令和5年9月定例会 決算特別委員会会議記録

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令和5年10月25日(水)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 昆 野 岳 晴
議事管理担当課長 藤 平 貴 一
主任主査 佐 藤 博 晃
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 及 川 雄 也
主査 阿 部 真 人
主査 堀 合 俊 彦
主査 三 浦 訓 史
1説明員
ふるさと振興部長 熊 谷 泰 樹
副部長兼ふるさと
振興企画室長兼
県北・沿岸
振興室長 菅 原 健 司
参事兼
市町村課総括課長 中 村 佳 和
地域振興室長 熱 海 淑 子
国際室長 菊 池   孝
交通政策室長 渡 辺 謙 一
科学・情報
政策室長 藤 原 由喜江
ふるさと振興
企画室企画課長 大 内   毅
学事振興課
総括課長 本 多 牧 人
調査統計課
総括課長 岡 部 春 美
地域企画監 千 葉 敬 仁
特命参事兼
地域振興課長 山 本 洋 樹
県北振興課長 竹 花 光 弘
地方路線対策監 中 嶋 英 俊
地域交通課長 山 田 智 幸
空港振興課長 藤 島   修
科学技術課長 佐 藤 光 勇
デジタル推進課長 古 川 健 一

ILC推進局長 箱 石 知 義
副局長兼事業
推進課総括課長 佐々木   哲
企画総務課
総括課長 菅 原 健 司
企画総務課
企画課長 大 内   毅
企画総務課
管理課長 石 川 一 行
計画調査課長 藤 島   謙

会計管理者兼
出納局長 木 村   久
副局長兼総務課
総括課長 佐 藤 益 子
入札課長 千 葉 三 男
会計課総括課長兼会計指導監 今 雪 博 貴
審査課長 佐 藤 卓 也

人事委員会
事務局長 山 村   勉
職員課総括課長 及 川 有 史

監査委員 五 味 克 仁
監査委員 中 野 玲 子
監査委員事務局長 藤 澤 良 志
監査第一課
総括課長 及 川 博 英
監査第二課
総括課長 佐々木 良 生

警察本部長 高 水 紀美彦
警務部長 天 野 真 弓
生活安全部長 金田一 正 人
刑事部長 中屋敷 修 二
交通部長 吉 田 知 明
警備部長 金 崎 将 樹
警務部参事官兼
首席監察官 熊 谷 秀 一
警務部参事官兼
警務課長 加 藤 秀 昭
警務部参事兼
会計課長 菊 地 哲 志
生活安全部
参事官兼生活
安全企画課長 前 川   剛
刑事部参事官兼
刑事企画課長 藤 林 隆 博
交通部参事官兼
交通企画課長 南 部 一 成
警備部参事官兼
公安課長 高 橋   淳
総務課長 高 橋   淳
交通規制課長 高 橋 紀 彦

財政課総括課長 佐 藤 直 樹
〇柳村一委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、議案第22号、及び議案第23号、以上の17件を一括議題といたします。
 本日は、ふるさと振興部、ILC推進局、出納局、人事委員会、監査委員会、及び警察本部関係について、延べ22人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしました。
 なお、関連質疑については、目安時間を10分とすること、同一部局の審査において、質疑と関連質疑を行う場合は、その日の質疑の目安時間の範囲内とすることにしておりますので、あらかじめ御了承願います。
 また、これまでと同様に、換気のため休憩いたしますので、御協力をお願いいたします。
 初めに、ふるさと振興部長にふるさと振興部関係の説明を求めます。
〇熊谷ふるさと振興部長 それでは、令和4年度のふるさと振興部関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、ふるさと振興部が所管する事務事業の総括的な取り組みと、今後の取り組み方針について御説明申し上げます。
 当部では、東日本大震災津波からの復興への取り組みを着実に実施するとともに、いわて県民計画(2019〜2028)のもと、ふるさと振興や社会基盤の整備など、県民の幸福度向上を図る10の政策分野に基づく施策を推進してまいりました。
 また、三陸や北いわてを初めとする新しい時代を切り拓くプロジェクトの関連事業のほか、DXの推進や関係人口の創出、拡大を図る取り組みなどを積極的に推進してまいったところでございます。
 なお、事業実施に当たりましては、必要に応じ新型コロナウイルス感染症対策を講じながら、効果的な取り組みとなるよう努めてまいりました。
 新型コロナウイルス感染症への対応としては、市町村が地域の実情に応じ実施する新型コロナウイルスワクチン接種輸送事業への補助等を実施したほか、燃料費高騰の影響を緩和するため、公共交通事業者に対する、公共交通の安全で安定した運行の維持の支援等を行ってまいりました。
 今後におきましても、引き続き、政策評価制度に基づく各施策の成果や課題等の検証を行い、その結果を新規施策の展開や既存施策の見直し等に適切に反映させていくなど、より効果的な政策の推進に努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、決算の概要について御説明申し上げます。
 お手元の令和4年度岩手県歳入歳出決算書の18ページと19ページをごらん願います。
 ふるさと振興部関係の決算につきましては、2款総務費のうち、1項総務管理費の一部、2項企画費、4項地域振興費の一部、5項選挙費及び7項統計調査費、それから、20ページと21ページに参りまして、10款教育費のうち、1項教育総務費の一部、それから、22ページと23ページに参りまして、8項大学費、9項私立学校費でございます。これらの支出済総額は194億2、050万円余でございまして、そのうち総務部から13億3、132万円余が移管されております。
 また、翌年度への繰越額は2億1、106万円余、不用額は3億1、885万円余となっております。
 決算の内容につきましては、令和4年度歳入歳出決算事項別明細書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議のほどお願いいたします。
〇柳村一委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事の進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。
〇佐藤ケイ子委員 私からは、市町村の行財政運営について、まずお伺いいたします。
 岩手日報の報道によりますと、管内の市町村の決算、トータルすると3年ぶりに赤字ということで、新型コロナウイルス感染症関連の国庫支出金の減が要因という見出しがございました。令和4年度の市町村決算の概要をホームページから見ておりましたけれども、実質単年度収支の黒字自治体は12市町村、赤字は21市町村、県内合計で70億4、000万円余の赤字ということであります。基金残高は、県内合計2、357億円余で、40億円余の減少となったということが報道されておりまして、ホームページからもそのように見ました。
 それで、この新聞報道に対して、県市町村課の担当課長は、課題に適切に対応しながら、持続可能な財政運営をするよう、県としても助言などを取り組むとしておりますけれども、市町村決算の状況をどのように分析しているかお伺いいたします。
〇中村参事兼市町村課総括課長 市町村決算の分析についてでございますけれども、令和4年度における歳入決算額につきましては、企業の設備投資などに伴い、地方税が増加した一方、臨時財政対策債発行額の減少などにより、前年度比226億円余減の7、885億円余となっております。
 歳出決算額につきましては、佐藤ケイ子委員御指摘の新型コロナウイルス感染症関連の国庫支出金の減に加えまして、子育て世帯への臨時特別給付金などの新型コロナウイルス感染症対応関連の扶助費の減少などによりまして、前年度比182億円余減の7、583億円余となっております。
 また、社会保障費などの経常的な経費の増加に加えまして、新型コロナウイルス感染症への対応や復旧、復興事業の完了に伴う交付金等の精算などに基金を取り崩して対応したことにより、基金残高が減少しておりまして、単年度収支の赤字につながったものと考えております。
 現状におきましては、全ての市町村が実質公債費比率等の健全化判断比率において、早期健全化基準を下回っておりまして、おおむね健全な財政運営を続けていると認識しております。
 県といたしましては、今後も市町村の財政需要を的確に把握し、将来を見据えた適正な財政運営が行われるよう、助言を行ってまいります。
〇佐藤ケイ子委員 今、財政の健全化判断比率を下回っているので、県内市町村は健全に運営されているというお答えでございましたけれども、私が少し気にしておりますのは、将来負担率が多い中で、紫波町とか矢巾町は多いのですけれども、そして、実質公債費比率も高いのですけれども、今まで大きな事業をやってきたとか、今後もそれなりに人口問題についても対応できると思っているのですけれども、実は西和賀町が大変ではないかと思っておりました。
 将来負担率も下がっていませんし、実質公債費比率もますます高くなってきて、本当に大変だと思います。それから、奥州市と八幡平市、これも実質公債比率は高いのですけれども、将来負担比率はそんなに高くないということで、西和賀町については少し注目してほしい、これからも適切な支援をしていただきたいと思っているところでございます。
 それから、次の質問は市町村職員の状況についてお伺いします。
 市町村の全職種職員数は、10年前の平成24年4月は、トータルで1万2、916人。そして、10年たって、令和4年4月は1万2、243人で、673人減少しているようであります。10年間で5%減少しているのですけれども、特に町村職員は10%近く減少しております。その中で、市町村の職員の超過勤務の状況、それから、病気休暇の状況など、把握していますでしょうか。
〇中村参事兼市町村課総括課長 まず、市町村職員の超過勤務の状況についてでございますけれども、市町村職員のうち消防部門、教育委員会の職員、及び会計年度任用職員を除いた一般職員の1人当たりの月平均超過勤務時間数につきましては、令和4年度においては11.9時間となっております。これは令和3年度と同じ時間数でございます。
 次に、市町村職員の病気休暇等の状況についてでございますけれども、令和4年度中にメンタル不調を理由に、1カ月以上病気休暇、または病気休職を取得した職員は全体で291名となっておりまして、市町村職員全体の1.5%程度となっております。
〇佐藤ケイ子委員 令和4年度291人というのは、これは前年度に比較してどうですか。
〇中村参事兼市町村課総括課長 令和3年度につきましては239名となっておりまして、令和4年度は291名ですので、52人増加しております。
〇佐藤ケイ子委員 この病休者がかなり多くなっている。県職員も大変ですけれども、市町村職員も大変な状況でございます。実際には、県の事業を行うには、市町村と一体となって行わなければならない事業が大変多いわけでありまして、この市町村の職員の処遇とか人員配置なども、注目していかなければならないと思っています。
 こういうふうに、職員数が三位一体改革以降ずっと減っているわけですし、さらには給与もすごく減っているのです。この10年間で、月額5、248円減少しているようです。平成24年は月額37万4、000円余り、それから10年後、令和4年4月は36万9、000円余りということで、月で5、200円ぐらい減っております。さらには、社会保険料の負担がどんどん増しておりまして、実質的な手取りというのが非常に苦しい状況になっております。
 地域活性化を担うその根本は市町村の職員でありますので、これからも、ただ職員数が減少すれば、それで効率化が図られるのだという視点ではなく、市町村職員を応援するような形でお願いしたいと思っております。
 そこで、県は市町村行財政コンサルティングということをしているわけです。この実績と課題。それから、総務省のアドバイザー派遣事業というのも活用しているようですけれども、その状況はどうなっているのかお伺いいたします。
〇中村参事兼市町村課総括課長 まず、市町村行財政コンサルティングの実績と課題についてでございますけれども、財政分野につきましては、全市町村を対象に財政見通しヒアリングを実施しているほか、地方交付税の算定実務などをテーマにして、財政制度勉強会を7回開催したところでございます。
 また、公営企業会計の適用とか、震災復興特別交付税の精算などをテーマとして、4町村に対する重点的な支援を実施したところでございます。
 また、行政分野につきましては、国の調査にあわせて職員の勤務条件、定員管理、給与実態などにつきまして調査を実施しておりまして、市町村からヒアリングを行って、実情や取り組み状況などを伺った上で、改善が必要な事項について助言を行っているところでございます。
 課題につきましては、財政分野につきましては、先ほど申しましたとおり、全体として健全化が図られてきた一方で、将来にわたって持続的な財政運営を行っていくために、老朽化している公共施設のマネジメントとか、水道事業、下水道事業などの公営企業の経営改革などが新たな取り組みとして必要になっております。
 また、行政分野につきましては、法務に関する知識とか、そういう経験を有する職員が少ない専任の法務担当が配置されていないという市町村がございますので、そういう政策法務に関する課題の解決とか、法務担当職員の人材育成、そういう部分が課題と考えております。
 総務省のアドバイザー派遣事業の活用につきましては、先ほど申しましたいわて行財政コンサルティング等において活用しているところでございまして、財政分野については、令和4年度につきましては、4町村に対して、公営企業会計の適用、地方公会計の整備の分野で、専門家による各団体の取り組みの助言を実施しておりますし、令和5年度につきましては、当該4町村に加えて、2市の水道事業の経営戦略の改定において活用しているところでございます。
 そのほか、財政制度勉強会等においても、令和4年度は2回、令和5年度は1回、講師を招いて開催しているところでございます。これ以外にも、県内市町村、あるいは県でも使っているものがございます。
 あと、行政分野におきましても、総務省の人材派遣制度というものがございまして、令和5年度は不採択になったのですが、令和3年度、令和4年度におきましては、人事評価結果の活用をテーマにして、あるいは市町村における人材育成をテーマとしてセミナーを開催しているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 市町村で法務事務を担うという意識が不足していたので、イージーミスもかなりあったということがありました。このようなことがないように、これからも指導をお願いいたします。
 次の質問に入ります。
 路線バスの維持についてでございます。
 バス助成を実施しているわけですけれども、その状況はどうだったか、お伺いします。
 バス運行対策費補助2億3、900万円余、これは国2分の1、県2分の1の事業ですけれども、これはどうだったか。地域バス交通等支援事業費補助3、600万円余、これは広域生活路線ということで、市町村2分の1で、上限が450万円であります。さらには、人口減少対策路線確保事業ということで、これは令和5年度からですけれども、市町村2分の1、上限450万円。それから、地域公共交通活性化推進事業費補助、2、432万円。市町村2分の1、上限500万円ということですけれども、この事業の内容についてお伺いいたします。
〇山田地域交通課長 令和4年度のバス助成の実績についてでございます。国庫協調補助でありますバス運行対策費補助につきましては、補助対象となります乗り合いバス事業者3社に対して補助をしているものでございまして、昨年度40路線、一部車両の購入費も含みまして、2億3、914万円余の補助をしたところでございます。
 それから、県単独補助でございます地域バス交通等支援事業費補助になりますが、こちらの広域生活路線維持事業については、乗り合いバス事業者3社に対しまして、11路線、2、333万円余を補助しております。
 また、人口減少対策路線確保事業につきましては、こちらは今年度からの事業となっておりまして、昨年度の実績といたしましては、その前身となります補助路線代替交通確保維持事業というものがございまして、こちら7路線に対しまして1、361万円余と、計3、694万円余を補助したところでございます。
 また、市町村に対する補助でございます地域公共交通活性化推進事業費補助につきましては、地域公共交通計画の策定や再編に伴うコミュニティバス、それから、デマンド交通の実証運行など、13市町に対しまして2、427万円余を補助したところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。地域公共交通活性化ということで、市町村の独自事業をやっていまして、今度は、この事業がどんどんふえていくのではないかと思うわけです。国庫補助の分と、県単独補助の分とか、そういう乗車密度がどんどん少なくなって、この補助対象にならなくなってくるということは、市町村単独でやらなければならなくなるのではないかと心配しております。この上限500万円ということに対しても、市町村から、この上限を柔軟にもっとふやすことはできないのかと言われておりましたので、御検討をお願いしておきたいと思います。
 それから次に、運転士不足への支援策等、どのように行われたでしょうか。
〇山田地域交通課長 運転士不足への支援策でございます。現状を申し上げますと、乗り合いバス事業者3社の運転士の新規確保人数につきましては、令和元年度から令和4年度までの累計で173人、今年度までの地域公共交通網形成計画の目標の83.2%となっております。新型コロナウイルス感染症などの影響によりまして、同期間の退職者数は見込みより大幅にふえて、313人となっておりまして、運転士の人数が減少してきているところでございます。
 バス事業者は、待遇改善など必要な人数の確保に努力されていると聞いているところでございます。
 県としましては、これまで運輸事業振興費補助によりまして、岩手県バス協会を通じまして、大型2種免許の取得助成や、バスの普及啓発イベント開催等の支援を行ったところでございます。
 また、運転士不足につきましては、全国的な課題となっているところでございまして、国に対しまして、バス運転士の待遇改善を進めるための具体的な支援策を講じるとともに、地方自治体が行うバス運転士の確保策に対する財政支援の実施を要望したところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 この運転士不足は深刻になっておりまして、路線廃止が次々に出てきております。今度、北上金ケ崎線、それから、水沢金ケ崎線も廃止されるということでありまして、これに対して奥州市、金ケ崎町、北上市でも補助金を投じて維持しなければならないということですけれども、これとて単年度では何ともならなくて、今後、大変心配なところであります。
 この状況に北上市、金ケ崎町、奥州市は、その補助金でどのように対応したのか。
 それから、他の路線、県内あちこちで廃止のお話があるわけですけれども、その状況はどうなのかお伺いいたします。
〇山田地域交通課長 北上金ケ崎線と水沢金ケ崎線に対する補助の状況でございますが、北上市におきましては、北上金ケ崎線につきまして、令和4年10月から令和6年3月までの赤字を補填するための予算として、1、386万円余。金ケ崎町におきましては、北上金ケ崎線及び水沢金ケ崎線につきまして、同期間の赤字を補填するための予算として、計1、461万円余をそれぞれ9月定例会で措置したと聞いているところでございます。
 他路線の廃止状況についてでございます。一関市内を運行する猊鼻渓線と、盛岡市と矢巾町間を運行する矢巾温泉線においては、令和5年9月30日に廃止されておりまして、猊鼻渓線につきましては、一関市が地元事業者に補助し、代替交通を運行しているほか、矢巾温泉線につきましては、その大部分が既存路線に統合されており、一部分のみ既存のスクールバスやデマンド交通により、住民の足の確保が図られていると聞いているところでございます。
 また、花巻市内を運行する土沢線、一関花泉線、陸前高田住田線につきましては、バス事業者から東北運輸局に対しまして、運行系統を令和6年3月31日に廃止する届け出が提出されておりまして、関係市町村において、代替交通の確保に向けた準備が行われているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 答弁漏れがあったのです。奥州市が1、336万円を措置しているはずなのです。
 時間ですね。終わります。よろしくお願いいたします。
〇福井せいじ委員 初めに、岩手県立大学の経営状況についてお聞きいたします。
 県立大学は、人材育成、県内での人材の活躍に結びつけていくという意味で、非常に価値のある有益な施設であると思っております。しかし、その経営状況は非常に厳しいものだと思っております。
 まず、運営交付金が38億2、100万円出ています。令和4年の経常費用は58億6、800万円余、そして、収益が59億1、900万円余で、当期利益は3億5、100万円となっていますが、先ほど言ったように38億円余の運営交付金が出て、これは一般会計からの繰り出しとなっており、単体収支では34億7、000万円余の赤字となっていると考えられますが、これはそういう状況でよろしいでしょうか。その確認であります。
〇本多学事振興課総括課長 大学の総支出、総経費、経常費用、経常収益ですね。59億1、800万円余と、福井せいじ委員御指摘のとおりでございまして、そのうち運営交付金では38億2、000万円余を入れております。
 そのほかの収入については、大学における入学金、授業料、寄附金ということで賄っているというものでございます。
〇福井せいじ委員 今のお話で、単体収支では34億7、000万円余の赤字になっているということでよろしいですね。
 そこでお聞きします。非常に厳しい経営状況の中で、私が確認したいのは、経営改革を必要としているという意識があるのか。あるいは経費見直しの取り組みがあるのか。あるいは収益増の対策が考えられているのか。そういうことを、今、県としては考えているのかどうかを確認したいと思います。
〇本多学事振興課総括課長 県立大学の経営改善の取り組みについてでございますけれども、県立大学では、これまで、毎年度作成しております年度計画というものがございまして、その中に業務運営の改善及び効率化に関する目標を達成するための措置と、また、財務内容の改善に関する目標を達成するための措置という項目を掲げ、地方独立行政法人評価委員会における評価結果も踏まえながら、計画に基づいて経営改善に取り組んでいるというところでございます。
 また、令和5年度からの第4期中期計画におきましても、例えば会議や委員会等の再編統合及び運営の見直しによる意思決定のプロセスの簡素化とか、学内情報システム等を活用した大学運営情報の共有とか、あとは、職員の能力開発等を目的とした研修の実施、あるいは、委員御指摘のように、学生納付金の収入確保や外部資金の積極的な獲得など、引き続き、効率的かつ合理的な大学運営に取り組むことにしているところでございます。
〇福井せいじ委員 業務運営の改善、あるいは財務内容の改善等、非常に大切なことであると思います。
 そこでもう一度確認しますが、経常費用の約6割、30億円超が人件費であると伺いました。人件費は非常に大きな割合を占めているわけですけれども、人件費の削減取り組みの内容についてお知らせいただきたいと思います。
〇本多学事振興課総括課長 県立大学における人件費削減の取り組み状況というお尋ねでございますけれども、県立大学では処遇改善ということで取り組みを進めておりまして、例えばRPAの導入とか、会議録システムの活用等による事務処理の効率化とか、また、出産、育児、それから、介護に係る制度利用や休暇取得の促進を初めとした、いわゆるワークライフバランスに配慮した全ての教職員が働きやすい環境整備といったものに取り組んでいるところでございます。
 また、教職員の給与につきましても、県の給与制度の改正に準じた改正を行うなど、法人職員の処遇改善に取り組んでいるところでございます。引き続き、県立大学においては、中期計画に基づきまして、効率的かつ合理的な大学運営に取り組みながら、社会経済情勢に応じて職員の処遇改善に取り組むということとしております。
〇福井せいじ委員 人件費というのは、なかなか額は変えられないものでしょうけれども、生産性の向上とか、あるいはITの導入とか、そういった中で生産性を高めていくということも必要であると思います。
 ここで確認をしたいのですけれども、令和2年3月17日の県立大学の理事会議において、理事長報酬月額が、従来62万6、000円から99万7、000円に改定されました。月額37万1、000円の給与のアップであります。年額にすると445万円の増ということでありますが、令和元年、その前の年の運営費交付金を見ますと、38億円余の運営交付金を支出されております。実質収支では38億円の赤字の中で、こういった月額報酬の増額は、私は疑問に思うのでありますが、その理由は何であるか、お知らせいただきたいと思います。
〇本多学事振興課総括課長 今、福井せいじ委員御質問の論点は二つあるかと思います。一つは、運営費交付金がその当時ふえた理由でございますけれども、県立大学の出資というか、費用につきましては、近年、国の高等教育の新たな就学支援制度が始まったりとか、あとは、新型コロナウイルス感染症への対応とか、それから、教職員への退職金の支給額改定等により、経常費用が年1%から2%ずつ上昇しています。それに伴って、県からの運営交付金も上がっているというところでございます。
 二つ目の論点といたしまして、当時、理事長の報酬をそういう中で上げたのが適切なのかどうかといったところでございますけれども、その決定のプロセスといたしまして、公立大学の理事長を含む役員の報酬につきましては、地方独立行政法人法の規定にのっとりまして、県立大学において決定しています。その決定に当たっては、国及び地方公共団体の職員の給与、それから、ほかの一般地方独立行政法人等の役員の報酬等を総合的に勘案しながら決定していると聞いているところでございます。
 令和2年の現理事長の報酬の改定に当たっては、県行政の幅広い分野に精通し、また産業や医療、福祉、学術、文化など幅広い分野の見識、人脈を有しているという過去の経歴等も考慮しながら、県立大学では報酬を決定したと伺っているところでございます。
〇福井せいじ委員 私は、運営費交付金が多くなったとか、少なくなったとかということではなく、運営費交付金で38億円余を負担して、ようやく県立大学の経営が成り立っている。そういう中にあって、理事長の報酬を年額で445万円上げるということは、経営感覚から少しずれているのではないか。それを私は確認したかったのです。
 ふるさと振興部長、こういった経営感覚のずれに対して、県当局は、どのような形でこの県立大学の経営に関与をなさっているのでしょうか。
〇熊谷ふるさと振興部長 公立大学の理事長を含む役員の報酬は、先ほど課長から答弁させていただいていたとおり、独立行政法人法の規定によりまして、それにのっとって定めなければならないとされております。そういう観点から、県立大学で法にのっとって報酬額を決定しております。
 令和2年3月の報酬改定に当たりましては、国立大学法人、他の公立大学法人の理事長報酬とか、他の役員、学内の平均給与との均衡等や、外部理事を含む役員会による審議を経由した上で決定し、適切なプロセスをもって決定されたものと伺っております。
 その決定に関して、私どもといたしましては、適切なプロセスを経て決定したものと捉えております。そういった形で、運営交付金の中で適切に対応されているものと考えております。
〇福井せいじ委員 適切という言葉ですけれども、私は、先ほどからお話ししているとおり、運営費交付金があって県立大学の経営がなされている。そういう中で、どうして増額する必要があったのか。
 最近では、これが適切かどうかわかりませんけれども、盛岡市長が退職金の返上をすると。今、財政運営が厳しい中にあって、みずから身を切って、返上をする。退職金を要らないということも聞かれました。
 そういう中にあって、県として、経営感覚の欠如があるのではないかと私は思っています。運営費交付金がある。そして、それをもって何とか県立大学の経営を維持していこうと。この意思は、私は県として非常に尊重すべきものだと、人材を育成するのだ。そして、一人一人の人間を育てていくのだと。しかし、例えばこの年間445万円、約400万円。この金額で、1人、2人、3人の奨学金も出せるのではないですか。そういった観点から、私は経営をすることだと。この県立大学の目的は何かというと、人材育成をすることだと。そうであるとすれば、そういうところにこそ、私は費用を投じて、その目的を達成することが本来の県のあり方ではないかと思うわけでありますが、ふるさと振興部長の見解をもう一度お聞かせください。
〇熊谷ふるさと振興部長 委員御指摘のとおり、県立大学、県下に有為な人材を配置する、それを目的として設置しております。そういう観点から、私どもも運営交付金という形で、いわゆる経営が安定化するように努めているところでございます。
 盛岡市長のお話ございましたけれども、あと、その報酬月額37万円の増という、なかなかそういう観点で、金額でははかれない部分がございますけれども、今までも理事長につきましては、官民問わず有用な人材を役員として任用してきたところでございます。報酬額については、法に基づき、国、地方公共団体の給与、それから、他の一般独立行政法人の役員の報酬、民間事業者等の報酬等を踏まえて決定したものと捉えております。
〇福井せいじ委員 さまざまな環境の中から報酬を決定したと。そして、適正な法手続を経たことはわかります。しかし、この金額には幅がありますね。前職、そして、当職という形で幅があるわけです。その中で値上げをした。報酬を上げた。前歴を尊重して、その報酬を決定するのが正しいかどうか私はわかりませんが、本来、経営者というのは、新規採用の場合、経歴前歴ではなく、実績で報酬を決定するべきではないのか。例えば1年間勤めた後、その後理事会で報酬を上げる、下げるというのはありだと思いますが、最初から前歴をもって、その報酬を決定するのは、経営感覚から言えば、私は間違いだと思っております。
 そういう意味で、県はこのことについてはどう考えますか。今までの前職を重んじていくのか、あるいは実績を重んじて報酬を決定するのか、その考えについてお聞きしたいと思います。
〇熊谷ふるさと振興部長 報酬決定、さまざまな考え方があろうかと思います。有為な人材を配置いただくために、報酬額交渉等でいろいろと話をしながら決めていくという、民間でもそういうことはあり得ると思います。
 いずれ、今回の県立大学の理事長につきましては、県行政の幅広い分野に精通して、また、国、市町村自治体を初め、産業、医療、福祉、学術、文化、幅広い分野の見識、人脈を有していると、そういうことを踏まえて、県立大学ではその報酬額決定に当たって、そういう経歴も勘案しながら決定したと伺っております。
〇福井せいじ委員 そのときにはそうだったかもしれませんが、いずれ私が考えるのは実績ありきであると思いますが、そうであるとすれば、今の理事長の実績はそれだけのものがあったということで、もう一度確認したいのですけれども、それはどういう実績があったのでしょうか。
〇熊谷ふるさと振興部長 金額でなかなか推しはかれないという部分は、先ほどお話し申し上げたところでございますが、一つといたしましては、県立大学の第4期中期計画策定が、4月から新しい中期計画策定いたしました。その策定委員会の委員長として、これまでの特定の教職員による計画策定ではなくて、全ての教職員が携わるというプロセスをつくり上げ、そして、中期計画を策定したというところがございます。
 また、新型コロナウイルス対策におきましては、危機管理対策本部会議を設置して、理事長が本部長として陣頭指揮を務めたと伺っております。
 特に、学生に対する経済支援では、相談窓口の設置とか、授業料納期の延期、給付金などの支援、それから、授業の面では、遠隔授業等の実施、補講、追試、再試験、そういった新型コロナウイルス感染症の影響で学習ができない学生に対し、きめ細やかな対応を行ったと伺っております。
 さらに、ほかの大学との連携にも取り組んでいただいておりまして、東京大学代表機関として進めている JST、共創の場形成支援プログラムへの県立大学の参画ということが実現し、今動いているところでございます。北岩手をフィールドにして、その地域課題、それから、産業振興の取り組みを行っているところでございます。そういった実績があると認識しているところでございます。
〇福井せいじ委員 さまざまな実績があるということはわかりました。ただ、もう一度私は戻ってみたい。令和2年3月17日の理事会の内容でありますが、この報酬決定の前に、実は学生の授業料減免に係る予算措置のことも協議されています。そのときに、運営費交付金に含まれているのですかといった協議もなされています。学生に対しても、この運営費交付金を使っていきたいというさまざまな理事の思いがある。そういう中で、この増額を決定していることに対して、私は矛盾を感じました。
 ぜひとも、令和6年度、また、さまざまな意味で改定の機会があると思いますが、私は、もう一度県立大学の設立趣旨に戻って、さまざまな意味で、理事長の報酬について再考する余地があるのではないかと思いますが、ふるさと振興部長の見解をお聞かせください。
〇熊谷ふるさと振興部長 先ほどの答弁と重複することは御容赦いただきたいと思いますが、いずれ、県立大学役員の報酬は県立大学が決定するものでございます。そちらが法に基づいて必要な手続を経て決定したものでございます。そういうことで、いずれ、県立大学の判断を尊重したいと考えております。
〇福井せいじ委員 私は、県立大学のさまざまな目的や運営については、もちろん理事会議が決定するべきですけれども、県としてその意思がないのかということをお聞かせいただきたいと思います。
〇熊谷ふるさと振興部長 繰り返しになって大変恐縮でございます。いずれ、効率的な運営が行われ、そして、制度を重視し、社会に貢献できる人材を輩出していただくと、そういう目的のために県立大学がございます。そういう観点でさまざまな取り組みが行われております。ただ、役員の報酬につきましては、県立大学が決定することでございます。法にのっとって行われておりますので、それは尊重してまいりたいと考えております。
〇千葉盛委員 私からは、専門職員の県市町村間における人事交流や確保についてお伺いいたします。
 市町村において、特に小規模市町村を中心に、専門人材の確保が課題であるというお話を聞きます。
 まず、市町村において、専門職員が不足している分野における業務支援や人事交流についてどのようになっているのかお伺いいたします。
〇中村参事兼市町村課総括課長 専門分野の市町村に対する業務支援人事交流についてでございますけれども、全体の実績をまず申し上げますと、令和5年度につきましては、専門分野にかかわらず、13市町村に対して計14名の職員を相互交流等で派遣しております。専門分野、技術職員の派遣といたしましては、具体的には久慈市から土木分野の体制強化に向けた人材の派遣要請に基づいて、土木職の技術職員を派遣しておりますほか、金ケ崎町、住田町及び九戸村においては、農政分野の推進に向けた人材の派遣要請に基づきまして、農学職の専門職を派遣するなどしております。いずれ、各市町村のニーズに応じました職員の派遣交流を実施しているところでございます。
〇千葉盛委員 次に、市町村が必要とする専門職員を、県が例えば一括採用して、共同で人事管理することについて、どのように考えているのかお伺いいたします。
〇中村参事兼市町村課総括課長 県が一括採用して、共同で人事管理することについてでございますけれども、いわて県民計画(2019〜2028)第2期行政経営プランにおきましては、国の復旧・復興支援技術職員派遣制度を積極的に活用することとしております。こちらにつきましては、総務部とか関係部局との調整が必要となりますけれども、段階的にその市町村の支援業務に従事する技術職員をふやすことも含めて、専門職員が不足する市町村に対する人的支援について検討することとしております。
 また、その検討に当たりましては、いずれ、市町村のニーズを踏まえた課題解決に最適な手法となるよう、委員から御指摘のあった県での一括採用や共同での人事管理といった手法も含めて、その必要性や課題などについて市町村と意見交換を行ってまいりたいと考えております。
〇千葉盛委員 今のところ、人事交流等で支援しているということもありますけれども、全体として、市町村の専門職員のニーズ把握が足りていないのではないか。懇談の場というか、アンケートでもいいのですけれども、そういう現状把握するようなことはされているのか、お伺いいたします。
〇中村参事兼市町村課総括課長 現時点で詳細な調査などは行っておりませんけれども、市町村要望とか、市町村長との面談の機会を通じまして、技術職員、あるいは、DXに詳しい職員が不足していると伺っております。
 また、総務省の定員管理調査によりますと、土木職員の減少とか、あるいは、農林水産関係職員の不在などの傾向が見られるところでありまして、特に一部の小規模町村では、保健師の補充が困難な状況にあると伺っているところでございます。
 今後、小規模町村に対しまして、専門職の不足の状況とか、県からの支援ニーズなどを詳しく調査しながら、県として、具体の支援策について検討していきたいと考えております。
〇千葉盛委員 そのニーズ把握は早目に行っていただきたいですし、33市町村全体に調査してほしいのですけれども、希望する市町村が出てくれば、そことチームつくったりしている他県の例もありますので、そういった形で、どういう課題があって、要るのかというのは早目に調査してほしいです。例えば奈良県では、県と希望市町村が受験者の募集と第1次試験を共同で実施しているところもありますし、専門人材のシェアリングということで、愛媛県ではデジタル分野で高い専門性を有する外部人材を県が確保して、20市町でシェアしているということもあります。
 また、人事交流の一環にもなるかもしれませんけれども、神奈川県、福井県、熊本県では、市町村の要望に基づいて、上乗せ採用した職員を派遣しているという例もあります。
 まだニーズ把握等しっかりできていないということですので、まずはそういったところをしっかりやってもらって、岩手県としても県内に有用な人材を確保していくというのは、本当に今、これから絶対に必要なことだと思いますので、しっかりとその辺やっていってほしいと思います。よろしくお願いいたします。
〇柳村一委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午前10時53分 休憩
午前11時7分再開
〇柳村一委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇山田地域交通課長 先ほど、佐藤ケイ子委員からお尋ねがございました、奥州市における水沢金ケ崎線の予算措置の状況についてでございます。奥州市におきましては、水沢金ケ崎線につきまして、令和4年10月から令和6年3月までの赤字を補填するための予算といたしまして、1、335万円余を8月臨時会で措置したと聞いているところでございます。
 申し訳ございませんでした。
〇柳村一委員長 質疑を続行いたします。
〇佐々木努委員 私学振興についてお聞きいたします。
 初めに、県の私学振興の考え方と、令和4年度の評価についてお聞きをいたします。
〇本多学事振興課総括課長 私学振興の考え方と、令和4年度の評価についてでございますが、本県において、私立学校はそれぞれの建学の精神に基づいて、自主性を発揮しながら、特色ある教育を行って、本県の教育において重要な役割を担っていると考えております。また、多様化する教育ニーズに柔軟に応える私学教育への期待はますます大きくなっていると考えております。
 こうした中、県では令和4年度において、学校運営の経常的な経費に対する支援のほか、各私立学校が策定した中期計画に基づき実施しておりますキャリア教育とか、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策など、各学校の特色ある教育活動に対し、県単独事業による上乗せ補助や耐震化への補助など支援を行ってきたというところでございます。
 これらの取り組みによりまして、特色ある教育活動の実施率の向上や、また耐震化率の向上など、私学の振興に一定の成果があったものと考えております。
〇佐々木努委員 確かにおっしゃるように、スポーツ面では、特にこの私学に通う子供たちの活躍が注目されていますし、学習面でも非常に頑張っている子供たちがたくさんいます。さまざまな分野で、これから岩手県を支えていく、そういう子供たちが私学の場においても頑張って活動していると思っておりますし、私学の先生方についても、非常に強い思いを持って頑張っているという姿を私も見ておりますので、ぜひこれからも私学助成はしっかりと力を入れてほしいと思うわけであります。
 その中で、今、高校の無償化が始まって、そして、公立高校に通う子供たち、それから、私立高校に通う子供たちは、無償化という形ですから、負担なく学校に通っているわけでありますけれども、唯一、私立専修学校高等課程に通う子供のみはそこから外されている状況であるということは、皆さん御承知のことと思いますし、その中にあって、我が県で不登校対策、あるいは発達障がいの子供を積極的に受け入れている星北高等学園に対する支援についても、この間かなり議論があったところであります。私も、昨年度からこのことについては幾度となく、この委員会の場あるいは本会議の場でも、県に対して支援をもっとしっかりと行うようにということを求めさせていただきました。
 その結果、令和5年度には、令和4年度から倍額の生徒1人当たり7万2、000円程度の運営費補助が星北高等学園初め、県内の専修学校には交付されているということになっているわけでありますが、改めて、私は何度も言いますけれども、この県内の高校に通う子供たちの間に、一方では、全く負担がない、そういう環境で学ぶことができる子供たちと、親が交通費はもちろんそうですが、授業料を負担し、学ばなければならないという子供もいるわけでありまして、その子供たちの支援を、県は国の動きを待たないでもっと行うべきではないか。
 そういう観点から、改めて星北高等学園を初めとする専修高等学校に対する県の助成を、私立高校並みの同等の支援にするべきだと私は思うわけですが、県のお考えをお聞きいたします。
〇本多学事振興課総括課長 私立専修学校高等課程に対する支援のあり方についてでございますけれども、佐々木努委員御指摘のとおり、県では、私立専修学校における教育の振興を図るため、学校法人が専修学校を運営する場合に要する人件費や教育管理経費などの経常的経費に対して、私立専修学校運営交付金を交付しているところでございます。
 この私立専修学校高等課程に対する運営費補助について、令和4年度当初予算における生徒1人当たりの補助単価は3万5、960円でありましたが、令和5年度の当初予算においては、佐々木努委員は全部というお話をされたのですけれども、大学入学資格の付与校、星北高等学園ですけれども、大学入学資格を付与できる学校に対しては、令和5年度当初予算において、県の一般財源を増額して、生徒1人当たりの補助単価を、昨年度の倍額となる7万1、920円としたところでございます。
 星北高等学園について、委員御指摘のとおり、不登校の受け皿ということで、大変貴重な役割を果たしているところでございまして、一方、県の一般財源での支援だけでは限りがありますことから、この大学入学資格が付与されるような私立専修学校の高等課程に対しては、高等学校に対する支援と同様の支援ができるように、国に対して国庫補助制度の創設や十分な普通交付税措置について要望してきたところでございます。
〇佐々木努委員 やはり最後は財源のお話になってくるのだと思いますから、我々県議会としても、過去に国に対して、専修学校に対する私立学校と同等の支援を求める意見書を出している経緯があります。我々もそういう取り組みはしているわけでありますし、それから、この委員会室にいる多くの議員も、直接星北高等学園等に伺って、学校の状況、それから、子供たちの様子とか、そういうものを実際に見て、これでは支援が足りないなという思いで、これまで多くの議員がこの課題について取り上げてきたという経緯があります。
 ふるさと振興部長も過去に学校のほうに行かれたということで、支援の必要性は感じているという話をされました。そうであれば、財源は、それは県のほうで工夫して、私は何とかできると思いますので、岩手県に育つ子供たちのこの不公平感を、まずは国に頼らず、県独自でこの解消に努める、そういう思いを持って、この問題に私は対応していただきたい。
 先ほど不登校の生徒を受け入れているというお話がありましたが、不登校だけでなく、今、非常に問題になっている発達障がいの子供たち、どこの高校でも受け入れていない、そういう子供も受け入れようということで、生徒数も、去年の54人から、ことしは72人までふえていて、1学年32人ですが、ことしの4月は39人の応募があって、やむなく7人の方々には辞退をしてもらったという、そういう非常にニーズの高い学校でもあると思っています。
 学校の先生方の待遇を、ここではっきりとは申し上げられませんが、私は給料明細も見せられました。普通の私立高校の先生方の半分以下という給料でお仕事をされている。本当に涙ぐましいような経営努力をしながら、みんなで子供たちのために頑張っているという状況を見ると、倍額でいいのだという方もいらっしゃいましたけれども、私はそうではなく、やはり国がしっかりと制度をつくるまでの間、佐賀県やほかの県のように、県が全額支援をするという取り組みが必要だと思いますが、改めて、ふるさと振興部長にお聞きいたします。
〇熊谷ふるさと振興部長 委員からお話ございましたとおり、昨年度、さまざま検討する上で、現場の声を聞き、どういう状況なのかということを踏まえて、補助単価を倍額にしたというところでございます。
 その中で、その倍額にすることによって、学校のほうとのさまざまやりとりをさせていただきましたけれども、その補助をどう使うかは法人側の判断でございますが、我々としては、ホーム教員の処遇を私立高校並みに引き上げても大丈夫なぐらい。それから、クラス増に伴う本教員の増が図られるぐらいを制度設計といいますか、それを考えて倍額の7万円余という補助単価に引き上げたところでございます。
 また、この単価、確かに全国では九州のほうで高いところ、30万円を超えるようなところもございますが、東北地方では2番目に高い単価になっているところでございます。
 そうした中で、引き続き、これで固定ということはないのですが、さまざまな情勢等を踏まえて、どういうふうにあるべきかということは考えていかなければならないと思いますが、まずは私ども、今、一般財源で対応させていただきますけれども、先ほど学事振興課総括課長が申し上げたとおり、これは全国的な課題でもあると思いますので、国のほうで必要な措置を図っていただきたいということで、今年度は6月に要望を行った際に、国に対してお願いしておりますし、機会あるごとに国に対して申し上げていきたいと思っております。
〇佐々木努委員 これ以上はきょうはやめますけれども、今の教員の給与水準が私立高校と同等になるように計算したという話ですけれども、こういう不登校とか、それから、発達障がいの子供を受け入れる学校は、それだけ教員の数が必要で、子供の数がふえればふえるほど、教員もどんどんふやしていかなければならないという実態があるわけでありまして、どのような計算をされたか私にはわかりませんけれども、もう一度、ぜひ星北高等学園に行っていただいて、自分たちの倍額した分の助成がどういう形で生かされているのかとか、それがあってもこのような状況だというところを私は見ていただきたいと思います。よろしくお願いします。終わります。
〇上原康樹委員 私は、外国人県民に対する日本語教育についてお尋ねします。
 岩手県における日本語の習得を必要としている外国人の方の状況をお伺いします。
〇菊池国際室長 日本語の習得を必要としている外国人の状況でございますけれども、国の在留外国人統計によりますと、令和4年12月末現在、本県には8、374人の外国人県民が居住しております。そのうちの約7割が、技能実習生を初めとする非永住者でありまして、この中に一定程度、日本語の習得を必要とする外国人がいらっしゃるものと認識しております。
〇上原康樹委員 令和4年3月、岩手県における日本語教育の推進に関する基本的な方針が策定されました。その計画期間は、令和4年度から令和8年度までの5カ年です。初年度の取り組みと成果について伺います。
〇菊池国際室長 令和4年度の主な取り組みでございます。
 まず、全県を対象とした事業展開の体制整備ということでございまして、コーディネーターの設置などを図ったところです。それから、日本語学習機会の提供という意味では、本来の日本語学習講座を新規に開始したところです。また、地域における教室開設のサポートを行いました。それから、引き続き日本語教育の人材の育成ということで、サポーターの育成とか、学習コンテンツの普及、日本語教室への巡回訪問、相談対応等、その他、共生推進のためのセミナーの開催など実施したところでございます。
〇上原康樹委員 日本語教室空白地域における教室の開設というテーマを県は掲げておりますけれども、具体的にどう進んだのでしょうか。
〇菊池国際室長 空白地域の解消に向けましては、市町村では、大船渡市に新たに今年度開設がされました。それから増設という形ですけれども、一関市には、一つ教室がふえたという状況でございます。
〇上原康樹委員 教室が整った、その先には、今度は日本語を教える人をしっかりと確保しなければいけない、教育人材の確保でございます。その掘り起こしや研修体制、さらには、相談支援体制の確保などがあると思いますけれども、どういう取り組みが進められたでしょうか。
〇菊池国際室長 教育人材の確保、育成のお尋ねでございます。地域の日本語教室については多くが無料で、ボランティアによる運営をされているといったことで、若い人材が少ない、あるいは家庭の事情などで中断せざるを得ないという方もいらっしゃるということで、担い手の高齢化とか、不足、資質向上が課題となっております。
 県といたしましては、新たな担い手の掘り起こしやスキルアップ研修会の開催により人材の育成等に取り組んでおりますし、岩手県国際交流協会では、日本語サポーター制度がございまして、これによって人材の確保に努めているというところでございます。
 それから、令和4年度から、岩手県、秋田県、山形県の3県の大学と地域の国際交流協会などが連携しまして、地域日本語教育人材の養成を始めておりまして、昨年度の受講者が、県が主催するオンライン講座の補助講師を務めるといった成果が上がっているところでございます。
〇上原康樹委員 今度は教材でございます。教材の選定はどうしているのでしょうか。現在、デジタル教材が大変普及しております。その活用など、そして、課題などありましたらお伺いします。
〇菊池国際室長 教材について、例えば学習プログラムですけれども、それぞれ地域の日本語の教室によりまして、学習のニーズとか指導する人材に応じたプログラムにより運営されておると承知しております。
 私どもとすれば、県としては一律に用意するということではございませんけれども、地域にコーディネーターを配置しまして、各教室に対しまして、専門的な見地からの助言等を行っております。あるいは、会議や研修の場などで情報共有に努めているところでございます。
 それから、デジタル教材に関しましては、県では、岩手県について学びながら、日本語を習得できる支援コンテンツ、いわてをはなそうというものを令和2年度に作成しておりまして、この活用を進めておりますし、それから文化庁では、生活者としての外国人のための日本語学習サイトとして、つながるひろがるにほんごでのくらしといったものを用意しておりまして、こういうものを活用しながら進めているところでございます。
〇上原康樹委員 地域を学びながらということで、地域日本語教育という言葉がございます。その件については、後ほど伺います。
 いずれにしても、先生についても、教材についてもお金がかかります。これは市町村が直接担当している分野でございますけれども、それに対して県はどう支援しているのでしょうか。
〇菊池国際室長 各種の日本語教室は無料で行われているケースが多いのですけれども、有料の場合でも、それぞれの実情を踏まえまして、運営側、利用者側に無理のない範囲で設定していると承知しております。
 繰り返しになりまして恐縮ですけれども、県としましては、地域日本語コーディネーターによる指導、助言、あるいは岩手県国際交流協会では、日本語教室を対象とした助成事業などにより運営をバックアップしているというところでございます。
〇上原康樹委員 私は昨年の一般質問で、一生懸命頑張って、自分の暮らしのために、また地域になじむために、外国の方が日本語を習得している。その御苦労を考えると大変なことであって、その日本語教室に通うために1回500円とか、1、000円とかお金がかかると聞いております。こういう部分の支援はできないものか。できれば、これは無料にできないのですかという質問をしたのですが、それについてのお考えは、今どういう状態でしょうか。
〇菊池国際室長 ただいま申し上げたのと重複して恐縮でございますけれども、実態としては無料のところが多ございまして、あとは、月1、000円とか、月300円という状況でございます。それぞれの事情に応じて無料にする、あるいは多少料金をいただくという設定をされていると思いますけれども、私どもとすれば、その運営全体をサポートする形で支援してまいりたいと考えているところでございます。
〇上原康樹委員 前向きに考えていただきたいと思います。
 いずれにしても、地域の方が支障なく暮らしていけるということは、岩手県にとってもこれは大変な利益だと思うのです。さらに、命がかかっている状況が想定されます。岩手県は大災害が起きた場所でございます。災害が発生したときにどう避難し、その避難をどう促していくか、導くか、これも言葉でございます。こうした命を守る言葉、どう教え、周知していくのか。これは岩手県に特化されたテーマだとも思います。いかがでしょうか。
〇菊池国際室長 私ども、岩手県総合防災訓練の場を活用しまして、実施市町村、それから、県の協会に本部を設けまして、そこの中で連携をとりながら、対応の訓練などをしているところでございます。
 その際に、使うことを推奨しておりますのが、やさしい日本語というものでございまして、これは阪神淡路大震災の際に、難しい言葉で避難情報、支援情報などが出たものですから、なかなか伝わらなかったという反省を踏まえて、極めて簡単な日本語で話そうという発想でございまして、そういうものを、市町村の職員、県の職員もそうですけれども、その利用を図るということを進めながら、意思疎通が円滑に図られるように対応しているところでございます。
〇上原康樹委員 気象情報とか、それから、地震情報とか、災害情報とか、避難所の情報とか、さまざまな、これは大切な情報をいかに効率的に、効果的に伝えるかというテーマを県は負っているものと思います。大変大きな仕事だと思いますので、取り組んでいただきたいと思います。
 そして、これからの話でございますけれども、言葉というのは、意味が通じるだけでは足りない。人と人の間に気持ちが通じて、初めてコミュニケーションが成立するものである。したがいまして、日本語教育というのは、外国の人がただ単に日本語の知識を習得するだけでは足りなくて、そういう苦労をしている外国の人の身になって考えることができる岩手県民の育成、ないしはそういう外国の人々がいて、外国語の人が日本語を習得することの難しさ、こういうことがあるということがわかっているだけでも、双方の距離が随分縮まると思うのです。そういう観点に立った所見をふるさと振興部長に伺いたいと思います。お願いします。
〇熊谷ふるさと振興部長 今、人手不足ということで、外国人労働者がふえていくかどうかはわかりませんが、やはり外国人県民として、地域づくり、ともに取り組んでいく重要なパートナーだと思っております。その方々が県内で生活する上で、不自由なく、そして、受け入れる側の我々日本人も、上原康樹委員のおっしゃるとおり、苦労されていることを理解し、お互いに心を通わせ合って生活を営んでいくことが必要だと思っています。
 そういった環境づくりに向けましても、私どもさまざま努力してまいりたいと思っております。
〇上原康樹委員 令和4年度の取り組みの手応え、そして、課題をはっきりここで検証して、令和5年度の新しい前進を期待したいと思います。
 以上、終わります。
〇臼澤勉委員 それでは、私からも、先ほど佐々木努委員から質問がありましたが、重複しない範囲で確認してまいります。
 県では、今年度から私立専修学校高等課程への運営費を増額するなどの支援の充実が図られているところについては、評価したいと思います。生徒一人一人のニーズに応じて教育支援を行っている私立専修学校高等課程の果たす役割、今後、ますます重要になってくると考えておりますが、初めに、今の私立学校における不登校の現状と課題についてお伺いいたします。
〇本多学事振興課総括課長 私立学校における不登校の現状と課題についてでございますが、文部科学省が取りまとめた、令和元年度から令和4年度分の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果が先日公表されたところですが、それらを分析しますと、県内私立高等学校の不登校生徒数はやや増加傾向にあるというところでございます。
 また、同調査において、令和4年度の全国の私立高等学校生徒の不登校要因を見ますと、多い順に、無気力、不安が37.5%、いじめを除く友人関係をめぐる問題が12.3%、また、生活リズムの乱れ、遊び、非行が11.1%の順となっており、この要因は全国的な傾向であると認識しているところでございます。
〇臼澤勉委員 公立、私立でなかなか分けていないということで、公表していないということですけれども、多分、実態は把握されていると思います。いずれ、県内の不登校の割合、平成24年からこの令和4年を比較してみると、御案内のとおり、小学校についても、この約10年間で4倍、あるいは、中学生ではもう2倍にふえておりまして、本当に過去最高といいますか、そういう実態になっている。私立学校についても同じような傾向かと捉えております。
 そういう中で、私立専修学校高等課程の生徒数の推移、これも先ほども今年度募集生徒数72名ということで、1年生は32名でありました。39名の応募があった中で、7人の方々は残念ながら入学できなかったという実態がございますが、子供たちが減っている中において、こういった私立専修学校高等課程の生徒数は一方で増加傾向にあり、これはますます県民のニーズといいますか、果たす役割が非常に高まってきている、数字としてのあらわれだということは、ここはしっかりと押さえておかなければいけないと捉えております。
 ただ一方で、今年度入学した生徒の中で、既に家庭の事情で2名の方々が退学されています。これは、先ほども授業料のお話もありましたけれども、この授業料の高さも影響して、家庭の事情によって、なかなか通学できないという実態もあらわれている。ここはまずしっかりと把握していただきたいと思っております。
 そこで次に伺いますけれども、私立専修学校高等課程の実績、評価、課題ということで、まず実績についてお伺いしたいと思います。
〇本多学事振興課総括課長 私立専修学校高等課程であります星北高等学園につきましては、義務教育課程の学校教育において、何らかの理由で普通教育の機会を十分に得られなかった子供たちを積極的に受け入れており、臼澤勉委員御指摘のとおり、その生徒数は、令和4年度の57名から、令和5年度には72名と増加しているところでございます。
 不登校対策の実績は、こちらで把握していないのですが、今年度新たに入学した生徒は32名で、そのうち28名については、勉強や運動が苦手、または、対人関係やコミュニケーションが苦手などの理由により不登校を経験した生徒であると伺っているところでございます。
〇臼澤勉委員 それでは、県として、この星北高等学園の評価について、どのように捉えているのかお伺いしたいと思います。
〇本多学事振興課総括課長 先ほど、最初に御答弁申し上げましたとおり、不登校の児童生徒が増加している中、星北高等学園におきましては、さまざまな理由により、不登校を経験した生徒の受け皿となっているところであり、また、そうした生徒たちに対して、例えば少人数クラスとか、余裕のある時間割りとか、開始時間をずらしながら、生徒一人一人の状況に応じた学びの機会の提供を行っていると評価しているところでございます。
〇臼澤勉委員 星北高等学園は、小中学校時代に不登校であった生徒が約76%通われています。あるいは発達障がいを持つような生徒、71%も在籍しているような学校でございます。さまざま、本当に先生方の寄り添った指導によって、ここの学校では不登校の改善傾向率76.4%、発達特性の改善傾向率66.7%と、非常に高い値を示して実績を出しております。
 私は、先生方の、もう本当に懸命な、献身的な御努力、そして、子供たちに本当にこの多様な学びを提供しながら、進学、あるいは就職につなげていく、そういう人材を育成している。本当に県内の就職あるいは進学にも大きく貢献しているこの成果についても、しっかりと評価をしなければいけないと思って取り上げているところであります。
 改めて、この課題を県としてどのように捉えているのかお伺いします。
〇本多学事振興課総括課長 課題についてでございますが、ことしの春にこの星北高等学園の先生方と意見交換をさせていただく機会があったのですけれども、その際には、私立専修学校高等課程として、教育環境の維持向上を図るためには、先ほど佐々木努委員からも御指摘ありましたが、やはり教員の新たな確保が課題であると伺っているところでございます。
〇臼澤勉委員 そのとおりですけれども、課題として、学校運営費も、生徒もどんどんふえて、それに対応して、職員数も、今、常勤職員10名、非常勤職員9名ということで、教職員の数もしっかりとふやして対応しています。
 先ほどふるさと振興部長の答弁で、今回、2倍に増額したことによって、先生の教員の給与、そこはしっかりと対応しているという答弁がございました。ただ、今のこの教員確保の難しさが課題ということで言わせていただきますけれども、今、常勤教職員は10名、非常勤職員は、スクールカウンセラー3名を含め9名いるのですけれども、平均年齢49.2歳のこの常勤教職員の平均給与、幾らか御存じですか。私が調べている中では、手取りで月約18万円という、かなり少額であります。人事委員会からも参考までに取り寄せましたが、県内の初任給、教員職の給料表、高校教諭大卒、初任給20万9、200円。小中学校教諭大卒、これも同じく初任給20万9、200円という、本当に初任給並みの給与で、平均して、49.2歳の先生方が、先ほど倍増したから、そこの給与のところはまず対応できているという言い方をしておりましたが、献身的に、本当に先生方はここの学校こそ真の教育があるという、そういう高い志で生徒お一人一人に寄り添いながら、頑張ってやられていると。そして、私が聞いている中では、来年度も、1クラス増を予定して、常勤教諭の募集を予定しているという中で、この月手取りで18万円という中で、新規の教員の確保は正直難しいと私は思います。そこら辺の課題認識を改めてお伺いいたします。
〇本多学事振興課総括課長 私立専修学校高等課程、星北高等学園に対する運営費の補助について、先ほど来、答弁しておりますとおり、令和5年度において、昨年度までの倍額となる7万1、920円としました。その考え方としては、星北高等学園は不登校や発達障がいなど、さまざまな事情を抱えた生徒を受け入れながらも、一方で、大学入学資格を付与すると。その先をしっかりとつなぐことができるというところもありまして、大学入学の資格付与校として、卒業に必要な総授業時間数は2、590時間といったものがありまして、それに伴う教員が確保できるように、そうした倍額としたところでございます。
 臼澤勉委員から、経費の支援の増額といったところだと思うのですけれども、一つは、専修学校は、委員御存じのとおり、職業または実生活に必要な知識、技術を教えます。それに対して、高等学校は普通教育を行う学校であるというものがありまして、その高等学校と専修学校の間にも、最低限必要とされる修業年限だったり、教員数だったり、備えるべき施設等といったものの水準がありまして、国から措置される地方交付税にも違いがあります。そういうところが、支援をふやしていく中では課題になるのではないかと考えております。
 県といたしましては、先ほど春に意見交換を行ったところでございますけれども、星北高等学園が果たしている役割を踏まえつつ、また、引き続き学園のほうと意見交換をしながら、その中でも必要な支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。
〇臼澤勉委員 この私立専修学校高等課程については、もう本当に高等学校と同等の教育機会を、この岩手県でしっかりと提供している。そして、そういう成果をあらわしているということをお話しさせていただきました。
 最初の実態も、県内の不登校児童が本当に急激にどんどん、過去最高を記録している。特に小中学校もどんどん伸びてきている。子供たちの学びの機会を県としてどうやって確保し、セーフティネット対策の充実を図っていくのかというのが問われているのだと思うのです。確かに国の制度との狭間で落ちているところだと思います。ただ、制度の実態の部分と、現実問題として起きているところ、ここはやはり全国トップクラスの子育て支援ということもお話ししておりますけれども、子育て支援の目線と、あと、子供ファーストの視点、これは、私はもっと取り組んでいただきたいと思いますし、既に全国で、先ほど長崎県、宮城県、宮崎県、あるいは東京都は財源も潤沢だからというのもあるのかもしれませんけれども、そういう子供たちに寄り添って、生きにくさと言うなら、そこを岩手県として踏み込んで対策をとっていただきたいと思っております。運営費補助の見直しを含めて、前向きに考えていただきたい。
 そして、県民アンケートの中でも、いじめ、不登校に関して、重要度7位、そして満足度は48位です。県民の満足度が低い中で、県民ニーズにしっかりと応える対策、対応が、議会を含めて、そういう宿題をぶつけられていると私は捉えているのですけれども、県の御所見をお伺いいたします。
〇本多学事振興課総括課長 不登校対策につきましては、今定例会でもさまざま議論が交わされているところと承知しております。そうした中で、不登校の原因として、学校側の問題だったり、あとは、本人だったり、家庭の問題だったり、そこは多種多様で一様でないというところが、その対応の難しさであると考えております。
 そうした中で、国がとりまとめた、いわゆる不登校対策のCOCOLOプランの中では、行政や学校、フリースクールとか地域社会、各家庭、NPO関係者等が、相互に理解や連携を深めながら、子供たちのそれぞれの場で取り組みを進めることの必要性を示しているというところでございます。
 県といたしましても、今、県教育委員会で開催している岩手県不登校児童生徒支援連絡会議がございまして、フリースクールの皆さんや市町村教育支援センターの皆さんも参加しているのですけれども、そこに今年度から我々私学振興担当も参加して、支援のあり方等について情報交換や共有を図ったというところでございます。
 不登校生徒を積極的に受け入れている星北高等学園とか、あとは、その受け皿になっている通信制課程を持っているような高校もありまして、そうした学校への支援を行うとともに、引き続き、県教育委員会とも連携しながら、児童生徒一人一人に寄り添った、居場所が確保できるような取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 いずれ、岩手県内の高等学校と専修学校に対する財政的支援の格差が著しくないような形、それは子供、そして、通わせている親御さんにとっても、そこに格差のないように、まず県として、私は踏み込んだ対策、そして、子供たちが次の進学あるいは就職に向けて新たな道を切り拓けるようにサポートをしていくべきだと思っておりますので、ぜひ、また現場のほうに行って、いろいろと実態把握に努めていただきたいと思います。よろしくお願いします。
〇高橋穏至委員 私からは2点通告しておりましたが、1点目のバス運行対策費補助については、佐藤ケイ子委員が質問いたしましたので、その質問になかった分だけ聞きます。
 地域公共交通再編・活性化事業推進費の令和4年度当初予算は3、200万円余りでしたが、実際には2、400万円余りということで、途中で減額して執行率が減っていますが、この要因をどうだったのかお知らせください。
〇山田地域交通課長 地域公共交通再編・活性化推進事業費でございますけれども、令和4年度の予算の執行率が74%にとどまった理由といたしましては、一部の市町村におきまして、デマンド交通の実証運行が合意形成に時間を要しまして、年度内での実施が困難となったことや、デマンドタクシーの利用が想定より少なかったといったことがございまして、当初の交付申請より実績額が大きく減少したということが原因でございます。
〇高橋穏至委員 地域の運行主体は市町村になりますので、その市町村の事情ということだったかと思いますが、実は、この事業に関しては、その前の年がこの交付要綱を出して市町村に要望したら、実は枠があって、やりたくてもできなかったという声があって、ふやすべきだということでふえたのですけれども、実際にはできなかったということで、そこは少し残念だったと思っております。
 これに関係して、岩手県ふるさと振興総合戦略のKPIとして、地域公共交通網形成計画等の策定市町村の数を指標にしているのです。令和4年の目標は33の目標だったのですが、それに対して、今回令和5年の見直し案が、今、素案として出ているわけですけれども、ここに載っている数字は、令和4年の現状で20ということで、かなりおくれているのですけれども、そのおくれの要因と、今後、どう進めていくかというのをお聞きしたいと思います。
〇山田地域交通課長 計画の策定市町村数でございます。確かにこちらは少しおくれておりまして、その要因については、やはりコロナ禍の関係で、バス利用者数の実態をなかなか把握できないといったことでございまして、それで、計画の策定のほうになかなか移れなかったと聞いているところでございますが、今、新たに4市町村から、来年度取り組みをしたいと聞いているところでございます。
〇高橋穏至委員 そういう声を聞いて、先ほど佐藤ケイ子委員から、枠の500万円をふやすべきだという話もございましたし、市町村からの声で、特に過疎債の関係の対象から外れたエリアを持つ市町村においては、その分の補填の意味もあって、公共交通の確保で非常に需要がふえるのではないかとも言われておりましたので、これは、来年度以降に向けて市町村の声をしっかりと聞いていただきたいと思います。
 続いて、地域経営推進費について、当初予算の4億5、000万円に対して、決算は3億5、800万円となっております。広域振興局の県事業と市町村事業の資料をいただいてあるのですが、この実施状況について、総括的にお伺いしたいと思います。
〇千葉地域企画監 令和4年度の地域経営推進費の実施状況でございますけれども、県事業につきましては、総数131事業でございまして、2月の予算補正後の執行率で言いますと、約85%。それから、市町村事業につきましては、県内全市町村で実施しておりまして、総数で言いますと、事業数134事業、執行率は約90%程度となっております。
〇高橋穏至委員 市町村事業は、県内全市町村で実施しているということですが、予算規模で少ないところと多いところ、大体どれくらいからどれくらいという幅だけ教えていただければと思います。
〇千葉地域企画監 今、手元にある資料は、広域振興局ごとのデータしか持ち合わせておりませんので、また、後ほど答弁いたします。
〇高橋穏至委員 これは何でお聞ききしたかといいますと、私が一般質問で、人口減少対策にかかわる市町村の取り組みを、この事業を使ってできないかということで取り上げさせていただいたのですが、それぞれの全市町村で人口減少はやはり課題でございますので、これをしっかりと、この枠をふやすなりして、募集して事業を企画してほしいのです。この事業の形成プロセスは、市町村からこれをやりたいと言われただけなのか、あるいは県として課題意識を持って取り組んでいるものなのか、その事業のつくり方についてお伺いしたいと思います。
〇千葉地域企画監 地域経営推進費につきましては、人口減少対策に重点的に取り組むこととしている第2期地域振興プランの推進に資する事業を対象にしているところでございまして、市町村に対しては、毎年度広域振興局から市町村に照会いたしまして、提出された事業計画につきまして、市町村と十分に意見交換、ヒアリング等を行いまして、事業内容を把握しまして、市町村の優先度等がありますが、意向も勘案しながら、局長協議を踏まえた上で、予算の範囲内で決定しているところでございます。
〇高橋穏至委員 ぜひ、人口減少に対する市町村の枠や人口規模にかかわらずしっかりと予算を確保して、来年度に向けてやりとりをしっかりやって、人口減少対策に取り組んでいただきたいということを申し上げて終わりたいと思います。
〇柳村一委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時58分 休憩
午後1時1分再開
〇佐々木宣和副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇千葉地域企画監 高橋穏至委員から御質問のございました地域経営推進費の市町村ごとの配分額の規模感でございますけれども、市町村からの事業要望を踏まえまして配分することになりますが、おおむね少ないところでは50万円程度から、多いところでは800万円程度となっております。手元にデータがなくて、大変失礼いたしました。
〇高橋穏至委員 それを聞いたのは、実は一般質問で、人口減少対策を市町村と一緒になってやるために、地域経営推進費を使って、全部の市町村が事業に取り組めるように、広域振興局に割り振ったらということで御提案しました。それは、50万円では何ができるかということですけれども、例えば各市町村の規模にかかわらず、人口減少に対する予算をまず500万円確保していただければと思います。小さい市町村で人口減少に取り組もうと思っても職員に余裕がなく、新しい事業がなかなかできない。そういうときに500万円という金額であれば、例えばその専門の方を委嘱して、そこに新しい事業を組み立てて、そこから展開させるとか、あるいは大きい市町村の場合は、自前の部分と組み合わせて対象者もふえるでしょうから、大きい事業にしてもよいしということですが、いずれ、岩手県内全部の市町村が取り組めるような仕組みになるだろうという思いで一般質問でも質問したのですけれども、そういう規模感で、その枠がきちんとあることを市町村にPRすれば、それを使って、うちの市町村は少し厳しいけれども、それなりの人材を確保して取り組もうかとか、あるいは私が住む北上市ですと、それの中間支援のNPOで、政策をつくるNPOもありますので、そこに委託事業として出して、それで一緒にやろうとか、さまざまな事業展開、私もやってきましたし、できると思うのですが、来年度に向けてそういうことに取り組んではどうかということですが、所感をお願いします。
〇千葉地域企画監 現下の最重要課題であります人口減少対策につきましては、現在、各広域振興局におきまして、市町村と連携して人口減少対策を進めるために、ワーキンググループによる検討を実施しております。それぞれの特性を生かした人口減少対策に取り組み始めているところでございまして、引き続き、地域の課題やニーズを踏まえた事業を実施できるように、予算編成過程の中で、必要な予算額の確保に努めてまいりたいと考えております。
〇高橋穏至委員 ぜひ広域振興局のほうから、人口減少に対してはこれくらいあるのだ、だから全市町村でやりますしょうというリードをとってもらいたいということを希望しながら、令和6年度当初予算に向けて頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
〇菅原亮太委員 私からは、いわて復興応援隊活動推進事業費及びいわて地域おこし協力隊について御質問させていただきます。
 いわて復興応援隊は、被災地の復興や地域振興を担う応援隊でございまして、震災翌年の2012年10月から、国の復興支援員制度を活用しまして、岩手復興応援隊が始まりました。それがことしの3月末で終了しまして、東日本大震災津波発生翌年、2012年10月から10年6カ月の期間、57人の応援隊の方が三陸沿岸地域を中心に活動されてきたと思います。
 まず、これまでのいわて復興応援隊の活動による成果をお伺いいたします。
〇千葉地域企画監 これまでのいわて復興応援隊の活動の成果についてでございますが、県では国の復興支援制度を活用し、いわて復興応援隊を県内外から募集しまして、これまで、沿岸市町村を中心に現地隊員として57名の隊員を配置し、復興や地域振興の支援などを行ってきたところでございます。
 復興応援隊の具体の取り組みとしましては、例えば仮設住宅を含む地域住民同士の交流の場づくりなどのコミュニティのサポートとか、三陸鉄道を活用した被災地内外の観光ツアーの企画開発やウエブサイト等による地域情報の発信、それから、三陸ジオパークPRイベントなどによるジオパークの地域への普及啓発など、被災地の見守りやケア、地域おこし活動の支援等の復興に伴う地域協力活動を通じまして、コミュニティの再構築や地域活性化に寄与したものと認識しております。
〇菅原亮太委員 いわて復興応援隊で、岩手県に定住になったという方は何人かいらっしゃいますでしょうか。
〇千葉地域企画監 これまで受け入れを行った人数のうち、任期を終了している方が57名いらっしゃいまして、そのうち約7割の39名の方が県内に在住しております。
〇菅原亮太委員 いわて復興応援隊はことしで終了ということですけれども、また、今後も県内外から協力を得て、復興を後押しする事業に取り組まれるかどうか確認いたします。
〇千葉地域企画監 令和4年度でいわて復興応援隊の現地隊員の活動は終了しましたけれども、県としましては、今年度、新たに県でいわて地域おこし協力隊を募集採用し、これまでいわて復興応援隊が担ってきた三陸ジオパークの推進などでの活動を引き続き継承していくこととしております。地域おこし協力隊の制度等も活用しながら、復興の取り組みを推進していきたいと考えているところでございます。
〇菅原亮太委員 今年度もただいま絶賛募集中だと思います。10月31日が募集期限だったと思いますけれども、もし答えられれば、その募集の現状について教えていただければと思います。
〇山本特命参事兼地域振興課長 いわて地域おこし協力隊につきましては、4名を採用する予定で募集を行っておりました。このうち、三陸ジオパーク関連の活動をお願いする予定の2名につきましては、現在、採用に向けた最終調整を行っている段階でございます。
 そのほかの三陸の観光振興や移住、定住に関する活動をお願いする2名につきましては、引き続き募集している段階ということになります。
〇菅原亮太委員 今年度もそういう復興について、いわて復興応援隊は終了しましたけれども、これからも同じような形でいわて地域おこし協力隊を推進していくということでございました。
 このように、外からの視点で我々が気づかなかった地域のいいところを掘り起こしてくれる、そういう地域おこし協力隊は今後も重要になってくると感じております。来年度も、また再来年度もいわて地域おこし協力隊をどんどん人員を募集していくつもりがあるか、改めてお伺いしたいと思います。
〇山本特命参事兼地域振興課長 今後の岩手県の地域おこし協力隊の件でございますけれども、現在、県版の地域おこし協力隊につきましては、令和4年度で、他の都道府県で任用されている方は13件、64名という状況になっておりまして、市町村中心の制度となっております。しかしながら、復興の状況や地域のニーズなどを検討しながら、今後のあり方等については、検討してまいりたいと考えております。
〇菅原亮太委員 最後に、県外の事例ですけれども、地域おこし協力隊としてせっかく来ていただいたのに、地域での人間関係に悩んでなかなかなじめず去っていったとか、もしくはこの地域おこし協力隊として来たけれども、仕事がなくて定住につながらずに、そのまま活動を終了して、県外にまた離れてしまうといったこともございます。
 地域おこし協力隊の皆さんが引き続きこの県にとどまって定住していただけるように、県としてどのような取り組みがあるかお伺いしたいと思います。
〇山本特命参事兼地域振興課長 地域おこし協力隊の支援についてということでありますけれども、県におきましては、協力隊のOB、OGを核といたしますネットワークと連携を図りまして、市町村向けの研修会、隊員向けの研修会、それから、企業に向けた研修会等を実施しているところでございます。それらの研修会等を丁寧に行いながら、隊員が市町村内での活動に支障がないように、支援してまいりたいと考えております。
〇菅原亮太委員 先ほど答弁がありましたように、OBの方との交流を通したネットワークがありました。そういう経験をされた方との交流を通じて、新たに来た地域おこし協力隊の方も安心して活動ができるように、そして、定住いただけるように引き続きお願いしたいと思っております。
 OB、OGとのネットワーク相談体制のほかにも、例えばお試しの地域おこし協力隊であったり、また、この地で会社を興して事業を行うという起業に向けた研修体制であったり、また、地元の民間企業に対しても、みずからの地域おこしの活動をPRできるようなネットワークに取り組んでいただいて、引き続き、地域おこし協力隊の皆さんが、活動を終了しても、この地で安心して働き続けていただける、定住していただける取り組みを引き続きお願いしたいと思います。
 最後に、その御所見を伺いして終わりたいと思います。
〇山本特命参事兼地域振興課長 OB、OGを核とするネットワークにつきましては、令和3年度に設立いたしまして、令和4年度から各種の研修会について充実を図ってきたところでございます。ことし2年目になるわけでございますけれども、引き続き、各研修会におけるアンケート等で、隊員の要望等も聞きながら内容を充実させ、取り組んでまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは最初に、先ほど岩手県立大学の理事長の報酬問題が議論になりました。これは知事選挙前の2月定例会でも議論になったことで、私もそのときに述べたのですけれども、本来、これは大学の規則に基づいて、大学が自主的に決める、大学自身にかかわる問題だと思います。
 同時に、理事長の役割、実績も議論になりましたので、私も調べてみました。私は一番重要だと思っているのは、ILC誘致にかかわって、鈴木厚人学長が、ことしの4月から3期目を迎えると。ことしの1月には、ILC、素粒子物理学の第一線で頑張っている山下了氏を特任教授に迎えたということで、県政と一体でILC誘致を進める体制がさらに強化されたことは、私は評価をしておきたいと思います。
 あわせて、令和5年度に開学25周年を迎えるのですけれども、25周年記念式典の開催をして、三笠宮妃殿下を迎えて、こうしたものも開催した。法人職員の処遇改善についても、これは理事長の主導で、法人プロパーと派遣の県職員の賃金に差もありましたから、その処遇改善を図ったこともお聞きいたしました。
 学生支援については、ことし7月に、学生1人当たり5、000円の食費及び教材支援を全ての学生を対象に実施をして、学生食堂利用負担軽減事業として、これはことしの10月から12月までのようですけれども、そうした学生生活を支援する独自の取り組みをやっていることも評価できるものではないのかと思います。
 さらに、今年度は重度の機能障がいを有する学生を受け入れましたが、介助員の配置、施設の利便性の向上など、こうした就学環境の支援も行っています。
 ダイバーシティの取り組みでも、ダイバーシティ推進室を設置して、多様な学生の個性が尊重される、こうした職場の男女共同参画の取り組みにも、理事長が率先して取り組んでいる。私は理事長の幅広い見識と、これまで築いた人脈が発揮されている。これもしっかりと評価をすべきことではないのかと思います。2月のときも私は触れましたけれども、他の公立大学の理事長報酬と比べて、決して県立大学が高いわけではない。もっと高いところはたくさんありますよ。だから、そういう意味でも、決して突出しているものではないということも、改めて、これは指摘だけにとどめておきます。
 次に、国によるJRローカル線切り捨ての対応についてお聞きいたします。ローカル線の切り捨ての理由、国の動向はどうなっているでしょうか。
〇中嶋地方路線対策監 国によるローカル線切り捨ての理由、国の動向についてでありますが、本年10月1日に施行されました地域交通法の一部改正によりまして、自治体または鉄道事業者の要請により、国が特に必要と認める場合に再構築協議会が設置される制度が創設されたところでございます。
 今回の法改正につきまして、国はその背景として、人口減少等による長期的な利用者の落ち込みに加え、コロナ禍の直撃により、地域交通を取り巻く状況は年々悪化しており、特に一部のローカル鉄道は大量輸送機関としての特性が十分に発揮できない状況にあることを挙げており、こうした状況を踏まえまして、あらゆる交通モードにおける地域の関係者の連携、協働、これを共創と呼んでおりますけれども、そういうものを通じ、利便性、持続可能性、生産性が向上するよう、地域公共交通ネットワークを再構築することが必要であると説明しているところでございます。
 そして、本年8月には、同法の一部改正に伴い、地域公共交通の活性化及び再生の促進に関する基本方針を変更し、同法の運用に関する基本的な考えを示しているところであります。
〇斉藤信委員 富山県でしたか、国が設置する協議会が最近つくられて、本当に十分な議論をされたのかと驚くような早さで早々に第三セクター化を決めました。だから、本当に国による協議会の設置は、そうした危険性があるのだということをまざまざと示した事例だったのではないかと思います。
 そこで、JRローカル線維持確保連絡会議が開催されておりますけれども、JR沿線自治体会議を含めて、開催状況、確認事項、取り組み状況について示してください。
〇中嶋地方路線対策監 JRローカル線維持確保連絡会議等の開催状況等についてでありますけれども、県と沿線市町で構成するJRローカル線維持確保連絡会議を昨年11月に開催し、国鉄改革からの経緯を踏まえ、国やJR東日本が当事者として鉄道を維持していくべきこと。県及び沿線市町が連携を強化して、さらなる利用促進に向けた取り組みを実施していくこと。県内6路線の状況がそれぞれ異なることから、路線ごとに沿線自治体首長会議を設置することについて、沿線市町と認識を共有したところでございます。
 沿線自治体首長会議につきましては、これまでJR山田線、JR北上線、JR釜石線で開催し、鉄道の維持に向け、県と沿線市町が連携して利用促進に向けた取り組みを強化していくことについて確認したところであり、ほかの路線についても、準備が整い次第、開催していく予定であります。
 また、沿線自治体首長会議のもとにワーキンググループ等を設置するなどして、今年度創設した県の補助事業の活用も含め、利用促進について検討しているところであり、例えば定期券、回数券の購入支援、モデルツアーの実施、プロモーション動画の作成などの事業が展開されるところでありまして、今後も沿線市町と連携し、鉄道の維持に向け取り組んでいくところでございます。
〇斉藤信委員 この問題が提供された一つの理由、きっかけは、コロナ禍のもとで、これは2020年、2021年、JR東日本も赤字になりました。2年間の赤字が、実は6、954億円でした。しかし、5年間で見ますと、9、738億円の黒字なのです。5年間で見たら、もう十分黒字化になって、昨年度からもう完全に黒字に変わっていますから、赤字というのは全く理由にならない。逆に言えば、こうした黒字を使って、全国のローカル線を含めた公共交通網を維持するというのが、本来のJR東日本の役割ではないかと私は思いますが、JR東日本の5年間の経常収支、内部留保はどうなっていますか。
〇中嶋地方路線対策監 JR東日本の5年間の経常収支と内部留保についてでありますけれども、JR東日本が公表している決算資料によりますと、まず経常利益は、令和元年3月期決算では3、548億円余の黒字。令和2年3月期決算では2、601億円余の黒字。新型コロナウイルス感染症の影響を受けた令和3年3月期決算では5、177億円余の赤字。令和4年3月期決算では1、777億円余の赤字となっておりますが、最新の令和5年3月期決算では460億円余の黒字となっております。
 続きまして、利益剰余金、いわゆる内部留保についてでありますが、同じく令和元年3月期決算では2兆1、692億円余。令和2年3月期決算では2兆2、284億円余。令和3年3月期決算では1兆6、718億円余。令和4年3月期決算では1兆5、348億円余。令和5年3月期決算では1兆5、495億円余となっております。
〇斉藤信委員 恐らく、今は利益剰余金だと思うのです。内部留保というのは利益剰余金だけではない中身もありますから、全国労働組合総連合の試算で言いますと2兆8、000億円になるという規模です。全体として黒字で、内部留保もため込んで、これは基本的には、公共交通網の維持に本来使われるべきです。今、鉄道維持の意義、役割は、ますます高まっていると思います。
 特にEUでは、気候危機打開と結んで、これは本当にもう鉄道にシフトするという動きもありますが、諸外国の動向、気候危機打開にとっての鉄路の果たす役割、どのように受けとめているでしょうか。
〇中嶋地方路線対策監 鉄道維持の意義、役割、諸外国の動向と気候危機打開についてでありますが、JR線を初めとしたローカル鉄道は地域交通としての役割だけでなく、地方における観光振興、災害時の移動手段や支援物資の輸送手段になるなど、代替性、補完性の確保等、重要な役割を担っているものと認識しているところでございます。
 国際的には、フランスやドイツ、スペインなどにおいては、国が全株式を保有する国有鉄道による鉄道輸送が行われているなど、鉄道を公共インフラとして公的な経営形態をとってでも維持すべきとの考えが浸透していると受けとめているところでございます。
 また、フランスにおいては、近距離移動は一定の条件のもと、航空機ではなく鉄道にシフトするという施策もとられていると承知しております。
 国土交通省の資料によれば、移動手段別の輸送量当たりの二酸化炭素排出量は、鉄道、バス、航空機、自家用車の中で鉄道が最も低く、旅客について言えば、自家用車の5分の1以下となっており、地球温暖化対策の推進に向けて、鉄道は大きな役割を果たすものと認識しております。
〇斉藤信委員 大変大事な答弁だったと私は思います。決算特別委員会総括質疑でも議論がありましたけれども、2040年問題にもかかわって、貨物輸送が増大するという話も出ております。私は、本当に公共交通網にとっても、気候危機打開にとっても、鉄路を守っていく。あわせてこの利用、利便性、この問題も一緒に解決していくことが必要だと思います。
 次に、マイナンバーカードの事実上の強制の問題についてお聞きいたします。
 令和5年6月2日にマイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)が改悪をされました。その中身はどうなっているでしょうか
〇古川デジタル推進課長 令和5年6月に改正されたマイナンバー法等の改正内容についてでありますが、社会保障制度、税制及び災害対策の3分野以外の行政事務において、マイナンバーの利用を促進する。法でマイナンバーの利用が認められている事務に準ずる事務についても利用を可能とする。健康保険証を廃止するとともに、マイナンバーカードによるオンライン資格確認を受けることができない方に対して、本人からの求めに応じて資格確認書を提供するなどの6点が改正されたものと承知しております。
〇斉藤信委員 一番の問題は、マイナンバーカードに健康保険証をひもづけけたということです。本来、マイナンバーカードというのは任意です。しかし、健康保険証とひもづけたら、これは事実上の強制になる。そこで、今、本当に医療の現場で大問題が起きています。
 岩手県内でも、岩手県保険医協会が何度か実態調査を行って、記者会見でも明らかにしておりますが、オンライン資格確認を行っているところでトラブルが発生したのは、62.5%です。カードリーダーまたはパソコンの不具合により読み取りができなかった。保険者情報が正しく反映されなかった。本当に深刻な問題があって、他人の医療情報がひもづけられたというのも、岩手県保険医協会の中でも2件あった。命にかかわる問題です。こうしたトラブルについて、どう把握されていますか。
〇古川デジタル推進課長 県内におけるマイナンバーカードの誤交付等についてでございますが、全市町村に調査を行ったところ、9月末時点で、盛岡市における3件のひもづけ誤りの事例を把握したところでございます。
 マイナンバーカードの健康保険証利用に関しましては、斉藤信委員から御案内がありましたとおり、岩手県保険医協会が医療機関に対して行った6月時点のアンケート調査の結果で、不具合があったと伺っております。ただ、市町村経由での具体的な情報はこちらに寄せられておりませんでして、把握していないところでございます。
〇斉藤信委員 マイナンバーカードの最大の問題の一つは、来年健康保険証を廃止すること。そして、事実上強制すること。これが一番の問題です。そして、その問題でトラブルが発生している。命にかかわる問題が起きている。
 実はこの調査、実際に開業医の方々ですけれども、マイナンバーカードの保険証利用で受診する人は、1日、二、三人いるかどうか。1割にも満たないのです。これは不便だからなのです。私はそういう意味で、そうした実態をよく把握してやっていただきたい。
 そこで、マイナンバーカードの交付状況、保有状況、どうなっているでしょうか。交付枚数と保有枚数に大きな乖離がありますが、どのぐらいの乖離で、その理由は何かも示してください。
〇中村参事兼市町村課総括課長 マイナンバーカードの交付状況、保有状況についてでございますけれども、最新の令和5年9月末現在で申し上げますと、交付率は、県全体で76.9%となっております。交付枚数につきましては、県全体で91万5、083枚になっております。あわせて保有枚数ですけれども、保有枚数につきましては、県全体で72.8%、枚数でいきますと86万6、636枚という形になっております。
 ここの差の部分ですけれども、交付後の移動とか、あとは申請後に、まだ交付されていないという部分もございますので、そこのところで若干差があるのではないかと考えております。
〇斉藤信委員 交付枚数と保有枚数で、大体4万件以上違います。これはもう返上したというのもあるだろうし、取りに行かなかったというのも事実上あるのではないかと思うのですけれども、その実態はわからないのですか。
〇中村参事兼市町村課総括課長 自主返納の状況につきましては、市町村で調べている部分で、151枚ということでは聞いております。先ほど申しました交付と保有の差につきましては、自主返納もありますし、あと、死亡をした場合もございますので、そういうところでの差になっていると思っております。
〇斉藤信委員 いずれにしても、マイナンバーカードを事実上強制するのは本当に異常なことで、トラブルが起こっているときにどうして解決するか。今の保険証で解決するのです。だから、今の保険証を持ってきてください。これが医療の現場です。
 これだけ大混乱をしているわけですから、私は、一度中断して、徹底した調査をやって、そして、マイナンバーカードの健康保険証利用の強制はやめるということを県としても強く求めるべきだと思います。時間が来ましたので、終わります。
〇高田一郎委員 私から、まず私学教育の助成についてお伺いいたします。
 まずお聞きしたいのは、今、私立学校での入学金、授業料、施設整備などさまざまな負担が必要になっています。現在の父母負担、どのような状況になっているのか。
 また、私立高校での授業料の免除、補助について、東北6県の状況も含めて示してください。
〇本多学事振興課総括課長 授業料等の父母負担と、東北6県の状況についてでありますが、令和5年度における県内の私立高等学校の授業料は、一番低い学校は月額2万8、000円、一番高い学校は月額3万7、000円となっております。このうち、国の就学支援制度では、年収590万円未満世帯、それから、年収590万円以上、910万円未満世帯を対象に、それぞれ月額3万3、000円、9、900円を上限に補助しており、県ではこれに加えまして、さらに年収590万円から620万円までの世帯を対象として、県単独で上乗せして、月額1万1、550円を上限に補助しているところでございます。
 東北各県の状況でございますが、申し上げた国の就学支援制度以外の制度で申し上げますと、青森県では、年収590万円から710万円未満世帯を対象に、月額9、900円を、宮城県、秋田県では年収590万円から620万円未満世帯を対象に、月額9、900円を、山形県では590万円未満世帯、そして910万円未満世帯に対し、それぞれ月額1、000円、1万2、100円を、また910万円以上の多子世帯を対象に月額4、950円を支援しているところでございます。また福島県では、生活保護世帯、それから年収450万円未満世帯に対し、それぞれ月額1万2、500円、6、250円を、また、590万円から620万円未満世帯を対象に、1万1、550円を上限に補助しているところでございます。
 今のが授業料でありまして、次に入学金でありますが、令和5年度における県内の私立高校の入学金は、一番低い学校では7万円、それから一番高い学校では16万円となっておりまして、これに対し、県では生活保護世帯を対象に10万4、350円を上限に補助を行っているところでございます。
 東北6県の状況を見ますと、青森県では非課税世帯を対象に定額5万円を、宮城県では非課税世帯及び年収590万円未満世帯を対象に、それぞれ定額で5万円、2万5、000円を、秋田県では非課税世帯を対象に、当該年度入学金から5、650円を減じた額を、また年収590万円未満世帯を対象に、当該年度入学金の2分の1から5、650円減じた額を、山形県では、生活保護世帯を対象に、当該年度入学金から5、650円減じた額を、また交通遺児世帯には、入学時納付金の全額を補助しており、福島県では補助制度はないと伺っているところでございます。
 最後に、施設整備についてでございますが、令和5年度における県内の私立高校の施設整備費は、一番低い学校は年額で1万5、000円、一番高い学校は年額10万円となっております。本県の場合は、父母が負担する施設整備への補助はありませんが、学校法人が行う学校施設の耐震改修、それから、耐震改築工事に要する費用について、国庫補助に上乗せする形で支援を行っているところでございます。
〇高田一郎委員 詳しくありがとうございました。就学支援制度が導入されても、まだまだ多くの負担があると。3年間で30万円から100万円を超えるという状況になっていることもお伺いしております。
 今はそういう状況のもとで、学費の滞納とか退学の状況、あるいはバイトを行っている学生とか、教職員の雇用状況はどうなっているでしょうか。
〇本多学事振興課総括課長 今、委員からお尋ねいただきましたうち、学費滞納とバイトの状況については数値を把握しておりませんので、生徒の退学状況と、教員の本務兼務の状況について御答弁させていただきます。
 まず、生徒の退学状況から申し上げますと、文部科学省が取りまとめた令和4年度児童生徒問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果によりますと、令和4年4月1日現在の県内の公立と私立の本科及び通信制の高等学校の生徒数は3万360名となっておりますが、そのうち中途退学者は365名となっております。
 また、当課で取りまとめました県内私立高等学校の令和5年5月1日現在の教員数は737名であり、そのうち491名が当該校を本務校とする常勤の教員である本務教員。また、246名が兼務教員―当該学校以外に本務があるなど当該学校の本務教員以外の教員として発令されている方ですが、そういう状況となっております。
〇高田一郎委員 それで、就学支援金制度は、学習権を保障する上で、私立学校でも大きな役割を果たしていると感じております。
 午前中から私立学校の問題についてはいろいろ議論もありました。私は、私立学校の格差を是正していく上では、国の私学助成に対する考え方をただしていくことが根本から大事だと思います。いろいろ調べてみましたけれども、在学生1人当たりの私学に対する国の助成は33万円に対して、公立学校は104万円という状況。文部科学省も認めているわけで、3分の1です。これを、公立学校並みに国の予算もしっかりと確保すれば、午前中から議論されたような課題は一気に解決すると私は思います。防衛予算倍増などと言っていますけれども、やはり教育予算の倍増こそ求められているということを改めて感じているところです。
 ただ、実際に、私立学校の経営とか、あるいは子供たちの置かれた状況、近隣自治体との格差のことを考えれば、さらに、単独でも努力をしていくべきだと思っております。
 岩手県の私立学校に対する助成は、他県に引けをとらないという位置にはありますけれども、さらなる努力が必要だと思います。これはふるさと振興部長にお聞きしますけれども、他県に引けをとらないことに安住しないで、可能な限り最大限努力する。これで終わったわけではないと思いますけれども、さらなる今後の私立学校の充実に向けた県の考え方についてお伺いしたいと思います。
〇熊谷ふるさと振興部長 県内の私立学校、それぞれ特色ある教育ということで、生徒の健全育成、それから地域振興に御尽力いただき、大きな力をいただいているところでございます。
 私立学校への運営費の部分につきましては、国庫補助制度、それから、地方交付税制度で基本的な考え方が示されて、順次、毎年増額の検討といいますか、充実の検討を行っているところでございます。引き続き、私学全体について、各団体からもさまざま要望いただいておりますので、そういう御意見も参考にしながら、可能な限り、その充実に努めてまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 私立学校の耐震化の問題についてもお伺いしたいと思います。これも岩手県私学協会とか、いろいろなところから、毎年、耐震化の支援の充実について要望を受けておりますけれども、なかなか前進しない。今現在、耐震化率が90%ちょっとということで、まだ14棟の耐震化が実現できていないということです。これは何が進まない原因なのか、県の支援制度が足りないのか、その辺のところをどのように分析しているのかお伺いしたいと思います。
〇本多学事振興課総括課長 私立学校の耐震化についてですが、まず一つ、県のほうでは平成26年度から国の補助事業のかさ上げ補助によりまして、耐震改修に対する支援を行ってきたほか、平成27年度には私立学校耐震改築事業費補助を創設いたしまして、国の補助事業の補助率、これは3分の1になりますが、それに上乗せする形で2億円を上限として、対象経費の6分の1を補助しているところでございます。
 さらに令和元年度には、当該補助事業について、従前、1事業1回のみの交付という運用を廃止したところでございます。
 これまでに、本県事業を1法人が活用し、また、今年度も1法人が活用しているところでございます。
 課題ですが、今、御答弁申し上げましたとおり、どうしても学校法人側の費用負担を伴った上で進めていかなければいけないというところがあります。県としては、耐震改築に対してはこうした支援を行いつつ、また、安定的な経営に対しては、経費に対する運営費補助とか、特色ある教育に対しては、県単独での上乗せ補助を行いながら、安定的な私立学校の運営を支援してまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 理解したわけではないのですけれども、私立学校でまだまだやらなければならないのが14棟、認定こども園とか学校とかあるわけですけれども、これは、子供たちが一日の大半を過ごす場でもあるのです。そういう意味では、最大限安全でなければならないというのは基本だと思うのです。これは、学校側に負担が伴って大変だということであれば、今の支援制度をさらに拡充するなどして、ぜひ、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、公共交通政策についてお聞きいたします。
 岩手県の地域公共交通形成計画、ことしで最終年度であります。まず、この間の成果と課題についてお伺いいたします。
〇山田地域交通課長 岩手県地域公共交通網形成計画の成果と課題についてでございますが、同計画で指標としている項目のうち、主な指標の状況につきましては、令和元年度から令和4年度までの接続拠点における待合環境や乗り継ぎダイヤの改善件数が累計で90件。企画切符等の公共交通利用促進策実施事業数は24事業者と、令和4年度時点で、最終年度である令和5年度の目標値を上回る実績を達成しているところでございます。
 一方、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、第三セクター鉄道、バスの1人当たりの年間利用回数は11回、広域路線バス1路線当たりの平均乗車密度が2.9人と、令和5年度の目標値と比べた達成率がいずれも80%を下回っているところでございます。
 また、令和元年度から令和4年度までの運転士の新規確保人数の累計は173人と、達成率は80%を上回っておりますけれども、新型コロナウイルス感染症の影響などによりまして、同期間の退職者数は見込みより大幅にふえまして313人に上り、運転士の人数が減少しているところでございます。利用者数を踏まえた持続可能な地域公共交通の維持、確保と運転士の確保が課題と認識しているところでございます。
〇高田一郎委員 それでは、具体的にお聞きします。
 現在のバス、タクシーの現状について、コロナ禍前と比べて、その台数とか、運賃収入がどのように変化しているのかお聞きいたします。
〇山田地域交通課長 バス、タクシーの現状についてでございますが、県内の主な乗り合いバス事業者3社における令和5年4月から7月までの利用人員につきましては約554万人と、コロナ禍前の令和元年度の同期比で24.2%の減、また、同期間の運賃収入は14億3、900万円余と、令和元年度の同期比で22%の減となっているところでございます。
 また、タクシーにつきましては、岩手県タクシー協会によりますと、利用人員のデータはないものの、令和5年4月から8月までの運賃収入は34億600万円と、令和元年度の同期比で12.2%の減となっているところでございます。
〇高田一郎委員 コロナ禍前と比べてもまだ回復していないという状況です。やはり引き続きこういうところへの支援が求められていると思います。これまで行ってきたバス、タクシーなどの運行支援交付金事業をさらに継続していただきたいことを、要望として申し上げておきたいと思います。
 高齢者の足を確保する対策についてお伺いいたします。
 今、農村地域、あるいは公共交通の空白地域に行きますと、足の確保に対する要望が多いのです。とにかく医療費よりも交通費が高い。そして、1日がかりで病院や買い物に行かなければならないという状況になっております。これをどう解決するのかということが大きな課題ではないかと思います。
 午前中も議論がありましたように、地域公共交通活性化推進事業費補助については、いろいろな自治体からその拡充を求める声がありますので、これについてしっかりと拡充していただきたいと思います。
 今後の計画をつくる上で、地域によって公共交通は違いますから、その地域でどういう対策をとることが、地域の皆さんの足の確保につながるのかという議論を行って、そこで作成された計画に対して、国や県がしっかりと財政支援をするという仕組みが大事だと私は思うのです。そういう点では、現在の地域公共交通活性化推進事業費補助は、期間が限定されていますので十分ではないと思います。今、これが非常に大事な対策ではないかと思うのですが、これについての県の認識をお伺いしたいと思います。
〇山田地域交通課長 委員からお話がございましたように、地域公共交通活性化推進事業費補助につきましては、市町村からの希望が非常に多い補助金となっております。
 ただ、当然、財源等の限りもあるところでございまして、県といたしましては、まず、計画策定費につきましては、例えば国庫補助などが使えるということがございますし、それから、実証運行につきましても、地域内フィーダー系統補助金という国庫補助金がございまして、こちらが使える可能性もあるところでございます。まずはそちらの国庫補助金を使用していただきたいと、市町村にはお願いしているところでございまして、そちらで対処ができなかったとか、あるいは上乗せといったところにつきまして、地域公共交通活性化推進事業費補助で国、県、市町村と連携いたしまして、地域公共交通を維持確保していきたいと考えているところでございます。
〇高田一郎委員 では、最後にいたします。
 これから作成する地域公共交通網形成計画は非常に大事な計画だと思います。年度内に素案が策定されるということを聞いていますが、計画の基本理念に、交通権や移動の権利を保障する、安全確保を明記することが大事ではないか。そういう基本理念を明記した計画にすべきだと思いますが、端的にお答えください。
〇山田地域交通課長 地域公共交通網形成計画につきましては、法改正がございまして、今、地域公共交通計画となっているところでございます。
 地域公共交通計画につきましては、計画期間が今年度末までとなっておりますことから、現在、次期計画の策定を進めているところでございます。
 同計画の策定に当たりましては、広域振興圏ごとに設置した地域別部会や、県内全域を対象とする法定協議会で協議を進めているところでございまして、また、市町村を越えた通学や通院など、県民の広域的な移動を維持確保していくという基本的な考え方のもと、必要な対応を計画に盛り込んでいきたいと考えているところでございます。
 また、バス事業者に対する運転士の健康状態のチェックなどに対する助成などを、運営事業振興費補助でこれまでも補助してきたところでございまして、次期計画にもこの考え方を盛り込んでいきたいと考えております。
〇小林正信委員 私から3点ほど。
 まず、海洋エネルギー関連産業創出推進事業費について、令和4年度、シンポジウムの開催等行われたとうことで、まず、この事業の概要について、また、取り組みを踏まえての令和4年度の事業をどう評価しているのかお伺いします。
〇佐藤科学技術課長 海洋エネルギー関連産業創出推進事業の概要と評価についてでございますが、この事業は、洋上風力発電や波力発電の事業化の支援推進を行いまして、関連産業を創出することによって、三陸地域の新たな価値創造を図ることを目的としている事業でございます。
 具体的な内容といたしましては、洋上風力発電の事業化の促進に向けた関係者との協議や、関係する自治体の取り組み支援、導入地域の拡大のための可能性調査の実施、釜石市沖の海洋再生可能エネルギーの実証フィールドの活用に向けた関係者等の調整を行ったところでございます。
 これらの取り組みを通じまして、県外の漁業団体との関係構築や合意形成に向けた課題の把握、実証フィールドにおける実証試験の決定など、一定の成果があったものと認識しております。
〇小林正信委員 特に洋上風力発電についてお伺いしたいのですけれども、本会議でも議論がございましたが、現在、久慈市沖が一定の準備段階に進んでいる区域に位置づけられています。また、洋野町沖では、国の調査研究事業が進んでいる。野田村から宮古市沖では、県独自の調査が行われている状況です。
 この先も実現に向け、さまざま課題はあると思うのですけれども、そうした課題をクリアして、秋田県では本年、大型商用洋上風力発電が稼働となった。秋田県では着床式ということで、海底に直接建てるやり方で、岩手県は浮体式を目指しているので、少し状況が違うと思うのですけれども、この秋田県の取り組みを踏まえつつ、岩手県としても早期の実現に向け、力を入れていっていただきたいと思いますけれども、令和4年度の実現に向けた取り組みについてお伺いします。
〇佐藤科学技術課長 令和4年度の洋上風力発電の取り組みについてでございますが、久慈市沖につきましては、久慈市と共同で県内の漁業者に対する説明会を開催したほか、関係省庁と相談しながら、全国規模で操業する漁業団体との協議を行うなど、合意形成に努めてきたところでございます。
 また、久慈市沖に隣接します野田村沖から宮古市沖にかけましては、洋上風力ウィンドファーム形成に向けて、導入可能性調査を実施したところでございます。
 今後の久慈市沖等での事業の導入に向けてでありますけれども、先般、県としても、この洋上風力発電を強力に推進していきたいということで、庁内関係部局で構成する海洋再生可能エネルギーの導入推進に向けた検討チームを設置したところでございまして、国の参画も得ながら、洋上風力発電について、県としても強力に取り組みを進めていきたいと考えております。
〇小林正信委員 了解いたしました。
 今後の取り組みについてもお伺いしたいということで、先ほど秋田県の取り組みをお話ししましたけれども、以前、ふるさと振興部長が秋田県など、最新の事業化事例の調査を行うと答弁されておりましたけれども、秋田県の調査とか、秋田県との連携等を行っているのかお伺いしたいと思います。
〇佐藤科学技術課長 秋田県の調査につきましては、ことし6月に、港湾区域で商業運転をしております秋田沖、それから、能代沖を視察し、秋田県庁や運営会社からもお話を伺っております。
 秋田県については、かなり早い時期から、洋上風力発電だけではなくて、陸上風力発電も含めた再生可能エネルギーの導入を進めていまして、そういう取り組みが契機となって、洋上風力発電に着手をしたと。国で海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律を整備する前から動いていたということで、その分、漁業者との調整については、発電事業者が主に調査に当たったということで、円滑に事業を進めるに当たっての地域調整が進んだと伺っております。
 そういうことも参考にしながら、県として、これから久慈市沖、どういうところに支援できるか検討していきたいと思っております。
〇小林正信委員 先ほど、複数の部局が参加する海洋再生可能エネルギー導入促進に係る検討チームを設置したということで、今後、国のオブザーバー参加も予定していると伺っております。久慈市沖が次の段階、有望な区域に選定されれば、久慈港を洋上風力の基地港湾として整備する必要があります。また、海底ケーブルを整備するのかどうかという送電網の問題等、今後考え得るさまざまな課題に対応する意味で、この検討チームは非常に重要なものであり、時宜を得たものと思います。
 今後、久慈市沖では、促進区域を目指して取り組みを進める。そして、洋野町沖、あるいは野田村から宮古沖の調査、この結果をしっかり受けて、その後のスケジュール、あるいは計画や目標、これは十分に検討を決定して、取り組みを進めていただきたいと思いますけれども、今後の実現に向けての取り組みについてお伺いをしたいと思います。
〇佐藤科学技術課長 まず、野田村沖から宮古市沖にかけましては、今年度、昨年度の調査結果を踏まえまして、詳細な漁業実態調査、あるいは漁業への影響はどういうものがあるか調査することにしております。その結果を踏まえつつ、地元の市町村の意向も踏まえながら、どういう形が望ましいのか。その海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律にのっとった事業として進めていくのか。あるいは小規模なもので、地産地消という形で進めていくのか、いろいろ手法はあると思いますので、そこは他地域の事例も研究しながら進めていきたいと思っております。
〇小林正信委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 2点目は、デジタル化の推進について、まず、いわてデジタル化推進事業の取り組み状況についてお伺いしたいと思います。ICTセミナー開催の目標値が1回ということでしたけれども、実績値は9回ということで、これは、1回やってみたら、すごくよかったので、どんどんやったら9回になったということなのか。そうだとしたら、計画値が1回というのは少しやる気のない目標だったのではないか。そのあたりを含めて、取り組み状況をお伺いしたいと思います。
〇古川デジタル推進課長 いわてデジタル化推進費の取り組み状況についてでございます。
 令和4年度は、御案内のあったセミナーの類いといたしまして、自治体におけるデジタル化、DXを推進するに当たって必要となる知識の習得やマインドセットを醸成するために、県及び市町村職員を対象としてDXセミナーを開催したところでございます。
 また、庁内のデータの利活用を促進するために、県が利用している人流データ分析ツールの操作研修会も開催したところでございます。
 また、各分野のDXを推進するため、産学官金で構成するいわてDX推進連携会議におきまして、県内の企業、団体の優良事例を表彰するいわてDX大賞を新たに創設し、事例を広く紹介するという取り組みにより、普及活動もしたところでございます。
 このほか、少しずれますけれども、庁内の16町村を会場に、マイナンバーカードの交付申請やマイナポイントの申込等に係る支援会の開催といった、マイナンバーカードの普及促進についても取り組んだところでございます。
 DXセミナーでございますが、県のDXアドバイザーや民間事業者等を講師にお招きし、マインドセットの醸成というものも目的としていたほか、個別のデジタル化手法といたしまして、RPAの自動化技術や、ドローン技術をテーマとしたデジタルリテラシーの向上など、結局、全6回のセミナーを開催したところです。延べ476名の受講ということで、目標値が低いというのは、そうだったということでございますけれども、いずれ、こういう普及活動あるいは我々のデジタルリテラシーの底上げを進めまして、デジタル化の推進に資していきたいと考えております。
〇小林正信委員 わかりました。
 特に県民の皆さんのICT化に関する関心は高まっていると思うのですけれども、そのように、デジタル化は、誰一人取り残されないものでなければならない。幸福関連指標のモバイル端末の普及率の評価がDということで、全国順位も45位となっている。本県のインターネットにつながらないデジタル格差、デジタルデバイドは他県に比べて厳しい状況にあると考えますけれども、令和4年度のデジタルデバイド解消の取り組みについてお伺いします。
〇古川デジタル推進課長 デジタルデバイド解消の取り組み状況についてでございます。
 国におきましては、令和3年度から、オンラインによる行政手続や、サービスの利用方法等に関する講座等を開催するデジタル活用支援推進事業を実施しております。これによりまして、携帯ショップや公民館等での相談会ということで、高齢者向けの操作説明会を通じて、デジタルデバイド解消に努めているところでございます。
 県でも、令和4年度に、携帯キャリアショップのない町村を対象に、先ほど御案内したマイナンバーカードの申請支援会の開催とあわせまして、スマートフォンの活用相談を行い、180件の相談に対応したほか、県のICTアドバイザーを講師として、市町村の農業委員へのタブレット端末を活用した農業委員会の業務効率化の支援など、もろもろの支援をして、デジタルデバイドの解消に努めてきたところでございます。
 今後も、県といたしましては、デジタルデバイドは、本県に限らず全国共通の問題でございますので、全国知事会等を通じまして、国に対して、こうしたデジタル技術や活用に関する相談や、学習を行うような体制、環境の整備、地方自治体が住民を対象にして行うデジタルデバイド対策に対する財政的支援の拡充等について要望していきたいと考えています。
 また、市町村と連携しながら、高齢者を初めとするデジタルに少し弱い方々のデジタル活用支援を推進していきたいと考えております。
〇小林正信委員 市町村でも、デジタル推進員の取り組みは結構行われているのだろうと思います。岩手県では、先ほどそれに類似した取り組みを行ったということですけれども、市町村の取り組みを後押しすることも必要だと思うので、ぜひ、よろしくお願いしたい。
 県民にデジタル化の恩恵を実感してもらうためにも、スマートシティの取り組みが重要と考えます。以前にも会津若松市の事例等を私もお話しさせていただきましたけれども、兵庫県加古川市では、加古川スマートシティ構想を策定し、オンライン上で市民の声を集め、政策に反映させるデジタルプラットフォームを整備しました。このプラットフォームを使ってさまざまな、例えば複合施設の愛称の募集とか、市民参加の合意形成に活用されております。こうしたデジタルプラットフォームを含めたスマートシティ形成の取り組みは、県民生活の質をデジタル化で高めるという観点から重要と思いますけれども、県内におけるスマートシティの取り組みについて、把握していればお知らせいただければと思います。
〇山本特命参事兼地域振興課長 県内のスマートシティの取り組み状況についてでありますけれども、市町村の取り組みといたしまして、国の令和4年度スマートシティ関連事業において採択された盛岡市におきまして、未来技術社会の実装に向けた事業を実施しているほか、いわてDX大賞2022を受賞した北上市の保育園DX、それから、遠隔医療の取り組みである北上市と奥州市のモバイルクリニックや、八幡平市のメディテックバレープロジェクト等が進められていると承知しております。
 県におきましては、市町村の取り組みを促進するために、北上川バレープロジェクトの取り組みの一つである県央広域振興局、県南広域振興圏の16市町で構成する展開研究会におきまして、山形県長井市などのスマートシティの先進事例の紹介等を行っているところでございます。
 引き続き、先進事例の横展開、県内事例の情報発信などの取り組みを進めることで、北上川バレーエリアの取り組みを促進するとともに、県内の他圏域にも、こういった取り組みを展開させることで、働きやすく、暮らしやすい岩手県の実現を目指してまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 よろしくお願いいたします。
 3点目は、いわて花巻空港の利用促進事業の取組状況についてお伺いいたします。
〇藤島空港振興課長 いわて花巻空港利用促進事業の取組状況についてでございます。
 まず、国内線につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により減少いたしました航空需要の早期回復を図るため、旅行商品の造成支援のほか、ウエブ広告や各就航先のイベントでの路線PRなどに取り組んできております。今年度も、引き続き、航空会社や旅行会社等と連携した利用促進や路線プロモーションに取り組んでおります。
 また、国際線につきましては、台北線の運航再開に取り組み、ことしの5月に運航が再開されましたことから、その安定的な運航を図るため、各種媒体や現地でのプロモーションのほか、台北線を利用される県民の方へのパスポート取得支援など、インバウンド、アウトバウンド双方の利用促進に取り組むとともに、運休中の上海線の運航再開に向けた働きかけを行っているところでございます。
〇小林正信委員 コロナ禍前に比べて利用者が戻りつつある岩手県に注目が集まっている中、その中で、いわて花巻空港を起点とした周遊、これについては、以前、レンタカーの活用についても述べさせていただきましたけれども、バスあるいはタクシーで県内各地へアクセスするという点も重要なのだと思います。空港におけるバス、タクシーの利用状況についてお伺いしたいと思います。
〇藤島空港振興課長 空港におけるバス、タクシーの利用状況についてでございます。
 まず、バスについてでございますが、現在、いわて花巻空港発着の路線バスといたしましては、盛岡駅と空港を結ぶ空港アクセスバス、あとは、北上駅と空港を結ぶ空港シャトルバス、この2路線が運航されております。
 この両路線の令和4年度の利用実績でございますが、空港アクセスバスが5万2、540人、空港シャトルバスが4、902人の合計5万7、442人となっておりまして、空港利用者数で割りかえしますと、約15%の方が利用されたことになっております。
 次に、タクシーについてでございますが、空港発着のタクシーの利用状況について、県では、実数については把握しておりませんが、国土交通省が令和3年度に実施いたしました航空旅客動態調査によりますと、いわて花巻空港利用者の約7%の方が利用されたとの結果が出ております。これに令和4年度の空港利用者数を掛けますと、約2万7、000人の方が利用されたと推計されるものでございます。
〇小林正信委員 特にバス会社はコロナ禍の最中で乗客がいなくても、バスを走らせていたという大変な状況も伺いました。その上で、空港から県内各地に移動する際、アクセス性の向上といいますか、旅行客に不便を感じさせないという点が、リピーターになってもらう点においても重要と考えます。バス会社、タクシー会社とも十分に連携、協力して、あるいは支援していただきながら、ルートの検討や増便等も必要に応じて考えていただければと思います。
 最後に、岩手県は、世界からだけではなく、国内からも注目されていると思います。岩手県盛岡市はどんなところなのかと、以前にも取り上げましたけれども、西日本の方々は、岩手県がどこにあるのかわからない人もいるのではないかと思います。今、神戸市との国内便はあります。今のチャンスを生かして、西日本への国内便を充実させることも必要なのではないかなと考えております。国内線の充実についてのお考えをお伺いして、終わりたいと思います。
〇藤島空港振興課長 国内線の充実についてでございますが、県といたしましては、まず、現在、運航されております5路線―札幌市、名古屋市、大阪市、神戸市、福岡市の5都市に就航しておりますが、こちらの5路線の維持、拡充を図っていくことが重要と考えております。
 その上で、現在、就航されている都市以外と結ぶ航空路線でございますが、現在の定期便と乗り継ぎ便という形で、国内の各都市に乗り継ぎで結ばれているところでございます。例えば、岩手県空港利用促進協議会で発行しております空港ダイヤ表に乗り継ぎ便ダイヤを掲載するとか、空港所在自治体で組織します航空乗継利用促進協議会という団体がございますが、そちらの乗継キャンペーンなどの参加により、乗り継ぎ便の周知を図っております。
 また、いわて花巻空港と直行便のない地域につきましては、観光シーズンなどに合わせたチャーター便の運航について、航空会社に働きかけをしているところでございまして、そのような形で、現在就航している都市以外につきましても、開拓を図っていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 私も、福井せいじ委員の質問をフォローするような形で、県立大学の理事長報酬についてお伺いします。
 当該委員ということでございますが、実質的にふるさと振興部長の答弁が文教委員会では聞けないので、この場をお借りして、質問させていただきます。
 まず、令和5年10月8日に河北新報が、リポート2023ということで、岩手県立大理事長報酬、波紋呼ぶという記事を出しました。ふるさと振興部長はこの記事をごらんになってないということはないと思うのですが、まず読んだ感想をお伺いします。
〇熊谷ふるさと振興部長 今般の新聞報道につきましては、拝見させていただいているところでございます。大学関係者、学生、外部識者からの指摘をまじえ、県と議会、それから、大学関係者間において賛否が分かれ、波紋を呼んでいるという内容だと理解しております。
 答弁が重複しますが、県立大学の理事長を含む役員報酬、私どもは適正な手続をもって決定されていると認識しているところでございます。
〇飯澤匡委員 その答弁は何回も聞いたから、それ以上答えなくていいです。
 これは、臼澤勉委員が以前質問した質問を繰り返させていただきますが、もう一回聞きます。これは、新しい委員も来ていらっしゃるので。県から増額改定の要請があったと聞いたが、事実かどうか。県から指示があったか。どのような背景で増額になったのかお伺いします。
〇本多学事振興課総括課長 理事長報酬の改定に当たりまして、県から指示があったのかというところですが、これまで議会で答弁しておりますとおり、指示、働きかけはしていないところでございます。
 報酬の背景のところでございますが、役員の報酬については、地方独立行政法人法の規定に基づきまして、大学で決定しておりまして、国及び地方公共団体の職員の給与とか、また、他の一般地方独立行政法人、そういった報酬とか業務の実績を踏まえて決定されたものと承知しております。
〇飯澤匡委員 だから、その答弁は要らないと言ったから、やらないでください。時間の無駄だから。
 そこで、他の行政法人と比較をしてとおっしゃっていますけれども、具体的にどの法人を参考として決定したのか、これはどういう議論が理事会議であったのか、その点を明らかにしてください。
〇本多学事振興課総括課長 理事会議での議論の状況については、承知しておりません。
 なお、他県の状況で申し上げますと、東北6県の中に、学長と理事長を別々にしている公立大学が三つございます。一つは青森公立大学。そちらは、理事長の報酬は月額63万5、025円、それから、県立大学が99万7、000円、その他の公立大学では、宮城大学がございまして、そちらは月額97万円、そのほかに地域手当ありということで伺っております。
〇飯澤匡委員 ここで私たちが問題にしているのは、前職の62万6、000円から、99万7、000円にいきなりばーんと跳びはねたのですね。ここのことを言っているわけです。最初の質問にあったように、前職の副知事の給与が月額95万円プラス期末手当つきだったわけですね。前の理事長が任期があるのに、そこに何かいろいろな力が及んで、千葉理事長になったのではないか。そして、給与についても、これはそんたくしたのかどうかわからないけれども、同様の金額になったのではないかと、こういう蓋然性が出てきて、だから、この新聞記事にも、お手盛りではないかと、こういう批判が出るわけです。
 今、皆さん方が答弁していますが、これは、県立大学の法人の適格性も含めて、皆さん方が客観的にこの点についてはどのように把握して、どういう問題意識があるかということが問題なのですよ。ここで擁護しても始まらない話です。その点を私たちは聞いているわけですから、その点について、いかがですか、ふるさと振興部長。
〇熊谷ふるさと振興部長 先ほどの答弁させていただいた内容について補足させていただきますが、報酬額決定の根拠ということで、大学から聞いている理由といたしまして、平成29年度の全国の主な公立大学の理事長報酬の平均額、そういうものを参考とした。第2の理由として、複数の教員が就任している県立大学の理事兼副学長の平均給与とか、学長の給与年額―学長は期末手当が出ておりますけれども、そういうところを参考にしながら検討されて、いわゆる報酬を決定したと聞いております。
 報酬額増額の関係でありますが、現理事長は、県行政の幅広い分野に精通、それから、全国の自治体を初め産業、医療、福祉、学術、文化、幅広い分野の見識、人脈を有しておられます。県立大学がそういう報酬を決定するに当たり、そういう経歴も考慮したと聞いているところでございます。
〇飯澤匡委員 これは、部長級であればこういうことにならなかったのですね。なるわけがないのですよ。
 もう一つ聞きますが、県庁が天下りで問題になったときに、内部規定として大体ここら辺が上限だと、そういうのがあると、私はOBの職員、幹部から聞きましたが、それはあるのかなしや、この点について、あなた方は把握しているかどうか。その点についてお聞きします。
〇菅原副部長兼ふるさと振興企画室長 県退職者が再就職する際の報酬額の基準ということでございますけれども、一般職勧奨あるいは定年退職をした職員が、人材バンク等を通して就職する場合の取り扱いの基準はございますけれども、特別職は対象になっていないものと理解しております。
〇飯澤匡委員 わかりました。
 その上で、決算特別委員会ですから、37万1、000円増額されたわけですね。この増額に対して、3年と半年ですから、42カ月を掛けますと、1、450万円余になる。この成果物が出ないと、これと教育機関でもあるし、税金を負担している県民に対する説明責任に当たらない。先ほど来の答弁だと、いろいろな知見を有していること、さらに、4点ほど、中期計画だったり、新型コロナウイルス感染症対策だったり、遠隔授業だったり、他の大学との連携とか出ましたけれども、これは、僕は遠藤達雄氏だってできたはずだと思います。これは千葉茂樹氏でなければならないという理由はどこにもないわけです。
 ですから、その成果物を、決算特別委員会だからきちんと示してください。これはどういう効果があったのか。37万1、000円上げてどういう効果があったのか、成果物をきちんと示してください。
〇本多学事振興課総括課長 現理事長の具体的な成果についてでございますけれども、飯澤匡委員も御指摘のとおりで、県立大学の第4期中期計画におきまして、まず、その策定委員会の委員長として、これまでの特定の教職員による計画策定ではなく、全ての教職員が携わるというプロセスにより中期計画を策定したと、そのリーダーシップをとったと。また、新型コロナウイルス感染症対策においては、危機管理対策本部会議を設置し、理事長は本部長として陣頭指揮を務め、その中で、相談窓口の設置とか、授業料納期の延期、また、給付金などの支援、それから、遠隔授業の実施や、補講、追試、再試験等、新型コロナウイルス感染症の影響で学習ができない学生に対し、きめ細かな対応を行っているところでございます。
 さらに、卒業年次の学生を対象とした……
〔飯澤匡委員「委員長、議事進行」と呼ぶ〕
〇飯澤匡委員 それはさっき聞きました。だから、僕は四つまとめて言ったではないですか。繰り返さないでください。きちんと質問に答えてください。
〇熊谷ふるさと振興部長 成果につきまして、先ほど御答弁させていただいた以外で申し上げますと、卒業年次の学生を対象とした独自の給付奨学金である本庄照子奨学金という新しい制度、これを創設し、学生への経済的支援にも積極的に取り組んだと聞いております。
 また、他の大学との交流を若干お話しさせていただきましたが、JSTの共創の場形成支援プログラムが、県立大学が参画するということで、新しい取り組み、北いわてをフィールドとして、さまざまの農林水産業と再生可能エネルギーをミックスしました新しいビジネス、そういうものの取り組みにも参画していただいているところでございます。
〇飯澤匡委員 取り組みの内容についてはわかりましたが、3年半やっているわけですからその成果を示してくださいと言っているのです。学生に対してどういう成果が出たか。やっていることは、あなた方が言っているのはわかりました。私もきちんと聞きました。去年の決算特別委員会でもこれを聞きました。成果を形であらわさないと、増額した意味がない。私はこういう認識です。いかがですか。
〇熊谷ふるさと振興部長 数字という部分でお答えするのは非常に難しいところでございます。先ほども答弁重複しますけれども、新型コロナウイルス感染症で学生のことを考え、さまざまな対応を図っていただいた。それから、いわゆる大学の授業円滑化に向けて御努力いただいた、そういった点、それから、第4期中期計画策定、陣頭指揮をとっていただいたと。それで、ことし4月からスタートしたというところを私は思っております。
〇飯澤匡委員 それは、岩手大学でもやっているわけですよね。私も少し母校等のお話をしましたが、それ以上のことをやっているわけですよね。だから、増額するという根拠が非常に薄い。こういうふうに私は思っているので、質問しているわけです。今の答弁を聞いても、昨年の決算特別委員会の答弁とほぼ変わらない。新しいものは、学生に対する支援金ぐらいなもので、この3年間の実績が目に見えて出ないというところについて、その根拠性が失われていると言わざるを得ないところです。
 この間、県職員や県職OBからも、特に、当時、財政課時代に一緒に働いた先輩OBからは、こんなにもらっているのかと、こういう感想もいただいたところでございます。いわゆるこれからの県庁のガバナンスにおいて、県職員も含めて、今おっしゃったような根拠をほとんど見出せない、こういう増額が県庁の職員にも影響が出ているのではないか。これは、私だけではなくて、県の職員からも、実はいろいろなお知らせをいただいて、こうした県政のゆがみをぜひ正してほしいと、こういう激励の手紙をいただいているわけです。
 要するに、この件に及んでいろいろな問題が波及している。だから、新聞でも記事に出たのではないですか。そこのところを客観的にあなた方はどうやって評価するか。ここで擁護するのではなくて、どういう評価をするかということが大事なのです、さっきから言っているように。そこに対する答弁がないので、再度お伺いします。
〇熊谷ふるさと振興部長 ただいま、飯澤匡委員から県職員のOBの御意見、それから、県職員のお話を頂戴いたしました。私どもで、県OBからそういったお話は頂戴したことがございません。県職員についても、さまざまいろいろな御意見があろうかと思います。具体的に、このケースについて伺ったことはないわけですけれども、職員のモチベーションといいますか、維持、そういうものは大事だと思っております。
 我々管理職、日ごろのマネジメントを通じまして、ワークライフバランス、それから、働きやすい環境の整備、そういうところに努めていく必要があります。管理職、職員のモチベーションの維持、向上に努めていく必要があると考えております。
〇飯澤匡委員 私は、午前中に福井せいじ委員がおっしゃったように、この報酬は職責に応じて出すものだと思います。これは、知事も言っていますけれども、期待をされているからこれに見合った報酬だと、こういうことです。知事も期待をされているのであれば、こういうことを言っているのですよ。私の昨年の質問の答弁で、千葉理事長は、保健福祉部長在職時から副知事在任期間中まで、県立大学における主要な教授とさまざまな仕事に協働で取り組んだ実績があります。それから、産業、医療、学術、文化など、幅広い分野の見識を有している。ということで期待をされて、これならばその報酬にふさわしいと、こういうことを言っているわけですね。
 今までの答弁を見ても、こういう部門で目に見えた成果は皆さんの口からも出ないということは、これは知事が期待しているものにはなってないと、こういうことになりませんか。
〇熊谷ふるさと振興部長 成果につきましては、先ほど述べさせていただいたという認識でございます。
 いわゆる理事長の報酬につきましては、法に基づく決定の原則、それから、任用する者の能力、それから、知見、そういったものを評価して、県立大学が決めたものと認識しております。
〇飯澤匡委員 それでは、監査委員にお伺いいします。
 私は、職責に応じた報酬があってしかるべきだと思っています。前任者からいきなり飛躍をした実績がないというこの現実も踏まえて、個人的な見解で結構でございますから、職責に応じた報酬という基本的な考え方について、監査委員としての御見解をお伺いしたいと思います。
〇五味監査委員 報酬のあり方につきましては、いろいろな考え方があろうかと思います。監査委員の私から言えることは、今回の議論になっております報酬が30万円上がったという事実は、事実としてあるわけでございますので、この点については、新聞報道等でいろいろ疑念があるということはございますので、そういったところに関しては、丁寧に説明を尽くしていく必要があるだろうと考えております。
〇飯澤匡委員 そのとおりなのですよ。これは、社会通念上、民間企業ではあり得ないことですからね。仕事もしてないのに、その報酬を30万円もアップするということはあり得ない話ですよ。それも、副知事時代の給与と大体比して同じような給与に設定されたというところに、ちょっとおかしなところがあるのではないかと。県職員OBからも、幹部からもいろいろな話を聞くと、知事に言わせると、名前出せなどと言うけれども、そんなことを言ったら大変なことになってしまうから、いろいろな事実を私も確認しておりますが、あと1年半余の任期があるわけですが、今、監査委員がおっしゃったとおり、これに対する検証も、あなた方がしっかりしなければならない。そのマネジメントする、管理監督する立場である以上、擁護するだけではだめなのですよ。監督しながら、この点についてはどうだったということをしっかり検証する立場にあるわけですから、その点の心構えについて最後にお聞きします。
〇熊谷ふるさと振興部長 ただいま御指摘をいただいた点、説明が足りないところもございましたが、基本的には、正当な手続を経て決定されたものと認識しております。議会のやりとり、皆様の御意見等につきましては、逐次、県立大学にも伝えておりますので、本日の議論についても、しっかりと伝えてまいりたいと思います。
〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇斉藤信委員 今、もう時間が終わって質問するという、これはけさの決算特別委員会の確認したルールに反するのではないですか。副議長たる者がそんなことをやっていいのですか。いろいろな意見、言いたいことがあっても、しっかりルールを守ってやりましょうよ。そういうふうに委員長はしっかり采配してください。
〇佐々木宣和副委員長 しっかりとした進行ができるように取り組んでまいりたいと思います。
〇臼澤勉委員 3分残っておりますので、関連させていただきます。
 いろいろと報酬金額の根拠の議論もございました。その当時の理事会議の議事録、どういう資料で、どういうような議論が行われたのか、ぜひ、資料を開示していただきたい。そのように思います。よろしくお取り計らいのほどをお願いしたい。
 それから、もう一点、理事長の任期は4年ということで決まっております。地方独立行政法人法の第15条でも、任期の設定の仕方が書いております。先ほど、成果のお話ありましたけれども、中期目標の達成という、これが理事長の責務を果たすために大事だということで、4年か、あるいはこの中期目標の達成のための期間をどちらかということで設定しているのであって、これは当たり前の話ですので、理事長が取り組むべき成果ということにはならない、私はそのように思っております。
 それから、ぜひ、県当局にお願いしたいのは、この出資法人も含めてですけれども、それぞれの法人の自主性を尊重してやっていくのは、これは当たり前の話であります。ただ、この役職員の給与等のそういう運営についての批判を受けて、県の行財政運営に影響を及ぼすことのないように、厳正かつ効率的な業務の執行が図られるよう見るのが皆様の立場でございます。ぜひ、その点を忘れることのないように、しっかりと指導をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。御所見ありましたら、ふるさと振興部長お願いいたします。
〇熊谷ふるさと振興部長 先ほどの答弁と重複いたしますが、いずれ、私ども、この件に関し、各委員からいただいた意見、議論等については、県立大学に伝えているところでございます。いずれ、出資法人、それから、いわゆる県の関係団体、適切な運営が行われるよう、私どもも努めてまいります。
〇佐々木宣和副委員長 ただいま、臼澤勉委員から執行部に対して、理事会議の内容、議事録に関する資料の請求がありましたが、執行部は提出できますでしょうか。
 後ほどというところでございましたので、後ほど御報告させていただきます。
〇臼澤勉委員 先ほど来、設定の適正な根拠、それを県立大学の理事会議でしっかりと議論して、説明して決まっているということを説明しているわけですから、ぜひ、そこら辺につきましても、我々県民の代表としてこの場にいますので、ぜひ、開示していただく。逆に、開示できない理由がありましたら、お示しください。
〇熊谷ふるさと振興部長 今、手元にそういう資料がございません。後日、議会のほうと相談させていただきたいと思います。
〇佐々木宣和副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木宣和副委員長 質疑がないようでありますので、これでふるさと振興部関係の質疑を終わります。
午後2時41分 休憩
午後3時2分再開
〇佐々木宣和副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、ILC推進局長にILC推進局関係の説明を求めます。
〇箱石ILC推進局長 令和4年度のILC推進局関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、ILC推進局所管の事務事業に係る総括的な取組状況と、今後の取組方針について御説明いたします。
 ILC国際リニアコライダー計画については、昨年2月の文部科学省第2期有識者会議の議論の取りまとめを踏まえ、KEK―高エネルギー加速器研究機構や、IDT―ILC国際推進チームにより、国際協働による研究開発や政府間協議に向けた取組が進められており、本年7月には技術開発を推進する国際的な枠組みILCテクノロジーネットワークが発足いたしました。
 また、本年5月にアメリカで開催された国際会議において、研究者が想定する2030年ごろを建設開始とするタイムラインが示されるなど、研究者の取組が着実に進められております。
 ILC推進局では、ILCの実現に向け、県内外のILC推進団体とともに、国民、県民理解を増進し、国民的な機運醸成に努めながら、国家プロジェクトとして政府全体で誘致を推進するよう、国等への働きかけを行ってきたところであり、また、ILCによる地域振興ビジョンに基づき、産学官共同によるまちづくりモデルケースの策定、県内ものづくり企業の加速器産業への参入支援や技術指導、グリーンILCの理念の普及や取り組みの理解促進など、建設候補地として必要となる受け入れ体制整備の取り組みを推進してまいります。
 昨今、コロナ禍の行動制限の解除に伴い、ILC推進団体等による講演会などの多様な活動が再開し、また、ILCに関する国際ワークショップが盛岡市で開催されるなど、ILC推進の動きが活発化してきております。
 このような中、令和5年度政府予算においては、ILC関連予算が9.7億円と、前年度比で倍増となり、さらに、令和6年度の文部科学省概算要求においては、本年度を上回る10.5億円の関連予算が盛り込まれたところでございます。
 引き続き、関連団体等と連携し、確実な予算の確保を含めた国への働きかけを強化するとともに、国民的な機運の醸成や、建設候補地として必要な受入体制の整備の取組を推進してまいります。
 続きまして、決算の概要について御説明申し上げます。
 お手元の令和4年度岩手県歳入歳出決算書の18ページ、19ページをごらん願います。
 ILC推進局関係の決算は、2款総務費のうち2項企画費の一部、2億484万円余、不用額は782万円余であります。
 決算の内容につきましては、令和4年度歳入歳出決算事項別明細書に記載のとおりであり、説明を省略させていただきますので、御了承をお願いいたします。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇佐々木宣和副委員長 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 それでは質問をいたします。ILCをめぐる国内外の動向について示してください。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 ILCにつきましては、現在、ICFA―国際将来加速器委員会のもとに設置されておりますIDT―ILC国際推進チームにより国際協働による研究開発や政府間協議に向けた取り組みが進められております。
 本年7月には、国際協働による研究開発推進に向け、KEK―高エネルギー加速器研究機構とCERN―欧州合同原子核研究機関との間で、ILCの研究開発に関する新たな枠組みでありますILCテクノロジーネットワークに関する協定が締結されました。
 また、本年5月には、アメリカにおきまして、LCWS―リニアコライダーワークショップが4年ぶりに実地開催され、本年9月には、盛岡市内におきまして、ILCに関連するサスティナビリティ国際ワークショップが開催されるなど、研究者の活動も活発化しているところでございます。
 さらに、県内外のILC推進団体による講演会などの多様な活動が相次いでおりまして、ILCをめぐる動きは国内外ともに再び活発化してきているものと考えております。
〇斉藤信委員 今年度、国のILC関連の予算は増額されたわけでありますけれども、その内訳を示してください。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 国のILC関連予算でございますが、ここ数年は4億円台後半で推移してまいりましたが、令和5年度は、これまでの予算から倍増となります9億7、000万円が措置されたところでございます。その内訳でございますけれども、うち7億円が、将来加速器の性能向上に向けた重要要素技術開発の補助金でございまして、海外研究機関との協働による研究開発を推進するとしたKEKの応募が採択されまして、国際的な研究開発を推進する枠組みでありますILCテクノロジーネットワークの立ち上げなどの取組が進められているものと承知しております。
 また、このほか、KEK運営交付金の内数といたしまして、ILC関連経費2億7、000万円が盛り込まれているところでございます。
〇斉藤信委員 この間の最近の動向の資料をいただきました。その中で、超党派国会議連の拡大総会で、KEKの山内機構長ですけれども、最もうまくいった場合、2030年建設開始を念頭に進めたいと、こうした発言があったようでありますけれども、その内容、そのプロセスはどういうものでしょうか。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 山内機構長から説明のありましたタイムライン、2030年の建設開始に向けたプロセスでございます。KEK―高エネルギー加速器研究機構から紹介されたタイムラインは、研究者が想定する理想的なモデルとして示されたものでございます。
 同様のタイムラインは、局長からも説明いたしましたけれども、本年5月のLCWS2023におきまして、IDT―ILC国際推進チームの中田議長からも紹介されております。最もうまくいった場合という説明もあったということで御紹介されましたが、KEK山内機構長の資料によりますと、モデルのとおり発展するためには、現在、各国政府が慎重な姿勢を示している背景として、さまざまな状況がございます。
 国際的に支障となっている感染症の拡大、国際関係の問題、グローバル経済の混乱などが解決されることが必要だという前置きをした上でのタイムラインという説明でございましたけれども、こういった前提を置きつつ、2023年度から2年から4年程度、ILCテクノロジーネットワークの段階、それに続きます数年程度の準備段階を経て、2030年ごろに建設段階に至るというプロセスが示されたものでございます。
〇斉藤信委員 2030年建設開始というのは、研究者が期待するということでしょう。それには国内の壁が大変あり、国際的な壁もあると思います。
 そこで、この間の経過の中でもう一つお聞きしたいのは、本年8月7日にILC計画研究会が設立されています。山下岩手県立大学特任教授が中心となって、ILCの日本誘致を目指し、立地にかかわる研究活動を行う研究会を設置。今後、数年間をめどに、立地の具体像を作成するということですが、この立地にかかわる研究活動の中身を、もう少し立ち入って示してください。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 手元に詳細な資料は持ち合わせていないのですけれども、これまで産学官連携で取り組みを行ってきました建設候補地周辺のまちづくり、それから、環境影響に係る調査、そういうものを中心に検討を進めて、広く日本全体で誘致を進めるための材料としたいと、そういうことを検討する研究会と聞いておりまして、ここ一、二年のうちに成果を出して、さまざまな取り組みに生かしていくと聞いております。
〇斉藤信委員 私は、ILCは、日本にとっても世界にとっても、科学技術の進歩を目指すという点で期待するものであります。
 本来、日本は技術立国を目指すべきだ。しかし、今日本はどうなっているかといいますと、1、000兆円を超える借金を抱え、その中で、5年間で43兆円軍事費に投入するというのです。その財源が確保できない、子育て支援の未来戦略の財源も示せない、こういう状況です。
 これが一番のネックになっているのではないか。ILCも財源の見通しがあれば、これは積極的に進めることができるわけですけれども、全体として、大変な借金の中で大軍拡を進める、私は、ここに政治の一番の障害があるのではないかと思っておりますけれども、この点はいかがですか。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 ILCの実現に向けましては、約8、000億円の建設費、それから、国際的な費用分担が課題として指摘されております。この件につきましては、文部科学大臣も記者会見などで言及をされているところでございます。
 政府の誘致決定に、財源問題は避けて通れない課題と認識しておりますが、現在、その前提となります国際的な費用分担などの政府間協議に向け、IDT―ILC国際推進チームが設置した国際有識者会議により、政府間協議の環境醸成の取り組みが進められており、その取組動向を注視しているところでございます。
 ILCは、イノベーションの創出、産業の発展、新たな地方創生、震災からの創造的復興など、多様な価値を生み出します。その経済波及効果は、建設費を大きく上回る2.4兆円から2.6兆円にも上るという試算もございます。
 ILCホスト国としての負担は、学術研究の枠を超えた日本の将来に向けた投資と位置づけて取り組むことが必要であり、こうした認識のもとに取組を進めてまいりましたけれども、引き続き、省庁横断による国家プロジェクトとして誘致を推進するよう、国に対し、引き続き、強く働きかけてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 私は冒頭述べたように、本当に日本は科学技術立国を目指すべきだと思います。しかし、残念ながら逆行している。大軍拡の道を進んでいることが、私は本当に政治の障害になっているのではないか、政治の転換が必要だと思います。
 しかし、こうした中で、岩手県立大学の鈴木学長や、今回、特任教授となった山下了氏が大変重要な役割を果たしていることは高く評価をして、私の質問を終わります。
〇佐々木宣和副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木宣和副委員長 質疑がないようでありますので、これでILC推進局関係の質疑を終わります。
 ILC推進局の皆様は退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、出納局長に出納局関係の説明を求めます。
〇木村会計管理者兼出納局長 出納局関係の決算について、歳入歳出決算事項別明細書により御説明いたします。
 まず、一般会計について御説明いたします。172ページ、173ページをごらん願います。2款総務費1項総務管理費1目一般管理費のうち、出納局関係の支出済額は8億3、134万円余であり、これは職員の人件費などの管理運営費及び県営建設工事入札業務に係る経費でございます。
 次に、176ページ、177ページをごらん願います。5目会計管理費の支出済額は2億1、392万円余であり、その内容は管理運営費、収入証紙売りさばき手数料などでございます。
 次に、岩手県証紙収入整理特別会計について御説明申し上げます。ページが少し飛びますが、426ページ、427ページをごらん願います。
 まず、歳入ですが、収入済額の合計は33億8、936万円余でございます。
 続いて、428ページ、429ページをごらん願います。歳出ですが、支出済みの合計は33億887万円余であり、これは一般会計及び歳入歳出外現金への繰出金でございます。
 次に、461ページをごらん願います。実質収支に係る調書ですが、実質収支は、歳入総額から歳出総額を差し引いた8、049万円余でございます。
 以上で、出納局関係の説明を終わります。よろしく御審議を賜りますよう、お願い申し上げます。
〇佐々木宣和副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 それでは、最初に入札制度の課題についてお聞きいたします。
 この5年間、落札率はどう推移しているでしょうか。全国との比較はどうなっているでしょうか。
〇千葉入札課長 5年間の落札率の推移についてでありますが、県営建設工事における一般競争入札の加重平均による平均落札率は、令和元年度から令和3年度までがそれぞれ91.6%、令和4年度が92.1%、令和5年度が7月末までで92.4%となっております。
 国の入札契約適正化法に基づく実施状況調査結果によりますと、単純平均による全国の落札率は、令和元年度が93.7%、令和2年度が93.8%、令和3年度が93.5%、単純平均による岩手県の落札率は、令和元年度が92.6%、令和2年度が92.4%、令和3年度が91.8%となっております。
〇斉藤信委員 今の答弁ですと、全国の落札率と比べると、岩手県は1.7%ぐらい低いことが一つの事実であります。
 そこで、予定価格の事前公表制度の、全国、東北地域の実施状況はどうなっているでしょうか。
〇千葉入札課長 予定価格の事前公表の状況についてでありますが、全国では、事前公表は一部に事後公表との併用を含みますが、令和4年10月1日現在、30都府県で採用されており、東北地域では、本県を含む5県で採用されています。
〇斉藤信委員 厳密に言いますと、事前公表のみは、東北地域では13件、青森県、岩手県、宮城県ということです。そこで、私は予算特別委員会のときも取り上げてきたけれども、建設業協会や中小企業団体中央会が、予定価格の公表の見直し、廃止を求めています。
 その理由は、採算性を度外視した低価格入札が行われないように、入札予定価格の事前公表は行われないように。いわば、業者が責任を持って正確な積算ができるようにという、これは前向きの要望なのです。
 私は、岩手県建設業協会がそれを要望しているのはわかっていましたけれども、岩手県中小企業団体中央会も、岩手県の要望でこのことを要望しているのです。県内のこういう主要な団体から要請されているのに、なぜ、予定価格の公表を続けるのですか。
〇千葉入札課長 予定価格の事前公表についてでありますが、予定価格の事前公表について、県では、入札の透明性の向上、発注者、受注者双方の事務効率の向上、さらには、予定価格に係る不正防止の観点から有効として導入し、国の指針に基づき、十分検討を行いながら運用しております。
 制度導入以降、予定価格の事前公表による弊害は確認されていないところでありますが、引き続き、入札動向や他県の状況等を見ながら、適切に対応してまいります。
〇斉藤信委員 実際には、国はやってないのではないですか。そして、実際に入札に参加する業者の方、中小業者の方が、予定価格の事前公表をやめてほしいと言っているのです。実際に入札に参加する方々がです。弊害がないと言っているけれども、弊害がなかったら、何でこういう要望が出てくるのですか。この要望をあなた方はどう受けとめているのですか。
〇千葉入札課長 国が示す指針では、予定価格の事前公表により懸念される事項として、落札価格の高どまりになること、くじ引きによる落札の増加、建設業者の見積もり努力を損なわせるなどがあります。
 本県の入札の状況を見ますと、落札価格の高どまりについては、直近3カ年の平均落札率が91%〜92%台であり、全国平均と比較して著しく格差が生じていないこと、また、くじ引きによる落札の増加については、その発生割合が1%程度と非常に低い状況であります。
 さらに、適切な積算を行わなかった入札参加者が受注する事態を避けるため、入札書と同時に工事費内訳書の提出を義務づけ、入札価格が積算によるものであることも確認しており、現時点では、弊害は確認されていないものと考えております。
 国の入札制度で、事前公表がないということでございますけれども、国においては、予算決算及び会計令の規定に基づき、予定価格を事後に公表することとされております。
〇斉藤信委員 国は事後公表になっていると。そして、実際に、岩手県における事前公表でどうなっているかというと、結局、予定価格が公表されると、どのレベルで落札できるかという競争になるのです。だから、高どまりどころか全国平均よりも低くなってしまう。今はコンピュータの時代ですから、大体どのレベルで積算すればいいかというのはすぐできてしまうのです。業者はそのことを言っているわけです。
 だから、設計を見て、正確なきちんとした積算をやるべきだというのが、岩手県建設業協会や岩手県中小企業団体中央会の要望なのです。要望の趣旨をわかっていますか。そういう趣旨だということがわかっていますか。うなずかないで、言葉で答えてください。
〇千葉入札課長 要望の内容については存じております。
〇斉藤信委員 岩手県建設業協会、そして、岩手県中小企業団体中央会のこの要望は、本当に積極的に前向きなしっかりした積算をもって入札に臨みたいと、こういうことなのです。国だってやってないのだから、もっと県内事業者のそういう要望をしっかり受けとめるべきだ。結果として、落札率は低く出る。そういう競争になっているのです。だから、そういう実態もよく見て、やっていただきたい。
 あわせて、岩手県建設業協会と岩手県中小企業団体中央会は、最低制限価格制度の導入について見直すべきだという提案もしております。最低制限価格制度導入の全国、東北地域の実態はどうなっているでしょうか。
〇千葉入札課長 最低制限価格制度の状況についてでありますが、令和4年10月1日現在で、全国では44都道府県で制度があり、東北地域では、青森県、宮城県、秋田県、山形県、福島県で、制度を設けています。なお、宮城県では、制度は廃止してないものの、適用しておらず、秋田県でも、令和4年度から適用しないこととしたと聞いております。
〇斉藤信委員 最低制限価格制度が、適正な入札価格を保障する制度だと私は思います。結局、低入札価格調査制度は、低入札が出たときにその適正化を図るだけで、業者にしてみれば、きちんと採算のとれる、そういう落札をしたいわけです。これは、身を切ってやるわけにいかないのだから、そういう意味でいけば、最低制限価格制度は、私は最も合理性のある制度だと思うけれども、何で岩手県はやらないのですか。
〇千葉入札課長 本県では、平成19年4月の入札制度の見直しの際に、今後、一般競争入札を本格的に実施していくに当たり、透明性を一層高めるため、また、総合評価落札方式を導入し、拡大していくという観点から、最低制限価格制度を廃止した経緯があります。
 現在、県が採用している総合評価落札方式及び低入札価格調査制度は、ダンピング防止を図りつつ、企業の技術力や企業努力、地域貢献活動等を適切に評価し、価格と品質が総合的にすぐれたものを、契約の相手方にしようとするものであり、最低制限価格を下回った入札を一律に排除する最低制限価格制度よりもすぐれたものと考えております。
 さらに、低入札価格調査制度において、ダンピング防止のため、一定の価格を下回る場合には自動的に失格とする基準、いわゆる失格基準価格を設けて、一定額を下回った場合には失格としております。
 競争性、透明性、経済性を確保しつつ、企業の地域活動等が適切に反映されること等の観点から、現行の低入札価格調査制度を運用し、また、総合評価落札方式も効果的に活用しながら、ダンピング防止にも適切に取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 私は、最低制限価格制度は、最低限採算がとれるラインをしっかり設定して、入札参加する業者の採算性、それを保障するということだと思います。低入札がふえれば、最低制限価格よりも下がる。今、答弁あったとおりそうなるのです。安ければ安いほどいいという時代ではないと思います。質を確保して、最低限の採算性は保障するという入札制度に、抜本的に改革を図るべきではないか。これは指摘だけにとどめておきます。
 次に、官公需の県内事業者への発注額、発注比率の向上を私は求めたいのでありますけれども、官公需の中小企業への県内の発注額、発注率は、どうなっているでしょうか。
〇千葉入札課長 県内事業者への発注額及び県内事業者の占める割合についてでありますが、震災前の平成21年度は、県内事業者への発注件数が1、958件、割合が93.6%、金額としては437億円余で、割合が83.4%でした。
 震災からの復旧復興工事が増大していく中で、震災後の発注額がピークとなった平成25年度は、発注件数が1、445件、割合が90.2%、金額としては1、091億円余、割合が59.9%と、県内事業者の比率が最も低くなりました。
 その後は増加傾向にあり、令和3年度は、発注件数が890件、割合が96.0%、金額としては502億円余、割合が95.0%となっておりましたが、令和4年度は、発注件数が836件、割合が94.7%、金額としては422億円余、割合が85.8%となり、発注金額に占める割合が前年度を下回っております。
〇斉藤信委員 震災からもう12年が経過して、状況は大きく変わってきているし、入札件数そのものももう大幅に減少していますので、中小企業振興第3期基本計画では、90%の目標を目指しています。私がもらった資料では、件数で見ますと、率が86.1%、額で65.6%となっております。これは令和4年度でありますが、目標の90%、これは件数だと思いますけれども、私は、これを前倒しで達成をするという取り組みが必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇千葉入札課長 県内事業者への発注についてでありますが、県営建設工事の発注に当たっては、県内企業の育成、地域経済の活性化、雇用確保の観点から、県内企業で施工可能と認められる工事は、県内企業への優先発注を原則としております。
 復旧、復興工事の円滑な施工の推進のため、入札参加資格要件の緩和措置を講じたこと等により、県外企業の受注割合が高くなった時期もありましたが、平成29年度以降、県内企業の発注は、件数、金額ともに8割を超え、震災前の水準に戻っております。
 県内事業者への発注額の割合が低下する要因につきましては、令和3年度は、WTO対象の大型工事の発注がありませんでしたが、令和4年度は、1件51億円余のWTO対象工事を県外企業と県内企業から成る特定共同企業体と契約をしていることから、大型工事の発注が県内企業の受注割合の低下に影響したものと推察されます。
 県としては、引き続き、入札動向を注視するとともに、業界団体の意見も伺いながら、県内地元企業の受注機会の確保、受注比率の向上に努めてまいります。
〇佐々木宣和副委員長 ほか質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木宣和副委員長 質疑がないようでありますので、これで出納局関係の質疑を終わります。
 出納局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、人事委員会事務局長に人事委員会関係の説明を求めます。
〇山村人事委員会事務局長 人事委員会関係の決算につきまして、歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げますので、202ページをごらん願います。
 第2款総務費のうち9項人事委員会費でございます。予算現額1億7、413万円余に対しまして、支出済額は1億6、975万円余でございます。
 次に、204ページをごらん願います。内訳でございますが、1目の委員会費は、委員3人分の報酬など委員会の運営に要した経費でございます。
 次に、2目事務局費は、事務局職員の人件費及び事務局における任用関係事務、公平審査事務、給与関係事務等の管理運営に要した経費でございます。
 以上で、人事委員会関係の決算の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇佐々木宣和副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 それでは最初に、人事委員会の給与勧告の内容についてお聞きしたいと思います。
 今回の給与改定の基本的な考え方は何でしょうか。
〇及川職員課総括課長 勧告の基本的考え方についてでございます。
 人事委員会が行います給与勧告は、労働基本権制約の代償措置として、社会一般の情勢に適応した適正な職員の給与を確保する機能を有するものでございます。
 職員の給与は、地方公務員法に定める給与決定の諸原則に従い、民間事業所従業員の給与を重視しつつ、国及び他の都道府県の職員の給与、その他の諸事情を総合的に勘案して定めることとされております。
 こうしたことから、当委員会といたしましては、従前から、これら給与勧告の果たす役割に留意し、給与決定の諸原則に従い、県内の民間事業所従業員の給与を重視するなど検討を行ってきているところでございます。
〇斉藤信委員 今回の勧告は、月額の給与で1.10%、そして0.1カ月の期末勤勉手当の引き上げという、今までと比べれば高い勧告をしたわけでありますけれども、一番の問題は何かと言いますと、今の物価上昇に追いつかない。実質賃金は低下するということです。
 もう一つは、若い世代は引き上げますけれども、中高年は全然上がらない。先ほど民間給与に準拠するというのと、国、他の都道府県との関連とありましたけれども、県職員の生活費、生計費を確保するのも給与改定の基本的な考え方ではないかと思うのです。
 実質賃金が全く上がらず、下がりっ放しで、中高年の県職員は全然給与改定の恩恵には当たらないということでいいのでしょうか。
〇及川職員課総括課長 生計費のお話がございました。地方公務員法におきましては、職員の給与を定める際に、考慮すべき事項の一つとして生計費を定めております。当委員会では、給与の勧告に当たりましては、民間の給与水準との均衡を重視しつつ、国や他県の職員給与などを総合的に勘案することとしているところでございます。
 民間におきましても、給与決定に当たりましては、生計費等さまざまな要素が勘案されているものと理解しております。民間の給与水準との均衡を図ることを通じまして、職員給与にも、生計費等が反映されているものと考えております。
〇斉藤信委員 生計費というのも大事な基準だと。今、一番の問題は物価上昇なのです。物価上昇に賃上げが追いつかない。今回の給与改定も、これまでと比べれば前向きだったけれども、去年も今年も、物価上昇に追いつかないのです。実質賃金はさらに低下します。
 もう一つは、全体が一律に上がるのではなくて、若い世代を引き上げる。これは低過ぎるから当然だと思います。しかし、中高年になると全然上がらないです。恩恵がないのです。だから、そういう意味では、こういうことについて、人事委員会では、生計費、県職員の生活を守るという点で、どういう議論がされたのかを示してください。
〇及川職員課総括課長 繰り返しになりますけれども、地方公務員法に定めます給与決定の諸原則に従いまして、県内の民間給与を重視しつつ、国や他の都道府県の職員の給与等を総合的に勘案することとしております。
 人事委員会の審議におきましても、本年の民間給与の改定が、物価の動向等も含めた経済、雇用情勢等を反映して決定されたものであるという理解のもとに、検討を重ねてきたものでございます。
〇斉藤信委員 結局、物価上昇に見合わず、実質賃金が下がり続けるということです。そこで、実は総務部審査で、ピーク時と比べて県職員の年収がどのぐらい下がったのかと聞きましたら、83万円減っているのです。いわば失われた30年の姿がここに示されている。県職員が83万円下がったということは、民間も同じように下がったということです。民間も下がる、県職員も下がる、これはまさに悪循環ですよ。だから、本当に生計費を守るという観点が弱いのではないかという感じがいたします。
 これは、これ以上議論しても進まないでしょうから、今、ピーク時に比べれば83万円も県職員の年収は下がっているという中でどうやって生計費を守るかという議論を、ぜひもっと本格的にやっていただきたいと思います。
 次に移ります。令和5年度実施の労働基準及び労働安全衛生に関する事業場調査結果が出ております。月平均30時間を超える超過勤務を行う職員のいる事業場はどうなっているでしょうか。この間の推移を含めて示してください。
〇及川職員課総括課長 月平均30時間を超える超過勤務を行った職員のいる事業場についてでございますけれども、本委員会が行いました事業場調査では、教育職員以外の職員のいる事業場で、令和4年度実績は41事業場となっておりまして、令和3年度実績38事業場から3事業場増加したところでございます。
〇斉藤信委員 令和4年度を調査したのが令和5年度の調査結果ですけれども、月平均30時間以上を超える超過勤務を行った職員のいる事業場が残念ながら三つふえてしまったと。これも逆行現象ですね。なぜそうなったのか。
 もう一つは、県立学校の教員の場合ですけれども、これは単位が違うのです。月100時間を超える時間外在校等時間がある教育職員のいる県立学校の状況も示してください。
〇及川職員課総括課長 まず、月平均30時間を超える超過勤務を行った職員のいる事業場がふえた要因でございます。
 こちらが増加しました主な要因につきましては、昨年度発生いたしました鳥インフルエンザへの対応や、豪雨災害への対応によるものと把握しております。
 次に、教育職員の時間外在校等時間月100時間超えの職員のいる県立学校についてでございます。令和4年度の実績は12事業場となっております。令和3年度の17事業場から5事業場が減少したところでございます。
〇斉藤信委員 教育職員の100時間、80時間を超える超過勤務の状況はどうなっているでしょうか。そして、この改善について人事委員会はどのような取り組みをされているでしょうか。
〇及川職員課総括課長 教育職員の月100時間超、80時間超の時間外在校等時間についてでございます。
 令和4年度の実績で、時間外在校等時間が100時間超の教育職員は実数で20人となっております。同じく80時間超は、実数で503人となっております。
〇斉藤信委員 改善の指導はどうしていますか。
〇及川職員課総括課長 失礼いたしました。人事委員会といたしましては、改善の指導につきましては、在校等時間100時間以上の教育職員がいる場合、文書での指導を行っているほか、毎年、10事業場程度ではございますけれども、抽出いたしまして、その事業場を訪問し、業務の実態を踏まえた超過勤務の縮減について、助言指導をしているところでございます。
〇斉藤信委員 一般の職員の場合には、月30時間で調査するわけです。ところが、教育職員の場合には、80時間、100時間で調査するというところに、私は大変異常な実態が教育現場に残されていると思います。
 もう一つ、教育職員、特に教員はこれだけやっていて超過勤務手当が出ないのです。私は本当に教育公務員特例法の改正が必要だと思うし、そういうことを人事委員会も国にしっかり訴えないと、働かせ放題、これが実態です。そして、一般の職員と比べても、異常な超過勤務。超過勤務と言えないから、時間外在校等時間などと、こういうごまかしの調査をするわけです。この改善が必要だと思いますけれども、最後に、山村人事委員会事務局長に聞いて、終わります。
〇山村人事委員会事務局長 教職員の長時間勤務につきましては、今回行った職員の給与等に関する報告及び勧告の中にも1項目設けまして、県教育委員会に対して、市町村教育委員会等とも十分に連携しながら、その取組を一層進めるよう要請したところでありまして、人事委員会としては、県教育委員会にこの報告の内容を受けとめていただき、解消に向けた取り組みを一層進めていただきたいと考えております。
〇佐々木宣和副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木宣和副委員長 質疑がないようでありますので、これで人事委員会関係の質疑を終わります。
 人事委員会事務局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、監査委員事務局長に監査委員関係の説明を求めます。
〇藤澤監査委員事務局長 監査委員関係の決算につきまして、御説明申し上げます。
 歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げますので、204ページ、205ページをお開き願います。
 第2款総務費のうち、10項監査委員費1目委員費の支出済額は1、762万円余でありますが、これは監査委員4名の報酬、給与及び監査等に要した経費であります。次に、2目事務局費の支出済額は2億1、433万円余でありますが、これは事務局職員の人件費等、事務局の管理運営に要した経費であります。
 以上で監査委員会計の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇佐々木宣和副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木宣和副委員長 質疑がないようでありますので、これで監査委員関係の質疑を終わります。
 次に、警察本部長に警察本部関係の説明を求めます。
〇高水警察本部長 令和4年度の警察本部関係の決算について御審議をいただくに当たり、初めに東日本大震災津波に伴う県警察の取り組みにつきまして御説明申し上げます。
 東日本大震災津波の発生から12年7月を経過いたしましたが、いまだ1、100人を超える方々が行方不明のままであり、身元の判明しない御遺体は47体ございます。県警察といたしましては、行方不明者の御家族からの御要望等を踏まえながら、捜索活動を継続して実施するほか、各種鑑定の活用による身元の割り出しを引き続き推進するとともに、今後も被災地の安全、安心を確保するための活動を継続してまいります。
 それでは、警察業務の推進状況について御説明申し上げます。
 県警察では、令和4年の運営重点に置いて、県民の期待と信頼に応える力強い警察を基本姿勢とし、被災者に寄り添う警察活動の推進などを活動重点に掲げ、必要な各種施策を推進してまいりました。
 令和4年中の県内の治安情勢を顧みますと、刑法犯の認知件数は2、655件で、前年より148件増加いたしました。特殊詐欺につきましては、認知件数は37件、被害額は約1億82万円で、前年より6件、約812万円増加しております。また、サイバー犯罪の相談件数は、令和2年以降、増加傾向にありまして、令和4年は3、239件で、前年より306件増加しております。
 また、令和4年中の交通事故の状況につきましては、発生件数、負傷者数ともに19年連続で減少しており、死者数は37人で、記録の残る昭和23年以降で最少となる令和3年を上回りましたけれども、2番目に少ない死者数となりました。しかしながら、人口10万人当たりの死者数では、全国平均を上回っており、東北管内では2番目に多くなっております。
 こうした中、本年3月の県民意識調査における重要度が高い項目では、交通事故の少ない社会づくりが第1位、犯罪への不安の少ない社会づくりが第2位と、上位にランクされており、県民が切望する安全、安心を実感できる地域社会の実現に向け、県警察の総力を挙げて、各種施策に取り組んでいるところでございます。
 続きまして、令和4年度の警察本部関係の決算について御説明いたします。お手元の令和4年度岩手県歳入歳出決算書の20ページをお開きください。
 警察本部関係の決算は、9款警察費でありまして、歳出予算現額の総額は286億5、051万円余で、これに対する支出済額の総額は274億4、720万円余であります。
 なお、令和5年度への繰越額は7億8、760万円余でございます。
 決算の内容につきましては、令和4年度歳入歳出決算事項別明細書の記載のとおりでございまして、説明を省略させていただきますので、御了承願います。よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇佐々木宣和副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇佐藤ケイ子委員 私からは、警察官の採用活動についてお伺いいたします。
 東日本大震災津波を経験して、警察官の方々が活動する姿を子供のころに見て、そして、社会に貢献している仕事だ、やりがいのある仕事だと思った、ああいうふうになりたいと思って、志望する方々がいることを報道などで見聞きしております。本当にさまざま活動していただいて、感謝申し上げます。
 今、さまざまな職種で人手不足が深刻になっているわけですけれども、警察官の採用試験の申込者も減少しているのではないかと聞いております。近年の受験者数の状況、採用者の状況はどのようになっているでしょうか。
〇天野警務部長 県警察における近年の採用情勢についてでございますが、大学卒業者を対象としました警察官A、それ以外の警察官Bを合わせまして、令和2年度以降、令和2年度が採用予定数77人に対し、受験者数362人、採用数74人、令和3年度が、採用予定数76人に対し、受験者数351人、採用数73人、令和4年度が、採用予定数88人に対し、受験者数281人、採用数84人となっており、採用試験受験者数の減少傾向が見られる状況にあります。
 受験者数減少の要因といたしましては、一概には申し上げられませんが、少子化による就職適齢期人口の減少のほか、民間企業の雇用情勢の改善により人材の獲得競争が激化していることも影響しているものと考えておりますが、欠員が生じますことは警察の現場執行力の低下を招くこととなり、ひいては警察職員の負担増加にもつながるものと考えております。
 県警察では、このような現状を打開するため、今年度から、採用広報媒体をIターン、Uターンを希望される方でも、24時間365日直接アクセスできるよう、主としてウエブ媒体にすることとしたほか、学生や採用試験合格者を対象としました体験型の採用交流イベントを初めて開催するなど、組織を挙げて、採用試験合格者の辞退防止と応募者の確保を強力に進めていくこととしております。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。ウエブでも情報発信したり、体験型の活動もしているということでありました。
 かつては、駐在所の方がサポートして、自分の紹介した学生が試験に合格できるようにサポートしたなどというのも聞いておりましたけれども、今も大変な状況だと思っています。
 それで、合格となっても、採用辞退するという方がいらっしゃる状況だと思うのですけれども、その状況。また、採用されても、早期退職ということもあると思うのですけれども、その状況はどうなっているのでしょうか。
〇天野警務部長 採用辞退と早期退職の状況についてでございますが、近年の採用辞退者数の推移につきましては、令和2年度採用試験における辞退者が24人、令和3年度が30人、令和4年度が28人となっております。
 内定辞退につきましては、各採用区分によってばらつきはございますが、警察官Aの男性につきまして、近年、内定辞退者が約4割と、増加傾向にある状況であります。
 内定辞退の主な理由といたしましては、消防や自治体、他都道府県警察から採用内定を得たという他職選択が大半を占めております。
 次に、早期退職の状況についてでありますが、早期退職者数の数値については、執行力の詳細に関する内容につきまして、答弁を差し控えさせていただきますが、近年の傾向といたしましては、警察組織になじめずに、自信喪失により辞職してしまう者のほか、就職後の興味、関心の変化による転職希望等により辞職してしまう者が多くなっております。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。辞退者も結構いらっしゃるということですし、試験を受けて、合格する人は、あちこちに合格して、それで内定も辞退することもあると思います。公務員の場合は、県や市町村などは、昔は共通試験だったけれども、それを個別にやるようになって、今また共通試験にして、採用する方がダブって合格しないような工夫もしていらっしゃるようですけれども、それもさまざま検討していることだろうと思ってお聞きしました。
 それから、こういう試験を受ける方を確保するために、警察官リクルーターという活動をしてもらっているようですけれども、警察官リクルーターの活動内容、そして、人数、その任期などはどのようになっているのでしょうか。そして、このリクルートの活動のスキルの向上、それから、どのように継承していくのか伺います。
 そして、リクルーターの経験者の声などをお聞きしているのかどうかもあわせてお伺いいたします。
〇天野警務部長 警察官リクルーターについてでございますが、リクルーターは、採用試験の受験予定者等の身近なロールモデルとなり得る採用5年未満の若手警察官を中心に構成しておりまして、任期は1年間で、採用説明会やオープンキャンパス、就職支援サイトを通じた情報発信等に当たって、業務の魅力ややりがいを説明し、質疑に細やかに対応するなどをしております。
 今年度は、39人を指定しておりまして、内訳は男性が31人、女性が8人となっております。
 次に、活動スキル向上や、検証に向けた取り組みについてでありますが、年度当初にリクルーターに対する集合教養を実施しております。採用情勢や課題、リクルーターの役割と心構え、採用説明会等に当たってのアピールポイントのほか、本活動の重要性や必要性等について、担当者から説明を行った上で、グループワークや情報交換を行うなどをしているところであります。
 次に、リクルーターの経験者の声についでございますが、リクルーターを経験することで、自分の業務はもちろん、他の部門の質疑対応や説明を行うことで、警察業務全般に対する理解が深まるとともに、岩手県の治安を担う人材確保の重要性を認識できたという感想が多く、リクルーター指定を外れた後も、各所属でいろいろな形で採用活動に当たっている状況にございます。
〇佐藤ケイ子委員 今、若手職員の方々で、このリクルーター活動をしてもらっているということであります。それもかなり功を奏していることだろうと思うのですけれども、最近は、定年延長もありまして、高齢職員とか、それから、退職したOB職員なども、リクルーターの活動に協力してもらっているという事例もあるやに聞いております。さまざまな活動で幅を持たせていただければと思っております。
 次は、女性警察官の採用、そして、登用の拡大についてでございます。女性が被害者となる性犯罪や配偶者からの暴力事案の捜査、そして、被害者支援など、女性警察官の能力や特性を生かした分野のほか、警察活動全般で女性警察官の職域が拡大していると聞いております。採用、そして、登用の拡大の状況はどうなっているのかお伺いいたします。
〇天野警務部長 初めに、女性警察官の採用状況についてでありますが、平成5年度から採用を開始し、平成10年度に、交通巡視員から警察官に身分を切りかえた12人を含めまして、これまで362人を採用しております。
 この3年間につきましては、令和3年度が18人、令和4年度が17人、令和5年度が23人の合計58人を採用しており、採用数に対する割合は24.0%となっております。
 次に、女性警察官の登用状況についてでありますが、県警察では、職員個々の資質、能力、希望に応じた登用を重視しております。女性警察官につきましても、生活安全、刑事、交通、警備の各部門はもちろん、パトカーや白バイといった現場活動の最前線、また、110番通報や事案統制に当たる通信指令等の高度な技量や判断を求められる部門にも積極的な登用を推進してきてきたところであります。
 また、先般、報道もされておりますが、今年度新設した先端技術導入班におきまして、女性警察官がドローンのオペレーターとして行方不明者の発見、保護に多大な成果を上げるなど、現場活動と先端技術を含めました活用方策等の企画、立案の両面で活躍しているところであります。
 県警察におきましては、引き続き、職員個々の資質、能力、希望に応じた積極的な登用に取り組みますとともに、幅広い分野で活躍できる女性警察官の育成に努めてまいります。
〇佐藤ケイ子委員 警察庁、そして、各都道府県警察では、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく特定事業主行動計画をそれぞれ策定しているわけです。女性がその個性と能力を十分に発揮して活躍できるよう、さまざまな取り組みを推進していると、いろいろな情報誌に書いておられます。
 先ほどの答弁を聞いても、県警察は、最近は24%の女性の採用割合というのは、これは高いほうだと思いました。全国平均的には10%強かと見ておりましたので、これからも、男女ともに活躍できるように期待したいと思っております。
 それから、若い警察官がいろいろな場面で経験を積んでほしいと思っておりまして、というのは、配置転換されて来る若い警察官が、私の事務所に時々雑談をしに来ます。それは何年も前からです。転勤になるたびに、今度は私が来ましたと、事務所に挨拶に来て、そして、今のこの地域の課題は何ですかとか、選挙情勢はどうなるのですかとか、選挙になったら要人は来ますかとか、それで、さまざまな情報を得たりしているようですけれども、そうやって地域に密着した警察活動をお願いしたいと思っております。これからも、信頼性の高い警察活動ができるように期待しております。
〇鈴木あきこ委員 私からは、初めに、特殊詐欺被害予防対策費について伺います。
 県警察では、私も登録しておりますが、岩手県警察ぴかぽメールで、毎日のように詐欺の情報が送られてきます。先週も、秋田県では1億6、000万円の詐欺に遭った女性がいるという報道もされておりました。
 また、個人的なことですが、先日、私の家に地元の交番の警察官が来て、私の母の名前が特殊詐欺グループの名簿の中にあったということで、母は10年前に亡くなっておりますので、恐らくその被害はなかったと思ったのですが、本当に身近にあるのだということを実感しております。
 そこでお伺いします。特殊詐欺被害抑止のため、先ほど言いましたぴかぽメール、テレビCM、チラシなどで啓発活動が行われていますが、令和4年確定値によれば、先ほど高水警察本部長からもお話がありました被害件数37件、前年比プラス6件、被害額1億82万円、前年比プラス812万円と、ともに増となっておりました。
 しかし、特殊詐欺被害の阻止率の達成度はAとなっておりましたが、これはあくまでも阻止率の評価であるのか。また、特殊詐欺被害予防対策費予算の推移をお伺いします。
〇金田一生活安全部長 県警察に御協力いただいておりまして、まことにありがとうございます。引き続き、よろしくお願いいたします。
 御質問にお答えいたします。初めに達成度についての質問がございました。この評価の指標につきましては、鈴木あきこ委員御指摘のとおり、阻止率ということで評価をいたしているものでございます。特殊詐欺被害の阻止率でございますが、被害件数と、金融機関やコンビニエンスストアでの声かけ等により、被害を未然に防止した件数の合計に占める未然防止件数の割合ということで算出しているものでございます。
 令和4年中の目標値を70%と設定しておりまして、令和4年中の阻止率が72.3%と、設定目標値を超えておりましたことから、Aという評価を出しているものでございます。
 また、特殊詐欺被害予防対策費の推移の御質問がございました。令和3年度からの予算の執行状況を見ますと、令和3年度は1、374万円余、令和4年度は1、325万円余で、前年度から49万3、000円の減となっております。
 本事業につきましては、特殊詐欺の予防対策に関するテレビコマーシャルの制作、放送、それから、ポスター、チラシの作成ということで、前年と比べて同等以上の内容としているものでございますが、企画コンペを実施した結果、執行額が減額となっているものでございます。
〇鈴木あきこ委員 啓発活動がコンビニエンスストアとかいろいろなところで役に立っているということと、また、そのお金がCMなど啓発活動に多く使われていることがわかりました。
 今の詐欺の手口として、海外からの電話番号の特殊詐欺電話や、国内でも料金未払いの音声ガイダンス、海外だと、3秒から4秒の音声データがあれば、AIで人間の声を合成するディープフェイクボイスを悪用した詐欺が、手口として使われるようになったと報道されておりました。国内でも手口が巧妙化しておりますが、県警察としては、どのような対策がとられているのかお伺いします。
〇金田一生活安全部長 詐欺の手口の関係についての御質問でございますが、国際電話番号からの特殊詐欺電話につきましては、本県では、被害の認知こそありませんが、本年の7月から相談件数が増加している状況でございます。
 この国際電話からの特殊詐欺電話の特徴ですけれども、具体的には、プラス1あるいはプラス44といった国際電話の番号から発信されているもので、これに応対することによりまして、使用していないインターネットサイトなどの料金を請求されたり、身内を装って現金が請求されるという手口でございます。
 この対策といたしまして、こういう手口が発生しているという注意喚起とあわせまして、海外との電話が不要な方には、国際電話不取扱受付センターを介しまして、国際電話からの着信を休止することができること等を県警察のホームページなどで呼びかけておりますほか、防犯メール―ぴかぽメールで発信することによって、身に覚えのない国際電話からの電話番号には出ないことを、広報、啓発させていただいているところでございます。
 さらに、巧妙化する特殊詐欺の手口に対する対策ということで御質問がありましたけれども、こういう詐欺の関係は、固定電話への着信をきっかけにした被害が多いことから、留守番電話機能を活用した相手方の確認、それから、NTT東日本で、本年5月から実施しております、かけてきた相手の番号が表示されるナンバーディスプレイ機能と、非通知の電話が拒否できるナンバーリクエストサービスを70歳以上の高齢者を対象として、無償化措置をとっていただいておりますが、このことに関してキャンペーンを実施したり、あるいはホームページ上で周知を行うなどして、広報、啓発を進めているところでございます。
 さらに、県警察としては、いろいろチラシをつくったりしながら、何とかこういう対策があることを県民の皆さんに周知していくという中で、特殊詐欺の被害防止を図っているところでございます。
〇鈴木あきこ委員 いろいろな対策がとられていて、安心でございました。ありがとうございます。
 詐欺グループの拠点があると言われている首都圏には、県警察の人員は配置されているのでしょうか。お願いいたします。
〇中屋敷刑事部長 特殊詐欺は、首都圏において被害金が引き出されるなど、広域にわたる犯行が多いことから、警察では、捜査を効率的に進めるため、各都道府県警察の捜査員により構成されている首都圏派遣捜査専従班を設置しており、当県からも捜査員を派遣しております。
 また、現在、警察庁の調整により、令和6年4月からの首都圏派遣専従班拡充に関しましても、当県からの派遣を検討中でありますが、派遣体制の詳細につきましては、捜査にかかわることでございますので、答弁を差し控えさせていただきます。
〇鈴木あきこ委員 ぜひ、初動捜査に影響がないように、人員配置をお願いいたします。
 次に、非行少年を生まない社会づくり推進事業費について伺います。
 少年サポートセンターや大学生ボランティアなど、非行少年の立ち直りの支援活動とありますが、令和4年12月末確定値によれば、不良行為の少年の補導人数、総数652人、喫煙が230人、深夜徘徊が175人となっております。総数の半数以上が、喫煙、深夜徘徊となっております。子供たちの背景はさまざまと思いますが、喫煙については、身体に影響を及ぼす可能性があること、また、深夜徘徊については、事件、事故に巻き込まれる可能性があることから、非常に危惧される状況です。
 そこで伺います。少年サポートセンターを含め、県警察における活動状況を伺います。
〇金田一生活安全部長 県警察では、街頭補導活動を通じまして、少年に対する指導を強化するなど、少年サポートセンターが中心となりまして、少年非行防止活動を推進しているところでございます。同センターには、少年補導職員、臨床心理士及び警察官OBであるスクールサポーターなどを配置しておりまして、それぞれの専門性を生かして、非行少年を生まない社会づくりに取り組んでいるところでございます。
 具体的な活動といたしましては、少年に手を差し伸べる立ち直り支援活動として、大学生のボランティアである少年サポート隊による少年の居場所づくりや、少年に対して手紙を発出する愛のレター作戦、少年を見守る社会機運の向上活動として、非行防止教室の開催や挨拶運動を継続して実施しており、少年の犯罪の抑止に努めているところでございます。
 県警察といたしましては、今後も、学校や関係機関、団体、それから、少年警察ボランティアの皆さんと連携しながら、少年非行防止活動を推進してまいりたいと考えているところでございます。
〇鈴木あきこ委員 たくさんの手を差し伸べられていることは、大変ありがたいことだと思います。
 ただいまお話に出ました非行防止教室というのは、どのような指導をされているのか、お願いいたします。
〇金田一生活安全部長 非行防止教室についてのお尋ねでございますが、県警察では、事件や事故を直接取り扱う警察の職員である強みを生かしまして、実際の事例を参考に、窃盗や暴力行為などの非行防止のみならず、飲酒や喫煙、それから、違法薬物の乱用を防止するための薬物乱用防止教室、SNSやスマートフォンなどを安全に利用するための情報モラル教室等の非行防止教室を開催しているところでございます。
〇鈴木あきこ委員 先ほどの少年サポートセンターのところで、大学生のボランティアが活躍しているということでしたが、現在の大学生のボランティアは何名ほどいらっしゃるのか伺います。
〇金田一生活安全部長 大学生の皆さんによる少年サポート隊についての御質問でございますが、隊員は少年と年齢が近い立場であることから、さまざまな立ち直り支援活動ができるということでお願いしているものでございます。
 本年度につきましては、25名を隊員として委嘱しております。昨年中、支援対象少年13人に対して、出動36回、それから、ことしの8月末現在で、支援対象少年11名に対して25回、ことしは延べ39名の隊員、昨年は延べ61名の隊員を派遣して、活動を行っているところでございます。
〇鈴木あきこ委員 想像していたよりボランティア数が多かったので驚きました。今の子供たちは、自己肯定感が低いとか、人から認められることが少ないとか言われているので、そのサポートされた子供たちが、今度はサポートする側に回るということもいいのではないかと、これは私個人の意見でございます。ありがとうございました。私の質問は以上です。
〇佐々木宣和副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後4時27分 休憩
午後4時46分 再開
〇柳村一委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇吉田敬子委員 私からは、山岳遭難への対応の取り組みについてお伺いしたいと思います。
 全国的に、山岳遭難の発生件数、遭難者数が大変ふえておりまして、岩手県でもそのとおりと思っております。県内の山岳遭難の状況について、発生件数、遭難者数、こちらについては年代別、そして、内訳として、登山、山菜、キノコ採り等の内容別についてもお伺いしたいと思います。
〇金田一生活安全部長 県内の山岳遭難の発生状況についての御質問でございます。令和4年中におきましては、県内では、52件、55人の山岳遭難が発生しております。これは前年比でプラス12件、プラス4人ということでございます。
 目的別で見ますと、登山が21件、23人と最も多く、全体の約40%を占めておりますほか、遭難者の約53%―55人中の29人が65歳以上の高齢者という現状でございます。
〇吉田敬子委員 毎回取り上げさせていただいているのですけれども、何とか山岳遭難に遭わないことが一番でありますが、遭った場合も含めて、早期発見の取り組みとして、昨年度中に、民間企業の株式会社ヤマップとの連携協定を結んでいただいて、アプリで携帯に位置情報が入るような仕組みを登録していただくと、岩手県警に連携していくという取り組みがあるのですけれども、そちらについてのこれまでの実績と、令和4年1月から、ドローン1機を整備していると思いますが、そのドローンの活用についても、昨年度の取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇金田一生活安全部長 株式会社ヤマップとの連携につきましては、吉田敬子委員御指摘のとおり、令和4年7月に協定を結びまして、情報共有を図ることとしております。
 現在までのところ、このYAMAPを利用している遭難者につきましては、確認されておりますが、YAMAPの情報に基づいて、山岳遭難者の救助に直接つながった事例はございません。
 しかしながら、YAMAPの登録情報の活用につきましては、これは救助活動に有効であることはそのとおりでございますので、今後も、活用については、継続して検討してまいりたいと思っておりますし、株式会社ヤマップとの連携についても、継続してまいりたいと考えているところでございます。
 また、ドローンの活用に関する御質問がございました。令和4年1月に、警察本部の生活安全部地域課にドローン1台を整備させていただきまして、令和4年6月から運用を開始しております。ドローンの出動実績でございますが、令和4年は、行方不明者捜索等で5件、令和5年につきましては、4件の出動がございます。
 発見できたり、ドローンではなかなか発見できなかった場合も出ておりますけれども、いずれ、捜索には非常に有効な手段であることは間違いございませんので、今後も、引き続き、積極的にドローンの活用を図ってまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 先ほど、遭難者数の53%が65歳以上ということで、昨年度、県警察の御尽力で大変スピード感を持って株式会社ヤマップとの連携をしていただいたことには大変感謝しているのですが、その目的別で見ると、登山者の方はこのYAMAPを利用していただけるのですけれども、キノコや山菜採りになってしまうと、YAMAPを使ってもらえるかというと、多分そうではないだろうと思います。これまでも、御高齢の方がそういうものを導入していただけるものかどうかとか、そちらの啓発についての課題意識は県警察も持たれているということでありましたけれども、先ほど、高齢者が半分以上だということで、そちらについての今後の課題、取り組みについて伺います。
 キノコや山菜採りとなると、装備の問題は、本来は登山者と同じだと思うのですが、同じような啓発活動ではなかなか難しいかと思っております。YAMAPを利用していただければいいのですけれども、従来どおりの登山届もありますが、登山届を出してない率のほうが多かったりしていますし、総合的に見て、県の課題と、今後の取り組みについてお伺いできればと思います。
〇金田一生活安全部長 山岳遭難への取り組みについて、課題と今後の取り組みということで御質問をいただいております。
 吉田敬子委員御指摘のとおり、高齢者につきましては、登山もございますけれども、山菜採り、キノコ採りで山に入る方も多く、そういう方が遭難することも多く発生しているのが現状でございます。
 ただ、山に入るという点では、基本的には、山登りも、キノコ採りも、環境的には同じということで、この遭難を防止するための今後の課題といたしまして、いかに、県民の方々に、山岳遭難、山の危険性、リスクの部分、その現状と遭難を防止するための方法の周知が必要であると考えているところであります。
 私ども県警察といたしましては、それらを周知するために、交番、駐在所で発行しておりますミニ広報紙や、巡回連絡等、警察活動を通じました広報活動によってそういうリスクの部分や、準備しておくべきものなど、細かいところの広報、啓発を行っておりますほか、SNSや各種メディアを通じた情報発信に加えまして、必要な人に必要な情報を伝えることが重要ということで、老人クラブや、高齢者対象の交通安全講習会等、高齢者が集まる場を通じまして、注意喚起等を継続して行っていくこととしているところでございます。
〇吉田敬子委員 私も、ことしの冬場に、友人が山岳遭難で亡くなって、その方は単独で登山に行った女性だったのですが、大丈夫だと思っていつも行っている登山者も、やはりそういうことがあるのだということと、あとは、いろいろな未然防止のための取り組みは本当に必要だと思っております。先ほど、交通安全講習会を高齢者の方にやられているということですが、例えば、この中でもYAMAPについてのお話をされたりすることはあるのかお伺いします。ドローンの活用は、先ほど、これはすごく有効だということでお話がありましたけれども、現在、1機の整備になっていますが、今後は拡大、拡充していくということがあるのかお伺いできればと思います。
〇金田一生活安全部長 2点御質問がありました。1点、交通安全講習会等の高齢者の方対象の会合でのYAMAPの周知ということでございますけれども、現状、具体的にそういったところでの周知、広報をしているかということについては、把握しておりませんけれども、基本的に、有効な手段であることはそのとおりでございますので、今後、そういうところについては検討してまいりたいと思っております。
 また、ドローンの拡充ですけれども、現在の使用状況等は、今、1機でいろいろ対応できているところではございますけれども、そこにつきましては、今後、必要性等を勘案しながら、また、検討していくということになろうかと思います。
〇吉田敬子委員 最後に、参考までに、水難事故も大変最近ふえていって、海だけでなく、川で溺れるケースもふえて、命をなくされているのですけれども、そういうところについても、例えばドローンは有効なのか。
 あと、全国的に水難事故もすごくふえているのですが、他県では学校現場でも、親子教室でそういったことを子供たちへ県警察が注意喚起されていることがあったりするので、今後の参考にさせていただきたいと思っておりますので、水難事故についての県内最近の傾向についてお伺いできればと思います。
〇金田一生活安全部長 県内の水難事故の発生状況について、御質問をいただきました。
 令和4年中におきましては、県内では、水難事故14件、14人の事故が発生しているところでございます。場所といたしましては、海での事故が9件、9人と最も多く、全体の64%となっております。また、行為別では、魚とり、釣り中における事故が6件、6人と、最も多くなっている状況でございます。
 加えて、ドローンの活用についてでありますけれども、そのとおり、山岳遭難もそうですし、こういう水難の部分につきましても、いろいろな地形などで人がなかなか入っていけない場所につきましては、やはりドローンの活用は非常に有効であると考えております。昨年の活用の中でも、湖周辺での行方不明者の捜索、あるいは河川での転落行方不明者の捜索等にも、ドローンを活用している状況でありまして、こういう水難事故の部分につきましても、ドローンの活用は積極的に進めてまいりたいと考えているところでございます。
〇吉田敬子委員 山岳遭難、水難事故ということで、県警察の皆さんには、ドローンだったり、ヘリコプターも含めて、いろいろなところとの連携で、私たちの身近なところでの安全、安心のために御尽力いただいておりますことは、大変感謝いたしております。新しい機器を導入することによって、2次遭難も含めて、2次被害の防止につながっていくと思っておりますので、今後も注視させていただきます。学校現場でも、普及啓発がもう少し必要なのかということも感じていましたので、今後、私ももう少し勉強させていただいて、検討もさせていただきたいと思います。以上です。ありがとうございます。
〇菅野ひろのり委員 私は、3点通告していました。採用については、先ほど佐藤ケイ子委員からありましたし、DXの関係で、ドローンについては、今、吉田敬子委員からもありましたので、割愛したいと思います。
 問題意識としては、今回、DXの推進ということでありました。採用状況も聞きましたが、人材が減少といいますか、そういう中で、DXの活用は重要だと思っています。行政のDXで言えば、内部管理業務のシステム化、電子決裁・ペーパーレス化、ドローンの利活用、そして、AIの活用という4本を掲げているわけですが、今のDXの推進計画、その実績と課題をどのように受けとめているか、まず伺います。
〇天野警務部長 県警察におけるDX推進計画についてでございますが、岩手県DX推進計画には、今、菅野ひろのり委員がおっしゃいましたとおり、県警察の取り組みとしましてドローンの利活用による警察活動の高度化、警察業務におけるAIの活用、内部管理業務のシステム化、電子決裁・ペーパーレス化の推進の4項目を掲げまして、業務の効率化や執行力の機能強化を図ることとしております。
 次に、その実績と課題についてでありますが、今年度は、ドローンの利活用による警察活動の高度化と内部管理業務のシステム化に取り組んでいるところでありまして、ドローンの利活用につきましては、本年9月には、行方不明者の発見、救助につなげたところでございます。内部管理業務のシステム化につきましては、令和6年度中の先行運用開始に向けまして、システム構築に向けた検討等の所要の作業を進めているところであります。
 なお、課題といたしましては、ドローンの利活用につきましては、常時運用を可能とするためのオペレーターの育成や、操縦技術のさらなる向上、内部管理業務のシステム化につきましては、業務の合理化、効率化につながる有用なシステムをいかに構築するかということが挙げられます。
 これらの課題解決に向けまして、より実践的な訓練と、積極的な現場出動の積み重ね、また、部門横断的な検討チームの編成と、導入済みの県の視察や意見交換等を推進しているところであります。
〇菅野ひろのり委員 大分早口で、理解がちょっと追いつきませんでしたけれども、その中で、私は、ドローンやAIはあくまでもツールであって、組織にどう配置して、その人材の登用と育成をしていくのかということにあるのだと思っています。
 例えば岩手県DX推進計画によりますと、なかなか難しい分野だと思いますので、この計画の大まかな令和8年度までの工程が示されているわけでありますが、私は、今回、組織の定数表も拝見させていただいて、先ほど、ドローンの関係だと、生活安全部地域課に配属しているということでありましたが、私は、立ち上げのスタートで、力をより加速していく中にあって、特別なチームあるいは専門的なところを設けながら推進していくことが、その時間軸に合わせてより加速できることだと思います。この体制の強化についてどのようにお考えか伺いたいと思います。
〇天野警務部長 県警察におけますドローンの推進のための体制についてでございますが、本年4月に、警察本部刑事部刑事企画課の捜査支援分析室に、先端技術導入班を設置いたしまして、ドローンオペレーターの育成等、操縦技術の向上、複数機体の運用によって常時複数の出動と運用可能な体制の構築に取り組んでいるところでございます。
 また、先端技術導入班の任務等についてでございますが、犯罪捜査を初めといたします警察活動への科学技術の導入に向けた調査研究や実証実験等を行う目的で設置をした部署でございまして、その第一歩といたしまして、今年度から、ドローンを各種警察活動へ応用することによる効果の実証を重ねております。
 体制につきましては、捜査の体制にもかかわることであり、答弁を差し控えさせていただきますが、本年4月の発足以来、行方不明者の捜索、各種犯罪の捜査、アワビ密猟事犯の対応訓練等、9月末現在で延べ36回の現場出動をしております。
〇菅野ひろのり委員 私は、ドローンのみにこだわっているのではなくて、通告の中では、その活用状況をお聞きしたのですが、先ほど答弁がありましたから、要は、トータル的にこのDXをどう進めていくかということだと思います。では、少し質問を変えますが、計画の中で見ると、AIの活用についてはこれからなのだと思っています。
 これは警察庁ではありますけれども、サイバー捜査に民間の人を登用していくということです。セコム株式会社の技術者が任期付でサイバー特別捜査隊も行いながら、ネットの闇、例えば闇バイト、あとは受け子、そういうものをAIで監視するということも行っているようであります。
 岩手県警察では、サイバー犯罪対策課を設置しているわけですし、そういった中で、ドローンにこだわらず、幅広くそういう可能性や、専門的な人材の育成は本当に難しいことだと思います。私は、これを外部から登用することなども検討いただいて、そういう犯罪を未然に防ぐ体制の構築をしていただきたいと思っておりますが、改めて、お考えをお聞きしたいと思います。
〇加藤参事官兼警務課長 今後の県警察のDX推進の取り組みについてでございますが、最初に、ドローンの関係ですけれども、数の補足がございまして、先ほど、生活安全部長から地域課に1機という説明でございましたが、今回の岩手県DX推進計画に基づくドローンの活用とは別となっております。こちらにつきましては、複数機体、それから、常時複数の運用ができるようにとなっておりまして、切り分けておりますので、混同なされませんようによろしくお願いいたします。
 それから、県警察の取り組みでございますが、例えばDXのほうで先行答弁がございましたが、県警察が行う4本柱につきまして、まだ検討を開始したばかりでございまして、具体的に、どこをどうというところまでは検討が進んでいないのが実情でございます。既に、電子決裁・ペーパーレス、あるいは内部管理業務のシステム化につきましては、具体的な検討を進めているところでございまして、そのあり方、効率化といったところに向けて、部内横断のチームを設けて推進しているところでございます。
 今後につきましては、警察活動の職員採用に関しましては、警察活動の十分な理解が不可欠でありますし、捜査上の秘密保持の観点から、資質あるいは能力を有する職員を育成、登用することを基本方針としつつ、必要に応じて、民間業者が開催する研修の受講、あるいは、警察庁や他の都道府県との情報交換等を実施しながら、所要の取り組みを進めることとしております。
 また、今後、取り組みを進める上で必要があれば、菅野ひろのり委員御指摘のとおり、民間業者との人事交流に取り組んでいくこととしております。
 なお、先般7月に、警戒の空白を生じさせない組織運営ということを警察庁から通達がなされております。この過程においても、DXの推進については、強力に進めていくこととしております。
〇菅野ひろのり委員 ぜひ、お願いしたいと思います。このDXの推進、例えばAIやドローンは警察活動の高度化につながるのだと思います。
 一方で、地域住民からすると、それは身近にないではないですけれども、求められているのは、交番勤務の方とのコミュニケーションといいますか、先ほどもありましたけれども、顔を出していただくことにあるのだと思います。なぜなら、中山間地域や高齢化が進む中にあって、犯罪の抑止は、地域の方々の相互の見守り、声がけが基本にあるのだと思います。そこに交番勤務の方々がフォローや御指導をいただくことで、より安心な地域づくりが進んでいくのだと、私は思います。
 一方で、県警察職員1人当たりの負担という中で言うと、岩手県は、当然面積が広いわけでございますから、負担率で言うと、面積当たりは全国で2番目に負担があるという中で、できるだけ新しい技術で効率的になったところを、ぜひ住民の見守り活動に充てていただきたいと思っておりますので、そういう体制づくり、あるいは御指導をいただきたいと思っております。
 次に移ります。歳入歳出決算事項別明細書の330ページの警察費、警察管理費、本部費の中の警察行政運営費というところについてでございます。前任期、ことしだったと思いますが、総務委員会で音楽隊について視察させていただきまして、滝沢市へ伺わせていただきました。皆さんのはつらつとした活動に大変感動を覚えましたし、非常に心強いと実感したところでございます。
 そこで、隊員の皆さんの活動状況、活動実績を伺いたいと思います。
〇天野警務部長 音楽隊の隊員の現状と活動実績についてのお尋ねでございます。
 音楽隊についてでありますが、令和4年度は、隊長以下27人で編成しております。内訳は、警察官が18人、事務職員が5人、会計年度任用職員が4人となっております。また、27人の隊員の男女別の内訳は、男性12人、女性15人となっております。
 音楽隊は、警察と県民を結ぶ音のかけ橋として、県内の小学校等や各地域におきまして開催される防犯または交通安全のイベント等に派遣して、演奏活動を行っておりまして、令和4年度は39回の派遣となっております。
 なお、コロナ禍以前は、例年50回ほど派遣しておりまして、令和4年度の派遣は、コロナ禍以前と比較すると、2割程度減少しております。
〇菅野ひろのり委員 活動実績については、39回ということ、50回、人数にすると1万人ぐらいと聞いておりますが、去年で言うと、小学校の閉校記念コンサート、奥州市、盛岡市、洋野町、紫波町、奥中山と、いずれ、積極的に、幅広く活動いただいている様子が見られます。
 前回伺わせていただいた滝沢市で訓練を行っていただいているということでしたが、施設が非常に老朽化していると見てとれました。その訓練の状況、環境は、どういう状況か伺いたいと思います。
〇天野警務部長 音楽隊の訓練の状況と環境についてお尋ねいただきました。
 音楽隊は、滝沢市に所在する築32年の旧体育館を平成24年から訓練場として使用しておりまして、そこで演奏及び演技の訓練を行っております。令和4年度は、毎週木曜日を定例訓練日にしたほか、必要に応じて特別訓練期間を指定して、訓練を行ったところであります。訓練場は築32年の施設でありますことから、各設備の老朽化が著しい状態にあります。
 また、音楽隊を派遣する際の移動には、隊員が運転するバスを使用しておりますが、こちらも平成11年から使用しているために、経年による劣化が著しく、安全を考慮し、現在は使用しておりません。
〇菅野ひろのり委員 平成11年のバスですか。
 伺わせていただいて、総務委員会でも、委員の皆さんも感じられたと思いますが、体育館ですから、これから冬場は非常に寒い中でもございますし、女性隊員の方も多い中で、お手洗いも和式でありまして、照明も、水銀灯が切れているものがあったりとか、バスも先ほどのような状況です。今、50回活動をいただいている中で、私は、全国的にも県民と県警察の音楽隊はお互いの信頼関係を結ぶ中でできている経過がある中で、しっかりと安定した環境で取り組んでいただきたいと思っております。
 今後の整備計画について伺います。
〇天野警務部長 今後の整備計画についてのお尋ねでございます。
 老朽化が著しい訓練場に関しましては、照明やトイレ等の改修等を行う予定でありますほか、バスにつきましても、可能な限り速やかな更新に向けて検討を進めております。当面、緊急性の高い修繕等を優先的に、音楽隊員の環境改善に努めてまいりたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 地元の小学校で、トイレの洋式化をしたときに、和式から洋式になるのですが、ヒーターの入らない冷たいトイレで、保護者の方あるいは学校の関係者の方からも、整備するのであれば、そういうのもきちんとお願いしたいという声もいただいていました。
 関連するかどうかわかりませんが、先ほど計画を示していただきました。ぜひ、適切な環境を整えていただいて、これからも、県警察の音楽隊活動を充実していただきますようにお願い申し上げて、終わります。
〇斉藤信委員 最初に、供述調書改ざん、公文書毀棄容疑事件について伺います。
 昨年の3月に、事件の被害関係者の供述調書を巡査部長と上司の警部補が改ざんし、容認し、補完すべき変更前の調書を破棄したと。この問題については、岩手弁護士会が、事によれば冤罪にも結びつく、極めて重大な問題として公開質問状も出して、県警察の対応をただしたのでありますけれども、残念ながら、公開質問状にはまともな回答がなかったというのが、岩手弁護士会の見解でありました。
 どう調査し、処分されたのでしょうか。
〇熊谷参事官兼首席監察官 お尋ねの昨年3月の事案でございますが、これにつきましては、厳正な監察上の調査を行いまして、上司の警部補については本部長訓戒、それから、部下の巡査部長については所属長訓戒という措置にしております。
〇斉藤信委員 どう調査したかというのがありませんでした。どういう重大な事件だったのかと、改めて、その認識をお聞きしましょう。
〇熊谷参事官兼首席監察官 監察上の調査につきましては、当然にして、行為者及び関係者等から徹底した事情聴取を行うという形で、監察部門として調査したものでございます。
 また、どういう事案だったのかということの御質問につきましてですけれども、これは、先ほど斉藤信委員からも御指摘がありましたとおり、事件の被害関係者の供述調書につきまして、内容が一部事実と異なっておりましたために、正しい内容に訂正する必要があって、本来、正しい内容に訂正するものの調書を新たに作成するべきところを、供述人が遠隔地にいたということなどから、正規の手続をとらずに修正を行ったという事案でございます。
〇斉藤信委員 私、これは予算委員会でも取り上げてね。前任の金田一参事兼主席監察官は、極めて重大に受けとめているという認識でしたよ。あなたはその認識はあるのですか。
〇熊谷参事官兼首席監察官 斉藤信委員の御指摘のとおり、本件につきましては、極めて重大な事案であったと認識しております。
〇斉藤信委員 ここまで聞かないと、その答弁が出てこない。私は本当に認識が甘いのではないかと思います。甘さが処分にあらわれているのですよ。極めて重大に受けとめていると、県警察の関係者は繰り返し答弁をしましたが、処分は、所属長訓戒、本部長訓戒です。これは懲戒処分にならないのです。供述調書を改ざんしても、結果的にこの程度で済むということになるのですよ。
 だから、同年8月に、同じような事件が起きたのではないですか。去年の8月、どういう事件が起きて、どういう処分をされましたか。
〇熊谷参事官兼首席監察官 昨年の8月の事案についてですけれども、この事案につきましては、警察署の巡査長が、事件としては立件しない軽微な事案の取り扱いに当たりまして、行為者に作成させた誓書―反省文のようなものを紛失してしまったことから、同書類をみずから作成して、決裁に際して、上司に提出したという事案でありまして、3月に発生した後に、また、公文書に係る事案が発生したということで、極めて重大な事案と受けとめております。
〇斉藤信委員 この事件も、紛失して、みずから勝手に書いたという事件ですよね。私は、これは二重に問題だったと思うけれども、これも本部長訓戒ですよね。もう本当に訓戒程度に済まされている。こういう甘い処分をしたら、本当に重大視しているというのは言葉だけで、県警察本部全体に伝わらないということを、私は率直に指摘しておきたいと思います。
 そこで、岩手弁護士会は、こうしたことがないように、全面的に捜査の可視化をすべきだと提起しております。取り調べの全面的な録画、録音をすべきだという、この弁護士会の提起に対して、県警察はどう取り組まれているでしょうか。
〇中屋敷刑事部長 取り調べの録音、録画の取り組みについての御質問でございますが、取り調べの録音、録画につきましては、刑事訴訟法第301条の2に基づき、死刑または無期の懲役もしくは禁錮に当たる罪に係る事件に、短期1年以上の有期の懲役または禁錮に当たる罪であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させたものに係る事件などを対象とするほか、国家公安委員会規則であります犯罪捜査規範第182条の3に基づき、逮捕または勾留されている被疑者が精神に障がいを有する場合が規定されており、これらの法令に従って、適正に実施しております。
〇斉藤信委員 令和4年度に録音、録画をされた事案は、何件あったのでしょうか。
〇中屋敷刑事部長 令和4年のみの数字は手持ちにありませんが、平成21年4月の試行開始から、昨年末―令和4年12月末までの実施件数は、裁判員裁判対象事件で169件、あとは、精神の障害を有する被疑者の事件につきましては、344件の取り調べの録音、録画を実施しております。
 なお、平成24年の本施行以降、対象事件における録音、録画の実施率は100%実施しているものでございます。
〇斉藤信委員 次に、警察官の不祥事案についてお聞きしますが、昨年7月3日付で、道路交通法違反、酒気帯び運転で処分されていますが、なぜ、これは戒告処分で済んだのでしょうか。
〇熊谷参事官兼首席監察官 本年7月3日付で懲戒処分といたしました酒気帯び運転の事案でございますけれども、本事案の処分につきましては、酒気帯び運転の対応、それから、全国、県内におけるこれまでの先例を踏まえまして、事案の内容を総合的に判断して、対処したものでございます。
〇斉藤信委員 本庁職員だったら、これは一発で懲戒免職ではないですか。県警察本部は違う基準で、それも、戒告ですよ。懲戒処分で一番軽い。酒気帯び運転がこの程度で済むのですか。県民からは考えられないけれども、これは、本庁と県警察の処分規定は違うということですか。
〇熊谷参事官兼首席監察官 警察庁が示しております懲戒処分指針を踏まえまして、なおかつ、その事案の具体的対応に応じまして、全国の県警察の処分の先例等、総合的に判断しての処分結果ということでございます。
〇斉藤信委員 そうすると、全国の警察官は酒気帯び運転をしても免職にならずに戒告程度で済むと。本庁の基準とは違うと。ここを確認させてください。本当に、それでいいのですか。
 交通指導する警察官が、そんな甘い基準で通用するのでしょうか。高水警察本部長に聞きましょうか。本部長、全国はそうなのですか。警察官の酒気帯び運転は免職にならないと。戒告程度で済むということでしょうか。
〇高水警察本部長 お尋ねの今回の事件でございますが、これは前日飲んだお酒が残っていて、そのまま出勤したという事案でございますけれども、翌朝出勤したときに、酒気を帯びているのではないかという状況でありましたので、そこで呼気の検査をしております。この際に、政令基準値を下回るアルコールが検出されておりました。その時点で政令基準値を下回っておったのですけれども、運転していたときには、酒気を帯びていたのではないかということがございましたので、そこはしっかりと捜査いたしまして、計算式等を用いて、送致したという状況でございます。
 これは御指摘のとおり、我々は法令を遵守する立場である警察官でございますので、酒気帯び運転は許されるものではございません。その中で、今申し上げたような状況、それから、全国の状況、先例を踏まえて、今回の処分に至ったところでございます。
 ただ、こういうことは私どもとしても非常に重く受けとめておりまして、こういうことは二度と起こさないように、指導、教養を徹底しているところでございます。
〇斉藤信委員 後で検査したら、基準値を下回っていたという話ですね。しかし、運転していたときは、警察としては酒気帯び運転だという判断でしょう。だったら、これは戒告で済むような話ではないでしょう。これ以上やってもしようがないので、そういう意味では本庁の基準と違うのかどうかということを、改めて、後で確認させていただきます。
 もう一つ、大変大事な課題がありますので、お聞きをします。
 盛岡市向中野地区における交通安全対策であります。向中野7丁目、街区中央交差点、人身交通事故が昨年6件、これは損害保険会社の調査結果で、テレビ放映もされました。私も大変びっくりいたしました。
 盛岡市向中野5丁目は、3年間で5件発生していると。ここは信号のあるところでね。信号のないところは、直ちに信号を設置すべきだし、5丁目のこの交差点の事故も多いのですけれども、これは右折の信号がないと。そのために、赤になってから右折するというので、事故が起きているということです。
 この点については、県警察はどのように地域住民の命、安全を守る対策をとろうとしているか示してください。
〇吉田交通部長 盛岡市向中野地区における交通安全対策についての御質問ですけれども、まず、盛岡市向中野7丁目の街区中央交差点における人身交通事故につきましては、昨年中に発生した6件全てが、車両同士の出会い頭事故でございまして、また、同市向中野5丁目の石川町交差点における人身交通事故につきましては、過去3年間に発生した5件中、横断中の人対車両の事故が4件、それから、自転車対車両の出会い頭事故が1件となっております。
 次に、県警察としてどう受けとめ、対応しようとしているかについてでございますけれども、いずれも、重大事故に発展するおそれのある事故形態であると認識しておりまして、引き続き、交通事故を防止するため、同交差点付近において、関係機関、団体等と連携した街頭活動や広報、啓発活動を推進するほか、道路管理者と連携しながら、交通安全施設の整備について検討してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 街区中央交差点は信号のないところで、人身事故が1年間で6件というのは、これは異常事態ですよ。ぜひ、これは信号機の早期設置をお願いします。そして、5丁目については、私に対する資料提供では、工事の進捗状況に左右される可能性があるが、令和6年度中の右折信号の完成を見込んでいるということですが、これでよろしいですか。
〇吉田交通部長 ただいま委員からお話がありましたとおり、盛岡市向中野5丁目の石川町交差点につきましては、現在、道路管理者による路面改良工事中につき、広報、啓発活動や、交通指導取り締まりなど、街頭活動を通じて、交通事故防止に努めてまいりたいと考えておりますが、道路管理者による路面改良工事の終了までに、右折矢印信号灯器を設置することで、現在検討しております。この工事の進捗状況により左右される可能性はございますが、令和6年度中の見込みでございます。
〇斉藤信委員 これは本当に地域住民の命と安全にかかわる問題ですので、ぜひ早急に対応していただきたいと思います。
 もう一つ、私は以前にも、盛岡市向中野4丁目、いわば南仙北1丁目からアンダーパスで向中野に行くところですけれども、ここも人身交通事故が発生しております。通学路だけれども、危険だから通学路に指定できないと。通学しているのですよ。通学路だけれども、危険だから通学路に指定しないという、こういうところです。
 ここに、地元の町内会を含めて、ぜひ、横断歩道を整備してほしいという切実な要望が繰り返し出されておりますが、これへの対応はどうでしょうか。
〇吉田交通部長 ただいま、斉藤信委員から御指摘がございました盛岡市向中野4丁目地区における横断歩道の設置要望の具体的な見通しについてでありますけれども、かねてから御要望のありました交差点における所要の交通量調査を行った結果、歩行者の安全を確保する必要がある場所として、横断歩道の必要性を認め、令和6年度中の設置に向けて、現在、検討中でございます。
 また、今後、予算の措置の上、道路管理者との調整や、設置場所に関する詳細な調査、工事の発注といった手続を経る必要がありますことから、このようなスケジュールを予定しております。御要望がありました箇所につきましては、引き続き、通学時間帯を中心としました警戒活動を行いまして、歩行者の安全確保を図ってまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 了解しました。
〇中屋敷刑事部長 先ほど答弁漏れがございました。録音、録画の令和4年度の実施件数ですけれども、裁判員裁判対象事件につきましては14件、精神障がいのあるものにつきましては50件を実施しております。よろしくお願いいたします。
〇高田一郎委員 それでは、私からは交通安全対策について質問いたします。
 まず、昨年度の県内における道路交通事故の件数と、そして、全体の特徴について、どのような状況になっているのか伺います。
〇吉田交通部長 交通事故の統計ですけれども、年度でなく、年でとっておりますので、歴年で答弁させていただきます。
 令和4年中の交通事故の特徴についてでありますけれども、まず、発生状況につきましては、発生件数1、511件、前年比55件の減少、それから、死者数37人、前年比2人の増加、それから、傷者数1、812人、前年比18人の減少となっており、発生件数と傷者数は減少しておりますが、死者数は増加している状況でございます。
 特徴としましては、全死者のうち高齢者が23人と最も多く、全体の62.2%を占めていることなどが挙げられます。
〇高田一郎委員 冒頭の高水警察本部長のお話にもありましたけれども、高齢者が全体の事故のかなりのウエートを占めているということです。
 もう一つお聞きしたいのは、今、免許の返納者が減少しているとか、あるいは免許保有高齢者が増加しているということが言われているのですけれども、その現状を含めて、どのような状況になっているのか。今後の道路交通事故の見通しをどのように描いているのか、その辺についてお伺いいたします。
〇吉田交通部長 高齢者の運転免許証返納状況についての御質問ですけれども、令和5年―本年9月末現在、運転免許の取り消し申請につきましては、2、793件、前年同期比マイナス625件で、そのうち高齢者は2、691件、前年同期比マイナス574件でございます。高齢者の申請による運転免許全部取り消し、いわゆる運転免許証の自主返納につきましては2、569件、前年同期比マイナス579件となっております。
 運転免許証は、平成10年4月から、申請による運転免許証の取り消しとして、自主的な運転免許証の返納が認められております。これは、65歳以上の高齢者の中には、身体機能の低下を自覚して、みずからの安全と道路交通に与える影響を考慮して、自発的に運転免許を失効させたいと考える方が多かったところでありましたが、法的に、更新前に取り消しができる手続が整備されていなかったため、運転免許証の変更ができない状況でございました。これが、法改正によって返納が可能となったものであります。
 今後の高齢者の交通事故の見通しですけれども、高齢者人口がふえておりますので、こういった死者に占める高齢者の割合が今後も続くものと考えられます。
〇高田一郎委員 岩手県は当面、免許返納者が減少し、全体として、免許を保有する高齢者がどんどん増加していく状況だと思います。
 高水警察本部長から、冒頭、交通事故の少ない社会づくりに総力を挙げて取り組むというお話がありました。高齢者を対象とした安全対策はとりわけ大事になってくると思うのですけれども、県警察として、高齢者の安全対策にどのような方針で取り組まれているのか。
 特に私が注目したいのは、ドライブレコーダーを活用した安全指導が非常にいい取り組みではないかと思っているのですけれども、この効果と、もしわかれば、その実施状況がどの程度かお尋ねしたいと思います。
〇吉田交通部長 高齢者の交通事故防止対策についての御質問ですけれども、例年、秋季以降、この時期に高齢歩行者が被害に遭う事故が増加する傾向にございます。これは、秋季以降ということでなく年間を通してですけれども、例えばパトカーや警察官の姿を見せて、高齢者を初めとした全ての交通参加者に注意喚起を促す、目立つ街頭活動強化、それから、高齢者の在宅訪問による補償運転の推奨など、安全指導の推進、それから、先ほど高田一郎委員からございましたドライブレコーダーの活用、体験型の安全教育機材を活用した安全教育の推進、横断歩行者等妨害違反等の交通指導取り締まり強化による運転者の歩行者保護意識の醸成等により、高齢者の交通事故抑止を図っている状況にございます。
 なお、ドライブレコーダーの活用状況につきましては、交通企画課長から答弁いたします。
〇南部参事官兼交通企画課長 ドライブレコーダーを活用しました交通安全教育の件数についてでございますが、この取り組みにつきましては、平成28年から実施しておりまして、令和5年9月末現在、これまでに140人、県内で実施している状況でございます。
 効果につきましては、御自身で申し込んでくる方もおりますし、御家族から依頼されて実施する方もいるのですが、御本人、そして、御家族かも、運転の危険なところ、具体的に言えば、交差点での一時停止がしっかりしていないところが認識できたなど、非常に評判といいますか、効果が高くなっているところでございます。
〇高田一郎委員 平成28年から令和5年まで140件という、この数字は少ないのではないかと思うのです。この事業は、ドライブレコーダーを高齢者に貸し出して、警察のどなたがやるかわかりませんけれども、その結果を見て、さまざまな運転の指導をするという、とてもいい取り組みだと思うのです。交通安全対策、特に高齢者にターゲットを当てた安全対策に総力を挙げるという割には、少ないのではないかと思うのです。この認知度も含めて、広く県民に、高齢者に知らせる、あるいは取り組むということをもっとやってもいいのではないかと思うのですが、その点についてもお伺いしたいと思います。
 もう一つは、私は、交通安全対策の上からも、先ほど議論もありましたけれども、駐在所の役割が非常に大きいと思うのです。昔は、駐在所の方が、自転車でかなりのところを回って、いろいろな情報提供をして、交通安全対策に対するいろいろな啓蒙などをよくやったのですが、先ほど自分のうちに来たという話がありましたけれども、今、パトカーに乗っている警察官の姿はよく見るのですが、そういうのはあまり見られなくなったのではないかと思うのです。
 もっと地域に入って、高齢者の皆さんをよく訪問して、こういうドライブレコーダーがあるので活用しませんかとか、特殊詐欺のことも含めて、そういう取り組みを行うのが駐在所の役割ではないかと思うのです。交通安全対策からも、駐在所の役割は大変大きいと思いますけれども、駐在所の役割と求められる活動について改めてお伺いしたいと思います。
〇吉田交通部長 ただいま高田一郎委員から御指摘がありました、ドライブレコーダーをもっと活用すべきではないかという質問でございますけれども、本年9月末現在でも、高齢ドライバーが第1当事者となる交通事故がふえておりますし、それから、昨年も、交通死亡事故のうち、高齢ドライバーが第1当事者となった割合が全国でワースト1位だったという状況も踏まえまして、ドライブレコーダーを活用した交通安全指導は非常に効果があると考えております。
 また、御自身の運転を省みるよい機会となると思いますので、引き続き、ドライブレコーダーを活用した交通安全指導について、広く広報をして、高齢ドライバーの交通事故防止に取り組んでまいりたいと考えております。
〇金田一生活安全部長 交通安全の関係で、駐在所の役割について御質問がありました。駐在所につきましては、地域の実態に即しまして、地域住民の要望に応える活動を行うとともに、全ての警察事象に即応する活動を行っております。そういう中で、住民の日常生活の安全と平穏を確保することを任務としているところでございます。
 主な活動としては、管内を巡行して、犯罪の予防検挙や交通指導取り締まりに当たるなどの警ら、それから、担当する区域を巡回して、家庭、事業所等を訪問する巡回連絡についても、積極的に推進しているところでございます。いずれ、これらの活動を通じて、地域の安全、安心の確保のために、日夜活動を行っているというところでございます。
〇高田一郎委員 駐在所が各地域を回っている活動が見えない感じもいたします。なお一層努力し、また、ドライブレコーダーの活用についても、今後もっと活用できるような積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
 もう一つは、自転車ヘルメット着用の努力義務化についてです。ことしの4月から努力義務となりました。これまでの取り組み状況についてもお伺いしたいのですが、現在の着用状況と県警の取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇吉田交通部長 自転車ヘルメットの着用状況及び取り組みについての御質問でございますけれども、まず、県内の自転車ヘルメットの着用状況についてですけれども、本年5月に、県警察独自で自転車利用者のヘルメット着用状況調査を行ったところ、平均着用率は12.9%でございまして、年代別では、高校生が2.9%と最も低い結果でございました。また、本年7月に警察庁の指示により実施した全国調査では、駅周辺及び商店街等で調査したところ、全国の平均着用率が13.5%に対し、県内の平均着用率は7.6%にとどまっている状況でございます。
 次に、県警察の取り組みについてでございますけれども、特に通学等で自転車利用の機会が多い高校生のヘルメット着用率が低かったことから、県教育委員会を通じ、各高等学校に自転車通学の条件に、ヘルメット着用を盛り込むことを要請し、各高等学校において検討、取り組みをいただいているほか、街頭における指導啓発活動を推進しています。
 県警察といたしましては、引き続き、教育機関を初めとする関係機関、団体等と連携し、交通安全教育や、広報、啓発活動を推進し、高校生を含めた全ての自転車利用者のヘルメット着用を促進してまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 ヘルメットを着用した場合と着用しない場合では、死亡率が2.2倍の開きがあるということも言われております。岩手県の事故発生状況を見ても、高齢者が多いのですけれども、高校生の事故の割合も、分母は少ないですけれども、増加しているのです。こういうことも含めて、高校生への着用の普及の努力と、そして、全国的には就学援助制度などを活用して、そのヘルメットを購入することを支給項目にして取り組んでいる自治体もありますので、ぜひ、全国の先進事例に学んで、市町村とも連携しながら、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、電動キックボードについてお伺いいたします。道路交通法の規制緩和によって、電動キックボードの規制がかなり緩和されました。現在、岩手県内における普及状況と事故の実態について、どのように把握されているのか、この点についてお伺いしたいと思います。
〇吉田交通部長 電動キックボードについて、普及状況と事故の実態把握についての御質問ですけれども、まず、電動キックボードの普及状況についてでございますが、特定小型原動機付自転車、いわゆる電動キックボードの所有者は市町村の条例等の定めるところにより、標識、つまりナンバープレートを取得し、車体の見やすいところに取りつけなければならないとされておりまして、県内各市町村に同標識の交付状況を確認しましたところ、本年9月末現在、県下では、計6枚の標識が交付されていることを確認しております。
 次に、事故実態をどう把握しているかについてでございますけれども、特定小型原動機付自転車にかかわる改正道路交通法が施行された本年7月1日以降、9月末現在で、県内での発生は認知しておりません。
〇高田一郎委員 恐らくこれはこれからどんどん普及が拡大していくのではないかなと思うのです。今、観光客を呼び込むために、全国各地でシェアリング拠点整備の動きもありますし、県内でも、西和賀町などで、観光業者が電動キックボードを活用してツアーを組むなど、恐らくどんどん普及していくと思います。
 免許が不要になって、ペナルティーの規制をどんどん弱めるような中で、全国的にも都市部を中心に大変な事故、法令違反が発生しております。この規制緩和は本当によかったのかということも問われているわけですけれども、これは、この普及状況、実態などをしっかり把握して、必要な対策をとっていくべきだと思うのですけれども、そのことをお伺いして、終わりたいと思います。
〇吉田交通部長 電動キックボードの交通事故防止対策についてお答えいたします。
 電動キックボードの交通事故防止対策につきましては、県内において、電動キックボードの販売店は確認されておりませんが、インターネットでも販売され、購入可能であることから、今後、利用者の増加が見込まれる一方で、先ほどございましたとおり、16歳以上の者であれば運転免許が不要であるため、交通ルールを熟知していない人が利用し、交通事故の発生も懸念されるところであります。
 改正道路交通法では、電動キックボードの販売事業者や、シェアリング事業者については、交通安全教育を行う努力義務が課せられておりますが、県警察といたしましても、ウエブサイト等の各種媒体を活用して効果的な情報発信を行うほか、教育機関等と連携するなどして、特定小型原動機付自転車に係る交通ルール等の周知に努めるとともに、特定小型原動機付自転車の利用者に限らず、自動車の運転者を初めとする他の交通参加者にも周知を図ってまいります。
 また、あわせて、電動キックボードによる飲酒運転信号無視、通行区分違反等の悪質、危険な違反行為に対する交通指導取り締まりを強化してまいります。
〇小林正信委員 私からは1点、違法薬物の乱用防止についてお伺いします。
 本年に入り、全国では大麻所持で大学生が逮捕されるという事態が相次いで発生しています。違法薬物のまん延がかなり懸念されている状況があります。まず、県内におけるここ数年の違法薬物による検挙の状況と、それに対する所感についてお伺いします。
〇中屋敷刑事部長 本県の薬物事犯についてでありますが、近年の検挙人員は、多少の増減はあるものの、ほぼ横ばいで推移し、昨年の検挙人員は34人で、前年比1人の増加となっております。
 その内容を見ますと、大麻事犯の検挙が19人と半数以上を占め、うち30歳未満の検挙が68.4%と、若年層による大麻事犯が深刻化しているものと受けとめております。
〇小林正信委員 そのとおり、近年の状況は、ネット等でも入手しやすい大麻がふえてきている状況なのだろうと思います。令和3年には、全国でも大麻所持で検挙される人数が過去最多になっているということです。
 その背景には、覚醒剤と比べて安価である、安いということや、大麻は安全で無害だという誤った情報が広がっているためと言われております。しかしながら、幻覚作用があったりとか、学習能力が低下していくと。また、大麻の使用がより刺激の強い薬物への入口になる可能性がある。ゲートウェイドラッグとも言われていますけれども、その危険性は大きいものがあるのだろうと考えております。
 こうした状況を踏まえた上で、今後の取り組みについてどのようにしていくお考えなのかというあたりをお伺いします。
〇中屋敷刑事部長 今後の取り締まりの取り組みについてでありますが、県警察といたしましては、今後とも、末端乱用者による薬物事犯や、インターネットなどを利用した薬物密売事犯の徹底検挙を図るとともに、密売ルートの解明と摘発による供給源の遮断を図ってまいります。
 また、税関や海上保安部など、薬物対策を推進する関係機関と緊密な連携を図り、取り締まりを推進してまいります。
〇小林正信委員 今、インターネット上の取り締まりも強化するとおっしゃいましたけれども、政府も、ことし8月には、第6次となる薬物乱用防止5か年戦略を策定し、その中で、特にインターネット上に広がる薬物の売買に対する取り締まりの強化を打ち出しました。
 ネット上での売買によって、若い世代、例えば学生でも簡単に薬物が手に入るという状況があります。また、せきどめとか解熱剤といった市販薬を大量に摂取するオーバードーズも若い世代で広がっているという状況です。私の周りでも、若い世代の方から大麻のまん延に対する不安の声も聞かれるところであります。
 この岩手県でも、若い世代で大麻の検挙者がふえておりますけれども、それ以上に、その背後には所持とか、使用する若者が広がっている状況なのではないかと懸念しているところでございます。未成年や若者への違法薬物まん延防止の充実がこの岩手県においても急務と考えますけれども、今後の若者の違法薬物所持に対する取り組みについてお伺いをして、終わりたいと思います。
〇金田一生活安全部長 未成年若者の違法薬物乱用防止ということでございますけれども、県警察では、違法薬物の乱用防止のための取り組みとして、少年を対象とした関係機関、団体との連携による指導、広報、啓発を推進しているところでございます。
 具体的には、県教育委員会、県保健福祉部、一般社団法人岩手県薬剤師会と連携した、学校における薬物乱用防止教室の開催による啓発活動、学校の非行防止教室でのリーフレットの配布による啓発活動、街頭補導、少年相談による薬物乱用少年の早期発見、保護活動などの広報、啓発活動を行っているところでございます。
 また、この街頭補導活動などを通じまして、実際に薬物を乱用している少年の発見と検挙に努め、非行少年の健全育成と更生に努めているところでございます。
 さらに、広く若者を対象としたポスター掲示等による広報、啓発により、小林正信委員御指摘のとおり、薬物が安全だといった誤った情報等を払拭するような、社会全体の薬物乱用に資する機運の醸成に努めているところでございます。
〇柳村一委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇金田一生活安全部長 恐れ入ります。先ほどの吉田敬子委員の御質問の中で、ドローンの関係をお答えさせていただいておりました。私のドローンの関係の答弁でございますけれども、これは、あくまでも山岳遭難、水難救助に係ります生活安全部門における活動ということで、生活安全部門でのその運用状況に特化して説明させていただいたものでありまして、県警全体のドローンの保有、運用につきましては、天野警務部長あるいは加藤参事官兼警務課長から説明があったとおりでございますので、改めて、お答えいたします。
〇柳村一委員長 改めて、ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇柳村一委員長 質疑がないようでありますので、これで警察本部関係の質疑を終わります。
 警察本部の皆様はどうもお疲れさまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時4分 散会

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