令和5年9月定例会 決算特別委員会会議記録

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令和5年10月27日(金)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 昆 野 岳 晴
議事管理担当課長 藤 平 貴 一
主任主査 佐 藤 博 晃
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 及 川 雄 也
主査 阿 部 真 人
主査 堀 合 俊 彦
主査 三 浦 訓 史
1説明員
企画理事兼
保健福祉部長 野 原   勝
副部長兼
保健福祉企画室長 松 村   達
医療政策室長 吉 田 陽 悦
子ども子育て
支援室長 高 橋 久 代
保健福祉企画室
企画課長 田 内 慎 也
保健福祉企画室
管理課長 千 葉 博 和
健康国保課
総括課長 前 川 貴美子
地域福祉課
総括課長 前 田 敬 之
長寿社会課
総括課長 下 川 知 佳
障がい保健福祉課
総括課長 日 向 秀 樹
医療企画監 高 橋 宗 康
医務課長 柴 田 勝 師
地域医療推進課長 山 崎 重 信
感染症課長 木 村 真 智
特命参事兼
次世代育成課長 佐々木 浩 一

医療局長 小 原 重 幸
次長 佐々木   亨
参事兼
職員課総括課長 宮   好 和
経営管理課
総括課長 熊 谷 正 信
医事企画課
総括課長 佐 藤   誠
業務支援課
総括課長 千 葉 直 樹
薬事指導監 菊 池 昌 之
看護指導監 冨 山   香

医師支援推進室長 竹 澤   智
医師支援推進監 尾 形 健 也
医師支援推進監 尾 形 憲 一

会計管理者 木 村   久
会計課総括課長兼
会計指導監 今 雪 博 貴

監査委員 五 味 克 仁
監査委員 中 野 玲 子
監査委員事務局長 藤 澤 良 志
監査第一課
総括課長 及 川 博 英
監査第二課
総括課長 佐々木 良 生

財政課総括課長 佐 藤 直 樹
〇柳村一委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定15号まで、議案第22号及び議案第23号の以上17件を一括議題といたします。
 本日は、保健福祉部及び医療局関係について、延べ19人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安は20分といたします。
 また、関連質疑の取り扱い、換気のための休憩につきましては、これまでと同様でありますので、御協力をお願いいたします。
 初めに、保健福祉部長に保健福祉部関係の説明を求めます。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 令和4年度の保健福祉部関係の決算について御説明いたします。
 初めに、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策の着実な推進に向けた当部所管の事務事業に関する取り組み状況等について御説明をいたします。
 まず、復興推進関係についてでありますが、岩手県こころのケアセンター及びいわてこどもケアセンター等によるこころのケアの支援のほか、生活支援相談員による見守り活動等の被災者支援に取り組んでまいりました。
 続いて、政策推進関係でありますが、まず、健康・余暇分野では、特定健診などの受診率向上の取り組みを初め、自殺リスクが高い方への支援体制の充実強化、奨学金による医師養成や即戦力医師の招聘、周産期医療提供体制の強化などのほか、生活困窮者の自立支援や介護職員及び保育士の育成、確保などに取り組んでまいりました。
 次に、家族・子育て分野では、結婚、出産、子育て等のライフステージに応じた切れ目ない取り組みの総合的な推進のほか、障がい児の療育支援体制の充実などに取り組んでまいりました。
 また、安全分野におきましては、新型コロナウイルス感染症への対策として、検査体制や保健医療体制、ワクチン接種体制の充実、強化などに取り組んでまいりました。
 今後とも、各政策の着実な推進のため、被災地等におけるこころのケア、自殺対策や医療提供体制の充実、結婚、家庭、子育てに希望を持てる環境づくりや新型コロナウイルス感染症対策等に取り組んでまいります。
 引き続きまして、令和4年度保健福祉部関係の決算について御説明いたします。
 お手元の令和4年度岩手県歳入歳出決算書の18ページをお開き願います。
 当部関係の一般会計歳出決算は、3款民生費のうち、1項社会福祉費、3項児童福祉費、4項生活保護費、4款衛生費のうち、1項公衆衛生費、3項保健所費、4項医薬費、22ページに参りまして、11款災害復旧費のうち、1項保健福祉施設災害復旧費、13款諸支出金のうち、1項公営企業貸付金、2項公営企業負担金の一部であり、予算現額の総額は1、837億5、838万円余、これに対する支出済額の総額は1、685億2、889万円余であり、令和5年度への繰越額の総額は22億5、154万円余であります。
 続きまして、特別会計について御説明いたします。34ページをお開き願います。母子父子寡婦福祉資金特別会計の決算状況でありますが、予算現額6億198万円に対し、支出済額は2億5、611万円余であります。
 国民健康保険特別会計の決算状況でありますが、予算現額1、126億22万円余に対し、支出済額は1、114億8、170万円余であります。
 決算の内容につきましては、令和4年度歳入歳出決算事項別明細書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で保健福祉部関係の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇柳村一委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事の進行に御協力をお願いします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇関根敏伸委員 私からは、今、人口減少社会に突入する中で、さまざまな分野での人員確保、人手不足の現状が明らかになっておりますけれども、県内の福祉人材の確保の状況についてお伺いさせていただきます。
 高齢者福祉、障がい福祉、児童福祉、さまざまな分野にわたっていると思いますけれども、トータル的に人材確保の現状、人手不足の現状、これらについてお知らせをいただきたいと思います。
〇下川長寿社会課総括課長 介護、保育、障がい福祉分野等における県内の就業状況等についてのお尋ねでございますが、介護サービス施設・事業所調査をもとにした厚生労働省の推計によれば、令和3年度の県内の介護職員数は2万4、366人となっております。また、介護施設、事業所は、県あるいは市町村が定めた人員基準を満たした上で運営をされておりますが、離職者の補充や勤務環境改善等を行うため、求人数が相当あり、令和5年8月の介護職の有効求人倍率は2.27倍となっている状況でございます。
 次に、県内の保育施設に従事する保育士の数でございますが、令和3年10月1日現在で6、212人となっております。また、必要な人員に対する確保の状況については、地域や施設等によって、保育士の配置基準は満たしているものの、勤務環境改善等のため、求人が相当数あるものと聞いており、令和5年1月の保育士の有効求人倍率は1.78倍となっている状況です。
 次に、県内の障がい福祉サービス事業所1、447カ所への就業者は、令和5年9月末現在で1万2、388人となっております。
 県あるいは市町村が定めた人員基準を充足していない事業所施設はないものと承知しておりますが、障がい福祉サービス報酬における専門職員配置加算の対象となる社会福祉士等の専門職の確保に課題があると伺っております。
〇関根敏伸委員 配置基準を満たしているのはそのとおりだと思うのですけれども、今お話があったとおり、有効求人倍率が高い状況で推移をしております。現状はこういう現状でありますけれども、将来にわたって、高齢者に関しても、2025年には、さまざまな問題が生じてくると思います。
 将来的には減少には転じるのだろうと思いますが、長期的に見るとサービス需要が高まるだろうと思いますし、また、障がい保健福祉の分野につきましても、県教育委員会の質疑などでも明らかになったとおり、子供の数は減っておりますが、明らかに学習障がいとか発達障がいの子供たちがふえている。あるいはニーズの多様化もこれから相当考えていかなければならないと思うのですけれども、将来にわたってのいわゆる必要数と供給数についての見通しをどのように捉えているのか、端的にお知らせいただきたいと思います。
〇下川長寿社会課総括課長 介護人材の需給推計でございますが、現在の第8期の介護保険事業計画策定の際の推計によると、平成7年には介護職員の必要数が2万6、831人、そして、供給推計は2万4,126人ということで、2、700人余ほどの差があると理解をしております。
〇関根敏伸委員 すみません。質問が多岐にわたっているものですから、お答えづらい面もあろうかと思います。
 そのような中で、これからは介護分野について絞ってお聞きいたしますけれども、例えば県としても、人材確保についてのさまざまな取り組みをされてきているかと思います。ただ、介護福祉士の修学資金貸付における現状や、キャリア支援員による就業者数の状況、これらについて見ますと、芳しい状況ではないと思っておりますけれども、これらの人員不足、必要数に対しての取り組みに対しての評価をお聞かせいただきたいと思います。
〇下川長寿社会課総括課長 介護人材の取り組みに係る評価でありますが、県では、介護人材確保対策事業としまして、潜在的資格者や求職者に対しまして、介護の仕事の魅力の発信や、理解の醸成等を図るような取り組み、今、御紹介もありましたキャリア支援員等のマッチングの支援、その魅力発信ということで、CMなども放映しまして、啓発にも努めているところでございます。
 また、介護現場における労働環境等の整備も必要だと認識しておりますので、介護ロボット等の支援の導入に係る補助や、労働環境に関するセミナー等の開催によりまして、労働環境の改善にも努めているところでございます。
 こうした取り組みを今後も継続しまして、介護人材の確保に努めてまいりたいと思います。
〇関根敏伸委員 さまざまな取り組み、今後とも継続してお願いしたいと思うのですけれども、現実的に、人員確保が困難になることによって、サービス提供体制に影響を及ぼしている事例、あるいは施設運営に与える具体的な影響などは、どのように捉えておられますか。
〇下川長寿社会課総括課長 人員確保が困難なことによる影響についてでございますが、令和4年度に休止、廃止した介護サービス事業所が128事業所ございました。このうち、人員不足を理由としたものは55事業所あると把握しております。
 介護サービス事業所の休止、廃止でございますが、事業所の経営に大きな影響を及ぼすほか、サービスの提供を受けている高齢者の方にとっては、事業所を変更せざるを得なくなったり、同等のサービスが受けられない場合が考えられるなど、生活に影響を及ぼす可能性があると考えております。
 県としては、引き続き、総合的な人材確保対策を進めるとともに、必要な介護基盤の整備に取り組んでまいりたいと思います。
〇関根敏伸委員 休止、廃止128事業所のうち、55事業所が人員確保ができなかったということでございます。施設側、サービス利用者側双方にとって大きな影響があるという認識だと理解をしておりますけれども、そのような中で、なかなか人材が集まらない大きな理由として、賃金等の処遇、あるいは職種に対するイメージ、こういった面がなかなか改善できてないという中で、国による処遇改善の取り組みが実施されております。
 また、ことしから介護職員等ベースアップ等支援加算なども新たにお取り組みになって、国としても、この部分にはしっかり力を入れていると思うのですけれども、これら処遇改善加算等々の国の施策によって、具体的な賃金、あるいは労働環境の改善の中で、有給の消化の状況や、キャリアアップの状況がどのような状況になっているのか。そして、この制度を行うことによって、具体的な人員確保や離職防止などにはつながっているのかどうか。また、課題があるとすれば、どう認識されているのか、この点についてお伺いさせていただきます。
〇下川長寿社会課総括課長 処遇改善などの実施による介護職員の待遇改善等についての御質問でございますが、国は、先ほどお話ありましたとおり、新型コロナウイルス感染症対応の経済対策としまして、令和4年2月から9月までの間、介護職員の収入の3%程度、月額9、000円を引き上げる処遇改善を行う介護サービス事業所への補助を行ったところでございます。
 その後、令和4年10月に、臨時の介護報酬改定を行いまして、介護職員処遇改善加算の上位区分の加算として、介護職員等ベースアップ等支援加算を新設しております。
 県内の介護職職員処遇改善の状況でございますが、令和5年3月末現在で、対象となる3、501事業所の94.2%に相当する3、297事業所が、介護職員処遇改善加算を取得しておりまして、さらに、処遇改善加算を取得した事業所の90.3%に相当する2、978事業所が、ベースアップ等支援加算を取得しているところです。
 厚生労働省の調査によりますと、全国の介護職員等ベースアップ等支援加算を取得した事業所における常勤の介護職員の基本給は、加算取得後の令和4年12月時点で24万円余となっており、加算取得前の令和3年12月時点に比べ1万円余の増加となっております。こちらの県別の数字は、データがございませんので、把握はしておりません。
 こういった処遇改善の取り組みによりまして、本県におきましては、介護職員の離職率が、令和4年度は10.2%で、令和3年度の11.2%から若干下がったところでございます。こういったところから一定程度の効果が出ているものと考えております。
 また、課題につきまして、依然として、全産業の平均と介護職の給与の平均には差があるところでございますので、こういう取り組みは引き続き進めていく必要があると考えております。
〇関根敏伸委員 賃金あるいは離職の状況については、一定程度の効果があったものと捉えていると思います。今後、国において介護報酬改定などが行われる時期を迎えようとしているわけでございますけれども、県としては、国の介護報酬改定の動きをどのように捉えておられるのでしょうか。
 また、処遇改善の安定化に向けた制度設計なども必要と思われるのですけれども、この辺に関しての県の御認識をお伺いさせていただきたいと思います。
〇下川長寿社会課総括課長 今後の介護報酬改定の状況等についてでございますが、現在、国の社会保障審議会介護給付費分科会において、介護サービス種類ごとの論点とあわせまして、介護人材の確保と介護現場の生産性の向上などを念頭に置いた議論が進められていると承知しております。令和6年1月ごろに、介護報酬改定案の諮問に対して答申がされる予定と把握しております。
 県としましては、これまでも国に対して、安定的な介護サービス提供が図られる適切な水準の介護報酬の設定などについて要望をしてきたところであり、今後も、国の動向を注視しつつ、引き続き、さまざまな機会を捉え、国への働きかけを行っていきたいと思っております。
〇関根敏伸委員 いずれ、この処遇改善の制度にしても、将来的な見通しがどうなるのかということをとりづらいことが、この職種に対しての大きな魅力発信にまだつながっていないということがあろうかと思います。
 これは、当然、国で制度は設計をしていくわけでございますけれども、全国的な大きな課題として、制度の安定化に向けた取り組みについては、しっかりと他の都道府県とも連携をとりながら行っていっていただきたいと思っております。
 あわせて、国としてもさまざまなこの人員確保策については、戦略をつくって、指針をつくって取り組んでいると思うのですけれども、県として、いわゆる介護職種の人材だけにとどまらず、保育とか障がい福祉の分野、トータル的な人材確保の必要性、あるいは処遇改善に向けての県としての取り組みの必要性、これはやはりとっていく必要があろうかと思うのですけれども、この方策についてはどのようにお考えでしょうか。
〇下川長寿社会課総括課長 介護人材、ほかの福祉人材についても、質の高い福祉サービス、介護サービスを提供する、それを維持するという上で非常に重要であると理解しております。
 そのため、先ほど申し上げましたとおり、県では、国に対して、安定的な介護サービスの提供のための適切な報酬等の設定についての要望を行っているところでございますし、人材の確保とかサービスの質の向上に向けて、さらなる処遇改善を継続的に行うなどということも要望しております。
 そして、県の取り組みとしましては、処遇改善加算とかそういったものを県内の事業所で、適切に十分に活用していただけるように、説明会や促進に向けた研修などを実施しているところでございます。
〇関根敏伸委員 国に対してさまざまの要望をしていただいているのはそのとおりだと思っておりますし、今申し上げたとおり、継続して行っていただきたいと思うのですが、県全体として、トータル的な福祉の人材の確保、将来にわたっての需給見通しも踏まえて、県としてトータル的に考えていく時期に来ているのではないかという認識を私は持っており、トータル的な福祉人材をしっかりと確保していく必要があると思います。労働環境を改善し、キャリアアップの仕組みをつくり、多様な人材がこの分野に入っていけるような仕組みを県としても考えていく必要があろうかと思います。
 私、全国の例はわかりませんが、たまたま目にしました大阪府では、介護福祉人材確保の戦略を平成29年からつくっておられるようでありまして、ことし、また、新たな5カ年の計画をつくって、トータル的に県として、オールトータルの福祉人材をしっかりと確保していくと、こういう取り組みが行われているようであります。
 私は、県としてもここはしっかりと踏み込んでいくべきではないのかなと考えておりますし、国でも示しておりますが、今後は、この分野の魅力化ということも踏まえたときに、また、長期的な理解の増進を考えたときに、教育政策と労働政策としっかり連携していくべきだと思いますし、こういうことも国の指針の中には取り込まれているわけであります。
 大阪府では、いわゆる福祉部門とともに商工労働部と教育委員会が入って、人材確保の戦略の獲得のための連携体制をとっているようでありますけれども、企画理事、この辺のことに関して、県として踏み込んでいくべき時期でもあるのではないかと認識しているのですけれども、いかがお考えでしょうか。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 関根敏伸委員から、さまざま御提言また大阪府の取り組みなどを御紹介いただきまして、ありがとうございます。
 今後、人口減少の進む中で担い手がどんどん減ってまいります。介護や福祉に関しましては、ICTの活用、介護ロボットなども導入しますが、やはり人のサービスが基本ですので、この担い手の確保の部分で、今後一番力を入れていかなくてはならない分野だと我々も認識しているところです。
 例えば医師確保については、教育分野との連携の取り組みなども、今、アクションプランで進めていますが、委員御指摘のように、介護や福祉の分野の職員を今後どのように県として戦略的に確保していくのかという点については、御紹介いただいたような戦略、他県の事例などもきちんと我々も研究させていただきながら、県として、介護、福祉の人材確保に向けた方針についてきちんと定めて取り組んでいきたいと思います。
 具体的には、各部署、介護で言いますと、イメージアップや、参入のためのさまざまな取り組み、研修の取り組みなどをしているところですが、そういったトータルな部分、戦略として取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 ぜひ、お願いしたいと思います。処遇の改善とあわせて、イメージアップはやはり非常に大きいと思います。そういう意味で、教育政策との連携も必要だと思いますが、岩手県には福祉とか障がいのイメージを大きく変えたヘラルボニーという会社があります。あそことしっかり連携をしていくとか、あるいは林業分野でも、日本一かっこいい林業を目指すということで、花巻市の業者が植樹祭にも登場されましたけれども、いわゆるその業態自体のイメージを大きく変えようとしている企業もあるわけです。そういうところとしっかりと連携体制をとるとか、イメージアップのためのアイデアをいただくとか、岩手県からそういうことをしっかりと発信していける可能性もあるのではないかと思いますが、最後に、その御所見をお伺いして、終わりたいと思います。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 関根敏伸委員から御紹介いただいたように、岩手県はヘラルボニーがあって、本当に障がい者の方々の福祉の向上にも非常に寄与しております。こうした分野で農福連携、さまざま企業との連携、教育との連携といったものを含めまして、しっかりとさまざまな機関と連携をして、人材確保、育成に取り組んでまいりたいと考えております。
〇城内愛彦委員 私は、いつも聞いているのですけれども、令和4年度のインフルエンザの状況、県内の前シーズンの流行状況、そして、どういう傾向があったのか、あわせてお伺いしたいと思います。
〇木村感染症課長 まず、令和4年のインフルエンザの状況についてでございます。令和2年、令和3年は、マスク着用や手指消毒の徹底など、新型コロナウイルス感染症での感染対策効果もございまして、季節性インフルエンザの流行入りすることなく、シーズンを終了したところでございます。
 ただ、令和4年度につきましては、12月14日の公表した第49週の定点当たりの患者数が1を上回り、流行入りとなり、年明け2月15日公表の6週には10人を上回ったことから、注意報の発令、翌週2月22日公表の7週においては、30人を超えて警報発令となるなど、3年ぶりの流行の拡大が見られたところでございます。
 なお、学校等の休業等の状況につきましては、令和2年、令和3年には報告はございませんでしたが、令和4年度につきましては、令和4年12月7日から令和5年9月4日までの間で、延べの数になりますが、263施設での休業措置の報告があったところであり、コロナ禍前の令和元年の297施設での休業措置に近い数字となったところでございます。
〇城内愛彦委員 それでは、今シーズンの傾向というところも、あわせてお伺いするのですけれども、この間、新型コロナウイルス感染症で、マスク、手洗い、うがいが、感染症に対しては本当に有効だったというのがわかったところでありますが、令和5年5月8日から感染症法上の位置づけが5類に引き下げられたことによって、多くの方々が移動し始めて、それも、もうマスクは着けなかったということが傾向とすればあるのだと思うのですが、その結果として、今、すごい流行りつつあり、その辺は捉えているのだと思うのですが、今シーズンの傾向と現状について、あわせてお伺いします。
〇木村感染症課長 まず、今シーズンの傾向と現状についてでございます。例年は、春先まで流行が落ち着き、夏場にはほとんど患者が確認できない状態でありましたが、昨シーズン―ことしの春先以降も、少数ではありますが、継続して患者が確認されておりまして、全国的に見ても、年間を通じた季節性インフルエンザが確認されているところでございます。
 また、現在、36週から始まった今シーズンについてでございますが、10月11日公表の40週には1.02人と、過去10年で最速の流行入りとなったところであります。10月25日公表の42週においては、3.62人と増加傾向になってございまして、今冬に、さらなる感染拡大の可能性があるとの認識のもと、県では、場面に応じた感染対策の徹底や早期のワクチン接種について周知を図っていくというところであります。
〇城内愛彦委員 もう既に、学校等で休校等が出たりしていまして、まさに、今おっしゃったとおりのスピードで、これまでにないような形で流行が始まっていると思っています。
 そういうことは、県として、しっかりとこれからも注意喚起を図っていくべきだと思うのですが、そういうことは取り組まれているのですか。再度、確認します。
〇木村感染症課長 県においては、基本的な感染対策につきましては、これは季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症対策両方の面がありますので、適時、適切に、月1回は必ず新聞等の広報媒体を使いながら、県民の皆様に感染対策の徹底を呼びかけていたところでございまして現在、始まっている季節性インフルエンザのワクチン接種の早期接種についても、各市町村の御協力をいただきながら、県民の皆様について周知をさせていただいているところでございます。
〇城内愛彦委員 そこで、今も出ていたのですけれども、ワクチンの確保はどのようになっているのか聞くわけでありますけれども、ジェネリック医薬品をつくっているところで不始末があって、なかなか生産が難しい状況があるということで、今シーズン、ワクチンの確保がなかなか難しいのではないかという話があるのですが、そういうことも含めて、県全体、まさに、その対策を打つ上でのワクチンの数量は確保できているのか、お伺いしたいと思います。
〇木村感染症課長 ワクチンの状況についてでございます。季節性インフルエンザのワクチン供給につきましては、厚生労働省から9月に情報提供がございまして、令和5年度は、全国で、昨年度使用実績である2、567万本を超える約3、121万本の供給を見込んでいるところでございます。
 9月第5週の時点で約1、660万本、10月第4週の時点で約2、880万本の出荷と、比較的早期にワクチンが供給される予定となっております。
 卸業者からは、県内においても、9月から供給が始まり、各医療機関に順次供給されていると伺っているところでございまして、希望される方が円滑に接種できる体制が整備されているところと認識しております。
 県といたしましては、引き続き、発生動向に注視しつつ、県医師会や医療機関、市町村と連携し、ワクチン接種体制の確保に努めてまいります。
〇城内愛彦委員 私はもう既にワクチン接種をしたのですが、一般の方々がワクチン接種をする場合は決して安くないので、なかなか大変だと思うところがあります。そういったことも含めて、打ちたい人が打ちたいときに打てる状況をしっかりと確保してもらわなければならない。重篤になってから大変な思いをするよりは、ワクチンを接種したほうがいいということを、強くPRする必要があると思いますが、その辺は、今の形で十分なのか。あわせて、新型コロナウイルス感染症もまだあるわけで、その辺の対処、対応は、医療機関としてどのような対応をされているのかお伺いします。
〇木村感染症課長 ワクチンの接種の必要性、または、感染対策の必要についての県民の皆様への周知の実施状況というところで御質問いただいたと認識しました。
 先ほども答弁申し上げて、繰り返しになるかもしれませんが、現在、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの感染拡大防止においては、まず、県民の皆様が基本的な感染対策を徹底することと、あとは、早期のワクチン接種というところが重要であると県としても認識しているところでありまして、さまざまな広報媒体を使って、県民の皆様に広報を行っているところでございまして、市町村からも各お住まいの住民の皆様への周知をお願いしているところでございます。
〇城内愛彦委員 医療機関でも、生ワクチンの数量をストックしないところがあるやに聞いています。打ちたいときにかかりつけ医に行ったら打てなかった、ほかに行ってくれという話をされたということもありますので、ぜひ、その点についても、皆様から医療機関に周知徹底をしてほしいと思いますので、その点もよろしくお願いします。
 次に移ります。県立高等看護学院の県内の就職の状況について、まず令和4年の状況について伺います。
〇柴田医務課長 県立高等看護学院の令和4年度の進路の状況についてでございますけれども、県内に3カ所ある県立高等看護学院における令和4年度の卒業者数は全体で84人でございまして、内訳とすると、県内での就業者は60名、県外での就業者は14人、それから、進学などによる未就業の方が10人ということでございました。就業した74人に占める県内就業率は81.1%となったところでございます。
 県立高等看護学院については、県内医療機関の看護人材確保の役割が期待されているところでございまして、県としては、修学資金の貸し付けや病院での就業体験、就職説明会への参加によりまして、県内医療機関の魅力などを伝えるほか、引き続き、県立高等看護学院と連携して、本県の地域医療に貢献する看護職員の育成に取り組んでまいります。
〇城内愛彦委員 大分数字が上がってきて、いい傾向だと思うのですが、10人の上の学校を目指す人は別として、14人の方々の進路はどういう傾向なのか捉えているか伺いたいと思います。
〇柴田医務課長 個別のデータをきょうは持ってきておりませんでしたが、14名につきましては、県外の医療機関への就職ということで伺っているところでございまして、仙台方面や関東方面ということだと承知しております。
〇城内愛彦委員 多分、手元に資料がないというだけなのだと思うのですが、ぜひ、しっかりと捕捉をしておいてほしいと思いますし、そういうことが次の卒業していく方々への指導に対する傾向と対策になるのではないかと思います。
 これまで、人材確保ということで、奨学金等もすごい充実をしていただいてきました。各市町村でも独自の奨学金、あるいは病院単体ごとにも自前で奨学金制度を設けて、人材確保を目指しているところもあるわけでありますけれども、県で行っている奨学金の利用状況はどのように推移しているのかお伺いしたいと思います。
〇柴田医務課長 奨学金の利用状況についてでございますけれども、毎年度、被災者枠10名を含む110人の貸付枠を設けておりまして、令和4年度は、申請者が90人に対しまして、新規90人、継続210人の合計300人に貸し付けを行ったところでございます。
 ちなみに、令和5年度につきましては、申請者135人に対しまして、新規107人、継続184人の合計291人に貸し付けを行ったところでございます。
 このうち、令和4年度卒の就業者に占める県内就職率でありますけれども、これは98.9%となっているところでございます。
 県におきましては、看護職員を目指す中高生向けの進学セミナーの場で、制度の周知に努めてきていまして、今後も、看護職を目指す学生への意識づけ、あるいは動機づけとなるよう、制度の浸透を図り、県内就業への定着につなげてまいります。
〇城内愛彦委員 看護学生と話をしたことがあるのですが、もともと地元志向がある方は、奨学金を利用しながら勉強するようであります。でも、地元でなくてもいいという、例えば関東圏や他県など、もちろん上を目指す方々もいらっしゃるようでありますけれども、そういう意味では奨学金は一定の役割を果たしているのかなと評価をするところであります。
 その返済状況はどのようになっているのかお伺いします。あわせて、一括返済はあるのかお伺いします。
〇柴田医務課長 奨学金の返済でございますけれども、今、新規の110名に貸し付けて、年度の途中で、進路の変更などによりまして、例えば学校を退学されたりということで、貸し付け自体が中止となる方が年間に数名いらっしゃいます。
 そのほかに、ことしであれば98.9%の方々は県内に就職されたわけでございますけれども、その後に職場を退職されて、県外への転職とか、あるいは看護の職そのものを辞められる方々が年間に何名かはいらっしゃるところでございます。転職された方々に多いのですけれども、一括で返済をされる方も中にはいらっしゃるということでございます。
 それぞれの実績につきましては、今、手元に資料がございませんでしたので、後ほどお知らせいたします。
〇城内愛彦委員 いずれ、これまでやってきた奨学金制度は一定の実績が出て、いい方向であることは間違いないと思っています。ただ、職場の人間関係等で、途中で職種をかえたり、職場をかえたりという方々も中にはいるようでありますので、その辺も含めて、育てる上で、そういうこともきちんと指導をして、地元に残ってもらえるような人材育成を目指してほしいと思います。終わります。
〇佐々木朋和委員 高齢者施設、障がい者施設における新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いしたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症に係る高齢者施設等の集中的検査の実施について、これは令和4年度も行っておりますし、令和5年度になって、5類に移行してから、現在も実施されていると認識しておりますが、現在の実績と今後の継続の予定、また、財源の確保についてお示しいただきたいと思います。
〇木村感染症課長 高齢者施設、障がい者施設における集中的検査についてでございます。
 令和5年度における集中的検査につきましては、令和5年10月20日時点におきまして、高齢者施設においては770施設、延べ約108万件の検査が実施され、3、725件の陽性者が確認されております。障がい者施設におきましては、220施設、延べ約11万件の検査が実施され、348件の陽性者が確認されたところでございます。
 高齢者施設等の集中的検査につきましては、令和6年3月末までは、国が感染症法上の行政検査として取り扱うこととされておりまして、国が感染症法に基づき実施する行政検査の経費の2分の1を負担する感染症予防事業費負担金を財源として実施してきたところでございます。
 なお、県負担分の相当額につきましては、国が新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の交付限度額において、交付額に加算されるという形になっております。
 令和6年4月以降の見通しでございますが、国が行政検査として認めない方向と聞いているところでございます。
 したがいまして、県といたしましては、行政検査の適用に係る国の対応を注視するとともに、必要に応じて集中検査の実施に必要な費用を国が負担することについて、全国知事会等を通じて国に要望してまいります。
〇佐々木朋和委員 とりあえず、3月までは国からの裏づけの交付金も含めて、めどは立っているというお話だったと思いますが、令和6年度については、なかなか厳しいという状況と聞きましたけれども、施設から、大変助かっているという声も聞きますし、評判のいい事業でありますので、ぜひ、国に要望しながら進めていただきたいと思います。
 そういう中で、5類移行後、高齢者施設において、これまで5類移行前は、患者が発生した場合に、病院もなかなか大変だということで、高齢者施設において患者が発生した場合も、その施設内にとめ置いてお世話をしていただいていたと思うのですけれども、医療のほうも大変ですけれども、まん延期ではない中で、現状としては、高齢者施設の中で患者に対応しているのか。
 また、5類移行後は、県ではどのような感染症のまん延対策を施設に指導しているのか、従来どおりなのか、あるいは5類になって、変更があるのかをお示しいただきたいと思います。
〇下川長寿社会課総括課長 高齢者施設における新型コロナウイルス感染症の陽性者への対応ということでございますが、5類移行後、高齢者施設の入所者の方が新型コロナウイルスに感染した場合は、病状が軽症の方については、薬の処方などにより施設内療養が行われておりますが、医師が入院による治療が必要と判断された場合には、受け入れ可能な医療機関へ入院することにより治療が行われているところでございます。
 また、県での高齢者施設への感染対策の指導ということでございますが、5類移行に当たりまして、基本的な感染対策の徹底、感染者が発生した場合の療養体制の確保や、協力医療機関等との連携内容の再確認などについて、文書により要請を行ったところでございます。
 また、高齢者施設等における医療機関と連携体制の確保を図るため、岩手県医師会等と連携した研修会をことし3回開催しておりまして、今後は、広域振興局等が主体となりまして、地域のICATなどと連携しまして、より実践的な研修会を開催する予定としております。
〇佐々木朋和委員 5類移行前も、施設内でのまん延があったわけでありますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思いますが、今、全体的にそうですけれども、病状が悪化しない限りは自宅療養というのが基本になっておりますので、施設内でもそうせざるを得ないというところだと思います。
 先ほど、投薬をしながらという話もありました。そこなのですけれども、介護老人保健施設の入所者に対して、新型コロナウイルス感染症の治療薬を投薬する場合は、介護報酬の中に入らないということで、外の医療機関の医師に診察していただいて、薬を処方していただかないと、経営的に圧迫されるという状況があるようです。
 厚生労働省は、そういうところに対応するためもあるのでしょうけれども、電話等での診察で医師の往診にかえられるということで、遠隔診療を認めているわけでありますけれども、本県においては、そういう制度をしっかりと活用されているのか、この遠隔診療の現状はどうなっているのかをお聞きしたいと思います。
 また、介護老人保健施設が大変な状況になって、投薬をしなければいけないとなったときに、介護老人保健施設の医師が判断して、直接投与した場合、さまざまなかかり増し経費は、緊急時介護人材確保、職場環境復旧等支援事業費補助金で対応しているのですけれども、こういう場合にこれが含まれるのかどうか、お聞きしたいと思います。
〇下川長寿社会課総括課長 遠隔診療の状況についてでございますが、遠隔診療につきましては、医療資源の不足や偏在の課題がある本県においては、課題解決の一助となるものと考えられておりまして、令和5年9月1日現在で、県内の68医療機関が遠隔診療に係る施設基準の届け出を行っていると把握しております。
 介護老人保健施設の配置医師が、入所者に対して直接投薬した場合の薬剤料についてでございますが、介護報酬に通常の薬剤相当が含まれた算定となっており、入所者の方には請求ができませんので、全額が介護報酬で措置されているということでの施設負担という取り扱いとなります。そのため、かかり増し経費として、緊急時介護人材確保、職場環境復旧等支援事業費補助金に含まれないかというお話でございましたが、こちらには含めることはできないものでございます。
〇佐々木朋和委員 今、遠隔診療に届け出が必要だという話がありましたけれども、厚生労働省の通知には、電話等でも大丈夫だということを書いております。新型コロナウイルス感染症対策のための投薬ついても、遠隔診療の届出は必要なものなのですか。
〇下川長寿社会課総括課長 介護保険施設等が遠隔診療を利用する場合に、遠隔診療の届け出が必要というものではなく、遠隔診療を行う医療機関が施設基準の届け出を行うというものでございます。県内では、68の医療機関が遠隔診療を行う施設基準があるということでの届け出を行っているというものでございます。
〇佐々木朋和委員 それは承知しております。
 医療側が、電話での診療でもかえられると厚生労働省の通知はあるのですけれども、医療側が届け出をしないと、電話での診療でもいいというものについても、遠隔診療の届け出は必要なのでしょうかという意味でした。
〇山崎地域医療推進課長 遠隔診療、いわゆるオンライン診療のところでございますけれども、新型コロナウイルス感染症の特例によって電話等で実施するという場合については、特段、施設基準の届け出は必要なくなっております。それと関係なく、恒久的な措置として、遠隔医療をする場合については、施設基準を届け出ないと診療報酬が得られないという制度になっております。
〇佐々木朋和委員 届け出は必要ないわけですよ。この新型コロナウイルス感染症対策で、医療側が介護老人施設に対して、電話での診療によって薬を投薬するようにというシステムはつくれるわけですね。
 前々からその部分について、課題として御指摘させていただいていましたが、そういう部分についての仕組みを、まん延期ではないときに進めてほしいという思いで質問をさせていただいているわけです。その部分についてはどのような対策をとっていらっしゃいますか。また、県として、それが前に進むように取り組んでいただいていると思いますけれども、その分についてはどのように取り組まれているでしょうか。
〇下川長寿社会課総括課長 高齢者施設における医療機関との連携ということでございますが、令和5年5月8日時点で、入所施設の1、097施設に行った調査結果によりますと、回答がありました1、012施設中872施設で連携体制が確保されている状況でございます。このうち、介護老人保健施設は、67施設中66施設で連携体制が確保できていると把握しております。
 県としましては、介護老人保健施設以外の高齢者施設を含めまして、引き続き、施設内療養者への医療提供体制を強化するため、高齢者施設と医療機関との連携が進みますよう、支援をしていきたいと思います。
〇佐々木朋和委員 今、連携体制がとれているということだったのですけれども、その部分についてはこの遠隔診療も含めてですね。厚生労働省でも新型コロナウイルス感染症対応のために基準を下げていただいている。医師が往診をしなければいけない、あるいは患者を病院に連れて行かなければいけないというのは大変だと思うのです。そういう中で、電話での遠隔診療も含めて進めていただきたいという思いでございました。その部分も含めて、施設についての調査結果だったと考えてよろしいですか。
〇下川長寿社会課総括課長 今、お話がありましたとおり、こちらの連携体制の部分ですが、こちらは遠隔診療科とか往診科というところで区別をしたものではございませんので、そういうところも含めて連携体制がとれているところが872施設という回答であったということでございます。
〇佐々木朋和委員 わかりました。指摘した内容も含めて、これから冬に向かう前に、ぜひ、体制を整えていただいて、介護老人保健施設、高齢者施設、障がい者施設等でまん延が防げるように努力をしていただきたいと思います。
 次に、疾病、事業別医療圏についてお伺いしたいと思います。
 今、がん医療と循環器疾患、脳卒中と心血管疾患があるわけですけれども、救急医療との兼ね合いでその性質が違う中で、がん医療と循環器疾患なのかまたは脳卒中と心血管疾患を分けるのか、三つになるのか、二つになるのか、高度医療の医療圏を今後検討していくというところですけれども、そのくくり方については、これは周産期医療を参考にするとしておりますけれども、別々にこのくくり方は検討していくのか、設定をすることになるのか、まずその点についてお聞きしたいと思います。
〇吉田医療政策室長 疾病、事業別医療圏の検討方法についてでございますが、がん、脳卒中、心血管疾患など、疾病、事業別医療圏は、それぞれ別々に医療機関や患者、家族会、市町村との関係機関で構成される協議会において検討しているというところで、別々に設定するという方向で検討しております。
〇佐々木朋和委員 がん医療あるいは脳卒中、心血管疾患、それぞれで違う医療圏ができる可能性もあるということでありましたけれども、循環器疾患の医療圏についてですけれども、救急医療、脳卒中や心血管疾患などの救急医療については、1時間以内という基準があるようなことをお聞きしておりますけれども、これと広域化をどのように整合性をとっていくのか、なかなかイメージがつきづらいところがあります。
 また、二次保健医療圏で集約させた場合に、救急体制に影響が出てこないのか、その辺について今、どのように、御認識されているかお伺いしたいと思います。
〇吉田医療政策室長 疾病、事業別医療圏の設定につきましては、専門人材や高度医療機器の配置の重点化などにより、県民に高度、専門的な医療のさらなる質の高い医療を提供していくため、広域的な医療圏の設定について、今、検討を行っているところでございます。
 脳卒中や心血管疾患などは、治療開始が早いほど良好な治療効果が期待できるというところがありますことから、CT画像のデータ共有などのデジタル技術の活用により、患者を搬送している時間に受け入れ先医療機関での手術の準備を進めるなど、治療開始までの時間短縮などの取り組みも進めていきたいと考えているところでございます。
 救急医療につきましては、基本的には、これまでどおり二次保健医療圏で対応し、脳卒中や心血管疾患などで専門的な病院での治療が必要な場合については、疾病別の医療圏で対応していく方向で検討しています。救急体制に特に影響があるというものではございません。
〇佐々木朋和委員 今、搬送の途中で、CT画像とか、いろいろなデジタルを使ってというお話でしたけれども、素人考えでは病院に行くまでに1時間以内に着きましょうというのが基本と思っていましたが、そうではなくて、今の考え方で言うと、広域になって、病院に着くまで1時間以上かかる可能性もあるということでしょうか。
〇吉田医療政策室長 今、様々検討をしているところでございますが、専門家の意見から伺いますと、これまで、病院に搬送してから1時間というところで、搬送してから、CTを撮影して、治療の方針を決めて、手術をするというようなことよりも、まずは身近なところでCTを撮影し、それで手術が必要なのか、手術ではない治療でいいのか、そういう診断をして対応することも有効であるということで、患者が手術などの治療開始までの時間をどうしたら短縮できるかという観点で、搬送時間も含めてではありますが、そういう中での議論をしているというところでございます。
〇佐々木朋和委員 わかりました。では、二次保健医療圏の中で、救急搬送先でCTを撮って、そこからさらに搬送するというようなイメージでしょうか。
〇吉田医療政策室長 まさに、診断してみないとわからないというケースになれば、身近な二次保健医療圏の中で、まずは診断というところもありますが、明らかにこれは脳卒中だとか、これは心血管疾患だとかということであれば、最初から専門的な病院に運ぶというケースもあろうかと思います。
〇佐々木朋和委員 わかりました。
 決算特別委員会の総括質疑のときも、知事が、高度医療圏についての議論あるいはハイボリュームセンターの議論等、また、地域病院の存続、充実というところを両方掲げていらっしゃって、我々としても、その部分を両立していただきたいけれども、具体的にはどういった道筋があるのか、なかなか今現在では見えにくいところがありますので、ぜひとも注視をしていきたいと思います。
 終わります。
〇柳村一委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午前11時4分 休憩
午前11時16分再開
〇柳村一委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇柴田医務課長 先ほどの看護師の修学資金に係ります返済の状況でございましたけれども、県内の医療機関を退職したことなどによります返済が、令和4年度は21名、それから、令和3年度は14名、令和2年度が11名ほどおりまして、就職後の進路の変更等によりますこういう状況は継続的には発生しているという状況でございます。
 以上です。
〇柳村一委員長 質疑を続行いたします。
〇ハクセル美穂子委員 私からは、いわて子どもの森について御質問をさせていただきます。
 いわて子どもの森は、コロナ禍で大打撃を受けた施設の一つでもありますが、入場者数が3万8、000人ぐらいまで減りましたけれども、ここ2年で徐々に入場者数についても回復してきています。令和4年度には14万人の方々が訪れるという形で、努力されているという点については、私もそこは本当に評価をしているところでございます。
 ただ、いわて子どもの森も建設からかなり時間がたちまして、老朽化とか、施設の充実は、今、必要になってきているところではないかと思っていますし、そのことはコロナ禍前の年間の入場者数にもあらわれてきていると見ております。常に21万人、22万人というところから徐々に減ってきて、令和元年度では20万人ぐらいになっていましたので、充実は必要であると私も考えるのですけれども、今後、いわて子どもの森、どのような形で充実を図っていこうというお考えなのか、その点についてお聞かせください。
〇高橋子ども子育て支援室長 いわて子どもの森は、全県的な子供の健全育成活動の拠点施設として、平成15年に開館しております。平成15年の開館から本年度で20年が経過しておりまして、また、冬季間、降雪が多いことなども影響して、随時、施設や遊具の改修、更新が必要な状況となっております。
 これまでも、管理棟屋根の修繕やボイラー設備の更新、屋外のウッドデッキのメンテナンスなどを実施してきましたほか、昨年度は、クラウドファンディング型のふるさと納税による寄附を活用しまして、みずの広場の防水改修工事を実施したところでございます。
 ハクセル美穂子から御指摘のありました、おもちゃの更新等魅力ある施設にするための取り組みにつきましては、さまざま運営委員会なども開催しておりますので、ハクセル美穂子からの御意見等も踏まえながら、現在、さまざま検討しているところでございます。
〇ハクセル美穂子委員 まだ、おもちゃの質問はしておりませんでしたが、早めに御答弁いただきました。
 では、前に進みたいと思いますが、施設の改修等は、いわての森林づくり県民税を活用して、屋外のきれいな、おもしろいアスレチックもつくっていただいたことは本当にありがたいと思っています。私も子供たちとずっと行っていまして、最近は行かなくなりましたけれども、それでも昔から、おもちゃの量に関しては、本当に少ないと思っていました。今もあまり変わっていなくて、私はおもちゃというか、岩手県はそれこそ雪が降りますので、冬季に何度通っても、子供たちが飽きずに、いつも行きたいと言ってもらえる施設にしていくこともすごく大切なことだと思っています。
 また、これまでも、県南地域にも子供が遊べる屋内施設をという御意見もほかの委員からもいろいろ言われていましたとおり、県南地域の方々がいわて子どもの森に来る場合は、2時間とか2時間半とかそういう距離を車で来たり、宿泊されたりしながら利用するということになります。そうすると、魅力がないと、何度も時間とお金かけて来るということにならないのだろうと私は感じていまして、一戸町中心の半径何キロぐらいの方々は何度も来られますが、いろいろなところから来てくださる方々にも楽しいなと感じてもらい、リピートしてもらうような施設にしていくべきだと思っています。おもちゃもそうですけれども、私は、そのために、財源が必要ではないかと思っているのですが、改修していくための財源は、どういう形で考えていらっしゃいますでしょうか。その点お伺いしたいと思います。
〇高橋子ども子育て支援室長 改修に係る財源についての御質問でございます。
 先ほど御紹介させていただきましたように、昨年度は、クラウドファンディング型のふるさと納税による寄附を財源としまして、みずの広場改修工事などを実施しておりますほか、改修、改築につきましては、国の財源が活用できるときには国の財源を活用しながら、一般財源を投入するというような実施状況としております。
〇ハクセル美穂子委員 クラウドファンディングですね。
 私は、前からも御質問させていただいていますけれども、きちんと料金を設定して、必要なおもちゃとか更新していくようにしていくべきだと思っているのです。
 隣の秋田県の児童館ワンダーキャッスルがあるのですけれども、そちらでは、私がよく使っていたときは400円でしたが、このたび、エネルギー費の高騰のために100円上げてありまして、今は、500円を皆さんからいただきながら、常に、施設の中のおもちゃ等々を充実させるようにして、今では、年間、令和4年で47万人の方々が来ています。利用料金収入も9、800万円ぐらいまで上がっていて、指定管理料は、実は岩手県の子どもの森に対する指定管理料より安い形で指定管理を出しています。けれども、人件費に関しては、1億円超えの人件費ということは、人もきちんと配置しながら運営しているという形になっているので、私は、どちらかというと利用料金をきちんと取る方からは取るという形で、この子どもの森の充実を図っていくべきではないかと考えているのですが、その点についてどのように御検討等をされているのか、お伺いしたいと思います。
〇高橋子ども子育て支援室長 ハクセル美穂子委員から御指摘のありました、おもちゃの新しいものの導入、更新と、魅力ある施設にするための取り組み、それに見合った入館料を徴収することにつきましては、いわて子どもの森が平成15年に設置した際に、広く県民の利用を目的として設置された施設でありまして、政策上の目的から、無料で今まで供与してきたという経緯がございます。
 また、子どもの森は、児童福祉法に基づく大型児童館の位置づけになりますが、他県に同種の大型児童館が19施設ほどあるところでございますが、このうち、現在、入館料を徴収しているのは2施設という状況などもございます。
 また、他県の同種施設の状況や利用者の有料化についての意向、あるいは施設の魅力化についての利用者のニーズ、そういったものも丁寧にお聞きしながら検討していく必要がある課題と考えております。
〇ハクセル美穂子委員 その答弁は、過去にも何度も聞いている答弁でありまして、そこからまだ改善もされていないですし、私は、指定管理者の皆さんが、毎週イベントを組んでくださって、それで非常におもしろいことをやってくださっているので、それが子どもの森の充実にはつながっているのですけれども、指定管理者の方々からも、老朽化の対応や、更新のお願いが、県に対する要望、意見の中に入っておりましたので、やはり必要なのだろうと思うのです。
 クラウドファンディングなど一時的なものもあるけれども、例えば、小学生までは入館料をもらわないけれども、大人の方はもらうとか、子育て応援パスポートとかがありますので、本当に入館料を払わないで使ってもらいたい方には、きちんと限定してそういうものをあげることもできるはずなので、料金収入については設定できない、政策上のというのはありますけれども、岩手県は財政も大変厳しい中でやっていすので、きちんと使っていただくための施設にしていくというところを、どこかの時点で考えて変えていかなくてはいけないと思うのですが、その点、これまで内部で料金収入を取るべきではないかとなどの検討を実際にしたことはあるのでしょうか。その点についてお伺いします。
〇高橋子ども子育て支援室長 入館料の徴収につきましての検討については、過去に出たことはあったかと記憶しておりますけれども、これまでの経緯等、あるいは利用者に負担を求めるということなどを考慮して、最終的には、現在の無料の状況に至っていると記憶しております。
〇ハクセル美穂子委員 記憶しているぐらい前に検討したということだと思うので、改めて、これをやっていただきたいと思っております。
 秋田県の料金を取っている児童館に行ってみますと、かなり前から、おむつに関しても置いていってもいいことになっていて、おむつをその施設の中できちんと処理して、そういうのにも入館料を使って、料金収入の中からそういったこともサービスを充実させているというのもありましたし、最近は、木のおもちゃを、とにかく新しいものに更新しているので、何度行っても、本当に楽しくできる。雪が深い秋田県ならではの考え方なのかもしれませんけれども、中で遊ぶというところの必要性を、最近もいろいろな県民の皆様から、子育て中の方々からお話をいただいておりますので、ぜひ、入館者数を20万人からふやすための工夫、プラスおもちゃや施設の充実について、きちんと料金をいただきながら、そして、就学前児童など料にしながらやるという方策についても、いろいろな方から調査やアンケートをとりながら、今後、検討していただきたいと思っているのですが、その点、今後の方向性についてもう一度お伺いしたいと思います。
〇高橋子ども子育て支援室長 子どもの森の入館者の状況を少し御紹介させていただきますと、実は、入館者のうち、県内、県外の状況につきましては、例えば岩手県の方が宿泊ですと4割程度というところでございますが、青森県から25%、あるいは宮城県からが27%、日帰りですと、さすがに岩手県60%、青森県20%などという状況になっておりまして、先ほど委員から御提案ありましたとおり、大人からもらう、子供からはもらわないとか、県内、県外からの状況についてはどうかなども丁寧に検討していく必要があるかと考えております。
 また、リピーターについても、この施設は約7割が、3回、4回ということで、リピートして来ていただいているという状況もありまして、これはまさに無料の施設だからというようなこともあるのではないかと考えているところでもございます。
 いずれにしましても、先ほどさまざま御紹介しました、今まで県民の利用を目的として設置、広く使っていただくということで無料で供与してきた経緯、あるいは他県の状況、利用者の意向なども踏まえて、他県の歳入確保策のさまざまな取り組みなどについて、関係部局とも連携して研究しながら、適切な施設の維持、更新、あるいはおもちゃの更新などもできるように、楽しく使っていただけるような施設になるように努めてまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 ぜひ、お願いします。
 特に、私はこれも言おうと思ったのですけれども、子育て応援パスポートの交付状況については、関連でここで話をしますが、交付世帯数が、延べで500世帯ぐらいです。県内には1万以上の該当の世帯がある中で、500世帯しかその子育て応援パスポートを欲しいと言って、交付申請をしていないという状況なのです。子育て応援パスポートをやっていますと言うと、何となく耳ざわりがいいのですが、これは使っていただかないと意味がないものだと思うのです。
 この応援パスポートで減免になる施設も、見ましたけれども、県立の施設なので結構無料のところとか、100円とか200円とかそういうところなのです。子育て応援パスポートの範囲も広げていきながらだと、例えば県内の本当に多子世帯とか、小学生までは無料にして、親御さんに関しても半分にするとか、きちんとルール決めをしていけば、利用料金はそんなに皆様方の負担にならない形でいただきながら、それで、施設も充実して、何度も来られるような施設にやっていけると思うのです。ツールはもうできているので、あとは仕組みをもう少し変えていくところなのではないかと思いますので、ぜひ、今後、前向きに検討していただきたいということをお話しして、終わります。
〇高橋はじめ委員 私からは、大きく2点、新型コロナウイルスワクチンについてお尋ねしたいと思っております。
 最初に、新型コロナウイルス感染症患者の死亡者について、直近の状況は、令和5年4月末でありますが、その時点での概要を確認したいと思います。年代別死亡者数、65歳以上の死亡者数、そして、主なリスク因子、基礎疾患、あわせまして、ワクチン接種の年代別接種率及び65歳以上の接種率はどうなっているのか。令和5年4月末時点での2回目の接種率、オミクロン株接種率、それから、65歳以上の接種率、これはどうなっているのかお伺いします。
〇木村感染症課長 最初に、新型コロナウイルス感染症の死亡者の状況についてでございます。令和5年4月末時点におきまして、50歳未満が5人、50代が13人、60代が42人、70代が86人、80代が228人、90歳以上が249人の合計623人でございます。そのうち、65歳以上の死亡者数は593人となっております。
 また、623人の死亡者のうち、主な重症化リスク因子、基礎疾患別の内訳についてでございますが、延べ数で、慢性腎臓病が81例、糖尿病が100例、高血圧が194例、悪性腫瘍が102例、心疾患が165名、慢性閉塞性肺疾患が21名、その他が342例になっております。
 続きまして、ワクチンの接種状況でございます。令和5年4月末時点の県内におけるワクチン接種率でございますが、新型コロナワクチン接種の2回目接種を完了された方は、生後6カ月以上の人口の85.4%、うち65歳以上が95.2%となっているところです。オミクロン株対応2価ワクチンを接種した方は、5歳以上の人口の58.3%、うち65歳以上は83.1%となっております。
〇高橋はじめ委員 令和5年4月30日時点で捉えますと、令和4年9月20日―前年の9月20日から5回目、オミクロン株BA2価ワクチンが接種になっております。そうした中において、県内の人口動態統計も参考にして見ておりましたけれども、特に感染者の死亡者数で2価ワクチン接種してから、翌月の例えば10月は11人でしたけれども、11月に66人、12月は149人、かなり多いのです。ことしの1月が158人と、かなりの方々が亡くなっているという状況です。
 これを考えたときに、2価ワクチンは体にとってかなり負担になって、亡くなられる方がふえたのではないか。特に、先ほどお話ありましたが、高齢者においては、オミクロン株対応のワクチンを接種された方は83%でした。これぐらいのワクチンを接種しているのに亡くなっている方の65%が65歳以上ということも考えますと、2価ワクチンの接種効果は相当厳しい状況ではなかったかと思うのですが、その辺はどのように捉えておりますか。
〇木村感染症課長 ワクチンの効果についてでございます。厚生労働省の発表では、新型コロナワクチンには、重症化予防効果や発症予防効果が期待されるものとされているものでございます。ただ、発症予防効果の持続期間は2カ月から3カ月の程度でございまして、重症化予防効果は1年以上計持続することが確認されているところでございます。このため、接種時の流行株に応じてワクチンを定期的に接種することが推奨されているところでございます。
 ただし、仮にワクチン接種率が低かった場合、オミクロン株流行下において、重症者や死亡者がさらに増加したのではないかという指摘もあると理解しているところでございまして、国のアドバイザリーボードの資料によりますと、ワクチン接種による新型コロナウイルス感染陽性者の致死率ですが、未接種者で2.83%、1回目接種者で2.35%、2回目の接種で1.22%と示されているところでございます。
 また、感染症に係る死亡者の部分でございますが、一般的に65歳以上の方につきましては、感染症に罹患した際の重症化リスクが高い年代とされているところでございます。基礎疾患を有する方も一定数いることと承知しておりますが、国のアドバイザリーボードによりますと、オミクロン株流行下において、ウイルス感染をきっかけとする併発疾患や合併症の増悪により死亡する高齢者の方が増加していると報告されているところでございます。
〇高橋はじめ委員 次の質問も含めて、今の私の再質問でかなりの部分の回答もいただいておりましたけれども、ワクチン接種の目的及び期待する効果、これについてもう一度説明をお願いしたいと思います。
〇木村感染症課長 目的でありますが、厚生労働省の発表でございますが、重症化予防効果や発症予防効果が期待されているというところでございます。また、重症化予防効果は1年以上持続することが確認されておりますというところが、ワクチンのメリットと考えているところでございます。
〇高橋はじめ委員 デメリットはいかがですか。
〇木村感染症課長 デメリットにつきましては、軽症的な副反応があるところでございますし、まれに重い副反応が出てしまうというところが、デメリットとしてはあります。
 したがいまして、こうした接種に当たっては、メリットとデメリットを、接種される方が比較して打つべきものということで、県としても、そちらのメリット、デメリットの情報発信に努めているところでございます。
〇高橋はじめ委員 今定例会に、これらについて請願が出されておりまして、受理番号第8号には、新型コロナウイルスワクチン接種の効果検証を求める請願ということで、担当課から説明資料が出ておりました。私もその資料が手に入りましたので、これによる説明では、今、木村感染症課長がおっしゃったようなことであります。
 そのデメリットの後半で、ごくまれだが、心筋炎や心膜炎などの症状が確認されている。これらの症状は軽症の場合が多く、副反応のリスクがあったとしても、感染症への重症化予防効果といったメリットが上回ると、今説明されたようなことが資料で出されておるのです。
 COVID-19ワクチン接種の死亡と薬剤疫学的評価の概要:全国民ベースの概観と提案という論説が出ているのです。福島雅典、平井由里子、中谷英仁、西村勉、4人の方々が、厚生労働省のいろいろ集まったデータをもとに分析されて、公表しているデータをもとに考察をした論説が載っているのです。
 その中には、亡くなった方の内訳の中で、血管系障害が26%、心臓障害が23%と、半分近くがこういうところで亡くなっているのです。先ほど、ごくまれにということですけれども、ごくまれに軽症とある。しかしながら、ごくまれにこういうことで亡くなっているのです。ごくまれというのは、誰一人も保証されておりませんから、ここにおられる全員がごくまれに当たる可能性があるわけです。高橋はじめ、ごくまれにあす亡くなるということもあるのです。
 そういうことを含めて、こうしたデータがそろってきていますので、このごくまれにというところを、メリットのところと一緒に同じような形で、私は県民に情報提供すべきだと思うのです。
 皆さん方がワクチンを打っている目的は何ですか。私は健康だ、新型コロナウイルス感染症にはかからない、みんなそう思っていると思うけれども、ごくまれにかかる可能性があるので、予防的にワクチンを打ちましょうというのが、ワクチンを接種される方々の大体の思いではないですか。それと同じように、ごくまれに命を失う可能性もある。重症化することがある。こういうことを県民に等しく情報提供していかないと、間違った政策になってしまう。さまざまな情報をもとにそれぞれが判断して、そして、こういうリスクもあるけれども、こっちのリスクのほうが高いと思ってワクチン接種をするという形が、私は望ましい形だと思っているのです。ですから、こういう事例をいろいろ挙げさせていただきましたけれども、ぜひ、そういうことも含めて進めていただきたい。
 それから、接種開始から2年半が経過しております。感染症分類が5類に変更になりました。今後も同じようなパンデミックも起こる可能性があることを考えますと、これまで県で取り組んできた接種体制、治療体制、医療体制などさまざまな取り組みも含めて、これまでの取り組みを検証する必要があるのではないかということが請願でも出てきておりましたけれども、それに対しては、議会の判断では、まだ必要ないということなのでしょう。
 しかしながら、県民のこれからのことも含めて考えますと、そろそろその検証に向けた動きを私は起こすべきではないかと思っておりますけれども、そうした考えがないのかどうか。
 それから、ワクチン接種の効果について有識者の協力を得ながら、検証あるいは中間評価なども行うべきではないかと思うわけでありますが、その辺、あわせてお伺いいたします。
〇木村感染症課長 まずは、ワクチンの接種に係る事業への検証というところでございますが、こちらのワクチン接種の事業全体につきましては、県と市町村は、国からの法定受託に基づきまして、県内市町村と連携し、実施してきたところでございます。このうち、令和2年から補助金等を活用させていただきながら、希望される方が早期に接種できるよう、接種体制と相談体制の確保に取り組んできたところでございます。
 こうした事業につきましての検証でありますが、こちらは、先ほど申し上げましたとおり、国からの法定受託事務であるという観点から、国において評価検証されるべきところであると認識しているところでございます。
 ただ、本県におけるワクチン接種率は高齢者においては95.2%と非常に高いものでありまして、早期の接種を望む声が多い状況であったと認識しているところでございます。
 これら多くの県民の声を受け、県では、市町村、県医師会及び関係医療機関等と連携し、早期に接種できる体制づくりを推進してきたところでございまして、その結果、接種機会の拡充と副反応に対する相談体制の整備が図られたと思っております。多くの接種を希望する方々が、安心して接種できる体制が構築されたことが成果として挙げられ、その事業効果も大きかったものではないかと認識しているところでございます。
 次に、中間報告の評価を行うべきというところで御質問をいただいたと思います。
 本県では、これまで450万回を超えるワクチン接種がなされている中で、ワクチン接種後の発熱といった数日で回復する軽症な副反応のほか、ワクチン接種との因果関係が不明な有害事象が相当程度発生していると認識しています。
 これらの症状につきまして、ワクチン接種との因果関係が疑われるものと真に因果関係があるものについて、被害者を救済するためにも、科学的な検証が求められると考えております。
 そのためには、全国レベルで多くの事例を集め、国内の多くの有識者による検証が進められることが必要だと認識しているところでございまして、現在、国におきまして、副反応を疑う症状により専門的な医療機関で受診した方の実態調査を行い、厚生労働省の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会等におきまして、有識者によるその調査の評価を行っているところでございまして、県といたしましては、この評価結果を注視してまいりたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 検証のあり方、国が進めている事業だから、国がやっていくということ、これについてはやむを得ないというところもあるのでしょうが、でも、県は県で独自でやれることもあるわけでありますので、ぜひ、そのあたりも含めて考えていただければと思っています。
 次の質問です。ワクチン接種後の健康被害への対応ですが、これまで各種ワクチン接種が行われてきましたけれども、その中で、県民の多くが接種してきた新型コロナワクチンによる死亡や健康被害者が多数発生しております。現在の申請件数、国の審査状況はどうなっているか、参考までに、これまでのほかのワクチンでの健康被害救済制度の申請状況はどうなっているのか、あわせて伺いたいと思います。
〇木村感染症課長 本県における新型コロナワクチン接種については、450万回を超える接種を行ってきているところでございまして、令和5年10月24日時点で、健康被害救済制度の申請は67件あるところでございます。
 ほかのワクチンとの比較につきましては、申し訳ありませんが、過去5年での申請件数となりますが、インフルエンザHAワクチンについて3件、乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチンについて1件、肺炎球菌ワクチンについて1件の申請を把握しているところでございます。
 予防接種の国の副反応疑いの報告件数は、令和3年2月17日から令和5年4月30日時点のものとなりますが、全体で3万7、227件の報告があったと承知しております。
〇高橋はじめ委員 環境福祉委員会での資料によりますと、1件ふえておりますけれども今のような内容でございます。国の認定に1年以上かかっているのは12例あると資料にはありました。こういう方々が生活にも大変厳しい状況にあるということを踏まえて、例えば障害者手帳を申請したという方々もおりますので。適宜、国に対しては、認定がどうなっているのかというチェックを入れながら、早急に認定を出すよう要望してほしい。その後の展開のしようがないのです。
 最後に、保健福祉部長にお尋ねしますが、新型コロナワクチンの接種効果、そして、これについてはさまざまな論文が出ておりますけれども、部長は最近どんな論文を見ているのか、もしありましたら、ぜひお伺いしたい。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 高橋はじめ委員御指摘のとおり、県民の方々が、科学的に検証された正しい知識にきちんとアクセスして、判断されて、接種されるということが求められる姿だと思っております。
 多くの研究機関、世界的に有名なmRNAワクチンも、30億回、40億回とかなり打たれていて、私は、個々の論文についてというよりは、世界中の研究者、研究機関が、その後の効果、また、負荷の状況について検証しており、WHOや、世界中の研究者が他機関で多数の論文をレビューして、検証を重ねておりますので、WHOや厚生労働省などのそうした他機関の研究、検証、そういった結果について、適宜、適切に、最新の情報をウォッチしているところでございます。
〇柳村一委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時55分 休憩
午後1時1分再開
〇佐々木宣和副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇神崎浩之委員 優しく、厳しく質問してまいります。
 未曾有のパンデミック、新型コロナウイルス感染症対応に尽力された人、団体等について、新しい議員の方もおられますので、感謝の意味を込めて、その活動をお聞きしてまいります。
 感染対策における外部の組織の活動ということで、例えば専門委員会や感染制御は、入院調整班等、どういう団体があったのか、その活動についてお伺いいたします。
〇木村感染症課長 感染症対策における外部組織の活動についてでございます。
 県では、国内で新型コロナウイルス感染症が確認された令和2年2月に、県内の感染症対策の有識者等で構成される県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会を直ちに設置し、県内の疫学調査や検査体制について議論していたところでございます。
 また、令和2年4月に、県新型コロナウイルス感染症医療体制検討委員会を設置し、医療機関や医師会、大学、消防などの各分野の専門家から医療提供体制について、新型コロナウイルス感染症に係る具体的な対策等を御協議いただいたところでございます。
 また、医療体制検討委員会内に、患者個別の症状に応じた受け入れ先の調整や、二次保健医療圏を越える入院調整、宿泊療養施設への入所調整等を行う入院等搬送調整班を設置し、班員である医療従事者の先生方には24時間対応していただいたところでございます。
 令和2年10月には、それまで岩手DMATと、いわて感染制御支援チーム―ICATのそれぞれが、県内の医療福祉施設等で発生したクラスター制御の対応に当たっていただいたところでしたが、より効果的かつ機能的に対策を講じるため、現地での医療的支援や感染制御の専門的な知見から、保健所の活動に助言等をいただく、いわて医療福祉施設等クラスター制御タスクフォースを設置したところです。5類移行前の令和5年5月7日までに、延べ79施設に297人を派遣してきたところでございます。
〇神崎浩之委員 職員のほかに多くの団体の皆様にお世話になりました。二つ目と三つ目あわせて質問してまいりますけれども、今はない業務の新型コロナウイルス感染症の疫学調査、それは非常に膨大な数で、聞き取り業務に翻弄され、どうしようもなく、頭を下げて、退職されていたOG保健師の協力をいただき、新型コロナウイルス感染症の波を乗り切りました。
 また、宿泊療養施設、ホテルもなかなか引き受け手がなくて大変でした。私の知る限り、3カ所です。当初は、新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れたら、あのホテルはコロナだと言われて、後々の営業に支障があるのではないかという心配もあり一関市の方も地元で対応いただけるホテルがなくて、盛岡市に来ました。沿岸地域からも盛岡市にお世話になりました。そういうホテルの御協力もありました。
 それから、初期段階で、新型コロナウイルス感染症陽性患者を受け入れた病院にもお世話になりました。スタッフも機器も病室の環境も整わない、看護師、スタッフの家族にも小さい子供や高齢者もいる中で、医療の使命感や院長のトップダウンで、県立病院はもちろんですけれども、奥州市総合水沢病院であったり、公立病院も受け入れていただいたということであります。
 そういう未知のパンデミックに対し、知見を発揮され、休日、夜間と対応された方々、組織に対する知事としての感謝の行動はあったのかと思っております。
 私、当時、知事が現場に行って、激励をしたという話は聞いてないのです。そこで、副知事は少し顔を出したということもあったようですけれどもね。他の災害と違い、全国的に他県の応援もない。逆に、他県に応援に行った北海道とか、岩手県が大変な中でも、北海道に行って応援したという事例もあるのですけれども、そういうことで、今後の感謝の気持ちをどうあらわしていくのか、保健福祉部長にも、こういう方々の協力があったということを、所見をお聞きしたいと思いますし、今後の感謝のあらわし方についてお聞きしたいと思います。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 今、神崎浩之委員からさまざまな県内の関係者のこれまでの本当に熱意ある取り組みについて御紹介いただきました。岩手県は、医療資源や感染症の専門人材など、必ずしも十分でない中で、県内の医療、介護、福祉の関係者の皆様方、また、加えて、エッセンシャルワーカーになっている方々が、本当にこの新型コロナウイルス感染症対応で一致団結をして連携して取り組んできたということで、我々としても、さまざまな関係団体に感謝をしているところであります。
 知事も、病院や保健所に、近くに行った際に寄られて、激励などを何回かされておられますし、当然、新型コロナウイルス感染症対策本部員会議の知事メッセージの中でも、関係者の方々やエッセンシャルワーカーの方々への感謝の言葉なども述べてきたところでございます。
 いずれ、今後、新型コロナウイルス感染症も5類に移行したとは言っても、まだまだ対応中であります。これで終わったというわけではありませんので、しかるべきタイミングで、これまで取り組んでこられた関係団体の皆様方に感謝の意を示すことについて、我々も、今、検討をしておりますので、きちんと謝意を今後あらわしていきたいと考えております。
〇神崎浩之委員 今でこそ、こうやって何か終わったような気でありますけれども、まだまだということがありますし、けじめをつけるタイミングというのもなかなかはかりかねるところだと思いますけれども、決してそういう気持ちを忘れずに思って形に出していただきたいと思っております。
 次に、今回の対応の総括はどうなっているのか。それから、今後の体制整備ということで、よかったこと、例えば他部局の応援があったとか、それから、リモート会議も、これはドクターが結構積極的だったので、行政もハッパをかけられてやるようになったきっかけにもなったところであります。Zoomで会議やるなどということは、当時、県行政としてはなかなかやれなかったですね。そういうこともありました。
 それから、県立病院の医師や、医師会と市町村と保健所が密に連携できるようになった等のよかったことや、例えば保健師を初め専門職の確保、その確保をしても、その技量をどう維持していくかというような今後、整備が必要なことについてお伺いしたいと思います。
 こういう事態を迎えて、情報連携、それから、管理職のマネジメント力アップも、私、様々実感いたしましたが、そういうことも含めて、よかったこと、それから、今後さらに、整備が必要なことについてお伺いしたいと思います。
〇千葉保健福祉企画室管理課長 保健所の対応の総括と、今後の体制整備についてでございます。
 新型コロナウイルス感染症対策の保健所業務の増加に対応するため、神崎浩之委員からもお話しいただきましたとおり、保健所支援本部を設置するとともに、保健福祉部各室、課及び本庁各部局からの応援体制を構築したり、広域振興局単位において、保健所の業務支援体制を構築しまして、さまざまな業務の支援を実施したところでございます。
 また、自宅療養者の健康観察等の業務を外部委託したということも行ってきたところでございます。
 保健所の対応の総括につきましては、現在、策定を進めております岩手県感染症予防計画におきまして、これまでの対応の振り返りをしているところでございまして、必要となる保健所の人員の確保について、新たに盛り込もうとしているところでございます。
 今後の体制整備についてでございますけれども、委員からもお話しいただきましたとおり、必要な人員確保策の実効性を高めるため、保健所への応援体制、業務の効率化、人材の育成の部分でも、必要なところはどうしても出てまいりますので、そういったところについても、内容について検討しているところでございます。
 引き続き、感染症危機発生時におきましても、適切に対応できるように、体制の構築を進めていきたいと考えております。
〇神崎浩之委員 既に鳥インフルエンザの関係で、いろいろと想定した訓練もやられておりますけれども、やはり弱いところがあると感じておりました。保健師の確保もそうですが、保健師の技量アップ、コロナ禍が始まる前は、県の保健師はいつも事務所でパソコンばかり見ていて、現場に出歩かないということがあって、新人の保健師を多く雇ったにしてもその指導や、今までの知見を伝えるということが、なかなか難しいのではないかという心配があります。
 それから、今回、保健所間の連携がないなと思っています。一般の行政の事務と違って、保健所には保健所長というドクターがおりますので、必ずしも県で統一した動きができたわけではないような、各保健所によって業務がばらばらだったということも感じております。
 それから、広域振興局体制、特に県南広域振興局でありますけれども、保健福祉環境部と三つの保健所、それから、兼務している、それらの仕事の役割、それから、その上司の事務職員のマネジメント力についても、非常に心配がありました。鳥インフルエンザにしても、そういうマネジメント力を発揮していただかないと、職員は大変だと感じておりますので、ぜひとも、私が感じていることが書かれないように、いろいろな人の意見を聞きながら、今後の対応を整備していただきたいと思います。
 それから、次に保健所の時間外勤務の状況という質問がいろいろありまして、私も何年も聞いているのですけれども、決して保健所の全員がそういうわけではないので、特に、保健所の中の保健課の職員の時間外です。保健所と言ってもいろいろありますから、保健所の平均した時間外の数字を出されても、そんなものかと思いますけれども、その中でも、保健所の中でも保健課が一生懸命頑張りました。そこで、県職員全体の時間外、それから、本庁、振興局、保健所それぞれ、それから、保健所内での保健課と他課との時間外勤務の状況についてお伺いいたします。
〇千葉保健福祉企画室管理課長 超過勤務の状況についてでございます。令和4年度の職員1人当たり月間平均の超過勤務時間数で答弁をさせていただきますと、知事部局全体では16.1時間、知事部局本庁では22.6時間、広域振興局全体では14.5時間、保健所を含む広域振興局保健福祉環境部、保健福祉環境センターでは28.0時間、そのうち保健課では48.4時間、保健課以外では19.4時間となっております。
〇神崎浩之委員 これは、決算特別委員会の総括質疑のときに、広域振興局と本庁の役割について整理しろという中で、いろいろ調査していったのですが、このとおり、本庁全体で見ないで、各々の分野のところでどういうしわ寄せがいっているのか、保健所全体で何時間ではなくて、その中の業務によって見ていく、そういう姿勢を本庁の保健福祉部でも見ていただきたいと思っています。
 次に、県民生活センターと福祉総合センターの建物の更新の検討ということで、私のところに新しい場所はあそこではだめだという声がたくさん届いておりまして、場所について変更するにはどうすればよいのかという通告をしておりましたけれども、この場所の議論は、いつごろからやっていただいているのか。それから、場所について適当だと思っていらっしゃるのか。そういう利用者の声を聞いて、あそこにまとめようとしているのか。あわせてお伺いしたいと思います。
〇千葉保健福祉企画室管理課長 移転改築の検討でございます。
 まず、移転改築の検討につきましては、旧盛岡短期大学跡地への移転を視野に入れまして、10年ほど前から庁内において検討を進めてきたところでございます。
 次に、移転先の適否の関係でございます。建設地の選定に当たりましては、同一敷地内に盛岡市所管施設が整備される予定であり、公的福祉機関の集積が図られるほか、医療機関等との連携体制が維持され、緊急時の迅速な対応が可能であることや、県有地で必要な面積を確保できるといったことを考慮し、選定したところでございます。
 利用者の意見を聞いてという御質問もあったかと思います。それにつきましては、岩手県福祉総合相談センターですけれども、運営団体や施設管理者を設置せず、入所等の機能を伴わない行政機関であることから、過去の実例を参考にいたしまして、内部組織による検討としたところでございます。
〇神崎浩之委員 私は、非常に唐突な発表だったと思っております。塩漬けになっている県有地があるから何とかしなければいけないのだということで、渡りに船だからそれでいいのではないかという力が働いているのではないか、利用者の利便ではなくて、行政の、県の考えで、あそこに場所ありきで行ったのではないかと思っております。
 例えば児童相談所のような、収容するシェルター的なところはいいかもしれないですけれども、身体障害者手帳や療育手帳など、さまざまな手帳を交付される方が県内から行く場合に、場所がわからないということです。今のところだったら、まだバスでも行ける、場合によっては駅からタクシーでも行けるということであります。その利用される方の利便性を考えた場所なのか。それとも行政のそういう何か思惑あそこに移転されれたのでは非常に困るわけであります。
 ですから、例えばシルバー110番、いきいき岩手支援財団、児童相談所、婦人相談、いろいろありますけれども、そういう機能に応じて、例えば県民生活センターにそういう障がい者の方とかそういう方が来るところは集約して、ほかのところは新たなところに移転するとか、そういうこともできると思うのです。いずれ、いろいろな団体の方が、この前の報道で、あそこの場所はどうなのか、あそこの場所では困るという話がやっと出てきておりますので、そういう話は多分届いてないと思いますけれども、いかがでしょうか。もう一度お伺いします。
〇千葉保健福祉企画室管理課長 そういった障がい者の方等々からの御意見は、今のところ全くないということではございませんで、意見等は頂戴しているところではありますけれども、現在の選定をした場所は、旧盛岡短期大学の跡地ですけれども、これは、今の施設から近距離にありまして、盛岡市の中心市街地にも近く、一定のインフラも整備されているところでもございますので、利用者の利便性も確保できると考えまして、今の旧盛岡短期大学ということで考えたものでございます。
〇神崎浩之委員 役所の都合なのか、それとも利用者の都合なのか。あそこは県全体から集まるところなのです。そういうことでありますので、盛岡市中心主義の考えではなくて、利用者、障がいの方、福祉関係の方の声を聞きながら、いろいろ検討していただきたいと思います。
 終わります。
〇小西和子委員 私は、ひとり親家庭等総合相談支援事業についてお伺いいたします。
 ことしは、子どもの貧困対策の推進に関する法律が成立してから10年の節目になります。内閣府が2021年度に、中学校2年生と保護者5、000組を対象に実施した子供の生活状況調査の結果を取りまとめた分析報告書によると、食料について、過去1年間で買えない経験があるとした保護者が、全体で約11%であるのに対し、中間的な所得の半分に満たない、いわゆる貧困家庭では約38%に上っています。
 また、進学希望を子供に尋ねると、全体の半数が大学まで、または、それ以上に進みたいと答えたのに対し、貧困家庭では28%にとどまります。費用負担の重さから部活動への参加を見合わせると答えている子供もいます。このような貧困の広がりに加えて、新型コロナウイルス感染症の流行は、ひとり親の苦境をあらわにしました。相談したいと思っても、利用できる公的制度の存在を知らなかったり、相談をためらったりなどして、支援に至らないケースもあります。
 岩手県では、2年にわたって調査を行いまして、令和2年9月1日から、岩手県社会福祉協議会に委託して、ひとり親家庭等応援サポートセンターを開設し、ひとり親家庭からの相談を受け付け、公的支援施策につないでいきました。
 そこで、ひとり親家庭等応援サポートセンターの昨年度の相談件数と主な内容等についてお伺いいたします。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 ひとり親家庭等応援サポートセンターの昨年度の実績についてでございますが、令和4年度の相談延べ件数は308件であり、主な相談内容としては、子育て、教育に関することが46件、生活費収入に関することが39件、各種制度に関することが37件、就労に関することが28件などとなっております。
〇小西和子委員 成果指標ということになりますと、目標値が800ですから、この冊子には、実施値211で、達成度Dとありましたけれども、308件であってもDでよろしいですね。
 一昨年度は1、449件でAでしたが、これにはわけがありまして、同一の相談者からの相談に対応していた。同じ方が何度も繰り返して相談をしていたということで、相談体制のあり方を見直しまして、相談員も交代いたしまして、本来の姿に戻ったということでございました。それは本当によかったと思っております。
 今年度直近の相談件数と主な内容と対応状況をお伺いします。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 今年度の実績でございますが、令和5年9月末現在の相談延べ件数は205件であり、相談内容としましては、各種制度に関することが33件、子育て、教育に関することが29件、生活、収入に関することが24件などとなっております。
 相談内容に応じまして、さまざまな関係機関と連携しておりまして、子育て、教育に関する相談に関しましては、各地域のファミリーサポートセンターやスクールソーシャルワーカー等に、生活、収入、借金などお金に関する相談に対しては、生活困窮者自立相談支援機関や本事業で実施しておりますファイナンシャルプランナーの個別相談、就労支援が必要なケースに対しましては、ハローワークの就労ナビゲーター等につなぐなどの対応を行っているところでございます。
〇小西和子委員 直近で205件、半年で205件ですから、恐らく400件は超えると思っております。順調に伸びているのではないかと思います。
 それでは、昨年度と今年度の支援者研修の実施状況をお伺いします。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 支援者研修の実施状況でございます。
 令和4年度は、行政や団体の職員などひとり親家庭等の支援に携わる支援者を対象としまして、盛岡、県南、沿岸、県北の各圏域において研修を実施したところでございまして、78名が参加をしております。
 また、民生・児童委員を対象とした研修は、市町村民生児童委員協議会会長、副会長研修での説明のほか、新型コロナウイルス感染症の影響で、いずれも書面配布の研修とはなりましたが、二つの圏域においてひとり親家庭等支援をテーマに実施したところでございます。令和5年度も、昨年度同様に研修を実施する予定でありまして、年度後半の開催に向けて、現在、調整を行っております。
〇小西和子委員 研修、非常に大事でございますので、もう少し人数をふやすような取り組みをしていただければと思います。
 9圏域にひとり親家庭等サポートネットワーク会議を設立することでありました。以前に質問したところ、令和5年度前半での設置、開催に向けて、構成団体などの具体的な調整を行っていくと答弁していただいているのです。未設置の圏域が3圏域残っていますよね。その進捗状況をお伺いいたします。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 先ほどの答弁に関してですが、支援者研修の参加人数、少し聞き取りにくいところがあったかと思いますが、78名参加でございます。失礼いたしました。
 そして、地域におけるひとり親家庭等サポートネットワーク会議の設置についてでございますが、今年度は、現時点で4圏域において既にひとり親家庭等ネットワーク会議を設置、開催をしております。そのほか3圏域において、年度後半での開催を具体的に予定しているという状況でございます。残るは二つの圏域となりますが、これらの圏域においても、今年度内の設置、開催に向けて、関係機関との調整を進めているところでございます。
 地域によりまして人材や支援団体等が異なるため、設置に当たっては、地域の実情に応じて効果的な支援体制となるよう調整を行う必要がございますので、ひとり親家庭等応援サポートセンターと連携をしながら、ほかの地域の取り組みの横展開も図りながら、未設置の圏域においてもネットワークが構築されるよう、引き続き取り組みを進めてまいります。
〇小西和子委員 ひとり親家庭から、保護者から相談があった場合に、各9圏域でそれぞれ相談に応じるためのひとり親家庭等サポートネットワーク会議だと思いますので、ぜひ、残された2圏域についても取り組みを強化していただきたいと思います。
 岩手県社会福祉協議会に委託して、ひとり親家庭等応援サポートセンターを開設してから3年がたってしまいました。この計画は、残すところあと1年と私は捉えておりますが、ひとり親家庭等のさまざまな困り事に対応できる環境を構築しますという目標があるわけですけれども、まだ達成できてないと私は見ております。目標を達成するための今後の取り組みについてお伺いいたします。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 小西和子委員から御紹介もありましたとおり、令和2年度からひとり親家庭等応援サポートセンターを設置しまして、関係機関、団体のネットワーク構築による相談支援体制の構築を進めてきているところでございます。
 この間、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化や物価高騰など、ひとり親家庭等を取り巻く環境も厳しくなっているものと考えられ、支援を要するひとり親家庭等が確実に相談につながり、それぞれの課題やニーズに応じた適切な支援を受けられることが重要であると認識しております。
 そのため、本事業のひとり親家庭等サポートネットワーク会議、全県での会議も開催しておりますが、そういうものを通じまして、支援にかかわる機関、団体間の情報共有や連携強化を図っているところでございまして、相談内容に応じて相互に適切な機関へつなぐなどの協力体制、連携体制が進んできているものと考えております。
 今後も、ひとり親家庭等応援サポートセンターについて、幅広く周知を図るとともに、全ての圏域において、ネットワークの構築を進め、相談機能の強化、情報提供の充実を図りながら、ひとり親家庭等を地域で見守り、支える仕組みづくりに取り組んでまいります。
〇小西和子委員 これは国から2分の1財源が来ていますね。国のスキームは、ワンストップセンターを開設して、スーパーバイザーを配置し、公的支援につなぐというワンストップセンターということですが、なかなかそこまでは達していないというように見ております。今まであった公的な支援では不足だったから、この新しいセンターができたわけです。何年たっても目標になかなか達しないのであれば、違った視点や方法で運営することが必要ではないかと私は考えます。こども基本法も国ではできましたけれども、母親と子の人権を守るようなセンターであってほしいと思います。
 ここは少しショックかもしれませんが、言います。他県では、住宅補助、水道代の免除、NHK料金の免除、塾代の免除、社会福祉協議会主催の弁当プレゼント、キャリア支援等の支援があります。岩手県は残念ながらありません。そのあたりのことについて、貧困層にもっと目を向けていただきたいという声がありますし、人口減少対策の誰一人取り残さない取り組みの強化を私はずっと要望してきましたけれども、保健福祉部長、いかがでしょうか。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 小西和子委員から、今、さまざま御提言をいただきました。平成30年に子どもの生活実態調査をしまして、委員からもずっとこの調査報告については御紹介いただいて、冒頭、委員からお話があったとおり、相談窓口が十分周知されてないし、支援が必要な方々に十分に必要な支援が行き届いてないという問題意識を我々は持っていて、現在の計画にもその視点を盛り込んでいるのですが、来年度が最終年になりますので、これまでの取り組みをきちんと検証しつつ、また、小西和子委員から御紹介いただいた他県の事例などもしっかりと検証して、新しい調査、今年度実施する予定ですので、コロナ禍を踏まえた子供たちの状況、ひとり親の状況なども把握したいと考えておりますので、そうしたコロナ禍を踏まえた最新の状況などもきちんと把握して、次の施策に結びつけていきたいと考えております。
〇小西和子委員 よろしくお願いいたします。
 コロナ禍で、さまざまな困窮者を支援している団体が集まって、それぞれの取り組みを発表するという機会がございました。そのときに口々におっしゃっていたことは、公的機関がもっと真剣に取り組んでほしいということでした。自分ごととして捉えて、真剣に取り組んでほしいということを言っていたことを思い出しております。
 では、次に移ります。子どもの居場所ネットワークについてでございます。昨年度の子供の居場所の設置箇所数と内訳、今後の設置箇所数と内訳についてお伺いいたします。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 子供の居場所についてでありますが、令和4年度は27市町村100カ所で取り組まれており、そのうち、食事の提供のみが51カ所、学習支援のみが11カ所、両方実施が36カ所等となっております。
 今年度は、令和5年8月末現在で、26市町村、113カ所で取り組まれており、そのうち食事の提供のみが58カ所、学習支援のみが13カ所、両方実施が40カ所等となっております。
〇小西和子委員 着実にふえているということですが、まだ全市町村に設置というわけではありません。
 それでは、今年度の子どもの居場所ネットワークいわてについての評価をお伺いいたします。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 子どもの居場所ネットワークいわての評価についてでございますが、昨年度からコーディネーターを1名増員して、食材、寄附などのマッチング、スタッフの育成などの研修会等々、支援の充実を図っているところでございます。
 令和5年度におきましては、子どもとの信頼関係の構築をテーマとした研修会やワークショップの開催、感染症予防や食の安心、安全、防災の観点を追加した子どもの居場所づくりサポートブックの改訂版の発行などに取り組んでいるところでございます。
 子供の居場所は、ネットワークを設立した平成30年度の年度末の16市町30カ所から、先ほど御紹介いたしましたとおり、26市町村113カ所と、着実に取り組みが拡大しておりまして、子どもの居場所ネットワークいわてのきめ細かな支援が成果に大きく貢献しているものと考えております。
〇小西和子委員 次に、先ほど保健福祉部長からお話がありましたけれども、今年度中に子どもや保護者を対象としたアンケート調査を実施するということでございました。進捗状況をお伺いいたします。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 調査についてでございますが、令和6年度までを計画期間とする岩手県子どもの幸せ応援計画の次期計画の策定に先立ち、子どもの生活実態アンケート調査を実施しようとするものでございます。
 調査は、学校で配布されている端末等を利用したオンラインによる調査とし、児童、生徒や保護者へは、12月を目途に学校を通じて調査への協力依頼を行い、1カ月程度の回答期間を設けることを予定しております。
 調査の実施に当たりましては、これまで、県教育委員会を通じて、教育事務所長会議での説明を行い、市町村教育委員会に協力を依頼してきたところでありますし、調査項目や内容につきましては、ひとり親家庭等サポートネットワーク会議などの場を通じ、関係機関、団体等の意見も伺いながら、調整を行っているところでございます。
 調査の実施に当たりましては、学校現場や保護者の皆様の御理解と御協力が必要と考えておりまして、学校現場の負担とならない、円滑な調査の実施に向けて取り組んでまいりたいと思います。
〇小西和子委員 大変重要なアンケートだと思いますので、よろしくお願いいたします。
 貧困対策のことですけれども、子供に直接かかわる一番重要なことは、義務教育における学力格差を解消するということが非常に重要だと考えておりますし、あとは、社会全体として、同情ではなく、連帯の力で社会自体を変えていこうという風潮が生まれて初めて根本的な貧困の解決が目指せるのではないかと識者は言っております。ぜひ、この目標に向かって取り組んでいただければと思います。
 以上です。
〇高橋穏至委員 私は、最初に自殺予防対策推進事業について伺います。
 令和4年、主要施策の成果に対する説明書及びいわて県民計画(2019〜2028)実施状況報告書による幸福関連指標では、御案内のとおり、人口10万人当たり16.0に対して、21.3ということで、これは全国の中でもワーストという位置にあります。
 特記事項では、この人口10万人当たりに関しては、包括的な自殺対策プログラムの展開や自殺対策の担い手養成など、官民一体となった総合的な自殺対策の推進により、長期的には全国平均との差が縮小しているものの、令和4年は令和3年と比べ、健康問題や経済、生活問題に起因する働き盛り世代、高齢者の自殺が多い傾向にありました、と載っておりますが、事業として取り組んでいる事業はやっているけれども、目標が達成できなかった原因とか、そこの分析はどうなっているのか、お伺いします。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 自殺対策の取り組みについてでございますが、本県の令和4年の自殺死亡率は大幅に減少いたしました令和3年から上昇したものの、先ほど御紹介があったとおり、平成15年のピーク時に12.3ポイントあった全国との差が、令和4年には3.9ポイントに縮小し、自殺者数も減少傾向にあるところです。
 令和4年度は、全国的に女性や子供の自殺が増加したものの、本県ではこうした状況は見られなかった一方、20代から40代の働き盛り世代の自殺が増加したところであります。これまで、リーマンショックや東日本大震災津波など、社会経済情勢が急激に悪化した際に、自殺者が増加する傾向にございまして、こうしたデータから、コロナ禍における雇用状況や低所得者等への経済的支援の終了が増加要因の一つになっているのではないかと考えているところでございます。
 こうした状況を踏まえまして、今年度は、働き盛り世代の対策強化といたしまして、職域団体向けのゲートキーパー研修の拡充や、自殺リスクの高い方から優先的に相談を受けつけるためのSNS専用窓口カードの若年層への配布などを拡大しておりまして、こうした取り組みによりまして対策をしているところでございます。
〇高橋穏至委員 今の答弁の中で、全国的傾向と岩手県は違っていたという説明があったのですけれども、その違っていた要因についてはどのようにお考えでしょうか。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 全国的には、若者、子供、女性の自殺者がふえたのですけれども、本県がふえなかった理由というところでありますけれども、コロナ禍が岩手県におきましてはおくれてきたということもございますし、さまざまな予防対策などが、他県と違う取り組みもあったというところから、傾向として違っているのではないかと思います。
 一方で、先ほど御答弁申し上げましたとおり、20代から40代の働き盛り世代がふえたという要因につきましては、コロナ禍の影響が大きかったのではないかと考えているところです。
〇高橋穏至委員 もう一つは、今後の取り組みとなるわけですが、対策事業としては、事業の成果のところでも、大体目標に達成する予定どおりの事業はできているということの評価になっております。これに関して、今後の計画ですけれども、自殺死亡率の減少に効果が期待されている自殺対策プログラムに掲げる6項目の取り組みが全県に普及するよう、実践率を毎年1ポイントずつ上げることを目指しているという形で、事業に対する目標値が、そういう取り組みをしますと書いてあるのですが、今回、改定を予定している素案で示された5年間の計画が、2年間で出された目標値の自殺死亡率のほうの目標は、平成30年の現状値20.5に対して、当時の目標は令和4年では16.0が、令和4年の現状が21.3だったと。全国的には縮まっているとはいうものの、この現状値は令和4年に21.3から、ことしの目標値が、改定予定値で15.0に一気に下がりまして、今回、確定ではないですが、令和8年までに14.6まで下げるというのが、素案で示されているのですが、この目標設定はどのような考え方でしょうか。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 自殺死亡率の目標値でございますけれども、県では、第2期アクションプランにおきまして、令和8年の自殺死亡率を14.6に低下させる目標としております。この目標値の考え方につきましては、国の自殺対策大綱が、平成29年度比で30%以上減少させる方針というところが示されておりまして、岩手県においても、平成30年度比30%以上を減少させるというところを目標にしたところでございます。
 本県の自殺死亡率は高くて、なかなか下げていくことは容易ではございませんけれども、一人でも多くの自殺を防ぐように、引き続き、久慈モデル、官民一体となった包括的なプログラムを展開しながら、取り組みを強化していきたいと考えております。
〇高橋穏至委員 達成すべき目標に向かって、しっかりと原因分析とその対処を進めてもらいたいと思います。
 次に、地域包括ケア関連の質問に入りますが、これも施策に関する説明書、報告書等では、在宅医療連携拠点の事業区域数が目標に届かなかった点について、市町村との調整が整わなかったとなっていますけれども、この市町村との調整が整うというのは、具体的にどういうことなのか。そして、整わなかった要因は何だったのでしょうか。
〇吉田医療政策室長 市町村との調整が整わなかったというところでございますが、在宅医療拠点につきましては、退院支援、療養支援、急変時の対応、みとりの要件を満たす必要があり、その要件達成に向けて、市町村初め、医療機関、介護福祉施設等の各地域の関係機関との調整が整わなかったというところでございます。
 その理由としては、在宅医療を担う人材不足等により、急変時の対応が可能な体制や、患者が望む場所でのみとりが可能な体制等の確保が困難なため、拠点が設置できていないという地域があったところでございます。
 このような状況を踏まえ、現在、策定を進めている地域保健医療計画においては、今後、需要増加が見込まれる在宅医療に対応するため、連携を担う拠点とともに、在宅医療を、積極的に役割を担う医療機関を各医療圏に少なくとも一つは位置づけることとしており、在宅医療を担う人材育成も行いながら、在宅医療提供体制の整備に取り組んでまいります。
〇高橋穏至委員 この場合において、県の役割は、具体的に、県がただ調整するのか、あるいは事業として支援するようなプログラムとかを用意しなければならなくなるという気がするのですが、そこら辺のお考えはどうなのでしょう。
〇吉田医療政策室長 現在、県においては、保健所や市町村と一緒になって、この連携拠点の設置に向けて調整を進めているというところでございます。具体的に各地域において何が課題になるのかという課題の洗い出しなどを行いながら、その課題に対応するような対策について、検討を進めてまいります。
〇高橋穏至委員 ぜひ積極的にお願いします。やはり県のリーダーシップがないと話が進まないと思いますので、しっかりと県がリーダーシップをとって話を進めていただきたいと思います。
 最後に、医師確保対策及び看護師奨学金についてですが、冒頭、城内愛彦委員から看護師について質疑がありましたので、医師確保のための奨学金の現状と今後の見通しについてお伺いします。
〇柴田医務課長 医師の奨学金の関係でございますけれども、医師修学資金の貸し付けについては、毎年度、県医師修学資金15名、医療局医師奨学資金25名、それから、市町村医師養成修学資金15名の合計55名の新規貸付枠を設けてございまして、令和4年度と令和5年度もそうでございますけれども、それぞれ48名に貸し付けを行ったところでございました。
 県によるこれまでの奨学金による医師の養成によりまして、あるいは、即戦力医師の招聘もございますけれども、県内の医師数は着実に増加しているというところでございますので、引き続き、これらの取り組みによる医師の育成確保と偏在解消に努めてまいりたいということで考えているところでございます。
〇高橋穏至委員 看護師のところでもあったのですが、一旦はこの制度を使って医師になるけれども、県内ではなくて、出ていくことによって、例えば一括償還というのが看護師の場合結構いたのですが、これは医師の場合はどうなのでしょうか。
〇柴田医務課長 医師の奨学資金におきましても、年間に3名から、多い年では9名ほどになりますけれども、途中で進路の変更ということで、奨学金の返還に至る方はいらっしゃるところです。
〇高橋穏至委員 医師の場合は、特に診療科とか研修制度の問題とかさまざま要因があると思いますので、しっかりそこと連携しながら、医師の確保に努めてもらいたいと思います。
 終わります。
〇郷右近浩委員 最初に、特別養護老人ホームについて少しお伺いしていきたいと思います。先日、令和5年4月1日時点の入所待機者の状況が取りまとめられたものが公表されましたけれども、令和4年4月1日付で早期入所が必要な方が944名だったものが、722名という形で推移しており、第8期介護保険事業支援計画の中で開設―令和4年度中に開設した施設がきちんと効果的な施設になっていると考えられるものではありますけれども、しかし、そうした中で、奥州市でも開設のとりやめや休止であったり、そして、今現在の施設の休所等もあらわれているという部分もあり、その点について、まずは現在のこの特別養護老人ホームの入所待機者に対する考え方とあわせて、どのように検討し、お考えなのかお伺いしたいと思います。
〇下川長寿社会課総括課長 特別養護老人ホームの整備状況等についてでございますが、第8期介護保険事業支援計画における特別養護老人ホームの整備については、504床の計画に対しまして、実績は今年度分を含めますけれども、319床となる見込みでございます。
 こういった施設の整備や認知症グループホーム等の整備も進められておりますので、入所待機者については対応していけるものと考えております。
 また、施設ができても、なかなか人材が確保できないというところでの空床がというお話も先ほどあったところでございますが、介護人材の確保は、安定的な介護サービスの提供には欠かせない重要なものと思っております。
 県では、そういった人材確保の対策も総合的に進めまして、施設の整備と人材確保と総合的に進めまして、介護サービス提供体制の維持、充実に努めていきたいと思います。
〇郷右近浩委員 介護職員の処遇改善ということで通告させていただきました。関根敏信委員の質疑の中で、県の考えること、今捉えていること、そして、これから進めようとしている部分については、大体理解をいたしました。
 ただ、現在の処遇の問題、この職種に対してなかなか人が集まらない、もしくは辞めていくといった中で、ましてや、介護事業については公定価格で、国で介護報酬を決めて今のガソリン代などさまざまな物価対策、物価高騰に対してなかなかすぐに反映できていないという状況で、先日も報道があったとおり、介護事業所が6割赤字だということです。あれはさまざまな計算式があってのことだとは思いますけれども、それにしてもかなりのところが赤字で苦しんでいて、来年には介護報酬の改定がありますけれども、この事業が続けられるかどうかは、今、本当にこれをきちんと続けていけるような対応をとっていかなければいけないと思います。
 また、そうした中で、今現場で起きている部分においては、例えば特別養護老人ホームでこれまでは訪問介護であったり、さらには、デイサービス等を受け入れていたものが、そこの人員をどのようにか配置して、特別養護老人ホームだけでも守ろうということです。そもそも本来は、少しでも元気になっていただいたりとか、さらには、家庭でしっかりと介護を受けられる環境を与えてあげたりと、そうしたことを進めたいという思いがあっても、そこまで手が回らなくなっていくことが、果たして、これまで国が進めようとしてきた介護に本当にそぐうものなのかどうか。その方向性でいいものかどうかということを非常に心配しております。そうした中で、現在の介護報酬、さらには、ガソリン代等の物価高騰などで、その現場の継続が難しくなっている。そのことを県としてはどのように捉えているか、お伺いしたいと思います。
〇下川長寿社会課総括課長 県として、現在の介護事業者の厳しい状況等についてどう捉えているかという御質問だと思います。
 県でも、関係団体等とはいろいろ意見交換等もさせていただいておりまして、その中でもガソリン代や電気代等の高騰が経営にも影響しているということをお聞きしております。
 県の社会福祉協議会の高齢者福祉施設協議会でとりましたアンケートなども、団体からも回答いただいて、その実態は本当に厳しい状況だと痛感しているところです。また、収入の部分につきましても、公定価格でということで、介護報酬の運営ということになるわけでございますが、こちらにつきましては、国でも、現在、議論を進めているところと承知しておりますが、現在の厳しいコロナ禍を経てきた介護事業所施設、現在の物価高騰の状況なども含めて、今後、適切な水準の介護報酬が定められるのではないかと考えておりますので、県としましても、そういった国の動向等を注視していきたいと思っております。
〇郷右近浩委員 関根敏伸委員の質疑の際にも、国にこれからさらに求めていくといったような話でありました。ぜひ、県としても対応して進めていただきたいと思います。
 現在、介護人材が不足する中で、介護職員の身体的負担の軽減や業務の効率化を図り、そして、労働環境を改善するといった観点が必要であるとも考えますし、そうした中で、県では、介護施設の介護ロボット導入への補助を行っております。これ自体は、私自身も現場であまり導入しているところを拝見する機会があまりないわけでありますけれども、昨年度の実績はどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
〇下川長寿社会課総括課長 令和4年度介護ロボット等導入支援事業費の補助の実績という御質問だと思います。
 令和4年度介護ロボット等導入支援事業費補助金につきましては、介護ロボットは29事業所に対し293台、4、827万円余の補助金を出しております。また、見守り機器の導入に伴う通信環境整備は、11事業所に対して2、405万円余となっております。また、ICTの導入につきましては、70事業所に対しまして3、486万円余を補助したところでございます。
 なお、現在、令和5年度につきましても、今月末をめどに協議書類の受け付けをしている状況でございます。
〇郷右近浩委員 こちらも資料請求して内容等詳しくいろいろ教えていただきました。排泄支援などでも、これがあれば、トイレに連れて行けたりという部分や、見守りについても、非常に現場に即して非常に使い勝手がいいかと思っています。ただ問題は、対象経費の2分の1または4分の3の補助で、今、赤字といいますか、なかなか大変な運営を強いられている介護事業所が導入するに当たって、簡単に入れられないという側面もあろうかと思います。ただ、そうした中にあっても、ぜひ、これを使って見てもらう機会をつくりながら、普及を進めていただければと思います。
 次に、新型コロナウイルス感染症のこれまでの対応と今後の医療提供体制についてお伺いいたしたいと思います。
 まず、新型コロナウイルス感染症の対応に当たりましては、これまで、医療関係者の皆様と行政が連携、協力関係を構築して対応されてきたことと承知しております。本当に皆様には大変なところを乗り切っていただいたと思います。
 そして、この点について、ことし4月の県議会の新型コロナウイルス感染症対策調査特別委員会の際、盛岡市立病院の加藤先生を講師にお招きして、お話を伺った際にも、症状に応じて病院間の連携で対応する岩手県版の作戦がよかった、また、コロナ禍を経験して、連携体制は非常によくなったとのお話もあったところであり、先ほど神崎浩之委員からも御紹介があったところであります。
 そこで、まずは昨年度の第7波、第8波と、新型コロナウイルスの感染拡大があった中で、医療提供体制の確保にどのように取り組んできたのか。そして、先ほど御紹介したように、連携、協力してうまく対応できた点とあわせて課題もあったことと思いますが、今回のコロナ禍における対応から得られた知見や教訓を、現在策定中の次期保健医療計画に反映させていくべきと考えますが、どのような方向で策定していくのかについても、あわせてお伺いしたいと思います。
〇木村感染症課長 私から、令和4年度の医療提供体制の取り組みについて御説明させていただきます。令和4年7月から10月まで続いた第7波、その後、令和5年3月まで続きました第8波ともに、それまでの感染者数、死亡者数を大きく上回る感染拡大が生じたところでございます。
 郷右近浩委員御案内のとおり、これまで構築してきた症状等に応じた医療機関の役割分担と連携による入院医療体制、県医師会との協力による外来医療体制、課題の共有、解決のための地域関係者間の連携など、オール岩手での対応により、県民一人一人に必要な医療を提供することができたものと認識しております。
 今後、新型コロナウイルス感染症対応が通常の対応へと移行していく中にあっても、これまでの新型コロナウイルス感染症対応において構築したこれらの医療連携体制や課題解決のための地域内連携をさらに発展させ、限られた医療資源を有効活用し、県民一人一人の必要な医療の提供体制の確保に努めてまいります。
〇吉田医療政策室長 次期岩手県保健医療計画へのコロナ禍の知見や教訓の反映についてでございますが、今般の新型コロナウイルス感染症対応については、症状に応じた医療機関の役割分担と連携により、入院医療体制、入院調整、県医師会との協力による診療検査医療機関の拡充など、オール岩手での対応により、一人一人に必要な医療を提供することができたと考えております。
 このような新型コロナウイルス感染症対応の経験を踏まえ、現在、策定を進めている次期岩手県保健医療計画においては、新たに医療計画に追加された新興感染症発生、まん延時における医療について、現在、策定が進められている岩手県感染症予防計画との整合性を図りながら、検討を進めているほか、医療機関の役割分担や連携により、県民に提供する高度、専門的な医療のさらなる質の向上のため、広域的な疾病、事業別の医療圏の設定を検討しているところです。
 また、二次保健医療圏につきましては、疾病、事業別医療圏の検討を踏まえ、少子高齢化と人口減少に対応しつつ、県民が身近な地域で安心して医療を受けられる体制を引き続き確保できるよう、検討を進めております。
〇郷右近浩委員 今回の次期岩手県保健医療計画においては、人口減少の中にあって、地域の医療提供体制も、また、さらに変わってくるものと思います。そうした中で、二次保健医療圏や、先ほど佐々木朋和委員の質疑にもありました疾病ごとなど、そのような形で、個人的には、輻輳し過ぎて少しわかりづらいかといった思いも持ち、何とかもっとすっきりできないものかと思っております。これは疾病ごとの医師の充足数であったり、さまざまな要素があって、今のような形になっているという認識はもちろん持っておりますけれども、そうした中にあって、身近な医療という部分と高度な医療提供体制のバランスをどのようにとっていこうと考えているのかお伺いしたいと思います。
〇吉田医療政策室長 身近な医療と高度な医療の提供体制のバランスについてでありますが、現在、策定を進めている次期岩手県保健医療計画においては、がん、脳卒中、心血管疾患などについて、専門人材や高度医療機器の配置の重点化による県民に提供する医療のさらなる質の向上と、手術数や症例数の確保による専門教育機能が充実した研修体制の整備を図るため、広域的な疾病、事業別医療圏の設定について検討しているところです。
 一方、二次保健医療圏については、例えば救急医療や在宅医療、糖尿病などについて、引き続き、地域密着で安心して医療を受けられる体制を確保できるよう、現在、検討を進めております。
 なお、広域的な対応を検討している疾病や事業においても、例えばがんにおいては、検診や標準的な手術や薬物療法、緩和ケアなどについて、引き続き、地域密着で県民に提供できるよう、二次保健医療圏単位での体制確保を図っていくことを検討しております。
〇郷右近浩委員 あまりにも計画の趣旨から離れていってしまうような気がして気を使っているのですが、それが結局、高度な医療提供体制や疾病ごとのハイボリューム化の部分の考え方で、これまでいただいた資料や、この間の議論といったような形なのかとも思います。
 ただ、そこの部分が少しわかりづらい。それぞれの疾病ごとで、例えばがんならがん、脳卒中の脳卒中、そうしたもののハイボリューム化、それぞれの拠点としての部分という考え方は何とかわかりますが、例えば周産期医療であれば、ある程度全てワンセットを欲しくなってくるといった部分で、それぞれがそぐわないといいますか、何となくイメージができないような部分もあるわけでありますが、この点について御答弁いただければと思います。
〇吉田医療政策室長 今、人口減少の中で、県民の医療提供については、高度な専門的医療も県内で安心して医受けたいという声もありますので、そういう医療体制を提供していくためにどういう形がいいのかということで、専門の先生方や、あとは、患者さんとか家族会とかそういった方々からも意見を聞きながら、検討を進めているというところでございます。
 病院において、症例について、得意な病院とかそういったいろいろ特徴もありますので、そういったところを踏まえながら検討を進めていくというところで、引き続き、症例数をまとめることで、専門人材も育成しやすくなるという観点も含めながら、検討を進めてまいりたいと思います。
〇郷右近浩委員 きょうはこれでやめておきますが、これから岩手県保健医療計画の策定ということで、案が12月定例会には出てくるということでありますし、また、この間、さまざまな形でお聞きしていきたいと思います。
 きょうはどうもありがとうございました。
〇佐々木宣和副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 先ほど、高橋穏至委員の御答弁の中で、自殺死亡率の目標の考え方のところで誤りがありましたので、訂正をさせていただきたいと思います。
 参考といたしました、国の自殺対策大綱が、平成29年度比30%減と答弁をさせていただきましたが、これは、国は平成27年度比30%減、県におきましては、平成29年度比30%減を目標として、数値を設定したということでしたので、訂正させていただきます。申し訳ございませんでした。
〇高橋こうすけ委員 私からは、産後ケアの利用促進事業費についてお伺いさせていただきます。
 現在の少子化の要因としまして、未婚や晩婚化、働き方の変容など、さまざまな要因が挙げられておりますが、産後の充実したサポートによる子育て環境の整備も重要であると考えております。出産後は、身体的にも精神的にも不安定になることがあり、産後うつはおよそ10%の罹患率があると言われております。
 また、産後うつになっていることがわかっているだけでも10%です。つまり、悩みを持っているという人というくくりで言えば、たくさんの人が悩みを抱えているはずです。そのような不安を解消し、誰もが安心して生み、育てられる環境の整備が今後の未来につながっていくのではないかと思っております。そこで、産後ケア事業についてお伺いさせていただきます。
 産後ケア事業は、退院直後の母子に対して心身のケアや育児のサポート等を行い、産後も安心して子育てができる支援体制を確保することを目的としており、宿泊型、デイサービス型、アウトリーチ型のサービスが提供されていると認識しております。
 岩手県では、実施市町村が徐々に増加しており、現在は31市町村で実施されておりますが、提供するサービスにはまだばらつきがあると思っております。県民の皆様が平等に産後ケア事業のサービスを受けるために、全市町村で事業を実施するとともに、各市町村が実施するメニューも拡充していく必要があると思いますが、現状を県ではどのように捉えているか、認識をお伺いいたします。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 産後ケアの現状についてでありますが、妊産婦が身近な地域できめ細かなケアを受けられる環境の整備が重要であることから、県では、全ての市町村での事業の実施を目標に掲げ、事例集の作成、配布や、産後ケア利用料の無償化に対する補助など、市町村の支援に取り組んできており、産後ケアを実施する市町村数は、今年度32まで拡大したところでございます。
 特に、令和4年度から、県の独自事業として実施した産後ケア利用促進事業費補助により、新たに12市町において産後ケア利用料の無償化が図られ、これらの市町村においては利用件数が4割以上ふえるなど、産後ケア事業の利用促進も図られたものと考えております。
 一方で、市町村によって実施するサービス類型や利用状況に差異が見られることから、全ての市町村が利用ニーズに即した事業を実施できるよう、市町村を引き続き支援していく必要があると考えております。
〇高橋こうすけ委員 大変すばらしいことだと思っております。
 そういった中でも、利用しやすさにもまだまだの課題があると思っておりまして、特にひとり親家庭にとっては、育児をしながら、例えば市町村役場の窓口に利用申請を出しに行くことは非常に大きな負担になると思っておりまして、自治体によっては、各種家庭訪問などの対面で対応したり、電話やオンライン申請で対応しているという事例がありますが、この利用のしやすさを向上していくために、県としてどのように取り組んでいくべきと考えているか。また、現状はどうか。そして、現在、宿泊型に関しては、事業がまだまだ進んでいないと認識しているのですが、その辺をどのように考えているか、お伺いします。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 産後ケアの利用についてでございます。
 県では、先ほども答弁申し上げましたが、全ての市町村での事業展開を目標に掲げておりまして、事例集、各自治体で、市町村で実施している事例なども展開しながら、各市町村への実施に向けて支援をしているところでございますが、産後ケアの実施箇所数については、そのとおりふえてきたというところで、まず第一歩というところですが、高橋こうすけ委員御指摘のとおり、いかに産後ケアを妊産婦に利用していただくかという利用促進の部分についても、重要な視点であると考えておりますので、引き続きそれぞれの市町村で取り組んでいる好事例を共有するなどしながら、利用者の負担軽減や、利便性の向上にも取り組んでまいりたいと考えております。
 そして、宿泊型の産後ケアについてでございます。宿泊型は、現在、奥州市が医療機関に委託して、宿泊型の産後ケア事業を実施しているという事例はございますが、宿泊型につきましては、助産師等の看護職を24時間体制で配置する必要があり、医療機関の空き病床または入院処置を有する助産所のほか、居宅その他必要な設備を有する施設で実施をすることとされております。
 そういったことから、宿泊型事業の実施に当たっては、まずは設備及び人員の体制を確保する必要がございまして、実施主体である市町村の意向等を踏まえながら、医療機関や民間事業者、助産院など、地域の関係者と議論を深めていく必要があると考えております。
〇高橋こうすけ委員 まだたくさん課題があるということでございましたが、宿泊型の施設の利用について、産後すぐに、また病院に泊まるのは、私の感覚では非常に抵抗があると思っております。やはり体を休めに行きたいというお母さんたちの思いがある中で、病院にまた行って泊まるのは心が休まらないのではないかと思っておりまして、医療機関の方々にも協力はしてもらわなければいけないのはそのとおりですが、ぜひ民間でやっていただけるように期待をしているところでございます。
 産後ケア事業の今後の促進に向けた、今後の展望ございましたら、ぜひお伺いさせていただければと思います。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 産後ケア事業の今後の展望についてでございますが、今年度も、各圏域の連絡調整会議などの場で、産後ケアに関する情報共有や意見交換を行っているところでございまして、その中では、委託先の確保調整や助産師等、人材の確保が主な課題として挙げられておりまして、医療資源の有無等によって、抱える課題も圏域ごとに異なっているものと認識しております。
 今後、サービスの拡充を図っていくためには、複数の市町村が一つの産科医療機関等を共同で利用する広域連携も有効であると考えておりますが、サービスの利用の伸びていない地域においては、さらなる利用促進もあわせて進めていく必要があると考えております。
 県としましては、妊産婦が身近な地域できめ細やかなケアを受けられるよう、利用料無償化への補助等を通じて、産後ケアのさらなる利用促進を図るとともに、医療機関や助産師など地域の関係者との連携のもと、地域の実情に応じた事業が展開できるよう、引き続き市町村を支援してまいります。
〇高橋こうすけ委員 いろいろな方と意見交換をしておりますと、助産師もそうですし、民間の方々も、そもそも産後ケアという分野を進めていくに当たって、民間での経営が非常に難しい分野になってきているのではないかと感じております。人手不足のところもありますが、経営がしにくいという部分もございますので、しっかりと県で後押しをしていただきますよう、心からお願いを申し上げますとともに、ぜひ意気込みを保健福祉部長から一言お願いをしまして、終わります。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 産後ケアについては、本会議や総括質疑でも御質問いただいています。県民の皆様方からも関心が多い事業だと、常に認識をしております。
 県では、令和4年産後ケア無償化ということで、まずは、市町村に活用を働きかけましたが、高橋こうすけ委員から御指摘があったとおり、まだまだ市町村間でばらつきがありますし、宿泊型のニーズが非常に多い中にあっても、人材不足とか、いわゆるビジネスに乗るという経営的な部分でまだ課題があると認識しております。
 こうした部分で、まずは横展開と考えているのですが、必要な場合は、国も産後ケアを今後進めたいとしておりますので、現場のほうから、岩手県のような本当に資源が少ない地域で、産後ケアを有効にするためということで、国にも地方から声を上げていきたいと思っておりますし、県としても、市町村、各地域でのニーズを十分把握に努めて、産後ケアの一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木宣和副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時23分 休憩
午後2時42分再開
〇佐々木宣和副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇軽石義則委員 それでは、介護人材の確保等、既に、関根敏信委員、郷右近浩委員からも、施設のかかわりも含めて質疑が交わされておりますが、通告して、重複している部分は抜いてお聞きしますので、よろしくお願いします。
 人材確保はまさに深刻な課題ということで、どの施設も、関係団体も非常に苦労をしていると思いますけれども、県内でも、各養成事業をされていますし、県でも、その養成のための支援はされていると思いますけれども、その養成の現状をどのように把握されているのか、まずお聞きいたします。
〇下川長寿社会課総括課長 県内の介護職の養成の状況でございますが、県内の介護福祉士登録者は本年3月末時点で2万2、395人となっておりまして、前年に比べますと671人増加したところでございます。また、県内には、介護福祉士の養成施設がございますが、こちらの卒業者の県内就職率は96.4%となっています。
〇軽石義則委員 県内就職をするために、社会福祉施設等で働きながら研修をする方、または専門の学校に入る方、それぞれルートが二つあると言われておりますけれども、県の事業の中で、いわゆる修学貸し付けの結果を見ると、実績値が測定できませんでしたという報告書が出されています。報告書では、関係機関の対象者、いわゆる貸し付けを利用して修学した方が、どう就職されているのかと調査中で、実績が出ていないのですけれども、なぜ、そういうことになっているのかということは、どのように把握されているのでしょうか。
〇田内保健福祉企画室企画課長 社会福祉士、介護福祉士の修学資金の貸し付けでございます。軽石義則委員御指摘のとおり、今回の評価の中でも、まだ実績値が出ていないということで、これから調査をすることになります。もうしばらくお時間を頂戴したいと思います。
〇軽石義則委員 今年度ももう10月が終わろうとしている状況で、このぐらい現場では人が足りないし、求められている仕事でもあるのに、その実績が調査できていないということは、自治体が本当に取り組んでいるのだろうかという疑問にもなるのではないかと思うのですけれども、ぜひ、そういうところから積み上げていかないと、確実に人を確保できないのではないかと思うのです。
 そういう意味では、県内の養成校も含めて、新聞等を見ると、全国的にも、介護福祉士の養成、入学者数も学校も、10年前に比較すると、半分とは言いませんが、それに近いぐらい減っている中で、ましてや、岩手県の中でその人材を確保していくとなれば、全国の競争の中で、岩手県に残っていただくために、お金も出して対応していると思うのですけれども、これから実績値を出すという意味がよくわからないのですが、なぜこれからになっているのでしょうか。
〇田内保健福祉企画室企画課長 確かに軽石義則委員おっしゃるとおり、現在、福祉介護人材が非常に不足しているという状況でございます。そういう中にあって、県で行っている介護福祉士、社会福祉士の修学資金の貸し付けは非常に大きなウエートを占めていると思います。
 我々も、そういうところの追跡をしっかりしていかなければならないということで、今までゆっくりし過ぎていた部分は確かにそのとおりだと思いますので、今後、現在の県内の状況を踏まえまして、しっかりと早急に調査できるような体制で、進めていきたいと思います。
〇軽石義則委員 そこが大事だと思うのです。今、求められているものを次の対策に、来年度の予算もこれから考えていく状況の中で、実績がわからないままに次の予算を組み立てるのは非常に難しいと思うのです。もっと言えば、そういう支えを求めている方々がいて、それがあれば、その道に進みたいという人たちがその道を断念するようなことになっては、私はだめなのではないかという思いで、かなり急いでやっていただきたいと思います。
 それも含めて、需要と供給、まさにそこが大事だと思っていまして、先ほど施設の整備の話もありましたけれども、施設をつくれば、そこに人は確実に必要になってきますし、今、施設にお願いしたくてもお願いできなくて、仕事を離れて、介護をしている方々もふえていると言われております。これは、企業はそれぞれ、人手不足で、優秀な人材を確保したいということで、介護に対する福利厚生も含めて、企業でも一生懸命やっていただいていますけれども、しかし、介護のためにどうしても職を離れなければならないという人は、岩手県の中にもかなりいると思っています。
 そういう介護離職の県内の実態をどのように把握されているでしょうか。
〇下川長寿社会課総括課長 介護離職の県内の状況についてでございますが、総務省が実施しました令和4年就業構造基本調査によりますと、前職の離職理由のうち、介護及び看護のために、過去1年間に離職した方の数は、全国では10万6、000人、そのうち本県では1、100人と推計されております。
〇軽石義則委員 1、100人の方が、今まで積み重ねてきた仕事のキャリアも含めて、職を離れているとすれば、県においても非常な損失になっていると思いますし、その方々が仕事をしていただくことによって、さらに岩手県全体の産業振興にも、ひいては、税収にもプラスになっていくと思います。そういうところに手立てをしていくためには、その現場の状況をしっかり把握をしていくことが大事だと思います。
 ただ、そうは言っても、介護は人がしなければなりませんので、そのところにどうしても入っていかざるを得ないとすれば、仕事を辞めずに介護もできる、そういう環境づくり、まさにそこが急がれるところだという思いでお聞きをしております。しかし、人材確保の方針は、計画して、具体的に動き始めたときには、もっと深刻な課題になる可能性もありますし、今できることを何でも対応していくのが大事だと思っておりまして、そうなれば、外国人技能実習生の皆さんのお力もお借りしなければならない時期に私は来ているのではないかと思います。県内での外国人技能実習生の介護関係の状況はどのようになっているのか把握されているのであれば、お示し願います。
〇下川長寿社会課総括課長 県内の外国人介護人材の関係でございますが、今年度、県が入所系の介護事業所を対象に実施しました、外国人介護人材に関するアンケートの結果によりますと、本年5月末時点において、60事業所で139名の外国人の方が介護職として勤務をしていると承知しております。
 このうち、技能実習生の方は54名となっておりまして、ほかは経済連携協定―EPAに基づく介護福祉士候補生の方とか、日本人の配偶者の方などとなっているところです。
〇軽石義則委員 既に多くの方々に介護の現場を支えていただいています。今後さらに、それは拡大していくことも大事ですし、去年の報道になりますけれども、岩手県在住のインドネシアの方が、現地インドネシアに支援をして、日本語学校をつくり、そして、技能を習得した母国の皆さんに国に戻っていただいて、さらに、その技能を広めて、また日本に来て、お手伝いをしていただくというお仕事をしている方もいるわけですが、そういう方々との連携や情報交換、県の支援についてはどのようになっているのでしょうか。
〇下川長寿社会課総括課長 外国人介護人材に係る支援の状況ということでございますが、先ほど御紹介しました、県がことし5月に実施しました外国人介護人材に関するアンケートの結果によりますと、外国人介護人材の受け入れに係る意向についてもお聞きをしているところですが、こちらのほうでは6割弱の事業所が、おおむね前向きな回答をされております。一方で、慎重な考え方をされている事業所もおりまして、例えば、介護技術のほかに、コミュニケーション能力等を重要視するような回答もあったところでございます。
 県としましては、外国人介護人材も有望な存在と認識をしておりますので、これまでも、介護事業所が外国人留学生に奨学金を給付する場合に補助を行っているほか、今年度は、外国人介護人材の受け入れに関する理解促進を図るセミナーや、職場で実際に受け入れた際に指導を行う職員向けの研修などを開催する予定としております。こうした取り組みや、そうした団体との意見交換等も通じまして、介護事業所において、外国人介護人材を円滑に受け入れ、定着が図られるように支援を進めていきたいと考えております。
〇軽石義則委員 関係団体とも意見交換をされているということで、施設側の声はアンケートとして集約されているのは今までお答えいただいていますけれども、そういう人材確保の仕事をする皆さんとの意見交換なり、状況調査はしているのでしょうか。
〇下川長寿社会課総括課長 人材確保をする団体との意見交換ということでございますが、当課で、意見交換等を主にしているのは、福祉人材センターを設置しております岩手県社会福祉協議会や全国組織で岩手県にも支部がある介護労働安定センターと情報交換をしております。
 また、介護福祉士の養成施設等につきましても、補助金の関係等でのやりとりもございますので、その際にいろいろ現状をお聞きしたりして状況を把握しているところでございます。
〇軽石義則委員 それぞれ関係するところと意見交換なり状況調査をしていただいているということですが、まさに今、民間の団体として、インドネシアの例を出しましたけれども、そういう皆さんの声をお聞きして、県が何を支援できるのか、一緒になって、どのようにその人材確保を進めていけるのか。まさに受け入れ側もいろいろな心配があるというのはこれまでも言われてきておりますし、受け入れ側の心配を解消して、人材をどう確保していくかということも含めて、インドネシアの母国でも、そういう役割を担う大学との連携を、協定も結んで、進めているというお話も聞いておりますので、そういう幅を広げた意見交換の場をつくっていくことは、行政の出先機関だけではなくて、民間で一生懸命やっている皆さんにも、さらにいろいろな意味で支援、力を出していただくような役割をお願いしていく、そして、支えていく関係をつくるのは非常に大事ではないかと思うのですが、その点についてはどうでしょうか。
〇下川長寿社会課総括課長 大変ありがとうございます。今、そういう民間の団体等とか、さまざまそういう介護人材を支援または確保等にかかわるような団体等と、さまざまな機会を捉えて意見交換をさせていただきながら、県の介護人材の確保の施策を充実するように努めてまいりたいと思います。
〇軽石義則委員 国も含めて、処遇改善も、今どんどん進めているわけですけれども、しかし、処遇改善をしても人材が集まらないとすれば、さらにやるべきことを広げていかなければ、人の確保はできないと思っていますし、できれば、そういう送り出し先の状況なども、現地調査をするぐらいの気持ちがあれば、さらに、前向きに岩手県を見てくれる関係もできると思うのですが、保健福祉部長、最後にどうでしょうか。お聞きして終わります。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 軽石義則委員から、さまざま具体的な御提言をいただきました。我々は、民間の業者さんであったり団体と、ふだんいろいろ意見交換したりとか、情報収集するということはこれまで少なかったと考えておりますので、委員から今回御提言いただいた事例も含めまして、我々はきちんと情報収集をして、さまざまな人材確保のためにはいろいろな組織と連携が必要でございますので、そうした情報収集に努めて、連携して、県内の人材確保につながるような取り組みにつなげてまいりたいと考えています。
〇松本雄士委員 私からは、障がい者福祉について大きく三つお伺いしたいと思います。
 まず一つ目でありますけれども、農業への就業支援について、いわゆる農福連携についてお伺いいたします。現在の就業継続支援A型、B型事業所の数等、その中で農業に取り組んでいる事業所の数についてお伺いいたします。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 施設総数につきましては、少し確認しまして御答弁申し上げますが、取り組んでいる事業所につきましては、令和4年で112カ所となっております。これは、就業継続支援A型、B型両方含めてという数字となっております。
〇松本雄士委員 この数はふえてきているのでしょうか。それと、ふやすための取り組みとして、どのような取り組みをなされているのかお伺いいたします。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 先ほど回答できませんでした数ですけれども、まず就業継続支援A型につきましては、令和5年4月1日現在で52カ所、就業継続支援B型につきましては200カ所となっておりまして、年々増加傾向にはありますが、農業に取り組んでいる法人につきましては、年度によって少し増減があるところでございます。
〇松本雄士委員 それに係る取り組みについてお伺いいたします。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 県の取り組みといたしましては、農福連携を推進するために、農業団体、商工団体、教育関係者等で構成いたします岩手県農福連携協議会を庁内組織等として設置いたしまして、意見交換を行っているほか、岩手県社会福祉協議会に委託設置しておりますいわて障がい者就労支援センターに、農福連携専任のコーディネーターを配置いたしまして、セミナーや説明会などによるマッチング、農福連携マルシェ等による情報発信、販売機会の創出などを行っておりまして、こうした取り組みを通じて、事業所の拡大、それから、理解の増進に努めているところでございます。
〇松本雄士委員 知的障がいや精神障がいの方は、全員ではないですけれども、農業部門との親和性が高いという面も多々あるのかなと思っておりまして、農福連携、農業サイドでは、今、人材不足が非常に大きな課題ですし、障がい者側では社会参加の促進ということで、これは本当にウィンウィンになる取り組みだと思っておりまして、ぜひ、進めていただきたい思っております。
 ただ、農業サイドは経済性という面を気にしますし、福祉サイドは社会性、社会貢献であったり、互いにそういう理解を深めていくのが非常に重要だと思っておりまして、今お話あったコーディネーターは、非常に重要な役割を果たすと思っております。
 現在のコーディネーターの配置状況についてお伺いいたします。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 先ほどのコーディネーターの配置状況と申しますか、活動状況について御説明したほうがわかりやすいかと思いますので、そちらで答弁させていただきます。
 先ほど少し御説明いたしましたマッチング支援についての実績でございますが、マッチング件数としては13件の実績がございました。それから、セミナーにつきましては7回の開催、それから、農林水産業事業者に対する説明会につきましては、5回の開催をしておりまして、マルシェにつきましては2回の開催ということで、活動している実態でございます。
〇松本雄士委員 コーディネーターの方は何名いらっしゃるのでしょうか。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 配置は1名でございます。
〇松本雄士委員 県で1名ということでしょうか。
 マッチングも13件とか、セミナー7回というのは、多いのか少ないのかというのはあるのですけれども、もっとコーディネーターをふやして、この辺の取り組みを活性化していくといった今後の方向性はどうなっているのか、お伺いいたします。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 今後の取り組みについてでございますけれども、この数年はコロナ禍で、活動がなかなかうまくできなかったこともありまして、やっと現状、活動ができるようになってきております。
 例えばですけれども、新規参入を検討しております事業所からは、ノウハウとか相互理解が必要だというような御意見もありますので、そういう点をマッチングできるような形、あるいは相互理解が深まるような形の取り組みをこれからしていく必要があると考えております。
〇松本雄士委員 ぜひ、そういった取り組みを促進してもらいたいのですけれども、これは農林水産省の事業で、農林水産部側になるのですけれども、農山漁村振興交付金で、普及啓発の専門人材育成の事業があるのは当然存じているかと思うのですけれども、そういう事業を活用して、ぜひ、専門人材コーディネーターをどんどん育成していただきたいと思います。
 次に、大きく2点目になりますけれども、障がい者の就労移行支援事業所の関係についてお伺いいたします。
 障がい者がその地域において能力を発揮して、自立した生活ができるように、就労先の確保や一般就労への移行を進めていく、そのために、就労移行支援事業所の担う役割は大きいものと認識しておりますけれども、近年の就労移行支援事業所の利用実績を見ますと、計画を大きく下回る状況になっているのですけれども、その要因についてお伺いいたします。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 就労移行支援事業所についてでありますけれども、特別支援学校卒業者など、一般就労を希望する障がい者に対しまして、職業能力の評価など、いわゆる就労アセスメントを行う就労移行支援事業所につきましては、県内に26箇所設置されておりますが、利用件数が目標に達しなかったところでございます。
 その要因といたしましては、いわて県民計画(2019〜2028)第1期アクションプランを策定後、文部科学省と厚生労働省連名通知によりまして、特別支援学校において、生徒の就労アセスメントを実施することが可能となったということから、事業所を利用せずに一般就労する事例が多くなったことによるものと認識しているところでございます。
〇松本雄士委員 わかりました。就労移行支援、事業所を使わず、特別支援学校からのルートもというところで、いずれ、一般就労のほうにつながっていれば、それはいいなと思うのですけれども、就労移行後の定着状況がどうなっているかというあたりと、それに係る支援についてお伺いいたします。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 一般就労後の定着支援を行う機関といたしましては、就労移行支援事業所もその一つではありますけれども、中心となりますのが障がい者就労・生活支援センター、いわゆるなかぽつセンターという名称で言われるところでございますけれども、そちらの登録をされる方が多くなってきております。一般移行した就労者そのものもふえておりますけれども、そのセンターを活用する方もふえているということでございますので、対象となる方がこういうセンターを利用し、支援を受けながら就労しているという状況にある方と認識しております。
〇松本雄士委員 その定着、離職の状況がどうなっているとかという数値まで押さえているものでしょうか。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 統計データについては、労働部門のところが所管しているという都合上、私どもでは詳しいデータまでは把握できておりません。申し訳ございません。
〇松本雄士委員 わかりました。就労移行支援のところと、そのフォローアップをぜひお願いしたいと思います。
 続いて、大きく三つ目でありますけれども、児童発達支援センターの関係についてお伺いいたします。
 地域の障がい児やその家族への相談支援等です。地域の中核的な療育支援施設として、児童発達支援センターは大きな役割を果たしていると認識しておりますけれども、今現在の児童発達支援センターの設置数に係る県の目標と現在の状況についてお伺いいたします。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 児童発達支援センターにつきましては、児童福祉法におきまして、障がいのある子供や家族支援のほか、保育所、学校等と連携して発達支援を行う市町村の中核的な通所施設と位置づけられているところでございます。
 国の発達支援センターの運営に関する基本的な指針におきましては、当該センターを市町村または圏域内に1カ所以上設置するとされていることから、いわて県民計画(2019〜2028)第1期アクションプランでは、市町村単独または共同設置として設置が見込まれた17カ所の設置を目指すとしたところでございます。
 しかしながら、未設置地域のうち、特に単独で設置を検討している市町村におきましては、設置基準を満たすための実務経験を有する者などの人材の確保、地域における連携体制の検討調整に時間を要している状況から、なかなか進まなかったということで、お話をお伺いしているところでございます。
 こうした各地域の状況を踏まえまして、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおきましては、まずは、支援対象児の多い地域で設置が進むように、6箇所の障がい保健福祉圏域に設置を目指すとしたところでございまして、県におきましては、先進事例の紹介などを行う市町村担当者会議の開催や、個別圏域の訪問による助言、人材養成研修などを行っておりまして、こういう取り組みを通じまして、早期の設置を支援していきたいと考えております。
〇松本雄士委員 そうしますと、当初は17箇所設置するという目標だったのに対して、いろいろな事情もあって、6箇所設置するということですか。現在は何箇所あるのですか。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 今、障がい保健福祉圏域単位で申しますと、三つありまして、現在、検討が進んでいる地域が、先ほど目標にしておりました6圏域ありますが、具体的に動き出しそうなところが1圏域ありまして、来年度の設置を目指していると聞いております。
〇松本雄士委員 いろいろ財源とか人材確保は非常に大きな課題になるかと思うのですけれども、その辺の今後の見通しについて、先ほど1個はまず動き出しそうだということですが、残り二つについて、財源とか人材の見通しについてお伺いいたします。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 この設置に関する財源につきましては、こども家庭庁が設置されましてこれまでの障がい児に対する厚生労働省の補助金からこども家庭庁の補助金にかわりますが、2分の1補助が継続される見込みだと聞いております。
 一方、先ほど御答弁申し上げました人材確保、養成につきましては、実務経験を要する方で、職員を配置する必要があるのですけれども、研修を受けなければその資格要件が発生しないという方もいらっしゃいますので、そういう点につきましては、県が養成研修をし、支援をしているところでございます。
 また、例えば保育士などの有資格者の配置も、基準上は想定されているところではございますけれども、そういう方々の確保につきましても、助言をしておりますし、最も重要なのは、地域のネットワークをつくるというところだと思いますので、そういう点につきまして、個別に圏域を訪問しまして、支援をして、助言をしたりという取り組みを続けているところでございます。
〇松本雄士委員 ぜひ、特に人材の計画的な養成をよろしくお願いしたいと思います。この児童発達支援センターは、今、圏域に、盛岡市や矢巾町や花巻市にしかなくて、非常に遠隔地から来ているとか、予約も数カ月先とか、その利用している父兄から、非常に大変だという声を私自身聞いておりまして、ぜひともその設置を進めていただきたいと思います。
 以上になります。
〇菅原亮太委員 私からは、ハイリスク妊産婦アクセス支援事業と、子育て応援パスポート事業について御質問させていただきます。
 まず、ハイリスク妊産婦アクセス支援事業についてですけれども、こちらは令和4年に実施した事業でございまして、安心して出産できる環境を整備するため、ハイリスク妊産婦の通院などに対して支援する市町村への補助を県が実施する事業となっておりました。補助率は2分の1、補助対象は市町村となっております。
 このハイリスク妊産婦アクセス支援事業ですけれども、実施した市町村が、計画20市町村に対して、実際は11市町村。また、ハイリスク妊産婦支援事業の補助を受け入れた妊産婦数は、目標200人に対して、実際は57人となっておりまして、予算も383万円から、実質は49万5、000円となっておりました。
 そこでお伺いいたしますが、ハイリスク妊産婦アクセス支援事業を実施する市町村がふえなかった要因は何だったと分析するか。また、目標に対して、補助を受けた妊産婦数が極端に少ないですけれども、それはそこまで需要がなかったということか、それとも需要があるけれど、補助を申請するに至らなかったか。その辺について、目標値の設定根拠も含めて、見解を伺いたいと思います。
〇山崎地域医療推進課長 ハイリスク妊産婦アクセス支援事業の活用が進まない要因という御質問でございます。
 菅原亮太委員御案内のとおり、県の制度は令和4年度まで補助の要件をハイリスク妊産婦のみに限定しておりまして、ハイリスク妊産婦に助成を行った市町村に対して補助を行うものでございました。
 まず、目標値の設定についてでございますけれども、これは市町村における制度導入の検討状況や補助対象者数についてヒアリングを行って、対象者数を見込んだところでございます。
 一方、実績が少なかった要因については、県の制度がやはりハイリスク妊産婦に限定していたということで、市町村によっては補助対象者が少なく、補助を実施しなかった。また、参加医療機関のアクセスが比較的容易な市町村において実施し、事業を実施しない市町村があったということで、制度を活用する市町村妊産婦数が少なかったということで考えております。
 今年度から、ハイリスク妊産婦以外も補助の対象とするように制度を改正しておりまして、ハイリスク妊産婦アクセス支援事業を実施する市町村も、11から今年度は22にふえております。制度を活用する妊産婦数も増加していくものと考えております。こういった制度の改正も呼び水にしまして、さらに、制度の活用が図られるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇菅原亮太委員 先ほど御答弁いただきましたとおり、今年度からハイリスクという要件を外されたというところは大変評価したいと考えております。
 ただ、予算と目標人数についてお伺いしたいと思いますし、また、今年度、妊産婦アクセス支援事業を実施している市町村について、それぞれ幾つか教えてもらえればと思います。
〇山崎地域医療推進課長 今年度の個々の実施市町村ということでございますが、22市町村ですが、個々の実施市町村については、確認してから御報告させていただきたいと思います。申し訳ございません。
 今年度の当初予算でございますけれども、1、355万円となっております。見込んでいる人数につきましては、ハイリスクではない妊産婦も含めまして、約1、200人ほどを見込んでおります。
〇菅原亮太委員 アクセス支援事業を実施している市町村について、後ほどということでありましたけれども、私のほうで幾つか把握している市町村は、花巻市、久慈市、遠野市、一関市、陸前高田市、釜石市、二戸市、奥州市、金ケ崎町、盛岡市、北上市などで、産婦人科がないところもあるところも実施していたり、ハイリスク妊産婦アクセス支援事業を活用している市町村でまちまちといった状況があると把握しております。
 これは市町村です。奥州市は特にですけれども、産婦人科が市町村内になくて、隣の市まで行かなければならないという状態でして、奥州市は特に40分から60分かけて隣の北上市や一関市に通院しているという状況もございます。
 サービス移行までのアクセスが悪い市町村がある一方で、そうでない市町村にも一律に補助額2分の1は少し不公平ではないかと感じておりまして、アクセスが悪い市町村こそ、そういう手厚い補助も必要かと思いますけれども、その辺について御所見を伺いたいと思います。
〇山崎地域医療推進課長 妊産婦のアクセス支援については、まずは、各市町村が地域の実情に応じて制度設計をし、それに対して県が支援をするという制度のたてつけになっておりますので、今、個々の市町村の補助額に対して2分の1という制度のたてつけについては、まずは、妥当なものと認識しておりますが、市町村の御意見も聞きながら、制度の内容については検討してまいりたいと考えております。
〇菅原亮太委員 一応いろいろ市町村とも検討しながらされているということでございました。岩手県は確かに広くて、広いというのは強みという意味もあると思っていまして、強みとすれば、自然が豊富というところで、そういう資源を活用して、水力発電など、いろいろな事業が行われているのですけれども、逆に、広い弱みというのが、そういうアクセスがなかなか遠いこともあると思いますので、強みを伸ばして、弱みを解決するというところが重要だと思いますので、そういった産婦人科へのアクセスがなかなか厳しい市町村に対して、ぜひ、2分の1ではなく、補助を手厚くしていただければありがたいと思っております。
 次ですけれども、子育て応援パスポート事業についてお伺いさせていただきます。
 こちらは、第3子以降の子供がいる世帯を対象に子育て応援パスポートを発行しまして、県営施設使用料の減免を実施する事業であると認識しております。その発行数です。目標数200件に対して実施数が177件、また、予算についても、143万4、000円に対して決算額117万9、000円となっております。
 お伺いさせていただきますが、実際に県営施設の減免に使用されている利用状況をお伺いしたいと思いますし、また、発行部数についても、年々増加傾向か、減少傾向かをお伺いさせていただきます。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 県営施設の減免の利用状況でございますが、令和4年度に減免した人数は延べで2、675人であり、主な施設の減免の状況としましては、岩手県営スケート場が661人、ふれあいランド岩手が585人、岩手県営運動公園が355人などとなっております。
 パスポートの発行部数でございますが、制度がスタートしましたのは令和2年9月になりますので、それ以降の年度ごとの新規発行実績を答弁させていただきます。世帯数ということになりますが、令和2年度は172世帯、令和3年度は174世帯、令和4年度は177世帯と、発行部数で言いますと横ばいで推移している状況でございます。
〇菅原亮太委員 横ばいで推移というところでしたけれども、子育て支援について、もっと手厚くサポートをしていただければありがたいと思っておりまして、ぜひ、3子以降、子供3人という制限にかかわらず、ぜひ、第1子、全ての子供に対してもそういった子育て応援パスポートの発行をふやしてほしいと感じております。
 関連して、いわて子育て応援の店という事業についても、あわせて御質問させていただきたいと思います。
 こちらのいわて子育て応援の店という事業ですけれども、子育て世代に対して、商品代金の割引やポイントなどの特典、また、ミルク用のお湯の提供、おむつがえコーナーを設ける、そういう子育てに優しい店舗に対して、県として、いわて子育て応援の店という認証をして、そういうお店に行ったら、そういう特典を受けてもらうという事業でございますけれども、それについて、県として、どういうメリットがあると考えていらっしゃるか。また、そういうお店に行くときに、先ほどのパスポートとか何か必要なのかどうか、改めて確認したいと思います。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 いわて子育て応援の店についての御質問でございます。
 いわて子育て応援の店につきましては、令和4年度末で延べ2、392店舗で登録をいただいているというところでございます。いわて子育て応援の店協賛店に対して、令和2年度にアンケート等を実施しておりまして、その点でメリットとして挙げられたことは、メリットではないのですが、企業、店舗のほうでも、子育て応援には力になりたい、子育てを応援しているというところがあり、積極的にこの施設を利用して、協賛店の登録を利用していただいているというところが多くの店舗でございます。
 県内でのサービスということで、二通りやっていただいているのですけれども、特典や割引、それから、子育て配慮型ということで、お客様からよい反応をいただけるということです。それから、店内の雰囲気もよくなったということをメリットとして挙げていただいているところでございますので、さらに、我々としても、機運醸成のためにも、広報等を通じて協賛店の拡大を図っていきたいと考えております。
 それから、この利用について、いわて子育て応援の店につきましては、妊婦及び18歳未満の子供連れの全ての家庭に対し、パスポート等の提示を必要とせず、協賛店独自の子ども支援、子育て支援サービスを提供いただけるという仕組みにしているところでございます。
〇菅原亮太委員 先ほど質問しました子育て応援パスポートでは、県営施設ではパスポート提示で減免を受けられますけれども、先ほどのいわて子育て応援の店は、そういう提示はなく、お子さんがいたり、妊産婦であれば、特典を受けられるという、公と民間とばらつきがある状態なっていると思っておりまして、福井県にこういう事業があるというところで、御提案をしたいと思っております。
 福井県では、社会全体で、妊娠、出産、子育てを応援する機運を高めるため、ふく育応援事業を令和3年10月にスタートしました。
 この事業は、妊婦さんや子育て世代の皆さんを応援する企業、店舗によるふく育応援団というものを創設しまして、応援団参加店の皆さんには、ふく育パスポートに登録した妊婦さんや18歳未満のお子さんがいる子育て世代に、優待サービスや外出を応援するサービスを提供しています。
 妊婦さんや子育て世代の皆さんは、ふく育パスポートに登録しまして、それをスマートフォンなどで表示されるパスポート画面をふく育応援団の参加店で掲示すると、それぞれのお店が設定した優待サービスを利用することができます。
 また、この事業では、県子育て応援サイトふく育を開設しまして、妊婦さんや子育て世代の皆さんに役立つ子育てに関する情報を発信しているというのが、この福井県が行っている、ふく育という事業です。このようにアプリ形式にして登録してもらって、それを提示して、お店や県営施設で、減免だったり、いろいろなお店で特典を受けるというのが、このふく育の制度です。
 先ほどパスポートの件ですけれども、このようにアプリ形式で登録してもらって、また、先ほどのように、3人目の子供という要件を外しまして、全ての子育て世代に、県の施設の減免、そして、お店の特典を受けられるようにしてみてはいかがかと御提案をしたいと思っております。
 親世代からすれば、この一つのアプリで、行政であったり、民間それぞれのさまざまな子育て優遇制度を享受できると思っておりますので、今、携帯でペイペイ等とかでお金を払う時代でございますから、パスポートを持ち歩くのは、今の時代ではなかなか難しいのかな、合わないのかなと思っておりますので、そういうふく育のようなアプリを使った、子育て応援パスポートのような事業について、御所見をお伺いできればと思います。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 子育て応援パスポート、いわて子育て応援の店、いずれも社会で子育てを支援する機運の醸成ということを目的に実施をしております。本県における子育て応援の店につきましては、先ほども答弁させていただきましたとおり、既にパスポートの提示を不要としているというところで、利便性のところではメリットがあると思っておりますが、一方で、子育て応援パスポートは、3人以上の子供を養育している世帯ということで、応援の店と少し対象者が異なってしまうこともありますし、対象者であることを提示しなければならないということで、パスポート、紙等で使用しているという事情もございます。
 いずれ、これらの両事業につきましては、引き続き、協賛企業、店舗などの意見も伺いながら、協賛店舗の拡大を図ることはもとより、利用者の利便性の向上、利用促進の観点から、パスポート等の仕組みのあり方についても、今後、検討していきたいと考えております。
〇菅原亮太委員 先ほどのように検討いただければと思っております。
 先ほども答弁いただきましたけれども、ふく育もそうですけれども、子育てを応援していますというステッカー等掲示することによって、そういったお店でも子育てを応援している事業者ということで、PRになるといいますか、事業者のイメージアップにもつながると思っております。
 子育てを応援する事業者としても、イメージアップにつながり、その恩恵の享受を受ける子育て世代も利益になるということで、県としても、そういう子育て政策を、もっと使いやすいように、そして、目に見やすいような形の制度として、子育て世代を応援していただければと思っております。
 以上で終わります。
〇佐々木宣和副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇山崎地域医療推進課長 先ほど答弁できませんでした、令和5年度岩手県の妊産婦アクセス支援事業を活用している市町村でございますが、花巻市、久慈市、遠野市、一関市、陸前高田市、釜石市、二戸市、八幡平市、奥州市、雫石町、岩手町、金ケ崎町、住田町、大槌町、山田町、岩泉町、普代村、軽米町、野田村、九戸村、洋野町、一戸町でございます。
〇佐々木宣和副委員長 質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 岩手県の新型コロナウイルス感染症対応に関し、知事選挙の中で看過できない発言がありました。令和5年8月27日の盛岡市内での個人演説会でのある知事候補の発言であります。
 岩手県が新型コロナ感染ゼロが続いたことについてからくりがあったことがわかりました。これは県民性の問題でも何でもないのです。検査の体制の話だったのです。他の都道府県は、保健所の管内で、それぞれの疑わしいサンプルをしっかり検査しまして、これがコロナウイルスだとか、そうではないというのを細かい単位でやっておりました。
 ところが岩手県は、全県のものを岩手県内1カ所、たった5人の検査員で、これは検査する、これは検査しない、その5人の選定によって行われてきたために、コロナの疑いのあるものもきちんと検査されずにはじかれてきたために、7月29日までコロナウイルスの感染症が出なかったというのが事実であると。これを知りまして、ああ、情報の隠蔽のようなものがあったのだと。
 これは、看過できない発言ですので、こういう事実があったのかなかったのか、情報の隠蔽があったのかなかったのか、はっきり答えてください。
〇木村感染症課長 県内で初めて患者が確認された令和2年7月当時の新型コロナウイルスの検査体制についてでございます。当時は、当初、環境保健センターのほか複数の民間医療機関において検査が実施されていたものでございまして、当時の環境保健センターの検査員数は11名であったものでございます。また、検査対象についてですが、国の基準に基づき、岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会が感染の疑いがあるものとして示した―幾つかあるのですが―例としますと、患者との濃厚接触者または接触者、発症から2週間以内に流行地域に渡航もしくは居住した者と接触歴がある者、医師が総合的に判断した結果、新型コロナウイルス感染を疑う者等の基準のもとに、保健所や医療機関等から報告され、そうした該当する全ての対象者に対し検査を実施していたものでございます。
 こちらが県としての公式見解となります。
〇斉藤信委員 そういう事実はなかったということですね。これは、県政に対する誹謗、中傷であり、選挙の公正を私はゆがめるものだと、許されないと、候補者の資質、資格にかかわる問題ではないかと思いますが、保健福祉部長の所感を伺います。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 ツイッターなどSNSでいろいろ出てくる情報は、切り取られたりとかさまざまありますし、個々の発言については、県として個々に対応していないものであります。例えば県政提言をいただくとか、新聞に、県の取り組みなどについて御意見などをいただいた場合には、対応させていただきますが、個々の発信、発言等については、対応していないところでございます。事実関係は、先ほど木村感染症課長が答弁したとおりですので、こうした点、説明を求められれば、しっかりと御説明に努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 私は、公式の場で、発言そのものを紹介しています。いいですか。県は情報を隠蔽したと言われているのです。重大な知事選挙のさなかです。今、他人ごとのように言っているけれども、県が情報を隠蔽したと、こういう発言に対して、私は議会でこの発言をしっかり示して聞いているのだから、そんな答弁でいいのですか、保健福祉部長。情報を隠蔽したのですか、しないのですか。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 令和2年の4月29日に県内1例目が出ましたので、次の日に新型コロナウイルス感染症対策本部員会議をいたしました。その資料を議員の皆様方に提供しているかと思うのですが、令和2年7月29日までに、PCR検査は1、414件、民間が810件、行政検査で588件ということで、民間検査を我々がコントロールしているわけではありませんので、きちんと検査が必要なものは十分行ってきたというものでございますし、この本部員会議では、国が示す提言にとどまらず、幅広く積極的な疫学的な調査を実施するという方針を確認したというものでございます。
〇斉藤信委員 私は、公正な選挙のさなかに、県が情報を隠蔽したという発言は看過できない。選挙の公正にとっても、県の新型コロナウイルス感染症対応にとっても、これはもう看過できないということで指摘をいたしました。そのことはしっかりと記録に残しておきたいと思います。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策の具体的な問題についてお聞きしますが、7月以降の感染拡大時は、第8波と同等の感染状況と認識していると知事が答弁しました。第9波の感染拡大ということで、保健福祉部長、こういう認識でよろしいのですか。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 決算特別委員会の総括質疑で知事から御答弁申し上げましたとおり、この夏、第8波と同規模の新規感染者数があったということで、我々も第9波という形で認識しております。
〇斉藤信委員 私は、このことを繰り返し指摘しているのは、第8波と同等の感染拡大が8月にあったということですが、そういう情報発信はされませんでした。私は、県保健所長からいろいろ説明を聞いて、盛岡医療圏は第8波を超えていますよという話を聞いて、本当にびっくりした次第です。
 県の情報発信は定点観測で、1医療機関平均の数なのですよ。全国一と聞いたから私たちはびっくりしましたけれども、1医療機関35人と言われても、県民はどれだけの感染状況かわからない。
 私は、そういう意味で、5類に移行したけれども、第8波並みの感染拡大が起きたというのであれば、ある意味深刻な感染状況を、正確にリアルに県民がわかるように発信すべきだったのではないかと。いかがですか。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 感染状況のほかにも、今は医療の逼迫状況や、クラスターの状況など、総合的な視点での発信が必要だと考えておりまして、そういう意味では、5類感染症に移行になって、毎日の全数報告という形ではなくなったのですけれども、医療の入院の状況、クラスターの状況なども県独自で把握に努め、発信に努めてきたところでありますし、また、本当に30人を超えた時点につきましては、私自身が記者会見をさせていただきまして、丁寧に県民の皆様向けに、今の感染状況について、発信に努めてきたところでございます。
〇斉藤信委員 保健福祉部長が記者会見をしたのはたった1回で、その後に、そのときを超える1医療機関当たり35人を超えたのです。あとは、環境保健センターのホームページを公開しているので、記者会見もしないということです。全国一と言われる感染状況だったら、せめて毎週1回は担当課長がしっかり説明するぐらいのことをやらなかったらいけないと思います。
 感染拡大防止の最大の課題は、正確な情報発信、感染状況、これがわかって初めて県民は、自主的、自覚的に対策をとるのです。そういう対応はされなかった。そうですね。
〇木村感染症課長 記者会見のものでございますが、感染状況の定例的なマスコミ公表については、令和2年7月に、県内1例目の陽性者が確認されて以降、令和4年9月26日に感染者の全数把握が見直されるまでの間、確かに毎日記者ブリーフィングを実施していたところです。
 ただ、こうした中で、全数把握の見直しが行われ、令和4年9月27日以降、県民に対して全ての感染者数が公表できなくなったという事実がございます。このことを踏まえまして、県政記者クラブと協議の上、その当時、全数把握の見直し後においては、記者ブリーフィングにかえて、感染情報に係る資料を提供するという形で、記者会見自体は行われませんでした。
 ただし、その際の申し合わせとして、感染拡大時の対応として、新規感染者数が過去最大になった場合などにおいては、ブリーフィングを実施するということになっておりまして、先ほど保健福祉部長が30人近くなったときに対応していただいたというのは、まさにそういった感染者が急拡大しているというところで、保健福祉部長のほうでブリーフィングを行って、記者レクチャーをさせていただいたということでございます。
 今後も、そうした意味で、定点観測上の数値と、あとは、まさに医療の逼迫状況、医療の病床数のところを加味しながら、県民に対して、適時、適切にそうしたブリーフィングも含めて、情報発信をしていきたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 私は、第8波も不十分だったけれども第9波の対応に対する反省も不十分だと思いますね。。全国一の感染拡大でね。例えば定点観測で比較すれば、今回35.24でしたが、第8波は37.81がピークでした。今回、30を超えた週が3回もあったのですからほぼ同等なのです。記者会見はたった1回です。だから、実際には県民に伝わらなかったというのは事実です。
 それで、第8波の教訓については、今、振り返りを行っているという答弁が議会でありました。この第8波の教訓はどういう形でまとめられ、明らかにされるのか示してください。
〇木村感染症課長 岩手県感染症予防計画の改定を今年度、現在行っているところでございまして、感染症法に基づき設置した岩手県感染症対策連携協議会において協議を行うこととして、こちらで、さまざま今回の振り返りを含めて、今後の岩手県感染症予防計画の対策等も御議論いただいているところでございます。
 こうしたところを踏まえまして、令和6年度施行する新興感染症対策の部分で、新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた具体的な対策等の方向性を盛り込んでいきたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 そうすると、岩手県感染症予防計画の中でまとまって、その教訓は深められるということです。
 もう一つ聞きますが、新型コロナウイルス感染症の後遺症対策も、この岩手県感染症予防計画の中に検討課題として入っているのでしょうか。
〇木村感染症課長 新型コロナウイルス感染症等の後遺症対策につきましては、感染症の予防及びまん延防止を目的とする感染症予防計画の策定に係る国の指針には、具体的な記載はないところでございます。
 岩手県感染症予防計画の策定過程において、岩手県感染症連携協議会等の構成員から意見を伺いつつ、協議を進めてまいります。
〇斉藤信委員 検討課題にないというので、私はびっくりしたのですけれども、新型コロナウイルス感染者の1割から2割は後遺症を発症していると。私の総括質疑にも、保健福祉部長が県の調査結果を答えましたけれど、これは大変なことです。新型コロナウイルス感染症が普通のインフルエンザと違うところはここなのです。新型コロナウイルス感染症の感染者は今でも苦しんでいる。
 先日もNHKで特集が組まれましたよ。この後遺症対策は、しっかりと予防計画に組み入れるべきだと思います。これは保健福祉部長に聞きましょう。そして、この課題の最後に、インフルエンザも、今、急速に拡大をしています。第8波の同時流行の可能性も、知事も認めましたが、インフルエンザと第10波の同時流行もあり得るという、こうした状況に対して、具体的な対策はどうとられようとしているのでしょうか。
〇木村感染症課長 インフルエンザと第10波の同時流行の部分についてお答え申し上げます。
 いわゆる第10波の同時流行に備えた対策につきましては、平時から行っております基本的な感染対策や、外来対応医療機関への受診相談に係る協力依頼等について、引き続き、あらゆる広報媒体を通じて繰り返し県民の皆様に呼びかけてまいります。
 また、季節性インフルエンザや新型コロナウイルスワクチンの早期の接種について御検討いただけるよう、メリット、デメリットなど、県民の皆さんが安心して接種を受けられるよう、県ホームページ等を通じまして情報提供にも努めてまいります。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 公衆衛生対策は重要だと思っています。県の岩手県感染症予防計画や新しい保健医療計画は、新興感染症、新型コロナウイルス感染症ではなく、未知の感染症に対する医療や、公衆衛生など、そういう視点での計画ですので、斉藤信委員から御指摘の後遺症対策につきましては、どういう形で記載できるかということは、今後、検討を進めてまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 次に、新しい岩手県保健医療計画にかかわってハイボリュームセンターの整備も、この間、大いに議論をされました。新しい保健医療計画の検討状況を見ますと、三つの疾病に応じて個別の医療圏を設定するということで、がん医療、脳卒中、心血管疾患、この三つの疾病で新たな医療圏を設定する。ハイボリュームセンターは、中核病院に専門性、機能を集約するということを答弁されていますけれども、どういう関連があるのか、わかりやすく答えてください。
〇吉田医療政策室長 まず、ハイボリュームセンターについての定義でございますが、診療報酬等による公的な定義があるものではなく、例えば複数の専門医が配置され、高度、専門的な手術数や症例数が多く、充実した研修機能を有した医療機関について、日本学術会議の専門委員会が、ハイボリュームセンターとして整理しているというところでございます。
 今回、現在進めている次期岩手県保健医療計画の検討に当たりましては、専門人材や高度医療機器の配置の重点化により、県民に提供する高度、専門的な医療のさらなる質の向上とともに、手術数や症例数の確保による専門教育機能が充実した研修体制の整備を図るため、広域的な疾病、事業別医療圏の設定を検討しているというところでございます。
 この疾病、事業別医療圏の設定を踏まえ、今後の具体的な医療提供体制の確保については、中核となる病院における一定の機能集約を行い、症例数や手術数を確保した、いわゆるハイボリューム化に向けた検討が進められていくと考えております。
〇斉藤信委員 私は、ハイボリュームセンターと言った場合には、イメージとしては、二つも三つもつくるのではなくて、せいぜい一つぐらいなのではないかと受けとめておりましたが、それと、3疾病に基づく個別の医療圏の設定ということになると、それとはまた違うと思うので、この違いは、どういうものがあるのか。同じなのか違うのか、そこをわかりやすく言ってください。
〇吉田医療政策室長 専門の学会が言うのは、症例数や手術数がある程度多いというところでございますので、それが一つの病院にあるかどうかというところではないというところですので、疾病ごとにそういった症例数の集約というところと、また、ハイボリュームセンターと、一つの病院にするというものとは違うというところでございます。
〇斉藤信委員 今度の岩手県保健医療計画を見ますと、二次保健医療圏は維持して、地域医療を守り、そして、この3疾病に独自の医療圏をやるということでしたから、私は、それは積極的に評価をしたいと思います。
 ただ、ハイボリュームセンターとこの3疾病に係る個別の医療圏は、まだまだよくわからないので、これ以上聞きませんが、わかりやすく説明していただきたい。
 終わります。
〇高田一郎委員 私から、最初に低所得者へのエアコン設置の問題についてお聞きします。
 熱中症による搬送患者あるいは死者数の実態がどうなっているのか。あわせてお聞きしますが、生活保護世帯におけるエアコンの設置状況について、どのように県は把握されているのかお伺いします。
〇前川健康国保課総括課長 熱中症による搬送患者、死者数の実態についてでございます。
 総務省消防庁の統計によりますと、令和5年5月1日から10月1日までの本県の熱中症による救急搬送者数は1、278人、うちお一人がお亡くなりになっています。
〇前田地域福祉課総括課長 生活保護によるエアコン設置の状況についてでございます。
 生活保護制度につきましては、必要な生活用品は、保護費のやりくりによって計画的に購入していただくこととしていますが、近年、熱中症による健康被害があることを踏まえ、平成30年4月から一時扶助費として支給を認めるものに冷房器具を加え、保護開始時に持ち合わせがないなど、特別な事情がある場合に適用できることとされております。
 本県における生活保護世帯に対するエアコンの購入費用の支給実績についてでございますが、県内各福祉事務所に確認したところ、昨年度は25件、今年度は、9月までに44件の支給実績があったところでございます。
〇高田一郎委員 生活保護世帯に対する今年度の支給実績は44件ということです。それから、総括質疑でも議論がありましたけれども、生活福祉資金での設置が12件というお話がありました。
 今、お話があったように、生活保護というのは、保護開始時に持ち合わせていない人が対象ですから、私は、今年の夏は、多くの低所得者が厳しい夏を乗り切ったのではないかと見ております。生活保護世帯も、低所得世帯も、借金をしないとエアコン設置ができないということで、来年も恐らくそういう状況下での熱中症が大きな問題になると思いますけれども、そういう対策を今からとっていくべきだと思います。
 そこで、熱中症搬送の原因究明をしっかりやっていただきたいと思います。そして、エアコン設置されている高齢者宅でも、電気代を節約するために、エアコンがあっても動かすことができなかったというのが身近にもたくさんありました。そして、エアコンの使い方がわからないということもあります。熱中症アラートが発動したときには、そういう家庭を見守りするというような、きめ細かな対策が必要ではないかと私は思います。この点についてお伺いしたいと思います。
〇前川健康国保課総括課長 まず、私から、熱中症搬送の原因について答弁させていただきます。
 熱中症による救急搬送の原因に関連するデータとしましては、発生場所別の人数となりますけれども、総務省消防庁から公表されております今年度10月1日時点の速報値となりますが、本県では熱中症の発生場所として、住居が最も多く、679人全体の53%を占めております。なお、住居には敷地内全ての場所を含むと定義されております。
〇前田地域福祉課総括課長 低所得者の方々への支援についてでございますが、まず、生活保護世帯における光熱費については、生活用品と同様に、毎月の保護費のやりくりの中で賄うこととされ、保護費の算定において、夏季に増加する需要に対する加算、いわゆる夏季加算と言ってもいいようなものだと思いますが、現在そういうものがないことから、福祉事務所における日ごろのケースワークにおいて、エアコンが使用できなくなることのないよう、家計改善への支援に係る助言、指導などを行っているところでございます。
 また、それ以外の低所得世帯に対しましては、地域の民生委員による見守り活動や、生活困窮者自立相談支援機関、社会福祉協議会の支援員などによる相談支援業務の中で、熱中症予防行動に係る周知を図り、さらに、高齢者世帯に対しましては、市町村の地域包括支援センターを通じた介護サービスの相談などにあわせて必要な助言を行っていると聞いております。
 高齢者や小さなお子さんを含む、いわゆる熱中症弱者と言われる方々には、エアコンをつけるとか、水分、塩分をとるというような自力での予防行動が難しい場合もありますことから、引き続き、関係団体等と連携して、積極的な見守り、声かけなどにより、熱中症予防に取り組んでまいります。
〇高田一郎委員 先ほど、総務省消防庁のデータが紹介されましたけれども、私もいただいて見ました。救急搬送車における高齢者の割合が64%というお話がありましたけれども、全国平均は54%ですから、ここでも10%程度高いし、発生場所別に見て居住地も、全国平均よりも13ポイント高いのです。こういう高齢者の割合が高くて、居住地で、住居の中で熱中症になったという割合が全国の数値から見ても非常に高いことに着目する必要があると思います。
 生活保護世帯は、扶助費で最低生活を保障する生活保護費を削って貯蓄して、そして、設置しなさいということで、これは無理ですよね。低所得者世帯への設置も、生活福祉資金で対応したというのがわずか12件という結果から見て、来年の夏に向けて、こういう低所得者世帯へのエアコン設置、きめ細かな支援についてぜひ制度設計して、検討していただきたいと思います。
 次に、介護保険制度についても議論がありましたけれども、私も通告しておりましたので、簡単に質問いたします。
 まず、新型コロナウイルス感染症感染拡大による高齢者施設での昨年の感染の実態、そして、課題について、まず伺います。
〇下川長寿社会課総括課長 高齢者施設への新型コロナウイルス感染の実態と課題についてということでございます。
 令和4年度の高齢者施設でのクラスターにつきましては、526件発生したところでございます。令和5年度につきましては、10月17日現在の数値となりますが、106件発生しているところでございます。依然として、高齢者施設でのクラスターが発生していることから、引き続き、医療機関との連携体制を確保するとともに、施設での感染予防に努める必要があると考えておりまして、そちらに対する研修会等の開催等、また、連携体制の確認していただくという取り組みを進めていく必要があると理解しております。
〇高田一郎委員 介護保険による課題も、この間の新型コロナウイルス感染拡大でいろいろな問題があって、課題も浮き彫りになったと思います。昨年の介護事業所の休止、廃止が128事業所、総括質疑でもありましたけれども、介護事業所の6割が赤字という実態であります。新型コロナウイルス感染症が感染拡大をしても、事業所でデイサービス等が休止になっても、その減収補填もできないということです。あるいは物価高騰でさまざまな負担増があっても、これも支援できない。つまり、公定価格が決まれば、3年間その報酬でやりくりをしなければならないという、まさにコストカット型のない対応になっていると思うのです。
 今度の介護保険制度の介護報酬の見直しに向けて、抜本的な見直しをやっていかないと、介護現場が持たないと、こういう声があちこちから出ています。そして、今、介護事業所を譲渡したいという相談も金融機関に少なくなく相談があると私は伺っています。先ほど、下川長寿社会課総括課長から来年の介護報酬改定に向けて、適正な介護報酬の設定になるのではないかという発言がありましたけれども、私はそのような対応ではもうだめだと思うのです。
 今、政府で検討している保険料と利用料の引き上げや、ケアプラン作成に係る負担増ですね、軽度者へのサービスの一部についての地域支援事業への移行という改悪が検討されています。私は抜本的な見直しを行うよう、強く求めていかないと、介護事業所がばたばたと倒れていくのではないかと、そういう危機感が県にはあるのかどうか、このことをまず伺いたいと思います。
〇下川長寿社会課総括課長 介護保険制度の危機感についてのお話でございますが、介護保険制度は平成12年から始まったと記憶しておりますが、制度開始から20年以上が経過しまして、その間、さまざまな制度改正も行われてきたところでございます。
 近年におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響や、物価高騰等の影響がありまして、介護事業所施設等の経営が厳しい状況も重々理解しているところでございます。また、きょうの審議の中でもいろいろ話題に出ましたが、介護人材の確保等の部分につきましても、本当に力を入れていかなければならないところだと感じているところです。
 県としましては、これまでも国に対しまして、制度運用上の課題等を十分に把握した上での必要な見直しを行うことを要望してきたところでありますし、全国知事会とも連携しながら、国に要望をしてきたところです。引き続き、国には必要な要望を行っていきたいと考えております。
〇高田一郎委員 危機感を持って対応していただきたいと思いますし、物価高騰対策緊急支援金なども今度の経済対策に盛り込んで、ぜひ、しっかりと対応していただきたいと思います。
 次に、国民健康保険税についてお伺いいたします。第2期岩手県国民健康保険運営方針で、保険料の統一が明記されております。この検討状況がどうなっているのか伺います。
〇前川健康国保課総括課長 国民健康保険につきまして、被保険者の減少とか医療費の増大等に対応しまして、持続可能な制度の安定的運営を図るため、国では、今年度、都道府県単位で保険料水準の統一を進めていく必要があるとしまして、保険料水準統一加速化プランを策定したところでございます。
 こうした国の動きも踏まえまして、本県におきましても、次期岩手県国民健康保険運営方針の策定とあわせまして、市町村と保険税水準の統一の考え方とか、目標年度、また、統一に向けた取り組み等について協議を進めているところでございます。各市町村の意見を丁寧にお聞きしながら合意形成を図り、今年度中に方針を定めたいと考えております。
〇高田一郎委員 県の第2期岩手県国民健康保険運営方針では、今年度中に方針を決めるということですけれども、私どもも、この間、国保の構造的な問題を解決しないうちに保険料統一してはならないということを訴えてきました。
 現在の協会けんぽとの保険料の格差、これは、今、解消しているのかどうか。モデルケースで見た場合どうなっているのか。この点についてお伺いいたします。
〇前川健康国保課総括課長 保険料につきまして、モデルケースにより、協会けんぽと比較を行いますと、盛岡市在住で、夫婦とも39歳以下、就労者が1人、就学児の子供が2人の4人世帯、年収400万円の場合となりますが、令和5年度の保険料の試算では、国保税が年額40万円、協会けんぽの保険料が年額19万9、000円余となっております。国民健康保険税が協会けんぽの約2倍となっております。
〇高田一郎委員 それと、全国知事会では、地方6団体が、国民健康保険税の構造的問題を解決するために、国費1兆円を投入して、少なくともこの協会けんぽとの格差を是正すべきだということをかなり前から訴えてきました。国の動向は、今、どうなっているのですか。
〇前川健康国保課総括課長 高田一郎委員から御紹介ありましたとおり、全国知事会としまして、新たな財政支援を講じるように、継続的に要望を行っているところでございます。
 国におきましては、平成30年度から毎年約3、400億円の財政支援が行われておりますけれども、これによりまして、保険税負担の伸びの抑制には貢献しているものと思われますが、全国知事会の要望内容の実現にはいまだ至っていないというところでございますので、今後も、財政措置の拡充について、さまざまな機会を通じて働きかけていきたいと考えております。
〇高田一郎委員 地方6団体が力を合わせて、この構造的問題を解決するために、ずっと粘り強く求めてきたのですけれども、いまだに国の対応が明らかになっていないと、そういう状況です。
 こういう状況の中で、国民健康保険税は協会けんぽの保険料と比べて2倍も格差がある。同じ所得でありながら、2倍の格差があるという中で、保険料を統一することになりますと、これは新たな問題が発生してくると思います。
 これまで、岩手県内の各市町村の1人当たりの医療費は、1.5倍の格差があることを述べてきましたけれども、それも含めて、今どうなっているのか。私は、1.5倍の格差があり、協会けんぽとの格差も2倍ある中で統一などはあり得ないと思うのです。このことも含めて答弁をお願いいたします。
〇前川健康国保課総括課長 ただいま、高田一郎委員から御指摘ありましたとおり、協会けんぽとの比較によりまして、非常に保険料の負担が重いのは全国共通の課題となっております。
 繰り返しになりますけれども、全国知事会として、継続して要望を行っていくこととあわせまして、先ほど高田一郎委員から御紹介ありましたとおり、医療費の格差については、確かに高いところと低いところを比べますと1.5倍程度の差があるという状況です。保険税水準の統一に向けて取り組みを進めていくに当たりましては、医療費水準の適正化もあわせて取り組みを進めていく必要があると思っておりますので、そのあたりもあわせまして、市町村と、今、協議を行っているところでございます。
〇高田一郎委員 国は何としても統一を進めるために、保険料水準統一加速化プランを出して、これを何としてもやろうとしております。しかし、国民健康保険運営は自治事務でありますから、県の判断、市町村の判断で対応していかなければならないと思います。
 医療費は、1.5倍も格差がある。そして、協会けんぽと2倍の開きがある。構造的な問題解決しない中で、これを進めていくことは、新たな問題が発生してくると思います。慎重な対応を求めて、終わりたいと思います。
〇佐々木宣和副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後4時16分 休憩
午後4時36分再開
〇柳村一委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇小林正信委員 全国の児童相談所が令和4年度に対応した虐待相談件数は、前年度より1万1、510件増加し21万9、170件で、32年連続で最多を更新したとのことです。県内の状況はどうだったのか。また、状況を踏まえた所感についてお伺いします。
〇高橋子ども子育て支援室長 令和4年度の児童虐待の状況についてでありますが、児童相談所における児童虐待相談対応件数は1、717件と前年度に比べて増加しておりまして、相談種別では、身体的虐待367件、性的虐待16件、心理的虐待976件、ネグレクト358件と、面前DVなどによる心理的虐待が多い状況です。
 こうした状況につきましては、児童相談所虐待対応ダイヤル189の浸透、警察との連携強化による警察からの通告が多いこと、児童虐待防止に関する啓発活動の普及など、関係機関との連携がさらに進んだことや、県民などの児童虐待防止に対する意識が高まり、早期発見、早期通告に結びつき、相談対応件数が増加したものと考えております。
〇小林正信委員 おっしゃったように、警察からの通告が多くなってきているということで、警察との連携も深まってきていると思うのですけれども、以前にも取り上げたのですけれども、児童相談所への警官の常駐について、宮城県では、全ての児童相談所に現職警察官を配置し、子供の安全確保への迅速な対応、また、威圧的な保護者に対しては毅然とした応対をするということなど、効果を発揮しているということです。
 県としても、警察官OBを配置している状況と思いますけれども、令和4年度の児童相談所と警察との連携状況についてお伺いします。
〇高橋子ども子育て支援室長 警察との連携状況についてでございますが、小林正信委員御紹介のとおり、これまで、警察OB職員を福祉総合相談センターに配置しておりまして、児童福祉司と連携した児童虐待対応を行ってきたほか、平成30年9月には、保健福祉部と警察本部生活安全部との間で、児童虐待に関する連携協定を締結しておりまして、情報共有や連携した対応の強化が進んできているところでございます。
 また、児童の安全確認と安全確保を最優先としました虐待事案の未然防止を図るため、児童相談所と警察が連携しまして、毎年、立ち入り調査等の実技訓練を実施するなど、現場における対応力の強化にも力を入れているところでございます。
〇小林正信委員 OB職員は深夜等は出動できないという部分もあるかと思います。連携も深まっている強みを生かしていただいて、もう一歩踏み込んで、現職警察官のフルタイム配置も含めた連携強化をお願いしたいと思います。
 県福祉総合相談センター内の一時保護所については、老朽化が進んでいるという状況、職員の皆様が努力をなさって子供たちが安心できるような環境をつくっていただいていると思うのですけれども、福祉総合センター内の一時保護所の環境改善についてお伺いしたいと思います。
〇高橋子ども子育て支援室長 一時保護所の環境改善についてでございますが、一時保護所につきましては、平成30年に国が策定した児童虐待防止対策体制強化プランにおきまして、個室化の推進や個別性を尊重した一時保護が行われるよう、環境整備を進めることとされたところでございます。
 これによりまして、福祉総合相談センターにおきましては、令和元年度に、大部屋でありました居室を、個室利用を想定しまして、部屋を分ける改修等を行いましたほか、令和4年3月に新築しました宮古児童相談所の話になりますけれども、こちらにおきましては、一時保護児童の安全とプライバシーが守られるような生活空間を確保するため、基本的に全室個室化を行っておりますほか、屋内運動場などの整備も行っております。
 また、国におきましては、改正児童福祉法に基づきまして、令和6年度から施行される一時保護施設の設備・運営基準を新たに策定し、一時保護施設の環境改善を図ることとしておりますことから、県といたしましては、今後、移転整備が計画されております福祉総合相談センター等におきましても、この基準に基づき、一時保護所の質が担保されるように努めてまいります。
〇小林正信委員 不安を抱えて訪れる子供たちが安心していただけるような環境を、ぜひ確保していただきたいと思います。
 児童虐待については、未然防止の観点からも、先ほどおっしゃったような、児童相談所と警察のような連携の取り組みが大事だと思います。札幌市では、虐待防止のための子育てデータ管理プラットフォームを構築して、子ども、子育てにかかわる複数の部署で、情報を迅速に共有することが可能になっているそうです。
 こうしたICTを活用した取り組みとか、各関係機関の連携の充実などを含め、児童虐待対応の充実を今後も進めていただきたいと思いますけれども、今後の取り組みについてお伺いします。
〇高橋子ども子育て支援室長 対策の充実に向けた今後の取り組みについてでございますが、県では、年々増加する児童虐待相談に適切に対応するため、まず、人的体制が重要であると認識しておりまして、児童福祉司等の計画的な増員に努めており、児童福祉司は令和元年度の43人から、本年度は61人に増員となりました。
 引き続き、児童福祉司等の専門職員の計画的な増員や、研修による専門性の向上、スーパーバイザーの養成等による体制強化を図っていきますほか、さらに、警察など関係機関との情報共有や連携強化にも努めてまいります。
 また、地域における児童虐待防止対策につきましては、市町村の要保護児童対策地域協議会が重要な役割を担っておりますので、県としては、引き続き、市町村要保護児童対策地域協議会の職員養成のための研修実施や、児童相談所による技術的助言を行うなどにより、児童虐待防止対策の充実に努めてまいりたいと考えております。
 ICTの活用につきましても、そういう観点からも、検討を進めていければと考えております。
〇小林正信委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。
 児童福祉司はかなりの数を補充されたりとか、体制強化していただいたのですけれども、児童福祉司も本当大変なお仕事だということで、辞められる方もケースをたくさん抱えて大変な思いをされている方もいらっしゃる。児童相談所で働く方のケアというところもしっかりと考えていただきながら、充実していただければと思います。
 続いて、視覚障がい者支援について、私も当事者の方からお話をいただく中で、これは市町村の実施ですけれども、例えば同行援護支援、あるいは文書の代読、代筆支援、あとは、報道でもあったとおり、当事者団体のアンケートでは、視覚障がい者の7割がデジタル機器の利用に苦慮しているということで、生きにくさを抱える方たちへの支援の充実が必要だと考えております。令和4年度における視覚障がい者に対する支援の取り組みについてお伺いします。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 令和4年度における視覚障がい者支援に係る取り組み状況でございますけれども、視覚障がい者の支援拠点施設として、県では、県立視聴覚障がい者情報センターをアイーナ内に設置いたしまして、視覚障がい者当事者への情報提供、支援の担い手となる奉仕員の育成、一般県民への普及啓発等を実施しております。
 令和4年度におきましては、視覚障がい者等約1万2、900人の利用者に対しまして、制作、収集した点字図書の貸し出し3、600件余、年6回のレクリエーション事業の開催、点訳、音訳等に従事する奉仕員を新たに14名育成し、奉仕員研修会を62回開催したほか、学校等を対象に、施設見学や展示等に関する出前講座を開催したところでございます。
〇小林正信委員 先ほども述べたように、視覚障がい者にとっては、今、情報の取得や利用に多くの苦労があるということで、現在、各地で普及が進んでいる音声コードは、紙に印刷された二次元バーコードに文字情報が記録されている。これを読み取ることで、文字情報を音声で聞くことができるという仕組みで、主に行政からの通知等に利用が進んでいるということです。こうした仕組みはデジタルで生きにくさを生きやすさにかえるものと思いますけれども、音声コードの普及、活用について御所見をお伺いします。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 音声コードの活用状況でございますけれども、視覚障がい者の方の中には、点字によらず、主に音声による読み上げによって情報を得ている方がいらっしゃいます。音声コードの対応機器を含めた、活字文書読み上げ装置は、市町村が実施主体であります、日常生活用具給付等事業の給付対象品目とされておりますが、令和3年度の3件、令和4年度の2件のいずれもが、音声コード装置以外の、例えばメガネ装置型音声音読器―メガネで読み取って、そこから音声を拾って聞くというものや、携帯型読上装置―携帯型の機器で文書をスキャンして、それを読み上げていただくというものが給付されたと伺っております。
 活字文書読み上げ装置につきましては、年々新たな機器が開発されておりますので、多様化しているということもございますが、障がいの状態や日常生活の状況に応じて、最適なものを選択していくことが必要だと認識しているところでございます。
〇小林正信委員 わかりました。
 続いて、聴覚障がい者への支援について、これまでも何度か取り上げさせていただきました遠隔手話通訳サービスは、スマートフォンやタブレットを利用して、離れた場所にいる手話オペレーターによる通訳を受けることができる取り組みです。県としても、導入に前向きに取り組んでこられたと思いますけれども、令和4年度の検討状況についてお伺いしたいと思います。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 遠隔手話の検討状況でございますけれども、県では、先ほど御紹介申し上げました視聴覚障がい者情報センターのパソコン端末とタブレット端末をテレビ通話アプリで接続した手話通訳の運用テストを令和4年度に実施しておりまして、意思疎通が可能であることにつきましては確認したところですが、利用する聴覚障がい当事者や手話通訳者の意見、手話通訳者の派遣を行う市町村との役割分担、通話アプリのセキュリティの確保等、運用に当たっての課題の対応についても、あわせて検討してきたところでございます。
 今年度は、市町村と課題への対応を検討いたしまして、県、市町村の役割分担や、通話アプリの選定等について意見交換をしたほか、実際の運用に際しまして、円滑に実施できるか、聴覚障がい者当事者の参画をいただきまして、さらに検証を行うことを想定しております。
 なお、聴覚障がいの全国団体におきましては、手話通訳者の設置が原則であって、利用する聴覚障がい者と通訳者が対面で行うことが基本だという見解を示しているところもございますので、コロナ禍の教訓や、災害時などの補完として有効だという部分につきましては、引き続き、丁寧に説明をしながら、一緒に取り組みを進めていきたいと考えております。
〇小林正信委員 ぜひ、よろしくお願いします。
 手話は言語であるとの認識のもとに、手話の普及や政策推進、また、聴覚障がい者、聾者と聾者以外の人が共生する社会を目指すという目的で、手話言語条例制定が各地でされています。
 一般社団法人全日本ろうあ連盟による手話言語条例マップでは、東北地方で手話言語条例を唯一制定していないのは岩手県だけであります。現在の検討状況についてお伺いします。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 手話言語条例の検討状況でございますけれども、令和3年度以降、請願団体等と11回程度の意見交換を積み重ねてきているところでございます。この協議を通じまして、おおむね条例に盛り込むべき条文等の共通理解が得られたものと認識しております。
 また、請願団体ほか、その他の聴覚障がい者の団体の皆様からも御意見を伺ったところでございまして、現在、条例制定に向けて検討を進めているところです。今後、早期に提案できるように、引き続き、検討を進めてまいりたいと思います。
〇小林正信委員 続きまして、ひきこもり支援について、内閣府が3月に公表した調査結果では、15歳から64歳でひきこもり状態にある人が全国で146万人に上ると推計されました。近年は、80代の親が50代のひきこもりの子を支える8050問題も深刻化しており、ひきこもりの長期化、高齢化が進んでおります。令和4年度におけるひきこもり支援の取り組み状況はどうだったのかお伺いします。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 令和4年度の取り組み状況でございますけれども、国では、令和4年度から、市町村が中心になってひきこもり支援を総合的に実施するよう促しているところでございます。現時点では、全ての市町村に相談窓口が設置されたほか、16市町村が居場所づくりに取り組んでいると伺っているところです。
 県では、ひきこもり支援センターを設置いたしまして、また、保健所をサテライトに位置づけまして、相談支援や居場所づくりに取り組んでおりまして、令和4年度は986件の相談に対応しているほか、居場所支援には延べ388人の参加があったところでございます。
〇小林正信委員 先ほど答弁いただいたように、ひきこもり支援センターの相談件数は、目標値は500件に対し986件と、見積もりよりも多い相談が寄せられたのだろうと思います。国は、このほど、支援員向けマニュアルを策定するということでしたけれども、相談窓口の担当者が、心療内科など病院を紹介するだけになっているという例も全国では多いとのことです。相談された方に対してどのようなフォローを行っているのかお伺いします。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 相談後のフォローについてでございますけれども、県が設置する先ほど御紹介申し上げましたひきこもり支援センターで、当事者や御家族から相談を受け付けた場合につきましては、まず、その内容を丁寧にお聞きし、例えば当事者が集う場への参加を希望する場合につきましては、居場所としてのフリースペースへの参加の働きかけ、家族を含む相互交流を希望する場合については、家族教室への参加の働きかけを行っているほか、例えば本人の御希望に応じて、医療を必要とする場合は医療機関へつなぐこと、就労などを希望する場合は若者サポートステーションにつなぐなど、関係機関と連携して支援を行おうとしているところでございます。
〇小林正信委員 ひきこもり支援については、当事者また家族へのエンパワーメントが重要であり、先ほどおっしゃったように当事者の居場所づくりや、みずから助けを求めることが難しい場合も多いため、アウトリーチの支援が重要だと考えており、その充実が必要とも考えます。
 秋田県の藤里町や大仙市が先進的に取り組みを進めており、就労だけを目的としない当事者の自立支援が実施されております。こうした他県、また、県内の事例を踏まえつつ、今後の取り組みの充実についてどう考えていらっしゃるかお伺いします。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 ひきこもり支援の今後の取り組みについてでございますけれども、県では、ひきこもり支援事業に係る市町村説明会などを開催いたしまして、先ほど御紹介申し上げました市町村中心の相談支援体制づくりに係る事例紹介や支援体制のノウハウを伝達するとともに、県ひきこもり支援センターが市町村支援を行う取り組みを行っているところでございます。
 また、支援の充実のためには、民間団体との連携が重要だと認識しておりまして、県民向けの公開講座の開催や、支援者を対象といたしました研修会を実施しまして、団体間の交流促進、支援技術の向上を図ることで、地域の実情に応じた体制づくりを支援していきたいと考えております。
〇小林正信委員 ぜひ、よろしくお願いします。
 最後に、健幸づくりプロジェクト推進費について、健幸づくりプロジェクト、健康、医療、介護のデータを連結するビッグデータの連携基盤の構築を進めることと思いますけれども、これは実績値を見ると、令和4年度は35人の方からデータを取得したとあります。35人だとあまりビッグデータにならないのではないかと感じております。ビッグデータの連携基盤は既に構築されているのか、そのあたりも含めて、今後の取り組みをお伺いします。
〇前川健康国保課総括課長 ビッグデータの集積につきましては、35保険者からデータを取得しております。市町村や協会けんぽなどからデータをいただきまして、現在、4、100万件ほどのデータ集積を行っているところでございます。
〇柳村一委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇柳村一委員長 質疑がないようでありますので、これで保健福祉部関係の質疑を終わります。
 保健福祉部の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。
 次に、医療局長に医療局関係の説明を求めます。
〇小原医療局長 認定第12号、令和4年度岩手県立病院等事業会計決算につきまして御説明申し上げます。
 県立病院等事業の運営に当たりましては、事業の効率的な運営と経営の健全性に配意しながら、公的医療機関としての使命である地域医療の確保と保健衛生の向上に努めてきたところです。
 令和4年度におきましても、新型コロナウイルス感染症に係るPCR検査や患者の入院治療などにしっかりと対応するとともに、良質で効率的な医療提供体制と、これを支える持続可能な経営基盤の確立のため、岩手県立病院等経営計画(2019〜2024)のもと、多様な取り組みを展開してきたところです。
 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけがことし5月に5類となった以降も、患者の受診控え等の傾向や、病院内での感染拡大により、平時の診療体制への移行が困難な状況が続いており、また、給与費の増加や燃料費等の物価高騰により、支出の拡大が続いている中、新型コロナウイルス感染症関連補助金の減少等もあり、依然、厳しい経営環境に置かれているところです。
 こうした状況ではありますが、今後におきましても、新型コロナウイルス感染症への対応と通常診療の両立に取り組むとともに、収益の確保や効率的な費用の執行など各種取り組みを進め、安定した経営基盤の確立を図りながら、県民に良質な医療を持続的に提供できるよう努めてまいります。
 それでは、お手元の決算書に基づきましてその概要を御説明いたします。決算書の7ページをごらん願います。
 まず、決算報告書の収益的収入及び支出ですが、収入の第1款病院事業収益の決算額は、表の右から3列目、1、201億5、100万円余、支出の第1款病院事業費用の決算額は、表の右から4列目、1、178億700万円余です。
 8ページに参りまして、資本的収入及び支出ですが、収入の第1款資本的収入の決算額は、表の右から3列目、139億8、600万円余、9ページに参りまして、支出の第1款資本的支出の決算額は、表の右から6列目、205億3、300万円余、繰越額は7億1、100万円余です。
 なお、資本的収入額が資本的支出額に不足する額88億8、300万円余につきましては、過年度分損益勘定留保資金などで措置するものです。
 次に、損益計算書について御説明申し上げます。
 11ページをごらん願います。上から5行目、経常利益では26億700万円余、純利益では23億3、700万円余となり、黒字決算となったものです。
 このことにより、当年度累積欠損金は392億8、400万円余となりました。
 なお、12ページ以降の剰余金決算書等につきましては、説明を省略させていただきます。
 以上で医療局関係の説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇柳村一委員長 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。
〇神崎浩之委員 この4年間、県立病院の皆様には大変お世話になりまして、何とか岩手県もここまで来たと思っております。しかし、県立病院にクラスターが発生するということもありまして、いまだに神経を使ったお仕事をされていると思っております。感染対応もそうですけれども、日常生活も、自分も感染しないようにということ、家族にも感染させないようにということで、小さい子供さんがいる職員については、熱があれば、まず検査してから出勤などという状況がいまだにあるということで、今後も医療局としてもフォローしていただきたいと思っております。
 私は、県立病院における医師の確保、配置、異動について、今後、確保も重要ですが、配置も重要ということで、まずは大学病院の医局からの派遣医師の数と割合、それから、それ以外の医師の状況についてお伺いしたいと思います。
〇尾形健也医師支援推進監 県立病院における大学派遣医師の状況についてでありますが、令和5年4月1日現在、県立病院に勤務する正規医師661人のうち、大学派遣医師数は498人であり、全体に占める割合は75%となっております。一方、大学医局に属さない医師は163人となっております。
〇神崎浩之委員 いろいろな職場があるわけですけれども、社長が社員の配置についてある程度コントロールできるところがあるのですけれども、この業界は、そういうこともなかなかままならない。結局、498名の方は、医療局というよりは派遣元の教授の思いがあってということがあって、そういう意味からも、やはり偏在化はあると思います。今、偏在化と言うと、診療科の偏在化が言われておりますけれども、地域の県立病院の配置の偏在化というのも、やはり影響があると思っております。
 次は、県外出身の医師の割合はどの程度なのか。できれば、他県出身の医師が、どういう理由で岩手県で働いてくれているのかということと、それから、その定着具合がもしわかれば、感覚的な話でいいのですけれども、教えていただきたいと思います。
〇尾形健也医師支援推進監 県外出身の医師の割合についてですけれども、採用時の履歴書から確認できる範囲での出身高校に基づき集計しますと、県内が47.4%、県外が34.3%であり、残る18.3%が未確認の状況になっております。
 定着率の前に、県内勤務の理由というところですけれども、奨学金養成によりまして、県内の勤務要件が求められておりますので、それによって一定程度県内での勤務が求められているということ。それから、そういう義務履行により勤務された医師が、義務履行終了後どれくらい残っているかといいますと、それは50%近い医師が県内に定着しているという状況でございます。
〇神崎浩之委員 質問は、県外出身者の方が岩手県で働いていただいているのは非常にありがたいので、なぜ岩手県で働いていただいているのかという質問だったのです。これは、今なかなかわからないと思いますけれども、一つは岩手医科大学というのもあるのか。いろいろな県立病院に行くと、岩手県にはない名字の先生方が結構いて、ありがたいと思っているのです。岩手医科大学は私立ということもあって全国から来ておりますので、逆に言えば、そういう方にある程度頼っておりますので、離れられたら困ると思っているのですが、そういう意味でもう一度、県外の方で岩手県で働いている方々が岩手県に残っている理由を聞きたいのですけれども、いかがですか。
〇竹澤医師支援推進室長 先ほど神崎浩之委員から岩手医科大学のお話がございました。岩手医科大学の入学者のうち、県内出身者の割合は大体2割程度で、8割ぐらいの方が県外から来ていただいている方でございます。そういう方々が臨床研修を経て専攻医となって、県立病院で多くの方が勤務していただいていると考えております。
 そういう方々が、県立病院に、そして、岩手県に定着していただけるように、奨学金養成医師に関しては、毎年面談をして、状況をお伺いし、定着していただくように働きかけを行っているところでございますし、また、長く住んでいただければ、岩手県の魅力を知っていただけると思いますので、定着に向けた取り組みを強化していきたいと考えております。
〇神崎浩之委員 次に、主な派遣大学と人数、それから、あわせて自治医科大学の割合は、例えば、県立病院の中で、この10年間ぐらいでふえているのかどうかお伺いします。
〇尾形健也医師支援推進監 県立病院における主な派遣大学と人数でございますが、令和5年4月1日現在、派遣されている正規医師数は、岩手医科大学が308人、東北大学が175人、その他の大学が15名という状況でございます。
 また、県立病院における自治医科大学出身医師についてでありますが、令和5年4月1日現在で、在職する本県出身の自治医科大学卒業医師数は44人、正規医師総数に占める割合は6.7%という状況でございまして、この10年間では6%台から8%台で推移しているところでございます。
〇神崎浩之委員 次に、岩手医科大学以外からの医師派遣は減っているのかどうか。東北大学が引き揚げて、その穴埋めとして岩手医科大学の医師がふえていっているのかということで、以前には、県立中部病院の産科で東北大学が引き揚げたとか、今は、県立磐井病院の泌尿器科も、今まで東北大学だったのですが、ぼちぼち岩手医科大学もふえているようですけれども、その点についてお聞きしたいと思います。
〇尾形健也医師支援推進監 岩手医科大学以外からの医師派遣の状況についてでございますが、医局に属する医師は近年増加しておりまして、東北大学の医局からの派遣医師においても増加している状況にございます。
 また一方で、一部の診療科の医局においては、医師数の絶対数が不足していることにより、こちらからの要望に対して十分な派遣ができないなど厳しい状況にあると、医局側から聞いているところでございます。
 神崎浩之委員がお話しされました県立中部病院の産科また県立磐井病院の泌尿器科のような、医局が切りかわる、派遣大学が切りかわるという事例は、現在はございません。
〇神崎浩之委員 県立磐井病院の泌尿器科はそうですか、どうですか、もう一回聞きます。
 いいことか悪いことかはわからないのですけれども、医療の業界は白い巨塔の世界なのです。そんなこともあって、県立病院のこの診療科は東北大学だけとか、岩手医科大学の人が行きたくても行けないとか、逆の例もあったりして、それが東北大学のほうもなかなかコントロールができなくなってきて、どんどん岩手県から撤退するようなところもあって、県立中部病院の産科も含めてお話ししたとおりであります。そういうこともあるのですが、今は、県立病院の中で、こういうことはどうなのでしょうか。お聞きしたいと思います。
〇尾形健也医師支援推進監 神崎浩之委員からただいま御紹介のございました、県立磐井病院の泌尿器科の状況ですけれども、平成30年4月には東北大学から2人の医師が派遣されておりまして、その後、令和2年度までの間、2人の体制でございましたが、内訳として、東北大学から1名、岩手医科大学から1名の体制で診療を行ってきております。令和3年4月からは、岩手医科大学からの2名の派遣で診療を行っている状況でございます。
 診療科による各大学からの派遣状況でございますけれども、現在、奨学金養成医師の義務履行も進み、その義務履行先の病院として、東北大学、岩手医科大学それぞれ系列病院、診療科がございますけれども、できるだけその義務履行が果たせやすいように、これまで派遣されてなかった病院についても、できるだけ派遣しやすいようにということで、大学、医局とも交渉を進めながら、相乗りといいますか、例えば岩手医科大学、東北大学双方が派遣して診療体制を担うというような状況もできております。
〇神崎浩之委員 例えば岩手医科大学でも、八戸病院に行けと教授から言われるとか、逆に、優秀だから大学に残れという話もあるようで、医療局としても、本当はもう少し県立病院にという気持ちもあるでしょうけれども、そんなことも含めて、うまくやっていただきたい。いい意味もあるし、悪い意味もあるし、うまくやっていただきたいと思います。
 次に、岩手県保健医療計画と県立病院についてですが、これから岩手県保健医療計画を策定するということであります。二次保健医療圏でやっておりますけれども、それと県立病院のかかわりはどういうふうにしていくのかお聞きしたいと思います。圏域でやりますよね。圏域というのは県立病院だけではないので、その中で、医療局の方針もあるでしょうし、岩手県保健医療計画もあるでしょうし、これはどういうふうにしていくのか。
〇熊谷経営管理課総括課長 岩手県保健医療計画につきましては、医療法に基づきまして、県の医療提供体制の確保を図るため、保健医療圏の設定とか、がん、脳卒中等の5疾病6事業及び在宅医療の医療体制、医師を初めとする医療従事者の確保等について定められております。
 この中で、県立病院につきましては、僻地医療とか、救急医療、小児医療、高度、専門医療など、採算性等の面から、民間医療機関の提供が困難な医療、それから、圏域の実情を踏まえまして、初期救急、それから、プライマリ・ケアなどの地域住民に必要な医療を提供する役割を担うものとされております。
 医療局におきましては、岩手県保健医療計画のこうした内容を踏まえまして、各病院が担うべき役割、機能を明らかにしていくとともに、医療従事者の育成、確保、それから、患者中心の安全、安心な医療の提供、持続可能な経営基盤の確立に向けた取り組みにつきまして、経営計画に策定して、県立病院の運営を行っているところでございます。
〇神崎浩之委員 今は県立病院の維持についていろいろ考え方があって、知事選挙の中でも、維持か集約かという話もあったのですが、現在、20の県立病院、それから診療センターと28ぐらいの病院があるわけですけれども、今度の岩手県保健医療計画の中で、医療局とすれば、この28の病院は残していきたいと思っているのかどうかをお聞きしたい。
〇熊谷経営管理課総括課長 広大な県土を有する岩手県におきましては、先ほども申し上げましたけれども、採算性、人材確保の面から、民間医療機関の立地がなかなか難しい地域も多くございまして、このような地域におきまして、県立病院が高度、専門的医療に加えまして、初期医療等についても担っている現状がございます。
 また、今般の新型コロナウイルス感染症への対応におきましても、令和4年度は県内の入院患者の6割以上を担うということで、公立病院として大きな役割を果たしてきたところでございます。
 医療局といたしましても、当面、この県立病院のネットワークを生かしながら、人口減少や医療需要の動向、医療の高度、専門化などの環境の変化に応じた役割や機能の見直しを図りながら、県全体の医療提供体制の中で、県立病院として求められる役割を果たしていく必要があると考えております。
〇神崎浩之委員 ハイボリュームセンターについてですが、そもそも持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の中で、県立病院のあり方として、基幹病院を統合して、症例数や手術数が多い病院のハイボリュームセンターの整備を検討したらいかがかというところからスタートしていると思うのですけれども、代表質問、一般質問、それから、総括質疑、先ほどの保健福祉部審査でもわからないのですけれども、ハイボリュームセンターという施設を建てるのではなくて、今ある県立病院にそういう機能を集約するということでいいのでしょうか。
〇熊谷経営管理課総括課長 ハイボリュームセンターのあり方につきましては、今神崎浩之委員がおっしったように、限られた医療資源を効率的に活用し、県内で高度、専門的な医療を安定的に提供していくため、まずは、がんや脳卒中など疾病ごとに、既存の中核的な病院に、疾病、事業別医療圏の設定等に対応した一定の機能集約を図って、疾病ごとに症例数、手術件数の確保を図るということを検討してまいりたいと思っております。
〇神崎浩之委員 新たにハイボリュームセンターをつくるようなイメージを持っていたのです。ところが、先ほどの保健福祉部の答弁を聞いていても、どうやらそうではないようだということがわかって、今、確認したのですが、そういうハイボリュームセンターをつくるということではなくて、今ある県立病院ということでいいのだとわかりました。
 それから、持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会では、基幹病院を統合しという言葉もあったのですけれども、これはどういうことですか。今ある基幹病院、さっき20病院とか28病院とか、私もお話ししたのですが、その点について教えていただきたい。
〇熊谷経営管理課総括課長 基幹病院につきましては、現在も策定が進められておりますけれども、岩手県保健医療計画における医療圏ごとの中核病院として、県立病院が設置しております、保健医療圏の中での関係において基幹病院が設置されていくと考えております。
〇神崎浩之委員 もう一つ、2次医療圏と手術数と症例数の新たな医療圏のくくりについて、九つの2次医療圏がありますね。それと、今度のハイボリュームセンターの疾病別の医療圏と、この整理を教えていただきたいと思います。
〇熊谷経営管理課総括課長 2次医療圏につきましては、身近な医療を提供する単位として、岩手県保健医療計画で定められております。現在、議論が進められている、岩手県保健医療計画の中で進められている疾病、事業別医療圏につきましては、2次医療圏で身近な医療を提供するといったことをさらに超えた、高度な医療、これにつきましては、さらに大きな単位での考え方が必要であるという考え方のもとに、今、保健福祉部等において議論がなされていると理解しております。
 新たに設定される疾病、事業別医療圏といったものに対応することも含めて、症例数や手術件数を確保するための機能集約を図っていくことが、先ほど来申し上げておりますけれども、ハイボリュームセンターに向かう形で、まずはやっていく第一歩と考えております。
〇斉藤信委員 それでは最初に、新型コロナウイルス感染症の第8波、第9波に、県立病院はどう対応したのか。入院患者数、そして、県立病院のクラスターの発生や休業者数の状況などを示してください。
〇佐藤医事企画課総括課長 新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れるため、フェーズに合わせて病床を確保しており、県立病院においては、6病院22床を配置している感染症病床を含め、9月までは最大で20病院237床、10月からは最大で17病院141床を確保しているところです。
 入院患者数については、令和4年11月1日から令和5年1月31日の間に1、543人、令和5年7月1日から令和5年9月30日までに538人(後刻「583人」と訂正)を受け入れてきたところであり、第8波では、延べ患者数で県全体のおよそ6割、いわゆる第9波ではおよそ4割を県立病院で受け入れてきたところであります。
〇宮参事兼職員課総括課長 県立病院のクラスター発生状況についてでありますが、令和4年2月から現在まで63件のクラスターが発生しており、そのうち令和4年11月から令和5年1月までに21件、令和5年7月から令和5年9月までに12件発生しております。
 次に、職員の休業者数の状況についてでありますが、第8波においては、令和4年12月13日に1日当たりの休業者数が最大の293人となり、また、いわゆる第9波においては、令和5年8月29日に1日当たりの休業者数が最大の169人となっております。なお、直近の休業者数は30人程度となっております。
〇斉藤信委員 第8波、第9波で、県立病院が大変重要な役割を果たしたことを評価したいと思います。
 県立病院の充実強化とハイボリュームセンターの問題について私もお聞きしたいのですけれども、この間の議会での答弁を見ますと、ハイボリュームセンターは、今ある中核病院に、機能、人材を集約する、これが一つ。
 あともう一つは、新たな岩手県保健医療計画で、三つの疾病で新たな医療圏をつくると。ここでつくられるものがいわゆるハイボリュームセンターという位置づけになるのかどうかを示してください。
〇熊谷経営管理課総括課長 ハイボリュームセンターにつきましては、今お話しいただきましたように、県内で高度、専門的な医療を安定的に提供できる体制を確保していくため、まずは中核となる病院に、疾病、事業別医療圏の設定等に対応して、一定の機能集約を図って、症例数や手術件数等を確保していくといったことを検討したいと思っております。
〇斉藤信委員 そうすると、ハイボリュームセンターは1カ所ではなくて、数カ所ということで理解していいのですか。
〇熊谷経営管理課総括課長 具体的に、どういった病院にどういった機能を集約していくかということにつきましては、現在、検討されております次期岩手県保健医療計画における疾病、事業別医療圏の設定等を踏まえながら、検討してまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 わかりました。
 次に、県立大船渡病院における看護師の超過勤務が、今年度に入って、総看護師長がかわったら激減した問題について取り上げたいと思います。
 4月から総看護師長がかわったら超過勤務の申請が認められなくなったという問題が続出しています。私にも直接訴えがありました。
 岩手県医療局労働組合の本部、支部からも、医療局にその実態と解決の要請が出ていると思いますけれども、医療局長、どういうふうにこの問題を把握していますか。
〇小原医療局長 県立病院では、職員の負担軽減やワークライフバランスの確保、健康保持を図るため、超過勤務の縮減に向けたさまざまな取り組みを進めており、県立大船渡病院におきましても、鋭意、取り組みを進めているところでございます。
 県立大船渡病院におきましては、超過勤務の申請が認められなくなったということはございませんが、職員団体等から超過勤務の申請がしづらい雰囲気があるというような話を受けております。
 時間外に行った業務に対する手当は適切に支払われるべきものでありまして、申請されていないものがあるのであれば、その状況を確認した上で、必要な対応を行うよう、病院と調整しながら進めているところであります。
〇斉藤信委員 本当に切実な声は後で紹介しますが、昨年度4月から8月まで、1人当たりの看護師の月平均超過勤務時間は10.8時間でした。今年度に入ったら3.5時間、これは激減ですよ。この激減した理由は何ですか。
〇宮参事兼職員課総括課長 超過勤務の減少の理由についてでありますが、まず、患者の動向といたしまして、令和5年4月から9月までの入院患者数、外来患者数ともに減少しておりまして、業務負担が減る要因の一つと考えており、看護師のほか医師の超過勤務についても減少しているところです。
 また、県立大船渡病院では、長時間労働の是正や休憩時間の確保など、法令遵守の徹底を初め、今年度から、職員のワークライフバランスや健康保持を図るため、業務による職員の拘束時間を必要最小限にすること、次の勤務時間までのインターバルを十分に確保することを目指し、多種多様な業務改善の取り組みを進めております。
 具体的には、休憩時間を確実に取得するため、外来部門は診療科を越えて応援する体制へ見直しております。また、翌日の手術、検査、処置の予定に合わせた出勤時間の調整、遅出勤務の開始とか、あとは、電子カルテをベッドサイドでリアルタイムに入力する、あるいは、夕方、終業時刻前後の業務を見直して、拘束時間の減少等々を進めているところでございます。
〇斉藤信委員 長々と、あまり事実と異なることを言わないでください。いいですか。患者数が減少しているのは、全県共通していますよ。全県どうなっているかというと、去年の4月から8月までは、1人当たり10.3時間、ことしは9.1時間、この程度です。
 県立大船渡病院が激減しているという理由にならないのです。そこで、看護師の実態はどうなっているのか紹介しましょう。それはあなた方にも伝わっている中身です。
 4月は、超過勤務の申請をしていない。業務量が多く、置いて帰れないので、退勤した形で働いている。総看護師長が新しくなり、超過勤務申請を差し戻されている。超過勤務していても、圧力が強過ぎて超過勤務申請できない状態にある。超過勤務を申請しても差し戻されて取り消される。4月になってから早く帰れと圧力がすごい。患者数が変わらず業務内容が減っていないのに、早く仕事が終わるわけはない。看護師は椅子に座って記録するな、デスクトップを使用するなという発言があって、パワーハラスメントと感じ、不快な思いをしながら仕事をしている。
 これは看護師の生の声ですよ。いいですか。看護師は、業務量は変わってないと言っている。業務量は変わってないけれども、この総看護師長は3年前、県立遠野病院で超過勤務申請させないで大問題になった。私は、ここで何回も取り上げました。
 聞きますけれども、遠野病院問題は、労働基準監督署にも訴えられて、何人に幾らの不払い超過勤務手当が支払われましたか。
〇宮参事兼職員課総括課長 県立遠野病院における未払いの超過勤務の総額でございますが、支給人数が87人で、総額は2、424万8、855円でございます。
〇斉藤信委員 これは、4月から12月までの9カ月分でした。1年分ではないのですよ。9カ月分しか調べなかった。労働基準監督署の指示でもありました。87人と言ったけれども、看護師は88人です。88人中87人に2、400万円余が支払われた。この前歴のある総看護師長が3年ぶりに県立大船渡病院に赴任した途端に、4月からこの超過勤務手当が激減しているのです。私は8月まで幾らか改善しているかと思って聞いたら、4月6.5時間、5月3.5時間、6月3.4時間、7月1.9時間、8月2.2時間、看護師から具体的な訴えがあったにもかかわらず、何も改善されてないではないですか。労働基準監督署に訴えられないと、あなた方は本気で調べないのですか。そんなことでいいのですか。
 超過勤務手当が激減した具体的な理由を言ってください。何が減ったのか。
 もう一つ、今はパソコンで始業時間と終業時間がわかります。これはいわゆる勤務時間です。勤務時間分給料、手当を払われていますか。そういう調査をしていますか。
〇宮参事兼職員課総括課長 それでは、超過勤務時間が減少した理由について、すみません、繰り返しになるかもしれませんが、先ほども申し上げましたが、休憩時間を確実に取得するため、外来部門は診療科を越えて応援する体制を見直しております。
 場合によっては、今までは、お昼休みの休憩時間についても超過勤務になっていたところもございますが、そちらは応援体制をしくことによって十分休憩をとれるようになったとか、先ほど途中になりましたが、患者の看護記録を、ノートパソコンによりベッド脇で、リアルタイムで入力するなどの動線の見直しを図りました。今までは、どちらかというとベッドサイドでやった業務を、ナースセンターに戻ってから入力するということがございましたが、そうではなくて、ベッドサイドでそのまま入力するということで、看護師の動線も改善されたとか……(斉藤信委員「いいですよ。そんなことだったら答えにならない」と呼ぶ)
〇斉藤信委員 私が聞いたのは、始業時間と終業時間、この分きちんと給料、手当が払われているかと聞いたのですよ。超過勤務の申請が出された分しか払ってないのではないですか。違いますか、はっきり答えてください。
〇宮参事兼職員課総括課長 始業時間と終業時間との乖離の部分についてでありますが、勤務時間については、令和3年度から勤務管理システムを導入しておりまして、出退勤時刻と勤務時間の記録を客観的に把握しているところであり、乖離部分については、業務による在院か、業務外による在院かを、随時、確認しております。
 また、超過勤務については、事前に命令して、事後に確認するという手続の原則に基づき、必要な超過勤務についてはしっかりと認めているほか、事後報告についても、確認の上、適切に進めております。
〇斉藤信委員 あなた方ね、県立遠野病院のときもそう言ったのです。結局、超過勤務の申請ができなかった。しかし、労働基準監督署が入って、今の乖離の部分はみんな勤務時間で基本的には認められたのです。
 改めて、聞きます。乖離はどのぐらいありましたか。勤務時間と給料、手当が払われた時間の乖離はどのぐらいありましたか。そういう調べ方をあなた方はしていますか。超過勤務申請された分しか手当を払ってないのではないですか。この2点に答えてください。
〇宮参事兼職員課総括課長 超過勤務申請されたものは、適切にお支払いしております。(斉藤信委員「当たり前だろう」と呼ぶ)乖離の部分については、先ほど申し上げたとおり、勤務管理システムで管理しておりまして、病院にいる時間が業務なのか業務外なのかをしっかり確認しているところでございます。
 当たり前と斉藤信委員はおっしゃいましたが、超過勤務については、事前命令を原則としておりまして、そちらについては、本人から申告した分については、しっかり事後確認して、適切に支給していますし、あるいは救急患者等の対応で、そのときにどうしても事前に命令できない場合については、事後の申告によってその業務内容を確認して、適切に支給しております。
〇斉藤信委員 看護師は超過勤務が申請できないと言っているのです。申請したら差し戻されると。だから、もうやらなくなっているのです。
 この総看護師長は、県立遠野病院と同じなのですけれども、県立遠野病院のスタッフは精神的に追い詰められて退職したのに反省してないのか。県立遠野病院は23人辞めました。辞めさせられました。超過勤務を総看護師長に報告する看護師長たちが疲弊している。総看護師長が看護事務所でどなっているのを見た職員がいる。パワーハラスメントだ。総看護師長が音頭を取って、そんな超過勤務を何で認めるのだとどなる声が廊下に聞こえていると言うのです。こうやって必要な超過勤務が申請できないから、超勤手当がこんなに激減するわけです。総看護師長が言ったら、4月、5月、6月と、業務改善効果の効果が出ると思いますか。出るわけがないでしょう。業務改善というのは、看護師が理解、納得して初めて進むのです。総看護師長の鶴の一声で業務改善が進むわけがないではないですか。私は、看護師のリアルな声を本当に聞いてほしい。総看護師長も事務局長も同じだった県立遠野病院と同じ轍を踏んでいいのか。だから、冒頭、私は医療局長に聞いたのです。
 医療局長、いいですか。あなた方の説明で、4月から突然こんなに超過勤務手当の支給が激減すると考えられないでしょう。県立遠野病院もそうだったのです。同じ看護師長が赴任した途端に超過勤務手当が激減した。本当は2年間激減したのです。調査は1年、実際には9カ月だった。それで2、400万円ですよ。始業時間と退勤時間、基本的に勤務時間ですよ。忙しい看護師が残って別なことをやるなど考えられない。早く家に帰りたい。基本的に業務ですよ。
 労働基準監督署が入ったら、みんな勤務になりますよ。だから、職員課長が、そんなことを業務であるかないかなんて言い訳をしていたら、この問題は解決しないし、こういうパワーハラスメント、超過勤務を認めない総看護師長を擁護したら、また県立遠野病院の二の舞になりますよ。
 最後に、医療局長、あなたが責任持って、この問題を早期に解決すべきだ。そうしなかったら、県立遠野病院と同じように、犠牲者が出ます。辞めざるを得ない人たちが出ます。絶対に出してはならない。答えていただきたい。
〇小原医療局長 超過勤務につきましては、事前に命令して事後に確認するという手続の原則に基づきまして、必要な超過勤務はしっかりと認め、事後報告についても、確認の上、進めているところでございます。
 日ごろから、業務の内容の把握、調整など適切なマネジメントを行い、職員の負担軽減や、ワークライフバランスの確保、健康保持等につなげていくことが重要であると考えております。
 引き続き、職員の理解と共感を得ながら、働きやすい職場環境づくりに向けて取り組んでまいりたいと考えています。
〇佐藤医事企画課総括課長 私の先ほどの答弁の中で、令和5年7月1日から令和5年9月30日までの間、受け入れた患者数ですが、538人と答弁いたしましたが、正確には583人の誤りでした。
 申し訳ございません。訂正をお願いいたします。
〇高田一郎委員 まず、医師、看護師の確保状況について質問いたします。
 まずお聞きしたいのは、県立病院の経営計画から見て、医師確保はどのような状況になっているのでしょうか。
〇尾形健也医師支援推進監 経営計画に対する医師確保の状況についてでありますが、令和元年度から令和6年度まで76人、そのうち令和5年度までに59人増員する計画に対し、令和5年度までの実績は、計画を18人上回る77人の増員となっております。
〇高田一郎委員 計画は59人増員に対して77人増員ということで、地域医療のいろいろな課題とか、医師の働き方改革とか、そういうことから考えますと、まだまだ医師は必要ですけれども、いずれ、経営計画から見て増員になっていることは評価したいと思います。
 次に、看護師の確保対策についてはどのような状況になっているのでしょうか。
〇宮参事兼職員課総括課長 経営計画に対する看護師確保の状況についてでありますが、令和元年度から令和6年度までに45人、そのうち令和5年度までに41人増員する計画に対し、令和5年度までの実績は計画を3人上回る44人の増員となっております。
〇高田一郎委員 これは、令和元年から令和3年ですか。今、正確に聞こえなかったのですが。
〇宮参事兼職員課総括課長 令和元年度から令和6年度までに45人、そのうち令和5年度までに41人増員する計画に対し、令和5年度までの実績は、計画を3人上回る44人の増員となっております。
〇高田一郎委員 41人の増員の計画に対して3人上回ったということです。これは5年間ですけれども、そもそも経営計画の中で看護師の増員があまりにも少ない計画だったのではないかと思うのです。新型コロナウイルス感染症の感染拡大における医療現場の状況を振り返ってみるときに、反省点として、この計画自体がどうだったのかということが問われると思うのですけれども、これについてもお伺いしたいと思います。
 昨年は、第7波、そして、第8波と2回の波が起こりまして、医療提供体制を見直して、検査や手術を延期せざるを得ない状況になりました。また、かなりの応援体制をしいて、地域医療を守る、そういう中で、本当に大変な思いをしながら看護師は頑張ったと思います。ここにしわ寄せが来たのが看護師の長時間労働だったのではないかと思います。
 それで、お伺いしたいのですけれども、月夜勤8日を超える夜勤者の状況と、そして、解決に向けた取り組みはどうだったのかについて示してください。
〇宮参事兼職員課総括課長 まず、高田一郎委員お尋ねのコロナ禍の関係で看護師をもっとふやせばよかったのではないかという御質問については、先ほど申し上げた経営計画外で、新型コロナウイルス感染症対応のために県立病院の4圏域にそれぞれ8名ずつということで、32名増員しているところでございまして、現在も、その増員体制をしいておりまして、応援等で御活躍いただいているというところでございます。
 次の御質問の看護職員の月8回超えの夜勤者の状況と、解決状況でございますが、月8回超えの夜勤に従事した看護職員の数は、令和4年度においては、15病院で延べ1、715人となっており、令和3年度と比較して、延べ18人減少しております。
 また、令和5年度につきましては、第1四半期までの実績で、13病院、延べ356人となっており、令和4年度の同じ時期と比較して、延べ131人減少しております。
〇高田一郎委員 月8日夜勤について、令和3年度は1、733人、令和4年度は1、715人ということで、若干減少しているという説明がありました。
 本来、この1、715人という数字自体がやはり驚くような数字なのではないかと、そういう立場で対応していかなければならないのではないかと思います。
 約30年前に看護師等の人材確保の促進に関する法律がつくられましたときに、看護師の夜勤はどうあるべきかというのが議論されて、それは、健康面、安全面を考慮して月8日以内と。本当に住民の命を守る最前線で働いているわけですから、看護師そのものが健康で安全に働かなければならないという背景でそういう法律がつくられたわけです。
 30年たっても1、715人。これは重く受けとめて、それを改善するような取り組みが必要だと思うのですけれども、その点についてどのようにお考えなのか。
 それから、もう一つ、看護師の問題では、退職状況についてお伺いしたいと思います。看護職員の普通退職の状況と、年代別、退職の理由、これを具体的に示してください。
〇宮参事兼職員課総括課長 まずは、月8回超え夜勤の解決に向けた現状の取り組みでございますが、医療局においては、これまでも、育児休業取得者等の代替職員の正規職員による配置、例えば令和5年度ですと、324人措置していますが、あとは夜勤専従などの多様な勤務形態も導入しております。また、病児保育の導入などによる院内保育の充実などに取り組んでおります。
 また、採血業務の臨床検査技師への移管などのタスクシフティングも推進しております。加えて、外部専門家を通じた業務の見直しなどにより、職員の負担軽減を図る取り組みを進め、離職防止や新採用職員の確保を図るとともに、業務の繁閑に応じて、県立病院間で相互応援を行うなど、看護職員の夜勤回数の抑制に向け取り組んできたところでありまして、引き続き、職員をしっかり確保して、夜勤回数の抑制に向けた取り組みを推進してまいりたいと思います。
 続きまして、普通退職の状況でございます。令和4年度の普通退職者は93名となっております。前年度と比較して9名の減となっているところであり、年代別で見ると、20代が41名、30代が29名、40代以上が23名であり、いずれの年代も、結婚や家族の介護等、家庭事情による理由が多数となっているところであります。
〇高田一郎委員 夜勤の問題についての改善にいろいろ取り組んできているということでありますけれども、結果として、まだ1、715名いるということを、看護師等の人材確保の促進に関する法律が制定された原点に立ち返って、これをなくす取り組みに全力を挙げて取り組んでいただきたいと思うのです。全体の退職は150人という資料をいただきました。150人のうち、定年退職が35人、勧奨退職が22人、普通退職が93人。これは、退職の中で一番多いのが普通退職です。普通退職というのは、20代、30代、40代です。これは何も令和4年度だけではなくて、この5年間の数字を見ても、例えば平成30年度には、定年退職17人、普通退職109人、令和元年度は、定年退職26人、普通退職が85人、令和2年度が、定年退職が28人に対して普通退職79人、令和3年度は、定年退職26人に対して普通対象102人と、過去5年間を見ても一番多いのが普通退職です。
 全体の定年退職に占める若い人たちの退職が6割から7割、これがずっと続いているわけです。その理由が、先ほどお話あったように、結婚とか家庭の事情、あるいは介護ということですけれども、それは、結婚しても働き続けられる、あるいは家族の介護をしなければならない、そういう家族がいても働き続けられるような職場環境をつくっていくことが必要だと思います。
 若い看護師が、夢と希望を持って命を守る最前線で頑張りたいという意欲を持って県立病院に就職したけれども、5年、10年もしないうちに辞めていく。そういう若い看護師がたくさんいるということだろうと思います。私は、これは、看護師そのものが少なくて、仕事が本当に過重になっているというところに根本原因があると思うのです。この普通退職というのは、本当に解決しなければならない課題だと思うのですけれども、この改善について、どのように考えているのか、その対応方針について伺います。
〇宮参事兼職員課総括課長 普通退職看護師の離職防止の取り組み状況ということでございますが、夜勤専従や2交代制勤務を含む特殊交替制など、多様な勤務形態の導入、あるいは、先ほど申し上げましたが、病児保育を導入した院内保育の充実、子育てに係る特別休暇の改正や見直し等により、職員のワークライフバランスの向上を図っているところでございます。
 また、働きやすさ確保のため、環境改善としては、産前産後休暇、育児休業取得者に係る代替職員の確保及び適正配置に努めているほか、新採用職員の育成及び離職防止のため、教育専従看護師を九つの基幹病院に配置しております。
 加えて、職員のメンタルヘルスケアにおきましては、ストレスチェックの早期実施や復職支援プログラムの運用支援のほか、個別カウンセリング等のメンタルヘルス支援事業に積極的に取り組んでいるところでございます。
 また、ハラスメント防止対策におきましては、令和3年度から、本庁相談窓口に弁護士を加えて、相談体制の強化を図ったほか、外部講師による健診を充実させ、ハラスメント防止の意識醸成を図っているところでございます。
 あらゆる取り組みを進めながら、引き続き、看護師確保、離職防止を図り、また、若い次世代の看護師を目指す方々には、選ばれる県立病院を目指して、さまざま取り組んでまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 普通退職の問題を質問しましたけれども、昨年の6月実施の看護職員に係る採用状況を見ますと、応募が177人に対して採用予定が136人、実際採用されたのが104人という数字であります。採用が予定されても、みんなが就職しているわけではない、なかなか選ばれないというか、ほかの病院に行ってしまうということではないかと思うのです。
 県立病院で働いて本当によかったというような職場環境をつくっていく。そういう努力と、それから、何よりも看護師自体が少ないという問題を解決していかなければならないのではないかと思います。
 日本医療労働組合連合会が令和5年5月1日に、労働実態に関する調査を公表いたしました。それによりますと、新聞でも報道されたのですけれども、アンケートに答えた8割―これは大規模な調査です―の看護師が辞めたいと思いながら働いている。約6割の看護師が、人手不足で仕事がきついと答えています。
 5類感染症に移行してからも、新型コロナウイルス感染症対策は引き続き同じような対応を続けているわけですから、このアンケート結果を重く受けとめて、職場環境の改善、そして、何よりも、この少ない看護師を増員するという対応が必要ではないかと思いますけれども、最後に、医療局長に答弁いただきたいと思います。
〇小原医療局長 看護師の増員につきましては、経営計画に基づきまして、引き続き、育児休業等取得者の代替職員の確保など、必要な体制整備を図っていきたいと考えております。
 また、ワークライフバランスの充実にも努めているところでございまして、引き続き、業務負担の軽減や、離職防止を図りながら、働きやすい職場づくりに努めてまいりたいと考えております。
〇柳村一委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇柳村一委員長 質疑がないようでありますので、これで医療局関係の質疑を終わります。
 医療局の皆さんはお疲れさまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時2分 散会

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