令和5年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和5年3月15日(水)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 平 貴 一
主任主査 佐 藤 博 晃
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 及 川 雄 也
主査 阿 部 真 人
主査 刈 屋 江美子
1説明員
農林水産部長 藤 代 克 彦
技監兼農村整備
担当技監兼
農村計画課
総括課長 千 葉 和 彦
技監兼林務担当
技監兼全国植樹祭
推進室長 橋 本 卓 博
副部長兼
農林水産企画室長 佐 藤 法 之
農政担当技監兼
県産米戦略室長 照 井 富 也
参事兼団体指導課
総括課長 中 野 文 男
技術参事兼
農業振興課
総括課長 中 村 善 光
技術参事兼
農村建設課
総括課長 佐々木   剛
技術参事兼
林業振興課
総括課長 工 藤   亘
競馬改革推進室長 大 坊 哲 央
水産担当技監心得
兼水産振興課
総括課長 森 山 拓 也
農林水産企画室
企画課長 高 橋 真 博
農林水産企画室
管理課長 臼 井   宏
指導検査課長 小野寺   修
流通課総括課長兼
県産米販売推進監 似 内 憲 一
担い手対策課長 村 上 勝 郎
農業普及技術課
総括課長 竹 澤 利 和
農業革新支援課長 荻 内 謙 吾
企画調査課長 茂 田   剛
農産園芸課
総括課長兼
県産米生産振興監 佐々木 誠 二
水田農業課長 吉 田 正 博
畜産課総括課長 米 谷   仁
振興・衛生課長 高 橋 真 紀
森林整備課
総括課長 鈴 木 清 人
整備課長 砂子田   博
森林保全課
総括課長 安 藤   薫
漁業調整課長 太 田 克 彦
漁港漁村課
総括課長 佐々木 雅 章
漁港課長 佐 藤 一 彰
県産米戦略監 佐 藤   実
全国植樹祭推進室
企画総務課長 柏 葉 保 行

財政課総括課長 山 田 翔 平
〇佐藤ケイ子委員長 予算特別委員会の開会に先立ち、農林水産部長から、高病原性鳥インフルエンザの防疫措置の進捗状況について報告があります。
〇藤代農林水産部長 おはようございます。金ケ崎町内で発生が確認されました高病原性鳥インフルエンザの防疫措置の状況について御報告させていただきます。
 まず、発生農場で使用されております採卵用の育成鶏、約8万4、000羽の殺処分についてでございますが、ブロイラーなどで10万羽以内の場合には24時間での対応が目安とされているところですけれども、今回は採卵用の鶏ということで、ケージと言われますかごの中で飼養されているため、殺処分におおむね2日間程度見込んでおります。本日午前7時現在、約8万4、000羽のうちの5万8、000羽、約7割の処分が終了している状況でございます。
 また、殺処分した鶏の埋却作業を行っているほか、3カ所に設置した消毒ポイントについては、24時間体制で稼働を行っている状況でございます。
 さらに、半径10キロメートル以内に所在する3農場について、飼養する鶏に異常がないことを定期的に確認しており、引き続き、早期の防疫措置の完了に向け対応していくこととしております。
 報告につきましては、以上でございます。
〇佐藤ケイ子委員長 以上で農林水産部長の報告を終わります。
 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第5号から議案第25号まで、議案第29号から議案第32号まで、議案第34号及び議案第36号から議案第60号までの以上51件を一括議題といたします。
 本日の農林水産部の審査につきましては、3月6日の当委員会で決定したとおり、第1部及び第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について、それぞれ審査することになっておりますので御了承願います。
 また、本日は農林水産部関係について、延べ24人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしましたので、議事進行に御協力をお願いいたします。
 また、関連質疑の取り扱い、換気のための休憩につきましては、これまでと同様でありますので、御協力をお願いいたします。
 それでは、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇藤代農林水産部長 農林水産部関係の令和5年度の予算関係議案について御説明申し上げます。
 初めに、当部の予算編成に当たっての基本的な考え方でありますが、原油価格、物価高騰対策や東日本大震災津波を初めとする災害からの復興を着実に進めるとともに、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのもと、生産者が意欲を持って生き生きと働き、暮らすことのできる農林水産業の実現に向けた取り組みを積極的に推進するための予算として編成したところであります。
 まず、復興推進の取り組みについてでありますが、大型で遊泳力の高いサケ稚魚の生産や藻場の再生による資源回復、増加しているウニ資源を有効活用する畜養、出荷、アサリの養殖など新たな漁業、養殖業の導入に取り組んでまいります。
 次に、政策推進の取り組みについてでありますが、意欲と能力のある経営体の育成として、いわてアグリフロンティアスクールや林業アカデミー、水産アカデミーの開講、DXを活用した就農希望者への学びの場の提供、収益力の高い食料・木材供給基地づくりとして、データ駆動型農業技術の開発、普及、化学農薬等の使用量を低減する栽培体系のグリーン化、森林クラウドシステムの本格運用、森林整備への支援、農林水産物の高付加価値化、販路の拡大として、DXを活用した販路開拓やアジア地域等を対象としたトップセールス、一人一人に合った暮らし方のできる農産漁村づくりとして、農業、農村における関係人口の拡大や、農業用施設の防災、減災対策などに取り組んでまいります。
 それでは、予算関係議案について御説明申し上げます。
 まず、議案第5号令和5年度岩手県一般会計予算でございますが、議案その2の7ページをお開き願います。
 第1表歳入歳出予算の歳出の表中、農林水産部関係の予算は、6款農林水産業費の585億1、402万9、000円のうち、県土整備部所管分を除く582億189万円、9ページの11款災害復興費、1項農林水産施設災害復旧費の14億1、861万円、12款公債費、1項公債費のうち1、213万2、000円及び13款諸支出費、2項公営企業負担金のうち704万円を合わせまして、総額596億3、967万2、000円となります。
 これを前年度当初予算と比較しますと、73億6、076万4、000円、率にして14.1%の増となりますが、これは公共事業や持続可能で収益力の高い農産物の産地づくり、カーボンニュートラルを見据えたグリーン成長の実現などに向けた国庫事業の増等によるものであります。
 予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので御了承をお願いいたします。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 12ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、15、公益社団法人全国農地保有合理化協会が公益社団法人岩手県農業公社に融資した資金について、元利金の償還がない場合の不足額の損失補償から、33、指定管理者による緑化センター管理運営業務までの19件であります。
 その内容は、公益社団法人岩手県農業公社の事業資金の借り入れに係る損失補償が1件、農林水産業関係の各種資金の融通に伴う利子補給が7件、令和5年度から翌年度以降にわたって施工される工事等に係るものが8件、施設の指定管理者を指定するものが3件で、いずれもそれぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
 次に、特別会計予算について御説明申し上げます。
 23ページをお開き願います。議案第7号令和5年度岩手県県有林事業特別会計予算は、予算の総額を歳入歳出それぞれ37億7、319万2、000円としようとするものであります。
 24ページをお開き願いまして、歳入は、一般会計及び県営林造成基金からの繰入金等であります。
 25ページに参りまして、歳出は、県行造林等の維持管理や県債の償還等に要する経費であります。
 26ページをお開き願いまして、議案第8号令和5年度岩手県林業・木材産業資金特別会計予算は、予算の総額を歳入歳出それぞれ8億6、773万1、000円としようとするものであります。
 27ページに参りまして、歳入は、貸付金に係る償還金等であります。
 28ページをお開き願いまして、歳出は、林業従事者等に対し無利子資金を貸し付けしようとするものであります。
 29ページに参りまして、議案第9号令和5年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算は、予算の総額を歳入歳出それぞれ9億9、942万5、000円としようとするものであります。
 30ページをお開き願いまして、歳入は、貸付金に係る償還金等であります。
 31ページに参りまして、歳出は、漁業従事者等に対し無利子資金を貸し付けしようとするものであります。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げます。
 67ページをお開き願います。議案第20号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、かんがい排水事業ほか7事業の農業関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものであります。
 71ページをお開き願いまして、議案第21号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、県単独治山事業の林業関係の建設事業に要する経費の一部を受益市に負担させようとするものであります。
 72ページをお開き願いまして、議案第22号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、地域水産物供給基盤整備事業のほか8事業の水産関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものであります。
 次に、予算関係条例の議案について御説明申し上げます。
 議案その3の27ページをお開き願います。議案第30号家畜保健衛生所使用料等条例の一部を改正する条例は、近年の物件費の上昇に伴い、病性鑑定に係る死体の焼却について、その手数料を増額しようとするものであります。
 28ページをお開き願いまして、議案第31号岩手県手数料条例の一部を改正する条例のうち、農林水産部関係の改正内容は、別表第6、知事が登録する飼養衛生管理者が行う豚及びイノシシに対する注射に係る豚熱予防液の交付について、新たに手数料を徴収しようとするものであります。
 大きく飛びまして、96ページをお開き願います。これから御説明する内容は、入館料等の改定に関するものであります。
 96ページの議案第44号農業ふれあい公園条例の一部を改正する条例、97ページの議案第45号森林公園条例の一部を改正する条例、99ページの議案第46号緑化センター条例の一部を改正する条例、100ページの議案第47号水産科学館条例の一部を改正する条例、101ページの議案第48号海岸休養施設条例の一部を改正する条例についてでありますが、これは近年の物件費の上昇に伴い、入館料の増額並びに利用料金の上限額を引き上げようとするものであります。
 以上で議案についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇佐藤ケイ子委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇高橋はじめ委員 私から何点か質問させていただきます。
 まず最初に、ただいま藤代農林水産部長からも報告がありましたが、高病原性鳥インフルエンザの発症について伺いたいと思います。
 昨日の地元紙朝刊で第1報を知りまして、その後、予算特別委員会開会前に復興防災部復興危機管理担当から、金ケ崎町の養鶏農場において高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜が確認されたことから、令和5年3月14日9時に高病原性鳥インフルエンザ対策本部を設置したとの報告と、あわせて資料、それから経緯及び防疫対応について、短時間での説明を受けました。この説明資料に基づいて何点かお伺いしたいと思います。
 初めに、高病原性鳥インフルエンザを疑う異常鶏の発生状況の詳細と初期対応、措置、今後の対応について伺います。
〇高橋振興・衛生課長 高病原性鳥インフルエンザを疑う事例の発生状況と対応についてでありますが、まず、3月13日に金ケ崎町の養鶏農場から県に対し、鳥インフルエンザを疑う異常鶏の発生について報告があり、翌14日、県の遺伝子検査により陽性であることが確認され、国において、高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜と判定されたところであります。
 これを受け、県では昨日、知事を本部長とする対策本部を直ちに設置し、関係機関や団体と連携し、発生農場の鶏の殺処分や、発生農場周辺への畜産関係車両の消毒ポイント3カ所を設置し、運営を開始するとともに、県内で100羽以上飼養する全ての養鶏農場に情報提供し、異常がないことを確認したところです。
 現在、迅速な封じ込めに向け、殺処分、埋却の作業を進めているところであり、引き続き、感染拡大の防止に向け取り組んでまいります。
 また、県内の養鶏農場に対しては、ウイルスの侵入防止対策の徹底について、あらゆる機会を通じて注意喚起してまいります。
〇高橋はじめ委員 昨日の資料では、連日、第1陣、第2陣、それぞれ180人体制で第15陣まで、それぞれ県内各地からも来ていただいて防疫体制をとられているということで、非常に迅速な対応と多くの職員がこの防疫体制にかかわっていることについて、ひとつ感謝を申し上げたいと思っております。
 この中で、搬出制限区域半径10キロメートル以内とありましたが、どのあたりがポイントで半径10キロメートル以内かというところがあるのですけれども、私の地元の北上市の和賀町地域でも養鶏農場とかがありまして、非常に心配しているところです。半径10キロメートル以内の3農場については、鶏肉なのか鶏卵なのか。それから、搬出制限がかかることによって、この農場が今後どう対応しなければならないのか、その辺についてお尋ねします。
〇高橋振興・衛生課長 ただいま御質問のありました搬出制限区域内の農場についての状況ですが、まず、発生農場から半径3キロメートルを超えて10キロメートル以内には3農場ございます。いずれも採卵鶏農場で、そのうち二つの農場は採卵鶏、卵を産む前の鶏を育てている農場になります。こちらの搬出制限区域内の農場については、鶏の移動を区域の外に出すことが制限されておりますので、現在、農場に対して鶏の移動の制限を行っているところです。
〇高橋はじめ委員 きのうの午後に予備費の執行について連絡がありまして、2億9、374万円余を家畜伝染病予防費に流用するとのことでありました。広域的な取り組みも必要となってくるものと推察されますが、国を初め関係機関との連携、あるいは、国の支援等はどうなっているのか、詳細を伺いたいと思います。
〇高橋振興・衛生課長 関係機関との連携についてでありますが、国との連携については、農林水産省から連携調査に係る職員が派遣されたほか、3月14日には家畜伝染病等の専門家による国の疫学調査チームにより発生農場の調査が実施され、この調査に県も協力したところであります。
 また、県では、迅速な防疫措置に向け、建設業界や運輸業界などの関係団体とあらかじめ協定を締結の上、協力体制を整えており、現在、埋却地等での作業ですとか防疫資機材の運搬、調達などについて協力いただいているところです。
 地元の自治体からも防疫作業員や資機材を一時的に集める施設の提供をいただいたりですとか、消毒ポイントの設置場所の確保などに協力をいただいているところです。
 引き続き、関係機関、団体と連携しながら防疫措置を進めてまいります。
〇高橋はじめ委員 迅速な殺処分も2日以内で行うということで、8万4、000羽余のうち、5万8、000羽を殺処分したということで、かなり作業も進んでいると思います。これは養鶏場の敷地内での処分なのか、あるいは隣接とか、それから、地元の工事業者とかの方々の御協力という話もあったのですが、その辺はどのような体制で殺処分が進められたのか、お伺いしたいと思います。
〇高橋振興・衛生課長 まず、殺処分については、1チーム8時間の中で、県職員約80名を動員して鶏舎の中での殺処分作業を進めております。その処分した鶏を埋めるために埋却地を掘る作業については建設業協会の方々の協力をいただきながら、埋却地の掘削作業ですとか埋める作業を行っています。埋却地は農場の所有地に埋却しております。
〇高橋はじめ委員 採卵鶏約8万4、000羽を殺処分するということで、採卵前の育成鶏ということで、直接、卵の市場に影響はないと思いますが、8万4、000羽に加え、隣接のところも搬出制限されるといったものがあると、やがては市場にも影響が出てくるのではないかという思いをするところです。今、市場では卵の価格が非常に上がってきているのですけれども、その辺の見通しはいかがでしょうか。
〇高橋振興・衛生課長 卵市場への影響についてでありますが、今回、殺処分の対象となった鶏は、高橋はじめ委員御紹介のとおり、卵を産む前の鶏でありますことから、鶏卵の生産に直ちに影響を及ぼすものではないと考えております。
 また、搬出制限区域内に所在しています採卵鶏農場については、卵の移動は制限されておりませんので、搬出制限区域内の農場からの卵の出荷についても、現時点で影響はないものと考えております。
〇高橋はじめ委員 一次的な品薄によってパニックでもないけれども、買いに走るというか、そういう消費者行動も出てくる心配もありますので、正確な情報をきちんと出していく必要があるのではないかと思っておりますので、今後ともお願いしたいと思います。
 最後ですが、発生農場の再開へどのようなプロセス、あるいは期間が想定されているのか、お尋ねします。
〇高橋振興・衛生課長 発生農場の再開についてでありますが、現在進めている発生農場での防疫措置は、飼養する鶏全てを殺処分して、鶏ふんですとか餌などと一緒に埋却し、鶏舎や敷地の清掃、消毒を終えた時点で農場の防疫措置が完了となります。この後、発生農場の消毒を繰り返し、周辺農場の検査により異常がないことを確認できた場合、発生農場の防疫措置完了日から21日以上経過した後に移動制限区域を解除することとなります。移動制限区域の解除の後に、農場内の床や壁などから高病原性鳥インフルエンザのウイルスが検出されないことですとか、衛生管理が適切に実施できることを確認した上で、正常性を確認するための最終的な検査で陰性が確認された場合に経営再開が可能となります。
 このため、経営再開は移動制限区域の解除後、おおむね1カ月間程度は要するものと想定しております。
〇高橋はじめ委員 ありがとうございました。緊急事態ですので、大変御苦労されておりますが、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 次に、健康志向農産品への取り組みについてお尋ねしたいと思います。
 昨年の秋に岩手県米穀園芸生産流通議員研究会の県外調査で福岡県内の大規模産直を視察いたしましたが、お米コーナーの一角に、無肥料、無農薬栽培米や有機栽培米が3キログラム入り紙袋、5キログラム入り紙袋が所狭しと並んでおりました。一方、本県での産直ではそのような光景はなかなか出会えるような場面がないのですけれども、県民の中にも一定の需要があるものと思うところです。そのことから、何点かお伺いしたいと思います。まとめて質問いたします。
 健康志向農産品への消費者ニーズはどのようになっているのか。私も小面積ですけれども、無肥料、無農薬栽培を試験的につくっておりますし、農薬分解アートテン農法を試行的に導入しておりますけれども、無肥料、無農薬栽培は雑草問題、収量3割、4割減という問題があることは承知しております。健康志向農産品栽培にさまざまな課題があると思いますが、主なものはどのようなものかお伺いします。
 3点目、県としてオーガニック農産品や無肥料、無農薬栽培農産品の位置づけと今後の取り組み方針はどうなっているのか、あわせて3点お伺いします。
〇似内流通課総括課長 まず初めに、健康志向農産品への消費者ニーズというところについてお話しさせていただきます。
 日本政策金融公庫が令和4年7月に実施しました消費者動向調査によりますと、食に関する志向については、健康的な食生活を重視する健康志向、食費を節約する経済性志向、調理の手間を省いたり、調理時間を短縮する簡便化志向が上位を占めております。特に健康志向は、過去10年間の本調査結果でも一番高く、約4割の消費者が関心を持っているところであります。
 また、令和5年1月に実施しました同調査によりますと、関心のある農産物情報につきましては、約7割の消費者が栄養成分と効能と農薬の使用の有無を、また約5割の消費者が有機栽培かどうかをそれぞれ挙げているところであります。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 無肥料、無農薬栽培上の課題につきましてですが、まず、化学農薬の使用量を削減、もしくは無農薬の栽培につきましては、高温多湿などの日本の気象条件のもとでは、病害虫ですとか雑草が非常に発生しやすいということから、従来の化学農薬を使用する栽培方法に比べまして労力負担が非常に大きい。また、さらに、無肥料栽培におきましては、無農薬とあわせまして非常に収量が低くなるという傾向がございます。加えて、生産コストが高いという課題もあることから、生産者からは地域に適したこうした栽培技術の習得ですとか労力の軽減などを求める声があるところでございます。
〇似内流通課総括課長 今後の取り組み方針について、生産、流通の関係を私から説明させていただきます。
 まず、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの最終案におきまして、有機農産物など環境に配慮した生産方式で栽培された農林水産物の消費拡大や販路開拓を盛り込んでいるところであります。
 このため、県では、有機農産物等アドバイザーを派遣し、有機JAS認証制度や栽培管理等に関する指導及び助言や、農業者団体等との連携による技術交流会等の開催により、有機農業の実践者や志向者の相互研さんなど有機農業に取り組む農業者を支援することとしております。
 また、有機農産物等の消費拡大につきましては、岩手県有機農業連絡協議会など関係団体と連携しまして、例えば、学校給食への有機農産物等の供給など、消費者の理解増進に向けた取り組みを進めているところであり、今後とも域内での農林水産物の利用促進やオーガニックフェスタなど生産者と消費者、実需者との交流を図る取り組みを進めてまいります。
〇高橋はじめ委員 次に、米粉消費拡大の取り組みについて何点かお尋ねしたいと思います。
 ロシア・ウクライナ紛争以降、小麦価格の高騰が続き、今後、気候変動等も重なり、世界的な争奪戦など輸入も容易でなくなることも想定されてまいります。そこで、国内自給率を高めるために水田の小麦栽培を拡大する、あるいは、小麦代替に米粉を活用する方法が想定されるところであります。
 そこで、米粉について何点かお伺いいたします。まとめて質問します。米粉需要の現状はどうか。年間の需要、あるいは主要商品と割合等。米粉需要拡大への課題は何か。それから、国内及び県内での米粉品種の開発、あるいは研究はどうなっているか。それから、小麦代替の米粉戦略を構築すべきではないかという点についてお尋ねしたいと思います。
〇佐藤県産米戦略監 初めに、米粉の概要の現状についてでありますけれども、全国の米粉用米の需要は、平成29年度まで2万トンほどで推移しておりましたが、グルテンを含まない特性を発信するノングルテン米粉第三者認証や、菓子、料理用、パン用、麺用といった米粉の用途別基準の運用が開始された平成30年度以降拡大しており、令和3年度で約4万トンとなっております。
 県内においては、県産米の新たな需要拡大、水田の有効活用につながることから、米粉の生産拡大や米粉利用食品の需要拡大に取り組んでおりますが、令和3年産は71ヘクタールの作付で約400トン、令和4年産は76ヘクタールの作付で約430トンの生産量となっており、前年並みに推移しております。
 次に、米粉需要拡大の課題についてでありますが、県内では、これまで、ひとめぼれなど既存のうるち品種をもとに米粉用米の生産を進めてまいりました。加工技術料を含む製粉価格が小麦粉に比較しまして高価であることや、小麦粉に比較しまして製パン、製麺等の加工適性が劣っているといったことなど、米粉に適した品種開発や魅力ある米粉商品の開発が課題となっております。
 次に、研究についてでございますけれども、国においては、米粉に適した品種として、ミズホチカラや笑みたわわなど開発が進んでおりますが、栽培適地は関東以西が多くなっているところであります。
 県では、米粉用米専用品種として、現在、二つの系統の試験を始めており、令和5年度において、岩手県工業技術センターと、製粉適性や加工適性を把握する試験を行う予定としているなど、早期に成果が得られるよう鋭意取り組んでまいります。
 次に、小麦代替の米粉戦略についてでありますが、主食用米の需要が年々減少する中にあって、水田の有効活用と稲作経営の安定化に向け、近年需要が高まっている米粉用米の生産や利用の拡大を図ることは重要と考えております。
 このため、県では、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおいて、米粉用米について、実需者と連携した生産を推進していくこととしておりますほか、国等で育成された加工適性にすぐれる米粉用米専用品種の導入や、県オリジナルの米粉用米専用品種の開発、米粉商品の開発とそのPRなどに取り組むこととしており、県内食品事業者とともに連携し、米粉用米の生産と需要拡大を推進してまいります。
〇千葉伝委員 私からも、冒頭、藤代農林水産部長から金ケ崎町の高病原性鳥インフルエンザのお話がありました。いずれこのことについては、先ほど答弁にもありましたが、発見以来、迅速に対応していただいているということで、農林水産部副部長、あるいは畜産課、そして、現地で作業している職員は大変御苦労様でございますということで、御慰労申し上げたいと思います。
 関連した格好でお聞きしたいと思います。この高病原性鳥インフルエンザの防疫対策については、県、あるいは関係者で頑張っていただいている。もちろん、農場でもさまざま、網をかけたり、野生の動物も含めて対応しているということでありますが、当初は渡り鳥が高病原性鳥インフルエンザワクチンを持ってきているのではないかということでありましたけれども、どうも最近は飛んでくるのではなくて国内、県内にすんでいるというのか留鳥というのか、そういうことで心配されている部分もありますが、今回、まだ調査中と思います。発生要因は、どのようなことを考えているか伺います。
〇高橋振興・衛生課長 今回の発生事例の原因についての御質問でありますが、現時点で発生原因はわかっておりません。昨日、国の疫学調査チームが農場に入っておりますので、その調査チームの調査結果を待ちたいと考えております。
〇千葉伝委員 今、調査中ということで、これからということであります。環境生活部の質疑のときに、私も白鳥だけとかそういうことではなくて、農場ではカラスをすごく心配している話をしました。久慈市で発生したときに検査をしたら、カラスの陽性数がかなりあったということで、カラス対策を何とか進めたいということでありました。この分については、盛岡市の玉山農場ですけれども、狩猟期間を延ばしたり何とかかして対応したいという話から、カラスの退治については市町村で許可をしているということで、猟友会を通じながらお願いしたら、今度の11月15日からまた来年度の狩猟が始まるけれども、来年の11月14日までの期間、要するに、年間を通してカラスを退治するということの許可をもらったということでありますので、そういったことも含めて、カラスも配慮していったらいかがかということであります。これは答弁要りません。
 それでは、農林水産業費の中の鳥獣被害防止総合対策事業費は、来年度3億3、658万円の予算が計上されているということで、この内容についてお伺いしたいと思います。
 このことについては、本定例会の一般質問でも岩城元議員が質問されていますけれども、野生鳥獣による農作物被害については、年々増加傾向にあると思っており、農業者から何とかしてほしい旨の要望を多く聞いているところであります。本県の農業を振興する上で、また、先ほどありました畜産分野の高病原性鳥インフルエンザや豚熱の防疫対策を進める上においても、鳥獣被害防止対策を強化して被害を軽減する必要があると考えております。この場では疾病関係の分は除いて質問したいと思います。
 まずは、令和3年度の被害状況について、総額4億1、000万円余りと聞いておりますが、その内容をお知らせ願います。
〇村上担い手対策課長 令和3年度の鳥獣被害額の内訳についてでございます。令和3年度で約4億1、000万円の農作物の被害額がありますけれども、令和2年度に比べまして、約1、000万円の減となっております。
 令和3年度の被害額のうち、獣種別では、ニホンジカが約2億1、000万円で約半分を占めております。イノシシが約5、000万円、ツキノワグマが約4、000万円となっております。
〇千葉伝委員 それぞれの種別で今、報告をいただきましたが、前年度に比較しては1、000万円少ないとはいえ4億1、000万円という被害が出ているということでありますので、それの対策をどう進めるかというのがまた重要なことだと思うわけであります。したがって、被害防止に当たって、環境生活部自然保護課と連携して進めているところもあると思いますが、近年、市町村単独では野生動物の行動範囲が広いということから、被害防止のためには広域的捕獲の実施が必要だということで、そういった要望があるということから、県では新たに事業費3億3、600万円余りを予算計上して、本事業の実施に当たるということになっておりますが、本事業の実施に当たり、県はどのように取り組むのかお知らせ願いたいと思います。
 それから、この事業実施に当たって、対象地域、実施時期をどう想定しているのかもあわせてお伺いしたいと思います。
〇村上担い手対策課長 鳥獣被害対策の交付金事業でございますけれども、まず、市町村から鳥獣の駆除対策の強化や個体数の適正化について、市町村単位での解決が困難であるなどといった要望が多く寄せられております。被害防止対策のさらなる強化に向けまして、令和5年度、県が主体となって市町村を越えて移動する野生鳥獣の広域捕獲活動を実施することとしております。
 県が行う広域捕獲活動は、市町村からの要請に基づき行うものでございまして、捕獲は県猟友会に委託することを想定しております。
 実施時期につきましては、既に実施しております市町村による有害捕獲及び環境省事業、指定管理事業と重複しないよう、時期を分けて、ニホンジカ及びイノシシを対象として実施することを計画しております。
 また、対象地域は、沿岸地域の複数市町村を想定しております。今年度、鳥獣被害対策の専門的な知識や技術を有する民間事業者と連携しまして、GPS機器等を活用したシカの行動範囲の調査などを進めております。
〇千葉伝委員 県内の野生鳥獣がふえているということは御案内のとおりであります。シカは10万頭を超えているとか、イノシシも3、000頭を超えている、熊もかなりということで聞いておりますので、広域的な対応がより重要になってくると思います。今おっしゃった、これからの対策をきちんと進めていくという部分については、委託する県猟友会はもちろんですけれども、市町村、関係の団体、農協も含めて、そういったところとしっかりと計画をあらかじめ練って進めていくということがぜひ必要だと思いますので、それはよろしくお願いしたいと思います。
 この広域的取り組みというのは初めてのことになりますけれども、それを効果的に進めるには、先ほど言ったそれぞれの関係のところとの体制づくりが、より重要だと考えます。したがって、この体制づくりをどのようにしていくつもりなのかお伺いしたいと思います。
〇村上担い手対策課長 効果的に進めるための体制についてでございますけれども、県ではこれまで、鳥獣被害防止対策連絡会を県域及び地域に設置しておりまして、市町村等と鳥獣被害対策等を情報共有してきたところでございます。令和5年度は試験研究機関、専門知識を有する民間業者等を構成に加えまして、鳥獣被害対策を実践する体制として強化することとしております。
 また、県が主体的になって行う広域捕獲活動や市町村、関係団体等と連携しながら、より効果的な対策を推進する特命課長や、県現地機関が市町村や関係団体と緊密に連携して対策の実践活動を行う現地対策チームを設置しまして、現地の地域ぐるみの被害対策をより一層強化していくこととしております。
〇千葉伝委員 本県で初めての対応ということでありますが、この事業については、国の事業が根幹にあって、それに基づいて進めるということになると聞いております。したがって、国との関係においては、今後、単年度では多分ないと思うので、何カ年計画とかそういったことがあれば教えていただきたいし、岩手県が初めてだと言うけれども、ほかの県では同じようなことを考えて進めているところがあるのかというあたりはいかがでしょうか。
〇村上担い手対策課長 この広域捕獲活動につきましては、令和3年度に鳥獣被害防止特別措置法が改正されまして、その中に、都道府県による被害防止に関する個体数調整のための広域的な捕獲の強化が盛り込まれたところでございます。それを受けまして、国のほうで令和4年度からメニューとして追加されまして、令和4年度については、九州地域で数県実施しているということは聞いております。
 岩手県におきましては、国の交付金の追加されたメニューを活用しまして、来年度から広域捕獲活動を実施していくことにしておりますし、あとは、必要な予算ついては、国に対してしっかりと要求しまして確保していきたいと考えております。
〇千葉伝委員 国の事業ということで、そのメニューには、たしか一般質問でも話が出たと思うのですが、ジビエも含めた対策もしっかり進めるということだと思います。本県は自然が豊かだということで、それはそれでいい話なのですけれども、一方では、人と野生動物の共生というのか、お互いに生きていく分があるわけです。全て悪とかそういうつもりはありません。いかにして人間生活の被害を軽減するかということからさまざまな対策を進めていただいているわけなので、そこをことし1年、最初の広域的な対応は試金石という思いでおりますので、来年度以降、そういう機会があるかどうかわからないけれども、効果をしっかりと確かめながら進めていただきたいと思います。
 この質問の最後に、県の広域的対応という話ですが、国が進めていくということと、あわせて、岩手県だけでなくて秋田県でも青森県でも同じようなことを困っているということもあろうかと思いますが、隣の県とか、そういった広域的な考え方とかは、国から示されているといったことはないのですか。
〇村上担い手対策課長 都道府県をまたぐ対策は、国が主体となってということになりますけれども、それは昨年度からも国でいろいろと意見交換をしておりまして、特に昨年度につきましては、岩手県におきましても、陸前高田市と気仙沼市のところで、国が主体となって、対策をどういうふうに進めるかという意見交換をしながら、国が主体となった地図のデータに基づいた被害対策の提案とか、そういうことの話し合いとかをした経緯がございます。国でも都道府県をまたぐ捕獲対策とか被害防止対策について、進めているというところでございます。
〇千葉伝委員 県内のみならず、隣の県との関係も、鳥が飛んでいくだけではなくて動物も行き来しているということから、そういったところの対策もまたいろいろと取り組んでもらえればと思います。
 熊の話で、人的被害も令和4年は24名とかと新聞には載っていましたが、人的な被害対策をどうするのだということではなくて、農林水産部として、熊に対しての被害対策をどう考えているのかお聞きしたいと思います。
〇村上担い手対策課長 熊の対策についてでございますけれども、第5次ツキノワグマ管理計画におきましては、初めて生息数を現在の推定生息数より300頭少ない3、400頭を目安に低減することとしております。令和4年度の捕獲上限数を626頭に引き上げ、令和5年度についても、令和3年度の捕獲実績を踏まえて、捕獲上限数をさらに増加させることとしております。
 ツキノワグマの農作物被害防止に向けましては、捕獲とともに侵入防止柵の設置、放任果樹の伐採、やぶの刈り払いなど地域全体で取り組む被害防止活動が重要と考えております。
 県では、国の交付金を活用しまして、市町村等の取り組みを支援しているとともに、地域で鳥獣被害防止対策に取り組むモデル地区を設置いたしまして、熊でいえば児童を対象とした出前授業や地域住民を対象とした勉強会の開催など、市町村と連携して取り組んでおりまして、これらの取り組み事例を波及させていくこととしております。
〇千葉伝委員 これまでのさまざまな鳥獣被害防止対策は進めていただいている、いろんなやり方があるといったことから、改めて広域的な対応をしっかりと進めていくということを期待しているところであります。こういった取り組みを進めていただいて、被害を最小限というのか軽減化するということで一丸となって取り組んでいくことをお願い申し上げて、質問を終わります。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午前10時55分 休憩
午前11時7分再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇工藤大輔委員 それでは、質問させていただきます。
 雑穀の生産についてお伺いしたいと思います。健康志向の高まりにより雑穀の持つ健康機能性が見直され、県内でも生産が拡大してきましたが、東日本大震災津波以降においては、急速に生産面積、生産量、そして生産者が減少しています。こういった状況で、県でも生産拡大に努めてきていると思いますが、なかなか以前のような状況に戻っていないわけですけれども、現状をどのように捉えているのかお伺いします。
〇佐々木農産園芸課総括課長 雑穀の作付面積等の状況についてでございますけれども、本県における雑穀の作付面積につきましては、震災以降減少傾向となっておりまして、直近の令和3年産の面積につきましては、約330ヘクタールになっているところでございます。
 また、生産量、生産者数につきましても、作付面積と同様に減少傾向となっておりまして、令和3年産の生産量は約330トン、生産者数は約420人になっているところでございます。
〇工藤大輔委員 たしか東日本大震災津波以降においては、原発の風評被害もあって取引が減少した。そして、在庫が拡大してしまって、それに伴って生産者が生産面積を減らしていったというような状況であったと思います。それからもう12年経過するわけですけれども、当時の収益性を見ても、10アール当たりで見れば、市町村の産地交付金も入れば15万円ぐらいはあった。しかし、現在で見れば、市町村が出す金額にもよるのですけれども、それほどでもない。13万円前後、あるいは13万円を切っているような状況だと思います。単純に、産地交付金が入らなければ9万円ということなのですけれども、今、他の作物、品種等を見れば、主食用米で見れば10アール当たり11万3、000円、飼料用米であれば11万7、000円、ホールクロップサイレージ用の稲は10万8、000円、また、麦、大豆となれば9万6、000円程度ということのようであります。
 こういった中で、飼料用米、ホールクロップサイレージ、麦、大豆においては、かなり助成金が出たり、対策が講じられているということで、水田の活用においてバランスよい活用が本来求められると思いますが、雑穀においても、県の助成も一部入っているわけですけれども、もう少し入るような形になっていかないのかどうか、それについてお伺いしたいと思います。
〇佐々木農産園芸課総括課長 雑穀の収入等々に関する御質問でございます。雑穀の収入につきましては、国の水田活用直接支払交付金を加味して、地域協議会で独自に設定するメニューがございまして、その部分を抜いた中で、10アール当たり約9万円と現在、試算しているところでございます。
 その部分のさらなる助成、支援ということでございますけれども、今、工藤大輔委員からお話のありましたとおり、一部地域におきましては、さらに地域段階での助成メニューということで上乗せしているところもございます。国に対しましては、県としては予算の確保等々を要望しているところでございます。上乗せの部分につきましては、各再生協議会と意見交換等々をしながら、産地交付金での支援といったものが可能なのかどうかというところも含めて検討なり意見交換をしてまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 品質においては高い評価を得ておりますし、あと、健康志向の高まりということもあるので、市場においてもニーズは高い、これがまだ続いているとも思っております。そういった中、県内で見れば雑穀であったり、酒米とかもそうなのでしょうが、もう少し生産を拡大したいというところの地域の特殊性を考えて、国にもさまざま他の作物等に近いような形の助成制度等を検討してもらえるように、今後ともぜひ要望してもらいたいと思います。
 こういった環境の中ですので、生産者の所得を向上させるということからすれば、品種改良やコストを下げて生産性の向上を図っていく取り組みというのが一層求められていると思います。現在、どのような形で進んでいるのかお伺いしたいと思います。
〇佐々木農産園芸課総括課長 雑穀の品種改良等でございます。県では、生産者、あるいは実需者のニーズを踏まえまして、雑穀の新品種の開発に取り組んでいるところでございます。
 これまでに食味にすぐれ、草丈が低く栽培しやすい、半もち性のヒエであります、ねばりっこ、あるいは、粒が大きく多収のキビであります、ひめこがねなどを開発してきたところでございます。
 さらに、本年度におきましては、菓子原料に求められております鮮やかな黄色を有して、さらに、ルテイン等の機能性成分を多く含んだ水稲用のコンバインでも収穫が可能なもち性のアワの新品種を開発したところでございます。
 また、機械化の関係でございますけれども、機械化による生産性の向上に向けましては、県北農業研究所におきまして、乗用田植え機を改良した移植機の開発などを行いつつ、こうした機械化技術、現地での実証展示、あるいは普及センターによる個別巡回指導、こういったもので生産現場への普及を図っているところでございます。
〇工藤大輔委員 ぜひその成果を浸透させていただきたいと思います。県内の生産量は全国の中で見れば、主要雑穀の生産量は七五、六%が県内の生産だということでありますが、この生産に見合う消費の拡大という取り組みも必要だと思います。これはぜひ強化していただきながら、県内でより多くの地域で雑穀の消費拡大に向けて、観光振興にも結びつくものですので、ぜひ取り組んでいただきたいのですが、その状況をお聞きします。
〇似内流通課総括課長 雑穀の消費拡大の取り組みについて答弁させていただきます。
 先ほど工藤大輔委員から御紹介いただいております消費者の健康志向の高まりから、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養価が豊富に含まれる雑穀は、栄養機能を備えた食材として注目されているところであります。
 県ではこれまで、雑穀生産者の商品改良に向けた専門家派遣、あとは、首都圏の飲食店等に向けて県産食材の魅力を生産者や料理など写真を中心にしながら紹介するリーフレット、これはニュースレターと呼んでいますけれども、このニュースレターの作成、首都圏の大手ホテルのレストランでのメニュー化などの取り組みに加えまして、例えば、今月、民間企業と連携して県産雑穀を使用した新商品の雑穀ミルクを開発して全国販売しているなど、県内外におきまして、県産雑穀の消費拡大に取り組んでいるところであります。
 今後とも日本一の生産量を誇る本県の雑穀の利用機会を拡大するため、飲食店や食品加工事業者など、実需者の産地視察、あるいはマッチングによる販路開拓、拡大や、県産食材を使っていただいております、黄金の國、いわて。応援の店での利用拡大を通じまして、消費者へのPRなど消費拡大に向けた取り組みを進めてまいります。
〇工藤大輔委員 ぜひそういった取り組み、新しいものを市場にどんどん出していただきたいと思います。
 そこで、雑穀を見れば、県内の生産量は圧倒的に花巻地域が多くて、先ほど生産量は東日本大震災津波以降減少傾向にありながらも、330、あるいは400前後のトン数を生産しているわけですが、どうしても県北地域のほうが内容を見れば減っていっているのが実情ですので、先ほど来お伺いしているとおり、生産性の向上等も進めていただきたいですし、県北地域の新規の農業者、就労者もふやしていかなければなりません。
 そういった中で、現在では高性能なハウスを県北農業研究所に設置し、試験研究をしてもらっていますし、また、たしか平成31年ころに岩手県立農業大学校で遠隔の講義を受けられるシステム、県北農業研究所でできるシステムなども整備してもらって、県北地域にいる人でも、生産者でも新規就労者でもそういった1年、2年かけての講義を受けられるようなシステムをつくってもらいました。そういったものも含めて、条件が不利な地域であっても、農業をしっかりとやれるような形をこれからもとっていただきたいわけですけれども、最後に農林水産部長に聞いて質問を終えたいと思います。
〇藤代農林水産部長 雑穀の振興についてでございますけれども、委員御指摘のとおり、本県の雑穀は、全国の生産量の約8割、順番的には全国1位の生産量というところで、同じように、かつて雑穀ブームという形で生産量が伸びてきたところですが、原発事故の風評被害で取引が大きく減少しました。そこに担い手の方の高齢化も加わって、その後、生産量が減ってきたという歴史がございます。
 ただ、一方で、最近の健康志向の中で雑穀が注目されるというのはそのとおりでございますし、また、新たな担い手確保に向けまして、雑穀はつくるのに手間がかかるというところが大きな課題だと捉えていますので、こういったところについて、なるべく機械化を進めるということで、岩手県農業研究センターで苗を移植するような移植機とか、あるいは、収穫するときも人手ではなくて機械で収穫できるようにということでコンバインを使えるようにとか、あとは、それに合ったような品種にするということで、丈を短くするとか、そういった品種開発も進めていますので、若い方も雑穀に興味を持って生産できるような形をつくっていきたいと思います。
 また、消費の面でも、今月半ばぐらいに大手飲料メーカーから、県では全然想像つかなかったのですが、雑穀ミルクという形で、雑穀を飲料として摂取するという形の商品も出てきましたので、そういった形で新たな雑穀の食べ方提案といいますか、付加価値をつけるという取り組みを、流通業者とも連携しながら雑穀の消費拡大、そして、最終的には生産拡大に結びつけるように取り組んでいきたい。県北地域に、そういった形でいろいろな農業生産を拡大するようなものに取り組んでいきたいと思います。
〇軽石義則委員 それでは、花卉園芸について質問させていただきます。
 コロナ禍も明けて、イベントもこれからかなり各種開催されてくると思いますし、いろいろな意味で花の需要も高まってきておりますけれども、ただ、原材料、エネルギー、肥料等それぞれが高騰していて、環境としては非常に厳しいものがあるとも聞いておりますけれども、まず、花卉市場の現状、課題等をどのように把握されているでしょうか。
〇似内流通課総括課長 花卉市場の現状と課題ということでございます。
 まず、国内の花卉の流通でございますが、品目、品種が非常に多いこと、小売構造が零細であることから、青果や水産物と比較いたしますと、卸売市場を経由する割合が約7割と高くなっているところであります。
 県産花卉を主に扱う卸売市場は、主に県外2カ所、県内1カ所となっており、令和3年県産花卉の産出額は42億円となっておりまして、平成30年以降、40億円代で推移している状況であります。
 また、総務省の家計調査年報によりますと、全国における1世帯当たりの切り花の購入金額は、平成9年の約1万3、000円をピークに減少傾向となっており、令和3年では約7、900円と、ピーク時に比べますと約5、000円減少していると捉えております。
〇軽石義則委員 40億円前後の、仕事とすればさらに拡大することが大事だということだと思いますけれども、その花卉園芸を広げるといいますか、いろいろな意味で拡大していくためには、それぞれ取り組みをされていると思うのですけれども、県立花きセンターというところもありますが、県立花きセンターの現状、どのような取り組みをされているか、課題等があればあわせてお示しください。
〇佐々木農産園芸課総括課長 県立花きセンターについての御質問でございます。
 県立花きセンターでは、これまで花卉生産者、あるいは指導者向けの小菊、スプレー菊などの新品種の展示、あるいは、技術向上研修会を開催するとともに、一般の県民の方を対象としまして、花壇づくりなど農業ふれあい研修を開催するほか、四季折々の花を展示するモデル花壇、見本園や、亜熱帯性植物の展示温室などの施設につきまして、広く県民の皆様に開放し、花と親しむ場を提供してきたところでございます。
 県立花きセンターにおきましては、新型コロナウイルス感染症の影響等によりまして、令和3年度の利用者数がコロナ禍前の令和元年度と比べまして、約7、000人減の8、000人となるなど、利用者数は減少傾向となっているところでございます。
 令和5年度におきましては、新たに施設花卉等の新規栽培者を対象としました研修を実施するとともに、小学生、中学等を対象としましたフラワーアレンジメント研修、あるいは、消費者を対象とする花壇づくり研修などの回数をふやすほか、ホームページやSNS等を活用しまして、花の見ごろやセンター内の様子など、花に関する情報の発信を強化することとしておりまして、県立花きセンターが県民の皆様にとりまして魅力ある施設として利用者が拡大するよう取り組んでまいります。
〇軽石義則委員 施設花卉の話もございましたけれども、天候に左右されずに良質な花卉を生産できるということからいえば、施設花卉も重要な役割を果たしていると思いますが、この施設花卉は、どのぐらいの仕事をされている方々がいるのかも含めて、現状と課題についてお示し願います。
〇佐々木農産園芸課総括課長 施設花卉の生産の現状、課題でございます。本県におきましては、ユリやトルコギキョウ、スプレー菊、カンパニュラなどの切り花に加えまして、シクラメン、鉢物リンドウなど、県内各地におきまして、特色ある施設花卉の生産が行われているところでございます。
 施設花卉の生産につきましては、今、軽石義則委員からもお話がありましたとおり、天候の影響を受けにくいということでございまして、安定生産や品質向上に有効でございます。
 本県における令和3年の作付面積、生産額につきましては、42ヘクタール、6億6、900万円で近年横ばいとなっているところでございます。生産の拡大に向けまして、施設、設備の整備を促進しますとともに、単収の向上、あるいは計画的な出荷など、生産性、収益性を向上させる技術を普及、拡大していく必要があるところでございます。
 このため、県では、国庫事業等によるハウスや加温設備などの整備支援、あるいは県立花きセンターでの研修会の開催、普及センターによる病害虫防除技術の実証などに取り組んできたところでございまして、令和5年度からは、新たにユリにおけるLED電照による開花調節技術、さらには、トルコギキョウによる土壌水分調節技術の実証を行う予定としております。引き続き、本県の施設花卉の生産が拡大し、生産者の所得が確保できるよう取り組んでまいります。
〇軽石義則委員 いろいろな取り組みをされているということで、生産額の伸びはなかなか難しいですけれども、維持をしていくということでございます。新年度予算案のポイントと具体的事業があれば、教えていただきます。
〇佐々木農産園芸課総括課長 令和5年度の予算案のポイントと具体的事業についてでございます。
 県では、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプラン最終案におきまして、花卉の振興に向けて、リンドウの作付拡大や公益財団法人岩手県生物工学研究センターと連携した品種開発に取り組むこととしております。
 令和5年度当初予算案におきましては、リンドウの栽培面積を拡大する生産者の方の新改植を支援する、りんどう生産拡大支援事業、高温条件下におきましても開花しやすいリンドウの新品種育成を行います、地球温暖化適応品種開発プロジェクト事業の新規2事業のほか、公益財団法人岩手県生物工学研究センターが開発しましたDNAマーカーを活用して、花の色が白色の八重咲鉢花リンドウ等の新品種を育成します、りんどうパワーアップ事業を盛り込んでいるところでございます。
 また、県や生産者団体、流通業者等で構成します、いわて花と緑の普及協議会におきまして、国庫事業を活用して、県産花卉の利用拡大に向けて、県内の高校生を対象としたフラワーアレンジメント教室といった花育体験、あるいは、PRイベントの開催を行うこととしております。
 県としましては、引き続き、本県花卉の生産拡大、生産者の所得向上に取り組んでまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 所得向上に取り組むということでございますので、ぜひ引き続き、それに進んでほしいのですが、ただ、現状を見ますと、原材料の高騰やエネルギー、肥料を含めて、非常に経費がかかり増ししているのは現実だと思いますし、輸入切り花は円安によってかなり高騰して、逆に、国産の花が海外への輸出がふえているのではないかというお話もありますし、流通の関係者も入れてこれから打ち合わせもしていくということですが、ただ、九州地域、愛知県、千葉県を含めて花の移動、流通コストがかなり高くなっていて、その負担が非常に厳しくなっているというふうにも小売の関係者からもお話をいただいているところです。2024年の物流問題を抱えていることからいって、さらに流通の仕方も難しくなってくるだろうとも言われています。
 花は生ですから、その輸送や管理を含めて非常に難しくなってくるのではないかと思いますが、そういう意味で、生産者の声をどう把握しているか。また、卸や小売の関係者の声をどのようにきちんと把握した上で具体的事業を組み立てているかというのが大事だと思うのですが、加えて、担い手がそこについてこなければ事業としては継続できない。仕事として、産業としてなかなか成り立たなくなってくるという心配もあるのですが、その部分の現状と課題はどのように把握されているでしょうか。
〇佐々木農産園芸課総括課長 生産者等々の意見の把握といいますか、そういった質問でございますけれども、そこの部分につきましては、令和4年度、生産者でありますとか指導者と今後の花卉をどのように持っていくかという意見交換の場を持たせていただいているところでございます。そうしたところから、リンドウの生産拡大をきちんとやる必要がある。あるいは、施設花卉を伸ばす必要があるのではないか。それから、昨今の資材高騰等々の対応も必要です。あるいは、今、お話のありましたとおり、2024年問題といいますか、流通関係の問題のお話も出されたところでございます。
 リンドウの生産拡大につきましては、先ほど令和5年度当初予算案に盛り込んだ部分の事業を着実に進めながら取り組んでまいりたいと考えております。施設花卉につきましては、県立花きセンターでの研修でありますとか施設整備等々、先ほど御答弁申し上げました取り組みを進めながら、生産拡大を図っていきたいと考えております。
 2024年問題につきましては、全農ともいろいろ意見交換、情報交換をさせていただいているところでございまして、その部分の取り組みについて、今後検討してまいりたい、このように考えております。
〇軽石義則委員 これは大きな問題、課題でもあると思いますし、生産意欲を失わないようにどう支えていくかということが大事なポイントだと私も思っておりますので、これから花のない社会では暗くなりますし、生産することによって一次産業の担い手も継続できていくという思いもありますので、花卉だけで生活が成り立つ方々だけだといいのですけれども、花卉も加えていくことによって、一次産業の担い手がさらに拡大をしていくのではないかという思いもございますので、そういう連動した仕事ができる体制づくりが大事だと思いますので、引き続き、それらについて取り組んでいただくことをお願いして、終わります。
〇臼澤勉委員 それでは、私からはまず、いわてみどりの食料システム戦略推進事業費とGXの推進の取り組みについてお伺いいたします。
 令和4年度、約1、900万円の予算措置をして、新年度当初予算案では5割アップですか、約2、800万円の予算を措置しております、みどりの食料システム戦略推進事業費について、県も重点事業として位置づけながら取り組みを進める、積極的な推進を図ると、以前、たしか令和3年10月の私の一般質問でもそのように答弁されておりましたが、このみどりの食料システム戦略の実績、評価、新年度どのような事業に取り組む予定なのかお伺いいたします。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 いわてみどりの食料システム戦略推進事業費についてでございますが、本事業は、国のみどりの食料システム戦略推進交付金を活用いたしまして、天敵昆虫を活用した化学農薬の低減等の栽培技術のグリーン化ですとか、有機農業の産地づくりなどの取り組みを推進するものでございます。
 令和4年度におきましては、有機農業指導者の育成などの県の推進事業分はおおむね計画どおり実施したところでございます。
 一方、市町村等への補助事業についてですが、有機農業産地づくり推進等の取り組みは、事業要望調査後に国の事業要件が厳格化されたことなどによりまして要望が取り下げられ、実績はなしとなったところでございまして、取り組み市町村等の一層の掘り起こしが必要であると認識しております。
 また、市町村等への補助事業のうち、地域循環型エネルギーの導入に向けましては、陸前高田市の醸造用ブドウ栽培圃場における営農型太陽光発電のモデル的取り組みを支援しているところでございます。
 令和5年度におきましては、こうした令和4年度の取り組みに加えまして、新たに有機農業に取り組む農業者に対し、10アール当たり2万円を交付するほか、有機農業の理解醸成を図る交流会の開催ですとか、市町村が取り組む有機農産物の販売会や学校給食への食材供給などを支援することとしております。
 こうした取り組みを効果的に推進するため、令和5年度の早い段階に農業者団体ですとか消費者団体等と一体となった推進体制を整備していくこととしております。
〇臼澤勉委員 今年度はなかなか思うように事業が進まなかったということでありましたが、純情産地いわての取り組みの中のブランディングとしても、非常に重要な政策だろうと私は捉えております。堆肥施用実績についても、水稲は10アール当たり1.1トン、野菜でも3.1トンということで、非常に高い施用実績を誇っている本県、あるいは、有機農業に取り組んでいる作付面積についても4、958ヘクタールということで全国4位、東北地域でも宮城県に次いでたしか2番目ぐらいだったと思います。というようなことで、ここの畜産との連携による堆肥を活用した土づくり、ブランド戦略というのは、純情産地いわてを応援する私としては、本当に進めていっていただきたいという思いでおります。新年度も期待して、注視していきたいと思っております。
 そこで、環境負荷軽減型自給飼料生産拡大支援事業費を、来年度新たに事業化を予定しているようでございますが、先週末も日曜日に簗和生副大臣を講師にお招きしまして、食料安全保障政策の強化に向けての勉強会もさせていただきました。そういった中でも、飼料価格の高騰、あるいは、畜産経営を圧迫している現状を、国の政策についてもいろいろと学ばせていただいたところではありますけれども、まだまだ配合飼料価格の高騰は、今の世界情勢から見ても当面続くのではないかと捉えております。
 本県の広大な土地を活用した畜産経営をしていくことが本県の酪農、畜産経営を持続発展させる上で極めて重要なポイントになってくる、このように認識しております。
 そこで、新年度の予算案において、農業分野におけるGXの推進の取り組みとして、この環境負荷軽減型自給飼料生産拡大支援事業費を計上しておりますが、まず、この事業の具体的な内容をお伺いしたいと思いますし、本事業によって、どのような成果を県として期待しているのかお伺いしたいと思います。
〇米谷畜産課総括課長 環境負荷軽減型自給飼料生産拡大支援事業費についてでございます。この事業につきましては、国のみどりの食料システム戦略では、環境負荷軽減の取り組みの一つとして、2050年までに化学肥料の使用量を3割低減するという目標を掲げてございます。
 このため、県では、牧草につきましても環境負荷軽減に配慮した飼料生産を推進するということを掲げまして、牧草生産の際に堆肥を活用することで、今、原料を輸入に偏っている化学肥料がございます。その化学肥料の使用量をまずは通常の1割から2割低減して、通常の栽培方法と同程度の牧草収穫量が確保できることを実証することを目的といたしまして、事業化したものでございます。
〇臼澤勉委員 化学肥料の低減を図る、10%、20%低減を図っていくということで、そのための実証事業ということでありますけれども、具体的にどのような地域にこの取り組みを波及させていくお考えなのかお伺いいたします。
〇米谷畜産課総括課長 この事業につきましては、県が事業実施主体となりまして、県内各地の土壌や気象条件、地形などを勘案いたしまして、県内の8地域で実証を行うこととしております。
 実証面積につきましては、1地域当たり5ヘクタール規模程度で考えているものでございます。
 この実証事業につきましては、広域振興局や農業改良普及センターが実証地の選定や実際の牧草地の施肥量の設計、あるいは、草地を更新するための技術指導、その後の管理指導等を行いながら、その収穫量を調査するとともに、生産した牧草につきましても、牛への嗜好性を確認する。堆肥を活用した牧草生産技術につきましては、その後、研修会等を通じながら、生産者に普及させていきたいと考えているところでございます。
〇臼澤勉委員 8地域ということですが、具体的な地域、現時点でどういったところを想定しているのか、お答えできましたらお願いいたします。
〇米谷畜産課総括課長 具体的な地域につきましては、今、選定中でございますけれども、県内各広域振興局、農林振興センターを通じまして、実際にできるところ、希望するところがあるかどうかを確認しているところでございます。県全域にわたって、8地域調査することになります。
〇臼澤勉委員 今、いろいろと調査、整理中ということでございます。引き続き、そこは期待して見たいと思います。
 この件についての最後にいたしますが、農業GXの推進を重点的に進めていくということで県も取り組みを強化していくということで認識しておりますが、本事業の位置づけ、それから、堆肥活用による化学肥料の低減における農業GXの本県の目指す姿、そういった部分はどう考えているのかお示し願います。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 県が実施いたします農業分野におけるGX推進の位置づけ、あとは、目指す姿というところでございますが、まず、本県農業の持続的な発展に向けましては、地域経済と環境に好循環をもたらす脱炭素社会の形成に向けたGXの推進による農業の一層の体質強化が重要でございます。
 このため、県のGXの推進といたしましては、農業分野において、先ほど御答弁申し上げました事業の中で、天敵昆虫の活用により化学農薬等の使用量を低減する栽培体系のグリーン化ですとか有機農業の導入、さらには、堆肥を活用した牧草地改良の実証、これに加えまして、地球温暖化に適応する新品種の開発などにも取り組むということで、こうした施策を令和5年度当初予算案に盛り込んだところでございまして、こうした施策を積極的に展開しながら、農業の体質強化を図っていくとともに、本県農業の持続的な発展に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひ、引き続き注視していきたいと思います。
 次に、酪農畜産振興についてお伺いいたします。
 昨年11月に生乳価格が10円引き上げられましたが、依然として配合飼料価格が高騰しており、酪農経営は極めて厳しい経営環境にあると認識しております。そして、紫波町、矢巾町内の畜産農家においても、畜産クラスター事業を導入して、例えば、牛舎を整備した一方で、規模拡大を図って頑張っていこうと取り組んでおりますけれども、牛舎整備をした際の借入金の返済といった部分、それと飼料価格の高騰といった部分が重なって、本当に厳しい経営状況にある。紫波町、矢巾町内だけではなくて、多分、県内の畜産農家はそういった状況にあると思うのですけれども、こうした状況を県としてどのように捉えているのか、まずお伺いいたします。
〇米谷畜産課総括課長 酪農の経営状況についてでございますが、昨年11月に飲用向けの生乳価格が1キログラム当たり10円引き上げられておりますが、先月2月の乳牛の子牛価格は、前年に比べて約6割低下というところ、また、配合飼料の価格につきましても、極めて高い水準で推移しておりますので、やはり生産コストが大幅に増加しているということ、あと、そういうところから、規模拡大した農家とか設備投資をされた農家の方にあっては、いろいろと資金面で厳しい環境に置かれていると認識しております。
〇臼澤勉委員 そういう認識のもとで、畜産県岩手が極めて厳しい状況にある中で、県として酪農経営をどう支えていこうとしているのか、本当に今、重要な岐路に立っていると思います。来年度に向けて、県の取り組みについて、どう取り組むのかお伺いいたします。
〇米谷畜産課総括課長 県ではこれまで、配合飼料や肥料コストの上昇分を補填する国事業の活用を積極的に進める、農家の方々に使っていただくようにということ、あるいは、県独自に酪農経営等への影響を緩和するため、配合飼料や肥料価格購入費への支援を行ってきたところでございます。
 また、昨年度から自給飼料基盤の積極的な活用による飼料確保と生産コストの低減に向けまして、水田を活用したホールクロップサイレージの生産を推進する、あるいは、牧草の生産性を高めていくということで草地更新等を積極的に進めてきたところでございます。
 これにつきましては、実際のところ、予算ではないのですが、現地機関の職員に、農家に行って寄り添いながら指導、あるいは支援をしていくようにということで指示しているところでございます。
 また、酪農家を初め畜産経営体は、依然として厳しい経営環境に置かれております。資金繰りに重大な支障が生じないよう、金融機関に対しましては、適時適切な貸し出しや既往債務の返済猶予など、実情に応じた十分な支援を行うことを依頼しております。これにつきましては、また現地機関の職員等にも相談にあったらば適時対応するように、あるいは、機会があるごとにそういうことをしているということで、気軽に相談に来ていただけるようにということを農家の方々に周知するように取り組みをしております。また、配合飼料購入費への追加の支援策も令和4年度2月補正予算で措置したところでございます。酪農経営につきましては、引き続き、関係機関、団体と連携しながら、経営安定が図られるよう取り組んでいくという気持ちでいます。
〇臼澤勉委員 肉用牛の振興について、最後、伺っていきたいと思います。
 岩手牛を国内外でPRしていく、あるいは、種牛の精液の利用は極めて重要になってくるのだと思っておりまして、昨年度ですか、たねやま営業部というものを設置して、県有種雄牛の利用向上を図っていくということで今、県は取り組んでいると見ておりますが、これまでの取り組み実績、あと、畜産農家にとってどのような成果があったのか、まず、そこの現状をお伺いしたいと思います。
〇米谷畜産課総括課長 たねやま営業部の取り組み実績等についてでございます。県有種雄牛の産肉能力の高さをアピールして、より一層の利用拡大を図るという目的で、令和3年度から県畜産研究所の種山畜産研究室に県有種雄牛のPR活動を行う専門職員を配置しました。それをたねやま営業部と呼んでおりました。そのたねやま営業部を中心に凍結精液の販売促進活動を強化してきたところでございます。
 今年度は、県外の肥育農家から、県有種雄牛の枝肉成績を独自に収集し、これにつきましては、肥育農家の方々は、実際に自分のところの枝肉成績等を余りオープンにしないところなのですけれども、これを県外の農家からも電話をかけながらデータを収集し、その最新情報を生産者の方々に提供しているとか、あるいは、和牛専門誌、農業新聞への種雄牛の広告掲載、あと、昨年10月に鹿児島県で行われました鹿児島全共、全国和牛能力共進会におきまして、本県種雄牛のPR活動を5、000人の方々に行ったところでございます。
 こうした取り組みによりまして、本年度新規種雄牛として選抜いたしました百合花智ですけれども、昨年度に比べまして約7倍、1、000本近くの販売本数になっております。あと、一部の種雄牛につきましては、県外にも精液を販売しているのですけれども、その販売本数が約2倍となるなど、一定程度の効果は出ているものかと捉えているところでございます。
〇臼澤勉委員 産地間競争も大変厳しいのだろうなと捉えております。特色ある岩手牛、和牛の生産、そして拡大に、そして、その評価を高める取り組みを強化していっていただきたいということを願って、質問を終わりたいと思います。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇千葉秀幸委員 先ほど来、臼澤勉委員から酪農についての質疑が交わされていたところでございますので、そこに関して1点だけ、関連をさせていただきたいと思っております。
 先ほど来、臼澤勉委員から、酪農現場は大変だという状況ですが、大変どころではないです。もうあすにでも倒産するというふうに追い込まれているような状況となっております。そのような中、先ほど御説明があったように、昨年11月に生乳価格が10円上がった。他方、配合飼料の高騰、そして原油の高騰、さらには、いわゆるぬれ子の大暴落ということで、本当に農業者は大変な状況となっております。
 そして、先ほども畜産クラスター事業という言葉も出てきましたが、国ではどんどん大きくするところに対して支援策を出してきたのですが、大きくしたところに限って、なおさら大変な状況になっております。国のほうでの政策の失敗だったり、あるいは、生産調整の失敗だと私は思っておりますので、これは国の責任において、しっかりと早急な対応をしていただきたいと思っております。
 そんな中、岩手県としましても、令和4年度12月補正予算で配合飼料価格安定緊急対策費補助ということで措置されましたが、今定例会においても補正予算が組まれました。その中で、7月、8月、9月分ということで補助するということでありましたが、私の耳に入ってきているところでは、一部地域において、まだ補助が来ないのだという話もあったわけでございますが、この辺の認識について伺いたいと思います。
〇米谷畜産課総括課長 令和4年度12月補正予算で措置いたしました配合飼料価格安定緊急対策費補助についてのお尋ねでございます。この事業につきましては、配合飼料価格安定制度に加入している農家に対しまして、配合飼料価格安定基金の交付金の差額が入っても、まだ餌価格の上昇分の一部差額が出るということで、その一部を県で3分の1負担するという事業でございました。これにつきましては、12月末支払いを目標に事業自治体と調整しながら事務手続を進めてきたところですが、一部事業自治体におきまして、契約者の変更、あと、契約数量の変更等がありまして、変更の手続に少し時間を要したところがありまして、農協さんの中には、一部、補助金の交付、支払いがおくれたところがあったものでございます。現在のところ、全ての生産者の方々には補助金につきましては交付されているところでございます。
〇千葉秀幸委員 今定例会においても補正予算を組まれたということでございますので、速やかに生産者に補助をしていただきたいということをお願いしておきます。
 繰り返しになりますが、本当にあすもつかわからないという現場でございますので、しっかりと国には早急な対策を求めていただきたいということを県からも強く要望していただきたいと思っておりますし、配合飼料価格安定緊急対策費補助について、また新たに補正予算を組まれたわけでございます。今度は10月、11月、12月分でしょうか、速やかに交付をしていただきたいと思いますが、御所見があれば伺って終わりたいと思います。
〇米谷畜産課総括課長 令和4年度2月補正予算で同様の事業を継続することで措置いたしました。今度の対象期間は、第4・四半期の1月から3月までということで、これにつきましては、着実に速やかに事業執行するように進めていくことといたします。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時56分 休憩
午後1時2分再開
〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇岩渕誠委員 それではまず、食味ランキングが先日、日本穀物検定協会から示されました。喜ばしい結果と残念な結果がありました。これまで統計評価に向けた取り組みをされてきていると思います。その取り組みと、今回出た食味ランキングについての評価、分析をお示しください。
〇佐藤県産米戦略監 米の食味ランキングについてでございますけれども、令和4年産の食味ランキングについて、県中銀河のしずくが5年連続の特A評価となり、県南ひとめぼれ、県中ひとめぼれ、県中あきたこまち、及び、いわってこがA評価となりました。
 日本穀物検定協会では、食味ランキングの評価理由について明らかにしていないため、詳細は不明でありますが、現在、岩手県農業研究センターが中心となり、県南ひとめぼれが特A評価を取れなかった要因について解析を進めているところでございます。
 一方で、本県の令和4年産米について、一等米比率は96.7%で全国第1位となっており、現時点で県南部のJAからは、取引業者の対応はこれまでと変わりはないと伺っております。
 それから、特A評価に向けた取り組みということですけれども、先ほど岩手県農業研究センターで分析を進めているということでございましたが、3年間特A評価を取れなったということもございまして、食味と栽培管理の内容につきまして分析を進めております。その結果、四つの重点管理項目を位置づけまして、それは適期移植、中干しの確実な実行、移植後から登熟期の水管理、適期刈り取り、この四つが食味、品質に非常に影響があるということでございましたので、今後につきましても、農協の営農指導員、それから普及員等を通じまして、生産者への指導を徹底してまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 銀河のしずくは、とてもいい米だと思います。ひとめぼれもいい米だと思いますが、出品段階で、県としての評価の中でこの二つに差があったのかどうか、これをお尋ねします。
〇佐藤県産米戦略監 日本穀物検定協会にサンプル米として提供しておりますが、その際に、食味の官能試験とかも実施したりしております。その時点で、銀河のしずく、ひとめぼれも非常にいいサンプルを提供したということで、それほど差はなかったと感じております。
〇岩渕誠委員 私も差はなかったのだと思います。そうなると、おそらくランキングの結果についての分析をすると、考えられるのは三つだと思います。一つは、技術体系と労力、省力化の中で細かな作業管理ができているかどうか。今、話がありました。大規模化になるとなかなか手が回らないということ。それから、二つ目は品種の力です。これは銀河のしずくとひとめぼれの間では、やはり若干の品種特性がある。そのあたりが一つの差なのかと思っているのですが、それを踏まえて、今後、岩手県では新品種の開発について、新年度予算案も計上していますけれども、どういう考え方をしているのかお示しください。
〇佐藤県産米戦略監 新品種ということでございますが、現在取り組んでおりますのは、県北地域向けのおいしい食味の良好な品種を開発しておりますし、それから、金色の風につきましては、高い価格で取引をされているわけでありますが、一方で、生産者からは、収量が上がりにくい、倒伏しやすい、栽培管理が難しいといった声も上がっているところでございます。
 このため、金色の風の収量性や倒伏の耐性を高めていくため、通常10年程度を要する品種改良期間を公益財団法人岩手県生物工学研究センターが開発したDNAマーカー等を活用することで3年程度短縮し、早期に成果が得られるよう鋭意取り組んでいるところでございます。
〇岩渕誠委員 今の県のブランド米開発事業の状況をお伺いすると、令和5年度に奨励品種決定本試験の予定ということになると、県北地域向けの良食味米、それから、業務用向けの新品種、これは恐らくあきたこまちとかいわってこのところの転換だと思うのですが、県南地域のひとめぼれは、もう20年以上、30年近い品種でありますから、品種の更新というのが必要だと思います。金色の風がそういうふうに育ってくれれば一番いいなと思っているので期待したいと思います。
 食味ランキングの三つと言った最後は、これは消費者の変化だと思っています。それは品種の特性と連携しているのであって、ここ20年くらい前までは、コシヒカリに代表されるようなもちもちとした食感が非常に好まれていて、これが高評価だった。ところが、銀河のしずくの高評価というのは、それよりはややあっさりしている。ササニシキまでいかないけれども、あっさりしているところが評価されているというのは、僕はある意味、トレンドなのかなと思っていました。
 そういうことで言うと、今後、トレンドに合わせた販売体制と栽培品種の体制をとっていかないといけないと思っているのですが、新年度からは県産米戦略室が廃止になります。先ほどの指摘も踏まえて、今後の販売促進をどのように進めるのかお示しいただきたいと思います。
〇佐藤県産米戦略監 県産米戦略室の廃室後の販売のあり方ということでございますけれども、県では、令和3年度から令和5年度までを戦略期間とする、いわてのお米ブランド化生産・販売戦略に基づき、新型コロナウイルス感染症の影響による家庭需要の増加や、回復傾向にある外食需要など、消費動向を的確に捉えながら、県産米の需要拡大の取り組みを進めていくとしております。
 それから、コロナ禍におきまして、なかなか訪問販売なり対面販売ができなかったところもございますので、来年度からにつきましては、店頭での消費者への説明や米穀専門店、卸売事業者等実需者への訪問を行い、消費者や実需者のニーズ等を把握しながら、県産米の評価向上や需要拡大に積極的に取り組んでまいります。
〇岩渕誠委員 今の答弁は、大変大切な答弁だったと思います。岩手県の場合は、系統も含めて、どちらかというと卸売業者を中心に働きかけをして売り切りというのが中心になっているわけであります。要は、量をさばくというのが中心になっていたと思うのですが、コロナ禍からの次の一歩というのは、消費者に近いところでどうアピールをして、意見をフィードバックしてどうやるか、ここの原点に戻らないといけないと思うのです。
 金色の風の米穀販売の専門店は133店舗、それから、銀河のしずくについては149店舗という登録店があると伺っています。県産ひとめぼれは多分その何倍かあるかと思います。ここは人手をかけないとできない話ですから、ぜひ多チャンネルで、東京事務所、名古屋事務所、大阪事務所、福岡事務所も含めて、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 次に行きます。粗飼料生産と配合飼料の生産について伺います。
 酪畜経営の中で、今の経費増の中でどこを抑えるかといったってなかなか厳しいのですけれども、まずは、粗飼料生産、配合飼料生産について、自家製といいますか、そういったところにするということなのだと思います。現状と今後の取り組みについてお伺いします。
〇米谷畜産課総括課長 粗飼料、配合飼料生産に係る原状についてのお尋ねでございます。
 本県の令和3年の飼料作物の作付面積ですけれども、牧草地が約3万5、000ヘクタール、デントコーンやホールクロップサイレージ等が約7、000ヘクタール、輸入トウモロコシ、配合飼料の原料となるものですけれども、輸入トウモロコシの代替となります飼料用米や子実用トウモロコシが約5、000ヘクタールであり、合計で約4万7、000ヘクタールとなっているところでございます。
 粗飼料生産についての取り組みでございますけれども、これまで自給飼料の生産拡大に向けまして、国庫事業等を活用しまして粗飼料基盤の整備、あるいは、水田を活用したホールクロップサイレージ、飼料用米、子実用トウモロコシの生産の推進などに取り組んできたところでございます。
 また、今年度は生産性を高める牧草地の改良、更新、飼料用トウモロコシの収穫後にライ麦等を作付する二毛作の取り組みなどを支援してきたところでございます。加えて、輸入トウモロコシの代替となります飼料用米や子実用トウモロコシの生産拡大に向けまして、畜産農家と耕種農家のマッチング等を行ってきたところでございます。令和5年度以降におきましても、引き続き支援していくこととしております。
〇岩渕誠委員 表の話はよくわかるのですが、実際、インセンティブが働いているかどうかというと、これはかなり厳しいと思っています。恐らく粗飼料生産はやれば自給率100%になるのだと思います。だけど、牧草生産費は、平成30年から比べると3、000円ぐらい上がるのですね。そして、そこに持ってきて水田活用の直接支払交付金の牧草については、3万5、000円が1万円になったということで、一般質問でもお聞きしましたけれども、かなりの面積が落ち込んでいるということであります。
 それから、例えば、今、国が進めている子実用トウモロコシについて、生産費と収支で見ると、これは水田活用の直接支払交付金4万5、000円を突っ込まないと全くの赤字でありますし、これを突っ込んだとしても、1反歩当たり1万6、000円しか黒字にならない。これは飼料用米をつくったほうがはるかにいいわけです。そういうインセンティブからすると、私は非常に弱いのではないかと思っていました。これは国の政策にかかわることですが、そのあたりが課題だと思います。
 実際に岩手県の飼料自給率の目標を見ても、令和12年度には、乳牛では現行の43.9%から50.9%に上げる予定ですが、濃厚飼料が多い肉用牛の食料自給率は56.5%から53.8%に目標値がやや下がる、その辺、問題意識があるのではないかと思うのですが、農林水産部長、いかがですか。
〇藤代農林水産部長 粗飼料生産のインセンティブというようなことでございますけれども、今の飼料が非常に高いという中で、本県の強みを生かしていくという部分については、本県の広大な農地を生かしていく中で、いわゆる自給粗飼料という自県産の粗飼料を生産拡大する。これは牧草とか青刈りトウモロコシというような牛が食べられるもの、それから、子実用トウモロコシとか飼料用米といった豚とか鶏も食べられるような飼料を生産拡大していくことが大事だと考えているところでございます。
 岩渕誠委員御指摘のとおり、子実用トウモロコシの生産に当たっては、飼料用米では同じような数字ですけれども、1反歩当たり、8万円から10万5、000円まで国でこういった補助がある中で、子実用トウモロコシはまだまだそこのところについては弱い。取引を見れば、当然、輸入と価格が競合する中で価格決定されますので、そこのところについては、飼料用米と同じようなインセンティブが働くようにしていくことも大事だろうと考えておりまして、県としては、飼料自給率向上の観点から水田を有効に活用した多年生牧草等の生産への支援を拡充することという形で、国に対してそういったところの要望をしているところでございます。
〇岩渕誠委員 食料安全保障の観点から、今、飼料用のトウモロコシはほぼ無課税で入ってきていますから、こういったところはやはり考えていただきたいと思います。
 次に、土地改良区の経営の状況について、私は大変厳しい水域に入ってきたと思っています。土地改良区の経営についての現状認識、それから、今年度は特に電気代が上がりまして、これについて補正予算で対応しております。どのような土地改良区の中で補助の実績があったのかお示しください。
〇千葉技監兼農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 まずは、土地改良区の経営における現状認識についてでありますが、土地改良区は農業生産にとって重要な農業水利施設の維持管理など、土地改良事業を行うことを目的に設立された法人でございます。
 土地改良区の運営は、主に組合員からの賦課金で賄われているものでございます。近年、土地改良区を取り巻く環境は、組合員の高齢化や減少、生産物価格の低迷に加え、農業水利施設の老朽化や燃料費の高騰による施設の維持管理費の増嵩などにより厳しい状況にあると認識しております。
〇佐々木技術参事兼農村建設課総括課長 今年度の電気代補助の実績についてのお尋ねでございます。土地改良区が管理いたします揚水機等の電気料金高騰に対し補助する、農業水利施設管理電力価格高騰緊急対策費におきまして、県内36土地改良区に対しまして、3、600万円余を見込んでいるところでございます。
〇岩渕誠委員 たしか県内全体が43分の36土地改良区ということですから、かなりの影響を感じてやっていると思います。2分の1補助ですけれども、市町村によってはその裏補助もつけていますから、実質ゼロというところがあって、土地改良区からは大変感謝されています。
 ただ、問題は新年度であります。一般質問でも言いましたけれども、これは国も、平時の対応の、いわゆる省エネ対策に終わっているわけです。そうなると、土地改良区もお手上げだという声がいっぱい出ています。現状で、電気代の上昇に合わせて経常賦課金を上げるというところが出てきていると思いますし、その幅も相当広いと思いますが、どのように認識していますか。
〇千葉技監兼農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 電気代の高騰に従いまして、今現在、土地改良区の中で賦課金を上げるかどうかについての検討がなされている状況と伺っております。各土地改良区で総代会が、これから3月末に向けてということで、価格の上昇についてはこれからということになりますが、今現在では、県内の大規模な揚水機、ポンプを持つ土地改良区においては、四つほど聞き取りしておるのですが、上げざるを得ないという検討がなされているということも聞いております。上げ幅につきましては、数百円から4、000円を超えるというところまで、非常に幅広で検討がなされているようでございます。
〇岩渕誠委員 1反歩4、500円上げるところがあるそうであります。この近辺です。そして、私の地元も恐らく3、000円ぐらい上げるという話であります。さっき言ったように、43の土地改良区のうち36は補助金をもらったということからすると、いろいろ調べていくと、多分ふえると思います。
 電源を見ていっても、特別高圧のところもありますけれども、高圧電源を使用しても上げざるを得ないところがあります。これは何を言いたいかというと、国の政策で今、電気料を低減しているけれども、それでは間に合わないということです。17日に自由民主党や、政府で大綱が決まって高騰対策をやるかと思うのですけれども、僕はそれだけでは不十分だと思います。原資をきちんと、この前は新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金でやっていますからね。そういうことをやって、細かくやらないと、1反歩4、500円上がったら、誰も農家などやりませんよ。そう思いませんか。私はこの状況はかなり深刻だと思っています。食料安全保障の観点からも、営農の維持の観点からも、これは早急に対策を立てるべきだと思います。まずは政府のものを見ることも必要だと思いますが、私は直ちに補正予算を編成して、これについての対応を求めたいと思いますが、農林水産部長の見解を伺います。
〇藤代農林水産部長 今、こういった資材高騰という中で、土地改良区の賦課金の値上げというものにつきましては、賦課金を払えない生産者ですとか、あるいは、組合員を脱退というような懸念もありますので、こういったことで土地改良区の運営、あるいは農業者の生産意欲の低下ということが懸念されると承知しております。
 本県の食料生産を高めていくためには、農業者が将来にわたり意欲を持って生産活動を行っていくことができるように環境を整えていくことが重要と考えておりまして、そのためにも、土地改良区がこれまでどおりの農地農業用施設の適切な整備、あるいは保全管理といったことの役割を果たしていくことができるように、国に対してもそういったような対応について求めていきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 政府の対応が出た段階で、おそらく予算編成に直ちに県も着手をすると思います。飼料高騰対策、酪畜対策も含め、今の部分も含めて、必ずこれは実現をしていただくよう強く要望して、終わります。
〇山下正勝委員 それでは、重なった部分もありますので、簡潔にいきます。
 まず1点目、環境と共生する産地づくり確立事業費についてであります。
 先に、環境保全型農業直接支払交付金の内容は、化学肥料、化学合成農薬を原則5割以上低減する取り組みとあわせて行う地域温暖化防止や生物多様性保全等に効果の高い営農活動とあります。この内容についてお願いします。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 環境保全型農業直接支払交付金についてでございますが、この交付金の中身につきましては、今、山下正勝委員御指摘のとおりでございまして、具体的な取り組み内容といたしますと、例えば、最も多く取り組まれておりますのは、本県では堆肥の施用ということになりますし、そのほか、総合的防除、IPMというような言葉でも略称されておりますが、そうした取り組みを対象としてこの交付金が支払われているところでございます。
 令和4年度におきましては、実施面積といたしますと2、923ヘクタール、交付金ベースでいきますと、1億5、282万9、000円が交付見込みとなっております。
〇山下正勝委員 もう一点です。先ほどいろいろありましたけれども、有機農業や、そばといった取り組みはございませんでしょうか。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 この交付金を活用いたしました有機農業の取り組みにつきましては、県内で今年度は263ヘクタールの取り組みが行われているところでございます。
〇山下正勝委員 こういった部分は国の交付金がございますし、令和4年度の計画は3、514ヘクタールでございますので、その辺はもっと面積をふやしてこの交付金を活用してもらえばありがたいと思っております。
 それと、認証GAPについてお願いします。
 認証GAPという言葉は、2020年東京オリンピック・パラリンピックの食材の要件に採用されたことから全国的に普及しております。認証GAPは、農業生産者が農作物の安全性や労働環境、環境への配慮などについて、第三者による認証を受けて初めて取得となっております。GAPにはいろいろございます。世界水準がグローバルGAP、アジアGAPとJGAPがございます。岩手県ではどの程度の方々が取得しているでしょうか。お願いします。
〇荻内農業革新支援課長 認証GAPの取得についてでございますけれども、令和5年2月末現在における県内の認証GAP取得農場数は、グローバルGAPが穀物で1農場、青果物で15農場の計16農場、アジアGAPが穀物で12農場、青果物で1農場の計13農場、JGAPが穀物で3農場、青果物で8農場、畜産で13農場の計24農場でありまして、認証GAP全体で53農場となっております。
〇山下正勝委員 これからいろいろ議論がございますけれども、農家は農産物をつくっても、実際のところ、自分たちで売り上げの単価を決められないです。そういうことを考えていくと、先ほどいろいろな部分がありましたけれども、ここで安全、安心ということで、岩手県の農産物はこういう認証制度を取ってやっていかないと産地はもたないと思うのです。
 福島県では、実際にやっているのは、コンビニエンスストアのセブンイレブンです。そこには当然、グローバルGAPを取得して野菜を納めています。これからどうするかということで、セブンイレブンでは、2030年には50%という目標を持ってやっているのです。全国で産地は今、頑張っています。ですから、これからはこういう制度を活用して、みんなで安全ですよということをやっていかないと大変だと思っていますので、その辺、御理解いただきたいと思います。
 ただ、問題は、認証GAPの指導体制状況でございます。令和4年3月31日で3件以上の指導実績のある方でございます。北海道は265人、青森県が139人、岩手県が61人、宮城県が13人、秋田県が48人、山形県が169人、福島県が202人でございます。全国で3、626人います。福島県は202人ですから、なるほどと思っていました。今、県内あちこちで全農と県でも指導体制を構築して取り組んでいると思いますけれども、今後の指導体制、私はふやさないとならないと思っていますが、その辺はどういう状況でしょうか。
〇荻内農業革新支援課長 県では、GAP指導員の養成ということで、JGAP指導員の養成研修でありますとか、国が開催する国際水準GAPガイドラインの研修の受講などを通じて、農業普及員並びに各JAの営農指導員等のGAP指導員の養成を進めているところでございます。
 引き続き、来年度の国際水準GAP普及推進交付金におきましても、各農場に指導ができるようなGAP指導員の養成を行っていくこととしております。
〇山下正勝委員 次に、先ほども話がございましたが、いわてみどりの食料システム戦略推進事業費について、令和5年度の傾向は先ほど臼澤勉委員から話がございましたけれども、その辺は省略していきます。
 この要綱は、なるほどと思ったのです。これは国の方針ですけれども、現状と今後の課題、生産者の減少、高齢化、地域コミュニティーの弱体化、あと、温暖化、大規模自然災害、コロナ禍を契機としたサプライチェーンの混乱、内食拡大とあります。それで、この中には、国では化学農薬の使用量50%低減、化学肥料の使用量は30%低減です。有機農業の取り組み面積の割合を25%、面積で100万ヘクタールに拡大とあります。国がこういうみどりの食料システム戦略をつくっております。これをやるためには、いろいろなことをやっていかなければならないと私は思っています。
 そういうことを考えると、岩手県内でいろんな農畜産物がございます。保障するためには認証GAPも力を入れなければならないと思っております。令和5年度当初予算案の中には畜産GAP普及推進事業費の名目がございます。今の取り組みとしては、今回はいわてみどりの食料システム推進事業費に一部組み替えになっていますので、令和5年度は難しいと思いますが、逆に、認証GAPは認証GAPで項目を設けて、頑張って予算をつけてやるべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 独立した事業で認証GAPの推進を行うべきだという御指摘でございますけれども、私ども国の交付金の枠組みを活用いたしまして指導員の養成等を行っているところでございます。この事業を単独化して強力にといったところにつきましては、今後引き続き検討しながら、農業者のニーズ等も踏まえながら、そしてまた、実需のニーズ等も踏まえながら、その推進については、今後検討してまいりたいと思います。
〇山下正勝委員 いずれ、いわてみどりの食料システム戦略推進事業費の中に国際水準GAPの取り組み支援という項目は大きくつけるのですね。これをやっていかないと、今頑張っている産地が伸びていかないのです。正直、これを求めているのです。今、横浜市の丸中青果株式会社などはそうですけれども、大々的にPRしています。加工屋はこういう認証を取ったところしか受け入れない。これが問題なのは、例えば、冷蔵庫の管理が別々なのです。これをちゃんとやっていかないと、せっかく岩手県内の農家が頑張っていい生産物をつくっても、お金の価値が出てこないのです。私はこれを岩手県としても、各市町村、農協を含めて、徹底して指導しないとならないと思っております。
 そういった意味で、農林水産部長にお聞きします。収入保険制度も見直しになりました。今回、世界水準GAPになりましたので、先ほどは基盤整備の話がございましたけれども、こういうのをやっていくと、まだまだ私は岩手県の農業は捨てたものではないなと、東北の食料基地がまさに岩手県だなと思っていますけれども、その辺はどういう考えでしょうか。
〇藤代農林水産部長 農業生産の取り組みのことについてでございますけれども、日ごろから答弁させていただいているように、本県は我が国の食料供給基地の役割をしっかりと果たしていかなければならないというのは、昭和40年代に当時の農政部の方針として掲げて、それ以来、ずっとそういった取り組みをしているところでございます。そういった中で、認証GAPの取り組みにつきましては、みずから農業生産活動を正確に行うとか記録するとか点検するというような形で、経営改善にもつながりますし、また、食品の安全ですとか品質の確保、消費者からの信頼向上といったことにもつながる大事な取り組みだと考えております。
 さきほども答弁申し上げましたとおり、GAP指導員については、今、県内で大体200人ぐらい養成しておりまして、その中で、現場の普及センターにはその半分ぐらいの90人程度を配置してGAP指導を行っておりますし、また、これまで県版GAPという形でずっと取り組んできたものが新たにみどりの食料システム戦略という中で、国際水準のGAPで対応していくのだという方針が国のほうで示されて、今、そこへの切りかえといいますか、対応を進めているところでございます。先ほど申し上げました、県内で既に国際水準のGAPが取得されているような農場もかなり出てきていますので、県版GAPを取得した農場が今度は国際水準のGAPへ円滑に移行できるように、県としてはしっかりと指導しながら、生産者の皆さんと一緒になってそういった取り組みを行いまして、産地としての評価が高まるように取り組んでいきたいと考えております。
〇山下正勝委員 ありがとうございます。いずれ世界水準、グローバルGAPをやらないと、最終的には輸出もできないようになるかもしれません。その辺は誇りを持って、岩手県の農業、基盤産業を元気づけるようないろんな努力をしてもらいたいと思います。以上で終わります。
〇飯澤匡委員 それでは、2点あるのですが、先ほど飼料の高騰をめぐる対応については、岩渕誠委員から議論がありまして、重複する部分は割愛して質問させていただきます。
 国では、粗飼料生産について、令和7年度で、飼料全体で今の20%から40%を目標にする、こういう計画を立てているのですが、今の動向を見ると、そのようなことも言っていられない状況になっているわけです。ただ、一方、これまで畜酪をめぐる構造的な問題で、輸入飼料については、先ほども関税の話が出ましたけれども、政策的に誘導するような形になってきた。ここは岩手県の強みをどれだけ生かしていくかということにまず本県は注力しなければならないと思うし、国全体も今までのような現在の構造の中で、飼料をめぐる環境を継ぎはぎでやっていったのでは全く先が見えない、こういう状況になっていると私は思います。
 そういうことを含めて、まず、これからの岩手県の取り組み方も含めて、先ほど少し言及がありましたけれども、もっと積極的な考えに立った施策を推進していかなければならないと思うのですけれども、その点について伺います。
〇米谷畜産課総括課長 畜産における粗飼料生産、自給飼料生産ということについてでございます。今、輸入飼料価格が極めて高い水準で推移しておりますので、生産コストが大幅に上昇しまして、畜産経営体は厳しい経営環境にあります。飼料自給率向上の観点からも、本県の強みである豊富な飼料基盤を生かした自給飼料生産の拡大を図っていくことが重要である、そういう考えのもとにこれからも取り組んでいくということになってくると考えております。
〇飯澤匡委員 それはさっきの議論で結論めいた形になっていて、岩渕誠委員からインセンティブという話も出ました。国がいろいろと取り組んでいてもなかなか前に進まない、これはさっき言ったように、構造的な問題があるわけです。国に対して予算的な要望をするという形でという農林水産部長の答弁があったけれども、これは国の政策ともかかわる問題ですけれども、ここは大きく考え方を切りかえる必要があると思います。
 NHKの特集で北海道の酪農家が、お父さんが本当に苦労して開拓した牧場が、このたびの飼料の高騰によって全く経営が成り立たなくなった。せっかく息子さんがお父さんの意志を継いでやろうと思っていたのに、経営状況を見れば、継続できない。経営状況をお父さんに見せたときに、これではやっていけないな、廃業もやむなしだと言ったシーンが出たときは、本当に涙が出る思いでした。
 こういう状況が続くとは思えないとは信じたいけれども、このまま続いていくと、特に輸送コストがかかる東北地方や北海道というのはかなり打撃を得るのではないかと思います。現に近郊地帯、酪農に関して言えば千葉県、栃木県、この辺の生産量はどんどん伸びていっていますから、そういう形態に既になりつつあると思っています。
 そこで、もう一度、今度は藤代農林水産部長に聞きますけれども、本県は立派な装置もあるわけで、そこの中で畜産課総括課長の答弁だと、農家に寄り添って、予算的配置はしていないけれども、そういう考えであることを示されましたけれども、それではなかなか前に進まないのではないか。本県の特性を生かしたということをもう少し明確にビジョンをお話ししていただければありがたいと思うのですが、いかがですか。
〇藤代農林水産部長 本県での飼料生産のこれからの対応ということについてでございますけれども、先ほど飯澤匡委員の御指摘で、構造的問題というお話がございました。これは本当にそのとおりだと考えております。何が構造的かといいますと、例えば今、酪農を見ますと、乳牛は非常に高能力という形で、1頭当たり1万キログラムぐらいは出るという能力があります。その牛をどうやって飼うかといった際に、ガソリンに例えますと、ハイオクぐらいしか本当は入らないのを、自給飼料を使ってというほうに切りかえるとなると、レギュラーガソリン、あるいは軽油、あるいは重油を使えという話になるので、その能力が十分発揮できるのかということを酪農家の方も心配されるかと思います。
 ただ、やはり生産コストというものを考えると、経営の中で、自分の周りにある自給飼料を使って何とか経営できるような形を考えていかないといけないと思いますので、そういったところについては、県はさまざま技術を持っていますので、そういった意味で農家の方に寄り添いながら、そこについては、それぞれの経営体によって考え方がいろいろあるかと思いますので、そこを伸ばしていくといいますか、経営をできるようにしていくのが大事だろうと考えておりますし、また、それに必要な飼料基盤の整備、あるいは、水田を使ってWCS-ホールクロップサイレージを使う子実用トウモロコシをつくる、そういったところについて県は支援していくという形をとりたいと思います。
 また、肉牛の肥育もしかりですけれども、同じように、さしを重視するという中では安定した餌ということでやはり濃厚飼料を使いたい。それは輸入に依存するものが大きいところですけれども、そういった中で、子実用トウモロコシ、あるいは飼料用米では、なかなか過度には給与できない部分もありますけれども、そういったところもしっかりと岩手県農業研究センターのデータなどもありますので、そういったことを提示しながら、既に県内ではそういったことに切りかえて取り組んでみようとする経営体もあらわれてきていますので、そういった事例も普及しながら、それぞれの経営体に合ったような、もうけられる仕組みづくりといいますか、そういったことを進めていくことが大事だと考えているところでございます。
〇飯澤匡委員 ありがとうございます。構造的な問題というのは、もう一つは生乳価格を幾ら上げても、10円上げましたけれども、価格にどれほど転嫁できるかという問題と、価格を上げれば、消費者は今、人口減少の中で高齢化していくと、既に牛乳の買い控え、購入力は大変弱くなっていますから、そういう面にも今度は敏感にはね返ってくるという問題が出てきます。あと、日本の場合、脂肪分の中で生乳価格が決まるという点もあるし、総合的に消費者との中でも考えていかなければならないことがいっぱいあるわけです。
 簡単にはいかないですが、ただ、今の状況を、国全体も含めて切りかえていかないと、日本の酪農、畜産の経営が難しくなったのでは、土地利用型と言われる、我々の集落の維持さえも立ち行かなくなってくる可能性もありますから、これは特に東北地方にとっては大変重要な課題だと私は思っていますので、これは農林水産部だけでなく、いろいろな知恵を組み合わせてやる必要があるのだろうと思います。
 それでは次、土地改良事業の採択についてお伺いします。
 この間、令和4年度2月補正予算でも採択しましたけれども、今、15カ月予算、16カ月とも言われていますけれども、常態化している状況下で、本県の予算獲得に対する県の対応と現在の課題認識について、まずお伺いしたいと思います。
〇佐々木技術参事兼農村建設課総括課長 土地改良事業予算についてのお尋ねでございますが、本県の農業農村におきましては、農業従事者の減少でありますとか高齢化に伴いまして、圃場整備を初めといたしました基盤整備の要望が年々高まっているといったことでございまして、県の財政状況が厳しい中、当初予算だけでは要望に十分に応えられない状況となっております。
 このため県では、国の経済対策等を盛り込みました補正予算を活用しながら、可能な限り地域の御要望に応えられるよう執行予算の確保に努めてきたところであります。令和4年度2月補正予算と令和5年度、今、お諮りしている当初予算案を合わせた実質的な事業執行額は、対前年比106%となります204億円と見込んでいるところでございます。
 県では、こうした予算の早期執行に向けまして、作物の収穫後のみならず、年間を通した施工でありますとか建設コストの縮減などを図りながら、効率的な実施に努めるとともに、今後ともあらゆる機会を捉えまして、当初及び補正予算の十分な確保を国に強く求めてまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 今、御説明があったように、圃場整備については新規で要望するところが多いわけです。そうしますと、常態化しているという中で今、動いているわけですけれども、新規採択に向けて、計画を立てるのにもなかなかこれは大変だろうと思うのです。その点については、どのような配慮であるとか、それから、要望している方々にどういう説明をして応えようとしているのか、具体的にその辺を教えてください。
〇茂田企画調査課長 圃場整備の調査計画についてでございますけれども、地域の将来的な営農状況を踏まえながら、地域のニーズに応じた計画、あるいは圃場の区画、それぞれ熟度、確度を高めながら計画策定を進めているところでございます。
〇飯澤匡委員 それはそのとおりなのですが、もう一つ具体例を示して言うと、Aという地区が圃場整備を考えている、計画をしている、要望している。ところが、予算の具合によって一度にできません、もう少し分割してやってください。これがそのとき、そのときで方針が、大きくは揺らがないけれども、そういう情報が不安定に行くために、要望しているところがどういう方針に従っていいのかわからない、こういう声が出ているわけです。
 その点については、もう既に具体的に地名まで言ってお話をしているわけですけれども、それが一番心配しているところなのです。要は、土地の集約についても、その地域の責任者が苦労して同意を得てそういう段階を踏んでいるのに、いざ始まろうと思えば、予算化に対する方針自体がなかなか定まらない、こういう状況で大変困惑しているという状況があるわけです。これに対してどのような指導を行っているのか。これでは営農意欲があるところが気がそがれてしまうと思うのですが、その点についてはどういう指導をしているのか、お示しください。
〇茂田企画調査課長 圃場整備の事業計画については、現在、27調査計画地区で行っているところですが、そこの中で、事業採択に当たりましては効果算定というものを行っておりまして、区画整理、それに伴う施設整備による作業効率の向上による効果額が整備に必要な費用を上回るというようなことが必要とされておりますので、費用対効果が1.0以上になるように計画策定しているところでございます。
ただ、飯澤匡委員御指摘のとおり、現状で効果が1.0になっていない地区もございますので、そうした課題を解決するために、水管理の省力化に向けたスマート農業の導入ですとか、担い手のさらなる経営規模拡大などによる作業の効率化、あるいは、収益力の高い作物の導入など、営農計画の策定に当たって指導、助言して効果を高めるという取り組みのほか、用水施設などを既設利用するとか、あとは、大区画にこだわらない区画形状など建設コストの低減を図るというコスト縮減と合わせて事業効果が発現されるよう、計画の策定を進めているところでございます。
〇飯澤匡委員 そこで今、悩んでいるのは、早くから農事組合法人をつくって一生懸命これからの将来の農業に対して希望を持っていろいろ取り組んでいるところ、既にもうコストの縮減について一生懸命やっているところが、このたび圃場整備にアプライしようと考えている。もう絞り切って、絞り切ってどうしようもないので、そこでさっきお話があったB/Cだけでやると、もう既に回答が出ていますけれども、大変厳しい状況が起きているというのは現状なのです。
 そこで、いろいろこれからの御指導方が当該地の農村整備事務所からも、それはかなり寄り添うどころではない指導がなければ採択にならない状況なので、その点の姿勢について、再度お尋ねしたいと思います。
〇茂田企画調査課長 効果算定については、国が示しております効果算定マニュアルに基づいて、現況と事業実施後の比較ということで算定しております。ただ、今、調査地区は27地区ございますけれども、15地区で事業採択前に農業法人が設立されているところでございます。既に法人化している組織があるところでも、経営規模拡大ですとか高収益作物の導入などで営農計画をブラッシュアップしていくことで事業効果があらわれるということがございますので、必ずしも事業採択に不利益になるということはないと考えております。
 また、区域設定もあわせて、現在、効果算定の見直しも進めているところでございますので、そういったことも含めて、コスト縮減もあわせて計画策定を進めてまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 いずれ、生産者の意欲をそがないような指導、助言というのは不可欠だと思います。将来に向けてといっても、その先達する人たちも大体70歳を超えた人たちで、かなり厳しい状況なのです。しかし、これまで営農を通じて地域の集落をまとめてきたということについては、希望を持ってやっている方々ですから、そこは農業全体のことだけではなくて、地域社会ということもしっかり踏まえながら、指導、助言をしていただきたいと思います。
 最後に、藤代農林水産部長にそこの基本的な考え方について聞いて、終わりにします。
〇藤代農林水産部長 県内で、今、多くの地区から圃場整備の要望をいただいているところでございます。多くの要望の根っこにあるのが、やはり将来、次の世代の人たちに引き継ぐために、今あるところをなるべく使いやすいようにして引き渡したいという意向でそういった動きになっていると承知しておりますので、今まで地域でさまざま営農努力をされてきた方の意欲をそがないようにといいますか、その次の世代にしっかりつなげられるように、県としても地域のさまざまな意見を伺いながら対応していきたいと考えます。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇菅野ひろのり委員 畜産関係の振興について、関連で質問させていただきたいと思います。
 今、物価高騰対策の中、さまざま構造的な問題も取り上げられました。答弁を聞いておりますと、さまざまな経営体に合った対策を進めていくということです。それはそうなのですが、今、現状、酪農家の戸数がなかなか下げどまらない。県としては生産乳量は上げていくのだ、乳量が多い牛をつくって残していくのだと言っておりますが、一方で、粗飼料は自給を進めていく。では、100頭規模、200頭規模、メガファーム、ギガファームの成長をつくっていくという中にあって、そういった生産基盤を中山間地域である岩手県でどの程度つくっていくのか、私はそれが不透明だと思っています。求めるのは、岩手県における酪農であれば酪農における岩手県のビジョンというのはどういうものかと示していただきたいと思っているのです。
 なぜかといえば、北海道は広大で平坦な台地の中で粗飼料生産は十分可能です。でも、岩手県は全く別です。それぞれに合わせながらやっていくとおっしゃっていますけれども、子実用トウモロコシだって平坦なところだけでつくれるわけではないと思います。水田活用の直接支払交付金の削減があって、飼料作物、あるいは牧草をどうするかという方々もいらっしゃると思います。そういった中で、岩手県の酪農というのをどういうビジョンを持って進めていくのか、そのお考えを伺いたいと思います。
〇米谷畜産課総括課長 岩手県の酪農のビジョンということでございます。現在の岩手県酪農・肉用牛生産近代化計画におきまして、大規模に経営される農家の方々も、あるいは、中小規模でも経営を継続できる、そういったこともやっていかなければならないということで、両にらみというか、計画の中では二本立てで進めているところでございます。それぞれ地域に合った、先ほど来、菅野ひろのり委員からもお話もありましたけれども、中山間地域であったり、あるいは平坦な地域であったり、そういうところに合ったやり方があろうかと思っておりますので、それに合わせた取り組みを進めていきたい。その中で、草地、自給飼料基盤をしっかりと整備していくところはやっていきますし、あるいは、水田を使って粗飼料、自給飼料をつくっていくといったところもやっていかなければならないと思っております。
 加えて、今まで何回かお話をしておりますけれども、現地機関、あるいは農協、市町村の方々と一緒になってチームをつくりながら生産性を上げていく、乳量を上げていく、あるいはコストを下げる、そういった生産者の個々に合った支援のやり方を進めていきたいと考えているところです。
〇菅野ひろのり委員 岩手県酪農・肉用牛生産近代化計画の中でも岩手県の乳牛の経営環境でいうと、50頭未満の戸数が全体の8割ということで、非常に小さいところが多いわけです。今、課題になっているのが輸入飼料の高騰です。中身を見ると、トウモロコシや大豆です。子実用トウモロコシをつくって、県はどの程度カバーしていく考えなのですか。少し細かい話になって恐縮ですけれども、もっと言うと、たんぱくである大豆とかは、成分を補うくらいではないと思っているのです。ホールクロップサイレージだって、あれは繊維質であって、栄養価が違うものです。だから、私は岩手県が掲げる新しいトウモロコシであるとかホールクロップサイレージを使っていきましょうねとしているのはわかります。それはそうなのです。けれども、代替の配合飼料にはほど遠い。先ほど藤代農林水産部長もハイオクに例えていただきましたけれども、そういった中で、それを農家に、これをやりましょう、これをやりましょうと本質的に進めるのですかと私はすごく疑問があるのです。
 当然、それだけではないです。たくさんいろいろな事業がある中でやるわけですから、大事な取り組みだと思いますけれども、農家が見たときに、県が進める農業政策、酪農政策というのはこういうことなのかと感じてしまうと思うのです。私はしっかりと、国に対して求めるべきことはこうだ、生乳価格の形成、生乳代の単価が今120円、ただ、上がったのはここ3カ月だけなのです。どれぐらいの生乳価格が適正で、どういった価格を求めながらコスト削減をどういった手段でやっていくのだと、それが岩手県の経営モデルなのだというのをしっかりと示していただきたいと思っています。
 岩手県酪農・肉用牛生産近代化計画は、言葉としてはそのとおりなのだと思いますが、これを見て、酪農家、畜産農家がついてくるというふうに私はなかなか思えないわけです。藤代農林水産部長に最後お伺いしますが、今後、どういった方針で、どういったところに力を入れながら、岩手県の酪農の基盤を支えていくのか伺いたいと思います。
〇藤代農林水産部長 これからの酪農振興ということについてですが、先ほど御答弁申し上げましたのは、それぞれの酪農家で自分が得たい収入モデルというのが当然あるだろうと考えています。そうしますと、今の乳牛の能力で最大限それを生かしてやるためにというと、頭数を絞って、いっぱい搾って収入を上げるというやり方ですから、それを例えば自給粗飼料に切りかえた際にそれが達成できなくなりますので、今度は頭数を拡大しなければいけないという切りかえをしなければいけない。そうすると、自分の経営モデルをその中でもう一度見直さなければいけない。そういうことをそれぞれに考えていただかないと、今時点では飼料高は乗り切るのはなかなか難しいだろうと思っております。
 その中で、全体的にはそういった餌対策のようなものについては、しっかり国と連携しながら対応しますし、あとは自給飼料というのも対応しながら、それぞれのところでできる最大限の経営のコスト低減に県としては支援していきたいと考えているところでございます。
 また、そういった中で、経営モデルというものについては、一般質問でも御答弁させていただきましたけれども、本当に長期のところからいくと、食料は需要が伸びていくのだろうと思いますが、今時点では餌高がどこまで続くのかというのはなかなか見通しが難しい中で、何とか今を切り抜けるという部分での現状維持対策になってきますけれども、そういった中でのそれぞれのコスト削減対策、ここをしっかり対応していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは最初に、物価高騰による農家への影響についてお聞きいたします。
 肥料、飼料、燃油その他の農業資材の物価高騰の実態と農家への影響額をどのように把握しているでしょうか。
〇中村技術参事兼農業振興課総括課長 まず、燃油価格についてでございますけれども、国の調査によりますと、本年1月時点の東北地方のA重油の価格、1リットル当たり96.6円、昨年同時期の101%となっておりますが、2年前の令和3年1月と比較いたしますと137%となっております。
 また、国が同じく実施しております農業生産資材価格調査がありますが、令和2年の基準年を100とした場合に、本年1月時点では、総合価格指数は122、肥料では154.7、また、飼料では149という状況となっております。
 また、影響ということでございますが、影響につきましては、生産する作物、あるいは経営規模、また、経営体によって使用する燃料や肥料、生産資材の状況が大きく異なるということもございまして、また、それぞれの経営の努力といったものも加味いたしますと、影響額を把握するのは難しいことから試算は困難だと考えております。
〇斉藤信委員 A重油の価格は、本年1月は確かに2年前と比べると137%でしたが、昨年の5月は170%、6月163%、7月152%でした。ですから、年間平均すると、大体150%以上になっていると思います。今、答弁があったように、肥料が154%、飼料も149%ですから、全部1.5倍なのですよ。1.5倍上がったら、農家はやっていけないではないですか、特に酪農家は。
 私は日本共産党岩手県議団で酪農家の調査をしました。乳牛90頭、子牛60頭を飼って規模拡大をした方であります。12月末決算でこんなに厳しいのは初めてだということです。飼料代だけで前年2、500万円から2、600万円が3、200万円に値上げしたということです。700万円、800万円の値上げです。この農家は牧草、デントコーンは自給しているのです。最後、乳を搾るときにどうしても配合飼料を使う。それで700万円、800万円の負担。これだけの異常な飼料代、肥料代、燃油代の高騰、国が責任を持って全額補填しなかったら赤字なのです。その規模が飼料代だけで700万円、800万円なのです。
 そういう意味で、一般社団法人中央酪農会議が、1月の酪農家は前年比6.8%減少した。離農拡大は浮き彫りだと。岩手県はどうなっていますか。
〇米谷畜産課総括課長 中央酪農会議が公表した経営農家の戸数についてのお尋ねです。県内の状況でございますが、令和4年12月の県内の酪農家戸数、これは一般社団法人中央酪農会議と同じ設定で調査したものでございますけれども、県内の酪農家戸数は、約630戸でございます。前年同月と比べまして約8%減となっておりますが、これは都府県の減少率とほぼ同様になっております。
〇斉藤信委員 前年比で53戸酪農家が減っています。2年前と比べると91戸、12.6%、4年前と比べると148戸、18.9%、4年前と比べると2割減っているのです。その減少幅がどんどん拡大しているという深刻な状況です。実は3年前、バター不足というのがありました。それで、乳牛をふやせと農林水産省は音頭をとったのです。それで規模拡大した酪農家が多かった。岩手県は畜産クラスターで規模拡大した農家はどのぐらいあるのですか。
〇米谷畜産課総括課長 本県で畜産クラスター事業を活用して整備した酪農家戸数ですが、過去5年間では22戸でございます。事業内容とすれば、搾乳の牛舎、あるいは子牛用の牛舎、あるいは堆肥舎とかの整備でございます。
〇斉藤信委員 今まで国は牛乳が足りないと言って規模拡大を推進したのです。借金して規模拡大しているのですよ。今、さまざまな事情で牛乳が余っている。何をやっていると思いますか。北海道は牛乳を流していますよ。そして、乳牛を処分したら1頭当たり15万円を補助する。こんなばかな話、ありますか。
 欧米ではどういうことをやっているか。欧州は余った牛乳を全部買い上げているのです。そして、生産費を全部補填しています。アメリカもそうです。アメリカは不足払い制度があって、米、トウモロコシ、小麦は1兆円規模で不足払いをやっています。農業予算は13兆円、そのうち64%は食料購入費です。低所得者の方に支援する。日本がお手本にしているアメリカでさえこういうふうにやっているのに、欧州は農業を守るのが国の基本になって、農業所得の中で補助金100%です。日本はたった30%です。いわば牛乳が余ったら自己責任で、農家の責任なのですよ。これは農政がないと言わなくてはならない。
 安全安心な国産牛乳を生産する会がアンケート調査をやって、107戸の回答なのですが、赤字100%、廃業を考えている、27%です。このぐらい今、深刻なのです。今は、中長期の対策ではなくて、今、酪農家の廃業を食いとめる、緊急で抜本的な対策が必要だと思います。国にもそのことを求めるべきだと思います。そうしなかったら、日本の酪農、岩手県の酪農が、なくなる。私はそういう危機感を持っていますけれども、いかがですか。農林水産部長に伺います。
〇藤代農林水産部長 酪農支援策でございますが、県ではこれまで、配合飼料、肥料コストの上昇分、こういったようなものを支援する国の事業を活用するとともに、県独自に酪農経営の影響を緩和するための飼料ですとか肥料の購入支援といったものを行ってきたところでございまして、先ほど来申し上げていますとおり、自給飼料の活用に向けた支援を行っているところでございます。
 また、国に対して飼料等の価格高騰対策、経営安定に向けた効果的なセーフティネットの構築など、こういったことを要望しておりますし、また、今般、全国知事会と連携いたしまして、酪農を初めとした厳しい経営環境に置かれている農業者の方々が将来にわたり安心して農業経営に取り組むことができるように、国に対して要望を行ったところでございます。
〇斉藤信委員 今までの国の支援策、県もそれに上乗せしました。しかし、酪農家が幾ら負担しているかというと3、000億円です。今、中央酪農会議の酪農家戸数は1万1、163戸ですから、1戸当たり3、000万円近く負担しているのです。持ちこたえられるわけがないではないですか。だから、若干補填したのでは農業を守れない、酪農を守れない。欧米のように全額補填して、安心して働けるようにする必要がある。
 1頭15万円、淘汰したら補助金をやるということです。減らしたら規模拡大の借金を返せないのですよ。3年たたないと乳を搾れないのだから。淘汰した頭数は、いくらになっていますか。
〇米谷畜産課総括課長 済みません、現在、事業の要望を取りまとめている最中ということで聞いておりますので、淘汰の頭数等については、まだでございます。
〇斉藤信委員 恐らく申請もあるだろうから、わかる範囲で後でやってくだい。自己責任を農家に押しつける農政の破綻は私は明らかだと、このことを指摘しておきたいと思います。
 次に、米の問題についてお聞きいたします。令和4年産米の相対価格はどうなっているか。この間の推移とあわせて示してください。
〇佐藤県産米推進監 令和4年産米相対取引価格についてでありますが、令和4年産の本県ひとめぼれの出回りから令和5年1月までの出荷業者と卸売事業者との相対取引価格は、60キログラム当たり1万3、618円となっており、令和3年産米と比較しますと、1、158円上回っております。また、コロナ禍前の令和元年産米と比較しますと、60キログラム当たり1、694円下回っております。
〇斉藤信委員 令和3年産と比べると若干上がった。しかし、2年前と比べたら、1俵当たり1、694円下がったままなのです。そこで、そういう状況の中で、先ほど言いましたように、農業資材、肥料代が上がっています。私は生産費は拡大しているのだと思うのです。令和3年産米では15ヘクタール規模でも赤字だったという調査がありました。県内農家の実態を把握しているでしょうか。令和4年産米の生産費は、物価高騰を加味すれば、どう試算されるでしょうか。それで黒字になる農家はいくらあるでしょうか。
〇佐藤県産米戦略監 令和4年産米の県内農家の実態についてでございますが、令和4年産ひとめぼれの令和5年1月までの相対取引価格と、国が公表しました本県の10アール当たり収量537キログラムで、10アール当たりの収入額を試算しますと、11万2、853円となっております。
 また、最新の値であります令和3年産の全国の米生産の作付規模別の10アール当たり生産費は、3から5ヘクタールの規模で11万5、880円、5から10ヘクタールの規模では10万9、490円となっておりますので、令和4年産米は5ヘクタール以上の規模で収入額が生産費を上回る状況となっております。
〇斉藤信委員 今のは物価高騰分を加味していない話でしょう。それは、去年の答弁ですよ。私が言ったのは、今、肥料代が1.5倍、農業資材が平均して1.2倍だと言っているのだから、全中の調査でも15ヘクタールで赤字だったという調査が出ているのですよ。そういう実態を調べていますかと。物価高騰を加味した生産費はどうなっていますかと。何を聞いているのですか。去年の決算の答弁をしたってだめですよ。
〇吉田水田農業課長 令和4年産米の生産費の試算についてでございますけれども、生産費につきましては、肥料等の資材費のほか、労働費、減価償却費、地代などで構成されておりまして、資材高騰のみをもって試算することは困難でございますけれども、肥料価格については、現時点で前年に比べて約4割上昇している状況でございます。
〇斉藤信委員 だから、私は農家の実態を聞けばわかると言っているのです。一般社団法人全国農業協同組合中央会だってそうやって調べて、令和3年産米は15ヘクタールで赤字だということです。私もこの記事を見てびっくりしました。今、それ以上の物価高騰なのです。だから、そういう意味で、本当に規模別の農家の実態を聞けば、今、申告の時期ですから、そういうのがわかるのです。そういうことを私は今、聞いた。そういう危機感があなた方には少しないのではないか。今、本当に農家がどういう厳しい状況にあるのか、それを把握してこそ、私は積極的な施策がとれるし、国にも言うことができるのだと思います。
 それで、令和4年産米の水田における作付状況、水田活用交付金の減額の推計はどうなるでしょうか。
〇吉田水田農業課長 令和4年産の水田における作付状況等でございますけれども、令和4年度の水田活用の直接支払交付金につきましては、現時点で本県への交付実績は国から公表されておらず、影響額等をお示しすることはできない状況でございますけれども、作付状況につきましては、令和3年産と比較して、牧草等の飼料作物が減少している一方で、飼料用米やホールクロップサイレージ用稲、大豆、加工用米などが増加している状況でございます。
〇斉藤信委員 令和4年の作付状況を言いますと、主食用米がまず2、500ヘクタール減少しているのです。飼料作物が479ヘクタール減少、そば、菜種、備蓄米が若干減少しています。減少したのは3、000ヘクタールなのです。そして、飼料用米等増加した分、1、939ヘクタールです。そうすると、作付面積全体で1、061ヘクタールが減少している。これは1、000ヘクタール規模で耕作放棄地になっているのではないでしょうか。いかがですか。
〇吉田水田農業課長 今、斉藤信委員御指摘のとおり、水田全体での作付減少面積は約1、100ヘクタールということでございますけれども、その内訳につきましては、主食用米から減少した分なのか、あるいは、転換作物から減少した分なのか、あるいはまた、転換作物の減少分のうちでどの品目から減少した分なのか、それら詳細を把握することが困難な状況でございまして、影響額をお示しすることは難しい状況となっております。
〇斉藤信委員 作付面積が1、000ヘクタール減少したのは事実ですから、私が問題にしているのはそこなのです。国の施策で、今、食料自給率が38%しかない。世界的食料危機のときに耕作面積を減らすような農政でいいのかということです。耕作面積を減らしながら、ミニマムアクセス米は77万トン、100%輸入しています。驚いたことに、SBS米、主食用米は1俵3万円ですよ、3万円。とんでもないことでしょう。何でアメリカの機嫌をとらなくてはだめなのですか。
 私はこういうときこそ、ミニマムアクセス米というのは義務輸入ではないのだから、牛乳だってそうですよ。乳製品だって義務ではないのだから、こういうときは、こういう無駄な輸入をやめて、国内生産をどういうふうに拡大するか、守るか、こういう対策こそ必要ではないでしょうか。
 農林水産部長、どうですか。カレントアクセスもミニマムアクセスも義務輸入ではない。農林水産大臣が認めていますが、こういうときこそ国内の酪農家、米農家を守るという施策こそとるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇藤代農林水産部長 ミニマムアクセス米、それから、乳製品のカレントアクセスについての御質問でございました。県ではミニマムアクセス米について、主食用への仕向け量が増大した場合には、主食用米の価格低下が懸念されますので、毎年、国に対し、国内需給に影響を及ぼさないための対策を講じるよう要望しているところであります。また、引き続き、国に対して必要な対策を要望するとともに、需要に応じた米生産といったものを進めていくことにしております。
 また、乳製品のカレントアクセスにつきましても同様に、国内の需給に影響を及ぼさないよう、国に対して要望することにしております。
〇斉藤信委員 国内に影響を及ぼしているのですよ。乳製品14万トン、今、余っていると流しているのですよ。13万7、000トン、輸入しようとしているのです。こんなばかげた話はないでしょう。私はそういう意味で、先進国で唯一、無為無策で農家に自己負担を押しつける、自己責任を押しつける、こういう農政は根本から今、転換が必要だという立場で国にも強く求めていっていただきたい。終わります。
〇千葉盛副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇米谷畜産課総括課長 先ほど斉藤信委員から、搾乳牛の淘汰事業のことについてお尋ねがありました。本県の淘汰事業の要望ですけれども、令和5年1月末現在、本県の酪農家約50戸から約250頭の要望があったと聞いております。
〇千葉盛副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時23分 休憩
午後2時42分再開
〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇佐々木努委員 先ほど畜産農家、特に酪農家の窮状については、多くの委員からも話があり、さまざまな指摘もありました。私も全く同じ気持ちであります。飼料高騰分の補填を全額補償しろという無茶なことを私は言う気はありませんけれども、それでもできる限りの支援は国、県、市町村が行うべきだと思いますので、よろしくお願いします。
 酪農においては、これからも大変な状況が続くと私は思っているわけですけれども、生乳価格の上昇、消費の拡大、物価が下がっていくこと、これらに期待するところではありますが、それにつけても、酪農家も収入を上げる努力をしなくてはならない、そして、それを国と県が支援をしなければならないと思っています。
 その一つが、私は受精卵移植、EТの事業の推進だと思っています。これはずっと以前から我が県でも取り組みが行われていますが、まず、その実績、ここ数年で構いませんので、受精卵移植で生まれた産子の数、それからもう一つ、受精卵移植を行える場所が県内で何カ所あるのか、それをお聞きしたいと思います。
〇米谷畜産課総括課長 受精卵移植で生まれた産子の数でございますが、公益社団法人全国和牛登録協会岩手県支部によりますと、令和3年度に登記された子牛約2万6、000頭のうち、受精卵移植で生産された子牛は約2、000頭と、約7%を占めているところでございますし、受精卵移植で生まれた産子の頭数は、年々増加していると聞いております。
 県内で受精卵移植を行えるところという御質問ですが、県内の届け出されております家畜人工受精所175カ所のうち、牛の受精卵移植を実施できる施設は108カ所となっております。
〇佐々木努委員 年々増加しているということでありますが、多分、正確な数字ではないと思うのですが、7%ぐらいということです。この間、新聞で目にしましたが、北海道の和牛の子牛の生産が非常に伸びている。特に十勝地域の市場では10%ほど1年間で上場頭数が伸びたということで、その要因として、受精卵移植の和牛がかなりふえてきているということでありました。実際、十勝地域の市場では半数近くが受精卵移植で生まれた子供、つまり、北海道は酪農地帯ですから、ホルスタインのお腹を借りて、和牛の種をつけて受精卵移植で和牛が生まれるということなのだと思いますけれども、酪農の今、ピンチの状況において、他の地域ではこれまで以上に受精卵移植に取り組もうという動きが出ているようですし、実際に、熊本県とか栃木県とか酪農地帯では、そういう動きも出てきている。かなり受精卵移植に対する期待というものも出てきているということであります。
 確かに、受精卵移植は子牛が高く売れる、買われるというメリットもありますけれども、非常に技術料が高いとか、あるいは、飼養管理によってかなりリスクも生じてくるということではありますが、ここ10年、20年でその技術もかなり上がってきたと言われてきて、私が見た文献では、受胎率が7割ぐらいまで来ているというデータもあるわけであります。我が県においても、これは副産物になるわけですけれども、少しでも酪農家の収入をふやす、また、和牛の繁殖農家にとっても、受精卵移植というのはいい牛を残すために、あるいは、牛を高く売るために非常に有効な手段として今、使われているわけでありますから、受精卵移植を県としてもう少し積極的に推進するべきではないかと思いますが、今、県内では受精卵移植の事業の動きはどうなっているのか。そして、県は今後、どのような取り組みを行っていくのか、これについて伺います。
〇米谷畜産課総括課長 県内での和牛の受精卵移植に係る取り組みということのお尋ねでございます。現在、県内では全農いわて県本部が乳牛に和牛の受精卵を移植して、その生まれてきた産子を和牛肥育農家に戻してあっせんするという事業に取り組んでいるところでございます。
 また、全農岩手県本部が独自に乳牛に対しての受精卵移植をやっている事業として取り組まれているところでございます。
 年々頭数等につきましては、先ほど佐々木努委員からも御指摘がありましたけれども、和牛の受精卵につきましては、飼養管理のところでネックになっているところもあり、受胎率が先ほど7割という話がありましたけれども、それよりも受胎率が低いということで、それにつきましては、飼養管理等々のところで問題があるということと、あとは、牛の発情適期を逃さないように移植しなければならないということで、発情を的確に見つける、あるいは把握する、移植時期に合わせるといった技術が農家個々に求められるということもありまして、非常に難しいところもありますが、いずれにしても、和牛受精卵の移植につきましては、酪農経営にとりましても和牛の繁殖農家にとりましても、経営改善の一助になるものと考えております。
 これにつきまして、私どもとすれば、受精卵移植の活用に伴いまして、牛の飼養管理等について現地機関が指導する、あるいは、家畜人工授精所、受精卵移植ができるところは108カ所とお話ししましたけれども、受精卵移植の資格を取りたいという方も人数がおりますので、そういった方々に応えるために、受精卵移植師の養成に係る講習会等を開催しまして、受精卵移植師を養成していきたいと考えているところでございます。
〇佐々木努委員 私も受精卵移植ができるように、講習会を県のほうでやっているという話も聞きました。3年ぶりですか、去年の11月ごろに開催したということで、そういう取り組みはもちろんやっていただきたい、続けていただきたいと思います。
 聞くところによりますと、和牛の繁殖農家も酪農家のところに行って、受精卵も供給するし、それから、移植も全て自分でやるからお腹を貸してほしいというような相談に行っても、酪農家のほうで、今までやったことがないからうちではできないと断るところが結構多いということです。結局、やったことはないけれども、ほかの話を聞くと、余りよくないのではないかという感覚で受精卵移植を見ている方がたくさんいらっしゃるということのようです。
 さきほど北海道の話をしましたが、北海道では産子を高額で販売して、それを酪農家としての貴重な収入にしているところがあって、こういう厳しい状況の中でも経営を続けていけるというところもあると聞いていますので、これはただ単に副産物というふうに扱わないで、酪農家にもそういうものにも積極的に取り組む。それには県内の人工授精卵移植師も含めて技術の向上が必要なわけですけれども、そういうところを県がしっかりと補っていただく。そういうことで人工授精卵移植の推進をぜひ図っていただきたいと思うわけです。
 予算書には人工授精に係るものは一つもないということでありますけれども、周知とかそういうものを含めて、県で受精卵移植に係る事業は考えれば出てくるのではないかと思うわけでありますので、ぜひ今後に期待しますので、受精卵移植の推進、和牛の生産頭数の増にも必ずつながってくるわけですから、ぜひそっちの観点からもこれは進めてほしいと思います。藤代農林水産部長、何か思うことがあったらお話しください。
〇藤代農林水産部長 受精卵移植の活用についてでございますけれども、まず、酪農家の側から見た際に、主な販売物が生乳と、あとは生まれてくる子牛の販売という形になって、その中で、今、ぬれ子というのが、昨年同期に比べれば7割ぐらい減という実態がありますから、乳牛の子牛だと安いのだけれども、和牛の子牛であれば、そこが一定程度価格がとれるというメリットがあるだろうと思いますし、また、肉用牛を飼養している農家に比べれば、酪農家のほうが飼養管理が技術的にはレベルが高いといいますか、うまいというふうにも聞きますので、佐々木努委員御指摘のような、酪農家が和牛の受精卵を活用して和牛生産に寄与するというのは、酪農家にとっても収入の増となりますし、もう一方で、肉用牛にとっても、今、県とすれば肉用牛、繁殖牛、肥育牛ともに頭数を拡大していきましょうという形で進めていますので、そういった頭数拡大にもつながる非常にいい取り組みと考えております。
 県のほうではこれまで、受精卵移植の部分については、やはり技術的なところがなかなか難しいところもあるので、講習会とか受精卵移植師の養成みたいなことに取り組んでいましたので、今、技術者が県のほうでもなかなか難しいところがありますが、全農岩手県本部などでは、EТと言われるような受精卵移植を行うような施設、センターも持っていますし、そういった方々と連携しながら、肉牛農家、酪農家が受精卵移植というようなものについて理解を深めて、地域で活用できる分は活用できるように、どういうことができるか内部で検討したいと思います。
〇佐々木努委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。
 次の質問に入ります。ことしの1月ですが、平泉町、一関市、奥州市にまたがる束稲山麓地域が日本農業遺産に認定されました。これは平成28年から始まったわけでありまして、2回不認定ということで、3度目のチャレンジ、3度目の正直ということにもなりますが、認定されたということで、正直、2回不認定になったときは、私もこれは難しいのではないかと思いましたけれども、3市町の方々、関係者の方々、それから、県、そして地域住民の方々の頑張りで勝ち取ったということだと思います。改めて感謝申し上げますとともに、心から敬意を表したいと思います。
 ただ、問題は、この先だと思っています。これは認定が最終的な目的ではなくて、日本農業遺産というものを活用して、これから地域をどうしていくか、発展させていかなければならないということが一番の目的だと私は思いますので、この先どうやっていくかということが大事になってくると思います。
 認定に向けた取り組みにおいても、それぞれ3市町、県、住民の方々の日本農業遺産の認定に向けた取り組み、あるいは、日本農業遺産そのものに対する認識には、私は非常に温度差があったと聞いていますし、私もそのように見ています。これから日本農業遺産として、それぞれ3市町、あるいは県が入って、それをどう生かしていくかということの議論、そして、行動、活動が行われていくということなのだと思いますが、まず、県に日本農業遺産に認定されたことに対する所感、そして、今後、これを地域の活性化に県としてどう結びつけていくのかについてお伺いいたします。
〇高橋農林水産企画室企画課長 まず、所感というところでございます。日本農業遺産、先ほど佐々木努委員からも紹介がありました、国が、我が国におきまして、重要かつ伝統的な農林水産業を営む地域の価値を評価し、認定するものでございます。
 今回の日本農業遺産への束稲山麓地域の認定というのは、地域におきまして、何世代にもわたりまして水害や干ばつ等の自然災害リスクといったものを分散、軽減させるよう、農地の利用でありますとか、あるいは森林の保全、こういった管理を行いながら食料の生産、あるいは生活の営みを独自の農林業システムをつくり上げてきた取り組みが評価されてきたものということです。これまで認定に向けまして、さまざまな活動に取り組んできた関係者、そして、地域住民の方々の努力が報われ、そしてまた、悲願が実ったということでございます。今後の地域の活力の向上が期待されると考えております。
 そして、今後の地域の振興策というところでございます。今回の認定を契機にということですが、これまで以上に地域の住民、そして、地元への愛着でありますとか誇りを持ちながら、束稲山麓地域における独自の農林業システムを維持、保全していこうとする機運を高めながら、地域の維持、もしくは活性化につなげていくということが重要です。
 農業遺産にそもそも認定された地域では、申請の際に保全計画というものを提出することになっております。この束稲山麓地域の保全計画におきましては、システムを支える担い手の育成でありますとか、あるいは、関係人口の創出に向けました環境保全活動、農作業体験等のイベント、あるいは、農業所得の向上に向けた6次産業化の推進、あるいは、地域の情報発信、こういったものに取り組むこととしております。
 県といたしましても、関係の市町、そして地域の住民の皆様と連携をさらに強化しながら、保全計画に掲げるこれらの取り組みを支援しまして、認定を活用した農林水産物のブランド化でありますとか、観光客の誘致といったものを通じた地域振興の取り組みを進めていきたいと考えております。
〇佐々木努委員 何度も言いますが、これからが非常に大事でありまして、誰が中心になってどういうことをやっていくのか、これが本当に大事です。これは私が聞いたところですけれども、そもそもこの地域を日本農業遺産にしようと発案したのは、広域振興局の職員だと私は聞いています。ですから、私は最後まで県がこれを支えていく、市町村をまとめていく、そういうことが必要だと思いますので、ぜひそのことをお忘れないように、特にその地域は日本農業遺産に認定されましたが、実は非常に人口減少が激しい地域です。私の地元もそこに入っていますけれども、それを支えていく住民がどんどん減っていく地域ですので、そういうところも加味しながら、ぜひ県にはこの先、支援を続けてほしいとお願いをして、終わります。
〇千田美津子委員 きょうもいろいろ議論がありまして、通告が重複しているのもあるのですが、できるだけ重ならないように質問いたしますので、よろしくお願いいたします。
 まず、農政全体の課題、問題として、私は効率一辺倒から環境と人にやさしい農政への転換が今こそ必要ではないかという立場で質問いたします。
 この間、目先の利益を優先して食料を大量輸入する政策が続けられてきましたけれども、輸出国の中で森林破壊や水資源の浪費など、地球環境の悪化をもたらしてきたのではないかと考えています。国内では大多数の中小農家を非効率として切り捨て、国土や環境を荒廃させ、生物の多様性を脅かしてきたのではないかと考えています。そういう観点から、環境と人にやさしい農政への転換は、農山村に元気を取り戻し、持続可能な日本社会を築く上で不可欠であり、地球環境の保全にも大きな貢献になるものと考えるわけですが、この点、いかがでしょうか。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 環境と人にやさしい農政への転換についてでございますが、これまで県では、環境保全型農業などの取り組みを総合的に推進するため、令和3年3月に、ひとと環境に優しいいわての農業生産推進方針を策定し、人や環境に配慮した安全、安心な産地づくりに向けた取り組みを推進してまいりました。
 一方、国におきましては、気候変動や生物多様性の低下等、農林水産物等を取り巻く環境が大きく変化しておりますことから、これらに対処し、農林水産業の持続的発展等を確保する観点から、令和3年5月にみどりの食料システム戦略を策定し、令和4年には同戦略の実現を目指す法制度といたしまして、いわゆるみどりの食料システム法を制定、施行し、9月には同法に基づく基本方針を公表したところでございます。
 県では、この国の基本方針に基づきまして、新たに、岩手県環境負荷低減事業活動の促進に関する基本的な計画を県内全市町村と共同で策定することとしており、今後、環境と調和した農業の実現を目指し、本計画に基づく化学肥料、化学農薬の使用削減や温室効果ガスの排出量の削減など、環境と人にやさしい生産活動を積極的に推進してまいります。
〇千田美津子委員 今、御答弁いただいたとおり、人と環境にやさしい岩手県の農業をやるのだということで、市町村と共同でそういう取り組みを広げていくということはもっともだと思います。
 私はその上に立って、先ほどのミニマムアクセス米の話もありましたけれども、そういう状況から、国内の優良な農地、土地を活用した農業への転換が必要だという趣旨で質問しております。
 私は今、国内の農政のもとでやれる範囲でやる、それはいいのですけれども、地球規模で進む環境破壊等々を考えたときに、本当の意味で持続可能な社会を築いていくにはどういう農政が必要かという観点で考えていく必要があるのではないかと考えておりますが、そういう点、どうでしょうか。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 国政レベルの話まで言及するのはなかなか難しいところでございますが、本県といたしましては、先ほど申し上げましたような環境にやさしい環境保全型農業の推進を初め、まずは地球環境保全に加え、食料自給率の向上といった観点からも、次代を担う新規就農者の確保、育成を初めとした意欲と能力のある経営体の育成ですとか、労働力の不足にも対応し、さらに環境負荷の低減にも寄与する、そして、中小規模の農家でも活用できるスマート農業の普及、さらには、多様なデータに基づき、栽培技術ですとか経営の最適化を図るデータ駆動型農業の推進、さらには、先ほど来出ております自給飼料の生産拡大ですとか圃場整備などの生産基盤の整備など、いずれこれら本県農業の推進方策を一つ一つ着実に進めていくということが千田美津子委員御指摘の農政の転換にも貢献し得るものだと考えております。
〇照井農政担当技監兼県産米戦略室長 本県の農政推進の考え方についての御質問かと思います。岩手県の農業を振り返りますと、平場地域の水田地帯から中山間地域とさまざまな気象条件、あるいは農地の条件がある中で、それぞれの地域に合った作物の生産や、あとは、平場の土地を利用した大規模水田地帯から、中山間では、規模は小さいですけれども、収益が上がるような取り組みとか、さまざまな取り組みが県内の農業各地で取り組まれてきたと認識しております。
 そうした中で生産性を高める取り組み、あるいは、地域に合った適地適作の品目とか、そういうことを進めてまいった中で、今度、国のほうで地域計画ということで、それぞれの地域に入って、その地域の将来のあり方、あるいは、農地をどのように活用していくかということを地域で話し合いしながらそれぞれ進めていくということになりましたので、こうした取り組みの中で、集落の方々と一緒に話し合いをしながら、その地域地域の将来のあり方を描きながら、農政を進めていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 地域計画を立てていくということで、地域で話し合いながらというのは、そのとおりだと思います。ただ、この間の国の農政によって、例えば、農業人口が減ってきているとか、そういう全体も見ながらやっていく必要があるということで私は指摘いたしました。
 それでは、次の質問に行きたいと思います。
 農業の現状と対応策についてでありますけれども、2020年の農林業センサスでは、農業生産を支える基幹的農業従事者は約136万人で、この20年間で100万人が減少しているのです。65歳以上は約95万人、50歳以下がわずか15万人となっています。本当に大変な減少になっているわけですけれども、県内の状況はどのように把握されているでしょうか。
 それからもう一つ、事業体についてもここで質問させていただきます。全国の農業経営体の数が前年比で5.4%減のトータルで97万5、100まで減少しています。100万を下回ったことが農林水産省の農業構造動態調査で明らかになっております。2005年の農林業センサスでは208万5、086の経営体がありましたから、約20年間で半分に減っております。若干法人を含む団体経営体は4万100経営体で前年から1.5%増となっています。これはいいのですけれども、一方、個人経営体が93万5、000経営体、5.7%も減少していることが、農業をやっていけないということでどんどん減少している実態があります。このような中で、県内の農家戸数、そして、団体経営体、個人経営体はどのような状況にあるか示してください。
〇村上担い手対策課長 まず、本県の基幹的農業従事者の状況でございますけれども、同じく2020年農林業センサスによりますと、本県の基幹的農業従事者は約4万4、000人と、2000年に比べまして約3万5、000人減少しております。そしてまた、65歳以上は約3万3、000人と、2000年に比べまして約8、800人減少しており、50歳以下は約3、400人と、2000年に比べて約7、500人減少しているということでございます。減少率で見ますと、県内の状況も国と同様の傾向になっているという状況になります。
 続きまして、県内の農業経営体の状況ですけれども、令和4年度の農業構造動態調査によりますと、本県の農業経営体数は約3万2、000経営体と、令和3年に比べまして約5%減少しています。この状況につきましても、国と同様の傾向になっているというところでございます。
 また、団体経営体数は約1、300経営体と、前年と同水準となっておりまして、個人経営体数は約3万経営体、約5%減少しているという状況になっております。
〇千田美津子委員 国の動向とほぼ同じ状況で減っているという状況だと思います。今議会で人口減少の問題が随分議論されてきたわけですけれども、私は、農家においてもこの状況を放置すれば、担い手と言われる方々が本当にいなくなってしまうと思います。これは決して自然減少ではないわけです。この間、国政、農政の中でやってきたことは、新規就農者への支援を削る一方で、環太平洋連携協定、ТPP等の際限のない輸入自由化、農業者個別所得補償など、農家を支えてきた制度の破壊を含めた歴代政権の農政の責任は、私は重大だと思っています。
 そこで、今しっかりやっていくことが必要だと思うのですが、一つは価格補償、所得補償を抜本的に充実していく、あるいは、輸入野放しをやめて各国の食料試験を尊重していく、真の意味での貿易ルールを目指していくこと。それから三つ目は、大規模化一辺倒ではなくて、やっていると言うかもしれませんけれども、中小の農家経営も支援の対象にしていくことが私は必要ではないかと考えるわけですが、いかがでしょうか。
〇中村技術参事兼農業振興課総括課長 先ほど来、農家は厳しい経営環境に置かれている、いろんな要因等があるかと思います。こういったことに関しましては、国に対し、さまざまなセーフティネットの構築など、これまでも要望してきてございますし、今後とも農業者が意欲を持って働き、暮らすことができる農業の実現に努めてまいりたいと思います。
 また、先ほど小規模、あるいは家族経営といったところの支援というお話もございました。同じく先ほど来出ております農林業センサスによりますと、本県の農業経営体の約97%が家族経営体でございまして、確かに農業生産に重要な役割を担っている。そして、農業の多面的機能といった部分でも大きく寄与している状況にございます。こうした多様な農家が農業生産、あるいは地域の活動といったものを通じまして、活力ある農業農村を実現していくことが重要と考えております。
 このため、県では、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプラン等に基づきまして、多くの小規模、そして家族経営を中心とする、例えば集落営農組織等の経営規模の拡大でありますとか、スマート農業技術の導入によります生産活動の効率化、こういったものを進めますとともに、地域を支える多様な生産者によります、先ほど来出ております農地の保全等を進めながら、地域の農業を維持する取り組みを進めることとしております。
 今後とも、さまざまな役割を担う小規模家族経営も含めた担い手の経営を支援してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 さまざまな経営体が出ていますし、私の地域でもみんなで助け合って頑張っている状況にはあるわけですが、先が見えない、どちらかというと、猫の目農政の中で展望が持てない状況が若い人をも離農させる状況になっているというのが一番大きな原因だと思います。いずれそういったことで、担い手が育つようなしっかりした農政を、岩手県は農業県でもありますから、ぜひ国を引っ張る意味で頑張っていただきたいと思いますが、もし所見があればお聞きします。
〇中村技術参事兼農業振興課総括課長 本県の農業、先ほど来お話が出ております持続的発展のための部分では、それぞれの大きい経営体、あるいは小さい経営体も収益性の高い経営を展開していくことが必要であると思っております。そして、得られた収入を再投資しながら規模拡大を図るといったような好循環を生み出すような農業、若者が憧れるような産業にしていくことが重要だと思っておりますので、所得向上、収益アップにこだわるような家族経営、法人経営、規模の大小にかかわらず、そういった経営体をしっかりと後押ししていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 よろしくお願いいたします。
 それでは次に、県内の食料自給率、国全体は38%ですが、県内の食料自給率はどうなっているでしょうか。
〇高橋農林水産企画室企画課長 国が公表している都道府県別の食料自給率によりますと、最新値であります令和2年度の本県の食料自給率は、カロリーベースで105%、生産額ベースでは216%となっておりまして、全国の順位で申し上げますと、カロリーベースでは6位、生産額ベースでは4位となっているところでございます。
〇千田美津子委員 カロリーベースで全国6位ということで、私は岩手県が引っ張っていくという観点からすれば、カロリーベースで20年間で103%からわずか2ポイントしか上がっていないのですね。国全体が38%なわけですから、今の世界的な食料危機からしても、これは率先して引き上げる方針を持っていかないといけないと思います。カナダでは国全体で266%、オーストラリアが200%、アメリカで132%、フランスが125%、ドイツが86%、イギリスが65%、イタリアが60%、スイスが51%で、先進国の中で日本は最低水準なのです。引き上げる、引き上げると言っても全然引き上がっていないのが現状です。私はこれはこのままにはしておけないと思うわけですが、県としてはどのように考えているでしょうか。
〇高橋農林水産企画室企画課長 食料自給率が100%を超えるという本県、これは我が国の食料供給基地としての役割をこれまでも果たしてきたところでございます。昨今の国際情勢等の変化にもよりますし、農業を取り巻く環境といったものが大きく変化する中にあっても、引き続き、本県が食料供給基地としての役割をしっかりと果たしていくことが重要と考えております。
 いわて県民計画(2019〜2028)の中におきまして、生産性、市場性の高い産地づくり等によりまして、収益力の高い食料、木材供給基地、こういったものを掲げております。またいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの最終案におきましても、例えば、スマート技術等の活用によります生産性の向上、あるいは、麦、大豆、トウモロコシ、こういった輸入への依存割合が高い穀物の生産拡大といったことを盛り込んでおります。これらの取り組みを着実に推進していくことによりまして、本県の食料自給率の向上につなげていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 最後に一つだけ。みどりの食料システム戦略の中で、有機農産物の学校給食への導入について、私は県としてもっと積極的に取り組むべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 みどりの食料システム戦略の中で市町村が取り組む学校給食への食材供給、こうしたメニューがございまして、残念ながら、先ほども申し上げましたが、今年度の実績はなかったところでございますけれども、来年度に向けましては、二つの市から取り組み意向が示されておりまして、それにとどまらず、またさらなる取り組み拡大に向けて、積極的に掘り起こししながら取り組みを促進してまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 私から、農業の担い手づくり、特に新規就農についてお伺いしたいと思います。
 東北地方の中でも、福島県では2022年の新規就農者が前年度比101人ふえた。過去最高の334人となったそうです。福島県は県の研修機関が70カ所あるということで、東北地方でも一番多い。また、市町村を通じて農家への研修もあっせんしている。また、2019年からは農業法人などで最長4カ月の研修、体験ができるお試し就農というのを県独自でやっていて、新規就農者の8割が45歳以下ということ。岩手県としても、新規就農についてはさまざまな政策を行っておられるところと思うのですけれども、今の新規就農者への取り組み状況をまずお伺いしたいと思います。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 新規就農の取り組み状況についてでございますが、本県農業の持続的な発展には、地域農業の将来を担う新規就農者の確保、育成は極めて重要でございます。
 このため、県といたしましては、新規就農者の確保、育成に向けまして、県内外での就農相談会の開催や、就農前の技術習得に向けた支援などに取り組むとともに、就農後の早期経営確立に向けた資金の給付、農業普及員による農業経営、栽培技術の指導、県立農業大学校での経営管理能力の習得に向けた研修の開催、加えて、就農後の経営発展に必要な機械、施設の導入支援や経営者や経営計画の達成に向けた支援などに取り組んでいるところでございます。この結果、令和3年度の新規就農者数は、目標の260人を上回る277名となっております。
 引き続き、市町村、関係団体等と連携しながら、新規就農者が早期に安定した所得を確保いたしまして、地域の担い手として定着できよう、着実に支援してまいります。
〇小林正信委員 さまざまな取り組みで、目標も達成されているということでしたけれども、新規就農者支援の取り組みとして、就農前の準備を支援する就農準備資金、あと、就農後の経営を支援する経営開始資金があります。この活用が新規就農の増加にも寄与すると思いますけれども、前年の世帯年収が原則600万円以下という要件がありまして、これが壁になっているという声も聞かれます。これは国の支援でありますけれども、県としては新規就農者の側に立って、可能な限り資金が活用できるよう十分に相談に乗っていただきたいと思いますし、要件の緩和に向けて、現場の声を吸い上げて国に上げていただきたいとも思います。就農準備資金、経営開始資金の支給要件についてのお考えをお伺いしたいと思います。
〇竹澤農業普及技術課総括課長 就農準備資金、経営開始資金の支給要件の緩和についてでございますが、これらの資金につきましては、小林正信委員御指摘のとおり、申請時の前年の世帯全体の所得が600万円以下であることが要件とされておりますことから、資金を活用できなかった事例があると伺っております。一方、世帯所得が600万円を超える場合でございましても、例えば、複数の扶養家族がおり生活費がかさんでいるですとか、妻の出産により今後世帯所得が大きく減少するなど、生活費の確保の観点から支援対象とすべき切実な事情があると交付主体である県または市町村が認める場合は採択が可能とされております。こうしたことから、申請者の個別の事情を勘案しながら、資金の活用を支援しているところでございます。
 今後も就農準備資金、経営開始資金の一層の活用を促していきますとともに、現場の課題等を見極めながら、必要に応じて国に対して要件の緩和を働きかけていきたいと考えております。
〇小林正信委員 十分に取り組みをしていただいていると思いますし、やはり私もそういう声がちらほら聞こえてきたのでお伺いをしたのですけれども、ぜひとも県としても丁寧に新規就農者に寄り添った取り組みを進めていただきたいと思います。
 そして、国の事業ですけれども、特定地域づくり事業協同組合制度というのがありまして、これを活用して農業の担い手不足解消に取り組んでいる地域がふえているということです。この制度は過疎地域のさまざまな仕事を担う協同組合をつくって安定的な雇用を創出し、移住、定住を促進するのが目的の制度なのですけれども、複数の事業者の仕事を組み合わせて、年間を通じて仕事量を確保するということで、新潟県上越市の中山間地域にある農業法人7団体で協同組合を結成して、職員を雇って、一つの農業法人で人件費の負担、人材の確保、通年の仕事量の確保といったさまざまな難しい課題を解決している。そして、県外移住者の正規雇用もできている。県内において、こうした組合制度の活用事例はあるのか。あったとすれば、どういった事例だったのか。また、取り組みの推進についてのお考えも、あわせてお伺いしたいと思います。
〇中村技術参事兼農業振興課総括課長 特定地域づくり事業協同組合制度の活用状況ということでございますが、小林正信委員からもお話しいただいておりますけれども、地域内で複数の事業者の仕事を組み合わせて、年間を通じた仕事を創出するということで、地域の担い手を確保する取り組みを国で推進しております。県内では、葛巻町におきまして、農業や食料品製造業、宿泊業等で構成します組合が設立されておりまして、令和4年2月18日に特定地域づくり事業協同組合としての県の認定を受けているところでございます。
 組合では現在、派遣する職員を2名採用いたしまして、具体的には組合員となった町内のワイン関係の工場、あるいは畜産公社に派遣されておりまして、繁忙期の需要に合わせて、今後複数の事業者等の派遣を行うと聞いているところでございます。
 この推進体制ということでございますけれども、県といたしましても、担い手の確保並びに地域の活性化にもつながる取り組みでございますので、今回の葛巻町の事例、あるいは、先ほど小林正信委員からもお話しいただきました他県の取り組み、こういったものも情報収集しながら、制度の活用を検討している地域に対しては、情報提供することとしております。
〇小林正信委員 葛巻町は6次産業化というところも見据えてやっていらっしゃると思います。すばらしい取り組みだと思いますし、ぜひこれは横展開というか、情報収集して、しっかりとお願いできればと思います。
 続きまして、農林水産省の人・農地プランは、地域の未来の農業、特に担い手をどうするか、そして、その担い手の方にどう農地を維持してもらうのかという課題がある中で、大事な取り組み、観点だと思います。
 岩手県では地域農業マスタープランの取り組みを通じて農家の生産から流通までを支え、継続的な営農を支援しているところと思いますけれども、まず、地域農業マスタープランの取り組み状況についてお伺いしたいと思います。
〇村上担い手対策課長 人・農地プランの県内の取り組み状況でございます。人・農地プラン、本県では、地域農業マスタープランと言いますけれども、地域農業マスタ-プランは、農業者が話し合いに基づき、地域農業における中心経営体、あるいは、地域における農業の将来のあり方などを明確化して、市町村により公表された計画でありまして、県内では431地区で策定されているところでございます。
 県では、このプランの実現に向けまして、中心経営体の経営管理能力の向上や集落営農組織等の法人化、農地中間管理機構を活用した中心経営体等への農地の集積、集約化、機械、施設の整備などを支援しているところでございます。
 今般、国では、人・農地プランを法定化いたしまして、市町村において、10年後に目指すべき将来の農地利用の姿を定めた地域計画を令和6年度までに策定することとしておりまして、今後とも、市町村や関係機関、団体と連携いたしまして、地域農業の活性化が図られるよう取り組んでまいります。
〇小林正信委員 人・農地プランの中では、農地中間管理機構、農地バンクについては、担い手と農地のマッチング、あるいは、農地の集約化、あとは新規就農者への情報提供等、地域農業マスタープラン、人・農地プランをさまざま進める上で、その機能の充実が大事だと思います。ただ、新規就農者や農地を借りたいと思う方が農地を求める場合、市町村の農政課や農業委員会にあらかじめ相談して、ある程度、借りる側と貸す側が相互に調整する前提がこの農地バンクにはあるようです。また、小規模の農地から農業を始めたい方に対しても、新規就農者を進める観点から、しっかりと手当をしていかなければならないのではないか。また、貸す側が借りる側をえり好みしているのではないかといった声も少し聞こえてきたりしております。
 県としても、地域の農業の担い手となり得る方たち、新たに農業を始めたいと考える方たちと農地のマッチングがスムーズに進むように、市町村との連携、また、農地バンクの周知、機能強化を図るべきと考えますけれども、これまでの農地バンクの取り組み状況と今後の取り組みのお考えをお伺いしたいと思います。
〇村上担い手対策課長 県におきましては、農地中間管理機構であります岩手県農業公社を中心に、関係機関が一体となって担い手への農地集積に取り組んでおりますけれども、事業が開始された平成26年度から令和3年度までの農地の集積は、貸付面積で約2万ヘクタール、新規集積面積で約1万ヘクタールと、ともに全国トップクラスの実績となっております。
 その一方で、農地の集積、集約化のさらなる推進に向けては、平場地域では農地の集約化、中山間地域では農地の受け手となる担い手の確保などが課題となっておりまして、改めて地域の農業を将来にわたりどのように利用していくのか、議論を深めながら、農地集積等の取り組みを強化していくことが重要と考えております。
 このため、県では、農地中間管理機構の農地コーディネーターや市町村、農業委員会等の関係機関、団体との連携をさらに強化いたしまして、地域での話し合いを活性化させるとともに、新規就農者等が新たな担い手として定着するよう、農地中間管理事業を活用した円滑な農地のマッチングを進めていくこととしております。
 小林正信委員の御指摘がありますとおり、新規就農者への厚い支援ということについても、県の関係5機関が連携しまして推進方針をつくっておりまして、新規就農者の情報とかを共有しながら進めていくということにしております。
 今後におきましても、関係機関、団体と連携を密にしながら、担い手への農地集積等が着実に進むよう取り組んでいきたいと思っております。
〇小林正信委員 せっかく全国トップクラスで集約化をしていただいているのに、それが生かされていないという現状が少しあるのかなと思います。そこにはいろいろな調整というのが難しいというのもあるとは思うのですけれども、コーディネーターも配置されるということで、そこのところ、ぜひとも充実させていただきたい。先ほども申し上げたとおり、小規模から農業をやろうという新規就農者は結構多いと思いますし、そうした方に集約化した農地をどう提供するかというところは大事な観点だと思いますので、ぜひともこの取り組みを充実させていただきたいとお願いして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
〇千葉盛副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉盛副委員長 質疑がないようでありますので、これで第1部農業関係の質疑を終わります。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、第2部林業、水産業関係について、質疑はありませんか。
〇高橋はじめ委員 私からは、本県漁場の海中環境について、何点かお伺いしたいと思います。
 3月12日の地元紙の報道によりますと、令和4年度、県産アワビ水揚げ量、計111トン、前年比37.8%増となっている。これは7年ぶりで前年比を上回ったとのことでありました。ただ、震災前の令和3年比では30%ほどの水準とのことで、浜に少しは希望の光が差したという程度かと思っています。私も水産物が好きなものですから、食卓になかなか県産の主要3魚種が頻繁に買いそろえないという思いもしておりまして、何とか回復してほしいと願っているところであります。内陸の人間として余り海のことに知識がない中で質問するわけでありますが、その点を含めて御了承いただきたいと思います。
 震災以降、主要3魚種の漁獲量が激減し、被災地のなりわい再生がなかなかできておりません。地球温暖化の影響で暖流が三陸海岸に流れ込み、寒流域生息の魚種がとれないとの説明であったが、果たしてそれだけなのかということであります。急激な漁獲量の減少は震災後であり、沿岸海域の海底環境が大きく変わったのに、その対策ができていないのではないかということで、海底の話題もなかなか出てこない、そんなことを思ったところでございます。
 確認のために何点か伺いたいと思います。震災前、それから10年経過しての漁場の海中、海底の環境はどのように変化しているのか、調査しているのであれば伺いたいと思います。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 海洋環境の変化についてでございます。県水産技術センターの調査結果によれば、近年、冷たい海流であります親潮の勢力が弱くなる一方、暖かい黒潮や津軽暖流の勢力が強くなっておりまして、本県沖の海水温が上昇するなど、広域での海洋環境の変化が漁業に大きな影響を及ぼしているものと認識しております。
 本県沖では、この海洋環境の変化によりまして、冬場の海水温が高めに推移し、ウニ等が活発に活動して昆布などの芽を食べ尽くしてしまういそ焼けの発生等により藻場の面積が減少していることや、夏場の水温の上昇によるホタテガイのへい死、養殖開始時期に海水温が高い場合に生じるワカメの芽落ちなどが顕在化し、漁場生産力が低下する傾向にあります。
 一方、海底の環境につきましては、大学等の調査、研究によりますと、東日本大震災津波の6カ月後の調査では、水深や堆積物組成などが震災前と比べて大きく変化していることが確認されましたが、さらに1年半後の調査では、海洋環境の変化は長くは維持されず、震災前の状況にほぼ戻ったことが報告されております。
〇高橋はじめ委員 堆積物等がある面では入れかわったという捉え方もできるのではないかと思っております。プランクトンの生息とか海藻の繁茂状況について、若干変化があるというお話もありましたけれども、主要3魚種の回遊環境にどう変化をもたらしているか、そのことをどう捉えているか伺いたいと思います。
〇太田漁業調整課長 主要3魚種の回遊環境についてでありますが、本県の主要3魚種であります、サケ、サンマ、スルメイカにつきましては、秋から冬の親潮の南下に合わせて、産卵などを目的として本県沖に回遊してくる習性がございます。
 近年、海洋環境の変化によりまして、冷たい親潮の勢力が弱くなる一方、暖かい黒潮や津軽暖流の勢力が強くなりまして、本県沖への親潮の接近が制限されることで、水温ですとか餌となるプランクトンの分布に影響を及ぼしておりまして、これら主要魚種の漁場が形成されにくくなっているということが近年の不漁要因の一つと考えられているところでございます。
〇高橋はじめ委員 産地から川を下った腐葉土が長年にわたり堆積して、それを養分に海藻が繁茂するとか、プランクトンが大量発生して魚の餌が豊富になっている。そのような古代からの自然の営みの上に漁業があるのではないかと思うところであります。その辺についての所感を伺いたいと思います。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 河川環境に由来する栄養分といったものが海洋に流れることによって、ミネラル分などが供給されますので、森と海との関係は非常に重要なことと考えております。一方で、海洋環境というのは非常にグローバルな事象で起きていることでありますので、そういった要素もかなり大きく影響するものだと認識しております。
〇高橋はじめ委員 海底の環境とか暖流、寒流の関係はあるのでしょうけれども、海底の環境も、ある面で震災前に近い状態に戻していく努力が必要だろうと思っておりますが、その辺、何をどのようにすれば有効かということもまだわかっていないと思っております。ただ、海流の変化を待っていて、果たして沿岸漁業が成り立っていくかということを考えるときに、何かしら今、いろいろなことを手がけていくことも探っていかなければならないのではないか、そんな思いをしておりますけれども、その辺についての東日本大震災津波の被災地以外、現状での海中、海流、海底とか、その辺の比較とかについて、調査、研究する考えはないのですか。お伺いします。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 先ほど御紹介いたしました震災前後の海底環境のレポートにつきましては、東京大学大気海洋研究所が岩手県の大槌湾と船越湾において調査した結果でございまして、その一例として、震災前は水深10メートルの泥底だったところが、震災後に厚さ2メートルの砂利が堆積したということが確認されましたが、その後、再び10メートルの泥底に戻ったというようなレポートがございまして、恐らく海流ですとかそういったものが恒常的にあって、元の環境に戻っているものと考えられるところでございます。
 そういった海洋環境の調査というのは、調査研究機関のほうで継続してモニタリングしていると思いますので、そういったものを注視していきたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 海が豊かであれば丘も豊かになる。あるいは、山が豊かであると魚が豊富にとれると先輩議員がよく口ぐせのように言っておられましたけれども、漁場環境の保全に向けて、山林開発への対応や植林政策などが重要だとも考えられるわけでありますが、県はどのように取り組んでいるのか伺います。
〇鈴木森林整備課総括課長 漁場環境の保全についてでございますが、森林は水源涵養や山地災害防止など公益的な機能を有しており、こうした機能を将来にわたり発揮させていくためには、健全で多様な森林の育成が重要です。
 このため、県では、森林の土地の適正な利用を確保するため、林地開発許可制度を運用しているほか、沿岸地域におきましては、魚類の生育と繁殖を助けることを目的とした魚つき保安林などを指定しているところでございます。
 また、再造林などの計画的な森林整備を推進しますとともに、いわての森林の感謝祭等を開催する中で、森林の役割や森林整備の重要性を広く県民に普及、啓発し、植樹や育樹活動などを行ってきたところでございます。
 県では、漁場環境の保全などを含め、森林の公益的機能が持続的に発揮されるよう、引き続き、健全で多様な森林の育成に取り組んでまいります。
〇高橋はじめ委員 さまざまな取り組みをしていただいているということであります。針葉樹林だけではなくて広葉樹林、あるいは針広混交林、これらの植林という事業も進められていると思っておりますし、また、伐採後の植林も計画的にされているものと思っておりますが、なおしっかりとその辺の取り組みはお願いしたいと思っております。
 また、近年心配しているのは、再生可能エネルギーの名のもとに大規模な太陽光発電や風力発電の産地開発、これは自然体系を壊しかねないものと私は危惧いたしております。結果として、長い目で見れば、沿岸地域の施業が成り立たなくなる可能性もあると思っておりますが、その辺について、藤代農林水産部長の所感をお伺いします。
〇藤代農林水産部長 山林の開発と海洋環境の保全という関係についてでございますけれども、本県は森林県でもございますし、また、世界有数の漁場と言われる三陸の海を有しているということで、そういった二つの恩恵を十分に生かしていかなければいけない県だろうとも考えております。先ほど御答弁申し上げましたとおり、山からのミネラル供給という意味で、しっかりと山の保全ということと、海側での保全を両輪として進めていくことが大事だと思います。
 また、再生可能エネルギー等の大規模林地開発などにつきましては、林地開発許可制度のもとで一定程度の許可要件を満たすとか、そういったことを確認しながら、先ほど申し上げましたような、大規模災害、例えば大雨とかがあった際には、海側のほうに非常に流木等が出るということで懸念されることもありますので、そういった意味で、伐採搬出再造林ガイドラインというものを策定して、しっかりと森林側で伐採を行った際にも、そういったものがほかに影響を及ぼさないようにという対応もしているところでございますので、そういった取り組みをしっかりと進めながら、山側、海側両方がしっかり保全されるような取り組みを進めていきたいと思います。
〇高橋はじめ委員 今も申し上げましたけれども、再生可能エネルギーを含め、エネルギー問題は日進月歩でありまして、太陽光発電、あるいは風力発電は今、最大限注目されておりますけれども、一方では、水素発電などもかなり研究が進められておりますので、それらがどんどん普及してくるようになれば、私は、森林伐採して、山を削って、風力発電、あるいは大規模太陽光発電といったものは全く必要なくなるような気もするわけです。例えば10年、15年の中でそのことは相当進むような気がしますので、山地を開発しての再生可能エネルギーの建設については、より慎重にあるべきだと、このように申し上げさせていただいて、終わります。
〇佐々木茂光委員 まず最初に、水産業リボーン宣言についてです。宣言をされてもう1年を経過されているわけでありますが、これまでの取り組みについては、例えば、藻場や秋サケの問題など、そういった大きなところが一つの軸として宣言されたわけでありますが、1年たって、今、どのような状況にあって、成果は求めていいのか求めて悪いのか、私も迷うところなのですが、その辺もお話しいただければと思います。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 水産業リボーン宣言についてでございますが、これまで主要魚種の資源回復といたしまして、大型で遊泳力の高い強靭なサケ稚魚の生産とともに、増加している資源の有効利用として、ウニ資源を有効活用する畜養、出荷に加え、新たな漁業、養殖業の導入といたしまして、サケ、マス類の海面養殖の生産拡大などに取り組みを進めてきたところでございます。
 こういった取り組みによりまして、サケ種卵の確保に向け、県内では定置網で漁獲されたサケを積極的に活用したほか、県内のみでは目標とする種卵の確保が難しいことが懸念されたことから、北海道など県外からの調達に努め、目標を上回る約1億粒を確保したところでございます。
 ウニの畜養につきましては、県内10漁協に取り組みが拡大するとともに、夏場のみの出荷であったウニが高い価格で取引が期待できる年末にも出荷が可能となり、今後、漁業者等の所得向上が期待されるところでございます。
 また、サケ、マス類の海面養殖につきましては、今年度、約1、200トンと前年度の約2倍の水揚げ実績となったことなどが成果として得られたところでございます。
〇佐々木茂光委員 今、水産業リボーン宣言、成果として御説明を受けたわけでありますが、これは単年度ではないですよね。当然、これからずっと水産業リボーン宣言にのっとって、ある程度課題が解決されるところまでやるのか、それとも、さらにそれからいろいろなところで今度は事業を拡大したり、その動き、動きの中にいろいろ変化が出てくると思うのですが、その辺の対応というのはどのように考えられておりますか。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 水産業リボーン宣言につきましては、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの計画の中に盛り込んでおりまして、計画期間であります令和5年度から令和8年度まで、4年間は継続していきたいと考えております。
 その取り組みの中身につきましては、この宣言は関係団体と県とが一緒になって宣言したものでございますので、関係団体と十分に連携をとりながら、取り組みを進めていきたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 そうしますと、一応、宣言を打ちはしたのだけれども、あとはこれからの取り組みの中で、さらにその団体の方々とお話し合いをしながら、またそれなりの方向性を示していくという解釈でよろしいですね。
 それでは次に、藻場の再生については、既に岩手県藻場保全・創造方針の中で、漁場再生、藻場再生ということが今、進められているわけでありますが、その進捗状況と今後の取り組みについてお示し願いたいと思います。
〇佐藤漁港課長 藻場の再生についてでありますが、県では、これまで、陸前高田市など5地区で海中林の設置等を支援してきたほか、今年度は新たに大槌町など3地区において地元漁業者と連携したウニの間引きやブロックの投入による藻場造成に取り組んでいるところでございます。
 こうした取り組みに加え、令和5年度は、大船渡市などにおいて、藻場造成に必要な海藻の生育状況や、ウニの生息密度の調査などを行う経費を当初予算案に盛り込んでいるところでございます。
 今後ともウニの間引きなどのソフト対策と、ブロック投入等による藻場造成のハード対策を一体的に推進し、藻場の再生が着実に図られるよう、関係機関、団体と一丸となって取り組んでまいります。
〇佐々木茂光委員 岩手県藻場保全・創造方針によりますと、今後10年間で平成27年の藻場面積である2、300ヘクタールまで回復させることを目指すとあるのですが、1年に大体どのぐらいの面積を消化すると言うのか、どの程度まで手を伸ばして進めていくのでしょうか。
〇佐藤漁港課長 今、委員から御指摘のありました藻場の面積につきましては、まず、地元のニーズ等々を確認しつつ、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおいては、令和8年度までに10地区を行うこととして考えております。ただ一方、ハードだけでは莫大な費用がかかることから、引き続き、漁業者と団体と連携しながら、ウニの間引きなどのソフト対策を進めながら、その計画面積である約2、400ヘクタールになるよう、ソフトとあわせて推進していきたいと考えているところでございます。
〇佐々木茂光委員 私も漁業者の一人でもあるので現場を目にすることもあるのですけれども、これで大丈夫なのかなという感じがするのです。今、お話を聞くと、確かに、ブロックに種をつける。このごろ私どものほうでは、けたに昆布を巻きつけて、それを海中に沈めている方法なのですね。ところによってまちまちなのか、当然、ウニがいるわけだから、本当に大きくなる前にみんな芽をつぶされてしまっているケースが結構あるのです。ウニによる藻場の被害の話が出る前かそういう話が出たあたりからうちの漁協はそういう取り組みをしてきたのですが、本当に活着するようなケースが見受けられない。一緒にやっている漁業者もどうなのだろうということを言いながら毎年その作業をしているのですが、その辺の様子は、県のほうでつかんでいるものなのか。また、同じようなやり方でほかでも成果が見えているとか、そういったところは今、どういう状態になっておりますか。
〇佐藤漁港課長 委員から御指摘のありました藻場の現状、あとは横の連携と情報共有でございますが、藻場の回復に向けて、各活動団体等の取り組み状況を共有し、効果的な藻場の保全活動を進めることは重要であると認識しております。これまで国において、磯焼け全国協議会を開催して、各都道府県のさまざまな取り組み事例の情報共有を行っているほか、県では今年度、県内の藻場の保全活動を行っている活動組織、5地区と取り組み状況の共有、あとは課題の共有等々を図りながら、意見交換を開催したところでございます。
 今後とも、関係機関、団体と連携しながら、藻場造成に向けた取り組み状況や課題を共有し、藻場の再生が着実に図られるよう取り組んでまいります。
〇佐々木茂光委員 例えば、水温が高めでずっと推移していることから、11月にワカメの仕込みをしたり、昆布の仕込みをしたりするのですけれども、水温が高いということで芽落ちしてしまって、なかなか次の作業をするような、今、いそ物の作業が12月に入ってしまうケースなのです。ただ、今、いろいろお話を聞いていても、藻場に投入する昆布の種とかというのは、恐らく現地に、周りの種がみんな芽落ちしているのにそれが落ちないということはないと思うのです。例えば、高めの水温に勝てる種をつけるとか、打つとか、そういうことは考えられないものなのか。
 例えば、いそについている昆布なども食害だけではないのです。要は、水温が高くなると死ぬというか、枯れてしまうのです。そういったのをそのままブロックの原板に取りつけるなり、巻きつけるなりしてやっても、それがまた死ぬのではないですかということです。活着しないでしまうというのは、そういうところかと思って、今、聞いてみました。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 今現在やっている藻場再生の取り組みというのは、昆布等の遊走子をつけて発芽を促すという方法をやっておりますが、それだとやはり委員御指摘のとおり、海洋環境によって芽落ちをしてしまったり、うまく海藻が育たなかったりということは考えられるとは思います。
 一方で、例えば、ワカメの養殖の新しい技術で、半フリーという種苗の生産の技術がありますが、それだとワカメのある程度の大きさまで陸上で管理する技術なものですから、そういったものを有用して、適期にある程度の大きさの海藻をふやす取り組みも、今後考えられるのではないかと思います。
〇佐々木茂光委員 ということは、今、技術的なもので、とりあえずその辺はクリアしているという解釈でいいのですね。わかりました。
 それで、なかなか難しいというのは、その水温に合った新しい種を見つけないとならないのか、その昆布も実際巻きつけしているときは、五、六センチメートルぐらいになったものを巻きつけしています。芽が出た昆布をブロックに打ったり、ロープに仕込んだりしている形ではないので、それが結局、沈めるとまたウニが下で待っているわけだから、その作業に入る前に、徹底的にウニを駆除して、駆除したところに活着させるという形の仕込みの工程でないと、入れた瞬間にウニに食べられてしまって、ロープもみんな裸にされてしまうのです。その辺の仕事の手順的なもので、何か少し考えられるところがあるのではないか、もう少し方法を探ったほうがいいのではないかなといつも現場に行って思っているもので今聞いたのですが、その辺はどうですか。
〇佐藤漁港課長 委員御指摘のとおり、先ほど森山水産担当技監心得からも話がありましたとおり、遊走子が出る時期にそういった活動等をしないといけない。なおかつ、ウニの間引き等を一生懸命やらないといけないというのは、そのとおりだと思います。
 あわせて、昨年度、岩手県水産技術センターが行った食害防止に向けた試験では、ウニの餌として未利用な資源でありますコンブ科スジメと、あと、ワカメの海中林を設置して、ワカメの芽が出る前にスジメとかワカメを大きくしたものをウニに与えて、新芽をウニが食べないように防止するといったような取り組みもさせていただいておりまして、その部分で成果が出ていると伺っております。
 いずれこの関係に関しては、県が策定いたしました岩手県藻場保全・創造方針のソフト対策の一つとしても活用を検討しておりまして、今後もそういったさまざまな事例や知見を参考にしながら、藻場造成に努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 それは大変いい取り組みだと思うのですけれども、ウニが食わないものを、食っている間におがるのだということになるわけだけれども、今はウニの駆除をしながら、一定の場所を捉えて駆除したウニを海中で畜養するという方法もとっているのですけれども、駆除するときの量というのか、面積というのか、その辺は試験的にいろいろ取り組んでいると思うのです。その中にまだウニが残っているわけだよね。その辺がどのように動くのかということまでは恐らくつかみかねているのと思うのだけれども、逆に、もう少し駆除する面積を、面積というよりも個数を少なくさせるような形で切りかえたほうがいいのかなとも思うところなのですが、その辺は、研究している方々の中に話は出てきませんか。
〇佐藤漁港課長 岩手県藻場保全・創造方針にも記載しておりますが、ウニの密度としては、1平米当たり2個ぐらいが限界だと、それ以上になると海藻が入ってこないということがございますので、目安としては1平米当たり2個というような形で、それ以上駆除してもいいとは思うのですが、基本的にはそういう形で進めさせていただいてございます。
〇佐々木茂光委員 わかりました。それをよしとしてこれから取り組んでいくと思うのですけれども、常に早い段階でモニタリングというか、そういうものを見ながら、やり方というのは常に考えていかなければ、本当に藻場として回復するまでは相当の時間がかかると思うのです。
 前にもお話ししたのですけれども、鉄鉱石から鉄をつくるときに、精錬所から鉄鋼スラグというものがあって、それを人工の腐葉土と混ぜ込むことによって、藻場にならんとする場所に沈めた形で施工されているというのが、北海道を初め近場では宮城県も、あと、京都府、福岡県、全国に44カ所ぐらいその取り組みをしていて、それなりの成果が出ているというのをこの間、新聞の記事でも読ませていただいたので、我々がやっている取り組みも決して悪いことではないと思うのだけれども、そういったところでも少し参考にしながら、一日でも早くいそ根の回復を漁業者のみならず、アワビでもウニでも食べる人たちがいっぱいいるわけなので、一日でも早くそれを戻せるように取り組んでいただきたい。
 一つの提案でもあるので、ほかのやり方も見聞きして、今度は予算の関係もあったりするかもしれませんけれども、やるからにはしっかり、思い切って踏み込んでいかないと何の解決にもならないと思いますので、あわせてその辺もよろしくお願いします。
〇千葉盛副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後4時15分 休憩
午後4時32分再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇工藤大輔委員 それでは、お伺いをしたいと思います。
 県内の漁業就業者は、この10年で3、600人ぐらい減少している。そしてまた、経営体もこの10年で35%程度減少と認識しております。また、経営規模の大きい経営体、専業の経営体も十数%減少していたと思っていましたけれども、漁業振興に当たりましては、新規漁業就業者の確保と中核的漁業経営体の育成というのが大きな課題となっています。そういった中、今年度は担い手育成ビジョンの節目の時期ということになりますけれども、新規漁業就業者、そして、中核的漁業経営者の近年の状況、特に中核的漁業経営者の点では、四つのエリアごとの状況について示してください。
〇太田漁業調整課長 中核的漁業経営体の状況についてでありますが、県では、販売額1、000万円以上の漁業経営体を中核的漁業経営体として位置づけております。令和3年度は、全県で277経営体、その内訳は、久慈地区が22、宮古地区が97、釜石地区が7、大船渡地区が151となっております。
 新規就業者の状況でございますが、こちらは令和元年度から開講しております、いわて水産アカデミーにおいては、これまで20名が修了し、全員が本県の漁業に就業しているほか、今年度は9名が本県の漁業に就業を予定しております。
 また、本県における新規漁業就業者数は、近年は年間50人前後で推移しておりまして、漁家子弟以外の割合が5割を超すなど、震災後のボランティア活動などをきっかけとして、漁業未経験者の就業が増加する傾向にございます。
〇工藤大輔委員 新規就業者の関係でいくと、平成29年は55名あって、そこから50人を切ってきている状況です。その後にいわて水産アカデミーが開講し、今、答弁いただいた人数が就業しているということで、これはいわて水産アカデミーが開講しなければ、それこそ40人ちょっとの数字になるかと思います。
 以前、岩手県水産振興議員連盟のほうで、いわて水産アカデミーの方々との意見交換を開催させてもらいました。その中で、実際の声を聞くと、自立支援に向けた要望や現状の課題についてさまざま指摘をしていただいたわけでありますけれども、他県の状況を見れば、そういった卒業生や新規就業者の定着支援に向けて、生活費であったり奨励金、これは佐賀県の事例ですけれども、初年度100万円、2年目が80万円、3年目が60万円ということで、独立をした際の漁具の購入費だとかに充てられるような対策を講じて育成、定着に努めていますが、本県においても、さまざまな機会、事業を使って定着に向けての支援策を拡大していかないといけないと思いますけれども、その考えについてお示しください。
〇太田漁業調整課長 いわて水産アカデミー研修生への支援についてでございますが、水産アカデミー研修生は、国の漁業人材育成総合支援事業の次世代人材投資の活用が可能となっておりまして、こちらの利用の条件としますと、これまで1年以上漁業に従事していないこと、常勤の雇用契約を締結していないこと、就業時に45歳未満であることなどが条件になっておりますが、これらの条件をクリアして、この資金を使うということになりますと、年間で最大150万円の就業準備金の給付が受けられることになっております。
 このほか、各市町村でもいろいろと就業奨励金等の制度がありまして、沿岸の10市町村で就業の奨励金、また、7市町村で住宅費の補助、資機材の整備支援ということで、沿岸の6市町村が制度化しているところでございます。
〇工藤大輔委員 わかりました。市町村事業も通じながら、目標が令和4年度で70名というのが本来の目標だったと思いますが、これから来年度以降、この数字に近づけるように、新しい目標数値に近づくように取り組んでいただきたいと思います。
 そして、中核的漁業経営体の関係ですけれども、これを見ると、平成29年年度から令和3年度の減少率でいくと、約43%減少しているということで、かなり大幅な減少だと思っています。その中でも、大船渡管内はある程度維持できていますけれども、釜石管内の7経営体は非常に少ないなと思います。また、久慈管内においても22ですし、釜石管内と久慈管内の減少率が84%であったり66%の減少率ということで、こういった特に減少率の高い地域においては、中核的経営体の育成をより戦略的に進めていかなければならないと思います。漁業のあり方も違うという理由もあろうと思いますけれども、それらの方針についてお伺いします。
〇太田漁業調整課長 久慈地区と釜石地区の中核的漁業経営体でございますが、それぞれ漁業の主な種類が異なっておりまして、久慈地区ですと、採介藻漁業や漁船漁業が主体であります。釜石地区は、規模が余り大きくない養殖経営体と漁船漁業が中心ということになっております。そういう中で、それぞれの地区の中核的経営体の育成としましては、久慈地区では、最近、久慈管内の漁協の研究会でもやっておりますウニの畜養など、あと、釜石地区では漁場利用の見える化などによる効率的な漁場の利用ということで、中核的経営体の育成に取り組んでまいりたいと思います。
〇工藤大輔委員 やはり個別に、それぞれの漁場によって全く生産体制が違ったり、状況が違うので、きめ細かく各漁協と、また、市町村も当然含めて対策を講じてもらって、中核的漁業経営体というのは、地域においては漁業者のまさに先導的な役割を果たしていたり、また、これからの地域の漁業を牽引する方々にもなってきますので、ぜひこの数をふやしていき、平成29年度あたりのふえていったときの状況に戻していただきたいと思います。
 そして、それに伴って、毎年、漁業の満足度の評価を調査していますけれども、いただいた資料によると、中核的漁業経営体がふえていった平成29年までは満足度も上昇しているのです。やや満足という数字、1.00という数値に近づいているのですけれども、その後は急下降です。令和3年度の状況を見れば、まさに普通と評価される程度だと聞きましたけれども、かなり落ち込んでいます。これではなかなか漁業者の定着だとか、また、率先した新しい取り組みというのもなかなか進んでいないとも思いますけれども、この要因について、どのように分析されているかお伺いします。
〇太田漁業調整課長 漁業の満足度評価についてでございますが、県では、平成27年度より認定漁業士や着業10年未満の若手漁業者を対象として、漁業担い手満足度調査を実施して、漁業就業の満足度を経年的に分析しているところでございます。
 令和3年度の調査では、満足度が調査開始以降の最低値となってしまいましたが、その要因としましては、近年の海洋環境の変化による不漁や新型コロナウイルス感染症の流行に伴う社会経済状況の変化などの影響を受けまして、収入水準や将来への希望などの項目で満足度が低下したということが考えられております。
〇工藤大輔委員 この落ち込みが非常に大きいのですよね。通常であれば、減少の流れに沿ってももう少し維持できるかと思うのですけれども、これはかなり悪くて、今年度の調査はまだしていないのでしょうか。まとまっていないのかどうかわかりませんが、今年度の調査結果、この流れでいけば、かなり不満という域に入るのかと感じます。その状況、もし把握していれば教えてください。
〇太田漁業調整課長 令和4年度の満足度調査は11月にアンケートを行っておりまして、現在、その回答を集計中でございます。全体的な満足度の評価については、今のところ、まだ取りまとめが終わっている段階ではございませんので、令和3年度の結果から考えていきますと、令和3年度で満足度が高い漁業者の方といいますのは、仕事のやりがいですとか、自身の能力を生かせる、体力と意欲が続く限り働き続けられるというような項目で、非常に高い満足度を感じているという結果になっておりました。
 そういったこともありますので、漁場環境や社会経済状況が変化している中ではありますが、漁業満足度を向上させるために、これらの項目を意識的に伸ばしていくような対策が必要と感じているところでございます。
〇工藤大輔委員 就業者が減っている中で、養殖業であればやはり規模の拡大が必要だと思いますし、また、養殖に不向きな地域であれば、先ほど言ったウニの取り組みもそうなのですけれども、放流事業等、その他さまざまな陸上養殖等も含めて、別な養殖の関係も次々展開し、例えば久慈地区であれば、1カ所で今、サーモンの関係をやっていますけれども、久慈地域の漁業というのは野田村もあれば洋野町もあり、それぞれ、生産部もありますので、それぞれのところで取り組みが進んでいかなければ、総体的に満足度もそうですし、所得も上がっていかないというのが実情です。成功事例の横展開というのを早急に進めなければならないと思いますが、新年度、どのように進めていくのかお伺いしたいと思います。
 あわせて、漁業の体制をガラッと変えるには、スマート水産業のような形をこれまで以上に速いスピードで導入していかなければならないと思います。そうでなければ、漁業の生産者の減少に追いつかないような状況になります。これをしっかり維持し、ここからV字回復させるような取り組みに期待をするところですけれども、取り組みについてお伺いします。
〇太田漁業調整課長 まず、全体的な満足度向上の展開でございますが、基本的には、水産業リボーン宣言にありますとおり、主要魚種の資源回復や増加している水産資源の有効利用、あと、新規養殖品目の導入などによりまして、全体的な政策を推進していきたいと考えているところでございます。漁業関係者との連携を図りながら、漁業就業者の所得向上を目指していきたいと考えているところでございます。
 あと、スマート水産業への取り組みでございますが、こちらにつきましては、生産者の高齢化や減少が続く中、省力化や効率化を図るために、スマート水産業の導入を進めていく必要があると考えているところです。
 いわて水産アカデミーでの県のICТアドバイザーによる講義や、水産技術センターによる調査用ドローンの実演などを通しまして、次代を担う意欲ある漁業就業者へのデジタル技術の浸透を図っているところでありまして、引き続き、関係機関、団体と連携を図りながら、漁業現場への実装に向けて取り組んでいくところでございます。
〇工藤大輔委員 近年の不漁の状況、そしてまた、燃油の高騰など、漁業生産環境は非常に苦しいです。生産者も本当に大変な中で、実際の年間の所得、販売額についても、実質300万円、400万円の所得のような形の方も非常に多い。恐らく全体の7割近い人がそうなのではないのかと思います。その環境を変えていくには、さまざまな事業を投入していかなければならないのですが、水産関係に占める予算というのを今後拡充していかなければならないのだと思います。今年度、新しい取り組み等も進められると思いますが、国事業を有効に活用しながら取り組んでいっていただきたいところですが、農林水産部長、その辺、岩手県の水産をしっかり回復させるということの強い思いを示していただきたいと思います。
〇藤代農林水産部長 水産業の振興についてでございますけれども、委員御指摘のとおり、今、さまざま水産のほうも資材高騰の中で、不漁というような形で、一番販売していかないといけないものがなかなかままならないという状況は、そのとおりだと思います。先ほど来申し上げていますとおり、水産業リボーン宣言に基づいた主要魚種の資源回復、新たな養殖業の推進、あるいは、ウニ等のふえている水産物等を有効に活用していく、こういったようなものをしっかりと進めていくことが必要だと思います。
 県予算のほうでも水産分野、款、項、目の水産業分だけをとってみますと、対前年比では4%ぐらい増という格好にはしておりますし、また、県を通らずに国から直轄で来る事業というのも、来年度から新たに、福島県で適用されていた、がんばる漁業復興支援事業というものについて岩手県も対象になるという形で、そういったものを活用できるところは活用していこうということで、今、いろいろ漁協のほうにも働きかけておりますので、そういったことを活用しながら、本県の水産業が元気になるような形で取り組んでいきたいと考えております。
〇軽石義則委員 岩手県の木炭についてお伺いいたします。木炭市場は今、キャンプなどの活用もふえてきているということですし、これからコロナ禍が過ぎて、いろいろな意味で需要が拡大してくるのではないかとも考えておりますけれども、木炭市場の現状と課題等を含めてどのように把握されているでしょうか。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 木炭市場の現状と課題についてでありますが、木炭の国内生産量は、1990年代半ば以降、長期的に減少傾向にあります。令和3年次の生産量は7、722トンでございます。国内消費の多くは、低品質で安価な海外産が占めております。木炭の国産のシェアは、令和3年次で15%でありますけれども、本県産を初めとする国産の木炭は、火力が強く火持ちがよいなど、品質が高く、海外産よりも高価格で取引されているところでございます。
〇軽石義則委員 品質がいいということは、まさに岩手県の木炭は世界でも一番いいのではないかと言い続けられてきていますけれども、その生産がなかなか伸びないというのも現実だと思います。国産が消費の15%ということですけれども、15%の中で岩手県の木炭はどのぐらいの割合でしょうか。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 岩手県産木炭は国産木炭の24%を占めております。
〇軽石義則委員 やはり評価が高いということで、需要もあるということだと思います。需要と供給のバランスというのはなかなか難しいのではないかと思いますが、岩手県の木炭市場における供給量、需要に間に合うぐらいの量がそういう意味では生産になっているのか、もっと本来はできるのにできていないのか、その辺の状況はどう把握されているでしょうか。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 岩手県産の木炭、全体で年間で1、800トンほどつくっておりますけれども、これの7割が商社を通じてホームセンター系に出荷されております。また、残りの25%程度が料理店等に出荷されています。現時点では注文に応じた出荷、あるいは、生産されたものがお店のほうに出荷されているということで、需給のバランスについては把握できておりませんけれども、現時点では非常に足りないとか、そういった声が届いている状況は聞いてはおりません。
〇軽石義則委員 これからさらに全体の需要がふえていけば、さらに供給を求められるのではないかと思いますけれども、岩手県の現状、生産者の数をどのように把握しているか。生産量は先ほどありましたけれども、それぞれ所得と結びつくことによって、その仕事をどうしていくかという判断も大事なポイントだと思いますし、それらの部分については、どのように把握をされているでしょうか。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 木炭の県内の生産者でございますけれども、令和3年次は237人、約1、800トンの木炭を生産しております。過去、平成29年は生産者が469人に対して木炭の生産量が約3、000トンほどございました。
 需給のバランス、収入でございますけれども、現時点での生産者の販売収入は、令和3年度でいきますと、1人当たり約146万円となっております。これは販売収入でございまして、生産者の多くの方々は木炭だけで生計を立てているわけではなく、さまざまなもので生計を立てております。その状況については現在も、先ほどお話し申し上げた平成29年度、平成30年度ころの生産者の状況と変わってはいないと捉えております。
〇軽石義則委員 前段階で1人当たり約146万円の収入ということですが、平成29年度、約3、000トンを生産しているころの収入はわかりますか。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 出荷量に木炭の価格を掛けまして、それを生産者で割るという形で計算しておりますけれども、これでいくと、岩手県の木炭の価格はGI-地理的表示保護制度ですけれども、それを取得した後に価格が上がっているということからしますと、当時よりは現在のほうが収入はふえているものと思われます。
〇軽石義則委員 やはり林業の中でも一部の収入に充てていくことによって林業全体に、仕事として成り立つようにしているということだと思います。これまでも担い手育成を含めて木炭生産にかける支援もしてこられたと思いますけれども、これまで具体的にどのような支援や担い手育成について取り組んできたのかお示しください。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 まず、生産者が少なくなり、若い技術生産者が減っていく中で一番危惧されるのが、高品質な木炭を将来的につくっていけなくなるのではないかということでありまして、県のほうでは岩手県木炭協会、団体のほうと連携をしまして、高い技術を持った炭焼きをする方々を育成するために、チャコールマイスターという技術指導者がいるのですが、その方々の協力を得まして、年に1回、あるいは、久慈地域のほうだけでやることもあるのですけれども、窯のつくり方の研修とか、さまざまな研修を年間を通じてやってきているところでございます。
〇軽石義則委員 県では林業アカデミーを開催して、多くの林業従事者をまさにふやしてきているということでありますが、研修内容を見ますと、一部、特用林産というのですか、その勉強もされているようですけれども、木炭の品質を確保して事業を継承していくという一つの役割もこのアカデミーには私はあるのではないかと思ういます。アカデミーの中では、その取り組みというか位置づけはどのようになっているんでしょうか。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 林業アカデミーでは、針葉樹、広葉樹にかかわらず、林業の技術を身につけるということで開催しているものでございますけれども、修了生につきましては、実際に県内さまざまな事業体に就職しておりまして、具体的には、県北部の林業事業体に就職して、広葉樹を伐採して、木炭だけではないと思いますけれども、そういった現場に勤めている方がそれなりの人数いらっしゃるということからいくと、林業アカデミーはそれなりに貢献していると思っております。
〇軽石義則委員 それなりで終わらないで、しっかり継承できるようなものにしていってほしいという思いでお聞きしましたので、それは修了生の皆さんといいますか、林業アカデミーを選択して、まさにそれで仕事をしていこうという思いもあるわけですし、その中で、一つでも多くの森林整備も含めて岩手県の高級ブランドと言われる岩手木炭をつくれるような技も持っていれば、さらに仕事としてなりわいが成り立っていくのではないかという思いもございますので、ぜひ林業アカデミーの中にも、漆もありますし、それぞれ選ぶ道はあっていいと思うのですけれども、将来、岩手県の木炭を継承する人がいないということにならないように、つないでいくためにはやはり大事なカリキュラムではないかと思うのですが、どうでしょうか。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 実際に岩手県に来られた県外のアカデミーの研修生の中には、広葉樹があるから岩手県を選びましたという方もいらっしゃいます。その方は実際に広葉樹の多い地域の事業体に勤めているということもございます。そういったことを考えますと、やはり最初から針葉樹とか林業機械を使った林業に従事するだけではなく、多様な林業の現場に働いていく方々を送り出す機関として非常に重要な点であるとも思いますので、その辺は関係するところと十分協議しながら対応していきたいと考えております。
〇軽石義則委員 岩手県木炭協会も生産量の確保のみならず、担い手の育成にも非常に重点を置いた取り組み、まずは価格の維持が一番大事だということで、価格を維持するために商社を通してホームセンターというルートのお話がありましたけれども、そうなると、どうしても買い叩きといいますか、値段がどうしても上がっていかないということもあるようですから、そこをしっかり流通の部分でも支えていく役割を果たしてほしいという声もあるのですが、その部分で何か支援されていることはありますか。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 岩手県産の木炭の一部が料理店に出荷されております。これは今をさかのぼること10年以上前、コロナ禍の前でございますけれども、岩手県産の高品質な木炭を料理店に売りたいということで、直接足で売ってきたところでございます。コロナ禍の間は飲食店が非常に厳しい状況ではございましたけれども、コロナ禍が明けた状況で、もう一度、そういった売り方をやる必要があるのではないかという点が岩手県木炭協会のほうからもお話がございます。春に東京都でアウトドアのイベントがございます。そちらのほうに県の職員も一緒に行きましてPRをするとか、岩手県産木炭に関心のある方々に対していろいろお話をして、販路を広げたいと考えているところでございます。
〇軽石義則委員 ぜひそういう連携をとっていただいて、量を確保するために貯蔵施設も確保しなければならないという課題もあるようで、それらについては支援もしていただいているというお話ですけれども、連携をとって、もう少し生産量にプラスになるように、担い手、そして流通の部分、連携して支えていくことが大事だと思いますし、木炭の生産がふえると山の整備にも当然かかわってくることだと思います。
 話を聞くと、3、000トン規模の生産をしているころには、いわゆる炭にする機能、サイズというのがあって、その部分でかなり利用されていて、里山の整備にもかなり効果があった。ただ、今、生産量が減ってきて、ナラなども育ち過ぎて、大きくなるとナラ枯れの原因の虫が入っていくそうです。そういう意味では、まさに森林整備にもかなり直結する木炭の生産というのがあるというお話も聞いておりますので、その部分の連携をとっていくことが大事だと思います。生産者の皆さんも、そういうふうな取り組みを継続したいのだけれども、窯をやめるとかにならないようにしていくのも大事だと思うのです。改めて、生産者の皆さんに期待を持っていただくような新年度の予算案のポイントや具体的事業についてお伺いいたします。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 令和5年度の予算案のポイントと、具体的な事業についてでありますが、本県の木炭産業に係る課題解決に向けまして、しいたけ等特用林産振興対策事業でございますけれども、この中で、集出荷団体と連携しまして、先ほど御説明しました技術研修会の開催でありますとか、あるいは、キャンプイベントやアウトドアメーカーへのPR活動等による需要拡大に取り組みます。
 さらに、原木の確保対策ですけれども、生産者や関係団体との意見交換を行いまして、その中では、原木となるナラ材がシイタケ原木、あるいは建築、そういった材料としても非常に需要が高いということで、生産者が安定して必要な原木を調達できる体制の整備が必要だという意見をいただいております。
 このことから、県では、この事業の中で、木炭原木の調達経路、あるいはその確保に向けた課題を明らかにするため、岩手県木炭協会と協議しまして、新たに木炭原木需給調査に取り組むことにしております。
 県では、この調査結果を生産者、あるいは原木供給をされる方々の関係者で構成する原木供給連絡会議の中で共有して、原木確保に向けた支援について、しっかりと検討、あるいは対応していきたいと思っております。
〇軽石義則委員 岩手県の木炭は世界でも名が通っているということですし、今回、さらにニューヨークタイムズ紙の報道によって、岩手県の名前がさらに広がっておりますので、ぜひ海外にも需要が伸びていくような取り組みをしていく必要もあると思いますが、最後、農林水産部長に聞いて終わります。
〇藤代農林水産部長 木炭の振興についてでございますけれども、本県は先ほど来、技術参事兼林業振興課総括課長が申し上げているとおり、国内でも有数のいい木炭を生産する産地の一つだと認識しております。
 また、輸出につきましても、近年、令和2年度あたりからになりますけれども、年間大体700トンなり800トンぐらい、試験輸出という形ですけれども、海外に対して木炭の輸出にも取り組んでおりますので、こういった海外の販路も見据えながら、国内、海外両にらみで、あと、さらに先ほどニューヨークタイムズ紙の話もありましたけれども、県内では大手アウトドアメーカーが市町村と連携して地域振興に取り組むという市町村も出てきましたので、そういったこととも何か連携が図られないか、ということも考えながら、木炭の振興に努めてまいりたいと思います。
〇城内よしひこ委員 それでは、ナラ枯れについて、現状と対策についてお伺いしたいと思います。
〇砂子田整備課長 ナラ枯れの現状と被害対策についてでございます。
 まず、ナラ枯れ被害状況についてでございますが、令和4年10月末時点の民有林における被害量は、約4、000立方メートルと前年同期に比べ約1割減少しているところでございます。また、令和4年10月末時点の被害市町村数は、昨年度と同じ18市町村となっておりまして、新たな被害の北上は確認されていないところでございます。
 ナラ枯れ被害対策についてでございますが、県では被害木を早期に発見するために、ナラ枯れにより葉の変色が始まる9月をナラ枯れ被害調査強化月間と位置づけ、ヘリコプターやドローンによる空中探査、あるいは、職員による地上調査を集中的に実施しているところでございます。
 また、ヘクタール当たり10本以下の被害が発生している被害地を中心といたしまして、伐倒薫蒸や立木薫蒸によりまして、被害木を駆除しているところでございます。
 さらに、予防的な対策といたしまして、いわての森林づくり県民税を活用した、いわて環境の森整備事業において、ナラ枯れ被害を受けにくい森林への若返りを図っているところでございます。
〇城内よしひこ委員 これは林業関係者からの話ですけれども、今のように、切って薫蒸するという方法よりも、木のまま枯れさせて、移る瞬間に今言ったドローンのようなもので防除してはいかがかという話があるのですが、そういったことは県として検討された経過、経緯があるのかお伺いしたいと思います。
〇砂子田整備課長 今お話しありましたドローンを活用したナラ枯れ被害対策についてでございますけれども、薬剤散布によるナラ枯れ被害の防除につきましては、被害を受ける前の立ち木の根元付近を中心とした殺虫剤の直接散布が必要となっております。ですから、ドローンを活用した空中散布による防除は難しいと考えているところでございまして、崖地等の立ち入りが困難な場所については、ドローンを用いて周辺の被害状況を確認し、駆除可能な被害木を発見した場合は、今申し上げましたとおり、速やかに立木薫蒸等による駆除を行っているところでございます。
〇城内よしひこ委員 結構、崖地でそのまま立ち木が枯れているという状況があります。なかなか人の入っていけないところですよね。ですので、ぜひしっかりと対策、対応をとってほしいし、これ以上、今のところ、数字的には広がっていないという話でありましたが、間違いなく県北部に北上していますので、しっかりと対策、対応をとって、引き続きお願いします。
 次に移ります。いわての森林づくり県民税についてであります。
 利用実績と、今年度の計画をあわせてお伺いしたいと思います。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 いわての森林づくり県民税の利用実績と来年度の計画でありますが、まず、令和4年度は、ハード事業である、いわて環境の森整備事業によりまして、針広混交林に誘導する間伐564ヘクタール、公益上重要な伐採跡地への植栽208ヘクタールの施工地を確保するなど、おおむね計画どおりの実施と見込んでおります。
 また、ソフト事業である地域住民が主体となって里山での間伐を行う県民参加の森林づくり促進事業によりまして、32団体、1万1、000人余の活動を支援する見込みとなっております。
 これらの事業を合わせまして11の事業を実施しておりますが、その活用額は12億1、600万円余と見込んでいるところでございます。
 次に、来年度の計画ですけれども、同様に、いわて環境の森整備事業によりまして、針広混交林に誘導する間伐600ヘクタール、伐採跡地への植栽200ヘクタールなどの実施を計画しておりますほか、ソフト事業の県民参加の森林づくり促進事業によりまして、45団体の活動を支援する計画としております。
 これらの事業によりまして、16億円余を活用する予定としております。
〇城内よしひこ委員 そこで、いわての森林づくり県民税は定例会ごとに注目される税金であります。なかなか縛りがきつくてという表現がいいのかどうかわかりませんが、県民から広くいただく税金でありますので、広く県民にまた還元するという意味で、県内の河川の立ち木の伐採というのも大雨が降った際に、災害の原因になっています。そういうことも含めて、今後、河川の立ち木の伐採というのを、確かに、河川をつかさどるものは県土整備部でありますが、そういったところとの連携も含めてやれないものか。そのことが実は森林で働く方々の仕事をつくることにもなる、育成にもなると思うのですが、そういう考えは今後、検討の余地はないかどうかお伺いしたいと思います。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 今お話のありました河川地域内の立木伐採についてでございますが、本来の目的からすると、森林環境保全に関する取り組みでございますので、その辺については、いろいろ検討するところはございますけれども、実際、河川地域内の立木伐採の活用については、中には下流に民家がある、あるいは、山間部の渓流、所有者みずからの管理が非常に難しい場所というものも想定されます。そういった場所のいわての森林づくり県民税の活用が可能かどうか、その辺につきましては、これまでもさまざま答弁しておりますけれども、今後の検討の中で、実際に現地を見たりとか、そういった中で検討していきたいと思っております。
〇城内よしひこ委員 川上から川下という言葉があるように、山から海までつながっているわけであります。それが川でつながっているとするならば、そういったところも対象のエリアとしていいのではないかと私は思うし、それで県民の安心、安全が担保されるのであれば、そういったことも前向きに、各部署と連携をしながら取り組んではいかがかと思います。確かに河川内の立ち木の所有権などがあるかもしれませんが、ぜひ県土整備部、河川を管理する方々と連携をして、しっかりとその辺のやりとりも含めて、ルールづくりを今後していくべきではないか、もうそろそろそういう時期、広く県民からいただく税金を有効活用するという意味では、大いに検討してもいいのではないかと思いますが、藤代農林水産部長、いかがでしょうか。
〇藤代農林水産部長 河川の立木の伐採ですが、河川といいますか、河川敷のことになろうかと思います。そうしますと、河川管理者との占用許可の関係もあるかと思いますので、どういった対応が可能か、河川管理者、国もあるでしょうし、当然県もありますので、そういったことについて、県土整備部と情報共有しながら、対応について検討していきたいと思います。
〇城内よしひこ委員 いずれ横串を刺すような気持ちで連携してほしいと思います。これは要望にしておきます。
 次、水産業のほうに移ります。先ほども話が出ましたけれども、水産業リボーン宣言について、今年度の活動実績と、1年を経て漁業現場の反応はどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 水産業リボーン宣言についてでございますが、今年度の主な活動実績と現場の反応といたしましては、サケの資源回復につきましては、種卵の確保に向け、定置網で漁獲されたサケを積極的に活用したほか、県外からの種卵の調達に努めまして、目標を上回る1億粒の種卵を確保できたことによりまして、ふ化場の現場においては、サケ資源の回復に向けた期待が高まっているところでございます。
 また、ウニの畜養につきましては、夏場のみの出荷であったウニが高い価格での取引が期待される年末にも出荷が可能となり、漁業者等の所得向上が期待されておりまして、県内10漁協で取り組みが拡大しているところでございます。
 サケ、マス類の海面養殖につきましては、今年度約1、200トンと前年度の2倍の水揚げ実績となっておりまして、主要魚種の水揚げが少ないことから、水産加工業者や魚市場などの水産関係者から生産規模のさらなる拡大が期待されているところでございます。
〇城内よしひこ委員 これは漁業の一大転換期に入っていると思っていますので、ぜひいろいろな方々からお話をお伺いしながら、寄り添う形で事業を進めていただきたいと思います。
 そこで、新年度の計画の内容というのは、先ほどお話を伺ったところなのですが、せっかくですから、よろしくお願いします。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 新年度におきましては、サケの資源回復に向けては、県外からの種卵確保や強靭なサケ稚魚の生産に必要な改良餌の活用への継続支援を続けていきますし、また、ウニ資源の有効利用につきましては、天候や海の状況にも左右されずに、ウニ出荷適期である夏場や高い価格での取引が期待される時期に安定的な出荷を可能とする畜養技術の開発を行う考えでございます。
 サケ、マス類の海面養殖につきましては、来年度は約1、700トンへの増産を目指すとともに、安定的な種苗供給に向けました県内内水面養殖業者と連携した供給体制の構築に取り組むこととしております。
〇城内よしひこ委員 今シーズンは北海道のほうでサケが豊漁だったので、卵が確保できた。また、新潟県からも融通してもらったということで何とか確保できたのですが、なかなか安定しない状況の中では、来シーズンもどこかがよければいいのですが、もちろん地元岩手県が豊漁であればいいのですが、なかなかそれも見込めないというところですので、ぜひ水産業リボーン宣言に沿うような形も含めて、つくり育てる漁業にまさになっていくのだと思うのですが、そういうことをしっかりとやってほしいと思います。ぜひそこはお願いします。
 サケについては、種卵は先ほど答弁をいただいていますので、よろしいです。
 あと、資材、燃油の高騰が漁家にも影響はあるのですが、漁業への影響というのはどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 県では、漁業用燃油、資材等の価格高騰に係る情報収集や諸対策の推進を目的といたしまして、県と関係団体等で構成する岩手県漁業用燃油・資材等価格高騰対策会議を令和4年8月に設置し、漁業者等における影響把握と対策の推進について取り組んでいるところでございます。
 これまで、同会議の意見交換の中で、原油価格の高騰により漁船やワカメ、昆布の湯通し、乾燥工程等で使用する燃料コストに影響が及んでいるほか、漁網、ロープ等の漁業資材の価格高騰等による漁業経営への影響が出ている等の意見が出されているところでございます。
〇城内よしひこ委員 大分影響があるのだとわかりました。そこで、支援策もあわせてお伺いします。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 県では、原油等の価格高騰への対応といたしまして、漁業者等に対して、国の事業であります漁業経営セーフティネット構築事業の利用を関係団体等に促したほか、漁業用資材等の上昇や省エネルギー化の取り組みに対する県独自の支援策を講じたところでございます。
〇城内よしひこ委員 この燃油高というのは漁家の方々、特に乾燥ものをつくるワカメもそうですし、昆布などもそうですけれども、とても大変だと、やっていられないということで廃業したという方も出ています。ぜひ現場に寄り添うというのは、まさにこのことだと思うのですが、しっかりと情報収集しながら、先々と手を打っていただいて、漁家が廃業等に追い込まれないような形をつくっていってほしいと思いますが、どうでしょうか。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 水産業界に対しての燃油資材の高騰というのは、やはり相当な大きな影響があると考えておりますので、国の支援策、あるいは、高騰の状況も踏まえまして、関係団体と一緒になってできる対策をしていきたいと考えております。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇伊藤勢至委員 ただいまの水産振興に関連してお伺いをしたいと思います。
 2月の末でありましたけれども、ある漁協の組合長と懇談をした際に、このごろ定置網にマグロが入るというお話を伺いました。そもそも定置網とは、サケを狙って仕掛ける網でありますが、このごろ非常にマグロが入る。そして、その映した動画も見せていただきました。その中には、恐らく200キログラムを超えるであろうという大型のものも映っておりました。200キログラムといいますと、年末から年始にかけて大間のマグロが注目されるわけでありますが、それくらいの大きさであります。
 ところが、そこの漁協では、マグロの漁獲の枠をもらっていないので、最終的には定置網を切って放流してしまう。そういうことからいきますと、実は、漁業者は被害者であります。マグロが勝手に入ってきたわけでありますから、本来はとるべきだと思いますけれども、網を切って逃がしてやる。これは、今さっぱり主要魚種がとれなくなった漁民にとってはモチベーションが下がる話でありますが、これは何とかならないものでしょうか。お伺いをします。
〇太田漁業調整課長 定置に入ったマグロの取り扱いでございますが、国はクロマグロの資源量を回復させるために、国際的な合意に基づきまして、平成30年以降、我が国に配分された漁獲可能量を大臣管理漁業や各都道府県に配分して漁獲量を管理しているところでございます。
 令和4年4月から令和5年3月までの令和4年管理年度においては、本県に魚体重30キログラム未満のクロマグロの小型魚では94.1トン、30キログラム以上の大型魚の場合は66.6トンの漁獲可能量が配分されておりまして、その範囲内で漁業者の方がクロマグロの漁獲を行っているところでございます。
 これまでの資源管理の効果によりまして、今年度におきましては、本県のクロマグロの漁獲量が増加しておりまして、配分された漁獲可能量を超過してしまう恐れがあり、定置網では漁獲可能量を遵守するために、入網したクロマグロを放流している状況になっております。
 それに対して、県では、国に対して、クロマグロの資源量の増加に合わせて漁獲可能量を速やかに増加させることなどを要望しているところでありまして、今後も国に対して積極的に働きかけていくところでございます。
〇伊藤勢至委員 マグロ、それからカツオという魚は動き続けなければ死んでしまう。したがって、定置網に入ったマグロは、小さい網の中を放流されるまで回遊しているわけですから、放流をされ海に出ても必ず死んでしまうというのを漁業者から伺いました。
 そういう中で、今月初めでありますが、今、富山湾にイワシが大漁だそうでありますが、その中に混じって50キログラムクラスのマグロが38本揚がったという報道を見ました。揚がったということは、市場に揚げて流通に乗ったということであると思います。その番組の中では、そういう伝言がありませんでしたので、その点を少し調べていただきたい。そして、可能な限り、三陸沿岸に、同じく南から上ってくる、大間に行く前のマグロを何とかとれるような配分をいただければ沿岸漁民は喜ぶし、収入も上がる。今、サバがふえておりまして、宮古湾内で宮古漁協がかけている定置網には、1回で約2、000万円のサバが揚がったと大喜びをしております。そのサバが揚がってくる構図は、多分、岸寄りのコースを上がってくるのだと思いますが、そのサバを追いかけたマグロが定置網に入るのではないかと組合長は言っておりました。富山県の例につきましては、ぜひどういうことなのか調べていただいて、御報告をいただきたい。今でなくて、今度、常任委員会がありますので、その中のやりとりの中で、調べていただいて教えていただきたい。お願いをして終わります。
〇吉田敬子委員 私からは初めに、県産木材利用促進に係る、いわての木づかい運動の取り組みについてお伺いいたします。
 昨年度から新築住宅、リフォーム、そして、今年度からは新たに民間商業施設等への県産木材利用の取り組みが開始されておりますけれども、その利用状況についてお伺いいたします。
 また、そういった県産木材の利用促進のためのPRを県では行っておりまして、木造建築設計技術者の養成も行っております。アドバイザーによる指導状況について、先ほどの新築住宅、リフォーム、民間商業施設等にこういったアドバイザー等がかかわった案件についても、どの程度と捉えているかお伺いいたします。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 住宅、あるいは民間商業施設等への県産木材の利用の取り組み状況でございますけれども、まず、いわて木づかい住宅普及促進事業の令和4年度の実績は、令和5年2月末時点で、新築が126件、リフォームが18件、合わせて144件となっております。
 また、民間商業施設を対象にしました、いわての木があふれる空間づくり事業につきましては、令和5年2月末時点で、内装の木質化が1件、木製の椅子、テーブルなど木製品の導入が7件、合わせて8件となっております。
 次に、木造設計技術者の養成についてでありますが、今年度は設計技術向上のための研修を5回実施しておりまして、約340人の参加があったところであります。こういった研修につきましては、以前からやっておりますけれども、こういった方々がかかわった案件としましては、一つは、久慈広域道の駅の整備におきまして、木造化にかかわっている方がいらっしゃいますし、あとは、木造建築アドバイザーが盛岡バスセンターの木質化を支援したといった事例があります。
〇吉田敬子委員 今回の新築住宅だとかリフォームとか、こちらのほうに実際にかかわっているかどうかということで御質問させていただきました。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 実際、アドバイザーで研修にかかわっている方々の研修の内容が、どちらかといえば、一般住宅というよりは中大規模の施設を対象にしておりますので、そういった方々が全くもって住宅のほうにかかわっているかどうかというところはわからないのですけれども、どちらかというと、対象は公共施設とか民間の商業施設を対象に活動している状況でございます。
〇吉田敬子委員 昨年度から、新築住宅、リフォーム、そして、民間商業施設の県産木材利用の事業を始めたことで、県民の皆さんが、さらにこういった県産木材に触れる機会だとか、木のぬくもりに触れる機会がふえたことはすごくいいことではあると思っております。先ほどの技術者、アドバイザーがどのくらいここにはかかわっているかというところは、確かに、中大規模を想定しているということでありましたけれども、そういったアドバイザーを養成していく中で、実際には新築住宅だったり、小さい規模のリフォーム、住宅については工務店さん等の努力で一生懸命、もともとある技術だったり、そういった取り組みを継承しながら頑張っておられると私は思っておりまして、特に岩手型住宅をつくっていくときに、省エネルギー性能というところも今、大事だと言われている中で、こういった部分も工務店さんの中で、自分たちで学習、努力されているのではないかと思っております。県産木材を積極的に利用している中小工務店等への支援の状況、いわて森の棟梁は64社ありますし、木づかいサポーター、これは新たなサポーターですけれども、28社ということでありますが、こういったところに対する支援の状況、支援のあり方について、どのように捉えているかお伺いいたします。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 いわて森の棟梁、あるいは、一般住宅を建設されている工務店の方々に対しましては、まず一つ、PRという意味では、いわて森の棟梁を紹介するいわて木の家ナビというポータルサイトがございますけれども、その中で最新の施工事例を紹介しております。最近、さまざまなデザインの住宅がふえておりまして、そういったものをポータルサイトで紹介するということは、こういった家があるのだな、あるいは、こういう建て方もあるのだなという一つのPRにもなると思いますし、あるいは、工務店の中でのお互いの勉強にも有効に活用されていると捉えております。
 また、いわての森の棟梁などを含む工務店などを対象にしまして、先ほどの技術研修の中には、ことしからですけれども、地域材の活用、あるいは内装デザイン、そういったものをテーマにした研修会を開催しております。そういった木材に関する知識や技術の習得、そういった支援の部分が県の役割としてはあると思いますので、引き続き、そういった取り組みをしながら、工務店の方々への支援をしていきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 広島県でも同様の住宅、新築とリフォームに対する補助を結構前からやられているのですけれども、それは岩手県と同じように、補助対象は施主だったのですけれども、そこから県産木材の量として見たときに、伸びがなかなかふえていかないところで、施主から工務店に変更したことで県産木材の利用促進がさらに大幅にふえたという事例もあります。今後、施主、もちろん県民の方に対する最大100万円も補助していただける事業も大変ありがたいことではあると思うのですけれども、工務店への支援ということで、現在だと県土整備部でも同じような技術の研修とかをやっておりますけれども、役割分担として今後は検討しないといけないと思いますが、そういったことも含めて、工務店への支援ということも、まだ始めて2年目ではありますけれども、ぜひ今後、検討の一つに入れていっていただきたいと思っております。これに関する御所見を伺います。
 あと、その中で、いわての森林づくり県民税を活用していただいたり、県内各地の木育の取り組みが本当に進んでいると思っておりますが、これは森林公園の次の質問にも係る上での質問とさせていただきたいのですが、木育のウッドファーストというところは県内ですごく取り組みが進んでいる中で、私はさらなる次のステップに進んでいってほしいという意味で、木育の取り組みの成果について、どのように捉えているかお伺いいたします。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 まず、工務店に対する支援ですけれども、現在のいわて木づかい住宅普及促進事業は3年間ということで、令和3年度、令和4年度、令和5年度。来年、令和6年度はどうするかというのをこれから検討することになります。現在、住宅に対する補助というのは、国の補助もございますし、県の補助もございます。あるいは、市町村においても取り組まれている事例がございますので、どういう支援のあり方がいいかということについては、この3年間の県の成果を十分に検討しまして、従来どおり、施主に補助するのがいいのか、あるいは工務店に対して支援することでさらに取り組みが広がるのか、この辺は関係する部局と連携しながら、十分検討していきたいと思っております。
 次に、木育の取り組み成果についてでありますが、令和3年度からいわての森林づくり県民税を財源に、県の教育施設でありますとか公共施設等に導入しておりまして、令和4年度は、保育園や子どもの森など県内19の施設で木製の遊具やテーブル、本棚の設置を進めておりますほか、八幡平市の県民の森など県内3カ所の森林公園に木育スペースを設置するなど、森林環境教育の拠点の機能強化に取り組んだところでございます。
 こうした取り組みによりまして、県民の森では木育スペースを設置した令和4年12月以降になりますけれども、来場者数が前年に比べて大きくふえております。また、県内の保育園、あるいは民間商業施設などにおける木製品や木育スペースの導入がふえておりまして、明らかに県民の関心が高まっていると捉えております。
〇吉田敬子委員 先ほどの住宅に関する、いわて木づかい住宅普及促進事業のほうは3年間で、今後、施主なのか工務店なのかというところで検討していっていただけるということなのでぜひお願いしたいと思います。
 新年度のいわて木づかい運動での新たな取り組みがあればお伺いしたいと思っております。これも他県の取り組みではあるのですけれども、2018年に大阪北部地震で小学校のブロック塀が倒壊したことで女児が死亡した事故がありました。それをきっかけに、東京都等を初め関西のほうでは、施設に木材を活用した木の塀の設置が進んでおりまして、また、県立学校などの塀とかも木質の塀をつくっていっている事業を見ました。岩手県でも森林土木事業だったり、道路、河川などの公共工事にいろんな研究をしながら取り組みを進めていっていただいてはおりますけれども、さらに事業展開する中で、こういった取り組みも、ブロック塀ではなく木の塀ということを進めていっていいのではないかと思っておりますが、御所見も含めてお伺いしたいと思います。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 まず、いわて木づかい運動の新しい取り組みについて御説明いたしますが、今年度、盛岡地域で開催した、いわて木づかいフェスタというイベントがありますけれども、これは令和5年度に沿岸地域でも開催する予定としております。
 あと、いわて木づかい住宅普及促進事業につきましては、令和5年度の想定件数を新築で140件、リフォーム20件、合わせて160件ということで、今年度と比較しまして20件ほど増加をしているところでございます。
 あと、SNS、ホームページを活用した県産木材に関する情報発信でありますとか、県産木材を積極的に利用する木づかい宣言事業者の登録促進、こういったものに引き続き取り組むことにしております。
 先ほど委員からお話のありました木塀につきましては、これも確かに東京都で取り組まれている事例がございます。本県につきましても、これを導入することに支援できるかどうか、あるいは何の事業を使うかということもございますけれども、いわての森林づくり県民税の使途拡大などもありますので、そういったものを含めまして、どういった形でやっていけるのか、検討してまいりたいと思います。
〇吉田敬子委員 ありがとうございます。ぜひ御検討をよろしくお願いいたします。
 次に、森林公園の整備と活用についてお伺いいたします。県には五つの森林公園がありまして、その指定管理者からは、常に老朽化した施設等の計画的な修繕や更新の要望が出されておりますけれども、県としてこうした状況をどのように捉え、どのように対応していくのかお伺いいたします。
〇安藤森林保全課総括課長 まず、修繕、更新の取り組みについてでございますが、昭和44年に設置されました県民の森を初めとする森林公園施設の一部については、整備から相当期間経過しておりますので、利用者のニーズ等の変化に合わせることが必要と考えております。よって、指定管理者のほうからも修繕の必要性について報告を受けているところでございます。
 このため、県では、令和3年度から森林公園のリニューアル整備に取り組みまして、これまで車椅子やベビーカーの利用者等に配慮した遊歩道の整備、あとは、親子で楽しめる木育スペースの設置等を進めてきたところでございまして、令和5年度については、県民の森の案内看板の設置等に取り組むことといるところでございます。
 また、施設の修繕につきましては、指定管理者からの要望等を踏まえまして、利用者の安全確保など緊急性の高いものから優先的に着手することとしておりまして、引き続き、利用者や指定管理者の声を聞きながら、必要な整備を図っていきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 来年度は二つの森林公園、滝沢と千貫石で新しい指定管理者が選定されておりますけれども、県では新たな指定管理者に対してどのようなことを期待されているのか、まずお伺いしたいと思います。
〇安藤森林保全課総括課長 新たな指定管理者への期待についてでございますが、滝沢森林公園と千貫石森林公園に係る令和5年以降の指定管理者につきましては、1月12日に開催されました指定管理者選定委員会において、それぞれ新たな候補者が選定されたところでありまして、本定例会において、管理者を指定する議案を提案しているところでございます。
 滝沢森林公園の新たな候補者につきましては、まずは、大規模な公園や庭園の設計、施工や管理業務等の実績を有する造園業者であり、また、千貫石森林公園の新たな候補者につきましては、おもちゃ美術館の運営や木育スペース等の整備を実績とする木材業者でございます。このため、本定例会において正式に指定された場合につきましては、それぞれの専門分野の豊富な経験を生かしまして、意欲的な自主事業等の提案が行われることを期待しているところでございます。
〇吉田敬子委員 これまでやっていただいた事業者には私も大変感謝をするとともに、そういったいろいろな課題について、できなかったことをさらに共有しつつ、今回受け入れていただくところに新しい視点でぜひ頑張っていっていただきたいと思っております。
 先ほどの木育の取り組みの成果についてお伺いしまして、県内各地に木育の施設が最初のスタートとしてすごく広がりを見せていて、また次のステージとなると、実際の森林公園に触れる機会だとか、森林環境に触れる機会というのは私はすごく大事にしていきたいですし、そう思っておりますが、子供たち、子育て世帯に森林公園を利活用してもらうために、どのような課題があって、今後の方針や森林公園の将来像について、どのように考えているのかお伺いいたします。
〇安藤森林保全課総括課長 まず、森林公園の将来像についてでありますが、県では令和元年度に設置しました外部有識者等を構成員とします森林公園リニューアル検討委員会において、幼児向けの木製遊具の導入や、園内遊歩道のバリアフリー化等の提言をいただいたところでございます。
 この提言等を踏まえまして、令和3年度から森林公園のリニューアル整備に取り組みまして、県民の森を含めました四つの公園に幼児等が親子で楽しめる木育スペースを設置したほか、各公園に車椅子やベビーカーの利用者等に配慮した遊歩道等も整備したところでございます。
 今後も必要な整備等を計画的に進めるとともに、指定管理者と連携しながら、森林公園の魅力をホームページやSNS等で積極的に発信しまして、子育て世代を初めとした幅広い年齢層の方々が自然に楽しめる場として気軽に利用していただけるよう、利用者ニーズ等を踏まえながら森林公園の魅力向上に取り組んでいきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 今回の新しい事業者には、これまでの木育施設内は一生懸命やっていただいてきましたけれども、森林公園の外のレクリエーションの森としての森林公園の利活用について、公民連携でしっかり事業効果を発揮することを、私は大変期待しておりますので、お願いいたします。
 最後に、森林環境教育の推進について、本県の考え方、取り組み方針についてお伺いいたします。
〇鈴木森林整備課総括課長 森林環境教育の考え方等についてでありますが、豊富で多様な森林を有する本県では、全ての県民が森林からさまざまな恩恵を受けており、県民の森林に対する理解の醸成を図る森林環境学習の取り組みは重要と考えております。
 このため、県では、県民の森林、林業に対する理解を醸成するため、児童生徒を初め広く県民を対象として多様な森林学習の機会を提供することとし、平成20年度以降、いわての森林づくり県民税を活用し、森林環境学習の取り組みを進めてきております。
 令和3年度からはこの取り組みを県民理解の醸成などを中心とした森林との共生に関する重要な施策の一つと位置づけており、幼児や親世代を含め、幅広い年齢層の県民を対象に、森林との触れ合いや森林の役割等を学ぶ機会を積極的に提供していくとともに、木材のよさや利用の意義を学ぶ木育につながる取り組みもあわせて推進していくこととしております。
〇吉田敬子委員 岩手大学の農学部に森林環境学科があって、学生が県の事業にも参画したいようなお話もたくさん聞きますので、ぜひ今後の森林環境教育の推進については、要望して終わりたいと思います。
〇岩渕誠委員 私は県有林事業特別会計に絞ってお尋ねをします。今年度で県有林第6次基本計画が終わって、新年度から第7次計画がスタートするというタイミングでありますので、私は、この問題は定点観測のように3年に一遍ぐらい取り上げているのですが、総括的にお伺いしたいと思っております。
 第6次計画の現状、そして、計画に対する乖離等があるのかどうか、まず、ここを第6次計画のまとめとしてお伺いしたいと思います。
〇安藤森林保全課総括課長 県有林第6次基本計画の現状と計画に対する実績、乖離についてでありますが、まず、県有林事業につきましては、平成30年に作成しました県有林第6次基本計画に基づいて各種の事業を実施しているところでございます。
 このうち立木販売に係る計画と実績につきましては、平成30年度から令和4年度までの5年間で2、966ヘクタールの販売計画に対しまして、令和5年1月末までの販売実績が2、799ヘクタールで、計画比94%となっておりまして、販売金額につきましては、22億1、400万円の計画に対しまして、実績が23億5、100万円余と、計画比106%となっているところでございます。
 また、平成30年度から令和3年度おける事業収支につきましては、各年度の収入額が約37億円の計画に対しまして、実績は98%から102%の間で推移しておりまして、支出額については、約37億円の計画に対しまして、実績は97%から100%の間で推移しており、計画に対する乖離はないと考えております。
〇岩渕誠委員 この県有林第6次基本計画の間にはウッドショックとかさまざまな環境の変化はあったものの、おおむね計画としては順調であったと、こういうふうな総括だと受けとめました。
 この県有林事業特別会計の肝は、何度も指摘していますが、平成19年度に林業公社と県営林事業が一元化をしたときにあった元利償還金1、000億円をどう軽減していくかということなのだと思います。そのときに、その他施業林と長伐期という二つの分類をして、繰り上げ償還の原資としてはその他施業林ということで、いわゆる不採算林ということで契約者と契約を解除して、それをもって繰り上げ償還の原資に充てるというスキームでありますけれども、繰り上げ償還の状況、だんだん契約する数が少なくなってきて、その効果というのは薄れてきていると思うのですが、現状どうでしょうか。
〇安藤森林保全課総括課長 繰り上げ償還と金利負担の関係でありますが、まずは、委員のおっしゃるとおり、県では、自然災害等により良好な成長が期待できず、将来採算がとれないと見込まれる分収林につきましては、分収契約者の同意のもとに、その他施業林として解約しまして、公庫からの借入金を繰り上げ償還することにより、将来利息を軽減して経営の健全化を図るということにしております。
 その他施業林につきましては、令和4年12月末時点で413事業区の分収林契約者と協議が終了しまして、そのうち同意が得られた214事業区については解約したという状況になっております。その他施業林と契約期間満了等に伴う解約を合わせた繰り上げ償還につきましては、平成20年度から令和4年度までの累計で約46億円となっておりまして、将来利息の約27億円を軽減したという状況になっております。
〇岩渕誠委員 これは相手のあることですから、思いどおりにいかないところもあるかと思うのですけれども、その中で最大限に御努力をされていると思います。
 ただ、一方で、借り入れ資金の状況を見ますと、昨年の3月段階でもまだ借り入れの元金とすれば500億円、利息が165億円ぐらいあると私は理解しているのですが、問題になってくるのは、3.5%以上の高率の利息がある。借りた金額が非常に大きいということです。公営林よりも県有林のほうが多くて、元金で言うと45%が3.5%以上で借りていますから、それの利息ということになると、全体の利息に占める割合は5割になっている。年々、ここの部分が大きくなってきているということであります。つまり、本当は3.5%を借りかえて早く返したいのだけれども、これがうまくいっていないから利息負担が大きい、こういうことなのだと思います。
 これについては、かなり前から県でも問題意識を持って取り組んできていると思っているのですが、現状でこの高利の利率の借りかえはどうなっていますか。
〇安藤森林保全課総括課長 高利の金利の借りかえにつきましては、県有林の経営安定化のためということもございまして、毎年、政府要望のほうで出させていただいております。その中で、任意繰り上げ償還の措置等を講じるよう要望しているところでございますし、また、本県を含む34都府県で構成しております森林整備法人等の経営改善を推進するための森林連合会というのがございまして、これらの検討も、令和4年7月に同様の要望を国のほうにお願いしている状況になっております。
〇岩渕誠委員 これは公営林、いわゆる林業公社の山に関しては、特別控除措置が取られたり、いろんな軽減措置がとられているので、県有林事業特別会計については、基本、3.5%の借りかえができないという状況になっていて、これは恐らく岩手県森林組合連合会で国に要望して10年以上たつと思いますけれども、全く進展がないという、その間、ずっとかぶっているということであります。
 そこで、この3.5%以上の、中には、前はたしか6%というのがあったと思いましたけれども、かなり高いのですが、そこで財政課総括課長にお伺いしますが、この3.5%以上の高利というのは、県全体の借り入れ利息の中でも、極めて今、高率になってきていると思いますし、これについてはずっと国に対してお願いをしてきているわけであります。財政上、これはかなり負担になっていると思いますけれども、その辺の所感と、今後の取り組みについて、財政サイドの見地から伺います。
〇山田財政課総括課長 公債費負担と利息の負担というところの財政当局としての所感ですけれども、現在、令和3年度末でありますと、一般会計ベースで、残高としては1兆2、500億円程度で、そのうち利率3.5%を超えるものというのが、割合としては0.01%程度、ほとんど県有林事業特別会計に残っているものが利率3.5%を超えているというところでございまして、先ほどの安藤森林保全課総括課長の補足にはなりますが、性質の違いといたしまして、県有林事業特別会計に関しましては、政府金融公庫を初め公的資金から借りている。ただ、一方で、一般会計ですと民間資金から借りますので、5年もしくは10年でより低い利率、そのときの利率で借りかえできる。一方で、政府金融公庫を初めとする公的資金については、借りかえを前提としていないというところで、一時期6%を超えるような、高利率のものに関しましては、補償金免除の繰り上げ償還を認めるというようなものがありましたけれども、現在、そういった制度が定着していない、恒久化されていないというところで、今後、財政負担を鑑みましたときに、先ほどの答弁のとおり、そういった制度は国においても検討していただく必要があるのではないかと考えております。
〇岩渕誠委員 今、明らかになったように、高利の利息を持っているのは県有林事業特別会計で、それは政策金融公庫なのです。民間だって今、かなり下げて頑張っているときに、政府系の金融機関が利率を塩漬けにして金もうけをしたってしようがないわけであります。しかも、県有林事業特別会計は75年にわたって行う計画ですから、非常に不都合があるということでありますので、これは再度、岩手県森林組合連合会、そして、全国知事会を通じて、しっかりと対応していただきたいと思いますし、国に戻られる方もいると思いますので、そこはしっかりと対応していただきたいと思います。
 一方で、収入を上げていく策とすれば、山の価値を上げるという意味でスタートしているのは、長期施業林への変更だと思います。これは50年の伐期を80年でやって、共同間伐をして混交林にして、手をかけないし財貨を上げていくというスキームだったと思いますが、長期施業林へのこれも変更計画が必要だと思いますけれども、どういう状況になっているのでしょうか。
〇安藤森林保全課総括課長 長伐期施業林への変更についてでございますが、県のほうでは、良好な成長が見込まれ、高い収益が期待できる森林につきましては、長伐期施業林の候補事業区として区分しまして、これも分収林契約者の同意のもとに契約期間の延長等を行っている状況になっておりまして、契約期間延長に係る分収林契約者との協議については、長伐期施業林候補の約4万1、073ヘクタールほどの森林を対象としまして、現行契約の期限が到来する5年前の年に順次行うこととしており、令和4年3月末時点の契約変更実績としましては、1万6、905ヘクタールとなっております。
〇岩渕誠委員 わかりました。計画を見ていますと、かなり今、伐期を迎える伐採適期、本来の50年を迎える、いわゆる保育をしなくていい期間の山は3分の2から7割ぐらいになってきているのではないかと私は思っています。そういう中でも、なかなか長伐期の施業林に転換していくというのは、今々お金が欲しい人にとってみれば、それはなかなか応じられない。これは難しいところがあるのだと思います。
 そうした環境の中で、県有林第7次基本計画というのが策定されるわけですけれども、この県有林第6次基本計画と諸所の現状を踏まえて、県有林第7次基本計画の策定に当たっての基本的な考え方、それから、収支計画に変更があるのかどうか、これをお尋ねします。
〇安藤森林保全課総括課長 県有林第7次基本計画策定に当たっての考え方についてでありますが、現在作成中の第7次基本計画につきましては、現行の第6次計画の取り組みの成果や課題、あとは、近年の社会情勢の変化等を踏まえまして、県有林事業の経営に関する基本方針や収支計画等を定めることとしております。
 第7次基本計画の基本方針については、第6次基本計画と同様に、収入の確保と債務の縮減等に取り組むこととしておりますし、あと、収入確保の具体的な取り組みとしましては、航空レーザー計測の効率化によって立木調査面積を拡大し、計画的に立木販売を実施するほか、新たな県有林Jクレジットの創出に取り組みたいと考えておりうます。
 債務の縮減に向けての、先ほど来お話がありました借りかえの関係に関しましては、国に強く要望したいと考えますし、一方で、県有林の適切な森林整備と経営改善に取り組んでいきたいと考えております。ですので、収支計画につきましても、変更は余りないという考え方で今、進めているところでございます。
〇岩渕誠委員 確認します。一般会計から県有林事業特別会計に2007年から繰り入れる総額というのは725億円、そして、2042年に繰り出しと繰り入れの関係が変わって、その後、2081年の会計が終わるまでは1、574億円を繰り入れる。つまり、一般会計の繰り入れ、繰り出しのベースで言うと、850億円ぐらいの黒字になるという収支計画と、それから、繰り入れと繰り出しの関係が逆転するのは2042年、この状況は変わらないと考えていいですか。
〇安藤森林保全課総括課長 現時点では変わりはないと考えております。
〇岩渕誠委員 黒字化まであと20年、そして、終わりまであと60年ということなのですけれども、一刻も早く転換をするという努力の中で、私は一つ注文しておきたいのは、今、県有林の伐採適期の状況というのは一番大きいのだと思います。過去の御努力によって、今、一番伐採適地のボリュームゾーンというのはあるのだと思います。今は立木で販売をしています。私は立木の販売というのは、それはそれでいいと思いますが、流木の販売先といったときに、素材生産の業者に対しての入札を行っているということであります。
 私はもう一つ、めくって営業活動をしたらいいのではないかと思います。ハウスメーカーや建材メーカーに対しての契約というものをもう少し踏み込んでやってみたらどうなのだろうと私は思っております。例えば、過去に県有林は日本製紙、当時の東北パルプとの間で分収育林契約を結んで、特定用途のために木材を供出したという歴史もあります。そういった中では、木材を幅広く使うということと、今の木材を求めている人たちは、どういうものに何を求めているのかということからすると、県の皆さんに聞いても、それは素材、生産者に売っているから、その先はわかりませんという話をするわけです。けれども、私はもう少し消費者に近いところで、何を求められているのか。一番需要が大きいのはハウスメーカーとか建材メーカーですから、そこに対してのアプローチというのは、私はしていくべきではないかなと思っているのですが、いかがですか。
〇安藤森林保全課総括課長 市場ニーズの確認やマーケット調査というのもしてはいかがかという話だと思うのですが、まず、私どもとすれば、今、立ち木で売っているという状況がございまして、その立ち木につきましては、県有林産物の入札参加資格者134社ございまして、その方々に売りまして、その方々が買い取って、3年間で自分たちの都合に合わせて販売しているというのが現状でございます。
 委員がおっしゃったハウスメーカーなどに関しましては、材として出ているものですので、今までそういうニーズ把握をしたことがございませんでした。私どものほうは、まず最初は、134社に対してアンケート調査とか意見聴取しながら、県有林としての販売のあり方などを検討してみたいと考えております。
〇岩渕誠委員 前向き答弁として受けとめたいと思います。いずれ県内の素材生産者も、エンドユーザーをどう取り込むかということが大事なわけでありますから、ここと一緒になって県が需要を喚起してくるというところは、私は今まで取り組みがないのではないかと思います。それをしっかりやることが県有林を生かしていくことになるし、県有林事業特別会計が本当に黒字に転換していくことだと思います。
 最後に、この県有林事業特別会計の状況について、技監に所感を伺って終わります。
〇橋本技監兼林務担当技監兼全国植樹祭推進室長 県有林の関係の収益ですとかこれまでの取り組みを踏まえて、今後どうしていくのかという質問かと思いますが、今、担当のほうから申し上げましたとおり、これまでの売り方は、県の計画をしっかり立てて取り組んできたというところでございますけれども、一方で、先ほどの高利の問題ですとか、そういったものについてはしっかり対応していく必要があると考えておりますし、売り方についても、それも今、担当のほうからありましたけれども、例えば、ウッドショックで国産材の需要が高まった際には、販売量とかそういったものも若干ふやしたりしながら対応してきましたけれども、提案のあったやり方については、今後検討して、収支のバランスもとりながら、しっかりした県有林の収益アップと、それから、今までの政府系の金融機関から借りている資金の返還などについてもしっかりと対応していきたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後6時9分 休憩
午後6時27分再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇臼澤勉委員 それでは私からは、原木シイタケの生産者の経営継続対策等についてお伺いいたします。
 まず、東京電力の損害賠償請求の状況についてお伺いいたします。東京電力原子力発電所事故から12年が経過しまして、原木シイタケに関しては、いまだ放射性物質の悪影響が続いているということで、生産者の方々は本当に苦労されている状況にあります。この問題が解決しない限り、まだまだ岩手県の原木シイタケの再生はあり得ないと思っておりますが、まず、令和4年度請求した第14次請求7、900万円のうち、農林水産部が所管する事業と交渉の状況についてお伺いいたします。
〇高橋農林水産企画室企画課長 第14次損害賠償請求7、900万円のうち、農林水産部の所管事業では、原木シイタケの出荷制限解除に必要な落葉層の除去等に要した経費3、200万円余、利用自粛牧草等の一時保管施設の維持管理に要した経費1、800万円余、食肉加工を目的とするニホンジカの放射性物質濃度検査に要した経費200万円余など、計5、400万円余を請求しているところでございます。
 現在、これらの費用につきまして、東京電力と賠償金の支払いに向けました交渉を進めているところでありまして、そのうち、原木シイタケの落葉層の除去等に要した経費につきましては、全額が支払われる見込みとなっております。また、そのほかの費用につきましては、東京電力におきまして、関係書類の確認を行っているところでございます。
〇臼澤勉委員 生産者の方々に聞くと、顧問弁護士のほうからも損害賠償支払いが終わるのではないかということで、それも見越しながら、今後の経営の備えといった部分についてもアドバイスされているような状況なのですけれども、新年度に向けて、今後の賠償請求の対応をどう考えているのかお伺いします。
〇高橋農林水産企画室企画課長 そもそも原発事故に起因する損害というのは、原因者であります東京電力が一義的にその責任を負うべきものと考えております。今後におきましても、復興防災部とも連携しながら、その損害賠償につきましては、東京電力に対し真摯に対応していただくことを継続して求めていくこととしております。
〇臼澤勉委員 ぜひ引き続きよろしくお願いしたいと思いますし、この原発事故によって、皆様も御案内のとおり、原木の需給が逼迫しているという状況にあります。生産者の方からいろいろ聞くと、ことしの春の植菌分についても、今までにも増して原木不足が深刻な状況だというような声を伺っております。原木シイタケ栽培の存続が危惧されるレベルになっているとまで私は聞いております。そして、原木価格も事故前に比べて2倍以上にも高騰しているというようなことで、この原木の安定確保、そして価格適正化対策、どのようになっているのかお伺いします。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 原木の安定確保と価格適正化対策についてでありますが、県では、希望する全ての生産者に原木を確実に供給できるよう、関係団体で構成します、しいたけ原木供給連絡会議を設置しまして、原木の需給調整を行っております。令和4年春に原木の供給が5月にずれ込んだということもありましたので、令和5年の植菌分につきましては、できるだけ早期に納入されるように調整を図っているところでございます。
 また、高騰する原木価格の適正化対策としまして、国庫補助事業を活用した原木購入経費支援を実施するとともに、原発事故の影響により高騰した原木価格と震災前価格との価格差、いわゆるかかり増し経費についても、東京電力からの賠償金を充てております。さらに、その賠償金が支払われるまでの間、原木しいたけ経営緊急支援資金貸付金によるつなぎ融資を実施しまして、生産者の資金繰りを支援しているところでございます。
〇臼澤勉委員 震災前は、181円ぐらいだった原木、令和4年で343円程度ということで、そのくらい高騰している。生産者から聞くと、入荷する原木の品質が悪化しているということです。原発事故前よりも生産性が非常に落ちているというような声も聞いているところであります。具体的な例を言うと、品質の悪化の例としては、原木の老齢化であったり、細過ぎる原木であったり、樹皮が厚過ぎる、あるいは、芯が太過ぎる原木とか、さまざまなそういった声を聞いておりますけれども、先ほどはしいたけ原木供給連絡会議でいろいろと対策は打っているということでありますが、この原木材の再生を含む供給体制、県としてどのように取り組んでいくのかお伺いします。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 原木林の再生を含む原木の供給体制についてでありますが、県では、先ほどの原木の需給調整に加えまして、原木林の再生に向けて、放射性物質濃度の推移を確認するためのモニタリング調査のほか、放射性物質の影響を受けた広葉樹林を伐採して再生させる実証に取り組んでいるところでございます。
 これまで、シイタケ原木林の放射性物質検査を実施してきた結果、出荷制限地域内においても放射性物質濃度が低い地域が確認されておりますので、これらの地域における原木を活用するような取り組みを進めているところでもございます。
〇臼澤勉委員 最近では、生産性が落ちると言われているような傷あり原木といったものも、植菌試験を実施しながら、そういった成果が出るような可能性が出てきたということも生産者の方々と懇談する中で伺っておりましたし、茨城県や福島県のほうでは、NPО里山再生と食の安全を考える会、こういったものも設立しながら里山の環境保全、そして、原木林の再生に向けた取り組みを進めているとも聞いております。ぜひ県としても、岩手県の原木林の再生に向けた取り組みを強力に後押ししていただきたいと思っております。ここは要望にいたします。
 それから、出荷制限が解除された場合、解除から収穫までの未収益の期間に対する支援策も重要なポイントになってくるのですけれども、その取り組みについてお伺いいたします。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 出荷制限解除から収穫までの未収益期間における支援についてでありますが、原木シイタケ生産者の未収益期間における逸失利益については、東京電力による損害賠償の対象となっておりまして、既に賠償金が支払われているところでありますけれども、県では、先ほども御説明しましたとおり、賠償金が支払われるまでの間、貸付金によるつなぎ融資を実施して生産者の資金繰りを支援しているところでございます。
〇臼澤勉委員 経営上においても、高い原木代の先払いをするための資金繰りに非常に苦慮しているというふうにも聞いております。また、後継者や新規就農する方々に、やろうよという声がけをしても、いろいろとこういった問題があるがために、なかなか踏み切れないという部分もあります。県としても生産資材等の導入支援等々も取り組んでおりますけれども、これまでの実績、あるいは評価、今後の対応方針についてお伺いいたします。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 生産資材等の導入支援実績の評価と今後の対応でありますが、県では、国庫補助事業を活用しまして、平成24年度から生産者のシイタケ原木購入費用について、震災前価格の半額を助成しております。令和4年度までに約280万本を対象に支援したところでございます。
 また、種菌等への助成も同様に実施しておりまして、これらの支援によりまして、出荷制限地域における原木シイタケの生産量が平成24年の約1トンから、令和3年には15トンまで回復しまして、また、令和3年には10年ぶりに一関市の乾しいたけ品評会が開催されるなど、産地再生に向けた取り組みの成果があったものと捉えております。
〇臼澤勉委員 ぜひ新規就農の方々、あるいは、規模拡大をしようとする生産者の方々に寄り添いながら、そういった対応をしっかりと取り組んでいただきたいということを要望いたします。
 そして、原木シイタケの価格の現状の評価、そして、今の価格の要因、今後の対策をどう捉えているのかお伺いいたします。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 原木シイタケの価格の評価とその要因でございますけれども、原木シイタケは、本県ではそのほとんどが干しシイタケとして加工、出荷されております。その原木干しシイタケの価格は、全国的に今、低迷しておりまして、令和3年次の原木干しシイタケの全国平均価格は、キログラム当たり4、000円を下回っている状況でございます。
 この原木干しシイタケの価格低迷につきましては、総務省の家計調査によりますと、干しシイタケの1世帯当たりの年間購入量が、平成20年の86グラムから、令和2年には43グラムと半分になるなど、需要量の大幅な減少が要因の一つと考えております。
 また、本県の干しシイタケの平均価格は以前、全国平均を上回っておりましたけれども、原発事故以降、全国平均を下回っております。市場関係者の声を踏まえますと、その要因は原発事故による風評被害の影響があると捉えております。
 県では、そういった風評被害の払拭、あるいは販路の拡大に向けまして、生産者とともにイベント等での対面販売、あるいは高価格で取引される飲食店への販売に取り組んできたところでありまして、この取り組みについては、今後も継続して進めていきたいと思っております。
〇臼澤勉委員 今回の風評被害も含めて、販売先から納品を断られたり、あるいは、そういったことで通常よりも遠方の販売先を確保しながら、宅配料金も増加したり、さまざまな経費がかかって苦慮している。あるいは、首都圏等の量販店においても、御案内のとおり、いろいろと販売をかけてPRもしているのですけれども、ぜひ販売力アップに向けた生産振興を後押しするような対策を県として、今までもやっていると思いますけれども、より一層販促活動を強化していただきたいと思うのですが、新年度に向けてのそこら辺の取り組みについてお伺いいたします。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 原木シイタケの販売力アップについてでありますが、県では、令和3年、令和4年におきまして、県産原木干しシイタケの需要拡大を図るために、生産者、集出荷団体、あるいは岩手県立大学との連携によりまして、県立大生が考案した干しシイタケレシピを紹介する動画の作成でありますとか、あるいは、盛岡駅及び隣接する飲食店でオリジナルメニューを、期間限定ではございますが、提供したところでございます。
 また、需要開拓に向けまして、集出荷団体による首都圏等の飲食店を対象にしたウェブ入札システムを活用した直接販売を実施しております。この取り組みによりまして、市場でのキログラム当たりの単価を大幅に上回る7、000円から1万円を超えるような単価で売れるような実績もございます。また、料理店から追加注文を受けるなどの成果があったところでございます。
 こういった取り組みにつきまして、令和5年度についても、生産者の方々の意見を聞きながら、あるいは団体と連携しながら取り組んでいこうと考えております。
〇臼澤勉委員 昨今の資材高騰の影響で、生産者の方からも困っていることがあるということで、これは何かというと、生産者の生産費に合わせた納入価格、価格転嫁の円滑化がなかなか図れないでいるということです。量販店のほうでも納めているのですけれども、生産者の立場から適正な価格でなかなか価格をアップできないで、いろいろ困っている。フランスのほうなどでは、この前も勉強会で、エガリム法、エガリム法2とかといって農業生産者の報酬保護法みたいなものがあるということで、今、国のほうでも価格転嫁の円滑化に向けた適正価格の環境整備の取り組みがいろいろと始まってきておりますけれども、県としても、ぜひその辺の生産者目線で見たときの適正な価格形成を促す、生産コストに基づく価格形成対策にぜひ取り組んでいただきたいと思うのですけれども、所感を聞いて終わりたいと思います。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 県産原木干しシイタケの価格ですけれども、震災以降、一時期、品物が少なくなったということで、4、000円を超える単価をつけた時期が数年ございます。生産者の方々のお話を聞きますと、キログラム当たり4、500円を超える金額であると非常に再生産するにしてもいいということですが、現在はその価格を大幅に下回っておりますので、それをいかに市場で近づけていくかということを考えたときに、まずはよい品質のものをつくっていくことが大事だと思いますので、生産者の意見をいろいろ聞くのも大事ですし、あとは、市場に受け入れられるものをつくっていく、その辺の技術的な指導も含めながら、できるだけ単価を上げるような取り組みをしていく。あとは、先ほども話をしましたけれども、高い価格で買い取ってくれる料理店への直接販売にも取り組みながら、価格全体の引き上げに取り組んでいきたいと思います。
〇菅野ひろのり委員 私はいわての森林づくり県民税について伺います。
 総括質疑で柳村一委員からも、いわての森林づくり県民税の税収、基金残高の見込みについて質問がありました。令和4年度は活用額約12億円、基金残高は19億円ということで、使い方、使途の拡大というのが非常に重要なのだと思っています。私の考えとしては、多様な林業者の活用に用いるべきではないかと考えておりますが、県の使途拡大についての考えを伺います。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 いわての森林づくり県民税の使途拡大のお話でございます。特に、さまざまな主体に対する支援ということでございますけれども、まず、現在、小規模林業者への支援につきましては、国の補助事業を活用できるように、森林経営計画の策定支援といったものに取り組んでいるところでございます。ただ、そうした取り組みによっても、なお対象外となるような小規模な事業者につきましては、いわての森林づくり県民税の活用が可能かどうかという部分につきまして、森林整備の実施状況でありますとか、あるいは安全対策、特にここが大事なのですけれども、この点について、きちんとした現地調査を行ったり、御意見を伺ったりしながらいわての森林づくり県民税事業評価委員会、あるいは、さまざまな方々の御意見を伺いながら検討していきたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 前回御答弁いただいた内容よりも少し進んでいると思いましたが、このいわての森林づくり県民税の使途について、事業評価委員会の10名の皆さん御意見をいただきながらということなのだろうと思います。
 中身を見ますと、10名の中に林業経営者というのでしょうか、例えば、森林組合であるとか小規模経営体の事業者といった方々が入っておらず、学識経験者であるとか、実際にやっている方というのは見受けられません。そうしますと、現場の要望に沿う活用ができるのかというような、私は少し疑問といいますか、思ったところがあります。県としては、この事業評価委員会、そういった事業者を入れるべきではないかと私は考えていますが、県の認識を伺います。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 事業評価委員会の中にお一人、いわての森林づくりコーディネーターという方がいらっしゃいます。この方はNPО団体の活動の一人として、実際に現場での経験を御意見として出してくれております。今年度から取り組んでいるいわての森林づくりいわての森林づくり県民税の使途拡大についても、実際に自分の経験、あるいは所属する団体の方々の御意見をいただいておりますので、そういった方々の意見を参考にしていきたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 冒頭、農林水産部長からも小規模経営体の関係、安全対策も含め今後も進めていくということでしたので、そういった方々の意見を聞きながら、お願いをしたいと思います。
 そういった中で、昨年、一戸町と徳島県、高知県など自伐林業の視察に柳村議員、岩城議員とともに伺ってきました。岩手県とは違った経営体がありまして、農林水産大臣賞も取得した橋本林業というところに伺ってきましたので、少し御紹介したいと思います。
 そこは約100ヘクタールある中で、1カ月1ヘクタール、1割間伐なのです。ほとんど切らないといいますか、森林を残しながら転々としていく。特徴的なのが作業道です。幅2.3メートルといって2トントラックがぎりぎり入るような小さい道なのですが、これを通常の倍ぐらいの30キロメートルという距離をつくって木材を搬出している。何がいいかというと、道路が長いことによって搬出する労力、そしてコストが低減される。加えて、1割程度の伐採、間伐なので、光が適度に入るというのでしょうか、下刈り等の状況もなく、これが持続可能な林業の姿の一つであるのだと思っています。
 当然、幅広く間伐することも重要だと思いますが、私はこういった小規模事業体の自伐林業等を岩手県でも少しずつ、当然、安全の確保をしながらではありますが、広げていく必要があるのだと思います。そういった中で、林道整備の補助、あるいは小型重機の貸し出し等の事業を拡大していくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 今、委員からお話がありました西日本の取り組みでございます。路網密度を高くしまして少しずつ間伐をする事業者がいらっしゃるということで、そういった方々を講師に呼んで県内でも取り組まれているといったお話も聞いております。
 そういった事業を実施するに当たっても、まず、県として考えているのは、きちんとした安全対策をしていただかないと、事故が起きてからでは遅いということで、私も以前に担い手を担当しているときに、就業して間もない方がすぐ亡くなられたという事案を見ておりますので、自分では大丈夫だと思っていても、何が原因で事故に遭うかわからない今の状況を考えますと、そこだけは絶対に安全確保をきちんとしていただきたい。そこの部分については条件になるのかなと思います。
 林道の補助であるとか、機械の貸し出し、さまざまな支援はあると思いますけれども、そこにつきましては、必要な安全対策をきちんと用意してくれる、あるいは、そういった対策を講じてくれるのであれば、こちらのほうについても、どういった支援ができるかはお互い十分協議をしながら進めていきたいと思いますので、はなからだめだということではなくて、そこの安全対策のあり方、あるいは、これからやろうとしている森林整備の考え方、進め方、その辺についても、お互いにきちんとお話し合いをした上で対策を考えていければと思っております。
〇菅野ひろのり委員 工藤技術参事兼林業振興課総括課長の安全に対する御経験の中から、強い意志といいますか思いが感じられた答弁でございました。その中で歩み寄りながらという言葉がございました。私も現場を拝見させていただくと、急勾配というのでしょうか、非常にカーブもきついような作業をしていたり、当然、一人で入ることもあるのだと思います。必ずと言っていいほど事故が起きますから、安全対策の確保に対する事業の充実も含めて、今後、会話をしながら、どういう支援ができるのか考えていただきたいと思います。
 最後に、小規模経営体、自伐系もそうですが、第2期岩手県産木材等利用促進行動計画が新たに策定されるわけですが、こういったところにも小規模経営体の方々の位置づけというのをしっかりと盛り込んでいくべきではないかと私は考えておりますが、県の所管を伺います。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 第2期県産木材等利用促進行動計画の中に、需要を高める取り組みの施策、あるいは木材を安定供給する取り組み、あるいは人材を育成する取り組み、三つの大きな柱がありますけれども、人材を育成するところに多様な担い手を確保、育成していくという取り組みを盛り込んでおりますので、そういった方々も対象にしながら、先ほどお話ししましたとおり、安全対策を講じるような部分も含めて取り組みを進めていただければと思っております。
〇山下正勝委員 私は1項目だけお願いします。
 森林資源デジタル管理推進対策事業費補助、新規事業で事業実施主体は市町村であります。その内容についてお伺いします。
〇鈴木森林整備課総括課長 森林資源デジタル管理推進対策事業についてでございますが、この事業は効率的な森林管理の実現を図るため、市町村が国の事業を活用し、市町村が実施する航空機のレーザー計測による森林資源情報のデジタル化などを支援するものでございます。
 具体的には、航空レーザー計測等を活用して正確な森林情報を把握することや、森林の所有者や林地の境界に関する情報を記載した林地台帳、これは市町村が整備しているものでございますが、この林地台帳の精度の向上を図るような内容でございます。
〇山下正勝委員 聞くところによりますと、事業主体は一関市で、市町村で1カ所ということですけれども、ほかの市町村ではまだ計画とかそういうのはないでしょうか。
〇鈴木森林整備課総括課長 この事業の活用市町村については、今、委員おっしゃるとおり1市町村でございますが、市町村が行うレーザー計測につきましては、市町村が現在進めている森林経営管理精度の中で、森林情報を正確に把握したいという市町村は、森林環境譲与税を活用しながら取り組んでいる市町村もございます。市町村によって取り組みが違うので、レーザー計測が必要な市町村もありますし、そうではない調査方法でやるというところもございますので、その地域の事情に応じて航空レーザー事業は活用されているところでございます。
〇山下正勝委員 実は、森林経営計画、5カ年計画です。これは各市町村でやっていると思いますが、その実態を調査するには、人件費を含めてかなりの労働力と時間がかかるのです。この事業は航空機によるレーダー計測ですので、そういった意味でも、環境譲与税、いろいろなやり方があると思いますけれども、これはぜひ早めに市町村にもう少しPRしながらやってもらえればと思っていますけれども、その辺に対してはどうでしょうか。
〇鈴木森林整備課総括課長 森林経営管理精度につきましては、市町村が今、森林所有者に対し意向調査を進めて、その中で森林情報を用いながら、地域で座談会などで説明しているところでございます。いずれ航空レーザー計測の結果をもとに正確な情報を森林所有者のほうに御提供すれば、森林所有者も納得した回答ができますので、こういう正しい情報を提供できるよう、現地の林業普及指導員と一体となって市町村の支援をしてまいりたいと考えております。
〇山下正勝委員 実は、昨年度の大雨で、管理とかいろいろな部分がわからなくて、伐採のマニュアルなどがあったみたいですけれども、そういった意味で早めにわかればいいと思っているのですけれども、林業が盛んなところは早く木の伐採が進んでいくのですよね。10町歩、20町歩、1カ月しないうちにやっているのですけれども、ただ、業者が3社も4社も入っているものですから、そこまで把握ができないということですので、こういった場合、今は伐採届は市町村の農林課に申告しますけれども、農業委員会に届けを出した後には現地確認といったもの、それはそこの市町村だと言われればそれまでですけれども、伐採届があったときに、現地確認は必要ではないかと思うのですが、その辺は県ではどういう指導をしているのでしょうか。
〇鈴木森林整備課総括課長 伐採届け出の取り扱いのお話だと思いますが、森林を伐採する際には伐採届というものを市町村のほうに出します。市町村ではその内容を確認し、必要に応じて現地調査を行っているところでございます。
 県としましては、林業事業体が伐採等に関する行動規範の参考となる、先ほど委員がおっしゃったかもしれませんが、伐採搬出再造林ガイドラインを令和3年3月に作成しておりまして、これをもとに市町村、林業団体、林業事業体等に対して周知を図っているところで、特に、林地残材の取り扱いなど、災害防止に向けた指導を行っているところでございます。
 昨年8月に県北地域で大雨が発生し、一部の市町村におきましては土砂が流出して災害になったケースがございます。その際にも大規模伐採が原因ではないかというお話もあったので、私どもも現地機関と一緒になりましてドローンの調査等を行って現地を確認した経緯がございます。いずれガイドラインに基づいて、伐採、造林、あと路網整備についての項目がありますので、その項目について遵守するよう、市町村と関係団体一緒になりまして取り組んでまいりたいと考えております。
〇山下正勝委員 ぜひそういった意味で、まだ市町村もいろいろな部分で大変だと思いますけれども、情報提供しながらやってもらいたいと思います。これは要望です。
〇斉藤信委員 それでは質問いたします。
 水産業再生の取り組みについて、今年度の主要魚種の水揚げ量、水揚げ額、魚市場ごとの生産量、生産額はどうなっているか、震災前との比較を含めて示してください。
〇太田漁業調整課長 主要魚種の水揚げ量等でございますが、令和4年の主要魚種の水揚げ量は、サケは445トンで震災前の2%、サンマは3、485トンで震災前の7%、スルメイカは2、010トンで震災前の11%となっております。
 また、県内魚市場の総水揚げ量は7万9、000トンでございまして、こちらは震災前の45%、魚市場総水揚げ金額は137億円で、震災前の58%となっております。
〇斉藤信委員 サケ、サンマ、スルメイカは震災前のほぼ1桁台、スルメイカが11%ですけれどもね。サンマは生産額で見ると55%になって、価格がかなり上がっているということだと思います。大変な大不漁に直面をしている。そこで、県内漁協の経営状況はどうでしょうか。
〇小野寺指導検査課長 県内の漁協の決算状況でございますが、令和3年度決算につきましては、秋サケ等の主要魚種の不漁により定置漁業等の漁業自営事業や販売事業で十分に収益を確保できず、24漁協中16漁協が当期損失金を計上したところでございます。
 令和4年度の決算でございますが、主要魚種の不漁により、依然として定置漁業の収益が低い水準にあるものの、サバやイワシ、ウニやアワビ等の水揚げ金額が増加したことにより、多くの漁協の収益改善が見込まれるところでございます。
〇斉藤信委員 きょう、岩手県水産業リボーン宣言の実績について議論がありました。三つの柱で取り組まれているのですけれども、主要魚種の資源回復、これは種卵は1億粒、計画よりも超えて確保できたと。アワビ資源については、新聞報道でもありましたが、7年ぶりに前年度を上回って111トン、しかし、震災前比ではまだ30%にとどまっているという状況であります。
 増加している資源の有効利用という点では、ウニの畜養出荷を県内10地区で実施しているということで、これは通年出荷も可能になったということで評価したいのですが、そのほかに増加している資源、魚類があると思うのですけれども、これはどういう有効利用になっているのかということを示してください。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 増加している資源といたしましては、イワシ、サワラ、シイラ等がございます。これらについては、イワシにつきましては、岩手県水産技術センターの加工部のほうで新たな加工材料としての活用ができないかということで、落とし身という形態の加工を提案し、それを加工業者の方々にも示すような取り組みをしております。
 また、来年度の事業の中では、増加している資源を活用して新たな流通形態の販売の取り組みの調査等をすることといたしまして、そういった計画をしております。
〇斉藤信委員 なかなかまだまだ、とれる魚を活用するというのは、これからの課題だと感じました。
 三つ目の柱は、新たな漁業養殖業の導入ですけれども、アサリの養殖試験が県内5カ所で実施されているということであります。サケ、マス類の海面養殖用の岩手オリジナル種苗の開発ということにも取り組んでおりますけれども、これはどこまで進んでいるのでしょうか。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 これは岩手県の由来でありますサクラマスをもとに、差別化ができないかということでオリジナル品種の開発にに取り組んでおりますが、現在のところ、まだ取り組み中でございまして、成果が出るまでは、もう少し時間がかかると思っております。
〇斉藤信委員 サケ、マス類の海面養殖は、今年度1、209トン、来年度は1、700トン、1.4倍の増産の計画ということで、岩手県水産業リボーン宣言に基づく取り組みも基本的には着実に成果を上げているのではないかと評価したいと思います。
 ただ、主要魚種の大不漁の中で、これは漁協も漁民も大変な危機に直面しております。そこで、先ほどもクロマグロの話がありました。このクロマグロの漁獲状況、漁獲枠、定置網に入っている状況はどうなっているでしょうか。
〇太田漁業調整課長 クロマグロの漁獲状況等でありますが、令和4年度における本県クロマグロの漁獲量は、令和5年2月28日現在で、30キログラム未満の小型魚が84.7トンでございます。これは県に割り当てられている割当量の93%、大型魚が63.3トンの漁獲がありまして、こちらにつきましては、割当量の95%を消化しているところでございます。
〇斉藤信委員 定置網に入っている放流量はどうなっていますか。
〇太田漁業調整課長 定置網では、クロマグロの漁獲割り当てを超過しないように、入網したクロマグロの放流を行っておりますが、令和4年度は小型魚と大型魚を合わせまして約13万5、000尾、推定の重量として約739トンのクロマグロを放流しているところでございます。
〇斉藤信委員 今、答弁があったように、これは漁獲の割り当てがあって、小型魚、大型魚を合わせて漁獲量は148トンなのです。しかし、定置にはたくさん入って、それを水揚げできない。今、放流した数が739トン、漁獲量の5倍です。網に入っても放流しなければならない。クロマグロというのは高級魚ですから、高級魚が入ってくるのに水揚げできないというのは大変なことなのだと思います。
 そこで、恐らく岩手県だけでなくて、全国でもこうした状況が生まれていると思いますけれども、漁獲枠を拡大する手だてはないのか。県としてはどういう取り組みをしているのか示してください。
〇太田漁業調整課長 まず、県では、国に対しまして、クロマグロの資源量の増加に合わせまして、漁獲割り当て量を速やかに増加させていただくように要望しているところでありまして、こちらにつきましては、今後も国に対して積極的に働きかけていくところでございます。
 あともう一つ、本県に割り当てられました漁獲量の枠をふやす方法ということでございますが、こちらにつきましては、大臣管理漁業ですとかほかの都道府県から漁獲可能量を融通してもらうという手法がございます。こちらについては、本県では令和4管理年度におきましては、4回ほど大臣管理漁業ですとか、ほかの都道府県からの漁獲可能量の譲り受けを希望したところでございますが、他の都道府県等でも漁獲量が増加しているために、この要望の結果、青森県から0.1トン譲り受けることができましたが、それ以外の融通につきましては、成立しない状況でございます。
〇斉藤信委員 私は宮古市内の漁協に調査に行って、クロマグロの話をお聞きしてまいりました。200キログラムクラスのクロマグロが100本以上入っている。しかし、これは出荷できません。確認したいのですけれども、大型魚については、漁獲枠が県全体、小型魚については漁協ごとの割り当てがあると聞きましたが、そのとおりですか。
〇太田漁業調整課長 そのとおりでして、大型魚につきましては県全体、小型魚につきましては、それぞれの定置網のこれまでの実績等に応じまして、数量の配分をしているところでございます。
〇斉藤信委員 それで、大型魚については12月10日でもう枠を超えたと。大体90%に達するとストップがかかるのですね。12月10日というのは、正月にかけて一番大事な時期なのです。12月というのは、100キログラム、200キログラムのクロマグロは、1キログラム当たり6、500円になる。通常は2、000円、3、000円です。このときにもうストップがかかって出荷できないというのは、本当に残念な思いです。
 それで、先ほど30キログラム未満は割り当てが94.1トンで、大型魚の30キログラム以上は66.6トン、何で大型魚のほうが割り当て量が少ないのか。本来なら、資源を考えたら大型魚をとって、小型魚は減らすほうが経済的にも漁民にとってもいいと思いますが、なぜですか。
〇森山水産担当技監心得兼水産振興課総括課長 クロマグロの各県への配分につきましては、国のほうから配分量が決められておりますので、国の考え方に基づいて配分されているものと認識しております。
〇斉藤信委員 資源の回復からいっても、大型魚をとって、小さいのは放流するというのが合理的ではないですか。そして、漁民にとってみれば、大型魚のほうが価値があるわけだから、さっき言ったように、200キログラムを超えるのが100本以上、定置に入っているのです。それが出荷できないのです。
 そういう実態を私はぜひ国にも呼びかけて、この間、東日本大震災津波岩手県・釜石市合同追悼式に日本共産党の穀田国会議員が来ました。外務委員なのです。漁業協定に関する議題が今月あるというので、クロマグロの問題を取り上げてもらうことにしましたが、これは国際協定でもあるので、今の資源の回復状況の実態を示して、大不漁のもとでとれる魚が水揚げできない、私はこのくらいつらいことはないと思うので、これはしっかりやっていただきたい。
 次に、気候危機打開に向けた林業分野の取り組みについてお聞きします。
 気候危機打開、温室効果ガスの削減における林業分析の実績、課題、目標、どうなっているでしょうか。
〇鈴木森林整備課総括課長 林業分野の実績等についてでございますが、令和元年度の本県の森林吸収量は141万6、000トンとなったところです。また、第2次実行計画改定最終案での2030年度の森林吸収量目標は、現計画を6%上回る141万6、000トンとしたところです。
 森林吸収量の目標達成に向けましては、利用期を迎えて人工林の伐採跡地での再造林や間伐など、適切な森林整備を促進していくことが重要と考えておりますので、引き続き、林業団体と一緒になって取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 森林吸収量141万6、000トンというのは2019年度の実績なのです。それを維持すると。この間、長野県に調査に行ったときには、長野県は森林吸収量も拡大するという目標を持っておりました。そういうことが検討できないかどうか。
 それと、いわて木づかい住宅普及事業ですけれども、これも先ほど議論がありましたが、今年度は新築126件、リフォーム18件、合わせて144件で前年度目標を上回る取り組みになり、来年度は新築140件、リフォーム20件の合計160件で8、698万5、000円の予算案ということになっております。
 環境生活部の審査でも取り上げたのですけれども、住宅に対する助成というのは、一つは国の助成があります。これは3省。県土整備部の助成もあります。農林水産部もあります。住宅、新築やリフォームのときにどれだけの助成が活用できるか、窓口一本化にして取り組むべきだと思うのです。
 そして、岩手型住宅という、新築にしてもリフォームにしても、新しいレベルの高い、高断熱性、太陽光発電なども整備した住宅の新たなレベルを設定して、そこに県産材も組み込んでやるべきだと私は思いますけれども、それは今まで議論されているのでしょうか、されていないのでしょうか、そこも含めて答えてください。
〇鈴木森林整備課総括課長 森林吸収量の目標についてでございますが、全国的に人工林の多くは森林吸収量のピークとなる20年生、40年生を超過しており、高齢化がどんどん進んでおり、国全体では、平成25年の数値から令和元年まで23%減少しております。そのような中で、本県は現状を維持するという計画を立てているところであり、現行水準を維持するという考え方は、私どもは適切な数値と考えております。
〇工藤技術参事兼林業振興課総括課長 住宅に対する支援ですけれども、これは先ほど委員からお話がありましたとおり、複数の部局、あるいは国が関係しております。県民にわかりやすい情報を提供していくことがまず大事だと考えておりますので、こういった関係する部局と打ち合わせをする、そういったものが当然大事でございますけれども、まず、私どもとしては、今の県産材を使った支援制度を次、どのようにしていくかということで今、検討を始めているところでございまして、今後、県土整備部、あるいは環境生活部のほうともいろいろ意見交換しながら取り組んでいきたいと思っております。
〇斉藤信委員 窓口が二つも三つもあるようでは、私は本気になって取り組んでいるとならないと思うのです。長野県も新しい住宅整備の一本化をしているのです。そういう意味では、しっかり議論して、予算をどこでつけるかはあったとしても窓口は一本化して、そしてあらゆる要望にワンストップで応えられる。国の助成もかなりのものがありますから、国の助成も使える、県独自の助成も使える、県産材も活用できる、そういう形で、これは温室効果ガス削減にとって大きな力になるのです。そういうところでしっかりやっていただきたい。農林水産部長、しっかりやってください。
〇小林正信委員 いわての森林づくり県民税について私もお伺いします。
 まず、活用状況については、先ほど城内よしひこ委員から質疑がございましたので割愛いたします。
 いわての森林づくり県民税の使途については、これは造林も含まれておりまして、高橋はじめ委員からも質疑がございましたけれども、山林の水源涵養、また、豪雨時等の防災機能という観点からも造林、再造林は重要だと考えております。しかしながら、この県民税事業の申請の書類が結構多いとか、これを書くのに労力がかなりかかってしまうとか、また、申請した後に交付になるまでに結構時間がかかってしまって、造林をしようと思ったけれども、造林に適した時期に作業が行えないというような課題も聞こえてきております。
 林野庁の森林整備事業は事後申請になっておりまして、造林に適した時期を逃さず、すぐに作業ができるということになっておりまして、これは使いやすく、造林に適したときに造林ができるということ。いわての森林づくり県民税の申請について、簡略化など申請をする側に立った取り組みを考えるべきと思いますけれども、お考えをお伺いします。
〇鈴木森林整備課総括課長 造林に係る申請等の簡略化についてでございますが、伐採跡地への植栽の事業の申請事務については、平成18年度から行っている混交林誘導伐と同様に、事業主体が事前に実施箇所の計画書等を提出して、県が計画を承認した後で事業主体が事業に着手するというオーソドックスな方式でございます。
 この方式は事業対象となる森林の状況や植栽本数など補助要件を県が事前に確認して補助金を決定し、事業の進捗等を管理できる効率的な事業スキームとなっておりますので、現時点では継続する考えでございます。
 ただし、申請に係る事務につきましては、例えば植栽事業とシカ食害対策事業の申請書類の二つを一つにしないかという要望があり、そういうところは簡略化に取り組んでいるところでございますので、先ほど委員のほうからお話のありました書類の作成とか、交付決定まで時間がかかるとか、そういう細部については、しっかり事業主体の意見を聞きながら、対応について検討してまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 よろしくお願いいたします。造林に適したときに造林できないというもどかしさがあると思いますので、先ほどおっしゃったように、ぜひそれは事業主体の皆さんの御意見なども、聞いていただいて取り組みをしていただきたい。
 あともう一点、いわての森林づくり県民税の補助率がたしか8割だったと思ったんですけれども、残りの自己負担もネックになっているというようなことも伺っております。これも林野庁の森林整備事業の例で申しわけないですけれども、補助の範囲内で作業を調整する。自己負担が生じないようにさまざま抑えることができるというような事業もあります。県としてもいわての森林づくり県民税を用いての事業において、自己負担を抑えることができるような取り組みについてのお考えについて、お伺いしたいと思います。
〇鈴木森林整備課総括課長 補助率の引き上げについてでございますが、委員おっしゃるとおり、この植栽事業については、実質68%の国の補助事業ですが、それを上回る80%としておりますので、現時点では補助率の引き上げ等は考えていないところでございます。
 ただし、森林所有者の自己負担を抑えるということは、事業費を軽減させることでございますが、大変重要なことでありますので、私どもは植栽本数が従来より少ない低密度植栽、また、伐採から再造林まで作業を連続して行う一貫作業システムの普及など、森林所有者の負担軽減に取り組んでいるところでございます。
 また、林業、木材産業関係団体を構成員とする岩手県森林再生機構でも、国や県の補助金にさらに上乗せ助成をしておりますし、引き続き、林業関係団体と一緒になりまして、造林コストの低減について、しっかり対応してまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 再造林につきましては、例えば伐採の申請があった際に、窓口で伐採したら再造林してよとアプローチをするとか、伐採時につくった林道が壊れる前に早く再造林をお願いしますと勧めるような、積極的に再造林とか造林、植栽を進めるような取り組みをやっていっていただきたいと思います。そうしないと、植栽とか造林は利益にならないということで、なかなか再造林は進まないと思っています。CО2の吸収源としての森林の維持のためにも、県としても再造林、植林の推進に十分に取り組んでいただくようお願いをして、終わりたいと思います。
〇佐藤ケイ子委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 質疑がないようでありますので、これで第2部林業、水産業関係の質疑を終わります。
 農林水産部の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。本日はこれをもって散会いたします。お疲れさまでした。
   午後7時27分 散会

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