令和5年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和5年3月16日(木)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 平 貴 一
主任主査 佐 藤 博 晃
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 及 川 雄 也
主査 阿 部 真 人
主査 刈 屋 江美子
1説明員
県土整備部長 田 中 隆 司
技監兼
河川港湾担当技監 加 藤 智 博
技監兼
道路担当技監 幸 野 聖 一
副部長兼
県土整備企画室長 小 島   純
まちづくり
担当技監 上 澤 和 哉
技術参事兼
道路建設課
総括課長 照 井   巧
県土整備企画室
特命参事兼
企画課長 川 村   守
県土整備企画室
管理課長 大 野 貴 洋
特命参事兼
用地課長 吉 田   治
特命参事兼
空港管理課長 中 嶋 英 俊
建設技術振興課
総括課長 菅 原 常 彦
道路環境課
総括課長 菅 原 博 秋
河川課総括課長 馬 場   聡
砂防災害課
総括課長 戸 来 竹 佐
都市計画課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
下水環境課
総括課長 小野寺   淳
建築住宅課
総括課長 小野寺 哲 志
港湾課総括課長 乙 部 智 明

財政課総括課長 山 田 翔 平
〇佐藤ケイ子委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第5号から第25号まで、議案第29号から議案第32号まで、議案第34号及び議案第36号から議案第60号までの以上51件を一括議題といたします。
 本日は、県土整備部関係について、延べ15人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしましたので、議事進行に御協力をお願いいたします。
 また、関連質疑の取り扱い、換気のための休憩につきましては、これまでと同様でありますので、御協力をお願いいたします。
 あわせて、委員各位御承知のとおり、本日の県土整備部の審査の後、議案51件について意見の取りまとめをしたいと思いますので、御了承を願います。
 それでは、県土整備部長に県土整備部関係の説明を求めます。
〇田中県土整備部長 県土整備部所管の予算審査に当たりまして、令和5年度当初予算の基本的な考え方について御説明申し上げます。
 令和5年度当初予算は、先議いただきました国土強靱化に資する補正予算と一体的に編成したところであります。
 この中で、震災分も含め、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランに掲げた安全・安心な暮らしや産業・観光振興を支える社会資本の整備、老朽化対策を初めとする計画的な維持管理に加え、建設業振興等の取り組み等を推進することとしております。
 震災分につきましては、残る2カ所となりました防潮堤、水門の一日も早い完成を目指し、整備を推進いたします。
 通常分につきましては、平成28年、令和元年の2度の台風や昨年の大雨災害の対応といたしまして、岩泉町小本川や一戸町馬淵川等の河川改修、釜石市佐須地区等の土砂災害対策を推進いたします。
 また、災害に強い道路ネットワークの構築に向け、国道107号西和賀町大石地区のトンネル整備や、県道大ケ生徳田線盛岡市─矢巾町間の徳田橋の架けかえを推進いたします。
 次に、四つの重点事項のうち、自然減・社会減対策につきましては、県外からの移住希望者や子育て世代を対象に、県営住宅を活用した移住、定住機会の創出や空き家の取得、改修を支援し、U・Iターンを促進いたします。
 GXの推進につきましては、県産木材を活用した省エネ住宅である岩手型住宅のさらなる普及とともに、既存住宅における省エネ性能を備えた改修を進めます。
 DXの推進につきましては、ICТ機器等の購入に加え、管理業務へのDX導入を支援するなど、建設業の生産性向上を図ってまいります。
 続きまして、当部関係の議案について御説明申し上げます。
 まず、議案第5号令和5年度岩手県一般会計予算についてでありますが、お手元の議案その2の7ページをお開き願います。
 県土整備部関係の予算は、6款農林水産業費、3項農地費、158億6、712万円余のうち、3億1、213万円余、8ページをお開き願いまして、8款土木費、569億4、805万円余、9ページの11款災害復旧費、3項土木施設災害復旧費、99億7、689万円余、12款公債費、906億3、422万円余のうち1億1、333万円余、13款諸支出金、2項公営企業負担金、215億8、063万円余のうち7億4、002万円余であり、総額680億9、044万9、000円となっております。
 これを前年度当初予算と比較いたしますと、10億7、822万円余の増、率にいたしまして1.6%の増となっております。
 予算の内容につきましては、お手元の予算に関する説明書に記載しておりますが、説明は省略させていただきます。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。11ページをお開き願います。
 第2表債務負担行為の表中、県土整備部関係は、13ページをお開き願いまして、34空港管理運営から50河川等災害復旧事業までの17件であり、これは工期が翌年度以降にわたるものにつきまして、債務負担行為を設定しようとするものであります。
 次に、特別会計2件について御説明申し上げます。35ページをお開き願います。
 議案第11号令和5年度岩手県土地先行取得事業特別会計予算についてでありますが、第1条、歳入歳出予算の総額について、歳入歳出それぞれ2万7、000円と定めようとするものであります。
 36ページをお開き願いまして、歳入の主なものでありますが、1款財産収入は、土地開発基金の運用に伴う利子であり、37ページに参りまして、歳出でありますが、1款管理事務費は、当該特別会計の管理事務費であります。
 次に、少し飛びまして48ページをお開き願います。
 議案第15号令和5年度岩手県港湾整備事業特別会計予算についてでありますが、第1条、歳入歳出予算の総額について、歳入歳出それぞれ7億4、907万2、000円と定めようとするものであります。
 49ページに参りまして、歳入の主なものでありますが、3款繰入金は、県債の元利償還等に充当するための一般会計から繰り入れるものであり、50ページをお開き願いまして、歳出でありますが、1款事業費は、ふ頭用地の整備等に要する経費であります。
 51ページに参りまして、第2表地方債でありますが、これは港湾施設整備事業に係る地方債の限度額等を定めるものであります。
 次に、企業会計1件について御説明申し上げます。少し飛びまして、64ページをお開き願います。
 議案第19号令和5年度岩手県流域下水道事業会計予算についてでありますが、第2条は業務の予定量でありますが、6市4町に対する年間総処理水量を7、022万8、000立法メートルと見込み、主要建設事業として、流域下水道施設の更新等を行おうとするものであります。
 第3条は、収益的収入及び支出の予定額でありますが、収入の第1款下水道事業収益は、市町村負担金などであり、支出の第1款下水道事業費用は、処理場費などであります。
 65ページをお開き願いまして、第4条は、資本的収入及び支出の予定額でありますが、収入の第1款資本的収入は、企業債などであり、支出の第1款資本的支出は、建設費などであります。
 第5条は中川汚水中継ポンプ場吐出井制水扉更新工事など4件の工事等について債務負担行為を設定しようとするものであります。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げます。
 少し飛びまして、75ページをお開き願います。
 議案第23号土木関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、令和5年度において実施する土木関係の建設事業に要する経費の一部について、受益市町に負担させようとするものであります。
 次に、77ページをお開き願います。
 議案第24号流域下水道事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、令和5年度において実施する流域下水道事業に要する経費の一部について、受益市町に負担させようとするものであります。
 次に、条例議案4件について御説明申し上げます。議案その3の28ページをお開き願います。
 議案第31号岩手県手数料条例の一部を改正する条例でありますが、本条例のうち、県土整備部関係の改正内容について御説明申し上げます。
 宅地造成等規制法の一部改正に伴い、宅地造成工事規制区域内の宅地造成工事等の許可申請手数料を廃止し、建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令の一部改正に伴い、低炭素建築物新築等計画認定申請手数料等の額の区分を改めるとともに、あわせて所要の整備をしようとするものであります。
 次に、102ページをお開き願います。
 議案第49号県立都市公園条例の一部を改正する条例についてでありますが、物件費の伸びに伴い、県立都市公園の使用料の額を増額しようとするものであります。
 次に、111ページをお開き願います。
 議案第50号建築基準法施行条例の一部を改正する条例についてでありますが、建築基準法の一部改正に伴い、住宅または老人ホーム等に設ける機械室等に係る建築物の容積率に関する特例の認定の申請等について手数料を徴収するとともに、あわせて所要の整備をしようとするものであります。
 次に、116ページをお開き願います。
 議案第51号岩手県港湾施設管理条例の一部を改正する条例についてでありますが、物件費の伸びに伴い、影響を受ける軌道走行式荷役機械及び上屋の使用に係る使用料の額を増額しようとするものであります。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇佐藤ケイ子委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇高橋はじめ委員 私からは、先ほど田中県土整備部長から報告がありました国道107号大石トンネルの工事及び仮橋通行誘導について、まず最初にお伺いしたいと思います。
 令和5年度の工事計画及び予算について伺います。
〇戸来砂防災害課総括課長 国道107号大石トンネル工事の令和5年度の工事計画及び予算についてでございますが、令和5年度は、32億円余の予算によりまして、トンネルの西和賀町側の坑口に接続します橋梁工事とトンネル掘削工事を予定しております。
 橋梁工事につきましては、5月ごろまでに下部工が完成する予定でありまして、トンネル工事につきましては、夏から掘削開始を予定しているところでございます。
〇高橋はじめ委員 このトンネル工事は、岩盤もいろいろ、かたいとかやわらかいとか事前調査をしていると思いますけれども、この事前調査で、当初、令和8年度完成見込みというのは、予定どおり、現在、工事は進む予定であるのかどうか、確認の意味でお尋ねしたいと思います。
〇戸来砂防災害課総括課長 大石地区の災害復旧事業につきましては、令和8年度の事業完了に向けまして、令和5年度もトンネルや橋梁の工事を計画的に進めていくこととしておりまして、トンネルにつきましては、地質調査の結果、一部かたい岩盤等も出ておりましたが、全体のスケジュール的には大きな影響はないものと考えております。
〇高橋はじめ委員 ありがとうございます。順調な工事と予定どおりの完成を、地元の皆さん方は大変期待しておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それから、大石地区の仮橋について、大変大がかりな工事でしたが、短期間で橋を架けていただきましたし、私も通行してみて、橋の幅も結構広くて安心してゆったりと通行できるということで、すばらしい橋ができたと思っておりました。
 その橋は立派なのですけれども、誘導される方が両端におられて、12時間勤務で交代で誘導されているということでございました。信号であれば、信号待ちの時間も結構あるのですけれども、誘導員がいるということで、待ち時間も少なくて通行には大変いいと、正直申し上げて、この辺の通行の配慮も感謝申し上げたいと思います。
 その一方で、誘導員の方々が野ざらしという状況にありまして、私の地元の北上市のほうは猛吹雪だったので大変だろうと思って、現地に行ってみましたら、現地は吹雪ではありませんでした。そういう意味で、ああ、よかったと思いつつも、誘導員の方にお話を聞いたら、前の日はひどかったということでございました。12時間勤務で野ざらし、猛吹雪の中でも車の誘導をしていただいている、非常に感謝申し上げるのですが、これは働き方改革でもないですが、誘導員の方に倒れられたら元も子もないわけでありますし、極寒であり、夏の灼熱の下とか、そういうところもありますので、何かしら誘導員も自分の健康を守りながら業務に当たってもらえる環境をつくるべきではないかと。大がかりなものでなくてもいいと思いますし、簡単なのは、小さいプレハブでもいいし、小部屋のような感じでもいいし、仮置きしていただいて、その中で確認をしながら誘導してもらうようなことも必要ではないかと。今、令和5年です。令和8年度までありますので、ぜひその辺の御配慮をいただきたいと思いますが、何かお考えのことがありましたらお伺いしたいと思います。
〇戸来砂防災害課総括課長 仮橋通行誘導員の立哨環境についてですけれども、仮橋通行誘導員につきましては、一般的な交通誘導に加えまして、大雪等の際に現場の状況の報告や、通行どめにかかわる作業をお願いしておりまして、仮橋の両端でそれぞれ1人が交通誘導し、待機小屋で1人が待機する3人体制によりまして、2交代制で24時間の交通誘導を行っているところでございます。
 委員御指摘のとおり、厳しい気象条件の大石地区に当たりましては、交通誘導員の環境改善は誘導員の安全の確保に当たりまして大事な視点であると認識しているところでございます。
 今後は、現地の気象状況を踏まえまして、通行誘導員の環境の改善に努めてまいりたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 田中県土整備部長も現地を見られたということで、大変ありがとうございます。私が話をしたような状況でもありますので、ぜひその辺を含めてお願いしたい。
 また、あわせて、下界で今、課題となっているさまざまな橋とか道路も見回りをしていただいたということでありますので、大変感謝申し上げたい。予算の関係で、今すぐ着手できない路線、あるいは橋もあるのかもしれませんが、ぜひ今後におきましても、予算の確保等もよろしくお願いしたいと思っております。
 それから次に、河道掘削についてであります。昨年は余り大きな台風も来ませんでしたので、そうそう洪水の話はなかったのですが、河道掘削については、計画を組んで年次ごとに進められているということでありました。令和4年度の計画とその実績、それから、令和5年度の計画、予算についてお尋ねしたいと思います。
〇馬場河川課総括課長 河道掘削の令和4年度計画と実績についてですが、河道掘削につきましては、近年の浸水被害がある箇所や資産の集中箇所など、緊急性の高い箇所における土砂の堆積状況などを踏まえ実施しているところでございます。令和4年度につきましては、西和賀町の和賀川など22河川の河道掘削を実施したところでございます。
 次に、令和5年度の計画についてですが、河道掘削に対応する予算は、令和5年度の当初予算案約4億5、000万円に加え、先議いただきました国土強靱化に資する補正予算、約5億7、000万円と合わせた約10億2、000万円でありまして、これにより、引き続き西和賀町の和賀川など43河川の河道掘削を行うこととしております。
 なお、河道掘削の実施に当たりましては、河川の巡視状況や市町村からの要望等を踏まえ、柔軟に実施することとしております。
〇高橋はじめ委員 住宅密集地を中心にやられているとか、洪水の危険箇所、特に河川の狭隘な箇所とか、そういったところを含めて掘削していると思っております。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 そこで、掘削土の処理なのですけれども、そのまま公共工事で全部使えればいいのですけれども、全部使えないということだと思います。この掘削土の処理については、どのように今、進められているのか、処理、処分、あとは仮置き場の確保等もあると思いますが、その辺についてお伺いしたいと思います。
〇馬場河川課総括課長 掘削土の処理、仮置き場の確保につきましてですが、河道掘削により発生した土砂は、現場内での利用や他の公共工事への有効活用について、県はもとより国、市町村の関係機関と仮置き場の確保も含めて調整しているところでございます。
 土砂の土質状況や他の公共工事の工程状況によりまして、残土として処理する必要がある場合は、市町村への照会などにより残土を処分する場所を確保しまして、受注者に対して指示しているところでございます。
 河道掘削におきましては、残土処理地の確保が課題となっているところでございまして、今後も公共工事への有効活用や残土処理地の適正な確保に努めてまいります。
〇高橋はじめ委員 残土の処理については、可能な限り公共工事で使えればいいのですが、そこで難しい部分は、余る部分があるという思いもします。その辺を含めて、近在の、例えば、県民の方で必要なところとか、希望があればお譲りしてもいいのではないか、そんな思いもしているのですが、そういう仕組みはあるのでしょうか。
〇馬場河川課総括課長 直接県民の方というのはなかなかないところでございますけれども、砂利業者等を対象にした公募型土砂撤去の制度というものはございまして、取り組んでいるところではございますが、土質とその都度出る残土の量、それから、スケジュールがなかなか合わないところで、有効的に取り組まれていないところがある状況です。今後はさらに周知に取り組みまして、そういった制度も活用できるようにしたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 ぜひそれらも含めて、順調な河道掘削の工事をお願いしたいと思います。
 進行に協力して、以上で終わります。
〇佐々木茂光委員 私からは、最初に国土強靱化の取り組みということで、近年は災害とくれば激甚になる、まさに予想のつかないようなところまで大きくなった自然災害が多発しております。そういった中で、まず、安全、安心な暮らしを守る意味での社会資本の整備、そのまた適切な維持管理が今、大変重要になっております。今年度の国土強靱化に向けた予算、事業規模はいかほどでありますか、お示し願いたいと思います。
〇川村特命参事兼企画課長 本年度の国土強靱化に向けた予算規模についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの重点事項である安全・安心な地域づくりを推進するため、令和5年度予算編成では、防災・減災、国土強靱化等の事業に係る予算を含む公共事業費が1.1倍のプラスシーリングとなったところでございます。
 この結果、県土整備部の令和5年度当初予算案の公共事業費は、対前年度比1.13倍となる374億円余となったところでございます。
 また、さきに議決いただきました防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を含む令和4年度第8号補正予算201億円余と合わせました実行予算では、対前年度比1.01倍となる575億円余となっているところでございます。
 これらの予算を活用しまして、気仙川の河川改修や清水合足トンネルの老朽化対策など国土強靱化に向けた取り組みを進めてまいります。
〇佐々木茂光委員 大変希望の持てる予算を獲得されたということは、県民にとっても大変心強いものがあると思います。今、気仙川のお話もされたのですけれども、私はたまたま陸前高田市だから気仙川ということでお話しされたかと思うのですが、我々議会としても、いろいろな町々を訪れていくわけですけれども、先ほど高橋はじめ委員からもあったように、ここは早めに河道掘削したほうがいいのではないかというところが見えたり、それから、橋の老朽化が随分進んでいると、この辺がいつごろ手がかかるのだろうかということを思いながら調査に出向いたりしているわけです。これから手をかけなければならないというのは、まさに国土強靭化の中で、例えば、規模的に河川関係がこのぐらい、橋梁関係がこのぐらい、道路関係がこのぐらいと、ざくっとでいいので、その辺の内容についてもお示しをいただければと思います。
〇馬場河川課総括課長 まず、河川の河道掘削についてお答えいたします。河道掘削につきましては、平成28年の台風10号を踏まえて河道掘削については5カ年計画ということで取り組んでまいりましたが、その5カ年計画後につきましては、河川の巡視状況や市町村の要望等も踏まえまして、その都度、機動的に柔軟に対応することとしております。
 令和5年度は、先ほど御説明しましたとおり、43河川の河道掘削を行うこととしております。近年の激甚化、頻発化しております豪雨災害の状況を踏まえますと、委員のおっしゃるとおり、早期の治水効果発現のためには河道掘削が重要だと認識しておりますので、今後とも国の国土強靱化に資する予算の活用を最大限生かしながら、必要な予算の確保に努めてまいりたいと思います。
〇佐々木茂光委員 それだけやるべき、手をかけなければならないところがいっぱいあるということは承知いたしました。今年度の予算案については、先ほど示されたわけですけれども、今後の財源の見通しについてお示し願いたいと思います。
〇川村特命参事兼企画課長 今後の予算の見通しについてでありますが、近年、激甚化、頻発化する自然災害から県民の安全、安心な暮らしを守るため、社会資本の整備や適切な維持管理が重要と考えているところでございます。
 このため、第2期岩手県国土強靱化地域計画や岩手県道路橋長寿命化計画を初めとする個別施設計画に基づきまして、防災、減災対策や道路等の老朽化対策を、5か年加速化対策の国費等を最大限活用して推進しているところでございます。
 これらの取り組みを着実に進めていくためには、公共事業予算の安定的な確保が重要でありますことから、昨年実施した令和5年度政府予算等に関する提言、要望におきまして、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策について、必要な予算を別枠で確保するとともに、加速化対策の期間終了後においても必要な予算を確保するよう、国へ要望したところでございます。
 今後も、さまざまな機会を捉えまして国に働きかけるなど、公共事業予算の安定的、持続的な確保に努めてまいります。
〇佐々木茂光委員 先にたくさんやることがあって、その後、続いていく金がなければということを常に皆さんも心配されていると思うので、そういった予算の獲得に向けては、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 復興がほぼ終了した中で、復興に絡む事業が少なくなることによって、県内どこを見渡してもなかなか工事の発注もなく、今、建設関係の方々も大変厳しい状況に置かれております。そういった中で、この先の見通しがある程度示されてきたということは、業界を挙げて、当然、地域もそうなのですけれども、非常に力強いという期待をしているところもあると思いますので、今後とも切らさずしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次は、内陸部と沿岸部を結ぶ道路ネットワークについて伺います。これは機会あるたびに私もお話を出しているところでありますが、まずは、沿岸部を走る三陸沿岸道路の八戸─仙台の完成を見ております。その中で、さらに人流、物流が大きく切り開かれたと報じられているこの完成は、まさに岩手にとっていかなる効果があるのかということをどのように捉えているのか、まずは御所感をお願いします。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 三陸沿岸道路の開通により、仙台─八戸間の所要時間が約3時間20分短縮され約5時間10分となるなど、都市間の所要時間が大幅に短縮されるとともに、定時性も向上したところでございます。
 国の公表資料によりますと、仙台以南と宮古市との広域交通の約92%が東北道経由から三陸沿岸道路経由に転換するなど、沿岸部の断面交通量が増加しており、交通流動が活発化していることが確認されております。
 また、令和4年4月には、それまで実証運行されていました宮古─仙台間の高速バスが本格運行に移行するなど、さまざまな効果が発現されております。
〇佐々木茂光委員 今お話があったとおり、まさに物流、それから人の流れは随分大きく変わったと思います。いろいろ聞きますと、例えば運輸関係の方々が沿線沿いに倉庫とかを大きく、運転手とかトラック関係の考えなければならない、取り組まなければならないということもありながら、そういった沿線上に、近いところに倉庫を移動したり、移転したり、また新設したり、そういうのが見えているようでもあります。これはそれだけの効果があるのだなということ。それをこれから我々は生かしていかなければならない状況にあるわけですけれども、そんな中で、さらには、宮古─盛岡、釜石道を含めて、これも完成をしております。そこの行き先には港湾があって、また、今度は大きな物流が動き出しているということも伺っております。
 しかしながら、釜石以南の横軸となるべく国道107号、国道343号、この辺の道を今後、三陸沿岸道路に合わせて地域の活力にしていかなければならないのでありますが、県はどのように捉えておりますか。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 広大な県土を有する本県におきましては、東北道や三陸沿岸道路の縦軸、釜石道や宮古盛岡横断道路の横軸に加えまして、これらの道路を補完し、または代替となる道路が一体となって機能することが必要と認識しております。
 こうしたことから、復興実施計画において、国道107号など横軸となる一般国道等を復興支援道路として位置づけ、令和4年3月末までに国道107号奥州市梁川口内工区や国道284号一関市室根バイパス、国道340号住田町山谷工区、国道343号一関市渋民工区、国道397号住田町高屋敷工区など、15路線39カ所、延長100キロメートルの整備を行ったところでございます。
 これらの整備により隘路区間が解消されるなど、横軸となる一般国道の整備水準が大きく向上したと認識しております。
〇佐々木茂光委員 三陸沿岸道路が大きく動き出したということは、それらに絡む幹線道路をいかに格の高いものにして、まさに我々の生活の中に取り込むかということが地域にとってはこれからのやらなければならないことになっていくわけです。
 そういった中で、国道343号笹ノ田トンネル、これも機会があるたびにお話ししているのですが、今年度は政府予算案においてもILC関連経費が倍増された新笹ノ田トンネルは、気仙地域、そして内陸部を結ぶ極めて重要な路線であります。今は東日本大震災津波伝承館を訪れる方が60万人を超えるぐらいの勢いで陸前高田市に来ております。また、内陸部にある平泉世界遺産を結ぶ、教育、観光振興、まさに物流を支える極めて重要な路線となっております。
 さきにお話しした大船渡港湾も、これに向けた国道107号の整備も今、トンネル工事が始まり、これから本格的な工事に入っていくような状況にあります。
 そんな中で、ILCによる動きの中に、当然、笹ノ田トンネル周辺の整備というものがかなり近いものになってきているのではないかと思うのですが、国道343号の路線の動きがどの辺まで来ているのか。過去にも杭と掛矢があれば大体ここにつくと周りに示すことができたわけです。この間の一般質問でも、調査にも熟度を上げた形で取り組んでいきますというお話もあったのですが、その熟度というのはどの程度の熟度を言うのか、お示し願いたいと思います。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 国道343号は、沿岸地域の復興や県民の安全、安心な生活、観光振興等を支え、ILCを推進する上でも重要な位置づけを持つ路線と認識しております。
 委員御指摘のとおり、令和5年度政府予算におきまして、ILC関連経費が倍増されたことや、ILC実現建設地域期成同盟会を設立するなど、ILCを取り巻く環境が国や地域で変化してきていると認識しております。
 また、国道343号は、これまでに県内外から60万人を超える多くの方々に御来館いただいている東日本大震災津波伝承館と平泉の世界遺産を結ぶ、教育や観光振興等を支える路線として重要性が高まっていると認識しております。
 さらに、笹ノ田峠周辺の地質を文献により調査した結果、複数の断層の存在など、複雑な地質状況であることを把握したところでございます。
〇佐々木茂光委員 地質が大分複雑だということで、そういうのは今の土木の技術をもってすれば、大体は通せるものだと思うのですが、これはもしかすると、笹ノ田峠周辺の整備が近づいてきたという解釈でよろしいですか。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 先ほど御答弁させていただいたことを踏まえまして、笹ノ田峠に新たにトンネルを整備する必要性や効果、技術的課題などについて、専門的な見地から助言をいただくため、国道343号笹ノ田地区技術課題等検討協議会を設置し、より具体的な検討を進めることとしております。
〇佐々木茂光委員 まさに力強いですね。ただ、言っていることをしっかりやってもらいたいと思います。またここで、お茶を濁すような立ち回りになってくると、地元を含めて大分期待も薄れてしまいますので、まさにこの勢いでしっかりと、トンネルができるまで取り組んでいただきたい。
 私らが今言っているのは、道路関係を含めてかなりグレードの高いものに整備していただきたいということを常に申し添えをするわけですけれども、結局、こういうふうにしておけばよかった、こういうふうにやっておけばよかったということのないように、道路整備を含めてそういった取り組みを頭に置いて、しっかりと、大きな社会資本というのは本当に力になっていくものなので、何よりも道路だから、出ていく人もいれば来る人もいるわけですので、まずは道路、大事なのはそこでありますので、しっかりそれを命じてこれからもやっていただきたいと思います。県土整備部長から所感を伺います。
〇田中県土整備部長 先ほど照井技術参事兼道路建設課総括課長から答弁させていただきましたが、笹ノ田峠につきましては、いろいろな調査、物流の関係とかも変わってきています。観光の流動とかも変わってきておりますので、そういったこともあるし、地質も複雑だと。今の技術であれば大体のことはできるとは思いますが、ただ、高度な技術が必要なのか、普通の技術でできるのかというのは、少し専門的な見地から検討する必要があると思いますので、そういった観点から検討協議会を設置して、さらに深掘りをしていくといったことを考えております。
〇佐々木茂光委員 御期待を申し上げて、終わります。
〇中平均委員 3月6日に私も総括質疑をさせていただいて、その際、公共事業関係についても質問させてもらいました。今、縦軸、横軸の話があって、横軸、久慈市のほう、県北地区でいえば構想路線にある久慈内陸道路、国道281号ですね。そして、その整備の状況なり今後の方針等は総括質疑のところでお伺いしておりますので、あえてきょうここでは質問という形はとりませんけれども、今の南のほうの横軸もそうですが、北のほうの横軸というところも当然問題意識、課題意識を持って県土整備部としても取り組んでおられるというのは重々承知しておりますので、その点を含めてお願いしていきたいと思います。
 今回、私は、その際やり切れきれなかった部分ということで、安心、安全な地域づくりの推進についてという観点でお伺いしていきたいと思います。
 県土整備部で所有している各種のホームページに載っているコンテンツがございます。3月2日から河川課の海岸のホームページに、新しい浸水域での時間軸によって津波が上がってくるのが出ておりますけれども、そういったコンテンツをどのように、いわゆる防災の対策、意識の向上、また、さまざまな防災学習といったのに活用していくと考えているのかをお伺いいたします。
〇馬場河川課総括課長 防災対策意識の向上、学習への活用についてでございますが、県では昨年3月に、津波防災地域づくりに関する法律に基づき、なんとしても人命を守るための津波浸水想定を公表し、久慈市など県へ要請があった10市町村において住民への説明を行ったところでございます。
 今般、委員に御紹介いただいたとおり、津波浸水想定について県民の皆様の理解をさらに深めていただくことを目的としまして、時間を追って浸水域が広がっていく状況や津波の方向などをあらわしたCG動画を地域ごとに県全体で32本作成いたしまして市町村に提供したほか、3月1日から県のホームページで公開しているところでございます。
 今後は、この動画も活用しまして、防災意識の向上や防災教育に取り組むなど、ソフト対策を確実に推進してまいります。
〇中平均委員 その動画のほかにも、前回の質問のときにも言った記憶があるのですけれども、砂防災害とか土砂災害、あと、いわゆる河川災害、各種災害について地図にメッシュをかけてやっているのもホームページに出てきているのですけれども、私などもそれを見て、地域のハザードマップと合わせていきながら、今、さまざまどのような形でとやっているのですが、ただ、少し探しづらいところがあり、うまく見つけられないときもあるのです。実際に県土整備部でどれくらいそういうふうなことをやっているか、わかりづらい点もあるので、そういった点をどのように整理していくのかという問題。
 あとは、今回のCGは非常にすばらしいと思って私も見させてもらっているのですが、地域によっては、例えば、久慈市みたいに湾がはっきりしていて、河川もはっきりあってというところはわかりやすいのですけれども、そうでない地域になると、どうしても地形の特徴というのでしょうか、波が上がってきているのはわかるのですけれども、わかりづらい。例えば、縮尺を変えたものなどができないものなのか。
 あとは、これは上から見た図ということですけれども、河川を遡上してくる形のものとか、こういうのを出していきながら、より防災意識を高めていくという形にしていったほうがいいのではないかと思うのですけれども、そういった取り組み、今回のCGを受けて、今言った3D的な形もつくっていこうとか、そういった試み、どのように考えているのかお伺いします。
〇馬場河川課総括課長 まず、県が公表しております防災に関する情報等でございますけれども、津波浸水想定のほか、洪水の浸水想定、そのほか土砂災害の警戒区域などをそれぞれの部局、それぞれのページで公表しているところでございます。
 国のほうにおいては、重ねるハザードマップといったものもございまして、どういったリスクがあるかということを、それぞれのリスクを選んでいただくと、それぞれあらわれてくるというようなこともございます。
 そういった情報の場所についても、これから皆さんに周知しまして理解していただくように努めてまいりたいと考えております。
 また、CGのさらにレベルアップしたものという御意見かと思っております。今回のCG動画につきましては、先ほど申し上げましたとおり、地域ごとのCG32本と、県全体を俯瞰したようなCGというものとを作成しております。縮尺を変えたものとか、それから、もう少しわかりやすいものについては、今のところ、具体的な予定はございませんが、そういった技術もあることは承知しております。
 現在は、今申し上げましたとおり、作成の予定はございませんけれども、出前講座などの場で、今回作成したものを活用しまして、まずは防災意識の向上、防災教育に取り組んでまいりたいと考えております。
〇中平均委員 そういった点に活用していきながら、次の質問に行くのですけれども、いろいろなコンテンツがあって、その中で、県土整備部はさまざま地域の貢献活動、今、お話のあった出前授業とかやられておりますね。その点について御紹介いただきながら、その目的とすれば、まず、防災意識の向上であったり、県土整備部がやっている建設であり、土木であり、そういった職場等の意識向上というのを小学生なり中学生なりに周知していくという目的だとは認識していますけれども、改めてお伺いしたいと思います。
〇馬場河川課総括課長 県土整備部におきましては、津波や土砂災害などを対象にしまして、避難を軸とした防災意識の向上を図ること目的として、小学校等におきまして出前講座を実施しているところでございます。
 津波防災に関する出前講座は、震災後、令和5年1月末までに208回開催しておりまして、今年度は久慈市立久慈湊小学校などにおきまして38回開催しているところでございます。
 また、土砂災害に関する出前講座は、平成28年の台風第10号を踏まえまして、平成30年度以降、令和5年1月末までに20回開催しておりまして、今年度は岩泉町立小本小学校などにおきまして11回開催しているところでございます。
 来年度も引き続き、地域住民の皆様の防災意識の向上等につながるよう、出前講座の取り組みを継続してまいりたいと思っております。
〇中平均委員 ぜひよろしくお願いします。岩泉町では去年の9月ですか、今、ホームページ等でも出ている報告書を見ているのですけれども、そういった形で出前講座をやられている。令和4年の報告も見させてもらっていますので、ぜひやっていただきたい。
 あと、これに主体となってかかわっておられる職員は、比較的若い職員ともお聞きしていました。そういった業務の一環ということではあると思うのですけれども、若い職員だけでなくて皆さん一緒なのですけれども、ぜひ地域に入っていただきながら、一緒に地域防災を考えていくということをより進めていっていただきたいと思っています。
 最後の質問をさせていただきますけれども、本来であれば、こういった質問は復興防災部であったり、県教育委員会でもしなければならないと思うのですが、今回は県土整備部にさせてもらいましたが、県土整備部も一生懸命やってもらっている、いろいろなコンテンツもつくってもらっている。さっき言ったCGをより充実していくといった中において、例えば、県土整備部、あとは県教育委員会、復興防災部とか、いわゆる横軸の連携も十分必要になってくると思うのです。そういった点での今後の取り組みなど、どのように考えているのかをお伺いして終わりたいと思います。
〇馬場河川課総括課長 土砂災害や津波防災、それから洪水災害等に対しまして、我々のほうではリスク情報をお出ししまして、特に学校の関係、それから要配慮者利用施設の関係の対応につきましては、現在も教育部局や防災の部局と連携しながら努めているところでございます。
 その中の一つの分野としまして、こういった情報の提供もあるかと考えております。こういった情報につきましては、市町村にお配りしておりますけれども、横のほうの連携も、こういったツールについてはよく共有しながら、いろいろな場で活用していただくように努めてまいります。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午前10時59分 休憩
午前11時12分再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇岩城元委員 私からは、先ほど佐々木茂光委員からも触れられましたが、三陸沿岸道路について、何点かお伺いしたいと思います。
 国の直轄であるということは理解はしておりますが、岩手県としても復興道路という位置づけの中で、物流なり観光、そして暮らしの利便性の向上という中で非常に重要な道路インフラと認識しております。そうした中で、この三陸沿岸道路の安全面というところを中心にお聞きしたいと思います。
 三陸沿岸道路が開通しまして、国道45号線と重なる部分が多いわけですが、交通量の変化はどのようになっているのか、まずお聞かせください。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 国が令和4年3月に公表いたしました復興道路の全線開通後の交通状況によりますと、全線開通後の1日当たりの交通量は、例えば、侍浜南インターチェンジから久慈北インターチェンジ間では、新たに整備された三陸沿岸道路が7、000台であったのに対し、国道45号は三陸沿岸道路への交通の転換が進んだことにより、震災前の約2割の1、600台であったところでございます。
 三陸沿岸道路と国道45号の合計では、震災前の1.1倍の8、600台となっており、全体として増加しているところでございます。
 また、この区間の大型車の交通量は、震災前の1.7倍になっており、大きく増加していることが確認されております。
〇岩城元委員 かなりの交通量の変化ですね。国道45号線においては震災前の2割、先ほど宮古─仙台間の92%増ということのお話もありました。大型が1.7倍ということで、私も運輸事業者にお話をお聞きした際に、最後のほうに開通したところはまだまだ大丈夫らしいですけれども、事業が始まった当初につくられた道路は、構造物があるところ、例えばトンネル、橋梁、それから、ボックスカルバートなどが入っているところはそのままらしいですけれども、大分路面が沈下している箇所があるようだというお話でしたので、そういった状況を確認しているのかどうかお知らせください。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 三陸沿岸道路の路面状況につきまして、道路を管理する国から、毎日のパトロールや道路利用者からの通報等により状況を把握し、路面の変状が確認された場合には、速やかに注意喚起の看板を設置するとともに、優先順位をつけて舗装の修繕を進めていると聞いております。
〇岩城元委員 ひどい箇所から順番に直しているということですね。ありがとうございます。
 もう一つ、大雨災害等が発生した場合、実際そうなっているのですが、切り土の道路だったり、あとは盛り土の路肩等、結構崩落している箇所も見受けられるのですが、そこについても情報があればお知らせください。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 三陸沿岸道路の法面等の補修につきましては、道路を管理する国から、令和3年5月や昨年8月の豪雨により、久慈北道路や久慈道路において法面が一部崩落し、一時的に通行どめとなった箇所があったが、復旧は完了したと聞いております。
〇岩城元委員 これについても、崩落などが起きた場合は素早く迅速に対応してもらっているということです。ありがとうございます。
 ちなみに、大分交通量もふえているので、事故等についても危惧されるところですが、開通後の事故の状況をお知らせください。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 県内の三陸沿岸道路及びインターチェンジ出入口交差点においては、全線開通後の令和4年1月から12月までの1年間に8件の死傷事故が発生し、このうち5件がインターチェンジ出入口交差点で発生したものであると国から聞いております。
〇岩城元委員 事故が8件で、インターチェンジ付近で5件ということです。これもどういった対策、警察とも関係があるのだと思うのですが、確かに、地元の話にはなりますけれども、同じインターチェンジで2件事故があって、4名の死亡という事故もありましたので、そうした際に、道路管理者のほうでは何か対策というのはされているのでしょうか。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 インターチェンジの出入口は、基準に基づいて設計し、交通管理者とも協議を行った上で施工されておりまして、道路構造上の安全は確保されておりますが、令和4年3月に久慈南インターチェンジ出入口の国道45号において死亡事故が発生しておりまして、国では、この事故の発生後、県警と合同点検を行い、区画線の見直しや交差点の見通しを確保するための刈り払いを行ったと聞いております。
〇岩城元委員 その見通し等の確保については、私も確認しているところですが、地元からは信号機の設置等を検討するべきではないのかというような話も出ております。これはいろいろやりとりしなければならないと思うのですが、三陸沿岸道路からの乗りおりの際は、レーンの色分け等をしてあったりはするのですが、一般道に入ると全然ないとは言いませんけれども、同じような様式ではないのですね。とまれの標識だけとか、そうしたところは、国道45号線なりそれ以外の路線とつながるところの安全整備というのは、お考えはないでしょうか。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 県内の三陸沿岸道路に設置されております41カ所のインターチェンジのうち、県管理道路に接続するインターチェンジは、国道395号に接続する久慈インターチェンジなど12カ所ございます。これらのインターチェンジにつきましては、現時点では市町村などから交差点の安全対策についての要望は受けておりませんが、交通が輻輳する箇所でございますので、道路利用者の声などを注視してまいりたいと思っております。
〇岩城元委員 その辺も現場の状況なり聞き取りもしていただきながら、死亡事故というのは本当に悲しいことですので、しっかりと対応していただきたいと思います。
 また、先ほど、そういった路線についての市町村要望等は今のところ上がっていないというようなお話でしたが、三陸沿岸道路に関する市町村要望は把握されていますでしょうか。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 三陸沿岸道路の市町村要望の多くは、例えば、休憩施設の整備が欲しいといったこととか、あとは、ハーフインターチェンジのフルインターチェンジ化とか、そういう利便性を高めるものが主なものだと承知しております。
〇岩城元委員 それに加えて、今、私がお話ししたとおり、交通安全の観点で、しっかり対応もしていただきたいと思いますし、せっかくこれから物流も変わって、観光客もたくさん来てもらおうという取り組みの中で、県民のみならず、いろいろなところから来られた際に事故に遭うというのは悲しいことでありますので、要望がなくても、ぜひしっかり対応していただきたいと思います。終わります。
〇城内よしひこ委員 それでは、質問に入ります。
 宮古港におけるフェリーについてであります。休止してから大分経つわけでありますが、東日本大震災津波が発災して、まさに復興のシンボルでもありました、三陸沿岸道路が通る1年前の開港であったわけでありますが、なかなかうまく進んでいないようにも思うのですが、現状と課題はどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
〇乙部港湾課総括課長 宮古港フェリーにおける現状と課題についてでございますけれども、宮古─室蘭フェリーは、トラックの乗船台数が当初の見込みを大幅に下回るなど、厳しい航路運営が続いた結果、令和2年3月末に宮古港への寄港が休止となり、令和4年2月に航路が当面休止となったものでございます。
 航路の再開に当たりましては、宮古港を利用する貨物の増加によるトラックの利用拡大が課題であると認識しております。
〇城内よしひこ委員 当時の船会社の社長、赤沼さんという方でしたけれども、その人と話をする機会があったのですが、なぜ三陸沿岸道路開通1年前に運航するのだという話を聞いたらば、これは復興のまさにシンボルだし、応援をしたいと。なおかつ、これがPRにもつながるだろう。それで荷物がふえるだろうという話ではありました。多分、その期待感があったのだろうし、一定の調査はしたのだろうし、県でもそれなりの対応もしていただいたと思っています。これまでコロナ禍で皆さんの活動もなかなか抑止されていたということでありましたので、今後は新型コロナウイルス感染症への感染も一定、出口が見えてきたわけでありますので、しっかりとPR活動もしてほしいのですが、そこで今後の見通しというのはどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
〇乙部港湾課総括課長 宮古港フェリーの今後の見通しについてでございますけれども、フェリー再開に向けては、トラック貨物の確保が課題でございまして、これまで北海道から南東北の荷主企業やトラック事業者などを訪問してきましたけれども、今年度は、訪問対象の範囲を北関東まで拡大いたしまして、荷主企業等29社にインター直結型の宮古港の優位性などをPRしてきたところでございます。
 また、令和2年度からフェリー運航会社や室蘭市も参画する、宮古・室蘭フェリー連絡調整会議を毎年開催してございまして、今年度の会議では、国から三陸沿岸道路の冬期の信頼性などを説明していただくとともに、新たに盛岡市にも参画していただき、盛岡南インター周辺の物流拠点の整備計画について情報提供をしたところでございます。
 現時点では再開の具体的な見通しを確認するには至っておりませんけれども、引き続き、宮古市等と連携しながら企業訪問を行い、新たな貨物の掘り起こしに努めるとともに、得られた企業動向などをフェリー運航会社と共有し、航路の再開に向けて取り組んでまいります。
〇城内よしひこ委員 岩手県から北海道に向かう荷物がなかなかない、不足するということです。ある意味、荷物を乗せられるのは、八戸─苫小牧でもいいだろうという考えもあるようでありますので、ぜひそこは三陸沿岸道路の優位性をPRしてほしい。そのことが重要港湾を四つ抱える岩手県のすみ分けがようやくできてきて、いい港も出てきました。これは本当に英断だったと思っていますが、これまでのような金太郎あめで重要港湾を四つ、いいあんばいにするということではなくして、各港が持つ機能を強化するということは大事だと思います。
 これから新型コロナウイルス感染症が沈静化すれば、まさにモータリゼーション、しっかりと船を使った形での物流がまた戻ってくるものと思っています。ぜひ諦めることなく、営業等も含めてしてほしいと思います。このことは要望にして終わります。
 次に移ります。
 三陸沿岸道路の全線開通についてであります。先ほど来、話題になっていますが、利用状況と課題についてお伺いします。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 国が令和4年3月に公表いたしました復興道路の全線開通後の交通状況によりますと、三陸沿岸道路全線開通後の1日当たりの交通量は、例えば、宮古中央ジャンクションから宮古南インターチェンジ間、この区間は震災前から開通している区間ですが、震災前の2.6倍となり、さらに大型車の交通量に着目しますと、震災前の3.4倍となるなど、路線全体として増加しているところでございます。
 利用上の課題につきましては、昨年2月に道路利用者のニーズを把握するため、トラックや観光バスのドライバーを対象としたアンケート調査を実施した結果、三陸沿岸道路の利便性を高めるために必要な取り組みとして、休憩施設の整備、追い越し車線の設置、及びハーフインターチェンジのフルインターチェンジ化が上位を占めておりまして、これらが利用促進する上での課題と捉えております。
〇城内よしひこ委員 その課題というのは、今後、例えば、県の立場としてどういった解決に向けた方策があるのか、県が実際にどっぷり入ってやる仕事ではないというのは理解をしつつも、ある程度、青森県や宮城県と、またぐ道路でもあります。地域の利便性、あるいは、先ほど取り上げましたフェリー、物流というのもあろうかと思います。トイレもそうですし、追い越し車線もそうですし、インターチェンジのハーフも部分的にではありますが、残しつつも解消していかなければならない課題だと思っています。そういったことを今後どのような形で取り組まれるのかお伺いしたいと思います。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 三陸沿岸道路の沿線市町村におきましては、例えば、休憩施設につきましては、インターチェンジに近接した場所への道の駅の整備や移転を進めているところでございまして、来月、久慈北インターチェンジ付近に、道の駅いわて北三陸の開業が予定されていますほか、7月には山田インターチェンジ付近への道の駅やまだの移転開業が予定されております。
 このような地域の取り組みを踏まえつつ、三陸沿岸道路全線開通後の社会情勢や利用状況の変化に対応した休憩施設などの機能強化は必要と考えておりまして、令和5年度政府予算提言・要望において、休憩施設の設置等も含めた三陸沿岸道路の機能強化を国に要望したところでございまして、今後とも機会を捉えて国に働きかけてまいります。
〇城内よしひこ委員 その中で休憩施設、モータープールというのですか、それがあるのですが、そこにトイレができればいいと思っています。そのモータープールを抱える地元でも、一定考えてはいるようでありますが、そういったことの連携も図ってほしいと思っています。トラックドライバーの方々、なかなかトイレ休憩、急いでいたりということで立ち小便になるようでありますので、それは決して外から見ていて見ばえがいいものではないし、せっかくの観光地に来ていただいて、そういう状況があるというのもいささか問題があろうかと思います。ぜひそういったことも含めて、地元の行政、抱える市町村との連携を図ってほしいと思っていますが、そういったことも考えてほしいのですが、いかがでしょうか。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 三陸沿岸道路の要望につきましては、毎年、各市町村からいただいております要望の中で、さまざまな要望をいただいておりますので、そういうことも踏まえまして、国に対して三陸沿岸道路の機能強化について、引き続き要望していきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 ぜひ皆さんに心地よい形で利用していただけるような道路にしていただければと思っています。
 そこで、フェリー等にも関連するわけですが、今後、ポートセールス事業にどういった形で三陸沿岸道路を取り入れて営業するかということも含めて、その取り組み状況についてお伺いしたいと思います。
〇乙部港湾課総括課長 ポートセールスについてでございますけれども、令和3年12月に全線開通した三陸沿岸道路などの高速交通ネットワークの構築により、本県港湾へのアクセス性が大幅に向上しまして、県内港湾の利便性が飛躍的に高まっているということについて、広く周知を図っていく必要があると思っております。
 このため、今年度、県では荷主企業や船社及び物流事業者など、延べ146社を訪問するとともに、本県の港湾利用を呼びかける、いわてフォーラム2022を首都圏において3年ぶりに開催いたしまして、参加した荷主企業や物流事業者など90社112名に知事がトップセールスを行い、三陸沿岸道路の全線開通によるアクセス性の大幅な向上など、県内港湾の利便性をPRしたところでございます。
 今後とも、港湾所在市はもとより、産業集積が進む内陸部の市町とともに一層連携を深めまして、県内重要港湾の利便性の向上について、企業にPRするなど港湾の利用拡大に取り組んでまいります。
〇城内よしひこ委員 以前、岩手県港湾議員連盟で佐賀県にお伺いした際、港と道路というのは直結して、それで荷物が動くのだという話をお伺いしてきました。そういった意味合いで言うと、県内の重要港湾が四つあるわけですが、それぞれの港湾が、まさに三陸沿岸道路とつながっています。冬場は特に、八戸港から揚がった北海道ナンバーのトラックが結構三陸沿岸道路を走っている様子を見ます。それにつけても、やはりPR不足なのだろうと思いますので、今後、しっかりとPRも含めて利用促進を図っていただきたいと思いますので、それが実は港にも役に立つものだと思っています。港は港、道路は道路ということではなくして、連携をとってほしいのですが、県土整備部長、どうですか。必要性はあると思いますよね。
〇田中県土整備部長 今、御指摘いただきましたが、港湾利用の促進のためには道路の整備が必要でありますし、港湾の荷物を運ぶために道路が必要だし、道路を整備することによって内陸から例えば海外に行くとか、そういったような、港湾と道路は、御指摘のとおり、セットだと思っています。
 そういった中で、コロナ禍前とコロナ禍後で、岩手県においては道路のネットワークの状況が全く変わっています。なので、その辺のところが実はまだよく伝えきれていないのではないかと思っておりますので、そこは道路のサイドと港湾のサイド、どういった視点でPRしていくといいかといったところを、いろいろなネタを出し合って、いいPRになるように努めていきたいと思います。
〇城内よしひこ委員 次に、クルーズ船誘致プロモーション事業についてお伺いします。
 クルーズ船が新型コロナウイルス感染症に起因したこともあって、クルーズ船は県内も含めて入港がなかったのですが、新年度の入港予定はどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
〇乙部港湾課総括課長 令和5年度のクルーズ船寄港予定についてでございますけれども、まず、新型コロナウイルス感染拡大の影響によりまして、令和2年度から令和4年度まで外国船社クルーズ船の寄港が全て中止になっておりましたけれども、国内船社クルーズ船につきましては、令和3年度から受け入れが再開しまして、令和3年度は4回、令和4年度は10回、県内港湾に寄港しております。
 ことし2月に国等から外国船社クルーズ船の受け入れ再開に係る留意事項等が示されたことに伴いまして、全国的に受け入れが再開されたというところでございます。令和5年度は、本県港湾に外国船社クルーズ船が宮古港に7回、国内クルーズ船が大船渡港に1回寄港が予定されているところでございます。
〇城内よしひこ委員 それだけの船が入るということは、皆さんの営業努力にもあるのでしょうけれども、今後、この数はふえていくのか、また、道路網が整って、ある意味、パックとしての活用もできると思っています。宮古市長からお伺いした際には、盛岡さんさ踊りのときに大型クルーズ船が入るという話でした。そういうイベントとの連携、タイアップも必要になってくると思いますが、そういう連携等はしているのかお伺いします。
〇乙部港湾課総括課長 クルーズ船の誘致についてでございますけれども、先ほど申しましたとおり、新型コロナウイルス感染症の関係でクルーズ船が中止されていたということで、まず、3月から外国船社のクルーズ船が再開されたということで、ステージが変わってきているところでございます。
 このため、令和5年度におきましては、クルーズ船のプロモーション事業の中で、コロナ禍前と比べて、三陸沿岸道路が整備されて、高速交通ネットワークが整備されたことに伴いまして、そのオプショナルツアーの圏域が大きく拡大したということや、宮古港では大型船の寄港が可能だという利点をクルーズ船社とか旅行会社も参加するツーリズムEXPOジャパン2023というものに出展してPRしていきたい。また、あわせて、港湾所在市とも連携してポートセールスを実施していきたいと思っております。
〇城内よしひこ委員 いろいろ取り組みをしていただいてありがとうございます。
 最後、課題というのはあるのか、ないのか、その辺、捉えているのかをお伺いしたいと思います。
〇乙部港湾課総括課長 やはり今までコロナ禍でクルーズ船が来ていなかったというところが一番の課題でございますので、これからその拡大に向けて取り組むことが課題だと認識しております。
〇城内よしひこ委員 岩手県には重要港湾が四つあるわけであります。その重要港湾を生かすも殺すも皆さんの双肩にかかっていると思うのですが、いろいろな形で港の特色はもう打ち出しているわけでありますので、その特色を広く探って、届けられるところにはしっかり届ける。傾向と対策もあると思います。しっかりと荷主を見つけていただく、安心して入っていただけるような仕組みづくりをお願いしたいと思います。これは要望にして終わりたいと思いますが、県土整備部長、ぜひ皆さんにわかるようにお願いします。
〇田中県土整備部長 クルーズ船もそうですが、フェリーもそうです。コロナ禍前とこれからは変わっているということで、クルーズ船も入り始めてきていますので、今、上げ潮になってきている。その上げ潮を逃さないように、しっかり荷物なり人をつかまえていくというのが大事だと思っています。
 そのために効果的なPRをやっていくわけですが、先ほど道路の状況が変わって、盛岡さんさ踊りにも宮古市から行けるようになったとか、そういったことも実例としてどんどんPRし、ネタとして使いながら、クルーズ船社とか旅行会社も参画するツーリズムEXPOジャパン2023とかで広くPRしていきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 都市公園の整備についてお伺いしたいと思います。昨年12月の一般質問では、障がいの有無にかかわらず誰でも利用できるインクルーシブ公園の整備をしっかり取り組んでいただきたいということで取り上げさせていただきましたが、それに関連しての質問であります。
 現在、県内の市町村の都市公園の遊具の設置状況について、老朽化しているところ、あと、更新がなかなかされずに、それは予算の関係もあるかと思いますけれども、そういったことが起きているかと思いますが、県として、課題等も含めて、設置状況をどのように把握しているかお伺いしたいと思います。
〇嵯峨都市計画課総括課長 市町村の都市公園の遊具の設置状況と課題についてでありますが、国が実施しております都市公園等維持管理現況調査によりますと、県内の市町村が管理する都市公園では、令和元年度末時点で995カ所の都市公園に3、883基の遊具が設置されている状況でございます。設置から経過年数が判明している遊具のうち、20年を経過した遊具は1、043基となっております。
 老朽化が進んでいる遊具の更新が課題でございますけれども、各市町村におきましては、老朽化の状況を把握しながら修繕や更新を行っているところであり、個別の遊具の更新状況や使用状況については、先ほどの現況調査の調査対象とはなっていないところでございます。
〇吉田敬子委員 県内の各地で老朽化が進んでいる中で、令和4年12月定例会の一般質問では、ユニバーサルデザインという言葉でお話しいただきましたけれども、ぜひ更新する際には、障がいの有無にかかわらない視点というのをしっかり、県もそうですけれども、各市町村で取り組みを進めていただきたいと思っております。
 昨年12月の一般質問で、国のガイドラインを踏まえながらユニバーサルデザインに配慮した対応を行っている、今後も行っていきたいということでありました。私自身は、今現在の市町村の都市公園、県営も含めて、ユニバーサルデザインに配慮した遊具になっていないと思っておりますけれども、県としてはどのような認識なのか。障がいの有無にかかわらず一緒に遊ぶことのできる遊具となっているとの認識でよろしいか、お伺いしたいと思います。
〇嵯峨都市計画課総括課長 都市公園の遊具についてでございますが、県内の都市公園につきましては、県立も含めて、障がいのある方もそうでない方も一緒になって遊ぶことができるユニバーサルデザインに配慮した遊具、いわゆるインクルーシブ遊具については、一関市の一関遊水地記念緑地公園と、宮古市のうみどり公園に設置されているものと承知しております。
 インクルーシブ遊具につきましては、全国的にも徐々に導入している公園の事例もふえていると承知しておりますので、県といたしましても、都市公園の主な設置主体である市町村に対し、さまざまな機会を捉えて、他の都道府県や県内の事例について情報提供するなど、ユニバーサルデザインの視点に立った公園整備について、理解促進に努めてまいります。
〇吉田敬子委員 先ほどは市町村についてのことでありますけれども、では、県営の都市公園についてもお伺いしたいと思います。県営の都市公園内の遊具は、現在、障がいの有無にかかわらず遊べる環境となっているのか。遊具の整備状況についても、老朽化、更新も必要な部分もあると私は思っておりますけれども、これについての御所見もお伺いします。
〇嵯峨都市計画課総括課長 県立都市公園の遊具の整備状況及び課題等についてでございますが、県土整備部所管の四つの県立都市公園のうち、遊具が設置されている公園は、御所湖広域公園と花巻広域公園の2カ所となっており、それぞれ47基と11基の遊具を設置しているところでございます。
 このうち設置から20年を経過した遊具は、御所湖広域公園17基、花巻広域公園8基となっているところであり、これらの遊具を含む公園施設の長寿命化計画を策定し、計画的に修繕や更新を行っているところであります。
 また、障がいの有無にかかわらず遊べる環境となっているかどうかということについてでありますが、県立都市公園内については、園路やトイレなどの一部についてはバリアフリー対応としておりますけれども、いわゆるインクルーシブ遊具は設置されていない状況でございます。
 今後、遊具を更新する際には、バリアフリーやユニバーサルデザインの考え方も十分に考慮しながら進めていきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 県では、ひとにやさしいまちづくり条例をつくっておりまして、その中で県土整備部でまちづくりユニバーサルデザインガイドラインというのを作成されております。まちづくりの推進計画の改定は2年、3年更新で全体の計画は改定はされているのですけれども、県土整備部でつくっている、まちづくりユニバーサルデザインガイドラインが平成16年3月につくったもので、そのまま更新されておりませんけれども、それでよろしかったでしょうか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 まちづくりユニバーサルデザインの考え方につきましては、建築住宅課でユニバーサルデザインという観点で平成16年に作成しておりますけれども、保健福祉部のほうでユニバーサルデザインの考え方が進んできているというところもありますので、当初は建築物だけだったのですけれども、そうではなくて、今後、広い視点、道路ですとか公園、その他のところにユニバーサルデザインの考え方が広がってきていますので、その辺を踏まえまして、今後、調整を進めてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 こちらのガイドラインには、既に公園というものも入っておりまして、ただ、その中で、園路についてとか水飲み場、休憩場所をこうしてほしいということは書いてあるのですけれども、遊具については、特段、触れられておりません。保健福祉部のほうの推進計画の中で、現在の少子化に伴って子育て環境をよくしていかなければいけないということをひとにやさしいまちづくり条例の中でもうたっているのであれば、こちらの県土整備のまちづくりユニバーサルデザインガイドラインのほうもしっかり改定していただいて、公園の部分についても、子供たちの目線と子育て世代の目線ということで、ぜひ今の時代に即したものに改定していただきたいと思っております。
 御所湖広域公園については、来場者の数がコロナ禍の前より実はふえているということで資料をいただいております。コロナ禍で密を伴わないところということで外でということもありますけれども、さらに、子供たちが外で元気に遊べる、それが障がいの有無にかかわらず、たくさんの子供たち、子育て世代、親子にニーズがあると、データもそのとおり物語っていると思っておりますけれども、御所見についてお伺いしたいと思います。
〇嵯峨都市計画課総括課長 確かに、今、委員から御紹介があった、例えば御所湖広域公園につきましては、一度、コロナ禍のときで、若干、緊急事態宣言のときに閉鎖等もあって、利用者の落ち込みもあったのですが、オープンスペースということで、その後、いろいろな憩いの場ということで、利用者も回復してきているというような状況でございます。
 花巻広域公園、御所湖広域公園とも年間およそ10万人程度の県民の皆様に御利用いただいているということでございますので、そういったところで、先ほど来、委員御指摘の、障がいのある方も、そうでない方も一緒になって遊べるというようなユニバーサルデザインの視点というのは大変重要な視点だと思っておりますので、県といたしましては、今後、遊具の更新等の際には、そういった視点も十分考慮しながら進めてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 先ほどの答弁の中でも、例えば、宮古市の公園の事例の答弁もいただきましたけれども、こちらの公園、盛岡市から近くなったこともあって、私もよく行くのですけれども、週末は結構多くの御家族連れが、宮古市だけでなく、盛岡市も含めて結構広域からいらっしゃっているのと、安全面で転んでも痛くないようなスポンジ製のものを使っていたりするので、障がいがあるお子さんも含めた子育て世代にはニーズがあるのではないかと。実際に私もそういったお友達を連れて行ったりしておりますけれども、そういう事例もありますし、県のガイドラインを更新していただいて、この中に盛り込んで、平成16年から変わっておりませんので、ぜひ改定していただきたいと思っております。
 市町村も、県営もそうですけれども、予算の関係でなかなか、費用面の問題もあって更新ができなかったり、インクルーシブの遊具にできないということもあるかもしれませんけれども、そういったことも解決する手法として、例えば、PFIを活用したものということで、盛岡市ではさまざまな都市公園が今、再整備をPFIでやっております。県営施設について、県営の都市公園ももっと新しい発想も含めた取り組みを進めていくべきではないのかと思っておりますけれども、県立都市公園の中長期的ビジョンとして、どのように描いているのかお伺いいたします。
〇嵯峨都市計画課総括課長 県立都市公園の中長期的ビジョンについてということ、あと、Park−PFIということでございますが、県立都市公園につきましては、おおむね整備が完了しておりまして、今後は長寿命化計画に基づき施設の更新を行い、整備した公園を良好に維持管理していくという段階にあるものと考えております。
 先ほどお話があった、県立都市公園におけるPark−PFIの導入ということですが、Park−PFIそのものは、一般的には、民間資金を活用した公園利用者の利便の向上のほか、公園管理者の財政負担の軽減にも資するものということでございます。
 本県の県立都市公園につきましては、県は現時点ではございませんけれども、県内では盛岡市、あと二戸市で活用の事例があるものでございます。
 県立都市公園のPark−PFIの導入につきましては、一般的には、Park−PFIというのは、遊具とかを設置するというより収益施設、カフェとか、二戸の場合は温泉センターとか、そういった収益施設を設置することによって成り立っているものでございまして、これらの施設を設置するためには、地元の市町村、関係団体、あるいは、御所湖広域公園等であれば近隣の宿泊施設とか観光施設等との十分な意見調整、指定管理者との調整等が必要と考えておりまして、現時点では具体的な検討には至っていないというところでございます。
〇吉田敬子委員 先ほどの利用者がふえているという話をさせていただいた御所湖広域公園ですけれども、例えば、乗り物広場とかもあったりするのですけれども、こちらもかなり遊具が古くなっていたり、でも、利用者がすごくふえている。遊具がない場所のほうも、マウンテンバイクを利用できるような場所もあったり、すごく多岐にわたっているところがあるのですけれども、更新するとさらに利活用ができるのではないかということを私自身感じておりました。
 花巻広域公園は、ゴルフ場もありますけれども、こちらの問題点としても、ゴルフ利用者の高齢化が進んでいて、将来的にも収支の均衡を継続して図ることが重要課題となっているという報告書もあって、収支の部分も含めて、どちらの都市公園もしっかり今後を含めて考えていかないといけないと思っておりますので、ぜひユニバーサルデザインガイドラインの改定とともに、長期的に考えた都市公園の整備を今後行っていただきたいと思います。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時57分 休憩
午後1時2分再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇川村伸浩委員 私は、主要地方道花巻大曲線の整備についてお伺いしたいと思います。
 おかげさまで、主要地方道花巻大曲線の4号トンネルについて築造工事が進められておりまして、花巻市民、そして、西和賀町の皆さんは大変喜んでいるところであります。この花巻大曲線について、きょうは現状とこれからの工事の進捗等についてお伺いをしたいと思います。
 御案内のとおり、この路線については、昭和61年といいますから、かなり長い期間をかけてこの事業をやっていただいておりまして、平成14年に銀河なめとこラインということで部分開通をして、私も大型バスで花巻市から西和賀町まで開通式に行った記憶がございます。両市町民とも大変喜んだところでありましたけれども、それから最後の山場でありました小倉山の2工区がなかなか手つかずということでやきもきしておりましたが、先ほど申し上げたとおり、令和2年に築造工事が始まったということで、大変よかったと思っております。
 現在までの工事の進捗状況についてお伺いしたいと思います。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 小倉山4号トンネル築造工事についてでございますが、令和2年11月に延長1、034メートルのトンネル掘削を始め、令和3年11月に貫通し、その後、トンネル断面をコンクリートで覆う工事を進め、令和5年1月に完成したところでございます。
 今後、トンネル内部の舗装工事や照明などの電気設備工事等を進める必要がございますが、トンネル内部の舗装工事につきましては、昨年11月に契約しており、雪解け後の4月から工事を進める予定でございまして、照明などの電気設備工事につきましては、落札者との契約手続を進めているところでございます。
〇川村伸浩委員 順調に進んでいるようでありますが、この2工区について、令和5年度の予算状況、そして、その工事の内容についてお知らせ願いたいと思います。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 令和5年度の予算状況についてでございますが、先議いただきました国土強靱化に資する補正予算1億8、000万円と令和5年度当初予算案3億円余を合わせた実行予算ベースの事業費として、4億8、000万円余を計上したところでございます。
 これらの予算を活用し、トンネル内部の舗装工事や電気設備工事等を進め、早期開通に向けて取り組んでまいります。
〇川村伸浩委員 小倉山2工区の今年度4億8、000万円ということで、大変いい状況で進んでいると思いますが、全線の開通見通しはどうなっているのかお伺いをいたします。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 小倉山2工区の開通見通しについてでございますが、開通までには、先ほど御答弁したトンネル内部の舗装工事や電気設備工事に加えまして、トンネル前後の舗装工事も進めていく必要があることから、これらの工事を着実に進め、令和6年度の供用開始を目指してまいります。
〇川村伸浩委員 令和6年度の開通見通しということで、大変ありがとうございます。そうしますと、いよいよ主要地方道花巻大曲線の改良工事が完了ということになるかとは思いますけれども、この完了後の花巻大曲線の課題といいますか、今後、交通の便とかさまざまな障害等があると思いますが、その辺についての認識について、お伺いしたいと思います。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 花巻大曲線の花巻市中山地区から西和賀町川舟地区間につきましては、交通不能区間の解消を図るため、これまで中山工区、川舟工区の整備を進めてきたところでございます。
 現在整備を進めております小倉山の2工区の完成により、最大の課題であった交通不能区間の解消は図られますが、花巻市豊沢ダム付近及び西和賀町川舟付近が1車線道路となっていることが課題と捉えております。
〇川村伸浩委員 今、照井技術参事兼道路建設課総括課長からお話があったとおり、私もあの路線を通行しますと、間が立派になって、その前後がどちら側も、花巻市側、西和賀町側、両方狭隘な地点があると思っておりまして、せっかくこういった立派な道路、地域の物流、産業にも寄与しますし、また、観光にも非常に寄与する、そしてまた、国道107号があのとおり、大変な崩落事故があった。やはり緊急時の迂回路としても重要な路線になっております。そういった意味で、この事業完了後に、新たにその前後の部分についての事業化というものがその地域から、市町から上がっているわけでありますけれども、その辺の捉え方なり、あるいは、事業化に向けた考え方についてお伺いしたいと思います。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 先ほど御答弁いたしましたとおり、花巻大曲線の花巻市中山地区から西和賀町川舟地区間につきましては、交通不能区間の解消を図るため、整備を進めてきたところでございまして、現在事業中の小倉山の2工区の完成により延長約8.5キロメートルの計画区間全線が開通することとなり、整備目的が達成されるものと考えております。
 このため、まずは小倉山の2工区の早期効果発現が図られるよう、整備に注力するとともに、残る1車線区間については、道路の利用状況等を見極めてまいります。
〇川村伸浩委員 そのとおりで、まずは8.5キロメートルの全線開通が目の前に見えているとはいえ、確実に進めていただきたいと思いますし、また、今、お話があったとおり、交通量がふえようにも、手前、それから、後ろといったタッチの部分がどうしても使いにくい道路であれば敬遠される方もおられるのだろうと思っております。ぜひとも今後、事業化に向けた調査等々、よろしくお願いしたいと思います。
〇佐々木朋和委員 私からまず、順番を変更して、新笹ノ田トンネルについて伺いたいと思います。
 午前中の佐々木茂光委員の質疑の中で、調査のための会議のお話がございました。まず、調査のための会議について、どのようなスケジュールを考えているのか。また、そこで検討いただく検討内容について、どのような範囲で依頼をするのか伺いたいと思います。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 委員御指摘の国道343号笹ノ田地区技術課題等検討協議会は、笹ノ田峠に新たなトンネルを整備する必要性や効果、技術的課題等について、専門的な見地から助言をいただくことを目的に、3月13日に設置したものでございます。
 会議のスケジュールにつきましては、3月下旬に第1回協議会を開催し、国道343号の位置づけや利用状況、笹ノ田峠付近の現道の課題、地質状況等を示しながら今後の検討の方向性について御議論いただく予定としております。それ以降の開催につきましては、協議会で出された意見の内容やその対応状況を踏まえ、決まっていくこととなるものと考えます。
〇佐々木朋和委員 今の話ですと、第1回目は決まっていると。その後についてはまだ決まっていないということとでしたけれども、例えば、今言ったような必要性や効果、また、技術的課題等について、例えば、令和5年度中にひとまず答申を上げていただくとか、そういったところではなく、1回目だけが決まっているということでしょうか。全体のスケジューリングはあるのですか。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 まだ第1回目の協議会を開催しておりませんので、協議会で示された意見の内容やその対応状況を踏まえて、今後の協議会の開催を決めていくことになると考えております。
〇佐々木朋和委員 そんなことあるのですか。振るときにはこういう内容のものと決めているので、多少の課題の多さによって前後はあると思うのですけれども、令和何年度中に出しましょうとか、年何回を想定しましょうとか、そういったものもまだ白紙というようなことでしょうか。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 検討する項目が笹ノ田峠付近の現道の課題や地形、地質状況等、それを踏まえた対応策の必要性とか、そして、その整備による効果とか多岐にわたっているものですから、十分にしっかりとした検討を進めていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 県が設置する協議会なので、もう少しお尻が決まっている中で結論を出していくのかと思ったのですが、まず第一歩というようなイメージで、喜びがこんなに行っていたのですけれども、でも、一歩前進だと感じているところです。こういったような大規模工事のときには、今回のような協議会を設けるということは、今までもこのような事象はあったのでしょうか。また、内容について、さまざま検討の項目を出されましたけれども、検討された内容については、公表はされるのでしょうか。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 今回のような協議会の設置例ですけれども、国道106号の整備に当たりまして、今、直轄権限代行で整備を進めておりますけれども、それにつきましては、同様の協議会を設置して、議論をして進めているという事例がございます。
 公表につきましては、会議についてはさまざまなご意見が伺えますし、例えば、ルートの検討をする場合は、会議の途中でそういうルートが出てくると、地元でいろいろな話が沸き上がると思いますので、そういうことを防止するため、会議自体は非公表ということで考えておりますけれども、会議結果については、透明性を確保するために速やかにホームページ等で公表したいと考えております。
〇佐々木朋和委員 了解しました。なかなか今後のスケジュール感が見えてこなくて残念なのですけれども、今回の協議会の設置の一つにILCの予算の倍増があったと思うのですけれども、今度、ILCについては、2025年がもう一つ区切りとなる時期だと言われていますが、このILCの進捗に合わせて、例えば2025年までにはこの部分の技術的なところを明らかにしていようだとか、何かそういったような意図はあるのでしょうか。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 ILCにつきましては、笹ノ田峠の整備効果を高める要素の一つということでございますけれども、必ずしもILCの工程を考えて検討を進めるわけではございません。
〇佐々木朋和委員 ILCについても2025年にひとつ全世界が注目する時期となりますので、それに合わせて必要な下準備というのもしていくべきだと思いまして、せっかく協議会が立ち上がったんですから、ぜひそこの部分を目標に、課題等を明らかにしていただきたいと思います。
 また、この協議会にさまざまな検討を振るに当たっても、前提となる部分というのは決めて振るということが必要なのだろうと思います。例えば、現時点での事業化の時期や事業期間はどのぐらいを想定しているのですけれどもというような形で振るということも一つかなと思うのですけれども、その点については、何か前提となる部分についてお示しをしながら検討していただくのか、お伺いしたいと思います。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 検討協議会では、笹ノ田峠付近の現道の課題等を踏まえた対策の必要性や対策を講ずる場合の技術的な課題、効果等を取りまとめていく予定でございまして、その後の対応につきましては、協議会での検討結果や公共事業予算の動向等を踏まえまして、総合的に判断してまいります。
〇佐々木朋和委員 わかりました。これ以上はなかなか出てきそうにないですね。
 最後に、この部分で一つ。現道のという話もありましたけれども、現時点では現道について、ダブルウェイを想定しているのか、現道の解体の必要性等も検討内容となっているのか伺いたいと思います。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 検討協議会におきましては、笹ノ田峠付近の現道の課題や地形、地質状況等を踏まえた対策の必要性や対策を講じる場合の技術的な課題、効果等を取りまとめていく予定としております。まずは、この協議会での検討に注力することとしておりまして、現道の取り扱いの見通しにつきましては、現時点では持ち合わせていないところでございます。
〇佐々木朋和委員 わかりました。現道を活用していくとなれば、今度また市道になったりということもあると思います。そういったときには、関係自治体とよく協議をして進めていただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次の質問事項に入らせていただきます。
 岩手型住宅の推進についてでございます。これについては、各委員がほかの部局でも質問をされておりますけれども、私も質問させていただきます。
 具体的推進方策指標において、岩手型住宅建設戸数割合を23.6%から令和8年に32.0%にするという計画となっておりますけれども、当部所管の住宅の新築、改修支援の内容と想定戸数、また、他部局所管の住宅の新築、改築支援の内容と想定戸数をまずお示しいただきたいと思います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 住宅の新築、改築支援の内容と想定戸数についてでございますけれども、県ではこれまで、新築やリフォーム住宅を対象に、一定量の県産木材を利用した住宅への補助を行いまして、さらに、岩手型住宅の規定を満たした住宅に上乗せ補助を行っているところでございます。
 こういったことを通じまして、県産木材の利用促進と省エネ住宅の普及に取り組んできたところでございます。
 また、農林水産部におけます、いわて木づかい住宅普及促進事業では、本年度は令和5年2月末時点で新築が126件、リフォームが18件の計144件となっており、令和5年度は新築が140件、リフォームが20件の合計160件の実施を予定していると聞いているところでございます。
 当部におきましては、住みたい岩手の家づくり促進事業によりまして、岩手型住宅としての上乗せ補助分といたしまして、本年度は新築39件、リフォーム1件の合計40件となっておりまして、令和5年度は、合わせまして45件の実施を予定しているところでございます。
〇佐々木朋和委員 ほかの委員も他部局においても指摘をされておりましたけれども、長野県では断熱要件を柱に住宅建設、改修支援事業を一本化して、県産材の利用だとか伝統的技法の活用、バリアフリー化等を上乗せ要件としております。目的も、健康ということでヒートショック対策であるとか、省エネ、県産材活用と複合化をし、情報発信の一本化と、あと、予算規模の確保に成功しております。長野県では住宅施策を所管する県土整備部が事業を所管して進めておりますけれども、本県においても一本化を、県土整備部が議論をリードして進めるべきではないかと思いますが、所見を伺いたいと思います。
 また、あわせて、市町村との連携を強化して重層的な支援を行うべきと思いますけれども、所見を伺いたいと思います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 住宅施策の一本化と市町村との連携についてでございますけれども、まず、長野県では長野県地球温暖化対策条例に基づきまして、自動車の使用、電気機器、建築物、再生可能エネルギー設備等に関しまして、各部局で役割分担しながら地球温暖化対策に取り組んでいると認識しております。
 本県におきまして、2050年カーボンニュートラルの実現に向けましては、県産木材を利用し、省エネ性能を備えた住宅に対して補助いたします、住みたい岩手の家づくり促進事業に加えまして、本年度からは、住まいの省エネ改修推進事業を実施いたしまして、既存住宅の省エネ化に対する補助を実施しているところでございます。
 住宅の省エネ化の推進につきましては、庁内関係部局の連携のほか、住宅に係る関係団体との協力関係も不可欠であると認識しており、住宅の高断熱化に向けまして、長野県ですとか、また、鳥取県というところもございますので、そういった先進県の取り組みについて研究してまいりたいと考えております。
 また、市町村との連携につきましては、住宅の省エネ化を含めまして、県民一人一人の住まいであります住宅施策の推進というところでは、市町村の連携が不可欠であると考えておりまして、県の施策ですとか国の動向等を市町村に情報提供しながら、住宅の省エネ化が図られるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 検討していただけるということでしたけれども、やはりブランディングを一本化して、県民の皆さんが、岩手県としてはどういった住宅を進めたいのかが見えるように詰めていただきたいと思います。
 それで、県営住宅の機能向上のための修繕、改善についてです。令和8年度まで岩手県公営住宅等長寿命化計画に基づく修繕、改修の着工率を100%の目標として掲げておりますけれども、来年度も公営住宅建設事業費14億円余を計上されておりますが、改修する修繕の内容について、先ほど進めると言っていた省エネ化や断熱化というのは入っているのかどうか、伺いたいと思います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 公営住宅建設事業費の内容についてでございますけれども、県営住宅の改善につきましては、断熱化ですとか高齢化対応、それから、耐久性向上を含む長寿命化を行うリフレッシュ改善を行っています。また、給湯設備の設置を行う給排水、外壁の改善、さらに、老朽化いたしましたエレベーターの更新、こういった工事をメニュー化して行っておりまして、岩手県公営住宅等長寿命化計画に基づきまして、計画期間内であります令和8年までにリフレッシュ工事は96戸、給排水、外壁改善は24戸予定しているところでございます。
 令和5年度におきましては、一関市の銅谷アパートの改善事業のほか、盛岡市の青山アパートなどでエレベーター5台の更新を予定しているところでございます。
 県といたしましては、改善事業の実施に合わせまして、断熱改修など入居者の住環境の向上に努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 ありがとうございます。今、県議会のほうでも、毎冬になると福祉灯油の課題も出ておりました。ぜひ県営住宅においても、この断熱化を進めていただきたいと思います。
 次に、県営住宅活用促進モデル事業費及び、いわてお試し居住体験事業費について伺いたいと思います。
 本年度の活用実績と、また、次年度の活用予定の住宅、戸数をお示しいただきたいと思います。
 また、募集の状況、年度末になっておりますけれども、対応はどのようになっているのかお示しいただきたいと思います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 本年度の活用実績と次年度の活用予定及び募集の状況についてでございますけれども、まず、県営住宅活用促進モデル事業につきましては、令和5年2月末時点の6戸の入居となっております。さらに、今年度内に1戸入居予定となっております。
 また、いわてお試し居住体験事業につきましては、本年2月末で全30戸の入居が決定しているところでございます。
 次年度の活用につきましては、県営住宅活用促進モデル事業につきましては、引き続き30戸の活用を予定しておりまして、いわてお試し居住体験事業につきましては、子育て世代の移住、定住の促進を図るため、次年度におきましては、子育て世帯枠というものを10戸新設させていただきまして、合計で40戸活用する予定としております。
 募集の状況、年度末の対応についてでございますけれども、こちらの事業につきましては、早い時期からの事業の周知というところが必要かと考えておりまして、県内の市町村に対しまして、ことしの1月から来年度事業の概要を説明するなど、より多くの方に使っていただきますよう、取り組みを行ったところでございます。
〇佐々木朋和委員 昨年は予算化が遅くて心配しておりましたけれども、改善していただいたということで、偉そうですが、評価させていただきます。一つ目の事業のほうが6戸、また、今年度プラス1戸で7戸ということで、まだ30戸のあきがあるということですけれども、ぜひ活用を促進していただきたいと思います。
 最後になりますけれども、若者・移住空き家住まい支援事業費補助について伺いたいと思います。本年度は住宅ストックリノベーション事業として行っていたと思いますけれども、空き家改修支援事業の実績と、来年度新規事業における改善点をお示しいただきたいと思います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 空き家改修事業の実績と改善点についてでございますけれども、当事業につきましては、空き家の活用によりまして、39歳以下の若者世帯の住宅支援を目的といたしまして、令和3年度から実施してきたところでございます。
 本年度からは県外からの移住者も対象といたしまして、取得費用に加えまして、さらに改修の補助も実施するとともに、子育て世帯に対しましては、補助額の加算を行っているところでございます。
 令和5年1月末現在で、取得が4件、改修が4件に加えまして、子育て加算1件の合計9件に活用いただいているところでございます。
 こちらの事業につきましては、市町村事業への上乗せ補助という形になっておりますので、令和3年度の事業創設時から市町村と連携いたしまして、事業への協力をお願いしましたけれども、次年度の事業実施につきまして、早めにお知らせいただくよう要望いただいたことから、今年度は1月から2月にかけまして、令和5年度事業の概要を説明しまして、連携を深めたところでございます。
〇佐々木朋和委員 ありがとうございました。改善しながら進めていただけるということでした。参加市町村をふやして頑張っていただきたいと思います。
〇臼澤勉委員 それでは私からは、復興計画、復興事業、特に県土整備部におかれましては、震災後、この12年間、被災地現場でさまざまな事業、被災したインフラや公共施設の復旧、あるいは道路、防潮堤の整備に御尽力されて、本当に御苦労されてきたなということで、県土整備部長も発災後、最前線で沿岸広域振興局大船渡土木センターのほうでも活躍されておりました。改めてこの12年間に敬意を表したいと思いつつ、人口減、そして社会増に向けた県土整備部としての取り組みについて、ひとつ問題意識を持ちながら、質問していきたいと思います。
 まずは、復興事業の県内の投資額、この12年間で県土整備部として、あるいは県の県内投資額、そして、それが経済波及効果がどの程度あったのか、まずお示しいただきたいと思います。
〇川村特命参事兼企画課長 復興事業の県内の投資額と経済波及効果についてでございますが、県土整備部における復興事業に係る予算額を見ますと、平成23年度から令和4年度までの最終予算額ベースの累計で1兆2、464億円余となっているところでございます。
 これによる経済波及効果につきまして、岩手県産業連関表を用いて試算いたしますと、第2次波及効果を含めまして1兆8、681億円余になると推計されるところでございます。
〇臼澤勉委員 1兆2、000億円余の投資、そして、波及効果は1兆8、000億円余ということでありました。ただ、それぞれ今回の震災後、県の予算額を見ますと、土木費、あるいは災害復旧費、合わせて1兆6、375億円、これに私のほうでも産業連関表、あるいは、国土交通省なりのを見てフロー効果、生産額に対する投資効果、2.32倍ぐらいを掛け合わせると、この期間、3兆8、000億円ぐらいの経済波及効果をもたらしてきたということで、今回の震災を契機に土木の皆さん、あるいは土地改良も含めてですけれども、さまざまな経済波及効果があったものと認識しております。
 これがある一定の雇用を生んで、そして、沿岸被災地を含めて人口減にもある程度歯どめをかけてきたと評価しております。ただ、復興事業がある一定程度のめどがついて、今後、県内への公共事業費は減少していくのだろうという中で、今後、県としてどう取り組んでいく必要があるのかということで質問を進めていきたいと思うのですけれども、まず、その前に、今回の復興計画、あるいは復興事業の教訓というものを県土整備部として整理しておく必要があろうかと思います。これが新年度予算、あるいは、今後の事業に向けても生きてくるし、生かされていかなければいけないと思ってお聞きいたしますが、この教訓というものを県土整備部としてどのように捉えているのかお伺いいたします。
〇嵯峨都市計画課総括課長 復興計画、復興事業の教訓ということでございますが、県では、東日本大震災津波の経験や教訓を確実に継承し、将来の災害に備えるとともに、その内容を発信することで日本全体の防災力向上に資するため、令和2年3月に、これまでの復興の取り組みと教訓を踏まえ、東日本大震災津波からの復興─岩手からの提言─を取りまとめております。
 この中では、特に、被災市町村におけるまちづくりに関して申し上げますと、復興まちづくり計画について検討する時間がなかったこと、面整備事業に精通した職員がいなかったこと、各事業のスキームやメリット、デメリットを十分整理できないまま計画策定を進めざるを得なかったことを教訓として取りまとめており、これに対する提言として、事前復興の取り組みを進めていく必要があるとしているところでございます。
〇臼澤勉委員 まさに本当に、あの日、あのとき、12年前を振り返れば、厳しい時間的制約があったと私も捉えております。なかなか悠長に計画策定に取り組んでいく、そういったところが許されないような部分、そして、一方で、特にまちづくりなり復興事業、あるいは土地区画整理事業も含めて、住民の合意形成をしっかり丁寧に図っていかなければいけないという中においても、そこら辺の時間的制限があったのだと思っております。
 今後、人口減少が進むというのが、あの日も、あの12年前もわかってはいましたけれども、ただ、あの現場で、縮小のまちづくりというものを住民とともに示していけたかというところは、私も現場にいて、なかなかそういった希望の光を示していかなければいけない、一日も早い復旧、復興を遂げなければいけないという思いの中で、マイナスのほうの、まちを縮小していくというようなことの住民との合意形成というのは、現実問題、なかなか難しかったというのは思っております。
 そういった意味からも今、回答がありました、事前復興というこの教訓はすごく大事なことでありまして、今も平時から今後起こり得る災害に向けて、さまざまな意見交換をしながら、まちづくりがどうあるべきかというものを意見交換を地元としながら、進めていかなければいけないと思っております。
 次の質問ですけれども、今回のまちづくりができ上がって、一部、かさ上げ地においても、未利用地というのが出てきているというような部分についての現状とその要因を県土整備部としてどう捉えているのかお伺いいたします。
〇嵯峨都市計画課総括課長 土地の未利用地の現状と要因についてでございますが、復興土地区画整理事業における土地活用状況につきましては、令和4年12月末時点の国土交通省が取りまとめた調査では、県内の宅地供給全体面積297.4ヘクタールのうち、土地活用済みが169.8ヘクタールとなっており、57%が土地活用済みとなっております。
 このうち、陸前高田市につきましては、宅地供給面積118.1ヘクタールのうち、土地活用済みが46.8ヘクタールとなっており、40%が土地活用済みとなっております。
 復興土地区画整理事業において整備された造成地では、土地相続の問題などで、土地の売買、賃貸借のマッチングが進まないことなどによって、未利用地解消に対する対応に苦慮する市町村もあると承知しているところでございます。
〇臼澤勉委員 いろいろと今、未利用地も、多い少ないという言い方は私は避けますけれども、ただ、現実問題、ある程度出ているという現状において、マスコミ、あるいは、地元のほうでもかさ上げ部の未利用地が目立っていて、過大な事業だったのではないかといった御意見があるのも事実であります。我々も当時、かかわった者としては、中井先生であったり佐藤先生、あるいはURだとか、当時を振り返りながら、検証というか、どういったことがベストだったのか、ベターだったのかということでの意見交換会もしておりました。
 あえて聞きますけれども、県土整備部として、今の未利用地の状況をどう評価しているのか、お聞かせいただければと思います。
〇嵯峨都市計画課総括課長 かさ上げ造成地の整備についてでございますが、これにつきましては、被災市町村がそれぞれの実態を踏まえつつ、計画修正を繰り返しながら行ってきたところと考えております。
 例えば、陸前高田市における計画策定におきましては、土地区画整理事業の実施に当たり、施工区域の確定、移転に係るルールづくり、整備する住宅の規模の調整を目的に、土地を所有されている方々に個別面談方式で移転先の希望等を確認するなど、限られた時間の中でできる限りの対応を行い、計画を策定しているものと認識しております。
 時間の経過とともに、被災された皆さんの当初の希望とその後の実際の利用とが一致していない状況も生じているということで、一定数の空き宅地が生じているものと考えております。
〇臼澤勉委員 現場で復興事業に携わりながら、あるいは、県もそうだと思うのですけれども、やはり使える事業というのが既存の防災集団移転促進事業であったり、既存の区画整理事業というツールを使わざるを得ないということであります。
 御案内のとおり、被災した土地を安全な部分に確保しながら住宅再建を図ろうとした場合に、まず、高台の山を切り開いた造成で高台移転の確保をします。そして、被災元地のところのかさ上げの部分、そして、かさ上げしない被災地という大きく三つのところがあるわけです。区画整理事業ですから、基本的に自力再建をした方も当然います。あるいは、防災集団移転促進事業で移転する人、区画整理事業を待って高台移転、あるいは、かさ上げ地に行く、こういうような仕組みなわけですから、結局、かさ上げ地のところに未利用地が出るというのは当然の事業スキームなわけであります。3割とかそういった自力再建の方々は、みずから自力で別なところに再建している。ただ、被災した土地の部分の所有権、権利は残っていますから、そういった方がもう一つ家を建てるということは、当然あり得ないことですね。
 ですから、そういった意味では、ある程度震災から整備されて、今、これがどうだこうだという評価はまだ早いと私は捉えておりまして、ただ、それのある部分についての評価というのは、歴史なり、今後いろいろ受けながらも進めていかなければいけないと思います。
 質問を進めますけれども、今後、活用部分、どういうふうに取り組んでいくのかということが実は大事なことで、これをマイナスで捉えるのではなくて、ポジティブに、やはりここは安全な土地がこんなに整備されましたよと。そして、施設もこうやって充実してきた、道路も整備されてきているというところの活用の部分について、来年度以降の予算面も含めて、どう取り組んでいくお考えなのかお伺いいたします。
〇嵯峨都市計画課総括課長 今後の土地の利活用に向けた対策についてでございますが、県ではこれまで、被災市町村における土地の利活用を促すことを目的に、復興庁が主催する土地活用に係る実務担当者会議へ事務局として参画しており、令和4年度は、7月と2月の2回開催され、土地活用を推進するための各自治体における事例やノウハウの共有が行われたところでございます。
 また、復興庁が令和3年度にハンズオン型ワンストップ土地活用推進事業を創設し、被災地の土地活用の課題解決を図る取り組みを進めており、県も国や関係機関とともに会議に参加し、助言等を行っているところでございます。
 令和4年度は、この事業を活用し、陸前高田市及び大槌町の取り組みが採択されており、未利用地の活用方策などの検討を行ってきたところでございます。
 令和5年度におきましても、土地活用に係る実務担当者会議、ハンズオン型ワンストップ土地活用推進事業、ともに継続されるものと承知しており、県としては、引き続き、国や関係機関と連携しながら助言を行うなど、土地活用に係る取り組みを支援してまいります。
〇臼澤勉委員 県土整備部長にお聞きしたいのですけれども、今回のこれまでの復興の取り組み、そして、今後のまちづくりという部分について、部長として最前線で取り組んできた、あるいは今も県土整備部長として、今そういうお立場にありまして、今回の教訓というか、あるいはノウハウの蓄積を含めたそういった部分を県土整備部としてぜひしっかり取り組んでいっていただきたいと思うのですけれども、それに対する所見をお伺いいたします。
〇田中県土整備部長 発災後、私は平成23年5月から2年間、沿岸広域振興局土木部で勤務して、復興まちづくりということで、どちらかというと市町村のまちづくり計画の策定を支援するような立場で2年間過ごしていました。その中で、市町村が開催する説明会とかにも出させていただいていましたが、やはり時間がない中で、限られたマンパワーでどう計画を進めていくかというのが難しかったし、まちづくり事業になれていない市町村の職員がほとんどだったので、すごく難しかったと思っています。その中でどうやって住民合意を得ていくかという課題もあったので、やはり時間がかかったのはしようがないと思います。
 結果として、未利用地ができているのは、それはそのときに最適な計画としてやっていったのですが、時間が少しかかってしまったというところがあるので、初動のところでどこまで時間を縮めて、次の計画から次の工事に行けるかというところが大事だと思っていますので、こういったところは少し整理する必要があると思っています。
〇臼澤勉委員 ぜひ今回の既存事業である、例えば土地区画整理事業であったり防災集団移転促進事業についても、ここをもう少しこうやって改善したほうが今後、起こり得る災害のときに使いやすいものになるように、国、あるいは他の都道府県等ともそういった情報共有をする。県としての責務というか、国内外からあのくらい多くの支援をいただいて、今の岩手県の復興の姿があるわけでございます。まだ途上とはいえ、相当の投資もいただきながら、そして、雇用も生まれながら、ただ、まだ引き続き、沿岸地域、県北地域を中心に人口減少の波というのはまだまだとまらない状況にあります。
 ぜひ今まで整備されたものを有効に活用して、産業の振興や企業誘致も含め、県外からの人の誘客につなげていっていただけるように、シビルエンジニアの県土整備部として、ぜひそういった取り組みを引き続きお願いして、終わりたいと思います。
〇高橋こうすけ委員 私からは、県営住宅に関して幾つか質問させていただければと思います。
 岩手県で暮らす魅力を高め、移住、定住を促進するために、県営住宅のストックを活用し、移住希望者や若者などが安心して生活できる環境を提供するということで、さまざま事業がございますが、県営住宅活用促進モデル事業費について、まず現状をお伺いいたします。
〇小野寺建築住宅課総括課長 県営住宅活用促進モデル事業につきましてということでございますけれども、県営住宅活用促進モデル事業につきましては、令和5年2月末時点で6戸の入居をいただいているところでございまして、さらに、本年度内に1戸入居予定となっております。
 次に、この事業に関します認識でございますけれども、県営住宅活用促進モデル事業につきましては、入居者に対しまして、自治会活動に参加していただくということを条件に付しておりますけれども、住民においては、おおむね積極的に参加いただいているようでございますし、また、自治会からもアンケートの結果、好意的な声も聞かれているところでございますので、本事業の目的としております地域コミュニティーの活性化にはつながっていると認識しているところでございます。
〇高橋こうすけ委員 非常にいい取り組みだと思っておりますし、件数もふえているということなのですが、これはマックスどれぐらいまでやることができるのかということと、あと、今、試験的にやっているものだと認識しているのですが、今後どんな形で進めていくところなのかという認識がございましたら、お伺いいたします。
〇小野寺建築住宅課総括課長 県営住宅活用促進モデル事業につきましては、最大30戸貸し出すというような形で今、事業展開しているところでございます。
 こちらにつきましては、ホームページや県の広報誌等でいろいろ情報提供しながら募集の周知を図って、さらには、掲載する情報に住宅の間取りですとか写真を加えるといった改善もこれまで行ってきています。また、今年度からは、企業向けの貸し出しも行うことといたしまして、今のところ、複数の企業の方からお問い合わせを、まだ入居実現にはなっていないんですけれども、頂戴しているというところでございます。
 来年度からにつきましては、学生寮、学生さんが住んでいただくというところも検討しておりまして、引き続き、広く活用に向けた取り組みを行ってまいりたいと考えております。
〇高橋こうすけ委員 まだ件数が少しあきがあるということで、せっかく県営住宅のストックがあるということでこういった事業を進めておりますので、ぜひ周知のほうもしっかりしていただきたいと思います。
 また、学生寮、学生さんたちに向けてやるということで、学生さんにとっても、県営住宅にとってもいい流れになっていくと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いしたいと思います。
 もう一つ、いわてお試し居住体験事業、内容としては似たような形になると思うのですが、こちらのほうの現状もお伺いさせていただきます。
〇小野寺建築住宅課総括課長 いわてお試し居住体験事業の現状についてでございますけれども、いわてお試し居住体験事業につきましては、本年2月末時点で、こちらのほうは30戸募集をかけましたけれども、全30戸入居決定という形になっております。
〇高橋こうすけ委員 こちらのほうはマックスまで申し込みがあったということで、ことし予算をふやしてやるということでありますが、先ほどの県営住宅活用促進モデル事業費とこの事業との差がどのようになっているかという認識をお伺いしたいと思います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 いわてお試し居住体験事業につきましては、入居の募集を開始いたしまして短期間で満室になったということで、移住、定住のニーズは非常に高いという形になっております。
 先ほどの県営住宅活用促進モデル事業は、一方で、入居がまだ進んでいないという形になりますけれども、このいわてお試し居住体験事業は1年間の入居期間という形ですので、こういった方々が次の住まいのステップといたしまして、県営住宅活用促進モデル事業などを活用していただくということも想定しているところでございます。
〇高橋こうすけ委員 1年間ということで、その後に県営住宅活用促進モデル事業だったり、空き家のほうだったりという流れになるということだったと認識しております。今回のこの事業は需要があったということもあって、さらに予算をふやしたという認識でよろしかったでしょうか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 令和4年度における、いわてお試し居住体験事業費につきましては、当初、1、094万1、000円の予算のところを、9月補正後におきまして303万2、000円ほど増額いたしまして、全30戸におきまして募集をいたしまして、年度内に全て入居予定という形になっているところでございます。
〇高橋こうすけ委員 こちらの事業も二つの事業を含めてですけれども、現段階での課題だったり、問題点だったりというところはあるのでしょうか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 まず、県営住宅活用促進モデル事業につきましては、先ほど委員からも御指摘がございましたとおり、活用がなかなか進んでいないというようなところがございます。こちらにつきましては、先ほど御答弁させていただきましたとおり、お試し居住の次のステップとしての使い方、それから、PR、企業向けですとか、今後、幅広く活用に向けて取り組んでまいりたいと考えています。
 また、いわてお試し居住体験事業につきましては、全30戸、全ての入居申請をいただいているところでございますけれども、こちらの事業の最終目的といたしましては、1年間、岩手県にお試しで住んでいただきまして、その後、岩手県に本格的に移住してもらうというところが事業の目的としておりますので、こちらのほう、関係機関と連携しながら、岩手県に定住していただくということに努めながら、状況を注視してまいりたいと考えております。
〇高橋こうすけ委員 ぜひいわてお試し居住体験事業が終わった後に県営住宅活用促進モデル事業だったり、空き家のほうだったりということも含めて、一緒にPRしていって、皆さんに活用していただくのがいいのではないかと考えておりましたので、ぜひ若者世代とか県外からの移住、定住者のためにどんどんPRを進めていただきたいと思います。
 次の質問にいきます。公営住宅建設事業費についてお伺いさせていただきます。
 居住環境の改善に向けて、岩手県公営住宅等長寿命化計画に基づいた県営住宅の改修や修繕等を実施していると認識していますが、現状をお伺いさせていただきます。
〇小野寺建築住宅課総括課長 県営住宅の修繕につきましては、岩手県公営住宅等長寿命化計画に基づきまして、今現在行っておりまして、先ほど申し上げましたとおり、居住環境をよくするためのストック改善、それから、給排水、浴室がついていないという住戸も多くございますので、お風呂をつけるための改善、それから、エレベーターが老朽化してきておりますので、エレベーターの改善事業などに今現在取り組んでいるというところでございます。
〇高橋こうすけ委員 岩手県の県営住宅は1970年代後半から1980年代前半に建設されたものが多く、建てかえだったり修繕が必要な県営住宅というのは、集中してやっていかなければいけない時期が今後来る、もう来ているのかもしれないというところになっていると思っております。今後の老朽化により、改修だけではなくて、建物が古くてもう使うことができないというようなものも出てくるかと思うのですけれども、そういう場合に、もともと長く県営住宅に住んでいる方もいますし、高齢になればなるほど、この場所から離れたくない、今から引っ越しするのは大変だという声もあるかと思います。そういった方々に使えなくなる場合というのも含めて、しっかり説明もしていかなければいけないと思っているのですが、その辺の認識をお伺いさせていただきます。
〇小野寺建築住宅課総括課長 県営住宅につきまして、やはり御指摘のとおり、老朽化がかなり進んでいるところもございまして、先ほど申し上げました長寿命化計画におきまして、8アパート518戸につきまして、今後、集約、廃止に向けて取り組んでいくこととしたところでございます。
 それに伴います入居者対応についてということでございますけれども、県営住宅というものは、特に居住の安定が必要という方に対しまして、安心して住まいを確保することを目的に建設したものでございます。県では、廃止や再編に伴います住まいの移転が必要となる方に対しましては、引き続き、居住の安定が確保できますよう丁寧に対応していくことが必要と考えているところでございまして、これらの対応といたしましては、まずはアンケート調査によりまして、住まいの意向、この場にいたいといったところですとか、転居してもいいというような意向を把握した上で説明会の実施、それから、個別相談の対応、さらに、生活の環境の変化が小さくなるよう、同アパート内ですとか近隣の公営住宅を紹介するなど、取り組んでまいりたいと考えておりまして、さらには、移転費用に係る国への相談ですとか、なるべく入居者に負担にならないよう丁寧に進めてまいりたいと考えております。
〇高橋こうすけ委員 ただただ用途廃止にしていくということではなくて、住民の今後もぜひ考えて、丁寧に進めていただければと思っております。
 実は先日、県営住宅に住まわれている方と意見交換をさせていただいたのですけれども、今、長く県営住宅に住んでいらっしゃるという方ですが、今住んでいるところは、今後、用途廃止になって使えなくなってしまう予定のところだと聞いております。いろいろな要因があるとは思うのですが、その方は、できれば同じ地域に住んでいたいという思いもある。でも、老朽化というものはどうしてもかなわないので、それは仕方がないことだという話はしていたのですけれども、用途停止になったときに、経済的な意味でも、地域の活性化という意味でも、そこに建物がただあるだけで、何もなくなってしまうということは、地域に住む者として今後がすごく心配だという声がございました。
 そういった心配がある中で、県のほうで何か、用途廃止にするだけではなくて、例えば、民間との事業の連携や、ほかの土地の利活用ということも検討されているかどうかというところ、認識をお伺いしたいと思います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 委員から御紹介いただきました、地域の方から私どものほうにも御相談いただきまして、具体的には、地域の町内会の活動が人が減ることによって停滞してしまうですとか、寂しくなってしまうので、土地活用について住宅が建ってほしいとかという御意見を頂戴したところでございます。
 具体的に、用途廃止をしたアパートの跡地の利活用については、想定していませんけれども、アパートの用途廃止に伴いまして、その地域が衰退してしまう、廃れてしまうということがないように、その辺は地域の声も踏まえながら、跡地利用につきましては、幅広く検討してまいりたいと考えております。
〇高橋こうすけ委員 今、現段階でこういったお話が出てきているということもあるので、1カ所だけではなく、いろいろなところでそういった話が今後出てくると思います。ぜひ丁寧に対応いただきたいと思っております。
 この県営住宅に対して、用途廃止になるというところ、今後、県としてしっかり丁寧に対応していただきたいと思いますし、県土整備部長から一言、所感を伺いたいと思います。
〇田中県土整備部長 県営住宅は、老朽化が進んでおりますので、用途廃止はやや避けられない部分もありますが、いずれ住んでいらっしゃる方の住まいの確保は第一だと思っておりますので、そこはアンケートをしたり、直接聞き取ったり、あるいは、さっきお話があったとおり、もしかしたら跡地利用の話も出てくるかもしれませんが、いずれ幅広く声を聞いて、まず、丁寧に対応してまいりたいと思います。
〇高橋こうすけ委員 土地の利活用についても、さまざまできることがまだまだたくさんあると思いますので、そういったところも含めて、前向きに検討してくださるようにお願いを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
〇飯澤匡委員 それでは、定例の質問をさせていただきます。前の質問された方と質問がダブるかもしれませんが、質問の流れがあるので、済みませんが、そこら辺は御容赦をいただきたいと思います。
 このたび検討会議、国道343号笹ノ田地区技術課題等検討協議会という先ほどお話でしたが、設置するということについては、今までの答弁からは一歩進んだと思っています。その点については、本当に皆様方の御努力に感謝をしたいと思います。ただ、まだ決定をしたわけでありませんので、これからその推移もしっかり見守っていきたいと思います。
 それで、質問の順番を入れかえますが、一歩前に踏み出す方針を決定した最大の要因とは何なのか、この点についてお尋ねします。
〇田中県土整備部長 きょうも幾つか質問いただいておりますが、県の道路ネットワークの整備の最大の課題は、内陸部と沿岸部を結ぶ道路の機能強化であります。こうした課題も踏まえまして、令和3年6月に策定いたしました、岩手県新広域道路交通計画におきましては、国道107号や国道343号などを一般広域道路に位置づけております。
 この計画の公表後、物流や観光、それから防災面、それからILCの進展状況など、さまざまな観点で調査、分析を行ってまいりました。
 国道343号周辺におきましては、東日本大震災津波伝承館への県内外からの来場者数の堅調な推移、それから、陸前高田市への観光客数の震災前水準の回復、令和5年度政府予算におけるILC関連経費の倍増など、環境の変化があると捉えるとともに、笹ノ田地区周辺の地質状況が複雑であるといったことを把握したところでございます。
 こうしたことを踏まえまして、交通計画や法面防災などの専門家に参画いただく会議を設置し、具体的な検討を進めることにしたところでございます。
〇飯澤匡委員 最初から田中県土整備部長に答弁いただいて恐縮ですけれども、それで、私からは検討会議という名称にさせていただきますが、検討会議では、ただいま答弁がありましたが、本会議での知事答弁によると、整備の必要性というものも含まれていると。技術的課題については、法面であるとか地質的要項であるとか、これは理解できるのですが、検討内容が随分多岐にわたっているという印象です。これはかなり当局が会議に対して主導的に指導といいますか、具体的項目を明確に示していただかないと、なかなか方向性が見えないのではないかというのが私の印象ですが、まず、明確に示していただくとともに、検討会議は大体いつ設置をして、都合何回ぐらい開くことを目途としているか、お知らせください。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 検討会議におきましては、国道343号最大の隘路となっております笹ノ田峠付近の現道の課題や地形、地質状況等を踏まえた対策の必要性や対策を講じる場合の技術的な課題、効果等を取りまとめていく予定でございます。
 会議のスケジュールにつきましては、3月下旬に第1回協議会を開催し、国道343号の位置づけや利用状況、笹ノ田峠付近の現道の課題、地質状況等を示しながら、今後の検討の方向性について御議論いただく予定としております。
 検討会議自体は3月13日に設置しております。それ以降の開催につきましては、協議会で示された意見の内容やその対応状況を踏まえ、決めていくものと考えております。
〇飯澤匡委員 本会議の知事答弁で、整備の必要性というのが語句として出ているのですよね。これについても、この検討会議で盛り込まれる内容なのですか。確認します。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 整備に当たりましては、整備効果の確認が必要になってまいりますので、例えば、観光とか物流とか医療とか、さまざまな観点での必要な検討を行っていくという考えでございます。
〇飯澤匡委員 必要性、すなわち、その必要性につながっていくところが、新トンネル化における可否までこの検討委員会に諮問されるというのですか、その材料に含まれるのかどうか、この点はいかがですか。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 笹ノ田峠の現状の課題や必要性などを検討していきますので、その中で、どのような対策が必要かということを示していくことになるかと考えております。
〇飯澤匡委員 なかなか言いにくいというのは、よくわかりました。いずれ検討を進めるということについては、評価したいと思います。
 そこで、さらに確認をしたいのですが、これは1番目の質問です。検討会議を設置するというのは、今までの方針より、何回も言いますけれども、一歩前進したわけですから、時系列で部内の検討、議論の過程を示していただきたいと思います。
〇田中県土整備部長 これまでの答弁では、ILCの進展や復興道路全線開通に伴う利用状況も見極めながら、整備の必要性について検討していくというような答弁をさせていただいております。
 最初の御質問と少しかぶりますが、令和3年6月に策定いたしました県全体の広域的な道路ネットワークの長期的な構想であります、岩手県新広域道路交通計画では、陸前高田市と一関市間の連絡強化を図る路線といたしまして、国道343号を一般広域道路に位置づけております。
 その後、令和3年12月の復興道路全線開通もありまして、国道343号は、これまでに県内外から60万人を超える多くの方々に来館いただいております東日本大震災津波伝承館と平泉の世界遺産を結ぶ、教育や観光振興等を支える路線としての重要性も高まってきているという認識をしたところでございます。
 また、令和5年度政府予算におきまして、ILC関連経費の倍増やILC実現建設地域期成同盟会の設立など、ILCを取り巻く環境が変化してきているという認識でございます。
 このほか、急カーブや急勾配が連続する笹ノ田峠付近の国道343号には、トンネル、橋梁が相当数連続しております。それぞれ5年に一度の点検を行っておりまして、老朽度に応じた対策を講じております。
 現在のところ、一定の健全性を有しておりますが、建設時からの経過年数を見ますと、33年から53年となっておりまして、今後の老朽化の進展による影響も懸念されると判断したところでございます。
 さらに、笹ノ田峠周辺の地質を文献により調査した結果、複数の断層の存在など、複雑な地質状況であることを把握いたしております。
 いつというのはなかなか言いづらいところもありますが、このような状況を踏まえまして、検討協議会を設置するといったことになっております。
〇飯澤匡委員 経過、熟慮した内容についてはよくわかったのですが、その方針を熟慮した上に、部内として方針を決定したのはいつですか。それを示してください。
〇田中県土整備部長 ことしの1月ごろです。
〇飯澤匡委員 わかりました。ことしの1月ということですね。部内の皆さんの真摯な検討について、改めて敬意を表したいと思います。
 私は、国道343号については、平成11年の当選以来、最初に大原バイパス等の質問をさせていただいたのが竹内土木部長でありまして、その後、皆様方には大原バイパス、渋民工区と期成同盟会が要望したところについては着実に、時期のいろいろな問題はありますけれども、しっかり整備していただいたと思っております。
 このトンネルについて定例化したのは、平成25年の若林県土整備部長のときからでありまして、今、数えたら、都合、田中県土整備部長まで8人の部長さん。その前にもやっていますけれども、いずれ一歩踏み出したということです。まだ調査費もついていない状況ですので、もちろんこれから財源のこともあります。ただ、問題点、課題を洗い直して検討会議をしたということは、その推移も私はこれからもしっかりと見守っていきたいと思いますし、一歩踏み出したということは、皆様方もそういう思いでなされているだろうと推察いたしますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 佐々木茂光委員からもお話があったように、やはり横軸道路、今、復興支援道路という位置づけでありますが、県内にとっては内陸部との横軸連携は必要不可欠ですから、それは県土整備部長からもお話があったとおりでございまして、なお一層の推進を図るように、改めてお願いしたいと思います。
 2番目の質問ですが、渋民工区で今、一関市が中心となって進めている国道343号の道の駅の整備について、一関市との協議内容について、どのような状況になっているか示してください。
〇菅原道路環境課総括課長 国道343号渋民バイパス沿線に整備しております道の駅の進捗状況等でございますけれども、昨年の4月に道路管理者であります県と地域振興施設を整備いたします一関市とが締結いたしました基本協定に基づきまして、県が駐車場、トイレなどの休憩施設や道路情報提供施設の整備に要する費用を負担することといたしまして、一関市において全体の設計と工事等を行うこととしているところでございます。
 現在、一関市におきまして、施設の耐震化、無停電化などの防災機能を有した道の駅として、休憩施設、地域振興施設の建物に係ります実施設計について、今年度末までに終えるよう進めていると承知しております。
 また、工事につきましては、1月に用地の取得が完了したということでございまして、市において敷地造成工事を発注いたしまして、既に工事に着手しておりまして、ことし9月ごろの完成を目途に工事を進めていると承知しております。
〇飯澤匡委員 土地の買収については、随分地元の自治体も御苦労されたと聞いておりまして、今、御答弁があったとおり、ようやく順調に進んでいるということですので、この点は市側との協議をこれからも密にしていただいて、進捗方を図っていただくようにお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時22分 休憩
午後2時42分再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 それでは、災害公営住宅の課題について質問します。
 災害公営住宅の高齢化の状況、集会所の活用状況、コミュニティーの形成についての取り組みはどうなっていますか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 災害公営住宅の高齢化の状況、集会所の活用状況とコミュニティーの形成についてですが、県営災害公営住宅における高齢化の状況につきましては、令和4年12月末現在で、災害公営住宅に入居している1、473世帯のうち、65歳以上の高齢者を含む世帯は835世帯、56.5%となっています。そのうち、高齢者のひとり暮らし世帯は514世帯で、全体の34.8%となっているところでございます。
 次に、集会所の活用状況についてでありますが、県が管理している災害公営住宅29団地における令和4年度第3・四半期の一月当たりの集会所の活用状況は、ゼロ回が2団地、1回から4回が22団地、15回から20回が5団地となっているところでございます。
 コミュニティーの形成につきましては、県営災害公営住宅31団地での自治会の組織状況については、28団地で組織済みとなっております。残る3団地におきましては、自治会自体は組織されておりませんけれども、市町村や支援団体等と連携したコミュニティー形成支援によりまして、それらの団地におきましても、班長会や世話人会などが発足するなど、コミュニティーの形成が一定程度図られているものと認識しております。
〇斉藤信委員 今、高齢化の状況が明らかになりました。独居世帯が34.8%、3分の1以上がひとり暮らしです。65歳以上の入居者が1、027人で40.4%、深刻な高齢化が進んでいる。実は、災害公営住宅における孤独死、令和4年度は県内22人で、これは過去最多であります。そして、この間、12年間で孤独死は103人なのですね。この5年間で実に87人、この5年間で本当に20人前後になって増加している。私がコミュニティーの形成がどうなっているかと聞いたのは、こういう深刻な状況がますます進行しているということです。
 そして、コミュニティーの一つの指標は、災害公営住宅の集会所がどう使われているかということだと思います。私は何度もこれを取り上げているけれども、阪神淡路大震災で孤独死が発生した。このことを教訓にして集会所、そして支援員の事務室まで整備をされたのが今回の災害公営住宅だった。
 今、答弁があったように、実は、月1回しか使われていないというのが11団地あるのです。ゼロ回が2団地でしょう。2回というのが7団地ぐらいあります。月1回しか集会所が開かれていないということは、そこで人が集まっていない。行事も組まれていない。これは本当に阪神淡路大震災の教訓が生かされていないということだと思うのです。
 せっかく整備をされた集会所の状況をどう受けとめていますか。そして、それが活用されているところもあります。どういうところが活用されているのか、どういう支援があれば活用されるのか、そのことについてお聞きしたい。
〇小野寺建築住宅課総括課長 災害公営住宅に整備いたしました集会所の管理ですけれども、管理につきましては、基本的には、当該アパートの自治会にお願いしているところでございます。
 また、あわせまして、どういうところが活用されているかというところでございますけれども、活用されているところにつきましては、基本的には、そのアパート自体の自治体活動が盛んなところ、それと、または支援団体がきちんと入って入居者に対する見守りですとかの支援をしているところと認識しております。このようなところにつきましては、市町村の社会福祉協議会などと連携いたしまして、基本的には、県の集会所につきましては、自治会と協議して使ってくださいというようなところを指定管理者を通じまして、きちんと伝達しているところでございます。
〇斉藤信委員 私は、余りにも受けとめが弱いと思いますよ。率直に言うけれども、そんなことで総括課長は務まりませんよ。
 自治会は28つくられているのです。単独だと14ですね。一応、形は自治会がつくられているけれども、私がさっき言ったように、集会所は月1回、2回しか使われていないのです。十分な活動がされていないという証明なのです。
 それで、積極的に使われているところはどこか。それは、支援員が配置されているところなのです。山田町の大沢20回、大槌町の上町20回、みどり町15回、南青山16回、唯一、自力で頑張っているのは陸前高田市の栃ケ沢20回、さまざまなサークルをつくって、本当にここは自治会が頑張っているところ。今、私が紹介したところは支援員が配置されているところです。支援員が援助に入って、そして、いろいろな行事を組み立てて入居者が来られるようにしている。
 つい最近、災害公営住宅自治会の交流会が仙台市で開かれて、岩手県の災害公営住宅からも参加をしました。一番の悩みは、自治会の担い手をつくれない。そして、もう一つは高齢化です。震災から12年たっているのだから、70歳だった人は82歳です。60歳だった人は72歳です。そして、頑張っているところでもこういう報告がありました。副会長、総務部長、防犯部長、家賃が値上がって退去せざるを得なかったと。いわば自治会の中枢で頑張っていた人が退去するという事態も少なからず生まれております。
 私はそういう意味で、丸12年たって、自治会は形づくられたけれども、十分なコミュニティー形成がされていない。そして、一方で、生活相談支援員が配置されたところはそれなりに集会所が使われてコミュニティーの形成、見守りなどについても成果を上げている。この事実を見て、違いを見て、私は本当に今度の東日本大震災津波は、新しく整備をされた集会所や支援員の事務室が使われたと、こういう教訓をつくらなかったら、何のために集会所を整備したかわからなくなってしまう。東日本大震災津波、特に災害公営住宅のコミュニティーの形成にとって、私はここが大きなポイントになると思っておりますが、いかがですか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 委員御指摘のとおり、集会所の活用が多い災害公営住宅につきましては、支援員の配置ですとか自治会活動そのものが活発というところは認識しております。災害公営住宅に集会所をつくる際には、普段よりも大きめの集会所、また、相談員等が常駐できるというようなところも狙ってつくっているところでございまして、こちらを使っていただくということは、非常に大切だと考えております。
 こちらのほうにつきましては、積極的に活用していただくよう、現在、建築住宅課といたしまして、岩手県立大学と地域課題共同研究というところで、地域のコミュニティー形成をどうしていったらいいか、やはり委員御指摘のとおり、担い手不足、高齢化というところの認識はございますので、この辺につきまして、ぜひとも共同研究を通じまして、県内の災害公営住宅、または公営住宅のほうにそういった取り組みを水平展開できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 違いが出ているわけだから、そこはしっかり受けとめて、本当に孤独死が出ないように、コミュニティーが形成されるように、そして、3世帯に1世帯以上がひとり暮らしの高齢者ですから、見守りがしっかりやられるような体制をつくって、これを今後に生かしていくということをぜひ考えていただきたい。
 それで、もう一つの問題は家賃問題であります。収入基準を引き上げたということは、私は評価をしますが、残念ながら、それでも対象にならない収入超過者がおられます。収入基準の引き上げによって対象になった世帯、ならなかった世帯、そして、その結果、退去された例はどのぐらいあるか示してください。
〇小野寺建築住宅課総括課長 収入基準の引き上げ対象世帯とならなかった世帯の状況についてでございますけれども、県営災害公営住宅におきまして、令和4年4月から実施いたしました収入基準の引き上げによりまして、引き上げ前であれば収入超過基準を超える収入のあった72世帯のうち、60世帯が昨年12月末時点で収入超過認定の対象から外れたという形になっております。
 また、収入基準の引き上げ後も収入超過認定されている世帯は27世帯という形になっています。
 なお、県では、退去に際して理由を求めておりませんので、収入超過が原因で退去したというような方々の数は承知していないところでございます。
〇斉藤信委員 決算特別委員会のときには3人という答弁をしていますから、わからないことはないので、恐らく年度初めで値上げで退去せざるを得なかった、少なくとも3人は、決算特別委員会での答弁ですよ。だから、今になってわかりませんではだめなのだね。もっと誠意ある答弁をしっかりやっていただきたい。
 それで、いまだに27世帯が収入超過世帯で、これは最高額の家賃。私は被災して、ついの住みかとして入ってきた人たち、特に被災者については、何度も提起していますが、既に陸前高田市が実施しているみなし特定公共賃貸住宅の制度、もしくは、答弁にもあったけれども、目的外使用、いずれにしても、家賃が上がることによって退去せざるを得ない、このことは解決しないとだめなのではないかと思いますが、いかがですか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 委員から御紹介いただきました、みなし特定公共賃貸住宅制度の導入についてでございますけれども、制度の導入に当たりましては、これまでも答弁させていただきましたけれども、被災者や本来対象とする所得階層の入居に影響を与えないということが条件になります。
 県では、被災者用の住戸を確保した上で、令和2年7月から一般の方向けの入居募集を開始いたしまして、これまで239戸の入居がございました。これら一定のニーズが認められることから、みなし特公賃制度というものになりますけれども、こちらを導入した場合、本来入居対象となります所得階層の方の入居に対する影響が懸念されるというところがございます。
 一方で、被災された方が安心して住み続けられるための制度といたしまして、令和4年4月から、紹介いただきました、収入基準のほうを15万8、000円から25万9、000円という形で引き上げさせていただきまして、さらには、高額所得者といった方々に対しましては、退去を求めないという措置もあわせて講じているところでございます。
 こういった方々が安心して住み続けられるために、こちらのほうにつきましては、まずは改定状況等の状況把握に努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 収入超過世帯、認定が27世帯でしょう。私は一般化しろと言っているのではないのです。被災者として入居された方々が、ついの住みかで今まで頑張ってきた。そういう方々が入居継続できる手だてをとるべきではないかと言っているのです。いいですか。12月末現在で、県営災害公営住宅287戸あいているのです。こんなにあいているのに、これから高齢化でもっとあきますよ。今、若い人達をどうやって入れるかという対策を考えなかったら、本当に深刻な高齢者住宅になってしまう。空き室がいっぱいの住宅になってしまう。今、そういう手だてをとるべきではないでしょうか。若い人たちをどうやって災害公営住宅に入居するか。今、手を打たなかったら、5年後、10年後、どんどん今の高齢者はいなくなってしまいますよ。今、手を打つべきなのではないか。287戸も空き室があるのですよ、今。だから、陸前高田市などはそういう手だてをいち早く打って、現役世代も入居できるようにしているわけです。そういう危機感を持って対応するべきではないですか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 災害公営住宅の空き室がふえていくことにつきましては、高齢化した方が退去するなどの影響もありまして、ふえていくというところは認識しております。
 県のほうでは、先ほど申し上げましたとおり、なるべく退去しないという方向といたしまして、収入基準の見直しを行ったところと、あわせまして、委員御指摘のとおり、若い方の入居におきまして、コミュニティーの活性化というところもあわせて行いたいということで、令和3年度から県営住宅活用促進モデル事業というものを災害公営住宅も含めました県内全域で行っているところでございますし、あわせて、本年度から行っています、いわてお試し居住体験事業も活用しながら、若い人になるべく県営住宅に住んでいただくというような取り組みを継続して行ってまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 お試し居住体験事業はたった1年なのですよ。だから、それでは定着にならないのです。定着のきっかけにはなるかもしれない。私が言っているのは、今、入居している被災者の方々を追い出すようなことをまずやめるべきだということ。これは世帯が限定されているのだから。その上で、現役世代で、それこそ低所得者のボーダーラインで生活している方々が少なくないわけだから、そういう方々も入居して、例えば今、東京都だとか全国で自治会活動に参加するというので学生の入居を認めたり、若者の入居を認めるということをやっていますよ。そういうことを災害公営住宅を持っている岩手県が新しい取り組み、経験をつくるべきではないですか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 目的外使用によります災害公営住宅の活用というところになりますけれども、委員から御紹介いただきましたとおり、学生の入居、それから、さまざま企業に対して貸すとか、いろいろな取り組みが考えられるところでございまして、国のほうからも、災害公営住宅の空き家の増加に伴いまして、復興庁のほうから紹介をいただいているところでございます。
 これら新しい取り組みをいろいろ、どういったものがいいかというところを判断いたしまして、今後、さまざまな形で拡大してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 私が提起した問題は、今すぐ手だてを打つべき課題として提起しております。だから、長々と検討、検討ということでは対応できない。そういう問題としてぜひ受けとめて、しっかり対応していただきたい。終わります。
〇千田美津子委員 私からは、防災、減災対策について何点か御質問いたします。
 まず、1番目に通告しておりました盛り土対策については、今回は割愛いたします。
 河川改修事業についてお聞きをいたします。これまでの整備の進捗状況、それから、新年度は当初予算が減額されておりますけれども、新年度の見通しについて、まずお聞きいたします。
〇馬場河川課総括課長 河川改修事業についてですが、県管理河川の整備率は、令和3年度末で51.9%となっているところでございます。
 直轄河川事業負担金を除いた河川改修事業費は、令和5年度当初予算案約24億7、000万円に加え、先議いただきました国土強靱化に資する補正予算、約55億5、000万円と合わせた約80億2、000万円であり、これによりまして、広瀬川など26河川の河川改修を行うこととしています。
〇千田美津子委員 それで、今後については、新年度は80億円を超えるという状況にありますけれども、単年度当初予算で減った理由について、もう少し詳しく御説明いただきたいのと、それから、令和5年3月末では整備率とすればどの程度になる予定かお聞きいたします。
〇馬場河川課総括課長 令和5年度当初予算案と令和4年度当初予算の比較についてでございますが、令和4年度当初予算と比較いたしますと、約24億9、000万円の減額となっておりますが、この理由は、主に平成28年台風第10号により被災しました小本川の事業進捗が図られたことに伴う減でございます。
 河川整備率の見込みについては、確認の上、御答弁いたします。
〇千田美津子委員 それでは、よろしくお願いいたします。
 当初予算の減については、小本川などの一定の見通しがついたということで、これから当初予算的にはこのペースで移行していくということの理解でよろしいか、その点お伺いいたします。
〇馬場河川課総括課長 当初予算につきましては、小本川等の河川激甚災害特別緊急事業等につきましては、予算化は令和4年度までとなっておりましたので、おおむねこのペースで進めさせていただきたいと思っておりますが、引き続き、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の予算も活用しながら、近年、被害があった箇所、人口や資産等が集中している箇所を優先しまして、着実に河川改修を進めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 洪水被害の防止、軽減を図る上で大変大事な事業でありますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは次に、砂防事業及び総合流域防災事業についてお尋ねいたします。
 まず、総合流域防災事業の現状と新年度の見通しについてお聞きいたしますし、また、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等の指定に要する基礎調査及び繰り返し基礎調査を実施されるようでありますけれども、今後どのように進められる予定かお聞きいたします。
〇戸来砂防災害課総括課長 総合流域防災事業を活用しました土砂災害警戒区域等の指定に係る基礎調査についてですが、この事業の中で、既に指定済みの土砂災害警戒区域を対象としました二巡目となる基礎調査に加え、令和4年9月に公表した新たな土砂災害が発生するおそれのある箇所を対象に基礎調査実施することとしております。
 二巡目となる基礎調査につきましては、1万3、305カ所のうち、令和5年3月末に約5、700カ所が終了する見込みであり、令和5年度は約2、600カ所の調査を予定しております。
 また、新たな、土砂災害が発生するおそれのある箇所に係る基礎調査につきましては、令和5年度から着手することとしておりまして、約2、800カ所の調査を予定しているところであります。
〇千田美津子委員 これまで指定をした1万3、305カ所を二巡目の調査ということで理解いたしました。昨年9月30日に新たな土砂災害が発生するおそれのある箇所が岩手県としては5、668カ所公表されて、私も驚きましたが、いわばこれらについて、5年度中は徹底したというか、高精度な調査が行われるという理解でよろしいでしょうか。
 それから、土砂災害防止法では、基礎調査をおおむね5年に1回実施するという方針があったと思いますけれども、この間の1万3、305カ所の指定等も大変だったわけですが、今後どのように市町村と連携をして指定をしていくかが非常に問われるわけですが、この点についてもお聞きしたいと思います。
〇戸来砂防災害課総括課長 まず、昨年9月30日に公表しました、新たな、土砂災害が発生するおそれのある箇所5、668カ所につきましては、令和5年度から土砂災害警戒区域の指定に必要な基礎調査を実施していくというものでございます。なお、昨年度公表しました、高精度な地形情報に基づくこれらのおそれのある箇所につきましては、全県の約5割程度の範囲のものでございまして、来年度、新たに高精度な地形情報に基づく危険箇所の抽出もあわせて進めることとしております。
 それから、今後、これらの箇所を指定していくに当たってどのように進めていくかということですけれども、5、668カ所全てを指定するにはかなりの時間と労力が必要となっておりますが、今後、基礎調査を実施いたしまして、その調査結果を市町村と共有するとともに、市町村の防災部局や建設部局と一体となって住民説明を行うこととしております。
 引き続き、市町村と綿密に連携を図りながら、土砂災害の危険性や避難の重要性などについて、地域住民の理解を得ながら、土砂災害警戒区域の早期指定に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 これまでも非常に頑張っていただいたわけですが、何といっても住民の生命、安全を守るという点で非常に大事な仕事になりますので、ぜひ連携を深めながら、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 それで、砂防事業で二つ目として、土石流による被害を防止する上で、土砂災害への事前の対応が非常に大事だなと思います。土砂災害危険箇所はどれくらいか。また、それらを整備していく必要のある箇所数はどれくらいか。また、砂防堰堤等の整備状況と新年度の見通しについてお聞きいたします。
〇戸来砂防災害課総括課長 土石流危険箇所の整備状況についてでございますが、土石流危険箇所7、198カ所のうち、保全人家5戸以上などの要整備箇所2、204カ所に対する今年度末の整備状況は、整備済みが228カ所、その整備率は10.3%となる見込みでございます。
 また、新年度の対応と見通しについてですが、来年度末におきましては、237カ所の整備を目指しておりまして、その整備率は10.8%となる見込みでございます。
〇千田美津子委員 新年度237カ所やっても0.5%上がる、大体1カ所に要する事業費も日数も相当かかるということで、少しずつではありますけれども、ぜひこれも引き上げるようにお願いをしたいなと思います。
 では次に、土砂災害警戒区域等の指定の状況について、お尋ねをいたします。
〇戸来砂防災害課総括課長 土砂災害警戒区域の指定状況についてですが、指定が必要な土砂災害警戒区域1万3、305カ所、土砂災害特別警戒区域1万2、384カ所につきましては、昨年12月に全て指定が完了しているところでございます。
〇千田美津子委員 全て指定が完了しているということなのですが、土砂災害警戒区域のうち、土石流では約9割が特別区域になっていますし、急傾斜地の警戒地域では、ほぼ全区域が特別警戒区域となっています。県民にとって警戒区域と特別警戒区域の違いがなかなかわからないのですが、それらはどのように住民の皆さんに周知をされ、対応されているのかお聞きしたいと思います。
〇戸来砂防災害課総括課長 土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域の住民への周知についてですけれども、まず、指定に先立ちます住民説明会において、基礎調査の結果を住民に説明いたしまして、土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域の指定によって、どのような規制等が出てくるのか、そういったところも含めまして説明をしているとともに、県のホームページにおいても、警戒区域、特別警戒区域の指定後の内容について周知しているところでございます。
〇千田美津子委員 それでは、次に行きます。
 急傾斜地崩壊対策事業でありますけれども、これも急傾斜地の崩壊による被害を防止していくということで、大変重要な事業でありますけれども、急傾斜地危険箇所数及び要整備箇所の数、そして、整備率についてお知らせください。
 それから、新年度の対応と見通しについてお聞きいたします。
〇戸来砂防災害課総括課長 急傾斜地崩壊対策事業についてですが、急傾斜地危険箇所6、959カ所のうち、要整備箇所1、599カ所に対する令和4年度末の整備状況は、整備済みが292カ所、その整備率は18.3%となる見込みであります。
 また、新年度の対応と見通しについてですが、新規2カ所を含む8カ所で事業実施を予定しておりまして、令和5年度末においては、整備率は18.3%となる見込みとなっております。
〇千田美津子委員 砂防事業を全部聞いてから、まとめて再質問いたします。
 次に、地すべり対策事業でありますが、地すべり防止区域内にある土砂災害発生防止のため、集水井工や鋼管杭工などの地すべり対策を実施するとありますけれども、現状と新年度の見通しについてお聞きをいたします。
〇戸来砂防災害課総括課長 地すべり対策事業についてですが、地すべり危険箇所191カ所に対する令和4年度末の整備状況は、整備済みが17カ所、その整備率は8.9%となる見込みです。
 また、新年度の対応と見通しについてですが、令和5年度におきましては、八幡平地区1カ所で引き続き事業実施を予定しているところであります。
〇千田美津子委員 今まで御答弁いただいたそれぞれの事業が危険箇所が非常に多くて、進捗がなかなか難しい面があるわけですが、引き続き、予算の確保もありますし、ぜひそういうのでお願いしたいわけですが、今までの答弁を聞いていますと、砂防事業は進捗は10.3%、急傾斜地の整備率が18.3%、地すべり対策が8.9%となっております。さきほども言いましたように、お金も、年数も相当のスパンで見て取り組む必要があると思いますが、これらの整備の見通しをどのように持っておられるかというのが一つ。
 それから、これまで、令和3年1月から12月までの1年間に全国では、42都道府県で972件の土砂災害が発生しています。そして、さらに私、10年ごとの災害の発生件数を見たのですけれども、昭和57年から平成3年までの10年間では、平均して年897件、平成4年から平成13年までの10年間で平均930件、平成14年から平成23年までの10年間で平均1、150件発生、そして、平成24年から令和3年までの10年間で平均1、450件発生しております。最初の10年間、40年前に比べると、災害の発生は1.6倍になっています。それから、前期の平成14年から平成23年までの10年間が平均1、150件だったわけですが、それが今期は1.3倍にということで、皆さんのさまざまな努力を笑うかのように、災害はとてもふえている。
 そういった意味で、これらの事業、そして指定、ソフトと合わせた整備が本当に重要になってくると思いますが、これらについてどのようにお考えでしょうか。これは県土整備部長にお聞きしたいと思います。
〇田中県土整備部長 委員からお話があったとおり、雨の降り方が、どんどん激しくなってきています。それに伴いまして、河川の浸水被害、土砂災害の数も当然ふえてきているものだと思っております。土砂災害につきましては、既に警戒区域を指定しているところ以外でも、例えば、台風19号では、発生したうちの2割ぐらいが土砂災害警戒区域以外だと承知しておりますので、いずれ高精度な地図情報によって、危険な箇所をまずピックアップするといったところで、それをまず住民の皆さんに伝えていくというのが大事だと思っていますし、並行してハード、優先順位を当然設定しながら、着実に進めていく必要があると思っています。ハードをやるにもソフトをやるにも、いずれ予算の確保が大事でありますので、国土強靱化の5か年加速化対策は令和7年度までですから、令和8年度以降にも国土強靱化の国の事業が続くように、これからも国に強く働きかけていきたいと思っております。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇馬場河川課総括課長 先ほどの御質問の河川整備率の見込みについてということでございます。河川整備率につきましては、いわて県民計画(2019〜2028)のアクションプランの指標値となっておりまして、第2期アクションプランのほうが今、最終案ということで県から公表されております。その中で、令和5年度末ということですが、目標値ということで整備率は52.3%という値を示しております。
〇小野寺建築住宅課総括課長 先ほどの斉藤信委員の質問の答弁を補足させていただきます。
 収入基準引き上げ見直し後の退去の数というところでございますけれども、令和4年4月の収入基準引き上げ後も収入超過認定されている世帯で、令和4年4月1日以降に退去した例は3名という形になっておりますが、退去理由につきましては、退去の際に確認しておりませんので、収入超過が要因かどうかわからないというものでございます。
〇小林正信委員 老朽化したインフラ対策についてお伺いしたいと思います。
 2012年に山梨県の中央自動車道の笹子トンネルで天井板が落下し9人が亡くなられた事故から、国土交通省は、ふぐあいが生じた後に修繕する事後保全から、老朽化が進む前に補修する予防保全型のメンテナンスへの転換を図り、2014年から全ての橋とトンネルで5年に一度の点検を義務化した。岩手県においても、予防保全型のメンテナンスを実施しているところと思いますけれども、県内の橋とトンネルの点検結果、これがどうなっているのかお伺いいたします。
〇菅原道路環境課総括課長 県管理道路の橋梁、トンネルの点検結果についてでございますが、道路法では、橋梁やトンネルなどの道路施設につきまして、5年に一度のサイクルで点検を行いまして、施設の損傷度に応じて4段階に区分した判定を行うよう定めているところでございます。
 令和3年度までの直近5カ年の点検結果は、橋梁につきましては、緊急的な措置が必要な区分IVの施設はございませんが、早期の措置が必要な区分IIIは260橋、予防的な措置が必要な区分IIは1、484橋、健全で措置が必要のない区分Iは995橋となっております。
 また、トンネルにつきましては、区分IVの施設はございませんが、区分IIIは66カ所、区分IIは93カ所、区分Iは20カ所という点検結果の状況になっております。
〇小林正信委員 橋については、区分IIIが260ということで結構な数であるという気がいたしますし、また、区分IIも1、484ということで、また、トンネルも同じように、区分IIIも相当の数があるということで、予防、保全という部分では今後、力を入れていかなければならないと考えております。
 特に、地方においては、維持、管理に必要な人材や予算がやはり不足している。老朽化のスピードに追いつかないことが懸念されている。特に、小規模な自治体ほどその傾向が顕著で、国土交通省の有識者会議においては、市町村を超えた広域的な維持管理の枠組みづくりを提言しております。また、予算が減り、市町村ではなかなか技術職員を雇えない、技術職員が5人以下の市町村は全体のおよそ5割、1人もいない自治体は4分の1を占めている。岩手県の市町村においても同様の課題があるところと思います。
 県としても、広域による維持管理についてのアドバイス、人材の育成、確保、あるいは派遣を考える等々、そういったところの支援もできると思うのですけれども、老朽インフラ対策における市町村との連携、また、支援についてお考えをお伺いします。
〇菅原道路環境課総括課長 市町村の老朽化いたしましたインフラ対策の連携、支援等についての御質問でございますが、県内の市町村におきましては、約9、800橋の橋梁を管理しております。委員御案内のとおり、全国的に、特に小規模な市町村におきまして、技術職員の不足等により計画的な老朽化対策の実施が課題となっていると承知しております。
 このため、県では、各道路管理者が相互に連絡、調整を行いまして、老朽化対策の体制強化を図ることを目的といたしまして、国、県、市町村などの県内全ての道路管理者で構成いたします、岩手県道路メンテナンス会議を平成26年度に設置しているところでございます。
 今年度は8月と2月に全体会議を開催いたしまして、老朽化対策に係る国の補助制度などの情報共有、あるいは、ドローンなどの新技術の活用事例に関する意見交換などを行ったほか、10月と12月には、主に市町村職員を対象といたしました老朽化した橋梁の架けかえ工事や橋梁点検の現地講習会を開催し、技術力向上にも取り組んでいるところでございます。
 また、これらの取り組みに加えまして、市町村が長寿命化修繕計画を策定する際には、県として技術的な指導、助言を行っておりまして、今後とも、国や他県の事例等も参考にしながら、市町村の老朽化対策が着実に進むよう支援に努めてまいります。
〇小林正信委員 国も入っているメンテナンス会議の実施はすばらしいことだと思います。全日本建設技術協会の大石会長さんが、技術的な知見を持っているのは国土交通省、特に出先機関にもしっかり知見を持っている方が多いということで、この国土交通省の出先機関が地方の相談役になってもらえればいいのではないか、そのような考えを示しております。
 先ほどメンテナンス会議も年2回開催されているということですが、日ごろから、例えば、地方整備局との連携、国との連携をもっと密にして、さまざまな知見を活用してやっていく必要もあると。県、国、そして市町村がしっかり連携していく必要があると。さまざまな知見を活用する。また、人材不足は職員の連携でカバーするという考えで老朽化対策に取り組んでいただければということをお願いしたいと思います。
 もう一点、いわて花巻空港について、私、先日の質疑で、岩手県、東北地方の観光においては自家用車、あるいはレンタカーによる周遊を考える方が多いというような調査結果を紹介させていただきました。インバウンドの回復、あるいは岩手県への注目が高まっている中、いわて花巻空港を起点にした車による周遊、これが今後ふえてくる、あるいは、既にふえてきている状況も伺っております。
 そうした中で、いわて花巻空港の魅力化、あるいは利用者の利便性向上という観点から、県土整備部が所管されておりますので、駐車場の整備状況にお伺いしたいと思います。
 いわて花巻空港の駐車場は1、150台が無料でとめられる駐車場。しかしながら、年末年始、あるいは観光シーズン等には満車になって、通路に車をとめたり、臨時駐車場を準備しないとならないといった課題、また、空港利用者以外の車両が長時間、あるいは長期間停車している等、課題もあるように見受けられます。駐車場の利用状況について、まずお伺いしたいと思います。
〇中嶋特命参事兼空港管理課長 いわて花巻空港の駐車場の利用状況についてという御質問でございます。
 委員から御紹介があったように、いわて花巻空港では1、150台の無料駐車場を整備しているところでございます。その利用状況につきましては、定期巡回時に目視により確認した数字ということになりますが、令和3年度の実績で申し上げますと、延べ約13万1、000台、1日当たりの平均といたしますと358台となっており、これが令和4年度2月末現在ですと、1日当たりの平均が559台となっている状況でございます。
 一方、こちらも委員のほうから既に御紹介がございましたけれども、ゴールデンウイーク、お盆、年末年始の長期の休暇期間においては、駐車場が満車になる日がどうしても生じているといったような状況でございます。
〇小林正信委員 令和3年度と令和4年度の1日当たりの駐車台数が結構ふえているのですけれども、これは何か理由といったところは把握していらっしゃるのか伺います。
〇中嶋特命参事兼空港管理課長 1日当たりの平均利用台数ですけれども、こちらのほうは、やはり空港利用者と基本的には連動していると考えております。令和3年度は新型コロナウイルス感染症の影響で定期便の減便ということがございましたが、令和4年度に入りまして、全便復便しているという関係で、利用者の増加に伴って駐車のほうもふえてきていると認識しております。
〇小林正信委員 やはり駐車がどんどんふえてきているということもある。私が伺ったところだと、5年間ずっととまっている車があるとか、あれは何なのだと。そんな話も聞いたりして、駐車場をしっかり県としても見ていっていただきたいというところもございます。
 自動車による岩手県内の周遊促進によって、岩手県、東北地方への観光客の滞在日数をふやしていくことも重要と思っております。また、それによって地域にお金を落としてもらう。これを考えたときに、いわて花巻空港におけるレンタカーの利用が大事であると思います。聞くところによると、岩手県が注目されている今、レンタカーを借りたいという問い合わせが多くあるけれども、レンタカーが準備できない、断っているという状況があると空港のレンタカー会社からも伺いました。せっかく広い岩手県を車で観光しようという機運が今、高まっているという状況で、非常にもったいないと感じているところであります。
 また、レンタカーのカウンターから車までの距離がとても長い。屋根がないので荷物が多い観光客利用者にとっては不便な状況がある。また、車椅子など障がいがある方にもやさしくない空港だというような声もあるようです。観光客、利用者のニーズに対応した利便性向上について、お考えをお伺いしたいと思います。
〇中嶋特命参事兼空港管理課長 レンタカー利用者の利便性の向上についてということでございますけれども、委員御指摘のように、レンタカーを含めた二次交通の充実ということが、いわて花巻空港の利用促進に非常に重要であると認識しているところでございます。やはり空港利用者の増加に伴いまして、レンタカー利用者や回復傾向にございまして、今後さらなる利用が見込まれていると認識しております。
 一方、先ほど御答弁させていただきましたとおり、ゴールデンウイークといった長期休暇の期間は満車となる状況もございますから、レンタカー乗り場の見直しなどにつきましては、レンタカー利用者の利便性の向上と空港全体の駐車場の利用状況の観点から、検討が必要であると考えておりまして、まずはレンタカーの利用状況の把握にしっかりと努めてまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 先ほど、レンタカーが足りなくて断っているという状況をお話しさせていただきましたけれども、他県の空港では、どんどんレンタカー利用者がふえている。観光客のニーズに十分に応えているようであります。今、岩手県に注目が非常に集まっている。多くの方がいわて花巻空港をこれからも訪れることになると思います。そうした中で、工夫と努力によっては、日本で一番利用者にとってやさしい、また、使いやすい空港になれるのではないかなと、そのようにも思っております。ぜひとも他部局、また、民間の皆さんとも連携して、このいわて花巻空港の魅力化、利便性向上に取り組んでいただくようお願いして、終わりたいと思います。
〇上原康樹委員 三陸の地につち音の絶えない12年だったと振り返ります。皆様のお力、御努力、粘り強い取り組みで三陸の復興も形が整いました。しかし、さらに求められることもあるということで、幾つかお話を伺います。
 まず、新しい建設技術の導入、これは私が質疑でたびたび取り上げているのですが、人手不足対策や工期の短縮のために新しい建設技術が多く開発され、導入が進んでいます。例えば、工場でパーツをつくり、現場に巨大な構造物を運んで一気に組み立てるといった方法などたくさんあるようです。そうした新しい建設技術、岩手県における具体例と効果、課題などをお尋ねします。
〇菅原建設技術振興課総括課長 新しい建設技術の導入についてでございます。
 県では、現場条件ですとか経済性、維持管理性等を総合的に判断しまして、有利となる場合には、委員御指摘のとおり、部材を工場でつくりまして現場で組み立てる、いわゆるプレキャスト製品を採用しております。
 一例といたしまして、プレキャスト製品の活用としましては、今年度実施した橋の補修工事におきまして、通常は、現場でコンクリートを打設してつくる橋の床部分を工場製品としたことによりまして、現場作業の人数が約6割、そして、作業日数が約8割削減したところでございます。
 一方で、課題といたしましては、部材が大型化した場合の搬入ですとか据えつけ方法、現場でコンクリートを打設する場合に比べコストが高くなることなどが挙げられます。
 今後も、国土交通省の新技術導入促進計画などを参考としまして、省力化につながる新技術の活用を進めることにより、人手不足対策や工期の短縮に取り組んでまいります。
〇上原康樹委員 大変な効果が実証されているということがよくわかりましたが、お話にも出てきましたけれども、巨大なパーツを運ぶわけです。そして、現場で組み立てるわけです。危険が伴います。安全性についての配慮については、今どういうふうにお考えですか。
〇菅原建設技術振興課総括課長 県営建設工事において、このような工法を使う場合には、発注者と受注者が協議をして、その使用について我々が了解をするわけですけれども、当然、安全性等についても、施工計画書等で確認をした上で判断させていただいております。
〇上原康樹委員 こうした新しい建設技術の導入について、建設現場の皆さんの間では、状況認識といいましょうか、情報の共有化というのは進んでいるのでしょうか。一部の優秀な企業だけの認識だけではないのですか。
〇菅原建設技術振興課総括課長 このようにして開発されました新技術の共有というところでありますけれども、建設現場における技術開発につきましては、御紹介のとおり、多くの建設企業、資機材メーカー等で進められております。県内の建設企業等でも取り組まれているところであります。
 技術開発を活用するために登録する制度としましては、国では、新技術情報提供システムを英語で読んだ頭文字を取って、通常、ネティスと呼ぶのですけれども、それを平成10年から運用しております。
 また、県では、岩手県新技術等活用促進事業を平成17年度から運用して、県内の建設企業が独自に開発した新技術等のうち、公共事業への活用が可能なものについて登録をして、ホームページで公表することによって、いろいろな企業が見られるというシステムをつくっております。
〇上原康樹委員 県内のメーカーが開発した技術について、具体的に教えてください。
〇菅原建設技術振興課総括課長 実情という観点で申し上げますと、先ほど御紹介しました岩手県新技術等活用促進事業の、登録件数が現在21企業の27件となっております。そして、県土整備部発注工事での活用実績は、令和3年度までで190件ございます。190件使われているというところでありまして、具体的な事例は、冬の寒さでも塗装できる塗料ですとか、あるいは、橋梁用の排水ポンプを工夫したものとか、さまざまな視点でいろいろな技術が出ております。
〇上原康樹委員 令和5年度、あるいはその先の予定されている工事において、こうした最先端の技術の導入というのはどうでしょう。これからふえていくのでしょうか。
〇菅原建設技術振興課総括課長 さまざまな新技術については、我々は設計、あるいは積算段階では標準設計積算という形をとらせていただいておりますが、受注者がこれを使いたいというものについては、総合的に判断して、可能であれば使っていただきたいというコンセプトであります。
 また、どうしてもこの工法でなければできないものにつきましては、それらの根拠を正確に把握した上で、積算にも反映していきたいと考えております。
〇上原康樹委員 予算低減についての期待というのは、どのぐらいのものですか。
〇菅原建設技術振興課総括課長 主にこの新技術というのは、当然、コスト縮減ですとか生産性の向上という側面、あるいは環境ですとか安全、安心という側面もありますが、今、委員がおっしゃたように、コスト縮減というのは我々も期待しているものであります。
 ただ、先ほども申し上げたように、例えば、プレキャストであれば、なかなかコスト縮減という、その部分だけではちょっと難しい点もあるのですけれども、さまざまな技術の中には、当然、コスト縮減につながるものもございますので、それも我々は把握をしながら進めておりますが、今後とも把握に努めてまいります。
〇上原康樹委員 ありがとうございました。引き続き工夫を凝らしていただきたいと思います。
 次です。海を眺め、触れられる場所の確保ということでお話を伺ってまいります。
 県土整備部といいますと、鉄骨ですとかコンクリートですとか、壮大で重厚な世界を思い浮かべるわけでございますけれども、もっともっと血の通った仕事だなということがよくわかります。私の手元に、私が最近、大変愛用させていただいております県土整備部の令和4年度県土整備行政の概要という虎の巻がございまして、その中にいい言葉がございます。その目指す姿、県土整備部の仕事の目指す姿、こうございます。いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造、そのとおりだと思います。こういう高邁な理想に向けて、大層なことではなくてちょっとした工夫、そして配慮、こういうもので随分変わるのではないかという話でございます。
 例えば、なりわいの現場としての漁港や周辺に、つまり海辺に、海の眺めを楽しめる場所、展望塔などもありますけれども、こういうものを設置して、地域の日々の暮らしに潤いを与え、旅行者には三陸の思い出にしてもらえたらすばらしいと思うのですが、そうした現実的な取り組み、計画、課題があればお尋ねしたいと思います。お願いします。
〇馬場河川課総括課長 海を眺め、触れられる場所の確保という観点の御質問でございます。
 委員御質問の、海の眺めを楽しめる場所につきましては、例えば、公園が隣接しております大船渡港の野々田地区におきましては、復興まちづくり計画と整合を図った上で、直立式の防潮堤を囲むように築山を整備しまして、防潮堤を歩いて乗り越えられるようにしており、防潮堤の上から大船渡港を眺望できる展望広場も整備したところでございます。
 また、別な観点ではございますが、完成した防潮堤に絵画などを展示したいという沿岸市町村や地域からの要望があった場合には、海岸管理上支障がないことを確認の上、着脱可能な構造であれば展示を可能としているところでございます。
 現在、大船渡港の野々田地区防潮堤におきまして、約3カ月間の予定でタイルアートというものが掲示されているところでございます。
 課題といたしましては、施設の適切な管理がしっかりなされることと考えておりますので、今後もその適切な管理を前提としながら、海の眺めを楽しめるためにはどのような工夫ができるか研究してまいりたいと考えております。
〇上原康樹委員 巨大な防潮堤や水門の建設が進行している中で、海が見えなくなったとか、いろいろ心情的に困ったなという発言も聞かれました。確かに、防潮堤、水門は、完成して見上げてみますと、壮大、重厚、城壁といいましょうか、要塞のような威容を誇っております。一見、これが海と人を分断するような印象を受けますけれども、先ほど申し上げましたとおり、工夫ひとつで随分私たちに、人の暮らしに近づいてくると思います。
 その一つの実例というのが、地域の人たち、とりわけ高齢者、災害公営住宅で閉じこもりがちになる人々、表に出てもらって、海に触れてもらって、元気になってもらって健康を保ってもらう。防災施設が命を育む場所になるというお話でございます。こうしたことで地域の防災体制も身をもって学ぶことになり、いざというときの行動にもなると私は思います。
 そういうときに、例えば、防潮堤を上がるような階段は、まだ安全性の面で確保されていない面もあると思います。滑りどめなどの設置も必要になると思います。そうした防災施設を日々の暮らしの中に取り込むための工夫といいましょうか、そういうものに対するお考えはいかがでしょうか。
〇馬場河川課総括課長 防潮堤等につきましては、海辺から災害、防災上の配慮としまして、避難のための階段を設置しております。避難のための階段と、それから、防潮堤の天端につきましては、背後の地盤の高低差や法面の勾配に応じて転落防止柵といったものもつけているところです。
 委員御指摘の滑りどめの設置といったところまではなされていないところですが、基本的には、防潮堤は危険なところ以外、立入禁止にしているところ以外は自由に入れるところとなっております。海辺の散歩、散策といったものには使っていただきたいと思っておりますが、さらに積極的にどのようにしていくかということについては、背後の復興まちづくり計画を扱っている市町村などとも相談しながら、どういったことができるのか、工夫ができるのか、また、先ほどの答弁のとおりでありますが、研究してまいりたいと思います。
〇上原康樹委員 地元の人のみならず、外国人の方もどんどん訪れる三陸になると思いますので、多くの人たちを受け入れるための防災の場であってもらいたいと思います。
〇佐藤ケイ子委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 質疑がないようでありますので、これで県土整備部関係の質疑を終わります。
 県土整備部の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。
 お諮りいたします。
   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇岩崎友一委員 議案第5号令和5年度岩手県一般会計予算につきまして、編成替え等を求める動議を提出したいと思いますので、委員長においてお取り計らい願いますよう、よろしくお願いをいたします。
〇佐藤ケイ子委員長 ただいま、岩崎友一委員から動議提出の申し出がありました。これより世話人会を開き、本動議の取り扱いを協議するため暫時休憩いたします。世話人の方々は議会運営委員会室にお集まり願います。
午後3時54分 休憩
午後8時17分再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 先ほど当職に、令和5年度岩手県一般会計予算につき撤回の上、編成替えを求める動議の提出がありました。あらかじめお配りしておりますので、御了承願います。
 本動議については所定の賛成者がありますので、動議として成立いたします。
 休憩中の世話人会の結果について御報告いたします。本動議の取り扱いについては、委員会再開の後、議題に供し、質疑、討論を行い、採決までの議事を行うとの結論に至りましたので御報告いたします。
 これより、令和5年度一般会計予算につき撤回の上、編成替えを求める動議を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。
〇岩崎友一委員 それでは、ただいま議題に供されました動議につきまして説明いたします。
 まず、編成替えを求める理由についてでございますが、岩手県は深刻な人口減少問題に直面しております。昨年、日本全体の出生数は80万人を割り込み、出生数の減少は全国的なトレンドとなっているものの、岩手県の出生数は前年に比べて10%以上減少し、全国ワーストとなっております。これは出生数の減少にしても、合計特殊出生率の低下にしても、全国的なトレンドを原因とするだけで、岩手県独自の課題の原因分析まで至っておらず、有効な事業が実施されていないことが要因であります。
 令和5年度予算案では、人口減少対策を最優先事項に掲げ、人口減少対策に係る事業として217億円が計上されておりますが、その大半は既存事業であり、減額となっている事業も多いことから、予算額にあらわれているほどの大胆な予算編成にはなっておりません。
 また、人口減少問題に加え、コロナ禍による経済の疲弊、物価高騰と多くの危機に直面しており、農林水産業などへの支援による経済再生や、発生から12年を迎えた東日本大震災津波の被災地におけるなりわいの再生を進めるための重層的かつ強力な支援が求められる局面でありますが、十分な予算措置にはなっておりません。
 かかる観点から、全国で最も深刻な人口減少問題に直面している岩手県としては、より一層戦略的な事業の構築を図り、重点的な予算配分を進める必要がございますが、現在提出されている令和5年度当初予算案は不十分な内容であることから、これを撤回し、次に示す編成替えの概要にのっとり、編成替えを行うべきと考えたものであります。
 次に、編成替えの概要についてでございますが、一つ、出生数減少へのさらなる対応について、第2子以降の保育料の無償化及び在宅育児支援については、第1子までその対象範囲を拡大する内容に増額修正をすること。
 二つ、若年層の社会減に対する対応について、人口の社会減の大きな原因となっている他県比との所得格差の是正に向けて、国の制度も活用しながら中小企業の賃上げのための助成制度を創設すること。若者が就職時に最も重視している労働環境を改善し、若年層の社会減に歯どめをかけるため、年代別や産業別などの労働環境を精査した上で、総実労働時間を短縮させ、仕事と子育てが両立できるよう働き方改革を推進する事業を増額修正すること。
 三つ、農林水産業の振興への対応について。人口減少や物価高騰により苦境に立たされている農林水産業が引き続き我が県の基幹産業として岩手県を牽引できるよう、物価高騰対策に係る支援を拡充すること。
 四つ、子供たちの生きにくさを生きやすさに変えるための対応について。全ての子供の可能性を最大限に高める学びのセーフティーネットを構築するため、不登校児童生徒の支援体制を強化するとともに、専修学校への支援を私立学校と同程度の基準まで引き上げること。
 五つ、東日本大震災津波からの復興を強化するための対応について。複数ローンを抱える被災企業を対象に、物価高騰対策として財政支援制度を創設するとともに、3月11日を中心に被災地経済の活性化、風化防止及び震災の伝承を目的とした大規模かつ広域的な事業を行うこと。
 以上でございます。
〇佐藤ケイ子委員長 これより質疑に入ります。
 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 ただいまの予算編成動議について、目を通させていただいたり、今、御本人から伺ったわけでありますが、読むだけでは、なるほどと思うところがないわけでもありませんけれども、財源について示されていないのはどういうことか。政策を提案するならば、やはり財源をこうしたいということをあわせて提案するのが筋ではないかと思いますが、それについてお伺いいたしたいと思います。
〇岩崎友一委員 まず、今回提出させていただいた動議は、修正動議ではなくて編成組み替えの動議でございます。予算に関しましては、議会におきましては、予算の修正権が認められておりますけれども、予算案に対する議会の議決の対象は款と項までであり、目と節は議会の対象ではありません。具体的に事業費について修正させることはできないということから、私どもとしましては、編成替えを求める動議という形で提出をさせていただいたところであります。
〇伊藤勢至委員 それは片手落ちというものではないでしょうか。岩手県の政策を論ずるには、私たちはこういうことをしたい、予算はここからひねり出すということまで提案をするべきだと思います。
 岩手県の積立財源は210億円あるわけでありますけれども、最終的にここに行くというのは簡単な話ではないと思います。本来の財政調整基金は、予算規模の5%が適格であると言われていますから、8、000億円の岩手県は400億円のものを持っていないと、いざ鎌倉、東日本大震災津波のようなのがまた来るときに対応し切れない、私はそう思っております。
 東日本大震災津波から12年が経過いたしました。このとき、全部言うわけにはいきませんが、鵜住居の奇跡という言葉があったのを思い出していただきたいと思います。鵜住居小学校の子供たちが地震が終わった後、危険を感じて、鵜住居中学校に逃げたら、中学校の生徒たちも、そうだ、一緒に行こうということで、つい1週間ぐらい前に開通したばかりの三陸沿岸道路、高いところに逃げていった。そこに来た平ボディーのトラックが、その子供たちを乗せて釜石市の中妻のほうまで逃げて子供たちは避難ができた。これを釜石の奇跡と呼んでいるわけであります。
 一方、鵜住居の悲劇というのが余り取りざたされてきませんでした。鵜住居町のちょうど町の真ん中にある釜石市鵜住居防災センターに大人が約200人逃げまして、その200人が全部、水に流されて津波に持っていかれて、ただ一人、天井のこういうところにポカっとあいた穴に首を出した人だけが助かった。これはふだんから防災のための勉強会か何かをやっているときに集まっていたのですが、そこは避難場所でないのですね。けれども、高齢の皆さんも含めて、町の中で近いからということで、逃げろというときにそこに逃げた。これは今後、大いに参考にしていかなければならないと思います。
 そういう中で、今、防潮堤がもう少しで100%完成をするわけでありますが、そのことについては、岩崎友一委員はどのようにお考えでしょうか。
〇岩崎友一委員 防潮堤に関しましては、これまで国費もつぎ込まれて完成していますので、復興の完成に向けてはしっかりと最後まで事業費を確保して推進すべきであると思います。
〇伊藤勢至委員 何で鵜住居の悲劇と奇跡を言ったかといいますと、子供たち、あるいは、子供を産む可能性のある若い人たちを災害から守らなければいけない、こういうことが絶対にあると思うのです。実は、学者の間では、あるいは、国の機関を初め県では、近い将来、北海道東部の千島海溝が振動するかもしれない、あるいは、その隣の日本海溝が振動するかもしれない。そして、その影響で東日本大震災津波の震源地も揺れるかもしれない。そうすると、マグニチュード9の地震が起きて津波が襲う。現在進めてきた防潮堤は14メートル、今度言われております津波の最高の高さは28メートル、こんなのは小学生でもわかる。
 そういう中で、到達時間が早い地域では18分と言われています。東日本大震災津波の際、我が宮古市は40分かかりましたから、今でも40分の頭が残っていますが、18分で来るかもしれないということは、全く頭を切りかえなければならない。若い人を残す、近々にあるであろう防災対策、そこにもお金を使っていくべきで、そっちを優先させながら、岩手県も減り続けている沿岸地域の人間を確保するためには安全対策が大事ではないか、そのように考えますが、岩崎友一委員はどのようにお考えでしょうか。
〇岩崎友一委員 先ほどの伊藤勢至委員の話の中にもありました、財政規律をしっかり守るということは非常に重要なことでございます。財政調整基金がそういった有事に備えるために県として積み立てているというのもそのとおりでございます。災害対策もそうでありますけれども、私が冒頭、編成替えを求める理由で御説明をさせていただきましたけれども、この間、岩手県では出生率も全国でも下位でなかなか上昇しない、出生数も昨年は全国最下位ということで、そういった極めて危機的な状況を打破するためには財政調整基金の確保ももちろん重要でありますけれども、それ以上にしっかりと財政出動をしていかなければ、じり貧になっていくというのが見えております。そういった観点から、先ほど理由も述べさせていただきましたし、編成替えの概要も述べさせていただいたところであります。
〇伊藤勢至委員 一昨年の10月に宮古市は人口が5万人を切りました。そうした結果、地方交付税が12億円カットになったわけであります。これは沿岸市町村皆同じ、そして岩手県も同じだと思います。地方交付税というものが人口をベースにしている限り、我が岩手県、あるいは東北地方というところはカットの道に入っていく。これは頭に置いておいて、しかしながら、議論は進めないといけない、こういうことであります。
 沿岸部で6、000人が亡くなって、内陸部に避難をした人たちは縁故を頼って、例えば北上市でありますとか、あるいは盛岡市もそうですけれども、そういうところで仕事を見つけた人は、そっちに住居を借りたり構えたりして戻ってこないのです。つまり、仕事がないから戻ってこない。そういうことで、6、000人が亡くなったほかに、さらに数が加算されていく状況にありまして、まさに大変厳しい状況であります。
 またここに大きな災害が来たとするならば、まさに壊滅的でありましょうから、そういうことも考えながら、我々は議論をしていかなければならないと思います。岩崎友一委員の考えをお伺いします。
〇岩崎友一委員 今、伊藤勢至委員から質問がありました。私も被災地の人間で、若い方々が震災後、内陸に移住して、そのまま定住をしてしまったという現実はわかっておりますが、先ほど申し上げましたとおり、今回の動議は、人口減少という大きな視点でさまざま、その概要に関して提案をさせていただいているところでございますので、その辺も御理解を賜れればと思います。
〇伊藤勢至委員 これで最後にしますけれども、我々県議会議員は、それぞれの地域から、それぞれの要望を持ってここに集まっているわけでありますから、それをぶつけ合いながら、岩手県が真っすぐな道を進めるような大きな議論を展開していきたいと思います。
 私からの質問はこれで終わります。
〇岩渕誠委員 それでは、動議に対して、基本的なところをお伺いしてまいりたいと思います。
 基本的には、自治法上、予算編成権というのは地方自治体の長に専属しておりますし、議会はそれに対しての増額修正、組み替えという権能も有している。それは皆さん御承知のとおりでございます。
 私は実質的に増額修正であるという思いで見ているのですけれども、組み替えの五つの項目がありました。これの予算規模はどのように見ているのですか。
〇岩崎友一委員 冒頭答弁させていただいたとおりでございまして、予算に関しては、私どもは数字を出して、それを長に執行させることはできませんので、そういった意味で、今回、しっかりと県の政策の足らざる部分をしっかりとやっていただきたいという思いで編成替えという形で動議を提出させていただいたものであります。
〇岩渕誠委員 予算というのは歳入と歳出が均衡するというのが大原則であります。したがいまして、これをやってくれということであれば、今のお話は、歳出の規模をその項目については拡大しろという要請でありますから、そうなりますと、その見合った分を歳入で手当てをしなければならない必要が出てきます。そこの部分をどうするのか。あるいは、現状の一般会計当初予算の歳入と歳出の総枠を維持したままでそれをやってくれというのか、どちらですか。
〇岩崎友一委員 基本的には、今回の事業の歳出の財源に関しましては、財政調整基金を活用するのがよろしいかとは思っております。
〇岩渕誠委員 今の予算規模に対して、この要請は増額をしなさいと、こういう中身ですね。ほかの部分は削るなと、こういうことですね。
〇岩崎友一委員 さまざま、今回の中で撤回という部分も入れておりますけれども、全てが全て、財政調整基金を活用してほしいというものではございません。撤回する部分は撤回をして、修正する部分は修正をして、編成してほしいというものであります。
〇岩渕誠委員 基本的なことなのです。要請をしているものは増額をしてくれと、こういうことですよね。そうなると、その見合いの財源は何にするか。要は、予算規模の問題ですから、歳入と歳出を合わせないといけないから、今の予算の枠の中で増減をしろというのか、それとも、ある程度ふやしてくれということで、あとは歳入の部分は財政調整基金を使って均衡を保つか。要は、予算書の一番基本的なところなのです。均衡するというところをどうするのかということです。
〇岩崎友一委員 これは何といいますか、我々でもさまざま動議を出すに当たって、いろいろ考えたり勉強した部分もございますけれども、今回、私どもとしては編成替えを求める動議という形で出して、その上で、予算の時期、規模、内容というのは柔軟に対応してほしいという思いで出しているものであります。
〇岩渕誠委員 今の答えだと、時期を柔軟にしてくれという話で、これは当初予算ではない話になってしまいますよ。あくまで当初予算の組み替えということだから、私は難しいことを聞いているのではないのです。組み替えを要求している全体の枠というのが、今の予算の枠の中でやっているという話なのか、それとも、こういうことを増額してほしいから、それを増額する。ただ一方で、歳入に欠陥が出るから、そこは何で埋めるのか、どっちの考え方なのですかという話を聞いているのです。
〇岩崎友一委員 先ほど申し上げましたように、両方あり得るということで、それを総合的に考えてほしいというものであります。
〇岩渕誠委員 いや、ここは一番実質的なことで大事なところで、組み替えの中で、今の予算の枠の中でやるということであれば組み替えということになるのですが、一方で、ふえるということになれば、これは増額修正というのが実質的なものだと私は理解しております。
 今、明確な答えがありませんでしたから、ふやしてくれということになった場合には、基本的には、実質上の増額修正になると思います。そうなった場合には、予算規模というのは、単純に見れば、億単位で出てくると考えるのが、これは中身からいってそうだと思います。そうなると、やはり財源確保策というのは必要だと思います。特に、この御提示をされている中身というのは、一般財源で対応する、あるいは財政調整基金で対応するにしても、恒久的な対策をする必要があるということになると思います。
 そうしますと、今、財政調整基金という話があったのですけれども、財政調整基金が大変厳しい中で、この中身を見ていきますと、恐らく少なく見積もっても10億円以上、事務費とかスキームによっては20億円ぐらいかかる中身だと私は見ているのですが、それを財政調整基金で崩していくとなると、将来の負担という部分が出てくると思います。財政調整基金を崩した場合に将来的な財政運営への影響というものも検討されていると思いますけれども、それを示していただきたいと思います。
〇岩崎友一委員 財政調整基金の重要性は先ほど申し上げたとおりでございますが、これも重ねての答弁になりますけれども、逆に、このまま岩手県が社会減が進んで、労働力の確保もできない、子供も生まれないというじり貧になった場合のリスクをとるかどうかという話にもかかわってくるのでありますけれども、しっかりさまざまな政策の中で、経済も回し、あらゆる歳入確保策も通じながら、やはり今、しっかり手を打たなければ岩手県の未来がなくなるという観点で、財政出動も必要だという判断に至っております。
〇岩渕誠委員 先ほどの話で言うと、時期について柔軟にという話だったのですね。だけど、予算の編成時期について柔軟にということは、補正でもいいというふうに私は聞こえるのだけど、でも、あくまで本予算でやれっていうことでしょう。
 それであれば聞きますが、例えば、増額を求める内容について、第2子以降の保育料の実質無償化、在宅育児への支援について、これは大変先進的なものでありますが、財源については、市町村と実質共同事業であります。2分の1、2分の1ということであります。まず、第1子から始めるとなると、市町村の負担見込みはどうなっていますか。それから、市町村の意向はどうなのでしょうか。示していただきたいと思います。
〇岩崎友一委員 今回は編成替えを求める動議ということで、今回の提案されている予算に足らざる部分でこういったことをやってほしいという趣旨で述べております。そういった性質の動議でございますので、今言ったような試算はしてございません。
〇岩渕誠委員 これね、ちょっと私、今びっくりしました。市町村と一緒にやるということを、たしかこの議会でもとても大事だというお話があったかと思います。まさにこの部分は市町村と足並みをそろえて、例えば、今回の第2子の制度をやるにしても、かなりこれは保健福祉部当局、あるいは財政当局で、市町村も交えていろんな調整をしてきたと思うのですが、この第1子からの保育料の実質無償化、在宅育児の支援について、これは市町村から何か要望をお聞きになっているのでしょうか。あるいは、会派としてこれまで予算要望のときにこういった要望をされたことはあるのでしょうか。
〇岩崎友一委員 今回の予算の中では、我が会派でも取り上げさせていただいたところでございます。
〇岩渕誠委員 予算編成前に第1子からの支援を要望したことはありますか。
〇岩崎友一委員 予算前は、私自身はしておりません。
〇岩渕誠委員 はい。それから、今回の県の政策の中で、保険負担の高校生までの拡充方針を示したときの議論で、町村会、市長会からの要望はあったのですかと、言われていないことをやらないでくださいという話もあったのですが、第1子からやってくれというのは、どこか関係機関から要望というのはあったのですか。
〇岩崎友一委員 済みません、もう一度お願いします。
〇岩渕誠委員 保険負担の高校生まで、いわゆる現物支給がありますね。これは今回出ています。そのときに、私の記憶だと、これは町村会とか市長会からの要望があったものですかという話があったと記憶しているんですが、同じように、第1子からの保育料の実質無償化や在宅育児支援、これについて、例えば、町村会とか市長会から、我々は国政与党ではありませんから、国政与党のほうに何かこうしてくれというような要望は受けたことがあるのですか。
〇岩崎友一委員 これに関しては、私の記憶の中では、直接的に受けたというものではございませんが、第1子まで対象を広げるというその心といいますのは、東京都も今回、予算措置をしているということもございまして、やはり東京都もどんどんこういった新たな事業を取り組んでいく中で、岩手県もしっかりとやっていかなければ、なかなか出生数、出生率が上がっていかないということで、今回提案をさせていただいているものであります。
〇岩渕誠委員 東京都は不交付団体ですからね、大変うらやましいところだと思います。
 そうした中で、政府も異次元の少子化対策を策定すると言っております。大変期待しております。与党の中では、第1子からの支援というのは、異次元の少子化対策に盛り込まれるのでしょうか。私、与党ではないので議論がわからないので、わかれば教えていただきたいと思います。
〇岩崎友一委員 異次元の少子化対策の具体的な中身は、私も現段階では理解しないところであります。
〇岩渕誠委員 よくわかりました。
 次に、物価高騰対策について言及をされております。地方は今まで財源として地方創生臨時交付金を充てて対応してきました。現在、この対策の原資は、新型コロナウイルス感染症対策と物価対策で4兆円、ウクライナの対策で1兆円、合わせて5兆円が政府予算の予備費に積まれたままで、地方への支出はない状況であります。この現状について、見解をお示しいただきたいと思います。
〇岩崎友一委員 今の質問は、今回の私どもの動議と直接的に関係のない話でございますので、答弁は控えさせていただきます。
〇岩渕誠委員 これは今まで財源があって、私も一般質問で言ってきましたけれども、きちんと対応してもらえばきちんと対応できるのですよ。今、政府自由民主党の中で、まさにこの物価高騰対策、取りまとめをしていただいていると思います。あした自由民主党案が出るのかな。そこではLPガスとか特別高圧ガスとか、総理大臣の指示によっていろいろな対策が出てくるのだと思います。そこの中で実現するのであれば、当然問題はありませんが、どういうふうになっているのでしょうか。実現しない場合は、今まで政府のやり方というのは、その足りない部分は地方創生臨時交付金で措置されて、直ちに予算編成を行って対応すると思っておりますが、私は、岩手県も今まで他におくれをとらずに編成をしてきたと思います。
 そういう意味で言うと、あした、あさってに出てきて、今月中には恐らく対策が出てくると思います。きちんと、どこの中身をやって、どこが足りなくて、では、岩手県としてはここをやるべきというような財源とセットで予算編成をしたほうが効果的、合理的な予算編成ができると思いますし、支出のタイミングを見ても、今の予算に入れることと、例えば、4月、5月に予算編成をやっても、恐らく支出のタイミングというのはそう変わらないと思うのですが、どうですか。
〇岩崎友一委員 今の政府の具体的な中身に関しては、現段階では私もわからないところでございます。
 重ねてになりますけれども、今回、編成替えの動議を出させていただいたのは、今回の予算特別委員会の議論を通して、これは自由民主党だけではなくて、さまざまな会派からその必要性は質問であったところでございますので、そういったことを勘案して、今回、概要に掲載したものであります。
〇岩渕誠委員 これね、一番初めに戻りますけれども、実質的な予算規模もちょっとよくわからない。どういうふうな形で歳入と歳出を合わせるかというのは予算の大前提ですから、これがないのは議論のしようがないと思っているのです。
 いずれにせよ、財源の部分というお話もありましたから、これは少しふえるだろうと思うのですが、そこの部分はやはり、財源の確保を含めて熟度を高めた議論というのは私は必要だと思っています。
 いずれの政策も、重要性については理解できないわけがないですけれども、やはり財源であります。地方も限られた財源の中で、将来の負担も考えながら選択をしておりますし、我々も財源に対しても責任を持って議論してきているわけであります。地方財政について大変厳しい中でありますけれども、国からの財源移動、特に緊急的なものについては、直ちに予備費から地方に支出するべきだと考えています。要は、財源をきちんとよこしてくれということですけれども、地方財政の自由度と国の財政運営について、この現状について、まず見解をお示しください。
〇岩崎友一委員 今の質問は、今回の件と関係がないと判断しますので、お答えは控えさせていただきます。
〇岩渕誠委員 これは地方財政に当たる大変重要な質問だと思ったのですが、お答えをいただけないのは大変残念です。
 最後に、確認をしておきます。この動議があくまで組み替え動議であると言われておりますが、これは一般的には、予算には反対をするというふうに解釈されるべきものであると思いますけれども、念のため確認をいたします。
〇岩崎友一委員 今、審議中でございますので、その点に関しては、私どももどういう結果になるかわかりませんので、お答えすることはできません。
〇斉藤信委員 それでは、動議の内容は極めて部分的な修正を求めるものですが、なぜ修正動議としなかったのか。予算案を撤回して編成替えを求める動議としたのはなぜでしょうか。
〇岩崎友一委員 済みません、二つ目の質問、もう一度お願いします。
〇斉藤信委員 動議の内容は極めて部分的な修正を求めるものです。なぜ修正動議としなかったのでしょうか。予算案を撤回して編成替えを求める動議としたのはなぜでしょうか。
〇岩崎友一委員 今回、いろいろ私どもも勉強させていただく部分もございまして、例えば、国会ですと、日本共産党などは修正動議のようなものを出されております。一方で、国民民主党などは、まさに今回のように編成替えを求める動議ということで、また、この動議の出し方もさまざまあるかと思うのですが、今回、私たちが考えたときに、県の今回の予算の足らざる部分をしっかりと追加でやっていただこう、編成してやってもらおうという思いで、その趣旨と照らし合わせたときに編成替えを求める動議のほうが形としては整っているという判断で、こういった形で提案をしたものです。
〇斉藤信委員 日本共産党は、毎回、予算案に対して組み替え動議を出しています。組み替え動議というのは、無駄を削り、必要な事業をふやすという提案なのですよ。無駄な軍事費とか公共事業とか、日本共産党は具体的な提案をして、何をふやすべきか、何を減らすべきか提案していますよ。
 それで、結局、極めて部分的な修正なのだけれども、修正案を準備できなかったから当初予算を撤回して編成替えを求めるというとんでもない提案になったのではないですか。
〇岩崎友一委員 そういったことは全くございません。
〇斉藤信委員 答えられないということです。わずかな部分的な修正だから、どのぐらいの財源がかかって、その財源、どう手当てするかぐらいの提案をしなかったら、これは動議に当たらないと、私は率直に指摘をしておきたいと思います。
 具体的な中身についてお聞きします。動議では、第2子以降の保育料の無償化及び在宅育児支援について、第1子までを対象の範囲に拡大することを求めています。第2子以降の保育料の無償化を所得制限なしで実施する、これは全国的にもトップレベルの積極的な対策です。第1子まで拡大する理由は何でしょうか。
 県の提案は、市町村事業として実施するものです。ですから、市町村と調整した上で提案をしています。もし第1子からだとすると、市町村の調整なしで実施することになりますが、その必要な財源、どう考えて提案したのでしょうか。
〇岩崎友一委員 今回の第1子まで範囲を広げるということは、子育て世代の方々がより子供を出産しやすい環境をつくるために第1子までに対象を拡大すべきであるというものでございます。
 おっしゃるとおり、市町村との共同作業というか連携が必要になりますが、今回の第2子以降の部分に限りましても、各市町村から、事前に情報もなく、急にこういったことをやるというような話もあったやにも聞いております。ですから、これはおっしゃるとおり、市町村としっかりと連携をしなければなりませんけれども、そこは丁寧に連携を図った上でやることによって、より子供を産みやすい環境をつくることができると、そのように考えております。
〇斉藤信委員 現段階で市町村の調整は、何もないわけです。第2子以降は市町村も、ほとんど2月議会、3月議会で予算提案していますよ。第1子を無理してやるということになると10億円かかるのですよ。これは全額、県が負担するという発想で提案しているのですか。
〇岩崎友一委員 今回は編成替えを求める動議ということで、県にこういった部分をやってほしいということでございます。ですから、県が全額負担ということもございませんし、制度の趣旨にのっとれば、市町村との連携もしっかりやってほしいというものでございます。
〇斉藤信委員 支離滅裂になりましたね。結局、市町村に半分負担してもらうという制度なのですよ。市町村との調整なしに県が予算化したら、県がやるのですねということにしかならないのではないですか。こんなのは予算を編成する上でイロハですよ。
 次に、国の制度も活用して中小企業の賃上げのための調整制度の創設を求めていますが、国の中小企業向け最賃引き上げ支援策、業務改善助成金は、補正予算で100億円、当初予算で10億円計上されています。今年度も実施されましたが、3割程度しか消化されませんでした。
 なぜかというと、生産性向上のための設備投資を行い、ということが要件になっているのです。さらに、賃上げをした後に設備投資の一部が助成されるものです。中小企業は6割以上赤字です。赤字の企業が借金して設備投資をして、賃上げしてからその一部だけ補助される、こういう国の制度は使えないのですよ。賃金を上げるというんのだったら、中小企業に思い切った国の支援なしにできません。
 日本共産党は、大企業はこの10年間で内部留保を150兆円ふやした。この内部留保に年2%、5年間課税するだけで10兆円の財源が確保できる。この10兆円を全部中小企業支援に回して、中小企業が賃上げできるようにと提案しています。こういう提案こそ必要ではないですか。いかがですか。
〇岩崎友一委員 恐らく今回の動議の内容ともう趣旨がずれているかと思います。あくまで私どもは、今回の提案された予算の中で、中小企業支援、賃上げの部分が不足をしているということから、こういった内容を概要に組み込んだものであります。
〇斉藤信委員 あなた方の提案に、国の制度も活用しと言っているから、聞いたのですよ。国の制度は今、私が紹介している中身です。設備投資をして賃上げをしてから設備投資の一部が補助されるという国の制度ですよ。6割以上が赤字の中小企業が賃上げできるような制度ではないのではないですか。中身がわからないで提案したのではないですか。
 働き方改革については、県の当初予算案に魅力ある職場づくり推進事業費、これは新規事業で盛り込まれています。知っていますか。
〇岩崎友一委員 1、120万円の事業です。
〇斉藤信委員 そういう働き方改革の新規事業も提案しているのですよ。
 それと、日本商工会議所の最低賃金引き上げ影響調査では、賃上げに必要な支援策は、税負担の軽減、これが第1位で56.3%です。だから、私が言ったように、大企業の内部留保を活用して、還元して中小企業を支援する、そして、社会保険料の負担を軽減する、こういうような具体的施策が赤字の中小企業でも賃上げできる条件をつくるのです。
 農林水産業の物価高騰対策支援も提案されています。本来、国が全面的に物価高騰分を補填すべきです。私は農林水産委員会でもこれを指摘しました。欧米ではどこでもやっているのです。物価高騰分、余った牛乳、全部買い上げて生産費を保障しているのが欧州、米国のやり方ですよ。それをやっていないのは日本政府だけではないですか。
 本来、物価高騰対策というのは、補正予算で行うべき課題です。ところが、自由民主党の経済対策が全くない。岩手県は地方創生臨時交付金、全部使っているのですよ。本来、物価高騰対策というのは補正予算で対応すべき課題ではないですか。国に対して地方創生臨時交付金を早く地方に回せと、こう主張するのがあなた方の責任ではないですか。
〇岩崎友一委員 私どもとしましても、昨年来、自由民主党本部、政府に対しまして、震災復興もそうですし、新型コロナウイルス感染症対策、そして物価高対策について、しっかりと国においても支援をするようにというのは求めてきたものであります。また、地方創生臨時交付金の本県への増額に関しても、何度も要望に参っているところでございます。
 その他の質問に関しましては、これはもう国の話になりまして、今回の予算とは全く異なる話になりますので、答弁は控えさせていただきます。
〇斉藤信委員 岩手県はささやかな地方創生臨時交付金を全部使って予算措置しているのです。足りないのですよ。国の経済対策が余りにも貧困だから、部分的だから、必要な対策が地方でとれない。そのことを率直に指摘しておきます。
 専修学校への私立学校と同程度の支援の強化も提案されています。当初予算では、これまでの補助額を倍増しています。これ自身評価すべきではないでしょうか。私立学校並みの支援ということになれば、本来、国の私学助成の対象にこそすべきではないでしょうか。
〇岩崎友一委員 重ねてになりますけれども、今回の動議は、県の今回の令和5年度予算案に関して、私どものほうから編成組み替えを求めているものでございまして、国がどうのこうのというのはまた話の筋が違うかと思いますので、答弁は控えさせていただきます。
〇斉藤信委員 全く答えられない答弁ですね。
 提案ではこうなっているのです。専修学校への私立学校と同程度の支援と言っているのです。私立学校には私学助成が入るのです。だとしたら、専修学校も私学助成の対象にするというのが本来の道筋ですよ。
 そして、今回の当初予算案では、この専修学校に対して1人当たりの単価を倍加したのです。このレベルは東北地方では山形県と同程度で、東北地方トップクラスです。そういう倍増の予算を提案したのが今度の当初予算です。これは評価すべきことであって、本来、国がやるべき肩がわりを県がすることではないと私は思うけれども、答えられますか。
〇岩崎友一委員 この専修学校の支援に関しましては、この予算も当然、何人かの委員が取り上げられましたけれども、非常に重要なものであると思っております。基本的な考え方でございますけれども、国がやるべきところは国、ただ、国がやらないから県がやらないというのは、これまた別の話だと思っておりまして、この事業にかかわらず、国がやらなくても必要であるという事業は、各都道府県でさまざまな分野において予算措置されているのも現状であります。
 そういった観点から、今回は県に対して私立高校と同程度の基準に運営費補助をすべきということで提案をさせていただいたものであります。
〇斉藤信委員 この専修学校への補助というのは、今度の当初予算案で倍増したものなのですよ。何もしていないのではない、倍増したのです。
 もう一つ、被災企業への物価高騰対策としての財政支援制度の創設という提案をしています。物価高騰対策というのだったら恒常的制度ではなくて、緊急の対策を考えるべきではないでしょうか。
 被災地経済の活性化、風化防止及び東日本大震災津波の伝承を目的とした大規模かつ広域的な事業を行う、こう提案していますが、具体的な中身は何ですか。
〇岩崎友一委員 今の震災関係の2点、復興与党というように、ずっと斉藤信委員もおっしゃってこられましたので、今の質問はちょっと悲しい部分もございますけれども、東日本大震災津波の被災地、本当に複数ローンを抱えている事業者というのは、ただでさえ複数ローンがあって、その後、コロナ禍があり、物価高がありということで、県内のほかの地域よりも極めて厳しい状況下に置かれているわけでございます。この辺は御理解いただけると思うのですが、そういった事業者から、会社が本当に厳しい、お金も返せないというような声がどんどん高まっているわけでございまして、そういった部分にしっかりと財政措置をすべきというのが1点目でございます。
 2点目に関しましては、2019年、三陸防災復興プロジェクトを行いましたけれども、さまざまな反省もありましたけれども、よかった部分はしっかりと継続してやっていくことが必要であると思っています。沿岸被災地は洋野町から陸前高田市まで広域にわたりますので、各圏域をターゲットにした場合に、やはり県が音頭を取るべきだと思っております。
 加えて、ことし3月11日も追悼式をする市町村が減ってしまいました。そういった中で、追悼の場、地域経済の活性の場、風化の防止、伝承、こういった観点から、しっかりと大きなプロジェクトを行っていくことがそういったことにつながっていくという趣旨で提案をさせていただいているものであります。
〇斉藤信委員 被災企業への物価高騰対策として財政支援制度を創設しているから、私は、物価高騰対策というなら恒常的制度ではなく緊急の対策を考えるべきだと聞いたのですよ。これは考え方の問題です。
 被災地経済の活性化、風化防止、東日本大震災津波の伝承、残念ながら、具体的な中身がありませんでした。
 全体として、極めて部分的な修正でありながら、中身は抽象的、思いつきの修正、財源の裏づけもない。私は、率直に言って、これは編成替えを求める動議には値しないと、もう断ぜざるを得ない。
 以上で質問を終わります。
〇佐藤ケイ子委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 ほかになければ、これをもって質疑を終結いたします。
 これより討論に入ります。
 討論はありませんか。
〇郷右近浩委員 希望いわての郷右近浩でございます。ただいま提出されました、令和5年度一般会計予算につき撤回の上、編成替えを求める動議に、会派を代表して反対の立場から討論いたします。
 本動議に反対する理由は、主なもので四つです。
 まず初めに、本動議に反対する理由としては、編成替えを求める理由を全く欠いているということであります。
 令和5年度一般会計予算は、達増知事の手腕により築いてきた安定した行財政基盤のもとに、四つの重点事項として、自然減・社会減対策に217億円、GXの推進に120億円、DXの推進に44億円、安全・安心な地域づくりに680億円、合計して前年度比113億円増となる1、060億円の予算が確保されております。
 これらの予算はこれまでの県政の歴史の中で、議会と執行部がお互いに知恵を絞り、一つ一つの事業を積み上げてきたものであります。特に、人口減少対策は息の長い取り組みが必要なもので、既存事業が多くなるのは当たり前の話であり、その内容に熟議を重ねるのが議会の基本であります。
 令和5年度一般会計予算案を見ると、これまでの少子化の主要因である子育てに関する経済的負担感に対して、親の所得や就業の有無を問わない第2子以降の保育料無償化、在宅育児支援金の支給などが盛り込まれております。これは国がこの期に及んでいまだに検討段階にとどまっているものを県独自に自前の財源を準備して、国や全国都道府県に先駆けて実施するものであり、高い評価に値するものと考えます。
 さらに、高校生等への大学進学支援のための奨学金創設、妊産婦へのアクセス支援の拡充など、子育て世帯への経済的支援として、全国トップレベルの施策を事業化していることは評価できるものであります。
 また、若年層、特に若年女性人口の減少に対しては、若者・女性創業支援資金貸付金の創設、いわて暮らし応援事業費の若者・女性加算の創設、いわてお試し居住体験事業における子育て世帯枠の創設など、さまざまな部局が知恵を絞り、事業化がなされていることは、これまでの議会と執行部とが積み重ねた議論が結実したものであると考えております。
 このような事業が盛り込まれているにもかかわらず、本動議を提出することは、執行部の提案した予算案に熟議を重ねるという議会の基本的な姿勢を忘れたものと言うほかありません。
 次に、反対する理由として、先ほどの質疑でも明らかになったように、本動議が財源論を全く無視した無責任な議論であることであります。恒久的な施策を新規に実施するためには、新たな恒久的な財源が必要であることは、財政運営の大原則であります。限られた財源の中で、この原則に基づき議論を進め、最大限の効果を発揮し、今を生きる県民、そして、将来世代への責任を果たすのが議会の使命であります。
 令和5年度一般会計予算案においては、安定的な歳入確保の取り組みとして、全国でも初となるブルーボンドの発行、基金の長期資金運用、ふるさと納税のさらなる魅力化、電気事業からの繰り入れなど、20億円以上の財源確保を実現した上で、知事の強いリーダーシップのもとで人口減少対策等への大胆な重点措置に踏み切っており、施策の重点化と財政健全化の両立を図る適切な県政運営であります。
 一方で、今回の動議において示されている第1子までの保育料の無償化、在宅育児支援の無償化など、少なくとも10億円を超える巨額の恒久財源が必要となることが想定される一方で、財源確保策については全く触れられていません。政策の裏づけとなる財源確保策が全く示されていない本動議は、全くもって無責任な議論であり、財政破綻への道筋は描けても持続可能な岩手県の姿は描くことができず、将来世代への責任を放棄しているものとしか言えません。
 また、子供、子育て支援は市町村との連携が必要なものであります。県では、第2子以降への支援や医療費助成の現物給付の高校生までの拡充に当たって、財源論を含め、時間をかけて市町村との足並みをそろえてきました。このような議論の積み重ねを無視し、市町村にも巨額の財政負担を一方的に求めるものは無責任であると言わざるを得ません。
 さらに、地方公共団体においては、憲法、地方自治法に基づき、議会と執行部という二元代表制がとられ、いわゆる予算編成権が地方公共団体の長に専属しているのに対して、抜本的な事業の見直しを求めるものであり、実質的に予算編成権を侵害している可能性は否めず、議会の権能を逸脱している恐れがあります。
 次に、反対する理由として、本動議は国の責任を地方自治体に転嫁する議論であります。出生数減少へのさらなる対応や仕事と子育ての両立に当たっては、国の制度の抜本的改善が待ったなしの状況です。例えば、育児給付金、出産手当など、現在の国の子ども・子育て支援新制度が雇用保険制度の枠組みで実施されており、対象者が限定的であることが政府においても課題とされております。
 国の制度の抜本的な改善を待たず、県独自の制度を創設することは、国と地方との対等な関係を忘れ、国への責任を追及することを忘れた責任の転嫁にほかなりません。
 また、専修学校への支援については、今回の当初予算案において、補助単価を前年度倍額の7万1、920円に引き上げており、東北地方でもトップクラスの内容となっております。全ての子供の可能性を最大限に高める学びのセーフティーネットを構築するためには、まずは、現行の私立学校振興助成法の枠組みが、一人一人の子供の通っている学校の種類で差別するような制度を国が見直すこと、このことが必要不可欠であり、不登校児童生徒の支援体制を抜本的に強化することが求められるべきであります。
 最後の反対する理由としては、本動議がこれまでの国や自治体の予算編成プロセスを無視していることです。
 かつて福田赳夫大蔵大臣は、国家財政と地方財政は車の両輪と表現いたしました。まさにそのとおりであります。国の予算は地方自治体の予算と連動して予算編成がなされているものです。
 本動議にある人口減少対策や物価高騰で苦境に立たされている農林水産業者を初めとする事業者への財政支援については、その必要性から、知事はこれまでも国の補正予算や予備費に呼応して、全国に先駆けて類似の補正予算を編成して対策を実施してきました。今年度は9回、昨年度には12回に及ぶ補正予算を岩手県では編成し、県民生活を支え、事業者支援を行ってまいりました。まずは、本定例会に提出された8号補正予算、9号補正予算の迅速な執行に努めつつ、今後も国の対策を注視しつつ迅速な対応が期待されるもので、令和5年度一般会計予算案の撤回を求める理由とはなりません。
 また、本動議では、働き方改革を推進する事業を増額修正、物価高騰対策に係る支援を拡充、大規模かつ公益的な事業を行うことなど、具体的特定性を欠く内容が多く、具体的な予算編成ができるものではないと言わざるを得ません。
 改めて言うまでもなく、今、この委員会室にいる議員すべからく、県民生活の向上であり、今、大変な思いをしている県民の生活をしっかりと支えたい、そうした思いを持っている中で、岩手県の未来にも責任を持っております。
 今定例会に上程されたこの予算案につきましては、足らざる部分、そうした指摘がありますが、この足らざる部分についても、これまでの予算審議の中で、各委員が皆さんそれぞれの思いを持って、この予算をしっかりとしたいいもの、もしくは、さらに未来につなげようと、そうした思いでこれまで予算審議を行ってきたものであります。
 そうした中にあって、本動議案については、財政確保策を伴う実効性のある議論とはならず、財源論なき政策立案、国の責任の地方への転嫁にすぎないものであることから、本動議案に反対の立場からの討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇米内紘正委員 令和5年度岩手県一般会計予算につき撤回の上、編成替えを求める動議に対して、賛成の立場から討論をいたします。
 提出者の説明にもあったとおり、岩手県の人口減少は、全国と比べても倍以上のスピードで進んでおります。前年に比べて出生数の減少幅は全国でワーストとなっております。全国平均と同じ減少幅であれば、それは全国と同様の要因であると言えるかもしれませんが、全国平均の出生数の減少率5%に対して、岩手県は減少率10%以上となっており、全国平均との差には岩手県が独自に抱える課題があることは明らかであります。
 その原因分析が詳細になされずに、令和5年度一般会計予算案においては、人口減少対策が最優先事項としてその対策に217億円が計上されています。しかしながら、当予算特別委員会においても明らかになったとおり、その重点項目の中に、交流人口の拡大に資する観光関連の事業が入っていないなど、重点項目の選定過程においては、極めて不透明であります。すなわち、人口減少対策における予算の重点項目は、例年どおり、単にラベルを張りかえただけであり、丁寧な分析や一貫性のある戦略、方針のもとに組み上げられていない分野も多々見受けられます。したがって、人口減少を最優先に掲げるのであれば、動議で挙げている項目を実施するため、予算の編成替えを行うことが妥当と考えます。
 まずは、出生数増加のための経済的な支援でありますが、予算案で提示されている第2子以降の保育料の無償化と在宅育児支援を第1子まで、その範囲を拡大することで、真に全国トップレベルの子育て環境をうたうことができます。
 第2子以降の保育料無償化については、来年度実施予定の自治体も多く、特に、来年10月からは東京都において実施する予算が組まれており、差別化を図ることができる事業とは言えません。
 次に、若年層の社会減対策でありますが、県は常に東京都との経済状況の差が東京への一極集中を招き、人口の社会減を加速させているとの分析を披露していますが、それにしては経済格差を、中でも所得格差を直接的に縮めるような事業はありません。何よりも岩手県が賃上げに対して積極的なのだという姿勢を見せるためにも、賃上げへの機運が高まっている今こそ、中小企業の賃上げをサポートする事業は必要不可欠であります。
 さらに、若年層の社会減の大きな要因となっているのは、岩手県の労働環境です。岩手県の若年者雇用動向調査によれば、若者が就職の際に最も重視することは、労働時間や休日などの条件です。しかしながら、現在、岩手県の総実労働時間は全国ワーストレベルであり、ここにてこ入れをしない理由はありません。したがって、若年層の社会減に歯どめをかけるためにも、働き方改革を強力に推進しなければいけませんが、令和5年度に人口減少対策重点項目の中で働き方改革を推進するものとして挙げられている事業は2事業、計1、940万円です。前年比に対して1億円程度減少しております。これでは全国ワーストレベルの労働環境を好転させることはできません。
 国で新たに創設される特定業種への働き方改革支援制度も利用しながら、労働時間の短縮、年次有給休暇の取得推進、男性の育児休暇の取得推進の成果を上げるために、形だけの宣言ではなく、成果に対して助成をしていくことには一定の効果があると考えます。
 物価高によって大変な苦境に立たされている農林水産事業者への支援は急務であります。岩手県の基幹産業である農林水産業を守るためにも、国の制度を待つだけでなく、一刻も早く県として独自の支援制度を構築し、手を差し伸べていくべきだと考えております。
 知事は常日ごろ、生きにくさを生きやすさに変えると繰り返していますが、子供たちにとって、その生きにくさをあらわす最たるものが不登校問題です。不登校児童生徒への支援体制も含め、それらの児童生徒を支援している専修学校への支援を打ち出すことが、生きにくさを生きやすさに変える第一歩であります。岩手に希望を持った子供たちが県内で岩手県を支える人材として、その育成をしていくためにも、不登校対策に重点的に配分することは至極当然であると考えます。
 東日本大震災津波から12年が経過し、その経験や教訓が風化してしまうかもしれない懸念がある一方で、コロナ禍や物価高もあり、複数のローンを抱えている事業者は危機に瀕しております。被災地におけるなりわいを維持しなければ、被災地における人口減少、社会減はますます加速してしまう。それを防ぐためにも、県は被災地に対して最大限の支援を講じるべきであり、被災地支援への予算の編成替えは必要であります。
 これらの財源に関しては、財政調整基金を活用することについて、現在の岩手県の現状を鑑みたときにやむを得ないと考えます。若年層の社会減や出生数の減少は、後に考えられないほどの税収減としてはね返ってきます。まさに今、いざ鎌倉であります。財政規律を無視することはできませんが、一刻も早く出生数の低下に歯どめをかけなければなりません。そのために、今はお金をため込む時期ではなく、県もできる限りの強力な財政出動を図るべきときだと考えております。
 これらの提案に対して、それは国がやるべきことだという意見もあるかもしれません。でも、国に要望する、国に働きかけるの一言で済ませてしまっていいのでしょうか。その間にも岩手県の人口は減っていきます。ここは岩手県議会です。岩手県民から負託を受けたからには、岩手県の予算をどう利用して結果を出していくかを第一に考え、議論をしなければいけません。限られた予算の中で出生数の減少に歯どめをかけている自治体も出てきております。コロナ禍の終息が見えてきた令和5年度においては、より強力な支援の充実を図り、出生数と社会減に歯どめをかけるべき年だということを確信して、賛成討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇斉藤信委員 日本共産党の斉藤信でございます。自由民主党、いわて県民クラブ、そして公明党による令和5年度岩手県一般会計予算につき撤回の上、編成替えを求める動議に反対の討論を行います。
 質疑でも明らかにしたように、この動議の内容は極めて部分的な修正を求めるものでありますが、修正動議とせず、編成替えを求める動議としました。それは修正案を準備できなかった、財源を明らかにできなかったからではないでしょうか。
 動議では、第2子以降の保育料の無償化及び在宅育児支援について、今度の当初予算案で提起をした所得制限なしのこの取り組みは、全国的にもトップレベルの積極的な対策です。当然、県内市町村とも調整して示されたものであります。ところが、動議の提案では、市町村との調整もなしに第1子から、10億円もの財源がかかるこの提案を突然行いました。市町村を無視し、財源を無視した無理筋の提案ではないでしょうか。
 中小企業の賃上げの提案もありましたが、使えない国の制度を活用し、となっております。国の業務改善助成金は、生産性向上のための設備投資を行い、要件とされる賃上げをした後に設備投資の一部が助成されるもので、今年度も実施されましたが、3割程度しか予算が消化されない。中小企業の6割以上が赤字で設備投資どころでないのが実態です。こうした使えない国の制度を前提とした提案は、まさに根拠がないというものと言わなければなりません。
 質疑でも私は述べましたが、日本共産党は、大企業がこの10年間で積み増しした内部留保150兆円に年2%の課税をかけて10兆円の財源全て中小企業に支援をして、中小企業の賃上げに回すべきだと提案をしています。日本共産党は財源を示して、赤字の中小企業でも賃上げができる提案をしています。そういう提案こそすべきではないでしょうか。
 農林水産業の物価高騰対策支援も提案されましたが、本来、国が全面的に高騰分を補填すべきであり、昨日の農林水産関係の予算質疑でも指摘したように、欧州、米国では全額補填をして農家の生産費を保障しています。余った農産物は買い上げて、低所得層に回す対策も当然のように行われています。全てが農家の自己責任とする国の政治の転換こそ必要だ、酪農危機打開は、ひとえに国の責任だと指摘をしておかなければなりません。
 専修学校への私立学校と同程度の支援の強化も提案されましたが、当初予算案では、これまでの補助額を倍増しました。これ自身評価すべきではないでしょうか。私立学校並みの支援ということになれば、本来、国の私学助成の対象にすべきものであります。
 また、被災企業への物価高騰対策として新たな財政支援制度の創設も提案されましたが、物価高騰対策というなら恒常的制度でなく緊急の経済対策で対応すべきであります。
 被災地経済の活性化、風化防止及び震災の伝承を目的とした大規模かつ広域的な事業の中身は、全く抽象的でありました。
 全体として、部分的な修正であり、抽象的な内容のものであります。財源の裏づけもない思いつきの提案というべきものではないでしょうか。
 岩手県の来年度予算案は、少子化対策を県政の最優先課題に位置づけて、新たな新規事業もたくさん盛り込みました。私はこの予算案こそ成立させて、実行することが少子化対策にとっても大きな力を発揮するものだと、このことを訴えて、動議の反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇ハクセル美穂子委員 いわて県民クラブを代表し、令和5年度岩手県一般会計予算につき撤回の上、編成替えを求める動議について、賛成の立場で討論をいたします。
 岩手県の出生数は年々減少し、若者の県外流出にも歯どめがかからず、人口減少がますます加速しています。そのような中にあって、県は、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランを策定し、人口減少問題を最重要課題に位置づけ、令和5年度以降の施策を進めようとしています。
 今定例会に提案された予算案においては、人口減少対策に係る事業として217億円が計上されていますが、全国都道府県の中で最も出生数の減少率が激しい本県においては、とても十分な額とは言えず、特に、新たに創設した、いわて子育て応援保育料無償化事業費補助及び、いわて子育て応援在宅育児支援金は第2子以降を支援するものであり、その効果は限定的であろうと考えます。この程度の事業では、全国ワーストの減少率となった出生数を回復させることなどできず、この事業の効果をさらに高めるためにも、その対象範囲を第1子からに拡大すべきと考えます。
 また、不登校児童生徒が年々増加する中、多くの議員や県民が求めてきた私立高等専修学校への支援拡充について、令和5年度予算案において、要望にはほど遠い措置となったことは、誰一人取り残さないという理念に逆行したものと言わざるを得ません。
 このような対応が岩手県から離れる若者をふやす要因になってはいないでしょうか。不登校に悩む子供たちや保護者、それを懸命に支える学校を支援し、岩手の未来を担う子供たちを育てていくためにも、私立高等専修学校に対し、全日制の私立高校と同様の支援を行うべきと考えます。
 物価高騰による農林水産業への影響が拡大しています。特に、酪農においてはより深刻で、今定例会において多くの議員が国や県に対して支援の拡充を求めています。しかしながら、令和5年度予算案においては、酪農家が希望を持てるような予算措置にはなっておらず、酪農家の心情を思えば、とても納得できるものではありません。今後も粗飼料や資材、光熱費等の高騰は続くと見通され、酪農家はさらに厳しい状況に置かれるものと思います。苦境にあえぐ酪農家を守るためにも、県独自の強力な支援が必要と考えます。
 これらの課題について、我が会派でも、今予算特別委員会の中で質疑と提案を重ねてきましたが、明快な答えを得ることができなかったのは、まことに残念です。
 以上のことから、県においては、令和5年度一般会計予算を撤回し、必要な予算の編成替えを行うよう求め、この動議に賛成の討論といたします。皆様の御賛同をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
〇佐藤ケイ子委員長 ほかに討論はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 ほかになければ、これをもって討論を終結いたします。
 これより採決いたします。
 お諮りいたします。令和5年度岩手県一般会計予算につき撤回の上、編成替えを求める動議に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇佐藤ケイ子委員長 起立少数であります。よって、令和5年度岩手県一般会計予算につき撤回の上、編成替えを求める動議は否決されました。
 お諮りいたします。当委員会に付託されました議案51件についての意見の取りまとめの方法でありますが、この後、議会運営委員会室において、世話人会で御協議願い、その結果を待って委員会を開き、結論を出すことにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 この際、世話人会を開催するため、暫時休憩いたします。
午後9時37分 休憩
午後11時46分再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 当委員会に付託されました議案51件について、世話人会で協議した結果を御報告申し上げます。
 議案第5号令和5年度岩手県一般会計予算については、世話人会の協議では、意見を付して可とすべきとの意見と、非とすべきとの意見があり、委員会において採決することとし、また、そのほかの議案につきましては、それぞれ原案を可とすることとした次第であります。
 これより採決を行います。
 まず、議案第5号について採決いたします。
 議案第5号令和5年度岩手県一般会計予算については、次の意見、すなわち、令和5年度岩手県一般会計予算については、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの初年度に当たることから、着実な推進に向け、以下の点について特段の配慮を求める。
 人口減少対策については、出生数減少へのさらなる対応や若者、女性の社会減への対応など、県独自策の拡充を図り、効果を高められたい。
 良質な県民医療体制の構築に向け、医療機能を充実させるとともに、引き続き医師確保と医師偏在の解消に努められたい。
 災害対策と事前復興に市町村と連携を図り、新たに想定される日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震への備えを早急に整えられたい。
 新型コロナウイルス感染症の影響に加え、原油価格、物価高騰及び人手不足に直面する中小企業、農林水産業への支援について、国の経済対策に呼応し、拡充に取り組まれたい。
 東日本大震災津波から12年がたつが、引き続き被災者の心のケアとコミュニティーの再生に取り組むとともに、地場産業の振興及び定住促進に努められたいとの意見を付し、原案を可とすることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇佐藤ケイ子委員長 起立多数であります。よって、議案第5号は、先ほど読み上げました意見を付し、原案を可とすることに決定いたしました。
 次に、議案第6号から議案第25号まで、議案第29号から議案第32号まで、議案第34号及び議案第36号から議案第60号まで、以上50件を一括して採決いたします。
 各案件は、原案を可とすることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇佐藤ケイ子委員長 起立全員であります。よって、議案第6号から議案第25号まで、議案第29号から議案第32号まで、議案第34号及び議案第36号から議案第60号までの以上50件は、原案を可とすることすることに決定いたしました。
 以上をもちまして当特別委員会に付託されました案件の審査は全部終了いたしました。委員各位の御協力に対し深く感謝申し上げます。ありがとうございました。
 これをもって予算特別委員会を閉会いたします。お疲れさまでした。(拍手)
   午後11時50分 閉 会

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