平成16年6月定例会 第8回岩手県議会定例会 会議録

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〇36番(伊沢昌弘君) 社会民主党の伊沢昌弘でございます。
 議案第7号、第10号、第16号、第17号について反対の討論を行います。
 議案第7号岩手県県税条例の一部を改正する条例は、地方自治法の一部改正に伴い、県民税の老年者控除の廃止と環境負荷の大きい自動車に対する税率の特例措置を講ずるものであります。
 我が会派は、自動車税については了とするものの、所得のいかんにかかわらず、老年者控除を一律に廃止することは、依然厳しい地域経済と雇用・再雇用環境のもとにあって、高齢者にはとりわけ冷たい政策と受けとめております。また、年金制度の改悪による負担増と給付の減少も、また高齢者の生活を脅かすこととなります。こうした中における県民税の老年者控除廃止に反対するものであります。
 次に、議案第10号看護師養成所授業料等条例の一部を改正する条例は、これまで徴収してこなかった入学料と看護師養成所の寄宿舎料等を徴収しようとするものであります。
 県において、看護師養成所を設置してきた目的は、保健、医療、福祉を担う人づくりとし、修学を容易にするため寄宿舎を併設して学習環境を整えてきたものであり、入学料と寄宿舎料を無料としてきたのは、県民の命を守るすぐれた人材を育てるために大いなる貢献をしてきたものと、高く評価するものであります。
 本県の看護師充足率は十分であるとの認識が、私が所属をいたします環境福祉常任委員会でも示されましたが、県内における医師不足の状況や今後急速に進む高齢社会を考えれば、医療機関や介護分野での看護師の必要数は増加することが予想され、県立病院と連携した県における養成施設での修学は重要であると考えるところであります。
 全国の状況を見ると、看護師養成所を設置している37県のうち、入学料を徴収しているのは16県、また、寄宿舎を設置している21県のうち、寄宿舎料を徴収しているのは10県と少なく、半数以上の養成所は無料となっております。これらのことからも、他県の状況を見ても、有料化にするべきではないと考え、反対するものであります。
 次に、議案第16号職業能力開発校条例の一部を改正する条例について申し上げます。
 この条例は、岩手県立千厩高等技術専門校を設置し、岩手県立高度技術専門学院を廃止することと、職業能力開発校の授業料等を徴収するための改正案であります。
 我が会派は、千厩高等技術専門校の設置には賛成するものの、授業料等の徴収に反対をするため、商工文教常任委員会において阿部静子委員が修正案を提出いたしましたが、先ほど柳村商工文教委員長の報告のとおり、残念ながら修正案が否決されたものであります。
 以下、改めて授業料等の徴収に反対の討論を行います。
 今回の改正案は、これまで無料としてきた職業能力開発校の普通科課程において、学生から授業料、入校検定料及び入校料を徴収するという、いわば県民に対し年間で10万円を超える新たな負担を求めるものです。これまで、県立職業能力開発校は、職業に必要な基礎的な技能及び知識を主として若者たちに付与するため、職業能力開発を実施してきたわけであります。これまでの授業料等を徴収しないことによって、生活が苦しい世帯であっても、希望すれば、だれでも安心して職業の基礎的な技能や知識を習得できる施設として本県の産業振興に貢献してきたものと理解をしているところであります。
 増田県政が進める重点施策に雇用対策が掲げられています。雇用状況が不安定な中で、今後も職業能力開発校の果たすべき役割は大きいものがあると考えるところであります。これも全国的に見ますと、いまだ3分の1にも達していない15県しか授業料を徴収していない状況にある中での有料化は、元気な岩手の商工業の担い手育成を推進する必要性から考えても、認めることはできないものであります。
 最後に、議案第17号農業大学校条例の一部を改正する条例についてであります。
 本条例もまた、農業大学校に入学しようとする者から入学検定料、入学料、授業料を徴収しようとするものであります。農業大学校の設立目的は、岩手の基幹産業である農業を将来的にも継続させるべく後継者を育成することであり、これまで、授業料だけでなく全寮制の寮経費についても、食費以外は徴収してこなかったということが、数多くの卒業生を送り出すことに大きく貢献してきたものと理解をしているところであります。
 卒業生は、卒業後直ちに就労する学生だけでなく、農業法人や農業に関係する機関・企業に就職する学生がほとんどで、本県農業の中核を担う人材として活躍されております。授業料等を徴収する理由に掲げている受益者負担というと、何か公平で、耳ざわりがよく、反対しかねる思いがありますが、将来的に見て、県民のためになることを意図的に進めようとする施策であるならば、無料化で行ってもいい重要な施策ではないかと考えるものであります。
 農業大学校においては、平成16年度から、寮経費のうち、光熱水道費を徴収し始めております。17年度から授業料も徴収ということになると、父母の負担は大きくなり、施策としての効果まで危ぶまれるものではないでしょうか。
 本県と同じく農業を基幹産業とする東北の各県を見ても、授業料を徴収しようとする県はありません。加えて、農業を取り巻く環境は年々厳しさを増しております。さきの国会で、農業改良助長法の一部を改正する法律が可決成立し、農業改良普及員の配置制度は残されたものの、農業改良普及センターの必置規制がなくなったと伺っております。このことにより、農業改良普及活動や後継者育成施策が後退するのではないかと懸念されるところであり、農業を基幹産業と位置づけている本県独自の施策展開が必要であると私は考えております。このことは、直接今回の条例案に無関係のように見えますが、農業大学校における就学内容は、卒業後に県内農業普及に大いなる担い手として活躍する後継者であり、県として農業施策を重点的に進めるあかしとして、これまで同様に、負担を求めず育成を進めるべきものと考えるものであります。
 以上、4条例の一部改正議案について述べてきました。私は、他県における看護師養成施設、職業能力開発校、農業大学校等で、少ない県とはいえ、これまで有料化をしてきた授業料等を取らずに、本県がよくぞ今日まで無料で運営してきたものと高く評価するものであります。この際、施設設立の精神を踏襲し、無料での運営継続を強く求めるものであります。県財政が厳しい状況を考えれば、貴重な財源確保策とも言えますが、その実は、県が現在進めている行財政構造改革プログラムによる弱者への負担の増大であり、認めることはできないことを重ねて申し上げ、反対の討論といたします。議員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
 御清聴いただきましてありがとうございました。(拍手)

〇議長(藤原良信君) 次に、斉藤信君。
   〔26番斉藤信君登壇〕


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