平成23年9月定例会 第2回岩手県議会定例会 会議録

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〇6番(名須川晋君) 民主党の名須川晋でございます。
 千年に一度とも評される未曾有の大震災が起きたこの年に、県議会議員としての任を初めて与えられたことを天命と心に刻み、復興、そしてその先にある新生岩手の構築に向けて全力で取り組んでまいる所存でございます。県民の皆様の声を真摯にお聞きし、また、声なき声の代弁者として県政に届けてまいりたいと心に誓う次第でございます。
 同僚及び諸先輩議員と質問が重複する部分が多々ございますことを御了承賜り、通告に従いまして順次質問をさせていただきます。
 まずは農業問題についてでございます。
 TPP─環太平洋戦略的経済連携協定への交渉参加についてでございます。国はTPPへの早期交渉参加の姿勢を強めております。もし参加となれば、自由貿易と市場統合というかけ声のもと、日本の地域経済に大きな影響を与え、それははかり知れないものとなりましょう。特にも憂慮されるのは農業分野で、海外から格安の農産物が輸入されることは間違いなく、まさに日本の農業が壊滅的状態に陥りかねないと、県内の農業団体や消費者団体には不安と反対の声が急速に広がっています。震災によって県内の農林漁業は甚大な被害を受け、まずは生産基盤の復旧が最優先課題となっている状況下で、TPP対策として農業の効率化、大規模化をむやみに進めて農家に負担を強いることを危惧いたします。
 とかく農業分野だけがクローズアップされておりますけれども、TPPは例外なき自由貿易協定であり、影響は広範な分野に及びます。例えばTPPメーンアグリーメントの第11章には政府調達の項目があり、市町村レベルの公共事業でも大型案件はすべて国際競争入札の対象となり得ることとなります。年々公共事業の実需が削減されていく状況で、地域経済を支える地元企業が大打撃をこうむるであろう事実は、まだ余り認識されてはいないでしょう。TPP参加は、裏返せば海外から安い商品、サービスが輸入されるというメリットもあるわけでございますが、県民、国民にとっては、まだその内容もほとんど理解されていない状況において、TPPへの参加について早急に結論を得ようとすることに対して知事はどうお考えでしょうか。
 戸別所得補償制度についてでございます。
 戸別所得補償制度は、昨年度、米の所得補償モデル事業として実施し、本年度から本格的に実施されております。民主、自民、公明3党で、2012年度以降の制度のあり方について、政策効果の検証をもとに必要な見直しを検証するとの合意がなされましたが、国の平成24年度概算要求では本年度と同額の予算が計上されており、その見直しの内容はまだ把握できない状況にあります。国内農業生産力を確保し、新規就農者が安心して農業に参入できる制度として今後も堅持すべきと考えますが、これまでのモデル事業の成果を踏まえ、本制度の効果をどうお考えでしょうか。
 風評被害の克服についてでございます。
 東京電力福島第一原子力発電所の放射能の影響が深刻となっております。平成23年度産のお米は、放射性物質調査によってその安全性が確認されたことで、県内すべての市町村で出荷、販売が可能となり、一安心したところではございますが、御案内のとおり、肉牛においては全頭検査を行い、安全性が確認されているにもかかわらず、かなりの風評被害が発生しております。この克服については、県民、国民が疑問と不安を解消し、あるいは放射線に対する間違った知識を改め、正しく恐れることが重要だと考えますが、県産の農畜産物の安全性を正しく理解してもらうためにどのような取り組みをされておりますでしょうか。
 2番目に、震災復興に係る諸課題についてでございます。
 国の復興局設置についてでございます。
 先ごろ復興庁設置法案が示され、復興に関する国の施策の企画、調整、地方公共団体への一元的な窓口と支援を行う復興庁の設置方針が明らかになりました。被災地の要望をワンストップで対応することで、より復興のスピードが高まるものと期待いたしますが、年度内にも本県に置かれる予定の復興局の概要はどうなっておりますでしょうか。また、復興局の設置は、県及び市町村の復興計画の実施に当たってどのような効果をもたらすと期待されますでしょうか。
 次に、復興特区制度でございます。
 地域の創意工夫を生かした復興を推進するため、規制、手続等の特例措置、税、財政、金融上の支援措置をワンストップで講じることを趣旨とした復興特区制度の創設が発表されました。土地利用再編、税制上、財政・金融上の特例が期待されます。その概要をどう評価しておられますか。また、被災市町村における復興プランや復興プロジェクトを促進するためには、この特区制度を利用しながら、行政のみならず民間活力を活用することが肝要と考えますが、民間企業にどう働きかけながら復興を進めていくのかお伺いいたします。
 3点目の質問でございます。地域密着、市民参加、防災及び災害時の放送が特徴と言われるコミュニティFMの活用についてでございます。
 沿岸地域では、同報系の防災行政無線が津波被害に遭って機能しなかった自治体があります。一方で、FM波を使った臨時災害放送局は、3月11日、震災から約1時間後の午後4時に開局した花巻市を皮切りに、翌12日には奥州市、19日に宮古市、28日に大船渡市、4月7日に釜石市と、住民に細やかな地域情報を伝達する役割を果たしてきております。東北3県で、既存局からの衣がえを含め計23局が開局し、なお、12月中には大槌町でも開局が予定されているとのことでございます。
 阪神・淡路大震災が発生した平成7年はボランティア元年とも言われますが、コミュニティFMの有用性も見直された機会であり、同時にコミュニティFM元年と評していいかもしれません。まさに岩手はそれがことしに当たるのであります。
 それでは、非常時におけるコミュニティFMが果たす役割や機能を県はどう評価しておられますでしょうか。あらし、台風時には防災行政無線の放送が聞こえない場合もあることから、コミュニティFMと併用し、互いの長所、短所を補完し合う情報基盤として県としても整備に尽力し、積極的な活用を図るべきではないかお伺いいたします。また、コミュニティFMを活用した防災計画を策定していくべきではないか、あわせて御回答をお願いいたします。
 観光客誘致施策についてでございます。
 この6月、平泉の文化遺産がユネスコ世界遺産に登録がなされましたことに対しまして、改めて関係各位の長年にわたる御努力に深く敬意を表すものであります。12世紀、あまたの戦で荒廃した東北の地をいやし、永続的な平和を願うという理念によって建設された平泉が、震災で大きく傷ついたこの年に世界遺産に登録されたという事実。何らかの歴史の因果を感じざるを得ません。
 さて、平泉の世界遺産登録に多くの県民が期待しております。昨日の佐々木努議員の一般質問に対する商工労働観光部長の御答弁によりますと、国土交通省東北運輸局が、8月下旬から9月上旬に平泉を訪れた県外観光客を対象に行ったアンケート調査によれば、立ち寄り先について、県内他地域が最も多く42%、次いで平泉以外の立ち寄り先なしが37%、県外が21%との御答弁でございました。観光ルートが仙台圏に組み込まれてしまうとの憂慮が、今のところはそれほどでもなかったと分析できるのかもしれませんが、この恩恵を県全域に波及させる方策、沿岸地域にも観光客が回遊する方策を検討しておられますでしょうか。また、プレデスティネーションキャンペーンも始まってはいますが、DC以前、以降の間断ない観光客誘致施策をどう検討しておりますでしょうか。
 電力需給対策についてでございます。
 電力使用量の削減に関する周知について。
 この夏に企業や家庭に使用最大電力の15%削減が求められたところでありますが、県民へはどのように周知し、推進されたのか。また、公共施設ではどのような取り組みがなされたのか伺います。県内企業の生産活動への影響についてはどうでありましたでしょうか。また、この冬も需給が厳しいとの見通しもありますが、どのようにして対応してまいるところでございしょうか。
 3番目の質問でございます。いわて花巻空港についてでございます。
 まずは空港整備の評価について。
 7月28日供用開始された平行誘導路整備によりまして、滑走路2、500メートル延長と新ターミナル建設を含めた一連の空港整備は完成を見ましたが、ここまでをどう評価されておりますでしょうか。また、このたびの震災対応に当たって、いわて花巻空港が災害拠点空港として、広域医療搬送、人員・物資輸送、東北新幹線にかわる公共交通の拠点として大いにその機能を発揮したところでございますが、その詳細をお知らせください。
 次に、空港の利用拡大の見通しについてでございます。
 機材小型化によって、修学旅行を初めとする団体客の利用が難しくなり、直近のデータを見ても、相当にビジネス、観光両面に影響が発生しております。便数増と機材大型化についての見通しはどうか伺います。
 空港行政は、これまでの鎖国政策から、民間が自由に航空路線や便数、運賃を決定できるオープンスカイへとかじを切り、低価格で運航するローコストキャリアも亜流から主流へと変貌しつつあります。こうした環境の変化において、昨年から国際線就航も可能となった羽田空港発着枠増に伴って国内、海外への乗りかえが容易となる当空港への定期便就航を必然的に期待するのですが、現況はどのようになっておりますでしょうか。
 最後、4点目は国際交流についてでございます。
 国際交流の必要性について。
 バブル経済が崩壊して約20年。国境の区別なく、人、物、資金、文化、情報もますますグローバル化していく時代において、長年にわたる我が国の経済環境の低迷は、日本全体に内向きの傾向をもたらしていると思うのであります。こうした状況で、外への目を開き、また国際競争力の向上を図る意味でも、海外に留学する若者をふやすことや海外からの留学生を受け入れ、国際交流を深めていくことは非常に重要だと考えます。国際交流の必要性について知事はどうお考えでしょうか。
 次に、国際的に活躍する人材育成の取り組みについてでございます。国際的に活躍する人材の育成に教育現場ではどう取り組まれているのか。また、最近の留学生数、受け入れ及び派遣も含めての推移を伺います。
 3点目の高校生の留学の推進についてでございます。留学してみたいという希望はあるものの、昨今の経済情勢から、やはり若者には内向き志向が蔓延しているとの見方があります。こうした中で、県内の高校生に留学についての意向調査を行ったことがあるのでしょうか。私は、高等教育において留学を推進するべきと考えますが、いかがでございましょうか。また、高校生に対する留学費用の貸付制度が存在するのか。あれば、その額、件数は十分であるかお答え願います。
 岩手県立大学の学生の留学についてもお伺いいたします。さきの質問と同様に、県立大学の学生に留学についての意向調査を行ったことがあるか。県立大学でも留学を推進すべきと考えますが、いかがでございますでしょうか。同じく、留学費用の貸付制度があるか、十分かについてもお答えをいただきたいと思います。
 留学生30万人計画に呼応する施策についてでございます。国は、平成20年に留学生30万人計画を策定し、海外からの留学生を積極的に受け入れる姿勢を示しております。日本を世界により開かれた国とし、アジア、世界との間の人、物、金、情報の流れを拡大するグローバル戦略を展開する一環として、2020年をめどに留学生受け入れ30万人を目指すとの内容でございます。これに呼応した県の施策はありますでしょうか。
 以上をもちまして登壇しての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 名須川晋議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、環太平洋パートナーシップ協定への交渉参加についてでありますが、この協定については、我が国が地域主導の自立的な成長を実現する上で関税撤廃がどのような効果を有するのか、農林水産業に携わる生産者を含めた現場や地域の立場を十分に踏まえ、協定の内容そのものに関する根本的な検討、議論が行われるべきと考えております。
 協定への参加については、地域の声も反映した国民の合意が得られるまでしっかりと議論を重ねていくことが必要と考えており、とりわけ東日本大震災津波により大きな被害を受けた本県農林水産業の復旧、復興は、地域の社会経済の再生に直接つながるものであることから、その妨げにならないよう、より慎重に対応していくことが必要と考えております。現時点では、国において十分な検討、議論が行われていないことから、協議の場への参加は時期尚早と考えています。
 次に、コミュニティFMの活用についてでありますが、コミュニティFMは市町村の区域内で地域ニーズに沿った情報を送受信できる放送媒体であります。東日本大震災津波発生後、県内各地において開局し、市町村災害対策本部からの被害情報や各種証明書の発行情報、地域内での店舗の再開情報など、きめ細かな情報を発信してきたと聞いており、被災者支援等に大きな役割を果たしてきたと評価しております。このため、国に対し、災害時における住民の情報収集手段が確保できるよう、ラジオ難聴解消及びコミュニティFMの設立、エリア拡充に対する支援制度の創設を要望しているところであります。地域防災計画については、現在、見直し作業に取り組んでいますが、この中で、新たにコミュニティFMを情報発信手段の一つとして位置づける方向で検討してまいります。
 次に、国際交流の必要性についてでありますが、グローバル化が進む中で、本県もしっかりとした国際交流を進める必要があると認識しており、いわて県民計画の中でも、多様な文化の理解と交流という柱の中で、地域における外国人県民との交流機会の拡大や、外国人県民が暮らしやすい環境づくり、県内の外国人留学生などを通じた海外とのネットワーク形成を政策推進の基本方向としております。また、近年、県人口に占める外国人県民の割合が高まっていることにかんがみ、昨年2月に岩手県多文化共生推進プランを策定し、多文化共生社会の実現に向けたさまざまな取り組みを進めています。
 具体的には、県において、国際交流等の情報提供などを行う国際交流センターの運営や海外からの研修員等の受け入れを行っているほか、県国際交流協会が行っている外国文化紹介などの多文化共生いわてづくり事業や、外国人留学生への奨学金の支給などへの支援も行っているところであります。
 今後は、国際交流を進める上で、これまで以上に世界の中の岩手という観点を強く意識して、岩手の特性、地域の宝を生かした交流を通じて、世界と共存しつつ発展を図っていく必要があると考えております。例えば、本年8月、葛巻高校郷土芸能部の生徒たちが、ドイツのラインラント・プファルツ州で開催された連邦ガーデンショーにおいて葛巻神楽を披露し、ドイツの皆さんに感動を与え、自分たちの取り組みが海外で評価されたことに自信を得たとの話も伺っております。
 これからの岩手を担う若い人材が、こうした国際文化交流を通じて地域の文化を国際的にも評価される宝として再認識し、地域への誇りと愛着を持つ契機とすることも重要と考えております。
 その他のお尋ねにつきましては副知事及び関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
   〔副知事上野善晴君登壇〕
〇副知事(上野善晴君) まず、国の復興局の設置についてであります。
 第1に、国の復興局の概要についてでありますが、国では、東日本大震災復興基本法に基づきまして、東日本大震災からの復興に関する国の施策に関し、既存省庁の枠組みを越えて地方自治体のニーズにワンストップで対応できるようにするため、復興庁─これは仮称でございますが─を設置することといたしております。
 復興庁は、国が示しております復興庁設置法案(仮称)の基本的な考え方において、二つの業務を行うこととされております。一つ目は基本方針の策定、各省庁の施策や予算要求などに関する総合調整など、復興に関する国の施策の企画、調整、いま一つは被災自治体の復興計画策定への助言、復興特区の認定、復興交付金等の配分、国の事業の実施や県、市町村の支援に関する調整、推進など、地方自治体への一元的な窓口と支援、この二つの業務を行うこととされておりまして、内閣総理大臣を長にしておりまして、事務を統括する復興大臣などを置き、各省より一段高い位置づけとすることといたしております。設置期限は、震災発生年から10年間とし、平成24年1月から4月の施行をめどといたしまして、現在、早期に国会に法案が提出できるよう調整作業を進めておられるところと承知いたしております。
 国の復興局は、復興庁の出先機関といたしまして、岩手県、宮城県、福島県に設置されるものでございまして、関係機関による合同支援チームの派遣による市町村復興計画策定、実行への助言、復興特区計画や復興交付金計画の策定に係る支援、対応など、現地で被災自治体の相談、要望を受けてワンストップで対応することとされております。
 第2に、復興局設置の効果についてでありますが、復興局の設置により、被災地により近いところで、現場で何が起こっているのか、何を求めているのかを直接くみ上げ、復興局が一元的、総合的な役割を発揮することで、各省の復興施策や復興関係予算要求に関する調整などが円滑かつ迅速に図られ、県、市町村の復興計画に基づく事業の推進が一層図られるものと期待されるところでございます。
 次に、復興特区制度についてであります。
 第1に、復興特区制度の評価についてでございますが、県といたしましては、被災地の迅速な復興を実現するため、機会あるごとに復興特区制度の創設を国に要望するとともに、具体的な提案といたしまして、岩手復興特区構想を国の復興構想会議に提言いたしてきたところでございます。復興特区制度は、被災地の地方公共団体が作成いたしました計画を国が認定することにより、規制、手続などの特例措置、土地利用再編の特例、財政・金融上の支援措置をワンストップで講じようとするものでございまして、本県の復興に向けた取り組みを進める上で非常に有用な制度であると評価いたしております。
 第2に、復興特区制度を利用した民間活力の活用についてでございますが、現時点では制度の詳細な内容が明らかになってはいないものの、現在検討を進められている復興特区は、被災地の産業集積のための投資、雇用、研究開発を促進する税制など、民間企業の創意工夫を促す制度であると聞いております。県では、現在、民間企業、団体を初めとするさまざまな主体が参画する開かれた復興への取り組みを推進することといたしておりますが、既に県や市町村などに民間企業などからも多くの有用なプランやアイデアが寄せられているところでございます。こうしたプラン、アイデアを実現するために、本県の復興特区提案に盛り込むべき事項の検討をさらに進めまして、民間企業、団体が参画しやすい環境づくりを目指すとともに、本県復興特区構想のPRのため、県内外においてセミナーや説明会などを開催いたしまして、広く民間企業、団体の復興への参画をさらに促してまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、戸別所得補償制度についてでありますが、平成22年度に実施された戸別所得補償モデル対策につきましては、本県において約4万8、000経営体が加入し、主食用米作付面積の約9割、5万ヘクタールで取り組まれました。その交付実績は10アール当たり定額1万5、000円、販売価格差補てん分1万5、100円の合計3万100円で、平成22年産米の概算金は下落しましたが、農家手取りでは前年に比べ10アール当たり約8、500円増加したものと試算しております。また、加入者を対象に平成23年2月に国が実施したアンケート調査でも多くの農家が経営安定に役立ったとしてモデル対策を評価しており、平成23年度は加入者も増加したところです。
 本年度からは、対象作物として麦、大豆等畑作物の追加や経営規模の拡大等に対する加算措置が整備されたところであり、県といたしましては、本制度を農産物価格の低迷など厳しい経営環境のもとで、農業経営のセーフティネットとして大きな効果があるものと考えております。
 今後、国において効果の検証が行われることとなっておりますが、意欲ある農業者が安定して継続的に農業に取り組むことができるよう、国に対しては安定した財源の確保と制度の恒久化などを引き続き提案してまいります。
 次に、風評被害の克服についてでありますが、農畜産物の安全性について消費者の理解を得ていくためには、放射性物質が健康に与える影響などに関し、正しい知識を提供していくことが重要であると考えております。国においては、放射性物質に関しての疑問や不安に答えることを目的に食品安全委員会などがQ&Aを出しておりますが、県といたしましては、こうした情報を県のホームページを通じて広く県民の皆様に周知しているところです。
 また、県では、農畜産物の検査体制を整備し、国が定める暫定規制値を超えるものは流通しない取り組みを進めているところであり、この取り組みが確実に機能するよう引き続き検査体制の充実を図るとともに、その安全性について、機会あるごとに丁寧でわかりやすい説明を重ねていくことにより風評被害の克服につなげてまいりたいと考えております。
 農畜産物の風評被害につきましては、県単独の取り組みでは限界があり、流通している農畜産物全体の信頼回復を図ることが何より重要と考えておりますことから、現行の検査体制の実効性や現在流通している農畜産物の安全性について、国が責任を持って国民に説明や宣言を行うよう国に対して提案しているところであり、このような取り組みも含めて、今後も風評被害の防止、克服に努めてまいります。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、観光客誘致策についてでありますが、世界遺産登録効果の全県的な波及を図るため、DCに向けて平泉を中心とした本県への旅行商品の造成を一層促進するとともに、例えば、一関市から陸前高田市、大船渡市をめぐり、花巻市、盛岡市へ向かうバスや、あるいは盛岡市から龍泉洞、北山崎、田老町、浄土ヶ浜をめぐり、宮古市、盛岡市へ向かうバスの運行など、内陸と沿岸を結ぶ2次交通の整備を推進しているところであります。
 また、DCを通じまして、世界遺産登録効果の持続、増大を図るため、この7月からDCプレキャンペーンをスタートし、首都圏でのPRや宿泊者へのクーポン券プレゼント、旅行商品造成を働きかける会議の開催などを行っているところであります。
 今後、ポスターの集中的な掲出やガイドブックの配架などを予定しておりますが、DC後においては、DCに向けて構築した全県的推進体制を継承し、効果的なイベントや情報発信などにより、国で実施を検討している(仮称)東北観光博覧会や、本県DCの翌年に予定されている仙台・宮城DC、秋田DCによる東北への誘客効果を本県への誘客に結びつけてまいります。
 次に、電力需給対策に伴う県内企業の生産活動への影響についてでありますが、例えば、自動車関連産業では土曜日及び日曜日に工場を稼働させ、木曜日及び金曜日を休日にしたほか、各企業におきまして徹底した節電や自家発電設備の導入など、業界団体や個々の企業努力による対策を講じてきておりまして、製品の生産そのものに対しては大きな影響はなかったものと聞いております。
   〔環境生活部長工藤孝男君登壇〕
〇環境生活部長(工藤孝男君) まず、電力使用量の削減に関する周知等についてでございますが、市町村や小・中・高校、大学、温暖化防止いわて県民会議等の関係団体、さらには各種広報媒体等を通じまして、幅広く県民や事業所に対して具体的な取り組み例を示しながら節電の呼びかけを積極的に行いました結果、県全体では、昨年のピーク時電力と比較いたしましてことしのピーク時電力が19.8%抑制されるなど、県民や事業所の主体的な取り組みにより計画停電の実施は避けられたところでございます。
 また、県におきましても、一事業者といたしましてピーク時電力を昨年より15%以上削減することを目標に掲げ、日中の消灯でありますとか冷房温度の29度設定などに取り組んだ結果、県庁舎では前年と比較し、ピーク時の使用電力を20.8%削減したところでございます。市町村においても、クールビズや照明の間引き点灯などに取り組み、おおむね前年比10%以上の電力使用量の削減が図られたところでございます。
 次に、ことしの冬の電力需給見通しと対応についてでございますが、冬期の電力需給につきましては、東北電力によりますと、年内に一部の火力発電所が復旧する見通しであることから1、300万キロワット程度の供給力を確保できる見込みであるものの、昨シーズンのピーク時電力が1、470万キロワットでありましたことから、この冬も厳しい需給見通しであるとされております。
 不足が生じた場合、東京電力から一定程度融通可能であるとはいえ、電力需要が高まれば需給が逼迫するおそれがありますことから、県としては、県民、事業所に対してウオームビズの徹底などの節電対策を呼びかけてまいります。
   〔県土整備部長若林治男君登壇〕
〇県土整備部長(若林治男君) まず、空港整備の評価についてでありますが、滑走路の延長は、冬季就航率の向上と離着陸時の安全性向上、新ターミナルの建設は、繁忙期やチャーター便就航時のビル、駐車場の混雑解消、平行誘導路は、大型機就航と渡航範囲の拡大による県の国際交流の活発化や観光等の産業振興のために整備したところでありまして、岩手の空の玄関口として一定程度の機能が整ったものと認識しております。
 本年7月に平行誘導路等を供用開始したことによりまして、8月の韓国からの大型機のチャーター便の受け入れができたところであります。また、9月、10月の台湾チャーター便は、国内線と同一時間帯に受け入れを行うなど、いわて花巻空港は本県唯一の空の玄関といたしまして、観光等産業振興、国内外との地域間交流などにおいて極めて重要な役割を担っているものと認識しております。
 今後、平泉の世界遺産登録を契機とした国内外からの観光客の受け入れを進める観点からも、大型機の就航を可能とする平行誘導路や国内線同一時間帯での受け入れを可能とする国際線出発施設等のハード面の受け入れ態勢が整ったことについて、航空会社などへPRやチャーター便就航の働きかけを行うなど、整備の効果を生かすよういわて花巻空港の利用促進に努めてまいります。
 また、震災対応に当たってどう機能したかについてでありますが、発災後2時間後には、救急救命活動のための防災、消防系ヘリ、海上保安庁、自衛隊ヘリなど4月30日までに1、776発着回を受け入れるとともに、広域医療搬送拠点として全国からの災害派遣医療チーム─DMATが活動を実施したほか、空輸された救援物資を一時保管し被災地への陸送を行う拠点となりますなど、拡張整備した空港施設をフル活用いたしまして多数の救援活動が行われるなど重要な役割を担ったところであり、引き続き各種訓練を実施することなどにより、その役割の充実を図ってまいります。
 次に、便数増と機材の大型化の見通しについてでありますが、震災後は、復興需要によりまして前年度の利用率を20ポイントほど上回る85%の高い利用率となっておりますことから、これを維持しながら大阪、札幌、名古屋線の増便や、より大きな機材への変更など輸送力の拡大について引き続き働きかけを行ってまいります。
 また、羽田線に関する現況についてでありますが、羽田線は、臨時便として、震災直後、高速道路や東北新幹線の復旧前に5月8日まで首都圏と本県とを結ぶ数少ない交通手段として機能したところであります。しかしながら、東北新幹線のスピードアップなど新幹線の優位性が高まっていることなどから、航空会社においてはその運航に関し、かなり厳しい見方をしているところであります。
 県といたしましては、羽田線は首都圏へのアクセス手段の多様化のほか、羽田空港の国際化に伴いまして、国内のみならず東アジアの主要都市への乗り継ぎという利用価値もありますことから、地元自治体と連携し、各航空会社へ路線の開設を要望してきたところであります。今後とも、航空会社との意見交換など情報収集に努めながら、その可能性を探ってまいります。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) 岩手県立大学の学生の留学についてのお尋ねでございますが、学生に対する留学の意向調査については、平成18年度以降、県立大学が実施いたしました学生生活に関するアンケート調査の中で行っております。この調査結果によりますと、海外への留学に関心を示している学生は全体の半数近くとなっております。
 県立大学では、かねてより中期計画において国際的に活躍する人材の育成を掲げ、これまでアメリカ、中国、韓国、台湾の7大学と国際交流協定を締結し、協定校からの留学生の受け入れを初めとした交流事業を実施しているほか、学生が海外に目を向ける機会といたしまして、2週間程度の短期海外研修の拡充に取り組んでいるところでございます。
 また、留学費用の貸付制度につきましては、独立行政法人日本学生支援機構奨学金や民間団体の奨学金制度等がございまして、海外留学を希望する学生に制度の活用を紹介しております。
 なお、県立大学の後援会におきまして、短期海外研修に参加する学生に対する助成制度を平成20年度に創設いたしまして学生への助成を行っております。
   〔政策地域部長千葉茂樹君登壇〕
〇政策地域部長(千葉茂樹君) 留学生30万人計画に呼応する施策についてでありますが、まず、本県におきましては、昭和46年度から本県から南米に移住した方の子女等の本県への留学等を支援してきたところでございます。
 また、県内の大学で学ぶ東アジアなどからの外国人留学生に対しましては、その生活を支援するため、公益財団法人岩手県国際交流協会が奨学金を支給する事業を行っておりますが、県といたしましても当該事業に対し補助金を交付して支援しているところでございます。
 これらの支援実績についてでありますが、南米からの県費留学生についてはこれまで63人を受け入れておりますほか、奨学金につきましては、昭和63年度に制度を創設して以来、延べ369人に支給してきたところであります。
 また、卒業後におけます留学生の県内企業への就職を支援するため、岩手大学、岩手県立大学及び富士大学並びに日本貿易振興機構などの関係機関とともに平成19年8月に岩手県外国人留学生就職支援協議会を組織し、就職支援講座などを実施しているところであります。
 これらの取り組みのうち、留学生30万人計画が策定されました平成20年度以降の実績につきましては、南米からの県費留学生が1人、奨学金の支給者は延べ40人、県内企業への就職者は6人となっているところであります。
 さらに、帰国する留学生に対しましては、御意向をお聞きした上で、いわて親善大使に委嘱するなど、海外との人的なネットワークの形成にも取り組んでいるところであり、引き続きこれらの施策を推進してまいりたいと考えております。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) 国際的に活躍する人材育成の取り組みについてでございます。
 高校生にとって国際的視野や国際感覚を養うことは、このグローバル化した社会の中で生きていく上で大事なことであろうと思っております。このため、教科指導や特別活動など教育活動全般を通じまして国際理解教育に取り組んでいるところでございます。特に、外国語指導助手を活用しながら、外国語教育のみならず国際理解のための教育の充実に努めているところでございます。
 最近の留学生の推移につきましては、短期間の交流を除く3カ月以上の留学を行った県立高校の生徒数は、外国から本県への留学生が平成20年度と平成21年度が4名、平成22年度が2名となっております。また、本県から外国への留学生は、平成20年度が10名、平成21年度が2名で、平成22年度はございませんでした。平成21年度以降、本県から外国への留学生が急激に減少した理由といたしましては、新型インフルエンザや経済状況の悪化が原因ではないかと考えております。
 次に、高校生の留学の推進についてでありますが、高校生の留学の意向調査につきましては、これまで県として統一的に実施したことはございません。各学校において、それぞれの生徒個人から相談があった場合に、それぞれの要望に応じて対応を行っているところでございます。
 次に、高校教育での留学の推進につきましては、国際的視野や国際感覚を養うために、留学も一つの有力な方法ではないかと思っております。現在、国におきましても、来年度に向けて高校生の留学に対する支援制度の導入について検討を進めているところでございます。県といたしましては、国の動向にも留意しながら、どのような方策が望ましいのか検討してまいりたいと考えております。
 また、高校生の留学費用への貸付制度につきましては、日本政策金融公庫による国の教育ローンや各金融機関による教育ローンなどが用意されておりますが、留学した生徒の状況を見ますと、AFS、ロータリークラブなどの支援を受けている者が多いところでございます。したがいまして、留学を希望する生徒に対しましては、まずはこのような支援制度の利用を進めることが大事ではないかと考えております。
〇6番(名須川晋君) それでは、何点か再質問をさせていただきます。
 ニッチな質問をさせていただきますが、まず、コミュニティFMについてでございます。
 ただいま知事のほうから防災計画にきちんと盛り込むということで前向きな御答弁を賜りましたが、一つの収穫を得たと思っております。
 私は、この特区制度を今回活用しなければいけないと考えております。というのも、県内各地に臨時災害FMが開局されましたけれども、花巻市は通常は20ワットなんですね、これは。これが臨時災害になるとそれ以上が出せる、出力が大きくなるということでございまして、花巻市ですと100ワットになりました。奥州市は20ワットが150ワットになっております。宮古市にはできておりますが、宮古市は今20ワットと10ワット。田老地区にも中継局がありますから10ワット。大船渡市は第1送信所が30ワットでございます。釜石市も30ワットということでございます。臨時災害ですと基準より出力が高くできるわけですが、これがもとに戻ることになる。あるいは、民間で設立して開局する場合、これは20ワットに戻さなければいけないわけです。そうすると当然のことながら不感地区が出るということで、これまで聞こえていた方々が聞こえにくくなる、あるいは聞こえなくなるという懸念、可能性がございます。
 したがいまして、私は、緊急ラジオをこれから沿岸でももしかして配置をするような事態になるのではないかと思います。例えば一関市では来年の4月開局を目指しておりますが、5万2、800台のラジオを購入して無償で全世帯に配布するということで、ふだんは電源がついておらないんですが、特殊な電波を発しますと緊急のラジオとしての機能が発揮できるということでございます。そうした場合に、出力が20ワットであれば不感地区が出てきて、大切なときにその機能が果たせないということも懸念されるわけでございます。
 特にも、被災地に対してこうした不利益をこうむらせることはできないということから、これまでの構造改革特区とか、あるいはこのたびの復興特区を活用して、岩手県、宮城県、福島県3県が足並みをそろえて空中線電力を20ワット以上にできるように求めることが私は必要であると考えておりますが、これについての御見解をいただきたいと思います。
 それと、教育長にでございますが、先ほどの御答弁では、グローバル化の時代において国際化教育に取り組んでいらっしゃるという答えをいただきました。当然それぞれの学校によりまして特色ある教育が行われておると思いますけれども、平成23年度岩手県教育委員会経営計画を見ますと、私は国際化教育というところが一文字もないように見えたんですけれども、これについて間違いないでしょうか。ことし2月の教育委員長の演述にも、確認しましたらちょっとなかったと私は思うんです。それでいて、このグローバル化時代に国際化教育を果たしているということが果たして、実際はやっているかもしれませんけれども、きちっと体系立てた施策として記載しながら進めていくべきだと思いますが、いかがでございましょうか。
〇政策地域部長(千葉茂樹君) コミュニティFMに係る特区の申請についてでありますが、議員御指摘のとおり、臨時災害FMは通常のコミュニティFMよりも強い空中線電力で電波を発射することができるところでありますが、臨時災害FM開設の特例期間が終了した後も被災地域においてコミュニティFMとして放送を継続する場合には、基本的には再び20ワットに戻ることとなっております。
 国の放送普及基本計画によりますと、コミュニティ放送については、空中線電力の値を必要最小限のものとすることにより、できるだけ多くの者に対し放送を行う機会を開放すると定めているところでございまして、具体的には、空中線電力を大きくした場合、他の電波との混信障害の発生などへの懸念があることから、コミュニティFMの空中線電力の大きさの上限を20ワットとしていると承知しております。
 県といたしましては、現在、高出力放送に関する具体的な相談を特にいただいておるところではございませんけれども、今回の震災で、コミュニティFMが停電時でも使用でき、生活密着情報が得られる災害時の有効なメディアの一つとして大きな役割を果たしたものと考えておりますことから、具体的な相談がありました時点では、国に対する具体的な要望を初め、特区申請についても十分検討してまいりたいと考えております。
 また、3県連携の特区申請につきましても、各県の状況をお伺いし、具体的な事案が生じてきた時点で速やかに3県での検討、協議を行いたいと考えております。
〇教育長(菅野洋樹君) 平成22年3月に策定いたしました岩手の教育振興、これは今後の岩手の教育のあり方を記載したものでございますが、この中では、学校教育で学んだ基礎、基本をさらに発展させ、グローバル化の時代に対応できる力を持った人材をはぐくむ、こういうことを目標に掲げてございます。したがいまして、まずは私どもとしては、児童生徒一人一人に自立した社会人になっていくための基礎的な力、これはいわゆる知・徳・体、さらには生きる力、または社会人基礎力と言ってもいいと思いますが、そういった基本的な力を本当に身につけてほしい、それを身につけさせなければならないということを大きな私どもとしての課題ととらえているところでございます。
 したがいまして、今、議員からお話のございました教育委員会委員長の演述及び今年度の経営計画におきましては、まず、そのベーシックとなるところをしっかりやっていこうということで記載させていただいたところでございます。したがいまして、このグローバル化した社会の中で、国際理解教育、国際化というものは非常に大事でございますので、そういった基礎、基本をしっかり身につけた上で、次の段階として、そういったことを考えていく人材の育成に私どもとして取り組んでまいりたいと思っております。
〇6番(名須川晋君) もう一回だけ質問させていただきます。
 コミュニティFMを利用した県政情報の提供についてでございます。
 今、実際存在しているのは、地図の上からいきますと二戸市でございます。盛岡市、花巻市が来まして、大変済みませんが北上市を飛ばしまして奥州市がありまして、今度、来年には一関市ができるということでございます。恐らくこの震災を機に、私は沿岸でも勃興してくるものと思います。現実として、宮古市はかなり具体的な動きをしております。12月には、その下、大槌町が開局しまして、釜石市、大船渡市となっております。これから沿岸地区にも、民間が主体でございますから、民間の方でやる気がある方でないといけないわけでございますが、県政情報をきっちりとこうした情報基盤を活用することが必要だと考えるのであります。これまでの県域の放送局や新聞は広聴広報課で活用されておりましたけれども、例えば事例を申し上げますと、二戸地域振興センターではカシオペアFMを活用して、予算をつけて、カシオペア情報ステーション、おんでぁ、おらほの里さ、二戸保健福祉環境センターではカシオペア健康ラジオ講座という番組の放送を制作委託し、対象地域民に情報発信をしているということでございまして、それぞれの振興局での判断になろうかと思いますが、きっちりと県政の情報を伝えながら、その自治体の方々にも情報が伝わりながら、そして、その経営基盤はかなり脆弱ですので、これにもある程度は資するような形の制作委託料も出しながら、きちっとこの情報基盤を守っていくことがこれから必要であると思っております。そうした意識を持っていただきたいと思いますが、ちょっと質問になるような、ならないようでございますが、そした意識を持っていただくことについていかがかということと、みやぎ県政だよりというものがございまして、たまたま宮城県のホームページを見ておりましたら、みやぎ県政だより9月号がございました。これは、いわてグラフと同じものだと思いますけれども、これには表紙がコミュニティFMの局であったということでございますし、実際に周波数掲載を行って県民に広く認知するようにしていたということでございます。これについても、ぜひとも県民の皆さんに、特にも被災地の方々、沿岸の皆さんにも、こういうメディアがありますよということをきっちりとお伝えして聞いていただくことを、いわてグラフを活用して行っていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 もう一点、教育長にお伺いいたします。そうであるなら、やはり経営計画にもきっちりと記載していただきたいと思うわけでございますが、平成9年度から平成18年度まで実施されました高校生世界のかけ橋事業は非常にすばらしい事業だと私は思っております。若者たちの国際的視野を広め、国際感覚豊かな人材の育成を図るという意味で、非常にすばらしい事業であったと思います。この事業につきまして、若干御説明というか、御紹介をいただきながら、日本の国際競争力の低下が指摘される今であるからこそ、派遣人数とか予算の多寡はともかくとしても、国の動向に左右されないこの種の事業をもう一度復活させることというのが、岩手の少子高齢化による、次の県勢発展の糧をどうやっていただくかというところは、国際化というのは非常に重要だと私は思っておりますので、県単独の事業としてでも考えていかなければいけない、もう一度復活しなければいけないと私は思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
〇秘書広報室長(稲葉比呂子君) コミュニティFMを利用した県政情報の提供についてでございますが、県の施策等を広く県民にお知らせすることにつきましては、県政広報誌でありますいわてグラフを全戸に配布しておりますほか、県内民放4局のテレビ、民放2局のラジオによる放送、新聞の利用、さらには適時な情報発信としてホームページやツイッターなどのウェブを活用し、情報の発信に努めているところでございます。
 議員から御紹介がありましたように、広域振興局においてコミュニティFMを活用した広報も行われているところでございまして、今後におきましても、それぞれの広域振興局において、その必要性や効果等を適切に判断して行われるものと考えております。
〇総務部長(加藤主税君) コミュニティFM自体の周知についてでございます。常日ごろからコミュニティFMを県民に広く周知することによりまして、県民、とりわけ災害時において、被災者となられてしまった県民の皆さんがきめ細かな情報を入手する手段として活用できるようにする、これは大変重要であると認識しております。このため、いわてグラフを含みます県の多様な広報媒体を活用しながら、コミュニティFMにつきまして積極的に情報提供してまいりたいと考えております。
 宮城県の御指摘がございました。そうしたお話を伺わせていただきましたので、県のホームページにつきましては、コミュニティFMの周波数等につきまして情報を載せるように指示したところでございまして、早晩、アップされる見込みでございます。
〇教育長(菅野洋樹君) 高校生世界のかけ橋推進事業についてでございますが、この事業は、県内高校生の多様な個性をはぐくむ教育、国際理解教育の一環といたしまして、生徒を2週間程度海外に派遣するという事業でございました。平成9年度から平成18年度までの10年間で1、000人を超える高校生を派遣したところでございます。平成9年度当時でございますので、この事業は、高校生がこれから、当時として次に控えているグローバル化社会の中で国際理解を深め、一つのきっかけとなればということで事業を行ったところでございます。10年間を契機として一定の成果を上げたと考えられること、そして、その後のインターネットの進展、さらに各種メディア等、高校生が世界の情報と直接触れ合う機会が当時と比べて格段にふえているだろうということなどから、平成18年度で事業を終了したところでございます。ただ、県といたしましても、国際化の度合いが変化しているという状況もございますし、先ほど申し上げました国においても種々の検討が進められているところでございます。したがいまして、そういった動向を見ながら、国際的に活躍する人材育成としてどういった方策が効果的なのか、そういった点をよく見ながら検討してまいりたいと考えております。

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