令和5年2月定例会 第24回岩手県議会定例会会議録

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〇15番(菅野ひろのり君) 希望いわての菅野ひろのりです。議案第5号令和5年度岩手県一般会計予算について、委員長報告に賛成の立場から討論いたします。
 現在の岩手県は、限られた財源の中で人口減少対策を進め、コロナ禍と物価高騰等で疲弊した岩手県民の生活をどう支え、県民の力をさらに発揮できる環境を整えていくかが重要です。
 その中で、令和5年度の予算編成では、自然減・社会減対策の217億円を初め、GX、DX、安全・安心な地域づくりの四つの重点項目を中心に、前年度比113億円増となる1、060億円の予算が確保されました。
 詳しく見れば、少子化対策として、少子化の主な要因とされる経済的負担軽減のため、第2子以降の保育料無償化を目玉に、在宅育児支援金の支給、大学進学支援のための奨学金創設、妊産婦へのアクセス支援の拡充など、ライフステージに応じた子育て世帯への支援策を令和4年度と比べ5.3億円増の27.9億円が措置されていることからも、達増知事初め、県当局が熟議を重ねた上で提案されたと十分に評価されます。
 そもそも、なぜ第2子以降の保育料無償化かと言えば、夫婦の理想の子供が2.25人に対して、最終的な子供の出生数は1.90人と0.35人のギャップがあり、その主な要因の経済的負担を軽減させるための政策です。所得制限なしに第2子から無償化しているのは大分県のみですから、財源が限られた中では、全国トップクラスの子育て支援策に踏み込んだとも言えるでしょう。
 仮に、第1子からの無償化を現段階で行うとすれば5億8、000万円の費用が追加となり、在宅支援資金の増額も加えれば単年度だけで12億円余りの予算計上となります。少子化対策は中長期的な政策ですから、これは単年度だけではなく、恒久的な財源確保が必須です。市町村の負担も新たに発生します。過度な財政負担を自治体に強いることも懸念されることから、動議としての突発的な提案ではなく、市町村と歩調を合わせながら丁寧に進めるべき政策です。
 予算特別委員会ではそれら費用の捻出について、財政調整基金からの取り崩しの考えも提案者から示されました。持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会の報告書によれば、財政調整基金は、当初予算編成における中長期的な活用と災害を含めた突発的な財政需要への備えと提言されています。東日本大震災津波では、財政調整基金の取り崩しが120億円程度あり、令和2年度の本県残高177億円、標準財政規模比で約4%程度とすれば、すなわち財政調整基金の200億円程度の現状を確保していかなければなりません。
 予算特別委員会で自由民主党から出された動議では5項目提案されていますが、さきに述べましたように、子育て支援策のみでも、少なく見積もって12億円以上、働き方改革を推進する事業の増額修正や物価高騰対策を行えば、さらに多額の財政調整基金を湯水のごとく取り崩すことにつながる懸念があります。
 また、編成組みかえの動議ということでありましたが、組みかえ動議だとすれば、歳入歳出の総額を維持し、何をふやし、何を減らすのかを示さなければなりません。第1子からの無償化を例に挙げれば、億単位の財源投入は、実質的な予算総額の増額修正です。
 予算の増額修正についての政府見解では、増額修正をしようとする内容、規模、当該予算全体の関連、当該地方公共団体の行財政運営における影響度等を総合的に勘案して、個々の具体事案に即して判断することが必要とされています。すなわち、提出された動議は行財政運営における影響等を勘案しておらず、財源の根拠なき動議は、予算編成権の侵害のおそれが強いとも言えるのではないでしょうか。
 ほか、物価高騰対策では、昨日、政府から2兆円の追加策が示されましたが、そのとおり、そもそも国の責任で早々に行われるべきです。専修学校については、法律的に扱われるもの。震災関連の予算は新規要求であり、増額修正の可能性がある場合は、予算項目は立てられないとするルール違反であり、予算特別委員会の質疑でも指摘しております。
 以上、令和5年度岩手県一般会計予算案の動議について、その趣旨は尊重いたしますが、財源論なき政策立案ですから論ずるには足りず、政治的パフォーマンスと捉えられても仕方ありません。
 冒頭申し上げましたとおり、予算編成について、自然減・社会減対策等の四つの重点事項を措置し、丁寧かつ慎重に進められた当局提案を評価し、予算特別委員長の報告のとおり賛成いたします。
 議員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げ、賛成討論といたします。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〇議長(五日市王君) 次に、飯澤匡君。
   〔48番飯澤匡君登壇〕

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