平成23年9月定例会 第2回岩手県議会定例会 会議録

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〇12番(福井せいじ君) 自由民主クラブの福井せいじです。
 初めに、3月11日に発災しました東日本大震災の被災者の皆様に、心からのお見舞いを申し上げます。
 それでは、通告に従い順次質問していきます。よろしくお願いいたします。
 今震災に関し、復興という言葉を数限りなく耳にします。この復興という言葉の一般的な意味を小学館の国語辞書、大辞泉で調べてみますと、一たん衰えたものが、再びもとの盛んな状態に返ることとされています。東日本大震災復興という前人未到の挑戦をする私たちは、これからもさまざまな場面で、さまざまな決断を迫られます。そのとき、立ち返るものが復興理念であります。すべてを貫く理念があってこそ、復興達成への道を真っすぐに進むことができます。
 私の考える東日本大震災復興理念は、復興とは、壊れたものをもとに戻すことではない。そこに住む人々が新たなエネルギーを創造し、みずからと地域の震災以前よりも豊かな未来を構築する環境をつくることであります。私たち岩手県民は、かつてない被害をもたらした震災を乗り越え、新たな地域社会を築く使命を課せられていますが、達増知事が抱く東日本大震災復興理念は、いかなるものかをお聞かせください。
 ここから、岩手県東日本大震災津波復興計画についてお聞きしていきます。
 初めに、復興費用についてお聞きします。
 10月5日に開催されました東日本大震災津波復興特別委員会で、国、県、市町村を含む本県全体の復興費用は、8兆円と試算されています。この8兆円のうち、県、市町村の負担費用がいかほどになるものかをお伺いいたします。
 さて、10月3日に開催された2012年度予算編成会議によりますと、岩手県の県債残高は、2011年度末の見込みで1兆5、363億円になるとのことです。また、財政調整基金残高は、2010年度末の140億円が73億円に減少しています。さらに、県債の償還が今後ピークを迎え、今後の財政運営は一層厳しくなると予想されます。震災以前も厳しい財政状況から、県民ニーズにこたえる十分な行政サービスや、県勢発展のための思い切った振興策を打ち出せずにいたと感じていましたが、復興の理念を忘れずにさらに豊かな地域を構築するために、私は、復興費用8兆円のうち、県、市町村負担分をゼロとし、全額を国に負担していただくよう強く要求することが必要だと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
 また、国の復興財源確保の方法ですが、現在、政府は、復興税による財源確保を計画しています。知事は、この復興財源をいかに確保すべきか、その考えをお聞かせください。
 ここで、復興事業にかかわる県内事業者への発注についてお聞きします。
 産業振興なくして雇用なし。雇用なくして復興なし。復興は県内事業者の活性化なくしてなし得ません。8兆円にも及ぶ復興事業すべて県内事業者で担うことが、地域経済の活力を取り戻し、県内雇用の供給力を高め、ひいては、県民の所得向上につながると私は考えています。
 これまでも、県の建設工事は、一般建築物などに関しては県内事業者中心に発注がなされております。しかし、さらに一歩踏み込んで、復興事業に係る建設工事を発注するに際して、下請企業の選定や建設資材、什器備品の調達、また、交通整理や警備などの関連するサービス業も、受注した建設業者から県内業者に、なお一層発注が出されるような仕組みをつくることはできないでしょうか、当局のお考えをお聞かせください。
 次に、水産業の復興についてお聞きします。
 知事は、岩手県東日本大震災津波復興計画の中で、漁業協同組合を核とした漁業、養殖業の構築を掲げておられます。その内容を見ますと、漁船、養殖施設など、共同利用施設を一括整備して、さらに漁業者には共同利用システムを構築し、水産業の復興を目指していく。
 そこで知事にお聞きします。このようなスキームで復興を進め、将来も漁業の協業体の育成を進めるおつもりなのか。さらに、枠組みを広げ、漁業協同組合の合併なども考えているのかをお聞かせください。
 三陸水産業は、岩手の産業振興の大きな希望であると私は考えています。国内市場はもとより、世界市場における三陸ブランドの地位をさらに高め、6次産業化により高付加価値商品を開発し、みずからがイニシアチブをとり流通させていくことが、漁業関係者そして私たち県民の夢であると考えています。しかし、被災によって出荷がままならない三陸水産商品にかわり、すでに流通マーケットには、北海道を初めとするほかの漁場の商品が並んでおります。
 そこで、漁船、養殖施設の復旧が進み生産体制が整った後、いかに流通マーケットシェアを回復していくか、その方策について当局のお考えをお聞きします。
 また、被災漁業者の中には、離職した方々もいると伺っています。そして、震災以前より高齢化した漁業者の後継者問題もありましたが、当局は、今後漁業の担い手をいかに確保していくか、そのお考えをお聞かせください。
 さて、次に、九つの岩手復興特区についてお聞きします。
 この特区の認定を実現し、明るい豊かな岩手づくりに取り組むことが、子供たちが将来にわたってこの岩手に生き、さらに多くの人々が、世界からこの岩手に集まる大きな機会になると私は考えています。この復興特区の実現こそ、私の復興理念である、県民が新たなエネルギーを持ち、みずからと地域の震災以前よりも豊かな未来を構築する環境をつくることにつながります。ぜひとも、九つの岩手復興特区のすべての認定を国に働きかけていただきたいのですが、岩手復興特区に関し、当局はこれまで国に対しどのような働きかけをなさり、また、この復興特区を実現するにはどのような取り組みが必要であるか、お伺いします。そして、現在の国の取り組み状況についてお聞かせください。
 私は、この特区の中で、特にTOHOKU国際科学技術研究特区には大いに期待を寄せています。日本は、人口減少時代に入り、今後、国際的な舞台において経済的優位性を確保することは、なかなかままならなくなっていくことは否定できません。日本がこれから力を入れていく分野は技術開発であり、人材育成であると私は考えます。そしてまた、日本においても岩手においても、人材、頭脳、技術の流出が問題になっていますが、国際研究機関の誘致は、人材、頭脳、技術の集積につながります。それゆえに、インターナショナルリニアコライダー─以下、ILCと言いますが─ILC誘致の取り組みや、海洋研究や防災研究の拠点を岩手に誘致することは大いに意義のあることだと、そしてまた、必ず実現すべきことだと考えます。
 そこでお聞きします。ILC誘致について、国内、海外の候補地で誘致に向けた取り組みが見られますが、現在のILC計画の状況と課題についてお伺いいたします。
 さて、私は、このような国際機関の誘致を行う場合、地元の受け入れ態勢の整備、充実が重要だと考えます。その受け入れ態勢とは、研究機関に勤務する方々の生活環境の整備です。研究機関設置に伴い、海外からそして県外からさまざまな関係者が移り住んでくる、あるいは頻繁に来県する状況になります。その際、さまざまな行政手続に関し、復興計画の特区化する事項には盛り込まれておりますが、民間レベルの生活環境の整備が必要です。それは、医療機関、教育機関、公共交通機関、買い物、レジャーなどで円滑に対応できる力を養成する必要があると思います。しかし、ILC誘致に関しては、多くの県民がいまだ認識していない状況にあります。
 そこで、私は、まず、ILC誘致の価値を広く県民に認識していただき、ILC誘致を県民運動とし、民間レベルでの受け入れ態勢を構築していく必要があると考えますが、当局のお考えをお聞かせください。
 続いて、防災研究施設についてお尋ねします。
 ここ数年、温暖化の影響から、気候の変化や急激な天候の変化による、従来とは異なる災害が多発しております。そこで、今震災を機に、防災に関する研究を行う大学を被災地に誘致することを、この特区要望事項に加えることはできないでしょうか、当局のお考えをお聞かせください。
 続きまして、中小企業者の再生支援策についてお聞きします。
 10月7日に開設された産業復興相談センターは、個々の事業者の状況に応じさまざまな支援策を提示し、さらに対象債権者全員の合意のもとに、再生可能性ありと判断した場合、専門家派遣による経営サポート、リスケジュールなどの条件変更、産業復興機構への債権売却などの支援機能を有し、被災した事業者はいつでも相談できると伺いました。このセンターの機能は二重債務の解消も担うということですが、個々の事業者にきめ細かな支援策を適切に指導、提案することが重要であると考えます。震災発生以降、これまで、被災者あるいは被災企業などに対し、平等に、公平に、全体への対応をすることが中心でありましたが、これからは、個々の状況に応じて適切な再生、再開のアドバイスをしていく個別対応が求められます。
 今、被災地企業の再生に関し、さまざまな非常に有利な補助金制度などの支援のメニューが次から次へと提示されていると伺っています。有利な条件の支援策が提示されると、ついつい過剰な補助金活用で身の丈以上の投資になり、営業再開しても支払い不能に陥る可能性もあろうかと思います。そのような事故を防ぐためにも、個々の事業者の実情や将来性に応じた指導を求めますが、当局のお考えをお聞かせください。
 また、先ほど水産業の復興について質問した際、既に流通マーケットには、ほかの産地の代替商品が並んでいると話しました。私が被災企業の経営者であれば、会社や工場が復旧し販売を再開したからといって、短期間で震災以前の売り上げを確保することはできないと考えます。最初は小さな規模で事業を再開し、商売の様子を見て、徐々に震災前の規模に戻していくといった経営計画を策定します。それゆえに、売り上げが伸びてきて再投資が必要になったときに、再び同じ条件で利用が可能な補助金制度、支援制度があれば、非常に経営者にとってはありがたいのです。このような再利用可能な補助金制度創設を提案しますが、当局のお考えをお聞かせください。
 次に、商店街の再構築についてお聞きします。
 被災地には、それぞれのまちに、大小の違いこそあれ、さまざまな商店街が存在していました。商店街は、近年、大型商業施設の進出により、客数、売り上げの減少により、そのにぎわいを失いつつありましたが、一方で、自家用車などの移動手段を有しない交通弱者や、大型商業施設にふなれな高齢者の買い物場所として、そしてまた地域コミュニティ形成の拠点として、その存在価値が見直されつつあります。
 そこで、私は、震災以前よりも豊かな未来を構築するためにも、魅力ある商店街の早急な再構築が不可欠であると考えます。震災発生数カ月後、意欲ある商店主が集まり、大型テントによる仮設共同店舗を開設し、営業を再開した地域もありました。しかし、スーパーの再開やコンビニエンスストアの出店の影響で仮設共同店舗には客足が遠のき、売り上げ減少が続く状況に陥っています。
 ここでお聞きします。当局は、このような商店主の仮設店舗事業に対し、いかなる支援を行ってきたかをお聞かせください。また、岩手県東日本大震災津波復興計画には、(仮称)被災商店街にぎわい支援事業が挙げられており、その事業内容として、新たなまちづくりに連動した商店街再構築のための専門家派遣や、商業振興ビジョン策定の経費補助などが盛り込まれています。
 そこでお聞きします。当局は、今後どのようなスケジュールで、この事業をどのように進めていくかをお聞かせください。
 私は、流通業者として、規模が最小でその経営基盤も脆弱な商店主に、今、救援の手を差し伸べなくては、商店街の再構築はできないと考えます。商店街の再構築は、個々の商店主の再開の意欲とともに、商店街という形をつくる意欲も必要であり、そのコーディネーター力の存在が不可欠であります。しかし、被災地においていまだ都市整備計画も決定されず、先が見えない状態におります。被災地区の商店街は、震災以前も決して恵まれた環境にあったわけではありませんでした。そのような中でも、店を再開したいと意欲に燃える事業主に、商店街は復活するのだという希望を与えることが、今、必要であります。商店街の設置の場所も、そしていつ再開できるかもわからない状態では、再開の意欲も消えうせてしまいます。
 私は、今、震災以前に商店を経営していた商店主一人一人を訪問し、今後の支援策や商店街再構築のビジョンを伝え、魅力ある店舗づくり研修や商店街づくりのワークショップ開催などの支援メニューを提示し、商店の再開意欲を喚起する必要があると考えますが、当局のお考えをお聞かせください。
 次に、岩手復興特区の一つに挙げられております三陸交通ネットワークの三陸鉄道及びJRの復旧、整備についてお聞きします。
 三陸鉄道の復旧計画をお聞きしますと、平成26年4月、全線運転再開を目指し、総額約110億円を見込んでいます。県の補助率は4分の1で、残りは国が2分の1、市町村4分の1を見込んでいると伺っています。また、JR山田線、大船渡線などについて、JR東日本は今後の復旧計画予算を明らかにしていませんが、7月5日のJR東日本社長の記者会見によりますと、在来線の原状回復の場合、概算で1、000億円を超えると表明しております。
 さて、三陸鉄道について震災以前の乗車人員と経常損益について調べたところ、平成22年度の経常損益は約1億5、000万円の損失でありました。乗車人員については、昭和59年度268万9、000人であったものが毎年減少し続け、平成22年度は85万1、000人、昭和59年比31.7%になっています。また、経常損益は平成6年に赤字転落し、平成14年以降22年度まで、毎年1億円以上の赤字の計上であります。
 そこでお聞きしますが、当局は、復旧後の三陸鉄道の経営についてどのように考えておられるかをお聞かせください。
 復興とは、壊れたものをもとに戻すことではなく、そこに住む人々の新たなエネルギーを創造し、もっと豊かな未来を築くことだと私は述べました。公共交通が果たすべき最大の使命は、住民の足の確保です。さらに利便性の向上です。私たちは、今、これまでの形にとらわれることなく、さまざまな可能性を模索する機会に直面していると考えます。その可能性とは、三陸鉄道、JRの復旧も選択肢の一つ。巨額な復旧費用を軽減し、さらに利便性を高める可能性があるデュアル・モード・ビークルの導入も選択肢の一つであると私は考えます。デュアル・モード・ビークルとは、JR北海道が地方ローカル線の救世主として開発し、鉄道線路も道路も走れる新たな交通手段です。そしてまた、従来は鉄道とバスが並行して運営されてきましたが、鉄道とバスのメリット、デメリットをしっかりと検証し、バス中心のきめ細やかで利用しやすい公共交通網を確立することも選択肢の一つであります。さまざまな可能性を模索する必要性について、当局はいかなるお考えをお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
 続きまして、岩手県の観光振興についてお聞きします。
 今震災により、本県の観光産業も大きな打撃を受けました。震災発生後は、相次ぐ予約取り消しが発生し、観光地のホテル、旅館の経営は、非常に厳しいものとなりました。ゴールデンウイークの入り込みも、登録を控えた平泉でさえ、前年比74.8%減と激減したと伺っております。その後、6月26日に平泉の世界遺産登録がなされ、県内観光業に明るい兆しが見え始めました。7月3連休の入り込みで、平泉では200%、そして平泉を除く主要観光地のサンプル調査では前年比94.6%と、やや持ち直しの傾向が見られました。しかし、同調査の4月から7月の入り込みを見ますと、前年比32.2%と大幅な減少となっています。このような状況の中、観光産業にかかわる業者は大変厳しい経営を余儀なくされ、従業員解雇などのリストラ策を講じた企業もありました。
 そこでお聞きします。観光地のホテル、旅館など、観光業者に対する当局のとられた支援策の内容についてお聞かせください。
 さて、今震災の影響から、本県の産業振興策は、従来の計画の変更を余儀なくされていると考えます。私は、三陸水産業の復旧、復興に重点的に取り組んでいくことが重要ではあると考えますが、同時に、今こそ、本県の観光産業を大きな太い柱に育てるチャンスが来ていると考えます。その理由は、本年の平泉世界遺産登録、さらに平成24年度に予定されているいわてデスティネーションキャンペーン、そして国土交通省から発表された(仮称)東北観光博覧会開催という、これまでで最大とも言える誘客のチャンスを得ていることです。観光振興こそ、産業復興の先兵なり。すばらしいチャンスを与えられた今こそ、県として大きなエネルギーを集中投下し、県民挙げて取り組み、観光産業を本県の産業における大きな柱とすることが重要であると考えますが、知事は、本県産業振興における観光産業の位置づけをいかに考えておられるかをお聞かせください。
 続いて、保育所待機児童対策についてお聞きします。
 全国的に保育所待機児童の増加が問題になっています。私は、働く意思があり、働く機会が与えられたすべての母親が、いつでも子供を預け、安心して働くことができる岩手をつくりたいと考えています。平成18年から、就学前の子供に関する教育、保育等の総合的な提供に関する法律の制定を受け、本県でも、認定こども園の認定の基準を定める条例を制定し、施行し、認定されたこども園は現在19件あると伺いました。私は、就学前の子供の教育、保育の一貫した理念構築とその実践、また、保育所待機児童対策という二つの観点から、幼保一体化を推進すべきと考えます。国の検討状況を見ると、現場においては、文部科学省所管の幼稚園と、厚生労働省所管の保育所の機能をあわせ持つ施設の創設ということで、施設における条件整備や、また、直接子供と接する人的要件の環境整備など、明確にすべき多くの課題があると考えますが、県として、今後どのような形で幼保一体化に対応していくのかをお伺いします。
 さて、先月、厚生労働省は、来年度予算案の概算要求で、待機児童がいるすべての自治体で、保育所の整備をするための補助金の増額を求めると発表しました。私は、この発表に疑問を感じました。これまで述べてきたとおり、幼保一体化の推進は、待機児童対策という目的も持っております。そうであるならば、幼保一体化の推進の補助金を増額し、さらなる推進を図るべきではないでしょうか。一方で幼保一体化を推進し、しかし一方で、待機児童対策のため、保育所の整備の予算増額を求める、ここに矛盾を感じるのです。このような矛盾する施策を講じていては、施設運営者も、そして就学前児童を抱える家庭も戸惑いを覚えると考えますが、当局はいかにお考えかお聞かせください。
 次に、特別養護老人ホームの待機者減少に向けた取り組みについてお聞きします。
 高齢化の進展に伴い、高齢者介護施設の不足が問われています。特別養護老人ホームについても、平成22年度末待機者数は震災の影響でまだ確定数字は出ていませんが、平成21年度末で5、974人となっています。本年は、第4期介護保険事業計画の最終年度に当たることから、1、000床増加の見込みとなっており、待機者減少につながることも予想されます。当局も、待機者減少に向けて毎年増床しておりますが、その待機者は一向に減少していません。まるで、イタチ、追いかけっこのような状況が数年続いています。
 私は、昨年まで要介護の母を抱えていましたが、私なりにその原因を考えると、年齢が進むにつれて、介護度が高まる高齢介護者を抱える家族は、24時間介護が必要なときがいつ来るかを心配し、不安の中で暮らしています。そのような中で、特別養護老人ホームの待機者が年々激増し、すぐに入所ができず、入所までの相当の時間が必要であるという状況を知ると、一刻も早く申し込みをしておく必要があると感じます。すなわち、緊急性のない入所申し込みが積み重なり、待機者が増加し、悪循環になっている部分もあるのではないかと考えます。
 待機者減少の解決策として、第1に、増床することは重要ですが、地域包括支援センターのコーディネート力やケアマネジャーのプラン提案力の充実を図り、既存施設の機能や空き状況を熟知し、入所希望者の理解を得る説明をできる力を備え、必要な方が必要なとき、必要な介護を受ける提案ができる体制をつくることが重要だと考えます。
 そこでお聞きします。地域包括支援センターにおけるコーディネート能力向上について、当局はどのような指導をなさっているのか、お聞かせください。また、ケアマネジャーに関しても、同様の技術力向上の指導などをなさっているか、お聞かせください。
 そのような指導や研修を重ねながら、いつでも安心してさまざまな介護施設を利用できる体制をつくることが、待機者減少につながると考えます。ぜひとも適正な指導を行っていただきたく、お願い申し上げます。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 福井せいじ議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、東日本大震災復興理念についてでありますが、今回の大震災津波によりまして多くのとうとい命と財産が奪われ、これまで数多くの災害に見舞われてきた本県にとりましても、かつて経験したことのない大災害となりました。
 この筆舌に尽くしがたい状況を目の当たりにし、被害と犠牲の大きさを胸に刻み、追悼、慰霊の思いを深くすることを復興へのすべての起点とし、被災者の人間らしい暮らし、学び、仕事を確保し、一人一人の幸福追求権を保障すること、犠牲者のふるさとへの思いを継承すること、これを基本的な方針としたところであります。
 この方針のもと、復興計画におきましては、人命が失われるような津波被害は今回で終わりにするという決意に立って、災害の苦しみ、悲しみを乗り越え、安全に暮らし、働くことができる地域社会を取り戻していくという思いを込めて、命を守り海と大地とともに生きるふるさと岩手・三陸の創造というものを目指す姿として掲げたところであります。必ずや本県の復興を実現するため、幅広いつながりを力としながら、県民と一緒に全力で復興に取り組んでいく決意であります。
 次に、県、市町村の負担費用についてでありますが、県では、被害の状況や阪神・淡路大震災の例を参考に、粗い試算ではありますが、国、県、市町村を含む本県全体として、復興費用を8兆円と試算したところであります。
 現時点では、国、地方の負担割合を含む国の事業スキームが不明確であること、また、各市町村において具体の計画等を策定中であり、事業額、負担割合は今後確定するものでありますので、それぞれの負担費用は明らかではございません。
 次に、復興費用の国負担についてでありますが、今回の大震災津波は、被害の広域性、甚大性から、県や市町村において対応できる範囲を大きく超える国家的な災害となっており、本県、とりわけ被災地域は、経済力が弱く、自主財源に乏しい地域でありますことから、国に対しては、発災以降繰り返し行ってきた要望活動におきまして、国庫負担率の引き上げや補助対象の拡大など国費による力強い措置、復興に要する費用の地方負担分に対する財源措置の充実確保を求めてきたところであります。
 さらに、地方自治体が地域ごとに異なるニーズに対し、みずからの創意工夫によりきめ細かに対応できるよう、自由度の高い地方財源の充実確保を図ることも求めてきたところであります。
 今後とも、復興事業を強力に進めるため、国費による充実した支援と地方負担分も含む復興財源を確保するよう要望してまいります。
 次に、復興財源の確保についてでありますが、日本経済の状況、国際経済情勢の動きなどを踏まえますと、現段階においては、国内の消費を拡大し、日本経済を強くする流れの中で、復興を推進していくことが重要と考えております。
 特に被災地は、経済的、財政的に深刻な状況にあり、被災地の負担増加はもとより、消費の減退による日本経済へのマイナス影響を与えないような財源確保策を講ずるべきであると考えております。
 次に、漁業協同組合を核とした漁業、養殖業の構築についてでありますが、多くの漁業者が漁船や養殖施設等の生産手段を流失した中、早急に漁業生産活動を再開するには、漁協が主体となって生産手段を一括取得し、共同で利用するシステムを構築することが有効であると考えております。
 漁協による共同利用システムの具体的な運用形態としては、複数の組合員によるグループ利用、協業体など組織化された経営体による利用、さらには、個々の組合員へリースする方法など、さまざまな形態が想定されるところでありますが、震災からの漁業の再開に当たり、それぞれの漁協みずからが最も適した運用形態を選択していくことが重要であり、それが、漁業者が意欲を持って漁業活動に従事できることにつながるものと考えております。
 次に、漁業協同組合の合併についてでありますが、県はこれまでも、各漁協の経営基盤の強化や自立した経営体制の確立などを目的として、漁業関係団体の主体的な取り組みを支援してきております。
 しかしながら、震災により甚大な被害を受けた水産業を復興していくためには、復興計画に掲げる漁協による漁船等の一括取得・共同利用システムなどにより生産基盤等の早期回復を図ることが重要であり、当面は、各漁協の復旧、復興に向けた取り組みの支援を最優先すべきものと考えております。
 次に、国際リニアコライダーについてでありますが、国際リニアコライダー計画は、研究者間において、ヨーロッパについてはジュネーブ近郊など3カ所、アメリカについてはシカゴ近郊の1カ所、アジアについては、北上山地及び九州の脊振山地の2カ所が建設候補地として挙げられています。
 また、現在、アジア、北米、ヨーロッパそれぞれの地域ごとに候補地サイトを特定した設計が行われており、2012年末の設計完了後、サイトの評価等を経て建設地が決定されるというプロセスが、研究者間で議論されていると承知しております。
 ILCの本県への誘致の課題は、まず、国民的合意を経て政府が正式に誘致の意思表示を行うことであり、さらには、本県の北上山地が学術的に建設に適していると評価されることに加え、研究者の受け入れ環境を整備することなどであると考えております。
 国の3次補正予算において、ILCにかかわる地質調査費などが盛り込まれる見込みと伺っております。また、受け入れ環境の整備については、東北経済連合会や東北大学、本県などで構成する東北加速器基礎科学研究会において検討しており、特に、住宅環境、子弟教育、医療などへの対応が必要になるとの中間報告も公表されております。
 また、ILCの本県への誘致には、一般県民や民間の理解と協力と熱意が欠かせないことから、東北加速器基礎科学研究会などと連携を深め、奥州市や一関市などで講演会やシンポジウムを開催し、普及啓発を展開してきたところであります。
 現在、地元の民間団体においてもILC誘致の機運が高まってきたことから、今後は、民間や地元大学等と連携を深め、その協力もいただきながら、県内において広範な普及啓発活動を行い、ILCの受け入れ環境の醸成に努めていくこととしております。
 次に、本県産業振興における観光産業の位置づけについてでありますが、本県は、世界文化遺産である平泉や十和田八幡平国立公園、陸中海岸国立公園など、すぐれた観光資源を有し、観光面での高いポテンシャルを秘めていると認識しております。
 また、観光は、宿泊業を初め、運輸業や食品産業など幅広い分野に生産波及や雇用の誘発といった効果をもたらすすそ野の広い産業であり、県としても、県外から安定的に所得を獲得する手だてとして重要なものと考えております。
 こうしたことから、県民計画やさきに策定した県の復興計画においても、観光を施策の柱の一つとして位置づけ、一層の振興を図ることとしてきているところであります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔県土整備部長若林治男君登壇〕
〇県土整備部長(若林治男君) 復興事業にかかわる県内事業者への発注についてでありますが、県営建設工事の受注者に対して交通整理や警備などを含め下請契約を締結する場合には、契約の相手方を岩手県内に主たる営業所を有する者の中から選定するよう、県営建設工事請負契約書付記において条項を定め、要請を行っているところであります。
 同じく、建設資材調達につきましても、調達する建設資材は岩手県産とするよう要請を行っているところであります。
 あわせて、機会あるごとに、岩手県建設業協会などの関係団体へも要請を行っているところであります。
 今後とも、さらに県内事業者からの建設資材の調達が促進されますよう、県産資材の使用実績を適切に評価する仕組みについて、ただいま検討しているところであります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、流通マーケットシェアの回復方策についてでございますが、県産水産物のマーケットシェアを回復させていくためには、本県ならではの恵まれた漁場環境や高い養殖技術を生かした高品質の水産物を安定的に供給し、マーケットからの評価と信頼を取り戻していく必要があると考えますが、カキ等の生産回復には、今後数年を要するところです。
 このため、生産が回復する前の今の段階から、提供可能な水産物や加工品を消費者や販売先へ継続的にPRしていくことが重要であり、被災地の食品等を購入して復興を応援しようとする全国の動きもとらえながら、首都圏で復興支援フェアを開催することなどにより、マーケットシェアの回復を図っていきたいと考えております。
 次に、漁業者の後継者問題についてでありますが、担い手の確保には、まず、被災した漁業者が一刻も早く漁業、養殖業を再開できる環境を整備することが重要であり、このため、国や市町村と連携しながら、漁協による生産手段の一括取得・共同利用するシステムの構築支援等に取り組んでいるところでございます。
 また、当面の漁業者の生活支援のため、被災漁業者による養殖施設、定置網等の敷設作業等の雇用の場の確保、国の資源管理・漁業所得補償対策の導入による漁家経営の安定化、漁業就業支援フェア等による新規就業者の確保などについて、関係団体や市町村と一体となって取り組み、漁業の担い手の確保に努めてまいりたいと考えております。
   〔理事平井節生君登壇〕
〇理事(平井節生君) 次に、復興特区実現に向けた取り組み等についてでございますが、区域、期間を限定した上で、規制・権限の特例、手続の簡素化、重点的投資等により復興を支援する復興特区は、本県の復興に向けて重要な制度であると認識してございます。
 このため、本県としては、復興特区制度の創設に向け、機会あるごとに国への要望活動を行うとともに、国際リニアコライダーを核としたTOHOKU国際科学技術研究特区や岩手・三陸交通ネットワーク特区、再生可能エネルギー導入促進特区など九つの特区構想を、国の復興構想会議に提言してきたところでございます。
 現在、国では、臨時国会への法案提出に向け調整作業を進めているところであり、法案成立後、関係政省令の制定や基本方針の策定などを行い、可能な限り速やかに施行する予定と承知しております。
 現時点では、制度の詳細な内容は不明でございますが、復興特区制度により、地域の創意工夫に基づく復興の取り組みが迅速に進められるよう万全の準備を進めるとともに、その実施に当たりましては、関係市町村や民間の意見等を十分に踏まえ、連携を密にしながら、地域主体となった復興を実現してまいります。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、防災研究施設についてでありますが、現在、本県が提案しているTOHOKU国際科学技術研究特区は、海洋、防災に関して幅広い研究を行う総合的な研究拠点の国による整備を要望しているものでありまして、研究拠点には大学の研究機能も含めているものであります。
 これまで、関係省庁への要望活動を行うとともに、大学や研究機関等との関係構築に努めているところであります。
 今後も引き続き、関係省庁などへの働きかけを続けてまいりたいと考えております。
 次に、中小企業者の再生支援についてでありますが、先般開設いたしました産業復興相談センターでは、事業再生に意欲のある事業者に対しまして、さまざまな支援制度を紹介するとともに、事業者が将来的な経営見通しに基づき適正な再生計画を策定できるよう支援するなど、ワンストップサービスで対応することとしております。
 また、県におきましても、被災した企業の再建指導や経営相談に当たらせるため、7月から沿岸広域振興局に総括課長級の専任職員を配置しているほか、商工会議所、商工会など産業支援機関においても、経営指導員による巡回指導を強化するとともに、震災対応の専門家を派遣するなど、被災した企業の個々の状況に応じた適切な対応ができる体制となっており、各機関によるきめ細かな支援により早期の事業再生が進むよう期待しているところであります。
 次に、再利用可能な補助金制度等についてでありますが、県では、事業者の早期再生に向けて、修繕費補助やグループ補助、さんりく基金事業などを準備し、その利用を促しているところですが、これら補助金には限りがあることから、しっかりした見通しのもとに再建に取り組んでいただき、復旧、復興に当たっての補助金は1回限りという認識を持って、有効に活用されることを望んでおります。
 今後、復旧が一段落して、事業回復の程度に応じて新たな投資が必要になった場合は、県の有利な制度融資などを用意しておりますので、こうした制度を活用していただきたいと考えております。
 次に、仮設店舗事業者への支援についてでありますが、応急的に大型テントや仮設店舗で営業再開を果たした商店主の方々が、今後、本設店舗に円滑に移行するためにも、まずは仮設店舗での営業を軌道に乗せることが重要であると考えております。
 これまでも、さんりく基金による被災地復興支援事業での新たな什器、備品の購入に対する支援、沿岸広域振興局による仮設店舗用のテント設置経費への支援を行い、商工会議所、商工会の経営指導員による資金繰りの金融相談や経営指導も行っているところであります。
 次に、(仮称)被災商店街にぎわい支援事業でございます。
 この事業は、商業者、地域住民のコンセンサス形成支援や中長期的な商業振興ビジョンの策定支援など、被災地における魅力や、にぎわいのある商店街の再構築に向けた取り組みに対しての各種の支援を行うことを想定しているものであり、これまで市町村や商工団体、商店街組合等を訪問し、現地の要望を聞きながら、来年度に向けて具体的な事業内容を検討しているところです。
 なお、現在、国などの支援事業として、震災復興アドバイザー派遣事業や商店街震災復興情報、ノウハウ提供事業などがあり、県としては、当面の間、こうした事業の活用を促していきたいと考えております。
 次に、商店再開の意欲喚起についてでありますが、まちづくりや商店街の復興に当たって、まず、地元市町村が商業者や商工会議所、商工会等、まちの現状や将来像についても、しっかりしたビジョンを共有し、地域の実情に応じた主体的な取り組みを行うことが重要であると考えております。
 しかしながら、住民の安全の確保も視野に入れたまちづくりには、土地利用の調整などに一定の時間がかかるものと想定され、再開への強い意思を持つ商業者のモチベーションを維持し、その総意を魅力ある新たな商店街の復興に結びつけていくことは、非常に重要と認識しております。
 県といたしましては、商業者の意欲が大きく損なわれることのないよう、ビジョンの共有に向けた取り組みや、各店舗の魅力を高めるための取り組みなど、市町村が主体となった商業者の意欲喚起につながる施策に対しては、市町村のニーズを踏まえつつ、今後とも必要な支援を行ってまいります。
 次に、観光業者に対する支援策についてでありますが、発災後、旅行の自粛や風評被害などにより大きく落ち込んだ観光需要の回復に向けて、一つは、国内外の旅行会社及びマスコミに対する情報発信や招聘事業の実施、首都圏等でのイベントにおける観光PR活動を行ってまいりました。
 また、県内の宿泊施設、飲食店などでの売り上げの一部を被災地への義援金とすることで、過度の自粛ムードの払拭を図る、つなげる・つながる・まごころ運動の実施、あるいは首都圏からの観光客に対するクーポン券プレゼントキャンペーンなどの取り組みを進めてきております。
 また、震災後の資金繰り対策といたしまして、県単融資制度において、既往の県制度融資の返済に困難を生じている事業者に対しまして、最長3年間の返済期間の延長措置を講じたほか、中小企業経営安定資金に災害対応枠を設け、運転資金の調達を支援してきているところであります。
   〔政策地域部長千葉茂樹君登壇〕
〇政策地域部長(千葉茂樹君) まず、復旧後の三陸鉄道の経営についてでありますが、平成21年度には、沿線市町村が運営会社から一たん土地を取得し、その上で、運営会社に無償で貸し付けることによりまして、設備維持に係るコストを軽減する方策などを盛り込んだ鉄道事業再構築実施計画を策定し、毎年度の収支均衡達成を目指す経営改善を図ってきたところでございます。
 しかしながら、今回の大震災によりまして、この計画の実施が困難となったところであり、当面は、復旧に向けた取り組みが最優先でありますことから、今議会に御提案しております補正予算案に関係事業を盛り込んでいるところでございます。
 今後の経営見通しでありますが、沿線人口の減少や少子化等の進展によりまして、利用者数の減少が懸念されるところであり、復旧後も厳しい経営になるものと認識しているところであります。
 このため、運営会社では、8月に、今後おおむね10年間を見据えた三陸鉄道経営計画骨子を策定したところであり、地元利用の維持、充実を初め、観光利用の拡大、物販の拡大を3本柱とする収入確保策を掲げ、具体的な事業に着手しているところであります。
 県といたしましても、復旧後を見据えた利用促進策について、市町村とともに今後速やかに検討していく必要があるものと考えておりまして、住民のマイレール意識の再醸成を図り、地元の方々が三陸鉄道を積極的に利用する取り組みの支援を初め、例えば、震災を契機に新たにつながりのできた県外の方々が、本県を訪れた際に、三陸鉄道を利用していただくような取り組みの促進など、さまざまな方策を検討し、利用客の拡大を図っていきたいと考えております。
 次に、新たな公共交通の可能性についてでありますが、まず、三陸鉄道につきましては、宮古-小本間及び陸中野田-久慈間で、既に鉄道による運行が再開していること、多くの地域住民の方々が鉄道による早期復旧を希望しており、また、例えば大手旅行業者が、一部しか運行しておりません三陸鉄道を組み入れた旅行商品を発売し、旅行代金の一部を三陸鉄道に寄附するなど、早期復旧を願って、全国から多くのさまざまな支援をいただいていること、鉄道車両の大半が使用できる状況にあることなどから、沿線市町村と協議の上、鉄道での復旧を図ることとしたところであります。
 なお、国におきましても、沿線市町村、運営会社及び県の要望を踏まえまして、東日本大震災に係る復興事業計画及び工程表に、鉄道による復旧を前提に全面再開時期を明示したところであり、また、第3次補正予算に関連事業が盛り込まれると伺っておりまして、先ほど申し上げましたとおり、今議会に御提案している補正予算案に関係事業を盛り込んでいるところであります。
 一方、JR線につきましては、国が、路線ごとに復興調整会議を設置し、県、沿線市町村、JR東日本などからの意見を踏まえ、鉄道の復旧と沿線まちづくりとの調整を行っているところでありますが、その中で、鉄道の復旧に加え、次世代型路面電車でありますLRTなどについても、検討の対象としていくものと承知しているところであります。
 現在、鉄道以外の公共交通の可能性については、議員からただいまデュアル・モード・ビークルに関する御提言もちょうだいいたしましたが、さまざまな御提案もいただいておるところでございます。将来にわたっての三陸地域の公共交通ネットワークの維持、確保の観点から、有識者の意見もお伺いしながら研究してまいりたいと考えております。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) 幼保一体化の推進についてでございますが、本県におきましては、これまで、認定こども園制度の普及や支援を行い、幼保一体化の推進に努めてきたところでございます。
 一方、国におきましては、本年7月に、子どもと子育て家庭を応援する社会の実現に向けた子ども・子育て支援システムの中間取りまとめを行ったところでございます。その中で、幼保一体化に向けましては、学校教育と保育を一体的に提供する総合施設、仮称でございますが、こういったものを創設することといたしまして、目下、施設や職員の基準等について検討されていると承知しております。
 今後、国におきましても十分に地方公共団体を初めとする関係者と協議を重ね、理解を得た上で成案を取りまとめることとされておりますので、県といたしましても、国の動きを注視するとともに、地域の裁量が生かされる仕組みが構築されるよう、機会をとらえて意見、提言を行っていく考えでございます。
   〔保健福祉部長小田島智弥君登壇〕
〇保健福祉部長(小田島智弥君) まず、幼保一体化の推進と保育所整備予算の増額要求についてでありますが、平成23年4月1日における保育所待機児童数は、全国では2万5、556人と依然として高い水準にあることから、国においては、幼保一体化の検討も見据え、認定こども園の普及促進なども内容とする待機児童解消先取りプロジェクトを取りまとめ、その取り組みを拡充しているところであります。
 本県におきましては、こうした国の動きにも留意しながら、平成21年度から22年度の2カ年間で延べ24カ所の保育所の整備を行ったところでありますが、この中には、既存の幼稚園に保育所を併設し、認定こども園となった施設整備も4カ所含まれており、幼保一体化の流れに沿った整備も進めているところであります。
 県といたしましては、このように単独での保育所整備や認定こども園化に向けた整備など、市町村の実情に応じた多様な取り組みを支援していくことが必要と考えているところであります。
 次に、特別養護老人ホームの待機者減少に向けた取り組みについてであります。
 まず、地域包括支援センターにおけるコーディネート力の向上についてでありますが、地域包括支援センターは、地域における高齢者の介護ニーズやサービス提供体制を的確に把握し、介護施設、事業者、医療機関等の連携体制づくり、ケアマネジャーに対する業務支援や支援困難事例への対応など、総合的にコーディネートする役割を担っております。
 こうした役割や機能が十分に発揮できるよう、県では、専門職員の適切な配置など体制の強化、充実について市町村等に働きかけているほか、指導的職員の養成や業務経験に応じた新任者、現任者研修の実施、さらには、県の高齢者総合支援センターや認知症疾患医療センターによる困難事例への専門的支援など、コーディネート力向上に向けた総合的な取り組みを行っているところであります。
 次に、ケアマネジャーの技術力向上についてでありますが、県では、資格取得時から実務経験に応じて行う研修や、5年ごとの資格更新時の研修等を実施するなど、ケアマネジメント能力の向上に努めているほか、主任ケアマネジャーを養成するなど、キャリアアップにも努めているところであります。さらに、県内のケアマネジャーが必要な指導、助言を適切に受けることができるよう、他県に先駆け、ケアマネ支援センターを独自に設置し、支援困難事例等について個別相談を行うなど、きめ細やかな支援を行っているところであります。
 県といたしましては、今後もこうした取り組みを進めるとともに、小規模多機能型居宅介護等の地域密着型介護サービス基盤整備も行いながら、特別養護老人ホームの入所待機者減少に努めてまいります。
〇12番(福井せいじ君) 幾つか再質問をさせていただきたいと思います。
 まず、私は、国は、国民の生命と財産を守る使命があると考えております。そういった意味で、今回の震災におけるさまざまな社会インフラの損失、そしてまた、被災者の生活の再生、これがいかに行われるか、その財源のあり方を私は問うていきたいと思っております。
 先ほど質問の際にもお話をしましたが、私は、市町村そして県の負担割合を限りなくゼロに近づける、このことを国に対して強く要望していくことが必要であると考えます。そのために、国としての復興財源をいかに確保するか、その考えについて知事にお聞きしたのでありますが、知事は、しっかりとした明確な言葉はなぞらえることはできませんが、意味として、消費を拡大し、日本経済を強くする中で復興の財源を確保していくことが必要だ、あるいは、消費を減退しないような中で財源を確保していくことが必要だということをお話しされました。私は、非常にそのことは大切であると思います。日本経済のこの景気を悪くしない中で財源を確保すること、これは理想的な形であると考えます。そのために、知事は、そのような考えを貫くために具体的な方策をお考えになっているのかどうか、具体的なものがあればお聞かせ願いたいと思います。いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 具体的な方策ということで思い出すのは、復興構想会議という、国の復興のあり方に関する会議のメンバーになっておりまして、かなり繰り返し、先ほど答弁したような趣旨のことを述べてまいりました。
〇12番(福井せいじ君) 済みません、その内容がわからないので、大変申しわけないんですけれども、もう一度ちょっとお話をさせていただきたいと思います。
 県、地方自治体の負担を限りなくゼロにすると、そういったことを主張していくためには、私は、その主張する一つの県の知事として、国がいかに復興を完全に実現できる、その財源の確保のスキームをつくる提案をしていくことも必要だと思っております。今、国では、復興増税というものが主体的に計画されております。そのほかにも、復興国債あるいはさまざまな税金を調達する方法を考えておりますが、私は今回の復興財源というものは、その使途を考えるに当たって、三つの側面が考えられると思います。
 一つは社会資本。損壊したそして失われた社会資本をいかに整備するか。そしてまた、もう一つは、被災者の生活をいかに再生するか。そしてもう一つは、福島の原発事故によるその災害の損害賠償をいかに補てんしていくかと、その三つの視点でこの復興財源をとらえた場合、社会資本の整備というのは、これは将来世代にも受益者となり得る可能性はあるわけですから、復興国債を用いてもいいのだろうと。しかし、生活者再建については、今、私たちの世代で完結する必要があると。そういった意味からも、所得税や法人税の増税を用いるべきである。そしてまた、原発問題に関する損害賠償については、国と東京電力、あるいは電力関係の会社が負担していくべきだろうと。そういった形で提言をしていくことによって、地方自治体、県、市町村の負担が限りなくゼロに近づく、そういった主張ができるのではないかと私は考えております。達増知事にも、国に対して太いパイプがおありなのですから、ぜひとも、そういった具体的な策を提案しながら、県、市町村、そして被災者の負担がゼロになるような提言をしていただきたいと考えます。ぜひとも、知事の力強いお考えをお聞かせいただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 県といたしましては、例えば水産業の漁協を中心とした復旧ということについては、むしろ県の予算で2次補正予算を議会に提案し、また、この議会にも了承をいただいているところでありまして、まず、県として責任を持って、今困っている人たちを助けていくためには、まず県として使えるお金は全部使っていくということが必要であり、まず、そこをきちっと遺漏なくすることが、岩手県知事の責任ということで取り組んできたところでございます。
〇12番(福井せいじ君) それでは最後ですけれども、今、漁協の問題が出たんですけれども、水産業の復興について最後に質問させていただきます。
 政府は16日までに、復興特区に関連して、企業に漁業権を開放すると。地元漁師7人を雇用することを条件に、企業に漁業権を開放するというような発表がありました。私はこの発表に関して、非常に危険性もはらんでいると思っております。すなわち、環境に対する配慮やあるいはその事業の継続性、そしてまた、乱獲やさまざまな漁獲量の制限とか協調しなければいけない部分があって、今までは漁協が中心となってその調整を行ってきたのでありますが、一方で、このような民間の活力、企業の発想を導入することによって、漁業の担い手やあるいは6次産業化に大きな弾みがつくことも考えられます。
 このような政府の発表に対して、知事は、漁協を中心としたこれからの水産復興を考えていくと言っていましたが、こういうような政府の発表に対して知事はどのようなお考えをお持ちか、お聞かせ願いたいと思っております。
〇知事(達増拓也君) 政府のそうした政策の方向性は、既に先ほどもお話しした国の復興構想会議の中で盛んに議論されていたところであって、岩手県以外の県では、そういうやり方をぜひやってみたいという動きもあると聞いておりますので、国としては、日本全体を考えて、そういう選択肢も用意したというふうに理解しております。
〇35番(嵯峨壱朗君) 関連して、今の質疑を聞いておりまして、福井議員から財源の問題、もう少し私、真正面から知事の考えを述べていいと思うんですけども、先ほど水産業のことで言っていましたけれども、それはそれで私は評価していますけれども、そうではなくて、やっぱり国の財源があって復興が可能なわけですから、それについては知事としてどう考えているかということを真っすぐ、正面に答えていいことだと思いますけれども、お聞かせ願いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 県知事としての答弁は、先ほど申し上げたとおりです。
〇35番(嵯峨壱朗君) つまり、ということは、今の国が考えている財源確保の方法ということを、知事は疑問なく是認するというふうに理解してよろしいわけですね。
〇知事(達増拓也君) 国の財政の、ファイナンスのやり方は、これはもうアメリカとか中国とかヨーロッパとか、それぞれいろんなやり方でやっており、今の日本国においても、先ほど述べているような消費を減退させない、日本全体の景気をよくしていきながら復興にも取り組んでいく、そのファイナンスの方法にはいろんなやり方があると思います。ただ、そこは、日本経済のマクロ経済情勢の全貌、国の財政状況も各省庁の予算の執行の実態等々、かなり膨大なデータを自家薬籠中のものにした形でないと責任ある発言はできないと思っておりまして、先ほどからの答弁をしております。
〇議長(佐々木博君) 次に、佐々木努君。
   〔7番佐々木努君登壇〕(拍手)

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