令和5年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和5年3月6日(月)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
事務局長 小 畑   真
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 平 貴 一
主任主査 佐 藤 博 晃
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 及 川 雄 也
主査 阿 部 真 人
主査 刈 屋 江美子
1説明員
知事 達 増 拓 也
副知事 菊 池   哲
副知事 八重樫 幸 治

総務部長 千 葉 幸 也
財政課総括課長 山 田 翔 平

政策企画部長 小 野   博

復興防災部長 佐 藤 隆 浩

ふるさと振興部長 熊 谷 泰 樹

保健福祉部長 野 原   勝

ILC推進局長 箱 石 知 義
〇小畑議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっております。
 出席委員中、工藤勝子委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 工藤勝子委員、どうぞ委員長席に御着席を願います。
   〔年長委員工藤勝子君委員長席に着く〕
〇工藤勝子年長委員 ただいま御紹介のありました工藤勝子です。何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 なお、伊藤勢至委員は所用のため欠席とのことでありますし、高橋こうすけ委員も療養のため欠席となりますので、よろしく御了承願います。
 それでは、これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長互選の方法につきましては、先例に基づき指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別委員長に佐藤ケイ子さんを指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました佐藤ケイ子さんを予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました佐藤ケイ子さんが予算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました佐藤ケイ子さんが委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 佐藤ケイ子委員長、委員長席にお着き願います。
   〔予算特別委員長佐藤ケイ子君委員長席に着く〕
〇佐藤ケイ子委員長 ただいま予算特別委員長に選任いただきました佐藤ケイ子でございます。御推挙いただき光栄に存じます。
 当予算特別委員会は、改選期を迎えるに当たって何かと意義深いこととなろうかと思います。活発な審議をお願いするとともに、スムーズな運営にも御協力をいただきますようお願い申し上げて、挨拶とさせていただきます。(拍手)
 引き続き、副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長互選の方法につきましては、先例に基づき指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別副委員長に千葉盛君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました千葉盛君を予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました千葉盛君が予算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました千葉盛君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 千葉盛副委員長、御挨拶をお願いいたします。
〇千葉盛副委員長 ただいまは副委員長に選任いただきましてありがとうございます。
 委員長を補佐いたしまして委員会の円滑な運営に努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
〇佐藤ケイ子委員長 お諮りいたします。当予算特別委員会に付託されました議案51件の審査の方法についてでありますが、お手元に配付いたしております日程案のとおり、本日及び明日には知事、副知事及び関係部局長等の出席を求め総括質疑を行い、明日の総括質疑終了後、8日から10日まで、及び13日から16日までは、関係部局長等の出席を求め部局ごとに質疑を行うこととし、議案51件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、16日の県土整備部関係の質疑が終わった後、世話人会での意見調整を経た上で行いたいと思います。
 なお、8日目の農林水産部の審査については、第1部を農業関係、第2部を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより議事に入ります。
 議案第5号から議案第25号まで、議案第29号から議案第32号まで、議案第34号及び議案第36号から議案第60号までの以上51件を一括議題といたします。
 総務部長に総括説明を求めます。
〇千葉総務部長 令和5年度当初予算の概要等につきまして、総括的に御説明申し上げます。
 令和5年度の当初予算は、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのもと、四つの重点事項に対して重点的に予算措置し、県民の幸福度向上を図る10の政策やILC誘致などの新しい時代を切り拓くプロジェクトを着実に推進していく予算として編成したものであります。
 それでは、予算の概要について御説明申し上げます。
 お手元の議案その2の1ページをお開き願います。議案第5号令和5年度岩手県一般会計予算であります。
 第1条は、歳入歳出予算の総額をそれぞれ7、714億794万3、000円と定めるものであります。前年度当初予算と比較しますと2.6%の減となっております。第2条は、債務負担行為の限度額等を、第3条は、地方債の限度額等をそれぞれ定めるものであり、第4条は、一時借入金の最高額を1、000億円とするものであります。第5条は、職員給与について同一款内での予算流用を定めるものであります。
 次に、歳入について御説明いたします。便宜、予算に関する説明書により御説明いたしますので、予算に関する説明書の4ページをお開き願います。
 まず、1款県税のうち、1項県民税は406億400万円となっておりますが、これは、個人県民税や法人県民税の増収が見込まれることなどによるものです。
 5ページの2項事業税は289億5、600万円となっておりますが、これは、法人事業税の減収が見込まれることなどによるものであります。
 6ページの3項地方消費税は242億3、800万円を見込んでおりますが、これは、令和4年度決算見込み額等をもとに、本県への払込額の減少が見込まれることなどによるものです。
 7ページの4項不動産取得税は22億9、100万円となっておりますが、これは、課税となる取引が減少すると見込まれることなどによるものであります。
 8ページの5項県たばこ税は15億1、300万円、9ページの6項ゴルフ場利用税は、最近の課税実績等を勘案し2億7、100万円を計上しております。
 10ページの7項軽油引取税は131億500万円と見込んでおります。これは、引き取り数量の減による減収が見込まれることなどによるものです。
 11ページの8項自動車税は181億8、800万円と見込んでおります。
 12ページの9項鉱区税は、最近の課税実績等を勘案し1、700万円を計上しております。
 13ページの10項狩猟税は、狩猟者登録の見込み数により1、400万円を見込んでおります。
 14ページの11項産業廃棄物税は、最終処分場の年間埋立量などを勘案して8、500万円を計上しております。
 15ページの12項旧法による税は、令和元年9月以前の自動車税に係る分など300万円を見込んでおります。
 以上、県税の合計額は1、292億8、500万円で、前年度当初予算に比べ15億2、200万円、1.2%の減となるものであります。
 次に、16ページの2款地方消費税清算金は635億5、400万円で、前年度当初予算に比べ46億6、800万円、7.9%の増となっておりますが、これは、輸入額の増加に伴う全国の貨物割の増により、本県の収入額の増加が見込まれることなどによるものです。
 次に、17ページの3款地方譲与税のうち、1項特別法人事業譲与税は217億2、400万円となっておりますが、これは、全国に占める本県のシェアの減少を見込んでいることなどによるものであります。
 18ページの2項地方揮発油譲与税は29億8、400万円、19ページの3項石油ガス譲与税は1億900万円、20ページの4項自動車重量譲与税は1億8、300万円、21ページの5項森林環境譲与税は1億8、200万円、22ページの6項航空機燃料譲与税は3、400万円をそれぞれ計上しており、23ページ、地方道路譲与税は、廃止科目であります。
 以上、地方譲与税の合計額は252億1、600万円で、前年度当初予算に比べ2億8、700万円、1.1%の減となるものであります。
 次に、24ページの4款地方特例交付金は、住宅借入金等特別税額控除の減収を補填するための特例交付金であり、6億7、200万円余で、前年度当初予算に比べ1億円余、17.5%の増を見込んでおります。
 次に、25ページの5款地方交付税は、国の地方財政計画の内容や震災からの復旧復興事業費等を勘案して2、212億9、700万円余で、前年度当初予算に比べ44億5、300万円余、2.1%の増で計上しております。
 次に、26ページの6款交通安全対策特別交付金は3億6、700万円で、前年度当初予算に比べ1、600万円、4.2%の減を見込んでおります。
 次に、27ページの7款分担金及び負担金のうち、1項分担金は、経営体育成基盤整備事業等に係るものであり、2億7、400万円余、28ページから29ページまでの2項負担金は、農林水産業費の国営土地改良事業などの負担金等を計上しており13億6、900万円余となっております。
 以上、分担金及び負担金の合計額は16億4、400万円余で、前年度当初予算に比べ4億5、400万円余、38.2%の増となるものであります。
 次に、30ページの8款使用料及び手数料でありますが、1項使用料の主なものを申し上げますと、31ページの産業技術短期大学校授業料、32ページの道路及び河川の占用料、県営住宅使用料、県立学校における授業料などであります。これら使用料の総額は、33ページの計欄54億9、700万円余となっております。
 次に、34ページからの2項手数料の主なものは、35ページのと畜検査に係る手数料、36ページの豚熱予防的ワクチン接種に係る手数料、37ページの運転免許に係る手数料などでありまして、これら手数料の総額は、38ページの計欄20億7、100万円余となっております。
 以上、使用料及び手数料の合計額は75億6、900万円余で、前年度当初予算に比べ1億1、700万円余、1.5%の減となるものであります。
 次に、39ページの9款国庫支出金でありますが、1項国庫負担金の主なものを申し上げますと、生活保護に要する経費のほか、41ページの小中学校教職員の人件費や県立学校の授業料に充てるための就学支援交付金、河川等災害復旧事業などであります。これら国庫負担金の総額は、41ページの計欄405億3、400万円余となっております。
 次に、42ページ、2項国庫補助金の主なものは、46ページの感染症等健康危機管理体制強化事業、これは、新型コロナウイルス感染症の入院施設の確保などに要するものです。50ページの森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策事業、52ページの道路環境改善事業や地域連携道路整備事業に係る国庫補助金などであります。これら国庫補助金の総額は、56ページまで進んでいただきまして、827億3、000万円余となっております。
 次に、57ページの3項委託金でありますが、統計調査事業に関する国庫委託金の減などにより、総額は、59ページまで進んでいただきまして、12億4、200万円余となっております。
 以上、国庫支出金の合計額は1、245億700万円余で、前年度当初予算に比べ24億2、200万円余、1.9%の減となるものであります。
 次に、60ページの10款財産収入でありますが、1項財産運用収入は、土地や家屋の貸付収入など1億3、800万円余、61ページから62ページの2項財産売払収入は、県有未利用地や生産物の売り払いなどによる収入など10億8、900万円余を計上しており、これら財産収入の合計額は12億2、700万円余で、前年度当初予算に比べ2億7、000万円余、28.3%の増となるものであります。
 次に、63ページの11款寄附金は、ふるさと岩手応援寄付など7億1、500万円余で、前年度当初予算に比べ5億1、600万円余、260%の増を見込んでおります。
 次に、64ページの12款繰入金のうち、1項特別会計繰入金は、電気事業会計などからの繰入金であり、14億6、000万円余であります。
 65ページ、2項基金繰入金は、財政調整基金や地域医療介護総合確保基金など基金からの繰入金であり、181億800万円余を計上しております。
 以上、繰入金の合計額は195億6、900万円余で、前年度当初予算に比べ15億6、900万円余、7.4%の減となるものであります。
 次に、66ページの13款繰越金は1、000円で、整理科目であります。
 次に、67ページの14款諸収入のうち、1項延滞金、加算金及び過料等は1億3、800万円余、68ページの2項預金利子は300万円余を計上しております。
 69ページの3項公営企業貸付金元利収入は103億円余を計上しておりますが、これは、県立病院等事業会計への貸し付けの償還金であります。
 70ページの4項貸付金元利収入は、各行政部門における貸付金に係る元金及び利子の収入で、71ページのとおり、1、149億8、900万円余となっております。
 72ページの5項受託事業収入は、基幹河川改修事業などの受託事業収入であり、5億1、800万円余となっております。
 73ページの6項収益事業収入は、宝くじ発売収益金で30億5、000万円余となっております。
 74ページの7項利子割精算金収入は1、000円で、整理科目であります。
 75ページの8項雑入は、77ページ、いわてニューファーマー支援事業や新型コロナウイルス感染症対応資金利子補給事業に係る中小企業基盤整備機構からの収入などであり、雑入の総額は、78ページの計欄48億7、700万円余と見込んでおります。
 以上、諸収入の合計額は1、338億7、800万円余で、前年度当初予算に比べ127億7、900万円余、8.7%の減となるものであります。
 次に、79ページの15款県債でありますが、その総額は、82ページの計欄のとおり419億400万円であり、臨時財政対策債の減額等により、前年度に比べ125億7、700万円、23.1%の減となっております。
 この結果、県債の現在高見込みでありますが、301ページまで飛んでいただき、一番右下の欄になりますが、令和5年度末現在高見込額は1兆1、913億4、700万円余と、前年度から417億円余の減を見込んでおります。
 以上で歳入についての説明を終わります。
 次に、歳出についてでありますが、主要な事業につきましては、それぞれ所管部局の審査の際に担当部局長から御説明申し上げますので、説明を省略し、私からは、性質別の主なものにつきまして説明申し上げます。
 お手元の予算に関する資料で御説明いたします。3ページをお開き願います。第2表令和5年度一般会計歳出性質別内訳表でございますが、この表の右端の前年度当初予算からの増減率の欄を中心にごらんいただきたいと存じます。
 令和5年度当初予算の特徴的なところを何点か申し上げますと、1人件費につきましては6.8%の減となっておりますが、これは、定年引き上げに伴う退職手当の減少等によるものであります。2物件費につきましては9.1%の増となっておりますが、これは、新型コロナウイルス感染症対策としての感染症予防費や軽症者等宿泊療養事業費の増等によるものであります。次に、4ページに参りまして、6普通建設事業費につきましては9.9%の増となっておりますが、これは、公共事業費のプラスシーリング、プラス1.10倍でございますが、これにより増加したものであります。7災害復旧事業費につきましては22.3%の減となっておりますが、これは、河川等災害復旧事業の進捗による減等によるものであります。5ページに参りまして、8公債費は1.8%の減、9積立金は、定年延長に伴い令和6年度に見込まれる退職手当の増に対応するための退職手当基金への積み立て等により147.7%の増、11貸付金は、中小企業東日本大震災復興資金貸付金の減等により8.6%の減、13予備費は、新型コロナウイルス感染症に関する不測の事態への対応に備え、令和4年度と同額の6億円を計上したところであります。
 令和5年度岩手県一般会計予算の概要は、以上のとおりであります。
 なお、特別会計につきましては、所管部局において御説明申し上げますので、私からは省略させていただきます。
 以上で総括説明を終わります。よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇佐藤ケイ子委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない委員に質疑時間を配分して行うことになっております。
 質疑時間につきましては、まず、希望いわてが51分、次に、自由民主党が45分、次に、いわて新政会が27分、次に、いわて県民クラブが18分、次に、日本共産党が15分、次に、会派に所属しない委員は、社民党木村幸弘委員、公明党小林正信委員、無所属上原康樹委員の順に、それぞれ9分となっております。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の委員が質疑をすることができること、また、この場合におきましては、会派として続けて行うこととされておりますので、御了承願います。
 また、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、新型コロナウイルス感染症対策として、換気のため、午前は1回、午後はおおむね1時間半ごとに休憩いたしますので、御協力をお願いいたします。
 なお、本日の総括質疑は、世話人会の申し合わせにより、5時前に質疑に入った会派等の質疑が終了するまで議事を継続することといたしたいと思いますので、あらかじめ御了承願います。
 これより総括質疑に入ります。名須川晋委員。
   〔名須川晋委員質問者席に着く〕
〇名須川晋委員 希望いわての名須川晋でございます。会派を代表いたしまして、令和5年度予算特別委員会の総括質問に臨ませていただきます。さきの一般質問で触れられた項目もございますが、通告どおりに進めさせていただきます。
 令和5年2月6日に公表された来年度の職員組織体制の概要によれば、令和5年度予算において重点事項とされた人口減少対策について、企画理事や少子化対策の特命課長の設置のほか、職員の増員を行うとのことであり、予算と人員という県庁リソースの集中投資が行われることで、大きな成果に結びつくことを期待するものであります。
 また、喫緊の課題であり迅速な対応が求められる児童相談の増加に対応するため、児童福祉司、児童心理司の増員、新型コロナウイルス感染症対応を踏まえた新たな感染症対策を推進する職の新設や保健師の追加配置の継続など、時宜を踏まえた人員体制の強化が図られていることを評価するものです。
 では、以下、予算について伺います。令和5年度当初予算の重点措置についてでございます。
 まず、令和5年度当初予算案について総括的に伺います。
 令和5年度一般会計の予算額は7、714億円であり、令和4年度当初予算と比較して208億円の減収となっており、東日本大震災津波への対応分が111億円の減少、通常分が97億円の減少となっています。
 確かに、復興の進捗に伴う事業量の減少や、後ほど触れますが、人口減少に起因する財政規模の縮小等の影響により、近年、県予算は減少傾向が続いています。一方で、予算の内容を子細に分析すれば、単純な減少予算とは言えず、知事が記者会見で表明されたように、財政健全化を進めつつ、四つの重点事項を中心に近年にない水準で大胆に予算を配分したことがわかります。
 人件費は前年度からマイナス119億円、6.8%の減、借金の返済のための公債費はマイナス17億円、1.8%の減、自治体の財政運営上義務的に負担しなくてはならない経費全体でマイナス134億円、4.8%の減少を達成しつつ、投資的経費はプラス38億円、4.3%の増加となっており、義務的な経費を縮減しつつ、投資的な経費に予算をシフトしていることが数字にもあらわれております。
 この近年にない水準で大胆に予算を配分するために、知事は、今回どのような姿勢で予算編成に臨んだのか伺います。
〇達増知事 令和5年度当初予算編成に当たり、将来にわたって希望ある岩手を実現するため、県議会や持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会における議論等を踏まえて、子供子育て環境の充実などの政策の推進と、その政策を下支えする行財政基盤の構築に向けた方策について検討を尽くしてまいりました。
 要求段階においては、人口減少対策、GXの推進、DXの推進、安全・安心な地域づくりを四つの重点事項として掲げるとともに、シーリングにより捻出した財源の3倍まで要求を認め、公共事業については前年度比1.1倍の増額要求を認めるなど、予算の重点化に向けた要求方法の見直しを行いました。
 これらの見直し等により、当初予算案においては、予算総額では定年引き上げに伴う人件費の減少や震災事業の減少により減額となる一方で、全国に先駆けて、親の所得や就業の有無を問わない普遍的な施策を創設するなど、重点事項に対して事業費で1、060億円を確保し、近年にない水準で大胆に予算配分することができました。
 また、政策推進と財政健全化の両立を実現すべく、歳出水準の見直しを図りつつ、あらゆる歳入確保策として、全国自治体では初めてとなるブルーボンドの発行、電気事業会計からの繰り入れの拡充等を行い、新たに掲げた四つの財政目標を全て達成する見込みとなりました。
〇名須川晋委員 今回の予算の大きな特徴は、知事が四つの重点事項を予算要求の段階であらかじめ指示し、予算を重点的に措置することを明確にした点にあると考えます。結果として、自然減・社会減対策、GXの推進、DXの推進、安全・安心な地域づくりの四つの重点事項で、前年度を100億円以上上回る1、060億円を確保し、新規事業も82億円計上しております。
 それぞれの項目については、この後、詳細にお聞きいたしますが、それぞれの重点事項について、予算編成の過程で、知事が意を用いた点について総括的に伺います。
〇達増知事 四つの重点事項は、いずれもいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおいて最優先で取り組むこととしている人口減少対策につながるものであり、人口減少に立ち向かうための取り組みを強化し、より事業効果を高めることを狙い、令和5年度当初予算案において重点化を図りました。
 それぞれに目を向けますと、自然減・社会減対策は、いわば人口減少対策の根幹であり、性別にかかわらず活躍できる環境づくり、一人一人のライフステージに応じた支援、人を呼び込む移住、定住施策など、幅広い分野の取り組みの強化、GXの推進は、カーボンニュートラルとともに新しい成長の指向、DXの推進は、デジタルの力を活用した県民の暮らしの向上と産業振興の展開、安全・安心な地域づくりは、東日本大震災津波からの復興や新型コロナウイルス感染症対策の経験を踏まえたさまざまなリスクへの対応といった点について、特に重要と考え、予算編成に当たって配慮したところであります。
〇名須川晋委員 四つの重点事項に予算を重点措置できた背景として、これまで達増県政において進めてきた不断の行財政運営における取り組みがあると考えます。
 さきの代表質問で当会派の菅野ひろのり議員の質問に答弁されておりましたが、就任当時、全国の中でも極めて高水準であった公債費や県債残高を低減させるための着実な取り組みが奏功し、今回の予算の重点措置に結実したと言えるのではないでしょうか。
 加えて、持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書の内容を踏まえ、新たに四つの財政目標を設定し、その達成状況を踏まえ、知事は、政策推進と財政の健全化の両立を実現したと発言されております。
 この四つの財政目標を設定したことの意義について伺うとともに、その達成が何を意味するのか、わかりやすく説明を願います。
〇千葉総務部長 行財政改革の方策として、その指針となる具体的な目標を広く県民と共有し、毎年度の予算編成等において達成状況等について公表、検証していくことで、行財政改革の実効性を高めることができると認識しております。
 そのため、令和5年度当初予算編成に当たっては、持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会における議論等も踏まえ、新たに四つの財政目標を掲げたところです。
 具体的には、財政調整基金の現行水準を維持や令和10年度当初予算までの収支均衡予算を実現していくことで、災害等の将来の財政支出に備えつつ、時代の変化に即応できる柔軟な予算編成を可能にしてまいります。
 また、プライマリーバランスの黒字維持によって、将来の財政負担を軽減し、公共施設に係る県民1人当たりの負担額1万2、000円以下の水準の維持により、財政負担の平準化を図りながら公共施設の適正管理を推進してまいります。
〇名須川晋委員 収支ギャップの解消についてであります。
 前年度から大幅に縮小したとはいえ、今回の予算においても86億円という依然として大きな収支ギャップが生じており、人口減少対策を講じてもなお、人口の減少傾向とそれに伴う財政規模の縮小は、ある程度避けられない前提ではないかと感じます。
 四つの財政目標のうち、令和10年までの収支均衡予算の実現についてはいわて県民計画(2019〜2028)第2期行政経営プランにも指標として設定されておりますが、達成できる見込みがあるのか、どのように達成していくつもりなのか、現状の認識を伺います。
〇千葉総務部長 令和10年度までの収支均衡予算の実現に向けましては、事務事業評価等を踏まえた歳出水準の見直しとともに、あらゆる手段で歳入確保に取り組んでいく必要がございます。
 令和5年度当初予算編成においては、あらゆる手段による歳入確保に努め、電気事業会計からの繰入金の拡充、ふるさと納税のさらなる魅力化、基金の長期資金運用の拡充などに取り組んだところです。
 その結果、財源不足額を前年度から40億円程度圧縮して86億円とし、第2期行政経営プランの令和5年度における目標額100億円以下の水準を達成いたしました。
 今後におきましても、第2期行政経営プランに掲げる収支均衡予算の実現に向け、不断に行財政改革に取り組んでまいります。
〇名須川晋委員 財政目標の達成と施策の優先順位についてであります。
 持続可能で安定的な財政基盤の構築の必要性は認めるものですが、財政基盤はあくまでも施策を実施していく上での手段であり、その目的は、適切な施策について時宜を得た予算の裏づけが伴うこと、あるいは激甚化、頻発化している災害への対応、コロナ禍で明らかになった新興感染症などへのリスク対応を踏まえれば、これら財政目標の達成が困難になる事態も想定され、その際、この目標達成のために必要な事業が制約されてはならないと考えます。知事の御見解を伺います。
〇達増知事 名須川晋委員御指摘のとおり、新たに掲げた財政目標は、持続可能で安定的な財政基盤の構築に向けた方策の一つであり、県政運営にとって重要なことは、安定した財政基盤のもと、人口減少対策などの中長期的な施策を推進しつつ、臨機応変に原油価格、物価高騰や災害などの直面する危機を乗り越えるための対策を講じ、県民一人一人に寄り添った支援を進めていくことであります。
 そのような観点から、令和4年度においては、これまで構築してきた安定的な財政基盤のもと、県独自の財源である一般財源も活用しながら、令和4年8月の大雨被害に対応した災害復旧や、原油価格、物価高騰対策として、中小企業者や農林水産事業者等への累次の支援策を講じてまいりました。また、令和5年度においては、全国に先駆けて、子育て世帯への経済的支援施策を充実させるなど、大胆な重点措置を行ったところであります。
 現段階において財政目標の達成が困難となることは想定していないものの、財政の硬直性や財政制約によって真に必要な施策が制約されることがあってはならないとの認識に立ち、財政目標の達成に向けた取り組みを通じて持続可能で安定的な財政基盤を構築し、あらゆる施策によって将来にわたって住民福祉の増進を図ってまいります。
〇名須川晋委員 次に、財政状況及び財源確保について伺います。まずは退職手当についてでございます。
 義務的経費のうち人件費について119億円ものマイナスを計上しておりますが、この要因は制度的なもの、公務員の定年引き上げにより、令和5年度は、理論上、定年退職者が発生しないことによる影響が大きいと聞いております。
 制度上、2年に1歳ずつ、最終的には65歳まで定年が引き上げられるわけですが、令和5年度に退職しなかった方は、令和6年度に61歳で定年を迎えることになり、今年度に比べて大きく退職手当が増加するものと見込まれます。
 その変動幅をどの程度と見込んでいるのでしょうか、あわせて、どのように対策を講じていくのか伺います。
〇千葉総務部長 令和5年度当初予算における退職手当につきましては、定年引き上げに伴い、定年退職者が生じないことに伴いまして95億円減、率にして55%減の77億円となっております。
 令和6年度におきましては、61歳で定年退職を迎える職員に係る退職手当が発生すること等により、退職手当は令和4年度並みの170億円程度になることが見込まれております。
 このように、定年引き上げ期間において、定年退職者が発生する年度と発生しない年度の退職手当の支給額に大幅な増減が見込まれることから、国からの助言も踏まえ、先日、設置条例の議決をいただいた退職手当基金を活用し、財政負担の平準化を図ることとしております。
〇名須川晋委員 それでは、将来的な人件費増加の財政影響についてであります。
 将来的な話にはなりますが、65歳まで定年が引き上げられれば、職員の平均年齢は上がり高齢化が進むことになります。組織の健全な新陳代謝のためには、新採用職員についても確保する必要があり、結果として、職員数の増加と高齢化により、人件費が増加し財政運営に影響を与えることは不可避であるように思いますが、この定年の引き上げによる財政影響をどの程度見込んでおり、どのように対応していくのか、当局の見解を伺います。
〇千葉総務部長 名須川晋委員御指摘のとおり、令和6年度以降、定年退職年齢が段階的に引き上げられることに伴い、60歳以上職員の給与費が増加することとなります。
 その影響額は、昨年公表した中期財政見通しにおいて、令和6年度に22億円、令和8年度に47億円と試算しており、その後も増加していくものと見込んでおります。
 この財政負担によって、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる施策の推進が制約されないよう、採用機会や年齢構成の平準化にも配慮しつつ、最適な職員体制の確保に努めてまいります。
〇名須川晋委員 次に、財政調整基金残高の水準についてであります。新たな財政目標のうち、ストック指標である財政調整基金の残高について伺います。
 来年度予算資料によると、令和5年度末での財政調整基金の残高は211億円と見込まれており、財政目標の水準である177億円は確保されております。
 岩手県を取り巻く情勢が不透明さを増す中、機動的な施策の実施、迅速な災害対応に財源の裏づけが必要であるのは理解いたしますが、そもそも177億円という水準を財政目標に設定した根拠について伺います。
〇千葉総務部長 財政調整基金の水準につきましては、国においては一律の基準を設けておらず、過去の取り崩し額、標準財政規模、予算、決算の規模等を踏まえて、各自治体における責任と判断に基づき決定すべきとされております。
 新たに財政目標とした水準は令和2年度末残高の177億円でございますが、これにつきましては、東日本大震災津波の発生後における取り崩し額が120億円であったこと、標準財政規模に対する割合の全国平均が4.2%で、本県の4.5%と同程度であったことを勘案して設定したものでございます。
 本県における適正な水準の検討に当たりましては、持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会における有識者との議論等も踏まえて設定したところでございます。
〇名須川晋委員 財政調整基金枯渇の懸念についてであります。
 知事就任時点で80億円程度の残高であった財政調整基金について、211億円まで確保したことは評価いたしますが、ここ数年は取り崩しが続き減少傾向にあるのも事実です。
 資料によれば、令和10年度に収支均衡を達成するまでに必要な基金残高は200億円と推計され、現在の残高では、不測の事態があった場合、収支均衡を達成する前に基金が枯渇する可能性がありますが、どのように対応するのか伺います。
〇千葉総務部長 財政調整基金につきましては、これまで、予算編成過程において生じた収支ギャップを解消するために取り崩してきた一方で、決算等においては、経費の節減などによる財源を活用した積み立てを行ってまいりました。その結果、基金残高は、平成18年度の80億円から令和5年度当初予算編成後に211億円まで増加したところでございます。
 現在策定中のいわて県民計画(2019〜2028)第2期行政経営プランにおきましては、令和10年度当初予算における収支均衡予算の実現に向けて、各年度における基金取り崩し額の目安を指標として設定しております。
 この指標どおりに基金を取り崩した場合、令和10年度までに200億円を取り崩すこととなる一方で、財政目標として、財政調整基金残高の現行水準の維持も設定しておりまして、今後におきましても、予算編成や執行段階において歳入の確保や経費の節減などに努め、基金の枯渇が生じないように積み立てを行ってまいります。
〇名須川晋委員 当初予算の重点項目のうち、人口減少対策について伺います。まず、子育て世帯への経済的支援の重点化の意図について伺います。
 令和5年度当初予算案においては、自然減、社会減対策として、昨年度から16億円増となる217億円もの予算を確保しておりますが、今回の施策で目立つのは、子育て世帯への経済的支援の創設に踏み出したことであります。
 所得制限を設けずに、実質上、第2子以降の保育料を無償化しているのは大分県のみで同じく第2子以降の在宅育児に対して支援金を支給している都道府県は例がありません。つまり、この両事業を合わせて子育て世帯への経済的支援を制度化する都道府県は岩手県のほかなく、極めて先進的な内容となっております。
 今回の子育て世帯への支援のうち、特に経済的支援という部分に重点化した知事の意図を伺います。
〇達増知事 国の出生動向基本調査によりますと、理想の数の子供を持たない理由として、子育てなどに係る経済的負担が最も多くなっているほか、県が行った県民意識調査においても、子育てがしやすいと感じない理由として、子供の教育、子育てに係る費用が上位となっており、子育て世代における経済的負担の軽減は、最優先の課題と認識しております。
 このため、令和5年度当初予算案において、全国でも先進的な事業として、第2子以降の3歳未満児を対象とした所得制限を設けない保育料無償化や在宅育児支援金を盛り込んだほか、不妊治療に要する交通費の助成や妊産婦を対象としたアクセス支援の拡充、医療費助成の高校生等への現物給付の拡大、経済的に困窮している高校生等への大学等進学支援に向けた奨学金の創設などの新たな経済的支援策を盛り込みました。
 これらの施策を通じて、全国トップレベルの子供子育て環境をつくり、希望する全ての県民が、経済的な制約等にとらわれずに、安心して子供を産み育てられるようにしてまいります。
〇名須川晋委員 市町村との共同宣言の取りまとめについてであります。
 子育て世帯への経済的支援の実施については、市町村を通じた間接補助の仕組みをとっており、全県を挙げた対策の実施には、オール岩手で全市町村に取り組んでもらうことが重要であります。
 現在、全市町村との人口減少対策の強化について、共同宣言の実施に向けて取り組んでいると承知しておりますが、県が施策化した事業への市町村の参画促進、共同宣言の取りまとめにかける知事の意気込みについて伺います。
〇達増知事 名須川晋委員御指摘のとおり、人口減少対策の実を上げるためには、市町村と県が連携し、民間の参画も得ながら、オール岩手で取り組んでいくことが重要であります。
 令和5年度当初予算案に盛り込んだ子育て世帯への経済的支援の実施については、各市町村の判断にはなるものの、出生数減少の主な要因である経済的負担の軽減につながるものであり、県としては、全県的な実施に向けて引き続き働きかけてまいります。
 また、令和5年度はいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのスタートであり、国が異次元の少子化対策を表明していることもあり、この機を捉え、本県としても、取り組みをもう一段強化する必要があると認識しております。
 市町村と県が、これまで以上に連携を深め、県全体で取り組みの方向性を広く共有し、各主体の関心を高め参画を促すことを目的に、市町村とともに共同で取り組む方向を明らかにしていきたいと考えており、今後、市町村の御意見も伺いながら進めてまいります。
〇名須川晋委員 新規事業に充当する財源の確保についてであります。
 第2子以降の保育料無償化や在宅育児支援金の支給は、一般財源により実施されています。さきの一般質問において、当会派の岩渕誠議員から、制度の恒久化の取り組みとして、県としての決意と覚悟を読み取ることができるとの指摘があり、私もそのとおりだと考えます。
 一方で、この2事業だけを見ても5億円を超える財源が投じられており、成果の発現までの時間軸を考慮に入れれば、制度の恒久化に向けて、安定的な財源確保が毎年度必要になってくるものと考えます。
 国の異次元の子供子育て施策がどこまで、どのようなウイングを広げるのか現時点でははかりがたいものがありますが、県として、この財源を確保していくという取り組み姿勢が不可欠と考えます。
 これらの新規事業の実施に必要となる安定的な財源確保の方策はどのようなものか、現時点での考えを伺います。
〇千葉総務部長 出産や子育てに係る支援施策の実効性を高めていくためには、総合的で息の長い取り組みが必要であり、継続的かつ安定的な財源の確保が重要であります。
 そのため、令和5年度当初予算編成におきましては、安定して高い収益性を維持している電気事業会計からの繰り入れを拡充するとともに、市場が拡大しているふるさと納税のさらなる魅力化、基金の長期資金運用の拡充など、比較的安定して歳入として見込める手法により独自の財源を確保いたしました。
 県としましては、引き続き、あらゆる歳入確保策について検討を尽くし、財源の確保に努めるとともに、国に対しましては、本県独自の取り組みに対する財政支援の拡充や出産や子供子育てに係る全国一律での経済的支援の量的、質的拡充等につきまして、全国知事会等とも連携して求めてまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、名須川晋委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
 名須川晋委員、御了承お願いいたします。
午前10時59分 休憩
午前11時12分再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇名須川晋委員 次に、社会減対策と自然減対策の一体的な実施について伺います。まず、社会減対策について伺います。
 先日発表された総務省の人口移動報告によれば、コロナ禍で一旦縮小した東京一極集中の流れが再び拡大に転じ、岩手県の転出超過は4、373人と大きく増加に転じており、中長期的というより、人口の社会減は目の前の危機と言っても過言ではありません。
 せっかく他県と比較して有利な制度を構築したのですから、この自然減対策を社会減対策にも活用することを提案したいと思います。
 県の経済的支援策の強化は、進学、就職の際のライフプランを考えてもらう上で重要な検討材料になりますし、U・Iターンを考えている方の背中を押す施策でもあるのではないかと考えます。
 県の人口減少対策の強化につながる提案だと思いますが、当局の考えを伺います。
〇小野政策企画部長 人口減少の要因は多岐にわたり、その背景は複雑に絡み合っていることから、自然減、社会減それぞれの対策は重なる部分も多く、相互に連動させることで、より効果的になるものと考えます。
 こうしたことから、県では、いわてで生み育てる支援本部の自然減対策といわてで働こう推進本部の社会減対策、双方の取り組みの相乗効果が発揮されるよう、人口問題対策本部会議におきまして、全庁挙げた取り組みの強化を図っているところでございます。
 名須川晋委員御指摘のとおり、本県が令和5年度から実施しようとしております子育て世帯への経済支援を初めとした他県に比して先進的な自然減対策は、本県独自の魅力であり、いわば武器となって、若者の地元就職やU・Iターンの促進等につながり、社会減対策にもなり得ることから、市町村と連携して積極的に情報発信を行うなど、より効果的な施策の展開を図ってまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 次に、若年層転出への対策についてであります。
 今回の人口移動報告によれば、これまでと同様、10代、20代の転出が目立ちます。進学、就職に伴うこの層の転出は、出生率低下の大きな原因でもあり、特に、県南部で顕在化する人手不足という構造的な課題の原因でもあります。
 特に、この進学、就職に伴う若年層の転出について、令和5年度当初予算案でどのような対策を新規に講じようと考えているのか伺います。
〇達増知事 若年層の県内就職をふやしていくためには、小学生段階から、保護者を含めて、県内の企業や産業状況を理解していただき、子供たちみずから、将来のライフデザインを考えるためのキャリア教育を充実させていくことが重要と考えております。
 こうした考えのもと、小学生向けの企業見学会や中学生向けの職場体験活動、高校生向けにはワークショップや企業説明会、就職促進情報誌の配布、大学生向けには職場体験プログラムなどを実施し、小学校から大学まで、県内企業の魅力等を伝える取り組みを行っております。
 令和5年度当初予算案において、新たに、保護者向けのインターンシップセミナーの開催や受け入れ企業のプログラム充実への支援の取り組みを盛り込みました。
 また、若者や女性に魅力ある雇用、労働環境の取り組みを進める企業を対象に、アドバイザーの派遣や、取り組みの実現に必要となる経費の補助なども行うこととしています。
 加えて、若者の起業、スタートアップ支援の取り組みを強化し、本県を舞台に、若者や女性が、さまざまなビジネスや社会活動の分野で、それぞれの思いやアイデアを形に変えていく環境を構築していくこととしております。
〇名須川晋委員 若者の移住促進の取り組みについて伺います。
 県外の若者に本県で生活するメリットをPRすることや、求人情報の提供や職業紹介という商工労働観光部が所掌する範囲の情報提供だけではなく、知事がみずからおっしゃられているとおり、全国トップレベル水準の子育て環境がある岩手県として、子育て世帯への経済的支援や医療費助成の高校生等への現物給付の拡大、高校生への大学等進学支援のための奨学金制度など、若者の結婚、出産、子育てといったライフステージにおける岩手県での暮らしの優位性についても、あわせてPRすることを提案いたしますが、当局の見解を伺います。
〇菊池副知事 移住を希望する人が移住先を決めるに当たって重要視することは多岐にわたっており、名須川晋委員御指摘のとおり、今回整備する各部局のさまざまな施策は、本県への移住を促進する上でのアピールポイントになると考えております。
 こうしたことから、多様な暮らしを選択できるという岩手県ならではの魅力の発信に加え、今後は、御提案いただいた移住支援策、支援金を初めとした各種の支援策など、岩手県で暮らす優位性や岩手県での起業への手厚い支援、さらには、市町村における特徴的な取り組みなどを総合的にアピールする場として、首都圏等の移住相談窓口はもとより、各種移住イベントや移住ポータルサイト、移住ガイドブック、首都圏等の大学と連携したU・Iターンクラブなど、さまざまな機会を通じ、強力にPRを展開してまいります。
〇名須川晋委員 社会減対策にかける知事の思いについてであります。
 コロナ禍により顕在化した東京一極集中による新興感染症への脆弱さを背景とした地方回帰の人の流れは、その収束とともに逆戻りし、先ほども述べましたが、社会増減の水準は、2019年とほぼ同じ水準にまで減少が拡大してしまいました。
 第2期岩手県ふるさと振興総合戦略においては、2024年の社会増減ゼロを目指すこととしておりますが、極めて達成が困難な状況と言えるのではないかと考えます。
 この状況において、今回の令和5年度当初予算案への重点措置も含め、社会減対策にかける知事の思いを伺います。
〇達増知事 県ではこれまで、いわてで働こう推進協議会を核として社会減対策を推進してきたところであり、高卒者の県内就職率の上昇や移住、定住者数の増加につながったものの、全国的に東京一極集中に歯どめがかからず社会減が続いております。
 このため、令和5年度当初予算案において、高校生、大学生等の県内就職やU・Iターンの促進に向けた取り組みの拡充、若者、女性に魅力ある雇用労働環境の整備に向けた取り組みの拡充、産業DXの促進やリスキリングの推進、経済的に困窮している高校生等への大学等進学支援に向けた奨学金の創設、県内で起業等を希望する若者、女性を対象とした開業資金貸付制度の創設などの新規事業等を盛り込み、予算の重点化等を図りました。
 また、今般のニューヨークタイムズ紙の2023年に行くべき52カ所に盛岡市が掲載されたところでありますが、記事の内容にある、執筆者のクレイグ・モド氏の旅のスタイルは、交流人口、関係人口の増大につながるものであり、このチャンスを生かしてまいりたいと思います。
 さらに、社会減ゼロの達成には、東京一極集中の是正が不可欠でありますことから、国に対し、地方重視の経済財政政策の実施を引き続き強く働きかけてまいります。
 県として、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのもと、市町村や関係団体等と連携し、岩手県をベースに誰もが活躍できる環境づくりを進め、オール岩手で社会減対策を強力に推し進めてまいります。
〇名須川晋委員 それでは、GXへの重点化の意図について伺います。
 GX-グリーントランスフォーメーションについてであります。
 県は、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画において、2030年度の温室効果ガス57%削減という国の目標を上回る高い目標設定のもと、脱炭素社会の実現を目指しています。
 前年度当初予算においてもGXの推進は重点事項に挙げられておりますが、今回の令和5年度当初予算案では、その約2倍となる120億円の事業費が確保されており、取り組みの大幅な進展が期待されるところであります。
 まずは、昨年度に引き続きGXの推進を重点事項とした知事の意図について伺います。
〇達増知事 GXの重点化についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)第2期政策推進プランでは、人口減少対策に最優先で取り組むこととしており、温室効果ガス排出量の2050年度実質ゼロに向けた機運の高まりなど、社会経済情勢の変化も踏まえ、GXの推進を重点事項の一つに掲げております。
 これにより、温室効果ガス排出量の2050年度実質ゼロに向け、再生可能エネルギーの導入促進や森林資源の循環利用の推進など、地域経済と環境に好循環をもたらす持続可能な新しい成長を目指しながら、誰もが住みたいと思えるふるさとを次世代に引き継いでいこうとするものであります。
 このため、令和5年度当初予算案において、脱炭素化に向けた推進体制の構築、家庭、産業・業務、運輸等の各部門における温室効果ガス排出削減の取り組み支援、水素ステーションの導入支援、電気自動車等の普及促進などを盛り込むとともに、温暖化防止いわて県民会議を中心に、県民、関係機関、団体が一体となった県民運動を強化していく考えであります。
〇名須川晋委員 GX関連の新規事業についてであります。
 国では、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた実行計画として、2021年6月にグリーン成長戦略を策定しており、その中では、2030年代半ばに乗用車の国内新車販売を電動車に限定することが盛り込まれております。
 また、去る2月14日、EU欧州議会では、2035年に域内でガソリン車やディーゼル車の新車販売を事実上禁止する法案を採択しており、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車も販売禁止となる極めて厳しい、我が国の自動車産業にとっても影響の大きい内容です。
 本県のハイブリッド車や電気自動車等、いわゆる次世代自動車の保有車両率は東北でも第5位の22.7%と、全国の25.5%に比べてかなり低い水準にあり、しかも、その大半はハイブリッド車やクリーンディーゼル車という欧州議会では禁止されているカテゴリーの車種となります。
 今回の令和5年度当初予算案には、前年度に引き続き水素利活用による再生可能エネルギー推進事業が6、400万円計上されているのに加えて、新規事業としてEV等普及促進事業費が1億400万円計上されており、その事業効果の一日も早い発現が期待されます。
 水素にせよEVにせよ、普及促進には充電のためのインフラ整備が必要ですが、事業が対象とする設備及び事業に期待する効果、スケジュールについて伺います。
〇八重樫副知事 広大な県土を有する本県において、移動手段としての自動車は県民生活に欠かせないものであることから、脱炭素化を進めるためには、運輸部門における温室効果ガス削減対策が重要であると認識しています。
 このため、これまで実施してきた燃料電池自動車や水素ステーションの導入、電気自動車と充放電設備などの一体的導入に対する補助に加え、令和5年度当初予算案において、EVタクシーやEVバス、充放電設備などの導入に対する補助を行うEV等普及促進事業費1億400万円を新たに計上したところです。
 走行距離が多いタクシーやバスのEV化は、化石燃料由来の温室効果ガスを削減する効果のほか、県民が環境性能にすぐれた次世代自動車に触れる機会をふやすことによる波及効果も期待されることから、早期の効果発現を目指し、新年度の早い時期に募集を開始できるよう取り組んでまいります。
〇名須川晋委員 続いて、カーボンニュートラルポートの取り組みについて伺います。
 県では今年度、久慈港、釜石港において、カーボンニュートラルポート形成に向けた計画の策定に着手したのを皮切りに、令和5年度当初予算案において、宮古港、大船渡港での計画策定に向けた経費として4、000万円を措置するなど、県の重要港湾全てで計画策定を進めるとのことです。
 この計画では、各港湾で発生している温室効果ガスの現状を調査し、削減目標、取り組み、水素、燃料アンモニア等の供給目標や計画を取りまとめることになりますが、全国で最も先進的な取り組みを進めている横浜市では、来年度、公共岸壁としては全国初となる陸上電力供給設備を整備し、停泊中の船舶のアイドリングを停止し、温室効果ガスを削減する取り組みを具体化します。
 本県での取り組みの方向性、計画期間について伺います。
〇八重樫副知事 物流や産業の拠点である港湾において、脱炭素化の取り組みを推進することは重要と認識しており、本県の重要港湾4港において、港湾脱炭素化推進計画を策定し、官民連携による脱炭素化の推進を図ることとしています。
 計画には、脱炭素化の基本的な方針、計画期間、脱炭素化に資する取り組み、実施主体などを盛り込むこととしていますが、その実施に当たっては、港湾利用者の取り組みが重要であることから、臨海部に立地する企業や物流事業者などで構成する推進協議会を設置し、検討を進めることとしています。
 久慈港と釜石港においては、令和5年2月に協議会を設置し、第1回の会議を開催したところであり、今後、港湾利用者を対象とした二酸化炭素排出量などの調査を実施するとともに、その結果や協議会での意見も踏まえ、取り組みの方向性などを検討してまいります。
〇名須川晋委員 このカーボンニュートラルポートの取り組みは、インフラの脱炭素化への配慮という極めて重要な視点を含んでいるものと考えます。
 この取り組み自体は、将来的なLNG燃料船の普及促進など、船舶の低、脱炭素化をにらんだ海事分野での取り組みとなりますが、道路や全てのインフラにおいて、ライフサイクル全体でのカーボンニュートラルを目指しつつ、持続可能な経済としての好循環をつくっていく社会資本整備のあり方が求められると認識しています。
 脱炭素社会の実現に向けたグリーントランスフォーメーションを進めつつ、必要な公共事業を実施し、社会インフラの維持を求めていく視点が必要だと考えますが、当局の見解を伺います。
〇八重樫副知事 社会経済活動を支える基盤である道路などのインフラストックの老朽化が加速する中、今後増大する維持管理、更新において、インフラの長寿命化や省エネ、再エネ設備の導入促進により、ライフサイクル全体での脱炭素化に向けた取り組みを推進する必要があると認識しています。
 このため、長寿命化計画に基づく橋梁やトンネルなどの修繕のほか、道路や空港等におけるLED照明の導入による省エネ化、ICTを活用した工事の普及、拡大による省力化、下水熱を利用した熱供給による再エネ化などに取り組んできたところであります。
 国では、低炭素材料の活用促進や環境負荷低減に係る技術開発を進めており、県としては、これらの動向を注視しながら、引き続き、ライフサイクル全体での脱炭素化に向けた取り組みを推進してまいります。
〇名須川晋委員 次に、グリーンボンド発行によるコストメリットについてであります。
 昨年9月定例会でも取り上げましたが、私は、持続可能な岩手県をつくるべく、これまで環境対策を目的としたグリーンボンドの発行に努めることを提言してまいりました。
 令和5年度当初予算案では、本県単独で50億円、共同債で20億円、計70億円程度の発行を予定しているとのことであり、発行について検討していくとの当局の答弁が、施策として結実したことを評価いたします。
 都道府県に限定すれば、昨年12月末時点で8道府県のみが発行しており、東北6県では初となる先行的な取り組みであり、本会議では、グリーンボンドに対する投資需要が旺盛で、資金調達コストの軽減が期待できるとの答弁がありました。
 グリーンボンド発行のメリットである、いわゆるグリーニアムについての答弁だと理解いたしましたが、まず、期待される資金調達コストの軽減の見込みについて伺います。
〇千葉総務部長 現在の金融市場におきましては、通常の市場公募債に比べグリーンボンドの発行時の利率が低くなる、名須川晋委員御指摘のグリーンプレミアム-いわゆるグリーニアムのことでございます-が発生しておりまして、その差は令和5年2月時点で0.02%となっております。
 仮に、現在の利率差で10年の満期一括償還方式で50億円発行した場合、機械的に試算いたしますと、単年度で100万円、10年では1、000万円の利払い軽減となる見込みでございます。
〇名須川晋委員 グリーンボンド発行のスケジュールについてでございます。
 グリーンボンドの発行には認証機関による認証が必要であり、プロジェクト全体の管理、脱炭素効果の評価等のハードルがあることは理解しておりますが、現時点の発行時期の見通しについて伺います。
〇千葉総務部長 グリーンボンドの発行時期についてでございますが、外部認証の取得まで速やかに進んだ場合には、最速で、ことし夏ごろの発行が可能であると見込んでおります。
 具体の時期につきましては、他団体の発行時期や市場動向等も踏まえつつ検討していくとともに、発行時期が固まり次第、速やかにアナウンスしてまいります。
〇名須川晋委員 グリーンボンドのIR活動についてであります。
 私が発行時期の見通しを伺ったのは、この岩手県初となるグリーンボンドのIR-インベスター・リレーションズ、PR活動について、県内を中心に行うべきではないかと考えるからです。発行時期がある程度明確になることで、県内事業者の資金運用のめどが立てやすくなります。
 県内では、例えば岩手銀行が、脱炭素経営に取り組む法人を対象とした最長10年間、最大1.0%の利子補給を行ういわぎん脱炭素応援ローンを令和4年9月に創設するなど、地域の脱炭素化を進める取り組みが始まっています。
 一方、県内企業の中には、地域社会の脱炭素化へ貢献することが企業価値向上につながる潮流を理解しながらも、取り組みの具体化に悩む企業や、そもそもどのように取り組むべきか決めかねている企業も少なくないと感じます。
 県の第2次岩手県地球温暖化対策実行計画においても、県民会議や地域協議会、事業者、市町村との連携、協働体制を構築することが効果的であることが記載されており、私は、機運醸成のためにも県内での販売を主体とするべきと考えておりますが、当局の見解を伺います。
〇千葉総務部長 県内におけるグリーン社会実現に向けた機運醸成を図るためには、名須川晋委員御指摘のとおり、県内でのグリーンボンド販売を通じて、より多くの県内法人等の参画を募ることが重要であると考えております。
 そのため、より購入しやすい金融商品とすべく、他団体の事例を参考に、購入単位の小口化-三重県では1、000万円程度としております-それから、償還年限を短期に、例えば5年で設定するなど、販売方法の工夫について現在検討しております。
 また、販売に当たっては、一般に投資家に対して実施しているIR活動に加え、本県の各種広報ツールも活用しPRするなど、広く周知に努めてまいります。
〇名須川晋委員 次に、ブルーボンドについて伺います。
 海洋と沿岸の保全強化や汚染のない水資源の増加を図る事業を対象とするこの債券は、世界的に見ても、まだ歴史が浅く、東アフリカ沖にある115の島から成るセーシェル共和国が、2018年に世界初のブルーボンド発行で約20億円を調達したのを皮切りに、翌2019年には、北欧投資銀行-NIB、2021年のアジア開発銀行-ADBなどが続きましたが、依然として黎明期にある印象を持ちます。
 全国自治体で発行事例がないのはもちろん、国内では、昨年10月にマルハニチロが50億円を発行した事例にとどまります。
 このように、極めて先進的な取り組みに本県がチャレンジすることとした意図、意義について伺います。
〇達増知事 ブルーボンドについてでありますが、現下の金融市場では、グリーンボンドなどの特定の事業に使途を限定する債券について、投資需要が旺盛で金利の優位性が増しており、県内法人等の参画による政策推進に向けた機運醸成や資金調達コストの軽減が期待できます。
 さらに、本県は、先人の知恵と努力により守り育ててきた世界に誇れる水資源を有しており、これを将来世代に引き継ぐ取り組みをアピールすることは、政策理念の共感を訴求する効果がより期待されることから、さらなる機運醸成やコスト軽減を図るため、全国自治体では初となるブルーボンドを発行することといたしました。
 政策の推進を下支えする財政基盤の構築に向けて、今後においても、既存の歳入確保策にとらわれず、あらゆる選択肢について検討を尽くし、実行に移してまいります。
〇名須川晋委員 次に、コロナ禍で停滞を余儀なくされていたインバウンド再開を見据えた観光施策について伺います。まずは、台湾便、上海便の運航再開についてでございます。
 3年以上にわたって運航休止していた花巻空港と台湾を結ぶ国際定期便について、令和5年5月10日の再開が予定されております。本県におけるインバウンド誘客のかなめであり、観光関係者の期待も大きいものがあります。
 次は上海便の運航再開が待たれる状況ですが、運航再開に向けた動向及び県の取り組み状況について伺います。
〇熊谷ふるさと振興部長 昨年末の中国国内における新型コロナウイルス感染症の感染状況の悪化に伴い、入国時検査の実施や受け入れ空港の制限など、中国からの入国者に対する水際措置が強化された影響等により、現在まで、地方空港においては、チャーター便を含め中国からの直行便は運航再開されていない状況でございます。
 一方、国においては、これまでの水際措置における知見の蓄積や各国の水際措置の状況等を踏まえ、令和5年3月1日以降、水際措置を一部緩和しており、中国からの直行便についても、検疫体制等を確認の上、地方空港への受け入れ及び増便を認めることとされております。
 中国からの観光客については、コロナ禍前は、台湾に次いで県内宿泊者数が多く、県内経済への波及効果も期待できますことから、引き続き、水際措置の緩和状況等も踏まえつつ、航空会社の動向等について情報収集に努めるとともに、必要に応じて現地を訪問するなど、航空会社や旅行会社に対して運航再開を働きかけてまいります。
〇名須川晋委員 通告しておりませんけれども、台湾便の予約が始まっているかと思うのですが、もし把握されていれば、その予約状況についてお知らせください。
〇熊谷ふるさと振興部長 大変申しわけございません。手元にその予約の状況がございませんので、答弁は差し控えさせていただきます。
〇名須川晋委員 インバウンドの推進についてであります。
 令和5年度当初予算案には、いわてインバウンド推進強化事業費、いわてインバウンド新時代戦略事業費、合わせて6、000万円の予算が計上されておりますが、令和5年5月10日の台湾便の再開に向けて、すぐにでも観光誘客の取り組みに着手する必要があります。
 県としてどのように取り組むのか、インバウンド観光振興について伺います。
〇菊池副知事 令和5年5月10日からのいわて花巻空港花巻-台北線の運航再開への対応としまして、早速、先月から台湾の主要旅行会社を招請し、改めて県内観光地のリサーチを行うとともに、県内観光事業者との商談会を開催し、旅行商品造成などの準備を進めているところでございます。
 令和5年度当初予算案においては、国際定期便運航再開に合わせた誘客促進のため、海外の現地旅行会社との共同広告、東北観光推進機構や東北各県等と連携した現地でのPRイベントや国際旅行博出展など、集中的なプロモーションを展開することとしております。
 また、県内のインバウンド観光消費額の拡大を図るため、いわて花巻空港を利用し、県内で宿泊する旅行商品に対し支援を行うこととしております。
 今後とも、地元市町村や事業者、関係団体とも連携しながら、いわて花巻空港を活用したインバウンド誘客に取り組んでまいります。
〇名須川晋委員 付加価値の高いインバウンド誘客についてでございます。
 先日、上京した際、このコロナ禍でほとんど見かけることがなかった外国人の方々の姿を多く目にし、アジア、欧米のインバウンドが、次第に復活しつつあることを実感いたしました。今後、定期便の就航が再開すれば、本県におけるインバウンド誘客も本格化するであろうと期待が膨らみます。
 その際、これから求められるのは、安近短からの脱却、特に安の部分であろうと考えます。地元の皆さんが安価に利用できる施設は確かにありがたいのですが、個人旅行を中心に、その場所でしかできない体験に多くの付加価値を感じる客層、特に富裕層の取り込みについて、県として取り組みを加速させる必要があると考えます。
 県内でも、私の地元である花巻市の花巻温泉郷9事業者17施設を初め、安比高原及び八幡平温泉郷エリア、つなぎ、鶯宿、盛岡県央エリアにおいて、観光庁の地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化事業に採択され、ブランディングの専門家や経営コンサルタントなどのサポートを受けながら、地域観光の高付加価値化に向けた取り組みを進めている地域があります。
 この事業で地域計画を策定すると、宿泊施設の高付加価値化の改修に1億円を上限とする支援が受けられるなど、個別の事業者の経営にとっても大きな魅力がある制度であり、県としても、この事業の活用を促進しつつ、インバウンドの復活に備えた地域観光の高付加価値化を進めるべきと考えますが、当局の見解を伺います。
〇菊池副知事 名須川晋委員御指摘の宿泊施設などの改修と観光消費の高いコンテンツの整備といった、ハードとソフト両面から高付加価値化を図る取り組みを進めていくことは重要であると考えております。
 まず、ハード面においては、客室の高級化を初め、さまざまな施設等の差別化を図っていくことも重要であり、名須川晋委員御指摘のとおり、現在、花巻温泉郷や八幡平温泉郷などでは、国の事業を活用した改修等の事業が進められており、今後も、こうした取り組みの普及を図ってまいります。
 ソフト面では、地域の産業や文化、自然、食、スポーツなど体験型のコンテンツが最近注目されておりますことから、県ではこれまで、宿泊と体験や食などを結びつけながら、地域が一体となって、観光消費拡大につながる付加価値の高い観光地域づくりの取り組みを支援しているところでございます。
 また、国の新たなソフト支援事業を活用し、今般の2月補正予算で議決いただきました2023年に行くべき岩手推進事業費により、ニューヨークタイムズで取り上げられた盛岡のまち歩きや岩手ならではのわんこそば、県内三つの世界遺産といったコンテンツを活用するなど、特別な体験を提供し、観光の高付加価値化を進めているところでございます。
 こうした取り組みを通じ、地域のDMOや市町村などと連携しながら、地域の観光消費を高め、観光で稼ぐ地域づくりを進めてまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 何か次の質問の答弁と合わさったような気がしましたが、通告どおりに質問いたします。
 インバウンド誘客の強化についてでございます。
 さきに令和4年度2月補正予算で議決された2023年に行くべき岩手推進事業費は、国の補正予算を活用し、1億円の予算で外国人観光客の誘客、周遊促進を図ろうとするものです。時宜を捉えた予算事業でありますが、令和5年度当初予算案と一体的に実施、運用することで、より高い成果を上げることに努めるべきです。
 それぞれの事業で想定しているターゲットも含め、具体の運用について伺います。
〇菊池副知事 御配慮ありがとうございます。先ほどは、ソフト事業の展開例の一つとして取り上げさせていただきました。
 今般の令和4年度2月補正予算で議決いただきました2023年に行くべき岩手推進事業費は、インバウンド誘客のコンテンツ造成やウエブサイトを活用したプロモーションの展開などにいち早く事業着手できるよう、国の経済対策を活用し措置したものであります。
 また、令和5年度当初予算案に盛り込んだいわてインバウンド推進強化事業では、海外の現地旅行会社との共同広告や国際旅行博出展などを行うことにより、名須川晋委員御指摘のとおり、それぞれの事業と連動させながら、インバウンド誘客の取り組みを強化していく考えでございます。
 事業展開のターゲットという御質問でございますが、2023年に行くべき岩手推進事業費におきましては、ニューヨークタイムズに取り上げられましたような盛岡市、そして岩手県全体が有するすぐれた生活、文化、空間、味わいなどを楽しんでもらうことを想定し、欧米市場の個人旅行客を主要なターゲットとしつつ、こうした点に魅力を感じる国内在住の外国人の皆さん、そして、全国の皆さんにも訴求していこうと考えているところでございます。
 また、いわてインバウンド推進強化事業費におきましては、当面は、国際定期便再開が予定されている台湾の団体旅行客が主要なターゲットとなっておりますが、今後期待される航路再開などによって広がる、主にアジア市場のターゲットも想定しているところでございます。
〇名須川晋委員 通告しておりませんが、私の出番では最後の質問をさせていただきますけれども、経済新聞に、大手旅行エージェントのJTBの山北社長のインタビュー記事が載っておりました。コロナ禍前とその後の変化ということで、DXで個人の多様な旅ニーズに対応可能になったこと、ウエルビーイングを追求する旅スタイル、旅行グループの少人数化、言語や海外決済の壁を下げるツールによるボーダーレス化、環境意識の高まり、働きながら休暇も楽しむワーケーション、こうした6項目のコロナ禍前とその後の変化があるのではないかとの分析がございました。
 先月は、国が観光推進立国基本計画2023年から2025年までの素案を出しております。持続可能な観光、消費額の拡大、地方誘客促進というこの3点が大きく盛り込まれております。
 本県では、みちのく岩手観光立県第3期基本計画が2019年度から2023年度までということで、来年度いっぱいになりますけれども、こうしたコロナ禍前とその後の変化、そして、国の今般出された基本計画の素案をとらまえた、みちのく岩手観光立県基本計画について、どのように策定、取り組んでいくか、最後にお伺いして、私の質問を終わります。
〇菊池副知事 非常に壮大な御質問でございまして、もちろん当局といたしましても、国の動向については当然把握しつつ、来年度計画策定に向けて、委員の皆様方の御意見をいただきながら策定していこうと思っているところです。
 まさに、コロナ禍、そしてコロナ禍の先という見据え方をすると、JTBの社長の意見を活用されて、名須川晋委員が御指摘されたとおり、そういう六つの視点が重要になってくると思います。実は現計画におきましても、四つの大きな視点で、地域において観光をどう回し、稼ぐ観光地づくりをしていくかという取り組みをしてきたわけですが、特に個人客を中心とした、そして富裕層を中心とした海外からの入り込みをどうふやしていくか、どう訴求して引っ張ってくるかといったことも計画の中心になると思います。
 地域一帯が観光を通じて活性化していく、そうした道しるべが見えるような計画策定に向けて、来年度しっかり取り組んでいく考えでありますので、よろしくお願いいたします。
〇名須川晋委員 ありがとうございました。(拍手)
〇佐藤ケイ子委員長 次に、柳村一委員の質疑に入るのでありますけれども、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時56分 休憩
午後1時2分再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。柳村一委員。
   〔柳村一委員質問者席に着く〕
〇柳村一委員 名須川晋委員に引き続き質疑させていただきます。
 令和5年度当初予算案の重点項目のうち、DX-デジタルトランスフォーメーションについてお伺いします。
 DXは、昨年度に引き続き重点項目に指定され、事業費としては9億円増の44億円が確保されています。産業振興を初め、人口減少に起因する人手不足などの課題解決に全県を挙げてのDXの推進は急務であることは確かですが、県議会では、県庁内のDXのおくれについて取り上げられるなど、足元でのDXの活用が進んでいないのではないかと懸念されます。
 まず、令和4年度に重点項目に設定したことにより、庁内DXはどのように進展したのか、その成果についてお伺いします。
〇千葉総務部長 庁内DXにつきましては、岩手県庁働き方改革ロードマップに基づき、これまで取り組んできた職員1人1台端末のノート型パソコンへの更新や、モバイル閉域網によるテレワーク環境を生かすため、令和4年度に電子決裁・文書管理システムの導入、運用を行い、ペーパーレス化等による業務の効率化が進んできたところでございます。
 また、こうした取り組みに加え、財務会計システムを初めとする庁内基幹業務システムにつきまして、書面を中心としたアナログ業務を前提に構築されていることから、システム最適化に向けた調査分析を行い、更新後のあるべき姿などを明らかにしてきたところでございます。
〇柳村一委員 今いろいろと御答弁されておりますけれども、この成果による経費削減などの具体的な効果と、それを受けて令和5年度はどのように取り組むのかお伺いします。
〇千葉総務部長 職員1人1台端末のノート型パソコンへの更新やテレワーク環境の整備などに伴いまして、業務の効率化が図られ、柔軟な働き方ができる環境が整備されたところでございます。
 現在、県では、これらデジタル技術の活用に取り組んでいるところでございまして、本年度上期における複写枚数の比較でございますが、マイナス15%になっております。
 それから、行政サービスのオンライン化の前提となる押印手続につきまして、知事部局で全3、629手続がございますけれども、3、427の手続、全体の94.7%を見直しの対象としまして、このうち令和3年度末で、3、016手続の見直しが完了したということでございます。
 それから、来年度でございますけれども、来年度の当初予算案におきましては、DXを推進するため、庁内基幹業務システムの最適化の一環として、専用端末での操作を必要とする財務会計システム及び給与システムにつきまして、職員1人1台端末からアクセス可能とする改修を行うといったようなことを取り進めていきたいと考えております。
〇柳村一委員 数字で言うと結構いろいろ進んでいるように伺いますけれども、財政的な効果みたいなものは実際あらわれているものなのでしょうか。その辺、いかがですか。
〇千葉総務部長 財政的な効果ということでいいますと、なかなか難しいところでございますが、今のところ、先ほど申し上げたペーパーレスの削減効果、それから押印手続の簡略化といったところでございますので、金額的にということが、今、お答えすることが難しいところでございます。
〇柳村一委員 DXは、便利になってきても、その効果がなかなかあらわれにくいと思いますので、令和4年度よりも、令和5年度はさらに推進されるようにお願い申し上げたいと思います。
 同様に、市町村や民間業者のDXの推進についてお伺いします。
 今までどのような発展があったのか、令和4年度に重点化したことによる成果についてお伺いします。
〇熊谷ふるさと振興部長 各市町村では、令和7年度を目標とした基幹業務システムの標準化に着手し、国の仕様に基づく業務の分析や改善に取り組んでおります。あわせて、窓口の電子化による手続の簡素化や母子手帳のアプリ化など、デジタルを活用した住民サービスの向上を進めております。
 県では、特に小規模自治体を対象として、DX推進計画の策定でありますとか、AI、RPAツール-ロボティック・プロセス・オートメーションツールの導入に向けた課題整理などを支援することで、全市町村における自治体DXの着実な推進に取り組んだところでございます。
 また、民間事業者のDXについてでありますが、建設業でのRPAによる定型事務の自動化、農業でのロボット技術導入、医療介護分野でのICTを活用した遠隔見守りなど、各分野において取り組みが進められております。
 県では、こうした動きをさらに促進するため、商工指導団体を通じた中小企業への専門家派遣でありますとか、スマート農業技術の導入に向けた現地研修会の開催などに取り組んでおります。
 加えて、今年度、新たにいわてDX大賞を創設し、優良事例を表彰するなど、先進的、モデル的な事例として普及拡大に努めております。
 今後も、こうした取り組みを拡充しDXを進めてまいります。
〇柳村一委員 民間などは、やはり事業をやっていく上でDXはもう必要なアイテムになっていると思いますし、県庁内もどんどん進んでいくと思いますけれども、懸念されるのが市町村ですね。マンパワーが少ないところに、いかに有効に活用できるかということがあると思いますので、県庁が主導した上で市町村の支援等をやりながら、全県にわたってDXを推進していただきたいと思います。
 次に、方向性や課題についてお伺いします。
 現在策定が進められている岩手県DX推進計画最終案によれば、来年度から2026年度までを対象とし、行政、産業、社会、暮らしの分野でアジャイル型の取り組みを進めることを基本目標としているようであります。
 この分野での技術動向、技術の進展の速度を考えれば、特に産業分野や社会、暮らしの分野においてアジャイル型の取り組みを進めることは適切なのだと思いますが、会計年度独立の原則の中で、毎年度予算を編成している行政の手法とアジャイル型の取り組みの相性は、余りよくないのではないかと考えます。
 官民連携組織での取り組みを進めるにしても、これまでのやり方では、組織体が大きくなり、関係者の合意形成に時間を費やすことが懸念されます。この課題に対しては、特定の手法における補助事業等について、県が予算を丸抱えして支援する方式ではなく、柔軟に資金を分配できる民間業者の取り組みを奨励しつつ、各分野におけるパイロット事業等を実証事業的にさまざま実施していく手法がよいのではないかと思います。
 刻々と変化する環境、課題に的確に対応していくため、取り組みの手法についてどのような枠組みを想定しているのかお伺いします。
〇熊谷ふるさと振興部長 DXの推進に当たりましては、デジタル技術やデータを活用し、できることからすぐに取り組みを始めることや、各分野の先進事例を共有、活用することで取り組みを深化、加速化させることが重要であると考えております。
 国におきましては、デジタル田園都市国家構想交付金を創設し、他の地域等で既に確立されている優良なモデルやサービスを迅速に横展開するよう支援しており、本県におきましても、令和5年度も引き続き、本交付金を積極的に活用し、県及び市町村の新たなデジタル実装に取り組むこととしております。
 先進事例の共有としては、産学官金で構成するいわてDX推進連携会議を設置し、新たなDXの展開に向けてオール岩手で取り組んでおり、本会議のもと、農業、商工業、教育、行政及びデジタル活用支援、そして、来年度新たにデータ利活用のための部会を設置して、刻々と変化する環境の中で生じる課題やニーズに対応し、柔軟かつ横断的に取り組んでいくよう支援してまいります。
 また、各分野のDXを推進するためには、データやデジタル技術を駆使した新たな価値を提供する人材の育成、確保が不可欠でございますので、研修会や各業界の要望等を踏まえたセミナーの開催などに取り組んでまいります。
〇柳村一委員 ITシステムの開発でよくこのアジャイル型とかと言われているのですけれども、ITでも、やはりウオーターホール型とかスパイル型とか、事業によってさまざま使い分けているようですので、県としても、このアジャイル型に特化するのではなく、その事業事業に合ったような方式で事業展開をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 次に、財源確保の取り組みについて、伺いたいと思います。
 四つの重点項目への予算の重点措置について、事業ベースで1、060億円、新規分に82億円措置していると聞いておりますが、新規事業のうち一般財源の所要額について、まずお伺いします。
〇千葉総務部長 重点事項に係る一般財源の所要額についてでありますが、令和5年度当初予算案においては、子供子育て環境の充実など四つの重点事項に対して、事業費ベースで1、060億円、このうち新規事業として82億円を措置いたしました。この82億円のうち、一般財源は21億円となっております。
〇柳村一委員 21億円ということで、昨年度は121億円の財政調整基金を取り崩して収支不足を埋め合わせるなど、県の予算の財政不足は恒常化しているという認識です。
 今年度の財政調整基金の取り崩しは86億円まで大幅に縮小したことは高く評価しますけれども、先ほど名須川晋委員の質疑の中で、子供、出産については、継続的で安定的な財源確保が必要ですという形で答弁されておりました。新規事業の財源を確保しつつ、収支不足を縮小させるために実施してきた財源確保の方策について、具体的にどのようなものか答弁をお願いします。
〇千葉総務部長 財源確保の方策についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランに掲げた四つの重点事項の推進のため、予算編成過程において、あらゆる歳入確保策に取り組んだところでございます。
 具体的には、デジタル田園都市国家構想交付金や脱炭素化推進事業債を初めとする有利な地方財政措置を最大限活用しつつ、本県独自の財源確保策として、電気事業会計からの繰り入れの拡充により11億円、ふるさと納税のさらなる魅力化により7、000万円、基金の長期資金運用の拡充により5、000万円など、一般財源ベースで約22億円の財源を確保したところでございます。
〇柳村一委員 22億円、さきほどの21億円とほぼ一緒ですけれども、その中で、今、独自の財源を確保するということで答弁がありました、ふるさと納税で7、000万円というところについてお伺いします。
 東北地方では、山形県が24億円を超える突出した水準で財源確保しているのに対し、本県の令和3年度の実績は1.7億円程度であり、財源確保としては今後伸ばしていける余地があると考えます。
 この制度で本県から失われる税収の額はどの程度になり、先ほど述べた1.7億円の収入を考慮したふるさと納税全体の収支は、どの程度になるのかお示しください。
〇熊谷ふるさと振興部長 令和3年度に本県が受け入れました1億7、000万円余から、募集に要した経費の約4、000万円を除いた増収額は1億3、000万円余となっております。
 一方、ふるさと納税を行った県民の控除申告に伴う県民税の控除額が5億円余であり、前年度に減少した県民税の75%である2億8、000万円余が普通交付税で措置されるものの、減収額は2億2、000万円余となります。
 ふるさと納税による増収額1億3、000万円余から減収額2億2、000万円余を差し引くと、約9、000万円の減収となっているものと推計されます。
〇柳村一委員 9、000万円の赤字ということでよろしいですね。
 ふるさと納税のこの制度の是非は別として、1億円近く赤字があるのであれば、少なくとも県からの財政流出について埋め合わせをすることには、早急に取り組むべきではないかと思います。
 県内事業者からの返礼品の掘り起こし、庁内における魅力あるプロジェクトの創出が必要ですし、何よりも、ふるさと納税をきっかけに、岩手県に関心を持ってもらった方々や岩手県の政策に共感してくれる方々とのつながりを維持していくための取り組みの強化も必要と考えます。
 組織としての体制強化も含めて、来年度以降どのように取り組むつもりなのかお伺いします。
〇熊谷ふるさと振興部長 ふるさと岩手応援寄付につきましては、制度を通じて県の施策をPRし、多くの方々から共感をいただく有効な手段として活用を図ってまいりました。
 これまで、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた県内事業者の販路確保を支援するため、返礼品目の数を約4倍にふやしたほか、定期便型返礼品の実施や、利用するふるさと納税ポータルサイトを一つから四つにふやすなど、寄附受け入れの拡大を進めてきたところでございますが、ふるさと納税制度が広く浸透し、年々利用者が増加する状況を踏まえると、より多くの方に共感いただくためには、ふるさと岩手応援寄付のさらなる魅力化が必要であると認識しております。
 これを踏まえ、来年度におきましては、寄附者への訴求力が高い寄附項目の設定、より多くの事業者が返礼品の提供に参画できるような体制の導入による返礼品の質、量の充実、ポータルサイト運営事業者と連携した返礼品の開発促進、県内の宿泊施設や体験施設で利用可能なポイントを付与する返礼品の活用促進、関連部局と連携したクラウドファンディング型ふるさと納税の活用推進など、さらなる魅力化に取り組むこととしております。
 全庁での連携を強化しながら、引き続き、ふるさといわて応援寄付を岩手ファンの裾野拡大に向けたツールとして活用しながら、県の施策の理解促進や魅力の発信に取り組んでまいります。
〇柳村一委員 さまざまなことを一生懸命やろうというような意思は伝わるのですけれども、実際問題、ふるさと納税にかかわっている職員は何名ぐらいでやっているのか、おわかりでしたらお知らせください。
〇熊谷ふるさと振興部長 当部地域振興室が担当しております。実際担当しております職員が3名でございます。
〇柳村一委員 3名で今言ったさまざまな事業ができるものでしょうか。もし本当にやるならば、ふるさと納税単独の組織をつくって、もっともっと取り組まなければいけないと思いますし、聞くところによると、ふるさと納税の返礼品に対してのクレームだけで1日終わったり、そういう自治体もあるようですので、その辺、もう少し組織的に強化して取り組んだほうがいいと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇熊谷ふるさと振興部長 先ほど御答弁申し上げた取り組みに際しましては、現行の体制で対応してきたところでございますし、ポータルサイトの運営事業者とも連携を強化しつつ、県庁内の各部局とも、返礼品の内容の充実でありますとかクラウドファンディング型の導入など、さまざま連携をとりながら対応していきたいと思っております。
〇柳村一委員 先ほども中長期的な安定財源が必要だという話をされておりますので、せめて、この赤字を解消して、その上にふるさと納税が少しでも県の財政にプラスになるような取り組みを進めていただきたいと思います。
 次に、いわての森林づくり県民税についてお伺いします。
 いわての森林づくり県民税を活用した事業は、実施期間5年を1期として実施してきており、令和4年は4期目の2年目となっております。
 この県民税は、1年間の税収が約7億円である一方、令和3年度までの基金残高が約23億円となっており、私はこれまで、有効活用の方法を考えるべきであると言ってきました。
 4期目では、活用方法として環境重視の森林づくりで2事業、森林と共生で4事業を新たに加えるなど、事業内容を拡充して取り組むと聞いておりましたが、まず、令和4年度における本県の県民税の活用及び基金残高の見込みについてお伺いします。
〇菊池副知事 まず、いわての森林づくり県民税につきましては、公益的機能の高い森林への誘導を行う間伐や公益上重要な伐採跡地への植栽などを行ういわて環境の森整備事業費補助、地域の住民が主体となって里山の間伐等を行う県民参加型の森林づくり促進事業費補助など11の事業を実施しておりまして、その活用額は12億1、600万円余となっております。
 令和4年度末の基金残高は19億5、300万円余を見込んでおりまして、前年度に比べ4億5、000万円余の減と見込んでおります。
〇柳村一委員 今回は少し減ったという部分には、今度開催される、第73回全国植樹祭いわて2023の部分も入っているわけで、きちんと有効に活用しているかどうかはしっかりと検証していかなければいけないと思いますし、今後、議論になると思います。林業に携わっている方でも、使い勝手が悪いという話もございますので、その辺ももう少し考えながら、基金に残すのではなく、使ってもらうような形にしていただきたいと思います。
 次に、いわての森林づくり県民税の使途についてお伺いします。
 昨年、いわての森林づくり県民税の使途を拡大し、グリーン社会の実現への取り組みにも活用していくべきではないかと言いましたけれども、当局からは、県民税の趣旨、目的の見直しや条例改正等の検討も必要なことから、県民を初め、県議会、市町村の意見も聞きながら議論を進めたいとの回答でありました。
 持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書において、森林づくり県民税の用途拡大について、県の重点テーマとして、グリーン社会の実現などの行政需要の変化や森林環境税の創設等の動きを踏まえると、条例の趣旨や目的の見直しも含めて検討する時期が来ていると考えられると指摘されておりますが、昨年より1年間でどの程度議論が深まったのか、県民税の使途についての検討状況についてお伺いします。
〇菊池副知事 県では、外部有識者等で構成するいわての森林づくり県民税事業評価委員会を今年度4回開催しておりまして、県議会の議員を初めとする御意見を踏まえ、今後の使途拡大等について検討を進めているところでございます。
 委員からは、第4期の取り組みを着実に進め、拡充した取り組みの成果を評価した上で検討していく必要があるといった御意見や、林齢が若いうちに除伐などの森林整備を進め、人工林の荒廃を予防してはどうかといった御意見があるところでございます。
 また、市町村からは、市町村の森林環境譲与税のみでは森林の管理や整備に限界がある。防災の観点からも、管理不十分な森林の整備や公益上重要な伐採跡地の植栽など、県民税の取り組みが必要であるなどの御意見をいただいているところでございます。
 令和5年度は、第4期県民税の中間年となることもありますので、これまでの取り組みを市町村の譲与税の活用状況も参考に評価しながら、今後の県民税や譲与税の使途等について、評価委員会、市町村等からの意見をいただくこととしております。
 こうした意見を踏まえ、県民税の使途拡大を含めた今後のあり方について、検討を進めていく考えでございます。
〇柳村一委員 まだ4期目までは検討を重ねるという形でよろしいのでしょうか。でも、実際、林業に携わっている方からも、使い勝手が悪いという指摘があるような制度でございますので、まず、その林業に特化してでもいいので、使い勝手のいい県民税にしていただきたいのと、やはり、先ほど名須川晋委員のときにも知事が話されていましたけれども、GXの取り組みがこれから重要になってくることを鑑みれば、いわての森林づくり県民税をそちらのほうに使うという方向性もあってもいいのではないかと思います。
 次に、電気事業会計の経営状況についてお伺いします。
 令和5年度当初予算案においては、先ほど電気事業会計からの繰り出しにより10億円以上の財源確保が図られたとおっしゃっておりました。令和4年度2月補正予算においても、電気事業会計の純利益は16億円を超える見通しとのことで、昨年同期を4億円以上上回る好調な経営の状況がうかがえます。電気事業関係者の経営努力に敬意を表します。
 また、本県が持つ再生可能エネルギーのポテンシャルが、十分に発揮されていると感じております。
 ロシアのウクライナ侵攻により電気料金が極めて高水準になるなど、電気事業を取り巻く環境は不透明な要素が多いのですが、世界的な脱炭素の流れの中で、本県のグリーン電力へのニーズは、今後一層増大すると考えています。
 今後の経営についての見通し、特に純利益の推移について、どのような見通しをお持ちなのかお伺いします。
〇菊池副知事 企業局長期経営方針におきましては、再生可能エネルギーによる低炭素社会の形成や地域社会の発展等への貢献を基本理念とし、この方針のもと、中期計画を立て、新規開発や各施設の老朽化、強靱化対策などを実施して、発電能力の維持、拡大に努めているところでございます。
 企業局においては、これら事業運営に要する経費全体を10カ年分ほど計算し、毎年度、見通しを立て経営しておりますが、昨今の資材不足や物価上昇の影響もあり、必要費用は増加している傾向にあると聞いています。
 一方、収入の基盤となる売電契約は2年ごとに更新しており、その契約に当たっての最低価格は、先ほど御説明しました電気事業の維持、運営に要する経費を算定基礎としているところでございます。
 電気事業会計における来年度の収支は、令和5年度までを期間とする現契約のもとで、胆沢第二発電所の再開発に伴う費用の増加等はありますが、平年並みの気象状況の場合、6億円余の純利益を見込んでいるところでございます。
 令和6年度以降は、公募型プロポーザルにより新たな契約を結ぶことになりますが、仮に現在の売電単価水準のままであった場合、中期的には、各年度平均すれば同程度の純利益は見込めるとのことでございます。
 なお、現契約のプロポーザル実施時点に比べ、現在の電力市場価格はおよそ2倍となっております。仮に売電単価が上昇した場合には、経費は増加傾向にはありますが、次期契約期間中の純利益は拡大方向にあるという旨の報告を受けているところでございます。
〇柳村一委員 16億円に比べて、来年度以降は6億円ぐらいだけれども、電気料金に上乗せすれば上がっていくよということ。これは、県にとっては一般財源に入れていただけるというありがたい財源でありますので、企業局には頑張っていただきたいと思います。
 そこで知事にお伺いしたいのですが、安定的に好調な経営を続ける電気事業会計からの繰入金は貴重な財源と見られ、昨年度同期よりも好調な純利益の見込みを見れば、今後、人口減少やGXに関した施策の財源として繰り入れが期待されますが、電気事業に対する知事の見解をお伺いします。
〇達増知事 地方公営企業は、地方公営企業法第3条において、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならないとされています。
 電気事業においては、地球環境に優しいクリーンな電力の安定供給とともに、高い収益性を背景として、平成30年度からは、企業経営を通じて生じた利益について、震災復興、ふるさと振興施策に対して繰り出すなど、地域貢献施策を通じた県民への還元を図り、地域社会の発展と県民福祉の向上に寄与してきたところであります。
 令和5年度当初予算編成においては、グリーン社会の実現に資する施策への財源として繰り出し額を大幅に増額するなど、GX推進に対する電気事業の役割はますます大きくなっていると認識しております。
 エネルギーをめぐる状況は不透明感を増しており、電気事業の経営状況を含め注視していく必要がありますが、グリーン社会の実現に向けて、クリーン電力の安定供給や繰出金の拡充など、電気事業がより一層大きな役割を果たしていくものと期待しております。
〇柳村一委員 知事が言うように、GXの推進や、例えば2030年再生可能エネルギーの電力自給率66%で、2050年には100%にするといったときに、岩手県の企業局の役割がとても重要になってくると思います。
 そこで、今からどんどん事業をやっていっても遅くはないと思いますので、今後、知事も叱咤激励しながら、企業局に頑張ってもらうように、よろしくお願いします。
 次に、安全・安心な地域づくりの重点化の意図についてお伺いします。
 令和5年度当初予算案において、新たに安全・安心な地域づくりを重点項目とした意図について、知事にお伺いします。
〇達増知事 安全・安心な地域づくりの重点化についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)第2期政策推進プランでは、人口減少対策に最優先で取り組むこととしており、多くの人々が、住みたい、働きたい、帰りたい、訪れたいと思える岩手県をつくっていくため、その前提として、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震を初めとした大規模自然災害や、新たな感染症などに備えていく必要があることから、重点事項の一つに掲げているところであります。
 令和5年度当初予算案においては、本県最大クラスの地震・津波被害想定を踏まえた沿岸市町村が行う避難対策支援など、今後起こり得る巨大地震津波や大規模災害への対応、新興感染症などへの対応、盛り土等の安全性の確保対策、鳥獣被害対策などを盛り込み、リスク発生時に的確に対応できる安全・安心な地域づくりを推進してまいります。
〇柳村一委員 昨年度までと状況が大きく異なる点として、日本海溝、千島海溝を震源とする地震による本県最大クラスの津波被害想定が公表されたことにより、東日本大震災津波からの復興で得た教訓を、さらなる巨大災害への備えとして活用、生かしていく必要が迫られる点があります。
 新規事業として地震・津波対策緊急強化事業費が計上されておりますが、この事業について、この教訓はどのように生かされて事業化されるのかお伺いして、終わります。
〇佐藤復興防災部長 平成24年2月に公表いたしました東日本大震災津波に係る災害対応検証報告書では、未曽有の被害につながった要因の一つとして避難行動の問題点を上げておりまして、津波規模の過小評価や防潮堤、防波堤などへの過信などによる油断、家族の安否確認のための一時帰宅などにより、避難開始時間がおくれたことなどを指摘しています。
 また、昨年9月に公表いたしました岩手県地震・津波被害想定調査報告書では、県民一人一人の避難意識の向上や迅速な避難などの取り組みにより、人的被害を大幅に減らすことができることを示したところでございます。
 このように、津波から身を守るためには、直ちに、より安全な場所に避難することが何よりも重要であることから、令和5年度当初予算案に、沿岸市町村によるソフト対策を対象とした本県独自の支援制度を新たに盛り込んだところでございます。避難ビルの指定に必要な調査など新たに必要となる防災対策、住民の防災意識の向上に向けた研修会の開催など津波防災の普及啓発、地域ごとの避難計画の作成など自主防災組織を核とした地域の取り組み促進など、津波被害による犠牲者ゼロを目指すための取り組みを支援することとしたところでございます。
〇柳村一委員 終わります。(拍手)
〇佐藤ケイ子委員長 質問者席の消毒のため、しばらくお待ちください。
 次に、米内紘正委員。
   〔米内紘正委員質問者席に着く〕
〇米内紘正委員 自由民主党の米内紘正でございます。会派を代表して総括質疑をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、令和5年度当初予算案についてお聞きいたします。
 令和5年度当初予算案においては、重点項目として、人口減少対策、GX、DX推進、安全・安心な地域づくりが掲げられ、中でも人口減少対策に係る事業費として217億円が予算案に計上されております。
 まずは、人口減少問題に対する知事の課題認識についてお聞きいたします。
 達増知事におかれましては、今任期におきまして、人口減少問題に対してどの程度の課題認識であったのでしょうか。令和5年度当初予算案に掲げられているように、最優先課題として取り扱われてきたのか、また、今任期中どのような取り組みを行い、それらはどのような具体的な結果に結びついてきたか、また、これから結びついていくと想定されるのかお聞かせください。
〇達増知事 今任期初めのころを振り返りますと、平成26年、2014年以降、まち・ひと・しごと創生法に基づく国を挙げた地方創生の取り組みが5年続いていたものの、むしろ東京一極集中は加速し、出生率も全国的に低下を続けていました。
 こうした状況の中で、岩手県では、従来、ふるさと振興総合戦略で推進してきた施策に加え、平成31年3月に、幸福をキーワードに掲げて策定したいわて県民計画(2019〜2028)のもと、目の前の危機である人口減少問題を大きな課題と捉え、人々の暮らしや仕事を起点に、より一層、県民一人一人に寄り添う施策を展開するようにしたものであります。
 加えて、令和2年3月には第2期ふるさと振興総合戦略を策定し、自動車、半導体関連産業の一層の集積等に伴う雇用の場の確保と高校生の県内就職率の上昇、移住、定住者の着実な増加、全国でも上位の地域おこし協力隊の任期後の県内定住率の高さなどの成果に結びつけてきたところであります。
 今任期は、おおむねいわて県民計画(2019〜2028)第1期アクションプランの計画期間と重なりますが、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催に伴う投資が増大し、首都圏の有効求人倍率が本県を上回る状況下で、新型コロナウイルス感染症や物価高騰などの世界的な危機に相次いで見舞われ、合計特殊出生率の低下や東京一極集中の再加速などにより、全国的に人口減少に歯どめがかからない状況があります。
 そのような中にありましても、ニューヨークタイムズ紙の2023年に行くべき52カ所に盛岡市が掲載されたことが一例でありますが、岩手県の魅力は高まってきており、今回の記事が一つのきっかけになり、全国、世界に広く伝わっていくことで、今後、県内各地域で交流人口、関係人口の増大につながることが期待できます。
 こうした機会も生かしながら、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのもと、人口減少対策をより強化してまいります。
〇米内紘正委員 具体的な結果についてでございます。人口減少問題において、その具体的な数値としてあらわせるもの、減ったか減っていないか、自然減がどうなったのか社会減がどうなったのか。それは、4年ではなくてもいいです。この15年、16年の取り組みの中でもいいですけれども、その数字についてお聞かせください。
〇達増知事 自動車、半導体関連産業の一層の集積等に伴う雇用の場の確保、雇用の数の増大、そして、高校生の県内就職率が70%台に入ってきていること、移住、定住者についても増加しており、また、地域おこし協力隊の任期後の県内定住率も、全国の中でも上位になっております。
〇米内紘正委員 その結果、どうなったのでしょうか。
〇達増知事 今、取り組んだ結果の数字ということで、先ほど述べたようなことをお答えいたしました。
〇小野政策企画部長 先ほど知事から取り組みの成果について答弁申し上げましたけれども、その結果として、人口減少にどのような効果があったかといったことでございます。
 まず、自然減関係につきましては、やはり取り組みは進めておりますけれども、基本的に、岩手県の基調が、高齢化といったことで死亡者数の増加、その中で出生数につきましては減少傾向にあります。特にコロナ禍を踏まえて、近年、出生数については大幅に減少している状況にあります。
 それから、社会増減につきましては、内外の経済の状況によってかなり変動がございまして、知事就任前は6、000人といった社会減の状況にありましたけれども、その後、社会減対策を進める中で4、000人、3、000人と改善しつつありました。ただ、一方で、例えば東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会といった中での東京圏における経済、景気の上昇等によりまして、このタイミングでまた社会減が進むといったこともございます。
 また、近年のところでは、コロナ禍の関係もございまして、マイナス2、000人ぐらいまで改善しておりますけれども、直近のところでは4、000人を超える社会減になっているといった状況でございます。
〇米内紘正委員 知事演述の中でも、1番目に、これまで取り組んできた成果として、社会減が6、000人台から4、000人台になったと出てくるということは、一番の成果だと思っていると思うのですけれども、その認識でよろしいですか。
〇達増知事 成果ということで、先ほどはどの程度の課題認識であったか、そして、どのような取り組みを行ってきて、どのような具体的な結果に結びついてきたかという質問でありました。具体的な結果としての成果についてお伺いであれば、先ほどのような、高校生の県内就職率の上昇とか、移住、定住者の増加といったことになるわけでありますけれども、知事演述の中で、この4年間、さらには過去16年間を大きく振り返った中での特徴的な変化を述べる場合には、大きな岩手県の人口の統計について述べるのが一つの成果と言えると思います。
〇米内紘正委員 わかりました。6、000人は、演述にあったとおり、そこはいろいろな項目、具体的な取り組みの結果として、大きな社会減の減少幅につながったというのが知事の認識だというところだと思うのですけれども、今回、人口減少問題を最優先に取り上げて予算編成に組み込む。昨年も重点テーマの一つに人口減少問題があったのですけれども、それにおいて、何かほかの事業との違いはあるのでしょうか。
〇達増知事 今回、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランということで、今後4年間の中期的な取り組みの中でも最優先課題としての位置づけをし、また、今、国もデジタルトランスフォーメーションの推進でありますとかグリーントランスフォーメーションの推進でありますとか、さまざまな新しい施策の方向性を示しているのですが、そういったものも、岩手県においては、人口減少対策の一環としてデジタルトランスフォーメーションやグリーントランスフォーメーションも取り込めるようにする。
 また、自然災害や感染症対策-感染症対策というのは、ここ3年間で、特に新型コロナウイルス感染症が出てきて注目されているわけですけれども、そういったこともまた、しっかり対応することで人口減少対策になっていくと位置づけをしつつ、市町村との連携についても強化して、オール岩手での取り組みをさらにもう一段高めていこうということであります。
〇米内紘正委員 それで、最優先として扱うことによって、県庁の中でのほかの事業との違い、例えば、しっかりと指標をそこに組み立てをして、ほかの、全部検証はするのですけれども、より深く検証するとか、何かそういう違いはあるのですか。ただラベルを張っただけということですか。
〇小野政策企画部長 来年度当初予算案におきまして、重点項目といったことで人口減少対策を掲げております。これを踏まえて、どのようにこれを検証していくのかということですけれども、県といたしまして、人口問題対策本部会議を設置しております。この中で、自然減、社会減双方につきまして、それぞれ本部会議を設けておりますけれども、これらを統合といいますか合わせた形で、その中で数字的なものも含めて検証していくことが重要と考えております。
 本年度につきましても、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの策定、それから、来年度当初予算案の策定に当たりましては、データを重視いたしまして、まず、今課題としては自然減対策であろうと。その中でどこがポイントなのかといったことで、特に30代女性の出生に係る部分が極めて重要であると。これは自然減対策のみならず、社会減も合わせてやることでより相乗的な効果が期待できるということで、まずスキームを組み立てております。
 これを踏まえて、来年度につきましても、それぞれの指標がどうなっているのかをしっかりチェックしながら、その検証を進めてまいりたいと考えております。
〇米内紘正委員 それでは、その次の人口減少対策に係る予算の内訳についてでございますけれども、先ほど申しました217億円のうち、既存の事業と新規事業に切り分けた場合、既存の事業における予算の変化と新規事業の規模をまずお聞かせください。
〇小野政策企画部長 人口減少対策に係る事業費についてでございますが、四つの重点事項の事業費合わせて1、060億円のうち、新規事業分が82億円、継続事業分が978億円となっております。
 新規事業82億円のうち、自然減・社会減対策分が24億円、GXの推進分が5億円、DXの推進分が5億円、安全・安心な地域づくり分が48億円でございます。
 既存分の予算の変化につきましても、個々の事業一つ一つの必要性、それから事業規模等について検討した上で計上しておりまして、例えば、不妊治療の支援につきまして交通費を助成対象に追加するなど、政策評価の結果等を踏まえまして事業費の拡充、縮減等を図り、限られた財源の効果的な活用に努めているところでございます。
〇米内紘正委員 議案の中にも人口減少に割り振られている事業の一覧というものもありまして、それも全部見せてはいただいたのですけれども、これが一体どういう基準で決められているのか。約200億円といっても、ほとんどは既存事業のもので、既存事業で減額されている事業も結構あるわけです。その分新規もあるのですけれども、各部局から出てくる中で、これの基準とかその方針というのは、どういったものだったのでしょうか。
〇小野政策企画部長 まず、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランをつくるに当たりまして、重点項目四つを設定いたしました。それから、それを踏まえまして、令和5年度当初予算案の編成に当たりましては、その重点項目について、第2期アクションプランの考えを踏まえる形で設定しております。
 人口減少問題の要因は多岐にわたっておりまして、背景も複雑に絡んでおりますので、その対策といたしましては、直接的な自然減対策、社会減対策に加えまして、幅広くさまざまな事業に取り組んでいく必要があります。
 重点事項の関連事業につきましては、各部局が予算要求に当たって、先ほどの予算編成に当たりましての重点事項を踏まえて選定しているところでございまして、当政策企画部におきましても、当該事業の概要につきまして確認したところでございます。
 予算公表資料の事業の内容等について一覧でお示ししておりますけれども、スペースの都合もございまして、どこの部分が人口減少対策につながるのかなかなか直接的にわからないといったところについては、おわび申し上げます。再事業ベースで見ると、人口減少対策に資するといったような内容もございます。また、詳細につきましては部審査等で御確認いただければと思います。
〇米内紘正委員 私は、知事が今回最優先で取り組んでいく、そして予算をつけていくという中で、ここの方針が余りにも大ざっぱで、事業に一貫性がないのではないかと。結局、人口減少の詳細な原因とかがわかっていない上に、各部局から出てくる事業をそのまま、人口減少っぽいということでまとめたように見えてしまうのです。
 例えば、世界遺産保存活用事業費とか、ラグビー国際交流推進事業実行委員会(仮称)負担金などがあるのです。それも幅広い意味で人口減少対策になるのかもしれないですけれども、一番最初に知事がお話しされていました交流人口の拡大とかといったところも、まさに人口減少対策に入ってくるかと思うのですが、一覧の中を見ると、この人口減少対策の事業の中に観光は入っていないのですね。観光は、人口減少対策にもなければ、観光に対する事業って全部何か除外されてしまっているのです。これは何か理由があるのでしょうか。
〇達増知事 私が思い出すのは、スポーツクライミングの県営運動公園の施設整備なども地方創生臨時交付金で対応しておりまして、任期の始まりのころで5年間、そこからさらに3年、4年、まち・ひと・しごと創生法に基づく事業をさまざまやる中、スポーツ等地方創生臨時交付金などで対応する事業が、かなり幅広くありますので、そういったことを参考にしながら整備しているところであります。
〇米内紘正委員 幅広くやる分にはいいのですけれども、どうして観光がないのかというところをお聞かせください。
〇達増知事 今までのまち・ひと・しごと創生法に基づき、国の交付金などを活用してやってきた事業を参考にしながら整理したものであります。
〇米内紘正委員 地方創生臨時交付金は観光事業にもいろいろ使っていないですか。
〇小野政策企画部長 地方創生臨時交付金も、従来、観光事業等に使っている内容もあると思います。先ほどの米内紘正委員からの御質問のところで、なぜ観光が書かれていないのかといったことでございますけれども、先ほどもお話し申し上げました四つの重点事項、直接的な自然減・社会減対策、それからGXの推進、DXの推進、安全・安心な地域づくりというような項目を設定しております。
 米内紘正委員お話しのように、人口というのは、言ってみれば究極の総合指標でございまして、最終的には全部当てはまると思うのです。その中で、令和5年度当初予算案を重点化するといった観点から申し上げますと、直接的には自然減対策、それから社会減対策、特にU・Iターンの促進とかといったことについて充てる。それから、GXの推進、DXの推進、安全・安心な地域づくりと、ある程度枠を絞った形で重点化することが必要であると考えまして、従来、もちろん観光事業についても、これは頑張らなければいけないことは当然でございますけれども、今回の重点事項の対象からは外しているといったことでございます。
〇米内紘正委員 世界遺産保存活用事業費、世界遺産登録推進事業費、あるいはいわての民俗芸能活性化交流促進事業費、文学の国いわて推進事業費、こちらが人口減少の重点事業になっていて、それは観光客を呼び込むためなのかと思うのですけれども、本筋の観光が人口減少対策の事業に入っていない。テンプレートというか、交流人口をふやすためには、観光でまず来てもらいましょう。それが定住しますと知事もいつもおっしゃっていたと思うのですけれども、その辺が人口減少対策に入っていないのは、なかなか不思議な重点事項だと思っております。もしかすると、これは、一つのところで統一して基準をつくって、一貫性を持ってこの重点項目をつくったのではなくて、各部局任せで、かなり自由な形でやって、それにそのまま重点項目というラベルを張ったのかと考えざるを得ない。観光が入っていないというのは、そういうことと私は思います。
 そこで、次ですけれども、先ほど少しお話しされていますけれども、人口減少対策の成果と減少の要因です。これまでの予算から、現状の人口減少問題における原因をどのように分析しているか。自然減、社会減において、これまでの分析とどのような変化があったのか、それをこうやって予算案の重点項目として事業に生かしているのかについてお聞かせください。
〇小野政策企画部長 人口減少の原因分析と成果でございます。
 初めに、原因の関係でございますけれども、まず、自然減の拡大。本県では自然減が拡大しておりますけれども、基本的には出生数の減少と高齢化による死亡者数の増加によるものでございます。これは全国的な傾向でもございます。
 平成27年度に策定いたしました岩手県人口ビジョンにおきまして、出生者数の減少の要因については、若年女性人口の減少、有配偶率の低下、有配偶出生率の低下によって引き起こされていると分析しております。本県の場合、進学、就職期に転出する女性が多くなっていること、有配偶率と有配偶出生率が低下傾向にあることが挙げられます。
 こうした傾向に加えまして、新たな要因でございます。コロナ禍による出会いの機会の減少、それから、妊娠、出産控えによる婚姻率と出生率のさらなる低下傾向が挙げられます。
 また、高齢化につきましては、若年層の県外転出と平均寿命の伸長によるものでございまして、本県は全国と比較して、人口に占める高齢者の割合が高くなっております。
 次に、社会増減の関係でございますけれども、本県の社会減につきましては、進学、就職期に県外に転出する若年層が多くを占めておりまして、東京圏との相対的な経済状況の差、経済環境の変化等により変動してきているものでございます。
 これに加えまして、新たな要因でございますけれども、近年はコロナ禍における地方回帰といった効果も若干見られましたが、行動制限の緩和、それから東京圏の景気回復によりまして、社会減が再び拡大し始めておりまして、やはり社会減の抜本的な解決には、地方のみならず国を挙げた取り組みが必要と考えております。
 こうした分析に基づきまして、若年層の県内就職支援、移住、定住促進、結婚支援、子育て世代への経済的支援、働き方改革、産業の集積、高度化による安定した雇用の創出などに取り組んでおります。
 具体的には、i-サポによる結婚支援、市町村と連携した保育環境の整備、いわてで働こう推進協議会を核とした魅力ある雇用環境の整備、自動車、半導体関連産業の集積、県営住宅の活用等によります移住、定住の促進などに取り組みまして、婚姻数の増加、保育所の待機児童の減少、それから、高卒者の県内就職率の向上、移住、定住者の増加などにつながったところではございますけれども、先ほど申し上げました新たな要因が新型コロナウイルス感染症関係等でございます。こういったことに対応するために、ライフステージに応じた総合的な人口減少対策に新たに取り組むとしたものでございます。
〇米内紘正委員 次の質問のところでデータは言う予定でしたけれども、先日、国の出生数が80万人を割ったということでマスコミでも大きく報道されました。都道府県別に見ますと、これは読売新聞の速報ベースのデータでございますけれども、岩手県は出生数6、048人と前年比709人の減。これは率にすると10.5%の減ということで、全国最下位という結果が報じられておりました。やはりこういう全国最下位という数字が出てきてしまうと、それは、ひとえに国が、国がと言っても、では、国のせいで岩手県が全国最下位になって、鳥取県は出生数がほとんど減らなかったのか、そういう論理展開になってしまうわけでございます。
 最初の4年前の一般質問のときから、有配偶出生率や配偶率の分析の件は聞いております。ただ、やはり一歩踏み込んで、では、今、有配偶出生率って岩手県はどれぐらいあって、例えば出生数が前年比で709人減りましたけれども、それがどれぐらい改善するとインパクトがあるのか。その辺まで分析されていると思いますけれども、お聞かせいただけたらと思います。
〇小野政策企画部長 出生数の減少につきましては、先ほど申し上げましたが、さまざまな要因が複雑に絡み合っておりまして、個別の施策による少子化対策の効果を一概にお答えすることはなかなか難しいかと思っております。
 米内紘正委員お話しのように、そこは数字をもってモデル化をして、これによって分析するといったものは政策を進める上で重要であろうといったことで、さまざま文献や先進事例も調べてはいるのですけれども、他県でも、例えば要因、因果関係のために数値を分析してモデル化を図りましたといったようなところはありますが、どういった策を打って、それがどれだけ出生率の向上につながるのかといった件数的な分析までは、至っていないといったことがございます。
 先ほども申し上げましたけれども、やはり人口減少対策につきましては、政策を打って、主要な指標をチェックしながら、これがきちんと働いているのかをトライアル・アンド・エラーの形で見ていくことが重要なのではないかと考えております。
〇米内紘正委員 各事業がどれほどの改善につながっているかということは聞いておりませんで、これまで皆様がずっとお話しされてきた有配偶出生率が原因だと、さまざまな要因がある中で知事もよく言っていました。30代の女性の有配偶出生率が低いと。だから、岩手県は合計特殊出生率が下がっているのだというようなことをお話しされてきましたが、では、それはどれぐらいで、そこが、何かの事業で改善したというのはなくていいです。それがどれぐらい改善すると、結局、率ではなくて、今回、出生数が前年より10%も減ってしまった。でも、鳥取県は減っていないと。では、出生数をしっかり保つにはどうすればいいのか。有配偶出生率がどれぐらい上がれば、それが出生数に歯どめをかけるか。それは、4年前からそのお答えをされているわけですから、誰かしら分析はされているのですか。
〇小野政策企画部長 計量的な分析には至っておりません。
〇米内紘正委員 そうすると、4年間誰もやってこなかったのかと。合計特殊出生率が、例えばどのぐらい改善すると、どのぐらい出生数につながるのか。合計特殊出生率は、各年代の女性の方の出生数の積み上げでございますけれども、そこの目的とか効果がわからなくて、実際、合計特殊出生率が上がったところで、出生数に全く歯どめがかからないという可能性もあると思うのですけれども、その辺まで踏み込んで考えることは、誰かはされてきたのですか。
〇八重樫副知事 県では、人口減少の対策検討ワーキンググループがございまして、そこで本県と人口が似通っている8県、青森県、石川県、奈良県、山口県、愛媛県、長崎県、大分県等との比較をした経緯がございます。その中で、やはり本県の有配偶出生率が低いということを分析しながら、全国に比べて年間総労働時間も長いわけですけれども、そうした中にあって、やはり共働き世帯の妻に家事、育児の負担が偏っているというところを分析しながら、一つ、第2子以降の出生数減の要因としては、そうした働き方改革の部分があるのではないかというところがございましたので、そうした経済的負担の軽減あるいは働き方の改革に向けた対策等も、令和5年度の当初予算案で打ち出しているところでございます。
〇米内紘正委員 やはり現状の有配偶出生率をみんな把握していて、それで、もしかしたら、いろいろな事業によって、労働環境の変化とかによって好転するかもしれない。好転して、それが幾つに上がって、これだけ出生者数がふえました。だから、この事業はどんどん継続していきましょう、拡大していきましょうというのが、本来の事業のあり方だと思うのですけれども、現状の分析ができていない中で事業を継続して、結果どうなりましたかと。最終的な合計特殊出生数を見るぐらいしかなくなってしまいますから、やはりそこは、知事もずっと、先ほどもデータに基づいてと言っているのは、多分口だけで、どなたがデータに基づいているのかが全然わからなくている。
 例えば今、令和2年の合計特殊出生率1.30でしたけれども、そのときの15歳から50歳未満の女性の人口って22万3、000人です。これで1.30です。ただ、女性人口は社会減も相まって相当数、1年で1万人ずつぐらい15歳から50歳未満の女性が減っているのです。そうすると、これがこのままいくと、合計特殊出生率が変わらなかったとしても、2年後には出生数が1、000人ぐらい減ってしまうのです。もしその出生数に歯どめをかけるとしたら、合計特殊出生率が2年後に1.5ぐらいないといけない。0.2ぐらい上げないと子供が1、000人ふえないのです。それぐらい、今、本当に女性の社会減のところが物すごく影響が大きいところでございます。
 そこもしっかり見きわめながら、先ほど令和5年度当初予算案で観光の事業がないと言ったのは、そういう土台の上に今回の重点事項が組み上げられているのかと思って聞いたのですけれども、どうやらそのようではないと。結局、毎年毎年ラベルを張りかえて、それでやっています。そのときは取り上げられるかもしれないですけれども、検証してみますとなったら、その検証体制ができていないわけです。
 知事演述の中で知事が一番最初にこれまでの成果、社会減6、000人台から4、000人台になりました。歯どめがかかっていますとおっしゃっていましたけれども、これは通告はしていないですが、母数となる分母は16年間変わっていないですか。減少数は6、000人から4、000人で、その母数、人口の分母は変わっていないですか。もしわかれば。
〇達増知事 出生数とか数字に着目しますといろいろな要因でそれは変わってきますし、有配偶出生率という数字もそうなのですけれども、まち・ひと・しごと創生法を国がスタートさせたときから、自然減については特殊合計出生率、そして、社会減については社会減の数字をそれぞれ目標に掲げてやっていくとしていたのは、米内紘正委員御指摘のとおり、有効特殊合計出生率が改善されたとしても、社会減で女性が県外に出ていくと出生数は減ってしまう。ただ、その際に、出生数に注目して何か政策をやるというよりは、やはり、まず合計特殊出生率が上がらないところには、生きにくさが背景にあり、その要因を解決することで状況を改善し、そして、住民福祉の向上という自治体のミッションもやることができる。並行して人口の社会減に対しても対応するということで、それに関しても、県内の経済、雇用情勢に原因があり、やはり働き方の問題で、そこには生きにくさがある。
 県内の出生数が大きく減っているのは、出生数そのものよりも、出生率が上がらないという部分と、やはり県外に出ていく人が多いという部分に着目することで、今定例会で述べているような人口減少対策が効果を発揮していくと見込めるものと考えております。
〇米内紘正委員 合計特殊出生率や、知事がずっとお話しされていた有配偶出生率で30代、子育て世代、第2子、第3子の政策に絞って政策を打とうとしているわけですから、そこの動向が把握できずに事業をやったところで、合計特殊出生率はいろいろな要因が絡んできますから、結果もよくわかりませんとなる。
 先ほどの社会減に関してもお答えいただけなかったですけれども、2005年は、国勢調査なので2005年と2020年、知事の期間と大体同じ、15年、16年ですけれども、基本的に社会流出は大体15歳から39歳までで、それ以降は人口はほとんど変わらないのです。
 その中で、2005年は15歳から39歳の人口は38万人、約40万人いたのです。それで、2020年の国勢調査では、これが26万人になっているのです。7割になっているのです。流出するもとの分母が7割になっているのですから、社会減も6、000人から4、000人で7割になっていても、それは成り行きであって、1番目の成果に上げられていましたけれども、その辺はもう少ししっかり中身を見ていかないと、さすがに不安ですね。出てきた数字だけで、これが成果ですというのがまかり通ってしまったら、真実というところが全然わからなくなってしまうので、その辺は、もう少し見ていただいてから演述でも話されたほうがいいのではないかと思うのですけれども、いかがですか。
〇達増知事 2007年にマイナス6、709人と底を打っていたのですけれども、そこに至るまで、2000年代に入って、米内紘正委員御指摘のとおり、県の若者の人口はどんどん減っているにもかかわらず、社会減の数は、当初2、000人ぐらいの水準から、毎年1、000人ぐらいずつふえて7、000人近くまでふえたわけです。ですから、県内の若者の人口が減少していても、社会減がさらに減るということはあるわけであります。それは今もあり得ることなので、それを食いとめていかなければならないということであります。
〇米内紘正委員 私は、知事が演述の中であの数字を出されていたので、そういう見方もあると申したのであって、それを言うと、平成元年は社会減が9、000人ですね。9、000人から、平成7年で300人になったり1、000人になったり、知事が就任した当時は7、000人になったり2、000人になったりただ乱高下しているだけで、ほとんどトレンドはないのです。ただ1点の数字を見ればそうなっているかもしれないですけれども、解析を見たらわかると思いますが、30年でトレンドはむしろ全然変わっていないですから、その辺はどうですか。
〇達増知事 これは、県でも全国と岩手県の有効求人倍率の差の棒グラフと、そして社会増減の折れ線グラフを合わせたものをつくって、あちこちで広めているのですけれども、乱高下している理由は、全国の有効求人倍率と岩手県の有効求人倍率の差が時期によって大きく違うからで、全国の有効求人倍率と岩手県の有効求人倍率の差が大きい、つまり岩手県の景気が全国平均よりも悪い、これは、主として都会の景気がいい場合に、それが顕著になるのです。だからこそ、岩手県は、県内の景気を維持し、できるだけ高め、有効求人倍率も1より上には持っていき、できればさらに上にしていくという施策をとってきているわけであります。
 また、国に対しても、せっかく地方創生で地方が有効求人倍率を高めているときに、東京圏の景気を加熱させると、それでも東京圏に人の流れができてしまうので、その辺を何とかしてほしいということを要望しているわけです。
〇米内紘正委員 基本的には有効求人倍率によって左右されるということは、それに対する政策をとらなければ、一体、有効求人倍率を上げるのか東京をコントロールするのかはわからないです。例えばこれは2021年12月、コロナ禍ですけれども、この辺から見ると、これはずっと全国の平均よりも岩手県のほうが2022年を通じて1年ぐらい上回っているのです。それでも、結局社会減は拡大しているわけです。
 いつも有効求人倍率の差がと言うのですけれども、有効求人倍率って、企業が困って人手不足になるともちろん岩手県は上がりますね。社会減、社会流出してしまうと有効求人倍率はどんどん上がっていってという、そこのところの具体的な事業が、結局、最優先と言っている割に今回の重点項目の中でも見えてこなかったのです。
 そして、いつも言っている、4年前から同じ分析をされていますけれども、本当にそこでとめていていいのかと。結局、国が、国が。もちろん国のやることはたくさんあると思います。でも、ここは県議会ですから、県のやることをやらないと、結局こうやって全国最下位みたいな数字が出てきてしまうわけです。これが、そうではない、全国平均ですというのであれば、それは国の政策によってですねというのはあるかもしれないです。
 例えば、今回富山県もほとんど減っていなかったです。出生数マイナス36人、鳥取県もマイナス2人。知事は、姿勢としては、こういう県を目指しているのか、あるいは出生数は成り行きか。出生数の全国平均は5%ですけれども、今、岩手県はマイナス10%。どちらを目指されているのでしょうか。
〇達増知事 念のために申し上げておくと、有効求人倍率と人口社会増減が因果関係であるかのようにおっしゃいましたけれども、因果関係ではなく、それは相関関係でありまして、背景にあるのは経済、雇用の状況ということが影響を及ぼしていて、近年では、そこにコロナ禍の要因が入ってきているということであります。
 出生数が下がっていくところには、やはりコロナ禍も含め生きにくさというものが岩手県にあり、特に結婚、出産、子育ての年齢になるような女性の方々のさまざまな困難というのが、コロナ禍で岩手県において深刻であったということ、そこにはしっかり対策を講じていかなければならないと思います。
〇米内紘正委員 これは、全国の中で岩手県が特にコロナ禍で大変だったということですか。それはどういうところからわかるのでしょうか。
〇達増知事 既に政策企画部長からも答弁がありましたように、全国に比べて岩手県は総労働時間が長いというところがあります。そして、30代の女性、30歳以上の女性の婚姻率、出生率が全国平均より低いというところもあります。
 そして、さまざま女性の働き方改革、女性活躍促進、担い手となっている方々から、いろいろまだまだ改善の余地があるということも聞いておりますので、そういったところを直していくべきと考えます。
〇米内紘正委員 結局は、ずっとこれが原因ですというところで、それ以降に進もうというのがなくて、普通だったら、本当にこうなのかな、どうなのかなと、普通の組織だったら行くのですよ。もっと、本当にこれが原因なのか、これ間違っていたらどうしよう。大きな方針に影響があるかもしれない。本当はそこを誰かしらがやる部隊だったり、そういうものがあるのですけれども、それがないまま、私も、4年前に質問したときの内容のまま来て、いざ深掘りしてみたら、結局そこから先に誰も行っていなかった。
 私は、これこそが本当に行政のマンネリ化と言うのだろうと思っています。そうしなければ、またラベルを張りかえた事業をやって、結果が出ませんでした、これは国の一極集中のせいです、と言っている間に、例えばほかの都道府県が、こうやって歯どめをかけました、移住政策成功させましたといったら、いつの間にかやっぱり置いていかれてしまう。
 次の世代を考えた場合、ここは誰かがしっかりリードして、もう少しきちんと調べろ、本当にこうなのか。では、それが原因なら、それに対応する事業をやろうという議論が、多分県庁の中でないのではないか。部局から、これやる、これが人口減少対策ですと出てきたものを、そのまま上げてしまう。それで、そのままそれが県議会に出てくるというのが現状ではないのかと思います。
 次に、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランについてお伺いします。
 第2期アクションプランについては、第1期アクションプランと比べて指標が大きく変更となっております。第1期アクションプランが残した成果、その中でもとりわけ成果が大きかったのは、どのような点かお聞かせください。
〇小野政策企画部長 第2期アクションプランにおける指標でございますけれども、基本的な考え方として、具体的推進方策指標でございますが、県の取り組みの成果を客観的に把握するものでございます。第1期アクションプランの取り組みの成果、それから施策のステージが第1期から第2期に移行することなどを踏まえまして、施策を前に進めるために変更した指標、それから、新たに取り組むべき行政課題に対応した指標を設定したといったことでございます。
 具体的に申し上げますと、目標の達成、それから施策の見直しなどにより廃止したものが191指標、新たな行政課題に対応する指標、それから、成果をより適切に反映するために中間アウトカムとしたものなど、新規に設定したものが118指標、その他、対象の縮小、拡大、軽微な変更などが108指標ございまして、全体として、第1期の563指標から490指標となったところでございます。
 例えばといったことで具体的な例を申し上げますけれども、第1期で健康的な食事推進マイスターの養成としていたものを、施策を進めるといったことで、食事推進マイスターによる支援及び指導回数に変更したなど、第1期である程度達成され、第2期では、その一歩を進めるといったことでございますので、当然第1期と第2期では指標の数、内容に変更が生じてくるものでございます。
〇米内紘正委員 進める分にはいいと思います。ただ、やはり190指標ほど変わって、半分までは行かないですけれども、4割ぐらい変わっている中で、本当にがらっと中身が変わったようなものもあります。私もずっとこの指標の件については言い続けていましたけれども、どんなに方針が合っていて理念が正しくても、補助線が違う方向に引かれてしまうと、目的地と全く違うところに着いてしまうのです。だからこれは、間違った指標をつくるぐらいなら指標なんてないほうがいいのです。頑張ろう、とにかく頑張ろうとやるほうがいいのです。でも、つくっているわけですから、つくっているからには、やはり正しいゴールに向かわないといけないと思います。
 その中で、これだけ大きく変更となっているのですけれども、結局、この変更に4年間かかっているわけです。この4年間の時間というのは、PDCAサイクルを早く回さなければいけないというようなところもありますけれども、どう考えていらっしゃるのかお聞かせください。
〇小野政策企画部長 指標の見直しにつきましては、アクションプランの年度期間中であっても必要であれば行うといったことでございまして、今回もコロナ禍の影響等を踏まえまして、期間の途中で変更しております。
 今回大きく変わったのは、米内紘正委員がおっしゃるとおり、アクションプランの4年に1遍の大きなPDCAサイクルの中では大幅な見直しをするといったことでございますけれども、当然それは、社会経済環境の変化に伴って施策の変更が必要であれば、アクションプランレベルについては見直しをしてまいります。
 今回は、途中ではコロナ禍で変えた、4年たったので大きく見直したといったことでございます。
〇佐藤ケイ子委員長 米内紘正委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
 米内紘正委員、御了承お願いいたします。
午後2時30分 休憩
午後2時46分再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇米内紘正委員 それでは、先ほどの第2期アクションプランの指標の件について続けます。
 先ほど、4年で大きく変えて、コロナ禍の中で細かく変えていったとありますけれども、その大きく変えるに当たって重視した点はどのような点か、また、それらの点を重視した理由についてお聞かせください。
〇小野政策企画部長 第2期アクションプランの指標の設定におきましては、関連する上位の目標の進捗に寄与する指標とすること、それから、できる限り施策の成果を適切に体現するアウトカム指標とすることなどを設定の基本的な考え方とし、指標変更を行ったところでございます。それは、政策の目的と手段を精査したロジックモデルを重視しておりまして、政策評価の仕組みに基づくPDCAサイクルをしっかり回していくためのものでございます。
 社会経済情勢に対応しまして、機動的、柔軟に施策を見直し、新たな課題についてはトライアル・アンド・エラーを繰り返して、毎年度、政策手段の見直しを行って効果的な政策推進を図っていくといったものでございます。
 先ほど御答弁申し上げましたとおり、基本的には毎年のPDCAになりますけれども、それから、アクションプランとすると4年ごとのPDCAになりますが、それは大きな変化に応じて随時見直していこうといったもので、指標につきましても、そういった考え方に基づいて変更を図っていくものでございます。
〇米内紘正委員 第2期アクションプランの指標につきましては、第1期に比べたらしっかりアウトカムの数字の目標にはなっているのですけれども、先ほど1項目で述べましたとおり、まず、事業の構築段階で、その事前となる、どういった数字をどう上げるために、どういった事業を行うのか、出生率や社会減に関しては、全国の各市町村がいろいろやっています。そこに聞けば、例えば明石市がどうなっているのか、では、こうしようとか、そこからロジックが始まっていると思います。やはりそうしないと、アウトカムにはなっているけれども、そもそも違う方向に向かっていたということになりかねませんので、そこは、4年に1回ではなくて、もう適宜変えていかないといけないかと思っております。
 次に、人口減少の日本全体の傾向と本県の特徴についてであります。
 人口減少問題における日本全体のトレンドと、先ほども何回か言いましたけれども、他県との数値の差について、自然減、社会減をどのように認識しているのか。差を生み出す原因についてもあわせてお聞かせください。
〇達増知事 人口減少の全国との比較についてでありますが、人口の自然減は全国的な傾向であり、日本の総人口は、少子高齢化が急速に進行した結果、平成20年にピークを迎え、平成23年以降、11年連続で減少しています。
 本県の合計特殊出生率については、過去には全国平均を上回って推移していましたが、平成18年から約10年間、全国的に団塊ジュニア世代の駆け込み出産と呼ばれる比較的高齢での出産がふえ、出生率が改善したと言われた期間において、本県の上昇は弱く、平成30年以降、全国とほとんど差がなくなり、ともに低下傾向を示しています。
 こうした背景には、本県は20代の女性の婚姻率と出生率は高いが、30代以上の婚姻率と出生率は全国を下回っていることなどがあると考えられ、30歳以上の方々の結婚や出産、子育てと仕事の両立などを地域や職場、行政が連携して支えていく必要があると考えています。
 また、知事就任以降、社会減が6、000人台から2、000人台まで縮小しましたが、その後、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催に伴う投資等が増大し、首都圏の有効求人倍率が本県を上回る中、東京一極集中に歯どめがかからない状況にあり、本県を含む多くの地方で社会減が続いています。
 こうしたことから、第2期アクションプランで人口減少問題を最優先に位置づけ、人口問題対策本部において、全国や他県のデータと比較しながら、原因を丁寧に分析し、対策を検討しながら、市町村や関係団体と連携して、若年層の県内就職の促進、結婚や子育て支援、働き方改革など人口減少対策を推し進めてまいります。
〇米内紘正委員 できれば第2期アクションプランをつくる前に、他県との分析や比較をしてから、4年間の指針になるわけですから、しっかりつくってもらいたかったと。いつも20代の婚姻率は高いと言うのですけれども、これは当たり前なのです。結局20代の女性が県外に流出してしまうわけで、基本的に、その女性方は未婚の方がほとんどであるわけでございまして、そうすると、結局分母から減ってしまうので、20代の婚姻率が上がるのは当然のことでありまして、見せかけの数値といいますか。だから、そこも本当はもっと深掘りして見ていかないと、どういった原因があるのかというところを、率、上辺だけにとらわれると、なかなか方向性を間違ってしまうのかと思っております。
 ここで、これまで聞いてきたところから、効果的な県政運営と知事の政治姿勢関係について聞いていきたいと思っております。
 これからの県政において実行力と成果を出すために必要となってくることは何か、それに対して知事の政治姿勢はどのようにかかわっていると考えられるかお聞かせください。
〇達増知事 効果的な県政運営と知事の政治姿勢の関係についてでありますが、第2期アクションプランは、人口減少対策を主軸に、GXの推進とDXの推進を両翼とし、目の前にある非常事態や緊急の課題に向かっていくような構造になっています。この構造を構成する四つの重点事項は、それぞれ県と市町村の連携が重要であり、これからの県政において、その連携を強めてまいります。
 私の政治姿勢の原則である行政は中立、政治は自由は、国政との関係のみならず、市町村との関係においても貫いてきたところです。市町村長が国政選挙や知事選挙で何党を支持しようと、どの候補者を支持しようと、私は県行政を、市町村長の政治姿勢を理由に不利益を与えることなく中立に行ってまいりました。したがいまして、今後、重要な政策課題に関し、県と市町村あるいは知事と市町村長がわだかまりなく連携を強化し、一体となって取り組んでいくことができると思います。
 ニューヨークタイムズ紙が2023年に行くべき52カ所に盛岡市を選んだことを絶好のチャンスとし、岩手県全体の観光振興、さらには岩手県全体の交流人口、関係人口の拡大による地方創生につなげていくためにも、知事と市町村長の協力関係が今極めて重要でありますことから、行政は中立、政治は自由の政治姿勢を貫いてまいりたいと思います。
〇米内紘正委員 これまでも知事は、行政は中立ということで、それは県民の不利益になっていることはないという答弁をされてきました。私は今回、これまでの二十数分間の中で一つ大きく、行政に対して中立ではなくて、岩手県民に対して物すごく不利益になってしまっていることがあると思います。
 最初から言っておりました、結局、人口減少の問題にしても何の問題にしても、何か岩手県に課題があったとき、それを真っ先に国に全て責任転嫁をすることが、今、知事の最善手になってしまっているのです。それこそが保身につながるわけですから。本当は、しっかり客観的な立場でいれば分析できたはずなのです。4年前から言っているあの数字の分析もしっかりできて、県の課題と国の課題を切り分けて、これは国の課題、これは県の課題ということで事業を打ってこられたはずなのです。
 ただ、知事のその政治姿勢は、結局、政権交代を目指していると、最善手は、いや、それは国の責任ですと言うことが、知事の姿勢の中でそれが一番の最善手になってしまう。これが、私は岩手県民に、県民福祉の向上に、県勢の発展につながっていないと思っておりますけれども、その辺についてはどうお考えですか。
〇達増知事 空想力豊かにさまざま御意見をいただきましたけれども、人口減少問題に関し、国が思い切ったことをしなければならないという考え方は、今、日本全体共通の考えで、次元の異なる政策をしなければならないというのは、今の政権与党、政府トップからそういうことを言っています。
 京都大学の先生などは、6兆円とか8兆円とかの予算を設ければ合計特殊出生率2.0以上にすることは可能だとか、元厚生労働省の山崎史郎さんの人口戦略法案も、8兆円とかそのくらいの規模の子ども保険による財源を確保すれば、人口減少問題は基本的に解決できるというような、今までの政府の取り組み以上のこと、今までやってこなかったことを日本全体としてやろうというのは、今やもう国民的な考えです。岩手県だけではなく、国は地方からできているし、地方は国の中にあるわけで、なかなかそこを分けるのは、人口移動の問題については特に難しい。
 出生率の問題はやはりオールジャパンの問題でもありますので、この点については、地方創生、地方消滅、そういう話が出てきたころから、私も代々の関係する大臣の皆さんや政務三役の皆さんと、全国知事会の場を利用しながら、全国知事会と政府との関係の中で政府ともさまざま議論してきたところであります。
 今後も政府と、行政は中立、その意味で私は、日本国政府そのものは、パートナーとして尊重して、一緒に働く仲間と思っていますので、日本政府と力を合わせて取り組んでまいります。
 県内市町村も、私の政治姿勢が国との関係でおかしいのではないかという理屈は、本当はそのまま私と市町村長の関係にも心配が及ぶはずですけれども、誰もそこを心配していないのは、私が市町村長に対して、16年間ずっと中立、行政上不利益を及ぼさないというのを貫いてきた実績に基づいているからだと思うので、それを続けていきたいと思います。
〇米内紘正委員 全く聞いていなくて、国は今、異次元の少子化対策をやらなければいけないことは、もうこれはマストなのです。国は、異次元の少子化対策で、少子化対策さえやれば、社会減はないですから、いずれ人口は均衡するのです。
 私が今申し上げたいのは、では、なぜ今回、岩手県の出生数の減少率が全国で最下位だったのですか。鳥取県は何で食いとめたのですか。これというのは、国が、岩手県はこうして、鳥取県にこうしたという何かがあるのか。そこに明確なお答えをいただけない限りは、国はやります。国もしっかりやる。でも、県だってやらなければだめじゃないですか。
 県が最下位で、それをしっかり明確にこういう原因ですとお答えできるのであれば、私は知事の考え方というのはそのとおりだと思いますけれども、そこはどうですか。
〇達増知事 まず、国全体の社会増減については、まち・ひと・しごと創生法が始まったときから、国として東京一極集中、毎年10万人首都圏に流入しているのをゼロにすることを国の目標として掲げていたというのは、大事なことなので、指摘しておきたいと思います。
 そして、昨年の出生数の大きな低下は、県が近年の岩手県の人口減少問題のトレンドとして把握していた課題の延長線上にあるわけでありまして、今回提出している予算案は、県の人口減少対策に関する予算でありますし、次の4年間の第2期アクションプランも県のアクションプランでございまして、これらの施策が、去年の出生数の減少に対しても有効な施策が盛り込まれていると考えているところです。
〇米内紘正委員 さっきの質問で全然分析できていないことがあらわになってしまって、理由が全然把握できていないじゃないですか。まずはそこの違いが生まれてしまった。鳥取県と岩手県は何が違うのか、ここだけお答えください。
〇達増知事 鳥取県の問題もさることながら、岩手県内の女性の働き方を鳥取県の女性の働き方と比較するのは、今詳しくやっているわけではないですけれども、問題はやはり岩手県の中にあるので、その生きにくさを生きやすさに変えるということ、これはもう、令和5年度当初予算案が全くだめだめということをおっしゃっていましたが、第2子からの3歳未満児の保育料無償化、育児支給金、そして高校生までの医療費無償化、現物給付等も、出生数の改善に向かった施策であると考えておりますので、こういった施策を展開していきたいと思います。
〇米内紘正委員 最初からお話しします。市町村単位でこれをやっているところがあります。そこでは、こうこう、こういうふうに改善しました。その中でずっと、例えば知事が言っていた有配偶出生率がこうなっています。だからこういう事業をやりますという過程が普通はあるのです。企画立案するときは、こうこう、こういう段階を踏んで立案するわけですけれども、私が、最初から申し上げたいのはそこが不透明だと。そこにどんな考え方があるのかがわからない。そして、結局それがばさっと、人口減少対策予算です、200億円ですと出てきているようにしか見えない。そこが、やはり知事の政治姿勢のところというのは、計画まではできても、それが成果に結びつくかどうか、なかなか結果が出ていないところなのかと思います。
 先ほども、常に国政との関係で都合のいいようにお話をされるのですね。私は、本会議場の関連質疑でもして、関連質疑は2回までしかできなかったので、最後、心残りでしたけれども、その政治姿勢の中で、知事は、立憲民主党と2年前の衆議院議員選挙の関係において、お話しすることはありませんと何回も答えられました。私は推察するしかなかった。推察したら、それは内心の自由を侵害しているとお話しされたわけですけれども、推察するしかないのですから、お話しできない理由だけでも、いま一度、この政治姿勢というのは予算の執行、知事の資質というのは事業の成果にかかわってきますから、よろしくお願いします。
〇達増知事 有配偶出生率、有配偶出生率と繰り返されているのですけれども、基本的に、県で説明する際に申し上げているのは、婚姻率、そして20代、30代の出生率の全国との差が問題であるということを申し上げているところであります。なぜか有配偶出生率という形できょうずっとおっしゃられているのですが、それだと、どの部分について質問しているのかが非常にわかりにくくなりますので、指摘をしておきたいと思います。
 その後の質問に関しましては、特に人口減少問題とどう関係があるのか理解できず、それ以上の優先課題、優先順位をなぜそこに与えているのかもよくわからないのですが、特にお話しすることはございません。
〇米内紘正委員 有配偶出生率と常に言ってきたのは知事ですからね。議事録を見てください。原因は何ですかと言ったときに、30代女性の有配偶出生率がと常に言ってきたのは知事ですから。私は、今回その言葉をかりてそれを出しているわけでございます。そのときであるのであれば、婚姻率がどうだとか、30代女性の出生率、期間合計特殊出生率がどうだというお話をしていただけないと、今、期間合計特殊出生率は30代から、30歳から34歳、35歳から39歳と聞いても多分出てこないですよね。さっきも聞きましたけれども。そこの数字が全国と比べてどうなっているかというのも、多分出てこないはずです。
   (達増知事「資料にあるから、これを読むとわかる」と呼ぶ)
 では、ぜひお願いします。
〇小野政策企画部長 有配偶出生率の関係でございますけれども、これは年代を限った数字ではございませんで、15歳から49歳の全体の数字でございますが、岩手県の場合は、令和2年が67.7%で34位、先ほどお話がございました鳥取県につきましては79.8%で、全国では8位となっております。
 この有配偶出生率の関係でございますけれども、国の令和3年度の内閣府の少子化社会対策白書によりますと、西高東低の傾向があるという分析をされておりまして、その背景としては、やはり男女の働き方、それから長時間労働の関係、通勤時間の関係、保育所の関係といった女性の働き方といいますか暮らし方に、やはり東北地方の課題といった形で当白書の中で、大きく掲げております。
 先ほど米内紘正委員から、有配偶出生率の具体的な数字について、分析の中で使っていないのではないかという話がございましたけれども、一方で、やはり要因分析といいますか、どういう経路をたどって最終的な出生数が低いといったことに至るのかといったものについては、ある程度の分析はできております。これは、国でももちろんつくっておりますし、一般的に出生率、未婚率、それから有配偶出生率に分けて、例えば未婚率がどういうことによるのかといったこと、有配偶出生率については先ほどのような話、これによって高くなったり低くなったり変化が起こってくるといったことでございます。
 これに基づいて、今年度は、第2期アクションプラン策定に当たってどういったところに力を入れるかといったことで、ライフステージに応じた男女の暮らし方について総合的な取り組みを図っていくのだと。それに基づいて、令和5年度については取り組みを進めていくといったことで、具体的な新規の取り組みも掲げているものでございます。
 それに当たっては、先ほど他県といったことがありますけれども、特に福井県で、第2子以降の3歳児未満に係る保育料の無償化など、そういった他県の政策の事例も見ながら、全国の中でもトップクラスの環境整備といったことで取り組みを進めているところでございます。これは特定の部局任せにしているといったことではございません。岩手県として、人口問題対策本部の中で、全体として意見交換、議論を行った上で、こういった取り組み、組み立てをしているものでございます。
〇米内紘正委員 なぜそれが休憩前に出てこなかったかというところですね。質問の通告の中では、社会減と自然減の原因分析をお願いしますといったところでございますから、最初からそれが出てこないと、誰も把握していなかったのかとなってしまいますから、そこは、やはりそのときにお答えをいただきたかったというところでございます。
 そして、先ほどの、知事の政治姿勢のところの、お話しすることはないと言っていますけれども、やはりそこの、お話しできない理由だけでもお聞きできないと、あれほどまでに常に議場でお話しされてきたわけでございますから。知事が、もし国会議員の立場で、首相が一言、お話しすることはありませんで終えたら、それで引き下がるわけはないと思うのですけれども、理由を-理由でいいです。謝罪すべきかどうか個人の判断を聞いているわけではないです。ただ、この場でお話しすることはできないとする理由だけお答えください。
〇達増知事 私は国会議員時代に、本当に国のため、国民のためになることで、総理大臣にもさまざま追及し、特にイラク、サマワでさまざま問題があるのに、そこに自衛隊を出すということについては、小泉首相が激昂と翌朝の新聞に書かれましたけれども、総理を怒らせてでもそういう質問はしたのですが、今、私に質問されたことについては、そうではないと思います。
〇米内紘正委員 知事も国会議員時代、いろいろ細かいスキャンダル等も質問されていると思います。私も全部読みますけれども、それをされていると思いますが、いま一度お答えください。
〇達増知事 私もさまざま週刊誌等も取り上げている内容について国会で取り上げたことはありますけれども、それは本当に国益、国民の利益に関するから取り上げたわけでありまして、何か、今にやにやしながらスキャンダルとか言いましたが、決してそういう質問の仕方はしてきませんでした。
〇米内紘正委員 私は、これまで議場であれだけ国政について、国政とのかかわりについて話していたのに、何もお話しすることはないの一言でやることが、やはり知事の資質にかかわると。そこはそう思っているわけですから、それは県政とかかってくることですから、お答えください。
〇達増知事 特にお話しすることはございません。
〇米内紘正委員 お話しすることはない。答える義務があると思いますので、お取り計らいをお願いします。
〇佐藤ケイ子委員長 一旦休憩いたします。世話人の方々はお集まりください。
午後3時12分 休憩
午後3時17分再開
〇佐藤ケイ子委員長 再開いたします。
 世話人会の協議の結果をお知らせします。
 今、米内紘正委員が質問しておりますのは、第2期アクションプランについての通告をしておりまして、その中で、効果的な県政運営と知事の政治姿勢の関係についてという項目で質疑がされております。その中で、県政運営について、実行力と成果を出すために必要となっていくことは何か、それに対して知事の政治姿勢はどのようにかかわっていると考えるかという通告の内容です。
 今、どんどん質疑の内容が変わってきておりますので、この通告に沿った形で質疑を再開したいと思っております。
 再開いたします。
〇米内紘正委員 議事進行。きちんと通告の中で政治姿勢と言っております。そして、結局こういったことに答えるか答えないか。都合のいいことは答える、都合が悪いこと、答えたくないことは答えないというその姿勢は、やはり私は、深刻に県政運営に、県政の効果にかかわってくると思いますので、いま一度お願いいたします。
〇佐藤ケイ子委員長 通告に従って答弁をお願いいたします。
〇達増知事 政治は自由です。
〇米内紘正委員 いやあ、なかなかがっかりでございます。別にどちらかお答えしてくださいと言っているわけではありませんでした。理由を、お話しできない理由さえお聞かせいただければ、それは何かしらあると思うのですけれども、それすらもお話しいただけないということで、そういったことも考えていらっしゃらないのかなということで受け取っておきます。
 広域における県の取り組みについてお聞きしていきます。県内の広域行政について、まずは公共交通について、その県の役割と取り組みをお聞きいたします。
 コロナ禍における交通機関への支援についてでございます。
 コロナ禍におきまして、県内の各種交通機関は大変苦しい状況にありました。コロナ禍における特別枠において、鉄道やバス、タクシーに対して、予算総額と配分、また、その配分の根拠についてどのようにお考えかお聞かせください。
〇熊谷ふるさと振興部長 コロナ禍に対する交通事業者への支援額は、令和4年度予算におきまして、鉄道事業者に対して5億8、400万円、バス事業者に対して1億7、600万円余、タクシー事業者に対して1億3、800万円余、合計8億9、800万円余となっております。
 支援の内容といたしましては、社会、経済活動を支える輸送機能を確保するため、安定した輸送サービスを維持するための燃油費等の経費や車両の維持、管理に要する経費に対して支援するものであり、それぞれ所要額を積み上げて決定したものでございます。
〇米内紘正委員 鉄道、バス、タクシー等で金額にかなり差がありますけれども、現状、県内の公共交通機関を担っている機関の輸送人員はどうなっているでしょうか。
〇熊谷ふるさと振興部長 古い資料になるかもしれませんが、輸送人員、それから収入の状況でございますけれども、コロナ禍前に比べて3割程度の減と承知しているところでございます。業種によってまた異なってまいります。
〇米内紘正委員 鉄道とバスの輸送人員というのは、地域公共交通を支援するという面では、特に配分の根拠にはなってこないという理解でよろしいですか。
〇熊谷ふるさと振興部長 やはり輸送人員というところで、直接旅客運輸収入にかかわってきますので、経営的に苦しいというところがございます。そういったところも勘案しながら、ただ、通常の企業でございますので保護する理由が必要だと思っておりまして、先ほど述べました観点を中心に、補助制度を構築いたしまして補助しているところでございます。
〇米内紘正委員 それでは、地域公共交通を維持するための県の役割と令和5年度当初予算案への反映についてお聞きします。
 まず、県の役割はどのようなものか、そして、これまで果たしてきた役割とこれから果たしていかなければいけない役割について、どのような変化があるか。特に人口減少下において、地域公共交通を維持するために必要な具体的な事業が、令和5年度当初予算案にどの程度組み込まれているかお聞かせください。
〇熊谷ふるさと振興部長 県は、広域的な自治体として、第三セクター鉄道や広域的なバス路線に対する支援を市町村と連携して実施すること、また、県全体の公共交通ネットワークを維持していくため、市町村が実施する地域内公共交通の維持、確保の取り組みに対して支援していくことが役割であると認識しており、今後もその役割を果たしていく必要があると考えております。
 バス事業につきましては、人口減少に伴い利用者が減少している状況におきましても、その維持、確保が図られるよう、事業者に対して、広域バス路線に対する支援を行うほか、市町村がコミュニティバスの運行を行う場合の経費に対して支援する予算を計上しているところでございます。
 また、三陸鉄道とIGRいわて銀河鉄道に対しましては、設備の維持管理等に要する経費や利用促進に要する経費に対して、関係市町村と連携して支援する予算を計上しているところでございます。
 特にコロナ禍によりまして経営体力が弱まっておりますので、そういった面を十分経営者の方々とお話しする機会もありますので、さまざま意見交換しながら、必要な支援に努めてまいります。
〇米内紘正委員 これまでの役割については、既に市町村への支援、コロナ禍の中では各種事業者への支援等あったのですけれども、やはりこれから本当に地域の存続にかかわってくる中で、より市町村の広域の調整だったり、これは平成31年ですか、岩手県の地域公共交通網形成計画の中ではいろいろな課題と、これからやるべきことの中にそういったものも、その地域の中に入っていって広域の調整だったり、いろいろ次のあり方を考えていくというものも入っているのですけれども、そういったものは、現状、県庁としてはどういった動きがあるのでしょうか。
〇熊谷ふるさと振興部長 これまでもそうでございますし、これからもそうでありますが、県と市町村で地域内公共交通構築検討会を組織いたしまして、さまざま公共交通のあり方を議論しているところでございます。人口減少対策として、市町村が広域的な廃止代替路線を確保する場合の支援ということで、先ほど来年度新規の事業を御説明申し上げましたが、そういった議論を経てやっているところでございます。
 また、来年度、人流のビッグデータ等を活用しまして、次期地域公共交通計画を令和5年度に策定することとしております。先ほど申しました市町村との検討会でも議論を行いまして、市町村、事業者等と連携しながら地域公共交通のあり方を検討してまいりたいと考えております。
〇米内紘正委員 それらの検討会議の中で、事業者も入っていると思いますけれども、一番大きな課題となっているところは、人員不足、市町村間の調整、高齢者の移動などはもちろんですけれども、どういった声が一番大きいのか、そして、それに対してどんな体制で県はかかわっているのか。それは本庁がやっているのか広域振興局が入っているのかお聞かせください。
〇熊谷ふるさと振興部長 やはり人口減少下で乗客の数が少なくなっている中で、どうやって路線を維持していくか、効率的な公共交通の維持のあり方についてを中心に議論がなされているところでございます。
 基本的には、事業者、市町村とやっておりますが、そこは本庁の交通政策室が担当しておりますが、必要に応じて広域振興局の参加も促してまいりたいと思います。
〇米内紘正委員 促してまいりたいということは、まだ促してはいないということ。促してまいりたいと言いましたか。その辺、少し聞き取れなくて。
〇熊谷ふるさと振興部長 ケース・バイ・ケースかと思います。
〇米内紘正委員 どういった体制になっているのかはわからなかったのですけれども、広域振興局のあり方も一つ議論になっているので、そこにもかかわってくるかと思います。そういった中で、どうしてもこの人口減少、乗客も少なくなってくる、また、運転手の方だったり担い手も少なくなっている中で、未来の公共交通については、どうしても技術革新に頼っていかなければいけないところがあると思います。それらに向けて、今、県はどういった対応をとっているのかお聞かせください。
〇熊谷ふるさと振興部長 人口減少や新型コロナウイルス感染症の影響による利用者の大幅な減少、バス事業者における運転士不足など、地域公共交通が置かれている厳しい状況に対応していくため、先進的な技術を導入していくことは、非常に重要な取り組みと認識しております。
 県内では、紫波町におきまして、令和2年度からAI配車システムを活用したデマンド型乗り合いバスを運行しておりますほか、陸前高田市では、高田松原津波復興祈念公園におきまして、運転士不足の緩和につながる可能性のある自動運転の走行実証実験に取り組んでおります。
 県におきましては、紫波町が行うデマンド型乗り合いバスの実証試験に対し、地域公共交通活性化推進事業費により支援を行っているほか、先ほど御説明申し上げましたが、人流のビッグデータ等を活用し、次期地域公共交通計画の策定や潜在的な住民の移動需要に対応したダイヤ改正、利用促進の取り組みを検討することとしております。
 今後におきましても、他地域における先進事例を分析しながら、引き続き、事業者、市町村等と連携し、地域公共交通を維持、確保できるよう取り組んでまいります。
〇米内紘正委員 一番最初にお話ししましたとおり、やはり輸送人員というものも見ながら、どこが担っているのか、鉄道、バス、タクシー、そして自家用車といろいろある中で、また新しくデマンド交通だったり、陸前高田市のような自動運転など、いろいろな形が出てくるので、その組み合わせの中で、広域の調整は県がやっていかなければいけない。本来は広域振興局も一緒にやっていくのかと思っていたのですが、その辺はまだ見えていないというところで、組み立てていってほしいと思います。
 次の質問に入ります。観光についてでありますが、二つまとめて質問します。
 まず、令和4年の観光人口についてです。
 ゴールデンウイーク明けに新型コロナウイルス感染症が5類感染症となり、観光人口も増加していくと考えられますけれども、まず、令和4年のトレンドが、新型コロナウイルス感染症発生後の令和2年、また令和3年と比べてどのようになっていたか。それを踏まえて、コロナ禍前のインバウンドの状況も加味しながら、令和5年の目標をどのように持っていくのか、どのような目標を設定するのかお聞かせください。
〇菊池副知事 まず、令和4年の状況についてです。環境庁宿泊旅行統計調査を見ますと、令和4年の本県の宿泊者数は527万人余となりまして、令和2年の431万人余、令和3年の433万人余と比べ約2割増となっており、回復傾向にあると捉えております。
 令和4年4月以降は、ほとんどの月で令和2年、令和3年を上回っており、特に9月、10月の日本人の宿泊者数は、コロナ禍前の令和元年を上回る状況となっております。
 また、外国人の宿泊者数は、入国前の水際措置が緩和された10月以降は増加に転じております。令和4年12月は7、900人余となっておりまして、令和3年の2、000人余と比べ約4倍となっており、回復傾向にあります。
 今月からは、本県の重点市場である中国からの入国者に対する水際措置も緩和されることになり、また、令和5年5月10日には、御案内のとおり、約3年2カ月ぶりに台湾からの直行便の運航が再開されますので、今後、インバウンドの大幅な回復が期待できると見ております。
 次に、令和5年度の目標についての考え方等についてですが、まず、国の東北観光復興交付金を活用し、平成30年、令和元年と、東アジア等を中心に現地プロモーションや旅行会社の招請、そして、発信力のあるインフルエンサーによる情報発信など、積極的な訪日外国人観光客の誘客拡大に取り組んできたところであります。
 また、東北各県や東北観光推進機構などとの広域連携により、東北全体への誘客拡大に取り組むとともに、広域周遊を促進し、本県への入り込みを図ってきたところでございます。
 こうしたことから、令和元年の本県の外国人観光客の延べ宿泊者数は、観光庁宿泊旅行統計調査によりますと、台湾、中国、香港市場を中心に過去最高の34万3、000人余となったところでございます。
 令和5年度の外国人観光客の目標値につきましては、いわて県民計画(2019〜2028)第2期政策推進プラン案において、国の長期目標を参考としつつ、令和6年にはコロナ禍前の水準以上に回復させることを目標とし、この目標達成に向け、令和5年の目標値は27万7、000人余としているものであります。
〇米内紘正委員 今、広域周遊の件のお話もありましたけれども、そういった中で、これからの戦略の中で、先ほど交通のところでも申し上げましたが、県の、広域においてのインバウンド戦略は、どういった具体的な働きをしていかなければいけないのか、そして、ターゲットをどこにしてマーケティングをしていくのか、事業について具体的にお聞かせください。
〇菊池副知事 県としてのインバウンド戦略についてということでございますが、県は、広域的な自治体として、広域的な観光プロモーションの展開や多様な旅行商品造成への支援を行うほか、他の都道府県等と連携した、より広域での誘客や周遊を促進していくことが重要であると考えております。
 こうした認識のもと、インバウンド戦略上のターゲットとしては、東アジアを重点市場と捉えつつ、当面は台湾を主要ターゲットとし、岩手県の多様な魅力を生かした観光コンテンツの造成やウエブサイトを活用した広域的なプロモーション、現地での観光PRなど、東北各県や東北観光推進機構と連携しながら展開していくこととしております。
 また、今般、ニューヨークタイムズ紙で盛岡市が紹介されたことを好機といたしまして、盛岡市のみならず、県内それぞれの地域に日常的にある人々の暮らしや空間などに根差した生活、文化の魅力をも訴求していくため、個人や少人数での周遊滞在型の観光客が主流を占める欧米に対しても、現地のCLAIR-クレア、一般財団法人自治体国際化協会や海外県人会など、海外拠点と連携した魅力の発信や在外公館と連携したトップセールスなどを展開し、誘客を進めてまいります。
 広い県土を有する岩手県でございます。広域圏ごとに特色ある観光資源が多数存在していることから、県としては、各広域振興局と市町村が連携し、それら観光資源の一層の磨き上げと情報の発信に努めながら、県全体により多くの外国人観光客を呼び込み、観光、ひいては本県経済のさらなる活性化につなげていく考えであります。
〇米内紘正委員 今、県内の周遊や旅行商品の企画というようなお話もありましたけれども、このような企画だったりプロジェクトには、広域振興局はどのようにかかわっているのでしょうか。
〇菊池副知事 御指摘ありがとうございます。ぜひそこを強調したかったのですが、まさに、これからの観光は、どういう体験や、どういう発見、そういったものがこの岩手県でできるかということにかかわっております。これが観光消費を拡大する大きなキーポイントになるということで、広域振興局は、周遊の中にさまざまな観光コンテンツをどう取り込むか、そして、それをどう磨き上げて、より観光消費の拡大につながるかといったことが重要であります。
 また、観光にかかわる地域の方々、団体が一緒に活動することによって、より地域としての活性化、活力が生まれることも期待しておりまして、広域振興局の機能は非常に重要になっていると考えておりますし、今、実際そういった取り組みをそれぞれの広域振興局ごとに取り組んでいるということでございます。
〇米内紘正委員 それでは、今までの話を踏まえて、広域振興局の役割と実行力について、交通や観光を取り上げて聞いてまいりましたけれども、広域振興圏において県が役割を果たす上で、その広域振興局の役割、そして、現状の体制や予算は、実行力を上げていく上で十分と考えているかどうかお答えください。
〇達増知事 広域振興局の役割と実行力についてでありますが、広域振興局は、産業振興による地域経済の活性化を主眼とし、地域ニーズに即した施策展開が一層可能となるよう、市町村への支援や広域的、専門的なサービスの提供などを目的に設置し、地域の特性やニーズを踏まえた広域的な施策を展開してきております。
 観光分野の取り組みとして、例えば盛岡広域振興局では、地域の魅力ある酒蔵をめぐる周遊型観光の取り組み、県北広域振興局では、あまちゃん放送を契機とした地域スポットをつなぐロケツーリズムの推進などの特色ある地域資源を生かした観光施策を展開しております。
 交通分野では、これまでも三陸鉄道強化促進協議会に参画し、三陸鉄道の整備と利用促進の検討に取り組んできたほか、地域経営推進費を活用し、沿線市町と連携したJR釜石線の活性化に向けたSL銀河のPR事業等を実施してきたところであります。
 施策の展開に当たっては、広域行政の中核となる政策企画、立案機能を持つ経営企画部に産業振興室を設置しているほか、機動的な対応ができるよう、広域振興局長の裁量で執行できる地域経営推進費や、戦略性が高く圏域全体の振興を図る広域振興事業の予算を措置しているところであります。
〇米内紘正委員 交通や観光の中でも広域振興局の役割もあって、今もお話があったのですけれども、これから、やはり広域振興局が、逆に強制的にあそこで線を引かれてしまっているわけで、観光なんていったら、広域振興局の枠組みを超えて、それは国道4号沿いのパッケージだったり、いろいろ境界線を超えていかなければいけないことがあると思います。
 交通においてもそうです。交通においても、やはりそういうふうに超えていかなければいけない中で、逆にその境界線が壁となってしまう、邪魔となってしまうことはないのでしょうか。
〇熊谷ふるさと振興部長 広域振興局は、産業施策を中心に広域的な施策を実行していくためつくられた組織でございます。ただ、米内紘正委員がおっしゃるとおり、いわゆる域を超えて、他圏域とのつながりでありますとか、他県の境界にある広域振興局においては他県との連携とか、さまざま自分たちの部分だけではなくて、さらに広い広域的な事業、それから国道4号の関係の事業といった部分とか、弾力的に広域振興局長判断で動けるような形にしておりますし、実際にそういう事業にも取り組んでいるところでございます。
〇米内紘正委員 そうなってくると、これからますます物理的な境界というのは、今の時代にはもう合っていないのかなと。もっと柔軟に対応できる体制がこれからの時代にはあるのだろうと。これまでも本会議等でもさまざまありましたけれども、より地域に密着する、あるいは飛び飛びでやらなければいけないこともあります。今、地域経営推進費も、額としては4億5、000万円ということで、それで大きな事業ができるようにも見えませんので、広域振興局の体制というのは、それこそ先ほどのアクションプランのPDCAサイクルではないですけれども、時代に合わせて考えていかなければいけないのかと思います。意見です。
 次に入ります。県外への情報発信について、これも分野を絞ってお聞きいたします。
 まず、農林水産物の輸出についてであります。
 農林水産省は、2022年の農林水産物、食品の輸出実績を取りまとめまして、2022年の輸出額は過去最高1兆4、148億円となり、2021年比で14.3%の増加、額では1、766億円の増加となりました。2022年12月においても、単月で過去最高の1、308億円となっており、2012年が4、400億円でございましたので、10年間で3倍以上になっているところでございます。
 そこで、岩手県の農林水産物の輸出額とこれからの目標についてお聞かせください。
〇菊池副知事 本県の農林水産物の輸出に関してでございます。県ではこれまで、アジアや北米地域をターゲットに、米、リンゴ、牛肉、水産物等を重点品目として、バイヤー招聘や現地でのフェアの開催などに取り組んできたところでありまして、県産農林水産物の輸出額は、令和3年において43億円と、いわて県民計画(2019〜2028)第1期アクションプランの目標値を約9億円上回り、震災前と比べて約2倍に拡大してきたところです。
 こうした輸出実績や国の農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略の目標を踏まえ、第2期アクションプランにおいては、現状値である令和3年の輸出額43億円を令和10年までの7年間で2倍に拡大することを目指すこととし、令和8年の目標値を69億円としたところであります。
〇米内紘正委員 この輸出額ですけれども、日本の農業産出額は約9兆円、岩手県は2、700億円で3%を占めているわけでございます。青森県がよく話に出ますけれども、青森県は輸出額250億円、そして北海道は、2020年で900億円ぐらいなのです。北海道の農業産出額が1兆二、三千億円なので、1兆二、三千億円の北海道、2、700億円の岩手県、5分の1ぐらいの割合ですから、やはり目標値としては少し物足りないのかなと思います。
 北海道は今1、500億円を目標にやっているということで、そうすると、それの5分の1の300億円とまでは行かないですけれども、今、日本の国としての流れができているわけですから、県民所得向上のためにも、もう少し目標値を上げていったほうがいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇菊池副知事 輸出に向けての取り組みを述べる前に、本県の農政の特性といったもの、米内紘正委員も多分御認識のとおりだと思いますが、都道府県それぞれ、特に戦後、それぞれの地域、都道府県区域レベルで特性があって、それぞれの土地の特性や農家の方々、農業従事者の方々のいろいろな意向、志向なども踏まえて、それぞれの農業の形があったと思います。
 北海道や青森県において、こうした戦略を展開できる素地があるものとしての北海道、青森県までの戦後の取り組みからのきょう、岩手県においては、ざっくばらんに申し上げれば、やはり水田、稲作中心の営農を考えられ、また、適地適作の形で、それぞれの農家の方々が自信と誇りを持って、みずからこの規模で、このくらいをという営農計画をつくり、また、各地域地域の組織営農体が、地域農政、地域農業の方針を定めて、猫の目農政とかいろいろ言われた状況もありましたが、そこを生き抜いてこられた。委員の皆様にも農家の方とか畜産の方がいらっしゃると思いますが、そうした選択の上に立って、今の岩手県の農政の特性といいますか生産性につながっているものだと私は思います。
 これからも、それぞれの農家の方々、そして地域の営農組織の方々が、みずからの誇りを持って生産する、これは高品質で安全・安心な、少量ではあっても一味違う、一つ違う差別化を図りながら、今こうやって、国内もそうですが、海外においても販売戦略を展開され、それぞれの成果を上げてきている状況にあると思います。
 そういったベーシックな岩手県の力といいますか農業の特性を踏まえた上で、本県は、量というよりはクオリティーを重視した販売戦略で生きていこうというようなことが、今のところは県内の農政関係では合意になっているのではないかと思います。そうしたことでこれまで輸出戦略を組んできたと思っております。
 これからも、誇りを持って営農されている農家の皆さん、県行政、そして市町村行政等とよくよく話し合い、中長期的な戦略を考えていくことが必要だと思いますので、そういった考え方で進めたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
〇佐藤ケイ子委員長 休憩いたします。
午後3時49分 休憩
午後3時51分再開
〇佐藤ケイ子委員長 再開いたします。
〇米内紘正委員 今いろいろお話がありましたけれども、今回、県のつくった輸出目標というのは、地域の方々といろいろヒアリングをしながら、こういう値にしようということでつくったという理解でよろしいでしょうか。
〇菊池副知事 この今回のアクションプランの目標設定については、もちろんいろいろな委員会を通じて意見を聴取して、合意され、策定されたものと思っております。
 ちなみに、国の大きな方針である輸出戦略上の長期的なゴールである目標点がありますので、それに向けてみんなで頑張っていこうということで、意欲に燃えて取り組んでいく数値になっていると思います。
〇米内紘正委員 地域でしっかりヒアリングしてつくられた予算案であるのであればいいですけれども、やはり今もう外にどんどん売り込みたいのだというような農家もいます。やはり国や県が支援してくれればなという声も拾っていかないといけないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、県内における起業の状況についてお聞きします。
 スタートアップ支援については国の政策の柱として打ち出しておりますけれども、県内の起業の状況のトレンドがどうなっているか、それは全国的な傾向と比べてどうなっているのかお聞かせください。
〇菊池副知事 いわて県民計画(2019〜2028)では、雇用保険が新規に成立した事業所の比率となる開業率を幸福関連指標に位置づけているところでありまして、本県の開業率を全国平均と比較すると、平成23年度は4.5%で同水準、震災後の平成24年度は4.9%まで上昇し、全国平均4.6%を0.3%上回ったのでありますが、その後は減少傾向にあり、おおむね3%台で推移しているところであり、全国平均をやや下回っている状況が続いております。
 起業、スタートアップに関する統計調査データはない状況にあるのですが、令和2年9月に開設した起業支援拠点、岩手イノベーションベースでは、みずからの力で世界を切り開く岩手県人を10年で100人育成することを掲げ、昨年11月には、徳島県に続き2回目となる全国会議、地方経済未来会議LECを本県で開催し、400人近い若手経営者や起業に関心を持つ若者たちが集い、全国の起業家と交流を行ったところでございます。
 このように、本県においても若者や学生の起業に対する意識が高まり、機運醸成が図られてきており、時間や場所にとらわれない柔軟で多様な働き方の可能性の広がりをきっかけとして、地方を舞台に挑戦する若者や学生が生み出されていくことが期待されると考えております。
〇米内紘正委員 それでは、起業家支援における県の目標、今、10年で100人とお話しされましたけれども、起業家支援にどのようなメリットがあると考えているか。支援あるいは起業家の獲得というのですか、それにおいて県が果たすべき役割と、事業計画にもし組み込まれているのであれば、それもあわせてお聞かせください。
〇菊池副知事 起業家支援を進めることで、本県を舞台に、若者や女性がさまざまなビジネスや社会活動の分野で、それぞれの思いやアイデアを形に変え、自己実現ができるようになり、このことが、若者や女性の地元定着につながるほか、また、岩手県に呼び込み起業が盛んになることは、地域経済に厚みを与え波及効果を生み出す原動力となるものと捉えております。
 来年度は、岩手イノベーションベースを核としつつ、新たに市町村や商工団体、金融機関等による連携体として、いわてスタートアップ推進プラットフォームを設置し、県がコーディネーター役となり、若者を含めた起業、スタートアップ支援等について、一層の連携、強化を図ることとしております。
 具体的な取り組みとしては、新たに起業、スタートアップ支援に関するポータルサイトを作成し、構成機関による支援策を集約し、広く周知を図ることを初め、市町村や商工団体、金融機関等との連係プレーによる支援体制を構築し、起業スタートアップを希望する方のニーズ、状況に応じた適切な支援の提供や支援者と希望者が一緒に地域課題の解決策を議論するワークショップの開催などを予定しているところでございます。
 そして、このプラットフォームが一体的に起業家育成を行うためには、共通の方向性を共有することが何よりも有効でありエンジンとなりますので、先ほど申し上げました取り組みを展開しつつ、中長期的な計画、これは目標も議論していただくことになると思いますが、そうした計画を策定することについて検討を進めてまいりたいと考えております。
〇米内紘正委員 起業家支援に関しては、県内で県内の方が起業するその支援という面もあるのですけれども、やはり全国にいる起業マインドを持った方たちに来てもらうというのも、一つ大きな要素であります。
 そうなると、例えば福岡県などは、2012年に既にスタートアップ都市宣言をして、もう10年以上前にポータルサイトなどをつくって、とにかく宣言をすることで投資を呼び込んでいるのです。やはり投資を呼び込まないと、結局、起業家も集まってこない。それが、またいいスパイラルを生んで、投資が集まってくるから起業家が来るというようなところがもうできてきているわけです。
 10年おくれでやるに当たって、同じ土俵で戦っていくのか、あるいは岩手県の何か強みとか、投資を呼び込むために必要な戦略等を考えていらっしゃったら教えてください。
〇菊池副知事 これは、先ほどいろいろ御議論いただきました人口減少対策や中小企業対策等でも用意しておりますさまざまなメニュー、事業があります。中小企業対策等から派生するわかりやすい施策としては、まさに新分野開拓や新技術開発、高度化のための支援がございます。
 これは、もちろん既存事業者にとってもございますが、これに加えて、移住支援策、支援金の展開や起業家のための融資制度、若者、女性のための融資制度等を用意しております。これら新規事業を有利な支援策と理解していただけると思っておりますが、こういったことを厚みのある総合的な支援策として御用意し、しっかりと御活用いただくことに努めることで、起業家支援が一層盛んになっていくものと考えております。
〇米内紘正委員 具体的な強みというところは出てこなかったわけですけれども、やはりそこは具体的に、何が岩手県でいいから起業家の皆さん集まってくださいというのは、新産業創出・働き方改革調査特別委員会で島根県松江市に行って、そこはプログラミング言語を前面に打ち出した起業家を集める策をやっておりましたが、何かしらの特異な武器を持たないと、では、何で選ぶのと、そこに選択する理由が生まれないわけでございます。スタートアップですから、そこはしっかり具体的な、例えばGXでも農林水産業でも、そこに新しい融合させた分野を提供していかないと、なかなか集まっていかないだろうと思っております。
 それでは、農産物輸出や起業家支援の話もしてまいりましたけれども、こうした施策というのは、やはり県外、外への情報発信をしていかなければいけないのですが、市町村ではなかなかできない、県だからこそ果たすことができる独自の役割をどう考えているか、お聞かせください。
〇達増知事 岩手県の魅力や強みを国内外に発信し、人や物などの流れにつなげていくためには、各地域、各市町村が、それぞれの特徴を生かした施策を展開し、県は、全県的、広域的な視点での情報発信や全県で展開する基本的な支援策を講じることにより、県全体の受け入れ環境の底上げを図っていくべきと考えております。
 例えば、農産物の輸出拡大に向けては、アジアや北米地域等をターゲットにトップセールスや現地と連携したフェアを開催するなど、米やリンゴ、牛肉などの安全・安心で高品質な本県農林水産物のプロモーションに取り組んできたことによりまして、岩手県への関心が寄せられ、県産食材の品質やおいしさなどが高く評価されているところであります。
 起業家支援においては、来年度、市町村を含めた関係団体や企業などを構成員とするいわてスタートアップ推進プラットフォームを設立し、オール岩手の体制のもとで支援を進めていくこととしており、このプラットフォームをベースに、岩手県から多くの起業家を育成していくこととしております。
 このような県の取り組みのもとで、さまざまなすぐれた農林水産物が各地域で生産され、また、個々の希望に応じた起業の場が各地域で提供されるといった市町村の特徴を生かした取り組みと連動する仕組みを構築し、こうした状況を強みとして情報発信し、人や物などの流れを生み出すことが、本県経済のさらなる成長につながっていくと考えております。
〇米内紘正委員 市町村と連動するときというのは、各事業を抱えている担当部局が担当するのですか、それとも、そこを統括してやるような体制を考えているのか、お聞かせください。
〇菊池副知事 取り扱う事象の規模とかによって、それぞれ対応は事務的なものから政策的なものと各般にわたるのは当たり前のことだと思いますが、例えば、今年度から非常に強化して取り組んでおります市町村長とのトップミーティングなどによって、政策の方向性等の共有も図りますし、課題の共有もあります。
 そうしたことを踏まえ、各部局、市町村等であれば各担当課、セクションとの情報共有と、それから、課題解決に向けたプログラムを動かしていく事務的な動きといったものが組み合わされて、地域課題の解決が図られていく仕組みとなっております。
 これは広域的な課題も同様でございまして、その間に広域振興局長と市町村長が介在する場合もありますし、加えて、関係各担当部局が介在するといった機動的な対応によりまして地域課題、広域課題の解決が進められている現状でありますし、今後もそういった取り組みを進めていくことになります。
〇米内紘正委員 広報戦略、マーケティングに関しては、今どんどんインターネットとかも広がって複雑になっております。その中で県が抱えるあらゆるもの、農業、観光、スポーツ、子育て支援、移住政策、起業、これを横串にやって、そこを一体として、そこに予算も投下してとやらないと、これからなかなか皆さんにリーチしていくことはできないのかなと。そこの規模拡大を図っていったほうがいいのではないかと思います。ぜひ考えていただけたらと思います。
 次に、新たな事業領域についてでありますが、DXの推進についてであります。
 医療分野におけるDXの推進につきましてですが、マイナンバーカードの普及に伴い、医療分野においても急激にDXが進んでいくことが想定されますけれども、県として、今どのような準備を進めていくべきと考えるか、もしそれが予算に組み込まれているのであればそれを、また、医療分野のDXの先に、県としてどのようなグランドデザインを描いているのかお聞かせください。
〇八重樫副知事 県ではこれまで、周産期医療情報ネットワークシステムいーはとーぶによる情報連携や、遠隔診断支援に係るシステムの整備など、医療分野におけるDXを推進してきたところであります。
 また、健診や医療、介護のレセプトデータなどの分析結果を健康寿命の延伸に向けた施策に活用するため、岩手県医療等ビッグデータ利活用システムの構築を進めてきたところであり、こうした施策に係る経費6、900万円余を令和5年度当初予算案に盛り込んだところです。
 一方、国においては、内閣総理大臣を本部長とする医療DX推進本部が設置され、現在、関連する施策を推進するための工程表を策定中と承知しております。
 今後、マイナンバーカードの保険証機能を活用したシステムにより、レセプトや特定健診情報に加え、予防接種や電子カルテ等の医療情報を医療機関や自治体が共有、交換できる全国医療情報プラットフォームの整備が進んでいくと見込まれることから、県においては、国の動きを注視しつつ、健康、医療、介護サービスの充実やビッグデータを活用した健康対策の推進を図ってまいります。
〇米内紘正委員 ぜひ、国に先んじて動いてもらえればと思います。
 最後に、GXの推進でありますが、GXの推進は、新たなマーケットの開拓に結びついていくと思われます。県は、具体的な取り組みにおいて、岩手県にどのような経済効果が生まれると思うかお聞かせください。
〇達増知事 GXの推進に伴う経済効果は多岐にわたるものでありますが、再生可能エネルギーの分野では、太陽光や風力、バイオマスなどの再生可能エネルギー設備の投資が県内各地で進むことにより、県全体のエネルギー収支の改善が期待されます。
 また、省エネルギーの分野でも、LEDや高効率空調設備の普及、建築物の高断熱化が進むことで一定の投資効果が生まれるほか、エネルギーコストの削減によって、県内事業者の収支構造が改善することも見込まれます。
 さらに、吸収源対策としての森林整備や藻場の造成などについても、Jクレジット制度などのカーボンプライシングによって、新たな収益を生み出しつつあります。
 そのほか、GXに伴う産業構造の転換に目を向けると、EVの部品などの新たな需要が高まっているほか、再生可能エネルギーの地産地消をPRしての企業誘致なども考えられるところであります。
 県としては、この機会を逃すことなく、地元金融機関等と連携した県内企業などの脱炭素関連投資の促進や市町村の脱炭素に向けた取り組みを支援することにより、県民や事業者、地域におけるGXを進め、地域経済と環境に好循環をもたらし、県民所得の向上を実現する脱炭素社会の実現に向けて取り組んでまいります。
〇米内紘正委員 終わります。(拍手)
〇佐藤ケイ子委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後4時8分 休憩
午後4時27分再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。中平均委員。
   〔中平均委員質問者席に着く〕(拍手)
〇中平均委員 いわて新政会の中平均です。会派を代表いたしまして総括質疑をさせていただきます。
 最初に、令和5年度当初予算案についてお伺いいたします。
 四つの重点事項についてですが、知事は、自然減・社会減対策、GXの推進、DXの推進、安心・安全な地域づくりということで、近年にない大胆な予算措置をしたと先日までの本会議、またこの委員会でも答弁がありましたけれども、令和5年度に、ここまで思い切った、こういう形にした理由をまずお伺いいたします。
〇達増知事 四つの重点事項についてでありますが、これらはいずれも、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおいて最優先で取り組むこととしている人口減少対策につながるものであります。
 人口の自然減については、全国的に合計特殊出生率が低下傾向であったところ、新型コロナウイルス感染症等の影響によりさらに低下し、社会減については、平成26年、2014年以降、国を挙げて地方創生に取り組んできましたが、コロナ禍による一時的な変化を除き、東京一極集中がむしろ加速しています。
 人口減少は、本県のみならず全国的に大きな危機となっており、国においても、異次元の少子化対策を打ち出し、予算を増額する構えを見せているところです。
 本県としても、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのスタートに合わせ、人口減少に立ち向かうための取り組みを強化して、より事業効果を高めることを狙い、県民一人一人が、さまざまな場面で活躍の場を広げていけるよう、令和5年度当初予算案において、四つの重点事項について近年にない水準で大胆に予算の重点配分を行ったものであります。
〇中平均委員 近年にない大胆な予算措置ということでございます。次の質問等にもつながっていくのですけれども、もう一点、知事に教えていただきたいのです。
 先ほど来の議論にもありましたけれども、自然減、社会減は、先ほど平成26年のまち・ひと・しごと創生法あたりから社会減をどうしていくかという話も出てきて、あのときは、たしか社会減をゼロにすると。平成26年から、当時の平成32年だから2020年、令和2年にゼロにする計画を県は掲げていて、たしか各自治体も市町村もそういう計画を掲げて、そして、国においても、人口集中をゼロにしようと言っていたのが、社会減、定住人口増大から、気がつけば関係人口増大という形で、いつの間にか単語が変わって今に至ったのかと私は認識していたのですが、そういう点を踏まえて、今回、近年にない大胆な予算措置ということです。
 ただ、この問題等、GXの推進、DXの推進も、去年、おととし、第4次産業革命というところからも出てきた話でありますし、安全・安心な地域づくりは、東日本大震災津波以降の岩手県の大きな命題であったと思うのです。それを、例えば去年とかおととしにやらないで、ことしにしたという理由を、もう一回教えていただきたいと思います。
〇達増知事 DXの推進、GXの推進については、既にさまざま取り組んではいるのですけれども、人口減少対策とより密接に結びつけることで、切実さも増して、県、市町村、民間それぞれ、より力を入れて取り組めるのではないかというところがあります。
 また、コロナ禍が3年続き、そして、そこに物価高問題も重なってまいりまして、目の前の危機への対応が引き続き重要なのですが、それがまた人口減少対策に直結する。コロナ禍でも物価上昇対策でも、そこにきちんと取り組むことが、地域を強くし、人をエンパワーすることになります。
 そういった状況がますます切羽詰まっているけれども、そこにきちんと対応することで、またDXの推進、GXの推進のような新機軸も合わせながら、より強力に政策を進めていけるということが、今が去年と違う状況、より力を入れるべき状況と言っていいと思います。
〇中平均委員 それを踏まえてですけれども、重点配分したということは、先ほどの議論にもありましたが、当然ふやしたところと減らしたところと出てくるのですが、この政策評価等の結果を踏まえて、事業効果の検証によって反映状況が縮減または廃止、休止が73事業となっております。この具体的に見直した事業というのはどのようなものがあるのかお示しください。
〇小野政策企画部長 事務事業評価結果で具体的に見直した事業といったことでございますけれども、令和5年度当初予算案で申し上げますと、例えば三つの世界遺産につきまして、一体的に保存活用と普及啓発を推進するため、既存の五つの事業を二つの事業に整理して実施するといったことがございます。
 また、担い手不足が見込まれる建設業の生産性を向上させるため、県内の一部地域でICT建設機械のオペレーター育成支援に取り組んだところ、一定の成果があったということで、既存のICT機器等の導入補助事業とあわせまして、今度は全県を対象に新たな事業に組みかえて実施するというようなものもございます。
 そのほか、新型コロナウイルス感染症予防のための設備改修など、目的を達成した事業につきましては廃止したところでございます。
 今後とも、事務事業評価を通じまして、限られた財源を効果的、効率的に活用してまいります。
〇中平均委員 限られた予算を使うという中で、その一方で、事業内容の充実などにより42事業を拡充、そして新規は65事業ということです。これを含めて四つの重点事項に合わせての政策の優先度だと思うのですけれども、この判断基準はどのように行ってきたのかを教えてください。
〇小野政策企画部長 政策の優先度の判断でございますけれども、いわて県民計画(2019〜2028)の推進に当たりましては、10の政策分野を中心に、いわて幸福関連指標の状況、県民意識調査等で把握いたしました県民の幸福に関する実感、それから社会経済情勢などを勘案いたしまして、毎年度、政策評価を行います。これらも踏まえて、政策の必要性、緊急性等の見きわめを行っているところでございます。
 また、先ほど中平均委員からお話がございましたように、来年度からスタートいたします第2期政策推進プランにおきましては、第1期の評価結果、それから社会経済情勢の変化を勘案するとともに、さまざまな主体から広く意見を伺いまして、県が直面する最大の課題でございます人口減少問題に最優先で取り組むこととし、四つの重点事項を掲げております。
 こうしたことから、令和5年度当初予算案におきましては、第2期アクションプランを着実に推進する予算として編成することを基本とし、評価結果等も踏まえ、政策の優先度も踏まえて、重点事項に対して、近年にない水準で予算を措置したものでございます。
〇中平均委員 それでは次に、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランについてお伺いいたします。
 第1期アクションプランのいわて幸福関連指標では、2017年、平成29年における合計特殊出生率は1.47、2022年の目標値、これは令和4年、去年の目標値が1.58となっております。
 実際には令和3年、去年の合計特殊出生率は1.30、ことしの速報値の数字、出生数は先ほど出ていましたけれども、率についてはまだ出てきていないということでありましたが、間違いなくこの1.30が去年なので、達成は限りなく難しいということです。
 コロナ禍で、新型コロナウイルス感染症の流行があった状況下ではありますけれども、この達成できない見込みとなった要因を、知事はどのように捉えているのかお伺いいたします。
〇達増知事 合計特殊出生率低下の要因は、結婚観の多様化や出会いの機会の減少などによる未婚化や晩婚、晩産化の進行、子育てや教育に係る経済的な負担、育児に対する心理的、身体的な負担など、さまざまな要因が複雑に絡み合っているものと考えられ、背景には、結婚、出産、子育てのしにくさといった生きにくさの問題があると認識しております。
 また、新型コロナウイルス感染症流行の影響下で、多くの方が日常や将来に不安を感じ、生活意識や行動が変化する中で、婚姻件数は減少傾向にあり、令和4年度版少子化社会対策白書では、若い世代や子育て世代の結婚、子育てに関する意識も変化している可能性について指摘しています。
 本県では、これらの要因に加え、若い女性の社会減を含めた女性人口そのものが減少していること、男性は50歳時の未婚割合が高く、女性は30歳以上で婚姻率、出生率が全国平均より低い状況にあること、全国に比べて年間総実労働時間が長い中にあって、共働き世帯の妻に家事、育児の負担が偏っていることなども影響していると考えております。
〇中平均委員 その答弁は今まで言っていたとおりで、そのとおりに認識しているということだと思います。
 そこで、第1期アクションプランの今の目標値が1.58だったわけです。今度、第2期アクションプランの指標での目標値は、令和3年1.30から令和8年1.58ですね。これを数値目標としている。今のお話にあったとおり、コロナ禍もあって、さまざまな要因があってということですけれども、どうなのでしょうか、これを1.30から1.58、先ほども答弁があったと思いますが、もう一回聞きますね。達成に向けての課題、条件をどうクリアしていけば、この1.58に行くと考えているのかお伺いいたします。
〇達増知事 コロナ禍において、合計特殊出生率が低下を続けているところでありますが、第2期アクションプランでは、コロナ禍以前の水準へ回復を図りながら、令和8年度までに、第1期アクションプランで目標に掲げていた1.58を目指すこととしております。
 この目標を達成するために、全国トップレベルの子供子育て環境をつくるべく、令和5年度当初予算案において、他県でも例の少ない第2子以降の3歳未満児を対象とした所得制限を設けない保育料等の無償化や、在宅育児支援金の創設など、全国でも先進的な新規事業を盛り込んだところであります。
 また、子供を産み育てたいと思える岩手県にしていくためには県の総力を結集して取り組む必要があり、いわてで生み育てる県民運動等により機運醸成を図りながら、県民や市町村、企業、団体等のさまざまな主体と連携し取り組みを進めてまいります。
〇中平均委員 第1期アクションプランのときもそうなのですけれども、やっぱり2040年に向けて人口100万人を岩手県として維持していきたいというのに向かって、今回、社会減のほうは、あえて触れていませんが、そういった結論ありきとまでは言いませんが、100万人に向けてやっていこうと。ただ、第1期アクションプランが本来1.58まで目標どおり行っているとしたら、今回は、当然もっと上の目標を設定していて、2.07に向けていくという計画だったと思うのです。
 そうすると、この第1期アクションプランが、コロナ禍であり、さまざまな要件があったというお話がありましたが、第2期アクションプランは、同じ数字を設定していますけれども、1.58になってこの先に向かっていくときに、2040年に向けて人口100万人規模を維持していけるのかという疑問がどうしても-県が一番最初に出している数字ですよね-あるのですけれども、ここはどう考えていますか。
〇小野政策企画部長 中平均委員からお話がございましたように、岩手県の人口に係る将来像ビジョン等につきましては、岩手県人口ビジョンにおいて展望しているところでございまして、このビジョンにつきましては、令和2年3月に改訂を行っております。
 中平均委員お話しのように、コロナ禍の影響を受けまして、まずは当初予定していたところからかなり下がっておりますので、それを回復軌道に乗せて、さらに高めていくということで、なかなかチャレンジグな目標ではございます。2040年に100万人程度の人口を確保することと申しております本県の人口ビジョンについて、中長期的な展望といたしまして、これを維持して、これに向かってまずは回復軌道、そして、より高いレベルを目指していくといったことで、来年度予算案につきましては、これまでにない取り組みを盛り込んだということでございます。
〇中平均委員 チャレンジングな目標値ということでありますので、それに向けていく今回の予算案ということです。2040年というとあと17年後ですね。17年後となると、すごく遠い未来でもなければ、すごく近い未来でもないという中で、よりこの数値を管理したり、実効性ある施策をどうしていくかが必要になってくるというところを踏まえて、今後に進んでいかなければならないということを申し上げさせていただいて、次に行きます。
 子育て支援策と見通しということで、自然減対策で、今回さまざまな今までにない先進的な事業が当初予算案に出ています。私も素案からの改正点、最終案というところを見ながら、いろいろな市町村の意見であるとか各種団体の意見等を取り入れて、この施策が入ってきていると見ておりました。
 そして、先週の一般質問ですか、県内の全自治体において、最初に自治体が補助して、それに県が乗せるという第2子以降のもの、保育料の無償化とか妊産婦の助成とか、それも、まず、全市町村で実施に向けて進めていくと知事から答弁があったと記憶しております。その中では、安定的な財源の確保ということになりますが、これは午前中にも答弁がありましたので、次に、今後の子育て支援策の継続です。
 今回提案されている子育て支援策の継続をどのように図っていくのか。そして、今回は第2子からですけれども、第1子からにしていくとか、今回のものを受けて、いずれさらに拡充していくことになってくるのだと思いますが、そういった点についてお伺いしたいと思います。
〇八重樫副知事 県ではこれまで、4県のみで行っている妊産婦医療費助成を全国に先駆けて実施してきたほか、妊産婦のアクセス支援、産後ケア利用料の無償化、認定こども園等の施設整備等により、子育て支援に取り組んできたところであります。
 子育てや教育に係る経済的負担が出生数減少の主な要因であり、複数の子供を養育するにはさらに負担が増すことから、第2子以降の3歳未満児に係る保育料の無償化、在宅育児支援金の創設について、国の施策を待たずに県独自で子育て支援策として打ち出したところであります。
 これら二つの事業については、国の出生動向基本調査によると、夫婦の理想の子供数が2.25人に対して、最終的な出生子供数は1.90人と0.35人のギャップがあり、県民の皆さんが、希望する子供数を実現できる環境を整備していくことが重要であることから、第2子以降を対象として支援を行うこととしたところであります。
 今後の子育て支援策の検討に当たっては、国、地方自治体、事業者等が一体となって、希望の子供数を実現できる環境を整備していくことが重要であり、国への制度要望等に加え、県においても、あらゆる選択肢を排除せずに不断に検討を進めていく考えであります。
〇中平均委員 そういった中において、今度は、その中の一つである産後ケアについてお伺いします。
 第2期アクションプランの県が取り組む具体的な推進方策、目標値、産後ケア事業の実施市町村数は、令和3年度の実績は26市町村、令和6年には33市町村全てで実施を想定しています。このスケジュールを組んだ考え方と産前産後のサポートを実施する団体の育成についての県の考え方についてお伺いいたします。
〇達増知事 産後ケアについては、妊産婦が身近な地域できめ細かなケアを受けられる環境の整備が重要でありますことから、県では、県内における産後ケア事業の事例集の作成、配布や、今年度から産後ケア利用料の無償化などに取り組み、事業の拡充や利用促進に取り組んでまいりました。令和4年度における実施市町村数は29市町村となり、年々取り組みが拡大しているところです。
 国の少子化社会対策大綱では、産後ケア事業を令和6年度末までに全国展開することとしていることから、本県においても事業の展開が図られるよう、第2期アクションプランにおいて、令和6年度末までの全市町村での実施を目標としたものであります。
 市町村が産後ケア事業を実施するに当たっては、委託先や人材の確保が課題でありますので、保健所単位で開催している母子保健に係る連絡調整会議の場などを活用し、人材や設備等の地域資源の実情や利用者のニーズに応じた事業展開等について意見交換を行う中で、協力いただける医療機関や助産師などの掘り起こしを行いながら、市町村を支援していく考えであります。
〇中平均委員 そうして進めていくということでございます。ただ、令和3年が26市町村、令和4年が29市町村と今答弁をいただきましたけれども、産後ケアは、私もいろいろ調査させてもらって、アウトリーチ型という形が多くて、利用者の御要望の一番多いショートステイであったり、宿泊型の導入を進めていかないと、なかなか希望に合った形にならないのではないかと思います。
 言っては悪いですけれども、各自治体の体力差もあり、人材を確保できるところもあり、ある程度広域でやらなければならない地域もあり、でも、今言ったように、ショートステイだったり宿泊型までやるとなると、やはりそれなりのスタッフの数も必要だし、組織体制をどうつくっていくかということも必要になると思うのです。でも、これを進めていかないと、本当の意味での産後ケア事業の充実にはつながらないのだろうと考えますが、この点について県の見解をお伺いいたします。
〇八重樫副知事 産後ケア事業については、県が今年度創設した産後ケア利用料の無償化事業の開始などを契機として、取り組む市町村数は年々増加しており、市町村によっては、地元の宿泊施設を利用してデイサービス型事業を始めるなど、地域資源を活用した新たな取り組みも進んできています。
 中平均委員から御指摘のありましたショートステイ型やデイサービス型などのサービスを実施している市町村は、令和5年1月末現在で12市町村となっており、今後、より充実した産後ケアを行うため、各圏域の母子保健に係る連絡調整会議等の場で、市町村の意向などを十分に確認するとともに、医療機関や民間事業者、助産師など、地域の関係者との意見交換を行いながら、地域の実情に応じた事業のあり方について議論を進めていく考えであります。
〇中平均委員 例えて言えば、今の産後ケア事業でありますけれども、各種事業は、知事初め皆さんの答弁で、生きづらさを生きやすさに変えていく、そのためにいろいろな施策をやっていくのだ。そして、人口減少対策をして、社会減をなくして、この岩手県を100万人規模になっても持続発展可能な社会にしていくことが大きな目標だと。
 そういう中に一つ、今、産後ケアで例えましたけれども、実際のサービスを受ける皆さんにとって一番いい形を求めていかなければならないと思いますし、そういった意味での取り組みを本年度進めていっていただきたいと思います。
 次に、奨学金制度についてお伺いします。
 今回の予算案に出ておりますけれども、令和3年9月、国立社会保障・人口問題研究所が公表した出生動向基本調査によりますと、先ほど来の答弁にあります、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからという回答が、今回の予算案を組む基本になっているのだと見ております。
 教育費の支援という中で、今回、高校奨学事業費補助ということで大学等進学支援に2、600万円余が計上されています。一応資料等を見せていただいて、これは大学等へ進学を希望する高校生等に対して15万円を貸与するという新規事業でありますけれども、これで県内大学への進学または一定期間の県内就業で返還が免除されるスキームとお伺いしております。
 同様の取り組みは他県でも何カ所か、東京都とか鹿児島県はやっておりますけれども、都道府県レベルではこれも先駆的なものの一つに入るのだろうと考えているのですが、県は、奨学金の給付型というものを新設したということで、少子化対策、社会減対策にどのように取り組もうとしているのか、事業の狙いと今後の展開についてお伺いいたします。
〇達増知事 高校奨学事業費補助で実施する新たな奨学金制度は、公益財団法人岩手育英奨学会を実施主体に、経済的に困窮している高校生等に大学等進学に必要な経費を貸与し、県内大学進学または一定期間の県内就業を条件に返還を免除するというものであります。
 これは、教育費負担の軽減を図るとともに、将来、県内での就職を希望する生徒への支援になるものであり、この奨学金も含めて、各ライフステージに応じた総合的な施策を強化していく考えであります。
 本県の奨学金の特徴は、塾費用や参考書代、受験料などの使途を特定せずに貸与しようとするものであり、生徒の希望に沿ったきめ細かな進学支援に資するものになると考えております。
〇中平均委員 今回、高校生に貸与ということで新規だということでございます。ぜひとも、まずこの成果を見ていくということもあるのだと思いますが、あとは、今、大学生の方に、戻ってきて就職すると免除する給付型もやられています。そういった点を踏まえながら、人口減少対策といいますと、いろいろ格差対策もありますので、こういった点をもっと充実していく必要があるのだと思います。
 これは財源の問題も当然あるのだと思いますが、知事、もう一点、今回は高校生だけでやっていますけれども、これをさらに、将来的にはもっと充実させていくべきだと私は思うのですが、その点についての考えをお伺いいたします。
〇達増知事 多少虚をつかれた感もあるのですけれども、一方、基本的な考え方としては、教育というのは、特に経済的な困難に直面している状況から、経済的に自分の状況を大きく変えることにつながり得るものでありますので、まずは今回の事業を軌道に乗せることとは考えておりますけれども、中平均委員御指摘の点は、県民をエンパワーして幸福度を高めていくという県の方向性と一致するものでございます。
〇中平均委員 それでは次に、公共事業費についてお伺いたします。
 今回の令和5年度当初予算案の公共事業費は558億円、そして、令和5年2月15日に先議を行って議決した320億円を入れると878億円という実行予算額でございます。震災前、平成22年は890億円でありましたから、この規模を維持していくには最低限必要なラインかと考えています。
 一方で、国の事業の直轄負担金がありますので、令和4年度が負担金94億7、200万円、令和5年度が89億7、100万円。それを差し引いていくと、令和5年度の実質的な公共事業費は788億円という計算になるかと思っているのですが、ただ、各種の必要な事業をやっていく中で、国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策に対応した事業執行も今やっていますし、これからも続けていくべきだと考えておりますけれども、今後の事業執行と総額の予算確保についてお伺いいたします。
〇達増知事 公共事業による社会資本の整備は、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震を初めとする大規模災害など、リスク発生時に的確に対応できる安全・安心な地域づくりを推進するとともに、地域の産業振興を支えるために重要なものであり、安定的に予算を確保していくことが必要であります。
 令和5年度当初予算編成においては、公共事業費に令和2年度以来となるプラスシーリングを設定したことに加え、さきに議決いただいた令和4年度一般会計第8号補正予算と一体的に執行することにより、安全・安心な地域づくりの実現に向けた事業費の確保を図ったところであります。
 今後においても、さまざまな機会を捉えて、国に対し国費の確保を強く働きかけていくとともに、国の5か年加速化対策を踏まえた経済対策の動向等も勘案しながら、毎年度の予算編成において所要額の確保に努めてまいります。
〇中平均委員 それでは、公共事業費についてとあわせて、構想路線の久慈内陸道路についてお伺いしたいと思います。
 久慈内陸道路については、広域の道路ネットワークということも含めて地域の期待は非常に高いものがありますけれども、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
〇八重樫副知事 県北地域の道路ネットワークの強化は、災害に強い県土づくりに加え、県北地域の産業振興や広域観光の推進の観点からも重要な課題と認識しています。
 このため、令和3年に策定した岩手県新広域道路交通計画では、久慈市と盛岡市間の連絡強化を図るため、国道281号を一般広域道路に、さらに、これに重ねる形で(仮称)久慈内陸道路を構想路線に位置づけたところであります。
 この計画に基づき、国道281号久慈市案内-戸呂町口工区においては、来年度、トンネル前後の道路改良工事を進めてまいります。
 また、久慈内陸道路については、路線全体の整備の考え方や大まかなルートの検討状況などについて、沿線の市町村と丁寧に意見交換しながら調査の熟度を高めていくこととしており、引き続き、県北地域の道路ネットワークの構築に取り組んでまいります。
〇中平均委員 答弁はどうしても本会議場での答弁が出ないのだろうと思いますので、その辺を含めて1点だけ伺います。調査の熟度を高めていくということであります。今、市町村長とも話をしていくとありました。例えばどういうスケジュール感で持っていくのかとか、今後の予算措置等を含めてどういう形で持っていくのかが見えてこないとというところはあると思うのですが、そういった点を含めて、今後に向けて進めていくべきだと思うのです。
 その点を、熟度を高めていくスケジューリングをきちんとしていく、それを後で教えて-あす、あさってに教えてくれと言っているわけではないですので、その点を含めて、今後きちんと取り組んでいってもらいたいと思います。
 それでは次に、安心・安全な地域づくりの推進についてということでございます。重点4項目の一つでございます。
 予想される地震津波災害、台風災害等に対応していくために、ハード、ソフト両面からの事業が必要だろうと。県が公表したように、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震では大きな被害が想定されているところでもあります。これらの被害を軽減させるため、令和5年度当初予算案では、自主防災組織の強化等に係る事業が盛り込まれていますけれども、市町村との連携を含め、今後、安全・安心な地域づくりにどのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。
〇佐藤復興防災部長 市町村と連携した安全・安心なまちづくりに向けた取り組みについてでございます。
 地震、津波対策につきましては、昨年11月に沿岸12市町村と岩手県地震・津波減災対策検討会議を立ち上げ、自動車による避難や避難行動要支援者の避難のあり方など、市町村に共通する課題について検討を進めておりますほか、市町村が自主防災組織の活性化などに速やかに取り組むことができるよう、令和5年度当初予算案に本県独自の支援制度を新たに盛り込んだところでございます。
 また、近年頻発する大雨などの他の自然災害に対しても、風水害対策支援チームによる市町村に対する避難指示発令等への助言、住民参加型の総合防災訓練の実施、市町村職員を対象とした防災対応研修の開催、自主防災組織リーダー研修会や防災士養成研修による防災人材の育成などに、市町村と連携し取り組んできたところであり、今後も引き続き、災害対応力を高めるための取り組みを推進してまいります。
〇中平均委員 今いろいろお話しいただいて、今回の日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震とか台風災害、例えば、私が住んでいる久慈市内であれば、今後、津波に関しては、水門もないことですから、河川遡上、ハザードマップを見ればそうなのですけれども、そういう被害が出ると想定されています。この被害を最小限にするために、ソフト事業としては、動画によるイメージ映像を活用した防災学習、先週ですか、県土整備部のホームページでこの動画というかイメージ映像が出たのですね。そういうものを含めて使っていくと。ハード事業としては、地域地域の特性でしょうけれども、久慈市であれば、護岸であったり堤防かさ上げということが必要になってくると思うのですが、この点について県の見解をお伺いいたします。
〇佐藤復興防災部長 本県では、東日本大震災津波の経験を踏まえ、最大クラスの津波を想定しつつ、さらに想定を超える可能性や整備された堤防等では防ぎ切れない規模の津波も前提としながら、ハードとソフト総動員した多重防御の考え方によりまして、住民の避難を軸に減災に結びつけることとしております。
 久慈川のハード対策につきましては、震災前にあった堤防のかさ上げを行っており、厚みのあるコンクリート被覆など、最大クラスの津波に対しても破壊されにくい、いわゆる粘り強い構造としたところです。
 中平均委員から御提案のありました動画の活用でございますけれども、昨年3月に公表いたしました津波浸水想定をもとに、時間を追って浸水域が広がっていく状況をあらわしたCG動画を地域ごとに作成いたしまして、市町村に提供いたしましたほか、令和5年3月1日から県のホームページでも公表しているところでございます。
 今後、この動画も活用し、防災意識の向上や防災教育に取り組むなど、ソフト対策を積極的に推進してまいります。
〇中平均委員 ソフト対策の面も今、復興防災部長からお話がありましたけれども、ぜひ、今回DXの推進も掲げられていることでもあるし、今回の動画も含めていろいろなバージョンのものとかも考えていきながら、先般の報道でも出ていましたけれども、どう学習していったらいいかという意見も出ていたのを私も拝見しています。そういった点、教育委員会と一体となって防災学習等にもつなげていっていただきたい。
 あとは、久慈市に限らず、沿岸部はみんなそうですけれども、今のハード対策をどのようにこれからの新しい想定にしていくかというのは大きな課題であります。国も補助率を上げるという話もありますけれども、金額的には莫大な予算がかかるのも重々承知しておりますが、ハード、ソフト一体となった形を進めていくことが必要だということを申し上げておきます。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策ということでお伺いいたします。
 新型コロナウイルス感染症対策が2類感染症から5類感染症へと、令和5年5月ですか、そういう報道がありますけれども、これによってワクチン接種、PCR検査、また、さまざまな外来等のものが自己負担の案が出ているということで、これは令和5年3月2日付で報道されていますので、令和5年3月1日に国でそういう検討をしているという案がございました。
 ただ、やはりまだ新型コロナウイルス感染症が全部解明されたわけでもなく、インフルエンザにおける、例えば抗ウイルス薬、タミフルやリレンザといったものができるまでは、患者負担100%と言われると非常に厳しいものがあるのだろうと思います。
 そういったところにおいて、ワクチン接種やPCR検査等、財源の確保について、全国知事会と連携してやっていくと知事は言っておりましたけれども、この点、どう取り組んでいくのかお伺いいたします。
〇達増知事 新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行については、具体的な移行の内容や今後のスケジュールについては、現在、国において検討中であり、厚生科学審議会感染症部会での審議をもとに、今月上旬に各自治体に示される予定です。
 県では、感染症法上の見直し後の課題として、令和5年5月8日以降においても適切に保健、医療体制が確保されるよう、ワクチン接種の公費負担、医療費や検査に係る費用の公費負担、重症化リスクの高い高齢者向け宿泊療養施設、発熱など症状がある方の相談センター、高齢者施設でのクラスター発生時の対応などの段階的な移行や継続が必要であると考えており、全国知事会として、国に対応の申し入れを行っております。
 見直し後においても、重症化リスクの高い高齢者を初め、県民の生命や健康を守るため、引き続き、全国知事会と連携し、適切な保健、医療体制の確保などに万全を期してまいります。
〇中平均委員 いろいろな活動をしていく中で、仮に5月の5類感染症への見直し案で、報道に出たような形で検査と外来が患者負担という形になったときに、まだ検討していない、そうなってから考えるという答弁でもそれはいいのですけれども、もしそうなった場合に、県としてどのように考えていくか。もし今考えがあれば、お伺いします。
〇野原保健福祉部長 私どもも中平均委員から御指摘いただいた5月8日以降の体制が急激に変わるとなると、これは患者にとっても、また医療機関サイドにとっても大変難しいと考えておりまして、移行するにしても段階的な移行が必要だと考えております。
 特に、中平均委員から御指摘があった患者負担は、御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の治療薬はあるのですけれども、非常に薬価が高くて、こちらが保険適用になったとしても、かなりの窓口負担という形になります。また、検査や、そのほかさまざまな部分については、患者への支援のほかにも、医療機関の裾野が広がらないと対応が難しいということがございます。
 5月8日になって病原性が全く変わるわけではございませんので、保健、医療体制は、やはり県民の皆様方の命を守る、健康を守ること、また、医療機関の混乱を防ぐということで、国もそういった方向性が示されておりますけれども、県としても万全な体制をとっていきたいと考えております。
〇中平均委員 ぜひ混乱が生じないように、また、万全の体制ということでありますので、そのように取り組んでいただきたいと申し上げます。
 次に、中小企業支援策ということで、新型コロナウイルス感染症の関係です。
 いわゆるゼロゼロ融資の返済がもう始まってきております。こういった中において、今言ったように2類感染症から5類感染症になったとしても、今までの3年に及ぶ生活様式が一気にコロナ禍前に戻るということは、なかなか想定できない。
 そういった中において、物価高騰の中小企業支援策は今回も取り組んでいただいておりますけれども、コロナ禍の後に関して、実は今が、この2類感染症から5類感染症になって、いろいろな新型コロナウイルス感染症関係の施策がなくなってしまって、でも融資は返していかなければいけない。でも、生活様式は一気にもとに戻らないとなると、逆に一番厳しい時期に当たってきているのだろうと思うのですが、この点について、県はどのような対策が必要と考えているのかお伺いいたします。
〇菊池副知事 本県の中小企業者は、3年に及ぶ新型コロナウイルス感染症の流行やエネルギー、原材料価格の高騰、急激な円安の進行などの厳しい経営環境に置かれております。
 中平均委員もよく御存じのとおり、過去、我が国を襲ったさまざまな不況への対応に見られるとおり、大規模かつ中小企業の経営特性、また取引上の特性などを踏まえますと、相当期間にわたる国策としての中小企業対策の発動が、まずもって重要であります。
 今般の状況におきましても、国主導による対応の速やかな実施が何よりも重要であるため、これからをも見据えた中小企業対策について、地方の十分な財源確保も含め提言、要望を展開してきているところでございます。
 このような中で、県としては、まずは県内中小企業者の事業の継続と雇用を維持するため、これまで、地域企業経営支援金などの直接的な支援や、いわて旅応援プロジェクトなどの需要喚起策などを実施してきたほか、今般の2月補正予算においては、原油価格、物価高騰等により経営に影響が生じている中小企業者等に対する支援金の支給などの緊急対策を用意しているところでございます。
 さらに、令和5年度当初予算案におきましては、資金繰り支援としての融資の充実や生産性向上を実施するための伴走支援、事業承継者の新分野進出への支援、将来有望な研究シーズの育成や事業化に向けた研究開発支援などを盛り込んでいるところであります。
 これらの事業を着実に展開するとともに、いわて中小企業事業継続支援センター会議の構成員であります国や金融機関、商工指導団体等と緊密に連携して、新分野への意欲的、積極的な挑戦や人材育成なども促し、中小企業を初め、地域経済の速やかな回復と成長を目指していく考えであります。
〇中平均委員 菊池副知事も御存じのとおり、さまざまな業種があって、まずはコロナ禍で、またこの物価高騰対策でというところでありますから、ぜひとも、そこはきめ細やかな今後の進め方をしなければならないということを指摘させていただいて、次に行きます。
 次は、県北・沿岸振興ということで、知事は令和5年1月1日の地方紙の新春インタビューで、北いわて産業・社会革新推進コンソーシアムを生かし、先端技術を生かした地域振興を進める。未来的な地域振興が可能とその意義を語っていました。
 このコンソーシアムを組織するだけでなく、去年組織して、ことし2年目に入っています。私も、ことし2月の会議にもズームで参加させていただきましたけれども、やはり具体的な成果を期待しているところです。
 今後の展望についてお伺いいたします。
〇達増知事 県北地域は、食産業、アパレル産業及び農林水産業などの特色ある産業に加え、御所野遺跡や漆などに代表される伝統に培われた歴史、文化、豊富な再生可能エネルギー資源を有しており、今後の持続可能な社会の構築に向け、他地域を先導する高いポテンシャルを有する地域であります。
 令和3年度に北いわて産業・社会革新推進コンソーシアムを設立し、北岩手13市町村や企業など多様な主体が地域課題をテーマとするプロジェクトに取り組んでおり、今年度は、一戸町における木質バイオマスエネルギーを生かした地域内エコシステムの構築を初め、森林資源を生かした新ビジネス創出の支援など、現在七つのプロジェクトに取り組んでおります。
また、新たに、東京大学を中心に岩手県立大学と県によるゼロカーボンと豊かさの両立を目指すCOI-NEXT-センター・オブ・イノベーション・ネクスト-の取り組みが開始されたところであり、中山間地における持続可能な地域交通システムの構築や農産物の出荷や宅配を組み合わせた高齢者向けの新サービスの提供など、地域の直面する課題解決に向け、四つの社会実証に取り組んでいるところであります。
 今後とも、このコンソーシアムを推進母体に、北岩手をフィールドとした研究や社会実証の成果が早期に発現されるよう、大学や市町村と連携し地域の課題解決に取り組むことにより、持続的に発展する先進的な地域づくりを推進してまいります。
〇中平均委員 そのとおりになっていかなければ大変困るのですけれども、ただ、知事がおっしゃったように、高いポテンシャルと限りない可能性というのは、往々にして県北地域にずっと使われてきたような気がするのです。これをどう生かしていくか、実質に持っていくかということに進めていかなければならないという意味で、今、社会実証をやられているという話をされましたけれども、それがより地域に早く落ちていって、それが実際、県北地域の進展等につながっていく必要性があると思うのです。
 どちらかというと、県北全体というか広域という形が多くて、その地域地域、例えば自治体ごとにもさまざまな問題があって、それを落としていかなければならない。それを具体的に1年後、2年後に自立していくシステムをつくっていかなければならないとか、進めていかなければならないと思うのですが、そういったことの地域地域の特化したアイデアを実現していくようなシステム構成も必要だと思うのですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
〇熊谷ふるさと振興部長 先ほど知事が申し上げましたとおり、北岩手はすぐれた地域資源を有しております。広域で相乗効果を図るとともに、個々の強みをより強めることで、全体としての付加価値も一層高まるものと考えております。
 令和4年度におきましては、一戸町における木材乾燥施設や公共施設等に熱源を供給する木質バイオマスエネルギーを生かした地域内エコシステム構築プロジェクトや、久慈市における林地残材を活用した農地の土壌改良剤と炭素の貯留を図るバイオ炭による地域資源循環プロジェクトなど、地域資源に特化した市町村や地元企業の取り組みの支援も開始しているところでございます。
 今後とも、このコンソーシアムにおいて、構成団体のアイデアも生かしながら、持続的に発展する地域となるよう取り組んでまいります。
〇中平均委員 次に、三陸沿岸道路を活用した地域振興策についてお伺いいたします。
 全線開通して1年ということになります。この全線開通の効果をどのように発揮していくかが地域振興につながっていくものだと考えておりますが、県では、県北地域における産業振興や交流人口の拡大といったことに向けて、この三陸沿岸道路をどう活用して地域振興策を考えているのかをお伺いいたします。
〇熊谷ふるさと振興部長 三陸沿岸道路の整備は、移動時間の大幅短縮、輸送コストの軽減などにより、企業の新設、造設の増加、コンテナ取扱貨物量の拡大など、多くの効果があらわれております。
 久慈地域では、特産のウニやホヤ、さらには、近年養殖が始まった久慈育ち琥珀サーモンなど、三陸沿岸道路を生かした高鮮度の物流で新たなビジネスの拡大が期待されております。
 また、八戸圏域との交流促進については、県内のバス事業者で八戸市の中心市街地と久慈駅を結ぶ高速バスの実証試験が実施されておりますほか、三陸鉄道では、三陸沿岸道路と鉄路の組み合わせによる八戸圏域や仙台圏域からの旅行商品の実証試験を実施するなど、民間事業者による圏域を越えた交流人口の拡大に向けた取り組みも始まっております。
 さらに、今後はクルーズ船の寄港やインバウンドの増加なども見込まれますことから、市町村を初めとする多様な主体と連携し、三陸沿岸道路を生かした地域振興に取り組んでまいります。
〇中平均委員 バスの実証実験であるとか、各種実証実験もされています。恐らくふるさと振興部としては、実証実験の結果も押さえているのだと思います。その上で、民間でこういう実験をして、例えば八戸市と県北地域で動かしたバスの実験の結果をどう捉えて、それを踏まえて、例えば交流人口をどうふやしていくのだとか、そういったところまで進めていかないと難しいのかなと思います。
 そこまでの数字などは、今回は通告していませんし求めませんけれども、そういったものを踏まえた道路を活用した振興策をぜひとも進めていっていただきたいと思います。
 次に、水産業ということで、去年の私の代表質問のときに、知事からリボーン宣言をやりますとありましたが、それから1年経過しています。具体的な成果についてお伺いいたします。
〇菊池副知事 これまで、主要魚種の資源回復として、大型で遊泳力の高い強靱なサケ稚魚の生産やアワビ等の磯根資源の回復に向けた藻場の再生とともに、増加している資源の有効利用として、ウニ資源を有効活用する蓄養、出荷や新たな漁業、養殖業の導入として、サケ、マス類の海面養殖の生産拡大などの取り組みを進めてきているところでございます。
 こうした取り組みにより、サケ種卵の確保に向け、県内では定置網で漁獲されたサケを積極的に活用したほか、県内のみでは目標とする種卵の確保が難しいことが懸念されたことから、北海道など県外からの調達に努め、目標を上回る約1億粒を確保したところでございます。
 ウニの蓄養については、県内10漁協に取り組みが拡大しておりますとともに、夏場のみの出荷であったウニが、高い価格で取引が期待される年末にも出荷が可能となり、今後、漁業者等の所得向上が期待されるところでございます。
 さらに、サケ、マスの海面養殖につきましては、今年度、約1、200トンと前年度の約2倍の水揚げ実績になるとともに、現在、約1、700トンの水揚げに向けた養殖が行われているところでございます。
〇中平均委員 では、令和5年度新規事業で、漁場等生産力発揮対策事業費などや新たな水産資源利活用モデル開発事業費で計上していますが、この不漁対策や、また、この不漁に伴う漁協の経営支援でありウニの蓄養について、どのように取り組んでいく考えなのかお伺いいたします。
〇菊池副知事 県では、不漁対策について、サケ等の資源回復に向け、現在、改良した餌等を活用し、大型で遊泳力の高い強靱なサケ稚魚の生産を進めているほか、適期に放流されるよう指導していくこととしております。
 また、ウニ等の増加している資源の有効活用に向け、天候や海の状況に左右されずに安定的な出荷を可能とする蓄養技術の開発のほか、マイワシやサワラ等の高鮮度での流通の実証や販路の開拓、拡大に向けた調査などを行うこととしております。
 漁協支援につきましては、県内の漁協は、秋サケ等の不漁により依然として収益が低い水準にあるものの、サバやイワシ、ウニやアワビ等の水揚げ金額が増加したことにより、令和4年度決算においては、多くの漁協の収益改善が見込まれるところでございます。
 県ではこれまで、漁協の経営状況を踏まえ、経営改善指導とともに資金繰りの改善に活用可能な借りかえ資金への利子補給を行ってきたところであり、国においても、不漁等により経営の悪化した漁協が、経営基盤の強化に必要な資金を円滑に調達できるよう、利子や保証料の助成等を行う金融支援を措置してきたところでございます。
 また、今般、国では、補正予算において、定置漁業を行う漁協の収益構造の転換に向けた支援事業を措置したところでございまして、県としては、こうした事業の活用を進めるとともに、漁協関係団体と連携しながら経営改善指導を行うこととしております。
〇中平均委員 ありがとうございます。ぜひとも進めていっていただきたいと思います。特に国から直接という事業もありますので、やはり県が調整役になっていただかないと進まないところもありますので、その点はよろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、洋上風力発電について、久慈市沖の関係です。
 今年度も久慈市沖浮体式洋上風力発電検討委員会が開催されましたが、検討状況、そして、港湾利用を初め、久慈市と国、県との間の調整状況についてお伺いいたします。
〇熊谷ふるさと振興部長 久慈市では、令和3年6月から、洋上風力発電に関する各種調査のあり方、事業性及びCO2削減効果等について、専門家や地域関係者との検討及び助言を得ることを目的に、久慈市沖浮体式洋上風力発電検討委員会を開催しています。
 令和4年度におきましては、本検討委員会が3回開催され、漁業への影響、環境影響評価の実施手法、電力の地産地消に向けた取り組みや洋上風力発電関連産業の振興等について協議を行っており、浮体式洋上風力発電の事業化実現に向け、漁業や環境への影響を考慮するとともに、地域活性化に資する取り組みとなるよう検討を進めております。
 港湾利用に向けた取り組みについては、洋上風力発電設備の建設、維持管理に必要となる基地港湾の指定に向け、久慈港の長期構想の策定に着手するとともに、久慈市沖洋上風力発電に関心のある事業者から情報収集等を行っているところでございます。
 久慈市沖は、令和3年9月に海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律に基づく一定の準備段階に進んでいる区域に整理され、今年度も引き続き整理されたところです。
 次の段階となる有望な区域としての整理に向け、引き続き、国や久慈市と連携を図りながら、関係団体等との調整を行い、取り組みを進めてまいります。
〇中平均委員 次は、医療、保健提供体制ということで、県ではこれまで、奨学金養成医師の配置、また地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会の提言などを通じて、医師確保に取り組んでまいりました。今後においても継続した取り組みが求められます。
 令和5年度の奨学金養成医師は145名の配置が予定されておりますけれども、医師の地域偏在、診療科の偏在によって、県内各地の病院で医師が不足している状況は続いています。
 昨年の代表質問の際にも質問しましたけれども、令和3年度以降に義務履行を開始する養成医師について沿岸地域、県北地域での勤務を必須化していることから、今後、県内の医師不足、地域偏在は解消に向かっていくとの答弁がありました。このより一層の努力を求めたいと考えておりますけれども、県では、医師確保、診療科偏在の解消、県立病院の医師の充実に向けて、どのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。
〇達増知事 県では、即戦力医師の招聘や奨学金による医師養成などの取り組みを進めていますが、令和5年度には、県全体の奨学金養成医師を145名、このうち県北・沿岸地域には58名の配置を見込んでおり、平成28年度の7名から着実に増加しているところです。
 また、本県は全ての診療科で医師が不足していますが、特に不足が深刻な産科及び小児科については、奨学金養成医師の配置の特例措置等を設けているほか、令和5年度からは、産科、小児科、総合診療科について、新たに市町村医師養成事業に7名の地域枠を設置したところであり、引き続き診療科の偏在解消に向けた取り組みも進めていきます。
 医師不足、地域偏在の根本的解消には国レベルでの取り組みが必要であることから、医師少数県12県が連携し、国に対し提言を行っているところであり、その提言内容は、国における具体的な施策として実現されてきているところです。
 県立病院においては、奨学金養成医師を各圏域の病院に配置するとともに、セカンドキャリアに着目したシニアドクター制度による医師招聘の取り組みのほか、今月には、産婦人科特別枠の奨学金貸付者に対するキャリア形成支援として、沿岸地域等の病院見学や先輩産婦人科医師との交流を図る県内視察を実施することとしており、引き続き、こうした取り組みを通じて医師の確保、定着に努めてまいります。
〇中平均委員 ぜひ今後も進めていっていただきたいと思います。
 そういった中において、持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書の関係でありますけれども、ハイボリュームセンターの議論がさまざま交わされております。議論があるだろうというのはわかるのですが、県北・沿岸地区は、単純にまた統合であったり医師が減るのではないか、どうしてもそういった不安が先行してしまうことになっております。それがすぐさまそういうことにつながるのではないという答弁があったと記憶しておりますけれども、このハイボリュームセンターの整備について、知事の見解を伺って、終わります。
〇達増知事 ハイボリュームセンターについてでありますが、本県の持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書においては、医療の高度、専門化に対応し、かつ高い習熟度を持つ医療スタッフを有する病院による最新医療等を居住地域から至便な範囲で確保するため、病院施設の計画的な更新とあわせた、基幹病院を統合したハイボリュームセンター整備の検討の必要性が述べられています。
 一方、地域によっては、高度、専門的医療に加え、初期医療についても県立基幹病院が担っており、今後、県立病院が県民に身近な医療と高度、専門的な医療をどのように提供していくかについて、それぞれの地域医療の現状、地域保健や市町村の介護事業との連携なども踏まえ、関係者等と丁寧に議論を進めていく必要があると考えております。
 県では、令和6年度からの次期保健医療計画の策定に向け、県民が身近な地域で安心して医療を受けられるよう、初期医療のほか、入院医療を中心とする一般の医療需要にも対応した地域医療体制の確保を図るとともに、医療の高度、専門化にも対応するため、がんや循環器疾患、その他疾病等についての広域的な医療圏のあり方について専門家の意見等を伺っており、引き続き、地域の医療関係者等と丁寧に議論しながら検討を進めてまいります。
〇中平均委員 終わります。(拍手)
〇佐藤ケイ子委員長 お諮りいたします。続く総括質疑は明日行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 明日以降は、毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後5時33分 散会

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