令和5年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和5年3月7日(火)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 平 貴 一
主任主査 佐 藤 博 晃
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 及 川 雄 也
主査 阿 部 真 人
主査 刈 屋 江美子
1説明員
知事 達 増 拓 也
副知事 菊 池   哲
副知事 八重樫 幸 治
復興防災部長 佐 藤 隆 浩
ふるさと振興部長 熊 谷 泰 樹
保健福祉部長 野 原   勝
ILC推進局長 箱 石 知 義
議会事務局長 小 畑   真
次長 安 藤 知 行
総務課総括課長 米 澤   勉
政策調査課長 金 森 一 恵

総務部長 千 葉 幸 也
副部長兼
総務室長 村 上 宏 治
参事兼
人事課総括課長 加 藤 勝 章
総務室管理課長 柳 原   悟
法務・情報公開課長 草 木 秀 二
特命参事兼
職員育成課長 熱 海 淑 子
財政課総括課長 山 田 翔 平
行政経営推進課
総括課長 加 藤 真 司
税務課総括課長 今 野   浩
管財課総括課長 和 田 英 樹
総務事務
センター所長 小笠原 祐 喜

政策企画部長 小 野   博
理事 上和野 里 美
副部長兼
首席調査監 菊 池 芳 彦
参事兼
政策企画課
総括課長 竹 澤   智
参事兼
秘書課総括課長 佐 藤 益 子
特命参事兼
政策課長 本 多 牧 人
評価課長 高 橋 幸 司
秘書課
儀典調整監 高 橋 利 典
秘書課管理課長 藤 原 ひろみ
広聴広報課
総括課長 村 上   聡
報道課長 星 野 俊 一
総括調査監 内 城   仁
総括調査監 佐 藤 直 樹
調査監 高 橋 秀 司

会計管理者兼
出納局長 木 村   久
副局長兼
総務課総括課長 宮   昌 隆
特命参事兼
入札課長 安 倍   均
会計課総括課長兼会計指導監 今 雪 博 貴
審査課長 佐 藤 政 幸

人事委員会
事務局長 菊 池 正 勝
職員課総括課長 藤 村   朗

監査委員事務局長 藤 澤 良 志
監査第一課
総括課長 及 川 博 英
監査第二課
総括課長 佐々木 良 生
〇佐藤ケイ子委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 なお、高橋こうすけ委員は療養のため欠席とのことでありますので、御了承願います。
 議案第5号から議案第25号まで、議案第29号から議案第32号まで、議案第34号及び議案第36号から議案第60号までの以上51件を一括議題といたします。
 本日は、昨日に引き続き総括質疑を行った後、議会、総務部、政策企画部、出納局、人事委員会及び監査委員関係の質疑を終わるように進行いたしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 また、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、新型コロナウイルス感染症対策として、換気のため、午前は1回、午後はおおむね1時間半ごとに休憩いたしますので、御協力をお願いいたします。
 これより、昨日に引き続き総括説明に対する総括質疑を行います。佐々木努委員。
   〔佐々木努委員質問者席に着く〕(拍手)
〇佐々木努委員 いわて県民クラブの佐々木努です。会派を代表して総括質疑を行います。
 県は昨年9月、持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の報告書を公表しました。この報告書は、厳しい財政状況に加えて、今後、大幅な人口減少が見込まれる岩手県において、今後どのような方向性と手法で県政運営を進めればよいのかを第三者に提言いただいたものであると認識しています。
 私は、山積する課題を抱えた岩手県の未来のために、この提言を積極的に県政に反映していく必要があると考えますが、県は、この提言を令和5年度の施策にどのように反映していくのか伺います。
〇達増知事 持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書は、県の中長期的な行財政構造の特徴や抜本的な行財政改革の方策とともに、研究会の議論を踏まえた今後の施策の展開方向について、人口減少対策の強化、県立病院のさらなる充実、県立高等学校における学びの質の向上など、子供子育て環境の充実を初めとした安心・安全に暮らせる基盤の強化や、グリーン社会の実現、DX推進による豊かで活力あふれる岩手県の実現といった内容が取りまとめられています。
 県では、こうした内容も参考にいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランを策定するとともに、令和5年度当初予算案においても、所得制限を設けない保育料等の無償化や在宅育児手当支給など、子供子育て環境の充実を初めとした自然減・社会減対策や、GX、DXの推進等の重点事項に予算を重点措置するなど、さらに施策を充実していくこととしております。
 また、報告書では、市町村を初めとする関係団体等との連携の重要性にも触れられており、これらの点にも意を配りながら、持続可能で希望ある岩手を実現するため施策を展開してまいります。
〇佐々木努委員 この研究の重要テーマは、今、知事がおっしゃったように、人口減少対策の強化、県立病院のさらなる充実、県立高等学校の学びの質の向上、この三つだと理解しています。どのテーマも県の重要課題でありまして、見直しや改革が欠かせないと私は思います。
 先日の一般質問では、この報告書のポイントは、人口減少社会における地方財政の確立について、国の責任を指摘し改革を迫った点にあると述べた方もいらっしゃいますが、私は素直に、今の国の仕組みの中でも県がやらなければならないことを示したものだと解釈しています。
 そして、研究会の提言の肝、これは財政運営に大きな影響を与えていて、今後、それがますます増大すると思われる県立病院、そして、県立高校の改革であると思っています。なぜなら、この二つの改革なくして持続可能で希望ある岩手の実現など、とても語れないからであります。
 しかし、知事は、少子化、人口減少対策についてはさまざま述べられましたが、先日の演述ではこの二つ、県立病院と県立高校改革については、必要性に全く触れられませんでした。触れないどころか、医療局にこれまで同様の200億円を繰り出すという話までされています。
 これは、報告書にあります持続可能で希望ある医療提供体制の構築のため、保健医療圏や全県的な医療提供体制と県立病院の体制等を一体的に検討し、県が主体となって従来の枠組みを超えた課題解決の方向性、グランドデザインを示す必要がある。もう一つ、県民の医療を守りながら、病院事業会計への繰出額について、人口や財政規模の動向を踏まえながら見直しを進めていく必要がある。この提言を無視したものと思いますが、知事の認識をお伺いいたします。
〇達増知事 本県においては、県立病院が救急医療、小児医療、高度、専門医療など採算性等の面から民間医療機関による提供が困難な医療に加え、一般的には市町村が担う、へき地等における初期医療の役割を担うなど、他県に比べても重要な役割を果たしています。
 県は、国が定める繰り出し基準等を踏まえ、県立病院が行っている不採算医療などの提供に要する経費に対し、毎年度200億円を超える繰出金を支出していますが、県民に良質な医療を提供する県立病院の役割を踏まえれば、今後も県立病院への繰り出しの必要性は変わらないと認識しております。
 研究会報告書においては、県民の医療を守りながら、病院事業以外の多様化する行政需要にも十分に対応していくためには、病院事業会計への繰出額について、人口や財政規模の動向を踏まえながら見直しを進めていく必要があることが示されており、医療提供体制のあり方を含め、県民的な議論を行いつつ、毎年度の予算編成等において適切な繰出額の水準を検討してまいります。
〇佐々木努委員 知事のおっしゃるとおりです。医療を守るためには県もそれなりの繰り出しを行う、財源の支出を行うということはもちろん大事なことでありますけれども、なぜかこの間の演述を聞くと、金額ありきのような、なぜ今、研究会がこのように指摘をしている中にあって、額まで出さなければならなかったのかということが私は全然理解できません。職員の多くは、毎年200億円の繰り出しについて非常に危機感を持っていると私は聞いています。
 そういう中で、知事演述は職員の方が原稿を書いたのだと思います。知事もお忙しいから、自分で全部書くのは無理なので、職員の方が書かれたと思いますが、わざわざ200億円を繰り出しますみたいなことを演述で知事に言っていただくために書くということ、これは全くおかしい話ではないか。
 そして、知事は、そういう原稿を見たら、これはおかしいから直したほうがいいのではないかと言うのが本当ではないかと。もし知事がこのことに触れるのであれば、多額の繰り出しを減らす取り組みを進めながら、県民が安心できる医療体制を整備するよう努めるということを演述でおっしゃるべきではないですかね。何の目的でああいうことをおっしゃったのか、私には非常に不可解でありますし、違和感を感じました。多分、あの発言を研究会のメンバーの方々が聞いたら、自分たちは何のために研究会に呼ばれて報告書をまとめたのだと思われると思います。私は非常に失礼だと思います。それは指摘にしておきたいと思います。
 病院改革というのは、県民の痛みも伴う、そして、県としても、県の職員の方々にとっても、知事にとっても痛みを伴うことだと思います。過去にも花泉病院問題で知事も大分御苦労されたと思いますが、これから人口減少がどんどん進んでいけば、この病院改革は絶対に手をつけなければならないことだと私は思います。
 そういう観点から、市町村が運営する病院との統合、再編も含めて、これは県が積極的にこれからやるべきではないかと私は思いますが、改めて知事にお伺いします。研究会でも提言しております県立病院と市町村立病院も含めた病院の統合、再編をこれから行っていく考えがあるのかないのか、その辺を知事にお聞きしたいと思います。
〇達増知事 報告書によりますと、本県は、他都道府県と比較しても突出した数の県立病院を運営、県民福祉の増進のための最も重要な社会基盤の多くを県が直接県民に提供、毎年度、多額の繰出金で経営を支え、その中で効率化の努力、この状況を県民や市町村等に理解してもらう必要とありまして、知事演述は、ことしは、提案しております来年度予算案の内容をいつもより詳しく述べる中、来年度予算案における繰出金が200億円余と、来年度予算案としてこれが今の岩手県にとって必要な予算という意味で、県民の命と健康を守り、一方で、財政的な効率化の努力をした上で、200億円余の繰出金を提案させていただいているところであります。
 このような県民に良質な医療を提供する県立病院の役割をさらに発展させていくこと、一方で、病院事業会計への繰出額については、人口や財政規模の動向を踏まえながら見直しを進めていくこと、これを毎年度の予算編成等においてしっかり進めてまいります。
〇佐々木努委員 統合、再編の議論を進めるおつもりはないかということを私は質問したのでありまして、そのことにお答えいただけますか。
〇佐藤ケイ子委員長 通告の範囲を超えていますけれども、大丈夫ですか。
〇達増知事 先ほど述べましたように、県立病院や県立高校については、中長期的な検討が必要でありまして、本報告書も踏まえながら、県立病院については、将来にわたって、より質の高い医療を県民に提供していくために何が最も実効性があるかが、県民を初め関係者との丁寧な議論を通じて、とるべき施策について具体化されるものと考えております。
〇佐々木努委員 知事、私は、私が言っていることが全て正しいとは思っていなくて、知事が200億円出しても300億円出しても県立病院はいいのだ、県民が理解するのだという思いなのであれば、そのとおり発言してください。自分がそういう岩手県の医療をつくると。私は別なことを発言している。それをはっきり私は答弁してもらいたいんです。中途半端に、いつやるとも言わないで、やるもやらないも言わないで、わかりにくい言い方で答弁されるのは、私もこれからの岩手県の医療、県政を考えていく上でいろいろ考えることがありますので、その判断にもなりますから、そこははっきり答弁していただきたい。きょうはこれでやめておきます。
 次に、少子化対策について伺いたいと思います。きのうも大分議論がありましたけれども、同じような質問になるかもしれませんが、御答弁をお願いしたいと思います。
 岩手県のここ数年の出生数の推移でありますが、2017年は8、175人、2018年は7、615人、2019年は6、974人、2020年が6、718人、2021年は6、472人と減少を続けています。毎年同じことをお聞きしているわけですが、改めて、この要因と、岩手県において出生数減少が加速する状況についての知事の所感を伺います。
〇達増知事 出生数減少の要因は、結婚観の多様化や出会いの機会の減少などによる未婚化や晩婚、晩産化の進行、子育てや教育に係る経済的な負担、育児に対する心理的、身体的な負担など、さまざまな要因が複雑に絡み合っているものと考えられ、背景には、結婚、出産、子育てのしにくさといった生きにくさの問題があると認識しております。
 本県では、これらの要因に加え、若い女性の社会減を含めた女性人口そのものが減少していること、男性は50歳時の未婚割合が高く、女性は30歳以上で婚姻率と出生率が全国平均より低いこと、全国に比べて年間総実労働時間が長い中にあって、共働き世帯の妻に家事、育児の負担が偏っていることなどが影響していると考えられます。
 本県の合計特殊出生率は、過去には全国平均を上回って推移していましたが、平成18年から約10年間、全国的に団塊ジュニア世代の駆け込み出産と呼ばれる比較的高齢での出産がふえ、出生率が改善したと言われた期間において本県の上昇は弱く、平成30年以降、全国とほとんど差がなくなり、ともに低下傾向を示しております。
 30歳以上の方々の結婚や出産、子育てと仕事の両立などを地域や職場、行政が連携して支えていく必要があると考えております。
 人口減少、少子化に立ち向かうには、原因となっているさまざまな生きにくさを生きやすさに変えていく施策の展開が必要であり、結婚、妊娠、出産、子育てなど、各ライフステージに応じた総合的な施策を強化し、全国トップレベルの子供子育て環境をつくり、希望する全ての県民が、安心して子供を産み育てられるようにしてまいります。
〇佐々木努委員 きのうも米内紘正委員が指摘されましたけれども、2022年の出生数の速報値が出まして、どうやら岩手県が、出生数の減少率が全国ワーストになる見通しだということです。このことに対して、知事は率直にどう思われていますか。この要因は何だと思われますか。
〇達増知事 その前年の2021年の出生数の減少率は、全国平均を下回る減少幅であったことから、その翌年の昨年が、いわば反動で全国を上回るような減少数の増加幅だったということも考えられます。ただ、そこは、ことし、来年と続けて見ていかないと、そういった上がり下がりの中での大幅減かどうかは見定められないところがありますけれども、まず、そういったことも考えられます。
 ただ、そもそも出生数が減っていること自体、そこには、生きにくさというものが目の前の課題としてあるわけでありまして、結婚、妊娠、出産、そして子育てのそれぞれのフェーズにおける支援を強化し、また、岩手で暮らす、岩手で働く、岩手で育てるという人口の社会減対策の部分も、自然減対策とあわせて進めていく必要があると考えております。
〇佐々木努委員 私は、別に岩手県がだめだからとは言っておりませんし、そうも思っていません。私は、県に責任があるとすれば、こういう状況にならないように県民一体となった機運醸成を図ってこられなかったということが県の一番の責任であると思います。
 県、市町村、民間企業、そして、ここにいる我々議員もそうですし、県民一人一人の努力が足りなかったから、結局こういうことになってしまっていると、私は個人的にすごく反省しています。
 ですから、そういうことをしっかりと、県は、ほかの県よりも少し努力が足りなかったということを認めて、次に進むという気持ちになっていただくことが一番大事ではないかと私は思います。これからの県の取り組みに期待するわけであります。
 さて、きょうは知事とのやりとりができる最後の機会ですので、私は前から知事にお聞きしたかったことがあるので、二、三お伺いいたします。大意はありませんので、ストレートにお話いただければと思います。
 全国的に人口減少、出生数が減っているわけでありますけれども、知事は、もし自分が総理になったとしたら、この少子化に歯どめをかけるために何をしたらいいと思いますか。知事も政治家ですから、ふだんからそういうことを考えていらっしゃると思いますが、教えていただければと思います。
〇達増知事 元厚生労働省幹部だった山崎史郎さんという人が日本経済新聞出版から出している人口戦略法案という本は、人口減少対策に関する主要論点を全て取り上げ、それらについて、こうすればいいという政策も出し、それを人口戦略法案という形で示していて、それを実行すれば、基本的に日本の人口減少問題は解決できると思っております。
 財源として、子供保険による10兆円規模の財源をふやす。もちろん既存のさまざまやっている事業の振りかえもありますので、10兆円の純増ではないのですけれども、まさに10兆円の次元の異なる政策を行うことによって日本の人口減少問題は解決できる。
 そして、これは京都大学の柴田先生ですか、最近、6兆円や8兆円という規模の財源を確保できれば、特殊合計出生率を2%以上、まち・ひと・しごと創生法体制の目標としていたところにも持っていくことができると。これは同じ方向性のことを言っているのだと思います。
 プラス、1995年のように、地方の経済が東京都、首都圏等より相対的に景気がよくて、有効求人倍率の高い状況の場合、岩手県からの転出超過の数字は329人と、ほぼゼロだったことがあります。
 国がマクロ経済政策、当時、バブル崩壊後の景気対策で、地方に手厚い財政政策、緊急経済対策をとり、民間でもそれと呼応するような地方での投資がふえることで、岩手県からの転出超過がほぼゼロになるということが起き、全国的にも地方回帰の人の流れができましたので、あわせてそれも行えば、基本的に日本の人口減少問題は解決すると思います。
〇佐々木努委員 きのうもその内容はお聞きしましたが、具体的な施策として、子育て支援なり、こういうものを国でやったほうがいいというものはありますか。どうでしょうか。
〇達増知事 山崎史郎さんの人口戦略法案の体系は、まず、高校生など若者にライフデザイン、妊娠、出産と年齢の関係などの情報を提供するところから始まって、不妊治療にも力を入れます。そして、妊娠というところから先で一番重要なのは育休、出産1年目に対して、働いている人であれ働いていない人であれ、十分な生活費が公的に保障されて、そして子育てに専念することができる。スウェーデンではそういうやり方によって、ゼロ歳児保育というものが存在しない。ゼロ歳児は基本的に家庭で保育できる、それだけのお金を働いている人であれ働いていない人であれ、世帯に対して国が保障すると。そこが一番大きな内容になっております。
 それ以外は、既に岩手県でもやっているようなことが書かれているわけでありますけれども、一番お金がかかり、かつ一番効くのが、従来、育休制度が確立していた企業に働いている人だけが恩恵を受けていたものを、国が公的に、働いていない人も含めて、これは男性同士といいますか、LGBTの方のパートナー結婚が養子を受けたときも、そこに支援するというところまでユニバーサルなわけですけれども、そこが一番重要なのではないかと考えます。
〇佐々木努委員 もう一つお聞きします。岩手県において、県は、新年度にこれまでにない取り組みを進めるようでありますが、財源を全く無視して、本当はこういうことをやりたいのだということ、知事が日ごろから考えていることがあったら教えてください。なければなくても構いません。
〇達増知事 10兆円の子供保険を人口で、経済規模で岩手県は全国の100分の1ですから、10兆円規模というのは1、000億円ということでありますけれども、毎年1、000億円ずつ岩手県で出すことができれば、人口戦略法案に書かれた施策を全て岩手県でできることになりますので、それをやりたいと思います。
〇佐々木努委員 その10兆円規模云々というよりも、岩手県独自で、今の段階で、今のこの状況で、財源を無視して、財源があればこんなこともやれるということ、知事がもし思っていることがあれば、例えば、給食を全県無償化にするために取り組むとか、そんなことでも結構ですので、何かお考えがあったら教えてください。
〇達増知事 人口減少対策は、人の命、人と人の結婚、出産、そして生活にかかわることでありますので、お金が十分にあるのであれば、それは全国一律にやるべきものを岩手県でやるという考えが基本になります。
 人間性の大事な部分をケアしエンパワーするというのは万国共通なので、既にスウェーデン等ヨーロッパがやっているようなことをやるということで、独自性の問題にはならないと考えているのですけれども、むしろお金がないがゆえに、まだ他県でやっていないことを先んじてやるでありますとか、今、財源が足りないがゆえに、ニューヨークタイムズ紙で盛岡市が日本で1番、世界で2番の中規模都市に選ばれた、それを利用した交流人口、関係人口の拡大など、そこは、お金がないがゆえに、そういった特徴的なところに力を入れるという格好になります。
〇佐々木努委員 わかりました。結局、国頼みということなのだと思いますが、ぜひ国のほうにもしっかりと、財源も含めて、さまざまな制度改正について要望していただきたいと思います。
 これも米内紘正委員が御紹介されていましたが、全国的に出生数が減少している中で、鳥取県と富山県がかなり健闘しているということであります。私も何度も本会議で取り上げました。鳥取県は、子育て王国とっとりとうたって、今回、県がやろうとしている在宅育児支援はずっと前からやっています。私もおととし、ぜひやってほしいと求めましたけれども、そういうことをずっとやってきた県であります。富山県は、これも御承知のとおり、県が条例をつくって、次世代育成支援対策推進法の一般事業主行動計画を常時雇用従業員30人以上の企業に義務づけて、民間の企業が一生懸命子育て支援に取り組んでいるという県です。やはり、そういうところは、確実に実績を上げているわけであります。
 県もいろいろ取り組み始めてはいるようでありますが、そういうことにも私はもっと力を入れてほしいと思います。これは指摘しておきたいと思います。
 それでは、最後になりますが、教育問題についてもお聞きしたいと思います。
 質問の前に、一つ俳句を御紹介したいと思います。
 草いきれ吸って私は鬼の裔。草いきれ吸って私は鬼の裔。
 知事、この句は御存知でしょうか。
〇達増知事 ことしの俳句甲子園で北上市の高校生ですか、岩手県の高校生が、その俳句で優勝したものと記憶しております。
〇佐々木努委員 北上市ではなくて奥州市の私が住んでいる前沢。でも、この句を知事が御承知だということは、私は非常にうれしく思います。いわてグラフの12月号でも取り上げていただきました。ありがとうございます。
 この句を詠んだ阿部なつみさんは、県立水沢高校の3年生ということでありますけれども、俳句甲子園は25年の歴史がありますが、東北地方の子供が最優秀賞をとったのは初めてだということで、東北地方にもこういう感性を持った子供が育っているのだなと私は非常にうれしく思います。
 この句の初句、草いきれというのは、夏の草むらのむんとした空気のことです。吸って私は鬼の裔、それを吸った私は鬼の末裔だと。草むらでそういう熱気を吸って、私は自分が鬼の末裔なのだということを感じたと。これは自分を卑下したものではなくて、それを誇りに思うという句なわけです。多分、これは同じ奥州市の大谷翔平選手とか、それから、合唱もそうですけれども、岩手県では、子供たちが今、さまざまな分野で活躍をしています。そういう方々の活躍があって、自分がそういうところに生まれた同じ人間なのだ、東北地方の岩手県の人間なのだという誇りから、そのような句を詠んだと思います。
 これは非常にすばらしい句でありますし、先ほども言ったように、いわてグラフでは取り上げていただきましたが、これを教育現場でも、岩手県の全ての子供たちに知ってほしい、誇りを持ってほしいと思うので、知事も機会があったら、ぜひそういうものを広めていただきたいし、それぞれの担当部署においても、ぜひ広めていただきたいと思います。
 そのように、岩手県に誇りを持って頑張って生きている子供たちがいる一方で、残念ながら、成長の過程でつまずいて学校に行けない子供たちが、岩手県には今2、000人以上いると言われています。そのような子供たちも、一生懸命生きていきたいけれども、なかなか自分の思うようにいかない、非常に苦しんでいると思います。
 知事は、そのような子供たちに対して、どのような思いをお持ちか、そして、県としてどういう支援をしていこうとしているのか教えてください。
〇達増知事 全国と同様、県内でも不登校児童生徒が増加しており、その背景には、コロナ禍を初めさまざまな要因があるものと思われます。今日、大人であっても、社会、経済の急激な変化に対応し、通常の日常を過ごすのも大変な状況にある中、子供たちが直面している苦労や難しさは並大抵のものではないと感じております。
 社会で充実した人生を歩んでいくためには、自分とかかわる人たちとの関係性を保ちながら、みずからの意思と判断で主体的に社会に参画し、社会的に自立できるようになることが求められ、そのためには、適切に他者に依存したり、みずからが必要な支援を求めたりしながら、社会の中で自己実現していくことが重要であります。
 県教育委員会においては、いじめ対応・不登校支援等アドバイザーの配置、ICTを活用した学習支援、フリースクール等民間団体との連携会議の開催、教育支援センターのさらなる開設による相談支援体制の強化など、公的機関と民間施設等の情報交換や連携に努めています。
 また、私立学校では、これまでも私立高等学校等において、不登校を経験した生徒等を受け入れてきています。
 不登校児童生徒への支援は、学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく、児童生徒がみずからの進路を主体的に捉えて、社会的に自立を目指せるように支援する必要があるものであり、今後も、児童生徒一人一人の支援ニーズを的確に把握するとともに、児童生徒の居場所が確保できるような仕組みの構築に向けた、県教育委員会の取り組みを支援していきたいと思います。
〇佐々木努委員 ぜひ、積極的な知事部局のかかわりもお願いしたいと思います。
 その中で、昨年の私の一般質問において、先ほど知事がおっしゃった私立の高等専修学校等で、不登校の子供を受け入れている矢巾町の星北高等学園に対して、助成をふやしてほしい、私立学校並みにしてほしいという要望をいたしました。その結果、新年度どのように反映されたのか教えてください。
〇熊谷ふるさと振興部長 私立専修学校高等課程に対する運営費補助、星北高等学園への運営費補助でございます。令和4年度当初予算における生徒1人当たり補助単価は3万5、960円でありましたが、令和5年度当初予算案におきましては、大学入学資格付与校について7万1、920円としたところでございます。
 これは、専修学校高等課程のうち、大学入学資格付与校については、全日制の高等学校と同等の教育を行っていることや、近年、不登校を経験した生徒等の受け入れに積極的に取り組み、生徒数も増加していることなども踏まえまして、本務教員の処遇を私立高校並みに引き上げるとともに、クラス数の増に伴う本務教員の増など教育環境の充実が図られるよう、補助単価を倍増することとしたものでございます。
〇佐々木努委員 今回、倍増にした根拠をもう一度お願いします。
〇熊谷ふるさと振興部長 具体的に申し上げますと、私立高校の教員の平均給与がございますが、星北高等学園に今いる先生方の給与をその平均並みに引き上げるとともに、生徒がふえていますので教員の数もふやしたいというお話もございました。
 私は昨年、実際に現地に赴きまして、校長先生、理事長のお話を聞いたところでございますが、そういった教員の確保もしたいということでありましたので、その増員が図られるよう、そういった制度設計で令和5年度当初予算案の金額を決めたものでございます。
〇佐々木努委員 私は全然足りないと思いますし、私にとっての根拠は、私立学校と同等の補助、それしか私には答えが見つかりませんし、私にとってはそれ以外の答えはありません。インターナショナルスクールに多額のお金を出すのも結構ですけれども、まず、岩手県の子供の支援にお金を使うことにぜひ県は意を用いていただきたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
〇佐藤ケイ子委員長 質問者席の消毒のため、しばらくお待ちください。
 次に、高田一郎委員。
   〔高田一郎委員質問者席に着く〕
〇高田一郎委員 日本共産党の高田一郎でございます。
 まず、2022年の出生者数は、前年比5.1%減の80万人割れとなりました。政府の予測よりも8年も早いペースで少子化が進んでいます。その要因をどう分析しておられるのか、諸外国との比較も含めて示してください。
〇八重樫副知事 少子化社会対策大綱では、少子化の主な原因を、未婚化、晩婚化及び有配偶出生率の低下であるとし、その背景には、経済的な不安定さ、出会いの機会の減少、男女の仕事と子育ての両立の難しさ、子育てや教育に係る費用負担の重さなど、さまざまな要因が複雑に絡み合っているものとしています。
 また、令和2年度に国が実施した少子化社会に関する国際意識調査によると、比較対象であるフランス、ドイツ、スウェーデンの国民の7割以上が、自国が子供を産み育てやすい国だと思うと回答しているのに対し、日本では過半数が、そうは思わないと回答しており、教育費の支援、雇用の安定、育休等の職場環境の整備、子育てに対する社会全体の理解などが不十分であると感じている傾向にあります。
 本県においては、若い女性の社会減を含めた女性人口そのものが減少しているほか、全国に比べて、男性は50歳時の未婚割合が高く、女性は30歳以上の有配偶出生率が低い状況にあり、出会いや結婚を取り巻く環境や仕事と子育ての両立の難しさなども、少子化に影響を及ぼしているものと考えております。
〇高田一郎委員 それで、知事にお伺いしたいのですけれども、予測を上回る速いペースで進んでおります。政府も異次元の子育て支援と言っています。具体策も財源も示されない状況でありますけれども、そもそも何が足りないのか、この点について知事の見解を伺います。
〇達増知事 先ほど八重樫副知事が述べたようなことを初め、生きにくさという目の前の課題が大きいのだと思います。そもそも若い人たちは、賃金が低くて結婚ということを考えられない、まして、妊娠、出産、子育てというところまで全然手が届かないという状況に始まり、結婚はしたけれども、共働きで、なかなか妊娠、出産、子育てまで行かない。そして、何とか1人出産し子育てを始めても、女性が働きながらの子育て、また、男性の家事、育児参加がそれぞれ難しい状況にある。そういう生きにくさが重なり合って、今のようなことになっているのだと考えております。
〇高田一郎委員 若者の貧困化という問題を今お話しされましたけれども、私もそう思います。今、非正規雇用が増加して、若い世代の収入が本当に低く抑えられて、そして、常に雇いどめの不安があります。年収200万円以下のワーキングプアが1、000万人を超えているのがずっと続いております。この問題を解決しないと、結婚にも子育てにも希望が持てない、そういう状況だと思います。
 そこで伺いたいのですけれども、県内の正規と非正規労働者の婚姻率について、県はどう把握されているのでしょうか。
 そして、最低賃金を欧米並みに1、500円へ引き上げることが必要です。県として何ができるのか。例えば、会計年度任用職員や指定管理者として働く方々の賃金を大幅に引き上げることや、若者への住宅支援、直接支援、こういったものも県として対応すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇八重樫副知事 非正規雇用の婚姻率についてでありますが、県別の調査結果は公表されていませんが、国が実施した平成27年労働力調査では、正規、非正規雇用における配偶関係が調査項目として設定されており、正規雇用のうち、有配偶である割合は、男性が68%、女性が49%、非正規雇用のうち、有配偶である割合は、男性が49.4%、女性が64.5%となっており、男性は、正規雇用に比べ非正規雇用において有配偶者の割合が低くなっております。
 次に、若者への住宅支援についてでありますが、県では、空き家や県営住宅の空き室を活用し、結婚や子育て等のライフステージを控えた39歳以下の若者世代を対象に、住宅支援に取り組んでおります。
 住宅の確保については、県営住宅活用促進モデル事業により、若者から求められるWi−Fi環境を整備した県営住宅を低廉な家賃で貸し出し、若者の住宅支援と既存ストックの有効活用を図っているところであります。
 また、住宅の取得については、若者・移住者空き家住まい支援事業により、若者が、市町村が運営する空き家バンクに登録された空き家を取得、改修する際の経費の一部を補助し、若者世代の住宅取得や移住の促進を支援しているところであります。
〇千葉総務部長 県の会計年度任用職員につきましては、地方公務員法に定める均衡の原則に基づき、生計費や民間給与等を踏まえて決定されている常勤職員との均衡を考慮して、報酬やボーナスの水準を決定しているところでございます。
 令和5年度における会計年度任用職員の給与水準についても、県内民間の給与の状況や生計費等を反映した令和4年人事委員会勧告を踏まえた増額改定を行い、12月定例会において条例改正案を可決いただいております。
 今後におきましても、物価高騰等の社会情勢の変化を注視しながら、適正な処遇を確保してまいります。
〇高田一郎委員 政府が一昨年行った少子化社会に関する意識調査では、育児を支援する施策として何が大切かについて、教育費の軽減と答えた人の割合が69.7%と断トツです。県は、子育てにかかわる経費をどう把握されているのでしょうか。私は、子育て世代が一番求める高等教育を含めて教育費の無償化というものを、少子化対策の中心に据えて対応すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
〇達増知事 大学、専門学校の教育費の無償化についてでありますが、日本における大学の授業料は、諸外国と比較して高く、大学進学に係る家庭の経済的負担が大きいことが課題であると認識しております。
 高等教育の無償化については、国において、真に支援が必要な低所得者世帯の学生を対象に給付型奨学金の拡充、授業料等減免制度の創設を内容として令和2年度から導入されており、県内では六つの大学、4短期大学及び29の専門学校の計39の高等教育機関が、授業料等無償化の対象となっております。
 県では、高校生等が経済的理由により大学等への進学を諦めることのないよう、毎年度行っている政府予算等に関する提言・要望において、給付型奨学金の拡充などのさらなる制度の充実、授業料等減免対象者の所得要件の緩和などの制度の充実を要望しているところであります。
〇八重樫副知事 子育てに係る経費についてでありますが、国が実施している出生動向基本調査によると、理想の数の子供を持たない理由としては、毎年、子育てや教育に係る経済的負担が最も多くなっているところであります。
 また、県が独自に調査した令和4年県の施策に関する県民意識調査において、子育てに関する実感について、子育てがしやすいと感じないと回答した方の理由として、子供の教育に係る費用が最多で、次いで、子育てに係る費用となっており、本県においても、子育てや教育に係る経済的負担が、子育てのしにくさの要因となっているものと認識しています。
〇高田一郎委員 日本の大学の学費は、世界でも本当に異常だと思います。高い学費で進学を断念したり、あるいはアルバイトに明け暮れる学生生活、そして、奨学金という借金を背負って社会に出なければならない、こういう若い世代が実感する将来への出費の不安から、なかなか子供をつくれないという状況になっているのではないかと思います。
 こういう中で、新年度の予算案には、高校生の大学などへの進学支援が初めて創設されました。きのうも議論がありましたけれども、この事業に対する知事の思いを聞かせてください。
 そして、全国の自治体でも同様の取り組みが行われているのか、この点についてもあわせて示してください。
〇達増知事 高校奨学事業費補助で実施する新たな奨学金制度は、公益財団法人岩手育英奨学会を実施主体に、経済的に困窮している高校生等に大学等進学に必要な経費を貸与し、県内大学進学または一定期間の県内就業を条件に、返還を免除するというものであります。これは、教育費負担の軽減を図るとともに、将来、県内での就職を希望する生徒への支援になるものと考えております。
 他の都道府県の取り組みとしては、東京都では、塾費用や受験料の貸与、鹿児島県では、大学等の入学金や授業料相当額の貸与などがあり、また、令和5年度に、新たに生活保護世帯の高校生を対象とした支援制度を創設する県もあると承知しております。
 本県には、東日本大震災津波の発災以降、復興支援のため被災地に多くの方に入っていただきましたが、沿岸地域の高校生が、復興支援活動を行う大学生や教職員の方々と交流する中で、大学での学びに興味を持ち、進学したいと思うようになったと私は直接聞いたことがあります。
 大学等での学びは、社会的、経済的な背景を超えて、社会に大きく貢献する力を身につけ、個々の可能性を広げる機会にもつながるものであり、進学意欲がある生徒を支援していきたいと思います。
〇高田一郎委員 どんな家庭に生まれても、専門学校や大学で本当に学びたいという若者に学びを保障するのが、政治の役割だと思います。全国的にもすぐれているこの制度をぜひ周知して、多くの学生の皆さんが利用できるようにしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次に、学校給食の無償化について伺います。
 今、全国や県内の実施状況はどうなっているか示していただきたい。また、岩手県で小中学校を含めて無償化を実施する場合の所要額、また、第3子以降を無償化する場合の所要額についても、あわせて示していただきたいと思います。
〇菊池副知事 学校給食費の関係でございますが、まず、全国の状況は、平成29年度の文部科学省調査によりますと、当時の全国1、740自治体のうち、小学校、中学校とも無償化を実施している自治体は76自治体で、割合で言うと4.4%、一部無償化、一部補助を実施している自治体は424自治体で24.4%、無償化等を実施していない自治体は1、234自治体で70.9%となっております。
 県内の状況については、令和4年度において、全額無償化を行っている市町村は5町村、一部補助を行っている市町村は5市町となっております。
 県内の全市町村において全額無償化を実施する場合の所要額は約41億6、000万円、第3子以降無償化する場合の所要額となりますと約8億3、000万円となる見込みであります。
 学校給食につきましては、義務教育諸学校の設置者であります各市町村において、学校給食の意義や児童生徒の実態及び地域の実情などを踏まえつつ、その実施方式等を総合的に判断しているものと捉えております。
 学校給食費の無償化につきましては、今後の国の動向等を注視し、各市町村に対し、給食費の設定状況や助成事例を初め、必要な情報提供に努めてまいります。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、高田一郎委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
 高田一郎委員、御了承願います。
午前11時0分 休憩
午前11時17分再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇高田一郎委員 学校給食無償化については、副知事から、必要な情報提供に努めるという答弁にとどまりました。本来、教育費は無償化という観点からすれば、これはもう憲法上の要請であって、国の責任で対応しなければならないと思います。
 しかし、今、県内でどういうことが起きているかといいますと、貧困家庭がふえていることもあって、給食費を親が払えないから食べない、こういう子供たちがいるということを現場から聞いております。国への要請とともに、やはり地方自治体でも独自の努力を行って国策にしていくことが大事だと思います。
 実は、千葉県ではことし1月から第3子に対する給食費の助成が始まりました。沖縄県でも検討を始めているということが新聞で報道もされていますので、ぜひ、そういう方向で検討していただきたいと思います。
 次に、高齢者施設の支援策について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の第8波では、高齢者施設でのクラスターが急増して、施設内療養中に亡くなる方が最多となりました。その要因をどのように受けとめているのでしょうか、第8波での高齢者施設でのクラスターの発生状況、施設内療養者数及び施設内で亡くなった高齢者の実態についても示してください。
〇野原保健福祉部長 新型コロナウイルス感染症の第8波では、オミクロン株の高い感染力により、本県でも高齢者施設等でのクラスターが複数発生する中で、基礎疾患のある高齢者が体調を崩されて亡くなられていることについては、非常に重く受けとめております。
 高齢者施設のクラスターは、昨年10月以降2月までに369件発生しており、感染者数は、公表時点での数値となりますが2、300人を超えております。
 また、この期間に施設内で亡くなった方は123人となっており、感染拡大のピークであった12月は64人、その後、1月が38人、2月が4人と減少しております。
 本県でも全国と同様に、第8波では高齢者施設等におけるクラスターが多数発生いたしましたが、その要因については、国のアドバイザリーボード資料によると、死亡リスクが高い身体的活動度が低下した高齢者が多く利用していること、これまでのワクチン接種や感染によって獲得した免疫が低下した可能性があること、救急搬送や一般医療の負荷の増大の影響により、高齢者施設入所者への治療介入がおくれた可能性があることなどが指摘されております。
〇高田一郎委員 私もこの間、県内の高齢者施設を回ってきました。その中で関係者から、酸素飽和度が下がっただけでは入院できないと保健所から言われたとか、あるいは透析患者も入院させてもらえなかったという訴えもありました。入院が必要な高齢者が入院できなかったことが、死亡者を大きくさせた要因だったのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
〇野原保健福祉部長 県ではこれまで、高齢者施設等において陽性者が確認された場合、嘱託医や協力医療機関の医師による医療の提供が行われるよう働きかけてきたところであり、多くの施設におきましては、軽症の患者は薬の処方や必要に応じて酸素投与などを行い、医師が入院の必要があると判断した場合には、保健所等が入院調整を行っているところであります。
 入院調整に当たりましては、オミクロン株における高齢者の死亡リスクについて、基礎疾患の有無のみだけではなく、身体活動状況の悪化が指摘されていることから、認知症や要介護度が高い方にも対応できる宿泊療養施設への入所、また、患者の状態によっては、冬期間に転院移動させることによってリスクが増すことなどから、介護施設に医療従事者が出向いて施設において治療を行うなど、患者の状況に応じて適切な療養場所の調整を行っているところであります。
 今後、重症化リスクの高い高齢者の命や健康を守っていくためには、高齢者施設等において、医療との連携体制を強化していくことが重要と考えており、関係機関と調整を進めているところであります。
 また、感染症法上の見直し後においても、高齢者施設等における医療介護体制の確保を図るため、施設の嘱託医や協力医療機関等の役割の明確化と機能強化、往診、訪問看護の充実、専門医療等が必要な場合における医療アクセスの確保などの診療報酬、介護報酬上のインセンティブ付与や、財政支援を含めた体制の構築について、全国知事会として国に対して強く要望しているところであります。
〇高田一郎委員 いろいろ説明いただきましたけれども、私もこの間、厚生労働省通知を読みました。そこには入院が原則だと書かれております。ただ、県レベルでも、入院調整を行ってもなお医療が逼迫の場合は、医師の判断で対応していくということを明確に書いています。そういう対応が岩手県の場合されたのかどうかというのが一つです。
 そして、岩手県の場合は、新型コロナウイルス感染症患者のスコアシートというものがあります。このリスク評価を行って、一つでも該当すれば入院が必要だということになっています。酸素飽和度が93%以下とか、あるいは基礎疾患があるとかといった方は該当しています。
 私はこの間、いろいろなところを回ってきまして、先ほど紹介したような、酸素飽和度が下がっただけでは入院できない、あるいは透析患者も入院できなかったという声が、1カ所、2カ所ではなくてかなり多くの施設で聞かれました。介護現場ではスコアシートの存在すらわからないという状況があります。
 医師の適切な判断で対応されたのか、あるいはスコアシートが徹底されなかったところにこういう問題が起きたのではないかと思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。
〇野原保健福祉部長 新型コロナウイルス感染症の発生当初は、高齢者施設等で感染者が見られた場合は原則入院としておりましたが、オミクロン株の流行となってからは、ウイルスの特性の変化やワクチン接種が推進されたこともあり、軽症のまま回復する方もふえてきております。
 当初は、新型コロナウイルス感染症の感染者は、肺炎、呼吸器疾患に着目して重症度が出されていましたので、そういったところでスコアシートを厳格に運用していたところでございますが、オミクロン株に変わってからは、循環器系の疾病であるとか基礎疾患のみならず、いわゆるADLの低下といったことが非常に大きく関与していることも指摘されていることであり、患者の症状を、このスコアシート以外にも、ADLの状況でありますとか認知症の有無、また要介護度など、患者の個々の状況に応じて適切な療養環境を提供することが必要と考えているところでございます。
 こうした点については、きちんと検証しまして、医療機関、医療関係者と協議を行い、適切な療養環境、また医療介護体制の確保に努めてまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 感染症法上の位置づけが2類から5類に移行しようとしていますけれども、移行しても感染力が下がるわけではありません。施設療養が当たり前とならないようにすべきと思いますし、やはり原則入院させて、そして、高齢者施設の感染対策、感染把握は、引き続きこれまで以上の取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、高齢者施設の経営状況でありますけれども、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や物価高騰で本当に深刻な状況になっています。県は、これらの施設の経営状況をどのように把握されているのか、介護事業所の倒産、休業の実態も示してください。
 また、12月定例会の補正予算では光熱費に対する支援が現場で大変歓迎されています。しかし、来年度の支援が全くありません。引き続きの支援が必要と考えますが、どうでしょうか。
〇八重樫副知事 コロナ禍において、経営難を理由に廃止となった事業所は、令和3年度が12件、令和4年度の上半期が4件となっています。また、臨時休業を行った事業所は、令和3年度が109件、令和4年度が、12月末現在で503件と大幅に増加しており、特に通所系の事業所において、休業に伴う減収等、経営に大きな影響を及ぼしているものと認識しています。
 県では、感染症が発生した事業所等の業務継続を支援するため、いわゆるかかり増し経費に対する補助を行っているほか、物価高騰による負担の軽減を図り、適切で質の高いサービスの安定的な提供を維持するため、国の財源を活用し、社会福祉施設及び医療施設等物価高騰対策支援金の支給を行っているところであります。
 物価高騰は全国的な課題であり、国による一元的、持続的な支援を行うよう、全国知事会として国に対し緊急提言を行っています。令和5年度以降の支援については、現時点では国から示されていないところでありますが、引き続き、全国知事会と連携し働きかけを行ってまいります。
〇高田一郎委員 次に、酪農対策について伺います。
 今、岩手県の酪農の明かりが消えかねない深刻な危機だと思います。一つ目は、やはり県内の酪農家の経営実態をしっかりと把握していただきたい。
 二つ目は、今、酪農家が生き残れる抜本的な支援策ですね。いまだに、政府の酪農家への支援策が従来のままになっております。酪農家が生き残れるような抜本的な支援策を、知事を先頭に政府に強く求めていってほしいと思います。
 そして三つ目に、国に求める際に大事なことは、カレントアクセス、乳製品の輸入ですね。これは一般質問でも議論がありましたけれども、ぜひ県として中止を求めていってほしいと思います。
 まとめて質問いたします。
〇達増知事 酪農家の経営実態についてありますが、酪農家の収益の基本となる飲用向けの生乳価格は、1キログラム当たり10円引き上げられたものの、乳牛の子牛価格が前年に比べ3割程度と大幅に低下し、さらに、配合資料価格も極めて高い水準で推移するなど、生産コストが大幅に増加していることから、酪農家は厳しい経営環境にあると認識しております。
 県ではこれまで、配合資料や肥料コストの上昇分を補填する国事業の活用を積極的に進めるとともに、県独自に、酪農経営等への影響を緩和するため、配合飼料や肥料購入費への支援を行ってまいりました。
 また、自給飼料基盤の積極的な活用による飼料確保と生産コストの低減に向け、水田を活用したホールクロップサイレージの生産を推進するとともに、生産性を高める牧草地の改良を推進してまいりました。
 酪農家を初め畜産経営体は、依然として厳しい経営環境に置かれていることから、資金繰りに重大な支障が生じないよう、金融機関に対し、適時適切な貸し出しや既往債務の返済猶予など、実情に応じた十分な支援を行うことを依頼するとともに、配合飼料購入費への追加の支援策を措置したところであり、引き続き、関係機関、団体と連携しながら経営安定が図られるよう取り組んでまいります。
 酪農家への支援についてでありますが、飼料価格等の高騰が酪農を初め畜産経営に大きな影響を及ぼす中、県では国に対し、飼料等の価格高騰対策や経営安定に向けた効果的なセーフティネットの構築などを要望するとともに、全国知事会の農林商工常任委員会委員長として、生産コストの上昇等について、小売価格に適切に転嫁していくための環境整備などを要望してまいりました。
 酪農家を初め農業者は、依然として厳しい経営環境に置かれておりますので、こうした状況を踏まえ、将来にわたり安心して農業経営に取り組むことができるよう、全国知事会として国への要望を今検討しております。
〇菊池副知事 乳製品の輸入についてでございます。我が国は、平成5年のガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意において、バターや脱脂粉乳等について、最低限の輸入機会の提供が義務づけられ、その輸入数量を維持することとされ、1年間の輸入数量は、生乳換算で13万7、000トンとなっていると承知しております。
 国では、今年度の輸入数量について12万7、000トンは既に入札済みであるということで、残り1万トンについて、国内在庫の多い脱脂粉乳以外に振り向けて入札することとしていると聞いております。
 生乳需給が緩和する中で、国内において自主的な生産抑制を行っている地域もあります。また、酪農家は、現在、飼料価格の高騰など厳しい経営環境に置かれていることは承知しているところでございます。
 こうした現状認識は、本県以外の各道県の産地も同様であるということで、県といたしましては、国の対応を注視しつつ、他道県とも情報交換をしながら、国家貿易の乳製品の輸入は、国内生産に影響を及ぼさないように対応してほしいことなどを要望することを検討している状況にあります。
〇高田一郎委員 今、菊池副知事から、乳製品の輸入は、カレントアクセスは輸入義務だという答弁がありました。しかし、カレントアクセスは輸入機会、いわゆるアクセスを設ければいいのであって、需要がなければ無理に輸入しなくてもいいというのがWTOのルールであります。
 先日、国会で農林水産大臣が、WTOのルールは義務ではないという答弁をいたしました。県の認識が義務だというのと、輸入の機会、アクセスを設ければいいという認識度では全然違うわけであります。
 菊池副知事にもう一回お伺いしますけれども、このカレントアクセスの輸入というのは、WTO上、義務という認識なのですか。
〇菊池副知事 国家貿易に関することですので、この解釈につきましては県として申し述べる立場にないと思いますが、国としてしかるべき判断をされて、それに従い各産地等が対応していくことが基本になると思います。
〇高田一郎委員 農林水産大臣も義務ではないと言っております。しかし、今、アクセス枠を100%輸入しているのは日本だけであります。酪農家には牛乳の破棄や牛の殺処分までさせて、そして、農家には減産を押しつける、こういう対応は本当に間違っていると思います。ぜひWTOのルールを精査して、きちんとカレントアクセス、輸入機会中止を求めていって欲しいと思います。
 最後に、岸田政権が進める敵基地攻撃能力保有についてお伺いいたします。
 敵基地攻撃能力は、専守防衛を投げ捨てて、射程距離3、000キロメートルの相手国の奥深くまで届くミサイルを保有、配備するものであります。統合防空ミサイル防衛のもとで、自衛隊がアメリカと融合して他国に先制攻撃を行う、これは海外での武力行使そのものだと思います。
 私は、これまでの安全保障政策を根底から覆す重大な内容と考えますが、知事の見解を伺います。
〇達増知事 相手国が発射するミサイルを打ち落とそうとするミサイル防衛と異なり、ミサイルが発射される前にミサイル発射能力を破壊しようと攻撃することは、国際法違反の先制攻撃とみなされる可能性があります。そのような先制攻撃は、従来の日本国憲法第9条の解釈上、日本政府も一貫して否定してきたと理解しております。
 専守防衛を旨とする従来の日本国憲法第9条の解釈を変更し、日本の先制攻撃の可能性を示すことは、日本と周辺国との間の緊張が高まる危険性があるとともに、世界全体の安全保障に大きな現状変更をもたらすものであります。
 政府に対しては、憲法第9条の趣旨を尊重し、近隣諸国との友好と正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に求めることを期待します。
〇高田一郎委員 先月の国会を私も見ていまして、日本が先制攻撃を行って、そして報復攻撃を受けた場合には、大きな被害を受ける可能性を防衛大臣が初めて認める答弁を行いました。そして、日本全土の戦場化を想定して、核とか生物とか化学攻撃に耐えられるように、全国各地にある自衛隊の300カ所の基地を4兆円もかけて強靭化するということも明らかになりました。本当に、軍事に対して軍事で対抗するということになれば無限の悪循環になる、安全保障のジレンマというのはこういうことだと思います。
 それで、お伺いしたいのは、こういった大軍拡を進めるために、復興特別税の軍拡への転用とか、医療や年金財源である国立病院機構あるいは地域医療機能推進機構などの積立金を活用するとしています。さらに、建設国債を自衛隊艦船の建造費に充てるという禁じ手にも手を染めようとしております。何よりも軍事費の倍増で世界第3位の軍事大国になることが、平和国家と言えるのかということを申し上げたいと思います。
 こうした巨額の財源を国民生活に回せば、どれだけの国民が助かるかということを想像すべきだと思います。地方自治体にも、そして私たちの暮らしにも大変大きな影響を与えるものでありますが、この軍拡財源について知事の見解を伺いたいと思います。
〇達増知事 我が国の防衛のあり方については、防衛費倍増ありきのような極端な議論ではなく、国際情勢や近隣諸国との軍事バランスを調査、分析しながら、極力防衛経費のかからない防衛体制を目指し慎重な議論が進められるべきと考えます。
 今、東アジアで求められるのはむしろ軍縮であり、国内的にも、国民の生活を考えれば、新型コロナウイルス感染症対策、原油価格、物価高騰対策など喫緊の課題や賃金安、景気の低迷、人口減少の進行など、構造的な課題を優先していくべきと考えます。
〇高田一郎委員 知事は、今定例会の一般質問で佐々木順一議員の質問に対して、憲法第9条を今後も守るべきだと答えています。私も同じ思いです。憲法第9条を持つ日本がとるべき安全保障政策とはどういうことかということを知事に質問したいと思います。
 今とるべきことは、軍拡ではなくて軍縮なのだという話がありました。今、戦争への準備ではなくて、緊張を高めるような対応ではなくて、やはり平和への準備が必要だと思います。今、東アジアを平和な地域にするために、東アジアサミットに集まった、アメリカや中国を含めた関係諸国を包摂した平和の枠組みに力を尽くす外交努力こそ必要と考えます。
 改めてお伺いしますけれども、憲法第9条を持つ日本がとるべき安全保障政策とは何なのかということを知事に質問して、私の質問を終わります。
〇達増知事 日本国憲法は、さきの大戦とそこに至る日本のあり方について、深い反省のもと、過ちは二度と繰り返さないという国民的な決意として、平和主義を基本原理に掲げてきました。
 その平和主義を具体化する憲法第9条は、国際の平和及び安全を維持するという国際連合憲章の理念にも合致し、極めて重要な条文であります。
 専守防衛を旨とするこの憲法第9条の存在が、日本を取り巻く安全保障環境を維持し、第二次世界大戦の敗戦国である日本が、国際的に信頼され、外交上名誉ある地位を支えてきたと考えます。
 今後も、日本は、憲法第9条を遵守しながら、外交の輪を広げ、アメリカと北朝鮮の停戦状態を恒久的な終戦に移行させることや米中関係の悪化を防ぐことなど、アメリカや近隣国とともに、東アジアの安定と国際平和の維持に向け積極的に役割を果たしていくべきと考えます。
〇高田一郎委員 終わります。(拍手)
〇佐藤ケイ子委員長 質問者席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、木村幸弘委員。
   〔木村幸弘委員質問者席に着く〕(拍手)
〇木村幸弘委員 社民党の木村幸弘です。
 知事は、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおいて、人口減少対策を最優先で取り組む重点事項と位置づけ、そのために組織体制を強化し、必要な予算を重点的に措置することを表明しました。
 また、2023年度当初の組織体制について、令和5年2月6日に公表された令和5年度の組織、職員体制の概要においては、知事部局職員数は4、310人程度と見込んでいます。
 人口減少対策を加速させていくためには、県の職員体制のさらなる充実が欠かせません。そこで私は、組織の主体をなす職員体制に着目して質問したいと思います。
 知事は、この職員体制について、従来から指摘されている慢性的な職員不足であるという現場の声を踏まえて、どのような改正を検討されてきたのか、改めて伺います。あわせて、岩手県職員労働組合との意見交換が行われてきたと承知していますが、職員体制の充実についての意見、要望をどのように受けとめ、どう対応したのか伺います。
〇達増知事 令和5年度の組織、職員体制の編成に当たっては、人口減少や巨大地震津波対策など喫緊の県政課題に対し、組織、人員体制上、重点的に強化を図るとともに、東日本大震災津波からの着実な復興や切れ目ない新型コロナウイルス感染症対策等に必要な体制を確実に確保することとしたところであります。
 先般、岩手県職員労働組合と直接意見交換する機会を得た際に、私からは、新型コロナウイルス感染症や鳥インフルエンザなど非常事態に対応していかなければならない環境下で、職員が真摯に職務に精励いただいていることに感謝を申し上げ、組合からは、全職員が背伸びして働いている、緊急時にこそ力を発揮できるゆとりある職場体制が重要との意見があったところであります。
 こうした意見をしっかりと受けとめ、引き続き、専門職を初めとする必要な職員の確保はもとより、業務の優先度に応じた弾力的な職員体制を編成し、さまざまな危機管理上の課題に迅速かつ的確に対応できる体制の構築に最優先で取り組んでまいります。
〇木村幸弘委員 ただいま御答弁いただきましたけれども、具体的に職員体制について伺いたいと思います。
 さきの提出予定議案等説明会では、2023年度の組織及び職員体制の概要が示されたわけですが、いわて県民計画(2019〜2028)の推進等に向けた体制整備においては、人口減少対策や安全・安心な地域づくりなどに向けた体制強化が示されましたが、具体的にどのように成果へとつなげていくのか、県の考え方を伺います。また、各担当部署における2022年度対比の職員増減数とあわせてお示しください。
〇千葉総務部長 令和5年度の人員配置については現在調整中でございまして、人数の変動が生じる場合もございますが、まず、子ども子育て支援室に3人、福祉総合相談センターと一関児童相談所に合わせて児童福祉司4人、児童心理司2人、地域福祉課に1人を増員し、安心して子供を産み育てられる環境づくりを推進していくほか、防災課に2人、河川課に1人を増員し、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震津波対策への対応を進めてまいります。また、交通政策室に2人を増員し、地方路線対策を強化いたします。
 そのほか、新型コロナウイルス感染症対策に当たり、保健所に配置する保健師を1人増員する見込みでありますが、東日本大震災津波からの復興事業の進捗に伴い、他県応援職員を含め26人の減員となっております。
 事務の移管、一元化等といたしましては、岩手・青森県境産業廃棄物不法投棄事案の原状回復事業の終了に伴い、廃棄物特別対策室を廃室とし、資源循環推進課に5人を移管し、伝承等の取り組みや最終処分場の整備を進めてまいります。
 また、県産米戦略室を廃室とし、流通課に3人、農産園芸課に1人を移管し、県産米を含めた県産農林水産物一体での販路開拓、拡大を図ってまいります。
 これらにより、人口減少対策を初めとする県政の諸課題に取り組み、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの推進に資することができるよう、体制の整備を図ったところでございます。
〇木村幸弘委員 職員体制において常に課題となっているのが、現場の実態は十分反映されているのかという点にあります。長時間労働や働き方の改善は待ったなしの課題であります。新たな行政課題にも対応していくために、マンパワーの確保が重要です。
 育児、介護休業、病気療養者等の代替職員、県採用の任期付職員や市町村派遣職員などは、定数管理上どのような取り扱いとなっているのか、考え方を伺います。
〇千葉総務部長 職員定数は、行政の効率的運営を基本としながら、各年度の行政需要に着目し、その動向に応じて配置されるものであり、新たに取り組む業務等について、毎年度、各部局等と調整を図りながら定めているところでございます。
 職員体制は、この調整状況をベースとして編成されていくものでありますが、例えば、育児休業、介護休暇を取得している職員や病気療養中の職員につきましては、その状況に応じて、人事上の配慮として、代替職員の定数上の追加配置や会計年度任用職員の任用を行っているところでございます。
 任期付職員については他の職員と同様の対応となりますが、市町村に派遣される職員については、別枠で対応しております。
〇木村幸弘委員 今お答えいただいたようなさまざまな対応を含めながら、要因を踏まえた上で知事部局の組織、職員体制が検討されているわけでありますけれども、改めて、2019年度以降から2023年度までの当初職員見込み数と2022年度までの現員数の推移についてもお示しください。
〇千葉総務部長 職員の当初見込み数でございますが、前年度の職員数をベースとして、新規採用職員の確保状況や公益的法人等への派遣、年度末の退職者数の見込みなど、2月上旬の公表時点で捕捉できるあらあらの人数をもとに算出しているものでございますが、平成31年度は4、430人、令和2年度は4、460人、令和3年度は4、420人、令和4年度は4、400人、令和5年度は4、310人となっております。
 一方、派遣職員数や年度末退職者数、採用辞退者数等の確定値を踏まえた現員数は、4月1日時点でございますが、平成31年度は4、436人、令和2年度は4、457人、令和3年度は4、403人、令和4年度は4、348人となっております。
〇木村幸弘委員 これまで毎年度示されている組織、職員体制の概要を見ますと、今御答弁もいただきましたけれども、2019年度の当初職員見込み数が4、430人、2023年度の見込み数が4、310人ですから、見込み数としては120人マイナスということになります。特に、2023年度の見込み数の対前年度比はマイナス90人となり、大きく落ち込んでおります。
 また、現員数の推移については、2019年度が4、436人、2022年度4月時点で4、348人であり、現員数としても88人減少しております。
 さらに、見込み数と現員数の差について、2019年度はプラス6人と現員数が見込み数を上回ったわけですが、2022年度はマイナス52人と現員数が見込み数を下回り、年々その乖離が大きくなっていると見ております。
 これでは、当初見込み数のとおり現員数を確保できたとしても、果たして組織力、職員体制の強化と言えるのでしょうか。むしろ職員にとってさらに厳しい労働環境を強いることになるのではないかと懸念していますが、なぜ2022年度に比べ90人も当初見込み数が減少しているのか、また、組織運営上の影響はないのか伺います。
〇千葉総務部長 令和5年度は、昨年度と同時期の職員の見込み数から90人の減、令和4年4月1日時点職員数からは38人程度の減を見込んでいるところでございます。
 令和5年度におきましては、東日本大震災津波や台風災害からの復興業務の進捗等を踏まえ、令和4年度の職員数を下回る見込みとなっております。
 また、年々欠員数は減少傾向にあるものの、技術系職員を中心に欠員が生じており、その欠員の解消に向けて、今年度から開始した都道府県等の職務経験者を対象とした選考採用や採用困難職種における通年募集など、さまざまな手法により職員の確保に取り組み、組織力の強化を図ってまいります。
〇木村幸弘委員 2019年度に策定した知事部局定数等管理計画がありますが、2022年度までの4年間で4、200人程度となるよう2018年度の職員数4、106人を基準として80人から100人程度の定数増を目標としてきました。
 その実績については、2022年4月1日時点で復興分を除き4、254人となり、50人程度目標を上回った形になりました。しかしながら、2022年度の現員数の実態に照らすと、復興分を除き通常業務分で4、257人ですから、知事部局定数等管理計画と比較するとプラス3人程度ということになります。当初見込み数の4、400人が確保できた場合と比較すると、通常業務分でマイナス52人と大幅な減員となります。
 この計画では、2022年度では復興業務職員分はゼロになることが前提となっていますが、2023年度の当初見込み数は復興業務を含めて計4、310人であり、この復興業務分の65人分を差し引いた通常業務分は4、245人となるため、知事部局定数等管理計画の実績4、254人より、結果的には9人少ない体制ということになります。つまり2023年度の現員数がほぼ100%当初見込み数どおり確保できたとしても、2022年度の体制と比較すると、職員数はマイナスからのスタートということになります。
 さらに、先ほど述べたとおり、この数年間、当初見込み数に対する職員確保数は年々乖離が大きくなってきており、2022年度の実績では、当初見込み数を大幅に下回るマイナス52人という状況です。まさに、こうした状況が現場において慢性的な人員不足として問題視され、職員の業務負担は拡大し、早期退職や健康被害の一因となり、ますます職場環境は負のスパイラル状態になっていると訴える声が大きくなっているのではないでしょうか。
 その上で、2023年度の職員見込み数が前年度現員数よりマイナスという状況では、実質的に体制強化とは言えず、新年度の労働環境はさらに厳しくなるということではないでしょうか。県の認識を改めて伺います。
〇千葉総務部長 多様な県民ニーズや新たな行政課題に適切に対応していくためには、機動的な組織体制の整備とあわせ、行政需要に応じた人員体制が重要であると認識しております。
 このため、例えば東日本大震災津波からの復旧、復興に当たり、最優先で必要な職員体制を確保するとともに、任期付職員の採用や全国からの職員派遣により、復興事業の推進体制を構築してまいりました。
 また、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策を推進するため、全庁的な調整のもとで、主要施策に対し重点的な人員配置を行っております。
 令和5年度は、こうした重点配置を行う一方で、東日本大震災津波や台風災害からの復興業務の進捗等を踏まえ、令和4年度の職員数を下回る見込みとなっております。
 あわせて、職員一人一人が、心身ともに健康で意欲を持って業務に当たるためには職員のワーク・ライフ・バランスの推進が重要と認識しており、今後においても、育児休業等代替職員の配置など柔軟な人員配置を進めてまいります。
 必要な職員の確保や年度途中の職の設置、人員配置の適時適切な見直しなど、業務の状況に応じた弾力的な職員体制の構築を進め、職員の負担軽減に努めてまいります。
〇木村幸弘委員 知事演述では、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプラン推進に向けて、組織体制を強化すると述べています。さきの2月6日の記者会見においても、知事部局職員数の見込みを示した上で、マンパワーの確保に努め、さまざまな県政課題に適切に対応できる体制を構築するとしています。
 改めて、これまで指摘してまいりました職員体制の現状を踏まえて、今後の職員の増員についてどのように改善を図るべきとお考えか、知事の所見を伺います。
〇達増知事 直面する行政課題に的確に対応し政策の実効性を高めていくためには、行政需要に応じた適切な職員体制の構築が重要であり、これまでも、新型コロナウイルス感染症対応に当たる保健所や医療政策室などの人員体制を適時適切に見直すなど、機動的かつ柔軟に体制の確保に努めてまいりました。
 また、行政需要や県民ニーズが複雑化、多様化している中にあっては、定年引き上げによる職員構成の変化や働き方改革の進展など、職員を取り巻く環境変化に応じた職員配置を行うことが一層重要になってきており、現場のニーズを適切に捉えながら、行政課題に的確に対応できる職員体制を構築してまいります。
 あわせて、近年、応募が減少傾向にある技術職職員の採用に向けて、さまざまな手法を取り入れながら職員の確保に取り組むとともに、デジタル技術の活用による業務の効率化も進めながら、より質の高い行政運営を進め、必要な施策を適切に推進できる体制を整備してまいります。
〇木村幸弘委員 今後の職員体制については、復興業務の継続と、そして、今後のあり方やアフターコロナを見据えながら、災害時、緊急時における組織体制の脆弱性を改善する必要があるとともに、これまでの現場の実態を十分に踏まえながら検討する必要があります。
 知事部局定数等管理計画が2022年度で区切りを迎えました。いわて県民計画(2019〜2028)の遂行に連動して、現時点の職員体制が必要な人員配置となっていないことを真摯に受けとめながら、働き方改革や定年引き上げの過渡期など、新たな行政需要の情勢を踏まえて、新たな定数等管理計画を策定すべきではないかと思います。
 そして、この際、2013年4月1日に改正された条例定数の上限について、定数外派遣を別枠として見直すとともに、まずは、通常業務分だけでも現行上限数の4、534人に引き上げるべきだと思いますが、知事の所見を伺います。
〇達増知事 定数の取り扱いについてでありますが、持続可能な行財政基盤の構築を図るとともに、行政需要の高度化や職員構成の変化などに的確に対応できる体制を構築していくため、今後の組織、職員体制の編成に当たっての内部的な指針、見通しとして、令和5年度を初年度とする定数管理計画の策定を予定しております。
 この計画においては、復興業務に対応する定数等は計画の対象外として必要な体制を確保することとし、通常業務分は令和4年度と同水準を維持することを基本としつつ、県民の生命や生活に多大な影響を及ぼすさまざまな事案等に対応するため、柔軟かつ機動的な庁内再配置などにより、適正な体制を確保していく方向で検討しているところです。
 今後は、この指針を踏まえながら、毎年度の行政需要に応じて、最適な職員体制となるよう調整を図ってまいります。
 また、岩手県職員定数条例については常勤職員数の上限を定めているものでありますが、知事部局においては、これまで、東日本大震災津波からの復旧、復興に対応するため、定数上限を平成24年に170人、平成25年に270人増員してきたところであります。
 今後の定数の運用については、職員数及びその経費が行財政運営に大きな影響があることから、今後の復興業務の状況や職員の働き方、新たな行政需要の見通しなども踏まえながら、適時適切に対応してまいります。
〇木村幸弘委員 終わります。(拍手)
〇佐藤ケイ子委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午後0時4分 休憩
午後1時2分再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。小林正信委員。
   〔小林正信委員質問者席に着く〕
〇小林正信委員 小林正信です。これまでの議論と重複する部分もございますが、通告に従って質問いたしますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
 令和5年度の予算編成においては、子育て支援の充実、特に子育て世帯への経済的支援策が盛り込まれておりますが、同時に伴走型支援の強化も必要であります。
 今後、子育て家庭に寄り添った訪問支援や相談支援を展開するに当たり、市町村においては、人員の確保等、さまざまな課題、問題が考えられるところであり、県として人材の育成や派遣等、市町村への支援も必要と考えますが、県の伴走型子育て支援の取り組みについて、お考えをお伺いいたします。
〇八重樫副知事 伴走型相談支援については、妊娠届け出の窓口が妊婦との接点の入り口となることから、市町村が設置する子育て世代包括支援センター等において、継続的な相談支援を行うことが想定されているところであります。
 全ての妊婦、子育て家庭に対し、妊娠届け出時、妊娠8カ月ごろ、出生届け出後に面談を実施するほか、その後もプッシュ型で子育て関連の情報提供や随時の相談にも対応するため、保健師など専門職等の人材確保が必要であることから、それぞれの実情に応じて、会計年度任用職員を採用するなどして体制を強化し対応する市町村もあると承知しています。
 県としては、市町村が妊婦や子育て世帯の支援を担う必要な人材を確保できるよう、岩手県ナースセンター等を通じた保健師などの人材の確保に係る情報提供や研修会等の開催により、専門職員の資質向上について支援してまいります。
〇小林正信委員 子育て施策推進のための財源確保について伺います。
 知事は先般、工藤大輔議員の質問に対し、岩手県民だけに大幅な負担増を求めるのではないようなやり方で財源確保に努めていくと答弁されました。例えば、ふるさと納税のようなお話もありましたし、クラウドファンディングのようなやり方、心ある方から寄附を募る手法も考えられます。また、岩手県と同じく全国トップクラスの子育て支援を目指す新潟県では、子育て基金の創設を予定していると伺っております。
 子育て支援施策充実のための財源確保について、県としてはあらゆる手法を検討すべきと考えますが、御所見をお伺いします。
〇八重樫副知事 本県の取り組みとしては、県、市町村、民間団体と共同で出捐し、平成21年度からいきいき岩手支援財団が管理している、いわて子ども基金の運用益を活用し民間団体等が取り組む、結婚を希望する男女の出会いの場づくり、地域における子育て活動、いわて子育てにやさしい企業等認証企業における職場環境づくりなどを支援しているところであります。
 また、県においては、ふるさと納税制度に子どもの居場所づくり応援の寄附項目を設け、子ども食堂の開設等の支援を行っているほか、令和5年度から、ふるさと納税のさらなる魅力化により一般財源の確保を図っていく考えであります。
 子供子育て支援施策は長期にわたる取り組みが必要であり、他の自治体の事例なども参考にしながら、あらゆる選択肢から検討を行い、継続的かつ安定的な財源の確保に努めてまいります。
〇小林正信委員 たしか富山県の知事だったと思うのですけれども、知事がトップセールスで寄附を募るというようなやり方、要するに知事が先頭に立って子育て財源を稼いでいくようなやり方をやっていらっしゃるということです。ぜひ、こういうさまざまな、ふるさと納税のアピールとか、寄附のアピールも、知事が先頭に立ってやっていただきたいと思うところでございます。
 京都大学の柴田悠准教授によれば、最新の研究では、ゼロ歳から2歳の間に保育所に通った幼児は、通わなかった幼児に比べ、30代で情緒が安定するなど有意な結果があらわれているそうです。
 子供の成長に保育環境が影響する可能性があり、こうしたことから、保育所等に通っていないいわゆる未就園児を育てる家庭の孤立を防ぐため、妊娠期から身近な保育所をかかりつけ園として、相談支援などを行うマイ保育園制度を実施する自治体が拡大しつつあるようです。
 未就園児を育てる家庭を含め利用者に寄り添った保育環境の整備について、どのような取り組みをお考えなのか、知事にお伺いします。
〇達増知事 核家族化の進展、地域のつながりの希薄化など、家族のあり方や家族を取り巻く環境が多様化している中、子育て家庭のさまざまなニーズに対応し、安心して子供を産み育てられる環境を整備することが重要であります。
 県では、子ども・子育て支援事業支援計画に基づき、認定こども園等の施設整備を推進するとともに、子育て中の親子の相互交流や不安や悩みを相談できる場として、地域子育て支援拠点の設置や未就園児の一時預かりなどの子育て支援事業の実施主体である市町村が行う取り組みを支援してまいりました。
 委員御紹介のマイ保育園制度については、石川県が市町村と連携して実施していると承知しておりますが、来年度から、国においても、保育所の空き定員等を活用した未就園児の定期的な預かりを行うモデル事業を開始することとしており、県内でも幾つかの市町村が応募していると聞いております。
 県としては、こうした国のモデル事業の成果や県内市町村の実情、ニーズを踏まえながら、未就園児の支援のあり方について研究してまいります。
〇小林正信委員 これまでも議論がありましたとおり、不登校児童生徒の増加は深刻です。県としても対策を強化しているところかと思いますが、当事者、保護者に寄り添い、不安を取り除く支援の充実が急務であります。
 名古屋市教育委員会では、市立中学112校中30校で、校内における教育以外の居場所づくりに取り組み、登校はできるが教室に入れない、あるいは一時的に教室を離れたりする生徒の居場所を提供しているとのことです。
 不登校特例校の設置を目指すと同時に、不登校児童生徒に対するきめ細やかな取り組みを県内の学校に広げていくことも重要と考えますが、御所見をお伺いします。
〇菊池副知事 不登校児童生徒の居場所等についてでありますが、不登校児童生徒に対する多様な居場所や教育の機会の確保に向けて、県教育委員会においては、オンラインやICTの活用を視野に、校内の別室を活用し学校内の居場所づくりに努めるとともに、宮古市の中学校をモデル校区とした魅力ある学校づくり調査研究事業の実施や、フリースクール等の民間団体との連携会議を開催し、不登校児童生徒の支援や学校との連携のあり方などについて盛んに議論を行っているところでございます。
 広い県土を有する本県におきましては、アウトリーチ型による課題解決が有効であるとの考え方もあり、令和5年度当初予算案におきましては、市町村が行う教育支援センターの設置に要する補助経費を新たに計上したところでございます。
 特に、未設置の市町村には、教育支援センターの開設を促し、児童生徒の居場所づくりをさらに進めていくとともに、教育支援センターに通うことが困難な児童生徒に対しても、家庭訪問等のアウトリーチ型支援を行い、相談支援体制の強化を図っていくと承知しております。
 なお、不登校特例校は、児童生徒の実態に配慮した特別な教育課程を編成して教育を実施することができる学校であり、基礎学力の定着や社会性の育成、自己肯定感の向上、進学によい影響を与えるなどの効果が見られるものと承知しております。
 現在、全国で21校設置されておりますが、都道府県での設置例はまだないと把握しており、その設置については、各市町村教育委員会等とも連携を図りつつ、国の動向や他県の先進校の事例等の調査を進めていくとともに、不登校児童生徒の居場所の確保をどう図っていくか研究していくと聞いております。
 不登校対策は重要な課題であり、今後も児童生徒一人一人の支援ニーズを的確に把握するとともに、児童生徒の居場所を確保できるような仕組みの構築に向け、県教育委員会、市町村教育委員会、教育支援センター、フリースクール等の民間団体が連携して教育機会の確保に努めていくことを期待しております。
〇小林正信委員 不登校児童生徒また保護者を支えるためには、今、菊池副知事がおっしゃったように、フリースクールや民間支援機関等、あらゆる主体が連携して取り組みを進めることが重要と考えています。
 児童生徒、保護者の今の不安に応えつつ、不登校対策を計画性を持って推進させるため、県教育委員会として各学校あるいは現在悩みを抱えている多くの児童生徒、保護者に対し、あらゆる主体と連携しながら、このようにして岩手県の不登校対策を進めるというようなビジョンを示すべきと考えますが、御所見をお伺いします。
〇菊池副知事 不登校の背景や要因は多岐にわたり、個々の児童生徒の状況も多様である中、各学校においては、児童生徒一人一人の状況に応じ、きめ細かに対応しているところでありまして、県教育委員会は、魅力ある学校づくりによる不登校の未然防止やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを配置し不登校対策に取り組んでいるところでございます。
 いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプラン最終案においては、不登校などの未然防止、早期発見、適切な対応を推進するため、ICTを活用した教育相談体制の一層の充実や関係機関と連携した教育機会の提供などにより、児童生徒に寄り添った不登校対策を推進することとしており、県教育委員会では、いじめ対応・不登校支援等アドバイザーの配置、ICTを活用した学習支援、フリースクール等民間団体との連携会議の開催、教育支援センターのさらなる開設による相談支援体制の強化等の取り組みを進めていくと承知しております。
 不登校児童生徒への支援は、学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が、みずからの進路を主体的に捉え社会的に自立することを目指す必要があると考えており、今後も、児童生徒一人一人の支援ニーズを的確に把握し、児童生徒の居場所が確保できるような仕組みの構築に向けた県教育委員会の取り組みに期待するものであります。
〇小林正信委員 児童生徒御本人もそうですけれども、保護者も、自分の子供が不登校になるということは思ってもいなかったという話も聞きました。そういったときに、どこに相談したらいいのだろう、どうしたらいいのだろうと非常に悩まれる保護者が多いと。そうした保護者、児童生徒に対して、こうしていくというような何か支援策をぜひ示していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 盛岡市のことりさわ学園が運営している児童心理援助・治療センターは、発達障がいや鬱病を含め、不登校、ひきこもり状態の児童生徒に対し、一人一人の状況に合わせた相談支援、また心理治療を行っております。
 鬱、不登校、ひきこもり等、心のケアを要する児童生徒への対応については、児童生徒また保護者に対する十分なアセスメントを行い、よりよい解決の方向性を示すことが重要と考えます。
 民間の取り組みとも連携しながら、児童生徒の状況に応じた相談支援を充実させるべきと考えますが、知事の御所見をお伺いします。
〇達増知事 ことりさわ学園は、心理的問題を抱えて日常生活に支障を来している子供に対し、社会生活に適応するために必要な心理治療や生活指導を行っている県内唯一の児童心理治療施設であります。
 同学園では、小林正信委員御紹介の児童心理援助・治療センターを施設機能を活用した地域支援事業の一環として独自に開設し、不登校や発達障がいなどの課題を抱える児童生徒やその家族から多くの相談が寄せられていると聞いており、地域の相談機関としての役割も果たしていると認識しております。
 これまで県では、学校による支援に加え、児童相談所などにおいても相談支援を行ってきたところでありますが、課題に対して、より適切なアセスメントを行い多様なニーズへ対応するためには、こうした民間の取り組みも生かしながら、相談支援体制のさらなる充実を図ることが重要であると考えます。
〇小林正信委員 今、不登校でちょっと鬱ぎみになって、要するに精神科、心療内科に通おうとしても、半年ぐらい待たされる。全く何もできないといった御相談も伺っております。ぜひともこの支援を充実させていただきたいと思います。
 次に行きたいと思います。遠隔手話通訳システムは、聴覚障がい者が、自身のスマートフォンあるいはタブレット等で遠隔通訳を利用できるシステムであり、特に災害時、手話通訳者が派遣できない場面においては、必要不可欠なものと考えます。
 以前、副知事より令和3年度中にサービスを提供できるよう準備を進めていくとの答弁をいただきました。当事者の皆様から待ち望む声もあるかと思いますが、導入における課題、また、県が考えている導入の予定についてお伺いいたします。
〇八重樫副知事 聴覚障がいのある方への意思疎通支援として、いわゆる障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業により、市町村が手話通訳者の派遣を行っており、県は、市町村が派遣できない場合に、通訳者のあっせんなどを行うこととされているところです。
 遠隔手話通訳については、災害時や新型コロナウイルス感染症流行時など、聴覚障がい者が手話通訳者と接触できない場合、市町村による派遣を補完するものとして重要と認識しており、県では、県視聴覚障がい者情報センターと協議を進め、昨年度には、既存のテレビ通話アプリを活用した運用テストを行い、事案が発生した場合に活用できる体制を構築したところであります。
 本格導入に当たっては、遠隔手話を行うための市町村との役割分担や、通話アプリのセキュリティーの確保などの課題があり、今後、当事者の意見等を伺いながら、運用テストを重ね、来年度の導入に向け取り組んでまいります。
〇小林正信委員 ぜひともスピード感を持って進めていただきたいと思います。
 次に、帯状疱疹ワクチンについてお伺いします。
 帯状疱疹は、加齢や過労、ストレスなどによる免疫力の低下により、体内に潜伏する帯状疱疹ウイルスが再燃し発症するもので、日本人では、80歳までに3人に1人が発症すると言われています。
 発症予防ワクチンについては、費用の面から接種を控える方も多く、このため一関市などでは費用の補助を予定しているようですが、県における接種費用の補助について、その必要性も含めお考えをお伺いします。
〇八重樫副知事 国の予防接種に関する基本的な計画では、予防接種、ワクチンで防げる疾病は予防することという理念のもと、最新の科学的知見に基づき予防接種施策を推進することとされ、いわゆる薬機法上の製造販売承認を得ていても、予防接種法上の定期接種に位置づけられていないワクチンの定期接種化についても、評価及び検討がなされているところであります。
 帯状疱疹に関しても、2種類のワクチンがそれぞれ平成28年、平成30年に承認されて以降、国において定期接種化に向けた検討がなされているものと認識しており、令和4年8月4日に開催された国の厚生科学審議会においても、期待される効果や対象年齢について検討することとされたところです。
 委員御指摘のとおり、一関市を含む県内の一部の市町村では、帯状疱疹ワクチンの接種に係る助成を令和5年度当初予算案に計上しているものと承知しており、県としても、国の動向を注視していくとともに、国の検討状況等について、予防接種の実施主体である市町村と情報を共有してまいります。
〇小林正信委員 東日本大震災津波発災から12年がたとうとしております。これまでも議論がありましたが、復興需要の減少、それに続くコロナ禍、物価高を受け、沿岸被災地の経済は冷え込み、被災地が希望を持てるような復興の姿には、いまだ遠いものと感じているところです。
 被災地における人口減少対策の取り組み、また、所得向上のための産業振興の取り組みについて、県のお考えをお伺いいたします。
〇熊谷ふるさと振興部長 沿岸被災地の復興の推進は人口減少対策でもあるとの考え方のもと、これまで、復興まちづくりなどの安全の確保、住宅や雇用の確保など暮らしの再建、水産業、商工業などなりわいの再生に取り組んできたところでございます。
 その結果、水産業に係るハード面の復旧、整備は、令和4年度までに完了する見込みであり、被災事業者の事業再開が8割を超える状況となっております。
 また、沿岸地域の1人当たりの市町村民所得は、震災前と比べ、直近の令和元年度においては増加し、県内の平均との差も縮小しております。
 現在、策定を進めている第2期復興推進プランにおきましては、あらゆる世代が希望を持っていきいきと暮らし、将来にわたって持続可能な新しい三陸地域の創造を目指すとしており、人口減少対策に最優先で取り組む政策推進プランとも連携し、その実現に向け取り組みを推進することとしております。
 具体的には、サケ、アワビ等の水産資源の造成など主要魚種の資源回復、サケ、マス類の海面養殖やウニの蓄養など新たな漁業、養殖業の取り組みの推進、新たな交通ネットワークを生かした企業誘致や物流体制の構築、震災伝承施設や三陸ジオパーク等の地域資源を生かした復興ツーリズムの推進などに取り組むこととしております。
 今後とも、豊富な地域資源や復興により整備された産業基盤、新しい交通ネットワークなどを活用した産業振興や交流人口の拡大に取り組んでまいります。
〇小林正信委員 この被災地の振興ということで、以前、大学とか研究拠点があるところに産業が集積するという考え方に基づいて、沿岸被災地に研究拠点を誘致すべきではないかというような質問をさせていただきました。当時、政策地域部長からは、国の担当者からも、例えば大学のサテライトキャンパスを設けることを検討してみないかという話をいただくなど、事務的な話もしているとの答弁をいただきました。
 今、道路ネットワークも含めたインフラがほぼ整備された状況です。県としても、さらなる創造的復興を目指して力を入れるときではないかと考えております。
 沿岸被災地における大学等研究拠点の誘致、また設置について、県はどのようにお考えなのかお伺いします。
〇熊谷ふるさと振興部長 県では、令和3年度に内閣府の地方へのサテライトキャンパス等設置に向けたマッチングのための調査・支援事業に応募いたしましたが、岩手県の大学入学者数は減少が予測されていることから、的を絞った上での慎重な検討が求められること、誘致に係る支援策は、関係市町村を巻き込み充実することが必要であることなどの理由から、採択は見送られたところでございます。
 沿岸地域には、現在、東京大学大気海洋研究所国際・地域連携研究センター大槌研究拠点、北里大学海洋生命科学部附属三陸臨海教育研究センター、岩手大学三陸水産研究センター、国立研究開発法人水産研究・教育機構東北区水産研究所宮古庁舎、岩手県立宮古短期大学部など、高等教育機関や研究施設が設置されておりますほか、現在、県内では新たな大学の設置、誘致の動きもあるところでございます。
 大学等の設置につきましては、その位置づけや意義、学びの内容など、基本となるコンセプトについて広く検討する必要があるとともに、学生、教員の確保、教育環境の整備など、経営面も含めて多角的な検討が必要であると考えております。
〇小林正信委員 さまざま応募していただいたり、検討していただいたということで感謝申し上げたい。ただ、なかなか難しいハードルがあると思うのですけれども、何とか諦めず、大学のサテライト的なところでもいいと思いますので、この努力をぜひ続けていただくようお願いしたいと思います。
 令和5年度当初予算案において新産業事業化促進事業費1、300万円が盛り込まれております。世界がコロナ禍に見舞われ、医療機器関連産業への注目、また需要が高まる中、県としても、さらなる医療機器関連産業の振興に力を注がれるものと期待しております。
 現在、盛岡市においては新たな産業等用地の整備が進み、第2工区においては、医療機器関連産業の集積を念頭に企業誘致が進められると認識しております。
 県としても、より一層の企業集積を進めるため、ヘルステック・イノベーション・ハブに続くセンターハウスの整備について、盛岡市、また民間等と連携しながら検討すべきと考えますが、御所見をお伺いします。
〇菊池副知事 県では、令和3年3月に岩手県医療機器等関連産業イノベーション創出戦略を策定し、同年9月に盛岡市が策定した盛岡市ヘルステック産業振興戦略とも歩調を合わせ、現状や課題、方向性等を共有しながら、医療機器等関連産業集積の取り組みを進めてきているところでございます。
 医療機器等関連産業は、高齢化の進展や医療、健康に対するニーズの高まりなどにより今後も成長が見込まれる産業であります。また、ヘルステック・イノベーション・ハブの入居企業を中心とした活発な共同研究開発や商品化の動きもありますことから、さらなる集積の拡大が期待されるところでございます。
 今後、盛岡市の道明地区などへのさらなる企業集積を促進するために必要な機能につきましては、企業ニーズの把握に努めるなど、鋭意検討を進めていくことになると考えています。
〇小林正信委員 ぜひともよろしくお願いします。
 最後に、盛岡市がニューヨークタイムズ紙において、本年訪れるべき52の都市の一つに選ばれたということは、さまざま議論もございました。県としても、盛岡市、また県内市町村との観光分野における連携をさらに充実させていかれることと思います。
 クレイグ・モド氏が盛岡市を隠された宝石と例えたごとく、プロモーションと同時に観光資源の磨き上げ、掘り起こしが今後一層重要になると考えます。観光庁においても、高付加価値化事業とかインバウンド対策としての観光再始動事業の予算化も行われたと認識しております。
 こうした国の動き、また、今般の機会を捉えた県と市町村との連携による観光振興の取り組みについて、今後のお考えを知事にお伺いして、終わります。
〇達増知事 ニューヨークタイムズ紙に盛岡市が取り上げられたことを絶好のチャンスと捉え、この効果を岩手県全域に波及させ、インバウンドを含め、より多くの観光客を呼び込みつつ、観光産業の発展、ひいては本県経済の活性化や交流人口や関係人口の拡大による地方創生につなげていくことが重要と考えております。
 このような考え方のもと、先月、2月23日、いわて銀河プラザにおいて、岩手県の観光の魅力発信イベント2023年に行くべき旅行先「岩手・盛岡」を開催し、盛岡市長と一緒に、わんこそばの実演を行うなどのPRイベントを実施いたしました。
 令和4年度一般会計2月補正予算第9号で議決いただいた2023年に行くべき岩手推進事業では、国の観光再始動事業を活用して、イベントの開催などの県内におけるインバウンド誘客のコンテンツ造成を図るとともに、首都圏を中心とした広告宣伝や訪日観光客を対象としたウエブサイトによるプロモーションなどを行うこととしております。
 また、令和5年度当初予算案には、台湾からの誘客回復に向けた現地での旅行商品の売り込みや旅行博への出展、受け入れ環境の整備などの取り組みも盛り込んでおり、これらの取り組みを市町村との連携のもとで効果的に展開し、国内外からの誘客拡大と県内全域への周遊促進を図ってまいります。
〇小林正信委員 終わります。(拍手)
〇佐藤ケイ子委員長 質問者席の消毒のため、しばらくお待ちください。
 次に、上原康樹委員。
   〔上原康樹委員質問者席に着く〕(拍手)
〇上原康樹委員 無所属の上原康樹でございます。
 では初めに、赤字を抱えながら地方鉄道は走り続けられるのか。その取り組みの一つ、JR山田線沿線自治体首長会議がことし1月30日に開かれました。県も出席されましたね。会議では、山田線の維持へ向けて、地元利用、観光利用という両面から取り組む方針が確認され、また、今後、具体的な利用促進の取り組みを協議することも決められました。
 さて、令和5年度当初予算案におきましては、地域公共交通再編活性化推進事業費を拡充し、新たに次期地域公共交通計画の策定を進めるとともに、沿線市町村などが実施する沿線住民の意識の醸成に向けた取り組みや、利用促進事業等を支援するとしています。ことしの秋には、もう既に次の協議会が用意されています。
 山田線の秋の協議に向けて県はどのような姿勢で臨むのか、また、今後JR東日本との話し合いに県はどのように取り組むのか伺います。
〇熊谷ふるさと振興部長 JR線を含むローカル鉄道は、地域住民の足といった移動手段のみならず、災害時の代替性、補完性や観光、物流など地域経済を支える重要な社会基盤であると認識しております。
 昨年11月に開催いたしましたJRローカル線維持確保連絡会議において、JRローカル線を鉄道として維持していく基本的な方向性や国等に対する要望等を実施することを沿線市町と確認したところであり、これを踏まえ、昨年12月に、県、沿線市町合同で、国やJR東日本等に対して、JRローカル線の維持に向けた要望を行ったところでございます。
 各路線につきましては、沿線市町と連携して、JR線沿線自治体会議を設置することとしており、先日開催されたJR山田線沿線首長会議では、鉄道の維持に向け、県と沿線市が連携して利用促進に取り組んでいくことを確認したところでございます。
 県といたしましては、沿線市町の意向を最大限尊重し、鉄道の維持に資する効果的な利用促進策の検討や実施に市町と連携して取り組んでいくほか、JR東日本に対しましては、引き続き、交通事業者の使命として、ローカル線を鉄道として維持し安定的な運行を行うよう働きかけてまいります。
〇上原康樹委員 鉄道は地域の、そして国の骨格であることを忘れないで取り組んでいただきたいと思います。
 次です。自然災害の記憶は地域を結ぶというものです。
 発災から12年を迎える東日本大震災津波の被災地、岩手県大槌町のお寺、虎龍山吉祥寺と岐阜市にある濃尾地震の追悼施設震災紀念堂が協定を結びます。調印式は今度の日曜日です。3月12日、吉祥寺で行われます。協定書では、それぞれの災害の犠牲者の供養と教訓を後の世に伝えるため、防災を文化とする活動に関して連携するとしています。
 震災から間もなく12年。記憶の風化が言われる中、地域を超えて巨大災害の記憶を共有し、岩手県の防災の機運を高める必要があると考えます。震災の記憶、未来のための伝承・発信に向けた県の考えと、令和5年度の県を超える広域的なこうした取り組みについて伺います。
〇佐藤復興防災部長 未来のための伝承・発信の取り組みについてでございますが、県では、東日本大震災津波の悲しみを二度と繰り返さないため、震災の事実と教訓や復興の姿を、震災を経験していない世代やこれから生まれてくる子供たちを初め国内外の人々に伝え、防災力向上に貢献していくことが重要であると考えています。
 このため、いわて県民計画(2019〜2028)長期ビジョンに掲げる復興の4本の柱の一つに、未来のための伝承・発信を位置づけ、これまで、東日本大震災津波伝承館を拠点とした震災の事実と教訓の伝承や、多様な主体が復興について幅広く学ぶいわて復興未来塾の開催、学校、家庭、地域、関係機関が連携した防災教育の推進、岩手県と海外の高校生等が互いの震災伝承活動を紹介し、今後の活動をともに考えるオンライン交流などに取り組んできたところでございます。
 令和5年度においては、こうした取り組みのほか、高田松原津波復興祈念公園で開催する第73回全国植樹祭や、神奈川県で開催されるぼうさいこくたい2023、東京都と東北被災4県が都内で開催する東日本大震災風化防止イベント、本県の復興状況や支援への感謝を発信する県外向けテレビ番組の放送など、さまざまな機会を捉えて、震災の事実と教訓の伝承、発信に積極的に取り組んでまいります。
〇上原康樹委員 記憶を大切にしていただきたいと思います。
 次です。二酸化炭素を排出しない自動車の普及は急務とされ、日本を含む世界の国々がEV化へ邁進していたものの、ここに来て少し様子が変化しているように思います。
 電池の原料となる鉱物は価格高騰、また、アメリカは、電気自動車を推進する中国を意識して自国保護の法律を成立させています。当然日本にも影響が出ます。
 また、電気自動車自体の完成度は十分とは言えません。充電に相変わらず時間がかかり、走っていて急にとまって事故が起きるという報告がされています。いろいろな問題が出てきています。
 そうした中で自動車メーカーが声を上げ始めています。日本国内ではトヨタやマツダ、ヨーロッパではBMWも、EV一本の選択に懐疑的な姿勢、発言をしています。
 そうした状況の中で、燃料水素自動車に関する技術的な特許においては日本がトップに躍り出ていまして、他国もその後を追い始めている状況です。こうした状況は、トヨタが電気自動車を全て否定しているというものではありません。水素もあり電気もある、さまざまなアプローチで、さまざまなユーザーに対応し、クリーンな車社会を実現できるという意向です。
 こうした自動車メーカーの考え方も含めまして、岩手県にはトヨタ自動車東日本株式会社の工場があるのですが、自動車産業の国内外の状況の変化や、自動車メーカーの動向をどう見きわめ次世代自動車の普及に取り組んでいくのか、県の具体的な方針について伺います。
〇八重樫副知事 次世代自動車の普及についてでありますが、国のグリーン成長戦略において、2035年までに乗用車新車販売に占める電動車の割合を100%とする目標が掲げられており、各自動車メーカーが、それぞれの戦略に基づき、電気自動車や燃料電池自動車などの環境性能にすぐれた車の開発を進めています。
 電気自動車や燃料電池自動車は、走行中に二酸化炭素を排出しないことは共通していますが、航続距離、充電等に要する時間やインフラの整備状況が異なることから、その普及のためには、使用方法や地域特性に応じたユーザーの選択肢がふえることが必要と考えています。
 また、我が国の自動車産業は、世界に冠たる総合的な技術力を持つ基幹産業であり、特に燃料電池自動車に関しては、国内自動車メーカーが世界的にも優位な技術力を有しており、2月には、知事がトヨタ自動車株式会社を訪問し、その技術力と水素利活用の可能性を改めて認識してきたところであります。
 県では、次世代自動車をめぐる国内外の情報や自動車メーカーの動向を踏まえ、令和5年度当初予算案に電気自動車及び燃料電池自動車の普及促進のための補助事業を盛り込んだところであり、上原康樹委員御指摘の趣旨に沿って、次世代自動車の普及による運輸部門の脱炭素化を進めてまいります。
〇上原康樹委員 車を熟知しているメーカーの発言に、よく耳を傾けてください。
 次です。深刻化する教員不足。
 永岡文部科学大臣は、令和5年2月6日の衆議院予算委員会において、教員不足について文部科学省が各教育委員会から聞き取ったところ、年度後半のほうが教員不足は深刻化する傾向もあると聞いていると述べ、年度途中の教員不足が深刻になっているとの認識を示しました。
 その背景には、教員の産休、育休、病休などのときにピンチヒッターとなる臨時的任用教員などの確保が十分にできないことを挙げていますが、根底には、やはり多忙をきわめる教員の仕事の仕組みや処遇の厳しさがあると思います。そして、ついに1月20日には、これは朝日新聞の記事ですが、大分県の令和5年度教員採用試験において、小学校の教員が定員割れしたことが報じられました。
 岩手県はどうか。令和5年度教員採用試験の受験倍率は全体で3.3倍と定員を上回りましたが、それでも、過去10年で見ますと最も低い倍率です。教員を離職する人、教員を敬遠する人がふえている。
 こうした全国的な現実の中で、岩手県の状況と今後どのように対応していくのか伺います。
〇菊池副知事 本県における教員の配置状況と今後の対応についてでありますが、本県の教員採用におきましては、県教育委員会では、学校数や児童生徒数の見込み、退職者の見通し等を勘案した採用計画に基づきながら採用数を決定しております。
 今年度実施した教員採用試験におきましては、特に小学校教諭の試験倍率が2.3倍となり、近年低下の傾向を示しておりますことから、さらなる教員志願者の増加に向けた取り組みを進めるものと承知しております。
 教員採用試験の倍率低下は全国的な傾向でありますが、文部科学省では、教育委員会等の関係団体を含めた協議会を設置し、採用試験の早期化等に向けた検討を進めているところであり、県教育委員会では、大学での採用説明会やオンライン説明会の回数をふやす取り組みのほか、より出願しやすいように申請のオンライン化を進めていると聞いております。
 また、上原康樹委員御指摘のように、全国的な教員不足の状況が見られる中、本県においても、年度途中の産育休取得者、休職者等に対する補充が困難な状況にあることも承知しております。
 これに対し、県教育委員会においては、特に小中学校において、教員の未配置が生じないよう、市町村教育委員会と調整しながら人材確保に向けて情報収集を行い、常勤講師の確保を進めているところでございまして、来年度1学期中に産休取得が見込まれる教員に対しまして、4月当初から補充できるよう取り組んでいると聞いているところでございます。
 今後も、教員、そしてこれから教員を目指そうとする人たちが、教職の魅力ややりがいを感じ、意欲を持って働くことができるように、さらに市町村教育委員会と連携して働き方改革を一層推進し、働きやすい環境を整備するなど、県教育委員会には、多角的な視点から教員の確保や志願者の掘り起こしなどに取り組んでほしいと期待しているところでございます。
〇上原康樹委員 次に進みます。新型コロナウイルス感染症との闘い、その道のりは今も続いています。感染症法上の位置づけが2類から5類への引き下げをもって解決するわけではありません。むしろ安心し過ぎて油断を招くことのないように適切な対策が必要です。
 原点に立ち返って、新型コロナウイルス感染症とは何か、何だったのか、改めて記憶する必要があると思います。特に、ワクチン接種については、副反応などをめぐって十分に理解されているとは言い切れない面もあります。そうしたワクチン接種とワクチンの有効性についての啓蒙をこれからどうしようと考えているのか。
 さらに、マスクです。3年続いたマスク。着用するのか外すのか、今後はどうするのか、社会のさまざまな場面で戸惑いの声が上がることも予想されますし、もう上がっています。県の適切な情報発信が求められるところですが、県の所感を伺います。
〇野原保健福祉部長 県では、5月8日の感染症法上の類型見直し以降においても、新型コロナウイルスの病原性が変わるわけではないことから、引き続き、適切な保健、医療体制が確保されることが重要との認識のもと、法令上の見直しの後においても、引き続き、適切な保健、医療体制の確保などに万全を期すとともに、場面場面に応じた感染対策の励行について呼びかけてまいります。
 また、ワクチン接種については、メリット、デメリットを十分御理解いただきながら、接種するかどうか判断いただくことが重要であり、県では、ホームページやSNSを通じて、その有効性や安全性、副反応等の情報発信に取り組んできたほか、小児、乳幼児の接種では、県医師会と岩手医科大学小児科の監修のもと、独自のリーフレットを作成し、周知を図ってまいりました。
 今後、国では、ワクチン接種後の副反応を疑う症状の治療法等の研究が行われると伺っており、県としては、こうした研究の成果も含め、引き続き、正確かつ丁寧な情報の発信に努めてまいります。
 また、マスクにつきましては、3月13日以降は、それぞれ国民の皆様方の判断という形になりますが、一方で、新型コロナウイルスの病原性が変わるわけではございません。やはり場面場面に応じたマスクの着用、例えば御高齢の方と会うような機会、そういった場合にはマスクをつけていただく。県民の皆様は、もうかなりうまく使い分けていらっしゃるのではないかと思いますので、県としても、引き続きこうした点の丁寧な情報発信に努めてまいりたいと考えております。
〇上原康樹委員 この3年間を検証、検証、検証し続けていきたいと思います。よろしくお願いします。
 最後です。世界の中で、2023年に行くべき52カ所の2番目に盛岡市が選ばれました。まあ驚き、うれしさ、誇らしさ、岩手県発信への弾みとなりました。
 しかし、考えてみれば不思議なこともあります。なぜ日本の、北東北の、それも盛岡市なのか。ニューヨークタイムズの1人の記者の思いだけで発信されたものなのかどうか。なぜ今回のような企画が持ち上がったのか。大きな意図や狙いが込められていなかったかと、元マスメディアの人間としては思うわけです。
 例えば、地球規模で新たな人の流れ、移動を生み出すきっかけをつくる意味が込められていたのかもしれないなどと、そこまで想像を拡大してしまいます。今回の記事は、あらゆる可能性を視野に入れて検証すべきものだと感じます。
 達増知事は、東北地方、岩手県に海外から向けられる興味、関心をどのように調査、分析していくのか伺います。また、岩手県の情報をより効果的に発信するために、影響力を持つメディア、人物を見きわめ、コンタクトをとり、情報提供を行うことが大切と考えますが、そのようなルートをどのように開拓していくのか、あわせて伺います。
〇達増知事 ニューヨークタイムズ紙は、なぜ旅をするのかを今回のテーマとし、1番目には、新王の戴冠という歴史を体験できるロンドンを選び、2番目には、世界中の人々がインバウンド解禁を待ちわび、水際措置がようやく緩和された日本のどこかにしたかったとのことであります。
 また、日本から盛岡市が選ばれた理由は、ニューヨークタイムズ紙が、モド氏による盛岡市の紹介文を大変気に入ったからであるとのことであります。
 モド氏は、全国各地を旅し、少子高齢化で衰退する地方を多く目にする中で、幾つかの中規模都市には元気があると注目し、その中でも群を抜いているのが盛岡市であり、盛岡市は、自然の景観がまちに溶け込み、多くの若者を含む善良な人たちが生き生きと暮らし、まちを盛り上げていると述べているところであります。
 こうしたモド氏の視点は、日本は東京一極集中で地方は衰退しているという見方を逆転させるようなものであり、委員御指摘のように、地球規模で新たな人の流れを生み出すきっかけをつくる意味も込められているかもしれず、私も共感するところであります。
 また、モド氏が盛岡市の魅力として挙げていることは、県内の他の地域や県全体にもあり、この効果を全県に波及させることが重要であります。
 今回のように岩手県のよさを深掘りして発信してくれる方を招き、ブログなどで体験、感想を発信してもらうことにはこれまでも取り組んでまいりましたが、今回のことをきっかけに、改めて、自分も岩手県が好きだ、自分も岩手県について発信したいという思いを強める方々が潜在的に多くいるものと思われることから、そのような方々の力もかりて情報発信を強化してまいります。
〇上原康樹委員 達増知事におかれましては、県民の皆さんの命と希望を育むために直進していただきたいと思います。私は、そのお姿を間近で凝視してまいる所存でございますので、よろしくお願いいたします。(拍手)
〇佐藤ケイ子委員長 以上で総括説明に対する総括質疑を終わります。
 知事を初め執行部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 これより各部局別の審査に入るわけでありますが、委員席の移動を行いますので、その間、暫時休憩いたします。
午後1時53分 休憩
午後2時17分再開
〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これより各部局別の審査を行います。
 質疑につきましては、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせのとおり、質疑項目が複数ある場合、関連する事項はできるだけまとめて質疑を行うこと、ほかの委員と重複した内容の質疑は極力避け、どうしても必要な場合には、関連質疑として短時間かつ簡潔に行うことを基本とすること、数値の確認のみの質疑や要望のみの発言は原則として行わないこととなっております。
 また、議会運営委員会において、新型コロナウイルス感染症対策として、部局別審査においては、各日の質問予定人数に応じて、その都度、世話人会で協議の上、質疑の目安時間を決定するとされたところです。
 本日は、この後、議会、総務部、政策企画部、出納局、人事委員会及び監査委員関係について、延べ18人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしました。
 また、関連質疑については目安時間を10分とすること、同一部局の審査において質疑と関連質疑を行う場合は、その日の質疑の目安時間の範囲内とすることにいたしましたので、議事進行に御協力をお願いします。
 初めに、議会事務局長に議会関係の説明を求めます。
〇小畑議会事務局長 令和5年度の議会関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 お手元の議案その2の6ページをお開き願います。議会関係の歳出予算は、第1款議会費の13億8、670万円であります。これを前年度の当初予算と比較いたしますと4、088万円余の増、率にして3.0%の増となっております。
 予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げますので、予算に関する説明書の83ページをお開き願います。
 なお、金額の読み上げにつきましては省略させていただきます。
 第1款議会費第1項議会費のうち第1目議会費は、議員の報酬、旅費等の議会運営に要する経費でございます。次に、83ページから84ページにかけて、第2目事務局費は、議会事務局職員の人件費及び事務費等、事務局の管理運営に要する経費並びに議会改革の一環としてICT化を推進するため、タブレット端末及びペーパーレス会議システムを運用するための経費であります。次に、第3目議員会館費は、議員会館の管理運営に要する経費であります。
 以上で議会関係の予算についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇千葉盛副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 それでは質問いたします。
 コロナ禍における都道府県議会での発言規制の状況は、全国でどうなっているでしょうか。
〇小畑議会事務局長 新型コロナウイルス感染症に対応した都道府県議会の質疑あるいは発言時間の状況についてでございますけれども、令和2年度の全国都道府県議会議長会の調査によりますと、本県を含め5府県で委員会での質疑時間等を短縮しておりましたけれども、令和4年8月に改めて当該府県に確認いたしましたところ、その時点でそのような質疑時間の短縮等の措置を継続している府県はないということでございました。
〇斉藤信委員 岩手県議会だけが常任委員会における発言規制を行っている。私は、本当にこれは異常なことだと思いますが、岩手県議会は、何を理由に、何を根拠に、この発言規制を継続しているのでしょうか。
〇小畑議会事務局長 常任委員会におけます質疑時間の短縮でございますけれども、基本的には、新型コロナウイルス感染症の感染状況等を踏まえまして、定例会ごとに議会運営委員会でお決めいただいていると認識しているところでございます。
〇斉藤信委員 新型コロナウイルス感染症対策だという事務局長の答弁でありましたが、全国は、昨年8月の調査でどこもやっていなかった。岩手県議会だけがこの発言規制を継続する理由、根拠は全くないのではないでしょうか。
 それで、特に常任委員会での発言を規制しているのです。これは二重に大問題です。常任委員会というのは、五つの常任委員会ごとに、いわば県政全部局が所管する事務事業について徹底して審議できる、付託された議案、請願を徹底して審議する場所ですよ。そのために日程を2日間もとっている。私は、本来、一番徹底した審議が求められている常任委員会の発言を規制する根拠は全くないのではないかと思いますが、事務局長、いかがお考えですか。
〇小畑議会事務局長 繰り返しになりますけれども、先ほども申し上げましたとおり、新型コロナウイルス感染症対策に係る議会の対応につきましては、定例会の都度、議会運営委員会において内容を御協議いただいているところでございます。
 各定例会の開催時期におきます感染者の状況ですとか、そういったものを踏まえまして、必要な見直しが行われていくものと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 新型コロナウイルス感染症対策だと言うけれども、本会議の一般質問は何の規制もありません。予算、決算特別委員会、何の発言規制もありません。今、予算特別委員会をやっていますけれども、きょうは発言者が18人いるから1人20分。18人いて20分やるのですよ。2日間の日程がある常任委員会で何でたった20分なのか。私は、新型コロナウイルス感染症対策という理由は全く成り立たないのではないかと思いますね。発言を規制するだけの目的になっているのではないでしょうか。
 私は、議会運営委員会で何度もこの是正を求めましたが、残念ながら、どの会派の理解も得られなかった。異常なことです。そのことを率直に指摘しておきたいと思います。
 次に、都道府県議会における喫煙所の設置状況はどうなっているでしょうか。全国の状況、北海道、東北地域の状況を示してください。
〇小畑議会事務局長 まず、全国の状況でございますけれども、令和4年9月時点の調査になりますが、敷地内全面禁煙は6道府県、敷地内禁煙で敷地内に喫煙専用室がありとするものが12府県、建物内禁煙が10都県、建物内禁煙で喫煙専用室ありとするものが19県となっております。
 それから、東北各県の状況でございますけれども、敷地内全面禁煙は青森県と秋田県の2県、敷地内禁煙で敷地内に喫煙専用室ありとするものが福島県、建物内禁煙が宮城県、山形県の2県、建物内禁煙で喫煙専用室ありとするものが本県の1県という状況でございます。
〇斉藤信委員 改めてお聞きしますけれども、議会棟に喫煙室を設置しているところは何県ということになりますか。
〇小畑議会事務局長 建物内禁煙で建物に喫煙専用室がありという県になりますけれども、19県ということでございます。
〇斉藤信委員 北海道、東北地域はゼロということで、これは岩手県議会だけです。北海道・東北六県議会議員研究交流大会も開催されていますけれども、議会棟に喫煙室を設置しているのは岩手県議会だけですよ。私は本当に残念な事態だと思っています。
 これは議員の特権なのですよ。この喫煙所を利用できる人はどういう人でしょうか。
〇小畑議会事務局長 喫煙室は、いわゆる分煙施設としての分煙室でもあるわけでもございますけれども、利用者の範囲は特に定めがございませんが、改正健康増進法のいわゆる第二種施設の位置づけでございますので、一般的には、議会棟の利用者、議会棟に用務があって来られた方が利用される施設と認識しております。
 議会運営委員会での協議のもとに、会派控室を禁煙とすることの代替措置として設置したものでもございますので、議員及び議会棟に用事があって来訪した者を想定していると認識しているところでございます。
〇斉藤信委員 議員及び議会棟に用務があって来訪した方が利用する。これは議会運営委員会の確認だったと思います。県庁は敷地内全面禁煙ですから、県職員の利用は想定されていない、利用対象になっていないという理解でいいですね。
〇小畑議会事務局長 今申し上げましたとおり、利用につきましては、特に職業で分けているといいますか、そういった考えはございません。いずれ議会棟に用務があって来られた方を想定しているということで、特に、議会運営委員会の中でも、どの職業がといった区別はしていないと認識しております。
〇斉藤信委員 今、極めて重大な答弁ですよ。県庁は敷地内全面禁煙なのですよ。敷地内で喫煙はできないとなっている。では、県庁の職員も議会に用務があればあの喫煙室を利用できるのですか。総務部長はそう言っていますか。私は違うと思いますよ。
〇小畑議会事務局長 この件につきましては、施設の管理の面と、あとは職員の服務の二つの面で考える必要があると認識しておりまして、県職員につきましては、総務部から職務専念義務があると御答弁を申し上げていると認識しております。
〇斉藤信委員 事務局長は歯切れが悪いのだけれども、県庁は敷地内全面禁煙ですから、この敷地内では、議会棟に喫煙所があったってできないでしょう。そこがあなたは曖昧だから、県の職員が自由に、勝手に喫煙所を利用している実態があるのですよ。これは議会運営委員会でも問題になったではないですか。県職員は議会棟の喫煙室は使えませんね。
〇小畑議会事務局長 先ほども申し上げておりますけれども、いずれ利用の基本に係る部分は議会運営委員会でお決めいただいているものでございますので、特に利用者を制限するとか、あるいは施設をある一定期間閉鎖するとか、そういったものにつきましては、改めて議会運営委員会でお決めいただく必要があるのではないかと認識しているところでございます。
〇斉藤信委員 議会事務局長も県職員だと思うけれども、あなたも使っているのですか。県職員は基本的に使えないというのが大原則じゃないですか。違いますか。
〇小畑議会事務局長 私は喫煙はしませんので、利用はしておらないところでございます。
〇斉藤信委員 これは議員の特権で、議会棟に残念ながら喫煙所が設置されている。そして、その議員と議会を来訪した方が利用できる、これが確認事項だと思いますよ。私は、ここに県職員は入っていないと思いますよ。違いますか。
 改めて確認します。抜け道があるのかということです。議会棟に来れば県職員は喫煙できるなどということには絶対ならないと思うけれども、はっきり言ってください。
〇小畑議会事務局長 繰り返しになって恐縮でございますけれども、いずれ県職員の利用につきましては、総務部から、服務上の管理といたしまして、職務専念義務があるということを再三にわたり通知を出していると認識しております。まずは、県職員が、その通知に基づきまして対応いただくということであろうと議会事務局としては考えているところでございます。
〇斉藤信委員 喫煙所の管理責任は議会事務局にあるので私は聞いているのですよ。そして、実態として、議員が登堂していなくても、喫煙所が置かれていて、毎日のように県の職員が利用している。議会棟に喫煙所があるために、そういう職務専念義務違反が横行しているのです。それは管理責任としてきちんとただすべきだと思いますけれども、いかがですか。
〇小畑議会事務局長 今申し上げましたとおり、まず、服務につきましては、通知に基づきまして職員に適切に対応いただくということであろうと思っております。その上で、事務局として対応が必要だということであれば、まず、総務部等と対応を協議しなければならないと考えておりますけれども、その際に、議会の御判断をいただくべき利用の根幹にかかわるものにつきましては、議員の皆様方の御判断をいただきながら対応してまいりたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 議会運営委員会でこの間、何度かこれが議論になって、総務部長も弁解をして、そして、しかるべき対応をとるという方向になっているのだから、しっかり人事課と連携をとって、議会棟に喫煙所があるために、そこが抜け駆けの場所にならないように、しっかりそれぐらいのことをやるべきです。そして、喫煙する議員がいなかったら閉めておくぐらいのことを、人事課とよく協議してやってください。
 これは最後の質問です。今年度、来年度の県議会議員の海外視察の状況はどうなっているでしょうか。
〇米澤総務課総括課長 まず、令和4年度における全国都道府県議会の海外行政視察の実施状況でございますけれども、これは令和5年1月時点の調査でございますが、実施したのが7府県でございます。実施しないが本県を含めて25府県でございまして、未定が15都道県となっております。
 次に、令和5年度における全国都道府県議会の海外行政視察の実施予定についてでございますけれども、各都道府県におきましても、現在、予算編成に向けた審議が行われているところでございまして、現時点では把握できてございません。
〇斉藤信委員 岩手県議会は、今年度実施ゼロでありました。来年度はまさに選挙の年ですから、当然これは希望が出てこないのだと思います。たしか4年前も、当初予算には計上したけれども、補正予算で取り下げましたね。減額補正したと思います。
 私は、そういう予定がなかったら、別なものに、県民のためのものに活用するということがあってしかるべきだと思いますが、4年前の対応はどうだったか示してください。
〇米澤総務課総括課長 前回の4年前、令和元年度におきましては、実施するということで当初予算は措置いたしましたが、希望がなかったため実施しておらなかったものでございます。
 参考までに、前々回につきましては、実施しないと決めましたけれども、改選後の議員の皆さんが実施することを想定して予算を計上したものでございます。
〇斉藤信委員 4年前は何月議会で減額補正になりましたか。
〇米澤総務課総括課長 現在、手元に資料がございませんので、後ほど調べまして提供したいと思っております。
〇斉藤信委員 わかりました。新型コロナウイルス感染症の問題では、感染者数が減少しているものの、第9波が来るかわからないという状況だと思います。そして、何よりも選挙の年は、実績からいっても海外視察はほとんどないのですね。県議会議員になったら、これはまた特権で4年に1回視察ができる、こういうあり方も、私は根本的に見直しが必要なのではないかと。このことを指摘して、終わります。
〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇伊藤勢至委員 ただいまの斉藤信委員と議会事務局長とのやりとりの間に重大な間違いがありますので、これをまずは指摘しておきたいと思います。
 今、議論になっております場所は、喫煙所ではありません。分煙室です。つまり、たばこを吸わない人が、たばこを吸う人が吸った煙で受動的に吸ってしまう受動喫煙という、確かにそれは吸わない人に悪いよね、であれば分煙のルームを設けましょうということでつくったのが、今議論になっている場所でありまして、これは分煙室であります。以後、喫煙室と言うから話がおかしくなるので、吸わない人に迷惑をかけないようにするために設けたのが、ここの分煙室であります。
 そして、もう一つつけ加えますけれども、同じような話になりますが、何回話してもわからなければ、何十回でも話していくしかないと思っております。岩手県議会の中に葉たばこ・地域特産作物振興対策議員研究会があるように、県北地域の農業者にとっては、有力な換金作物が葉たばこでもあるのですよ。そして、そのたばこを吸った人たちに課せられた税金が、岩手県には令和3年度の実績で、収入済額が14億4、700万円余入っております。そして、盛岡市が逆転しましたね、19億1、600万円余。岩手県よりも盛岡市が多くなった。たばこを吸う人がふえている、その還付税がふえているということです。
 そういう中にありまして、国にありましては、ロシアとウクライナの戦争によって防衛費の問題がいきなりクローズアップされてまいりまして、どうもこのたばこ税からもミサイルを買う費用を持っていきそうだ、そんな議論になっていますが、これは煙幕を張って阻止しなければならないと思っています。
 こういうふうに、たばこを吸っている人は、迷惑をかけないように吸っているほかに、それなりにお国に奉仕もしているのです。そのことも議論の中に加えていただかなければ片手落ちの議論になる、このように思います。
 盛岡市がふえている。盛岡選挙区の皆さんは、このくらいのことは十分存じ上げていると思いますけれども、世論が厳しくなってきたときに受け答えができるように、一般教養的に勉強しておかなければならないのではないかと思っておりますが、今の言葉遣いについて、議会事務局長、今後は改めていただきたい。お伺いします。
〇小畑議会事務局長 今、伊藤勢至委員から分煙室という御指摘をいただきました。分煙施設としての喫煙室でございますけれども、事務局といたしましても、伊藤勢至委員御指摘の受動喫煙が他人健康に与える影響と、一方で、喫煙者が一定数いらっしゃるという現状を踏まえて、いわゆる望まない受動喫煙をなくすという基本的な考え方のもとに、分煙室、喫煙室を維持、管理させていただいているところでございます。
 伊藤勢至委員御指摘のとおり、葉たばこ産業の振興ですとかたばこ税の税収確保ですとか、幅広い観点からさまざまな御意見があるということは認識しております。そういったことが、総合的に議論されまして、そのあり方が検討されていくべきものと認識しているところでございます。
 いずれ、事務局といたしましては、そのような状況も踏まえまして、この分煙室、喫煙室を健康増進法に規定する喫煙専用室として、今後も適切に維持、管理してまいりたいと考えているところでございます。
〇伊藤勢至委員 喫煙ルームがあるのは全国の空港、それからJR、そして、すぐそこの岩手教育会館の中にも立派な喫煙ルームがありますよ。そういう中にあって、議会だけが特権、特権というような言い方で責められるのはおかしいと思っていますよ。だから、やる人がいる限り、こっちも切り返していかなくてはいけないので、エンドレスでやっていこうということで、終わります。
〇千葉盛副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉盛副委員長 質疑がないようでありますので、これで議会関係の質疑を終わります。
 議会事務局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、総務部長に総務部関係の説明を求めます。
〇千葉総務部長 それでは、総務部関係の議案につきまして御説明申し上げます。
 議案の説明に入ります前に、令和5年度当初予算の編成に当たりまして、当部の基本的な考え方について御説明いたします。
 令和5年度当初予算は、自然減・社会減対策、GXの推進、DXの推進、安全・安心の四つの重点項目を掲げ、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのもと、県民の幸福度向上を図る10の政策や新しい時代を切り拓くプロジェクトを推進する予算として編成したところであります。
 また、令和5年度は、県税の滞納整理の強化による収入未済額の縮減や課税対象の適切な捕捉などに努めるほか、市場公募債の発行や県債管理基金の運用など、あらゆる歳入確保策を実施するとともに、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策を着実に推進するため、持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の議論等を踏まえた持続可能な行財政基盤の構築に向けて、財政の健全化に取り組んでまいります。
 続きまして、議案第5号令和5年度岩手県一般会計予算のうち、総務部関係の歳出予算につきまして御説明申し上げます。
 議案その2の6ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算の表中、総務部関係の予算は、2款総務費のうち169億9、100万円余、9ページに参りまして、12款公債費のうち903億900万円余、13款諸支出金のうち596億2、000万円余、10ページに参りまして、14款予備費6億円を合わせまして総額1、675億2、155万円余であり、前年度と比較し30億円余の増額となっております。
 なお、情報システム管理関係の予算7億6、065万円余につきましては、ふるさと振興部に移管となっております。
 また、予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されており、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 続きまして、議案第12号令和5年度岩手県公債管理特別会計予算について御説明申し上げます。
 少し飛びまして、39ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算にありますように、歳入歳出それぞれ1、671億5、093万円余であり、前年度と比較し121億5、200万円余の増額であります。
 歳入でありますが、県債管理基金の財産運用収入や一般会計及び県債管理基金からの繰入金並びに県債であります。
 次に、歳出でありますが、県債の元金及び利子の償還、県債管理基金への積立金及び銀行等引受債の発行手数料などであります。
 続きまして、総務部の予算以外の議案につきまして御説明申し上げます。
 冊子がかわりまして、議案その3の1ページをお開き願います。議案第25号岩手県職員定数条例の一部を改正する条例について御説明申し上げます。これは、医療局における業務量の増加に応ずるため、職員定数を増加しようとするものであります。
 以上で総務部関係の議案の説明を終わります。何とぞよろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇千葉盛副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇軽石義則委員 歳入歳出関係で質問しますが、県有財産の現状について質問させていただきたいと思います。
 これまでも再三質問してきたところでありますけれども、県有財産については、管理費をかけているのと、有効に活用した上でプラスに転じていくのかという議論をこれまでもしてきておりますが、現状、未利用資産の状況はどのようになっているでしょうか。
〇和田管財課総括課長 遊休資産の現状についてでございますけれども、令和4年3月31日現在における遊休資産、いわゆる未利用資産でございますが、土地103件、約108万6、000平米、建物38件、約7万5、000平米となっておりまして、県有地全体に占める割合は、土地1.4%、建物2.8%となっております。
〇軽石義則委員 金額に換算するとどのぐらいになるでしょうか。
〇和田管財課総括課長 未利用資産の総額でございますけれども、令和4年3月31日現在の財産台帳価格で、これは売却が見込めるものということでございますが、62億4、100万円余りとなっております。
〇軽石義則委員 約62億円ということであれば、それをいかに有効に活用していくかと。県の財政の厳しさはこれまでも議論されてきておりますので、さらにそれを有効に活用するためにはどうしていくかという議論も、これまで積み重ねてきていただいておりますし、これから、今議論されているいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの中にも、行政経営プランの中で、あらゆる手段による歳入確保の観点の中に、未利用資産など県有資産の有効活用に取り組むという記載もあるわけです。
 今、その中にあって、具体的に目に見えるところで言えば、旧盛岡短期大学跡地は整地されましたし、令和5年4月1日以降、県営野球場は球場としての使用は、用途が変更になって廃止され閉鎖されるとも聞いておりますけれども、それらの有効活用についてどのようにお考えでしょうか。
〇和田管財課総括課長 今、軽石義則委員から御紹介いただきました、旧盛岡短期大学の跡地についてでございますけれども、盛岡市から、跡地の一部を山王児童センター・山王老人福祉センター移転候補地として活用したいという意向が示されております。現在、譲渡に向け、必要面積あるいは譲渡方法等を盛岡市と調整しております。
 また、残りの部分につきましては、県において、一部を文書庫として使用しております。文書庫以外の部分についても、現在、利活用を希望する部局と必要な調整を行っているところでございます。
 それから、県営野球場でございますけれども、軽石義則委員から御紹介があったとおり、令和5年4月1日に盛岡市と共同整備しているいわて盛岡ボールパークのオープンに伴い、現在の県営野球場は今年度末で用途廃止され、いわゆる普通財産という形になります。
 普通財産となった後の活用あるいは処分方針といったものについては、今後、施設を所管する文化スポーツ部が中心となって、全庁的な検討をしていくことになっております。
〇軽石義則委員 いろいろな形で有効活用は探ってきていただいていると思いますけれども、これまでも、永久的にというのはなかなか難しいと思いますので、売却のみならず、長期間で財政を確保していく一つの手法として、賃貸契約等を進めるべきと提言してきました。昨年10月の決算特別委員会で、稼ぎ出す体質の一つの中に資産の有効運用について質問して、総務部長から、あらゆる選択肢を排除せず検討して、実施可能なものをどんどんしていくのだという答弁をいただいています。
 今ほど旧盛岡短期大学跡地の話などがありましたけれども、そのほかの資産で検討しているものがあれば、今の段階で出せるものがあれば教えてください。
〇和田管財課総括課長 先ほど未利用資産の関係で、旧盛岡短期大学あるいは県営野球場について軽石義則委員から御紹介がありましたけれども、そのほかに、大きなところとしては、旧東中野寮がございます。これについても、現在、県有未利用資産等活用・処分方針に基づいて、県と盛岡市に利活用の希望があるかという調査をいたしまして、いずれも希望がなかったことで、これについては、今後、一般競争入札による売却という形で進めているものはございます。
〇軽石義則委員 これから、そういう遊休資産といいますか未利用資産を民間と力を合わせて、民間の皆さんのお力もいただいて有効に活用する。例えば、今、寮のお話もありましたけれども、今、寮があるかないかで就職の考え方とか進学の考え方、収入面によって進路をどうするかということで悩んでいる方も、まさにこのコロナ禍、物価高騰の経済状況の悪化によって、本来やるべきことができないような状況にもなるのではないかというお話も出始めているところです。できれば安価に、そういう意味では、進学や就職の機会に活用できるような施設に県の遊休資産を活用していく。
 また、県南地域においては、まさに居住する条件を求めても、土地がなかったり建物が不足したりして、住むところをなかなか見つけられないという状況も聞こえてきているわけです。それらに民間の力を活用した上での有効活用というのが、まさに必要な時期ではないかと。また、求められているときにこそ、いろいろな意味で財政のプラスに結びつけることができるのではないかと思いますが、その点はどうでしょうか。
〇和田管財課総括課長 まさに軽石義則委員から御提案いただきましたとおり、未利用資産だけではなく、県有資産を使った有効活用については、歳入確保策の重要な手法であると私どもも捉えております。
 先ほど来お話のありますそういった未利用資産の売却だけではなくて、民間等への有償貸し付け、あるいは公共施設における自動販売機の設置、ポスター設置等の広告、あるいは公共施設の名称に企業名とかをつけるネーミングライツ事業といったものなど、これまでもそういった取り組みをしてまいりました。
 いずれにしましても、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランでは、新たなネーミングライツ施設の開拓とか、自動販売機の参加資格業者の見直しとか、いずれ歳入確保に向けて、これまでの取り組みを強化するとともに、第2期アクションプランに掲げてありますとおり、あらゆる選択肢を排除せずに、実施可能なものから実現するよう取り組んでまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 ぜひ、幅広く、今までのやり方ではなくて、新しい手法もということも前から言われておりますので、そういうものに活用していくことが大事だと思います。労働力確保の観点からいきますと、海外からの実習生の受け入れの際に、宿舎をどう確保していくかというのが大きな課題になっているところもあります。各種専修学校等でも、そういう対策をいろいろとりながら、人材確保を進めるのには非常に苦慮しているという声も聞こえてきております。
 そういうところに幅広く、行政が利用できないのであれば、次は民間という今までのルールでありますけれども、まず、行政でそれを一緒に取り組むような方法もあっていいのではないかと思いますが、その点はどうでしょうか。
〇和田管財課総括課長 まさに、これまでの未利用資産処分の方針に基づく順で行っていくことに加えて、民間とかからの提案にも耳を傾けながら、いろいろなことを検討しながら、いずれ、今後も引き続き、県有資産を使った歳入確保に努めていきたいと考えております。
〇軽石義則委員 まさにそういうことにぜひ取り組んでほしいし、公舎においても、空き公舎がかなりあると思いますけれども、そういう公舎も有効に活用することによって、進学する上でも、その公舎を活用できれば進学する道も選びやすくなってくることもあると思います。一般の民間の住宅業界を圧迫するようなことであってはならないですけれども、ただ、経済状況を考えると、できるだけ進学には経費がかからないような方法も、県教育委員会とも連携をとってやれることはあるのではないかと思うのです。
 関係部署の横の連携の部分を今後どう進めていくかが大事なポイントだと思うのですが、その点はどうでしょうか。
〇和田管財課総括課長 県有未利用等資産活用・処分方針については、こういった方針を定めまして、しっかり毎年、各部局から、どういう資産があるのか、あるいはどういう実態があるのかを報告いただいて、その中で、毎年度、売却する資産や活用する資産等を全庁的に協議をしながら進めているところでございます。
 まさに、先ほど御紹介いただきましたように、私どもの抱えている公共施設である公舎とか建物そのものが、建築から50年以上たつものがこれからどんどんふえていくということで、施設を減らすだけではなくて、これらをどうやって活用していくかは、今年度、公共施設等総合管理計画も見直しましたので、これからしっかり考えていく必要があると思います。いずれ、全庁的にそういった現状を共有しながら取り組んでいきたいと考えております。
〇軽石義則委員 当然、全庁的に考えてほしいのでお願いしておりますし、今回のいわて盛岡ボールパークも、全国で初の市との取り組みということになっているわけですので、これを県内全体にどう広げていくかというのも、これから大事な視点だと私は思っています。
 そういうことも含めて、市町村との連携、要望にどう県の資産を活用して取り組んでいくかということが大事だと思うのですが、最後、総務部長、これらをさらに強力に進めていく決意があれば、お示し願いたいと思います。
〇千葉総務部長 先ほどの住宅の関係などにつきましては、非常にいいアイデアをいただいたと思っておりまして、例えば県営住宅の活用といったことが、若者の定住策の一つとして今県で推進しております。それが非常に好評だということもありますので、そういった県営住宅の活用の仕方なども参考にさせていただきながら、単に売却ということだけでなく、有効活用させていただくことも今後しっかり考えていきたいと思っております。
 未利用資産の活用とか処分に当たりましては、県が利用する予定のない資産については、地域振興の観点から、地元市町村による有効活用を最優先に情報提供でありますとか活用の働きかけを行うということでありまして、これからも引き続き、市町村と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 それでは、私からは1点、4広域振興局体制のあり方についてお伺いいたします。
 まず初めに、全国の減少幅よりも倍近い人口減少に直面している本県において、まず、人口減少を踏まえた組織体制のあり方に対する御認識をお伺いしたいと思います。
〇加藤参事兼人事課総括課長 人口減少社会におきまして、直面する喫緊の県政課題の解決に向けて、機動的な組織体制の整備や業務に応じた柔軟な人員配置が一層重要になってきていると認識しております。
 また、行政課題が複雑化、多様化する中にあっては、関係部署が緊密に連携を図りながら、効果的に施策を展開していくことが重要であると考えております。
 こうした認識のもとで、緊急の行政課題に対しましては、年度途中であっても職や組織を機動的に見直していくところが必要であると考えております。
 今後におきましても、業務の優先度に応じた弾力的な職員体制を編成するとともに、DXの積極的な推進による業務の効率化や県民の利便性の向上を図りながら、最適な組織体制となるよう適時適切に検討してまいります。
〇臼澤勉委員 先般、日本経済新聞で、人口減少により、全国でも6県が大正時代並みの人口規模にこの2021年は近づいてきているという記事が載っておりました。まさに、これは秋田県あるいは山形県もそうですけれども、岩手県においても、先ほども言いましたとおり、国が人口減少対策をいろいろ打っておりますが、この危機意識というのは、本県の場合、国が思っている以上に、倍以上の危機感を持たなければいけないかと見ております。
 そういった中で、質問で、広域振興局のあり方、一般質問でも取り上げましたけれども、広域振興局体制がスタートしてから12年以上たつわけでございます。当時の自立性、完結性というような部分で、地域のことは地域で解決していくのだというようなことで、産業振興の側面であったり、あるいは市町村に権限を移譲しながら行財政の強化を図っていくという考え方で進んできておりましたが、広域振興局における位置づけ、考え方を総務部としてどのように持っているのかお伺いします。
〇山田財政課総括課長 広域振興局における予算措置の位置づけという観点から御答弁させていただきたいと考えておりますけれども、臼澤勉委員御指摘のとおり、人口減少、少子化についてはいろいろ触れられているところでして、重点事項として、今回、人口減少を掲げさせていただきました。
 その並びと同様ではございますけれども、令和5年度当初予算編成におきましては、広域振興局の事業につきまして、他部局同様に人口減少対策等の重点事項をまず重点化しておりますし、加えて、地域経営推進費として、地域の特色ある事業が展開できるように所要の額を措置している状況となっております。
〇臼澤勉委員 人口減少対策の予算もしっかり広域振興局に措置しているということでございますが、具体的にどういった予算化を図っているのか。そして、本会議場でも予算措置についてはいろいろ、広域振興局の予算が大分減額、減少している、あるいは職員体制についても10%ぐらい減ってきている中で、そこの自立性、完結性に対する取り組みは、設置当初と大きくさま変わりしているかと思うのですけれども、改めてお伺いいたします。
〇山田財政課総括課長 令和5年度当初予算案における広域振興事業の主なもので取り上げさせていただきたいと思いますけれども、まず、盛岡広域振興局でございましたら、単独の市町村では実施できないような、盛岡圏域内の広域連携の旅行の周遊促進等もやっております。また、県北圏域でありましたら、地域の課題である地元のアパレル産業の人材確保として、共同でインターンシップ等を開くといったところ、もう開いておりまして、県だけではできない、また、基礎自治体である市町村だけではできないような事業、戦略性の高い事業を盛り込ませていただいております。
 また、事業の減少というところもございましたけれども、ここは、予算額の多寡によって一概に内容は決定できないかと我々も考えておりまして、事業費がかからなくてもよい事業もございますし、事業費が多いからこそよい事業というものもあります。いずれにせよ、ここに関しましては、予算編成の過程におきまして、その内容、地域課題にしっかり対応できているかといったところを今後においても詰めていくことをしていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 予算の多寡は単純には議論できないというのは、そのとおりだと思います。ただ、やはり地元市町村と地域課題をともに、あるいは寄り添いながら解決していく部分においては、一定程度の予算の措置は必要になってくるかと、あるいは人員もある程度必要になってくると思います。
 人事課にも聞きますけれども、そもそも人口減少が全国の倍以上のスピードで進んでおります。特に生産年齢人口の減少が、岩手県が43.2%、全国では27.7%ということで、2015年から2045年までの間に43.2%の生産年齢人口が減っていく、こういったことが見込まれている中において、今後の職員体制あるいは行政構造のあり方という部分を総務部としてどう考えているのか。
 簡単な聞き方をすると、例えば職員は、今後ふやしていく見通しなのか、いや、やはり人口減少を踏まえて縮小傾向でいくのか、まず、マクロ的なトレンドの御認識をお伺いします。
〇加藤参事兼人事課総括課長 臼澤勉委員から御指摘ありましたとおり、人口減少の部分に対応した組織のあり方については、重要な視点と考えております。その中で、これまで県におきましては、新たな行政課題や多様な県民ニーズに的確に対応していくために、行政需要に応じた適切な職員配置が重要であると考えておりまして、コロナ禍でありますとか、そういった対応に当たって、これまでも弾力的に人員確保を図ってきたところでございます。
 また、今後におきましても、危機管理の多様化でありますとか行政需要の高度化、また、来年度以降施行されます定年引き上げによる職員構成の変化などにも、的確に対応できる柔軟な体制を構築していく必要があると考えております。
 全体の職員数につきましては、これらの行政需要や環境変化、県政の置かれている状況などを踏まえて総合的に決定されるものと考えておりまして、今後においても、適時適切に検討してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 今後の見込まれる行政需要に応じてという答弁が来るのだろうとは思いながら、あえて質問しておりますけれども、ただ、先ほど来、木村幸弘委員からも岩手県職員の定数といった議論もありました。令和5年度4、310人ということで、平成31年度に比べて120人程度減少してきている。
 先ほどの生産年齢人口が縮小していくことが見込まれる中においての定年延長、やはりそういった活用という部分も非常に大事なポイントになってくると私も捉えていますし、何よりも職員の構造ですね。年齢別のピラミッドというか構造が、たしか50歳以上の割合に比べて30代の中間層が半分ぐらい少ないような、きゅっと締まっているような構造だったと思うのです。
 いずれ、今後の広域振興局のあり方については、岩手県の行政構造のあり方を総務部としてどう捉えて考えていくのか。広域振興局のあり方を含めて、本庁と広域振興局の役割分担が今後どうあるべきかという議論を中では多分されていると思いますが、トップの知事からも、こういった広域振興局体制が、就任されてからですからもう十二、三年たっています。増田県政のときの岩手四分の計の話からも、今回、一般質問でさせていただきましたけれども、どうも知事から、広域圏のあり方、あるいは広域振興局体制を、今後、人口減少社会を迎えるこの岩手県において、岩手県の行政のあり方をどう持っていくのかというミッションというかメッセージが、残念ながら伝わってこなかった。それで今回、総務部で改めてお伺いしているところであります。
 この人口減少は、全国の2倍のスピードで下がってきていますよ。生産年齢人口もそのとおり、もう半減するくらいのスピードであるということをとらまえて、改めて、総務部として、今後、岩手県の行政構造を、どう考えているのか、広域振興局のあり方を含めてお伺いいたします。
〇加藤参事兼人事課総括課長 広域振興局のあり方というお尋ねでございますけれども、広域振興局につきましては、設置当初より、広域性と専門性を旨とする、県と市町村が連携しながら広域圏において地域経営の役割を担っていると理解しております。
 その中で、市町村と連携しながら、現場主義に立脚した関係性の高い広域行政を推進していくのが、その大きな役割であると認識しております。
 今後、県における人口減少の部分を見据えながら、あるべき組織のあり方、広域振興局のあり方、あとは、対市町村との関係において、県における役割をしっかりと検証しながら、広域振興局が広域性と専門性を発揮して、地域ニーズに即した施策を展開できるように、ふるさと振興部とも連携しながら、今後とも検討を進めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 今、今まで広域振興局の果たしてきた役割なり機能なり、そういった部分をしっかり検証しながら進めていくという御答弁があったと思います。私も何回かこれまでも議会で質問してきましたが、県からは、今の広域振興局体制についての踏み込んだ検証あるいは点検をしていくというような答弁が、残念ながら今までは余りなかったように記憶しております。ただ、今、人事総括課長から、ふるさと振興部とも連携しながら、そこら辺の検証を進めていくということでありました。
 再度確認いたしますけれども、広域振興局の今の役割というかあり方、設立当初と自立性、完結性というあの大きな狙いは変更があるのかないのか。これはふるさと振興部の所管かもしれないけれども、行政組織を所管する総務部人事課としての御認識をお伺いいたします。
〇加藤参事兼人事課総括課長 先ほどと答弁が重複する部分もあるかと思いますけれども、広域振興局の設立当初の考え方であります広域性、専門性を活用した上で、市町村と連携しながら広域行政を担うという役割については、現時点においても、役割としては継続しているものと認識しております。
 そういった考え方のもとに、広域振興局で業務の完結性を高めて利便性の向上を図るという観点からも、本庁から広域振興局に事務移管を進めたり権限を移譲したり、あとは、予算でありますとか、そういったものを広域振興局の局長権限としてきた経緯がございます。
 全県的な調整を要する業務等については、本庁への集約もしながら、県全体として効率的に業務が推進できるように、不断に見直しをしているところでございます。そういった広域振興局のあり方については、今後とも、不断の見直しを行いながら、しっかり取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 広域振興局設置のときには、県の役割は、市町村に基本的にはどんどん落としていくとしていました。そして、市町村がしっかりとした行財政基盤を確立しながら、自立した、地域のことは地域で完結するのだという理念。県としては、そこを補完しながら、広域的なところについては、産業振興という枠組みではあるけれども、これまで培ってきた、30年続いてきた九つの生活圏を見直しながらも、医療圏であったり教育であったり、さまざまそこが複合して入っているけれども、そういった部分については、広域振興局がしっかりやっていくという理解で私はいました。
 ただ、12月定例会での米内紘正議員の知事とのやりとりとか、これまでの議会での議論を聞いていると、広域振興局の役割が大分後退したのだなという受けとめ方を私はしたわけでございます。この受けとめが、もしかしたら職員に伝わっているのかなと思います。広域振興局の役割というのは当初から変わっていない、自立性、完結性、地域のことは皆様がしっかりと取り組むのだというメッセージを職員は持っているのかどうか。いやいや、もう後退しているのだということになっているのか。そこはすごく大事なポイントになるのです。
 今度ふるさと振興部で聞きますけれども、今回、知事が何か市町村要望を受けるというお話がありました。私は、これまで議会でさまざま議論がありましたけれども、広域振興局長にそこはもう完結させているのだ。だから、知事は出ていかないのだと理解していたから、まあ、それはそうだよねと思っていたのだけれども、今回、いやいや市町村要望にもしっかりと知事は出ていくと。それだったら、局長と知事の役割分担って何なのかなと疑問に思うわけであります。
 その辺、総務部として何かコメントがありましたら、よろしくお願いします。
〇加藤参事兼人事課総括課長 市町村の要望の部分については、ふるさと振興部の所管となりますので、私からのコメントは控えさせていただきますが、いずれ、広域振興局の部分につきましては、例えば東日本大震災津波であれば、沿岸被災地に対して内陸の広域振興局が支援するでありますとか、また、今回の新型コロナウイルス感染症対応におきましても、各広域振興局の内部で人的支援の体制を組んで、それぞれ圏域ごとに、そういった支援できる体制を組んだりとかといった、各圏域ごとに独自の取り組みを行いながら危機管理等にも対応してきているというところがあります。
 そうした広域振興局の役割といいますかあるべき姿という部分については、現在においても十分お示しできているところもございます。いずれ、そういったところも含めて、今後、課題についてはいろいろ検証しながら、あるべき姿について考えていきたいと思います。
〇臼澤勉委員 総務部長に最後にお伺いいたしますが、広域振興局体制のあり方について、これまでに知事から何か総務部に対しても指示があるのかないのか。あるいは、知事を含めて、副知事とか幹部が集まってのさまざまな政策課題の議論をしたりする場があると思うのですけれども、広域振興局のあり方、要は、増田県政当時の広域圏の考え方とかエリア、これは同じだったかもしれないけれども、より立つ根拠、あるいは位置づけが大きく変容してきているのではないかと私は思っております。ですから、そういった意味合いで、何かその辺の知事からの指示があるのかないのかお伺いいたします。
〇千葉総務部長 広域振興局につきましては、知事も常々、広域振興局を回って、いろいろ現場を見たり、職員と意見交換をしたりということでありまして、その際にいろいろ気づいたこと、考えていらっしゃることについては、我々もそれを受けとめて、こういうふうに直したらいいのではないかといった話は、日々というか、その都度聞いているところでございます。
〇吉田敬子委員 私からは、県職員の多様な人材の確保と採用についてお伺いいたします。
 先ほどの木村幸弘委員の総括質疑でも、令和5年4、310人の県職員がいらっしゃるということでありました。これまでの決算特別委員会等でも、採用試験の受験者数の減少傾向が続いているということで、令和4年度実績で584人、前年度と比較して132人の受験者数が減少しているということ、また、採用辞退者数も横ばいで、令和3年度の辞退者が72人ということで、結構な数がいるという議論がありました。
 県職員の不足の現状についてお伺いしたいと思います。また、近年の経済活動のグローバル化の進展に伴って、多文化共生の推進のほか、地域経済の活性化、人材育成といった複雑、多様化する行政課題に対応できる職員が必要になっているかと思いますけれども、多様な人材の確保、国際的な視野を持った人材の確保の取り組みについてお伺いいたします。
〇加藤参事兼人事課総括課長 まず、現在の職員の不足の状況でございます。欠員の状況ということでお答えさせていただきますが、欠員につきましては、近年、減少傾向にありますけれども、技術系職員を中心に欠員が生じておりまして、その解消に向けまして、獣医師や薬剤師の通年募集でありますとか、技術職を対象とした都道府県等の職務経験者選考採用の実施など、さまざまな手段を講じて人員確保に努めているところでございます。
 次に、多様な人材の確保についてでございます。本県におきましては、ILCの誘致や豊富な岩手ブランドの海外発信、さらには、多文化共生を推進する上で、国際経験を有する有為な人材の確保は重要であると認識しております。
 県ではこれまで、県職員採用I種試験の一般行政職、いわゆる一般行政Bという枠でございますけれども、その中で民間企業経験者等向けの採用区分を設定しまして、青年海外協力隊の経験を有する国際人材やシステムエンジニア等のデジタル人材などの採用を行ってきたところでございます。
 こうして採用した人材が、現在、国際交流業務やDX推進において、中核として活躍するなど一定の成果を上げておりまして、今後もこうした取り組みを着実に推進しながら、多様な人材の確保を図ってまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 JICAの海外青年協力隊の件も挙げられておりましたけれども、そういった海外経験者の職員の採用ということで、一定の成果を上げているという認識だということもお伺いいたしました。
 海外経験者、特にJICAの海外経験者は、海外経験や語学能力のみならず、異文化環境で鍛えられた総合的対応能力を有して、地方公共団体等においても、地域社会の国際化、多文化共生、学校教員やインバウンド観光振興、海外販路開拓等、多様な行政分野で活躍している事例が見られます。
 国際人材の確保や育成の観点から、海外青年協力隊経験者の職員としての採用、今は民間経験者ということでやられておりますけれども、プラス現職職員の参加、途中でJICAの海外青年協力隊への参加というものも、ぜひ後押ししていただきたいと考えております。
 先ほどの御答弁で、現在の民間経験者らの採用というところで取り組んでいられますけれども、実際に、JICAの海外青年協力隊経験者の数はどの程度ということで、もし県で把握されていればお伺いしたいのと、民間経験者ということで、そういった方は、全体の中のどの程度いらっしゃるのか、もし押さえられていれば、お伺いできればと思います。
 せっかくこういったことについての一定の成果があるということで押さえていらっしゃるのであれば、どの程度こういった方々を今後ふやしていきたいのか。先ほどの臼澤勉委員の質疑でも、30代の職員が少ないということで、そういったところの職員を採用していく中で、民間経験者をどの程度ふやしていきたいとか、私もそういった将来に向けての採用をある程度予測していっていただきたいと思っておりますが、お伺いしたいと思います。
〇加藤参事兼人事課総括課長 いわゆる一般行政Bで採用されました海外業務経験者でございますが、海外青年協力隊の経験を有する者という枠で数字を押さえているものはございませんが、いわゆる海外青年協力隊の従事者はもちろん、それ以外にも、海外の企業勤務の経験者でありますとか、国際業務を企業で経験してきているといったような方々が、こういった枠の中で採用されて、実際に県職員として活躍していただいているというのがございます。
 それ以外に一般行政Bで採用されている者ということでございますが、全体の人数は今手元にはないのですが、毎年10人程度採用しております。いずれ、先ほど吉田敬子委員から御指摘ありましたとおり、県職員の年齢の平準化という部分で、いわゆる氷河期世代を含めた30代以降の年齢層の方を採用するということで一定の成果を上げているところでございます。そういった民間経験を踏まえた公務員が、行政活動という部分において、県庁内でも活躍されていると認識しております。
〇吉田敬子委員 10名程度いらっしゃるということでお伺いしましたけれども、ぜひ、そういった民間経験の方々が受けやすい体制、来年度もアピール試験型ということで新たに見直すということで、新しい手法を取り入れていくことはすごく評価いたしますけれども、ぜひ、いろいろな形で、いろいろな経験を持っている多様な人材、グローバル経験の人材を取り入れていっていただきたいと思っております。
 その中で、先ほどJICAの海外青年協力隊経験者の採用について、民間経験者らの取り組みの中の一つに位置づけられてはいるのですけれども、秋田県など全国18自治体においては、実際に、一定の期間、海外青年協力隊などの経験を有する者を対象とした採用区分を設けるといった、海外青年協力隊枠のような取り組みも実際に行っております。
 これから職員を確保していく中でも、特に多様な人材、グローバルな人材ということで、積極的にぜひこういったことも他県に負けず取り組んでいただきたいと思っております。
 この新たな優遇措置を追加してみてはどうかと思っておりますが、御所見をお伺いしたいと思います。
〇加藤参事兼人事課総括課長 国際人材の確保についてでございますが、県では、先ほど来申し上げておりますけれども、民間企業経験者等向けの採用制度におきまして、ボランティア活動や地域貢献活動の経験者などを幅広く募集する中で、青年海外協力隊の経験を有する人材の採用も行ってきたところでございまして、海外での経歴を初め、多種多様な経歴を持つ人材を確保するための採用区分として、有効に機能してきたものと認識しております。
 国際人材を対象とした採用区分の新設でありますとか、海外青年協力隊経験者への加点及び試験の免除につきましては、全国18自治体のうち、都道府県レベルでは6県にとどまっている状況にございまして、引き続き、他の自治体の動向を注視しつつ研究を進めてまいりたいと考えております。
 県といたしましては、引き続き、ILCの誘致や多文化共生の推進などに向けて国際人材の確保は重要であると考えております。関係部局や人事委員会と連携しながら、有為な人材の確保に取り組んでまいります。
〇吉田敬子委員 ぜひ検討していただきたいと思っております。
 釜石市と陸前高田市では、今年度から始まった事業ではありますけれども、JICAが連携協定を結んで、海外青年協力隊になる前に、OJTのプログラムとして現在20名ほど参加されて、最近だと、ことしに入っては遠野市とも連携協定を結んで、そういった県外の全国から、海外青年協力隊に応募する前に、海外へ行く前に岩手県に何人かいらっしゃっています。そういった方々が、交流人口としてもそうですが、岩手県に1回ゆかりがあって、その後に、また岩手県にぜひという方もいらっしゃる、そういった気持ちがあるということも伺っております。
 実際に市町村単位でそういった連携協定も進んでおりますので、県としても、あと県職員としても、そういったグローバルな視点の職員がふえていくことを願っておりますので、どうぞ検討を引き続きお願いできればと思います。
〇千葉盛副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後3時37分 休憩
午後3時57分再開
〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇岩渕誠委員 私も、歳入に関して大きくお聞きしたいと思います。
 地方創生臨時交付金の件については一般質問で取り上げました。今、ウクライナの関係の予備費2兆円と合わせて5兆円が国で塩漬けになっているというお話は指摘しました。恐らく、1週間たちましたけれども、その交付の見込みはまだ何も言われていないのだと思います。
 そこで、新年度の県の予算案の中で、新型コロナウイルス感染症対応の事業が果たしてその中で十分回るかどうかというところで、まず確認したいと思います。
 この新型コロナウイルス感染症への対応事業の財源は、大きく分けて四つある。感染症予防事業費等国庫負担金、これは感染症法上にぶらさがっているもの、それから新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金、コロナ交付金-新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金、そして一般財源、この四つだと思います。一般財源は、基本的に補助裏ですから、これは各種国庫負担金やその他の事業の裏負担ということですから、大きく三つで考えればいいのだと思います。
 そうした中で、コロナ交付金が新年度予算案では10億円を充当しておりまして、これはサーベイランス、PCR検査の機器とか消耗品の購入、入院施設等確保の保健医療機関への補助、それから、感染が拡大したときの一般検査事業補助、これに大きく割かれていると思っております。
 今後、コロナ交付金は今、当初に積んですっからかんだと思いますけれども、この後の展開によっては、これは今まで継続していた事業が厳しいという状況にあると思うのですが、改めてこの認識をお伺いします。
〇山田財政課総括課長 岩渕誠委員から御指摘いただきましたとおり、新型コロナウイルス感染症対策につきましては、感染症予防事業費等国庫負担金でありましたり新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金、そして、主な財源としてコロナ交付金といったところを活用させていただいております。
 令和5年度当初予算編成までにおきまして、令和4年度2月補正もありましたけれども、コロナ交付金については、その全額を使い切っている状況になっております。
 今後の対応ができるのかというところでございますけれども、令和5年5月8日に感染症法上の見直しがされますけれども、その後においても、適切な保健医療提供体制を確保していくためには、一定の事業を継続してやらないといけないことになっております。そこの財源につきましては、先ほど述べさせていただきましたとおり、コロナ交付金の残額がない状況となっております。
〇岩渕誠委員 今の政府高官や与党幹部の発言を聞いていますと、先週の討論番組の中で世耕参議院幹事長は、5兆円全部物価高騰対策に使うのだと、こういう発言もありました。そうなると、新型コロナウイルス感染症に関しても、感染症法上の財政上はもう撤退戦に入ってしまってどうなのかということもあります。10日には財源含みでパッケージが出ると思うのですけれども、私は非常に危惧しております。
 それから、物価高騰対策としてやるという話が今、与党内に出ているようですけれども、やはりこれは早くやってもらわないと手が打てないと改めて表明したいと思います。
 いずれコロナ交付金というのは、先ほど言ったように撤退戦に入っていると思います。物価高騰は別ですけれども。そういったときに、コロナ交付金の検証というのは必要なのだと思います。これは国レベルでやっている、これは無駄遣いだったとか何とかということではなくて、地方の視点での検証は必要だと思います。
 まず、コロナ交付金というのは地方財政計画の外にあります。けれども、コロナ交付金で措置をした事業内容は、例えば鉄道、公共機関の維持とか、本来的には人口減少の中で資金として必要な、財源として必要なものに手当てをしている事業が少なくないと僕は思っているのです。そうすると、本来であれば、これは地方財政計画の中にきちんと入れて財源措置をするということを地方の視点から検証する必要があると思っているのですけれども、このあたりについての認識をお伺いします。
〇山田財政課総括課長 まず初めに、地方財政計画との関係でございますけれども、基本的に、地方財政計画につきましては、地方団体が、標準的な行政水準を確保できるように地方財源を保障するとしています。その際に、国の翌年度の当初予算がまずベースになりますというところが前提としてございます。
 その際に、新型コロナウイルス感染症対策に係る経費につきましては、先ほど述べさせていただきましたコロナ交付金も含みまして、基本的に国の予備費もしくは補正予算で対応されているというところで、地方財政計画への計上は、基本的にはなされていないというような認識に立っております。
 その上で、公共交通等の維持に対する支援などを新型コロナウイルス感染症対策でさせていただいておりましたけれども、公共交通網の維持等に係る経費につきましては、現在、地方財政計画においても、地方バスの欠損補助は一定数盛り込まれているところでありますが、今後、コロナ禍で収入が落ちた、もしくはJRローカル線をどうしていくかといった地域公共交通網の支援のあり方等の議論が国全体で行われていくのだろうと思います。それを踏まえて、適切な対応が地方財政計画上においてもなされるものと承知しております。
〇岩渕誠委員 これは、いろいろな交付金をもう一回精査して、地方として必要な経費ですよ、レギュラーの中で扱ってくれなければ困るというところを精査してほしいと思います。
 何で私が例示を公共交通機関に求めたかというと、特に地方鉄道では、岩手県人が過去に大分キーになった歴史があります。全国に鉄道を展開したもとになったのは原敬内閣の全国へのものです。それから、鈴木善幸内閣、これは第三セクターへの転換ということで、地方鉄道路線の転換のときには岩手県人がかなりのところをやっていますから、今回のコロナ禍の後の地方鉄道とか地方公共交通をどうするかというのは、やはり岩手県からきちんとそういった歴史も踏まえて提言をしてやっていただかないと、ただただ、これは無駄遣いだったとかということになりますから、そうではない視点で検証を進めていただきたいと思います。
 次に行きます。持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の報告書には、歳入の確保策の一つとして、土地開発公社の内部留保資金の活用について提言がされています。これについての、まず評価をお聞かせください。
〇山田財政課総括課長 岩渕誠委員から御指摘いただきましたとおり、土地開発公社の内部留保資金、いわゆる準備金につきましては、持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会においても、いろいろ議論をいただいたところでございます。その結果、あらゆる歳入確保策の一つとして有効な手段であると認識しておりまして、令和5年度の当初予算編成においても4.5億円を寄附金の形で計上しているところでございます。
〇岩渕誠委員 これは、恐らく国債の償還にあわせて寄附をしていただく、こういうスキームなのだと思います。
 土地開発公社というのは特別な法律でありまして、行政経営推進課総括課長にお伺いしますが、これは全部非課税法人ですね。
〇加藤行政経営推進課総括課長 土地開発公社につきましては、法人税法上、納税義務がないとなっているものでございます。
〇岩渕誠委員 県の出資法人を見ますと、一部の免除法人というのは結構あるのですけれども、納税義務がない法人は土地開発公社だけなのです。この土地開発公社の内部留保資金は94億円、準備金ですね。恐らく八十数億円は有価証券で持っていると思います。そういう意味では、今後、課税免除法人だということを踏まえて対応していただきたい。
 ただ、一方で、出資法人で2桁以上の内部留保を持っている団体は五つぐらいあります。けれども、これはルールを決めてやらないと、的確な法人と財政運営の線引きがならないと思います。
 私は、一つには、土地開発公社は県出資比率が100%であります。それから、課税免除法人であります。それから、業務に重大な支障をもたらさないということは、恐らく出資法人が内部留保資金を活用して寄附するのを原則にすべきであろうと思っています。特に3番目は、内部留保資金を持っているのは金融関係法人が多いですから、そういったところを踏まえて、こういった原則をつくってきちんとやるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
〇加藤行政経営推進課総括課長 県に40出資等法人がございますが、そのうち22の公益法人につきましては、公益目的に財産を使用しなければならないなど制度の制約がございまして、県において、これは内部留保は活用できないかと考えております。
 あと、岩渕誠委員から御指摘ございました経常黒字が継続していて経営上問題ないとか、あとは、10億円以上の多額の内部留保を有しているところ、あと、御指摘ありましたとおり、県の出資100%で他の出資者がいない、調整等を要しないところがポイントになるかと考えているところでございます。
〇岩渕誠委員 わかりました。これは原則をきちんとやらないと、どんどんなし崩しになります。ただ、やはり課税免除法人が九十数億円の準備資金を持っていて、恐らく有価証券の上がりだけで年間1億円ぐらいあるはずですから、これは課題だと思います。それをうまく整理する方法をぜひやっていただきたいと思います。
 最後に、歳入に関して、またこれは不思議でしようがないのですが、持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の検討課題に、私は県有林事業特別会計を入れるべきではなかったかと思っています。
 県有林事業特別会計は、御承知のとおり、私は岩手県の財政の中で留意すべき会計だと思っています。平成19年に林業公社の解散をして県有林が一元化されましたが、そのときに債務残高は、借入元金で692億円、将来利息負担額で397億円、1、000億円以上の負債、債務残高だったわけです。競馬協会の300億円なんてかわいいものですよ。桁が違うのだから。
 平成19年から、実は一般会計から繰り出しをしています。これはほとんど政策金融公庫の償還に使われていますが、ことしも一般会計から28億円入りますが、これは2041年まで一般会計からの繰り出しが続いて、これの総額が725億円なのです。そういう意味では、財政上非常に大きな影響があると思っていますが、どう評価していますか。
〇山田財政課総括課長 繰出金の額についてでございますけれども、岩渕誠委員御指摘のとおり、20億円を超える水準で繰り出しを行っているところで、歳出の圧迫要因というようなところには、金額の多寡をもってすればなっているのだろうと認識してございます。
〇岩渕誠委員 実は、これはすごいのです。県有林事業特別会計というのは、2007年度にスタートした計画は2081年に終了します。75年間の計画です。2041年までは一般会計の繰り出しがあるのですが、計画では、2042年から一般会計に繰り入れが来ます。その額1、574億円。超過分で849億円が計画どおりいけば県財政に転がり込むという非常に金のなる山なのですね。それは、負荷もかかるけれども、リターンもある。ただし、今の経営を続けていったときに、果たしてこのとおりの金が入ってくるか。
 実は伐採適期が今来ています。けれども、今、長伐期、今までの50年で切るものを80年で切るという計算でやっていて、それで帳尻を合わせるのですけれども、今の材価を取り巻く環境から言ったら、果たしてこれで840億円のリターンが来るかどうかは心配なのです。
 新年度からは第7次の県有林の計画が始まりますけれども、今手をつけないと、本当に繰り出しだけが多くて繰り入れが来ないという、焦げついたら非常にえらいことになるというのがこの県有林事業特別会計。しかも、2081年まで、多分この議場にいる人でこのままいるという人は、こう見渡しても余りいないのだろうと思っています。現役の我々がきちんと道筋を立てないと、これはえらい負債になると懸念しておりますが、そこのところにどう対応するかお伺いします。
〇山田財政課総括課長 岩渕誠委員御指摘のとおりでございますけれども、県有林事業特別会計におきましては、材木を育てるのに長いスパンで見なければいけないというところで、かなり息の長い取り組みをしていかなければいけないという性質になっております。
 その上で、県有林事業特別会計におきましては、本来的なところで申しますと、立木の売り払い等の収益でしっかりと回すというところが想定されているものの、先ほど言及いただきました借入金残高が多額に上っているというところで、一般会計からの繰り出しを行っているところです。
 立木の売り払い等といったところでどういった工夫ができるのかは、財政健全化にも資する取り組みでありますので、関係部局等とも連携しながら、しっかり収益向上といったところを検討していきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 これは、内部の細かい問題は農林水産部の審査でやりますけれども、一言で言うと、もう少し営業努力をすればいいのだろうと思います。もう一枚向こう側に手をかけないといけない状況なのだと思います。それは、やはり財政当局であったり、あるいは商工労働観光部だったり、いろいろなところで対応していかないと、本当に宝の山が持ち腐れ、そのまま死んでしまいますので、そこは総務部当局としてもぜひ積極的に連携をしていただくようにお願いして、終わります。
〇ハクセル美穂子委員 私からは、県税について質問をさせていただきます。
 令和5年度の個人、法人県民税ともに増額の見込みということで予算が計上されております。その理由ですね。増額になる理由、どういった要因で個人県民税、それから法人県民税が増額になっているのか。それから、この動きは今後どのように推移していくと考えているのかについてお伺いいたします。
〇今野税務課総括課長 県民税の見込みと今後の動向についてでございますが、まず、個人県民税につきましては、上場株式等に係る配当割及び株式等譲渡所得割が堅調なことから、全体としまして、前年度当初予算と比較しまして0.6%の増収と見込んだところでございます。
 このうち個人に係る均等割につきましては、人口及び労働者数の減少の影響により減収するものと見込まれ、所得割については、給与所得の増加が見込まれる一方、事業所得等においては減少が見込まれることから、均等割、所得割を合わせると0.2%の減収と見込んだところでございます。
 また、法人県民税につきましては、法人数の増加により均等割の増収が見込まれ、さらに、堅調な企業収益により法人税割においても増収が見込まれることから、2.6%の増収と見込んだところでございます。
 今後も、人口減少の影響を受ける個人に係る均等割につきましては減少が見込まれる一方、所得割や法人県民税については、企業業績や景気の状況の影響により変動するものと認識しており、これらの動向については、引き続き注視してまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 人口減少も伴って均等割については下がっているというか100%を割っていて、前年比98.6%ということも教えていただきました。ただ、配当割ということで、皆さん株式とかいろいろとやっていらっしゃって、その配当が岩手県民の皆さんにもいろいろと、133%ぐらいなので、意外と皆さん、いろいろ資産運用されているのだなと私も考えたりしました。
 個人はそういう中身でございますけれども、法人県民税の状況も増額してきていると。ただ、多分産業の中には増になっていないところもあると思いますし、実際の事業者の方、どういった業界の方々は増額というか、法人事業税をお支払いになるぐらい景気がいいのかとか、そういった分析についてはどう見ておられるのか、そういったところまで検証されているのかということについて、お伺いしたいと思います。
〇今野税務課総括課長 法人の景気動向の件でございますけれども、法人事業税で説明させていただきますが、令和5年1月末現在におけます現年課税分の調定額では、製造業及び非製造業ともに前年度を上回っている状況にございます。
 業種別では、一般機械製造業でありますとか半導体関連を含む電気機械製造業などが好調である一方、卸、小売業は、前年度の巣ごもり需要の反動もございまして減収となっている状況にございます。
〇ハクセル美穂子委員 私は、この法人事業税のデータというのは大変大切なデータだと思っています。税収としても大切なのですけれども、県の事業が、きちんと適切なところに投資というか支援策をしているのかどうかの判断材料としても、非常に有効に使えると思っております。
 今、法人も法人番号がありますし、事業別とかそういうものも電子で入力して、税金を確定申告するというか、法人のほうの決算をやったりしていますので、県の中の景気の状況とか産業別の動態を把握するためには大変有意義なデータであって、県税だけでなくて、県庁全体でこういったデータを把握しながら政策のほうに、成果指標というか反映していくべきだと思っています。
 それで、他部局との情報共有は今どのように考えられているのか、また、行っていれば行っている状況について教えてください。
〇今野税務課総括課長 ハクセル美穂子委員御指摘のように、法人事業税の税収の動向につきましては、企業の景気動向をはかる際の参考となるなど、さまざまな活用が見込まれるものと認識しております。
 一方で、この税額は、税制上の特例措置でありますとか企業誘致に係る課税免除等も反映されたものとなっているため、企業業績とは必ずしも一致しない部分もあること、それから、県の施策以外にも税額に影響を及ぼす要素もあることなど留意すべき点もございます。
 このようなことを踏まえまして、法人事業税等を含む県税収入の動向につきましては、関係部局の必要に応じて、個人や法人が特定されない範囲において、情報共有を図ってまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 情報共有を図ってまいりたいということなので、現在まではそういった情報提供の依頼等も部局からは来ていないということでよろしいでしょうか。確認です。
〇今野税務課総括課長 現在まで、そういうデータを他部局に提供しているかというお尋ねですけれども、現在までに提供しているものとしましては、誘致企業の納税額、これは企業総体、全ての額のデータですけれども、これについては提供している部分がございます。
〇ハクセル美穂子委員 わかりました。これから庁内でもDXを進めていって、いろいろな分析をしながら政策のほうに反映していくというような取り組みをしていきますので、匿名性のあるようなデータとして県庁内で共有する分には、非常に有意義なデータだと思います。これからぜひ、ほかの部署とDXを進めていく際に、こういったデータの活用のあり方とかも検討していってほしいと思うのですけれども、その点、総務部長にお聞きしたいと思います。
〇千葉総務部長 一般論として、施策の効果を検証することは非常に重要なことでありまして、結果として相関関係が余り明らかにならなかったとか、シナリオどおりにならなかったこともあるかと思いますけれども、御提案の県税収入の動向の分析により得られる何かがあるかも知れず、そうした情報を共有することは問題ないかと思っておりますので、関係部局と連携し、必要な情報共有を図ってまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 ぜひ前向きに検討していただいて、何となく雰囲気で、ここが弱いなというような分析ではなくて、明らかに税収に反映されていないとか、そういうものもわかる部分があるかと思いますので、ぜひ有効に活用していただけるように、仕組みについても御検討願いたいと思います。
 次に、地方交付税についてです。
 令和5年度は地方交付税が増額となっていますが、その増額の要因と、それから、この増額というのは今後どのようになっていくか。このまま続いていくのか、それとも、これは一時的なもので下がっていくのかというような中長期的な見通しについて、今どのように考えていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
〇山田財政課総括課長 地方交付税の令和5年度の増額要因並びに今後の見込みですけれども、まず、令和3年6月18日に閣議決定されましたいわゆる骨太の方針2021におきまして、令和4年度から令和6年度までの3年間におきましては、地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源総額について、令和3年度の水準を下回らないように、実質的に同水準を確保するというフレームワークがございます。
 この枠組みにおきまして、令和5年度の地方交付税でございますけれども、地方交付税は、所得税、法人税などの国税に連動してその額が決定されますが、先ほども話が少しありましたとおり、法人税の伸びが国全体でかなり大きくなっております。
 その結果として、対前年度3、037億円の増となる18兆3、611億円が措置されていると。かつ、令和5年度の地方財政対策におきましては、後年度の地方交付税総額の確保という観点から、本来、令和5年度に足すはずであった一般会計からの加算措置を令和9年度以降に加算時期の調整も行っております。こちらは、後年度においても交付税を確保するという観点から、こういったことも行われております。
 今後の見通しでありますけれども、国税の動向等もありますので、断定的にふえるか減るかはかなりお答えしにくいところがありますが、こういった後年度の地方交付税の確保の取り組みもされておりますので、地方交付税の確保に向けて、一定程度ではありますが、予見可能性をもって財政運営をしていけるとは認識しております。
〇ハクセル美穂子委員 国でも法人税の伸びがあって、地方交付税にもそれが反映されてきているということなので、やはり適切な投資をしっかりとすべきところにする、それから、国の政策とかがしっかりと機能してくると、こういう形で私たちの懐に戻ってくるいい例なのかなと私は今捉えております。
 きちんと投資すべきところに投資していくという政策の大切さが、この地方交付税の増額にもあるのではないかと思っていますので、県でも、先ほど法人事業税について御提案させていただきましたように、やるべきところ、どこに集中していくべきなのか、選択と集中と去年ぐらいまではすごく言っていましたけれども、集中すべきところ、これからやるべきところにしっかりと投資していけるような、県庁全体の働きにつながるような形で情報共有もお願いしたいと思います。
 これはお願いして、終わります。
〇斉藤信委員 それでは最初に、新型コロナウイルス感染症対策についてお聞きいたします。
 この1年、オミクロン株による第6波、第7波、第8波と大きな感染拡大がありました。今年度の保健所等への応援体制はどうとられたのでしょうか。来年度の対応状況はどうなっているでしょうか。
〇加藤参事兼人事課総括課長 令和4年度の保健所等への応援体制についてでございますが、新型コロナウイルス感染症対策に迅速かつ的確に対応するためには、業務に応じた柔軟な職員体制の構築が重要であり、今年度においても、業務量や今後の見通し等を踏まえ、医療政策室の担当職員や保健師の増員のほか、会計年度任用職員として保健師を任用するなど、体制構築に努めたところであります。
 また、現場の最前線で感染拡大防止に当たる保健所に対しましては、全庁的な応援体制を組んでおり、感染拡大時においては、本庁に設置した保健所支援本部への本庁各部からの応援職員の増員や、広域振興局内の各部からの業務支援を弾力的に行ってきたところであります。
 次に、令和5年度の保健所等の体制についてでありますが、感染状況や国の動きを踏まえながら切れ目なく新型コロナウイルス感染症対策に当たるため、医療政策室の担当職員及び保健所に追加配置している保健師を継続配置するとともに、会計年度任用職員として保健師を任用するなど、引き続き必要な職員体制を構築してまいります。
 今後におきましても、感染動向に応じた職員体制を構築するため、保健福祉部と連携を図り、状況に応じて保健所への業務支援を活用するなど、柔軟かつ最適な人員配置に努めてまいります。
〇斉藤信委員 私は抽象的に聞いているのではないのですよ。具体的に、保健所に、医療政策室にどういう人員体制で応援体制が組まれたのか、来年度どうなるのか具体的に答えてください。
〇加藤参事兼人事課総括課長 今年度の第7波の感染拡大時におきましては、本庁に設置しております保健所支援本部への業務支援体制を拡充いたしまして、最大で44名の体制を組み疫学調査等の業務に対応してきたほか、各広域振興局においても、各公所が一体となって、9保健所の合計で1日当たり最大70名の支援体制を確保してきたところであります。
 その後、外部委託の導入や業務の見直し、令和4年9月26日の全数届け出見直しなどを踏まえまして業務支援体制を縮小してきたところでございますけれども、現時点においてもバックアップ体制を整えており、迅速に業務支援に当たることができる体制を構築しており、現在も200名を超える体制を継続しております。
 令和5年度における業務支援につきましては、引き続き、切れ目なく新型コロナウイルス感染症対策に当たるため、感染状況等に応じて迅速に保健所への業務支援に当たることができるよう、バックアップ体制を整え、柔軟かつ最適な人員配置に努めてまいります。
〇斉藤信委員 保健所の保健師の人員体制はどうですか。
〇加藤参事兼人事課総括課長 来年度の令和5年4月1日の保健所の保健師数の見込みでございますけれども、正職員、会計年度任用職員合わせて81名を確保することとしております。こちらは、令和2年度と比較いたしまして15名の増という状況でございます。
〇斉藤信委員 私がいただいた資料は、令和4年4月1日の保健所の保健師数が81人、令和5年度4月1日の見込みは81人になっていますよ。後で確認してください。あなたからもらった資料だから。正確な答弁をお願いしたい。
 それで、県職員の超過勤務、80時間、100時間超の超過勤務の実態はどうなっているでしょうか。
〇加藤参事兼人事課総括課長 知事部局における超過勤務の状況についてでございます。令和4年4月から令和5年1月までの1人当たりの月平均超過勤務時間数の速報値におきましては、全庁で15.7時間となっておりまして、前年度同期の14.5時間と比較して1.2時間の増となっております。
 また、今年度、全庁で月80時間以上の超過勤務を行った職員は229名、月100時間以上は128名でございまして、新型コロナウイルス感染症対応に加えまして、物価高騰対策の実施等に伴う業務量の増加などが要因と考えられるところでございます。
〇斉藤信委員 今答弁あったように、これは今年度1月までの数なのです。だから、まだふえると思いますけれども、80時間以上が229人、うち保健福祉部関係が130人、100時間以上が128人、うち保健福祉部関係が93人と。新型コロナウイルス感染症関係で80時間、100時間を超える本当に過酷な勤務になった。それだけに、私は保健所体制の強化が大変重要だと思います。
 保健所で100時間以上の超過勤務の実態はどうなっていますか。
〇加藤参事兼人事課総括課長 保健所の月100時間以上の人数は72名となっております。
〇斉藤信委員 これは1年だけじゃなくて、丸3年こういう状況が続いているので、本当にこれは改善しないと、既にやめていっている状況も出ているのではないのかと。その状況はどうですか。
〇加藤参事兼人事課総括課長 保健師の退職の状況でございますけれども、今年度におきましては退職の情報は多くない状況でございまして、職員採用についても、実質退職者の分につきましては、採用を確保している状況でございます。
〇斉藤信委員 少しリアリズムに欠けているのだけれども、本当に80時間、100時間、こういう過酷な勤務が丸3年続いている。私は、本当に抜本的に改善をしないと心も体ももたない状況だと思いますよ。そういう点で、来年度も異常な超過勤務が解消されるようにしっかり対策を講じていただきたい。いかがですか。
〇加藤参事兼人事課総括課長 新型コロナウイルス感染症への対応が長期化しておりまして、保健福祉部や保健所の職員を中心に負担が大きい状況が続いているというところは認識しております。引き続き、業務に応じた弾力的な職員編成に取り組むとともに、不断の業務の見直しを促進いたしまして、超過勤務の縮減に取り組んでまいります。
 あわせまして、今後におきましても、県民の生命や生活に大きな影響を及ぼすさまざまな事案には、適時適切に対応していくことが何よりも重要であると考えておりまして、業務の状況に応じて、機動的に配置の見直しを行いながら、部局の枠を超えて体制の充実確保に努めてまいります。
〇斉藤信委員 本当に、今度は丸4年目を迎えるという状況で、ぜひ抜本的な改善がとられるようにお願いしたいと思います。
 次に、会計年度任用職員の待遇、賃上げについて質問いたします。
 会計年度任用職員の制度が実施されて丸3年となります。これまで継続して任用された職員数はどうなっているでしょうか。
〇加藤参事兼人事課総括課長 会計年度任用職員の継続任用についてでございますが、令和4年4月1日時点で知事部局において任用した1、490人のうち、令和2年度から継続している者は1、151人、約77%、令和3年度から継続している者が1、296人、87%の職員が継続して任用されているところであります。
〇斉藤信委員 会計年度任用職員の制度は待遇の改善が目的でした。しかし、丸3年で、これは全面的に公募になるのですね。私は、やはり3年間、2年間頑張って働いてきた方々のスキルを、経験を生かして、継続雇用を最大限確保することが必要だと思いますけれども、公募に当たって、そういうことがしっかり考慮されるのでしょうか。
〇加藤参事兼人事課総括課長 会計年度任用職員の採用についてでございますけれども、会計年度任用職員は、1会計年度ごとに新たな任用として整理され、任期ごとに公募、選考を行うことを原則としておりますけれども、当該職員の任用期間中の人事評価の結果に基づいて、2回まで公募によらず、同一の者について再度任用することを可能としているものであります。
 会計年度任用職員に求められる能力については、一律の採用基準はないものでございますけれども、公募、選考を行う場合であっても任用する回数の制限を設けていないことから、公募、選考の結果、同じ者が引き続き同一の職に任用されることはあり得るものと考えております。
〇斉藤信委員 一部には、会計年度任用職員の雇用期間は3年というものもありますが、これは国際労働機関ILOの提言では、臨時職員は、合理的な期間内に正規職員となる機会を与えなければならないと、これがグローバルスタンダードです。だから、丸3年で雇いどめということになるようなことがあってはならないと思いますが、いかがですか。
〇加藤参事兼人事課総括課長 先ほどの答弁と重なる部分もございますけれども、いずれ3年を経て再度公募となった場合に、同じ者が引き続き同一の職に任用されることはあり得るということでございますので、引き続きそういった形での任用は可能と考えております。
〇斉藤信委員 丸3年で雇いどめという事態が起こらないように、継続雇用を最大限やっていただきたい。
 それで、会計年度任用職員制度は、本来、処遇を改善する趣旨で創設されましたが、結果的に決してそうなっていない。会計年度任用職員制度が導入されたときに、以前の臨時職員のフルタイム、パートタイム、それが会計年度任用職員になってどう変わったでしょうか。
〇加藤参事兼人事課総括課長 会計年度任用職員制度が導入された際におきましては、国のマニュアルに基づきまして、それぞれの職の必要性を十分に吟味して、その勤務時間を標準的な業務の量に応じましてフルタイム、パートタイムの職をそれぞれ検討して設定することとされたところでございます。
 県では、制度導入前の臨時、非常勤職員の任用状況を考慮しながら、例えば事務補助を行う臨時職員については、業務の集約や廃止などの見直しを行った上で、その業務量等を踏まえて週30時間のパートタイム勤務とすることが決定したところもございます。
 また、会計年度任用職員の処遇につきましては、報酬水準の見直しのほか、特別休暇の新設でありますとか有給化、また随時の処遇の見直しを行ってきておりまして、例えば事務補助を行うパートタイム会計年度任用職員のモデル給与を試算いたしますと、制度導入前と比べて、年収ベースでは約27万円の増額となるなど、処遇面の改善を進めているところでございます。
〇斉藤信委員 会計年度任用職員前の臨時職員の実態は、フルタイム571人、32%でした。会計年度任用職員になったら、フルタイムはたった55人、3.7%。96.3%はパートタイムになってしまった。月収は減らされてしまったのです。
 そして、今、待遇改善されたと言うけれども、月収14万4、619円というのは7年働いた人です。1年目は月収11万7、212円です。11万7、212円ということになると、年収で140万円にしかなりません。これは圧倒的にパートタイムですから。
 会計年度任用職員で年収200万円を割るワーキングプアは、どのぐらいを占めますか。
〇加藤参事兼人事課総括課長 今、斉藤信委員お尋ねの数字については手元に持ち合わせていないところでございます。ただ、1年目で11万7、200円ほどというところでございますが、こちらについては、例えば継続して3年経過して、さらに再度任用された方については、前回の任用が通算されるというようなところもございまして、必ずしも1年目から全て任用されるものではないという状況はございます。
〇斉藤信委員 全国的には6割が年収200万円を割るワーキングプアなのですよ。年数で見ますと、5年働いて月収13万2、541円。この場合、年収は159万円にしかなりません。一時金を入れても200万円を割ってしまいます。だから、7年働かないと年収200万円に行かないのですよ。会計年度任用職員が圧倒的にワーキングプアという状況は、抜本的に改善すべきではないでしょうか。
 高田一郎県議が総括質疑で、会計年度任用職員も時給1、500円という提案もいたしました。やはり県の仕事でワーキングプアをつくる、200万円を割ったら家計を支えられないのですから。私は、そういう実態をリアルに見て、県の仕事からこういう低賃金構造を打開していく必要があるのではないかと思います。いかがですか。
〇加藤参事兼人事課総括課長 先ほどお話がありました時給1、500円の部分でございますけれども、会計年度任用職員の給与につきましては、地方公務員法に定める均衡の原則に基づいて、生計費や民間給与等を踏まえて決定されている常勤職員との均衡を考慮して、報酬やボーナスの水準を決定しているところであります。
 令和5年度におきましても、令和4年の人事委員会勧告を踏まえた増額改定を行っているところであります。
 今後におきましても、法に定める給与決定の諸原則にのっとって、人事委員会勧告を最大限尊重しながら、適正な処遇を確保してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 私が指摘したのは、会計年度任用職員で年収200万円を割ると生活を支えられない、こういう賃金水準でいいのかということです。そこをリアルに見て改善すべきを改善しなかったら、岩手県全体の労働者の賃上げにならないではないですか。県庁で仕事してワーキングプアとなる。全体の賃金水準を上げなかったら、岩手県の民間の賃金だって上がらないと思いますよ。私は、そのことを指摘して、そこをよく見て、会計年度任用職員というのは待遇改善が目的なのですから、本当に待遇改善になるような改善を図っていただきたい。
〇木村幸弘委員 私からは、予算特別委員会の総括質疑で質問ができなかった点を含めて、用意していた質問をさせていただきたいと思います。
 まず1点目は、定年引き上げに関することについてですが、令和5年度から段階的な定年引き上げがいよいよ始まってまいりますが、この制度のスタートによって、来年度は定年退職者が出ないということになるわけであります。このことによって、職員定数の全体の管理については、どのような考え方になるのかお伺いしたいと思います。
〇加藤参事兼人事課総括課長 今後、定年引き上げによりまして60歳以上の高齢層職員の増加が見込まれますことから、能力と意欲のある高齢層職員が、みずからの能力を存分に発揮して、これまで培った知識、技術、経験を若手職員に継承していくことにより、組織全体の活力の維持、向上につながると認識しております。
 また、将来にわたり安定的に行政サービスを提供できる体制を構築していくためには、定年引き上げ期間中においても、新採用職員数を一定程度平準化し、年齢構成の過度な偏在を招かないように計画的に職員確保を進めていくことが重要と認識しております。
 定年引き上げ期間中は、基本的に隔年で定年退職者が生じないことから、状況に応じまして一時的な職員数の増加も想定する必要があると考えているほか、高齢層職員の多様な働き方に配慮した人員配置などについても検討してまいります。
〇木村幸弘委員 いずれ、定年の引き上げによって全体の職員の年齢構成の問題も含めて、先ほど臼澤勉委員からも、いわゆる今の県の職員の年齢構成の問題に若干触れられた部分がありましたけれども、30代あるいは40代前後のいわゆるミドル世代の職員が少なくなっていると。そこで、上司と若手職員との間の世代間ギャップといった問題も職場の中で課題になっているのではないかという指摘もございます。
 こうした実態についてどのように捉えているのか、その点についてもお伺いしたいと思います。
〇加藤参事兼人事課総括課長 職員間の世代間ギャップというようなお話もございました。いずれ、今回こうした定年引き上げに伴う60歳以降の職員の配置に当たりましては、そういった世代間の部分のいわゆる管理職層のフォローでありますとか、若手職員への技術の継承や職場内での業務課題への対応というところを考慮しながら、配置についても考えていきたいと思っております。
〇木村幸弘委員 そういう役割を持っていただくわけですけれども、特に定年引き上げ対象者について、具体的にはどのような業務を担うことになるのか、その点についてもお示しいただきたいと思います。
〇加藤参事兼人事課総括課長 定年引き上げ者の従事業務でありますが、高齢層職員が、知識や経験の次世代への継承を行いつつ、その経験や専門性を生かしながら、組織に貢献できる職務に従事することが重要と認識しております。
 これまでも、定年退職後の再任用職員につきましては、職員の経験や専門性を考慮しながら配置してきたところでありますけれども、定年引き上げ後の60歳以上の職員についても、同様の考え方で各職場に配置することを基本としつつ、若手、中堅職員の育成や管理職のサポートの役割なども担ってもらうことを想定して、具体的な配置先や業務内容については、現在検討しているところでございます。
〇木村幸弘委員 いずれ、定年引き上げ対象者の方については、個々のモチベーションも含めて、いかに自分の立ち位置あるいは定年によって、いわゆるこれまでの上司と部下の関係の職員との対応の仕方とか、いろいろと課題もあるだろうと思うわけであります。
 そうした中で、先ほど年齢構成の問題も聞きましたけれども、今のいわゆるミドル世代と言われる中堅職員が不足している状態の中で、本庁と、あるいは広域振興局と出先では、その配置バランスが違うのだという声を聞いておりました。本庁には、限られたミドル世代の方々が手厚くキープされて、世代間ギャップを構成上は上手に埋めながら、スムーズに業務を遂行しているのではないかと言われておりますが、一方で、広域振興局の議論なども先ほどありましたけれども、広域振興局や出先では、明らかに中堅年代層の職員が不足する、あるいは配置ができていないという状況の中で、50代職員と若手の職員と、その年代ギャップが生じて、風通しが十分になっていないのではないかということも聞こえてくるわけであります。
 そういう意味で、定年引き上げ対象者の業務のあり方、それから、現職の年齢構成における世代間ギャップの問題、こうしたものをきちんと捉えながら、うまくこの対応を進めていく必要があると思いますけれども、その点について御所見があればお伺いしたいと思います。
〇加藤参事兼人事課総括課長 ただいま木村幸弘委員からお話があったところの指摘は、ごもっともと考えているところでございます。いずれ、こちらも広域振興局に訪問した際とかに、そういったお話を多々伺っている状況でございます。
 今後、定年引き上げを行うに当たって、その配置先も含めて年齢バランスも考慮していきたいと思いますし、定年引き上げ対象者の役割という部分については、そういった部分も担っていただくことを含めて、今後の定年引き上げ者の配置等については考えていきたいと思っております。
〇木村幸弘委員 次に、都道府県等職務経験者選考採用制度についてお伺いしたいと思います。
 県行政の専門性を確保する観点から技術職員は必要不可欠であり、これまでも処遇改善等も含めて、さまざまな対策を講じながら確保に努めているわけであります。
 欠員の実態の中に、特にこうした技術系、専門職系がどうしても不足しているということは、現場から常々上がっている声でありますけれども、今回、県として、今年度新たに即戦力の技術職員を確保するために、都道府県等職務経験者選考採用制度に基づく採用試験を行っているわけでありますが、当制度の募集職種、応募条件、そして、受験者確保のためのインセンティブなど、具体的な制度の内容についてお伺いしたいと思います。
〇加藤参事兼人事課総括課長 都道府県等職務経験者選考採用制度の具体的な内容でございますが、本県における採用試験の受験者数につきましては、少子化の進行、民間企業の採用意欲の高まりなどを背景として減少傾向が続いておりまして、特に技術系職種における職員確保が喫緊の課題と認識しております。
 こうした中、昨年11月から新たに導入した都道府県等職務経験者選考採用制度については、獣医、薬剤師、心理など10の技術系職種において、例えば結婚や子育て、介護などにより退職した職員やU・Iターンを希望する他県等の職員などの職務経験者を対象に実施しているところであります。
 応募者をふやす取り組みといたしましては、応募資格を55歳未満として、総合土木Bなど40歳未満を対象とした社会人経験者の採用試験よりも上限年齢を引き上げていることや、既に能力実証がなされていることから、書類審査と個別面接のみとすることで、受験者の負担が少なく応募しやすい制度としていることなどの工夫を行っているところであります。
 県では現在、技術職員の確保に向けて全庁挙げて取り組みを推進しているところでありまして、今後も、この選考を初めとする技術職員の確保に向けたさまざまな取り組みを戦略的に展開し、適切な人員体制を確保してまいります。
〇木村幸弘委員 そこで、実際に現時点においての応募状況は一体どうなっているのかということが大変気になるわけでありますが、現状と、そして見通しについてお伺いしたいと思います。
〇加藤参事兼人事課総括課長 令和4年11月に選考採用制度を導入して以降、これまでに県内外から十数件の問い合わせをいただいたところであります。そのうち、土木職2名、農学職1名の3名から実際に応募をいただきまして、全員に対し内定を行ったところであります。
 今後、通常の採用試験等において採用予定数を確保できなかった技術系職種については、この制度を積極的に活用して、即戦力となる職員を随時確保していくこととしておりまして、より多くの応募者が確保できるように、さまざまな機会を通じて、この制度の周知やPRに努めてまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 現実はなかなか簡単ではないと思うわけです。問い合わせが十数件あって、3名が実際に応募したということですが、どれだけの採用枠というか応募を見越してこの制度をかけているのかということになるわけですけれども、同時に、あと、応募要項などを見ても、応募の要件が、今御説明あったように、上限年齢の引き上げであるとか、応募しやすい制度にしたという御答弁ですが、では、条件面がどうなのだろうかと思うわけです。
 この応募要項の説明の中に、いわゆるモデル給与も示されているわけです。この部分のモデル給与について、特に、令和4年4月1日時点で職種や勤務経験年数に合致する本県職員が最も多く在職している号給を基礎としているということで、あと幾つかの点があるのですけれども、結局、今在籍している県職員の平均的な給与体系を基礎とするということです。
 改めて、本県に何としても技術系職員を確保するということで考えますと、一定程度、そういった労働条件あるいは給与面を含めて、何らかのインセンティブが必要ではないのか。他の都道府県と比較して、岩手県で働いてみようということで、今の仕事についている部分を蹴って、あるいはやめて岩手県に来て働きたいと言わせるような、あるいは来てもらうような条件を示していかないと、結局、一般的な応募と変わらないということになってしまうと、確保の見通しもなかなか厳しいなと思うのです。
 その点、どのような検討をされてきたのか、あるいは今、この現実の状況を見て何かお考えがあるのか、お示しください。
〇加藤参事兼人事課総括課長 この試験制度をスタートさせるに当たって、待遇面等につきましては、やはり現在の職員との並びは重視したところであります。
 今回の制度の狙いといたしましては、先ほども申しましたが、U・Iターンで県に来たいと希望される方や、子育て等が一段落ついて再度県に就職が可能となった者など、潜在的に即戦力となり得る職務経験者を積極的に掘り起こすことで、職員の確保策を強化したいという思いで始めたものでございます。
 今回の試験制度については、先ほど申しましたが、教養試験や論文などの対策が不要でありますとか、通常の試験や選考の受験に二の足を踏んでいた方にとっては、負担感も少なく、受験しやすい選考となっているところでございます。
 待遇面につきましては、他県等の動向も踏まえつつ、引き続き検討してまいりたいと思っております。
〇木村幸弘委員 いずれ、さまざまな人材確保のための検討や工夫が必要だと思いますので、引き続き十分に検討していただきたいと思います。
 最後に、会計年度任用職員の関係です。
 先ほど斉藤信委員から質問がありましたので、私が質問しておきたいのは、知事部局の令和2年度からの採用者推移の部分がどうなっているのかという点。それから、東北各県及び全国平均との比較について、会計年度任用職員が占める割合とあわせて、この点についてもお示しいただきたいと思います。
〇加藤参事兼人事課総括課長 会計年度任用職員の令和2年度からの採用数の推移でございますが、令和4年4月1日時点で、知事部局で任用した会計年度任用職員数については、フルタイムの職員が55人、パートタイムの職員が1、435人、合計で1、490人となっておりまして、令和2年4月1日時点の人数と比較いたしますと、フルタイムで24人増加、パートタイムで124人減少、合計で100人の減少となっているところであります。
 次に、東北各県、全国平均との比較についてでありますけれども、総務省の全国調査によりますと、令和2年4月1日時点の数字になりますけれども、本県の一般行政部門の会計年度任用職員数は1、605人となっておりまして、東北では福島県に次いで2番目に多く、全国平均の1、285人よりも多く任用しているところであります。
 また、職員総数に占める会計年度任用職員の割合につきましては、本県では26.6%と東北では最も高く、全国平均の20.5%よりも高くなっている状況でございます。
〇木村幸弘委員 そういう状況で、東北各県の中では、岩手県が会計年度任用職員に頼らざるを得ないような実態が明らかになっているわけであります。
 そこで、令和5年度においては、会計年度任用職員の当初予算案上の採用見込みはどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
〇加藤参事兼人事課総括課長 令和5年度当初予算案における知事部局の会計年度任用職員数でありますが、こちらは予算案上の人数で機械的に算出しているものでございますけれども、1、501人を見込んでいるところであります。
 引き続き、業務の状況を適切に把握しながら、適正な人員の確保に努めてまいります。
〇木村幸弘委員 会計年度任用職員が令和4年度よりもふえる形になるわけですね。総括質疑でも議論して、いわゆる常勤職員の減少実態を含めて、その分がいわゆる会計年度任用職員の占める割合にかかってきて、仕事の面でも何でも、いわゆるワーキングプアという厳しい指摘もある中で、そのような形で常勤職員の仕事の肩がわり的な役割も担うような状況にしていくことは、やはり改めるべきだろうと思います。
 いずれにしても、現在のマンパワー不足の問題を含めて、常勤職員体制をまずしっかり確保していくという形の中で対応していただくように、特にお願いして、終わりたいと思います。
〇千葉盛副委員長 この際、加藤参事兼人事課総括課長から発言を求められておりますので、これを許します。
〇加藤参事兼人事課総括課長 先ほどの斉藤信委員への答弁の内容につきまして、訂正の答弁をさせていただきます。
 先ほど、令和2年度末の数字でお答えいたしましたが、令和4年4月1日の保健師数につきましては81人でございます。令和5年も、引き続き81人の見込みというところで訂正させていただきたいと思います。
〇千葉盛副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉盛副委員長 質疑がないようでありますので、これで総務部関係の質疑を終わります。
 総務部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、政策企画部長に政策企画部関係の説明を求めます。
〇小野政策企画部長 令和5年度の政策企画部関係の歳出予算につきまして御説明申し上げます。
 初めに、政策企画部の予算編成に当たっての考え方について御説明いたします。
 政策企画部は、総合的な政策の企画立案、推進、知事、副知事の秘書業務及び広聴広報を担当しております。
 政策企画関連では、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのスタートの年でもあることから、その推進に当たり、全庁的なマネジメントサイクルを確実に機能させながら、各部局と連携して、四つの重点事項を初めとした政策を着実に進めてまいります。
 広聴広報では、引き続き、県政懇談会などを通じて県政に関する意見、提言を把握し、施策への反映に努めてまいります。
 また、県政番組などを通じ、東日本大震災津波からの復興を初め、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げた主要施策を、県民の皆様に適時的確に伝えるとともに、県外に向けては、東日本大震災津波を風化させず、復興への継続的な支援につなげるよう、復興の歩みを進める岩手県の姿や岩手県の魅力を発信してまいります。
 新型コロナウイルス感染症に係る対策につきましては、県のホームページを初め、テレビ、ラジオ、SNSなどを通じ、引き続き、県民の皆様への適切な情報提供に努めてまいります。
 これらに加え、令和5年度は、第73回全国植樹祭の開催に当たり、御来県予定の天皇皇后両陛下をお迎えする体制を構築いたします。
 それでは、政策企画部関係の令和5年度の歳出予算について御説明いたします。
 議案その2の6ページをお開き願います。政策企画部所管の歳出予算は、2款総務費2項企画費14億5、838万円余のうち8億9、642万円余となっております。
 予算の内容につきましては予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
〇千葉盛副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇岩渕誠委員 私は、企画総務費に関連して全国知事会の関係でお伺いしてまいりたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症が発生しましてから、地方の声は全国知事会を通じた要望、地方の代表ということでかなり存在感を示していたと思います。これに関連してお伺いしますけれども、全国知事会としての要望は、物価高騰を含めていろいろ多面的にやられたわけでありますけれども、この全国知事会としての要望に県の提言がどの程度反映されたのか、まずお示しいただきたいと思います。
〇竹澤参事兼政策企画課総括課長 全国知事会要望への県の提言の反映状況についてでございますが、岩手県では、復興の推進とILCの実現を県の要望の再重要事項としておりますが、こうした重点項目については、県だけではなく、全国の知事の総意として国に提言するため、全国知事会提言への反映を働きかけてまいりました。
 ILCの誘致については、令和3年6月の全国知事会の政策要望にILC計画を初めとする国際科学技術研究拠点の国内への誘致が初めて盛り込まれましたほか、東日本大震災津波からの復興については、発災直後から、財源や復興人材の確保を初め、被災者の生活再建やグループ補助金の拡充、自由度の高い交付金の充実等に関して被災県として意見を述べており、全国知事会の要望事項として反映されているところでございます。
 また、新型コロナウイルス感染症の流行に対する全国知事会の緊急提言についても、岩手県から、中小企業等の事業者支援や地域観光事業支援の財源確保を繰り返し述べ、知事会提言にその内容が反映されてきたところでございます。
〇岩渕誠委員 その反映をしたものについて、政府の施策にどの程度反映されているのか、これはどのように把握されていますか。
〇竹澤参事兼政策企画課総括課長 繰り返しになって恐縮でございますけれども、新型コロナウイルス感染症の関係は、中小企業等の事業者支援、地域観光事業支援など、また、近ごろの原油高騰、物価高騰対策などでは、そういった内容についても全国知事会から政府に提言し、実現が図られていると考えております。
〇岩渕誠委員 これは、そうしますと、新型コロナウイルス感染症とか物価高騰に関して言えば、地方共通の課題が多かったし、そういったものをまとめて政府にお伝えした、こういう理解でよろしいですか。
〇竹澤参事兼政策企画課総括課長 地方に共通の項目、また、岩手県独自の要望等についても、東日本大震災津波ですとかILCの誘致といったことも政府に提言いたしまして、実現が図られている部分があると考えております。
〇岩渕誠委員 新型コロナウイルス感染症にしても物価高騰対策にしても、現場は地方が持っているわけですから、そういった意味において、政府も地方の実情を無視できない状況の中で、近々の政策についても予算化も含めてかなりやっていただいたのだろうと思っています。
 そうした中で、本県の達増知事は今、全国知事会農林商工常任委員会の委員長をお務めになっております。かつて増田知事が全国知事会の会長選挙に出馬したことがありまして、そのときは、県当局、事務局としても、本当になったらどうしよう、東京都に専門の職員を置いてとか、いろいろな計算をしながらやったわけでありますけれども、委員長でありますから、そこまでのところはないと思いますが、全国知事会の農林商工常任委員長として、知事の活動状況についてはどのように把握されていますか。
〇竹澤参事兼政策企画課総括課長 全国知事会農林商工常任委員会委員長としての知事の活動状況についてでございますが、達増知事は、令和3年9月に全国知事会農林商工常任委員会委員長に就任しております。
 委員長の大きな役割としては、まず国への提言活動があり、所管する農林水産、商工労働、消費生活の三つの分野に関し提言を取りまとめ、各省庁の大臣等に直接要望を行っております。
 また、今般の物価高騰に対応し、全国知事会にくらしの安心確立調整本部が立ち上がっており、この調整本部副本部長として農林商工関係の提言の取りまとめなどを行っております。
 また、昨年来、全国知事会と民間団体との連携の一環として、日本経済団体連合会や経済同友会など商工関係団体等との意見交換が行われており、委員長として出席しております。
 このほか、地方自治法に基づく各省庁の法令改正等への意見具申や、必要に応じ大臣等への緊急要請などを行っております。
〇岩渕誠委員 まさに今、知事は地方のなりわいの分野での課題を担っているということが言えると思います。岩手県の場合は、これまでの質疑にもいろいろありましたけれども、農林水産分野で大変大きな課題を抱えています。酪農は本当に危機でありますし、食料安全保障の観点からいっても、これは食料生産全般に大変厳しい環境にある。それから、商工に関して言えば、このコロナ禍で本当に疲弊し、また、岩手県を初めとする被災3県は、東日本大震災津波からの影響をもあって、これをどうするかという最前線で活動をされている。
 それはまさに適任であると思うのですが、この委員長としての発言は、各県を取りまとめなければならないという立場でもありますけれども、その中に岩手県の要望といいますか実態というものは、政策企画部で取りまとめるにしても、各部局と、あるいは岩手県内の各現場の声がどのように反映されているのでしょうか。
〇竹澤参事兼政策企画課総括課長 農林商工常任委員会としての提言を取りまとめるに当たりまして、庁内の農林水産部ですとか商工労働観光部、環境生活部等と連携を図りながら提言を取りまとめているところでございますけれども、今、岩渕誠委員からお話がありましたとおり、原油価格高騰対策ですとか資材高騰対策など、これはまさに岩手県の農林水産業、また中小企業も含めた産業全体が喫緊の課題として抱えている問題でございますので、そういった内容については、地方の声ということで、国に対して提言活動をさせていただいているところでございます。
〇岩渕誠委員 政治的にいろいろな議論がこの議会でもあるわけでありますけれども、やはり全国知事会の中でも経験を積まれて、そして発言力も大きくなってきた中で、重要なポストを知事はやっている。
 そういった中で、行政の予算配分を見ますと、これは与党だ野党だということはないのだと思います。例えば、ここ何年かの東北各地の公共事業の予算の状況を見ていますと、国土交通省関係で言うと、東北管内の中では平均値ですし、農林水産業に関して言えば、これは上位2番目、東北管内のシェアの中で2番目ということですね。分け隔てなくやっていただいて、私は、これは政府も立派だと思います。
 そういった中で、政治的に面会をされたりいろいろするのだと思いますけれども、知事はある程度日程が合えば自由に、政府高官もお会いできる環境にあるかとは思いますが、いかがですか。
〇竹澤参事兼政策企画課総括課長 面会状況についてでございますけれども、私どもで把握している限りでお答えさせていただきたいと思います。
 全国知事会農林商工常任委員会委員長としての要請活動といたしましては、まず、全国知事会で取りまとめた定期提言について、農林水産大臣や経済産業副大臣等に達増知事が直接面会し、説明をしております。
 このほか、省庁の個別予算に対する緊急要望や原油価格高騰対策のための緊急要請についても、関係省庁の大臣を初め政務三役に面会し、説明、要請をしているところでございます。
 また、県の単独要望につきましても、今年度は、内閣府や財務省、復興庁など八つの府省庁に要望活動を行っており、鈴木財務大臣や西銘復興大臣、萩生田経済産業大臣など、大臣を初め政務三役に、達増知事から直接要望事項の説明を行ったところでございます。
〇岩渕誠委員 重要閣僚ともきちんと会っているということであります。選挙の年ではありますけれども、ぜひ、こういった活動はやっていただきたいと思います。
 政治的な立場ということでの議論もあって、それはそれでいいと思います。ただ、私が懸念しているのは、中央と地方との関係において、地方側の声をどうやっていくかというのが、コロナ禍の今の収束断面でよくよく考えていかないといけないと思います。
 先ほど総務部で予算の関係の中でも指摘したのですが、コロナ禍があって物価高騰の状況があると、いわゆる有事ですから、行政権が拡大する傾向にあって、特に中央と地方の関係においても中央の権限が拡大する傾向になる。これが撤退する、そこから平時に戻そうといったときに、中央の権限とか行政の権限が残ったままで、地方とか立法府、我々も地方の立法府ですけれども、そういったところの権限はかなり縮小されることが懸念される材料であります。
 そういう意味では、私はこの撤退戦あるいは物価高騰対策については続いていくと思うのですけれども、全国知事会を通してコロナ禍の政策をきちんと精査して、地方の視点でこの政策あるいは権限というものをやっていかないといけないと思っていますが、政策企画部長、その辺はいかがですか。
〇小野政策企画部長 今、岩渕誠委員からお話しがございましたように、今般の新型コロナウイルス感染症対策の実践におきましては、例えば、緊急事態宣言でありますとか、まん延防止等重点措置の発出、感染拡大に伴う国民への移動自粛の要請、また、今回の新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行など、あらゆる場面で、国としても地方の実情、地方でどうなっているかといったことを確認しながら、意見交換しながら進めていくといったことでございまして、国と全国知事会は、リモートが中心になりますけれども、頻繁に意見交換を実施してきたところでございます。そういった中で、新型コロナウイルス感染症への取り組みを通じて国と地方が連携して対策を進めてきた経緯もございます。
 ここから、出口といいますか今後といったことでございますけれども、こうした中、全国知事会の分権委員会では、コロナ禍で行われましたこうした国と地方の協議のようなプロセスが、今後の分権推進の中で重要ではないか、こういうものを維持していかなければいけないのではないかというような議論もなされているところでございます。
 そうした機会の実現を通じて、地方と国の関係、分権、財源等権限などについて、より深く話し合われていくことが重要と考えております。
〇岩渕誠委員 これは、具体的に指摘しますと、よく税収と事業の割合が逆さまになっているという話がされます。コロナ禍の中でこれがどうなったかというと、確かに、国からコロナ交付金-新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金という格好で来ました。これは自由度があるということで私は評価しています。ただ、運用では少し問題があったと思っています。今でも問題があると思っています。
 ただ、予算全体を見ると、実は地方に来ている額よりも中央政府の支出が多いと思います。それは、補助金であったり融資であったり、非常に額の大きいものを何兆円規模でやっていますから、どうしても膨らんでしまう。
 地方はコロナ交付金でやっているのですけれども、額は少ないのですが、実は事業数で言うと、多分国よりも相当膨大な数を抱える結果になっていると思います。そうすると、ますます事業と予算の乖離が、放置しておくとそのままになってしまうという懸念を私はしております。そうすると、今までの地方分権の流れとは真逆になると思います。これは、有事の際はある程度やむを得ないところがあるのですけれども、平時に戻す際に、では、それは有事だからしようがないよね、だけど、このままいようねというのは、これは全く別な議論だと思います。
 だから、地方にとって、社会が大きく変わります。けれども、統治の構造とか国で何をやって地方で何をやっていくか、これの構造のところをもっと議論していかないと、本当の意味での次の日本の社会構造を動かす行政体としては、非常に厳しいところも出てくるのではないかと思っております。
 このまま、撤退戦とともに、間違うと地方全体が衰退する可能性があると私は危惧していますが、この辺の認識とどう対応するか、政策企画部長にお聞きします。
〇小野政策企画部長 岩渕誠委員からお話しがございましたように、今後、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行する、あるいは落ちついていくといったこともあるかと思います。こうした中で、さまざまな対策、そして財源が縮小傾向になっていくことも考えられますが、一方で、仕事としてといったことはあるかと思います。
 やはり地方でできることは地方でということを基本にして、国と地方で改めてそこについて議論をして、分権の基本的な考え方を、このコロナ禍を経ての社会の中でどういう本来のあるべき姿がいいのかといったことについて、さらに全国知事会などでも、先ほどお話しいたしました国と地方の協議のような形、このプロセスがこれから維持されることがいいのではないかといった意見も出ているところでございます。こういった中で、こういった議論についてもしっかり行われていくようにと考えております。
〇岩渕誠委員 わかりました。社会は変容しているのですが、どうも最近の人口流入の関係を見ていくと、東京圏の関係とか、コロナ禍があった前にただ単純に戻るようなところが出てきています。東日本大震災津波もそうですが、こういった有事が起きたときに、ビルド・バック・ベターではないですけれども、制度もそういうふうにしていかなければならない。それは、DXの推進にどう対応するのだ、あるいは食料安全保障にどう対応するのだ、この中で地方の役割はかなり大きいと思います。
 ぜひ、地方の視点での撤退戦、そして新しい仕組みの構築、概念というものを、達増知事を先頭に、全国知事会を通して議論していただくきっかけをつくっていただきたいと思います。
〇千葉盛副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後5時31分 休憩
午後5時52分再開
〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について、延べ9人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行します。
〇岩崎友一委員 初めに、県内33市町村との共同宣言の関係でお伺いいたします。
 私も新聞のインタビューを見まして初めて知ったのですが、かなり突発的な話だったと思うのですけれども、この共同宣言に向けて、今、各市町村への説明など鋭意活動しているかと思うのですが、現在、御賛同いただいている市町村の数がもしわかればお示しいただきたいと思います。まだスタートしたばかりなので、もしわからないのであれば、回っている、説明して歩いている状況についてお示しいただきたいと思います。
〇竹澤参事兼政策企画課総括課長 仮称ですけれども、人口減少対策の強化に向けた市町村と県との共同宣言についてでございますが、現在、内容等につきまして市町村に照会させていただいているところでございまして、賛否はまだ取りまとまっていませんので、まだわからない状況でございます。
 この意見調整に先立ちまして、1月から事前に各市町村を訪問させていただいて、この取り組みの趣旨等を説明させていただいております。そのときの状況について御説明させていただきたいと思います。
 多くの市町村から、特に小規模町村の自治体が多かったのですけれども、単独では結婚対策ですとか社会減対策、移住、定住の関係でございますが、アピール力がどうしても弱いということです。人口減少対策を進めるに当たって、県と共同で宣言を発出してそういったアピール力を高められるのであれば、それはありがたいといった御意見ですとか、あと、危機的な状況は当然感じていらっしゃって、ここで人口減少対策を強化するに当たって、全県を挙げてそういった宣言を発出するのは、いい取り組みなのではないかという肯定的な御意見が多かったと思っております。
 ただ一方で、共同宣言をすることによって具体的に何をやるのかがまだわからないといった声もいただいておりました。県といたしましては、令和5年度当初予算案に人口減少対策の取り組みを種々盛り込ませていただいているところでございますので、そういった県の取り組みを丁寧に説明していきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 これは共同宣言を、例えばいつまでにするとかという目途はあるのでしょうか。
〇竹澤参事兼政策企画課総括課長 宣言の内容につきましては、現在、市町村との間で調整させていただいているところでございまして、この時期までにやらなければならないということはございませんけれども、国におきまして、令和5年4月からこども家庭庁を設置するですとか、あと、人口減少対策が喫緊の課題であることを踏まえれば、できるだけ来年度の早い時期に、共同宣言といった形で市町村と県の取り組む方向性を内外にアピールできればと考えております。
〇岩崎友一委員 確認ですが、これからの話ではありますけれども、33市町村全ての賛同が得られなかった場合は、賛同してもらった市町村とだけ共同宣言を行うのか、それとも、全部調わなかった場合には行わないのか、この辺はどういうお考えですか。
〇小野政策企画部長 先ほど答弁申し上げましたとおり、今、各市町村と意見交換している段階ですので、今の段階でどちらかとは言えないのですけれども、今申し上げられるのは、やはり県と市町村が一緒になって人口減少対策をやることは、連携して一緒にやろうということですから、これは全ての市町村の御理解をいただいて、そして一緒にやるのだ、より強化するのだという取り組みにしていかなければいけないと考えております。
〇岩崎友一委員 この件は代表質問でも取り上げて、知事ともやりとりさせていただいたわけでありますけれども、やはり私のもとに届いている首長の声だと、突発的だとか、選挙対策というのも正直聞かれるわけであります。
 実は、人口減少対策をしっかりやらなければならないと思うのですが、私も今回、第2子以降の保育料の無償化、在宅育児支援金など、事業としては評価いたしますが、市町村などから聞いていますと、もう少し事前に情報提供してもらえないと、市町村も事業化して議会に諮って進める事業でありますので、そう考えると、どうしても、押しつけではないですけれども、県でつくって、やりますからというような形で-押しつけとは言いませんよ、そういうような形で進んでいったのではないかと捉えております。
 仮に33市町村と共同宣言をするのであれば、ボトムアップというか、市町村としっかりと協議、連携しながらやっていく必要があると思っています。
 まず、そのためには、きのうも米内紘正委員の総括質疑でいろいろ人口減少問題や要因等のやりとりがありましたけれども、県として、現状をしっかりと示した上で、そういったものも市町村ときちんと共有して、その上でどういった対策がいいのかを、ボトムアップもそうだし、しっかりとお互いが意見交換をしながらつくり上げていかないと、これは実効性に欠けるものとなってしまうと思うのですが、その辺の認識はいかがでしょうか。
〇小野政策企画部長 今、岩崎友一委員からお話しいただきましたように、やはり人口減少対策を進めるに当たっては、市町村と連携して、しっかり細かいところも詰めながらやっていくことが重要と考えております。
 今回のいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランを作成するに当たりまして、昨年8月でございますけれども、4広域振興圏を回りました。4広域振興圏ごとに回って市町村長と知事が意見交換をいたしました。それに当たりましては、さまざまなデータを異なる4広域振興圏ごとに整理して意見交換をしたといったことで、市町村長からも、こういった機会をしっかり設けるべきだという意見も頂戴しております。
 また、先ほど岩崎友一委員からお話がありましたように、県の来年度予算編成に当たりまして、私も半分近くの市町村を年明けに回ったのですけれども、そういった厳しい御意見もいただいたところでございます。
 そういったこともありますので、市町村と県の共同宣言は、アドバルーンということではなくて、これを強化のスタートとして、体制もしっかりしながら、トップレベル、それから実務レベルで意見交換、議論をして、人口減少対策を進めていけるように、そういった体制もしっかり整えていくことが必要と考えておりまして、準備してまいりたいと思います。
〇岩崎友一委員 やはり市町村に納得してもらうためにも、基本的にはそこが一番重要だと思います。その上で、実は、県ではこれまでもいろいろな宣言を、知事であったりさまざま、岩手県水産業リボーン宣言もそうですが、震災以降で18個ぐらい宣言を出されているんですが、私は少し疑問に思っていて、宣言は出したけれども、これがしっかり管理されているのかどうかということです。
 基本的には市町村と連携するのは当然なので、私は、あえて共同宣言する必要もないとは思っているのです。仮にするとしたら、例えば人口問題であれば、すぐに政策の効果が出るものではないので、例えば最低でも10年とかのスパンが必要だと思うのですが、期間をしっかり決めて、その上で具体的な目標値、これは社会減をどうする、例えば出生率でもいいし出生数でもいいし、そういったものを10年後にはこうするのだと。そのために、逆算していって来年は何をするというような、しっかり指標も設定しながらやっていかないと、これは全然成果が出ないと思います。
 それも含めて、市町村としっかりと協議することが必要であると思うのですが、いかがでしょうか。
〇小野政策企画部長 今、岩崎友一委員からお話しありましたように、県、市町村にそれぞれ取り組みがあって、どういう目標を掲げていくのかということが重要だと思います。
 県も、ふるさと振興総合戦略をつくっておりますし、市町村においても、それぞれの総合戦略をつくっております。また、これからデジタル田園都市国家構想の関係で、それぞれの総合戦略の改定といった作業も出てくる可能性がございます。来年度、これはとてもいい機会だと思っておりますので、先ほども申し上げましたけれども、共同宣言はスタートとして、そこから具体的な議論を進めていくきっかけにしていくことができればと考えております。
〇岩崎友一委員 ぜひ、私が先ほど提案した、宣言だけ出しましたというのは、やはりパフォーマンス感が強くて、どうしても選挙対策と見えてしまうので、そうではないのだということを示すためにも、しっかりと先ほど言った現状を示して、あと期間を決めて、具体的な目標値をつくって、そこから逆算して指標を組む。そして、市町村としっかり共有して連携してやっていくという体制でなければ、これはまた、本当にパフォーマンス、選挙対策と言われると思うので、そこはぜひ、それも含めて、これから市町村と説明や協議を行っていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
〇小野政策企画部長 市町村とともに県全体としての総合戦略をつくって、各市町村、それから県の目標を全体として立てるかどうかについては、それこそ市町村それぞれお考えがありますので、ここは議論が必要だと思います。
 それも含めて、共同宣言を人口減少対策について議論を進めるスタートとしたいと考えております。
〇岩崎友一委員 私が言っているのは、県としてはこういう形でやりたいということで、県としての期間、具体的な目標、それを達成するための手段としての指標の設定で、これをしっかりと県がやれば、市町村でも同じようにやってみようかということで、さらにこれが有効な政策になっていくと思うので、ここをしっかりやらないといかんと思うのですが、もう一回、答弁をお願いします。
〇小野政策企画部長 失礼いたしました。今、岩崎友一委員がおっしゃったように、今回、県として人口減少対策の方針を、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの中でもさまざまな取り組み、施策を盛り込んでおります。これについて、指標も含めてしっかり説明して、各市町村はそれぞれ、それも踏まえながら独自の取り組みを立てられると思いますので、そこはまず、県としての考え方、方向性を御説明し、また、来年、再来年以降の取り組みもこれから続けていかなければなりません。そういったところも市町村としっかり議論した上で進めていくように、この共同宣言を一つの機会としていきたいと思います。
〇岩崎友一委員 この共同宣言ありきで進むというよりは、先ほど言ったような目標だったり現状等、今後の方針などもしっかり共有しなければいけないと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
 特に、少子化対策などは最たるものですが、子供が少ない町村はできるけれども、子供が多い市ができない事業なども結構今あるわけで、そういったものもしっかりと連携していくことによって、県がどういった支援策を講じることができるかも見えてくるので、事務方は相当頑張っていると思うのですが、そこはしっかりお願いしたいと思います。
 これは、各首長にも御理解いただかなければならない話だと思います。事務方は事務方でそれぞれ説明したりあるかと思うのですが、これは、やはり知事みずからが、各市町村を回って首長と1対1で話をして、やっていこうというプロセスが必要かと思いますが、その辺、今後、知事が行ってやるのかやらないのか、どのようなお考えなのかをお伺いします。
〇小野政策企画部長 今回の人口減少対策に係る市町村と県の共同宣言につきましては、先ほど申し上げました昨年、8月に4広域振興圏を回りまして、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランについて、各広域振興圏の市町村長と意見交換した中でも、知事からそういったお話をまずは差し上げたところがございます。
 そして、これはリモートで行われたのですけれども、昨年11月末にございましたトップミーティング、知事を初め市町村長との意見交換の中で、知事からそういった話を差し上げ、そして、事務的に年明けに各市町村長に説明に上がっているといった段階でございます。知事から各市町村長に大きな考え方についてお示ししているといったことでございますので、ここからは、我々政策企画部と各部局が連携しながら、具体的な内容について詰めてまいりたいと考えているところでございます。
〇岩崎友一委員 でも、これは非常に大きな宣言だと思うのですね。県が、余りにも知事が発する宣言が多くて、余り重みがないようになってきていますけれども、やはり宣言と言えば、ポツダム宣言もそうです、緊急事態宣言もそうですけれども、非常に重みがあるものであって、軽はずみでやるものではないと思っています。
 そうなれば、やはり県のトップと各市町村のトップが1対1でしっかりと膝詰めで話をして、理解を得られない市町村もいっぱいあると思うので、そこはトップ同士でやるしかないと思うのでが、いかがでしょうか。
〇小野政策企画部長 各市町村長の御意向、また御意見がこれから出てくると思いますので、そういった各市町村の御意見も伺いながら、今後、どのような形で最終的にまとめ上げていくかについて考えさせていただきたいと思います。
〇岩崎友一委員 本当に事務方は大変だと思うのですが、私が何を懸念しているかと言えば、知事は、政治は自由だと言ってさまざまな活動をしておりますけれども、そのこと自体で、我々は不自由だと思っている首長も実は結構います。そういうことを考えると、事務方がどんなに頑張っても、やはりトップ同士で決めないと、多分この共同宣言というのは実現しないという懸念を私が持っているので、知事がぜひというお話をさせていただきました。その辺、お酌み取りいただきまして進めていただきたいと思います。
 先ほど少し話を出しましたけれども、東日本大震災津波以降、「がんばろう!岩手」宣言から、直近の大きい宣言だと岩手県水産業リボーン宣言などがあります。各担当部局に資料の取りまとめを依頼したら、たまたま政策企画部で出していただきました。ぜひ政策企画部にグリップをきかせていただきたいのは、先ほど申し上げたように、何か、宣言はしたけれども、この宣言がまだ生きているのかどうか、これをしっかり管理できているのかどうかです。実は宣言の成果、効果等を見せていただいたときに、余りにも簡素的で、なかなか成果が上がっていると評価もできない状況になっています。
 各部局でやるというのはそのとおりですが、仮にこれからもやるのであれば、さっき言ったように、期間を決める、具体的な目標値を決める、その目標を達成するための指標も決めるというような形で管理をしていかないと、この成果を見ていると、多分、各部局でも、そんなのあったかぐらいの宣言もあると思うのですよ。成果が2行、3行で返ってきていますから。そこは、ぜひ政策企画部でグリップをきかせてやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
〇本多特命参事兼政策課長 宣言につきましては、岩崎友一委員御指摘のとおり、今までさまざまな宣言がございますけれども、その課題等に応じまして、県だけではなくて、県民、事業者、あと、関係団体や各種団体と一緒に宣言する場合が多くなっております。
 そうした中で、例えば岩手県自殺予防宣言でありますとか、いわてで働こう宣言のように、宣言によって機運醸成を図りながら、加えて県や関係団体と取り組みを進めていくといったものもあります。また、その一方で、同じ方向性のもとで、関係者が足並みをそろえて取り組んでいこうという姿勢を打ち出すことを目的としている場合もございます。
 いずれ、岩崎友一委員御指摘のとおり、宣言は宣言で終わるのではなくて、その効果を発現させていくことが大変重要と考えておりますので、それぞれの宣言で背景は異なりますけれども、県の事業などを通じて、宣言に係る取り組みの推進や機運醸成を図っていくように努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 私から、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランについてお伺いしたいと思います。
 政策項目の2の家族・子育ての幸福関連指標であります合計特殊出生率が1.30となったということで、コロナ禍で下がるのはしようがないとしても、今までは全国平均に対して優位であった本県が、全国平均並みとなったことは、大変衝撃的だと思っております。
 今までの一般質問や総括質疑の中でその要因について、県では、30代以上の女性の有配偶者の出産数の落ち込みがあって、職場や家庭での負担の軽減が必要であるという旨の御答弁があったと記憶しております。一方で、今回の子育て支援の目玉となります第2子以降の3歳未満の保育料の支援でありますとか、在宅育児支援金というのは、金銭的な支援でありまして、先ほど言ったような課題に対しての直接的な解決策としては、どの程度の効果があるのかと感じるところもあります。
 合計特殊出生率の向上に向けては、こういった金銭的な支援であります福祉政策だけではなくて、やはり働き方改革や職場環境の整備等の雇用労働政策も重要だと思っておりますけれども、その点についてはいわて県民計画(2019〜2028)第1期アクションプランからの流れそのままというような印象を受けました。
 ここについても、やはり目玉施策等を設けて進めるべきではないかと私は思うのですけれども、今後この合計特殊出生率の向上に向けて、どのような体制で取り組んでいくのか、またどのように政策強化をしていくのか伺いたいと思います。
〇竹澤参事兼政策企画課総括課長 出生率の低下でございますけれども、晩婚化や非婚化による有配偶率の低下ですとか有配偶出生率の低下が影響しているということでございます。
 有配偶率や有配偶出生率については、国において、働き方が大きな影響を与えているという分析もしております。少子化対策を進める上で、福祉政策に加え、雇用形態や賃金、労働時間等の労働環境といった働き方改革は、重要な取り組みであると考えております。
 こうしたことから、県といたしましては、人口問題対策本部におきまして、いわてで生み育てる支援本部の取り組みと、いわてで働こう推進本部の取り組みの相乗効果が効果的に発揮されるように、取り組みを強化していきたいと考えております。
 また、政策評価についてでございますけれども、10の政策分野におきまして、合計特殊出生率ですとか総実労働時間、正社員の有効求人倍率、共働き世帯の男性の家事時間割合などの指標を設定しているところでございます。こうした指標の動向ですとか社会経済情勢、また、県民意識調査の結果などを参考に取り組み状況を評価し、政策を前に進めていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 働き方改革が重要とおっしゃっていただきましたけれども、先ほどの第2子以降3歳未満の給付等については、全体として5.7億円ぐらいの予算措置となっておりますが、働き方改革についての企業の支援でありますとか、そういった分については二、三千万円程度というところで、予算規模からして重要性と見合っていないのではないかと思っております。
 ぜひ、この部分の取り組みも強化していただきたいと思っておりますので、商工の分野になるでしょうから、そちらでまた質問させていただきたいと思います。
 共働き世帯の男性の家事時間、これも50%に上げていくという話でありましたけれども、これも、幸福関連指標としては見えるのですが、県の動きとしての具体的な推進方策にはどのようにあらわれているのかが見えにくい状況であります。
 また、地域の行事に参加している中学生徒の割合が、東北トップ、全国3位ということで幸福関連指標に入っているのですけれども、それはいいことですが、では、これが家庭に対する負担としてどうなのか。今、総合学習の中で、学校の中でも地域学ができる機会がある中で、これがどう作用しているのか。この指標が上位の県については人口減少に歯どめがかかっているのか。最重要課題でありますから、ぜひとも政策企画部でそういった緻密な検討を重ねていただきたいと思っております。
 次に、若年女性の社会減対策も喫緊の課題であります。しかしながら、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランに特出しでの指標をなかなか見つけることができません。どのように政策評価をしていくのか伺いたいと思います。
〇竹澤参事兼政策企画課総括課長 人口減少対策を考える上で、若年女性の社会減対策は非常に重要であると考えております。
 次の第2期アクションプランの中に、若年女性の社会減を直接あらわす指標がないのではないかという御指摘でございますけれども、社会減として一番多い年代は18歳から20代前半でございますが、その年代の方々は、進学ですとか就職で県外に出られる方が多いと思います。この転入と転出の差が社会減となってあらわれているわけですけれども、進学につきましては、若い方が将来の夢を持って県外に出ることもあろうかと思いますので、これを制限するのは、県としてもなかなか考えにくいところではございます。
 社会減につきまして、進学と就職を分けて数字を出すことができないということでございまして、若年女性の社会減については、数値目標は出していないところでございます。
 一方で、定住や転入に関しましては、高卒者の県内就職率ですとか県内大学等卒業者の県内就職率、また、県外からの移住、定住者数などの指標を設定しております。また、第2期アクションプランからは、女性の全国との賃金格差も指標に追加しております。
 こうした指標の動向ですとか若年女性人口の推移を注意深く観察、分析しながら、若年女性の社会減対策を進めていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 県の人口減少対策の総合戦略の中で、社会減全体ですけれども、数値としては目標値としてあったのだと思います。第1期アクションプランのときにはタイミング的に合わないこともあったかもしれませんけれども、それでは、社会減そのものを指標にあらわそうとか、今回そういった議論、検討はなかったのでしょうか。
〇竹澤参事兼政策企画課総括課長 県のふるさと振興総合戦略におきましては、5年後に社会減ゼロにするという目標を掲げておりますが、第2期アクションプランで政策評価を行うに当たりましては、単年度ごとの目標値を設定する必要があります。その場合、これまでも東京圏と地方の経済状況の差によるものが社会減に非常に大きな影響を与えているという答弁をさせていただいておりますけれども、単年度ベースの社会減の数字を出すのはなかなか難しいということで、指標には選定していないところでございます。
 目標といたしましては、ふるさと振興総合戦略のほうで掲げております。
〇佐々木朋和委員 わかりました。いろいろ技術的な課題もあるのだろうとは思います。いわてで働こう推進協議会の議事録の中にも、今、岩手県では大学生の県内就職を目標にも掲げておりますが、それを上げていくためには、やはり高校生の県内大学への進学等も進めなければいけないという意見も出てきているところでありました。若い女性の自由を奪うつもりは毛頭ありませんけれども、そういった部分を考えると、指標化まではいかないにしても、ぜひ、これからも注視していただきたいと思っております。
 また、具体的な内容については、商工労働観光部の審査でさせていただきたいと思います。
〇岩城元委員 それでは、端的にお聞きしたいと思います。県政広報についてお聞きしたいと思います。
 令和5年度の事業でいわて県政広報事業費広聴広報デジタル強化ということで、より効果的な広聴広報を展開するため、SNS-LINEを活用したと書いてありますけれども-情報発信や県民へのアンケート等を実施ということで載っておりますが、このアンケート等をとるということですけれども、運用管理はどちらで行われるものでしょうか。
〇村上広聴広報課総括課長 今、LINEの御質問があったかと思います。現在、保健福祉部におきまして、新型コロナウイルス感染症の関係のLINEの発信を行っておりますが、そちらは保健福祉部で管理しております。
 私ども広聴広報課では、昨年9月に、県のLINE公式アカウントの運用を開始しておりまして、こちらの運用管理は当課で所管しております。
〇岩城元委員 そうすると、アンケートの集計などもそちらで行われるということですね。情報発信の効果的な展開ということですが、情報発信の情報の部分は、どういった情報が配信されると考えているのでしょうか。
〇村上広聴広報課総括課長 特にLINEということでお答え申し上げますけれども、LINEにつきましては、各種支援制度など生活に役立つ情報ですとか、イベント、キャンペーン、観光情報などにつきまして、利用者の希望に応じた配信を行っているところでございます。本年度は、9月からではございますが、120回の配信を予定しております。
 また、先ほど岩城元委員から御紹介がありましたとおり、ことし1月からアンケートも施行しているところでございます。
〇岩城元委員 では、大分運用は進んでいるということですね。
 ちなみに、午前中、佐々木努委員から俳句甲子園のお話がございました。そうした、岩手県人が活躍しているというようなことをLINEのアカウントに入っている方々にPRするのも、一つ必要かと思います。
 また、それぞれの部局で管理しているところがあると思うのですが、災害情報とか避難情報とか、そういったものも、横の連携をとって配信されるのかどうかお聞きします。
〇村上広聴広報課総括課長 LINEの配信頻度でございますが、現在、週におおむね二、三件程度で運用しているところでございます。ただし、これ以外に、速やかにお知らせする必要がある場合は、随時発信しているところでございます。
 現状でございますが、LINEの利用者につきましては、県政情報以外にも、さまざまな行政機関ですとか民間企業等を友達登録して必要な情報を得ているほか、知人やグループとの連絡手段として利用している方が大変多いと認識しておりまして、配信頻度が多過ぎると配信をブロックされる場合があると認識しております。
 ことし1月、LINEにおいてアンケートを実施しましたところ、回答者の約9割で現在の配信頻度が適当であるという回答を頂戴しておりますが、引き続き、そういった利用者のニーズ把握に努めながら、有益でタイムリーな情報発信ができるように努めてまいりたいと思います。
 一方で、私どもツイッターの配信をしております。ツイッターは拡散力がございますので、そちらでは、災害時ですとか警報が出た際には、速やかにインフラの情報等についてスピーディーな発信をしているところでございます。
〇岩城元委員 そうしましたら、タイムリーな情報についてはツイッターで配信するということですね。ぜひ災害情報などもよろしくお願いいたします。
 次に、いわてグラフ、紙の媒体の話になります。令和5年度県政広報に係る企画、媒体制作・媒体制作監理等業務の仕様書を拝見させていただきました。契約に関する条件等ということで、まず再委託等の制限が書いてあります。(1)がそれで、次のイのほうに、受託者は、監理業務を除く本業務の一部を第三者に委託することができる。その際、事前に県に対し書面にて、再委託の内容、再委託先、その他再委託先に対する監理方法等必要事項を報告しなければならない。次の(2)で、再委託の相手方。再委託は、5の(1)のイにより本業務の一部を第三者に委託する場合には、当該委託の相手方を岩手県内に主たる事業所を有する者の中から選定するよう努めなければならないということで、県内事業者を優先的に使ってほしいというような内容かと思っています。
 現在委託されている業者の再委託の実態などがわかれば、教えてください。
〇村上広聴広報課総括課長 いわてグラフについてでございますが、受託者につきましては企画コンペにおいて決定しておりまして、令和4年度及び令和5年度の2カ年につきましては、県内の広告代理店が受託者となっております。
 再委託の件でございますが、本業務につきましては、先ほど御紹介がございました委託契約書におきまして、監理業務を除く業務の一部を第三者に再委託することを認めております。受託者から聞くところによりますと、印刷、製本、仕分け、発送、点字版制作及び配送業務を県内の印刷業者に再委託しております。
 また、その再委託先の印刷業者におきましては、自社及び県内業者では現行仕様での印刷に対応できないことから、印刷、製本、仕分け、発送作業につきましては、県外の印刷業者に外注している旨の報告を受けております。
〇岩城元委員 再委託は県内の事業所にされている。ただ、印刷、発送等は県外事業者ということです。そのできない理由はどういうことなのでしょうか。
〇村上広聴広報課総括課長 印刷、発送等が県内事業者でできない理由でございますが、現行のA4判サイズの冊子版を短期間で大量に制作すると、1号当たり51万部強印刷するわけでございますが、こちらを制作するためには、対応した印刷機、輪転機が必要でございまして、県内には当該機材がないと伺っております。
 また、加えまして、印刷後、各市町村ごとや、各市町村の行政区等ごとに異なる必要部数に仕分けして梱包する工程がございますが、その作業に一時的に多く人員が必要になることから、県内事業者では対応できないと伺っております。
〇岩城元委員 いわてグラフを持ってきましたけれども、現行のサイズを51万部刷る能力が県内にはないということ、それから、仕分けに人数がかかるということですね。判が違ったら、例えばサイズが変わるとしたらどうなのですか。
〇村上広聴広報課総括課長 昨年度、私どもは、タブロイド判の採用、あり方についても検討いたしましたけれども、県内の事業者複数に確認したところによりますと、先ほど御答弁申し上げました印刷後の幾つかにわたる仕分けと梱包作業について、短期間での対応ができないということを伺っているところでございます。
〇岩城元委員 事業者側からそういったお話ということですので、こちらからどうだということもなかなか難しいとは思いますけれども、県内の事業者育成とか、県税をその委託先にお支払いするわけなので、地域内経済の部分や事業者育成という観点から、もう少し何か工夫できないものかと感じるところではあります。
 一気にというのは編集などと印刷との間が短いのかもしれません。年4回の発行ですね。3カ月のサイクルの中で、もう少し余裕を持った印刷の工程とかというのは、その受託先のほうに相談できないものですか。
〇村上広聴広報課総括課長 現在のいわてグラフの制作のスケジュール的なところをお話し申し上げますと、1号当たり16ページでございまして、その内容を確定させて、校了してから、おおむね2週間から3週間でその51万8、000部の印刷をしなければいけないということでございます。これを少しスケジュールに余裕を持たせるということになりますと、原稿の締め切りが、例えば一月半前ということになりますと、確定した以降、一月半たってその内容がどのように変化するか、場合によっては厳しいというところもございます。
 私どもとしては、できる限り、校了したら印刷をして、早目に県民の皆様にお届けするようなスケジュールで進めたいと思っておりますが、先ほど岩城元委員から御指摘もございましたとおり、県内の事業者を限りなく使いたいという思いは私どももございます。今時点では、読者のアンケート結果からでも、現状の規格、A4判がいいということではございますが、今後、県民のニーズも参考にしながら、いわてグラフの規格の検討について努めてまいりたいと考えております。
〇岩城元委員 今回取り上げたのは以前にも議論があった内容だったと思いますので、そこからさらに工夫もされるということですから、何とか県内事業者を使えるように、よろしくお願いします。
〇臼澤勉委員 それでは、私から1点、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランについてお伺いします。
 まず初めに、実効性を高めるための推進体制のあり方についてお伺いいたします。
〇本多特命参事兼政策課長 いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの推進体制のあり方でございますが、第2期アクションプランでは、人口減少対策を最優先で取り組むべきものと位置づけておりまして、四つの重点事項を掲げているところでございます。
 そうした重点事項の推進に当たりましては、部局横断的に進めていくことが重要でございますので、重点事項ごとに幹事部局を定めまして、幹事部局が毎年度の施策を企画、立案するとしているところでございます。
 その上で、重点事項に係る対応方向や各種施策の進捗状況について、長期的な展望に立った大局的、全庁的な政策論議を行い、実効性を確保していく考えでおります。
〇臼澤勉委員 幹事部局というのは具体的にはどういうことでしょうか。これは本庁が、いわゆるCFT-クロス・ファンクショナル・チームみたいなものを想定して言っているのか。私は常に思うのですけれども、いつもヘッドクオーターというか、県庁がまずいろいろと政策は推進して、旗振りはします。ただ、実際に現場で手足となって動くほうを、あるいは先ほど来の議論では、市町村との連携であったり広域振興局との現場での政策の推進という、その辺がしっかりリンクしていかないと、数字とか政策というのはなかなか動いていかないと思っておりますが、改めて、その辺の認識をお伺いします。
〇本多特命参事兼政策課長 四つの重点事項の幹事部局と、あと、クロス・ファンクショナル・チームのお話でございますが、四つの重点事項につきましては、自然減・社会減対策、それからGXの推進、DXの推進、安全・安心な地域づくりと、それぞれ所管する部局によって管理していくことにしております。また、クロス・ファンクショナル・チームにつきましては、従来から10の政策分野ごとに設定しているものでございます。
 臼澤勉委員御指摘のとおり、人口減少問題を初めとするさまざまな地域課題につきましては、さまざまな分野にまたがることも多く、部局横断的に取り組んでいくことが求められていると認識しております。
 そういった視点から、第2期アクションプランの推進に当たりましても、横断的な推進体制の中で、各部局の専門性を生かしつつ連携を図って取り組んでいくこととしております。職員の負担増につながらないように、既存の連携推進体制も活用しながら、第2期アクションプランを推進してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 一般質問でも私は知事に、四つの危機に対する対策の検証ということでお伺いいたしました。特に、人口流出の悪化とか、雇用の低迷云々があったのですけれども、あのとき、今、人口減少対策を含めて、岩手県民が直面している危機の本質は何なのですか、どこにその根本原因があるのか、どういう手を打っていけばいいと考えているのかという質問を知事にしたのですけれども、明快な答弁は全然なかったのです。
 改めて、人口減少対策に特化してお聞きしますけれども、この人口減少対策の岩手県における危機の本質を県はどう捉えているのか、その根本原因の解決に向けて、どういう手を打っていけば、これが目指すべき数値目標に到達できるとお考えか、お伺いいたします。
〇竹澤参事兼政策企画課総括課長 人口減少問題に関する本県の課題の本質的な点ということでございます。
 人口減少は、自然減と社会減が相まって進んでおります。まず、社会減でございますけれども、県におきましては、さまざまな産業振興施策、また、若者の定住施策を行ってまいりました。これまでも何度か御答弁させていただいておりますけれども、社会減につきましては、やはり東京圏と地方、岩手県の経済状況の差が、社会減の動向に非常に大きな影響を与えています。過去の経過を見ると、それははっきりしておりますので、県の取り組みに加えて、国として、地方重視の経済財政政策を行って、取り組みを強化していただきたいと考えております。
 また、少子化につきましては、長期的なトレンドで考えますと、未婚率ですとか晩婚化率の上昇が少子化に大きな影響を与えているところでございますけれども、現状を他県と比較いたしますと、岩手県は30代以降の女性の有配偶出生率が低いということでございますので、働き方改革を含めた取り組みを全県を挙げて進めていく必要があるものと考えております。
〇臼澤勉委員 知事からは、危機というものは放置していけばどんどん悪くなる、これ以上悪くならないように、どうすれば上向くかということはもうわかっている。だから、希望はしっかりあるのだと知事は本会議場で答弁しておりました。だから、逆に、上向くすべを県としては把握しているということであります。
 そういった意味で、今回もさまざまな具体的推進方策の指標の見直しとか、PDCAサイクルをいかに回していけば目指すべき目標に到達するのかというのが、見えているのだろうと思っております。
 今も、有配偶出生率については、15歳から49歳の中で、岩手県は2015年からの5年間で、77.7から67.7ということでもう10ポイントも下がっております。全国に比べても、やはり大きな下げ幅になっている。これも、昨日も米内紘正委員からもいろいろその辺の議論はありましたけれども、この中でどの部分にターゲットを絞って、例えば出生率の向上に向けて取り組んでいくのかというようなところ、この目標に向かってどういう対策、アプローチをしていけばいいのかといったところの指標の因果関係を総論的に関連させて、政策を推進していかなければいけないと思っております。
 その辺の指標の見直し、PDCAサイクルの回し方の部分についての御認識をお伺いいたします。
〇本多特命参事兼政策課長 いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのPDCAサイクルの回し方でございますが、臼澤勉委員御指摘のとおり、計画については、策定するだけでなく、その実効性を高めていくことが重要と考えております。その立案した計画に基づきまして、施策を着実に実施して、その評価を通じて、次に実施する施策を必要に応じて見直していくことが重要であると考えております。
 また、その時々の課題に適切に対応するためには、課題を先送りすることなく、毎年度、政策手段の不断の見直しを行いながら、新たな事業や追加での事業のブラッシュアップなどにも努めていく必要があると考えております。
 今御指摘ありました人口減少の取り組みにつきましても、さまざまなデータをもとに今回のアクションプランに掲げる事業を取り組んできたところでございまして、引き続き、横断的な推進体制の中でさまざまなデータを分析し、また、他の都道府県の施策についてもベンチマークしながら、実効性を高めて進めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 出生率の向上に向けて、有配偶出生率が10ポイント下がっている、あるいは全国と比較しても岩手県は12ポイントぐらい落としてきている中で、例えば有配偶出生率を指標として設定するとか、あるいは平均初婚年齢だって、岩手県もどんどん高くなってきている。不妊治療の問題とかがありましたけれども、人口減少対策調査特別委員会で岩手医科大学の先生から、不妊治療の問題について、若いうちに、適正年齢というか、ライフプランの中で、やはり20代、30代で早目に結婚されてというような部分が有効であり、そういう性教育も非常に大事だという話がありました。
 改めて、この有配偶出生率あるいは平均初婚年齢を具体的にこうするのだとかという目標を設定すべきだと思いますが、いかがですか。
〇竹澤参事兼政策企画課総括課長 平均初婚年齢ですとか有配偶出生率を第2期アクションプランの目標値に設定したらどうかという御指摘かと思いますが、有配偶出生率につきましては、5年に1度の国勢調査をもとに、分母であります有配偶女性人口を算出しておりますので、5年に1度しか出ない数値となっております。有配偶出生率には注目して施策を進めていかなければならないと考えておりますけれども、4年を期間といたします第2期アクションプランの中では、指標として設定することは難しいと考えております。
〇臼澤勉委員 具体的に、目標に対してさまざまなこういった指標を実現させながら、多分組んでいかなければいけないと思うのですけれども、次の質問の調査データ、原因分析がすごく大事になってくると思っております。
 兵庫県あるいは長野県では、政策効果を高めるために、AIなどを使いながら、それぞれの指標間の相関関係であったり、どれとどの指標を結びつければ正の関係、プラスの要因あるいはマイナスの要因に結びつくかというのも、そういうビッグデータであったりAI活用にも新たに取り組んでいますよね。
 私は、県職員も、ある意味、事業を進めながら、あるいは事業を検証しながら、そして、来年度の予算を組みながらということで、なかなかその辺を総合的にチェックする余裕もないという部分は十分理解するのですけれども、ただ、それをずっとやっていてもなかなか効果は出てこない。そういった新たな取り組みであったりデータ活用という部分は、私は必要になってくると思います。
 そして、前の組織再編のときに、私は、なぜ県のシンクタンクになるべき政策企画部に調査統計課というかデータを所管する調査部門の課が入ってこないのかと非常に疑問を持っておりました。これからの時代、第2期アクションプランの実現とか政策を推進する上での適切な分析には、データ活用というのはすごく重要になってくると思いますが、その辺の御認識についてお伺いいたします。
〇小野政策企画部長 今、臼澤勉委員からお話がございました、ふるさと振興部に属しております調査統計課が、本来政策のほうにあるべきではないかといったことでございますけれども、経済に係る人口減少等について、兼任という形で調査統計課の職員が政策企画部に属しております。
 政策評価、県民意識調査の詳細の分析、それから人口減少対策については、調査統計課の役割が非常に大きいと思っておりますので、兼任がかかっておりますので、ここはしっかりと連携していくといった点。もう一点、長野県、兵庫県でAIを活用した政策分析のツールの研究がさまざま進められております。これは、日立製作所と京都大学と県が一緒になってやっているものでございます。
 岩手県といたしましても、岩手県立大学、京都大学、日立製作所の3者の研究に協力しておりまして、これは新しい分野でございますけれども、引き続き、この分野が使えるツールとなるように、一緒になって研究をしていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひ、県立大学も含めたそういった連携、調査、データ分析を含めて、EBPM-エビデンス・ベースド・ポリシー・メイキング、証拠に基づく政策立案を動かしていっていただきたいと思っております。
 最後にいたしますけれども、人口減少に対応した社会的構造改革というのは非常に重要なポイントであり、もう待ったなしだということは、先ほどの総務部審査においても、そういったお話をさせていただきました。
 今後、生産年齢人口もそのとおり、マイナス43.2%くらいで大きく減少することが見込まれている中で、地域課題解決に向けて、やはり今からそれぞれの分野で、例えば社会インフラであったり道路、河川の管理とかいった部分も含めた対策は、進めていかなければいけないと思っております。
 この前の持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会において、人口減少対策のさらなる充実に向けた視座もしっかりと大事なポイントとして指摘されておりますので、御紹介して終わります。
 いずれ、国の制度設計の改善等を待つことなく、岩手県として人口減少対策を喫緊の最重要課題として位置づけて、さらなる充実策を検討、実施していくことがまず必要だと思います。それはこのとおりだと思います。
 そして、県独自のさらなる対策、あらゆる選択肢を排除せずに進めていく。そして、一定程度、3年から5年間程度の期間は、この事業を実施しながら、その効果をしっかりと継続的に検証していくこと。そして、市町村が実施主体となって、市町村と重層的な取り組みといった部分で今後の対策に取り組んでいく必要があるということで、さまざまな貴重な御提言をいただいております。
 改めて、その辺の取り組みについて、覚悟も含めてお伺いして、終わりたいと思います。
〇小野政策企画部長 第2期アクションプランにおきましては、四つの重点事項を掲げてこれから4年間頑張ってまいりますけれども、あわせて、人口減少が進む中で解決しなければいけない課題がございます。これは、昨年8月の市町村との意見交換の中でも、人口減少対策も重要だけれども、やはり教育、医療、地域公共交通、集落の問題、もちろん産業、雇用の問題、これが本当に喫緊の課題としてあるのだということです。
 人口減少対策といったものと、人口減少が地域で進む中で、さまざまな影響が大きくなってくるといったことでございますので、ここについては同時並行でやっていかなければ間に合わなくなります。次期アクションプランの中でも、この五つの分野については、中期的な観点から維持、向上を図っていくということで明示しておりますので、ここについてもあわせてしっかり取り組みを進めてまいりたいと思います。
〇臼澤勉委員 今は人口減対策、出生率を上げようという対策、これはわかります。ただ、この効果があらわれるには、20年、30年かかる。そして、人口減カーブは抑えられない、緩やかにとどめるぐらいで終わる。
 この人口減を、我々はもう待ったなしのこの状況を受け入れる。そして、この人口減少の社会構造を受け入れながら、どうやって対応していくかといった視点で、この新年度予算案においても、さまざまな政策がどのように組み込まれているのか、今後の部審査においてもチェックしていきたいと思います。よろしくお願いします。
〇ハクセル美穂子委員 私からは、先ほどの総務部に引き続いての法人事業税関係ですが、これまで、コロナ禍の中、大変だなという話をいっぱい聞いて、その中でこういう施策をしたらいいのではないか、ああいう施策をしたらいいのではないかと議会でも議論を進めてきたわけです。その政策の事業成果なのかどうかはっきりとはわからないのですけれども、法人事業税は令和5年度でも伸びている。大変だ、大変だと言いつつ、実は伸びているということになっているわけです。
 法人事業税は業績が上がった場合に払うものですから、業績もそれなりにコロナ禍の中でもしっかりとやっているところもある。ただ、細かく見ていくと、業績が上がっているところと、多分業績が上がっていないところというのがデータの中で本来は見えてきているはずなのですが、そういったデータの活用を、県税のほうでも質問しましたが、まだ庁内では、情報の共有というようなことはされていないようでした。
 私は、政策企画部が政策をつくって成果指標等もやっておりますので、そういったものを活用して、実際にやった政策がどういう形で県政の実際のデータの中に反映されてきているのか。ここが足りないのではないか、ここは大丈夫だというのを、何となくとか勘とかではなくて、データでしっかりと検証して、そこに予算を投資していくという考え方でやっていくべきだと思っています。
 そういったことは、これからどのようにやっていこうと考えているのか。考えているのか考えていないのかを含め、お聞きしたいと思います。
〇本多特命参事兼政策課長 法人事業税につきまして、県といたしましては、例えば仕事・収入の分野では、成果指標としては、ハクセル美穂子委員御承知のとおり、1人当たりの製造品出荷額でありますとか付加価値額、また、農林水産産出額等を指標として測定しつつ、また、関係団体から意見を伺いながら、県内事業者の状況を把握して、裾野の広いものづくり産業でありますとか観光産業、農林水産業など、さまざまな分野の産業振興に取り組んでいるところでございます。
 そうした法人事業税の収入を、今、成果指標のような形でというお話がありましたが、法人事業税の収入が、例えば国の政策でありますとか金融環境といった、県の施策以外のさまざまな要因の影響も受けることも考えていかなければいけないだろうと考えております。
 一方で、ハクセル美穂子委員御指摘のとおり、法人事業税といったデータにつきましては、さまざまな活用も想定されますし、また、県内経済の状況を捉えるデータとして、また、県の重要な自主財源でもありますので、引き続き、その動向に注意を払いながら、当部として関係部局とも連携して、情報共有を図りながら、税源の涵養につながるような効果的な産業振興施策を推進してまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 今は活用ができていないということでありますし、これからも国との制度の関係でということでお話をいただいたと思います。
 成果指標としてそれをしっかり評価の冊子の中に出すのかどうかというよりは、私は、各部局の次の年度の政策をつくる方々が、自分が出した政策がきちんと効果として上がっているのかどうかの指標などを内部で情報共有することが一番大切だと思っています。これができましたとかではなくて、これはどう影響が出ているのか出ていないのか、これについてやったら、ここは上がっている感じがするとか、いろいろあるのですけれども、そういったものに、内部でもいいので使っていただきたいと考えて今御提案しております。
 税務データをそういったEBPM-エビデンス・ベースド・ポリシー・メイキング、証拠に基づく政策立案の推進のために使うというのは、今々始まったようなものですけれども、東京大学の政策評価研究教育センターで、地方自治体と連携して税務データを活用するような研究の取り組みをしているようです。これは参加費も無料だということでなかなかいいなと思ったのですが、東京大学としてもそういうふうに使えるかという研究の成果として活用するというのもあると思うのですが、こういうこともやられているようですから、ぜひアンテナを高くして、使える方策も考えていただきたいと思います。
 ちなみに、2021年度、宮城県はもうやっているみたいです。やはりアンテナの高い自治体はやっているというのがあるので、予算も限られている中でしっかりと、何となくではない政策をやっていかなければならないと思うのです。
 そういう観点から、そこをリードするのは政策企画部だと私は思っていますので、先ほど臼澤勉委員もおっしゃったとおり、AIとか、これからのデータ活用をしっかりと進めていっていただきたいと思っています。その点についてお聞かせください。
〇小野政策企画部長 今、ハクセル美穂子委員からデータの活用についてお話がございました。先ほど臼澤勉委員からお話をいただきましたAIを使った政策分析ツールの中でも、岩手県の場合もたしか四、五百ぐらいの指標を活用して組み上げているのですけれども、実は、使える指標がなかなか集まらないといいますか、うまく相関関係が出てくる指標を見つけ出すのが難しいので、少しでもたくさんのデータを集めて、その中から有意な指標、数値を見つけていくといった作業が重要です。先ほどのお話のように、これから、そういったEBPM、データに基づく政策形成をする中で、データはすごく重要だと思っております。
 総務省でもホームページで統計ダッシュボードというツールを新たにオープンいたしました。これは非常に使いやすいと思います。まだデータの数が限られているところはあるのですけれども、そのデータを使った政策形成については、岩手県立大学の准教授でかなり得意な人もいますので、こういった人を講師に招きながら、全庁的にその辺のデータの使い方の勉強会などもしっかりやっていきたいと思います。
〇ハクセル美穂子委員 ぜひ、リソースがある岩手県立大学にも詳しい方がいるというのであれば、その方を招くのもいいですし、例えば東京大学の無料のものを使ってみるとか。これの場合は、匿名性にした税務データを渡すと、さまざま分析してくれるので、すごいのですが、例えばコロナ禍で最も所得の変動があったのはどの層かとか、そういうものまでわかる。それから、同居家族の存在が女性の労働供給にどう影響するか、そういうような分析も、専門家の方がやってくれるような取り組みもあります。もちろん県内の関係のアカデミアの方々とやるのも大切ですし、あとは、いろいろなこういった無料で参加できるようなものとか、自治体向けのものにもぜひアンテナを高くして、県職員の業務が楽になる部分もあると思って、こういうものを活用してほしいと思っています。残業も少なくなるような、何かそういうものでDXも入れていく意味があると思っていますので、ぜひやっていただきたいと思います。よろしくお願いします。
〇斉藤信委員 それでは最初に、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランについて私も質問したいと思います。
 第1期の政策推進プランの成果と課題を示してください。
〇本多特命参事兼政策課長 第1期政策推進プランの成果と課題でございますが、いわて県民計画(2019〜2028)第1期アクションプランの計画期間におきましては、新型コロナウイルス感染症や物価高騰など世界規模での危機に見舞われたものの、例えば、医師、看護職員の確保対策による医療従事者の増加でありますとか、産後ケア事業を行う市町村の増加、それから、自動車、半導体関連産業の一層の集積、また、御所野遺跡の世界遺産登録、復興道路の全線開通やデジタル化の進展など、さまざまな成果があったと認識しております。
 また、この間のいわて幸福関連指標の進捗を見ると、例えば、人口10万人当たりの自殺者数の減少や待機児童数の2年連続での減少、また、高卒者の県内就職率の2年連続での上昇など、施策の成果があらわれてきていると考えております。
 一方で、合計特殊出生率の低下でありますとか第三セクター鉄道・バスの1人当たり年間利用回数の減少、観光消費額の減少など、新型コロナウイルス感染症の影響等が見られている政策分野においては、達成度が低いと考えております。
〇斉藤信委員 第1期アクションプランはそれなりの着実な成果があったと思います。
 それで、第2期アクションプランでは、人口減少対策に最優先で取り組むとしております。第2期アクションプランで示されている人口減少対策の主なものを示してください。
〇竹澤参事兼政策企画課総括課長 第2期アクションプランでお示ししております人口減少対策でございますけれども、主なものといたしましては、具体例として申し上げますと、令和5年度の当初予算案に盛り込んでいるものでございますが、高校生等へのライフデザインの形成支援とか、若者、女性に魅力ある雇用、労働環境の整備、結婚を希望する県民への支援体制の充実、不妊治療に要する治療費や交通費の助成、第2子以降の3歳未満児を対象とした所得制限を設けない保育料等の無償化や在宅育児支援金の創設などを掲載しているところでございます。
〇斉藤信委員 来年度予算案ではそれなりの施策が示されたということは、この間議論になってまいりました。
 第2期アクションプランの中で、出生数の減少の要因としては、未婚化、晩婚化、仕事と育児の両立の困難さなどが複雑に絡み合っているものと考えられると指摘しております。未婚化、晩婚化、もっと直接的に言うと、結婚、子育てができる安定した雇用と賃金が確保されていないと、ここに一番の根本的な問題があると思うのですよ。だから、未婚化、晩婚化というのではなくて、なぜ結婚できないのか、なぜ子育てに困難があるのか。私は、この安定した雇用と賃金の確保、ここが崩れていると思います。まさにこれは国全体の問題だと思いますよ。
 そこで、先ほど私は総務部のところで、県ができる賃上げとして会計年度任用職員の賃上げを提案しました。少なくともワーキングプアをなくすべきだと思います。なぜワーキングプアが出ているかというと、最低賃金が低過ぎるからです。今、日本の最低賃金は平均で961円、岩手県は854円ですよ。854円に賃上げしたら23%が賃上げ対象になったということです。いわば最低賃金に張りついて働かされているのです。これは岩手県の話です。
 諸外国はどうなっているか。ドイツは1、734円、1年間で3回賃上げしました。イギリス1、596円、フランス1、598円、フランスも1年間で3回賃上げしました。オーストラリアは、政権がかわって2、005円になりました。こんなに違うのですよ。
 いわば、最低賃金というのは、労働者の全体の平均賃金を規定するのです。だから、4割弱が非正規、女性の5割以上が非正規。これでどうして本当に結婚できるのか、子育てできるのか。私は、ここに大きな問題があると思うけれども、政策企画部なのだから、子育て支援という狭い視野ではなくて、やはり人口減少、そして未婚化、晩婚化の根本原因にしっかり対応した総合的な対策を示すことが必要なのではないか。
 私たちは、岩手県予算に対する要望の中で三つの提案をしました。一つ目は、結婚、子育てできる雇用のルール、まともな賃金。二つ目は、安心して働き、子育てできる環境。三つ目は、子育ての経済的負担を軽減して、安心して暮らせる社会。いわばこういう総合的な対策をしなければ、個別の政策での経済的負担軽減だけでは抜本的な改善に至らないのではないか。まず、この根本問題について政策企画部長にお聞きします。
〇小野政策企画部長 人口は究極の総合指標と言われております。暮らし、産業、学び、さまざまな要素があり、あるいは地政学的な要素もあるかと思いますけれども、最終的に、一人一人が、どこに住むかといったことを選び、また、結婚するか、子供を産むかを判断していくといったことでございます。そういった意味では、一部の限られた政策に頼るのではなくて、人口減少対策のためには、広範な分野にかかわる取り組みを進めていくことが基本となります。
 そういった中で、第2期アクションプランにおきまして、県として四つの重点事項を掲げて取り組みを進めようとしているわけです。これにつきましては、先ほど来御議論いただいております、自然減、社会減対策も含めて、特に、男性、女性が働ける、そして子供を産む環境が整えられていること、そこに手を当てていこうといったことで、今回はそこを重点項目としたことではありますけれども、当然、斉藤信委員お話しのとおり、まずその背景にある仕事、収入が、そういった結婚し、子供を産み育てられる環境になければ、最終的にそこには行き着かないのだといったことは、そのとおりでございます。
 いわて県民計画(2019〜2028)では、10の政策分野の中に、仕事・収入といった1項目を設けまして産業振興について取り組んでいるところでございます。ここについては、第2期アクションプランにおきまして、さまざまな取り組みを追加、拡充しているところもございますので、取り組みをしっかりやってまいりたいと思います。いずれ、産業面も含めた人口減少対策ということでございます。
〇斉藤信委員 昨年の出生数が80万人を割りました。推計で78万人。これは人口推計では2033年だった。10年も早くこうなってしまった。これは、まさに全国的な問題ですよ。自由民主党政治の問題と言ってもいいですよ。
 異次元の少子化対策と言いながら、中身は示さない、財源は示さない。本来なら、異次元の少子化対策が示されて、さらに地方がその上に立って頑張る、これが当たり前の姿ではないでしょうか。異次元のということを言ったにもかかわらず、中身もない、財源もない、こんな無責任な政治はないと思いますね。
 それだけではないのですよ。令和5年4月からどんなことが起きるか。学校給食費値上げですよ。岩手県は高校生まで現物給付化します。現物給付化するとペナルティーがかかるのですよ。こんな逆行したことをやっていて、どうして少子化対策になるのか。私はそのことを率直に指摘しておきたい。
 そういう厳しい中で、来年、第2子以降の保育料無料化とかという新機軸を打ち出したことは、大変貴重なことだと思います。
 次に、知事の政治的、政策的イニシアチブの発揮。この1年間、どういう政治的、政策的イニシアチブを発揮したのか、具体的な事例を示していただきたい。
〇竹澤参事兼政策企画課総括課長 知事による提言活動ということで御答弁させていただきます。
 県の有する政策課題等は多方面に及びますが、その時々の主要な課題に応じ、宣言を発して県民や多様な主体に訴えたり、また、課題を同じくする他都道府県等と連携した提言活動等を行っているところでございます。
 今年度の例を挙げますと、県内の産学官ネットワークであります、いわて未来づくり機構のラウンドテーブルメンバーとして、基本的な感染対策の徹底でオミクロン株の感染拡大を抑え県民の社会経済活動を守るための緊急メッセージや、今こそ「買うなら岩手のもの」宣言の発出などを行っております。
 達増知事が会長を務めます地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会による、医師不足や地域間偏在の根本的な解消に向けた実効性のある施策の実現を求める提言ですとか、日本創生のための将来世代応援知事同盟による緊急提言ですとか、有志知事によります多様性への理解促進と誰もが安心して暮らし、活躍できる社会づくりを求める緊急共同声明などを行っているところでございます。
〇斉藤信委員 今答弁がありました。私は、県内の取り組みにとっても全国的な課題にとっても、達増知事は積極的なイニシアチブを発揮していると思います。
 例えば、昨年3月14日に出した岩手県水産業リボーン宣言、これは水産業再生宣言。リボーンというのはわかりにくいと私は指摘したことがあるのだけれども、しかし、沿岸地域の首長に会いますと、本当に今、漁業の再生、再建、これが焦眉の課題だと何度も提案されました。私は、漁業団体と知事がかみ合って、この岩手県水産業リボーン宣言を打ち出したと思います。本当に時宜にかみ合った、そして三つの柱も、資源の確保、新たな資源の活用、そして新しい養殖の推進、これは本当に今、漁業、水産業再生の柱になっているのだと思いますね。
 例えば医師確保の問題では、中平均委員の質問に対して、地域枠を拡充する。小児科、産科の医師確保の地域枠の奨学生の確保、これも新たに打ち出した大変貴重な成果だった。
 宣言ばかりという一部の話がありましたけれども、本当に今厳しい状況の中で、的確にそこを打開する提案を県政でも、そして国政の分野でも打ち出しているということは、高く評価をしていいのではないか。
 そして、第2期アクションプラン策定に向けて、また、少子化対策に向けて、全市町村と力を合わせて取り組もうとしている。これもまた、新しい積極的な取り組みになっているのではないかと思います。
 政策地域部長に最後にお聞きしますが、こうした知事のイニシアチブのもとで、第2期アクションプランにどういう決意で取り組むのか示していただきたい。
〇小野政策企画部長 県政を取り巻く課題は、非常にさまざま大変なことがございますけれども、それらの解決に当たりましては、よりさまざまな分野が連携をして、一緒になって、あるいは県民、企業、事業者の方々にも取り組みを御理解いただき、一緒になって取り組んでいくような仕方がますます重要になってきております。
 第2期アクションプランに掲げました人口減少対策を初め、喫緊の課題の解決に当たりましても、そうした連携を図りながら、県民を初め、県内のさまざまな主体と一緒になって取り組みを進めていくことが極めて重要となっております。このような宣言を一つのスタートとして、具体的な取り組みを一緒に進めてまいりたいと考えております。
〇千葉盛副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後7時18分 休憩
午後7時37分再開
〇千葉盛副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇飯澤匡委員 それでは、知事の日程管理と戦略的な知事の行動についてお尋ねします。
 一つ事例を挙げますが、去る2月8日に、私の地元一関市でILC実現建設地域期成同盟会が開催されました。宮城県の関係者もたくさん来席をして、県議会からもたくさん、遠方からもおいでいただいて大変ありがたかったと思っています。
 この開催に至るまでには、実はかなりいろいろな紆余曲折があって、一昨年、同会場で決起大会があったのですね。そこから、何とか地域の声を要請活動に結びつけたいということで、1年かかって、ようやくこの期成同盟会の設立に至ったわけです。この間、一関市長、それから、宮城県側の登米市の国際リニアコライダー誘致推進協議会の代表理事である猪股氏なども、大変御尽力をいただいたということです。
 さて、実は塩谷リニアコライダー国際研究所建設推進議員連盟会長をぜひとも呼びたい、こういうことからスタートしたわけですが、これもいろいろ御苦労があって、塩谷会長も来ていただきました。当日も御挨拶いただいて、それから、当時国会中でありましたので国会議員の先生も来席するのはなかなか難しい中でも、宮城県の小野寺五典国会議員も来て、お二方とも、現状、そして今後の課題等、本当に自分の言葉でわかりやすく説明いただいた、こういう印象でした。
 さて、そこで3番目に出てきたのが本県の知事でありまして、これは、これまでの経過を踏まえれば、岩手県としての姿勢をあらわす絶好の機会だったんですね。ところが、胸からいつものように白い紙が出てきまして、淡々と、少しは、幾らか情熱をこめたかな、そういう状況でした。僕はとても見ていられなくて、これが岩手県の姿勢なのかと思いました。こういうことでは、宮城県の方に、どうなっているのだろうと思われたのではないかと思って、私は本当に悔しい思いでした。
 この間、常任委員会でも質問しましたけれども、ILC推進局もいろいろ御尽力して知事の出席ということになったのですが、知事の出席だけではだめなのですよ。塩谷会長も来る。その間、きちんと時間をとって1対1で話をするとか、そういう時間をとるというのも戦略的に必要だったと私は思う。私も、実は小野寺五典氏と大体同じ時間に会場に入りまして、随分お話をして、待ち合わせの場所にもいました。最後の最後に来たのは塩谷会長で、その前に来たのは本県の知事だったわけですね。全く懇談のいとまもないわけですよ。
 今定例会では、達増知事はILCについて随分頑張った発言をしていますけれども、どうも言っていることと行動が伴っていないのではないかと思っています。
 まず、質問ですけれども、塩谷会長が就任されてから、本県の知事は会って懇談をした、意見交換をした、また要請をしたという実績があるのか。それから、この祝辞の取り扱いについては、まさに戦略的というようなことからかけ離れた状況だと私は思っていますけれども、これはどういう経緯でそういうことになっているのか。本県のILCの実現に対する戦略性ということも踏まえて、どういうことだったのか、その経過について説明してください。
〇佐藤参事兼秘書課総括課長 塩谷リニアコライダー国際研究所建設推進議員連盟会長が、昨年、会長に就任されてからの知事との面談回数等についてでございますが、知事が公務でお会いしたのは、令和5年2月8日の期成同盟会設立総会の際が初めてと承知しております。
 ちなみに、当課で確認できる資料によりますと、会長御就任前には3回ほどお会いしております。
〇高橋儀典調整監 私からは、知事の祝辞の取り扱いについて御答弁させていただきたいと思います。
 知事は、日々さまざまな会議や行事で挨拶、祝辞を行っておりますことから、その対応に当たりましては、事前に担当部局が県の政策推進の見地から案文を作成いたしまして、秘書課において儀礼的かつ形式的な誤り等がないかを確認させていただいているところでございます。
 また、挨拶、祝辞を含めた会議や行事への対応につきましては、必要に応じて、担当部局が事前に知事や副知事に協議や説明を行っているものでございます。
 なお、知事は、担当部局が作成した案文をもとに、適宜、御自身で修正を加えながら、場面に応じて、原稿を参照されずに挨拶、祝辞を行っているものと承知しております。
〇飯澤匡委員 冒頭申し上げましたように、本県の関係者だけではなくて、さっき言ったいろいろな経過の上に立った期成同盟会の設立だったわけですよ。実は、気仙沼市長も、いろいろな事情があって、途中経過は大変苦しい思いがあったけれども、最終的には発起人代表として名前を連ねていただいた。こういうことをわかっていれば、自分の言葉で何とか岩手県がというのが普通だと私は思いますね。これは知事本人のことだから、日程管理はそうでしょうけれども、その辺は説明してもわからなかった、多分こういうことですね。
 要は、私は9月定例会で知事に対して、余りにも不熱心なので知事にその行動をただしましたが、これ以上、岩手県知事が突出すべきとか岩手県が目立つべきだということは、そういった方々から全然いただいていないところであります。これをまさに実践したわけですな。そういうことだと思います。
 これでは、本当に私は、千年に一度の東北地方に光が当たる大プロジェクトを物にできる本当の行動かと大変疑問に思っています。これは私の意見です。各委員がどう思うかは別ですけれども。
 それで、もう一つ、戦略性ということから言うと、令和2年の部局再編で、秘書広報室が政策企画部に編成され、今の状態になったわけです。いわゆる知事の行動と、それから戦略的な政策の実行を合体させて、そこでうまくやっていこうというのが当時の説明でした。これだと全くそのようになっていないのですね。当時からそのことについては非常に疑問を持つといいますか心配していましたけれども、その点についてどういうことになっているのか。これが一つの非常に象徴的な事例ではないかと思います。
 これだけではなくて、事ほどさように、さまざまな事象でこういうことが起きていたとしたら、どうも岩手県の利益を非常に損なっている可能性も心配されるわけですが、その点について、政策企画部長はいかがですか。
〇小野政策企画部長 私ども政策企画部でございますけれども、トップマネジメントを支援する役割を担っております。それとともに、政策推進、政策立案の部局として、今回の第2期アクションプランを初め、県庁全体の政策推進エンジンとなるべく取り組みを進めているところでございます。
 両方の融合が重要と今、飯澤匡委員からお話がございました。今回の事例といったこともございますけれども、秘書課として、まず、今回の会議、設立総会の話をILC推進局から受けまして、その段階では、その時間帯にほかの用務も入っていたところではございますけれども、知事、副知事と担当部局と協議をして、その上で、これは最優先させるべきものというようなトップとの協議を受けまして、最終的に知事まで上げた上で、判断をして、今回のような日程設定となりました。ほかの日程につきましては、それをほかのところに移して、今回知事が出席といったところに至ったものでございます。
 このように、政策企画部といたしましては、今、県政にとって何が重要なのか、ここをしっかり判断した上で全庁的な調整を行ってまいりたいと思いますし、政策企画部として、このトップマネジメントを支える役割をしっかり担っていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 最後にします。あなた方を100%責めるわけにはいかないと思います。これは知事のいわゆる感性というものですね。塩谷会長と初めて会うというのでしょう。普通だったら、時間を確保して、岩手県はこうやって取り組んでいますぐらいのプレゼンをしないですか。普通の知事は。初めて会うのだったら余計に。その後……(「初めてじゃないね」と呼ぶ者あり)会長になって初めてだから。何言ってるんだよ。
 その後、首長の方々といろいろ懇談はしたらしいけれども、その懇談内容についても、どれほどの意見が出たか、それは、後でILC推進局の審査で聞くけれども。
 だから、岩手県としての姿勢というのは、これは人ごとではないのだよ。絶対実現すべきものだと知事は言っているわけだから。実現すべきために何ができるかというのは、僕は、トップリーダーの本当の責任だと思うわけです。僕らに任せてくれるというなら、それは一生懸命その代理をやるけれども、かわりがいないから、岩手県のトップだから、そういう目で相手も見るわけでしょう。これから正念場を迎える中で、これは象徴的なお話だったので、それは、これから、この任期の中でもしっかりやっていただきたいと思います。
〇千葉盛副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉盛副委員長 質疑がないようでありますので、これで政策企画部関係の質疑を終わります。
 政策企画部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、出納局長に出納局関係の説明を求めます。
〇木村会計管理者兼出納局長 出納局関係の予算について御説明申し上げます。
 まず、議案第5号令和5年度岩手県一般会計予算のうち出納局関係は、予算に関する説明書85ページをお開き願います。2款総務費1項総務管理費1目一般管理費のうち出納局関係の予算は、説明欄中ほどに記載のとおり8億1、547万円余であり、職員の人件費等の管理運営費及び県営建設工事入札事務に係る経費でございます。次に、87ページ下段の5目会計管理費3億1、499万円余は、説明欄に記載のとおり、財務会計システム運営費等であります。
 次に、議案第13号令和5年度岩手県証紙収入整理特別会計予算は、同じく予算に関する説明書の383ページ、384ページをお開き願います。歳入歳出予算額はそれぞれ32億4、996万円余であります。
 まず、歳入は、385ページ、1款証紙収入1項証紙収入は、1目県税9億3、430万円余、2目使用料及び手数料19億8、930万円余、3目軽自動車税環境性能割3億2、635万円余であります。
 次に、歳出でございますが、387ページ、1款繰出金1項一般会計繰出金は、1目県税、2目使用料及び手数料に係る証紙収入と同額を一般会計に繰り出すものでございます。
 次に、388ページ、2項歳入歳出外現金繰出金は、1目軽自動車税環境性能割に係る証紙収入を所在市町村に払い込むため、歳入歳出外現金に繰り出しするものであります。
 以上で出納局関係の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇千葉盛副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 それでは、最初に入札制度の課題について質問します。
 この5年間の落札率はどう推移しているでしょうか。全国との比較を含めて示していただきたい。
〇安倍特命参事兼入札課長 5年間の落札率の推移でありますが、県営建設工事における一般競争入札の加重平均による平均落札率は、平成30年度が92.5%、令和元年度から令和3年度がそれぞれ91.6%、令和4年度が12月末までで92.3%となっております。
 国の入札契約適正化法等に基づく実施状況調査結果によりますと、単純平均による全国の落札率は、平成30年度が93.3%、令和元年度が93.7%、令和2年度が93.8%、単純平均による岩手県の落札率は、平成30年度が92.8%、令和元年度が92.6%、令和2年度が92.4%となっております。
〇斉藤信委員 全国と比べると1.数%低いということになっていると思います。
 そこで、予定価格の事前公表制度についてでありますけれども、建設業界の方々は、この事前公表制度を見直してほしいと、現場をしっかり見た上でのそういう入札制度にしてほしいと強く要望しています。
 全国、東北地域の状況はどうなっているでしょうか。岩手県は、なぜこの事前公表制度を実施しているのでしょうか。見直すべきではないでしょうか。
〇安倍特命参事兼入札課長 予定価格の事前公表の状況についてでありますが、全国では、事前公表は、一部に事後公表との併用を含みますが、令和3年10月1日現在、31都府県で採用されており、東北地域では本県を含む5県で採用されております。
 予定価格の事前公表について、県では、入札の透明性の向上、発注者、受注者双方の事務効率の向上、さらには、予定価格に係る不正防止の観点から有効として導入し、国の指針に基づき十分検討を行いながら運用しており、制度導入以降、予定価格の事前公表による弊害は確認されていないところでありますが、引き続き、入札動向や他県の状況等を見ながら適切に対応してまいります。
〇斉藤信委員 業者の方々は、結局、事前公表されれば、今、それこそ技術的には現場を見なくても計算できると言っております。現場を見て、しっかり積み上げた形で競争をすべきではないのかというのが現場の声ですが、このことについてどう受けとめておりますか。
〇安倍特命参事兼入札課長 国が示す指針では、予定価格の事前公表により懸念される事項として、落札価格が高どまりになること、くじ引きによる落札の増加、建設業者の見積もり努力を損なわせるなどがあります。
 本県の入札の状況を見ますと、落札価格の高どまりについては、直近3カ年の平均落札率が91%から92%台であり、全国平均と比較して著しく格差が生じていないこと、また、くじ引きによる落札の増加については、その発生割合が1%程度と非常に低い状況であります。
 また、適切な積算を行わなかった入札参加者が受注する事態を避けるため、入札書と同時に工事費内訳書の提出を義務づけ、入札価格が積算によるものであることを確認しており、現時点では、弊害は確認されていないものと考えております。
〇斉藤信委員 国の入札制度では事前公表制度はありませんね。これはなぜですか。
〇安倍特命参事兼入札課長 予算決算及び会計令というものがございまして、国では、予定価格を事後に公表する決まりになっているものでございます。
〇斉藤信委員 国が事前公表をしていないのは、法律もあるけれども、それこそ弊害がないからなのだと思うのですよ。それがある意味、当たり前の原則だったと思います。岩手県の場合、不正入札があって、それをきっかけにさまざまな改革がされてきたことは事実ですけれども、私は、今、入札の件数も復興が一段落して本当に厳しい状況になっている中で、現場をしっかり見て積算をして、そして、公正な競争を確保するという原点に立ち返るべきではないのかと思います。
 次に、最低制限価格制度の導入について。これも全国、東北地域の実施状況を示してください。
〇安倍特命参事兼入札課長 最低制限価格制度の状況についてでありますが、令和3年10月1日現在で、全国では44都道府県で制度があり、東北地域では、青森県、宮城県、秋田県、山形県、福島県で制度があります。
 なお、宮城県では、制度は廃止していないものの適用していないこと、また、秋田県でも、令和4年度からは、制度は適用しないこととしたと聞いております。
 県では、平成19年7月の入札制度の見直しの際に、今後、一般競争入札を本格的に実施していくに当たり、透明性を一層高めるため、また、総合評価落札方式を導入し、拡大していくという観点から、最低制限価格制度を廃止した経緯があります。
 現在、県が採用している総合評価落札方式及び低入札価格調査制度は、ダンピング防止を図りつつ、企業の技術力や企業努力、地域貢献活動等を適切に評価し、価格と品質が総合的にすぐれた者を契約の相手方にしようとするものであり、最低制限価格を下回った入札を一律に排除する最低制限価格制度よりもすぐれたものと考えております。
 さらに、低入札価格調査制度において、ダンピング防止のため、一定の価格を下回った場合には自動的に失格とする基準、いわゆる失格基準価格を設けて、一定額を下回った場合には失格としております。
 競争性、透明性、経済性を確保しつつ、企業の地域活動等が適切に反映されること等の観点から、現行の低入札価格調査制度を運用し、また、総合評価落札方式も効果的に活用しながら、ダンピング防止にも適切に取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 総合評価落札方式は、どのぐらいの件数、率になっているのか。
 もう一つ、低入札価格調査制度ですが、これは低入札価格が低過ぎるのですよ。だから失格基準も低くなるのですね。ですから、かなりの低い額で落札する可能性も高いと現場は指摘しております。
 全体として、最低制限価格制度は全国多数です。そういう意味でいくと、全国の多数が実施している最低制限価格制度は、今の低入札価格調査制度よりも実効性があると思いますよ。いかがですか。
〇安倍特命参事兼入札課長 まず、総合評価落札方式については、令和3年4月から適用工事を拡大し、3、000万円以上の工事は原則適用としておりますが、拡大前の令和2年度の導入割合が41.7%、拡大後の令和3年度は55.9%となっております。
 総合評価落札方式には、制度上、最低制限価格を適用できないため、最低制限価格制度を導入している44都道府県においても、総合評価落札方式では低入札価格調査制度を適用し、最低制限価格制度と併用しているものでございます。
 なお、国においては、最低制限価格制度に係る規定がありませんので、導入していないものでございます。
〇斉藤信委員 総合評価落札方式は私も評価しております。だから、そこまで最低制限価格制度を導入すべきだとは言いません。それは、そういう制度で総合的に評価する。
 しかし、さっき私が言ったように、低入札価格調査制度の失格基準は低いのですよ。入札に出した価格の低いところの平均を出すということでね。これはもう本当に現場の声ですから。それと比べると、最低制限価格制度のほうが実効的ですよ。そのことは現場の声として指摘しておきたいと思います。
 最後ですけれども、県営建設工事における中小企業者への発注件数、発注額、発注比率はどう推移していますか。低下している原因は何ですか。
〇安倍特命参事兼入札課長 県内事業者への発注及び県内事業者の占める割合についてでありますが、震災前の平成21年度が、件数1、958件、93.6%、金額437億円余、83.4%。その後、震災からの復旧、復興工事が増大していく中で、震災後の発注額がピークとなった平成25年度は、件数1、445件、90.2%、金額1、091億円余、59.9%と県内事業者の比率が最も低くなりました。その後は増加傾向になり、令和3年度は、件数890件、96.0%、金額502億円余、95.0%となっております。
〇斉藤信委員 金額で言うと、この間、発注額そのものがかなり減少しておりますので、その点でいけば、割合そのものは回復しつつあると。しかし、金額的にいけば、県内発注は、当然のことですけれども大変低いものになっている。
 全体として、県内中小業者に対する発注比率を高める努力が必要だと私は思いますけれども、担当としては、どういう努力をされているでしょうか。
〇安倍特命参事兼入札課長 県内事業者への発注についてでありますが、県営建設工事の発注に当たっては、県内企業の育成、地域経済の活性化、雇用確保の観点から、県内企業で施工可能と認められる工事は、県内企業への優先発注を原則としております。
 復旧、復興工事の円滑な施工の推進のため入札参加資格要件の緩和措置を講じたこと等により、県外企業の受注割合が高くなった時期もありましたが、平成29年度以降、県内企業の受注は、件数、金額ともに8割を超え、震災前の水準に戻っています。
 引き続き、県内地元企業の受注機会の確保、受注比率の向上に努めてまいります。
〇千葉盛副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉盛副委員長 質疑がないようでありますので、これで出納局関係の質疑を終わります。
 出納局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、人事委員会事務局長に人事委員会関係の説明を求めます。
〇菊池人事委員会事務局長 人事委員会関係の予算につきまして御説明申し上げます。
 お手元の予算に関する説明書109ページをお開きいただきたいと存じます。2款総務費9項人事委員会費のうち1目委員会費の678万円余は、委員3人分の報酬、その他、委員会の運営に要する経費でございます。次に、2目事務局費の1億4、480万円余は、事務局職員18人分の人件費、事務費など事務局における任用、公平審査、給与関係事務等の管理運営に要する経費でございます。
 以上で人事委員会関係の予算の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇千葉盛副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 それでは、簡潔に聞きます。
 令和4年度実施の労働基準及び労働安全衛生に関する事業場調査結果について、月平均30時間を超える超過勤務を行う職員の事業場はどうなっているでしょうか。この間の推移を含めて示してください。
〇藤村職員課総括課長 令和4年度実施の事業場調査につきまして、各事業場の令和3年度の実績でございます。月平均で30時間を超える超過勤務を行った職員がいる事業場についてですが、教育職員以外の職員では、前年度と同数の38事業場となっているところであり、過去5年では、平成30年度が52事業場と最も多く、それ以降は減少傾向にあるところでございます。
〇斉藤信委員 月100時間を超える時間外在校等の教育職員がいる県立学校の実態、この間の推移を示してください。
〇藤村職員課総括課長 時間外在校等時間が月100時間を超える教育職員がいる県立学校についてですが、令和3年度は、前年度からさらに5事業場が減少し17事業場となっているところであり、過去5年で見ると、平成30年度が67事業場と最も多く、それ以降は減少しているところでございます。
〇斉藤信委員 教員の場合は、調査の基準が月100時間なのですね。私は、これ自身が異常なことだと思うけれども、この調査では100時間を超える超過勤務の実数も示されております。実数はどうなっているでしょうか。面接指導はどう受けているでしょうか。
〇藤村職員課総括課長 時間外在校等時間を行った教育職員についてお答えさせていただきます。令和3年度は、100時間を超える時間外在校等時間があった職員は52名でございまして、うち面接指導を行った教育職員が51名という状況になっているところでございます。
〇斉藤信委員 100時間を超える教員の超過勤務、在校時間というのですか、超過勤務手当がありませんから超過勤務と言わないようでありますけれども、これは、数そのものは減少しているのですが、100時間そのものが異常ですから、調査も、80時間を超える、こういう基準も含めて調査すべきではないでしょうか。
〇藤村職員課総括課長 調査におきましては、80時間を超える時間外在校等時間の教育職員の把握もしておりますが、これまでは、100時間を超える職員が過去600人近くおったような状況もございますので、ここ数年のところで少なくなっているところではございますが、この状況をまずはしっかりなしにするといったところを我々の指導の重点課題とさせていただいて、こういった調査報告をさせていただいているところでございます。
〇斉藤信委員 100時間を超える教員は確かに減少しています。しかし、本当に異常な、例えば80時間というのも過労死ラインなのですよ。だから、そういう点でいくと、では、過労死ラインを超えている教員の実態はどうなのかということも、今までは余りにも多かったから100時間にしていたと思うのです。私は、調査の方法を100時間、80時間という形で把握すべきなのではないかと思います。
 私は、総務部で県庁職員の超過勤務も聞きました。県庁職員でも80時間、100時間を把握しているのです。かなりいますよ。だから、先ほどの調査だと、30時間以上で調査していますけれども、私は、県庁の職員も、今は新型コロナウイルス感染症の関係で80時間、100時間を超える職員が本当に100人、200人を超える規模で出ていますから、県庁の職員も、そういう基準の調査もすべきだと思います。教員については、80時間の過労死ラインを超えるような実態もつかむべきだと思います。
 そして、教員の場合、いまだに100時間を超える52人ですけれども、この要因はどのように把握されているでしょうか。そして、どのような改善の指導を、勧告というか通知というかしているでしょうか。
〇藤村職員課総括課長 月100時間を超える教育職員につきましては、やはり部活動指導が一番大きなところであったと認識しております。
 各事業場におきましては、100時間を超える職員があったところについては文書で指導するという形をとっておりますが、これに加えまして、10事業場程度でございますけれども、訪問して、実態の状況を把握しながら、適宜、必要な助言、指導を行っているといったところでございます。
〇斉藤信委員 私の質問、提案に今答えなかったので、人事委員会事務局長、教員については80時間という過労死ラインについても調査すべきではないか。そして、県庁の職員については、コロナ禍ということがあったかもしれませんけれども、数百人規模で80時間、100時間を超える超過勤務の職員が多数出ているのですよ。これはこれでやはり把握すべきではないかと思います。いかがですか。
〇菊池人事委員会事務局長 斉藤信委員御指摘のとおり、長時間労働の解消を初め、働き方改革を進めていくのが喫緊の課題だと認識しております。
 教職員に関しましては、任命権者の教育委員会でも、100時間以上の者をゼロにするとか、月45時間超の者を段階的に縮減するというような計画を立てまして、取り組んでおります。
 いずれにいたしましても、我々労働基準を監督する機関といたしましては、基準を遵守することに加えまして、それは当然のことでございますが、あわせまして、斉藤信委員御指摘の80時間、100時間といった数字も含めまして、よりよい執務環境が保たれるように、その辺のところは研究させていただきたいと思っております。
〇斉藤信委員 最後の質問です。県職員の処分に対する不服申し立てについて、一般論でお聞きいたします。
 処分に対する不服申し立てがあった場合に、どう対応されるか、プロセスを示していただきたい。この10年間で提出された不服申し立ての件数、県職員分でどうか、これは明らかにできるでしょうか。また、裁決の結果まで平均してどのぐらいの期間がかかっているのか、このことを示していただきたい。
〇藤村職員課総括課長 審査請求への対応についてでありますが、処分に対する審査請求を受理した場合、処分者からの答弁書及び請求人からの反論書の提出を受け、当該事案の事実や処分者及び請求人の主張、証拠の整理を行い、処分の承認や取り消しなどの裁決を行うものでございます。
 なお、審査は、不利益処分の手続や予定などが、地方公務員法などの法令に適合してなされたかどうかの視点から行われるものでございます。
 続きまして、過去10年間の審査請求の状況ですが、平成25年度以降に受理した県職員関係の審査請求は4件でございます。
 また、審査請求の期間でございますが、事案によってさまざまでございまして、これまでの事例で見れば、6カ月程度のものや1年を超えるものがございます。
〇千葉盛副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉盛副委員長 質疑がないようでありますので、これで人事委員会関係の質疑を終わります。
 人事委員会の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、監査委員事務局長に監査委員関係の説明を求めます。
〇藤澤監査委員事務局長 監査委員関係の予算について御説明申し上げます。
 お手元の予算に関する説明書により御説明申し上げますので、111ページをお開き願います。2款総務費10項監査委員費のうち1目委員費の予算額1、998万7、000円は、監査委員4人の報酬、給与及び監査等に要する経費でございます。次に、2目事務局費の予算額1億7、797万2、000円は、事務局職員21人の人件費等、事務局の管理運営に要する経費でございます。
 以上で監査委員関係の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇千葉盛副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉盛副委員長 質疑がないようでありますので、これで監査委員関係の質疑を終わります。
 監査委員事務局の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で、本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後8時25分 散会

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