令和5年6月定例会 第26回岩手県議会定例会会議録

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〇17番(佐藤ケイ子君) 希望いわての佐藤ケイ子でございます。
 発議案第4号選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書について、提案理由を申し上げます。
 提案に当たっては、賛同いただきました、署名をいただきました議員各位にお礼を申し上げます。
 まず、岩手県議会は、これまで同様の趣旨の意見書を2回採択しております。平成22年2月定例会、夫婦別姓制度の導入及び婚外子相続差別の撤廃のための民法の一部改正を求める意見書と、令和3年2月定例会のジェンダー平等施策の強化を求める意見書の中での項目の一つに、選択的夫婦別姓制度導入がありました。
 岩手県内の自治体では、私の知る限り、盛岡市議会、滝沢市議会、花巻市議会、北上市議会、奥州市議会、釜石市議会、金ケ崎町議会、そして先月、久慈市議会が同様の意見書を採択しております。その多数が全会一致で意見書を採択しております。
 政府答弁によりますと、法律で夫婦同姓を義務づけている国は日本だけということで、国連女性差別撤廃委員会からも、何度も制度改善の勧告が行われています。しかしながら、1996年に法制審議会が、選択的夫婦別氏制度の導入を含む民法改正を答申してから27年、いまだに国会での民法改正議論が進んでおりません。
 さて、近年、夫婦が望む場合には、結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の氏を称することを認める制度、いわゆる選択的夫婦別姓制度についての議論があり、選択的夫婦別姓の導入について、認めてもよいと考える人がふえております。
 令和4年3月に公表された内閣府の家族の法制に関する世論調査の結果では、現在の制度である夫婦同姓制度を維持したほうがよいが27%、夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けたほうがよいが42.2%、選択的夫婦別姓制度を導入したほうがよいが28.9%となっており、婚姻前の姓を名乗ることを希望する意見が一定程度あります。
 世代別では、夫婦同姓制度維持は、20代16.1%、30代12.7%、40代16.8%しかなく、50代、60代は二十数%、70代以上が47.8%と、高齢層ほど別姓に抵抗感があるものの、これから結婚しようとする世代の多くは、婚姻前の氏を使用する制度の導入を求めていると言えます。社会の考え方が確実に変化しているのです。
 また、最高裁判所は2015年、平成27年12月の判決に続き、2021年、令和3年6月、夫婦同姓制度を合憲とする一方で、夫婦の氏について、どのような制度をとるのが立法政策として相当かという問題と、夫婦同氏制を定める現行法の規定が、憲法24条に違反して、無効であるか否かという憲法適合性の審査の問題とは、次元を異にするものであるとも指摘し、この種の制度のあり方は、平成27年大法廷判決の指摘するとおり、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄にほかならないと言うべきであるとしました。
 最高裁判所が2度にわたり国会での議論を求めていることを重く受けとめるべきであり、最高裁判所判決の趣旨を踏まえ、適切な法的選択肢を用意することは、国会及び政府の責務であります。
 家族の多様化が進む中、旧姓を通称使用する人や事実婚を選択するカップルも少なくありません。改姓によって、これまで築き上げてきたキャリアに分断が生じる仕事上の不利益、銀行口座や各種資格、免許証の名義変更の煩雑さ、アイデンティティーの喪失感に多くの女性が悩まされてきました。
 旧姓を通称使用しても、本人確認の煩雑さ、国家資格など戸籍上の氏が義務づけられているものも多数あります。また、事実婚のカップルの病院での手続問題、子供は婚外子として差別され、パートナーが亡くなっても相続権がないなど、法的に夫婦として保証されないままです。次々に不利益の声が上がっております。
 選択的夫婦別姓制度は、選択的という言葉の示すとおり、同姓を希望するカップル、別姓を希望するカップルそれぞれに対し、選択の自由と多様性を認める制度です。女性、男性どちらも改姓による不利益をこうむることなく、老後も法的な家族として支え合える、誰もが生きやすい社会を実現するために、選択的夫婦別姓制度の議論が、社会に開かれた形で国会で議論されるべきであります。
 以上、国においては、選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正を行うよう求め、意見書を提出しようとするものであります。議員各位の御賛同を賜りますよう切に、切にお願い申し上げ、提案理由の説明といたします。(拍手)
〇議長(五日市王君) これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。米内紘正君。

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