平成23年9月定例会 第2回岩手県議会定例会 会議録

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〇1番(高田一郎君) 日本共産党の高田一郎でございます。東日本大震災津波の一日も早い復興を求め、知事並びに関係部局長に質問いたします。
 大震災から7カ月がたちました。復旧、復興の目標は、すべての被災者が安心してその地で住み続けられるようにすることです。ところが、居住環境が劣悪、仕事と収入がないために、人々が住みなれた土地を離れざるを得ない被災者も生まれています。私はこの間、陸前高田市から宮古市まで6自治体を訪問して、被災者や自治体当局、そして漁協、商工会議所、県立病院などの方々と懇談を行ってまいりました。今、何よりも急がれるのは、安心できる住環境と仕事、そして収入の確保の道を提供することであることを痛感しております。大震災の復旧や復興の諸課題について知事に質問いたします。
 第1に、被災者の生活となりわいの再建の問題であります。
 地震、津波で店舗や工場などが全壊、流失、半壊などした被災事業者などがこれから新たな借金をして事業を再開しても、震災前の借金が足かせになって再スタートできない、いわゆる二重債務の解消は喫緊の課題であります。
 本県でも今月3日、被災事業者などの相談を受ける岩手県産業復興相談センターが開設され、今月中にも被災事業者の既存債務の買い取りなどを行う岩手県産業復興機構が設立される予定になっております。しかし、産業復興相談センターで再生可能と判断した事業者についての支援であると報道されております。選別と切り捨てではなくて、再生の意欲のあるすべての事業者の再生支援となるような制度と運用にすべきと考えますが、知事の答弁を求めます。
 第2に、被災した事業者が再出発するための直接支援であります。
 帝国データバンクの調査では、沿岸部の市町村に本社がある1、224社のうち537社、43.8%が営業不能状態になっております。多くの漁業者も農業者も再開にはほど遠い状態です。被災事業者への対策をしっかりやらなければ廃業や失業者が生まれ、地域社会を復興する土台そのものが崩壊してしまうだけに、従来の枠を超えた個々の事業者への直接支援が課題となっています。国の中小企業等復旧・復興支援補助、いわゆるグループ補助は、被災した事業者からの希望が多くて、岩手県は事業費の3分の1に圧縮して実施したのではないでしょうか。希望するすべての事業者に4分の3補助となるように国に対して大幅な拡充を求めるべきであります。
 岩手県が事業化した中小企業被災者資産修繕事業は画期的な制度で、被災地からも大英断だと歓迎されています。しかし県は、この4月に事業化を具体化しながら、その徹底がおくれて、10月7日現在の補助金交付決定額はわずか3自治体85件、1億2、800万円となっております。被災事業者が早期に事業再開できるよう、次の2点の改善を求めるものです。
 第1に、100万円以上となっている修繕費補助の対象基準を引き下げること、第2に、内陸の被災した事業者へも対応するよう改善すべきであります。
 次に、被災者、失業者の実情に応じた多面的な分野での雇用、失業対策が重要です。そのためにも、まず雇用関係の実態把握が大事であります。今回の大震災による企業倒産と失業者数、緊急雇用創出事業による再就職状況についてお伺いいたします。
 緊急雇用創出事業は、低賃金で短期雇用が多くて被災者のニーズにかみ合っていません。コミュニティバスのきめ細かな運行とか集会所への人的な配置など、被災地での復旧、復興事業を地元の雇用につなげる必要があります。少なくとも1年以上の雇用期間にするように見直すべきであります。
 被災地では、壊滅的な被害を受けた事業者が再開し、労働者を再雇用する動きが出ております。これは積極的なことであり、こうした企業への支援が必要であります。しかし、被災者雇用開発助成金は、一たん解雇した従業員を再雇用した場合には助成の対象にはならず、国に改善を求めるべきであります。また、県独自でもこうした企業に助成すべきであります。
 次に、漁業、水産業についてお伺いいたします。
 今度の大震災津波で、居住地域とともに生産基盤である漁船、漁港、養殖施設、冷蔵庫や水産加工場、流通施設などが一挙に奪われ、働く場が失われました。生産、加工、流通で水産業の再建を図る必要があります。
 漁港施設は、基礎的な生産手段である漁船の係留場所であると同時に、漁協が運営する産地市場などの水揚げ施設や製氷、冷蔵施設、加工施設などが立地する水産物流通や加工業の拠点となる基礎的な施設であります。本県では111の漁港中108の漁港が甚大な被害を受けました。養殖業主体の本県では、すべての漁港の再建は急務であります。被害を受けた108の漁港の復旧状況、そして見通しはどうなっているでしょうか。
 また、水産関連施設とあわせて復旧が急がれます。大船渡市では製氷施設の復旧がおくれ、サンマの受け入れができない漁協が製氷施設の建設を急いでいます。水産加工施設の復旧状況についてもお示しください。
 漁船は、漁船漁業とともに養殖漁業や採介藻漁業にとっても欠かすことができない生産手段であります。流失、損壊した漁船の被害状況と復旧の具体的な見通しはどうなっているのでしょうか。
 次に、仮設住宅の改善と住宅の確保対策について質問いたします。
 県が仮設住宅に入居している住民を対象に実施したアンケートでは、持ち家の新たな購入と自宅の現在地での改修、再建、これを合わせた持ち家希望は57%と、一番強い要求となっています。現行の被災者生活再建支援法では全壊でも300万円の支援にとどまっており、これでは住まいの再建はなかなか進みません。限度額を500万円に引き上げることを国に求めるべきであります。そして、県としても住宅再建への補助を行うべきと思いますが、知事の答弁を求めます。
 今回の大震災での住宅被害は内陸部においても大きな被害となりました。一関市では全壊456棟、大規模半壊371棟、半壊779棟、一部損壊4、149棟、合計5、755棟、63億円の被害となり、3年前の岩手・宮城内陸地震の10倍となりました。大規模半壊以上は公的な住宅支援がありますが、半壊、一部損壊では公的な支援がありません。一部損壊といっても修繕に1、000万円近くもかかると言われ、断念した被災者も出ています。高齢者からは、生活で精いっぱい、銀行から融資を受けても返せないと、修繕をしないで我慢して生活する被災者も出ております。
 第1に、被災者生活再建支援法の支援対象を半壊、一部損壊にも拡大するよう国に求めるとともに、県独自でも助成すべきであります。
 一関市では、私道や2次被害のおそれのある宅地への独自の支援を行っていますが、復旧がなかなか進みません。私道や宅地の再建を促進するためにも県として支援すべきであります。
 第2に、復興公営住宅は希望するすべての被災者に提供できるようにすべきであります。また、被災者や地域の要望を踏まえた建設計画にすべきであります。
 その際、戸建てや長屋方式、一定期間経過した後に払い下げなど、コミュニティを重視し、地域の条件や被災者の実情に合った多様な公営住宅にすべきであります。そして、建設に当たっては、地元産材や地元業者を活用するなど、公営住宅が地域経済の活性化に結びつくようにすべきと考えますが、復興公営住宅についての考え方についてお聞きいたします。
 第3に、仮設住宅の生活環境の改善であります。
 本格的な冬を迎えようとしており、被災者の実情に即して生活環境の改善が必要であります。暖房機器の設置やふろの追いだき機能など、寒さ対策やバリアフリー化など、入居者の強い要求となっています。厚生労働省は、10月7日付で遅まきながら暖房機器の設置も災害救助法の国庫補助の対象になると通知いたしました。暖房機器がすべての世帯に今月中に設置できるよう速やかな対応を求めます。暖房機器の設置は現在どうなっているでしょうかお伺いいたします。
 仮設住宅の居住環境アンケートでは、買い物の利便性について、悪い、ひどく悪いが合わせて52%、病院については45%が不便と回答しております。ある仮設診療所の医師からは、きょう検査をして、またあした来てくださいとは言えない、こういうお話をされました。これから冬を迎えるだけに、安心して通院、そして買い物ができる足の確保対策に取り組むべきではないでしょうか。
 第2に、被災した民間医療機関の再建支援についてであります。
 今回の大震災で民間の病院、診療所が被災しました。被災状況と再建状況はどうなっているのでしょうか。公立か民間か、個人の診療所か歯科を問わず、みんな公共的な社会的な役割を果たしてきました。住民の身近にあった病院、かかりつけ医は一番必要なんです。それが民間だから、政策医療になっていないから再建の支援はしないという政府の方針というものは血も涙もないものであり、国に対して強く改善を求めていくべきであります。
 内陸部でも公立、民間ともに被害がありました。岩手県が独自の支援策を打ち出されたことは評価しますが、津波被害のみであります。内陸部でも地震で被害を受けた医療機関も休業している状況であり、支援の対象とすべきであります。
 第3に、県立大東病院についてお伺いいたします。
 築後40年近く経過した県立大東病院は、3病棟のうち2病棟が使用不能状態になっています。現在、1病棟に検査機器を移設し、外来対応を行っています。しかし、県南のリハビリ機能と入院機能が失われたままになっています。県医療局は、耐震診断の結果が出て今後の対応を行うと地元住民に説明をしてきましたが、大震災から7カ月、耐震診断結果が出てから2カ月近くもたとうとしているにもかかわらず、何の説明もされていません。地域住民からは、診療所になるのではないか、こんな不安も広がっており、再建の具体策を明らかにすべきであります。今後の対応についてお伺いいたします。
 次に、花泉診療所についてお伺いいたします。
 花泉診療所は、地域住民の十分な議論と合意のない中で診療所化、無床化、そして昨年4月からは県立病院として初めて民間移管となりました。しかし、民間移管された直後から常勤医師が実質不在のままスタートしました。昨年7月に配置された常勤医師は9月までに辞職願を出し退職し、不在となっています。入院患者は転院を迫られるなど、深刻な事態であります。こうした経過を知事は把握しているのでしょうか。こうした事態に至った原因と説明責任はどこにあるのか、県はどのような対応をしているのでしょうか、知事の明快な答弁を求めるものであります。
 次に、大震災からの復興への希望を奪うTPPについて質問いたします。
 野田内閣は、11月のAPEC首脳会議に向けてTPP参加への方針を決定しようとしております。TPPは関税を原則撤廃して、農産物の輸入を完全に自由化するものであります。日本の農林水産業に壊滅的な打撃を与え、国民への安定的な食料供給と食の安全を土台から壊してしまうものであります。
 昨年、岩手県は、農業生産額が1、469億円も減少し、米の生産は95%も減少するとTPP参加の影響を試算いたしました。東日本大震災津波で大きな被害を受けた東北3県の農林水産業にとってはさらに事態は深刻であります。日本有数の米どころ、三陸の主要産業であるワカメや昆布、サケ、マスなど水産業にも甚大な被害を及ぼすものであります。被災地の基幹産業である農林水産業への打撃は、被災者の生活となりわい再建の基盤を崩して、復興への希望さえも奪ってしまうのではないでしょうか。同時に、非関税障壁の撤廃で、食の安全、医療、官公需、公共事業の発注、金融、保険、労働など、国民の生活や安全を守るルールと監視体制、そして中小企業を支援する制度などが大きく崩れる危険が大問題になっています。
 知事は今議会で、国民の合意が得られるまでしっかりと議論を重ね、慎重に検討することが必要だと繰り返しています。そして、本日の本会議では、TPP参加については時期尚早と、一歩踏み込んだ答弁を行いました。
   〔副議長退席、議長着席〕
 しかし、来月にも政府が参加を決めよう、結論を出そうとしているときに、知事は明確に反対だと主張しないのはなぜでしょうか。県内では、JAや建設業協会、消費者団体、労働組合など幅広い団体がTPP反対で15万人の反対署名を集めています。知事として明確に反対を表明し、国に対してTPP交渉に反対するよう具体的な行動をとるべきではないでしょうか。
 次に、災害に強いまちづくりを求める立場から質問いたします。
 災害に強いまちづくりの課題を県政の土台にすることが大事であり、以下、県民要望を踏まえ、幾つかの課題について質問いたします。
 第1に、避難所にもなっている小中学校の耐震化の問題であります。
 今回の大震災で、避難所である小中学校などが大きな被害を受けました。県内の小中学校の耐震化率は73%であり、484棟が耐震補強されていません。学校は1日の大半を過ごす施設でもあり、一刻も早い耐震化が求められています。耐震化がおくれている原因、県としての対応策についてお伺いいたします。
 第2に、住宅リフォーム助成事業についてお伺いいたします。
 景気悪化による新築住宅に対する購買意欲が減退しており、中小業者の仕事おこしと、そして地域経済の波及効果につながるこの事業を実施する自治体が広がっております。特にも、この間の2度にわたる大きな地震を経験しているだけに、地震災害に強い住宅の建設と改修、修繕は住民の関心と要求になっております。なりわいと暮らしを早急に再生することが岩手の復興の目指す目標であり、この事業の実現は復興の大きな力になるものであります。県内でも広がるこの事業を県として実施すれば、岩手県全体への経済波及効果は抜群になると思います。既に県議会でも実施を求める請願が採択されており、知事に決断を求めるものであります。住宅リフォーム助成事業を実施している県内状況、そして事業費、補助金額など、県内自治体の実績も示してください。
 第3に、消防職員の充足率を高めることであります。
 消防職員、消防団が今回の大震災で被災者の救助、救援に大きな役割を果たしました。しかし、職員の人員削減政策の中で、県内の消防職員の充足率は66%、全国平均75.9%からしても大幅に少なく、国の基準と比べても1、000人も不足しております。災害に強いまちづくりを進める中心的なマンパワーであるだけに、充足率を高める具体的な増員に取り組むべきであります。
 次に、原発災害から子供の健康と県民の命を守る課題であります。
 東京電力福島原発による大量かつ広範囲に広がった放射能汚染から県民と子供たちの命を守ることは県政の緊急課題です。ところが、岩手県の復興基本計画には原発災害問題が全く位置づけられていません。なぜ復興計画にこのような位置づけがなかったのでしょうか。放射能汚染は県内でも広がっており、市町村が独自に実施した調査では、一関市4施設、奥州市19施設、盛岡市17施設で1マイクロシーベルトを超えており、除染が行われています。県内の放射能汚染の測定と除染状況についてもお伺いいたします。
 放射能による健康被害には、これ以下の被曝なら安心という閾値は存在しないというのが科学的知見であり、外部被曝も内部被曝も少なければ少ないほどいいという大原則に立った対応が求められており、次の3点についての対策を求めます。
 第1に、徹底した放射線量の測定、調査を行うべきです。妊婦と子供を守るために、保育園や幼稚園、学校はもとより、通学路や公園など子供の近づく場所で測定を行うことであります。既に市町村で実施している地上地点での放射線量測定を県も行い、毎時1マイクロシーベルトを超えるところは直ちに除染すべきであります。
 第2に、一関市内の幼児と児童4人から微量の放射性セシウムが尿検査で検出されていたことが明らかになりました。内部被曝が明らかになったのは県内で初めてであり、知事は内部被曝の現状を把握する健康調査を行うことを明らかにしました。その具体的な内容、今後のスケジュールなどについてお伺いいたします。
 第3に、食料の安全基準値は国際的に見て高過ぎます。厳しい基準値へと見直して、厳格な検査体制をとることが大事であります。検査機器を最大限に確保するとともに、学校給食の食材の検査機器を導入すべきであります。
 原発の安全神話を義務教育の場で学ばせてきた教育のあり方も見直すべきであります。実態はどうなっているのでしょうか、教育長にお伺いいたします。
 次に、被害者への補償問題であります。
 県内においても、稲わらや牧草の利用禁止、枝肉価格の暴落など風評被害も出ております。全面補償問題も待ったなしの緊急課題です。
 まず知事に伺いたいのは、政府が8月に示した原子力損害賠償紛争審査会の中間指針をどう評価しているかであります。賠償の目安となる中間指針では、出荷制限など政府の指示が出された区域で線引きし、この区域以外では、もっぱら指定された品目の指定と間接被害だけという限定的な内容になっています。しかも中間指針に示されていない損害は立証責任を求める内容です。これは、中間指針は、事故に起因して実際に起きた被害のすべてが原子力損害としての賠償の対象になるものではないとするなど、全面賠償を否定しているからであります。原発事故がなければ生じることのなかった損害についてはすべて賠償する。こういう大原則で東京電力と、そして政府に見直しを求めるべきです。
 第2に、畜産農家を守るため、従来にない対応を行い、東電に対して全面補償を求めるべきであります。
 66歳の肥育農家からこの間こんな訴えが寄せられました。BSEのときに800万円の借金をした。あと6年で借金がゼロになり、ゼロになったら離農して苦労をかけた女房と楽しい老後を過ごしたいと思っていた。今回の事故によってまた借金することになり、おれは死ぬまで働かなければならないとお話をされました。夢や希望を奪った原発事故、このままでは離農者が広がりかねません。畜産県岩手の農業が存亡の危機になっているという姿勢で、従来にない対応を行うことが必要ではないでしょうか。稲わらや牧草の一時保管を含めた処理費用などは農家に負担させない、一刻も早い処理を国、県の責任で行うべきです。
 畜産農家は、出荷停止が解除されても経営は深刻です。枝肉価格の暴落は明らかに風評被害であり、東京電力待ちにならずに、県が立てかえ払いをしてでも畜産農家を守るという支援策にすべきであります。
 次に、原発に対する知事の基本姿勢について質問いたします。
 原発の撤退の必要性は、何よりも福島の事故の現実が示しています。今回の事故によって放出された放射性物質は広範囲に及び、土壌、水道水、農産物、牧草などにも被害をもたらしました。放射能は一度外部に放出されると抑える手段は全く存在せず、将来にわたって危害を及ぼし、地域社会の存在さえ危うくします。だからこそ福島県の復興理念には、原子力に依存しない、安心・安全で持続的に発展可能な社会づくりを強く押し出す提言を出しました。同時に、現在の原発の技術というものは本質的には未完成であって、死の灰を原子炉に閉じ込めておく手段も、使用済み核燃料も後始末をする方法も全くない未完成の原発を使い続けており、このような危険性を持つ原発を世界有数の地震、津波国に集中立地することは危険きわまりないことであります。
 東京電力福島原発の事故を直視するならば、原発に依存する政策から撤退をして原発ゼロを目指す政治決断こそ必要であり、これを政府に迫っていくことが必要であります。原発事故によって、今、エネルギー政策が問われているときに、知事演述には一言も触れられていませんでした。知事の原発に対する見解をお伺いいたします。
 今度のもう一つの教訓は、浪費型社会の見直しとともに、自然エネルギーの本格導入に向けた取り組みが重要になっているということです。環境省の委託調査では、日本の自然エネルギーの資源量は、太陽光や中小水力、地熱、風力だけでも20億キロワット以上と推定され、原発54基分の40倍、日本の発電設備の電力供給能力の10倍もあります。岩手県の自然エネルギーの資源量はどのぐらい存在しているのでしょうか。
 電力自給率160%のまち葛巻町では、年間200件もの視察が訪れる自然エネルギーの先進地です。葛巻町の経験を全県に広げる条件がこの岩手県には存在しており、再生可能な自然エネルギーの本格的な取り組みを行うよう求めるものであります。
 以上で私の質問を終わります。答弁によっては再質問をいたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高田一郎議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、事業者の二重ローン問題についてでありますが、10月7日に設立された産業復興相談センターにおいては、中小企業を初め農林漁業者等の幅広い事業者を対象に二重債務の相談を受け付けることとしており、今後設立予定の産業復興機構では、震災以前は健全な経営を続けてきたにもかかわらず、今回の大震災がもとでやむなく過大な債務を負って経営に支障を来し、かつ再生意欲の高い事業者を支援するため、金融機関の新規融資によって今後の再生が見込まれる場合の既存債務を買い取ることとしているところであります。県としては、国や地元金融機関等との連携のもと立ち上がったこの制度が適正に運用され、一人でも多くの事業者の方々が救われるよう期待しております。
 次に、住宅再建への補助についてでありますが、現行の被災者計画再建支援法では、全壊の場合は、被災者生活再建支援金の上限が300万円となっているなど、被災者の住宅の再建にはより一層の支援が望ましいことから、機会あるごとに国に対して支援金額の拡充等を要望しているところであります。
 県では、復興計画や、10月5日に策定した岩手県住宅復興の基本方針において、暮らしの再建を図るため、被災した住宅の改修や再建を行う被災者に対する支援策を充実することとしており、住宅ローンの利子補給などの負担軽減策について、現在準備を進めているところであります。
 次に、花泉診療所についてでありますが、常勤医師が診療所を運営する医療法人に退職の申し出をしており、診療所においては、新たな常勤医師との引き継ぎが終了するまでの間、一時的に新規の入院患者の受け入れを控える等の対応をしていることについて、医療局から報告を受けているところであります。医療局においては、新たな常勤医師との引き継ぎがスムーズに行われ、新たな入院患者の受け入れが早期に行われるよう、法人に対して要請していると聞いております。
 次に、環太平洋パートナーシップ協定についてでありますが、国においては、先ごろ、環太平洋パートナーシップ協定交渉への参加問題に関する関係閣僚会合を開催したとの報道があったところでありますが、この問題については、東北市長会が国に対し慎重な対応を求める要望を行うことを決定するなど、地方から慎重な検討を求める意見が示されていると承知しているところであります。
 環太平洋パートナーシップ協定については、我が国が地域主導の自立的な成長を実現する上で、関税撤廃がどのような効果を有するか、農林水産業に携わる生産者を含めた現場や地域の立場を十分に踏まえ、協定の内容そのものに関する根本的な検討、議論が行われるべきものと考えております。
 また、協定への参加については、地域の声も反映した国民の合意が得られるまでしっかりと議論を重ね、慎重に検討することが必要と考えており、現時点では協議の場への参加は時期尚早と考えておりますが、国の検討状況等を注視しながら、必要に応じて国に対する提言などを行っていく必要があるものと考えております。
 次に、住宅リフォーム助成事業についてでありますが、住宅リフォームは、住宅の質の向上や地域経済の活性化を図っていく上で重要なものと考えております。住宅リフォームの助成制度は県内26市町村で実施されており、平成23年度の8月までの実績は補助額約5億6、000万円、対象事業費は約59億円となっております。震災後は、災害救助法に基づく住宅の応急修理制度の活用などにより、被災住宅の改修需要が相当増加していることから、リフォーム助成制度については、市町村における取り組み状況や震災需要の動向なども踏まえながら、引き続き具体的な制度設計を検討しています。
 次に、被害者への補償問題でありますが、原発事故により県民生活のさまざまな分野で影響が生じており、基本的に原発事故との因果関係が成り立つものについては、幅広く原因者である東京電力株式会社が賠償責任を負うべきであります。
 原子力損害賠償紛争審査会の中間指針は、原子力発電所事故が収束していない中で、東京電力株式会社が賠償すべき損害を類型化することにより、被害者と東京電力株式会社との間における損害賠償に関する円滑な話し合いと合意形成に資することをねらいとして策定されたものであり、中間指針で対象とされなかったものについても、損害賠償の対象となり得るものと認識しております。
 原発事故による県民生活における損害については、県において、市町村や関係機関と連携し、きめ細かな把握に努め、十分な損害賠償が得られるように支援してまいります。また、東京電力株式会社に対しては、これらの損害の賠償を行うことを強く求めるとともに、国に対しては、十分かつ迅速な損害賠償が行われるよう必要な措置を講じることを要望してまいります。
 次に、原発に対する見解についてでありますが、原発事故により安全性への信頼は大きく損なわれたと認識しております。本県は、これまでも地域特性を生かした再生可能エネルギーの積極的な導入に取り組んできており、再生可能エネルギーの導入を復興の核の一つとして位置づけ、一層の推進に取り組んでいく考えであります。
 原子力を含む国のエネルギー政策のあり方については、原発事故の速やかな事態の収束と検証を行いつつ、検証結果を含めた幅広い国民の議論に基づき、国において適切に判断されるべきものと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、被災資産の修繕費補助でありますが、第1の補助対象基準につきましては、限られた予算の中でできるだけ多くの効果を上げるため、事業再開に要する費用がある程度大きい企業を対象とすることとし、現地からの被災状況の聞き取りなどを踏まえまして、100万円以上と決めたものでございます。
 第2の補助対象市町村につきましては、今般の津波災害の甚大さにかんがみ、沿岸市町村に限定して実施するとしたものでございます。
 本事業の予算化につきましては、ほかの県単事業を振りかえるなど、できる限りの財源の確保に努めたところでございますが、本事業に活用できる予算は限定されておりまして、これ以上の要件の変更は難しいと考えており、現在の補助制度をできる限り有効に活用して、企業の再建に努めてまいりたいと考えております。
 次に、今回の大震災による企業倒産と失業者数、雇用基金による再就職の状況についてでありますが、企業倒産の状況は、民間信用調査会社によりますと、4月から9月までに震災関連で倒産した件数は21件とされております。また、失業者数につきましては、震災の影響により、被災3県では国の調査が行われておりませんが、目安といたしましては、岩手労働局で発表している雇用保険受給資格決定者数であり、3月12日から9月25日までの沿岸地域の決定者数は1万1、156件となっております。なお、緊急雇用対策基金を活用した震災対応事業での雇用者数は、10月7日時点では4、523名となっております。
 次に、緊急雇用創出事業の雇用期間についてでございますが、雇用期間につきましては、震災後の国の実施要領の改正が行われ、被災した失業者を雇用する場合は複数回の更新が認められ、現在、1年以上の雇用が可能となっております。
 次に、被災者雇用開発助成金についてでありますが、被災企業等から再度雇用した従業員についても助成対象にしてほしいとの話があったことから、県といたしましても、国に対しまして制度の見直しを要望してきたところであります。現在、国では、第3次補正において被災企業の雇用に対する助成措置を検討していると聞いておりますことから、その動向を今後注視してまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、漁港の復旧状況と見通しについてでありますが、今般の災害発生後、航路、泊地に浮遊、堆積している瓦れき等の撤去を86漁港で実施するとともに、魚市場のある大船渡や釜石漁港等においては、水産物の陸揚げに支障のないよう岸壁のかさ上げ等の応急工事を進めており、現在は被害を受けた108漁港が利用可能となっております。今後におきましては、県の復興計画に沿って、順次、防波堤や岸壁などの本格的な復旧工事に着手してまいります。
 次に、水産加工施設と漁船の復旧についてでありますが、漁業協同組合、水産加工組合等の所有する水産加工施設の復旧につきましては、被災した施設の修繕や電気、機械設備などの機器類の整備、鮮度保持容器やフォークリフト等の特殊車両の整備に加え、現在、魚市場へ氷を供給する製氷、貯氷施設11カ所の復旧工事を進めており、うち3カ所が復旧、稼働しております。また、主としてサケやワカメの加工を行う施設16カ所の復旧を盛漁期に間に合うよう整備を進めているところです。
 また、漁船の被害状況と復旧見通しについては、漁船の被害隻数は9月末現在で1万3、000隻余りとなっており、震災前の漁船登録隻数の約9割に達しております。漁船の確保につきましては、共同利用漁船等復旧支援対策事業により復旧に取り組んでおり、今回の補正予算に盛り込んだものも合わせて約6、800隻を整備することとしております。
 次に、畜産農家への支援についてでありますが、牧草、稲わらの処理につきましては、埋却、焼却、すき込みに要する経費について全額を助成することとしており、一時保管の取り組みにつきましても対象とするよう検討をしております。
 また、東京電力からの賠償金が支払われるまでの資金繰り対策として、出荷遅延に伴う掛かり増し経費や販売代金相当額、さらに通常時の販売額との差額などについて支援し、畜産農家の負担軽減をするよう努めております。
 さらに、原発事故により生じた損害は、原因者である東京電力が賠償すべきものであることから、県といたしましては、東京電力に対して賠償金を早期かつ確実に支払うよう強く申し入れているところであります。
   〔理事廣田淳君登壇〕
〇理事(廣田淳君) 被災者生活再建支援法の支給対象の拡大等についてでありますが、被災者生活再建支援法によります被災者生活再建支援金の支給対象につきましては、全壊または大規模半壊した世帯に対して支給されているところであります。県としましては、被災者に対する生活支援を充実することが必要と考えておりますことから、住宅半壊世帯も対象とするなど、支給範囲を拡大するよう、機会あるごとに国に対して要望しているところであります。
 被災住宅や宅地等再建に対する支援につきましては、これらが早期に復旧できるよう、県としても国の動向を見きわめながら、支援を行う場合の事業内容等について検討を進めているところであります。
 次に、仮設住宅の暖房器具の設置についてでありますが、これまで、県内の応急仮設住宅1万3、984戸のうち約6、300戸、45%において、NGO等の支援によりまして、希望する世帯に石油ストーブ、ファンヒーターなどの暖房器具が設置されてきたところであります。
 今般、平成23年10月7日付で厚生労働省から、応急仮設住宅における暖房器具の設置に要する経費について、災害救助法によります国庫負担の対象となると通知されたところであります。県としましては、この通知を受けて、直ちに10月11日付の通知で暖房器具の設置に係る事務を各市町村に委任し、各市町村の気象等の地域状況やそれぞれの応急仮設住宅の個別の事情を勘案して、各市町村において対応していただくよう要請しているところであり、それぞれの市町村においては、地域の実情に応じた暖房器具をできるだけ早く設置していただきたいと考えております。
   〔県土整備部長若林治男君登壇〕
〇県土整備部長(若林治男君) 復興公営住宅の考え方についてでありますが、被災者向けの公営住宅につきましては、被災者に対するアンケート結果を踏まえ、先日公表いたしました岩手県住宅復興の基本方針において4、000戸から5、000戸を確保するということにいたしまして、供給計画を定めたところであります。基本方針においては、被災者のニーズや地域性を踏まえコミュニティに配慮することとしており、建設に当たっては一部に木造住宅を取り入れるなど多様な公営住宅の供給を行ってまいります。一定期間経過後の払い下げにつきましても、国の制度の動向を踏まえ、検討してまいります。また、構造材及び内装材などにおける県産材の積極的な活用に努めるとともに、地元でできる工事は地元に発注するなど、被災した地域へのできる限りの配慮を行いながら、建設に取り組んでまいります。
   〔政策地域部長千葉茂樹君登壇〕
〇政策地域部長(千葉茂樹君) 仮設住宅入居者のための交通の確保についてでありますが、国が行いました応急仮設住宅の居住環境等に関するアンケート調査の結果におきまして、通院や買い物の利便性について、悪い、ひどく悪いと回答している世帯の割合が高くなっていることについては、同アンケートにおきまして、当該世帯の主な移動手段が自家用車となっていることを踏まえ、医療施設や商店などの施設が仮設住宅団地から離れた場所にあり、加えて、近隣にバス路線がなかったり、バス路線があっても運行回数が少ないことなどがその一つの要因となっているものと考えております。
 仮設住宅団地へのバス運行につきましては、現在、路線バスの運行に加え、市町において無料バスや患者輸送バスの運行などを行っているところでありますが、沿岸市町村等からの聞き取りや現地調査の結果、バス停留所までの距離や道路の狭隘等の事情により、現在の路線では対応できない仮設住宅団地が一部あることについては、県においても把握しているところでございます。現在、該当市町村におきまして、バス路線の見直しや新たな路線の必要性について検討しているところでありますが、あわせて、仮設住宅団地と医療施設や商店などを結ぶ路線の実証運行などを行う国の調査事業を導入し、ニーズ調査を行いながら、仮設住宅の交通を確保していくことについても検討しているものと承知しているところでございます。
 今後、県といたしましては、地域の実情を踏まえたきめ細やかな対応ができるよう、市町村と一体となりましてバス事業者への要請を行いますとともに、調査事業の導入に当たりましては、市町村、交通事業者、有識者、国及び県で構成いたします支援組織を設置し、必要な助言を行うなど、市町村の取り組みを支援していくこととしております。
   〔医療局長遠藤達雄君登壇〕
〇医療局長(遠藤達雄君) 大東病院についてでございますが、被災後におきましては、まずは安全な場所での外来診療機能の確保を図るため病院建物の改修工事を行い、10月11日に本館部分から増築棟へ外来診療機能を移転したところでございます。また、改修工事と並行いたしまして本館部分の耐震補強工事が可能かどうか調査を行ってきたところでございます。先般、補強工事は困難との調査結果が出たことから、本館部分につきましては使用できない状況となっております。このため、入院につきましては、引き続き、近隣の千厩病院を初め磐井病院など両磐保健医療圏内の医療機関と協力して対応してまいりますが、今後につきましては、二次保健医療圏の中で、地域の御意見を伺いつつ、地元一関市や医療関係者等と協議しながら検討してまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長小田島智弥君登壇〕
〇保健福祉部長(小田島智弥君) まず、被災した民間医療機関の再建の状況についてでありますが、県内の民間医療機関では医科、歯科全体で311カ所が被災し、このうち83カ所が全壊または大規模半壊の被害を受けましたが、10月1日現在では約9割に当たる275カ所の医療機関が保険診療を再開しているところであります。特に沿岸部は、一次医療を担う診療所も津波により地域全体で大きな被害を受けておりますことから、県といたしましては、まずは沿岸被災地域の医療機関の復旧を優先する必要があると考えており、地域医療再生臨時特例交付金を活用した被災診療所機能回復事業は沿岸地域を対象に支援を行うこととしております。内陸部におきましては、地震により全壊または大規模半壊となった医療機関が4カ所ありますが、このうち国庫補助の対象とならない医療機関は2カ所ありますことから、国に対し、歯科を含む民間医療機関の補助対象の拡大について、数次にわたり要望を行っているところであります。
 次に、放射線に係る健康調査の具体的な内容等についてでありますが、御指摘のとおり、一関市内の子供から検出された放射性セシウムのレベルは極めて低い値であり、福島県における調査結果とあわせ考えると、一関市を含む岩手県では子供の健康に影響を及ぼすレベルにはないと認識しております。しかし、県民に広がる不安を払拭するため、子供の尿中セシウムに係るサンプリング調査の実施に向け、調査対象者、サンプル数、実施時期等の具体的な内容について、現在、市町村の意向や専門家の意見をいただきながら検討を進めているところであります。
 このように、現時点では関係機関との調整段階にあり、直ちに内容、スケジュール等をお示しできる状況にはありませんが、今後、こうした検討を踏まえ、調査方法等をしっかりと設計した上でお示しさせていただきたいと考えております。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) まず、消防職員の増員の取り組みについてでございますが、災害に強いまちづくりは、常備消防における職員数や装備等の消防力のみならず、消防団の充実強化や自主防災組織の活性化、建造物の配置や構造など、地域におけるさまざまな要因を考慮し、それぞれに応じた適切な方策を組み合わせることにより、実現に近づくものと認識しております。
 消防職員数につきましては、このような地域のさまざまな要因を踏まえながら、それぞれの市町村や組合において判断し、条例を設け、配備しているところでございます。県としては、このような市町村や組合の判断を受けとめつつ、消防力の充実強化に資するよう、機会をとらえて不断の対策の推進を働きかけていきたいと考えております。
 次に、県内の放射能汚染の測定と除染状況についてでございますが、県内においても地表付近の放射線量が比較的高い値を示す地域があるなど、放射能による影響が広がっている状況を踏まえ、原発放射線影響対策の基本方針や放射線量等低減に向けた取組方針を策定し、放射線の影響を受けやすいとされる子供の健康を重視する観点から、学校等の施設を中心に放射線量の測定及び毎時1マイクロシーベルト以上の箇所の除染等の低減措置を推進することとしております。
 放射線量の測定及び低減措置について、市町村におきましては、これまで1、022施設で測定を行い、27施設で局所的に高い値が測定されたため、26施設について除染を実施し、残る1施設についても除染を実施する予定であります。また、県が管理する施設につきましては、これまで75施設で放射線量の測定を実施し、うち12施設について局所的に高い値が測定されたため、これまで2施設について除染を実施し、残る10施設についても今後速やかに除染を実施することとしております。今後も、県民の安全・安心を確保するため、放射線量測定等の迅速な情報提供に努め、市町村と連携を図りながら、放射線量低減措置を積極的に推進していく考えであります。
 次に、放射線量の測定調査の徹底についてでございますが、先ほど答弁申し上げましたとおり、県におきましては、市町村と連携し、子供の健康を守る観点から学校等の放射線量を測定し、毎時1マイクロシーベルト以上の箇所につきましては、速やかに低減措置を講じているところでございます。この放射線量の測定や低減措置につきましては、市町村の意見を踏まえ、また、県民の不安を払拭する観点から、地表からの高さにかかわらず対象として助成しておりまして、県が管理する施設におきましても、この方法に準じているところでございます。
   〔理事平井節生君登壇〕
〇理事(平井節生君) 復興計画における放射能汚染対策の位置づけについてでございますが、原発の放射線の影響対策につきましては、復興基本計画におきまして、防災のまちづくりなど関係する分野の復興に向けた具体的取り組みとして、原子力発電所事故への対応を位置づけたところでございます。具体的には、防災のまちづくり分野に、原子力発電事故に伴う放射線量の測定など監視体制の充実強化及び放射性物質に係る健康不安の解消など安全対策の推進、また、水産業、農林業、商工業及び観光の各分野に、放射性物質に係る安全対策と風評被害を払拭するための取り組みの推進を位置づけております。これらの記述につきましては、放射能汚染対策が各産業等の分野の取り組みと密接に関係していますことから、各分野の施策と一体的に記載すべきものと判断したものでございます。
   〔環境生活部長工藤孝男君登壇〕
〇環境生活部長(工藤孝男君) 自然エネルギーの資源量と普及のための取り組みについてでありますが、本県の再生可能エネルギーの資源量は、平成23年3月の環境省の再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査に関する委託報告書によりますと、洋上風力を除く発電分野の全資源量のうち、現在の技術水準で利用可能な量として、出力ベースで2、027万キロワットと推定されているところでございます。
 平成10年3月に策定いたしました岩手県新エネルギービジョンにおきましては、地理的諸条件など導入可能性を踏まえた、より現実的な開発可能量として55万3、000キロワットを平成22年度末の導入目標に掲げ、取り組んできたところであります。現在、再生可能エネルギーを取り巻く環境の変化を踏まえて、新たな導入目標について調査検討を行っているところでございます。
 今後、国に対しまして、再生可能エネルギー特別措置法における適切な買い取り価格、期間の設定や買い取り義務の履行、電力系統への接続のための支援を働きかけるなど、太陽光や風力、地熱等の多様な再生可能エネルギーの導入が図られるよう努めてまいります。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) まず、小中学校の耐震化についてでありますが、各市町村においては、小中学校施設の耐震化を計画的に進めているところでございまして、平成27年度末までには484棟中378棟が耐震化される見込みであります。小中学校施設の耐震化が早期に完了しない理由としては、厳しい財政状況や今後の学校建設計画との調整が主な要因とされております。
 県といたしましては、児童生徒の学びの場である学校施設の耐震化を促進するため、毎年、市町村教育委員会職員を対象とした研修会を開催しているとともに、さまざまな機会をとらえて市町村に対し助言、要請を行っております。
 なお、国に対しては、市町村の厳しい財政状況を踏まえ、耐震化事業に対する国庫補助率の引き上げ等の財政支援措置を拡充するよう引き続き要望してまいります。
 次に、学校給食の食材の検査機器の導入等についてでありますが、県では、県産食材の安全確保方針等に基づき、安全な県産食材の供給に向けた取り組みを実施しているところであり、これらの取り組み等により学校給食の安全性の確保に努めてまいります。
 また、一関市や奥州市においては、食材を検査するための機器の導入を検討していると聞いておりますが、このような地域の実情に応じて市町村が実施する取り組みについても支援してまいりたいと考えております。
 次に、原子力発電に関する教育の実施についてでありますが、義務教育段階においては、中学校の理科でエネルギー資源について学習する際、水力、火力発電とともに原子力発電についても学習しております。県内で使用している教科書は、その利点のみを強調するものではなく、課題等についても記述されており、各校においては教科書の内容に沿って指導していると承知いたしております。
〇1番(高田一郎君) それでは、再質問いたします。
 まず、二重ローン問題についてお伺いしたいと思います。
 被災3県の中で今回の産業復興機構が設立されるのは初めてでありまして、その意味でも岩手の取り組みが注目されていると思います。本当に意欲のある事業者を幅広く支援することが復興を進めていく上で不可欠の課題だと思います。
 そこで何点かお聞きしたいと思いますけれども、産業復興機構が買い取る対象債権、これは再生可能性があると判断された事業者となっております。知事からは多くの方々が利用できるように期待しているというお話をいただきましたけれども、再生可能性があると判断された事業者となりますと、本当にこれは一部の事業者だけになってしまうのではないかという不安もあります。私が被災地に行ったときにも、本当に一部の優良企業しか救えないのではないか、そういう声も聞きました。この再生可能というのは何を指すのか、また、どういう方々がこれを判断するのかということをお聞きします。
 また、岩手県の返済猶予となっている債権額、これはどのぐらいになっているのでしょうか。そして、今度の産業復興機構の出資総額、ここについてもお伺いしたいと思います。
 次に、住宅ローンの債務問題ですけれども、住宅ローンについては私的整理だということで、今回は産業復興機構の中に含まれない対応になっています。岩手県の復興計画を見ますと、住宅ローンについては、二重債務解消に向けた支援を緊急的な取り組みだと、そういう位置づけでの復興計画となっております。県として住宅の二重ローン対策についてはどのような対応をしようとしているのかということをお聞きします。
 次に、放射能汚染対策、とりわけ汚染された牧草、稲わらの処理問題についてお聞きしたいと思います。
 先ほど東大野農林水産部長からの答弁をお聞きしますと、一向に進んでいないということが示されたと思います。部長からは一時保管も対象の検討をすると言われただけで、この間、稲わらあるいは牧草の処理対策が全く進んでいないということだと思います。
 県は8月下旬に、市町村による稲わら処分の全額補助を決めました。それから具体的にどれだけ進んでいるのでしょうか。市町村ではもう待ち切れずに、国や県の対応が示されずに、独自で処理対策を行っている自治体も生まれています。一関市ではきょうから牧草の試験焼却が始まりました。稲わらについては、コンクリートのたたきをつくって、ロールで巻いて屋根つきで保管をする。堆肥処理についても独自の対策をやるということを打ち出しました。これにかかる経費は2億円をはるかに超える金額だと聞いています。こういうのは、やはり県が率先してこういう対策を打ち出すべきだと私は思うんです。これを先行してやっている自治体に対してはどういう支援をしていくのでしょうか、これについてもお伺いしたいと思います。
 次に、出荷遅延牛についての対応についてお伺いいたします。
 県がこの間実施してきた出荷遅延牛の買い上げ制度、いわゆる肉用牛肥育経営緊急支援補助事業の実績というものはどうなっているのかお聞きしたいと思います。
 今、農家にお話を聞きますと、この支援策を超えた対策をやってほしいというのが農家の切実な声です。現在の買い上げ制度というのは、出荷した場合に、売れた金額と支援金との差額があります。これを農家が返済するという仕組みになっていますよね。違うんですか。そういう制度になっているとお聞きしました。その差額については、農家が東京電力に賠償請求をしなければならない、こういうことになっております。農家は被害者です。賠償請求をやらせるのではなくて、やはりある程度の出荷適齢期を過ぎたら県が買い上げをして、そして県が東京電力に対して被害の賠償を全面的に求める、こういう対応が今必要だと私は思います。そして、これが今、畜産農家の中で大変切実な要求となっておりますけれども、こういう対応をするお考えはないのかということをお聞きしたいと思います。
 次に、県立病院問題についてお伺いしたいと思います。
 今回被災された県立病院については、今度の定例会の中で知事は、再建を基本に対応していくという前向きな答弁を行いました。しかし、県立大槌、山田病院の再建問題については二次医療圏の中での議論を行っていく必要があり、県の次期保健医療計画の考え方を踏まえながら進めていくと知事は答弁いたしました。しかし仮設住宅というのは2年から3年なんですね。だから、今からどこにつくるか、こういうものを準備しないと間に合わないのではないでしょうか。そして、被災地の復興計画にも影響が出てくると思います。被災地では今、復興計画をつくっています。どこに県立病院ができるのか、どういう規模の病院をつくるのかということを率先して県が打ち出していかなければ、これは復興計画も前に進まないということが言えるのではないでしょうか。そういう点でも一日も早い計画を示すべきだと思いますが、この点についての答弁をお願いしたいと思います。
 次に、県立大東病院の問題についてお伺いしたいと思います。
 医療局長の答弁では、関係者との協議を重ねながら結論を出していくというお話でありました。実は9月の一関市議会では県立大東病院の早期改築を求める意見書が全会一致で可決されたということを医療局長は御存じでしょうか。この意見書の中身を見ると、大震災からもう7カ月以上たっているにもかかわらず、何ら一向にこの問題が具体化されていないことは異常だと、そういう表現になっております。
 そこで医療局長にお伺いしますけれども、耐震診断の結果が出たのはいつなのか、そして、その後どういう対応を医療局は行ってきたのか、その点についてお伺いしたいと思います。
 次に、花泉診療所について知事にお伺いしたいと思います。
 知事は、現在の常勤医師が退職を申し出ており、新しい常勤医師が来るまでスムーズな引き継ぎができるようにという話をされました。これは知事、事態の深刻さがわかっていないんじゃないかと私は思います。今、常勤医師はいますけれども、実際、勤務していないんです。そして、入院は今やられていないんですよ。所長も名前だけ、入院も転院をお願いしているという状況ですから、今、入院していないんですよ。花泉診療所は今、診療所になっていないんです。この事実を知事は認めるんですか。この点について、知事のほうから具体的に、事態の深刻さがわかっていないんじゃないかと思いますが、いかがですか。
 次に、TPPの問題についてお伺いしたいと思います。
 知事は、TPPについて、時期尚早だと一歩踏み込んで答弁いたしました。しかし、岩手の抱える課題を考えるときに、やはり時期尚早ではなくて、反対を表明して具体的に行動に取りかかる、私はそういう時期だと思います。知事は、復興増税の問題については、被災地の皆さんへの負担になって、経済へのマイナスを考えると復興増税というのはやるべきではないという答弁を行いました。私も同感です。しかし、今度のTPPについても、被災地に対する物すごい影響が出てくるんじゃないですか。そして、昨年、民主党政権が決定した2020年度までに食料自給率を50%にするという食料・農業・農村基本計画にもこのTPPというのは反するものであって、私は両立できないと思います。まずこの二つの点についてお伺いしたいと思います。
〇議長(佐々木博君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇知事(達増拓也君) まず、事業者の二重ローン問題についてであります。
 震災以前は健全な経営を続けてきたにもかかわらず、大震災によって過大な債務を負い、震災以前には一定の投資をしてお金を借りて工場を建てる等々そういった経営をし、またそれもちゃんと返済できると金融機関にも認められてお金を借りることができて、そして経営を行っていたのに大震災によって全く同じ借金をもう一度しなければ震災前と同じような事業ができない、これが二重ローン問題ということでありますけれども、であれば、今後の再生が見込まれるということはかなりあり得ると。というか、震災以前に健全な経営を行って、そのときの借金がちゃんと金融機関に認められたようなところであれば今後の再生というものも見込まれると考えておりまして、一人でも多くの事業者の方々が救われるよう期待していると述べたところでございます。
 それから、お金の額に関して、2種類ほど具体的な数字、ちょっと今、手元にございませんので、資料提出等の形で対応させていただければと思います。
 それから、住宅ローンの二重ローン問題に関しましては、これは、住宅ローンの利子補給などの負担軽減策について現在、準備を進めているところでございまして、やはり重要な問題ですので県としても対応してまいりたいと思います。
 次に、山田病院、大槌病院についてでありますが、もとあったところに、もとのとおりに建てるわけにはいかないのであろうということで、地元市町の復興計画も参考にしながら、立地場所や規模、機能等について検討していくということでございまして、それぞれ山田町、大槌町の復興計画も近々できてくるわけでありますので、急ぎその検討作業が進んでいくよう、医療局のほうでも対応するものと理解しております。
 花泉診療所についてでありますけれども、現在、当該常勤医師が退職の申し出をしているけれども医療法人側としては退職扱いにはしていないという中で、入院患者については受け入れを控えて、今、入院患者がいない状態になっているということは承知しております。これは、入院ということができるような診療所として約束をしているわけでありますから、その約束がきちんと履行されることを医療局から法人に対して要請しているということで、いつまでもこういう状態であってはならないと考えております。新たな入院患者の受け入れが早期に行われるよう、医療局において法人に対して要請しているということで、法人側が早くこれにこたえることを強く期待するものであります。
 環太平洋パートナーシップ協定についてでございますけれども、きのうこの議場で取り上げられました国の増税とか復興財源の調達の方法についてもそうなのでありますけれども、国の政策に対し県としてさまざま申し入れする場合には、きちんと県の担当の職員の力もかりて書面を作成し、私、でなければ私の代理の者が国の担当と会ってきちんと説明しながら要請をしていくということになりますので、先ほど答弁したとおり、必要に応じて国に対して提言などを行っていく必要があるものと考えておりますので、国の検討状況等を注視しながら、対応できるようにしてまいりたいと考えております。
 以上です。
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) 知事のほうから後日資料でという点について、私のほうから申し上げます。
 まず、今回の負債の総額ということでございますが、これはそれぞれの金融機関の積み上げになりまして、正確な数字というのはそれぞれの金融機関の秘密事項でございますので、あくまでも推計でございますが、住宅ローン、それから今回、企業のローンと合わせて大体2、000億円程度というふうに試算しております。
 それから、出資総額でございますが、これは、今後500億円の規模でこの機構の基金をつくっていくということで進めてございます。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 最初に、稲わら、牧草の処理についてでございますが、議員がお話しになった一関市の処理方法については承知してございませんが、市町村の処理に対する助成という形をとってございますので、市町村ごとに具体的な処理方法を調整して進めるということで対応してございます。
 ただし、稲わら、牧草についても、高濃度のものについて国がまだ具体的な処理方法を示していない部分がございますので、それについては、国が処理方法を示し次第対応するという方法をとらざるを得ないという状況は答弁で申し上げたとおりです。
 それから、出荷遅延牛の関係でございますが、実績につきまして、8月25日基準で支援した県単事業分につきましては4億8、600万円余、それから9月1日以降の基準日につきましては国の事業を導入してございますけれども、そちらは1億700万円余の実績になってございます。
 出荷遅延支援金につきまして、販売時でありますけれども、販売価格との差額につきましては東京電力への賠償請求という形になります。販売価格分につきましては、支援金については返還していただくという仕組みになってございますが、県としてはこの支援方法で肥育農家を支援してまいりたいと考えてございます。
〇医療局長(遠藤逹雄君) 大東病院の関係についてでございますけれども、一関市議会の9月22日付の意見書はちょうだいしております。震災後6カ月を経過した今日においても具体的な計画がない状況が続くことは異常であるといった趣旨の、先ほど議員御質問の中で触れた文言が入っております。
 私ども医療局は、別に大東病院について何もしないで今まで過ぎてきたわけではございませんで、本館も含めて診療機能が使えない状況でございましたので、まずは外来分を安全なところで何とか確保しようということで、これまで外来機能の移転の工事をやってきたと。おかげさまで10月11日に何とかそちらのほうに移転ができたということでございます。
 それから、耐震化工事ができるかできないかということについて並行して調査をやってきたということでございます。先ほど御質問で結果がいつ出たのかというお話でございましたけれども、8月末にその結果が出たということでございます。
 今後につきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、二次保健医療圏の中で、地元一関市、これは二次保健医療圏丸々ほとんどかぶりますけれども、そちらの御意見等々も踏まえながら、今後のあり方については地域の皆様の声を聞きながらいろいろ協議させていただきたいと考えております。
〇1番(高田一郎君) それでは、まず、二重ローン問題からお伺いしたいと思います。
 商工労働観光部長のほうからは、返済猶予になっている債権額は2、000億円、そして、産業復興機構の出資総額は500億円となっています。この数字を見ても明らかなように、本当に意欲のある、ぜひ再建したいという思いを持つ事業者に支援を行うような、そういう規模にならないんじゃないかと私は思うんです。この間私も被災地を歩いてきましたけれども、本当に一部の優良企業だけが支援されるんじゃないか、金融機関の支援じゃないかということを言われるんです。そういう機構になりかねないんじゃないかという私は心配があります。その点についてどのようにお考えなのかお伺いしたいと思います。
 次に、放射能汚染の問題ですけれども、処理の仕方については、国は処理対策について何もしていないからなかなか大変だというお話をされました。しかし、国がさまざまな対応策を示していない中でも、畜産農家の窮状を考えると何とかしなければならない、そういう思いで、当該自治体では、とりわけ先ほど一関市のお話をしましたけれども、独自の処理対策を行っているんです。そういう意味では、8月にこの処理対策の補正予算の専決処分をやりましたけれども、それから何カ月たちますか。2カ月以上たっても一向に進展しない。やきもきして市町村がそういう対応をしているんです。ですからもっと県も市町村任せにしないで、県が率先して対応して、国や東京電力に対してこの問題でも賠償していく、請求していく、そういう視点が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 また、出荷遅延牛の対応についてお伺いいたします。
 現在の制度というのは、いわゆる75万円から80万円に金額を設定して、そして出荷遅延牛を出荷した場合、例えば60万円で売った場合は、残りの15万円とか、これを農家が返済しなきゃいけないことになっていますよね。それについては、今度は農家がまた東京電力に賠償請求をしなければならない、こういうスキームになっているんです。今、農家は本当に大変ですよ。意欲をなくしています。やる気をなくしています。そういうときにまた賠償請求なんていったら大変なことですよ。だから私は、80万円なら80万円に設定して、適齢期を過ぎたら県が買い上げる、そして東京電力に対して全面的な賠償を求めるということが必要じゃないかと思うんです。もう適齢期を過ぎますと、えさの対応とか飼育に本当に神経を注ぐんですよ。こういう農家の状況を考えるときに、やはり今のスキームではまずいんじゃないかと私は思うんですけれども、この点について再度お伺いしたいと思います。
 ちょっと時間がありませんので、これで終わります。
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) 先ほど、2、000億円の話をしたときに、住宅ローンと合わせてと申し上げました。ですので、この分で純粋に住宅ローンを除いた部分については推計でしかわかりません。この2、000億円も推計でございます。ですので、恐らく6割から7割、1、200億円から1、400億円程度が実際の事業者がお借りになっている部分ではないかと思料しております。
 それから、500億円との額が違うのではないかと。これは、先ほど、当面500億円と申し上げたのでありまして、買い取りの進捗状況によっては当然増額もこれはありますので、いずれ、別に500億円で固定してスタートしたというか、これで決めて、もうこれで終わりということではございません。したがいまして、状況に応じて今後変わってくるものと思っております。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 最初に、稲わら、牧草の処理の問題についてでございますけれども、汚染されている稲わら、牧草のうち、汚染の程度が低いものについては処分方法が既に国から示されておりますが、濃度の高いものについて、国からはまだ処理方法が示されていないということで、汚染濃度の低いものにつきましては、処理する、したいということで、市町村ごとにそれぞれの地域事情もございますから、処理方法を決めていただくということであるし、あと、具体的な処理の場所についても県が勝手に指定するというようなことはできないと承知しておりますので、市町村でよく検討していただいて、それも決定していただくという意味で、市町村の取り組みに対して助成するという方法をとっているわけでございます。個々の市町村とは具体的な処理方法について逐次相談させていただいてございますので、確かに8月の補正予算で認めていただいた事業が進んでいないという意味では、大変おくれているという意味で申しわけないと考えてございますが、なかなかそういった点で地域でも、例えば、自分のところに埋設することについて快く受けとめていただけない場合もございますので、そういった意味でこの処理が難しい、進捗がなかなか進展しないといった状況になってございます。
 次に、出荷遅延牛の支援金についてでございますけれども、出荷遅延に係る東京電力への賠償請求の部分ですけれども、JAあるいは出荷団体等の支援ということも考え、そこの中で事務処理についてはお手伝いさせていただいていくということを考えたいと思いますので、仕組みとしては、現行の仕組みで対応させていただきたいと考えてございます。
〇1番(高田一郎君) 知事に一言お伺いいたします。
 花泉診療所の問題ですけれども、医療法人に期待するという話をしていますけれども、現在、所長は退職願を出していますが、職場にいないんです。入院もしてない。これは契約違反じゃないですか。
〇知事(達増拓也君) 約束を守ってもらわなければならないというのは、そのとおりでありますので、そこは繰り返し申し上げていますけれども、医療局から─大家でありますから、大家からたな子に対してそこはきちっと申し入れをしている。契約違反という言葉を、法律上、どういう意味合いで使われたかということに応じて、その答え方も変わってくるのだとは思いますけれども、直ちにすべて契約が解除されてしまう、つまり、今すぐ出ていけという事態にはないという理解をしております。
〇議長(佐々木博君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   日程第2 認定第1号平成22年度岩手県立病院等事業会計決算から日程第45 議案第29号災害弔慰金等支給審査会の委員の任命及び平成23年東北地方太平洋沖地震及び津波に係る災害弔慰金等支給審査会の運営に関する事務の受託の協議に関し議決を求めることについてまで
〇議長(佐々木博君) この際、日程第2、認定第1号から日程第45、議案第29号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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