令和5年4月臨時会 第25回岩手県議会臨時会会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 令和5年度岩手県一般会計補正予算(第1号)について質問します。
 初めに、今回の物価高騰対策の補正予算を全国に先駆けて提案したことを高く評価するものであります。
 今回の補正予算の提案について、知事の思い、意気込みをお聞かせください。また、食料品の値上げやさらなる電気料金の値上げなど、物価高騰の現状と県民の暮らし、事業者の経営に与えている影響をどのように受けとめているでしょうか。中小企業等へのさらなる支援策も必要と考えますが、どのように考えているでしょうか。
 具体的な課題について質問します。
 第1に、LPガス価格高騰対策費として13億2、466万円余計上されています。LPガス料金の値上げの実態はどうなっているでしょうか。平均的な家庭で、昨年1年間での値上げ高騰分はどう試算されているでしょうか。今回の支援策では高騰分の2分の1を支援することが基本ですが、平均的な家庭での高騰分、支援分はどうなるでしょうか。
 第2に、バス事業者、タクシー事業者への運行支援緊急対策交付金として2億433万円が計上されています。新型コロナウイルス感染症の拡大による利用者の減少の実態、経営の実態をどう把握しているでしょうか。今回の支援交付金は、乗り合いバス1台当たり25.2万円、タクシー1台当たり最大3.5万円となっていますが、その根拠は何でしょうか。
 第3に、トラック事業者に対する運行支援緊急対策費が3億2、276万円余、1台当たり2.3万円、貸切バス事業者運行支援緊急対策交付金が2、660万円、車両1台当たり4万円計上されています。それぞれ物価高騰と新型コロナウイルス感染症等による影響の実態を示してください。観光客数はかなりの程度回復してきているようですが、岩手県の場合はどうなっているでしょうか。貸し切りバスの運行状況を含めて示してください。
 最後に、物価高騰対策の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金は岩手県分として約61億円交付される見込みですが、今回の補正で約46億円を活用します。約14億円が残額となりますが、財政調整基金の活用も含めて、今回提案されていない中小企業等への物価高騰対策など検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 以上でありますが、答弁によっては再質問いたします。
〇知事(達増拓也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、今般の補正予算案についてですが、エネルギー、原材料、資材等の価格の上昇は、県民生活や地域経済に大きな影響を与えており、県はこれまで、累次の補正予算により、生活困窮者や子育て世帯への生活者支援、中小企業者、農林漁業者等への幅広い支援を実施してきたところであります。
 今般、これらの対策に加え、国による予備費を活用した原油価格、物価高騰対策に全国に先駆けて呼応し、LPガス使用者に対する負担軽減策、学校給食費の高騰に伴う保護者の負担軽減策、運輸、交通事業者への事業継続支援、畜産経営体等に対する配合飼料等の負担軽減策など、緊急的な対応が必要となる予算を計上したところであります。これらの施策を迅速かつ確実に実施し、県民一人一人の暮らし、仕事、学びに寄り添った支援を行ってまいります。
 次に、物価高騰の現状の受けとめと中小企業等へのさらなる支援策についてですが、県が先月公表した岩手県の景況では、県内の景気は緩やかな持ち直しの動きが見られるとしているものの、盛岡市の消費者物価指数は、食料品や光熱費等の上昇の影響を受け、令和4年4月以降、前年同月比プラス2.0%を超える高い水準で推移しており、直近の3月は3.6%の上昇となっています。
 また、県が商工指導団体と連携して実施している事業者調査でも、光熱費や原材料費の高騰で利益が減少しているといった声が多く寄せられるなど、県民や事業者への影響は非常に大きいものと認識しております。
 原油価格、物価高騰は長期化が見込まれるという見方もあることから、今後も、県民生活や地域経済への影響、国の支援策の動向などの状況を見きわめ、中小企業者等への支援も含め、県民一人一人に寄り添った必要な支援策を機動的に講じてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〇復興防災部長(佐藤隆浩君) LPガスの価格高騰に対する支援についてでありますが、一般財団法人日本エネルギー経済研究所石油情報センターが公表している岩手県の家庭用LPガスの10立方メートルの小売価格は、比較的価格が安定していた令和2年12月の9、072円から、平成元年度以降で最も高い価格となった令和4年12月には1万117円、2年間で1、045円、約11.5%上昇しています。
 一般家庭におけるLPガスの使用形態は、調理用コンロのみを使用する世帯や、給湯器や暖房器具でも使用する世帯などさまざまであることから、平均的な家庭の使用量をお示しすることは難しいところであります。
 なお、複数の料金比較サイト等によれば、4人世帯の使用量は7.1立方メートルから13.5立方メートルなどと推計されています。
 一般家庭での使用量を10立方メートルと仮定し、先ほど答弁申し上げました令和2年12月と令和4年12月の小売価格を比較した場合の上昇額1、045円を1カ月当たりの値上がり額として試算いたしますと、年間では約1万2、000円の負担増となっています。こうした一般家庭への支援額は、1カ月当たり500円、6カ月分で3、000円となります。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) バス、タクシー事業者の経営の実態と支援交付金の考え方についてでございます。
 県内の主な乗り合いバス事業者3者における令和4年4月から令和5年2月までの利用人員は約1、344万人と、コロナ禍前の令和元年度同期比で30.5%の減、また、同期間の運賃収入は36億2、500万円余と、令和元年度の同期比で28.5%の減となっております。
 また、タクシーについてでありますが、一般社団法人岩手県タクシー協会の調査では、利用人員のデータがございませんが、令和4年4月から令和5年2月までの運賃収入につきましては約64億5、000万円余と、令和元年度の同期比で22.5%の減となっているところでございます。
 次に、運行支援緊急対策交付金の根拠についてでございますが、バス事業者に対する支援については、安全かつ安定した運行を図るための車両を維持する相当分として車両1台当たり21万2、000円、燃油費高騰分として4万円を合わせた25万2、000円を、また、タクシー事業者に対する支援につきましては、車両維持相当分として車両1台当たり2万5、000円、燃料費高騰分として1万円を合わせた3万5、000円を、それぞれ上期相当分として支援しようとするものでございます。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) トラック、貸し切りバス事業者の物価高騰等による影響についてでありますが、トラック事業者については、公益社団法人全日本トラック協会が四半期ごとに行っている調査の直近となることし2月の調査結果では、今後のトラック運送業界の景況感見通しについて、悪化する等の回答が約5割となっており、燃料費及び物価の高騰に伴う輸送原価の増加が、経営に深刻な影響を及ぼしていると受けとめております。
 観光客の回復状況につきましては、観光庁宿泊旅行統計調査によると、令和4年9月、10月の日本人の宿泊者数がコロナ禍前の令和元年を上回る状況となり、11月及び12月においても、令和元年とほぼ同水準となっているところです。
 貸し切りバス事業者への聞き取りでは、インバウンドを含めた利用がふえているものの、燃料費高騰の負担が重くのしかかっている状況とのことでございます。
 なお、貸し切りバスの運行状況に関するデータにつきましては、県及びバス協会等におきましても、持ち合わせていないところでございます。
〇総務部長(千葉幸也君) 今後の物価高騰対策等についてでありますが、今回提案した補正予算案には、原油価格、物価高騰対策として緊急的に対応が必要な事業を盛り込んでおり、その結果、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金の残額は約14億円となっているところです。
 議員御指摘の中小企業等の物価高騰対策につきましては、現在、中小企業者等事業継続緊急支援金により支援しているところでございますが、事業期間が6月までとなっており、当該事業の実績、成果や今後の状況等を見きわめながら、必要な対応等について継続的に検討していく必要があると考えております。
 追加的な対策の実施に当たっては、現時点で新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の残額の活用を想定しているところでございますが、対策の規模、内容によっては財源が不足する可能性があり、全国知事会等と連携しながら、必要な財源措置について、引き続き国に要請してまいります。
〇37番(斉藤信君) それでは、再質問いたします。
 全国に先駆けてこうした物価高騰対策を打ち出したということで、LPガスに対する軽減策などについては、全国から問い合わせもあったということも聞いております。
 そこで私は、今回の補正予算にかかわって、事業者、商工団体を調査いたしました。ゼロゼロ融資の返済時期を迎えて、倒産、廃業が増加している。一方で、今、従業員が確保できないということで、赤字の中小企業も賃上げせざるを得ない。もちろん5割ぐらいは、したくても資金が全くないという状況もお聞きしてまいりました。
 そこで、今、総務部長からも答弁がありましたけれども、令和4年度一般会計補正予算(第9号)で措置した中小企業者等事業継続緊急支援金、これは昨年度分の補填なのです。新年度分はないわけです。今の中小企業が直面している深刻な状況から見れば、新年度分もきちんと中小企業対策を措置すべきではないのかと思います。
 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の残額は約14億円ですけれども、もちろんこれだけでは足りないのははっきりしています。総務部長の答弁のとおり、ぜひ、国に対してさらなる交付金の増額を求めると同時に、必要なら、財政調整基金も活用して早く打ち出すことが必要なのではないか。このことについて、商工労働観光部長、総務部長にお聞きしたい。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 県内の中小事業者につきましては、3年に及ぶ新型コロナウイルス感染症の流行の影響あるいは物価高騰の影響で、経営環境は非常に厳しい状況と受けとめております。そしてまた、賃上げの対応というのも大きな課題になっていると受けとめております。
 まずは、先ほど総務部長も答弁しておりますが、令和4年度一般会計補正予算(第9号)で措置しました中小企業者等事業継続緊急支援金は6月まで受け付け期間になっておりますので、それを活用いただいた上で、賃上げへの対応も含めまして、どういう支援が一番妥当かというあたりをしっかりと検討してまいりたいと考えております。
〇総務部長(千葉幸也君) 今回の補正予算案につきましては、現時点におきまして打てる手は打ったと考えておりまして、全国に先駆けて、県民の皆さんや事業者の方々に、物価高騰対策をお届けできるのではないかと思っております。
 一方、現在の財政調整基金残高は約211億円でございまして、財政目標にしている177億円を約34億円上回る水準にはございますけれども、残高には、来年度以降発生する普通交付税の減額精算への対応分として必要となる約47億円が含まれておりまして、その活用については、今後の持続可能な行財政基盤の構築の観点から、慎重な対応が必要と考えております。
 今後につきましては、経済状況を初め、さまざまな状況を勘案し、また、他県の動きなども見ながら、時期を捉えて適切に対応したいと考えております。一般論とはなりますが、生活者支援、事業者支援など、さらなる物価高騰対策が必要となる場合におきましては、必要な財源確保に係る国への要請等を含め、ちゅうちょなく、また時機を失することなく、引き続き、適時適切に追加の対応を行ってまいります。
〇37番(斉藤信君) 総務部長の、最初は慎重な答弁でしたが、最後はやる気を示すような答弁でした。
 昨年度、知事が特に思いを入れた子育て世帯に対する臨時給付金、これは2回にわたってやりましたが、こうした課題も含めて、私は、新年度もそういう取り組みが必要なのではないか。これは要望にとどめて、質問は終わります。
〇議長(五日市王君) これをもって質疑を終結いたします。
 次に、ただいま議題となっております議案第1号及び議案第2号は、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
   
〔参照〕
委員会付託区分表
(第25回県議会臨時会 令和5年4月28日)
総務委員会
1 議案第1号
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 各款
    歳出 第2款
2 議案第2号
文教委員会
1 議案第1号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第10款
環境福祉委員会
1 議案第1号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第3款
       第4款
商工建設委員会
1 議案第1号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第7款
農林水産委員会
1 議案第1号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第6款
   
〇議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
   午後1時27分 休 憩
   
出席議員(44名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 小 林 正 信 君
3  番 千 葉   盛 君
4  番 千 葉 秀 幸 君
5  番 岩 城   元 君
6  番 上 原 康 樹 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 高 橋 穏 至 君
10  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 佐々木 朋 和 君
15  番 菅野 ひろのり 君
16  番 柳 村   一 君
17  番 佐 藤 ケイ子 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 名須川   晋 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 川 村 伸 浩 君
23  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(1名)
36  番 佐々木   努 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後3時42分再開
〇議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
   
   報 告
〇議長(五日市王君) 各常任委員長から、それぞれ委員会報告書が提出されておりますが、後刻詳細に報告を求めますので、朗読を省略いたします。
   
   日程第3 議案第1号令和5年度岩手県一般会計補正予算(第1号)及び日程第4 議案第2号岩手県県税条例の一部を改正する条例の専決処分に関し承認を求めることについて(続)

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