令和5年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和5年3月14日(火)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 平 貴 一
主任主査 佐 藤 博 晃
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 及 川 雄 也
主査 阿 部 真 人
主査 刈 屋 江美子
1説明員
労働委員会
事務局長 千 葉 義 郎
参事兼審査調整課
総括課長 谷 藤 親 史

商工労働観光部長 岩 渕 伸 也
副部長兼
商工企画室長 高 橋 孝 政
参事兼
経営支援課
総括課長 阿 部   博
定住推進・雇用
労働室長 三 河 孝 司
ものづくり自動車
産業振興室長 十良澤 福 志
観光・プロモー
ション室長 高 橋 利 明
商工企画室
企画課長 小野寺 重 男
商工企画室
管理課長 藤 枝   修
特命参事兼
新産業育成課長 藤 澤 壮 仁
産業経済交流課
総括課長 畠 山 英 司
地域産業課長 金 野 拓 美
特命参事兼
雇用推進課長 駒 木 豊 広
特命参事兼
労働課長 四 戸 克 枝
特命参事兼
ものづくり産業
振興課長 小 野 和 紀
自動車産業
振興課長 小笠原   徳
特命参事兼
産業集積推進課長 松 本   哲
プロモーション
課長 千 葉 敬 仁

企業局長 森   達 也
次長兼
経営総務室長 佐々木 真 一
技師長 藤 原 清 人
経営総務室
管理課長 千 葉 順 幸
経営企画課長 伊 藤 隆 行
業務課総括課長 山 谷 紀 彦
電気課長 高 橋   浩

財政課総括課長 山 田 翔 平
〇佐藤ケイ子委員長 予算特別委員会の開会に先立ち、復興防災部から、高病原性鳥インフルエンザ対策本部の設置について報告があります。
〇大畑復興防災部副部長兼復興危機管理室長 冒頭のお時間を若干頂戴いたしまして、金ケ崎町の養鶏農場におきまして高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜が確認されたことから、県では、本日午前9時に高病原性鳥インフルエンザ対策本部を設置し、殺処分等の防疫措置を開始しておりますので、これまでの対応状況等を御報告させていただきます。
 縦横混在の資料で大変恐縮でありますけれども、お手元の資料の3ページをごらんいただければと存じます。
 1、発生農場の概要でありますが、農場所在地は金ケ崎町、飼育状況は採卵用の育成鶏、採卵用の鶏を育成しているものでして、約8万4、000羽となります。
 3のこれまでに行った措置等でありますが、(1)発生農場に対し、飼養鶏や排せつ物等の移動自粛、部外者の立ち入り制限など、蔓延防止措置の徹底を要請したほか、(2)に参りまして、発生農場から半径10キロメートル圏内の農場の飼養状況を確認しております。移動制限区域半径3キロメートル以内に農場はなく、搬出制限区域半径3キロメートルから10キロメートル以内では3農場、飼養羽数にして約80万羽となっておりまして、本日現在、飼養鶏には異常がないことを確認済みでございます。(3)に参りまして、県内で100羽以上を飼養する全ての農場に、県内において高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜が確認された旨を情報提供し、侵入防止対策の注意喚起を行っております。
 4の今後の対応でございます。高病原性鳥インフルエンザ対策本部会議終了後、直ちに対応を開始しております。具体の対応といたしましては、(1)発生農場での殺処分の開始、(2)発生農場から半径10キロメートル以内の農場への飼養鶏等の移動制限指示、(3)制限区域内を越えて往来する畜産関係車両等の消毒を実施する消毒ポイント3カ所の設置、運営ということになります。
 5の風評被害防止という観点でありますが、感染した家禽の肉、卵が市場に出回ることはなく、我が国の現状において、家禽の肉や卵を食べても人が鳥インフルエンザに感染する可能性はないと考えられており、心配する必要はないことを県民の皆様等に周知をしてまいります。
 今後とも、県民の皆様には、不安が生じることがないよう正確な情報発信に努めてまいります。
 続きまして、資料5ページをお開き願います。防疫作業に従事する職員の動員状況でありますが、表の左側に第1陣と記載しております。第1陣というのが、1回当たり作業に従事するグループということになりますが、1グループ当たり約180人体制として、1日3交代、24時間体制で作業を進めてまいります。
 また、作業の実施に当たりましては、金ケ崎町や県の建設業協会などの御協力もいただきながら進めていくこととしておりまして、可能な限り早期に、殺処分等の作業が終了するよう取り組んでまいります。
 御報告は以上です。よろしくお願いいたします。
〇佐藤ケイ子委員長 以上で復興防災部の報告を終わります。
 復興防災部の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまです。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ちください。
 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第5号から議案第25号まで、議案第29号から議案第32号まで、議案第34号及び議案第36号から議案第60号までの以上51件を一括議題といたします。
 本日は、労働委員会、商工労働観光部及び企業局関係について、延べ17人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしましたので、議事進行に御協力をお願いいたします。
 また、関連質疑の取り扱い、換気のための休憩につきましては、これまでと同様でありますので、御協力をお願いいたします。
 初めに、労働委員会事務局長に労働委員会関係の説明を求めます。
〇千葉労働委員会事務局長 労働委員会関係の予算について御説明いたします。
 お手元の予算に関する説明書により説明いたしますので、説明書の148ページをお開き願います。5款労働費3項労働委員会費のうち、1目委員会費3、116万円は、労使紛争の解決を図るための労働委員会の運営に要する経費であり、委員15名に対する報酬や旅費等の事務費でございます。次に、2目事務局費9、554万円余は、事務局の管理運営に要する経費であり、事務局職員の人件費や需用費等の事務費でございます。合わせますと、149ページの計のとおり1億2、670万円余となるものでございます。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇佐藤ケイ子委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇名須川晋委員 それでは何点か質問させていただきます。
 まず、日ごろのさまざまな事業執行に当たっての御努力に敬意を表します。
 まず初めに、新年度において、新規あるいは拡充等の特色ある事業はあるかということでございます。この労働費ですと、ほとんどが事務局費ということで、なかなか事業費の中身とか詳細については、やはりお伺いしないとわからない状況かと思いますので、その辺についてお知らせください。
〇谷藤参事兼審査調整課総括課長 新年度におきます新規、拡充の取り組みについてでございますが、労働委員会では、労使紛争の解決を図ることを目的とした労働争議の調整や個別労働紛争のあっせん、未然防止のための労働相談などの業務を行っておりますが、これらの制度が県民に広く認知され、身近で利用しやすい機関となるよう、3カ年ごとに委員会の活性化のための計画を策定いたしまして、労働相談の実施方法の見直しや労働委員会制度の周知、広報等の取り組みを行ってきているところでございます。
 本年度は、労働相談が増加傾向にありますことや働き方改革関連法の施行や新型コロナウイルス感染症の感染拡大等を背景とする労働環境の変化を踏まえまして、委員による出前無料労働相談会の利便性を考慮いたしまして、夜間での開催を年2回に拡充して実施したほか、時間や場所にとらわれない相談環境を提供するため、新たに当委員会ホームページからアクセス可能なメールを活用した労働相談を運用開始したところでございまして、次年度におきましても、これらの取り組みが定着し、有効に活用されるよう周知に取り組み、労働相談の機能強化につなげていきたいと考えているところでございます。
〇名須川晋委員 労働相談の現状と課題についてでございます。コロナ禍もやっと3年を過ぎて一段落ということで、県民、国民の生活も平常に近づきつつありますけれども、この間、このコロナ禍に係るさまざまな相談内容もあったと思いますが、そうしたものも含めて、推移と分析についてお知らせいただきたいと思います。業種別、雇用形態別、年齢別、男女別、地域別、あるいは相談形式別というところでのその辺の状況、分析についてお知らせください。
〇谷藤参事兼審査調整課総括課長 労働相談の推移と分析についてでございます。まず、労働相談の件数でございますが、令和4年度1月末までに受け付けた労働相談件数は566件で、昨年同月の370件に比べますと196件の増、率にして53%の増となっているところでございます。
 次に、今年度の相談の性質別の状況でございますが、個々の相談において聞き取りにより把握できた範囲で申し上げますと、まず、業種別の件数ですが、医療、福祉関係者からの相談が最も多く、次いで、飲食、生活関連を含めたサービス業、製造業と続いております。令和3年度と比較いたしますと、令和3年度も医療、福祉関係、それから、飲食、生活関連を含めたサービス業が多く、傾向は変わっていないところでございます。
 次に、雇用形態別の相談者数でございますが、正規雇用者が相談件数全体の41.7%、非正規雇用者が全体の33.4%、使用者からの相談及び不明が全体の24.9%となっておりまして、正規雇用者からの相談が多くなっております。昨年度は、正規雇用者が全体の34.6%、非正規雇用者が全体の32.6%で、正規雇用者、非正規雇用者の割合はほぼ同じでありました。
 次に、年代別の相談者数でありますが、多い順に、40代、50代、30代となっておりまして、30代から50代の相談が多い状況になっております。昨年度も、傾向はほぼ同じとなっております。
 次に、男女別の相談者数でございますが、男性が相談件数全体の50.2%、女性が全体の48.8%、組合その他が全体の1.1%となっておりまして、男性、女性ほぼ同数となっているところでございます。昨年度は、男性が46.2%、女性が52.2%でございまして、若干女性が上回っておりました。
 次に、地域別の相談者数でございますが、四つの広域振興圏別に集計しておりますが、多い圏域順に、県央広域圏、県南広域圏となっておりまして、地域不明を除く全体の約9割を占めているところでございます。昨年度も同様な傾向でございました。
 次に、相談形式別の件数の内訳でございますが、委員による月例及び県内各地に出向いて行っております出前無料相談会が26件、事務局への来庁による相談が8件、職員によるフリーダイヤル及び一般回線による電話相談が505件、メールによる相談が27件となっているところでございます。
〇名須川晋委員 労働相談が53%増ということで、随分ふえているという印象がありますけれども、前年度もたしか十数%増になっていたということでございまして、特に、本当に急増したのはどういう背景があるのか、その辺の分析をお知らせください。
〇谷藤参事兼審査調整課総括課長 本年度の労働相談の増加要因につきましては、個々の相談結果の聞き取りから詳細な要因分析は難しいところではございますが、本年度の背景といたしまして、新型コロナウイルス感染症の対策が続く中で、第6波から第8波を中心に感染者数が大幅に増加したこと、また、平成30年以降の働き方改革による法制度の見直しへの対応による労働環境の変化や、令和元年に改正された労働施策総合推進法による事業主のパワーハラスメント防止措置の義務化が、令和4年4月から中小企業者にも適用が開始されたことに伴う意識の変化などが要因となって、相談の増加につながった可能性があるのではないかと考えているところでございます。
〇名須川晋委員 そうすると、生活困窮とかもですが、さまざまな要因が含まれているということだと理解いたしました。
 それでは、次に、他団体との連携ということで、市町村弁護士会とか連合、経営者団体、知事部局等のさまざまな関係する団体との連携はしっかりなされているのかということについてお伺いいたします。
〇谷藤参事兼審査調整課総括課長 他団体との連携についてでございますが、平成14年度から、関係機関が連携して個別労働紛争の解決に取り組むため、労働委員会、弁護士会、社会保険労務士会、岩手県定住推進・雇用労働室等で構成する岩手労働相談・個別労働紛争解決制度関係機関連絡協議会を組織しておりまして、各制度の運用状況について情報交換しながら、連携して労働相談やあっせん制度の周知を行っているところでございます。
 同協議会では、毎年度、労働委員会委員、岩手労働局の職員、弁護士、社会保険労務士を相談員とする関係機関による合同労働相談会を実施しており、今年度も10月2日に盛岡市で開催しております。
 また、当委員会が独自に行います委員による無料労働相談会に当たっては、市町村には広報誌への掲載に協力いただいているほか、広域振興局、市町村、弁護士会、労働者団体、経営者協会等に対して、無料労働相談会とあわせて、労働委員会制度の広報を目的とするポスター及びチラシを配布し、周知活動に協力いただいているところでございます。
〇名須川晋委員 個別労働紛争と労働争議の状況についてお知らせください。
〇谷藤参事兼審査調整課総括課長 個別労働紛争と労働争議の状況についてでございますが、まず、個々の労働者と事業主との間の紛争であります個別労働関係紛争のあっせんにつきましては、令和3年度からの繰り越し事件が1件ございまして、あっせんを実施し、合意解決となっております。
 なお、令和4年度は新規の申請はございません。
 また、労働組合と使用者との間の紛争である労働争議事件の新規案件もございません。
〇名須川晋委員 最後になりますが、制度の周知状況についてということで、岩手県は広大な面積を有しておりますけれども、県全域をカバーするための取り組みについて、そのPR方法を含めてお知らせください。
〇谷藤参事兼審査調整課総括課長 制度の周知に向けた県全域をカバーするための取り組みでございますが、労働委員会では、県内各地における労働問題の解決支援を行うため、県北・沿岸地域を含めた県内10市町村に委員が出向いて行う出前無料労働相談会を年13回実施しております。また、事務局職員が行うフリーダイヤル等による労働相談を行っているところでございます。
 また、各広域振興局に配置している就業支援員にも、労働相談会の実施や個別労働紛争のあっせん制度等を周知し、労働委員会制度の活用を促すなどの連携に努めているところでございます。
 また、令和4年度からは、近年の多様な働き方に対応し、先ほども御答弁させていただきましたが、出前無料労働相談会の夜間開催やメールによる労働相談を開始しているところでございます。
 さらに、個別の労働者からのあっせん申請があった場合に、申請者や事業者の要請に応じまして、委員が現地に赴いてあっせんを行う現地あっせんや、必要に応じて夜間あっせんなどの取り組みも行っているところでございます。
 制度のPRについての取り組みでございますが、労働委員会制度の認知度の向上を図るため、広報活動を継続的に行ってきておりまして、テレビ、ラジオ、LINE、ツイッター等の県の広報媒体を活用して制度の周知に努めているところでございます。
 また、労働委員会の活用を図る取り組みの一環といたしまして、労使団体や大学、高校生等を対象とした出前講座を実施しておりまして、労働法やワークルール等の啓発とあわせて、労使紛争のあっせんなどの制度の周知に努めているところでございます。
〇名須川晋委員 労働委員会の存在は目立たない存在だと思いますが、県民の生活を守るという意味で、しっかりとこれからも業務を遂行していただきたいと思います。
 最後にもう一点。事務局費が500万円ほど前年度よりふえておりますけれども、先ほどの労働相談が53%増となっているわけでございますが、その辺にふえた金額が入っているのか。日ごろの業務の中でその53%増が吸収されて、事業自体は、皆さんはその中でしっかりとできるのか、できていたのかというところをお知らせください。
〇谷藤参事兼審査調整課総括課長 事務局費の増につきましては人件費の増でございまして、職員配置の変更に伴う増となっております。
 現在、労働相談等を行う場合には、旅費ですとか過重就労等の費用はかかりますが、それは現行のこれまでどおりの予算の範囲内で対応できるものと考えているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 質疑がないようでありますので、これで労働委員会関係の質疑を終わります。
 労働委員会の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ちください。
 次に、商工労働観光部長に商工労働観光部関係の説明を求めます。
〇岩渕商工労働観光部長 商工労働観光部関係の令和5年度歳出予算について説明申し上げます。
 初めに、当部の予算編成に当たっての基本的な考え方でありますが、いわて県民計画(2029〜2028)第2期アクションプランのもと、東日本大震災津波からの復興を着実に進めるとともに、人口減少対策や中小企業のDXの推進、生産性向上などに取り組みながら、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事につくことができる岩手の実現を図ってまいります。
 まず、復興推進につきましては、三陸DMOセンターを核に、市町村や観光関連事業者等と一体となった魅力ある観光地域づくりの推進や、三陸ならではの豊かな食産業の振興を初め、復興が進んだ新しい三陸の魅力を生かした産業振興、交流人口の拡大に取り組んでまいります。
 次に、政策推進につきましては、引き続き、自動車、半導体関連産業を中心としたものづくり産業の集積や、幅広い分野の働く場の創出を進めつつ、U・Iターンや起業、スタートアップ支援の取り組みを一層強化するとともに、若者や女性などに魅力ある雇用、労働環境の構築を進めてまいります。
 また、インバウンドを含めた観光客の誘客拡大に向け、デジタルマーケティングを活用した旅行商品の造成、国内外に向けたプロモーションやキャンペーンなどを実施してまいります。
 さらに、3年にわたる新型コロナウイルス感染症の流行や、エネルギー、原材料価格の高騰などの影響を受けている中小企業者の事業継続や本業支援に向けまして、資金繰り支援としての融資の充実を図るとともに、いわて中小企業事業継続支援センター会議を核に、国や金融機関、商工指導団体等と緊密に連携し、事業再構築や再チャレンジ、事業承継者の新分野進出など、個々の実情に応じた支援を展開してまいります。
 それでは、予算議案について御説明申し上げます。
 まず、議案第5号令和5年度岩手県一般会計予算でありますが、議案その2の6ページをお開き願います。当部関係の予算は、2款総務費4項地域振興費の一部2億5、152万9、000円と、7ページに参りまして、5款労働費1項労政費及び2項職業訓練費の、合わせて26億2、507万8、000円、7款商工費の1、221億9、071万円、9ページに参りまして、11款災害復旧費2項商工労働観光施設災害復旧費の6億2、465万2、000円の、計1、256億9、196万9、000円となっております。これは、令和4年度と比較し123億3、786万7、000円、8.9%の減となるものであり、東日本大震災復興資金に係る貸付金の減少が減額の主な要因となっております。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 11ページをお開き願います。第2表債務負担行為のうち、当部関係は、事項欄7から次ページの14までの8件であり、損失補償に係るもの4件、利子補給に係るもの1件、保証料補給に係るもの2件、離職者等再就職訓練に係るもの1件となっております。
 次に、特別会計について御説明申し上げます。
 32ページをお開き願います。議案第10号令和5年度岩手県中小企業振興資金特別会計予算でありますが、これは、歳入歳出予算の総額をそれぞれ10億2、074万9、000円とするものであり、令和4年度と比較して8億6、683万5、000円、45.9%の減となるものであります。減額の主な要因は、中小企業基盤整備機構への償還金の減によるものでございます。
 以上が商工労働観光部関係の当初予算の内容でございます。
 続きまして、予算に関連する議案について御説明申し上げます。
 議案その3の87ページをお開き願います。議案第40号特定区域における産業の活性化に関する条例の一部を改正する条例についてでありますが、この条例は、県が指定する特定区域において、域外からの企業誘致による本県ものづくり産業のさらなる振興を図るため、県税の課税免除及び不均一課税の適用対象となる特例対象設備の新設または増設の期限を延長するとともに、あわせて所要の整備をしようとするものであります。
 89ページをお開き願います。議案第41号産業文化センター条例の一部を改正する条例及び、95ページに飛びまして、議案第43号家族旅行村条例の一部を改正する条例についてでありますが、いずれも、昨今の燃料費等の物価上昇に伴い、利用料金の上限額を引き下げようとするものであります。
 以上で商工労働観光部関係の議案の説明を終わります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇佐藤ケイ子委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇岩渕誠委員 それでは伺います。岩手県の今の産業構造の中で3本柱がありますけれども、自動車産業が産出額でいうと大体25%、ここに半導体が今2番目に上がってきて、食産業がその下になっているということでありますが、3本柱の一つは、実は医療機器関連の産業であります。これについて、今、ヘルステック・イノベーション・ハブを整備して、ここをさらに押し上げていこうということだろうと思います。そして、新年度予算案を見ても、医療機器関連産業創出推進事業費は継続になりますし、これに加えて、新産業事業化促進事業費が新規で登場して、これはまさにヘルステック分野をしっかり支えていこうという取り組みになっていると思っております。
 そこで伺いますが、ヘルステック・イノベーション・ハブを拠点とした取り組みの現状について、お示しいただきたいと思います。
〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 ヘルステック・イノベーション・ハブを拠点とした取り組みの現状についてでございます。
 この施設は、県内の医療機器関連中核企業の集積と新製品、新事業開発によるイノベーションの創出拠点といたしまして、令和2年4月に開所し、間もなく3年を迎えるところでございます。
 現在、19室あるラボは既に満室となっておりまして、施設を拠点に、入居企業相互の技術、情報の交流、産学連携や企業間連携による製品開発や事業化、人材育成等の取り組みが活発に進められているところでございます。
 特徴的な取り組み事例を御紹介申し上げますと、電子制御技術を活用した脳卒中リハビリテーション支援機器の製品開発が進展しておりまして、施設関連のベンチャー企業第1号が昨年5月に設立され、ことしじゅうの市場投入が予定されております。
 また、昨年12月ですが、入居企業のオリジナル技術を活用しました新しいJIS規格が制定されております。今後、試薬の塗布などで高い正確性を有します同社の医療機器や分析装置の販路拡大が期待されるといったことで、着実に成果につながっているところでございます。
〇岩渕誠委員 コロナ禍の中でも、大変いろいろなシーズを製品化して産業を太らせてきているということは、私は評価したいと思いますが、ただ、この医療機器関連産業というのは、二十数年前に人工関節から岩手県の場合はスタートして、そのキックオフのときに私も取材したことがあるのですが、意欲と取り組みを重視している割には、産業産出額からすると1%ぐらいでしたか、まだまだ柱というところまで行っていないというのが現状だと思います。
 ただ、これは育てる可能性が相当あると思うのですが、第3の柱として育成していくためには、人的にもお金的にもかなり投資をしていかなければならないと思うのですが、このあたり、アクセルを踏んでいくための施策としてどのようなものを考えていらっしゃいますか。
〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 今後の第3の柱として成長させるための施策についてでございます。
 現在、県では、令和3年3月に策定いたしました岩手県医療機器等関連産業イノベーション創出戦略に掲げますヘルステック・イノベーション・ハブを核としたイノベーションの創出など四つの戦略に基づきまして、医療機器関連産業の成長促進に取り組んでいるところでございます。
 今後、自動車、半導体に続きます新しい柱として付加価値の高い産業の創出を進めていくため、特に重要と考えておりますのが新製品開発とその事業化でございます。現在、ヘルステック・イノベーション・ハブで進められておりますAIあるいはIoTなど、最新のデジタル技術を医療、介護に活用していく、いわゆるヘルステックの分野での技術開発や製品化、事業化の取り組みを促進いたしまして、その成功モデルの横展開を図っていきたいと考えております。
 このため、令和5年度当初予算案におきましては、ヘルステック分野を対象といたしまして、研究開発から製品化、事業化を一貫して支援する新たな補助事業を盛り込んだところでございます。こうした取り組みを推進することによりまして、イノベーションの創出を加速し、付加価値の高い新たな中核産業の創出につなげてまいります。
〇岩渕誠委員 いずれ、ヘルステック・イノベーション・ハブは、早く工場を建ててそこから卒業してもらって、次々と入れていくということが大事なものですから、居心地よくてずっといられても困るので、早く事業化、大きくしてというところを期待したいと思います。
 次に、海外セールスについて伺います。
 昨年から、新型コロナウイルス感染症の収束に伴って海外セールスも本格化しているのだと思います。新年度でも、海外輸出力の強化事業の中で徐々に取り組みが出てきていると考えております。
 新年度のターゲットはこれまでとどう違うのか、そして、具体的な取り組みはどうなのかお示しください。
〇畠山産業経済交流課総括課長 ポストコロナ、アフターコロナを見据えた、いわゆる地場産品の今後の海外セールスのあり方についてでありますが、本県の海外展開に係る基本方針及びターゲット市場等は、2017年3月に策定されたいわて国際戦略ビジョン等におきまして、農林水産物、食品、南部鉄器等のいわゆる地場産品については、中国、香港、台湾を初めとした東アジアのほか、シンガポール、タイ、ベトナムといった東南アジア市場を重点的なターゲットとして位置づけております。
 新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大し対面での商談や渡航が制限された中で、県では、オンラインによる商談や中国国内のECサイトでのライブコマースなどを行うことによって県産品の販路拡大に取り組んできたところであり、いわゆる地場産品の輸出額は、2020年には一旦減少したものの、2021年には上昇に転じ、コロナ禍前の水準まで回復しているところでございます。
 また、毎年、本県がジェトロと共同で行っております岩手県貿易等実態調査によれば、直近の2021年において、地場産品の東アジア、東南アジア諸国への輸出額は約30億1、000万円となっており、これは地場産品の輸出額全体の約6割を占めております。
 このことから、県では、中国、台湾などの東アジア諸国とともに、東南アジア諸国についても引き続き重点市場と位置づけてまいります。
 そこで、令和5年度におきましては、農林水産部と連携の上、東南アジア市場における県産品のトップセールスを行い、さらなる輸出額の増加や販路の拡大に取り組んでいくこととしております。
 引き続き、東アジア、東南アジア市場を中心に、本物志向、そして品質重視の富裕層、さらには、今後の消費拡大が見込まれます中間所得層の需要も意識した取り組みを推進していくとともに、海外市場の経済状況あるいは需要動向……
〇佐藤ケイ子委員長 簡潔にお願いします。
〇畠山産業経済交流課総括課長(続) インバウンドの動向等を考慮しつつ、欧米市場への展開等の可能性も検討してまいります。
〇岩渕誠委員 端的に、東南アジアのトップセールスは、どこで何を売るという格好になりますか。
〇畠山産業経済交流課総括課長 現時点において、トップセールスの対象国につきましては、ASEANの主要国でありますマレーシア、シンガポールといったターゲットを想定しております。
 また、実施時期につきましては秋以降を想定しておりますが、これまでの実績も踏まえ、いわゆる農林水産物、加工食品あるいは工芸品といった地場産品のセールス、現地でのフェアといったものを想定しております。
〇岩渕誠委員 東南アジア、今、シンガポール、マレーシアという話が出ましたけれども、ここを足がかりにASEAN諸国はマーケットとして非常に魅力的だと思います。
 私は、その中で大きな役割を果たすのは、雲南の県の事務所だろうと思います。ここは地政学的に言っても、香港、上海、台湾、それから東南アジア、そして22世紀の主役になるインドと、非常ににらみのきく場所にあると思っております。ここをうまく活用することを真剣に本格的に検討していただきたいと思います。
 次の質問ですが、このコロナ禍の中で、県産品の販売あるいは観光対策の中で、かなりECサイトとか、そういうものを使った対策があって、県独自でもECサイトとかいろいろやってきたと思うのですが、問題は、そのデータをどう活用していくかということになるのだと思います。データ活用の現状についてお示しいただきたいと思います。
〇金野地域産業課長 県産品販売におけるデータ活用についてでございます。
 県産品の販売促進におきましては、ECサイト等から得られる情報の利活用は重要であると認識しております。県産品のプロモーションですとか商品開発に生かしていくことが求められていると考えております。
 コロナ禍での販路拡大を目的に立ち上げました買うなら岩手のものバーチャル物産展、こちらはECサイトになりますが、今般こちらをリニューアルオープンいたしまして、これまで取得が難しかったホームページの訪問履歴情報ですとか、訪問から実際の購入に至る割合などの情報を取得できるようになったところでございます。今後、県産品のプロモーションや商品開発に活用していきたいと考えております。
 ビッグデータの活用に向けましては、一層の研究が必要だと考えております。今般構築いたしましたいわて観光データ・マネジメント・プラットフォームも活用しながら、客観的なデータに基づいた県産品の販路拡大や満足度の高い商品開発に取り組んでまいります。
〇岩渕誠委員 ここがポイントだと思うのですよ。ビッグデータをかなり取り込めるような環境になっている。それで、今のいわて旅応援プロジェクトなどというのは県内向けですね。県内の人たちはどういう動向をしている、それから、県外客はどういう動向をしている、そして、インバウンドで来たお客さんはどういう動向をしている、これをきちんと分析して、それぞれ客層とターゲットと購買が違いますから、それを分析する力を持っていないとできないと思うのです。
 これはもう既にカード会社などは、クレジット決済のボリュームの中できちんと分析しているのですよ。これは、実はそういう分析商品があります。ただ、お金がかかるのですね。けれども、僕は、そういったところには金をかけて商品開発をしないと、ことしからコロナ禍の局面が変わるという中で、やはり個々の顧客にマッチした政策を打てないと思います。そういう意味では、そういう分析ツールというのはかなり重要な補助線になってくるのだと思います。
 お金がかかる話ですから、財政課総括課長に聞こうかと思ったのですが、この辺の認識は商工労働観光部長に聞きます。
〇岩渕商工労働観光部長 今、地域産業課長からも答弁したとおり、私どものほうでは、まずは、今回お金をかけまして、いわて旅の観光関係でデジタルマーケティングという考え方のプラットフォームを立ち上げて、一般質問でも答弁いたしましたが、そこで、今、宿泊情報に加えてクーポン券の利用状況なども入力しております。
 これをまずしっかりと活用していきたいということで、個々にそういうお土産の購入情報とか、インバウンドの方々が来たときにどういうものを買っていったかという情報のデータを蓄積して、そのためにはいろいろな観光関連事務所の協力が必要ですけれども、それをまずやっていきたいと考えております。一番早いのは、やはりビッグデータを取り込むということですが、そちらはまた、財政当局とも相談しながら、活用までできるかどうかということも含めて検討していきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 これはぜひやるべきだと思います。金がかかっても、絶対にリターンがありますから、ぜひ検討をお願いしたいと思います。
 最後に、移住、起業の関係でお聞きします。
 今回の新年度予算案を見ますと、若者、女性の起業対策というのが新たに出てきております。現状の中で、県内の起業全体の状況と起業に占める若者、女性の割合はどうなっていますか。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 まず、県内の起業状況につきまして、いわて県民計画(2019〜2028)では、雇用保険が新規に成立した事業所の比率である開業率を幸福関連指標に位置づけているところでございます。この開業率の動向でお答えいたしますと、本県の開業率は、平成23年度は4.5%で全国平均と同水準、平成24年度は4.9%まで上昇しましたが、その後は減少傾向にあり、近年はおおむね3%台で推移しており、これは全国平均を下回っております。
 次に、起業に占める若者、女性の割合につきまして、現在運用しているいわて起業家育成資金の創業資金の保証承諾実績に占める39歳以下の若者または女性の割合でお答えいたしますと、平成30年度からことし2月末までの合計で、件数ベースでは434件中282件で65%、金額ベースでは約22億円のうち約13億円で61%を占めております。
〇岩渕誠委員 これは、今、御紹介いただいたように、起業家のうち若者、女性の占める割合はそれなりだと思います。ただ、細かくデータを見ていくと、平成30年度には72%が若者、女性の割合だったのが、若干下がってきている。それから、金額ベースでは、8割を超えていたのが、今は6割ぐらいだということで、やはり女性、若者の起業支援は極めて重要だということがわかると思います。
 そういう中で、新年度の実質融資は、3年間だと思いますけれども、ゼロゼロ融資になりますね。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 来年度につきましては、委員から御紹介ありましたとおり、若者、女性を対象にし、無利子、無保証料の起業版ゼロゼロ融資という位置づけでございます。
〇岩渕誠委員 これは非常に思い切った政策だと思います。起業支援は伴走型の支援もありますけれども、ここでぜひ起業の固まりを7割とかに持っていっていただきたいと思います。
 最後に聞きます。移住の実績です。これも新年度かなりの強化策がとられると思いますが、実績と具体的な取り組み、目標値があればお答えいただきたいと思います。
〇三河定住推進・雇用労働室長 令和5年度から、移住支援金におきましては、子育て加算を30万円から100万円に増額することとしております。県独自のいわて若者移住支援金につきましては、新たに子育て加算を追加し、子供1人につきまして25万円を追加で支給することとしております。18歳から25歳の若者及び女性が移住した場合に、それぞれ5万円を加算することで、子育て世帯や若者、女性のさらなる移住促進を図ることとしております。
 なお、令和5年度のそれぞれの取り組みの目標につきましては、移住支援金は80件、いわて若者移住支援金は50件を見込んでいるところでございまして、移住相談窓口や移住イベントなどのさまざまな機会を捉えまして周知を図ってまいります。
〇岩渕誠委員 いろいろ御紹介いただいたように、若者、女性、それから移住支援というのは、新年度、新たな取り組みでかなり意欲的なのだと思います。
 今後、PR版がつくられると思うのですが、これに注文があります。個々のPR版をつくる傾向があるのですけれども、やはり商工労働観光部として1枚で完結すると。私はこういうものにできるのだ、こういうPR版の工夫をして、ぜひ活用につなげていっていただきたいと思います。要望して、終わります。
〇城内よしひこ委員 東日本大震災津波発生から12年がたちました。皆さんの懸命なお仕事のおかげで、沿岸部も復旧、復興は整ってきたところです。そこで、岩手県中小企業等復旧・復興支援事業費補助金の状況についてお伺いしたいと思います。これまでの実績はどのようになっているのか、まずお伺いしたいと思います。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 東日本大震災津波に係る岩手県中小企業等復旧・復興支援事業費補助金の実績につきましては、令和5年2月末現在で216グループ、1、573事業者に約919億円を交付決定しております。
 なお、今年度につきましては、申請はございませんでした。
〇城内よしひこ委員 沿岸部にあった事業所が、東日本大震災津波で2割が復旧しなかった、仕事を断念したということがこれまでもあるわけであります。その中で、このグループ補助も受けながら倒産と廃業、そういう状況に陥った件数はどれぐらいあるのか、お伺いしたいと思います。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 このグループ補助金を御利用になられた事業者の方の倒産の状況につきましては、令和5年1月末現在で21者となっております。また、廃業の状況につきましては、県に廃業届を提出した事業者の方が、令和5年1月末現在で27者ございます。
〇城内よしひこ委員 現場に住んでいる者とすれば、あそこもあそこもという形で、なかなか今大変な状況であります。特に水産業に関連する方々は、主要魚種が揚がらない中で大変な状況であります。
 そこで、その他の方々はこういったことが起きないようにしていただきたいと思うのですが、返済状況というのはどのようになっているでしょうか。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 グループ補助金は、補助率が4分の3でございます。4分の1は自己負担になるのですけれども、この自己負担相当額を無利子で貸し付ける高度化スキーム貸し付けという制度がございます。こちらを御利用になった事業者の方の状況で御報告いたしますと、貸し付けを受けた事業者は、令和5年2月末現在で344者ございます。このうち令和4年度までに340者が償還を開始しております。
 この償還が始まっている方のうち、返済期日の繰り延べなど条件変更を受けている事業者は58者、延滞している事業者は2者となっております。
〇城内よしひこ委員 まだまだ厳しい状況にあるわけであります。
 そこで、その返済で厳しい状況下に置かれる方々の傾向があるのかどうか、その辺、県で捉えているのか、お伺いしたいと思います。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 こちらの条件変更、償還を猶予されている方につきましては、割合でいきますと、貸し付けの金額が多かったので、その金額ベースでいいますと水産加工業の方が多うございます。また、件数ベースでいきますと小売、サービス業の方が多いのですけれども、やはりこれは、人口減少で対人サービス、対面型のサービスをされている方については、人が減るというところが厳しい状況にあるかと思いますし、先ほど委員から御指摘ありましたとおり、水産加工業は、さまざまな要因で苦しい状況にあると判断しております。
〇城内よしひこ委員 リスケもしていただいているのでしょうけれども、まだまだ先が見えない。特にコロナ禍になって、若干いいところもあるのですが、そうでないところが大半であります。
 そういった中を考えると、まさに、まだまだ支援をしていただかないといけない部分があろうと思います。ぜひ、今後倒産がふえないように、そして、廃業に追い込まないようにしていただきたいと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 先ほど御紹介いたしました高度化スキーム貸し付けを受けている事業者の方に関しましては、いわて産業振興センターを中心に、足しげく事業者の方に通いまして、その状況の把握あるいは対応策を打っております。例えば宮古市の事例ですと、ホテルのほうで、ホテルを紹介する動画をつくったりですとかきめ細かな支援を行っております。
 また、廃業の防止等につきましては、昨年度から行っております、いわて中小企業事業継続支援センターの取り組みを通じまして、商工団体、金融機関が一体となって、各事業者の実情に応じた対応策を今後とも打ってまいります。
〇城内よしひこ委員 ぜひよろしくお願いします。
 そこで、次に移るのですが、今も大分踏み込んでしまいましたが、全国旅行支援、東日本大震災津波で痛んだホテル関係、旅館関係が、復興特需で大分息をついてきた中で、コロナ禍がまた始まって厳しい状況にあります。
 そこで、全国旅行支援があるわけですが、県内の今後の予定と具体的内容があればお知らせ願いたいと思います。
〇千葉プロモーション課長 全国旅行支援についてでございますが、国の補助金を活用しまして令和4年10月から実施しており、現在は、いわて旅応援プロジェクト第4弾として実施しております。
 先週3月8日に国から、予算の繰り越しの手続を終えまして、全国旅行支援を4月以降も実施、継続することが可能である旨の通知を受け、本県では3月末時点で予算の執行残が見込まれますことから、先週金曜日、3月10日に、実施期間を3月末から、繁忙期であるゴールデンウイークの期間を除きまして、6月末まで延長したところでございます。
 東日本大震災津波からの復興という観点からも、沿岸地域の宿泊施設支援は大変重要だと思っておりますので、しっかりと予算管理をしながら支援をしていきたいと考えております。
 それから、内容につきましては、期間が延長しただけでございまして、これまでと同様の内容となっておりまして、割引率が20%、割引額の上限は交通費つき宿泊旅行が1人1泊当たり5、000円、その他の宿泊旅行日帰りなどが3、000円、それから、県内の土産物店などで利用できる電子クーポンにつきましては、1月から電子クーポンになっておりますけれども、平日2、000円分、休日1、000円分を付与するものとなっております。
 引き続き、全国旅行支援にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
〇城内よしひこ委員 沿岸部の宿泊関係者の方々は、大分これに期待感を持っています。そうは言っても、やはり4号線沿いに客が集まる傾向がありますので、それを沿岸部のほうにも引っ張っていけるような仕組みづくり、メニューも含めて一ひねりしてほしいと思うのですが、その辺の考えというのはあるかどうかお伺いしたいと思います。
〇千葉プロモーション課長 県では、全国旅行支援終了後もいろいろ事業を検討しておりまして、令和5年の当初予算案におきましては、三陸地域への誘客促進に向けた三陸地域を目的とした教育旅行を行う旅行事業者の支援でありますとか、三陸地域の宿泊施設で利用できるクーポンを造成する事業を盛り込んでおりますので、引き続き、沿岸地域の宿泊施設の支援に取り組んでいきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 いずれ、アフターコロナを見据えて事業展開をしていただかなければなりませんし、ただ、国等の支援がなくなって打ち切りという形になると、またそこで急に倒産に、あるいは廃業にということを考える方々もあるかもしれません。そういったことをぜひ防いでほしいと思っています。
 まさに、人口減少もしていますし、景気の活況がなかなか見えてこないというのがあります。そういったことを、沿岸部とすれば、被災して12年たって、本来であればもう通常ベースに戻らなければならないのでしょうけれども、なかなか戻らない状況というのがあるわけですので、ぜひ寄り添っていただきたいと思いますが、商工労働観光部長いかがでしょうか。
〇岩渕商工労働観光部長 特に、三陸地域のなりわいの再生につきましては、あらゆる産業を活性化させていかなければいけないと思っております。やはりその中で、私どもは観光と食産業を中心にやっていかないと三陸らしさが出てこないと思っておりまして、先ほどプロモーション課長が答弁したものに加えて、来年の冬季キャンペーンとかも、何とか三陸に人が行くような形というのは考えていきたいと思っております。
 三陸DMOセンターを宮古市に今年度移管しておりますので、市町村の方々とか観光関連、三陸の方々と一緒になって、本当に三陸の新しいまちづくりが進んでおりますので、その魅力を磨き上げて、発信して、人を呼び込めるようにという形をしっかりとやっていきたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午前11時6分 休憩
午前11時22分再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇吉田敬子委員 私からは、初めに、若者や女性が働きやすい環境の整備についてお伺いいたします。
 県では、取り組む具体的な施策方針の中で、若者や女性が働きやすい魅力ある雇用、労働環境の構築や、子育てと仕事の両立を図る家庭への支援ということで取り組みを進めるということであります。
 いわて働き方改革推進運動などを通じて、具体的にどのように取り組みを進めるのか、どのような成果となると期待しているのか、その取り組みで子育てと仕事の両立が進み負担軽減となるのか、お伺いいたします。
〇四戸特命参事兼労働課長 まず、若者や女性が働きやすい環境整備についての取り組みについてでございますけれども、これまで岩手労働局や市町村と3者で行っております安定的な雇用確保のための要請活動等を通じまして、待遇改善ですとか女性の活躍促進に向けた雇用環境の確保など、30を超える経済団体等への働きかけを行っておりますほか、いわて働き方改革アワードによりまして、仕事と家庭の両立を初めとしました働き方改革に取り組み、人材の採用、育成、業績の向上につなげている企業を表彰いたしまして、それら優良事例の普及拡大を進めているところでございます。
 こういった取り組みを通じまして、経営者の意識の醸成ですとか業界全体での機運の醸成が図られることで、さまざまな勤務制度の見直しですとか人事評価の見直し、人材の充実など、働く方が性別にかかわらず、ライフステージやライフスタイルに応じて、希望の働き方ができる労働環境が進むことを期待しているところでございます。
 また、子育てと仕事との両立につきましても、経営者の意識醸成とか業界全体の機運醸成が必要であると考えております。離職率の高い業種にありましても、子育てや出産を理由とした離職がゼロという企業とか女性の勤続年数が長い企業もございます。こういう企業も出ておりますことから、引き続き、いわて働き方改革運動を展開いたしまして優良事案の普及を進めてまいります。
 また、令和5年度につきましても、県内の中小企業が取り組む柔軟で多様な働き方の実現、休暇取得を促進する取り組みの支援策についても盛り込んでおります。
〇吉田敬子委員 私がいつも課題として挙げているのが、両立支援の中でも家事、育児負担が多いということを、常にいろいろなアンケートで挙げていることです。
 家庭のために女性が支払う代償のことを母親ペナルティーとも呼ばれておりますけれども、子供が1人いる女性が生涯に稼ぐ額は子供のいない女性に比べて28%少ないという指摘もされていたり、子供が1人ふえるごとにこの額が3%ずつ減っていくという調査も出ております。これは、妊娠、出産を機に退職して、融通がきくパートや、正社員でも時短勤務など育児と両立しやすい環境を求めることが背景にあります。
 県では、経済的に厳しいところに対して、保健福祉部等で、例えばいろいろな経済的支援を来年度盛り込んでいますけれども、望んでいる子供の人数と現実に差があると考える人を対象にその理由について聞くと、1位は経済的に厳しいということで、その理由の経済的に厳しいというところは男女の差がないのですけれども、2位に必ず上がってくる家事、育児の負担が重いというところに対して、家事、育児の負担が重い、これを挙げる女性は男性の2倍になっているということです。やはり家事や育児は今も女性に負担がかかっていて、仕事に影響する傾向がうかがえるわけでありまして、この部分について、家事、育児サービスの提供とかといったことに取り組んでいかなければいけないと私は思っているわけです。
 例えば、保健福祉部でもさまざまなサービス等を提供しておりますけれども、実際にいわて働き方改革推進運動では、家事、育児の負担が重いことについての、働き方改革はそのとおりですが、実際のその部分に対するサービスの提供等についてはどのような議論がなされているのか、それについての御所見をお伺いしたいと思います。
〇四戸特命参事兼労働課長 私自身も家事、育児をしながら子育てをした立場でございますけれども、具体的に、いわて働き方改革の運動の中では、家事、育児のサービスの提供ということまでは、まだ議論というような中身は詰められておりません。
 ただ、やはり首都圏等であれば、さまざまな家事、育児のサービスもスマートフォン一つですぐできるようなことも、地方においてはそこまでは行っていないですとか、核家族化でそういうサービスを受けたい方も出てくるという需要もございますので、今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
〇吉田敬子委員 まさに、保健福祉部でもそういった議論にはなるのですけれども、では、その部分に対して担当部局がどこになるのかというところの議論なのかと思っておりまして、私自身は、やはり仕事と育児の両立という部分で、商工労働観光部が担うところ、まさに働き方改革の部分で、ぜひ議論を進めていっていただきいと思っております。先ほど四戸特命参事兼労働課長からも深めていきたいという御意思を伺いましたので、ぜひそこは、今後、自然減、社会減の中で、必ずここの負担軽減、先ほどおっしゃいましたように、首都圏だと家事、育児サービスが、ベビーシッターも含めて選択肢があるのですけれども、その部分についての今後さらに利用しやすい環境も含めて、ぜひ御検討をお願いしたいと思っております。
 その中で、不妊治療の休暇制度等の導入事業者数を来年度目標値として掲げていただいたことは、大変評価いたします。県内のそういった制度を導入している事業者が、令和3年実績で二つの企業だというところを、令和8年は県内で60企業にふやすというところで、やはりそういう制度を利用できるような環境になったことだけでなく、それを利用しやすい環境というところで、かなり踏み込んでこのように商工労働観光部が取り組んでいただくことは大変ありがたいと思っております。
 その具体的な取り組みとしては、どのような取り組みを検討されているのかお伺いいたします。
〇四戸特命参事兼労働課長 不妊治療制度の導入事業者数の指標設定につきましては、保健福祉部での指標設定でございます。
 その上ででございますけれども、不妊治療の制度導入の支援についてということで、令和4年度の企業・事業所等実態調査を見ましても、不妊治療の休暇制度を設けている事業所は7.3%ということで、令和2年度の調査から少しはふえているのですけれども、まだ支援制度の導入、活用は進んでいない状況でございます。これは、私どもで休暇の実態調査も行いましたけれども、同様な傾向がございました。
 ただ、このように子供を持つことを希望する方が治療に専念できる職場の意識醸成ですとか休暇制度の導入につきましては、不妊治療と仕事を両立できる環境づくりの促進が必要であると認識しております。
 私どもといたしましては、実際に休暇制度等利用実態調査を行ったものの結果のフィードバックとあわせまして、改めてこの不妊治療への職場の理解ですとか休暇制度の整備につきまして働きかけを行ってまいりたいと思います。
〇吉田敬子委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。
 先ほど岩渕誠委員からは、若者、女性起業家支援の取り組みについての議論がありまして、来年度力強く取り組まれていくということは大変いいことだと思うのですけれども、女性起業家の子育てと仕事の両立支援について、どのようなものがあるのかお伺いしたいと思います。
 私は、起業家をふやすことは大事だと思いますけれども、やはり県内で起業された経営者の女性のお話を聞くと、実際に妊娠、出産する際の制度で、従業員が利用できるものはあるけれども、経営者になると利用できない。ましてや、育休、産休というものがあるようでないような状態の中で、ベビーシッターを自分の会社に連れてきたりとか、もしくは自分がいないところになかなか代替の方を置くというのが難しいということを聞いております。
 ぜひ女性経営者の方への妊娠、出産、子育て等の支援について、しっかり取り組んでいただきたいと思っておりますけれども、現在の御所見をお伺いしたいと思います。
〇四戸特命参事兼労働課長 委員御指摘のとおり、女性の経営者やフリーランスの方につきましては、通常の労働者が取得可能な産前産後休暇ですとか育児休業制度もございませんし、代替職員の方を配置するような制度もございません。そういうことで、確かにやむを得ず早期に仕事に復帰なさるとか、あと、子育てと仕事の両立に金がかかるというケースは想定されるところでございます。本当に、出産、育児期でも活躍できる環境の整備が事業継続の上で重要だと認識しております。
 私どもでも、経営者の方に特化してというところは、今までそこまで踏み込んだものはございませんで、国では、起業家の支援ということで、お話しあったようなベビーシッターの派遣を行っているところもございます。先ほどの答弁の繰り返しになりますが、首都圏では、そういうサービスは使いやすいけれども、地方によってはサービスが使いにくいという状況もあります。
 国におきましても、少子化対策ということで支援制度を充実する検討が進められておりますので、こういった動向も注視しつつ、県内の女性経営者の方などの御意見を伺いながら、今後検討を進めてまいります。
〇吉田敬子委員 ぜひ、経営支援課と一緒にそのように取り組んでいただきたいと思っております。
 次に、観光振興についてお伺いしたいと思います。
 ニューヨークタイムズの2023年に行くべき52カ所のうちの2番目に盛岡市が取り上げられたということで、大変うれしいと思っておりますけれども、その中で、来年度も県で、さまざまな外国人観光客の誘客、周遊促進に要する経費も補正予算でつけられておりまして、インバウンドに対する取り組みはやられていると思っております。
 観光庁でも、やはりツーウェイツーリズムということで、インバウンドとアウトバウンドを同時にやっていかなければいけないのではないかということを、観光庁でそういった議論がなされておりますけれども、私自身は、インバウンドをふやすだけでなく、アウトバウンドをふやす取り組みも重要と考えております。そういった海外旅行、海外滞在の経験が日本を訪れるインバウンド旅行客の対応にも実際役立ちますし、グローバル経験不足によるインバウンド対応の品質低下にもつながるのではないかといった議論も観光庁の中でされております。
 日本人の国際感覚の向上や外国人との相互理解を集めることがインバウンド事業への貢献ともなると考えておりますけれども、県のアウトバウンドに対する取り組みと所感をお伺いいたします。
〇高橋観光・プロモーション室長 県のアウトバウンドに対する取り組みについてでございますが、基本的に、インバウンドとアウトバウンド、インバウンドについては観光・プロモーション室が対応しておりまして、アウトバウンドについては、ふるさと振興部の交通政策室の空港振興担当が所管しており、主に連携しながら進めているというのが基本でございます。
 委員御指摘のとおり、インバウンド誘客を進めるに当たっては、日本人の国際感覚の向上や外国人との相互理解を深めることが最も重要な視点でございまして、観光庁におきましても、観光先進国実現のためには、インバウンドとアウトバウンドの双方向の人的交流を促進させることが重要としているところでございます。
 また、日本と海外の双方向の人的交流を進めて相互の観光交流を進めることが、いわて花巻空港の国際定期便の安定的な運航につながるとも考えております。
 ふるさと振興部におきましては、本年5月に運航を再開する花巻-台北線の安定的な運航を図るために、各種媒体を活用したプロモーションや台北線利用者へのパスポート取得支援などを実施すると聞いておりまして、こうした取り組みとも連動し双方向の交流促進に取り組んでいきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 ふるさと振興部の審査では、まさに、パスポートの保有率についての課題を取り上げさせていただきました。2023年、日本人17%、岩手県は全国の下位に当たる7%にあるということについて、コロナ禍も影響しているということで、更新もされていないのももちろん全国的にだと思うのですけれども、インバウンドだけでなく、しっかりアウトバウンドも同時にやっていくということがある中で、特に若者の海外に向けた旅行も含めた飛行というのが最近減っていると感じています。
 誘客促進だけでなくて、こちらにいらっしゃるだけでなく、旅行の促進を図るというツアーへの補助も始めてもよいのではないかと私自身は思っておりますが、所感をお伺いしたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 本県のパスポート保有率についてでございますけれども、外務省の旅券統計から有効旅券数と、国勢調査における人口数から所持率を試算すると、コロナ前の令和元年においては、全国平均23%に対し、本県は約10%、コロナ禍の令和4年においては、全国平均17%に対し、本県は7%となっており、委員御指摘のとおり、いずれも全国平均を下回っているところでございます。
 このことは、海外に行く予定が他県よりも少ない、あるいは海外とのかかわりが他県よりも少ない傾向があることを示しているのかもしれませんけれども、このことについては、所管である国際室のほうに委ねたいと思います。
 いずれ、海外渡航するに当たっては何らかのきっかけが必要であると考えておりまして、ふるさと振興部においては、高校生の海外派遣、海外で活躍する本県出身者と児童生徒とのオンライン交流など青少年を対象とした事業の実施、また、在住外国人との交流イベント等を通じて、県民の皆様に海外に関心を持っていただけるような機会を持っているところでございます。
 旅行促進を図るための方策という点につきましては、先ほどもお話ししました、ふるさと振興部においての台北線の利用者へのパスポート取得支援などを実施すると聞いておりますけれども、こうした取り組みはもとより、観光庁で検討しているアウトバウンドの活性化に向けた方策のその後の動向も注視しながら、双方向の交流に取り組んでいきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 今月に入って、ニューヨークタイムズ紙に取り上げていただいたクレイグさんが、盛岡市推薦の背景をつづったニュースレターの和訳を岩手県で作成されて、盛岡市民、県民の方から、大変しなやかな、繊細な雰囲気をしっかり和訳にされたということで、私もそういった言葉をいただきました。グローバルに活躍されている職員がいらっしゃるということで、改めて感銘を受けました。
 そういった職員の方々もしっかり活用しながら、ぜひインバウンドだけでなくアウトバウンドの対策を、クレイグさんが、なぜ盛岡市のこういったところによさを感じたかというのは、その方だったり、外国人の方ではないとなかなか100%は理解しがたいかもしれないのですけれども、やっぱり私たち自身も、海外に行って見ることで、さらにそのよさということも気づくきっかけが多いかと思います。
 インバウンドだけでなく、今後は、観光庁で進めているということでありますので、ふるさと振興部だけではなく、こちらの商工労働観光部でもしっかりアウトバウンド対策を、ぜひ両方向の取り組みをしていっていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
〇千葉秀幸委員 私からは、コロナ禍によって多くの中小企業が疲弊していると思いますので、その辺についてお伺いしていきたいと思います。
 改めて、コロナ禍で3年が経過いたしましたが、この間、新型コロナウイルス感染症の影響によって、本来借りる必要もない融資を受けざるを得なかった企業であったり、あるいは業績が順調に推移していたけれども落ち込んでしまった企業が多くあると思っておりますし、まだ、今もなお続いているところがあると認識いたしております。
 令和5年度もどう企業を支援していくのか、支援策について伺いたいと思います。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 令和5年度における中小企業支援策でございます。
 中小企業者を取り巻く環境は、3年に及ぶ新型コロナウイルス感染症の流行に加えまして、昨年来のエネルギー、原料価格の高騰が継続しておりまして、厳しい経営環境にあると受けとめております。
 このため、さきに議決いただきました令和4年度岩手県一般会計補正予算(第9号)によりまして、トラックや貸し切りバス事業者に対する支援、原油高、物価高騰により経営に影響を生じている中小企業者等に対する支援金支給事業をまずは実施いたします。
 さらに、令和5年度当初予算案では、資金繰り支援としての融資の充実、生産性向上を実現するための伴走支援、事業承継者の新分野進出への支援のほか、いわて中小企業事業継続支援センター会議構成機関によります伴走支援などを盛り込んだところでございます。これらの事業を有機的に連携させつつ展開することで、コロナ禍、物価高騰の課題を乗り越えまして、地域経済を牽引する中小企業のさらなる発展を応援してまいりたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 先ほど、いわて中小企業事業継続支援というお話も出てきました。支援センターについては、後ほど確認も含めて触れさせていただきたいと思っておりますが、まずは、コロナ禍で新型コロナウイルス感染症対策資金ということで融資として多くの支援をしたと思いますが、その新型コロナウイルス感染症関連融資の実績についてお示しいただきたいと思います。
 その中で既に返済が始まっている企業もあると思っておりますが、例えば、延滞者等がどの程度いるのかについてもお示しいただきたいと思いましたし、それについて、そういったところへのサポート体制についても伺いたいと思います。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 令和3年5月末まで実施しておりました新型コロナウイルス感染症対応資金、いわゆるゼロゼロ融資の状況でございます。累計で1万2、110件の事業者の方に利用されております。このうち、令和5年1月末までに、全体の約6割となる6、726件について返済が開始されております。
 また、延滞数の捉え方でございます。これは、岩手県信用保証協会が、融資をする際に保証承諾をしますが、これの状況についてお答えいたします。
 こちらで借入金の返済が滞る状態、いわゆる事故として取り扱っておりますが、この件数で御説明いたしますと、岩手県信用保証協会が保証承諾しました事故の受け付けは、2月末時点で351件、これは対前年比で89.8%と減少しております。ただし、これについては、延滞をされた事業者の方の単位で集計しますので、例えば新型コロナウイルス感染症のゼロゼロ融資のみで幾らかというのは、制度上集計ができないので、全体の傾向としてお捉えいただければと思うのですが、繰り返しになりますけれども、岩手県信用保証協会で延滞事故となったものが351件、これは前年比で89.8%と減少している状況でございます
 サポート体制につきましては、延滞になる前に、例えば返済の金額を減らすとかといった条件変更につきましては、金融機関、商工団体と連携しまして、柔軟にそのあたりは対応しております。先ほど御紹介いたしました中小企業継続支援センター会議の中で、各地域単位でもそういった支援機関による集まりも設けておりますので、個別事業者の方の実情に応じまして、どのように返済を減らしていくか、あるいは返済できるように新たな取り組みをしていくかといったことをトータルで支援しております。
〇千葉秀幸委員 借りかえ等さまざまな方策があると思いますので、ぜひとも歩み寄りながら対策を進めていきたいと思います。
 この間、私も金融機関とお話しする機会も多々あったわけですが、これからの時代は、例えば、飲食店に例えますと、そもそも20人集客する規模でやっていたけれども、やめるということではなく、そこでもっと頑張りたいということから10人規模に縮小するとか、あとは、キッチン、カウンター等が広かったけれども、これからは、賃貸の問題もあったりしますから、移転して新たにまた頑張りたいということで、新たな生活様式の状況にも対応しながら事業継続していきたいと前向きに捉えている方々もいると思います。
 ただ、一方で、そのとおり融資額を満額借りているということから、改めて頑張っていきたいという志があっても、前向きな融資に対しての支援がなかなかないということで一歩踏み出せずに苦労されている方々もいると思うのです。そういった方々にも寄り添いながら、今後も前向きな融資を検討していく必要があると思いますが、認識について伺いたいと思います。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 国のほうで、ことし1月から新たな借りかえ制度、借りかえ保証というものをつくりました。これは、コロナ禍でお借りした借入金に加えて、新たな取り組みをする場合の融資も含めて一旦借りかえますので、返済期間が延びたりとか、そんなことができるのでございますが、そのように、既存の借金をさらに延ばすのに加えて、新たな取り組みについても保証しましょうという制度が始まっております。岩手県でも1月初めから運用しております。
 委員から今お話のありましたような前向きの投資に係る資金調達につきましては、制度を御用意しております。ただ、なかなか一足飛びにそこまでいかないということもあると思いますので、商工指導団体や金融機関で、個々の事業者でどういった事業計画をつくっていくか、しっかりとした事業計画、必要に応じて国の補助制度なども活用しながら、そういった前向きの投資に対する支援体制をさらに充実強化していきたいと思っております。
〇千葉秀幸委員 飲食店が違う新たな事業に展開しなければいけないなどとなるとハードルが高かったりしますから、その辺はできる限り御理解いただいて、お支えいただきたいと思っております。
 先ほどいわて中小企業継続支援センターというキーワードも出てきたわけですが、改めて、この支援センターの取り組み状況はどうなっているのでしょうか。例えば、融資の御相談をいただいたところに対して御助言をする、あるいは、ここまで融資枠で借りられるというところまで掘り下げて、その辺の対応までいただけるのか、この辺について伺いたいと思います。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 ただいま委員から御紹介いただきました、いわて中小企業事業継続支援センターにつきましては、国、県、金融機関、商工指導団体、産業支援機関等が構成員となっております。
 その中で、例えば釜石地区の事例でございますけれども、釜石市の事業所が新たな取り組み展開をしたいという御相談に対しまして、まずは、商工会議所で詳細な事業計画の策定支援を行いました。そして、その際に国の補助金の活用を検討したのでございますが、どうしても自己負担分が出てくることに関しては、金融機関がそこにうまく金融機関の融資を充てていくといった形で、事業計画づくりと資金調達セットで、複数の支援期間が連携して支援しているような事例がございます。
 これは前向き投資の場合でございますけれども、また、あるいは少し返済が厳しい、状況が厳しいのだという事業者の方に関しては、やはり当面の資金繰り、あるいは中長期的な資金繰りなども支援機関、金融機関が連携しておつくりになり、例えば、こういったコストを減らそうとか売り上げ拡大のための何かをしようといった取り組みを、事業者ごとに御支援するような体制を整えております。
〇千葉秀幸委員 いずれ、繰り返しになりますが、引き続き地域のため、あるいは事業のためということで、若い方も含めてこれからも頑張りたいと思っている方々がいらっしゃいますので、そういったところへの歩み寄り、あるいは支援も含めて、よろしくお願いしたいと思います。
 それからもう一点、いわて移住・定住促進事業についても少し確認させていただきたいと思います。
 いわてとつながろう働く魅力発信事業が、令和5年度、新規事業として盛り込まれたわけですが、詳細と県が求める成果についても伺いたいと思います。
〇三河定住推進・雇用労働室長 まず、本事業につきましては、令和5年度から新たに高校生や大学生の県内就職やU・Iターン就職を促進することを目的といたしまして、大学生の県内企業でのインターンシップを促進するため、県就職マッチングサイト、シゴトバクラシバいわてにおきまして、インターンシップ情報を特出しするとともに、検索性を高めるためのサイト改修を行うことや、高校生、大学生を対象にシゴトバクラシバいわて内に、県内企業人へのインタビュー記事など、岩手で働く魅力、価値を紹介する新たなコンテンツを掲載したページを設けることとしております。
 このようなことを通じまして、県内外への情報発信を強化していこうとするものでございます。
〇千葉秀幸委員 御存じのとおり、今はネット社会でございますので、U・I、戻ってきたい方あるいは就職を考えている方も含めて、本当に携帯電話を通じてほぼ検索できる時代となっております。そこにおくれず取り組んでいただく事業だと思っておりますので、積極的によろしくお願いしたいと思いますが、そのホームページから企業に飛んだりすることというのもできるようになるのでしょうか。あるいは、相談した方へのその後の、例えば、岩手県に戻って定着しているとか、そういったところまで把握する必要があると思っております。そうでないと、今後、このサイトも含めて有効なのかどうか、あるいは成果、評価も難しいのではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
〇三河定住推進・雇用労働室長 今回改修しますホームページにつきましては、各企業ごとの情報を発信するページに飛ぶような形にしておりまして、より詳細な情報を検索した方が手に入れることができることになっています。
 それらの情報を通じまして、県内に戻ってきて就職したということにつきましては、サイトを管理しておりますジョブカフェいわてで、その後どうなったかというフォローをさせていただくことになっておりますので、就職したのか今回は諦めたのかということも、しっかり分析できるようになっております。
〇千葉秀幸委員 その分析については非常に大切だと思いますので、その結果についても、今後、私も注視しながらやらせていただきたいと思っております。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時55分 休憩
午後1時2分再開
〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇神崎浩之委員 中小企業への新型コロナウイルス感染症対応、物価高騰対応における本庁、広域振興局の行動はどうだったのかお聞きしたいと思います。
 先日のふるさと振興部の答弁で、広域振興局は、戦略的な産業振興が重要な任務であるということでありました。では、この未曽有の災害であるコロナ禍にあって、広域振興局の経営企画部は事業者支援にどう動いたのかお伺いいたします。
 県北広域振興局は久慈、二戸、それから、沿岸広域振興局は釜石、宮古、大船渡と経営企画部門があるわけですが、県南広域振興局は花巻、遠野、北上、一関から経営企画部門を引き離し水沢に集約したということであって、一般質問でも指摘させていただきました。物理的に集約したのであれば逆に出向きなさいということでありますが、広域振興局職員は、本庁の皆さんにかわって市町村へ出向いて、商工指導団体へ出向いて、企業へ訪問し、そういう活動をしたと思いますけれども、実態把握の件数、訪問での相談の件数はどうであったのかお伺いいたします。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 このコロナ禍におけます広域振興局の対応でございます。市町村、商工指導団体、金融機関と管内の中小企業者の状況を共有するための会議も開催いたしておりますし、企業訪問を通じて、事業者の支援ニーズの把握、相談対応を行ってまいりました。
 令和4年度の実績でお答えいたしますと、四つの広域振興局合わせまして約390弱の相談件数、訪問等をしての相談を受け付けております。
〇神崎浩之委員 会議とかではなくて、実際に足を運んで、疲弊している飲食店やホテルに行ったり、そういう訪問での件数はどうだったのか。また、それを受けて、局内で、部内で検討状況とかの数はどうだったのかお伺いしたいと思います。
 本庁は、当時は疲弊している飲食店に対して、安心なお店みたいなことでいろいろと企画、組み立てをしていて、本庁から実際のお店に出向くことはなかなか厳しい状況であって、逆に広域振興局であれば、そういう現場の実態を訪問して把握していると思いますが、どうだったのか。
 それから、現場に足を運んで現場の地域の課題を把握し、本庁に課題を上げて施策につながった事例はあるのかどうか。広域振興局が実際に店舗に行って声を聞いて、それを広域振興局で共有して、その課題を本庁に上げる、そして、それが対応された事例はあるのか、お伺いしたいと思います。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 先ほど390弱の相談件数と申し上げましたが、こちらは企業訪問も含めてということでございましたが、その内訳については、済みません、今、手元にない状況でございます。
 そして、委員から今お話もございましたとおり、広域振興局では、岩手県の飲食店の認証店などを積極的に回っているという状況でございます。
 そして、まずは広域振興局単位では、この取り組みで収集した情報をもとに、地域経営推進費を活用しまして、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた飲食店の販路拡大あるいは観光誘客の事業を行ってきているところでございます。
 本庁では、これらの情報を共有しまして各種支援施策、具体的には、事業者のお困り事など、あるいは苦境の状況などの分析を踏まえまして、地域経営支援金の支給事業、ゼロゼロ融資などの直接的支援につながった事例、あるいは消費喚起ということで、プレミアムポイント還元キャンペーンなどの需要喚起策等、さまざま支援策に生かしておりますとともに、国への要望等にも、地域の実情ということでこれらのお声を上げているところでございます。
〇神崎浩之委員 広域振興局の基本方針である産業の連続性、産業振興、より質の高い住民本位の行政サービスというように、ふるさと振興部では、特に皆さん方商工労働観光部所管の役割が非常に多いという答弁であるようでありました。
 そこで、コロナ禍も含めて、これから物価高騰対策は、残念ながら当面続いていくような感じもありますので、ぜひとも地域で悲鳴を上げている事業者、地域の事業者の利便性の向上とか地域課題に即した実効性の高い施策の展開ということを皆さん方はうたっておりますので、こういうことはどうやられているのかお伺いしたいと思います。
 また、本庁商工労働観光部から、今回のコロナ禍において広域振興局に対してどんな指示をしたのか、教えていただきたいと思います。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 事業者の利便性向上あるいは地域課題に即した施策の事例ということで、一つ事例をお話しいたしますと、一昨年度、コロナ禍で国道107号の通行どめによりまして西和賀地区の事業者の方は大変お困りになっておりました。まずは、県南広域振興局で職員向けの販売会を開催したという動きがありました。それを受けまして、本庁で、それでは広く販路を広げていこうということで、いわて銀河プラザで販売会をしたということです。まずは広域振興局の所管の範囲での販路開拓、そして、それを本庁で受けての首都圏での販路開拓といった事例はございます。
 このように、各広域振興局での課題については、経営支援課のみならず、商工労働観光部全体で、各室課で共有いたしまして、展開ができるものに関してはこのような事例を行っているところであります。
 そして、どのような指示をしたかということでございますけれども、まずは、未曽有の事態でございましたので、私どもでも、例えば家賃支援ですとか休業補償ですとか、さまざまな支援策を矢継ぎ早に展開してまいりました。まずは、これらの支援策をきちっとお伝えできるようにということで、これは経営支援課に限って言いますと、商工会、商工会議所という組織もございます。そういった方々と連動しながら、あるいは、広域振興局を通じて各種補助金を出すということもやっておりましたので、まずは、そういった支援施策が円滑に運用できるように、進むようにということをお話ししつつ、繰り返しになりますけれども、状況把握に関しましては、広域振興局が主体となって動いて、それらの情報を集めて共有してきたという状況でございます。
〇神崎浩之委員 東京事務所の件は、実は最後の最後に聞こうかと思ったのだけれども、ありがとうございました。
 このコロナ禍の中で、私も市町村首長、それから商工会議所を回りましたけれども、県のほうは来てたすかと言ったら、来てねえって、期待してねえみたいな、そういう言い方もされて非常に残念だと。
 逆に私は、広域振興局の職員が現場を回って、こういう制度がありますよ、商工会議所に行きましょうみたいな、事業者があって、商工会議所があって、広域振興局があって、県があってではなくて、やはり広く歩いて、逆に、市も商工会議所も届かないような部分まで拾い上げるようなことぐらいやっていただきたいと思っています。
 次に、観光振興についてお伺いしたいと思います。
 ニューヨークタイムズ紙が盛岡市を2番目にというすばらしいニュースが届いたわけでありますけれども、この上なく実にすばらしいことで、市内外でも外国でもびっくりしている。青天のへきれきというような、これは青森県のブランド米なので余り言いたくないですけれども、まさに青天のへきれきだったと思っております。
 最初に、商工労働観光部長にお伺いしたいのですが、喜ぶのはよいのだけれども、これについて岩手県が、知事が頑張ったわけではなく、盛岡市、市民というよりは住民、商店というよりは商家とか、昔ながらのお店屋さん、それから地域が頑張ったと思っております。便乗して、遅まきながら県も予算化しようとしているわけです。
 一方、さまざまな全国のランキングがある中で観光に行きたい県ランキングというのがあって、これは、例えば、2021年は岩手県は29位、それから魅力度ランキングというのがあって、これも岩手県は大体30位、それから31位ということです。一方、盛岡市は、ことしは世界で2番目ということがあるのです。
 こういう盛岡市の大金星に対して、私が今述べた岩手県の30位クラスの評価について、部長の感想をまずお伺いしたいと思います。
〇岩渕商工労働観光部長 まず、今般のニューヨークタイムズ紙で、ロンドンの次に盛岡市が掲載されたことは、大変喜ばしいことだと思っております。
 盛岡市を推薦したクレイグ・モド氏でございますけれども、先ほど吉田敬子委員がニュースレターの話などをされておりましたが、その中で、盛岡市を推薦した理由として、コロナ禍の一番厳しかった日本の水際対策が緩和する中で、日本のどこかをまずは推薦したかったということでございました。それで、推薦するときにまた、いろいろなところを歩いていて、京都とか有名な観光地ではなく、頑張っている中核都市、元気な中核都市、特に、まちを歩いて、若者とかを含めて元気に頑張っている盛岡市が印象に残ったということで、盛岡市を真っ先に推薦したという経緯でございました。そういうお話を伺いました。そういうレターが出ております。
 まさにそのとおりだと思っておりまして、盛岡市は、歴史が残っている部分もありますので、そういう意味でも確かにあると思っております。こういうことは、一関市を含めまして県内各地にそういう状況があると思っておりますので、地域の個性が残っているまち並みとかありますので、これは盛岡市に限ったことではないと思っております。我々は、選ばれた理由とかをきちんと分析しながら、全県に波及するようにぜひ努めていかなければならないと考えております。
〇神崎浩之委員 私の質問は、盛岡市のすばらしさではなくて、一方、岩手県が30位だという報道をどう思っているのかということを聞きたかったのですが、これはいいです。そういうふうに自覚をしていただきたいと思います。
 岩手県は、御所野遺跡の三つ目の世界遺産、三陸沿岸道路の開通、それから、一番大きいのは、コロナ禍でもGo To トラベルは岩手県だけ続いたということで、岩手県の観光に追い風は吹いていたと思っています。こういうことは、いずれも広域で展開する資源ですね。単独の市町村の問題ではなく広域で展開することが重要ですし、まさに、それは県の役割ではないかと思っております。
 そこで、県は、こういう旅行プランや旅行商品開発をみずからも検討して、企業等へ提案や関係団体と突っ込んだ企画をした例はあるのか、お伺いしたいと思います。
 例えば、盛岡発御所野遺跡周遊パックとか、御所野はいいのだけれども、どうやって盛岡市から行けばいいのだとか、それから、三つの世界遺産を回る周遊パックとか、震災教育旅行誘致、三陸沿岸道路寄り道ツアーとか、私が勝手に考えているのですけれども、道路はいいし道の駅もないし、びゅーっとそのまま突っ走られたら困るので、どうやって寄り道してもらうかとか、そんなこともあるのですが、こういう県としても突っ込んだ企画、そして提案みたいなことがあるのかお伺いしたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 旅行商品造成についてでありますけれども、県ではこれまで、民間企業等と連携いたしまして、世界遺産や震災からの復興関連施設を活用した旅行商品の造成やモニターツアーなどを実施しているところでございます。
 昨年7月に世界遺産1周年を迎えました御所野遺跡をテーマに、JR東日本と連携して、大人の休日倶楽部の層をターゲットといたしました旅行商品や、本県が有する時代の異なる三つの世界遺産をつなぐ旅行商品の造成などを行っているほか、岩手県東京事務所と連携いたしまして、震災学習や農家民泊、世界遺産などを中心に、首都圏の学校、旅行会社への訪問や招請を行うなどの教育旅行の誘致も行っているところでございます。
 このほかにも、三陸の震災、復興学習、体験プログラム、食、宿泊などを組み合わせた商品の造成や、八幡平市の地域資源を活用した企業研修型のワーケーション開発、沿岸地域や北岩手の観光コンテンツと宿泊を組み合わせた高付加価値化を図るモニターツアーなども実施したところでございます。
 今後も、ニューヨークタイムズ紙に盛岡市が取り上げられたことを契機に、民間企業と連携した旅行商品の開発を進めるとともに、令和6年1月から3月に予定しています冬季観光キャンペーンにおきまして、三陸DMOセンターなどと連携して、誘客促進につながる旅行商品の造成を支援していきたいと考えております。
〇神崎浩之委員 さきほど、県の東京事務所の話があったのですが、先日、野球で大谷翔平選手、佐々木朗希選手が登板したときに、あるテレビ局が東京都のいわて銀河プラザに取材に行っているのですね。私はたまたま見たのですけれども、それはそれでいいのですが、実はお客さんが空っぽだったのです。こういうことだと思うのね。もう、マスコミは食いついていきますけれども、それにやはり常に対応できるような東京事務所の活動であってほしいということなのです。
 この間、本庁の商工労働観光部と県の東京事務所はどんなやりとりをされたかと、あとは、新型コロナウイルス感染症の感染者がずっとゼロだったということで、これは、例えば銀河プラザでも売り上げが上がったのではないかと思うのですが、感染者がゼロの県、岩手県の商品ということで、わかる範囲でいいですけれども、県の東京事務所の動きについてお伺いして、終わります。
〇高橋観光・プロモーション室長 今年度1月から3月まででございましたけれども、県や市町村関係者が連携いたしまして、特に、県の東京事務所と連携いたしまして、スキーなどのウインターリゾートや三陸の冬の食などをテーマに冬季観光キャンペーンを開催しました。その際には、いわて銀河プラザを核といたしまして、これを活用いたしまして、本県冬季観光の魅力発信や県内を周遊、滞在する旅行商品造成支援などを実施してきたところでございます。
 そしてまた、先月の2月23日にも、盛岡市長と知事によりますプロモーションをさせていただいたということで、県の東京事務所と連携した取り組みはいろいろと進めているところでございます。今後もそういった活動は続けてまいりたいと考えております。
〇金野地域産業課長 いわて銀河プラザの売り上げ等に関してでございますが、昨年、令和4年12月末までの売上高に関しましては3億6、093万円と、これは前年同期比で109.5%、前々年同期比で134.9%となっております。
 それから購買客数、実際にお買い物をされた方の数になりますが、こちらも同様に、昨年12月末で13万9、789人、前年同期比で112.5%、前々年と比べますと136.9%ということで、いずれも前年度、それから一昨年度を上回った数字となっております。
〇佐々木朋和委員 まず、自然減対策に資する商工労働観光部の取り組みについて伺いたいと思います。
 本県の令和3年度の合計特殊出生率が1.30ということで、その改善のために、特に女性の家庭や職場での負担軽減が必要だということは、この議会の中でも取り上げられてまいりました。
 今般の予算案を見ても、子育て支援そのものについては、産後ケアの充実ですとか、2子以降3歳未満への支援、また、高校生の医療費の無償化等、取り組みが強化されている一方で、午前中に吉田敬子委員も取り上げましたけれども、家庭の中での問題は、どこが担当部局かという御指摘もありました。また、職場での負担軽減についても、私はもっと取り組むべきだと思っております。
 そこで御質問させていただきますが、商工労働観光部所管分野での取り組みのこれまでの成果と課題、令和5年度予算案への反映はどのようになっているのか伺いたいと思います。
〇四戸特命参事兼労働課長 自然減対策に関する商工労働部の取り組みについてでございますけれども、働き方改革を中心にお話し申し上げますと、その対策につきましては、県ではこれまで、いわてで働こう推進協議会を核といたしましていわて働き方改革運動を進めまして、それぞれの団体に関する各職場の具体的な行動に結びつけていただくことで、総実労働時間の削減ですとか多様な働き方の実現を図っているところでございます。
 取り組みの例といたしましては、いわて働き方改革アワードによりまして働き方改革に取り組んでいる企業を表彰し、仕事や子育ての両立の環境整備に取り組む企業を支援してきたところでございます。
 こういうことを通しまして、働き方改革の取り組みの参加企業は818事業所ございましたし、テレワークの導入の補助事業を3年間行いましたけれども、187の事業所がこういう取り組みをなさっておりまして、総実労働時間も毎年着実に減少しているところでございます。
 委員御指摘のとおり、労働時間などがまだまだ長いという、それが少子化の一因というところもございますので、ライフステージに合わせて希望に応じた働き方ができるように、企業や団体と連携しながら働き方改革を進めていかなければならないと思っております。
 また、令和5年度につきましても、こういうことを踏まえまして、特に、新たに企業等が行う柔軟で多様な働き方の実現ですとか休暇取得を促進する取り組みに対する補助事業などを通じまして、人口減少対策を進めてまいります。
〇佐々木朋和委員 今御紹介がありました、いわてで働こう推進協議会を核としてということで、Iターン、Uターンについても、同様に核としてという表現が使われております。
 議事録を頂戴しました。ありがとうございます。読ませていただきましたけれども、いわて働き方改革推進運動を展開する上で、この協議会の性格、役割はどのようになっているのか。諮問委員会なのか実行部隊なのか、どのように位置づけしているのかお知らせいただきたいと思います。
 また、先ほども答弁がありましたけれども、せっかく経済団体と構成団体が入っているわけでありますが、この構成団体の各会員や企業等への情報共有、いわてで働こう推進協議会の会議内容の共有、県が定めている目標値の共有など、進めている施策の落とし込み等はどのようになっているのか伺いたいと思います。
〇駒木特命参事兼雇用推進課長 いわてで働こう推進協議会についての御質問でございます。
 この協議会につきましては、若者や女性の県内就職の拡大を通じまして、本県の産業振興と人口減少に歯どめをかけることを目的に、産業界や金融機関、教育機関などの関係機関、団体を構成員といたしまして平成28年2月に設置されたものでございまして、この組織を核としたさまざまな取り組みが、高校生の県内就職率の向上などにつながっているものでございます。
 構成団体の会員、企業等への情報共有や目標の共有、施策の落とし込みなどにつきましては、協議会において各構成団体への共有を行った後に、各構成団体等において、会議の開催などによりまして、それぞれの構成員へ共有を行っているところでございます。
 また、働き方改革につきましては、いわてで働こう推進協議会を核として、いわて働き方改革推進運動を展開しているところでございまして、直接県内の企業、団体に、この運動への参画を呼びかけるとともに、すぐれた取り組みを表彰するなどいたしまして、県内に広めることにより、魅力ある雇用、労働環境づくりを推進しているところでございます。
〇佐々木朋和委員 今、落とし込みは行われているということですけれども、具体的にそういった各団体、各団体、どういった場面で落とし込みをしていただいているのか。
 議事録を読ませていただきましたが、会議の中では、県からこういうことをお願いしますという話はないわけですね。各団体から情報共有があって、課題認識を言っていただいて、それで会は閉じているわけです。
 そういった部分について、県としてはどういうふうに取り扱っていきますという話し合いまで至っていない。議事録の外でやっているのかもしれませんが、いろいろな団体を巻き込んで推進していくことはとてもよろしいことだと思うのですけれども、議会の場でこういった部分を質問しても、協議会の中でやっていますということで、なかなか我々議員には伝わってこないところです。
 実質的にこの分野において、私は、せっかく給付型の子育て支援が充実してきたのに、結局は、働く場において、今は共働きが多くなってきておりますから、その部分をしっかりとケアしないと、なかなか岩手県でこういうことをやっていますと言っても、子育て世代が集まってこない、または合計特殊出生率が伸びてこない、こういったことになるのではないかという課題意識で聞いております。
 具体的にどういった取り組みになっているのか、御存じでしたら教えていただきたいと思います。
〇駒木特命参事兼雇用推進課長 具体的な落とし込みでございますけれども、まずは、各団体において会議などを開いて、その中で情報共有が図られていると認識しておりますし、あとは、会報などを通じて各会員に伝達されていると認識しております。
 また、各団体において、例えば、働き方改革に対してどのように取り組むのかといったような報告もいただいておりますので、各団体の中で検討された上で、報告が上がっていると認識しているところでございます。
〇佐々木朋和委員 今、課題認識として、各企業も人手不足になってきている中で、この働き方改革、前は経営者にとっては非常に耳の痛い話だったかもしれませんが、今は、やはり具体的にどうしていくかということを求められているのではないかと私は地域を歩いていて感じます。
 その部分、一方で県は、何か一歩踏み出すことに遠慮しているような感じがしておりまして、しっかりとこの部分を進めていただきたいと思っているのです。そういった意味で質問させていただきます。
 その中で、県が進める具体的推進方策指標は、いわて県民計画(2019〜2028)第1期アクションプランと同じく、いわて働き方改革推進運動参加事業者数と年次有給休暇の取得率ということです。そういった部分で第1期アクションプランを進めてきて、総実労働時間は減っていると言いながらも、全国で44位という取り組みでございます。
 この取り組み方について改善は必要ないのか、この参加事業者数というのは、第一歩として、1枚もののペーパーに、どれに取り組んでいますということでチェックシートをかけてファクスを送るということなのですね。
 私は、第2期アクションプラン、この4年間も数を追っていくことでいいのか、それで本当にいいのかと。例えば、参加事業者数だけではなくて、各企業の具体的な、こういうことをしましょうという取り組み内容について促すであるとか、あるいは、その取り組んだ方への補助金を拡充するなど支援を考えるべきではないかと思うのですけれども、御所見を伺いたいと思います。
〇四戸特命参事兼労働課長 委員御指摘のとおり、指標に関しては変更してございませんが、こういう年次有給休暇の取得ですとか長時間労働につきましては、県内定着、人材の確保、働き方改革は基本、人を採用して、定着して、育成していくというところが肝になっておりますので、そこが大事なことだと感じております。
 改善が必要ではないかというところでございますけれども、私どもは、今年度から休暇制度等利用実態調査ですとか社員満足度調査を働き方改革のエントリー事業者に対して行っておりまして、その制度の調査結果を通じまして、制度の活用が進んでいないですとか、経営者が自社の社員の満足度の実態を知ることで、雇用、労働環境を改善していただきたいと考えております。
 また、これまで3年間に、いわて働き方改革等推進事業費補助金ですとかテレワーク導入推進事業費補助を活用した事業者が延べ212事業所ございます。ここが3年計画で取り組みを進めておりますので、令和5年度以降も、この取り組みのフォローアップをすることが重要と考えております。
 また、令和5年度につきましては、当初予算案におきまして、人への投資ですとかリスキリング、デジタル化、労働移動などの状況も踏まえまして、これらに対応したキャリアアップ制度ですとか勤務制度、人事評価などの導入やオフィス環境の改善などを、社会の情勢に対応しまして、企業が抱える課題に複合的に対応できるように事業の見直しを行いました。そして、新たに、魅力ある職場づくり推進事業とデジタルリスキリング推進事業を立ち上げまして、これらを含めまして、働きやすく働きがいのある職場づくりに取り組む企業を応援してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今、御紹介いただいた魅力ある職場づくり推進事業費ですけれども、これを見ましたら、上限100万円で10者分なのですね。子育てへの給付のほうは5億7、000万円余でありますけれども、そちらが多過ぎるというわけではなく、こちらのほうをそうやって進めていくという中で、非常に規模感的にどうなのだろうという思いがあります。スタートだから10者分ということもモニター的にあるかもしれませんが、一方で、県内で10者広めたということがどれだけのインパクトがあるのだろうという感じもいたします。
 この事業規模はどのようにして決定されたのでしょうか。
〇四戸特命参事兼労働課長 これまでの働き方改革補助金ですとかテレワークの補助金の活用状況等を踏まえまして、この100万円上限の2分の1補助は決めさせていただいたところです。
 繰り返しになりますが、来年度の事業採択は予算の範囲内の10件ですけれども、実際に私どもが来年度以降フォローしなければいけないのは212者ございます。そこのテレワークですとか働き方改革を進める企業が、しっかり3年計画で人を採用、定着、育成できるような企業になっていただくためのフォローアップが必要になってまいりますので、それらの相乗効果等を含めながら進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今のお話ですと、212者フォローアップしていなければいけないと。そういった意味で、予算規模がこれに抑えられたということは、県のフォローアップ体制の問題ということでよろしいですか。
〇四戸特命参事兼労働課長 そういうところではございませんで、まず、新しく始めた事業ということもありますので、今回はこの100万円、10件というところでのスタートになっております。
 また、これまでもさまざま取り組んでいらっしゃる企業につきましては、アワードの企業などもそうですけれども、補助金を活用したり受賞したりすることによって、さまざまな業界団体のセミナーに招聘されたりですとか、パブリシティーでマスコミに紹介されたりというところで、今回10者、100万円という規模ではありますけれども、そういう相乗効果を生かしながら進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 これまでの取り組みで特筆すべきような企業が出てきているということは、評価をさせていただきます。えるぼし認定等も、東北で初も岩手県で出ているとも認識しておりますが、一方で、先ほどのいわてで働こう推進協議会の落とし込みというところです。やはり企業で取り組みたいけれどもヒントがないというところもあるし、また、それを促すような補助制度というのも、まだまだ少ないのではないかと私は認識しておりました。拡充をぜひお願いしたいと思います。
 一方で、いわて働き方改革推進運動と同じく、企業の働き方改革を促す保健福祉部のいわて子育てにやさしい企業等認証制度、また、いわて女性活躍企業等認定制度、国でいうところのえるぼし認定制度がありますけれども、この普及活動の連携についてはどのようになっているのか伺いたいと思います。
〇四戸特命参事兼労働課長 私どもにつきましては、いわて労働ニュースという労働関係に関します各種情報を盛り込んだ広報紙を発行しておりまして、そういった中で、各種認証制度についてもまずはお知らせしているところでございます。
 また、いわて働き方改革推進運動参加事業者に対しましても、これら認証制度等について個別の周知等も行っております。
 子育てですとか女性活躍に関する国や県の認定、認証制度につきましては、一定の基準を満たす具体的な取り組み実績が必要であることから、こうした企業がふえていくことは、子育てや女性が働きやすい雇用環境の整備が進んでいくものと考えております。
 一方で、委員御指摘のとおり、いわて働き方改革推進運動参加事業者のエントリーは、宣言だけだというお話もございましたけれども、そういう認定を受けていない企業が大半だと思いますので、まずはいわて働き方改革推進運動へのエントリーをするところから始めていただいて、取り組みのきっかけにしていただきたいと考えております。
 また、先ほど御紹介いたしました令和5年度に予定しております魅力ある職場づくり推進事業費におきましては、補助事業者は一般事業主行動計画を提出することを要件としたいと思っておりますので、いわて子育てにやさしい企業等認証制度などの一般事業主行動計画の届け出を基準としている認証制度の普及、促進にもつながるものと考えております。
 今後とも、関係部局と連携しながら、県内企業等への各種制度の周知を図ってまいります。
〇佐々木朋和委員 今後とも注視していきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、社会減対策について伺いたいと思います。
 県南地域に集積した自動車関連産業、半導体関連産業の誘致企業について、社会減対策として、高校生の県内就職について75%の高水準を維持する牽引役であるという一方で、地場企業からは人手不足の懸念や、各自治体からは管内就職率の低下の不安も上がっております。どのように評価しているか。
 また、これから高校生の県内就職率のアップにあわせて、やはり管内就職率に配慮しながらの社会減対策、高校生の県内就職率の向上を目指すべきだと思いますけれども、今後の方向性について伺って、終わりたいと思います。
〇松本特命参事兼産業集積推進課長 まず、誘致企業の社会減対策への評価等についてでございますけれども、令和3年度の新規高等学校卒業者の県内就職率が74.1%と統計開始以来最高となったことにつきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が少なからず影響しているところもございますけれども、コロナ禍においても、誘致企業を中心とした旺盛な投資意欲により新たな人材需要が創出されたこと、これに対応するため、産学官が連携し、ものづくり産業への理解促進に取り組んだこともその要因であると考えているところです。
 一方、人口減少や進学率の上昇等により就職を希望する高校生は減少傾向にあり、求人を充足できない企業も多いと認識しております。
 県内には、誘致、地場を問わず、すぐれた技術を持つ企業が数多くあり、それぞれの地域で特色のある産業集積を形成しているところでございます。
 県では、各地域の特色に応じ、工場見学や出前授業など、ものづくり産業の理解促進に努めており、引き続き、関係機関と連携しながら、ものづくり産業への興味、関心を高め、理解促進を図ることにより、地元定着、県内定着を推進するとともに、県外大学等との連携を強化し、U・Iターンによる人材確保にも引き続き注力していきたいと思います。
〇駒木特命参事兼雇用推進課長 高校生の地元就職率の向上についてでございます。
 人口減少の進展によりまして全国的に人手不足が課題となっております。こうした中で、地域で働く人材の確保に向けまして、地域内での就職に結びつけていくためには、小学生段階から保護者を含めて、地域内の企業や産業状況を理解していただき、子供たちがみずから、将来のライフデザインを考えるためのキャリア教育を充実させていくことが重要と考えております。
 このため、誘致企業の求人を活用したU・Iターンの促進などによる地域の社会減対策を進めながら、地元就職率を向上させていくために、小学生向けの企業見学会や中学生向けの職場体験活動、高校生向けには、ワークショップですとか企業説明会などを実施いたしまして、小学校段階から地元企業の魅力を伝える取り組みを行っているところでございます。
 また、各広域振興局におきましては、地域振興プランに管内就職率などの目標を掲げまして、高校生や教員、保護者などに対する地元企業への理解促進など、地元企業への就職を支援する取り組みを行っているところでございまして、今後も高校生の地元を含めた県内への就職を促進してまいります。
〇臼澤勉委員 それでは、私からは、子育て、若者世帯の賃上げ対策についてお伺いいたします。
 昨今の物価高騰あるいは経済の再生実現に向けては、構造的な賃上げが最大の処方箋だろうと思っております。
 特に本県の場合、雇用者の数の86.6%を占める中小企業、小規模事業者、約23万人の方々の雇用者の賃上げの流れというか、賃上げ、アップ対策は、経済的な効果も含めて、あるいは生産性の向上に向けた点においても非常に重要なポイントだと思っております。
 そこでお伺いいたしますが、来年度、県として、この賃上げ取り組みをサポートする事業は、どのくらいの事業規模で、どのような取り組みをしていこうと考えているのかお伺いいたします。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 中小企業におけます賃上げが必須の課題ということでございます。県が行う影響調査では、コロナ禍による売り上げ減少に加えて、燃料、原料費の高騰を受けて、売り上げを伸ばしても利益が上がらないという回答が多くございます。県内事業者は、こういった厳しい状況にありますので、物価上昇等に伴う賃上げの原資を確保することが容易ではない事業者が多いと受けとめております。
 まずは、全国知事会を通じまして、生産性向上への支援、価格転嫁の円滑化による取引適正化等を進め、地域の企業の賃上げを可能とする環境整備の推進を図ることについて、国にまずは要請しております。県におきましても、企業の生産性向上など、賃上げにつながる取り組みの支援を行うこととしております。
 このような考えのもと、県では、商工指導団体の相談対応スタッフの増員や、専門家派遣等によりまして商工指導団体の体制強化を図り、DXを活用した企業の生産性向上、販路開拓の支援、国の中小企業生産性革命推進事業等の補助金の獲得の支援を行ってきたところでございます。
 令和5年度におきましては、中小企業事業再生・再チャレンジ支援事業費補助を拡充いたしまして、商工指導団体の相談対応スタッフの増員、専門家派遣の回数の増など商工指導団体の相談体制を引き続き強化しまして、生産性向上に向けた取り組みの支援を行ってまいります。
〇臼澤勉委員 従来の相談体制の強化、それはそれで当然必要だと思いますし、引き続きやっていただきたいと思うのですけれども、具体的に賃金の引き上げにつながっていくような政策を、やはり県としてしっかり取り組んでいく必要があると思うのです。
 国の事業においても、例えば、業務改善助成金というものもあったりしながら、そういった部分も活用しながら連携を図っていくのだろうとは思いますけれども、ちなみに、国の業務改善助成金の交付決定の状況、そして、企業は具体的にどんな取り組みをされているのか、それに対して、県として賃金アップに向けての具体的な政策はどのようなものを考えているのか、改めてお伺いします。
〇四戸特命参事兼労働課長 業務改善助成金の利用状況につきましては、令和4年度の3月6日時点で112件の交付決定をしております。これは、令和3年度は63件ということで倍増しているところです。これは、最低賃金の大幅な引き上げ等もありましたので、活用している事業者がふえているものと思います。
 取り組みの内容につきましては、岩手労働局に聞き取った事例によりますと、製造業等におきまして、縫製業に高性能なミシンを導入して生産性向上につながる取り組みをなさったりですとか、飲食業におきましては、券売機や食洗機、急速冷凍機の導入などによりまして、効率化や回転率の上昇による生産性の向上の取り組み等を伺っております。
〇臼澤勉委員 業務改善助成金の交付決定件数112件と答えていましたが、いただいている資料では122件ということでございました。そこの件数については特によろしいのですけれども、ほかの全国の自治体でも、やはり県として、こういった業務改善助成金の拡充とか、あるいは対象、助成の中身についてもサポート補助金のような形で取り組んでいる自治体もございます。その辺についてもしっかりもっと踏み込んだ対策が私は必要だろうと思います。そこは御要望にとどめます。
 そして、自然減対策についてもさまざま各委員からもありました。特に、やはり子育て世帯、育休応援、これにもより踏み込んだ総合的な取り組みが必要だろうと認識しております。
 一昨日、我々は内閣府の和田義明副大臣をお招きして勉強会をいたしました。子供政策、子育て政策について、そして、昨年10月1日、御案内のとおり、男性の育児休業取得促進のためのさまざまな改正が行われているわけであります。
 そういった制度改正も踏まえながら、やはり県として、新年度、育休あるいは子育て世帯を応援する取り組み、商工労働観光部としてどのように取り組んでいくお考えかお伺いいたします。
〇四戸特命参事兼労働課長 子育て世帯や育児休業応援等の総合的な取り組みについてでございますけれども、先ほど来お話しのとおり、国において育児休業の円滑な取得ですとか職場復帰のための取り組みを行った事業主や、男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境の整備等を行って男性労働者に育児休業を取得させた事業所に対しては、両立支援等助成金による支援が行われているところでございまして、これは制度拡充しておりまして、令和3年度の利用実績では210件程度の活用になっております。
 県としては、まずはこの国のこうした制度を積極的に活用していただきたいと考えておりまして、今後もこの働き方改革、いわてで働こう推進協議会などの構成団体を通じながら、まずは制度の活用を促していくところでございます。
 国に対しましても、支援制度の拡充なども働きかけながら、県が行う働き方改革の取り組みなどを通じまして、この制度の活用等で、会社全体で子育てを支援する仕組みづくりと風土づくりを一体的に進めていただいて、人口減少対策としての雇用、労働環境の向上につなげてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 全国の自治体においても、働くパパ、ママの育児休業取得を推進しようという動きで独自の取り組みをしているところもございます。育児休業15日取得で、例えば25万円を支給したり、あるいは上限300万円の支給というものもやりながら、男性の育児休業の取得をどんどん進めていくことは、本県の出生率向上、人口減対策にも非常に重要な視点だと思っています。ですから、商工労働部として、産業振興の視点からアプローチというか取り組む対策があるだろうと私は思っております。
 特に女性は、出産してから、ホルモンバランスが崩れて、この前もみずから命を絶ってしまう方々も出てくるという中で、男性の育休の取得割合が女性に比べたら非常に低いという現状の中で、やはり踏み込んだ商工労働観光部としての取り組みというのもあるのだろうと思います。
 改めて、そこの部分の県としての取り組み、そして、代表質問の中で岩崎友一委員からも質問がありましたけれども、産休等代替職員の設置補助、児童福祉施設のそういったものの質問、民間活用に拡大する考えはあるのかないのかという質問もありました。その辺の取り組みについてもぜひ前向きに検討していく必要があろうかと思います。御答弁をよろしくお願いいたします。
〇岩渕商工労働観光部長 自然減、社会減の話等があるわけでございますけれども、今、商工労働観光部としては、産業人材の確保が非常に大きな課題だと思っております。
 人口減少が進んでおりますので、さらに首都圏からのU・Iターンに力を入れていかなければいけません。そのためには、県内に戻ってきてもらう、岩手県に戻ってきてもらうためには、雇用環境において、より働きやすい環境になければならないということになります。
 そこが全国競争になっていくわけでございますけれども、その中で、育児休業とか自然減対策的なものにつきましては、基本的に抜本的な対策を国のほうで大規模な予算を使ってやっていただきたいと。その上で、さらに岩手県に戻ってくる魅力、それらの若者や女性に合う魅力ある職場環境の構築ということで、今回、予算の芽出しをしているのですけれども、そういうものについては独自性をどんどん出していきたい、それが基本的な考え方かと思っております。
 代表質問の際にも、育児休業等の上乗せには非常に多額の財源が必要という話も申し上げておりますけれども、やはり抜本的なところを国にやっていただいて、あとは、地域の個性を出していく部分をきちんと我々がやっていくということが大事かと考えております。
〇臼澤勉委員 国のほうでやるべき対策と、やはり県がやるべき対策というのはあるのだろうと思いますが、やはりこの人口減対策についても、県内県民の所得格差というか経済格差を縮めること、そして実質雇用求人率の差という部分を縮めていかない限りは、人口の流出はとめられないのだと思うのです。
 そういった意味から、最低賃金の話に戻ってしまいますけれども、本県の場合854円ですか、全国平均961円に対して107円ぐらいの差があるわけでございます。そういった部分をいかに縮めていくのか。ただ、賃上げというのは企業と雇用主の、やはり労使の交渉であろうから何とも言えないですけれども、ただ、そういった意味合いからも、企業の経営体質というか生産性の向上といった部分を、本県の企業体質をどう改善していくのかというのは、まさにこれは商工労働観光部の一丁目一番地の仕事だというのは、同じ認識だと思います。
 そういった意味から最後の質問に移っていきますけれども、100万円規模とか、こういった細かい事業の必要性はあると思うのですが、事業の予算規模というのをある程度、やはり本気で人口の流出を食いとめるという意味で、企業のそういった生産性向上の取り組み、経営革新の取り組みとか、あるいはGXとかを含めた生産コストの低減を図りながら労働生産性を上げる取り組みを、もっと大規模でやる必要があろうかと思います。
 来年度に向けて、何かそういった予算の芽出しがないように見えるのですけれども、その辺のお考えをお伺いいたします。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 例えば、企業の生産性向上、あるいは、今、委員からもお話しありましたが、GXとかそういった企業に対する補助事業を一つの大きなメニューとしてやっている県もございます。富山県ではそういった事業を展開しておりますけれども、お話を聞きましたところ、財源としては、やはり新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金をお使いになっていらっしゃるという状況でございました。他方、岩手県では、それらを活用して、今般2月補正で御議決いただきました企業支援金に使っているという状況でございます。
 大型の事業を行うためには、財源が必要であるということもそうですし、それをどのように使うかというところは、各県分かれるところでございます。ただ、委員御指摘のとおり、このような生産性向上のための取り組みは必要でございます。
 私どもでは、重ねての答弁になりますけれども、いわて中小企業事業継続支援センター会議の構成機関の中で、個々の事業者に応じて、どういった支援策を使っていくのが有効なのかと。先ほど事業再構築補助金を使った例もございますし、先般の会議では、GXの取り組み、あるいは省エネ補助金のお話などもみんなで共有する場をつくりましたので、支援者側が一体となってさまざまな支援策をいかに使っていくかということで、支援者側は、一体となって各種の支援策を有効的に使っていく体制を整えつつ、まずは展開してまいりたいと考えています。
 ただ、国の交付金がまた新たに来ましたら、委員御提案のことも含めて、さまざまな具体の支援策を検討してまいりたいと考えています。
〇臼澤勉委員 何か非常に危機意識が乏しいのではないかと。多分、県内の事業者の方々が今の答弁を聞くと、ちょっと待てよ、そんな会議を開く、それは必要性もあるから十分わかりますよ、意見交換であったり。ただ、やはりもう待ったなしの状況にあるという中において、直接なかなか補助できないという部分は、賃上げにしたって何にしたって難しい。これは県として、1年後、2年後ではなくて、やはり今やらなくていつやるのだという、まさにそういった状況にあると思います。ですから、県として、公共政策の一つとして、生産性の向上対策、デジタル化、人材の育成、そういった部分に誘導していく、企業のそういった転換や経営革新を促していくような、労働生産性、賃金3%以上を例えば目指すような取り組み。富山県においても、中小企業ビヨンドコロナ補助金の御紹介が先ほどもありましたけれども、そういう大規模な取り組みを行っている自治体もあるわけでございます。
 ましてや、いろいろ今、中小企業庁が行っている下請Gメン制度、3月は価格交渉促進月間ということで、いろいろ価格上昇がある中で、下請企業においても、なかなかそういった価格転嫁ができないで苦労している。この調査票で見ると、2割の方々は全く価格転嫁もできない、ゼロです。あるいは1割から3割程度の方々、企業も2割ぐらいあるということで、大半の企業は、今の物価高の中において非常に厳しい経営環境の中にあるのです。
 ですから、県として新年度に向けてどう具体的な対策を進めるのかというところを改めてお聞きしたいと思います。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 言葉が足りず申しわけございませんでした。
 先ほどお話ししましたいわて中小企業事業継続支援センター会議の場で、一つ一つどのようにするかを、悠長にやっている場合ではないというお話でしたが、そのようなことではございません。
 各地域において、商工会、商工会議所にいただいた相談は、タイムリーにその状況を捉えまして、必要な補助金を的確に整える、あるいは自己資金が必要であれば、先ほど御紹介した事例のように、金融機関も交えて自己資金分も調達するというように、商工会、商工会議所、信用保証協会、産業振興センター、中央会、各金融機関一体となって、各地域レベルで、さまざまな事業者の緊急的な課題に関してスピーディーな対応を行っております。
 それでも不足の部分もあろうかと思いますので、事業の中では、例えば、再チャレンジ事業などのようにまとまって見えていないところもあるので、そのような体制が整っていないのではないか、あるいはスピーディーさに欠けるのではないかという形もあろうかと思います。それは、翻って言えば、事業者の方から見ても何だかわかりにくいということもあろうかと思いますので、それらの事業者の方々がどのように使えばいいのだろうかというあたりを丁寧にお話、御紹介しながら、そういった事業をタイムリーに整えてまいりたいと考えております。
〇高橋穏至委員 引き続き、人口減少対策につながる商工労働観光部の人口減少対策事業の見方ということで質問したいと思います。
 私は、今回は特に社会減対策という部分にクローズアップしてみますと、28事業が社会減対策という位置づけになっているのですが、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランでは、人口減少対策として関連する幸福関連指標は、県外からの移住・定住者数ということで数値設定されておりまして、現状が1、584人ですけれども、令和5年に2、500人という目標設定、これが幸福関連指標であります。
 それで、関係する具体的な推進方策の目標としてはU・Iターン就職者数を掲げて、現状の855人から毎年1、000人を目標にしていますけれども、この事業ごとに活動指標目標と推進方策の関係を、28事業あるのですが、どうやって達成しようとしているのかお伺いしたいと思います。
〇三河定住推進・雇用労働室長 委員御指摘の県外からの移住・定住者数は、10の政策分野のうち居住環境・コミュニティの政策分野における幸福関連指標としておりまして、その達成に向けては、同分野における具体的推進方策指標として、U・Iターン就職者数や移住相談件数などを掲げ、さらには、事務事業評価指標として、いわてU・Iターンサポートデスクの支援による就職者数や、県就職マッチングサイト、シゴトバクラシバいわてによるマッチング就職者数などを掲げているところでございます。
 こうした事業ごとに設定した目標値の達成に向けまして取り組んでいくことによりまして、幸福関連指標である県外からの移住・定住者数の達成を果たしていくものとしております。
 また、移住、定住者数をふやしていくためには、これらの取り組みに加え、多様な雇用の場の創出や、働き方改革を含めた若者や女性に魅力ある職場環境の構築を初め、居住環境・コミュニティ分野以外の取り組みをあわせて進める必要がございまして、これらの取り組みを含めた28事業を予算公表資料に掲載したものでございます。
〇高橋穏至委員 先ほど来、質疑の中で商工労働観光部長が、まず移住、定住対策が当部に課せられた部分で、岩手県らしさを出しながらやるべき最重要課題という決意を発表されました。まさしくそのとおりだと思うのですが、問題は、この目標設定がこれでいいかということなのです。
 これは一般質問や代表質問、これまでの議論でもたくさんあったわけですけれども、令和2年3月改定の人口ビジョンで、人口減少対策の展望というものには、本県はさまざま、ふるさと振興とか出生率向上、社会減ゼロを実現することによって2040年に100万人程度を確保。この場合は、2115年にはおおむね80万人程度で定常状態になりますというビジョンを掲げているのですが、果たしてこの数字が本当にそういくのかと。
 これに向かって設定した現在の指標になっているのかというのが問題でありまして、その展望は、国の国家戦略に沿う形で人々の希望が実現して、出生率が2040年に2.07になるという前提があります。また、県外の転出入については、2024年ですから、来年には社会減がなくなる、要は均衡するという前提なのです。その前提でこのビジョンを掲げているわけです。
 自然増については、さまざまな政策、これは国が負う部分が多いというのですが、これまで過去さまざまな政策をやってきた中で、岩手県のこの人口減少が、国が岩手県だけに悪い条件を出しているわけがないので、その中でも減少率が全国の中で一番多いと。ここ10年間、令和4年までの10年間で岩手県の人口は11万3、000人減っているわけです。毎年1万人以上減っているという現実がある。
 そういった中で、大体3、000人から5、000人が社会減で減っている。これを、展望では来年にはゼロにするという前提で今組まれているわけです。そういった状況の中でこの目標設定でいいのかという問題感があります。
 要は、若者世代がいなければ、出生率を上げても人口は上がらないわけですよ。基本的にはやはり岩手県にどうやって若者、女性にとどまってもらう、あるいは外から来てもらうか。ここがないと、出生率を上げても人口はふえない。
 ちなみに、婚姻に関連する例えば20歳から39歳の人口統計から、これは県で押さえている数字ですけれども、男女合計で10年前25万5、000人が、今19万5、000人ということで約6万人弱10年間で減っています。特に女性は、12万5、000人から9万4、000人ということで、10年間で3万1、000人減っているのです。3万1、000人が10年間で減るということは、今9万4、000人ですから、このまま減ると30年後にはゼロになる、こういう数字なのです。ゼロにはならないとは思うのですが、同じペースでずっと減っていますので、いずれ単純に見るとそういうことなのです。
 先ほど危機感という言葉も出ましたけれども、そういう意識で見ると、この目標はどうなのか。今設定している、U・Iターンで1、000人を目標値としているということ。それで、幸福関連指標の2、500人の目標もどうなのかというものを改めて考えたときの認識はどう考えているか、お伺いしたいと思います。
〇三河定住推進・雇用労働室長 今回、指標として掲げておりますのが、これまで本県が施策を打ってきた中での実績をもとにして今回の指標の目標としております。今後まだ、U・Iターン対策につきまして、新しい施策とか、あとは県外に向けての岩手県の売り込みといったことを通じまして、数字の目標の達成を進めていければと思っております。
〇岩渕商工労働観光部長 今、委員がおっしゃいました社会減ゼロは、ふるさと振興総合戦略の目標だと受けとめております。
 今回指摘を受けている県外からの移住・定住者数の指標は、県民計画の幸福関連指標として居住環境・コミュニティの分野に掲げているのですけれども、社会減ゼロを実現していくためには、この数字が社会減で減る分に当てはまっているのかと言われれば、全く当てはまらないわけでございます。
 ここに掲げている県外からの移住・定住者数の捉え方ですが、県外から移ってきた人をみんな押さえているわけではなくて、県の施策を通じて把握できる人数でございます。これは正確な人数を押さえたいんですけれども、押さえようがないという実態がありますので、指標をとれるものしかありませんので、これを掲げているということになります。
〇高橋穏至委員 捉えられるものという形でいけば、実際U・Iターンで捉えられる数字はそれかもしれませんけれども、もう一つの指標として、例えば、毎年、人口動態を県でもとっているのです。転入、転出があって、社会減幾らという形で出てきているのが先ほどの3、000人から5、000人、6、000人の社会減になっているので、人口ビジョンでも数字は捉えられているのです。そういったものを指標にしながらやりましょう、設定しましょうということが大事ではないかと思います。
 それから、今までの事業成果から捉えて目標設定したというのは、私は決算特別委員会でも言いましたし何回も言っていますけれども、要は、できるところの数字設定ありきで捉えている数字ではないか。活動指標はAだったけれども成果がCだったというのは、当然そういう結果になってしまうのではないか。やはりできるかできないかわからないけれども、将来的にこういうふうにしなければならないというと、これくらいやらなければならないという数字は絶対出てくるのです。それを目標にしない限り、毎回、やりましたけれどもできませんでしたという答弁に終始してしまって、知事は、それは国の制度が悪いからという答弁を私にいつもしているのですが、そういう結果になってしまうという気がするのです。
 ですから、しっかり自分たちのこれからやっていく事業の中身、やはりここまで来て、先ほど単純にこのまま減っていくと30年後はいなくなってしまうという数字は、今までの結果はそうなので、そういう危機感を持ちながら、今までと同じような組み方で捉えていたのでは、いきなり庁舎建てかえの予算が出てきたりするのですけれども、庁舎ができたとき県民はいなかったという形になってしまうのではないかという危惧があるわけです。
 そういった意味からも、しっかりと目標設定をしてもらわなければならないと思うのですが、先ほど商工労働観光部長から決意は聞いたのですが、もう一度、そういう考え方で捉えてはいかがでしょうか。
〇岩渕商工労働観光部長 社会増減の数の話がございましたけれども、この数値について、どういう形で実際の毎年度の社会減を埋めていくのかということを細かく振り分けてロジックにしていくのは、非常に難しい状況にございますけれども、いずれ、今、人口減少が進んでいく中で、本県はきちっと自動車、半導体という基幹産業の集積が進みつつありますので、そこをベースに外からも人が入ってきております。さらに、1回進学等で出ていった若者たち、あるいは岩手県にかかわりのある、今、孫ターンという言葉もありますけれども、岩手県では育っていないけれども、親が岩手県出身で、それをきっかけに岩手県に戻ってきている子たちがふえておりますので、そういう子たちを一人でも多く本県に呼び戻していくことが重要だと思っております。
 そのためには、移住支援金とかそういう県の政策はきちんとやりますけれども、あとは、働く場として、受け入れる企業が魅力あるものでなければいけないということで、今回、額が小さいと指摘を受けますけれども、そういう補助金とかもつくって、総合的にやっていきたいと考えているところでございます。
〇高橋穏至委員 転入、転出だけでははかれない難しい部分もあると言いましたけれども、例えば、年齢階層別に人口が全部出ているわけで、それがどう推移しているかというのから推測もできるわけです。
 さきほど出したのは、私は20歳から39歳の男性、女性、男女合計ということですけれども、人口ピラミッドを見ると、当然出生数は減っていますから、黙っていても社会減ゼロでも減っていくのです。でも、その減っていく計算値より、はるかにその世代が多く出ていますので、そこにどうアプローチしていくかという見方もできるのではないかと思います。
 ぜひそういったことを、働く環境が一番大きいのではないかということで、担当になろうと思いますので、しっかりとリーダーシップをとってやっていただきたいです。
 先ほど、佐々木朋和委員の質疑の中でいわてで働こう推進協議会の話が出ましたが、私も、やはり就職率といったときに、学生の場合、県外に出ていった大学進学した人たちへのアプローチをどうするかということで、県教育委員会でも数字を出して、私も議事録を読みながらやったのですが、推進協議会の議事録だけ見ると、先ほど佐々木朋和委員が言ったとおり、県で資料を出して、その資料に基づいてそれぞれが何をやっているかをただ発表して情報共有するということで、その先、例えば、学校にはこういうのをやってほしいとか、そういったやりとりが議事録では見えないのです。
 特に、参加しているメンバーは、高校ですと工業系の学校、普通高校はどうなっているかとか、その広がりがもう少しほしいという気もします。それは当然、普通高校で進学校であれば、どちらかといえば、就職もありますけれども、まず大学をどこに進学させるかといったほうがどうしても関心が高くなってしまいます。高校とかの自分たちの学校の価値というところを考えたときに、岩手県で働かせることがメーンではないなと当然なるのではないかと思います。
 そうしたときに、岩手県の魅力をどうやってわかってもらうか。今の高校時代とか、小中学校はもちろんです。小中学校で、どうしてこの岩手県の魅力を子供たちにわかってもらって、それで、一旦出ても戻ってくるというような教育課程にしてもらうとか、そういったところまでやりとりできればいいのですけれども、多分そういう会議には時間も限りがあると思うので、なかなかできていないかと思います。
 そうであれば、むしろ企業や金融などみんな入ってもらっているのですけれども、例えば教育系の部会みたいなものがあってもいいのではないか。そうしないと、多分やりとりはできないと思うのです。そういった工夫も欲しいと思うのですが、どうでしょうか。
〇岩渕商工労働観光部長 先ほども、いわてで働こう推進協議会を核としたということでさまざま御意見をいただいておりますけれども、今、委員おっしゃっているのが学校のことでしたので、この推進協議会でいろいろ、我々毎年度の取り組み方針とかを諮りながら進めていて、それはまず共有しています。
 それを受けて、今度、進学校も対象にしたきちんとした説明会をやりましょうとか、企業が集まるところに進学校も来てもらいましょうとか、そういうことも具体的に動き出しているわけでございます。あるいは、経済団体が入っておりますけれども、では、経済団体の下はどうなっているのだという話になれば、これは中小企業団体中央会とか商工会も入っています。それぞれの機関でそういう生産性向上、DX推進の取り組み事例の表彰とかアワードとか発表会とか、横展開を図るような取り組みも、それぞれの構成団体、参画企業でやっております。
 いわてで働こう推進協議会が実働部隊のようにとられると、何やっているのだになるのですが、そこで入ってきた人たちがさまざま活動しておりますし、それからまた、部会が必要ではないかという話もありますが、県の関連の会議は全ていわてで働こう推進協議会を核に、その下にもいろいろな会議がありますので、その傘下におさまっているという認識でございます。
〇高橋穏至委員 わかりました。構想がそうなっていて、個別にそれぞれはやっているということのようですが、いずれその連携をしっかりやっていただきたい。
 いずれ目標設定を危機感を持ってやっていただきたいということで、最後に一つだけ紹介して、9日の日本経済新聞に子育て世代仙台圏に集中ということで、これは震災の関連の記事ですけれども、沿岸部から、宮城県内であってもなかなか地元に残らないという記事で、その中であったのが、定住促進で300万円の補助金を出すといっても、政策を打ち出したけれども、余り効果がなかったとか、産業をつくっても人が来ないとか、さまざまな課題があるようですので、ぜひ沿岸振興もしっかりやってもらいたいと思います。
〇千葉盛副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時25分 休憩
午後2時44分再開
〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇米内紘正委員 私も、人口減少対策について、かぶらない範囲でお聞きしていきます。
 まず、先ほど人口減少対策、商工労働観光部の中では重点項目に28事業数ということでありましたけれども、これらの予算は、商工労働観光部の中で重点項目として打ち出されている人口減少対策の予算は、総額として前年からどのように変化をしていて、その中で特に重点を置いている分野、課だったり室だったり、そこのところをどう考えているか、簡潔でいいのでお聞かせください。
〇小野寺商工企画室企画課長 商工労働観光部における人口減少対策における28事業の令和5年度予算案の総額は約32億1、350万円となっております。これは令和4年度の当初予算と比較しますと、令和4年度は26億5、590万円となっておりますので、約5億5、760万円増額しているという状況でございます。
 その中で、商工労働観光部として重点的に進める視点ということで申し上げますと、まず、先ほど来御答弁申し上げているとおり、若年層の県内就職、それからU・Iターンや起業、スタートアップ支援の取り組みの強化、若者、女性などに魅力ある雇用、労働環境の構築、それから事業承継、そういった取り組みを強化して推進することによって、人口減少対策に力を入れて取り組もうと考えているところです。
〇米内紘正委員 5億5、000万円ふえているところで、きょうもずっと議論になっておりますけれども、U・Iターン、移住、定住の分野で見ると、幾らぐらいの増減になっているかわかりますでしょうか。
〇小野寺商工企画室企画課長 まず、移住、定住の部分で新たな令和5年度事業を立てております。まず、いわて暮らし応援事業費ということで、これは令和4年度と比べて一部新規で4、000万円ほどふやしております。それから、いわて就業促進事業費ということで、これも一部、2、000万円ほど昨年度よりふやしております。そういった形で、U・Iターンの取り組み、新たな事業もありますし、一部新規事業、その事業の中で新たな取り組み等を加えながら取り組むことにしております。
〇米内紘正委員 それでは、例えば、定住推進・雇用労働室についている事業の総額としては、今のところは把握されていないということで大丈夫ですね。そこですぐ出ますか出ないですか。出なければ、私も計算はしているので。定住推進のところですが、新規が4、000万円とか2、000万円とかです。
 この定住推進・雇用労働室のところについている事業費としては、前年に比べてマイナス3、000万円ぐらいになっているのです。先ほど商工労働観光部で5億5、000万円ふえているとは言っていたのですけれども、そのほとんどは経営支援費のところです。ここで5億8、000万円ふえています。ですので、中小企業の支援と再チャレンジ支援金ということで、移住、定住のところに関して見ると、U・Iターンのところで見ると、前年に比べると、新規事業を入れたとしてもマイナス3、000万円というところなのです。
 重点項目になっているわけで、重点の何かがあるのだろうというところなのですが、その事業費が下がったことで重点項目に振り分けられた、それは一体どういった点で重点になっているのかお聞かせください。
〇小野寺商工企画室企画課長 定住推進・雇用労働室の予算で大きく落ちているのが、いわて働き方改革加速化推進事業費ということで、いわゆるコロナ交付金を活用したテレワーク補助金が、令和4年度までの事業ということで、ここの部分が大きく減少していることによりまして-いわて働き方改革加速化推進事業費の令和4年度当初予算は1億1、030万円でございましたが、令和4年度は、先ほど申し上げましたとおり、テレワーク補助金がなくなりますので、令和5年度は820万円ということで大幅に落ちます。これが影響して、定住推進・雇用労働室の予算が大きく減少しているという状況でございます。
 一方、若年層の県内就職とかU・Iターンとか、起業、スタートアップを推進する事業、それから、若者、女性に魅力ある雇用、労働環境の構築に向けた取り組みの支援といった新規事業を盛り込んで、人口減少対策に取り組むことにしております。
〇米内紘正委員 テレワークの予算のところで9、400万円ぐらいは減っているというのは見てわかっていたのですけれども、そうなったときに、重点って何だろうかと。その9、000万円を除いたとしても、今回、移住、定住の推進のところでは6、000万円の増というところですね。
 今回、この社会減のところがいかに、合計特殊出生率がどんなに上がっても社会減を、特に若年女性の社会減を食いとめなければ依然として出生数が下がり続けるということは、各委員からお話があったとおりであります。結局、代表質問のときもやりましたけれども、2025年にたとえ出生率が1.5になっても、今のまま女性が減り続ければ人口減少はとめられないわけでございます。その根本的な、本質的な課題である社会減のところの予算が6、000万円の増でいいのかというのは、金額の多寡ではないかもしれませんが、大いに疑問が残るところでございます。
 そのほか、人口減少対策、金額の多寡ではなくて、では、アクションプランの面からいったときに、例えば重点項目で新たに設定されたものなどはありますでしょうか。
〇小野寺商工企画室企画課長 新たに設定された指標ということでお答えいたしますと、まず、いわて幸福関連指標に女性の全国との賃金格差という指標を新たに設定いたしました。これは、本県人口の社会減が進学、就職期に顕著である、特に22歳前後で女性の社会減が大きい状況になっているということがございます。その一因として、女性の本県と全国との給与水準の差があると考えられますので、そこの格差の縮小を目指す指標として設定いたしました。
 それから、具体的推進方策資料におきましても、岩手県内に将来働いてみたいと思う企業がある高校生の割合という指標と、それから、大卒3年以内の離職率を新たに設定いたしました。
 これは、少子化や進学率の向上等により高卒就職者が減少していること、それから、新卒者の3年以内の離職率が全国平均を上回っているというような状況がございますので、これを新たな指標として設定し、それらの改善に向けた取り組みを進めることにしているものでございます。
〇米内紘正委員 先ほど高橋穏至委員からもありましたけれども、結局、一つ一つの細かい原因のところの指標を見ていっても、木を見て森を見ずではだめなわけで、結局、最終的に社会減というのは転入と転出の差であるわけでございます。そこの転入と転出について、県としてそこにターゲットを持っておかないと、もしかすると、その辺の指標は全部物すごくよくなったかもしれないですけれども、社会減がどんどんふえ続けたというときに、そこが追えなくなってしまうのですね。
 結局、今の社会減のところで言うと、令和4年だと、県外転出が2万261人、約2万人、転入が1万6、000人で、マイナス4、000人です。10年前を見ると、この転入に関しては1万9、200人いたのですね。ですので、ここはやっぱり森も見ておかなければいけない。転入者が3、000人減ってしまっている。一方で、転出は1、000人ぐらい減っているわけです。転出している人は減っていると。だから、転入者数が大きく減っているというところが、この社会減の大きな要因になっている。そこもやっぱりターゲットのところには持っていかないと、それの下にそういう細かい指標はあっていいのですけれども、結局わからなくなってしまうのです。
 いろいろ改善しているけれども、何も社会減は解決しませんでした。それにはさまざまな要因がありますと言われても、結局、それはそもそもの分析が間違っていたのではないのという話になってしまうので、そこに戻って検証するためにも、やはり転入者数と転出者数はしっかり押さえておいて、そこがあっての下の指標であるというところをやらないと、違うところに原因を求めてしまうのではないかと私は思っています。
 それも踏まえて、働き方改革のほうに行きます。
 働き方改革に関してもいろいろ出ておりましたけれども、まず、働き方改革に資する事業、来年度の事業の総額は、先ほどのとおり、前年からどのように変化があって、どれぐらいの規模感かお聞かせください。
〇四戸特命参事兼労働課長 働き方改革に資する事業についてでございますけれども、令和5年度当初予算案におきましては、先ほどの人口減少対策に上げた28事業のうち主に働き方改革に関する事業は、いわて働き方改革加速化推進事業費820万円と魅力ある職場づくり推進事業費1、120万円の2事業でございます。
 前年度と比較いたしますと、事業数は1事業の増、事業費は、いわて働き方改革加速化推進事業費が1億210万円の減、魅力ある職場づくり推進事業費が皆増となっているところです。減額の要因は、委員先ほど御指摘のとおり、テレワーク導入推進事業費補助金の廃止でございまして、テレワーク導入推進事業費を除いて比較いたしますと330万円の増になっております。
 このほか、当部といたしましては、DXの推進関連事業の9事業、1億9、240万円を計上しておりまして、これらの事業につきましても、働き方改革に資する事業と考えております。
〇米内紘正委員 今、働き方改革という大きな話題が議論されている中で、来年度の働き方改革に関する事業というのは、結局、約1、800万円なのです。国のテレワークの事業費が1億円くらいなくなった結果、働き方改革に関する事業は1、800万円の2事業しかないのです。DXはDXでもちろん進めていかなければいけないわけですけれども、この働き方改革に対して、この1、800万円でどういった効果が得られるのか。
 まずは、この人口減少対策と働き方改革がどのようにかかわっているか、どれぐらいの重要度を持っているかお聞かせください。
〇四戸特命参事兼労働課長 人口減少対策と働き方改革のかかわりについてでございますが、人口減少の要因は多岐にわたりまして、その背景は複雑に絡み合っているものでございます。自然減、社会減それぞれの対策は重なり合う部分もございまして、相互に連動させることで、より効果的になるものと考えております。
 こうしたことから、県では、いわてで生み育てる支援本部の自然減対策と、いわてで働こう推進本部の社会減対策、双方の取り組みの相乗効果が発揮されるように、人口問題対策本部会議におきまして全庁を挙げた取り組みの強化を図っているところでございます。
 どこで働いて、結婚して、どこで子供を産み育てるかは一人一人の判断でございますけれども、本県で働きたい、子供を産み育てたいという選択をしていただくためには、仕事の内容ですとか労働条件を初めとした、それぞれがライフスタイルやライフステージに応じて希望する働き方ができて、子供を産み育てることができる雇用、労働環境の整備が重要と考えております。
〇米内紘正委員 人口減少対策は、さまざまな要因が絡み合ってと言っているうちは、その先に考えが及ばないので、これは1回改めて、次にどこまで分解していかなければいけないのか、社会減と自然減、そこからどうやって原因を分析していかなければいけないかと行かないと、多分これは先に進まないのですよ。
 例えば、若者の雇用労働調査では、平成29年と令和2年を比べて、就職先を決めるのに一番重視するものが、令和2年は、1番が労働時間・休日・休暇の条件がよいなのです、44.5%。これは平成29年度から比べて10ポイントぐらい上がっているのです。
 つまり何とか県内就職をしてもらう。そのために、学生たちが就職先の労働条件を一番に掲げている。それを県としては改善しなければいけないのに、来年度は1、800万円の事業費です。これでは原因と事業が全く結びついていないのです。さまざまな要因が、さまざまな要因が、わかりません、わかりません、複雑なではなくて、一個一個こうやって分解していかないと絶対に効果は出ない。それでも、結局1、800万円の事業費。これで働き方改革、県内を変えます。
 では、働き方改革における目標設定とその事業効果は、今、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランでどのように結果にあらわれてくると考えているかお聞かせください。
〇四戸特命参事兼労働課長 働き方改革における目標設定と事業効果についてでございますが、働き方改革の幸福関連指標といたしましては総実労働時間数、そして、具体的推進方策の指標といたしましては、いわて働き方改革推進運動の参加事業者数を掲げているところでございます。
 これまで、いわてで働こう推進協議会を核といたしまして、いわて働き方改革推進運動を展開してまいりまして、参加事業者の方々の具体的な行動に結びつけていただくことで、総実労働時間の削減ですとか多様な働き方の実現を進めておりました。その結果といたしまして、運動に参加する事業者も818事業所までふえ、テレワーク導入に取り組む企業は187事業所を数え、県内の総実労働時間も着実に減少しているところでございます。
 来年度の事業の規模感は少ないと委員お話しのとおりでございますけれども、来年度におきましては、その運動の具体的な取り組みといたしまして、いわて働き方改革アワードですとか企業の現場見学会、休暇制度等実態調査、社員満足度調査に継続して取り組むとともに、新たに予定しております魅力ある職場づくり推進事業におきまして、魅力ある職場づくりに取り組む事業者をふやし、好事例をふやし、働き方改革に取り組む機運醸成が図られて、労働時間の削減など労働条件の改善につながるものと考えております。
〇米内紘正委員 今度は森だけ見て木を見ていないのですね。総実労働時間は改善しているかもしれないですけれども、全国的にはワースト、下のほうでございます。
 県内の総実労働時間の現状について、岩手県がどうしてそうなってしまっているのか、どのポイントにリソースを集中投資していかなければいけないのか、そこまでは分析できておりますか。
〇四戸特命参事兼労働課長 本県の総実労働時間は直近で令和4年に出たところでございますが、年間1、748.4時間で、全国平均よりも114時間多く、一月当たりで見ますと、本県が145.7時間ということで、全国平均よりも9.5時間多くなっている状況でございます。その要因としては、本県の場合、一月当たりの出勤日数が19.2日ということで、全国平均より1.6日多いという状況がございます。
 ここの縮減に向けましては、例えば、1日の所定労働時間を8時間から7時間45分に短縮していただくですとか、特に総実労働時間が多い業種におきまして、休日を月1回程度ふやしていただく取り組みですとか、また、デジタル技術等を活用いたしました労働生産性向上などの促進に努めてまいりたいと考えております。
〇米内紘正委員 そこから、その先に一体どの産業が多いのかというところまでしっかりやっていかないと、例えば労働局のデータでは、金融・保険業とかは、建設業もそうですけれども、全国よりも労働時間は少ない状況になっていて、岩手県が全国に比べて一番高くなってしまっているのは運輸・郵便業なのです。だから、ここをどうしていけばいいのか。
 製造業、建設業、運輸・郵便業が全国的には多いですけれども、そこを下げるところと、この運輸・郵便業のところにどういう構造的な問題があるのか。面積の広さはあるかもしれない。面積の広さはあるけれども、北海道はそうなってはいないとか、そこのところは公共交通の問題ともかかわってきます。
 そこにいろいろ複雑な、公共交通や観光、その多様な結びつきの中で、一体どこに原因があるのかやっていかないと、先ほどありましたけれども、ぱっと、10者に100万円配りますとか、そうではなくて、やはり業界を絞っていく。そして、フレックスタイムなのか有給休暇をふやしていくのか、そういうところも細かく、木と森両方見ながらいろいろ考えていってほしいと思いますが、最後に岩渕商工労働観光部長に聞いて、終わります。
〇岩渕商工労働観光部長 先ほど四戸特命参事兼労働課長が答弁いたしませんでしたけれども、やはり業種ごととかも見ておりまして、内部でもそういう対策が必要だという話をして、進めているところです。
 木を見て森を見ないの話がございましたけれども、この原因は、私どもそういう立場にないのかもしれませんが、今回の幸福関連指標という大きな指標と、でも、これは県民にはわかりやすい指標。ただ、具体的推進方策指標が、県の取り組みでどこまでできるかという指標になっている、ここが離れているので、非常にそこの間が見にくいという御指摘はそのとおりだと思います。その辺は、指標担当課とも話をしながら、きちっとした形で連動するように改善を重ねていきたいと思います。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇飯澤匡委員 ただいま米内紘正委員の労働環境の整備についてお話がありまして、運輸、通信業等の話が出たが、なぜ進まないか、これは、やはり労働生産性を上げると言ったって上げるのは大変なのですよ。1人で2台運転できないからね。そこで、2024年問題があるので、これは劇的に改善すると思います。これは、監督官庁から厳しいお達しが来ていますから、それに向けて業界全体としてかかわっていく。
 これはこれとして、皆さんにもそれはお話をしておきたいと思うのですが、ここ五、六人の話を聞いて、どうも皆さんがおっしゃっている内容と経済の実態というのは非常に乖離していると思います。さまざまな補助金メニューであったり来年の新規事業についてもお話がありましたが、まず第1に、中小企業の今の実態は、燃料高騰やさまざまな資材の高騰で大変厳しい状況にある、これは、中小企業は想像以上に厳しいですよ。
 なおかつ、やはり人口の減少。私の地元の高校は、20年前に比べると生徒数3分の1ですよ。その中から、いわゆるブルーワーカーと言われる方々がどれだけ産業に参入してくるか、もうこれは掛け算をすればわかる話ですから、それだけ大変なのですよ。
 その中で、きれいな言葉で労働生産性を上げるとか、それから人材育成とか言うけれども、その前に、我々が非常に厳しい状況にあるという前提、それから、人口が減って、今何が起きているかというのは、やはり昔は中間層というのは結構厚い状況にあったので、この方々がいい人たちに引っ張られていいほうに行くのだけれども、非常に今、人口の割合が、とても前向きにできる人と、どうしてもなかなか追いついていかない人、その間の中間層というのが非常に薄くなってしまってね。企業で何が起きているかというと、最初から教え込まなければいけない。人材育成のために、もう10年かかりますよ。そのための投資もしなければいけない。
 これを合わせていくと、本当にこれから今の状況を維持するとなると、私は運輸業だけれども、運輸業のみならずサービス業というのは大変厳しい状況にある。
 その牽引産業として、自動車産業、それから半導体、よく皆さんはそれを看板と言うけれども、それ以外の産業はどうなのだという話、そこが全然見えてこない。
 岩手県の特徴たる1次産業の育成をどうするか。これは、すなわち岩手県全体の収入の底上げだったり、もっと長期的な視点で考えていかないと、私はどうも-そもそも幸福指標というのは全く短期的な指標で、本当に将来、これからどんどん人口が減っていく中で、10年後、20年後どうなるかというのは、悪いけれども全く見えないですね。
 ただ、あなたたちの立場に立って言えるのは、財源も厳しいし、いろいろ国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金などを活用してやらざるを得ないという状況はあるけれども、ただ、ここで視点をがらっと変えて、岩手県の人材を、岩手県の人材というのは、非常に素直で、責任感が強くて、他県よりすぐれていると私も思います。そこをどうやって育てていくかという極めて重要な問題についてもっと触れてやっていかないと、これは本当に地域間競争に勝てなくなると思います。多くの中小企業の事業者はそう思っていると思います。
 いずれ、事業継承などでも廃業する人たちが今たくさん出ているし、これはどの産業でも同じようなことが起きていると思うのだけれども、そこの視点について、視点を変えるというのは、例えば午前中に海外の拠点の話があったけれども、それこそ皆さん方がミャンマーとかベトナムとかに行って、そういう人材発掘する拠点を設けるとか、そういうことも岩手県独自でやるとか、そういうことをやっていかなければだめだと思うのです。
 いずれ私の感想としては、今のままやっていたら短期的にどうなっているかだけ、いいか悪いかになって、根本的、本質的な問題の解決にならないと思います。そのことについて、所感があればお答えください。
〇岩渕商工労働観光部長 先ほど来答弁申し上げているのですが、まず、本県の中小企業を取り巻く環境が厳しいという状況は、非常に認識して、受けとめておりまして、そういう中で、運輸業に対する燃料費の支援等、緊急的な対策は可能な限りやろうということで今定例会も挑んでいるところでございます。
 それから、人口減少の問題、本当に働く人がいないというお話、私も経済団体の集まり等でかなり厳しく言われております。そういう中で、やはり外から人を連れてくるためには、否定的かもしれませんが、半導体、自動車産業は、やっぱり県の基幹産業として育てていくことが非常に重要ですし、加えて、ILCの実現など起爆剤をどんどん持ってこないと、守備だけをしていくのはなかなか難しいと。
 大きなものできちんとした産業構造をつくっていくことは、大きな視点で重要だと思っておりますので、そういう点にすごく力を入れながらやりつつ、地域で実際に人材確保に困っている事業所の声とかをきちんと拾って、そこに今行くのが、例えばではありますが、小さい話になってしまうかもしれませんが、今、若い女性が社会減、18歳で外に出ていくという話があります。そういう女性とかをターゲットに、小さいころから、地域の産業を理解していただいて、工業高校に入っていただいたり、そういう状況もつくりながら、できることは何でもやっていく覚悟で我々は進んでいきたいと思います。
〇飯澤匡委員 岩渕商工労働観光部長、悪いけれども、響かないね、その言葉はね。岩手県の特性というものをもう少し重視したらいいのではないかというのが、私の今の発言の趣旨です。
 半導体や自動車産業が悪いというわけではないけれども、岩手県の特性を、これから長い間、岩手県というこの地域で生まれた人をどうやって育てていくかという観点が抜け落ちているから、私はあえて関連で質問しているのですよ。
 そこは、今のだめだね、幸福関連指標とかをやっているうちは多分だめだと思うね。こういう結論に達して、終わります。
〇ハクセル美穂子委員 私は、働き方ではなくて、中小企業事業再生・再チャレンジ支援事業に関する質問から進めてまいりたいと思います。
 この事業は、令和4年度の補正で予算がついたいわて中小企業事業継続支援センター会議というものをつくって、さまざま新型コロナウイルス感染症の影響で苦しんでいる中小企業の方々に対しての支援を行う事業ということで理解しております。
 令和4年度に支援した上で、今年度、まず4億5、000万円という大き目の予算がついていて、中身については去年と同じような形で、商工支援団体にセンターの開設費用を補助するような中身だとお聞きしました。
 商工団体に支援するのももちろん大切なのだけれども、事業再生のさまざまな国の事業とかを活用しながらも、やはり融資をしっかりと得られなくて、資金繰りに奔走されている方が結構おられるというのを、周りでもおりますし、いろいろなところから聞いていました。
 借りかえの事業もあると言っていましたけれども、小さ目の方などは、借りかえ自体ができるのかがわかっていなかったという方もいて相談を受けたりしています。これだけのお金を商工団体に支援していくというのであれば、そういった方々にきちんとリーチするような事業であってほしいと思っております。
 令和4年度に支援した上での改善点を踏まえて、令和5年度はどういった形でこの事業を進めていかれるのかお聞きしたいと思います。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 来年度のいわて中小企業事業継続支援センター会議の事業でございますけれども、先ほど委員から御紹介いただきましたとおり、令和4年度の第1号補正でついたのがこのセンター会議、コロナ禍で苦しむ事業者の方々を、特に金融面で支援するのがこのセンター会議事業でございます。
 それの前に、事業継続伴走型支援事業費というものも立てておりました。これについては、商工団体のほうに予算をつけまして、きめ細かな支援を行うという二つの事業が今年度は走っていたような状況でございます。
 令和5年度は、この伴走型支援事業費とこのセンター会議事業費を統合いたしまして一つの事業として進めてまいります。その中で、今まで伴走型に入っていたけれども、センター会議の直接予算が入っていないような団体もありましたので、そこは一体化することで、まずは支援機関の幅を広げること、そして、委員からも御指摘いただきましたとおり、借りかえ、あるいは資金繰りでお困りになっている、なかなか厳しい状況にあるというお声は、我々も聞いております。
 このセンター会議の中では金融機関も一緒になっておりますので、まずは円滑な借りかえのお手伝いであるとか、あるいは、そのためには事業計画をやはり見直しして、ある程度の収益の見通しを立てることも場面では必要でございますので、そのときには専門家を派遣して、事業計画を立てるということに専門家のお力をかりる。そこの係る経費もこの事業費の中で見るということで、よりきめ細かくできるように、各支援機関での体制、そして専門家派遣事業の予算なども拡充した形で進めてまいります。
〇ハクセル美穂子委員 わかりました。専門家派遣の分も入っていると。
 事業計画をつくるところまでしっかりと支援していくというのも理解しましたが、もう一つ、できればですけれども、岩手県内の中小企業で、やはり事業再生をやらなければならないところは、販路を見つけるのに結構困っているところがあるという印象を持っています。
 中小企業だと、結局、社長が大体営業も兼ねてさまざま動かなければならないけれども、中のこともやりつつ営業にも行くというようなところで、ぎりぎりでやっていると。資金繰りまでも自分で奔走しなければならないので、本当になかなか大変な状況です。
 人口減少の話もあるので、県内だけでこの事業再生をしっかりやっていけるかというと、私はそうではないと思っていまして、やはり県外に自分たちのつくっているものをしっかり売り込んでいくというような販路拡大のところに対しての支援策みたいなものもして、もっと力を入れていかなければならないのではないかと思っています。
 なぜそう思ったかというと、2月に私は東京ビッグサイトで行われたグルメフェアにお邪魔した機会がありまして、そこで結構さまざまな、新型コロナウイルス感染症対応の関連の予算を使って、各県とか全国の商工会議所とか団体で、かなりのブースを事業で出しているのを拝見しました。それで岩手県は、そこには釜石商工会議所だけが出ていました。
 いろいろな支援策があるのだけれども、外に向けてのというのも、実際使えるものがあったら、やはり使っておくべきだったと私も反省したところがあります。県内だけとか地域だけで売っていても、やはりらちが明かないから、今、事業再生に陥っているというのも、そのとおりであります。
 よいものをしっかりと全国の方に知ってもらうとか、それから海外の方に知ってもらう機会に対して、出展の支援みたいなものもどんどん積極的にやっていただきたい、事業者の方に届くようにやっていただきたいと思っているのですが、その点について、令和5年度、何か特記したものがあれば教えていただきたいと思います。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 やはり外貨を稼ぐためには販路開拓、外に打って出るというのは当然必要でございます。
 このセンター会議の予算以外でも、通常の商工会、商工会議所に対する運営費補助として、小規模補助金と言われるものもございます。そういった中では、そういったものの活動の支援ですとか、あるいは、最近では中小企業団体中央会が、複数の企業が連携して取り組む取り組みに対しても支援を行うといったようなこともございます。
 その中では、ようやくコロナ禍が落ちつけば外に出ていく、販路開拓できるということも出てこようかと思いますので、商工労働観光部経営支援課に限らず、販路開拓のためのさまざまな予算、事業などがございますので、それらがうまく事業者の方にわかりやすくお伝えできるように整えてまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 この事業とはまた別建てであるということですけれども、やはり、先ほどお話ししたとおり、専門家の方に事業計画までつくってもらうのはいいのだけれども、それを実行に移せるのか移せないのかというところで、事業再生できるかできないかというところの岐路に立つわけです。そこをどうやって再生できるかまで、きちんと最後まで寄り添っていただきたいと思うのですが、何となくこれだけ見ていると、計画を立てて、あとは自分でやってねと言って、その後のことは見えないよという形になるなと。ぜひ、そこについては、今後いろいろと事業を組み合わせながら、しっかりと最後まで事業再生できるように支援をしていただけるような形にしていただきたいと思います。
 次に、起業、スタートアップの関係で質問したいと思います。
 起業・スタートアップ推進事業というのが計上されました。これは新規でございます。私は、令和4年12月定例会の一般質問で、ぜひやってほしいということを質問させていただいた後のこの事業計上なので、本当にありがたいと思っているのですけれども、内容を見ましたところ、高校生とか大学生を含めた若者の起業家教育を推進するというような目的であると書かれています。
 もちろんそれも否定するものではないのですが、私はもう一つ、県内でもう既に会社経営をしている方が、例えばですけれども、新規の株式公開とか、いわゆるIPOとか、そういうもう一つ上の段階の会社になるための努力をされている方に対しての支援もしていくというのは、岩手県の中で、今、上場企業は薬王堂とかエルテスとかあるのでしょうか。そういった企業をふやしていくことで、若者に対して、こんなにいろいろ若い人でやっている企業があるのだというイメージの定着とか、それがUターン、Iターンといったところにもどんどんよい影響が来るのではないかと思っています。
 そういった、いわゆるIPOを目指そうとしているような企業に対する支援も、このスタートアップ事業費の中に入っているのかどうか、その辺のところをお聞きしたいと思います。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 ただいま委員から御紹介いただきましたIPO、いわゆる株式公開をする企業への支援ということでございます。IPOに係る経費の直接的なものは今回の中には盛り込んでおらないところではあるのですけれども、事業計画をさらにブラッシュアップする、起業支援の業界でアクセラレーション─加速ということでアクセラと略称して話したりもしますが、そのアクセラレーションプログラムについての予算は計上しております。
 この事業計画あるいは株式公開市場に打って出ていくときに、もう少し商品、製品をブラッシュアップしたいという場合には、このアクセラのプログラムに該当すればそういった御支援もできるかと思います。あとは、岩手イノベーションベースの中には、上場した企業とのつながりも多くございます。上場に当たっての心構えですとか御苦労された点ですとか、どちらかというとメンタルの部分になろうかと思いますけれども、そういった部分での御支援といいますか情報の共有はできるかと思います。
 もう一つは、先日、名古屋証券取引所の方が県に見えられまして意見交換したのですが、実は、上場する道筋として、東京証券取引所から行く場合と、あるいは地方から行ったほうが行きやすいというお話も聞きました。例えば、地方の証券取引所経由で上場するといったような情報ですとか、そういったところのつながりなども、我々側面的に支援をしながら、直接的な支援につきましては、他県の例なども参考にさせていただきながら、今後の検討材料として考えていきたいと思っております。
〇ハクセル美穂子委員 IPOをするような企業の方というのは、資金的なところはある程度解決している部分もあるのですけれども、1月だったか、岩手イノベーションベースのLEC岩手でお話を聞いていたところ、どんなに会社経営はしっかりやっていても、IPOとなるといろいろな経験とか今までにないようなやり方をしていかないといけないので、先輩の企業家の方のお話をいろいろな方から聞きながら進めていったという他県のIPOをされた社長さん方がたくさんいらっしゃったのですね。やはりそういった知見を得られる機会をしっかりとつくっていただいて、岩手県の中にもそういうものを目指している方がいらっしゃるので、支援して、その会社が大きくなることでまた違う波及効果がどんどん出てくると思いますので、半導体系もいいのですが、こういった地場に根づいた企業の中で、IPOとか、さらに大きくなるような全国展開したいという方を支援するのもしっかりやっていただきたいと思います。これはお願いで、終わります。
 最後に、自然公園等、岩手県の自然を観光資源に活用していくことについてお伺いしたいと思います。
 これは、私は環境生活部の審査でも少しお話ししましたけれども、盛岡市がニューヨークタイムズ紙で取り上げられて、今、盛岡市周辺、わーっとなっているのですが、ニューヨークタイムズ紙というのはアメリカの新聞で、そうすると、注目されている方の多くは欧米系の方だということになるのではないかと思っていました。
 これまでのインバウンドの観光の話を聞いていると、どうしても欧米向けにはさらっとしかなかなかやれてきていないと思っています。欧米型の方というのは、滞在期間が長くて、その土地土地の風土とかいろいろな人々の生活とかを楽しむ方が多いですし、それから、登山ですね、トレイルを楽しむ方が多いので、ぜひとも、そういった点についても、商工労働観光部のほうからもいろいろな施策をやっていってほしいと思いまして、今質問をしています。
 県内にさまざまなトレイルがありますけれども、現在、商工労働観光部で何か仕掛けているものなどがありましたら教えていただきたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 岩手県の自然資源を生かした観光ということでございますけれども、本県には、十和田八幡平国立公園、三陸復興国立公園の二つの国立公園を初め、二つの国定公園など、世界に誇れる雄大な自然を有しておりまして、国内外からの観光客の一層の誘客拡大を図るためには、岩手県ならではの地域資源を生かした誘客が重要と認識しているところでございます。
 また、コロナ禍を経て外国人観光客のニーズが、密を避けるアクティビティーや、自然環境の保全を前提といたしました持続可能な観光へと変化し、欧米諸国でトレッキングやシーカヤック、自転車などが人気になっていることを踏まえて、みちのく潮風トレイル等と連携した、これらの体験コンテンツを盛り込んだ旅行商品の造成や情報発信を強化していく必要があると考えております。
 このため、三陸復興国立公園を例にしますと、三陸DMOセンターが主催する三陸観光プランナー養成塾を通じまして、三陸地域ならではの体験コンテンツの開発や磨き上げによるプランナーを養成いたしまして、現地をコーディネートする人材を育成しているほか、三陸の体験コンテンツを盛り込んだ旅行商品の造成支援や三陸広域の情報発信を展開しております。
 また、今年度ですけれども、三陸観光フォーラムを新たに開催いたしまして、三陸ジオパークや潮風トレイルの専門家によるトークセッションを実施いたしました。その場におきましては、実際にアメリカのアパラチアントレイルを歩いた経験をもとに、歩く方と地域の方々との交流やつながりが生まれるということもお話しいただきまして、こういう人材が観光振興の鍵を握るということの情報共有も図ったところでございます。
 こうした取り組みは、地域における観光の付加価値を高めることにつながることから、今後は、三陸の取り組み事例を八幡平のほうにも展開しながら、市町村と観光関係者と一体となりまして、国立公園等のすぐれた自然資源を生かした観光振興に取り組んでまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 アパラチアントレイルの話も入れていただいて本当にありがたいですが、アパラチアントレイルは何回も何回も、3、500キロメートルのトレイルを何度も何度も、何年もかけて制覇していく方が多くて、いわゆるリピーターをつくりやすいというか、そういうものだと私は思っていました。
 それで、みちのく潮風トレイルもそのとおりなので、皆さんの取り組みについては応援しているところですが、岩手県は、潮風トレイルだけではなくて、岩手山・八幡平・安比高原50キロトレイルとか、登山道が、私たちは登山だと思うのですけれども、欧米の人にしてみれば、ロッキー山脈とか、そういう高いものに比べれば、あれはトレイルという定義で考えるみたいなので、ああいったすごくきれいなところを、何度も何度も来てもらうような、ツアーだけではなくて、実際に自分たちでも来られるような、そういった観光面でのきめ細かい施策をしていくことが、今こそ重要なのではないかと思っています。
 ぜひ、環境省とか環境生活部とか、関係団体がたくさんありますけれども、観光のプロでございますので、皆さんの視点をしっかりと入れていただいて、みちのく潮風トレイルでの知見もあると思いますので、岩手県のトレイル文化というか、自然環境の観光資源としての活用についてさらに深めていっていただきたいと思います。
 では、最後に、岩渕商工労働観光部長よろしくお願いします。
〇岩渕商工労働観光部長 さまざまなトレイルの関係、こういう取り組みをしっかりやって、しかも滞在していただく。多分課題は多いと思います。泊まっていただいて、ガイドの養成ですとか、いろいろ必要になると思いますけれども、そこで長く滞在して、言葉が適当かどうかわかりませんが、持続可能な観光とともに、稼ぐ観光というものをしっかりできるような体制を構築していきたいと思います。
 あと、今、八幡平市で民間の方々が、旧八幡平スキー場を使ってバックカントリーなどに取り組まれています。多分雫石町だと網張から三ツ石の人気のコースがございます。海外の人が見たら物すごく魅力の場所がございますので、そういう場所も活用しながら、しっかりとインバウンドの確保に努めていきたいと思います。
〇斉藤信委員 それでは、新型コロナウイルス感染症に続く物価高騰対策についてお聞きいたします。
 新型コロナウイルス感染症に続く物価高騰で、県内中小企業の経営の状況をどのように把握しているか。いわて中小企業事業継続支援センターの話が何度か出ました。令和5年2月に第3回の会議も開かれています。そこで出された課題も含めて示していただきたい。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 県内中小企業の経営状況でございますが、日本銀行盛岡事務所による直近の岩手県金融経済概況では、県内経済は、一部に弱さが見られるものの、基調としては緩やかに持ち直しているとされているなど、改善傾向は見られるものの、消費者物価指数は、引き続き前年を上回っているとされております。
 また、直近、県が行っております12月末の新型コロナウイルス感染症等に伴う事業者の影響調査結果におきましても、コロナ禍による売り上げ減少に加え、光熱費や原材料価格の高騰の影響を受けて利益が減少しているといった声が多く、中小企業者の方々を取り巻く環境は厳しい状況にあると受けとめております。
 先ほど来お話をしておりますいわて中小企業事業継続支援センター会議等でも、各支援機関、金融機関からもいろいろな声を聞いております。俯瞰的に見ますと、やはりいまだに、持ち直しているとはいえども、コロナ禍前と比べると売り上げの減少はまだ続いているということもございますので、まずは売り上げの確保が必要でございます。そして、各種のコストの増加というところ、電気料金、原材料価格に対する対応、利益がその分減っているということでございますので、その増加への対応があります。
 一方、価格転嫁をしなければならないのですが、価格転嫁をすると、お客様が離れるのではないかということで、なかなか価格転嫁ができないでいる、特にサービス業の方々も多うございます。そういったお声も聞いています。そして、やはり人材の確保も課題でございます。
 一方で、賃上げをしなければならないのですけれども、その原資はどこから生まれるのかといったあたりで、賃上げの対応につきましてもお困りだというような、さまざまな課題が寄せられて、把握をしているところでございます。
〇斉藤信委員 きょうの新聞で、これは盛岡財務事務所が発表した1月-3月の法人企業景気予測調査によると、県内の景況判断指数はマイナス21.6で、前回調査、これは2022年10月から12月期ですけれども、16.4ポイント悪化したと。悪化は2期連続。原材料や燃料価格の上昇、海外経済の減速が響いた。小売りは、物価高で消費者の購買意欲の低下を感じられたと。こういう、どちらかというと本当に新型コロナウイルス感染症以上に今の物価高騰が、中小企業に大変打撃を与えていると。私は、本当は国がもっと抜本的な対策を講じるべきだと思います。
 県は、今定例会で中小企業経営継続支援事業というものを計上したけれども、私はまだまだこれは不十分と思います。
 そこで、新型コロナウイルス感染症対策の融資実績と債務超過の実態、経営継続のための対策についてお聞きしたい。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 新型コロナウイルス感染症対策での融資実績でございます。令和3年5月末まで実施しておりました新型コロナウイルス感染症対応資金、いわゆるゼロゼロ融資の状況でお答えいたしますと、累計で1万2、110件の事業者に利用されておりまして、そのうち令和5年1月末までに、全体の約6割の事業者の方から返済が開始されております。
 ゼロゼロ融資の条件変更は、令和5年1月末時点で延べ416件となっておりますけれども、先ほど委員からも御指摘がありましたような各種の厳しい経営状況を踏まえますと、また、東京商工リサーチのアンケート調査結果でも、4割弱の県内事業者が過剰債務の状況にあるということで、今後、多くの事業者が借入金の返済に支障を来す可能性もあるのではないかと心配しているところであります。
 今般、国の総合経済対策の一環で、ゼロゼロ融資を含めた既存の債務の返済開始をさらに繰り延べることを可能とし、加えて、新たな資金需要にも対応した貸し付けを可能とする信用保証制度を新たに創設されましたことから、県でも、1月10日からこの伴走支援資金の改正を行いまして、借りかえの支援を行っているところであります。
 さらに、さきに議決いただきました2月補正予算によります中小企業者等事業継続緊急支援金等により、事業者の事業継続をまずは支援をしつつ、いわて中小企業継続支援センター会議構成各団体と緊密に連携しまして、事業者に伴走しながら、事業者はさまざま状況が異なりますので、個々の事業者の実情に合いました経営計画の策定あるいは販路開拓、補助金の獲得などを踏まえまして、多方面に伴走支援をしていく体制を強化、拡充してまいります。
〇斉藤信委員 1月10日から開始された伴走型の支援資金、これはさきの議論の中で、1月末は73件、15億1、700万円余、そのうち43件が借りかえだったと。これの2月末はわかりますか。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 申しわけございません、2月末の資料は手元にない状況でございます。少しお時間がかかるかもしれません。
〇斉藤信委員 では、後でぜひ示していただきたい。
 この伴走型支援は、文字どおり今の中小企業の厳しい状況に対応した支援策だと思うのです。だから、これは本当に周知徹底して活用できるようにしていただきたい。
 私も商工団体の方々からさまざま状況を聞いてまいりました。率直に指摘されたのは、価格転嫁ができない、これは本当に厳しいと。実は、企業物価指数は9%上がっているのです。消費者物価指数は4.1%です。だから本当に転嫁できていないと。転嫁できない理由もいろいろあるけれども、それに燃料費、水光熱費が上がっていますからコストは上がるという状況で、本当に厳しい状況です。
 商工会全体では廃業が129件ぐらい出ているという話もありました。倒産ではなくて、もうギブアップしてしまうという状況もあります。せっかくのいわて中小企業事業継続支援センター、効果が出ているようですから、しっかりフォローしてやっていただきたい。
 次に、いわて旅応援プロジェクトのこれまでの実績、宿泊者数はどこまで回復したか。4月以降の見通しを含めて示してください。
〇千葉プロモーション課長 いわて旅の実績についてでございますが、いわて旅応援プロジェクトにつきましては、令和3年4月から継続的に実施しておりまして、令和5年2月までに精算した分で、延べ213万人、約129億円の利用があったところでございます。
 宿泊者数につきましては、観光庁の宿泊旅行統計調査によれば、令和4年の日本人の県内宿泊者数は、コロナ禍前の令和元年の9割弱、88.5%まで回復し、昨年9月と10月は令和元年を上回ったところでございまして、県内への宿泊者数は、コロナ禍前の水準に戻りつつある状況と認識しております。
 それから、4月以降の見通しにつきましては、観光需要は回復傾向にあるものの、新型コロナウイルス感染症に引き続き物価高騰の影響もございまして、引き続き観光関連事業者への支援が必要であることから、予算の執行状況を勘案しまして、今般、3月末までとしていたいわて旅応援プロジェクト第4弾の実施期間を、繁忙期であるゴールデンウイークを除きまして、6月まで延長したところでございます。
〇斉藤信委員 いわて旅応援プロジェクトが中断することなくこの間継続されてきたと。それがホテル、旅館、観光に、厳しい中で何とか持ちこたえる力になったのではないかと思います。
 今、答弁がありましたけれども、この間の推移を見ると、令和元年の宿泊者数は593万2、700人泊でした。これはコロナ禍前。令和4年、524万8、480人泊、今言われたように88%。恐らく最近はもうほとんど戻っていると。これは令和4年全体ですから戻っているということでありますけれども、新型コロナウイルス感染症の中で本当にダメージを受けて、今、回復の過程にあります。
 そこで、4月以降も6月まで継続という方向が国から示されました。今の第4弾の取り組みで、4月以降どのぐらいの原資を活用できるのか。これまでの実績から見ると2カ月間分なのか3カ月間分なのか、わかりますか。
〇千葉プロモーション課長 4月から6月まで活用できる額につきましては、現在3月末までの利用状況がまだ見通せないところでありまして、変動する可能性がありますけれども、既に配分した額も含めまして20億円程度と見込んでいるところでございます。
 いつまでもつかというところにつきましては、観光需要の動向もありましてなかなか明確にはお答えできませんけれども、10月から12月に実施した第3弾につきましては、実績が約20億円程度、それと、1月から3月までの今やっている第4弾ですけれども、20億円弱と見込んでおりますので、活用できる金額が約20億円ですから、ある程度の一定期間までは販売でありますとか事業を実施できるものと考えております。
〇斉藤信委員 ゴールデンウイークは除くということになっていますから、恐らく今までの実績、第3弾の実績を見ると20億円というのは3カ月弱なのです。だから、6月ぐらいまでは見通せるという感じはいたしますので、ぜひ頑張ってやっていただきたい。
 もう既に、今までの第4弾分は消化してしまったというところもあるようですから、その点の対策を一言だけお聞きします。
〇千葉プロモーション課長 事務局を通じまして、今、375施設中4施設が販売終了しているという報告が出ているところでございます。
 現在、4月の延長に向けまして、各施設に対して原資配分の追加希望のアンケートをとっておりますので、先般可決いただきました補正予算の2.5億円も活用しながら、引き続き支援してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 では次に、高校、大学等の県内就職率の向上の取り組みについてお聞きいたします。
 ことし3月卒業の高校、大学、専門学校の県内就職の状況は今どうなっているでしょうか。
〇駒木特命参事兼雇用推進課長 新規学卒者の県内就職の状況でございます。
 1月末現在の内定率で申し上げますと、内定が決定した方のうち、県内企業から内定を得た方の割合は、高校生が73.2%、大学生が41.7%、短期大学生が59.8%、専修学校生が51.5%となっておりまして、前年度と比べますと、高校生以外で減少傾向となっているところでございます。
〇斉藤信委員 高校生は昨年度と同等、それよりということですね。去年は74.1%まで行きましたから、最終的にはもう少し上がると。大学、専修学校が、大学が昨年は45.5%、今回41.7%ですね。専修学校は55.2%が51.5%と。ここの対策をしっかりやるべきではないかと。
 それと、今度の第2期アクションプランでも、来年度から高校の県内就職率が84.5%になっているのですね。年次計画で今まで4年間やってそこまで行かないのだから、もっと科学的に、一気に84.5%じゃなくて、4年後にそこまで到達するような手だて、対策をとるべきだと。願望の目標になったらだめだと思うのですよ。
 それで、県内誘致企業の採用状況、新規立地企業の雇用数は、この間どうなっているか示してください。
〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 誘致企業の県内出身者の採用状況でございますけれども、平成29年度から令和3年度までの5年間で申し上げますと、新規立地件数は87件、これに伴う雇用人数は、令和4年4月1日現在で約4、500人となっております。
 いわゆる出身地別の集計は行っておりませんので、県内出身者の採用状況については把握していないところでございますけれども、例えば県南地域の大手半導体企業では、従業員の約9割が県内出身者と聞いております。このため、多くの誘致企業では同様以上、多くの岩手県出身者を採用しているものと考えております。
〇斉藤信委員 さっき雇用対策も聞いたので、雇用対策の答えをお願いします。
〇駒木特命参事兼雇用推進課長 県内の大学生等の就職率が昨年度と比べて減少している理由につきましては、岩手労働局の見解を聞いたところ、コロナ禍に伴う行動制限が緩和されたこと、企業側のオンライン選考が定着したことによりまして県外に目を向ける機会がふえたと分析しているということでございました。
 こうした状況も踏まえまして、若者の地元就職をさらに高めるための取り組みを強化していく必要があると考えておりまして、インターンシップを初めとしたさまざまな取り組みの強化を図っていくこととしております。
 また、県内就職を向上させていくためには、息の長い取り組みとはなりますけれども、小学校段階から、保護者を含めて県内の企業や産業状況を理解していただき、子供たちみずから、岩手で働き、岩手で暮らす将来のライフデザインを描くためのキャリア教育を充実させていくことが重要と考えておりますので、今後とも、キャリア教育の充実に向け取り組んでまいります。
 84.5%につきましては、現在のアクションプランでも目標としているものでございますし、東北1位を目指すというところでこの目標を掲げております。
 できるだけこの数値に近づけるよう、各広域振興局に配置しております就業支援員等の活動も含めて取り組んでまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 第1期のアクションプランのときにも、翌年から84.5%という目標を掲げたわけです。目標は立派だけれども、この目標設定は科学性がないと率直に指摘をしてきました。4年間やって、この間着実に上がっているけれども、今答弁あったように、息の長い取り組みが必要だと言っているときに、もう少しそういうところを考えて、努力目標じゃなくてやり切る目標を設定すべきだと。
 答えはないでしょうから、ここで私の質問を終わります。
〇千田美津子委員 まず、中小企業対策についてお聞きいたしますが、中小企業の厳しい状況についてはこもごも議論されました。一つ、私は事業承継推進事業についてお尋ねしたいと思います。
 コロナ禍と、それから物価高騰等の中で、大変な状況にあるわけでありますけれども、そういう中での事業承継は重要な課題です。この事業と県内企業の現状について、まずお尋ねいたします。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 令和5年度の新規事業として、ただいま予算案を提出させていただいております事業承継推進事業費補助でございますが、この事業は、経営者の高齢化による経営資源の散逸防止や雇用の維持を図るため、事業承継を契機として、後継者が中心になって事業者が取り組む新事業等に要する費用を支援するものでございます。
 具体的には、対象は新商品や新役務の開発、業務、施設等の改善、販路開拓によって収益力の向上を図る事業でございます。また、新商品の開発に伴う原材料の調達に要する費用や効率改善を図る施設整備、IT導入に係る費用、新たな顧客を得るための広告費等を対象経費としまして、補助上限は100万円、補助率の上限2分の1で補助しようとするものでございます。
 県内の事業承継の状況でございますけれども、支援機関が連携しまして、事業承継診断ですとか事業承継をしなければならないと気づいていただくきっかけのものでございますが、そういったものもいわて中小企業事業継続支援センターを中心に回っております。
 ただ、一方では、最新の調査会社の調査によりますと、社長の年齢のランキングがございます。岩手県は、若干下がりましたけれども、全国で5位ということで、経営者の方の高齢化が進んでいるというところもございます。そういったところもありますので、まずは、事業承継という形があるなど、年齢が高いからといって決して悪いということではございませんので、ただ、体力的なものあるいは新たな挑戦ということもあろうかと思います。そういった形で、ただいま各方面で事業承継の必要性のお知らせですとか具体の支援などを行っている状況でございます。
〇千田美津子委員 この事業の説明をいただきましたが、本当に有効だと思います。ただ、20件程度の採択を予定しているということですが、これはどういうことから来た20件なのでしょうか。
 それで、今説明いただいた新規事業はそのとおりなのですが、次世代後継者育成事業ということで、セミナー等をこれまでも開催していたと思うのですけれども、それに参加された方々の反応といいますか、そういうものがこの新規事業にどのように反映されているのか、その辺をお聞きしたいと思います。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 この事業承継の対象の件数は、予算の積算上20件でございます。実は、これは島根県で同様の事業を行っております。この事業についての大体の予算規模が20件ぐらいだったということもありましたので、まずはこの数から始めようということでございます。そして、この事業の中では、次世代後継者育成事業ということで、次世代を担う方々に対するセミナーなどを行っております。
 そして、国の制度でありますけれども、岩手県は、特に商工会等が中心となりまして、経営革新計画といいまして、新たな商品、サービスの開発等に関する事業計画を県が承認する制度がございます。ここ数年の傾向ですが、いわゆる後継ぎと言われる事業を承継した方あるいは専務というポジションにいられる方が、新たな挑戦をしたいということで、この計画をお出しになって承認を受けるケースが一定程度ございます。
 こちらのセミナーを通じてそういったものへの必要性、あるいはチャレンジしたいという気持ちが芽生え、商工団体の支援により経営革新計画をつくり、そして、その先にこの補助金をうまく使っていただければというサイクルが回っていくような形で進めてまいりたいと考えています。
〇千田美津子委員 中小企業の現状が厳しいときだからこそ、こういう新たな部分に挑戦する、これは本当に大事なことだと思います。ただ、県とかさまざまな団体がしっかり支えていく、励ましていく、そういうことなしには、なかなか成功できないのではないかと思いますので、その辺の今後の取り組みをお願いしたいと思います。これは要望で、終わります。
 二つ目は、いわて中小企業事業継続支援センター会議については、いろいろ議論がありましたので、二つ目の部分については割愛いたします。
 それに関連するいわて中小企業事業継続支援センターの相談窓口が開設されているわけですが、どのような実績にあるのかお聞きしたいと思います。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 令和4年度の第1号補正予算で、中小企業事業再生・再チャレンジ支援事業費補助をお認めいただきまして、それに基づきまして、昨年4月15日に、今、委員から御紹介ありましたいわて中小企業継続支援センター相談窓口を開設しております。
 県内の商工会議所、商工会、商工会連合会、計35カ所にセンター相談窓口というワンストップの相談窓口を設けております。令和5年1月31日までに、延べ5、522事業者から7、990件の御相談が寄せられております。
 相談いただいている方々の業種としましては、小売、サービス、飲食業が多く、相談内容としては、現状把握や財務分析、事業継続支援、資金繰り支援に関するものが多く寄せられているところであります。
〇千田美津子委員 これは、いわて中小企業事業継続支援センター会議を構成する団体の皆さんが、しっかり窓口で相談に当たる体制をつくることができているというのが一番だと思います。
 9カ月間の実績ということでありますけれども、やはりコロナ禍等で一番影響のあったサービス業、宿泊業、飲食業等の相談が多いことと、今お話があったように、現状分析あるいは財務分析が3、060件、事業継続支援についてが2、502件、そして、その他資金繰りがやはり多くて1、594件ということで、約8、000件近い相談を受けているという点では、本当に大事な事業であり、この支援センター会議をしっかり応援しながら、一緒になって中小企業を支援していくことがますます重要になっていると思うのです。
 先ほど来もいろいろ議論がありましたけれども、こういう相談の体制をつくることによって、企業の、今どこに何が必要かという部分について、改めてお聞きしたいと思います。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 午前中から交わされているお話でございます。やはり物価高、各種コストの高騰に対して、価格転嫁ができずに収益が減っていく状況に対して、どうしていくのかというところ、そして、賃上げにしても、やはり賃上げの余力を生み出さなければならないので、収益力を上げていくことが大きな課題だろうと思っています。
 そのためには外貨を稼ぐ。どうしても人口減少の中においては、小売、飲食等もそうですが、対面サービスは人が減る中でなかなか厳しいということもあるので、外に打って出るという販路開拓もまた必要でございます。私ども支援センター会議の相談窓口でそういったお話をお伺いし、それぞれに応じた専門家を派遣するということを行っておりますので、大きな収益減少に対してどうするか、それは非常に難しいことですけれども、生産性を上げていくということもございますでしょうし、コストの見直しあるいは省力化、それも難しい話ではございますが、そういったところについて大きな課題として認識しており、そこに対する対応を深めてまいりたいと考えています。
〇千田美津子委員 引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは、安定的な雇用の促進と求職者支援についてお尋ねしたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の長期化に伴って、全国的にも正社員の新規求人数が減少しているなどの状況があったと思いますけれども、県内ではどのような状況にあるでしょうか。
 また、生産性の向上による非正規雇用から正規雇用への転換を促進する必要があるということでずっと指摘をしてきたわけですが、県内の状況についてお聞きいたします。
〇駒木特命参事兼雇用推進課長 まず、正社員の新規求人数の状況でございますけれども、岩手労働局が取りまとめました新規求人のうち、パートタイムを除きます一般の求人の数で申し上げますと、令和5年1月の合計が7、048人ということで、昨年と同水準となっております。コロナ禍前の令和2年1月の6、119人と比較いたしますと、929人増加しているという状況となっております。
 それから、非正規雇用から正規雇用への転換の状況ということでございますけれども、委員御指摘のとおり、生産性の向上による正規雇用への転換は重要であると認識しておりまして、いわてで働こう推進協議会を核といたしました、いわて働き方改革運動の展開ですとかDXの推進の支援によりまして、企業の生産性の向上を促し、非正規労働者の正社員への登用などの雇用、労働環境の向上を促進しているところでございます。
 また、安定的な雇用の確保のため、企業や経済団体等に対しまして、国のキャリアアップ助成金を活用するなどによりまして、非正規雇用労働者の正社員転換ですとか待遇改善に努めるよう、岩手労働局や市町村と連携して要請しているところでございます。ハローワークを通じた正社員転換数は、平成29年度から令和3年度までの5年間で2、563人となっているところでございます。
〇千田美津子委員 私は、特に非正規雇用から正規雇用への転換が、やはりコロナ禍等の影響で非常に落ちていると思っています。総数で言うと全然わからないのですけれども、岩手労働局の調べで、平成29年度を100%とすると、令和2年度が57%、それから、令和3年度が61%ということで、少しずつは上がっていくことはあるのですけれども、やはりこれは、さまざまな企業やそういうところと連携をした取り組みが以前にも増して必要だということだと思いますが、いかがでしょうか。
〇駒木特命参事兼雇用推進課長 委員御指摘のとおりだと思います。ただ、経済情勢もありますし、非正規雇用で働いている方のそれぞれの状況もあるかと思いますけれども、やはり処遇改善は重要だと考えておりますので、関係機関、団体と連携しながら今後も取り組んでまいります。
〇千田美津子委員 よろしくお願いいたします。
 それでは二つ目、新型コロナウイルス感染症の長期化等に伴って、解雇あるいは雇いどめの状況が非常に心配になるわけですけれども、どのように把握されているかお尋ねいたします。
〇駒木特命参事兼雇用推進課長 解雇、雇いどめの状況についてでございます。
 岩手労働局が取りまとめましたハローワーク、それから助成金相談コーナーなどにおけます相談の際に、解雇などの見込み、可能性があるとして聞き取りいたしました人数の令和2年度からの累計は、2月24日現在で210事業所の1、599人となっているところでございます。
 昨年と比較いたしますと、解雇等の見込みのある事業所数、人数ともにほぼ横ばいとなっている状況でございます。
〇千田美津子委員 確かに、2月24日現在では、今お話しあったように210事業所、1、599人となっているのですけれども、その1カ月前、1月27日現在のときは、206事業所で1、427人という状況でした。ですから、1カ月の間に4事業所がふえ、それから170人くらいふえているのです。
 それで私は、非常に新型コロナウイルス感染症の影響、それから、さまざまな物価高騰の影響で、1カ月の間にこんなにふえているということ自体に非常に驚きました。この状況をどう見ておられるでしょうか。
〇駒木特命参事兼雇用推進課長 2月に増加したところにつきましては、ある企業が倒産した(後刻「雇いどめが大宗を占めていた」と訂正)影響も大きいと受けとめておりまして、その点につきましては、岩手労働局ですとか関係市町村と連携して、再雇用といいますか、そちらに向けて取り組みを行っているところでございます。
〇千田美津子委員 4事業所がふえていたわけですが、多分大きなところが倒産したということでそういう状況と思いますが、今後も予断を許さないという状況にあると思いますので、引き続き取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、安定的な雇用の維持、確保に取り組む必要があるわけですが、県内はどのような状況にあるかお聞きいたします。
〇駒木特命参事兼雇用推進課長 安定的な雇用の状況ということでござますけれども、正規社員の求人倍率でいきますと、最新の1月末現在の状況で申し上げますと、正社員が全管内で0.89倍ということで、全国の正社員の有効求人倍率が1.09となっておりますので、全国よりは若干下がっているということでございますが、0.9倍近くで推移している状況でございます。
〇千田美津子委員 賃上げの見通しについて、なかなか資料がないということでありましたけれども、岩手県内の賃上げの状況をどのように見ているでしょうか、お聞きいたします。
〇四戸特命参事兼労働課長 賃上げの見通しについてでございますけれども、株式会社東京商工リサーチが実施いたしました2023年度の賃上げに関するアンケート調査が先ごろ発表されまして、サンプル数が少ないのですけれども、岩手県の回答72社のうち、2023年度の春闘で賃上げを実施予定企業は56社、77.8%とのことでございます。
 賃上げ率について回答した37社のうち、最多は3%から4%未満の企業が11社、29.7%、5%から6%未満が9社で24.3%、2%から3%未満が8社、21.6%というデータが出ているところです。
 ことしの春闘につきましては、報道によりますと、あすが集中回答日を迎えて、民間のシンクタンクの各社の予測では、人手不足を要因としまして、賃上げ率を引き上げるという予測がふえているとされております。
 県内の中小企業につきましては、先ほど来お話がありましたとおり、光熱費や原材料価格の高騰を受けて、賃上げの原資を確保することが容易でない状況にあると受けとめておりますが、今後も県内企業の賃上げ動向について注視してまいります。
〇千葉盛副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 先ほど斉藤委員から御質問のありました新型コロナウイルス感染症伴走支援資金の2月末の利用実績についてお答えいたします。
 2月末の実績は、207件、47億600万円余となっております。このうち122件が借りかえの目的で活用ということになっております。パーセンテージでいいますと約59%でございますので、1月末の現状と比率的には同様となっております。
〇千葉盛副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後4時15分 休憩
午後4時32分再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇駒木特命参事兼雇用推進課長 先ほどの千田美津子委員の質疑の中で、解雇、雇いどめの状況の中、2月の解雇等が多くなった理由といたしまして、私、倒産と申し上げましたが、正しくは雇いどめが大宗を占めていたところでございましたので、訂正させていただきます。
〇佐藤ケイ子委員長 質疑を続行いたします。
〇小林正信委員 私も中小企業支援についてお伺いします。
 1人当たりの実質賃金においては、1991年から2019年にかけてというところを見ると、日本は1.05倍とほぼ変わらず、先進国の中でも低位にとどまっています。こうしたことから、国は賃上げについてさまざまな取り組みを進めていくようでありますけれども、中小企業の皆さんにとっては、事業の存続にかかわる難しい課題であると思います。
 先ほど臼澤勉委員から質疑がございましたので、県としての賃上げについての支援と、あるいは業務改善助成金等の活用状況については、わかりましたので質問を割愛します。
 そして、中小企業を支えるさまざまな助成金とか補助事業がございますけれども、先ほどハクセル美穂子委員からも質疑がございましたが、これらが十分に中小企業の皆さんに周知されていない現状がある、また、周知されたとしても、申請の煩雑さから申し込みをためらうケースもあると伺っております。
 そこで、先ほど伴走型支援事業等、商工指導団体と連携しての取り組みという部分もございましたけれども、この商工指導団体の皆さんも、コロナ禍でさまざま影響を受けて疲弊しているような状況も見受けられるのかと思います。
 そこで、今後、中小企業にしっかり相談支援あるいは経営継続について一緒に取り組んでいく商工指導団体への継続的な人材育成支援、組織強化支援が必要なのではないかと考えますけれども、県の取り組みについてお考えをお伺いします。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 商工指導団体につきましては、コロナ禍前から人件費あるいは事業費につきまして、小規模補助金で活動を支援してまいりました。そして、このコロナ禍や物価高で相談対応あるいは事業者支援のお仕事が非常にふえるということもありまして、県では、今年度につきましては、再チャレンジ支援事業あるいは伴走支援事業という2本立てで、相談スタッフの増員、専門家の派遣に要する経費の増額などを図ってまいったところでございます。
 先ほどの答弁と重なりますけれども、令和5年度におきましては、その二つの事業を統合いたしまして、中小企業事業再生・再チャレンジ支援事業費補助ということで拡充いたしまして、指導団体の相談対応スタッフの増員あるいは専門家派遣等による経費の増によります相談体制の強化を引き続き行っていくという形で進めてまいる考えでございます。
〇小林正信委員 コロナ禍もございましたけれども、それが終わった後も物価高、エネルギー価格の高騰等、やはりさまざま相談支援を充実していただいているところなので、継続的な支援をお願いしたいというところでございます。
 中小企業のデジタル化について質問いたします。特に、職業能力を再開発するリスキリングについて、中小企業は大企業に比べると、このリスキリングがおくれているということです。広島県では、昨年からリスキリングに県を挙げて取り組んでいると。リスキリングを実践する企業への支援、検証プログラムの開催等実施しているとのことです。
 県としても、令和5年度からデジタルリスキリングに取り組む予定としておりますけれども、その内容についてお伺いしたいと思います。
〇四戸特命参事兼労働課長 デジタルリスキリングの今後の取り組みについてでございますけれども、県ではこれまで、地域の中小企業の人材育成と労働者のスキルアップを支援するために、県立職業能力開発施設におきまして、在職者の方を対象としたセミナーの中で、IT分野の人材育成を行ってまいりました。
 令和5年度につきましては、新たにデジタルリスキリング推進事業ということで、企業の経営課題である生産性の向上や働き方改革などを実現し、業績の向上やビジネスの革新につなげるデジタル人材の育成を進めるとともに、労働者個人としてのキャリアアップを図り、新しい職業への労働移動等を図ってまいるところでございます。
〇小林正信委員 私も、今、先進的に行っている他県の状況も取り上げさせていただきましたけれども、中小企業デジタル化というところでは、まだまだ悩みを抱えていらっしゃるところも多いかと。生産性を上げると言っても、なかなか簡単にも上げられないと。そういった、しっかりと手当てをしていただけるような組織体制も含めて、このリスキリングの充実をぜひお願いしていただければと思うところです。
 続いて、スタートアップ支援について伺います。
 先ほど岩手イノベーションベースのお話がございました。私もイノベーションベースの月例会に参加いたしましたけれども、これもオンラインが使われておりますが、やはり毎回の開催が盛岡市中心になっているかという気もいたしております。
 スタートアップの考え方について、県は、今後は市町村とも連携していくということもおっしゃっていると思いますので、県北地域、沿岸地域、県南地域においても、地域地域に着目した起業家の支援が必要になってくるのではないかと思っております。
 今後の起業家支援の取り組みについて、お考えをお伺いしたいと思います。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 岩手イノベーションベースの月例会につきましては、先ほど委員から御紹介いただきましたとおり、今は盛岡市で開催、そしてオンラインでいろいろなところから参加となっておりますけれども、メンバーの中では、やはり盛岡市を出て、いろいろな各地でできればいいなというお話もございますので、そちらについては前向きに検討してまいりたいと考えております。
 また、市町村を含めての地域の実情に応じた支援の展開ということでございます。先ほど来話題に出ておりますが、特に沿岸地域では人口減少の数が大きいこともあります。その中で、どのように外貨を稼いでいくのかといったようなことは、やはり地域の特性もありますので、そういったことを考える必要があるだろうと思っております。
 そして、来年度、このいわてスタートアップ推進プラットフォームを市町村、県、支援機関等を交えまして設置する予定となっておりますが、この構成機関が一体となって起業家育成を行うためには、共通の方向性を共有することが有効である。そして、共通の方向性、そして、それに基づく地域ごとの課題を認識しながら、目指す姿を共有する必要があると考えておりますので、中長期的な計画を、プラットフォームとしての計画をつくることも考えてまいる所存でございます。
〇小林正信委員 プラットフォームができたということは、私も非常に評価をさせていただきたいと思います。また、これまでもタスクフォースとか支援本部とかいろいろあったけれども、他部局ですが、取り組みが中断している部分が多々見受けられますので、このプラットフォームはしっかり組織をつくっていただいて、継続的に起業家支援を充実させていくような取り組みをぜひ期待したいと思います。
 政府のスタートアップの考え方の5カ年計画の中で、イノベーションの担い手として期待されているのが大学発のスタートアップだと。経済産業省では2021年度の大学発スタートアップは3、306者、業種別では、バイオ、ヘルスケア、医療機器が1、022者で最も多く、IT、情報技術の982者が続いています。
 岩手県におけるこれまでの取り組みについてお伺いするとともに、研究技術というシーズ、種と企業側のニーズがなかなか合わないという部分で、やはりコーディネーターの存在とこの育成、確保も必要なのではないかとも考えます。
 こうした点も踏まえて、今後の大学発スタートアップの取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 いわゆる大学の研究シーズをもとに事業を起こす大学発ベンチャー、スタートアップということでございます。
 岩手大学の例でお話しさせていただきますと、これまでに34者が大学発ベンチャーとして立ち上がっております。廃業してしまった事業者もいらっしゃるので、現存しているのは17者とお聞きしております。そのほか、岩手県立大学も含めて、あるいは岩手医科大学の先生もバイオ関係で起業されたというケースもございます。
 そのような人たちをベースとして、あとは大学からお話をお聞きしますのは、研究成果、研究については大学の先生が当然専門でございますので、そこは突き詰められると。ただ、やはり経営となると専門の右腕となるような方が必要になってくるということもございます。
 そういったこともありますので、まずは、先ほどの重ねての答弁になりますけれども、研究成果をビジネスとしてよりブラッシュアップする、加速する、アクセラレーションプログラムについても大学発ベンチャーの企業も対象となり得ます。まずは磨き上げもしつつ、そして、いわゆるビジネスの面については、大学の先生みずからがそういったビジネス知識を有する場合もありますでしょうし、それに対する支援も行ってまいります。あるいはマッチングということで、この研究シーズを経営面で支える方のマッチングといったようなものも他県ではあるやに聞いております。そういったことも合わせながら、どのパターンがその先生方あるいは大学発ベンチャーにとって最適なのかも見きわめながら、県内に所蔵する大学のシーズの実用化というところも考えてまいりたいと思っています。
〇小林正信委員 私もコーディネート人材と表現しましたけれども、マッチングですね、ここが足りていないという現状があるやにいろいろなところから伺っております。ここをマッチングするコーディネート人材を何とか見つけ出すというか育成するというか、ほかから連れてくるでもいいですし、そういったところに着目して、シーズがもったいないので、これは絶対商売になるというものを育てていくような取り組みはぜひ充実させていただきたいと思います。
 県では、令和5年に地域おこし協力隊4名の任用を考えていると。私も何度か取り上げましたけれども、秋田県では、地域おこし協力隊の方が中心となって、地域課題解決等の取り組みで県内の起業家の育成が進んでいます。
 岩手県における地域おこし協力隊を活用しての起業家の輩出について、お考えをお伺いします。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 ただいま委員から御紹介いただきました秋田市の例でございます。地域おこし協力隊として活動されている方が起業支援を行うという、非常に新しい、珍しいスタイルだと受けとめております。
 県内ではそのような事例は今のところないようでございますけれども、今後、先ほど来お話ししたプラットフォームの中には、市町村もメンバーとして入っていらっしゃいますので、例えば、そういった秋田市の方をお呼びして、こういった取り組みがあるんだという事例の共有ですとか、そういったものについても、先進的な取り組みを学ぶ場をつくってまいりたいと。その上で、各市町村で、では、そういった人材を雇うか、あるいは広域的に活動することも可能性としてあるかもしれません。そのあたりの可能性も含めまして、まずは私も事例を詳しく勉強して、そして、スピーディーに検討してまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 その起業家は秋田県五城目町の方でした。ぜひ連携していただいて、やっていただければと思います。
 また、秋田県の取り組みで恐縮なのですけれども、秋田県では、起業を目指す若者、女性に対して最大100万円、移住者であれば150万円の助成を実施しています。
 岩渕誠委員からお話がありましたけれども、若者、女性起業家への貸し付けを実施するお考えということですが、助成ではなく貸し付けとした理由と、創業支援資金の狙いについてお伺いしたいと思います。
〇阿部参事兼経営支援課総括課長 起業を目指す方に対する御支援の方策といたしまして、現状でも行っておりますが、起業支援金ということで一定のお渡しするという制度がございます。借り入れをして、それを返済していくために事業を継続させていくのだということのきっかけ、後押しにもなろうかということもあります。もともとは創業資金というものが制度融資でございましたので、それでは、若者、女性枠をつくろうということでつくったのがこれでございます。
 そして、先ほど来ずっと議論になっておりますけれども、やはり22歳前後の女性の社会減が大きいのだということ、そして、若者が仕事を選ぶには、給与水準あるいは自分の関心に近い仕事ができることを重視しているという調査結果もございます。
 そういった中で、地域への貢献あるいは地域課題解決に取り組んでみたいという方々を後押しするということで、この若者、女性に特化しました貸付制度を創設したところでございます。
〇小林正信委員 済みません、勉強不足で失礼いたしました。ただ、やはり創業した後の頑張っていく段階というところが一番資金が必要だという考え方もあるので、ぜひ、創業支援資金等、あとはサポートを充実していただけるようにお願いしたいと思います。
 次、観光振興について伺います。総括質疑でも取り上げましたけれども、プロモーションの充実と同時に観光コンテンツの魅力化、磨き上げ、地域一体となっての取り組みが重要であり、観光庁でも地域の看板となる商品の魅力化に力を入れていると思っております。
 県内の観光資源の魅力化についての取り組み、また、お考えについてお伺いしたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 観光資源の魅力化、磨き上げについてでございますが、昨年7月から9月に実施いたしました北東北三県大型観光キャンペーンでは、令和3年度に実施いたしました東北デスティネーションキャンペーンで造成したテーマでつなぐというコンセプトを踏襲いたしまして、世界遺産や自然、絶景、歴史、文化、食などを活用した誘客拡大に取り組んだところでございます。
 具体的には、これまで地域の観光資源であったもののさらに磨き上げを行ったことによりまして、キャンペーン期間中におきましては、通常の祭り期間以外での、つなぎ温泉や中心市街地での盛岡さんさ踊りの実演、大槌町のかがり火の舞の特別公演、宮沢賢治の雨ニモマケズの実物手帳の特別公開、御所野遺跡の定期観光バスツアーや特別列車の運行など、特別企画に多くの来場をいただきまして、観光資源の魅力向上に結びつけたところでございます。
 今後は、令和6年1月から3月に、JR東日本重点販売地域指定と連携しまして冬季観光キャンペーンを展開することとしておりまして、県内各地で地域の魅力ある観光資源をさらに磨き上げていただくよう、先般、広域振興局、市町村、DMO、観光関連事業者等に説明いたしまして、新たな観光コンテンツの造成に向けた準備を進めているところでございます。
 こうした取り組みにより観光資源の磨き上げを行い、閑散期と言われている冬季の観光誘客拡大を図り、フルシーズン、そして県内全域での誘客拡大、観光消費拡大を図っていきたいと考えております。
〇小林正信委員 通告の順番を変えますけれども、一般社団法人地域創生協議会による東北地域の観光に関する調査によると、岩手県を含む東北においては、自家用車、レンタカーによる周遊を考える意見が多いという結果があった。
 また、仙台市文化観光局では、東北ロードトリップ事業として、自動車による周遊のモデルコースを紹介しております。岩手県のドライブモデルコースとしては、《岩泉・宮古・久慈》岩手神秘のパワースポット 青の洞窟からカッパ釣りまでというテーマで紹介されております。
 自動車による周遊について、今後取り組みを進めていく必要があるかと思いますが、お考えをお伺いします。
〇高橋観光・プロモーション室長 自動車による広域周遊についてでございますが、三陸沿岸道路の全線開通によりまして、宮古盛岡横断道路、釜石自動車道と合わせて県内全域での周遊が可能となりました。また、八戸圏や仙台圏といった近隣県とのアクセスも向上いたしまして、車による周遊がより広域で可能となったところでございます。
 県では、この高規格道路などの交通ネットワークを活用して、県内の三つの世界遺産や東日本大震災津波伝承館、震災語り部などを組み合わせた周遊コースの設定やコンテンツをつなぐ観光ルートを構築し、県内外に情報発信しているところでございます。
 また、ネクスコ東日本東北支社と連携いたしまして、高速道路などを活用して東北の旅行をより楽しんでいただくことを目的に、東北6県スマホスタンプラリーを開催し、東北広域での周遊を促進することで、本県への入り込み拡大を図っているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員長 簡潔にお願いします。
〇高橋観光・プロモーション室長(続) コロナ禍において、車による個人旅行も多くなってきており、また、広い県土を周遊する手段として自動車の活用は有効と考えておりまして、整備が進んだ本県の道路ネットワーク等を活用した観光振興にも取り組んでまいりたいと考えております。
〇上原康樹委員 私は、自然エネルギー施設の観光利用について伺ってまいります。
 皆様御承知のとおり、ニューヨークタイムズによって、岩手県が表舞台に立ってしまいました。うれしいニュースでございますけれども、さあ大変。急いで世界からの観光客を迎える準備が求められております。ブラッシュアップが求められています。
 岩手県を知ってもらう、体感してもらう、もちろん大切なことです。観光スポットの充実のために、今からお金をかけるのではなく、知恵を絞る、既にあるものを利用する。
 そこで、私の提案でございますけれども、自然エネルギー施設の観光利用でございます。風、波から力を生産する、エネルギーを生産する現場というのは、大体壮大な大自然の真っただ中でございます。岩手県の魅力を求めてくる人の多くが、やはり自然に関心を持っているのですね。それをじかに間近で体験することができるというのは、これは岩手県のアドバンテージ、すばらしいものがあると思います。
 ところが、この風車ですとか波力発電所ですとか、そういうものは、やはり生産現場のたたずまいなのです。そこに観光という要素が非常に入りにくい、認知されにくい状態でございます。
 それを、何とか観光の面に取り込んでいこうということでございますけれども、こういう発想というのは、そちらの部ではお持ちでございましょうか。現在の認識を伺いたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 自然エネルギー施設の観光利用についてでございますが、県内には、県や民間企業が管理、運営する風力発電施設が幾つか設置されておりまして、その場所は、高森高原や稲庭高原といった眺望がすぐれたところでございます。本県の魅力である自然や景観を楽しむことができる観光スポットになり得るものと受けとめております。
 最近では、こうした自然体験や地域の産業体験など、旅行者と住民の交流が生まれる体験型観光が注目されております。県としては、住民生活との調和を図りつつ、観光への活用を促進していくこととしており、多くの旅行者が、本県の魅力を満喫できるような環境を構築していくことも重要であると考えております。
 そのため、市町村、観光協会、DMOといった観光関係者等と連携いたしまして、旅を楽しむ方々が快適に本県の魅力に触れていただくために、道の駅やトイレなどといった場所への情報発信を行うとともに、今後も、新たな観光施設などの整備に当たっては、観光の視点も取り入れられるよう関係部局と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
〇上原康樹委員 広大な屋外空間の中で、目的地、それから目的の施設、そこに至る道のりというものを事前に周知していくことが大切だと思います。情報の発信もこれ、あわせて行っていただきたいのですが、迷わずスムーズに快適に観光してもらうために、やはり観光移動ルートの整備も必要になってくると思います。
 広大な自然の中に風車をたどるような場合は、道筋、遊歩道よりもう少し大規模な移動ルートというものが必要になってきまして、そういうときには、これは県土整備部ですとか企業局ですとか、ほかの部も参加しての大がかりなプロジェクトになっていくと思いますけれども、その辺のイメージはどうお考えでしょうか。
〇高橋観光・プロモーション室長 新たな施設などの整備に向けては、観光の視点も取り込めるよう関係部局と連携して取り組んでまいりたいと考えております。あと、看板とか道の駅やトイレなどといった場所への情報発信ということも、先ほどお話ししましたが、私どもで今度のいわて観光DMPの中では、令和5年度におきまして、県内のイベント情報や観光地を紹介する観光ポータルサイトいわての旅を改修いたしまして、食、温泉など旅行者が求める分野や地域を選択していただくと、AIが自動でお勧めの観光ルートを提案することとか、観光地の紹介や移動時間なども表示するほか、自動対話システムであるチャットポットで細かなニーズにも対応していくということも考えております。
 そういった、今まである看板ではなくて、スマートフォンを持った方々も情報を得られるような仕組みをつくりながら、岩手県にお越しいただく方々が情報を得られるような形に進めていきたいと考えております。
〇上原康樹委員 前向きな答弁が続きました。ありがとうございます。
 先ほども御紹介いただきましたが、折爪岳の巨大風車が林立している場所、これは、私は現場に視察に行って、腰を抜かすほどにすばらしい観光資源だと思いました。今まで見ることのできなかった県北の山々を一望できるのですね。こんなにすばらしい新しい観光スポットはないと思っているのです。
 ただ、行政的な観点からいきますと、あそこは風力発電、電力の生産現場であって、一般的な観光のために開発された場所ではない。ましてや、あそこは一般企業の風車であってということでしたので、やはりこういう状況になってきますと、民間企業との協力、連携、そういうものも非常に重要になってきますけれども、何か課題はございますでしょうか。乗り越えるべきことはどんなことでしょうか。
〇高橋観光・プロモーション室長 観光客の受け入れに当たりましては、地域の観光関係者に加えて、地域の住民も含めた地域全体での合意とか受け入れ態勢の整備が重要であります。委員御指摘のような自然に恵まれた地域では、環境に配慮した観光が求められるとも考えております。
 そのため、地域のさまざまな声を大切にいたしまして、施設をつくられる民間初め管理者の方とも情報を共有しながら、地域一体となって取り組むことが重要だと考えております。
〇上原康樹委員 風車の話が続きましたけれども、今開発されているエネルギーの中で、洋上風力発電、それから波力発電、こういったものも観光資源としての可能性を十分に秘めていると思います。
 観光船との連携もこれは出てくると思いますけれども、そういうところまで発想は及んでおりませんでしょうか、どうでしょうか。
〇高橋観光・プロモーション室長 洋上風力発電とか波力発電につきましては、ふるさと振興部で取り扱っている事案でございますけれども、私どもも設備、整備とかに際しまして、観光船との連携がどのような形でできるのかは、まだ課題ということで考えております。まだ、そういった詳しいところまでの考えには及んでおりませんけれども、観光の視点ということも踏まえながら、今後、この整備に対しても対応していきたいと考えております。
〇上原康樹委員 こういう観光資源については、一般市民の皆さんが非常にアンテナを張っていまして、みずからその現場を散策して、実際に目で見て、取材して、発信するのですね。そういうものにアンテナを張っていただきたいと思います。興味の的はどこにあるのかを探っていただきたいと思います。
 まとめさせていただきますが、ディスカバー岩手に向けた県のお膳立てといいましょうか、いざない、おもてなしの提案をどんどん発信していただきたいと思います。岩手県への観光的な求心力を高め、それを岩手活性化へのエネルギーに転換していただきたいと思います。
〇佐藤ケイ子委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 質疑がないようでありますので、これで商工労働観光部関係の質疑を終わります。
 商工労働観光部の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、企業局長に企業局関係の説明を求めます。
〇森企業局長 企業局関係の令和5年度当初予算について御説明申し上げます。
 まず初めに、企業局といたしましても、脱炭素社会の実現、それから、新型コロナウイルス感染症からの産業界の回復を支えるために、CO2フリーの電力と工業用水の安定供給に万全を期すこととしたいと考えておりまして、令和5年度当初予算における基本的な方針として、電気事業では、水力発電所の再開発を進めるとともに、新規水力開発に向けた検討を進め、工業用水道事業では、新北上浄水場が4月に給水開始いたしますけれども、ニーズに応じたさらなる増強に取り組んでいくこととしております。
 恐れ入りますが、議案その2の56ページをお開きいただきたいと思います。議案第17号令和5年度岩手県電気事業会計予算でございますが、第2条の業務の予定量は、年間販売目標電力量の合計を、次の57ページの上から3行目になりますけれども、5億5、934万4、000キロワットアワーと見込んでおります。
 第3条は、収益的収入及び支出の予定額であり、収入の第1款電気事業収益は80億4、100万円余、支出の第1款電気事業費用は71億3、100万円余であります。
 第4条は、資本的収入及び支出の予定額でございまして、収入の第1款資本的収入は1億300万円余であります。
 58ページに進みまして、支出の第1款資本的支出は48億5、100万円余を計上しております。
 第5条は、債務負担行為でありますが、胆沢第二発電所発電所建屋改修工事など20事業について、債務負担行為の期間と限度額を定めようとするものでございます。
 恐れ入りますが、61ページにお進みいただきたいと思います。議案第18号令和5年度岩手県工業用水道事業会計予算でありますが、第2条の業務の予定量といたしましては、年間総給水量を1、620万4、650立方メートル、1日の平均給水量といたしましては4万4、275立方メートルを見込み、主要建設事業として、新北上浄水場を増強しようとするものでございます。
 第3条は、収益的収入及び支出の予定額であり、収入の第1款工業用水道事業収益は11億1、700万円余であります。
 62ページに参りまして、支出の第1款工業用水道事業費用は16億9、700万円余であります。
 第4条は、資本的収入及び支出の予定額であり、収入の第1款資本的収入は10億9、800万円余、支出の第1款資本的支出は14億7、300万円余を計上しております。
 第5条は、債務負担行為であり、新北上浄水場建設(第二期)工事など5事業につきまして、債務負担行為の期間と限度額を定めようとするものでございます。
 以上で説明を終了いたします。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇佐藤ケイ子委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇柳村一委員 電気事業会計についてお伺いいたします。
 まず、令和5年度の経営見通しはどのようになっているのかお伺いします。
〇伊藤経営企画課長 電気事業における令和5年度の経営の見通しについてでありますが、令和5年度における収入は、平年並みの気象状況であることを前提に80億4、000万円余を見込んでおり、既設発電所の更新工事に伴う発電停止の影響などにより、前年比-今年度比になりますが、8、000万円余の減少となる見込みです。
 また、支出は71億3、000万円余を見込んでおり、胆沢第二発電所の再開発に伴う費用の増加の影響などにより、同じく前年比4億6、000万円余の増加となる見込みです。
 この結果、来年度の純利益は今年度よりは減少するものの、税抜きになりますが、6億3、000万円余になるものと見込んでおります。
〇柳村一委員 純利益が6億3、000万円ということで、令和4年に比べて6億3、000万円ほど減ったということです。この中には昨今の資材不足や物価上昇の影響などは入っているのでしょうか。
〇高橋電気課長 純利益が減った要因ですけれども、営業費用の支出のうち主なものといたしまして、再開発を行っているところの撤去費用など固定資産除却費の増加、それから修繕費などの増加が主な要因でございます。
〇柳村一委員 では、物価上昇等の影響は特にないということでよろしいですね。わかりました。
 現在、プロポーザル方式で契約を交わされているようですが、契約時点より、今、市場価格が上がってきている感じなのですけれども、それは売電価格に転嫁はできないものなのでしょうか。契約上無理だということで考えていいですか。
〇高橋電気課長 現在の契約は、令和4年度分、令和5年度分ということで令和3年度に契約したものでございますが、契約上単価はそのままということになります。
〇柳村一委員 2年ごとの売電契約ということで、例えば、これが1年ごとであれば今の売電価格に移行することが可能だと思うのですけれども、経営にとって、多年度の契約がいいのか、それとも単年度でやったほうがいいのか、そこら辺はお考えがありますでしょうか。
〇高橋電気課長 他県の状況を見ましても、単年度で契約を行っている県もございますし、3年間の契約、2年も多いのですけれども、それぞれでございます。
 一応、年数の選び方は一長一短があるのですけれども、今回は電力市場の高騰という部分がございましたが、それ以前は安定していたものですから、そういった部分で、経営の安定化に寄与するということで2年の複数年を選んで実施したという経緯でございます。
〇柳村一委員 きちんと利益を出しているので何とも言えませんけれども、やはりそこら辺も企業局としていろいろ精査していただいて、より収益を上げていただければと思いますので、よろしくお願いします。
 次に、今後の事業拡大についてお伺いしたいと思います。
 先ほど森企業局長が、再開発事業をやって、あと新規事業開発にも取り組んでまいりますと言っていましたけれども、今後の事業拡大について、どのようなお考えを持っているのかお伺いします。
〇伊藤経営企画課長 今後の事業拡大についてでありますが、電気事業は、設置条例によって、電源を開発し産業経済の発展と民生の安定に寄与することとされており、直近の例でありますが、水力発電所については、令和3年7月の簗川発電所の新設や、風力発電では、昨年、令和4年7月に稲庭高原風力発電所の再開発を行い発電量の増加に取り組んできたところです。
 今後においても、既設発電所の再開発に取り組むこととしているほか、水力発電所の新規開発についても検討を進めており、適地の奥地化に伴う建設コストの増加や送電網への接続の課題など、さまざまな課題があるものの、引き続き、脱炭素社会の実現に貢献できるよう、再生可能エネルギーによる電力の拡大に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
〇柳村一委員 長期経営方針の中で、作成した当時では県内の発電量の約22%を企業局がつくっているのだよということが書かれておりましたけれども、現在もこの22%ぐらいと考えてよろしいのでしょうか。
〇高橋電気課長 現在の細かい数字は今手元にございませんけれども、当時の長期経営方針を作成した段階で、再開発あるいは簗川発電所の建設とか、計画していたものは順調に建設しておりますので、ほぼそのときの目標どおり進んでいると考えられます。
〇柳村一委員 何で聞いたかといいますと、改定版の第2次岩手県地球温暖化対策実行計画の最終案の中で、県では2030年までに66%を再生可能エネルギーにするという話でしたけれども、その再生可能エネルギーの種別の電力想定量を見ますと、2021年で、風力が11%で、企業局が担っている水力が30%なのです。それが2030年、66%になるときには、風力が29%を占めて、水力が19%。多分水力はそのままで行っているのだけれども、風力が伸びていくのでパーセントは変わらない。でも、それが2050年までには100%にするといったときに、企業局がもっと再生可能エネルギーの電力自給力を上げていかなければ、この目標達成は難しいのではないかと思って伺っているのですけれども、その点に関していかがでしょうか。
〇高橋電気課長 実行計画の目標に貢献できるように開発というお話でございますけれども、我々、再開発ではございますが、わずかながら電力量の増加に努めております。それから、新規水力発電も、いろいろ課題があって難しい状況ではございますが、今後取り組んでまいりたいと思います。
 それで、数字的には少しでございますが、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画の目標にも寄与してまいりたいと考えております。
〇柳村一委員 2050年100%のときには、多分洋上風力発電が2040年ごろに稼働すればそれに近づいていくのでしょうけれども、民間の力だけでなくて、やはり県は県独自の再生可能エネルギーの開発計画みたいなものをやって、少しでも上げていただければいいかと思います。
 第2次岩手県地球温暖化対策実行計画の中に新しい事業として、例えば水力発電の新規開発みたいなものが載る見込みはあるのでしょうか。
〇山谷業務課総括課長 第2次岩手県地球温暖化対策実行計画への企業局の発電目標の掲載についてでありますけれども、現時点では具体的に事業化できるような発電所が見つけられていないといった現状から、まだ目標設定までには至っていないのが実情でございます。
〇柳村一委員 最後にしますけれども、総括質疑で知事に聞いたら、電気事業がより一層大きな役割を果たしていくものと期待しておりますとおっしゃっていますし、財政にしてみても、企業局の一般会計への繰り入れはすごくありがたいと思っていると思いますので、もう少し積極的に事業展開するように、企業局長、何かあったらお願いします。
〇森企業局長 企業局の発電事業の現状を申しますと、一番古い発電所が昭和32年に設置された胆沢第二発電所でございます。もう長年たっておりまして、今まで更新ですとか補修してやってまいりましたけれども、どうしても古くなってくると稼働率が下がるというのがございます。地球温暖化対策のためにも、この稼働率を維持したまま、できれば最新技術をもって上げる取り組みとともに、それと並行して、新しい水力発電なり、バイオマスとかさまざまございますけれども、そちらのほうにも取り組んでまいりたいと考えております。
 この2本立てで、企業局としては計画の実現に貢献してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは、企業局における再開発事業とCO2削減の効果などについて、最初にお聞きいたします。
 企業局の再開発事業の進捗状況はどうなっているでしょうか。発電量がどう増加し、CO2排出量の削減の見込みはどうなっているか示してください。
〇高橋電気課長 再開発事業についてでありますが、現在、入畑発電所と胆沢第二発電所の2カ所で再開発事業を進めております。
 入畑発電所につきましては、令和7年度の運転開始を目指しまして更新する設備の設計を進めているところであり、来年度の秋に発電を停止しまして、既存設備の撤去工事に着手する予定でございます。
 胆沢第二発電所につきましては、令和8年度の運転開始を目指しまして、再開発に伴う長期停止中であっても農業用水が供給できるように、今年度、代替放流設備の設置工事を進めており、来年度末に発電を停止しまして、既存設備の撤去工事に着手する予定でございます。
 それから、再開発終了後の年間発電電力量は、入畑発電所が既設の1.3%、約12万キロワットアワー増の約980万キロワットアワーの見込みでありまして、これをCO2排出削減量に換算しますと、約60トン増の4、700トンでございます。
 胆沢第二発電所は、既設の1.5%、約43万キロワットアワー増の約2、900万キロワットアワーの見込みでございます。CO2排出削減量に換算しますと、約210トン増の約1万3、900トンとなる見込みでございます。
〇斉藤信委員 それでは、新規水力開発の取り組みですが、6地点の可能性調査の結果の報告書が3月10日に提出されると聞いておりますが、どうなっているでしょうか。
〇山谷業務課総括課長 新規開発の取り組みについてでございます。
 今年度は、新たな開発候補地点としまして、6地点の可能性調査を実施したところです。
 この可能性調査におきましては、現地踏査のほか、収集した資料をもとに、水の取り入れ口から発電所予定地までの水路ルートや発電所の規模を検討した上、概算工事費の算定と経済性の評価を行ったところです。
 6地点の調査結果につきましては、開発可能性の高い1地点については、経済性が良好であるものの流量の追加調査が必要との結果になっております。
 また、3地点につきましては、現状では経済性が悪い評価となりましたが、今後、追加調査を行いながら将来的な実現可能性を吟味したいと考えているところです。
 残りの2地点につきましては、建設費用が高額となりまして、現時点では開発の可能性がないと判断されたところです。
〇斉藤信委員 1地点については開発の可能性があるものの、流量の追加調査が必要だということですが、来年度以降の取り組み予定はどうなりますか。
〇山谷業務課総括課長 新規水力開発に向けた来年度の取り組みについてですが、今回の可能性調査の結果、開発の可能性が高いと評価されました1地点につきましては、次の開発ステップとなります概略設計を行いまして、より詳細な調査を実施して事業化の可能性を検討する予定としています。
 また、可能性調査を実施した6地点のうち、流量資料が不足している2地点については、新たに流量観測を開始する予定としています。加えまして、今回調査した地点以外にも、新たに5地点の可能性調査を実施し、新規水力開発の事業化に向けた取り組みを推進してまいります。
〇斉藤信委員 今は水力発電の可能性調査でありましたが、水力発電以外の風力発電や太陽光発電等、新たな新規電力の開発の検討はどうなっていますか。
〇高橋電気課長 水力発電以外の新たな新規電力の開発の検討についてでありますが、企業局はこれまで、水力発電を中心に風力発電と太陽光発電の開発を行ってきておりますが、このうち風力発電については、開発可能性が高い地点は既に民間事業者により検討が進められているところでありまして、太陽光発電についても同様な状況でございます。
 そのほか、本県では地熱発電やバイオマス発電などもポテンシャルが高いとされているところでございますが、地下資源特有の開発リスクや燃料の確保などといった課題も多いところでございます。
 企業局としましては、これまで多数の水力開発に取り組んできた実績があり、今年度も、先ほどお話しした6地点の可能性調査を実施して、来年度は概略設計を予定しているなど、現在も開発に向けて積極的に取り組んでいるところでございます。
 今後においても、知見を生かせる水力発電を中心とした再生可能エネルギーの開発に注力してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 私は、決算特別委員会のときに企業局の発電によるCO2削減への実績を聞きました。令和2年度は35万トンのCO2削減、令和3年度は27万トンで、このときには取水率の低下が要因だったということですが、令和4年度の見込みはいかがですか。
 追加して聞いたので、わかったら後で答えてください。
 新北上浄水場建設の進捗状況と今後の見通しについてお聞きします。
 第一期工事計画は今年度までということだったと思いますけれども、進捗状況はどうでしょうか。
〇山谷業務課総括課長 新北上浄水場の第一期工事の進捗状況につきましては、今年度は新北上浄水場整備の第一期工事の最終年度に当たりまして、浄水場建設に係る場内整備や取水口建設に係る電気、機械設備の据えつけ、浄水場から工業団地までの配水管布設を終えまして、現在、敷地内の一部外構を除き完成している状況でございます。
 本年1月からは試運転を開始し、現在はユーザーへの給水に向けた総合調整を行っており、令和5年4月の一部給水開始に向けて最終チェックを行っているところでございます。
〇斉藤信委員 今、キオクシア岩手株式会社が工場の増設をしています。また、誘致企業もどんどん増加しているようでありますが、こうしたキオクシア岩手株式会社の工場の増設、新たな誘致企業への対応など、どのように対応される予定か示してください。
〇山谷業務課総括課長 キオクシア岩手株式会社の工場増設に対する対応についてでございます。
 これまでキオクシア岩手株式会社の需要に対しましては既設の浄水場から給水している状況ですが、令和4年3月に公表されました工場増設計画によりますと、今後、第二製造棟の工事を進めることとしておりまして、北上工業団地の給水需要が既設浄水場の給水能力を超える見通しであります。
 このため、令和5年4月から給水量を日量約2万立方メートル増強、さらに令和7年に日量約2万立方メートル増強しまして、北上工業団地の各ユーザー企業の給水要望に応えていく計画としています。
 工業用水の各ユーザー企業に対しましては、年数回の訪問を通じて、使用計画を確認するなど綿密な情報交換を行っているほか、工場拡張を予定しているユーザーに関しては、関係者で随時情報交換を行っているところです。
 以上の取り組みを通じまして、今後も中長期的な各ユーザーの工業用水の需要に的確に対応していく所存であります。
〇高橋電気課長 先ほどの御質問にお答えいたします。
 令和3年度の実績が、前回、電力量が5億6、000万キロワットアワーで、CO2が27万トンとお答えしておりました。令和4年度につきましては、電力量が、2月補正予算の数字で同じ5億6、000万キロワットアワーということで、CO2も同じく27万トンでございます。
 要因といたしましては、出水率は平均すると平年並みだったのですが、夏場の8月にすごく雨が多くて、ほかの月が少ないということで、電力量に回る効率、流況が余りよくなかったということと、国道107号の水位制限も引き続き行われておりましたので、令和2年度に比べれば低い数字となっております。
〇佐藤ケイ子委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 質疑がないようでありますので、これで企業局関係の質疑を終わります。
 企業局の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時35分 散会

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