令和5年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和5年3月13日(月)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 平 貴 一
主任主査 佐 藤 博 晃
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 及 川 雄 也
主査 阿 部 真 人
主査 刈 屋 江美子
1説明員
保健福祉部長 野 原   勝
副部長兼
保健福祉企画室長 松 村   達
医療政策室長 佐々木   亨
子ども子育て
支援室長 高 橋 久 代
保健福祉企画室
企画課長 畠 山 直 人
保健福祉企画室
管理課長 田 澤 清 孝
健康国保課
総括課長 阿 部 真 治
医療情報課長 大 内   毅
地域福祉課
総括課長 前 田 敬 之
長寿社会課
総括課長 前 川 貴美子
障がい保健福祉課
総括課長 日 向 秀 樹
医務課長 中 田 浩 一
地域医療推進課長 山 崎 重 信
感染症課長 三 浦 節 夫
特命参事兼
次世代育成課長 佐々木 浩 一

医療局長 小 原   勝
次長 小 原 重 幸
経営管理課
総括課長 千 田 真 広
職員課総括課長 宮   好 和
医事企画課
総括課長 佐 藤   誠
業務支援課
総括課長 千 葉 直 樹
薬事指導監 勝馬田 康 昭
看護指導監 冨 山   香

医師支援推進室長 植 野 歩 未
医師支援推進監 尾 形 健 也
医師支援推進監 尾 形 憲 一

財政課総括課長 山田翔平
〇佐藤ケイ子委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 なお、高橋こうすけ委員は、所用のため欠席とのことでありますので、御了承願います。
 議案第5号から議案第25号まで、議案第29号から議案第32号まで、議案第34号及び議案第36号から議案第60号までの以上51件を一括議題といたします。
 本日は保健福祉部及び医療局関係について、延べ16人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は23分といたしましたので、議事進行に御協力をお願いいたします。
 また、関連質疑の取り扱い、換気のための休憩につきましては、これまでと同様でありますので、御協力をお願いいたします。
 初めに、保健福祉部長に、保健福祉部関係の説明を求めます。
〇野原保健福祉部長 令和5年度の保健福祉部関係の当初予算及び予算関連議案について御説明申し上げます。
 初めに、令和5年度予算編成に当たっての基本的な考え方でありますが、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのもと、東日本大震災津波からの復興を着実に進め、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期すとともに、四つの重点事項と、各政策分野に基づく施策を推進してまいります。
 まず、復興の推進では、岩手県こころのケアセンター等による心のケアの支援のほか、生活支援相談員による見守り活動などの被災者支援の取り組みを進めてまいります。
 また、四つの重点事項の自然減対策では、いわての子みんなでつくる大きなゆりかごのスローガンのもと、子育て世帯の経済的支援の拡充を初めとした、結婚、妊娠・出産、子育ての各ライフステージに応じた総合的な取り組みを進めてまいります。
 次に、健康・余暇の政策分野では、特定健診などのさらなる受診率向上の取り組みを初め、自殺予防に向けた相談支援体制の充実、即戦力医師の招聘や奨学金による医師養成、周産期医療提供体制の充実強化などのほか、生活困窮者の生活再建や、福祉・介護人材の育成・確保などの取り組みを進めてまいります。
 家族・子育ての政策分野では、高校生等までの医療費助成の現物給付拡大や、市町村と連携した第2子以降の3歳未満児に係る保育料の無償化と在宅育児への支援金の支給など、子育て世帯の経済的負担の軽減を図るほか、若い世代に対するライフデザインの構築支援、子供の貧困対策や医療的ケア児支援センターを中心とした医療的ケア児の支援体制の構築などの取り組みを進めてまいります。
 新型コロナウイルス感染症対策については、引き続き、感染拡大防止や入院病床等の確保など、適切な保健・医療体制の確保、迅速かつ円滑なワクチン接種体制の確保などに取り組んでまいります。
 なお、政府から感染症法上の位置づけを、5類に移行する方針が示されたところでありますが、移行に当たって必要となる対策などにも臨機応変に対応してまいります。
 続きまして、当部関係の議案について御説明申し上げます。
 まず議案第5号、令和5年度岩手県一般会計予算でありますが、お手元の議案その2の6ページをお開き願います。
 当部関係の予算は、3款民生費のうち1項社会福祉費、3項児童福祉費、7ページに参りまして4項生活保護費と4款衛生費のうち1項公衆衛生費、3項保健所費、4項医薬費、9ページに参りまして、13款諸支出金、1項公営企業貸付金及び2項公営企業負担金の一部を合わせまして、総額で1、638億8、860万円余であり、前年度の当初予算と比較しますと、81億4、917万円余の減額となるものであります。
 予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。11ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、保健福祉部所管の事業は、6福祉総合相談センター設備整備で、福祉総合相談センターの受変電設備の整備が翌年度にわたることから、期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
 次に、議案第6号、令和5年度岩手県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算について御説明申し上げます。引き続き議案その2、20ページをお開き願います。歳入と歳出の予算総額は、それぞれ4億2、887万円であります。21ページに参りまして、歳入は一般会計からの繰入金と、繰越金及び諸収入であります。22ページの歳出は、母子家庭及び父子家庭、寡婦の経済的自立、生活意欲の助長、児童福祉の増進などを図るために必要な資金の貸し付けに要する経費であります。
 次に、議案第14号、令和5年度岩手県国民健康保険特別会計予算について御説明申し上げます。引き続き、議案その2、44ページをお開き願います。歳入と歳出の予算総額は、それぞれ1、119億4、773万円余であります。45ページから46ページにかけましての歳入は、市町村からの負担金、国の負担金及び補助金、社会保険診療報酬支払基金等からの交付金、一般会計からの繰入金などであります。
 47ページの歳出の主なものでありますが、国民健康保険事業に係る保険給付費等交付金、後期高齢者支援金、介護納付金、特別高額医療費共同事業事業費拠出金などであります。
 引き続きまして、予算に関する議案について御説明いたします。議案その3、28ページをお開き願います。議案第31号岩手県手数料条例の一部を改正する条例のうち、保健福祉部関係の改正につきましては、62ページに参りまして、別表第4中、26の介護支援専門員実務研修受講試験の試験問題作成事務に係る手数料について、事務を委託している公益財団法人社会福祉振興・試験センターの受託単価の改定に伴い減額しようとするものであります。
 78ページをお開き願います。議案第37号福祉の里センター条例の一部を改正する条例は、近年の物件費等の上昇を踏まえ、多目的ホール等の利用料金の上限額を引き上げようとするものであります。
 81ページに参りまして、議案第38号福祉交流施設条例の一部を改正する条例は、近年の物件費等の上昇を踏まえ、ふれあいランド岩手の体育施設等の利用料金の上限額を引き上げようとするものであります。
 85ページに参りまして、議案第39号いわて子どもの森条例の一部を改正する条例は、近年の物件費等の上昇を踏まえ、県立児童館いわて子どもの森の宿泊料等の利用料金の上限額を引き上げようとするものであります。
 以上で、保健福祉部関係議案の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇佐藤ケイ子委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔、明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。
〇小西和子委員 私からは、ひとり親家庭と総合相談支援事業について伺います。ひとり親家庭等応援サポートセンターの昨年度の相談件数と主な内容を伺います。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 ひとり親家庭等応援サポートセンターの昨年度実績でありますが、令和3年度の相談延べ件数は1、449件であり、主な相談内容としては、医療・健康に関することが344件、人間関係に関することが212件、子育て・教育に関することが205件などとなっております。
〇小西和子委員 達成度はAとなっております。
 今年度の直近の相談件数と主な内容等と対応状況を伺います。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 今年度の相談件数等についてでありますが、令和5年1月末現在の相談延べ件数は164件であり、主な相談内容としては、子育て・教育に関することが22件、生活費、収入に関することが20件、就労に関することが15件などとなっております。
 相談内容に応じて、さまざまな関係機関と連携しており、子育て教育に関する相談に対しては、各地域のファミリーサポートセンターやスクールソーシャルワーカー等に、生活費や収入、借金などお金に関する相談に対しては、生活困窮者自立相談支援機関や本事業で実施しておりますファイナンシャルプランナーの個別相談に、就労支援が必要なケースに対しましては、ハローワークの就労ナビゲーター等につなぐなどの対応を行っております。
〇小西和子委員 相談件数は164件でありますが、しっかりと支援先につないでいるということであります。この件数ですと、達成度はDになります。
 相談件数が、1月時点ではありますが、1、449件から164件と激減しております。これはどのような理由からなのでしょうか。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 相談件数の開きについてでありますが、昨年度は、同一の相談者からの相談に対し、傾聴も含め、相談員みずからが繰り返し対応する事例が多く、相談件数が大幅に増加したところであります。今年度、ひとり親家庭等応援サポートセンターとしての相談体制のあり方について、再検討を行ったところであります。
 本来は、ひとり親家庭等応援サポートセンターは、相談内容に応じ、地域の相談機関や専門機関を紹介したり、市町村社協や民生・児童委員など、身近な支援者による伴走型支援につないだりすることが主な役割であることから、今年度は、初期の相談対応において、悩みや支援ニーズを丁寧に拾い上げ、その課題やニーズに対応した関係機関に適切につなぐことをより重視して、相談対応を行っているところであります。
 そのため、相談支援を必要とするひとり親家庭等に、まずひとり親家庭等応援サポートセンターが認知されること、そして、関係機関から連携の協力を得られることが重要であることから、今年度は、市町村、市町村社会福祉協議会、ハローワーク、民生・児童委員等に加え、市町村教育委員会や保育園、幼稚園にもリーフレットを配布し、当事者の方への周知や支援のつなぎへの御協力について、依頼を行ったところであります。
〇小西和子委員 昨年度の相談件数1、449件は、同一人物から何度も繰り返し相談があったことを聞いておりました。ひとり親家庭でありますと、日中は仕事をしていますので、日中の相談はまずできないわけですが、この件数はどうなのだろうと私も思っていましたし、その方には、傾聴、お話を伺うというだけのことであったということで、あり方の再検討をしたということはすごく大事なことだと思います。必要なところにきちんとつないでいるというところを高く評価したいと思いますし、さらに、ひとり親家庭等応援サポートセンターの所在について広く知らしめたことにも、敬意を表したいと思います。
 それから、次ですが、支援者研修の実施状況を伺いたいと思います。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 支援者研修の実施状況についてでありますが、ひとり親家庭等応援サポートセンターでは、地域において、ひとり親家庭等の支援に携わる、県、市町村、市町村社会福祉協議会、支援団体等の職員及び民生・児童委員などの支援者の対応力向上を目的とした支援者研修を実施しております。
 令和4年度は、行政や団体等の職員などの支援者を対象に、盛岡、県南、沿岸、県北の各圏域において研修を実施し、78名が参加したところであります。
 また、民生・児童委員を対象とした研修は、新型コロナウイルス感染症の影響で、いずれも書面配布による研修となりましたが、二つの圏域において、ひとり親支援をテーマに実施をしたところであります。
 令和5年度におきましても、各圏域において研修を実施する予定としております。
〇小西和子委員 しっかりと支援者の研修を行っているということであります。
 昨年度は、9圏域にひとり親家庭等サポートネットワーク会議を設立することでありましたが、いただいた資料では2圏域とあったり、いろいろありますが、新型コロナウイルス感染症の影響により3圏域での開催となったとの答弁をいただいております。
 今年度の進捗状況はいかがでしょうか。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 ひとり親家庭等サポートネットワーク会議についてでありますが、各地域において、困難を抱えるひとり親がどの窓口に相談しても、専門機関につながる連携体制を構築するため、関係機関で構成するひとり親家庭等サポートネットワーク会議を設置することとしております。
 今年度は、6圏域においてひとり親家庭等サポートネットワーク会議を設置、開催しております。うち1件は3月下旬の設置予定も含んでおります。残る3圏域におきましても、令和5年度前半での設置、開催に向けて、構成団体などとの具体的な調整を行っていくこととしております。
 地域によりまして、人材や支援団体等が異なるため、設置に当たっては、地域の実情に応じて、効果的な支援体制となるよう調整を行う必要がありますことから、ひとり親家庭等応援サポートセンターが現地に出向いて支援を行いながら、未設置の圏域でネットワークが構築され、県全体で相談支援体制が整うよう、引き続き、取り組みを進めてまいります。
〇小西和子委員 6圏域までふやしたということであります。あと3圏域ですので、次年度、9圏域が達成できるように、努力をしていただきたいと思います。
岩手県ひとり親家庭等自立促進計画があります。これは、ひとり親家庭等のさまざまな困り事に対応できる関係を構築しますという相談機能の充実の目標を掲げております。これを達成するための、今後の取り組みについて伺います。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 目的達成に向けた今後の取り組みについてでありますが、ひとり親家庭の相談支援につきましては、平成30年度に実施した岩手県子どもの生活実態調査において、公的支援政策の周知が十分に行き届いていないこと、公的相談窓口が十分に活用されていないことなどが明らかとなったことを受けまして、令和2年度から、ひとり親家庭等応援サポートセンターを設置し、関係機関・団体のネットワーク構築による相談支援体制の構築を進めているものであります。
 新型コロナウイルス感染症の影響の長期化などにより、ひとり親家庭等を取り巻く環境が厳しくなっておりますことから、支援を必要とするひとり親家庭等が確実に相談につながり、適切な支援を受けられることが重要であると認識をしております。
 そのためには、ひとり親家庭等の支援にかかわる機関・団体の間で、顔が見える形での連携、協力体制を構築することが必要であると考えておりまして、引き続き、サポートセンターについて、幅広く周知を図るとともに、全ての圏域においてネットワーク構築を進め、相談機能の強化、情報提供の充実を図りながら、ひとり親家庭等を地域で見守り、支える仕組みづくりに取り組んでまいります。
〇小西和子委員 それぞれの圏域で温度差があったりしますので、よろしくお願いします。
 次は、子どもの居場所ネットワークについて伺います。昨年度の子どもの居場所の設置箇所数と内訳、今年度の設置箇所数と内訳について、伺います。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 子どもの居場所づくりについてでありますが、令和3年度は、24市町村、79カ所で取り組まれており、そのうち、食事の提供のみが34カ所、学習支援のみが9カ所、両方実施が34カ所等となっております。
 令和4年度は、令和5年1月末時点で、27市町村、100カ所で取り組まれており、そのうち食事の提供のみが51カ所、学習支援のみが11カ所、両方実施が36カ所等となっておりまして、取り組みが進んでいるところであります。
〇小西和子委員 食事の提供だけではなく、学習の場ということで、受験をする生徒たちの大きな力にもなっているという報道がありました。子どもの居場所ネットワークいわてが支援した子どもの居場所は73カ所、61団体と聞いております。これは2月現在です。コロナ禍の中でこそ必要とされることから、大きく伸びています。子どもの居場所サポートネットワークいわては、コロナ禍なので2年ぐらいでしょうか、少し足踏み状態だったわけですが、いやいや、コロナ禍だからこそこういうのが大事だからということで、精力的にこの箇所数をふやしたのだなということが、この数字からも見てとれます。
 今年度の子どもの居場所ネットワークいわての評価を伺います。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 子どもの居場所ネットワークいわての評価についてでありますが、県では、いわて県民計画(2019〜2028)において、この子どもの居場所の全市町村への拡大を掲げており、令和4年度は、子どもの居場所ネットワークいわてに配置しているコーディネーターを1名増員し、食材や支援金等の寄附のマッチング、スタッフの育成、スキルアップのための研修会の開催、参画団体の活動内容や、子どもの居場所支援に関する普及啓発など、支援の充実を図ったところであります。
 また、子供の居場所の設置が進んでいない地域での取り組みを促すため、今年度は、県北地区を会場に、全国組織と連携してワークショップを開催し、居場所づくりに関する取り組み事例の紹介や情報提供を行うなど、機運の醸成にも取り組んだところであります。
 子供の居場所は、子どもの居場所ネットワークいわてを設立した平成30年度末の16市町村、30カ所から、令和5年1月末現在では、27市町村、100カ所と、着実に取り組みが拡大してきておりまして、子どもの居場所ネットワークいわてによるきめ細かな支援が、成果に大きく貢献しているものと考えております。
〇小西和子委員 子どもの未来応援地域ネットワーク形成支援事業費が増額になっております。これはどうしてでしょうか。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 子どもの未来応援地域ネットワーク形成支援事業費についてでありますが、現行の岩手県子どもの幸せ応援計画(2020〜2024)の計画期間が、令和6年度までとなっていることから、令和6年度において、次期計画の策定作業を行う予定としております。
 現在の計画は、平成30年度に実施した岩手県子どもの生活実態調査で明らかとなった課題等を踏まえて策定したところでありますが、次期計画の策定に先立って、新型コロナウイルス感染症拡大などの状況変化による影響等について把握するため、令和5年度に子供や保護者を対象としたアンケート調査を実施する考えでありまして、それに関する経費を計上したものであります。アンケートの対象者や調査項目等の詳細については、今後、関係部局や関係者等の意見も聴取しながら検討していく考えであります。
〇小西和子委員 すごく重要なことだと思います。私の手元にも、コロナ禍のひとり親世帯への影響ということで幾つかあります。コロナ禍で、物価も上がり、今までは、睡眠時間を減らして働いてきたけれど、このごろはそれもつらくなった。でも、あと10年間は生きていたいという切実な声もありました。そのアンケート調査を、ぜひ施策につなげていただきたいと思います。
 今取り上げた二つの事業は、人口減少対策に位置づけられております。他県の政策がよければ、人口が流出することがあるという捉え方なわけです。岩手県では、2020年9月1日からひとり親家庭等応援サポートセンターを開設し、ひとり親家庭からの相談を受け付け、公的支援施策につないできました。
 これは国のスキームを使ったわけですけれども、せっかくのワンストップ事業と予算があります。この事業は、コロナ禍の物価高で、食事の回数を減らすしか家計を回す手立てがないといったひとり親家庭のためになっているのでしょうか、伺います。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 ひとり親家庭サポートについてでありますが、先ほども御紹介申し上げたとおり、平成30年度の岩手県子どもの生活実態調査において、ひとり親支援の施策はさまざまありますが、それにもかかわらず施策が周知されていない。それから、窓口もさまざまありますが、それも十分に活用されていないということで、そこを関係機関と関係団体とのネットワークにより、しっかり相談につながるようにということで始めた事業であります。
 その間、コロナ禍という厳しい状況とかもありまして、ひとり親家庭の状況は一層厳しくなっております。先ほども御紹介申し上げたとおり、相談のあり方についても、まず、来た相談に丁寧に何度もという対応もしておりました。傾聴、寄り添った対応も必要ですが、初期に世帯の抱える課題が解決されることも大事だと思っておりますので、関係機関と連携を密にし、コロナ禍でありましたけれども、今年度から、関係機関との対面でのネットワーク会議も復活させておりますので、そういったところで関係機関と連携しながら、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。
〇小西和子委員 よろしくお願いします。
 困窮しているひとり親家庭とつながっている団体が幾つかあるのですが、そこでつながっているひとり親の方々は、このサポートセンターに相談したことがないと言っているのですよ。だから、信用されるような、そういうセンターにならなければいけないのではないかと思います。
 3月8日に、コロナ禍の岩手の現状を知るという集会がありました。これは岩手弁護士会の主催で行われまして、困窮している県民を支援している四つの団体が、取り組みについて紹介して、公表するというものでした。
 重層と予算にも書かれていますけれども、岩手の現状を知るという集会では役所の縦割りをなくして、行政の中でやってほしいということ。それから、ひとり親施策を含め、行政の本気度を見せてほしいという話がありました。
 ですから、当事者の声をしっかりと受けとめること、そして、専門機関につなぐこと。そういうことで、人とかかわることとか、人を信じる力を積んでいく。そういうことで、明るい未来に向かえるような取り組みを伝えていくことが重要であるという話がありましたので、よろしくお願いします。
 冒頭に言わなければいけなかったのですが、保健福祉部の皆様方には、日々、新型コロナウイルス感染症の対策に当たられていることに、本当に頭が下がる思いがします。超過勤務もかなりあることも、これまでの質疑の中でも取り上げられております。本当に心より敬意を表して、質問を終わります。
〇城内よしひこ委員 それでは、質問をしたいと思います。看護師の確保状況についてであります。本当に、コロナ禍で医療現場は大変だったと思いますし、看護師の皆さんは大変な中でその対応を頑張ってこられたことに、まずもって敬意を表したいと思います。
 そこで、県立高等看護学院の県内の就職状況を、まずお伺いしたいと思います。
〇中田医務課長 県立高等看護学院の県内就業の状況についてでありますが、県内に3カ所あります県立高等看護学院におきます令和3年度の実績でありますが、卒業者数は全体で92名であり、その進路の内訳につきましては、県内での就業者が56名、県外での就業者は25名、大学等への進学、未就業者は11名となっており、就業者81名に占める県内就業率は69.1%で、県内養成施設全体の平均66.6%より高いものの、令和2年度の80.9%に対し、11.8%の減少となったところであります。
 なお、今年度の卒業生の就職内定の状況では、卒業予定者84人のうち、県内就業を予定している者は60名となっており、県内就業率は81.1%と、令和2年度並みに増加を見込んでいるところであります。
 県立高等看護学院につきましては、県内医療機関の看護人材確保の役割を期待されているところであり、県としましては、学生に対し、修学資金の貸し付けや病院での就業体験、就職説明会の参加により、県内医療機関の魅力を伝えるほか、引き続き、高等看護学院と連携し、本県の地域医療に貢献する看護職員の育成に取り組んでまいります。
〇城内よしひこ委員 次に、奨学金を使って頑張っている学生の状況についてお伺いしたいと思います。
〇中田医務課長 看護師等修学資金貸し付けの状況であります。毎年度、被災者枠10人を含む110人の貸し付け枠を設けておりまして、令和3年度は、新規108人、継続204人の計312人に貸し付けを行っており、令和4年度につきましては、新規90人、継続210人の合計300人に貸し付けを行ったところであります。
 なお、近年、新型コロナウイルス感染症や、多発する自然災害、幅広い分野における健康課題への対応など、保健所等における公衆衛生部門の体制強化が求められておりますことから、令和5年度新規貸し付け分から、新たに、保健所及び市町村保健センターに勤務する保健師を、償還免除の対象に追加することとし、本定例会へ本条例の一部改正する条例案を提出しているところであります。
 修学資金制度の拡充につきましては、これまで、本県の県内就業率の向上に大きく寄与してきたことから、今後とも、医療機関や行政施設、学生等のニーズを踏まえながら、修学資金制度が有効に活用されるよう、取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 高校生の段階から修学資金制度が周知徹底されて、この仕事に前向きな気持ちを持って接することができるような体制づくりも、ぜひお願いしたいと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
〇中田医務課長 修学資金の状況でありますが、申し込みの状況も、長い期間で見ますと、少し減少の傾向が見られております。減少の要因としまして、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、ここ3年間、十分な周知が少し不足していたことを実感しております。
 特に保護者の方々に、この制度をよく理解していただく必要があると考えておりまして、昨年の11月に、中学校、高校につきまして、学校を通じて、各世帯にチラシを配布し、周知に努めたところであります。
 今後とも、この制度が有効に活用されるよう、周知に努めてまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 ぜひ、お願いしたいと思います。
 次に、中途で県立病院を退職する方もいますが、中途退職の状況はどのようになっていますか。
〇中田医務課長 看護師の中途退職の状況であります。県内の病院に勤務する看護職員の離職の状況でありますが、直近で把握しております令和2年度、定年退職を含む退職者につきましては620人、率にして6.5%となっており、令和元年度の723人、7.3%に比較して減少しているところであります。
 普通退職の主な理由でありますが、本人の健康上の理由、結婚や家族の転勤、家族の健康上の理由などが、主な理由となっております。
〇城内よしひこ委員 その辺も、大変な中でありますが、看護師の確保は、県民の安心、安全をつかさどるものですので、ぜひ、丁寧に対応していただきたいと思っています。
 そこで、ナースアクションについてです。免許を持って働いている方々が、ペーパードライバーになって、その方々が現場復帰できる状況を作るため、今、取り組んでいると思うのですが、これはテレビ等では、多分、全国的な流れだと思うのですが、岩手県で取り組んでいる状況は、どのようになっているかお伺いしたいと思います。
〇中田医務課長 いわて看護職員確保定着アクションプランに基づく事業であります。主に、進学セミナー、就職セミナー等を通じまして、県内就職率の向上に努めているところでありますが、特にも、このコロナ禍にありまして、病院におけるインターンシップなどが制限されている中、積極的な情報発信が必要ということで、今年度につきましては、県内で活躍する看護職員をツイッター動画にまとめまして、学生たちに情報発信したところであります。
 同様に、離職者につきましても、全国に比較して、決して多い状況ではありませんが、不足する看護職員が、途中で退職してしまうことはできるだけ避けなければならないというところでありまして、離職者対策につきましても、新人看護職員研修の実施とか、県看護協会を通じた研修会を通じまして、働き方改革を含め、各医療機関の指導なども行っているところであります。
 今後とも、県看護協会、各医療機関と協力をしながら、これらの対策を進めていきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 よろしくお願いします。
 次に移ります。インフルエンザについてでありますが、このコロナ禍にあって、インフルエンザがまた流行するのではないかということでありましたが、今シーズンの状況とワクチンの充足の状況について、あわせてお伺いしたいと思います。
〇三浦感染症課長 季節性インフルエンザの流行状況についてでありますが、昨年12月14日に、県内の定点報告における季節性インフルエンザの患者発生状況が1.57人となり、流行入りしております。
 2月24日には34.53人となり、県では3年ぶりにインフルエンザの流行警報─35人を目安として、30人を超えた場合、警報を出すこととしております─を発令し、県民への注意喚起を行っているところであります。
 3月3日には、今シーズン最高の41.37人となっておりますが、直近、3月10日には33.37人となり、ピークは越えたものと推察されております。
 全国的に見ますと、3月10日に定点報告における平均として10.17人となっており、新型コロナウイルス感染症が確認される前の2019、2020シーズンの同時期の5.92人と比較すると、若干多い感染が確認されたところでありますが、2019、2020のシーズン最大報告数57.18人までには届いてない状況であります。
 ワクチンの供給状況につきましては、厚生労働省から、9月に、今シーズンの供給についての情報提供がありまして、令和4年10月の第4週の時点で、全国約3、110万本が出荷可能と見込まれ、比較的早期にワクチンが供給されるとの連絡を受けたところであります。
 県内におきましても、卸売業者から、おおむね11月までには、各医療機関に提供されていると伺っており、希望される方には、円滑に接種できたものと考えております。
 季節性インフルエンザの発生動向につきましても、今後も、定点報告の状況を確認するとともに、引き続き、岩手県医師会や県内の医療機関と連携して、季節性インフルエンザの診療検査体制もしっかり維持してまいります。
〇城内よしひこ委員 新型コロナウイルス感染症がまだあるわけですので、その辺のすみ分けも含めて、インフルエンザも予防接種をすることが大事だということを、事あるたびに、ぜひ、PR、広報もしてほしいと思うのです。どうしても新型コロナウイルス感染症のほうが表面に出て、特化するのですけれども、医療現場の方々は、今、新型コロナウイルス感染症だけに集中しぎみでありますが、インフルエンザの場合はワクチンがありますから、重篤にならないような対策がとれるわけです。その辺はいかがでしょうか。
〇三浦感染症課長 県民への周知につきましては、新型コロナウイルス感染症対策本部員会議等でも行っておりますし、先ほども申しましたが、1人を超えて流行入り、10人を超えて注意報レベル、30人を超えて警報レベルということで、その都度、マスコミには、注意喚起として、県民への情報発信をさせていただいています。また、ホームページでも、学年閉鎖、学級閉鎖の情報等も周知しながら、伝えているとともに、そういったインフルエンザが増加したときについては、コロナウイルスのLINEとかツイッターの際にも、情報をあわせて提供する体制をつくっているところであります。
〇城内よしひこ委員 いっぱい仕事をして大変でしょうけれども、新型コロナウイルス感染症もインフルエンザも大事な仕事の一つだと思いますので、引き続きお願いをして、終わります。
〇高橋但馬委員 新型コロナウイルス感染症5類移行による宿泊療養について伺います。政府は、新型コロナウイルス感染症の法的位置づけを、5月8日より5類感染症に移行することを決定しました。それに伴い、ホテルなどを活用して、軽症者らを受け入れる宿泊療養の制度を原則廃止する方針を固めました。
 宿泊療養は、自治体が運営し、国が費用を補助していると理解しています。感染拡大の病床逼迫を緩和して、重症者を入院しやすくするという役割を果たしておりました。5類移行後において、高齢者や妊婦向けは、自治体判断で、9月末まで継続可能としています。利用する場合の有料化も含めて、県の考えをお知らせください。
〇三浦感染症課長 委員御紹介のとおり、本年5月8日以降は、高齢者の宿泊施設の継続について国から示されておりますが、その自己負担額についてでありますが、国において、入院とのバランスを踏まえながら、自己負担を前提に判断するとされたところであります。食事代とかおむつ代とか、個人が必要とする療養に関する費用の一部が、自己負担となるものと考えております。
 今後、自己負担額については、国の方針や他の都道府県の状況も確認しながら、検討してまいります。
〇高橋但馬委員 利用料を有料にする場合、自己負担額については、どのように想定しているのでしょうか。
〇三浦感染症課長 国からの説明ですと、食事代が大体主なものになっていまして、入院で説明させていただきますが、何日入院するかにもよりますけれども、年収が高い方については、新型コロナウイルス感染症で入院した際の食事代ということで、10日間入院すると1万3、800円相当と言っておりますので、もちろんそこまで宿泊施設を使うことはないと思いますけれども、そういったものが想定されるものと認識しております。
〇高橋但馬委員 この後、国からいろいろと出てくると思いますけれども、県としても、それにしっかりと対応していただきたいと思います。
 入院治療が必要な感染者については、これまで、入院先の調整を主に県が行っていたと思います。新型コロナウイルス感染症用の病床を確保した病院がそれで受け入れていたと思うのですが、今後は、特定の病院だけではなく、幅広い病院が入院患者を受け入れられるようになると思います。入院先の調整も、保健所から医療機関が調整するようにシフトしていくと思いますが、ここで考えられるのが、受け入れるかどうかが各病院の判断となってしまう。各病院の判断となった場合、受け入れの病院がふえるかどうかは、今後不明なのではないかと考えられます。
 このような状況が予想される中、県として、医療機関へのかかわり方をどのように考えているのかお知らせください。
〇三浦感染症課長 新型コロナウイルス感染症の5類移行後でありますが、国の方針において、現在対応していない医療機関での受け入れも行われるようになり、入院が必要な患者や転院に当たっては、他の疾病と同様に、入院の要否を医療機関が判断し、医療機関間での調整を基本とすることとされているところであります。
 一方で、移行の段階においては、委員から御指摘いただいたような状況も想定されますことから、医療提供体制の状況をしっかり把握しながら、県医師会と関係機関と連携して、円滑な移行に向けて、必要な支援に取り組んでいくこととしております。
 また、院内感染への不安などにより、診療や入院受け入れに慎重になる医療機関を想定されることから、こうした医療機関が適切に対応できるよう、国に対して、院内感染防止のガイドラインの作成、感染防止対策やオンライン診療の実施に対する支援等について、全国知事会として要望をしているところであります。
〇高橋但馬委員 本日から、マスクの着用に関して、きょうの朝のニュースを見ていますと、東京都の駅から出てくる人で、マスクをしてない人はほとんどいないという状況もあり、そういう新型コロナウイルス感染症に対する判断の変化に対して、県民も非常に敏感にその情報を得たいと思っていると思いますので、県として、対応の医療機関の維持拡大に引き続き努めていただきたいと思います。これは要望であります。
〇郷右近浩委員 それでは、何点か質問させていただきたいと思います。
 質問に先立ち、きょうは次期保健医療計画等について伺ってまいりますが、私自身が、この保健医療計画であったり、きょうも、質問の中でもハイボリュームセンターの質問をさせていただきますが、私にそうした考え方を最初に教えていただいたのが、先日3月10日に亡くなった高杉院長─胆沢病院名誉院長─でありました。その後、今の勝又院長と、当時、彼が副院長のころ、どのような形がこれからの岩手県の医療を守っていくために必要なのかといろいろ話をしました。もう15年前の話であります。
 そのころに、本当に将来の医療を見据えて、当時、例えば奥州地区でも、産婦人科が4軒から3軒となり、それでも3軒は産む場所があったということです。けれども、高杉院長が、将来的なものを見据えたときに、医療の提供体制をしっかりとつくっていかなくてはならないと、そうした思いでいろいろなことを、本当に熱意を持って話をされていたことをきのうのように思い出します。
 県では、一つの医療の危機を乗り越え、医師不足を乗り越えていく中で、しかしながら、その歩みはまだ道半ばといいますか、今後の将来の医療をどのようにつくっていくかという部分について、私は、逆に、今、過渡期といいますか変換期に来ているのではないかと感じているところでもあります。
 これは医師の働き方改革であったり、さらには、高度な医療、そして、地域、地域に必要な医療をどのように提供していくか。県立病院が今後どのように進めていくのか。岩手県が県立病院を核として、そして、県として200億円のお金を注ぎ込みながらも、県民の医療をしっかりと守るという、そうしたこれまでしっかりやってきたものをどのようにまた飛躍させて、どのように進めていこうとするのか、まさに今は大事な時期に来ていると思います。そして、その中で、今、新しい次の保健医療計画の策定時期にさしかかっていると、そのように認識しております。
 そうした中ではありますが、現在、県では次期保健医療計画の策定に向けて、がんや循環器疾患を初めとした疾病、事業別の広域的な医療圏について、専門家の意見等をお伺いしながら検討を進めていると承知しております。私も、本格的な人口減少社会を迎え、限られた医療資源の中で、医療の高度専門化への対応といった県民の医療ニーズに応え、本県の地域医療を持続的に確保する上で、必要な検討と考えております。
 一方で、広域的に提供する高度専門的医療の検討に当たり、一律に広域化を目的とする議論ではなく、疾病の特性を踏まえた丁寧な議論も必要であると考えております。例えば、がんや脳疾患、心疾患といった循環器疾患の治療は、いずれも高度専門的な医療と言えますが、疾病ごとに、発症時における対処時間の制約や、治療、手術においても、大きく違いがあると認識しております。
 このため、今後の検討に当たり、その疾病の特性や患者の症状、治療段階など、広域化を進めつつ、きめ細やかな医療提供体制の確保も必要と考えますが、具体的にどのように検討していくのか、お伺いしたいと思います。
〇佐々木医療政策室長 疾病、事業別の医療圏の関係であります。
 県では、令和6年度からの次期医療保健計画の策定に向けまして、初期医療のほか、入院医療を中心とする一般医療の需要に対応した地域医療体制の確保を図っていくとともに、限られた医療資源のもとで、年々、医療の専門化、高度化がどんどん進んでおりますので、それに持続的に対応するために、がん、循環器、その他疾病等についての広域的な医療圏のあり方についても、専門家の意見等を伺いながら検討を進めているところであります。
 現在、それぞれの専門家で構成される疾病事業ごとの協議会におきまして、疾患の特性、患者の症状、治療段階などを踏まえながら、まずは地域密着で提供すべき医療と、それから、広域的に提供する高度専門的な医療の役割分担につきまして、議論いただいているところであります。
 委員から御指摘がありましたとおり、例えばがん医療のように、一定程度専門治療の時間に猶予のある疾患、それから、脳卒中、心疾患といった循環器疾患のように、救急医療と密接に関連のある医療では、広域化できる範囲も異なるとの意見もいただいているところでありまして、引き続き、専門家や地域医療関係者と丁寧に議論を行いながら検討を進めてまいります。
〇郷右近浩委員 今回、県ではがん治療等に力を入れていく中で、もちろんこれまでもさまざま疾病ごとといいますか、それぞれの医療の提供体制の中で、それぞれの医療圏の設定という形でやってこられています。私自身は、果たしてそれでいいのかどうかに関しては、また、いろいろな考え方がありますが、医療資源という言い方はあまり好きではないのですけれども、先生方であったり、そうした対応ができるこちらの能力を最大限に発揮するためにやってこられたという側面は、理解しなければいけないものだと思っております。
 そうした中で、例えば胆沢病院においては、脳神経外科の先生方に頑張っていただいております。ただ、地元でも、せっかく胆沢病院に運んでもらったけれども、そこですぐにあけてもらえなかったなどという話もあります。そこですぐ対応していただくことももちろんあるのですが、例えば1時間以内であったりというさまざまな制約の中で、これは搬送したほうがいい、直ちに搬送すべきだ、これはすぐに対応しなければいけない、そうしたようなそれぞれの患者さんに向き合っていく中で、今まで対応していただいているものだと思っております。
 そうしたことをいろいろ言われたときに、私はそのような形で地域の方々には、決して胆沢病院が何もしない、できないわけではなく、そこは判断しながら、しっかりと対応していっていただいているということでは話をさせていただいておりますけれども、ただ、これを、またさらに、これから県でしっかりと体系づけて、やっていっていただかなければならないと思っております。
 そうした中で、これまでも、岩手県の中でのハイボリュームセンターを、今後どのように考えていくのかという部分についても、今回、予算特別委員会の総括質疑において、中平均委員から、県北・沿岸地区での基幹病院の統合によるハイボリュームセンターの建設は、単純に医師を減少させ、人口が少ない地域を切り捨てるイメージが先行するのではないかとの質疑があり、地域によっては、高度専門的医療に加え、初期医療についても、県立基幹病院が担っていることから、県民に身近な医療と高度専門的な医療をどのように提供していくかについて、それぞれの地域医療の現状、地域保健や市町村の介護事業との連携などを含め、関係者等と丁寧に議論を進めていく必要があるとの知事答弁があったところであります。
 これは、そもそも持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会で、ハイボリュームセンターの必要性が議論され、岩手県の医療を今後どのようにしていくかという問題が惹起された中で、それぞれの県議会議員の皆様方であったり、県民の皆様方が、これから医療はどのようになっていくのだ、どのようにつくっていくのだ、県の方針はどのようになるのだと、そうした思いの中での対応を尋ねているわけであります。
 私も、持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会で報告がありましたとおり、医療の高度専門化への対応といった県民の医療ニーズを満たし、医療従事者、特に専門、臨床研修医が魅力を感じ、集まってくる症例数や手術数が多く、高い習熟度を持つ医療スタッフを有する病院として、ハイボリュームセンターの整備を検討していくべきと考えておりますが、一方で、人口が少ない地域を切り捨ててはならない、人口だけという、そうしたような観点ではない、県民に身近な医療の確保、また、さらには地域ごとの医療提供体制といった視点も踏まえて、総合的に検討していくべきものと考えます。
 私は、症例数、手術数が多いハイボリュームセンターは、医療需要という考え方として考えていいのかはわかりませんけれども、人口規模が一定数必要であること、また、居住地域から至便な範囲での整備という観点から、県内では内陸部に限られ、県立中部病院の花巻、北上の地域での現状のことを考えると、特に、県南地域が有望と考えておりますが、ハイボリュームセンターについて、県の具体的な見解をお伺いしたいと思います。
〇佐々木医療政策室長 ハイボリュームセンターについてでありますが、本県の持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の報告書におきましては、医療の高度・専門化に対応し、かつ、高い習熟度を持つ医療スタッフを有する病院による最新医療等を、居住地から至便な範囲で確保するため、病院施設の計画的な更新とあわせた、基幹病院を統合したハイボリュームセンター整備の検討の必要性について述べられているところであります。
 一方では、地域によりまして、委員も御指摘のとおりで、高度専門医療に加えまして、初期医療から軽度の急性期医療、それから、介護サービス事業者と連携した地域包括ケア、在宅医療といった医療機能を提供する役割を県立基幹病院が担っている地域も多くあるということが現状としてございます。
 こうしたことから、県といたしましては、まずは、県民が身近な地域において、安心して医療を受けられる体制をしっかりと構築していくことと、それとあわせまして、効率的で質の高い高度専門的な医療の提供、これにあわせて、若手医師にとって専門教育機能の充実した魅力ある研修体制の確保も検討していく必要があると考えております。
 その上で、持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書記載の基幹病院の統合による症例数や手術数の多いハイボリュームセンターにつきましては、委員から御指摘ありましたとおり、一定の医療需要が必要であると考えられることから、地域ごとに状況が異なることを踏まえつつ、各地域で、適切な医療提供体制の構築に向けまして、県立病院施設の更新が検討される際に、県医療局、それから、地域の医療関係者等と丁寧に議論していきながら、検討されていくものと考えております。
〇郷右近浩委員 そのような答弁になるだろうと思っておりますけれども、先ほど来お話ししましたとおり、当時の高杉院長というよりも、平成19年、そして、平成20年と来る中で、この岩手県の医療をどのようにしていくかと、当時、達増知事があのような形でメッセージを出しました。その後から、それまで以前よりも、各院長等と県立病院の先生方との意見のやりとりといいますか、さまざまなそうした意識の共有であったり、いろいろ話す土台ができて、風通しが幾らかよくなって、その中でさまざまやりとりがされてきたと思います。
 この間ずっとハイボリュームセンターの質問等をさせていただくと、やはり今のような答弁しか返ってこない。しかしながら、当時から、いろいろ考え方は、地域医療を守るといったような形でそれぞれの県立病院であったり、また、さらにはこのように高度化していかなければならないという話であったり、いろいろな意見をこれまで野原保健福祉部長もお聞きになられてきたと思います。
 そうした中で、私は、本当に今が岩手県の医療の中のある意味過渡期というか、一つの重要なターニングポイント的な部分と捉えていますので、そうしたこれまでの経緯等を含めて、これから医療をどのように進めていくか、そして、次の保健医療計画をどのようにしていくか、あまり具体的なことは話せないにしても、ぜひ野原保健福祉部長の御所見をお伺いしたいと思います。
〇野原保健福祉部長 郷右近浩委員から本当にそのとおりだと思う部分もある御意見を多々頂戴いたしました。
 岩手県は、委員から紹介あったように、平成19年、平成20年は、医師不足が一番厳しい時期で、医師不足を何とかしなければならないというのが、医療関係者、そして、我々としての一番の課題でありました。
 一方で、質の高い医療を住民の方々に提供していくという視点が重要です。今、ターニングポイントとおっしゃったのはそのとおりでして、今後、人口減少になってきて、高齢者人口は減るといっても、一方で85歳以上人口はまだまだふえていく。疾病構造も大きく変化してまいります。そこにきちんと対応していくこと。あとは、医師不足も徐々にではありますが、解消に向かってきています。
 そうした中で、医師がある程度配置できるような体制の中で、質の高い医療の提供をどうしていくのかということは、先ほど佐々木医療政策室長から答弁したとおり、疾病によってかなり違います。がんのように、少し待っていただけるような疾病と、脳卒中とかのように時間の制約、待てない急性期と言いますけれども、そうした部分は疾病の特性が変わってまいりますので、一概に全ての病気を全部一カ所で診るということではなくて、こういったような疾病に着目したあり方、役割分担をさらに進めていく必要があると考えております。
 そうした視点に立ちまして、さまざま関係者の意見、また、患者さん、地域の市町村などの意見も伺いながら、丁寧な議論を進めてまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 これからもいろいろ話しながら、ぜひ求めていきたいと思います。
 次に、子供子育て支援についてお伺いしたいと思います。今回は、補正予算であったり、また、この間、本定例会で提案されている当初予算で、第2子以降の保育料無償化や、在宅で育児する方々への年12万円の支援金など、厳しい、厳しいと言われるこの財政状況の中、全国トップの子供子育て世帯に対する経済的支援を創設していただいたことを高く評価しております。
 子供子育て支援については、あらゆる取り組みが多方面で展開されることが大切であり、この間、知事からも、人口戦略法案を何度も引き合いに出してといいますか、そうしたような形の話もあったところであります。
 そうした中で、今回の岩手県の動きは、その大きな第一歩になると考えております。本来的に、子供子育て支援については、国が全国一律の支援制度を創設した上で、制度の担い手として市町村が施策を展開すると言うべきでありますが、県では、人口減少を目の前の課題と捉えて、市町村長との共同宣言に向けて取り組みを進めているとのことであり、全県的に取り組みを進めようという知事の強い意欲を感じております。
 一方で、この動きについては、選挙を前にした政治的なパフォーマンスではないかという声もあり、今後の取り組みの具体化で、そのような指摘に応えていかなければならないと思います。
 この共同宣言を契機に、県と市町村共同で、例えば、いわての子みんなで育てる大きなゆりかご基金のような基金であったり、東京都のような財団方式でもいいわけでありますが、そのような財源を準備して、この話は本会議で岩崎友一議員も取り上げていたと思いますが、全県的に、企業の育児休業等の取り組みを、後押しするなどの取り組みの財源にしてはどうかと考えますが、保健福祉部長はどのようにお考えでしょうか。
〇野原保健福祉部長 子育て支援施策に係る財源確保でありますが、県でも、市町村や民間団体と共同でいわて子ども基金─いきいき岩手支援財団が管理しております─のそうした運用益を活用した取り組みや、ふるさと納税制度を活用した財源確保などを行っているところでありますが、一方では、長期にわたる取り組みに係る財源の確保が必要であります。
 郷右近浩委員から御提案のありました基金など、他の自治体の事例なども参考にしながら、あらゆる選択肢から検討を行い、継続的かつ安定的な財源の確保に努めてまいります。
〇郷右近浩委員 私も、令和4年12月定例会に、例えば、いわての森林づくり県民税をどのような形に持っていくか、その財源の振りかえであったり、県の限られた財源をどのように使って、そして、将来に向かって投資的な形で使っていけるのかと、そうしたようなことを質問、提案したこともあります。
 ただ、今、最終的に、野原保健福祉部長からも話があったこの財源確保という部分でありますが、今のこの基金を、例えば本当に財団方式のような形でやっていくのか、その財源的な考えを含めて、このような基金を創設し、きちんと県として対応をしていくことに対して、山田財政課総括課長は、例えば今の岩手県の中で、そのようなことをどのように考えていけばいいか、もしお考えがあればお伺いしたいと思います。
〇山田財政課総括課長 政策推進に当たっての財源確保というところは非常に重要だと感じております。その政策の実効性を高める観点から、継続的、かつ安定的な財源といったところ、その裏づけの財源がなければ、その政策も推進できませんので、そこがやはり重要だろうと認識しております。
 その上で、基金ですけれども、一般的に、複数年度にわたる柔軟かつ大胆な政策はできますし、かつ、その効果検証にも資するというところで、非常に有効な手段だと考えております。
 ただ一方で、先ほど委員がおっしゃったとおりでありますけれども、財団方式にするのか、ファンド方式にするのか、もしくは基金方式にするのかといったところであり、基金の原資といったところをどう確保していくかという点、あとは、国の動向、子供関連予算に関して、自由度の高い交付金を創設するのかどうかといったところ、そういったさまざまなところの動向を見きわめていかないといけないと思っております。
 その上で、基金を初めといたしまして、あらゆる財源確保策について検討を尽くして、実施可能なものから実行に移してまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 私は先ほどもも言いましたとおり、子供子育て支援は、本来、国が一律につくって、しっかりいくべきと思います。
 ただ、この岩手県において、今回、市町村との共同宣言ということで、市町村と一緒になって取り組んでいくという姿勢を出したのであれば、それをさらに、これは市町村に拠出しろというと、なかなか難しいという話になろうかと思いますが、ただ、それを、財源をしっかり確保しながら、一緒になって取り組んでいく、そのきっかけをぜひつくっていただければと思います。答弁は結構です。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午前11時14分 休憩
午前11時27分再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇神崎浩之委員 初めに、通告しておりました精神と自死対応については最後に回させていただいて、野原保健福祉部長から大きな視点でお答えをいただきたいと思います。
 まず初めに、こども計画の策定について、いよいよ子ども家庭庁の発足ということで、昨年成立したこども基本法によれば、県や市町村は、こども計画の策定が努力義務とされました。県や市町村は、こども計画をどう策定していくか。それから、計画や施策の策定には、子供や子育て当事者等の意見を聴取し、反映させなさいと出ております。この趣旨を踏まえて、どのように進めていくのかお伺いいたします。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 まず、こども計画の策定についてでありますが、本年4月に施行されるこども基本法は、子供に関するさまざまな取り組みを講ずるに当たっての共通の基盤として、子供施策の基本理念や基本となる事項を定めた包括的な基本法であり、この中で、都道府県及び市町村においては、国が策定するこども大綱を勘案して、こども計画を策定することが努力義務とされたところであります。
 県では、子供、子育て支援施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な計画として、いわての子どもを健やかに育む条例に基づき、いわて子どもプランを策定しており、法令との関係で言いますと、当プランを次世代育成支援対策推進法に基づく都道府県行動計画としても位置づけているところであります。
 こども基本法に基づく都道府県こども計画は、他の各種法令に基づく子ども関連計画と一体のものとして作成することも可能とされておりますので、本年秋に策定予定である国のこども大綱の内容を勘案し、本県の子ども関連計画の位置づけについて整理を行う考えであります。
 また、県内の多くの市町村が、次世代育成支援対策推進法に基づく市町村行動計画を策定済みであることから、県の計画と同様に、国のこども大綱を勘案して、法的な位置づけの整理を行うものと考えております。
 続きまして、子供の意見の反映についてでありますが、こども基本法では、基本理念に、子どもの最善の利益を第一とする考えが盛り込まれ、国及び地方公共団体に対し、子供施策の策定、実施、評価に当たっては、その対象となる子供等の意見を反映させるために必要な措置を講ずることを義務づける規定が設けられたところであります。
 子供の意見の反映につきましては、子供を対象としたアンケートの実施、審議会、懇談会への参画、直接意見を聞く場の設置など、さまざまな手法が考えられるところでありますが、個々の施策の目的に応じて、意見聴取するテーマの設定や、聴取の手法、頻度などについて、具体的に検討する必要があると考えております。
 子供施策に対する子供の意見反映、及び子供や若者の参画に関しましては、現在、国において、他の自治体の先進事例や諸外国の取り組みについての情報収集やモデル事業を実施しており、その結果が本年度内に取りまとめられる予定でありますので、その内容等も参考にしながら、子供たちの声を生かす仕組みづくりについて、検討をしていく考えであります。
〇神崎浩之委員 今回のこの理念は、子供の声、それから、子育てのお母さんの声を聞くということで、子ども議会とか、大人が考えたやり方とか、現行とか、そういうのではなくて、車座でいろいろな話を子供から聞くとか、そういう新しい対応で進めていただきたいと思います。
 次に、在宅介護事業者への支援でありますが、コロナ禍の掛かり増し経費、物価高騰対策で、施設や通所には支援を行いましたが、他の在宅で高齢者の生活を支えている介護事業者、例えば訪問看護、ホームヘルパー、ケアマネジャー、出向いていって大変苦労された業種に対する支援がなかったのですが、全国との比較でお聞きしたいと思いますが、そういう方々への支援、それから、県内では北上市が、市の職員が事業者の声を聞いて、それに基づいた事業支援を組み立て、すごいと思っております。県内にもこういう自治体がある中で、県は、そういう県内の各市町村に、この先進的な市町村の事例を事前に情報提供して、ある程度県内を統一した支援対策を図るべきだったと思いますが、あわせてお伺いいたします。
〇前川長寿社会課総括課長 神崎浩之委員から御指摘ありましたとおり、今般のオミクロン株による感染拡大や物価高騰によりまして、入所系とか通所系の事業所のみならず訪問系や相談系等の事業所におきましても、影響が大きく出ているものと認識しております。
 御紹介がありましたとおり、感染症が発生した際に生じます、いわゆる掛かり増し経費に対する補助につきましては、こうした事業所も対象として行っているところでありますが、物価高騰対策としての支援金については、国の支援の状況等も踏まえまして、本県におきましては、建物や設備の状況とか、食事や入浴の提供等を行うことによりまして、エネルギー使用量が多いと考えられる入所系及び通所系の事業所に対して支援を行うこととさせていただきました。
 物価高騰の支援につきましては、全国各都道府県でも、対象事業所や基準額が異なっておりますけれども、支援が行われております。全国におきましては、訪問系等のそういった介護事業所を対象としているところもございまして、1事業所当たり2万円から10万円程度の支援が行われていると把握しております。
 また、北上市の事例につきましては、私どもも非常にいい取り組みだと考えておりました。事前に、事業所からヒアリングやアンケートなどを実施しまして、実態を踏まえた上での支援を実施したというところでありました。
 こうした取り組みにつきましても、各市町村にも、取り組み状況の紹介等もさせていただきましたが、例えば物価高騰の支援につきましては、県の取り組みよりも先行して実施している市町村等もありましたし、また、県の取り組みのほうが支援対象とか支給額の検討に時間を要したところもありまして、統一的な支援を行うことが難しい状況にございました。
 こうした支援のばらつきにつきましては、事業所からも、地域によらず同様の支援を求める声があると聞いておりますので、国による一元的、持続的な支援を行うように、全国知事会としても国に対して提言を行うなどという取り組みを行っております。
 物価高騰に関しましては、令和5年度以降の支援については、現時点では示されておりませんが、引き続き、全国知事会と連携して、働きかけを行っていきたいと考えております。
〇神崎浩之委員 目立つのが老人ホームで大きいところとか、そういうところばかりの支援なのですが、訪問系の事業者は、これから2040年に向けて非常に大切にしていかなければならない業種である一方、きのうも業界の方々と情報交換したのですが、廃業とか、それから、身売りするというところがちらほら出ているということで、物価高騰がなかなかおさまらないように見えますので、ぜひとも、そういう方々に対する支援を心がけていただきたいと思います。
 次に、奨学金養成医師の義務履行状況です。令和5年から新たな奨学金制度が創設されました。この15年間、県も工夫し、予算を獲得し、随分多様な受け皿をつくっていただいたと思っております。
 そこで、令和5年における義務履行対象者に対する義務履行の状況について、対象である奨学金養成医師が何人いるか、そして、義務履行者は何人になっているのか、これは非常に気になるところでありますので、お伺いしたいと思います。
〇中田医務課長 令和5年度における奨学金養成医師の義務履行の状況であります。奨学金養成医師につきましては、平成28年度の配置開始以来、年々増加しておりまして、令和5年度の公的病院等への配置は、現時点で145名の配置を見込んでおり、これまでで最多の配置を予定しているところであります。
 令和5年度は、義務履行を行う必要がある配置調整対象医師が265人おりまして、先ほどの配置予定の145名のほかに、義務履行猶予としまして、学位取得や専門医取得を目的に、岩手医科大学及び東北大学で研修を行う者、及び同大学の医局人事等によりまして、県外の関連病院で勤務する者を100名ほど見込んでいるところであります。
〇神崎浩之委員 次に、奨学金の本格的な実施、今までも小さいのはあったのですが、本格的に地域枠をつくって、奨学金を始動させたのが平成20年、そこから6年間大学に行って、そして、2年間研修医をやってということで、いよいよ平成28年から義務履行がスタートしたわけでありますが、平成28年度から、義務履行者に対する義務履行の状況についてお伺いしたいと思います。
〇中田医務課長 平成28年度以降の配置の状況であります。現行の奨学金制度の配置は、平成28年度から始まりまして、平成28年度が16名、平成29年度が25名、平成30年度が42名、令和元年度が53名、令和2年度が84名、令和3年度が104名、令和4年度が122名、そして、来年度が145名、着実に増加しているところであります。
〇神崎浩之委員 今、トータルの数字をいただきましたが、いろいろ資料をもっと分析すると、対象年に比べて、半分ぐらいしか義務履行をしていないという状況も見受けられます。
 この続きは医療局の審査でまた聞きます。今、いろいろな成果をお話しいただきましたが、これは野原保健福祉部長に聞きますが、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会、岩手県が事務局で達増知事がやっているわけですが、その活動、それから、推移を見ると、この数字はそんなにふえてないですね。
 この知事の会の構成県はいろいろありますけれども、ここ数年、どのぐらいふえているのかと思うと、岩手県は6人ぐらいしかふえていないということで、一方、先ほどは、奨学金養成医師がばんばんふえていきますよということだったのですが、その割には、この知事会の実績がないようです。この知事会の動きと役割、成果については、部長は今どういうふうに捉えていますか。
〇野原保健福祉部長 令和2年に国が公表した医師偏在指標で、下位3分の1の都道府県に本県からお声がけさせていただいて、12県で地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会を構成しております。
 それまで単独で国に要望していたのですが、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会という形で要望することによって、国の医師需給分科会や、さまざまな国の検討会の中でも、知事の会からの提言について発表をさせていただいております。
 都道府県間の偏在は、都道府県の医師確保計画、医師不足の取り組みは、県の取り組みだけではなかなか難しい、国の政策的な関与が必要だという認識のもと取り組みを進めておりまして、医学部で定員増の継続や、あとは専門医研修制度、ここら辺のシーリングとか、そういった意味では知事の会の提言を受けて、国の政策も動いていると認識しておりまして、成果については着実に上がっているものと認識しています。
 一方で、医師不足の実績については、この2年3年ではなかなか変わらないというところがございます。例えば、平成20年に、医師不足県10県、岩手県も含めて医学部定員増がなりました。既にその効果を発現してもいいのですけれども、まだまだ都道府県間の偏在は全然縮小してないのです。
 そういった意味でも、都道府県内の医師不足偏在は、我々も頑張りますけれども、都道府県間の偏在は国の制度、具体的な地方からの提言をしていくことが必要だと考えておりますし、厚生労働省も我々の具体的な提言については、結構課題を共有させていただいているものと認識しておりますので、ここは地道に取り組みを進めて、着実な成果に結びつくように進めていきたいと考えているところであります。
〇神崎浩之委員 この医師偏在、医師不足でありますが、一関市でも、今、開業はしているが、子供さんが継がないから、この病院はお父さんの代で終わりだというような声がちらほらあって、開業医の事業継承も、実は大きな課題だと思っております。この点について、県の認識と対応についてお伺いいたします。
〇中田医務課長 県内における開業医の事業継承の動向についてでありますが、開業医の事業継承については、それぞれ医業経営に係るものであり、プライベートな側面もありますことから、県では、各地区の動向については把握しておりませんが、令和4年度の医療施設動態調査によりますと、県内の医科診療所のうち12診療所が廃止になっているところであります。
 開業医の高齢化などによりまして、かかりつけ医機能を担う診療所が廃止となりますと、地域医療体制の確保が困難になるおそれもありますことから、地域における診療所の後継者の確保は非常に重要な課題であると認識しております。
 こうしたことから、今年度、県では、公益社団法人日本医業経営コンサルタントが実施した事業継承に係るセミナー等の講演などを実施し、その普及啓発を図ったところであります。事業継承につきましては、県医師会も非常に重要な課題と認識をしておりますことから、県医師会の意見も聞きながら、今後、どのような支援ができるか、検討してまいりたいと考えております。
〇神崎浩之委員 これはなかなかデリケートな問題ですが、うちの近辺も開業医は多いのですが、果たして、10年後どうかと、非常に危機感を持っておりました。
 最後に、精神保健支援体制と自死対応についてということで、まとめて精神と自殺対策について、この土日いろいろ考えたら、大きなことを思いついたので、担当者ではなくて、保健福祉部長に2回聞いて終わりにしたいと思いますので、年度末ですので、よろしくお願いします。
 コロナ禍でも、多忙の中に、精神の緊急対応、救急対応、それから、自死いろいろありました。県の担当課、それから、精神保健福祉センター、各保健所の人材の育成は非常に重要だと思っております。
 その中で、精神も自死も共通している直近の課題は、コロナ対応で、令和元年からほぼ中止または縮小してしまった事業の再開が必要ではないかと思います。
 それから、自死対策は、コロナ禍の中で、BCPによるC業務、つまり中止してもよい業務だったということがあります。自死対策の事業を実施してきた保健所はどれだけあるのか。特にネットワーク連絡会議はほとんど行われていないという状況だったと思います。
 また、この3年間でやめた保健師、それから、採用された保健師が多くて、精神保健業務や相談業務の経験がない保健師が多くいます。多くのベテランがやめて、指導できる保健師の数が不足している。これは県も承知していることだと思いますが、コロナ禍で採用したOG保健師等を含めて、精神保健医や、自死対策で活用する体制を保健所ごとに組めるのではないかと思っておりますが、この辺を、野原保健福祉部長の所見をお伺いしたいと思います。
〇野原保健福祉部長 岩手県は、自殺率が昔から高くて、その背景には、精神保健福祉の支援が必要な県民の方々が非常に多いことがあると感じています。そうした中にあって、保健所や精神保健福祉センターの職員は、最前線に当たる職員ですので、その活動、その研修体制は非常に重要だと感じています。
 一方で、神崎浩之委員から御指摘あったとおり、精神保健福祉を担当する保健職員は、皆、保健師で、感染症担当などもお手伝いしています。365日、24時間精神保健の緊急対応に当たっている保健師が、コロナ禍にも対応しているような状況です。
 したがって、若手の保健師たちも、本来であれば、研修などをきちんとしなければならないのですが、コロナ禍の対応に忙殺されてしまって、我々のほうもさまざまな精神保健福祉基礎研修とか、心のケア相談研修、依存症公開講座などがあるのですけれども、そうしたものが十分できなかったと考えています。
 今年度は、オンラインなども活用しながら、こうした事業を再開させていきたいと考えております。いずれ、精神障がい者の方々の地域移行や、精神障がい以外にも対応した地域包括ケアシステムを今後進めなければならない。
 市町村の役割も期待されているのですけれども、市町村への連携や支援といったことも求められてまいりますので、そうした支援に立って、人材の確保、委員から御提案があったOB、OGの保健師のお力をお借りするといった、ありとあらゆる手を尽くして、この人材確保、研修の充実に努めていきたいと考えております。
〇神崎浩之委員 自死対策でありますが、国から来た自殺大綱を伝達するということではなくて、自殺者を減少させるためとか、減らすためとかということではなくて、何のために自死対策が必要なのかということです。
 ゲートキーパーという言葉だけが先行して、本当に死にたい人の気持ちを理解しないで対応しているような現場があり、県も含めて、二戸市で遺族会をやりましたが、遺族の中でも、ゲートキーパーという言葉だけが啓発されて、中身が伴っていないという話をされましたので、これを酌んでいただいて、新年度頑張っていただきたいと思います。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時51分 休憩
午後1時1分再開
〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇軽石義則委員 それでは、児童福祉関係で質問させていただきます。
 まず、児童養護の現状と課題についてお伺いいたします。
〇高橋子ども子育て支援室長 児童養護の現状と課題についてでありますが、児童養護施設の入退所の推移ですが、年度ごとに多少の違いはありますが、令和2年度の新規入所者は40名で、退所者は49名、令和3年度の新規入所者は36名で、退所者は38名となっており、進学や就職を機に退所するケースがふえ、新規入所者よりも退所者が上回っている状況が続いております。
 入所の理由につきましては、児童虐待など家庭環境を要因とするものや、行動上の課題により、家庭での養育が困難となった児童が多くなっていると聞いておりまして、虐待被害による心の傷や発達障がいなどへの対応のため、精神科通院や服薬が必要であるなど、対応困難な事例がふえているものと認識しております。
〇軽石義則委員 毎年同じぐらいの人員で推移されているということですが、施設に入ってくる子供たちはありますし、また、里親という制度もあると思うのですが、そちらのほうはわかりますか。
〇高橋子ども子育て支援室長 里親の状況につきましては、少し調べまして、後ほど御答弁させていただきたいと思います。
〇軽石義則委員 社会的にも、コロナ禍や経済状況もいろいろ厳しい状況の中で、児童養護の役割もかなり重要なポイントといいますか、大事になってきていると思うのですが、退所してからも非常に厳しいというお話も聞いているのですが、退所後の支援状況はどのようになっているのでしょうか。
〇高橋子ども子育て支援室長 県では、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおきまして、社会的養護を必要とする子供たちの最善の利益の実現に向けて、児童養護施設等の環境改善やケア体制の充実、また、施設を退所した子供たちへの自立支援などの充実に取り組むこととしております。
 施設を退所した子供たちへの支援としましては、一定期間就業を継続した場合に返還免除となる、生活費、家賃、資格取得に必要な経費の貸し付けの事業や、施設等の退所者の円滑な自立に向けた相談支援などを行うコーディネーターの配置などの事業により、施設退所の児童への支援に取り組んでいるところであります。
〇軽石義則委員 支援の実績等を把握されていますでしょうか。
〇高橋子ども子育て支援室長 令和3年度ですが、令和3年度に里親の委託解除、それから、児童養護施設を退所した児童は34名でありましたが、先ほど御紹介いたしました貸し付けの関係、生活支援費の貸し付けを行いましたのが4件、それから、家賃支援を行いましたのが3件、資格取得支援を行いましたのが2件という状況で、貸し付けの実人数としますと、4人という状況であります。
 また、先ほどコーディネーターの配置により支援を行っている事業も御紹介させていただいたところですが、そちらのほうは、コーディネーターを配置しまして、各児童養護施設等に、その自立に向けた計画の作成などの支援を行っている事業でありまして、こちらのほうにつきましては、令和3年度、先ほど言いました対象児童34名のうち、計画作成により支援を行った人員は28名という状況でありました。
〇軽石義則委員 利用する件数が多いか少ないかではなくて、そういう制度があって、そのことによって生活自立できる体制をつくっていくのが大事だと思いますので、引き続き、そういう制度のあることも周知はされていると思いますが、それらをさらに内容を充実させ、今が充実しているかどうかということもありますが、利用者の皆さんの御意見等を含めてお聞きをいただいた上で、ぜひ、今後も対応していただくようにお願いをします。
 次に、児童養護施設の運営状況について、建物や人員などいろいろ課題もあると思いますが、それらの現状、課題なども含めてお願いします。
〇高橋子ども子育て支援室長 児童養護施設の運営状況についてでありますが、県内に6カ所あります児童養護施設におきましては、家庭的な環境での養育を推進するため、生活単位を6人程度の小グループとする小規模化とか、地域の住宅でグループ生活を送るための地域分散化に向けた取り組みを行っておりまして、そのための施設改修等を実施しているところであります。
 人員体制につきましては、施設基準に沿った職員配置はなされておりますが、コロナ禍における感染防止対策、発達障がいなどの対応が困難な児童への専門的なケア、施設の小規模化、地域分散化に伴い、職員の増員が必要となるなど、職員の質、量ともに拡充が求められている状況であります。
〇軽石義則委員 施設のほうも、そういう意味では見直して新しい施設を支援しているということですし、どの業界もそうですが、問題は、専門的な職員の配置がなかなかできていないということで、子供たちも今、いわゆる一人一人が個性を大事にして多様性を尊重していくとすれば、難しい対応も多くあると思います。
 先ほどは精神科にも通院等あるというお話ですが、そうなると、24時間子供たちと一緒にいる体制も必要で、しっかり支援していかなければならないと思うのですが、そこの人員確保のために、具体的にどのような支援策等があるのでしょうか。
〇高橋子ども子育て支援室長 施設の人員の確保、それから、職員の資質向上というところが課題と聞いておりますが、施設職員の確保につきましては、県としてはこれまで、特に保育士につきまして、保育士の資格取得の支援や、保育士・保育所支援センターにおける潜在保育士の就職支援などを行っておりまして、こうした取り組みも活用しながら、職員の確保に向けた支援を行っているところであります。
 また、質の向上という面も大事でありますので、施設の中核的な役割を担う職員を養成する研修なども開催しているほか、国の研修へも職員を派遣して、資質向上に努めているところであります。
〇軽石義則委員 質の向上も含めて取り組んでいただいているということですし、まさに保育士の関係は、子育てのほうでもいろいろ人材不足の関係があって、いわゆる奨学金の支援等、いろいろされていると思うのですね。
 でも、養護施設に就職した際には、その奨学金の返済免除もこれまではなかったようですが、ことし、さかのぼって返還免除のいわゆる対象に入ってきていると聞いたのですが、現状はどうなのでしょうか。
〇高橋子ども子育て支援室長 県では、軽石義則委員からお話しいただきましたとおり、保育士確保のため保育士修学資金貸し付けなどの取り組みを行っているところであります。
 しかしながら、保育士修学資金貸し付けにつきましては、一定期間業務に従事した場合に、貸し付けの返還が免除となる対象施設に、現在、児童養護施設は含まれていないところであります。本事業の実施につきましては、県の社会福祉協議会が行っているところでありますが、免除対象施設につきまして、委員からのお話も含め、県としてもさまざま御要望をいただいているところであります。
 県社会福祉協議会に、その状況を説明し、検討を促したところでありまして、県社会福祉協議会では、年度内をめどに、児童養護施設も含め、対象施設を拡充する方向で進めていると聞いております。
〇軽石義則委員 そういうところで仕事をしたいという思いを持って勉強してきている職員を目指す方もおりますので、その際には、奨学金を返済するということによれば、免除できる施設を選ばなければならないことも進路上出てくると思いますので、そこで希望がかなうような制度であれば、さらに人員確保も進むと思いますので、ぜひ、県社会福祉協議会としっかり連携を取っていただいて、対応いただくようにお願いをいたします。
 次に、児童養護にかかわる部分で、新年度の予算のポイント、また、具体的事業についてお示し願います。
〇高橋子ども子育て支援室長 令和5年度の予算のポイントについてでありますが、先ほど御答弁させていただきましたとおり、県におきましては、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおいて、社会的養護を必要とする子供たちの最善の利益の実現に向けまして、児童養護施設等の環境改善やケア体制の充実、また、施設を退所した子供たちへの自立支援などの充実に取り組むこととしております。
 このため、令和5年度当初予算案におきまして、施設の小規模化、地域分散化に向けて、児童養護施設が行う整備、改修等に係る経費に対する補助、また、先ほど御紹介させていただきました施設退所児童の生活費、家賃、資格取得に必要な経費の貸し付け、それから、退所者の円滑な自立に向けたコーディネーターの配置等による支援などの事業を盛り込んでいるところであります。
〇軽石義則委員 児童家庭支援センターが運営されていると思いますが、その部分もいろいろな意味で非常に相談がふえているということは、対応もいろいろ発生しているのではないかと思うのです。運営を委託されているようですが、その現状について、わかる範囲内で教えていただければと思います。
〇高橋子ども子育て支援室長 児童家庭支援センターを委託して実施しておりますが、その状況を少し確認させていただきまして、御答弁させていただきたいと思います。
 先ほど御答弁を後ほどとお話ししておりました、里親の状況についてであります。
 令和2年度登録の里親数193組、令和3年度219組、また、その登録されている里親の中で、委託の里親の数につきましては、令和2年度69組。令和3年度63組という状況であります。
〇軽石義則委員 では、後ほど教えていただければいいと思います。複雑な家庭環境等、今はいろいろ難しい課題も多く出てきていますし、そこで、しっかり岩手県の子供を育てる環境づくりは、まさにこの児童養護においても非常に大事な取り組みだと思いますので、引き続き、現場の皆さんからも、現状をしっかりお聞きをした上で、それを政策として実行していただくことによって、安心、安全が確保されていくと考えておりますので、今後も、その取り組みを継続していただくことをお願いして終わります。
〇高橋子ども子育て支援室長 先ほど、後ほどということで御答弁させていただいた、児童家庭支援センターの状況であります。社会福祉法人大洋会に運営を委託して、実施しております。平成13年度から委託実施をしております。
 相談件数も年々増加している状況でございまして、5年前の平成29年度、延べ相談件数1、918件でありましたところ、令和3年度は2、277件という状況で対応しているところであります。
〇高橋穏至委員 それでは、最初に、いわて子育て応援保育料無償化事業費補助と、いわて子育て応援在宅育児支援金についてですが、それぞれの事業において、これは、事業実施する市町村に対する補助ですので、実際に取り組む市町村全部なのかどうか、幾つあるのかというのと、それから、実際に何人を想定した金額なのかお知らせください。
〇高橋子ども子育て支援室長 保育料無償化事業費補助及び在宅育児支援金についてでありますが、事業実施に係る市町村の検討状況でありますが、保育料無償化事業費補助につきましては、実施予定が30市町村、検討中が3市町村、在宅育児支援金につきましては、実施予定が23市町村、検討中が9市町村、実施予定なしが1市町村という状況であります。
 また、対象となる子供数についてでありますが、保育所等を利用している園児数等から、あらあらで推計しているところでありますが、県全体としての数字になりますが、保育料無償化事業費補助については約5、200人、在宅育児支援金については約3、900人を推計しているところであります。
〇高橋穏至委員 今の状況をお知らせいただいたのですが、予算化したときには、これは100%で見た予算化でしょうか。
〇高橋子ども子育て支援室長 児童数の100%ということでの御質問でよろしいでしょうか。(高橋穏至委員「対象人数で」と呼ぶ)先ほど御答弁させていただきました5、200人、3、900人、その対象人数を見込んでということでの予算化の事業であります。
〇高橋穏至委員 少子化対策は、市町村の最重要課題で、それぞれの市町村も取り組んでいるわけですが、ここのところで市町村がやれば出すよというような雰囲気のつくり方になっているのですが、この市町村に対する事業計画といいますか、こういうのをやりますよという告知とか、そういうのはいつごろからどういうタイミングでやってきたのか。それは実は私のほうで、県から示されたのがもう予算をつくってしまった後で、でも、やらないわけにはいかないので、戸惑っている市町村が結構あると聞いていましたが、その辺のやりとりはどうだったのか教えてください。
〇高橋子ども子育て支援室長 これらの事業につきまして、市町村の担当課には、昨年終盤から情報提供をしてきたところでありまして、県単独の新規事業ということもあり、政策形成に時間を要したところはあったかと考えております。情報提供が年明けとなった部分もあったかと考えております。
〇高橋穏至委員 こういった事業も非常に大切な事業で、それぞれの市町村でも当然やらなければならない事業だと認識していると思うのですが、大体去年のうちにあらあらの予算の組み立てをやって、室長査定とかいろいろやりながら予算をつくっている状況で来て、たしか新聞報道されて慌てたところが多かったのではないかと思うわけです。
 そういった中で、市町村との共同宣言などと言っているのですが、そこら辺の手順はしっかりやっていかないと、この課題に関しては、実を上げるためには少し唐突かなと。もっとしっかり、前もって準備してからでないと、県が予算を100%見てくれるのだったらオーケーですよというのは、どこでもそう言われるのですが、市町村半分出しなさいという上から目線の政策ではないかと思います。大事な政策ではあるけれども、その進め方は少し問題ではないかと思います。
 これは一般質問でも出たのですが、第1子からこれを実施した場合に、大体どれくらい想定されるかという質問があったかと思うのですが、これを広げた場合、どれくらいになるか、また、よろしくお願いします。
〇高橋子ども子育て支援室長 これらの事業を第1子から実施した場合に必要な予算につきましては、粗い積算となりますが、保育料無償化事業費補助につきましては、5億8、000万円余の増額となりまして、総額で10億4、000万円余、それから、在宅育児支援金につきましては1億3、000万円余の増額となり、総額で2億3、000万円余になるものと試算をしているところであります。
〇高橋穏至委員 この人口減少に対してしっかりと取り組んでいかないと、要は将来の担い手がいなくなることですので、そこら辺は、特に市町村を巻き込むことですので、しっかりと段取りを踏んで計画してほしいと思います。
 それから、同じく人口減少に対する事業について取り上げたのですが、特定不妊治療費助成事業について、一部新規で事業拡充となっているのですが、予算書の数字だけ見ると5、100万円で、昨年より実は1億1、600万円マイナスになっているのですが、この要因についてお知らせください。
〇佐々木特命参事兼次世代育成課長 特定不妊治療費助成事業費についての予算減額の理由についてでありますが、治療費助成に係る費用の減額によるものであります。
 特定不妊治療、正しくは生殖補助医療と言いますが、それについては、令和4年4月から保険診療に移行したところでありますが、それ以前に開始した治療については保険対象外であることから、経過措置として、令和3年度から令和4年度にまたいで行われる治療に対しましては、令和4年度も従前の治療費助成を継続しているものであります。
 経過措置につきましては、令和4年度末日までの、今月の3月31日までの治療が対象でありまして、そのことから、令和5年4月以降の受け付けも想定し、令和5年度一般会計予算案に治療費助成に係る所要額も計上しておりますが、令和4年度以降、順次、保険診療に移行していることから、治療費助成に係る予算額は大幅に減額となっているものであります。
 一方、一部新規ということで、事業拡充等している部分でありますが、これにつきましては、新たに不妊治療に係る通院交通費の一部を助成する事業として、令和5年度一般会計予算案に新たに1、053万円余を盛り込んだものであります。
〇高橋穏至委員 個別事業については、今、2項目出したのですが、全体、人口減少対策の事業としての位置づけと考え方についてお伺いします。
 当初予算のあらましで、人口減少対策として位置づけられている保健福祉部の事業が37事業掲載されておりますが、その中でも令和5年度岩手県一般会計当初予算案のポイントということで、自然減対策として20事業が掲載されています。その人口減少に対して、特に自然減対策、社会減対策と、二つに分けられると思うのですが、それぞれのこの37事業をどういう位置づけで、どういう観点で捉えているのかという部分です。そして、当然全部の事業で予算の増減があるのですが、この予算の考え方と、増減の考え方と、その人口減少対策という位置づけとの関連性をお伺いします。
〇高橋子ども子育て支援室長 人口減少対策事業としての位置づけについてでありますが、県ではいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおいて、人口減少対策に最優先で取り組むこととし、結婚、妊娠・出産、子育てなどの各ライフステージに応じた総合的な施策を強化することとしておりまして、中でも、子育て世代における経済的負担の軽減は喫緊の課題と認識しているところであります。
 このため、令和5年度岩手県一般会計予算案において、全国トップレベルの子ども、子育て環境をつくるため、結婚、妊娠・出産支援として、不妊治療に要する交通費の一部助成や妊産婦を対象としたアクセス支援の拡充、また、子育て支援としまして、第2子以降の3歳未満児に係る保育料無償化、在宅育児支援金の創設など、全国でも先進的な新規事業を盛り込んだところであります。
 先ほど御答弁申し上げましたとおり、少子化の主な原因につきましては、未婚化、晩婚化及び有配偶出生率の低下でありまして、その背景には、経済的な不安定さ、男女の仕事と子育ての両立の難しさ、子育てや教育に係る費用負担の重さなど、さまざまな要因が複雑に絡み合っていると言われております。
 今回の当初予算案におきましては、先ほども御答弁申し上げましたとおり、経済的負担の軽減が喫緊の課題との認識のもと、経済的負担の軽減に資する施策を盛り込んだところであります。
 これまでにない新たな施策に取り組むため、自然減対策の新規分としまして、18億円を増額し、総額163億円を計上して、令和5年度岩手県一般会計予算案に盛り込んだところであります。
〇高橋穏至委員 そういった取り組みをして、力を入れたということについて、今度、この事業をやると当然計算があって、評価が出てくるわけですが、どれくらい人口減少に対して、それぞれの事業をどのように評価しようと思っているのか。
 例えば、前に、文化スポーツ部やほかの部では、対象者へのやったことに対するアンケートを実施しますとか、そういったことでの評価の手法もやると伺ったのですが、保健福祉部としては、人口減少にどれくらい効果があったのかという評価をどうやろうと思っているのかをお伺いします。
〇高橋子ども子育て支援室長 評価の方法についてでありますが、いずれ人口減少対策につきましては、合計特殊出生率の目標達成に向けて取り組みを行っていくということでありまして、先ほど来、委員からも御質問あり、当方でも御紹介させていただいております、経済的支援策の2事業につきまして、国の少子化社会に関する意識調査によりますと、子育てに係る経済的負担の大きなものとして、学習塾や習い事の費用について、保育に係る費用が挙げられておりまして、食費や医療費よりもこれは高くなっているという状況があります。
 また、国が中心となりまして、令和元年10月から、保育所等を利用する3歳以上の子供について、保育料の無償化が実施されておりますが、国が行いました幼児教育、保育の無償化の効果に関する調査によりますと、予定している子供の数について、その保育の無償化の対象となっている保護者の方に聞き取り調査を実施したところ、無償化により影響があったかにつきましては、2割強で子供の数をふやしたいという意欲が見られたところでありまして、保育料の無償化は少子化対策に一定の効果があったと評価されているところであります。
 今回、県が市町村と連携して、保育の事業につきましては市町村が事業主体ということになりまして、県の位置づけは市町村の取り組みを支援するという立場で子供子育て支援を実施しておりますので、今回、県が市町村と連携しまして、保育料無償化等々の事業を行うことにより、子供の数をふやしたいという機運が高まり、実際に希望する子供数につながることを期待するというところであります。
〇高橋穏至委員 それでは、人口減対策ですが、婚姻率や、合計特殊出生率など、率の話ばかり出るのですが、実数を考えると、実は例年、階層別の人口動態が出ているのですが、要は結婚、出産に当たる年代が、特に女性が、数字は、また後で確認しますが、毎年5、000人ずつ減っているのです。母数が減ると、率が同じだと子供の数は減りますよね。かなりの率を上げないと現状維持もできない状況ですので、これはあしたの商工労働観光部のほうになるのですが、そういったものを加味しながら対策を、いずれ両方の部でこの人口減少対策を考えていってもらいたいということを申し上げて、終わりたいと思います。
〇岩渕誠委員 話の流れがありますので、子育て支援のほうから聞きます。
 県は新年度予算案において、大変意欲的な子育て支援策を打ち出しております。第2子保育料実質無料化、そして、在宅保育支援であります。市町村との出し、出しの事業でありますが、最新の市町村の対応状況をお知らせください。
〇高橋子ども子育て支援室長 先ほど御答弁申し上げましたとおり、最新の動向につきましても、保育料無償化事業費補助につきましては、実施予定が30市町村、検討中が3市町村、在宅育児支援金につきましては、実施予定が23市町村、検討中が9市町村、実施予定なしが1市町村という状況であります。
 検討中としております市町村につきましては、財源等も含めまして、事業内容の精査を行っていると聞いておりますし、また実施予定なしと御紹介しました1市町村につきましては、独自の子育て支援策を行う予定と聞いているところであります。
〇岩渕誠委員 これはどちらも検討中とありますが、私が把握しているところでは、検討中と県にお答えになっている市町村でも、かなり具体化をして、前向きにしていると私は聞いていますし、それから、一つの自治体は首長選挙が終わったばかりということで、対応は少し時間がかかっているということですが、聞いている限りは、全ての市町村が足並みをそろえたという認識で私はいるのですが、どうですか。
〇高橋子ども子育て支援室長 新規経済的支援として掲げております2事業につきましては、昨年10月末ぐらいからの各市町村への情報提供等によりまして、さまざま検討を進めてきた事業でありまして、その都度、市町村も新たな事業ということで、さまざまなお問い合わせ、御相談もあるところでありまして、そういった相談、質問等に丁寧に対応しながら、現在に至っているところでありまして、委員から御紹介いただいたとおり、検討中としている市町村につきましても、前向きに検討いただいていると認識しております。
〇岩渕誠委員 今の時期ですから、なかなか苦しい答弁だと思いますが、前向きに全部進むと理解をいたします。
 そこで、そこはいいのですが、子育て支援となりますと、保育の問題が今度出てきます。大分前に、保育士の充足状況は大変だという話があって、県としても5年前ぐらいに保育士修学資金貸付等事業を実施したということであります。それが、今どういう状況になっているのか。保育士がどのぐらい出てきているのか、これをお示しいただきたいと思います。
〇高橋子ども子育て支援室長 岩渕誠委員から御紹介いただきました保育士の確保対策の検討に係る調査につきまして、令和2年度に実施しておりますが、令和3年度以降は実施していないところであります。県内の保育士の充足状況につきましては、県内保育士の有効求人倍率、令和4年10月現在で1.38倍となっておりまして、県が委託設置しております保育士・保育所支援センターにも、保育所等からの求人相談がいろいろ寄せられているところであります。
 地域や施設によっては、保育士への配置基準は満たしている状況でありますが、受け入れ児童数の拡大や、勤務環境改善のために求人が相当数あるものと認識をしているところであります。
 県としましては、保育士確保対策としまして、引き続き保育士を目指す学生を対象としました保育士修学資金の貸し付けや、保育士・保育所支援センターによる潜在保育士のマッチングの支援などに取り組んでまいります。
〇岩渕誠委員 順番を変えて聞いているので、よく話を聞いて、お答えいただきたいと思います。
 それで、結果、保育士はどれぐらい出ていますかという話です。
〇高橋子ども子育て支援室長 県で取り組んでおります保育士修学資金貸付等事業の状況についてでありますが、貸付事業につきましては、平成29年度から実施してきたところであり、本年度までに延べ146人に貸し付けを行ってきたほか、令和2年度までに貸し付けを受けて卒業した延べ86人のうち79人が県内に就職をしている状況であります。
〇岩渕誠委員 これは後で取り上げますが、医師の奨学金などに比べて、修学支援をした保育士の県内定着率がすこぶる高いものがあって、非常に政策効果の高い事業だと思っております。一方で、今、2歳とか3歳児未満とか、そういったところの需要がふえてくることを想定すると、まだまだこれは足りないというのが実態であります。今後も、この事業については拡充をしていただきたいと思いますし、これは保育園側にもそうですし、公庫側にも、これは、ぜひ周知徹底を再度お願いしたいと思います。
 保育環境で言いますと、残念ながら、いろいろな悩みが発生しているというのも、これは一方で事実だと思います。児童相談所における相談の状況について、あわせて聞きますが、その中ではかなり心配されているのは、虐待相談がかなり増加していることと思っております。この現状について、あわせてお示しいただきたいと思います。
〇高橋子ども子育て支援室長 児童相談所における相談状況についてでありますが、令和3年度に本県の児童相談所に寄せられた相談件数は3、531件と、昨年度の3、196件から335件ふえて、過去最高の件数となったところでありまして、相談種別は、児童虐待相談を含む養護相談が2、039件で全体の約6割を占め、障がい相談につきましては1、011件で約3割と続いている状況であります。
 具体的な相談内容としましては、養護相談では、保護者による養育が困難となった児童に関するもの、障がい相談では、知的障がいや発達障がいに関するものなどが寄せられているところであります。
 また、児童虐待相談の増加している理由についてでありますが、本県の児童相談所における児童虐待相談対応件数は、令和3年度に1、709件と過去最高を更新したところであります。増加の理由につきましては、児童相談所虐待対応ダイヤル189の浸透、それから警察との連携強化による警察への通告件数の増加、児童虐待防止対策に関する啓発活動の普及などにより、早期発見、早期通告に結びついて、相談対応件数が増加している部分もあるものと考えております。
〇岩渕誠委員 これは、数字を見ますと、児童相談所における相談の総数3、531件で過去最高になった。増加したのが300件程度ということですが、増加しているのは何かというと、多くは大体虐待なのです。その虐待の状況も、一時保護児童については横ばいもしくは少し減っているけれども、1日当たりの保護日数や、1日当たりの保護児童数は、かなり上がってきていると思っているのですが、現状はどうですか。
〇高橋子ども子育て支援室長 一時保護した児童数についてでありますが、ここ数年300人程度で推移しており、大幅な増減は見られないところでありますが、相談内容の複雑化などによりまして、対応方針の決定までに時間を要するケースがふえてきており、岩渕誠委員からお話しいただきましたとおり、平成29年度から令和3年度までの5年間で1人当たりの保護日数は18.2日から23.5日へと5.3日延びておりますし、また1日当たりの保護児童数も13.3人から19.6人へと6.3人増加しているところであります。
〇岩渕誠委員 私は大変深刻な状況だと思っています。何が深刻かというと、その中身もそうですが、受け入れる側の問題として、施設の不足というのが、環境が少し劣悪化しているのではないかということを大変心配しております。特にこの間コロナ禍がありましたので、一時保護する施設の拠出が大変少なくなってきている。それから、各地の児童相談所もそうですが、福祉総合相談センターなどは、非常に老朽化もしているということで、今の状況に対応し切れていないのではないかと懸念を持っております。
 そうした中、知事の演述の中では、福祉総合相談センターと県民生活センターの移転整備の考え方が示されております。検討するということですが、これは単純に考えると、合築して移転をするということでしょうか。検討のスケジュールとあわせてお示しください。
〇田澤保健福祉企画室管理課長 福祉総合相談センター等の移転整備についてでありますが、福祉総合相談センターにつきましては、今、岩渕誠委員から御指摘がありましたとおり、一時保護所の面積の課題、あるいは老朽化、あるいは相談室の不足等の課題が生じております。
 また、環境生活部が所管しております県民生活センターにおきましても、施設の老朽化、あるいは市町村への消費相談窓口の設置などによりまして、施設規模が全体的に過大となっているといった課題が生じていると承知しております。
 こうした課題を解決いたしますとともに、相談機能の充実も図っていくため、保健福祉部と環境生活部におきまして、両センターを一体的に移転整備することについて検討を進めているところであります。
 整備スケジュールを含む具体的な計画については、今まさに調整中というところでありますが、この計画につきましては、令和5年度内のできるだけ早期に計画を取りまとめることができるように進めてまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 子育て支援は本当に積極的にやっていると思います。それは妊娠の段階からも含めてと思いますが、そういうプラスの側面をきちんと支援をすることも大事ですし、残念ながら、そうはいかないというところにしっかりとしたセーフティネットを届けていく、ここまでやらないと本当の意味での子育て支援が完結したことにはなりませんので、ぜひ早急に検討を進めていただいて、その部分についても留意されたいと思います。
 それでは、医師養成の現状についてお伺いいたします。奨学金養成医師については、午前中の質疑があったところであります。いろいろな意見はあるかと思いますが、私は、これは大変評価をしております。制度が変わりました平成20年度以降の15年間で、岩手県の出身者は、医学部に844人が入学されております。そのうちの484人が奨学金をお受けになって入学をしているということですから、これはかなりの数だと思います。従前の一般枠から地域枠というのが出て、全体の奨学金をいただいている皆さんの85%ぐらいはこの地域枠という中で養成されているということで、これは、やはり評価をしていいのだと思います。
 一方で、今日的課題を申し上げますと、まず指摘をしておかなければならないのは、義務履行の猶予という問題があります。これの現状についてと、それから、この後、この義務履行猶予の皆さんがどういう状況なのか、見通しているのかどうか、それを少しお示しいただきたいと思います。
〇中田医務課長 奨学金養成医師の義務履行の状況でありますが、義務履行予定者につきましては、令和5年度100名を見込んでいるところでありまして、このうち71名が学位取得や専門医取得を目的に、岩手医科大学及び東北大学に所属し、勤務する者であります。これ以外の29名につきましても、岩手医科大学及び東北大学の医局人事で、県外関連病院の勤務や、あるいは関東での医療機関において、専門医研修のための研修を行うものであります。
 義務履行猶予者でありますが、直近の3年間におきましては、おおむね100名となっております。配置調整対象者に占める割合でありますが、令和3年度が47.8%、令和4年度が44.2%、令和5年度の見込みが37.7%となっており、年々減少しているところであります。
 今後も、学位取得や専門医取得を目的とした義務履行猶予者はおおむね100名程度で推移すると考えており、義務履行者数及びその割合については、確実に増加するものと考えております。
〇岩渕誠委員 配置の対象者は微増もしくは横ばいでいくと思いますから、義務履行の猶予者の割合は下がっていくのではないかと思ったのですが、どうですか。
〇中田医務課長 義務履行猶予者の割合は年々減少をすることに伴いまして、実際に義務履行を行う者については徐々にふえてくると認識しております。
〇岩渕誠委員 ピーク時から2割ぐらい下がっていますね。それは大丈夫だと思います。ただ問題は、実は844人、この15年で医学部に入ったと御紹介しましたが、県外の医大に進む方が477人とふえております。岩手医科大学には15年間で367人。57%が外に出て、43%が県内にとどまっておりますが、それをさらに詳しく見ていくと、岩手医科大学に入った皆さんの9割は奨学金を借りているのですが、県外に進学されている皆さんの例で言うと、3分の1しか奨学金を借りていない。これは国公立大学だということが大きく影響してくると思うのですが、これによって、最終的に県立病院に勤務をする皆さんの割合がどうなってくるかというのは大変心配をしております。
 いろいろ資料をいただいておりますが、例えば今、県内出身の入学者が、岩手医科大学に次いで多いのは秋田大学ですが、奨学金利用者が36名、次いで弘前大学が71人入学しているけれども、16人しか奨学金は借りていない。
 問題は、そういったところも含めて、県外に行ってきた人がだんだん奨学金の返還にもなりますし、なかなか戻ってくるのかどうかという問題が、これはやはり大きな問題だと思います。せっかくお医者さんになる数をつくっているので、岩手県でどうしても働いていただきたい。こういうことに対して、県ではどういう意識を持って、どういう対応しているかお示しください。
〇尾形医師支援推進監 県外で学んだ方が、どうやって県内で働くように取り組むかということですが、県内の臨床研修病院群が参加する合同説明会を県内外で開催しておりますとともに、県内出身の学生を対象とした大学別の県人会を毎年各地域で開催し、臨床研修病院の紹介や専門医プログラムの説明を行うなど、奨学金を利用していない医学生に対しても、県内臨床研修実施の働きかけを行っているところです。
 また、臨床研修体制の向上を図るために、岩手県内で臨床研修病院が12病院ございますが、いわてイーハトーブ臨床研修病院群ワーキンググループを設置しまして、指導医講習会やACPセミナーの開催など、研修医にとって、よりよい教育環境の構築に向けて取り組んでいるところです。
 今後におきましても、関係機関等とも連携しながら、奨学生面談の実施によりまして、奨学生の意向把握に努めますとともに、本県において、臨床研修を行うことの魅力を十分に説明しながら、臨床研修医確保に向けてきめ細かく対応していきます。
〇岩渕誠委員 いきますという、大変立派な答弁だったと思います。
 ただ問題は、まずは県内の医療状況をよく知っていただいて、ここで働くことの意味をまず見出していただく、そのための手当てもしていただきたいと思いますし、そうは言っても、あとは補助の部分で言えば、その医局の教授にどう当たっていくかということもまず大事だと思います。やっていらっしゃるとお伺いしています。
 ただ、そういう中で、臨床研修をどうしていくかという問題になったときに、岩手県の場合は、臨床研修の受け入れの枠よりも少し少なくやらざるを得ない。それは指導医が不足しているからだと、こういうことは現状としてあると思います。
 その一方で、専攻医、専門の医療について、やはり整ったところでやりたいということの、医学者としての本能といいますか、そういったところはあると思います。お聞きしていますと、例えば専攻医のこの制度でも、いろいろなシーリングがあって、これがうまく機能していないのではないか。つまり首都圏に流れるようなシーリングの制度になっているのではないかと。このあたりも県としては国に対して御意見を申し上げているようでありますが、だからこそ、その御意見と、それから、地域医療基本法という考え方は、僕は非常に大切な考え方になってくると思っています。
 今後、さらなる医師の定着について、いろいろ課題を今申し上げましたが、これについて御所感があれば、野原保健福祉部長から伺います。
〇野原保健福祉部長 岩渕誠委員から、岩手県出身で県外大学に進学された方々の定着ということを御指摘いただきました。我々もこの部分は大きな課題と認識しておりまして、岩手県立病院を中心としたさまざまな魅力ある病院がいっぱいありますので、そういったことを1人でも多くの県外に進学された方々に知っていただきたいということ、奨学金制度の説明もそうですが、それは本当に続けていきたいと考えております。
 また、専攻医の課題がございます。専門医制度ができて、これはなかなか地域偏在が進むのではないかと問題意識を持っております。要するに、岩渕誠委員から御紹介があったとおり、症例数が多いような大規模病院にどうしても指導員が多くなる。こういったところで専攻医が多くなる。都会、首都圏にここで専攻医がふえたというのは事実としてございます。この点については、我々医師不足に悩む自治体は危機感を持っておりまして、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会ということで、医師少数県で国に対しての提言の中にも、この専攻医の問題について、具体的な提言をさせていただいているところであります。
 国も、この点についてはかなり問題意識を持っていただいていますので、専門医の機構にも、そういった部分で地方からの意見を上げさせていただいているところであります。
 職業選択の自由の部分もあってなかなか難しいのですが、専門性を学びたいという医師、この部分はやはり尊重しなければならない部分もありますので、そうした部分と地方での勤務という部分の両立をきちんと図っていく必要があると思っていますので、岩渕誠委員から御紹介いただいた、地域医療基本法をもう十数年前から岩手県から提言させていただいておりますが、こうした国への提言、また、知事の会での具体的な提言、この両輪で、この制度、地方でも、きちんと医療が受けられる体制ということで、国に対して働きかけを続けていきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 私からは、いわてで生み育てる県民運動について御質問をしていきたいと思います。
 この県民運動ですが、結婚、出産は個人の決定に基づくものであることを基本としつつ、地域全体が一体となって、子供を安心して生み育てる環境をつくっていくための機運醸成ということを目的として、まず令和4年度から始まった事業であります。令和5年度も予算額は少し減らした形で、引き続き実施していくということで、予算計上されております。
 確認ですが、地域社会が一体となって子供を安心して生み育てていく、そういう環境は、この県民運動の中に考えられているのは、具体的にはどのような生み育てる環境なのかということについて教えていただきたいです。
 それから、そのために、どんな人たちにどういう問いかけをすることによって、その目的としている具体的な生み育てる環境をつくっていけると考えておられるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
〇畠山保健福祉企画室企画課長 いわてで生み育てる県民運動のお尋ねであります。ハクセル美穂子委員から御紹介いただきましたとおり、地域社会が一体となって子供を安心して生み育てる環境育成基金をつくっていく機運を醸成するために、今年度から開始されたところであります。
 具体的な考え方でありますが、それぞれ子育ての支援施策は、今回の当初予算案に盛り込ませていただきました、経済的支援とかいう部分もありますが、それぞれ地域の中でいらっしゃる方々、それは企業や団体も含め、あとは子育てが終わられた方、おじいちゃん、おばあちゃんとか、そういった世代も含めて、県全体でそういった子供を育てる皆さんを温かく見守りながら、それから、子供自身も支援していくという意識も含めた醸成が必要と思っておりまして、そういったところを考えまして、いわてで生み育てる県民運動を今年度から開始させていただいたところであります。
 同じように、どのような対象者の方ですかというお尋ねでありますが、先ほど答弁申し上げましたとおり、さまざまな当事者の方々もいらっしゃいますし、それを温かく見守っていくための家族や、それから、働く職場、地域社会である団体とか、そういったところの方々も対象として県民全員でこの環境づくりを盛り上げていくということで、対象者は県民のいろいろな方々とさせていただいております。
〇ハクセル美穂子委員 確認のためお聞きしました。県内のさまざまな方々を対象としての県民運動ということですが、これまでも機運醸成の県民運動、さまざま重ねてきていらっしゃいますよね。例えばいわて子育て応援の店とか、子育てに優しい企業等の認証とか、子育て応援パスポートとかさまざま、本当に機運醸成のためのものと位置づけしてやってきているのに加えて、いわてで生み育てる県民運動をまたやるというところの意味を、私はもう少しはっきり言ってほしいということを、去年からもお話をさせていただいていました。
 去年から、出生数が240人分とか、毎年少なくなっている中で、きちんとこういう予算をかけて行っていくのであれば、しっかりと、どんな人たちに問いかけをして、そして、それがどういう結果を生んでいくことを目的としているのかというのをはっきりしていかないと、何個も何個も重ねていっても効果が見られない。例えば共同宣言みたいなのも今度しますよね。何個重ねていっても効果が見られないのであれば、意味がないことになってしまうのではないかと私は思っているわけです。
 例えば、この中身もそうですが、子供を連れて外出が容易になるとか、そういうふうに子育て支援に特化したものであれば、そういう年代の方々にリーチするような形でメディアのほうをやってみるとか、それとも第1子をふやしていきたいのだというのであれば、結婚される方、結婚を考えていない方からも、結婚をするとこんなすてきだと思うような、そういった醸成をするかとか、これまでの機運醸成の内容も踏まえて、どういったところにまだリーチしていないのかというのを、分析しながらやっていかないといけないのではないかと私は思うのですが、そういう分析も踏まえた上で、令和5年度、4年度に比べて何か改善するべき点とか、改善した点とかありましたら、それについてもお伺いしたいと思います。
〇畠山保健福祉企画室企画課長 いわてで生み育てる県民運動を令和5年度も継続するということでありまして、令和4年度の取り組みをさきに御紹介させていただきますが、今年度は県民みんなで盛り上げていくためのキャッチフレーズを、まず県民から募集しまして、約456点の応募の中から、10月にいわての子みんなでつくる大きなゆりかごに決定、公表いたしました。
 それから、今年度は、結婚から子育てまでの支援に関する官民の取り組みについて広く紹介するために、今後、3月末までの予定分を含めて計11回、テレビ、ラジオ、新聞で情報発信を行いまして、うちテレビ放送シリーズは、計4回の動画は特設ホームページにおいて順次公開しているところであります。
 また、ライフプランを考えていく上で必要な妊娠・出産の正しい知識、休暇、社会保障制度の情報や、県内に住む御夫婦の経験談等の動画コンテンツを7本制作しておりまして、これにつきましても順次ホームページ等で公開していくこととしております。
 令和5年度につきましては、このキャッチフレーズ、それから、ライフプランコンテンツ等を活用しながら、引き続き、メディアとのタイアップした広報事業を中心に取り組んでいくこととしております。
 この取り組みに向けましては、現在、団体とメディアから、子育て応援に関する広報の共同制作の提案を頂戴し、現在調整を進めているほか、本県と包括連携協定を締結している小売業、保育園業などの企業と、連携可能な施策について意見交換をしていくこととしております。
 ハクセル美穂子委員から、先ほど御指摘のございました効果的な取り組みというところは、我々も予算化する以上はしっかり考えていかなければいけないと思っております。
 効果的な事業が展開できるようにさまざまな御意見、これは市町村の方々も含めてお伺いしながら、より県民運動が盛り上がるような施策に関して、日々検討を重ねていきたいと思っております。
〇ハクセル美穂子委員 私は、日々、これからではなくて、最初にスタートする時点から、きちんと考えていかないといけないと思います。テレビ、ラジオ、新聞というと、若い世代の人たち、こういうのを見ていない可能性が、かなり大きいのではないかと思っています。
 私ごとですが、私は、家にテレビがない人なので、ほぼユーチューブとか、例えばヤフーニュースとかからいろいろな情報をもらったり、直接オンラインの新聞を見たりとか、そういうふうに情報を取っているわけです。若い人たちは、本当にインスタグラムとかそういうところからどんどん情報をもらっていって、テレビがなくても大丈夫な生活をしていたりする方々も多くいるわけです。そういった方々にリーチするためというのもきちんと考えていかないと、ホームページの掲載だけだと全然リーチしなくなっていくと思います。
 おまけに、DXなどでこれからやっていくのかもしれませんが、都市型といいますか、LINEとかはどんどん入っていくというのもありますね。県でもやられているのもあります。そういうのをきちんとやり、やる前から、これをやると決めたときから、しっかり検討してやってほしいと思っているのです。
 一回やり始めてしまうと、子育て支援の、子育て応援の店についても、やり方は多分ほとんど変わっていないのではないかと思うのです。私が議員になったときから、ずっと行われてきて、それはそれでいいけれども、それで本当に機運醸成になっているのかという検証をきちんとしないまま、また、つけ加え、つけ加えでいくと、本当にこれはもうパフォーマンスにしか見えないのですね。
 おまけに、もう一つつけ加えると、私はいつも子供の医療費について、所得制限を外してほしいということを何度も一般質問でもお話をさせていただいているのですが、そのたびに、答弁としては、県立病院等に多額の繰り出しがある岩手県としては、子供の医療費の所得制限を外すのは大変だと。国のほうで全国統一的にやっていただくことが適切であると考えていると、ずっと答弁し続けてきた中で、ただただ機運醸成だけ、共同宣言もするというのを積み重ねていくのは、本当にパフォーマンスとしか考えられなくなってしまうのです。
 先ほど私が述べたように、知事がまず所信表明演説で、200億円という数字を出しながら、具体的に県立病院への繰り出しについて述べられました。佐々木努委員もおっしゃっていましたが、数字が出ることは大変異例なことだったと、私もびっくりして捉えておりました。
 そこで、この200億円という数字を出したことについて、保健福祉部として、この根拠について、医療局と何か検討をされたとか、そういったことはあったのでしょうか。その点について少し加えてお伺いしたいと思います。
〇佐々木医療政策室長 県立病院への繰り出しの関係であります。200億円の根拠ということでありますが、これまで県では、一般会計からの繰り出しということで、例年、200億円の負担金等を繰り出したりしているところでありまして、今年度の予算案の中でも、そういう形で予算には盛り込んでいるところであります。繰り出しについては、県立病院の運営の中で、例えば救急医療とか、不採算医療とか、そういう政策医療について、一般会計のほうからさまざま必要だということで、医療局とさまざま調整しながら、金額をルールに従って繰り出しているところであります。
〇ハクセル美穂子委員 私は子供の医療費について、県内統一的な制度を県がずっと主導してやってほしいとお話しています。現物給付についてはやるということで言っていただきましたが、その中には市町村が負担している多額の財源があるわけです。そういった財源確保できない市町村に関しましては、所得制限を外すことがなかなかできていないところもある。そういうところはこれまでもお話ししてきたとおり、子供たちといいますか、家族が集まってきているところのほうが、かえって財源が確保できなくて、そういった子育て支援策というのが少し手薄になってしまっています。
 市町村ごとの判断だと言ってしまえば、それまでですが、県立病院に対して200億円出しますとはっきりと言ってしまうと、これを理由に、私の子供の医療費助成の所得制限の話はだめだったのではなかったかと感じてしまうわけですね。所得制限というのは、国が動くまではもう動かないのだとはっきりと宣言されたような気がして、本当に残念だったわけです。
 他県と比較しましても、病院の数が多くて、膨大な繰入金を出さなくてはいけない状況は理解しています。それで県内のいろいろな医療資源を確保しながら、県民の皆さんの保健福祉を守っていくという選択をされています。
 そういった中で、子育て対策も令和5年もしっかりとやらなければいけない、それから、少子化対策も何らかの予算を確保していかなければいけない。そういう中で、県の保健医療計画を策定する保健福祉部として、現状の医療体制もしっかりと見直しを行って、その財源についても考えていかなくてはいけないと思っていますが、そういった点について、今後、どのように進めていくお考えなのかということを、最後に野原保健福祉部長にお聞きして、終わりたいと思います。
〇野原保健福祉部長 まず、いわてで生み育てる県民運動について、ハクセル美穂子委員からさまざま御指摘もいただきました。
 私どもは、これを進めるに当たって、まず県とか行政だけではこの取り組みは進まないだろうと考えております。市町村と連携して、民間の力をお借りしなければならないし、子育て世代の当事者の方々だけではなくて、当事者の方々の親世代であったりとか、あとは高校生の方々などが、将来はライフプランを考えてもらったりとか、さまざまな世代に働きかけをしていかなければならないという問題意識のもとで始めました。
 委員からいただいた御指摘は、本当に謙虚に受けとめて、本当に実効性あるものにしてまいりたいと考えております。
 また、財源の話、医療の話もございました。医療局の繰り出しは、これはルールでやっております。岩手県オリジナルというよりも、これは企業法のルールにのっとって、僻地医療、例えば不採算部分で、これは必要な経費ですので、それは払うのですが、ただこれはただ払うというのではなくて、住民の皆さまの医療の質の向上にきちんとつながっていくことが重要ですので、そうした視点で、保健医療計画、来年度見直しを行ってまいりますし、こうした県の保健医療計画を踏まえて、県立病院、医療局でも、新しい経営計画を再来年度策定いたしますので、経営的な視点、人材確保をして、医療の質の向上という時点で、医療局でも、きちんとした県立病院経営、健全な経営のもとでの質の高い医療の確保という検討が進むものと考えております。
 そうした医療局の取り組みときちんと連携をしながら、また財源のほうも、これは我々だけでは解決できない部分もありますので、関係部局とも連携しながら、ありとあらゆる手法、手段を用いて財源を確保し、医療や、そして、子供、子育ての支援政策に活用してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは、新型コロナウイルス感染症対策についてお聞きいたします。
 第6波、第7波、第8波の感染者数、死者数はどうなったでしょうか。感染拡大、死者数増加の要因を含めて示してください。
〇三浦感染症課長 第6波、第7波、第8波の感染症の患者数及び死亡者数についてでありますが、令和4年1月から6月までの第6波では、感染者数が延べ3万4、557人、死亡者は43名。令和4年7月から9月までの第7波では、感染者数が延べ7万555人、死者数は97人。令和4年10月から令和5年3月9日までの第8波では、感染者数は延べ12万4、851人、死者数は416人となっております。
 第8波においては、全国的にも第7波を超える感染が拡大し、死者数も過去最大となったところであります。国のアドバイザリーボードでは、オミクロン株はデルタ株に比べ、感染後の再感染リスクや二次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に速いことが確認されており、オミクロン株の高い感染力が、全国的な感染拡大を発生させ、また、高齢者への感染拡大が死者数の増加の要因であると認識しております。
〇斉藤信委員 オミクロン株になって、第6波、第7波、第8波と、もう1年間、三つの波が連続して続いて、そして、感染者数は倍々でふえた。死者数もそういう形で増加をしたということで、私、このオミクロン株は、重症化リスクは低いと言われたけれども、感染力については、押谷教授に言わせると、インフルエンザの7倍という指摘も最近しているようですが、オミクロン株によって死者数が本当に増加したというのを、しっかりリアルに見る必要があるのではないかと思います。
 死者数がふえた大きな要因は、高齢者の感染、高齢者施設のクラスターだと思いますが、第8波における高齢者施設のクラスターの多発、施設内療養者の激増、これが、死者が増加した要因の一つだと思いますが、なぜ124人もの高齢者が施設内療養中に亡くなったのか、どのように受けとめているか示してください。
〇三浦感染症課長 高齢者施設における死亡者の増加要因についてでありますが、第8波ではオミクロン株の高い感染力により、本県でも高齢者施設でのクラスターが複数発生する中で、基礎疾患のある高齢者が体調を崩され、亡くなられていることについては、非常に重く受けとめております。
 なお、国のアドバイザリーボードの資料によると、全国的に高齢者の死亡が増加している要因として、死亡リスクが高い身体的活動度が低下した高齢者が多く利用していること、これまでのワクチン接種や感染によって獲得した免疫が低下した可能性があること、救急搬送や一般医療の負荷の増大の影響により、高齢者施設入所者への治療介入がおくれた可能性があることなどが指摘されています。
〇斉藤信委員 第8波における高齢者施設でのクラスター、そして職員、入所者の感染者数、そして、施設内療養者の死者数、これを示してください。
〇三浦感染症課長 施設内療養の実態についてでありますが、高齢者施設において、陽性者が確認された場合、多くの施設において、軽症の患者は、嘱託医や協力医療機関等により、薬の処方や、必要に応じて酸素投与などを行い、医師が入院の必要があると判断した場合には、保健所等が入院調整を行ってきたところであります。
 高齢者施設のクラスターについては、昨年10月以降、3月10日までに374件発生しており、感染者は、公表時点での数字となりますが、2、300人を超えているところであります。また、この期間に施設内で亡くなった方は124名となっており、感染拡大のピークであった12月は64人、その後、1月が38人、2月が4人と減少しているところであります。
〇斉藤信委員 高齢者施設374施設で、第8波でクラスターが発生して、入所者の感染者数は2、310人、職員が948人ですね。ところが、施設内療養で124人亡くなっているわけです。必要な人が入院できなかったのではないかと思います。なぜ124人も施設内療養で亡くなることになったのか、このことについてどのように受けとめていますか。
〇三浦感染症課長 施設内療養についてでありますが、県ではこれまで、高齢者施設等において陽性者が確認された場合、嘱託医や協力医療機関の医師による医療の提供が行われるよう働きかけてきたところであり、多くの施設において、軽症の患者は薬の処方や必要に応じて酸素投与などを行い、医師が入院の必要があると判断した場合には、保健所が入院調整を行っているところであります。
 オミクロン株の流行となってからは、新型コロナウイルス感染症自体の重症化率は大きく低下しておりますが、循環器系の疾病や基礎疾患等のほか、いわゆるADLの低下が高齢者の予後に強く影響していることが、国のアドバイザリーボードにより指摘されているところであります。
〇斉藤信委員 弁解にもならない。私は、なぜ124人も医療を受けられずに亡くなったのかということを指摘したのです。私は、12月定例会で、12月5日にこの問題を指摘しておきました。12月4日までで、そのときは施設内療養で亡くなったのが42名でした。これは死者数の14.7%、7人に1人です。
 こういうことがあってはならないと、12月5日に私は一般質問で指摘をした。野原保健福祉部長は、患者の状況に応じて、今後とも、適切な支援、療養環境の整備、また、高齢者の方々の亡くなることがないようにという、この視点で取り組みを進めてまいると答弁しました。
 ところが、12月、1月、残念ながら、施設内療養中に実際に第8波で124人亡くなりましたが、これは亡くなった方々の30%です。私が指摘したときの倍になってしまっている。必要な医療が、必要な方々が入院できなかった。
 私は県内の施設で聞いてみて、みんなそうですが、あなた方は、口では言わないけれども、原則施設内療養、こういうことになっているというのが実態です。そういう指示を、有形、無形で出したことがありますか。
〇三浦感染症課長 そういう指示を出したことはございません。
〇斉藤信委員 出したことはないということです。私は三浦感染症課長から、何が基準なのかということをお聞きいたしました。私が唯一いただいたのはスコアシートです。スコアシートでチェックして、例えば酸素飽和度93以下、その他いろいろあるのですが、1項目でもあれば、入院調整の対象となります。令和5年1月13日の新型コロナウイルス感染症対策調査特別委員会で私はこの問題を取り上げました。酸素飽和度が60、70でも入院を拒否されました。みとりまで言われました。
 私、その後、改めて、この施設を調査しました。ここは、これ2月11日現在だけれども、陽性患者、入所者25人、職員14人、死者2人です。私が指摘をした、入院できなかった高齢者がその後亡くなりました。ここは、いわば93以下、酸素飽和度がぐっと下がった方々が5人いたけれども、1人も入院できなかった。こういう状況になっているのです。だから、124人という数が出ているのではないでしょうか。スコアシートは使われていない。この実態をどう見ていますか。
〇三浦感染症課長 当初、スコアシートというのは、新型コロナウイルス感染症の患者の肺炎などの呼吸器疾患に着目して、重症度を判断して対応してきたところでありますが、オミクロン株に変わってからは、循環器系の疾病とか、基礎疾患のみにかかわらず、先ほど申しましたが、例えばADLの低下など、非常に大きく関与しているところであることも指摘されているところでありまして、患者の症状やスコアシート以外にも、ADLの状況とか、認知症、要介護度、患者個々の状況に応じて、適切な療養環境を提供していく必要があると考えているところであります。
〇斉藤信委員 適切な療養環境がなかったから亡くなっているのですよ。
 この私が指摘した施設は、5人が、酸素飽和度がもう60台、70台だったけれども、1人も入院できなかった。どういう状況になっていたかというと、入所者だけではない、職員が14人感染しているのですよ。どうやって施設内療養で陽性患者を診るのですか。職員も感染して、隔離しなくてはならない。結局、陽性になった職員が3日目から要介護者の対応をしているのですよ。この特別養護老人ホームは、感染は3階だけに抑えました。それでも、そういう状況なのです。
 あなた方は、安易に施設内療養と言うけれども、特別養護老人ホームの他は、医療機関ではないのです。医療する場所ではなく、生活の場所です。陰圧室もない。感染力が強い陽性患者25人もそういう施設に置いていて、どうやって命を守るのですか。
 野原保健福祉部長に聞きたい。施設内療養で亡くなることのないように努力すると、野原保健福祉部長は12月定例会で答弁をした。医療機関が大変だったこともわかります。皆さんが本当に頑張っていることもわかるけれども、しかし、1月10日現在の即応病床使用率は、全体で47%、盛岡市は43.2%でした。私は、決して入院できない状況ではなかったと思います。
 だから、原則施設内療養、私は、これが実態としてずっと貫かれていると思います。そういう状況で、施設内療養で、これは第8波で124人が亡くなったことについて、問題を感じませんか。これをどう解決していきますか。
〇野原保健福祉部長 委員から御指摘いただいたとおり、第8波に関しては、極めて高い感染力を背景に、高齢者施設で多くのクラスターが発生し、療養中に多くの方が亡くなられたことは非常に重く受けとめておりますし、連日、入院調整に当たっています県庁の入院調整班も非常に心を痛めながら、1人でも死者をなくすべく努力をしていたところであります。
 この対応については、三浦感染症課長からも御説明申し上げましたが、もちろんオミクロン株以前の場合は、原則入院という対応をしておりましたが、オミクロン株になって、ワクチン接種の進み、また、病原性も変化して、入所者の方の症状によっては、比較的軽症で経過された方も多くなったと伺っております。
 また、三浦感染症課長から申し上げましたとおり、死亡リスクに関しては、医療の介入はもちろん必要ですが、それ以外にも、ADLの低下リスクがあります。認知症がある方が病院へ行ったら医療は受けられますが、介護は受けられない。どちらがその方にとって適切な療養環境なのかということをきちんと判断しなくてはならない時期でありました。また、アドバイザリーボードでも指摘されているとおり、全国的に、この時期、岩手県だけでなく、多くの介護施設でクラスターが発生し、多くの方が亡くなられたというのも事実であります。
 これについては、施設で日常からの医療との連携、早期に、協力医やかかりつけ医が施設に入れるような仕組みづくり、また、医療アクセスの改善、また、病床使用率、斉藤信委員から御指摘いただきましたが、当時、1月にも御答弁しましたが、病床使用率以上に一般医療に負荷がかかっていた時期であります。医療と環境を守っていくという観点で、日々対応させていただいたところであります。
 今後におきましては、施設の嘱託医や協力医療機関との役割の明確化の強化、往診や訪問看護の充実、DXの活用も含むと思います。また、専門医療等が必要な場合における医療アクセスの確保、診療報酬や介護報酬上の財政的な支援も必要でありますので、そうした部分について、全国知事会としても、国に対して強く要望しているところでありますし、この問題を重く捉えて、我々も医療と介護の連携、訪問医療の強化に努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 医療も大変だった。しかし、クラスターが起きた介護の現場はもっと大変だったのですよ。私は、想像力が足りないと思います。クラスターが起きて、職員も感染している。そういう中で、医療施設でないのに20人も25人もその施設で介護しなくてはならない。嘱託医は、特別養護尾老人ホームの場合、1週間に1回だけなのです。午前中、薬の処方をする程度です。医療もタスクフォースも来てない。
 そういう意味で、本当に、県が介護のクラスターが起きた介護現場の深刻な実態をしっかり受けとめて、そして、私が1月10日の病床使用率を指摘しましたが、盛岡市でも、即応病床で43.2%ですよ。これが6割、7割だったら大変だと言えるけれども、県もいつも5割超えてない、大丈夫ですと言います。しかし、入院させないからこういう形になっているのですよ。そのことも、私はぜひ改善していただきたい。
 アドバイザリーボードはこうも言っています。高齢者施設入所者への治療介入がおくれた可能性がある。ここが問題だと思うのです。施設も、全員入院させろという要望ではなかったのです。スコアシートにある酸素飽和度が60、70になって、命の危険のある人を入院させてほしい、これがささやかな要望なのですが、それさえ認められなかった。だから、本当にこの間、高齢者施設のクラスターに対する対応はしっかり検証して、改善すべきは改善して、今後に備えていただきたい。
 新型コロナウイルス感染症対策でもう一つ、第8波における入院患者の県立病院が受けた患者数と比率、公的・公立病院の受け入れた患者数と比率はどうだったか。
 5類への移行は、控除の打ち切りを意味するものです。検査、発熱外来、病床の確保、ワクチン接種などどのようなことになるのか。本当に、検査も医療ももう補償されない。陽性患者を診る医療機関は、かえって減ってしまう。医学部長、病院長の会議では、大学病院の場合、補助がなくなったら、1病院4、000万円赤字になると言っています。そういうことも含めて答えていただきたい。
〇三浦感染症課長 第8波における県立病院等の入院の受け入れ状況についてでありますが、昨年10月以降、本年2月末までで、入院者数は1、854人となっており、うち県立病院は全体の68.3%に当たる1、266人、県立病院以外の公的・公立病院は全体の26.2%に当たる485人となってございます。このほか5.6%についての103人は、民間病院で受け入れているところであります。
 新型コロナウイルス感染症の5類移行後の検査や、発熱外来等の対応、公費負担の部分でありますが、3月10日に、国から各自治体に、5類移行後の公費負担などの取り扱いが示され、5月8日以降は、医療機関で実施するPCRや抗原定性検査での検査については、保険適用の診療報酬によって自己負担になる。発熱外来での医療費についても、保険適用の診療報酬について自己負担。ただし、抗ウイルス薬については、当面の間、公費負担を継続する。病床確保の空床補償については、補助単価の見直しを行うが、当面9月までは継続するとされているところであります。
〇佐々木医療政策室長 ワクチン接種の公費負担の部分であります。国が3月7日に発出した、今後のワクチン接種に係る事務連絡によりますと、5月8日からの春の接種開始におきましては、高齢者や基礎疾患を有する方、医療従事者、高齢者施設等の従事者を対象に、それから、9月からの秋の接種開始では、接種可能な方、全ての方を対象に、それぞれ1回接種することとされておりまして、令和6年3月末までは、年齢、接種回数のいかんを問わず、予防接種法上の特例臨時接種として、全額公費負担の対象となると伺っております。
〇斉藤信委員 県立病院、公的・公立病院は、岩手県の場合は、入院患者で圧倒的なシェアを占めて、役割を果たしたということを私は本当に高く評価をしたいと思います。
 しかし、これはさまざまな支援策があって可能だったと思うのです。これが5類移行で、少なくとも9月以降どうなるかわからないという感じですよね。5月8日からは自己負担も発生するということです。だから、本当に第9波にこれで対応できるのか。恐らく、感染対策、陰圧室、こういう環境整備が整わなかったら、一般の病院でとてもではないが、あのオミクロン株のような対応はできないと思うのです。そういう意味で、本当に科学的根拠なしに、5類移行が決められて、自己負担を押しつけられると。これでは何の教訓にもならないということを指摘して、私の質問を終わります。
〇千葉盛副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後2時38分 休憩
午後2時57分再開
〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。
〇高田一郎委員 それでは、最初に、高過ぎる国保税の問題についてお聞きいたします。現在の国保税は、協会けんぽと比べてどの程度になっているのか。また、高過ぎる国保税の原因も示してください。
〇阿部健康国保課総括課長 まず、モデルケースとしまして、夫婦とも39歳以下、就労者が1人、就学児の子供が2人の4人世帯で、年収400万円の場合、盛岡市の国民健康保険税と協会けんぽの保険料の年額を試算しますと、令和4年度は、国保税が40万円、協会けんぽの保険料が20万2、164円となり、国保税が19万7、836円高くなっております。
 その要因につきましては、国民健康保険は構造的に被保険者の年齢構成が高く、また、医療費水準が高いことに加えまして、年金生活者や無所得世帯の割合が高く、所得水準が低いことが、この差であると考えております。
〇高田一郎委員 中小企業の労働者が加入する協会けんぽと比べて、今も明らかになったように、2倍の開きがあると。同じ所得でありながら、こんなに開きがあるのは本当に大変なことだと思います。本当に耐えがたい高負担を強いられているというのが実態だろうと思います。
 そこで、先ほどお話がありましたが、高過ぎる国保税の構造的な問題という、これを打開するための、県の対応、特に全国知事会などは、この1兆円の国費投入などを、全国知事会を挙げて国に要望し続けていますが、国の動向が今どういう状況になっているのか、この点について示してください。
〇阿部健康国保課総括課長 現在の国保制度におきましては、国におきまして、毎年約3、400億円の財政支援の拡充によりまして、財政基盤の強化が図られ、保険税負担の伸びの抑制は図られてはいるものの、委員御指摘の構造的な課題の解決に対応したものになっているとは言えないと考えております。
 このため、県の単独によります政府予算提言、要望や全国知事会として、国に対しまして、国庫負担率の引き上げなど、さまざまな財政措置の方策を講じ、構造的な課題を解決して、医療保険制度間の公平性を確保するとともに、今後の医療費の増加に耐え得る財政基盤の安定化を図るよう要望してきたところでありまして、今後におきましても、財政措置の拡充について、さまざまな機会を通じて働きかけを行ってまいります。
〇高田一郎委員 国に毎年のように強く要望しているけれども、国保税の構造的な問題を解決するにまだ至っていないということです。引き続き強く求めていくということでありますので、これはぜひしっかりと国に粘り強く働きかけていってほしいと思います。そこで、この国保税の構造的な問題を、なかなか国がそういう姿勢になっていない中で、地方自治体も高過ぎる国保税の解決のために、それなりの努力をすべきだと思います。
 そこで、子供の均等割り問題についてですが、子供の均等割りは、子育て支援に逆行するものであります。子供がいればいるほど国保税が高くなっていくという問題を解決しなければならないと思います。
 宮古市では、ふるさと納税を活用して子供の均等割り減免の取り組みを行っており、予算的には1、200万円、そんなに大きな金額ではないと思いますが、こういった取り組みを全県に広げていくことが求められているのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
〇阿部健康国保課総括課長 子供の均等割りの減免についてでありますが、県内市町村の一部では、高田一郎委員御指摘のとおり、それぞれの政策的な判断のもとに、一般会計からの繰り出しや財政調整基金の活用によりまして、対象を18歳まで拡大し、減免を実施しているものと承知しております。
 子供の均等割り軽減措置につきましては、本来、個々の市町村が財源負担を行いながら導入するものではなくて、自治体の財政力の差によらず、全国どこの地域におきましても、同等な水準で子育て世代の負担解消が行われるべきものと考えております。
 そのため、県としましては、先ほども申し述べましたように、県単独や全国知事会として要望しておりますが、さきの令和5年2月28日に実施しました全国知事会によります、こども政策の充実に向けた緊急提言におきましても、子供に係る均等割りの軽減措置の対象拡大を要望したところでありまして、今後も、この点についても粘り強く働きかけを行ってまいります。
〇高田一郎委員 この間、県内の子供の均等割りを実施している自治体を訪問したときに、子供が多ければ多いほど国保税の負担が大きくなるのは、子育て支援策に逆行する、宮古市だけではなくて、ぜひ全県に広げていただいて、それで国を動かすような対応をしてほしいのだと話があり、私はもっともだと思います。
 この間、大きな運動もあって、就学前の均等割り、2分の1減免は実現できました。これは運動の大きな成果だったと思いますので、国にもしっかり強く求めていくと同時に、財源的にはそんなに驚くような数字ではありませんので、宮古市あるいは陸前高田市の取り組みの実態を全県に情報提供をして、岩手県でも広げるような対応をしていただきたいと思います。
 そこでもう一つ大事なことは、国の構造的な問題解決を期待するのも大事ですが、それはいつになるかわからないので、一般会計からの繰り入れなども同時に取り組んでいく必要があると思います。岩手県の国保運営方針の中にも、この法定外繰り入れ、一般会計繰り入れについては解消に努めるということを述べております。しかし、この根拠は何なのか。国は財政的な支援もまだまだ明らかにしていないという状況の中で、一般会計の繰り入れまでも否定してしまったら、国保税はどんどん上がるばかりです。この解消に努めるという根拠は何なのかをお伺いしたいと思います。
 実は、2015年4月17日の衆議院厚生労働委員会の中で、当時の保険局長は、一般会計からの繰り入れは、それぞれの自治体の判断だというのが政府の基本的な方針です。ですから、その解消に努めるということはどういうことなのか。法的根拠がないのではないかと思いますが、その辺については、答えられるのであれば答えてください。
〇阿部健康国保課総括課長 まず、基本的な考えとしまして、一般会計から赤字補てんとなる法定外繰り入れを行うことにつきましては、国民健康保険に加入してない住民にも負担を求めることになりますので、慎重な判断が必要だということがあります。
 高田一郎委員御指摘のとおり、法定外繰り入れについては一律に禁止されたものではありませんので、県としても、県内市町村に対して一律の禁止はしておりませんが、国民健康保険法上の公的な負担や保険料の収入などによって賄われるべき国民健康保険制度については、健全な財政運営という視点から立ちますと、一般会計から繰り入れることにつきましては、先ほどの慎重な判断ということもありますので、現時点におきましては、健全な財政運営のために、できるだけその繰り入れについては解消するように努めましょうということにしております。
〇高田一郎委員 法定外繰り入れ、一般会計の繰り入れは法的な根拠はないのだということですね。あくまでも法定外繰り入れを一律に禁止ということを求めているわけではないということで理解していいですね。
〇阿部健康国保課総括課長 委員の御指摘のとおり、解消に努めましょうという努力目標を掲げておりますが、一律に禁止はしておりません。
〇高田一郎委員 第2期岩手県国保運営方針は、令和3年から5年ということで、今、全国の都道府県化に伴って、この保険料を統一しようという動きがあります。岩手県の場合は、この国保運営方針ではどのように記述しているかといいますと、統一による影響及び課題などについて、検証、協議を行うとされています。統一しろということではなくて、この運営方針では、検証、協議を行うとなっています。この国保運営方針に対するこれまでの県の対応、検討状況は、どうなっているのか。あわせて、県内の市町村の1人当たりの医療費がどうなっているかについても示してください。
〇阿部健康国保課総括課長 まず、保険税水準の統一につきましては、人口減少によりまして、市町村の国保が小規模化してまいりますので、統一的に納付金や保険税率の不安定化の懸念を払拭するためには、国保財政を安定的に運営していくために、重要であると認識しております。
 一方で、本県では市町村の1人当たり医療費が、最大と最小で1.5倍程度の差があります。保険税水準を統一した場合、過渡的に医療費水準が低い市町村の納付金がふえるなどの課題がありますので、統一の定義や時期につきましては、市町村間で考え方にいまだ隔たりがあるところであります。そのため、県としましては、国保運営協議会や県と市町村などで構成する国保連携会議で協議を進めており、引き続き市町村等と慎重に検討を進めていくこととしております。
 また、1人医療費の差については、先ほど述べたように1.5倍の差があるということであります。
〇高田一郎委員 県内の33市町村では、医療費の格差が1.5倍あるということであります。これは恐らくそれぞれの市町村によって医療資源も違いますし、さまざまな保健活動などにも取り組んで、医療費も差があると思うのです。1.5倍の医療費の格差があるという中で、しかも、国の財政支援が全く方向が見えない中で、協会けんぽと国保との差が、同じ所得でありながら倍になっているという問題を解決しない。
 そして、医療費の格差が1.5倍もあるという中で、さらなる増税になってしまうのではないかという懸念があります。ぜひ、慎重な対応というのではなくて、あくまでも標準保険料は参考値でありますので、統一保険料にならないように、本当に慎重な対応をしていただきたいと思います。
 最後は、加齢性難聴の補聴器への助成についてです。9月定例会で請願が採択されたことに対する対応ということでお聞きしたいと思います。まず、補聴器への助成に対する国の動向です。そして、他の都道府県及び県内市町村の支援状況について、県はどう把握されているのでしょうか。
〇前川長寿社会課総括課長 まず、国の動向についてでありますが、現状におきまして、国による支援制度はございませんが、補聴器の装着の有無と認知症の発症との関係性について、国では研究が進められていると伺っております。
 次に、他の都道府県の支援状況につきましては、補聴器購入助成事業として実施しているものは把握しておりませんが、令和4年度に、兵庫県におきまして、補聴器を使用することで社会参加活動の状況にどのような変化があるか調査を実施しておりまして、この調査に参加いただいた方に補聴器の購入費の補助を行ったとお聞きをしております。また、県内市町村におきましては、補聴器購入費用の助成を行っておりますのは、4市町村となっております。
〇高田一郎委員 全国の実施状況ですが、兵庫県の話をされましたが、東京都も既に実施しております。
 そこで、2017年に開催された国際アルツハイマー病会議では、難聴は認知症の最も大きな危険因子であると指摘をされて、そして、加齢性難聴に伴う社会活動の検証、コミュニケーション能力低下などが指摘されております。これは難聴に対処することで、認知症が積極的に予防できることを意味しているのではないかと思います。国の新オレンジプランの中でも、難聴は認知症の危険因子の一つだとして明記されていますが、こういった問題についての県の認識をお伺いしたいと思います。
〇前川長寿社会課総括課長 ただいま高田一郎委員から御紹介いただきましたとおり、国の認知症施策推進大綱におきましても、難聴は認知症の危険因子の一つに挙げられているところでありますが、補聴器の使用が認知機能の低下や認知症のリスク低減につながるか否かにつきましては、まだエビデンスは不十分であると言われていると聞いております。
 また、加齢による聴力の低下につきましては、高齢者が閉じこもる要因の一つと考えられておりまして、閉じこもりによって社会活動が不活発となり、認知症の発症を初めとした要支援、要介護状態に陥ることが懸念されるところであります。加齢性難聴者に対する適切な配慮や支援が行われることは、介護予防のみならず高齢者の生活の質の向上に資するものと認識をしております。
〇高田一郎委員 今、前川長寿社会課総括課長から答弁がありました。閉じこもり防止は介護予防につながるのだというお話がありました。そこで、加齢性難聴による補聴器購入に対して、県としては、東京都や兵庫県のように支援を行うべきではないかと考えます。請願採択もありましたので、この請願採択を受けて、県としてどのような対応をされるのか、この点について伺います。
〇前川長寿社会課総括課長 請願が採択されたことを受けまして、県では、国に対しまして、研究成果を踏まえた上で、加齢性難聴者の補聴器購入に対する公的支援制度を創設するなど、加齢性難聴者に対する支援を充実するように要望を行っているところであります。
 また、県内で加齢性難聴者の支援に携わっている専門職の方からもお話を伺いまして、加齢性難聴の方への支援におきましては、補聴器の利用のみならず、御家庭や周囲の方々の理解や配慮等による生活環境の改善が重要であるという御意見をいただいているところであります。
 補聴器購入に係る支援につきましては、国においても研究成果を踏まえた議論が行われるものと考えておりまして、県としましては、国の動向を注視するとともに、加齢性難聴に関する理解の促進を図るため、加齢性難聴者に対する接し方やケアの方法等について、研修や普及啓発等を実施し、生活環境の改善につながるように取り組んでいきたいと考えております。
〇高田一郎委員 国の動向を注視していくということですが、東京都や兵庫県のような対応はできないのかなという思いをしております。
 今、日本はOECDの中でも、実は認知症が一番多い国と言われております。認知症の有病率は、65歳以上の高齢者の45%、1、500万人を超えていると言われています。そして、認知症は、今言ったようにトップクラスです。しかし一方では、補聴器の使用率は、日本補聴器協会の調査でも、実際、補聴器が必要な方々に対して、どの程度の補聴器が使用されているかという調査をしたら14.5%ということです。認知症はトップクラスだけれども、補聴器の使用率は世界最低という状況になっています。これは、ほかの欧米諸国は、医療という立場で考えているけれども、日本は障がい者という立場で考えているので、助成をする対象が狭まってしまうという問題があります。いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの中でも、認知症対策について正しい情報を提供するとか、あるいは家庭への支援や、相談活動とかではなくて、認知症を防止するといったところに力を注いでいくべきだと思います。
 先ほど兵庫県のお話がありましたが、兵庫県では今年度から800万円ほどの予算措置をして、実証実験をやっております。そして、この実証実験に基づいて、国に支援を働きかけていくということであります。こういった兵庫県の対応に学んで、岩手県からもそういう取り組みをして、国にしっかりと発信していくような対応をしていってもいいのではないかと思うのですが、この点についていかがでしょうか。
〇前川長寿社会課総括課長 ただいまの御紹介ありました兵庫県の取り組みなど、県レベルではなく、市町村レベルでもさまざまな取り組みが進んでいるとお聞きをしております。アプリを使った聴力のチェックから医療につなげるなどの取り組みを行っているところもあると聞いております。加齢性難聴は年齢とともに聴力が低下する感覚障害ということで、有病率が加齢とともに高くなる、代表的な老人病の一つだと考えられておりますので、認知症との関係も含めて、国の研究成果や、他県の実施している事業なども参考にしながら研究していきたいと考えております。
〇小林正信委員 被災者の心のケアについて、県としても、被災地こころのケア対策事業、また被災児童対策事業等では令和5年度も実施する予定であります。これまでの心のケアの取り組み状況についてお伺いします。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 被災者の心のケアの取り組みについてでありますが、県では岩手県こころのケアセンターを中心に、沿岸4カ所の地域こころのケアセンター、沿岸7市町村の震災こころの相談室を拠点といたしまして、精神科医等専門職による相談支援を行っております。
 昨年度、令和3年度の相談件数は7、274件で、睡眠障害や気分障害など、ストレス関連の相談が多くなっている状況であります。
〇小林正信委員 先日、被災地のある若い世代の方のお話を伺ったのですが、思春期に被災して家族を亡くされた方、その後、何とか学業を頑張って大学を卒業したけれども、引きこもり状態になってしまったということです。一概に東日本大震災津波の影響だけとは言えないかもしれませんが、山田町で東日本大震災津波の子供の支援をされた東洋大学の森田明美教授は、支援が必要だったにもかかわらず、支援が届かなかった子供の中には、みんな苦しいのだから自分は苦しいなんて言えないという思いをため込んでしまい、若者になった今、それが表面化しているとの調査報告があると述べられております。具体的には、就職や結婚、出産などの人生の歩みを進めていくうちに心が不安定になり、子育てに困難を抱えている事例が報告されているということです。震災当時、特に心のケアを受けられなかった子供、若者に対し、継続的な支援が必要と考えます。
 森田明美教授は、オンラインなどを活用した交流できる仕掛け、また、悩み事を直接受けとめてくれる常設の公的機関の必要性を訴えております。県としても、支援を受けていない子供、若者を探し出すような、何かそういった取り組みも必要なのではないかと考えます。さらに心のケアを充実させていくべきと考えますが、今後の支援についてのお考えをお伺いします。
〇高橋子ども子育て支援室長 初めに、子供の心に対する支援について、御答弁させていただきます。沿岸3地区で巡回相談を実施しております、いわてこどもケアセンターにおける令和4年12月末現在の延べ相談件数は1、313件で、前年度同月比で145件、9.9%の減少となっておりますが、依然として行動や発達障害などの環境的な不適応を内容とした相談が多い状況にあります。
 また、小林正信委員から御紹介ありましたとおり、東日本大震災津波時に心の傷を負いながら言葉にできないで潜在化していたものが成長に伴い顕在化し、思春期の不安定な状態と相まって、あるいはさまざまなライフイベントと相まって、心身の不調や行動面の課題となってあらわれる事例も報告されているところであります。
 このため、県といたしましては、引き続き、学校や市町村などの地域の関係機関との緊密な連携のもと、いわてこどもケアセンターによる相談支援等により、子供に寄り添ったきめ細かな心のケアに取り組んでまいります。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 若者部分について答弁させていただきます。
 岩手県こころのケアセンターにおける令和4年12月末現在の延べ相談件数が6、201件ございましたが、このうち若者に関する相談につきましては、15歳以下が約2%、16歳から29歳が4.9%となっておりまして、若者層につきましても、一定数の相談があるところであります。若年層の相談のうち、未成年につきましては、家族から間接的に、養育や学校の問題に関するものが多く、就労年代におきましては、職場や人間関係、健康に関するものが多くなってきている状況にあります。
 こころのケアセンターでは、市町村が行う乳児健診等での支援や学校の要請によるスーパーバイズ等も行っておりまして、状況に応じてこどもケアセンターと連携して支援している事例もあると聞いております。
 こうした多様な機関と連携をしながら、若者を含めた被災者の心のケアに引き続き取り組んでいく考えであります。
〇小林正信委員 特に若者とか、あとはお母さん世代といいますか、そういった出産とか子育てにも影響があるということで、そのあたりの世代も少し目を配っていただいて取り組みを充実させていただきたいというところがあります。
 次に、自殺対策についてお伺いします。
 自殺対策緊急強化事業の取り組み内容について、まずお伺いします。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 自殺対策緊急強化事業についてでありますが、本事業は、自殺対策を推進するため、県、市町村、民間団体が実施する事業費として、令和5年度当初予算案に1億880万円余を計上しております。
 内訳といたしましては、市町村や民間団体が実施する対面相談、電話相談、ゲートキーパー養成、普及啓発、ハイリスク者への家庭訪問活動等に要する経費に8、783万円余。精神保健福祉センター、各保健所による市町村への技術支援、事業所及び学校訪問、自死遺族への支援等に関する経費のほか、当課がSNSなどを活用して実施する普及啓発活動、人材養成などに要する経費に2、096万円余を計上しているものであります。
〇小林正信委員 今、SNSもございましたが、以前、私も取り上げさせていただきましたが、自殺相談について、より相談しやすい環境をつくるために、SNSを活用した相談も大事なのではないかということで、特に若い世代にとってはスマートフォンとかSNSを使っての相談は、電話相談よりも身近であり、かつて、私の質問に対して、知事から国のSNS相談体制と連携して取り組みを進めるという答弁がありました。SNSを活用した自殺相談の実施状況についてお伺いしたいと思います。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 SNS等を活用した自殺対策でありますが、SNSによる相談体制は、対面相談や電話相談等をちゅうちょする相談者の方にとって利用しやすいツールの一つと認識しております。
 国では、令和3年度から委託事業としてSNS相談機関と地方公共団体が連携し、相談者に対してつなぎ支援を行う事業を推進しております。本県では、この事業を活用しまして、昨年度、全国で初めてこの団体と連携協定を結び、岩手県民を対象としたSNS相談窓口を設けたところであります。
 この連携によりまして、本県在住者から、本年1月末までの速報値になりますが、SNS相談が223件あり、このほか、電話相談につきましても31件の相談があったと伺っております。
〇小林正信委員 実施されているということですが、周知をもう少しできる余地があるという気もします。若い世代は特に子供、若者というところが活用されると思うので、そのあたりへの周知を県教育委員会等も連携しながらやっていただくというのが必要なのかということで、昨年の全国の小中高生の自殺者が暫定値で252人と、過去最多となりました。コロナ禍で心の不調を抱える子供たちがふえており、岩手県でも対策は急務と考えます。
 長野県では、3年前から子どもの自殺危機対応チーム立ち上げて成果を上げています。医師や公認心理士などからなる専門家チームが自殺のリスクが高い子供に向き合う教員などを支える仕組みで、自殺のほのめかし、自傷行為などのある子供への対応に苦慮する学校からの要請に対して、チーム会議で支援の方向性を検討して、中には医療機関への入院につなげたケースもあるとのことです。
 岩手県としてもさまざまな専門機関、教育委員会等と連携して、子供の自殺予防の取り組みを充実させる枠組みをつくれればいいのではないかと考えますが、子供の自殺予防についての県のお考えをお伺いします。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 子供、若者の自殺対策の取り組みについてでありますが、警察庁自殺統計の令和4年の速報値が公表となりましたが、まだ年齢別の統計が公表されておりませんで、児童、生徒の死亡数は把握できていない状況でありますが、年代別の統計によりますと、本県の19歳未満の若年層は増加傾向にはないものの、子供、若者が抱える悩みは、引きこもりやいじめ、不登校など、複雑化、多様化しており、今後も注視していく必要があると認識しております。
 本県では、岩手県自殺対策アクションプランの重点政策の一つに、子供、若者の自殺対策を掲げまして、こころの健康相談やいじめ防止対策などに取り組んでいるところでありまして、悩みを抱えた子供や若者が早期発見できるよう、また、適切な相談窓口につながることができるよう、先ほど御答弁申し上げましたSNSなども活用した相談、それから、相談先の情報発信などについて、関係機関と連携をさらに強化していきたいと考えております。
〇小林正信委員 ぜひお願いします。
 次に、総括質疑でも取り上げさせていただいたのですが、遠隔手話通訳について、副知事から答弁いただきました。昨年度、運用テストを行ったと伺いましたけれども、このテストの状況を少し詳しくお伺いできればと思います。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 遠隔手話通訳の運用テストの状況についてでありますが、県では、遠隔手話通訳の導入に当たりまして、使用するテレビ通話アプリの選定やサービスの利用手順等につきまして、県視聴覚障がい者情報センターを中心に検討を進めてきたところであります。
 昨年度は、同センターのパソコン端末とタブレット端末をテレビ通話アプリで接続をいたしまして、実際に手話通訳を行う運用テストを実施したところであります。テストの結果、端末の画面を通じて、おおむね良好に手話を行うことができ、対面による通話と同等まではいかないまでとしても、緊急時の代替手段として十分に意思疎通が可能であったと聞いております。
〇小林正信委員 そういった運用テストを今後も県視聴覚障がい者情報センターとも協力をしてやっていくということですが、今後、具体的にどれくらいの頻度で、このテストや意見交換を行う予定があるのかお伺いします。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 今後の予定についてでありますが、遠隔手話通訳の導入に当たりましては、サービスを利用する当事者の意見や手話通訳者の派遣を行う市町村との役割分担が課題となっているところであります。今後、来年度早々には、当事者団体に対するサービス内容の説明や意見聴取、必要な運用テストを順次展開いたしまして、サービス提供に係る市町村との調整などを行いながら、早期体制構築に向けて取り組んでいく考えであります。
〇小林正信委員 県としても、LINEとかズームとか、通話アプリを活用するお考えのようですが、遠隔手話通訳を活用するに当たって、個人情報とかセキュリティの部分が課題としてあります。その課題について、詳細を教えてください。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 通話アプリのセキュリティの課題についてでありますが、通話アプリにつきましては、LINEまたはズームなどの仕様を検討しているところでありますが、遠隔手話通訳機関に第三者がなりすますことを防ぐ必要があること。いずれのアプリを使用した場合であっても、無料公衆無線LAN環境下では、利用する場合につきまして、情報漏えいに留意する必要があること。また、仮にLINEを使用した場合は、双方の端末にアカウントが残るということもありますので、個人情報を含むアカウントの管理方法をあらかじめ定める必要があることなどが挙げられると考えております。
〇小林正信委員 私も、先日、遠隔手話通訳で聴覚障がいがある方とお話をさせていただいたのですが、これは民間の提供している通訳システムでかなりスムーズに通訳ができた上に、セキュリティの課題も解決しているということでした。このセキュリティの課題で前になかなか進まないようであれば、この無料のアプリにこだわらずに、例えば少し予算はかかるかもしれませんが、既に民間で整備されている、この専用の遠隔手話通訳システムを活用するという選択肢もあるとも考えております。
 ともあれ、災害がいつ起こるかわからないという状況で、聴覚障がいがある方のことを考えると、一刻も早い導入が必要と考えますが、来年度中に必ず導入するという、そうした決意といいますか、そういったところをお伺いできればと思います。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 遠隔手話通訳につきましては、災害時や新型コロナウイルス感染症流行時など、聴覚障がい者が手話通訳者と接触できない場合、市町村による派遣を補完するものとして、先ほども御答弁したとおり、重要と認識しております。
 導入に当たっての課題は種々あるところでありますが、市町村、関係機関と連携しながら、早期の導入に向けて取り組みを進めてまいります。
〇小林正信委員 ぜひよろしくお願いします。
 医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律に基づき、岩手県においても医療的ケア児支援センターが設置されました。これまでの医療的ケア児支援センターの取り組み状況についてお伺いします。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 医療的ケア児支援センターの取り組み状況でありますが、令和4年9月に開設して以降、医療、保健、福祉、教育などの関係機関にチラシを配布するなど、周知を行った結果、令和5年1月末までに、相談支援事業所からの福祉サービス提供計画の作成方法や、保育所、学校での受け入れ準備、各市町村での支援体制整備など、102件の相談に対応したほか、地域支援として、医療的ケア児支援会議への参画や教育、保育施設、医療機関などへの訪問、研修の講師など35件を実施したところであります。今後におきましても、医療的ケア児が地域で安心して生活できるよう、関係機関と連携して支援に努めていく考えであります。
〇小林正信委員 愛知県では、中核的機能を持つ基幹センター1カ所と、各地に担当者を配置する地域支援センター7カ所にこの支援センターを設置しているということです。全県をカバーしているということで、この広い岩手県でも、さらなる体制整備も必要なのかと思います。また、宮城県の支援センターでは、医療的ケア児コーディネーターが、病院や自宅を訪問して相談をするという、動く相談施設として活動を充実させているということです。
 通告してなかったのですが、医療的ケア児支援センターの今後の充実について、何かお考えがあればお伺いしたいと思います。
〇日向障がい保健福祉課総括課長 医療的ケア児支援センターにつきましては、先ほど御答弁申し上げたとおり、相談対応や地域支援に取り組んでいるところであります。
 来年度につきましては、これまでの取り組みに加えまして、新たに地域コーディネーターの情報共有のためのネットワークの設置運営、地域コーディネーターのスキルアップのための研修会の開催、医療的ケア児の保護者に対する、SNSを活用した情報発信などに取り組んでいく考えでありまして、こうした取り組みにより、支援の充実を図っていきたいと考えております。
〇小林正信委員 岩手県の社会的療育推進計画では、施設において、継続的な服薬管理や健康管理が必要な児童の医療機関への受診の付き添いや、医療的ケアが必要な児童に対する支援及び緊急時における対応等を行う医療機関等連絡調整員を配置できるよう、財政支援を検討するとあります。
 ある児童養護施設では、医療的ケア児の付き添い、あるいは各機関とのコーディネートを行う看護師の配置に苦慮して、医療的ケア児の付き添いを生活指導の方がやっているとか、そういう状況があったと伺いました。国においても、活用できる事業も準備されていると承知しておりますが、県としても、この児童福祉施設等への財政支援の検討状況についてお伺いしたいと思います。
〇高橋子ども子育て支援室長 児童福祉施設等への看護師等の複数配置についてであります。国におきましては、児童虐待、DV対策等総合支援事業費国庫補助金のメニュー事業の一つとして、平成30年度に乳児院等多機能化推進事業を創設したところです。
 本事業のうち、医療機関等連携強化事業は、医療機関との連絡調整を担う職員を配置することによりまして、継続的な服薬管理や健康管理が必要な児童の円滑な受け入れを促進しようとする事業であり、医療的ケアが必要な児童等に対する支援等を行う場合は、保健師、看護師等を加配することが可能となっております。これまでに、県内の児童福祉施設におきまして、本事業の活用の事例はないところではありますが、各施設のニーズを丁寧にお伺いしながら、本事業の活用も含めて検討を進めていきたいと思います。
〇小林正信委員 ぜひ、現場の状況を確認していただきながら進めていただきたい。
 先ほどハクセル美穂子委員もおっしゃっていたのですが、いわてで生み育てる県民運動推進費について減額になっておりますが、この理由をお伺いします。
〇畠山保健福祉企画室企画課長 いわてで生み育てる県民運動推進費の減額の理由であります。今年度は、メディアタイプアップ広報事業のほか、県民運動の開始に当たりまして、来年度以降も活用するキャッチフレーズとライフプランコンテンツ動画の制作を行ったところでありまして、これらに必要な経費を計上したところであります。
 令和5年度は、これらのキャッチフレーズ等の事業は令和4年度に完了していますので、そういったものを活用しながら、運動を盛り上げていくということで、メディアタイアップ事業を予算に計上したため、予算額的には減額となっております。
〇小林正信委員 いわてで生み育てる支援本部のこれまでの取り組みについて、大体2カ月に一遍くらいのペースでやっていらっしゃると思うのですが、この内容、あるいは政策にそれがどう反映したのかという点についてお伺いしたいと思います。
〇畠山保健福祉企画室企画課長 いわてで生み育てる本部につきましては、安心して子供を生み育てる環境の充実に向けた施策を進めるに当たり、取り組みの方向を決定しながら、全庁的な情報共有や部局連携の取り組みを推進しているところであります。
 今年度は2回開催いたしまして、9月の第1回会議においては、主に令和4年度事業の進捗の確認と年度後半の取り組みの方向性等について意見交換を行っております。また、2月の第2回会議では、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおきまして、人口減少対策に最優先に取り組むこととしたことから、先般から御案内しております、経済的支援の充実と今年度の取り組みの方向性と各部局の取り組みについて決定したところであります。
 来年度におきましても、引き続き事業の進捗をしっかり確認していきながら、結婚、妊娠・出産、子育て支援の施策を総合的、効果的に推進するため、本部において各部局の連携を図りながら、県民運動とともに各種取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 経済的支援の部分は充実されたと思うのですが、生きづらさを生きにくさに変えるというあたり、各部局連携のもとでやっていらっしゃるので、そこにしっかり焦点をもっと当てていただきたいと思います。この支援本部は大事な取り組みだと思います。この2回は少ないのではないかと思います。もっとしっかり連携を密にしていただいて、どういう政策がもっと必要なのかというのを真剣に議論していただいて、さらに取り組みを進めていただきたいということを要望して終わりたいと思います。
〇上原康樹委員 超高齢社会であります。脳梗塞などの脳疾患で倒れる人がふえていると聞きますが、岩手県において、その現状はどうなっているでしょうか。
〇山崎地域医療推進課長 県の脳疾患の状況でありますが、いわてリハビリテーションセンターの利用状況で答弁させていただきますと、県内のリハビリテーション医療の中核施設としまして、各地域の急性期を担う基幹病院からの疾患も含めまして、患者を受け入れしております。
 令和3年度につきましては、延べ患者数が入院で3万1、259名、外来で3、549名となっております。現在の指定管理期間が開始した平成30年度と比較しても、やや増加傾向となっているところであります。
〇上原康樹委員 リハビリテーションセンターという存在は、リハビリを専門とする医療機関ですが、こういう医療施設を支えているのは、理学療法士、作業療法士という人たちです。体の基本的な機能を回復させる理学療法士、日常的な動作を回復させる作業療法士であります。この両者が力を合わせることによって、総合的に患者をサポートし、そして、社会復帰を果たさせようという仕組みであります。岩手県におけるこの理学療法士、作業療法士の現状はどうなっていますでしょうか。
〇中田医務課長 本県におきます、理学療法士、作業療法士の現状でありますが、直近で把握しております令和2年度の状況でありますが、リハビリテーションに携わる理学療法士は1、028人、作業療法士は685人であり、平成26年度の調査と比較しまして、理学療法士は223人増、作業療法士は93人増となっており、いずれの職種も増加をしているところであります。
 また、診療報酬上の回復期リハビリテーション病床も、令和3年4月時点で753床であり、平成27年3月の調査と比較しまして、68床増加しているところであります。
〇上原康樹委員 理学療法士、作業療法士、どちらもふえているという現状であります。この道にかけてみようという若い人はふえているようです。国家試験の受験者の状況、それから、地元定着の状況、それに対する県の支援はどうなっていますでしょうか。
〇中田医務課長 理学療法士等に係る国家試験の受験状況と地元定着の状況等であります。本県における理学療法士及び作業療法士を養成する施設は2カ所ございまして、令和3年度、国家試験の合格率は、理学療法士が90.3%、作業療法士が86.4%となっております。
 令和3年度の各養成施設卒業生の県内就業の状況でありますが、理学療法士が36人、作業療法士が14人であり、県内就職率は70%程度となっております。
 なお、最も多い就業場所は、リハビリ関係の病院、次いで整形外科などの病院、介護保険施設等となっております。
 県による支援でありますが、昭和55年度から平成19年まで、理学療法士、作業療法士修学資金貸付制度を実施してきたところでありますが、供給が需要を上回りましたことから、平成17年度から新規貸し付けを終了したところであります。県といたしましては、在宅医療を推進するため、理学療法士、作業療法士を含めた医療、介護人材の確保は重要な課題と認識をしております。引き続き、各種医療人材の配置状況も踏まえながら、必要に応じて支援を検討してまいりたいと思います。
〇上原康樹委員 県内にはさまざまなリハビリテーションの医療機関がありますが、私は、それぞれのセンターや病院でリハビリの内容が随分異なるということが、調べてわかりました。盛岡友愛病院が有名なところですが、こちらでは、あたかもトップアスリートを養成するようなトレーニング器具を壮大なトレーニング室に置きまして、ひたすらにウエイトトレーニングに励んでいる姿がございます。一方、岩手リハビリテーションセンターでは、そうしたウエイトトレーニングはまずありません。こちらでは、本当に静かな中、作業療法士や理学療法士の方が指先に神経を込めて、患者の体にゆっくりと触れて、動かなかった手足を回復させていくという風景であります。
 こうした治療の方法がそれぞれの施設、病院によって全く異なる。こういうことを事前に患者の方は知らされておりません。こうした、何か統一的なアプローチ、治療方法はないのでしょうか。実際どうなっているのでしょうか。
〇中田医務課長 あくまで保険診療といいますか、医療の現状で申し上げますと、急性期リハビリテーションと回復期リハビリテーションの機能に応じて、それぞれ治療法が異なってくると思います。
〇上原康樹委員 各病院の連携状況はどうなのでしょうか。それぞれ孤立してやっているのでしょうか。連携はあるのでしょうか。
〇山崎地域医療推進課長 各病院、施設の連携の状況でありますが、本県においては、まず、いわてリハビリセンターを中核施設として、各病院、施設が連携して、全体のリハビリテーション体制を構築しておりますが、いわてリハビリテーションセンターにつきましては、まず入院患者を医療機関からの紹介を受けて対応しているということでありまして、まずもってその紹介元の医療機関との連携が重要であることから、いわてリハビリテーションセンターの職員が医療機関を訪問して、いわてリハビリテーションセンターの診療方針や実績を説明するなど、連携の強化に取り組んでいるところであります。
 また、県の全体のリハビリテーションの質の向上を図るため、いわてリハビリテーションセンターでは、中核施設として、地域のリハビリテーション関係者に対する研修会を開催するなど、連携した人材育成にも取り組んでいるところであります。
〇上原康樹委員 岩手医科大学のかかわりはあるようですが、どう把握されていますか。
〇山崎地域医療推進課長 岩手医科大学と、医師の関係等でも連携してリハビリテーションセンターでも対応していると認識しております。
〇上原康樹委員 岩手医科大学の先生は日本でもトップクラスの最先端の理論を持った先生でいらっしゃいまして、それぞれの病院を回って、直接指導をしているということですが、そういうところもしっかりと把握していただきたいと思います。
 こうしたさまざまな施設の中でも、いわてリハビリテーションセンターの設備あるいは器具の充実、運営の課題などもありましたらお願いします。
〇山崎地域医療推進課長 いわてリハビリテーションセンターの設備等の課題でありますが、御案内のとおり、いわてリハビリテーションセンターは、平成5年の開設で、開設から約30年近く経過しておりまして、施設の老朽化が進んでいる状況がございます。今年度から令和7年度まで、4年間で大規模改修を実施する計画としておりますほか、器具につきましても、計画的な更新を進めていきたいと考えております。
〇上原康樹委員 いわてリハビリテーションセンターでは、雨漏りしておりますので、早急な改修をお願いしたいと思います。
 いずれにしましても、一般の人は、リハビリテーションというのは聞きなれないことです。そういう病気にかかって、倒れてみて初めてリハビリテーションって、こういうものなのかということがわかるわけです。動かない手足が動くようになる、寝たままの人が立ち上がれるようになる、1人で出かけられる、風呂に入れる、日常生活のみならず、仕事にも復帰が果たせる、これがリハビリテーションでありまして、そのリハビリテーション医療の最前線に立つのが、職人集団の療法士の皆さんです。
 こういう皆さんの仕事を社会的にも認知していただく、周知するということも大切だと思うのです。これはなぜかというと、万が一倒れたときに、こういう医療が我々を支えてくれるのだというのは希望になると思うのです。回復できるという希望を持ってもらう。これも医療の大きな働きだと思いますので、こうしたことを意識して、これからもリハビリテーションに県の力を込めていただきたいと思います。
 終わります。
〇千葉盛副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉盛副委員長 質疑がないようでありますので、これで保健福祉部関係の質疑を終わります。保健福祉部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 これより、医療局の審査に入るのでありますが、この際、医療局長から、県立江刺病院での火災発生について発言を求められておりますので、これを許します。
〇小原医療局長 予算案の審査に先立ちまして、本日発生いたしました県立江刺病院の火災について御報告申し上げます。
 本日午前9時ごろ、県立江刺病院2階空調機械室で火災が発生し、入院患者を含む在院者を避難誘導の上、病院と江刺消防署による消火活動を行いまして、12時12分、鎮火を確認いたしました。現在、原因を調査しております。現時点で負傷者等はございません。
 入院患者59名は、隣接する奥州市江刺総合支所に誘導し、胆沢病院のDMATの支援のもと、必要な方は、他の県立病院等に搬送するとともに、その他の方々は病棟にお戻りいただいたところです。また、外来は、本日休診とし、透析等の緊急性の高い患者には、他の病院での受け入れ等について調整を行ったところです。
 引き続き、患者の安全確保に努めますとともに、原因の究明を行いまして、早期の診療再開に向け取り組んでまいります。
 私からの報告は以上であります。
〇千葉盛副委員長 次に、医療局長に医療局関係の説明を求めます。
〇小原医療局長 令和5年度岩手県立病院等事業会計予算につきまして御説明申し上げます。
 初めに事業運営に当たっての基本的な考え方について御説明いたします。
 県立病院を取り巻く環境でありますが、医療提供体制の中核であります医師につきましては、奨学金養成医師の配置などにより、絶対数は増加しているものの、地域偏在、診療科偏在が依然解消されていない状況であり、診療体制は当面厳しい状況が続くと見込まれます。
 また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による入院患者数の減少や、燃料価格の高騰などにより、厳しい経営環境に置かれているところです。
 一方、診療報酬の上位の施設基準取得などにより、患者1人1日当たりの収益が増加傾向にあるなど、経費の節減の取り組みとあわせ、安定した経営基盤の確立に向け重点的に取り組んでおり、収支の改善が図られてきているところです。
 こうした状況のもと、令和5年度の事業運営に当たりましては、岩手県立病院等の経営計画を着実に推進することにより、県立病院が県民に信頼され、今後とも良質な医療を持続的に提供できるよう、全職員が一丸となってさまざまな取り組みを進めることとしております。
 具体的な計画の推進に当たっては、医師の確保、定着に向けた取り組みとして、働き方改革の推進、関係大学への派遣要請や即戦力医師の招聘活動、臨床研修医の積極的な受け入れ、県奨学金養成医師の効果的な配置に継続して取り組んでまいります。
 また、医療の質や患者サービスの向上を図るため、研修の充実等により、職員の資質向上を図るとともに、ワークライフバランスの充実やハラスメント防止対策など、働きやすい職場環境の整備を行ってまいります。
 こうした取り組みを進めながら、新型コロナウイルス感染症への対応を適切に行った上で、通常診療との両立に取り組むことにより、県民に良質な医療を持続的に提供できるよう努めてまいります。
 それでは、議案の説明に入らせていただきます。
 議案その2の52ページをお開き願います。まず、第3条の収益的収入及び支出について、収入ですが、第1款病院事業収益は1、187億3、300万円余を見込んでいるものであります。
 次に支出ですが、第1款病院事業費用は1、189億4、000万円余を見込んでいるものであります。この結果、差し引きでは2億700万円の純損失を見込むものであります。
 次に、第4条資本的収入及び支出について、まず支出ですが、第1款資本的支出は211億7、200万円余を見込んでいるものであり、また、この財源として、第1款資本的収入は140億700万円余を見込んでいるものであります。
 なお、予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので御了承願います。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇千葉盛副委員長 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。
〇岩渕誠委員 まず質問に先立ちまして、新型コロナウイルス感染症対策を初め、本当に現場で、大変御努力をいただいておりますことに心から感謝と敬意を申し上げたいと思います。
 また、県立江刺病院の火災についても、けが人がないということでありますが、再開に向けて最大限の御努力をいただきますようお願いを申し上げたいと思います。
 それでは質問に入ります。大変厳しい環境ではありますが、新年度の医師の配置状況について、常勤、それから臨床研修医がどのような状況になっているのか、まずお示しいただきたいと思います。
〇尾形健也医師支援推進監 令和5年4月の医師の配置状況についてでありますが、常勤医師につきましては、前年同月比で18名増の670名の配置見込みでありまして、加えて、臨床研修医につきましては、1年次、2年次の臨床研修医合わせて同5名減の99名の配置を予定しているところであります。
 また、奨学金養成医師につきましては、令和4年度は、県全体で122名の奨学金養成医師が配置され、このうち107名が県立病院に配置されたところであります。本年2月8日時点で、来年度につきましては、県全体で過去最高となります145名の奨学金養成医師が配置される予定でありますが、そのうち県立病院には127名が配置される見込みとなっており、今後、さらに配置が進むものと見込んでおります。
 今後におきましても、奨学金による医師養成や即戦力医師の招聘等によりまして、医師の確保と養成医師の適切な配置などを進め、地域医療の確保に取り組んでいきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 非常に劇的な改善というものはなかなか厳しいわけでありますが、着実に進んでいるのだと理解します。
 そうした中で、本県の医療の人材確保の中では、臨床研修医の定着は一つの課題だと思います。令和5年度の定着の見込みについてお示しいただきたいと思います。
〇尾形健也医師支援推進監 令和5年度における臨床研修医師の配置見込みについては、先ほど申し上げたところでありますが、その確保におきましては、さまざまな要因が複合的に影響して、なかなか確保が進まないところであります。その一因としましては、臨床研修医師の専門研修を見据えて、専門研修の指導体制、それからカリキュラムが充実しております都市部への病院や大規模病院を志向しているというところがあると考えております。
 状況としましては、各研修病院における研修プログラムの充実を図るとともに、研修医のマッチングの応募につなげるために、県内の臨床研修病院が参加する合同説明会などを通じまして、各病院の特徴などを医学生に説明していくほか、実習の受け入れなどを拡大していきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 これは、先ほど保健福祉部の審議の中でも指摘をしたわけでありますが、国の配分に対して岩手県の場合は臨床研修医の方が若干少ない。これは理由としては、指導医の不足と、それから、専攻医の問題があると思います。シーリングの関係もあって、これは県だけの努力ではなかなか難しいというところがあります。保健福祉部を中心に、これは医療局も御意見をまとめて国にお話をされていると思いますが、平成19年当時の医師不足の状況から見ると、国自体の緊張感が少し薄れてきたのではないかと思っております。
 そういう意味では、まだまだ問題があるのだということを、医療の現場を預かる医療局として、個別具体的にお話をさしあげていただきたいと思っています。
 臨床研修医に関して、もう一つ聞きます。臨床研修の修了後に定着するかどうかというのは、これはもう一つの断面だと思います。どのような状況になりますでしょうか。
〇尾形健也医師支援推進監 臨床研修医の定着率についてでありますが、今年度臨床研修修了予定者は57名でありまして、そのうち来年度専門研修のために県立病院に勤務する医師は32名、定着率としますと56.1%を見込んでおります。
 県立病院以外も含めた県内の定着者数としましては、49名という数字になります。定着率として86%と、高い定着率となっていると考えております。
 今後、引き続き県内に定着していただけるように、県立病院の専門研修施設の拡大を順次行いまして、受け入れ体制の整備、充実に取り組んでいきたいと考えていますし、各大学等の調整も行いながら、県内定着を進めるよう、医師確保に取り組んでまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 義務履行のローテーションもありますから、県立病院だけではなくて、県内の公立病院に合わせて86%ということでありますから、これはなかなかいいぐらいの数字と私も理解いたしております。
 そういう中で、ある程度の医療資源を確保した中で、問題は、患者の立場に立てば、県立病院で新年度からどういう標榜科目の中で、どういう先生が来るのか。本当に15年ぐらい前は、ことしも休診の科目があります、また常勤医が減りますという状況だったわけでありますが、これは大分改善をされてきたと思っておりますが、令和5年4月1日からの新たな常勤医の配置、あるいは標榜科目の状況はどうなっていますか。
〇尾形健也医師支援推進監 新年度の診療体制の状況についてでありますが、ことし1月1日現在で標榜診療科数は305となっておりまして、常勤医師が配置されている診療科は193。非常勤医師による診療科が76科となっている状況であります。
 来年度の診療体制は、まだ未定のところがありますが、3病院の3診療科におきまして、新たに常勤が配置され、また休診となる診療科はない見込みであります。新たな診療科につきましては、県立宮古病院の麻酔科、県立山田病院の外科、県立久慈病院の総合診療科という状況になっております。
〇岩渕誠委員 いずれも沿岸地域の病院に常勤医を配置するということですが、この中で非常に大きいのは、県立宮古病院の麻酔科だと思います。麻酔科を常勤医にするということは、手術が恒常的に行われるということであります。これまでは県立中央病院から派遣という格好でありましたから、これは、緊急手術にはなかなか対応できないという状況だったと思いますが、これは改善されるものと考えてよろしいですか。
〇尾形健也医師支援推進監 麻酔科の常勤医が配置できるということで、岩渕誠委員お見込みのとおり、やはり体制が充実されると考えています。現在でも県立中央病院からの診療応援、また、県立釜石病院からの診療応援によりまして、体制を構築しているところでありますので、そこに新たに常勤医の配置ということは、やはり充実した手術体制、麻酔科の体制が図られるものと考えております。
〇岩渕誠委員 かなり大きな前進だと受けとめます。
 次に、県立病院を取り巻く諸問題の中で、避けて通れないのが2024年の働き方改革の実施であります。それに新年度は本当に直近に対応するという年度になると思っておりますが、まず、県立病院への応援医師の状況、それから、常勤医と応援医師の割合、この割合によって、働き方改革は大きく左右されてくるものだと思いますが、現状、それから、これまでの改善点をお示しください。
〇尾形憲一医師支援推進監 県立病院への常勤、非常勤医師の診療応援の状況についてでありますが、令和4年10月現在における大学病院や地元開業医等からの診療応援は、県立病院全体で1カ月に約2、310回であり、その約8割が岩手医科大学や東北大学等の関係大学から派遣されているところです。診療応援における主な診療内容は、外来支援、手術等における診療応援が約9割を占め、残り1割が宿日直の応援となっているところです。
 また、常勤医と診療応援医師の職員構成については、常勤医師640名に対して、診療応援医師を常勤換算した場合、132名相当の派遣を受けておりまして、常勤医師と診療応援医師の割合は約8対2となっておりますが、昨年度と比べまして、この割合は同じぐらいでありますが、常勤医師の割合が若干ふえてきているという状況であります。
〇岩渕誠委員 わかりました。これは派遣状況に関しては昨年度とほぼ変わらない。それから、常勤医師と応援医師の関係では、これは常勤医師がふえているということは、私は、かなり努力をいただいたものだと思います。総体としては働き方改革に対しての環境は少しずつ改善できると思います。
 ただ一方で、個別に見るとどうなのだという話であります。時間外労働時間がいわゆるA水準、現状で超えている医師の数がどうなっているのか。それから、この解消はどうなっているのか。そして、最終的にどの病院がどの水準で指定申請を行っていくのか、この見通しをお示しください。
〇尾形憲一医師支援推進監 県立病院における時間外労働時間の医師数や、来年度における水準の見通しについてでありますが、令和6年4月以降、時間外労働時間が年960時間を超える医師が勤務する医療機関におきましては、特例水準、いわゆるB水準などが適用される特定労務管理対象機関として、都道府県知事の指定を受ける必要があるところです。
 令和3年度の実績におきまして、年960時間を超える医師が勤務する県立病院は、9病院で81名でありましたが、現在、各県立病院においては、国が示した医師労働時間短縮計画作成ガイドラインに基づきまして、医師の労働時間短縮に係る計画表を作成し、医師の労働時間の短縮に向けて取り組みを行っているところです。具体的にどの病院が指定申請を行うかということにつきましては、令和4年度─今年度の時間外労働時間の実績を踏まえまして決定していくこととしております。
〇岩渕誠委員 今、数字が出たのは令和3年度の実績であります。81人という数字がありましたが、半数は県立中央病院ということです。次いで多いのは、県立磐井病院の13人ということで、基本的に基幹病院の部分ということになっているわけでありますが、多分、県立磐井病院などは、産婦人科、出産数が多いですから、これは診療科によっても、影響していると思うのですが、途中の傾向で構わないのですが、令和3年の実績から見ると、令和4年は全体的に改善が進んでいるのでしょうか。
〇尾形憲一医師支援推進監 令和3年度の実績については、先ほど申し上げたとおりですが、令和4年度─今年度の実績見通しについてでありますが、各病院において労働時間短縮計画書をつくって、医師の勤務時間の短縮の取り組みを進めているところでありまして、今年度の実績については、現在取りまとめ中、3月の実態をまとめてから、改めて取りまとめすることとしておりますが、現在の見通しとして、病院数、医師数も昨年度に比べて大幅に減少する見通しとなっております。
〇岩渕誠委員 わかりました。順調に備えはできていると思います。ただ、コントロールできるのは、県立病院の常勤医師であって、大学から派遣されているところは、残業時間のカウントはそれぞれの先生方の管理ですから、ここはブラックボックスとなっています。はっきり言うと、大学病院でどういう勤務になっているかというのは非常にわかりづらくて、恐らく、これを公開してくれと言っても、なかなか厳しいと思います。そうすると、やはり年度の途中で突然、いや、実はという話が出かねないということを、私は大変心配をしております。
 派遣元病院と、この点についてはある程度の情報公開をしながら、信頼関係を持って見通しをしていかないと、突然ショートしてしまうということが、これは論理的にはある話であります。その辺の関係構築については、どのように進められているのでしょうか。
〇尾形憲一医師支援推進監 令和6年度4月から、原則として時間外労働が960時間となることとあわせまして、医師の健康確保措置の観点から、各医療機関は連続した勤務時間の制限や、勤務と勤務の間に一定の休息時間を確保することなどが求められているところです。宿日直を行った翌日に休息を与える必要があることや、大学からの応援診療等で複数の病院に勤務した場合は、労働時間を通算して管理する必要があるということについては、岩渕誠委員の御指摘の通りであります。
 これらの取り組みを着実に進めなければ、各病院の救急または外来診療体制や大学からの医師派遣に影響が生じることが懸念されますので、県立病院におきましては、大学からの診療応援を含めて、なるべく時間外労働とならない勤務体制や、労働時間短縮に向けたさまざまな取り組みを進めて、医師の勤務負担の軽減を図っているところであります。
 各県立病院におきましては、岩手医科大学あるいは東北大学からの医師派遣を受けておりますので、関係大学とも必要に応じて情報収集などを行いながら、適切に対応してまいりたいと考えているところであります。
〇岩渕誠委員 それは必要に応じてではなくて、各病院長がしっかりやっていると思いますが、それは、医療局長あるいは知事の仕事だと思いますので、そこはしっかりやっていただきたいと思います。
 最後に、ポストコロナと言ったほうがいいのか、ウィズコロナと言ったほうがいいのか、その財務の見通しについてお伺いいたします。新年度の予算案で、病院事業収益、医業外収益の中で、新型コロナウイルス感染症に関連して補助金が、これは負担金も合わせると二十六、七億円入っていると思います。これは、2類から5類への移行で、こういった予算上の影響が出てくるのではないかと危惧しているのですが、現段階でどういう見通しを持っていますか。
〇千田経営管理課総括課長 5類に引き下げることによる収支への影響でありますが、令和5年度当初予算案では、ウィズコロナへの移行という国の方向性も踏まえまして、新型コロナウイルス感染症への対応と、通常診療を両立していくという前提の上、感染症の流行状況を、年間を通して小康期程度と仮定した予算を編成しているところであります。
 収益において、入院、外来収益は、令和4年度決算見込みから49億円余の増加を見込んでおり、空床確保補助金は31億円余の減少を見込んでいるところであります。国から5類引き下げに向けた方針が示され、空床確保補助金の縮小、診療報酬の特例措置は段階的に縮小する見通しであります。一方で、病院等で新たに発生する入院調整業務や新たに入院患者を受け入れる病床等に対する診療報酬による評価が検討されるなど、さまざまな措置がとられていく見通しであり、今の段階ではっきりとした影響を見込むことはできないところであります。
 5類移行後においても、引き続き新型コロナウイルス感染症に対応しつつ、令和5年度岩手県病院等事業会計予算で積算しているように、入院、外来収益の確保を図っていくことにより、令和5年度予算で計上している損益の達成を目指す考えであります。
〇岩渕誠委員 コロナ禍がおさまって、通常の手術件数が伸びてくる、あるいは外来がふえていくということであれば、その収支は達成すると思います。一方で、流行時の1.5倍になるという想定となった場合には、県立病院に新型コロナウイルス感染症の患者が入ってくると、業務が遂行できないという状況が苦しい、経費がかかるということでありますので、これは私はあまり楽観視をしておりません。
 そもそも、ここ二、三年の収支は、空床補償で、大きい補助金がどんと来て、20億円、30億円、40億円という大幅な黒字になっているのですが、要は、医業外収益を見れば、ベースは繰入金を入れても、非常に厳しい環境にあるということだと思います。それは国庫の基準で、例えば診療所には大きな補助金が全く入らないとか、いろいろな問題があると思います。
 そういう意味では、経営の部分でどこを改善しなければいけないか。そして、制度としてどういったものを求めなければいけないか。これから病院会計は、まさに正念場を迎えるのだと思います。
 そこでお伺いします。医療局の局長も次長も財政課長経験者であります。そういった面については、大変明るいところがあるかと思います。財政上、今後、乖離の額が拡大をしていく中で、県立病院としてどういう経営をしていくのか。あとは、どういう制度改善を求めて、この人口減少の中で公的ネットワーク病院を維持しようと思っているのか、その見解を伺います。
〇小原医療局長 新型コロナウイルス感染症関連につきましては、先週末に5類への対応の基本的方針が示されまして、我々は、その分析と今後どう対応していったらいいかということについて、今、しっかりと具体的な検討を行っているところであります。
 感染対策につきましては、分類が変わったからといって、ウイルスの性質が変わるわけではありませんので、引き続き、院内で感染拡大が起こらないような注意は行っていくということで、さまざまな病院現場からも意見を聞いておりますし、依然として、それに対する危機感は消えていないというところはお伝えしておきたいと思います。
 収益に関しましては、これまで、受診控えあるいは院内での一部の診療などが抑えられ、診療制限などがかかっていて、収益を減少させていたといた状況があります。今の感染状況のような小康状態で続いていきますと、診療制限により抑えられておりました手術や検査が実施される。それから、地域の医療機関や福祉との連携もスムーズに行われ、検診からの治療といったような流れがスムーズになるであろう、患者も戻ってくるであろうと思います。それから、先ほど来御説明していますが、医師も増加している傾向がございます。これらに力を入れることによって、収益、収入の確保を図ってまいります。
 今回示されました診療報酬の見直しにつきまして、我々も実際どう動いていくかというところは検討してまいりますが、2年に一度しか診療報酬改定はございませんので、そこのところに、実際、現場の我々が対応できて、その診療報酬で十分なのか、あるいは必要な財政措置を今後とも続けていただく必要があるのかどうかというところをしっかり詰めてまいりたいと思いますし、県の財政当局とも十分にお話をしまして、支援策などについて詰めながら、県立病院の持続的な経営がしっかりできるように努めてまいりたいと思っております。
〇千葉盛副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後4時28分 休憩
午後4時47分再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。
〇神崎浩之委員 私も県立病院の義務履行と働き方改革を通告しておりました。
 奨学金養成医師の県立病院での義務履行の受け入れ状況について、午前中、保健福祉部で、奨学金対象者が265名、うち義務履行者が145名、そして、先ほどの答弁で、県立病院勤務者は127名ということでありましたが、私は、県立病院勤務者は半分ぐらいで、非常に少ないのではないかと思っています。
 医師確保は保健福祉部で聞いておりますが、医療局も一緒になって、場所もどちらかというと医療局のほうでやっていらっしゃるということで、この奨学金医師の活用については、県立病院がある程度の目的のようなこともあるのですが、その中で大体半分で、平成28年から大体義務履行が始まっていますが、そのときに義務履行する人が48.5%、義務履行猶予が45%。それから、その次の年は、義務履行者が39.1%で、逆に義務履行猶予者が53.1%。その次のときも、実は、義務履行者よりも義務履行猶予者が多いということで、非常に残念だなと思っていました。半分が義務履行猶予ということになっていました。
 さらに、返還者が課題だと思っております。毎年5人前後で、せっかく狭き門をくぐって、そして、合格して、県の奨学金養成医師になったにもかかわらず、毎年5人ぐらい返還者がいるということで、これはただお金を返せばいいということではなくて、合格したときの枠は狭い枠ということなので、もしかしたら、その方々がいなかったら、ほかの人が入れば、返還することなく、県立病院にそのまま入るという可能性の枠を、お金を返せばいいのだということがあるのは、非常に残念だと思っておりますが、県立病院として、医療局として、義務履行医師へのアプローチはどうしているのか。医療局として、それから各病院の院長として医師へのアプローチ、それから大学病院の医局の人事教授といいますか、その方々への義務履行者へのアプローチについてお伺いしたいと思います。
〇尾形健也医師支援推進監 県立病院としての義務履行者へのアプローチということでありますが、養成医師の円滑な義務履行と県内定着を促進するために、全ての養成医師を対象に、県立病院長経験者である医師支援調整監による面談を実施しております。その中で、勤務状況の確認やキャリアアップへの助言、こういったものを行っている状況であります。
 また、県立病院に勤務しながら専門医の資格取得が可能な専門研修プログラムを提案するなど、奨学金養成医師の義務履行との両立を図ってきているところであります。
 このほか、奨学生に対しましては、学生時代から義務履行に対する意識醸成を図るためのセミナーの開催、それから、今後、例えば産婦人科特別枠、こういった貸し付け対象者に対しまして、当該医局との交流、また、県立病院との交流を図るなど、県内視察を実施することとしております。
〇神崎浩之委員 義務履行猶予者の件でありますが、平成28年度から年度ごとに対象者と、それから猶予者という数があるのですが、本来であれば、平成28年であれば義務履行が何人始まるということですが、義務履行猶予ということがあって、その方々は、実際、義務履行の年度がおくれても戻ってくる傾向にあるのでしょうか。例えば、本当は義務履行の開始は平成28年だったけれども、平成29年だったけれども、義務履行猶予を2年、3年やって、義務履行に戻ってきていると、そういう傾向でよろしいのかお伺いしたいと思います。
〇植野医師支援推進室長 先ほど、神崎浩之委員から、義務履行猶予者が半分ぐらい出ているのはどうしてか、その後、義務履行が行われるのかという御質問だったのですが、一番の要因としては、先ほど岩渕誠委員からの御質問にもありましたように、専門医の研修プログラムの問題があります。1年目は大学のプログラムに入りますと、どうしても猶予期間が一、二年発生してしまいます。
 例えば内科の専門医プログラムですと、3年はそのプログラムに従事しなければいけない。さらに、その2段目、サブスペシャティ領域、循環器内科や、ほかの消化器内科とか行くと、またさらに延びるというようなところで、そういったところも加味しながら、その後、義務履行していくという形になります。
 先ほど、神崎浩之委員から、教授へのアプローチをどのようにしているかというお話でしたが、そこは、専門研修プログラムをやりながら、次に義務履行をどうしていきますかという両立について、教授と一人一人の医師について相談しておりますし、県立病院の中の専門研修プログラムで、義務履行と専門医の取得を両立するということもやっております。そういったところを、教授と個別の医師それぞれについて、相談しながら進めており、数年後には義務履行するような形で進めているというのが現状であります。
〇神崎浩之委員 これは、県で県民の税金をお預かりしていろいろやっているということです。ただ一方、人事については、奨学金も一般も関係なく、学部の教授の差配が強いという中で、実は、義務履行したいということがあっても、教授の人事によって、なかなか義務履行にたどり着けないという、そういう方もいるようでありますので、ぜひとも、その辺も、苦しい県立病院の状況も訴えながら、お願いしたいと思っております。
 次に、医師の働き方改革の取り組みでありますが、あと1年後には開始されるということがあって、これにつきましては、県立病院の特に院長から、さまざま課題を言われておりました。うちは救急だけで、普通の外来は受けられないという県立病院の院長もいたりとか、いろいろと心配なことを言われておりました。
 あと1年で開始されるということで、先ほどの答弁では、時間外労働の上限規制であったり、勤務間インターバルについても、着々と整備しているというお話もあったわけですが、実際は、なかなか厳しいのではないかと思います。医師個人のモチベーションの関係もあるということもありますが、さまざまな啓発をしながら、計画を進めていただきたい。
 私も心配しているのは、各大学病院からの派遣医師が確保できるかということです。派遣元からすれば、派遣先の勤務も、自分の病院の持ち分になってしまうということで、これも、各県立病院の院長たちが心配しておりました。実際、先ほども必要に応じてという話があったのですが、この1年、例えば大学病院との情報交換、意見交換はどのくらいやられていたのか。岩手医科大学とはやっていると思いますが、東北大学です。特に県南地域は東北大学の医師派遣が多いし、それから、県立胆沢病院は秋田大学等の医師派遣を一生懸命やっていただいていますが、今後の働き方改革に伴う、大学病院から医師派遣について、どのぐらい足を運んで情報交換をお願いをしているのかお聞かせいただきたい。
〇尾形憲一医師支援推進監 働き方改革に伴いまして、大学病院と県立病院との間で、どの程度調整が図られているかという御質問でありましたが、事務レベルでは、県立病院と岩手医科大学との間で、令和6年4月以降の体制に、どのような形で取り組む予定かといったようなことにつきまして、まず現在の状況とか、今後の見通しとか、そういった取り組み状況については、事務レベルで既にメール等で何度かやりとりし、取り組みを進めているところであります。
〇神崎浩之委員 働き方改革で心配な基幹病院もあるのですが、一方、基幹病院は逆に医師の数が多いということで、では地域病院はどうなのかということです。地域病院も、大学病院からの応援も非常に重要であります。コロナ禍で応援医師は来られなかったということもあって、四苦八苦した地域病院もあるので、非常に心配であります。
 ここに、岩手県の医師支援推進室がつくった医師の時間外労働削減の啓発のチラシがあるのですが、この中には、まずはかかりつけ医を受信するようにということです。私は、この働き方改革も含めて、医師不足も含めて、病診連携が非常に重要だと思っているのですが、医療局と各県立病院と、地元の開業医の先生たちと、この病診連携の取り組みについてはどう進められているのかお伺いします。
〇尾形憲一医師支援推進監 医師の働き方改革の推進のためには、医師の時間外労働規制に対する、県民、患者の理解が必要であると考えているところです。このことから、関係機関で構成する医師の働き方改革推進と地域医療を守るネットワークいわてがありまして、これは、岩手県市長会とか岩手県町村会あるいは関係医療機関などで構成するネットワークですが、こちらで情報等を交換しながら連携して、県民に対する理解、周知にも努めているところであります。
〇神崎浩之委員 病診連携を進める、開業医の先生はいいよという話もあるのですが、逆に県立病院の先生が、療養後のことも考えてなかなか転院できないという状況もあるので、それも含めて取り組んでいただきたいと思っています。
 それから、医療局として、医師確保が、働き方改革の上でもやはり必要だと思います。少し細かく質問していきますが、お医者さんが魅力を感じるのは、高水準な医療設備が整ったところということで、高水準の医療設備が整備された病院に魅力を感じて、ドクターが入ってくるということがあるのですが、これらについて、県立病院はどう対応しているのかお伺いいたします。
〇千田経営管理課総括課長 医師確保のためということではありませんが、現在、県立病院では、基幹病院として、九つの圏域にそれぞれそういった高度な医療機器、高度な手術を行う病院といたしまして、基幹病院を設けておりますし、その他の病院につきましては、プライマリーケア等、日常のかかりつけ医的な機能を持たせた地域病院ということで、大きく役割分担をしております。
 確かに、今の若い先生方、養成医師を含めまして、そういった高度な医療、そういった手術をやる病院のほうに人気があるということですが、そこは、これからの高齢化社会、疾病構造等の変化に合わせて、プライマリーケアも充実していかなければならないわけでして、徐々にではありますが、総合診療や、そういった形で関心を持つ若い先生方もふえているということであります。
 それぞれ専攻される診療科や希望がありますが、そういった外科系を中心に、高度な医療に関心を持たれる先生方には、県立病院の中でも、基幹病院で施設等を充実する形、それから、プライマリー総合診療に関心を持たれる先生方につきましては、今は、介護と医療の連携、そういった分野もかなり進めていかなければならないところでありますが、総合医、在宅医、そういったところの研修なりを県立病院としても力を入れる、経営計画では残り1年でありますが、来年度、新しい経営計画の中ではそういった部分も取り入れながら、検討を進めていきたいと考えております。
〇神崎浩之委員 私は、通告で医療局として医師確保、具体的なインセンティブの御紹介をと出していて、それに合わせて質問しているのですが、最先端への医療機器を入れるとお医者さんが来ると言うのです。一関市内でも、県立磐井病院に研修に来て、そこから例えば一関市国民健康保険藤沢病院に研修に出すとしたときに、院長先生から、つかみは最先端の医療機器だという話も聞いています。
 それから、労働環境ですよ。働きやすいということで、定期的な休暇や研修の機会、それから、地域のアピールということで、医師が住みたいと思える地域にするということで、何年か前に新聞で、遠野にお医者さんが来たら馬1頭やるみたいなものがあったのですが、そういうことで、米は全部食わせるよとか、いろいろな地域のアピールをしているところもあるのですが、そういう医師が住みたいと思える地域も、やはり医師の魅力だということであります。
 それから、優遇措置ということで、住宅支援とか、子育て支援とか、そういうことも医師確保の重要なポイントだと言われておりますが、この件について、医療局はどのように対応しているのかお伺いします。
〇尾形憲一医師支援推進監 県立病院の医師の働き方改革における医療局としての具体的な医師確保策についてでありますが、医師全体の定着を図るために、働きやすい環境の整備が重要であると考えておりますことから、各県立病院におきましては、複数主治医制の導入や、チーム医療の推進に取り組んでいるところです。
 また、育児中の医師の支援策といたしまして、平成28年度からJOYサポートプロジェクトに取り組んでおり、他県に先駆けて、育児短時間制度の対象となる子供の年齢の拡大や、柔軟な勤務時間の設定、病児保育の導入など、仕事と家庭の両立を図るために必要な支援に取り組んできたところです。
 このような取り組みによりまして、令和6年以降から始まる医師の働き方改革に向けた準備も着実に進めまして、医師が働きやすい勤務環境を構築するとともに、即戦力となる医師の招聘や、奨学金養成医師の計画的な配置、診療応援を含めた医師の継続派遣を関係大学に強く要望するなど、引き続き、医師確保対策に取り組んでいくこととしております。
〇神崎浩之委員 県で取り組んでいるのもわかるのですが、それが一人一人の医師に届いていないので、これが非常に残念だと思います。育児中の女性医師に対してもさまざまな制度があるのですが、なかなか届いてない。事務のほうから制度から説明される話ではなくて、同僚の医師同士の中からそういう話が出てくるようなこともあって、非常に残念だと思っています。
 最後に、医療局長に一個聞いて終わりにいたしますが、知事演述で、県立病院が200億円繰り出すと弾んで言っておられたのです。私、非常に耳にとまって、違和感がありました。岩手県の県立病院の魅力という中で、ああいう発言はどうなのかと非常に思いました。
 コロナ禍で疲弊して、自分も家族も自粛をした生活をしながら、汗かいてやっていることに対して、知事部局は出すほうだから優越感を持って、200億円出しますと言うかもしれないけれども、受けたほうの医療局の頑張っていた職員は、私が知っている方も、あれを聞いて非常にあきれていました。だから、出すほうはいいですよ、優越感を持って、200億円出しますと言いますが、受けるほうは、そういうことで肩身が狭い思いをしながら、士気が下がって、マイナスなメッセージだと思っております。
 お二人はあれを聞いて、合理化を図っていこうということかもしれませんが、コロナ禍の暑い中で一生懸命働いた職員たちは、士気が非常に下がっていると言う方もいます。医療局長、いかがでしょうか。
〇小原医療局長 県立病院に対する繰入金、一般会計から見ると繰出金でありますが、私も繰り出しをする側にいたこともありますので、そのあたりは、まず、繰出金は地方公益業法上認められているお金でありまして、不採算とか、行政経費に対する繰り出しということで、一定のルールで決められた額で出されているものでありまして、保健福祉部からもありましたが、今の県立病院の機能や規模でいる限り、赤字や黒字にほとんど関係ない形で、今の機能を、救急医療や精神医療や周産期医療を担っている病院に対して、一定のルールで出されるという形になっています。
 200億円という数字ですが、平成28年から200億円を超えた数字になっていますが、実は、昨年度は217億円の決算の値です。ことしの208億円は、それよりは下がった数字になっています。さまざまな計算によりまして、そういう形になっています。
 もう一つ考えなければいけないことは、国からの交付税措置もあるわけですが、おおむね半分ほどの交付税措置が入っている中で、ルールとして行われている制度だということであります。
 ただ、そういった多額な繰入金を受けて、我々は、事業を運営していますので、そこは県民の負託を受けたのだという覚悟のもとに、しっかりと事業を運営しているわけでありまして、引き続き、病院職員にも県民の負託ということは常々私からも申し上げておりますし、そこのところは、各職員も理解の上で運営していると思っています。引き続き、県民に良質な医療を持続的に提供するという使命を全うしてまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 200億円の問題がこの予算特別委員会でも議論されているので、一言述べておきたいと思うのです。
 知事演述で、県立病院に200億円繰り出すと。これは県立病院を何としても守り抜くという知事の固い決意だと思うのです。同時に、今、医療局長が答弁したように、救急医療や不採算部門、県民の医療を守るという点では、これは当然の支出だということも、またそのとおりだと思います。
 知事演述で触れた重みは、県立病院を守り抜く、県民医療を守り抜く、達増知事の決意のあらわれと、私はこういうふうに高く評価をしているところであります。
 新型コロナウイルス感染症に対する県立病院の対応についてお聞きをいたします。先ほど保健福祉部で、県立病院、公的・公立病院の果たした役割を聞きました。第8波で1、854人の入院患者のうち、県立病院は1、266人、68.3%を占めたと。本当に県立病院あって、この新型コロナウイルス感染症にしっかり対応できたということで、私は、高く評価したいと思います。
 県立病院として、何病院、感染症病床を何床確保して、今回の第8波に対応したのか示してください。
〇佐藤医事企画課総括課長 県立病院の感染病床の確保でありますが、新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れるため、フェーズに合わせて病床数を確保しており、県立病院においては、6病院に22床を配置している感染症病床を含め16病院で最大269床の病床を確保し、患者の入院に対応しているところであります。
〇斉藤信委員 第8波は、本当に今までにない感染拡大でありました。高齢者施設でのクラスターと合わせて、医療機関でのクラスターがふえたのも特徴でありましたが、県立病院におけるクラスターの発生状況、感染や濃厚接触などで休業となった職員の状況はどうだったか示してください。
〇宮職員課総括課長 県立病院におけるクラスターの発生状況についてでありますが、県からの発表においても、施設名は公表されていないことから、個別の病院名については答弁を差し控えさせていただきますが、幾つかの県立病院においてクラスターが発生しているところであり、特に第7波、第8波の期間中に多く発生しております。
 次に、感染や濃厚接触などによる休業者の状況についてでありますが、県内で感染者数が大きく増加した昨年秋以降では、12月13日に1日当たりの休業者が最大の293人となりましたが、以降減少し、3月7日現在では10名となっております。
〇斉藤信委員 クラスターの発生件数は明らかにできると思うのですね。県立中央病院の運営協議会に、私は、傍聴で参加しましたが、病院内でクラスターが発生しますと、一般病床で診るのです。これ、感染症病床の患者にならない。だから、そういう意味でいくと、本当にクラスターが発生したときは、二重の意味で新型コロナウイルス感染症に対応しなくてはならない。また、そういう中で、今お話があったように、職員も感染しますから、ピーク時は、293人の休業者ということで、大変苦労されたと思いますが、発生件数を示してください。
 それと、新型コロナウイルス感染症対策で医師、看護師の増員はどうなされたのか。来年度はどういう体制となるのか、あわせて示してください。
〇宮職員課総括課長 委員お尋ねのクラスターの発生件数でありますが、県立病院では、令和4年2月から令和5年現在まで42件になっています。
 続きまして、新型コロナウイルス感染症に対応するための医師、看護師等の増員についてでありますが、看護師については、令和3年度及び令和4年度において、病院間の応援体制を強化するため、県北及び盛岡圏域、県央圏域、県南圏域、沿岸圏域の四つの圏域に各8人、計32人を配置するとともに、地域病院の感染症対応強化のため、四つの地域病院に各1人、計4人を配置し、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れに対応してきたところであります。
 来年度においては、令和5年5月8日から、新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類感染症に位置づけられることとなりますが、引き続き、県立病院が求められる役割に適切に対応していくため、看護師36人の増員措置を継続し、各病院に配置することとしております。
 なお、医師等については、経営計画に基づき着実な増員を図ってきた中で、感染症患者の受け入れにも対応してきたところであり、来年度においても必要な体制整備を図ってまいります。
〇斉藤信委員 今、5類への移行の問題もありました。5類への移行で、県立病院として、具体的にどういう影響を受けるのか、特に病床確保量が5月8日から変わると思うのです。病床確保はどうなるのか、病床確保量はどのぐらい減少するのか。診療報酬の特例措置も大幅縮小ということになっています。これもどのぐらいの減収となるのか。その他、影響のあるものを示していただきたい。
〇千田経営管理課総括課長 5類への移行に対します県立病院の対応でありますが、今、県立病院では、新型コロナウイルス感染症重点医療機関として、16病院で269床のコロナ患者専用の病床を確保しており、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れに対応してきているところであります。
 また、診療、検査機関としては19病院、3地域診療センターが県の指定を受けまして、発熱患者等の診療や検査に対応してきているところであります。
 5月8日からの感染症法上の類型見直し以降におきましても、新型コロナウイルスの感染力が変わるわけではないことから、病院の感染対策につきましては、同様に継続され、対応につきましては大きく変更はありませんが、国から示されました指針や感染状況に合わせまして、適切に対応していくことにしております。
 今後、県が策定します移行計画において、受け入れの医療機関の拡大や、入院調整などの県における医療提供体制が決められていくことから、保健福祉部と調整しながら、県立病院に求められる医療提供体制の整備に努めていくことにしております。
 それから、5類移行になることによりまして、空床確保補助金がどのようになるのか、その見通しということでありますが、3月10日に国で5類移行への基本方針を示しまして、この病床確保補助事業につきましては、補助単価をほぼ半減することや、その補助の期間は当面9月末までということが示されたところであります。
 そういった情報をもとに、空床確保補助金の額についてどのくらいということは、今後、移行計画の中で県立病院に求められます確保病床の病床数が、どのくらいの数になるかということもありますので、なかなか算出は難しいところではございますが、40%くらいの減少、ないしは50%くらいの減少になるのではないかと見込んでいるところであります。
 それから、診療報酬の関係の特例措置のところですが、これにつきましては、今現在、ほかの診療報酬とまざり合った状態ですので、どれがどのくらいの影響になるかというのは、試算は行っていないところであります。
〇斉藤信委員 病床確保量が40%から50%減少になるということです。先ほどの質問では、予算上では、30億円病床確保補助金を減額した予算になっている。それと大体符合するという話ですね。
 本当に、そういうことになったら、新型コロナウイルス感染症に対応すればするほど経営がもう成り立たない。大学病院の話を、私は、先ほどもしたのですが、大学病院だと、1病院当たり4、400万円赤字になり、今までの補助金を確保しないと対応できませんという、これは、医学部長、病院長会議の提言です。
 そういう意味で、公的補助を減らすだけでは、本当に新型コロナウイルス感染症に対応できないと思います。そのことを医療局としてもリアルに打ち出して、全国自治体病院協議会やいろいろな形で、必要な病院の体制、病床の体制。発熱外来なども上乗せ措置はもう廃止です。やればやるほど、診療検査も赤字になってしまうことになりかねない。県立病院は赤字になるからできないというわけにいかないので、その点、全国自治体病院協議会などで、ぜひ、実態の声を挙げて、しっかり言っていただきたいと思います。
 次に、経営計画から見て、医師の確保はどうなっているのか、看護師の確保はどうなっているのか示してください。
〇尾形健也医師支援推進監 県立病院の経営計画に対する医師確保の状況についてでありますが、現在の経営計画では、令和元年度から6年度までの6カ年で、臨床研修医を含め76名の増員を計画しているところでありますが、令和4年度は12名(後刻、「11名」と訂正)の増員計画に対しまして、令和5年1月1日現在の配置実績は28名となっているところであります。
 医師数が増加している主な要因といたしましては、奨学金養成医師の配置が、令和3年度と比較して13名増加していること、養成医師の配置が始まった平成28年度以降、年々配置数が増加していることなどによるものと考えております。
〇宮職員課総括課長 経営計画に対する看護師確保の状況についてでありますが、令和元年度から令和6年度までに45人、そのうち令和4年度までに37人増員する計画に対し、令和4年度までの実績は計画を7人上回る44人の増員となっております。
〇斉藤信委員 今の看護師のは、先ほど話された36人を入れてということで、これは別枠ですか。
〇宮職員課総括課長 先ほどのコロナ禍の増員については、経営計画の増員とは別でやっておりますので、御理解ください。
〇斉藤信委員 わかりました。コロナ禍の増員分も来年度は継続するということでありますので、若干の改善になるのではないかと思います。
 しかし、看護師の月8日夜勤の常態は、今年度、第三四半期までで、前年度よりもさらに増加したという状況ですが、実態と、なぜ増加したのか、改善策はどうなっているのかを示してください。
〇宮職員課総括課長 看護職員の月8回超えの夜勤者の状況と、解決の取り組みについてでありますが、今年度12月までの実績で、15病院、延べ1、470人となっており、令和3年度の同じ時期と比較して、延べ167人増加しております。増加の要因としては、特にも第8波による感染者数及び入院患者数の増加、もう一点は新型コロナウイルス感染症の陽性者との接触または感染疑い等に伴う出勤停止者が発生したことや、職員の子が通う学校などの休校による休暇取得者が生じたことに伴う調整などが挙げられております。
 医療局においては、これまでも、育児休業取得者等の代替職員の正規職員による配置、夜勤専従などの多様な勤務形態の導入、採血業務の臨床検査技師への移管などのタスクシフティングの推進、病児保育の導入により、院内保育の充実などにより、職員の負担軽減を図る取り組みを進め、離職防止や新採用職員の確保を図るとともに、業務の繁閑に応じ、県立病院間で相互応援を行うなど、看護職員の夜勤回数の抑制に向け取り組んできたところであります。
 昨今の感染者の減少も踏まえ、引き続き、夜勤回数の抑制、解消に向けた取り組みを推進してまいります。
〇佐藤ケイ子委員長 尾形健也医師支援推進監から、発言を求められております。
〇尾形健也医師支援推進監 先ほど、斉藤信委員からの御質問の中で、私の答弁の中で、医師確保の令和4年度の増員計画を12名とお話ししましたが、11名でありました。訂正いたします。
〇斉藤信委員 月8日夜勤がコロナ禍の中とはいえ、増加したことは極めて残念です。私はそれだけに、看護師の大幅増員が必要だということを特に強調しておきたいと思います。
 岩手県看護協会がコロナ禍のもとで、看護師の退職がふえていると指摘しております。令和3年度は普通退職102名でした。今年度の見込みはどうなっているでしょうか。
 また、来年度の看護師の採用計画、採用見込み、あわせて示してください。
〇宮職員課総括課長 次に、看護師の普通退職の状況についてでありますが、令和4年度の普通退職者は88名となる見込みであり、前年度と比較して14名の減となっております。
 令和5年度採用に係る合格者数でありますが、看護師は150名合格したというところで、今現在、採用を進めているところであります。
〇斉藤信委員 計画ではなくて150名採用の見込みということですね。
 最後の質問をします。看護師の処遇改善について、この対象者と対象者とならない看護師数と、改善の内容を示してください。
〇宮職員課総括課長 看護師の処遇改善の対象者と内容についてでありますが、昨年10月以降の国の看護職員等処遇改善事業については、令和4年度診療報酬改定において、救急搬送件数が年間200件以上で、診療報酬の救急医療管理加算に係る届け出を行っている病院または三次救急を担う救命救急センターを有する病院に勤務する看護師、准看護師及び助産師が対象とされ、医療局においては、財源が補助金から恒久的な診療報酬に移行したことを踏まえ、この施設基準を満たす15病院の看護師、准看護師及び助産師、約3、100人を対象に、月額1万2、000円の特殊勤務手当を支給しているところであります。
 先ほど、私は、合格者数150名と申し上げましたが、その中で、実際の採用はこれからのことになりますので、150名合格者の中から採用者をこれから選んでいくというところになります。
〇斉藤信委員 これで本当の最後です。
 今、15病院3、100人処遇改善との話がありました。処遇改善にならない看護師はどのぐらいいるのか、これへの対応というのはあるのかを最後にお聞きします。
〇宮職員課総括課長 処遇改善の対象とならない看護師数でありますが、経緯についてもお話ししたいと思いますが、現行の15病院を対象とした処遇改善に係る年間の所要額は5億9、200万円余であります。うち、医療局の負担は6、500万円となるのに対し、処遇改善の対象とならない看護師約300人も対象とした場合は、さらに5、700万円を要し、医療局の負担は1億2、300万円余となる見込みであります。
〇佐藤ケイ子委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 質疑がないようでありますので、これで医療局関係の質疑を終わります。医療局の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時35分 散会

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