令和5年9月定例会 決算特別委員会会議記録

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令和5年10月24日(火)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 昆 野 岳 晴
議事管理担当課長 藤 平 貴 一
主任主査 佐 藤 博 晃
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 及 川 雄 也
主査 阿 部 真 人
主査 堀 合 俊 彦
主査 三 浦 訓 史
1説明員
知事 達 増 拓 也
副知事 菊 池   哲
副知事 八重樫 幸 治
企画理事兼
保健福祉部長 野 原   勝
会計管理者 木 村   久
会計課総括課長兼
会計指導監 今 雪 博 貴
ふるさと振興部長 熊 谷 泰 樹
ILC推進局長 箱 石 知 義

議会事務局長 小 畑   真
次長 安 藤 知 行
総務課総括課長 米 内 敏 明
政策調査課長 金 森 一 恵

総務部長 千 葉 幸 也
理事兼副部長兼
総務室長 村 上 宏 治
参事兼
管財課総括課長 和 田 英 樹
総務室管理課長 柳 原   悟
法務・情報
公開課長 草 木 秀 二
人事課総括課長 内 城   仁
職員育成課長 藤 原 ひろみ
財政課総括課長 佐 藤 直 樹
特命参事兼
調査担当課長 岩 間 吉 広
行政経営推進課
総括課長 高 橋 幸 司
税務課総括課長 今 野   浩

総務事務
センター所長 藤 村   朗

政策企画部長 小 野   博
副部長兼
首席調査監 小野寺 宏 和
参事兼
秘書課総括課長 村 上   聡
政策企画課
総括課長 加 藤 真 司
政策課長兼調査監 荒 澤 秀 昭
評価課長兼調査監 八重樫 倫 子
管理課長兼
儀典調整監 千葉絵里
広聴広報課
総括課長 菊 地 亮 弘
特命参事兼
報道課長 星 野 俊 一
総括調査監 畠 山 直 人
総括調査監 高 橋 秀 司

復興防災部長 佐 藤 隆 浩
副部長兼
復興危機管理室長 大 畑 光 宏
副部長 浅 沼 秀 行
総括危機管理監 田 澤 清 孝
復興危機管理室
企画課長 高 橋 新 吾
復興危機管理室
管理課長 千 葉 智 貴
特命参事兼
放射線影響
対策課長 高 橋 光 羊
復興推進課
総括課長 北 島 太 郎
復興くらし再建課総括課長 森 田 竜 平
被災者生活
再建課長 和 田 英 子
防災課総括課長 戸 田   新
防災危機管理監 駿 河 芳 典
消防安全課
総括課長 田 端 政 人
県民安全課長 木 村 幸 地

監査委員 五 味 克 仁
監査委員 中 野 玲 子
監査委員事務局長 藤 澤 良 志
監査第一課
総括課長 及 川 博 英

監査第二課
総括課長 佐々木 良 生
〇柳村一委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、議案第22号及び議案第23号の以上17件を一括議題といたします。
 本日は、昨日に引き続き、総括質疑を行った後、議会、総務部、政策企画部、復興防災部関係を終わるように進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 また、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、基本的感染対策として、換気のため、午前は1回、午後はおおむね1時間半ごとに休憩しますので、御協力をお願いいたします。
 これより、昨日に引き続き、総括説明に対する総括質疑を行います。木村幸弘委員。
   〔木村幸弘委員質問者席に着く〕
〇木村幸弘委員 社民党の木村幸弘です。通告に従いまして質問させていただきます。
 知事が選挙戦で訴えられた希望郷いわて、その先への選挙チラシにおいては、東日本大震災津波からの復興、新型コロナウイルス感染症の克服及び歯どめがかからない人口減少と少子化に関する取り組みや成果が、岩手県政の軌跡として掲げられています。
 各取り組みの期間が異なりますが、令和4年度に実施した事業の実績も踏まえ、これまでの政策がどのように成果に寄与したと捉えているのか、また、今後の課題は何なのか、知事の所見を伺います。
〇達増知事 平成19年の知事就任以来、岩手県が直面する危機を希望に変えていくため、いわて希望創造プラン、いわて県民計画、いわて県民計画(2019〜2028)などの計画に基づき県政の諸課題に取り組んだ結果、県民所得の向上、雇用環境の改善など県民とともに着実な成果を上げてまいりました。
 また、東日本大震災津波発災以降、誰ひとり取り残さないという理念のもと、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造を目指す復興計画、そして、いわて県民計画(2019〜2028)復興推進プランに基づいて、被災者一人一人に寄り添いながら復興を進めてきたことにより、新たな道路ネットワークやまちづくりが大きく進展しています。
 令和4年度はコロナ禍でさまざまな制約があった中、復興事業を着実に進めるとともに、人口減少対策については、例えば、岩手ファンの拡大やU・Iターンの促進に向けた情報発信等を強化した結果、県外からの移住、定住者数や県内企業等へのインターンシップ参加者数の増加などの成果があらわれているところです。
 今後も、復興関連の施策を確実に推進させるとともに、県民生活や地域経済に大きな影響を与えているエネルギー、物価高騰対策や人口減少の進行などの喫緊の課題に取り組み、県民一人一人をエンパワーしてまいります。
〇木村幸弘委員 その中で、私はやはり1人当たり県民所得について注目しておりまして、平成23年度と令和元年度との対比では15.4%の伸び率を示しているわけでありますが、令和4年度決算を踏まえ、どのような政策が効果的であったと捉えているのか、あわせて知事に伺いたいと思います。
〇達増知事 平成23年度と令和元年度との比較で1人当たり県民所得が15.4%の伸びとなった大きな理由は、県民所得の算定の基礎となる県内総生産が4.1兆円から4.9兆円と約18%増加したことによるものです。
 県内総生産の内訳を産業別に見ると、第1次産業、第2次産業、第3次産業のいずれも総生産が拡大する中、特に第2次産業が38.9%増と大きな伸びを示しており、また、県内総生産に占める割合も23.2%から27.2%に拡大しています。
 こうした状況は、復興需要のほか、地場企業の自動車関連取引成約件数や新規立地、増設件数の順調な増加を初め、自動車や半導体関連産業を中心とした産業集積や高度化を進めたことにより、ものづくり産業が県民所得増加の牽引役となったことに加え、農林水産業、食産業、観光産業など、いわゆる域外市場産業の付加価値や生産性が高まっていることや、商業やサービス業などへの地域内経済循環が拡大していることによるものと考えております。
〇木村幸弘委員 いわゆる県民所得の構成の中で、雇用者報酬、財産所得あるいは企業所得、この三つで構成された中で言うと、もっぱら産業によるところの伸びが非常に大きかったと今の御答弁をお聞きしました。
 そこで、雇用者報酬の捉え方について私は大変重視しておりまして、その点についての伸び率を含めてどのように捉えているのか、もしお答えできるのであればお願いしたいと思います。
〇柳村一委員長 答弁できますか。―後ほどということですので、進んでいただけますか。
〇木村幸弘委員 そこで、次の質問に入りますけれども、県内の誘致企業事業所数について、平成22年度から令和元年度の対比では107社増加しており、また、県内有効求人倍率については、平成22年度の0.46倍から令和4年度では1.32倍と0.86ポイント増となっておりますが、それぞれ令和4年度に実施した事業の実績も踏まえますと、この間に取り組まれた具体的な政策について県の評価を伺いたいと思います。
〇菊池副知事 雇用環境の改善の状況等についての御質問でございますが、県においては、自動車や半導体、医療機器関連産業などのものづくり産業の集積を進めるとともに、より多様な雇用の場を創出するため、IT産業に加え、女性の雇用に結びつく情報サービス業など、幅広い分野の企業誘致や地場企業の成長支援に向けた取り組みを展開してきたところでございます。
 こうした取り組み、施策を通じて、いわて県民計画(2019〜2028)第1期アクションプランの期間における新規立地、増設件数の実績は145件となっており、目標の100件を上回っているほか、平成22年度から令和4年度までの13年間の雇用創出数は4万2、119人を数えているなど、着実に取り組みの成果があらわれているものと認識しております。
 また、産学官で一体となって組織しているいわてで働こう推進協議会を核とした取り組みにより、高校生の県内就職率が、平成22年の57.8%から令和4年度には73.6%に上昇し、10代後半の正社員の年収中央値が全国の中央値を上回る水準になってきているなど、若者の県内定着や賃金水準を含めた雇用環境の改善も進んでいるものと認識しているところでございます。
 全国的な人口減少の進展に伴い、本県を含めて人材確保が重要となってきておりまして、今後、若年者の県内定着をさらに進め、U・Iターンなどを促進していく上で、処遇面を含めた若者や女性に魅力ある雇用の場を確保していく必要があることから、引き続き、いわてで働こう推進協議会のもと、職場環境の改善や生産性向上に取り組む県内企業に対する支援の強化、働き方改革アワードを受賞した取り組みの普及、拡大などに取り組んでまいる考えでおります。
〇木村幸弘委員 次に、自然減対策についてですが、25歳から39歳までの女性の人口減少が進むことが既に明らかな中で、子供を産みたいと望んでいる女性に対する大胆な支援を行い、将来的に出生数を引き上げていくことが大変重要ですが、令和4年度に実施した自然減対策の取り組みにおける成果及び今後の課題を踏まえ、県の考え方をお伺いしたいと思います。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 自然減対策の取り組みにおける成果及び課題でございますが、県では、安心して子供を産み育てられる環境をつくるため、妊娠、出産、子育て期にわたる切れ目ない支援体制の構築や子育てに優しい職場づくりなど、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
 具体的には、市町村と連携した子供の医療費助成に係る現物給付拡大や保育料等の待機児童解消などのほか、令和4年度には、新たに、産後ケア利用料無償化を行う市町村への補助、いわて幼児教育センターの設置などに取り組んでまいりました。
 しかしながら、本県の合計特殊出生率は依然として低下傾向が続いており、その背景には、仕事と子育ての両立の難しさ、子育てや教育に係る費用負担の重さなど、さまざまな要因があることから、さらなる子供子育て支援策の充実が必要と考えております。
〇木村幸弘委員 知事は、現状の子育て世代に対する支援として、この4月から、第2子以降3歳未満児の保育料無償化を所得制限なしで実施し、経済的制約による2人目の壁を越えるという政策を打ち出しました。
 さらに高校生までの医療費助成の現物給付に取り組まれていますが、これらの政策によって、どの程度出生数の引き上げに効果があると考えているのでしょうか。また、今後のさらなる出産、子育て支援の方向性について、考え方をお示しいただきたいと思います。
〇達増知事 国の調査によると、子育てや教育に係る経済的負担が出生数減少の主な要因であり、複数の子供を養育するにはさらに負担が増すこと、夫婦の理想の子供数は2.25人に対して、最終的な出生子供数は1.90人と0.35人のギャップがあること等が示されています。
 このため、今年度から新たに、現状で支援が手薄で優先度が高いと考えられる第2子以降の3歳未満児を対象とした所得制限を設けない保育料無償化と在宅育児支援金、医療費助成の高校生等への現物給付の拡大など、県独自の支援策に取り組んでおります。
 これにより、これまで以上に子育て世帯の経済的負担の軽減が図られ、県民の皆さんが希望する子供数を実現できる環境の整備が進むことを期待しており、こうした施策の展開や県民運動等の取り組みにより県民の機運醸成を図ることで、出生数の向上に結びつくものと考えています。
 今後の方向性については、先月開催した岩手県人口問題対策本部会議において、仕事と子育ての両立に向けた子育て支援サービスの充実などを取り組みとして掲げておりまして、市町村等の意見を丁寧にくみ取りながら、現在実施している事業の効果や課題等を検証し、施策の一層の充実を図ってまいります。
〇木村幸弘委員 次に、社会減対策についてですが、先ほどお尋ねしたとおり、目に見える数字的効果として、1人当たり県民所得の増加、県内誘致企業事業所数の増加、そして、県内有効求人倍率の増加という点では一定の評価ができますが、それにもかかわらず、特に若い人たちの流出傾向が続いています。
 知事選挙において相手候補から指摘事項としてあった、例えば県民所得の金額と国民所得の金額との格差に関しては、知事は、県民所得と国民所得の金額に対する伸び率でその差を評価しようとしておりました。
 率直に国民所得の金額と格差を認識し、現実的課題として受けとめた上で政策につなげていくべきだと思いますが、知事の所見を伺います。
〇達増知事 先般の知事選挙の希望郷いわて通信号外の中で岩手県政の軌跡として示している数字については、希望郷いわてを実現する会において、一定の紙面で簡潔に伝えようとまとめたものと考えております。
 1人当たり県民所得については、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおいて、第1期に引き続き、仕事・収入分野の幸福関連指標として、1人当たり県民所得の水準を設定し、全国を100とした水準の現状値87.4%を90.0%まで向上させることを目標としています。
 この目標について、これまでは、東日本大震災津波後の復興需要も見込み、高い水準の維持を目標としてきましたが、今後は、各産業の一層の振興に取り組むことにより、同水準の維持を目指すこととしており、将来的には、さらなる向上を目指してまいります。
〇木村幸弘委員 次に、正社員有効求人倍率は、平成22年度0.19倍に対して、令和4年度0.90倍、0.71ポイントふえております。こうした点を適切に捉えながら政策を考えていく必要があります。
 一方で、非正規雇用によってもたらされる少子化への影響も見過ごすことはできないと考えますが、県としてどう捉えているのか伺います。
 また、労働者の賃金や正規、非正規雇用の実態はどうなっているのか伺います。
 さらに、それらの実態を踏まえ、今後の正規雇用の拡大に向けた支援策についての考え方を伺います。
〇菊池副知事 まず、非正規雇用によってもたらされる少子化への影響の関係ですが、令和4年9月に公表された国立社会保障・人口問題研究所の第16回出生動向基本調査によると、理想の数の子供を持たない理由として、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからとの回答が最も多くなっているほか、内閣府の令和3年度人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査報告書においては、積極的には結婚したいと思わない理由として、結婚生活を送る経済力がない・仕事が不安定だからとの回答が、非正規雇用の独身女性で44.5%、同じく男性では41.0%と高い割合になっています。
 また、今月7月に公表された5年に1度の就業構造基本調査における令和4年度の非正規従業員の割合は35.5%と、全国平均の36.9%に比べ1.4%低くなっているほか、前回調査時の平成29年度に比べ0.2ポイント減少しているところでございます。
 次に、賃金の関係ですが、先ほど追加質問であった件について、こういったデータをお示しすることで御納得いただけるかどうか、今お答えできる範囲で用意しているのは、毎月勤労統計調査による従業員5人以上の事業所の賃金額でございますが、平成22年度で22万9、196円であったものが、令和4年度には23万9、502円と1万306円ほど改善しているところでございます。
 今後、少子化対策を進める上で、若年層の収入の向上を図っていくことが重要であると認識しておりまして、今年度新たに、県独自の中小企業等賃上げ環境整備支援事業費補助を措置し、経営革新計画に基づいて生産性の向上を図り、賃上げ等にも取り組む事業者の設備投資などを支援することとしたほか、魅力ある職場づくり推進事業費補助金を創設し、柔軟で多様な勤務制度の導入やオフィス環境改善等の中小企業の取り組みに対する支援により、県内企業の賃金向上に向けた取り組みを進めてまいります。
 また、正規雇用の拡大につきましても、引き続き、岩手労働局等と連携しながら、非正規から正社員への転換等について関係団体へ要請を行うとともに、いわてで働こう推進協議会を核として、正規雇用の拡大を含めた雇用労働環境の向上に取り組んでまいる考えでございます。
〇木村幸弘委員 次に、最低賃金の関係についてですが、去る8月18日、2023年度の全都道府県の最低賃金引き上げ額が出そろいました。本県は、国の中央最低賃金審議会に示されたCランク、39円の目安額を踏まえ改定を行った結果、893円と全国最下位となり、10月4日より発効されています。
 全国平均の43円増、1、004円と比較するとマイナス111円、東京都との差はマイナス220円という結果になっています。この結果をどう受けとめているのか、知事の所見を伺います。
 そして、この賃金格差の助長とも言える状況が、社会減問題に対してどのような影響をもたらしているのか。すなわち、全国をランク分けして目安額にそもそも差別をつける国の制度的問題が、中央と地方の格差拡大、人口、人財流出などにつながっているのではないかと考えますが、知事はどう考えているでしょうか。
〇達増知事 今回の地域別最低賃金は、公益、労働者、使用者の代表から構成される岩手地方最低賃金審議会におけるさまざまな議論を踏まえて、岩手労働局において決定したものと認識しております。
 令和4年の毎月勤労統計調査における岩手県の所定内給与額は全国で33番目であり、令和4年就業構造基本調査に基づいて試算すると、本県の10代後半の正社員の年収中央値は全国の中央値を上回る水準であるなど、県内の企業の多くは、最低賃金にかかわらず実際の賃金を決めているものと考えております。
 中央最低賃金審議会では、地域別最低賃金の全国的な整合性を図る観点からランク制度や目安額を設けていると承知していますが、その受けとめ方によっては、県民が不安を感じるとともに、人口流出などにつながる可能性もあると考えます。
 最低賃金の設定に当たっては、近隣県の間などで少しでもみずからの県の最低賃金を高く設定しようとする流れにつながっていく可能性もあり、引き続き、岩手労働局との情報共有に努め、おおむね5年ごとに行っている制度の見直しの動向を見ていきたいと思います。
〇木村幸弘委員 考え方はそれぞれあると思うのですけれども、やはり最初からランク分けをして、都市と地方の格差をつけていくという発想自体が、私はおかしいのではないかと思っています。
 持続的な賃上げが今後も求められている中で、中小〇細企業の賃上げ環境の整備についても国の政策が大変重要だと思います。
 今後、県としてどのように国に働きかけていくのか、また、物価高騰対策を初め賃上げに向けた県のさらなる支援策の方針について伺います。
〇菊池副知事 中小、小規模事業者が賃上げを実現していくためには、生産性向上によって賃上げ原資を確保するとともに、適切かつ円滑な価格転嫁による取引価格の適正化を図ることで経営基盤を強化していくことが重要と考えております。
 このような考えのもと、まずは、県内の中小企業者等に対しましては、賃上げを支援する国の業務改善助成金の活用を促しているところでございます。
 加えて、先ほども御答弁申し上げましたとおりでありますが、令和5年度6月補正予算におきましては、本県独自の中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助を創設し、経営革新計画に基づいて生産性の向上を図ることを支援することとしたものでございます。
 国に対しましては、全国知事会として、生産性向上への支援や価格転嫁の円滑化による取引適正化を進め、地域の企業の賃上げを可能とする環境整備の推進、物価高騰に対応する総合的、大胆な経済対策の実施について要請しているところでございます。
 県としては、引き続き、県内の中小企業の生産性、収益性を向上させ、賃上げ原資が確保できる環境構築に努め、県内中小企業の雇用、労働環境の整備を支援してまいる考えでございます。
〇木村幸弘委員 いずれ、人口減少対策については、やはり労働者の雇用の実態や賃金の問題をしっかりと取り上げることが重要だと思います。今後ともしっかりとお願いいたします。
 終わります。(拍手)
〇柳村一委員長 次に、小林正信委員。
   〔小林正信委員質問者席に着く〕
〇小林正信委員 まず、私からも、子育て施策の推進についてお伺いします。
 令和4年度、知事を本部長とするいわてで生み育てる支援本部が設置され、自然減に着目した部局間連携が図られてきたものと思います。
 令和4年度における支援本部の議論の内容、また、いわてで生み育てる県民運動の具体的な取り組みについてお伺いします。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 いわてで生み育てる支援本部と県民運動の取り組みでございますが、生きにくさを生きやすさに変え、安心して子供を産み育てられる環境の充実に向けた政策に取り組むため、令和4年度は本部会議を2回開催し、9月の第1回会議では、年度前半の進捗確認と後半に向けた取り組みの方向性、2月の第2回会議では、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランを踏まえた令和5年度の取り組み方針を議論し、この決定に基づき子育て支援施策を展開しているところであります。
 また、地域社会全体で子育てを応援していく機運を醸成するため、いわてで生み育てる県民運動をスタートし、キャッチフレーズ、いわての子みんなでつくる大きなゆりかごを公募により決定したほか、子育てを応援する官民の取り組みを各種広報媒体で広く発信するなどの取り組みを行ったところであります。
〇小林正信委員 県内各自治体で研修が行われている子育て支援員は厚生労働省の認定資格であり、各地域で子育て世代を支える取り組みを展開しております。
 また、妊産婦に寄り添った伴走型の支援を行う産後ドゥーラなど、子育てにかかわり応援したいという県民がふえることで、子育て世帯の生きにくさが軽減されるものと考えます。
 人材の養成も含めたいわてで生み育てる支援本部や県民運動の今後の方向性について、知事の御所見をお伺いします。
〇達増知事 人口減少に立ち向かうためには、要因となっているさまざまな生きにくさを生きやすさに変えていく施策の展開が必要であり、自然減と社会減対策を議題として先月開催した岩手県人口問題対策本部会議において、仕事と子育ての両立に向けた子育て支援サービスの充実や雇用労働環境の安定などを自然減対策の今後の取り組み方向性として挙げたところです。
 また、県民運動においては、知事と岩手県医師会長、JA岩手県五連会長の出演による子育て応援番組を共同制作したほか、テレビやラジオ、SNSなどを通じて、子ども食堂の取り組みや企業における子育て世代が働きやすい環境づくりなど、民間の取り組みを広く県民に発信しています。
 子育てを応援する企業をさらに盛り上げていくためには、こうした先駆的な取り組みを参考として、地域や企業での活動につなげていく県民の方々をふやしていくことが重要と考えます。
 今後においても、施策の一層の充実はもとより、効果的な情報発信や機運醸成のあり方について広く検討を進め、子育てを支える人材の広がりを含め、地域社会全体で子育てする方々や子供を温かく見守る環境づくりに取り組む機運の醸成に努めてまいります。
〇小林正信委員 よろしくお願いいたします。
 人口減少対策にも資する取り組みということで、令和4年度には、特に困窮する若年女性に対して、関係部局が連携し、緊急的な支援を検討する、若者女性サポート・活躍推進緊急タスクフォースが設置されました。
 このタスクフォースの議論を経て、今年度は、デジタル分野における女性の所得向上に向けた取り組みが実施されることになったと思いますが、タスクフォースにおいてどのような議論があり、施策の検討がなされたのかお伺いします。
〇八重樫副知事 県では、新型コロナウイルス感染症の長期化により、さまざまな困難に直面する若者、女性への一層の支援を検討するため、令和4年度に、関係部局で構成する若者女性サポート・活躍推進緊急タスクフォースを設置し、情報収集や検討を行ったところであります。
 タスクフォースにおける議論においては、コロナ禍における女性の支援拠点として設置したいわて女性のスペース・ミモザへの相談において、経済的な問題に起因するものが多いこと、行政による各種支援策も十分に周知されていない現状があることなどの課題が示されたことから、成長産業であるデジタル分野での女性の所得向上につなげるためのセミナーを開催したほか、ホームページやSNSにより女性に必要な支援施策等の情報発信を行うなど、今年度の新たな取り組みに反映したところであります。
〇小林正信委員 このタスクフォースの議論あるいは検討された内容は、今後、人口問題対策本部会議のワーキンググループに引き継がれるものと認識しておりますけれども、今後のワーキンググループの進め方について、どのようなお考えをお持ちなのかお伺いします。
〇小野政策企画部長 先月開催した人口問題対策本部会議では、来年度の当初予算編成に向けまして、自然減対策では、有配偶出生率向上に向けた女性の雇用労働環境の改善、社会減対策では、女性の就職期の社会減の改善に向けました女性が活躍できる職場の創出など、女性の皆さんの生きやすさを目指した事業立案のポイントを全庁的に共有したところでございます。
 これを受け、人口問題対策本部のもとに設置しております人口減少対策検討ワーキンググループでは、少子化対策監やふるさと振興監を兼ねるメンバーが、部局横断的に新規事業や事業の拡充等の検討を行い、女性の生きやすさにも十分に配慮した対策のパッケージをまとめることとしております。
 これらの対策パッケージを踏まえまして、各部局におきまして、来年度の予算要求に向けた検討、取り組みを進めてまいることとなります。
〇小林正信委員 山口県では、大学や企業などと連携し、女性デジタル人材育成のための共同事業体、コンソーシアムを設立し、非正規雇用や未就業の女性のデジタルスキル向上を支援しているとのことです。人口減少対策としての女性の活躍支援について、他県では既に一歩進んだ取り組みを行っているものと思います。
 女性の活躍を促進する具体策について、知事はどのようにお考えなのかお伺いします。
〇達増知事 県ではこれまで、女性が希望する職場で働き続けられ、その能力を十分に発揮できる環境づくりを推進するため、経営トップ層の意識改革に向けたセミナーの開催や、いわて女性活躍企業等認定制度の普及拡大等に取り組んできた結果、認定企業数は476社にまで伸びているほか、国のえるぼし認定企業数では、東北1位となっています。
 今年度からは、新たに、無利子及び無保証料の若者女性創業支援資金やいわてスタートアップ推進プラットフォームにおける女性の起業促進に向けた支援の拡充、若者や女性に魅力ある職場づくりのための補助制度の創設、女性の成長産業への就労や所得向上につなげるための女性デジタル人材の育成に向けたセミナーの開催等の取り組みを進めております。
 今後は、これらの取り組みの効果を検証していくとともに、固定的な性別役割分担意識やアンコンシャスバイアスが若年女性の県外への転出につながっている懸念があることから、家庭における家事、育児等の無償労働時間の偏りの解消に向けた取り組みも加えながら、より実効性の高い施策を展開し、女性の県内定着につなげていく考えです。
〇小林正信委員 タスクフォースでの検討を経て、今、人口減少対策検討ワーキンググループで話し合われているということですが、非常にこのタスクフォースの着眼点はよかったといいますか、かなり重要だったのだろうと思います。ぜひとも、この人口減少対策検討ワーキンググループの議論をさらに深めて、女性の活躍支援をお願いしたいと思います。
 未婚率の上昇は人口減少の要因の一つであり、そのためにも若者の所得向上が必要と考えます。いわて産業人材奨学金返還支援制度は、若者の可処分所得の向上という点から重要な取り組みでありますが、令和4年度は、認定者53名、認定企業が77社とのことで、例年と同じく、募集人員120名に達していない状況です。
 改めて、本制度の狙いと令和4年度の取り組み状況を踏まえた課題についてお伺いします。
〇菊池副知事 いわて産業人材奨学金返還支援制度についてでございますが、本制度は、ものづくり企業等の技術力や開発力の向上等を担う高度技術人材の確保、定着を促進するため平成29年度に創設したものでありまして、令和2年度には対象分野を建設業等にも拡充するとともに、一定の要件を満たす文系学位取得者等にも対象を広げ、将来の地域産業を担う高度人材の確保と県内定着、U・Iターンを促進する制度として運用してきたところでございます。
 支援対象となる認定者は毎年50人から60人程度で推移しており、さらなる活用の拡大に向けましては、大学等への働きかけ、ホームページや新聞広告、就職イベント、U・Iターンイベントなど、さまざまな機会を捉えて、学生に対する周知を図ってきたところでございます。
 産業人材の確保は重要であり、本制度をさらに有効に活用していく必要がありますことから、引き続き、学生に対する周知に努めながら、人材確保に取り組む企業に対して制度の周知を図り、認定企業の拡大に努めてまいる考えであります。
〇小林正信委員 県内の各自治体では、独自の奨学金返還支援制度を設けており、こうした県内自治体の取り組みとも連動しながら若者に対するアプローチを強めていく必要があると考えます。また、先ほど菊池副知事もおっしゃいましたけれども、県内の若者だけではなくて、U・Iターンを考えている若者や県内の高校生、大学生への情報提供も重要です。
 幅広い人材確保の観点からも、制度の拡充及び対象者の増加に、より一層力を入れるべきと考えますけれども、もう一度御所見をお伺いしたいと思います。
〇菊池副知事 全国的な人口減少の進展に伴い、産業人材の確保が重要でありまして、本制度をさらに有効なものとしていく必要があるとの観点から、今年度においては一部制度の拡充を図ったところでございます。
 具体的には、まず、認定企業については、従前からのものづくり、IT、建設関連等のほか、若者や女性が力を発揮できる環境づくりや働きやすい職場づくりの認定を取得している企業を対象に加え、実質的に対象業種の限定はないものとなりました。
 また、支援対象者につきましても、文系、理工系を問わず全てを対象としており、現在、この新たな枠組みで制度を活用する企業や学生等を募集しているところでございます。
 県としては、まずは今回拡充した制度をしっかり浸透させていくことが重要と考えておりまして、市町村や関係機関等との連携により情報発信を強化し、将来の地域産業を担うすぐれた人材の確保につなげていく考えです。
 加えて、さらなる制度の拡充につきましては、さまざまな種類の奨学金と制度がありますので、例えば、支援対象とする奨学金等の範囲を拡大することについて、これは、実はこれまでも制度を所管する国に対し要望してきているところでございますが、引き続き働きかけをし、早期に実現できるように努めてまいりたいと思っているところでございます。
〇小林正信委員 ぜひともよろしくお願いいたします。
 現在、世の中の関心はコロナ禍後、コロナ禍明けというところに向かっており、コロナ禍で得た経験、知見が忘れ去られてしまうのではとの懸念を覚えております。特に令和4年度は、オミクロン株の流行によるかつてない感染拡大の影響で、あらゆる機関で人員体制の維持が困難な状況となり、改めて、現場で奮闘された職員を初め多くの皆様に敬意と感謝を申し上げる次第です。
 私からは、特に保健所の運営において、令和4年度の保健所職員の超過勤務の状況、運営課題を踏まえた総括についてお伺いします。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 コロナ禍における保健所の超過勤務の状況につきましては、保健所を含む各広域振興局保健福祉環境部、保健福祉環境センターにおける職員1人当たりの月平均超過勤務時間は、令和4年度は28時間であり、令和3年度の21.9時間と比較し6.1時間増加したところであります。
 また、本年度4月から7月までの超過勤務の状況は、月平均12.8時間であり、令和4年度と比較し15.2時間の減となっております。
 今後の保健所運営におきましては、小林正信委員御指摘のとおり、今般の対応で得た知見や経験を今後の感染症対応に生かしていくことが重要と考えておりまして、現在策定を進めている岩手県感染症予防計画において、これまでの対応を振り返り、必要となる保健所の人員確保について新たに盛り込むこととしたところであります。
 必要な人員確保策の実効性を高めるため、保健所への応援体制、業務の効率化、人材育成などについてもあわせて検討しているところであり、引き続き、感染症危機発生時においても適切に対応できるよう保健所体制の構築を進めてまいります。
〇小林正信委員 今後、十分な感染症対策を継続しつつ、これまでの県の新型コロナウイルス感染症対策を振り返られるということ、そしてまた、今後の感染症対策に反映させる取り組みをしっかりとお願いしたいと思います。
 その上で、新たな事態あるいは危機に備える体制、これは平時からしっかり備えることも重要と考えます。
 平時における保健所職員の体制について、全国平均等と比べ十分な体制となっているのか、お伺いします。
〇野原企画理事兼保健福祉部長 保健所職員の体制についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の感染状況等を踏まえながら、積極的疫学調査の実施や施設等における感染対策などの業務に的確に対応していくため、令和4年度から保健所に計10名の保健師を追加配置しているところであります。
 保健所の所管する人口や面積がそれぞれ異なることや新型コロナウイルス感染症の、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律上の位置づけが5類感染症に移行し、現在はその移行期間中であることから、全国との比較は難しいところでありますが、平時における健康づくりなど地域保健対策の拠点としての機能が発揮されるとともに、今後の感染症危機発生時にも対応できるよう、引き続き、体制や必要な保健師の確保に努めてまいります。
〇小林正信委員 昨年のコロナ禍では、かなり離職の懸念もあったと思うので、しっかりとした保健所職員のカバー、フォローアップをお願いしたいと思います。
 先日、ある月刊誌において、三つのブルーで気候危機に対応をとの岩手大学丸山仁教授の論考を目にいたしました。三つのブルーとは、海洋資源にかかわる経済活動を指すブルーエコノミー、そして、ブルーボンド、ブルーカーボンを指し、丸山仁教授は、長い海岸線を持つ本県は、この三つのブルーで日本の気候危機をリードできるとの期待を述べておられました。
 令和4年度、県は、ブロック等の投入による藻場の造成、藻場の保全活動への支援を実施したと認識しておりますが、保全活動の具体的な内容について県としてどう評価しているのか、また、令和4年度当初予算には、ICTなどを活用し藻場の炭素吸収量をモデル的に試算する調査経費を計上されたと思いますけれども、その結果についてお伺いします。
〇菊池副知事 県内では、藻場の保全、再生に向け、漁業者や地域住民、漁協等で構成する活動団体が、海藻の育成状況の把握やウニの間引き、昆布等の養殖技術を応用した海中林の設置などの取り組みを行っているところでありまして、県では、こうした地域の活動を支援するとともに、ブロック投入等による藻場造成の取り組みを進めているところでございます。
 これまでの取り組みにより、ウニを間引きし蓄養する取り組みは12地区と3年前の3倍に拡大するほか、ブロック投入等による藻場造成の取り組みは、今年度から1地区を加え4地区で進めており、一部においては海藻の繁茂が確認されているところでございます。
 次に、国と連携した藻場の炭素吸収、貯留量等の調査の関係でございますが、県水産技術センターが陸前高田市の広田湾でドローン等を活用し海草のアマモ類の分布等を調査した結果、約13ヘクタールで生育が確認され、その重量は約90トンとワカメ養殖施設の約30台分に相当すると推計されているところでございます。
 こうした調査結果を活用しまして、国において、藻場の炭素吸収、貯留量等を算定するモデル開発が行われているところですが、県としては、引き続き、国等と連携しながら、温暖化防止に向けたブルーカーボンの調査、研究を進めるとともに、ブルーカーボンの増大に貢献する藻場の再生を推進していく考えでございます。
〇小林正信委員 国土交通省は、港湾を活用して藻場の造成を進める取り組みをブルーインフラと名づけ、市民団体や企業の参加を促進するためのマッチング支援など、全国での取り組みを本格化させています。こうした国の事業も活用しながら、先ほど述べた三つのブルーを総合的に推進することで、岩手県の豊かな海をフィールドとした先進的な脱炭素の取り組みを県内、また国内にアピールできるものと考えます。
 本県における先進的な脱炭素の取り組みの推進について、知事の御所見をお伺いします。
〇達増知事 2050年度の温室効果ガス排出量実質ゼロの達成に向けて、二酸化炭素の吸収源として大きなポテンシャルが期待されているブルーカーボンは、海岸線が長く、海藻類の養殖が盛んである本県の強みを生かすことができる取り組みと考えています。
 本県では、普代村の養殖ワカメと昆布、洋野町のウニの増殖溝を活用した藻場の創出、保全活動による二酸化炭素吸収量がクレジットとして認証されたほか、釜石市では、新たにブルーカーボンオフセットを創設するなと、取り組みが加速しています。
 そのほか、脱炭素で先進的な取り組みとしては、県内で生産される新型車の製造に早池峰ダムのグリーン電力が利用されることとなっているほか、半導体産業においては、工場に大規模自家消費型太陽光発電システムを導入するなどの取り組みも行われています。
 今後とも、ブルーカーボンを初めとする豊かな海洋資源や再生可能エネルギーのポテンシャルを生かし、温室効果ガス排出量の削減にとどまらず、地域経済と環境の好循環をもたらす脱炭素社会の実現を目指してまいります。
〇小林正信委員 各地方の拠点となる都市同士を結ぶ道路ネットワークの充実は、都市間の連携、交流を促進させ、人口減少に耐え得る都市機能、行政機能の維持、強化につながるものと考えます。
 令和4年度の道路関係予算を見ますと、およそ369億円、予算全体の4.3%を占めており、令和3年度の3.8%より増加しております。しかしながら、お隣秋田県の令和4年度の道路予算は全体の6.9%、青森県は6.3%を占めており、本県よりも2ポイント以上高い状況が見てとれます。さらなる道路整備が必要な本県としても、国費の確保を含めたさらなる取り組みの充実、また努力が必要と考えます。
 今後の道路整備の推進に向けた取り組みについて、お考えをお伺いします。
〇八重樫副知事 いわて県民計画(2019〜2028)に掲げた各分野の政策を力強く推進していくためには、あらゆる社会経済活動や県民の安全・安心な暮らしを支える道路等の社会基盤を強化していくことが重要です。
 また、広大な県土を有する本県においては、東北道や三陸沿岸道路の縦軸、釜石道や宮古盛岡横断道路の横軸に加え、これらの道路を補完し、または代替となる道路が一体となって機能することが必要です。
 これらの道路を初めとする社会資本の計画的な整備には、国費など公共事業費の確保が必要であることから、令和6年度政府予算提言・要望において、公共事業予算の安定的、持続的な確保について国へ要望したところであります。
 今後とも、さまざまな機会を捉えて、公共事業予算の確保を国に働きかけるとともに、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の予算も活用しながら、道路整備や維持、修繕を推進し、防災対策や産業振興など、幸福の追求を支える社会基盤が整っている岩手の実現に向けて取り組んでまいります。
〇小林正信委員 例えば、もし秋田県と同等の道路予算を確保したとすると、秋田県は全体予算の6.9%ですのでおよそ590億円、120億円程度の予算の差があり、かなりの額でございます。復興需要の減少もありますので、やはり、先ほどの国費をしっかりとっていくと必要があります。
 やはり秋田県、青森県に比べて、そのあたりをもう少ししっかりと、どうやれば国費を獲得できるのかも含めて取り組みの充実に力を入れていただきたいということをお願いいたしまして、質問にさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
〇柳村一委員長 次に、田中辰也委員。
   〔田中辰也委員質問者席に着く〕
〇田中辰也委員 田中辰也でございます。私にも質問のお時間をいただきまして、まことにありがとうございます。
 それでは、私は大きく分けまして2点につきまして質問させていただきます。
 まず1点目、県北振興の成果についてお尋ね申し上げます。本県の県民意識調査が令和4年度の政策の成果を反映しているものと捉えまして、以下、質問をさせていただきたいと思います。
 いわて県民計画(2019〜2028)において、基本目標として、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを掲げております。そのため、幸福度はいわて県民計画(2019〜2028)の進捗をはかる重要な指標の一つと考えるものであります。
 県民意識調査の問い3の2では、あなたは現在、どの程度幸福だと感じていますかという問いに、県全体では、幸福と感じるが56.9%、幸福だと感じないが17.1%で、その差は39.8ポイントです。前年調査では、幸福だと感じるが56.6%、幸福だと感じないが17.8%、その差が38.8ポイントでしたので、幸福だと感じるが0.3ポイント増加、幸福だと感じないが0.7ポイント減少しており、その差は1.0ポイント拡大しており、県全体として幸福度が高まったと思います。
 一方、県北広域振興圏に目を移すと、幸福だと感じるが53.9%、幸福だと感じないが19.2%で、その差は34.7ポイントです。前年調査では、幸福だと感じるが57.3%、幸福だと感じないが16.3%、その差が41.0ポイントでしたので、幸福だと感じるが3.4ポイント減少、幸福だと感じないが2.9ポイント増加しており、その差は6.3ポイント縮小しており、県全体の傾向と真逆の結果となっております。
 また、問い3の3で、あなたが幸福かどうか判断する際に重視した事項は何ですかという問いにつきましては、1位は健康状況、2位が家族関係で、全県また他圏域と同様であるのに対し、3位は、全県及び県央、県南が自由な時間・充実した余暇を挙げているのに対し、沿岸・県北では家計の状況を挙げる人が多くなっていることから、生活困窮の度合いが強い傾向が出ているのではないかと推察されるものであります。
 県では、この結果をどのように捉え、今後の施策展開を図っていくのか伺います。
〇達増知事 令和5年度の県民意識調査によれば、田中辰也委員御指摘のとおり、幸福と感じる割合は県全体で微増傾向にありますが、県北圏域では令和5年度に3.4ポイント減少いたしました。
 10の政策分野に関連する57の調査項目の満足度調査で見ますと、県北圏域は県央、県南圏域と比較して、安定した就職環境の満足度や県内経済の活性化の満足度が低い状況となっています。
 また、調査時期の令和5年1月から3月までの有効求人倍率を見ますと、二戸地域、久慈地域ともに県平均を下回っており、産業の振興や若者の定着に向けた取り組みを一層強化していく必要があると受けとめております。
 こうしたことから、あらゆる世代が活躍する地域産業の展開を目指し、食産業における業容拡大やアパレル産業などの生産性の向上、地域の特性を生かした新たな企業の誘致など、産業振興に一層力を注ぐとともに、世界遺産である御所野遺跡を初めとする地域の資源を生かした観光振興などを進めてまいります。
 また、スマート農林業やAI活用による新分野展開など、地域産業のデジタル化の推進や、県北地域の基幹産業である農林水産業と豊かな再生可能エネルギー資源を組み合わせたイノベーションを創出していくことで、新たな価値を持続的に生み出す地域を目指してまいります。
〇田中辰也委員 御答弁にもありましたとおり、あるものをしっかりと生かしていく、これが非常に大事なことだろうと考えており、私もそのとおりだと思います。
 知事は、岩手県の持つ価値や魅力を最大限磨き上げ、誇りを持って世界に発信し、希望郷いわてのその先にあるまだ見たことのない世界へ歩みを進めましょうと県民に対して述べております。そのとおり、やはりあるものをしっかり生かしていくことが大事だと思います。
 その中で、農業振興にしても林業振興にしても、やはり漁業の関係、第1次産業の視点で見ると非常に弱いところがあり、その他の産業、求人の件も、先ほど申し上げましたけれども、各市町村で非常に悩んでいるところもあるわけですが、県の目指すところと市町村が目指すところが一緒に歩みを進めていかなければならないと思っているところですが、その件に関してはどのようにお考えでしょうか。
〇達増知事 県の計画、また計画に基づきながら年度ごとの事業があるわけですけれども、これを実施するに当たっては、市町村との連携が重要でありまして、それぞれの市町村とすり合わせをしながら事業を進めていく必要があると考えております。
 特に地域振興関係の事業につきましては、将来のビジョンを市町村と共有しながら進めていくことが大事でありますので、県北地域に関しては、そうした市町村の住民、そして企業も一緒になったシンポジウムの開催でありますとか、企業や住民の皆さんも巻き込んだ形で県と市町村の方向性をすり合わせ、連携して事業に取り組んでいくことが重要と考えております。
〇田中辰也委員 知事のおっしゃられたとおり、住民も巻き込みながら、しっかり取り組んでいくことが大事だと思っております。
 県北地域の人間の特性といいますか、岩手県人も非常に我慢強く、辛抱強いという特性がありますが、県北地域の人間はそういう傾向がさらに強いという思いをしているところでございます。
 知事は、御就任以来、県北地域を何とかしなければいけないということでさまざまな施策をやっていただいているところですが、その間に東日本大震災津波がありまして、そちらの復興対応を優先せざるを得ないということで、県北地域の我々も、そちらを優先しなければならないだろうということで今まで来たところでございます。
 一旦落ちついてきたところで、やはり県北振興をどうやっていくのかということを、県北地域の住民を巻きこみながらしっかりと考えるいい時期ではないかと思っておりますので、その件につきましてしっかりと取り組みをいただきたいと思います。
 関連いたしますが、2点目といたしまして、市町村の連携についてお尋ねいたしたいと思います。
 いわて県民計画(2019〜2028)の理念といたしまして、県はもとより、県民、企業、NPO、市町村など、地域社会を構成するあらゆる主体が、それぞれ主体性を持って、ともに支え合いながら、地方の暮らしや仕事など岩手県の将来像を描き、その実現に向けてみんなで行動していくのが大切としているところでございます。
 いわて県民計画(2019〜2028)を推進する上で、市町村との連携は必要不可欠であり、方向性を同じくし取り組むことが肝要です。各市町村も主体的に総合計画等を作成し取り組んでおりますが、それらにいわて県民計画(2019〜2028)は反映されていると考えますか。また、いわて県民計画(2019〜2028)において市町村に期待される行動を明示しておりますが、それらは実行されていると判断できますか。
 まずは、市町村が県と同じ方向性を持ち取り組まなければ、県民、企業、NPOなどの行動が計画達成を目指して動くとは思われません。市町村と連携していくためには、各階層での相互の意思疎通が重要であり、一方的なものとなってはならないと考えます。
 昨年度の取り組み状況と評価及びいわて県民計画(2019〜2028)を基本とした市町村との連携についての考えを伺います。
〇熊谷ふるさと振興部長 市町村との連携についてでございますが、平成30年度にいわて県民計画(2019〜2028)を策定する際には、県政に関する県と市町村長との意見交換会や4広域振興局ごとに知事と市町村長の意見交換を行うとともに、素案段階から市町村に対する意見照会を実施するなど、さまざまな機会を活用し、市町村から御意見を伺ったところでございます。
 また、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにつきましても、昨年度、同様の手法により策定したところであり、いわて県民計画(2019〜2028)やアクションプランの内容につきましては、市町村からも御理解いただいているものと考えております。
 自治体の総合計画は、当該自治体の政策推進の方向性や重要施策を明らかにするものであり、県と市町村の役割、自治体ごとの地域課題や策定時期などの地域の特性を踏まえたものであると認識しておりますが、多くの市町村の総合計画には、県が重要施策として掲げる人口減少対策やDXの推進などが掲げられており、理念や方向性は共通しているものと考えております。
 また、いわて県民計画(2019〜2028)等におきましては、政策項目ごとに市町村に期待される役割を整理しておりますほか、主な施策の成果指標を定めて、政策評価を行い、次年度の取り組みへ反映させることとしており、先般、令和4年度の評価結果を公表したところでございます。
 今後とも、市町村と連携した取り組みを行う施策につきましては、政策評価の結果などの情報共有や各分野におけるトップレベルから実務者レベルまでの会議などを通じて、市町村としっかり意思疎通を図りながら連携した取り組みを推進してまいります。
〇田中辰也委員 そういう連携は非常に大事だと思っておりますし、その交流をしっかりしながらやっていくことが大事だと思います。
 知事は今回、県政要望に直接出て各市町村長と対話をされたということで、各市町村長から、県との距離が非常に縮まったという評価の声も聞いております。
 やはりそういう姿勢が県にとっては非常に大事だと考えておりますので、今後とも、県、市町村一体となって県政を前に進めていくことを希望いたしまして質問とさせていただきます。ありがとうございます。(拍手)
〇柳村一委員長 以上で、総括説明に対する総括質疑を終わります。
 知事を初め、執行部の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。
 これより各部局別の審査に入るわけでありますが、委員席の移動を行いますので、その間、暫時休憩いたします。
午前11時5分 休憩
午前11時27分再開
〇佐々木宣和副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これより、各部局別の審査を行います。
 質疑につきましては、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせのとおり、質疑項目が複数ある場合、関連する事項はできるだけまとめて質疑を行うこと、他の委員と重複した内容の質疑は極力避け、どうしても必要な場合には、関連質疑として短時間かつ簡潔に行うことを基本とすること、数値の確認のみの質疑や要望のみの発言は原則として行わないこととなっております。
 また、議会運営委員会において、基本的感染対策として、各日の質問予定人数に応じて、その都度、世話人会で協議の上、質疑の目安時間を決定するとされたところです。
 本日は、この後、議会、総務部、政策企画部、復興防災部関係について延べ26人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしました。
 なお、関連質疑については、目安時間を10分とすること、同一部局の審査において質疑と関連質疑を行う場合は、その日の質疑の目安時間の範囲内とすることといたしましたので、議事の進行に御協力をお願いいたします。
 初めに、議会事務局長に議会関係の説明を求めます。〇小畑議会事務局長 令和4年度の議会関係の決算について御説明申し上げます。
 便宜、お手元の歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げますので、事項別明細書の168ページをお開き願います。168ページから171ページまでにかけてですが、1款議会費1項議会費の支出済額は13億1、189万円余であります。内訳ですが、1目議会費の支出済額は8億9、465万円余であり、これは、議員の報酬及び費用弁償等の議会運営に要した経費であります。次に、2目事務局費の支出済額は3億9、217万円余であり、これは、事務局職員33名分の人件費及び事務費等、事務局の管理運営に要した経費並びに議会改革の一環として、ICT化を推進するためタブレット端末及びペーパーレス会議システムを試行的に運用するために要した経費であります。次に、3目議員会館費の支出済額は2、505万円余であり、これは、議員会館の維持管理等の管理運営に要した経費であります。
 以上で議会関係の決算についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇佐々木宣和副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 それでは質問いたします。
 まず最初に、都道府県議会における喫煙所の設置状況についてお聞きいたします。全国、東北各県の議会における喫煙所の設置状況はどうなっているでしょうか。
〇米内総務課総括課長 全国の都道府県議会におけます喫煙所の設置状況についてでありますが、令和5年9月時点の調査では、敷地内全面禁煙は8道府県、敷地内禁煙で敷地内に喫煙専用場所ありとするものが12府県、建物内禁煙が7都県、建物内禁煙で喫煙専用場所ありとするものが20県となっております。
 また、東北各県議会におけます喫煙所の設置状況についてでありますが、敷地内全面禁煙は青森県、秋田県の2県、敷地内禁煙で敷地内に喫煙専用場所ありとするものが宮城県、山形県、福島県の3県、建物内禁煙で喫煙専用場所ありとするものが本県の1県となってございます。
〇斉藤信委員 建物の中に喫煙所を設置しているのは、東北地方では岩手県だけということでありました。
 そこで、敷地内全面禁煙のもとで議会棟に喫煙所を設置しているところはあるでしょうか。
〇米内総務課総括課長 敷地内全面禁煙のもとで議会棟に喫煙所を設置しているところでございますが、議会棟内に喫煙専用場所を設置している県は20県となってございます。
〇斉藤信委員 設置しているところは20県だと。それ以外は設置していない。27県が設置していないということですね。多数派は設置していない。
 岩手県の場合、本庁が敷地内全面禁煙をやっている。しかし、議会だけが喫煙所を設置しているということは、まさにこれは議員の特権なのではないか、県民の理解を得られないのではないかと思います。これは指摘だけにとどめておきます。
 そこで、次に、受動喫煙防止条例の制定状況はどうなっているでしょうか。全国、東北各県で示してください。
〇米内総務課総括課長 まず、全国の受動喫煙防止条例の制定状況についてでございますが、令和5年10月現在の保健福祉部の調査によりますと、13都道府県が条例を制定しております。
 また、東北各県の状況でございますけれども、青森県、山形県、秋田県及び福島県の4県が条例を制定しております。
〇斉藤信委員 全国で13都道府県、東北各県は4県が受動喫煙防止条例、これは先駆的だと思います。条例を制定したら、とてもじゃないけれども喫煙所を設置するとはなりませんから、私は、そういう意味でも岩手県は大変おくれているのではないかと思います。
 これまで、本庁が全庁敷地内禁煙しながら、議会棟に喫煙所があるために、かなりの県職員が議会棟の喫煙所を利用していた大変残念な事態がありました。私は、これは議会にも責任があるのだと思います。
 つい先日、県側が議会棟喫煙所の職員による利用禁止を徹底して、やっと喫煙所に張り紙がされました。これはどういう経緯でこうなったのか示してください。
〇米内総務課総括課長 ただいまの総務部からの通知でございますけれども、去る10月20日の議会運営委員会におきまして、委員の皆様からさまざま御意見が出たところでございました。その際に、総務部から、職員の利用につきまして今回の通知のような取り扱いとするということで御了承いただいたと認識しております。
〇斉藤信委員 議会棟の喫煙所に張り紙が張られましたから、当局から説明があったと思うのだけれども、説明はあったのですか。
〇米内総務課総括課長 そのような形で取り扱いをさせていただくということでしたので、こちらも喫煙所を日常管理している立場にありますので、張り紙をさせていただくという形にしたところでございます。
〇斉藤信委員 そもそも本庁は敷地内全面禁煙を徹底していましたから、今回は、議会棟の喫煙所を使用しないようにという、さらなる徹底ということだと思います。では、議会だけが喫煙所を使っていいのか。
 お聞きしますが、県議会議員の中で喫煙している数は少数派ではないかと思いますが、実態を把握していますか。
〇米内総務課総括課長 正式には喫煙の有無に関しまして調査させていただいたこともございませんので、その部分については、把握はしておりません。
〇斉藤信委員 私の実感からすれば少数派だと思うのです。少数の喫煙者のために議会が特権的に喫煙所を設置していると県民に見られることは、私は大変遺憾だと思います。
 それと、会議室と同じように、県議会議員がいないときも喫煙所が開いているということは、異常なことなのではないか。会議室の管理は議会事務局の管理となっていますが、喫煙所のあり方について、会議室と同じような利用にすべきではないのですか。
〇米内総務課総括課長 議会閉会中などの喫煙所の閉鎖についてでありますけれども、分煙施設としての喫煙所につきましては、平成26年7月の議会運営委員会におきまして設置することが決定されたものであります。そういうことから、利用方法等の根幹にかかわる事項を変更する必要がある場合につきましては、議員の皆様で御協議いただいた上、決定いただくものと考えております。
 議会事務局といたしましては、そのお決めいただいた方針に従いまして対応してまいりたいと考えています。
〇斉藤信委員 議会運営委員会でも今議論されていますので、私は、新しい議会になったから、ぜひここで、原点に立ち返って喫煙所のあり方そのものを、あるなしも含めて議論すべき時期ではないかと思いますが、議会運営委員会でも議論されているところなので、これはしっかり見守りたいと思います。
 何度も強調しますが、議員だけが使える喫煙所を残すというのは、まさに議員だけの特権を認めることであって、本来あるべき姿ではないのではないかということを改めて指摘しておきます。
 次に、県議の海外視察の状況について、昨年度、今年度の全国の実施状況はどうなっているでしょうか。
〇米内総務課総括課長 令和4年度における全国都道府県議会の海外行政視察の実施状況についてであります。令和5年度とあわせて御説明申し上げます。
 実施している議会が7府県、実施せずが本県を含めまして39都道府県、非公表が1県でございます。
 次に、令和5年度における海外行政視察の実施予定についてでありますが、令和5年8月時点の調査では、実施が22県、実施しないが5県、未定が本県を含めまして19都道府県、非公表が1県となっております。
〇斉藤信委員 海外視察をそもそも休止、中止しているところもあると思いますけれども、どれだけあるのか、その理由は何なのか示してください。
〇米内総務課総括課長 まず、海外視察を中止、休止している議会はあるかというお尋ねでございますが、令和5年8月時点の調査でございますが、制度を休止している議会は3県となっております。
 休止している理由については、把握しておりませんが、いずれも、都道府県議会の状況に応じて実施の判断がされていると承知しております。
〇斉藤信委員 昨年度は新型コロナウイルス感染症もありましたから、実施がわずか7県ということでありました。ことしは、統一地方選挙が終わったら22県に実施がふえているというのも、不可思議な感じはするのですけれども、岩手県の場合、県議会議員になれば4年に1回は海外視察ができる、こういう制度なのです。私は、これも議員の特権だと思うけれども、全国で、議員になれば海外視察ができるという岩手県のような制度になっているところはどういうところがあるのか、それ以外はどういう形の海外視察の制度になっているのか、わかりますか。
〇米内総務課総括課長 各県の制度については、把握してございません。
〇斉藤信委員 私は、議会運営委員会でも意見を述べたのですけれども、議員の海外視察を機械的に否定するものではありません。議会が判断して、県政課題と結んで必要な海外視察であれば、議会の海外視察として実施すればいい。しかし、岩手県のような制度は、県議会議員の自主的な計画で実施できるのです。これは上限90万円でしょう。
 私は、県議会議員になれば1回は海外視察できますという制度ではなくて、議会が県政課題と結んで必要と認めたらという制度にすべきなのではないか。そういう意味で、ぜひ全国の制度については調査いただきたい。
 最後の質問でありますけれども、議員の政務活動費の情報公開について、以前にも取り上げてきたことでありますが、私は議会のホームページで公開すべきだと。全国で、政務活動費について議会のホームページで公開している状況はどうなっているでしょうか。
〇米内総務課総括課長 政務活動費のホームページでの公開でございます。報告書についてはホームページで公開しているところでございますが、領収書の公開については、本年7月28日現在、都道府県議会では24都府県において公開しております。
〇斉藤信委員 24都府県ということになりますと過半数ということになります。以前は、岩手県議会は県議会の情報公開では先頭に立っていた。ところが、今どんどん全国に追い越されているので、私は、岩手県としても、県議会の政務活動費については領収書も含めて全国がやっているようにホームページ上でも公開すべきだと思いますが、公開するために何が必要ですか。
〇米内総務課総括課長 公開するために何が必要かというお尋ねでございました。現在の取り扱いにつきましては、各会派で御協議を重ねてきたところでございまして、その結果、平成29年1月、当面は現状どおりとし、全国の状況等について情報収集しながらその動向を注視するとともに、必要に応じて再度協議することになったところでございます。
〇斉藤信委員 平成29年10月に現状維持という議会運営委員会の確認があった。その後、今答弁があったように、既に過半数の全国の議会で、領収書を含めたホームページ上での公開が行われておりますから、改めて、そういう全国の状況を踏まえて、岩手県議会としても積極的に公開すべきだと、このことを指摘して、私の質問を終わります。
〇木村幸弘委員 私からは、職員の長時間勤務の解消について御質問したいと思います。
 このたびの岩手県人事委員会勧告で、勤務環境の整備に関し、長時間勤務の解消について、任命権者の取り組みが令和4年度の職員1人当たりの月間超過勤務時間数で、知事部局、教育委員会で増加し、特に、職員の勤務時間、休日及び休暇に関する規則で定める超過勤務時間の上限を超えて超過勤務を命じられた職員の割合は、上限規制の制度導入以来増加しており、改善に至っていないという厳しい指摘がございます。
 そこで、改めて、このような指摘を踏まえて、議会事務局における職員の超過勤務実態がどうなっているのか伺います。
〇米内総務課総括課長 議会事務局におけます職員の超過勤務の実態についてでありますが、令和4年度は事務局全体で5、814時間、前年度と比較して75時間の減少、職員1人当たりの年間超過勤務時間数は215.3時間、前年度と比較しまして2.8時間減少しております。
〇木村幸弘委員 減少という御報告でございますけれども、人事委員会では、上限を超えて超過勤務を命じられた職員に共通する主な業務内容を分析、調査し、割合の高かった業務内容に、県議会対応業務、新型コロナウイルス感染症対応業務、予算・会計関係業務及び人事・給与関係業務が示されております。
 そこで、県議会対応業務ということが指摘されているわけで、この間の質問通告の一部早期化など改善はされてきているわけですが、引き続き長時間勤務の縮減が進むよう、任命権者の取り組みとあわせて県議会の理解と協力が必要であるという指摘がございます。
 事務局では、今後、長時間勤務の解消に向けてどのような対策を検討されているのか伺います。
〇小畑議会事務局長 職員の長時間勤務の解消についてでありますけれども、今般の職員の給与等に関する報告及び勧告におきましては、職員の長時間勤務の縮減が進むよう、任命権者においては、県議会対応業務の効率化を図るとともに、引き続き、県議会の理解と協力を求めていくことも必要と考えるとされたところでございます。
 本県議会におきましては、これまでも県議会の自主的な取り組みとして、あるいは執行部からの申し入れを受けまして、議会運営委員会で御協議いただくなどいたしまして、例えば、予算、決算特別委員会の部局別審査における質問通告期限の前倒しですとか、その日の質問者数に応じた1人当たりの質疑の目安時間の導入など、委員の質疑時間の確保、公平性の担保を図りながら、県議会業務に携わる職員の業務の効率化あるいは長時間勤務の縮減に取り組んでいるところであります。
 今後の取り組みといたしましては、例えば、今定例会から本格実施しておりますタブレット端末の活用によるペーパーレス化の推進などによりまして、執行部及び議会事務局職員双方の会議資料の印刷調整時間の縮減などが考えられるところでありまして、引き続き、執行部と課題意識を共有しながら対応してまいりたいと考えているところです。
〇木村幸弘委員 そこで、今、御答弁もいただきましたけれども、この間、やはり少しでも長時間の勤務を解消するための議会内における努力をされているのはそのとおりですが、議会運営にかかわることとして、議会としての理解と協力を進めるためには、例えば、日程上の審議時間の中で常に長時間の審議に及んでおりますこの当該部局審査が、それに当たると思っていまして、予算、決算特別委員会の審査時間と日程の窮屈さが、私は特に課題になっているのではないかと思います。
 きょうも、御案内のように26人の質問者、単純に、最低20分の質問時間が確保されておりますから8.6時間ということ。あしたは20分で22人で7.3時間。ここ予算、決算特別委員会審査を見ていると、やはり6時を回り7時近くまでかかることも多々ある傾向が続いております。それが、結果的には職員の皆さんの長時間勤務にもつながるし、部局審査によっては、待機している部局の職員にも、さらに影響が及ぶという実態があるわけであります。
 そうしたことを考えると、議会における議員の質疑時間の確保は無論されなければなりません。ここでこれまでの世話人会で言われている20分間が最低の目安の確保時間だと考えるならば、それを踏まえて、これまでの決算、予算特別委員会における日程上の検討が必要になってくるのではないかと考えるわけであります。
 こういった超過勤務の改善等にならないような、審査が慢性的に17時を過ぎて、そのような長時間に及ぶことのないように考えていく必要があると思いますけれども、議会に新たな理解と協力を求めることが指摘されている中において、見直し、検討が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
〇小畑議会事務局長 予算、決算特別委員会における審査時間と日程についてでありますけれども、審査時間につきましては、令和元年度以降の予算、決算特別委員会の部局審査の終了時刻が、おおむね17時台から19時台となっておりまして、最終日となる取りまとめの日の終了時刻は18時台から24時近くと、附帯意見の調整状況によって異なっている状況です。
 また、審査日程につきましては、従前より常任委員会の所管部局のまとまりを考慮しながら、各日の審査時間の平準化を図るよう、予算、決算特別委員会が開催される定例会ごとに調整させていただいているところです。
 事務局といたしましても、引き続き、長時間の審査が慢性的とならないように課題意識を持ちながら対応してまいりますけれども、審査時間あるいは審査日程の見直しにつきましては、委員会の運営にかかわることでもありますので、議会運営委員会や予算、決算特別委員会の世話人会の場などにおいて、御協議、お決めいただくことになるものと考えているところです。
〇木村幸弘委員 いずれ、事務局側の答弁とすれば、なかなか自分たちのほうからこの日程等の調整あるいは変更等について提案することはかなわないわけでありますから、これは、やはり議会側、議員の側の立場から、議長のもとで、改めてこの日程の調整等を含めた検討をしていただくように意見として求めて、終わりたいと思います。
〇名須川晋委員 私も、業務の効率化という観点からになるかと思いますけれども、昨日の総括質問で質問させていただいた中での生成AIについてでございます。いわゆるチャットGPTを初めとするものでありますが、昨年11月にこれが発表されて以来、その活用について、昨年度、そして今年度、どのような活用をされているのか、あるいは研究されているのか、その状況をお知らせください。
〇米内総務課総括課長 これまでの活用についての研究等のお話でございました。そのような形で研究というレベルのものは事務局としては今の段階では動いていないところですが、生成AIの導入につきましては、例えば、昨日も質問なされたと思うのですが、ふるさと振興部で本年6月から導入の試行を開始しておりまして、操作研修なども主催していただいております。
 事務局としましても、職員が局内研修としてこの研修に参加いたしまして、実際に端末操作を体験したり、講師からいろいろアドバイスを受けたところです。
 このような状況から、今後の導入につきましては、執行部側の取り組み状況も見ながら検討してまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 県議会対応の効率化ということで、ただいま木村幸弘委員が話をされまして、全体では5、814時間の残業がある、長時間勤務があるということで、前年度とほとんど横ばいという状況のようでございます。
 委員の皆様でも御活用されている方もいらっしゃるかと思いますが、ちなみに、岩手県議会におけるチャットGPTを代表とする生成AIの活用についてと具体的な方法についてチャットGPTに問うてみたところ、議事録の自動生成、市民への情報提供、議会文書の要約と解説、法律や規制の調査支援、議会内部のコミュニケーション、議事予定の管理、データ分析、提案書や報告書の自動生成―もう少し詳しく書いているのですけれども、あっという間にこの8項目を提示されまして、こういう使い方があるのだということがわかったところでございます。
 ぜひとも、長時間勤務にどのように効率化が図れるかどうかわかりませんけれども、来年ぐらいにはエクセルやワードにも載ってくるということでもありますので、今は研究段階だと思いますが、先駆的に指導といいますか活用していっていただきたいと思います。その辺についてお伺いして、終わります。
〇米内総務課総括課長 生成AIがどのようなことで議会として使えるかということについてでございました。
 全国の自治体や議会におきまして、生成AIの試行的な取り組みなどについては、マスコミ等でも、名須川晋委員おっしゃるように取り上げられているところでございます。
 先ほどの答弁でも触れさせていただきましたが、事務局職員が自主研修として参加したふるさと振興部の操作研修会では、会議録の作成業務あるいは調査の視察先の提案とか文書の校正業務などといった分野への活用について話題となったところです。
 有益な情報の収集業務への活用など、今後どのような使い方、活用策があるかにつきましては、他県の導入事例等を見ながら情報収集に努めていく必要があると考えているところです。
〇佐々木宣和副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木宣和副委員長 質疑がないようでありますので、これで議会関係の質疑を終わります。
 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時59分 休憩
午後1時2分再開
〇佐々木宣和副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、総務部長に総務部関係の説明を求めます。
〇千葉総務部長 令和4年度決算の概要につきましては、昨日、会計管理者から説明がございましたので、私からは、歳入歳出の構造、歳入全般及び総務部関係の決算の内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、歳入の構造について御説明いたしますので、令和4年度歳入歳出決算説明書をごらんいただきたいと思います。
 歳入歳出決算説明書の56ページでございます。第3表一般会計の財源別収入状況でありますが、県税、地方交付税等の一般財源収入の決算額は、この表の一番上の行に記載しておりますが5、319億8、613万円余であり、前年度と比較し275億7、238万円、率にして4.9%の減となっております。また、国庫支出金、県債等の特定財源収入の決算額は、中段の行になりますが3、666億7、634万円余と、前年度と比較し708億6、475万円余、16.2%の減となっております。
 続きまして、歳出について御説明申し上げます。少し飛びまして、68ページをごらん願います。第8表一般会計性質別経費の決算額と一般財源充当状況について御説明申し上げます。
 まず、歳出決算の性質別の状況でございます。左側の区分のとおり、義務的経費の計は2、801億9、021万円余、69ページに参りまして、決算総額に占める割合である決算額構成比は33.1%、前年度と比較し2.9ポイントの増、決算額の対前年度増減率は1.3%の減となっております。
 続いて、68ページの投資的経費の計は1、355億6、541万円、同様に構成比は16.0%、前年度と比較し5.1ポイントの減、決算額の対前年度増減率は31.6%の減となっております。
 次に、総務部所管の事務事業に係る取り組み及び今後の取り組み方針について御説明申し上げます。
 令和4年度の予算は、東日本大震災津波からの復興を力強く進めるとともに、県民の幸福度の向上を図るいわて県民計画(2019〜2028)を軌道に乗せ、コロナ禍を乗り越え、復興創生をデジタル、グリーンで実現するため、財源確保や人的資源の確保に向け取り組んでまいりました。
 今後とも、いわて県民計画(2019〜2028)行政経営プランを推進し、将来にわたって安定的な財政構造の構築が図られるよう、持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の成果も踏まえつつ、歳出の重点化や行政の効率化を推進してまいりたいと考えております。
 それでは、当部の決算につきまして、お手元の令和4年度歳入歳出決算書により御説明申し上げます。
 歳入歳出決算書の18ページをごらん願います。まず、一般会計についてでありますが、2款総務費1項総務管理費の一部、3項徴税費、22ページに参りまして、12款公債費の一部及び13款諸支出金の一部であり、予算現額の総額は1、932億5、635万円余、これに対する支出済額は1、925億8、595万円余であります。このうち、2款総務費1項総務管理費の一部、13億3、132万円余が、ふるさと振興部への移管分となります。
 以上で、一般会計の説明を終わります。
 続きまして、所管する特別会計について御説明申し上げます。
 少し飛びまして、30ページをごらん願います。一番下の公債管理特別会計でありますが、収入済額は1、539億2、851万円余であり、その主なものは、一般会計及び県債管理基金からの繰入金、借換債であります。
 34ページをごらん願います。中ほどの支出済額ですが、1、539億2、817万円余となっており、その主なものは、県債償還元金及び利子、県債管理基金への積立金であります。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇佐々木宣和副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇小西和子委員 私からは1点のみでございます。人件費にかかわりまして、男性職員の育児休業等の取得についてお伺いしたいと思います。
 特定事業主行動計画に目標値100%として掲げている男性職員の昨年度の育児休業等の取得率と期間を伺います。あわせて、今年度の直近の取得率と期間について伺います。
〇藤原職員育成課長 男性職員の育児休業等の取得状況でございますが、育児に伴う特別休暇などを含めた取得率は、知事部局等におきまして、令和4年度は98.5%でございます。令和5年度は、今後変動する可能性がありますが、9月末現在で100%となっております。
 育児休業の取得期間でございますが、令和4年度の最も長い取得期間は1カ月未満で、取得者の42.3%を占めており、令和5年度におきましても、9月末現在で1カ月未満の取得が最も多く、取得者の半数を占めている状況でございます。
〇小西和子委員 残念ながら100%にならなかったですね。1年前ですと97.5%ということで若干は上がりましたが、期間につきましては、1カ月以下が41.3%、1年前ですと62.2%ですから、ここは若干改善されてはおりますが、相変わらず1カ月以下が多いのです。それから、直近につきましては100%。これを維持できるとよろしいと思います。
 それから、産後パパ育休が昨年10月1日から始まりましたけれども、昨年度分と、それから今年度直近までの取得率と期間をお伺いします。
〇藤原職員育成課長 産後パパ育休の取得状況でございますが、知事部局では、制度が改正されました令和4年10月から年度末までに子供が生まれて育児休業を取得した男性職員のうち、産後パパ育休の取得者が44.4%を占めております。
 その取得期間につきましては、最大で57日間取得可能なところ、平均22.8日間となっております。
 また、今年度4月から9月までに子供が生まれて育児休業した男性職員の72.0%が取得しておりまして、その平均は24.3日となっております。
〇小西和子委員 産後パパ育休については、昨年度はなかなか周知もできなかったかと思いますので44.4%、今年度は72.4%。これは、ぜひ100%にしたい制度だと思っております。
 昨年10月から民間にあわせて公務員の育休を取得できる回数が1回から原則2回まで可能になりましたし、子供の生後8週間以内に男性が別途休業できるという、先ほどの産後パパ育休ですけれども、これも1回から2回にふえました。
 制度の周知や取得しやすい職場環境づくりなど、どのように進めているのかお伺いします。
〇藤原職員育成課長 男性職員が育休を取得しやすい取り組みとしまして、各部局からの聞き取りによりますと、職場や業務への負担を考慮して育児休業の取得を控えた職員が一定数見られることから、安心して取得できる職場環境づくりに取り組む必要があると考えております。
 そのためには、特に所属長の果たす役割が大きいことから、子供が生まれる予定の職員との面談の確実な実施や業務分担の調整、子育て支援制度に関する情報提供などに努めるよう働きかけを進めております。
 さらに、今年度は、所属長の役割意識を啓発するセミナーの開催やリーフレットの作成に新たに取り組むなど、育児休業を取得しやすい職場環境づくりの支援を強化しているところでございます。
〇小西和子委員 さまざま取り組みをしているということですね。そして、冊子、ハンドブック等も作成しておりますけれども、制度が変わったときには新たなものにしているのだと思います。いろいろとやってはいるのですけれども、なかなか100%にならないのは日本の職場風土といいましょうか、そういうことが大いに影響しているかと思うのです。
 男女賃金格差解明でノーベル経済学賞に選ばれたアメリカハーバード大学のクラウディア・ゴールディン教授は、日本は男女間の賃金格差が大変大きい。先進7カ国でも最大であるということです。それから、評価もしているのです。何かというと、日本には世界有数の手厚い父親向けの育児休業制度があるが、職場に与える影響を考慮して活用が進んでいないとして、特に男性の意識変革を求めたとありました。
 でも、新聞にこうあったのです。男性の育休取得日数のトップは岩手県の43日で、全国平均23.7日を大幅に上回った。育休取得が進む一方で、家事、育児時間の評価が低く、本県の総合順位は13位にとどまった。これは、日数は多いけれども、内容が問題だということをあらわしているのではないでしょうか。
 こんなことも書かれています。短期間でほとんど家事や育児をしない、とるだけ育休や、育児休業後は女性任せというのでは限界があるのではないでしょうかということです。本当に大変な状況だと思います。
 でも私は、長時間労働も影響しているのではないかと思うのです。恒常的な欠員による過重労働を強いられる中で、県職員は、精神疾患や高ストレス状況が継続しております。ことし3月末時点での14日以上の精神疾患の療養者数は延べ105人。105人が職場にいないのと同じですよ。欠員と同じです。療養者の療養日数が119.1日と高どまりになっております。
 次が問題です。世代別では、29歳以下の若年層が増加傾向との報告があります。早期退職者の9割が20代、30代。そして、そのうちの8人が精神疾患と聞いております。
 私は、育児休業をとりたいのだけれども、このような大変な状況の中では、なかなかとれないのではないかと心配しております。この欠員等の人員不足が、職場環境の悪化に拍車をかけているのではないかと危惧しております。
 初めて私も母親に……
〇佐々木宣和副委員長 小西和子委員に申し上げます。質問は簡潔にお願いいたします。
〇小西和子委員(続) わかりました。
 父親も一緒に育児をする姿勢はとても大事だと思います。では、岩手県の課題である人口減少対策に率先して取り組むためにも、男性職員の育児休業等の取得促進が必要と考えますが、総務部長の決意をお伺いいたします。
〇千葉総務部長 御指摘いただいたとおり、人口減少対策は本県の最重要課題であります。その人口減少対策を進めるためには、育児休業の取得促進を初め、仕事と子育ての両立支援について、我々公務員が率先して取り組むことが重要であると認識しております。
 職員が育児休業等を希望する時期に十分な期間取得できるよう、引き続き、育児参加に向けた意識改革、不安解消のための取り組みを進めますとともに、仕事と家庭が両立できる職場環境づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 産前産後休暇、育児休業、病気休暇等の休暇取得者の代替状況を常に明らかにして、職種ごとに代替職員の確保を行うなど欠員を生じさせないことが重要だと考えております。
 育児休業者については、あらかじめワーク・ライフ・バランス定数をあらゆる職種に適用するなど、定数管理を適切に行うことを要望して、終わります。
〇臼澤勉委員 それでは、令和4年度までの公共施設等の耐震化の現状認識について、あわせて市町村の耐震化の状況についてもお伺いいたします。
〇和田参事兼管財課総括課長 公共施設等の耐震化の現状認識でございますけれども、これは、地震発生時に避難場所や防災活動の拠点となる一定規模以上の公共建築物の耐震化の状況となりますが、岩手県耐震改修促進計画において毎年度末の耐震化の状況を公表しているところであります。直近の令和3年度末時点では、建築物数2、195棟のうち2、152棟、98%が耐震化されている状況でございます。このうち県分については、506棟中504棟、99.6%が耐震化を完了しているところです。
 計画の内訳を用途区分ごとに御説明しますと、公営住宅は、542棟が平成26年度末に100%を達成、学校は、1、436棟が令和7年度末目標99.7%に対し99.2%、病院は、95棟が令和7年度末目標92%に対し78.9%、庁舎は、122棟が令和7年度末目標95%に対し91%となっております。
 市町村の耐震化の現状についてでございますけれども、こちらも同じく公共建築物の耐震化の状況ということになりますが、令和3年度末現在の状況では、全体では1、486棟中1、474棟、99.1%が耐震化を完了しており、用途区分ごとの内訳は、公営住宅は、対象となっている298棟が100%を達成、学校は、1、103棟が、令和7年度末目標100%に対して99.7%、庁舎は、85棟が令和7年度末目標95%に対し89.4%ということになっております。
〇臼澤勉委員 進んでいるところ、あるいは、病院等においては、民間も含めて目標に対して少しおくれが生じているというような状況を確認させていただいております。代表質問でも確認いたしましたが、岩手県庁あるいはこの議会棟の耐震化に向けた取り組みは、私は本当に待ったなしの取り組みなのだろうと認識しております。
 さまざまな難しい要因はあると思います。合同庁舎を先行して令和2年度までには完了、耐震化が進んできた。やりやすいところから手を着けてきたのはわかるのですけれども、ただ、結果として、全国47都道府県で、災害対策本部が設置される庁舎のうち岩手県庁舎のみが耐震化されていないような状況になっております。
 改めて確認しますが、震度7の地震は想定されていないというお話もありましたけれども、震度6強の地震で倒壊するおそれはないということでしたが、ただ、局所的に顕著な損傷等が生じるというお話もありました。1回だけじゃなくて、2度、3度と来るわけでございますけれども、そういう場合も倒壊する危険はないと言えるのかどうか、改めて確認させてください。
〇和田参事兼管財課総括課長 今回の耐震診断結果で、震度6強程度の地震で倒壊の危険性は低いということでございました。臼澤勉委員御指摘のように、震度7以上の確率は、平成10年の時点、そして直近の千島海溝沖の地震の関係でも、今のところ岩手県の中では想定されていないということでございます。
 しかしながら、これまで東日本大震災津波とか、大きな地震を何度か県庁舎も経験しておりますので、今回、改めて2度、3度あった地震に対しての影響を見たところ、震度6強程度の地震では一部局所的な損傷は生じるけれども、倒壊する危険性はないという結果が出たところでございます。
 いずれにしましても、それ以上の地震があった場合は、全く危険性がないということではないので、できる限り早期に改修、建てかえの判断をしていかなければならないと考えております。
〇臼澤勉委員 危険性はあるということですね。2度、3度余震が起きたときに、やはり倒壊するおそれがあるということだと思います。
 私は、なぜこれを取り上げているかというと、内丸地区開発の話とは別に、そもそも岩手県の危機管理の本部である県庁舎に、2、000人を超える職員の方々が日常勤務されております。要は、地震による倒壊のおそれがある建物に勤務しなければならない状況をいつまで続けているのかという問題意識で、私は代表質問の場でも聞いたわけでございます。
 ましてや、災害対策本部の設置時の初期対応とか東日本大震災津波を経験した我々として、やはり危機管理として、職員の安全性を確保するのだという思い、そういった意味から、速やかに対応してこなければいけなかった問題だと捉えていますが、改めて御認識をお伺いします。
〇和田参事兼管財課総括課長 少し繰り返しになりますけれども、県庁舎については、平成9年の耐震診断において、まず、倒壊の危険性は低い。今回の耐震診断においても、議会棟は、少し特殊な構造とか、国の耐震基準が東日本大震災津波、阪神・淡路大震災、熊本地震の影響等からだんだん厳しい基準になってまいりまして、その影響で議会棟は耐震性能が少し低くなっておりますけれども、おおむね平成9年度と同様の結果であったと認識しております。
 こうしたことから、私どもも、そういう認識のもと、倒壊や崩壊を未然に防ぐために、定期的な点検や必要な維持修繕をしっかり行いながら、通常の使用が可能であるということでこれまで使用してきましたし、現在も使用しているところでございます。
 臼澤勉委員御指摘のように、今回の耐震診断結果を踏まえて、できるだけ早期に改修、建てかえの判断をしてまいりたいと思います。
〇臼澤勉委員 いずれ、結果的にまだ職員の安全の確保といった部分は保たれない。平成9年から既にわかっているところであります。
 先般、建てかえと改修の複数パターンの試算が示されましたが、いつまでにこの整備手法とか財政面の検討を進めるお考えなのかお伺いします。
〇和田参事兼管財課総括課長 今般、総務委員会等でも御報告したように、技術的対応が可能な耐震補強案も提示されたことから、具体的に改修や建てかえの判断に向けた検討が進められると考えております。
 改修と建てかえの判断に当たっては、中長期的な視点での県庁舎のあるべき姿を整理した上で、専門家の知見を取り入れたいと思います。それから、やはり議会棟そのものも、そういう形で結果が出ておりますので、議会棟のあり方も、議会の皆様からも御意見を頂戴しながら検討を進めていかなければならないと考えております。
 判断の具体的な時期については、そういうこともございまして、現時点でいつまでということをお示しすることは難しいのですけれども、速やかに検討を進め、できるだけ早期に判断してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 議会棟については、倒壊の危険性があるということもありますが、いつまでということについては、現時点ではなかなか答えにくいのだろうとは思います。
 それで、概算事業費が121億円から581億円ということでそれぞれ示されておりましたけれども、改修工事や建てかえに対する国の支援はあるのかどうか確認させてください。
〇和田参事兼管財課総括課長 改修と建てかえと二つのパターンがあるのですけれども、県庁舎の耐震化を行う場合、現時点の国の制度の前提に立つと、改修の場合は、交付税措置のある地方債で緊急防災・減災事業債を耐震改修に充てることができます。これは令和7年度までの時限措置で、災害対策の拠点となる公用施設の耐震化などが対象になっております。
 建てかえの場合は、国の交付税措置のない一般的な地方債と一般財源を併用して使っていくことになります。
〇臼澤勉委員 今、緊急防災・減災事業債のお話がありました。これは平成29年から始まっています。それで、令和7年度までということで、あともう再来年でこの事業は終わるのです。要は、ほかの自治体においても、岐阜県の庁舎も、ことしですか、もう既に耐震化が終わっています。
 そういう意味で、有効な国の制度、事業を活用すべきだと思いますし、そういう検討をもっと前段階から、多分検討されていたと思うのですけれども、なぜ進んでこなかったのかと思います。
 消防庁の通知の資料によれば、令和3年8月からは、本庁舎の建てかえにあわせて災害対策本部等を整備する場合にも、この費用に同事業債の充当が可能になったということで、令和3年8月からそういう運用にもなっているということでございます。
 私は、本当に早急かつ計画的に取り組む必要があると思っております。職員の安全性の話もそのとおりでございますので、ぜひ進めていっていただきたい。
 そして、最後に、公共施設の適正管理を推進するための新たな基金を積み立てていると思いますけれども、現在どの程度積み立てているのか、そして、この県庁舎はたしか含まれていないと認識しておりますけれども、この建設費のどの程度を今後基金として積み立てていくお考えなのかお伺いいたします。
〇和田参事兼管財課総括課長 公共施設等適正管理推進基金でございますけれども、昨年度、創設時に120億円積み立てております。以降については、毎年度の決算剰余金を充てながら積み立てていくことを想定しておりますけれども、現在のところ120億円積み立てている状況でございます。
 それから、県庁舎のための基金ということでございますけれども、他県の例などを見ますと、やはり建てかえのような場合は、地方債を充てるにしても、一般財源を持ち出す部分もありますし、改修にしても、ある程度、一般財源を持ち出す部分があります。そういうものに充てるために、県庁舎建てかえのための基金を独自に積み立てていたりする例が多いところございます。一般的には、建てかえの場合には、事業費の半分程度を積み立てているというのが例でございます。
 公共施設等適正管理推進基金については、昨年、公共施設等総合管理計画を改定しまして、2040年度までに、ある程度、人口減少に応じた公共施設の数にしようということで、それに対応するために積み立てた基金でございますので、現在のところ、この基金については、県庁舎とは別に、そちらのほうに使うということで考えております。
〇臼澤勉委員 さまざま難しい要素はあると思いますけれども、やはり岩手県の災害、防災の拠点であるこの県庁舎の機能をしっかりと確保して、前に進めていっていただきたいと思います。
 内丸地区開発もみながらということはわかるのですけれども、ただ、今後10年、あるいは、もしかしたらそれ以上かかるかもしれない、そういう状況の中に職員を働かせていくことは、私は危機管理として少し問題があると思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
〇千葉盛委員 個人を対象とした地方債の発行についてお伺いいたします。
 今回の決算において、借金の支払いに当たる公債費は980億円、利子だけでも70億円程度と相当な負担となっており、より低利で資金調達を行うことは、財政運営上、大変重要なことだと考えます。
 そこで、去る10月20日の知事記者会見において発表された個人向け地方債の発行について伺います。この件については、6月29日、6月定例会での我が会派の中平均議員の質問に対して、知事が検討することを表明したものですが、4カ月に満たない期間で実施に至ったスピード感について、まず大変評価しております。
 一方、これだけ短期間で実施に至ったということは、内部での検討においても大きなメリットが確認できたということであろうと思います。この個人向け地方債のメリット、デメリットについてお伺いいたします。
〇佐藤財政課総括課長 さきに発行したグリーン/ブルーボンドは、法人向けとして1、000万円単位としていましたが、今回発行する個人向け地方債は、比較的購入しやすい1万円を購入単位に設定することで、債券などの金融商品には関心があるが、本県に対して必ずしも関心が高いとは言えない層に対しても、より幅広くアプローチできると考えております。
 一方、一般的に通常の市場公募地方債と比較して証券会社に支払う手数料が若干高くなる傾向にありますので、同水準となるよう証券会社と調整しているところでございます。
〇千葉盛委員 この地方債は、インターネットを通じた販売を想定しているとのことですが、なぜ窓口販売ではなくインターネット販売を主体としたのかお伺いいたします。
〇佐藤財政課総括課長 スマートフォン等により取引を行うインターネット証券の口座開設者は、若い世代の割合が多いものと認識しております。
 インターネットにより個人向け地方債を販売することで、これまで本県に関心の薄かった首都圏などに居住する若い世代と本県とのつながりが生まれ、関係人口の拡大に資するものと考えております。将来的な移住、定住のきっかけとなることも期待しております。
〇千葉盛委員 個人向け地方債である以上、個人に訴求するような事業内容のアピールが必要だと考えますが、どのような事業に充当することを想定しているのか、お示し願います。
〇佐藤財政課総括課長 調達した資金の充当事業の選定は、当該年度の事業完了後に行うことから、現時点において具体的な充当事業は決まっていないところです。
 現時点では、例えば、高等学校を初めとする教育施設の整備など、県外在住者にもその使途がわかりやすい事業に充当していきたいと考えております。
〇千葉盛委員 知事が発表してからいろいろ報道されていましたけれども、資金の活用については、今、高等学校等の教育施設整備ということでしたが、やはり主なターゲットが県外の20歳代から40歳代の若者や女性であるとするならば、子育て世代でもあるでしょうから、教育施設の整備だけでなくて、例えば子供の公園や遊び場などの施設整備、遊具整備、あと、例えばインクルーシブ公園とかフリースクールにかかわる部分とか、そういう幼児や児童にもかかわる分野にもう少し幅を持たせてもいいのではないかと私は考えます。
 例えば公園整備などであれば、子育て世帯で購入した人が、岩手県を訪れたときに立ち寄ったりもしやすいですし、また、関係人口の拡大も目的ということで、自分が購入した資金がどのように使われたか、目に見える形でわかりやすいと思います。岩手県を訪れる理由にもなってくると思いますので、もう少し幅を持たせるようにしていってもいいのではないかと思いますけれども、お伺いいたします。
〇佐藤財政課総括課長 先ほど具体的な充当事業は今決まっていないとお答えしました。千葉盛委員御指摘の趣旨等も踏まえながら、そういう事業に充当できるかどうかも検討していきたいと思います。
〇千葉盛委員 これからだということであります。個人向け地方債の話題がネットニュースでも多く取り上げられていたので、早速、岩手県のPRになってよかったと思いますが、コメントのところで、利率が報道されていないとか県外の人だけが対象なのかとかといったものがありました。利率の早期の決定、あと、ターゲットは主に県外の若者や女性であったとしても、県民も購入できるという情報発信は大切だと思いますので、よろしくお願いします。
 最後に、10億円を売り切る見込み、また自信があるのか。そして、もし仮に売れ残ることがあったらどうされるのかをお伺いして、終わりたいと思います。
〇佐藤財政課総括課長 証券会社と調整して、完売できる妥当な金額を設定していますので、売れ残ることは想定していないのですけれども、仮に売れ残った場合は、その分は減額することになります。
〇佐々木努委員 通告に従って質問したいところですが、時間も限られているので、大幅に削って質問していきたいと思います。
 一般質問等でも、いわて県民計画(2019〜2028)に盛り込まれているさまざまな事業あるいはマニフェストプラス39で新たに盛り込まれる事業の財源をどうしていくかという議論がされましたので、大方理解はしていますけれども、私にはどうしても、例えば使用料の見直しとか、県有資産の活用とか資産の投資とか、そういうものでどれだけの財源が確保できるか非常に疑問なところがあります。
 これからは、なるべく借金もしないで自前で予算を確保することをしっかりと考えていくべきではないかと代表質問でもお話しさせていただきましたし、これまでも同様の主張をさせていただきました。
 改めて聞くわけでありますけれども、少子化対策県民税については、我々もずっと長く県に求めてきました。いわての森林づくり県民税と同様の、今度は、木や自然に対する投資、環境保全のための投資、それに加えて人への投資をしっかりと考えていくための少子化対策県民税を新たに行うべきだと主張してきたわけでありますが、毎回同じ答弁で前向きな姿勢は感じられないところであります。
 改めて、今度は知事ではなく担当部署から、導入するお考えはないのかお聞きしたいと思います。
〇佐藤財政課総括課長 少子化対策については、その他対策についても息の長い取り組みが必要となりますので、そのために必要な事業の裏づけとなる財源を検討していくことが重要というのは、佐々木努委員と同じ認識であります。
 一方、これまで答弁しているとおり、超過課税の実施に当たっては、県民生活に影響を及ぼすものであり、県民の十分な理解が必要となります。新税導入の効果や税の使途、新税を導入して特別に実施しなければならない財政上の理由、課税に対する公平感の確保などに配慮しながら慎重に検討する必要があると思います。
 それから、国による子ども子育て支援施策の地方財源に係る議論の動向を注視しながら、他の自治体の取り組み事例なども参考にして財源確保に努めていきたいと思います。
〇佐々木努委員 同じ答弁だろうと想定はしていましたけれども、県民生活に年間1、000円の税負担がどれだけ大きな影響を与えるのかということは、私はその答弁はかなり疑問であります。それ以上に県民の方々が考えているのは、これだけ出生数の減少による人口減少が進んで、本当にこれから大丈夫なのだろうかという不安のほうが先に立っているのではないか。
 そういう中で、これまでの間、この決算特別委員会においても、医療費助成の話とか給食費の話、さまざまな子育て支援に必要な財源をどう確保していくのかということが議論される中にあって、果たしてそういうものをしっかりと補完できるような財源がこれから確保できるかとなると、私は本当に疑問であります。これは全国に先駆けて、この非常に厳しい財政状況の岩手県だからこそ、やるべきではないかと思うわけであります。
 今、さまざまな理由を挙げられましたけれども、私にとっては、それは理由にならないと思っていて、むしろ、ここにいる県職員の方々の多くは、きっと、いや、そういうことをしていかないと、もう県財政はもたないだろうと思っていらっしゃると思うのです。何かが影響してこれに取り組めない、私はそのように感じていますので、また次回も取り上げますけれども、ぜひ職員の間で、特に財政課の間で、そういうものを積極的に取り入れたらどうかという議論を進めていただきたいと思いますが、総務部長、何かありますか。
〇千葉総務部長 財政的に財源を確保しなければいけないという非常に重要な御指摘でありまして、そこは、私も佐々木努委員と認識を同じくするところであります。
 ただ、一方で、先ほど財政課総括課長から答弁申し上げましたけれども、少子化というところだけにターゲットを置いてやることによっての受益と負担をどう考えるかというところで、もしかしたら担税力への配慮が、確かに説明としては弱いところなのかもしれませんが、受益と負担に関しては、まだ検討するところがあるのではないかと思っております。
 こちらも財源確保ということで恒常的にしたいとは思っておりますけれども、電気事業会計からの繰り入れを新たに行わせていただいておりました。こういう財源を何とか見つけて、人口減少対策に取り組んでいるというところです。これも今年度新たに始めたところでありまして、一歩前進ということでぜひ評価いただければと佐々木努委員にも申し上げたいところではあります。
 こういう努力を一つ一つ積み重ねながら、それから、持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の提言も、それは私たちもきちんと受けとめておりますので、今後また、財源確保について聖域なくしっかり検討していきたいと思っております。
〇佐々木努委員 受益と負担という話がありましたが、子供がふえることは、私は県全体の受益につながることだと思うわけであります。森林とかそういうものにお金を使うのと全く同じことだと思うわけでありまして、その検討も進めていただきたいと思います。
 今、総務部長から電気事業会計の話がありました。私も、これは積極的に活用してほしいと思っています。前年度は12億円ほど繰り入れということでありますが、電気事業は非常に順調に推移していて、収益も確実に上げているということで、私は、これまで以上に電気事業会計からの繰り入れをふやしていくことは、本当に重要なことだと思います。
 総務部長からそのようなお話をいただきましたので、引き続き企業局に対して働きかけをお願いしたいと思います。我々も、企業局に対してしっかりとこれを求めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
〇佐藤ケイ子委員 私からは、職員の皆さんの状況についてお伺いいたします。
 まず、超過勤務時間の状況と、そして、病気休職者の状況についてお伺いいたします。今まで私もずっと欠員の問題などを取り上げてきましたけれども、欠員は9人だと聞いているのですが、これは大分改善してきていると思っております。ただ、超過勤務の時間はなかなか改善されていないと聞いておりますし、また、精神疾患の療養者も多いと聞いておりましたので、この超過勤務時間の状況、病気休職者の状況はどうなっているのかお伺いいたします。
〇内城人事課総括課長 知事部局における超過勤務と病気休職者の状況についてでございます。
 令和4年度の1人当たりの月平均超過勤務時間数は全庁で16.1時間となっておりまして、令和3年度から0.5時間、3.2%の微増となっております。これは、新型コロナウイルス感染症対応に加えまして、物価高騰対策等の実施などに伴いまして業務量が増加したものと考えております。
 また、病気休職者についてのお尋ねもございましたが、令和4年度の14日以上の継続療養者数は全体で162人と、令和3年度から17人の減となっております。そのうち精神疾患による療養者においては、令和4年度が105人と、令和3年度から9人の減という状況でございます。
〇佐藤ケイ子委員 超過勤務は微増というお話でありまして、やはり新型コロナウイルス感染症があって本当に大変な状況だったと思っておりますけれども、勤務時間の管理の中で客観的な時間把握をすることが導入されているはずなのですが、どうも退勤時間を正確に申告していないのではないかという実態が見られるのではないか。そして、その形骸化が懸念されると聞いておりますので、人員確保、そして職場の環境改善のために、これからも正確な勤務時間の把握に努めてもらいたいと思っております。
 次に、早期退職者の関係です。小西和子委員もおっしゃっていましたけれども、2022年度末の普通退職者35人のうち20歳から30歳代が約9割と、若年層の退職が多いと聞いておりますが、その要因を把握しているでしょうか。
〇内城人事課総括課長 退職の状況、それから要因でございます。
 今、佐藤ケイ子委員からお話がありましたとおり、令和4年度における普通退職者は36名おりまして、36名中、20代、30代の職員は32名という状況になっております。その理由につきましては、転職でありますとか結婚等の家庭事情によるものがあると承知しております。
 また、昨年度実施いたしました働きやすい職場環境に関するアンケートの結果を見ますと、20代の若手職員が抱える悩みといたしまして最も多かったのは、仕事の量や質となっております。また、それに次いで、経済状況という回答もあったところでございまして、転職する若手職員の中には、自身の働き方でありますとか処遇面での観点から、転職を決断する人も存在するものと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 若い方々が退職しているのは本当に残念なことでありまして、20代、30代の中でも20代が多いわけです。本当に優秀な方々を採用したのに、なかなか面倒を見てあげられないのか、それとも、先輩の皆さんの働き方がきついので将来を悲観しているのかどうか、本当に残念なところであります。
 働き方改革の推進とかを県全体で、各民間の方々にも進めている中で、県庁はやはりモデルになるような事業所にならなければならないと思うわけです。せっかく優秀な方々が試験を通って入ってきているのですから、育成して、そして、しっかりと長く勤めていただけるような環境に努めていただきたいと思っております。
 それから、採用の状況についてお伺いします。採用試験受験者数が少なくなっているという話をいつも聞くわけですけれども、採用試験受験者の数、そして採用の状況、男女別、内定があっても内定辞退する方も多いと聞いているのですが、その状況はどうなっているのか。
 昨年度から、OB、OGの大学訪問、それから、ほかの都道府県職員などの経験者の選考採用を実施したということも聞いているのですけれども、結果はどうだったでしょうか。
〇内城人事課総括課長 採用の状況に関しまして幾つか御質問いただきました。まず、令和5年度に実施いたしました採用試験の受験者数は616人になっておりまして、令和4年度から32人増加しているところでございます。これは、主に民間経験者を対象といたしました試験を複数回実施したことによりまして、一般行政職の受験者が前年度から135人増加したことによるものでございます。
 また、直近の採用者数でございますけれども、令和4年度に実施した試験での採用者が152人となっております。その内訳でございますが、男性が82人、女性が70人となっております。それから、内定辞退者につきましては51人となっておりまして、前年度から24人減少しているところでございます。
 続きまして、OB、OGによります大学訪問についてでございますが、コロナ禍が落ちつき始めた昨年度から再開いたしまして、オンラインでの説明会を含めまして、東北管内の大学で、昨年度は8回、計70人程度の参加、そして、今年度はこれまで4回、計200人程度の参加を得て実施しており、今後も複数の大学で実施を予定しているところでございます。
 最後に、専門職員を確保するために昨年11月から実施いたしました、都道府県等で職務経験のある技術職を対象とした選考採用でございます。選考採用を実施いたしまして、昨年度は、農学職で1人、総合土木職で2人の計3人を採用したところでございまして、今年度も、さらなる技術職の確保に向けまして10月から募集を開始しているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 内定辞退者が少なくなって、これはよかったと思っていましたけれども、市町村と共同で試験をしたというのもあるのですね。前は、合格する方々は、市町村も県職員も両方受かって、それで辞退する方もあったと聞いていたのですけれども、そういう工夫が見られたとお聞きしました。
 それから、専門職種の確保の状況についてお伺いします。獣医師、薬剤師、土木職など、民間に比べて給与が低いこともあってなかなか採用が難しいということをずっと聞いております。そしてまた、採用しても早期退職ということもあるようですが、処遇改善、そして採用状況はどうだったのかお伺いいたします。
〇内城人事課総括課長 専門職の確保についてでございます。佐藤ケイ子委員御指摘のとおり、獣医師など一部の職種では、採用予定数の確保に至っていない状況にあります。
 このため、県といたしましては、これまで獣医師や薬剤師の初任給の引き上げを行ってきたほか、昨年度から、獣医師の初任給調整手当を月額3万5、000円から5万円に引き上げ、東北トップクラスの水準となるなど、処遇改善を行ってきたところでございます。
 また、技術系職種のインターンシップの拡充でありますとか、学生が県職員のOB、OGを訪問していろいろ相談をするような取り組みも行っております。また、職務経験者の採用を行うといったことに加えまして、薬剤師の通年募集も実施して取り組みを強化しているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 いろいろと御努力されているのだとお聞きいたしました。
 それから、職員の年齢バランスについてですが、中期財政見通しの人件費の試算では、令和5年度当初予算は1、634億円ということでした。定年延長によって人件費が伸びる年と伸びない年と今後交互に繰り返されていくようなのですけれども、今でも高齢層の職員が多くて、30代、40代の職員割合が少ないのではないかと見ております。この年齢バランスを考慮した採用を行う必要があるのではないかと思いますが、どうでしょうか。
 また、数年間は退職者の多い年と少ない年と分かれるわけですけれども、将来的には、平均的に採用していかないと年齢バランスがおかしくなってしまうのではないかと思っているのですが、この採用の平準化はどのようにお考えになるのでしょうか。
〇内城人事課総括課長 職員の年齢バランスについてでございます。令和5年4月1日時点でございますが、50代以上の職員が約39%となっているのに対しまして、30代は約18%、40代が約22%という状況になっております。これは、過去の採用抑制の影響によりまして、特に中堅の職員が少ない状況にあるということでございます。
 こうした状況は、若手を育成し管理職を補佐すべき層が不足し、円滑な組織運営に支障を来しかねないことから、職員の年齢構成の偏在を是正するために、これまでも、採用試験における受験上限年齢の引き上げでありますとか民間企業経験者採用などの対策を講じてきたところでございます。
 また、定年の段階的引き上げ期間中におきましては、隔年で定年退職者が生じないものの、採用機会の均等化、職員構成の平準化の観点から、国や他の都道府県と同様に、退職補充を基本とするこれまでの採用方針を見直すこととしておりまして、例えば事務職や社会福祉職など採用予定数を充足している職種につきましては2年平準で、それから、心理職や獣医師などの採用困難職種につきましては、後年度の採用予定分を前倒しで募集するなど、職種ごとにきめ細やかに対応しながら継続的に一定数の職員の採用を行うことで考えております。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。さまざまな工夫をされているということも答弁でお聞きしましたけれども、この超過勤務の問題とか病気療養の問題とか、本当に深刻な状況もあるようですので、これからも、職員の人員確保のために実効性のある取り組みをお願いしたいと思います。
 次の質問に行きます。岩手県公共施設等総合管理計画について伺います。
 令和3年度に改定された計画では、2040年の人口100万人を想定して、長期的な維持管理計画をするために策定されているようでありますけれども、個別施設計画策定が、令和3年3月に大体の計画が出されておりまして、私もいろいろ見ました。
 その中では、総務部関係、警察本部関係、農林水産部関係、病院関係、県土整備部関係とかいろいろ個別計画が出されておりましたので、全ての部署で個別計画はつくられたのだろうと想像したのですが、教育委員会関係は見つけられなかったのです。そこはどういうことになるのでしょうか。
〇和田参事兼管財課総括課長 個別施設計画でございますけれども、令和2年度中に全ての部局において策定が完了し、現在、1、441施設が計画策定の対象となっているところでございます。
 各部局において公表されていないものもあるのではないかということでございますけれども、個別施設計画の策定対象施設には、文化施設、スポーツ施設、社会福祉施設、先ほど佐藤ケイ子委員御指摘のような学校施設も含まれますけれども、計画の内容によっては、長寿命化対策の方向性とか今後の施設のあり方とか、少し県内部の検討事項が含まれることもございますので、一部、所管部局の判断で公表していないものもございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。例えば県立高校のどの校舎をどうするということを公表すると、かなりハレーションがあるのだろうと思います。それを発表するには、それぞれと意見交換をして方針を固めないと発表できないのだろうと私は想像しましたけれども、そういうことですね。
 それから、令和6年度までにおける県民1人当たりの負担額を、過去5年間の実績を踏まえて1万2、000円以下となるよう縮減していくと。それから、財政負担の平準化を図るということですけれども、令和4年度の状況、そして、今年度中の状況はどうなっているか、答えられますか。
〇和田参事兼管財課総括課長 公共施設管理計画の数値目標の関係でございますけれども、県民1人当たりの負担額の目標の1万2、000円以下に対しまして、令和4年度決算額ベースで1万1、101円、令和5年度の当初予算ベースでは1万500円程度となっておりまして、いずれも達成、または達成する見込みとなっております。
 今年度につきましては、現在、耐用年数を超えた、建築後50年を超えている施設とか利用度の低調な施設を抽出しまして、所管する部局ごとに、さらに財政負担額が軽減されるように今後のあり方を検討しているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 公共施設の今後について、持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の報告書の中にも、市町村との連携、機能とか役割分担などを推進しなければならないということも書かれているわけですが、市町村は、なるべく県に施設を持ってほしいと思っているでしょうし、県は県で、市町村に分担してほしいと思っているのでしょうけれども、市町村との連携をどうしていくのかお伺いいたします。
〇和田参事兼管財課総括課長 先ほど御紹介しましたように、現在、所管部局でさまざまな施設のあり方を検討しております。
 そういう中では、佐藤ケイ子委員御指摘のような、県も市町村もお互いに持っているような類似施設もございます。そういうものについて、少し市町村との機能分担とか役割分担をしっかり検討した上で、現在、検討を進めている状況でございます。
 実際には、いわて盛岡ボールパークのように、市町村との連携による施設整備を行った例もございます。
 引き続き、令和7年度からの次期計画策定においても、そういった視点を考慮しながら、公共施設の適正管理の推進に努めてまいりたいと考えております。
〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇木村幸弘委員 ただいまの佐藤ケイ子委員の質問に関連して、私も、あらかじめ通告している内容が、職員の長時間勤務にかかわる問題ですので、ここで関連で質問させていただきたいと思います。
 午前中の議会事務局審査でもお話をさせていただきましたけれども、今回の県の人事委員会勧告の中で、勤務環境の整備に関し、長時間勤務の解消について、任命権者の取り組みが令和4年度の職員1人当たり月間超過勤務時間数で、知事部局で増加し、特に、職員の勤務時間、休日及び休暇に関する規則で定める超過勤務時間の上限を超えて超過勤務を命じられた職員の割合は、上限規制の制度導入以来増加しており、改善に至っていないという厳しい指摘がございました。
 そこで、知事部局における予算・会計関係業務、人事・給与関係業務、これらの業務について、人事委員会では、任命権者において業務内容の分析を行い、第2期行政経営プランに基づき、改善に向け業務の効率化を図っていくよう求めておりますけれども、改めて、超過勤務のこうした指摘の実態について、どう受けとめているのか伺います。
〇内城人事課総括課長 人事委員会からの長時間勤務に関する指摘に関してでございます。
 今回の人事委員会の令和5年職員の給与等に関する報告及び勧告においては、特に長時間勤務となっている職員に共通する業務内容として、議会対応業務や新型コロナウイルス感染症対応業務のほか、今、委員から御指摘がありました予算・会計関係業務、人事・給与関係業務等が上げられたところでございます。
 この報告を受けまして、令和4年度の知事部局における他律的業務の比重が高い部署において、上限を超えて超過勤務を命ぜられた職員計156名が従事していた業務内容を確認したところ、同一の職員が複数の業務に従事している例もあり重複がございますが、予算・会計関係業務対応が21.2%の33名、人事・給与関係業務対応が12.8%の20名となっていたところでございます。
〇木村幸弘委員 今お答えいただいた部署について、職員の皆さんに大変負担がかかっているものと認識しているわけでありますが、改めて人事委員会から、こうした恒常的な長時間勤務が解消されない場合についての意見も出ていますが、業務量や業務内容に応じて、適切な人員体制が確保されるように、実効性のある取り組みが求められております。
 こうした指摘については、県職員労働組合からも、やはり慢性的な職員不足の問題として、常に労使交渉の場においても要求事項に掲げられていることであります。県として、新型コロナウイルス感染症対策、震災復興、いわて県民計画(2019〜2028)の遂行に向けて、これらの事業を確実に遂行し加速化させていく上でも、人員の万全な確保は不可欠だと思っております。
 そういう点から、長時間勤務の是正について、既に超過勤務の上限規定が適用されて3年目の中で、逆に、上限規定設定が隠れ超過勤務の温床になっているという指摘もあるわけであります。
 超過勤務の上限を超過した場合の検証、そして、確実に実効性のある超過勤務縮減対策、職員の増員と適正配置等を任命権者の責任において、人事委員会や職員組合から繰り返し改善を求められることのないように取り組むことについて、お伺いしたいと思います。
〇内城人事課総括課長 超過勤務縮減の取り組みについてでございます。
 長時間勤務者がいる所属におきましては、所属長が、対象職員等に対するヒアリングを通じまして、きめ細かに業務進捗状況等を確認し、これを踏まえて、人事課におきましても、規則上限を超過した理由の分析を行い、当該部局と連携しながら、業務の見直しの徹底など超過勤務の縮減に向けた対応策の検討を行っているところでございます。
 また、事前命令と事後確認等、超過勤務の適正な取り扱いの徹底や業務支援の活用などによる業務の平準化に取り組んでいるほか、年度途中での人員の再配置などによりまして必要な体制の確保に取り組んでいるところでございます。
 引き続き、業務の見直しと必要なマンパワーの確保に取り組むとともに、電子決裁・文書管理システムによるペーパーレス化の推進など、デジタル技術も活用しながら超過勤務時間の縮減に努めていきたいと考えております。
〇高橋穏至委員 私からは、2点ほど簡潔に質問したいと思います。
 まず1項目めは、正確な事務運営と内部統制の改善についてということで、歳入歳出決算書の監査意見では、令和4年度決算の監査では指摘事項22件となり、前年度から7件増加。依然として組織によるチェックや適切な進捗管理により適正執行が可能となる定例的、定型的な会計事務の指摘が多いほか、担当職員の財務事務への理解不足などに起因するものが認められることから、発生原因や再発防止策を共有するなど全庁的な取り組みを一層強化するとともに、必要な執行体制の確保にも留意しながら、適正な事務の執行に努められたい。また、内部統制については、会計事務自己点検結果では、県全体の傾向として、支出金額の誤りなどの不適切な事務の発生が一向に減少しておらずということで、監査の結果、不適切な事務を繰り返すなど、再発防止策が機能していないものが見受けられるという指摘があります。
 今定例会の審査の中でも、入札ミスによる損害賠償で89万円支出しております。これも人為的なミスということで、担当部長は、再発防止策に努めますということですが、一向に人為的なミスが減っていないことに対して、どう改善していくのかお伺いします。
〇高橋行政経営推進課総括課長 県においては、自己点検の実施などを通じた内部統制の取り組みを行ってきたところでありますが、依然として組織的なチェック体制の不備や担当職員の財務事務への理解不足等に起因する不適切事案が生じているため、今回の意見が述べられたものと認識しております。
 これまでも、内部統制の実効性を高めるための取り組みとしまして、内部統制推進・評価委員会などを通じた不適切事案等の情報共有や職員個々の制度理解のための階層別研修、会計事務の専門研修などを行ってきたところであります。
 今後は、これらの取り組みに加えまして、再発防止策に係る優良事例の横展開や研修内容の充実等を行うなど、庁内への働きかけを強化し、制度のさらなる浸透と組織的取り組みの強化を図り、内部統制の基本的な取り組みでありますリスクの分析や自律的なチェック機能の強化、業務プロセスの可視化などの取り組みが確実に行われるよう推進してまいります。
〇高橋穏至委員 研修と意識と。意識というのは目に見えないものですから、再発防止で改善が毎年見られない状況が続いているという気もいたします。常任委員会の審査の中で、例えば今回の入札の件ですと、一旦、システムを使って仕様書や設計書をつくり、それを紙に印刷して決裁をもらった。発注するときに、もとのデータを保存していなくて古いデータで発注したというミスでした。要は、もしこれがきちんとした決裁システム、電子決裁でやって、その決裁した文書しか出せないことになっていれば、これは起こらなかったエラーかとも考えられます。
 人為的なミスを防ぐための生成AIとかいろいろなことがありますけれども、何かそういう手も考える可能性はないのかと思うのですが、いかがでしょうか。
〇高橋行政経営推進課総括課長 高橋穏至委員御指摘のとおり、人為的ミスに対応するところですが、やはり担当者任せにせず、組織全体で取り組んでいくことが非常に重要だと思っております。内部統制でやっております、まずは事務遂行上にどういうリスクがあるかを把握しまして、そのリスクの分析と対応策を整備して、所属内で共有して、所属全体で取り組むといったリスクマネジメントをやること、まずは、そういう基本的な内部統制の取り組みをやることが必要だと思っております。
 委員御指摘のような人為的ミスに対応する部分につきましても、引き続き、再発防止策の有効な手だてを全庁で共有するなど、あらゆる手段をとって対応していきたいと思っております。
〇高橋穏至委員 ミスによって89万円もの費用を支出したということもございますので、そういうことのないように、そしてまた、今、電子化が進んでおりますので、例えば、決裁ボタンをぽんと押すまえに、チェックが出て、これチェックしましたかと出るとか、何かそういう工夫もあってもいいのではないかと思いますので、ぜひ研究していただきたいと思います。
 次に、歳入確保策についてお伺いします。
 これも指摘されている事項ですが、収入未済額が前年度に比べて1億1、244万円、6.2%増加しております。そしてまた、不納欠損が諸収入で増加しております。諸収入で1、924万円余りになっているわけですが、その増加の要因と対策をお知らせください。
〇今野税務課総括課長 収入未済の増加要因とその対応策についてでございますが、まず、県税部分について御説明させていただきます。
 令和4年度における加算金を含んだ県税の収入未済額は14億5、000万円余であり、前年度に対しまして9、000万円余り、6.9%の増となったところでございます。
 これは、令和4年11月から、各地域にありました手形交換所が電子交換所に移行したため、前年度まで個別取り立てにより当該年度の収入となっていた5月末日分の約束手形等1億7、000万円余が、令和4年度分として取り込めず、令和5年度の収入となったことによるものでございます。これを除いた収入未済額は12億7、000万円余であり、前年度に対しまして8、000万円余、6.0%の減となっております。
 次に、収入未済額の縮減対策としまして、県内9カ所の県税公所において、納税者個々の実情に配慮しながら、トル、マツ、オトスの判断をし、めり張りのある滞納処分を行っているほか、県税における収入未済額の約6割を占める個人県民税の未済額の縮減が重要だと認識しております。
 県と全市町村で岩手県地方税特別滞納整理機構を組織して、収入未済額の縮減に努めているところでございます。
〇和田参事兼管財課総括課長 次に、税外滞納債権の関係についてでございます。
 まず、増加の要因については、前年度に比べて1、800万円余、1.05%増加しておりますけれども、こちらについては、県税、県境不法投棄現場再生求償金と比べ伸び率は低くなっております。
 主な要因としては、農業改良資金貸付金違約金が1、800万円余り伸びているのですけれども、これの違約金が2、000万円余ということで、大口が一つ発生したことによるものでございます。
 対応策についてでございますけれども、税外滞納債権については、一定規模以上の件数、金額の債権について、平成20年度から滞納債権対策関係室課連絡会議を設置し、3カ年を取り組み期間とする岩手県滞納債権対策基本方針を策定しまして、削減に向けた回収目標を設定したり、具体的な取り組みを共有しながら全庁的な取り組みを推進してきたところでございます。
 令和4年度は、13債権を対象に強化を図ってきたところでございます。
 次に、不納欠損の増加要因でございます。諸収入が増加しているところでございますけれども、令和4年度の諸収入においては1、900万円余となっております。これは、前年度に比べて990万円余増加しているところでございます。
 主なものは、生活保護費返還金640万円余、児童扶養手当返還金260万円余などが増加したことによるもので、要因といたしましては、債務者死亡等により相続人からの徴収に取り組んできたものの、5年という時効により不納欠損となったものでございます。
〇高橋穏至委員 わかりました。先ほどの説明の中で岩手県地方税特別滞納整理機構のことが出ましたけれども、この機構の今の体制は、市町村からもたしか派遣が出ていると思うのですが、県と市町村でどれくらいの規模でやっているのかお伺いします。
〇今野税務課総括課長 岩手県地方税特別滞納処理機構は、平成18年10月に個人住民税の共同徴収対策チームとして県と23市町村が参加して総務部税務課内に設置されております。
 現在では、県と県内全市町村で組織して、今年度は、税務課職員4名、市町村からの派遣職員7名で運営しております。
〇高橋穏至委員 最後に、扱う事案はどういう傾向なのかということだけ聞いて、終わりたいと思います。
〇今野税務課総括課長 扱う事案でございますが、各市町村で徴収困難となったもの、結構長期になっているものとか高額なものとか、そういうものを県で引き受けた上で、滞納整理に当たっております。
 傾向でございますが、収入未済額そのものは大分減ってきており、平成18年以降、順次減らしてきております。
〇佐々木宣和副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時28分 休憩
午後2時47分再開
〇佐々木宣和副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇菅野ひろのり委員 私も、まず収入未済額の関係から伺っていきたいと思います。
 今回知事も、今後、政策推進するに当たって歳入確保を進めていかなければいけないということで、使用料あるいは資金調達の多様化等を挙げられていました。先ほども高橋穏至委員から紹介がありました監査委員の審査意見書の中でも、そういうところに触れられているわけでありますが、収入未済額について、合計すると約19億円ということでしたが、これは個々の納税者の事情があると思いますから、私は歳入確保策とは少し違うと認識しています。
 その一方で、この推移等を見ると、例年19億円ぐらい残っていくものなのか、今の物価高、生活者の状況はあると思いますが、その傾向等がわかれば、お知らせいただきたいと思います。
〇今野税務課総括課長 収入未済額の状況と推移でございますけれども、コロナ禍などの影響がございまして、一時期、徴収猶予の関係で収入未済額が増加した時期がございますが、徴収猶予に係る分については既に解消しております。その後、収入未済額については、新型コロナウイルス感染症分を除き、順次縮減している状況にあります。
〇和田参事兼管財課総括課長 税外債権でございますけれども、高橋穏至委員の御質問で答弁したとおり、平成20年度から滞納債権対策関係室課連絡会議を設置しているのですが、取り組み当初の平成21年度から比べますと、現年度分で約76.2%減少しておりますし、過年度分でも12.7%減少している状況ですので、こちらについては、取り組みから減少傾向にあるということになります。
〇菅野ひろのり委員 そうしますと、収入未済額は整理が少しずつできているものの、やはりそれぐらいの金額は残っていくのだろうと思います。
 ほかに使用料、手数料は、資料をいただきまして、令和5年度の使用料、手数料の適正化の取り組みということで、改定による増収額3、600万円ということです。今後も、物価高騰等の対策も行いながら適正化を図っていくという対策を伺ったわけですけれども、これでも数千万円単位なのだと見たときに、歳入確保という観点でいいますと、未利用資産をどうしていくかが挙げられるのだろうと思います。
 現在の未利用資産の保有状況について伺いたいと思います。
〇和田参事兼管財課総括課長 令和5年3月末現在の未利用資産の状況でございますけれども、土地が106件、約107万平米、建物が40件、7万7、000平米余りとなっておりまして、県有地全体に占める割合は、土地が1.4%、建物が2.9%となっております。
〇菅野ひろのり委員 金額はわかりますか。
〇和田参事兼管財課総括課長 こちらは売却が見込まれるという条件でございますけれども、平成5年3月31日現在の財産台帳価格で申し上げますと、土地が約48億6、000万円、建物が約16億7、900万円、合わせて65億3、900万円余りとなっております。
〇菅野ひろのり委員 こういう未利用資産が65億円という中にあって、これをどうしていくのかが非常に大きいのだろうと思います。県の活用、処分方針を見ますと一定のルールがありまして、まず、県で使うことができるのか、そして、市町村でどうなのか、最後に個人ということであります。
 その方針に基づいて令和4年度をお伺いしますと、売却は3億円あったということでありましたが、今後の見通しと、さらにこれが進む方向性、可能性はあるのかどうかお聞きしたいと思います。
〇和田参事兼管財課総括課長 未利用資産の売却状況につきましては、その年、年によって売れる物件にどうしても影響があるのですけれども、令和3年度ですと2億7、000万円ぐらい、昨年度は3億2、900万円という規模の売却実績となっております。
 未利用資産処分方針に基づいて、売却できる物件によって金額は動いてまいりますけれども、総じて、これまでは2億円から3億円ぐらいの実績となっているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 私は、地元を見ても、例えば旧岩谷堂高校であるとか、利活用が決まっていない複数の県の施設があると思います。山林に関しても、例えば地元の例で恐縮ですが、地元から牧野にしたいと言われても、県が保有する山林であって木材の売却予定があるというような話もあったりするわけです。
 そういうルールがある中でも一定の需要があるものは開示をしながら、未利用資産を計画的に売却し活用されるような計画、取り組み方針をつくりながら進めていかないと、年度ごとにこれが売却できます、できませんということでは、歳入の確保策の一つとしては計画的に当てにならないのだろうと思っております。
 今後、未利用資産をどう活用していくのかお伺いしたいと思います。
〇和田参事兼管財課総括課長 未利用資産の処分に関しましては、先ほど委員から御紹介ありましたとおり、県の利用、そして地元自治体の利用、そして、それが見込めなければ一般競争入札による売却ということで、一般競争入札は年2回ほどやっております。
 それでもさらに売れない未利用資産が毎年どうしても一定程度残っております。それについては、私どもとしてもしっかりホームページ上でも公表して、利用希望がある人には、いつでも受け答えができるように準備しているということです。
 当時、そういった売れない中で、今、未利用資産という形でとどめているものに対しても、私どもとしては、市街地開発のようなところで条件が変わってくるものもその中にはあるのではないかと考えております。そういう実情のようなところを少し整理するとともに、国などでも、一度そういう有用な土地を売ってしまうと、またその土地を購入するのは難しくなりますので、定期つき借地のような形で土地を貸し出して歳入を得るようなやり方もありますので、そういうものも研究しながら取り組んでいきたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 監査委員にお伺いしたいのですが、今回の決算審査意見書の中では、歳入確保策として、先ほど言った収入未済額、手数料、資金調達、未利用資産、あとは公共施設等管理計画等を書かれています。監査した中で、これは例年も基本的に触れられているような中身だと思いますが、さらに踏み込んで、例えば手数料の適正化であるとか収入未済額の縮減は可能だ、あるいは何らかの方法があるだろうという前提で書かれているのか、もしくは、このまま―このままといいますか、現状を繰り返しといいますか継続しながらやっていくべきだという方向なのか、ここを記載した意図をお聞かせいただきたいと思います。
〇五味監査委員 私ども今年度監査してまいりまして、監査の中でこんな歳入確保策があるのではないかということを具体的に確認するのは、県の中の話ですから、正直、私のところまで上がってきたものはございません。
 ただ、今回あえて書かせていただいたのは、昨今の県の情勢は非常に大きな課題を抱えておりまして、これは国家的な問題もございますので、腰を据えて長い間やっていかなければいけないという意味で、改めて財源の確保が必要であると考えているところでございますので、そこは、いろいろな手段を使って財源を確保していただきたいということを申し上げたところでございます。
〇菅野ひろのり委員 県でも、達増知事も、新たな政策の中で、ハード整備も含めてより一層踏み込んだ財源確保策が必要になるということですし、私は、規模なのか目安なのかをある程度示しながら進めていくことも必要なのではないかと思っております。今後、より一層、未利用資産の活用等について検討していただいて、歳入確保に努めていただきたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
〇斉藤信委員 それでは、最初に、新型コロナウイルス感染症対策にかかわる県職員の超過勤務の状況、保健所の体制などについてお聞きいたします。
 昨年度の新型コロナウイルス感染症対策の体制はどうとられたのか、保健所の体制はどう強化されたのか示してください。
〇内城人事課総括課長 令和4年度の新型コロナウイルス感染症対策の体制でございます。
 まず、本庁に関しましては、入院搬送調整やワクチン接種体制の構築業務を担う医療政策室の担当職員4名の増員のほか、感染症対策に係る幅広い識見を有する医療特別参与を任用いたしまして、随時助言をいただきながら、患者の状態に応じた入院調整や高齢者施設におけるクラスター対策などを進めてきたところでございます。
 また、保健所に関してでございますが、積極的疫学調査等に当たる保健師10名を前年度から引き続き追加配置するとともに、会計年度任用職員として保健師、看護師を19名任用するなど体制の強化に努めてきたほか、全庁的な応援体制を組みながら、感染拡大時においては、広域振興局内の各部からの業務支援を機動的に行ってきたところでございます。
〇斉藤信委員 今の答弁ですと、保健所の保健師については、正規で10名、会計年度任用職員で19名ということでよかったでしょうか。
 それで、今年度の対応状況、体制はどうなったか、新型コロナウイルス感染症の5類移行後に変化はあるのか示してください。あと、来年度の見通しはどうなのか。
〇内城人事課総括課長 まず、今年度の状況でございますが、令和4年度から切れ目なく新型コロナウイルス感染症対策に当たることができるように、今年度におきましても、医療政策室の担当職員20名及び保健所に追加配置している保健師10名を継続配置するなど、必要な職員体制を構築してきたところでございます。
 また、医療政策室に医師の資格を有する医療企画監を新たに設置し、新型コロナウイルス感染症対応を踏まえた新たな感染症対策の推進体制の検討などに取り組んでいるところでございます。
 一方、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に移行したことに伴いまして、積極的疫学調査の終了や軽症者宿泊療養施設の運用縮小などにより、7月以降、医療政策室を中心に業務量が減少したことを踏まえまして、感染の再拡大等に備えた業務支援体制をあらかじめ構築した上で、医療政策室の体制を順次縮小しているところでおります。
 また、来年度のお話がございましたが、来年度の体制につきましては、今年度の状況等を踏まえながら、今後検討してまいりたいと考えてございます。
〇斉藤信委員 私はきのうの総括質疑で、8月から9月にかけての第9波は第8波並みだったと、これは知事もお認めになりました。第9波が第8波並みだったということになると、第10波も起こり得ると。直近で行けばこの冬ということになりますので、決して5類に移行したから新型コロナウイルス感染症が収束過程に入っているとは、今、日本の場合には言えない。岩手県の場合にも言えない。
 ところが、5類に移行して、必要なデータの収集が行われない、県民に情報発信されることが極めて少なくなった。業務量の減少はあると思いますけれども、必要なことまでやられていないというのも、私はきのう率直に指摘いたしました。恐らく9月上旬が第9波のピークでしたけれども、その時点で第9波という会見もないし、今までそういう表明はこの定例会までなかったのです。県民には全然知らされなかった。私は極めて重大なことだと思うのです。
 だから、人事をつかさどるところも、そういう今の新型コロナウイルス感染症の感染状況について正確に把握した上で、必要な体制を維持、構築していただきたい。
 もう一つは、新型コロナウイルス感染症で保健所の仕事は多岐多彩にわたっているので、かなりのゆがみというか、そういうことも今まであったのだと思うのです。ですから、この機会に全体として保健所の体制が強化されるように求めたい。これは総務部長に聞きましょう。
〇千葉総務部長 新型コロナウイルス感染症の対応につきましては、私自身も保健師のOGの方々の確保に奔走いたしまして、今度、その関係した方々と、その後の反省会というか、いろいろ御意見をいただこうと思っていまして、そのようなことも予定しています。
 私自身、当時、総務部の理事として、新型コロナウイルス感染症対応をしっかりやるようにということで特命を受けていろいろやっておりましたので、今でもそこはしっかりやらせていただいているつもりでございます。
 それから、保健所の体制につきましては、御指摘のとおり、国でも保健師の体制を少し見直すということで増員を図るということも聞いておりますので、本県はいち早くそこに対応していると思っております。よそでは、1回それが終わったので、体制を縮小しておやめになったという状況もあるように聞いておりますけれども、本県ではそういうことがなく、保健師のOGの方々については、例えば県南広域振興局でありますけれども、健康管理という形で週に何回かお手伝いいただいているということで、いろいろ働いていただくところがあると思っております。児童相談所もしかりであります。そういう形で、しっかり体制を整えてまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 次に、昨年度の県職員の超過勤務の実態について、80時間、100時間超の勤務の実態はどうか、そして、その主な要因は何なのか示してください。
〇内城人事課総括課長 知事部局における昨年度の超過勤務の状況でございます。令和4年度の1人当たりの月平均超過勤務時間数は、全庁で16.1時間となっておりまして、令和3年度から0.5時間増の微増となっております。
 また、昨年度に全庁で月80時間以上の超過勤務を行った職員は261名、月100時間以上の職員は150名となっております。
 これらにつきましては、新型コロナウイルス感染症対応に加えまして、その後の物価高騰対策の実施等に伴いまして業務量が増加したものが、主な要因と考えております。
〇斉藤信委員 80時間、100時間ということになりますと本当に過労死ラインなわけだから、ここの改善の方向を示してください。
〇内城人事課総括課長 斉藤信委員御指摘のとおり、健康面での不安ということもございますので、まず、健康管理の面からは、産業医が個別に面談を行っているほか、総務部全体として、業務の見直しの徹底でありますとか適切な勤務時間の管理を行っているところでございます。
 また、これまでもやっておりますが、しっかりとした事前命令、事後確認の徹底といったところを改めて周知してまいりますし、また、業務の状況を我々としても部局を通じて常に把握しているところでございますので、状況によっては、業務支援を活用するなど業務の平準化などにも取り組んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 ちなみに、去年の80時間、100時間を超えた部局で見ますと保健福祉部が半分以上を占めました。これは新型コロナウイルス感染症対応が主な要因だったと思います。
 人事委員会勧告も出されましたが、今大問題になっているのは、30年間賃金が上がらない国になってしまったこと。そのことについて、県の職員はピーク時と比べて今の賃金、ボーナスの水準はどうなっているか、どのぐらい減少しているか示してください。
〇内城人事課総括課長 県職員の賃金についてでございます。40歳の主査級の職員を例にとりまして、年収ベースで最も水準の高かった平成11年度の改定前の給与額と現時点での給与額を比較いたしますと、年収額で約83万円の減となっております。
〇斉藤信委員 今、年収額で83万円の減とありました。これは民間に準拠ですから、民間も減ったから公務員もこれだけ減った。本当にダブルパンチだと思います。
 あわせて、県職員の場合はボーナスもピーク時から大幅に減少していると思いますが、そこを示してください。
〇内城人事課総括課長 今手元に資料がございませんので、後ほど回答させていただきます。
〇斉藤信委員 次に、会計年度任用職員の待遇改善についてお聞きいたします。
 会計年度任用職員の制度が実施されて丸3年経過しました。正職員と会計年度任用職員の実態、フルタイム、パートタイムの状況、比率はどうなっているでしょうか。
〇内城人事課総括課長 会計年度任用職員の任用数についてでございます。知事部局におきまして、令和5年5月1日時点で1、434人を任用しておりまして、常勤職員を含めた一般職員の総数5、723人のうち会計年度任用職員の占める割合は約4分の1となっております。
 また、会計年度任用職員のうちフルタイムの職員は41名で約3%、パートタイムが1、393人で約97%という状況でございます。
〇斉藤信委員 会計年度任用職員というのは臨時職員の待遇改善が目的でしたが、残念ながら抜本的な待遇改善になっていない。会計年度ごとですから建前的には1年雇用なのです。そういう点では、いつ雇いどめになるか不安がつきまとう状況であります。
 それで、これまで継続して任用された職員数はどうなっているでしょうか。継続年数ごとに示してください。
〇内城人事課総括課長 会計年度任用職員の継続任用の状況でございますが、令和5年5月1日時点で申し上げますと、知事部局において任用した職員1、434名のうち、令和4年度から1、263名、約88%の職員が継続任用されているところでございます。
 また、これにつきまして、さかのぼりまして令和3年度に任用された職員はそのうち1、158名、80.8%、さらにさかのぼりまして令和2年度に任用されていた職員は1、053名、約73.4%でございます。
〇斉藤信委員 それで、会計年度任用職員の賃金、年収はどうなっているでしょうか。実際に会計年度任用職員制度が実施される前から雇用されている人もいますから、聞くところによれば、現在、通算7年働いている人が9割以上だという話もありますが、そうした実態はどうなっているでしょうか。そして、それぞれの賃金、年収はどうなっているでしょうか。
〇内城人事課総括課長 経験年数ごとの給与でございます。まず、高校卒業後そのまま県に任用された職員の場合で申し上げますと、フルタイム勤務の場合、月額は約15万円、年収ベースで見ますと約220万円となっております。週30時間のパートタイムで見ますと、月額は約12万円、年収では約170万円となっているところでございます。
 次に、県の会計年度任用職員の約9割を占める社会人経験が6年以上の職員の場合で見ますと、フルタイムの場合は、月額は約19万円、年収ベースでは約272万円、週30時間のパートタイムで見ますと、月額は約14万円、年収は約210万円となっているところでございます。
〇斉藤信委員 最初の答弁で、フルタイムはわずか3%なのです。これが会計年度任用職員に制度が変わったときに、率直に言えば改悪になってしまった。今、初年度のパートで採用された人は170万円なのです。これはワーキングプアですよ。
 読売新聞が10月20日の社説で会計年度任用職員について、行政は正規雇用の道を広げよと。読売新聞がこう出したというのは少し注目したのですけれども、この中で、年収が250万円未満の人が8割に上ったと。読売新聞は250万円未満ということで8割と言っていますけれども、この基準で見ると岩手県も8割になるのですか。
〇内城人事課総括課長 申しわけございませんが、割合につきましては把握していないところでございます。いずれ今回、人事委員会からの勧告が出されまして、月例給、ボーナスの引き上げのほか、来年度から会計年度任用職員の勤勉手当の支給に係る対応について言及されているところでございます。我々といたしましても、今後、国や他の団体の動向に留意しながら、その点については適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 先ほど冒頭で言いましたけれども、7年継続勤務している会計年度任用職員が9割だと口頭で聞いたのですが、それが実態でしょうか。
 あと全て聞きますけれども、国の経済対策で重点的な地方交付金も提起されています。去年の年末には1兆3、000億円規模でした。重点と言うのだから、これを上回る規模が想定されますが、その点での情報はどうなのか。
 あと、グリーン/ブルーボンドの実績と活用のあり方について示してください。
〇内城人事課総括課長 まず、私から1点、会計年度任用職員の経験年数、社会人経験6年以上の職員が約9割を占めるというのは、御指摘のとおりでございます。
 それから、先ほど答弁いたしかねましたボーナスの関係でございます。金額の資料はありませんので、支給月数で申し上げますと、今、手元にある資料で、平成9年は5.25月分でございますが、令和4年度につきましては4.40月という状況になっているところでございます。
〇佐藤財政課総括課長 二つございました。まず、物価高騰対策ですが、斉藤信委員から御指摘のありました交付金の内示については、現時点で具体的な情報は示されておりません。いずれ、国において検討が進められていますので、県としても、これと連動して生活者支援、事業者支援の各事業について、早急に予算化を検討していきたいと思います。
 それから、グリーン/ブルーボンドの実績については、本年7月に50億円を発行しました。調達した資金については、第三者機関により評価を取得した岩手県グリーン/ブルーボンド・フレームワークに掲載された事業に充当することにしています。
 具体の充当先、充当額については年度末に整理するものですが、具体的には、気候変動対応のための河川改修、三陸海岸における海洋と海岸の保全強化に資する事業等に活用する予定です。
〇内城人事課総括課長 申しわけございません。先ほど答弁できませんでしたボーナスの金額の部分でございます。
 平成11年のボーナスの額が223万9、000円となっているところ、令和5年度の額で見ますと174万9、000円ということで、約49万円の減となっているところでございます。
〇佐々木宣和副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木宣和副委員長 質疑がないようでありますので、これで総務部関係の質疑を終わります。
 総務部の皆様は退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、政策企画部関係の審査を行います。
 なお、上和野理事は療養のため欠席となりますので、御了承願います。
 政策企画部長に政策企画部関係の説明を求めます。
〇小野政策企画部長 令和4年度の政策企画部関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、政策企画部所管の事務事業に係る総括的な評価及び今後の取り組み方針について御説明いたします。
 まず、いわて県民計画(2019〜2028)の推進につきましては、各部局と連携し10の政策分野やプロジェクトに掲げる取り組みを着実に進めるとともに、いわて幸福白書2023の作成など計画に対する理解醸成を図り、県民の積極的な参画、協働の促進に取り組みました。
 次に、広報関係についてでありますが、復興に取り組む岩手県の姿や岩手県の魅力を県内外に発信し、震災の記憶と教訓の伝承につなげるとともに、復興への継続的な支援や岩手ファンの拡大を目指す取り組みを進めました。
 さらに、新型コロナウイルス感染症対策に係る周知、広報として、新聞、県広報誌等、各種媒体での県民への情報発信を行いました。
 今後の業務推進に当たりましては、第2期アクションプランのもと、政策評価制度に基づく各施策の成果や課題等の分析、施策への反映などにより効果的な政策推進に努めます。
 また、震災からの復興の状況や岩手県の持つ価値や魅力を県内外の人々と共有するため、積極的かつ適時適切な広報の展開を目指してまいります。
 こうした取り組みを通じて、各部局とも密接に連携を図りながら、いわて県民計画(2019〜2028)の基本目標である東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわての実現を目指してまいります。
 続きまして、当部関係の決算について御説明申し上げます。
 資料、岩手県歳入歳出決算書の18ページと19ページをごらん願います。政策企画部に係る決算は、2款総務費2項企画費の一部であり、予算現額の総額13億5、203万円余に対する支出済額12億9、546万円余のうち、7億8、382万円余となります。
 決算の内容につきましては、令和4年度歳入歳出決算事項別明細書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で政策企画部関係の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇佐々木宣和副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇臼澤勉委員 それでは、私から、令和4年度の政策企画部の取り組みの評価と課題についてお伺いしたいと思います。
 今定例会においても、人口減少対策で各委員からさまざまな御質問がありました。残念ながら、出生率の減少率も13.8%と全国ワースト1位、あるいは婚姻件数の減少率も10.5%と全国ワースト3位。社会減についても4、373人と全国ワースト11位ということで、決して思うような成果は出ていないと、厳しい見方をすると我々はそう捉えているのですけれども、政策企画部の令和4年度の組織としての評価あるいは課題についてお伺いしたいと思います。
〇小野政策企画部長 政策企画部は、令和2年度の組織再編によりスタートいたしました。本年度で4年目となります。私も後半の2年間、政策企画部長として担当しておりますが、令和元年度に策定いたしましたいわて県民計画(2019〜2028)の第1期アクションプランの推進、そうした中での新型コロナウイルス感染症の発生、そして、やはり重要な人口減少対策の推進、昨年度でございますが、第2期アクションプランの策定、推進と取り組んでまいりました。
 新型コロナウイルス感染症対策や物価高騰への対策、また、何より人口減少対策に当たって重要なことは、部局連携、分野横断といった取り組みが不可欠となっております。例えば、社会減対策、自然減対策にしてもそうですけれども、個々の部局が行うもの、そこをうまくつなげて、全体としての人口減少対策を進めていくことが重要でございます。ここが課題でもあり、当政策企画部が担っている役割と考えております。
 こうしたことから、第2期アクションプランのもと、さまざまな環境変化を踏まえまして、幅広い御意見、県庁全体の政策推進エンジンたるべく、部局横断の取り組みをしっかり務めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 令和2年度に組織化されるその前の年の令和元年12月県議会定例会で、我が会派は、政策企画部の新たな組織化に対して反対討論をさせていただきました。あのときは、まず、平成22年に総合政策部と地域振興部が再編されて、政策部門と実行部門を一体化したような組織で政策地域部がスタートしていたと。我々の受けとめ方は、その10年間の検証も不十分なままに、あえて知事直轄のところに政策部門を強化していくということで、政策部門と実行部門をまた分離したような形で政策企画部が設置されたということでしたが、多分、実効性の面でうまく回らないのではないかという懸念をしておりまして、あのとき、我々会派では反対討論をさせていただきました。
 先ほども幾つかの指標の例を挙げさせていただきましたけれども、先ほど小野政策企画部長が答弁しましたとおり、まさに政策を立案して、それを実行させていくということ、それは、県のCFTとか、さまざまなクロスファンクショナルチームも設立しながら、さまざま兼務発令しながらやっていたりする御努力は認めます。
 一方で、市町村との連携、あるいは現場の広域振興局の体制、ここが本当にどうなのかというようなことは、これまでの議会でもいろいろと議論させていただきました。
 令和4年度の決算ですから、改めて、政策企画部のそこら辺の反省というか、こうやればよかった、もっと成果が出たなというようなところがあれば、お聞かせいただければと思います。
〇小野政策企画部長 私も平成12年、当時の企画振興部におりまして、平成13年から総合政策部、また、平成22年から政策地域部。そしてまた、今回、令和になりまして政策企画部ということで来ておりますけれども、やはり臼澤勉委員お話のように、それぞれの組織に課題、特徴、いいところもあると思っております。
 当政策企画部という形で、ある意味、知事の直轄というところで、知事のさまざまな考えを踏まえまして、政策評価、分権、あと、広聴広報もそうですけれども、そこで仕事をしていくのですが、やはり重要なのは、そこを各部局につないでいくということです。
 そういうこともございまして、当部は、私、副部長以下、フットワーク軽く、余り予算等もございませんので、とにかく足を使って各部局を歩いて回って、その連携をやっていくというところが重要と考えております。
 先ほど委員からもお話がございましたけれども、人口問題対策本部を、いわてで働こう推進本部といわてで生み育てる支援本部をうまくつなげる形でやっております。
 ただ、まだ社会減、自然減対策のところは、頑張ってさまざまな取り組みはしているのですけれども、その効果があらわれていないというところは認めざるを得ないといいますか、しっかりそこを踏まえて、さらに取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 そういう気持ちはわかります。ただ、やはりEBPMとか、そういうデータに基づきながら政策立案をし、そして仮説を立てながら事業化して、それを検証して、これは成果が上がるのか上がらないのか、まさに社会減ゼロという大きな目標、そして出生率も数値を具体的に持っております。
 私は、この前の組織再編においても、なぜ調査統計部門がこの政策企画部にインクルードされないのかと。まさにそういうデータを活用し、その中で分析をしながら、具体的に政策を提案し、各部局と連動しながら進めていくという意味で、何か片手落ちのような気がしておりました。
 これから組織再編も次年度に向けての検討がいろいろ進められると思いますけれども、私は、まさに調査統計部門あるいは統計アナリストの活用というか養成も含めて、大学あるいは民間のシンクタンクなどとも連携しながら、他県の取り組みも倣いながら進めていっていただきたいと思います。
 第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の2年先送りの話もありました。これは、本当に今定例会においてもいろいろ議論が出ておりますけれども、取り組み、達成状況などを検証せずに2年先送りするのは、ここは本当に見直すというか踏みとどまりながら、国が持っている計画の東京圏と地方との均衡と岩手県の持つ社会減ゼロの目標は、私は似て非なるものだと思います。2年先送りすることについて、踏みとどまるというか見直すのかどうか、改めてお聞きしたいと思います。
〇加藤政策企画課総括課長 社会減ゼロの目標についてでございますが、先ほど委員から、国の地方と東京圏との転入・転出を均衡と本県の社会減ゼロは少し違うのではないかというお話がございました。実は、令和元年の岩手県人口ビジョンの改定時に、本県から東京圏への転出状況を見ますと7割でございまして、かつ、本県が社会減ゼロが最低でありました平成7年、329人のときは、東京圏への社会減はプラスとなっておりました。
 そういうところも踏まえまして、本県では平成27年、一番最初に第1期ふるさと振興総合戦略を掲げたときから、国の目標に呼応してというところを基本的な考え方としているところでございます。
〇臼澤勉委員 いずれ、東京一極集中とよく知事も答弁されますけれども、皆様がそういう答弁を書かれますが、我々が訴えているのは、岩手県の社会減は、東京圏にだけ行っていないよねと。今7割と言いますけれども、関東圏なり東京圏は約半分ですよ。そして、東北地方、北海道が3割、残りがその他の地域ということで、特に4広域で見れば、隣の宮城県、あるいは青森県というところで、まさに東北地方への集中、あるいは、この前も代表質問で言いましたけれども、宮城県は、7年ぶりだったでしょうか、社会減ゼロということです。その社会減ゼロも、岩手県からの人が流れて社会減ゼロを達成している要素もあるわけでございます。
 そういう意味でも、国の人口減のスピードより我が県のスピードの減少幅はもう2倍の速度であるという危機感の問題意識の捉え方、これは、国と全く同じレベルで持ったら手おくれになる、そこは多分共通認識だと思いますので、ぜひ、ここの部分についてしっかりと問題認識を共有したいと思います。
 そして、この岩手県人口ビジョンの達成、2040年に100万人程度の人口を確保するということで2015年に岩手県人口ビジョンを策定しておりました。これは実態ともう大分乖離しているのではないかと思いますが、県の御認識、あの4パターンのどのパターンに今近づいているのかお伺いします。
〇加藤政策企画課総括課長 岩手県人口ビジョンにおける2040年の100万人程度の人口の確保についてでございますが、現行の岩手県人口ビジョンでは、2024年に社会減ゼロ、2040年に合計特殊出生率2.07の前提を踏まえまして、平成27年国勢調査の人口を起点に県全体の将来人口を推計しているものでございます。
 この推計につきましては、近年、首都圏の有効求人倍率が本県を上回る中で、新型コロナウイルス感染症あるいは物価高騰などがございまして、合計特殊出生率が低下している、あるいは東京一極集中が再加速しているところもありまして、なかなか当初の見込みより厳しいものと見ております。
 実際、岩手県人口ビジョンのグラフを眺めましても、2020年、この間の国勢調査でありますが、そこは120万人を少し上回るグラフになっておりまして、そこは、2020年国勢調査を見ましても121万人ということでございますが、これから先を見ますと、2025年には120万人を大分割り込むような見通しとなっております。今の厳しい見通しもありますのに加えて、一番上のよいパターンで行っても、2025年は少し厳しい見通しになるかと見ているところでございます。
〇臼澤勉委員 出生率についても、2021年、1.21と過去最低、そして、社会減もなかなか歯どめがかからない状況。多分今の時点で推定できると思うのですけれども、最悪で、2040年、96万人程度まで減少するペースに傾向としてあると思います。ですから、ここ数年の間の取り組みが非常に重要になってくるということであります。
 それで、いずれ若者、女性の社会減対策あるいは合計特殊出生率の効果的な取り組みについて、先ほど来言いましたEBPMの取り組みをしっかりとやるべきだと思います。
 今回の対策本部でも、丁寧に分析はされていると思うのですけれども、分析で終わってはだめだと私は思うのです。ある他県の例では、自然減の対策で、女性の婚姻年齢を1歳引き下げると希望出生率が0.14人増加するといった分析結果に基づいて、早期結婚するような支援制度を立ち上げたとか、あるいは既に取り組んでいるさまざまな子育て支援対策の認知度が上がると希望子供数がプラス0.1から0.7上がるとか、こういう分析、仮説を立てて、認知度向上対策などの取り組みまでやることが、実際のEBPMだと捉えております。
 ぜひ、そういう取り組みをさらに踏み込んでいただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
〇小野政策企画部長 今、臼澤勉委員からお話しいただきましたEBPMに基づいて人口減少対策をしっかり組んでいくようにということで、私どもとしても考えを同じにするものでございます。
 今年度、新たに有識者、大学の先生ですけれども、政策分析アドバイザーという形でお願いしておりまして、その方はまさにデータサイエンスのプロでございます。そういう方に分析の手法、解釈の仕方を含めてさまざま御指導いただきながら、人口減少対策、分析等を進めているところでございます。そういう力もさらにおかりしながら、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
〇臼澤勉委員 国でも、EBPMの取り組みに対する自治体へのさまざまな支援も行っていますし、あるいは岩手県立大学の活用といった部分をしっかりと、これまでできなかったところをどうやるかというところを踏まえて、取り組んでいっていただきたいと思います。
〇佐々木努委員 私からは、県などが発出する宣言やメッセージなどの取り扱いについてお聞きしたいと思います。
 初めに、宣言の意義とここ10年の宣言の発出状況、その効果について、簡単で結構ですのでお聞きします。
〇加藤政策企画課総括課長 宣言の意義についてでございますが、一般に、政策の手段には、条例による規制など権力的な手段、補助金など経済的な誘因の提供、広報、PRなどの情報の提供のほか、物理的制御あるいは直接サービスの提供の類型がございます。宣言の政策的な意義としましては情報の提供にあると考えております。
 また、県や県が主体的に参加している団体が出している宣言については、当課で把握している分のみとなりますが、東日本大震災津波発災以降、平成23年4月のがんばろう!いわて宣言を初め、20件弱となっております。
 また、効果でありますが、広辞苑によりますと、宣言は、個人や団体・国家などが、自己の主張や考えを外部に表明することとありまして、県や団体が考えや主張を明らかにすることで、宣言を行った主体が、まず宣言にのっとった行動を行うことで、県内の住民、企業、団体の関心を高め、理解と参画を促すといった効果があるものと考えております。
〇佐々木努委員 宣言を出す場合と知事がメッセージとして出す場合とあるのですが、状況に応じてそれは違うと思うのですが、その違いは何でしょうか。
〇加藤政策企画課総括課長 いずれも政策的な意義としては情報の提供にあるものと考えております。
 ただ、その内容につきましては、佐々木努委員御指摘のとおり、宣言につきましては、その県や団体が考えや主張を明らかにすることで、その宣言を行った主体が、まず宣言にのっとった行動を行うと。それを通じて、県民や企業、団体等の関心を高め、理解と参画を促すことに対しまして、知事メッセージにつきましては、知事が県民に向けて、直接、何らかの行動を促す呼びかけであると考えております。
〇佐々木努委員 どちらも最終的には県民に向けての意思なり行動を知らしめる意識を醸成するためのものだということで、私も同じ認識ではおりますけれども、資料をいただいて、改めて見直しました。私も随分忘れているものもあったので見直しましたが、本当に恥ずかしいのですが、全く記憶にないものも半分ぐらいありまして、これはなぜかなと私も考えたのです。
 もし、発出した直後に新聞等に載る、あるいはテレビなどでマスコミが取り上げればの話ですけれども、取り上げたときに初めて目にする、あるいは議会の中でたまたまタイムリーに、発出後に何か委員会等があったとか本会議があったとかというときに、改めて確認ができるというものが実は多かったのではないかと思います。
 それで、私は隣のハクセル美穂子委員にも見せて、どのぐらい知っているかと聞いたら、私と同じような認識でありました。ということは、県民の方々がどれだけこの宣言やメッセージを理解しているのかということ。我々よりも県民の方のほうがもしかしたらわかっているということもあるかもしれませんけれども、普通に考えれば、県民の方々にこのメッセージや宣言が届いているかというのは、私は非常に不安に感じたというか疑問に感じました。
 それで、その周知の仕方に何かルールがあるのでしょうか。政策企画部では、ほかの部署は完全に把握しているわけではないということを前段にお話しいただいた上で私にも資料が来たのだと思いますし、二重の宣言ということだと思いますが、周知のルールは何かあるのでしょうか。
〇加藤政策企画課総括課長 宣言、メッセージにつきましては、佐々木努委員御指摘のとおり、何か課題があったときに即時にタイミングよく出して、影響力のある団体の長等が対外的に明らかにすることで関心を高める効果があるものと考えております。
 その宣言やメッセージにつきまして、その周知方法になりますと、実施主体あるいは対象者が少し異なっておりまして一概には言えないのですが、基本的に、知事メッセージなどにつきましては、県のホームページあるいは広報媒体の活用、新聞紙面広告の掲載、関係団体への周知等により情報発信に努めているところでございます。
〇佐々木努委員 先日の岩手県人口問題対策本部会議の知事メッセージについては、私はテレビのニュースを見なかったので、翌日の新聞で何かメッセージが発出されたのだなということでわかったわけであります。もちろんそういうものについて、我々にも周知はされておりませんし、もしその新聞も見落とせば、完全に認識から外れてしまう。実は、私ももっと気をつけなければいけないと思ったわけであります。
 そのメッセージの中にも非常に重要なものが幾つも入っているわけです。今回の岩手県人口問題対策本部会議の知事メッセージですね。例えば企業に対して、しっかりと若者が活躍できるような企業の協力をもらいたいというものとか、県民に対しても、みんなで醸成していきましょうというものが盛り込まれているにもかかわらず、果たして企業の方々にこのメッセージが届くのかと考えたときに、このメッセージを出したことには意義があるかもしれませんが、この効果が本当にあらわれるのだろうかと思ったのです。
 その周知の仕方等に間違いはなかったのかどうか、もっと別な方法、手段で、県民にしっかりと知事の考えなり、本当に大事なことですから、大事なことが入っていますから、そういうものを伝えることができなかったのか、改めて認識を伺いたいと思います。
〇小野政策企画部長 今、共同宣言あるいはメッセージについて委員からお話を頂戴いたしました。先ほど政策企画課総括課長が答弁させていただきましたが、このメッセージは、県民の皆さん、企業、事業者の皆さん、さまざまな団体の皆様に届くことが、そして、行動に移していただく、あるいは御理解いただくことができて初めて、その目的が達成されると思っております。
 まず、メッセージを発出することが一番いいかということもございますし、さまざまなツールあるいは手段があると思います。どの手段をとることがいいのかについて、改めて全庁の中で、さまざま部局長が集まる会議がございますので、こういうものについてPRするのであれば、それがしっかり届くようにやっていきましょうと。
 それから、これは企業の皆様もそうですし、議会の議員の皆様、さまざまなところで、県でこういうものを出したのだと言われて、おいおいという話が出てきたら、これは大変申しわけないことだと思っております。メッセージにはさまざまな種類がございますので、いろいろなものがあるということですけれども、基本的な考え方として、議会の皆様とここはしっかり共有するような形で、これは徹底してまいりたいと思います。
〇佐々木努委員 よろしくお願いします。特に、市町村には丁寧にやっていただきたい。市町村が知らなかったなどということが絶対ないように、よろしくお願いしたいと思います。
 それぞれの部署で、その状況に応じて宣言なりメッセージを出すのは、やり方としてはいいかもしれませんけれども、どこかでしっかり管理するところがあってもいいと思うのです。いつ、どこで、どういうメッセージや宣言が出されたかをきちんと、我がほうで把握しているところではという答弁ではなく、やはりこれは政策的なものですから、しっかりと管理をする。
 そして、例えば自殺予防宣言とかが以前に出されましたけれども、宣言を出したときは、ワーストワンになっていて非常に厳しい状況だった。今もその状況は実は変わっていなくて、宣言の意義が果たしてどうだったのかとか、そのときの県の考え方とか思いがしっかりと今も県民に伝わっているのかとか、時間がたつと宣言の意義もだんだん薄れてきて、忘れ去られてしまうということもありますので、その辺の検証も含めて、次にどうつなげていくかということも考えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 それから、代表質問のときもお話ししましたが、全国トップクラスの子育て支援策だという話をされて、私は、それならトップになるぐらい頑張ったほうがいいのではないかと。子育て環境日本一の県にする宣言等を出して、県民一体となって頑張っていこうという宣言をしたらどうかという提案もさせていただきました。
 ぜひ、政策担当には、トップクラスの子育てだからそれで終わりということではなく、私は全然トップクラスだと思っていませんが、本当にトップクラスになったと自信を持って言えるのであれば、県民の方々が、子育て中の方々が、岩手県に来てよかったとか、岩手県で子供を産んで、育ててよかったと思っていただける状況をつくっていくことが、私は、本当にトップクラスだと自信を持って言えることになるのだと思います。
 ぜひ、日本一を目指す宣言を政策企画部にやっていただいて、それに向けて各担当部が協力し、そして、市町村と県民と企業の力をおかりして、そういう県になるようお願いしたいと思います。改めて政策企画部長にお聞きして、終わりたいと思います。
〇小野政策企画部長 岩手県といたしますと、今年度当初予算をもちまして、全国トップクラスの子育て支援対策といったことで取り組みを進めております。
 岩手県人口問題対策本部会議の中で、来年度に向けても、特に女性の皆さんの活躍あるいは生きやすさというところを重視しながら、来年度予算を立てていきたいと今各部局で検討を進めているところでございます。それも含めて、さらにトップクラスの取り組みを進めてまいりたいと思います。結果として、それが全国一と言われるような取り組みになれば、これは本当に岩手県が誇れることだと考えております。頑張ってまいります。
〇高橋穏至委員 私から2項目通告しておりました。総合計画の進捗管理について、総合計画推進費792万円余、それから政策評価推進費651万7、000円余、これらの事業の内容と戦略的政策形成調査費94万8、000円余について通告していました。先ほどの臼澤勉委員の質問でもありましたとおり、要は、総合計画の進捗管理のやりとりの中で、なかなかない予算の中でという話があったのですが、これらの予算はどういう形の事業と結びついているのか質問します。
〇加藤政策企画課総括課長 いずれも政策企画課が所管している予算となりますが、総合計画推進費につきましては、いわて県民計画(2019〜2028)を総合的かつ効果的に推進するための経費でありまして、令和4年度におきましては、岩手県総合計画審議会の開催による第2期アクションプランの策定に係る審議、また、いわて幸福白書2023の作成、配布による幸福度のトレンド、県の施策、今後の方向性等についての県民への周知を行っております。
 また、政策評価推進費につきましては、政策評価等の実施に要する経費でありまして、令和4年度におきましては、今定例会でお配りしました主要施策の成果に関する説明書の作成のほか、県民意識調査の分野別実感の変動要因を把握するための補足調査、あるいはワークショップの開催、政策評価委員会や県民の幸福感に関する分析部会等の開催に要する経費となっているところでございます。
 また、戦略的政策形成調査費でございますが、こちらは、県民ニーズに対応した効果的な施策、事業の実施に向けて、社会経済情勢の変化等により発生する課題あるいは部局横断的な県政課題の調査、検討を行うための経費でありまして、令和4年度におきましては、外部講師を招いての職員向けの政策勉強会、あるいは岩手県版リバースメンターという、県内在住の若者あるいは県外の岩手県ゆかりの若者が、メンターとなりまして県の幹部へ助言するといった、まだ試行的なものですが、こういうものを行ったところでございます。
〇高橋穏至委員 この経費の中身はわかったのですが、やはり大事なのは、進捗管理によって成果をしっかり出して、目標を達成させるためにどうしたらいいかということになろうかと思います。これまでの予算審査、決算審査の中でも指摘しているのですが、幸福関連指標、特に出生率とか人口減少に対するものは、事業はA評価、B評価が多いけれども、結果、幸福指標はD評価。要は、やっている事業がなかなか成果に結びついていないのではないか。指標の設定が本当にいいのか、あるいは目標値そのものが適当なのかということになるかと思うのですが、その辺の活動とか成果指標との関連の中で、課題の捉え方、これをまずしっかり分析することが戦略だと思うのですけれども、そういったものはいかがでしょうか。
〇八重樫評価課長兼調査監 いわて幸福関連指標の達成度が低い分野でございますが、健康・余暇、居住環境・コミュニティとなっておりまして、健康・余暇分野におきましては、いわて幸福関連指標9指標のうち、生涯学習に取り組んでいる人の割合など6指標、67%の達成度がDとなっております。
 また、具体的推進方策指標は、69指標のうち、達成度C、Dは28指標、41%、事務事業の活動内容指標は、全体の18%、成果指標は31%が達成度C、Dとなっております。
 これらにつきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う外出自粛の影響などによりまして、いわて幸福関連指標の実績が低い一方で、具体的推進方策指標におきましては、令和3年度の見直し、事務事業評価におきましては、毎年度指標を設定するものであることから、ある程度、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえたものとなっておりまして、幸福関連指標の達成度と差が生じている要因の一つと考えております。
 次に、居住環境・コミュニティ分野におきましては、いわて幸福関連指標5指標のうち、文化・スポーツ施設の入場者数など4指標、80%が達成度C、D、具体的推進方策指標におきましては、38指標のうち6指標、16%、活動内容指標は全体の6%、成果指標は24%が達成度C、Dとなっております。
 これらにつきましても、新型コロナウイルス感染症による影響が見られたところですが、健康・余暇分野と同様に、いわて幸福関連指標に比べて、具体的推進方策指標などは達成度が高い状況となっております。
〇高橋穏至委員 具体的な数字はよかったのですが、要は、関連性をどう捉えているか、具体的な内容についてはまたほかの部局でもそれぞれに質問したいと思っていますが、予算特別委員会でも言ったのですけれども、そもそも成果指標の活動指標とかはどうやってこの目標を設定されていますかと質問したところ、これまでの実績によって設定していますという答弁があったわけです。できる数値で目標設定していれば、それは達成できて当たり前であって、でも、目的としているところにはたどり着けないのだろうと思います。
 今回は政策分析アドバイザーの方にも入っていただくようですので、しっかりとそこら辺の関連指標を結びつけられるように取り組んでいただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
〇佐々木宣和副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後4時2分 休憩
午後4時21分再開
〇佐々木宣和副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 それでは、最初に達増県政の評価についてお聞きしたいと思います。
 一番の評価は、さきの知事選挙だったと思います。知事選挙では10万4、000票の大差をつけて5期目の当選を果たしました。33市町村中、28市町村で達増氏が勝利。私は、達増県政、岩手県政の実績と政策が評価されたと思います。
 特に実績で県民が評価したのは、私から言わせれば、一つは、この間、戦後最大の大災害、東日本大震災津波の復興の取り組みで、被災者の医療費免除を11年継続して実施したこと、さらには、心のケアの取り組みは今でもしっかりした体制で継続し、10年たってからは、被災者支援センターを設置して、最後まで被災者の生活再建を支援する、こうした全国に誇る取り組みが評価されたのではないか。
 子育て支援では、全国トップクラスの子育て支援、これは第2子以降の保育料の無償化、在宅育児支援、実はこの二つを一緒に取り組んでいるのは岩手県だけです。だから、全国トップと言ってもいいのです。そういうものを思い切って市町村と一緒に取り組んできたというのも、高く評価されたのではないか。
 昨年、ことしと物価高騰が県民の切実な課題になりましたが、昨年は5月、ことしは4月28日、全国に先駆けて物価高騰対策を打ち出した。こうした全国の中でも本当に評価される取り組みが県民に評価されたのではないかと思いますが、達増県政の評価された実績を担当課としてどう受けとめているか示してください。
〇小野政策企画部長 達増知事が就任した平成19年以来、岩手県が直面する危機を希望に変えていくため、いわて希望創造プラン、いわて県民計画、いわて県民計画(2019〜2028)などの計画に基づき、県政の諸課題に取り組んでまいりました。
 その結果、1人当たり県民所得については、ものづくり産業の集積などの総合的な産業振興を進め、平成19年度は国民所得の77.3%、全国で39位でありましたが、令和2年度は国民所得の89.2%、全国32位まで上昇、有効求人倍率についても、平成19年度の0.70倍から令和4年度は1.32倍まで上昇、医師確保につきましては、医学部定員や奨学金養成医師の拡大などの施策を講じた結果、10万人当たりの医師数は、全国順位は低位となっておりますが、平成18年度の186人から令和2年度は223人に増加するなどの成果があらわれております。
 一方、人口減少対策につきましては、合計特殊出生率、社会増減などにおいて取り組みの効果が十分に発現するには至っておらず、さらなる取り組みが必要と考えております。
 この間、数次にわたる台風や地震被害、東日本大震災津波という未曽有の大災害、そして、先般のコロナ禍など、当初想定し得なかった事態に見舞われることも多々ございましたが、その都度、県民の御理解をいただきながら臨機に必要性や優先度を見きわめ、県政を推進してきているものと認識しております。
 今後も、県として復興関連の施策を確実に推進させるとともに、県民生活や地域経済に大きな影響を与えているエネルギー、物価高騰対策や人口減少の進行などの喫緊の課題に取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 極めて正確というか実務的な答弁でありました。
 私が冒頭に述べたのは、全国と比べて達増県政がどうすぐれた取り組みをやったかということ。こういう角度でないと達増県政の評価というのは、わかりやすくならないのです。それは私の評価ですから。県民はそこをしっかり評価した結果だったと私は思います。
 次に、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにかかわって、人口減少対策で、知事は、若者の所得を上げると。私は、これは大変大事な提起だと思います。具体的にどう若者の所得を上げる取り組みを行うのか、今検討している中身でいいので示してください。
〇荒澤政策課長兼調査監 若者の所得を上げる取り組みについてでありますが、本県の人口減少は、有配偶出生率の低下による自然減と、10代後半から20代前半の就職期に当たる若年層の転出による社会減が大きな要因となっていることから、子育て世代の所得の向上と若者、特に女性の県内定着を図ることが重要と考えております。
 このため、若者の所得の向上に向け、自動車や半導体関連産業を中心とした産業集積や高度化、地域資源や特性を生かした産業振興など産業全体の底上げを図ってきたほか、いわてで働こう推進協議会、いわて女性の活躍促進連携会議などを中心として、官民一体で、魅力ある雇用環境の構築やトップ層の意識改革などに向けた企業への働きかけ、就職情報マッチングサイトによるマッチング支援などに取り組んできました。
 この結果、高卒者県内就職率の向上やU・Iターン就職者の着実な増加等につながっており、本県の10代後半の正社員の年収中央値は、全国平均を上回る水準となっています。
 さらに、先般開催した岩手県人口問題対策本部会議において、女性が活躍できる多様な雇用の場の創出、若年層を初めとした所得のさらなる向上などの今後の施策の方向性を確認したところであり、来年度以降の取り組みに向けて従来の取り組みを一層強化、拡充するとともに、ワーク・ライフ・バランスに配慮した働き方改革、デジタル技術等を活用した柔軟で多様な働き方の普及や、性別や年齢に基づくアンコンシャスバイアスの解消、若者や女性が生き生きと活躍できる環境づくりなどの観点を重視しながら、効果的な事業の検討を進めてまいります。
〇斉藤信委員 次に、全国都道府県で人口減少を食いとめている岩手県と同規模の県の取り組み、どういう県があって、その取り組みに学ぶべき教訓は何か、こうした検討はされているでしょうか。
〇荒澤政策課長兼調査監 同規模の県の取り組み、学ぶべき教訓などの検討についてでありますが、東北各県の合計特殊出生率を見ますと、2015年前後の直近ピーク時と比較して0.16ポイントから0.32ポイント低下し、令和4年の出生率が1.09から1.32の間におさまっているなど、本県と同じような動きとなっています。
 また、出生率は全国的に西高東低の傾向が見られ、その背景には男女の働き方などがあるとの国の分析結果が示されています。
 社会減の要因としては、本県の有効求人倍率は近年1倍を超えて推移しているものの、東京圏の有効求人倍率がさらに高い傾向にあり、東北圏と東京圏の交通の便による近接性も相まって、本県を含む東北圏出身者が東京圏に転出し、東京一極集中が顕著となっていると認識しています。
 こうした状況から、地域ごとに実情や課題等は異なりますけれども、今年度スタートした全国トップレベルの子ども子育て施策の立案に際しては、福井県の取り組みを参考にしたほか、本年5月に東北6県で人口減少対策に係る特徴的な施策について情報交換を行うなど、条件の近い東北各県を初め、全国各地の取り組み事例を参考にしながら、さまざまな施策を立案しているところです。
 引き続き、他県の事例もベンチマークしながら、官民一体での魅力ある雇用環境の構築やトップ層の意識改革などに向けた企業への働きかけなど、働き方改革に向けた県独自の対策を進めるとともに、地方の社会減の大きな要因となっている東京一極集中の是正に向け、地方を重視した経済財政政策の実施など、国による抜本的な対策を一層推進するよう、国に強く求めていきます。
〇斉藤信委員 ぜひ多角的に、岩手県の実情だけではなくて、私たちが学ぶべき他県の取り組みがあれば、しっかり生かしていくという形で全国的な分析もしていただきたい。
 そこで、実は、私はかなり地域性があるということもあるのだと思います。経済力とかそういうものが同等でも、地域性によって違いも出てくるのではないかと思っています。
 地域性に限らず、全国的に今、人口減少が進んでいるのが一番の問題だと思います。特に特徴的なのが、昨年は全都道府県で自然減なのです。これは沖縄県が統計をとってから初めて自然増から自然減になった。だから全都道府県で自然減。
 社会増は東京一極集中なのだけれども、宮城県も東京都も、ふえているところの自然増というのは逆に少ないのです。だから、そういう意味でいけば、社会増になっていることが全部うまくいっているわけではない。そういうことも私たちはしっかり見定めなければならない。
 しかし、全体として人口減少に歯どめがかからない根底に失われた30年、経済が停滞し、暮らしがますます大変になっている。これは岸田首相もきのうの所信表明で認めました。コストカットの30年、賃金を減らし、社会保障も切り捨ててきた。まさに、このコストカットの30年が失われた30年になってしまった。
 その根本的な転換が今求められているのではないか。その土台が今崩されているわけですから、この土台を再構築しながら、地方は地方で努力することが本当の筋道ではないか。政策企画部長にその見解をお聞きします。
〇小野政策企画部長 決算特別委員会の総括質疑で知事から答弁申し上げましたとおり、税や社会保障、高等教育などの負担増については国として対応が必要な分野であることから、今後も、全国知事会等と連携しながら、国に対し大胆かつ強力な財政出動、それから、地方重視の行財政政策の必要性の提言等をしっかり行っていく必要があると考えております。
 また、賃上げにつきましては、全国的な経済の低迷がその背景にあるものの、県内企業の生産性の向上、高付加価値商品の開発などを通じ、県が後押しできる部分も多々あると考えております。
 また、食料、エネルギーの需給率につきましても、国全体で大きな課題でありますが、本県に着目すると、食料供給基地としての強み、全国トップクラスの再生可能エネルギーの可能性も有していると考えております。
 このため、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおきまして、商工業、観光産業、農林水産業、建設業を初めとしたあらゆる産業のDXの促進、化石燃料中心の経済、社会、産業構造をクリーンエネルギー中心に移行させるGXの推進を重点事項に掲げまして、具体的な施策を推進することとしております。
 予算においても、重点事項推進枠として事業の充実を図ることとしております。来年度につきましても、こういう基本的な考え方に基づきまして、失われた30年と言われておりますけれども、地方としてできることをしっかりやっていくという観点から、引き続き取り組みを強化してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 最後にしますけれども、私は、最初に述べたように、若者の所得を上げることがキーポイントになると思っています。県の方針でも、若者や女性に魅力のある労働環境の構築と。全体としてはまだまだ不十分でも、県内に若者、女性に魅力のある職場は少なくなくあると思うのです。
 いわてで働こう推進協議会でも地元企業の認知度が低いのです。本当に若者、女性に魅力のある職場がこれだけあって、それをどう広げるか、これが大変重大な課題になるのではないかと思いますが、これについて聞いて、私の質問を終わります。
〇小野政策企画部長 今、委員御指摘のとおり、やはり若者、女性の皆さんが、さまざまな選択肢の中から岩手県を選んでいただける、自由な可能性の中から岩手県を選んでいただける状況をつくることが重要と考えております。
 いわてで働こう推進協議会、そして、いわて女性の活躍促進連携会議を中心といたしまして、官民一体となって魅力ある雇用環境の構築、トップ層の意識改革などに向けた企業への働きかけ、アンコンシャスバイアスの解消、こういった取り組みを重点と考えておりますので、来年度以降の取り組みに向けても、こうした従来の取り組みを一層強化、拡充するとともに、今申し上げましたような視点を重視しながら、効果的な事業の検討を進めてまいります。
〇佐々木宣和副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇菅原亮太委員 先ほど手を挙げるのを忘れまして、斉藤信委員には御迷惑をおかけしました。申しわけございませんでした。
 質問の時間をいただきましてありがとうございます。私からは、岩手県政広報事業費、広聴広報デジタル強化について質問させていただきます。
 この事業の内容につきましては、SNSなどによる効果的な広聴広報を展開するため、発信力向上に資する職員研修などを実施するほか、SNSを活用したアンケートを実施するという事業内容になっております。
 まず、発信力向上に資する職員研修などの実施について、その課題と成果について、どのようなものがあったかお伺いいたします。
〇菊地広聴広報課総括課長 適時適切に効果的な広報を実施していくためには、広報部門はもちろんでありますけれども、広報部門だけではなく、全庁的に職員の広報スキルを高めていくことが必要でありまして、令和4年度につきましては、その中でも、特に近年ニーズの高まっている動画の制作能力でありますとかSNSの運用能力等の向上を目的とする職員研修を実施いたしました。
 具体的には、岩手大学に御協力いただきまして、学生と県職員が協働でワークショップ形式による研修を実施し、その中では、県職員が実際に作成しましたユーチューブの動画を題材に、情報の受け手側の立場から具体的な改善点等を指摘いただくという研修の実施、あるいはツイッター社に御協力いただきまして、SNSを活用した情報発信のポイントを学ぶ研修等を実施しております。
 研修に参加した職員からは、実際の情報の受け手である学生からの具体的な御意見やSNSの専門家からの貴重な助言をいただいて、今後の所属での情報発信について大変参考になったなどの感想が出されたところであります。
 若年層を中心にSNSから行政情報を入手する方の割合が増加傾向にありまして、今後もそうした流れが続いていくことが予想される中、これまで以上に多くの職員が、インターネットやSNSの特性を十分に理解し、積極的かつわかりやすい情報発信を行っていく必要があると考えております。
 今後も、効果的な情報発信に関する研修を実施して、県全体の情報発信力強化に取り組んでまいりたいと考えております。
〇菅原亮太委員 続きまして、アンケート調査についてお伺いさせていただきます。
 アンケートについては、多分、県民に対するアンケートだと思いますけれども、SNSを活用したアンケートということで、どういうアンケートだったのか、また、そのアンケート結果はどのような結果だったのかをお伺いいたします。
〇菊地広聴広報課総括課長 先ほども少しお話ししましたが、若年層を中心に、行政情報をSNSから入手する方の割合が増加しているということで、県といたしましても、これまでX―旧ツイッターでありますとか、ユーチューブを活用した情報発信に取り組んできたところであります。これらに加えまして、昨年9月からは、LINEの岩手県公式アカウントの運用を開始しております。
 菅原亮太委員からお尋ねのありましたアンケートにつきましては、このLINEに装備されておりますアンケート機能を利用して試行的に実施したものでありまして、対象につきましては、県公式LINEアカウントに登録いただいた方になりますので、その中には、県内の方、県外の方いずれも含まれているものと考えております。
〇菅原亮太委員 先ほどLINEを活用したアンケートという答弁もありました。これまでも県で郵送式の設問によるアンケートや調査を行っていたと思うのですけれども、これからは、こういう若い人たちに向けた調査を行う上で、県民意識調査も含めて、LINEやグーグルフォームなど、いろいろな媒体を活用してアンケートの徴収、また発信、広報に取り組んでいただければと思っております。
〇佐々木宣和副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木宣和副委員長 質疑がないようでありますので、これで政策企画部関係の質疑を終わります。
 政策企画部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、復興防災部長に復興防災部関係の説明を求めます。
〇佐藤復興防災部長 令和4年度の復興防災部関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、当部所管の事務事業に係る総括的な取り組み状況と今後の取り組み方針について御説明いたします。
 当部では、いわて県民計画(2019〜2028)のもと、東日本大震災津波からの復興を着実に推進するとともに、自然災害、職の安全・安心等の危機事案への備えや事故や犯罪の少ない安全・安心なまちづくりなどに取り組んでまいりました。
 まず、復興推進関係についてでありますが、昨年7月に復興関連道路が全線開通するなど、ハード面で計画された事業の多くが完了したほか、伝承、発信の中核を担う東日本大震災津波伝承館は、本年8月に来館者数80万人を達成しました。
 一方、被災者の心のケアやコミュニティーの形成支援、物価高騰等により大きな影響を受けている事業者への支援など、引き続き中長期的に取り組むべき課題については、被災地の状況に応じ重点的に対応するなど、関係部局と連携を図りながら、第2期復興推進プランに掲げた安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生、未来のための伝承・発信の4本の柱に沿った取り組みを進めてまいります。
 次に、政策推進関係についてでありますが、災害対応力の強化に向け、防災DXを推進するとともに、本県最大クラスの地震、津波の発生を想定した減災対策について、昨年11月に沿岸市町村と地震・津波減災対策検討会議を立ち上げ、本年8月に報告書を取りまとめました。
 また、鳥インフルエンザへの対応については、民間企業と協定を新たに締結し、防疫作業を実施するなど、発生時に関係団体と連携し迅速に対応できる体制の構築に取り組みました。
 さらに、自転車の安全で適正な利用を促進するため、本年3月に自転車損害賠償責任保険への加入促進等を盛り込んだ自転車の安全で適正な利用の推進に関する条例を公布し、4月に施行したところです。
 今後も、各種取り組みを着実に推進し、自助、共助、公助による防災体制づくりや危機事案発生時の体制強化、安全・安心なまちづくりの推進に取り組んでまいります。
 続きまして、決算の概要につきまして御説明いたします。
 当部関係の令和4年度一般会計歳出決算は、お手元の岩手県歳入歳出決算書18ページと19ページであります。2款総務費のうち、1項総務管理費の一部、6項復興防災費、3款民生費のうち、2項県民生活費の一部、5項災害救助費、22ページと23ページに参りまして、12款公債費の一部ですが、これらの支出済総額は27億5、332万円余であり、翌年度繰越額は2億6、298万円余、不用額は7、158万円余となっています。
 決算の内容につきましては、お手元の歳入歳出決算事項別明細書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇佐々木宣和副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇菅野ひろのり委員 私からは、いわての学び希望基金について伺わせていただきます。
 いわての学び希望基金活用状況についてレポートを発行いただいていますが、令和5年3月、この寄附金の受け付け状況、総額105億円程度と記載がありますが、今この基金を募るときに、ふるさと納税による寄附も多い状況だと思っております。このいわての学び希望基金の受け付け状況を伺わせていただきます。
〇北島復興推進課総括課長 ふるさと納税によるいわての学び希望基金の受け付け状況についてでありますが、いわての学び希望基金は、平成23年度から令和4年度末までに2万7、488件、106億2、300万円余の御寄附をいただいております。そのうち、ふるさと納税分としては1万4、276件、9億5、100万円余となっております。
〇菅野ひろのり委員 東日本大震災津波から12年経過する中で、当時被災を受けた方々とそのお子さんが、いわての学び希望基金を活用しながら、安定的に子供たちの健やかな成長を継続して、しっかり担保していかなければいけないと思っております。
 ふるさと納税のふるさと項目の申出書を見ますと申請書のチェック項目の中に、いわての学び希望基金に活用というのが一番上に来たりしています。やはりこれは積極的に今後も後押ししていかなければいけないだろうと思っています。
 それで、やはり大事なのが、この活用をどうしていくか。過去の議会の会議録などを見ても、用途を広げたらどうだという内容等があるわけでありますが、今までの活用実績といわての学び希望基金の残高、今後どう取り組んでいくのか伺いたいと思います。
〇北島復興推進課総括課長 いわての学び希望基金の支出状況等についてでありますが、令和4年度末現在で、遺児、孤児への奨学金給付のほか、高校生に対する教科書購入費等の給付、児童、生徒の部活動への支援などで53億円余の事業に活用してきたところです。
 令和4年度末の残高は59億8、000万円余となっており、今後見込まれる活用額は、東日本大震災津波で親御さんを亡くされた子供たちへの奨学金給付や大学等進学支援一時金給付などで約52億円であり、基金残高の約9割が活用される見込みとなっております。
〇菅野ひろのり委員 その活用の中で、学費等の支援ということで奨学金等給付対象の給付金額があるのですが、例えば高校生は月額5万円、大学生は、自宅だと6万円、自宅外だと10万円という金額ですが、私は今回この資料を見ながら少し気になっている点が、物価高騰による学生への支援ということです。
 大学等進学支援一時金での大学進学、被災地通学支援等があるわけですが、中小企業者の状況を見ても、新型コロナウイルス感染症、そして物価高騰の影響があると商工労働観光部の調査でも約9割回答がある中にあって、ここら辺を緩和しながら、学生にも手厚くといいましょうか、環境に合わせながら対応してあげなければいけないのではないかと思っていますが、その辺の考えを伺いたいと思います。
〇北島復興推進課総括課長 基金の活用についてでありますが、今、菅野ひろのり委員御指摘のとおり、物価高騰等の社会経済情勢の変化等も踏まえまして、基金の活用についてはいろいろと検討していきたいと思っております。
〇菅野ひろのり委員 例えば、岩手大学であれば、令和5年7月、100円パンを渡したり、ほかの大学でも、朝食、夕食を出したり、どうしても学生が削るとなれば食費なのです。そういうところで、大学で100円の朝食を出したり、日本学生支援機構が、食費や文具費を出しているような大学等には最大100万円助成するということす。いずれ学生に対する物価高騰の影響における支援は拡充されてきていると思いますが、そういう学生の声を受けて行政で対応するというのは、なかなか少ない例ではないかと思っています。
 一方で、いわての学び希望基金を活用されている方は、岩手県の手厚いサポートがあって大学院生までこの基金で面倒を見ていただける状況であります。
 ですから、先ほど答弁いただきましたけれども、これは喫緊の課題ですから、具体的に踏み込んでいかなければいけないと思っていますが、もう一度、具体的な方向性あるいはそういう検討がなされているのかお伺いしたいと思います。
〇北島復興推進課総括課長 ただいま委員から物価高騰による学生への支援等のお話がございました。復興防災部といたしましては、被災された子供たちを取り巻く環境の変化を踏まえるとともに、この基金は、この基金の趣旨に賛同して寄附をいただいた方々の思いもきちんと考えて対応する必要があると思っております。
 寄附をいただいた方々に対しては、基金の活用状況をお知らせするために毎年発行している小冊子の送付とあわせて、基金活用に関するアンケート調査の実施、寄附者の来県時を捉えての意見交換ですとか、必要に応じて、寄附者を訪問して御意見を伺うことなども考えております。
〇菅野ひろのり委員 ぜひ、そういう御意見もいただきながら、学生たちの実情に応じた対応をとっていただきたいと思います。
 最後に伺いますが、令和5年度以降の執行の見込みはどのようになっているかお伺いいたします。
〇北島復興推進課総括課長 令和5年度以降の執行の見込みについてでありますけれども、遺児、孤児に対する奨学金の給付、大学等進学支援一時金給付など、約52億円を見込んでございます。
〇菅野ひろのり委員 最後と言いましたが、これは、残された基金59億円の中で52億円ということであれば、新しくふやすよりも、現段階の活用の計画のまま行くと大体消化されてしまう状況という認識でよろしいでしょうか。それを確認して、終わります。
〇北島復興推進課総括課長 令和4年度末の基金残高に対して、令和5年度以降の執行見込み額が約9割を占めているということでございまして、残り約1割となりますが、新しい事業を追加するですとか、今継続している事業の対象を拡充するといったことを考えております。
〇臼澤勉委員 私からは1点、岩手県消防学校整備基本構想についてお伺いいたします。
 公共施設等総合管理計画で、たしか平成29年に岩手県消防学校の劣化診断を行われていましたけれども、あのときは5年以内に改修が必要だということでしたが、5年以内というのは令和4年までになるかと思います。令和4年度決算ですので確認していきます。
 まずお聞きしたいのは、今の消防学校の耐震化の現状、安全性の御認識についてお伺いいたします。
〇田端消防安全課総括課長 消防学校の耐震化の現状等についてでございます。
 平成23年度に実施した耐震診断調査の結果では、震度6強の地震で倒壊する可能性は高くないとされておりますが、校舎1階及び2階の東西方向は、災害応急対策活動に必要な建築物及び多数の者が使用する建築物に求められる数値を満たしていない状況でありまして、直ちに耐震化等を行う必要性はないものの、速やかに対応について検討していくことが必要であると考えております。
〇臼澤勉委員 安全性の御認識についてお伺いします。
〇田端消防安全課総括課長 劣化診断等の結果に基づきまして、先ほど臼澤勉委員から5年以内対応が必要というお話をしていただきましたけれども、各ふぐあいといったものについては、随時改修、補修をやっており、今のところ大規模に行う必要が出てきていないということで、長い期間ではないのですけれども、当面、学生たちが利用できる状況にはあるかと考えております。
〇臼澤勉委員 劣化診断で5年以内に改修が必要だといった報告は、やはり私は重いものだと思いますし、そういうことも踏まえまして、現在、岩手県消防学校整備基本構想の検討状況なども進んできていると捉えております。
 今の検討状況、今後の予定についてお伺いいたします。
〇田端消防安全課総括課長 改修の検討状況と今後の予定についてでございます。
 現在の消防学校は、建築から49年が経過し、建物の老朽化、実践的訓練施設の未整備などを背景に、教育訓練に必要な施設設備の内容や規模を整理、検討するため、令和2年9月に岩手県消防学校整備基本構想策定委員会を設置して、本年3月に報告書を取りまとめたところでございます。
 この報告書では、複雑多様化する災害の現場での的確な判断力や対応力を養成できるよう、これからの消防学校に必要な機能、求められる規模、訓練施設の種類などが示されたところでございます。
 現在、この報告書の内容に加え、再整備に係る課題や整備のスケジュールなどを検討しているところでありまして、その後において具体の整備計画の策定を行っていくとしております。
〇臼澤勉委員 いずれ、先ほどは県庁舎のほうを聞きましたけれども、まさに我々県民の命、財産、安全を確保するための、人材を育成する拠点である県立消防学校の整備については、報告書を取りまとめたということで、今後、具体的にいつまでに岩手県消防学校整備基本構想を動かしていくのかを少し確認していきたいと思います。具体的に見通しをお示しいただければと思います。
〇田端消防安全課総括課長 具体的な見通しということでございましたけれども、具体的な整備手法や財源など、今後検討すべき課題がさまざまございます。現時点で着工時期や完成時期等を示すことは困難ですが、一般的に大規模改修や改築を行う場合、設計に一、二年、工事に2年程度を要するということでございます。
 整備には一定の期間を要することになりますけれども、まずは、整備を進めるための課題等について検討してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 本当に今さまざまな施設の利用状況の課題が山積しているのだろうと思いますし、利用者の方々のお声も聞いているわけでございます。改修の方向性、議論のポイントあるいは今後どういう方向性で整備を進めていこうとお考えになっているのかお示し願います。
〇田端消防安全課総括課長 改修といいますか議論の方向性でございます。消防学校の校舎につきましては、先ほど申し上げましたように、耐震診断調査あるいは劣化度調査の結果等を踏まえて、それに対する対応を検討していく必要がございます。これについて、まずしっかりと検討を進めたいと思っております。
 また、実践的訓練施設についても現在は未整備となっておりまして、本県の実情に即した訓練施設の種類、規模を議論する必要があると考えております。
 こうした議論を踏まえるとともに、その他の課題なども整理しながら、整備手法等の方向性を検討してまいります。
〇臼澤勉委員 いずれ最近の多様化、大規模化、複雑化する災害に対応する消防活動のニーズは、本当に高度化していると思うのです。今の施設の機能をさらに高めていきながら整備を進めていくのが、岩手県の安全・安心な地域防災拠点の整備につながると思っております。
 特に、この整備で現在緊急を要するような改善点とか整備の方向性みたいなところを、もう少し具体的にお示し願います。
〇田端消防安全課総括課長 緊急を要する改善点ということで申し上げますと、危険かどうかという観点で言いますと、先ほど申し上げましたように、特に緊急を要する改善点はございませんが、経年劣化による施設設備の老朽化が進んでおりますので、必要に応じて随時修繕等を行っているということで、まず、こちらの劣化、耐震化に対する対応が一つあろうかと思います。
 実践的訓練施設につきましては、先ほど臼澤勉委員もおっしゃっておったように、火災現場を模したもの、あるいは災害現場を再現したものは、今、常設のものがないということになっております。現在は、仮設等で対応しております。
 実践的訓練施設は、いろいろな種類のものがあるわけですので、岩手県で何が一番必要なのか、どういう訓練が消防職員を養成するために最も必要なのかということを議論しながら、検討してまいりたいと思っております。
〇臼澤勉委員 消防の関係者の方々が今のような答弁を聞いていると、本当に大丈夫なのかと思うと思います。現場で一生懸命訓練されている方々が、今の答弁を聞くと、もう少し取り組んでほしいというような熱い思いを持っていると思うのです。
 実践的な訓練施設の整備あるいは高度化に対応する専門的な知識、技能を習得するような施設、機能といった部分はもちろんのこと、寄宿舎においても、プライバシーに配慮した学習環境といった部分についても、今のコロナ禍でも、いろいろ感染対策を考慮しながらも何とかやっているような現状を、もっとしっかりと受けとめていただきたいと思います。
 時間も限られていますから、整備費用の財源確保対策をまずどう考えているのか。国の支援事業がなかなか限定的で厳しい中において、どのように財源確保を図りながら予算検討を進めていくお考えなのかお伺いします。
〇田端消防安全課総括課長 整備財源についてでございますが、整備に当たりましては、防災対策事業債など、整備内容によって充当可能な財源がございますが、消防学校整備に係る国の補助制度がないなど、整備財源の確保については、県全体での施設整備などの優先順位なども踏まえながら検討していく必要があると考えております。
 整備の内容とあわせて、財源についても検討してまいりたいと思っております。
〇臼澤勉委員 答弁を聞いていると、大変失礼ですけれども、少し頼りない。岩手県消防学校は、岩手県の消防のあり方といいますか防災拠点としての、広域防災拠点機能としての配置計画も、今後検討が必要な施設になると思っております。
 台風10号の災害のときの搬送拠点にもなったりしているような拠点を、今のままで今後5年、10年、そのまま継続していくという悠長な考え方でいいのかと思います。
 復興防災部長に最後、その辺のお考えを聞いて、終わりたいと思います。
〇佐藤復興防災部長 今、臼澤勉委員御指摘のとおり、現在の消防学校は、岩手県の広域防災拠点配置計画におきまして、支援部隊の現場活動の支援機能のほか、災害医療活動支援機能、広域医療搬送拠点機能などを有する拠点施設として位置づけられております。
 現在、広域防災拠点等の見直しも行っているところでございますが、いずれ消防学校は、消防職員、消防団員の養成を担う重要な教育施設と認識しておりまして、適切に職務を遂行するための知識、技能を効果的に取得できるように、教育訓練施設等の機能が十分に発揮されることが必要だと思っております。
 老朽化が進んでいるのは御指摘のとおりでございますし、実践的訓練施設も必要だと認識してございますが、一方、先ほど担当の課長からも答弁いたしましたように、まだ検討を要する事項がございます。一つ一つ手順を踏みまして、早期に着手できるよう岩手県消防学校整備基本計画の熟度を高めてまいりたいと思っております。
〇吉田敬子委員 私からは、性犯罪等被害者支援についてお伺いしたいと思います。
 全国で性暴力、性犯罪が増加傾向にあります。ワンストップ支援センターであるはまなすサポートセンターでの相談件数の状況について、令和4年度実績とこれまでの推移、男女別や年代別での課題認識をお伺いいたします。
〇木村県民安全課長 はまなすサポートセンターでの相談状況等についてでございますが、本県の性犯罪、性暴力被害者のワンストップ支援センターであるはまなすサポートセンターの令和4年度相談件数は469件であり、前年度に比べ113件増加しています。
 年代別では、10代、20代の若年層の相談が223件と全体の53.5%となっており、男女別では、女性が408件と全体の87%を占めております。
 若年層かつ女性の相談内容の傾向は、約9割が同級生、職場関係者や知人などの顔見知りからの被害となっておりまして、SNS上の性被害に関する相談等も寄せられております。
 相談件数が多い若年層につきましては、被害に遭わないことが肝要であることから、関係部局と連携し、SNS等の情報メディアの危険性について啓発を図る出前講座などを行って、性被害の未然防止に努めているところです。
 しかしながら、被害に遭った場合には、速やかに相談していただけるよう、はまなすサポートセンターのさらなる周知に取り組む必要があると認識しております。
 一方、男性の相談件数でありますが、令和4年度は61件で、令和2年度の29件に比べ2倍以上となっておりますことから、男性相談者への支援体制の充実、強化を図る必要があると認識しております。
〇吉田敬子委員 これまでの委員会等の質疑でも10代、20代が多いということで、令和4年度も53.5%と半分が10代、20代ということであります。ここについての被害に遭わない、未然防止が一番ですけれども、遭った場合にも、相談をしやすい体制整備ということをこれまで訴えさせていただきました。
 先ほどは、SNSが危ないということの出前講座をされているということでありましたけれども、カード型リーフレット等も学校等に渡しているかと思いますが、具体的にどこの学年を対象に啓発活動をされているのか、改めてお伺いしたいと思います。
〇木村県民安全課長 性犯罪防止の取り組み実績ということでまとめさせていただきますが、先ほど答弁しましたとおり、SNS等の情報メディアの危険性について啓発を図る出前講座ですとか、交際中の男女間における性暴力といった危険性について啓発を図る出前講座を実施していますほか、性犯罪や性暴力の被害者にも加害者にもならない、生命の安全教育などを関係部局と連携して主に中高生を対象として実施しているところでございます。
 それから、先ほど委吉田敬子員からお話がありましたはまなすサポートセンターを紹介するカード型のリーフレットでございますが、こちらにつきましては、県内の中学校、高校及び大学へ配布しております。被害に遭った場合の相談窓口の普及啓発活動を行っているところです。
〇吉田敬子委員 このカード型のリーフレットを配布しているところが中学校からということで、多分全ての年代、1年生、2年生、3年生通じてお渡ししているとは思うのですけれども、今、低年齢化していて、SNSを見ても、小学生でも今、携帯が普及していて、前の委員会でもお話しさせていただいたと思いますが、小学生の高学年なのか中学年からなのか、もう少し早い段階から同じようなカードをぜひ配っていただきたいと思っております。
 ただ、その際には、このカード型のリーフレットをいただいているのですけれども、大人に渡すものと多分同じような形でつくられていて、少しかたいかなと思っています。もう少し中学生向けに相談しやすいもの、もしくは小学生向けのものもぜひつくっていただきたいと思いますが、その際には、もう少しやわらかい内容ものでつくっていただきたいと思っております。
 まずは小学生に対しての配布を検討していただきたいことに対する御答弁をいただきたいのと、先ほどは男性の相談の件数も2倍以上にふえているということでした。今、夜間と休日も含めてワンストップ支援センターの電話が全国に行くようになってはおります。24時間体制のために2人体制にはなったと思うのですけれども、相談員の配置として、今、男性の相談もふえているということで、現在での相談の支援体制として少し足りないかと私は思っております。そこについての増員も含めて、ぜひ検討したほうがいいのではないかと思っております。
 ここは、保健福祉部であったり環境生活部であったり、県警察本部も含めて、他部局や関係機関との連携がすごく大切だと思っておりますが、支援体制の強化をどのように図ってきたのか、当課での課題をどう捉えているのかお伺いしたいと思います。
〇木村県民安全課長 2点ございましたので、まず1点目、カード型リーフレットについてでありますが、今年度については、小学校高学年の児童も対象に配布することとしております。デザイン、内容につきましても、小学生にもわかりやすい内容にするということで、デザインを刷新することで今進めておりますので、今年度はそちらにも取り組んでまいります。
 それから、他部局等との連携についてでございますが、関係機関との連携につきましては、吉田敬子委員御指摘のとおり、保健福祉部所管の配偶者暴力防止対策や子供子育ての会議ですとか、環境生活部所管であります青少年問題に関する会議等において、関係部局と支援施策についての情報共有、情報交換を実施しておりますほか、県警察本部、いわて被害者支援センターとの3者会議を定期的に開催しておりまして、具体的な支援施策ですとか普及啓発活動について協議するなどの連携を図ってきております。
 それから、支援体制の強化でございますけれども、はまなすサポートセンターの相談体制につきましては、令和3年11月から24時間365日の受け付けとして電話相談対応しておりますほか、緊急案件が発生した場合の近隣の警察署への引き継ぎや病院への付き添い支援などに対応するため、令和4年度からは相談員を1名増員し3名体制という形で対応の強化を図っているところであります。
 今後につきましては、男性被害者等への支援相談体制の整備が必要であることから、こちらについては、関係機関等との連携を密にして、さらに支援体制の充実に努めていきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 今年度から小学校の高学年から配布していただけるということで、ありがとうございます。まず、未然に防ぐことが大事だと思いますけれども、もし何かがあったときに相談できる取り組み、それは、先生からの性被害、性暴力がふえているということで、教育委員会でもそういう窓口をつくらなければいけないということで国で最近動きがあります。いろいろな相談窓口があることが一番大事だと思っていましたので、これからも、ぜひ連携体制の取り組みをしていっていただきたいと思っております。
 これは通告していなかったのですけれども、性暴力、性犯罪の中で、ことしになって経口中絶薬というものが承認されて、もし犯罪があった場合にも、多分この薬が使われるようになるとは思うのですが、これを利用するには、母体保護法指定医であったり、入院科のない医療機関、診療所であるという二つの条件があるということです。
 こういうことについても、はまなすサポートの連携協議会等で、今、岩手県内の産婦人科がどの程度指定というか認定を受けているのかといった協議は、こちらで把握されているのかお伺いできればと思います。
〇木村県民安全課長 経口中絶薬について使用可能になったということで、万が一、望まない妊娠等が発覚した場合に、経口中絶薬の使用が考えられるところでございますが、今のところ、まだそういう実績、案件は出ておりません。
 性暴力、性被害に遭った方に対する産科、精神科医療の受診の際の公費負担も我々は所管しているのですけれども、まだそこでの実績もない状況であります。
 いずれにしましても、はまなすサポート関係機関の情報交換、情報共有は必要だと思っておりますが、コロナ禍の影響もありまして、令和2年以降、担当者会議ですとかの連絡会議が開けず、書面開催等でやってきたところがございます。今年度は、連絡会議を開催しまして、関係機関との連携を図っていきたいと考えているところであります。
〇吉田敬子委員 新型コロナウイルス感染症の影響で連絡会議が開催されていなかったということで、産婦人科の先生からは、産婦人科の先生の中にも意識の格差があって、そういうところでまた被害者の方の二次被害もあったりすることも聞いています。性犯罪がないことが一番ですけれども、国でいろいろな動きがありまして、今年度は連絡会議が開催されるということでありますので、産婦人科の先生等も含めて、これからまたどういうことが求められているのか、そして、やはり子供たち、若い人たちがそこに遭わないための啓発をどうやってしていかなければいけないかを、私たちは他部局と連携してやっていきたいと思っておりますので、ぜひ、今後注視させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いたします。
〇畠山茂委員 それでは、通告に従って、初めに、災害に強いまちづくりの視点で5点ほどお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 1点目に、津波防災施設整備の推進と避難対策について伺います。日本海溝、千島海溝沖を震源とする巨大地震が想定される中、岩手県は、昨年9月に最大級の地震と津波が発生した場合の被害想定をまとめて公表しました。最悪の場合、冬の午後6時ごろに発生するケースでは、津波による死者数が沿岸部の12市町村で7、100人に達し、市町村別では、久慈市が4、400人、宮古市が2、100人と突出しています。
 一方で、防災対策のハード面では、宮古市の閉伊川水門整備事業がいまだ未完成となっています。この事業は、予算は当初150億円で始まりましたけれども、それが190億円にふえ、完成時期も2017年から2020年におくれ、現在では事業費が400億円にふえて、令和8年度末に完成見込みとなっています。
 宮古市では、県の浸水シミュレーションを参考にしましてハザードマップを作成し市民に公表したところですが、浸水被害が大きく甚大な被害が想定される地域住民の方々は、大変大きな危機感を持っています。
 そこで、改めて完成までの間の災害対策をどのように考えているのかお伺いしたいと思います。
〇戸田防災課総括課長 本県の津波対策についてでございますけれども、東日本大震災津波の経験を踏まえ、最大クラスの津波を想定しつつ、さらに想定を超える可能性や、整備された堤防等では防ぎ切れない規模の津波も前提としながら、ハードとソフトを総動員した多重防御の考え方により、住民の避難を軸に減災に結びつけることとしております。
 そのため県では、昨年、本県最大クラスの津波浸水想定や被害想定を公表し、本年8月には、具体的な減災対策を推進するに当たっての基本的な考え方を公表したところでございます。
 今後の取り組みにつきましては、この報告書を踏まえ、自動車による避難経路等を検討するためのシミュレーションを実施するなど、地域の実情に応じたより実効性のある減災対策を市町村とともに検討していきます。
 また、今年度創設しました地震・津波対策緊急強化事業費補助金により、市町村が行う津波避難ビルの指定に必要な調査や住民の防災意識の向上、自主防災組織の活性化などの取り組みへの支援も行ってまいります。
〇畠山茂委員 今、答弁いただきまして、何といっても、津波てんでんこと言われるように迅速な避難が一番大事なわけでもありますがまだ検討段階という答弁もありました。
 令和5年10月22日の岩手日報に、久慈市が備えとして2016年に総事業費1億5、500万円で建設した避難タワーが、新想定では津波にのみ込まれるとして指定緊急避難所から外されたとの記事が掲載になりました。事前に聞くと、ハード面は県土整備部の所管だということですけれども、ハード面、ソフト面を含めて防災対策は表裏一体だと思いますので、検討段階というお話ですが、先ほど説明したとおり、水門は未完成のままですので、市町村と連携して一日でも早い対策を、今後とも、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、2点目の質問に移ります。日本海溝、千島海溝沖の巨大地震による新たな浸水想定が公表された中で、各市町村における津波ハザードマップを策定の進捗状況と、それに伴う避難訓練がきちんと実施されているかお伺いしたいと思います。
〇戸田防災課総括課長 津波ハザードマップ策定の進捗状況等についてでございますけれども、津波ハザードマップにつきましては、沿岸12市町村のうち、本年9月末時点で10市町村が策定済みとなっておりまして、未策定となっている2町村についても、今年度中に策定する予定となっております。
 また、新たな浸水想定を踏まえた津波避難訓練の実施状況についてでございますけれども、沿岸12市町村のうち、令和4年度と令和5年度いずれも実施または実施予定の市町村は10市町村、令和4年度のみ実施した市町村は1村、令和5年度のみ実施した市町村は1町となっております。
〇畠山茂委員 まだ市町村格差があるような印象を受けました。これは、訓練があって本番に対応できるものと思います。ハザードマップは12市町村で今年度はできる予定だということで、そのとおりやっていただきたいと思いますし、地域で見ていますと、先進的なところは、避難困難者の皆さんを想定した訓練、あるいは夜に来るかもしれませんので夜間にあえて訓練をしたりしている地域での取り組みもあります。ぜひ、横の連携というか情報共有もしながら、どんどんレベルの高い訓練をしていただきたいと思います。
 3点目に移ります。自然災害による被災者ゼロを目指すには、県民一人一人の防災意識が重要だと思いますので、先ほどあったように日々の避難訓練と、発生時には迅速な避難が求められると思います。
 そして、その地域のかなめになるのが自主防災組織と思います。近年は、なかなか町内会のなり手もなかったり、高齢化、過疎化ということで組織づくりには大変苦労しているところがあります。
 一方で、自主防災組織は大変大事な組織でございますので、ここで県内の自主防災組織の推進状況をお伺いしたいと思います。
〇戸田防災課総括課長 県内の自主防災組織の組織率についてのお話かと思います。組織率についてでございますけれども、自主防災組織の結成状況は、本年4月1日現在で2、386組織、組織率は89.0%になっておりまして、令和4年4月1日から38組織増加、組織率では0.4%の上昇となっております。
 本県の組織率は年々増加しておりまして、令和4年版消防白書によりますと、全国平均の84.7%を上回りまして、東北6県では山形県の91.8%に次いで高い組織率となっております。
〇畠山茂委員 岩手県は高い組織率だという答弁が今ありました。私が危惧しているのは、先ほどのハザードマップや避難訓練もそうですけれども、市町村別でそういう意識の格差あるいは組織率の差はないのかというところも大変気になっています。
 組織率が高いところ、低いところも多分把握なさっていると思うのですが、仮に高いところと一番低いところでどのくらいの差があるのか、もしわかればお伺いしたいと思います。
〇戸田防災課総括課長 県内の市町村の組織率の差ということでございますけれども、一番高い市町村では100%というところがございますし、一番低いところになりますと40%台というところもございます。
〇畠山茂委員 多分そのくらいの意識の差がまだあるのだと思います。ぜひ、ここは県と市町村連携して、特に低いところは上げていくようにお願いしたいと思います。沿岸地域の復興でいうと、災害公営住宅でも自治体をつくれない、イコール自主防災組織もつくれないところも、いまだにあるのも現実であります。そこは、関係機関と連携しながら、ぜひお願いしたいと思います。
 次に、4点目に移ります。東日本大震災津波やたび重なる自然災害では、高齢者あるいは障がい者などの弱者の避難の課題がよくクローズアップされています。
 国では、避難行動要支援者名簿の作成を自治体の策定義務としていますので、県内の市町村ではきちんとつくられているとは思いますが、一方で、個別避難計画は努力義務ということで、県内の各市町村では、先ほどもあったように、取り組みにばらつきがあるのではないかと危惧しております。
 各自治体の個別避難計画の策定状況を把握していれば、お伺いしたいと思います。
〇和田被災者生活再建課長 県内各市町村の個別避難計画の作成状況についてでありますが、例年5月1日現在で調査を行っており、直近の本年5月1日現在では、対象の全部または一部の個別避難計画を作成しているのは、33市町村のうち27市町村となっているところです。
 また、避難行動要支援者名簿に登載されている人数は全県で9万3、670人ですが、そのうち個別避難計画が作成済みとなっている方は1万9、047人で、作成率としては20.3%となっております。
〇畠山茂委員 27市町村がつくってはいますけれども、一人一人に光を当てると20%の個別計画だということで、まだまだこれからだと思います。これは本当に個人情報の関係があったり、実際に担当者を決めるとなると、民生委員であったり消防団、町内会の皆さんということで大変負担もかかる。これは人の命がかかるお話なので重責なわけですが、その一方で、今までの自然災害を見ますと、高齢者だったり障がい者、弱者の方々が多くの被害に遭っているのはそのとおりですので、やはり必要なものだと思います。これからも市町村と連携して取り組んでいただきたいと、これも指摘でお願いします。
 5点目に移ります。防災会議や避難訓練、避難所運営には女性の方々の参画が強く求められています。国の男女共同参画社会の数値目標では、防災会議の女性委員の割合は3割を目標と掲げていますけれども、県として、県内の防災に関する女性参画の状況をお伺いしたいと思います。
〇戸田防災課総括課長 防災分野への女性の参画状況についてでございますけれども、県では、市町村消防防災主管課長会議におきまして、市町村地域防災計画や避難所運営に女性の意見を反映させることの重要性について説明し、市町村防災会議の委員に積極的に女性を登用している市町村の事例を紹介しながら、市町村防災会議の女性委員の数を3人以上とするよう依頼しているところでございます。
 県では、引き続き市町村消防防災主管課長会議等におきまして、女性委員の積極的な登用を依頼するほか、女性委員の数が3人未満の市町村に対しても、個別に働きかけを行うなどして防災分野への女性の参画が進むように取り組んでまいりたいと思います。
 それから、訓練における女性の参画状況につきましては、毎年度の県の総合防災訓練におきまして多数の方に参加していただいているところでございます。一例を申し上げますと、参加市町村の婦人消防団等に避難所の開設、運営訓練や非常食配布訓練などに参加していただいているところでございます。
〇畠山茂委員 答弁では、女性の方々が参画しているという印象は受けましたけれども、実際にはまだまだ、やはり半々まで持ってくるべきだと思いますので、ますますの取り組みを期待したいと思います。
 次の大きな2点目に移ります。消防団員の活動について、これも2点ほどお伺いいたします。
 1点目に、近年は人口減少や少子高齢化、地域社会のつながりの希薄化など、また、サラリーマンとして働く方がふえていて、消防団員活動との両立が難しいなど、全国的に消防団員が減少を続けています。そのことにより地域防災力の低下が懸念されます。
 そのような中、防衛庁は消防団員の報酬など処遇改善を進め、県内の自治体でも消防団員の処遇改善が行われたと認識していますが、依然として消防団員の定員割れが課題となっています。
 現在の充足状況はどうなのか、あわせて消防団員の拡大の取り組みについてもお伺いしたいと思います。
〇田端消防安全課総括課長 消防団員の充足状況等についてでございます。
 県内の消防団員数は、令和5年4月1日現在の速報値でございますけれども、条例定数の2万3、360人に対し、1万8、857人となっておりまして、充足率は80.7%となっております。
 こうした状況を踏まえ、県では、市町村の実情に応じて団員の確保に取り組んでいくよう、例えば機能別団員の導入などの助言を行っているほか、今年度につきましては、女性、若者を初め幅広い世代を対象にしたSNSや、マスメディア等による消防団員確保に向けた広報を全県的に展開することにしてございまして、現在準備を進めているところでございます。
〇畠山茂委員 PR活動をこれからいろいろ考えていくというお話でしたけれども、これは従来からいろいろ取り組んでおられると思います。ただ、いろいろな原因があってなかなか充足までいかないということですが、地域防災のためにも、ぜひこれからも市町村と連携して頑張っていただきたいと思います。
 最後の質問に移ります。先ほど来出ている人口減少、少子高齢化も含めて、各分団では定員の維持に苦労している状況にあります。一方で、消防団の再編には、地域性あるいは歴史的な観点から、各市町村でなかなか手をつけられていない状況にあります。私も、宮古市議会議員時代に、必要な時期にも来ているのではないかと取り上げたこともありますけれども、多くの議員も理解をしながらも、自分の選挙のことも考えるとなかなか動けない。そしてまた、行政当局も必要性を理解しながらも、議論にさえなかなか入れない状況にあります。
 少子化の中で、各自治体は小学校、中学校、高校の学校再編など、地域の方々、保護者の方々の理解をいただきながら何とか推進しているところであります。そういう中で、消防団の再編は避けて通れないと私は感じています。
 具体的に、県内で分団、消防団の再編などを実施した市町村はあるのか、また、県として消防団の再編についてどのような認識をお持ちかお伺いしたいと思います。
〇田端消防安全課総括課長 まず、1点目の県内での消防団分団の統合等の実績についてでございますけれども、具体的に県で統計的に調査したことがありませんで、大変申しわけないですが、把握はしておりません。ただ、一部の市町村では、ここ数年間で何件かあったとのことは聞いたことがあります。
 2点目でございますけれども、畠山茂委員御指摘のとおり、団員数が減少する傾向の中で、分団の機能を維持するために必要な人数を確保する必要がございます。団員の加入促進に向けた取り組みとあわせて、分団の再編もその手法の一つであろうかとは認識しているところでございます。
 ただ、一方で、広大な県土を有する本県での分団の再編については、地理的条件ですとか消防団としての機能維持などの面に十分考慮して検討する必要があると考えております。
 県としては、市町村の相談等に対応しながら、いずれ将来にわたり消防団の機能が維持できるよう、引き続き市町村に対して消防団員確保に関する助言を行ってまいりたいと考えております。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇松本雄士委員 通告していた内容に関連しますので、質問させていただきます。
 先ほど避難行動要支援者の個別避難計画策定は市町村の努力義務ということでありますけれども、まだ6市町村が策定されていない。また、要支援者レベルで見ますと策定率はまだ20%ということでありまして、これらの方々の計画策定について、市町村への支援など県の今後の取り組みについて伺います。
〇和田被災者生活再建課長 個別避難計画の作成支援ということでございますが、県では、市町村の取り組みを促進するために、市町村担当職員を対象とした研修会や未作成の市町村等への個別ヒアリングを通じた課題の把握や助言を行ってきたところでございます。
 本年5月1日現在、対象者の全部を作成済みが4市町村、一部を作成済みが23市町村、未作成が6市町村となっており、未作成の市町村については、令和4年度の11市町村から5市町村減少しているところでございます。
 また、市町村における課題として、避難支援者の確保、避難時間が限られる津波災害時の支援方法等を挙げていることから、今年度から、希望のあった市町村を対象に、専門家による助言等を行う伴走型の支援を実施しているところでございます。
 このほかに、津波災害時の避難支援のあり方を検討するために、専門家を交えた沿岸市町村との意見交換会を開催することとしております。
〇松本雄士委員 引き続き、よろしくお願いいたします。
 次に、要配慮者利用施設における避難計画の策定について伺います。
 現在、想定浸水区域内等の要配慮者利用施設等においては、避難計画の策定、また避難訓練の実施、避難訓練を実施した後の報告が義務化されているところでございますが、現在、かかる施設における計画策定状況を見ますと、令和4年の目標では、60の施設に対して実績499施設となっております。また、令和4年単年度で見ますと、150施設で計画策定するというのに対して、半分の75施設の策定実績にとどまっております。
 そこで、この600施設という目標設定でありますけれども、平成30年4月現在で対象施設が1、200施設ある。そのうち半分は避難計画策定が策定見込みということで、残り600施設ということでそういう目標設定がされておりますけれども、まずもって、現在の対象施設数について伺います。
〇戸田防災課総括課長 現状の対象施設数についてでございますけれども、令和5年7月末現在で、要配慮者利用施設のうち、避難確保計画の策定対象となるものは1、467施設となっておりまして、計画を策定済みの施設は、そのうち1、237施設、策定率は84.3%となっております。
〇松本雄士委員 要配慮者利用施設の計画の整備は進んでいるというところでありますけれども、令和4年のところで150施設の目標に対して半分ぐらいしか進まなかった要因と、大分進んで残りが少なくなってきて、100%を目指して計画策定を進めていくに当たっての今後の取り組みについて伺います。
〇戸田防災課総括課長 避難確保計画の目標未達要因等についてでございますけれども、令和4年度の策定実績が75施設にとどまった主な要因としましては、施設管理者の制度についての理解ですとか防災に関する意識の不足が大きなものと考えております。
 今後は、計画策定のおくれが見られる市町村を中心に、避難確保計画の周知、施設管理者向けの講習会の開催などを行いまして、市町村と連携しながら、全ての対象施設において計画が策定されるよう取り組んでまいりたいと考えております。
〇松本雄士委員 避難行動要支援者や要配慮者利用施設を利用される方々は、機動的な安全確保が非常に難しいということがとても多いので、避難の実効性を確保する意味でも、今後、計画策定100%を目指して取り組んでいただきたいと思います。
〇佐々木宣和副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後5時50分 休憩
午後6時12分再開
〇佐々木宣和副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇高橋こうすけ委員 畠山茂委員と重複している質問が多々ありましたので、私からは1点だけ質問させていただければと思います。消防団に関する質問でございます。
 消防団機能別団員数についてでありますが、現在少しずつふえてきている状況があるとは思うのですが、私は、消防団の方々とお話ししておりますと、OBの方々が入っているという印象を非常に強く持っております。
 ふえているという現状があるとは思うのですけれども、また、新型コロナウイルス感染症等もございまして、そういった周知、告知等がなかなかできなかった部分もあるとは思うんですが、OBの方が入っているという状況は、果たしてふえたと言っていいのかどうか私は疑問に思っているところがあります。そういったところの所感、それから、消防団の機能別団員数についての現状、そして、今後の展望についてお伺いさせていただければと思います。
〇田端消防安全課総括課長 まず、現状でございますけれども、4月1日現在で23市町村で機能別団員制度が導入されており、1、371人の機能別団員の方に活躍していただいているところでございます。
 この機能別団員制度につきましては、OBの活用、体力的に厳しくなった方々が機能別としてやっていただくですとか、あるいは勤め人で昼間うちにいなくて、昼間は別のところで働いている、夜しか活動できない、あるいは勤め先でしか活動できないといった方々に、なっていただきやすい制度だと考えております。
 また、協力事業所制度がございまして、一定程度の消防団員を抱えている企業については、それを表示できる制度などがございますけれども、企業にとっても使っていただける制度かと思っております。
 そういった中で、未導入の市町村等につきましても、昨年度は、私どもの職員がお邪魔しまして、課題あるいは展望、メリット、デメリット等も含めて協議させていただきまして、メリットを共有しつつ取り組みを進めていきたいと考えております。
 引き続き、フルタイムの消防団員あるいは機能別消防団員をうまく活用しながら、消防団の確保が進んでいくように、市町村と一緒にやってまいりたいと思っております。
〇高橋こうすけ委員 全体としての消防団員の人数も減ってきているという現状がありますので、この制度をうまく使っていただきたいと思っております。せっかくある制度ですから、若い人たちに入ってもらえるように、県としても、OBの方々は、どうしても、いざというときに動けない方になってしまっては元も子もないというところもございますので、若い方々にもしっかり周知していただくように、県でも後押しをしていただければと思っております。
 消防団というのは、地元の地域の安全のための非常に大事な組織でございますので、ぜひ応援していただければと思います。
〇菅原亮太委員 私からは、災害時ドローン導入促進事業費についてお伺いさせていただきます。
 この事業につきましては、消防団員や自主防災組織の役職者などの二次被災リスクの軽減を図るため、県内市町村及び消防本部における大規模災害時の避難誘導や捜索活動などへのドローン利用を促進する事業になっております。
 ただ、取り組みの成果説明書を拝見いたしますと、実証実験の実施が2件、ドローン導入モデルケースの策定数が1ケースと少ない状況にあると感じますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。
〇田澤総括危機管理監 災害時ドローン導入促進事業費についてでございますが、ドローンの活用手法の確立やドローンを導入していない市町村等への導入促進を目的に、令和4年度から取り組みを進めております。
 本事業におきましては、宮古市と岩泉町をモデル市町村に選定いたしまして、自治体による災害時のドローンの運用でありますとか消防団など地域住民によるドローンの活用について、具体的な活用策の検討と実証実験を行いまして、県内市町村が導入を進める上での参考となるモデルケースの策定を進めることとしております。
 また、こうした取り組みをモデル市町村以外の市町村と共有することが重要でございますので、市町村や消防本部を対象にいたしました成果報告会も開催いたしまして、取り組み状況、取り組み内容の共有も図っております。
 今後の取り組みとしては、引き続き、自治体と消防団を活用主体と想定いたしまして、災害時の具体的なドローン活用に向けた実証実験を実施し、活用主体に応じたドローン導入モデルを策定の上、各市町村に広く周知、展開することで、災害時における市町村の積極的なドローン活用を支援してまいります。
〇菅原亮太委員 あくまでもドローンのモデルを策定して、それを市町村に広く周知して策定を共有するという見解でございました。
 令和5年10月19日の岩手日報では、岩手県警察で人命救助や事件捜査でドローンの活用を本格化しているという記事がございました。具体的には、熱源を感知するサーモグラフィーといった機能を備えたドローンで、実際に行方不明となった男性を、切り立った場所で陸から黙視が難しい場所だったのですけれども、高性能ドローンを活用して、上空から俯瞰と、そして体温の検知で早期発見につながったという記事がございました。
 こういう高性能ドローンについても県で導入を検討するなどして、また、市町村の導入に向けた支援をするなどの取り組みが、今後人手不足や、安全で効率的な捜索活動においては大変重要だと思います。
 県として、高性能ドローンについても、市町村に対して導入の補助について検討する余地があるか、お伺いしたいと思います。
〇田澤総括危機管理監 ドローンの活用についてでございます。私どもでも、市町村の担当者の方々と意見交換を行っておりまして、現状の課題といたしましては、どういうところでドローンを活用していけるのかがよく見えないというお話でありますとか、ドローンは整備したけれども、実際の運用が限定的でなかなかうまく進んでいないという課題を聞いておりました。
 まずは、市町村の課題に対応するために、このモデル事業を活用いたしまして、県と宮古市と岩泉町で連携いたしまして、どういう活用ができるのかを今、試行錯誤しながら実証実験等を行っております。まずは、そうした取り組みを県内市町村あるいは消防本部と広く共有するというところで進めていきたいと考えております。
 また一方で、ドローンは今、技術開発が進んでおりまして、さまざまな用途への拡大が期待されている部分がございますので、そうした点につきましては、県としても、他の先進事例の動向なども研究させていただきまして、今後、市町村とどういう形でドローンか有効に活用できるのか、議論、研究していきたいと考えております。
〇菅原亮太委員 前向きに検討を進めていただけると伺いましたので、これからもお願いしたいと思います。
〇斉藤信委員 それでは、最初に、いわて被災者支援センターの取り組みと体制の強化についてお聞きします。
 昨年度のいわて被災者支援センターの実績はどうなっているでしょうか。それを踏まえた今年度の活動の強化点はどうなっているか、示してください。
〇和田被災者生活再建課長 いわて被災者支援センターの昨年度の実績と今年度の強化点についてでございますが、令和4年度は176人から相談があり、令和3年度と比較すると67人減少しておりますが、相談対応回数は、令和3年度の1、288回から1、376回増加し2、664回となったところでございます。
 このような状況も踏まえまして、今年度は、避難者に対する帰郷意思の確認等の調査を県が直接行うとともに、相談支援に対応する職員の人件費を増額し、センター業務を相談支援により特化する体制としているところでございます。
 また、市町村職員を対象とした被災者支援担当者研修会の開催や相談者への支援方針の共有など、市町村や市町村社会福祉協議会との連携強化を図りながら支援しているところでございます。
〇斉藤信委員 いわて被災者支援センターは、相談人数は少ないのですけれども、相談対応回数が前年度と比べて倍以上ということです。それだけ困難な相談に対応しているということだと思います。
 私は、今年度の取り組みも実際に聞いてまいりましたが、9月末現在、半年で既に1、314回ですから、ことしも前年度並みです。訪問同行支援は昨年度45回だったけれども、ことしは既にもう40回になっています。そういう点では、今の体制では本当に対応し切れない。恐らく相談したい人はもっといるのだろうけれども、手いっぱいで、事務所にいなければ電話の相談を受けられないし、同行支援に行けば電話対応も弱くなってしまうと
 そういう点で、今年度どのように体制を強化したのか。体制の強化が弱いのではないかと思いますが、いかがですか。
〇和田被災者生活再建課長 いわて被災者支援センターの体制強化についてでありますが、相談対応回数や訪問、同行支援の回数が増加傾向にあることを踏まえまして、令和5年度は、相談体制の充実を図るため相談支援に対応する職員の人件費を増額し、センターの業務を相談支援により特化した内容に見直しを図ったところでございます。
 また、住宅ローンの返済や生活設計の見直しなど、専門的な支援が必要なケースについては、弁護士やファイナンシャルプランナーなどの外部の専門家と連携しながら、きめ細やかに対応できる体制を構築し、支援をしているところでございます。
 今後とも、相談支援や内容、支援の状況などを踏まえた業務の見直し検討とともに、弁護士等の専門家や市町村、市町村社会福祉協議会などとの一層の連携強化により、相談体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 体制強化したと言うけれども、今までは相談員3名、事務員1名だった。それを相談員4名分にしただけなのです。実際には相談員をふやして、事務部門はNPO法人が自前でやっているということですから、私は、本当に必要な財政的、体制的支援をしっかりやるべきだと思います。
 そこで、被災者の相談内容の特徴と対応はどうなっているでしょうか。個別支援計画の作成と支援の状況はどうなっているか示してください。
〇和田被災者生活再建課長 被災者の相談内容の特徴と対応についてでありますが、現在は、先ほども申しましたとおり、住宅ローンや家計の見直し、家庭間のトラブルなど経済面や生活面に関する相談が多く、市町村、市町村社会福祉協議会などと連携して対応しているとともに、専門的な支援が必要なケースについては、弁護士やファイナンシャルプランナーと連携し、一人一人の状況に応じたきめ細かな支援を行っているところであります。
 また、個別支援計画の作成と支援の状況についてでありますが、令和3年度の開設から本年9月末までに480人から相談が寄せられ、このうち継続した支援が必要と認められた326人について個別支援計画を作成しており、これまでに212人の支援が終了し、114人の支援を継続している状況になっております。
〇斉藤信委員 相談支援の内容ですけれども、私も詳しく聞いてまいりました。令和4年度は、一番多かったのは家族関係の相談が630件、2番目が家計が471件、そして債務が407件、これがベスト3です。
 ことしは、まだ半年なのですけれども、一番多いのは債務関係の相談です。債務関係の相談が314件、次に家族、そして家計の問題ということです。本当に借金苦で住宅ローンの返済ができなくなったとか、再建後、事業をやったけれども、新型コロナウイルス感染症の中で事業が成り立たなくなったとか、生活苦というよりは、本当に債務問題が一番多い相談件数でありました。
 そこで、債務の一つでありますが、災害援護資金の延滞件数はどうなっているかわかりますか。
〇和田被災者生活再建課長 災害援護資金の滞納状況でございますが、現在把握しているのが令和4年9月末現在の状況となっております。市町村の滞納件数は263件、滞納額は2億3、443万9、000円となっております。
〇斉藤信委員 今、滞納件数は263件、滞納額は2億3、600万円余ということですね。後で滞納件数263件の割合を教えてください。
 先ほども言いましたけれども、令和4年度で相談対応回数が倍になって、ことしも同じく倍になっています。訪問同行支援は昨年よりも倍のペースで回数がふえています。そして、専門家相談も、弁護士、ファイナンシャルプランナー、さらに、弁護士の場合には個別相談までやっている。これも去年を超える規模です。法律相談をやりますと、それで解決するわけではないのですよ。そこで課題解決方法が示されて、いわて被災者支援センターの方々が継続して解決まで支援することになるのです。
 やはりいわて被災者支援センターは、誰ひとり取り残さないということで、達増県政が10年経過してもこの取り組みを重視するというので全国が注目している取り組みです。全国が注目している取り組みをやっているのはいいのだけれども、体制が弱過ぎる。
 復興防災部長、こうしたこの実績を踏まえて、要望も減少するどころか、ますますこの必要度が高まっている。これは思い切って体制の強化が必要なのではないでしょうか。いかがですか。
〇佐藤復興防災部長 いわて被災者支援センターの体制の強化というお話でございます。斉藤信委員御指摘のとおり、非常に件数等も、訪問回数もふえているというのもそのとおりでございます。いずれ、被災者に寄り添った対応をしていくことが第一の基本と考えております。
 いわて被災者支援センターは、被災者の支援ということで対応しておりますが、ここだけで全て解決できるとは思っておりません。市町村等の相談窓口等もありますから、重層的支援に取り組む市町村と有機的な連携を図りながら、センターの充実強化のほかに、関係機関との連携強化を進めてまいりたいと考えております。
〇和田被災者生活再建課長 先ほど御質問のありました災害援護資金の市町村への滞納件数の割合でございます。263件、割合としますと26.4%となっております。
〇斉藤信委員 新型コロナウイルス感染症関連の融資の場合には、非課税世帯とか返済が難しい場合には返済免除になっていますから、私は、その後さらに前進した制度が必要だと思います。今本当に困って、滞納になりますと利息もつきますから倍々でサラ金のようになってしまうのですよ。そういう新型コロナウイルス感染症の対応も踏まえて、ぜひ、無理やり借金取りしないで、改善するように努めていただきたい。これは指摘だけにとどめておきます。
 次に、福島原子力発電所の事故の汚染水による損害賠償ですけれども、昨日私が質問しましたら、全国知事会としても今週中に対応する、県単独でも要望するということでありました。今週ということですから、どういうスケジュールで対応されるのか示してください。
〇高橋特命参事兼放射線影響対策課長 ALPS処理水の要望についてでございますけれども、全国知事会では10月27日、岩手県単独では10月25日を予定しております。
〇斉藤信委員 私は、きのうも具体的に中国向けの生産物の輸出は全国的に836億円、いろいろな数があるようですけれども、岩手県も6億8、000万円なのです。このまま輸出禁止が継続したら丸々損害になります。
 国は1、009億円の基金を積み立てたというけれども、この1、009億円は損害賠償ではないのです。基本的には風評被害や漁業支援なのです。東京電力が損害賠償を補償するというのだけれども、事実上破産したような東京電力に800億円とか1、000億円とか、そんな能力はないではないですか。
 海洋放出を決めたのは閣議決定、政府です。私は、国が責任を持って対応する必要があると思いますけれども、いかがですか。
〇高橋特命参事兼放射線影響対策課長 ALPS処理水の海洋放出に伴う損害は国が責任を負うべきではないかについてでございますけれども、原発事故に起因する損害につきましては、原因者である東京電力が一義的にその責任を負うべきものであり、東京電力に対し、損害の実態に即した賠償を速やかに行うよう求めていくことを基本としております。
 なお、国に対しては、損害の実態に見合った賠償を迅速かつ確実に行うよう、東京電力を指導するなど、国が最後まで責任を持って対応するよう要請しているものでございます。
 なお、東京電力の支払いにつきましては、原子力損害の賠償に関する法律で、東京電力が支払えない部分につきましては、国がその部分を必要に応じて支援するという仕組みがございます。
〇斉藤信委員 次に進みます。自衛隊に対する青年の個人情報の提供について。
 自衛隊に対する青年の個人情報の提供の実態はどうなっているでしょうか。情報提供の中身、情報提供する法的根拠は何でしょうか。
〇戸田防災課総括課長 自衛隊に対する個人情報の提供についてでございますけれども、本県では、県内全市町村が、18歳に該当する方の氏名、生年月日、性別及び住所について、紙媒体などにより情報提供を行っていると聞いております。
 その法的根拠としましては、自衛隊法施行令第120条に、防衛大臣は、自衛官又は自衛官候補生の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事又は市町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができると規定されております。
 各市町村では、この求めに応じ、提供するか否かを判断した上で提供しているものと認識しております。
〇斉藤信委員 全国の実態をお知らせすると、61%に当たる1、068自治体が提供しています。いわば4割は提供していないです。今答弁あったように、提出を求めることができるですから、自治体に義務づけはないのです。だから、やっていないところもあるのです。
 私は、進学校に通う3年生の女子学生から、自衛隊から募集のダイレクトメールが届いてびっくりした、赤紙のように感じたという訴えをいただきました。本当にこういうことなのですよ。これに法的義務は全然ないのです。
 自衛隊がこういう調査をしました。入隊した自衛隊員が何によって自衛隊の情報を確保したか。ダイレクトメールは1.4%でした。何の役にも立っていない。何の役にも立っていないのに、全自治体にこれを事実上強制するようなやり方は、自治体を自衛隊の下請機関にするものです。
 少なくとも、個人情報保護の観点からいったら、住民基本台帳法は個人情報を提出することを禁止しています。そして、本人の同意なしに勝手に自治体が個人情報を提供すること自身も法的疑義がありますよ。だから、提供する青年に対して、それを認めるかどうかの許諾を自治体は最低限確認すべきだと思います。全国で4割は提供していないのだから、自衛隊から協力要請されたからやっていますなどという自主性のないやり方はやめていただきたい。実際に役に立っていないのだから、本人の了解を得てやるべきだと思います。
 そういう実態も含めて、今の自衛隊は安全保障関連3文書に基づいて、敵基地攻撃を行う自衛隊なのです。いざというときは命をかける、これは自衛隊法に書かれているのです。そういうところに安易に情報提供すべきではないと思うけれども、いかがですか。
〇戸田防災課総括課長 各市町村が保有する個人情報の取り扱いにつきましては、個人情報の保護に関する法律によりその取り扱いが定められておりまして、各市町村において、この法律の規定を踏まえて提供しているものと考えております。
〇斉藤信委員 最終的にはそういうことでしょう。ただ、これは自治体の義務ではなく、法的根拠がないということは認めますね。やっていないところもあるのだから、これは市町村の義務ではないと明言していただきたい。県にとっても義務ではない。それは確認できますか。
〇戸田防災課総括課長 斉藤信委員御指摘のとおり、求めに応じて提供することができるということになっていますので、義務づけはされていないということは、そのとおりであるかとは思います。
〇高田一郎委員 それでは質問いたします。まず、消防におけるハラスメントの県内の実態と根絶に向けた取り組み状況がどうなっているのか、この点について質問いたします。
〇田端消防安全課総括課長 消防におけるハラスメントについてでありますが、県では、各消防本部におけるハラスメントの件数等の状況については把握しておりませんけれども、県内でのハラスメントによる懲戒処分は、令和3年度に1件の事例を確認しているところでございます。
 県内12消防本部でのハラスメント根絶に向けた取り組みとしましては、全ての消防本部において、ハラスメント通報制度の実施、相談窓口の設置を行っております。
 加えて、10消防本部では、ハラスメントに関する研修の実施、9消防本部では、懲戒処分基準の策定などの取り組みが行われていると承知しているところでございます。
〇高田一郎委員 県内の状況についてわかりました。それで、このパワーハラスメント問題については、一昨日、秋田県の由利本荘市で、消防本部でのパワーハラスメント事件があったことが報道されております。先週は、長崎県五島市で消防職員にアンケートを実施したら、4割の職員がパワーハラスメント被害に遭ったという報道もありました。今、全国各地で、なぜか消防におけるハラスメントが大きな問題になっております。
 私は、県内の取り組み状況を見て強弱があると思います。消防本部におけるハラスメントへの対応に関する消防庁の考え方があって、教育や研修を行い、あるいはアンケートを定期的に実施して現状把握するなど具体的な提起がされていますが、この消防庁の考え方に照らしても、県内の取り組みには課題があるし強弱があると思います。もう少し実態をよく把握して、必要な指導、助言をしていくべきだと思うのですけれども、その辺についていかがでしょうか。
〇田端消防安全課総括課長 県としましては、まず、消防学校において各階層の幹部を対象とした講義を行っているところでありまして、これにつきましては、今後も継続していくことにしております。
 また、消防本部の人事担当者会議も毎年行っております。あるいは女性消防吏員の研修会におきましても、ハラスメントに関する事項を取り上げておりまして、引き続き、これらを活用しながら、ハラスメント防止の注意喚起等を行ってまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 なぜ全国で消防におけるハラスメントが多く発生しているか。専門家からの指摘は、消防の現場には階級制度や厳格な規律保持があって、そして、何よりも住民の生命と財産を守る仕事ですから一定程度の厳しい訓練もある。そういうものが背景にあるのではないかと指摘されております。私もそう思う面がありますけれども、いずれ、そういう職場であっても、ハラスメントというのは絶対あってはならない。そういう意味では、高い倫理性が求められる職場ではないかと思います。
 長崎県五島市でのアンケートの対応のように、この点も含めてしっかりと対策をとるべきだと思いますし、先ほど紹介した、消防本部におけるハラスメントへの対応に関するハンドブックも立派につくられておりますので、これをぜひ各消防本部に徹底して全体の取り組みの強化を図っていただきたいと思います。
 もう一つは、消防本部、消防組合の仕事は、有事への対応だけではなくて、予防活動、予防対策にも取り組んでいただいております。消防法に基づいて不特定多数の方々が出入りする建物や、危険物製造所といったところに立入調査をして、必要な助言、指導をするのも、消防本部、それぞれの消防組合の大きな仕事だと思っております。
 これに対する立入調査の実施状況はどうなっているのか、この点について現状を示してください。
〇田端消防安全課総括課長 まず、防火対象物の立入検査でございますけれども、令和2年度ですが、防火対象物が5万4、356件に対しまして、1万4、878件の立入検査を行っております。
 また、危険物製造所等につきましては、消防庁の危険物規制事務統計によりますと、令和3年度末で岩手県内で6、056施設ございます。このうち製造所等への立入検査を実施した件数は3、912施設となっております。
〇高田一郎委員 対象に対して、なぜこんなに少ないのかということです。それで、消防庁の立入検査マニュアルを見ますと、長期間立入検査が未実施とならないように、定期的な検査が必要だとうたっております。
 今の数字を見ると、このペースだと、全部のところを回るには3年も4年もかかってしまうような中身になっております。なぜこういう状況になっているのか。立入検査の役割と意義についてもどのように受けとめているのか、お伺いしたいと思います。
〇田端消防安全課総括課長 検査をどのサイクルでやるかにつきましては、各消防本部でその施設の種別等に応じて定めており、定期的にそれに従って実施していると認識しているところでございます。
 例えば、防火対象物につきましては、傾向として、不特定多数の方々が出入りするような施設については、実施頻度、サイクルを短くするですとか、あるいは事務所等、防火管理者がいて特定の方々が利用する施設については長くするとかということで、それぞれの実情に応じて検査サイクルを定めていると理解しております。
〇高田一郎委員 それぞれの消防本部が、それぞれの考え方に基づいてやっているというお話でありました。先ほど紹介したように、消防庁の立入検査マニュアルでは、長期間立入検査が未実施とならないように定期的な検査が必要だとうたっているのですね。しかし、同時に、人員、予算、優先度を検討して基本計画を策定するということで、結局、職員が少ない体制なので、これは定期的な検査が必要だけれども、優先度を加味してそれぞれの消防本部で対応することにしている。本来は、全ての対象防火施設を定期的に検査して、必要な指導、助言をするのが基本でなければならないと私は思います。
 消防本部、消防組合の体制がどうなっているかについてもお聞きしたいと思います。これは、今の消防力の整備指針に基づいて、それぞれの消防本部が職員定数を決めて対応していると理解しています。本県の消防力の整備指針に対する充足率は今どの程度になっているのでしょうか。
〇田端消防安全課総括課長 消防力の整備指針による充足率についてでございますが、消防庁の令和4年度消防施設整備計画実態調査によりますと、令和4年4月1日現在の消防力の整備指針に基づく本県の消防職員の算定数は2、736人、現員数は2、021人なっており、充足率は73.9%となっております。
〇高田一郎委員 岩手県内の消防職員の充足率は73.9%ということです。私は、質問する際に担当課から資料をいただいて、見ました。岩手県全体では73.9%ですけれども、消防本部別に見ますと4割台から9割という大きな開きがあります。そして、東北6県を見ますと、岩手県の整備率が一番低い73.9%という状況になっています。だから、なかなか予防対応についても十分な対応ができない大きな理由になっているのではないかと思います。
 なぜこういう大きな開きがあるのか、なぜ東北6県の中で消防職員が少ないのか、県としてその要因をどのように把握されているのか、この点についてもお伺いします。
〇田端消防安全課総括課長 各消防本部を設置している市町村等の定数につきましては、先ほどの消防力の指針のほかに、各団体におきまして条例で定数を定めて配置しています。これについて申し上げますと、令和4年4月1日で定数の充足率が96.6%となっております。
 この消防職員の定数につきましては、各消防本部で必要な人数を算定しているものと認識してございまして、県としては、市町村なり消防組合の状況も勘案しつつ、消防力の充実、強化が図られるよう、機会を捉えて助言なり、そういった課題の共有なりを行っていきたいと考えております。
〇高田一郎委員 消防力の整備指針は、かつては最低の基準だと言われてきましたけれども、最近は目標になっているのです。恐らく財政上の問題だと思いますので、やはり地方財政をしっかり措置することが必要です。しかし、そうは言っても、東北6県から比べても低い整備率になっていますので、ぜひ対応を強化していただきたいと思います。
 最後に、自主防災組織についてお伺いいたします。
 自主防災組織の組織率が伸び悩んで、達成度がCになったという資料があります。令和3年度に自主防災組織の実態調査が行われて、これは組織率の向上と活性化について、全国的にも平均よりも高いとなっていますけれども、問題は、私は中身だと思うのです。きちんとした活動がされているのか、ここが一番問われると私は思います。多くのところで、資機材は買っても、集会所に眠っているとか、そういう状況になってはいないのか。
 ここの中身を強化することが大事だと思うのですけれども、その辺を含めて、しっかりと県も把握して必要な支援を行っていくべきだと思いますので、その点についてお答えください。
〇戸田防災課総括課長 自主防災組織の活性化についての御質問でございます。先ほど高田一郎委員御指摘のとおり、実態調査などもやりまして、訓練や研修などを行っているかという質問項目では、5割弱ぐらいの自主防災組織が活動を行っているということもありますので、この率を上げていくことが活性化につながっていくとは、一つ考えているところでございます。
 いずれにしましても、高田一郎委員御指摘のとおり、活性化は非常に重要であると考えておりますので、県としても、いろいろな研修、あとは地域防災サポーター制度もございますので、そういうものを活用しながら、自主防災組織の活動が活性化していくように努めてまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 やはり訓練、実践が大事だと思うんですね。実践をして課題を整理する。実践をして、課題を整理して防災意識を高めるのが大事だと思います。
 私が住んでいるところでも自主防災組織があって、年2回ほど訓練するのですけれども、それをずっと繰り返している中で、地域の連帯感といいますか防災意識が高まって、今では、予報で大雨が降るとなったときには、事前に高齢者宅を訪問して、避難しませんかとか、そ呼びかけをやっているのですけれども、それは訓練の力だと思います。
 今説明があった、防災アドバイザーの活用などを既に行っていますが、なかなかそういう状況にないと私は思うのですけれども、やはり訓練を繰り返してやるような動機づけ、宮古市では、訓練に対しても補助をしていると伺っています。
 県内のいろいろな先進事例、全国の先進事例を学びながら、今の5割の訓練を7割、8割、9割に高めるような具体的な県としての対策、支援が必要ではないかと思うのです。
 今の説明だと従来の延長線かと思いますけれども、改めて、何を考えているのか、その辺のことを含めて答弁いただきたいと思います。
〇戸田防災課総括課長 自主防災組織の活性化策ということでございますけれども、先ほど申し上げたとおり、これまでの取り組みを引き続きやりつつも、先ほど高田一郎委員から御指摘ありましたとおり、全国の取り組みなども情報収集いたしまして、県内において展開できるものは展開していくという形で活性化の取り組みをやっていければと考えております。
〇佐々木宣和副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木宣和副委員長 質疑がないようでありますので、これで復興防災部関係の質疑を終わります。
 復興防災部の皆様は御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時59分 散会

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