令和5年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和5年3月9日(木)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 平 貴 一
主任主査 佐 藤 博 晃
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 及 川 雄 也
主査 阿 部 真 人
主査 刈 屋 江美子
1説明員
復興防災部長 佐 藤 隆 浩
副部長兼
復興危機管理室長 大 畑 光 宏
復興危機管理室
企画課長 高 橋 正 志
復興危機管理室
管理課長 高 橋 新 吾
特命参事兼
放射線影響
対策課長 武 蔵 百 合
復興推進課
総括課長 澤 田 彰 弘
復興くらし再建課
総括課長 森 田 竜 平
被災者生活
再建課長 和 田 英 子
防災課総括課長 戸 田   新
防災危機管理監 駿 河 芳 典
消防安全課
総括課長 田 端 政 人
県民安全課長 多 賀   聡

環境生活部長 福 田   直
技監兼
環境担当技監兼
廃棄物特別
対策室長 佐々木 健 司
副部長兼
環境生活企画室長 浅 沼 秀 行
若者女性協働
推進室長 田 丸 裕佳子
環境生活企画室
企画課長 中 村 公 一
環境生活企画室
管理課長 米 内 敏 明
グリーン社会
推進課長 高 橋 政 喜
ジオパーク
推進課長 土 澤   智
環境保全課
総括課長 加 藤 研 史
資源循環推進課
総括課長 佐々木 秀 幸
自然保護課
総括課長 酒 井   淳
県民くらしの
安全課総括課長 佐 藤 義 房
食の安全安心課長 千 葉   正
消費生活課長 大 坊 真紀子
特命参事兼
再生・整備課長 田村良彦
廃棄物施設
整備課長 古澤 勉
特命参事兼
青少年・男女共同
参画課長 鎌 田 泰 行
特命参事兼
連携協働課長 下 川 知 佳

財政課総括課長 山田翔平
〇佐藤ケイ子委員長 これより本日の会議を開きます。
 この際、昨日、斉藤信委員から議事進行があったことについて、本日、世話人会を開催し、協議した結果について御報告いたします。
 昨日のふるさと振興部の審査において、伊藤勢至委員から、臼澤勉委員の質疑に対する関連質疑のうち、たばこ税に関する質疑があり、斉藤信委員から、たばこ税に関する質疑は関連質疑に当たらず、精査した上で対応していただきたい旨の発言があったものであります。
 世話人会での協議の結果、伊藤勢至委員の該当部分の質疑につきましては、臼澤勉委員の質疑に関連のないものと考えられ、伊藤勢至委員及び答弁者の山田財政課総括課長に発言の取り消しを求めること、当職から委員各位に対し、関連質疑を行う際には、本質疑に関連する内容としていただくよう改めて注意喚起を行うこととした次第であります。
 本日、伊藤勢至委員及び答弁者の山田財政課総括課長から、当職に対し、昨日の予算特別委員会における発言中、一部を取り消したい旨の発言取り消しの申し出がありました。
 この際、お諮りいたします。伊藤勢至委員及び答弁者の山田財政課総括課長から、昨日の予算特別委員会における発言中、一部を取り消したい旨の申し出がありましたが、この取り消し申し出を許可することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 御異議なしと認めます。よって、伊藤勢至委員及び答弁者の山田財政課総括課長からの発言の取り消し申し出を許可することに決定いたしました。
 この際、改めて委員各位に申し上げます。関連質疑を行う際には、本質疑に関連する内容としていただくようお願いいたします。
 また、当職においても、今後は円滑な議事進行に努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
 これより議事に入ります。
 高橋こうすけ委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
 議案第5号から議案第25号まで、議案第29号から議案第32号まで、議案第34号及び議案第36号から議案第60号までの以上51件を一括議題といたします。
 本日は、復興防災部及び環境生活部関係について、延べ20人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしましたので、議事進行に御協力をお願いいたします。
 また、関連質疑の取り扱い、換気のための休憩につきましては、これまでと同様でありますので、御協力をお願いいたします。
 初めに、復興防災部長に復興防災部関係の説明を求めます。
〇佐藤復興防災部長 令和5年度の復興防災部関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 初めに、復興防災部における予算の編成に当たっての基本的な考え方について御説明いたします。
 令和5年度は、いわて県民計画(2019〜2028)第2期復興推進プランに基づき、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生、未来のための伝承・発信の取り組みを着実に実施するとともに、第2期政策推進プランに基づき、自助・共助・公助による防災体制づくり、事故や犯罪が少なく、安全・安心に暮らせるまちづくりなどの取り組みを推進してまいります。
 まず、復興推進の取り組みについてでありますが、暮らしの再建に向け、いわて被災者支援センターによる被災者への相談支援や地域コミュニティーの形成と活動の定着に向けた支援に取り組むほか、なりわいの再生に向け、被災地域の水産加工業者が行う人材確保等の取り組みに対する支援など、引き続き復興固有の課題などに対して、被災地の状況に応じ重点的に対応してまいります。
 また、復興フォーラムの開催やいわて震災津波アーカイブ〜希望〜の活用促進、東日本大震災津波伝承館を拠点とした事実と教訓の伝承、発信等に取り組んでまいります。
 次に、政策推進の取り組みについてでありますが、自助・共助・公助による防災体制づくりに向け、防災意識の向上や自主防災組織の活性化などに取り組むほか、本県最大クラスの地震・津波被害想定を踏まえ、沿岸市町村が行う犠牲者ゼロを目指す取り組みへの支援や、市町村における個別避難計画の作成支援などに取り組んでまいります。
 また、事故や犯罪が少なく、安全・安心に暮らせるまちづくりに向け、地域安全アドバイザーの派遣等による県民の防犯意識の高揚や、医療機関等と連携したはまなすサポートによる性犯罪等被害者への総合的な支援のほか、交通事故防止や交通安全意識の醸成などに取り組んでまいります。
 続きまして、歳出予算について御説明申し上げます。
 お手元の議案その2の6ページをお開き願います。復興防災部関係の一般会計歳出予算は、2款総務費のうち、6項復興防災費の17億400万円余、3款民生費のうち、2項県民生活費の一部2、600万円余、7ページの5項災害救助費の2億700万円余、9ページに参りまして、12款公債費の一部1億5、700万円余、これらを合わせまして、総額で20億9、500万円余となっております。前年度当初予算と比較いたしますと1億3、000万円余、率にして約5.9%の減となっておりますが、これは、応急仮設住宅を撤去した土地の原状復旧の完了等によるものであります。
 予算の内容につきましては、お手元の予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で復興防災部関係の説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願いいたします。
〇佐藤ケイ子委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇軽石義則委員 それでは、通告に従いまして質問させていただきます。
 岩手県交通安全計画にかかわる交通安全指導費についてでございますが、自転車の交通事故防止の取り組みについて、どのような取り組みをしてきたのか、県内の事故の状況など、推移をどのように把握されているのかお伺いします。
〇多賀県民安全課長 自転車の交通事故防止への取り組みについてでありますが、令和3年度に作成しました令和7年度までの計画年度に実施する第11次岩手県交通安全計画の重点項目に自転車の安全利用を掲げており、全ての年齢層でのヘルメット着用、自転車の点検、整備、自転車損害賠償責任保険等への加入の普及啓発に関係機関、団体と連携して取り組むとともに、関係団体や学校等における交通ルールに関する理解を深める交通安全教育、交通安全団体等による街頭での普及啓発活動を推進しているところでございます。
 交通安全の自転車に関する事故件数につきましては、交通事故件数全体が減っている中でも一定の数字がありまして、一向に減っておりません。
〇軽石義則委員 事故件数は減っていないということでありますけれども、それを含めて、県議会では自転車の活用について安全確保を含めて請願が出され、それについて対応してきていると思います。今回、議案としても条例が提案されておりますが、その条例制定に向けて、どのような取り組みをして今の提案までに至ったのか、まず経過をお聞きします。
〇多賀県民安全課長 請願を受けまして、有識者の方々、それから関係団体の方々を委員とする条例検討会を設置いたしまして、条例の内容につきまして検討してまいりました。
〇軽石義則委員 今回提案のあった条例は、請願の趣旨をしっかり把握した上で検討されてきたと思われますけれども、ただ、今回の条例制定の意義は、いわゆる利用者の安全を確保すること、そして、仮に事故が起きた際には、被害者の身分も保障するなり、補償をしっかりしていくことが請願の中には入っていると理解しております。
 これまでの検討委員会の経過について委員会の資料をいただいて見ましたけれども、最終的には書面でしたが、検討会が4回開催されていて、1回目、2回目までについては、いわゆる保険の加入は義務化ということで確認して進んできている中で、3回目に突然、条例の内容が努力義務に変わったところがあって、なぜそのような流れになったのか、もう少し詳しく説明をいただきたいと思います。
〇多賀県民安全課長 請願の趣旨は、自転車への損害賠償責任保険等への加入と事故に遭った場合の救護等をきちんと教育すること、それから、条例を制定することという趣旨でございました。
 私どもとしましては、それらの根底にあるものは、やはり安全を確保することを前提とした保険加入であり、それから、救護の際の教育ということと理解しまして、交通安全の確保という視点で条例検討に入ったところでございます。
 条例の中で、自転車の利用者は、まず自転車が車両であることをきちんと認識するべきであること、それから、交通法令を理解し、それを遵守しなければならない。そして、自転車を安全に利用できるように点検、整備をすること。そして、万が一の事故に備えて、自転車損害賠償責任保険等にきちんと加入することによって、安全で適正な自転車利用を推進して、自転車利用者を含む全ての県民が、安全で安心して暮らせるような社会になるものということで条例の検討を進めてまいりました。
 そういう中で、保険だけではなくて、全てのものを県民の方に理解していただいて、保険にも加入していただこうということで議論を進めてまいりました。
〇軽石義則委員 全ての県民の安心・安全を確保していくのだということでスタートして、義務化から努力義務に変化したところの内容が、今の説明ではなかなか理解しかねるところがあるのですけれども、経過を見れば、3回目の検討委員会の中で、法規審査委員会からの意見があり、義務化から努力義務に変えたという経過が残っているのですが、その部分はなぜなのでしょうか。
〇多賀県民安全課長 自転車損害賠償責任保険等の加入について、自転車利用者に加入を義務づけるのか、努力義務とするのか、条例案の検討過程におきましては議論を重ねてまいったところでございますが、加入義務の履行を担保する手段がない状況におきまして、加入義務を課すことは困難という県の法制上の考え方を踏まえまして、また、検討委員会でもその旨を御説明して、御意見をいただきながら、努力義務として規定することとし、本定例会に条例案を提案しております。
 保険加入につきましては、万が一の際、自転車利用者と被害者の当事者双方に大きな負担が生じないようにすることができる有効な手段と考えておりまして、保険加入は重要なことと認識しております。
 条例案では努力義務としたところでございますけれども、保険加入の重要性を県民の皆様に御理解いただくよう、関係団体や損害保険会社等と連携しながら普及啓発活動に取り組み、保険加入が促進されるよう最大限努力してまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 努力義務と加入義務はかなりの差があると思います。県民の皆さんの受けとめも含めてですね。やはり今のお話ですと、県民全体の安全、そして安心を確保する上では、義務化してしっかりと理解していただく。なぜかというと、やはり自転車もかなり高いリスクを持っているのです。今まさに全国でも1億円近い高額賠償の実例が出てきているわけです。そういう意味では、個々が、自転車は乗れればいいのだ程度の認識では安全を確保できなくなるし、万が一のときに、個人の責任ではそれを補償することができないところまで来ているのが事実です。
 そのためには、法規上の問題というお話ですけれども、全国の条例制定の状況を見ますと、努力義務になっているところが少なくて、ほとんどは義務化しているわけです。東北地方でも、青森県が努力義務で、それ以外は全て義務化にしている。法的にも義務化でも大丈夫だという判断でそれぞれの都道府県が制定しているはずなのに、岩手県はなぜ、また、当初は義務化の議論を進めてきて、委員の皆さんも特に意見も出ていなかったようですし、それで進んできたところが、まさに法規審査委員会、県の中での内容の審査だと思いますけれども、そのことによって、委員の皆さんは、多分具体的な法律の話をされても詳しい方はいないので、県がそう言うのだったら仕方ないね程度ではないかと、これは私の推測ですけれども、本当にそれでいいのか、担当部としてどのように考えているのか、もう一度お聞きします。
〇多賀県民安全課長 義務規定を課した場合に、それがきちんと履行されているかの把握ができないということがまず一つございます。それを担保することができないということを前提にしまして、仮に違反者がいたときに、改善命令とか勧告とかの履行しない方に対しての規定とかを設けることも、条例の中でそういうものをセットとして規定することは難しいということで、努力義務としたところでございます。
 基本的に、自転車は危ない、小児用の自転車は道路交通法上、自転車には規定されないのですが、現実の世界では、皆さん、小さいころから自転車に乗り始めて、いつの間にか交通教育も受けない状態で乗り始めて、便利だということが現実でございます。
 まずは、自転車というものが車両で、ぶつかったりした場合には凶器にもなり得るということをきちんと理解した上で、自転車も整備しなければならない、そして、保険にも入って、交通安全、歩行者や車にも危ないと思われないような乗り方を適正にしてという、このセットで進めていかなければならないと考えております。
 自転車整備等も努力義務、それから、交通安全教育等についても努力義務としているところで、保険加入だけ義務というのも、全般的に、そこだけ頑張ればいいというメッセージにもなりかねないということもありまして、いずれ車両であるということの理解を徹底して、全ての内容が必要と県民の皆様に理解していただこうということで、努力義務で規定したところでございます。
〇軽石義則委員 詳しく説明していただいているのですが、ただ、その話していることが私の言っていることの答えにはなっていないと思うのです。国でも、自転車活用推進計画が平成30年6月8日に閣議決定されている中に、第2次自転車活用推進計画で、都道府県等に対して、自転車損害賠償責任保険等への加入を義務づける条例の制定を促進すると閣議でも決定されている内容なのです。
 ただ、罰則の話もありましたけれども、罰則についてはいろいろ、まさに法的な関連があって義務化しないことになっております。そういうところは、やはり国民の生命、財産を守るために、しっかりこのことはやろうという国のメッセージでもあると私は理解しているのです。岩手県は、少しでも不安なところがあるのであれば、安全策をとろうというようにも見えるのですね。
 私は、県民の命を守るほうが優先されて、法規を守るのは、人を守るより上に行くことが大事なのかという議論が大事だと思っています。ぜひそこは、再考できるのであれば再考してほしいと思います。ただ、もう条例として、さらに努力をするという答弁も今いただいていますけれども、引き続き、一旦条例化することがまず第一だとすれば、加入を義務化するように、県民の皆さんにも、この条例がさらにいいものになっていくように、経過を見て速やかに改正することも含めて取り組んでいくことが大事ではないかと思います。
 現在、全国でも二つの県が、努力義務化で制定し、その後、加入義務化に改正している例もあるわけです。そういう意味では、スタートに立ち返って、自転車利用者、そして被害に遭った方々をしっかり守っていくというメッセージにかわるような条例化をするべきだと思いますが、復興防災部長、どうでしょうか。
〇佐藤復興防災部長 県民安全課長から御説明申し上げましたが、条例の制定過程におきまして法規上の技術的な課題ということがございました。端的に申しますと、本県では、条例に勧告や罰則などの規定を設けない場合は、努めるとするというのが一般的なルールになってございまして、そのところを指摘されたというところになってございました。
 いずれ、そういった課題も指摘されましたけれども、努力義務とした場合においても、どういう対策を講じれば県議会で採択されました請願の趣旨、それから条例の目的を達成できるのか、あるいは達成できないのか、その辺のところは、復興防災部としても繰り返し議論を重ねたところでございます。
 こうした議論を重ねた結果でございますけれども、保険加入の重要性等の啓発を進めまして保険加入の促進を図って、県民に理解いただく取り組みを積極的に講じていくことで、努力義務とした場合であっても、一定の効果を生じさせ、請願の趣旨、それから条例の目的を達成できるという判断で、今定例会に条例案を提案させていただいたところでございます。
 今さまざま指摘をいただきました。確かに、高額な事故等で被害者自身が大変な被害をこうむる、それから、加害者になった方も、損害賠償請求をされて、それをお支払いする能力がないということで、加害者にとっても被害者にとっても経済的な負担が大変大きなものでございます。そういった経済的なリスクを少しでも軽減させる意味で保険加入は非常に大事だと思っております。
 条例施行後におきましても、条例の普及、取り組みの効果等を把握してまいりまして、あとは全体の交通事故の発生状況等も勘案しながら、講ずべき対策があるのか、その辺のところをじっくり見ながら、まず、交通安全への適正な利用促進が進むように頑張っていきたいと思いますので、何とぞ御理解いただきたいと思っております。
〇軽石義則委員 今の復興防災部長のお話は、必要であればしっかり見直すことも考えているという受けとめをさせていただきます。県民には、大きなリスクがあるのだと、利用するにはそれなりの責任も当然ついてくるのだということをしっかり伝えていただいた上で、私がお願いしたことが実現するように、さらに検討を深めていただくようにお願いして、終わります。
〇工藤勝子委員 東日本大震災津波や台風からの風化についてお伺いいたします。
 震災から12年が経過しようとしております。平成28年台風第10号からも6年弱ということで、河川の工事にまだ3年ぐらいかかるということを伺っております。
 その中で、沿岸部、内陸部における風化と年代層における風化を県はどのように捉えているかお伺いいたします。
〇澤田復興推進課総括課長 震災や台風の被災からの風化についてでございますが、県では、平成24年から毎年、県民を対象に復興に関する意識調査を実施しておりまして、昨年初めて設定いたしました東日本大震災津波の風化に関する項目におきましては、風化が進んでいると感じる、やや進んでいると感じるの割合の合計が県全体で51.6%となっております。
 これを地域別に見ますと、沿岸部では50.5%、内陸部では51.8%となっておりまして、若干ではございますが、内陸部のほうが沿岸部より風化が進んでいると感じる割合が高くなっております。年代別で見ますと、19歳以下、30代、40代及び50代におきまして、風化が進んでいると感じる割合が高くなっております。
 また、風化が進んでいると感じると回答した要因についてもお聞きしたところでございますが、こちらにつきましては、各種メディア-新聞やテレビ、インターネットなどでございますが-での震災の取り扱い、あと、自分自身の意識といったことが多く挙げられているところでございます。
〇工藤勝子委員 そういう中において、3月11日が間もなくやってきます。県と釜石市の合同で追悼式が行われます。実施する市町は4市1町、それから、実施しないとしたのは6町村であります。
 こういう形の報道の中で、市町村によって犠牲になられた方々への思いは皆同じであろうと捉えているところでありますが、この状況を県はどのように捉えていますでしょうか。
〇澤田復興推進課総括課長 追悼の関係の御質問でございますが、震災から間もなく12年ということで、年数がたつに従いまして、被災地での御遺族でありますとか被災された方々の思いも徐々に変化してきております。そういった中で、地元の市町村におきましても、追悼の場の持ち方は、さまざま議論を重ねる中で、当初、追悼式典という形で開催してきたものが、徐々にそういった場を取りやめて、被災された方々が静かに故人を思うといった場にかえてきているような面もございます。
 いずれ、県といたしましては、そういった地域の方々の思いを十分尊重する形で、県として3月11日にどういった形で行うのが望ましいのかということも毎年検討を重ねてきております。そういった中で、今年度につきましては、釜石市と合同開催ということで、この3月11日に挙行させていただく予定でございます。
〇工藤勝子委員 私も、ここにいる県議会議員の皆さんも、それぞれの開催される場所に行って追悼式に参加しているわけです。行って、いつも思うのですけれども、追悼の言葉を聞いて、私たちは献花して終わりです。それで解散となります。私が言いたいのは、こういう形でいいのかということです。
 つまり、風化も進んでいる中で、コロナ禍もあったからなかなか難しい面もあったと思いますけれども、仏様の月にすれば十三回忌に当たるわけです。そうすると一つの区切りになるかもしれないのですけれども、そういう中において、例えば、語り部の人たちがいらっしゃるわけです。そういう人たちの話をせっかくの機会だから皆さんにお聞かせするとか、それから、子供たちの風化も進んでいるのです。まして、12年も経過すれば、体験しない子供たちも年々多くなってきている中で、やはり子供たちをその追悼式に参加させる。子供たちにも取り組んでいる様子を皆さんに伝えるとか、追悼式のやり方、方法を今後県として検討しようとしているのかしていないのか、お伺いしたいと思います。
〇澤田復興推進課総括課長 県では、東日本大震災津波で犠牲になられた方々を、県民を挙げて慰霊、追悼し、復興に向けた決意を新たにする機会とするため、平成23年度から毎年、被災市町村と合同で追悼式を開催しております。
 黙祷、献花等の式次第でありますとか、追悼のための郷土芸能披露、合唱団体による献唱の実施など、追悼式の持ち方につきましては、合同開催をいたします市町村の意向を最大限尊重いたしまして、御遺族、被災者の方々に寄り添い、ともに慰霊、追悼することを基本としてこれまで開催してきたところでございます。
 今後の追悼式のあり方につきましては、こうした考えを基本としつつ、今、委員からも御指摘のありました点も踏まえつつ、どのような形で開催することがより適切であるか、引き続き検討してまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 ぜひ、集まった人たちが、やはり同じ思いに、東日本大震災津波を語り継ぐ日条例もありますけれども、大切な人を思う1日にするために、もう少し検討していただきたいということを提案したいと思っております。
 今、新聞とかマスコミにおいても、日本海溝・千島海溝を震源とする巨大地震の報道が非常に多くなってきております。こういうことが果たして本当に起きるのかというようなことを私たちも考えているわけです。私たちが生きているうちに、またこんなことがあってはならないと思うのですけれども、自然のなりわいですのでどうにもならないのですが、そのためには、やはり、県も犠牲者ゼロを目指す対策を進めているわけです。そうすることによって、いかに一人一人が防災意識を持って日ごろ訓練をしながら、自主防災組織づくりも非常に大事になってくる。
 お話を伺いますと、内陸部より沿岸部のほうが、なかなか組織づくりができていないという話もある。一番肝心な沿岸地域にしっかりとした防災組織を立ち上げて、リーダーを養成していかなければならないと思っています。
 そういう中において、結局、浸水地域が拡大するということも報道されて、浸水域も出されているわけであります。これを今後見直していかなければならない作業に入るわけですが、まず、この浸水地域の拡大については、どのように捉えていますか。
〇戸田防災課総括課長 浸水域の拡大につきましては、最悪の場合を想定して作成しているところでございまして、これ以上は恐らくないだろうというところを想定しているところでございます。まずは、この浸水域についてきちんと県民の皆さんに御理解いただいて、それを踏まえて避難の対策をとっていただくことを市町村と県と一緒になって、連携していろいろな施策を講じていきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 これは、市町村で見直しをしていかなければいけないのだろうと思いますけれども、連携と申しましょうか、そういう対策については今後進めていこうとしているのですか。
〇戸田防災課総括課長 今後の減災対策につきましては、現在、市町村とともに検討部会を開催しておりまして、ことしの夏ぐらいをめどに減災対策について取りまとめをしたいと考えており、市町村と一体となって検討していくという形で、今進めております。
〇工藤勝子委員 この自主防災組織づくりでありますけれども、リーダーの役割は非常に大きいわけであります。多分ここの中に、沿岸地域にも、若くなくても、50代、60代で元気な人たちが、俺が中心になってやるのだというような人が出てくれば、その組織はでき上がるものだと思っております。
 内陸部のほうを見ていますと、私の地域を見ても、組織は確かに組織化されてあります。けれども、一回も訓練するわけでもなく、そういう防災の話をするわけでもない。でも、沿岸部は違うのだろうと思うのです。そういう面において、ぜひ沿岸地域の自主防災組織をしっかりと立ち上げるようなことに県として取り組んでいってほしいということをお願いしたいと思います。
 その中で、地域防災活動に参加している子供たちの、アンケートがありました。県内公立50校の防災アンケートがありまして、巨大地震津波発生の被害想定の内容を知らない児童生徒の割合が7割になってきているということです。けれども、3割は、地域防災活動に参加して知っているということです。ですから、子供たちにとっても、自分たちの住んでいる地域において、自主防災組織があるかないかによって認識が違ってきているということを重く受けとめていただきたいと思っております。
 例えば、復興防災部として教育委員会とこういうお話、連携のお話をされているのでしょうか。
〇戸田防災課総括課長 教育委員会との連携ということでございますけれども、当部といたしましても、教員の方々を対象にした防災の研修などもさせていただいているという実績もございます。それから、地域防災サポーター制度がございまして、一定の防災に関する知見を持った方々を自主防災組織ですとか小学校、中学校などに派遣して、防災に対する知識を高めていただいて防災力を上げようという取り組みもさせていただいております。そういった取り組みの中で、連携しながら防災力の強化に努めているところでございます。
〇工藤勝子委員 次に進みますけれども、公助という形で、災害マネジメントサイクルという事業が新規で出されました。災害からの教訓、知見を生かし、事前の備えから復旧、復興までの一連の対策を次の災害への備えにつなげていくと。応急対応フェーズ、それから復旧、復興フェーズ、これは手順だそうですけれども、円滑な移行への仕組みづくりと言っています。
 その中で県は、デジタル技術を活用した防災DXということも出てきておりました。今後検討すると言っていますけれども、やはりこれは、このサイクルについてデジタル化ができるのでしょうか。
〇高橋復興危機管理室企画課長 来年度の新規事業といたしまして、復興防災DX推進事業費を計上しております。こちらの事業におきましては、災害時におけるドローンの導入を促進する取り組みと、災害対応力の強化に資するDXの調査研究に取り組むこととしております。
 このうちの調査研究の部分でございますけれども、学識経験者や民間企業の専門家などで構成する研究会を設置いたしまして、DXの推進により災害対応力の向上が見込まれるような対策につきまして、調査研究を行っていきたいと考えているものでございます。
 このDXの調査研究に当たりまして、災害マネジメントサイクルにつきましては、今、委員からも御指摘がありましたとおり、これまでの災害の経験等を踏まえまして、その中で得られた教訓、知見を踏まえて、災害に対する事前の備えから復旧、復興までの一連の対策を次の災害につなげていくということでございます。
 そういった考え方につきまして、今、岩手県立大学とも地域共同研究等を行って、それぞれ先進事例の収集等を行っているところでございます。そういった中で得られてきた知見を、DXの取り組みの中にも反映させていきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 国のデジタル庁では、神戸市で災害時に避難所運営をデジタル化するという実証実験を行っております。避難所の受け付け業務などのデジタル化で、ある程度運営を効率化できるという検証をしております。また、福岡県福岡市と新潟県でも実証されております。これは避難所とかでしょうけれども、システムの活用で入退所にかかわる作業時間が8割から9割短縮できたとしているのです。そうすると、今後、防災DXの組み立てが非常に大事になってくるのだろうと私は捉えているところでもあります。
 県としても、東日本大震災津波という未曽有の被害を受けた県として、ぜひ国のこういうデジタル庁の力をかりて実証してみるというような提案をするとか、ぜひ我が県でもやってほしいとか、そういう働きかけはやれますかやれませんか、やろうとしますか、いかがでしょうか。
〇高橋復興危機管理室企画課長 今お話がありました防災DXの取り組みということで、避難所の受け付け業務の効率化でありますとか必要な物資の管理のデジタル化といったことは、国でありますとか他の自治体等で実証実験等を行っていることは、我々もいろいろ調べている中で承知しております。
 こういった取り組みは我々も非常に大事だと思っておりまして、来年度DXの構想、研究、調査研究を立ち上げるに当たりまして、そういったところもぜひ議題に加えて検討していきたいと思っております。
 今後の対応を革新していくのがDXだと思いますので、国でやっているような避難所の効率化などをベースにして、さらに被災者の支援につながるような取り組みにも発展できればといったところもイメージとしては持っているところでございます。そういったところを来年度の研究会で幅広くアイデアをいただきまして、できるだけ実現可能なアイデア、構想等を取りまとめながら、必要なものについては、国等に対しても要望等を行っていきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 それでは、最後に復興防災部長にお聞きいたします。県の全ての課でこのDXとかGXという言葉が至るところに出てくるわけですけれども、この防災DXは、復興防災部として、どの程度の人材育成が進んでいるのか。これを使いこなせる人材について、復興防災部長はどのように考えているのかお聞きして、終わりたいと思います。
〇佐藤復興防災部長 DX関係の人材のお話がございました。県庁全体でDXの関係の取り組み等を進めているところでございまして、各部に、名称は忘れたのですが、システム関係といったことを使えるような若手職員となどを配置しながら、ローテーションを回しながら取り組んでいるところでございます。
 復興防災部にも若手職員、パソコンとかデジタルに強い職員はおりますので、そういった人たちの知見等も活用し、それから、高齢の職員も、現状にあぐらをかいていないで、今の状況がどうなっているのか常に勉強しながら、DXを使えるような人材をということで進めてまいりたいと思っております。
 いずれ、業務の効率化とか革新的なところDXの技術は物すごく有用だと思っておりますので、宝の持ち腐れにすることなく、これを使いこなせるような人材の育成も考えていきたいと思っております。
〇吉田敬子委員 性犯罪、性暴力被害者支援についてお伺いいたします。
 2022年に全国の警察が認知した刑法犯のうち、強制性交等の件数は前年に比べて19.3%増ということが2月の統計でわかっております。
 岩手県では、ワンストップ支援センターはまなすサポートセンターを設置しており、また、令和3年11月から24時間365日の相談体制とされました。夜間、休日の対応も可能になっております。
 これまでの委員会等で質疑をさせていただいた中でも、相談件数については増加傾向にあることであったり、年代では、10代から30代までが60%程度で多くを占めるという状況についての課題をお話しさせていただいておりましたけれども、県の相談件数の状況について、男女別、年代別での課題認識についてお伺いいたします。
〇多賀県民安全課長 本県の性犯罪、性暴力被害者のワンストップ支援センターであるはまなすサポートセンターにおける相談件数でございますが、令和4年度の相談総件数は、今年度2月末までで370件でありまして、昨年同時期に比べまして35件増加しております。
 男女別の相談件数は、男性が51件、女性が319件となっており、男性の相談件数もここ数年増加しております。また、相談者を年代別に見ますと、10代、20代の若年層の相談が223件と全相談件数の約60.3%となっております。
 このようなことから、被害に遭った場合には、年齢や性別を問わず速やかに相談してもらうことが重要と考えておりますので、さらなる制度の周知に取り組んでまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 これまでの質疑だと10代から30代までが60%だったのが、10代、20代でもう既に60%ということで、低年齢化しているのではないかということを改めて思っております。
 付き添い支援ということをはまなすサポートセンターではやっておりまして、法律、医療機関、産婦人科だったり精神科について行っておりますけれども、どのような状況になっているのか。県では、協力体制として産婦人科、そして精神科の協力を募って件数を上げておりますけれども、やはり医療機関とか弁護士の少ない地域があるということで、広域的な連携の取り組みの仕組みづくりが喫緊の課題だと思っておりますが、広域連携についても図られているのかお伺いしたいと思います。
〇多賀県民安全課長 はまなすサポートセンターによる付き添い支援の状況でありますが、令和4年度は2月末で25件となっておりまして、主な内容としましては、弁護士相談等への付き添いが6件、警察関連手続の支援が1件となっているほか、自宅訪問による支援が9件となっております。
 付き添い支援を必要とする相談者は県全域にいらっしゃいまして、県全域に対応しなければならないことから、相談者の居住地に出向きまして、公共施設などを利用して相談に対応しまして、必要に応じては、弁護士事務所への付き添いなど、相談者の希望に沿った付き添い支援を行っております。
 医療機関や弁護士の少ない地域もありますことから、必要に応じて、他の地域の医療機関等に連れていって対応するような形で、広域的な調整をして対応しているところでございます。
〇吉田敬子委員 自宅訪問も結構多いということで、やはり相談者のニーズに応じて、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 医療費の公費全額負担制度がありまして、これは、県と県警察本部でもそれぞれ事業が別でありますが、その助成の状況について、産科、精神科それぞれの現状と課題、実際の相談件数のうちの公費負担の割合と、そしてまた、例えば、そのうち妊娠がわかって妊娠を継続した件数とかがどの程度いらっしゃるのか、お伺いできればと思います。
 相談にまで行き着かないことのほうが多いというのが現状ではありますけれども、まずは、そこの相談に行き着いた後の体制をお伺いできればと思います。
〇多賀県民安全課長 先に、医療費の公費負担の状況について御説明いたします。
 医療費公費負担は平成29年度に制度化したところでございまして、これまで、産婦人科の受診では、平成30年度に4件、令和元年度及び令和2年度がそれぞれ1件、令和3年度が2件、令和4年度は2月末現在では実績はございません。また、精神科につきましては、平成29年度に4件ございましたが、それ以降は公費負担の申請はございません。
 この制度につきましては、県警察本部で行っております医療費及びカウンセリング費用の公費負担制度が適用されない被害者に対して支援を行っておりまして、近年の実績は、数字としては少ないものの、被害に遭われた方を広く支援するセーフティネットとしての役割は果たしているものと考えております。
 性犯罪被害者により望まない妊娠をして中絶に至らなかったケースにつきましては、はまなすサポートセンターで対応した案件や医療機関から直接通報のあった案件ともに、実績はございません。
〇吉田敬子委員 保健福祉部でも、特定妊婦と言われる支援が必要な妊婦の支援について議論させていただいているわけですけれども、ただ、それは行政や相談機関にかかった人はやっと何かしらの支援ができるのですが、そこに至らないケースのほうが多いということです。それが性犯罪、性被害であったり、または県内各地で望まない妊娠もあって、例えば生まれてすぐに子供を遺棄してしまったり廃棄してしまったりという事件が多数起きております。それは、実際には性暴力であったり性被害である可能性も多いということで、実際に県内の産婦人科の先生ともお話しさせていただきました。
 やはりそういった、なかなかどこにもつながらない、孤独になっている、相談ができない、特に若年女性が、妊娠したかもしれない、妊娠したとわかってどうしたらいいかという、その人たちを、保健福祉部もですが、やはり復興防災部も拾い上げていただかないことには、なかなか課題解決にはつながらないと思っておりまして、きょう取り上げさせていただいております。
 ことしの春に、承認されれば国内初の飲む中絶薬も解禁される見込みになっておりますけれども、どのような体制となるのか、どのように捉えているのかお伺いしたいと思います。
〇多賀県民安全課長 経口妊娠中絶薬の服用は、医師及び患者が十分に話し合った上で、医師の必要の判断に基づき処方されるものにつきまして、公費負担の対象となっております。
 この経口妊娠中絶薬につきましては、現在進行形ということで、間もなく国の調整が済み次第、通知があるものと思われますけれども、医療上の経口妊娠中絶薬が認められた場合には、各医療機関等へ、これらも公費負担の対象となることの周知を図ってまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 中絶薬のこともそうですけれども、新しいものが入ってきたときに、やはり連携体制をもう少ししっかりしていかなければいけないのではないかと私は感じております。
 実際に、性犯罪、性被害の女性を受け入れて診察をされた産科の先生にお話を伺いましたけれども、やはり警察から言われて受診をする問診票も県内で統一ではなかったり、産科の先生による温度差、性犯罪、性暴力とかに対する知識の差も見受けられるということです。せっかく県内で現在は33カ所ぐらいの協力機関を募っていただいているということで、産科の先生方にも大変感謝しなければいけないなと、ふだんの業務以外のことでも、夜間、一生懸命こういった活動をされているのだと私も思っております。
 ぜひ、関係機関との連携強化、県の来年度のいわて県民計画(2019〜2028)アクションプランにも充実強化ということでしっかり書いておりましたが、実際に、私がこれまでお話しさせていただいたことに関しての御所見と新体制の充実については、具体的にどのように行っていくのかお伺いします。
〇多賀県民安全課長 性犯罪、性暴力被害の支援につきましては、はまなすサポートセンターを中核としまして、各相談支援機関や産婦人科、精神科などの協力医療機関、それから、県精神保健福祉センターや保健所、保険薬局、弁護士会、警察が、はまなすサポートセンターとして連携して行う体制をつくっております。
 委員御指摘のとおり、ここのさまざまな連携をこれから強化していかなければならないと認識しております。これまでは、理解を得まして対応していただくような医療機関を各地にふやしてまいりましたが、ただふやすだけではなく、どのような対応をしていくかという共通認識等も、せっかくサポート体制ができておりますので、今後、情報交換や、先ほどの統一した問診票につきましても、御提案等あるものについて現実的に検討していくような、有効的な連携というのはそういうことかと思いますので、そういうものをこれから進めてまいりたいと思っております。
 特に、医療機関の果たす役割が大きいと考えておりますので、引き続き連携する医療機関をふやしていくことはそのとおりですが、これまでの産婦人科や精神科以外の診療科とも連携を図っていきたいと考えておりますし、一緒にさまざまな問題に対応していくことを関係者の中で共有していきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 相談にいらっしゃる方は本当にもう限られた人数であって、いろいろな事件事故になって、そこには男性がいて、本来は女性だけが加害者ではないはずなのですけれども、女性だけが被害者になって罪を償わなければいけないような現状が、岩手県内ですごくふえております。
 何とか相談につなげていただくために、今回もこういったカードをつくったり、小学校、中学校、高校生にもわかりやすいように来年度つくっていただけるということでありますけれども、自分が当事者になるとは皆さん思っていないわけです。それを相談しやすい体制づくりと、あとは、受け入れる側も、被害を受けて、それが二次被害になることもありますので、保健福祉部だけではなかなかすくい切れないのが現状ですので、ぜひしっかり連携体制をと強く願っております。
 性犯罪支援に携わる産科医師の方からは、やはり若者への性教育、性犯罪教育、暴力、どういったものが実際暴力なのかということ、性について知る機会、相談、身近な場所が必要とも話されておりました。県内でも性犯罪の若年化や望まない妊娠など事件も顕著でありますけれども、県の所感をお伺いしたいと思います。
 東京都では、ユースクリニックといって、とうきょう若者ヘルスサポートが先々月ぐらいに開設されたばかりですけれども、これは、性に対するオープンな場所として、若年層が相談に行きやすい、そして産婦人科、助産師、保健師など、さまざまな方が連携してつくられた。試験的に導入ということだったようですけれども、本当に身近な機関が大事だと感じておりますが、県の御所見をお伺いしたいと思います。
〇多賀県民安全課長 これまでも若者に対する性教育、それから性被害に遭わないための取り組みは行ってまいりましたが、性犯罪被害が低年齢化している状況を踏まえまして、これに対応していくためには、確かに、若者が悩みを相談できる場所の提供が必要かとは思っております。
 性教育や性犯罪被害に遭わないための教育は学校や教育委員会で行っておりますし、若年層の悩み相談に対する青少年悩み相談室などの取り組みなどについても、ほかの部局で行っております。
 私どものほうは、不幸にも性犯罪、性暴力被害に遭ったときに、はまなすサポートセンターが相談という形でのかかわりではございますが、相談とかの中で、例えばこういうことが原因でということがあれば、ただ聞いたということではなくて、こういうことがあったときには、こういう対応をしていればよかったということもあろうかと思いますので、私どもとすると、若者に関係するような相談機関等と共通認識とか情報提供するような形で対応してまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 先ほどは、県内では、はまなすサポートセンターに来た方では妊娠を継続した件数がなかったということですけれども、保健福祉部でも取り上げていますが、実際にそういった望まない妊娠だったりをした女性を受け入れる妊産婦の施設が今県内になくて、そういった取り組みを保健福祉部だけではなくて、性犯罪、性暴力という観点からも、ぜひしっかり取り組んでいただきたい。さらなる連携強化を強く願って、終わりたいと思います。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午前11時4分 休憩
午前11時17分再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇千葉秀幸委員 私からは、消防団員の確保対策あるいはこれからの消防団活動のあり方等について質問させていただきたいと思います。
 先ほどお話があったとおり、東日本大震災津波から12年が経過しようとしておりますが、東日本大震災津波のときの消防団員の活動に関しては本当に敬意を表するものであったと思いますし、同時に、震災に対する消防団の活動が今後どうあるべきかということも改めて考えさせられる、そういったことも思い出されております。
 まずは、令和5年度消防団員確保に関する新規事業について、事業内容と期待する成果について伺いたいと思います。
〇田端消防安全課総括課長 令和5年度の消防団員確保に関する新規事業についてのお尋ねでございます。
 各市町村とも消防団員の確保対策にはいろいろ苦慮されているところでございまして、我々、会議の場に訪問したりということで担当者とお話しする機会を設けております。
 そういった中で市町村の団員確保の取り組み状況で言いますと、個々の市町村では、市町村の広報紙への掲載あるいは現役の団員を通じた個別の勧誘活動という範囲にとどまっているということで、県による広域的な広報の強化を求める声が多くございました。
 そういったことから、来年度は、消防団員の確保に向けて、県と市町村が連携して、消防団の活動の紹介やイメージアップを図れるように、国の補助事業を活用しながら、SNSやマスメディア等を活用した広域的な広報を集中的に行うこととして、500万円の予算を要求させていただいているところでございます。
 この事業では、先ほど申し上げましたように、SNSやマスメディア等を活用してやるわけですけれども、団員確保に係る画像や動画等を作成して、各種の媒体を通じて広報するわけでございますが、県で作成した素材等を市町村でも利用できるような形で提供したいと考えております。そうすることによって、市町村の規模の違いにかかわらず、同じような質の広報を全県的に行うという波及効果もあろうかと思っております。
〇千葉秀幸委員 引き続き消防団員の数をふやすために活動していただきたいと思っておりますが、この広報活動等に際しては、基本的に、消防団の重要性とか活動とはどういうものかは、大体県民の皆さんは知っていると思います。その中で消防団員不足が懸念されておりますから、違う取り組み、また一歩踏み込んだ取り組みも必要だと思っております。
 今、民間企業にお勤めになりながら消防団員活動をされている方々が多くなっていることからしても、私は前の一般質問で取り上げさせていただきましたが、今後、改めて民間企業の御理解をいただくことが非常に重要なのではないかと思っております。私も消防団員の一人として、団員の確保に努めるときにも、近年は少なくなってきていますが、火災等があっても、勤めていることから消防団に入るのは非常に難しいとかという話もあります。やはり地元企業に密着しながら、そういったところに御理解をいただきながら消防団員の確保に努めていくことも必要ではないかと思っております。
 そういったことから、今後も、企業を巻き込んで理解をいただくことが必要と考えておりますが、現在の取り組みについて伺いたいと思っておりますし、あわせて、消防団員の今の数を機能別消防団等も含めてお示しいただきたいと思います。
〇田端消防安全課総括課長 まず、民間企業等への取り組みでございますけれども、先ほど委員の御質問の中にもございました機能別消防団員の確保に向けて、広報活動等をやっているところでございます。
 また、もう一つ、消防団応援の店ということもやっておりまして、消防団員に対して割引サービス等の提供を行うということで、消防団員の確保、それから、消防団活動を地域ぐるみで応援する機運を高めることもやっております。
 消防団員の数でございますけれども、本県の消防団員は、令和4年4月1日現在で1万9、674人となっております。
 消防団員は、高齢化等による退団等によって以前から減少傾向にございましたけれども、コロナ禍におきまして入団者数が一層減少したということで、減少の幅が大きくなっているところでございます。
〇千葉秀幸委員 33市町村それぞれで見ても規定の消防団員の数には達していないことから、改めて消防団員の確保が急務であろうと思っております。先ほど消防団応援の店という話もされておりましたので、ぜひそういったところの店舗の拡大も図っていただきたいと思っております。
 そんな中、コロナ禍によって、ここ数年、消防団員の活動に非常に制限がかかってきたのではないかと思っておりますし、私も肌で感じている一人であります。また、今年度からの活動状況とあわせて伺いたいと思います。
〇田端消防安全課総括課長 コロナ禍における消防団の活動制限についてでございますけれども、やはり委員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いまして、消防団の活動においても影響が出ているところでございます。県の操法大会、市町村の消防演習、各種訓練のほか、防災関連イベントの中止や規模縮小を余儀なくされたと伺っております。
 また、防災イベント等の中止や規模縮小に伴いまして、消防団員確保の取り組みを行う機会が少なくなっているということで、平成30年度の入団者数は846人でありましたけれども、平成3年度(後刻「令和3年度」と訂正)には493人と、コロナ禍以前に比べて減少しているところでございます。
 県としましては、先ほど申し上げました国の補助事業等も活用するなどして、団員確保に係る取り組みを市町村と連携しながら一層強化してまいりたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 消防団員がなかなか思うように確保できていないという話の中で、今、操法活動というキーワードも出てまいりました。この操法というのが一番のネックになっている一つの要因ではないかとも言われております。そういったことから、今後、操法活動に対しても対策あるいはメスを入れていく時期ではないかと思っています。
 もちろん数につれて練習の頻度はふえるのですが、一つの地元の大会も、多くの消防団は1カ月前ぐらいから練習を始めております。一方で、仕事をしながらということですので練習時間は朝ですとか夜に限られることから、大きな負担になっているというお話を伺っております。
 ことしから他県の自治体では操法を廃止するところも出てきております。ただ、一方では、改めて操法の大会を通じて、エンジンのかけ方であるとかホースの延ばし方であるとか、火災活動に対しても研修する状況は必要だと思っております。
 意見交換する場面もあると伺っておりますが、意見交換でもその辺の議論がそろそろ出てきてもいいのではないかと思っておりますが、詳細について伺いたいと思いますし、あわせて意見交換の出席者の構成についてもお伺いしたいと思います。
〇田端消防安全課総括課長 ただいまの御質問にお答えする前に、先ほどの答弁の中で、入団者数の減少のところで、平成30年度846人、次に、平成3年度と申し上げましたが、令和3年度の誤りでございますので、訂正させていただきます。
 先ほどの操法大会についてでございます。操法大会は、消防団全員の技術向上を図るため、全国、都道府県、市町村などそれぞれの単位で運営されてきたところでございます。
 近年、大会を過度に意識した訓練の実施ですとか大会での行動の形式化という指摘がございまして、消防庁でも、消防団員の処遇等に関する検討会の報告書が令和3年8月に出されておりますけれども、適切な大会運営に努める必要があるということで、随時の見直しを行っていくことが重要とされております。例えば、実際の災害に合わせた装備や内容による大会の実施ですとか、出動隊を輪番制にするなど毎年の訓練の負担軽減、順位をつけない発表会形式として過度な競技性を抑止するなどの手法が考えられるとしております。
 県内の市町村におきましても、毎年開催から隔年開催への変更ですとか、地区大会を開催せずに、県大会の出場者を輪番制でやるとかといった負担軽減の取り組みの動きもございます。
 先ほど委員の質問の中にございました市町村消防団事務担当者意見交換会を実施しております。その際にも話題に取り上げられておりまして、各市町村の現状や見直しに向けた取り組み状況等の共有を図っているところでございます。
 市町村消防団事務担当者意見交換会でございますけれども、こちらは、市町村の消防団事務の担当者を対象に、団員確保ですとか団員の処遇改善等について情報共有や意見交換等を行うために、令和3年度から実施しております。
 令和4年度は3回実施しておりまして、団員報酬等の処遇改善の情報共有、それから、消防庁の消防団等充実強化アドバイザーを招きまして、昨年度は女性消防団の活躍促進に係る研修を行ったところでございます。
 参加者からは、条例改正の具体的な検討をする上で参考になったなどの意見が多く聞かれております。市町村の取り組みを推進するために、引き続き、こういった意見交換会等の場を活用して、消防団の処遇に係る課題や先進事例等を市町村間で共有するなどして、市町村の取り組みが促進されるように支援してまいりたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 実は、おとといも盛岡市で火災が発生しておりますが、火災の件数は年々減ってきております。ただ、もちろんそちらにも対応しなくてはいけないですから、代替といたしまして、例えば操法に関する研修会等は必要だと思います。
 ただ、岩手県はこれだけ広域ですので、今後は、沿岸部に対してもポンプの操作手順等の研修ももちろん必要ですが、例えば津波が発生したときの対応、内陸部になると、例えば山で遭難する方とか河川の氾濫、ため池の氾濫等もあるので、そういった近年の激甚災害に対応した研修等のほうが、今後より一層必要であり求められていることではないかと思いますが、その辺に対しての認識について伺いたいと思います。
〇田端消防安全課総括課長 委員御指摘のとおり、年々火災件数は減ってきております。逆に大規模火災等ということもございますけれども、そういった中で、気象災害ですとか地震津波等に対応するために、消防団は、災害等における共助、公助の中核をなす大変重要な役割を担っていると認識しております。
 そういったことから、やはり消防団員のスキルとして、火災だけではなくて、災害現場等での対応等についてのスキルも身につけていただくことも必要と思います。
 県では、消防学校や消防協会に委託して、それぞれの段階での研修等も行っているところでございます。そういった中で、今、御提言のありましたようなことも踏まえながら、引き続き支援してまいりたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 引き続きそちらの研修等も力を入れてよろしくお願いしたいと思っております。繰り返しになりますが、意見交換を通じて、先ほどの他県の自治体の例等もございますので、今後どういった消防団としての活動が求められるか。もちろん市町村単位での判断だったり活動とはなっておりますが、やはり、例えば地元の消防団長等にしても、まずは、自分がやっているときはこれまでどおりでいいのだという無難な選択肢を求めがちです。これからは、そうも言っていられない消防団員の数でもありますし、活動内容にも理解されながら、今後の消防団としての重要性をしっかりと示していくためにも、県からも御提言をよろしくお願いしたいということを申し上げて、質問を終わります。
〇岩崎友一委員 私は、東日本大震災津波からの復興、特に経済に関して質問させていただきたいと思います。
 県では、いわて復興ウォッチャー調査をやっております。この結果を見ますと、直近のデータですと、地域経済の回復度、回復したが18.6%、やや回復したが29.7%、合計して48.3%になっておりまして、前回調査が51.2%ですから、それよりも下がっているということです。経済がいまだに厳しい状況にあるというのは去年もおととしも代表質問で取り上げております。
 それで、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの中で第1期復興推進プランの取り組みの総括を見ますと、なりわいの再生は119指標中、進捗率が80%以上の指標は101指標、84.9%です。ですから、県の指標はかなりいい数字だと思うのですが、現実の客観的な指標としては、経済が回復しているかというと、もう半分以下、48.3%。このギャップについて、まず御説明をお願いしたいと思います。
〇澤田復興推進課総括課長 被災地の経済対策についてでございますが、県ではこれまで、被災した漁船や養殖施設の復旧を支援してきたほか、グループ補助金を活用した施設、設備の復旧支援でありますとか、岩手産業復興機構による債権買い取りの金融支援等によりまして、8割を超える被災事業所が事業を再開するなど、水産業や商工業を初めとするなりわいの基盤は整ってきたものと認識しております。
 一方、先ほど委員から御指摘がございました、先日公表いたしましたいわて復興ウォッチャー調査では、地域経済の回復に関する実感といたしまして、回復した、やや回復したと回答した人の割合が48.3%にとどまっております。この割合につきましては、令和2年1月以降の調査から下降傾向にございまして、こちらにつきましては、主要魚種の不漁でありますとか、コロナ禍、物価高騰など、昨今の、我々新しい課題と呼んでおりますが、そういった震災直後に想定していなかった課題が出てきたことが、大きく影響しているものと考えております。
〇岩崎友一委員 私が懸念しているのは、県の指標は84.9%と。ただ、客観的な指標は半分以下の人しか回復したと思っていないというのは、そもそも指標の設定自体がおかしいのではないかと思います。
 今、コロナ禍もあって物価高もあってと御答弁がありましたけれども、こういった指標に関しては弾力的に見直すというように、これは復興防災部だけではなくて、ほかの部局も含めてそういった答弁が見受けられるのですが、事情が変わったのであれば、指標もしっかり見直していく必要があったのではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
〇澤田復興推進課総括課長 指標の関係でございますが、今年度までが第1期復興推進プラン期間ということで、4年間取り組みを行ってきたわけでございます。こちらにつきましては、その前の東日本大震災津波復興計画の実施計画から引き継ぐような形で、これまでの復興の取り組みが、ハード事業を中心に県が直接実施する事業が多くございました。そういった事業の効果を具体的に測定する観点から、プランの中に構成事業を掲載するとともに、主にアウトプット、活動内容と言われている指標を設定いたしまして、その取り組みで進捗状況を把握してきたところでございます。
 やはりハード事業が中心ということで、道路であるとか港湾であるとか防災施設とかといった観点での指標選定が主でございました。御承知のとおり、ハード事業が大きく進展しておりまして、今後の課題はソフト事業ということがございます。第2期復興推進プランの策定に当たりましては、中長期的に取り組むべきソフト事業を中心に、政策推進プランと一体的に取り組むことも視野に入れながら、施策ベースでの記載に変更するとともに、アウトカムの指標、成果指標と言われるものを主に掲載することによりまして、より復興の進捗を把握していきたいと考えているところでございます。
〇岩崎友一委員 そもそも論で聞きたいのですけれども、被災者の生活の回復度や安全なまちづくりは、かなり実感としても客観的な指標としても伸びてきましたが、私は経済に物すごく困っていまして、私も現地にいますから、それを肌で感じている状況です。
 今48.3%ですね。県としては、これから4年間の第2期アクションプランがスタートするわけでありますが、4年後に、この48.3%をどこまで持っていこうとしているのか。客観的な数字として、8割なのか9割なのか、その辺の目標がなければなかなか事業もつくっていきづらいだろうと思うのですが、その辺の県のお考えをお聞かせください。
〇澤田復興推進課総括課長 まず、岩崎友一委員からお話のございましたいわて復興ウォッチャー調査の関係でございますが、こちらにつきましては、東日本大震災津波からの復興状況を定期的に把握することを目的に、被災地域において復興の動きを観察できる立場にある方々の御協力をいただきまして、一人一人の復興の実感に基づき調査を行っているものでございます。
 このような調査の性格上、経済の回復に対する実感度を具体的に、いつまでに、どこまで上げればよいかというような目標値をこちらの調査の中で設定することは難しいと考えております。
 このため、第2期復興推進プランにおきましては、プランに掲げる指標、施策を確実に実施することによりまして実感度をより高めていくことができるよう、取り組みを進めていきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 私は、やはり目標をつくらないといかんと思うのですね。決していわて復興ウォッチャー調査によらなくてもいいと思うのですが、実態ベースで、震災前と比べて売り上げが回復したという事業者にアンケートをとってもいいですし、何かしらの指標をもとに、ここまで行こうというゴール、目標を決めないと、だらだら行ってしまうと、今、第2期復興計画の指標も見ましたけれども、果たしてこれで本当に経済の実感が上がっていくのか、被災企業の売り上げが回復していくのかと思うと、これは非常に厳しいと思います。
 第2期復興推進プランはまさに迷走しているような状況としか受け取れないので、ぜひ、まずゴールを、4年後にはこうしようというような目標を県庁全体で共有しないと。これは、結構各部局にまたがりますから、そういったものを、みんながここを目指すというのが見えないといけないと思いますので、そこをしっかり考えていただきたいと思います。
 先ほどの答弁にもありました。あと、報道各社の合同インタビューで、知事は、主要魚種の不漁は大変著しいものがあり、コロナ禍、物価高という問題も重なったと。特に被災地は、震災で足腰が弱っているところに新たな危機が到来した格好で、ほかの地域と比べても影響が大きい。自己責任では済まされず、公による支援が求められる局面だと。先ほど臼澤委員の答弁にもあったわけですが、まさに私もそう思っています。
 これは確認と提案なのですけれども、今回、新型コロナウイルス感染症対策、物価高対策で事業者への支援策が幾つかありましたけれども、被災地が複数ローンを抱えているという厳しい状況にあって、被災した企業に対して、例えば支援金を増額しようとか、支援金の条件の緩和、コロナ禍前と比べて30%減とか50%減とかいろいろな条件がありましたけれども、その辺の緩和は協議されたものなのかどうかお伺いいたしたいと思います。この視点は大事だと思いますので、今後、そういった部分を復興防災部として次の事業に生かしていくおつもりなのかどうかも含めてお伺いします。
〇澤田復興推進課総括課長 ただいま御質問のありました被災事業者の方々へのこれまで行ってきた支援の条件といいますか内容を見直すとか緩和するとかといった話につきましては、所管部局ではございませんので詳しく御答弁することはできないのですが、そういった大きな見直しを行うという話は把握しておりません。
 ただ一方で、こういった支援を受けた事業者が、しっかり立ち直って、震災前以上に事業展開できるようさまざまな支援を行っております。例えば、新たな事業を立ち上げるとか販路開拓をするとかといった取り組みに対する支援メニューを新たに設けたり、あとは、専門家を派遣して事業計画を見直すとか、そういった事業所のさまざまな段階に応じた形での支援メニューを整備するような形で事業を展開しているところでございます。
 第2期復興推進プランにおきましても、そういった地域の実情をしっかり把握した上で、その課題に対応するような施策を各部局とも連携しながら取り組んでいきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 いろいろやってきたと言いますけれども、いわて復興ウォッチャー調査の結果も48.3%。私も調べていませんけれども、震災前よりも売り上げがよくなったというのは本当にごくわずか、今も厳しい状況にあると思っております。担当は商工労働観光部になるかと思いますけれども、復興防災部が全部をグリップする立場でありますから、ぜひ、今後の支援に関して、被災企業のこういった事情を踏まえた上で、支援金の増額であったり条件の緩和はお願いしたいと思います。
 我々も、皆さんもそうだと思うのですけれども、住宅ローンを二つ抱えても大変だと思うのです。三つ抱えたら生活はかなり苦しいですよね。被災地の企業はまだそういった状況にあることを認識の上、今の件は提案させていただきますので、御検討いただきたいと思います。
 それと、2019年に行いました三陸防災復興プロジェクト。私は、当初、時期尚早ではないかという話をしましたが、ラグビーワールドカップも行われる、そういった契機を生かしてやりたいということで開催されました。いい面もあったし反省面もあったと思うのですが、私は最後、もしこれをやるのであれば、選挙の年だったのですが、選挙対策にならないように、2019年だから、2020年以降も継続してやるべきだ、これが風化防止にもつながる、新しい人とのつながりだったり、そういったものにつながるということで継続性を訴えてきたわけであります。
 結果としては、一部の事業は地域経営推進費の中で沿岸広域振興局がつないできたものもあるのですけれども、これが1回で終わってしまったら、まさにそのとき私が指摘したように選挙対策になってしまうので、これは、今かなり風化が進んでいる中にあって、コロナ禍も落ちついてきましたので、またこれを継続してやっていく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇澤田復興推進課総括課長 三陸防災復興プロジェクトにつきましては、他部局で直接所管しておりますので詳しく申し上げることはできないのですが、委員お話のとおり、被災地の復興を図っていくには、多くの方々が沿岸部に来ていただきまして交流を図っていくことが非常に重要ではないかと考えております。
 コロナ禍の中でなかなか人の行き来ができない状況が続いておりましたが、コロナ禍も大分おさまってまいりまして、人の流れも大分コロナ禍前に近づいてきている状況にありますし、三陸沿岸道路を初め交通ネットワークが整備されている中にあって、これから多くの方々に沿岸部に来ていただくことが期待されております。
 当部におきましても、他部局とも連携いたしまして、こうした人の流れをつくってまいりたいと考えております。当部で所管しております陸前高田市の東日本大震災津波伝承館は、多くの方に来館いただいておりますので、そういった方々が、伝承館への来館を契機に、沿岸部の北のほうを初め、県内を周遊するような取り組みといったものについても、連携をとりながら行っていきたいと思っております。
 さまざまな取り組みを展開することによって沿岸被災地を盛り上げていくように、今後とも各部局とともに取り組んでいきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 各部局との連携もそうなのですけれども、最終的に復興防災部が復興全般はグリップしていると思いますので、しっかりとそこはグリップをきかせていただきたいと思います。
 本当に、三陸沿岸道路が縦横含めて完成しましたので、また2019年とは違う状況で開催することができると思います。また、被災地の復興まちづくりの状況も変わってきておりますし、新しい部分もあれば、まだ課題も残っているということもありますので、前回とは多分、事業に関しては継続する部分、変更する部分があると思うのですが、ぜひこの開催は求めたいと思います。これは本当に風化防止と被災地の経済対策にもなりますので、お願いしたいと思います。
 三陸防災復興プロジェクトの中では、まだ住宅地でも点在しているところがたくさんあります。陸前高田市、大槌町、山田町などは結構露骨だと思うのですが、そういったところに、全国から、こういった活用がいいのではないかというアイデアを募集したり、あとは、今、移転元地がありますけれども、これはいい悪いはあるのですが、震災前は被災地には平場がなかったので、今の移転元地で、平場ができたというのは、企業誘致のチャンスでもあります。
 こういった12年たってもまだ解決していない、そのまま残っている部分がありますので、新規事業者にしっかりとインセンティブを与えるような仕組みも必要だと思います。どういった企業を選ぶかに当たっては、実は、これは若者の流出に歯どめをかける点にもつながるのですが、やはり中学生、高校生などから意見を聞いて、そこにターゲットを絞って企業誘致をしていくことも、被災地の未来を切り開く上では重要な視点だと思います。ぜひこの点を進めていただきたいと思いますが、最後に所感を聞いて、終わります。
〇佐藤復興防災部長 今、委員から被災地のなりわいの再生の関係でいろいろ御提言いただきました。確かに、復興の4原則、安全、暮らし、なりわい、伝承と四つ掲げてございまして、最初に掲げていました安全や暮らしのほうは、大体形が見えてきたという印象がございます。ただ、委員御指摘のとおり、なりわいの再生は、まだまだ問題があると私どもも認識しております。それから、誘致企業等の被災元地、それから跡地の話もございました。これは市町村も非常に状況に苦慮しておりまして、復興庁等もハンズオン事業といった事業も用意して、それに手を上げたり、いろいろな取り組みを進めております。
 県といたしましても、こういった被災地の状況を踏まえまして、なりわいの再生、暮らしの再建、伝承・発信に引き続き力を入れて、市町村と一緒になって復興の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時52分 休憩
午後1時2分再開
〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇佐々木朋和委員 私から1点、いわての学び希望基金についてお伺いしたいと思います。
 令和4年9月定例会において、令和3年度、1、017件、1億6、084万円余の寄附額があったと。また、令和3年度末の基金現在高が63億8、620万円余。今後の修学支援等での活用見込みや継続が見込まれる事業の試算が60億5、200万円余と試算を残高が超える形で、今、ありがたい支援の金額になっているという答弁がございました。
 まず、その中で令和4年度の寄附件数、寄附額の現状と年度末の基金現在高、今後の活用の見込みをお示しいただきたいと思います。
〇澤田復興推進課総括課長 いわての学び希望基金に係る寄附状況等についてでございますが、本年度、令和4年度につきましては、本年1月までに715件、8、485万円余の御寄附をいただいており、令和4年度の活用額といたしましては6億1、661万円、今年度末の基金現在高につきましては59億3、879万円余となる見込みでございます。
〇佐々木朋和委員 9月定例会のときにお聞きしたところ、今後の見通しの中で、まさにメーンとなる遺児、孤児の皆さんへの奨学金等の給付が10億8、000万円、一方で、教科書等の購入であるとか通学定期券の購入は、全体としては60億円という話がございました。
 今、遺児、孤児だけではなくて経済的に大変な皆さんへの支援、また、通学定期などは、沿岸被災地の学生の皆さんに広く支援していただいているところだと思います。一方で、この目的が条例で定められておりまして、著しい被害を受けた幼児、児童、生徒、学生などの修学の支援と、もう一つ、教育の充実のためという文言が記されております。
 私は、今の毎年の活用のされ方でいくと、13年後ぐらいになりますか、被災当時に生まれた方が大学院を卒業するまでの間に、この60億円余りが基本的には使われていくのだろうと思います。一方で、この支援策が、基金がなくなった後、今は広く被災地の皆さんの大学の一時金になったりということで教育の充実に非常に寄与していると思うのですけれども、その後のことを考えるならば、今後、人口が減っていく中にあって、教育の充実という形で地域として残していくことも重要なのではないかと感じているのです。
 そういった中でお聞きしますけれども、毎年の活用額、予算額と言ってもいいでしょうか、来年度は7億2、000万円弱を計上すると前もってデータをいただいていますが、この全体の額とか事業の決め方はどうなっていますか。
〇澤田復興推進課総括課長 今、委員から御紹介いただきました条例で定める基金の趣旨にのっとった形でどういった事業ができるのか、当部で各部局に照会いたしまして、そこで上がってきた事業について、条例の趣旨に合致しているかどうかを検討させていただきます。それを踏まえまして、財政当局とも連携をとりながら、必要と認められると考えられる事業につきましては、予算の調整手続をとりまして、予算化を図るという形で進めているところでございます。
〇佐々木朋和委員 来年度は7億2、000万円弱の予算規模ですけれども、そのうちで奨学金等給付そのものは2億円強ぐらいだということです。それ以外の部分の5億円程度はそこの部分ではない事業で使われていっているわけです。もちろん、それが必要ない事業だと言うつもりは毛頭ございませんけれども、例えば、今は各部局から事業を募集してという形がありましたが、その上限額とか大体このぐらいの規模というのはどのようにしてお決めになっているのですか。
〇澤田復興推進課総括課長 そちらの対象事業の検討に当たりましては、特に予算額の上限は設けておりません。どういった事業で、どういった方々を対象に行うのかを含めまして、適正規模なのかどうかといったところを、当部もそうですし、実際に予算の調整作業を行います総務部で関係部局と調整をとりながら事業化していくところでございます。
〇佐々木朋和委員 この適正規模というのが、奨学金等給付に使う部分が2億円ぐらいで、ほかの部分が5億円ぐらいあると。それが適正かどうかは、この先、この基金をその後どのようにしていくかということにもかかわってくるかと思うのです。13年後までに全部使い切ってしまうというのであれば、それでいいと思うのですけれども、沿岸被災地あるいは全県も含めて、教育環境の充実であるとか沿岸地域の子たちが、この基金によって大学進学という道が開けている部分をもっと後にも残していこうとか、これは目的の変更にもかかわってくることかもしれませんが、そういうことを見据えて大事に使っていかないと、今60億円あるものが、毎年7億円、6億円ずつ使われていって終わってしまうということで本当にいいのかということが、私が懸念しているところでございました。
 その中で、例えば今、この定例会でも話題となっておりますけれども、公立高校は今、一般財源からも繰り入れをしている中で、恐らく施設の老朽化あるいは機材等、部活動の施設もそうですが、そういった部分が全県的に見ても、また被災地で見ても、どれだけ予定どおりに進んでいるかは懸念されるところであります。この基金を使って、そういった設備にこれまでどのような形で使われてきているのか伺いたいと思います。
〇澤田復興推進課総括課長 委員から御紹介いただきました奨学金等の給付でありますとか教科書の購入費給付事業など、被災地の子供たちの修学の支援を行う事業以外で申しますと、例えば、震災の教訓を語り継ぎ、郷土の復興、発展を支える人材育成を一層推進いたしますいわての復興教育推進事業-副読本の作成とかといったものでございますが、あと、沿岸被災地の県立高等学校生徒の進路希望の実現のため、進学や就職について支援いたします県立学校復興担い手育成支援事業などに活用しているところでございます。
〇佐々木朋和委員 今年度だと釜石市の支援学校のスクールバス等に使われていると思うのですけれども、あとは、いわての学び希望基金の活用状況等を見ればさまざま、実業高校の機材であるとか部活動に使うものも載っているわけです。もしわかれば、そういったまさに学校等の設備について使われているものはどの程度あるのか、お示しいただけますか。
〇澤田復興推進課総括課長 被災地域の高等学校の実習用設備及び部活動設備の整備のため、平成28年度から令和2年度にかけまして、被災地域県立学校産業教育設備等整備費といたしまして、累計で2億5、500万円余を支出しております。
 その主な整備内容といたしましては、NC加工実習システム-数値制御の関係と伺っておりますが、そういったシステム、あと潜水器具、競技用ヨット、打楽器等、こういったものに活用させていただいております。
〇佐々木朋和委員 そういったまさに教育環境そのものに直結するような設備投資というものは、各高校からも要望があると思うのですけれども、その部分についてのこの基金の中での枠というのですか、何か決めていらっしゃるのでしょうか。
〇澤田復興推進課総括課長 先ほども御答弁申し上げましたが、特に枠の上限とかといったものは設けておりません。いずれ、どういった事業を行いたいのか、関係部局から上がってきた事業内容をこちらで見まして、この条例の趣旨にのっとっているかどうか、あとは、規模が、要は必要とされる生徒数に見合ったものであるかといったところを見ながら、総務部とも調整を図りながら事業化しているところでございます。
〇佐々木朋和委員 いろいろ御説明いただき、また、事業内容も見せていただきました。復興教育にも毎年2、500万円ぐらいずつ使われていっているわけでありますけれども、私は、まさに今後、被災地あるいは岩手県全体を見据えても、この基金が終わった後でも、教育環境の充実にもう少し注目をしてやれば、その後にもつながってくるのではないかと思います。今のままでは、確かに被災を受けた皆さんへの支援という意味では厚く広く行われているのですけれども、教育環境の充実という面では、この基金をきっかけに被災地あるいは岩手県の教育環境が充実したなと、そういったところにつながっていくのか疑問を感じているところです。
 県内の教育環境を見れば、被災地はもちろん、全県的にも、学校の施設老朽化や高校の学びのための機材や部活動のための施設等、予算が十分にとれずに事業化が追いついていないものが散見されるのが実情だと思います。条例の改正も見据えて、さきの県議会においては、十分な議論を踏まえ、改正することは十分あり得る、余り遠くない将来に検討を進めてまいりたいという答弁もいただいておりました。
 県教育委員会とも連携して、いま一度、教育環境の県内の課題を洗い出しするなど、令和5年度から検討をスタートするべきと思いますが、今後の予定を伺いたいと思います。
〇澤田復興推進課総括課長 いわての学び希望基金に係る検討についてでございますが、先ほど委員から御紹介がありましたが、この基金につきましては、条例におきまして、東日本大震災津波により著しい被害を受けた幼児、児童、生徒、学生等の修学の支援、教育の充実等のための事業に要する経費の財源に充てることとされており、こうした条例の趣旨に賛同した方々からの御寄附によりまして事業を実施しているところでございます。
 一方で、基金設置から年数が経過したことによりまして、支援事業の対象となる子供たちが減少してきていることもございます。これまで御寄附をいただいた方々の御意向を十分に尊重しつつ、被災地の子供たちを取り巻く環境の変化でありますとか教育現場のニーズも踏まえながら、基金活用の形としてどのような形が最もふさわしいのか、関係部局とも連携しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今の御答弁だと、来年度からそういった検討を本格化していただけるということでよろしいですか。
〇澤田復興推進課総括課長 基金の運用に当たりましては、これまでも、被災地の子供たちを取り巻く状況の変化でありますとかニーズに対応いたしまして、奨学金給付対象者の拡充でありますとか通学費用軽減のための新規事業の創設など、さまざまな見直しを随時行ってきたところでございます。
 そうした取り組みの中で、基金の活用の形としてどのような形が最もふさわしいのか、今、委員から御指摘ございましたが、令和5年度以降、関係部局と連携しながら検討を始めていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 私からは大きく2点ですけれども、まず、人口減少が進む中での防災対策についてお伺いいたします。
 先般、東日本大震災津波復興特別委員会で東北大学の災害科学国際研究所の柴山明寛先生をお呼びいたしまして、人口減少下におけるさまざまな課題あるいは今後の御提案を受けましたので、改めて、その辺を踏まえた質問をさせていただきたいと思います。
 柴山先生からは、20歳から74歳までのまさに社会を中心となって支える年齢が、この10年間で10万人減少してきているということです。2020年で80万人というような中で、毎年1万人ずつ減っているわけです。これからもその流れは、ある意味、抑えられない部分はあるのですけれども、そういった部分を踏まえた形で防災対策をどう考えていくのかを、やはりもうある程度人口減少を踏まえた形で対応していかなければいけないという問題意識で御質問いたします。
 初めに、避難行動要支援者の現状と課題についてお伺いいたします。
〇和田被災者生活再建課長 避難行動要支援者の現状と課題についてでありますが、市町村では、高齢者や障がい者等のうち、みずから避難することが困難な方を避難行動要支援者として把握し、名簿への掲載に取り組んでいるところでございます。令和4年5月1日現在、当該名簿に掲載されている避難行動要支援者は9万3、432人となっているところでございます。
 避難行動要支援者が避難生活を送るために特別な配慮がなされた高齢者福祉施設、障がい者福祉施設、児童福祉施設などの福祉避難所については、市町村がこれらの施設と協定の締結を進めて、令和4年5月1日現在、県内全市町村で合計391カ所が確保されているところでございます。
 避難行動要支援者への配慮の態様はさまざまとなっておりますことから、必要とされる施設の十分な確保、関係機関と連携した支援人材の確保が求められているところでございます。
 また、要支援者と避難を支援する方が一緒に避難する訓練を実施しているのは、四つの市と村のみとなっているところでございまして、訓練の実施による避難支援の実効性の確保が課題になっているところでございます。
 福祉避難所につきましては、既に施設に入所している方とか避難者のケアを担うスタッフなどの状況により、受け入れ可能人数が異なることもございます。これを随時把握することは困難でありますことから、県においては、旅館、ホテルあるいは宿泊施設などの活用、関係機関と連携した支援人材確保などを市町村に御提案しながら、十分な受け入れと運営体制の確保につなげられるように取り組んでいきたいと考えております。
 それから、避難行動要支援者の避難訓練につきましては、県の総合防災訓練において、個別避難計画に基づいた訓練の実施を働きかけているところでございます。
 今後におきましても、こうした訓練の実績等を紹介しながら、計画作成に合わせた訓練の実施を市町村に働きかけていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 御丁寧な答弁ありがとうございました。避難行動要支援者が9万3、432人、避難場所として391カ所ある中で、今御説明ありましたとおり、さまざまな課題があるということであります。
 この避難の課題を明らかにする上でも個別避難計画の策定は重要な意味を持つと思っておりますが、この策定状況と課題についてお伺いします。
〇和田被災者生活再建課長 避難行動要支援者の個別避難計画の策定状況と課題についてでございますが、令和4年5月1日現在、避難行動要支援者名簿に登載された9万3、432人のうち、個別避難計画が作成済みとなっている方は1万9、542人で、その作成率は20.9%となっているところでございます。
 市町村における個別避難計画の作成の取り組みにつきましては、高齢化等により避難を支援できる方の掘り起こしに苦慮していることであるとか、避難を支援する方の心理的な負担が懸念されるなどの理由から、地域における避難支援者の確保が難しいという課題があると聞いております。こういったことから、個別避難計画の作成が進んでいない状況と把握しているところです。
〇臼澤勉委員 まだ策定も20%程度ということで、ただ、なかなか進まない理由も今御説明いただきました。今後、公助のほうの対応は消防団員の確保も含めて限られてくる中において、自主防災組織の連携というか活躍も重要な役目として期待されてくるわけですけれども、この組織率を含む県内の現状をどのように捉え、課題を捉えているのかお伺いします。
〇戸田防災課総括課長 自主防災組織の組織率を含む現状と課題についてでございますけれども、まず、組織率につきましては、令和4年4月1日現在で88.5%、組織数は2、348となっております。
 組織率につきましては年々増加しておりまして、全国平均の84.7%を上回っております。東北6県で見ましても、山形県の91.8%に次いで高い結果となっております。一方、組織率については県北、沿岸部の一部が低いなど、地域間で組織率に差が生じていることが課題と考えております。
 もう一点、災害時に自主防災組織が実効性のある対応をするためには、防災に関する研修や避難訓練等の活動を継続的に実施する必要があることから、自主防災組織の活動の活性化についても課題であると考えておりまして、組織率の向上と活動の活性化の2点が課題であると考えております。
〇臼澤勉委員 これにつきましても、東北地方でも2番目に高い組織率、全国でも27位とか、そのくらいの高い組織率を有していると理解しておりますが、以前、県では実態調査をし、県内を回りながら課題も整理されていると理解しております。そういった課題を捉えて、新年度予算にどう反映し、今後どう対応していくお考えなのかお伺いいたします。
〇戸田防災課総括課長 新年度予算への反映状況についてでありますが、自主防災組織の組織率のさらなる向上や活動の活性化などの課題に対応するため、令和5年度に防災に関する資格や経験を持つ方を地域防災サポーターとして登録し、市町村等からの要請に応じて派遣する岩手県地域防災サポーター派遣事業、自主防災組織において指導的立場にある方や自主防災組織を結成しようとする方等を対象とする自主防災組織リーダー研修会、モデル地区を設定し、地区防災計画の策定を支援する地区防災計画策定モデル事業、自主防災組織の中核人材となる防災士を育成する防災人材育成事業を継続実施するとともに、防災人材育成事業の中に、これまで育成してきた防災士への新たなる知識の定着や、地域における実践的な活動の習得を目的とする防災士スキルアップ研修を新たに実施することとしております。
〇臼澤勉委員 何点か新年度予算のほうに盛り込んでいるということでございますが、柴山先生からの短期的あるいは中長期的な取り組みの提言を、多分担当部局でもごらんになっているかと思います。今後、いずれ人口減少、過疎化が進む、これは避けられない状況です。特に県北、沿岸地域においては、今後のこういう防災力、地域防災のあり方は、将来を見据え、ある程度の再編も含めて避けては通れない部分があろうかと思います。
 ただ、過疎化が進んだとはいっても避難所はなくすわけにもいかないでしょうし、そういった中で、今後、人口減少、過疎化に向けた防災力の詳細分析を県としてぜひ今から進めていっていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 次に、岩手県消防学校の整備の基本構想についてお伺いいたします。
 令和3年3月だったでしょうか、岩手県消防学校整備基本構想策定委員会を設置して、検討されていると理解しておりますけれども、今の検討状況と今後の予定についてお伺いいたします。
〇田端消防安全課総括課長 岩手県消防学校整備基本構想策定委員会の検討状況と今後の予定についてでございますけれども、岩手県消防学校整備基本構想策定委員会は、これまで計5回の会議の開催や他県の消防学校施設の視察などを行い、岩手県消防学校に求められる必要な施設、設備の内容のほか、広域防災拠点の構成施設として必要な機能について検討を重ねてきたところでございます。
 現在、これまでの議論の内容をもとに、あるべき消防学校の姿について委員会で取りまとめを進めており、今月末に開催する会議において審議いただくこととしております。
 今後は、委員会が取りまとめた内容を踏まえまして、来年度から県として整備基本構想の策定を進めていく考えであります。
〇臼澤勉委員 委員会でいろいろ御議論されているのは本当に敬意を表しますけれども、当初より若干おくれていると捉えております。今、この策定委員会の中で、さまざまな議論のポイントはあると思うのですけれども、主にこういったところで今いろいろと整理しているというところがあれば、改めてお伺いしたいと思います。
〇田端消防安全課総括課長 検討委員会での議論の方向でございますけれども、まずは、老朽化している校舎等への対応が必要であるということ、もう一つは、近年多様化、大規模化、複雑化する災害に対応する消防活動のニーズが高度化していることを踏まえまして、消防学校では、こうした状況下にあっても、消防職員等が適切に職務を遂行できるよう、必要な知識、技術を身につけるための教育を行う役割を担っております。
 このことから、消防学校においては、より実践的な訓練を行える環境を整えていく必要があるという議論が行われております。
 また、現在の消防学校は、岩手県広域防災拠点配置計画におきまして、支援部隊の現場活動支援機能や災害医療活動支援機能などを有する拠点として位置づけられておりまして、こうした機能を果たすことも役割の一つとして継続していく必要があるという議論となっております。
〇臼澤勉委員 消防学校については、東日本大震災津波あるいは平成28年台風第10号の災害時においても、SCUが設置されて、広域医療搬送拠点としての役割を果たしながら、御案内のとおり、岩手医科大学はドクターヘリしかとまれないヘリポートになっていて、防災ヘリがおりられないものですから、結局、あのときは岩泉町からも消防学校に防災ヘリとかが飛んできたりして、県内の救急搬送といった部分で大きな役割を担っているのは、もうそのとおりであります。
 いずれ、今後、この消防学校にさらにどのような機能を付加していくのか、整備方針についてお伺いしたいと思います。
〇田端消防安全課総括課長 岩手県消防学校整備基本構想策定委員会におけるこれまでの検討におきましては、まず、教育訓練施設については、先ほどの答弁と若干重複する部分もございますが、複雑多様化する災害現場での的確な判断力や対応力を養成できるように、実践的な訓練施設を整備すること、及び救急業務や予防業務の高度化に対応するための専門的な知識と技能を習得できる施設が必要であること。寄宿舎においては、プライバシーに配慮して、良好な学習環境を保つことができる施設として、感染症対策も考慮する必要があること。広域防災拠点機能については、その機能を十分に発揮できる施設とすることなどの意見があるところでございます。
 委員会では、こうした意見を踏まえて、あるべき消防学校の姿を取りまとめることとしており、県としましては、取りまとめの内容を勘案しながら、来年度以降、整備基本構想を策定していくことにしております。
〇臼澤勉委員 先ほどの人口減少、過疎化が進む中の防災対策の提言の中にも、今後、防災担当のスペシャリストの養成、専門職の市町村への派遣というような部分もあります。まさに、今後、消防学校の果たす役割や消防団の皆様の専門的なスキルアップの役割は、引き続き消防学校に求められていくというのはそのとおりだと思います。
 防災教育のあり方の部分で、消防学校の横に総合防災センターも設置して、子供たちも含めて市民の防災教育に活用しているのですけれども、今後のあり方のようなところもどんな議論になっているのか、最後に教えていただければと思います。
〇田端消防安全課総括課長 総合防災センターにつきましては、消防学校の整備基本構想の策定と並行して検討していく必要があると考えてはおりますが、現在のところ、その機能等についての検討は始められていない状況でございます。
〇臼澤勉委員 消防学校の整備とあわせ、広域防災拠点のあり方、そして、この防災教育についても総合的に絡んでくる話になると思いますので、ぜひ前向きな御検討をお願いしたいと思います。
〇斉藤信委員 それでは最初に、いわて被災者支援センターの取り組み、体制の強化についてお聞きいたします。
 知事演述でもいわて被災者支援センターの成果については触れていたと思いますけれども、今年度の実績はどうなっているでしょうか。
〇和田被災者生活再建課長 いわて被災者支援センターの今年度の実績についてでありますが、令和4年度は2月末までに163人から相談があり、昨年度から継続する相談者への対応と合わせて、延べ2、344回対応しているところでございます。
 また、相談内容としましては、家族に関する相談が44人と最も多く、次いで住宅、不動産が19人、債務が13人、家計が9人となっており、これらの相談が全体の約半数となっているところでございます。
〇斉藤信委員 簡潔過ぎましたね。例えば、相談対応回数は答弁にあったように2、344回、これが令和3年度は1、288回だったのですよ。ですから、本当に倍近くふえています。特に専門家の派遣、弁護士による相談が115回、生活設計などの専門家の派遣が18回です。複雑で困難を抱える被災者の相談対応ですから、こうした専門家による相談支援が毎週、県内4カ所でそれぞれ行われています。そして、これは1回に限らないから、その後のフォローも含めて相談対応回数が2、344回になっているのだと思います。
 それで、来年度わずかに委託費がふえました。ふえた内容、額を示してください。
〇和田被災者生活再建課長 被災者生活支援事業費になりますが、全予算額が4、298万3、000円となっております。そのうち委託料につきましては、令和5年度は4、112万3、000円となっておりまして、令和4年度と比較しますと186万3、000円増額されている状況となっております。
 内容につきましては、関係市町村や社会福祉協議会等と連携した相談支援等を強化することを考慮しまして、人件費を増額しております。特に、令和4年度は、相談支援員3名、事務員1名という経費で4名分計上しておりましたが、令和5年度は、相談支援員4名ということで、事務員は兼務という形で相談員を4名としたところでございます。
〇斉藤信委員 わずかにふやしていただいたと。これは評価しますけれども、人員は4名体制なのですね。事務員の分を相談員にして、これは事務兼任ということになりますから、本当に最小限の増加にとどまっているのではないか。取り組みの実績からいって、あと2人、3人ぐらい人員体制をふやさなくてはならないのではないかと思います。
 そこで、個別支援計画を作成してフォローアップをしています。個別支援計画がどれだけ作成されて、その結果、支援が終了した、継続している、この実績はどうなっているでしょうか。訪問同行支援の実績はどうなっているでしょうか。
〇和田被災者生活再建課長 個別支援計画の作成と支援の状況等についてでございますが、令和3年4月のセンター開設から令和5年2月末までの間に406人からの相談がございました。そのうち267人について個別支援計画を作成しまして、市町村等の関係機関のほか、専門的な支援が必要なケースについては、弁護士やファイナンシャルプランナーとも連携しながら、一人一人の状況に応じたきめ細やかな支援を行いまして、支援が完了した件数は173件となっているところでございます。
 また、訪問同行支援の状況につきましては、相談者の自宅への訪問や相談者とともに生活困窮の窓口等への同行など、これまで35人に対し、延べ52回対応したところでございます。
〇斉藤信委員 個別支援計画を作成して267人、完了が173人ですから、94人がまだ継続中ということになります。困っている人ほど相談機関にかかりにくいというのが特徴です。ですから、訪問、アウトリーチが必要だということがNPOなどからも指摘されている。
 その点で、私がいただいた資料では同行支援は29回となっているのですが、まだまだやり切れていないのですよ。そして、相談対応回数は2、344回と多いのだけれども、相談人数は令和3年度の243人から163人に減少しているのですね。だから、まだまだ相談対応しなくてはならない方々で行き着いていない方々がかなりいるのではないか。そういう掘り起こしもできるような体制が必要だと思いますが、いかがですか。
〇和田被災者生活再建課長 人員体制になりますが、委員も御指摘のとおり、新規の相談者数が今減少傾向にあることと、令和4年度の相談件数が増加した背景には、令和3年度に相談をした方々のその後の状況の確認を一斉に年度当初に行ったことや、県内、県外避難者のアンケート調査を実施しまして、その意向確認、その後のフォローなどに対応した回数も含まれていることから、一部、一時的に数が多くなった部分もございます。
 一方、支援を継続しなければいけない方の関係機関との連携の回数がどうしてもふえてきますので、そういった部分がふえてきた部分だと考えているところでございます。
 開設から2年間の状況を踏まえて、今回、職員配置の見直しを行ったところでございますが、今後、その相談の状況も注視しながら、体制等については、できる範囲で受託した団体と調整を図りながら進めていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 昨年度、今年度、県内外の避難者の調査をやりました。今年度は回答がなかった方々に調査して、そして、調査結果がまとめられております。この調査結果で、引き続き情報提供、支援が必要な方々がどれだけいるのか、そして、行く行くはふるさとに戻りたいという方々が何人把握されているか示してください。
〇和田被災者生活再建課長 まず、帰郷意向のある方の人数になります。調査をした結果、90名の方から、帰郷したい、いずれは帰りたいという回答をいただいております。そのうち70名の方からは御連絡を頂戴いたしまして、災害公営住宅の募集案内や県内の移住、定住を支援するいわて暮らしサポートセンターの情報などを提供して、市町村とも連携しながら、避難者それぞれのニーズに応じて帰郷に向けた支援に取り組んでいるところでございます。
 それから、調査の中でも、帰郷はしないけれども、何らかの支援希望がある方に関しては、数は拾い上げておりませんでしたが、センターで個別にお電話を差し上げて、そのお困り事をお聞きしながら、必要な支援を今年度実施しております。
〇斉藤信委員 2年間にわたってかなり丁寧に県内外の避難者の意向を調査して、90名の方々が行く行くはふるさとに戻りたいと。このフォローも引き続き重要になっていると思います。このいわて被災者支援センターは、そういう意味では、やはり継続的に中長期の見通しを持ってやるべき課題なのではないかと思います。
ところが、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランを見ますと、成果のところではいわて被災者支援センターという記述はあるのだけれども、今後4年間の活動では、いわて被災者支援センターという明記がないのです。これがいつまで続くのかということについて、センターの方が不安を持っております。少なくとも、このいわて県民計画(2029〜2028)第2期アクションプランの4年間はいわて被災者支援センターは継続するし、状況によっては、さらに中長期的な立場でやるべきだと私は思いますけれども、いかがでしょうか。
〇和田被災者生活再建課長 中長期の取り組みについてでありますが、令和5年度においても、いわて被災者支援センターを設置して、弁護士やファイナンシャルプランナーといった専門家や、市町村、市町村社会福祉協議会等と連携した相談対応などの支援を行うこととしております。こうした取り組みを今回、第2期復興推進プランに位置づけたところでございます。
 今後も、被災者の安定した生活に向けて、地域住民が抱える複雑化、複合化した支援ニーズに対応するといった支援体制については、市町村や市町村社会福祉協議会などとの連携を強化しながら、被災者一人一人に寄り添って実施していくと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 いわて被災者支援センターの活動の中身については、アクションプランで書いているのです。ただ、その主体がどういうわけか書かれていない。そこをしっかり位置づけてやっていただきたい。
 次に、災害援護資金の貸し付けと返済の状況はどうなっているか、返済できない方々への対応はどうなっているか示してください。
〇和田被災者生活再建課長 災害援護資金の貸し付けと返済の状況についてでございますが、東日本大震災津波に係る災害援護資金の本県の市町村における貸付実績は、令和4年12月末までの間に1、170件、30億3、200万円余となっているところでございます。
 また、貸付実績のうち、借受人から市町村への返済額は15億3、763万円余で、貸付金額に占める割合は50.7%となっているところでございます。
 そして、災害援護資金を返済できない状況への対応についてでございますが、令和4年9月末現在で、借受人の滞納件数は263件、滞納金額は2億3、400万円余となっているところでございます。
 県におきましては、借受人から市町村への約定償還が始まった平成29年度に、東日本大震災に係る災害援護資金債権管理等マニュアルを作成しまして、市町村に提供するとともに、同年から毎年、市町村担当者会議を開催しまして、円滑な償還に向けて市町村を支援しているところでございます。
 さらに、いわて被災者支援センターにおいても、経済面や生活設計の面などの相談に対し、ファイナンシャルプランナーや弁護士等の専門家が対応しており、借受人などの円滑な償還に向けた支援を行っているところでございます。
〇斉藤信委員 今、263件が滞納になっていて、支払い期日到来件数が996件、26.4%。4件に1件以上は滞納になっています。私はここに、被災者の大変深刻な生活実態があるのではないかと思います。
 阪神・淡路大震災のときは、20年以上かかってこの災害援護資金の滞納を免除するということが行われました。生活福祉資金の特例は、住民税非課税世帯の返済免除ですから、この災害援護資金についても、そういう手だてもしっかり国と協議しながらやっていただきたい。
 最後の質問、自衛隊に対する青年の個人情報の提供についてであります。
 自衛隊に対する個人情報の提供、県内市町村の状況はどうなっているでしょうか。全国的には、18歳、22歳等の青年の情報が提供されていますが、その情報提供の中身、根拠はどうなっているでしょうか。
〇戸田防災課総括課長 自衛隊に対する青年の個人情報の提供についてでございますけれども、まずその実態についてですが、令和3年度においては、県内全市町村が紙媒体等により情報提供を行っていると聞いております。
 情報提供している内容は、18歳に該当する方の氏名、生年月日、性別、住所であると聞いております。
 この情報提供に関する法的根拠でありますが、自衛隊法施行令第120条の規定により、防衛大臣は、自衛官又は自衛官候補生の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事又は市町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができるとされておりまして、この求めに応じて提供するか否かにつきましては、各市町村において判断しているものと認識しております。
〇斉藤信委員 自衛隊にだけ青年の名簿を提供するのは、求人活動にとっても不平等だし、何よりも本人に知らせずに個人の情報を提供する、これは許されないことだと思います。少なくとも、あなたの情報を提供していいですかという了解をとるべきだと思います。本当に今の自衛隊は災害活動だけじゃないですから。海外に展開するとか、これから敵基地攻撃能力にもかかわるような自衛隊です。私は、そういうことがあってはならないと思います。
 自衛隊法施行令、これは、求めることができるなのです。市町村に義務づけていないのです。こういうものは、その他の会社も求人活動をやっているのだから、自衛隊にだけ名簿を提供する。名簿の提供を受けた自衛隊が青年の戸別訪問をやっていますよ。こんなことは、本当に職業安定法上でも許されないことなのだと思うのです。その点について、求められたから提供するという安易な提供の仕方は見直すべきだと思いますが、いかがですか。
〇戸田防災課総括課長 市町村における個人情報の提供についてでございますけれども、各市町村が保有する個人情報の取り扱いにつきましては、各市町村の個人情報保護条例によりその取り扱いが定められております。各市町村においては、その条例の規定を踏まえて判断しているものと考えております。
〇斉藤信委員 提供しているのは市町村ですからね。しかし、今、自衛隊をめぐる状況も大きく変わっております。再び子供たちを戦場に送らないという思いも強まっているところでありますから、私は、自衛隊にだけ青年の情報を一方的に本人の同意なく提供するということはあってはならないと思います。このことを指摘して、質問を終わります。
〇千田美津子委員 最初に、東京電力福島第一原子力発電所の汚染水の海洋投棄に関連してお聞きいたします。
 県としてこの間、ALPS処理水の処理とか安全対策あるいは情報発信など、政府に対していろいろ働きかけをしてきたと思いますけれども、どのような働きかけがなされてきたのかお尋ねいたします。
〇武蔵特命参事兼放射線影響対策課長 ALPS処理水の海洋放出に係る国への働きかけについてでありますが、処理水の処分は、これまでの東日本大震災津波からの復興の取り組み、本県の自然環境や漁業を初めとする産業に影響を及ぼすものであってはならないと考えており、これまで、さまざまな機会を捉えて国に対し要望を行ってまいりました。
 令和4年度におきましては、政府予算要望のほか、国の復興推進委員会や復興大臣来県の際などにも、市町村や関係者等の理解を得る取り組みの継続ですとか、徹底した安全対策、あらゆる分野に対応した実効性のある風評対策、処理技術の研究開発の継続など、国内外の理解と安心が得られる取り組みなどを要望したほか、本県水産業が直面する固有の事情を踏まえて、不漁や風評に負けない強い水産業の実現に向けた支援についても要望しております。
〇千田美津子委員 機を捉えてさまざまな要望活動をしてきたという点で努力をされてきたと思うのですけれども、そういう努力のもとで、政府はこの間、関係者の理解なしにはいかなる処分も行わないということで約束していたわけですね。しかし、春からそういう状況にあるということが伝えられております。
 それで漁業関係者の理解が果たして得られたと県も感じておられるのか、県内関係者の理解はどのような状況にあるとお考えかお聞きいたします。
〇武蔵特命参事兼放射線影響対策課長 漁業関係者等の理解についての御質問でございます。
 まず、県ではこれまで、繰り返し国に対し、理解を得るための取り組みの継続を要望してきたところでありまして、昨年は、県主催による県の関係者等への説明会なども開催しております。
 令和4年度につきましては、国主催あるいは団体等主催のものも含めまして、2月末現在で計7回の説明会等が行われております。
 また、県、市町村と漁業関係団体との意見交換などを行っており、その場において、いろいろな意見等を聴取しております。この説明会や意見交換の場において関係者等から出された意見を見ますと、依然として安全性に対する不安、風評被害への懸念、さらなる丁寧な説明を求める声が上げられていると承知しております。国におきましては、こうした声に真摯に対応しまして、より一層丁寧な説明や不安、懸念を払拭する取り組みが必要であると考えております。
〇千田美津子委員 今御説明いただいたとおり、安全性に対する不安は依然残っているわけです。そういった点で、政府が約束した部分は、やはりきっちり守っていく必要があると思います。
 ただ、ことしの1月31日の県内の漁業関係団体への説明会の際に、岩手県漁業協同組合連合会は理解したのではないかというような報道がされたわけですね。それで私は、宮古市に行ったときに、何かそういう感じだったという話を聞いて、えっと思ったわけですが、その辺は県はどういう認識でしょうか。
〇武蔵特命参事兼放射線影響対策課長 1月の説明会における漁業者の受けとめ、御発言についての御質問でございます。こちらの説明会に出席させていただいたところですけれども、当日行われた安全性に関する説明に関しては理解したという御発言と私は受けとめております。
 その上で、安全性はわかったけれども風評被害が心配だ、あるいは漁業を継続して進めることができるのかが心配だといった不安の声が上がっていたものと承知しております。
〇千田美津子委員 やはり当事者としてみれば、大変な不安がずっと残っている状況にあるということだと思いました。
 実は、先月25日に福島県の若手漁業者の皆さんと経済産業大臣の意見交換会で、若手漁業者の皆さんは、理解醸成は全く進んでいない、新たな風評が起こる懸念があるときっぱり指摘をしたのです。
 私は、やはりそういう立場だということを、安易に言うことはわかったなどという話をすると、いろいろ誤解を招くわけですから、福島県の若手漁業者のような指摘、懸念を表明するのが非常に大事だと感じます。
 それで、世界でも今、汚染水の放出等の取り組みがなされていますけれども、例えば、イギリスの原発施設が集積されているセルフィールドのことを聞いたことがあるかと思いますが、ここは約半世紀以上にわたって廃炉と向かい合って、地域とともに処理の仕方も含めて研究を進めているということであります。
 関係者等に、どうやって理解を得てきたのかという質問をしたときに、担当者いわく、近道はないのだと。大切なのは、きっちり時間をかけて対話を繰り返すことが必要だと。フクシマは事故からまだ12年しかたっていない。自分たちは60年も70年もこのやりとりをずっとやってきたという説明がありました。ですから、日本も期限ありきで進めるのではなくて、より慎重な話し合いと取り組みが必要ではないかと感じました。
 それからもう一つ、セルフィールドでも、過去に1回、基準を超えた水を放出するというトラブルがあったそうなのですね。そのときに、問題が明らかになる前に、地元の方々に一番早く情報提供して、どうしたらいいかということを相談したと。そういう信頼関係をずっとつくってきたのがイギリスのセルフィールドの解決の状況です。
 何十年も取り組んできても、放射性廃棄物の処分についてはまだまだわかっていないわけですから、やはり日本でも、本当に拙速なやり方は絶対やるべきではないと感じるわけですが、いかがでしょうか。
〇武蔵特命参事兼放射線影響対策課長 処理水の処分に当たっての関係者の理解の進め方についての御質問と思います。
 まず、処理水の処分については、客観的なデータに基づいて、IAEAですとか原子力規制委員会の評価、検査のもとに進められるべきと承知しております。また、委員御指摘のとおり、関係者の方々の理解の進め方を丁寧にすべきということも、そのとおりでございまして、県ではこれまでも、国に要望を行ってきております。
 国では、昨年12月に策定した行動計画に基づきまして、さまざまなモニタリングですとか車座での意見交換の拡大などの取り組みもさらに強化、拡充していくとしているところです。
 このうち、本県の漁業関係者からの提案に基づきまして、ALPS処理水の中で海洋生物を飼う試験も東京電力で進められることになったことがございまして、こういった関係者の声を取り入れて、一つ一つ具体的に信頼関係を構築しながら取り組みが進められるべきものと考えております。
 県としては、引き続き、国内外の理解と安心が得られる取り組みを国に要望してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは次に、広域防災拠点設備等整備についてお聞きいたします。
 大規模災害に備えた防災体制をこれからきっちり構築するために、広域防災拠点への食料等の備蓄とか広域防災拠点配備計画等の見直しを検討されるようでありますけれども、今後どのようなスケジュールで、どう進められようとしているのか、それから、課題の洗い直し等はどのように行われてきたのかお聞きいたします。
〇戸田防災課総括課長 広域防災拠点施設等整備費の概要についてでございますけれども、広域防災拠点配置計画の策定から9年が経過しまして、復興道路の整備を初めとしたインフラ整備や、本県最大クラスの津波浸水想定等、外部環境の変化を踏まえまして、現況に即した内容への更新を行う必要があることから、今般、見直しを進めているところでございます。
 見直しに際しましては、有識者や防災関係機関から構成される岩手県広域防災拠点アドバイザー会議を令和4年度に設置いたしまして、復興道路等のインフラ整備の進展や最大クラスの津波浸水想定を踏まえた沿岸地域への広域防災拠点の配置、近年の風水害の頻発、激甚化を踏まえた想定する災害への風水害の追加、県境をまたいでの応援、受援に対応するため、県境地域への広域防災拠点の配置などについて、アドバイザーの助言を受けながら検討を進めているところでございます。
 令和5年度は、広域防災拠点活用可能施設調査を行いまして、その結果をもとに、岩手県広域防災拠点アドバイザー会議の助言を得ながら、令和5年度末に広域防災拠点配置計画を見直すこととしております。
 なお、県内五つのエリアに配置しました広域防災拠点施設に分散して災害備蓄物資を保管していることから、岩手県広域防災拠点配置計画の見直しに伴いまして、保管場所などを定めた岩手県災害備蓄指針についても見直しを行うこととしております。
〇千田美津子委員 来年度末までに新たな計画ができるということで、それはそのとおり進めていただきたいと思います。
 さきの東日本大震災津波で、五つの防災拠点があるわけですけれども、それらを大きく見直すとか、そういう必要性は出ていないでしょうか。やはりこれから相当程度の災害が起きるとなれば、広い岩手県土でありますから、それらもきっちりやっていく必要があるのではないかと思いますので、どうでしょうか。
〇戸田防災課総括課長 広域防災拠点の配置エリアについての御質問になりますけれども、現在、二戸、葛巻、盛岡・花巻、北上、遠野という5エリアに広域防災拠点を設置しております。
 沿岸部ですとか県境等には現在配置していないところですけれども、災害、風水害も検討に加えると答弁申し上げましたが、風水害となりますと岩手県のどこでも起こり得ることになりますので、岩手県全域をカバーするべく、沿岸部ですとか県境地域への配置について現在検討しているところでございます。
〇千田美津子委員 よろしくお願いいたします。
 それでは次に、地震・津波対策緊急強化事業費について、新規事業になりますけれども、これについてお尋ねいたします。
 本県最大クラスの地震、津波被害想定を踏まえた沿岸市町村が実施する避難対策や自主防災組織の育成、活性化等、犠牲者ゼロを目指す取り組みに対して助成をしていくということでありますけれども、津波避難対策の向上に向けた実証実験等についてはどのようにお考えか。それから、これは沿岸全市町村の参加が必要だと思いますが、どのような状況になっているかお尋ねいたします。
〇戸田防災課総括課長 実証実験についての御質問と考えておりますけれども、実証実験につきましては、昨年11月に沿岸12市町村と岩手県地震・津波減災対策検討会議を立ち上げまして、自動車による避難ですとか避難行動要支援者の避難のあり方など、市町村に共通する課題について検討を進める中で、市町村に共通する実証実験を実施いたしまして、そこで得られた知見や手段を各市町村と共有しようとするものでございます。
 実証実験の実施に際しましては、課題を有する市町村の意見を聞きながら、他の市町村のモデルとなる市町村の協力を得て事業を行うこととしております。沿岸全市町村というわけではないですけれども、モデルを幾つか選定いたしまして、そこで行われているものを各沿岸市町村の担当の方に見学していただくとか、そこで得た成果を横展開するということで、効果を全沿岸市町村に波及させていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 いわば、より効果的な対策はどうあればいいかということの事業になると思いますので、ぜひ、沿岸市町村を初め防災のための事業になるように、よろしくお願いいたします。
 それでは次に、浸水想定区域や土砂災害警戒区域内に位置する、先ほど避難行動要支援者の問題が出ましたけれども、私は、県内要配慮者利用施設の避難確保計画の策定状況、それから避難訓練の実施状況と今後の見通しについてお尋ねいたします。
〇戸田防災課総括課長 要配慮者利用施設の防災対策についてでございますけれども、まず、要配慮者利用施設の避難確保計画の策定率は、令和4年10月末時点では89.3%となっております。避難訓練の実施率につきましては78.7%となっております。
 県では、定期的に庁内関係部局との連絡会議を開催し、防災に関する情報共有や取り組みに係る意見交換を行っているほか、市町村と連携して、計画策定率の低い市町村での施設管理者等を対象とした講習会を開催するなど、避難確保計画の策定に取り組んでおります。
 また、令和4年度岩手県総合防災訓練において、住田町の要配慮者利用施設の避難訓練を実施したところでありまして、その成果を実施結果報告書に取りまとめ、市町村等に送付するなど、普及啓発に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、全ての対象施設において計画の策定や避難訓練が実施されるよう、市町村と連携して取り組んでいきたいと考えております。
〇千田美津子委員 避難計画の策定が対象施設1、306施設のうち1、166施設ということで、89.3%。少しずつは引き上がっているとは思うのですけれども、ただ、計画がなければ避難訓練もできないのだとは思いますが、この避難訓練は計画を立てたところの78.7%ということで、実は対象施設で割りますと6割の施設しか避難訓練をやっていないという状況にあります。
 第一義的には、この避難計画を全施設で立ててもらうことが第一なのですけれども、その上で、やはり要配慮者利用施設は、周辺の方々の援助がかなり必要になりますので、避難訓練も同時に行いながら、そういう機運を醸成する取り組みが私は必要ではないかと思います。6割の施設しかやっていないという状況を見て非常に不安に感じましたので、各自治体、それから利用施設で頑張ってもらうのと同時に、何か作戦を考えて取り組む必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇戸田防災課総括課長 委員御指摘のとおり、まずは計画の策定をしていただいて、それに基づいてきちっと避難訓練をやっていただくのは、確かに重要な点であると考えております。
 計画策定率の向上に向けた取り組みということでございますけれども、本年度につきましては、計画策定のおくれが見られる市町村を対象にしまして、昨年12月に、久慈市で計画未策定の施設管理者向けの講習会を実施したところでございます。施設管理者向けの講習会は、市町村を支援する取り組みとして有効と考えておりまして、来年度以降も継続して実施していき、計画策定率の向上につなげていきたいと考えております。
〇小林正信委員 私からは1点だけ、被災者の暮らしの支援について伺います。
 被災地において、コロナ禍、また物価高、エネルギー価格の高騰など、震災から12年がたとうとしておりますけれども、被災者の暮らしは復興とは遠いところにあるような気もいたします。
 まず、県としてコロナ禍、物価高の被災地への影響をどう捉えているのかという点をお伺いしたいと思います。
〇和田被災者生活再建課長 コロナ禍、物価高の被災地への影響についてでございますが、いわて復興ウォッチャー調査による地域経済回復度は、平成24年2月の第1回調査から、最も高い値となった令和元年7月の調査まで、おおむね右肩上がりで推移してきたところでございますが、近年、低下傾向にございます。新型コロナウイルス感染症の影響や物価高騰が影響しているものと捉えているところです。
 また、いわて被災者支援センターには、新型コロナウイルス感染症の影響による収入減少に関する相談も寄せられており、専門的な支援が必要なケースについては、弁護士と連携するなど、一人一人の状況に応じたきめ細やかな支援を行っているところでございます。
〇小林正信委員 いわて被災者支援センターの取り組みにつきましては、先ほど斉藤委員から質疑がございました。私も取り組み状況を聞こうと思いましたけれども、十分詳しく教えていただきましたので、割愛したいと思います。
 しかしながら、いわて被災者支援センターの取り組みのやり方、仕組みというものが、市町村の困窮支援のところとか家計支援をやっているところとしっかり連携していくことが大事なのではないかということは、以前もお話をさせていただきました。今の支援センターの取り組みを充実させつつ、これをしっかり各市町村に引き継ぐような枠組みもつくっていく必要があると思います。
 それで、しっかりその部分の手当てもしたというような答弁も先ほどございましたけれども、また、この取り組みが、被災者の状況に応じて、相談者に一番適した支援をしっかりつくっていくというところで、いわばオーダーメードの支援を提供する仕組みでございます。私も以前取り上げさせていただいた、災害ケースマネジメントの手法を実践していただいていると思っております。
 国でも、これからそういった支援が災害時に必要なのだということを、これは先取って先進的にやっていただいているということで、先日、宮城県議会において、この取り組みを全議員で聞いたというようなお話も伺っておりました。
 この岩手モデルというような成果というかレガシーをしっかりと残していっていただきたいというところで、先ほど述べた、市町村とどう具体的に連携していくのかという点、また、この取り組み成果を県内だけでなく県外にもアピールして、他地域で災害が起こった際にも、この手法を生かしていただく。そうした観点も含めて、今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇和田被災者生活再建課長 まず、市町村との連携の強化というところでございますが、これまでも、市町村とか社会福祉協議会の方々とともに研修会を開催するなどしながら、さまざまなスキルを習得する場を設けさせていただきました。
 また、今後、相談員体制の充実を来年度以降また図るに当たりましては、もう少し事例検討会的なところをしっかりやって、より市町村との連携を強めることも考えております。
 それから、県としては、これまでのそういった被災者支援の取り組みを一定の成果として踏まえていきますと、今後、国で災害ケースマネジメントの手引書が年度末に出されるというお話もありましたので、そういった内容も踏まえながら、具体的にどう進めていくかの議論をこれから深めてまいりたいと考えております。
〇千葉盛副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉盛副委員長 質疑がないようでありますので、これで復興防災部関係の質疑を終わります。
 復興防災部の皆さん、御苦労さまでした。
 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時20分 休憩
午後2時37分再開
〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、環境生活部長に環境生活部関係の説明を求めます。
〇福田環境生活部長 それでは、令和5年度岩手県一般会計予算のうち、環境生活部関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 初めに、当部における予算編成の基本的な考え方でありますが、東日本大震災津波からの復興を着実に進めるとともに、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期しながら、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策を推進するため、復興の推進については、災害にも対応できる自立・分散型のエネルギー供給体制の構築に取り組むとともに、NPO等が行う復興支援活動等を支援してまいります。
 次に、10の政策分野についてでありますが、家族・子育てについては、青少年が、個性や主体性を発揮して自立した活動ができる環境づくりに取り組むとともに、動物愛護の意識を高める普及啓発の取り組みなどを推進してまいります。
 居住環境・コミュニティーについては、水道施設の広域連携や市町村等が実施する耐震化や老朽化対策等の支援に取り組んでまいります。
 安全については、消費者施策を推進するとともに、いわて飲食店安心認証店における新型コロナウイルス感染症対策の徹底と利用促進に向けて取り組んでまいります。
 自然環境については、生物多様性の保全や自然との触れ合いの促進、良好な大気、水環境を守る活動や三陸ジオパークに関する取り組みなどを推進するとともに、廃棄物の発生抑制や再使用、再生利用の推進、産業廃棄物の適正処理の推進などに取り組んでまいります。
 また、温室効果ガス排出量2050年実質ゼロに向けて、新たに、タクシー、バスのEV、PHV等の導入支援などに取り組んでまいります。
 参画については、男女共同参画社会の実現に向けた環境の整備を行うとともに、若者の活躍支援や企業等に対する外部専門人材の活用による働きかけの強化など、女性の活躍支援に取り組んでまいります。
 以上が環境生活部の令和5年度予算編成に当たっての基本的な考え方でございます。
 続きまして、令和5年度一般会計予算案について御説明申し上げます。
 お手元の議案その2の6ページをお開き願います。環境生活部関係の予算は、3款民生費2項県民生活費の一部と、7ページに参りまして、4款衛生費2項環境衛生費と、9ページに飛びまして、12款公債費1項公債費の一部及び13款諸支出金2項公営企業負担金の一部を合わせまして、総額113億6、551万6、000円であります。これを前年度当初予算額と比較いたしますと、県境産廃事業の原状回復が完了したことなどにより、7億862万7、000円の減となります。
 予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、議案その2にお戻りいただきまして、11ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、当部関係は、5産業廃棄物処理施設整備事業促進であり、これは、同事業に係る周辺環境整備事業について、工期が翌年度にわたることから、債務負担行為を設定しようとするものであります。
 次に、予算関係条例案について御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の議案その3の68ページをお開き願います。議案第34号いわて県民情報交流センター条例の一部を改正する条例についてでありますが、これは、物件費の伸びに伴い、いわて県民情報交流センターの利用料金の上限額を引き上げようとするものであります。
 以上で環境生活部の予算関係議案についての説明を終わります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇千葉盛副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇小西和子委員 最初に、いわて女性のスペース・ミモザの活動等について伺います。
 今年度のいわて女性のスペース・ミモザの活動実績について伺います。あわせて、生理の貧困に係る取り組みについて、いわて女性のスペース・ミモザの活動の評価についてまでお伺いいたします。
〇鎌田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 いわて女性のスペース・ミモザの活動実績等についてでございますが、いわて女性のスペース・ミモザは、新型コロナウイルス感染症の影響により困難を抱える女性を支援するため、令和3年7月、国の地域女性活躍推進交付金及び新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用して開設しまして、コロナ禍で困難を抱える女性の相談対応や居場所づくり、女性用品の提供等に取り組んでいるものでございます。
 本年1月末現在で、精神不安や家族関係、仕事等にかかわる延べ770件の相談に対応してきたほか、県内4カ所でサロンの開催等による居場所の提供を計40回行っておりまして、延べ212人の利用があったところであります。
 また、女性用品の提供につきましては、9市町村が予算措置等により独自に調達し提供しているほか、これらの市町村を一部含む提供希望のあった26市町村に対し、いわて女性のスペース・ミモザから1、376人分を提供し、保健センターや社会福祉協議会の窓口、小中学校等で提供が行われていると聞いております。
 さらに、いわて女性のスペース・ミモザでは、市町村の提供に加え、高校や大学等へも女性用品を提供しており、これまで計5、059人分を提供しているところでございます。
 いわて女性のスペース・ミモザの活動の評価についてでありますが、これまでいわて女性のスペース・ミモザへの具体的な相談内容としては、人と話せず孤独を感じる、手助けがなく育児にストレスを感じる、労働時間が減り収入が減少したなどがありまして、相談対応したことにより、話したことで気持ちが楽になった、不安が和らいだ等の意見があったところであります。また、女性用品を提供した学生などからは、経済的にも精神的にも救われたといった声が数多く寄せられているところでございます。
 コロナ禍で女性が抱えるさまざまな困難を受けとめ、寄り添った支援を行ういわて女性のスペース・ミモザの取り組みは、女性一人一人の安心感の醸成や課題の解決に向けた糸口に結びついているものと認識しているところであります。
〇小西和子委員 今年度は1団体が引き受けたわけですけれども、昨年度の2団体よりも対応件数は多いということで、すごく精力的な活動をしていたと思いました。
 その中で、孤立が顕在化しているのですけれども、信頼できる人がいないとか友達がいない、人とつながれないということで、そういう方の受け皿になったということはすごいと思うのですが、気になることが1点ありました。公的な窓口では、家族に相談しましたかとか家族を頼れないのですかとすぐ言われるのだそうです。それは、やはりすごく苦痛であったということ。相談できないからいわて女性のスペース・ミモザに行っているわけですので、ここは速やかに改善していただきたいと思います。
 それでは、次年度の女性のためのつながりサポート事業についての取り組みをお伺いいたします。
〇鎌田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 来年度のいわて女性のスペース・ミモザの取り組みについてでありますが、今年度と同様に、電話や対面、メール等で相談を受け付けるほか、県内4カ所での居場所の提供や県内12カ所での出張相談、市町村や高校、大学等への女性用品の提供を行うこととしております。
 引き続き、市町村とも連携しながら、困難や不安を抱える女性が安心して生活できるよう支援を行ってまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 新型コロナウイルス感染症が2類から5類に移行することによって、さらに格差が拡大することも考えられますので、取り組みをよろしくお願いいたします。
 では、次に、女性活躍と人口減少対策について伺います。
 今年度の国のえるぼし認定の実績と評価について伺います。
〇鎌田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 えるぼし認定の実績と評価についてでありますが、国では、女性活躍推進法に基づき、女性の活躍に関する取り組みの実施状況等が優良な企業等をえるぼし認定企業として認定しているところであります。
 本県におけるえるぼし認定企業数は、昨年12月末現在ですけれども、27社と東北で1位、事業所に占める割合は全国2位となっておりまして、厚生労働省の担当者からも県の施策の寄与が評価される等、女性活躍に向けた取り組みの成果があらわれてきているものと考えております。
 なお、県では、このえるぼし認定につながるよう、平成29年にいわて女性活躍企業等認定制度を創設しまして普及拡大を図ってきた中、本年2月末現在の延べ認定企業数は432社と、本年度末目標の374社を上回っておりまして、女性が活躍できる職場環境づくりが推進されてきているものと認識しているところでありますが、さらなる高みを目指して努力していきたいと考えております。
〇小西和子委員 岩手県では、以前から女性が活躍しているというようなことを先日伺いました。都道府県版のジェンダーギャップ指数の経済の部で、岩手県は全国5位なのです。これは、女性の有業率も女性の管理職比率も両方高いということ、それから、女性社長の比率が高いことなどからと言われております。
 その活躍を見える化することと働く女性のきらきら度を増して学生の目につくようにすることが、若年女性の県外流出の解決策の一つと専門家が提案しています。大卒女性が定着できる地域づくりが岩手県の喫緊の課題と考えているということでした。
 県としてもぜひ取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇鎌田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 女性活躍の見える化についてでございますが、県では、今年度、若者女性の県内定着等を図ることを目的としまして、いわて女性活躍認定企業の働きやすく働きがいのある職場の雰囲気を伝える動画を作成しまして、高校生や大学生に発信する取り組みを行っているところであります。
 この動画では、認定企業で生き生きと働く女性社員へのインタビューを盛り込むほか、県内で活躍する女性の姿を発信しているところでございます。
 また、官民連携組織でありますいわて女性の活躍促進連携会議の就業促進部会では、企業経験者や起業家等と活躍している女性委員が、ラジオやSNSを活用して女性活躍に関する取り組みについて情報発信しているところであります。
 若者女性が県内で働きたいと思うためには、本県で生き生きと女性が活躍している姿を発信することも効果的と考えることから、引き続き、いわて女性の活躍応援サイトや促進連携会議の部会等と連携しながら情報発信に取り組んでまいります。
〇小西和子委員 見える化ももう行っているということですね。
 女性活躍だけではジェンダー平等は実現しないですので、ジェンダーギャップ解消に向けた次年度の取り組みについて伺います。
〇鎌田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 ジェンダーギャップ解消に向けた次年度の取り組みについてでありますが、県ではこれまで、いわて女性活躍企業等認定制度の普及拡大や企業の経営トップ層の意識改革のための経営者セミナー等により、働く場でのジェンダーギャップの解消を図ってまいりました。
 また、家庭や地域、学校等のさまざまな場において、ジェンダーギャップが解消されるよう、いわて男女共同参画センターを拠点に、男女共同参画を推進する人材の育成や意識改革等に取り組んできたところであります。
 令和5年度は、これに加えまして、さまざまな分野で活躍する女性をエンパワーするため、成長が見込まれるデジタル分野での女性のための就業促進セミナーの開催を新たに盛り込んだほか、女性活躍推進本部会議を通じて部局横断的な検討を行いまして、商工労働観光部においては、若者や女性が働きやすく、働きがいのある職場づくりを支援する補助制度や、若者、女性のスタートアップへの資金繰り支援制度の創設などの新しい施策を盛り込んだところであります。
 引き続き、あらゆる分野においてジェンダーギャップが解消されるよう総合的な取り組みを推進してまいります。
〇小西和子委員 ジェンダーギャップによって苦しんでいる当事者の声をしっかり聞くこと、それを取り組みに反映させること、それから、専門家をアドバイザーに依頼して精力的に推進することが非常に重要と考えます。
 では、最後に、パートナーシップ制度の導入について伺います。
 県内市町村のパートナーシップ制度の導入の状況について伺います。
〇鎌田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 県内市町村のパートナーシップ制度の導入状況についてでありますが、県内では、一関市が昨年12月に導入し、盛岡市がことし5月に導入する予定であるほか、検討中の市町村も数市町村あるものと承知しております。
〇小西和子委員 令和4年9月定例会の私の一般質問の際、環境生活部長の答弁では、市町村との関係も踏まえながら、今年度中をめどに本県の対応の方向性を整理するということでありました。さらに、知事は記者会見の際に、パートナーシップ制度を導入する市町村への支援や連携を促す指針を検討していると説明しています。
 県としてもパートナーシップ制度を導入すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇鎌田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 県としてのパートナーシップ制度の導入についてでありますが、県内市町村においても制度の導入が始まっている中、市町村からは、県が指針を示すことにより、市町村間の制度の共通化や円滑な制度導入への支援を求める意見も寄せられているところであります。今年度中を目途に県としての指針を策定するべく、市町村とともに検討を進めているところであります。
 県が指針を策定することで、市町村のパートナーシップ制度が県営住宅などでも活用できるような新たな枠組みを考えておりまして、これによって、市町村の制度導入を後押ししてまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 パートナーシップ制度導入のスケジュールはどのようになっていますか。
〇鎌田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 現在、市町村と意見交換、照会をいただいておりまして、そちらの調整を進めているところでございます。今年度中を目途に策定したいと考えて検討を進めているところでございます。
〇小西和子委員 よろしくお願いします。
 まさに、きょうの地方紙に、県で策定中の指針を踏まえ、ジェンダー平等への理解促進に取り組むとともに、パートナーシップ制度の導入を検討していくとの記事がありました。県が指針を示すことで、県内市町村のパートナーシップ制度導入に向けた取り組みが加速することになりますし、本当にLGBTQの方々は非常に苦しんでいるのです。私の知っている方だと、本当に自殺も考えていたというような話もしています。
 岩手県民や全ての人が、安心して暮らせる差別のない岩手県をつくっていくためにも、岩手県の指針は非常に大事であります。市町村のパートナーシップ制度導入に向けた取り組みが加速することを願って、私の質問を終わります。
〇千葉伝委員 私からは、野生鳥獣といいますか有害鳥獣の捕獲状況あるいは被害について、まずお聞きしたいと思います。
 この件については2月定例会の一般質問でも質疑されておりますけれども、詳細についてお聞きしたいと思います。イノシシ、ニホンジカ、熊のそれぞれの現在推定されている推定頭数、それから、昨年度の捕獲計画、その実績はどうなっているでしょうか。
〇酒井自然保護課総括課長 鳥獣の関係の推定生息数と捕獲数の取り組みについての御質問でありますけれども、まず、計画でありますが、本県におきまして、計画的な個体数の管理のために、ニホンジカ、イノシシ、ツキノワグマについて、捕獲に関する目標数や上限数を定めております。
 まず、実績の部分でございますけれども、ニホンジカにつきましては、捕獲目標数が現計画では2万5、000頭となっておりまして、12月末現在の捕獲実績は、前年同期と比較いたしまして約2、700頭増の1万3、396頭となっております。
 イノシシにつきましては、捕獲目標を定めず可能な限り捕獲することにしておりまして、12月末現在の捕獲実績は、前年同期に対して231頭増の694頭となっております。
 ツキノワグマにつきましては、保護と管理のバランスをとる必要がある種でございまして、こちらにつきましては捕獲目標ではなくて捕獲上限数を定めておりまして、上限数626頭に対して、1月末現在で364頭が捕獲されております。
 なお、ニホンジカにつきましては、直近の推計で、平成30年度の推計になりますけれども、10万7、000頭と推計しておりますし、ツキノワグマにつきましては、平成30年度から令和2年度に調査を行っておりまして、こちらの調査で約3、700頭と推計しております。
 イノシシにつきましては、先ほど申し上げたとおり、調査につきましては調査方法が確立されていないところもありまして、東北地方全体で8万頭ぐらいいるのではないかとは言われているところでありますけれども、本県につきましては、県内のあちこちで捕獲されていることは確認されているのですが、それぞれの地域でとれる頭数にばらつきがあるということで、県内での生息頭数を推定するのは難しいという有識者からの御意見をいただいているところであります。
〇千葉伝委員 推定頭数は、野生であるということでなかなか1頭ずつ数えるわけにはいかないということで、昔から四角の範囲を決めて、それから推計していくとか、さまざまなやり方をして推定しているということだと思っています。いずれ、現在、熊はふえているかどうかわかりませんが、イノシシ、鹿はかなりふえてきている状況だということで、懸念されるのは病気のほうで、例えばイノシシは豚熱を伝播するということで危惧されているわけであります。したがって、イノシシがかなり北上中ということで、あちこちで見つかっている。それから、検査すれば豚熱のウイルスの陽性が見つかる状況でありますので、その辺は、農林水産部との連携をしながらしっかり対応していただきたいと思います。
 鹿については、現在の推定で10万頭を超えているという状況をお聞きしました。私は岩手町に住んでいますけれども、周辺で毎年何十頭、30頭、40頭とったという話がある。それでもとり切れないという話も聞きます。したがって、鹿についての捕獲期間といいますか狩猟期間等について、自然保護課といいますか県がこれを許可している分があるわけですが、イノシシあるいは鹿についてはどうなっていますでしょうか。
〇酒井自然保護課総括課長 イノシシと鹿についての狩猟期間の関係でございますけれども、現在の鳥獣保護管理法の中で著しく個体数がふえてしまって、個体数の管理が必要なものに関しましては、第2種特定鳥獣管理計画を定めて個体数の管理をしております。こちらの計画を定めることによって、狩猟期間を、通常ですと、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則の中で11月15日から2月15日までと定められてはいるのですが、その範囲を柔軟に取り扱うことができることになっております。
 本県といたしましては、ニホンジカとイノシシにつきましては、毎年11月1日から翌年3月31日までということで狩猟期間を延長して取り組んでいるところであります。
〇千葉伝委員 いずれ猟友会等からの話で、もっといろいろと対策をしないとますますふえていくということだと思っております。農林水産部で来年度から広域的な捕獲等の予算も出すということで考えているようですけれども、そういったあたりで、これからの県の有害鳥獣による被害防止に向けて、各市町村単位でやってきたものを、広域的な捕獲の実施ということになるということですが、私も、それはぜひ必要だと思っています。ただ、開始時期は未定だという話でありますが、環境生活部では、農林水産部と鳥獣被害防止に向けた対応を基本的にどう考えているか、お聞きしたいと思います。
〇酒井自然保護課総括課長 イノシシですとか鹿についての広域の捕獲に関しましては、農林水産部が中心となりまして、新たに広域振興局等に県や市町村で組織する現地対策チームを設置いたしまして、広域的な取り組みを実施することになっております。当然、こちらは農林水産部だけではなくて、環境生活部で現地のメンバーも参加させていただいて連携して取り組みを進めていくということで、当初の段階から意見調整をしておりますので、連携して取り組んでまいりたいと考えております。
〇千葉伝委員 ぜひしっかり対応していただきたいと思います。
 次に、鳥インフルエンザ対策ということになれば、また農林水産部の関係が強くなるのですが、私の聞きたいのは野生鳥獣の鳥の関係です。鳥インフルエンザを伝播するのは野鳥ということで、ハクチョウを含めて、検査をすれば陽性がかなり出てくるということであります。
 お聞きしたいのは、去年2月に久慈市で鳥インフルエンザが発生した。これの対応をやっていただいたわけですけれども、その時点で野鳥の鳥インフルエンザウイルスの検査をしたということを聞いていますが、それの主な状況をお知らせください。
〇酒井自然保護課総括課長 昨年2月から4月にかけまして、久慈市で発生いたしました野鳥の高病原性鳥インフルエンザの検査状況でありますけれども、久慈市で26件の陽性が確認されております。
 こちらの内訳でありますけれども、カラスが15件ということで最も多くなっておりまして、次いで、オオハクチョウが7羽、ノスリなどその他の鳥類が4羽となっております。
〇千葉伝委員 通常の野鳥というと渡り鳥ということで、冬の期間、日本に来て、その中に鳥インフルエンザのウイルスを持ってきているのではないかということで、その検査をすれば陽性が見つかっています。ただ、要請が確認されるのはハクチョウだけという話ではなくて、今聞いたとおり、陽性のカラスがかなりいるということであります。
 それで、鳥の飼養者たちが、カラス対策が一番大事ではないか、伝播する部分で何とかならないかということで、いろいろとやっていると聞いています。私の知っている養鶏業者においても、カラス対策をするということで、猟友会に頼んで鉄砲でドンとやるというような話ですが、これは、猟友会の人たちはオレンジのものを着てやると。カラスはそれを見るとぱっと逃げてしまうということで、一発撃てば、全てもう飛んでいって、1週間か10日かわかりませんけれども、しばらくいなくなるという話ですが、また帰ってくるということです。
 ハクチョウは、鶏舎の屋根のところに飛んできているとか、そういうことは余り考えられない。私も、やはりカラスがウイルスを運んでいるということで心配しているところであります。
 カラスは有害鳥獣に入るのかお聞きします。
〇酒井自然保護課総括課長 カラスについてでございますけれども、カラスを含めまして農林水産業に被害を与える鳥獣につきましては、県が策定しております鳥獣保護管理事業計画に基づきまして、被害の防止を目的として許可を受けて捕獲することができることになっております。市町村につきましては、許可基準に抵触しない限りにおきましては、許可しなければならないことになっております。
〇千葉伝委員 いずれ鳥獣被害を防止する観点から、狩猟期間についても、市町村に申請し、認められれば許可が出るということで、その狩猟期間については特に定めはないわけですか。市町村の考え方次第ですか。
〇酒井自然保護課総括課長 狩猟期間と有害捕獲の期間ということでございますけれども、狩猟期間は、先ほど申し上げましたとおり、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則の中で、11月15日から2月15日までと定められているものであります。一方、有害捕獲につきましては、実際の被害の状況に応じまして、期間や場所、あと実際の捕獲方法を決めて期間を区切って指定されるものであります。有害捕獲許可の出る期間によっては、一部重複したりする場合もあるかもしれないですけれども、連動するものではございません。
〇千葉伝委員 鳥獣の中で、先ほども少し触れたのですが、一つの市町村で許可をしているといっても、それが飛んでいけば隣の市町村に行くということで、そちらは狩猟していいということになっていないということが、今の段階ではあるわけです。
 したがって、私が言いたいのは、岩手県全体のカラスの狩猟期間を統一して、県が、1年間いつでもとれる、こういったことの期間設定をすべきではないかと思うのですが、いかがですか。
〇酒井自然保護課総括課長 まず、有害ということで、捕獲期間を県でまとめて指定してはどうかという御質問と受けとめさせていただきたいと思います。
 まず、有害捕獲につきましては、先ほど申し上げましたとおり、実際の被害の状況に応じて捕獲場所や期間を定めて許可するという性質上、カラス自体は、実際に被害が起きた状況によって判断することになっておりますので、あらかじめ指定という形ではなくて、それぞれの市町村の状況に応じて捕獲許可をするのが適切な進め方と考えております。
〇千葉伝委員 私が危惧しているのは、高病原性鳥インフルエンザを伝播するという意味でカラスの狩猟期間を県が統一して設定すべきと考えたところです。カラスも含めて野鳥とかいるわけですけれども、そういったことの対策を進めるには、もっと広範囲な形での対策を進めなければならないだろうということで質問したところであります。そういったあたりは、各市町村それぞれのところと、一緒にやりませんかということで申請が出てくれば、それは各市町村で決められるということになるということで理解しました。
 最後に、動物愛護センターの設置の検討状況でお聞きしたいと思います。
 全国の設置状況はどうなっているかと、本県の検討状況はどうなっているかをお聞きしたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 全国の動物愛護センターの設置状況についてでございますが、令和4年8月に全国の都道府県の設置状況を調査したところ、設置済みが44都府県であったところであります。
 また、本県の動物愛護センターの設置検討状況についてでありますが、平成30年4月に策定した岩手県動物愛護センター基本構想に基づきまして、盛岡市との共同設置に向けて、主に整備候補地の選定等の検討を重ねてきたところであります。
 令和4年度は、これまでに9回にわたって盛岡市との協議を実施し、県市の未利用地から県民の利便性や災害発生時の動物救護拠点等の基本構想に掲げる要件など、さまざまな視点で検証し、候補地の絞り込みを行い、現在、最終調整を行っているところであります。
〇千葉伝委員 かなり検討して進んでいると理解していますが、候補地は一つ二つあたりまでもう絞り込んでいる状況なのでしょうか。そして、それに対して、いつごろまでに設置しようとしているのか伺います。
〇千葉食の安全安心課長 動物愛護センターの設置時期等についてであります。現在、盛岡市と調整中であるため、詳細な部分あるいは現段階での具体的なスケジュール等についてはお示しできないところではありますが、今後、できるだけ早期に候補地を固めて、令和5年度内には基本計画の策定に着手したいと考えております。基本計画の策定に当たりましては、計画案について議会にお示しし、御意見を伺いながら成案化し、その先の基本設計につなげたいと考えております。
〇千葉伝委員 前に聞いたときからは前に進んでいるという理解ですが、動物愛護センターを設置していない県が3県あるということで、そこはどこどこか教えてください。
 それと、この問題については、私もですが、吉田敬子委員を含めて何回も質疑されていることであります。私も、以前から動物愛護団体あるいは動物の関係者から、何で岩手県で動物愛護センターをつくれないのか、つくらないのかということで、かなり要望されていることであります。
 環境生活部の担当は頑張っていると思いますが、以前、私が動物愛護センターをつくるときということでかなりかかわったのですが、福田環境生活部長から力強い前向きな答弁をお願いしたいと思います。
〇千葉食の安全安心課長 動物愛護センターが未設置の都道府県についてでありますが、本県を除きますと、北海道と長崎県であります。
〇福田環境生活部長 動物愛護センターにつきましては、平成30年に基本構想がまとめられて以来、なかなか進展が見られておりませんでしたけれども、ここに来て担当課が前向きに取り組んでくれておりまして、何とか候補地の最終調整を図る段階にまでこぎ着けることができております。
 先ほどの千葉食の安全安心課長の答弁にもありましたけれども、来年度中に基本計画の策定作業に入り、その後、基本計画の案を議会の皆様にお示しする中で、具体的な中身をしっかりと詰めてまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 先ほど小西委員が質問されていましたパートナーシップ制度について、私も質問したいと思います。
 いわて県民計画(2019〜2028)では、多様な性を理解し尊重する社会の実現を目指していると記述があり、それに向かって取り組んでいると理解しております。
 先ほど県内の市町村の検討状況はどうかという質問があったわけですけれども、その検討の中身を協議する中で、市町村ではどのようなニーズがあったのか、どういったものを課題としてこの整備について触れていたのかどうかなど、市町村が進めたい方向にあるのかどうか等の感触も含めてお示しください。
〇鎌田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 パートナーシップ制度の市町村との協議状況でありますけれども、現在、市町村と協議をして取りまとめているところでありますが、市町村からの意見ですと、県が指針を策定することによって制度の共通化が図られたり、あとは円滑な制度導入につながるというような前向きな意見もいただいておりますし、市町村によってそれぞれなのですけれども、今考えているものよりも、もっと詳細なものが必要ではないかとか、逆に、もう市町村で問題を認識し、こちらにいろいろ提案していただいたりというようなやりとりを進めている状況であります。
〇工藤大輔委員 全国的な流れを見ても、現在、全国の10都府県で制度が全県的に導入されている。そしてまた、ほかの道府県においても制度を導入している自治体がどんどんふえていっている状況なので、これは世の中の流れかとも思っています。
 それに伴って、さまざま県が設置している相談窓口に各種相談が寄せられているかと思いますが、現状はどのようになっているのかお示しください。
〇鎌田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 LGBTの相談状況についてでございますが、アイーナの男女共同参画センターにおいて、毎週火曜日と金曜日にLGBT相談窓口を設けておりまして、今年度は、2月末現在で152件の相談を受け付けているところでございます。
 相談者は、当事者のみならず、家族や学校からの相談もありまして、その主な内容としましては、自身の性自認についての悩みや周囲の偏見による生きづらさ、周囲とのかかわり方についてなどが多いと聞いております。
〇工藤大輔委員 この制度を導入していくことによって、社会からより多くの方が、自分はどういう性なのかどうなのかということを深く考える時期がそのころかと思いますが、恐らく思春期のころに性の自認ということを意識します。
 また、そういったときに理解が進まなければ、差別、偏見で苦しい思いをされるということなので、私は、県がパートナーシップ制度を導入することの意義は、やはり社会に対して差別、偏見をなくしていく、また理解を深めるということが非常に大きいと思います。また、企業等においても、最近は福利厚生等の分野でも取り入れている企業等も見られます。また、生命保険の受取人に指定できたりクレジットカードの家族カードをつくれたり、民間企業では今どんどん進んでいるなという感じがします。
 私は、他の都道府県が自治体全体で取り組んでいる例などを見ても、岩手県としてももう少し踏み込んだ対応がとれるのではないかと思うのですが、それについての見解をお伺いしたいと思います。
〇鎌田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 県でのパートナーシップ制度の導入についてでございますが、市町村に加えて、県でも制度を導入する場合、二重行政になるという御指摘もあるところでありまして、県としては、市町村が制度を導入するに当たって、指針を策定する形で促進していきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 県が指針をこれから示せば、県内市町村ではその制度導入が一気に進むという認識でしょうか。
〇鎌田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 現在でも制度の導入を検討している市町村もございますので、そういう市町村に対して、参考になるような指針も策定しておりますし、これから策定を検討したいという市町村についても、そちらを参考に検討していただければと考えております。
〇工藤大輔委員 先ほど指針の中身のことで県営住宅等の件について触れられていましたけれども、今、担当課でこの導入に向けた検討をしているということのようですが、県営住宅に同居人家族としての入居が可能かどうか、これは制度を導入した自治体のみに適用されるのか、そうでない全体の県営住宅に適用されるのか、どちらか伺います。
〇鎌田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 県営住宅への同居人家族の入居についてでありますが、市町村がパートナーシップ制度を創設した場合に、県の施設でも活用できるように検討を進めているところであります。
 その中で、県営住宅の入居についてもパートナーシップ制度を活用できるように、まさに今、担当課で検討しているところでございます。引き続き、県土整備部と調整を進めていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 制度を導入していない自治体では、県営住宅があっても利用できないということですか。
〇鎌田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 その辺も含めて、今まさに担当部局で検討していると承知しております。
〇工藤大輔委員 県立病院での、例えば面会とか治療の説明等については、どのような状況になっていると認識しているかお示しください。
〇鎌田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 県立病院での面会、治療の説明についてでありますが、面会や病状説明などにおいては、患者に関係する人たちの中で意思決定や問題解決のかなめとなるキーパーソンは、患者の希望によっては家族以外もなり得る場合があることから、県立病院においては、これまでも、患者との関係性を確認するなどによって柔軟に認めていると聞いているところであります。
 今後、患者との関係性を確認する手段の一つとして、市町村が発行するパートナーシップ制度に係る証明書も活用できるようにするなど、医療局と調整を進めているところであります。
〇工藤大輔委員 これもそうなのですけれども、結局、市町村で制度を導入していないとそのような状況になり得ない、あるいはなりづらいというのが現状ではないですか。やはりそういう状況であれば、県が率先してこれを進めよう、多様な性を理解して尊重する社会を目指していくという当初の総合計画の考え方からすると、取り組みといいますか認識が少し低いのではないかということが指摘されると思います。
 やはり、これは県全体で例えば証明書を発行して、全市町村でいかなる場合があっても対応できるとか、急な場合、特に救急で病院等に運ばれた際等、さまざまなケースが発生しますので、そういった際にでも、生活しやすいといいますか生きにくさを感じないような社会をつくっていかなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
〇鎌田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 自治体として、一関市ではもう制度を導入しておりますし、ほかにも、盛岡市を初め導入を検討している市町村もございますので、県としては、まず、そちらのほうを指針を策定する形で促進していきながら、県全体での制度の促進を図っていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 私は、できれば県で証明書等の発行を先行してやれれば、一斉にそういった取り組みが進みますし、岩手県全体でそういった認識が深まっていくかと思います。
 先ほど申し上げましたとおり、既に先進的に10都府県でもうこれが実施されていますので、他の事例を見れば、導入が可能だという判断もできるのではないかと思います。
 それに向けて福田環境生活部長はどのように考えますか。
〇福田環境生活部長 先ほどの鎌田特命参事兼青少年・男女共同参画課長の答弁にもございましたけれども、市町村からは、制度導入の指針となるべき事項を県に定めてもらいたいといった声も寄せられているところでありまして、県が指針を策定するという対応は、二重行政に陥ることなく、県と市町村の本来的な役割分担を踏まえている点で、全国的なモデルになり得るものと考えております。
 また、昨年8月には、当事者の方に直接お会いする機会もございましたけれども、LGBTの方は、実は人口の数%を占めるという民間調査もありますので、都市部だけでなく、小規模市町村でも制度導入に向けた議論を行っていただく意義があると考えております。一見すると迂遠なようですけれども、そのことが、上辺だけではない、本当の意味での理解促進につながるものと考えております。
 そのような趣旨のもとで県としては指針の策定を行いますので、それを通して、誰もが生きやすい地域社会の実現を図ってまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 他都府県で全地域で導入している例では、その都府県が主体となって一つ、どういった中身かということを決めて、あとは、プラスして市町村独自でそのほかのサービスを提供したいと言っているところは、そのサービスを提供しているような形をとってやっているわけです。
 いわば、導入がなかなか難しかったり、マンパワーの不足等もあっていろいろ進められない自治体の補完にもなる形を県が主体となってつくっている事例が見られますので、ぜひ、そういった方向に進んでいければと私は考えております。
 そこで、新年度の県の取り組みで、こういった分野はどのように進めていくのかお伺いします。
〇鎌田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 新年度の取り組みについてでありますが、県が策定した指針について市町村に説明する機会を設けまして、制度の導入を促進するとともに、各市町村や県の各部局において多様な性のあり方への理解が進むよう、行政職員向け研修会などに取り組んでいきたいと考えております。
 また、県が提供するサービスとしまして、現時点では県営住宅と県立病院を想定しているところでございますが、県が提供するサービス拡充の必要性などについて、今後も引き続き検討してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 わかりました。どこの自治体に住んでいても、同じようなサービスが受けられ、住みよい地域となるような対策をまず第一に考えて、この事業に前向きに取り組んでいただきたいと思い、要望して、質問を終わりたいと思います。
〇軽石義則委員 それでは、まず、飲食店における感染防止対策を徹底するための第三者認証制度の導入についてお伺いいたします。
 これまで感染拡大防止のためにいわて飲食店安心認証制度を導入して進んできたわけですけれども、これから大分緩和されることもあると思いますが、現状、どのように把握されているのか、まずお聞きいたします。
〇佐藤県民くらしの安全課総括課長 いわて飲食店安心認証制度の現状についてであります。本県における認証店数は、令和3年6月の認証制度の開始から1カ月後であります7月末には1、200店、8月末には3、300店、令和4年3月末には5、000店を超えまして、以降はほぼ横ばいとなりまして、令和5年3月1日時点で5、049店となっているところであります。
〇軽石義則委員 県内の飲食店の何割ぐらいの件数になるのでしょうか。
〇佐藤県民くらしの安全課総括課長 県内の飲食店の中における割合ということでありますけれども、県では全体で9、000店舗ほどあると把握しておりまして、これを見ますと50%強というところでございます。
〇軽石義則委員 50%強。きちんと対策をして認証されたことによって、今、飲食店はそれぞれ厳しい経営状況だともお聞きしているのですけれども、このことによって、いろいろな意味で経営の継続ができていることもあるのではないかと思われます。この認証によって得た効果といいますか、いろいろ評価もあると思いますが、それはどのように把握されているのでしょうか。
〇佐藤県民くらしの安全課総括課長 認証制度導入の成果であります。飲食店における新型コロナウイルス感染症に対する具体的な取り組みを浸透させることができたと考えております。これは、認証店を対象といたしまして昨年アンケートを実施しておりますけれども、その中で約8割の店舗におきまして、認証取得によって感染対策の効果を感じていただいているところであります。
 また、示された意見の中でも、店の客も感染対策意識が高まったであるとか、あとは、何をやってよいかわからない状況であった中で、この制度の導入によって来店者が少なからずふえたと思うといった意見もいただいているところであります。
〇軽石義則委員 それぞれ成果は出ているという結果が把握されているようですけれども、これから、3月13日以降、5月8日以降、いろいろ制度も変わってくるわけでありますが、今後の取り組みをどのようにしていくことにしているのでしょうか。
〇佐藤県民くらしの安全課総括課長 今後の取り組みについてであります。軽石義則委員御指摘のとおり、3月13日以降につきましては、マスクの着用についての基準が改定となることとなります。
 また、5月8日というお話もございましたけれども、現時点では、認証制度につきましては、その必要性をもちまして国の基本的対処方針に位置づけられているところでありますので、この基本的対処方針の位置づけからの削除等がない限りにおきましては、制度は継続していくこととしております。
 一方で、お話のとおり、5月に新型コロナウイルス感染症が5類感染症に位置づけられた場合は、国の基本的対処方針も廃止するという連絡を受けているところでございまして、今後の国の動向を注視しながら、必要な検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。
〇軽石義則委員 国からもいろいろ事務連絡も来ているようですけれども、都道府県独自に判断するのだ、してもいいというような事務連絡のようですが、岩手県としては、その事務連絡を受けてどのような検討をされているのでしょうか。
〇佐藤県民くらしの安全課総括課長 国の事務連絡を受けての県の検討状況であります。先ほど申し上げたところではございますが、国の基本的対処方針が廃止された場合は、認証制度は廃止になるという事務連絡が国から示されております。
 さきのマスクの着用についての認証基準改定の際には、岩手県商工会議所連合会、岩手県料理業生活衛生同業組合、公益財団法人岩手県生活衛生営業指導センター、飲食店営業者等の関係団体から、さまざま意見を聞いているところであります。
 現時点においていただいた意見といたしましては、制度を継続するというような意見については、特に要望はいただいていないところではあるのですけれども、一方で、マスク着用の考え方の見直しに当たっては、来店者にマスク着用を求める場合があることであるとか、感染症法上の位置づけが変更された場合でも、引き続き感染拡大防止の取り組みが必要であることについては、県民にしっかり周知していただきたいという御意見をいただいたところでございます。
 こういった意見には応えまして、県ホームページにおいて周知を図っているところであります。新型コロナウイルス感染症5類移行後につきましても、これまでと同様、こういった関係団体の意見を丁寧に聞きながら、必要な取り組みを進めていきたいと考えているところであります。
 県独自の制度の継続については、現時点では考えていないところでありますけれども、例えば関係団体が独自にアピールを続けるとか、そういった対策をとられる場合につきましては、県としても可能な支援を行ってまいりたいと考えているところであります。
〇軽石義則委員 国の指示によりますと、5月8日以降、新型コロナウイルス感染症が5類に位置づけられた場合には、第三者認定制度は廃止していく方向が示されているようですし、それに合わせてその準備も進めておいてくださいというような指示ではないかと思っているのですが、いろいろ各団体から意見を聞いて、そこにどう対応していくかという状況だという今のお話ですけれども、第三者の認定制度が廃止になる方向は見えているように思うのです。
 ただ、現場の皆さんの声を聞くと、これまで一生懸命、厳しい中で、その認証店として認定されたことによって、お客様の皆さんにも安心感があったり、経営する上でも、仕事をする上でも自信になっている。この制度が廃止になったら、今あるステッカーなり表示、ポスターを含めて撤去するのかどうなのか、それは継続してずっと使っていていいものかどうかという判断は、それぞれのお店でなかなかできないというお話も聞いているのですが、その点はどうなのでしょうか。
〇佐藤県民くらしの安全課総括課長 第三者認証制度廃止後の取り扱いということになるかと思います。県の第三者認証制度がもし廃止になった場合におきましては、現在お配りしているタペストリーやポスターについては、撤去していただくようなお願いをすることになると考えております。
 ただ、一方で、委員御提案のとおり、各事業者や業界団体において、引き続きこういった対策をとりたいということであれば、これについては、どのような支援ができるかということを一緒に考えていきたいと思っております。
〇軽石義則委員 これからインバウンドも含めて、県内各地にいろいろな観光を目的とした方々も、盛岡市を中心に全県的に広がっていくと思うのです。その際に、一応これまで努力してきた評価だし、店を選ぶにおいても、今調べる機会もいっぱいあるのですけれども、ただ、歩きながらそういう表示があれば、安心して利用できるということについてとてもいい目印になるというのは現場の皆さんの声です。
 そういう要望があれば考えるということだけではなくて、商工労働観光部所管の部分もあると思うのですけれども、認証できるのは環境生活部ですので、その利用がしっかり継続できるように、逆に支えていくのだからしっかりやってくれというような発信も大事だと思うのですが、いかがでしょうか。
〇佐藤県民くらしの安全課総括課長 今、軽石義則委員御指摘のとおり、ニューヨークタイムズ紙の記事等もございまして、インバウンドがこれからふえてくることがあるかと思います。ふえてくる一方で、やっぱり基本的な感染対策をとらなくてはならないというのは、そのとおりでございまして、わかりやい表示の方法とかが求められるところも出てくるかと思います。
 ただ、先ほど申し上げたとおり、現在使っているものをそのまま使えるかどうかというところについては、少し検討する必要があるかと思いますけれども、どういった形で進めていくことがいいのかについては、商工労働観光部も含め、業界団体としっかり話していきたいと思っております。
〇軽石義則委員 何か使ってはいけないという法的な規制があるのでしょうか。
〇佐藤県民くらしの安全課総括課長 法的な規制は特にはないかと考えておりますけれども、現在のポスターには、認証制度の名称がしっかり入っている形になっております。国の基本的対処方針がなくなった時点で、この制度自体がなくなってしまうということでありますので、そこについては少し支障が出てくるかと思います。実際には、もう制度としては成り立っていないものについて表示されてしまうことは、問題があるかと考えているところであります。
〇軽石義則委員 国の連絡にも、順次運用を弾力化することも差し支えないという表示もありますし、今ほど答弁がありましたとおり、商工労働観光部とか、関係部署ともしっかり連携をとっていただいて、この制度が次の仕事にもつながるという認識を持っている方も現場には多くいますので、有効に活用できるものにしていただきたいと思います。
 福田環境生活部長、いかがですか。その使い方については、継続していってもいいのではないかと思いますが、どうでしょうか。
〇福田環境生活部長 第三者認証につきましては、御指摘いただいたような成果もあったと考えております。
 新型コロナウイルス感染症が5類感染症に位置づけられることで、新型インフルエンザ当対策特別措置法に基づく協力要請は終了することとなりますが、第9波が実際来るかどうかといったことも関係してくると思いますので、そういった状況を今後しっかり注視してまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 第9波も来ないように、みんなで感染防止対策をしっかりとる意味でも、そういう制度も活用してはどうかと思いますので、よろしくお願いします。
 次に移ります。消費相談の取り組み状況についてお伺いいたします。
 消費者の相談状況、現状、課題はどのように押さえているでしょうか、お示し願います。
〇大坊消費生活課長 消費生活相談の現状と課題についてでありますが、県内の消費生活相談窓口への相談件数は、令和元年度以降、毎年9、000件台で推移しておりまして、デジタル化の進展、家族形態やライフスタイルの変化、電子商取引の拡大などを背景としまして、通信販売や架空請求、副業など、インターネット取引やSNSを介した消費者トラブルに関する相談が多くなっております。
 このため、各年代の消費者トラブルの特徴や適した広報媒体により、トラブル防止に関する啓発が必要となっております。
 また、昨年4月から成年年齢が18歳に引き下げられたことから、若年者に対する消費者教育の充実が必要であると認識しております。
〇軽石義則委員 相談もかなり多いようですので、その対応も非常に難しいものもふえてきているのではないかと思います。私はこれまで、カスタマーハラスメントの部分についても、消費者の行動もしっかり発信していかなければならないのではないかというお話もしてきたのですが、消費者相談の中に、カスタマーハラスメント的なものも含まれているのでしょうか。
〇大坊消費生活課長 カスタマーハラスメントの相談についてでありますけれども、消費生活センターは、消費者から相談を受けて助言やあっせん等を行う機関でありまして、直接、カスタマーハラスメントに関する事業者の方からの相談は受けておりませんが、消費者からの相談の中には、カスタマーハラスメントにつながることが懸念される相談もあると消費生活相談員から聞いております。
〇軽石義則委員 そういう内容も含まれているとすれば、やはり消費行動をしっかりすることも大事だという県民に対する周知などもさらにしなければならないと思いますけれども、今後の取り組みの中で、それらも含めて消費者相談の進め方、予算の中でも何かポイント的なものがあれば、お示し願います。
〇大坊消費生活課長 カスタマーハラスメントに対する取り組みでありますけれども、消費者自身が、モラルに基づいて倫理的な消費行動をとることで、これまで、出前講座での説明ですとか広報誌の発行、ホームページへの周知、啓発などにより、悪質なクレームへの注意喚起とか店の人に意見を伝える際の注意点などを普及啓発してきたところであります。
 今後とも、これらの機会を捉えまして、自立した消費者として正しい消費行動をとることができるよう啓発に努めてまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 ぜひお願いします。
 あと、商工関係の関係部署ともしっかり連携をとっていただくことも大事だと思いますので、引き続きの取り組みをお願いして、終わります。
〇城内よしひこ委員 県庁舎及び議事堂等の省エネルギー化の取り組み状況について、お伺いしたいと思います。
 県庁舎、広域振興局等の省エネルギー化の状況と今後の取り組みについて、まずお伺いしたいと思います。
〇高橋グリーン社会推進課長 県庁舎、広域振興局などの省エネルギー化についてであります。これまで実施してまいりました省エネ化の例といたしまして、県庁舎、広域振興局、合同庁舎でありますけれども、例えば、遠野地区合同庁舎へのLED照明の導入、公用車のより燃費のいい次世代自動車への更新、再生可能エネルギー100%電力の導入などがございます。そのほかにも、県有施設では、学校などへの太陽光発電、蓄電池の導入、岩手県立療育センターの建てかえに合わせた高断熱化、空調設備の高効率化などに取り組んできたところであります。
 今後の省エネルギー対策についてもお答えいたします。本定例会に県の第2次岩手県地球温暖化対策実行計画の改定最終案を提案させていただいております。この中で、2030年度の県の事務事業における温室効果ガス排出量の2013年度比で60%削減という目標を掲げ、県有施設の省エネ化に取り組むこととしております。
〇城内よしひこ委員 民間は結構早くから取り組んでいるし、また、県では民間の省エネルギー化を喚起することをやっているわけですが、なかなか進んでいないと私は思っています。
 そこで、県庁舎等の電気の使用量はどのようになっているかお伺いしたいと思います。
〇高橋グリーン社会推進課長 エネルギーの使用状況であります。令和3年度につきまして、主なエネルギー種別についてお答えいたします。
 まず、議事堂を含む県庁舎についてでありますが、電気使用量は294万7、000キロワットアワー余りでありまして、前年度比で0.7%の減となっております。続きまして、合同庁舎分でございますけれども、同じく電気使用量ですが、511万3、000キロワットアワー余りでありまして、前年度比で2.8%の減となっております。
〇城内よしひこ委員 そこで、例えばLED化とか、もう少し考え方とかがあると思うのですが、そういったものを取り入れた場合の試算はしていますか。
〇高橋グリーン社会推進課長 実際、例えば県庁舎等でLED化等を進めた場合の試算についてでありますけれども、基本的には施設の所管部局で試算することになろうかと思います。我々のほうでは、現時点では把握しておりません。
 あと、一般的に、我々が補助金で事業者向けの補助金等を用意しておりまして、そのためにエネルギー診断等を受けていただくのですが、そういった場合には、どれぐらいで投資の回収ができるといったものについてはわかっておりますが、県庁舎に関しては、試算という面ではございません。
 ただ、遠野地区合同庁舎の例を先ほど御説明いたしました。令和元年度に遠野地区合同庁舎にLED照明を導入した例の場合ですけれども、導入前後の年度での電気使用量が約10%削減されたと聞いております。
〇城内よしひこ委員 この件については、総務委員会で管財課が担当だということで聞いたのですが、なかなか管財課でも計画がなくて、何十年後みたいな話をされたのですけれども、今後、県庁舎も含めて早目にやることを考えるには、どこの部署がリーダーシップをとってやったらいいのですか。通常、建物を持っている管理者がやるべきなのか。議事堂の水銀灯ももう製造していませんよね。ああいったものこそ、早目に前倒ししてやっていかないといけないのではないかと思うのですが、そういったものは誰に聞けばいいかと思ってお聞きしました。それは環境生活部でリーダーシップをとってもらって、やったらどうかと促す方向もあってもいいのではないかと思ってお伺いしていますが、どうでしょうか。
〇高橋グリーン社会推進課長 先ほど、今定例会に実行計画の改定の最終案をお示ししている、そこには目標も掲げているという話もしております。このほかにも、公共施設の総合管理計画も総務部で昨年7月に改定しておりまして、そちらにも脱炭素化に対応した公共施設の整備、改修に取り組むと明記されているところであります。
 今後、具体的に城内よしひこ委員御指摘のようなLED照明化や、建物の高断熱化といった取り組みに県としても取り組んでいくこととしておりますけれども、基本的には、取り組みに当たりましては、施設を所管する部局と環境生活部がしっかり連携して、国の財政措置なども活用しながら順次導入を進めてまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 総務委員会の中でもお話ししたのですけれども、毎年、職員の皆さんが、昼時間に電気を消したりして一生懸命頑張ってはいるのですが、それって、庁舎を利用する県民の方々にとっては、絶対ウエルカムではないと思っているのです。だから、いつでも県民の皆さんに来ていただけるような明るい県庁をつくってほしいと思うのです。
 そこで、今後の進め方は今お伺いしたのですが、県でもそういう計画をつくっているわけですから、しっかりと各部署と連携して、老朽化とか耐震とはまた違った形でこれは進めていかなければならない問題だと思っています。福田環境生活部長、どうですか、今の話を聞いて、どのように感じていますか。
〇福田環境生活部長 まず、昨年夏に公共施設等総合管理計画の中に初めて脱炭素の考え方が盛り込まれたところでありますし、さらに、来年度については有利な起債メニューもできるということで、徐々に環境が整ってきているものと考えております。
 先ほどの高橋グリーン社会推進課長答弁にもありましたけれども、部局がまたがる案件になっておりますので、庁内の本部会議を通じて、御指摘を踏まえて議論を深めてまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 何か出口が見えてきたかと一瞬思っていますけれども、いずれ、計画を立てて、予算の確保も大事ですし、そういったことを連携して進めていってほしいと思っています。
 そういったことをやることによって電力消費量も大分減るだろうし、それは脱炭素につながると思っていますので、ぜひ関係者、財政もしっかり応援していただいて、お願いして、終わります。
〇千葉盛副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後4時0分 休憩
午後4時22分再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇佐々木宣和委員 地球温暖化対策に関して伺っていきます。
 先ほども話題になりましたけれども、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画最終案が示されているところでございます。2030年までの削減目標が41%から57%になったところでございます。これを見ますと、再生可能エネルギーの温室効果ガス削減目標が7%から7%と変わっていないところでありますけれども、かなり挑戦的な目標だと思っていますが、この辺に関して、そのままの目標としたのはどういった考え方なのか伺いたいと思います。
〇高橋グリーン社会推進課長 再生可能エネルギー導入による温室効果ガス排出削減効果についてであります。
 本県における2030年度の再生可能エネルギーの想定導入量は、現行計画と同じ54億1、900万キロワットアワーと見込んでおります。
 この導入量ですが、具体的な事業計画として、系統との連携を確保し、FIT-固定価格買取制度の認定を受けている計画を積み上げたものとなっております。現行計画の策定以降、新たなFITの認定を受けた事業計画がないことから、同一の目標としているものであります。
〇佐々木宣和委員 計画として入っているものがふえていないからというようなところでございますけれども、まず一つは、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画で、一番わかりやすい1枚の紙であらわしているものの中のグラフが、削減分の再生可能エネルギーと森林吸収源対策を含む棒グラフが一緒になって、削減しているところが見えないような形の棒グラフが採用されているような形なのですけれども、これは何か意味があるのでしょうか。
〇高橋グリーン社会推進課長 佐々木宣和委員御指摘のグラフは、2013年度を基準として、2019年度、それで最終目標の2030年度の棒グラフだと思っておりますけれども、今般は57%削減という目標を案として掲げているのですが、その削減の幅がしっかり57%というのをわかりやすいような形で表記したということであります。
〇佐々木宣和委員 見やすくなっているようには思うわけですけれども、売りの部分は森林吸収源の削減なのかと思っていて、これがなかなか見えづらくなると少しもったいないと思ったところでもありました。
 この57%という数字のつくり方に関して、以前、環境福祉委員会でも、どうやって数字を積み上げていくのかということで質問させていただきまして、国の地球温暖化対策計画で示された部門ごとの排出削減量を、地域特性を示す指標で案分、それで削減可能量を出している。そして、国の計画数量に含まれない県独自の削減可能量を足すという答弁でした。つまり、ある程度自動的に出す数字感と、プラス県独自策でどのぐらい削減するのかを足すような形なのかと思ったのですけれども、この41%から57%になって、県の独自施策で加算された部分がどのぐらいあるのか伺いたいと思います。
〇高橋グリーン社会推進課長 今回の改定最終案におきましては、国の施策に連動するものと県独自の施策に関するものを分けずに、全て削減対策についてはこれぐらいの削減量で、実際、その割合は40%目標を目指しますということで記載しております。
〇佐々木宣和委員 ちなみに、前の計画を41%でつくったときは、これは県独自策の削減可能量はどのぐらいで出せていたのか伺いたいと思います。
〇高橋グリーン社会推進課長 申しわけございません、資料を取り寄せまして回答させていただきます。
〇佐々木宣和委員 この57%というのが目標値としてかなり高いのではないかと思っていまして、私の調べたところだと50%ぐらいが、思い切って50%ぐらいにしている県が多いというところです。
 実績値でもう2019年のものも出ていて、それを見るとなかなか難しいのではないかといいますか、2019年のもので私も計算してみると、初めの計画の41%ぐらいに収束するような形なのかと思います。再生可能エネルギーと森林吸収源を足して41%から42%ぐらいまで行けるのかどうなのかと思っているようなところなのですけれども、かなり先行している地域もあるような気もするのですが、そういったところと、政策的に岩手県としてやっている部分に特徴的なものがあるのかないのか伺ってもいいでしょうか。
〇高橋グリーン社会推進課長 これから2030年度にかけてというところで、県として特徴的な施策、検討していることも含めて御紹介させていただきますけれども、まず、委員御指摘のとおり、再生可能エネルギーは、数字的には変わっておりませんが、本県はポテンシャルが非常に高くなっておりますので、適地に導入を進めていきたいということがございます。
 そのほかの削減対策といたしましては、今2月定例会にも令和5年度一般会計予算案で計上させていただいているものとしまして、電気自動車や太陽光発電とのセット導入への補助ですとか、新たにタクシー、バスのEV化に対する補助といった新しい取り組みも盛り込んだところであります。
 今後、2030年度に向かって、そういった地域の特性もしっかり踏まえた上で、新たな施策を盛り込んでいきたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 実績値というところで見ると、そもそも統計でとっているので、やったのが3年後とか4年後に返ってくるような形でもあって、なかなか見づらいところなのです。例えば、徳島県などはもう34%減っているようなことのようです。それこそ、ほかの県でも、県有施設がさっきも話題になりましたが、岩手県の事務事業の削減目標は60%というような形でやられているかと思うのですけれども、実績値として、私がさっき勘定してみたら13%ぐらい減っているのは減っている。ただ、群馬県などは、県施設の削減というのでまた別計画を立てて、それが前倒しで達成されたという新聞記事なども見ていて、政策的にやっているものと実数を照らし合わせなければいけないと思っているところです。
 今回の削減目標を57%にするに当たって、実績値は考えられてつくられたものなのかということと、審議会等で答申をいただいているかと思うのですけれども、その中で、この目標に対してどういった意見があったのか伺いたいと思います。
〇高橋グリーン社会推進課長 まず、実績値を踏まえた目標の設定かということであります。もちろん、直近の数字は実績として出てまいりますので、それも踏まえた上で目標を検討することになりますけれども、先ほど佐々木宣和委員がおっしゃいましたとおり、目標設定の基本的な考え方としましては、国の目標をそれぞれの地域が持つ特性等によって案分して持ってきた排出削減量が基本的な考え方にありますので、実績は実績として、目標は目標ということです。例えて言いますと、実績が低くても高い目標を目指して取り組んでいかなければならないということもございますし、その逆もしかりということと考えております。
 2点目の審議会等での御意見ということでございましたけれども、県の環境審議会で専門家の方から御意見を頂戴しました。その中では、目標設定に関しては、特に御意見は頂戴していなかったところであります。
〇佐々木宣和委員 私は政策に反映させるためには実績がすごく重要かと思っているのと、先ほどの目標と計画は違うものなのかなと思っているので、その辺は少し考えていただいたほうがいいかと思っております。
 そして、実際に削減目標の57%の内訳を見ていくと、岩手県地球温暖化対策実行計画での課題でもあったような削減対策等というところで、従来は32%削減するというところから、47%に大幅に目標値を上げているかと思います。家庭、産業、業務、運輸等、それぞれの分野での目標値と具体的にどのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。
〇高橋グリーン社会推進課長 部門ごとの温室効果ガスの削減目標についてでございます。基準年である2013年度と比較した主な部門の削減目標ですが、家庭部門が57%減、産業部門が41%減、業務部門が60%減、運輸部門が32%減としております。
 目標を達成するための主な取り組みといたしましては、家庭部門につきましては、省エネ性能にすぐれた住宅あるいは高効率な家電の普及の促進、産業、業務部門においては、省エネ設備の導入支援や事業所などの温室効果ガス排出量を可視化するサービスの普及、運輸部門については、公共交通機関への次世代自動車の導入支援や燃料電池自動車の導入支援などに取り組むこととしております。
〇佐々木宣和委員 家庭は57%削減していくというような、かなり高い目標なのかと思っておりますし、先ほど申し上げたとおり、今回の第2次岩手県地球温暖化対策実行計画で示されているものの前実行計画における主要な指標の進捗状況ということで、目標が25%減だったのに対し実績値は15.9%-2019年の実績値ですけれども、これが達成度Cになっているというところです。これを、さらに削減目標を上げていくのは、本当になかなか大変なのかなと思っているところであります。
 次に、市町村との連携ということで伺いたいと思います。
 この削減目標をどのように市町村と共有していくのかと、それぞれの市町村の具体的な政策とどう連動させていくのかを伺いたいと思います。
〇高橋グリーン社会推進課長 市町村との連携についてでありますが、県全体の57%の削減目標といいますのは、国の削減目標が46%である中、本県のポテンシャルなどを考慮して設定したものであり、例えば久慈市では、削減目標62%という高い目標を設定しておりますけれども、各市町村が、それぞれの産業構造や再生可能エネルギーのポテンシャルなどの地域の特性を踏まえて削減目標を設定することが求められております。
 削減目標を記載する実行計画の策定について、中核市として義務づけされている盛岡市を除くと、他の市町村は努力義務とされておりますけれども、県としては、今般の計画改定に当たりまして、昨年11月に県内4カ所で市町村向けの説明会を開催したほか、先月には、県市町村GX推進会議準備会合も開催いたしまして、県の目標値の考え方などについて情報共有を図ったところであります。今後とも、実行計画を策定しようとする市町村を、積極的に支援していきたいと考えております。
 また、市町村との政策の連動についてであります。市町村の脱炭素先行地域選定に向けた取り組みをこれまで補助金などにより支援してきたほか、令和5年度一般会計予算案に計上した県事業も情報提供してきたところであります。令和5年度に県市町村GX推進会議を新設いたしますので、そちらも活用しながら、県全体の脱炭素社会の実現に向けて一体となって取り組んでまいります。
〇佐々木宣和委員 久慈市や宮古市なども脱炭素先行地域ということで認定されています。ただ、盛岡市は中核市なので計画を立てなければならないけれども、ほかの市町村は努力義務ということで、どのぐらいやるところがあるかということかと思います。
 私が前にこの質問をしたときに、県は市町村ごとの数字を把握しているのかというような話もさせていただいたのですが、そのときは数値を持ち合わせていないという答弁をいただいたところであります。何にしても、これはどんどん連携を広げて実効力を上げていかなければいけないところで、その指針となる計画を立てることはすごく意味があることと思っておりますので、ここは協力していただきたいと思っております。
 最後に、ポジティブゾーニングについて伺いたいと思います。
 風力や太陽光などの再生可能エネルギー導入促進地域を設定していこうという取り組みでありまして、目標値が、2025年までに9市町村への設置ということでありますが、事業者や市町村にとってのメリットをどのようにつくっていくつもりなのか伺いたいと思います。
〇高橋グリーン社会推進課長 ポジティブゾーニングについてであります。地球温暖化対策の推進に関する法律の改正によりまして、市町村は、再エネ設備の設置に適した区域を促進区域として設定することができることになりました。
 市町村にとっては、国や県の基準を踏まえて、環境に配慮した区域を地域との合意形成を踏まえて促進区域として設定することで、再生可能エネルギー設備の投資を呼び込み、地域の経済循環につなげることができるほか、設備の適正立地を促進して環境保全を図り、地元でのトラブルを未然防止することも期待できると考えています。
 また、促進区域の内と外で、発電設備に係る固定資産税の特例措置の優遇割合がございます。その割合に市町村が条例で差を設けるなどして、さらにインセンティブを付与することも考えられ、先月の県市町村GX推進会議準備会合でも話題に上ったところです。
 さらに、事業者にとりましては、事業候補地における配慮や調整が必要な事項が見える化され、事業の予見可能性が高まるほか、環境アセスメント手続の最初の段階である配慮書手続が適用されないことによる迅速化、省力化、開発に関する関係法令のワンストップ化の特例の適用による手続の簡略化といったメリットがございます。
〇佐々木宣和委員 最近でもイヌワシのことで計画を戻すような話も何個か出てきています。強みである再生可能エネルギーの設置をどんどん進めるような市町村の取り組みを応援していただきたいと思います。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、高橋グリーン社会推進課長から発言を求められておりますので、これを許します。
〇高橋グリーン社会推進課長 先ほど佐々木宣和委員から御質問がございまして、後ほど回答しますと申し上げていた件であります。
 県独自施策による上乗せ分の削減、前回までのものでありますが、割合にしますと1%減ということになっております。
〇飯澤匡委員 私も、ただいまの質問に関連して、GXの推進についてお伺いします。
 2050年カーボンニュートラル目標は我が国でも必ず達成しなければならないということで、ことしから四つの重点事項としてGXの推進について県でも取り上げたということです。省エネルギー対策の推進、再生可能エネルギーの導入促進、それから森林吸収、温暖化への適用など、この3本柱で進めるとなっております。実際、そのファクトとしてどういう数値が今押さえられているのかというのは確認させていただきたいと思います。
 質問の第1は、本県の直近のCO2の年間排出量はいかほどなのか。また、そのうち山林が年間に吸収するCO2はいかほどと見積もっているか教えていただきたいと思いますし、ことしは去年と比較して予算額が64億円から120億円のかなりの増額となっています。そのうち新規分は5億円ということですが、予算額の増の数値的な効果がどれほど期待できるのか。それを見積もっての積極的予算配分だと思いますが、それについて示していただきたいと思います。
〇高橋グリーン社会推進課長 まず、本県における二酸化炭素の年間排出量と森林吸収量でありますが、直近の2019年度の実績では、二酸化炭素排出量は1、202万3、000トンとなっており、森林吸収量は141万6、000トンとなっております。
 続きまして、予算額の増額で期待できる数値的な効果についてでありますが、令和5年度一般会計予算案では、県民の居住環境の改善に向けました既存住宅の省エネルギー化に対する支援、民間事業者の自家消費型の太陽光発電設備等の導入支援、二酸化炭素の吸収、固定につながる間伐や再造林等の森林整備など、各分野にわたる取り組みにより、二酸化炭素の削減や吸収効果が見込まれるところであります。
 削減の効果につきましては、直接的かつ短期間で効果があらわれるもののほか、脱炭素化に向けた計画の策定ですとか研究開発など中長期的に効果があらわれてくるものもありますけれども、県としては、着実に効果を積み重ねて、2030年度の削減目標や2050年度のカーボンニュートラル達成に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 各事業を見てみますと、環境生活部のみならず、ただいま説明があったように農林水産部でも積極的な予算配分をしています。これは、特に岩手県の森林関係については、ずっと継続的に予算配置されているもので、これはもうどんどん推進していただきたいという観点で質問するのですが、昨年、総務部で人口減少のときにも質問したのですけれども、各部局に事業が割り当てられて、そこの進捗管理は、いずれその部局ごとにやるという山田財政課総括課長の答弁でした。
 そこで、所管の環境生活部としては、中間の数値の進捗管理はどこが中心となってスーパーバイズするのか。足りないところは、今度はどうやって次の年に予算配置するのか。どこが主導権を持ってやるかは大変大事なことだと思うのです。その点については、こちらの部局の所管ではないかもしれないけれども、もしその部局があって、こういう指示系統でやっているというのだったら、それを教えていただきたいと思います。
〇高橋グリーン社会推進課長 県の目標達成、GXの推進に向けた体制についてでありますが、実行計画の目標を達成するためには、全庁挙げた取り組みが不可欠でありまして、知事を本部長とする岩手県地球温暖化対策推進本部において、各部局の取り組み状況の共有と進捗管理を行うほか、ことし、令和5年4月に本部長のもとにCGO-最高脱炭素責任者を創設しまして、八重樫副知事が就任することにより、GXを加速していくための体制を構築しようとしているところであります。
 こうした体制のもと、CGOには、あらゆる部局の政策が脱炭素につながるよう、森林吸収源対策、交通政策や産業政策における脱炭素化、令和5年度に発行するグリーンボンドによる調達資金の最適配分も含めマネジメントを担っていただきながら、環境生活部も調整役としてしっかり立ち回り、関係部局と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 そうですか。では、これから八重樫副知事に全部聞けばいいわけだね。わかりました。
 やはり進捗管理をして、足りないところをどのようにして新しい政策をどんどん取り入れていくかというのは、誰かが責任を持って管理しなければだめなのですよ。こうやって事業がたくさん各部局ごとにあるのだけれども、ばらばらとやっていて、やっていますというのでは困ってしまうのです。去年も言ったけれども、サイドディッシュだけいっぱいあって腹いっぱいになったのでは、子供は育たない。ザーサイとギョーザだけでは育たないのですよ。だから、幹となるものを岩手県らしさという事業の中で、2050年まであと30年弱ですが、でもあっという間です。私はそれを岩手県の産業とつなげていくのが大変大事な観点だと思うのです。
 温室効果ガスの削減については、いろいろな国のメニューとかもあるけれども、岩手県らしさで自分の地域の特性、潜在力とか、そういうものをおっしゃいましたが、そこをどうやって育てていくかという観点がとても大事で、そこのところがなかなか見えてこないのです。育つための、要は炭水化物の部分です。これをどうやって育てていくか。これだけは岩手県の特性としてやらなければならないという幹となる政策の部分が目に見えていないと、県民にとってもなかなかわかりづらい。
 ただいまの佐々木宣和委員の質問の中で、各部署でやってくださいと部門ごとの削減目標が出てきたけれども、岩手県全体としてこうやって動かしているのだというところを県民にも見せていかないと、なかなか達成していかないと思うのですが、その点について所感があればどうぞ。
〇高橋グリーン社会推進課長 先ほどの佐々木宣和委員からの質問でも頂戴しましたけれども、今回、削減目標案としてお示しした数字は、全国的に見てもかなり高い数字であります。そういったことも含めて、県だけではもちろんだめですし、市町村と県だけでももちろんだめです。事業者の方、県民の方それぞれも、みんなで一丸となって取り組まないと目標は達成できないと考えております。飯澤匡委員がおっしゃいましたように、2050年のカーボンニュートラルというのは、もっと先の大きな目標がございますので、それを達成するためには、関係者が一丸となって取り組まなければいけないと考えています。
 そのためには、例えば、どういった取り組みをするとどれだけ削減効果があるのか、私たちはどういう取り組みをすればいいのか、県としてはそういった情報提供を積極的にしていかなければならないと思っております。いろいろな分野でそういった取り組みが必要になってくると思うのですが、今、産業ということでお話がございましたけれども、例えば、我々としては商工労働観光部と連携して、そういった新しい産業の分野の創出ができるのかどうかといったことも考えていく必要があるのではないかと感じております。
〇飯澤匡委員 グリーンILCで、今、吉岡正和先生が各地でさまざまな取り組みをなさっています。企業の方にモチベーションを与えて、将来を見通して、どのようにして産業を育てていくかという観点でやっています。
 それで、我が県の非常に大きい潜在力は、農林水産業の業態との協働、特に森林です。これを吉岡正和先生も非常に大きく提唱しているところであります。農林水産部の予算を見ると、ことしは随分積極的な予算配置をしているようですが、今のうちでも非常に長いスパンがかかるのだけれども、岩手県としてどうやっていくかというのは、大きな目標として掲げながらやっていくことが非常に大事なことだと思うのです。このことが特性ある、岩手らしさというものについて着目して、もっとそこら辺は政策の幹として進めていかねばならないと思うのです。
 確かに、おっしゃったように、削減するとか協力というのは、マインド的には余り積極的にはなかなかいかないものです。ただ、産業を育てるという観点でいけば、いろいろ積極的な動きがもっと出てくる。私は、そこにもっともっと着目してその政策化をしてほしいと思うのですが、その点はいかがですか。
〇高橋グリーン社会推進課長 産業などの育成との関係ということで御質問を受けとめましたけれども、今、飯澤匡委員から御指摘ございました、例えば農林水産業分野に関してお話しさせていただきますと、温室効果ガスの排出削減目標の達成に向けた取り組みの柱の一つとして、飯澤匡委員からも御紹介ございましたように、吸収源対策も掲げているところであります。
 持続可能な森林整備ですとか県産木材の利用のさらなる促進、農業分野ですと、化学肥料の一層の低減、有機農業の導入、あるいは水産分野ですとブルーカーボンの推進、こういった農林水産分野における取り組みも非常に重要であると認識しております。
 施策を推進するに当たりましては、関係部局の積極的な取り組みが必要でございますので、先ほども答弁申し上げましたが、岩手県地球温暖化対策推進本部で進捗管理や取り組み方針の確認をするほか、関係部局がしっかり連携して着実に取り組みをしていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 非常に整理された答弁だと思うのですが、ただ、やはり定期的に情報発信をするというのは非常に大事なことなので、そこはしっかりやっていただきたいと思います。それから、森林整備といっても、簡単なことではなくて、成長するときにしっかりCO2を吸収する部分があるので、だから、これは機を逸してはだめだと思うのです。本当に計画的に、しっかりやらないと効果が発揮できないことになりますから、その点についてしっかりお願いしたいと思います。
 八重樫本部長がこれから前面に立ってやるということなので、来年以降はそういう形で私たちもしっかりと管理していかなければならないと思っています。どうぞよろしくお願いします。
〇斉藤信委員 私も岩手県第2次地球温暖化対策実行計画改定最終案についてお聞きしたいと思います。
 今回、2013年度比で57%温室効果ガス排出量を削減するという、これは積極的な目標で高く評価したいと思います。これは国の目標も大幅に上回るし、COP26グラスゴー合意で2050年1.5度Cという目標をやるためには、2030年までに世界平均で45%、これは2010年比でやらなくてはならない。排出量が多い先進国は、この目標を大幅に上回らないとだめなのです。そういう意味でいけば、本当にこの2030年までが勝負になっていますので、私は、岩手県が高い目標を掲げて、これをやり切る具体的な取り組みを期待したいと思います。
 そこで、具体的な問題についてお聞きしますが、家庭部門での排出量削減、これは構成比で17.6%で、全国平均の13.1%を超えている。岩手県の場合は家庭部門の排出が多いと。そこで57%削減というこれまた積極的な目標を掲げています。
 課題としては、高断熱性能の住宅リフォームへの助成、そして省エネの照明、電化製品の推進とされていて、これをどう実行するのか。私は、課題は提起されているけれども、具体的な実行計画がまだ不十分なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇高橋グリーン社会推進課長 家庭部門の排出量削減についてであります。まず、住宅の省エネルギー化につきましては、エネルギー消費量の削減効果が高い一方で、どうしてもある程度大きな初期投資を要するものであると考えています。
 現在、県土整備部におきまして、省エネ改修への補助、県土整備部と農林水産部が連携しまして岩手型住宅への補助などを実施しているところでありますが、例えば、こういった関係部局と連携して、今後、県のホームページでまとめて住宅の省エネルギー化に関するページをつくるとかといった、わかりやすい情報提供をしていきたいと考えております。
 また、家電の買いかえについてでございますけれども、こちらも電気代の節約あるいは地球温暖化防止につながる取り組みであります。県では現在、ウエブサイトいわてわんこ節電所を活用して、買いかえによる温室効果ガスや消費電力量の削減効果、省エネ家電を選ぶポイントなどを周知しているところであります。
 こういった取り組みは関係部局にまたがるものもございますので、岩手県地球温暖化対策推進本部でもしっかり議論をした上で、関係部局が一層連携して取り組んでいきたいと考えております。
〇斉藤信委員 この実行計画の60ページですけれども、岩手型住宅の推進目標、現状値、2021年は建設戸数の23.6%、これが2025年、30%に引き上げる、この程度なのですね。そして岩手型木造住宅の基準がはっきりしないのです。
 先ほど、県土整備部は省エネ改修助成をやっていて、農林水産部は県産木材を使った住宅に補助しています。私は前にも言っているのだけれども、どういうレベルの岩手型住宅を推進するのか。ランク別があっていいと思うのです。長野県も鳥取県も、国の基準を超えるヨーロッパ並みの高い断熱性能を3段階ぐらい設定して、そして補助率を高めています。せめて新築の半分ぐらいはそういうレベルにしなかったら、住宅の整備、改修で温室効果ガスの削減は進みません。
 国は、2030年でZEH基準義務化なのです。2030年までにやることが大事なのです。2030年に義務化したって全然間に合わない。そういう意味で、鳥取県や長野県は既にそういう高いレベルで独自の補助もやっています。それを本当に窓口一本化でやってほしい。
 実は、国にもさまざまないい制度があるのです。例えば、先進的窓リノベ事業、窓枠ですね。これは来年度も100億円の予算がついているのですよ。大体これは、二重窓や断熱窓で補助率50%、最大200万円。窓をかえるだけでもかなりの断熱効果。国はこういう制度もあります。
 だから、国の制度をどう活用するか、県の制度をどう活用するか、そういうことを一つにして、本当に新築住宅の半分以上は新しい岩手型住宅を整備してもらう。そして省エネ改修です。既存住宅の場合の省エネリフォームも今モデル事業程度なので、もっと積極的に進めていく必要があるのではないかと思います。本当に、来年度ぐらいにその一本化、住宅の高規格化を決めて取り組むべきではないですか。
〇高橋グリーン社会推進課長 住宅の省エネ化につきましては、県土整備部、農林水産部所管事業ではありますけれども、県庁全体の脱炭素化に向けた取り組みは、環境生活部がある程度旗振り役となって動かなければならないと認識しております。
 来年度以降に向けまして、できるだけ早い時期にという委員の御意見だと思いますけれども、関係部局とまずしっかり協議をして、一緒にどういった取り組みができるのか検討してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 住宅の電気使用量はCO2排出量と関連すると思いますけれども、1年ベースで見ると、暖房より多いのは照明、電化製品なのです。だから、この間、特別委員会で長野県を視察してきましたけれども、長野県は条例をつくって、省エネ性能を電器店で説明する義務づけをしています。物を買うときに、どれを買ったらいいのか、現場での説明が決定的なのです。高いけれども、5年、10年で元がとれますよという説明があったら、高くてもいいものを買うのです。そういう先進的な実例があるわけだから、そういうことをやらないと、いわてわんこ節電所だけでは全然イニシアチブにならない。現場で省エネの照明、電化製品を説明し、普及することが必要なのではないか。
 運輸部門で、先ほどバス、タクシーEV化の補助という話が出ました。積極的でいいと思います。これは1億円を超える予算ですけれども、何台ぐらいを想定しているのか。
 それで私は、EV、電気自動車の普及に思い切って取り組むべきだと思います。実行計画では次世代自動車となっているのです。次世代自動車には、ハイブリッドもクリーンディーゼルも全部入っているのです。今、世界はこういうものを対象にしていないのです。今どんなことが起きているかというと、中国のメーカーが電気自動車を日本で売るという時代です。本気でこの電気自動車の普及を図らなかったら、世界の自動車日本が崩れてくるぐらいの課題になると思うのです。
 長野県は、2030年までに自動車保有率の10%をEVにするとしています。そのために、やはり充電スタンドを主なところに整備する。どこに行っても充電できる整備に今取り組んでいるのです。私はそういうところにお金をかけるべきだと思います。
 もう一言言うと、水素は時期尚早です。今年度、補正予算要求されたけれども、全然使われなかった。燃料電池車を購入しても充電スタンドもないのだから使えないのです。私は、こういう予算も計上して、EVの充電スタンド整備をやるような取り組みこそ運輸部門では必要なのではないかと思いますが、いかがですか。
〇高橋グリーン社会推進課長 運輸部門の脱炭素化について、2点であります。まず1点目、EVバス、EVタクシーの台数でございます。予算上は、EVバスについては4台分確保しております。EVタクシーについては24台であります。EVタクシーに関しましては、充放電設備についても24基分で計上させていただいております。
 次に、自動車関係の話でありますけれども、走行中に二酸化炭素を排出しないということでは、電気自動車あるいは燃料電池自動車がございます。航続距離ですとか充電などに要する時間、インフラの整備状況がそれぞれ異なりますので、その普及のためには、使用方法や地域特性に応じてユーザー側の選択肢がふえることも必要ではないかと考えております。
 令和5年度一般会計予算案には、先ほど斉藤信委員からも御紹介いただきましたが、EVタクシーやEVバス、充放電設備などの導入に対する補助を新たに計上したところであります。
 県としては、走行距離が多いタクシーやバスを初めとして、事業者向けに電気自動車などの普及促進を図ることで、運輸部門の脱炭素化を進めていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 もう一つ、岩手県のやる気を示すためには、県有施設で太陽光発電設備の整備等を行い、岩手県が本気で再エネ、省エネに取り組んでいるという姿を示すべきだと思います。200カ所の太陽光発電設備の導入可能性調査計画が40カ所になってしまいました。これは今年度中に調査結果が出る、来年度は設計という話ですけれども、この見込みはどうですか。本当は来年度ぐらいに整備してほしいぐらいですが、その見通しを簡潔に示してください。
〇高橋グリーン社会推進課長 県有施設への太陽光発電設備の整備であります。斉藤信委員御指摘のとおり、現在調査中でありまして、今年度中に調査結果が取りまとまってまいります。
 調査結果は、規模などが類似するほかの県有施設に導入する場合の参考にするとともに、それぞれの施設において、最適な導入手法、優先順位などを吟味した上で、来年度は具体的な導入計画を作成し、関係部局と連携して順次導入を図っていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは、これにかかわって、風力発電の開発計画についてお聞きしたいと思います。
 実は、実行計画の14ページのところで、岩手県は北海道に次いで2番目に再生可能エネルギー推定利用可能量があるとのことです。ただ、この中身を見ますと、陸上風力が209億キロワットアワーなのです。全体が246キロワットアワーで、圧倒的に陸上風力なのです。
 今大問題になっているのは、本当にイヌワシなどの稀少猛禽類の生息に影響を与えるような計画が既に出ている。陸上風力は単純ではないと思います。発電計画が今どうなっているか、知事がそれに対してどういう意見を出しているか。
 もう一つは、実行計画に付随して促進区域の設定に関する岩手県基準も示されています。遅きに失したという感じですが、これはどれだけの面積で促進地域が設定されているか。今たくさん計画が出ている中で、これは有効性があるのか、どのぐらいの有効性があるのかを示してください。
〇加藤環境保全課総括課長 県内の風力発電計画について御説明させていただきます。
 令和4年度に新規に環境アセスメント案件として届け出のあった県内を事業区域とする風力発電事業は7件ございました。そのうち3件で、イヌワシに対する重大な影響が懸念されているところであります。
 これらの事業は、環境アセスメントを審査する岩手県環境影響評価技術審査会から、事業区域の大部分が希少猛禽類の主要な行動圏になっている。希少猛禽類の営巣地に隣接していることが明らかで、事業を実施した場合消失する可能性が高い。希少猛禽類の生息に十分に配慮して事業区域が設定されているとは言いがたいなどの厳しい意見を頂戴しているところであります。
 イヌワシは、いわて県民計画(2019〜2028)や岩手県環境基本計画で保全目標を設定している重要種であることから、県といたしましては、審査会の意見を踏まえまして、3件の事業者に対する知事意見において、事業区域の再検討などの計画の抜本的な見直しを求めているところであります。
〇高橋グリーン社会推進課長 続きまして、先ほどの県の環境配慮基準の案についてであります。
 まず、位置づけとしましては、促進区域を設定するのは市町村になります。その市町村が設定するに当たっての基準、考え方をお示ししたのが、今お手元にございます県の基準と思っていただければと思います。
 促進区域につきましては、全国的に見て、今まだ2カ所しか設定事例がないと把握しております。これから県内の市町村でも設定が進むように、県としても支援をしていきたいと考えているところであります。
〇斉藤信委員 大船渡市の吉浜地区における太陽光発電計画は、県の環境アセスメントの対象になったと思いますけれども、これはどうなっているか。今後の見通しを含めて示してください。
〇加藤環境保全課総括課長 大船渡市吉浜地区における太陽光発電計画への県の環境アセスメント等の対応であります。斉藤信委員から先ほどございましたとおり、本事業は、岩手県環境影響評価条例第2条第3項に規定する第2種事業に該当することから、環境アセスメントの要否判定手続が必要となります。
 現在のところ、判定手続に必要な事業概要書について、事業者から提出がなく、手続が進んでいない状況であります。
〇斉藤信委員 わかりました。
 最後に、盛岡県央ブロックのごみ処理問題について伺います。
 プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律に基づいてプラスチックの分別、回収が義務づけられたといいますか交付金の要件になったと思いますが、この県央ブロックでは、プラスチックの分別、回収、資源化はどのように検討されているのでしょうか。
〇佐々木資源循環推進課総括課長 県央ブロックにおける検討状況についてでありますが、今年度、構成8市町が締結した県央ブロックごみ処理広域化の推進に関する協定書において、新ごみ焼却施設の稼働までに、プラスチックごみの分別回収及び再商品化を関係市町の全域で実施することとしております。詳細は今後の検討になると聞いております。
〇斉藤信委員 焼却場ができるまでに考えるといったら、これは計画なしで、交付金の対象にならないのではないですか。
〇佐々木資源循環推進課総括課長 県央ブロックでは、循環型社会形成推進交付金の対象要件である循環型社会形成推進地域計画を国に提出しており、交付金の対象になる要件を満たすと聞いております。
〇斉藤信委員 中身がなくても対象になるのですか。
〇佐々木資源循環推進課総括課長 ごみ減量化、分別、回収等、全て記載した計画になっていると認識しております。
   〔「委員長、関連」と呼ぶ者あり〕
〇上原康樹委員 今の斉藤信委員の質疑の中に電気自動車の配備がございました。タクシーが24台という大変結構な数字が出てまいりまして驚きました。
 それだけで大丈夫なのかと思ったのは、24台の電気自動車のタクシーを提供されるのであれば、それを充電する場所、充電スタンドが絶対に必要なのですね。電気自動車は、充電がどうかということがもう表裏であります。生命線なのです。いわんやタクシーはなりわいの道具であります。常に充電が頭の中にあるわけです。そうした充電スタンド、充電施設というのはどうなるでしょうか。
〇高橋グリーン社会推進課長 今般、予算案に計上しておりますEVタクシーと、あと充電器、充放電設備もセットで導入できるように計上しておりますけれども、タクシーは24台分でございます。そして、補助の対象はもちろんタクシー事業者になるのですけれども、タクシー事業者が充放電設備を自前で購入したいという場合には、同じ24基分になりますが、補助金を予算としては御用意している状況であります。
〇上原康樹委員 やはり充電をする場所の存在というのは、ただ単に利便性を図るということだけじゃなくて、もしまちの中でも便利のいい、タクシー会社が使いやすい場所に、タクシーの会社の壁を超えて共同のそういう大きな施設があり、そこに岩手県という文字が浮き立っていれば、岩手県は電気自動車をやる気なのだ、こうなるわけですよ。
 やはり実利と情報の周知徹底は常に表裏一体でありますから、これは絶好のチャンスだと思うのですね。ですから、自動車本体だけの話ではなく、岩手県がこれを仕組みとしてどう充実させていこうかという考えの表明にもなるわけです。一目瞭然になりますので、その辺も加味して新年度の活動に生かしていただきたいと思います。
〇ハクセル美穂子委員 私からは、自然公園、それから、国定公園等の保護管理事業や施設整備について質問させていただきます。
 これらの保護管理事業、施設整備事業は、令和5年度どういった形で進めていくのかお伺いしたいと思います。
〇酒井自然保護課総括課長 自然公園関係の来年度の予算内容ということで、まず順番に、自然公園等保護管理事業につきましては、避難小屋や野営場などの自然公園施設の市町村への管理委託、登山道等の巡回点検を行う自然公園保護管理員の設置に係る経費として、自然公園等保護管理費を計上しております。
 そのほかに、早池峰山のハイシーズンにおけるシャトルバスの運行、登山マナー等の普及啓発に係る経費であります早池峰地域保全対策事業、そして、栗駒山における火山ガス濃度の測定に係る経費である火山ガス測定調査費などを計上しております。
 次に、ハード関係の部分でございます。まず、国定公園のほうでございますけれども、国定公園の整備事業につきましては、来年度は栗駒国定公園の焼石岳における木歩道の再整備の経費、もう一つは、早池峰国定公園の早池峰山山頂避難小屋の再整備の経費を計上しているところでございます。
 次に、自然公園施設整備ということで、こちらは国立公園と県単独施設の整備事業の両方を計上しておりますが、まず、県単独の自然公園施設整備事業といたしましては、室根高原県立自然公園の望洋平キャンプ場におけます施設修繕、そして、折爪馬仙峡県立自然公園の折爪岳キャンプ場の施設修繕を計上しております。
 国立公園の整備事業費といたしましては、十和田八幡平国立公園黒谷地湿原における木歩道の再整備、三陸復興国立公園碁石海岸と宮古市潮吹穴地区における転落防止柵の再整備、そして北山崎園地におけます公衆トイレの改修等を行う予定しております。
〇ハクセル美穂子委員 承知しました。
 この中には、私がこれまで何度も取り上げてきています十和田八幡平国立公園の最盛期のオーバーユースに対する取り組みは入っていないようだったのですけれども、このことについては、令和5年度はどのように進めていかれるお考えなのか、このことについて伺います。
〇酒井自然保護課総括課長 十和田八幡平国立公園の環境保全の関係についてでありますが、十和田八幡平国立公園につきましては環境省直轄の国立公園となっておりましたので、こちらにつきましては、さきの定例会の中でも御説明させていただいたこともありますが、環境省主導で協議の場を持たせていただいております。
 環境省からは、なかなか方向性が見えないところもあったのですが、昨年11月に開催した会議の中では、十和田八幡平国立公園の環境保全活動については、国が主導して取り組んでいくという考えもお示しいただいたところであります。
 その中には、盛岡広域振興局土木部で管理している県道や我々が持っている施設などもございますので、国、県、市町村連携しながら取り組んでいければと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 前よりは一歩、二歩ぐらいは進んだ感はしましたけれども、秋の最盛期まであと6カ月ぐらいしかないので、スピード感を持ってきちんとやっていただかないと、令和5年度の実際の実施につながらないと私は思います。そこは環境省直轄だというお話をされていて、環境省がまずリードするのはそのとおりだと思いますけれども、十和田八幡平国立公園満喫プロジェクト地域協議会がありますが、これは岩手県も事務局になっていますね。書かれていますからそうだと思うのですけれども、事務局に入っているのであれば、この地域について、きちんとオーバーユースとかさまざまな対策をしていくべきではないかという意見を提案するのはできると思いますので、ぜひ積極的にやっていただきたいと思いますが、その点について、もう一度お願いいたします。
〇酒井自然保護課総括課長 十和田八幡平国立公園満喫プロジェクト地域協議会につきましては、県も構成員の一人になっておりましたので、当然、委員御指摘のとおり、環境保全活動、あと誘客活動も含めて連携して取り組んでいくということで、申すべき機会があれば、申すべきことはきちんと意見として伝えていきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 これまでなかなか伝わってきていないことですので、きちんと伝えてほしいと思います。私が何度も言っているのは、現場の方が言っているからで、現場の方の声がきちんと雫石町とか岩手県に上がって、十和田八幡平国立公園満喫プロジェクト地域協議会で協議されるような仕組みが機能していれば、私がここで質問する必要はなかったのではないかと思いながら質問しています。そういう仕組みをしっかり機能させるようなお仕事をやってほしい。それは、岩手県で言えば環境生活部でありますので、その点については、今後はしっかり取り組んでいってほしいと思います。
 もう一つ、十和田八幡平国立公園ステップアッププログラム2025が令和3年度にできていますけれども、この中で、私は再度読みながら気づいたのが、例えば新幹線の駅とか岩手県の中に、雫石駅が入っていないとかあるのです。十和田湖周辺のことはよく書かれているのだけれども、八幡平から岩手山周辺、秋田駒ヶ岳のほうの取り組みが非常に薄いなという印象を持ってしまうのですね。
 これは、協議会に岩手県が入ってステップアッププログラムもつくっていると思いますので、主張すべきところはしっかり主張していくというのは大切なことだと私は思っています。その点について、これまでもやってこられたと思いますが、主張すべき点をどういうふうにしっかりやっていくのかというところを、もう一回お伺いしたいと思います。
〇酒井自然保護課総括課長 十和田八幡平国立公園ステップアッププログラムにつきましては、現在2期目となっておりまして、1期目の部分に関しましては、多言語看板だったり情報発信の関係で環境省の支援制度などもあって、それを使った整備なども行ったところでございます。
 現在の計画につきましては、そういった環境省の支援制度は特段ないところもございまして、盛り込まれている事業が、どちらかというと、現在さまざまな主体で取り組まれているものを取りまとめたような形ということで、他県で行われているものが入ってくると、どうしても本県のものが薄く見えたりということがもしかするとあるのかもしれません。
 こちらにつきましても、定期的にステップアッププログラムの会合が持たれておりますので、今後の展開も含めて、内容についての意見として、申し上げるところはきちんと伝えていきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 はっきり言うのも恐縮ですけれども、内容が本当に薄いです。これは2025年までやらなければならないということは、私が今取り上げていることについても、ほぼ令和3年の時点で課題として多分現場からは上がってきているようなことだと思いますが、そういうものもないということで、ぜひ、これからはしっかりやっていただきたい。
 なぜこんなに私がこのことを一生懸命やるのかというと、今回、盛岡市がニューヨークタイムズの記事によって、2023年に行くべきところだと言われまして、世界に発信されて、いろいろなインバウンドの、それも欧米系の方々で盛岡市に来る方がふえてきている中で、令和5年度に、県は1億円かけてプロモーションもするという補正予算を計上しています。
 それで、盛岡市のまちの観光資源のポテンシャルもそのとおりなのだけれども、私は、岩手県の観光資源の本当に大切なというかポテンシャルのあるところは自然公園、自然のトレイルとか、そういうものこそが、何度もリピーターを呼んでこられるような大切な観光資源の一つでもあると思っています。
 ただ、自然公園ですので、観光のほうにだけ特化していくわけにはいかない。環境保全もしっかりしながら、その中で岩手県特有のといいますか、すばらしい自然を満喫していただくということが必要です。それがこの満喫プロジェクトの主目的でもあると思っていますので、ぜひ、この点についてもう少し力を入れて、登っていただくのもいいですし、いろいろとリサーチしながら、環境省とともに、自然の観光資源をさらに活用していけるような視点でも活動していっていただきたいと思っています。
 そういう視点での今後の取り組みについて、もし今何かあれば教えていただきたいと思います。
〇酒井自然保護課総括課長 御意見ありがとうございます。国立公園は、特に国のほうでも、現在、インバウンドをにらんで保護と利用の好循環ということで、これまで、どちらかというと保護のほうが強い自然公園だったのですけれども、インバウンドなどを見据えて利用の促進も図っていくという方向に方向変更する中で、満喫プロジェクトといった取り組みも行っているところでございます。
 御指摘のとおり、十和田八幡平国立公園は県を代表する観光地で、県内外から多くお客様がお見えになるところでもございますので、当然、我々といたしましても、観光部局と連携して、保護と利用の好循環を目指して積極的なPRだったり、我々のほうとすると保全活動ということになりますけれども、連携して取り組んでいきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 ぜひ連携して、観光地になりますからトイレとかは大切ですので、施設をつくらなければいけないのであれば、しっかり連携しながら必要なものをつくっていただきたいと思います。
 十和田八幡平国立公園だけじゃなく、トレイルというのが今すごく盛んにやられています。欧米の方々は、長いトレイルを本当に愛する方が多くて、私の夫のおじも、アパラチアントレイルという3、500キロメートルぐらいのトレイルを何年もかけて踏破するというのをやっていました。そういうふうに、世界の方々は何回も何回も休みのたびに来て、少しずつトレイルを進めていくというような自然の楽しみ方をやっています。
 ぜひ、十和田八幡平の岩手山周辺の50キロメートルトレイルだけじゃなく、ジオパークの潮風トレイルもあります。非常に美しいトレイルですし、きちんとした発信をして、それから環境保全をしていけば、本当にこれは100年、200年の宝になると思います。そういったところは、県として、ここは大切なところなのだよということを環境省にしっかりお話をしながら、保全活動、それから資源としての活用を進めていっていただきたい。
 しっかりと前に進むように取り組んでいただきたいと思っていますので、最後に福田環境生活部長の所感を伺って、終わりにします。
〇福田環境生活部長 さまざま御指摘いただきましたけれども、国の出先機関には、地域ニーズへの柔軟な対応、住民によるガバナンスといった点で課題があるとされておりますので、国、県、市町村でしっかり連携していく必要があると思っております。
 先ほどの施設整備の件につきましても、環境省の出先機関に担当課から説明させていただいた結果、本来的な役割分担を改めて認識いただいたところでもありますので、引き続き、環境省に地域のニーズをしっかり伝えてまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 私からは、若者に対する支援についてお伺いしたいと思います。
 まず、いわて若者活躍支援強化事業の取り組み状況についてお伺いします。
〇鎌田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 いわて若者活躍支援強化事業の取り組み状況についてでありますが、若者の交流機会の創出やネットワークづくりを促進するため、いわて若者カフェの運営やいわてネクストジェネレーションフォーラムを開催してきたほか、若者の豊かな発想力や創造力を生かし、地域の課題解決や活力創出に結びつくような自発的で積極的な活動を若者の主体的な活動と捉えて、そうした活動を行う若者グループ等に対し、延べ103団体に補助事業による支援をしてきたところであります。
 加えて、ポータルサイトコネクサスを開設、運営し、ウエブ上において県内の若者の情報発信、交流の場を創出することなどにより、本県の若者が活躍できる環境づくりに取り組んできたところであります。
〇小林正信委員 わかりました。事業に関してはこれまでさまざま御意見があったところかと思います。実際にこの事業で集った若者が、その後どのような活動を展開したかという点の具体的な成果がなかなか見えづらい点もあるのかと思います。やはりネクストジェネレーションフォーラムとか、103団体に補助し、大きなイベントをやることも大事かとは思いますけれども、このイベントを受けて日常活動にどうつなげていくかということです。そういう中で、いわて若者カフェの取り組みは重要なのかなと思います。
 まだいらっしゃるのかもしれませんが、以前、若者カフェにはカフェマスターがいたということです。このカフェマスターがさまざまなアドバイスを行う仕組みもあると思いますけれども、この仕組みが結構大事なのではないかと思います。
 ユースワーカーという取り組みは、イギリスが発祥で、若者と社会をつなぐ役割として注目されています。欧州各国で、学校と家庭、職場以外の場所で若者の成長を支援する取り組みをユースワークと名づけ、それを専門的に担う人材をユースワーカーとして広く普及が進んでいます。
 日本では法的な定義がありませんけれども、こども家庭庁設置をめぐる議論の中で取り上げられ、既に札幌市、兵庫県尼崎市などで取り組みが進んでおります。若者の居場所の提供、また相談支援、高校生や若者の意見を集約して行政へ提言を行う等、幅広い支援が進んでおり、岩手県においても、人材の育成また人材を育成する人材、ユースワーカーという観点は重要と考えますけれども、御所見をお伺いいたします。
〇鎌田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 ユースワーカーは、小林正信委員から今御紹介がありましたとおり、英国が発祥で、若者の居場所づくりや地域参加などの幅広い活動を通して、青年の成長を支える人材のことを指すと承知しております。我が国では、かつての若衆組や若者組が同様な機能を持っていたものと考えているところであります。
 県では、平成29年度からいわて若者カフェを設置しまして、家庭、学校、職場以外の若者の居場所づくりに取り組んでおり、また、県内のさまざまな分野で活躍し、豊富な経験と多様なネットワークを有し、若者を支援する方を、委員からも御紹介がありましたカフェマスターとして委嘱しているところであります。この方々が、いわゆるユースワーカーと考えているところであります。
 カフェマスターは、平成30年度からこれまで18名の方を委嘱しておりまして、こうした方々の中には、ぜひ若者の支援を行いたいとして複数年継続してくださる方もいらっしゃるところであります。
 令和3年度までは、当該カフェが盛岡市のみの設置でありましたことから、全県で若者が身近な地域で交流、相談できる体制づくりを行うために、令和4年度からは、県北・沿岸地域3カ所と県南地域1カ所に、いわて若者カフェ連携拠点を設置したところでございまして、これらの拠点を活用するカフェマスターを幅広く委嘱していくことが、ユースワーカーの育成につながるものと考えているところでございます。
〇小林正信委員 イベントを打つことも大事かと思いますけれども、やはり日常的に若者等を支援していく、また、そこで若者の意見を吸い上げる、そして、それを行政なり政策として実現するというこの取り組み、ぜひともこれは充実させていっていただきたい。ただ若者が集まってわいわいやるだけではなくて、何か具体的な結果、また若者の起業とか、そういうものに生かせるような取り組みを連携してやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、昨年設置された若者女性サポート・活躍推進緊急タスクフォースについて伺います。
 この若者女性サポート・活躍推進緊急タスクフォースで検討された施策にはどのようなものがあったのかお伺いします。
〇鎌田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 若者女性サポート・活躍推進緊急タスクフォースによる施策の検討状況についてでありますが、県では、新型コロナウイルス感染症の長期化により、さまざまな困難に直面する女性、特に若者女性への一層の支援を検討するため、昨年5月に、関係各部で構成する若者女性サポート・活躍推進緊急タスクフォースを立ち上げまして、情報共有や検討を行ってきたところでございます。
 コロナ禍における女性の支援拠点として設置した、いわて女性のスペース・ミモザへの相談内容等を分析したところ、寄せられる相談には経済的な問題に起因するものが多いほか、行政による各種支援も十分に知られていないことが改めて明らかになったところであります。
 こうしたことから、さまざまな状況に置かれている女性に必要な支援に関する情報が確実に届くよう、いわて女性の活躍応援サイトの充実を図るほか、女性の就労確保や所得向上につながるデジタルを初めとする成長分野での女性の活躍促進に努めることなどを、タスクフォースの中間論点整理として取りまとめたところであります。
 これを受けまして、令和5年度一般会計予算案には、成長が見込まれるデジタル分野での女性のための就業促進セミナーの開催を新たに盛り込むなど、若者女性への支援に取り組むこととしております。
〇小林正信委員 やはり緊急という点がポイントかと思いますので、これは難しい部分もあるかと思いますけれども、施策がすぐに効果を発揮するような取り組みが重要と思っております。
 各施策の進捗を確認しつつ進捗を後押しし、足りない施策があれば、検討を各部局に提案するようなことも今後必要なのかと思っております。私もきのう、デジタル女性の活躍について科学・情報政策室デジタル推進担当に聞いたのですが、余りぴんと来ていなかったような感じなのですけれども、こちらでやられるということですが、やはりそこは、デジタル分野の部局との連携がなかなかとれていないのかなということも感じております。
 この若者女性サポート・活躍推進緊急タスクフォースは、緊急ということで本当は一時的なものかと思うのですけれども、今の御答弁を聞いていると、まだ課題があるといいますか掘り下げられていないような気もいたします。検討の上で行う事業もまだ一つだけかと思いますので、このタスクフォースは今後も続けていく予定があるのか、その部分をしっかりお伺いしたいと思います。
〇鎌田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 若者女性サポート・活躍推進緊急タスクフォースは、新型コロナウイルス感染症を契機として設置したものではありますけれども、今後の若者女性の活躍支援のあり方については、全庁的な人口減少対策との関係もございますので、こちらも視野に入れつつ、引き続き検討を行っていきたいと考えております。
〇小林正信委員 きょうは、困難を抱える女性の支援をどうするかという御議論もありましたし、また、女性の活躍という議論もありました。かなり幅広い分野にわたるかとも思いますので、この若者女性サポート・活躍推進緊急タスクフォースの存在は非常に重要と思います。あらゆる点に目を配っていただき、取り組みを進めていただければと思います。
 次に、子ども・若者総合相談センターの相談状況についてお伺いしたいと思います。
〇鎌田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 子ども・若者総合相談センターの相談状況についてでありますが、県では、アイーナにある青少年活動交流センター内の青少年なやみ相談室を子ども・若者育成支援法に基づく子ども・若者総合相談センターと位置づけ、総合相談窓口として、青少年やその保護者からの相談に対応しているところであります。
 今年度は、電話や面談、メールなどにより、2月末までに約1、100件の相談を受けてきたところでございまして、家庭生活や学業、体の発達などについて、さまざまな悩みに対し、傾聴とあわせて、必要に応じて各種関係機関につなぐなどにより問題解決を図っているところでございます。
〇小林正信委員 今回の本会議また予算特別委員会でも、知事から、生きにくさを生きやすさにというフレーズが結構ございました。そこで、生きにくさを生きやすさに変える取り組みについて充実されているのだろうと思いましたが、例えばいわて若者ステップアップ支援事業、これは若年無業者の自立支援という、まさに生きにくさを感じている若者を支援する事業ですが、予算が少し減らされているとか、若者支援の予算も全体的に少し後退している印象があります。
 子ども・若者総合相談センターについても、生きにくさを生きやすさに変える大事な事業なのだろうと思います。以前、若者女性協働推進室長から、先進地の視察あるいは調査を行う考えがあるという答弁をいただきましたが、こういう調査は行われたのか、あるいは調査を踏まえ、子ども・若者総合相談センターの令和5年度の取り組みをどのように行っていくのかお伺いさせていただきます。
〇田丸若者女性協働推進室長 全国の先進事例の調査につきましては、まだ具体的に行っていない状況ではございます。ただ、県の各関係機関ですとか教育委員会を初めとしまして、岩手県子ども・若者自立支援ネットワーク会議の中で、さまざまな情報を共有しながら連携した対応を行っていくところとしております。
 さらに、今年度、新たに青少年が利用可能な各種相談窓口の一覧を作成しておりまして、中学生向けに配布することにより、相談窓口の周知を図り、青少年が抱える悩みを相談しやすい環境づくりに取り組むこととしております。
〇小林正信委員 今、コロナ禍もそうですし、かなり若者が生きにくさを抱えていて、そういう若者が多いかと思いますので、ぜひ、この先進事例の調査、研究を行っていただいて充実をお願いしたいことと、今、支援ネットワークのお話がありましたけれども、岩手県教育委員会との連携あるいは各学校との連携、そのあたりをもう少し詳しく教えていただければありがたいと思います。
〇鎌田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 ただいま田丸若者女性協働推進室長からも答弁がありましたけれども、子供、若者問題の対応支援は幅広い分野にまたがることになっておりますので、岩手県教育委員会とは、岩手県子ども・若者自立支援ネットワーク会議において、情報共有し、連携しながら対応しているところであります。
 また、そのほかにも、例えば青少年の非行・被害防止県民運動とか、春のあんしんネット・新学期一斉行動など、共同による普及啓発とか、メディア対応能力養成講座などによる教育関係者の能力向上などにおいても、岩手県教育委員会と連携した取り組みを進めているところであります。
〇小林正信委員 いずれ、生きにくさを生きやすさに変えるというフレーズといいますか考え方は、せっかく知事が掲げていらっしゃるので、あらゆる事業に行き渡ることが大事かと思いますけれども、この予算についても、先ほどのいわて若者ステップアップ支援事業ではないですが、なかなか十分ではないという気がしております。
 かけ声で終わってしまうような懸念もございますので、特に、生きにくさを生きやすさに変えてくれそうな事業がたくさんあると思うのですけれども、この子ども・若者総合相談センター事業もそうですし、子ども・若者自立支援ネットワーク会議もそうですが、この部分にしっかり力を入れていただいて取り組みを進めていただきたい、これをお願いして、終わりたいと思います。
〇佐藤ケイ子委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 質疑がないようですので、これで環境生活部関係の質疑を終わります。
 環境生活部の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時47分 散会

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