのか、判断に悩むところなのですけれども、まず、相談会、相談手法、さまざま拡大してきたということなのですけれども、どのように相談会があるということを周知してきたのか、お伺いいたします。
〇四戸審査調整課総括課長 相談会や相談手法の周知についてでございますけれども、電話や来所、メールによる労働相談会の開催につきましては、県のホームページはもちろんのこと、テレビ、ラジオ、LINE、Xなどの県の広報媒体、プレスリリース、そして、民間の求人情報誌や経営者団体の広報誌などを活用させていただきましたほか、商業施設へのチラシの掲示ですとか商工団体への働きかけなどによりまして周知を行っているところでございます。
 また、労使団体や大学、学生等を対象としました出前講座も実施しておりまして、その中で、ワークルールなどの啓発とあわせて労働相談の周知に努めているところです。
 先ほどハラスメントの相談が多く寄せられているというお話をさせていただきましたけれども、10月には県立図書館と連携いたしまして、来館者へのハラスメントについての図書の紹介とあわせて、労働相談の周知や活用を促すパネル展示を行っているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。今、SNSで情報を探すという方々もふえているようでありまして、Xなどでも私も見たことがあるのですけれども、活用されるのかという思いをしておりました。
 それで、労働相談なんでもダイヤルが0120-610-797労働で泣くなということで、わかりやすい番号をつくったものだと思っていました。こういうことをどんどん周知していただきたいわけですけれども、私が思うに、相談件数が多いことがいいことなのか、それとも問題なのかということなのです。今まで泣き寝入りした方々がきちんと相談できるような体制が知られてきたということはいいことなのか、それとも本当に労働環境が厳しいのか。
 労働者側も使用者側も、労働基準法を初めとした労働法制に対して理解していない、理解が不十分なのではないかというところから職場内での労働問題が発生しているという事例もたくさん見てきているのですけれども、相談内容からして、県内の労働環境について、どのような所感を持っているのかお伺いいたします。
〇四戸審査調整課総括課長 相談内容から見た県内の労働環境についてでございますけれども、労働相談は大部分が労働者個人からの御相談になっておりまして、労働相談がセーフティネットの役割を果たしているのではないかと思っております。
 労働契約時に労働時間、賃金、働く場所、業務内容などの基本的な労働条件が十分に明示されていないケース、また、就業規則も見ていないなど、自分の労働条件を知らないままで相談される方があるのも現状でございます。また、使用者の不信感などから退職の一因になるケースも出てきております。
 佐藤ケイ子委員御指摘のとおり、相談される労働者だけでなく、雇用される使用者も基本的なワークルールを理解していないことから生じている問題と考えております。
 県内では、働き方改革に取り組んで、よりよい雇用労働環境を進めていこうという企業がある一方で、こういう課題を抱えている企業もございますので、人手不足の中で人材の採用ですとか定着という点からも、労働者、使用者双方の基本的なワークルールの理解促進が必要と考えております。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。昔であれば労働団体も結構力があって、働いている人たちそれぞれの悩みも使用者側と交渉したのが労働組合ですけれども、なかなか今、組合加入率が悪いということもあって、組合としての力が弱まっているというのもかなり指摘されているところであります。労働側としても取り組むべき課題はたくさんありますし、それはそれなりにやってもらう。それから、個人でも、組合に入っていなくても、非正規でもたくさん解決する手段はあるということをこれからもお知らせいただきたいと思います。ありがとうございます。
〇佐々木宣和副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木宣和副委員長 質疑がないようでありますので、これで労働委員会関係の質疑を終わります。
 労働委員会事務局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、商工労働観光部長に、商工労働観光部関係の説明を求めます。
〇岩渕商工労働観光部長 令和4年度の商工労働観光部関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、総括的な取り組みと今後の取り組み方向について御説明を申し上げます。
 当部では、いわて県民計画(2019〜2028)が目指す、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわての実現に向けて、ものづくり産業の一層の集積促進、若年者の県内定着とU・Iターン、移住、定住の推進、若者や女性などに魅力ある雇用、労働環境の構築、中小企業者のDXの推進による生産性向上などに取り組むとともに、魅力ある観光地域づくりや国内外からの誘客促進、県産品の販路拡大などに取り組んでまいりました。
 また、新型コロナウイルス感染症やエネルギー価格、物価の高騰などの影響を受けている中小企業者を支援するため、新型コロナウイルス感染症対策資金や物価高騰対策支援金などの資金面での支援に加え、いわて中小企業事業継続支援センター相談窓口の設置による経営課題の解決支援、いわて旅応援プロジェクトや、いわて県民応援!プレミアムポイント還元キャンペーンなどによる需要喚起策を展開してまいりました。
 県内の経済状況は持ち直しの状況にあると受けとめておりますが、エネルギー価格、物価の高騰、人手不足、賃上げの対応などにより、県内の事業者は引き続き厳しい経営環境を強いられており、今後におきましても、社会経済環境の変化等に的確に対応しつつ、関係団体と連携し、引き続き、中小企業者の個々の実情に応じた支援を展開してまいります。
 続きまして、決算の概要について御説明申し上げます。令和4年度岩手県歳入歳出決算書の18ページをごらん願います。
 一般会計歳出における商工労働観光部の決算は、2款総務費のうち4項地域振興費の一部、5款労働費のうち1項労政費、2項職業訓練費、20ページに参りまして、7款商工費、22ページに参りまして、11款災害復旧費のうち3項商工労働観光施設災害復旧費でありますが、これらの予算現額は1、478億315万円余、これに対する支出済額は1、221億8、106万円余、翌年度繰越額は87億8、026万円余、不用額は168億4、182万円余であります。
 次に、46ページをごらん願います。中小企業振興資金特別会計でありますが、予算現額は、歳入歳出それぞれ19億6、240万円余であり、これに対する収入済額は19億4、784万円余、支出済額は19億708万円余であります。
 以上で商工労働観光部関係の決算についての説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇佐々木宣和副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇関根敏伸委員 私からは、県内の企業の賃上げに対しましての県の支援の方向性につきましてお伺いさせていただきたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症発症以来、さまざまな新型コロナウイルス感染症対応の支援であるとか、物価高に対しての対応をしていただいておりますことには心から感謝を申し上げますが、そんな中、県は令和5年6月の補正予算で中小企業等賃上げ環境整備支援事業を立ち上げられました。これにつきまして、詳細について何点かお伺いさせていただきたいと思います。
 今回、この事業の申請が締め切られたと思っておりますけれども、現在の申請状況、件数、業種別、規模別、こういうものの状況がわかれば教えてだきたいと思いますし、申請終了に当たっての県の受けとめもお伺いさせていただきたいと思います。
〇小野寺経営支援課総括課長 中小企業者等賃上げ環境整備事業費補助金、これは8月1日から10月13日まで申請を受け付けいたしました。54件、約8、100万円の申請をいただいたところです。
 業種別では、製造業が22件、サービス業と建設業がそれぞれ8件、このほか、卸・小売ですとか飲食、宿泊、運輸など幅広い業種から申請をいただきました。
 規模別で申し上げますと、従業員数20人以下の事業者が44件ということで約8割でございまして、対して100人を超える事業者の方からも3件ほど申請をいただいております。
 地域別では、県南広域振興局管内が17件、盛岡、県北広域振興局管内がそれぞれ14件、沿岸広域振興局管内が9件ということで、満遍なく申請をいただいております。
 申請を終えるに当たっての受けとめということでございますけれども、今回の申請に当たって、事業者の経営革新計画の作成ですとか本補助金の申請を支援している商工指導団体のほうからお話をお聞きしますと、今回、54件の申請ですが、さらに20から30件ほど申請をお考えになられていた事業者の方々もいらっしゃるということもお聞きしております。スケジュールの面から今年度の申請は間に合わなかったケースもあるとお聞きしておりますので、こういう補助事業のような支援へのニーズは高いものがあると考えております。
〇関根敏伸委員 今回、申請が54件になっているのですが、予算規模で2億円、これは100件程度に補助して1件当たり上限200万円という形でつくられていると思うのですけれども、事業規模、この制度をつくった目的とについて、再度またこの受けとめも聞かせていただきたいと思います。
〇小野寺経営支援課総括課長 まず、事業目的でございますが、これは経営革新計画に基づいて、生産性向上を図って賃上げを行おうとする事業者の方の新たな設備投資や人材育成等に要する経費を支援する。これとあわせて、適切かつ円滑な価格転嫁を実現するためのパートナーシップ構築宣言の県内での普及拡大を図ろうということが事業目的でございます。
 予算額2億円の中で、今、関根敏伸委員からお話のありましたとおり、補助上限額200万円で支援企業数100件という想定のもとで2億円の予算措置をさせていただいたところでございますけれども、先ほど御答弁しましたとおり、約8、100万円の申請ということで、予算の半分弱ぐらいの申請ということでございましたが、事業者の方からは、さらに申請したいというお考えの方々もいらっしゃるというお話もお聞きしておりますので、やはりニーズはあるものと考えております。
〇関根敏伸委員 国でも似たような賃上げのさまざまな制度をつくっています。例えば、事業の再構築補助金でありますとか、直接的には最賃の引き上げと生産性向上をセットで要件とする業務改善助成金などがあるわけでありますが、今回、県が新しい制度をつくるに当たって、国のさまざまな助成金、補助金、組み立て、たてつけを変えているわけですね。例えば、業務改善助成金であれば、今言ったように、最低賃金の引き上げと生産性向上への設備投資がセットになっているわけでありますが、県は今回、パートナーシップ構築宣言をうたうこと、年2%の賃金上昇を図ること、あわせて、経営革新計画によって新業態に進出すること、その部分に対しての設備投資、これを要件として求めているわけです。
 私はこの質問を令和5年6月定例会の一般質問でもさせていただきました。ハードルが少し高いのではないかということは申し上げた経緯があります。私が当時いただいた資料では、全国の都道府県の中で独自の賃上げに踏み切った都道府県は、岩手県を含めて九つですから、そういう意味では非常に早い立ち上げをされたと思うのですが、多くの都道府県は、国の業務改善助成金への上乗せという形で、助成率をアップする形で、要件を新たにつけ加えていないのです。こういうたてつけにした理由、事業の目的そのものが、私は賃上げ支援というよりは業態転換を求めている内容になっているのではないかと思うのですが、この点について改めてお伺いいたします。
〇小野寺経営支援課総括課長 まず、経営革新計画を要件とした考え方でございますけれども、企業の方々に生産性向上を図っていただいた上で賃上げを実施していただくということになりますと、既存の取り組みの範疇の中ではなかなか厳しい部分もあるのであろうという考えがございます。
 それから、経営革新計画でございますが、必ずしも新たな業態のほうに進出をいただくということだけではなくて、今ある商品構成の中で新たに商品を開発するですとか、今行っているサービスをもう少し工夫して、これまで取り組んでこなかったサービスの提供等に取り組む、そういうことも経営革新の範疇に入ります。
 それから、企業単独で経営革新計画の策定というのもなかなか難しい面もあるかとは思いますけれども、今、商工会議所、商工会、いわゆる支援機関が伴走しながら経営革新計画の策定の支援を行っておりまして、私も10年ほど前にもかかわっておりましたが、大分今、企業のほうから申請いただく計画の中身というもののレベルが上がってきています。それは支援機関の伴走支援が非常に効果的になっているものだと思います。
 今回、この補助金の申請に当たって、新たに経営革新計画の申請もいただきましたが、そこでは支援機関の方々の伴走支援が行われて、一定数の申請等もいただいておりますので、そういう意味では、お近くの商工指導団体等と一緒に賃上げに向けた生産性向上を図るための取り組みをしていただく一つのきっかけにもなるであろうというところもございますので、この経営革新計画に基づいて申請いただくという形は、効果のある形と考えております。
〇関根敏伸委員 県がこの制度に込めた思いというのは理解はしますし、持続的な賃上げを考えたときに、生産性を向上して賃上げに向けた利益を獲得しなければ持続的な賃上げはできないのは全くそのとおりです。理屈に全く合っているのです。
 ただ、今、県内の企業実態を見たときに、先般の新聞にも載っていましたが、賃上げに踏み切った企業が83%です。一方、県内の赤字法人率は、令和2年度で64%です。恐らく令和5年はもっとふえていると思います。完全に、賃上げの原資を確保できなくても防衛的に賃上げに踏み切らざるを得ない。この流れが明らかにあらわれている。私はこうだと思っております。
 パートナーシップ構築宣言、取引の適正化と適切な価格転嫁を求めているものもわかるのですが、これも経営実態調査で価格転嫁できないという企業が73%です。非常に今の経営実態、県内の企業を取り巻く実態と制度の求めるハードルとの距離が少し高い、私はこういう認識を持たざるを得ないのですが、改めて所感をお伺いいたします。
〇小野寺経営支援課総括課長 パートナーシップ構築宣言、改めて制度の概要を御説明させていただきますと、原材料、エネルギーコスト等の上昇分を適切に価格転嫁して、中小企業、小規模事業者の賃上げを実現することで成長と分配の好循環を生み出していくということで、国が令和2年6月から普及に取り組んでいるものでございます。
 今回、賃上げ補助金の要件を検討するに当たって、パートナーシップ構築宣言を、もしも申請が多いときに審査をして採択をしていくというような状況になれば加点措置にするという考え方も一つの選択肢としてはあったのですけれども、あえて宣言をしていただくということを要件にした考え方としますと、パートナーシップ構築宣言をすれば、すぐに価格転嫁が行われるものではないのですけれども、適切かつ円滑な価格転嫁の第一歩にはなるであろうということ。そして、岩手県の宣言企業数、企業に占める割合も高くないような状況もございましたので、やはりこのパートナーシップ構築宣言をより多くの企業にしていただくということで、適切かつ円滑な価格転嫁の機運の醸成も図っていきたいという思いもあって、今回……
〇佐々木宣和副委員長 答弁は簡潔にお願いいたします。
〇小野寺経営支援課総括課長(続) そのようにさせていただいたところです。
〇関根敏伸委員 非常に意味はわかるのです。ただ、何度も言いますが、御承知のとおり、岩手県内の中小企業の経営者の年齢は非常に高いのです。一方、事業承継はなかなかうまくいっていない。企業者が若くて事業承継が見えれば、新業態に進出するとか、新たなことを思い切ってやることができるのですが、できづらいぎりぎりの状態にいる。その中で賃上げを迫られている。防衛的な賃上げをせざるを得ない。人が採れない、場合によっては、今いる従業員にやめられてしまう。幾らかでも物価高で従業員の人たちの賃金を上げてあげたい、こういう気持ちを考えたときに、私は6月定例会の一般質問でも申し上げたとおり、賃上げに踏み切った企業に直接支援をするということももう一度考えてもいいのではないかと思っております。
 岩渕商工労働観光部長の答弁では、県内市町村や国の動向、動きを注視して、必要に応じて適時適切な対応を今後も考えたい、こういう御答弁をいただいておりました。先ほど、全国の都道府県の支援の動きを見ても、山形県や東京都では直接の賃上げに対しての支援をしているのです。県内の市町村でも直接賃上げに対しての支援を行っている市町村もあるわけです。ですから、改めて、まず県内の市町村でどういう支援が行われているのか、国で新たな、都道府県も含めて、現状に見合ったどういう支援が行われているのか、県はどのように把握をしているのか、お伺いさせていただきたいと思います。
〇菅原労働課長 県内の市町村の独自の賃上げ支援の状況ということでございますけれども、当方で把握しておりますのは北上市でございます。北上市では、賃上げを実施する中小企業に対しまして、1事業者195万円を上限に最大9カ月間の給与支給総額の前の年との差額の2分の1の支援をする取り組みを行っていると承知しています。
 当方で把握しているのは、以上でございます。
〇関根敏伸委員 わかりました。最後にしたいと思いますけれども、先ほど言いました県内の83%もの企業が賃上げに踏み切ったことを受けて、中小企業団体中央会の専務がコメントを寄せていましたけれども、まさに賃上げそのものが将来への投資だと、こういう思いの中で賃上げに踏み切っている。ある意味、歯を食いしばってやっているのだと思うのです。この認識は私、正しいと思います。今の賃上げそのものが将来の投資だと捉えていくべきだと思います。
 物への投資、設備への投資ではなくて、人への投資ということを考えていくときに、今回の54件、今後、スケジュールが足りなくて、ニーズはまだあるのだという御認識はお持ちかもしれませんが、さまざまな現在の賃上げの状況、防衛的な賃上げの実態を踏まえた上で、要件も含めて、新たな制度設計も含めて、さらに賃上げを支援する企業が100件であっていいわけないですよね。もっとたくさんの企業に支援が行きわたって、県内全体で賃上げが本当に県の支援の中でしっかりと底上げできるぐらいの規模感で制度を再構築する必要があるのではないですか。ここは商工労働観光部長にお伺いさせていただきたいと思います。
〇岩渕商工労働観光部長 賃上げの支援でございますけれども、県におきましては、コロナ禍におきまして、企業経営支援金、あるいは事業継続支援金、ゼロゼロ融資を含めて金融の直接的支援をやりながら進めてきておりまして、その中で、企業のほうにずっと中小企業事業継続支援センター会議とかを通じて、しっかりとした伴走型で、きちんとコロナ禍明け、経済が回っていく段階で計画を見直して、しっかりとした体制をとっていくということをやっていかなければいけないということで、そのときに賃上げの話が出てきましたので、補助金という形を設けました。直接的支援と補助金、両方活用していただくということでございます。
 おっしゃるとおり、賃上げ、幅広い企業が必要としますけれども、非常に大規模な財源の話になりますので、両方必要だというのは重々承知ですけれども、そこは財源を見ながら、きちんとまた他県の例を見極めながら検討していきたいと思います。
〇関根敏伸委員 ありがとうございます。本当に多額の財源がかかるのは、全くそのとおりだと思います。首都圏と地方の社会減の流れがとまらない大きな要因は、賃金格差であることは明らかでありますから、本来、ここは国がしっかり手を入れて、地方と首都圏の賃金を埋めるような、まさに処遇改善的なものを制度化していくべき時期に来ているのではないかと思います。県だけに求めるのは大変酷だということはよくわかるのですが、そういうことも含めて、国への要望も含め、あるいは、県独自で今できること、市町村と一緒になってやれることをぜひ今後とも考えていきながら、ここ一、二年、まさに賃上げにどう対応できるかが多くの県内企業の勝負どころだと思いますので、ぜひともお願いを申し上げまして終わりたいと思います。
〇城内愛彦委員 沿岸地域の水産加工業についてお伺いしたいと思います。
 過日、我が宮古市の復興のシンボルでもありました水産加工業が大変な事態になりました。そういうことに関連するわけでありますけれども、経営状況について、全体的にどんな状況か。大変なのは大変なのだけれども、見通しがあるのかどうかも含めてお伺いしたいと思います。
〇畠山産業経済交流課総括課長 県内の水産加工業の経営状況についてでありますが、本県の水産加工品の製造出荷額は、令和元年は約720億円、令和2年は約674億円、令和3年は約631億円と減少傾向にございます。
 これは秋サケ、サンマ、スルメイカ等の主要魚種の不漁により国産原材料の確保が非常に困難となる中で、原材料が高騰した分の価格転嫁が難しいこと、新型コロナウイルス感染症の影響により多くの事業者が売り上げの確保に苦慮していることなどが主な要因と考えられます。
 また、ALPS処理水の海洋放出に伴う中国の輸入停止措置の影響を受けている事業者もございまして、依然として厳しい経営状況にあると承知しております。
〇城内愛彦委員 先ほど関根敏伸委員からも話がありましたとおり、しっかりとした支援策を示してほしいと思いますし、現地、現場の市町村ともしっかりとした連携を図ってほしいと思います。
 次に、ゼロゼロ融資の総利用状況、そして、返済がどうなのかということもあわせてお伺いします。
〇小野寺経営支援課総括課長 新型コロナウイルス感染症対応資金、いわゆるゼロゼロ融資、水産加工業というくくりで統計はございませんので、製造業全体の保証承諾実績で御説明させていただきますと、件数は1、995件でございまして、全体に占める製造業の割合は約16%です。金額では363億8、748万円余ということでございまして、これはゼロゼロ融資の保証承諾全体の約19%という状況になっております。
〇城内愛彦委員 皆さん計画どおりに返せているのかどうかというのは、どうでしょうか。
〇小野寺経営支援課総括課長 返済の状況ですが、今、御説明した製造業とかそういうくくりでもないので、全体の状況で御説明いたします。
 8月末時点で、いわゆるゼロゼロ融資、貸付残高を有している件数は9、316件あります。金額、残高は1、192億151万円余です。このうち、8月末までに約定返済が開始されたものが7、283件、809億7、789万円余、9月以降に約定返済が開始される予定のものが2、033件、金額は382億2、362万円余ということで、一定の据置期間等もありますので、これから約定開始される事業者の方々も一定数おられるというような状況でございます。
〇城内愛彦委員 ぜひその点についても、前浜からなかなか物が揚がってこない状況にあるわけでありまして、水産加工業の方々、大変厳しいという状況であります。東日本大震災津波の際に冷蔵庫なども新しく建て直しました。ところが、その冷蔵庫も物が入らない。電気代は高いし何ともならないと。できれば皆さんのネットワークとお知恵をお借りして、内陸部の何か冷やしが必要なものについてあっせんするような仕組みづくりというのもあってもいいのではないかと思うのですが、その辺、どうなのでしょうか。
〇畠山産業経済交流課総括課長 お尋ねの内陸部の企業等々の連携という取り組みについてでございますけれども、県といたしましては、現在、水産加工事業者の皆様の東日本大震災津波からの復興も含めてですけれども、あるいは、現状の経営状況の改善を図るためということで、まずは魅力ある商品づくり、あるいは販路開拓、生産性向上といった三つの柱で水産加工事業者の支援といった取り組みを構成しております。
 一つ目の新商品開発につきましては、専門家派遣、個別の企業の商品開発から販路拡大までの一貫した助言、指導というところを徹底しておりますし、それから、いわて希望応援ファンドを使って三陸沿岸地域の事業者を優先的に助成するといった枠組みも設けております。業種の変更であったり、マーケットのニーズに対応した付加価値の高い商品づくりといった支援を展開しております。
 販路開拓につきましては、まさに内外の食の商談会、あるいは、大手量販との連携によるフェア、当然、内陸地域の企業等も含めて、そういう連携を促しておりますし、最近では、いわゆる復興道路を使って関西地方、あるいは九州地方への国内定期便を活用した新しい枠組みでの現地での販売ということも取り組んでおります。
 生産性向上については、沿岸地域の振興局等とも連携した改善導入等での取り組みを進めているところでございます。
〇城内愛彦委員 わかったと言うと有権者に怒られますので、新商品の開発といっても、物が、原材料がないわけです。それで、高い。ファンドといっても、先行きが見えないものに投資をする人は、そうはいない。そして、販路拡大といっても、先進的に入っている棚に、一回抜けてしまったものに対してその場所を確保し直すというのは難しいわけです。まさに八方ふさがりで、だからこそ、空いている手持ちの冷蔵庫を活用するようなことも含めて検討してほしいというところなのです。
 これは、いいものができて、それがどんどん売れるときは誰も悩みはないのだけれども、どうしたら生き残れるか。リスケジュールだけでは何ともならない。
 先ほども話がありましたけれども、賃上げできないとどんどん人が流出してしまう。今、負のスパイラルに入っているわけですので、ぜひそういう点を少しでも、カンフル剤という言い方は変ですけれども、緩和されるような方策、今あるものをうまく、違う魚種という話を皆さんよくするのですけれども、例えば、違う魚種を材料として手に入るような仕組みづくりまで一歩踏み込んだ形の取り組みをしてもらわないといけないのではないかと思うのです。新商品だのファンドだの販路拡大、それは物があるときの話ですからね。そういうところを考えてもらえないでしょうか。商工労働観光部長、どうですか。
〇岩渕商工労働観光部長 水産加工業者、主要魚種の不漁の問題は非常に気にかかっておりまして、私も何社か回らせていただきました。大体口をそろえておっしゃるのが、今までは水揚げがあれば協力関係なく一人で全部売りさばいて1社でやれたのだと。今はそれができなくて、補い合う時代になったのだということを言われまして、ある加工業者さんはサプライチェーンのような話までされていましたけれども、分業するような形をイメージされているのかと思いました。
 そういう話を聞いたときに、内陸部のものを冷やすということは考えませんでしたが、新しい形で、もう少し話を聞きながら、今の産業振興、内陸部でやっているものづくりの例も参考になるかと思いましたので、いろいろな人の入った場をつくったりしながら、連携してやれるようなことも検討が必要と考えておりますので、そういう中で、城内愛彦委員御指摘の取り組みについても検討していきたいと思います。
〇城内愛彦委員 せっかく三陸沿岸道路もつくっていただきました。道路網も整備されて、これまでなかった条件が我々のところにはそろって、陸の孤島だからという言いわけは今できないわけでありますので、しっかりとそういうことも含めてお願いしたいというところです。
 次に移ります。金型、コネクタ産業についてであります。我々の地域は今まで、木材産業と水産加工産業、そして、金型、コネクタ産業の三本柱で私の地域は頑張ってきたところではありますが、どれもこれも最近ちょっと大変そうなのですけれども、金型、コネクタ産業の経営状況については、どのようになっているのかお伺いします。
〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 金型、コネクタ企業の経営状況についてでございますけれども、県内に複数の拠点を設置しております大手金型製造企業では、経営合理化を図るため、国内における生産販売拠点の統廃合と、それに伴う希望退職者の募集が行われたと承知しております。
 なお、同社では、持続的な利益成長を目指すため、現在、国内で製造している量産品を海外工場に生産移管し、国内工場では付加価値の高い特注品製造に特化し事業を継続すると聞いております。
 また、大手コネクタ製造企業においては、中国の景気の減速や世界的な設備投資意欲の減退などにより、産業用機器向けが影響を受けているほか、コロナ特需の終了に伴い、ノートパソコンやスマートフォン、携帯電話等の需要の減退による民生向けなどが影響を受けていると聞いております。
〇城内愛彦委員 今、おっしゃったとおり、決していいあんばいではないというのは、そのとおりであります。これは日本中もそうですし、そういう流れの中にはまってしまったと考えています。そこで、今後、見通しはどうなのですか。明るい兆しがあるのか、しばらく続くのか、その辺、県のほうで捉えているのであればお伺いしたいと思いますし、これも水産加工業に対する皆さんのこれまでのようなアプローチのように、業種転換をしろとかという話にはならない産業ですので、その辺、どうなのですか。
〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 今後の見通しということでございます。御存じのとおり、コネクタというものは、自動車とか家電を初めとしてあらゆる製品に必要不可欠なものであり、今後、スマートフォンの5G対応に伴う高機能化、あるいは、自動車の電子化、電動化、高度情報通信ネットワーク化など、需要は拡大していくものと見込まれております。
 また、これらコネクタの薄型、省スペース化に加え、高速伝送や大容量伝送などコネクタが高性能化することに伴いまして、より精密な金型が必要になるということから、地域の重要な産業である金型、コネクタ関連企業に求められる技術も、より高度化していくものと考えております。
 城内愛彦委員御指摘のとおり、なかなか業種転換が難しいという産業構造になっております。宮古、下閉伊地域のコネクタが産業として約50年になるのですけれども、この50年の間にそういう産業構造ができてきてしまったということなのですけれども、これまでの何回かある難局も乗り切ってきたということでありますし、これからますます高性能化するコネクタ、あるいは、それを製造する金型という技術は非常に大事だと思っておりますので、そういう技術の革新に合わせたような人材育成とか、そういうものもこれからしていかなければならないだろうと感じてございます。
〇城内愛彦委員 各企業とも本当に今、おっしゃったとおり、50年の長きにわたって人材育成もしてきています。これから将来に向けての人材確保も含めて行っています。ただ、それが地域の働く若者であったりにも大きく影響を及ぼしています。東日本大震災津波で多く流出した人口が戻ってこないという中にも、こういう優秀な人材が一緒に内陸地域のほうに吸収されたり、今、キオクシアが頑張っているように、我々の地域からも若い人たちがどんどん流出しています。その受け皿になるのがこの産業であるわけでありますので、今、厳しい状況にあるこの産業を見守るのではなくて、しっかりと支援をしていただいて、支えてほしいと思っていますが、そういう意味では多分、私より皆さんのほうが情報はあるのだろうと思っていますので、その点について最後お伺いして、終わりたいと思いますが、どうでしょうか。
〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 私も仕事を出している企業、いわゆる川下企業、それから、受けている川上企業の両方のお話も聞いております。まずは、その地域でうまく仕事が回っていくような仕組みをつくっていかなければならない。その上で、さらに先ほど申し上げたような、必要な技術はどんどん高度化していかなければならないと考えておりますので、そこは我々だけではなくて、企業と一緒になってどういうことができるかということを考えていきたいと思っております。
〇吉田敬子委員 観光分野におけるバリアフリーの取り組みについてお伺いいたします。
 年齢や障がい等にかかわらず、できるだけ多くの人が最大限に旅の楽しみを享受できる観光環境を創出する取り組みとして、バリアフリー観光、ユニバーサルツーリズムの取り組みが大変重要だと思っております。県内の取り組みの状況、実態について、また、令和4年度の取り組み実績についてお伺いしたいと思います。
 それから、バリアフリーの旅行をする際の県内の相談窓口として、私自身、平泉観光協会の一つしか把握はしていないのですけれども、相談窓口として県で現在相談できるところがあるのかお伺いしたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 観光のユニバーサルデザイン化についてでありますけれども、県では平成8年4月の人にやさしいまちづくり条例の施行に合わせ、人にやさしい街づくり指針を策定し、さまざまな意識啓発や公共的施設の整備促進に取り組んできたところです。
 そして、平成18年6月に、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、いわゆるバリアフリー新法が制定されたことを受け、平成21年3月に、人にやさしい街づくり指針に具体的な推進方向として観光地を加えて、各種観光施設、宿泊施設等のユニバーサルデザイン化の促進、県内観光地に係る各種ユニバーサルデザイン情報を掲載した地図の作成、案内表示への外国語の併記、外国語での対応が可能な観光案内所の設置等を促進してきたところです。
 こうした取り組みを進める中で、平成30年12月に岩手県観光協会内に、いわてバリアフリー観光情報案内所を新たに設置し、電話などの問い合わせに対応しているところです。
 さらに、岩手県観光ポータルサイトいわての旅のいわてバリアフリー観光情報案内所のページで、車椅子の貸し出しや車椅子対応の客室の有無など、県内宿泊施設等の対応状況の情報を発信しているところです。
 令和4年度の取り組み実績についてでありますが、いわてバリアフリー観光情報案内所での問い合わせ対応や、観光案内所職員などを対象とした外部の専門家を招いての、心のバリアフリーでおもてなしをテーマとした研修会の開催、ポータルサイトいわての旅での情報発信、ユニバーサルデザイン電子マップでの情報提供などを実施しているところでございます。
〇佐々木宣和副委員長 相談窓口の話、平泉町以外の話がありました。
〇高橋観光・プロモーション室長(続) 相談窓口につきましては、先ほどお話ししました、いわてバリアフリー観光情報案内所を設置しておりますので、こちらのほうで情報を提供しているところでございます。
〇吉田敬子委員 ホームページの情報案内所に行けば情報をいただけると思うのですけれども、今、そこに私もアクセスできないので、具体的に平泉観光協会がやっているというのは知っているのですが、それ以外にそういう窓口がないということでよろしいのか。情報案内所には集約していると思うのですけれども、具体的な数をお伺いしたくてこの質問をさせていただいたのですが、今すぐわかりますでしょうか。
〇高橋観光・プロモーション室長 状況ということでございますけれども、今、委員からお話のありましたとおり、平泉観光協会と、もう一つは、今お話ししました、いわてバリアフリー観光情報案内所ということでございます。岩手県観光協会の中にございますので、そちらのほうでやっております。
〇吉田敬子委員 先ほど答弁の中で、心のバリアフリーというような取り組みのお話がありましたけれども、まず、バリアフリーツアーの拠点としてバリアフリーツアーセンターというのが他県ではどんどん設置されている状況です。東北地方では秋田県、仙台市、山形県、福島県で設置されていて、岩手県ではまだ県としてのツアーセンターというものが設置されていない状況であります。
 それについて、バリアフリーツアーセンター、先ほどの御答弁だと、平成30年に岩手県観光協会の中にバリアフリー情報案内所というのがあるというのは伺ったのですが、こちらが国で言っているバリアフリーツアーセンターとしての位置づけと同じであるのか、改めてお伺いしたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 バリアフリー観光の推進ということでございますけれども、バリアフリーツアーセンターにつきましては、観光庁のほうで平成28年3月に策定した、明日の日本を支える観光ビジョンにおきまして、いわゆる東京オリンピック・パラリンピックを契機に、各種の観光地や交通機関などの高い水準のユニバーサルデザイン化や心のバリアフリーを推進することを目的に設置を促進したものでございます。
 岩手県におきましても、バリアフリーツアーセンターというお話があったときに、さまざまな情報をお聞きした中で、岩手県観光協会の中に設置主体としてバリアフリー観光情報案内所を設置したということでございます。
 この中では、先ほどお話しました窓口や電話等での相談受付など、バリアフリーに対応した宿泊施設や観光地の情報提供を行っているところでございます。
〇吉田敬子委員 バリアフリーツアーセンターという位置づけでいいのか、改めて御答弁をいただきたいのと、観光庁等が言っているバリアフリーの対応ができる施設というものが岩手県でふえているのか、そういうことについて、取り組み実績を伺いたかったのです。研修とかしているのはもちろん存じてはいるのですけれども、実際にそういったバリアフリーの対応ができる施設がふえているのかというところをお伺いしたくて、私は、岩手県では、バリアフリーツアーセンターというものが設置されていないという認識なのですが、そういう施設を他県と同様にまず設置しつつ、宿泊施設、飲食店等のバリアフリーの対応ができる施設をしっかりふやしていくべきではないかということでお伺いしています。その数については、県としては認識していると思いますけれども、改めて、認定と宿泊施設を含めてお伺いしたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 バリアフリーツアーセンターということでございますけれども、高齢者、障がい者を含む全ての人が旅行を楽しむことができる環境づくりに取り組んでいる組織、バリアフリーツアーセンターというのがございますけれども、そのほかに、ユニバーサルツーリズムセンターであるとか、アクセシブルツーリズムセンターなど、さまざまな名称で存在しているところでございます。
 本県におきましては、当初、平成30年のときにユニバーサルツアーセンターというのを導入することにつきまして検討を進めたところでございますけれども、バリアフリーツアーセンターの名称を使用しないで、いわてバリアフリー観光案内所を設置したという形になっております。これにつきましては、設置した経緯といたしましては、さまざまなライセンス料、立ち上げのためのセンターの職員、受け入れ施設を対象とした研修、情報提供、システムの導入などに経費を要するということから、現在の名称で立ち上げたというところが経緯になっております。
 県内の施設の数ということでしたけれども、今、手元に情報がございませんので、後で折り返しお話をさせていただきたいと思います。
〇吉田敬子委員 バリアフリーツアーセンターというものと同じものが岩手県観光協会の中にあるということでよろしいのですね。わかりました。
 実は、盛岡市動物公園、ZOOMOが今年度リニューアルしたのですけれども、実際には車椅子にかかわるユニバーサルデザインの部分の対応がなされていなくて、せっかくリニューアルしたのだけれども、実際の車椅子ユーザーの方には少し厳しいような傾斜や出入り口になっているような状況です。盛岡市動物公園も観光客だったり教育旅行の誘致も含めてこれから対応していこうと思ってリニューアルをかけたのだけれども、実際にはそういう状況にはなくて、バリアフリーツアーセンターについて、他県ではすごく取り組みが進んでいるんだけれども、岩手県では動物公園のほうではないという認識であったのです。
 相談窓口としていわてバリアフリー情報案内所があるということなのですが、先ほどの動物公園は一例として挙げたまでですが、その辺のバリアフリーの取り組みがもう少し、私も改めて研究しながらですけれども、情報案内所の役割として、もっと踏み込んでやっていただきたいという思いがありますので、この辺については、数値をいただけなかったので、この件については後ほどにしたいと思います。
 施設のほうで、観光客のためにいろいろな取り組みをしたいと思っているときのユニバーサルツーリズムの視点で、なかなか取り組みが進んでいないのではないかという思いがありましたので、取り上げさせていただきました。
 次に行きたいと思います。企業における仕事と家庭の両立支援についてお伺いしたいと思います。
 商工労働観光部として、企業に対しどのような取り組み、働きかけをして両立支援につながっているという認識なのかお伺いしたいと思います。
〇菅原労働課長 商工労働観光部として企業に対して働きかけがどうつながっているかというお話でございますが、県では、いわてで働こう推進協議会の構成団体を通じて県の取り組みをお知らせし、制度の活用を促しているほか、岩手労働局などと連携しまして、県内の経済団体に対しまして、仕事と生活の調和の推進を初めとする働き方改革に向けた取り組みについて継続してお願いしているところでございます。
 また、いわて働き方改革アワード、セミナーを企業に対して開催しまして、両立支援の優良事例の普及啓発に努めるとともに、企業訪問活動、いわて労働ニュースというメールで定期的に情報を発信しまして、例えば、いわて子育てにやさしい企業等の認証制度、国の両立支援等助成金の各種制度の周知に取り組んできたところです。
 これらの取り組みが両立支援につながっているかということですけれども、本県の調査によりますと、男性の育児休業取得率が増加しているとか、県内の企業の短時間勤務制度の導入が進んできているという結果も出ていますので、一定の効果はあると思っています。
 ただ、統計では100人未満の小さな企業は、まだ育休の規定もないという回答もありますので、さらなる取り組みが必要だと思っています。
〇吉田敬子委員 県で休暇制度の利用実態調査を始められたと伺っております。私は両立支援の中でも、男性と女性でしっかり分けて状況を把握していただきたいと思っているのですが、利用実態調査から県としてはどのように捉えているのでしょうか。この中には、どのような勤務制度が導入されているか、そして、どのような休暇制度が企業のほうにあるかということの調査がされていますけれども、県の認識をお伺いしたいと思います。
〇菅原労働課長 今お話のあった、岩手県休暇制度等利用実態調査ですけれども、従来、県で企業・事業所等行動調査というのをやっていましたけれども、そこでは育児休業以外の男女別での取得状況の把握が難しかったということで始めたものです。
 まず、実態ということでお話をさせていただきますと、令和4年度の企業・事業所等行動調査では、いわゆる不妊治療時の休暇制度は、実施している企業の割合は7.3%、実際に利用者がいると回答した企業はありません。
 育児休業を制度化している企業は89.4%、取得率は、男性で19.9%、女性で83.5%。
 短時間勤務制度については、76.9%となっております。ただ、短時間勤務制度については、取得率がこの調査で把握できないため、先ほど御紹介がありました岩手県休暇制度等利用実態調査で調査しまして、実績ありと回答した企業は49.4%ということになっています。
 そういうことで、今、育児休業以外、男女別になっていない状況なのですけれども、私たちがやっている利用実態調査の中で男女別にやることも含めて、随時PDCAサイクルを回して調査をやっていきたいと思っています。
〇吉田敬子委員 先ほど男性の育休の取得が進んでいるということだったのですけれども、別の部局での審査のときにも小西和子委員が取り上げられていましたが、取るだけの育休になっているというようなこともあったんですけれども、私がお願いしたいのは、育児休業だけではなくて、例えば、短時間勤務制度も男性と女性でどちらがどの程度取っているかということもぜひ見ていただきたいです。今、男女の賃金格差が言われている中で、例えば、女性だけが短時間勤務制度を利用しているということは、男性が短時間勤務制度をほとんど取っていないだとか、女性だけに結局は育児、家事の負担がありつつ、でも、賃金が低くなって短時間となっている悪循環が生まれているというところでまで、ぜひ男女の差で見て、踏み込んでいただきたい。
 今回、令和4年度からの具体的な実態把握の調査に踏み込んだことは大変評価したいと思います。実際に制度を利用しているかどうかまでせっかく踏み込んでいただいているので、これはぜひ男女別でも取得している状況を見ていただいて、やはり女性のほうに育児、家事が負担になっている。勤務体系も女性だけが短時間にせざるを得ないような状況になっているということは、何を制度としてやっていかなければいけないかということをもっと踏み込んだ調査にしていただきたいと思っておりますので、先ほど検討していきたいお話をいただいたので、ぜひ検討していただきたいです。
 最後に、決算特別委員会の総括質疑で国の企業主導型ベビーシッターの利用者支援事業について取り上げさせていただきましたが、岩手県ではこれを利用している会社がないわけです。これを普及するのは保健福祉部かもしれないですけれども、そういう把握にもぜひ努めていただきたいと思っておりますが、所感を伺って終わりたいと思います。
〇菅原労働課長 ベビーシッター利用の助成の件でございます。御案内のとおり、先ほど吉田敬子委員御紹介のとおり、県内の状況がなかなか進んでいないということで承知しておりますけれども、登録事業者とか事業所、企業が少ない状況であることから、県としてまず、県民や企業等に対して事業の周知に努めていく必要があると思っております。
 例えば、保健福祉部が企業へのアクセスが難しいということであれば、商工労働観光部としてこちらのほうが企業とのつながりがありますので、いわて働き方改革推進運動に参加する事業所など、そういうツールを使って周知を図るなど、連携してこの事業の活用が図られるように取り組んでいきたいと思います。
〇佐々木宣和副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後4時20分 休憩
午後4時41分再開
〇柳村一委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇高橋観光・プロモーション室長 先ほど吉田敬子委員から御質問のありましたバリアフリー観光情報案内所で提供するバリアフリー対応施設数についてでございます。令和5年7月1日現在、宿泊施設のみとなりますけれども、35施設となっております。
〇柳村一委員長 質疑を続行いたします。
〇飯澤匡委員 それでは、私はキオクシア社のこれからの動向について、皆さんの危機管理とその認識について共有をしたいと思っていますので、そういう観点で質問しますので、よろしくお願いします。
 実は、この質問を考えていたときには、ウエスタンデジタル社との経営統合について盛んにニュースが流されていたときでありまして、ところが急転直下、韓国のSKハイニックス株式会社のほうから同意できないということで、今、暗礁に乗り上げているという状況になっています。今後どういうような方向になっていくのかというのは非常に注目されるところでございまして、本県のリーディング産業でございますし、皆さん方がどのような認識であるのかということをぜひお伺いしたいと思います。
 最初に、質問の順番を変えて、同社は早期退職者を募集しています。この状況についてお知らせいただきたいと思いますし、企業局で工業用水の設備投資をして、当初の予定ですと、ことしの4月から日量2万立米使うという予定でありましたが、現下の状況をどのように把握されているか、その2点についてお伺いします。
〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 キオクシア社の早期退職者の募集の状況でございますけれども、早期退職者の募集は、同社が発表したものではないと伺っておりますけれども、報道のとおりであれば、56歳以上の従業員が対象となるとされておりまして、キオクシア岩手株式会社は比較的若い従業員が多いということから、その影響は限定的であると見込んでおります。
 それから、工業用水についてでございますけれども、キオクシア岩手株式会社は、御存じのとおり、今、減産をしているという状況にございます。それは我々も認識をしておりますし、では、この減産がいつまで続くのだという状況については、キオクシア社のほうでは市況の動向を見ながらという話をしておりますので、我々もこれ以上のことは申し上げられない状況でございます。
〇飯澤匡委員 今の工業用水については、全く使っていないということですか。
〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 水量についての詳細は私も存じ上げませんので、後ほど回答させていただきます。
〇飯澤匡委員 それでは、ウエスタンデジタル社との経営統合について、新聞報道が矢継ぎ早に、資金調達についてもメガバンクも用意しているというようなのがバンバン出てきて、物事がすごく進捗しているような情報量でした。そこで、これは再編せざるを得ない状況に至ってそうなったと思うのですが、結果的に今回は見送られたわけですが、この状況を県はどのように把握しているのかお伺いします。
〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 再編せざるを得ないという状況についてでございますけれども、これも両者が発表したものではないと言われておりますので、報道によりますとということになりますが、統合による規模の効率化と経営の合理化、あるいは、資金確保などを狙いとして経営統合に向けた協議を進めていったというところと承知してございます。
〇飯澤匡委員 その情報量は新聞報道以下なのですね。結局、せざるを得ないということは、先ほど答弁にもありました、そういう内容だと思うのです。私は3年前の新規株式公開のときもお話をさせていただきましたが、いずれ資金調達が非常に厳しい状況にあるということは、もう間違いないということだと思います。今後、ウエスタンデジタル社と統合になっても、恐らくかなり先延ばしになった中で、同社の今後の行方、結局これは大型装置産業ですから、新たな設備投資を繰り返していかないと新しい技術を先行できないということになるのだと思うのですが、この点について、県はどのような見識を持っているのか教えてください。
〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 半導体につきましては、今、飯澤匡委員御指摘のとおり、常に巨額の投資をしていかなければならないという状況は、そのとおりでございます。そういう競争にさらされているということだと思います。
 今回のウエスタンデジタル社との統合が、当然そういうものも含んだということであれば、これからも連携していくとお話はされていますので、どこからそれを調達していくかということになると思いますけれども、そこは経営の部分でございますので、我々のほうから予測は申し上げられないという状況でございます。
〇飯澤匡委員 県は余りそういう第三者的な立場ではないと思うのですね。冒頭申し上げましたように、本県の産業に多大な影響を受けますので、今後どのような動向を踏まえるかという予測をしていかなければだめな立場だと私は思うのですが、そこまでなかなか県が踏み込まない、踏み込めない、私の感想としてはかなり残念に思います。
 一方、政府は半導体産業については、経済の安全保障の関係からも、かなり国内産業だけではなくて台湾の企業との関係も非常にプッシュしている状況にあり、この間、西村経済産業相も、統合のときも、また、これから再編が遠ざかったときもコメントを出して、政府としてもこれを後押ししていくということをタイムリーに発信しているわけでございます。
 もう一つ、懸念とすれば、懸念材料とあえて申し上げますが、最近のニュースですが、宮城県で台湾3番手と言われているPSMC―力晶績成電子製造という会社を誘致するということで、その締結がなされたというようなニュースが飛び込んでまいりました。このことは何を意味するかというのは、熊本県で今、進んでいるTSMCが九州地方のシリコンアイランドと言われる半導体関連産業の企業群の中に飛び込んで、今、かなりの好況を呈しているということで、宮城県もこういうのを狙っているのではないかというようにも思われますが、その点について、県はどのような考え方でしょうか。
〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 宮城県が九州地方のような状況を狙っているかというのはまず置きまして、今回のPSMCが進出したことについては、東北地域における半導体産業の厚みが増すという観点、それから、九州地方のほうでは、国が人材の育成、確保にかなりの関与をして乗り出したということ、それから、そういうものがこれから東北地域でも展開されるであろうという予測を立てると、これからの半導体人材の裾野の拡大ということが期待されるのではないかと考えております。
〇飯澤匡委員 いいのです、期待はされるのですね。期待はされるのですが、では、足元のキオクシア社はどうなのかということです。そもそも今回の統合のニュースの中でも、お互いにNANDフラッシュメモリ、ウエスタンデジタル社もそうですね。この会社が統合しても収益力が改善するわけもないという経済学者のお話もあります。今、キオクシア社では、技術開発のおくれ、財務体質の悪化、歴史的なメモリ不況と誤算が連続し、生き残りに向け、残された道は狭まるばかりだと。これは10月15日の日本経済新聞が報じております。
 それから、IPOのときも申し上げましたが、キオクシア社は東芝から独立する際に約6、000億円の銀行借り入れを行っている。財務体質は非常に弱いという状況です。
 あわせて、NAND事業となった、これは今、専業のような格好になっています。東芝から独立したときに、パワー半導体やハードディスクドライブなどについて東芝に残していきましたから、非常に市況変動の影響を受けやすくなっている。日本経済新聞は令和5年10月15日にこの予測記事を出しているのです。他の一般紙は展望を明るくやっているのですが、この内容について非常に厳しい指摘をしております。
 この件について、県は今後の展望について、会社がやっていることだから、第三者的な意見ではなくて、こういう危機感、リスク管理をしているという観点に立った答弁をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 今回のウエスタンデジタル社との統合の関係では、日本経済新聞以外にもいろいろな論評がされているということは我々も承知しております。それについて、全部にコメントするというのはできませんが、一方では、先ほど飯澤匡委員御指摘のとおり、メモリ単体がどうだということもございますし、あとは、メモリの中でもフラッシュメモリというのはかなり競争にさらされているという状況、DRAMとかであれば割と寡占が進んでいて、価格はそんなに変動はしないのだけれども、メモリはそういう状況にあるという状況は我々も理解しております。
〇飯澤匡委員 ここで技術論を交わしても意味がないので、要は、今後どのような企業が成長していくかということを的確に本県の商工労働観光部は把握しておかなければならないと思うわけです。そういうリスク管理の点でしっかりやっていただきたい。ただ、半導体全体の展望は、これからAIであるとか、さまざま需要は広がっていくだろうという予測はあるのですが、ただ、何回も言いますけれども、資金力がなければ新しい先行投資ができない、新しい技術を開発できない。そうなってしまうと、これは我が国の企業でありますけれども、経済の状況の中に巻き込まれて、先細ってしまったのでは、本県どころか我が国全体の不利益もこうむってしまう。
 そういう意味では、きょうはいろいろ答弁をいただきましたが、もう少し危機感を持っていただきたいなと思っておりますけれども、商工労働観光部長はどういう考えですか。
〇岩渕商工労働観光部長 半導体関連産業、今後、世界の中での産業の中核を担っていくものと考えておりまして、うちの県はその一つが、フラッシュメモリの部分ですけれども、キオクシア社が代表のように言われて、それから、半導体は今、県のほうで集積が進んできておりますのは、デンソーを初めとしたパワー半導体、あるいは、前工程、後工程もありますが、さらには、半導体製造装置の関係も集積が進んでおりますので、それらに地元企業が絡んでいくような流れも出てきております。
 一つのフラッシュメモリだけに限らず、今後、半導体は柱となっていきますので、広い集積を進めつつ、そこに人を集めてくる。そのためには、先ほど答弁したように、宮城県との連携というのも必要になると思います。
 ただ、一方で、今、広い産業用地を短期間で求められるケースが多くございます。その辺、国とも連携して、一緒にいろいろなことができないのかという相談も進めておりますので、国の国内投資拡大のための官民連携フォーラムという動きともきちんと連携してやっていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 最後にお伺いしますが、今の半導体産業の中で、岩渕商工労働観光部長が申し上げましたさまざまな展開をしている。その中で、キオクシア社は岩手県の中で、あなたの腹積もりの中で何パーセントぐらいの重きを置いているか。腹積もりでいいです。それぐらい把握していないと、どうしようもないでしょう。どうなのですか。
〇岩渕商工労働観光部長 何パーセント、非常にお答えが厳しいのですけれども、現在、キオクシア社のフラッシュメモリ、2棟目までやっていますが、それがあって周りにたくさんパワー半導体を含めて集まってきておりますので、私は今の段階では、キオクシア社が中心部分を占めているという考えでございます。
〇飯澤匡委員 だからこっちも質問しているのです。全部ハッピーというわけにいかないので、この業界は生き馬の目を抜く非常に厳しい業界ですから、一つ歯車が狂ってしまうと大きな損益を出してしまう。実際、今、4月から6月で1、000億円を超える損失を出していますから、これをカバーするには、また次の手を考えていかないといけない。しかし、今の状況だと、なかなか資金を集めるのも厳しいということを、それはそれでしっかり厳しく認識をする必要があると私は思います。
 私はきょうの質問は、キオクシア社に対してけちをつけるわけではないですけれども、いずれこの業界が大きく動いている中で、皆さん方もしっかりとしたリスク管理をしながらやっていかないと、大きな先行投資をしているわけですから、そういう点で一つ、これからも中間的に管理をしていきたいと思います。
〇佐藤ケイ子委員 私からもキオクシア岩手株式会社の状況について通告しておりますけれども、そこは省いて質問させていただきます。
 県内就職の状況についてお伺いいたします。新規学卒者の県内就業状況についてでございます。いわて幸福関連指標の高卒者の県内就職率は、平成29年は65.8%、令和4年の目標は84.5%、実績73.6%ということでB評価ということですけれども、直近、令和5年3月卒の状況がわかればお知らせください。
 全国調査との比較もしたいところですけれども、まだデータがそろっていないかもしれないのでそこはいいのですけれども、大卒、専修学校の県内就職率もあわせてお願いいたします。
〇駒木特命参事兼雇用推進課長 新規学卒者の県内就業状況についてのお尋ねでございます。令和5年3月の高校卒業者の県内就職率につきましては、佐藤ケイ子委員からお話のありました73.6%ということでございまして、現在、岩手労働局におきまして、全国順位を集計中ということでございますので、全国順位につきましては、令和4年3月卒業者で申し上げたいと思います。本県は前の年よりも二つ順位を上げまして、全国で33位となっているところでございます。
 また、令和5年3月大学卒業者の県内就職率は、前年比3.9ポイント減の41.0%、短大卒業者は6.6ポイント減の64.0%、専修学校卒業者は前年比3.0ポイント減の51.7%となっておりまして、全国順位につきましては、公表されていないところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。なかなか厳しい状況かと思っておりましたけれども、全国順位も39位のときもあったけれども、今は33位ぐらい。なかなか厳しい状況ですけれども、さまざま努力されているのだということは、日々お聞きしているとおりです。
 それから、大学生への情報発信の仕方なのですけれども、岩手大学の大学生1、000人の就職意識調査によると、県内で希望する仕事を探すことについて、できないというのは37.1%、特に理工学部は16%ということで低かった。学生側は希望を満たす仕事が県内にないという漠然としたイメージを持っているほか、企業側の発信が学生側に十分届いていないと結論づけたという新聞記事でございました。いわてで働こう推進協議会でも大学生への情報発信など行われていると聞いているのですけれども、具体的にどのように行われているのかお伺いいたします。
〇駒木特命参事兼雇用推進課長 大学生への情報発信についてでございます。岩手大学は県外出身の学生も多く、県内企業の認知度は低い状況ということでございますけれども、岩手県で学び、暮らしているという機会を最大限活用いたしまして、県内定着に向けて取り組みたいと考えているところでございます。
 そこで、県内企業の魅力などを伝える講座といたしまして、県内大学等におきまして、就職活動前の1から2年生の授業を活用いたしまして、県内企業の若手社員から企業の魅力ですとか社会人としての経験を伝えてもらう取り組みですとか、女性のための大学生、職場体験プログラムといたしまして、県内大学に通う女子学生等に対しまして、製造業、建設業、情報通信業などを初めとしたさまざまな業種における就業体験の機会の提供を行っているほか、いわてで働こう協議会の構成団体でもあります、ふるさといわて定住財団が大学生と企業の就職マッチングイベントを開催するなど、県内企業の認知度向上に向けたさまざまな取り組みを展開しているところでございます。
 また、今年度から新たにインターンシップ事業といたしまして、就職マッチングイベントにあわせまして大学生の保護者向けセミナーを開催するなど、保護者向けの情報発信を行っておりますし、県の就職マッチングサイト、シゴトバクラシバいわての中にインターンシップに関する情報提供のページを作成し、インターンシップ情報の発信強化を図っているほか、大学生の多様な興味、関心に応じ、カジュアルなデザインと多様な切り口により、岩手で働く魅力や価値を発信するインプットメディア、みんなの想職活動 in IWATEを新設いたしまして、SNSも活用した情報発信を行っているところでございます。
 また、県内企業を対象にホームページやパンフレットなどの作成方法、SNSの活用方法など、企業PRに関するセミナーを開催いたしまして、大学生等へ効果的な情報発信の取り組みを支援しているところでございます。
 こうした取り組みを通じまして、一人でも多くの若者が県内に定着するよう、大学生等に対して県内企業の魅力などを発信してまいります。
〇佐藤ケイ子委員 いろいろやられているのでしょうけれども、なかなか厳しいですね。正社員の状況というのも就職する中で大きく影響してくるのですけれども、正社員化の状況についてもお聞きいたします。
 いわて幸福関連指標の正社員の有効求人倍率では、平成29年は0.84倍、令和4年の目標値は1.03倍、実績値0.9倍でD評価、昨年度もD評価でございました。有効求人倍率は1.2から1.3%台が続いておりますけれども、正社員の倍率は0.9%台が続いております。非正規雇用の職員、従業員数は、平成29年が35.7%、令和4年も35.6%、非正規雇用は低賃金、不安定雇用ということで、結婚する、出産するといってもなかなか厳しいということで、人口減少にも影響を与えているわけですけれども、安定雇用を経営者団体に求めているということですけれども、どのような反応を受けているでしょうか。
〇駒木特命参事兼雇用推進課長 正社員化に向けた要請活動に対する反応でございます。県では、正規雇用の拡大に向けまして、将来を切り開く大きな可能性を持つ若者や女性が岩手県に住みたい、岩手県で働きたい、岩手県に帰りたいと思える環境を推進する必要があることから、岩手労働局等と連携しながら安定的雇用の確保などにつきまして、関係団体に要請を行っているところでございます。
 今年度は、エネルギーや資材価格の上昇等の影響を大きく受けている地域経済の回復、それから、東日本大震災津波からの復興、そして、人口減少対策にとって雇用の維持、確保は極めて重要であるという認識のもと、例えば、キャリアアップ助成金の活用などにより、非正規雇用労働者の正社員転換ですとか同一労働、同一賃金の徹底を初めとした待遇改善について要請を行ったところでございます。
 これに対し、要請先の団体からは、多くの経営者は賃上げや人材の確保は人への投資であると認識している。今回の要請内容については、産学官が連携して一体となり取り組むことが重要と考えており、会員及び構成員に対し、県と協力して取り組んでいきたいとのコメントをいただいたところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 経営者の方々もいろいろ努力されているとは思うのですけれども、やはり非正規の割合を少なくする、正社員化をもっと進めるように、ぜひ取り組みをお願いしたいと思います。
 そこで、正規、非正規の問題もそうですけれども、長時間労働のことについてです。岩手労働局で違法な時間外労働が147事業所で確認されたと新聞報道で発表されました。2024年の時間外労働の上限規制の対応に、今、働き方改革に求められていて、進められているはずですけれども、一方では、長時間労働が改善されていないということではないでしょうか。2040年の時間外規制の取り組みも含めて、今、時間外労働の多い状況について所感をお伺いいたします。
〇菅原労働課長 長時間労働の改善についてでございます。まず、毎月勤労統計調査というのがありまして、本県の令和4年の所定外労働時間というのは118時間となっております。前の年と比較して4時間ふえているわけですけれども、時間外労働の上限規制の適用が開始された令和2年以降は110時間台で推移しているという状況でございます。
 佐藤ケイ子委員の御質問にございました、岩手労働局が10月6日に公表した長時間労働が疑われる事業場に対する令和4年度の監督指導結果によりますと、違法な労働時間があったのは、御案内のとおり、147事業場、48.8%、前年度より16.5ポイント増加しております。
 今回の調査結果について見ますと、小規模な企業を中心に、新型コロナウイルス感染症による行動制限とかエネルギー、物価高騰の関係、人手不足、そういう厳しい経営環境状況が影響していると考えております。
〇佐藤ケイ子委員 人口減少の問題もそうですし、首都圏への人口流出というのも考えると、県内全体で長時間労働の是正、そして、低賃金の改善の底上げを図っていかなければ人口流出というのはなかなかとまらないというか、雇用の問題、労働環境の問題というのが非常に大きいと思っております。ぜひ労働環境全体の底上げのために県でも取り組みをお願いして、終わります。
〇柳村一委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 先ほど飯澤委員から御質問のありました、新浄水場からの給水ということでございますけれども、個別の使用水量は、企業情報なので公開していないということですけれども、一部は既に給水を開始していると確認しましたので、お答え申し上げます。
〇福井せいじ委員 私は、人手不足時代を迎えた中小企業の支援について、人手不足対策、あるいは生産性向上、そしてまた、事業承継というポイントから質問したいと思っております。
 今、人手不足ということが非常に問題になっております。例えば、飲食業においても、新規開店したくても人手が集まらないので新規開店ができない。あるいは、今、営業しているお店の中でも、例えば、土曜日が稼ぎどきであっても土日を休みにしなければ人手が集まらない。そういう中で、大変な人手不足で事業を伸ばしたくても、あるいは、事業を始めたくてもできない状況が続いております。
 先日、私が情報を入手したデータを言いますと、日本全体では2030年には約340万人の人手不足、2046年には1、100万人の人手不足、特にエッセンシャルワーカー、例えば介護職員、先日も保健福祉部の質疑でありましたが、2040年には介護職が約25%、建設業におきましても22%、先日の保健福祉部の状況でも、2040年には6、223人の不足が生じる。これも実は、現在に比較して25%の減少になっております。
 そういう中で、岩手県における中小企業、あるいは小規模事業者の人手不足の状況、影響について、当局はどのように捉えているのかお知らせいただきたいと思います。
〇駒木特命参事兼雇用推進課長 人手不足の状況についてでございます。ことし8月の本県有効求人倍率は1.23倍となっておりまして、全国と同様に産業人材の確保が課題となっている状況であると認識しております。
 中小企業の人材確保に向けましては、若年層の県内定着、進学等で一旦岩手を離れた若者のUターンですとか、岩手県にかかわりのある首都圏等の在住者を中心としたIターンの促進に向けた取り組みを強化しつつ、企業の生産性の向上や働き方改革の推進などにより、若者や女性に魅力ある職場環境の構築を進めていく必要があると考えているところでございます。
〇福井せいじ委員 若年層の県内定着、あるいは、Iターン、そして、生産性の向上というお話がありました。確かに、原因をもう一回見つめる必要があるかと私は思っております。人手不足は一時的なものではないということで、例えば、人口減少、あるいは少子高齢化が一つ、それから、コロナ禍における消費動向の変化というものもあると思います。あるいは、介護、医療現場においては非常に低賃金だと。官製市場における低賃金化というのも私はあると思います。また、影響も非常に大きなものになっていると。生産高、GDPの縮小であるとか、こういう中で企業の先行きを聞きますと、事業の縮小であるとか倒産を懸念しているというのが約50%以上もあるという影響も考えられると思います。
 先ほどその状況について、そして対策についてもお聞きしましたが、人手不足の対策として先ほど生産性の向上というものがお話にありましたが、岩手県では約99.8%が中小企業であります。こういう中小企業や小規模事業者に対する生産性向上の取り組みについて、どのような形で取り組んでいくのか。
 私はもう一つ対策として、労働移動というのも考えられるのではないかと思っております。先ほど人手不足がエッセンシャルワーカーの業界に多いという話をしましたが、私は今後、中長期的にはDX導入によって人手不足、余剰人員が出てくる業種もあるのではないか。例えば、事務職員であるとか販売員、そういう中では余剰人員も出てくる。そうしたときに労働移動を促進することによって、人手不足業種に対する手当ができていくのではないか。そういう意味では、労働移動の仕組みをつくる必要性もあるのではないかと思うのでありますが、中小企業、小規模事業者の生産性向上と労働移動の仕組みづくりについて、当局はどのような形で考えているか、お話を聞かせていただきたいと思います。
〇小野寺経営支援課総括課長 まず、生産性向上に向けた取り組みについて御答弁いたします。
 中小企業の生産性向上を支援する取り組み、国、県、商工指導団体、さまざま行っておりまして、まず、国の主な支援策としては、事業再構築補助金というものがございます。これは令和2年度からこれまで、本県では415件採択されているというような状況でございます。
 それから、県におきましても、先ほど御答弁申し上げました6月補正の中小企業等賃上げ環境整備事業費補助の創設によって、生産性向上による賃上げ、原資の確保を支援しております。
 それから、国の補助金、県の補助金の申請に当たっては、事業計画の策定ですとかさまざま必要になってまいりますが、計画の策定段階から商工会や商工会議所、いわゆる支援機関が中小企業者を伴走しながらサポートして、これが経営力の強化につながり、それが生産性の向上も期待される取り組みということになっております。
 それから、今、福井せいじ委員からお話のありましたデジタル技術の活用でも生産性向上を図ることができますので、そういうものに対しての事業者からの相談、助言、専門家の派遣、こういうものを通じて商工指導団体が伴走支援を行って、生産性向上の取り組みを支援しているというのが取り組みの状況でございます。
〇駒木特命参事兼雇用推進課長 労働移動の関係についてでございます。確かに、業種によりまして求人倍率が大きく異なっておりまして、建設業でありますとかサービス業につきましては、7倍ですとか2倍を超えるような求人倍率になっておりまして、労働力不足になっております。一方、事務職ですとか清掃につきましては、1倍を切っているということで、人が職に対して多い状況になっております。
 福井せいじ委員のおっしゃるとおり、労働移動というのが重要なところとなっておりますので、リスキリングですとか、離職者の訓練を活用いたしまして、円滑な労働移動に努めていきたいと考えております。
〇福井せいじ委員 今、二つの観点から生産性の向上について、あるいは人手不足の解決策についてお聞きしました。一つ、例えば、生産性向上についてですけれども、DXの導入について、さまざまな伴走型支援という話がありましたが、私は非常に待ちの手当、対策ではないかと思うのです。プル型というか、相談があったときに初めて実はそういう対策が奏功する。実は、現場では何をしたらいいかわからないという人が非常に多いのです。飲食業の方々は、とにかく人がいないのだと。どうやったらいいのだと。賃金を上げるしかないとか、そういう状況をもっと深く接していくことが私は必要ではないかと思っています。
 そういう意味では、商工団体は待っているほうですね。金融機関の営業をしている方、あるいは税理士、そういう方々とタッグを組む必要があるのではないかと私は思います。その点について、県はどう考えているかお知らせいただきたいということ。
 それから、労働移動についてですけれども、これももう少し踏み込んだ形が必要ではないかと。例えば、労働移動を円滑に行う仕組みの構築とか、今、ハローワークがどういった仕事をしているのかということをもう少し、求人だけではなく移動型の提案ができるような窓口をつくる、それがこれからの時代を、人手不足の対策を推進していく一つの仕組みではないかと思うのですけれども、その2点について、もしお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
〇小野寺経営支援課総括課長 まず、1点目についてでございますけれども、おっしゃるとおり、金融機関が中小企業と常日ごろから非常にかかわりのあるという状況がございますので、昨年度、県とか商工指導団体とか国の機関、それに加えまして、金融機関にもメンバーになっていただいて、中小企業事業継続支援センター会議というものを設けました。年3回から4回ほど一堂に会してもらい、実際の支援事例等の情報共有等を図りながら、その会議において、中小企業支援の情報共有等を行って、それぞれの機関で中小企業支援に役立ててもらうといった取り組みもしております。
 それから、税理士会というところもお話がございましたが、特に事業承継においては税理士の方々、非常に頼りになるかと思います。県と国で設置している事業承継ネットワークには、東北税理士会岩手県支部連合会にも入っていただいておりますので、そういうつながり等も生かしながら、さまざまな方々のお力等を合わせて、生産性向上なり事業承継の取り組みを進めていきたいと考えております。
〇菅原労働課長 労働移動に関するもっと踏み込んだ対応が必要なのではないかお話ですけれども、まず、国の動きも踏まえまして私たちができることを考えたときに、今、リスキリングにつきまして、いろいろ取り組みを進めているところでございます。
 基本的には職業訓練として能力開発セミナー、また、今、デジタルリスキリング推進事業というのをやっております。そういうことをやりながらリスキリングにかかわっていただくような、労働者の方にもリスキリングの大事さを伝えながら、将来的な労働移動のことに関しまして対応を検討していきたいと思います。
〇福井せいじ委員 私がお伝えしたかったのは、例えば、余剰人員を持っている企業があった、出向させたいのだといったニーズを把握しながらペアリングしていく、マッチングしていくというような仕組みづくりも必要ではないかと私は思っただけで、そういう取り組みもしていけば、岩手県における労働移動とか、人手不足は大局的な意味で解決に結びつくのではないかと思ってお話をしました。いずれ人手不足対策については、生産性向上とか労働移動に対して取り組んでいただきたいという要望であります。
 次に入ろうと思ったのですが、実は生産性向上のポイントの一つに、事業承継もあるのではないかと。事業承継というのは、個人事業主と個人事業主、あるいは個人事業主から法人、あるいは法人同士の事業承継があると思います。実は、県のほうでは、令和4年度主要施策の成果に対する説明書を読みますと、商工指導団体による事業承継診断を受けた企業数が、平成29年には300であったのが、計画目標値、令和4年度1、915に対し実績値が2、688、事業承継の支援を受けた企業数が、平成29年度807、計画目標値が3、200、実績値が4、541とすばらしい成果を上げているやに見えるのでありますが、この取り組みの状況と、そして、承継された結果というのは把握されているかどうかお知らせいただきたいと思います。
〇小野寺経営支援課総括課長 事業承継に係る支援は、国とか支援機関、金融機関、こういうところと取り組みを進めているところでございまして、今、お話を申し上げたところ、それから、中小企業診断士協会ですとか、先ほどお話になった税理士の方々、そういった方々も構成員として事業承継ネットワークを核として、さまざまな機関の力を合わせて取り組んでおります。
 それから、全国規模のマッチングを有する日本政策金融公庫、県内の関係機関と連携して広範囲なマッチングを行う事業承継連携スキーム、つぐべ岩手、こちらのほうでも具体的なマッチング支援が行われています。
 先ほどお話にありました事業承継診断、これは全国で力を入れて取り組まれておりまして、今年度、全国で約20万社の目標があって、そのうち岩手県では2、000社の診断を行おうという取り組みで力を入れているというところもありますので、実績値とすると件数は成果が出てきています。
 それから、事業承継診断、まず、紙で事業者の方に状況等をお聞きして、その回答状況を見て、必要であれば商工指導団体なり金融機関のほうから出向いて、実際に相談対応も行っておりますので、聞き取って終わりではないという点では、ある程度効果の期待できる取り組みになっているのではないかと思います。
 では、実際のマッチング成約件数はどうなのかというところでございますけれども、盛岡商工会議所内に設置されております岩手県事業承継・引継ぎ支援センターによる令和4年度のマッチング成約件数は27件ということでございます。ただ、前年度よりは10件ほどふえておりまして、徐々に増加、成果が見えてきているという状況でございます。
〇福井せいじ委員 支援を受けた企業数が4、540で、承継ができたのは27件ということで、僕はもっと期待していたのですけれども、でも、いずれ、つぐべ岩手が頑張っていらっしゃって、これからもどんどん承継は進めていただきたいと思っております。
 そういう中で、これから中小企業、99%、約100%が岩手県内では中小企業であります。今後の人材不足、あるいは事業承継、生産性向上という課題を抱えた中で、今後の中小企業振興策について最後にお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
〇小野寺経営支援課総括課長 福井せいじ委員からもお話がありましたとおり、中小企業は本県の企業数の99.8%、そして、従業員数で見ても89.1%ということで、かなりの割合を占めておりますので、その振興を図っていくということは極めて重要であると考えております。こういう考えのもとで、今年度からスタートしております、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランや岩手県中小企業振興第3期基本計画で、東日本大震災津波からのなりわいの再生ですとか、コロナ禍などからの事業継続支援、それから、デジタル技術等による労働生産性の向上、起業、スタートアップ及び事業承継の推進、こういうものを重点取り組み事項に掲げておりまして、まずはこれらを着実に進めるということで、地域経済を支える中小企業の振興を図っていくということにしております。
 それに加えまして、先ほど来お話が出ております、今年度急激に必要性が高まっております賃上げへの対応、それから、円滑かつ適切な価格転嫁による取引価格の適正化、人手不足への対応、そういう本県の中小企業を取り巻く諸環境に的確に対応していく必要がありますので、さまざまな方々の御意見等もお聞きしながら、そして、関係する機関がそれぞれ強みを生かして緊密に連携しながら、必要な施策を適時適切に展開していくことによって中小企業の振興を推進してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今、福井せいじ委員の質疑の中でございましたので、二つ目の質問からお聞きしたいと思います。
 国のものづくり補助金や事業再構築補助金の採択に向けた支援について、一般質問でも取り上げさせていただきましたけれども、支援の内容と支援の件数、また、令和4年度における申請数と採択数、他県と比較した場合、本県が多いのか少ないのかも教えていただきたいと思います。
 また、ものづくり補助金や事業再構築補助金については、各自治体と上乗せ補助を行っている事例が散見されますけれども、その状況と効果について、県の認識を伺いたいと思います。
〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 ものづくり補助金等の採択に向けた支援についてでございますが、企業が補助金を活用するに当たりましては、申請書の作成を初めとしまして、さまざま作業が必要となることから、ノウハウや人的な資源に限りがあります中小企業等では、なかなか申請や採択が進まないという現状がございます。
 このため、県や産業振興センターのほか、国が支援機関として認定をしております商工会議所、商工会、それから、先ほど来お話もございましたが、金融機関、税理士や中小企業診断士などの専門家、こういう方々が県内の事業者に対しまして、活用できる補助事業の紹介から事業計画の策定、申請書記載等の相談、補助金の採択後のフォローアップに至るまで伴走支援をしているところでございます。
 全体の支援件数の把握は困難でございますが、一例を挙げますと、県が委嘱しておりますものづくり産業振興のアドバイザーの方がいらっしゃいます。この方は1名ですが、令和4年度、延べ108件の企業訪問をしておりまして、伴走支援ですので同じところに行くケースもございますが、主に補助金獲得に向けた計画づくりや体制づくり等の支援を行ったところでございます。
 そして、令和4年度の申請数と採択数についてでございます。ものづくり補助金でございますが、令和4年度に4回公募が実施されまして、全国で合計1万5、600件余の申請があり、うち9、200件余の採択がございました。都道府県ごとの応募件数は非公表でございますが、県内の採択件数は51件となっております。
 事業再構築補助金でありますが、令和4年度に4回、やはり公募が実施されておりまして、全国でこちらも合計5万2、400件余の申請があり、うち2万6、100件余が採択されております。こちらは都道府県別の申請数が公表されておりますが、県内の申請件数は268件、このうち採択件数は143件となっております。
 他県との比較ですが、東北6県の中で比較をいたしますと、両方の補助金ともに上から4番目ということになります。
 それから、上乗せ補助でございます。上乗せ補助、国の補助金に採択されました事業の補助対象経費のうち、事業者の自己負担分に対して自治体が補助するという理解で御答弁させていただきます。
 公式の集計資料はございませんが、手元で調べましたところ、ものづくり補助金については、全国で2県、上乗せ補助の制度を設けておりまして、事業再構築補助金については、5県が制度を設けていると確認しております。
 企業の業容拡大等の支援に当たりましては、上乗せ補助というのも事業者の投資意欲の後押しにつながる有効な手段ではないかと認識しておりまして、今後も有効な支援のあり方については、検討していきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 いろいろ調べていただきまして、ありがとうございました。支援の全体像はわかりかねるということでしたけれども、この部分の支援の仕方、あとは上乗せ補助についても、上乗せだけではなくて拡充の部分も、こちらの要件に当たらない部分について、拡充している県もあると思っております。そういう部分も含めてよく御検討いただいて、関根敏伸委員が賃上げについての指摘もしていただきましたけれども、本県において独自の制度もいいのですけれども、事業者にとっては同じ要件の中で申請できるというのは事業者としても大変使い勝手がいいし、また、審査をするほうもいいのではないかと思っております。何か一つ加えるごとに、予算が限られているので一つ一つハードルを設けられているような気分がするというような中小企業の話もお聞きいたしました。ぜひシンプルに、かつ効率的な支援をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、正社員の年収の中央値、15歳から19歳についてお伺いしたいと思います。事前にデータをいただきましたけれども、平成29年度、本県の年代の中央値が150万円から199万円の年収だったのが、令和4年度には200万円から249万円、ランクが上がったということは大変喜ばしいことだと思います。県も全国平均を上回るというような表現をされておりますけれども、一方で、150万円から199万円とカテゴリーが、平成29年は20団体あったのが7団体に減って、一方で、200万円から249万円のカテゴリーが27団体から39団体にアップしているわけですね。そういう中で、他県の比較をしたときに、本県の状況が相対的にどのような評価をされるべきなのか、この点どのように分析をされているのか教えていただきたいと思います。
〇菅原労働課長 正社員の年収中央値の関係でございます。佐々木朋和委員から今、お話があったとおり、本県の中央値、200万円から249万円の所得区分の中に入っております。150万円から199万円が7団体、200万円から249万円が39団体、250万円から299万円が1団体となっております。
 同じ調査に基づいて有識者が行った15歳から19歳までの正社員の年収中央値の推計データがあります。これについて見ますと、本県の年収中央値が221.4万円になっていまして、これを見ますと、東北地方の中で比べますと一番高いという形になっております。
 先ほど御紹介がありました平成29年から令和4年の推移も含めまして、本調査における相対的評価ということでございますが、自動車や半導体関連産業を中心とした産業集積が着実に進んだことなどにより、15歳から19歳までの正社員として働く人の所得が向上していることが考えられ、他県と比較しても低いという水準ではなく、かつ、推移が上昇傾向にあるということから、新卒で働く高卒者など若者への県内就職の動機づけにつながることを期待しているところでございます。
〇佐々木朋和委員 221.4万円という具体的な数字が出てきましたけれども、これと全国平均は幾らになるのですか。
〇菅原労働課長 この有識者の試算のデータによりますと、全国平均は220.8万円でございます。
〇佐々木朋和委員 わかりました。本県のほうが少し高いという試算、推評だということですね。いずれ上がっているという中なのですけれども、各県も同じカテゴリーには39件いるということですので、全国的にも上がっているということであります。ぜひその部分、最低賃金が単独最下位ということにはなってしまいましたけれども、この年代については、正社員については上がっている部分もあるということで認識させていただきました。
 次に、広域圏ごとの高卒者の就職率についてお伺いしたいと思います。令和4年度の各広域振興圏ごとの高卒者の県内就職率と目標達成状況、また、達成の数値、県外と、あるいは、他の広域圏へ就職した状況という数があればお示しいただきたいと思います。
〇駒木特命参事兼雇用推進課長 広域振興圏ごとの高卒者の県内就職状況についてでございます。
 まず、管内の就職率の目標値、実績値、目標に対する達成状況で申し上げますと、県央広域振興圏が目標値72.2%に対し実績が51.8%で、達成状況はC。県南広域振興圏が目標値85.0%に対して実績値が72.6%、達成状況はB。沿岸広域振興圏が目標値63.2%に対し実績値が54.2%、達成状況はB。県北広域振興圏が目標値47.0%に対し実績値が43.1%で、達成状況はBとなっております。
 次に、県内就職率から管内就職率を差し引きました他の広域振興圏への就職状況についてでございます。県央広域振興圏が17.8%、県南広域振興圏が4.2%、沿岸広域振興圏が21.8%、県北広域振興圏が24.2%となっております。
 また、県外への就職状況でございますが、県央広域振興圏が30.4%、県南広域振興圏が23.2%、沿岸広域振興圏が24.0%、県北広域振興圏が32.7%となっております。
〇佐々木朋和委員 一般質問でも指摘させていただきましたけれども、こうやって見ると、県南広域振興圏については管内就職率も高いという状況でありますし、ほかの圏域へ抜けている部分も少ないのですけれども、県央広域振興圏も含めて県内に就職率はそれなりに上がってきているけれども、各管内の就職率は大きな課題だと思っております。
 時間がないので指摘にとどめておきたいと思いますけれども、ぜひ次年度の予算に向けては、こういう部分にも目を向けて、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、観光振興について伺いたいと思います。令和4年度の指標は、コロナ禍の中では仕方のない状況だったと思います。一方で、コロナ禍が明けて、ニューヨークタイムズ紙の記事もあり、県内でも観光が動いていると感じておりまして、これからの仕掛けが重要だと思っております。
 そういう中で、まず、1月から中尊寺金色堂の特別展が国立博物館で行われるということで、これを大きなチャンスと捉えて、県内のほかの世界遺産への誘導も含めて取り組むべきと思います。観光分野としてのPRや平泉町との連携した動きについてお伺いをしたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 中尊寺金色堂特別展と連動した取り組みについてでありますが、県では令和6年1月から3月まで、JR東日本の重点販売地域指定と連携した冬季観光キャンペーンを展開することとしておりまして、金色堂建立900年記念として、中尊寺宝物館讃衡蔵で実施する金色堂の信仰と継承について、キャンペーンの特別企画に位置づけ、首都圏での情報発信や誘客に取り組んでいくこととしております。
 また、1月から4月まで、東京国立博物館で実施される中尊寺金色堂特別展の期間中に、JR東日本、一関市、奥州市、平泉町と連携して、奥州・一関・平泉の歴史をテーマにした講座を東京都内で開催することとしており、また、講座の参加者を対象に同市町を目的地としたツアーの実施も計画しております。
 そのほか、冬季観光キャンペーン期間中には、岩手県アンテナショップいわて銀河プラザや首都圏のJR主要駅などでのPRイベントの実施も計画しており、こうした取り組みを通じて、関係市町と連携してプロモーションを展開していきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 次に、一般質問のときに県南地域の巡礼旅行について、隣県と共同した取り組みについて紹介をさせていただきましたけれども、ほかの地域とのインバウンドの競争となったときに、他県と連動したインバウンド補助の検討、また、今回、巡礼旅行という一つカテゴリーができましたので、それに合わせた枠組みをつくるなど対応すべきだと思いますけれども、所見を伺いたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 隣接県とした連携した巡礼旅行についてでありますけれども、インバウンドの誘客拡大につきましては、広域連携による相乗効果により、観光地としての魅力をさらに高めることが有効であり、佐々木朋和委員御指摘のとおり、隣接県等と連携して取り組むことが重要と考えております。
 そのため、県では、東北観光推進機構や隣県と連携して、東アジア、東南アジア等に対して現地でのPRイベントや国際旅行博への出展など、集中的なプロモーションを一体となって取り組んでいるところです。
 韓国からのキリシタン巡礼ツアーが来日する際には、宮城県を初めとする隣県とも連携して同行や案内などの対応をしているところでございますが、隣県と共同で行う場合の補助や枠組みなどにつきましては、隣県と連携しながら、その対応について今後検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 ありがとうございます。検討していただけるということで、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、ニューヨークタイムズ紙の効果としてふえた欧米からの個人客について、旅行ニーズや旅行スタイルをどのように分析されているか。また、域内周遊や全県波及に向けて、今、行っていることがあればお示しいただきたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 欧米からの個人旅行客の旅行ニーズや旅行スタイルの分析についてでありますが、スマートフォンやインターネットの普及により、旅行者の情報取得手段が多様化しており、欧米の訪日旅行客が旅マエに役立った情報源として、日本在住の親族、知人を初め、動画投稿サイト、SNS、ホームページなどが上位に挙げられております。
 また、欧米からの旅行者は平均滞在期間が長く、長期滞在しながら広域を周遊する傾向にあるほか、アクティビティーを通じて自然体験や異文化体験を行う、いわゆるアドベンチャートラベルなど、その土地ならではのユニークな体験ができる旅行への関心が高まっております。
 このような傾向を踏まえ、ニューヨークタイムズ紙効果を全県に波及させるため、欧米を中心とした外国人旅行客向けウェブサイトの代表格であるジャパンガイド・ドット・コムなどにおいて本県の魅力を紹介する旅行記事や動画を発信しているほか、首都圏への訪日旅行客や在住外国人をターゲットとして、山手線など首都圏のJRの車両のデジタルサイネージによる交通広告の実施や、SNSを活用した多言語での情報発信、JNTO、国際観光振興機構や東北観光推進機構、JR東日本等と連携し、各種媒体を活用した情報発信などに取り組んでおります。
 また、盛岡市の観光案内にかかわる県、盛岡市、JR東日本盛岡支社、盛岡観光コンベンション協会などが集まり、おもてなしミーティングを開催しております。相互に情報共有に努め、来県者へのおもてなしの取り組みを強化しているところでございます。
 これをさらに全県に波及させるため、岩手県内の新幹線駅7カ所に関連するチラシなどを設置しているところです。
 今後とも県内各市町村、関係団体、関係事業者と連携しながら、ニューヨークタイムズ効果の全県波及に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 コロナ禍前、インバウンドが本県でもふえてきたときには復興観光交付金等があって、全県的にインバウンド対応したと思うのですけれども、そのときはアジアへの対応ということで主に進めたと思います。今回、欧米からのお客様がふえているということで、またそういう全県的な整備が必要ではないかと思っておりますので、よろしく御検討をお願いして終わりたいと思います。
〇千葉秀幸委員 私からは、城内愛彦委員も少し触れられましたが、ゼロゼロ融資の取り扱い状況について、まずは伺ってまいりたいと思います。
 改めて、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、大きく企業は打撃を受けられた状況にあります。その下支えというか、事業を継承してもらうために相当ハードルを下げた融資がこのゼロゼロ融資でありました。ゼロゼロ融資を受けている方、返済のピークは恐らく今年度かと思っておりますが、まずは令和4年度の取り扱い状況について伺いたいと思います。
〇小野寺経営支援課総括課長 いわゆるゼロゼロ融資は令和2年5月1日から令和3年5月31日まで実行された融資制度でございまして、その期間の融資実績は、1万2、110件に対しまして1、944億790万円余の融資が行われました。
 このうち、ことしの8月末時点で残高を有しているのが9、316件、そして、その融資貸付残高は1、192億151万円余という状況になっております。
〇千葉秀幸委員 コロナの打撃を受けて事業が非常に苦しい企業があるということから、引き続き、ゼロゼロ融資の返済状況については強く注視して必要があると思っております。融資、返済されている中で条件変更や借りかえ等もあろうかと思いますが、この件数や実態についてもお伺いしたいと思っておりますし、あわせて、コロナ禍後の経済の回復状況について、当局の御所見を伺いたいと思います。
〇小野寺経営支援課総括課長 まず、ゼロゼロ融資などの新型コロナウイルス感染症関連の資金の返済状況と、それから、条件変更の状況でございます。
 まず、ゼロゼロ融資の返済状況ですが、ことしの8月までに約定返済開始したものが7、283件、809億7、789万円余、そして9月以降に約定返済が開始されるものが2、033件、382億2、362万円余という状況です。
 ゼロゼロ融資と新型コロナウイルス感染症関連融資で伴走支援資金というものも県の融資制度で準備しておりまして、新型コロナウイルス感染症関連の融資に係る条件変更、具体的には、据置期間や最終期限の延長等を行った件数は、ことしの8月末時点で622件で、その金額は111億2、240万円余という状況になっております。
 それから、コロナ禍後の経済の回復状況でございますけれども、日本銀行盛岡事務所で毎月、岩手県金融経済状況というものを公表しておりまして、9月分が10月25日に公表されました。この中では、最終需要について、設備投資は増加している。そして、個人消費は回復している。こういう状況を踏まえて、県内経済は持ち直しているという見解が示されております。
 ただ一方で、県が商工指導団体と連携して実施しておりますエネルギー価格・物価高騰に伴う事業者影響調査、8月末時点の調査では、9割以上の事業者がまだ物価高騰等の影響があるという回答でございますし、同じくその調査の中で経営課題として、原料、資材高騰への対応ですとか電気料金値上げへの対応、こういったものが多く挙げられております。
 したがいまして、やはり事業者にとってまだ物価高騰等への対応、そういうものが非常に大きな課題となっていると認識しております。
〇千葉秀幸委員 わかりました。物価高騰、電気代の高騰については、後ほど触れさせていただきたいと思いますが、改めて条件変更先が622件ということで、引き続き御苦労されているような企業が多いということがうかがえると思います。
 ここで、具体的な分析をしていく必要があろうと思っております。例えば、宿泊業においては、盛岡市においては、ニューヨークタイムズ紙の影響もあり好調だということ、あるいは、北上市などにおいては、半導体やキオクシア社の影響もあって非常に充実しているという話も聞きますが、一方では、そういう追い風も受けずに、いまだに御苦労されている市町村があると思います。業種別には把握されていると思いますが、そういう追い風を受けたり、さまざまな影響を受けて回復されているところ、あるいは、いまだに御苦労されているところもあると思いますから、業種もさることながら、市町村別の把握も今後必要なのではないかと思いますが、御所見を伺いたいと思います。
〇小野寺経営支援課総括課長 千葉秀幸委員がおっしゃるとおり、業種別の特徴ですとか地域別の特徴というのは、実際あると思います。そういうところを細かく見て、それに沿って必要な対応をとっていくということは、我々としては必要な取り組みだと思いますので、そういう視点も持ちながら、今後、返済の支援、資金調達の支援、それから、中小企業が経営を継続していくための支援といったものに取り組んでまいります。
〇千葉秀幸委員 改めて、業種別、市町村別によって、経済状況にも相当差があると思っておりますので、そこまで管理いただくことによって、寄り添い方とか支援策ということが具体的に出ると思っておりますので、今後も注視していただきたいと思っております。
 先ほど御答弁で出た物価高騰の問題なのですが、県とすれば、既に法人15万円、個人7万5、000円等、さまざまな対策をとられていると思っております。例えば、電気代に関しても福祉施設などは本当に御苦労されておりますが、補正予算で対応されているというところで理解しているところでございますが、その中でも、電気代でも本当に御苦労されているのが特別高圧、あるいは高圧電力を使っているような業種が特に電気代のあおりを受けております。私もある企業から明細を見せていただいたのですが、毎月の電気代が500万円から800万円を超えているというもあって、特に鋳物関係です。鉄を溶かして、ろうを流しますから、本当に電気代を多く使っていて本当に御苦労されているような実態、まずは把握されているかについて伺いたいと思います。
〇小野寺経営支援課総括課長 電気代が高騰しているというところを経営課題に挙げている事業者が多いと先ほど御答弁申し上げた事業者影響調査の結果でも明らかでございますので、特に電気代を課題として挙げている企業が多いということは、電気を多く使っている企業にとっては負担がそれだけ重いだろうというようなところもございますので、我々としても、そこのところは課題だろうと認識しております。
〇千葉秀幸委員 特別高圧電力の支援等々もありますが、鋳物の高圧電力については、既に国から支援を受けているということで、県としてはこの支援に関しては対応していないというところですが、高圧電力についても引き続き、いつまで支援されるかという不安にかられている業種でございますので、今後も動向に注視していただきたいなと思います。御答弁ありがとうございました。
 それから、次にU・Iターンについて伺いたいと思います。U・Iターン相談会、あるいは、岩手U・Iターンクラブ、シゴトバクラシバいわて、いわて若者移住支援事業等々、さまざま支援を打ちながら本県に移住、あるいは定住してももらえるような支援策を打ち出しているわけでございますが、まず、令和4年度の各実績、あるいは評価について伺いたいと思いますし、コロナ禍によってさまざまなイベント、フェア等も開催が御苦労されていたと思いますが、その辺もあわせて伺いたいと思います。開催状況等もお願いいたします。
〇三河定住推進・雇用労働室長 U・Iターンの施策の実績と評価についてでございますが、本県が取り組んでいる主なものについて御説明いたします。
 令和4年度に東京の有楽町で県内33市町村との連携によりまして、3年ぶりの対面開催で実施しました全県移住フェアの実績についてでありますが、参加者数は、首都圏の方を中心に328名であったところでございます。これは令和3年度に対面とオンラインにより開催した際の参加者数260人を大幅に上回る状況でございました。また、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの5類移行後初めてとなります今年度につきましては、県内33市町村に加えまして、企業30社の出展により583名の参加者があったところでございます。
 次に、岩手U・Iターンクラブ及び県の就職マッチングサイト、シゴトバクラシバいわての状況についてでありますが、岩手U・Iターンクラブの加盟校は令和4年度末で66大学となっておりまして、前年から1校の増で来ておりました。そして、今年度新たに1校が加盟しまして67大学という状況になっております。
 また、さらに加盟校をふやすために、新型コロナウイルス感染症の5類移行後、大学への直接訪問を再開しているところでございます。
 シゴトバクラシバいわての登録企業数は、令和4年度末で1、061社、求職登録者数は2、296人となっており、前年からそれぞれ151社、525人の増となっております。
 また、マッチング件数は、令和2年度が52件、令和3年度が107件、令和4年度が101件となっております。
 次に、令和3年度に国の移住支援金の要件に該当しない東京圏からの移住者に対しまして、いわて若者移住支援金……(発言する者あり)済みません。
〇千葉秀幸委員 済みません、質問の仕方も悪かったです。ありがとうございます。
 いずれコロナ禍が明けて、さまざま活動が再開できているというところ、そして、県外からの移住、定住者数も増加傾向にあるなと理解をしているところでございます。
 その中で、今年度から達増知事も東京一極集中を是正しないといけないという話、議論が出ているわけでございますが、本年度から特にも人口流出が著しい25歳以下及び女性を対象に新たな支援を実施されていると伺っておりますが、この概要と求める成果について伺いたいと思います。
〇三河定住推進・雇用労働室長 今、千葉秀幸委員から御紹介ありました国の移住支援金の要件に該当しない東京圏からの移住者に対しまして、いわて若者移住支援金を支給する県単独の事業を創設したところでございまして、これにつきましては、実績としまして、令和3年度は7件から令和4年度は17件と大幅に増加している状況でございます。今年度につきましても、今時点で20件の支給となっております。
 それから、制度改正をいたしまして、女性と子供につきましては、移住支援金の割り増しを行っているというところに改正をいたしたところでございます。
〇千葉秀幸委員 わかりました。ターゲットを絞って、そういうところにポイントを置いて実績を上げようという試み、非常に大事だと思っております。
 加えて、今年度から全国トップクラスということで、在宅育児支援金、あるいは2歳児以降無償化、あるいは、18歳まで医療費助成等もありますから、そういうものもすごくPRになると思っているのです。チラシ、あるいはサイトのほうにも新たな女性を呼び込むというポイントもさることながら、知事が打ち出しているような政策を盛り込んで、そういう方々を大事にしている、政策として持っているということもPRすることで、より移住、定住、本県を選んでもらえる選択肢もふえるのではないかと思いますが、御所見を伺いたいと思います。
〇三河定住推進・雇用労働室長 全国トップレベルの子育て支援との連携についてでございますが、本県は、本年度の予算におきまして、第2子以降の3歳未満児に対します保育料の無償化や在宅育児支援金の支給、医療費助成の高校生等への現物給付拡大など、全国トップクラスの子供、子育て環境を目指しております。
 これらの支援策につきましては、東京都の二つの移住相談窓口で常時情報提供を行っていますほか、ことしの全県移住フェアにおきましても、これらの情報発信に加えまして、子育て中の方が参加しやすいよう託児コーナーを設けまして、子供向けのワークショップを開催するなど、東京圏に住む子育て世代にPRしたところでございます。
 こうした子育て環境の優位性も強力にPRいたしまして、さらなる移住者の増加につなげていきたいと考えているところでございます。
〇千葉秀幸委員 よろしくお願いします。
〇柳村一委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後6時8分 休憩
午後6時26分再開
〇柳村一委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇松本雄士委員 私からは、まず初めに、U・Iターンの促進についてお伺いいたします。
 社会減の対策において、U・Iターンの促進は非常に重要であると考えております。年間4、000人を超える社会減がある中で、令和4年度までは1、300人ほどU・Iターンで確保しよう、引っ張ってこようという目標で取り組んできたところでありまして、非常に重要な施策であると考えております。
 そういう中、令和4年度のU・Iターンの目標を見ますと、7、000人に対しまして実績は4、800人弱となっております。計画を大きく下回る内容となっておりますけれども、かかる要因についてお伺いいたします。
〇三河定住推進・雇用労働室長 今回の目標、7、060人という目標を立てましたのが、平成29年に現状値としまして794人のUターン、Iターンがあったということを受けまして、その後、毎年1、300人ずつの増加を見込みまして、7、060人という目標を立てたところでございました。
 ただし、これにつきましては、各企業がハローワークとか県の職業紹介機関などを通さないで、いわゆる民間の職業紹介会社などを活用して採用したかなりの数の方も含んだ数字となっておりまして、実際にそちらの数字が幾らの人数があったのかはつかめないというところで、4、780人という数字は、そういう公的な機関から数字を押さえたものについて掲載したものでございます。
〇松本雄士委員 そうすると、実数のところの把握が正確になかなかできないということでしょうか。
〇三河定住推進・雇用労働室長 今、松本雄士委員がおっしゃったとおりでございまして、民間企業が独自に何人採用してきたかという数字を押さえるのは非常に困難といいますか苦労しておりまして、2期目の計画におきましては、毎年1、000人ずつの確保といったことで目標を立て直したところでございます。
〇松本雄士委員 そのことも聞こうと思っていたのですけれども、ふるさと振興総合戦略において、社会減を2年先送りした。そういう中において、U・Iターンの目標を下げたというのは非常に違和感がありまして、そういうことを聞こうと思っていたのですが、それよりも何よりも、まず実数が把握できていないということであれば、次、1、000人の目標であれ何人であれ、どうやって人口減、社会減に対して取り組んでいこうと考えていらっしゃるのでしょうか。
〇三河定住推進・雇用労働室長 現在、毎年Uターン者数を発表しておりますが、令和4年度で1、647人という数字になっておりまして、これにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、県の施策であるとか市町村の施策といった数字が確実にとれるものを積み上げた結果、1、647というような結果になっているものでございます。
 そこをベースにして、毎年、大体300人から400人の数が伸びているということをつかまえまして、移住、定住者数が伸びているというような評価としているところでございます。
〇松本雄士委員 今の後段の説明が私は理解できなかったので、済みません、もう一回お願いします。
〇三河定住推進・雇用労働室長 現在公表しております移住者数につきましては、県、ハローワーク、そういう公的機関で県内に移住された方という形でカウントしておりますので、確実に数字を押さえられるというものの積み上げてございます。それが平成30年には1、233名であったものが、毎年200名から300名、また、多いときで400名といった形でだんだん右肩上がりのように伸びておりますので、そういうところをとらまえまして、移住者数につきましては、ふえているという評価をしているところでございます。
〇松本雄士委員 平成30年の1、200人から確実にとれる数字がふえているということだったのですけれども、令和4年度の目標と実績を見れば、大きい乖離があるということになっているのは、どういうことでしょうか。
〇三河定住推進・雇用労働室長 先ほど御答弁申し上げましたとおり、第1期アクションプランを立てたときに、実際、794名の現状値であったものを、プラス毎年1、300人ぐらいずつ伸ばしていくという目標数値でございました。それに比べまして、実績値といたしましては、4、780名だったということになります。
〇松本雄士委員 正しい数値の把握、私は非常に重要な数値だと思っています。人口減、自然減、社会減を最重点に取り組んでいくというのは知事も演述で述べたことであるし、私もそう思っています。そのための基礎数値がとれないということは、何に向かって進んでいるのか。施策の検討、振り返りができないのではないかと思いますので、とれる数値のほかにどういった動きがあるのかというところを含めて、数値の把握には努めていただきたいと思います。
 それで、そもそもU・Iターンを伸ばすために必要な取り組みは何と考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。
〇三河定住推進・雇用労働室長 本県の社会減の抑制に向けまして、U・Iターンの促進は非常に重要と考えておりまして、さらに強力に進めていく必要があると考えております。
 それで、特に県外へ進学する学生につきましては、将来のUターンや地元定着を見据えまして、大学等への進学前に岩手県の就職先を知ってもらい、また、県外への進学後も本県とのつながりを継続させていく取り組みが大事と考えているところでございます。
〇松本雄士委員 そういう取り組みは大切でありますし、先ほど千葉秀幸委員への答弁からもいろいろな取り組みをやっている、複合的にやっていくということかと思うのですけれども、私はまずもって、U・Iターン者の受け皿となる雇用の創出というところ、より一層の企業誘致というところを、今、県南地域のほうは半導体や自動車、先ほどのキオクシア社、危機管理は厳しいものがあるのではないかとあるのですが、県内の均衡ある経済発展を考えた企業誘致を一層進めるべきと考えております。あと、就業機会の確保のほかに、U・Iターンの人に対する住宅支援、子育て支援、移住後のサポートセンターであったり、一定期間の税制優遇措置であったり、また、来る人の交通アクセス等の利便性の確保みたいなパッケージが必要と考えているのですけれども、そのあたりの取り組みについては、どのように考えていますでしょうか。
〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 松本雄士委員から企業誘致のお話が出ましたので、私から少しお話し申し上げたいと思います。
 企業誘致につきましては、誘致だけではなくて、地場事業との取引拡大とかいろいろな観点から全域で進めているところでございます。
 御指摘のとおり、県内において濃淡があるのではないかというのは、結果的にはそうなっているわけでございますけれども、良好な雇用の場の確保ということで、U・Iターンも県内への若者の定着という面からも、これは引き続き進めていかなければならないと考えておりますし、地域によっては、資源がまた違うものですから、それぞれの地域に合った資源特性に合わせ進めていきたいと考えております。
〇松本雄士委員 U・Iターンのことなのですけれども、企業誘致のほうまで話を広げてしまって済みません。就業機会の確保におけるほかに、住宅支援とか子育て支援、いろいろパッケージ的な支援に絞ってですけれども、岩手県U・Iターンセンターというものがございますが、その岩手県U・Iターンセンターが担っている機能についてお伺いいたします。
〇三河定住推進・雇用労働室長 岩手県U・Iターンセンターにつきましては、東京のいわて銀河プラザ内に設置しております、岩手県に就職したいとか、岩手県に移住したいといったことも含めまして、さまざまな相談支援をしている窓口を開設しているという状況でございます。
〇松本雄士委員 現在、U・Iターン者に対するパッケージ的な支援を担う部門、そういうところがあるのでしょうか。
〇三河定住推進・雇用労働室長 岩手県U・Iターンセンターが、仕事の紹介部門であるとか、住まいの悩みとか、そういうものを総合的に御案内している窓口の機能を有しているところでございます。
〇松本雄士委員 済みません、私の認識も少し不足していました。岩手県U・Iターンセンターは職業紹介のところがメーンで、住宅とか子育てとか移住後のサポート、私はU・Iターンの人の移住促進のために包括的、一元的なプラットホームをしっかり明確に位置づけてサポートしていくところが必要なのかと。U・Iターンの機能をもっと強化できたらいいのかと思っての御質問でありましたので、ぜひとも御検討いただければと思います。
 次に進ませていただいて、二つ目でありますけれども、本県の開業率についてお伺いいたします。
 本県の開業率、新しい事業所や起業のことですけれども、令和4年度の目標3.5に対して実績2.7%、全国では44位と非常に計画を下回っておりまして、全国の中でも低位になっております。
 一方、関連する取り組みとして、開業率を上げる取り組みとして、もろもろ商工会、商工指導団体による指導回数であるとか、起業家育成資金の貸し出し件数とか、そういうものを活動指標としてやって、その評価はAとなっています。目指すべきところの開業率は目標にも届いていないし全国で低位ですけれども、やっていることは、やっていると非常に高い評価になっております。このギャップについて、どうお考えなのかお伺いいたします。
〇小野寺経営支援課総括課長 まず、開業率ですけれども、設定の考え方を申し上げますと、雇用保険の新規成立事業所数をもとに算出しておりまして、令和4年度の計画目標値3.5%としておりますが、これはコロナ禍前の平成29年度の現状値3.2%から0.1ポイントずつ上昇させようということで設定したものです。
 同じく関連する具体的推進方策指標ですけれども、これは商工指導団体による創業指導、平成29年度の実績等をもとに毎年300回以上の水準を維持しようということでの設定でございますし、それから、いわて起業家育成支援資金の貸し付け件数は、平成27年から29年度の3年間の平均値を上回る年90件の貸し付けを目標として設定したというものです。操業指導、支援機関側が提供するものですので、これはコロナ禍においても着実に進めることができた。
 それから、いわて起業家育成資金、これは創業後5年以内の方が貸し付け対象になっておりますので、そういうこともあって、目標が達成できたものであろうと考えております。
 一方、新規の開業ということになりますと、新型コロナウイルス感染症を初めとした経済情勢の影響、これは非常に影響する部分かと思います。そういうことで、創業計画の見直しですとか延期を余儀なくされた創業準備者の方も少なくなかったというようなことが主な要因となって、目標値には届かなかったものと考えております。
〇松本雄士委員 令和4年度までのところは、そういう活動指標はクリアしたけれども、開業率という目指すべきところには届いていなかった。第2期アクションプランを見ても、同じような活動方策になっているわけですけれども、それをやっていけば、今はギャップがあるけれども、この開業率のところに必ずつながっていくという当局側の考えということでしょうか。
〇小野寺経営支援課総括課長 令和4年度の実績の中で、実際、具体的推進方策指標がAで、開業率がDという状況ですので、コロナ禍の影響があったとはいえ、必ずしも具体的推進方策指標を達成すれば開業率が達成できるというものではないと思います。あくまでも具体的推進方策指標は開業率を達成するための一つの手段というということになりますので、当然、それ以外の取り組みも非常に重要になってくるだろうと考えております。我々が一番重視すべきというのは、新たな創業者数をいかにふやしていくかというところだと思いますから、そこをきちんと踏まえた上で、ほかの必要となる取り組み等も並行してきちんと進めていきたいと考えております。
〇松本雄士委員 必要となる取り組みがそこに乗っているものだという認識なので、もし商工指導団体による指導回数とか育成資金とかのほかにも重要な取り組みがあるというのであれば、そこに明記して、皆さん共有の上で取り組んでいくべきだと思います。
 県が最近、いわてスタートアップ推進プラットフォームというのを設立して、関係団体と情報共有しながらやっていく。こういうものの取り組みをもっと活性化していく、この組織の機能を強化していくということが、先ほどの創業するというか、新しいやる気のある方々に非常にいいのではないかと思います。いわてスタートアップ推進プラットフォームの今後の具体的な活動内容について、お伺いいたします。
〇小野寺経営支援課総括課長 ことしの8月に立ち上げました、今お話のありましたいわてスタートアップ推進プラットフォームですけれども、商工指導団体、市町村、当然、金融機関にも入っていただいて構成しております。そういう非常に多くの事業者にかかわる団体が参画しているプラットフォームでございますので、今年度、例えば、女性の起業支援分科会といったようなそれぞれの分野に応じた分科会を三つほど立ち上げて、それぞれの機関における支援ノウハウの向上などに取り組むことにしております。
 それから、県内で行われております創業支援の取り組み、いろいろ情報発信はなされておりますが、それを一元的に集約したものがありませんでしたので、それを集約して情報発信していくというような取り組みも行いまして、仮ではありますけれども、今月中にホームページは立ち上げを行いました。
 そういうところで、いろいろと関係する方々と情報交換等を図りながら、適宜適宜、有効となる手法を取り入れながら進めてまいります。
〇松本雄士委員 ありがとうございました。ぜひともよろしくお願いします。
 以上で終わります。
   〔「関連」と呼ぶ者あり。〕
〇高橋穏至委員 今の件で関連質問をしたいと思います。
 今の答弁の中で、U・Iターンの計画数値の目標設定は、要は、事業の積み上げによる把握できる数値ということなのですけれども、やはり人口減少の問題で、移住、定住の関係では、若年層がどう入ってくるかというのをしっかり捉えられないといけないと思うのですが、人口動態調査の転入、転出と、事業で今はかっているU・Iターンの数と、関連性をしっかり押さえているのかどうか。そして、その関係はどうなっているのかをお伺いします。
〇三河定住推進・雇用労働室長 転入、転出のときのデータといいますのが、Uターンで戻ってきた方なのか、転勤で来た方なのか、進学で来た方なのかというような種類ごとの転入届というのをとっていない状況でございまして、Uターンで伸びましたかということを押さえるためには、我々がやっているUターン施策であるとか、あとはハローワークなどでお仕事を求めるときに、Uターンで来て岩手県で働くということでないと、数字につきましてはつかみきれていないということで、正確な数字とはならないというところでございます。
〇高橋穏至委員 しかしながら、実際に来ている人数はいるわけで、その傾向とか分析、関連とかはやらないのでしょうか。今、課題になっているのは、進学等で短大とか大学に行って岩手県に帰ってこない。出た人が戻る就職戦略というのも大事なわけで、それも含めて人口動態と今やっている事業の関連をつかまないとだめだと思うのですけれども、どうなのでしょう。
〇岩渕商工労働観光部長 先ほど来、話がいろいろ出ておりますので少し整理をさせていただきたいのですが、まず、U・Iターンの正確な人数がわからないというのは、市町村に対して、転入届とかに理由をきちんと書いてもらおうという検討も一時いたしましたけれども、これは当然、市町村はいろいろな縛りがあるので乗ってこられないということで、全くとれません。正しい数字は、転入者と転出者の差、要するに、社会減が一番わかりやすいと思います。
 今、議論になっております、県で押さえている移住、定住者数につきましては、4年制の大学に進学しても、県のシゴトバクラシバいわてのシステムに登録している人数は一部でございます。ですから、ハローワークとか県の移住フェアとか、そういうのでシゴトバクラシバいわてを通して戻ってこない人数は、何としても押さえようがないところがあります。特に大きい企業などは、直接行ってしまえば、そこでわからなくなってしまいますので、そういう中で、県の事業でこれくらい戻したというのがハローワークとかシゴトバクラシバいわてに行っている数字が県の事業を通じての成果だと見ていくしかないのが現状、整理するとそういうことでございます。
〇高橋穏至委員 数字をつかむのは難しいというのはわかります。説明もわかります。その中で、県のやっている事業の中で押さえられる数字と、全体の人口動態の中で移住との関連性がどうなっているかまできちんと分析していますかという話です。
〇岩渕商工労働観光部長 もちろん、そこにつきましては、我々もさまざまな場面で、実際の社会減の数が10代で何人、女性が多いかとか、あるいは、戻ってくるのが4年制に行けば二十二、三歳になるのですが、その辺で出ていった数との差が4年前の数字と比較してどれくらいになっているか、そういう分析を行った上で、県でやっている事業の効果と照らし合わせるのですが、そこで、次にこういう事業が必要ではないかとか、そういう考えに結びついていきますので、そこは常に中でやりながら、新しい年度の予算構築とかに活用しているということになります。
〇高橋穏至委員 そうであれば、事業をやった人口動態の中で帰ってくる人、要は事業の寄与率というか、事業はこれくらい貢献しているよという数字で押さえることも一つ大事ではないかと。
 例えば、開業率の話がありました。開業率を上げるための事業の一つとして創業者支援のいろいろな事業をやっている。それ以外の要素があってできていないとなれば、創業支援の事業が開業率にどれくらい効果をもたらしているかという分析までしないと、事業はA評価、でも、結果はD評価。これはいつまでたっても解決しないわけで、それに寄与する事業は何なのですかという話なのです。
 先ほどそのほかにもいろいろな取り組みがあると言いましたけれども、例えばどんな取り組みがあるんでしょうか。
〇岩渕商工労働観光部長 今の話は、一つは社会増減の実数、それから、県の取り組みによる実数の指標の差が大きいということが原因だと思います。今おっしゃっているのも、開業率というのと、県でやっているような岩手イノベーションベースとか、いわてスタートアップ推進プラットフォームとかを通じた起業というのはごく一部ですので、ここの指標のギャップが大きいというのが原因で、いつも予算特別委員会、決算特別委員会で議論されているところですが、ここをつなぐ指標をつくれば、きちんと成り立つのではないのかというお話だと思うのですけれども、なかなかそこは指標が限られている。あるいは、数字をとるのに、新たに数字をとろうと思うとお金がかかっていきますので、どこまでできるかというのは非常に難しいところがあって、そこは一定の開きがある中でも可能な限り見ていきましょうという形で今のところ進めていきたいというのが政策評価の考え方と私は理解しております。
〇高橋穏至委員 私も毎回のように決算特別委員会でも予算特別委員会でもその話をします。達成された事業と実際の行動指標といいますか事業の指標、合わないよねという話はしているのですが、そのためにまた新しい指標をつくると作業だけふえて、そこで効果があるかというと、そうはなっていない。ただ、今、ギャップのある状態の指標の中で、それを埋めるのは何かという説明がないのです。指標でなくてもいいのです。そのほかにこういう事業でやっていますとか、何かそこがないと、いつまでたってもこの指標、関連はないのではないかという疑問が残るわけで、そこを埋めるような事業の説明なり、そういうものがこの中にはなかなかないものですから、そういう説明もあってもいいのではないかと思うのですけれども、どうでしょう。
〇岩渕商工労働観光部長 今、話題になっているのは、開業率は全然上がっていない、でも、創業とかの数はふえているというような話ですので、そこで、なぜ具体的推進方策指標のようなものだけが高まって、1段上の幸福関連指標はD評価なのだという話になると思うのですけれども、県でいろいろやっているということは、常に話していると思うのですが、結局、政策評価レポートでもそうですけれども、済みません、私、担当外の部局ですが、そこは社会環境の変化とか、わかりやすいのはコロナ禍があったとか、大きな影響も見ながら全体評価をしてレポートをまとめていますので、その中に全部そういう考え方を記して、今、評価をして次の事業に役立てるというシステムを構築していると認識しております。
〇高橋穏至委員 ぜひそこは部局のところでまた説明かと思いますけれども、いずれ開業率が創業支援と結びついていない一つの原因に、創業はしても雇用保険をかけるところまで行っていないということだと思うのです。そういう支援の足りなさなどが次の課題として出てくるのではないかと思いますので、そこを埋めるような政策をお願いしたいと思います。
〇村上秀紀委員 二つ通告しておりましたが、二つ目はほかの委員が質問しましたので、一つ目だけ質問いたします。
 県内事業者の海外展開への支援について。人口減少により国内の市場が縮小する中、海外への輸出による販路開拓、拡大がますます重要になってまいりますが、県産加工品の輸出額の推移について、輸出国先や加工品の種類も含めてお尋ねします。
〇畠山産業経済交流課総括課長 県産品の輸出額の推移についてのお尋ねでございますが、直近10年の推移で申し上げます。県とジェトロ岩手が毎年共同で行っております岩手県貿易等実態調査がございます。農林水産物も含めて、輸出概況だけ申し上げます。
 農林水産物、加工食品及び工芸品等のいわゆる地場産品の輸出額は、東日本大震災津波直後、平成24年以降増加基調で推移し、直近のピークである昨年、令和4年には約63.8億円を計上しました。このうち農林水産物の輸出額が54.9億円で全体の輸出額に占める割合が86%でございます。それから、加工食品及び工芸品等の輸出額が8.9億円、構成比で申し上げますと13.9%となっております。
 それから、輸出先でございますが、本調査は国別の内訳は公表してございませんので、恐れ入ります、大きなエリアでの御説明になります。直近、令和4年の地場産品の主な輸出先の広域のエリア別の内訳でございます。第1位が中国、香港を除くアジア圏になります。約27.4億円、全体のシェアの約4割を占めます。以下、中国、香港で約19.4億円、北米で約7.3億円となっております。
 また、輸出品目別の順位でございますが、1番が米、牛肉等を含むその他農林産物が最上位で約26.3億円、全体の41%でございます。以下、冷凍魚が約17.5億円、3番目として日本酒の約4.9億円が上位となっております。
 委員から今、お尋ねのありました加工食品の輸出の主な上位のものとなりますと、最上位が日本酒となります。そのほかは、例えば乾麺ですとか菓子類ですとか、そういう項目が続きます。
〇村上秀紀委員 では、こちらの担当の加工品のところで、そして、一番大きな額の日本酒について伺います。国内市場と海外市場を合わせて、トータルの取引額の傾向というのは、ここのところはどのようになっていますでしょうか。
〇畠山産業経済流通課総括課長 国内市場を含めた日本酒の取引額の傾向について御説明申し上げます。
 直近、令和4年の日本全体の数値で見た場合、日本酒の出荷額が3、680億円弱、うち輸出額は475億円弱となっております。輸出の割合が12.9%となっております。これに対し、同年の岩手県の日本酒の数値でございます。出荷額が約34億4、000万円、それに対して輸出額が約4億9、000万円となっており、輸出の割合が14.2%となっております。
 なお、日本酒の日本全体の出荷額における岩手県の出荷額の割合は約1%となっておりますが、岩手県の日本酒の輸出額は、東日本大震災津波翌年の平成24年には約1億円であったものが、直近の令和4年には約4億9、000万円と10年間で5倍程度に伸びており、県の調査開始以降、最高額を記録しております。拡大基調にあると認識しております。
〇村上秀紀委員 済みません、1点、国内市場の動向というのはどのようになっていますか。
〇畠山産業経済流通課総括課長 恐れ入ります。国全体の日本酒の出荷額ということでのお答えでとどまってしまいまして、全体の購買動向といったトレンドのところまでは分析が及んでおりません。
〇村上秀紀委員 恐らく輸出が県内の酒蔵の皆様にはプラスに働いているのだということだと思いますけれども、今、目標値に対する達成度というのが、ここはAなのでありますけれども、今、示していただいた輸出に対する伸び率とか各酒蔵の潜在能力、商品力など、多角的な視点から今後目標とすべき数値というのは変わってくるのではないかと思いますが、そんな面も含めて、どのように今後取り組んでいくのが望ましいとお考えでしょうか。
〇畠山産業経済流通課総括課長 日本酒の輸出に係る今後の取り組み、あるいは数値といった点についてでございますが、本目標値は、日本酒を初めとする加工食品、あるいは南部鉄器等、いわゆる地場産品の輸出額の合計値であります。策定時の経済情勢、あるいは社会環境等を勘案の上、事業者の関係団体等の意見も踏まえ策定したものでございます。この数値につきましては、今後の実績の推移も確認してまいるとともに、引き続き、関係機関の協力連携によりまして、所要の取り組みを展開してまいりたいと思います。
 日本酒は本県の地場産品の輸出における最重要品目の一つであると認識しております。先ほども答弁申し上げましたとおり、昨年の県全体の日本酒出荷額に占める輸出割合は、国全体の輸出割合を上回るペースで拡大しております。県の調査開始以降の過去最高額を記録しており、拡大基調にあります。
 さらに、先月には国から酒類の地理的表示、GI岩手として指定を受け、今後、県内メーカーの一層の輸出事業の参入、あるいは拡充が見込まれるところでございます。
 今後、トップセールス、海外での見本市、商談会等への出展、さらには、海外のバイヤーの招聘等により、岩手の清酒の知名度の向上によるさらなる販路拡大を図り、県内酒造メーカーの海外展開を一層促進してまいりたいと考えております。
〇村上秀紀委員 伸び率から見てみると、今のA判定のところはぜひ情報修正して、さらに酒産業を守るために、今お話をされたさまざまな取り組みを行っていただきたいと考えております。岩手県にとって大変シンボリックなものであります。ぜひ酒産業を守り、大きく育てていただきたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは、さまざま重複するところがありましたので、簡潔にお聞きいたします。
 物価高騰による中小企業への影響と経営課題について、簡潔に示してください。
〇小野寺経営支援課総括課長 県と商工指導団体が連携して8月末時点で実施しましたエネルギー価格・物価高騰等に伴う事業者影響調査によりますと、物価高騰等の影響、経営に影響しているという企業の回答が90%を超えております。それから、価格転嫁については、72.9%ができていないという回答です。
 挙げられた経営課題につきましては、原料、資材高騰への対応、それから、電気料金値上げへの対応というようなことが多くなっておりまして、前回、5月末時点の調査結果と同様、やはり物価高騰等の影響を経営課題としている事業者が多い状況にあります。
〇斉藤信委員 経営課題については、もう少し正確な答弁が欲しかったのだけれども、原料、資材価格の高騰の対応、55.6%、電気料金値上げへの対応が47.2%、原油高への対応が38.7%となっているのです。その後、人材確保、価格転嫁が続いて、本当に原料、資材高。私、驚いたのが電気料金の値上げが2番目に来ています。
 そういう点では、私は10月に沿岸地域の水産加工会社に行ってきました。水産加工会社というのは何が一番大事かというと冷蔵庫なのです。去年、年間で5、000万円かかったのがことしは9、000万円。こうした水産加工の実態を把握されているでしょうか。
〇小野寺経営支援課総括課長 水産加工業における電気代の負担は、今、お話のあったとおりかと思います。先ほど千葉秀幸委員からもお話をいただきました。業種によって電気を多く使う業種にとっては、より一層電気料金の値上げというものが経営に重くのしかかっている状況であると思います。
〇斉藤信委員 それで、こうした電気料金の値上げに対する支援は何もないと、このことも言っておりました。
 もう一つ、省エネの冷凍施設に対する補助というのがあって、それを積極的に導入している。かなり省エネの新たな冷凍施設というのが出ているのですね。この補助は県はかかわっていますか。
〇小野寺経営支援課総括課長 済みません、私のほうでは承知しておりません。
〇斉藤信委員 いずれにしても、私、こうした原油高、原料、資材、そして電気料金の値上げ、9割の中小業者が影響を受けているということですから、本当に現実の困難に対して支援をする、そのことが大事だと思うのです。そこで、岩手県がやっているのは、中小企業等事業継続緊急支援金です。これは第1弾、第2弾をやりました。第1弾、第2弾の実績を示していただきたい。
〇小野寺経営支援課総括課長 いずれもことしの10月20日現在の数値になりますけれども、令和4年度事業として実施した、いわゆる第1弾につきましては、支払い件数合計で1万743社に対してまして、金額は11億4、660万円を支払いしております。それから、令和5年度事業として実施している、いわゆる第2弾につきましては、今現在、申請を5、496社からいただいておりまして、そのうち4、192社、4億6、297万5、000円を支払い済みの状況でございます。
〇斉藤信委員 第1弾が1万743件、11億4、660万円。さまざまな補助制度の中では、本当に幅広く支援しているのだと思うのです。ただ、このときの予算は20億円だった。だから、補助は半分強ということでした。第2弾は、今、答弁あったように、5、496件で4億6、297万円、第2弾で半分になってしまった。
 私は、中小企業の状態というのは、決して好転しているわけではないと思うのです。資材代だとか売上原価が上がって売り上げが伸びたように見えるけれども、収益はますますひどくなっている。だから、この支援金の基準は売り上げ減少が一貫して20%以上なのです。売上原価が上がったら売上高は上がるわけだから、そして収益は下がっている。私は、今の経営状況の変化を踏まえて、この事業は拡充すべきだと思いますが、いかがですか。
〇小野寺経営支援課総括課長 まずは、この支援事業、ことしの4月から9月までの期間を対象にしているということですので、まずは支援対象となる方に漏れなく支援が行えるようにというところに重きを置いて取り組んでまいりたいと思います。
 新たな支援策につきましては、中小企業とか小規模事業者の経営課題、先ほど申し上げましたような経営課題を捉えつつ、今、検討が進められております国の経済対策、そういうものの動向を見極めながら、市町村ともきちんと連携しながら、適時適切な展開に努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 何だか曖昧な答弁でした。私が指摘したのは、第1弾も効果があったけれども、20億円の予算から比べれば実績は半分程度ですと。第2弾は10億円の予算だった。それでも半分程度なのです。私は、事業というのは、せめて七、八割ぐらいは使われなかったら設計がまずかったということになると思うのです。
 私は率直に指摘をしました。売上原価が上がったら売り上げ減少20%という基準を考えて、もう一つは、単価が低過ぎるのです。15万円と7万5、000円ですよ。だから、単価も引き上げるということも考えて、そういう意味で、4月から9月分だから、ことしの後半分というのは拡充してやっていただきたい。
 それで、私もこの間、一関市や大船渡市の商工会議所、県の商工会連合会、さまざまな意見を聞いてきました。一関市も大船渡市も、この事業継続支援金に上乗せしているのです。同額だとか10万円、5万円だとか。そうすると、件数もそれなりだから、この事業の効果は大きくなるのです。だから、これからやる事業は市町村と連携をして、効果がダブルになるようにぜひやっていただきたい。これは商工労働観光部長に聞きます。県としても拡充するし、効果がダブルになるように、しっかり取り組んでいただきたい。
〇岩渕商工労働観光部長 中小企業支援策の実施に当たりまして、特に本支援金のような国の地方創生臨時交付金を活用した実施する事業につきましては、県と市町村が連携を図って、それぞれの予算を有効活用して実施することで支援の厚みが増しますことから、望ましい形の支援のあり方であると捉えておりまして、今後展開する支援策におきましても、当然ではございますが、必要に応じて市町村と密接に連携を図りながら、中小企業者にとってより有効な支援策を展開できるよう努めてまいります。
〇斉藤信委員 せっかく商工労働観光部長に聞いたのに棒読み答弁では、気持ちが伝わらない。それで、追加で、この事業継続支援金に連動した市町村はどのくらいありますか。
〇小野寺経営支援課総括課長 県で把握している、既に事業を実施しているのは九つの市と町でございます。
〇斉藤信委員 それで次に、中小企業の賃上げ支援です。これは関根敏伸委員がかなり立ち入って質問したので、私は結論的に、これも2億円の予算でやったのですね。100社を想定して結果的には54社、8、100万円。3分の2補助だから補助率としては高い、魅力ある。でも、この程度の数だったらほんの一部への支援にしかならない。私はそのとおりだと思います。だから、関根敏伸委員も言ったように、今は赤字でも賃上げしなくてはならない。そうしなければ、今の労働者も維持できないという状況なのです。だから、無理してやっているのです。そういうところに支援もする。賃上げ支援もぜひ工夫をして、頑張って賃上げしているところに行き渡るようなものにしていただきたいが、どうですか。
〇小野寺経営支援課総括課長 やはり今、中小企業にとって非常に大きな課題になっている賃上げでございますので、それぞれ事業者が置かれた経営状況などによって、どういう支援が必要なのかはいろいろかと思います。令和5年6月補正予算で措置させていただいた賃上げ環境整備支援事業費補助、どちらかというと、今、ある程度経営状況がきちんとしていて、次の取り組みに踏み込める企業により活用いただきやすいと考えております。ただ、そうではない企業も当然あるわけですので、その部分につきましては、総合的にきちんと検討を進めてまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 物価高騰対策の最後に、私は商工団体を回って、共通して言われたのは、例えば、GX対応、DX対応、伴走型の支援が本当に求められています。中小企業団体中央会でも商工会連合会でも、そういう中で経営指導員が減っている。頑張っているけれども、面倒を見切れない。だから、商工団体に対して、私は経営指導員を配置する支援というのはすごく大事なのではないか。県の商工会連合会ではこうも言われました。秋田県と比べて経営指導員は半分しかいないのだと。そういう意味で、経営指導員の体制をぜひ強化していただきたい。いかがですか。
〇小野寺経営支援課総括課長 先ほど来、御答弁申し上げているとおり、中小企業の事業の継続、それから、次のステージへの発展というところで、商工指導団体の経営指導員を中心とした職員に果たしていただいている役割は非常に大きい、それは私もひしひしと感じております。そういう体制を維持していくためには、県におけるそれなりの対応というのも必要になってまいりますので、そこのところは商工団体のほうからも県に直接御要望等もいただいておりますので、我々のほうできちんと検討して、しかるべき対応をとってまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 どうぞよろしくお願いいたします。
 雇用の問題では、自動車半導体など県内誘致企業の県内出身者の採用状況についてだけお聞きします。
〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 誘致企業の県内出身者の採用状況についてでございます。平成30年度から令和4年度までの5年間で本県の新規立地件数は99件となっておりまして、これに伴う雇用人数は、令和5年4月1日現在で約2、500人となっております。
 雇用人数の出身地別の集計は行っていないため、大変申しわけございませんが、県内出身者の採用状況については、把握していないところでございます。
〇斉藤信委員 自動車、半導体、そして今、医療関連です。製造業の中での中核だと私は思うので、半導体はいろいろ今、複雑な状況がありますけれども、地域経済を支えていますので、県としてもしっかり把握しながらやっていただきたい。
 最後の質問ですけれども、就業構造基本調査の結果が出ました。私は岩手県の状況についてお聞きしますが、一つは、岩手県における非正規労働者の実態、推移、比率、男女別ではどうなっているか示してください。
〇菅原労働課長 就業構造基本調査結果について御答弁申し上げます。総務省が5年ごとに行っている調査によりますと、非正規労働者数は、平成24年度は19万8、500人、平成29年度は18万9、800人、令和4年度は18万4、300人でございます。
 令和4年度の状況を男女別で見ますと、男性が約5万9、700人、女性が約12万4、500人となっておりまして、全労働者数に占める非正規労働者の割合は、男性が約17.6%、女性が約44%となっております。
〇斉藤信委員 少し答弁がかみ合わないのだけれども、私は雇用労働者の中での比率を示してほしいのです。わかりますか。全体ではなくて、役員を除く雇用者の中での比率があるではないですか。
〇柳村一委員長 答弁できますか。
〇斉藤信委員 時間がないから私が言います。これは会社などの役員を除く雇用者で、正規は64.5%、非正規は35.5%です。そのうち、実は女性は非正規が50.2%なのです。女性は非正規が半分という状況になっているということであります。
 次に、年収200万円未満のワーキングプアの状況はどうなのか。
〇菅原労働課長 年収200万円未満の労働者につきましては、岩手県の場合、21万4、700人でございます。平成29年度と比較しますと、平成29年度は25万300人ですので、減少しているところでございます。
〇斉藤信委員 減少というときに比率も言わないとだめなのです。雇用者数も減っているから。わかりますか。すぐ出ますか。
〇菅原労働課長 比率でございますが、申しわけございません。全労働者という形になってしまいますが、令和4年度が34.5%、平成29年度が38.2%でございます。
〇斉藤信委員 これは何、年収200万円、21万4、700人、34.5%ということですね。大変な比率ですね。年収200万円、ワーキングプアですよ。働いている3割以上。これは本当に大変な事態だと。
 もう一つ、今回、新しくフリーランスの実態も調査されました。岩手県内、フリーランスはどれだけになっていますか。どういう方々が主なフリーランスですか。そこを示してください。
〇菅原労働課長 フリーランスでございます。斉藤信委員御指摘のとおり、ことしから統計に入りましたが、それによりますと、総数は1万2、400人、有業者全体の約2%でございます。
 何をやっているかというところですが、職業別という統計がありまして、建設対策事業者が3、100人で25%、生産工程従事者が2、700人で21.8%、あと、専門的技術職業従事者が2、500人で20.2%という状況、多いところはそういう状況になっております。
〇斉藤信委員 わかりました。
 終わります。
〇小林正信委員 私も中小企業の支援について、まず、賃上げの支援についての質問を用意していましたけれども、先ほど関根敏伸委員、斉藤信委員から詳しく質疑がございましたので割愛します。
 中小企業の生産性向上にはDXが欠かせないものになっておりますけれども、中小企業、小規模事業者の皆さんにとってはハードルが高い、何をしていいのかわからないという声も聞こえております。県としても十分な体制を組んで支援を行ってきたと思いますけれども、令和4年度の取り組み状況がどうだったのか、また、人材の確保、課題が多いところがあったかと思いますけれども、従業員のデジタルリスキリングに対する支援も必要と考えます。今後の中小企業のDX支援の充実についてお伺いします。
〇小野寺経営支援課総括課長 まず私のほうから、DX推進の取り組みについて御答弁申し上げます。
 まず、現在、商工指導団体、それから産業支援機関、金融機関、そういう方々で構成する中小企業デジタル化支援ネットワークというものを構成しておりまして、ここを通じて、中小企業者からの相談対応、助言、専門家の派遣などの伴走支援を実施しております。こういう取り組みの中で、デジタル技術を活用した、例えば介護分野における事務の省力化を図る取り組みといったさまざまな好事例も生まれてきています。何をしていいのかわからないという方には、まず、こういう好事例をきちんと横展開、水平展開するということで、自社でどういう取り組みをすればいいのかということを考える一つのきっかけにしていただくことも必要かと思いますので、そういう取り組みの一つとして県内の中小企業経営者、それから、それを指導する商工指導団体の担当者の方々を対象としたセミナーやワークショップの開催、それから、好事例の表彰や事例発表会などさまざまな機会を活用して普及啓発に努めています。
 今後の取り組みに関しましては、今後もデジタル化の進展で諸環境に的確に対応していく必要があります。特に技術開発の分野が激しいところでもございますので、その都度必要となる取り組みを関係機関と連携しながらきちんと対応し、デジタル技術の活用等による生産性向上の取り組みの促進を図ってまいりたいと考えております。
〇菅原労働課長 デジタルリスキリングについてでございますけれども、県では、ことしから企業の生産性向上や地域のDXを加速するため、新たにデジタルリスキリング推進事業というのを立ち上げまして、現在、デジタル人材の育成を進めているところでございます。ことしは盛岡市と奥州市の2カ所で、初級、中級という形で実施しているところでございます。
〇小林正信委員 やはり人の確保というのが大変重要なことです。ぜひともデジタルリスキリング推進事業の拡充、拡大をお願いしたいと思います。
 次に、先ほど斉藤信委員からフリーランスの実態のお話がありました。本年4月、フリーランスの皆様が安心して働ける環境づくりを目的として、フリーランスの事業者間取引適正等法案、フリーランス新法が成立しました。発注者側に対する公正な取引の義務化が図られた。県内にも多くのフリーランスの方がいらっしゃるということでしたけれども、支援や保護の取り組みについて、お伺いしたいと思います。
〇菅原労働課長 フリーランスの関係でございます。先ほど人数については御説明したのですが、今回、フリーランスが調査項目になったのも、雇用が多様化したというあらわれだと思っています。さまざま実態はございますけれども、私たちが今、国の取り組みと承知しているのは、フリーランスについては新法を立ち上げる。その中で、トラブルの解決、フリーランス・トラブル110番を設置しまして、弁護士の無料相談などをしていると承知しております。県でもフリーランスで働く方々の動向については、国の動向も注視して、労働局や関係課と連携して把握に努めてまいります。
〇小林正信委員 今のところ、支援がフリーランス・トラブル110番ぐらいしかないかと思います。ぜひ周知をしていただいて、少しでも安心していただけるような取り組みをお願いしたいと思います。
 次の地場産品の輸出については、先ほど村上秀紀委員からございましたので、割愛したいと思います。
 通告の順序を変えて、就職氷河期支援について。令和4年度は氷河期世代を対象とした相談会を98回、参加者121名とかなり個別的に支援を行ったものと思います。相談会の状況、また、相談者への支援はどうだったのかというあたり、取り組み状況についてお伺いします。
〇駒木特命参事兼雇用推進課長 就職氷河期世代支援加速化事業の取り組み状況についてでございます。事業を開始いたしました令和2年度につきましては、ニーズ把握のためのアンケート調査ですとか、テレビなどを活用した支援機関の周知、ジョブカフェいわての開館延長などを行ったところでございまして、令和3年度からは、アンケート結果を踏まえて、ジョブカフェいわての開館延長に加えて、職場見学会ですとか企業側の理解及び採用を促すための企業向けセミナー、それから、就職氷河期時代のスキル取得、向上を支援するeラーニング講座を実施したところでございます。
 令和4年度におきましては、令和3年度の取り組みに加えまして、今後のライフプランを含むキャリア形成支援のためのキャリアアップセミナー、それから、企業の採用担当者や同世代社員との企業面談会を実施いたしまして、県内企業とのマッチング支援強化にも取り組んできたところでございます。
 これらの取り組みによりまして、岩手労働局が事務局を務めております、いわて就職氷河期活躍支援プラットフォームの事業実施計画において掲げられております、令和2年度から令和4年度における公共職業安定所での正社員就職件数目標3、000件に対しまして、実績は3、639件と目標を上回ったところでございます。
〇小林正信委員 かなり丁寧にやっていただいて、目標も達成したというところでございますけれども、引き続き、まだまだ悩んでいる方が多いというところで、特にデジタル分野への人材不足に対応できる部分もあるというところで、デジタル分野とのマッチングも必要だろうと思います。県としてもeラーニング講座等の取り組みを行っていると思うのですけれども、デジタル分野の対応も含めて氷河期世代へのリスキリング支援、これについてお伺いしたいと思います。
〇駒木特命参事兼雇用推進課長 リスキリング支援についてでございます。先ほど申し上げました就職氷河期世代支援加速化事業の中で、キャリアアップセミナーとeラーニング講座を実施しているところでございます、キャリアアップセミナーでは、ワープロソフトですとか表計算ソフト、プレゼンテーションソフトの操作技能の向上、それから、eラーニング講座では、パソコンソフトの操作スキル向上に加えまして、簿記等の資格取得ですとかプレゼンテーションのスキルなどの向上のための機会を提供しているところでございます。
 令和4年度までの事業では、キャリアアップセミナーを14回開催しまして73人が受講、うち正社員就職者は2人、eラーニング講座、17回開催しまして98人が受講、うち正社員就職者が5人、非正規雇用から正社員へ転換した方が2人というような状況となっております。
 引き続き、就職氷河期世代のライフスタイルやニーズに合わせて学び直しができるように、リスキリングの支援を実施しまして希望する仕事に就職できるよう取り組んでまいります。
〇小林正信委員 ありがとうございます。丁寧にやっていただいて、ただ、セミナーに参加してもなかなか就職まで結びついていないのは残念だなと思うのですけれども、引き続き支援をしっかりしていただいて、お願いしたいと思います。
 次に、観光振興について、いわての新しい観光推進体制整備事業について、これは、いわて観光データ・マネジメント・プラットフォームの構築と利用ということで、3機関1地域で評価Aとなっておりますけれども、せっかくのデータ・マネジメント・プラットフォームの目標設定が少し低いと感じました。令和4年度の取り組み状況についてお伺いします。
〇高橋観光・プロモーション室長 いわての新しい観光推進体制整備事業の取り組み状況でございます。昨年度から各種データを多角的に分析、可視化する、いわて観光データ・マネジメント・プラットフォームの構築を進めているところでございます。これによりまして、旅行者の年代やどこから来たかといった属性のほか、県内の周遊の状況などが分析できる状況になっております。
 また、マーケティング機能を地域に定着させ、観光を取り巻く環境に対応した観光地域づくりを推進するためマーケティング実践塾を開催するなど、マーケティング人材の育成を進めているところでございます。
 さらに、岩手県観光協会内に観光地域づくり支援チームを設置して、観光地域づくりの専門人材を配置し、一戸町の観光地域づくり戦略策定の支援に取り組むなど、観光地域づくりを推進する体制の強化を図っているところでございます。
〇小林正信委員 観光地域づくり支援チーム、非常にすばらしい取り組みだとは思うのですけれども、しかしながら、多分、DMCの支援とかをやられるところですけれども、本会議等でも議論に上りました三陸DMОについては、活動の状況が見えないとか、また、他機関、他地域との交流ができていない等の課題がある。また、どこのDMОとはっきり言えないのですけれども、DMОと観光協会の連携がとれていない、せっかくの観光資源が生かされていないという状況も聞いております。
 観光庁は持続可能な観光ということに地域一体となった観光振興を打ち出していると思いますけれども、地域をまとめる役割、それがDMОなのか、あるいは行政なのかわかりませんけれども、それが必要なのだろうと。地域を巻き込んだ、地域一体となった観光振興について、県のお考えをお伺いしたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 地域を巻き込んだ観光振興についての考えでございますが、地域の多様な関係者を巻き込みつつ、科学的アプローチを取り入れた観光地域づくりの司令塔となる法人、いわゆるDMОにつきましては、現在、平泉町・一関市、八幡平市、釜石市を初め6法人が登録団体となっておりまして、現在、遠野市や大船渡市など5法人が登録に向けた具体的な準備を進めているところでございます。
 これらのDMОに対しましては、昨年度、岩手県観光協会に観光地域づくり支援チームを設置して専門人材を配置した上で、登録に必要となる計画の策定支援や、既に登録された法人に対するフォローアップ支援などを行っております。こうした先行事例の各市町村との共有を図りながら、地域の観光戦略の策定や新たなDMОの立ち上げなど、市町村、観光関係団体、事業者が一体となって推進する観光地域づくりを支援してまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 先ほど言ったように、DMОをたくさんつくったのだけれども、DMОだけが先走ってしまって地域が置いてけぼりになっているという状況があるのではないか。そのあたりは、県、地域づくり支援チームは、立ち上げだけでなくて、DMОと地域をもう少しつなぐ役割というところ、ぜひともお願いしたいと思いますけれども、そのあたりはどうでしょう。
〇高橋観光・プロモーション室長 先ほど小林正信委員から御指摘がありましたとおり、そういうところを最初に詰めていかなければならないということで、今、まさにデータに基づくマーケティングであったり、それから、DMОに向けた取り組みを地域ごとにつくっていくということでございますので、そういうところをまず1カ所ずつ支援しながら進めていって、総体的に各市町村のDMО化を図るとか、観光地域づくりを進めていくという取り組みをしていきたいと考えております。
〇小林正信委員 三陸DMОのほうもしっかり取り組んでいただけるようお願いします。
 観光振興については、観光資源の魅力化が重要です。宮城県白石市の蔵王キツネ村、これはなかなかアクセスしづらいところにあるのですけれども、エキノコックス感染を心配せずキツネと触れ合えるため、日本中、世界中のキツネ好きがキツネ村を目指して来る。岩手県においても、みずから気づかない、また、磨けば光るコンテンツがあるのだろうと思います。また、外部の視点、他県の方が岩手県に何を求めてくるのか、また、どういう層をターゲットにするのか等、十分に調査する必要があるのだろうと思います。
 そうしたことを踏まえた上で、観光資源の磨き上げ、ブラッシュアップの取り組み状況、また、今後の取り組みの考え方についてお伺いします。
〇高橋観光・プロモーション室長 観光資源のブラッシュアップの取り組み等についてでございます。県では、昨年7月から9月まで、JR東日本、北東北3県と連携して、世界遺産や夏祭り、食などのテーマでつなぐをコンセプトに大型観光キャンペーンを展開いたしまして、食、自然、体験などの観光コンテンツのさらなる発掘や磨き上げ、北東北3県謎解きスタンプラリーなどを実施して、より広く周遊し、より長く滞在し、より深く体験できる広域観光を推進してきたところでございます。
 今後の取り組みについてでございますが、JR東日本の重点販売指定地域と連携した冬季観光キャンペーンを年明けの1月から開始することとしており、このキャンペーンのコンセプトに、内陸地域の温泉やスノーリゾート、三陸沿岸の冬の味覚や絶景を掲げ、さまざまな企画を展開することとしているところでございます。
 その中では、冬季観光の魅力発信や誘客拡大に向けた受け入れ体制を整備するため、宿泊施設、観光施設、二次交通事業者等が連携して取り組むような観光商品の造成や企画に対して支援を行うこととしておりまして、そういうことによりまして、イルミネーションや雪明かり、酒蔵ツアー、スノーシュー、雪の縄文歩き、スキー場でのアクティビティー、星空観察など、各地域の事業者等において特別企画の準備をしているということで、観光資源のブラッシュアップを進めていきたいと考えております。
〇小林正信委員 わかりました。地吹雪ツアーとか昔ありましたけれども、そういう雪を活用したというお話が多かったと感じましたけれども、自分たちが気づかないさまざまな観光資源、これを他県の方から見ていただいて、しっかり気づいていくという部分も必要だと思います。そのあたりもしっかりと調査していただきながら進めていただきたい。
 IPUイノベーションパークについては、ソフトウェア情報学部の卒業生の受け皿として学生の県内定着、IT人材の集積に役割を果たしてきたものと思います。
 まずは、令和4年度における岩手県立大学とイノベーションパークとの連携状況はどうだったのか。また、卒業生の受け入れ状況についてお伺いします。
〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 滝沢市IPUイノベーションパークと岩手県立大学との連携状況についてでございます。
 令和4年度でございますが、パーク内の企業と岩手県立大学の教員との間で、ロボットの遠隔操縦補助システムの研究など、計4件の共同研究が進められております。
 また、学生と企業の関係者が幅広く参加しまして、新事業創出に向けたワークショップや交流会を開催しておりますほか、パーク内の複数の企業が若手IT人材の育成、確保を推進するために設置をいたしましたNPО法人と県立大学とが連携協定を締結しております。
 また、これは今年度の動きでございますが、岩手県立大学がパーク内の企業集積を学部と同等の企業学群と位置づけまして、協調と共創を促進するなどの取り組みが進められているところでございます。
 こうした取り組みを背景にいたしまして、令和5年4月時点のパーク内の企業の従業員ですが、アルバイトを含めた237名のうち55名が岩手県立大学の卒業生等となっております。
〇小林正信委員 岩手県立大学の卒業生の比率が上がったということでよろしいでしょうか。令和3年度の運営協議会において、イノベーションパークの拡張については必要であり、具体的な検討の必要について意見が出たと伺っております。県としても地域ICT開発拠点としての一層の発展に向け、拡張を含めて、滝沢市や岩手県立大学と連携して取り組む方向と過去の答弁で伺っておりますけれども、今後の施設の増設、または拡充、拡張についての進捗状況をお伺いします。
〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 滝沢市IPUイノベーションパークの拡張についてでございますが、滝沢市IPUイノベーションパーク運営協議会の令和5年度事業計画に、パーク拡張を見据えた運営計画の見直しを盛り込んでおり、現在、その作業を進めているところであります。
 また、滝沢市におきましては、具体的な拡張候補地の絞り込みや必要面積、土地利用計画の検討が始められておりまして、県関係部局との情報交換も開始されたところと伺っております。
 引き続き、関係部局と連携をしながら、滝沢市や岩手県立大学と協力し、パークを中心とした産業集積や地域の活性化に取り組んでまいります。
〇柳村一委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇柳村一委員長 質疑がないようでありますので、これで商工労働観光部関係の質疑を終わります。
 商工労働観光部の皆さんはお疲れさまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。お疲れさまでした。
午後7時45分 散会

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