平成23年9月定例会 第2回岩手県議会定例会 会議録

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〇5番(佐々木朋和君) 民主党の佐々木朋和でございます。
 初めて登壇の機会を与えていただきました先輩、そして同僚議員の皆様に心から感謝を申し上げるとともに、このたびの大震災津波によりとうとい命をなくされた方々に心から哀悼の意を表し、被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。
 今回の大震災津波により本県は甚大な被害をこうむりましたが、この時期に県民の皆様から負託をいただいたことを重く受けとめ、県民の皆様が力を結集し、この苦難を乗り越えることによって、よりよい岩手の未来が実現することを願いながら、一部これまでの質問と重複する部分もございますが、通告に従い順次質問いたします。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 まず、沿岸地域の産業の復興と雇用の確保について伺います。
 このたびの大震災は、本県沿岸地域の社会基盤、そして産業基盤の大部分に壊滅的な影響をもたらしました。県では、復興計画において、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生という3本の柱を設けておりますが、その中でも、被災地への対応が第2段階へ移行している今、強く求められているのは産業の復興と雇用の確保でございます。
 野田政権は、9月15日、失業手当の給付期間の延長を決定しましたが、それでも、来年1月中旬、早い方ではもう手当が切れている方も出始めていると聞いております。仮設住宅に避難された皆さんからは、仕事が決まらなければ住むところも決められないという意見が聞こえてまいります。被災者の就労については、仮設住宅の期限前に何とかめどをつけなければならないのではないでしょうか。
 最近、県が公表した岩手県毎月人口推計速報によりますと、被災前の3月1日と比べ1万3、481人の人口が減少をしており、沿岸被災市町村のうち、宮古市、大船渡市、陸前高田市、釜石市、大槌町、山田町の6市町だけでも1万1、633人の減少となっております。その内訳には、津波被害により犠牲となられた方々のほか、相当数の社会減が含まれております。その理由は、内陸などほかの地域への避難もあると思われますが、住む家を失い、職を求めてやむなくほかの地域へ移り住むケースも多いものと考えられます。このままの状態が長く続くとすれば、仕事が得られないために故郷にとどまれないという残念なケースも懸念され、いち早く雇用の可能性を示すことが必要ではないかと思われます。
 沿岸部からの人口流出に歯どめをかけるには、緊急の雇用対策による当面の収入の確保と雇用のミスマッチの解消、そして将来の生活設計が可能な安定した雇用確保のビジョンをいち早く示し、被災者の皆さんに希望を持っていただくことが重要であります。これまでは、瓦れきの処理など復旧事業に係る臨時的な雇用により被災地の雇用を支えてきたわけですが、被災地の産業振興こそが、長い復興への道のりの中でも最も重要な部分の一つでございます。
 沿岸地域の基幹産業である水産業の復興はもとより、ものづくり産業を中心とした沿岸地域への企業誘致や内陸部の産業との相互連携を図ることなどにより、将来を見通した沿岸地域への産業集積を進めていくことが重要ではないでしょうか。知事は、いつごろをめどに、どのような方策により被災地の産業を復興させるお考えでしょうか。また、今後、産業の本格的な復興までの間、沿岸地域の雇用をどのように確保していくお考えか、雇用のミスマッチ解消も含め、お伺いいたします。
 次に、本県における若者の地元定着と産業の振興について伺います。
 知事が掲げたいわて県民計画の第1期アクションプランにおいて本県人口の社会減に歯どめをかけたことは、産業振興対策や雇用対策など、これまで県が取り組んできた諸般の施策のたまものであると高く評価申し上げるところでございます。しかしながら、県が公表している岩手県人口移動報告年報によりますと、本県人口の社会減は、それでもなお完全な下げどまりまでには至らず、少子高齢化の影響も少なからず数字にあらわれているところでございます。本県の社会経済の活力を保持していくためには、若者の地元定着が重要な課題であることは言うまでもありません。しかし、震災後の平成23年3月末の新規高校卒業者の県内への就職希望者の中の内定者は、岩手労働局の調べによりますと1、869人となっており、新規高校卒業者の就職内定者数のうち57.4%と、決して高い数値ではないと私は考えます。働くところがなければ、せっかく歯どめをかけた人口の社会減にも再び進む結果となってしまいます。岩手で働き、生活する人がいなくなってしまえば、復興は遠のくばかりではないでしょうか。無論、世界や全国を舞台に活躍する人材も必要ですが、大震災後の今ほど岩手の将来を担う若い活力が地域に求められていることはございません。知事は、このような若者の地元定着と働く場の確保をどのように実現していくお考えかお聞かせください。
 また、県は、これまでも自動車関連産業や半導体産業の集積を初めとした積極的な企業誘致や産業振興により、本県経済の活性化や雇用の確保に成果を上げてきたところでございますが、その自動車産業ですら、将来的には新興工業国に主役の座を明け渡すことすらあるのではないかと懸念されております。大震災からの復興を後押しするためには、本県経済を支える確固とした産業基盤を将来にわたり維持し続けていくことが必要であり、若者の地元定着と切り離せない問題であると考えます。将来を見据えた本県の産業振興戦略を知事はどのようにお考えか伺いたいと思います。
 また、これからの岩手の産業振興の方向に対応していくためには、今後、本県産業の中核となるような分野に有用な人材を育成することが必要であると考えますが、県の考えを伺います。
 次に、水産業の復興について伺います。
 このたびの大震災により、沿岸部の産業、特に水産業は壊滅的な被害を受けたところでありますが、漁業を含めた沿岸部の水産業の振興は内陸部の産業振興とも密接な関係にあり、これは岩手全体の問題でございます。今回の津波被害で、漁業者の中には、家も漁船も失い、残ったものは自分の命と借金のみと途方に暮れている方々がいらっしゃいます。漁業は自然が相手で、これまで何度も低気圧災害に見舞われながら、自力で立ち上がってきたわけでありますが、今般の大震災津波に関しては、到底自力で再建できるものではございません。さきに国は、個人や個人事業主を対象とする二重ローン対策として、私的整理による債務免除などの手続を開始しましたが、住宅ローンの返済などが主な対象となるように聞いているところでございます。漁業者の事業再開に向けた債務の整理について具体的にどのような対策があり、県はどのように取り組んでいくのか伺います。
 また、漁業の再開には、何にも増して漁船の復旧が急がれます。津波被害直後の漁業者は、漁業を断念しようと考え、また、海に出られない悔しさの中で日々を過ごしていたと聞いております。この窮地を救うため、国は1次補正予算で共同利用漁船等復旧支援事業を創設し、県も、これを受け機動的に補正予算を措置し、対応しております。
 今回の災害では、本県の登録漁船数の約9割が被害を受けたとのことで、その復旧に向け、さきに県が作成した復興実施計画を見ると、6、000隻余りの漁船を3カ年で整備するものとなっております。いち早く漁業を再開するためには漁船の確保を急ぐ必要があると考えますが、できる限り計画を前倒しするなど、漁業者が一刻も早く船を確保できるよう、官民挙げて積極的な対応をしていただくよう強くお願いするところでございます。
 さらに、漁船と並び、いち早く収入を確保するために養殖漁業の復旧が急がれます。津波被害により沿岸のほとんどすべての養殖施設が失われましたが、聞くところによりますれば、漁業者の方々は、来年の春に収穫できるワカメの収穫が本格的な復興のスタートになると期待しているところであります。復興実施計画では養殖施設を3カ年で整備するとしておりますが、漁業者が現金収入を得て生活していくためにも、積極的に対応していく必要があると考えます。県は、養殖施設の復旧について今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、放射線対策について伺います。
 まず、放射線に対する正しい知識の普及啓発と線量の周知についてでありますが、このたびの大震災津波によって発生した東京電力の原子力発電所の事故は、これまで広く信じられてきた原発の安全性に対する信頼を覆し、県南地域を中心に実際的な被害もあり、私たち岩手県民に対しても大きな衝撃と不安を与えております。
 先ごろ県が策定した放射線量低減に向けた取組方針によると、県民が日常生活から受ける追加被曝線量は年間1ミリシーベルト以下を目標とするとされておりますが、実際に公表される測定結果は毎時の線量としてあらわされることが多く、その基準は毎時1マイクロシーベルトですが、説明が不十分なため、県民にとってはわかりづらい結果となっているのではないでしょうか。県内における放射線量については、これまでにも県内各市町村において計測され、その結果が公表されているわけでありますが、これらの情報は有用ではあっても、まだまだ点の状態であり、県民の日常生活全般に係る目安としては不十分であります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 他方、国においては、現在、県内各地域の放射線量を航空機を用いて測定中とのことであり、また、この10日には警戒区域と計画的避難区域以外の区域で年間被曝量が1ミリシーベルト─空間線量が毎時0.23マイクロシーベルト─以上の地域は、環境省が汚染状況重点調査地域に指定し、国の費用負担のもとに地方自治体が除染する区域を決定し、計画を立てて実施することとされたところでございます。空間線量の基準が毎時1ミリシーベルトから毎時0.23マイクロシーベルトになれば、県南地域は多くの場所で除染が必要になる可能性が出てまいります。このような状況を踏まえて、県民が不安に襲われないように、県民に対する正しい放射線に対する知識の普及啓発と、県内各市町村の線量の的確な情報の周知が必要であると思いますが、県としてどのような対応を行っていくのか伺います。
 また、放射線に対する対応の最前線で住民と接しているのは市町村の職員の方でございますが、市町村からは、専門的知識の問題や担当職員がいないこと、財政面での支援などさまざまな問題点が寄せられているところであり、県として、市町村の放射線対策をどのように支援していくのか期待されているところであり、その点につき伺います。
 次に、学校施設における放射線対策について伺います。
 学校施設における放射線対策は、子供たちに対する放射線の影響は大人よりも大きいと言われているだけに、優先的に行うべき対策の一つでございます。これまでに県立高等学校、市町村立の小中学校、幼稚園、保育園、公園など、子供たちが頻繁に利用する施設については測定が始められたところであり、その結果は、概して県南部において比較的高い数値を示し、空間線量率が毎時1マイクロシーベルトを超える一部の箇所においては除染対策も行われ始めているようでありますが、学校は子供たちが1日のうちの多くの時間を過ごす場所であり、あらゆる場所の中でも最優先で放射線の測定や除染が行われるべきであるという認識は県民の共有するところであり、安全が確認されるまで、今後とも定期的に測定が行われるべきであると考えます。これまでの県内の学校などにおける放射線測定の状況と除染の状況、また、今後、学校給食に関する対策も含めて、学校などにおける放射線対策をどのように行っていくのか伺います。
 また、県南地域においては放射線に対する危機感が強く、一関市では、この11日から市内800カ所で放射線の検査を開始しており、また、新聞報道では、一関市の幼児と児童計4名の尿から微量ではありますが放射性セシウムが検出され、市長が県に対して内部被曝のモニタリングの実施を要望したと報じられております。子供たちを放射線の脅威から守るためには、内部被曝のモニタリングや定期的な健康診断、放射線についての知識の普及啓発、学習など複合的な対策が必要ではないかと思いますが、県としてどのような対策を講じていくのか伺います。
 次に、農畜産物対策について伺います。
 9月22日付の新聞報道によりますと、県内の農協グループでつくる東京電力原発事故農畜産物損害賠償対策県協議会は、第1次損害賠償請求額を、牧草から放射性セシウムが検出されたことによる利用自粛で発生した費用約2、900万円に決定したとのことであります。幸いにも、これまで野菜や米からは基準を上回る放射能は検出されておりませんが、肉牛や飼料となる牧草、稲わらからは基準値を超える放射能が検出されており、農畜産物に係る放射能問題は深刻さを増しております。原発事故の発生以来、本県の畜産農家は、清浄な代替飼料や稲わらの購入、出荷停止や価格の低迷による経済的な損失、そして稲わらや堆肥などの廃棄物の処理に苦しんでおり、畜産農家が抱える苦悩は、もはや限界とも言える水準に達しているのではないでしょうか。
 聞き及ぶところによれば、東京電力が現在提示している補償期間の単位は3カ月刻みとのことであり、毎月の資金繰りに窮する農家の実情に合うものではありません。さらに、出荷停止による肉牛の損害賠償は10月から開始されるとのことでありますが、仮に今後被害が拡大した場合、畜産農家の負担は、いやが上にも拡大するのではないでしょうか。県は、このような現在の状況をどのようにとらえ、東電の損害賠償に向け、畜産農家に対しどのような支援をしていくのでしょうか。
 また、今回の原発事故の放射能のため岩手県産牛が出荷停止となったことにより、東京市場での取引価格が著しく低落いたしました。今後、このような農畜産物の価格の低落がほかの産物に及ぶのではないかと大いに懸念するところでございます。仮にそのような事態が起これば、これまで多年にわたり築いてきた本県の畜産物に対する健康的で安全なイメージが崩れるばかりではなく、生産農家の経済的な損失ははかり知れません。東京電力は、風評被害については、因果関係が明確でないとの理由から補償の対象外としているとも聞いております。県、そして農家の皆さんの努力により、幸い米、野菜類などはほとんど不検出あるいはごく微量の検出であったわけですが、県は、本県農畜産物のよい市場イメージをどのようにして守っていこうとしているのでしょうか。例えば、農畜産物を出荷する際、あえてベクレル表示を行うことにより安全性をアピールすることも一つの方法であると思いますが、県は風評被害を払拭するため、本県農畜産物の安全性を消費者に対してどのようにアピールしていくのか伺います。
 次に、汚染された廃棄物の処理について伺います。
 本県における放射線量の計測や除染対策は今後本格的に行われるところでございますが、問題は、汚染された廃棄物の処理方法でございます。
 先ごろ国では、放射性物質を含む焼却灰や汚泥などの保管については各都県で行うとの基本方針に基づき、福島県を含む8都県で中間貯蔵施設を設置する必要があるとの認識を示しましたが、そのためには住民の理解が必要であり、より一層の説明と理解を図っていく努力が必要であると考えます。県としてこの問題にどのように対応していくのか伺います。
 また、今後、大量の汚染廃棄物が発生した場合の対策を県はどのようにお考えか伺います。
 次に、平泉の世界文化遺産を中心とした観光振興についてお伺いします。
 ことし6月の平泉の世界文化遺産への登録は、大震災により大きな打撃を受けた岩手県民のみならず、我が国全体にとって暗闇に差す一条の光のようでもあり、これからの復興に向けた、またとないきっかけになるものでございます。
 登録後の平泉への観光客の入り込みは、7月の3連休では対前年比200%の4万人回を記録しており、非常に順調な滑り出しであると言えます。しかし、本県観光の全体の状況を見てみると、入り込み客数においては、4月、5月の前年比5から6割減という状況は脱したものの、4月から7月の累計では前年比32.2%の減少であります。また、忘れてならないのは、比較対象となっている前年度も平成20年の岩手・宮城内陸地震やリーマンショックの影響から十分に立ち直っていない時期との比較であり、今回の大震災により、岩手県全体の観光業者はデータで見る以上に苦しい立場に置かれているのではないでしょうか。
 このたびの大震災の被害は、重要な観光スポットの喪失を伴っていることはもちろんですが、内陸の観光地にとっても潜在的なお客様の減少という大きな影響があります。このような状況の中で、本県の観光をいかにして復興させるのか、平泉の世界文化遺産登録を一過性のものに終わらせることなく、どのように岩手全体の観光の復興につなげていくのか知事のお考えを伺います。
 私は、平泉のお客様をいかにして県内全域へ広げるかという視点も大事ですが、ピーク3年と言われる世界文化遺産への登録効果をいかに持続させるのかという視点も重要だと考えます。平泉の世界文化遺産を中心とした観光振興の長期的なビジョンについてもあわせてお伺いいたします。
 平泉の世界文化遺産登録とともに、大きな話題が平成24年4月に始まるJRのデスティネーションキャンペーンであります。私は、観光業以外の方々、例えば地元でまちおこしに頑張っている方々、農林水産業の方々、飲食業の方々など異業種の関係者の方々にも広く声をかけ、岩手県全体の力を結集して大いに盛り上げるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、4、5、6月は観光の端境期であり、大きなイベントなど観光客の注目を集める目玉となる取り組みが必要ではないかと思いますが、どのように対応していくのか伺います。
 また、本県では例年、北海道や関東から多くの修学旅行生を受け入れてきた歴史があります。しかし、このたびの大震災によりキャンセルが相次ぎ団体客が減少している中、修学旅行の受け入れの回復は本県の観光全体にとっても大きな課題となっております。お客様に大震災の余震の問題、放射線の問題についてしっかり説明し、納得いただくことが受け入れ回復の大前提となるわけですが、県としてはどのような取り組みを考えているのでしょうか。
 そして、この問題をクリアすれば、平泉は修学旅行の一大目的地となる可能性を秘めているように思います。生きとし生けるものを慈しむという浄土思想の一端に触れることは、震災後のこれからの時代を生きていく子供たちの心の糧になるのではないでしょうか。また、平泉や県内の観光地を訪れることは、岩手県に行ってもいいんだという県外へのアピール、メッセージになると思われます。修学旅行受け入れに対し、県はどのような対応かお考えをお聞かせください。
 最後に、地域医療と県立病院について伺います。
 県立病院については、大震災による被害などを別にすれば県立病院全体として経常黒字決算になっていることは、現場を初めとする関係者の努力のたまものと敬意を表するところでございます。
 しかしながら、人口の減少や高齢化が著しい郡部の県立病院は厳しい経営状態にあり、将来の存続に大きな不安を抱えているのではないでしょうか。私は、その主な原因の一つを郡部の県立病院の医師不足にあるととらえております。
 医師不足の原因としては、一時国が医師数を抑制したことが大きな原因となっているわけですが、郡部の病院に着任する医師を探すのが非常に困難であることもその要因として見逃せません。郡部の県立病院の医師は1人当たりの負担も大きく、県立病院であるがゆえに地域からの距離感もあり、それゆえのトラブルもあることから、医師にかかる負担はいやが上にも大きくなると聞いているところでございます。
 県立病院を初めとする地域の病院において、現在の医師数を確保し、さらに新たに医師を招聘するためには、病院の施設や待遇面での問題もさることながら、千厩病院や釜石病院で行われているような住民サイドの協力、遠野病院で行われているような在宅訪問診療など、地域や住民に密着した取り組みや、医師、看護師を同じ地域の仲間として受け入れる機運を醸成することも必要ではないでしょうか。
 また、県立病院では既に対策として取り組まれているとは存じますが、できることならば地元あるいは本県出身者を医師として招聘することや、着任した医師の住環境や医学の最新情報に触れる機会の提供など、諸般の対策に今後県としてどのように取り組んでいくのか伺います。
 以上をもちまして私の質問を終わらせていただきますが、答弁によっては再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木朋和議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、沿岸地域における産業復興と雇用確保についてでありますが、被災地域の産業ができるだけ早く復興を果たすためには、各地域の中核となる産業や地域の早期復興に資する企業群をいち早く復旧、復興させることが最も効果的であると考えております。このため、沿岸地域の基幹産業である漁業と密接なつながりのある水産加工業や雇用吸収力や経済波及効果の高いものづくり産業など、復興への波及効果の高い産業への支援に鋭意取り組んでいるところであります。
 一方、被災地の産業復興による本格的な雇用回復にはいましばらく時間を要することから、当面、緊急雇用創出事業の積極的活用により、復興現場の状況に合わせて多様な雇用の場の創出を図りながら、一刻も早い産業の復興による本格的な雇用の確保を図ってまいります。
 次に、若者の地元定着と本県の産業振興戦略についてでありますが、若者がやりがいを持って働ける活力ある社会にあっては、安定的な収入を得て希望や誇りを持って働ける場の確保が何より重要であり、若い世代が県内に定着することが次代を支える原動力となるものと認識しております。
 これまで県は、国際競争力の高い自動車や半導体関連産業を柱とするものづくり産業の振興や、食産業や観光産業など地域の強みを生かした県内産業の振興に取り組んできたところであります。これらの産業の多くは県外から安定的に所得を獲得する域外市場産業であり、そのすそ野が広いことから経済波及効果が高く、また、今後も成長が期待できるものと認識しております。引き続きこうした産業を育てることによって幅広い産業の集積が促進され、県民の所得水準も向上するなど地域経済の活性化が図られ、さらなる雇用の場の拡大も期待できると考えております。
 県としては、これまで培った企業の技術力や人材の育成は今後の産業振興における礎となるものと認識しており、引き続きこれらの取り組みを丹念に積み重ねることによって、持続的な強い岩手県の産業を構築できるものと考えております。こうした産業へ若者が定着し、やりがいを持って県内の産業を支えていくことがさらなる産業発展へとつながるなど、よいサイクルを形成するよう努めてまいります。
 次に、平泉の世界文化遺産登録と観光振興についてでありますが、世界遺産登録により集客力の高まった平泉を初め、内陸地域を中心に多くの観光客を誘致し、そこからできるだけ多くの観光客に沿岸地域へ赴いていただくことが沿岸地域の観光の早期の復興につながるものと考えております。
 こうしたことから、来年度のいわてデスティネーションキャンペーンを通じて内陸地域の旅行商品の造成を一層促進するとともに、内陸と沿岸の各地域の観光資源を結ぶ2次交通を整備し、沿岸地域への旅行ルートの定番化を推進することにより、沿岸地域を含めた県全体の観光の復興につなげてまいります。
 また、本年8月に策定した復興計画に、平泉を核とした観光振興施策の展開、中期的には津波防災等の先駆的な取り組みやジオパーク構想などの取り組みを盛り込んだところでありますが、これらを含めて、現在策定作業中のいわて県民計画次期アクションプランの中に具体的な方策を盛り込み、世界遺産登録効果の持続、拡大を図ってまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、産業人材の育成についてでありますが、本県では、産業界や教育界など関係者が連携して多様な人材の育成に努めてきており、これまで、全県をカバーするものづくりネットワークの基盤形成を初め、企業ニーズに対応した専門人材の育成など総合的な取り組みを実践してきております。特に、企業ニーズの高い設計、開発の分野で活躍できる人材、あるいはものづくりとソフトウエアのわかる他県にはない高度開発技術者の育成など、本県の強みをより発揮できる取り組みも進めているところでございます。
 人材育成は一つ一つ積み重ねていくことが肝要であり、引き続き、本県産業を支える重要な取り組みとして、不断の見直しも行いながら、企業の求めるより実践的で質の高い人材の育成を進めてまいります。
 次に、いわてデスティネーションキャンペーンへの対応についてでございます。
 昨年11月に設立しましたいわてDC推進協議会には、観光関係者のみならず、商工業や農林水産業関係者、金融機関、マスコミ関係者など広く各界から御参画いただき、オール岩手の体制でDCに向けて取り組んでいるところであります。
 今後も、同協議会を中心に関係者が一体となって取り組んでいくとともに、県民一人一人が観光客をおもてなししようとする機運を醸成するため、県の広報媒体の活用などにより広く県民にPRを展開し、県民総参加のDCとしてまいります。
 また、DC期間中には、例年、八幡平桜と雪の回廊観光キャンペーンや北上展勝地さくら祭り、春の藤原まつり、チャグチャグ馬コなど各地で魅力あるイベントが開催されており、これらのイベントに加えまして、できるだけ多くの魅力あるイベントをDCに位置づけ、誘客を図ってまいります。
 次に、修学旅行の受け入れについてでありますが、本県の観光振興において修学旅行の誘致は非常に重要と認識しており、これまでも北海道、首都圏などにおいて、関係機関と連携し、担当教諭や旅行代理店を対象とした誘致説明等を開催してきております。
 さらに今年度におきましては、本県の修学旅行の約半数を占める北海道につきまして、札幌市内の全中学校訪問など重点的に取り組んできたほか、大手旅行代理店向けに本県現地研修を開催し、放射線や余震にかかわる正確な情報を伝えるなど、積極的に誘致活動を展開しているところであります。
 今後におきましても、平泉の文化遺産を初め、安比高原における里山体験やブナ林での自然体験、久慈市の沢登りやエコトレッキングなど多様な自然体験メニューなど、修学旅行に適した資源を多数有する本県をPRして引き続き誘致活動に努めてまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、漁業者の事業再開に向けての債務処理についてでありますが、各金融機関におきましては、国からの通知もあり、震災発生直後から漁業者の状況に応じて償還猶予など貸付条件の変更が行われているものと承知しております。また、国の1次補正予算におきまして、既往債務の借りかえのため日本政策金融公庫の漁業経営安定資金が無利子化されるなど、漁業者の負担軽減のための措置が講じられたところです。
 県におきましても、既往債務の整理と新規の設備投資を同時に進めたいという漁業者のニーズを踏まえ、系統金融機関及び市町村と連携を図り、新たな無利子融資制度を創設することとし、利子補給に要する経費につきまして9月補正予算に盛り込んでいるところであり、このような取り組みを通じて漁業者の事業再開に向けた取り組みを支援してまいりたいと考えております。
 次に、養殖施設の復旧についてでありますが、養殖施設の復旧につきましては、来年の春には収穫が可能となるワカメ、昆布養殖を中心に約1万1、000台の整備を進めており、今年度中に被災前の約4割の復旧を目指しております。また、各漁協は、養殖施設の整備とあわせてワカメ、昆布等の種苗の確保を進めているところであり、11月以降、施設が整備された地域から順次種糸の巻き込みが開始される見込みです。
 今後の養殖施設の整備につきましては、平成25年度までに約2万台を整備する目標としておりますが、早期に漁業者が安定した収入を確保できるよう、国の3次補正予算や平成24年度予算の動向を見きわめながら、早期復旧が図られるよう取り組みを進めてまいります。
 次に、畜産農家の状況と損害賠償に向けた支援についてでありますが、今般の原発事故に伴い、畜産農家では牧草、稲わらの利用自粛や牛の出荷制限を余儀なくされ、販売収入が途絶えるとともに、飼料代等のかかり増し経費が生じております。こうした原発事故により生じた損害は、原因者である東京電力が賠償すべきものでありますが、本県の被害農家の賠償請求に対する支払い実績がまだないことなどから、農家は十分な損害賠償がなされるか不安を抱えているものと承知しております。このため、県といたしましては、損害賠償対策岩手県協議会にアドバイザーとして参画し、国や他県からの情報収集に基づく助言や市町村、関係団体との連絡調整を行っているほか、東京電力に対して賠償金を早期かつ確実に支払うよう強く申し入れるとともに、国に対しても東京電力による損害賠償の確実な実施等を要請しており、引き続き損害賠償に向けた取り組みを支援してまいります。
 次に、本県農畜産物の市場イメージと安全性のアピールについてでありますが、本県ではこれまで、県産農林水産物の放射性物質濃度の検査計画を策定し、計画的な検査の実施と検査結果の速やかな公表を通じて県産農畜産物の安全性の確認と消費者の不安の解消に努めてまいりました。さらに、10月3日からは、検査結果の公表につきまして、それまで規制値以下または超過の別、あるいは不検出などの表示から具体的な検査結果数値や検出下限濃度を表示する方法に変更するなど、より消費者の意識を考慮した情報発信に努めているところです。
 このような取り組みにより、安全で高品質という県産農畜産物の市場イメージを守るとともに、県内外で行われている各種イベントや県産品フェアなど、あらゆる機会をとらえて広く安全性をアピールし、消費者の安全・安心の確保や風評被害の防止に取り組んでいくこととしております。
   〔環境生活部長工藤孝男君登壇〕
〇環境生活部長(工藤孝男君) 放射線に関する普及啓発についてでありますが、国の対応が必ずしも十分ではなく、また、さまざまな情報が飛び交っておりますことから、多くの県民が不安を抱えていると考えております。このため、専門家を招き、放射線の健康影響についての県民向けセミナーや、県、市町村職員及び教職員が放射線の知識を県民や児童生徒に的確に伝える手法を学ぶためのセミナーを県内各地で開催しております。また、県の広報誌いわてグラフ臨時号により放射線に関する基礎知識を県民に広く周知するとともに、同様のリーフレットを作成し、合同庁舎や市町村に配布したところであり、今後とも県民への普及と不安払拭に努めてまいります。
 放射線量の県民への周知についてでございますが、放射線量に関する資料提供を行う際には、時間当たりの放射線量とあわせまして年間相当の放射線量につきましても資料提供しているところでございますが、一般的には時間当たりのマイクロシーベルトが統一的に用いられている状況でございます。
 いずれにいたしましても、今後とも測定結果をよりわかりやすく伝えるようさらに工夫するとともに、今後、モニタリングポスト及びサーベイメータの増強によりまして測定体制が強化されますことから、これまで以上に迅速かつきめ細かな情報提供に努めてまいります。
 次に、汚染された廃棄物の処理に係る対応についてでありますが、県では、放射性物質により汚染された廃棄物や土壌等については、その量の多寡にかかわらず、国の責任において中間貯蔵施設の設置を含め適切に保管及び処分が行われるべきであると考えており、国に対して強く要請しております。
 一方、国からは、中間貯蔵施設を設置する場合には当該県内との考え方も示されており、設置に当たりましては、県民はもとより、地元市町村や周辺住民の理解と協力を得ることが不可欠となるため、その際には、県としても市町村と連携しながら用地の確保などに協力してまいりたいと考えております。
 現在、国におきまして放射性物質汚染対象特別措置法に基づく基本方針の検討が進められているところであります。その動向を注視しつつ、市町村と十分に連携しながら適切に対応してまいります。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) 市町村の放射線対策への支援についてでございますが、放射性物質の影響は県内全域において多岐にわたっておりますことから、放射線影響対策を強力に推し進めていくためには、市町村との連携を強化することが重要と認識しております。このため、県内全市町村の出席を得まして市町村等連絡会議を開催したほか、各種の方針策定や具体的な施策の推進に際しましても市町村から要望や意見を伺い、随時反映しているところでございます。
 市町村に対する具体の支援策といたしましては、子供の健康を守るために市町村が学校等における放射線量調査、低減措置を行う場合の経費に対する助成、低減措置等を実施する場合の技術的助言などが挙げられるほか、近々に整備される予定でございますサーベイメータ等の測定機器について市町村に貸し出すこととしております。
 また、市町村の職員を対象といたしまして、放射能に関する基礎的な知識を身につけ、それぞれの業務分野において活用していただくことを目的とするセミナーを開催しているところでございます。引き続き、県民の安全・安心を確保するため、住民と現場で向き合う市町村の意見を真摯に伺いながら、県による支援策の充実や具体化に努めていく考えであります。
   〔保健福祉部長小田島智弥君登壇〕
〇保健福祉部長(小田島智弥君) まず、子供たちを放射線から守るための対策についてでありますが、一関市の幼児と児童計4名の尿から放射性セシウムが検出されたことについて、一関市からの依頼を受けて、独立行政法人放射線医学総合研究所の計算ソフトにより試算した結果、極めて低い値であったものの、県民の不安払拭を図るため、専門家や市町村と協議しながら、子供の健康に係る影響調査の実施に向けて検討しているところであります。今後におきましても、子供たちの安全と保護者の方々の安心を確保していくため、学校等における対策や子供の健康に係る影響調査などを複合的に実施していくとともに、これらに関する正確でわかりやすい情報を提供していくことにより、保護者や児童等を初めとする県民への放射線についての知識の普及啓発に努めてまいります。
 次に、医師確保のための機運の意識の醸成についてでありますが、県ではこれまで、行政や医療関係機関による医師確保等に加え、地域住民が医療関係者とともに地域医療を支えていくという新たな視点に立って県民運動を展開してきたところであります。また、こうした取り組みと相まって、住民による自主的な活動として、病院の現状を理解し、支援する取り組みが県内各地に広がってきております。
 県といたしましては、医師の確保、定着を図っていく上で、医師等を地域の一員として受け入れる機運の醸成や、遠野市における病院と保健、福祉の連携による訪問診療など、地域と一体となった取り組みを進めていくことが重要と考えており、今後とも、地域のさまざまな実情を踏まえつつ、地域医療を支える県民運動を推進してまいります。
   〔医療局長遠藤達雄君登壇〕
〇医療局長(遠藤達雄君) 県立病院における医師確保についてでありますが、全国的な医師不足の中、これまで、医師派遣に向けた関係大学への働きかけや奨学金制度の拡充による医師養成、各種情報媒体を活用した医師募集など、医師確保のためにさまざまな活動を積極的に展開してきているところであります。特に、招聘活動の中心となります本県出身者につきましては、関係機関や市町村との連携による医師データベースを整備するとともに、大学県人会との交流なども図りながら、効果的な医師招聘に努めております。
 また、招聘により着任した医師につきましては、業務や生活環境の要望を直接伺うなどのアフターケアを実施しているほか、各種専門学会など医学研修への派遣や医療クラークの配置による業務負担の軽減など、医師の処遇改善や勤務環境の改善を図り、医師の定着に向けた取り組みを進めてきているところであります。今後とも、関係機関や市町村との連携をより密にし、現場の医師の声を反映させながら、県立病院の医師確保に取り組んでまいります。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) 県内の学校等における放射線測定等の状況と今後の対策についてでありますが、県では、学校等において空間線量の測定と除染を進めているところであり、すべての県立学校で実施するほか、市町村が小中学校等について行う取り組みについても支援することとしているところでございます。
 現在、測定途中にあることから、10月13日時点で判明している状況について申し上げます。同日までに31市町村から実施状況の報告がありましたが、そのうち20市町村で測定を実施中であり、3町村では測定を終了しております。なお、これまで23市町村合わせて720の学校等で測定が行われましたが、そのうち4市町26施設で局所的に高い値が測定されているほか、県立学校では、測定を終えた27校29施設のうち10校11施設で高い値を示す場所がございました。これらの箇所につきましては、3市町21施設で既に除染等が行われたほか、県立学校でも順次除染等を行っているところであります。
 また、学校給食については、県産食材の安全確保方針を策定し、安全な県産食材の供給に向けた各種の取り組みを実施しており、これらの取り組みによって学校給食における食材の安全確保に努めているほか、地域の実情に応じて市町村が実施する取り組みについても、県として必要な支援に努めてまいります。今後におきましても、これらへの対策をさらに進め、子供たちの安全と保護者の方々の安心の確保に努めてまいります。
〇5番(佐々木朋和君) 意を酌んでいただいての御答弁、ありがとうございました。
 それでは、何点か再質問をさせていただきます。
 まず、沿岸地域における産業の復興について再度お伺いします。
 三陸のシンボルである水産加工業の復活は、県民だれもが望んでいるところでございます。知事の御答弁でもございましたが、復興への第一歩として、生産、加工、流通、小売までの各段階を一体としてとらえる。そして例えば、原材料を他県から仕入れながらでも、加工から復活させるという方法もあるのではないかと私も考えます。それには、一時的にでも内陸に工場をもっていくというやり方もあるのではないでしょうか。それにより、生産部門が復活したときに加工業を介してスムーズに市場へも入っていけます。
 一関市では、陸前高田市や気仙沼市から30分から1時間という地の利もあり、他の業種では内陸に仮工場を構え、沿岸から従業員が通っている例もあります。これからは、内陸と沿岸の復興を支える経営者が集まり、力を合わせ何ができるか議論し、事業を起こしていくような取り組みも必要だと考えますが、このような取り組みに対して県としてどのような支援を考えているか伺いたいと思います。
 次に、平泉の世界遺産を中心とした観光振興について再度お伺いいたします。
 先ほど部長のほうから、4月、5月、6月のイベント、取り組み等をしゃべっていただきました。それの一つの例としてなんですが、4月当初から本県への誘客を図り、平泉の世界文化遺産への登録の効果を全県に広めるための目玉として、例えば盛岡市などにおいて、県民一丸となった取り組みとして観光復興祭りのようなイベントを開催することも有効ではないかと考えます。岩手の芸能、文化、食を集めたイベントを年度初めに行うことでキャンペーン後のリピートへつなげるねらいもあり、また、それ以上に、迎える岩手の県民が元気になります。イベントを仕掛ける側に農業など他業種の方を入れることにより、新しい観光の担い手を創出できますし、観光業者の負担も軽減されます。また、復活を期する被災地の観光業者、飲食業の方に出展していただければ、みずからの復活への活力にもなり、また緊急雇用対策の一翼にもなり、観光客の方も喜ぶと思います。県のお考えはいかがでしょうか。
 また、平泉の世界文化遺産への登録の効果を永続させる方法の一つとして、平泉に国立博物館を誘致し、観光はもとより、学術、文化の一大スポットとして発信していくことも考えられると思いますが、県のお考えをお伺いします。
 以上、2点について再度県の考えをお伺いしますが、先ほどの質問の中で触れたとおり、県南の住民は、放射線の問題につきまして、その影響が本県の中でも県南部に集中しているだけに、果たしてこれを県全体の問題としてとらえてくださっているのか、また、県境に近い市町村では、現在、隣県の宮城県まで及んでいる国の放射線の調査や除染を、果たして自分たちのところまでやってくれるのか、住民は非常に不安に思っております。
 また、放射性汚染物質の保管場所についても、それをどこに持っていくのか、ともすれば住民同士の意見の対立に発展し、今まで培ってきた地域のきずなが分断されるのではないかと危惧しております。現に、ある地域では汚染物質の焼却実験を行おうと住民説明会を開いたところ、反対意見が殺到し、動きがとまっている状態ということでございます。
 県におきましては、去る10月10日に環境省から発表された調査、除染、廃棄物処理の基本方針から本県の市町村が除外されることのないよう、御答弁にもございましたが、国の動向を見守るとともに、そして、セミナーなど市町村の職員の方へ開催しているという施策もお聞きしましたが、必要に応じて県南市町村への専門家の派遣や常駐、対応のための前線基地の設置など、リーダーシップある対応をとっていただきますよう要望いたしまして再質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、沿岸地域における産業の復興についてであります。
 沿岸地域の水産加工業や調味料、酒造メーカーなどの被災事業者が、内陸の空き工場等の借用や市町村の貸し工場を利用して一時的に再開している事例がありまして、県は、こうした事業者についても、中小企業復旧・復興支援補助により製造設備の整備等の支援に取り組んでいるところであります。
 また、御提案のありました内陸と沿岸の事業者間の連携につきましても、これまで県がマッチングを行い、介護食品やレトルト食品などの新しい生産・販売体制の構築などを支援してきたところであります。今後も、被災事業者の再建に向けました新たな事業展開の支援に努め、その早期復興を促進してまいります。
 次に、DCに呼応いたしましたイベントの開催についてでありますが、DCのスタートの直前となる来年の3月中旬に、全国の旅行会社やマスコミ、観光関係者などを盛岡市に招いて、いわてDCのオープニングを飾るお披露目のイベントを開催することとしており、これを用いましてDCへの機運を大いに盛り上げ、御提案のありましたようなイベントを含め、DC本番につなげてまいりたいと考えております。
〇教育長(菅野洋樹君) 平泉への国立博物館の誘致についてでありますが、国民文化祭開催を契機といたしまして、平成3年から、政府予算要望において、北の文化や歴史を主題に置いた国立博物館の誘致を要望しているところでございます。ただ、残念でありますが、まだ具体的な国の動きに至っていないところでございます。
 現在、国立博物館は東京、京都、奈良、九州に設置されておりますが、北海道、東北には未設置でございます。今回、平泉の文化遺産が北海道、東北で初めて世界文化遺産に登録されたことは、平泉文化が豊かな国際性を兼ね備えた卓越した文化であることが証明されたものと考えております。このため、当面、追加登録に全力を挙げつつ、今後とも国に対して国立博物館誘致について働きかけを強めてまいりたいと考えております。
〇副議長(柳村岩見君) この際、暫時休憩いたします。
午後3時19分 休憩
出席議員(48名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 佐々木 茂 光 君
3  番 小 泉 光 男 君
4  番 清 水 恭 一 君
5  番 佐々木 朋 和 君
6  番 名須川   晋 君
7  番 佐々木   努 君
8  番 軽 石 義 則 君
9  番 後 藤   完 君
10  番 神 崎 浩 之 君
11  番 城 内 愛 彦 君
12  番 福 井 せいじ 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 木 村 幸 弘 君
15  番 久 保 孝 喜 君
16  番 小 西 和 子 君
17  番 高 橋 但 馬 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 小 野   共 君
20  番 郷右近   浩 君
21  番 高 橋   元 君
22  番 喜 多 正 敏 君
23  番 高 橋 孝 眞 君
24  番 岩 崎 友 一 君
25  番 工 藤 勝 博 君
26  番 及 川 あつし 君
27  番 飯 澤   匡 君
28  番 高 橋 昌 造 君
29  番 五日市   王 君
30  番 関 根 敏 伸 君
31  番 小田島 峰 雄 君
32  番 大 宮 惇 幸 君
33  番 工 藤 大 輔 君
34  番 熊 谷   泉 君
35  番 嵯 峨 壱 朗 君
36  番 工 藤 勝 子 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 佐々木 順 一 君
40  番 佐々木   博 君
41  番 田 村   誠 君
42  番 及 川 幸 子 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 渡 辺 幸 貫 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 佐々木 大 和 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
 休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
 休憩前に同じ
午後3時38分 再開
〇副議長(柳村岩見君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。高田一郎君。
   〔1番高田一郎君登壇〕(拍手)

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