令和5年2月定例会 第24回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君) 私は、日本共産党を代表して、議案第5号令和5年度岩手県一般会計予算に賛成の討論を行います。
 令和5年度岩手県一般会計予算案は、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランに基づいて、人口減少対策を最優先で取り組むべきものと位置づけています。
 賛成する第1の理由は、人口減少対策と子育て支援策で、思い切った積極的な施策が盛り込まれたことであります。
 高校生までの医療費助成の現物給付化が8月から実施されます。第2子以降の保育料の無償化と第2子以降の在宅育児へ月1万円の支援金の支給は、子育て支援の充実で注目されている兵庫県明石市が実施しているものですが、市町村と協力して全県で実施することは、全国トップクラスの取り組みとなるものであります。
 今年度から実施している産後ケアの無償化に加え、不妊治療への助成でも交通費の助成が拡充されます。
 大学への進学を目指す高校生に、15万円を貸し付ける新たな奨学金制度も新設されます。この奨学金は、県内大学への進学または大学卒業後に県内に就職した場合は、返還免除となるものであります。
 不登校生徒への対応に取り組む専修学校高等課程への補助金も倍増されました。
 こうした積極的な少子化対策、子育て支援策は、子育て世代の切実な要望に応えるもので、人口減少対策にとっても大きな力となるものであります。
 賛成する第2の理由は、異常な物価高のもとで、地方創生臨時交付金を全て活用し、来年度予算と一体で提起された令和4年度岩手県一般会計補正予算第8号、第9号によって対策が講じられていることであります。
 岩手県は、今年度、5月臨時会の令和4年度岩手県一般会計補正予算第2号で、全国に先駆けて、原油価格・物価高騰対策パッケージを取りまとめ、いわて子育て世代臨時特別支援金給付事業など33億円の生活者、事業者支援策を講じました。
 6月定例会での令和4年度岩手県一般会計補正予算第3号では、いわて県民応援プレミアムポイント還元や配合飼料価格安定緊急対策費補助など31億円余、9月定例会では、令和4年度岩手県一般会計補正予算第4号で、いわて子育て世代臨時特別支援金の第2弾となる追加給付を所得制限を撤廃して実施、学校給食物価高騰対策等支援費、肥料価格高騰緊急総合対策事業費など29億7、000万円を措置しました。
 12月定例会では、生活困窮者原油価格・物価高騰等特別対策費補助、医療、社会福祉施設等物価高騰対策支援金、肥料価格高騰対策費補助、配合飼料価格安定緊急対策費補助等で74億円を措置。
 2月定例会では、令和4年度岩手県一般会計補正予算第9号で、中小企業者等事業継続緊急支援金支給事業で20億7、000万円、バス、タクシー、貸し切りバス、運輸事業者等への交付金、配合飼料価格安定緊急対策費補助など34億8、000万円を措置したところであります。原油価格、物価高騰対策費の合計は158億2、000万円余となります。公共事業を含めた経済対策の合計は552億円余となるものであります。
 賛成する第3の理由は、新型コロナウイルス感染症対策に、医師不足の中、県立病院のネットワークを生かして取り組んできたことであります。
 特に、感染者が急増した第8波では、感染者数が12万4、851人、死者数が416人となりました。入院患者1、854人のうち、県立病院は全体の68.3%に当たる1、266人を受け入れました。公立、公的病院を含めると94.5%を占めます。医師、看護師の皆さんには大きな負担がかかりましたが、県立病院が新型コロナウイルス感染症対策に果たした役割は、極めて大きなものがありました。
 知事演述で達増知事が、県民の命と健康を守るために、引き続き医療局に200億円余を繰り出しますと述べたことは、県立病院の役割を高く評価し、守り抜く決意を示したものと評価するものであります。
 発熱外来を拡充し、無料のPCR検査を継続実施してきたことも評価できます。希望者へのワクチン接種も、オミクロン株対応の12歳以上のワクチン接種率では、全国平均を14%上回る取り組みとなっています。
 賛成する第4の理由は、東日本大震災津波からの復興と、新たに日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震への対策を県政の重要課題に位置づけて取り組もうとしていることであります。
 被災者の心のケアの継続的取り組み、いわて被災者支援センターによる被災者の生活支援の取り組みは、誰ひとり取り残さないという理念を貫く取り組みであります。
 主要魚種の大不漁のもとで、岩手県水産業リボーン宣言に基づく取り組みは着実な成果を上げつつあります。日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策では、市町村の避難計画と個別避難計画の作成を支援する新たな施策が盛り込まれました。
 第5に、気候危機打開、地球温暖化防止対策では、第2次地球温暖化対策実行計画の改訂で、温室効果ガスの排出量を2013年比で41%から57%に大幅に引き上げる計画を示しています。これは政府の46%目標を大きく上回る積極的なものであります。そのために、脱炭素化推進事業費9、000万円、EV等普及促進事業費1億400万円など新規事業が盛り込まれているところであります。
 コロナ禍に続き異常な物価高で、県民や事業者の生活と営業は危機的状況にあります。ところが岸田政権は、こうした生活と営業の危機を打開するどころか、敵基地攻撃能力の保有と軍事費を2倍化する大軍拡に、5年間で43兆円も税金をつぎ込もうとしています。これは、これまで歴代自由民主党政権自身が堅持してきた専守防衛の原則を投げ捨て、憲法も、平和も、暮らしも破壊するものであります。
 実際に、政府の来年度予算は、軍事費が6.8兆円、防衛力強化資金を含めると10兆円を超える大軍拡予算となっています。さらに、歴史上初めて、護衛艦や潜水艦の建造費等の4、343億円の軍事費に建設国債が充当されることも大問題であります。
 一方で、社会保障費の自然増分が1、500億円削減されています。中小企業対策費も教育費も減額であります。異次元の少子化対策の中身も財源も示されていないことは、やる気のなさを示すものではないでしょうか。
 達増知事は、専守防衛を旨とする従来の日本国憲法第9条の解釈を変更し、日本の先制攻撃の可能性を示すことは、日本と周辺国との緊張が高まる危険性がある、政府に対して、憲法第9条の趣旨を尊重し、近隣諸国との正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に求めると明言したことは、憲法と平和、暮らしを守る立場の表明として高く評価するものであります。
 最後に、反社会的集団統一協会と自由民主党など地方議員との癒着の問題の解明は、重要な県政の課題でもあります。令和5年3月18日、全国霊感商法対策弁護士連絡会は、政治家の皆様へ統一協会との関係断絶を求める声明を発表しました。声明では、各政党と議会に、第三者委員会等のしかるべき機関を立ち上げ、所属する議員の統一協会との関係について具体的に調査し公表することを求めています。
 残念ながら、岩手県議会においても、自由民主党の6人の県議が統一協会とかかわってきたことが明らかになりました。しかし、みずから具体的な事実を公表していません。今定例会でも一言の反省も述べられませんでした。統一協会とのかかわりを具体的に明らかにし、統一協会との関係断絶を表明することを私は強く求めるものであります。
 以上申し上げ、令和5年度岩手県一般会計予算案の賛成討論といたします。皆さんの賛同を強くお願い申し上げます。(拍手)
   
〇議長(五日市王君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
〇議長(五日市王君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、議案第5号令和5年度岩手県一般会計予算を採決いたします。
 本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(五日市王君) 起立多数であります。よって、議案第5号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 これより、議案第6号から議案第25号まで、議案第29号から議案第32号まで、議案第34号及び議案第36号から議案第60号までを一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(五日市王君) 起立全員であります。よって、議案第6号から議案第25号まで、議案第29号から議案第32号まで、議案第34号及び議案第36号から議案第60号までは、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   
   日程第76 議案第99号教育委員会教育長の任命に関し同意を求めることについて
〇議長(五日市王君) 次に、日程第76、議案第99号教育委員会教育長の任命に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。達増知事。
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) ただいま議題とされました人事案件について御説明いたします。
 議案第99号は、教育委員会教育長であります佐藤博氏が、3月31日をもって退職いたしますので、その後任として、佐藤一男氏を新たに任命するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 教育長は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第4条第1項の規定により、人格が高潔で、教育行政に関し識見を有するもののうちから任命することとされており、佐藤一男氏は、これまでに、県教育委員会事務局教育次長や教育局長として教育行政の総合的な企画及び調整を担うなど教育行政全般に精通していることに加え、商工労働観光部副部長や総務部人事課総括課長などの枢要な職を経験し、県政全般にわたる幅広い知見を有しており、教育委員会の会務を総理する教育長に適任と判断したものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださいますようお願いいたします。
〇議長(五日市王君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は、人事案件でありますので、会議規則第34条第3項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(五日市王君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第99号教育委員会教育長の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第99号は、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(五日市王君) 起立全員であります。よって、議案第99号は、これに同意することに決定いたしました。
   
   日程第77 発議案第1号物価上昇に見合う老齢基礎年金等の改善を求める意見書
〇議長(五日市王君) 次に、日程第77、発議案第1号物価上昇に見合う老齢基礎年金等の改善を求める意見書を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。佐々木環境福祉委員長。
   〔環境福祉委員長佐々木朋和君登壇〕

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